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法律第五十四号(平二八・六・三)

  ◎刑事訴訟法等の一部を改正する法律

 (刑事訴訟法の一部改正)

第一条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三百五十条の十一」を「第三百五十条の十二」に、「第三百五十条の十二」を「第三百五十条の十三」に、「第三百五十条の十三・第三百五十条の十四」を「第三百五十条の十四・第三百五十条の十五」に改める。

  第七十六条第一項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同条第二項中「前項の告知」を「第一項の告知及び前項の教示」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、同条第三項中「第一項の告知」の下に「及び第二項の教示」を加え、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、「告知」の下に「及び教示」を加え、同条第一項の次に次の一項を加える。

   前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

  第七十七条第一項中「逮捕又は勾引に引き続き勾留する場合を除いて」を削り、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同条第二項中「第六十一条但書」を「第六十一条ただし書」に、「前項」を「第一項」に、「の外、」を「及び」に、「告げなければ」を「告げるとともに、前項に規定する事項を教示しなければ」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同条第三項中「前条第二項」を「前条第三項」に、「前二項の告知」を「第一項の告知、第二項の教示並びに前項の告知及び教示」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

   前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被告人は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

  第九十条中「裁判所は」の下に「、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し」を加える。

  第百四十三条の次に次の一条を加える。

 第百四十三条の二 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、証人を召喚することができる。

  第百五十一条第一項中「十万円以下の罰金又は拘留」を「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に改め、同条第二項を削る。

  第百五十二条中「召喚に応じない証人に対しては、更にこれを召喚し、又はこれ」を「裁判所は、証人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるときは、その証人」に改める。

  第百六十一条第一項中「十万円以下の罰金又は拘留」を「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に改め、同条第二項を削る。

  第二百三条第二項の次に次の一項を加える。

   司法警察員は、第一項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

  第二百四条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

   検察官は、前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

  第二百五条第五項中「前条第二項」を「前条第三項」に改める。

  第二百七条第二項中「第三十七条の二第一項に規定する事件について」を削り、「及び」を「を告げ、第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留を請求された被疑者に対しては、」に改め、同条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。

   前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被疑者は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

  第二百九十条の二の次に次の一条を加える。

 第二百九十条の三 裁判所は、次に掲げる場合において、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人又は供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)の供述者(以下この項において「証人等」という。)から申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、証人等特定事項(氏名及び住所その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

  一 証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

  二 前号に掲げる場合のほか、証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。

   裁判所は、前項の決定をした事件について、証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。

  第二百九十一条第二項中「前条第一項」を「第二百九十条の二第一項」に改め、同項の次に次の一項を加える。

   前条第一項の決定があつた場合における第一項の起訴状の朗読についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

  第二百九十一条の二中「前条第三項」を「前条第四項」に改める。

  第二百九十五条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。

   第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における訴訟関係人のする尋問若しくは陳述又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

  第二百九十九条の二中「記載されている」を「記載され若しくは記録されている」に改める。

  第二百九十九条の三の次に次の四条を加える。

 第二百九十九条の四 検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の氏名及び住居を知る機会を与えるべき場合において、その者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該氏名及び住居を知る機会を与えた上で、当該氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

   検察官は、前項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人及び弁護人に対し、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の氏名又は住居を知る機会を与えないことができる。この場合において、被告人又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

   検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、証拠書類若しくは証拠物に氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている者であつて検察官が証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人として尋問を請求するもの若しくは供述録取書等の供述者(以下この項及び次項において「検察官請求証人等」という。)若しくは検察官請求証人等の親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えた上で、その検察官請求証人等の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

   検察官は、前項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人及び弁護人に対し、証拠書類又は証拠物のうちその検察官請求証人等の氏名又は住居が記載され又は記録されている部分について閲覧する機会を与えないことができる。この場合において、被告人又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

   検察官は、前各項の規定による措置をとつたときは、速やかに、裁判所にその旨を通知しなければならない。

 第二百九十九条の五 裁判所は、検察官が前条第一項から第四項までの規定による措置をとつた場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、当該措置の全部又は一部を取り消さなければならない。

  一 当該措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがないとき。

  二 当該措置により、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。

  三 検察官のとつた措置が前条第二項又は第四項の規定によるものである場合において、同条第一項本文又は第三項本文の規定による措置によつて第一号に規定する行為を防止できるとき。

   裁判所は、前項第二号又は第三号に該当すると認めて検察官がとつた措置の全部又は一部を取り消す場合において、同項第一号に規定する行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該条件を付し、又は当該時期若しくは方法の指定をすることにより、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

   裁判所は、第一項の請求について決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。

   第一項の請求についてした決定(第二項の規定により条件を付し、又は時期若しくは方法を指定する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。

 第二百九十九条の六 裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第一項若しくは第三項の規定による措置に係る者若しくは裁判所がとつた前条第二項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するに当たり、これらに記載され又は記録されている当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

   裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第二項若しくは第四項の規定による措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するについて、これらのうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧若しくは謄写を禁じ、又は当該氏名若しくは住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

   裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第一項から第四項までの規定による措置に係る者若しくは裁判所がとつた前条第二項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び被告人の意見を聴き、相当と認めるときは、被告人が第四十九条の規定により公判調書を閲覧し又はその朗読を求めるについて、このうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧を禁じ、又は当該部分の朗読の求めを拒むことができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

 第二百九十九条の七 検察官は、第二百九十九条の四第一項若しくは第三項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

   裁判所は、第二百九十九条の五第二項若しくは前条第一項若しくは第二項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

   前二項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置をその請求をした検察官又は裁判所に通知しなければならない。

  第三百五条第一項中「取調」を「取調べ」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、同条第二項中「取調」を「取調べ」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。

   第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における第一項又は第二項の規定による証拠書類の朗読についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

  第三百十六条の二第一項中「及び被告人又は弁護人の意見を聴いて」を「、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で」に改め、同項の次に次の一項を加える。

   前項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

  第三百十六条の十四第二号中「(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)」を削り、同条に次の四項を加える。

   検察官は、前項の規定による証拠の開示をした後、被告人又は弁護人から請求があつたときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、検察官が保管する証拠の一覧表の交付をしなければならない。

   前項の一覧表には、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、証拠ごとに、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

  一 証拠物 品名及び数量

  二 供述を録取した書面で供述者の署名又は押印のあるもの 当該書面の標目、作成の年月日及び供述者の氏名

  三 証拠書類(前号に掲げるものを除く。) 当該証拠書類の標目、作成の年月日及び作成者の氏名

   前項の規定にかかわらず、検察官は、同項の規定により第二項の一覧表に記載すべき事項であつて、これを記載することにより次に掲げるおそれがあると認めるものは、同項の一覧表に記載しないことができる。

  一 人の身体若しくは財産に害を加え又は人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれ

  二 人の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ

  三 犯罪の証明又は犯罪の捜査に支障を生ずるおそれ

   検察官は、第二項の規定により一覧表の交付をした後、証拠を新たに保管するに至つたときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、当該新たに保管するに至つた証拠の一覧表の交付をしなければならない。この場合においては、前二項の規定を準用する。

  第三百十六条の十五第一項中「前条」を「前条第一項」に、「同条第一号」を「同項第一号」に改め、同項第八号中「被告人」の下に「又はその共犯として身体を拘束され若しくは公訴を提起された者であつて第五号イ若しくはロに掲げるもの」を加え、同項に次の一号を加える。

  九 検察官請求証拠である証拠物の押収手続記録書面(押収手続の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、証拠物の押収に関し、その押収者、押収の年月日、押収場所その他の押収の状況を記録したものをいう。次項及び第三項第二号イにおいて同じ。)

  第三百十六条の十五第二項中「前項の」を「前二項の」に、「次に掲げる」を「次の各号に掲げる開示の請求の区分に応じ、当該各号に定める」に改め、同項各号を次のように改める。

  一 第一項の開示の請求 次に掲げる事項

   イ 第一項各号に掲げる証拠の類型及び開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項

   ロ 事案の内容、特定の検察官請求証拠に対応する証明予定事実、開示の請求に係る証拠と当該検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由

  二 前項の開示の請求 次に掲げる事項

   イ 開示の請求に係る押収手続記録書面を識別するに足りる事項

   ロ 第一項の規定による開示をすべき証拠物と特定の検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該証拠物により当該検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示が必要である理由

  第三百十六条の十五第一項の次に次の一項を加える。

   前項の規定による開示をすべき証拠物の押収手続記録書面(前条第一項又は前項の規定による開示をしたものを除く。)について、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、当該証拠物により特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときも、同項と同様とする。

  第三百十六条の十六第一項中「第三百十六条の十四及び前条第一項」を「第三百十六条の十四第一項並びに前条第一項及び第二項」に改める。

  第三百十六条の十七第一項中「第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項」を「第三百十六条の十四第一項並びに第三百十六条の十五第一項及び第二項」に改める。

  第三百十六条の二十第一項中「第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項」を「第三百十六条の十四第一項並びに第三百十六条の十五第一項及び第二項」に、「第三百十六条の十四第一号」を「第三百十六条の十四第一項第一号」に改める。

  第三百十六条の二十一第一項中「前条まで」の下に「(第三百十六条の十四第五項を除く。)」を加え、同条第四項中「第三百十六条の十四から第三百十六条の十六まで」を「第三百十六条の十四第一項、第三百十六条の十五及び第三百十六条の十六」に改める。

  第三百十六条の二十二第一項中「第三百十六条の二十まで」の下に「(第三百十六条の十四第五項を除く。)」を加える。

  第三百十六条の二十三に次の二項を加える。

   第二百九十九条の四の規定は、検察官が第三百十六条の十四第一項(第三百十六条の二十一第四項において準用する場合を含む。)の規定による証拠の開示をすべき場合についてこれを準用する。

   第二百九十九条の五から第二百九十九条の七までの規定は、検察官が前項において準用する第二百九十九条の四第一項から第四項までの規定による措置をとつた場合についてこれを準用する。

  第三百十六条の二十五第一項中「第三百十六条の十四」を「第三百十六条の十四第一項」に改める。

  第三百十六条の二十六第一項中「第三百十六条の十四」を「第三百十六条の十四第一項」に改め、「第三百十六条の十五第一項」の下に「若しくは第二項」を加える。

  第三百十六条の二十八第一項中「かんがみ」を「鑑み」に、「及び被告人又は弁護人の意見を聴いて」を「、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で」に改める。

  第三百十六条の三十六第三項中「第三項」を「第四項」に改める。

  第三百十六条の三十七第三項及び第三百十六条の三十八第三項中「及び第三項」を「、第三項及び第四項」に改める。

  第三百二十一条の二第二項中「第三百五条第四項ただし書」を「第三百五条第五項ただし書」に改める。

  第三百五十条の八中「第二百九十一条第三項」を「第二百九十一条第四項」に改める。

  第二編第四章第四節中第三百五十条の十四を第三百五十条の十五とし、第三百五十条の十三を第三百五十条の十四とし、同章第三節中第三百五十条の十二を第三百五十条の十三とし、同章第二節中第三百五十条の十一の次に次の一条を加える。

 第三百五十条の十二 即決裁判手続の申立てを却下する決定(第三百五十条の八第三号又は第四号に掲げる場合に該当することを理由とするものを除く。)があつた事件について、当該決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは、第三百四十条の規定にかかわらず、同一事件について更に公訴を提起することができる。前条第一項第一号、第二号又は第四号のいずれかに該当すること(同号については、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか又は実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合に限る。)となつたことを理由として第三百五十条の八の決定が取り消された事件について、当該取消しの決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときも、同様とする。

第二条 刑事訴訟法の一部を次のように改正する。

  目次中「第四章 即決裁判手続」を

第四章 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意

 
 

 第一節 合意及び協議の手続(第三百五十条の二−第三百五十条の六)

 
 

 第二節 公判手続の特例(第三百五十条の七−第三百五十条の九)

 
 

 第三節 合意の終了(第三百五十条の十−第三百五十条の十二)

 
 

 第四節 合意の履行の確保(第三百五十条の十三−第三百五十条の十五)

 
 

第五章 即決裁判手続

 に、「第三百五十条の二・第三百五十条の三」を「第三百五十条の十六・第三百五十条の十七」に、「第三百五十条の四−第三百五十条の十二」を「第三百五十条の十八−第三百五十条の二十六」に、「第三百五十条の十三」を「第三百五十条の二十七」に、「第三百五十条の十四・第三百五十条の十五」を「第三百五十条の二十八・第三百五十条の二十九」に改める。

  第三十七条の二第一項中「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮(こ)に当たる事件について」を削り、「勾(こう)留状」を「勾留状」に改め、同条第二項中「同項に規定する事件について」を削る。

  第三十七条の四中「第三十七条の二第一項に規定する事件について」を削る。

  第四十条第二項中「第百五十七条の四第三項」を「第百五十七条の六第四項」に改める。

  第百五十七条の四第一項中「(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)」を「であつて、同一構内(これらの者が在席する場所と同一の構内をいう。次項において同じ。)にあるもの」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、「行う場合」の下に「(前項第四号の規定による場合を除く。)」を加え、同条第一項の次に次の一項を加える。

   裁判所は、証人を尋問する場合において、次に掲げる場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であつて裁判所の規則で定めるものに証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。

  一 犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が同一構内に出頭するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認めるとき。

  二 同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人の身体若しくは財産に害を加え又は証人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

  三 同一構内への出頭後の移動に際し尾行その他の方法で証人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定されることにより、証人若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

  四 証人が遠隔地に居住し、その年齢、職業、健康状態その他の事情により、同一構内に出頭することが著しく困難であると認めるとき。

  第百五十七条の四を第百五十七条の六とする。

  第百五十七条の三第一項中「次条第一項」の下に「及び第二項」を加え、同条を第百五十七条の五とし、第百五十七条の二を第百五十七条の四とし、第百五十七条の次に次の二条を加える。

 第百五十七条の二 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、あらかじめ、裁判所に対し、当該証人尋問を次に掲げる条件により行うことを請求することができる。

  一 尋問に応じてした供述及びこれに基づいて得られた証拠は、証人が当該証人尋問においてした行為が第百六十一条又は刑法第百六十九条の罪に当たる場合に当該行為に係るこれらの罪に係る事件において用いるときを除き、証人の刑事事件において、これらを証人に不利益な証拠とすることができないこと。

  二 第百四十六条の規定にかかわらず、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むことができないこと。

   裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、当該証人尋問を同項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。

 第百五十七条の三 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、裁判所に対し、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行うことを請求することができる。

   裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人が証言を拒んでいないと認められる場合又はその証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、若しくは有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。

  第百八十条第二項中「第百五十七条の四第三項」を「第百五十七条の六第四項」に改める。

  第二百三条第四項及び第二百四条第三項中「第三十七条の二第一項に規定する事件について」を削る。

  第二百五条第五項を削る。

  第二百七条第二項中「を告げ、第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留を請求された被疑者に対しては、」を「及び」に改める。

  第二百七十条第二項中「第百五十七条の四第三項」を「第百五十七条の六第四項」に改める。

  第二百八十一条の二中「第百五十七条の三第一項」を「第百五十七条の五第一項」に、「及び第百五十七条の四第一項」を「並びに第百五十七条の六第一項及び第二項」に改める。

  第二百九十二条の二第六項中「第百五十七条の二、第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項」を「第百五十七条の四、第百五十七条の五並びに第百五十七条の六第一項及び第二項」に改める。

  第三百一条の次に次の一条を加える。

 第三百一条の二 次に掲げる事件については、検察官は、第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる書面であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ(逮捕又は勾留されている被疑者の取調べに限る。第三項において同じ。)又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(第二百十一条及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。第三項において同じ。)の弁解の機会に際して作成され、かつ、被告人に不利益な事実の承認を内容とするものの取調べを請求した場合において、被告人又は弁護人が、その取調べの請求に関し、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べたときは、その承認が任意にされたものであることを証明するため、当該書面が作成された取調べ又は弁解の機会の開始から終了に至るまでの間における被告人の供述及びその状況を第四項の規定により記録した記録媒体の取調べを請求しなければならない。ただし、同項各号のいずれかに該当することにより同項の規定による記録が行われなかつたことその他やむを得ない事情によつて当該記録媒体が存在しないときは、この限りでない。

  一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件

  二 短期一年以上の有期の懲役又は禁錮に当たる罪であつて故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件

  三 司法警察員が送致し又は送付した事件以外の事件(前二号に掲げるものを除く。)

   検察官が前項の規定に違反して同項に規定する記録媒体の取調べを請求しないときは、裁判所は、決定で、同項に規定する書面の取調べの請求を却下しなければならない。

   前二項の規定は、第一項各号に掲げる事件について、第三百二十四条第一項において準用する第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる被告人以外の者の供述であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項の弁解の機会に際してされた被告人の供述(被告人に不利益な事実の承認を内容とするものに限る。)をその内容とするものを証拠とすることに関し、被告人又は弁護人が、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べた場合にこれを準用する。

   検察官又は検察事務官は、第一項各号に掲げる事件(同項第三号に掲げる事件のうち、関連する事件が送致され又は送付されているものであつて、司法警察員が現に捜査していることその他の事情に照らして司法警察員が送致し又は送付することが見込まれるものを除く。)について、逮捕若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき又は被疑者に対し第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(第二百十一条及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない。司法警察職員が、第一項第一号又は第二号に掲げる事件について、逮捕若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき又は被疑者に対し第二百三条第一項(第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときも、同様とする。

  一 記録に必要な機器の故障その他のやむを得ない事情により、記録をすることができないとき。

  二 被疑者が記録を拒んだことその他の被疑者の言動により、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。

  三 当該事件が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三条の規定により都道府県公安委員会の指定を受けた暴力団の構成員による犯罪に係るものであると認めるとき。

  四 前二号に掲げるもののほか、犯罪の性質、関係者の言動、被疑者がその構成員である団体の性格その他の事情に照らし、被疑者の供述及びその状況が明らかにされた場合には被疑者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあることにより、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。

  第三百四条の二中「第百五十七条の三第一項」を「第百五十七条の五第一項」に、「及び第百五十七条の四第一項」を「並びに第百五十七条の六第一項及び第二項」に改める。

  第三百五条第五項中「第百五十七条の四第三項」を「第百五十七条の六第四項」に改め、同条第六項中「第百五十七条の四第三項」を「第百五十七条の六第四項」に、「第百五十七条の三」を「第百五十七条の五」に改める。

  第三百二十一条第一項第一号中「第百五十七条の四第一項」を「第百五十七条の六第一項及び第二項」に、「異つた」を「異なつた」に改め、同項第二号中「異つた」を「異なつた」に改め、同号ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同項第三号中「且つ」を「かつ」に改め、同号ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

  第三百二十一条の二第一項中「第百五十七条の四第一項」を「第百五十七条の六第一項又は第二項」に改める。

  第二編第四章第四節中第三百五十条の十五を第三百五十条の二十九とする。

  第三百五十条の十四中「第三百五十条の八」を「第三百五十条の二十二」に改め、同条を第三百五十条の二十八とする。

  第三百五十条の十三中「第三百五十条の八」を「第三百五十条の二十二」に改め、第二編第四章第三節中同条を第三百五十条の二十七とする。

  第三百五十条の十二中「第三百五十条の八第三号」を「第三百五十条の二十二第三号」に、「第三百五十条の八の」を「第三百五十条の二十二の」に改め、第二編第四章第二節中同条を第三百五十条の二十六とする。

  第三百五十条の十一中「第三百五十条の八」を「第三百五十条の二十二」に改め、同条を第三百五十条の二十五とする。

  第三百五十条の十第一項中「第三百五十条の八」を「第三百五十条の二十二」に改め、同条を第三百五十条の二十四とし、第三百五十条の九を第三百五十条の二十三とする。

  第三百五十条の八第一号中「第三百五十条の二第二項」を「第三百五十条の十六第二項」に改め、同条第二号中「第三百五十条の六第一項」を「第三百五十条の二十第一項」に改め、同条を第三百五十条の二十二とし、第三百五十条の四から第三百五十条の七までを十四条ずつ繰り下げ、第二編第四章第一節中第三百五十条の三を第三百五十条の十七とし、第三百五十条の二を第三百五十条の十六とする。

  第二編中第四章を第五章とし、第三章の次に次の一章を加える。

    第四章 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意

     第一節 合意及び協議の手続

 第三百五十条の二 検察官は、特定犯罪に係る事件の被疑者又は被告人が特定犯罪に係る他人の刑事事件(以下単に「他人の刑事事件」という。)について一又は二以上の第一号に掲げる行為をすることにより得られる証拠の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状、当該関係する犯罪の関連性の程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、被疑者又は被告人との間で、被疑者又は被告人が当該他人の刑事事件について一又は二以上の同号に掲げる行為をし、かつ、検察官が被疑者又は被告人の当該事件について一又は二以上の第二号に掲げる行為をすることを内容とする合意をすることができる。

  一 次に掲げる行為

   イ 第百九十八条第一項又は第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して真実の供述をすること。

   ロ 証人として尋問を受ける場合において真実の供述をすること。

   ハ 検察官、検察事務官又は司法警察職員による証拠の収集に関し、証拠の提出その他の必要な協力をすること(イ及びロに掲げるものを除く。)。

  二 次に掲げる行為

   イ 公訴を提起しないこと。

   ロ 公訴を取り消すこと。

   ハ 特定の訴因及び罰条により公訴を提起し、又はこれを維持すること。

   ニ 特定の訴因若しくは罰条の追加若しくは撤回又は特定の訴因若しくは罰条への変更を請求すること。

   ホ 第二百九十三条第一項の規定による意見の陳述において、被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述すること。

   ヘ 即決裁判手続の申立てをすること。

   ト 略式命令の請求をすること。

   前項に規定する「特定犯罪」とは、次に掲げる罪(死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たるものを除く。)をいう。

  一 刑法第九十六条から第九十六条の六まで若しくは第百五十五条の罪、同条の例により処断すべき罪、同法第百五十七条の罪、同法第百五十八条の罪(同法第百五十五条の罪、同条の例により処断すべき罪又は同法第百五十七条第一項若しくは第二項の罪に係るものに限る。)又は同法第百五十九条から第百六十三条の五まで、第百九十七条から第百九十七条の四まで、第百九十八条、第二百四十六条から第二百五十条まで若しくは第二百五十二条から第二百五十四条までの罪

  二 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第三条第一項第一号から第四号まで、第十三号若しくは第十四号に掲げる罪に係る同条の罪、同項第十三号若しくは第十四号に掲げる罪に係る同条の罪の未遂罪又は組織的犯罪処罰法第十条若しくは第十一条の罪

  三 前二号に掲げるもののほか、租税に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)又は金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の罪その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの

  四 次に掲げる法律の罪

   イ 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)

   ロ 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)

   ハ 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)

   ニ 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)

   ホ 武器等製造法(昭和二十八年法律第百四十五号)

   ヘ あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)

   ト 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)

   チ 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)

  五 刑法第百三条、第百四条若しくは第百五条の二の罪又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号から第三号までに掲げる者に係る同条の罪(いずれも前各号に掲げる罪を本犯の罪とするものに限る。)

   第一項の合意には、被疑者若しくは被告人がする同項第一号に掲げる行為又は検察官がする同項第二号に掲げる行為に付随する事項その他の合意の目的を達するため必要な事項をその内容として含めることができる。

 第三百五十条の三 前条第一項の合意をするには、弁護人の同意がなければならない。

   前条第一項の合意は、検察官、被疑者又は被告人及び弁護人が連署した書面により、その内容を明らかにしてするものとする。

 第三百五十条の四 第三百五十条の二第一項の合意をするため必要な協議は、検察官と被疑者又は被告人及び弁護人との間で行うものとする。ただし、被疑者又は被告人及び弁護人に異議がないときは、協議の一部を弁護人のみとの間で行うことができる。

 第三百五十条の五 前条の協議において、検察官は、被疑者又は被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる。この場合においては、第百九十八条第二項の規定を準用する。

   被疑者又は被告人が前条の協議においてした供述は、第三百五十条の二第一項の合意が成立しなかつたときは、これを証拠とすることができない。

   前項の規定は、被疑者又は被告人が当該協議においてした行為が刑法第百三条、第百四条若しくは第百七十二条の罪又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるときは、これを適用しない。

 第三百五十条の六 検察官は、司法警察員が送致し若しくは送付した事件又は司法警察員が現に捜査していると認める事件について、その被疑者との間で第三百五十条の四の協議を行おうとするときは、あらかじめ、司法警察員と協議しなければならない。

   検察官は、第三百五十条の四の協議に係る他人の刑事事件について司法警察員が現に捜査していることその他の事情を考慮して、当該他人の刑事事件の捜査のため必要と認めるときは、前条第一項の規定により供述を求めることその他の当該協議における必要な行為を司法警察員にさせることができる。この場合において、司法警察員は、検察官の個別の授権の範囲内で、検察官が第三百五十条の二第一項の合意の内容とすることを提案する同項第二号に掲げる行為の内容の提示をすることができる。

     第二節 公判手続の特例

 第三百五十条の七 検察官は、被疑者との間でした第三百五十条の二第一項の合意がある場合において、当該合意に係る被疑者の事件について公訴を提起したときは、第二百九十一条の手続が終わつた後(事件が公判前整理手続に付された場合にあつては、その時後)遅滞なく、証拠として第三百五十条の三第二項の書面(以下「合意内容書面」という。)の取調べを請求しなければならない。被告事件について、公訴の提起後に被告人との間で第三百五十条の二第一項の合意をしたときも、同様とする。

   前項の規定により合意内容書面の取調べを請求する場合において、当該合意の当事者が第三百五十条の十第二項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしているときは、検察官は、あわせて、同項の書面の取調べを請求しなければならない。

   第一項の規定により合意内容書面の取調べを請求した後に、当該合意の当事者が第三百五十条の十第二項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面の取調べを請求しなければならない。

 第三百五十条の八 被告人以外の者の供述録取書等であつて、その者が第三百五十条の二第一項の合意に基づいて作成したもの又は同項の合意に基づいてされた供述を録取し若しくは記録したものについて、検察官、被告人若しくは弁護人が取調べを請求し、又は裁判所が職権でこれを取り調べることとしたときは、検察官は、遅滞なく、合意内容書面の取調べを請求しなければならない。この場合においては、前条第二項及び第三項の規定を準用する。

 第三百五十条の九 検察官、被告人若しくは弁護人が証人尋問を請求し、又は裁判所が職権で証人尋問を行うこととした場合において、その証人となるべき者との間で当該証人尋問についてした第三百五十条の二第一項の合意があるときは、検察官は、遅滞なく、合意内容書面の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第三百五十条の七第三項の規定を準用する。

     第三節 合意の終了

 第三百五十条の十 次の各号に掲げる事由があるときは、当該各号に定める者は、第三百五十条の二第一項の合意から離脱することができる。

  一 第三百五十条の二第一項の合意の当事者が当該合意に違反したとき その相手方

  二 次に掲げる事由 被告人

   イ 検察官が第三百五十条の二第一項第二号ニに係る同項の合意に基づいて訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を請求した場合において、裁判所がこれを許さなかつたとき。

   ロ 検察官が第三百五十条の二第一項第二号ホに係る同項の合意に基づいて第二百九十三条第一項の規定による意見の陳述において被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述した事件について、裁判所がその刑より重い刑の言渡しをしたとき。

   ハ 検察官が第三百五十条の二第一項第二号ヘに係る同項の合意に基づいて即決裁判手続の申立てをした事件について、裁判所がこれを却下する決定(第三百五十条の二十二第三号又は第四号に掲げる場合に該当することを理由とするものに限る。)をし、又は第三百五十条の二十五第一項第三号若しくは第四号に該当すること(同号については、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか又は実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合を除く。)となつたことを理由として第三百五十条の二十二の決定を取り消したとき。

   ニ 検察官が第三百五十条の二第一項第二号トに係る同項の合意に基づいて略式命令の請求をした事件について、裁判所が第四百六十三条第一項若しくは第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとし、又は検察官が第四百六十五条第一項の規定により正式裁判の請求をしたとき。

  三 次に掲げる事由 検察官

   イ 被疑者又は被告人が第三百五十条の四の協議においてした他人の刑事事件についての供述の内容が真実でないことが明らかになつたとき。

   ロ 第一号に掲げるもののほか、被疑者若しくは被告人が第三百五十条の二第一項の合意に基づいてした供述の内容が真実でないこと又は被疑者若しくは被告人が同項の合意に基づいて提出した証拠が偽造若しくは変造されたものであることが明らかになつたとき。

   前項の規定による離脱は、その理由を記載した書面により、当該離脱に係る合意の相手方に対し、当該合意から離脱する旨の告知をして行うものとする。

 第三百五十条の十一 検察官が第三百五十条の二第一項第二号イに係る同項の合意に基づいて公訴を提起しない処分をした事件について、検察審査会法第三十九条の五第一項第一号若しくは第二号の議決又は同法第四十一条の六第一項の起訴議決があつたときは、当該合意は、その効力を失う。

 第三百五十条の十二 前条の場合には、当該議決に係る事件について公訴が提起されたときにおいても、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠並びにこれらに基づいて得られた証拠は、当該被告人の刑事事件において、これらを証拠とすることができない。

   前項の規定は、次に掲げる場合には、これを適用しない。

  一 前条に規定する議決の前に被告人がした行為が、当該合意に違反するものであつたことが明らかになり、又は第三百五十条の十第一項第三号イ若しくはロに掲げる事由に該当することとなつたとき。

  二 被告人が当該合意に基づくものとしてした行為又は当該協議においてした行為が第三百五十条の十五第一項の罪、刑法第百三条、第百四条、第百六十九条若しくは第百七十二条の罪又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるとき。

  三 証拠とすることについて被告人に異議がないとき。

     第四節 合意の履行の確保

 第三百五十条の十三 検察官が第三百五十条の二第一項第二号イからニまで、ヘ又はトに係る同項の合意(同号ハに係るものについては、特定の訴因及び罰条により公訴を提起する旨のものに限る。)に違反して、公訴を提起し、公訴を取り消さず、異なる訴因及び罰条により公訴を提起し、訴因若しくは罰条の追加、撤回若しくは変更を請求することなく若しくは異なる訴因若しくは罰条の追加若しくは撤回若しくは異なる訴因若しくは罰条への変更を請求して公訴を維持し、又は即決裁判手続の申立て若しくは略式命令の請求を同時にすることなく公訴を提起したときは、判決で当該公訴を棄却しなければならない。

   検察官が第三百五十条の二第一項第二号ハに係る同項の合意(特定の訴因及び罰条により公訴を維持する旨のものに限る。)に違反して訴因又は罰条の追加又は変更を請求したときは、裁判所は、第三百十二条第一項の規定にかかわらず、これを許してはならない。

 第三百五十条の十四 検察官が第三百五十条の二第一項の合意に違反したときは、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠は、これらを証拠とすることができない。

   前項の規定は、当該被告人の刑事事件の証拠とすることについて当該被告人に異議がない場合及び当該被告人以外の者の刑事事件の証拠とすることについてその者に異議がない場合には、これを適用しない。

 第三百五十条の十五 第三百五十条の二第一項の合意に違反して、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対し、虚偽の供述をし又は偽造若しくは変造の証拠を提出した者は、五年以下の懲役に処する。

   前項の罪を犯した者が、当該合意に係る他人の刑事事件の裁判が確定する前であつて、かつ、当該合意に係る自己の刑事事件の裁判が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

  第四百六十二条の次に次の一条を加える。

 第四百六十二条の二 検察官は、略式命令の請求をする場合において、その事件について被告人との間でした第三百五十条の二第一項の合意があるときは、当該請求と同時に、合意内容書面を裁判所に差し出さなければならない。

   前項の規定により合意内容書面を裁判所に差し出した後、裁判所が略式命令をする前に、当該合意の当事者が第三百五十条の十第二項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面をその裁判所に差し出さなければならない。

  第四百六十三条第一項中「前条」を「第四百六十二条」に改め、同条第二項中「前条第二項」を「第四百六十二条第二項」に改める。

 (刑法の一部改正)

第三条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  第百三条及び第百四条中「二年」を「三年」に、「二十万円」を「三十万円」に改める。

  第百五条の二中「一年」を「二年」に、「二十万円」を「三十万円」に改める。

 (検察審査会法の一部改正)

第四条 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第三十五条の次に次の一条を加える。

 第三十五条の二 前条に定めるもののほか、検察審査会が審査を行う場合においては、検察官は、当該審査に係る事件について被疑者との間でした刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百五十条の二第一項の合意があるときは、同法第三百五十条の三第二項の書面を検察審査会に提出しなければならない。

   前項の規定により当該書面を検察審査会に提出した後、検察審査会が検察官の公訴を提起しない処分の当否について議決をする前に、当該合意の当事者が刑事訴訟法第三百五十条の十第二項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面を検察審査会に提出しなければならない。

  第三十七条第四項中「(昭和二十三年法律第百三十一号)」を「の規定」に改める。

 (組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)

第五条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

  第七条第一項中「禁錮(こ)」を「禁錮」に、「のいずれかに該当する」を「に掲げる」に、「三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」を「当該各号に定める刑」に改め、同項各号を次のように改める。

  一 その罪を犯した者を蔵匿し、又は隠避させた者 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金

  二 その罪に係る他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金

  三 その罪に係る自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金

  四 その罪に係る被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員若しくはこれらの職にあった者又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者 三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金

  五 その罪に係る被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員の選任のために選定された裁判員候補者若しくは当該裁判員若しくは補充裁判員の職務を行うべき選任予定裁判員又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者 三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金

 (犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部改正)

第六条 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成十一年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第一号中「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、「もの」の下に「(別表第二に掲げる罪にあっては、当該罪に当たる行為が、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものに限る。次号及び第三号において同じ。)」を加え、同項第二号中「別表に掲げる罪が」を「別表第一又は別表第二に掲げる罪が」に改め、同号イ及びロ中「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、同項第三号中「禁錮(こ)」を「禁錮」に、「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、同条第二項中「別表」を「別表第一」に改める。

  第十四条中「別表」を「別表第一若しくは別表第二」に改める。

  別表を別表第一とし、同表の次に次の一表を加える。

 別表第二(第三条、第十四条関係)

  一 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)第一条(爆発物の使用)又は第二条(使用の未遂)の罪

  二イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八条(現住建造物等放火)の罪又はその未遂罪

   ロ 刑法第百九十九条(殺人)の罪又はその未遂罪

   ハ 刑法第二百四条(傷害)又は第二百五条(傷害致死)の罪

   ニ 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)又は第二百二十一条(逮捕等致死傷)の罪

   ホ 刑法第二百二十四条から第二百二十八条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪

   ヘ 刑法第二百三十五条(窃盗)、第二百三十六条第一項(強盗)若しくは第二百四十条(強盗致死傷)の罪又はこれらの罪の未遂罪

   ト 刑法第二百四十六条第一項(詐欺)、第二百四十六条の二(電子計算機使用詐欺)若しくは第二百四十九条第一項(恐喝)の罪又はこれらの罪の未遂罪

  三 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第七条第六項(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等)又は第七項(不特定又は多数の者に対する提供等の目的による児童ポルノの製造等)の罪

第七条 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部を次のように改正する。

  目次中「第十八条」を「第二十三条」に、「第十九条−第二十七条」を「第二十四条−第三十四条」に、「第二十八条−第三十条」を「第三十五条−第三十七条」に、「第三十一条・第三十二条」を「第三十八条・第三十九条」に改める。

  第二条に次の三項を加える。

 4 この法律において「暗号化」とは、通信の内容を伝達する信号、通信日時に関する情報を伝達する信号その他の信号であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの(以下「原信号」という。)について、電子計算機及び変換符号(信号の変換処理を行うために用いる符号をいう。以下同じ。)を用いて変換処理を行うことにより、当該変換処理に用いた変換符号と対応する変換符号(以下「対応変換符号」という。)を用いなければ復元することができないようにすることをいい、「復号」とは、暗号化により作成された信号(以下「暗号化信号」という。)について、電子計算機及び対応変換符号を用いて変換処理を行うことにより、原信号を復元することをいう。

 5 この法律において「一時的保存」とは、暗号化信号について、その復号がなされるまでの間に限り、一時的に記録媒体に記録して保存することをいう。

 6 この法律において「再生」とは、一時的保存をされた暗号化信号(通信の内容を伝達する信号に係るものに限る。)の復号により復元された通信について、電子計算機を用いて、音の再生、文字の表示その他の方法により、人の聴覚又は視覚により認識することができる状態にするための処理をすることをいう。

  第四条第一項中「次項」を「以下この条」に、「同項及び同条」を「以下この条及び第七条」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 第二十条第一項の許可又は第二十三条第一項の許可の請求は、第一項の請求をする際に、検察官又は司法警察員からこれをしなければならない。

  第五条に次の二項を加える。

 3 裁判官は、前条第三項の請求があったときは、同項の請求を相当と認めるときは、当該請求に係る許可をするものとする。

 4 裁判官は、前項の規定により第二十条第一項の許可をするときは、傍受の実施の場所として、通信管理者等(通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者(会社その他の法人又は団体にあっては、その役職員)又はこれに代わるべき者をいう。以下同じ。)の管理する場所を定めなければならない。この場合において、前条第三項の請求をした者から申立てがあり、かつ、当該申立てに係る傍受の実施の場所の状況その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、指定期間(第二十条第一項に規定する指定期間をいう。以下この項において同じ。)における傍受の実施の場所及び指定期間以外の期間における傍受の実施の場所をそれぞれ定めるものとする。

  第六条に次の一項を加える。

 2 裁判官は、前条第三項の規定により第二十条第一項の許可又は第二十三条第一項の許可をするときは、傍受令状にその旨を記載するものとする。

  第三十二条中「第十四条」を「第十五条」に改め、同条を第三十九条とし、第三十一条を第三十八条とする。

  第四章中第三十条を第三十七条とする。

  第二十九条中「第二十二条第二項第一号又は第三号」を「第二十九条第三項第一号若しくは第三号又は第四項第一号若しくは第三号」に改め、「の数」の下に「、第二十条第一項又は第二十三条第一項第一号若しくは第二号の規定による傍受の実施をしたときはその旨」を加え、同条を第三十六条とする。

  第二十八条中「の傍受」の下に「若しくは再生」を、「した通信」の下に「(再生をした通信を含む。)」を加え、同条を第三十五条とする。

  第二十七条第一項中「第二十条第三項」を「第二十五条第四項若しくは第二十六条第四項」に改め、第三章中同条を第三十四条とする。

  第二十六条第二項中「の傍受」の下に「又は再生」を、「傍受の実施」の下に「又は再生の実施」を加え、同条第三項中「傍受の処分」を「傍受又は再生の処分」に改め、「の記録」の下に「並びに当該傍受の処分に係る一時的保存をされた暗号化信号」を加え、同項第一号中「傍受」の下に「又は再生」を加え、「第二十二条第二項各号」を「第二十九条第三項各号又は第四項各号」に改め、同項第二号及び第三号中「傍受」の下に「又は再生」を加え、同条第六項中「第二十二条第五項」を「第二十九条第七項」に改め、同条を第三十三条とする。

  第二十五条第二項中「された通信」の下に「(第二十条第一項又は第二十三条第一項第二号の規定による傍受の場合にあっては、第二十一条第一項又は第二十三条第四項の規定による再生をされた通信)」を加え、同条第四項中「第二十一条第二項」を「第二十七条第三項及び第二十八条第三項」に改め、同条第六項中「第二十三条」を「第三十条」に、「第二十五条第三項」を「第三十二条第三項」に改め、同条を第三十二条とし、第二十四条を第三十一条とする。

  第二十三条第一項第六号中「第十四条」を「第十五条」に改め、同項に次の一号を加え、同条を第三十条とする。

  七 次条の規定による傍受記録の聴取等(聴取若しくは閲覧又は複製の作成をいう。以下この号において同じ。)及び第三十二条第一項の規定による傍受の原記録の聴取等の許可の請求並びに第三十三条第一項又は第二項の規定による不服申立てをすることができる旨

  第二十二条第一項中「、傍受の実施」の下に「(第二十条第一項又は第二十三条第一項第二号の規定によるものを除く。以下この項において同じ。)」を加え、「(以下「傍受記録」という。)」を削り、同条第五項を同条第七項とし、同条第四項中「第二十条第三項」を「第二十五条第四項又は第二十六条第四項」に改め、「通信」の下に「(第二十一条第一項又は第二十三条第四項の規定により再生をした通信及びこれらの規定による復号により復元された通信を含む。次項において同じ。)」を加え、同項を同条第六項とし、同条第三項中「前項第二号」を「第三項第二号又は前項第二号」に、「第十四条」を「第十五条」に、「傍受記録」を「第一項に規定する記録又は第二項に規定する記録(以下「傍受記録」と総称する。)」に、「同項第四号」を「第三項第四号又は前項第四号」に改め、同項ただし書中「同項第一号」を「第三項第一号から第三号まで又は前項第一号」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項中「傍受記録は、第十九条第一項後段」を「第一項に規定する記録は、第二十四条第一項後段若しくは第二十六条第二項」に、「第二十条第二項」を「第二十五条第三項」に改め、「作成した」の下に「同条第一項の記録媒体の」を加え、同項第二号中「第十三条第二項」を「第十四条第二項」に改め、同項第三号中「第十四条」を「第十五条」に、「第十三条第二項」を「第十四条第二項」に改め、同項を同条第三項とし、同項の次に次の一項を加える。

 4 第二項に規定する記録は、第二十四条第一項後段若しくは第二十六条第二項の規定により記録をした記録媒体又は第二十五条第三項の規定により作成した同条第二項の記録媒体の複製から、次に掲げる通信以外の通信の記録を消去して作成するものとする。

  一 傍受すべき通信に該当する通信

  二 第二十一条第四項(第二十三条第四項においてその例による場合を含む。次号において同じ。)の規定により再生をした通信であって、なおその内容を復元するための措置を要するもの

  三 第二十一条第五項(第二十三条第四項においてその例による場合を含む。)の規定により再生をした通信及び第二十一条第四項の規定により再生をした通信であって第十五条に規定する通信に該当すると認められるに至ったもの

  四 前三号に掲げる通信と同一の通話の機会に行われた通信

  第二十二条第一項の次に次の一項を加える。

 2 検察官又は司法警察員は、再生の実施を中断し又は終了したときは、その都度、速やかに、再生をした通信の内容を刑事手続において使用するための記録一通を作成しなければならない。再生の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とする。

  第二十二条を第二十九条とする。

  第二十一条の見出しを削り、同条第一項中「前条第三項」を「第二十五条第四項」に改め、同項第二号中「立会人」を「第十三条第一項の規定による立会人」に改め、同項第三号中「第十二条第二項」を「第十三条第二項」に改め、同項第六号中「第十四条」を「第十五条」に改め、同項第七号中「記録媒体」を「傍受の実施をしている間において記録媒体」に改め、同項第八号中「前条第一項」を「第二十五条第一項」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項第六号」を「第一項第六号又は前項第四号」に、「第十四条」を「第十五条」に、「第二十六条第三項」を「第三十三条第三項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 検察官又は司法警察員は、第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施をしたときは、前項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。同号の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長を請求する時も、同様とする。

  一 第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時

  二 第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時

  三 第二十三条第一項第一号の規定による傍受をした通信については、傍受の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項

  四 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由

  五 傍受の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時

  六 前各号に掲げるもののほか、第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項

  第二十一条を第二十七条とし、同条の前に見出しとして「(傍受の実施の状況を記載した書面等の提出等)」を付し、同条の次に次の一条を加える。

 第二十八条 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をした期間のうちに第二十条第一項の規定による傍受の実施をした期間があるときは、前条第一項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に第二十条第一項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって第二十一条第一項の規定による復号をされていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、当該期間以外の期間に関しては前条第一項各号に掲げる事項を、第二十条第一項の規定による傍受の実施をした期間に関しては次に掲げる事項を、それぞれ記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。第二十条第一項の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長を請求する時も、同様とする。

  一 指定期間の開始及び終了の年月日時

  二 第二十条第一項の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時

  三 第二十条第一項の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時

  四 第二十一条第一項の規定による再生の実施の開始、中断及び終了の年月日時

  五 第二十一条第一項において準用する第十三条第一項の規定による立会人の氏名及び職業

  六 第二十一条第一項において準用する第十三条第二項の規定により立会人が述べた意見

  七 第三号に規定する通話のうち第二十一条第一項の規定による復号をされた暗号化信号、同項の規定による復号をされる前に消去された暗号化信号及びそれら以外の暗号化信号にそれぞれ対応する部分を特定するに足りる事項

  八 第二十一条第一項の規定による再生をした通信については、再生の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項

  九 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由

  十 再生の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時

  十一 第二十五条第二項の規定による封印の年月日時及び封印をした立会人の氏名

  十二 前各号に掲げるもののほか、第二十条第一項の規定による傍受の実施又は第二十一条第一項の規定による再生の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項

 2 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をした期間のうちに第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をした期間があるときは、前条第二項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に同号の規定により一時的保存をした暗号化信号であって第二十三条第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、当該期間以外の期間に関しては前条第二項各号に掲げる事項を、第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をした期間に関しては次に掲げる事項を、それぞれ記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。同号の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長をする時も、同様とする。

  一 第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時

  二 第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時

  三 第二十三条第四項の規定による再生の実施の開始、中断及び終了の年月日時

  四 第二号に規定する通話のうち第二十三条第四項の規定による復号をした暗号化信号、同項の規定による復号をする前に消去した暗号化信号及びそれら以外の暗号化信号にそれぞれ対応する部分を特定するに足りる事項

  五 第二十三条第四項の規定による再生をした通信については、再生の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項

  六 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由

  七 再生の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時

  八 前各号に掲げるもののほか、第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施又は同条第四項の規定による再生の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項

 3 前二項に規定する書面の提出を受けた裁判官は、前条第一項第六号若しくは第二項第四号又は第一項第九号若しくは前項第六号の通信については、これが第十五条に規定する通信に該当するかどうかを審査し、これに該当しないと認めるときは、当該通信の傍受又は再生の処分を取り消すものとする。この場合においては、第三十三条第三項、第五項及び第六項の規定を準用する。

  第二十条第一項中「した記録媒体」の下に「(次項に規定する記録媒体を除く。)」を加え、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「第二十二条第二項」を「第二十九条第三項又は第四項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 第二十一条第一項の規定による再生をした通信を前条第一項前段の規定により記録をした記録媒体については、再生の実施を中断し又は終了したときは、速やかに、立会人にその封印を求めなければならない。再生の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とする。

  第二十条を第二十五条とし、同条の次に次の一条を加える。

  (特定電子計算機を用いる通信傍受の記録等)

 第二十六条 第二十三条第一項の規定による傍受をしたときは、前二条の規定にかかわらず、特定電子計算機及び第九条第二号ロの規定により提供された変換符号を用いて、傍受をした通信(同項第二号の規定による傍受の場合にあっては、第二十三条第四項の規定による再生をした通信。以下この項及び次項において同じ。)について、全て、暗号化をして記録媒体に記録するとともに、傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時、傍受をした通信の開始及び終了の年月日時その他政令で定める事項について、暗号化をして当該記録媒体に記録しなければならない。

 2 前項の場合においては、第二十九条第三項又は第四項の手続の用に供するため、同時に、傍受をした通信及び前項に規定する事項について、全て、他の記録媒体に記録するものとする。

 3 第二十三条第一項の規定による傍受の実施(同項第二号の規定によるものの場合にあっては、同条第四項の規定による再生の実施)を中断し又は終了するときは、その時に使用している記録媒体に対する記録を終了しなければならない。

 4 第一項の規定により記録をした記録媒体については、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に第二十三条第一項第二号の規定により一時的保存をした暗号化信号であって同条第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、前条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。

  第十九条第一項中「した通信」の下に「(第二十条第一項の規定による傍受の場合にあっては、第二十一条第一項の規定による再生をした通信)」を加え、「すべて」を「全て」に、「第二十二条第二項」を「第二十九条第三項又は第四項」に改め、同条第二項中「傍受の実施」の下に「(第二十条第一項の規定によるものの場合にあっては、第二十一条第一項の規定による再生の実施)」を加え、同条を第二十四条とする。

  第二章中第十八条を第十九条とし、同条の次に次の見出し及び四条を加える。

  (一時的保存を命じて行う通信傍受の実施の手続)

 第二十条 検察官又は司法警察員は、裁判官の許可を受けて、通信管理者等に命じて、傍受令状の記載するところに従い傍受の実施をすることができる期間(前条の規定により傍受の実施を終了した後の期間を除く。)内において検察官又は司法警察員が指定する期間(当該期間の終期において第十八条の規定により傍受の実施を継続することができるときは、その継続することができる期間を含む。以下「指定期間」という。)に行われる全ての通信について、第九条第一号の規定により提供された変換符号を用いた原信号(通信の内容を伝達するものに限る。)の暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号について一時的保存をさせる方法により、傍受をすることができる。この場合における傍受の実施については、第十三条の規定は、適用しない。

 2 検察官又は司法警察員は、前項の規定による傍受をするときは、通信管理者等に命じて、指定期間内における通話の開始及び終了の年月日時に関する情報を伝達する原信号について、同項に規定する変換符号を用いた暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号について一時的保存をさせるものとする。

 3 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による傍受をするときは、次条第七項の手続の用に供するため、通信管理者等に対し、同項の手続が終了するまでの間第一項の規定による傍受をする通信の相手方の電話番号等の情報を保存することを求めることができる。この場合においては、第十七条第二項後段の規定を準用する。

 4 通信管理者等が前項の電話番号等の情報を保存することができないときは、検察官又は司法警察員は、これを保存することができる通信事業者等に対し、次条第七項の手続の用に供するための要請である旨を告知して、同項の手続が終了するまでの間これを保存することを要請することができる。この場合においては、第十七条第三項後段の規定を準用する。

 5 検察官及び司法警察員は、指定期間内は、傍受の実施の場所に立ち入ってはならない。

 6 検察官及び司法警察員は、指定期間内においては、第一項に規定する方法によるほか、傍受の実施をすることができない。

 7 第一項の規定による傍受をした通信の復号による復元は、次条第一項の規定による場合を除き、これをすることができない。

 第二十一条 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による傍受をしたときは、傍受の実施の場所(指定期間以外の期間における傍受の実施の場所が定められているときは、その場所)において、通信管理者等に命じて、同項の規定により一時的保存をされた暗号化信号について、第九条第一号の規定により提供された対応変換符号を用いた復号をさせることにより、同項の規定による傍受をした通信を復元させ、同時に、復元された通信について、第三項から第六項までに定めるところにより、再生をすることができる。この場合における再生の実施(通信の再生をすること並びに一時的保存のために用いられた記録媒体について直ちに再生をすることができる状態で一時的保存の状況の確認及び暗号化信号の復号をすることをいう。以下同じ。)については、第十一条から第十三条までの規定を準用する。

 2 検察官又は司法警察員は、前項の規定による再生の実施をするときは、通信管理者等に命じて、前条第二項の規定により一時的保存をされた暗号化信号について、前項に規定する対応変換符号を用いた復号をさせることにより、同条第二項の規定により暗号化をされた通話の開始及び終了の年月日時に関する情報を伝達する原信号を復元させるものとする。

 3 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信のうち、傍受すべき通信に該当する通信の再生をすることができるほか、傍受すべき通信に該当するかどうか明らかでないものについては、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断するため、これに必要な最小限度の範囲に限り、当該通信の再生をすることができる。

 4 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信のうち、外国語による通信又は暗号その他その内容を即時に復元することができない方法を用いた通信であって、再生の時にその内容を知ることが困難なため、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断することができないものについては、その全部の再生をすることができる。この場合においては、速やかに、傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行わなければならない。

 5 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信の中に、第十五条に規定する通信があるときは、当該通信の再生をすることができる。

 6 第十六条の規定は、第一項の規定による復号により復元された通信の再生をする場合について準用する。

 7 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による傍受をした通信について、これが傍受すべき通信若しくは第五項の規定により再生をすることができる通信に該当するものであるとき、又は第三項若しくは第四項の規定による傍受すべき通信に該当するかどうかの判断に資すると認めるときは、同条第三項の規定による求め又は同条第四項の規定による要請に係る電話番号等のうち当該通信の相手方のものの開示を受けることができる。この場合においては、第十七条第一項後段の規定を準用する。

 8 第一項の規定による再生の実施は、傍受令状に記載された傍受ができる期間内に終了しなかったときは、傍受令状に記載された傍受ができる期間の終了後できる限り速やかに、これを終了しなければならない。

 9 第一項の規定による再生の実施は、傍受の理由又は必要がなくなったときは、傍受令状に記載された傍受ができる期間内であっても、その開始前にあってはこれを開始してはならず、その開始後にあってはこれを終了しなければならない。ただし、傍受の理由又は必要がなくなるに至るまでの間に一時的保存をされた暗号化信号については、傍受すべき通信に該当する通信が行われると疑うに足りる状況がなくなったこと又は傍受令状に記載された傍受の実施の対象とすべき通信手段が被疑者が通信事業者等との間の契約に基づいて使用しているものではなくなったこと若しくは犯人による傍受すべき通信に該当する通信に用いられると疑うに足りるものではなくなったことを理由として傍受の理由又は必要がなくなった場合に限り、再生の実施をすることができる。

 第二十二条 通信管理者等は、前条第一項の規定による復号が終了したときは、直ちに、第二十条第一項の規定により一時的保存をした暗号化信号を全て消去しなければならない。前条第二項の規定による復号が終了した場合における第二十条第二項の規定により一時的保存をした暗号化信号についても、同様とする。

 2 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による再生の実施を終了するとき又は同条第九項の規定により再生の実施を開始してはならないこととなったときに、第二十条第一項及び第二項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって前条第一項及び第二項の規定による復号をされていないものがあるときは、直ちに、通信管理者等に命じて、これを全て消去させなければならない。

  (特定電子計算機を用いる通信傍受の実施の手続)

 第二十三条 検察官又は司法警察員は、裁判官の許可を受けて、通信管理者等に命じて、傍受の実施をしている間に行われる全ての通信について、第九条第二号イの規定により提供された変換符号を用いた原信号(通信の内容を伝達するものに限る。)の暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号を傍受の実施の場所に設置された特定電子計算機に伝送させた上で、次のいずれかの傍受をすることができる。この場合における傍受の実施については、第十三条の規定は適用せず、第二号の規定による傍受については、第二十条第三項及び第四項の規定を準用する。

  一 暗号化信号を受信するのと同時に、第九条第二号ロの規定により提供された対応変換符号を用いて復号をし、復元された通信について、第三条及び第十四条から第十六条までに定めるところにより、傍受をすること。

  二 暗号化信号を受信するのと同時に一時的保存をする方法により、当該暗号化信号に係る原信号によりその内容を伝達される通信の傍受をすること。

 2 前項に規定する「特定電子計算機」とは、次に掲げる機能の全てを有する電子計算機をいう。

  一 伝送された暗号化信号について一時的保存の処理を行う機能

  二 伝送された暗号化信号について復号の処理を行う機能

  三 前項第一号の規定による傍受をした通信にあってはその傍受と同時に、第四項の規定による再生をした通信にあってはその再生と同時に、全て、自動的に、暗号化の処理をして記録媒体に記録する機能

  四 傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時、前項第一号の規定による傍受をした通信の開始及び終了の年月日時、第四項の規定による再生をした通信の開始及び終了の年月日時その他政令で定める事項に関する情報を伝達する原信号を作成し、当該原信号について、自動的に、暗号化の処理をして前号の記録媒体に記録する機能

  五 第三号の記録媒体に記録される同号の通信及び前号の原信号について、前二号に掲げる機能により当該記録媒体に記録するのと同時に、暗号化の処理をすることなく他の記録媒体に記録する機能

  六 入力された対応変換符号(第九条第二号ロの規定により提供されたものに限る。)が第二号に規定する復号以外の処理に用いられることを防止する機能

  七 入力された変換符号(第九条第二号ロの規定により提供されたものに限る。)が第三号及び第四号に規定する暗号化以外の処理に用いられることを防止する機能

  八 第一号に規定する一時的保存をされた暗号化信号について、第二号に規定する復号をした時に、全て、自動的に消去する機能

 3 検察官及び司法警察員は、傍受令状に第一項の許可をする旨の記載がある場合には、同項に規定する方法によるほか、傍受の実施をすることができない。

 4 検察官又は司法警察員は、第一項第二号の規定による傍受をしたときは、傍受の実施の場所において、同号の規定により一時的保存をした暗号化信号について、特定電子計算機(第二項に規定する特定電子計算機をいう。第六項及び第二十六条第一項において同じ。)を用いて、第九条第二号ロの規定により提供された対応変換符号を用いた復号をすることにより、第一項第二号の規定による傍受をした通信を復元し、同時に、復元された通信について、第二十一条第三項から第六項までの規定の例により、再生をすることができる。この場合における再生の実施については、第十一条、第十二条及び第二十一条第七項から第九項までの規定を準用する。

 5 第一項第二号の規定による傍受をした通信の復号による復元は、前項の規定による場合を除き、これをすることができない。

 6 検察官又は司法警察員は、第一項第二号の規定により一時的保存をした暗号化信号については、特定電子計算機の機能により自動的に消去されるもの以外のものであっても、第四項の規定による再生の実施を終了するとき又は同項において準用する第二十一条第九項の規定により再生の実施を開始してはならないこととなったときに、第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、直ちに、全て消去しなければならない。

  第十七条を第十八条とする。

  第十六条第一項中「第十四条」を「第十五条」に、「第十三条」を「第十四条」に改め、同条を第十七条とし、第十三条から第十五条までを一条ずつ繰り下げる。

  第十二条第一項中「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者又はこれに代わるべき者」及び「これらの者」を「通信管理者等」に改め、同条を第十三条とし、第十一条を第十二条とし、第十条を第十一条とする。

  第九条第一項中「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者(会社その他の法人又は団体にあっては、その役職員。以下同じ。)又はこれに代わるべき者」を「通信管理者等」に改め、同条を第十条とし、第八条の次に次の一条を加える。

  (変換符号及び対応変換符号の作成等)

 第九条 裁判所書記官その他の裁判所の職員は、次の各号に掲げる場合には、裁判官の命を受けて、当該各号に定める措置を執るものとする。

  一 傍受令状に第二十条第一項の許可をする旨の記載があるとき 同項の規定による暗号化に用いる変換符号及びその対応変換符号を作成し、これらを通信管理者等に提供すること。

  二 傍受令状に第二十三条第一項の許可をする旨の記載があるとき 次のイからハまでに掲げる措置

   イ 第二十三条第一項の規定による暗号化に用いる変換符号を作成し、これを通信管理者等に提供すること。

   ロ イの変換符号の対応変換符号及び第二十六条第一項の規定による暗号化に用いる変換符号を作成し、これらを検察官又は司法警察員が傍受の実施に用いるものとして指定した特定電子計算機(第二十三条第二項に規定する特定電子計算機をいう。)以外の機器において用いることができないようにするための技術的措置を講じた上で、これらを検察官又は司法警察員に提供すること。

   ハ ロの検察官又は司法警察員に提供される変換符号の対応変換符号を作成し、これを保管すること。

  別表第一及び別表第二中「第十四条」を「第十五条」に改める。

 (国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正)

第八条 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。

  第五十三条第一項中「二年」を「三年」に、「二十万円」を「三十万円」に改める。

  第五十四条中「一年」を「二年」に、「二十万円」を「三十万円」に改める。

  第五十六条第一項中「三年」を「五年」に、「二十万円」を「五十万円」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第九条第三項の規定 公布の日

 二 第一条(刑事訴訟法第九十条、第百五十一条及び第百六十一条の改正規定に限る。)、第三条、第五条及び第八条の規定並びに附則第三条及び第五条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日

 三 第一条(前号に掲げる改正規定を除く。)及び第六条の規定並びに次条並びに附則第四条、第六条、第八条、第十条、第十一条(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)第六十四条第一項の表第四十三条第四項、第六十九条、第七十六条第二項、第八十五条、第百八条第三項、第百二十五条第一項、第百六十三条第一項、第百六十九条、第二百七十八条の二第二項、第二百九十七条第二項、第三百十六条の十一の項及び第六十五条第四項の改正規定に限る。)及び第十二条から第十五条までの規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

 四 第二条(刑事訴訟法第三百一条の次に一条を加える改正規定を除く。)及び第四条の規定並びに附則第七条及び第十一条(前号に掲げる改正規定を除く。)の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 (第一条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 裁判所は、前条第三号に掲げる規定の施行の際現に勾引状により留置されている被告人に対し、速やかに、第一条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「第一条による改正後の法」という。)第七十六条第二項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

2 裁判所は、前条第三号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人(次項に規定する被告人を除く。)に対し、速やかに、第一条による改正後の法第七十七条第二項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

3 裁判所は、前条第三号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている者に限る。)に対し、速やかに、第一条による改正後の法第七十七条第一項に規定する事項を告げるとともに、同条第二項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

4 第一条による改正後の法第七十六条第三項及び第四項の規定は前条第三号に掲げる規定の施行の際現に勾引状により留置されている被告人に対する第一項の規定による教示について、第一条による改正後の法第七十六条第三項の規定は同号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人に対する第二項の規定による教示並びに前項の規定による告知及び教示について、それぞれ準用する。

第三条 裁判所は、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前においても、勾引された被告人に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第一条の規定による改正前の刑事訴訟法(以下「第一条による改正前の法」という。)第七十六条第二項及び第三項の規定を準用する。

2 前項の規定による教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第一項の規定による教示をすることを要しない。

3 裁判所は、第三号施行日前においても、第一条による改正前の法第六十一条本文の規定により被告事件を告げられる被告人(勾引に引き続き同条本文の規定により被告事件を告げられる被告人を除く。)又は勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている被告人を除く。)に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第一条による改正前の法第七十六条第二項の規定を準用する。

4 前項の規定による教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第二項の規定による教示をすることを要しない。

5 裁判官は逮捕に引き続き第一条による改正前の法第二百八十条第二項の規定により被告事件を告げられる被告人に対し、裁判所は勾引に引き続き第一条による改正前の法第六十一条本文の規定により被告事件を告げられる被告人又は勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている者に限る。)に対し、それぞれ、第三号施行日前においても、第一条による改正前の法第七十七条第一項に規定する事項を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第一条による改正前の法第七十六条第二項の規定を準用する。

6 前項の規定による告知及び教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第三項の規定による告知及び教示をすることを要しない。

第四条 司法警察員は、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際現に逮捕されている被疑者(第三号施行日前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに、第一条による改正後の法第二百三条第三項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

2 検察官は、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際現に逮捕されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに、第一条による改正後の法第二百四条第二項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

3 検察官は、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際現に第一条による改正後の法第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留されている被疑者に対し、速やかに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

4 検察官は、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに、弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

第五条 検察官又は司法警察員は、第三号施行日前においても、逮捕されている被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

2 前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第一項又は第二項の規定による教示をすることを要しない。

3 検察官は、第三号施行日前においても、第一条による改正前の法第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留されている被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

4 前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第三項及び附則第二条第二項の規定による教示をすることを要しない。

5 検察官は、第三号施行日前においても、勾留されている被疑者(第三項に規定する被疑者を除く。)に対し、弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

6 前項の規定による告知及び教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第四項の規定による告知及び教示並びに附則第二条第二項の規定による教示をすることを要しない。

第六条 第一条による改正後の法第三百五十条の十二の規定は、第三号施行日以後に第一条による改正後の法第三百五十条の二第二項の同意があった事件について適用する。

 (第二条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 司法警察員は、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の際現に第二条の規定による改正前の刑事訴訟法(以下「第二条による改正前の法」という。)第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について逮捕されている被疑者(同号に掲げる規定の施行の日(以下「第四号施行日」という。)前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに、第二条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下この条において「第二条による改正後の法」という。)第二百三条第四項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

2 検察官は、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の際現に第二条による改正前の法第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について逮捕されている被疑者(前項及び次項に規定する被疑者並びに第二条による改正前の法第二百五条第五項において準用する第二条による改正前の法第二百四条第三項の規定による教示をされた被疑者を除く。)に対し、速やかに、第二条による改正後の法第二百四条第三項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

3 検察官は、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の際現に第二条による改正前の法第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について勾留状が発せられている被疑者に対し、速やかに、貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第二条による改正後の法第三十七条の三第二項の規定により第二条による改正後の法第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。次条第一項において同じ。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

第八条 検察官又は司法警察員は、第四号施行日前においても、第二条による改正前の法第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について逮捕され、又は勾留状が発せられている被疑者に対し、第四号施行日を告げ、第四号施行日以後、勾留を請求され、又は勾留状が発せられている被疑者が貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示することができる。

2 前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条の規定による教示をすることを要しない。

 (検討)

第九条 政府は、取調べの録音・録画等(取調べにおける被疑者の供述及びその状況を録音及び録画の方法により記録媒体に記録し、並びにこれを立証の用に供することをいう。以下この条において同じ。)が、被疑者の供述の任意性その他の事項についての的確な立証を担保するものであるとともに、取調べの適正な実施に資することを踏まえ、この法律の施行後三年を経過した場合において、取調べの録音・録画等の実施状況を勘案し、取調べの録音・録画等に伴って捜査上の支障その他の弊害が生じる場合があること等に留意しつつ、取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

3 政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置、証人等の刑事手続外における保護に係る措置等について検討を行うものとする。

 (不正競争防止法の一部改正)

第十条 不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第二項中「第二百九十五条第四項及び第五項」を「第二百九十五条第五項及び第六項」に改める。

 (裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正)

第十一条 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を次のように改正する。

  第六十四条第一項の表第四十三条第四項、第六十九条、第七十六条第二項、第八十五条、第百八条第三項、第百二十五条第一項、第百六十三条第一項、第百六十九条、第二百七十八条の二第二項、第二百九十七条第二項、第三百十六条の十一の項中「第七十六条第二項」を「第七十六条第三項」に改め、同表第百五十七条の二、第百五十七条の四第一項、第三百十六条の三十九第一項から第三項まで、第四百三十五条第七号ただし書の項中「第百五十七条の二、第百五十七条の四第一項」を「第百五十七条の四、第百五十七条の六第一項」に改める。

  第六十五条第二項中「第百五十七条の四第一項」を「第百五十七条の六第一項及び第二項」に改め、「場合」の下に「(同項第四号の規定による場合を除く。)」を加え、同条第四項中「第三百五条第四項及び第五項」を「第三百五条第五項及び第六項」に改める。

 (武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律の一部改正)

第十二条 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律(平成十六年法律第百十六号)の一部を次のように改正する。

  第五十条第二項中「第百四十三条から」を「第百四十三条、第百四十四条から」に改める。

 (更生保護法の一部改正)

第十三条 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第六十三条第七項中「及び第二項」を「及び第三項」に、「勾(こう)引」を「勾引」に、「第七十六条第二項中「合議体の構成員又は裁判所書記」を「第七十六条第三項中「告知及び前項の教示」とあるのは「告知」と、「合議体の構成員又は裁判所書記官」に改める。

 (刑法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十四条 刑法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  附則第四条のうち刑事訴訟法第三百五十条の十四の改正規定中「第三百五十条の十四」を「第三百五十条の十五」に改める。

 (調整規定)

第十五条 第三号施行日が刑法等の一部を改正する法律の施行の日以後となる場合には、前条の規定は、適用しない。

(法務・経済産業・防衛・内閣総理大臣署名)

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