衆議院

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第24号 令和6年4月25日(木曜日)

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令和六年四月二十五日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十八号

  令和六年四月二十五日

    午後一時開議

 第一 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 日程第一 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 衆議院規則の一部を改正する規則案(議院運営委員長提出)

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第百七十九番、九州選挙区選出議員、川内博史君。

    〔川内博史君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(額賀福志郎君) 去る二十三日、議員宮澤博行君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

    ―――――――――――――

    辞職願

  今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   令和六年四月二十三日

          衆議院議員 宮澤 博行

  衆議院議長 額賀福志郎殿

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 宮澤博行君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第一、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長長坂康正君。

    ―――――――――――――

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔長坂康正君登壇〕

長坂康正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、二地域居住の普及等による広域的地域活性化のための基盤整備を推進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、市町村は、都道府県と連携し、特定居住促進計画を作成することができることとし、同計画に定められた事業に対し関係法律の特例措置を講ずること、

 第二に、市町村は、二地域居住の促進に取り組む民間法人を特定居住支援法人として指定できること

などであります。

 本案は、去る四月十六日本委員会に付託され、翌十七日斉藤国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十九日質疑に入り、同日質疑を終了いたしました。質疑終了後、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第二、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長星野剛士君。

    ―――――――――――――

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔星野剛士君登壇〕

星野剛士君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における銃砲をめぐる情勢に鑑み、電磁石銃を銃砲に追加するほか、ライフル銃の範囲を拡大するとともに、銃砲等の発射及び所持に関する罰則を強化する等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る四月十六日本委員会に付託され、翌十七日松村国家公安委員会委員長から趣旨の説明を聴取しました。次いで、十九日に質疑を行い、質疑終局後、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第三、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長田野瀬太道君。

    ―――――――――――――

 学校教育法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田野瀬太道君登壇〕

田野瀬太道君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、専修学校における教育の充実を図るために必要な措置を講ずるものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、大学等との制度的整合性を高めるための措置として、専門課程の入学資格について、大学の入学資格と同様の規定に改めること、

 第二に、専門課程修了者の学修継続の機会確保や社会的評価の向上のための措置として、一定の要件を満たす専門課程を置く専修学校に専攻科を置くことができることとすること、

 第三に、教育の質の保証を図るための措置として、大学と同等の項目での自己点検評価を義務づけること

などであります。

 本案は、去る四月十六日本委員会に付託され、翌十七日、盛山文部科学大臣から趣旨の説明を聴取し、質疑に入りました。十九日に質疑を終局し、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

井野俊郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 議院運営委員長提出、衆議院規則の一部を改正する規則案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(額賀福志郎君) 井野俊郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 衆議院規則の一部を改正する規則案(議院運営委員長提出)

議長(額賀福志郎君) 衆議院規則の一部を改正する規則案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長山口俊一君。

    ―――――――――――――

 衆議院規則の一部を改正する規則案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口俊一君登壇〕

山口俊一君 ただいま議題となりました衆議院規則の一部を改正する規則案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 今回の改正は、経費の節減及び議員活動の利便性の向上、情報提供の充実等に資するため、委員会報告書及び請願文書表等について電磁的記録の提供その他の適当な方法により各議員に提供することとするものであります。

 なお、施行日は、次の常会の召集の日であります。

 本規則案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件の趣旨説明

議長(額賀福志郎君) この際、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣上川陽子君。

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) ただいま議題となりましたグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、令和五年一月から英国及びイタリアとの間でこの条約の交渉を行い、その結果、令和五年十二月十四日に東京において、三か国の代表により、この条約の署名が行われました。

 この条約は、GCAPの管理等を我が国、英国及びイタリア三か国のために行うことを目的とする国際機関として、GCAP政府間機関を設立するものです。

 この条約の締結により、三か国の政府間の協業及び三か国の政府と民間企業との間の協業を一元的に管理し、及び運営する体制が構築されることとなり、GCAPの事業の円滑な実施に資することが期待されます。

 また、こうした取組を通じ、新たな技術を利用することによる相互の防衛能力の向上、我が国の繁栄及び安全保障並びに国際的な影響力への寄与が期待されます。

 以上が、この条約の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑

議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。篠原豪君。

    〔篠原豪君登壇〕

篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。

 会派を代表し、グローバル戦闘航空プログラム、いわゆるGCAPの政府間機関、GIGOの設立に関する条約について質問させていただきます。(拍手)

 その前に、四月二十日に発生をしました海上自衛隊所属のSH60Kヘリコプター二機の墜落によって、二十五日午前九時現在、一名が死亡、七名が行方不明と報じられております。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げますとともに、行方不明の方々の本当に一刻も早い救助を心よりお祈り申し上げます。

 それから、同時に、自衛隊のヘリの事故がこの間続いておりますので、このことを踏まえて、政府に対しましては、徹底した原因究明と再発防止策を求めます。

 さて、本件は、二〇三五年頃から退役開始予定のF2戦闘機の後継機FXについて、二〇二二年十二月、日本、英国、イタリア三か国が発表したグローバル戦闘航空プログラム、GCAP、その実現に向け、日本の三菱重工業、英国のBAEシステムズ、イタリアのレオナルドの民間三社が開発を行う予定となっております。主にその管理を行う政府間機関を設立するための条約の審議をさせていただくものでございますが、これは、初めて日本が同盟国のアメリカ以外との戦闘機を造ることになりますので、その是非と評価について伺ってまいります。

 まず、FSXの苦い教訓についてです。

 戦闘機の国際共同開発は、これが二件目です。

 一件目、一九八七年十月、米国と合意した次期支援戦闘機FSXの日米共同開発では、我が国は極めて苦い経験がございます。ですので、今回の国際共同開発は、その教訓がどこまで生かされているのか、これがまず問われます。

 我が国は、一九八〇年代にFSXの自主開発を検討しました。しかし、米国は、自国のF16戦闘機の購入を迫りましたので、結局、F16をベースにした日米共同開発を受け入れる結果となりました。しかし、三千二百億円を超えた開発費でしたが、これは全て日本が負担をするということになりました。

 問題は、日本側の技術は全てただで米国に提供する一方で、基幹部分の設計は米側が担当し、そして、その部分は日本側には開示されなかったため、改修すら自由にできず、運用面でも制約があったとのことです。

 そこで、まず、FSXの教訓をどのように総括しているのか伺います。そして、この教訓を踏まえ、今回の開発にそれをどう生かしていこうと考えているのか、防衛大臣のお考えをお聞かせください。

 次に、自主開発の問題について伺います。

 日本が自主開発にこだわるのには、大きな理由があります。

 第二次世界大戦後、日本は、航空機の生産を一切禁止され、航空機産業も全て解体されました。それが解除されたのが一九五二年のことです。しかし、ハイテクの塊である戦闘機を開発する技術基盤を失った影響は大きく、そこから航空自衛隊の戦闘機の選定には、これは開発もそうですけれども、米国主導となり、ようやく一九七七年に導入をしたF1が自衛隊初の国産戦闘機となりました。このことから、後継機のF2、またその後継機となるFXも、日本独自の自主開発の思いが一部に強かったものと聞いています。

 実際、防衛省は、二〇一五年に、国産開発を視野に、日本独自の試験用戦闘機エンジンを載せた先進技術実証機の心神を初飛行させました。そして、三十回以上の飛行実験を行い、国産エンジンやステルス性など、基本性能を確かめるところまでやっています。しかし、そこまで努力しながら、政府はなぜ自主開発を断念したのでしょうか。

 そこで、心神の開発目的、そしてその意義は何だったのか、これも含めて防衛大臣にお伺いいたします。

 次に、第六世代の戦闘機の開発能力について伺います。

 日本には、戦闘機や無人機など、最先端兵器を独自に開発できる能力は一定程度あるとされています。

 その一方で、今回の後継機FXに求められるのは、F35など現在最先端の第五世代を大きく上回る戦闘航空能力を持つ第六世代の戦闘機の開発です。第六世代では、無人機や人工衛星と連携した高度な情報ネットワークを土台とし、収集した大量のデータをAIが解析します。それを基に無人機が攻撃を担うという、高度ネットワーク戦闘を実現することが求められます。

 仮に自主開発を決断するのであれば、高度ネットワーク戦闘能力のある戦闘機を二〇三五年までに開発する技術、生産基盤を国内防衛産業が現時点で持っていることが前提条件になりますが、政府は、そうした基盤を日本も実は持っているということを評価しているのか、このことについて防衛大臣にお伺いします。

 その上で、F2戦闘機の後継機の国産化を断念した背景には、当時、三菱重工業が、税金も投入したMRJ開発に苦戦をしていましたので、その状況もあったので、能力はあるけれども自主開発はリスクが大きいと判断したのか、このことについてもお伺いいたします。

 日米共同開発の問題についても伺います。

 自主開発の断念を受けて、ロッキードは、米空軍の高性能ステルス戦闘機F22をベースに、F35の電子機器を搭載する案を提示しています。性能に注目すると、ステルス性が高くて世界最強とも称されるF22の機体にF35の電子機器などを搭載する案は魅力的なわけです。そのためか、二〇二〇年三月には、米国と共同開発をする方向で最終調整に入ると報じられました。

 しかし、FSXのときの教訓では、米側が戦闘機技術の機密情報を開示しなくて、機体の能力向上の改修が事実上できないことは明らかだったはずなんです。結果的に、ロッキード案は、秘匿情報が多く、配備後も国内で自由に修理するのが難しいと判断をされて、英国とイタリアとの共同開発に方針を転換しました。この当たり前なことに、なぜ当初、日米共同開発にこだわったのか、その当時の状況と政府の考え方をお聞かせください。

 二〇二一年になると、英国との共同開発に転換する様々な兆候が見えてきます。これは、二〇二〇年十一月のアメリカ大統領選挙においてトランプ大統領が敗北をして、そしてバイデン大統領に政権が替わったことが方針転換にどう影響したのかということでございますので、このことについても防衛大臣にお答えいただければと思います。

 次に、対米武器技術の供与の問題についてです。

 対米武器・武器技術供与に関する交換公文について、政府は、米国から移転要求があった場合、実際に移転をするか否かは政府が主体的に判断すると答弁をしています。しかし、FSXの共同開発の際にも同じ答弁をしながら、実際には、三菱重工などが持つ複合材料を使った主翼の一体成形技術を米側が自由に利活用するということを認めたため、三菱重工には日本政府がその対価を支払っています。

 今回、日英伊三か国が共同開発を発表した二〇二二年十二月、米国は、その発表に合わせて、次期戦闘機と連携する無人機を日本と共同研究すると表明をしました。当然、戦闘機と一体運用される無人機の開発には、次期戦闘機の詳細を米側に提供することが不可欠です。つまり、提供を主体的に判断するといっても、それは単なる建前となるのではないでしょうかということです。また、そうした情報は、FSXのときと同様に、無償で米国に提供されることになるのか、外務大臣のお考えをお伺いいたします。

 次に、日英伊以外の参加国についてです。

 日英伊以外の参加国として、サウジアラビアやドイツが参加を希望している、これらの国が参加を希望しているとの報道がございます。これは、いつ、どのような形で決定されるのか、そして、その際の我が国の態度とその理由について、どうしていくのかということについても、外務大臣の御見解を伺います。

 次に、日本主導の国際共同開発の重要性についてです。

 我が国と英国、イタリアは、それぞれ、二〇三五年頃に配備を目指す次期戦闘機の開発プログラムを有し、開発時期が重なるため、対等な立場で開発に参加することができます。また、開発費を分担することで、総額五兆円を超えると言われる経費負担も軽減されるものと期待しています。

 しかし、日本が目指す次期戦闘機の要求性能を満たすためには、我が国が主導権を確保することが重要です。その意味において、開発の司令塔の役割を担う日英伊三か国の共同企業体の本社機能が英国に置かれ、さらに、それを監督するGIGO本部も英国に置くのは、日本主導の後退になるのではないのかといった声も上がっています。なぜ日本に本部を置こうとしなかったのか、外務大臣の認識を伺います。

 次に、GIGOへの職員派遣についてです。

 国際的にも、日本の自衛隊は、他国の軍隊と比べて幕僚の比率が高いと言われています。既に千二百十人の司令部要員を抱えながら、新たに統合作戦司令部を新設して、二百四十人が付加されようとしています。中央にこれほどの数の幹部を集めるのは問題ではないでしょうかということです。このことについて、防衛大臣にお伺いします。

 さらに、来年秋頃にはGIGOが設立されますが、日英伊からそれぞれ約百名、若しくはそれ以上の政府職員を派遣するとされています。特に、その実施機関の初代長官には日本人が就任することになっていますので、四つ星や三つ星の将官が当てられることになるのか、あるいは、日本側から派遣されるのはどういう体制になるのかということなので、政府と民間からの出向など派遣の全体像を、防衛大臣にお示しいただければと思います。

 また、これほど多くの幹部職員を長期に派遣することで、自衛隊の人事管理は成り立つのかという疑問、心配の声が政府内外からも聞こえています。今回の件で、現場の部隊がますます手薄になることに本当に危機感があるとされていますので、そのことにもどう対応されていくのかということをお伺いします。

 最後に、武器輸出の問題についてお伺いをします。

 政府は、三月、GCAPに関わる完成品の、我が国からパートナー国以外の国への直接移転を可能とする閣議決定を行い、武器輸出に係る長年の基本方針を転換いたしました。

 しかし、武器輸出三原則に代表される政策は、平和国家としての日本の基本政策であり、与党の密室協議だけで転換するべきものではありません。武器輸出は極めて慎重であるべきで、改変には国民的な合意が不可欠だと思います。

 現時点では、輸出可能な対象は次期支援戦闘機に限られ、その他の共同開発品は今後個別に判断することになっています。また、部品や汎用品、その技術等の取扱いも問題がありますので、改めて、国会において問題点を洗い直し、武器輸出に関する基本政策をまとめるべきだと考えますが、そうした努力の積み重ねをしていく意思があるのかどうか、政府、防衛大臣にお伺いいたします。

 最後に、国民の皆様におかれましては、立憲民主党は、平和主義を堅持しつつ、すぐにも政権を担うに足る現実的な安全保障政策を持つ政党であることを御理解いただくとともに、国民各層の幅広い御支持をいただき、政権交代に向け努力することをお約束し、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 篠原豪議員にお答えいたします。

 対米武器技術供与についてお尋ねがありました。

 次期戦闘機に連携する無人機の開発の在り方は、現時点では決まっておりません。国際協力も視野に検討を進めてまいります。

 その上で、御指摘の二〇〇六年に米国と締結した武器及び武器技術の供与取決めは、共同開発等を目的とした武器及び武器技術等の日本から米国に対する供与に関する手続等について定めたものでありますが、米国に対する供与の義務を定めたものではありません。

 したがって、仮に、日英伊の共同開発の成果について、日米間のインターオペラビリティー確保等のために米国から提供の要求があった場合には、実際に移転するか否かは、防衛装備移転三原則等に沿って我が国政府が主体的に判断することとなります。仮に米国に供与を行う場合の条件についても、個別具体的に判断をすることとなります。

 日英伊以外の参加国についてお尋ねがありました。

 一般論として、GIGO設立条約上、日英伊以外の国がGIGOに加入することは排除されていませんが、現時点で、日英伊以外の国がGIGOに加入することは想定されていません。

 その上で申し上げれば、この条約の締結後に新たな国がGIGOに加入するためには、条約の規定に従って条約を改正する必要があり、我が国においては、改めて条約の改正につき国会の承認を求めることとなります。

 GIGOの本部の所在地と我が国主導の開発との関係についてお尋ねがありました。

 GCAPの実施に向けて、三か国間での協業が不可欠であり、協業体制を構築するに当たっては、バランスの取れたものとなるよう、三か国で協議を行ってきました。

 その結果、実施機関の初代トップである首席行政官を我が国が、GIGOの本部の所在地を英国が、企業体の初代トップをイタリアがそれぞれ分担することで、三か国で合意したものです。

 その上で申し上げれば、我が国主導の開発か否かは、必ずしもGIGOの本部の所在地によって決まるものではなく、国際機関の活動の立ち上げを主導するという重要な立場を担う初代首席行政官を日本が担うことや、我が国が蓄積してきた経験や技術を背景に次期戦闘機の開発に貢献していくこと等で、我が国主導の開発を確保していきます。(拍手)

    〔国務大臣木原稔君登壇〕

国務大臣(木原稔君) 篠原豪議員にお答えいたします。

 まず、FSXの教訓の総括及び次期戦闘機の共同開発への反映についてお尋ねがありました。

 当時、FSXと呼称されていたF2の開発では、米国から一部開示されなかったフライ・バイ・ワイヤ技術について、我が国独自の技術を適用して対応したほか、世界に先駆けて実現した一体成形複合材、小型で探知距離の長いAESAレーダーといった我が国の最先端技術を採用し、さらに、国内で戦闘機を本格的にインテグレーションする機会を得たことによって、国内に戦闘機開発に必要な基盤や人材が育成される貴重な機会となりました。

 一方、当時は国産の戦闘機エンジンの開発技術が確立されておらず、米国製エンジンを採用しましたが、戦闘機の開発を主導するためには、エンジン技術を始め主要な技術を国内で保有しておくことが重要であるとの教訓を得ました。

 こうした経験や教訓を踏まえ、次期戦闘機においては、将来にわたって適時適切な改修の自由度を確保するとともに、高い即応性等を実現する国内生産、技術基盤を確保し、我が国主導の開発を進めていく所存です。

 次に、先進技術実証機の意義も含め、次期戦闘機の自主開発を断念した理由についてお尋ねがありました。

 先進技術実証機X2は、次世代の戦闘機に求められるステルス性と高運動性を兼ね備えた航空機をインテグレーションする技術の検証を行うものであり、二〇一六年から二〇一七年にかけて、試験飛行の実施を通じて実証しました。

 先進技術実証機を始めとする研究事業を通じて、国内に技術の蓄積が進んだことから、我が国単独での開発も選択肢に含め、国際協力を視野に、我が国主導で開発を進めるとの方針の下、二〇二〇年度に開発に着手することが可能になったと考えています。

 その上で、次期戦闘機の開発を進めるに当たって、我が国の独自開発や米国との共同開発などの可能性について十分に検討を行いました。

 その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、我が国の独自開発ではなく、英国、イタリアとの共同開発が最適な選択肢であると判断しました。

 次に、高度ネットワーク能力のある戦闘機開発のための国内生産、技術基盤や次期戦闘機の自主開発の判断についてお尋ねがありました。

 防衛省では、二〇二二年度までに戦闘機用の統合火器管制技術の研究を実施し、戦闘機間でセンサー情報等をリアルタイムに共有する高速ネットワーク技術を確立したほか、戦闘機用のデジタル通信システムを開発し、戦闘機と航空自衛隊の自動警戒管制システムとの間で戦術情報を共有するネットワークを運用しています。

 また、進展が著しいネットワーク技術について、将来の拡張性を確保するオープンアーキテクチャーの研究を進めており、これらの取組を通じて、戦闘機に係る高度ネットワーク能力に関して、国内に必要な基盤が確立できていると考えています。

 その上で、次期戦闘機の開発を進めるに当たって、我が国の独自開発や米国との共同開発などの可能性を十分に検討を行いました。

 その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、我が国の独自開発ではなく、英伊との共同開発が最適な選択肢であると判断したものであり、本判断に対し、他の民間プログラムの状況が影響したとの事実はございません。

 次に、次期戦闘機の日英伊共同開発に至った経緯についてお尋ねがありました。

 次期戦闘機については、平成三十一年度から平成三十五年度までを対象とした中期防衛力整備計画において、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手することとし、米国に限らず、潜在的な可能性を有する国との国際協力を模索しておりました。

 共同開発を目指す上では、我が国主導の開発に加え、各国が配備予定時期を同じくし、国際協力を追求する自国の開発プログラムを有していることが重要であるところ、米国は、同様のスケジュールで、国際協力を志向した次期戦闘機を開発し配備するプログラムを有していませんでした。

 一方、我が国と英国及びイタリアは、それぞれ二〇三五年頃に配備を目指す次期戦闘機の開発プログラムを有していたところ、米国の緊密な同盟国である日英伊三か国の共同開発に至ったものであります。

 次に、米国の大統領選挙と次期戦闘機の共同開発との関係についてお尋ねがありました。

 繰り返しになりますが、次期戦闘機については、潜在的な可能性を有する国との国際協力を模索しておりました。

 その上で、米国については、我が国と配備予定時期を同じくし、国際協力を志向した次期戦闘機を開発し配備するプログラムを有していなかったことから共同開発に至らなかったものであり、米国の大統領選挙の影響によるものではありません。

 次に、統合作戦司令部についてお尋ねがありました。

 統合作戦司令部は、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するため新編するものであり、自衛隊の統合運用の実効性を向上する上で極めて重要なものです。

 その上で、当該司令部の新編に当たっては、資源の最適化を図るべく、既存部隊の見直し、省人化、無人化の推進、部外力の活用等を進めることで、現場の部隊が手薄になることがないよう、体制整備を行っていく考えです。

 次に、GIGOへの初代トップや職員の派遣、現場の部隊への影響についてお尋ねがありました。

 GIGOの初代トップの人事については調整中ですが、現時点で、いわゆる四つ星、三つ星の将官を充てることは想定していません。いずれにしましても、英伊の期待を裏切ることのないベストな人材を私の責任で選出していく考えです。

 また、どのようなポストにどのような職員を選定して派遣するかについては、技術的な観点からプロジェクト管理を担う技官、組織運営等を担う事務官及び戦闘機の運用者である航空自衛官を最適な構成で派遣できるよう、民間から採用した職員の派遣も含め、検討を進めているところです。

 これらの職員を派遣するに当たっては、統合作戦司令部への人員配置も含め、防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行のための人員配置となるよう、人事管理にも配慮していきます。

 次に、防衛装備移転についてお尋ねがありました。

 政府は、一昨年末の国家安全保障戦略の記述を踏まえ、昨年十二月及び本年三月に防衛装備移転三原則運用指針等の一部改正を行ったところですが、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念を引き続き堅持しつつ、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針であることに変わりはありません。

 また、防衛装備移転三原則及び運用指針は、外国為替及び外国貿易法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、防衛装備移転については、同法にのっとり、政府が主体となって行っていくことが適切であると考えています。

 その上で、防衛装備移転を含め、我が国の政策について国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、政府の考えについては、国会における質疑などを通じて適切に説明してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 青柳仁士君。

    〔青柳仁士君登壇〕

青柳仁士君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の青柳仁士です。

 会派を代表し、ただいま議題となりましたグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約について質問します。(拍手)

 本条約は、日本の安全保障、特に防衛装備品移転という極めて重要な方針に関わる問題です。しかしながら、これまで会派として外務省、防衛省と様々な意見交換を行ってきましたが、本日審議入りとなり、これから国会において踏み込んだ議論をする上で、十分な詳細が明らかにされてきたとは考えていません。

 外務委員会においては、審議入り後においても、外交上の理由という言葉を盾に、本来、国民に情報開示した上で国会でしっかりと議論されるべき事柄であっても、大臣が答弁を拒否する例が多く見られます。外交上の理由により、国会の議事録に残すには不適切な性質の事柄があることは当然理解しますが、それを考慮しても、本来国会に提供されるべき情報の秘匿が極端であると感じます。これについては、多くの会派及び質疑者から既に厳しい指摘がなされており、政府・与党に対して、この場で改めて改善を求めます。

 全ての国民の生命と財産に関わる外交、安全保障上の重要課題が、国会審議入り前の政府・与党内の密室での調整で決められ、詳細な内容はほかの政党もメディアも国民も知ることがないまま、過半数を持つ与党の採決により決定に至るという現在の国家の意思決定プロセスは、極めて脆弱かつ不適切なものだと言わざるを得ません。国民側から見ても、知らない間に決まった仕組みで生命や財産を脅かされてはたまりません。そのような国民理解のない状態で、有事の際に誰が責任を持って国を守ろうと考えるのでしょうか。

 本条約は、二〇二二年十二月に英国、イタリアとの間で発表した次期戦闘機の共同開発、生産、輸出を含む事業であるグローバル戦闘航空プログラム、GCAPの管理等を行う国際機関、GIGOを設立するものです。前提となるGCAPは、二〇三五年の配備開始に向け、三か国の優れた技術を結集し共通の機体を開発することにより、開発コスト及びリスクを最大限分担しつつ、日本にとっては将来にわたって航空優勢を確保できる次期戦闘機を共同開発するプロジェクトです。

 本来、国際共同開発の防衛装備品については、今回の次期戦闘機に限らず、一般的な原則として、第三国への輸出解禁に踏み切るべきです。高性能化、高価格化する防衛装備品は、もはや一国では手に負えないのは国際的な常識であり、共同開発が主流となっています。今後、AI、ドローン、宇宙など新しい技術を搭載した防衛装備品の需要が更に高まり、国際共同開発の流れは止まらないと想定します。

 しかし、政府は、第三国への輸出を認める装備品は今回の次期戦闘機に限定し、実際に輸出する場合、事前に与党と協議した上で判断することになりました。主に公明党の主張で厳しいハードルが課された形ですが、国際基準からして、日本だけが例外措置として都度承認を求めるような体制になっており、煩雑、悠長な手続を嫌い、日本との共同開発をためらう国が現れることは十分に予想されます。

 先に、防衛大臣に質問します。

 このままでは、日本は、防衛装備品の輸出を通じて地域、世界の平和と安定に寄与することが十分にできないばかりか、将来的にも装備品開発の国際プロジェクトに参加しにくくなり、国内産業は打撃を受け、技術力の維持は困難になるのではありませんか。

 そもそも、二〇二二年の末に英国、イタリアとの間で共同開発を決めた時点で、あるいはそれ以前に米国以外の共同開発パートナーを模索し始めた時点で、第三国への完成品の輸出については決着させておくべきだったのではないですか。三か国協議が迫っているとして、安全保障政策の根幹に関わる決定が駆け込み的になったことは、防衛装備品開発をめぐる国際的な潮流に対する政府の認識が甘かったと言わざるを得ません。

 国際共同開発による防衛装備品の第三国輸出に過剰な歯止めがかけられたため、今回の次期戦闘機に次ぐ新たな国際共同開発については、事実上他国と交渉に入れない上、防衛産業界も、予見可能性が高まらなければ、投資の計画が立てられないのではないですか。個別案件ごとの与党の審査、協議は、国際共同開発の構想段階で行わなければ、共同開発で他国と合意したが第三国に輸出はできないという不義理な事態を招きかねません。これでは、予測不能な日本だけが、国際社会での信頼を著しく失墜するのではないですか。

 過度に抑制的な防衛装備品移転政策は、一九七六年二月の三木総理の国会答弁が始まりでした。一九六七年に佐藤内閣が定めた武器輸出三原則の共産圏諸国、国連禁輸国、国際紛争当事国等の対象国に加え、それ以外の国への輸出も慎むと表明しました。

 政府は、武器輸出三原則や二〇一四年制定の防衛装備移転三原則は憲法の平和主義の精神にのっとったものと説明し、二〇一七年五月には、国際紛争の助長や国際法違反の侵略行為に使われると承知の上での武器輸出は憲法の精神に反するという見解を示しましたが、これは、裏を返せば、国際紛争の助長や侵略に使われると想定されない輸出は容認すると解釈していいのではないですか。官房長官に所見を求めます。

 条約の取決め内容にも詰めるべき重要な論点が多々残されています。本条約では、GCAPに関わる国際組織の地位、役割等に関する規定や、当該組織で働く職員の特権、免除を定める規定、条約締結国の義務に関する規定が明らかにされています。しかし、それらの詳細は、締結国の関係当局による別途の取決めで定めるとされています。

 外務大臣に伺います。

 例えば、第五十一条にあるGCAPによる装備と技術の非締結国への輸出を円滑化するための別途の取決めは、いつまでに確定するのですか。この別途取決めの内容がまさに日本の防衛装備品移転戦略に大きな影響を与えると考えますが、どのように認識されていますか。

 また、当該仕組みについては、実施機関が、運営委員会による監督及び管理の下に、締結国の法令の認める範囲内で運営されることになっています。日本の外為法に基づく運用基準である防衛装備品移転三原則及びその運用指針は、厳密に言えば法令ではありませんが、外為法を運用する中では必ず従うべき基準となるのですか。

 次期戦闘機の国際共同開発について、我が国は、二〇一八年十二月に策定された中期防衛力整備計画で、国際協力を視野に我が国主導の開発に着手するとした上、二〇二二年十二月に、パートナー国をイギリス、イタリアとすると発表し、同月策定の整備計画に、我が国主導を実現すべく、改修の自由や高い即応性等を実現する国内生産、技術基盤を確保すると明記しました。

 政府は当初から我が国主導の次期戦闘機開発を掲げ、昨年四月に当時の防衛装備庁長官は、英国、イタリアとの共同開発についても、両国との協議を通じ、我が国主導が実現できるとの確信が得られたと国会で答弁しました。何をもって、我が国主導が実現できると確信したのですか。その具体的根拠について、防衛大臣に説明を求めます。

 防衛装備の国際共同開発には、参加国の優れた技術を持ち寄り、開発コストや技術リスクを分担、低減できるメリットがある一方、出資、生産比率等、各国の利害がぶつかる要因も多く、その配分は国益に直結します。数兆円規模の大型プロジェクトゆえに、当然、自国の得意分野も含め、可能な限り主要部分の開発を担いたいという思惑がぶつかると予想されます。

 今回の次期戦闘機開発において、政府は、こうした問題に対してどのように取り組み、我が国の主導を実現させていくお考えですか。大型防衛装備の国際共同開発に慣れていない日本が、経験豊富で老練な英国を相手に対等に計画を進めていくのは大いなるチャレンジであると思いますが、防衛大臣に政府の認識と覚悟を伺います。

 英国、イタリアはNATOの主要構成国であり、次期戦闘機は、ほかのNATO諸国の空軍機にも採用される可能性があります。製造や能力向上に日本が関わる戦闘機が、世界最大の軍事同盟であるNATOの主要装備になれば、装備をきずなとして、日・NATOの安全保障関係は同盟関係並みに深まることになります。また、日本の抑止力、外交力の強化、同盟国や安全保障上の協力関係にある東南アジア等の有志国の抑止力向上に資すると考えます。

 日米両国は、さきの首脳会談で、未来のためのグローバルパートナーをうたい、国際秩序の維持強化に向けて、二国間型の日米同盟関係から、同盟国同士の関係を強化して格子状の同盟関係へと深化させることで抑止力を高めることを打ち出しました。

 次期戦闘機の輸出対象は防衛装備品・技術移転協定の締結国に絞られていますが、現在締結している国は、米英のほか、オーストラリア、インド、シンガポール、インドネシアなど、インド太平洋、東南アジアに存在します。

 外務大臣に伺います。

 今後、この協定の締結国を積極的に増やしていくことで、アジア大洋州地域での平和と安定の土台を構築することができると考えますが、政府はどのように取り組む考えですか。また、現在交渉中の国や交渉を予定している国はあるのですか。

 最後に、自民党の引き起こした裏金問題について、本来自ら行うべき実態解明と責任者の処分が、野党やメディアの後押しがなければ遅々として進まないという恥ずべき状況により、こうした我が国の未来の安全保障に関わる重大な問題に十分な焦点が当たらないことは、国会のあるべき姿とはかけ離れたものであり、極めて遺憾であると言わざるを得ません。

 この上は、今自民党内で取りまとめられた案のような、本質から外れた微細な法改正でお茶を濁し、裏金事件に対する国民の関心が薄れるのを待つのではなく、真に政治に対する信頼を回復するに足る政治資金規正法改正案を自ら取りまとめ、この問題を速やかに決着させることは、政府・与党の最低限の責任です。

 我が党会派としては、現実に即した外交、安全保障体制の構築を含め国家の最重要課題に対して正面から改革競争が行われるというあるべき国会の姿を実現すべく、引き続き、具体策を提案し、取組を続けてまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 青柳仁士議員にお答えいたします。

 条約上の輸出を円滑にするための共通の仕組みについてお尋ねがありました。

 御指摘の取決めにつきましては、現時点でその確定の時期についてお答えすることは困難ですが、その中身について、日英伊の関係当局間で検討しているところです。

 この取決めが定める仕組みは、次期戦闘機の輸出を効率的かつ円滑に行うために、共通の手続等を構築することを目的としておりますが、いずれにせよ、この仕組みは、本条約、運用のある国際協定並びに武器管理制度に関する約束を含む各国の法的義務及び規則を反映するものとなります。

 御指摘のとおり、防衛装備移転三原則及びその運用指針は法令ではありませんが、防衛装備移転三原則は外為法の運用基準であり、外為法に基づく許可の可否を判断する際には、当然に防衛装備移転三原則等に基づく審議を踏まえるものと考えております。

 防衛装備品・技術移転協定の締結国の拡大についてお尋ねがありました。

 我が国は、相手国と我が国との間の安全保障面での協力関係、協力候補案件、分野の存在等を検討した上で、防衛装備品・技術移転協定の締結の要否を決定しており、現在、バングラデシュとの間で防衛装備品・技術移転協定の交渉を行っています。

 政府としては、同志国等との連携の強化の観点から、今申し上げた諸点を踏まえ、防衛装備品・技術移転協定の締結に取り組んでいく考えです。(拍手)

    〔国務大臣木原稔君登壇〕

国務大臣(木原稔君) まず、先ほどの篠原豪君に対する答弁において、FSXの教訓の総括及び次期戦闘機の共同開発への反映について、一体セイガタ複合材と発言しましたが、正しくは一体セイケイ複合材でありますので、訂正させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 青柳仁士議員にお答えいたします。

 まず、国際共同開発、生産の我が国から第三国への輸出に係る手続についてお尋ねがありました。

 本年三月の制度見直しにおいて、第三国直接移転を認めるのはGCAPで開発される完成品に係る防衛装備に限定したところですが、今後、第三国直接移転を要する国際共同開発、生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、追記することとなると考えております。

 したがって、御指摘のように、将来的にも装備品開発の国際プロジェクトに参加しにくくなるとは考えておりません。

 次に、GCAPの我が国から第三国への輸出に係る必要性の認識についてお尋ねがありました。

 GCAPに係る完成品の我が国からの第三国直接移転の必要性に係る認識について、我が国は、二〇二二年十二月に次期戦闘機の共同開発に三か国で合意した当時、技術面や資金面での貢献により、我が国の要求を通し、求める戦闘機を実現可能と考えていました。

 しかしながら、協議を進める中で、英国、イタリアは調達価格の低下等に向けて完成品の第三国移転を推進することを貢献の重要な要素と考え、我が国にも同様の対応を求めていることを、我が国として徐々に認識するようになったものです。

 このように、政府として認識が変化してきたことは事実であり、今後は、今回の経験を生かし、第三国直接移転を要する国際共同開発、生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に対応できるよう努めてまいります。

 次に、将来の国際共同開発、生産において第三国輸出に係る手続が及ぼす影響についてお尋ねがありました。

 繰り返しになりますが、今後、第三国直接移転を要する国際共同開発、生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、追記することとなると考えております。

 いずれにせよ、御指摘のように、新たな国際共同開発について、事実上他国と交渉に入れない上、防衛産業界も予見可能性が高まらないことのないよう、また、我が国が国際社会での信頼を著しく失墜することのないよう努めてまいります。

 次に、次期戦闘機の共同開発において我が国主導を実現できる根拠についてお尋ねがありました。

 まず、我が国主導の開発とは、防衛力整備計画に明記しているとおり、次期戦闘機の共同開発に当たり、我が国が求める主要な要求性能を全て満たすこと、将来にわたって適時適切な改修の自由を確保できること、高い即応性を実現する国内生産、技術基盤を確保することを実現するものです。

 このような我が国主導の開発を実現するべく、日英伊の協議において、F2の開発経験や各種研究の成果を踏まえた我が国が蓄積してきた戦闘機開発に必要な経験や技術を背景に、我が国の立場を粘り強く主張する中で、我が国主導が実現できるとの確信が得られたものです。

 次に、次期戦闘機の共同開発に対する政府の取組や認識、覚悟についてお尋ねがありました。

 次期戦闘機の共同開発の協議については、今後、本条約に基づき設立されるGIGOを通じて、各国が蓄積してきた経験や技術を背景に、各国が置かれている安全保障環境に応じて必要となる性能について議論を重ねつつ、共通の装備品を造り上げていくプロセスです。

 こうしたプロセスの中で、英国及びイタリアに対して、我が国が優先する性能の搭載を主張し合うこととなりますが、我が国としてあらゆる面で対等に貢献するとともに、官民一体となって交渉に当たり、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機をしっかりと実現してまいります。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) 青柳仁士議員にお答えをいたします。

 防衛装備移転を認める際の考え方についてお尋ねがありました。

 防衛装備品の海外への移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出などのための重要な政策的な手段となるものです。

 その上で、防衛装備移転三原則及び運用指針は、過去の例外化の経緯や安全保障環境の変化等を踏まえ、移転を認め得るケースを明確な形で限定をしております。

 さらに、個別の案件ごとに、御指摘の点のみならず、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を厳格に審査した上で、適正管理が確保される場合に限り移転を可能としております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 私は、日本共産党を代表し、次期戦闘機共同開発条約について質問します。(拍手)

 本条約は、イギリス、イタリアとの次期戦闘機の共同開発、生産、輸出を推進するための政府機関、GIGOを設立するものです。殺傷兵器の最たるものである戦闘機を、アメリカとともに国際法違反の戦争を繰り返してきたイギリスなどと共同開発、生産し、価格低減を理由に第三国に売りさばいていこうとするものです。

 憲法の平和国家としての立場を投げ捨て、日本を武器輸出でもうける死の商人国家へと堕落させるものであり、断じて容認できません。

 戦後の日本は、一九六七年の武器輸出三原則、七六年の政府統一見解により、全面的な武器輸出の禁止を原則としてきました。この原則は、国会論戦の中で歴代政府が表明した方針であり、八一年の衆参両院における全会一致の国会決議によって、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえた国是として確立したものです。

 ところが、岸田政権は、昨年十二月のライセンス生産兵器に続き、今年三月、次期戦闘機の輸出を与党の密室協議と閣議決定で解禁しました。国会決議で確立した、憲法に基づく国是が、なぜ一片の閣議決定で覆すことができるんですか。

 九一年四月、当時の中山太郎外務大臣は、武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出していない、これが日本の国是であると答弁しています。この答弁との矛盾をどう説明するんですか。

 次期戦闘機は、航空自衛隊のF2戦闘機、イギリス、イタリアのユーロファイターの後継機です。イギリスがサウジアラビアに輸出したユーロファイターは、イエメンでの無差別攻撃に使われました。イスラエルがガザへの無差別攻撃を実行できるのも、戦闘機を含むアメリカの巨額の軍事援助があるからです。国際紛争を助長する殺傷兵器の輸出方針は撤回すべきであります。

 政府は三つの限定と二重の閣議決定を強調していますが、全くのごまかしと言わなければなりません。

 今回、第三国への輸出を認めるのは次期戦闘機に限定すると言いますが、政府の判断次第で幾らでも追加できるのではありませんか。

 国連憲章に適合した使用を義務づける協定の締約国に限定すると言いますが、現締約国の米英が国連憲章違反のイラク侵略戦争を主導した事実をどう説明するのですか。

 現に戦闘が行われている国には移転しないと言いますが、その判断は、仕向け国・地域における戦闘の規模や期間等を踏まえるというものです。これでは、輸出対象国が自国の領域外でどれだけ戦闘を行っていても、自国領域内で行われていなければ該当しないのではありませんか。戦後、ベトナムやアフガニスタン、イラクなどで国際法違反の戦争を繰り返してきたアメリカでさえ該当しないのではありませんか。

 次期戦闘機の開発費は二〇年度からの五年間で既に三千八百億円を計上しています。開発完了を見込む三五年度までに全体で幾らと見積もっているのですか。上限はあるのですか。巨額の財政負担を国民に強いることになるのではありませんか。

 F2戦闘機は当初の見積りに対し一一七%増の三千五百八十九億円、F35戦闘機は一七年時点で六一%増の六・一兆円を要しています。巨額の開発費を回収するために、第三国への輸出にのめり込むことになるのではありませんか。

 今、日本の軍需産業は、安保三文書に基づく大軍拡で、生産ラインを次々と拡大しています。一旦拡大した生産ラインは、どうやって維持するのでしょうか。戦争に依存する経済をつくってはなりません。戦後の武器禁輸政策に立ち戻り、民需での発展を追求すべきです。

 以上、本条約の廃案を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 先ほどの青柳君に対する答弁におきまして、この仕組みは、本条約、適用のある国際協定についてのところ、本条約、運用のある国際協定と発言いたしましたが、正しくは、この仕組みは、本条約、適用のある国際協定でありますので、訂正をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 宮本徹議員にお答えをいたします。

 防衛装備移転三原則等の改正についてお尋ねがありました。

 防衛装備移転三原則及び同運用指針は、外国為替及び外国貿易法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、同法にのっとり、政府がその主体となって判断していくことが適切であると考えています。

 その上で、防衛装備移転三原則においては、平和国家としての基本理念を引き続き堅持していくこととしており、今後ともこの点が変わることはありません。

 いずれにせよ、我が国の政策について国民の皆様の一層の御理解を得ることが重要であり、国会における質疑も含め、丁寧に説明してまいります。

 防衛装備移転三原則等の下における装備品の移転についてお尋ねがありました。

 防衛装備の海外移転について、御指摘の外務大臣の答弁の時点も含め、当時の武器輸出三原則等の下においては、実質的には輸出を認めないこととなっていた一方、その時々の事情に応じ、必要がある場合には、例外化措置を講じ、個別判断により海外移転を認めてきたところです。

 防衛装備移転三原則に記載しているとおり、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持していく考えです。

 防衛装備の移転方針についてお尋ねがありました。

 防衛装備移転三原則等の下で移転を認め得る場合は、平和貢献、国際協力の積極的な推進又は我が国の安全保障の観点から積極的意義のある場合等に限定され、その場合であっても、移転先の適切性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査し、総合的に判断しています。

 特に、自衛隊法上の武器に該当する完成品に係る防衛装備の海外移転については、仕向け国・地域において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているか否かを含めた国際的な平和及び安全への影響等を考慮して、慎重に検討することとなります。

 その上で、次期戦闘機の移転先については、武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国には移転せず、また、他国への侵略など国連憲章に反するような行為に使用されることがないよう、国連憲章の目的と原則に適合する方法での使用を相手国政府に義務づける国際約束の締結国に限定することとしています。

 このため、我が国から移転した次期戦闘機が他国への侵略に使われるようなことは想定していません。

 次期戦闘機の第三国への直接移転についてお尋ねがありました。

 今後、我が国の防衛力整備上の必要性から参画する案件であって、我が国からの完成品の第三国移転が必要となるという要件に合致する国際共同開発の案件が生じた場合、第三国への直接移転が認められるためには、その都度、その必要性を検討した上で、国家安全保障会議決定を行い、防衛装備移転三原則の運用指針を改正する必要があります。

 その上で、国民の皆様の理解を得ることは重要であると考えており、国会における質疑も含め、丁寧に説明することとなります。

 また、次期戦闘機の移転先国は、国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務づける国際約束の締結国に限定しているところ、我が国から移転した次期戦闘機が国連憲章に反するような行為に使用されることは想定していません。

 なお、二〇〇三年のイラクに対する米国及び英国の軍事行動については、国連憲章第七章の下で採決された関連する安保理決議により正当化されているものと考えています。

 そして、運用指針における武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国に該当するか否かは、仕向け国・地域における戦闘の規模や期間等を踏まえて、個別具体的かつ総合的に判断するものです。

 その上で申し上げれば、政府としては、米国内においては、武力紛争の一環として現に戦闘が行われているとは認識していません。(拍手)

    〔国務大臣木原稔君登壇〕

国務大臣(木原稔君) 宮本徹議員にお答えいたします。

 まず、次期戦闘機の開発費についてお尋ねがありました。

 次期戦闘機の開発費については、日英伊共同開発に当たっての具体的な作業分担等、本条約も踏まえた国際協力の詳細な在り方により今後大きく変動し得ることから、お答えできる段階にはありません。

 日英伊三か国で検討を深め、可能となった段階で公表できるよう検討してまいります。

 その上で、次期戦闘機の開発費については、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発するために必要な経費をしっかりと精査した上で、年度ごとの予算案として国会で御審議いただき、国民への説明責任を果たすとともに、適切な予算執行に努めてまいります。

 次に、次期戦闘機の開発費と第三国輸出の関係についてお尋ねがありました。

 まず、次期戦闘機の開発費については、先ほど申し上げたとおり、必要な経費をしっかりと精査した上で、年度ごとの予算案として国会で御審議いただき、国民への説明責任を果たした上で確保していくものです。

 また、次期戦闘機の将来的な第三国への輸出については、その可能性について三か国の様々なレベルで検討しておりますが、何ら決まったものはありません。

 いずれにせよ、開発費を回収するために第三国への輸出にのめり込むとの指摘は当たらないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 宮本議員の御質問にお答えします。

 防衛産業の維持と防衛装備移転の考え方についてお尋ねがありました。

 令和四年に策定された国家安全保障戦略等において、防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのものと位置づけられ、その維持強化は必要不可欠とされています。

 経済産業省としては、防衛省などの関係省庁と連携し、様々な産業振興を通じて、防衛産業の維持強化に取り組んでまいります。

 なお、防衛装備品の海外への移転に当たっては、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針であることに変わりはありません。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣   上川 陽子君

       文部科学大臣 盛山 正仁君

       経済産業大臣 齋藤  健君

       国土交通大臣 斉藤 鉄夫君

       防衛大臣   木原  稔君

       国務大臣   林  芳正君

       国務大臣   松村 祥史君

 出席副大臣

       外務副大臣  辻  清人君


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