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法律第三十二号(平二一・四・三〇)

  ◎外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律

 外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第六章の三 削除」を「第六章の三 輸出者等遵守基準(第五十五条の十−第五十五条の十二)」に、「第五十五条の十二」を「第五十五条の十三」に改める。

 第十条第一項中「第二十五条第四項」を「第二十五条第六項」に改める。

 第二十五条第一項を次のように改める。

  国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 第二十五条第二項中「非居住者との間で特定技術を同項第一号の特定の地域以外の地域において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者」を「特定技術を特定国以外の外国において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国以外の外国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者」に改め、「政令で定めるところにより」の下に「、当該取引について」を加え、同条第四項中「第一項第一号」を「第一項」に改め、「売買」の下に「、貸借若しくは贈与」を加え、「第一項第二号」を「第四項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項を同条第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。

3 経済産業大臣は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める行為をしようとする者に対し、政令で定めるところにより、当該行為について、許可を受ける義務を課することができる。

 一 第一項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 同項の取引に関する次に掲げる行為

  イ 特定国を仕向地とする特定技術を内容とする情報が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体(以下「特定記録媒体等」という。)の輸出

  ロ 特定国において受信されることを目的として行う電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)による特定技術を内容とする情報の送信(本邦内にある電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。)からの送信に限る。以下同じ。)

 二 前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 同項の取引に関する次に掲げる行為

  イ 特定国以外の外国を仕向地とする特定記録媒体等の輸出

  ロ 特定国以外の外国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信

4 居住者は、非居住者との間で、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 第二十五条の二第一項中「同項第一号」を「同項」に、「非居住者との間で貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術の提供を目的とする取引」を「貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下この条において「貨物設計等技術」という。)を外国において提供し、若しくは非居住者に提供することを目的とする取引若しくは当該取引に関する貨物設計等技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体の輸出(以下「技術記録媒体等輸出」という。)若しくは外国において受信されることを目的として行う電気通信による貨物設計等技術を内容とする情報の送信(以下「国外技術送信」という。)」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「前条第二項」の下に「又は第三項」を加え、「同項に規定する取引」を「これらの項に規定する取引又は行為」に、「非居住者との間で貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術の提供を目的とする取引」を「貨物設計等技術を外国において提供し、若しくは非居住者に提供することを目的とする取引若しくは当該取引に関する技術記録媒体等輸出若しくは国外技術送信」に改め、同項を同条第二項とし、同項の次に次の一項を加える。

3 経済産業大臣は、前条第四項の規定による許可を受けないで同項に規定する取引を行つた者に対し、三年以内の期間を限り、非居住者との間で外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借若しくは贈与に関する取引を行い、又は貨物の輸出を行うことを禁止することができる。

 第二十五条の二第四項中「前条第四項」を「前条第六項」に改める。

 第三十条第一項中「及び第七十条」を「、第六十九条の三第二項及び第七十条第一項」に改める。

 第五十三条第一項中「非居住者との間で特定技術の提供を目的とする取引」を「特定技術を外国において提供し、若しくは非居住者に提供することを目的とする取引若しくは当該取引に関する特定記録媒体等の輸出若しくは外国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信」に改める。

 第六章の三の章名を次のように改める。

   第六章の三 輸出者等遵守基準

 第五十五条の十及び第五十五条の十一を次のように改める。

 (輸出者等遵守基準)

第五十五条の十 経済産業大臣は、経済産業省令で、第二十五条第一項に規定する取引又は第四十八条第一項に規定する輸出(以下「輸出等」という。)を業として行う者(以下「輸出者等」という。)が輸出等を行うに当たつて遵守すべき基準(以下「輸出者等遵守基準」という。)を定めなければならない。

2 輸出者等遵守基準は、第二十五条第一項に規定する取引によつて提供しようとする特定技術又は第四十八条第一項の特定の地域を仕向地として輸出をしようとする同項の特定の種類の貨物が特定重要貨物等に該当するかどうかの確認に関する事項その他当該取引又は輸出を行うに当たつて遵守すべき事項について定めるものとする。

3 前項の「特定重要貨物等」とは、特定技術又は第四十八条第一項の特定の種類の貨物であつて、その特定国における提供若しくは特定国の非居住者への提供又はその同項の特定の地域を仕向地とする輸出が国際的な平和及び安全の維持を特に妨げることとなると認められるものとして経済産業省令で定めるものをいう。

4 輸出者等は、輸出者等遵守基準に従い、輸出等を行わなければならない。

 (指導及び助言)

第五十五条の十一 経済産業大臣は、輸出等が適正に行われることを確保するため必要があると認めるときは、輸出者等に対し、輸出者等遵守基準に従つた輸出等が行われるよう必要な指導及び助言をすることができる。

 第五十五条の十二中「第二十五条第一項若しくは第二項」を「第二十五条第一項、同条第二項若しくは第三項の規定に基づく命令若しくは同条第四項」に、「第二項の規定」を「同条第二項の規定に基づく命令の規定」に改め、第七章中同条を第五十五条の十三とする。

 第六章の三中第五十五条の十一の次に次の一条を加える。

 (勧告及び命令)

第五十五条の十二 経済産業大臣は、前条の規定による指導又は助言をした場合において、輸出者等がなお輸出者等遵守基準に違反していると認めるときは、当該輸出者等に対し、輸出者等遵守基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。

2 経済産業大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかつたときは、当該勧告を受けた者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 第六十九条の四第一項第一号中「第二十五条第四項」を「第二十五条第六項」に改め、同項第三号中「第二十五条第一項若しくは第二項」を「第二十五条第一項から第四項まで」に改め、同条第二項第一号中「第二十五条第四項」を「第二十五条第六項」に改め、同項第四号中「第二十五条第一項若しくは第二項」を「第二十五条第一項から第四項まで」に改める。

 第六十九条の六第一項中「一に」を「いずれかに」に、「五年」を「七年」に、「二百万円」を「七百万円」に改め、同項第一号中「第二十五条第一項」の下に「又は第四項」を加え、「同項」を「これらの項」に改め、同条第二項中「前項第二号」を「第一項第二号及び前項第二号(貨物の輸出に係る部分に限る。)」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、当該違反行為の目的物の価格の五倍が千万円を超えるときは、罰金は、当該価格の五倍以下とする。

 一 特定技術であつて、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機のうち政令で定めるもの(以下この項において「核兵器等」という。)の設計、製造若しくは使用に係る技術又は核兵器等の開発、製造、使用若しくは貯蔵(次号において「開発等」という。)のために用いられるおそれが特に大きいと認められる貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術として政令で定める技術について、第二十五条第一項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める取引をした者

 二 第四十八条第一項の特定の種類の貨物であつて、核兵器等又はその開発等のために用いられるおそれが特に大きいと認められる貨物として政令で定める貨物について、第二十五条第四項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める取引をした者又は第四十八条第一項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める輸出をした者

 第六十九条の六の次に次の一条を加える。

第六十九条の七 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、当該違反行為の目的物の価格の五倍が五百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の五倍以下とする。

 一 第二十五条第二項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで特定技術の提供を目的とする取引をした者

 二 第二十五条第三項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで同項第一号に定める行為をした者

 三 第四十八条第二項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで貨物の輸出をした者

 四 第四十八条第三項の規定に基づく命令の規定による承認を受けないで貨物の輸出をした者

 五 第五十二条の規定に基づく命令の規定による承認を受けないで貨物の輸入をした者

2 前項第二号(第二十五条第三項第一号イに係る部分に限る。)の未遂罪は、罰する。

 第七十条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第十六号を次のように改める。

 十六 第二十五条第三項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで同項第二号に定める行為をした者

 第七十条第十七号中「第二十五条第三項」を「第二十五条第五項」に改め、同条第十八号中「第二十五条第四項」を「第二十五条第六項」に改め、同条第十九号中「又は第三項」を「又は第二項」に改め、「取引」の下に「若しくは技術記録媒体等輸出若しくは国外技術送信」を加え、同条第二十号中「第二十五条の二第二項」を「第二十五条の二第三項」に改め、「売買」の下に「、貸借若しくは贈与」を加え、同条第三十号及び第三十一号を削り、同条第三十二号を同条第三十号とし、同条第三十三号を削り、同条第三十四号中「目的とする取引」の下に「若しくは特定記録媒体等の輸出若しくは特定技術を内容とする情報の送信」を、「又は取引」の下に「若しくは特定記録媒体等の輸出若しくは情報の送信」を加え、同号を同条第三十一号とし、同条第三十五号を同条第三十二号とし、同号の次に次の一号を加える。

 三十三 偽りその他不正の手段により第二十五条第一項、同条第二項若しくは第三項の規定に基づく命令若しくは同条第四項、第四十八条第一項若しくは同条第二項若しくは第三項の規定に基づく命令又は第五十二条の規定に基づく命令の規定による許可又は承認を受けた者

 第七十条に次の一項を加える。

2 前項第十六号(第二十五条第三項第二号イに係る部分に限る。)の未遂罪は、罰する。

 第七十一条中「一に」を「いずれかに」に、「二十万円」を「五十万円」に改め、同条中第十一号を第十二号とし、第十号を第十一号とし、第九号の次に次の一号を加える。

 十 第五十五条の十二第二項の規定による命令に違反した者

 第七十二条中第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

3 第一項の規定により第六十九条の六又は第六十九条の七の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、各本条の罪についての時効の期間による。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正前の外国為替及び外国貿易法(以下「旧法」という。)第二十五条の規定又は同条の規定に基づく命令の規定により許可を受けた取引が、この法律による改正後の外国為替及び外国貿易法(以下「新法」という。)第二十五条の規定又は同条の規定に基づく命令の規定による許可を要するものに該当する場合には、当該取引は、同条の相当規定又は同条の規定に基づく命令の相当規定により許可を受けたものとみなす。

2 この法律の施行の際現にされている旧法第二十五条の規定又は同条の規定に基づく命令の規定による許可の申請に係る取引が、新法第二十五条の規定又は同条の規定に基づく命令の規定による許可を要するものに該当する場合には、当該申請については、これを同条の相当規定又は同条の規定に基づく命令の相当規定によりされた許可の申請とみなして、新法の規定を適用する。

第三条 この法律の施行前に貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術の提供を目的とする取引、外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引若しくは役務取引等(旧法第二十五条第四項に規定する役務取引等をいう。)又は貨物の輸出に関し旧法、旧法に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反した者に対する取引又は輸出の禁止については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (検討)

第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(財務・経済産業・内閣総理大臣臨時代理署名) 

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