第26号 令和6年5月9日(木曜日)
令和六年五月九日(木曜日)―――――――――――――
令和六年五月九日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣加藤鮎子君。
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) ただいま議題となりました学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
児童や生徒に対する性暴力等の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、被害児童等に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷その他の心身に対する重大な影響を与えるものです。
児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業は、児童等の心身の健やかな育成に資することを目的としており、これらを提供する場において児童等の心身に重大な影響を与える性暴力等の被害を生じさせることは、その目的に反するものです。また、これらの事業は、被用者が児童等を指導するなどして支配的、優越的立場に立ち、継続的に密接な人間関係を持ち、親などの監視が届かない状況のもとで児童等を預かり教育、保育等をするなど、特別な社会的接触の関係があるといった性質を有することから、児童等に対する性暴力等の発生に特別の注意を払うことが求められます。
そこで、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する一定の対象事業者が、児童等に対する性暴力等の防止等をする責務を有することを明らかにするとともに、そのために講ずべき措置等について定めることとし、もって児童等の心身の健全な発達に寄与するものとして、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する対象事業者について、児童等に対する性暴力等の防止に努めるとともに、性暴力等の被害が生じた場合には、その被害児童等を適切に保護する責務を有することを明確にします。
第二に、本法律案の対象事業者のうち、特に児童等に対する性暴力等の防止に関して高い社会的責任を有する学校設置者等に対し、児童等の安全を確保するための措置として、対象従事者への研修、児童等に対する性暴力等のおそれを早期に把握するための措置、性暴力等に関する児童等の相談を容易にするための措置の実施を求めるとともに、対象従事者による児童等に対する性暴力等が行われるおそれがある場合には、その者を対象業務に従事させないなどの防止措置を講じることを求めることとします。その際、対象従事者についての性犯罪前科の有無を把握することは、児童等に対する性暴力等の防止措置を講ずるうえで重要な手立てであるところ、学校設置者等に対し、対象従事者についての一定の性犯罪前科の有無の確認を求めることとします。また、児童等に対する性暴力等の発生が疑われる場合の事実の調査、被害児童等の保護及び支援のための措置を講じることを求めることとします。
第三に、本法律案の対象事業者のうち、学校設置者等以外の者については、学校設置者等と同等の措置を実施する体制が確保されている旨の内閣総理大臣による認定を受けることを可能とし、当該認定を受けた事業者に対しては、学校設置者等と同等の措置の実施を求めることとします。また、認定事業者については国が公表するとともに、認定事業者は認定を受けた旨を広告等に表示することができることとします。
第四に、本法律案により児童等に対する性暴力等の防止等のための措置の実施が求められることとなる学校設置者等及び認定事業者に対し、申請に基づき、対象従事者についての一定の性犯罪前科の有無に係る情報を国が提供する仕組みを創設することとします。
このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置等について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行います。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。城井崇君。
〔城井崇君登壇〕
○城井崇君 立憲民主党の城井崇です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案、略称、子供性暴力防止法案について、こども政策担当大臣に質問します。(拍手)
本題に入る前に、今、大問題になっております、水俣病患者の方々との懇談でのマイク打切り問題について、伊藤環境大臣に質問します。
自公政権は、人の意見を素直に受け止める姿勢が全く不十分です。実際に、今月一日、熊本県水俣市で伊藤環境大臣と懇談した水俣病の患者団体などの発言が、環境省の職員に遮られた後、マイクの音を切られる事件が起きました。明らかに、被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙であります。
昨日、伊藤環境大臣は水俣を訪問し、患者団体の方におわびをし、話を聞かれたとのことですが、短時間ではなく、再度、水俣を訪問し、十分な時間を取り、患者団体の方からヒアリングをし、意見交換をすべきではないでしょうか。また、なぜ、マイクの音が切られ、会議が紛糾したその場で伊藤環境大臣自らがおわびをし、引き続きじっくり話を聞かなかったのか。マイクの音が切られていたことに気がつかなかったという言い訳は信じ難い。なぜ、おわびが昨日、つまり一週間も後になったんですか。当日の意見交換の後、新幹線に乗って移動されたそうですが、その後、どのような公務があり、意見交換を切り上げて、急いでおられたのでしょうか。
事務次官を厳重注意したとのことですが、部下の責任にするのではなく、最も責任が重いのは、大臣、あなた自身です。伊藤環境大臣、お答えください。
それでは、本題に入ります。
立憲民主党は、さきの第二百四国会における教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案の審議に当たり、子供たちを性犯罪被害から守るための基本的考え方を取りまとめました。第一に、子供に関わる全ての職種を対象として対策を行うこと。第二に、再犯防止の観点から、過去に子供に対するわいせつ行為をした者を、原則として二度と子供に関わる職に就かせないようにすること。これが私たちの基本的な考えであります。
さらに、子供と過ごす時間の長い職種に対して子供への性犯罪歴等の情報管理を行い、不適格者でないことを証明した上で採用するよう求める日本版DBS制度を検討すべきであるとして、その趣旨を法案の附帯決議にも盛り込みました。
また、旧ジャニーズ事務所の元社長による所属タレントへの性加害問題について、国会においても再発防止や被害者への救済策に取り組んできました。昨年五月には、地位を悪用した性加害の未然防止や早期発見を行う地位利用第三者児童虐待防止法案を衆議院に提出しましたが、与党は我々の提案を拒否しました。
子供を守り育てる立場にある大人によるわいせつ行為は、決して許されません。政府提出法案は、立憲民主党が求めてきた日本版DBS制度を創設するものですが、子供たちを真の意味で性犯罪から守れるかという点で、懸念もあります。
まず、日本版DBSの制度設計について伺います。
第一に、本法案を議論する大前提となる認識についてです。
子どもの権利条約の理念にのっとり、子供たちの保護、安全を第一にする仕組みとして、最優先で性犯罪等から子供たちを守ること、子供に対する性犯罪等を行った教職員や保育士等、子供に関わる仕事を行っていた人を、原則として二度と子供に関わる職種に就かせないことが重要です。
一方、犯罪歴という、本来は厳重に秘匿すべき情報を、子供の安全という重大な行為のために例外的に利用を許すという制度をつくる際には、現場がそれを適切に管理しなければならないのは当然です。職業選択の自由やプライバシーという重要な憲法的価値に関わる制度をつくり、運用するということへの自覚を、立法する我々国会も、政府も事業者等も持つ必要があります。こども政策担当大臣の認識を確認させてください。
第二に、プライバシー保護について伺います。
日本版DBS制度は、性犯罪歴等の情報を本人以外の者に提供する仕組みであり、当然、プライバシーの問題をはらみます。
昭和五十六年四月十四日の前科照会事件の最高裁判決は、前科及び犯罪経歴(中略)は人の名誉、信用に直接に関わる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとし、その取扱いには格別の慎重さが要求されると指摘しています。個人情報保護法も、二条三項で、犯罪の経歴や犯罪により害を被った事実については要配慮個人情報と位置づけています。さらに、性犯罪歴等の漏えいには被害者が推測される危険もあることから、性犯罪歴等の取扱いは、被害者のためにも極めて慎重になされなければなりません。
日本版DBS制度におけるプライバシーの保護について、どのように過去の判例や個人情報保護法など既存の法律を踏まえて制度設計されていますか。
第三に、誰が日本版DBSから性犯罪歴等を取得すべきかという問題もあります。
犯罪事実確認書を本人が取得し事業者に提出する方法、本人提出型と、対象事業者が国に照会する方法、事業者照会型が考えられます。本法律案では事業者照会型が採用されました。本人提出型の方が、プライバシーリスクの観点からは、自己情報コントロールをより容易に行い得ると考えられますが、本人提出型ではなく事業者照会型とした理由を具体的にお答えください。
第四に、対象事業者での情報管理の徹底と性犯罪防止策の実施について伺います。
情報管理の徹底を義務づけつつ、採用時の性犯罪歴等の確認や確認の結果を踏まえた性犯罪防止策の実施を事業者に求めることは、実際上、可能でしょうか。学校教育法や児童福祉法上の認可を必要とする学校や児童福祉施設であれば、こうした義務づけは可能だと考えます。しかし、民間教育保育等事業者等では、監督以前に、事業の把握さえ困難な場合もあります。
本法案では、学校等以外の民間教育保育等事業者に対して、内閣総理大臣が、学校設置者等が講ずべき措置と同等のものを実施する体制が確保されている事業者について認定、公表するとされています。この学校設置者等が講ずべき措置と同等のものとは、具体的に何ですか。
第五に、性犯罪歴等の回答方法について伺います。
過去の判例である前科照会判決は、前科回答が許される場合でも、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等の全てを報告することには否定的でした。対象事業者に提供する犯罪事実確認書の内容構成について具体的にどうするのか、お答えください。
あわせて、日本版DBSのデータベースにはどのような性犯罪等に関わる情報が何年間載せられるのか、その理由も確認させてください。服役した拘禁刑で刑の執行終了等から二十年、執行猶予判決を受け猶予期間満了した拘禁刑で裁判確定日から十年、罰金で刑の執行終了等から十年とした理由について、こども政策担当大臣から具体的に御説明ください。
また、政府案では、犯歴について、禁錮刑以上なら執行終了後十年、罰金刑以下なら五年の間に再び刑を科されなければ刑の言渡しが効力を失う、刑の消滅という刑法の規定を上回って照会できるようにされますが、その根拠は曖昧です。この根拠についても、具体的にお示しください。
第六に、日本版DBSの対象外のケースの扱いです。
示談で不起訴や起訴猶予のケースを対象外とすると、再犯率が高い子供への性犯罪を本当に防ぎ切れるか疑問が残ります。どのように対策する考えですか。
第七に、対象となる事業者の範囲についてです。
子供と接する職種は幅広くあります。塾講師やベビーシッター、スポーツクラブ、タレント養成所、テーマパークのスタッフなど様々な職種が想定されますが、民間教育保育等事業者にどのような事業者が含まれるか、具体的にお示しください。
また、旧ジャニーズ事務所の元社長のように、事業者トップの地位の特権性を利用して子供への性暴力を行う者に本法案が対応できるのか、規模の小さい事業者への対応も含め、説明してください。
第八に、児童対象性暴力のおそれありの場合の措置についてです。
おそれありの場合に措置を取ることについて、本法案では、どのような場合に労働者が業務を外れる等の措置対象とされるのか。基礎となる情報の範囲も判断基準も法律に示されず、不明確です。このおそれありの措置によっては、性犯罪歴がなくても労働者が職場から排除され得るため、客観的基準を法律に示すべきです。ここで取る措置とは、具体的にどのような内容か。使用者による濫用や行き過ぎた措置をどのように防ぐか。
また、児童対象性暴力のおそれありの場合の措置について、ガイドラインを作成、検討するとのこども家庭庁の説明でしたが、具体的にどのような内容になりますか。
続いて、必要な性犯罪の未然防止及び被害者のための対策について伺います。
日本版DBSの運用を始めとした再犯防止は重要ですが、九割を占める初犯対策と予防策を徹底すべきことは言うまでもありません。本法案では教員等に対する研修の実施を定めていますが、研修の具体的な内容について、こども政策担当大臣よりお答えください。あわせて、空き教室等、学校内等での死角をなくすための人的配置等の拡充と、子供が性犯罪等を認知できるようにするための教育についてもお答えください。
また、被害の拡大防止や未然防止のための、子供が相談しやすい体制を強化すべきであり、ワンストップ支援センターなど、被害に遭った子供や家庭への支援体制を強化すべきと考えますが、こども政策担当大臣の見解をお願いします。
性犯罪に至った原因が性嗜好障害だった場合、どのように対応しますか。性嗜好障害は、いまだ治療法が確立していない状況です。治療法確立へ国は具体的にどのように取り組む考えか、こども政策担当大臣の認識をお示しください。
性犯罪者が社会復帰するためには、加害者更生プログラムなど、加害者更生に向けた取組が社会的にも認められる形で確立することが重要です。更生プログラム研究開発など、加害者更生に向けた国の取組の具体的な部分と、そして今後の見通しについて、こども政策担当大臣の認識を聞かせてください。
質問は以上です。誠実な答弁と充実した審議を求め、私の質問といたします。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 城井崇議員の御質問にお答えをいたします。
制度創設における基本的な認識についてお尋ねがありました。
児童や生徒に対する性暴力の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、被害児童等に対し生涯にわたって回復し難い有害な影響を与える極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。こども政策担当大臣として、また、子を持つ一人の親として、かけがえのない子供たちの尊厳を守ることがまず必要と認識をしています。
一方、犯罪歴等の確認の仕組みは事実上の就業制限となることや、対象事業者には犯歴情報についての高い情報管理の責務が求められることなどを踏まえ、本法案の策定に当たっては、法律の専門家や関係者など幅広い有識者の意見を聞いて、慎重に検討を重ねてきたところです。法案が成立した暁には、適切な制度施行を見据えたガイドライン等の検討やその周知、広報等について、関係者、有識者等と広く意思疎通を図りながら、丁寧に行ってまいります。
プライバシー保護についてお尋ねがありました。
本法案は、御指摘の判例や個人情報保護法を踏まえ、国が事業者に前科情報を提供するのは、子供の安全を確保するための措置を講ずる義務を課す学校設置者等や認定を受けた事業者に限るとともに、その措置を講ずるための手だてとして必要かつ合理的な範囲の情報に限り提供することとしています。
さらに、対象事業者には情報等の適正管理義務を課すとともに、情報漏えいに罰則を設けるなどし、適正な情報の管理を担保しています。
犯罪事実確認書の取得方法についてお尋ねがありました。
犯罪事実確認書は、対象事業者が犯罪事実の確認及びその結果を踏まえた児童対象性暴力等防止措置を実施できるようにするために交付するものです。
仮に従事者本人が自らの犯罪事実確認書を交付申請できることとすると、対象事業とは無関係の業種への就職時に犯罪事実確認書の提出を求められ、前科の有無が明らかになるおそれがあるほか、犯罪事実確認書の偽造のおそれもあるため、事業者を申請主体とすることが適切であると考えております。
学校設置者等が講ずべき措置と同等の措置や実際の運用についてお尋ねがありました。
学校設置者等が講ずべき措置と同等の措置としては、相談体制の構築などの安全確保措置や、対象従事者の犯罪事実確認を実施できる体制の確保に加え、犯罪事実確認記録等を適正に管理するための措置について実施することが民間教育保育等事業者に求められるものです。
その上で、そうした措置の具体的な内容や本法案で規定している性暴力等防止義務については、今後、下位法令において詳細を定め、ガイドライン等で具体的に示していくこととしています。
その際には、教育等の現場に混乱が生じないよう、関係団体の意見も聞きながら検討を進めるとともに、施行まで一定の準備期間を取った上で、事業者の皆様にしっかり準備していただけるよう、必要な支援についても今後検討してまいります。
犯罪事実確認書の内容構成についてお尋ねがありました。
性犯罪前科に関する情報は高度のプライバシー情報であることを踏まえ、犯罪事実確認書には、犯罪事実確認及びその結果を踏まえた児童対象性暴力等防止措置の実施に必要最小限の情報を記載することとしています。
具体的には、従事者が、特定性犯罪事実該当者であると認められない場合は、その旨、特定性犯罪事実該当者であると認められる場合は、特定性犯罪事実該当者の区分及びその特定性犯罪の裁判が確定した日などを記載することとしています。
性犯罪等の範囲や確認対象期間についてお尋ねがありました。
本法律案の対象犯罪は、その前科を有する者の事実上の就業制限の根拠となるものであるから、児童等の権利を著しく侵害し、その心身に重大な影響を与える性犯罪として、人の性的自由を侵害する性犯罪等に限定しています。
また、犯歴確認の対象期間につきましては、本法律案では、事業者が措置を講ずる上で考慮すべき要素として犯歴情報を活用するものであり、刑法三十四条の二の規定の直接適用はない一方で、この仕組みが事実上の就業制限であることから、憲法上の職業選択の自由を制約することとの整理や、前科を有する者の更生を促す刑法の規定の趣旨等も踏まえ、子供の安全を確保するという目的に照らして許容される範囲とすべきと考えています。
このため、犯歴確認の対象期間としては、再犯に至った者の実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を設定することとしており、拘禁刑について刑の執行終了時から二十年が経過するまで、罰金について刑の執行終了等から十年が経過するまで等の期間を確認の対象とすることとしています。今般の仕組みにおいては、この期間内の性犯罪歴、前科がある場合には、性犯罪歴の該当がある旨の回答がなされるものです。
不起訴処分や起訴猶予を確認対象としていないことについてお尋ねがありました。
本法案では、確認対象となる性犯罪歴を有するということは、その者が対象業務に従事することを事実上制限することになるため、その根拠は正確な事実でなければならず、厳格な手続に基づき裁判所が事実認定をした前科を確認の対象としています。
他方、本法案には、性犯罪歴、前科の有無を確認する仕組みだけではなく、子供と接する職員等に対する研修、児童等への面談、児童等が相談を行いやすくする措置などの安全を確保するための措置を講ずることについて、事業者に直接義務づけることも盛り込んでいます。
また、子供の性被害防止対策を進めるには、本法案に基づく取組だけでなく、関係省庁が連携をして総合的な対策を進めていくことが必要であり、こうした措置を講じることで、子供の性被害防止対策を更に推進してまいります。
民間教育保育等事業者の具体例等についてお尋ねがありました。
民間教育保育等事業者としては、児童福祉法上の届出対象となっている放課後児童クラブや認可外保育施設のほか、学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、芸能事務所など、児童に技芸又は知識の教授を行う一定の要件を満たす事業者などを具体例として想定しています。
また、対象業務の従事者については、事業所の管理者や、技芸又は知識を教授している者は対象となります。認定事業者において、これらの業務を行う職名を明示、確認することで対象者を把握できる運用とすることを考えており、詳細はガイドラインで示してまいります。
本法案が成立した暁には、関係業界に認定制度への参加を強く働きかけるほか、保護者等に対しても周知、広報を行い、社会的にも認定取得の重要性に対する認識を高めていくことで、規模の小さい事業者も含め、実質的に義務化と同程度にできるよう努めてまいります。
児童対象性暴力等のおそれ及び防止措置についてお尋ねがありました。
本法律案における、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときとは、児童対象性暴力等が行われる可能性が合理的に認められる場合を指すものです。
具体的な場合としては、例えば、犯罪事実確認の結果、教員等が特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、児童等の面談、相談、通報などから、特定の教員等に不適切な行為があり、児童対象性暴力に発展するおそれがあると判明した場合などが考えられます。
また、おそれがある場合の防止措置については、おそれの具体的な内容に応じて講じられることとなりますが、おそれの具体的な内容やその判断プロセス等、おそれに応じた防止措置などの内容について、性暴力の防止のために実効的なものとして、かつ、恣意的、濫用的な運用がなされないよう、施行までに事業者向けにガイドライン等を作成し、しっかりと周知をしてまいります。
研修の内容、死角をなくすための人的措置等の拡充等についてお尋ねがありました。
本法案で対象従事者に受講させる義務がある研修の内容については、先進事例の収集等も行い、今後、有識者や関係団体等とも協議の上、内閣府令等で適切に定めてまいります。
また、学校における取組としては、文部科学省において、死角の見回りや施錠などの対策等が含まれる好事例集を展開しているほか、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育を推進していると承知をしております。
被害に遭った子供や家庭への支援体制の強化につきましては、本法律案において、事業者に対し、被害に遭った子供の保護及び支援の措置を講じることを義務づけています。これと併せて、関係府省庁とも連携し、ワンストップ支援センターなどの被害者支援体制の強化も図ってまいります。
性嗜好障害の治療方法の確立に向けた取組についてお尋ねがありました。
いわゆる性嗜好障害やその治療法につきましては、現在、十分に実態が把握されていないことから、昨年度、厚生労働省において、性嗜好障害に対する治療などの情報収集を行うための調査研究を実施し、現在、結果を取りまとめているところと承知をしています。
性嗜好障害の治療等への対応については、当該調査研究の報告内容も踏まえ、厚生労働省等の関係省庁と連携してまいります。
加害者更生に向けた取組についてお尋ねがありました。
法務省においては、性犯罪に及んだ者のうち、実刑判決を受けて刑事施設に収容された者や、保護観察付執行猶予となり社会内で処遇を受けている者等に対して、刑事施設や保護観察所において、認知行動療法を理論的基盤とした処遇プログラムを実施しているものと承知しています。
令和元年度に実施した効果検証の結果、一定の再犯防止効果が示されたことを踏まえ、より効果的なものとするため、法務省において同プログラムを一部改定し、令和四年度から実施しているものと承知しており、引き続き、法務省と連携していきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣伊藤信太郎君登壇〕
○国務大臣(伊藤信太郎君) 城井崇議員から、水俣病関係団体との懇談における環境省の対応についてお尋ねがありました。
五月一日の水俣病関係団体との懇談において、時間を超過した一部の方について、発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしたことについては、大変遺憾であり、発言されていた方に対して大変申し訳ない思いでございます。
昨日、私自身が再び水俣に出向き、七つの団体の十名以上の方々とお会いして謝罪するとともに、参加者お一人お一人から御意見、御要望を伺いました。また、発言中にマイクの音量を切られてしまった方のお一人については、奥様の御位牌にお焼香させていただいた上で、お話をさせていただきました。
この中で、改めて懇談の場をつくってほしいという御意見、御要望があり、私の責任で懇談の場を設けることを決断いたしました。具体的な時期や方法については、今後、調整してまいります。
五月一日の懇談当日においては、各団体のお話は私には全て聞こえており、発言の途中でマイクの音量を切られてしまった方お一人については、団体として全体で七分程度お話をされていましたが、全てお伺いいたしました。そして、現場で、環境省の職員がマイクを切ったことについてどう思うかという趣旨の御質問があり、マイクの音量を切ったのか、切ったとしても誰が切ったのか、事実関係が分からなかったので、マイクを切ったことは認識していないと申し上げました。
懇談会後は、事務方により事実確認等を行い、その結果、五月七日に報告を受け、その日のうちに謝罪や現地訪問などの対応を指示しました。
五月一日は、水俣市において、水俣病犠牲者慰霊式への参列、語り部の会との懇談、水俣病関係団体との懇談、記者会見を行った上で、新幹線と飛行機を乗り継ぎ、夜十時頃、東京に到着する日程でございました。
発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしたことについては、発言されていた方に対して大変申し訳ない思いであり、環境省の責任者として私自身が水俣へ出向き、七つの団体の十名以上の方々とお会いして謝罪するとともに、参加者お一人お一人の御意見、御要望を伺ったところでございます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 浦野靖人君。
〔浦野靖人君登壇〕
○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
教育無償化を実現する会との会派を代表し、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案について質問いたします。(拍手)
私は、昭和四十八年に生まれました。同級生は二百万人以上います。半世紀がたち、昨年生まれた子供の数は、半分にも満たない七十五万人、過去最低を更新しました。子供の数が減っているにもかかわらず、児童生徒が被害者となった不同意性交、不同意わいせつ事件の数は、十年前と比べてほとんど変わっておらず、痛ましいニュースが頻繁に取り上げられております。
こうした中で注目が集まる本法案ですが、関係者からは、実効性がなく不十分、何の意味もないといった指摘が上がっております。この法案では、本当に子供の安全を守ることができるのかを考えなければ意味がありません。
まず、大臣にお聞きしますが、子供の安全を守るために、大臣は何が一番重要だと考えていますか。そして、そのために、具体的に誰がどういった行動を取ることが必要と考えていますか。
私たちは、子供を守るために一番重要なのは、大人一人一人が子供の安全を常に考え、事前にリスクを回避することと考えています。法案冒頭の記述のとおり、性暴力は、被害児童に対し、生涯にわたって回復し難い心理的外傷、心身に対する重大な影響を与えるもので、子供たちの心と体は、機械のように新しく買い直すことはできませんし、決して、やり直すことができるものではありません。万が一でも何かが起きてはならず、そうした観点で、現場の事業者は、毎日、性暴力以外も、あらゆる危険を想定し、リスクを防ぎながら経営をしております。
本当に性暴力防止の効果を求めているのか。不十分と感じざるを得ないのは、似たような確認手段を重複して義務づけられる点であります。
今年四月から、保育園では、児童福祉法に基づく保育士特定登録取消し者に係るデータベースの確認が始まりました。就労希望者の情報を入力することで、過去に児童生徒に性暴力等を働き、保育士登録を取り消された事実がないか、インターネットで簡単にチェックできるシステムです。幼稚園、小中学校等でも昨年四月より同様の確認が始まっておりますが、これら既存のシステムは児童生徒に対する性暴力等が対象であるため、被害者の年齢を問わない特定性犯罪の履歴を確認する仕組みとして、今回の法案では新たにデータベースを構築しなければならないようです。
新しい確認には二週間もの時間がかかり、提供された情報は特に厳格に取り扱うことも求められており、現場の負担増加は間違いありません。既に実施中の保育士登録の取消し確認と新たなチェックは、重複する部分がかなり多いと思われます。免許取消しと犯罪履歴は情報元が違うから取扱いを分けねばならないといった理由もあるようですが、いずれかのチェックに該当すれば、採用しないという選択肢を取らざるを得ず、人手不足で業務効率化が求められる中、業務負担を増す仕組みは受け入れられるものではありません。
縦割り行政による弊害を打破すべく設立されたこども家庭庁として、確認プロセスを統一する、若しくはワンストップで二つの確認ができるものにする予定はございますか。予定があれば、いつまでに実現するのか、期日も含めて回答を願います。
また、既存の仕組みでは、不起訴処分や起訴猶予、示談成立を受けた事例が確認対象に含まれない点、行政上の懲戒処分や民間企業の解雇処分を受けたものや自主退職したものが確認に含まれない点が課題に上がっていますが、新しい仕組みでも同じく抜け漏れているようです。この重大な欠陥について、どう対応を図るつもりでしょうか。
新たな仕組みで確認を申請する条件として、雇用契約書の添付も求められています。就労希望者と何度も面接をし、内定し、就労条件を合意した後にやっと作成する雇用契約書を出した後、最後に犯罪事実確認をする手順を想定していますが、このタイミングは遅過ぎないでしょうか。
採用は、就労希望者も企業も非常に労力を使うもので、一人を雇うまでに、アルバイトは三十万円、正社員であれば百万円の費用がかかるとも言われています。雇用契約締結後に犯罪履歴が分かれば、採用を取消しせざるを得ず、何十万円分の労力が無駄となるわけですが、なぜ内定後の確認なのでしょうか。無駄をなくすことができないか、お答えください。
また、派遣職員について、雇用契約を結ぶ派遣元企業が犯罪履歴確認を実施する義務はないのでしょうか。例えば、保育現場に人員を紹介するのは派遣元企業であるため、派遣元企業が犯罪履歴を確認する責務があるとも考えられますし、保育現場でも確認コストが下がるメリットがありますが、政府の見解を求めます。
次に、確認対象の範囲と期間についてお聞きします。
今回は確認対象を学校等公的な機関に限定していますが、子供の安全を脅かす事件は、塾、スポーツ指導等民間の現場、災害救援所等のボランティア現場でも起きています。
有識者会議では、事件の発生範囲として、一、子供との接触度合いが高いこと、二、非対称の力関係があること、三、他者の目に触れにくい状況が生まれることの三要件がそろう場合は対象にすべきだという意見がありました。先月も、国際的に活躍していたバトントワリングの男性コーチが男子選手にわいせつ行為を働いた事件で逮捕されましたが、ジャニーズ問題を始め、力関係が非対称的な場では組織的な隠蔽も起きやすく、特に、仕組みとして発生防止措置が求められています。
なぜ、政府案は、既に昨年から確認運用が始まっている公的な現場に限定し、民間事業者は任意となったのでしょう。児童対象性暴力を防止するための仕組みですので、子供に関わる全ての職業を保証できないと意味がありません。民間事業者は個人情報を厳格に取り扱っているか捕捉可能性が低いことが問題となり、今回は任意との見方もあるようですが、三要素を満たす場合は常に危険が伴うわけで、部活動の指導者、習い事の先生といった個人も確認できなければ、どのように子供を守るのでしょうか。今後、確認対象を広げる予定ならば、スケジュールも含め、指針を提示してください。
また、確認できる犯罪事実は、十年、二十年といった期間が経れば記載から外れる運用となっていますが、諸外国では年数の制限なく掲載されており、十年、二十年という数字は合理性があると言えるのでしょうか。子供を守るために、十分な事実に基づく説明を求めます。
最後に、優先すべき自由のバランスについて伺います。
今回の法案で参考になったイギリスのDBSの制度は、言葉どおり、犯罪履歴を開示し、就労を制限することで子供を危機から守るものであります。
イギリスにおける犯罪事実確認書は数段階にレベル分けされており、簡易的なチェックである無犯罪証明書、公務員等の職種に求められる一段階厳しいチェック、学校等特定現場で求められる詳細拡張チェックと、出し分けできる仕組みになっております。基本となる無犯罪証明書は、教育現場に限らず、どのような職種でも、採用面接の際、身分証明書と同じように就労希望者本人が用意するものとなっていて、子供の安全のために提出は当然という社会常識が定着しています。
日本も、イギリスのように社会常識として、本人が積極的に提出できる無犯罪証明書の制度をつくるべきと考えますが、なぜレベル分けができない仕組みに決まったのでしょうか。今後、レベル分けができる仕組みをつくる考えはないでしょうか。
本人が自身の犯罪履歴を開示できないことは個人情報保護法百二十四条で決まっている、本人が開示できると悪用される、開示しない人に逆差別が生まれるといった懸念もあるようですが、諸外国ではそのような混乱なく運用されています。昭和五十六年のいわゆる前科照会事件等判例で、前科情報を保管する機関には特に厳格な取扱注意義務が課せられているのは存じておりますが、なぜ目的外に情報使用を禁ずる罰則等で規制できないのか、又は、なぜイギリスのOFSTEDのような第三者評価機関によるチェック体制の検討がないのか、政府見解をお答えください。
子供の安全を考える上で特に注意する病症として、十三歳以下にしか性的興奮を抱かない小児性愛の事例がございます。小児性愛には認知行動療法が有効であり、本人が自身の特性を認知し、発症する可能性から積極的に避ける、つまり、子供に近づかないことが有効とされています。
特定犯罪の加害者にも、同じように、自身が周囲に危険を招いた事実を受け入れる対策を講じる必要があるわけで、極めて限定的な、子供に関わる職場への就労制限がかかるのは当然のことであります。今回、個人の職業選択の自由を尊重し、対象範囲を学校施設等に限定し、それ以外の多くの場面で子供たちを危険にさらしたままにすることは、全く合理性を感じず、こども家庭庁が本当に子供を大切にする思いがないのではと疑問さえ感じられます。
全ては、この職業選択の自由と子供の権利のバランスが取れていないことで生じております。子供を取り巻く様々な権利の概念が重視されている中、なぜ今、子供の権利ではなく、特定性犯罪の加害者の名誉を優先するのでしょう。バランスが取れているというのであれば、根拠を教えてください。
こども家庭庁は、制度運用に当たり、ガイドライン作成だけでなく、有効な推進とチェックの体制を構築することが重要となります。犯罪事実確認の適正な実施状況について、帳簿を整える、定期的に総理大臣に報告する、定期的に事務所に立ち入り、管理状況の検査をするとございますが、全国五万件以上ある対象先、実際、全てに立入検査ができるとは思えません。本当にこのような検査が可能か、現実的な考えを教えてください。もし回答が、適用範囲はまだ決まっておらず、今後、主務省令で決めるという旨であれば、それは非常に国会軽視な態度でありますので、誠意ある回答を求めます。
子供たちが安心して学び、たくさんの経験を経て自己決定ができるようになるまで、大人が、社会が責任を持って安全を守らなければなりません。私たち日本維新の会は、妊娠、出産、幼児教育から高等教育まで、全ての教育課程を完全無償化し、自己判断ができる個人を育成することをお約束しております。
今、我々が作るこの法案で、子供の安全第一という考えが数年後に社会に定着していないと意味がありません。旧来の考えにとらわれて、先を見ない政治は断ち切りましょう。子供たちが安心、安全に暮らせる未来のビジョンを描き、課題の本質を議論してまいりましょう。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 浦野靖人議員の御質問にお答えいたします。
子供の安全についてお尋ねがありました。
子供の安全を守るためには、これを第一とし、社会全体で子供への性暴力防止に向けた対策を進めていくことが最も重要であると認識をしております。
このため、本法案を起点とし、こども家庭庁が中心となり、総合的な対策を進め、社会全体として、子供たちを性暴力から守る社会的意識を高めてまいります。
また、本法案においても、事業者が子供に対する性暴力を防止する責務を有することを明確化するとともに、その責務を果たすために実効的な措置を制度化しています。さらに、国が必要な情報の提供や制度の整備等の施策を実施する責務を定めているところであり、このような本法案の考え方を起点に、社会全体の中で、各主体がそれぞれの役割を果たし、子供の安全を守る取組を進めていく必要があると考えます。
保育資格登録取消し者データベースとの確認プロセスの一本化等についてお尋ねがありました。
本法案における犯歴の確認については、事業者が国に対し申請を行った上で、国が確認を行うこととしています。また、該当犯歴ありの場合、この事実そのものに基づいて、該当者を対象業務に従事させない等の措置を講ずることが求められます。
一方、保育資格登録取消し者データベースにおける確認は、事業者自身がデータベースを検索し、即時に結果を入手できます。また、行政処分歴ありという結果であった場合には、事業者が、その情報を端緒に、面接や他の資料等も踏まえて採用、不採用等の判断を行うものであり、本法案に基づく犯歴確認とは情報を得る手続及び情報の取扱いが異なります。
このため、これらの確認について、一つの照会で完了したこととするには制度的及び技術的課題がありますが、事業者にとっての利便性等の観点から、よく現場の意見を聞いて検討してまいります。
不起訴処分等への対応についてお尋ねがありました。
本法案において、確認対象となる性犯罪歴を有するということは、その者が対象業務に従事することを事実上制限することになるため、その根拠は正確な事実でなければなりません。このため、厳格な手続に基づき裁判所が事実認定をした前科を確認の対象としています。
一方で、検察官による不起訴処分は、公正な裁判所の事実認定を経ていないことなどから対象としていません。
また、行政処分や民間の解雇処分については、その基準や理由が主体ごとに異なることから、仮にこれを対象に含めることとする場合、司法手続に準じた適正な手続保障がなされる必要があります。一方、その検討、構築には更なる時間を要するため、まずは、本法律案において確認の対象とする性犯罪歴を前科とする制度の構築を目指すこととしています。
犯罪事実確認の実施時期及び実施主体についてお尋ねがありました。
本法律案に関し、プライバシー情報を扱う犯罪事実確認がむやみに行われることのないよう、犯罪事実確認を行うに当たっては、その申請があった者について、実際に対象業務に従事予定の者であるかが相当程度明らかである必要があると考えており、一般的にこれらが明らかになる採用内定以降に犯罪事実確認を行うこととする運用を考えています。
また、本法律案において、従事者による性暴力等を防止する責務は、派遣等の形態にかかわらず、教育、保育の場を提供している事業者にあるとの考え方の下、派遣労働者の犯罪事実確認についても、実際に教育、保育等を提供する事業者が実施することとしています。
性暴力等防止義務の対象事業者の考え方についてお尋ねがありました。
本法案では、児童等に対して教育、保育等を提供する事業者のうち、法律に基づき、特に公的関与の高い認可、認定、指定等を受けて学校や保育所等を設置、運営する学校設置者等について、児童等への性暴力等の発生防止等の措置を講じることを義務づけることとしています。
その理由は、これらの事業者の性質上、当然に児童等の性被害防止のための措置を取る責任を有すること、問題が生じた場合の監督等の仕組みが既に整っており、児童対象性暴力等の防止措置の適切な実施や性犯罪歴に関する情報の適正管理について、実効的に担保することができるからです。
一方、学校設置者等以外の民間教育保育等事業者については、必ずしもそうした状況にないことから、学校設置者等が講ずべき措置と同等の措置が取れる体制の確保について個別に認定する仕組みを設けることで、できるだけ広く対象に含められるようにしたものです。
犯歴確認の対象についてお尋ねがありました。
本法律案においては、子供に対する教育、保育等を提供する事業者が児童を対象とした性暴力等を防止する責務に着目し、従事者の性犯罪歴の確認その他の措置をこれらの事業者に対し義務づけることとしています。
なお、御指摘のような部活動の指導者、習い事の先生などについても、学校や民間教育事業における対象業務の従事者として、本法律案による確認の対象になり得ると考えております。
対象業務の範囲の詳細については、実態を踏まえ、適切に対象に含められるよう、関係省庁と協議しつつ、施行までに検討していくこととしています。
犯歴確認の対象期間の合理性についてお尋ねがありました。
諸外国における性犯罪歴の確認期間等については、本法案に規定する二十年という期間よりも長い国もあれば短い国もあるなど、様々であると承知をしています。
また、本法案において性犯罪前科の有無を確認させる理由は、性犯罪前科を有する者が同種の性犯罪の再犯に及ぶ可能性が、そのような前科を有しない者に比べて高いという再犯リスクに基づくものです。
憲法上の制約がある中で、同種の性犯罪の再犯があった者について、直前の前科の判決確定から今回の判決確定までの期間についての実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を犯歴確認の対象期間として設定しております。
犯罪事実確認書の仕組みの在り方についてお尋ねがありました。
イギリスでは、複数の犯歴確認の仕組みがあり、確認が義務づけられている子供関連事業においては、事業者が証明書交付の申請主体となっています。
我が国の最高裁判例においては、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとされており、本法案で、犯罪事実確認書は、対象事業者が犯罪事実の確認及びその結果を踏まえて児童対象性暴力等防止措置を実施するために必要な限度で交付する仕組みとしています。
仮に従事者本人が自らの犯罪事実確認書の交付を申請できることとすると、対象事業とは無関係の業種への就職時に犯罪事実確認書の提出を求められ、前科の有無が明らかになるおそれ等があるため、事業者を申請主体とすることが適切と考えております。
犯罪事実確認書の管理についてお尋ねがありました。
犯罪事実確認書については、仮に従事者本人が取得できるとした上で、当該本人に対して無関係の第三者が提供を働きかけることについて禁止する罰則を設けたとしても、制度外で働きかけて犯歴情報を取得した場合に、そのように取得した者を特定、捕捉することは困難であるといった課題があると考えます。
また、御指摘の英国のOFSTEDについては、英国と我が国では個人情報の考えが異なること、英国のOFSTEDは、犯歴がないことのみならず、施設の広さなどのサービスの質に係る様々な条件について満たすことを登録できる仕組みであること、OFSTEDの職員体制は数千人規模であることなどを踏まえれば、同様の仕組みを我が国において設けることには課題があるものと考えております。
子供と特定性犯罪の加害者の権利のバランスについてお尋ねがありました。
まず、本法律案においては、子供に対する性暴力の防止等を目的とするため、子供の権利を第一に考えています。
そうした前提の下でも、まず、犯歴確認の対象とする期間については、本法律案に基づく犯歴確認の仕組みが憲法上の職業選択の自由を制約することから、子供の安全を確保するという目的に照らして許容される範囲とする必要があります。
このため、再犯に至った者の実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を犯歴確認の対象期間として設定しているものです。
また、本法律案では、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業者を対象としていますが、これは、これらの事業者に関して、被用者が児童等を指導するなどし、支配的、優越的立場に立つ等の性質を有しており、児童等に対する性暴力等の発生に特別の注意を払うことが求められることを踏まえているものです。
犯罪事実確認の実施状況の監督についてお尋ねがありました。
犯罪事実確認の実施状況等については、性犯罪歴に係る情報の管理状況と併せて、定期的にこども家庭庁に報告させるとともに、疑義があれば報告徴収、立入検査等を行うこととしています。
これらにより違反が判明した場合には、学校設置者等の場合は、内閣総理大臣による公表を行うほか、児童福祉法に基づく措置の対象となり得ること、認定事業者の場合は、認定の取消し及びその旨の公表を行うこととすることで、適切な犯罪事実確認の実施を担保することとしております。
なお、対象事業者はかなりの規模になるため、定期報告の基本的な確認や事業所に対する任意の実地検査などの監督補助事務については業務委託等を行い、こども家庭庁としては、義務違反等の懸念が生じた場合の報告徴収や立入検査に注力するといった役割分担も含めて、効率的かつ適切な執行体制になるよう検討してまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 浮島智子君。
〔浮島智子君登壇〕
○浮島智子君 公明党の浮島智子です。
ただいま議題となりました内閣提出、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案につきまして、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して質問させていただきます。(拍手)
私は、令和三年五月二十八日の参議院本会議において全会一致で成立いたしました議員立法、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の取りまとめ役をいたしました。
この問題に取り組むようになった契機は、特別支援学校に通う知的障害のあるお子さんがその学校の教師から性暴力を重ねて受けていた事実を、そのお子さんの祖父母、お母様から、直接、涙ながらにお聞きしたことでありました。
信頼する大人から子供が性暴力を受ける、こんなことは絶対に許せない、二度とあってはならないという思いで、必死にこの法案の作成に取り組んだ結果、与党ワーキングチームを立ち上げてから僅か八十九日間で、委員長提案により全会一致でこの法律が成立いたしました。
この法律の附則第七条第二項は、「政府は、この法律の施行後速やかに、児童生徒等の性的な被害を防止する観点から、児童生徒等と接する業務に従事する者の資格及び児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定しており、今回のこども性暴力防止法案は、この附則に示された立法府の意思も踏まえたものであります。
この観点から、同法案は重要な一歩前進ではありますが、こども家庭庁設置法第三条第一項は、こども家庭庁の任務を、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」「こどもの権利利益の擁護に関する事務を行うこと」と規定しており、いわゆるこの日本版DBSは、子供たちの尊厳を守り抜くことを第一にしなければならないことは言うまでもありません。
そこで、まず、加藤国務大臣にお伺いいたします。
本法案第二条第八項において、「特定性犯罪事実該当者」とは、一定の性犯罪を行い、その刑の執行が終わった日から起算して二十年を経過しないものと定めております。逆に言えば、子供たちへの性暴力を行って拘禁刑を受けた者でも、刑の執行を終わってから二十年たてば特定性犯罪事実該当者ではなくなり、子供たちと向き合う仕事に就くことができることになります。
なぜ、このように一定の期間で区切ったのか、また、この二十年といった期間の根拠は何か、お答えください。
もちろん、刑事政策の研究者からは、禁錮刑以上なら執行終了後十年の間に再び刑が科されなければ刑の言渡しが効力を失う、刑の消滅の規定を上回って性犯罪履歴を照会できることとしている本法律案について、子供たちを守りたいという感情論が先行しているとの指摘があること、声があることは承知しております。一旦道を踏み外した人を再び受け入れるという刑事政策の根幹に反するという御意見だと思います。
しかし、小児性愛など性嗜好障害、いわゆる性依存の治療やケアに当たっている医師やカウンセラーは、いわゆる性依存の大人を子供たちから意図的に引き離すことは、性暴力から子供たちを守るとともに、これらの者の治療やケアにとって不可欠で、本人のためだと指摘しています。
一旦道を踏み外した人を再び受け入れなければならないことは言うまでもありません。例えば、アルコール依存症の方には、治療とケアを重ねながら、その社会復帰を支えなければなりません。しかし、最もやってはいけないことは、アルコール依存症の方を酒場で働かせることであり、アルコールとは離れた場所で社会復帰を支援するのは当たり前のことです。今回の日本版DBSも同じ発想であるべきです。本来は、期間の制約なく子供たちから引き離す仕組みとする必要があると思います。
その際に大事なことは、いわゆる性依存に関する治療や医学の知見の蓄積です。WHOの判断基準ICD10がバージョンアップされ、ICD11においては、性嗜好の障害という大まかな診断概念に加えて、強迫的性行動症という診断概念が追加されているとのことです。
そこで、武見厚生労働大臣にお伺いいたします。
子供たちはもちろんのこと、性暴力を行った者の治療やケアの観点からも、いわゆる性依存に関する治療や医学の推進と知見の集積が急務だと思います。これまでどのような知見があり、今後どのような見通しでこの喫緊の課題に取り組まれていくのか、お答えください。
本法案においては、附則第六条において、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案しつつ、」「特定性犯罪事実該当者の範囲を含め、児童対象性暴力等の防止に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と規定しています。
依存的に児童生徒に性暴力を繰り返す者に対する医学や治療に関する国際的動向を踏まえると、これらの者は永遠に子供に関わる職業から引き離すことが、子供たちはもちろんのこと、本人の治療と回復にとっても大事なことだと言えますが、我が国の医学界においては、このような研究や治療が進んでいるとは言い難いのが現状です。
加藤国務大臣にお伺いいたします。
今後、いわゆる性依存に関する治療や医学の進展に基づいて知見の集積が急速に進む中で、この日本版DBSの構造や仕組みも大きく進化させなくてはなりません。附則第六条に基づく検討や措置を行うに当たっては、こども家庭庁を中心に、法務省、厚生労働省、文部科学省、全国の大学医学部、医療機関、医師、カウンセラーなどと連携し、国内外の医学研究の進展を踏まえながら果断に見直すことが、子供たちを守り抜くために不可欠です。どのような体制で、どのように検討を進めていくのか、お伺いいたします。
こども家庭庁が一年前に設置された趣旨の一つが、子供政策における縦割りの打破でありました。
例えば、児童生徒性暴力防止法により、文部科学省には、過去も含めて、少なくとも四十年にわたる、児童生徒性暴力を行ったことにより懲戒免職され教員免許が失効した者のデータベースがあります。これまでも、児童生徒性暴力で、刑事事件にはならなかったものの懲戒免職となり教員免許が失効した小学校教師が、学習塾でまた子供相手の仕事をするという事態が発生しています。今回の日本版DBSをより実効性あるものにするためには、省庁の壁を越えて、この免許失効データベースの活用が欠かせません。
最後に、加藤国務大臣にお伺いいたします。
刑事事件にならなかったものの、子供たちへの性暴力により懲戒免職となり教員免許が失効した者や保育士資格登録取消しとなった者が、素知らぬ顔で学習塾やスポーツクラブなどで再び子供たちの前に現れるのを防ぐためには、日本版DBSと教員免許失効データベース、保育資格登録取消し者データベースとの連携、連結が不可欠ですが、いつ、どのような形で連結をするのか、伺います。
冒頭も申し上げましたとおり、信頼する大人から子供が性暴力を受ける、こんなことは絶対に許せない。全ての子供たちの尊厳を守り抜くことこそ立法府の大きな責任であり、魂の殺人を二度と繰り返してはなりません。その大きな責任を果たしていくことを心からお訴えし、私の質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 浮島智子議員の御質問にお答えいたします。
性犯罪歴の確認対象期間についてお尋ねがありました。
犯歴確認の対象期間は、この仕組みが事実上の就業制限であることから、憲法上の職業選択の自由を制約することとの整理や、前科を有する者の更生を促す刑法の規定の趣旨等を踏まえつつ、子供の安全を確保するという目的に照らして許容される範囲とすべきと考えています。
このため、犯歴確認の対象期間としては、再犯に至った者の実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を設定することとしており、拘禁刑については、刑の執行終了等から二十年が経過するまでの期間を確認の対象とすることとしています。
誰一人として子供が性被害に遭うことのないよう、安全、安心を確保すべきことは当然であると考えており、本法律案においては三年見直しの検討規定を設けているところですが、そのためにできる検討準備は、三年を待たずに継続的に取り組んでいきたいと考えています。
本法案の検討条項に基づく検討体制等についてお尋ねがありました。
本法案は、子供たちを性暴力から守る重要な施策であり、さらに、その制度の在り方についても検討を加えることとしています。
このような制度の在り方の検討に当たっては、この法律の施行の状況等を勘案し、医学の知見等も踏まえる必要があると認識をしており、御指摘のとおり、関係府省庁、関係業界等に広く御協力いただきつつ、進めてまいります。
データベースの連携についてお尋ねがありました。
前科の有無にかかわらず、懲戒免職等になった場合には教員性暴力等防止法等の対象となり、教員免許や保育士資格の有無にかかわらず、特定性犯罪に係る前科を有する者は子供性暴力防止法の対象となるなど、子供性暴力防止法は教員性暴力等防止法と相互補完関係にあります。
子供性暴力防止法の円滑な施行や子供の性暴力を防止するための総合的取組を進める上では、委員御指摘のとおり、文部科学省を始め関係省庁の協力が不可欠であり、こども家庭庁が中心となりつつ、緊密に連携を取りながら進めてまいります。
御指摘をいただきましたデータベースとの関係についても、どういったことができるか、文部科学省ともしっかり連携し、検討してまいります。(拍手)
〔国務大臣武見敬三君登壇〕
○国務大臣(武見敬三君) 浮島智子議員の御質問にお答えいたします。
性嗜好障害に関する治療などについてお尋ねがありました。
いわゆる性嗜好障害やその治療法については、現在、十分に実態が把握されていないことから、昨年度、厚生労働省において、性嗜好障害に対する治療などの情報収集を行うため調査研究を実施し、現在、研究班において結果を取りまとめているところです。
性嗜好障害の治療等への対応については、当該調査研究の報告内容を踏まえ、こども家庭庁等の関係省庁と連携して取り組んでまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 高橋千鶴子君。
〔高橋千鶴子君登壇〕
○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、子供性暴力防止法案について質問します。(拍手)
若年層の約四人に一人が何らかの性暴力被害を受けたことがあるといいます。社会的地位を背景にした事案が多く、人が信じられなくなった、相談まで十年以上かかったなど、長期に影響を与え、訴えてもセカンドレイプになるという現実があり、だからこそ性暴力は魂の殺人と呼ばれています。自ら声を上げた被害者、支援者たちが国会を動かし、ようやく昨年、不同意性交罪を認める刑法の見直しがされました。
とりわけ、子供の性暴力被害は、意味も分からないまま、信頼していた先生が加害者になるなど、子供の心身を深く傷つけ、人生に与える影響は計り知れません。本法案は、日本版DBSと呼ばれるように、国が性加害前科のある者のデータベースを作り、子供に関わる仕事に就けないようにします。子供の性被害を絶対になくすために、法案はどのような効果をもたらすのか、伺います。
二〇二一年に成立した教員性暴力等防止法並びに翌年の児童福祉法改正により、特定免許状失効者等と保育士の登録を取り消された者等について、それぞれデータベースが整備されています。今回新たにつくる登録制度とこれらの制度との違いは何ですか。施行からまだ二年、どのような効果、弊害があるか、検証が先ではないでしょうか。
今回、認可された学校、保育等施設のみに性被害防止措置が義務づけられます。子供の目から見れば、認可外であっても教育、保育の場であることに違いはありません。性被害防止措置を取れる体制があるかなしかで対応に差をつけておきながら、全ての子供を性被害から守ることができるでしょうか。
法案は、犯罪事実確認の結果、前科がある場合は教育、保育等の業務に従事させないなどの防止措置義務を学校設置者等に課しています。それ以外に、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると判断するのはどのようなときか、お答えください。労働契約法による解雇権の濫用や不利益変更が問われる場合もあると考えますが、見解を伺います。
文科省の指針では、任命権者が特定免許状失効者を任命又は雇用することはできますが、もし当該者が再び児童性暴力等を行った場合は、任命権者が損害賠償の責めを負う場合があると書かれています。これでは任命権者が重大な責任を負うことになりますが、見解を伺います。
犯罪歴の扱いの問題です。犯罪歴は、個人情報保護法においては本人も開示請求できないなど、最も機微な個人情報とされています。漏えいや目的外利用を禁じているとはいえ、学校設置者等、又は認定された民間教育保育事業者に渡すことに問題はないのですか。イギリス始め諸外国でも採用されているように、従事者本人が犯罪歴のないことを証明する方法にしなかったのはなぜでしょうか。
こども家庭庁が学校設置者等の申請を受けて法務大臣に照会するデータには、罪名と判決も含まれています。これを基に個人ごとの犯罪事実確認管理簿を作成するとしていますが、使用目的、方法について伺います。
加害者も被害者も出さないために、もっとやるべきことがあるはずです。加害者に対する更生プログラムを充実させること、その中で、異常性愛者など犯罪を繰り返す人には医学的治療が必要です。妊娠、出産や避妊、性感染症などの正しい知識と、互いの人権や多様性を学ぶ包括的性教育が必要ではありませんか。
また、子供に寄り添う相談、支援には専門家が必要です。全都道府県が設置している性犯罪・暴力に対するワンストップ支援センターにはいまだ設置根拠法がなく、関係機関との連携、支援員の不足や待遇改善などが課題とされています。抜本強化が必要と考えますが、見解を伺います。
最後に、学校、保育施設等による性加害事実の隠蔽、もみ消しがなくならない限り、子供を性暴力から救うことはできないし、被害もなくなりません。絶対に初動を誤ってはならないと思いますが、見解を伺います。
以上述べて、質問とします。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 高橋千鶴子議員の御質問にお答えいたします。
子供の性被害防止対策についてお尋ねがありました。
誰一人として子供が性被害に遭うことのないよう、安全、安心を確保することは重要です。このため、本法案は、性犯罪歴、前科の有無を確認する仕組みによる再犯対策だけでなく、初犯対策にも対応できるよう、子供と接する職員等に対する研修、児童等への面談、児童等が相談を行いやすくする措置などの安全を確保するための措置を講じることについて事業者に直接義務づけるなど、予防策を徹底する内容としています。
また、子供の性被害防止対策を進めるには、本法案に基づく取組だけでなく、関係省庁が連携して総合的な対策を進めていくことが必要であり、こうした措置を講じることで、子供の性被害防止対策を更に推進してまいります。
教員性暴力等防止法などの先行する制度との違いについてお尋ねがありました。
今回の子供性暴力防止法案は、教員免許や保育士資格の有無にかかわらず、学習塾講師など幅広い業務の従事者を対象とするものであるほか、教員性暴力等防止法では義務とされているのが事業者によるデータベースの活用であるのに対し、本法案では、犯罪事実確認を行った上で、その結果等を踏まえた防止措置が義務づけられているなど、先行する制度とは顕著な違いがあります。
子供が性暴力に遭う事件が後を絶たず、子供への性暴力防止に向けた取組は待ったなしです。子供への性暴力を防止していくためには、先行する制度の状況を踏まえつつ、こども家庭庁が中心となり、文部科学省などの関係省庁と緊密に連携を取りながら、本法律案も含めた総合的な対策を進めていくことが必要と考えます。
本法律案の対象事業者についてお尋ねがありました。
学校や認可保育施設など、特に公的関与の度合いが高い認可等を受けた事業者は、その認可等を受けるに当たり、個別法において定められた運営、体制等の基準を満たしていることから、この法律案に基づく措置を直接義務化しても対応できるものと考えています。
他方、認可外保育施設や学習塾等の民間事業者は、法令上、このような運営、体制等の基準がないため、この法律に基づき学校等が講じる措置と同等のものを実施する体制が確保されていることや、犯歴確認の対象となる従事者の範囲を個別に確認する必要があることから、認定の対象としているところです。
認定の取得は任意ではありますが、国による認定事業者の公表、認定事業者による表示等を通じて、保護者の選択に資するような仕組みにするとともに、関係業界等に対して制度への参加を強く働きかけ、実質的に義務化と同程度の状況とすることができるよう努めてまいります。
児童対象性暴力等のおそれ及び防止措置についてお尋ねがありました。
児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認められるときの具体的な場合としては、犯罪事実確認の結果、前科が判明した場合のほか、児童等との面談や相談等により、特定の教員等による児童対象性暴力等のおそれがあると判明した場合などが考えられます。
このようなおそれがある場合には、事業者は児童対象性暴力等を防止するために必要な措置を講ずることが義務づけられますが、本法律案は労働法制等の整理を変更するものではなく、雇用管理上の措置については、労働法制等に従うものと認識しています。
法の施行に当たっては、おそれの具体的な内容やその判断プロセス等、おそれに応じた防止措置などについて、雇用管理上の措置における濫用等が生ずることのないよう、関係省庁、関係団体の御協力も得てガイドライン等を作成し、分かりやすく示していくことを想定しています。
犯歴確認の方法についてお尋ねがありました。
本法案においては、犯罪事実確認記録等の漏えい等の防止や、万が一漏えい等した場合の被害拡大防止、再発防止を徹底するため、犯歴確認を行う事業者に対して、犯罪事実確認記録等の適正管理義務、重大な漏えい等の事態が生じた場合の報告義務を課すとともに、適正管理義務違反については是正命令を可能としています。
仮に従事者本人が自らの犯罪事実確認書の交付申請をできることとしても、事業者に対して提出することとなり、結局、漏えい等が問題となる上、対象事業とは無関係の業種への就職時に犯罪事実確認書の提出を求められ、前科の有無が明らかになるおそれがあること、偽造した犯罪事実確認書が事業者に提出されるおそれもあること等の課題があるため、事業者を申請主体とすることが適切と考えております。
犯罪事実確認書管理簿の使用目的及び方法についてお尋ねがありました。
犯罪事実確認書管理簿は、再度の犯罪事実確認の際に、既に提出された情報を利用することができるようにするため、本人特定情報を継続的に管理すること、訂正請求等がなされたときに適切に対応すること、犯罪事実確認に関する不正に対応できるよう必要な情報を把握しておくことを目的として作成することとしており、それらに必要な利用方法で用いることを想定しています。
ワンストップ支援センターの体制強化についてお尋ねがありました。
各都道府県等に置かれる性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおいては、被害者の意思を尊重しつつ、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを、可能な限り一か所で提供しております。
内閣府においては、都道府県等への交付金を通じて、ワンストップ支援センターの運営の安定化や支援の質の向上、警察や医療機関、学校、児童相談所等の関係機関との連携、相談員の処遇改善などへの支援を充実させてきたほか、支援能力向上のため、相談員等への研修も実施しています。
引き続き、ワンストップ支援センターが、個々の被害者の置かれた状況に対応し、被害者に寄り添った支援を提供できるよう、支援体制の整備や連携強化のための取組の更なる推進に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣盛山正仁君登壇〕
○国務大臣(盛山正仁君) 高橋議員にお答えいたします。
まず、特定免許状失効者等を任命又は雇用した際の任命権者の損害賠償責任についてお尋ねがありました。
いわゆる教員性暴力等防止法に基づく基本的な指針においては、採用候補者が特定免許状失効者等に該当する場合、当該採用候補者の任命又は雇用に当たっては、教育職員等による児童生徒性暴力等を根絶するという法の趣旨を踏まえ、少なくとも、児童生徒性暴力等を再び行わないことの高度な蓋然性が必要であるとしています。
これを踏まえ、任命権者等が、任命又は雇用時に、過去に行った児童生徒性暴力等の内容や、特定免許状失効者等となって以降の状況等について適切な確認を怠ったことなどにより、当該採用候補者が再び児童生徒性暴力等を行わないということについての確証が十分に得られていないにもかかわらず任命又は雇用し、採用後に再び児童生徒性暴力等を行った場合には、任命権者等が損害賠償の責めを負う可能性があり得ることを指針において記載しているものとなります。
子供性暴力防止法案が成立した場合には、教育職員等を任命又は雇用しようとする任命権者等は、教員性暴力等防止法に基づくデータベースでの確認に加え、今般の法案に基づく犯歴照会の活用により、教員免許の有無にかかわらず、特定性犯罪の前科の有無を確認することになるものと認識しております。これにより、教師の任命権者等において、より一層丁寧な対応が求められることとなり、児童生徒等に対する性暴力等の防止等により一層資するものとなると考えております。
次に、妊娠や避妊、性感染症などの正しい知識と、互いの人権や多様性を学ぶ包括的性教育についてお尋ねがありました。
学校における性に関する指導については、発達段階を踏まえつつ、児童生徒が性に関して正しく理解し適切な行動が取れるよう取り組むことが必要であると考えています。
このため、各学校においては、学習指導要領に基づいて、発達段階に応じ、受精、妊娠、性感染症の予防などの身体的側面のみならず、異性の尊重、性情報への適切な対処など、様々な観点から指導を行うこととしています。
文部科学省としては、引き続き、学習指導要領に基づく着実な指導に努めてまいります。
次に、性加害事実があった場合の初動対応における隠蔽の防止等についてお尋ねがありました。
教員等が児童生徒等に性暴力等を行うことは断じてあってはならないことであり、教員等による性暴力等を根絶するため、あらゆる角度から実効的な対策を講じていく必要があると考えております。
いわゆる教員性暴力等防止法においては、児童生徒性暴力等があったと思われる場合に、学校は学校設置者等に通報しなければならないとされているなど、学校や学校設置者等が適切な措置を行うことが求められています。また、同法に基づく基本的な指針においては、あしき仲間意識や組織防衛心理から事なかれ主義に陥り、必要な対応を行わなかったりすることがあってはならないことなどを示しているところです。
文部科学省としては、同法を踏まえた対応等について、これまでも様々な機会を捉えて各教育委員会等に対して取組の徹底を求めてきたところであり、今般の子供性暴力防止法案が成立した場合においても、引き続き適切な対応がなされるよう、一層の取組の徹底を図ってまいります。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇〕
○国務大臣(小泉龍司君) 高橋千鶴子議員にお答え申し上げます。
子供に対する性暴力の加害者に対する更生プログラムの充実、治療の必要性についてお尋ねがありました。
刑事施設や保護観察所においては、性犯罪者に対して、認知行動療法の手法を取り入れた処遇プログラムを実施しています。また、釈放後に治療等が必要な性犯罪者には、保護観察所が矯正施設収容中から医療機関等との調整を行っているほか、保護観察中も必要に応じ医療機関等と連携した処遇を行っております。
今後とも、プログラムの充実を図るとともに、性犯罪者が治療等を受けられるよう、医療機関等との連携を図ってまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 西岡秀子君。
〔西岡秀子君登壇〕
○西岡秀子君 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子です。
ただいま議題となりました日本版DBS法案について、会派を代表して質問いたします。(拍手)
近年、教育関係者等による児童生徒等へのわいせつ事件や学習塾等における盗撮など、信じ難い事件が多発しています。
性暴力は、子供たちの心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えることから、その防止のために、国民民主党は日本版DBSの創設を訴え、二〇二一年に議員立法を既に提出しています。
本法案により、対象となる学校設置者等に対し、性犯罪歴の確認、安全確保措置の実施等を義務づけ、その他の民間教育保育等事業者については、認定制度を設け、同様に義務の対象としています。認定を受けていない小規模な事業者等において、子供に対する性暴力防止対策をどのように講じていく方針であるのか、見解をお伺いいたします。
対象となる犯罪は、不同意わいせつ罪等の刑法犯に加え、自治体条例違反も対象に含まれていますが、同様の罪であっても示談等により不起訴となった場合は対象に含まれず、また、性的な犯罪であっても、保護法益の違いや動機の多様さを理由に、器物損壊罪や暴行罪、窃盗罪は照会の対象外となっています。これで本当に子供たちを性暴力から守れるのか、懸念があります。実態に即した、対象となる犯罪類型の拡大の必要性について、見解をお伺いいたします。
性犯罪の九割を占める初犯への対策は、過去に性犯罪歴がなくても加害のおそれがある場合に、事業者側に同様の措置を義務づけています。客観的な事実に基づき、対象事業者において公正な認定がなされるよう、明確な判断基準が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
自己の犯罪歴を開示請求の対象外としている個人情報保護法の規定を踏まえ、事業者が犯罪歴の照会を申請し、犯罪歴が確認されたときは本人に事前に通知し、訂正請求を可能とした上で、内定を辞退した場合は事業者には通知されない仕組みとなっています。一定、本人の関与が担保される形となっているものの、犯罪歴は高度のプライバシー情報であり、施設管理者等には情報管理の徹底が求められています。漏えいの場合は罰則が規定されていますが、情報の適切な管理体制をどのように担保する方針であるか、お伺いいたします。
DBS制度によって教育、保育等の現場から遠ざけたとしても、その対象外の職場で子供に対し加害を続ける可能性も懸念されます。制度の運用とともに、加害者を治療プログラムにつなげることや、子供に関わらない職業をあっせんするなどの総合的な対策が必要です。今後の方針についてお伺いいたします。
性暴力防止に向けて、子供と接する職務者に対し対象事業者等が行う研修は大変重要であり、実効性のある充実した内容とすべきであると同時に、事業者間で質的な格差が生じないように取り組むことが必要です。今後の方針についてお伺いいたします。
子供に対する性暴力防止のために、文部科学省として、こども家庭庁と連携してどのように取り組んでいく方針であるか、お伺いいたします。また、学校現場において生命の安全教育が推進されていますが、性暴力防止の観点から、教育内容の一層の充実が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
施行後三年後を目途に検討条項が規定されていますが、実効性の観点から、対象となる事業者の拡大や照会期間の在り方などについて、これまで様々な議論があったと承知いたしています。今後の方向性について見解をお伺いいたします。
子供に対する性暴力の根絶のためには、子供たちを社会で守るという国民の意識の醸成も大変重要です。国民民主党は、今後とも、子供たちの未来を守るために全力で取り組むことをお誓いし、質問といたします。
御清聴いただき、誠にありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕
○国務大臣(加藤鮎子君) 西岡秀子議員の御質問にお答えいたします。
小規模事業者への対策についてお尋ねがありました。
子供の安全を確保するには、事業者に対して、まずは認定の取得を促すことが重要であることから、認定制度への参加を強く働きかけてまいります。また、保護者等に対しても周知、広報を行い、社会的にも認定を取得することが重要であるという認識を高めるよう努めてまいります。
その他、子供の性被害対策について、今年度新たに取りまとめた総合的対策を推進し、子供に対する性被害を防止してまいります。
対象となる犯罪の範囲についてお尋ねがありました。
本法律案で犯歴の確認対象としている犯罪は、その前科が事実上の就業制限の根拠となることから、いわゆる教員性暴力等防止法の対象となる児童生徒性暴力等も参考に、児童等の権利を著しく侵害し、その心身に重大な影響を与える性犯罪に限定しています。
具体的には、人の性的自由を侵害する性犯罪や、そのような被害に遭わない保護状態を侵害等する罪、児童の性的搾取の罪、児童等に対して行われた場合、その心身に重大な影響を与えるおそれのある性暴力の罪に限定しています。
これに対して、器物損壊罪等は、本法案が限定列挙している罪とはその性質が異なり、本法案の対象にはならないものと整理しています。
また、検察官による不起訴処分は、公正な裁判所の事実認定を経ていない上、処分を受けた者がこれに不服を申し立てることができず、事実認定の正確性を担保する制度的保障もないことから、本法律案の対象には含めないこととしたものです。
性加害のおそれがある場合の判断基準についてお尋ねがありました。
本法律案における児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときとは、児童対象性暴力等が行われる可能性が合理的に認められる場合を指すものです。
具体的な場合としては、例えば、犯罪事実確認の結果、教員等が特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、児童等の面談、相談、通報などから、特定の教員等に不適切な行為があり、児童対象性暴力に発展するおそれがあると判明した場合などが考えられます。
児童対象性暴力等が行われるおそれの具体的な考え方や、おそれを判断するに当たっての判断プロセス等については、施行までに事業者向けのガイドライン等を作成し、しっかりと周知してまいります。
情報管理体制の担保についてお尋ねがありました。
本法律案において、犯罪歴を含み得る犯罪事実確認記録等の管理については、事業者に対し管理責任者の設置などの適正管理措置を義務づけております。
その実効性を確保するため、事業者に対し情報の管理状況の定期報告を義務づけるとともに、こども家庭庁が必要に応じて立入検査等の監督を行うこととしており、情報の適正管理義務違反があった場合には、是正命令等の対象としています。
さらに、命令を受けた事業者は、是正措置を講じるまでの間は犯罪事実確認書の交付を受けられないこととしています。その場合、必要な犯罪事実確認ができない者を対象業務に従事させることができなくなり、事業の実施が困難となります。
あわせて、情報漏示等について罰則を設けているところであり、こうした仕組みにより、情報の適正管理を担保し、情報漏えい等の防止を徹底してまいります。
総合的な対策についてお尋ねがありました。
令和五年七月にこども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージを総合対策として示していたところ、本年四月には、新たに治療や加害者更生といった観点を加え、総合的な取組を強化の上、より一層推進していくこととしています。治療や加害者更生に係る具体的な取組としては、性嗜好障害に関する調査研究の実施、性犯罪の再犯防止に関する指導や、性犯罪に係る再犯防止プログラムの充実などを推進することとしています。
また、その一環として、法務省においては、受刑者等を対象とした処遇プログラムのほか、ハローワークと連携した職業紹介などに取り組むこととしていると承知をしています。
引き続き、本法案による制度とともに、これらの取組を総合的に推進することで、子供の性被害を防止してまいります。
対象事業者が行う研修についてお尋ねがありました。
本法案で対象従事者に受講させる義務がある研修の内容や方法については、今後、有識者や関係団体等とも協議の上、内閣府令等で定めることとしています。現在、教育、保育業界における児童への性暴力防止の取組を横断的に促進するための先進事例を把握する調査を開始したところであり、この中においても、有識者等からの情報収集を行いたいと考えております。
また、国として充実した研修素材を作成していく必要があると考えており、対象事業者にはそれも用いていただくことで、一定の質の研修を受講していただけるようにしたいと考えています。
検討条項に基づく検討の方向性についてお尋ねがありました。
本法律案の検討の過程では、与党の先生方や有識者会議から、対象とする事業者や業務の範囲、特定性犯罪事実該当者の範囲など、制度全般の在り方について様々な御意見がありました。また、今後の制度の見直しの検討に向けては、子供への性暴力に関する最新の知見なども踏まえ、早期に検討することが求められました。
これらを踏まえ、本法律案においては、施行後三年後を目途として見直しの検討をすることとしています。この検討に当たっては、制度を取り巻く様々な状況を勘案しながら、対象事業者や業務の範囲、特定性犯罪事実該当者の範囲を含めた、制度の在り方全般について検討を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣盛山正仁君登壇〕
○国務大臣(盛山正仁君) 西岡議員にお答えいたします。
子供に対する性暴力被害の防止についてお尋ねがありました。
性暴力を含め、子供の性被害防止については、こども家庭庁を始めとした関係省庁と連携し、昨年七月にこども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージを取りまとめたところであり、加害防止や被害者支援等の強化に向けて政府全体で取り組んでいるところです。
文部科学省では、このパッケージに基づいて生命の安全教育の全国展開を進めており、これまでの取組に加えて、本年度においては、新たに、都道府県や市区町村においてモデル地域を設定し、その地域内の全ての学校における実施を目指す教育委員会に対して支援を行うとともに、生命の安全教育の授業を容易かつ効果的に実施できるよう、指導過程を解説した動画の作成に取り組んでいるところです。
引き続き、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないため、生命の安全教育の充実を図ってまいります。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十八分散会
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出席国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
文部科学大臣 盛山 正仁君
厚生労働大臣 武見 敬三君
環境大臣 伊藤信太郎君
国務大臣 加藤 鮎子君
出席副大臣
内閣府副大臣 工藤 彰三君