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法律第四十号(平一五・五・九)

  ◎法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、法科大学院における教育が、司法修習生の修習との有機的連携の下に法曹としての実務に関する教育の一部を担うものであり、かつ、法曹の養成に関係する機関の密接な連携及び相互の協力の下に将来の法曹としての実務に必要な法律に関する理論的かつ実践的な能力(各種の専門的な法分野における高度の能力を含む。)を備えた多数の法曹の養成を実現すべきものであることにかんがみ、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成十四年法律第百三十九号)第三条の規定の趣旨にのっとり、国の責務として、裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員が法科大学院において教授、助教授その他の教員としての業務を行うための派遣に関し必要な事項について定めることにより、法科大学院における法曹としての実務に関する教育の実効性の確保を図り、もって同条第一項に規定する法曹養成の基本理念に則した法科大学院における教育の充実に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「法科大学院」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第六十五条第二項に規定する専門職大学院であって、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。

2 この法律において「検察官等」とは、検察官その他の国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員(法律により任期を定めて任用される職員、常時勤務を要しない官職を占める職員、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第三号に規定する特定独立行政法人等の職員その他人事院規則で定める職員を除く。)をいう。

3 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。

 (法科大学院設置者による派遣の要請)

第三条 法科大学院設置者(法科大学院を置き若しくは置こうとする大学の設置者又は法科大学院を置く大学を設置しようとする者をいう。以下同じ。)は、当該法科大学院において将来の法曹としての実務に必要な法律に関する理論的かつ実践的な能力(各種の専門的な法分野における高度の能力を含む。)を涵養するための教育を実効的に行うため、裁判官又は検察官等を教授、助教授その他の教員(以下「教授等」という。)として必要とするときは、その必要とする事由を明らかにして、裁判官については最高裁判所に対し、検察官等については任命権者に対し、その派遣を要請することができる。

2 前項の要請の手続は、最高裁判所に対するものについては最高裁判所規則で、任命権者に対するものについては人事院規則で定める。

 (職務とともに教授等の業務を行うための派遣)

第四条 最高裁判所は、前条第一項の要請があった場合において、その要請に係る派遣の必要性、派遣に伴う事務の支障その他の事情を勘案して、相当と認めるときは、これに応じ、裁判官の同意を得て、当該法科大学院設置者との間の取決めに基づき、期間を定めて、当該裁判官が職務とともに当該法科大学院において教授等の業務を行うものとすることができる。

2 最高裁判所は、前項の同意を得るに当たっては、あらかじめ、当該裁判官に同項の取決めの内容を明示しなければならない。

3 任命権者は、前条第一項の要請があった場合において、その要請に係る派遣の必要性、派遣に伴う事務の支障その他の事情を勘案して、相当と認めるときは、これに応じ、検察官等の同意(検察官については、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十五条の俸給の減額に係る同意を含む。以下同じ。)を得て、当該法科大学院設置者との間の取決めに基づき、期間を定めて、職務とともに当該法科大学院における教授等の業務を行うものとして当該検察官等を当該法科大学院を置く大学に派遣することができる。

4 任命権者は、前項の同意を得るに当たっては、あらかじめ、当該検察官等に同項の取決めの内容及び当該派遣の期間中における給与の支給に関する事項を明示しなければならない。

5 第一項又は第三項の取決めにおいては、当該法科大学院における勤務時間その他の勤務条件(検察官等については、教授等の業務に係る報酬等(報酬、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、教授等の業務の対償として受けるすべてのものをいう。以下同じ。)を含む。)及び教授等の業務の内容、派遣の期間、派遣の終了に関する事項その他第一項又は第三項の規定による派遣の実施に当たって合意しておくべきものとして裁判官については最高裁判所規則で、検察官等については人事院規則で定める事項を定めるものとする。

6 最高裁判所又は任命権者は、第一項又は第三項の取決めの内容を変更しようとするときは、当該裁判官又は検察官等の同意を得なければならない。この場合においては、第二項又は第四項の規定を準用する。

7 第一項又は第三項の規定による派遣の期間は、三年を超えることができない。ただし、当該法科大学院設置者からその期間の延長を希望する旨の申出があり、かつ、特に必要があると認めるときは、最高裁判所又は任命権者は、当該裁判官又は検察官等の同意を得て、当該派遣の日から引き続き五年を超えない範囲内で、これを延長することができる。

8 第一項又は第三項の規定により法科大学院において教授等の業務を行う裁判官又は検察官等は、その派遣の期間中、その同意に係る第一項又は第三項の取決めに定められた内容に従って、当該法科大学院において教授等の業務を行うものとする。

9 第三項の規定により派遣された検察官等は、その正規の勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)第十三条第一項に規定する正規の勤務時間をいう。第七条第二項において同じ。)のうち当該法科大学院において教授等の業務を行うため必要であると任命権者が認める時間においては、勤務しない。

10 第三項の規定による検察官等の教授等の業務への従事については、国家公務員法第百四条の規定は、適用しない。

 (派遣の終了)

第五条 前条第一項又は第三項の規定による派遣の期間が満了したときは、当該教授等の業務は終了するものとする。

2 最高裁判所は、前条第一項の規定により法科大学院において教授等の業務を行う裁判官が当該法科大学院における教授等の地位を失った場合その他の最高裁判所規則で定める場合であって、その教授等の業務を継続することができないか又は適当でないと認めるときは、速やかに、当該裁判官が当該教授等の業務を行うことを終了するものとしなければならない。

3 任命権者は、前条第三項の規定により派遣された検察官等が当該法科大学院における教授等の地位を失った場合その他の人事院規則で定める場合であって、その教授等の業務を継続することができないか又は適当でないと認めるときは、速やかに、当該検察官等の派遣を終了させなければならない。

 (派遣期間中の裁判官の報酬及び国庫納付金の納付)

第六条 第四条第一項の規定により法科大学院において教授等の業務を行う裁判官は、その教授等の業務に係る報酬等の支払を受けないものとし、教授等の業務を行ったことを理由として、裁判官として受ける報酬その他の給与について減額をされないものとする。

2 第四条第一項の規定により裁判官が法科大学院において教授等の業務を行った場合においては、当該法科大学院設置者は、その教授等の業務の対償に相当するものとして政令で定める金額を、国庫に納付しなければならない。

3 前項の規定による納付金の納付の手続については、政令で定める。

 (派遣期間中の検察官等の給与等)

第七条 任命権者は、法科大学院設置者との間で第四条第三項の取決めをするに当たっては、同項の規定により派遣される検察官等が当該法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等について、当該検察官等が従事している職務及び当該法科大学院において行う教授等の業務の内容に応じた相当の額が確保されるよう努めなければならない。

2 第四条第三項の規定により派遣された検察官等がその正規の勤務時間において当該法科大学院において教授等の業務を行うため勤務しない場合には、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十五条の規定にかかわらず、その勤務しない一時間につき、同法第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して支給する。ただし、当該法科大学院において第三条第一項に規定する教育が実効的に行われることを確保するため特に必要があると認められるときは、当該検察官等には、その派遣の期間中、当該法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等の額に照らして必要と認められる範囲内で、その給与の減額分の百分の五十以内を支給することができる。

3 前項ただし書の規定による給与の支給に関し必要な事項は、人事院規則(第四条第三項の規定により派遣された検察官等が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける者である場合にあっては、同法第三条第一項に規定する準則)で定める。

 (国家公務員共済組合法の特例)

第八条 第四条第一項又は第三項の規定により法科大学院において教授等の業務を行う裁判官又は検察官等に関する国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。以下この条及び第十四条において「国共済法」という。)の規定の適用については、当該法科大学院における教授等の業務を公務とみなす。

2 第四条第三項の規定により派遣された検察官等に関する国共済法の規定の適用については、国共済法第二条第一項第五号及び第六号中「とし、その他の職員」とあるのは「並びにこれらに相当するものとして次条第一項に規定する組合の運営規則で定めるものとし、その他の職員」と、国共済法第九十九条第二項中「及び国又は公社の負担金」とあるのは「、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律第三条第一項に規定する法科大学院設置者(以下「法科大学院設置者」という。)の負担金及び国の負担金」と、同項第一号から第四号までの規定中「国又は公社の負担金」とあるのは「法科大学院設置者の負担金及び国の負担金」と、同項第五号中「国又は公社の負担金」とあるのは「国の負担金」と、国共済法第百二条第一項中「各省各庁の長(環境大臣を含む。)、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあり、及び「国、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあるのは「法科大学院設置者及び国」と、「第九十九条第二項(同条第五項から第七項までの規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第九十九条第二項」と、同条第四項中「、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあるのは「又は法科大学院設置者」とする。

3 前項の場合において法科大学院設置者及び国が同項の規定により読み替えられた国共済法第九十九条第二項の規定により負担すべき金額その他必要な事項は、政令で定める。

 (一般職の職員の給与に関する法律の特例)

第九条 第四条第三項の規定による派遣の期間中又はその期間の満了後における当該検察官等に関する一般職の職員の給与に関する法律第二十三条第一項及び附則第七項の規定の適用については、当該法科大学院における教授等の業務(当該教授等の業務に係る労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第二項に規定する通勤を含む。)を公務とみなす。

 (国家公務員退職手当法の特例)

第十条 第四条第三項の規定による派遣の期間中又はその期間の満了後に当該検察官等が退職した場合における国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定の適用については、当該法科大学院における教授等の業務に係る業務上の傷病又は死亡は同法第四条第二項、第五条第一項及び第七条第四項に規定する公務上の傷病又は死亡と、当該教授等の業務に係る労働者災害補償保険法第七条第二項に規定する通勤による傷病は国家公務員退職手当法第四条第二項、第五条第二項及び第七条第四項に規定する通勤による傷病とみなす。

 (専ら教授等の業務を行うための派遣)

第十一条 任命権者は、第三条第一項の要請があった場合において、その要請に係る派遣の必要性、派遣に伴う事務の支障その他の事情を勘案して、相当と認めるときは、これに応じ、検察官等の同意を得て、当該法科大学院設置者との間の取決めに基づき、期間を定めて、専ら当該法科大学院における教授等の業務を行うものとして当該検察官等を当該法科大学院を置く大学に派遣することができる。

2 任命権者は、前項の同意を得るに当たっては、あらかじめ、当該検察官等に同項の取決めの内容及び当該派遣の期間中における給与の支給に関する事項を明示しなければならない。

3 第一項の取決めにおいては、当該法科大学院における勤務時間、教授等の業務に係る報酬等その他の勤務条件及び教授等の業務の内容、派遣の期間、職務への復帰に関する事項その他同項の規定による派遣の実施に当たって合意しておくべきものとして人事院規則で定める事項を定めるものとする。

4 第四条第六項から第八項まで及び第十項の規定は、第一項の規定による派遣について準用する。

5 第一項の規定により派遣された検察官等は、その派遣の期間中、検察官等としての身分を保有するが、職務に従事しない。

 (職務への復帰)

第十二条 前条第一項の規定により派遣された検察官等は、その派遣の期間が満了したときは、職務に復帰するものとする。

2 任命権者は、前条第一項の規定により派遣された検察官等が当該法科大学院における教授等の地位を失った場合その他の人事院規則で定める場合であって、その派遣を継続することができないか又は適当でないと認めるときは、速やかに、当該検察官等を職務に復帰させなければならない。

 (派遣期間中の給与等)

第十三条 任命権者は、法科大学院設置者との間で第十一条第一項の取決めをするに当たっては、同項の規定により派遣される検察官等が当該法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等について、当該検察官等がその派遣前に従事していた職務及び当該法科大学院において行う教授等の業務の内容に応じた相当の額が確保されるよう努めなければならない。

2 第十一条第一項の規定により派遣された検察官等には、その派遣の期間中、給与を支給しない。ただし、当該法科大学院において第三条第一項に規定する教育が実効的に行われることを確保するため特に必要があると認められるときは、当該検察官等には、その派遣の期間中、当該法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等の額に照らして必要と認められる範囲内で、俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ百分の五十以内を支給することができる。

3 前項ただし書の規定による給与の支給に関し必要な事項は、人事院規則(第十一条第一項の規定により派遣された検察官等が検察官の俸給等に関する法律の適用を受ける者である場合にあっては、同法第三条第一項に規定する準則)で定める。

 (国家公務員共済組合法の特例)

第十四条 国共済法第四十一条第二項の規定及び国共済法の短期給付に関する規定(国共済法第六十八条の二第一項ただし書及び第六十八条の三の規定を除く。以下この項において同じ。)は、第十一条第一項の規定により法科大学院を置く私立大学(学校教育法第二条第二項に規定する私立学校である大学をいう。)に派遣された検察官等(以下「私立大学派遣検察官等」という。)には、適用しない。この場合において、国共済法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員(国共済法第二条第一項第一号に規定する職員をいう。以下この項において同じ。)が私立大学派遣検察官等となったときは、国共済法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(国共済法第二条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなし、私立大学派遣検察官等が国共済法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員となったときは、国共済法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日に職員となったものとみなす。

2 私立大学派遣検察官等に関する国共済法の長期給付に関する規定の適用については、当該法科大学院における教授等の業務を公務とみなす。

3 私立大学派遣検察官等は、国共済法第九十八条第一項各号に掲げる福祉事業を利用することができない。

4 私立大学派遣検察官等に関する国共済法の規定の適用については、国共済法第二条第一項第五号及び第六号中「とし、その他の職員」とあるのは「並びにこれらに相当するものとして次条第一項に規定する組合の運営規則で定めるものとし、その他の職員」と、国共済法第九十九条第二項中「次の各号」とあるのは「次の各号(第一号、第一号の二及び第四号を除く。)」と、「及び国又は公社の負担金」とあるのは「、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律第三条第一項に規定する法科大学院設置者(以下「法科大学院設置者」という。)の負担金及び国の負担金」と、同項第二号及び第三号中「国又は公社の負担金」とあるのは「法科大学院設置者の負担金及び国の負担金」と、同項第五号中「国又は公社の負担金」とあるのは「国の負担金」と、国共済法第百二条第一項中「各省各庁の長(環境大臣を含む。)、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあり、及び「国、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあるのは「法科大学院設置者及び国」と、「第九十九条第二項(同条第五項から第七項までの規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第九十九条第二項」と、同条第四項中「、独立行政法人、国立大学法人等、公社又は職員団体」とあるのは「又は法科大学院設置者」とする。

5 前項の場合において法科大学院設置者及び国が同項の規定により読み替えられた国共済法第九十九条第二項の規定により負担すべき金額その他必要な事項は、政令で定める。

 (地方公務員等共済組合法の特例)

第十五条 第十一条第一項の規定により法科大学院を置く公立大学(学校教育法第二条第二項に規定する公立学校である大学をいう。第十八条及び第十九条第一項において同じ。)に派遣された検察官等のうち第十三条第二項ただし書の規定による給与の支給を受ける者に関する地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定の適用については、同法第四章及び第六章中「給料」とあるのは「組合の運営規則で定める仮定給料」と、「期末手当等」とあるのは「組合の運営規則で定める仮定期末手当等」と、同法第百十三条第二項各号列記以外の部分中「及び地方公共団体」とあるのは「、地方公共団体」と、「の負担金」とあるのは「の負担金及び国の負担金」と、同項第一号から第四号までの規定中「の負担金」とあるのは「及び国の負担金」と、同法第百十五条第二項中「相当する手当」とあるのは「相当する手当及び国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当又はこれに相当する手当」と、同法第百十六条第一項中「の機関又は職員団体」とあるのは「及び国の機関」と、「第百十三条第二項(同条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第百十三条第二項」と、「又は職員団体」とあるのは「及び国」と、同法第百四十四条の三十一(見出しを含む。)中「地方公共団体」とあるのは「地方公共団体及び国」とする。

2 前項の場合において地方公共団体及び国が同項の規定により読み替えられた地方公務員等共済組合法第百十三条第二項の規定により負担すべき金額その他必要な事項は、政令で定める。

 (私立学校教職員共済法の特例)

第十六条 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の長期給付に関する規定は、私立大学派遣検察官等には、適用しない。

2 私立大学派遣検察官等のうち第十三条第二項ただし書の規定による給与の支給を受ける者に関する私立学校教職員共済法の規定の適用については、同法第二十一条第一項中「準ずるもの」とあるのは「準ずるもの(法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律第十三条第二項ただし書の規定により国から支給される給与であつて共済規程で定めるもの(次条において「私立大学派遣検察官等に対する国の給与」という。)を含む。)」と、同法第二十二条第二項及び第七項中「給与の総額」とあるのは「給与(当該期間における私立大学派遣検察官等に対する国の給与を含む。)の総額」と、同法第二十八条第一項中「及び」とあるのは「並びに」と、「学校法人等」とあるのは「学校法人等及び国」と、同条第三項中「当該学校法人等」とあるのは「当該学校法人等及び国」と、同法第二十九条第一項から第三項までの規定中「学校法人等」とあるのは「学校法人等及び国」とする。

3 前項の場合において学校法人等及び国が同項の規定により読み替えられた私立学校教職員共済法第二十八条第一項の規定により負担すべき掛金の額その他必要な事項は、政令で定める。

 (児童手当法の特例)

第十七条 私立大学派遣検察官等に関する児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)の規定の適用については、当該法科大学院設置者を同法第二十条第一項第四号に規定する団体とみなす。

 (一般職の職員の給与に関する法律の特例)

第十八条 第九条の規定は、第十一条第一項の規定により派遣された検察官等について準用する。この場合において、当該検察官等が法科大学院を置く公立大学に派遣されたものであるときは、第九条中「労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第二項」とあるのは、「地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二条第二項」とする。

 (国家公務員退職手当法の特例)

第十九条 第十条の規定は、第十一条第一項の規定により派遣された検察官等について準用する。この場合において、当該検察官等が法科大学院を置く公立大学に派遣されたものであるときは、第十条中「労働者災害補償保険法第七条第二項」とあるのは、「地方公務員災害補償法第二条第二項」とする。

2 国家公務員退職手当法第七条第四項の規定は、第十一条第一項の規定による派遣の期間については、適用しない。

3 前項の規定は、第十一条第一項の規定により派遣された検察官等が当該法科大学院設置者から所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十条第一項に規定する退職手当等(同法第三十一条の規定により退職手当等とみなされるものを含む。)の支払を受けた場合には、適用しない。

4 第十一条第一項の規定により派遣された検察官等がその派遣の期間中に退職した場合に支給する国家公務員退職手当法の規定による退職手当の算定の基礎となる俸給月額については、部内の他の職員との権衡上必要があると認められるときは、次条第一項の規定の例により、その額を調整することができる。

 (派遣後の職務への復帰に伴う措置)

第二十条 第十一条第一項の規定により派遣された検察官等が職務に復帰した場合におけるその者の職務の級、俸給月額及び昇給期間については、部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内において、人事院規則の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。

2 前項に定めるもののほか、第十一条第一項の規定により派遣された検察官等が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内の他の職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。

 (社会保険関係法の適用関係等についての政令への委任)

第二十一条 この法律に定めるもののほか、検察官等が二以上の法科大学院において教授等の業務を行うものとして派遣された場合その他第四条第三項又は第十一条第一項の規定により派遣された検察官等に関する社会保険関係法(国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び健康保険法(大正十一年法律第七十号)をいう。)の適用関係の調整を要する場合におけるその適用関係その他必要な事項は、政令で定める。

 (最高裁判所規則及び人事院規則への委任)

第二十二条 この法律に定めるもののほか、法科大学院において裁判官が教授等の業務を行うための派遣に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

2 この法律に定めるもののほか、法科大学院において検察官等が教授等の業務を行うための派遣に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成十六年四月一日から施行する。ただし、第三条、次項及び附則第三項の規定は、平成十五年十月一日から施行する。

 (準備行為)

2 最高裁判所又は任命権者は、この法律の施行の日前に第三条第一項の要請があった場合においては、この法律の施行の日前においても、当該法科大学院設置者との間で第四条第一項若しくは第三項又は第十一条第一項の取決めをし、裁判官又は検察官等からこれらの規定の同意を得、その他当該法科大学院において裁判官又は検察官等が教授等の業務を行うための派遣に必要な準備行為をすることができる。

3 この法律の施行の日前においては、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第二項に規定する国立大学に置かれる法科大学院に係る第三条第一項の要請は、同法附則第二条第一項の規定により指名された当該国立大学を設置する国立大学法人の学長となるべき者がするものとする。この場合において、前項の規定の適用については、同項中「当該法科大学院設置者」とあるのは、「当該国立大学法人の学長となるべき者」とする。

4 前項後段の規定により読み替えて適用される附則第二項の規定により最高裁判所又は任命権者と当該国立大学法人の学長となるべき者との間でされた取決めは、この法律の施行の日以後は、最高裁判所又は任命権者と当該国立大学法人との間でされた第四条第一項若しくは第三項又は第十一条第一項の取決めとしての効力を有するものとする。

 (健康増進法による国家公務員共済組合法の一部改正に伴う経過措置)

5 この法律の施行の日が健康増進法(平成十四年法律第百三号)附則第十条の規定の施行の日前である場合には、同条の規定の施行の日の前日までの間における第十四条第三項の規定の適用については、同項中「第九十八条第一項各号」とあるのは、「第九十八条各号」とする。

 (法務省設置法の一部改正)

6 法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条中第三十九号を第四十号とし、第三十八号の次に次の一号を加える。

  三十九 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律(平成十五年法律第四十号)の規定による検察官の派遣に伴う法科大学院の教育に対する法曹としての実務に係る協力に関すること。

(内閣総理・法務・文部科学大臣署名) 

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