衆議院

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第28号 令和6年5月21日(火曜日)

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令和六年五月二十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十一号

  令和六年五月二十一日

    午後一時開議

 第一 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出)

 第三 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第六 航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第七 社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第八 刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 第九 事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出)

 日程第三 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第八 刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第九 事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第一、再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長新谷正義君。

    ―――――――――――――

 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔新谷正義君登壇〕

新谷正義君 ただいま議題となりました再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、細胞加工物を用いない遺伝子治療等について、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象に追加すること、

 第二に、再生医療等の提供計画を審査する委員会の設置者に関する立入検査等及び欠格事由の規定を整備すること、

 第三に、医薬品等の適応外使用について、人の生命及び健康へのリスクが薬事承認済みの用法等と同程度以下の場合には、臨床研究法の特定臨床研究及び再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象となる再生医療等から除外すること

等であります。

 本案は、去る五月八日本委員会に付託され、同日武見厚生労働大臣から趣旨の説明を聴取し、十五日、質疑を行った後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出)

 日程第三 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第二、階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案、日程第三、内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案、日程第四、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長武部新君。

    ―――――――――――――

 外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案及び同報告書

 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔武部新君登壇〕

武部新君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、内閣提出の出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案は、在留カード等と個人番号カードの一体化を可能とするとともに、地方出入国在留管理局又は市町村における手続の一元的処理を可能とするものであります。

 次に、内閣提出の出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案は、現行の技能実習に代わる新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設するほか、永住許可の要件の明確化等の措置を講じようとするものであります。

 次に、階猛君外九名提出の外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案は、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する基本理念等を定めるとともに、外国人一般労働者雇用制度整備推進本部を設置しようとするものであります。

 内閣提出の両法律案は、去る四月十六日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会においては、二十三日小泉法務大臣から趣旨の説明を聴取し、翌二十四日質疑に入り、二十六日参考人から意見を聴取いたしました。

 五月七日階猛君外九名提出の法律案が本委員会に付託され、翌八日、提出者階猛君から趣旨の説明を聴取し、質疑に入りました。

 十日には厚生労働委員会との連合審査会を開会し、十三日には群馬県及び宮城県において地方公聴会を開催いたしました。十五日には岸田内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行い、十七日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、内閣提出の出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案により、政府の措置に関する規定、永住者の在留資格の取消しに係る規定の適用に当たっての配慮に関する規定及び検討に関する規定の追加等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、まず、階猛君外九名提出の外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案については、賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次に、内閣提出の出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案については、賛成多数をもって可決すべきものと決しました。次に、内閣提出の出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案については、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。

 なお、内閣提出の両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。鎌田さゆり君。

    〔鎌田さゆり君登壇〕

鎌田さゆり君 立憲民主党・無所属の鎌田さゆりです。

 私は、会派を代表し、立憲民主党提出の外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案、通称外国人労働者安心就労法案に賛成、政府提出の出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案、及び、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 これまで、技能実習制度は、どう見ても安価な単純労働力の確保のためにもかかわらず、その目的を開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進するためと強弁し、技能実習生を労働者ではなく実習生であるとし、原則、転籍の自由を認めない中で、全てとは言いませんが、賃金が低く、劣悪な労働条件で働かせる事例が横行していました。

 そこで、私たち立憲民主党は、これまで三年もの間、外国人技能実習生や支援団体の皆さんの声を聞き、議論を重ね、政府案よりも、日本が外国人の方々に選ばれる国となり、多くの方々に来日していただき、より長期間、安心して就労、定住することができ、経済界のみならず、農業、漁業の現場からも喜ばれる外国人労働者安心就労法案を今国会に提出し、政府案との違いを法務委員会でも明らかにしてまいりました。今の日本の経済力を維持するためには、一千万人以上の外国人に共に日本社会を支えてもらう必要があり、日本が生き延びるために必須の条件なんです。

 外国人労働者安心就労法案は、人材不足の産業分野や地域の活力向上と多文化共生への寄与、日本で就労する外国人の人権尊重、職業生活の確保と希望に応じた職業能力の開発、この二つを基本理念として、柔軟な転籍や三年目から家族帯同を可能とする人権への配慮などを明記し、家族帯同を八年間認めない政府案とは大きく異なります。

 また、雇用主の要件を厳格化するとともに、日本政府が悪質ブローカーの排除などを適切に行うことが担保されている国のみとMOCを交わすことや、外国人労働者の求人等の業務を公的機関が一元的に行うことによって、優良な就労先を選定して、日本人と同等の賃金などの待遇を確保するとともに、外国人労働者の来日前後の負担を軽減する内容となっています。日本で働きたいと選んでくれた外国人の方々に、日本を好きになって魅力を感じて長く働き、政府案よりも地域定住、就労定着してもらえる法案になっているんです。

 一方、政府案は、制度設計自体、従前の技能実習制度の多くを踏襲し、技能実習が育成就労、技能実習生が育成就労外国人、実習実施者が育成就労実施者、監理団体が監理支援機関、外国人技能実習機構が外国人育成就労機構と名前が変わっただけで、国際的にも批判されている技能実習制度の看板のかけ替えにすぎないと言わざるを得ない内容です。

 特に問題なのは、故意に公租公課の支払いをしない場合等に永住者の在留資格を取り消す条項です。

 有識者会議での議論がないのみならず、そもそも、永住外国人が日本人と比べて故意に公租公課の支払いをしない割合が高いという立法事実がないことは、委員会質疑でも明らかになりました。法務大臣も入管庁も、永住権が取り消されるのは悪質なケースだけと答弁で繰り返していますが、国税庁の答弁によれば、税の滞納の場合は、国籍の違いに関係なく、督促を出し、財産調査や差押えを行い、悪質性の高い者には刑事罰が科せられ、外国人の場合は、一年を超える懲役を受ければ退去強制の対象となるんです。既に現行法で公正に対応できるし、対応しているのではないでしょうか。

 にもかかわらず、永住外国人にだけ、永住資格の喪失という、その生活の基盤の根幹を失わせる極めて重い罰則を科すこととなるこの条項は、極めて差別的で、人権侵害のおそれがある不当なものだと言わざるを得ません。自治体も対応に苦慮するのは明らかです。

 さらに、政府案は、季節性のある分野を対象として、派遣労働を認める内容となっています。しかし、派遣という労働形態自体が、低賃金など多くの問題を抱えています。外国人労働者が、事業者側の都合により、十分な補償もないまま、一方的に雇用が打ち切られる可能性があるなど、育成就労外国人の立場が不当に不安定なものとなり、労働条件が悪化する懸念を拭えません。このことから、派遣形態での育成就労には反対をいたします。

 海外から一時的に働きに来てもらう単なる労働力扱いのままで、どこが抜本改革なのでしょうか。低賃金や不安定な労働環境が失踪や人権侵害につながってきたことは、政府は学んでいるのでしょうか。

 私たち会派は、法案審議と並行して、立憲案に基づいた九つの修正項目を示して、修正協議を呼びかけてきました。その結果、自由民主党・無所属の会、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会、立憲民主党・無所属の四会派で、附則において、永住外国人の永住資格を喪失させる規定の適用に当たっては、従前の支払い状況、現在の生活状況そのほか、その者の置かれている状況に十分に配慮するなど、幾つか修正合意し、附帯決議の内容も含めて、一定の成果がありました。真摯な姿勢で協議に応じていただき、一定の前進があったことに敬意を表します。

 しかしながら、修正部分を除く政府案は、来日前の高額な初期費用や監理費の負担、家族帯同の長期制限、悪質ブローカーの介在や、先ほど申し上げた問題点など、根本解決に至らない点が色濃く残り、多文化共生社会の実現、共に暮らし、働いていきましょうという意思が見えません。

 以上のことから、政府案よりも私ども立憲案の方が、外国人の方々に選ばれる国となり、多くの方々に来日していただき、より長期間、安心して就労、定住することができる、経済界のみならず、農業、漁業の現場からも喜ばれる内容であることは明白であり、政府案には反対をいたします。

 また、在留カード等とマイナンバーカードの一体化に関する入管法等改正案についても、その立法趣旨に疑問があるだけではなく、プライバシー保護の観点から疑念が残るものと言わざるを得ず、反対をいたします。

 以上、私の討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 牧原秀樹君。

    〔牧原秀樹君登壇〕

牧原秀樹君 自由民主党・無所属の会の牧原秀樹です。(拍手)

 まず冒頭、事故によりお亡くなりになられたイランのライシ大統領へ追悼の意を表します。

 また、新たに御就任になられました台湾の頼清徳総統に祝意を表します。

 与党を代表し、ただいま議題となりました入管法等の一部改正法案と入管法及び技能実習法の一部改正法案及びこれに対する修正案について、賛成の立場から討論いたします。

 昨年十月一日現在の我が国の総人口は一億二千四百三十五万二千人であり、ピーク時の二〇〇八年の一億二千八百八万人から既に三百七十三万人減少しています。今後、人口減少は加速し、今から僅か二十六年後である二〇五〇年には更に二千万人の人口減少が見込まれ、今でさえ労働力不足が問題となる中、少子高齢化も相まって、更に深刻度を増し続けていくことは間違いない状況です。

 岸田政権が最重要と掲げる少子化対策について抜本的な強化がなされ始めているとはいえ、それが有効だとしても、労働力不足解消につながるには時間を要します。ゆえに、外国人材獲得は我が国の経済や社会の維持発展にとって極めて重要であり、国際的な人材獲得競争の激しさが増す中、我が国が世界から魅力ある働き先として選ばれる国でなければなりません。

 他方で、日本は、世界的に見れば、外国人の受入れが少なかった国です。現在でも、外国人と地域住民とのトラブルや、つい先日も窃盗犯として逮捕案件が出る等、我が国の国民の理解を得つつ外国人労働者の受入れ政策を進めていくことが極めて大切です。

 本法律案は、このような大きな要請に応えつつ、全体として、我が国の短期的発展はもとより、中長期的発展にも資するものとなっています。

 まず、国際的な批判もあった技能実習制度に代え、一定の専門性と技能を有する特定技能水準の人材を育成し、我が国の産業を支える人材確保を目的とした育成就労制度が創設されます。

 また、人権保護等の観点から、転籍制限の緩和や、監理団体、受入れ機関の要件の厳格化、外国人育成就労機構の監督指導機能や支援、保護機能を強化するほか、一号特定技能外国人支援に係る委託の制限など、受入れの適正化方策も講じられます。

 さらに、永住者の増加が見込まれる中、永住許可の要件を明確化し、公的義務の不履行問題への対処も講じられております。この点に関し、委員会でも多くの懸念も提起されましたが、審議を通じ、永住許可の取消しは、ごく一部の悪質な者が対象となり得るにとどまることが明確になっています。

 本法律案では在留カードと個人番号カードを一体化、利便性を高め、行政運営の効率化を図ることで、デジタル社会の実現にも寄与します。

 私は、国会、特に委員会審議は、政治的思惑むき出しで与野党が足を引っ張り合うものではなく、真摯にお互いの考えをぶつけ合い、できるだけその審議が生きるものであるべきだと考えています。今回、立憲民主党の対案も同時に審議を進め、野党の御提案を受ける形で、法務委員会としては初めて地方公聴会を宮城県、群馬県で開催し、視察先では技能実習生や特定技能者からも直接に話を伺うなど、丁寧な審議を行い、与野党四党での修正案合意に至りました。関係者の皆様には心から御礼を申し上げます。

 大都市圏や特定地域への過度な集中を避ける必要な措置、監理支援機関等の関係機関の連携強化、監理支援機関の中立性の確保、公租公課義務及び永住権取消しに係る規定の趣旨及び内容の周知や十分な配慮義務、三年の検討規定などが修正案です。これは、野党の皆様の御提案をほぼ丸のみする形で現場で合意をしたものでございます。にもかかわらず、立憲民主党が最終的に反対となるのは意味不明で、現場の努力を無にするものであり、心底がっかりいたしました。しかし、米山理事を始め関係者の真摯な協議と内容の大切さに鑑み、立憲民主党が反対になってもなお、我が党及び公明党も修正案の共同提出者となって賛成する異例の対応をいたします。

 なお、立憲民主党の対案には考えが異なる点もあり賛成できませんが、こうした中身の濃い対案を提出されたことにより、建設的な委員会審議につながり、修正合意につながったと感謝を申し上げます。

 以上、我が国の現在及び将来にとって極めて重要かつ必要不可欠なものであることから、本法律案及び修正案の一日も早い成立、施行をお願い申し上げて、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 本村伸子君。

    〔本村伸子君登壇〕

本村伸子君 私は、日本共産党を代表し、入管法、技能実習法改定案等に反対の討論を行います。(拍手)

 現行の技能実習制度は、大企業が下請単価、取引価格の引下げ、抑制をする下で、外国人を非熟練、低賃金の労働力として使い、強制労働や性的搾取など、深刻な人権侵害の温床となってきました。国連自由権規約委員会などからも、人権侵害を指摘されています。入管庁は、失踪が多発する原因を本気で改善せず、技能実習生の命と安全を軽視しています。

 技能実習制度は、原則、転籍の自由がなく、労基法違反や暴力など、やむを得ない事情がある場合に限って転籍を認めていました。

 本法案の育成就労は、新たに本人の意向による転籍を規定していますが、分野ごとに一年から二年は転籍を認めず、しかも、日本語、技能要件などの制限を設け、省令に白紙委任をしています。これでは、転籍の自由を事実上認めないものと言わざるを得ません。政府は、転籍は制限しなければ地方から労働者が流出をしてしまうと言いますが、それは、全国一律最低賃金制度千五百円を、中小・小規模事業者を本気で支援して実現し解決すべきことであり、転籍の制限は本末転倒です。

 農業と漁業などに派遣労働の仕組みを導入することも問題です。中間搾取で手取り、労働条件が悪くなり、使い捨て、短期間での帰国など、機械的な扱いになってしまう懸念があります。

 多額の借金を背負い、解雇、事実上、強制帰国をさせられ、人生を壊されることがないよう、労働者からいかなる手数料、経費も徴収してはならないという二国間協定を結ぶべきとの質問に、法務大臣は後ろ向きの答弁でした。これでは、借金問題は解決しません。

 育成就労制度は、転籍の自由を保障する制度とは言い難く、独立性、中立性のない監理団体と同じような監理支援機関に関与させ、多額の借金問題の解決の見通しもない、技能実習の看板のかけ替えにすぎません。

 重大なことは、永住許可制度の適正化と称して、永住許可を取り消すことができる制度を新設することです。

 永住許可の審査は厳しく、原則十年以上、日本で生活し、安定した資産、収入があること、税金、社会保険料の滞納がないことなどを厳格に審査した上で、永住を許可されています。永住者の中には、戦前の植民地支配によって日本国籍とされ、戦後、国籍を離脱するという歴史的経過の下で、特別永住者とともに永住者となった方々も多数存在します。

 税金や社会保険料の滞納を永住許可取消しの理由としていますが、これは誰にでも起こり得ることです。こうした場合に必要なことは、まず、生活困窮のSOSと捉え、支援につなげることです。その上で、日本国籍の人と同じように、督促、差押えなど、対応すればいいではありませんか。差別的、懲罰的なやり方は、憲法違反のおそれがあります。

 この法案で、永住者の方々から、寝られない、つらいという声が届いています。永住許可を取消しすることに反対する署名は、四万筆を超えて集まりました。入管庁に人生を握られ、署名したくてもできない悲痛な叫びがあることを知るべきです。懇談会報告書でも求められていた、外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聞くことも、丁寧な議論を行っていくこともやらず、乱暴に採決を強行することは余りに暴力的であり、人権軽視を恥ずべきです。

 永住しようとする外国人労働者と家族の地位を著しく不安定にし、日本で培った十分な生活基盤を失わせることは、人道に反しています。永住許可取消し制度は撤回をするべきです。

 在留カードのマイナンバーカードとの一体化は、マイナンバー制度にそもそもの問題があり、自己情報コントロール権、個人情報保護の観点から反対です。

 家族の帯同を含め、外国にルーツを持つ方々を尊厳ある人間として受け入れる制度、共に生きる制度を強く求め、反対の討論といたします。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 美延映夫君。

    〔美延映夫君登壇〕

美延映夫君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の美延映夫です。

 私は、会派を代表し、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案、及び、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに同修正案に対して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 現行の技能実習制度が始まってから三十年、この間、多くの外国人が多くの業種において貴重な働き手として貢献してきました。しかし、日本において高度な技能を身につけ、母国に帰ってからその技能を母国で生かすという国際貢献の建前は制度開始早々から崩れ、実態は、実習生が安価な労働力として扱われてきました。しかも、その中で、低賃金、長時間の過酷な労働条件に加え、パワハラ、セクハラなど、人権侵害が多発してきました。こうした不正常な働かせ方は、外国人実習生の失踪、不法滞在、犯罪化の大きな要因の一つとも言えるものです。

 今回の改正法案は、国際貢献を建前とする技能実習制度を、日本の労働市場における人材の育成と確保を目的とする外国人労働力の現実に合わせた育成就労制度に改めるものですが、外国人の労働者性に正面から向き合う今回の改正は、外国人に劣悪な労働環境を押しつけ、人権上の問題も指摘されてきた状況を一定程度改善するために必要な改正であると考えます。

 現行の技能実習制度では、原則として就労先企業から別の企業に移籍することは認められていませんでしたが、改正後は、本人が希望すれば、一年ないし二年の期間で移籍することが可能となります。移籍期間の緩和によって、本人の希望と実際の職場とのミスマッチの解消につながるだけではなく、受入れ企業では、もっと長く働いてもらおうという意識が強まり、賃金アップ等の待遇や職場環境の改善へのインセンティブが働くことが期待されます。

 改正案では、待遇面で、賃金については日本人と同等又はそれ以上との要件が付されました。外国人は安上がりの労働力であるとか雇用の調整弁であるとかいう不当な認識は、きっぱりと捨て去らなければなりません。日本が選ばれる国として国際的評価を高めるためにも、同一労働同一賃金とキャリアアップの機会を外国人にも保障すべきであり、この点で本改正案の趣旨に賛同するものです。

 外国人労働者の増加に伴い、彼らの適切な管理やサポートが求められています。今回、入管法改正では、三か月を超えて日本に在留する外国人全てに常時携帯の義務がある在留カードと、マイナンバーカードを一体化することが可能とされています。

 マイナンバーカードを利用した在留管理は、正確で効率的な管理を可能にする一方、外国人労働者との連携や情報提供の効率化にも寄与するものです。納税や所得、居住地などを一元的に把握することで、違法な働かせ方の防止や適切な外国人政策の展開のためにも有効です。また、外国人本人にとっても、行政窓口のワンストップサービスや医療等を受ける際にも利便性を向上させるものです。中でも、外国人に対して日本人と同等の社会保障給付を確保するためにも、必要な施策であると考えます。

 なお、今回の改正の中で永住資格の変更や取消しに関する規定が設けられましたが、一定以上の罪を犯した犯罪者が永住の資格を得る要件に欠けることは、国際的な常識から見ても当然です。また、納税や保険料支払いの意思が認められない者の永住資格に疑義が生じることも当然です。不払いや未納の事情について厳格に調査することを前提に、故意の未納者には厳しい対応をすることも必要と考えます。

 本改正案は以上のような必要性に基づくものですが、これらを外国人に関わる問題の根本的な解決策と見るべきではありません。技能実習生制度の発足以来積み上がってきた諸問題について、国際貢献などというきれいごとではなく、ようやく現実の問題に目を向け始めたという段階であり、問題解決の最初のきっかけにすぎないのです。

 また、今回の改正について、技能実習が育成労働に変わっただけで実態は何も変わらない、外国人が増えると自治体の負担も増えるとの厳しい意見も上がっていることを真摯に受け止めなければなりません。

 また、私は、元地方議員として、住民生活を直接預かる地方自治体において、外国人人口の急増によって、日常生活や教育現場、災害対応などで言語、文化の壁による混乱が生じており、それに対して真っ正面からの対策が必要であることも痛感しています。

 こうした認識の下、我が会派は、一歩でも二歩でも有効な制度にすべく、積極的に修正提案を行ってきました。今般、与党との協議の結果、合意された修正案は、新しい制度の運用に当たっては、人材が不足している地域において必要とされる人材が確保され、それによって地域経済が活性化するようにすること、及び、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出することで、大都市圏その他の特定の地域に集中して就労することがないようにするための必要な措置を講ずることを盛り込んだものです。この修正により、外国人の集中により、大きな負担が強いられている地域の住民と自治体の負担を軽減し、逆に地域に貢献できる制度にすることができます。

 もちろん、これはまだまだ端緒的な対策にすぎません。今後は、今回のような個別法を個々に改正するのではなく、日本社会の一員として、外国人などとどう向き合い、どう共存していくかについて、根本的な理念や政策を盛り込んだ外国人基本法とも呼ぶべき基本戦略を確定させることが絶対に必要です。そのための議論をタブーなく進めることを提案いたします。

 我が会派では、日本の文化と安全、安心な社会を守りつつ、世界から多様な高度人材を受け入れ、豊かな多文化共生を実現することを目指して、これからも全力を尽くすことを表明し、賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二、階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第三、内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び日程第四、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。

 日程第三の委員長の報告は可決、日程第四の委員長の報告は修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第八 刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

議長(額賀福志郎君) 日程第五、日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第六、航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第七、社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第八、刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長勝俣孝明君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔勝俣孝明君登壇〕

勝俣孝明君 ただいま議題となりました四件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日・ドイツ物品役務相互提供協定は、令和六年一月二十九日に署名されたもので、自衛隊とドイツ軍隊との間で物品、役務を相互に提供する際の決済手続等を定めるものであります。

 次に、日・クロアチア航空協定は、令和五年七月二十一日に署名されたもので、クロアチアとの間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 次に、日・オーストリア社会保障協定は、令和六年一月十九日に署名されたもので、オーストリアとの間で、年金制度、医療保険制度等に関する法令の適用について調整を行うこと等を定めるものであります。

 最後に、日・ブラジル刑事共助条約は、令和六年一月二十五日に署名されたもので、ブラジルとの間で、捜査、訴追その他の刑事手続に関する共助を実施するための法的枠組みについて定めるものであります。

 以上四件は、去る五月十四日外務委員会に付託され、翌十五日上川外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十七日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、順次採決いたしました結果、日・ドイツ物品役務相互提供協定は賛成多数をもって、日・クロアチア航空協定、日・オーストリア社会保障協定及び日・ブラジル刑事共助条約はそれぞれ全会一致をもって、いずれも承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。

 まず、日程第五につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第六ないし第八の三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第九 事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第九、事業性融資の推進等に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長津島淳君。

    ―――――――――――――

 事業性融資の推進等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔津島淳君登壇〕

津島淳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、不動産担保や経営者保証等に依存した融資慣行の是正及び会社の資金調達等の円滑化を図るため、事業性融資の推進に関し、基本理念、国の責務、基本方針の策定のほか、企業価値担保権の創設、事業性融資推進支援業務を行う機関の認定制度等について定めるものであります。

 本案は、去る五月七日当委員会に付託され、翌八日鈴木国務大臣から趣旨の説明を聴取した後、十日から質疑に入りました。十四日には参考人から意見を聴取し、十七日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣   小泉 龍司君

       外務大臣   上川 陽子君

       厚生労働大臣 武見 敬三君

       国務大臣   鈴木 俊一君


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