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法律第四十九号(平九・五・九)

  ◎密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 防災再開発促進地区(第三条)

 第三章 防災再開発促進地区の区域における建築物の建替え等の促進

  第一節 建築物の建替えの促進(第四条―第十二条)

  第二節 延焼等危険建築物に対する措置(第十三条―第三十条)

  第三節 住宅・都市整備公団の業務の特例(第三十一条)

 第四章 防災街区整備地区計画等

  第一節 防災街区整備地区計画(第三十二条・第三十三条)

  第二節 防災街区整備権利移転等促進計画(第三十四条―第三十九条)

  第三節 防災街区整備組合

   第一款 総則(第四十条―第四十四条)

   第二款 事業(第四十五条―第四十七条)

   第三款 組合員(第四十八条―第六十一条)

   第四款 管理(第六十二条―第八十七条)

   第五款 設立(第八十八条―第九十六条)

   第六款 解散及び清算(第九十七条―第百四条)

   第七款 監督(第百五条―第百九条)

   第八款 雑則(第百十条―第百十四条)

  第四節 建築物の敷地と道路との関係の特例(第百十五条)

  第五節 防災街区整備推進機構(第百十六条―第百十九条)

 第五章 罰則(第百二十条―第百二十五条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、密集市街地について計画的な再開発による防災街区の整備を促進するために必要な措置を講ずることにより、密集市街地の防災に関する機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 密集市街地 当該区域内に老朽化した木造の建築物が密集しており、かつ、十分な公共施設がないことその他当該区域内の土地利用の状況から、その特定防災機能が確保されていない市街地をいう。

 二 防災街区 その特定防災機能が確保され、及び土地の合理的かつ健全な利用が図られた街区をいう。

 三 特定防災機能 火事又は地震が発生した場合において延焼防止上及び避難上確保されるべき機能をいう。

 四 建築物 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。

 五 建築物の建替え 現に存する一以上の建築物(建築物が二以上の場合にあっては、これらの敷地が隣接するものに限る。)を除却するとともに、当該建築物の敷地であった一団の土地の全部又は一部の区域に一以上の建築物を新築することをいう。

 六 耐火建築物 建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。

 七 準耐火建築物 建築基準法第二条第九号の三に規定する準耐火建築物をいう。

 八 公共施設 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第十四項に規定する公共施設をいう。

 九 借地権 借地借家法(平成三年法律第九十号)第二条第一号に規定する借地権をいう。

   第二章 防災再開発促進地区

 (防災再開発促進地区)

第三条 都市計画法第七条第四項の市街化区域の整備、開発又は保全の方針においては、密集市街地の土地の区域内の各街区について防災街区としての整備を図るため、特に一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区(以下「防災再開発促進地区」という。)及び当該地区の整備又は開発の計画の概要を定めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、防災再開発促進地区における市街地の再開発を促進するため、第三十二条第一項の防災街区整備地区計画その他の都市計画の決定、市街地の再開発に関する事業の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

   第三章 防災再開発促進地区の区域における建築物の建替え等の促進

    第一節 建築物の建替えの促進

 (建替計画の認定)

第四条 防災再開発促進地区の区域内において、建築物の建替えをしようとする者は、建設省令で定めるところにより、建築物の建替えに関する計画(以下この節において「建替計画」という。)を作成し、所管行政庁(建築主事を置く市町村の区域については市町村長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、建築基準法第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。以下同じ。)の認定を申請することができる。

2 前項の認定(以下この節において「建替計画の認定」という。)を申請しようとする者は、その者以外に除却しようとする建築物又はその敷地である一団の土地について権利を有する者があるときは、建替計画についてこれらの者のすべての同意を得なければならない。ただし、その権利をもって建替計画の認定を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。

3 前項の場合において、同項の規定により同意を得なければならないこととされている者のうち、除却しようとする建築物について所有権又は賃借権(一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者及びその敷地である一団の土地について所有権又は借地権(一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者以外の者を確知することができないときは、確知することができない理由を記載した書面を添えて、建替計画の認定を申請することができる。

4 建替計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 建築物の建替えをする土地の区域(第五号及び次条第一項第四号において「建替事業区域」という。)

 二 除却する建築物の建築面積、構造方法及び敷地面積並びに当該建築物の敷地の接する道路の幅員

 三 新築する建築物の配置

 四 新築する建築物の建築面積、延べ面積、構造方法、建築設備、用途及び敷地面積

 五 建替事業区域内に確保する空地の配置及び規模

 六 建築物の建替えの事業に関する資金計画

 七 その他建設省令で定める事項

 (建替計画の認定基準)

第五条 所管行政庁は、建替計画の認定の申請があった場合において、当該申請に係る建替計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その旨の認定をすることができる。

 一 除却する建築物の建築面積の合計に対する除却する建築物のうち延焼防止上支障がある木造の建築物で建設省令で定める基準に該当するものの建築面積の合計の割合が建設省令で定める数値以上であること。

 二 新築する建築物が耐火建築物又は準耐火建築物であること。

 三 新築する建築物の敷地面積の合計が建設省令で定める規模以上であること。

 四 建替事業区域内に延焼防止上又は避難上有効な空地が確保されていること。

 五 建築物の建替えの事業に関する資金計画が当該建築物の建替えを確実に遂行するため適切なものであること。

2 建替計画が建築基準法第六条第一項の規定による確認又は同法第十八条第二項の規定による通知を要するものである場合において、建替計画の認定をしようとするときは、所管行政庁は、あらかじめ、建築主事の同意を得なければならない。

3 建築主事は、前項の同意を求められた場合において、当該建替計画のうち新築する建築物に係る部分が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(建築基準法第六条の二第一項に規定する建築物の新築について同意を求められた場合にあっては、同項の規定により読み替えて適用される同法第六条第一項の政令で定める規定を除く。)に適合するものであるときは、同意を与えてその旨を当該所管行政庁に通知しなければならない。この場合において、建築主事は、同意することができない事由があると認めるときは、その事由を当該所管行政庁に通知しなければならない。

4 建築基準法第九十三条の規定は所管行政庁が同法第六条第一項の規定による確認又は同法第十八条第二項の規定による通知を要する建替計画について建替計画の認定をしようとする場合について、同法第九十三条の二の規定は所管行政庁が同法第六条第一項の規定による確認を要する建替計画について建替計画の認定をしようとする場合について準用する。

5 建替計画が建築基準法第六条第一項の規定による確認又は同法第十八条第二項の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が建替計画の認定をしたときは、同法第六条第一項の規定による確認又は同法第十八条第三項の規定による通知があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。

 (建替計画の認定通知)

第六条 所管行政庁が都道府県知事である場合において、建替計画の認定をしたときは、当該都道府県知事は、関係市町村長に、速やかに、その旨を通知しなければならない。

 (建替計画の変更)

第七条 建替計画の認定を受けた者(以下この節において「認定事業者」という。)は、当該建替計画の認定を受けた建替計画(次条から第十条までにおいて「認定建替計画」という。)の変更(建設省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、所管行政庁の認定を受けなければならない。

2 前二条の規定は、前項の場合について準用する。

 (報告の徴収)

第八条 所管行政庁は、認定事業者に対し、認定建替計画(前条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの。次条及び第十条において同じ。)に係る建築物の建替えの状況について報告を求めることができる。

 (地位の承継)

第九条 認定事業者の一般承継人又は認定事業者から認定建替計画に係る除却する建築物の所有権その他当該認定建替計画に係る建築物の建替えに必要な権原を取得した者は、所管行政庁の承認を受けて、当該認定事業者が有していた建替計画の認定に基づく地位を承継することができる。

 (改善命令)

第十条 所管行政庁は、認定事業者が認定建替計画に従って建築物の建替えを行っていないと認めるときは、当該認定事業者に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (建替計画の認定の取消し)

第十一条 所管行政庁は、認定事業者が前条の規定による命令に違反したときは、建替計画の認定を取り消すことができる。

2 第六条の規定は、所管行政庁が前項の規定による取消しをした場合について準用する。

 (費用の補助)

第十二条 市町村は、認定事業者(建設省令で定める認定事業者を除く。)に対して、建築物の建替えに要する費用の一部を補助することができる。

2 国は、市町村が前項の規定により補助金を交付する場合には、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用の一部を補助することができる。

    第二節 延焼等危険建築物に対する措置

 (延焼等危険建築物に対する除却の勧告)

第十三条 所管行政庁は、防災再開発促進地区の区域であって都市計画法第八条第一項第五号の防火地域若しくは準防火地域又は第三十二条第一項の防災街区整備地区計画の区域(同条第二項第二号に規定する特定建築物地区整備計画又は同項第三号に規定する防災街区整備地区整備計画が定められている区域のうち建築物の構造に関し同法第八条第一項第五号の準防火地域における建築物の構造に関する防火上の制限と同等以上の防火上の制限が定められており、かつ、建築基準法第六十八条の二第一項の規定に基づく条例でこの制限が定められているものに限る。)が定められているもの(第五項において「特定防火地域等」という。)の内にある老朽化した木造の建築物で次に掲げる条件に該当するもの(以下「延焼等危険建築物」という。)の所有者に対し、相当の期限を定めて、当該延焼等危険建築物を除却すべきことを勧告することができる。

 一 当該建築物及びその周辺の建築物の構造及び敷地並びにこれらの建築物の密集している状況に照らし、大規模な地震が発生した場合において延焼防止上危険である建築物として建設省令で定める基準に該当するものであること。

 二 建設省令で定める規模以上の地震が発生した場合において壁、柱等の主要な構造に著しい被害を受けるおそれがある建築物として、当該建築物の構造に関し建設省令で定める基準に該当するものであること。

2 所管行政庁は、前項の規定による勧告をしようとする場合において、市町村長が所管行政庁であるときは関係都道府県知事に、都道府県知事が所管行政庁であるときは関係市町村長に、あらかじめ協議しなければならない。

3 第一項の規定による勧告をした所管行政庁は、市町村長が所管行政庁であるときは関係都道府県知事に、都道府県知事が所管行政庁であるときは関係市町村長に、速やかに、その旨を通知しなければならない。

4 第一項の規定による勧告をした所管行政庁は、当該勧告に係る延焼等危険建築物について質権、賃借権、使用貸借による権利若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利又は先取特権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記若しくは処分の制限の登記に係る権利を有する者があるときは、速やかに、これらの者にその旨を通知しなければならない。ただし、過失がなくてこれらの者を確知することができないときは、この限りでない。

5 所管行政庁は、第一項の規定の施行に必要な限度において、特定防火地域等の内の土地に存する建築物の所有者に対し、当該建築物の火事又は地震に対する安全性に係る事項に関し報告させ、又はその職員に、当該建築物若しくは当該建築物の敷地に立ち入り、当該建築物、当該建築物の敷地、建築設備、建築材料、書類その他の物件を検査させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

6 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

7 第五項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (代替建築物の提供又はあっせん)

第十四条 前条第一項の規定による勧告に係る延焼等危険建築物の賃借人は、当該延焼等危険建築物の所在する市町村の長に対し、当該延焼等危険建築物に代わるべき建築物(以下この条において「代替建築物」という。)の提供又はあっせんを要請することができる。

2 前条第一項の規定による勧告に係る延焼等危険建築物(当該延焼等危険建築物の全部又は一部が賃貸借の目的となっている場合に限る。)の所有者は、当該延焼等危険建築物を除却しようとする場合において、当該延焼等危険建築物の賃借人(次項において「賃借人」という。)の利用に供すべき代替建築物を提供し、又はあっせんすることが困難であるときは、当該延焼等危険建築物の所在する市町村の長に対し、当該代替建築物の提供又はあっせんを要請することができる。

3 前二項の規定による要請を受けた市町村長は、賃借人の利用に供すべき代替建築物を提供し、又はあっせんするよう努めなければならない。

 (居住安定計画の認定)

第十五条 第十三条第一項の規定による勧告に係る延焼等危険建築物でその全部又は一部が次に掲げる条件に該当する賃貸借の目的となっているものの所有者は、当該賃貸借の目的となっている延焼等危険建築物の全部又は一部(以下この節において「延焼等危険賃貸住宅」という。)を賃借している者(以下この節において「居住者」という。)の意見を求めて、建設省令で定めるところにより、当該延焼等危険建築物について、居住者の居住の安定の確保及び延焼等危険建築物の除却に関する計画(以下この節において「居住安定計画」という。)を作成し、市町村長の認定を申請することができる。

 一 当該賃貸借が住宅の用途に供するためにされたものであり、かつ、事務所、店舗その他住宅以外の用途を兼ねるためにされたものでないこと。

 二 当該賃貸借が一時使用のためにされたことが明らかなものでないこと。

 三 当該賃貸借の目的となっている延焼等危険建築物の全部又は一部が転貸借の目的となっていないこと。

2 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的となっている延焼等危険建築物についての前項の規定の適用については、同項中「ものの所有者は」とあるのは、「ものについて建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権を有する者(同法第六十二条第一項の規定による建替え決議があった場合にあっては、同法第六十四条の規定により建替えを行う旨の合意をしたとみなされた者)は、全員で」とする。

3 第一項の認定(以下この節において「居住安定計画の認定」という。)を申請しようとする者は、居住者以外の者で当該延焼等危険建築物について権利を有する者があるときは、居住安定計画についてその同意を得なければならない。ただし、その権利をもって居住安定計画の認定を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。

4 前項の場合において、同項の規定により同意を得なければならないこととされている者のうち当該延焼等危険建築物について賃借権(一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者以外の者を確知することができないときは、確知することができない理由を記載した書面を添えて、居住安定計画の認定を申請することができる。

5 居住安定計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 延焼等危険建築物の位置

 二 延焼等危険賃貸住宅の数

 三 延焼等危険賃貸住宅の規模、構造及び設備並びに家賃

 四 延焼等危険賃貸住宅の居住者の氏名、住所及び世帯構成

 五 延焼等危険賃貸住宅の従前の管理の状況

 六 居住者に提供する延焼等危険賃貸住宅に代わるべき住宅(延焼等危険建築物を除却した後新築する建築物の全部又は一部を当該延焼等危険賃貸住宅に代わるべき住宅として提供する場合にあっては、居住者により当該延焼等危険賃貸住宅が明け渡された日から当該新築する建築物の全部又は一部を提供する日までの間に必要となる仮住居を含む。以下この節において「代替住宅」という。)の規模、構造及び設備、家賃並びに所在及び地番

 七 居住者により延焼等危険賃貸住宅が明け渡された日から延焼等危険建築物を除却する日までの間における当該延焼等危険賃貸住宅の管理に関する事項

 八 延焼等危険建築物を除却する予定時期

 九 延焼等危険建築物の除却の事業(延焼等危険建築物を除却した後新築する建築物の全部又は一部を代替住宅として提供する場合にあっては、当該建築物の新築の事業を含む。次条第一項第四号において同じ。)に関する資金計画

 十 延焼等危険建築物に延焼等危険賃貸住宅以外の部分がある場合にあっては、当該部分についての利用状況及び居住安定計画の認定を申請した日から当該延焼等危険建築物を除却する日までの間における当該部分の管理に関する事項

 十一 その他建設省令で定める事項

 (居住安定計画の認定基準)

第十六条 市町村長は、居住安定計画の認定の申請があった場合において、当該申請に係る居住安定計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときでなければ、居住安定計画の認定をしてはならない。

 一 延焼等危険賃貸住宅の所有者が当該延焼等危険賃貸住宅の修繕その他賃貸人としてなすべき義務を履行してきていること。

 二 居住者ごとに、前条第五項第三号及び第四号に掲げる事項その他居住者に関する状況を勘案して、その規模、構造及び設備並びに家賃が妥当な水準の代替住宅が居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されることが確実であること。

 三 居住安定計画の認定の申請を受けた日から延焼等危険建築物が除却される日までの間に、当該延焼等危険建築物について新たな権利が設定されないことが確実であること。

 四 延焼等危険建築物の除却の事業に関する資金計画が当該事業を遂行するため適切なものであり、当該延焼等危険建築物が除却されることが確実であること。

2 市町村長は、居住安定計画の認定をしようとする場合において、当該居住安定計画に公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅(以下この節において「公営住宅」という。)又は特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五十二号。第二十一条第一項において「特定優良賃貸住宅法」という。)第十八条第二項に規定する賃貸住宅(以下この節において「特定公共賃貸住宅」という。)であって都道府県が管理するものが代替住宅として定められているときは、あらかじめ、当該代替住宅を示して当該都道府県の同意を得なければならない。

3 市町村長は、居住安定計画の認定をしようとするときは、あらかじめ、当該居住安定計画に定められた代替住宅を示して居住者の意見を聴かなければならない。

 (居住安定計画の認定の通知)

第十七条 市町村長は、居住安定計画の認定をしたときは、速やかに、当該居住安定計画の認定に係る居住安定計画(以下この節において「認定居住安定計画」という。)に定められた代替住宅及び当該代替住宅への入居を希望する旨を申し出ることができる期間(次項及び第十九条において「入居申出期間」という。)を示して、当該居住安定計画の認定をした旨を居住者に通知しなければならない。

2 前項の場合において、認定居住安定計画に都道府県が管理する公営住宅又は特定公共賃貸住宅が代替住宅として定められているときは、市町村長は、速やかに、当該認定居住安定計画に定められた代替住宅及び入居申出期間を示して、当該居住安定計画の認定をした旨を当該都道府県に通知しなければならない。

 (居住安定計画の変更)

第十八条 居住安定計画の認定を受けた者(以下この節において「認定所有者」という。)は、認定居住安定計画の変更(建設省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、市町村長の認定を受けなければならない。

2 前二条の規定は、前項の場合について準用する。

 (居住者の居住の安定に関する措置)

第十九条 第十七条第一項(前条第二項により準用する場合を含む。以下この節において同じ。)の規定による通知を受けた居住者は、当該通知により示された代替住宅が公営住宅、特定公共賃貸住宅又は市町村が居住者に転貸するために借り上げた住宅(公営住宅を除く。第二十二条において「市町村借上住宅」という。)である場合においては、入居申出期間内に、当該代替住宅への入居を希望する旨を当該代替住宅を管理する地方公共団体に申し出ることができる。

第二十条 前条の規定による申出に係る代替住宅が公営住宅である場合において、当該申出をした者が公営住宅法第二十三条各号に掲げる条件に該当する者であるときは、当該公営住宅を管理する地方公共団体は、同法第二十二条第一項及び第二十五条第一項の規定にかかわらず、その者を当該公営住宅に入居させるものとする。

2 前項に規定する公営住宅を管理する地方公共団体は、同項に規定する者を公営住宅に入居させる場合において、その者が従前賃借していた延焼等危険賃貸住宅の家賃を当該公営住宅の家賃が超えることとなり、その者の家賃負担の軽減を図るため必要があると認めるときは、公営住宅法第十六条第一項、第二十八条第二項又は第二十九条第五項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該公営住宅の家賃を減額することができる。

3 公営住宅法第十六条第五項の規定は、前項の規定により家賃を減額する場合について準用する。

第二十一条 第十九条の規定による申出に係る代替住宅が特定公共賃貸住宅である場合において、当該申出をした者が特定優良賃貸住宅法第十八条第二項に規定する建設省令で定める基準のうち入居者の資格に係るものに該当する者であるときは、当該特定公共賃貸住宅を管理する地方公共団体は、その者を当該特定公共賃貸住宅に入居させるものとする。

2 地方公共団体は、前項に規定する者を入居させた特定公共賃貸住宅の家賃については、公営住宅法第十六条第二項の規定の例により算定した近傍同種の住宅の家賃以下で条例で定める額とするものとする。

3 第一項に規定する地方公共団体は、同項に規定する者を特定公共賃貸住宅に入居させる場合において、その者が従前賃借していた延焼等危険賃貸住宅の家賃を当該特定公共賃貸住宅の家賃が超えることとなり、その者の家賃負担の軽減を図るため必要があると認めるときは、条例で定めるところにより、当該特定公共賃貸住宅の家賃を減額することができる。

第二十二条 第十九条の規定による申出に係る代替住宅が市町村借上住宅である場合においては、当該市町村借上住宅を管理する市町村は、当該申出をした者を当該市町村借上住宅に入居させるものとする。

2 前条第二項及び第三項の規定は、前項に規定する者を市町村借上住宅に入居させる場合について準用する。

3 国は、市町村が前項の規定により準用される前条第三項の規定により市町村借上住宅の家賃を減額する場合には、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その減額に要する費用の一部を補助することができる。

 (移転料の支払)

第二十三条 認定居住安定計画(第十八条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下この節において同じ。)に定められた延焼等危険賃貸住宅(以下「認定賃貸住宅」という。)の認定所有者は、当該認定賃貸住宅の第十七条第一項の規定による通知を受けた居住者が当該認定賃貸住宅から認定居住安定計画に定められた代替住宅へその住居の移転(認定居住安定計画において延焼等危険建築物を除却した後新築する建築物の全部又は一部が代替住宅として定められている場合にあっては、当該認定居住安定計画に定められた仮住居から当該代替住宅への移転を含む。)をする場合においては、当該居住者に対して、建設省令で定めるところにより、あらかじめ、通常必要な移転料を支払わなければならない。

 (賃貸借契約の更新拒絶等)

第二十四条 認定賃貸住宅について当該認定賃貸住宅の認定所有者が当該認定賃貸住宅の第十七条第一項の規定による通知を受けた居住者(次項、次条及び第二十七条において「認定居住者」という。)に対し賃貸借の更新の拒絶の通知(条件を変更しなければ更新をしない旨の通知を除く。)をする場合については、借地借家法第二十六条第二項及び第二十八条の規定は、適用しない。

2 認定賃貸住宅について当該認定賃貸住宅の認定所有者が当該認定賃貸住宅の認定居住者に対し賃貸借の解約の申入れをする場合については、借地借家法第二十七条第二項及び第二十八条の規定は、適用しない。

 (報告の徴収)

第二十五条 市町村長は、認定所有者に対し、認定居住安定計画に係る認定居住者の居住の安定の確保及び延焼等危険建築物の除却の状況について報告を求めることができる。

 (地位の承継)

第二十六条 認定所有者の一般承継人又は認定所有者から認定賃貸住宅の所有権その他当該認定居住安定計画の実施に必要な権原を取得した者は、市町村長の承認を受けて、当該認定所有者が有していた居住安定計画の認定に基づく地位を承継することができる。

 (改善命令)

第二十七条 市町村長は、認定所有者が認定居住安定計画に従って、認定居住者の居住の安定を確保していないと認めるとき又は延焼等危険建築物を除却していないと認めるときは、当該認定所有者に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。ただし、延焼等危険建築物を除却すべき旨の命令は、当該延焼等危険建築物から認定居住者がすべて移転した場合に限り、することができる。

 (居住安定計画の認定の取消し)

第二十八条 市町村長は、前条ただし書に規定する場合以外の場合において、認定所有者が同条の規定による命令に違反したときは、居住安定計画の認定を取り消すことができる。

2 第十七条の規定は、市町村長が前項の規定による取消しをした場合について準用する。

 (費用の補助)

第二十九条 市町村は、認定所有者(建設省令で定める認定所有者を除く。)に対して、第二十三条の規定による移転料の支払いに要する費用の全部又は一部を補助することができる。

2 国は、市町村が前項の規定により補助金を交付する場合には、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用の一部を補助することができる。

 (不服申立て)

第三十条 第十五条第一項、第十八条第一項及び第二十八条第一項の規定による処分に不服がある者は、都道府県知事に対して審査請求をすることができる。

2 前項に規定する審査請求につき都道府県知事がした裁決に不服がある者は、建設大臣に対して再審査請求をすることができる。

    第三節 住宅・都市整備公団の業務の特例

 (住宅・都市整備公団の業務の特例)

第三十一条 住宅・都市整備公団は、住宅・都市整備公団法(昭和五十六年法律第四十八号。以下この条において「公団法」という。)第二十九条第一項から第三項までに規定する業務のほか、都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)第二条の三第一項に規定する都市計画区域について定められた防災再開発促進地区の区域内において、その一体的かつ総合的な市街地の再開発を促進するため、地方公共団体の委託に基づき、公団法第二十九条第二項第一号から第三号まで、第五号、第六号及び第八号の業務を行うことができる。

2 前項の規定により住宅・都市整備公団の業務が行われる場合には、公団法第六十二条第二項及び第六十三条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成九年法律第四十九号)」と、公団法第六十八条中「第六十三条第一項」とあるのは「第六十三条第一項(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)」と、公団法第六十九条第三号中「附則第十七条」とあるのは「附則第十七条並びに密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第一項」と、公団法第六十九条第六号中「第六十二条第二項」とあるのは「第六十二条第二項(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)」とする。

   第四章 防災街区整備地区計画等

    第一節 防災街区整備地区計画

 (防災街区整備地区計画)

第三十二条 次に掲げる条件に該当する密集市街地の土地の区域内の土地の区域で、当該区域における特定防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図るため、当該区域の各街区を防災街区として一体的かつ総合的に整備することが適切であると認められるものについては、都市計画に防災街区整備地区計画を定めることができる。

 一 当該区域における特定防災機能の確保を図る上で必要となる適正な配置及び規模の公共施設がない区域であること。

 二 当該区域における特定防災機能に支障を来している区域であること。

 三 都市計画法第八条第一項第一号に規定する用途地域が定められている区域であること。

2 防災街区整備地区計画については、都市計画法第十二条の四第二項に定める事項のほか、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。

 一 当該防災街区整備地区計画の目標その他当該区域の整備に関する方針

 二 当該区域における特定防災機能を確保するために整備されるべき主要な道路、公園その他の政令で定める施設(都市計画法第四条第六項に規定する都市計画施設を除く。以下「地区防災施設」という。)の区域(地区防災施設のうち建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)と一体となって当該特定防災機能を確保するために整備されるべきもの(以下「特定地区防災施設」という。)にあっては、当該特定地区防災施設の区域及び当該建築物等の整備に関する計画(以下「特定建築物地区整備計画」という。))

 三 主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設(都市計画法第四条第六項に規定する都市計画施設及び地区防災施設を除く。以下「地区施設」という。)及び建築物等(特定建築物地区整備計画の区域内の建築物等を除く。)の整備並びに土地の利用に関して、地区防災施設の区域以外の防災街区整備地区計画の区域について定める計画(以下「防災街区整備地区整備計画」という。)

3 特定建築物地区整備計画においては、その区域及び建築物の構造に関する防火上必要な制限、建築物の特定地区防災施設に面する部分の長さの敷地の当該特定地区防災施設に接する部分の長さに対する割合の最低限度、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物等の用途の制限、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度又は最低限度、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域における工作物の設置の制限その他建築物等に関する事項で政令で定めるもののうち、防災街区整備地区計画の目的を達成するため必要な事項を定めるものとする。

4 防災街区整備地区整備計画においては、次に掲げる事項のうち、防災街区整備地区計画の目的を達成するため必要な事項を定めるものとする。

 一 地区施設の配置及び規模

 二 建築物の構造に関する防火上必要な制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物等の用途の制限、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度又は最低限度、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域における工作物の設置の制限その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの

 三 前二号に掲げるもののほか、土地の利用に関する事項で政令で定めるもの

5 防災街区整備地区計画を都市計画に定めるに当たっては、次に掲げるところに従わなければならない。

 一 地区防災施設(特定地区防災施設を除く。)は、当該地区防災施設が、当該防災街区整備地区計画の区域及びその周辺において定められている都市計画と相まって、当該区域における特定防災機能を確保するとともに、良好な都市環境の形成に資するよう、必要な位置に適切な規模で配置すること。

 二 特定地区防災施設は、当該特定地区防災施設が、当該防災街区整備地区計画の区域及びその周辺において定められている都市計画と相まって、特定建築物地区整備計画の区域内の建築物等と一体となって当該防災街区整備地区計画の区域における特定防災機能を確保するとともに、良好な都市環境の形成に資するよう、必要な位置に適切な規模で配置すること。

 三 特定建築物地区整備計画は、当該特定建築物地区整備計画の区域内の建築物等が特定地区防災施設と一体となって当該防災街区整備地区計画の区域における特定防災機能を確保するとともに、適切な構造、高さ、配列等を備えた建築物等が整備されることにより当該区域内の土地が合理的かつ健全な利用形態となるように定めること。

 四 地区施設は、当該地区施設が、当該防災街区整備地区計画の区域及びその周辺において定められている都市計画と相まって、火事又は地震が発生した場合の当該区域における延焼により生ずる被害の軽減及び避難上必要な機能の確保と良好な都市環境の形成に資するよう、必要な位置に適切な規模で配置すること。

 五 防災街区整備地区整備計画における建築物等に関する事項は、当該防災街区整備地区計画の区域の特性にふさわしい用途、容積、高さ、配列等を備えた建築物等が整備されることにより当該区域内の土地が合理的かつ健全な利用形態となるとともに、当該防災街区整備地区整備計画の区域内の建築物等(特定建築物地区整備計画の区域内の建築物等を除く。)が火事又は地震が発生した場合の当該区域における延焼により生ずる被害の軽減に資するように定めること。

6 防災街区整備地区計画を都市計画に定める際、当該防災街区整備地区計画の区域の全部又は一部について地区防災施設の区域(防災街区整備地区計画に特定地区防災施設を定めるべき場合にあっては、特定地区防災施設の区域及び特定建築物地区整備計画。以下この項において同じ。)又は防災街区整備地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該防災街区整備地区計画の区域の全部又は一部について地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画を定めることを要しない。この場合において、地区防災施設の区域以外の防災街区整備地区計画の区域の一部について防災街区整備地区整備計画を定めるときは、当該防災街区整備地区計画については、当該防災街区整備地区整備計画の区域をも都市計画に定めなければならない。

7 防災街区整備地区計画の区域(地区防災施設の区域が定められている区域を除く。)のうち建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備を一体として行うべき土地の区域としてふさわしい相当規模の一団の土地(国又は地方公共団体の所有する土地で公共施設の用に供されているものを除く。)について所有権又は借地権(一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者は、その全員の合意により、当該防災街区整備地区計画に定められた内容に従ってその土地の区域における建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事項を内容とする協定を締結した場合においては、建設省令で定めるところにより、その協定の目的となっている土地の区域につき、当該防災街区整備地区計画に関する都市計画に建設省令で定める場合の区分に応じ当該建設省令で定める事項を定めるべきことを当該都市計画を定めるべき者に対し要請することができる。

 (行為の届出等)

第三十三条 防災街区整備地区計画の区域(地区防災施設の区域(特定地区防災施設が定められている場合にあっては、当該特定地区防災施設の区域及び特定建築物地区整備計画)又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、建設省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他建設省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

 一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

 二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

 三 国又は地方公共団体が行う行為

 四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 五 都市計画法第二十九条の許可を要する行為

 六 第三十六条第一項の規定による公告があった防災街区整備権利移転等促進計画の定めるところによって設定され、又は移転された次条第一項に規定する権利に係る土地において当該防災街区整備権利移転等促進計画に定められた土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他同条第二項第六号に規定する建設省令で定める行為に関する事項に従って行う行為

 七 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち建設省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、建設省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

3 市町村長は、第一項又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が防災街区整備地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。この場合において、火事又は地震が発生した場合の当該防災街区整備地区計画の区域における延焼により生ずる被害の軽減又は避難上必要な機能の確保に資するため必要があると認めるときは、防災街区整備地区計画に定められた事項その他の事項に関し、適切な措置を講ずることについて助言又は指導をするものとする。

    第二節 防災街区整備権利移転等促進計画

 (防災街区整備権利移転等促進計画の作成)

第三十四条 市町村は、防災再開発促進地区の区域について定められた防災街区整備地区計画(以下この章において「特定防災街区整備地区計画」という。)の区域における特定防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図るため、当該特定防災街区整備地区計画の区域内の土地(国又は地方公共団体が所有する土地で公共施設の用に供されているもの、農地その他の政令で定める土地を除く。次条において同じ。)を対象として、所有権の移転又は地上権若しくは賃借権(これらの権利で一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。次項第五号、次条及び第三十七条において同じ。)の設定若しくは移転(以下この節において「権利の移転等」という。)を促進する事業を行おうとするときは、防災街区整備権利移転等促進計画を定めるものとする。

2 防災街区整備権利移転等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 権利の移転等を受ける者の氏名又は名称及び住所

 二 前号に規定する者が権利の移転等を受ける土地の所在、地番、地目及び面積

 三 第一号に規定する者に前号に規定する土地について権利の移転等を行う者の氏名又は名称及び住所

 四 第一号に規定する者が移転を受ける所有権の移転の後における土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法

 五 第一号に規定する者が設定又は移転を受ける地上権又は賃借権の種類、内容(土地の利用目的を含む。)、始期又は移転の時期、存続期間又は残存期間並びに地代又は借賃及びその支払の方法

 六 権利の移転等が行われた後に第二号に規定する土地において行われることとなる土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他建設省令で定める行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他建設省令で定める事項

 七 その他建設省令で定める事項

3 防災街区整備権利移転等促進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。

 一 防災街区整備権利移転等促進計画の内容が特定防災街区整備地区計画に適合するものであること。

 二 防災街区整備権利移転等促進計画において、特定防災街区整備地区計画の区域における特定防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図るための権利の移転等で次に掲げるもののいずれかが定められていること。

  イ 地区防災施設若しくは地区施設の整備を図るため行う権利の移転等又はこれと併せて行う当該権利の移転等を円滑に推進するために必要な権利の移転等

  ロ 特定建築物地区整備計画の区域において特定地区防災施設と一体となって当該特定防災街区整備地区計画の区域の特定防災機能を確保するためにされる建築物等の新築その他の行為で建設省令で定めるものを伴う権利の移転等(イに掲げるものを除く。)

 四 前項第二号に規定する土地に存する建物その他の土地に定着する物件ごとに、当該物件について所有権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者並びに当該物件について先取特権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記に係る権利を有する者のすべての同意が得られていること。

 五 前項第一号に規定する者が、権利の移転等が行われた後において、同項第二号に規定する土地を同項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められること。

 (防災街区整備権利移転等促進計画の作成の要請)

第三十五条 特定防災街区整備地区計画の区域内の土地について所有権、地上権又は賃借権を有する者及び当該土地について権利の移転等を受けようとする者は、その全員の合意により、前条第二項各号に掲げる事項を内容とする協定を締結した場合において、同条第三項第三号及び第四号に規定する者のすべての同意を得たときは、建設省令で定めるところにより、その協定の目的となっている土地につき、防災街区整備権利移転等促進計画を定めるべきことを市町村に対し要請することができる。

 (防災街区整備権利移転等促進計画の公告)

第三十六条 市町村は、防災街区整備権利移転等促進計画を定めたときは、建設省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。

2 市町村は、都市計画法第十九条第二項に規定する政令で定める事項に係る権利の移転等をその内容とする防災街区整備権利移転等促進計画について前項の規定による公告をしようとするときは、建設省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

 (公告の効果)

第三十七条 前条第一項の規定による公告があったときは、その公告があった防災街区整備権利移転等促進計画の定めるところによって所有権が移転し、又は地上権若しくは賃借権が設定され、若しくは移転する。

 (登記の特例)

第三十八条 第三十六条第一項の規定による公告があった防災街区整備権利移転等促進計画に係る土地の登記については、政令で、不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の特例を定めることができる。

 (勧告)

第三十九条 市町村は、権利の移転等を受けた者が防災街区整備権利移転等促進計画に定められた土地の利用目的に従って土地を利用していないと認めるときは、当該権利の移転等を受けた者に対し、相当の期限を定めて、当該防災街区整備権利移転等促進計画に定められた事項の適正かつ確実な実施を図るために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

    第三節 防災街区整備組合

     第一款 総則

 (防災街区整備組合の目的)

第四十条 防災街区整備組合(以下「組合」という。)は、特定防災街区整備地区計画の区域内の一団の土地について所有権又は借地権を有する者が協同して当該一団の土地の区域内の各街区を防災街区として整備することを目的とする。

 (人格及び住所)

第四十一条 組合は、法人とする。

2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (名称)

第四十二条 組合は、その名称中に防災街区整備組合という文字を用いなければならない。

2 組合でないものは、その名称中に防災街区整備組合という文字を用いてはならない。

 (事業の目的)

第四十三条 組合は、その行う事業によってその組合員のために直接の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行ってはならない。

 (登記)

第四十四条 組合は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の登記を必要とする事項は、登記の後でなければ第三者に対抗することができない。

3 第一項の規定により登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。

     第二款 事業

 (組合の事業の範囲)

第四十五条 組合は、第四十条の目的を達成するため、その地区内において、次に掲げる事業で特定防災街区整備地区計画に適合するものを行う。

 一 土地の区画形質の変更及びこれに併せて整備することが必要な公共施設の整備

 二 耐火建築物又は準耐火建築物の建築(建築基準法第二条第十三号に規定する建築をいう。次項において同じ。)、賃貸その他の管理又は譲渡(当該建築物の敷地である土地の賃貸その他の管理又は譲渡を含む。)

 三 前二号の事業に附帯する事業

2 組合は、前項に規定する事業のほか、第四十条の目的を達成するため、その地区内において、次に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。

 一 特定防災街区整備地区計画に適合する耐火建築物又は準耐火建築物の建築をするために土地を必要とすると認められる者で政令で定めるものに対して行う土地の賃貸その他の管理又は譲渡

 二 組合の地区における特定防災機能の確保のために必要な共同利用施設の設置又は管理

 三 組合の事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育及び組合員に対する一般的情報の提供

 四 前三号の事業に附帯する事業

 (土地区画整理事業)

第四十六条 組合が前条第一項第一号に掲げる事業を土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業をいう。以下この節において同じ。)として行う場合には、組合を同法第三条第一項の規定により数人共同して施行する土地区画整理事業の施行者とみなして、同法(第十一条及び第十二条を除く。)の規定を適用する。この場合において、同法第六条第五項中「わたらないように」とあるのは、「わたらず、防災街区整備組合の地区と一致し、かつ、当該防災街区整備組合の組合員の有する所有権又は借地権の目的となっている宅地以外の宅地を含まないように」と読み替えるものとする。

2 土地区画整理法の規定の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 組合は、第一項の規定により適用される土地区画整理法第四条第一項の規約若しくは事業計画を定め、若しくは変更し、又は同法第八十六条第一項の換地計画を定め、若しくは変更しようとするときは、組合員全員の合意によらなければならない。

4 第一項の規定による土地区画整理法第百二十三条及び第百二十四条の規定の適用については、前項の規定は、同法の規定とみなす。

 (第一種市街地再開発事業)

第四十七条 組合が、都市計画法第八条第一項第三号の高度利用地区の区域又は都市再開発法第二条の二第一項に規定する防災街区整備地区計画の区域内の土地の区域であって、第四十五条第一項第一号及び第二号に掲げる事業を第一種市街地再開発事業(同法第二条第一号に規定する第一種市街地再開発事業をいう。以下この節において同じ。)として行う場合には、組合を同法第二条の二第一項の規定により数人共同して施行する第一種市街地再開発事業の施行者とみなして、同法(第七条の十七及び第七条の十八を除く。)の規定を適用する。この場合において、同法第七条の十四第三号中「わたつており」とあるのは、「わたつており、防災街区整備組合の地区と一致しておらず、当該防災街区整備組合の組合員の有する所有権若しくは借地権の目的となつている宅地以外の宅地を含んでおり」と読み替えるものとする。

2 都市再開発法の規定の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 組合は、第一項の規定により適用される都市再開発法第七条の九第一項の規約若しくは事業計画を定め、若しくは変更し、又は同法第七十二条第一項の権利変換計画を定め、若しくは変更しようとするときは、組合員全員の合意によらなければならない。

4 第一項の規定による都市再開発法第百二十四条及び第百二十四条の二の規定の適用については、前項の規定は、同法の規定とみなす。

     第三款 組合員

 (組合員たる資格)

第四十八条 組合員たる資格を有する者は、組合の地区内の土地(土地区画整理事業を行う組合にあっては土地区画整理法第二条第五項に規定する公共施設の、第一種市街地再開発事業を行う組合にあっては都市再開発法第二条第四号に規定する公共施設の用に供する土地で国又は地方公共団体が所有するものを除く。)について所有権又は借地権(第一種市街地再開発事業を行う組合にあっては、一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者であって定款で定めるものとする。

 (出資)

第四十九条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。

2 出資一口の金額は、均一でなければならない。

3 組合員の責任は、第五十二条の経費の負担を除くほか、その出資額を限度とする。

4 組合員は、出資の払込みについて、相殺をもって組合に対抗することができない。

 (持分の譲渡)

第五十条 組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。

2 組合員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。

3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。

4 組合員は、持分を共有することができない。

 (議決権及び選挙権)

第五十一条 組合員は、各一個の議決権及び役員の選挙権を有する。

2 組合員は、定款で定めるところにより、第七十条の規定によりあらかじめ通知のあった事項につき、書面又は代理人をもって議決権又は選挙権を行うことができる。

3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、これを出席者とみなす。

4 代理人は、五人以上の組合員を代理することができない。

5 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。

 (経費)

第五十二条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。

2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもって組合に対抗することができない。

 (過怠金)

第五十三条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に対して過怠金を課することができる。

 (加入の自由)

第五十四条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。

 (脱退の自由)

第五十五条 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度末において脱退することができる。

2 前項に規定する予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は一年を超えてはならない。

 (法定脱退)

第五十六条 組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。

 一 組合員たる資格の喪失

 二 死亡又は解散

 三 除名

2 除名は、次の各号のいずれかに該当する組合員につき、総会の議決によってすることができる。この場合において、組合は、その総会の日の十日前までにその組合員に対しその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

 一 長期間にわたって組合の事業を利用しない組合員

 二 出資の払込み、経費の支払その他組合に対する義務を怠った組合員

 三 その他定款で定める事由に該当する組合員

3 前項の除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない。

 (脱退者の持分の払戻し)

第五十七条 組合員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。

2 前項に規定する持分は、脱退した事業年度末における当該組合の財産によってこれを定める。

 (損失額の払込み)

第五十八条 持分を計算するに当たり、組合の財産をもって債務を完済するに足りないときは、当該組合は、定款で定めるところにより、脱退した組合員に対して、その負担に帰すべき損失額の払込みを請求することができる。

 (時効)

第五十九条 第五十七条第一項及び前条に規定する請求権は、脱退の時から二年間これを行わないときは、時効によって消滅する。

 (持分の払戻しの停止)

第六十条 組合は、脱退した組合員がその組合に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻しを停止することができる。

 (出資口数の減少)

第六十一条 組合員は、定款で定めるところにより、その出資口数を減少することができる。

2 第五十七条から第五十九条までの規定は、前項の規定により出資口数を減少する場合について準用する。

     第四款 管理

 (定款)

第六十二条 組合の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 事業

 二 名称

 三 地区

 四 事務所の所在地

 五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定

 六 出資一口の金額及びその払込みの方法並びに一組合員の有することができる出資口数の最高限度

 七 経費の分担に関する規定

 八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定

 九 準備金の額及びその積立ての方法

 十 役員の定数、職務の分担及び選挙又は選任に関する規定

 十一 事業年度

 十二 公告の方法

2 組合の定款には、前項に掲げる事項のほか、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資する者を定めたときはその者の氏名又は名称、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して与える出資口数を記載しなければならない。

3 建設大臣は、模範定款例を定めることができる。

 (規約で定め得る事項)

第六十三条 次に掲げる事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。

 一 総会に関する規定

 二 業務の執行及び会計に関する規定

 三 役員に関する規定

 四 組合員に関する規定

 五 その他必要な事項

 (役員の定数及び選挙又は選任)

第六十四条 組合に役員として理事及び監事を置く。

2 理事の定数は二人以上とし、監事の定数は一人以上とする。

3 役員は、定款で定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあっては、創立総会)において選挙する。ただし、定款で定めるところにより、総会外において選挙することができる。

4 役員の選挙は、無記名投票によって行う。ただし、定款で定めるところにより、役員候補者が選挙すべき役員の定数以内であるときは、投票を省略することができる。

5 投票は、組合員一人につき一票とする。

6 定款によって定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者(第四項ただし書の規定により投票を省略した場合にあっては、当該候補者)を当選人とする。

7 総会外において役員の選挙を行うときは、投票所は、組合員の選挙権の適正な行使を妨げない場所に設けなければならない。

8 役員は、第三項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあっては、創立総会)において選任することができる。

9 理事の定数の少なくとも三分の二は、組合員たる個人又は組合員たる法人の業務を執行する役員でなければならない。ただし、設立当時の理事は、設立の同意を申し出た個人又は設立の同意を申し出た法人の業務を執行する役員でなければならない。

 (役員の任期)

第六十五条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。

2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会(合併による設立にあっては、設立委員)において定める期間とする。ただし、その期間は一年を超えてはならない。

 (理事の職務)

第六十六条 理事は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款、事業基本方針及び規約(以下この節において「法令等」という。)並びに総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

2 理事がその任務を怠ったときは、その理事は、組合に対して連帯して損害賠償の責めに任ずる。

3 理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。重要な事項につき第七十三条第一項に規定する書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、同様とする。

 (役員の兼職禁止)

第六十七条 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と、それぞれ兼ねてはならない。

 (理事の自己契約等の禁止)

第六十八条 組合が理事と契約するときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、同様とする。

 (総会の招集)

第六十九条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

2 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあった日から二十日以内に総会を招集しなければならない。

3 理事の職務を行う者がないとき、又は前項の規定による請求があった場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。

 (総会招集の手続)

第七十条 総会招集の通知は、その総会の日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。

 (組合員に対する通知又は催告)

第七十一条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときは、その場所にあてればよい。

2 前項に規定する通知又は催告は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。

 (定款その他の書類の備付け及び閲覧)

第七十二条 理事は、定款、事業基本方針及び規約を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 理事は、総会の議事録を十年間主たる事務所に、その謄本を五年間従たる事務所に備えて置かなければならない。

3 組合員名簿には、各組合員について次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所

 二 加入の年月日

 三 出資口数及び出資各口の取得の年月日

 四 払込済出資額及びその払込みの年月日

4 組合員及び組合の債権者は、第一項又は第二項に規定する書類の閲覧を求めることができる。

 (決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)

第七十三条 理事は、通常総会の日から一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員及び組合の債権者は、前項に規定する書類の閲覧を求めることができる。

3 第一項に規定する書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添付しなければならない。

 (役員の改選の請求)

第七十四条 組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもって、その代表者から役員の改選を請求することができる。

2 前項の規定による請求は、理事の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。ただし、法令等の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。

3 第一項の規定による請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

4 第一項の規定による請求があったときは、理事は、これを総会の議に付さなければならない。この場合においては、第六十九条第二項及び第三項の規定を準用する。

5 第三項に規定する書面の提出があったときは、理事は、総会の日の一週間前までにその請求に係る役員にその書面又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

6 第一項の規定による請求につき第四項に規定する総会において出席者の過半数の同意があったときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。

 (役員についての商法等の準用)

第七十五条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百五十四条第三項、第二百五十六条第三項及び第二百五十八条第一項の規定は理事及び監事について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条から第五十六条まで及び第六十一条第一項の規定は理事について、第六十六条、民法第五十九条及び商法第二百七十八条の規定は監事について、それぞれ準用する。この場合において、民法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官」とあるのは、「都道府県知事ハ利害関係人」と読み替えるものとする。

 (参事及び会計主任)

第七十六条 組合は、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。

2 参事及び会計主任の選任又は解任は、理事の過半数で決する。

3 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。

4 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

5 第三項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。

6 理事は、前項に規定する可否を決する日から七日前までに、当該参事又は会計主任に対し、第四項に規定する書面又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。

7 商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条の規定は、参事について準用する。

 (競業関係にある者の役員等への就任禁止)

第七十七条 組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、その組合の理事、監事、参事又は会計主任となることができない。

 (総会の議決事項)

第七十八条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 事業基本方針の変更

 三 規約の設定、変更又は廃止

 四 毎事業年度の事業計画の設定又は変更

 五 経費の賦課及び徴収の方法

 六 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案及び損失処理案

2 定款及び事業基本方針の変更は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第九十三条第二項及び第九十四条の規定は、前項の規定により認可を受ける場合について準用する。

4 組合の地区に係る定款の変更については、前項に規定するもののほか、第八十八条の規定を準用する。

 (総会の議事)

第七十九条 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

2 議長は、総会において選任する。

3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。

 (特別議決事項)

第八十条 次に掲げる事項は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 一 定款の変更

 二 事業基本方針の変更

 四 組合員の除名

 (総会についての民法及び商法の準用)

第八十一条 民法第六十四条並びに商法第二百四十三条、第二百四十四条第一項及び第二項、第二百四十七条から第二百四十九条まで、第二百五十一条並びに第二百五十二条の規定(これらの規定中監査役に関する部分を除く。)は、総会について準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあるのは「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第七十条」と、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第七十条」と読み替えるものとする。

 (出資一口の金額の減少)

第八十二条 組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。

2 組合は、前項に規定する期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。

3 前項に規定する一定の期間は、一月を下ってはならない。

4 債権者が第二項に規定する一定の期間内に異議を述べなかったときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。

5 債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

6 商法第三百八十条(監査役に関する部分を除く。)の規定は、組合の出資一口の金額の減少について準用する。

 (準備金及び繰越金)

第八十三条 組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。

2 前項に規定する定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一を下ってはならない。

3 第一項に規定する準備金は、損失をうめる場合を除いては、取り崩してはならない。

4 第四十五条第二項第三号に掲げる事業を行う組合は、当該事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。

 (剰余金の配当)

第八十四条 組合は、損失をうめ、前条第一項の規定による準備金及び同条第四項の規定による繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。

2 前項の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は払込済出資額に応じてしなければならない。この場合において、払込済出資額に応じてする配当の率は、年八パーセント以内において政令で定める割合を超えてはならない。

 (区分経理)

第八十五条 土地区画整理事業又は第一種市街地再開発事業を行う組合は、土地区画整理事業又は第一種市街地再開発事業に係る経理をそれぞれ他の事業に係る経理と区分して整理しなければならない。

 (財務基準)

第八十六条 前三条に定めるもののほか、組合が、その組合員との間の財務関係を明らかにし、組合員の利益を保全することができるように、その財務を適正に処理するための基準として従わなければならない事項は、政令で定める。

 (組合の持分取得の禁止)

第八十七条 組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。

     第五款 設立

 (組合の地区)

第八十八条 組合を設立するには、特定防災街区整備地区計画の区域のうち建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備を行うべき相当規模の一団の土地の区域をその地区としなければならない。

 (発起人)

第八十九条 組合を設立するには、特定防災街区整備地区計画の区域内の土地について所有権又は借地権を有する者三人以上が発起人となることを必要とする。

 (設立準備会)

第九十条 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作成し、これを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。

2 前項の規定による公告は、設立準備会の日の二週間前までにしなければならない。

3 設立準備会においては、出席した組合員となろうとする者の中から、定款及び事業基本方針の作成に当たるべき者(次項及び第九十二条において「定款等作成委員」という。)を選任し、かつ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項及び事業基本方針の概要を定めなければならない。

4 定款等作成委員は、三人以上でなければならない。

5 設立準備会の議事は、出席した組合員となろうとする者の過半数の同意をもって決する。

 (事業基本方針)

第九十一条 事業基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 組合の地区内において、組合が行う事業の種類及びその実施の方針

 二 その他建設省令で定める事項

2 前項第一号に掲げる事項は、組合の地区内の土地について定められている特定防災街区整備地区計画その他の都市計画に適合するように定めなければならない。

 (創立総会)

第九十二条 定款等作成委員が定款及び事業基本方針を作成したときは、発起人は、これらを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。

2 前項の規定による公告は、創立総会の日の二週間前までにしなければならない。

3 定款等作成委員が作成した定款及び事業基本方針の承認その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。

4 創立総会においては、前項に規定する定款及び事業基本方針を修正することができる。ただし、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。

5 創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその創立総会の日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上でこれを決する。

6 前項に規定する者は、書面及び代理人をもって議決権及び選挙権を行使することができる。

7 第五十一条(第二項を除く。)、第七十九条第二項及び第三項並びに商法第二百四十三条、第二百四十四条第一項及び第二項、第二百四十七条から第二百四十九条まで、第二百五十一条並びに第二百五十二条の規定(これらの規定のうち監査役に関する部分を除く。)は、創立総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第九十二条第一項」と読み替えるものとする。

 (設立の認可の申請)

第九十三条 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、建設省令で定めるところにより、定款及び事業基本方針並びに事業計画を都道府県知事に提出して設立の認可を申請しなければならない。

2 発起人は、都道府県知事の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。

 (設立の認可)

第九十四条 都道府県知事は、前条第一項の規定による設立の認可の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その認可をしてはならない。

 一 設立の手続又は定款若しくは事業基本方針の内容が、法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき。

 二 組合の行う事業のために必要な経済的基礎を欠く等事業基本方針に記載される事項を達成することが著しく困難であると認められるとき。

 三 地区の全部又は一部が他の組合の地区と重複することとなるとき。

2 都道府県知事は、前項の設立の認可をしようとするときは、あらかじめ、特定防災街区整備地区計画の都市計画を定めた者の意見を聴かなければならない。

 (理事への事務引渡し)

第九十五条 前条第一項の設立の認可があったときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き渡さなければならない。

2 理事は、前項の規定による引渡しを受けたときは、遅滞なく出資の第一回の払込みをさせなければならない。

3 現物出資者は、第一回の払込みの期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。ただし、登記、登録その他権利の設定又は移転につき第三者に対抗するため必要な行為は、組合の成立後にすることを妨げない。

 (成立の時期)

第九十六条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

     第六款 解散及び清算

 (解散の事由)

第九十七条 組合は、次に掲げる事由によって解散する。

 一 総会の決議

 二 組合の合併

 三 組合の破産

 四 定款で定める存立時期の満了

 五 第百八条の規定による解散の命令

2 解散の決議は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第九十三条第二項及び第九十四条第一項第一号の規定は、前項の認可の申請があった場合について準用する。

4 組合は、第一項各号に掲げる事由のほか、組合員が三人未満になったことにより解散する。

5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 (合併の手続)

第九十八条 組合が合併しようとするときは、各組合の総会において合併を議決しなければならない。

2 合併をするには、定款及び事業基本方針を都道府県知事に提出して合併の認可を申請しなければならない。

3 第九十三条第二項及び第九十四条の規定は、前項の認可の申請があった場合について準用する。

4 第八十二条の規定は、組合の合併について準用する。

第九十九条 合併によって組合を設立するには、各組合の総会において組合員の中から選任した設立委員が共同して、定款及び事業基本方針を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。

2 第八十条の規定は、前項の規定による設立委員の選任について準用する。

3 第六十四条第九項本文の規定は、第一項の規定による役員のうち理事の選任について準用する。

 (合併の時期)

第百条 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によって成立する組合がその主たる事務所の所在地において登記をすることによって、その効力を生ずる。

 (合併による権利義務の承継)

第百一条 合併後存続する組合又は合併によって成立した組合は、合併によって消滅した組合の権利義務(当該組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (清算人)

第百二条 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事がその清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

 (清算事務)

第百三条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これらを総会に提出してその承認を求めなければならない。

2 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を分配することができない。

3 清算事務が終わったときは、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

 (組合の解散及び清算についての民法及び非訟事件手続法の準用)

第百四条 民法第七十三条、第七十五条、第七十六条及び第七十八条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条並びに第百三十八条の規定は、組合の解散及び清算について準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第百二条」と読み替えるものとする。

     第七款 監督

 (報告の徴収等)

第百五条 都道府県知事は、組合から、その組合が法令等を守っているかどうかを知るために必要な報告を求め、又は組合に対し、その組合員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般的状況に関する資料であって組合に関する行政を適正に処理するために特に必要なものの提出を命ずることができる。

 (検査)

第百六条 組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令等に違反する疑いがあることを理由として検査を請求したときは、都道府県知事は、その組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。

2 都道府県知事は、組合の業務又は会計が法令等に違反する疑いがあると認めるときその他監督上必要があると認めるときは、いつでも、その組合の業務又は会計の状況を検査することができる。

 (法令等の違反に対する措置)

第百七条 都道府県知事は、第百五条の規定による報告を求めた場合又は前条の規定による検査を行った場合において、その組合の業務又は会計が法令等に違反すると認めるときは、その組合に対し、期間を定めて、必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。

2 都道府県知事は、組合が前項の規定による命令に従わないときは、期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止又は役員の改選を命ずることができる。

 (解散命令)

第百八条 都道府県知事は、次に掲げる場合には、当該組合の解散を命ずることができる。

 一 組合が法律の規定に基づいて行うことができる事業以外の事業を行ったとき。

 二 組合が、正当な理由がないのに、その成立の日から二年を経過してもなお第四十五条第一項に規定する事業を開始せず、又は一年以上すべての事業を停止したとき。

 三 組合が法令に違反した場合において、都道府県知事が前条第一項の規定による命令をしたにもかかわらず、これに従わないとき。

 (議決、選挙及び当選の取消し)

第百九条 組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令等に違反することを理由とし、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一月以内にその議決又は選挙若しくは当選の取消しを請求した場合において、都道府県知事は、その違反の事実があると認めるときは、その議決又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。

2 前項の規定は、創立総会の場合について準用する。

3 前二項の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

     第八款 雑則

 (土地区画整理事業に係る組合員の脱退等についての特例)

第百十条 土地区画整理法第四条第一項の土地区画整理事業の施行の認可を受けた組合の組合員は、同法第九条第三項の規定による認可の公告の日から当該土地区画整理事業の廃止又は終了の認可についての同法第十三条第四項の規定による公告の日までの間は、第五十六条第一項各号に掲げる事由による場合を除き、組合を脱退することができない。

2 前項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地(土地区画整理法第二条第六項に規定する宅地をいう。以下この条において同じ。)について組合員が有する所有権又は借地権の全部又は一部を組合員以外の者が承継した場合においては、その者は、組合員となる。

3 第一項に規定する期間内に、組合員が組合の地区内の宅地について有する借地権の全部又は一部が消滅した場合において、その借地権の目的となっていた宅地の所有者又はその宅地の賃貸人が組合員以外の者であるときは、その消滅した借地権が地上権である場合にあってはその宅地の所有者が、その消滅した借地権が賃借権である場合にあってはその宅地の賃貸人がそれぞれ組合員となる。

4 第一項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地について組合員が有する所有権又は借地権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権又は借地権の全部又は一部について土地区画整理事業に関して有する権利義務は、その承継した者に移転する。

5 第一項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地について組合員が有する借地権の全部又は一部が消滅した場合においては、その組合員がその借地権の全部又は一部について土地区画整理事業に関して有する権利義務は、その消滅した借地権が地上権である場合にあってはその借地権の目的となっていた宅地の所有者に、その消滅した借地権が賃借権である場合にあってはその宅地の賃貸人にそれぞれ移転する。

 (第一種市街地再開発事業に係る組合員の脱退等についての特例)

第百十一条 都市再開発法第七条の九第一項の第一種市街地再開発事業の施行の認可を受けた組合の組合員は、同法第七条の十五第一項の規定による認可の公告の日から当該第一種市街地再開発事業の終了の認可についての同法第七条の二十第二項の規定による公告の日までの間は、第五十六条第一項各号に掲げる事由による場合を除き、組合を脱退することができない。

2 前項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地(都市再開発法第二条第五号に規定する宅地をいう。以下この条及び次条において同じ。)について組合員が有する所有権又は借地権(一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下この条及び次条において同じ。)の全部又は一部を組合員以外の者が承継した場合においては、その者は、組合員となる。

3 第一項に規定する期間内に、組合員が組合の地区内の宅地について有する借地権の全部又は一部が消滅した場合において、その借地権の目的となっていた宅地の所有者又はその宅地の賃貸人が組合員以外の者であるときは、その消滅した借地権が地上権である場合にあってはその宅地の所有者が、その消滅した借地権が賃借権である場合にあってはその宅地の賃貸人がそれぞれ組合員となる。

4 第一項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地について組合員が有する所有権又は借地権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権又は借地権の全部又は一部について第一種市街地再開発事業に関して有する権利義務は、その承継した者に移転する。

5 第一項に規定する期間内に、組合の地区内の宅地について組合員が有する借地権の全部又は一部が消滅した場合においては、その組合員がその借地権の全部又は一部について第一種市街地再開発事業に関して有する権利義務は、その消滅した借地権が地上権である場合にあってはその借地権の目的となっていた宅地の所有者に、その消滅した借地権が賃借権である場合にあってはその宅地の賃貸人にそれぞれ移転する。

 (第一種市街地再開発事業の施行地区内における権利処分の特例)

第百十二条 都市再開発法第七条の九第一項の第一種市街地再開発事業の施行の認可を受けた組合は、当該組合の地区内の各街区を防災街区として整備するため必要があると認めるときは、建設省令で定めるところにより、当該第一種市街地再開発事業の施行地区内の宅地若しくは建築物の所有権若しくはその宅地に存する既登記の借地権で第百十六条第一項の規定により指定された防災街区整備推進機構が有するものを当該組合の組合員若しくは当該組合の組合員となろうとする者に移転し、又は当該宅地についてこれらの者に借地権を設定すべきことを、当該防災街区整備推進機構に対し、要請することができる。

2 前項の規定による要請に基づき、同項に規定する防災街区整備推進機構が都市再開発法第七十条第一項に規定する登記があった後に行う前項に規定する権利の移転又は借地権の設定については、同条第二項から第四項までの規定は、適用しない。

 (大都市等の特例)

第百十三条 この節の規定中都道府県知事の権限に属する事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市(以下この条において「指定都市等」という。)の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市等の長に適用があるものとする。

 (組合に対する助言又は指導)

第百十四条 国及び関係地方公共団体は、組合に対して、その事業の施行の促進を図るため必要な助言又は指導をすることができる。

    第四節 建築物の敷地と道路との関係の特例

 (建築物の敷地と道路との関係の特例)

第百十五条 特定防災街区整備地区計画に定められた特定地区防災施設である道が、建築基準法第六十八条の七第一項に規定する予定道路として指定された場合において、次に掲げる条件に該当する特定防災街区整備地区計画の区域内にある建築物(その敷地が当該予定道路に接するもの又は当該敷地内に当該予定道路があるものに限る。)で、当該特定防災街区整備地区計画の内容に適合し、かつ、特定行政庁(同法第二条第三十六号に規定する特定行政庁をいう。)が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては、当該予定道路を同法第四十二条第一項に規定する道路とみなして、同法第四十三条第一項の規定を適用する。

 一 特定建築物地区整備計画が定められている区域のうち、次に掲げる事項が定められている区域であること。

  イ 建築物の構造に関する防火上必要な制限

  ロ 建築物の特定地区防災施設に面する部分の長さの敷地の当該特定地区防災施設に接する部分の長さに対する割合の最低限度

  ハ 壁面の位置の制限(特定地区防災施設に面する壁面の位置を制限するものを含むものに限る。)

  ニ 壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域における工作物の設置の制限

 二 建築基準法第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で、前号イからハまでに掲げる事項に関する制限が定められている区域であること。

2 建築基準法第四十四条第二項、第九十二条の二、第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条から第九十六条までの規定は、前項の規定による許可をする場合に準用する。

    第五節 防災街区整備推進機構

 (防災街区整備推進機構の指定)

第百十六条 市町村長は、民法第三十四条の法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、防災街区整備推進機構(以下この節において「機構」という。)として指定することができる。

2 市町村長は、前項の規定による指定をしたときは、当該機構の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

3 機構は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を市町村長に届け出なければならない。

4 市町村長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

 (機構の業務)

第百十七条 機構は、次に掲げる業務を行うものとする。

 一 密集市街地における防災街区の整備に関する事業を行う者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うこと。

 二 防災街区整備地区計画の区域において、当該区域内の各街区の防災街区としての整備に資する建築物その他の施設であって建設省令で定めるものを当該防災街区整備地区計画の内容に即して整備する事業を行うこと又は当該事業に参加すること。

 三 防災街区整備地区計画の区域において、当該区域内の各街区の防災街区としての整備を図るために有効に利用できる土地で政令で定めるものの取得、管理及び譲渡を行うこと。

 四 密集市街地における防災街区の整備に関する調査研究を行うこと。

 五 前各号に掲げるもののほか、密集市街地における防災街区の整備を推進するために必要な業務を行うこと。

 (監督等)

第百十八条 市町村長は、前条各号に掲げる業務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関し報告をさせることができる。

2 市町村長は、機構が前条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、機構に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

3 市町村長は、機構が前項の規定による命令に違反したときは、第百十六条第一項の規定による指定を取り消すことができる。

4 市町村長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

5 第三項の規定により第百十六条第一項の指定を取り消した場合における前条第三号に規定する土地の取得に係る業務に関する所要の経過措置は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定めることができる。

 (情報の提供等)

第百十九条 国及び関係地方公共団体は、機構に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。

   第五章 罰則

第百二十条 組合の役員が、どのような名義をもってするものであっても、投機取引のために組合の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

3 第一項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、適用しない。

第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第八条又は第二十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第二十七条の規定による市町村長の命令(延焼等危険建築物を除却すべき旨の命令に限る。)に違反した者

 三 第三十三条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

第百二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前条に規定する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の刑を科する。

第百二十三条 組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその組合の業務に関し、第百五条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第百六条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その行為者及び組合を、それぞれ二十万円以下の罰金に処する。

第百二十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、組合の役員又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定に基づいて組合が行うことができる事業以外の事業を行ったとき。

 二 第四十四条第一項の規定に基づく政令で定める登記を怠り、又は虚偽の登記をしたとき。

 三 第五十四条、第五十六条第二項後段、第六十七条又は第六十九条第一項の規定に違反したとき。

 四 第六十九条第二項又は第三項(これらの規定を第七十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

 五 第七十二条第一項若しくは第二項若しくは第七十三条第一項の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第七十二条第四項若しくは第七十三条第二項の規定による閲覧を拒んだとき。

 六 第七十四条第五項又は第七十六条第六項の規定に違反したとき。

 七 第八十二条第一項、第二項、第三項若しくは第五項の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第九十八条第四項において準用する第八十二条第一項、第二項、第三項若しくは第五項の規定に違反して組合の合併を行ったとき。

 八 第八十三条から第八十五条までの規定に違反したとき。

 九 第八十七条の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。

 十 第九十七条第五項の規定に違反したとき。

 十一 第百三条第一項又は第三項の書類に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。

 十二 第百三条第二項の規定に違反して組合の財産を分配したとき。

 十三 第百四条において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。

 十四 第百四条において準用する民法第七十九条第一項の期間内に債権者に弁済したとき。

 十五 第百四条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠ったとき。

2 第七十七条の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。

第百二十五条 第四十二条第二項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (第二十四条の規定の適用についての経過措置)

第二条 認定賃貸住宅に係る賃貸借契約が借地借家法附則第十二条の賃貸借契約である場合における第二十四条の規定の適用については、同条第一項中「借地借家法第二十六条第二項及び第二十八条」とあるのは「借地借家法附則第十二条の規定によりなお従前の例によることとされる旧借家法(大正十年法律第五十号)第一条ノ二及び第二条第二項」と、同条第二項中「借地借家法第二十七条第二項及び第二十八条」とあるのは「借地借家法附則第十二条の規定によりなお従前の例によることとされる旧借家法第一条ノ二及び第三条第二項」とする。

 (名称の使用制限に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現にその名称中に防災街区整備組合という文字を用いている者については、第四十二条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

(建設・内閣総理大臣署名) 

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