法律第二十六号(平一六・四・一)
◎所得譲与税法
(趣旨)
第一条 この法律は、個人の所得課税に係る国から地方公共団体への本格的な税源の移譲を行うまでの間の措置として所得譲与税を地方公共団体に対して譲与するため、必要な事項を定めるものとする。
(所得譲与税)
第二条 所得譲与税は、毎年度の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の規定による所得税の収入額のうち四千二百四十九億円に相当する額とし、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して譲与するものとする。
(譲与の基準)
第三条 所得譲与税は、その二分の一に相当する額を都道府県に対し、その二分の一に相当する額を市町村に対し、それぞれ官報で公示された最近の国勢調査の結果による各都道府県又は各市町村の人口にあん分して譲与するものとする。
(譲与時期及び譲与時期ごとの譲与額)
第四条 所得譲与税は、毎年度、次の表の上欄に掲げる時期に、都道府県に対して譲与すべきものにあってはそれぞれ当該下欄に定める額の二分の一に相当する額を、市町村に対して譲与すべきものにあってはそれぞれ当該下欄に定める額の二分の一に相当する額を譲与する。
譲与時期 |
譲与時期ごとに譲与すべき額 |
九月 |
当該年度に譲与すべき額の二分の一に相当する額 |
三月 |
当該年度に譲与すべき額の二分の一に相当する額 |
2 前項に規定する各譲与時期ごとに譲与することができなかった金額があるとき、又は各譲与時期において譲与すべき金額を超えて譲与した金額があるときは、それぞれ当該金額を、その次の譲与時期に譲与すべき額に加算し、又はこれから減額するものとする。
(譲与時期ごとの譲与額の計算)
第五条 各都道府県及び市町村に対する前条第一項に規定する各譲与時期ごとに譲与すべき所得譲与税の額として前二条の規定を適用して計算した金額に千円未満の端数金額があるときは、その端数金額を控除した金額をもって、当該各譲与時期ごとに譲与すべき所得譲与税の額とする。
(譲与すべき額の算定に錯誤があった場合の措置)
第六条 総務大臣は、所得譲与税を都道府県及び市町村に譲与した後において、その譲与した額の算定に錯誤があったため、譲与した額を増加し、又は減少する必要が生じたときは、当該増加し、又は減少すべき額を、錯誤があったことを発見した日以後に到来する譲与時期において譲与すべき額に加算し、又はこれから減額した額をもって当該譲与時期において都道府県及び市町村に譲与すべき額とするものとする。
(地方財政審議会の意見の聴取)
第七条 総務大臣は、第十一条の総務省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、又は都道府県及び市町村に対して譲与すべき所得譲与税を譲与しようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
(所得譲与税の使途)
第八条 国は、所得譲与税の譲与に当たっては、その使途について条件を付け、又は制限してはならない。
(地方財政法の適用関係)
第九条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第四条の三第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「特別とん譲与税」とあるのは、「所得譲与税、特別とん譲与税」とする。
(地方交付税法の適用関係)
第十条 地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の規定の適用については、当分の間、同法第二条第一号中「所得税」とあるのは「所得税(所得譲与税に係るものを除く。以下同じ。)」と、同法第十四条第一項中「当該道府県の地方道路譲与税」とあるのは「当該道府県の所得譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該道府県の地方道路譲与税」と、「当該市町村の特別とん譲与税」とあるのは「当該市町村の所得譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該市町村の特別とん譲与税」と、「当該指定市の特別とん譲与税」とあるのは「当該指定市の所得譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該指定市の特別とん譲与税」と、同条第三項の表道府県の項中
「 |
十三 地方道路譲与税 |
前年度の地方道路譲与税の譲与額 |
」 |
とあるのは
「 |
十三 所得譲与税 |
官報で公示された最近の国勢調査の結果による道府県の人口 |
|
十三の二 地方道路譲与税 |
前年度の地方道路譲与税の譲与額 |
」 |
と、同表市町村の項中
「 |
十五 特別とん譲与税 |
前年度の特別とん譲与税の譲与額 |
」 |
とあるのは
「 |
十五 所得譲与税 |
官報で公示された最近の国勢調査の結果による市町村の人口 |
|
十五の二 特別とん譲与税 |
前年度の特別とん譲与税の譲与額 |
」 |
とする。
(総務省令への委任)
第十一条 この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な事項は、総務省令で定める。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、平成十六年度分の所得譲与税から適用する。
第二条 第十条の規定により読み替えて適用される地方交付税法第十四条の規定は、平成十六年度分の地方交付税に係る基準財政収入額の算定から適用する。
(東京都三宅村に係る所得譲与税の額の算定方法の特例)
第三条 東京都三宅村に対して譲与すべき所得譲与税の額を算定する場合においては、当分の間、第三条の人口について、総務省令で特例を設けることができる。
(東京都三宅村に係る基準財政収入額の算定方法の特例)
第四条 地方交付税法の規定により東京都三宅村に対して交付すべき普通交付税の額を算定する場合においては、当分の間、第十条の規定により読み替えて適用される同法第十四条第三項の表市町村の項の人口について、総務省令で特例を設けることができる。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正)
第五条 交付税及び譲与税配付金特別会計法(昭和二十九年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
附則第四条の見出しを「(交通安全対策特別交付金に係る読替規定)」に改める。
附則第四条の二中「第四条」を「前条の規定により読み替えて適用される第四条」に、「所得税」を「所得税(所得譲与税に係るものを除く。)」に改め、同条を附則第四条の三とし、附則第四条の次に次の一条を加える。
(所得譲与税に係る読替規定)
第四条の二 当分の間、第三条及び第四条の規定の適用については、第三条中「繰入金」とあるのは「繰入金、所得譲与税に充てられる所得税」と、「地方譲与税譲与金(」とあるのは「地方譲与税譲与金(所得譲与税法(平成十六年法律第二十六号)による所得譲与税の譲与金、」と、第四条中「所得税」とあるのは「所得税(所得譲与税に係るものを除く。)」とする。
(総務省設置法の一部改正)
第六条 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二条第一項中第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 所得譲与税に関すること。
附則第五条中「及び道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)」を「、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)及び所得譲与税法(平成十六年法律第二十六号)」に改める。
(総務・財務・内閣総理大臣署名)