衆議院

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第13号 令和6年3月21日(木曜日)

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令和六年三月二十一日(木曜日)

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  令和六年三月二十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

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 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 物流は、我が国における国民生活及び経済活動を支える基盤です。本年四月から、物流産業を魅力ある職場とするため、時間外労働の上限規制がトラックドライバーに適用される一方、何も対策を講じなければ物流の停滞を生じかねないという、いわゆる二〇二四年問題に直面しております。この二〇二四年問題は、喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題でもあるため、本年を物流革新元年と位置付け、継続的に対応していく必要があります。

 こうした状況を踏まえ、荷主、物流事業者、一般消費者が協力して、構造的な賃上げを含め、我が国の物流を支えていくための環境を整備するため、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容について、抜本的、総合的な対策が必要となっております。

 また、軽トラック事業について、ラストマイル配送の需要拡大とともに、死亡、重傷事故件数が増加しており、安全対策の強化が急務となっております。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、物流負荷の軽減を図るため、荷主や物流事業者に対し、トラックドライバーの荷待ち時間及び荷役時間の短縮、トラックの積載率の向上等に資する取組を行う努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対して、計画の作成やその取組の実施状況の報告等を義務付けるほか、このうち荷主に対しては、当該計画の作成等の業務を統括管理する者の選任を義務付けることとしております。また、認定を受けた流通業務総合効率化事業について、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が必要な資金を出資できることとしております。

 第二に、トラック事業における多重下請構造の是正を図るため、元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付けるとともに、荷主及びトラック事業者等に対し、運送契約締結時の書面交付等を義務付けることとしております。また、トラック事業者等に対し、下請事業者の健全な事業運営の確保に資する取組を行う努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対して、当該取組に関する管理規程の作成等を義務付けることとしております。

 第三に、軽トラック事業の安全対策を強化するため、軽トラック事業者に対し、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任し、当該管理者に講習を受講させること等を義務付けることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。神津たけし君。

    〔神津たけし君登壇〕

神津たけし君 立憲民主党・無所属の神津たけしです。

 会派を代表し、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 冒頭、自民党裏金事件について一言申し上げます。

 裏金衆議院議員五十一人のうち、派閥幹部六人が政治倫理審査会に出席しましたが、国民の約九割が幹部の説明を不十分と考えています。実態解明のためには、証人喚問が不可欠ではないでしょうか。また、残り四十五人の裏金議員も政倫審に出席して、志のない議員の汚名を晴らしていただくべきです。政倫審での申立ての議決を強く求めます。

 さて、かつて、トラックドライバーは、きつくても稼げる仕事、三年頑張れば田舎で家を建てられると言われていました。過剰に物流コストを引き下げようと法制度を変えた結果、ドライバーの給与が大きく減少し、物流は、仕事がきついのに稼げない仕事になってしまいました。この分野でも政策の失敗を繰り返してきた三十年、失政に対して誰も責任を取らない三十年であったと言わざるを得ません。

 物流は、我が国の経済活動や豊かな国民生活を支える重要な社会インフラであり、物流が滞れば、国民生活に大きな影響が出ます。物流政策の失敗を続けるわけにはいきません。

 近い将来の物流は、生産性向上のため、パレットの標準化、ダブル連結トラック、鉄道などへのモーダルシフト、物流DXなどの取組が行われ、労働集約型の物流から資本集約型の物流に大きく変わります。政府として、いつまでに、どのように物流に携わる方々の所得を引き上げていくのか、どのような時間軸で、何を実現していきたいと考えているのか、各取組の目標年と計画をお示しください。

 二〇一八年に成立した働き方改革関連法に伴う労働基準法改正時に労働時間の制限が決まりましたが、トラックドライバーは五年間の猶予期間が設けられました。二〇二四年四月一日から、ドライバーの時間外労働を原則月四十五時間、年三百六十時間、特別な場合に年間九百六十時間以内に制限し、年間の拘束時間を三千三百時間以内に制限します。労働時間の制限により、二〇三〇年には、輸送能力が三四・一%、ドライバーは三十四万人相当が不足すると予測されています。

 二〇二四年問題に対し、政府は、規制開始一年前となる昨年三月にようやく重い腰を上げ、六月と十月に物流の政策パッケージを閣議決定しました。本年四月一日には、トラックドライバーの残業時間規制が始まります。残業規制開始が十日後に迫る中で、本法案改正の審議が始まります。なぜ、五年以上もの間、物流の諸課題に対応してこず、今頃になって議論をするのか、後手後手の対応となっていることを政府はどのように認識されているのか、伺います。

 物流の失敗を続けてきたことで、トラックドライバーは、ほかの産業と比較して二割ほど年間労働時間が長く、年収は一割ほど低くなっています。有効求人倍率も全職業平均の二倍以上と、深刻な人材不足に陥っています。長距離ドライバーによっては、週に一度しか家に帰れないという方も珍しくありません。残業も多く、肉体労働で、給料もこれから更に低くなるとなれば、離職率は自然と高くなります。日本の物流を守っていくには、物流の現場で働くドライバーの賃上げを確実なものにしていかなければなりません。

 本年二月、国交省の運輸審議会において、現在の標準的運賃よりも平均で八%引き上げるべきだとする答申がまとめられました。運賃が八%上がることはよいことですが、国交省から示された算出根拠には、人件費の時給増は含まれていませんでした。賃上げの流れを無視するかのように、逆に時給が下がることが示されていました。日本の物流を維持するためには、ドライバーの給与増が求められています。標準的運賃の八%増の算出根拠において、ドライバーの賃金は何%増になり、年収換算で幾ら上がるのでしょうか。

 今年の春闘で、三月十五日までに連合に回答が寄せられた組合の賃上げ率の平均は五・二八%となりました。元から低い賃金に設定されている業界は、これまで以上の賃上げが必要です。労働時間規制によって賃金が減るトラックドライバーの賃金上昇は必須です。岸田総理は、物価高以上の賃上げを実現する、成長と分配の好循環によって所得倍増と訴えていました。このままでは、岸田総理の発言は蜃気楼になってしまいます。

 これまで抑えられていたトラックドライバーの人件費の大幅増を実現するため、まず、適正な原価、適正な利潤を含んだ標準的運賃を設定すべきですが、現行の標準的運賃は令和元年の調査結果に基づき算出したものです。現在の物価動向から大きく乖離しています。標準的運賃八%増が見込まれていますが、インフレの中で適正な価格転嫁が行われるよう、標準的運賃の改正は毎年行うべきではないでしょうか。

 下請構造が多層化することにより、実際の運送を行うトラック事業者が適切な標準的運賃を受け取ることが難しくなっています。標準的な運賃は実運送事業者が収受すべき運賃水準であり、下請に発注する際の手数料は元々考慮されていません。多重下請の階層では、一階層当たり一〇%もの手数料が差し引かれている現実があります。四階層に及ぶ場合、手数料は四〇%、トラック事業者は標準的運賃の六〇%で仕事を請け負っており、適切な運賃とは言えません。

 物流業界において、荷主側の優越的地位が非常に強く、トラック事業者は交渉ができていません。これを象徴しているのが、中小企業庁が行った価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果です。トラック事業者は、全二十七産業中の価格転嫁ランキングで最下位でした。

 トラック事業者が適切な運賃を受け取るためには、一〇〇%の標準的運賃を最低運賃として受け取り、多重下請分の手数料は元請事業者が荷主と交渉するように制度設計をすべきではないでしょうか。

 人材不足の大きな要因の一つについては、倉庫の受入れ能力不足による長時間の荷積み、荷降ろしの順番待ちや商品の陳列などの附帯業務に対し、適切な対価が支払われていないことが挙げられます。人材不足を回避するには荷待ち、荷役の時間短縮と有料化が必要ですが、実態把握とかかる改善措置が図られていません。荷待ち、荷役等の附帯的な業務によって運送事業者が不当に扱われるような事例はないか、確認する必要があります。

 本法案で、荷待ち、荷役等の附帯的業務に対し適切な対価が支払われるのか、トラックGメンが具体的にどのような活動をするのか、御説明ください。

 現在の高速道路深夜割引は、零時から四時となっています。零時から四時に一分でもかかれば、三割引きが適用されます。割引を受けるために、高速道路の路上駐車やサービスエリアでの時間待ち等の諸課題が指摘されております。国交省の改善案では、二十二時から五時まで、走った分だけ三割引きが適用されることと提案しています。しかし、新しい制度が適用されると、長距離の高速料金はこれまでより高くなってしまう可能性が指摘されています。

 ドライバーの労働時間を制限し、過労死を減らしていくのであれば、高速道路の利用は促進されるべきです。物流二〇二四年問題の解決を国として応援していくのであれば、事業用の車両については、高速道路料金を常時三割引きにすべきではないでしょうか。

 高速道路のミッシングリンクが全国各地に点在しています。私の地元長野県では中部横断自動車道がミッシングリンクとなり、あと三十四キロつながれば、大型車も利用ができ、日本海と太平洋がつながります。

 日本全国において残業規制が始まれば、遠くの消費地に新鮮な農産物、水産物を運ぶことが難しくなります。物流を促進する観点から、全国でミッシングリンク解消に向けた取組を強化すべきではないでしょうか。

 先月二十七日、政府は、八トン以上の中型、大型トラックの高速道路における最高速度を、本年四月一日から、時速八十キロメートルから九十キロメートルへと引き上げる改正道路交通法施行令を閣議決定しました。

 二〇一六年三月の高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言では、大型貨物自動車の速度見直しについては、貨物の積載状況によっては走行が不安定になる場合があること、積載量に応じて制動距離が長くなること、ほかの車両より重量が大きいため、同一速度でも運動エネルギーが大きくなり、事故発生時に被害が重大化しやすいこと等の理由により、慎重な検討が必要であるとされていました。指摘された点が解決されたのか、甚だ疑問です。

 最高速度が九十キロになれば、事故の危険性も高まります。なぜ四月一日から最高速度を時速九十キロとするのか、どのような検証を行い、提言の懸念点が解決されたと判断したのか、お示しください。

 トラックの積載率が三九%と低迷しています。往復で荷物を積む状況をつくっていかなければ、日本の物流の非効率性は一向に改善しません。国土交通省として、積載率の目標値を、いつまでに何%といった具体的な数値として設定しているのか、また、かかる積載率向上に資する取組はどのようなことを行っていくのか、具体的に教えてください。

 二〇二二年、厚生労働省は、トラック、バス、タクシー事業者に対し、労働基準法による監督指導を行いました。その結果、八三%の事業者に労働基準法違反が認められました。

 トラックドライバーの労働時間制限は、会社の売上げ、トラックドライバーの賃金の減少に直結します。法改正がなされたとしても、中小企業はこれまでと同様に会社を守るため、労働者は賃金を確保するため、労働時間をごまかさざるを得ない状況が続いてしまうのではないでしょうか。中小企業がこれまで以上の売上げと賃金を確保しつつ労働時間を守ってもらえるよう、どのように指導するのか。また、どのようにして荷主から中小企業に適正な運賃を支払ってもらえるようにするのでしょうか。

 残業時間や拘束時間が規制されることにより始まる物流二〇二四年問題は、人材不足をどのように補っていくのか、物流の生産性向上を未来に向けてどのように引き上げていくのかの分岐点となります。私たち立憲民主党においても、物流プロジェクトチームを中心に、将来の物流の諸課題を荷主、物流事業者、国民の皆様とともに解決していくことをお約束し、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 神津たけし議員にお答えいたします。

 物流に携わる方々の所得の引上げと物流に関する取組の計画についてお尋ねがありました。

 まず、トラックドライバーの賃上げの原資となる適正運賃の収受に向け、標準的運賃の八%引上げを行うとともに、荷役作業の料金等を適正に収受できるようにすることで、初年度に一〇%の賃上げ効果を見込んでおります。

 また、先月の関係閣僚会議で、二〇三〇年度に向けた政府の中長期計画を策定し、デジタル技術の活用により、二〇三〇年度までに、一人当たりの荷待ち、荷役時間を年間百二十五時間以上削減することなどのロードマップを示しているところでございます。

 国土交通省としては、物流の持続的成長に向け、これらの取組を着実に進めてまいります。

 二〇二四年問題に対する政府の取組についてお尋ねがありました。

 平成三十年に時間外労働の上限規制を含む働き方改革関連法が成立したことを受け、この年、議員立法により貨物自動車運送事業法が改正され、標準的運賃と荷主に対する要請等の制度が設けられました。国土交通省において、これらの制度を速やかに運用し、浸透を図ってきたところでございます。

 また、国土交通省として、これまでも、自動化、機械化等の物流DXや、モーダルシフトなどによる輸送の効率化の推進、トラックドライバーの働き方改革の呼びかけなど、物流の課題に対し、必要な対策を講じてきたところでございます。

 その上で、昨年六月の政策パッケージと十月の緊急パッケージに基づき、必要な施策を講じているところでございます。引き続き、総合的な取組をしっかりと進めてまいります。

 トラックドライバーの賃上げについてお尋ねがありました。

 今般の標準的運賃の見直しにおいては、労務費や燃料費の上昇分を反映し、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価、下請手数料など新たな運賃項目を設定することで、初年度で一〇%前後の賃上げにつながると見込んでおり、相応の年収増が期待されると考えております。

 加えて、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、業界ごとの自主行動計画の作成、実施、さらに、この法案による物流の効率化や多重下請構造の是正に向けた規制的措置の導入を組み合わせまして、持続的で構造的な賃上げ環境をつくってまいります。

 標準的運賃の改正についてお尋ねがありました。

 国土交通省では、令和二年四月に現行の標準的運賃を告示し、荷主を含め、周知、浸透を図ってまいりました。

 その上で、令和四年度時点の物価動向について改めて調査を行い、これに基づいて、今月中に新たな標準的運賃を告示する予定としております。この新たな標準的運賃が、議員御指摘の八%の引上げを行うものでございます。

 これ以降の更なる標準的運賃の改正については、物価動向などを注視しながら、適切に対応してまいります。

 トラック事業者の最低運賃と下請手数料の取扱いについてお尋ねがありました。

 まず、トラック事業の取引は多種多様であるため、最低運賃を保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要と考えております。

 その上で、国土交通省としては、トラック事業者が適正運賃を収受できるよう、年度内に標準的運賃を引き上げるほか、下請手数料等を新たな運賃項目として設定しています。これは、実運送事業者が収受すべき標準的運賃に、元請事業者等が収受すべき手数料を上乗せした金額を荷主に求めるべきとの考えに基づくものです。

 これに加え、この法案において、実運送体制管理簿の作成を義務づけることによる運送体制の可視化や契約条件の明確化、トラックGメンによる悪質な荷主、元請事業者等への是正指導の強化によりまして、実運送事業者の適正運賃収受とトラックドライバーの賃上げに向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 荷待ち、荷役等の有料化とトラックGメンの活動内容についてお尋ねがありました。

 トラックGメンは、悪質な荷主等を監視し、荷主等による無理な配送依頼や運賃・料金の不当な据置きなどの不当な行為が認められた場合に、要請や勧告、公表といった是正措置を行うものです。

 さらに、この法案では、元請トラック事業者に実運送体制管理簿の作成を、荷主、トラック事業者双方に運送契約の書面化をそれぞれ義務づけることとしており、トラックGメンの活動の中で、これらの記載内容の確認が可能になります。

 これにより、トラックGメンにおいて、荷主等からの運送依頼、運賃・料金、実際の運送、これらの状況などを把握しやすくなり、悪質な荷主等への監視、指導を一層強化することができるものと考えております。

 高速道路の料金割引についてお尋ねがありました。

 高速道路においては、物流事業者など、利用する機会の多い車を対象に、時間帯や平日、休日にかかわらず、利用額に応じて最大四〇%割引する大口・多頻度割引を導入しています。

 また、この割引については、令和五年度補正予算を活用し、令和七年三月末まで、最大割引率を五〇%に引き上げることとしています。

 更なる割引の導入については、他の交通機関への悪影響が生ずる可能性や、高速道路の料金収入が減少することで安定的な債務返済が難しくなることなどの懸念があり、慎重に検討する必要があると考えています。

 高速道路のミッシングリンクの解消についてお尋ねがありました。

 高速道路ネットワークの整備により、農産物、水産物輸送の速達性向上や観光振興が図られるほか、災害時の代替性の確保により防災機能が強化されるなど、様々な効果が期待されます。

 しかしながら、全国には、いまだネットワークがつながっていない、いわゆるミッシングリンクが残っており、物流効率化の観点からも、この早期解消が重要です。

 引き続き、議員御指摘の中部横断自動車道を含む高速道路のミッシングリンクの早期解消に向けて、しっかり取り組んでまいります。

 トラックの積載率についてお尋ねがありました。

 二〇一九年度におけるトラックの積載率は三八%でしたが、この法案の施行後三年間で一六%向上させ、四四%とすることを目指します。

 これを達成するため、これまでに、業界、分野別の自主行動計画の作成を進めるとともに、令和五年度補正予算を活用し、貨物とトラックをマッチングする求貨求車システムの導入などによる帰り荷の確保の支援、物流データの標準化を通じた共同輸配送の促進などを進めてまいりました。

 また、この法案では、構造的な対策として、荷主等に対し積載率向上に関する努力義務を課すとともに、一定規模以上の荷主等に対しては、納品までのリードタイムの延長など、具体的な取組に関する計画作成を義務づけることとしています。

 これらの取組により、積載率向上を推進してまいります。

 中小企業における労働時間遵守、適正運賃収受についてお尋ねがありました。

 国土交通省としては、中小事業者を含むトラック事業者が賃上げ原資となる適正運賃を収受できるようにするとともに、ドライバーにおいて適正な労働時間と適正な賃金が両立する、そういう環境を整備することが重要であると考えています。

 そのため、標準的運賃の引上げや新たな運賃項目の設定、トラックGメンによる荷主等への監視体制強化や、物流効率化のための設備投資の支援、さらに、この法案による規制的措置の導入などにより、ドライバーの健康と安全を確保しつつ、賃上げ原資となる適正運賃収受を図ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣松村祥史君登壇〕

国務大臣(松村祥史君) 神津たけし議員から、高速道路の大型トラックの最高速度について御質問がありました。

 高速道路における大型トラックの最高速度の在り方については、昨年七月、警察庁において、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者検討会を立ち上げ、検討を行いました。

 その結果、大型トラックについては、交通実態として九十キロに近い実勢速度が確認されていること、そうした中でも安全装置の普及により交通事故件数や死亡事故率が減少していること等を踏まえ、九十キロを上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、法定速度を九十キロに引き上げることは可能という結論に至りました。

 これを受け、本年三月に改正道路交通法施行令が公布され、四月一日から、高速道路における大型トラックの最高速度が九十キロに引き上げられることとされました。

 引き続き、高速道路における道路交通の安全が確保されるよう、警察を指導してまいります。(拍手)

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議長(額賀福志郎君) 三木圭恵君。

    〔三木圭恵君登壇〕

三木圭恵君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵です。

 ただいま議題となりました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に関して、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 物流は、国民生活や経済を支える社会インフラであり、その重要性から経済の血液と例えられるほど、我々の生活に非常に重要な役割を担っています。

 しかしながら、物流で働くトラックドライバーの労働環境は、極めて厳しいと言わざるを得ません。トラックドライバーの労働時間は全職業平均より四百時間から四百五十時間長く、年間賃金は二十万円から六十万円ほど低いのが現状です。また、人手不足は全職業平均より約二倍高くなっています。そして、年齢構成は中年層の割合が四四・三%と、全産業の三四・七%を上回っています。

 過酷とも言える労働環境の下、自動車運転従事者の二〇二二年度の過労死等の労災補償状況も、脳・心臓疾患の請求件数では百四十四件と一位であり、二位の販売従事者の四十八件を大きく引き離しています。支給決定件数も五十七件と一位で、二位の十三件の約四倍となっています。

 トラックドライバーの労働環境改善は、待ったなしの状況と言えます。しかしながら、労働時間を短縮し収入が減ってしまっては何にもなりません。労働時間が短縮されても、以前と同様に収入を得ることが何よりも大事であると考えます。そして、中小零細企業で働くドライバーも、全職業の平均収入や労働時間に近づき、労働に見合う対価を受け取れるようにしなければなりません。

 いよいよ二〇二四年四月一日から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制を年九百六十時間とすることになりますが、トラックドライバーの手取り収入額は減らないのでしょうか。多くの中小零細企業のドライバーは、現在の時間外労働を行っても全産業平均よりも低い収入となっていることは述べましたが、更に収入が減ってしまうと生活が脅かされます。時間外労働をしてでも今の収入を維持したいドライバーがほとんどであると考えます。

 そこで、質問いたします。

 働く時間が規制されることにより、何も対策しなければ、トラックドライバーの収入が平均何%減ると政府は試算されていますか。また、政府が打ち出した政策パッケージの効果によって、トラックドライバーの収入が維持できるとお考えですか。仮に維持できないとすれば、何%収入が減るとお考えですか。お答えください。

 政府は、下請企業が適正な運賃を受け取ることができるように、令和五年六月に物流革新に向けた政策パッケージを発表し、その中で、標準的運賃制度の荷主企業等への周知徹底を強化し、荷待ち、荷役に係る費用、燃料高騰分、下請に発注する際の手数料等も含めて、荷主企業等に適正に転嫁できるよう、令和五年中に標準運送約款や標準的な運賃について所要の見直しを図ることとしました。なぜ、五年間という猶予があったにもかかわらず、このパッケージの発表が令和五年、つまり二〇二三年であったのでしょうか。もっと早い段階で二〇二四年に向けての対策を打つべきでした。

 そして、見直しをした結果、標準的な運賃が八%上乗せして改定されると聞いていますが、その改定がドライバーの収入を何%引き上げると試算されているのでしょうか。お答えください。

 たとえ標準的な運賃が支払われたとしても、業務を効率化できずに労働時間が短縮された場合、今までどおりの仕事量がこなせない可能性が出てくるのではないでしょうか。パッケージでも様々な労働時間短縮の方法が提案されていますが、どこの現場でも実行可能とは限りません。一人当たりの労働時間を短縮すれば、少人数で経営しているような会社であれば、すぐに人手不足になることが容易に考えられます。運よく人手を増やせたとしても、その分の収入を増加させるには、時間と、新たな仕事を獲得する営業能力、そして投資に係る資金力が必要となります。

 トラック会社はトラックを五台所有していることが企業としての条件ですが、トラック五台で家族経営をしているような小さな会社にとっては、労働時間の短縮は非常にきついものと言わざるを得ません。このままでは、労働基準法違反で摘発されるまで現状の労働時間のままで仕事を続けるか、会社を畳むかの二択ですと言われる経営者も多くいらっしゃいます。国交大臣として、このような小さな会社をどのように救済するおつもりなのか、お考えをお聞かせください。

 また、トラック業界は、中小企業と零細企業が九割を占めます。多重下請構造が最大の課題となっている現段階では、二次下請から三次下請、そして、ひどい状況下では六次下請、七次下請まで仕事が発注されています。実運送者が荷主の顔も知らず、直接交渉できる状況にないことがほとんどです。このような状況下では、標準的な運賃を適正に転嫁できないケースが多発するのではないでしょうか。元請の管理台帳から外されてしまうことも可能性としては大いにあり得ると考えますが、チェック体制は万全と言えますか。

 トラックGメンは、元請事業者の監視と、通報があったケースに対応するだけで十分と言えるのでしょうか。下請の小さな会社は、弱い立場から、荷主、元請事業者の言いなりにならざるを得ません。結局は、トラックGメンに声を上げることすらできないのではないでしょうか。トラックGメンは、上がってきた声に対応するだけでなく、自ら運送業者を見回り、視察を行い、受け身ではなく積極的に実運送業者の声を聞くことが必要と考えますが、見解をお伺いします。

 そして、実際に、標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会の資料では、契約額が標準的な運賃以上であるケースは令和四年度において一五%と、ほとんど守られていません。それどころか、標準的な運賃の七割以下で契約されるケースが五割を超えるという驚きの数字です。これでは、法的拘束力のない標準的な運賃の実効性は全くと言っていいほど担保されないのではないでしょうか。国交大臣の所見をお伺いします。

 そして、多くの下請会社からは、標準的な運賃を定めるよりも、法的実効力のある最低運賃を定めてほしいという声が聞かれますが、最低運賃を保障する制度の導入についてはどのようにお考えでしょうか。

 また、多重下請構造により、実運送事業者の適正な運賃の確保による賃金水準の向上のため、元請事業者等が実運送事業者を把握できるよう、台帳作成等に係る規制的措置等の導入を図るとありますが、荷主から引き受けた貨物の運送ごとに管理簿を作成することになり、元請企業の事務作業が負担になるとの懸念がありますが、いかがでしょうか。

 トラックドライバーの労働環境を改善し、適正運賃を受け取れるようにするためには、この多重下請構造をいかに是正していくかが重要になってくると考えます。

 一例として、米国では、輸送業務における関連法案によって多重下請構造を規制しています。これは、輸送事業と仲介事業とを同一の事業者が行うことを禁止し、運送事業者として業務を受託した場合は該当業務を再委託することを禁止する法案です。これにより、荷主、ブローカー、実運送業者の三者間の情報連携が義務化され、多重下請構造が解消されました。このことにより、横ばいであったトラック運転手の年収は年率二%で上昇するようになりました。

 日本においても、多重下請構造を是正するために規制を導入することが必要と考えますが、見解をお伺いします。

 次に、物流の効率化についてお伺いします。

 トラックドライバーの労働時間が規制されることにより、中継輸送を行い、今まで一人で運んでいた長距離輸送を二人体制で運ぶという方法があります。この場合、二人体制にすることによって、ドライバーの労働時間は短縮されるものの、人件費が倍かかることになりますから、輸送量を倍量してコスト削減をすることになります。輸送量を倍にするために、トラック車両を例えば十トン車から二十トン車に換えるなど、投資が必要になります。また、中継地点に拠点がある必要があり、なかなか中小零細企業には難しいと言われています。一社では長距離は難しいが、多くの関連企業で連携して荷物を輸送することも視野に入れる必要性があります。

 資金力に不安がある企業のために、国交省は、中継拠点の整備や企業間連携を進めるための仕組みづくりなどの役割が求められると考えますが、見解をお伺いします。

 荷主が取り組むべき措置として、ばら積み、ばら降ろしによる非効率な荷役作業を、パレットの利用により効率化させることがあります。十トンの荷物を手積みした場合、二時間から三時間かかるものを、パレットとフォークリフトで作業した場合は三十分でできるとされています。パレットの利用が促進されなかった理由は、パレットに回収などの経費がかかること、パレットの底の部分に空洞ができるため積載量が減ることなどが挙げられ、それが荷主の負担になるからだとされてきました。

 そもそも、荷役作業をトラックドライバーに課してきたことが、荷役作業に係る非効率化を荷主が放置してきた要因であると考えます。商慣行の見直しというのであれば、荷役作業をトラックドライバーの仕事にするのではなく、荷主の仕事として位置づけた方がより効率化が進むと考えますが、見解を求めます。また、物流効率化のための規制措置であるならば、なぜ努力義務にとどめたのか、その理由も併せてお答えください。

 次に、再配達率削減緊急対策事業についてお伺いします。

 政府は、三月五日から十五日までを期限として、持続的に再配達率を低く抑える仕組みづくりや、再配達率削減に資する先進的なDX、GXの取組に関する実証事業への支援を実施するとして、執行団体の募集を行っています。募集を行ったばかりですが、結果はいかがでしたか。ポイント還元を通じ、コンビニ受取等の柔軟な受取方法やゆとりを持った配送日時の指定等を促す仕組みを社会実装するとしていますが、消費者の消費行動の変容を促すためのこのような施策は、もっと早い段階で実施するべきではなかったのですか。なぜぎりぎりのタイミングの今なのか、理解に苦しみます。

 物流産業を魅力ある職場とするため、トラックドライバーの働き方改革に関する法律が二〇二四年四月一日から適用されることになりますが、そもそも、働き方改革関連法案は二〇一九年四月から順次実施されています。運送業は猶予期間が五年間適用されていましたが、この五年間を政府は有効に活用してきたのでしょうか。物流革新に向けた政策パッケージが昨年の六月、物流革新緊急パッケージが同十月です。二〇二四年が目の前に迫ってきて、慌てて様々な対応策を打ち出してきた感が否めません。

 効率化を促進する法案がやっと今日提出されましたが、今日は二〇二四年三月二十一日、働き方改革が実施されるまで、あと十日間しかありません。効率化を促進する法律が可決されても、即日に効果を発揮するわけではありません。だからこそ、五年間の猶予期間が設けられていたのです。

 輸送力に一四%の能力不足が見込まれるまま労働時間の規制の実施時期を迎えざるを得なくなったことは、政策上の失敗だったと言わざるを得ません。五年間もあれば、多重下請構造も荷主に対する規制も法的実効力をもって変化をもたらし、荷主や消費者の物流に対する意識変容ももっと進んでいたはずです。このままでは、働き方改革も物流の効率化も、中小零細企業の隅々まで行き渡らず、絵空事のようになってしまうのではないでしょうか。

 二〇二四年には一四%、二〇三〇年には三四%輸送力不足が生じる可能性が懸念されている状況で、物流を滞らせないことを優先し、トラックドライバーにしわ寄せが来るようなことはあってはならないことです。ネットで頼めば翌日に荷物が届いたり、スーパーに商品がそろっている状況は、当たり前ではありません。物流に関わる人たちの努力の結果なのです。

 政府には、今からでも真摯な姿勢で物流の問題に取り組んでいただくように切にお願いをし、最後に国交大臣の改革にかける決意を改めてお伺いして、私の質問を終えます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 三木圭恵議員にお答えいたします。

 労働時間規制の適用や政策パッケージの取組によるトラックドライバーの賃金への影響についてお尋ねがありました。

 時間当たりの賃金水準が現状のままであれば、労働時間の短縮に比例してドライバーの収入が減少することになります。

 こうした問題を回避し、トラック事業者の適正運賃収受とドライバーの賃上げを実現するため、この度、標準的運賃を見直したところであり、労務費や燃料費の上昇分を反映して運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価、下請手数料など、新たな運賃項目を設定することにより、初年度で一〇%前後の賃上げにつながると見込んでおります。

 加えて、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、業界ごとの自主行動計画の作成、実施、さらに、この法案による物流の効率化や多重下請構造の是正に向けた規制的措置の導入などを組み合わせて、適正運賃の収受を通じた持続的で構造的な賃上げ環境をつくってまいります。

 トラック事業者における仕事量についてお尋ねがありました。

 トラックドライバーの一人当たりの労働時間が短くなる中、これまでどおりの需要に応える輸送力を確保するには、物流の効率性、生産性を向上させる必要があり、このためには、荷主、物流事業者、消費者が協力して取り組む必要があります。

 このため、昨年六月の政策パッケージなどに基づき、トラックGメンの設置による荷主等への是正指導、標準的運賃の引上げ、業界、分野別の自主行動計画の作成、実施などを進め、直近の輸送力不足を補うとともに、物流の効率化に向けて、令和五年度補正予算等も活用しながら、即効性のある設備投資や物流DX、GXを支援しているところです。

 さらに、この問題は、年々深刻化する構造的な課題であるため、この法案により規制的措置を導入し、継続的な取組を進めることとしております。

 小規模トラック事業者への支援についてお尋ねがありました。

 国土交通省としては、中小トラック事業者の輸送の効率性、生産性を向上させるべく、荷役作業の機械化、自動化を進める機器の導入、車両を効率的に運用するシステムの導入など、即効性のある設備投資を支援しております。

 また、標準的運賃の引上げや、荷待ち、荷役などの新たな運賃項目の設定による適正運賃収受、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、さらに、この法案による荷主等への物流効率化のための取組の義務づけなどを組み合わせて、小規模トラック事業者を含めた、物流の持続的成長を図ってまいります。

 トラックGメンによる荷主等への是正指導についてお尋ねがありました。

 トラックGメンにおいては、昨年七月の設置以降、トラック事業者への電話調査や訪問調査、荷主への抜き打ちを含めたパトロールなど、トラック事業者の規模の大小にかかわらず、プッシュ型の情報収集等に取り組んでおります。

 また、昨年十一月と十二月を集中監視月間とし、適正取引の阻害行為が疑われる荷主等に対し、勧告、公表を二件、要請を百六十四件実施するなど、是正指導を大幅に強化しております。

 引き続き、関係省庁とも連携して、見回りや巡回なども含むプッシュ型の情報収集や是正指導に積極的に取り組んでまいります。

 標準的運賃の実効性と最低運賃の導入についてお尋ねがありました。

 まず、標準的運賃について、令和二年の制度開始以来、制度の普及率と実際に収受できた運賃の水準は、年々向上してきております。今後、更なる周知、浸透を図るとともに、運賃が不当に据え置かれる場合には、トラックGメンによる是正措置等を活用することにより、実効性の確保を図ってまいります。

 次に、最低運賃につきましては、トラック事業の取引は多種多様であるため、これを保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要であると考えております。

 実運送体制管理簿の作成に係る事務負担についてお尋ねがありました。

 この法案により、元請事業者は、荷主ごとに、実運送事業者の名称や下請次数、運送の内容などを記載した実運送体制管理簿を作成することになりますが、この法案において、これらの情報を実運送事業者から元請事業者に通知するよう措置しており、元請事業者から改めて調査する必要がないように配慮を行っております。また、既存の配車表を活用可能とするなどの対応を行い、元請事業者の負担をできる限り軽減するよう配慮したいと考えております。

 多重下請の制限についてお尋ねがありました。

 トラック運送業においては、運送需要の繁忙期、閑散期の差が激しいことから、このような需要に柔軟に対応するため、自社のドライバー不足を補ったり、荷主からの突発的な運送依頼に対応したりすることを目的として、一定の下請構造が生じているものと考えています。

 その上で、過度な下請構造は実運送事業者の適正運賃の収受を妨げていると考えることから、現在の取引実態や輸送の状況を踏まえつつ、現実に即した形でこれを是正していくため、この度、運送体制の可視化など、多重下請構造の是正に向けた取組を行うこととしたところでございます。

 中小企業の物流効率化に向けた取組についてお尋ねがありました。

 国土交通省では、昨年六月の政策パッケージ等に基づき、令和五年度補正予算等も活用しながら、中小事業者も含め、中継輸送拠点等の物流施設整備に対する支援、企業間で連携した物流効率化の計画策定や中継輸送等の運行経費に対する支援などを進めております。

 物流の持続的成長に向け、引き続き、中小事業者が多くを占める物流事業者の取組をしっかり支援してまいります。

 荷役作業の位置づけと規制の在り方についてお尋ねがありました。

 現在は、トラックドライバーが契約で定められていない荷役作業等を行っているという現場の実態が多く見られておりますが、トラックドライバーの賃上げに向けては、トラックドライバーがこうした荷役作業を行う場合に、これを含めて適正な対価を収受することができるようにすることが重要です。

 このため、契約の書面化を本法案に盛り込み、併せて標準的運賃に荷役の対価等を設定することとしております。これにより、荷主側が荷役時間を短くしたり荷役を自ら行ったりという効果も期待できます。

 また、この法案では、荷役時間の削減等について、中小零細事業者の負担等を勘案し、全ての事業者に対して努力義務とした上で、一定規模以上の事業者に対しては、中長期計画の策定等を義務づけて、取組が不十分な場合には事業所管大臣から勧告、命令等を行うこととし、実効性の確保を図っています。

 再配達率削減緊急対策事業の取組についてお尋ねがありました。

 この事業については、令和五年度補正予算成立後、速やかに必要な事務手続を行い、今月五日から十五日までの間、執行団体、すなわち補助金給付事務を行う事業者の募集を実施し、現在、選定手続を進めているところでございます。

 国土交通省としては、この事業を速やかに実施し、宅配、Eコマース事業者や関係省庁と連携して、再配達率の半減に向けて取り組んでまいります。

 五年の猶予期間における政府の取組と政策パッケージの発表についてお尋ねがありました。

 平成三十年に時間外労働の上限規制を含む働き方改革関連法が成立したことを受け、同年、議員立法により貨物自動車運送事業法が改正され、標準的運賃と、荷主に対する要請等の制度が設けられました。国土交通省において、これらの制度を速やかに運用し、浸透を図ってまいりました。

 また、国土交通省として、これまでも、自動化、機械化等の物流DXやモーダルシフトなどによる輸送の効率化の推進、トラックドライバーの働き方改革の呼びかけ、物流の課題に対し必要な対策を講じてきたところです。

 その結果、労働時間や賃金の全産業平均との差は縮まりつつあるなど一定の進捗を得た一方で、コロナ禍を経た近年の宅配需要の急激な増加なども相まって、二〇二四年問題への対応が喫緊の課題となっているところです。

 このような状況を踏まえ、昨年六月、政策パッケージを取りまとめるなど、政府一丸となって対応を加速したものであり、引き続きスピード感を持って取組を進めてまいります。

 二〇二四年問題に向けた各施策の実効性と、物流の問題に取り組む決意についてお尋ねがありました。

 政府として、二〇二四年問題への対応に向け、政策パッケージ等を決定し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容を柱として、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化や、業界ごとの自主行動計画の作成、実施、設備投資への支援、標準的運賃の引上げに加え、この法案による規制的措置の導入など、様々な取組を進めているところです。

 これらの取組を真に実効性あるものとし、トラックドライバーや特定の事業者等へのしわ寄せではなく、物流全体に変化をもたらすには、荷主、物流事業者、消費者が協力して取り組むことが不可欠です。国土交通省としては、荷主や物流事業者などの産業界、関係省庁と緊密に連携して、多くの方に協力いただきながら、二〇二四年問題への対応に全力を尽くしてまいります。(拍手)

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議長(額賀福志郎君) 國重徹君。

    〔國重徹君登壇〕

國重徹君 公明党の國重徹です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に関し、質問をいたします。(拍手)

 トラックドライバーの労働時間短縮により物流が滞ることが懸念される、物流の二〇二四年問題。働き方改革関連法に基づいて、来月からトラックドライバーの時間外労働の上限を年九百六十時間とする規制が適用されます。改善基準告示も改正、施行され、拘束時間の制限なども強化されます。

 我が国の物流の大部分はトラック輸送に依存しているところ、何も対策を行わなければ、二〇二四年度には輸送能力が約一四%、二〇三〇年度には約三四%不足するおそれがある。これは、民間のシンクタンクの試算です。

 日本経済の生命線とも言える物流をいかに維持していくのか。ここで留意すべきは、この議論の出発点が、これまでないがしろにされてきた現場のトラックドライバーの権利や健康状態、労働環境の改善にあるのであって、その切実な悲鳴を踏まえない議論や政策では、結局のところ、担い手不足は止められない、物流危機を乗り越えることはできないということであります。これを乗り越えるためには、一般消費者を含めた、物流プロセスに関わる社会全体の協力が必要です。

 公明党としても、党内に物流問題プロジェクトチームを設置し、これまで全国七か所の物流現場の視察を行い、関係者などからのヒアリングを重ね、それを踏まえた政府に対する提言の申入れなどを行ってきました。

 一方、政府は、昨年六月に物流革新に向けた政策パッケージ、十月にはその中から即効性の高い各種施策を取りまとめた物流革新緊急パッケージをそれぞれ策定し、取組を進めております。その上での今般の法改正となりますが、これまでの取組から明らかになった本質的な課題と本法案の狙い、期待される効果について、国土交通大臣の答弁を求めます。

 物流を維持するために最も重要な鍵になるのが、トラックドライバーの処遇改善、賃上げです。全産業で比較しますと、トラックドライバーの年間労働時間は約二割長いにもかかわらず、所得は約一割低い、つまり、ドライバーの時間単価は極めて低い状況にあります。賃金単価を上げ、残業時間が減ったとしてもそれなりに稼げる仕事にしていかないと、担い手不足は解消しません。

 現場のドライバーが適正な賃金を受け取れていない根本的な要因の一つが、多重下請構造です。運送業界において一定の下請が必要なことは理解しますが、余りにも下請構造が多重化し、それぞれの下請業者が手数料を中抜きすることによって実運送事業者が適正な運賃を受け取れない。その結果、現場のドライバーに適正な賃金が行き渡らない。この状況を何としても改善しなければなりません。

 今般の法改正では、多重下請構造を明らかにするため、元請事業者に実運送体制管理簿の作成を義務づけるほか、契約条件を明確にするために、荷主、トラック事業者、利用運送事業者に契約時の書面の交付などを義務づけています。

 ここで重要になるのは、これらの施策をどう効果的に活用し、多重下請構造の是正と適正な運賃収受につなげるかです。これに関する見解と、実運送体制管理簿に記載すべき具体的な内容について、国土交通大臣に伺います。

 さらに、実運送を伴わない、いわゆる水屋は、実運送体制管理簿では管理されないことになりますが、この水屋も多重下請による中抜き構造に関わっています。これらの実態を把握し、対策を講じる必要があると考えますが、国土交通大臣にこれに対する明快な答弁を求めます。

 トラックドライバーが長時間労働に陥る大きな要因が、本来業務の運転とは別に、荷物の積卸しのために待機をしたり、実際に手作業で荷物を降ろしたりする、長時間の荷待ち、荷役です。国交省の調査では、ドライバーの荷待ちや荷役の時間を把握している荷主は二割未満。物流の効率化には、物流事業者のみならず、荷主の意識、行動の変革が不可欠です。

 この点において、荷待ち、荷役時間の削減や積載率の向上を図るために、本法案ではどのような措置を講じているのか。規制の対象には大企業だけではなく中小企業も含まれるところ、新たな規制に伴う負担を軽減するための支援も必要と考えます。政府としてどのように取り組んでいくのか、国土交通大臣に伺います。

 荷主の意識と行動を変革するためには、トラック業界を所管する国土交通省だけではなく、荷主業界を所管する省庁の関与が不可欠です。具体的には、荷主に対し、余裕を持った納品リードタイムの確保や価格転嫁への対応を含む指導をするなどの取組が必要と考えます。荷主業界の多くを所管する経済産業大臣、農林水産大臣の見解を伺います。

 本法案の実効性を確保し、物流業界の抜本的な改革を行うためには、実態を的確に把握し、適切に対処するための監視体制の強化が必要です。

 この点、昨年七月に発足したトラックGメンが、プッシュ型の情報収集や悪質な荷主、元請事業者に対する勧告、要請等に取り組んでいます。その上で、本法案の施行によって、トラックGメンの役割と効果はどのように変化すると考えているのか。限られた人員の中で悪質な事業者に厳格に対処し、業界の改革を進めるためには、厚生労働省の荷主特別対策チームや中小企業庁の下請Gメン、公正取引委員会の優越Gメンなど、関係機関と有機的な連携を一層強化していく必要があると考えます。国土交通大臣の見解を求めます。

 物流の効率化という観点から、将来的には全ての物流がプラットフォーム上でマッチングできるようになることが理想と言えます。しかし、現状、物流業界にはアナログな配車システムが残っており、効率的な運行管理が難しく、復路の積荷も確保できずに積載率が上がらないという課題が生じています。

 これを、プラットフォームを活用することで、荷物とドライバーが簡易迅速にマッチングできるようにする、それにより共同輸配送も促進していくことが重要になります。この点、現在も様々な民間事業者が参入し、マッチングサービスを提供していますが、その普及には課題もあります。

 そこで、国土交通省としても、こうした課題を取り除き、取組を推進するため、物流情報の標準化を進めるとともに、システム開発や改修、関係事業者間での調整などの支援が必要と考えます。国土交通大臣の見解を伺います。

 結びに、物流改革において、二〇二四年は終わりではなく始まりにすぎません。官民挙げての総力戦で対策を講じていく必要があります。抜本的な物流改革に向けた政府の本気の取組を強く求め、私の質問といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 國重徹議員にお答えいたします。

 物流に関する課題、法改正の狙いと期待される効果についてお尋ねがありました。

 物流の二〇二四年問題の解決に向けて取り組む中で明らかになったのは、第一に、荷主、物流事業者、消費者、そして行政が協力して、社会全体としての取組が必須であること、第二に、この問題は、喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題でもあるため、継続的に対応していく必要があること、この二点です。

 このため、本法案においては、荷主、物流事業者に対する物流効率化の取組の義務づけ、トラック事業者等に対する多重下請構造の是正の取組の義務づけなどについて措置を講じます。

 既に取組を始めている運賃や取引の監視に関する施策に加え、こうした規制的措置により中長期的に継続して対策を講じることで、物流の持続的成長を図ってまいります。

 実運送体制管理簿及び契約時の書面交付についてお尋ねがありました。

 この法案により、元請事業者は、荷主ごとに、実運送事業者の名称及び下請次数、貨物の内容、運送区間等を記載した実運送体制管理簿を作成する義務が課せられます。これにより、元請事業者は実運送事業者が収受すべき運賃に下請手数料を上乗せした金額を荷主に求め、荷主は過度な下請構造の回避を運送事業者に求める環境が整備され、多重下請構造の是正が図られます。

 あわせて、荷主、トラック事業者等は、運送契約の締結等に際して書面の交付義務が課されます。これにより、トラック事業者が担うべき役務の範囲やその対価が明確化され、実運送事業者の適正運賃収受につながります。

 これらを通じて、適正な取引環境を実現してまいります。

 いわゆる水屋への対策についてお尋ねがありました。

 水屋と呼ばれる事業者のうち、荷主又はトラック事業者と運送契約を締結する利用運送事業者は、下請行為の適正化に係る努力義務が課される対象となるほか、トラックGメンによる是正指導の対象となります。

 また、これ以外の、運送責任を負わない、いわゆる取次事業者に当たる場合は、その取次ぎによって締結された契約の発注者が、同様の規制的措置の対象となります。

 この場合にあっても、この法案に基づき、運送体制の可視化や契約内容の明確化が進むことで、不合理な中抜きの排除にも資するものと考えております。

 このように、あらゆる施策を組み合わせて対応し、取引環境の適正化を推進してまいります。

 荷待ち、荷役時間の削減や積載率向上のための措置と、中小企業に対する政府の取組についてお尋ねがありました。

 まず、荷主に対しては、貨物の受渡しについてトラック事業者に指示できる立場にあることから、荷待ち、荷役時間の短縮や積載率向上に関する措置を講ずる努力義務を課し、倉庫事業者、トラック事業者等に対しては、各事業に応じた努力義務を課すこととします。また、一定規模以上の荷主、倉庫事業者、トラック事業者等に対しては、中長期計画の作成や実施状況の報告を義務づけ、取組が不十分な場合は勧告、命令等を行うこととしています。

 中小事業者に対しては、投資余力が十分でないことを踏まえ、必要に応じて、予算面での支援を重点的に実施してまいります。

 この法案を踏まえたトラックGメンの役割と効果、関係機関との連携についてお尋ねがありました。

 この法案では、元請事業者に実運送体制管理簿の作成を、荷主、トラック事業者双方に運送契約の書面化を、それぞれ義務づけることとしており、トラックGメンの活動の中で、これらの記載内容の確認が可能となります。

 これにより、トラックGメンにおいて、荷主等からの運送依頼、運賃・料金、実際の運送などの状況を把握しやすくなり、悪質な荷主等への監視、指導を一層強化することができると考えております。

 加えて、厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会などとも緊密に連携して、荷主等への是正指導を積極的に行ってまいります。

 共同輸配送に係る支援についてお尋ねがありました。

 二〇二四年問題に対応し、物流の持続的成長を実現するためには、共同輸配送の促進による積載率の向上を始めとした物流の効率化が重要です。

 このため、昨年六月の政策パッケージ等を踏まえ、共同輸配送に取り組む事業者に対するシステム改修の支援、共同輸配送の前提となる物流データ等の標準化の推進、貨物とトラックのマッチングを行う求貨求車システムの導入等による帰り荷の確保への支援などに取り組んでいるところであり、令和五年度補正予算も活用しながら、これらの取組を一層進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 國重議員の御質問にお答えします。

 荷主の意識、行動変革についてお尋ねがありました。

 物流の効率化に向けては、運送事業者のみならず、荷主の取組が極めて重要です。経済産業省は、荷主企業の多くを所管することから、物流の効率化に向けて、荷主の意識や行動の変革を積極的に促進していかなければならないと考えています。

 こうしたことから、これまでも、国土交通省、農林水産省と連携をして、納品リードタイムの確保や運賃等の適切な価格転嫁を含む運送契約の適正化など、荷主が取り組むべき事項を具体的に示したガイドラインを公表し、その取組を促すとともに、所管業界に対して、自主行動計画の策定と同計画に基づく取組の実施を要請してまいりました。

 また、荷主となる中堅・中小事業者に対しても、荷待ち、荷役等の時間の短縮に加え、積載率向上に資する設備投資やデジタル化を促進すべく、予算面での後押しを重点的に実施しているところであります。

 経済産業省としても、本法案に基づき、荷主に対する措置を一層強力に推進してまいります。(拍手)

    〔国務大臣坂本哲志君登壇〕

国務大臣(坂本哲志君) 國重徹議員の御質問にお答えいたします。

 荷主の意識、行動の変革についてお尋ねがありました。

 農林水産物、食品は、地方の産地から大都市等の消費地に多くが輸送され、その大宗をトラック輸送に依存しています。

 このため、農林水産省では、これまでも国土交通省等と協力し物流革新に向けた政策パッケージに基づく取組を進めてきたところですが、さらに、昨年十二月には、私を本部長とする農林水産省物流対策本部を設置し、関係団体の協力も得て、現場の課題解決に取り組んでいます。

 今後とも、国民一人一人の手元まで食品等を届け、食料安全保障に万全を期するよう、荷主の意識、行動の変革に積極的に取り組んでまいります。(拍手)

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議長(額賀福志郎君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、流通業務総合効率化法及び貨物自動車運送事業法一部改正案について質問します。(拍手)

 来月から、自動車運転者の時間外労働時間の上限規制が適用されます。トラック運転手は、他の産業と比べて長時間労働なのに賃金が低く、過労死は十四年連続でワーストワンです。しかも、適用される上限は年間九百六十時間、一般労働者の上限よりも二百四十時間も長く、過労死ラインを容認する水準です。

 今、物流の二〇二四年問題として、労働時間規制により輸送力が不足し、年間四億トンの荷物が運べなくなると叫ばれていますが、トラック運転手の健康よりも経済優先なのでしょうか。トラック運転手が過労死するような長時間労働をなくすことが目的ではないのですか。上限規制が一般労働者と同じ七百二十時間になるのはいつか、お答えください。

 トラック事業は、一九九〇年施行の物流二法で、需給調整の廃止など規制緩和がされました。事業者数は二〇〇七年に一・六倍の六万数千者に増え、過当競争による運賃の低下、長時間労働という劣悪な状態に置かれてきました。トラック事業の危機を招いた原因は、政府の規制緩和路線にあるという自覚と反省はありますか。

 今回、改善基準告示が改正されましたが、運転者が強く求めた休息期間十一時間は努力義務にとどまり、最低九時間とされました。しかも、宿泊を伴う長距離貨物運送については、一日の拘束時間、休息期間が現行と同じとされ、車両内ベッドを設置すれば更に拘束時間を延長できるなど、様々な例外や特例が設けられました。これで本当にトラック運転手の過労死はなくせますか。そもそも、長距離運送を前提としていることが問題です。その日のうちに帰宅できるよう、規制緩和で廃止された営業区域規制を復活させるべきです。

 四月から、高速道路での大型トラックの最高時速が八十キロから九十キロに引き上げられます。交通事故が減ってきているからと言いますが、これまで業界の要望があっても引上げを認めてこなかったのは、大型トラックの死亡事故率が普通乗用車と比べ高いからでした。この状況は変わったのですか。最高速度を引き上げ、より速く走り、より多く運ぼうとすることは、トラック運転手への身体的、心理的な負担が増し、働き方改革に逆行すると言わざるを得ません。

 次に、法案について伺います。

 トラック運転手の長時間労働を解決するためには、荷主や物流事業者への規制を強化することが不可欠です。今も貨物自動車運送事業法には荷主に対する勧告制度がありますが、長い間実績はなく、今年になって二件実施したにすぎません。今回新たに設ける荷主、物流事業者に対する努力義務は、どのような効果を期待し、どう実効性を担保するのか、伺います。

 トラック事業の多重下請構造の解決は喫緊の課題です。法案は、元請事業者に実運送体制管理簿の作成を義務づけますが、途中で中抜きされる実態が見える化されることが期待されます。一方、管理簿に記載されるのは下請事業者名のみであり、運賃や手数料の明記も必要ではありませんか。

 自らは運送手段を持たず、業者と荷物のマッチングをなりわいとする利用運送事業者の存在が、中抜きの温床となっています。ここに規制が必要ではありませんか。

 全業種の中で、労務費や燃料代などの価格転嫁が最もできていないのがトラック事業です。今般、政府は、標準的な運賃を引き上げると発表しました。運賃はトラック労働者の賃金の原資となるものであり、標準的な運賃を最低運賃とすべきではありませんか。

 終わりに、上限規制が来月始まるという今になっての法案審議とは、トラック運転手の働き方改革に政府が向き合ってこなかったことの証左です。一日も早く過労死をなくし、安心して働ける職場となるよう、本気で取り組むべきだと申し上げ、質問とします。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 高橋千鶴子議員にお答えいたします。

 まず、トラック運転手の長時間労働についてお尋ねがありました。

 議員御指摘のとおり、トラック運転手は、他の産業に比べ労働時間が長く、過労死の件数が多いことから、本年四月から適用される時間外労働の上限規制を前提として、トラック運送業を、適正な労働時間と適正な賃金が両立する魅力ある職場としていく必要があります。

 その上で、トラック運転手一人当たりの労働時間が短縮されることで、これまでのような形では輸送需要に対応できなくなることが懸念されています。

 国土交通省としては、トラック運転手の健康と安全を確保しつつ、物流の停滞が生じないよう、昨年六月の政策パッケージ等に基づき、産業界、関係省庁とも連携して取組を進めてまいります。

 トラック運送業の規制緩和についてお尋ねがありました。

 一九九〇年の規制緩和によって、事業者数が増加したことなどにより競争が激しくなり、事業運営が厳しくなった事業者もある一方で、新規参入が容易になるとともに営業の自由度も高まり、輸送サービスの水準の向上や多様化が図られたと承知しております。

 Eコマースの拡大、働き方改革の推進など、物流をめぐる状況は目まぐるしく変化しており、引き続き、事業者の営業の自由度を高めつつ、対応していく必要があります。

 その上で、国土交通省としては、昨年六月の政策パッケージやこの法案などに基づき、物流の持続的成長に向け、トラック運送業における適正運賃の収受と健全な競争環境の実現に取り組んでまいります。

 営業区域の規制緩和についてお尋ねがありました。

 平成十五年の貨物自動車運送事業法の改正により、現代の輸送需要に対応した運送サービスの提供や、帰り荷の確保による積載率の向上など輸送の効率化を図るため、営業区域制度が廃止されたものです。

 あわせて、その際、安全面を担保するため、民間の適正化事業実施機関の権限強化や、運行時間に関する規制の導入、違反事業者への罰則強化等を行ったところです。

 その上で、今後更なる効率化や担い手確保を図るためには、長距離での輸送需要に対して、ドライバーの日帰りも可能となる中継輸送の促進など、実態に応じて、様々な手法を取り入れていくことも重要です。

 国土交通省としては、トラックドライバーの健康と安全を確保しつつ物流を持続的に成長させるべく、現行制度の下、関係省庁、事業者等と緊密に連携して、しっかりと取り組んでまいります。

 高速道路の最高速度の引上げによるトラック運転手への負担についてお尋ねがありました。

 安全を大前提として最高速度を引き上げることは、物流の効率化に資する一方、走行速度が高くなることでトラック運転手の緊張度、疲労度が増加する懸念については、警察庁が開催した検討会において昨年十二月に取りまとめられた提言の中でも指摘されているものと承知しています。

 国土交通省としては、トラック運転手に過度な負担がかからないよう、適切な運行管理に向け、荷主や物流事業者等と連携して、しっかりと取り組んでまいります。

 荷主、物流事業者に対する規制についてお尋ねがありました。

 この法案では、荷待ち、荷役時間の削減や、積載率の向上を図るため、全ての荷主、物流事業者に対し、物流改善のための努力義務を課すこととしています。これに基づく事業者の取組状況については、国において指導助言と調査、公表を実施することとしています。

 また、一定規模以上の事業者には、中長期計画の作成や実施状況の報告を義務づけ、取組が不十分な場合は事業所管大臣から勧告、命令等を行うこととしています。

 さらに、昨年七月に創設したトラックGメンにより、荷主や元請事業者への監視体制を強化したところであり、厚生労働省等とも連携しながら、物流の適正化に向けて取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、関係省庁とも連携しながら、これらの措置の実効性確保を図ってまいります。

 実運送体制管理簿についてお尋ねがありました。

 実運送体制管理簿には、実運送事業者の名称及び下請次数、貨物の内容及び運送区間等を記載することとしています。

 運賃等を記載することについては、実運送事業者等の実際の運賃を把握した荷主等が、元請事業者等への発注額を引き下げたり、実運送事業者に安値で直接発注したりすることにより、全体の運賃水準の低下につながる懸念もあり、慎重な検討が必要であると考えています。

 その上で、この法案による契約の書面化等により、トラックGメン等が実運送体制とともにそれぞれの契約内容も把握することができるようになるため、これを通じて適切に対応してまいります。

 利用運送事業者についてお尋ねがありました。

 荷主又はトラック事業者と運送契約を締結する利用運送事業者については、この法案により下請行為の適正化に係る努力義務が課されるほか、トラックGメンによる是正指導の対象となっています。

 これらの措置により、取引環境の適正化を推進してまいります。

 標準的運賃の最低運賃化についてお尋ねがありました。

 まず、標準的運賃については、令和二年の制度開始以来、物流業界に年々浸透してきており、今後更なる周知を行うとともに、トラックGメンによる荷主の是正措置等を活用することにより、一層の実効性確保を図ってまいります。

 その上で、トラック事業の取引は多種多様であるため、最低運賃を保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要であると考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣武見敬三君登壇〕

国務大臣(武見敬三君) 高橋千鶴子議員の御質問にお答えいたします。

 トラック運転者の時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。

 トラック運転者の長時間労働を改善していくために、来月から、トラック運転者にも年九百六十時間を上限とする時間外労働の上限規制が適用されます。

 この上限は当分の間のものであり、できるだけ早期に一般則に移行できるようにするためにも、まずは、この水準の履行確保に取り組んでまいります。

 改善基準告示についてお尋ねがありました。

 本年四月から、改正後の改善基準告示が適用されます。今回の改正では、多様な勤務実態等を踏まえた例外規定を設ける一方で、全体としては、拘束時間を短縮するとともに休息時間を延長するなど、過労死等の防止に資する改正となっているものと考えます。

 厚生労働省としては、改正内容の周知や、監督指導を通じて、改善基準告示の履行確保を図り、トラック運転者の労働条件の改善に取り組んでまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣松村祥史君登壇〕

国務大臣(松村祥史君) 高橋千鶴子議員から、高速道路の大型トラックの最高速度について御質問がございました。

 高速道路における大型トラックの最高速度の在り方については、警察庁において、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者検討会を立ち上げ、検討を行いました。

 その結果、大型トラックの死亡事故率は普通自動車と比べて高いものの、この三十年間では約四割減少しており、そうした中、大型トラックについて、交通実態として九十キロに近い実勢速度が確認されていること、また、交通事故件数及び死亡、重傷事故件数が全車種と同程度減少していること等を踏まえ、九十キロを上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、大型トラックの法定速度を九十キロに引き上げることは可能という結論に至ったものであります。

 引き続き、高速道路における道路交通の安全が確保されるよう、警察を指導してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 長友慎治君。

    〔長友慎治君登壇〕

長友慎治君 国民民主党の長友慎治です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問します。(拍手)

 現在の日本の物流施策は、令和三年六月に閣議決定された総合物流施策大綱に沿って行われています。その総合物流施策大綱等に基づき、これまでも政府においてホワイト物流に向けた商慣行の見直しを進めてきましたが、実現できませんでした。

 今回の法案提出の大きな目的は、時間指定の縛りや荷役作業に対する荷主側の意識改革、多重下請による中抜き、対価を得られない荷物の仕分、陳列などの悪い商習慣の見直しです。今回の法案によって、その見直しが本当に実現できるのか伺います。

 さらには、二〇二四年問題に関する政府支援は、規模が小さ過ぎて意味がないとの声も上がっていますが、政府の見解を伺います。

 消費地への陸送距離が長い九州の産地では、農畜産物の海上輸送が増えています。運転手は船の中で休憩でき、労働時間を短縮することができます。コストや輸送日数などで課題はありますが、荷物を無事に送り届ける道を各地で模索中です。

 トラックなど自動車で行われている貨物の輸送を、より環境への負荷が低い鉄道や船舶といった輸送手段に切り替えるモーダルシフトという言葉は、一九八一年七月に旧運輸省が出した答申、長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向で初めて公式に使われて以来、既に四十年以上がたっています。しかし、これまで進んできませんでした。今こそ本気でモーダルシフトに取り組まなければ、物流問題は解決できません。モーダルシフトに対する政府の支援策をお示しください。

 二〇二四年問題で注目を集めるのが、トラック運転手の荷待ちや荷役作業です。両工程で計三時間以上も要し、長時間労働を招いているとして、政府は、一時間以上減らす二時間ルールを打ち出しています。農産物の産地でも、時間短縮の鍵を握るパレットの普及を始め、出荷体制の見直しが急務です。これからは、産地が運送会社の持続性を考えなければ、消費者に産品が届かなくなります。標準パレットの導入促進を始め、トラック運転手の荷待ちや荷役作業を減らすため、どのような対策を講じていく考えか、教えてください。

 気象に左右される生鮮品を産地から消費地へ届ける上で、物流の停滞は、品質低下や販路減少などにつながる懸念が大きいです。発荷主から消費地までのコールドチェーンの確保などについて、発荷主側に過度な負担が生じないよう政策的な支援も重要ですが、その施策について伺います。

 そもそも、物流業界は、建設業界に次いで二番目に女性の就業率が低い業界と言われています。人材確保の観点からも、女性が働きやすい職場環境をつくることが急務です。荷役作業の軽減、勤務体系の見直し、施設環境の見直しなど、物流業界での女性の活躍を推進するための施策についてはどのように取り組むのか、お示しください。

 飲食業や運送業でつくる業界団体から、荷物の搬入時などに駐車を認める基準が明確でないとして、統一するよう要望が出ています。道路交通法は、警察署長の許可を受ければ駐車禁止部分でも駐車でき、荷物を搬入中のトラックなどが駐車許可を得るケースがある一方、地域によっては、前例がないなどの理由で認められないことがあるようです。団体からは、認可基準が判然としないとの指摘が上がっていますが、政府の対応を伺います。

 将来の物流を支えるため、私たち消費者にもできることがあります。二〇二四年問題を自分事として捉え、消費者の意識や行動を変えることで、トラックドライバーを始め物流に大きな負荷がかかる状況を改善していくことができます。送料無料を当然視せず、サービスには相応の費用がかかることを国民全体で理解することが必要ですが、どのようにこの機運を醸成していくのか、伺います。

 運送事業者からは、高速道路料金をもらえないため下道を走るしかなく、長時間労働を招いているなどの声が聞かれます。日本の高速道路は対距離制料金となっていますが、高速道路料金を、一回利用当たりワンコイン五百円乗り放題の定額制にすれば、物流の生産性向上や、多くの高速道路利用者の負担が軽減でき、地方、利用者、日本経済にとっても大きなメリットがあります。政治判断で実現できる政策ですので、是非、他の公共交通機関の支援とセットで決断いただきたいと思いますが、見解を伺います。

 働き手の中心を担う年齢層が地方から減少すると、物流の維持が困難になります。物流問題を解決するためには、少子化対策の強化と東京一極集中の是正が喫緊の課題です。しかし、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いたあたりから、また東京一極集中が加速しています。政府は、二〇二七年度に地方と東京圏との転出転入者数を均衡させる目標を掲げていますが、実現への道筋は見えません。国土交通省として、地方の過疎化の加速を止める手だてをお示しください。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 長友慎治議員にお答えいたします。

 荷主側の意識改革、商習慣の見直し及び政府による支援についてお尋ねがありました。

 この法案では、荷主等に対し、荷待ち、荷役時間の削減や納品までのリードタイムの延長等の努力義務を課した上で、一定規模以上の荷主等には、具体的な取組に関する計画の策定等を義務づけることとしています。また、元請のトラック事業者に対し、多重下請構造の是正に向け、実運送体制管理簿の作成を義務づけることとしております。

 さらに、この法案に基づく取組と併せ、既に開始している取組、例えば、業界、分野別の自主行動計画の作成や、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、標準的運賃の引上げ、荷待ち、荷役の対価等の新たな運賃項目の設定など、あらゆる施策を総動員して、荷主の行動変容や商慣行の是正に取り組んでまいります。

 政府による支援につきましては、令和五年度補正予算及び令和六年度当初予算案に、物流の効率化や荷主、消費者の行動変容などに必要な額を計上しております。これにより、標準仕様パレットやトラックバースの予約システムの導入など、荷主側への支援も含め、引き続き、関係省庁と連携して、必要な支援に取り組んでまいります。

 モーダルシフトに対する政府の支援策についてお尋ねがありました。

 二〇二四年問題に対応するため、トラック輸送から船舶や鉄道へのモーダルシフトを、これまで以上に強力に推進する必要があります。

 このため、昨年十月の緊急パッケージでは、官民での議論を踏まえ、内航海運や鉄道貨物の輸送量を今後十年程度で倍増させることを目指すこととしました。

 これを受けて、令和五年度補正予算等を活用して、モーダルシフトを進めるための計画策定や大型コンテナ導入、内航海運や鉄道貨物の拠点機能強化などの支援を進めることとしております。

 こうした支援を通じて、産業界、関係省庁と連携して、モーダルシフトを推進してまいります。

 標準パレットの導入などによる荷役作業の効率化についてお尋ねがありました。

 トラックドライバーにとって、長時間の荷待ち、荷役作業は大きな負担です。このため、荷待ち、荷役作業の削減に向けて、手荷役解消につながる標準仕様パレットの導入や段ボール箱の規格見直し、荷待ち時間の削減につながる、貨物の積卸し場所、トラックバースの予約システムの導入などを進めていくことが重要です。

 国土交通省では、令和五年度補正予算も活用して、これらの取組を支援しており、今後とも、関係省庁とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。

 物流業界での女性活躍の推進についてお尋ねがありました。

 二〇二四年問題に対応するためには、物流業界において、女性を含めた多様な人材を確保していくことが重要です。

 このため、時間外労働の上限規制の適用による労働条件の改善に加え、国土交通省としては、荷役作業の負担軽減に資する機械などの導入支援、業界で活躍する女性ドライバーの生の声や事業者による先進的な取組などの発信、ホワイト物流推進運動など、事業者における職場環境改善に向けた取組の後押しなどを進めております。

 関係省庁、産業界とも連携して、これらの取組を一層強化し、物流産業における女性を含む多様な人材の確保に取り組んでまいります。

 次に、高速道路料金についてお尋ねがありました。

 高速道路料金については、利用者の負担の公平性を確保する観点から、利用度合いに応じて料金をお支払いいただく対距離制を基本としています。

 御提案のワンコイン五百円乗り放題の定額制を導入した場合、長距離利用の料金が安くなるメリットがある一方で、その結果として、他の交通機関への悪影響が生じること、短距離利用の料金が高くなることで一般道路の渋滞が発生すること、高速道路の料金収入が減少することで安定的な債務返済が難しくなることなどの可能性が懸念されます。

 このため、直ちにこれを実行することは困難であり、メリット、デメリットを比較考量した上で、慎重に検討していく必要があると考えております。

 最後に、地方の過疎化の加速を止める手だてについてお尋ねがありました。

 東京一極集中は、地方の人口減少、流出による利便性の低下や、担い手の減少も含む地域産業の弱体化などをもたらし、地方の過疎化にもつながる重要な課題であると認識しています。

 これを踏まえ、昨年決定した新たな国土形成計画では、地方が直面する未曽有の人口減少、少子高齢化等の危機を乗り越えるため、「新時代に地域力をつなぐ国土」を目指す国土の姿として掲げました。

 この実現に向け、国土交通省として、地方における企業立地促進のための環境整備や、地方移住、二地域居住の促進による地方への人の流れの創出、拡大、地域生活圏の形成などを通じた地域課題解決と魅力向上などを、関係府省と連携して推進してまいります。(拍手)

    〔国務大臣松村祥史君登壇〕

国務大臣(松村祥史君) 長友慎治議員にお答えをいたします。

 道路交通法による駐車許可について御質問がございました。

 貨物集配中の車両の駐車スペースの確保は、物流の効率化のための課題の一つであり、警察におきましては、駐車場の整備等について地方自治体等への働きかけを推進してきたほか、駐車禁止規制の対象から貨物集配中の車両を除外するといった駐車規制の見直しを進めております。

 また、御指摘の駐車許可につきましては、駐車禁止場所であっても駐車することを可能とするものですが、その判断については、交通に与える危険等を考慮に入れた全国ほぼ同一の要件の下で、警察署長が行っているものでございます。

 この駐車許可について、これまでも様々な御指摘がございました。申請される方の負担軽減の観点から、駐車が可能となる時間と場所の柔軟な設定や申請手続の簡素化に取り組むなど、その運用の改善に努めてまいりましたが、今後、運用の実態を調査するとともに、関係団体の御意見を伺うなどし、取扱いの斉一化を更に図ってまいります。

 引き続き、国土交通省を始めとする関係機関と連携しながら、貨物集配中の車両に配慮したきめ細やかな取組を推進するよう、警察を指導してまいります。(拍手)

    〔国務大臣自見はなこ君登壇〕

国務大臣(自見はなこ君) 長友慎治議員より、送料無料表示についてお尋ねがありました。

 物流二〇二四年問題については、消費者庁としても取組を進めており、昨年十二月、送料無料表示の見直しに関する消費者庁の考え方を公表いたしました。

 その中で、事業者が送料無料などと表示する場合は、物流サービスには相応の費用がかかることにつき消費者の理解が促進されるよう、表示についての説明責任があることを明らかにいたしました。

 具体的には、送料当社負担や送料込みなど、送料負担の仕組みを表示すること、また、送料無料表示をする場合には、その理由、仕組み等を分かりやすく説明することを示しました。

 消費者庁としては、物流問題について消費者の理解が促進されるよう、引き続き、関係事業者等の自主的な取組を促していくとともに、その取組状況をフォローアップしてまいります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  武見 敬三君

       農林水産大臣  坂本 哲志君

       経済産業大臣  齋藤  健君

       国土交通大臣  斉藤 鉄夫君

       国務大臣    自見はなこ君

       国務大臣    松村 祥史君

 出席副大臣

       国土交通副大臣 國場幸之助君


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