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法律第八十六号(平一八・六・二一)

  ◎組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

 第九条第一項中「同条第三項」を「同条第四項」に改める。

 第十三条第一項第三号中「第三項」を「第四項」に改め、同条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

3 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、犯罪被害財産(第一項各号に掲げる財産の一部が犯罪被害財産である場合における当該部分を含む。以下この項において同じ。)を没収することができる。

 一 前項各号に掲げる罪の犯罪行為が、団体の活動として、当該犯罪行為を実行するための組織により行われたもの、又は第三条第二項に規定する目的で行われたものであるとき、その他犯罪の性質に照らし、前項各号に掲げる罪の犯罪行為により受けた被害の回復に関し、犯人に対する損害賠償請求権その他の請求権の行使が困難であると認められるとき。

 二 当該犯罪被害財産について、その取得若しくは処分若しくは発生の原因につき事実を仮装し、又は当該犯罪被害財産を隠匿する行為が行われたとき。

 三 当該犯罪被害財産について、情を知って、これを収受する行為が行われたとき。

 第十四条中「第三項各号」を「第四項各号」に改める。

 第十六条第二項中「第十三条第三項」を「第十三条第四項」に、「同条第四項」を「同条第五項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項ただし書の規定にかかわらず、第十三条第三項各号のいずれかに該当するときは、その犯罪被害財産の価額を犯人から追徴することができる。

 第十八条第一項中「次条第一項」を「第十九条第一項」に改める。

 第十八条の次に次の一条を加える。

 (犯罪被害財産の没収手続等)

第十八条の二 裁判所は、第十三条第三項の規定により犯罪被害財産を没収し、又は第十六条第二項の規定により犯罪被害財産の価額を追徴するときは、その言渡しと同時に、没収すべき財産が犯罪被害財産である旨又は追徴すべき価額が犯罪被害財産の価額である旨を示さなければならない。

2 第十三条第三項の規定により没収した犯罪被害財産及び第十六条第二項の規定により追徴した犯罪被害財産の価額に相当する金銭は、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律(平成十八年法律第八十七号)に定めるところによる被害回復給付金の支給に充てるものとする。

 第四十三条第一項中「第十六条第二項」を「第十六条第三項」に改める。

 第六十四条の次に次の一条を加える。

 (要請国への執行財産等の譲与等)

第六十四条の二 没収又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請をした外国(第三項において「執行共助の要請国」という。)から、当該共助の実施に係る財産又はその価額に相当する金銭(以下この条において「執行財産等」という。)の譲与の要請があったときは、その全部又は一部を譲与することができる。

2 法務大臣は、執行財産等の全部又は一部を譲与することが相当であると認めるときは、没収又は追徴の確定裁判の執行の共助に必要な措置を命じた地方検察庁の検事正に対し、当該執行財産等の譲与のための保管を命ずるものとする。

3 法務大臣は、執行財産等について、次の各号のいずれかに該当する場合には、前項に規定する検事正に対し、当該執行財産等の全部又は一部を仮に保管することを命ずることができる。

 一 執行共助の要請国から執行財産等の譲与の要請があった場合において、これに応ずるか否かの判断をするために必要があると認めるとき。

 二 執行共助の要請国から執行財産等の譲与の要請がされると思料する場合において、必要があると認めるとき。

 第七十三条に次の一項を加える。

2 第六十四条の二第一項に規定する譲与の要請の受理及び当該要請を受理した場合における措置については、国際捜査共助等に関する法律第三条、第四条、第十四条第一項前段、第五項及び第六項並びに第十六条第一項の規定を準用する。この場合において、同法第三条の見出し中「証拠の送付」とあるのは「執行財産等の引渡し」と、同条第一項中「証拠の送付」とあるのは「執行財産等(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六十四条の二第一項に規定する執行財産等をいう。以下同じ。)の引渡し」と、同条第二項中「証拠の送付」とあるのは「執行財産等の引渡し」と、同法第四条中「共助要請書」とあるのは「譲与要請書」と、同法第十四条第一項前段中「証拠の収集を終えた」とあるのは「執行財産等を保管するに至つた」と、「収集した証拠」とあるのは「当該執行財産等」と、「送付しなければ」とあるのは「引き渡さなければ」と、同条第五項中「第一項、第三項又は前項の規定による送付」とあるのは「第一項の規定による引渡し」と、「証拠」とあるのは「執行財産等」と、「返還」とあるのは「処分」と読み替えるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律(平成十八年法律第八十七号)の施行の日から施行する。

 (調整規定)

第二条 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第▼▼▼号)の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間におけるこの法律による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(次条において「新組織的犯罪処罰法」という。)第十三条第三項第一号の規定の適用については、同号中「前項各号に掲げる罪」とあるのは、「前項に規定する罪」とする。

 (経過措置)

第三条 新組織的犯罪処罰法第十三条第三項、第十六条第二項及び第十八条の二の規定は、この法律の施行前に犯した罪に係る組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第十三条第二項に規定する犯罪被害財産に関してこの法律の施行後に犯した罪の犯罪行為を理由とする当該犯罪被害財産若しくはその保有若しくは処分に基づき得た財産の没収又はその価額の追徴についても、適用する。

 (国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律の一部改正)

第四条 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。

  目次中「国際共助手続」を「国際共助手続等」に改める。

  第六章の章名中「国際共助手続」を「国際共助手続等」に改める。

  第二十二条の次に次の一条を加える。

  (要請国への共助の実施に係る財産等の譲与)

 第二十二条の二 第二十一条に規定する没収又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請をした外国から、当該共助の実施に係る財産又はその価額に相当する金銭の譲与の要請があったときは、その全部又は一部を譲与することができる。

  第二十三条の見出し中「共助」を「共助等」に改め、同条中「前二条」を「前三条」に、「共助に」を「共助及び前条の規定による譲与に」に、「共助の」を「共助及び譲与の」に改める。

(法務・内閣総理大臣署名) 

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