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法律第五十四号(令二・六・一二)

  ◎新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律

 (趣旨)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が労働者及び事業主に及ぼす影響の緩和を図るため、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の特例等を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症」とは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。

 (給付日数の延長に関する特例)

第三条 雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者(以下この条において「受給資格者」という。)であって、同法第二十二条第二項に規定する就職が困難な受給資格者以外のもの(同法第二十四条の二第四項に規定する個別延長給付又は同法附則第五条第一項の規定による基本手当の支給を受けることができるものを除く。)のうち、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者については、公共職業安定所長が、その地域における雇用機会の状況及び新型コロナウイルス感染症についての新型インフルエンザ等対策特別措置法第二条第三号に規定する新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施の状況その他の事情を勘案し、雇用保険法第二十四条の二第一項に規定する指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めた場合においては、第三項の規定による期間内の失業している日(同法第十五条第二項に規定する失業の認定を受けた日に限る。)について、同法の規定による所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる。

 一 受給資格(雇用保険法第十四条第二項第一号に規定する受給資格をいう。次号及び第三号において同じ。)に係る離職の日が、新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条第一項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言(次号において「緊急事態宣言」という。)がされた日以前である場合 当該日において現に受給資格者である者

 二 受給資格に係る離職の日が、緊急事態宣言がされた日後新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条第五項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(次号において「緊急事態解除宣言」という。)がされた日以前である場合 特定理由離職者(雇用保険法第十三条第三項に規定する特定理由離職者をいう。同号において同じ。)又は特定受給資格者(同法第二十三条第二項に規定する特定受給資格者をいう。同号において同じ。)である者

 三 受給資格に係る離職の日が、緊急事態解除宣言がされた日後である場合 特定理由離職者(雇用保険法第二十四条の二第一項に規定するものに限る。)又は特定受給資格者であって、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(次条及び第五条第一項において「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)により離職を余儀なくされた者

2 前項の場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、六十日(雇用保険法第二十三条第一項第二号イ又は第三号イに該当する受給資格者にあっては、三十日)を限度とするものとする。

3 第一項の規定による基本手当の支給を受ける受給資格者の受給期間は、雇用保険法第二十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、これらの規定による期間に前項に規定する日数を加えた期間とする。

4 第一項の規定の適用がある場合における雇用保険法第二十八条、第二十九条、第三十二条、第三十三条及び第七十九条の二の規定の適用については、同法第二十八条第一項中「個別延長給付を」とあるのは「個別延長給付又は新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号。以下「臨時特例法」という。)第三条第一項の規定による基本手当の支給(以下「特例延長給付」という。)を」と、「個別延長給付が」とあるのは「個別延長給付又は特例延長給付が」と、同条第二項中「個別延長給付、」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付、」と、「個別延長給付又は」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付又は」と、「個別延長給付が」とあるのは「個別延長給付又は特例延長給付が」と、同法第二十九条第一項、第三十二条第一項及び第三十三条第五項中「個別延長給付」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付」と、同法第七十九条の二中「並びに第五十九条第一項」とあるのは「、第五十九条第一項並びに臨時特例法第三条第一項」とする。

 (雇用保険法による雇用安定事業の特例)

第四条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、雇用保険法第六十二条の雇用安定事業として、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった同法第四条第一項に規定する被保険者(次条第一項において「被保険者」という。)に対して、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施することができる。

 (被保険者でない労働者に対する給付金)

第五条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった被保険者でない労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)に対して、予算の範囲内において、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金に準じて特別の給付金を支給することができる。

2 雇用保険法第七十六条第一項、第七十七条、第七十七条の二、第七十九条、第八十三条(第一号、第二号及び第四号を除く。)、第八十五条(第一号を除く。)及び第八十六条第一項の規定は、前項の規定による給付金の支給について準用する。この場合において、同法第七十六条第一項中「被保険者若しくは受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者若しくは日雇受給資格者(以下「受給資格者等」という。)若しくは教育訓練給付対象者」とあるのは「被保険者でない労働者」と、「、若しくは」とあるのは「、又は」と、「事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体」とあるのは「事業主」と、「この法律の施行」とあるのは「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号。以下「臨時特例法」という。)第五条第一項の規定による給付金の支給」と、同法第七十七条中「被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付等」とあるのは「臨時特例法第五条第一項の給付金」と、「この法律の施行」とあるのは「同項の規定による給付金の支給」と、同法第七十七条の二第一項中「この法律の施行」とあるのは「臨時特例法第五条第一項の規定による給付金の支給」と、同法第七十九条第一項中「この法律の施行」とあるのは「臨時特例法第五条第一項の規定による給付金の支給」と、「被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付対象者」とあるのは「被保険者でない労働者」と、「、若しくは」とあるのは「、又は」と、「事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体の事務所」とあるのは「事業所」と、同法第八十五条中「被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付等」とあるのは「臨時特例法第五条第一項の給付金」と、同法第八十六条第一項中「法人(法人でない労働保険事務組合を含む。以下この項において同じ。)」とあるのは「法人」と、「前三条」とあるのは「第八十三条又は前条」とする。

 (新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の受給権の保護)

第六条 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金及び前条第一項の給付金を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

 (新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の公課の禁止)

第七条 租税その他の公課は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金及び第五条第一項の給付金として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

 (厚生労働省令への委任)

第八条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、厚生労働省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (特例延長給付に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前にされた新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条第一項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言に係る第三条の規定の適用については、同条第一項中「当該各号に定める者」とあるのは、「当該各号に定める者(同法の規定による所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わる日がこの法律の施行の日以後である者に限る。)」とする。

 (雇用保険法の一部改正)

第三条 雇用保険法の一部を次のように改正する。

  附則第十四条の次に次の一条を加える。

 第十四条の二 国庫は、令和二年度及び令和三年度における第六十六条第一項に規定する求職者給付、雇用継続給付及び職業訓練受講給付金並びに第六十七条に規定する求職者給付に要する費用の一部に充てるため、新型コロナウイルス感染症等の影響(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号)第三条第一項第三号に規定する新型コロナウイルス感染症等の影響をいう。次項において同じ。)による経済情勢の変化及び労働保険特別会計の雇用勘定の財政状況を踏まえ、必要がある場合には、前条第一項に規定する額のほか、予算で定めるところにより、その費用の一部を負担することができる。

 2 国庫は、令和二年度及び令和三年度における雇用安定事業(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律第四条に規定する事業並びに同事業を実施する期間において実施する第六十二条第一項第一号に掲げる事業及び同項第六号に掲げる事業(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するために実施する事業であつて、厚生労働省令で定めるものに限る。)に限る。)に要する費用のうち、当該雇用安定事業に基づき支給又は助成をする額と第十六条第一項の規定による基本手当の日額の最高額との差及び当該支給又は助成に係る事業主が中小規模の事業者であるか否かの別を考慮して政令で定めるところにより算定した額について負担するものとする。

 3 令和二年度及び令和三年度における前条第三項の規定の適用については、同項中「附則第十四条第一項」とあるのは、「附則第十四条第一項並びに第十四条の二第一項及び第二項」とする。

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第四条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第十九条の二の次に次の一条を加える。

  (一般会計から雇用勘定への繰入れの特例)

 第十九条の三 令和二年度及び令和三年度においては、第六条の規定にかかわらず、予算で定めるところにより、雇用保険法附則第十四条の二第二項に規定する雇用安定事業に要する費用で国庫が負担するものに相当する額は、一般会計から雇用勘定に繰り入れるものとする。

  附則第二十条の二に次の一項を加える。

 3 令和二年度及び令和三年度における前項の規定の適用については、同項中「平成二十九年度から令和三年度までの各年度」とあるのは「令和二年度及び令和三年度」と、「及び同条第三項」とあるのは「並びに第十四条の二第一項及び第二項の規定並びに同条第三項の規定により読み替えられた同法附則第十四条第三項」とする。

  附則第二十条の三第四項中「前項」を「第三項」に改め、「の間」の下に「、並びに前項の規定による組入金の総額が第四項の規定により繰り入れた金額の総額及び第五項の規定により補足した金額の総額の合計額に相当する金額に達するまでの間」を加え、「中「加減した額」を「中「減じた額が」に、「加減した額並びに」を「減じた額に、」に、「の合計額」」を「並びに当該会計年度までの同条第四項の規定により繰り入れた金額の総額及び同条第五項の規定により補足した金額の総額の合計額から同条第六項の規定による組入金の総額を控除して得た金額の合計額を加算した額が」」に、「附則第二十条の三第三項」を「附則第二十条の三第六項」に、「同条第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び同条第二項の規定により補足した金額の総額の合計額から同条第三項」を「同条第四項の規定により繰り入れた金額の総額及び同条第五項の規定により補足した金額の総額の合計額から同条第六項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第三項中「第一項」を「第四項」に、「附則第二十条の三第三項」を「附則第二十条の三第六項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第二項中「平成二十二年度から平成二十五年度まで」を「令和二年度及び令和三年度」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項中「平成二十二年度から平成二十五年度まで」を「令和二年度及び令和三年度」に改め、「第百三条第三項の規定による」を削り、「同条第五項」を「第百三条第五項」に改め、「掲げる事業」の下に「及び新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号)第四条の規定による事業」を加え、同項を同条第四項とし、同条に第一項から第三項までとして次の三項を加える。

   令和二年度及び令和三年度において、雇用勘定の積立金は、第百三条第五項の規定によるほか、育児休業給付費を支弁するために必要がある場合には、予算で定める金額を限り、同勘定の歳入に繰り入れることができる。

 2 令和二年度及び令和三年度においては、雇用勘定において、各年度の第百三条第三項に規定する育児休業給付費充当歳入額から当該年度の同項に規定する育児休業給付費充当歳出額を控除して不足がある場合であって、第百三条の二第四項の規定により育児休業給付資金から補足してなお不足があるときは、同勘定の積立金から当該不足分を補足することができる。

 3 第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び前項の規定により補足した金額の総額については、後日、雇用勘定において、毎会計年度の第百三条第三項に規定する育児休業給付費充当歳入額から当該年度の同項に規定する育児休業給付費充当歳出額を控除して残余がある場合には、第百三条の二第三項の規定にかかわらず、当該繰り入れた金額の総額及び当該補足した金額の総額の合計額に相当する金額に達するまでの金額を同勘定の積立金に組み入れなければならない。この場合における第百三条第三項の規定の適用については、同項中「必要な金額」とあるのは、「必要な金額を、及び附則第二十条の三第三項の規定による組入金」とする。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第五条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十号の二十七の次に次の一号を加える。

  二十の二十八 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号)

(財務・厚生労働・内閣総理大臣署名) 

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