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法律第百二十七号(平一二・一一・二七)

   ◎公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 情報の公表(第四条―第九条)

 第三章 不正行為等に対する措置(第十条・第十一条)

 第四章 施工体制の適正化(第十二条―第十四条)

 第五章 適正化指針(第十五条―第十八条)

 第六章 国による情報の収集、整理及び提供等(第十九条・第二十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国、特殊法人等及び地方公共団体が行う公共工事の入札及び契約について、その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置及び施工体制の適正化の措置を講じ、併せて適正化指針の策定等の制度を整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「特殊法人等」とは、法律により直接に設立された法人若しくは特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けない法人を除く。)、特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第六条において同じ。)のうち、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する法人であって政令で定めるものをいう。

 一 資本金の二分の一以上が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であること。

 二 その設立の目的を実現し、又はその主たる業務を遂行するため、計画的かつ継続的に建設工事(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第一項に規定する建設工事をいう。次項において同じ。)の発注を行う法人であること。

2 この法律において「公共工事」とは、国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事をいう。

3 この法律において「建設業」とは、建設業法第二条第二項に規定する建設業をいう。

4 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。

 (公共工事の入札及び契約の適正化の基本となるべき事項)

第三条 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。

 一 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。

 二 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。

 三 入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除が徹底されること。

 四 契約された公共工事の適正な施工が確保されること。

   第二章 情報の公表

 (国による情報の公表)

第四条 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

2 各省各庁の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。

第五条 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。

 一 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他の政令で定める公共工事の入札及び契約の過程に関する事項

 二 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関する事項

 (特殊法人等による情報の公表)

第六条 特殊法人等の代表者(当該特殊法人等が独立行政法人である場合にあっては、その長。以下同じ。)は、前二条の規定に準じて、公共工事の入札及び契約に関する情報を公表するため必要な措置を講じなければならない。

 (地方公共団体による情報の公表)

第七条 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

2 地方公共団体の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。

第八条 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。

 一 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他の政令で定める公共工事の入札及び契約の過程に関する事項

 二 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関する事項

第九条 前二条の規定は、地方公共団体が、前二条に規定する事項以外の公共工事の入札及び契約に関する情報の公表に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。

   第三章 不正行為等に対する措置

 (公正取引委員会への通知)

第十条 各省各庁の長、特殊法人等の代表者又は地方公共団体の長(以下「各省各庁の長等」という。)は、それぞれ国、特殊法人等又は地方公共団体(以下「国等」という。)が発注する公共工事の入札及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。

 (国土交通大臣又は都道府県知事への通知)

第十一条 各省各庁の長等は、それぞれ国等が発注する公共工事の入札及び契約に関し、当該公共工事の受注者である建設業者(建設業法第二条第三項に規定する建設業者をいう。)に次の各号のいずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときは、当該建設業者が建設業の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知しなければならない。

 一 建設業法第二十八条第一項第三号、第四号又は第六号から第八号までのいずれかに該当すること。

 二 第十三条第一項若しくは第二項、同条第三項の規定により読み替えて適用される建設業法第二十四条の七第四項、同条第一項若しくは第二項又は同法第二十六条若しくは第二十六条の二の規定に違反したこと。

   第四章 施工体制の適正化

 (一括下請負の禁止)

第十二条 公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない。

 (施工体制台帳の提出等)

第十三条 公共工事の受注者(建設業法第二十四条の七第一項の規定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る。)は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定は、適用しない。

2 前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次条において「施工技術者」という。)の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。

3 第一項の公共工事の受注者についての建設業法第二十四条の七第四項の規定の適用については、同項中「見やすい場所」とあるのは、「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。

 (各省各庁の長等の責務)

第十四条 公共工事を発注した国等に係る各省各庁の長等は、施工技術者の設置の状況その他の工事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検その他の必要な措置を講じなければならない。

   第五章 適正化指針

 (適正化指針の策定等)

第十五条 国は、各省各庁の長等による公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置(第二章及び第三章並びに前条に規定するものを除く。)に関する指針(以下「適正化指針」という。)を定めなければならない。

2 適正化指針には、第三条各号に掲げるところに従って、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 入札及び契約の過程並びに契約の内容に関する情報(各省各庁の長又は特殊法人等の代表者による措置にあっては第四条及び第五条、地方公共団体の長による措置にあっては第七条及び第八条に規定するものを除く。)の公表に関すること。

 二 入札及び契約の過程並びに契約の内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切に反映する方策に関すること。

 三 入札及び契約の過程に関する苦情を適切に処理する方策に関すること。

 四 公正な競争を促進するための入札及び契約の方法の改善に関すること。

 五 将来におけるより適切な入札及び契約のための公共工事の施工状況の評価の方策に関すること。

 六 前各号に掲げるもののほか、入札及び契約の適正化を図るため必要な措置に関すること。

3 適正化指針の策定に当たっては、特殊法人等及び地方公共団体の自主性に配慮しなければならない。

4 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、あらかじめ各省各庁の長及び特殊法人等を所管する大臣に協議した上、適正化指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5 国土交通大臣は、適正化指針の案の作成に先立って、中央建設業審議会の意見を聴かなければならない。

6 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第四項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、適正化指針を公表しなければならない。

7 第三項から前項までの規定は、適正化指針の変更について準用する。

 (適正化指針に基づく責務)

第十六条 各省各庁の長等は、適正化指針に定めるところに従い、公共工事の入札及び契約の適正化を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (措置の状況の公表)

第十七条 国土交通大臣及び財務大臣は、各省各庁の長又は特殊法人等を所管する大臣に対し、当該各省各庁の長又は当該大臣が所管する特殊法人等が適正化指針に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。

2 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、適正化指針に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。

3 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、毎年度、前二項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (要請)

第十八条 国土交通大臣及び財務大臣は、各省各庁の長又は特殊法人等を所管する大臣に対し、公共工事の入札及び契約の適正化を促進するため適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。

2 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、公共工事の入札及び契約の適正化を促進するため適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。

   第六章 国による情報の収集、整理及び提供等

 (国による情報の収集、整理及び提供)

第十九条 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第二章の規定により公表された情報その他その普及が公共工事の入札及び契約の適正化の促進に資することとなる情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。

 (関係法令等に関する知識の習得等)

第二十条 国、特殊法人等及び地方公共団体は、それぞれその職員に対し、公共工事の入札及び契約が適正に行われるよう、関係法令及び所管分野における公共工事の施工技術に関する知識を習得させるための教育及び研修その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 国土交通大臣及び都道府県知事は、建設業を営む者に対し、公共工事の入札及び契約が適正に行われるよう、関係法令に関する知識の普及その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二章から第四章まで並びに第十六条、第十七条第一項及び第二項、第十八条並びに附則第三条(建設業法第二十八条の改正規定に係る部分に限る。)の規定は平成十三年四月一日から、第十七条第三項の規定は平成十四年四月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 第五条及び第八条の規定は、これらの規定の施行前に入札又は随意契約の手続に着手していた場合における当該入札及びこれに係る契約又は当該随意契約については、適用しない。

2 第四章及び次条(建設業法第二十八条の改正規定に係る部分に限る。)の規定は、これらの規定の施行前に締結された契約に係る公共工事については、適用しない。

 (建設業法の一部改正)

第三条 建設業法の一部を次のように改正する。

  第二十八条第一項中「各号の一」を「各号のいずれか」に、「除く。)」を「除き、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。以下「入札契約適正化法」という。)第十三条第三項の規定により読み替えて適用される第二十四条の七第四項を含む。第四項において同じ。)若しくは入札契約適正化法第十三条第一項若しくは第二項の規定」に改め、同項第三号中「法令」の下に「(入札契約適正化法及びこれに基づく命令を除く。)」を加え、同条第四項中「第一項各号の一」を「第一項各号のいずれか」に、「(第十九条の三、第十九条の四及び第二十四条の三から第二十四条の五までを除く。)」を「若しくは入札契約適正化法第十三条第一項若しくは第二項の規定」に改める。

  第三十四条第一項中「及び公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)」を「、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)及び入札契約適正化法」に改める。

(大蔵・建設・自治・内閣総理大臣署名) 

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