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法律第三十二号(平一七・四・二〇)

  ◎日本アルコール産業株式会社法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 経営の健全性及び安定性の確保(第四条―第九条)

 第三章 雑則(第十条―第十二条)

 第四章 罰則(第十三条―第十八条)

 附則

   第一章 総則

 (会社の目的及び事業)

第一条 日本アルコール産業株式会社(以下「会社」という。)は、アルコール事業法(平成十二年法律第三十六号)第二条第一項に規定するアルコールの製造に関する事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。

2 会社は、前項の事業を営むほか、同項の事業の遂行に支障のない範囲内において、経済産業大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。

 (商号の使用制限)

第二条 会社でない者は、その商号中に日本アルコール産業株式会社という文字を使用してはならない。

 (一般担保)

第三条 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

   第二章 経営の健全性及び安定性の確保

 (新株、社債及び借入金)

第四条 会社は、新株若しくは新株予約権を発行し、社債を募集し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、新株予約権が行使されたことにより新株を発行しようとするときは、この限りでない。

2 会社は、前項ただし書の場合においては、当該新株を発行した後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

 (代表取締役等の選定等の決議)

第五条 会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査役の選任及び解任又は株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第二十一条の八第七項に規定する監査委員の選定及び解職の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (事業計画)

第六条 会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (重要な財産の譲渡等)

第七条 会社は、経済産業省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

 (定款の変更等)

第八条 会社の定款の変更、利益の処分、合併、分割及び解散の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (財務諸表)

第九条 会社は、毎営業年度終了後三月以内に、その営業年度の貸借対照表、損益計算書及び営業報告書を経済産業大臣に提出しなければならない。

   第三章 雑則

 (監督)

第十条 会社は、経済産業大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第十一条 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (財務大臣との協議)

第十二条 経済産業大臣は、第一条第二項、第四条第一項、第六条、第七条又は第八条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行する株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

   第四章 罰則

第十三条 会社の取締役、執行役、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。

2 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第十四条 前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第十五条 第十三条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。

第十六条 第十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

第十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役又は監査役は、百万円以下の過料に処する。

 一 第一条第二項の規定に違反して、事業を営んだとき。

 二 第四条第一項の規定に違反して、新株若しくは新株予約権を発行し、社債を募集し、又は資金を借り入れたとき。

 三 第四条第二項の規定に違反して、新株を発行した旨の届出を行わなかったとき。

 四 第六条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。

 五 第七条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。

 六 第九条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。

 七 第十条第二項の規定による命令に違反したとき。

第十八条 第二条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十七条、第十九条、第二十条、第二十一条(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(平成十四年法律第百四十五号)附則第五条の改正規定を除く。)、第二十二条及び第二十三条の規定は平成十八年四月一日から、附則第二十一条中独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法附則第五条の改正規定は平成十九年三月三十一日から施行する。

 (この法律の廃止その他の必要な措置)

第二条 政府は、この法律の施行の状況を勘案し、会社をできる限り早期に民営化するため、速やかにこの法律の廃止を含めた見直しを行うとともに、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (設立委員)

第三条 経済産業大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。

 (定款)

第四条 設立委員は、定款を作成して、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

 (会社の設立に際して発行する株式)

第五条 会社の設立に際して発行する株式に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)第百六十八条ノ二各号に掲げる事項は、定款で定めなければならない。

2 会社の設立に際して発行する株式については、商法第二百八十四条ノ二第二項の規定にかかわらず、その発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる。この場合において、同条第一項中「本法」とあるのは、「本法又ハ日本アルコール産業株式会社法」とする。

 (株式の引受け)

第六条 会社の設立に際して発行する株式の総数は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)が引き受けるものとし、設立委員は、これを機構に割り当てるものとする。

2 前項の規定により割り当てられた株式による会社の設立に関する株式引受人としての権利は、政府が行使する。

 (出資)

第七条 機構は、会社の設立に際し、会社に対し、その財産のうち、附則第十九条の規定による改正前のアルコール事業法(以下「旧アルコール事業法」という。)第三十一条及び附則第二条に規定する業務に係るものを出資するものとする。この場合においては、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第四十八条の規定は、適用しない。

 (創立総会)

第八条 会社の設立に係る商法第百八十条第一項の規定の適用については、同項中「第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付」とあるのは、「日本アルコール産業株式会社法附則第六条第一項ノ規定ニ依ル株式ノ割当」とする。

 (会社の成立)

第九条 附則第七条の規定により機構が行う出資に係る給付は、附則第十九条の規定の施行の時に行われるものとし、会社は、商法第五十七条の規定にかかわらず、その時に成立する。

 (設立の登記)

第十条 会社は、商法第百八十八条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。

 (政府への無償譲渡)

第十一条 機構が出資によって取得する会社の株式は、会社の成立の時に、政府に無償譲渡されるものとする。

 (商法の適用除外)

第十二条 商法第百六十七条、第百六十八条第二項、第百六十九条、第百八十一条及び第百八十四条の規定は、会社の設立については、適用しない。

 (権利及び義務の承継等)

第十三条 機構は、会社の成立の時において旧アルコール事業法第三十一条及び附則第二条に規定する業務を終了するものとし、それらの業務に係る一切の権利及び義務は、その時において会社が承継する。

2 機構は、前項の規定により会社が機構の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、次に掲げる額の合計額によりその資本金を減少するものとする。

 一 その承継の際附則第二十一条の規定による改正前の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(以下「旧機構法」という。)第十七条第四号に掲げる業務に係る勘定に属する資本金の額

 二 その承継の際旧機構法附則第十一条第二項に規定するアルコール製造勘定及び一般アルコール販売勘定に属する資本金の額

 (商号についての経過措置)

第十四条 第二条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本アルコール産業株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 (事業計画についての経過措置)

第十五条 会社の成立の日の属する営業年度の事業計画については、第六条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

 (アルコールの製造の事業の許可に関する経過措置)

第十六条 会社は、その成立の日においてアルコール事業法第三条第一項の許可を受けたものとみなす。

 (非課税)

第十七条 附則第十条の規定により会社が受ける設立の登記及び附則第七条の規定により機構が行う出資に係る財産の給付に伴い会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。

 (政令への委任)

第十八条 附則第三条から前条までに規定するもののほか、会社の設立に関し必要な事項は、政令で定める。

 (アルコール事業法の一部改正)

第十九条 アルコール事業法の一部を次のように改正する。

  目次中「特定アルコールの販売」を「特定アルコールの譲渡」に改める。

  第二条第四項中「第三十二条第一項の認可を受けた」を「アルコールが酒類の原料に不正に使用されることを防止するために必要な額として経済産業省令で定めるところにより計算した額(以下「加算額」という。)を含む」に、「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)」を「次条第一項又は第十六条第一項の許可を受けた者」に、「販売する」を「譲渡する」に改める。

  第二十二条第二項中「、第四条第三号」を「及び第四条第三号」に改め、「及び機構」を削る。

  「第三章 特定アルコールの販売」を「第三章 特定アルコールの譲渡」に改める。

  第三十一条から第三十四条までを次のように改める。

  (国庫納付金)

 第三十一条 製造事業者又は輸入事業者は、特定アルコールとしてアルコールを譲渡したときは、当該譲渡した特定アルコールの数量に当該特定アルコールに係る加算額を乗じて得た額を国庫に納付しなければならない。

 2 前項の規定による納付金の納付の手続については、政令で定める。

  (担保の提供)

 第三十二条 経済産業大臣は、前条第一項の規定による納付金の納付の義務の履行を確保するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、製造事業者又は輸入事業者に対し、金額及び期間を指定し、納付金につき担保の提供を命ずることができる。

 2 経済産業大臣は、必要があると認めるときは、前項の金額又は期間を変更することができる。

 3 経済産業大臣は、第一項の規定により担保の提供を命じた場合において、必要があると認めるときは、製造事業者又は輸入事業者が担保を提供するまで、当該製造事業者又は当該輸入事業者が保有するアルコールの処分又は譲渡を禁止することができる。

 第三十三条及び第三十四条 削除

  第三十五条中「、許可使用者及び機構」を「及び許可使用者」に改める。

  第三十七条第一項中「経済産業大臣は、」の下に「第三十一条第一項の規定による納付金又は」を加える。

  第四十七条第一項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

  五 第三十一条第一項の規定に違反した者

  第四十七条第二項中「第二号」の下に「及び第五号」を加える。

  第五十一条第一項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

  五 第三十二条第三項の規定による禁止に違反して、アルコールを処分し又は譲渡した者

  附則第二条から第六条までを次のように改める。

 第二条から第六条まで 削除

  附則第八条を次のように改める。

 第八条 削除

  附則第十一条及び第十三条中「又は機構」を削る。

  附則第十七条を次のように改める。

 第十七条 削除

  附則第二十条及び第二十一条を次のように改める。

 第二十条及び第二十一条 削除

  附則第二十九条を次のように改める。

 第二十九条 削除

 (アルコール事業法の一部改正に伴う経過措置)

第二十条 旧アルコール事業法の規定によりした処分、手続その他の行為は、前条の規定による改正後のアルコール事業法の相当規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。

2 前条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

3 前二項に規定するもののほか、前条の規定によるアルコール事業法の改正に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正)

第二十一条 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を次のように改正する。

  第十五条第二項及び第三項を削る。

  第十六条第一項及び第四項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に改める。

  第十七条第一号及び第二号中「第十五条第一項各号」を「第十五条各号」に改め、同条第三号中「第十五条第一項第十号」を「第十五条第十号」に改め、同条第四号を削り、同条第五号中「前各号」を「前三号」に改め、同号を同条第四号とする。

  第十八条中「第十五条第一項第三号」を「第十五条第三号」に改める。

  第十九条第一項中「、第四号及び第五号」を「及び第四号」に改める。

  第二十七条第一号中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

  附則第五条を次のように改める。

 第五条 削除

  附則第六条第一項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改め、同条第二項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に、「第十五条第一項各号」を「第十五条各号」に、「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

  附則第七条第一項及び第三項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

  附則第九条第一項から第三項までの規定及び同条第五項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改め、同条第六項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に改める。

  附則第十一条を次のように改める。

 第十一条 削除

  附則第十二条第一項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改め、同条第三項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に、「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

  附則第十四条第一項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改め、同条第二項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に、「第十五条第一項各号」を「第十五条各号」に、「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

  附則第十五条第一項中「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改め、同条第三項中「前条第一項第十二号」を「前条第十二号」に、「第十五条第一項各号」を「第十五条各号」に、「第十五条第一項及び第二項」を「第十五条」に改める。

 (独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律等の適用に関する経過措置)

第二十二条 附則第十九条の規定の施行前に独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の規定に基づき機構がした行為及び機構に対してなされた行為(附則第十三条の規定により会社が承継することとなる権利及び義務に関するものに限る。)については、会社を同法第二条第一項に規定する独立行政法人等とみなす。

2 附則第十九条の規定の施行前に独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)の規定に基づき機構がした行為及び機構に対してなされた行為(附則第十三条の規定により会社が承継することとなる権利及び義務に関するものに限る。)については、会社を同法第二条第一項に規定する独立行政法人等とみなす。

 (石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部改正)

第二十三条 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法(昭和四十二年法律第十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二項第二号チ中「第十五条第一項第一号」を「第十五条第一号」に改める。

(財務・経済産業・内閣総理大臣署名) 

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