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法律第百十号(平二六・一一・一九)

  ◎関税暫定措置法の一部を改正する法律

 関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。

 第七条の三第一項に次のただし書を加える。

  ただし、平成二十六年度においては、飼料用麦(同法別表第一〇〇一・九九号に掲げる物品(メスリンを除く。)又は同表第一〇〇三・九〇号に掲げる物品のうち飼料用のものをいう。以下この条において同じ。)を含む別表第一の六の項にあつては、当該年度中のこれらの項に掲げる物品の輸入数量を当該各項ごとに合計した輸入数量から当該年度中の当該各項の飼料用麦であつて、オーストラリアを原産地とするもの(以下この条において「オーストラリア産飼料用麦」という。)に係る輸入数量を当該各項ごとに合計した輸入数量を控除した輸入数量があらかじめ財務大臣が告示する数量(第六項において「協定対象外輸入基準数量」という。)を超えた場合に限る。

 第七条の三第七項中「合計した輸入数量を」を「合計した輸入数量(平成二十六年度においては、飼料用麦を含む項にあつては、当該年度の初日から毎月末までのこれらの項に掲げる物品の輸入数量を当該各項ごとに合計した輸入数量及び当該輸入数量から当該年度の初日から毎月末までの当該各項のオーストラリア産飼料用麦の輸入数量を当該各項ごとに合計した輸入数量を控除した輸入数量)を」に改め、「超えた場合」の下に「(平成二十六年度においては、飼料用麦を含む項にあつては、第一項ただし書に規定する場合に該当する場合に限る。)」を加え、同項を同条第八項とし、同条中第六項を第七項とし、第五項の次に次の一項を加える。

6 前二項の規定は、第一項ただし書に規定する協定対象外輸入基準数量を算出する場合について準用する。この場合において、第四項中「輸入数量を」とあるのは「輸入数量(オーストラリア産飼料用麦の輸入数量を除く。)を」と、同項第一号中「各年の国内消費量」とあるのは「各年の国内消費量(オーストラリア産飼料用麦の輸入数量に相当する数量を除く。以下この項において同じ。)」と読み替えるものとする。

 第七条の五第一項第一号中「(第八条の六第二項の譲許の便益の適用を受けるものに係る輸入数量を除く。以下この条において同じ。)」を削り、「告示する数量」の下に「(第三項において「第一号に係る輸入基準数量」という。)」を、「超えた場合」の下に「(平成二十六年度においては、当該年度の初日から当該年度の第三四半期に属する各月の末日までの生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量(経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定(以下「オーストラリア協定」という。)の効力発生の日(以下この号及び第七条の八第一項において「協定発効日」という。)前の期間のオーストラリアを原産地とするものに係る輸入数量と協定発効日以降の期間のオーストラリア協定の規定に基づきオーストラリアの原産品とされるものであることを政令で定めるところにより税関長が認めたもの(同条第一項において「オーストラリア原産品」という。)に係る輸入数量との合計数量及び第八条の六第二項の譲許の便益の適用を受けるものに係る輸入数量を除く。以下この条において「協定対象外輸入数量」という。)が、当該年度の前年度の初日から同年度の第三四半期の末日までの協定対象外輸入数量に百分の百十七を乗じて得た数量としてあらかじめ財務大臣が告示する数量(第三項において「第一号に係る協定対象外輸入基準数量」という。)を超えた場合に限る。)」を加え、「第三項」を「同項」に改め、同項第二号中「告示する数量」の下に「(第三項において「第二号に係る輸入基準数量」という。)」を、「超えた場合」の下に「(平成二十六年度においては、当該年度中の協定対象外輸入数量が、当該年度の前年度における協定対象外輸入数量に百分の百十七を乗じて得た数量としてあらかじめ財務大臣が告示する数量(同項において「第二号に係る協定対象外輸入基準数量」という。)を超えた場合に限る。)」を加え、「第三項」を「同項」に改め、同条第二項中「第七条の三第六項」を「第七条の三第七項」に改め、同条第三項中「第八条の六第二項の譲許の便益の適用を受けるものに係る輸入数量を除く。」を「平成二十六年度においては、各輸入数量及び各協定対象外輸入数量」に、「第一項第一号又は第二号に規定するあらかじめ財務大臣が告示する数量を超えた場合」を「第一号に係る輸入基準数量を超えた場合(平成二十六年度においては、当該年度中の協定対象外輸入数量が第一号に係る協定対象外輸入基準数量を超えた場合に限る。)又は第二号に係る輸入基準数量を超えた場合(平成二十六年度においては、当該協定対象外輸入数量が第二号に係る協定対象外輸入基準数量を超えた場合に限る。)」に改める。

 第七条の六第六項中「第七条の三第六項」を「第七条の三第七項」に改める。

 第七条の七第四項中「締約国において」を「締約国(第十二条の二において「協定締約国」という。)において」に改める。

 第七条の七の次に次の一条を加える。

 (オーストラリア協定に基づく関税の譲許の適用の停止)

第七条の八 第七条の五第一項に規定する生鮮等牛肉(オーストラリア原産品に限る。以下この条において同じ。)又は同項に規定する冷凍牛肉(オーストラリア原産品に限る。以下この条において同じ。)について、その年度における生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量がオーストラリア協定に定められた一定の数量(第四項において「輸入基準数量」という。)を超えた場合には、生鮮等牛肉又は冷凍牛肉のうちその超えることとなつた月の翌々月の初日(以下この条において「発動日」という。)から当該年度の末日までの期間内に輸入されるものに課する関税の率は、発動日における実行税率、協定発効日の前日における実行税率及びオーストラリア協定に定められた基準税率のうち最も低いものとする。

2 前項の規定は、生鮮等牛肉又は冷凍牛肉が発動日前において本邦に向けて送り出された物品であることを政令で定めるところにより税関長が認めたものについては、適用しない。

3 第七条の三第七項の規定は、生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量を算出する場合について準用する。

4 財務大臣は、その年度の初日から毎月末までの生鮮等牛肉及び冷凍牛肉の各輸入数量を翌月末日までに、当該年度における生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量が輸入基準数量を超えた場合には、その旨及び発動日をその超えることとなつた月の翌月末日までに、それぞれ官報で告示するものとする。

 第九条の次に次の一条を加える。

 (オーストラリア協定に基づく製造用原料品に係る譲許の便益の適用)

第九条の二 オーストラリア協定の規定に基づく関税の譲許(以下この条において単に「譲許」という。)が税関の監督の下で飼料の原料として使用するものであることを要件としている物品のうち、次の各号に掲げる原料品で輸入され、その輸入の許可の日から一年以内に、税関長の承認を受けた製造工場で当該各号に規定する製造が終了するものについては、政令で定めるところにより、譲許の便益を適用する。

 一 飼料のうち政令で定めるものの製造に使用するための関税定率法別表第一〇〇一・九九号に掲げる物品

 二 飼料のうち政令で定めるものの製造に使用するための関税定率法別表第一〇〇三・九〇号に掲げる物品

2 税関長は、オーストラリア協定又はこの法律若しくは関税法の実施を確保する上に支障がないと認めるときは、前項の承認をしなければならない。

3 第一項の規定により譲許の便益の適用を受ける場合においては、税関長は、税関の監督の下で飼料の原料として使用することを要件としない税率により計算した関税の額と譲許の便益による税率により計算した関税の額との差額に相当する担保を提供させることができる。

4 第一項各号に規定する製造を行うに際しては、税関長が同項の規定により譲許の便益の適用を受けた原料品(以下この条において「製造用原料品」という。)による製造の確認に支障がないと認めて承認した場合を除くほか、製造用原料品にこれと同種の他の原料品を混じて使用してはならない。

5 製造用原料品による製造が終了したときは、当該製造をした者は、政令で定めるところにより、使用した製造用原料品及びその製品の数量を税関に届け出て、その都度又は随時、その製品について検査を受けなければならない。

6 第一項各号に掲げる製造用原料品は、その輸入の許可の日から一年以内に、当該各号に規定する製造に使用する用途以外の用途に供し、又は当該各号に規定する製造に使用する用途以外の用途に供するため譲渡してはならない。ただし、やむを得ない理由がある場合において、政令で定めるところにより税関長の承認を受けたときは、この限りでない。

7 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に該当することとなつた者から、税関の監督の下で飼料の原料として使用することを要件としない税率により計算した関税の額と譲許の便益による税率により計算した関税の額との差額に相当する額の関税を、直ちに徴収する。ただし、製造用原料品又はその製品が災害その他やむを得ない理由により亡失した場合又は税関長の承認を受けて滅却された場合には、その関税を徴収しないこととし、前項ただし書の承認を受けた製造用原料品につき変質、損傷その他やむを得ない理由による価値の減少があつた場合には、関税定率法第十条第一項(変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等)の規定に準じてその関税を軽減することができる。

 一 第一項各号に掲げる製造用原料品について前項ただし書の承認を受けたとき、若しくは当該承認を受けないで製造用原料品を当該各号に規定する製造に使用する用途以外の用途に供し、若しくは当該各号に規定する製造に使用する用途以外の用途に供するため譲渡したとき、又はその輸入の許可の日から一年以内に第五項の規定による届出をせず、若しくはその製造を終えなかつたとき。

 二 第一項の規定により税関長の承認を受けた製造工場以外の場所で製造用原料品を製造に供し、又は第四項の規定に違反してこれを使用したとき。

8 第一項の規定により製造工場の承認を受けた者は、当該製造工場の延べ面積、承認の期間及び当該製造工場に係る税関の事務の種類を基準として政令で定める額の手数料を、政令で定めるところにより、税関に納付しなければならない。

 第十条中「前条第一項」を「第九条第一項」に改める。

 第十二条中「同条第二項」の下に「若しくは第九条の二第一項」を加える。

 第十二条の次に次の一条を加える。

 (経済連携協定に基づく締約国原産品であることの確認)

第十二条の二 税関長は、輸入申告がされた貨物について、経済連携協定の規定に基づき関税の譲許の便益を適用する場合において、当該貨物が当該経済連携協定の規定に基づき協定締約国の原産品とされるもの(以下この項において「締約国原産品」という。)であるかどうかの確認をするために必要があるときは、当該経済連携協定の規定に基づき、次に掲げる方法によりその確認をすることができる。

 一 当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法

 二 協定締約国の権限ある当局(協定締約国から輸出される貨物が締約国原産品であることを証明する書類の発給又は当該書類の作成をすることができる者の認定に関して権限を有する機関をいう。第四号において同じ。)、協定締約国の税関当局(関税法、関税定率法その他の関税に関する法律に相当する協定締約国の法令を執行する当局をいう。)又は当該貨物の輸出者若しくは生産者に対し、当該貨物について質問し、又は当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法

 三 その職員に、当該貨物の輸出者又は生産者の事務所その他の必要な場所において、その者の同意を得て、実地に書類その他の物件を調査させる方法

 四 協定締約国の権限ある当局に対し、当該協定締約国の権限ある当局が当該貨物の輸出者又は生産者の事務所その他の必要な場所において行う検査に、その者の同意を得て、我が国の税関職員を立ち会わせ、及び当該検査において収集した資料を提供することを求める方法

 五 その他当該経済連携協定に定める方法

2 前項第二号の質問又は求めは、当該質問又は求めを受けた者が当該質問に対する回答又は当該求めに係る資料の提供をすべき相当の期間を定めて、書面をもつてするものとする。

3 税関長は、その職員に第一項第三号の調査をさせようとするときは、協定締約国が当該調査に同意するかどうかを回答すべき相当の期間を定めて、書面によりその旨を通知するものとする。

4 第一項第四号の求めは、協定締約国が当該求めに応ずるかどうかを回答すべき相当の期間を定めて、書面をもつてするものとする。

5 税関長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、経済連携協定の規定に基づき関税の譲許の便益の適用を受けようとする貨物について、当該経済連携協定の規定に基づき、当該譲許の便益を与えないことができる。

 一 当該貨物が当該譲許の便益の適用を受けるための要件を満たしていないとき。

 二 当該貨物を輸入する者が当該譲許の便益の適用を受けるために必要な手続をとらないとき。

 三 第一項第二号の質問又は求めを行つた場合において、当該質問又は求めを受けた者が、第二項の規定により定めた期間内に、当該質問に対する回答若しくは当該求めに係る資料の提供をしないとき、又は当該質問に対する回答若しくは当該求めに対し提供した資料が十分でないとき。

 四 第三項の通知をした場合において、協定締約国又は当該通知に係る貨物の輸出者若しくは生産者が第一項第三号の調査を拒んだとき、又は第三項の規定により定めた期間内に当該通知に対する回答をしないとき。

 五 第一項第四号の求めを行つた場合において、協定締約国が、当該求めを拒んだとき、前項の規定により定めた期間内に当該求めに対する回答をしないとき、当該求めに係る資料の提供をしないとき、又は当該求めに対し提供した資料が十分でないとき。

 六 その他経済連携協定に定める事項に該当するとき。

6 税関長は、第一項の規定による確認をしたときは、当該経済連携協定の規定に基づき、その結果の内容(その理由を含む。)を当該確認の相手方となつた者(当該経済連携協定に定める者に限る。)に通知するものとする。

 第十五条第一項中「若しくは同条第二項」の下に「若しくは第九条の二第一項」を加え、「又は同条第二項」を削り、「、それぞれ、「軽減税率の適用を受けた貨物」又は」を「「軽減税率の適用を受けた貨物」と、同条第二項又は第九条の二第一項の規定に係る場合には、同号中「関税の軽減若しくは免除を受けた貨物」とあるのは」に改める。

 第十六条中「第十条の規定に違反して同条の物品を同条に規定する用途以外の用途に供し、又はこれに供するため譲渡した」を「次の各号のいずれかに該当する」に改め、同条に次の各号を加える。

 一 第九条の二第六項の規定に違反して同項の製造用原料品を同項に規定する用途以外の用途に供し、又はこれに供するため譲渡した者

 二 第十条の規定に違反して同条の物品を同条に規定する用途以外の用途に供し、又はこれに供するため譲渡した者

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の効力発生の日から施行する。

 (オーストラリア協定に基づく関税の譲許の適用の停止に関する経過措置)

2 平成二十六年度に限り、この法律による改正後の関税暫定措置法第七条の八第四項の規定の適用については、同項中「その年度の初日」とあるのは、「オーストラリア協定の効力発生の日」とする。

 (政令への委任)

3 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(財務・内閣総理大臣署名)

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