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法律第四号(平一八・二・一〇)

  ◎石綿による健康被害の救済に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 救済給付

  第一節 支給等(第三条―第三十条)

  第二節 費用

   第一款 基金等(第三十一条―第三十四条)

   第二款 一般拠出金(第三十五条―第四十六条)

   第三款 特別拠出金(第四十七条―第五十一条)

  第三節 雑則(第五十二条―第五十八条)

 第三章 特別遺族給付金

  第一節 支給等(第五十九条―第六十八条)

  第二節 費用(第六十九条)

  第三節 雑則(第七十条―第七十四条)

 第四章 不服申立て(第七十五条―第七十九条)

 第五章 雑則(第八十条―第八十六条)

 第六章 罰則(第八十七条―第九十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等を支給するための措置を講ずることにより、石綿による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。

 (定義等)

第二条 この法律において「指定疾病」とは、中皮腫、気管支又は肺の悪性新生物その他石綿を吸入することにより発生する疾病であって政令で定めるものをいう。

2 この法律において「死亡労働者等」とは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号。以下「徴収法」という。)第三条に規定する労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に係る労働保険の保険関係が成立している事業(以下「労災保険の保険関係が成立している事業」という。)に使用される労働者又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)第三十四条第一項第一号、第三十五条第一項第三号若しくは第三十六条第一項第一号の規定により労災保険の保険関係が成立している事業に使用される労働者とみなされる者であって、石綿にさらされる業務に従事することにより指定疾病その他厚生労働省令で定める疾病にかかり、これにより死亡したもの(昭和二十二年九月一日以降に当該指定疾病その他厚生労働省令で定める疾病にかかり、これにより、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日の五年前の日までに死亡した者に限る。)をいう。

3 環境大臣は、第一項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

   第二章 救済給付

    第一節 支給等

 (救済給付の種類等)

第三条 石綿による健康被害の救済のため支給される給付(以下「救済給付」という。)は、次に掲げるとおりとし、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)がこの章の規定により支給するものとする。

 一 医療費

 二 療養手当

 三 葬祭料

 四 特別遺族弔慰金

 五 特別葬祭料

 六 救済給付調整金

 (医療費の支給及び認定等)

第四条 機構は、日本国内において石綿を吸入することにより指定疾病にかかった旨の認定を受けた者に対し、その請求に基づき、医療費を支給する。

2 前項の認定(以下この条から第十七条までにおいて「認定」という。)は、医療費の支給を受けようとする者の申請に基づき、機構が行う。

3 機構は、認定を行ったときは、当該認定を受けた者(以下「被認定者」という。)に対し、石綿健康被害医療手帳を交付するものとする。

4 認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。

第五条 機構は、認定の申請をした者が認定を受けないで死亡した場合において、その死亡した者が認定を受けることができる者であるときは、その死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母若しくは兄弟姉妹であって、その死亡した者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの又はその死亡した者について葬祭を行う者の申請に基づき、その死亡した者が認定を受けることができる者であった旨の決定を行うものとする。

2 前項の申請は、同項に規定する死亡した者の死亡の日から六月以内に限り、することができる。

3 機構が第一項の決定を行ったときは、当該決定に係る死亡した者につき、認定の申請をした日から死亡した日までの間において被認定者であったものとして救済給付を支給する。

 (認定の有効期間)

第六条 認定は、指定疾病の種類に応じて政令で定める期間(以下「有効期間」という。)内に限り、その効力を有する。

2 機構は、認定に当たり、被認定者の当該認定に係る指定疾病が有効期間の満了前に治る見込みが少ないと認めるときは、前項の規定にかかわらず、別に当該認定の有効期間を定めることができる。

 (認定の更新)

第七条 被認定者の当該認定に係る指定疾病が前条第一項又は第二項の規定により定められた有効期間の満了前に治る見込みがないときは、当該被認定者は、機構に対し、認定の更新を申請することができる。

2 機構は、前項の規定による申請があった場合において、当該申請に係る指定疾病が有効期間の満了後においても継続すると認めるときは、当該指定疾病に係る認定を更新するものとする。

3 前条の規定は、前項の規定により更新される認定について準用する。

第八条 前条第一項の規定による申請をすることができる者が、災害その他やむを得ない理由により当該申請に係る認定の有効期間の満了前に当該申請をすることができなかったときは、その者は、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該認定の更新を申請することができる。

2 機構は、前項の規定による申請があった場合において、当該申請に係る指定疾病がその後においても継続すると認めるときは、当該申請に係る認定を更新するものとする。この場合において、更新された認定は、同項に規定する有効期間の満了日の翌日にさかのぼってその効力を生ずる。

3 第六条の規定は、前項の規定により更新される認定について準用する。この場合において、同条第一項中「政令で定める期間(以下「有効期間」という。)内」とあるのは、「第八条第一項に規定する有効期間の満了日の翌日から政令で定める期間内」と読み替えるものとする。

 (認定の取消し)

第九条 機構は、被認定者の指定疾病が治ったと認めるときは、認定を取り消すものとする。

 (判定の申出)

第十条 機構は、認定、第五条第一項の規定による決定、第六条第二項(第七条第三項及び第八条第三項において準用する場合を含む。)の規定による有効期間の設定、第七条第二項及び第八条第二項の規定による認定の更新並びに前条の規定による認定の取消しを行おうとするときは、医学的判定を要する事項に関し、環境大臣に判定を申し出るものとする。

2 環境大臣は、前項の規定による判定の申出があったときは、中央環境審議会の意見を聴いて判定を行い、機構に対し、その結果を通知するものとする。

 (医療費の支給の要件及び範囲)

第十一条 機構は、被認定者が、その認定に係る指定疾病につき、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関又は保険薬局その他病院、診療所(これらに準ずるものを含む。)又は薬局であって環境省令で定めるもの(これらの開設者が診療報酬の請求及び支払に関し第十三条第一項に規定する方式によらない旨を機構に申し出たものを除く。以下「保険医療機関等」という。)から次に掲げる医療を受けたときは、当該被認定者に対し、その請求に基づき、医療費を支給する。この場合において、被認定者が第五条第一項の決定に係る死亡した者以外の者であるときは、当該被認定者が石綿健康被害医療手帳を提示して医療を受けたときに限り、医療費を支給するものとする。

 一 診察

 二 薬剤又は治療材料の支給

 三 医学的処置、手術及びその他の治療

 四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

 五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

 六 移送

 (医療費の額)

第十二条 前条の規定により支給する医療費の額は、当該医療に要する費用の額から、当該認定に係る指定疾病につき、健康保険法その他の政令で定める法律(以下「健康保険法等」という。)の規定により被認定者が受け、又は受けることができた医療に関する給付の額を控除して得た額とする。

2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定するものとする。ただし、現に要した費用の額を超えることができない。

 (保険医療機関等に対する医療費の支払等)

第十三条 被認定者が、石綿健康被害医療手帳を提示して、当該認定に係る指定疾病について、保険医療機関等から医療を受けた場合においては、機構は、医療費として当該被認定者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、当該被認定者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。

2 前項の規定による支払があったときは、当該被認定者に対し、医療費の支給があったものとみなす。

3 健康保険法等の規定による被保険者又は組合員である被認定者が、当該認定に係る指定疾病について保険医療機関等から医療を受ける場合には、健康保険法等の規定により当該保険医療機関等に支払うべき一部負担金は、健康保険法等の規定にかかわらず、当該医療に関し機構が第一項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。

第十四条 機構は、前条第一項の規定による支払をなすべき額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。

2 機構は、前条第一項の規定による支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他環境省令で定める者に委託することができる。

 (緊急時等における医療費の支給の特例)

第十五条 機構は、被認定者が緊急その他やむを得ない理由により保険医療機関等以外の病院、診療所又は薬局その他の者から第十一条各号に掲げる医療を受けた場合において、その必要があると認めるときは、同条の規定にかかわらず、当該被認定者に対し、その請求に基づき、医療費を支給することができる。

2 機構は、第五条第一項の決定に係る死亡した者以外の被認定者が石綿健康被害医療手帳を提示しないで保険医療機関等から第十一条各号に掲げる医療を受けた場合において、石綿健康被害医療手帳を提示しなかったことが緊急その他やむを得ない理由によるものと認めるときは、同条の規定にかかわらず、当該被認定者に対し、その請求に基づき、医療費を支給することができる。

3 第十二条の規定は、前二項の医療費の額の算定について準用する。

4 第一項及び第二項の医療費の支給の請求は、その請求をすることができる時から二年を経過したときは、することができない。

 (療養手当の支給)

第十六条 機構は、被認定者に対し、その請求に基づき、政令で定める額の療養手当を支給する。

2 療養手当は、月を単位として支給するものとし、当該支給は、その請求があった日の属する月の翌月から始め、支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。

3 療養手当は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月及び前々月の分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった療養手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の療養手当は、その支払期月でない場合であっても、支払うものとする。

 (医療費等の支給の請求等)

第十七条 医療費及び療養手当(以下「医療費等」という。)の支給の請求は、認定の申請がされた後は、当該認定前であっても、することができる。

2 医療費等を支給する旨の処分は、その請求のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。

 (未支給の医療費等)

第十八条 医療費等を受けることができる者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき医療費等でまだその者に支給していなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その死亡した者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その支給を請求し、当該医療費等の支給を受けることができる。

2 前項の規定により医療費等の支給を受けることができる者の順位は、同項に規定する順序による。

3 第一項の規定により医療費等の支給を受けることができる同順位者が二人以上あるときは、その一人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

 (葬祭料の支給)

第十九条 機構は、被認定者が当該認定に係る指定疾病に起因して死亡したときは、葬祭を行う者に対し、その請求に基づき、政令で定める額の葬祭料を支給する。

2 前項の葬祭料の支給の請求は、被認定者が死亡した時から二年を経過したときは、することができない。

 (特別遺族弔慰金等の支給)

第二十条 日本国内において石綿を吸入することにより指定疾病にかかり、当該指定疾病に起因して施行日前に死亡した者(以下「施行前死亡者」という。)の遺族(第五十九条第一項に規定する特別遺族給付金の支給を受けることができる者を除く。)に対し、特別遺族弔慰金及び特別葬祭料を支給する。

2 前項の特別遺族弔慰金の額は、指定疾病について受ける医療に要する費用及び第十六条第一項の療養手当の額を勘案して単一の金額として政令で定める額とする。

3 第一項の特別葬祭料の額は、前条第一項の葬祭料の額と同一とする。

 (特別遺族弔慰金等の支給を受けることができる遺族の範囲及び順位)

第二十一条 前条第一項の特別遺族弔慰金及び特別葬祭料(以下「特別遺族弔慰金等」という。)の支給を受けることができる遺族は、施行前死亡者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、施行前死亡者の死亡の当時施行前死亡者と生計を同じくしていたものとする。

2 第十八条第二項及び第三項の規定は、特別遺族弔慰金等の支給を受けることができる遺族について準用する。

 (特別遺族弔慰金等に係る認定等)

第二十二条 機構は、特別遺族弔慰金等の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、特別遺族弔慰金等を支給する。

2 前項の特別遺族弔慰金等の支給の請求は、施行日から三年を経過したときは、することができない。

 (救済給付調整金の支給)

第二十三条 被認定者であって施行日前に第四条第一項の認定に係る指定疾病にかかったものが当該指定疾病に起因して施行日から起算して二年以内に死亡した場合において、当該指定疾病に関し支給された医療費及び療養手当の合計額が特別遺族弔慰金の額に満たないときは、当該死亡した者の遺族に対し、特別遺族弔慰金の額から当該合計額を控除した額に相当する金額を救済給付調整金として支給する。

2 機構は、前項に規定する遺族の請求に基づき、同項の救済給付調整金(以下「救済給付調整金」という。)を支給する。

3 第十九条第二項の規定は救済給付調整金の支給の請求について、第二十一条の規定は救済給付調整金の支給を受けることができる遺族について準用する。

 (判定の申出)

第二十四条 機構は、第十九条第一項の規定による葬祭料の支給及び第二十二条第一項の規定による認定を行おうとするときは、医学的判定を要する事項に関し、環境大臣に判定を申し出ることができる。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定による判定の申出があった場合について準用する。

 (救済給付の免責)

第二十五条 救済給付の支給を受けることができる者に対し、同一の事由について、損害のてん補がされた場合においては、機構は、その価額の限度で救済給付を支給する義務を免れる。

 (他の法令による給付との調整)

第二十六条 医療費は、被認定者に対し、当該認定に係る指定疾病について、健康保険法等以外の法令(条例を含む。)の規定により医療に関する給付が行われるべき場合には、その給付の限度において、支給しない。

2 療養手当、葬祭料、特別遺族弔慰金等及び救済給付調整金は、これらの支給を受けることができる者に対し、同一の事由について、労災保険法その他の法令による給付で政令で定めるものが行われるべき場合には、その給付に相当する金額として政令で定めるところにより算定した額の限度において、支給しない。

 (不正利得の徴収)

第二十七条 偽りその他不正の手段により救済給付の支給を受けた者があるときは、機構は、国税徴収の例により、その救済給付の支給に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (受給権の保護)

第二十八条 救済給付の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

 (公課の禁止)

第二十九条 租税その他の公課は、救済給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。

 (環境省令への委任)

第三十条 この節に定めるもののほか、第四条第一項及び第二十二条第一項の認定の申請その他の救済給付に関する手続に関し必要な事項は、環境省令で定める。

    第二節 費用

     第一款 基金等

 (基金)

第三十一条 機構は、救済給付の支給に要する費用(当該支給の事務の執行に要する費用を除く。)に充てるため石綿健康被害救済基金を設ける。

2 前項の石綿健康被害救済基金は、次条第一項の規定により政府から交付された資金、同条第二項の規定により地方公共団体から拠出された資金、第三十五条第二項の規定により船舶所有者から徴収した一般拠出金、第三十六条の規定により厚生労働大臣から交付された金額、第四十七条第一項の規定により徴収した特別拠出金、第二十七条第一項の規定により徴収した金額及び当該石綿健康被害救済基金の運用によって生じた利子その他の収入金の合計額に相当する金額からこの法律の規定により機構が行う業務の事務の執行に要する費用に相当する金額を控除した金額をもって充てるものとする。

 (交付金等)

第三十二条 政府は、予算の範囲内において、機構に対し、救済給付の支給に要する費用(当該支給の事務の執行に要する費用を含む。次項を除き、以下同じ。)に充てるための資金を交付することができる。

2 地方公共団体は、予算の範囲内において、機構に対し、救済給付の支給に要する費用に充てるための資金を拠出することができる。

 (地方債の特例)

第三十三条 前条第二項の規定に基づく地方公共団体の機構に対する拠出に要する経費については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債をもってその財源とすることができる。

 (国庫の負担)

第三十四条 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、次条第一項の一般拠出金の徴収に要する費用の一部を負担する。

     第二款 一般拠出金

 (一般拠出金の徴収及び納付義務)

第三十五条 厚生労働大臣は、救済給付の支給に要する費用に充てるため、労災保険の保険関係が成立している事業の事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該元請負人。以下「労災保険適用事業主」という。)から、毎年度、一般拠出金を徴収する。

2 機構は、救済給付の支給に要する費用に充てるため、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第六十条第一項に規定する船舶所有者(以下「船舶所有者」という。)から、毎年度、一般拠出金を徴収する。

3 労災保険適用事業主及び船舶所有者は、一般拠出金を納付する義務を負う。

 (機構に対する交付)

第三十六条 厚生労働大臣は、前条第一項の規定により一般拠出金を徴収したときは、機構に対し、徴収した額から当該一般拠出金の徴収に要する費用の額として政令で定めるところにより算定した額を控除した額に相当する金額を交付するものとする。

 (一般拠出金の額)

第三十七条 第三十五条第一項の規定により労災保険適用事業主から徴収する一般拠出金(以下「第一項一般拠出金」という。)の額は、徴収法第十条第二項第一号の一般保険料の計算の基礎となる賃金総額に一般拠出金率を乗じて得た額とする。

2 第三十五条第二項の規定により船舶所有者から徴収する一般拠出金(以下「第二項一般拠出金」という。)の額は、前年度において当該船舶所有者が使用するすべての船員に支払われた賃金の総額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に一般拠出金率を乗じて得た額とする。

3 前二項の一般拠出金率は、救済給付の支給に要する費用の予想額、第三十二条第一項の規定による交付金及び同条第二項の規定による拠出金があるときはそれらの額並びに指定疾病の発生の状況その他の事情を考慮して、政令で定めるところにより、環境大臣が厚生労働大臣及び事業所管大臣と協議して定める。

4 環境大臣は、前項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

 (第一項一般拠出金の徴収方法)

第三十八条 徴収法第十九条(第一項第二号及び第三号並びに第二項第二号及び第三号を除く。)、第二十一条、第二十一条の二、第二十六条から第二十九条まで、第三十六条の二、第三十八条、第四十一条から第四十三条まで及び第四十五条の二の規定は、第一項一般拠出金について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる徴収法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句にそれぞれ読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第十九条第一項

次の

その

 

当該保険関係が消滅した日(保険年度の中途に労災保険法第三十四条第一項の承認が取り消された事業に係る第一種特別加入保険料及び保険年度の中途に労災保険法第三十六条第一項の承認が取り消された事業に係る第三種特別加入保険料に関しては、それぞれ当該承認が取り消された日)

当該保険関係が消滅した日

 

その保険年度に使用した

その保険年度の直前の保険年度に使用した

 

賃金総額

賃金総額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。以下同じ。)

 

一般保険料率を乗じて算定した一般保険料

石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿健康被害救済法」という。)第三十七条第一項の一般拠出金率(以下「一般拠出金率」という。)を乗じて算定した同項の第一項一般拠出金(以下「第一項一般拠出金」という。)

第十九条第二項

保険関係が消滅した日(当該保険関係が消滅した日前に労災保険法第三十四条第一項の承認が取り消された事業に係る第一種特別加入保険料に関しては、当該承認が取り消された日。次項において同じ。)

保険関係が消滅した日

 

一般保険料率を乗じて算定した一般保険料

一般拠出金率を乗じて算定した第一項一般拠出金

第十九条第三項

納付した労働保険料の額が前二項の労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した労働保険料がないときは前二項の労働保険料

前二項の第一項一般拠出金

 

次の

その

第四十二条

この法律の施行

第一項一般拠出金の徴収

第四十三条第一項

   

第四十五条の二

この法律に

石綿健康被害救済法及び石綿健康被害救済法第三十八条第一項において準用するこの法律に

 

この法律の実施

第一項一般拠出金の徴収

2 徴収法第三十三条第三項の労働保険事務組合は、同条第一項の委託を受けて、第一項一般拠出金の納付その他第一項一般拠出金に関する事項(以下「第一項一般拠出金事務」という。)を処理することができる。

3 徴収法第三十四条、第三十五条(第四項を除く。)及び第三十六条の規定並びに失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和四十四年法律第八十五号)第二十三条の規定は、第一項一般拠出金事務及び第一項一般拠出金について準用する。この場合において、徴収法第三十四条中「労働保険関係法令」とあるのは「石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿健康被害救済法」という。)及び石綿健康被害救済法第三十八条第一項において準用するこの法律並びにこれらの法律に基づく命令」と、徴収法第三十五条第一項及び第二項中「労働保険関係法令」とあるのは「石綿健康被害救済法及び石綿健康被害救済法第三十八条第一項において準用するこの法律並びにこれらの法律に基づく命令」と、同条第三項中「第二十六条第三項(労災保険法第十二条の三第三項及び第三十一条第四項並びに雇用保険法第十条の四第三項において準用する場合を含む。)」とあるのは「石綿健康被害救済法第三十八条第一項において準用する第二十六条第三項」と読み替えるものとする。

 (第二項一般拠出金の納付等)

第三十九条 船舶所有者は、各年度ごとに、第二項一般拠出金を、環境省令で定める事項を記載した申告書を添えて、その年度の初日から五十日以内に機構に納付しなければならない。

2 機構は、船舶所有者が前項に規定する期間内に同項の申告書を提出しないとき、又は同項の申告書に環境省令で定める事項の記載の誤りがあると認めたときは、第二項一般拠出金の額を決定し、これを船舶所有者に通知する。

3 前項の規定による通知を受けた船舶所有者は、第二項一般拠出金を納付していないときは同項の規定により機構が決定した第二項一般拠出金の全額を、納付した第二項一般拠出金の額が同項の規定により機構が決定した第二項一般拠出金の額に足りないときはその不足額を、その通知を受けた日から十五日以内に機構に納付しなければならない。

4 船舶所有者が納付した第二項一般拠出金の額が、第二項の規定により機構が決定した第二項一般拠出金の額を超える場合には、機構は、その超える額について、未納の第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金(船舶所有者に係るものに限る。以下この款において同じ。)があるときはこれに充当し、なお残余があれば還付し、未納の徴収金がないときはこれを還付しなければならない。

 (第二項一般拠出金の延納)

第四十条 機構は、船舶所有者の申請に基づき、その者の納付すべき第二項一般拠出金を延納させることができる。

 (督促及び滞納処分)

第四十一条 第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金を納付しない船舶所有者があるときは、機構は、期限を指定して督促しなければならない。

2 前項の規定により督促するときは、機構は、納付義務者に対して督促状を発する。

3 前項の督促状により指定する第一項の期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。

4 第一項の規定による督促を受けた船舶所有者がその指定の期限までに第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金を完納しないときは、機構は、環境大臣の認可を受けて、国税滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。

 (延滞金)

第四十二条 前条第一項の規定により第二項一般拠出金の納付を督促したときは、機構は、その督促に係る第二項一般拠出金の額につき年十四・六パーセントの割合で、納付期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、督促に係る第二項一般拠出金の額が千円未満であるときは、この限りでない。

2 前項の場合において、第二項一般拠出金の額の一部につき納付があったときは、その納付の日以降の期間に係る延滞金の額の計算の基礎となる第二項一般拠出金の額は、その納付のあった第二項一般拠出金の額を控除した額とする。

3 延滞金の計算において、前二項の第二項一般拠出金の額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

4 前三項の規定によって計算した延滞金の額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

5 延滞金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、徴収しない。ただし、第四号の場合には、その執行を停止し、又は猶予した期間に対応する部分の金額に限る。

 一 督促状に指定した期限までに第二項一般拠出金を完納したとき。

 二 納付義務者の住所又は居所がわからないため、公示送達の方法によって督促したとき。

 三 延滞金の額が百円未満であるとき。

 四 第二項一般拠出金について滞納処分の執行を停止し、又は猶予したとき。

 五 第二項一般拠出金を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるとき。

 (先取特権の順位)

第四十三条 第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (徴収金の徴収手続)

第四十四条 第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金は、この款に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収する。

 (船舶所有者に対する報告の徴収等)

第四十五条 機構は、第二項一般拠出金の徴収に関し必要があると認めるときは、船舶所有者に対し、報告若しくは文書の提出を命じ、又は当該職員に、船舶所有者の事務所に立ち入り、関係者に質問させ、若しくは帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (環境省令への委任)

第四十六条 この款に定めるもののほか、第二項一般拠出金その他この款の規定による徴収金に関し必要な事項は、環境省令で定める。

     第三款 特別拠出金

 (特別拠出金の徴収及び納付義務)

第四十七条 機構は、救済給付の支給に要する費用に充てるため、石綿の使用量、指定疾病の発生の状況その他の事情を勘案して政令で定める要件に該当する事業主(以下「特別事業主」という。)から、毎年度、特別拠出金を徴収する。

2 特別事業主は、特別拠出金を納付する義務を負う。

 (特別拠出金の額の算定方法)

第四十八条 特別事業主から徴収する特別拠出金の額の算定方法は、石綿の使用量、指定疾病の発生の状況その他の事情を考慮して政令で定める。

2 環境大臣は、前項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

 (特別拠出金の額の決定、通知等)

第四十九条 機構は、前条第一項の政令で定める特別拠出金の額の算定方法に従い、特別事業主が納付すべき特別拠出金の額を決定し、当該特別事業主に対し、その者が納付すべき特別拠出金の額及び納付すべき期限その他必要な事項を通知しなければならない。

2 前項の規定により特別拠出金の額が定められた後、特別拠出金の額を変更する必要が生じたときは、機構は、当該特別事業主が納付すべき特別拠出金の額を変更し、当該特別事業主に対し、変更後の特別拠出金の額を通知しなければならない。

3 機構は、特別事業主が納付した特別拠出金の額が、前項の規定による変更後の特別拠出金の額に満たない場合には、その不足する額について、同項の規定による通知とともに納付すべき期限その他必要な事項を通知し、同項の規定による変更後の特別拠出金の額を超える場合には、その超える額について、未納の特別拠出金その他この款の規定による徴収金があるときはこれに充当し、なお残余があれば還付し、未納の徴収金がないときはこれを還付しなければならない。

 (準用)

第五十条 第四十条から第四十五条までの規定は、特別拠出金について準用する。

 (環境省令への委任)

第五十一条 この款に定めるもののほか、特別拠出金その他この款の規定による徴収金に関し必要な事項は、環境省令で定める。

    第三節 雑則

 (被認定者等に対する報告の徴収等)

第五十二条 機構は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、第四条第一項及び第二十二条第一項の規定による認定(次条を除き、以下単に「認定」という。)又は救済給付の支給を受け、又は受けようとする者に対し、報告又は文書その他の物件の提出を求めることができる。

 (受診命令)

第五十三条 機構は、第四条第一項の認定(その更新及び取消しを含む。)に関し必要があると認めるときは、当該認定を受け、又は受けようとする者に対し、機構の指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

 (救済給付の支給の一時差止め)

第五十四条 機構は、救済給付の支給を受けることができる者が、第五十二条の規定により報告若しくは文書その他の物件の提出を求められて、正当な理由がなくこれに従わず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は正当な理由がなく前条の規定による命令に従わないときは、その者に対する救済給付の支給を一時差し止めることができる。

 (保険医療機関等に対する報告の徴収等)

第五十五条 機構は、第十三条第一項の規定による保険医療機関等に対する医療費の支払に関し必要があると認めるときは、保険医療機関等の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に、保険医療機関等についてその管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。

2 第四十五条第二項の規定は前項の規定による検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

3 機構は、保険医療機関等の管理者が、正当な理由がなく第一項の規定による報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は正当な理由がなく同項の同意を拒んだときは、当該保険医療機関等に対する医療費の支払を一時差し止めることができる。

 (診療を行った者等に対する報告の徴収等)

第五十六条 機構は、認定又は救済給付の支給に関し必要があると認めるときは、当該認定の申請に係る診断若しくは救済給付に関する診療、薬剤の支給若しくは手当を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った診断又は診療、薬剤の支給若しくは手当につき、報告若しくは診療録その他の物件の提示を求め、又は当該職員に質問させることができる。

2 第四十五条第二項の規定は前項の規定による質問について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

 (資料の提出の要求等)

第五十七条 環境大臣は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、労災保険適用事業主、船舶所有者又は特別事業主に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。

 (秘密保持義務)

第五十八条 機構の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、認定又は救済給付の支給に関して知ることができた秘密を漏らしてはならない。

   第三章 特別遺族給付金

    第一節 支給等

 (特別遺族給付金)

第五十九条 厚生労働大臣は、この節に定めるところにより、死亡労働者等の遺族であって、労災保険法の規定による遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、その請求に基づき、特別遺族給付金を支給する。

2 前項の特別遺族給付金(以下「特別遺族給付金」という。)は、特別遺族年金又は特別遺族一時金とする。

3 特別遺族年金の額は、労災保険法の規定による遺族補償年金の額等を勘案し、特別遺族年金を受ける権利を有する遺族及びその者と生計を同じくしている特別遺族年金を受けることができる遺族の人数の区分に応じて政令で定める額とする。

4 特別遺族一時金の額は、労災保険法の規定による遺族補償一時金の額等を勘案し、第六十二条各号の区分に応じて政令で定める額とする。

5 特別遺族年金又は特別遺族一時金の支給の請求は、施行日から三年を経過したとき(第六十一条第一項後段の規定により支給する特別遺族年金にあっては特別遺族年金を受ける権利を有する先順位の遺族の権利が消滅した時から、第六十二条第二号の規定により支給する特別遺族一時金にあっては特別遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した時から、三年を経過したとき)は、することができない。

 (特別遺族年金の受給者の範囲等)

第六十条 特別遺族年金を受けることができる遺族は、死亡労働者等の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものとする。

 一 死亡労働者等の死亡の当時その収入によって生計を維持していたこと。

 二 妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、死亡労働者等の死亡の当時において、次のイからニまでのいずれかに該当すること。

  イ 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。

  ロ 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。

  ハ 兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は五十五歳以上であること。

  ニ イからハまでの要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 三 死亡労働者等の死亡の時から施行日までの間において、次のイからホまでのいずれにも該当しないこと。

  イ 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたこと。

  ロ 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったこと。

  ハ 離縁によって、死亡労働者等との親族関係が終了したこと。

  ニ 子、孫又は兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したこと(死亡労働者等の死亡の時から引き続き前号ニの厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)。

  ホ 前号ニの厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったこと(夫、父母又は祖父母については、死亡労働者等の死亡の当時五十五歳以上であったとき、子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は死亡労働者等の死亡の当時五十五歳以上であったときを除く。)。

2 特別遺族年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とする。

3 特別遺族年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、特別遺族年金の額は、前条第三項の規定にかかわらず、同項の政令で定める額をその人数で除して得た額とする。

 (特別遺族年金の受給権の消滅)

第六十一条 特別遺族年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に特別遺族年金を支給する。

 一 死亡したとき。

 二 前条第一項第三号イからホまでに掲げる要件のいずれかに該当したとき。

2 特別遺族年金を受けることができる遺族が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、その者は、特別遺族年金を受けることができる遺族でなくなる。

 (特別遺族一時金)

第六十二条 特別遺族一時金は、次の場合に支給する。

 一 施行日において特別遺族年金を受けることができる遺族がないとき。

 二 特別遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該特別遺族年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該死亡労働者等の死亡に関し支給された特別遺族年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において前号に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる特別遺族一時金の額に満たないとき。

 (特別遺族一時金の受給者の範囲等)

第六十三条 特別遺族一時金を受けることができる遺族は、次に掲げる者とする。

 一 配偶者

 二 死亡労働者等の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

 三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

2 特別遺族一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順位により、同項第二号及び第三号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。

3 第六十条第三項の規定は、特別遺族一時金について準用する。この場合において、同項中「前条第三項」とあるのは、「前条第四項」と読み替えるものとする。

 (特別遺族給付金に関する労災保険法の準用)

第六十四条 労災保険法第十一条(第二項を除く。)、第十二条の七及び第十六条の九第一項の規定は、特別遺族給付金について準用する。この場合において、労災保険法第十一条第一項中「(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)」とあるのは「(特別遺族年金については当該特別遺族年金を受けることができる他の遺族)」と、同条第三項中「第一項に規定する順序(遺族補償年金については第十六条の二第三項に、遺族年金については第二十二条の四第三項において準用する第十六条の二第三項に規定する順序)」とあるのは「第一項に規定する順序」と、労災保険法第十二条の七中「政府」とあるのは「厚生労働大臣」と、労災保険法第十六条の九第一項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と読み替えるものとする。

2 労災保険法第九条、第十二条第一項、第十二条の二、第十六条の二第二項、第十六条の五第一項及び第二項並びに第十六条の九第二項及び第四項の規定は、特別遺族年金について準用する。この場合において、労災保険法第九条第一項中「支給すべき事由が生じた月」とあるのは「支給の請求をした日の属する月」と、労災保険法第十二条の二中「支払うべき保険給付」とあるのは「支払うべき特別遺族給付金」と、「当該保険給付」とあるのは「当該特別遺族給付金」と、労災保険法第十六条の二第二項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と、「前項」とあるのは「石綿による健康被害の救済に関する法律第六十条第一項」と、労災保険法第十六条の九第二項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と、同条第四項中「消滅する」とあるのは「消滅し、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に特別遺族年金を支給する」と読み替えるものとする。

3 労災保険法第十六条の九第三項の規定は、特別遺族一時金を受けることができる遺族について準用する。この場合において、同項中「遺族補償年金」とあるのは「特別遺族年金」と、「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と読み替えるものとする。

 (損害賠償との調整に関する措置)

第六十五条 死亡労働者等の遺族が、当該死亡労働者等を使用していた労災保険適用事業主から民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償を受けることができる場合であって、特別遺族給付金の支給を受けるべきときに、同一の事由について、民法その他の法律による損害賠償を受けたときは、厚生労働大臣は、その定める基準により、その価額の限度で、特別遺族給付金の支給をしないことができる。

 (不正受給者からの費用徴収)

第六十六条 偽りその他不正の手段により特別遺族給付金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、当該特別遺族給付金の支給に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

2 前項の場合において、労災保険適用事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその支給が行われたものであるときは、厚生労働大臣は、その労災保険適用事業主に対し、支給を受けた者と連帯して同項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

3 徴収法第三十三条第三項の労働保険事務組合は、前項の規定の適用については、労災保険適用事業主とみなす。

4 徴収法第二十六条、第二十八条、第二十九条及び第四十一条の規定は、第一項及び第二項の規定による徴収金について準用する。この場合において、徴収法第二十六条及び第四十一条第二項中「政府」とあるのは、「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。

 (受給権の保護等に係る準用)

第六十七条 第二十八条及び第二十九条の規定は、特別遺族給付金について準用する。

 (厚生労働省令への委任)

第六十八条 この節に定めるもののほか、特別遺族給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

    第二節 費用

第六十九条 特別遺族給付金の支給に要する費用については、徴収法第十条第一項に規定する労働保険の事業に要する費用とみなし、これに充てるため同条第二項に規定する労働保険料(同項第四号に掲げる印紙保険料を除く。以下同じ。)を徴収する。

2 前項の規定による労働保険料の徴収については、徴収法の規定(第四条及び第二十二条から第二十五条までの規定を除く。)を適用する。この場合において、徴収法第十二条第二項中「及び労働福祉事業」とあるのは「、労働福祉事業及び石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿健康被害救済法」という。)第五十九条第一項の特別遺族給付金(以下「特別遺族給付金」という。)の支給」と、「費用の額」とあるのは「費用の額、特別遺族給付金の支給に要する費用の額」と、同条第三項中「とする。第二十条第一項において同じ。)」とあるのは「とする。第二十条第一項において同じ。)と特別遺族給付金(石綿健康被害救済法第六十二条第二号の場合に支給される特別遺族一時金、特定の業務に長期間従事することにより発生する疾病であつて厚生労働省令で定めるものにかかつた者(厚生労働省令で定める事業の種類ごとに、当該事業における就労期間等を考慮して厚生労働省令で定める者に限る。)に係る特別遺族給付金(以下この項において「特定疾病にかかつた者に係る特別遺族給付金」という。)及び第三種特別加入者に係る特別遺族給付金を除く。)の額(石綿健康被害救済法第五十九条第二項の特別遺族年金については、その額は、厚生労働省令で定めるところにより算定するものとする。)」と、「、特定疾病にかかつた者に係る保険給付に要する費用」とあるのは「、特定疾病にかかつた者に係る保険給付に要する費用、石綿健康被害救済法第五十九条第二項の特別遺族年金の支給に要する費用、特定疾病にかかつた者に係る特別遺族給付金に要する費用」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 特別遺族給付金の支給に要する費用については、労災保険法による労働者災害補償保険事業の保険給付費とみなして、労働保険特別会計法(昭和四十七年法律第十八号)の規定を適用する。この場合において、同法第四条第二項第一号中「労災保険事業の保険給付費」とあるのは、「労災保険事業の保険給付費(石綿による健康被害の救済に関する法律第六十九条第三項の規定により労災保険事業の保険給付費とみなされた同法第五十九条第一項の特別遺族給付金の支給に要する費用を含む。)」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

    第三節 雑則

 (特別遺族給付金の受給者等に対する報告の徴収等)

第七十条 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、特別遺族給付金の支給に係る遺族に対し、報告、文書その他の物件の提出又は出頭を求めることができる。

 (受診命令)

第七十一条 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、特別遺族給付金の支給に係る遺族に対し、厚生労働大臣の指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

 (特別遺族年金の支給の一時差止め)

第七十二条 厚生労働大臣は、特別遺族年金を受ける権利を有する者が、第七十条の規定により報告、文書その他の物件の提出若しくは出頭を求められて、正当な理由がなくこれに従わず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、正当な理由がなく前条の規定による命令に従わず、又は第六十四条第一項において準用する労災保険法第十二条の七の規定による届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出を求められて、正当な理由がなくこれに従わないときは、その者に対する特別遺族年金の支給を一時差し止めることができる。

 (事業主等に対する報告の徴収等)

第七十三条 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、労災保険適用事業主又は徴収法第三十三条第三項の労働保険事務組合若しくは労災保険法第三十五条第一項に規定する団体(以下「労働保険事務組合等」という。)に対し、報告、文書の提出又は出頭を求めることができる。

2 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、当該職員に、労災保険の保険関係が成立している事業の事業場又は労働保険事務組合等の事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

3 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、労災保険の保険関係が成立している事業に使用される労働者(労災保険法第三十四条第一項第一号、第三十五条第一項第三号又は第三十六条第一項第一号の規定により労災保険の保険関係が成立している事業に使用される労働者とみなされる者を含む。)に対し、報告又は文書その他の物件の提出を求めることができる。

4 第四十五条第二項の規定は第二項の規定による立入検査について、同条第三項の規定は第二項の規定による権限について準用する。

 (診療を行った者等に対する報告の徴収等)

第七十四条 厚生労働大臣は、特別遺族給付金の支給に関し必要があると認めるときは、特別遺族給付金の支給に係る遺族の診断若しくは診療、薬剤の支給若しくは手当を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った診断又は診療、薬剤の支給若しくは手当につき、報告若しくは診療録その他の物件の提示を求め、又は当該職員に質問させることができる。

2 第四十五条第二項の規定は前項の規定による質問について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

   第四章 不服申立て

 (審査請求)

第七十五条 この法律に基づいて機構が行った処分については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に対し、審査請求をすることができる。

 一 認定又は救済給付の支給に係る処分についての審査請求 公害健康被害補償不服審査会

 二 第二項一般拠出金及び特別拠出金の徴収に係る処分についての審査請求 環境大臣

2 前項第一号に掲げる審査請求についての行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第三十一条の規定の適用に関しては、同条中「その庁の職員」とあるのは、「審査員又は専門委員」とする。

3 第一項第一号に掲げる審査請求については、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号。以下「公害健康被害補償法」という。)第百六条第三項、第百三十一条、第百三十三条及び第百三十四条の規定を準用する。この場合において、公害健康被害補償法第百三十一条中「補償給付」とあるのは「石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿健康被害救済法」という。)第三条に規定する救済給付」と、公害健康被害補償法第百三十四条中「この款」とあるのは「石綿健康被害救済法第七十五条第三項において読み替えて準用する第百三十一条」と読み替えるものとする。

 (異議申立て)

第七十六条 労災保険適用事業主は、第三十八条第一項の規定により準用する徴収法第十九条第四項の規定による処分について不服があるときは、異議申立てをすることができる。

 (不服申立てと訴訟との関係)

第七十七条 この法律に基づいて機構が行った処分又は前条に規定する処分の取消しの訴えは、当該機構が行った処分についての審査請求に対する公害健康被害補償不服審査会若しくは環境大臣の裁決又は同条に規定する処分についての異議申立てに対する厚生労働大臣の決定若しくは同条に規定する処分についての審査請求に対する厚生労働大臣の裁決を経た後でなければ、提起することができない。

 (特別遺族給付金に係る審査請求等)

第七十八条 特別遺族給付金に関する決定は、労災保険法に基づく保険給付に関する決定とみなして、労災保険法第三十八条から第四十条までの規定を適用する。

 (準用)

第七十九条 徴収法第三十八条の規定は、第六十六条第一項及び第二項の規定による徴収金について準用する。

   第五章 雑則

 (調査及び研究)

第八十条 国は、石綿による健康被害の予防に関する調査研究の推進に努めなければならない。

 (公務所等への照会)

第八十一条 厚生労働大臣及び機構は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (期間の計算)

第八十二条 この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法の期間の計算に関する規定を準用する。

 (戸籍事項の無料証明)

第八十三条 市町村長(特別区及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市においては、区長とする。)は、厚生労働大臣、機構又は救済給付若しくは特別遺族給付金の支給を受けようとする者に対して、当該市(特別区を含む。)町村の条例で定めるところにより、救済給付若しくは特別遺族給付金の支給を受けようとする者又はこれらの者以外の死亡労働者等の遺族の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

 (経過措置の命令委任)

第八十四条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (権限の委任)

第八十五条 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

2 前項の規定により都道府県労働局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に委任することができる。

 (命令への委任)

第八十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、命令で定める。

   第六章 罰則

第八十七条 第五十八条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第八十八条 労災保険適用事業主が、次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。労働保険事務組合等がこれらの各号のいずれかに該当する場合におけるその違反行為をした当該労働保険事務組合等の代表者又は代理人、使用人その他の従業者も、同様とする。

 一 第三十八条第一項において準用する徴収法第四十二条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合

 二 第三十八条第一項において準用する徴収法第四十三条第一項の規定による当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

 三 第七十三条第一項の規定により報告又は文書その他の物件の提出を求められて、これに従わず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合

 四 第七十三条第二項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

2 徴収法第三十三条第三項の労働保険事務組合が、第三十八条第三項において準用する徴収法第三十六条の規定に違反して帳簿を備えて置かず、又は帳簿に第一項一般拠出金事務に関する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした場合は、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

3 第四十五条第一項(第五十条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第八十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 一 第五十二条の規定により報告又は文書その他の物件の提出を求められて、これに従わず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した者

 二 第五十六条第一項の規定により報告若しくは診療録その他の物件の提示を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

2 労災保険適用事業主及び労働保険事務組合等以外の者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 一 第七十条又は第七十三条第三項の規定により報告又は文書その他の物件の提出を求められて、これに従わず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合

 二 第七十三条第二項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

 三 第七十四条第一項の規定により報告若しくは診療録その他の物件の提示を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした場合

第九十条 法人(法人でない労働保険事務組合等を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第八十八条又は前条(第一項第一号及び第二項第一号を除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

2 前項の規定により法人でない労働保険事務組合等を処罰する場合においては、その代表者が訴訟行為につきその労働保険事務組合等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第九十一条 第四十一条第四項(第五十条において準用する場合を含む。)の規定により環境大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったときは、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十八年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第一章、第二章第二節第一款、第八十四条及び第八十六条並びに附則第二条、第三条、第五条、第十条及び第十二条から第十四条までの規定 公布の日

 二 第二章第二節(第一款を除く。)、第五十七条、第七十五条(第一項第二号に係る部分に限る。)、第七十六条、第八十八条(第一項第三号及び第四号を除く。)、第九十条(第八十八条(第一項第三号及び第四号を除く。)に係る部分に限る。)及び第九十一条並びに附則第四条の規定 平成十九年四月一日

 (認定の申請に関する経過措置)

第二条 第四条第一項の認定を受けようとする者は、施行日の一週間前の日から施行日の前日までの間においても、その申請を行うことができる。

2 前項の規定により認定の申請があったときは、施行日において第四条第二項の規定によりその申請があったものとみなす。

 (国庫の負担の特例)

第三条 平成十八年度における第三十四条の規定の適用については、同条中「毎年度」とあるのは「平成十八年度においては」と、「一部」とあるのは「全部」とする。

 (有期事業に関する特例)

第四条 徴収法第二十条第一項の厚生労働省令で定める有期事業であって、附則第一条第二号に定める日前に徴収法第三条に規定する労災保険に係る労働保険の保険関係が成立したものについては、第三十五条第一項の規定は、適用しない。

 (施行前の準備)

第五条 第三十七条第三項及び第四十八条第一項の政令の制定の立案については、環境大臣は、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日前においても中央環境審議会の意見を聴くことができる。

 (見直し)

第六条 政府は、この法律の施行後五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

 (社会保険診療報酬支払基金法の一部改正)

第七条 社会保険診療報酬支払基金法の一部を次のように改正する。

  第十五条第二項中「又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第八十四条第三項」を「、心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第八十四条第三項又は石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第十四条第一項」に、「又は心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第八十四条第四項」を「、心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第八十四条第四項又は石綿による健康被害の救済に関する法律第十四条第二項」に改め、同条第三項中「又は市町村の」を「、市町村又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)の」に、「又は市町村が」を「、市町村又は独立行政法人が」に改め、同条第四項中「若しくは市町村」を「、市町村若しくは独立行政法人」に改める。

 (住民基本台帳法の一部改正)

第八条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  別表第一中八十二の項を削り、八十一の項を八十二の項とし、六十五の項から八十の項までを一項ずつ繰り下げ、六十四の項の次に次のように加える。

六十五 厚生労働省

石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)による同法第五十九条第一項の特別遺族給付金の支給に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第一中百二十の項を百二十一の項とし、百十九の項を百二十の項とし、百十八の項の次に次のように加える。

百十九 独立行政法人環境再生保全機構

石綿による健康被害の救済に関する法律による同法第三条の救済給付の支給又は同法第四条第一項若しくは第二十二条第一項の認定に関する事務であつて総務省令で定めるもの

 (社会保険労務士法の一部改正)

第九条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十号の二十の次に次の一号を加える。

  二十の二十一 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号。第三十八条及び第五十九条の規定に限る。)

 (労働保険特別会計法の一部改正)

第十条 労働保険特別会計法の一部を次のように改正する。

  附則に次の一項を加える。

 8 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)の規定による第一項一般拠出金の徴収に関する政府の経理は、当分の間、第一条の規定にかかわらず、この会計において行うものとする。この場合において、第六条中「並びに附属雑収入」とあるのは「、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第三十四条の規定に基づく一般会計からの受入金、同法第三十五条第一項の一般拠出金(以下この条において「一般拠出金」という。)並びに附属雑収入」と、「、労働保険料の徴収及び」とあるのは「、一般拠出金の返還金、同法第三十六条の規定による独立行政法人環境再生保全機構への交付金、労働保険料及び一般拠出金の徴収並びに」とする。

 (公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正)

第十一条 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第百十一条中「第百六条第二項の」を「第百六条第二項及び石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第七十五条第一項第一号の規定による」に改める。

  第百十九条の次に次の一条を加える。

  (専門委員)

 第百十九条の二 審査会に、専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くことができる。

 2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、環境大臣が任命する。

 3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。

 4 専門委員は、非常勤とする。

 (環境基本法の一部改正)

第十二条 環境基本法(平成五年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条第二項第三号中「及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)」を「、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)及び石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)」に改める。

 (環境省設置法の一部改正)

第十三条 環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  第四条中第二十四号を第二十五号とし、第二十号から第二十三号までを一号ずつ繰り下げ、第十九号の次に次の一号を加える。

  二十 石綿による健康被害の救済に関すること(他の府省の所掌に属するものを除く。)。

  第十二条第二項中「第二十一号」を「第二十二号」に、「第二十四号」を「第二十五号」に改める。

 (独立行政法人環境再生保全機構法の一部改正)

第十四条 独立行政法人環境再生保全機構法(平成十五年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第十六条」を「第十六条の二」に改める。

  第三条中「維持管理積立金の管理等」を「維持管理積立金の管理、石綿による健康被害の救済等」に改める。

  第十条第一項第一号イ中「次条」を「第十一条」に改め、同項中第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。

  七 石綿による健康被害の救済に関する次に掲げる業務を行うこと。

   イ 認定(石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号。以下「石綿健康被害救済法」という。)第四条第一項の認定(その更新及び取消しを含む。)及び第二十二条第一項の認定をいう。)

   ロ 救済給付(石綿健康被害救済法第三条の救済給付をいう。)の支給

   ハ 船舶所有者(石綿健康被害救済法第三十五条第二項の船舶所有者をいう。)からの一般拠出金(同項の一般拠出金をいう。)の徴収及び特別事業主(石綿健康被害救済法第四十七条第一項の特別事業主をいう。)からの特別拠出金(同項の特別拠出金をいう。)の徴収

  第十条の次に次の一条を加える。

  (業務の委託)

 第十条の二 機構は、都道府県、保健所を設置する市若しくは特別区又は環境大臣の指定する者(次項において「都道府県等」という。)に対し、前条第一項第七号イ(申請に係る部分に限る。)及びロ(請求に係る部分に限る。)に規定する業務の一部を委託することができる。

 2 都道府県等は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受けて、当該業務を行うことができる。

  第十一条中「前条第一項第二号」を「第十条第一項第二号」に改める。

  第十二条を次のように改める。

  (区分経理)

 第十二条 機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。

  一 第十条第一項第一号及び第二号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務(以下「公害健康被害補償予防業務」という。)

  二 第十条第一項第七号に掲げる業務及びこれに附帯する業務(以下「石綿健康被害救済業務」という。)

  三 前二号に掲げる業務以外の業務

  第三章中第十六条の次に次の一条を加える。

  (石綿健康被害救済基金)

 第十六条の二 機構は、第十条第一項第七号ロに掲げる業務に要する費用に充てるために石綿健康被害救済基金を設け、石綿健康被害救済法第三十一条第二項の規定において充てるものとされる金額をもってこれに充てるものとする。

 2 通則法第四十七条及び第六十七条(第四号に係る部分に限る。)の規定は、石綿健康被害救済基金の運用について準用する。この場合において、通則法第四十七条第三号中「金銭信託」とあるのは、「金銭信託で元本補てんの契約があるもの」と読み替えるものとする。

  第十七条第一号中「前条第一項」を「第十六条第一項」に改める。

  第二十二条第三号中「及び第十六条第二項」を「、第十六条第二項及び第十六条の二第二項」に、「若しくはポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金」を「、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金若しくは石綿健康被害救済基金」に改める。

  附則第二十九条を次のように改める。

  (基金の事務費への充当)

 第二十九条 機構は、石綿健康被害救済法第三十一条第二項及び第十六条の二第一項の規定にかかわらず、当分の間、環境大臣の認可を受けて、石綿健康被害救済基金の一部を取り崩し、当該取り崩した額に相当する金額を石綿健康被害救済業務の事務の執行に要する費用に充てることができる。この場合において、当該取り崩した額に相当する金額については、平成十九年度以降において、石綿健康被害救済法第三十二条第一項の規定により政府から交付された資金のうち石綿健康被害救済業務の事務の執行に要する費用に充てるためのものに相当する金額の一部を、当該取り崩した額に相当する金額に達するまで、石綿健康被害救済基金に組み入れるものとする。

 2 環境大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

  附則第三十条から第三十六条までを削る。

 (障害者自立支援法の一部改正)

第十五条 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第九十四条のうち社会保険診療報酬支払基金法第十五条第二項の改正規定中「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第八十四条第三項」を「石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第十四条第一項」に、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第八十四条第四項」を「石綿による健康被害の救済に関する法律第十四条第二項」に改める。

(総務・財務・厚生労働・環境・内閣総理大臣署名) 

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