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法律第百二十八号(平一〇・一〇・一六)

  ◎競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律

 (民事執行法の一部改正)

第一条 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の一部を次のように改正する。

  第十条第五項を次のように改める。

 5 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。

  一 抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。

  二 執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。

  三 執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。

  四 執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。

  第十八条第二項中「財産」の下に「(財産が土地である場合にはその上にある建物を、財産が建物である場合にはその敷地を含む。)」を加える。

  第五十七条に次の二項を加える。

 4 執行官は、第一項の調査のため必要がある場合には、市町村(特別区の存する区域にあつては、都)に対し、不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を、不動産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができる。

 5 執行官は、前項に規定する場合には、電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができる。

  第五十八条第三項中「前条第二項」を「第十八条第二項並びに前条第二項、第四項及び第五項」に改める。

  第六十八条の次に次の二条を加える。

  (買受けの申出をした差押債権者のための保全処分)

 第六十八条の二 入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産を占有する債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは第五十九条第一項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、不動産の売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。以下この条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、その行為をし、又はその行為をするおそれがある者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官又は申立人に保管させるべきことを命ずることができる。

 2 差押債権者は、前項の申立てをするには、最低売却価額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の入札又は競り売りの方法による売却の実施において申出額に達する買受けの申出がないときは自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出をし、かつ、申出額に相当する保証の提供をしなければならない。

 3 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。

 4 第五十五条第三項、第七項及び第八項の規定は第一項の規定による決定について、同条第五項の規定は第一項の申立てについての裁判、前項の規定による裁判又は同項の申立てを却下する裁判について、同条第六項の規定は前項の規定による決定について、同条第九項の規定は第一項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用について、第六十三条第四項の規定は第二項の保証の提供について準用する。

  (売却の見込みのない場合の措置)

 第六十八条の三 執行裁判所は、入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。

 2 差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から三月以内に、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、執行裁判所は、売却を実施させなければならない。

 3 差押債権者が前項の期間内に同項の規定による売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができる。同項の規定により売却を実施させた場合において買受けの申出がなかつたときも、同様とする。

  第七十八条第三項中「第六十三条第二項第一号」の下に「又は第六十八条の二第二項」を加える。

  第八十二条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 買受人及び買受人から不動産の上に抵当権の設定を受けようとする者が、最高裁判所規則で定めるところにより、代金の納付の時までに申出をしたときは、前項の規定による嘱託は、登記の申請の代理を業とすることができる者で申出人の指定するものに嘱託書を交付して登記所に提出させる方法によつてしなければならない。この場合において、申出人の指定する者は、遅滞なく、嘱託書を登記所に提出しなければならない。

  第八十五条に次の一項を加える。

 6 第十六条第三項及び第四項の規定は、第二項の債権者(同条第一項前段に規定する者を除く。)に対する呼出状の送達について準用する。

  第百六十八条に次の一項を加える。

 8 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

 (滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部改正)

第二条 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(昭和三十二年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。

  第八条第三号中「場合において、すみやかに売却をすべきことを徴収職員等に催告したにかかわらず、その催告の効果がない」を削る。

 (不動産登記法の一部改正)

第三条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の一部を次のように改正する。

  第百十九条ノ九中「前七条」を「前八条」に改め、同条を第百十九条ノ十とする。

  第百十九条ノ八の次に次の一条を加える。

 第百十九条ノ九 民法第三百九十八条ノ二十第一項第四号ノ規定ニ依り根抵当権ノ担保スベキ元本ガ確定シタル場合ノ登記ハ申請書ニ民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第四十九条第二項(同法第百八十八条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル催告又ハ国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第五十五条(同条ノ例ニ依ル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタルコトヲ証スル書面ヲ添附シタルトキハ根抵当権者ノミニテ之ヲ申請スルコトヲ得但其根抵当権又ハ之ヲ目的トスル権利ノ取得ノ登記ト共ニ為ス場合ニ限ル

  第百五十一条ノ四中「(昭和五十四年法律第四号)」を削る。

 (執行官法の一部改正)

第四条 執行官法(昭和四十一年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第十七号中「第五十五条第二項」の下に「、第六十八条の二第一項」を加え、「保管する」を「保管し、又は保管のため申立人にその占有を取得させる」に改める。

 (民事訴訟費用等に関する法律の一部改正)

第五条 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  別表第一の一七の項ロ中「代払の許可を求める申立て」の下に「、同法第六十八条の二第一項の規定による買受けの申出をした差押債権者のための保全処分の申立て」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。

 (滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

2 この法律の施行前にされた強制執行続行の決定の申請については、なお従前の例による。

(法務・大蔵・内閣総理大臣署名) 

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