第11号 令和6年3月14日(木曜日)
令和六年三月十四日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第六号
令和六年三月十四日
午後一時開議
第一 令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
第二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
日程第二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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○議長(額賀福志郎君) 日程第一及び第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。
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日程第一 令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
日程第二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長提出)
○議長(額賀福志郎君) 日程第一、令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案、日程第二、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長谷公一君。
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令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔谷公一君登壇〕
○谷公一君 ただいま議題となりました両法律案のうち、まず、令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
本案は、令和六年度出産・子育て応援給付金について、給付金の支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、給付金として支給を受けた金銭等について非課税とする措置を講ずるものであります。
本案は、昨十三日、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会におきまして、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
次に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
本案は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づく一時金の支給の請求期限を五年延長するものであります。
本案は、昨十三日、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会におきまして、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
なお、本委員会におきまして、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する件について決議が行われたことを申し添えます。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 両案を一括して採決いたします。
両案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
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民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣小泉龍司君。
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や、子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、父母の離婚等に直面する子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正して、婚姻関係の有無にかかわらず、父母が子を養育するに当たって遵守すべき責務を明確化することとしております。
また、父母が離婚する場合に、その双方を親権者と定めることができるようにする規定を設けるほか、親権の行使について父母間の意見が一致しない場合における調整のための裁判手続を創設することとしております。
第二に、養育費の履行を確保する観点から、民法等の一部を改正して、養育費等の債権に一般先取特権を付与するとともに、父母が養育費の支払について合意することなく離婚した場合においても、父母の一方が他方に対して所定の額の養育費の支払を請求することができる旨の規定を設けることとしております。
また、養育費等の債権に基づく民事執行について、一回の申立てにより複数の手続を連続的に行うことができる旨の規定を設けるなど、裁判手続の利便性を向上させるための規律を整備することとしております。
第三に、安全、安心な親子交流を実現する観点から、民法等の一部を改正して、父母が婚姻中に別居する場面における親子交流に関する規定を設けるほか、家事審判等の手続において、裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定を設けることとしております。
このほか、民法の一部を改正して、養子縁組がされた場合の親権者に関する規定を整備するほか、財産の分与の請求をすることができる期間を五年に伸長するとともに、その請求において家庭裁判所が考慮すべき要素を具体化する規定を設けることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。米山隆一君。
〔米山隆一君登壇〕
○米山隆一君 立憲民主党・無所属会派を代表して質問いたします。(拍手)
まずもって、能登半島地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、現在被災されている方々が一日も早く日常生活を取り戻されることを心よりお祈りいたします。
さて、自民党は、三月二日の与野党の国対間で衆議院政治倫理審査会を開催することで合意し、下村博文議員についてはようやく来週月曜日に政倫審が開かれることとなりましたが、本日の参議院政倫審における世耕参議院議員の発言でも裏金の真相は語られず、下村議員の政倫審では、キックバックが始まった経緯、若しくは再開した経緯を含め、真実を率直に語られるよう強く求めます。
一方で、裏金衆議院議員五十一人中四十五人の議員からは、いまだ申出がありません。下村議員以外にも、自民党議員四人程度は出席の意向を示していたはずです。自民党国対が申出を妨げないとの約束を破り邪魔をしているのか、それとも本人が申し出たくないのか、どちらかはっきりしてください。岸田総理の言う、志のある議員の政倫審への申出と、裏金問題の徹底的な真相解明を強く求めて、質問に入ります。
それでは、ただいま趣旨説明がなされました民法等の一部を改正する法律案について、御質問いたします。
この法律案は、今まで離婚時においては母親、父親の一方が単独で親権を行使する単独親権制度であったものに対し、父母双方が共同して親権を行使する、いわゆる共同親権を導入するところに大きな特徴があります。
率直に言って、我が党には、この共同親権に賛成の議員も反対の議員もおりますし、他の政党でも賛否それぞれの意見があると報道されております。当たり前ですが、全ての人間は、親から生まれ、子供から大人になります。親子関係の規律に大きな変化をもたらすこの法律は、多くの国民の生活に直接影響を与え、社会に大きな変化をもたらし得ます。全ての法案審議はそうあるべきですが、本法案の審議は、特に、様々な国民の要望に丁寧に耳を傾け、多くの専門家の意見を参考にし、立法事実を詳細に確認して制度趣旨を確かめ、法案が成立した場合に意図した制度趣旨が実現できるかを十分に検討し、熟議を重ね、議論が熟さなければ、決してその成立を急ぐべきものではありません。参考人招致なども含め、委員会における丁寧な審議の徹底を求めるとともに、小泉法務大臣には、是非、真摯な御答弁をお願いいたします。
まず、様々な意見がある前提で、共同親権のコンセプトそのものについては、私自身は否定しません。子供にとっては、親同士の仲はよくても悪くても、母親は母親、父親は父親であり、親にとっても、親同士の仲はよくても悪くても、子供は子供です。離婚しても母親、父親それぞれとの親子関係は変わらない以上、離婚後も共同で親権を行使できるだろう男女がいることは否定されないし、実際、我々は、そのようなありようをハリウッドのドラマや映画などで目にします。そのような関係が離婚後も維持されるなら、それはある種の幸福な家族の一態様だと思います。
しかし、ロシアの文豪トルストイの言葉に、幸福な家庭は皆同様に幸福だが、不幸な家庭はそれぞれに不幸であるとあるように、残念ながら、不幸な状況で離婚し、離婚後、二人が共同で何かをするなど到底考えられず、共同で親権の行使などもってのほかという御家族も現実にあるでしょう。私も弁護士として、そう数は多くないなりに離婚訴訟に携わってきましたが、夫婦間の関係性が冷え切らないうちに早期に離婚し、離婚後も良好な関係を維持する前述のアメリカのドラマや映画の中の御家族の場合とは異なり、我慢に我慢を重ね、どうにもならなくなってから離婚に踏み切ることが多い日本では、離婚後は口も利けない関係になる御家族も少なくないように思います。
そういう様々な家族がある中で、幸福の一態様である共同親権を原則、単独親権を例外として、共同親権を、それを望まない御家族に押しつけてしまう結果になってしまったら、多様にある幸福とは言えない家庭に大いなる不幸をもたらしかねないと思います。法案には共同親権を原則とするという文言はありませんが、一方で、法務省の説明や全体の規定ぶりからは、共同親権が原則として規定されているようにも見えます。
そこで、法務大臣に伺います。
今般の改正案は、離婚時において、共同親権を原則とするものではないということでよろしいでしょうか。明確にお答えください。
原則がどちらであっても、今般の改正案では、協議離婚時には本人たちが、裁判離婚時には裁判所が、共同親権と単独親権のいずれかを選ばなければなりません。
協議離婚であれば、当事者の合意による選択だからいいという意見もあるかもしれませんが、その前提として、離婚後単独親権なら何が起こり、離婚後共同親権なら何が起こるのか、当事者同士がよく理解していなければなりません。しかし、この法案からはその実情は見えません。具体例から想像しようにも、単独親権については多くの前例がありますが、共同親権については我が国にその実例、判例はありません。
この点については、法制審議会家族法制部会の附帯決議でも、改正内容及びその解釈上参考となる事項を適切に周知する必要がある旨の決議がなされていますが、それには、離婚後行使される共同親権の中身が定まっていなければなりません。
そこで、まず、共同親権の中身について伺います。
民法改正案八百二十四条の二第一項は、親権は父母が共同で行うとしています。例えば、離婚後、子供は母親と同居していて、父親は離れて暮らしている共同親権の場合、子の受験の際、離婚している父親の同意を取る必要があるのか、子が手術を受けるときはどうか、ワクチンを接種するときはどうか、母親と子が引っ越しをするときはどうかについて、それぞれお答えください。
また、民法改正案八百二十四条の二第一項三号は、子の利益のための急迫の事情がある場合には、共同親権においても一方の親が親権を行使できるとしていますが、その程度が分かりません。
例えば、先ほどの例で、受験の願書の提出が翌日に迫っているときは、離婚している父親の同意なしで、母親の同意だけで願書を提出できるのか、緊急の手術であれば母親の同意だけで手術を受けられるのは当然として、例えば、ある種の小児の心臓の手術のように、ある程度重くても二か月から三か月程度の範囲で手術日を選ぶ余裕のある場合は、母親だけではなく父親の同意を得ることも必要なのか、ワクチンの接種日が翌日に迫っているときには、離婚している父親の同意なしで、母親の同意だけで接種できるのかについて、それぞれお答えください。
これらのいずれかの例において、共同親権を有する別居の父親の同意が必要であれば、共同親権を選ぶということは、時に、感情的葛藤を抱えている別居の離婚相手と、期限の迫った状態で子の養育、監護の方針について話さなければならないことを意味します。
仮に本法案が成立したら、法務大臣の指揮の下、法務省は様々な想定事例の広報を行うことになると思いますが、その際には、そのような共同親権のネガティブな面もきちんと描いた想定事例等も含めて広報する意思がありますでしょうか。御所見をお伺いします。
さらに、民法改正案八百十九条七項では、裁判離婚の場合において、父母の双方を親権者とすることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所は父母の一方の単独親権としなければならない旨定めています。
子や一方配偶者に対する明白な身体的DVがある場合は、比較的発見しやすく、この条文によって共同親権から排除されることが多いであろうことには、あえて異は唱えません。しかし、物事には程度というものがあり、大きな傷がつかない程度の身体的DVや精神的DV、経済的DVもあり、それらのどの程度が該当するのか、判例もなく、判断してみようがありません。
そこで、お尋ねしますが、身体の傷害に至らないような精神的DVや経済的DVも必要的単独親権の理由になるのか。例えば、一方配偶者の不倫のような、配偶者間の感情的問題に基づいて共同親権の行使が困難な場合も必要的単独親権になるのか。それらの判断基準や事例は法律施行前に国民に周知されるのか、されるならどのようにしてするのか。これらについてお答えください。
また、これらの判断基準が定められたとして、実際の離婚訴訟においてそれらの証拠が当事者によって収集、提出され、裁判所がそれらを適切に判断できるかは、また別問題になります。特に、精神的DVや配偶者、親子間の感情的問題などについては、当事者がその証拠を十分に収集し、裁判所がそれを正確に把握し、それを適切に反映した判断を下すことは容易なことではありません。家庭裁判所は、現状でも、家事事件についてはパンクぎみで、離婚訴訟に過大な時間を要し、それほど適切とも言えない判断が下されていると感じることも間々あるのですが、現在の家庭裁判所は、このような新たな複雑な判断を十分にできる体制が整っているのでしょうか。また、整っていないなら、いつまでに、どのようにしてそれを整備するつもりでしょうか。お答えください。
さらに、民法改正案八百十九条六項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」と定めます。この訴えは、離婚後単独親権を定める現在の民法においても親権変更の訴えとして存在するので、それ自体が新しいものではありません。しかし、今まで単独親権だったところから共同親権が可能になれば、離婚後、親権を得られなかったことに納得せず不満を抱いている一方の親が、現在親権を持っている、子を養育している親に対して親権変更の調停を申し立てることが予想されます。それは、例えば、DV等を受けて離婚し隠れるようにして生きているシングルマザー、シングルファザーにとっては悪夢になります。
大臣は、本法案が仮に成立した場合、そのようなことが起こる可能性についてどのようにお考えでしょうか。また、お考えなら、どのような対策を講じるつもりで、それによってどの程度防げると考えているのか、併せて伺います。
以上、民法改正案において、特に共同親権について問題となりそうな点をお伺いしました。一問一答形式ではなく、今この時点では大臣の御回答は分かりませんが、それ自体、この法案の内容、この法案が成立した場合に当事者にもたらす影響、社会にもたらす変化は、現時点では、ここにいる我々国会議員にもよく分からないし、ましてや、多くの国民にとっては全く分からないことだということです。
私は、そのような法案をそのような状態のまま成立させることは、当事者に大きな不利益をもたらすとともに、社会全体に混乱を招きかねず、決して許されることではないと思います。本法案については、熟議に熟議を重ね、国民の理解を深め、多くの国民にとって判断する機が熟してから、多数の国民の意思を反映して決すべきであることを強く訴えさせていただきます。
なお、最後に付言いたしますが、本法案は、法制審議会が一月三十日に要綱案を答申した僅か三十八日後に衆議院に提出され、本日、審議に付されています。
ところが、同じく民法改正案であるはずの選択的夫婦別姓については、一九九六年二月に法制審議会がこれを認める要綱案を答申してから既に二十八年が経過し、調査によっては六〇から七〇%もの国民が賛成し、最近では財界もその実現を求めているにもかかわらず、政府はこれを実現する法案を提出しておりません。二〇二二年六月八日には、我が党と国民民主党、共産党、れいわ新選組が共同で、選択的夫婦別姓を可能とする民法改正案を衆議院に提出していますが、いまだ審議に付されておりません。
政府・自民党の対応は余りにバランスを欠いており、巷間言われている特定の宗教団体の影響を疑わざるを得ませんし、仮にその影響がないとしても、政府・自民党は、多くの国民が求める必要な変化を頑強に阻みながら、求める、求めない以前に多くの国民がその内容を理解しておらず、当事者と社会に大きな影響を及ぼす懸念がある法案を十分な審議のないまま押し通そうとする不合理な存在ではないかとの懸念を提起せざるを得ません。
私たち立憲民主党は、真に時代と国民が求める合理的な社会制度を、丁寧に、しかし、変化を恐れることなく果敢につくっていくことを誓って、私の質疑とさせていただきます。
御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 米山隆一議員にお答えを申し上げます。
まず、本改正案が共同親権を原則とするものであるかについてお尋ねがありました。
お尋ねの共同親権を原則とするという表現は多義的に用いられているため、一義的にお答えすることは困難ですが、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが、子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものであります。
その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の判断をすべきであり、本改正案もそのような考え方に沿ったものと考えております。
次に、親権の共同行使が必要な具体例についてお尋ねがありました。
本改正案では、父母の双方が親権者である場合には、親権は父母が共同して行うこととした上で、監護又は教育に関する日常の行為をするときは、親権を単独で行使することができることとしております。
子供が受験する進学先の決定や、子の心身に重大な影響を与え得る手術の決定、子の転居については、基本的には、父母が共同して行うことになると考えております。
他方で、子の手術のうち、子の心身に重大な影響を与えないようなものや通常のワクチン接種であれば、監護又は教育に関する日常の行為として、単独で行うことができると考えております。
次に、子の利益のため急迫の事情があるときの具体例についてお尋ねがありました。
子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいうと考えております。受験願書の提出期限やワクチン接種の期限が翌日に迫っている場合は、これに当たると考えております。
他方で、子の心身に重大な影響を与える手術については、手術日まで二、三か月程度の余裕がある場合には、直ちにはこれには当たらないと考えますが、協議等ができずに手術日が迫ってきた場合は、これに当たり得ると考えております。
次に、改正後の広報の在り方についてお尋ねがありました。
法務省としては、こうした本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、様々なケースがあることを念頭に置いて、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいります。
次に、裁判所が必ず単独親権とすべき事例及びその周知の在り方についてお尋ねがありました。
本改正案では、身体的な暴力に限らず、いわゆる精神的DVや経済的DVがある場合や、配偶者間の感情的問題に基づいて親権の共同行使が困難な場合も、事案によっては、裁判所は必ず単独親権としなければならないことがあり得ると考えております。
法務省としては、施行までの間に、本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、法務省ホームページ等を利用して、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいります。
次に、家庭裁判所の体制についてお尋ねがありました。
お尋ねについては、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、本改正案が成立した場合には、裁判所において、適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しております。
法務省としても、適切かつ十分な周知、広報に努めるなど、裁判所の取組に協力してまいります。
最後に、親権者変更の手続等についてお尋ねがありました。
本改正案の施行後は、改正後の親権者変更の申立てに関する規律が適用されますが、それにより子の利益が害されないようにする必要があります。
そこで、本改正案では、親権者変更の申立てが認められるのは、子の利益のために必要がある場合に限っており、かつ、DVや虐待の場合のほか、父母が共同して親権を行うことが困難である場合には、親権者を父母双方とするよう変更することができないこととしております。
本改正案が成立した場合には、その趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分に周知することにより、子の利益を害するような親権者変更の申立てを可及的に防ぐことができると考えております。
以上です。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 斎藤アレックス君。
〔斎藤アレックス君登壇〕
○斎藤アレックス君 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスです。
日本維新の会との統一会派を代表して、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
日本では、毎年約二十万人の未成年の子供が親の離婚に直面しており、離婚を経験した子供は、非同居親と関係が希薄化し、喪失感を抱え、経済的にも、一人親になることによって困窮するケースが圧倒的に多く、その背景として、離婚時に親権を父母どちらか一方のみに定めなければならない単独親権制度があることは従来から指摘をされてきました。
親権には、権利だけでなく、子供を養育する義務が含まれています。そして、父母は離婚したとしても親は親、子は子であり、親は、子の利益のために、子を養育する義務を当然果たさなければなりません。そのため、現行民法の一律離婚後単独親権を改め、DVや虐待がある場合などを除き、子の最善の利益のために、父母が共同して子を養育することを原則とした法体系を整備すべきと考えます。
本民法改正案に関しては、第八百十七条の十二で、父母の責務として、子の人格の尊重と養育、扶養の義務が明記され、同時に、父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないと規定するなど、現行民法が、親権について、成年に達しない子は親の親権に服するとしている考え方から転換し、子の最善の利益のための親権行使という立場に立脚している点は評価できます。
一方で、本改正案では、父母が離婚する際の親権に関しては、その双方又は一方を親権者と定めると、共同親権を選択可能とする規定であり、本改正を経ても、協議離婚においても単独親権を選択することが可能であり続けます。
この点に関して、政府は、子の最善の利益のためには、DVや虐待などの事情がある場合を除いて、原則共同親権とすることが望ましいと考えているのでしょうか。また、父母の一方がもう一方の父母や子自身の心身に害悪を及ぼさない場合でも、単独親権の方が子の利益になる場合があると考えているのでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。
裁判所での離婚の場合において、どのような場合に共同親権でなく単独親権となるのかが見通せないことや、監護者を別に定めることができる法のたてつけになっている点に関しては、単独親権の維持を望む人と共同親権の実現を望む人の双方から不安の声が上がっています。DVや虐待がある場合以外で、どのような場合に裁判所が共同親権でなく単独親権を定めるのか、あるいは単独親権でなく共同親権とするのか。実際の運用が始まって、裁判所の調停事例が出てきてからでなければ分からないという回答では、単独親権派と共同親権派双方の不安が解消されず、法案への支持、理解は広がりません。
現在の裁判による離婚の事例などに照らして、どのような要因が親権に関する裁判の判断に影響を与えるのか、早急に示すべきだと考えますが、法務大臣の答弁を求めます。
本法案の第八百十九条七項の一号と二号に、必ず単独親権となるケースとして、子に対する虐待、そして父母間の暴力、つまりDVの場合が明示されていますが、この点に関しても、どのような場合が虐待、DVに該当するのかが重要であるところ、判断基準が不明確であり、様々な立場から不安の声が上がっています。
DVには、身体的なものにとどまらず、精神的なものに至るまで様々なものがあり、事実認定も容易ではありません。そもそも当事者がDVと認識していないケースや、DVを受けていると言い出せないケースもあります。そして、男女のどちらもDVの加害者にも被害者にもなり得ることは、更に問題の実態を把握することを難しくしています。
どのようなDVや虐待事案が必ず単独親権となるケースに該当するのか、そして、そのDVや虐待事案の事実認定はどのように行うのか、法務大臣の答弁を求めます。
親権者と監護者を別個に定めることができ、そして、監護者が単独で親権の根幹部分を行使できるという本改正案の規定は、この法改正が親権行使に関して意図しているところを分かりにくくしています。
まず、確認ですが、離婚後、共同親権とした場合、監護者を特に定めることをしなければ、共同親権、共同監護となり、居所の指定などの重要な親権行為に関しては父母が共同して、つまり、話合いで調整しながら行使をするという理解で間違いないか。加えて、離婚届の様式に関して、未成年の子の親権者の記載のほかに、監護者に関して記載欄を設けることを想定しているかについて、それぞれ法務大臣の答弁を求めます。
本法案には、他の共同親権を取っている先進国のような、離婚時に養育計画を策定することや、あるいは親権に関する講座を受講することを義務づけるような規定はないため、特に、離婚時に父母間の葛藤が高まっている、つまり、夫婦間の不仲が極まっているような場合に、十分な父母間の協議が行えず、親権や監護に関する理解さえ十分でないまま、とにかく離婚をしてしまうというよくあるケースは、今回の民法改正案が成立したとしても是正ができないと考えられます。それ以外にも、離婚時に何らかの理由で望まない形で協議に同意してしまうケースも想定されます。
離婚後しばらくたって、落ち着いた段階で、改めて、親権や監護に関する取決めを再度協議したり、裁判所の調停などを求めたりすることは可能との認識でしょうか。法務大臣の答弁を求めます。
先ほど述べたとおり、本改正案では、監護者の権利義務の規定が新設されて、子の監護者と定められた者は、監護権を持たない親権者の同意なく、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更といった重要な親権行使を行える規定となっています。監護者の権利義務の規定の新設によって、親権に関しては共同親権となっても、それとは別に監護者に関して裁判所が父母どちらか一方を指定すれば、単独親権の現行法と実質的に変わらない状況が継続することも想定されます。この点に関する法務省の見解について、大臣の答弁を求めます。
次に、本改正案で新設される、婚姻中も含めた親権の共同行使に関する規律に関して質問をいたします。
まず、親権の共同行使に関しては、父母の意見が調わず、子の利益に反する事態が生じかねないとの指摘があることは周知の事実かと思います。
例えば、DVや虐待からの避難、緊急を要する医療行為への同意や、期限が定まっている学校入学などの手続に支障を来すとの懸念が出されていますが、これらは、新たに設けられる第八百二十四条の二の第一項第三号に規定される「子の利益のため急迫の事情があるとき。」に該当し、共同親権の場合も、親権者の一方のみで親権行使が可能なケースと理解していいか。加えて、同条の第二項にある「監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。」との規定に関して、日常の行為とはどのようなものか。それぞれ法務大臣の答弁を求めます。
一方で、急迫の事情にも日常の行為にも該当しない重要な親権の行使で父母の意見が調わない場合は、裁判所の判断で親権の行使に関して定めることになりますが、意見の相違があるたびに裁判を行い、裁判の結果が出るまで待ち続けなければならないようでは、子の利益を害する事態が発生するおそれがあります。
あらかじめ、離婚時に、子の養育に係る様々な判断や、新たな判断が必要になった場合の分野ごとの最終的な決定者が父母どちらになるかを定めるような計画を策定することが望ましいとする意見もありますが、政府の見解について、法務大臣の答弁を求めます。
加えて、離婚前後に父母が子の養育、監護に関する講座を受講できる機会を全国で政府が確保したり、専門の相談員を配置するなどして、離婚後に父母が適切な形で共同して子を養育する責任を果たせるよう、事前の計画や取決めを促し支援していく取組を政府が大幅に強化することを検討すべきだと思いますが、同様に法務大臣の答弁を求めます。
子供のときに過ごす一年と、大人になってからの一年では、その重みが段違いであると思います。だからこそ、法案審議を尽くした上で本法が成立したのであれば、公布の日から起算して二年を超えない範囲となっている本法案の施行期日は、できるだけ前倒しするべきではないでしょうか。また、更なる検討を経て必要と考えられる見直しを適時適切に行うなど、法務省を始めとする行政府は、子の利益の確保に向けて最善を尽くしていくべきだと考えますが、併せて法務大臣の答弁を求めます。
最後に、今回の民法の改正では、親権、監護等に関する規律の見直しに限っても、裁判所が果たす役割が格段に増えています。DVや虐待に関する判断も含めて、離婚時に父母の協議が調わない場合に親権者を定めたり、協議離婚の場合で、父母の協議で定められた親権者を変更するか否かの判断をしたり、親権の行使に当たって父母の意見対立の調整をしたりと、ざっと見ただけでも、家庭裁判所の役割が大幅に増え、また、極めて重要になっていることは一目瞭然です。更に加えて、過去に離婚をしている父母と子供に関する案件も取り扱うことを求められますが、今の日本の裁判所に、このような案件の増加を適切に処理することが可能なのでしょうか。
個別の案件ごとに異なる複雑な事情を持つこれらの審判を適時適切に裁判所が処理できるようにするためには、家裁の機能拡充が必須だと考えますが、法務大臣の所見を伺います。
以上、本民法改正案の審議の中で明らかにすべき点、そして、子の最善の利益を確保していくために、今後更に検討が必要と思われる点に関して質問をさせていただきました。
家族に関する法律は、個人の人生に直接大きな影響を与えるため、とかく議論が先鋭化したり感情的になったりすることが懸念されます。本法案審議に関しても特に冷静な議論が望まれることは言をまちませんが、何よりも重要なことは、子の利益のために何が望ましいのかという視点に常に立ち返ることだと思います。
日本維新の会と教育無償化を実現する会は、その本質からぶれることなく、様々な立場からの意見に真摯に向き合いながら、引き続き本法案の審議に誠心誠意取り組んでいくことをお誓い申し上げて、質問の結びとさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 斎藤アレックス議員にお答えを申し上げます。
まず、父母の離婚後の親権者の定め方についてお尋ねがありました。
お尋ねの原則共同親権という表現は多義的に用いられているため、一義的にお答えすることは困難ですが、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが、子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものであります。
その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかは、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の判断をすべきであり、父母の一方が他の一方や子の心身に害悪を及ぼしていない場合でも、事案によっては、単独親権とすることが子の利益の観点から望ましい場合もあると考えております。
次に、裁判所の判断基準を示すことについてお尋ねがありました。
本改正案では、裁判所が離婚後の親権者を判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子の関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしております。
これらの規律においては、例えば、DVや虐待の有無のほか、父母の協議が調わない理由等の事情を踏まえ、父母が共同して親権を行うことが困難であるかといった要素も考慮されることになります。
本改正法の趣旨が正しく理解されるよう、その考慮要素を含め、施行までの間に、適切かつ十分な周知、広報に努めたいと考えております。
次に、裁判所が親権者を定める際に考慮されるDVや虐待についてお尋ねがありました。
本改正案では、裁判所が必ず単独親権としなければならない場合の例として、DVや虐待のある場合を挙げております。具体的には、父母の一方が暴力等を受けるおそれや、子の心身に害悪を及ぼすおそれの有無を基準として判断することになります。その判断の際には、当事者の主張のみに基づくのではなく、DV等のおそれを基礎づける事実と、それを否定する事実とが総合的に考慮されると考えております。
次に、親権の行使方法と離婚届の様式についてお尋ねがありました。
本改正案によれば、離婚後の父母双方が親権者となった場合で監護者が定められていないときは、居所指定などの重要な事項に係る親権の行使は父母が共同してすることになりますが、急迫の事情があるときは、父母の一方が親権の行使を単独ですることができることとなります。
本改正案が成立した場合には、離婚届出書の様式について適切に検討したいと考えております。
次に、親権者等に関する取決めの変更についてお尋ねがありました。
本改正案によれば、離婚の際に定められた親権者については、子又はその親族の請求によって裁判所が変更することができます。また、離婚の際に取り決められた子の監護に関する事項については、父母は協議又は家庭裁判所の手続により変更することができます。
次に、監護者の定めがある場合についてお尋ねがありました。
本改正案によれば、父母双方を親権者とし、その一方を監護者と定めた場合には、監護者があらゆる事項について単独で親権を行使できるわけではありません。そのため、監護者を定めれば単独親権の現行法と実質的に変わらないとの御指摘は当たらないものと考えております。
次に、親権の単独行使が可能な場合について、二点お尋ねがありました。
子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいうと考えております。
お尋ねのように、DVや虐待から避難する場合、緊急の医療行為を受ける場合、期限の迫った入学手続を取る場合はこれに当たると考えております。
また、監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものをいうと考えております。
次に、共同養育等の計画についてお尋ねがありました。
父母の離婚時に子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましく、養育計画の作成の促進は重要な課題です。本改正案では、離婚時に父母が協議により養育計画を作成できることを明らかにするため、離婚時に父母の協議により定める事項として、監護の分掌を追加しております。
次に、子の養育計画の作成促進策についてお尋ねがありました。
御指摘のように、養育計画の作成の促進は重要な課題です。法務省としては、関係府省庁等と連携して、養育計画の作成を促進するための方策について引き続き検討してまいります。
次に、本改正案の施行時期と今後の行政府の取組についてお尋ねがありました。
本改正案では、公布の日から二年以内において政令で定める日を施行日としておりますが、その円滑な施行のためには、国民に対する十分な周知や関係機関における準備を要すると考えられます。具体的な施行日を定めるに当たっては、これらの事情を総合的に考慮し、適切に判断してまいります。
また、法務省としては、本改正案による民法等の規定の見直しに引き続いて、関係府省庁等と連携して、父母の離婚に直面する子の利益の確保のために必要な方策について検討してまいります。
最後に、家庭裁判所の機能拡充についてお尋ねがありました。
お尋ねについては、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、本改正案が成立した場合には、裁判所において適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しております。
法務省としても、適切かつ十分な周知、広報に努めるなど、裁判所の取組に協力してまいりたいと思います。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 日下正喜君。
〔日下正喜君登壇〕
○日下正喜君 公明党の日下正喜です。
私は、公明党を代表して、共同親権の導入を柱とする民法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。(拍手)
父母の離婚が子の養育に与える影響は深刻なものであり、毎年十数万人もの子が父母の離婚に直面している現状を考えると、父母の離婚後の子の養育に関する法制度の見直しや各種の支援策の拡充は、極めて重要な政策課題であります。
今回の改正案の最大のテーマは、父母の離婚に際して、子の利益をいかに守るか、確保するかということです。
江戸時代の名奉行と言われた大岡越前守の大岡裁き、子争いという話があります。二人の女性が一人の子供をめぐり、自分の子だと言い張って裁判となった話です。どちらも主張を譲らず、子供の腕を両方から引っ張ることになり、片方は、子供が泣き叫ぶ姿を見て、思わず手を放してしまいます。勝った女は、喜んで子を連れて帰ろうとしましたが、越前守は、実の母親なら子供が痛がっていれば手を放すものだと、手を放した方に子供を引き渡したという話です。
私は、この話の中に、子の利益、こどもまんなかの視点があるように思います。双方の主張のみならず、子の姿、子に接する親の姿を通して、子の最善の利益を考えていくことの大切さを教えてくれているものと感じます。
では、子にとっての最善の利益とは何か。様々な要素はあろうかと思いますが、離婚に際して、私は何よりも、子が自分を産んでくれた両親から愛情を注がれていると感じること、自分の前で両親が争わないこと、結果的に離婚に至ったとしても、そのような環境で育つ子は幸せであると思います。自己肯定感の涵養にもつながると考えます。
七十七年ぶりの家族法制の見直しは、子を持つ父母の在り方を考える上でも大きな転換をもたらすものになると考えますが、まず、本法案の柱になっている、子にとっての最善の利益とは何なのか、小泉法務大臣、そして、こども家庭庁を所管する加藤内閣府特命担当大臣の御所見を伺います。
法案では、離婚する際、共同親権にするか単独親権にするかは、父母が協議によって決め、意見が対立する場合や協議できない場合は家庭裁判所が決定するとしています。
単独でも共同でも、子にとって最善の選択となるよう互いが協議し、子供も含め納得できればよいのですが、協議が調わず裁判になった場合、裁判所によってどのような判断が下されるのか。
特に問題なのは、DVや虐待などを受けるおそれがある場合です。確かに、DVや虐待は、それぞれ防止法があるとおり、既に処罰の対象となっており、本法案においても、そのようなケースでは単独親権となります。しかし、問題は、日常的に監視されたり罵られたり蹴られたりしても証拠を残せなかったケースなど、グレーの部分にどう対応するかということです。身体的暴力と言動による暴力、またその程度の問題、主観による主張の対立など、子にとっての最善の利益という観点で裁判所がどう整理し、判断していくのかという難しい問題と言えます。
また、不安を抱える離婚当事者に対しても、裁判所によって親権がどのように判断されるのか、指針のような形で示しておく必要があると考えます。
一つには、単独親権となるにはDVや虐待の立証が必要条件となるのか。二つには、父母双方が親権者である場合であっても、DVからの避難や緊急の医療行為が必要であれば、急迫の事情により親権の単独行使が認められるとされていますが、言葉どおり、差し迫る状態まで行使できないのか、急迫とはどういう状態を指すのか。三つには、同居親が単独で判断、行使できる日常的な行為の範囲、子の病気治療、進学、転居などはどうか。この三点についてどのようにお考えか、法務大臣の明確な答弁を求めます。
一人親家庭の貧困を解消するため、公明党がこれまで取り組んできた法定養育費制度や先取特権の付与が改正案に盛り込まれたことは高く評価いたします。今後、政府には、運用面においても養育費の支払い確保等に向けた一層の取組を求めるものですが、本制度の趣旨やその改正が養育費の履行確保にどのような効果を持つのか、法務大臣の答弁を求めます。
次に、親子交流の支援に関してお尋ねします。
子供は、時によって母性を求め、時に父性を求めるものだと思います。子の最善の利益を考える上でも、別居親との親子交流は大変重要です。
別居後、そして離婚後、子の利益を最も優先し、どこに住んでいても安全で安心な支援が得られるよう、行政及び民間等による支援体制を整備していただきたい。また、養育費や親子交流等を定める共同養育計画についても、できる限り離婚前に策定することが望ましいことから、民間団体や海外の取組を参考にしつつ、我が国の最適な養育計画の在り方を調査研究するとともに、これらの環境整備のための十分な予算の確保を求めたいと思います。法務大臣の御所見を伺います。
次に、家庭裁判所における専門性の充実強化について質問します。
離婚協議が調わない場合は、調停をスムーズに進めていくため、裁判所から選任された一般の有識者である調停委員が、中立な立場から父母間の調整を図ったり、問題解決に向けたアドバイスを行ったりします。また、家庭裁判所調査官は、子供も含め当事者の声を聞き、表情を見、心理学、社会福祉学、教育学などの専門的な知見を裁判官に提供する役割を担います。
裁判官とともに、この調停委員、家裁調査官の存在は極めて重要で、公平性や人生経験、また、家裁調査官についてはそのスキルの高さも問われてまいります。利用者のより高い安心感、信頼感を得るためにも、こうした方々が従事される家庭裁判所の体制整備、研修の充実強化も急務だと考えますが、どのように進めていかれるのか、法務大臣に伺います。
こうした子の養育をめぐる対応は、民法の枠外の制度にも密接に関連しています。特に、DV、虐待については、離婚後というよりも、それは婚姻中から行われているものであり、より早い段階で適切に対応しなければならない問題と言えます。また、子の養育に関する情報提供等を行う親講座や親ガイダンスの充実も必要です。
配偶者暴力相談支援センターや児童相談所を始め、法テラス、一人親家庭支援センター、養育費相談支援センター、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどを活用し、当事者が離婚や子の養育を考える際に正しい判断ができるよう、様々なアドバイス、情報を提供することが大切です。
各省庁が所管するこうした施設の体制整備や支援の拡充も是非進めていただきたいと思いますが、法務省、内閣府・こども家庭庁、厚生労働省、それぞれ、どのような支援策を考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
公明党は、これまで、DVや児童虐待、一人親家庭の貧困対策など、当事者の声に耳を傾け、寄り添いながら、国、地方挙げて問題解決に取り組んでまいりました。子供の最善の利益を柱に打ち立てられた本法律案が安心で安全な実りあるものとなるよう、全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 日下正喜議員にお答えを申し上げます。
まず、子にとっての最善の利益の意義についてお尋ねがありました。
何が子供にとって最善の利益であるかは、それぞれ、その子が置かれた状況によっても異なると考えられるため、一概にお答えすることは困難ですが、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、そして、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると考えております。
次に、単独親権の要件及び親権の行使方法について、三点お尋ねがありました。
一点目について、本改正案では、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、DVや虐待のある場合を挙げておりますが、その立証を必須の要件とするものではありません。
二点目、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいうと考えております。
三点目、監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものをいうと考えております。子の進路に影響するような進学先の選択や子の転居などは基本的にはこれに当たらないものと考えておりますが、子の心身に重大な影響を与えないような治療などはこれに当たるものと考えております。
次に、養育費の履行確保についてお尋ねがありました。
養育費の履行確保のため、本改正案では、養育費債権に先取特権を付与しております。これにより、債権者は、審判等の債務名義がなくても民事執行の申立てをすることができ、かつ、その執行手続において他の一般債権者に優先して弁済を受けられるようになります。
また、法定養育費に関する規定を新設しております。これにより、父母間で離婚の際に養育費に関する協議等が困難である場合にも、審判等の手続を経ることなく、一定額の養育費を請求できるようになります。
次に、親子交流に対する支援や離婚後の養育計画についてお尋ねがありました。
父母の離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られること、また、離婚時に子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益の観点から重要であると認識しております。
法務省としては、適切な親子交流の実現に向けて、支援を担当する関係府省庁と連携して取り組むとともに、御指摘のありました調査研究の実施も含めて、養育計画の作成を促進するための方策及び予算の確保についても、引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、家庭裁判所の体制整備や研修についてお尋ねがありました。
お尋ねについては、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、本改正案が成立した場合には、裁判所において適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しております。
法務省としても、適切かつ十分な周知、広報に努め、裁判所の取組に協力してまいりたいと考えております。
最後に、子の養育に関する支援策についてお尋ねがありました。
改正法を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、一人親家庭支援、共同養育支援、裁判手続の利便性向上といった支援策や体制整備を図るとともに、DV及び児童虐待等を防止して安全、安心を確保することが重要であると認識しております。
法務省としては、施行までの二年の間に、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、関係府省庁等としっかり連携して環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 日下正喜議員の御質問にお答えをいたします。
民法等改正法案における子にとっての最善の利益についてお尋ねがありました。
法務大臣からの答弁でもありましたとおり、何が子にとって最善の利益であるかを一概にお答えすることは困難ですが、子の人格が尊重され、子の年齢及び発達の程度に配慮され養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると私も考えます。
こども基本法におきましては、子供施策の基本理念として、全ての子供について、その最善の利益が優先して考慮されることが掲げられており、こども家庭庁としては、こうした理念にのっとり、子供施策を推進してまいります。
離婚や子の養育を考える際の情報提供や支援策についてお尋ねがありました。
離婚や子の養育に関し、自治体等の窓口を通じて当事者に相談支援や情報提供を行うことは重要であると考えております。
そのため、これまでも相談窓口の充実に努めており、離婚前後の親支援講座の推進などを図ってきたところです。
あわせて、DVや児童虐待等についても、被害者等が相談しやすい環境を整備し、各種法制度の正確な理解の下、必要な支援に関する情報提供を行い、安全、安心を確保することが重要です。
引き続き、配偶者暴力相談支援センターや児童相談所、母子家庭等就業・自立支援センターなど、御指摘の各種の相談機関において当事者の実情を踏まえた的確な支援が行われるよう、相談支援体制の充実を図ってまいります。(拍手)
〔国務大臣武見敬三君登壇〕
○国務大臣(武見敬三君) 日下正喜議員の御質問にお答えいたします。
子の養育をめぐる対応に関する体制整備や支援の拡充についてお尋ねがありました。
自治体に設置される婦人相談所や婦人相談員は、DV被害者に対して必要な支援を行っており、DV被害者が離婚や子の養育について考える際に必要な情報提供等も行っています。
また、DV被害者を含め困難を抱える女性に対しては、本年四月に施行する困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づき、女性が抱える問題等に応じた最適な支援が行われるよう、自治体において必要な体制整備が進められているものと承知しています。
厚生労働省としても、自治体において必要な体制整備が進められるよう研修の実施等を行うとともに、関係機関等とも連携し、困難を抱える女性に対する支援の拡充に努めてまいります。(拍手)
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) 本村伸子君。
〔本村伸子君登壇〕
○本村伸子君 私は、日本共産党を代表し、民法改定案に対し質問をいたします。(拍手)
本法案は、親子関係と家族の在り方に関する戦後民法の根本に関わるものです。慎重かつ丁寧な議論によって国民的合意をつくることが求められています。
親権についてお伺いをいたします。
明治民法では、家制度の下、父による単独親権でした。戦後、民法は改正され、両性の本質的平等に基づき、婚姻中は父母の共同親権とされました。憲法の下では、親権とは、親の子に対する支配権ではなく、親の子に対する養育の義務、責任です。
本法案は、婚姻関係にかかわらず、父母は子の心身の健全な発達を図り、子の人格を尊重し、互いに協力する責務を明記しました。父母の親権に服するという文言を削除し、子の利益のために行使しなければならないとしたことは、親権を、子供の権利を中心に据え、捉え直す動きに沿ったものと言えます。
そうであるならば、なぜ親権という定義、用語を変えなかったのか、どう検討したのか、答弁を求めます。
一人一人の子供の最善の利益を実現するためには、子供の意見表明権の保障が不可欠です。両親の離婚等に伴う環境変化は、子供の人生にとっても一大事と言える場面であり、子供が意見を聞かれる権利を保障することは、子供の最善の利益のために必須の手続です。子供の意見表明権の保障を明記するべきです。
離婚後共同親権についてお伺いをいたします。
離婚した父母双方が対等、平等な関係で合意し、子の養育に関して共同して責任を果たし、それが子の利益にかなう多くの場合があります。一方で、夫婦間の信頼が失われ破綻し、離婚に至る場合、共同親権がかえって子供の安心、安全、命を損なう現実的な懸念をどう検討されたのでしょうか。
共同親権になった場合、子供に関わる重要な決定は、元配偶者の同意が必要となります。合意が得られなければ、そのたびに裁判所の判断を求めることになり、新たな紛争の多発が懸念をされるのではありませんか。元配偶者からの支配が続くのではないかという不安の声に、どう答えるのですか。
DVや虐待がある場合には、裁判所が単独親権を決定するとしていますが、どのように認定するのでしょうか。法務省は、DV法より広い事情が考慮されると言いますが、具体的にはどのような事情でしょうか。DV、虐待は密室で行われ、立証の難しさがあるのではありませんか。
共同親権の場合、急迫の事情があれば単独行使ができるとしていますが、どのような場合でしょうか。例えば、離婚した元配偶者と面会したときに暴力を振るわれ、しばらくたってから子供と転居をする場合は、急迫と解釈されるのか、元配偶者の同意が必要になるのでしょうか。医療現場からは、不仲で同席できない両親に説明し同意を得ることは、臨床現場に二重の負担をかけ、適切な医療の妨げになると懸念が出されています。
これらの深刻な問題点は、法制審議会家族法制部会で指摘をされていました。それにもかかわらず、部会の意見の一致を得ないまま法案を提出いたしました。拙速のそしりを免れません。国会審議の前提として、八千件を超えるパブリックコメントを全て明らかにすることを求めます。
最後に、重要なのは、体制と総合的な施策の問題です。
家庭裁判所が大きな役割を果たさなければなりません。家庭裁判所の裁判官、調査官など、大幅増員を求めます。また、子供の権利を保障するための子供パートナー弁護士制度を公費負担で進めることや、経済的困難を抱えるシングルマザーなどの弁護士費用は公費で持つべきです。DV、虐待の防止、被害者支援の拡充、一人親支援、養育費立替え払い制度の創設など、総合的な施策をどう具体化するのですか。
以上、答弁を求め、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 本村伸子議員にお答えを申し上げます。
まず、親権の性質についてお尋ねがありました。
親権は、子に対する支配権ではなく、また、権利のみでなく義務としての性質を有しており、子の利益のために行使しなければならないものと理解されております。
次に、親権の定義や用語の見直しについてお尋ねがありました。
法制審議会の議論では、親権を親責任という用語に見直してはどうかという意見もございました。しかし、親責任という用語は、その主体でない父母が子に対する責任を負わなくなるとの誤解を招きかねないため、その見直しは見送られたという経緯がございます。
次に、子の意見表明権についてお尋ねがありました。
家庭裁判所は、親権等に関する事件では、子の意思を把握するように努め、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないこととされております。加えまして、本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明らかにしております。このように、子の意見表明権は適切に保障されているものと考えております。
次に、離婚後の共同親権への懸念についてお尋ねがありました。
法制審議会の議論では、父母双方を親権者と定めることにより子の利益を害する事案もあるとの懸念が示されました。そこで、本改正案では、親権の共同行使が困難な場合や子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合のように、父母双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所が必ず単独親権としなければならないこととしております。
次に、紛争が多発する懸念についてお尋ねがありました。
本改正案では、監護又は教育に関する日常の行為をするときや、子の利益のため急迫の事情があるときは親権を単独で行使することができることとしており、不必要な紛争が多発するとは考えておりません。
次に、本改正案に対する不安の声についてお尋ねがありました。
本改正案は、DVや虐待のおそれがある場合のほか、親権の共同行使が困難な場合にも、裁判所は必ず単独親権としなければならないこととしており、安全、安心を脅かすなど、御指摘のような内容とはなっておりません。
本改正案が成立した場合には、その趣旨が正しく理解されるよう、法務省のホームページ等を利用して、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいります。
次に、裁判所が親権者を定める際に考慮されるDVや虐待についてお尋ねがありました。
本改正案では、裁判所が必ず単独親権としなければならない場合の例として、DVや虐待のある場合を挙げております。具体的には、父母の一方が暴力等を受けるおそれや、子の心身に害悪を及ぼすおそれの有無を基準として判断することとなります。その判断の際には、当事者の主張のみに基づくものではなく、御指摘のようなDVや虐待の特質等も踏まえつつ、DV等のおそれを基礎づける事実とそれを否定する事実とが総合的に考慮されると考えております。
次に、子の利益のため急迫の事情があるときの具体例についてお尋ねがありました。
お尋ねについては、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいうと考えております。
御指摘のように、離婚後に元配偶者から暴力を受け、その後、子供を連れて転居するケースについても、これに当たる場合があると考えております。
次に、臨床医療の現場への影響についてお尋ねがありました。
本改正案は、監護に関する日常の行為をするときや、子の利益のため急迫の事情があるときは親権を単独で行使することができることとしております。
そのため、子に関する診療契約の締結について、必ず父母が共同して親権を行使しなければならないものではなく、適切な医療の妨げになるとの懸念は当たらないと考えております。
次に、パブリックコメントの公表についてお尋ねがありました。
中間試案に対するパブリックコメントでは、個人、団体から八千件を超える意見が寄せられ、その概要は法務省のホームページで公表しております。その意見にはプライバシーに関わる事項が多数含まれているため、意見そのものを公表することは適当ではないと考えております。
最後に、家庭裁判所の体制についてお尋ねがありました。
お尋ねについては、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、本改正案が成立した場合には、裁判所において適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しております。
子供の権利保護など、総合的な施策についてお尋ねがありました。
改正法を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、一人親家庭支援や裁判手続の利便性向上といった支援策や体制整備を図るとともに、DV及び児童虐待等を防止して安全、安心を確保することが重要であると考えております。
法務省としては、本改正案が成立した場合には、その趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、こうした環境整備について、関係省庁等と連携して取り組んでまいります。
お尋ねの弁護士費用については、経済的な理由で泣き寝入りすることがないよう、民事法律扶助を適切に御利用いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
お尋ねの養育費立替え払い制度については、その創設を期待するお声があることは承知しておりますが、本改正案では、養育費の取決めの実効性を向上する改正案となっており、まずは、その施行状況を注視したいと考えております。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――
○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十二分散会
――――◇―――――
出席国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働大臣 武見 敬三君
国務大臣 加藤 鮎子君
出席副大臣
法務副大臣 門山 宏哲君