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法律第五十五号(平九・五・二一)

  ◎株式の消却の手続に関する 商法の特例に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、公開会社に ついて株式を消却する手続に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の特例を定めることにより、資本市場の効率化と活性化を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する ことを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の 各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 証券取引所 証券取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十一項に規定する証券取引所をいう。

 二 証券業協会 証券取引法第 六十七条第一項に規定する証券業協会をいう。

 三 上場株式 証券取引所に上 場されている株式をいう。

 四 店頭売買株式 証券業協会 に備える証券取引法第七十五条第一項に規定する店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式をいう。

 五 公開会社 上場株式の発行 者である会社又は店頭売買株式の発行者である会社をいう。

 六 証券会社 証券取引法第二 条第九項に規定する証券会社をいう。

 七 外国証券会社 外国証券業 者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社をいう。

 八 公開買付け 証券取引法第 二十七条の二第六項に規定する公開買付けをいう。

 (株式の消却に関する商法の特 例)

第三条 公開会社は、定款をもっ て、経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは取締役会の決議によりその株式を買い受けて消却することができる旨を定め ることができる。

2 前項の場合においては、定款 をもって、その定めをした日後において取締役会の決議により買い受けて消却することができる株式の総数を定めなければならない。

3 前項の株式の総数は、発行済 株式の総数の十分の一を超えることができない。

4 第一項の決議においては、買 い受けるべき株式の種類、数及び取得価額の総額を定めなければならない。

5 第一項の決議によりその決議 後最初の決算期に関する定時総会の終結の時までに買い受けることができる株式の取得価額の総額は、最終の貸借対照表上の純資産額から商法第二百九十三条ノ五第三項各号の金 額及び同条第一項の規定により分配した金銭の額の合計額を控除した額の二分の一を超えることができない。

6 第一項の決議による株式の買 受けは、前項の定時総会の終結の後においては、することができない。

 (株式の買受けの方法)

第四条 前条第一項の規定による 株式の買受けは、その株式が上場株式であるときは証券取引所においてする取引に、店頭売買株式であるときは証券業協会の協会員である証券会社(外国証券会社を含む。)が自 己又は他人の計算においてする取引で主務省令で定めるものによらなければならない。ただし、公開買付けによるときは、この限りでない。

 (株式を買い受けた場合の措 置)

第五条 第三条第一項の規定によ り株式を買い受けたときは、会社は、遅滞なく、その株式について失効の手続をしなければならない。

2 第三条第一項の規定により株 式を買い受けたときは、取締役は、その買受けに係る決議後最初の決算期に関する定時総会において、買受けをした理由、買い受けた株式の種類、総数及び取得価額の総額並びに 失効の手続をした旨を報告しなければならない。

 (取締役の責任)

第六条 第三条第五項の規定に違 反して同条第一項の規定による株式の買受けをしたときは、その買受けをした取締役は、会社に対し連帯して、違法に買い受けた株式の取得価額につき賠償の責めに任ずる。

2 商法第二百六十六条第二項、 第三項及び第五項の規定は、前項の取締役の責任について準用する。

 (商法の準用等)

第七条 商法第二百十二条ノ二第 五項から第七項までの規定は、第三条第一項の規定による株式の買受けについて準用する。

2 第三条第一項の場合における 商法第二百九十三条ノ五第三項第五号の規定の適用については、同号中「又ハ第二百十二条ノ二第一項」とあるのは、「、第二百十二条ノ二第一項又ハ株式の消却の手続に関する 商法の特例に関する法律第三条第一項」とする。

 (主務省令)

第八条 この法律において、主務 省令は、大蔵省令・法務省令とする。

 (過料)

第九条 取締役、商法第百八十八 条第三項において準用する同法第六十七条ノ二の職務代行者又は同法第二百五十八条第二項の職務代行者が、第五条第一項の規定に違反して、株式の失効の手続をしなかったとき は、百万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成九年六 月一日から施行する。

 (罰則の適用に関する経過措 置)

第二条 この法律の施行前にした 行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (証券取引法の一部改正)

第三条 証券取引法の一部を次の ように改正する。

  第二十四条の六第一項中「又 は第二百十二条ノ二第一項」を「若しくは第二百十二条ノ二第一項」に改め、「規定による定時総会の決議」の下に「又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平 成九年法律第五十五号)第三条第一項に規定する取締役会の決議」を、「大蔵省令で定めるところにより、当該決議があった定時総会の終結した日」の下に「又は当該取締役会の 決議があつた日」を加え、「当該決議後」を「当該定時総会の決議後又は当該取締役会の決議後」に、「当該決議に基づいて」を「当該定時総会の決議又は当該取締役会の決議に 基づいて」に改める。

  第二十七条の二十二の二第一 項中「第二百十二条ノ二第一項」の下に「又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条第一項」を加える。

  第五十六条の二第四項中「第 二百九十条及び第二百九十三条ノ五」を「第二百九十条、第二百九十三条ノ五及び株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条」に、「同法第二百十条ノ四第二項」 を「商法第二百十条ノ四第二項」に改める。

  第百六十六条第二項第一号ハ 中「又は」を「若しくは」に改め、「第二百十二条ノ二」の下に「又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条」を加え、同条第五項第四号の二中「又は第二百 十二条ノ二の規定による」を「若しくは第二百十二条ノ二又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条の規定による」に、「又は第二百十二条ノ二第一項」を 「若しくは第二百十二条ノ二第一項」に改め、「定時総会の決議」の下に「又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条第一項に規定する取締役会の決議(同条 第四項に規定する事項に係るものに限る。以下この号において同じ。)」を加え、「当該決議の内容が」を「当該定時総会の決議又は当該取締役会の決議の内容が」に、「当該決 議前に」を「当該定時総会の決議又は当該取締役会の決議の前に」に、「当該決議に基づいて」を「当該定時総会の決議又は当該取締役会の決議に基づいて」に改める。

 (銀行法の一部改正)

第四条 銀行法(昭和五十六年法 律第五十九号)の一部を次のように改正する。

  第十七条の二第四項中「及び 第二百九十三条ノ五(中間配当)」を「、第二百九十三条ノ五(中間配当)及び株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条(株式の消 却に関する商法の特例)」に、「同法第二百十条ノ四第二項」を「商法第二百十条ノ四第二項」に改める。

 (保険業法の一部改正)

第五条 保険業法(平成七年法律 第百五号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項中「若しくは 第二百十二条ノ二第一項」を「、第二百十二条ノ二第一項若しくは株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条第一項」に改める。

(法務・大蔵・内閣総理大臣署名)

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