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第2号 令和6年11月29日(金曜日)

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令和六年十一月二十九日(金曜日)

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 議事日程 第二号

  令和六年十一月二十九日

    午後三時開議

 一 国務大臣の演説

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本日の会議に付した案件

 石破内閣総理大臣の所信についての演説


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    午後三時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説

議長(額賀福志郎君) 内閣総理大臣から所信について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣石破茂君。

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合せるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍していくようにしなければならない」これは、昭和三十二年二月の石橋湛山内閣施政方針演説の一節です。

 この言葉に示されているとおり、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、よりよい成案を得ることだと考えます。

 先般の選挙で示された国民の皆様方の声を踏まえ、比較第一党として、自由民主党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様方の安心と安全を守るべく取り組んでまいります。

 全ての国民の幸せを実現するため、三つの重要政策課題への対応を進めます。

 まず第一は、外交、安全保障上の課題への対応です。

 国際秩序に大きな挑戦がもたらされています。ロシアによるウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮の兵士がウクライナに対する戦闘に参加しています。中東地域で続く報復の応酬は未だに終わりが見えません。

 我が国周辺に目を転ずれば、今年後半だけを見ても、中国、ロシアの軍用機が我が国領空を相次いで侵犯したほか、中国空母が我が国領海に近接する海域を航行しました。戦闘機を含む中国空母二隻の艦載機は、約千二百回に及ぶ発着艦を太平洋で行いました。ロシアの哨戒機は、我が国を周回する飛行を行いました。北朝鮮は、ICBM級を含め、近年かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。

 こうした厳しく複雑な国際社会においても、国家のかじ取りを行うに当たっての基本は変わりません。すなわち、我が国としての、そして同盟に基づく抑止力、対処力を維持強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことであります。これにより、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持をいたしてまいります。

 私は、先般、ペルーでのAPEC、ブラジルでのG20に出席し、自由貿易体制の維持強化、飢餓、貧困の撲滅といった国際社会の諸課題につき、我が国の理念、施策を発信するとともに、各国首脳との間で個別に意見交換を行いました。

 アメリカ合衆国のバイデン大統領とは、今後も揺るぎない日米同盟を更に発展させていくことで一致をいたしました。

 合衆国では、来年一月には第二期トランプ政権が発足します。日米安保体制は、我が国の外交、安全保障政策の基軸であります。しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ています。

 当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます。トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。

 韓国の尹錫悦大統領とも、来年、国交正常化六十周年を迎える中、首脳会談も頻繁に行い、日韓関係を大いに飛躍させる年にしようということで一致をいたしました。日米韓三か国の首脳会談も行いました。

 中国の習近平国家主席とも、かみ合った議論を行うことができたと感じております。日中間には様々な懸案、意見の相違があります。首脳会談の際、私からは、中国軍の活動の活発化やシンセンでの児童殺害事件など、我が国の有する懸念について率直に提起をいたしました。また、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大も求めました。私が指摘をした短期滞在の日本人への査証免除再開については、既に中国側から明日三十日に開始するとの発表がありました。

 このように、諸課題について、主張すべきことは主張する。しかし、その上で、協力できる分野では協力していく。それが私の考える国益に基づく現実的外交です。中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習主席とも確認した戦略的互恵関係の包括的推進、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。

 日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持いたします。

 外交と防衛は車の両輪です。私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進めるとともに、同盟国、同志国との連携を更に深めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。

 防衛力の最大の基盤である自衛官の充足が約九〇%にとどまっていることは、極めて深刻な課題と認識しております。自衛隊の人的基盤の強化に向け、私を議長とする関係閣僚会議を既に三回開催し、議論を重ねております。隊員の生活、勤務環境の改善等、早急に実現可能な方策は経済対策に盛り込み、併せて、若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計を確立し、退職後も社会で活躍するための施策の方向性についても、年内に結論を得て、可能なものから令和七年度予算に盛り込みます。

 沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます。普天間飛行場の一日も早い返還を実現するため、辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に基づき、着実に工事を進めてまいります。沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感していただけるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続いたします。

 加えて、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めるとともに、駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます。

 サイバー攻撃の脅威は差し迫った課題であり、有識者会議の提言も踏まえ、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させるための法案を可能な限り早期に国会に提出すべく、検討を更に加速いたします。

 拉致問題は、単なる誘拐事件であるにとどまらず、その本質は国家主権の侵害であります。拉致被害者やその御家族が御高齢となる中、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題であります。国家としての、また、私自身の断固たる決意の下、その解決に取り組んでまいります。先に述べました日米、日韓の首脳会談におきましても、引き続きの連携を確認いたしました。

 重要政策課題の第二は、日本全体の活力を取り戻すことです。

 人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下をしています。こうした状況は、我が国の経済社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少につながりかねません。

 この流れを反転させるため、地域の活力を取り戻す地方創生の再起動、経済の活力を取り戻す賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行、全世代型社会保障の構築、この三つの取組を強力に進めてまいります。

 地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の多様な幸せを実現するための社会政策です。元気な地方から元気な日本を作る試みは多くの点となって息づいておりますが、未だに全国的な広がりには欠けております。これを集めて面にして、やがては日本中の皆様に面白い、楽しいという思いを広げていかなければなりません。

 宮崎県小林市では、フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークな我がまちの紹介動画を作成し、話題となりました。これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したものでありました。故郷を離れてしまう前に、故郷に誇りを持って欲しい、そして故郷のために活躍して欲しいとの当時の市長の願いからでありました。

 鹿児島県伊仙町では、町長が集落を回り、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者の方々から、子供たちのためにもっとお金を使って欲しいとの意見が出ました。出産や子育て環境を充実させ、平成十五年から平成二十四年までの間、合計特殊出生率日本一となる二・四二、二・八一を実現しました。

 これらを決して一つのまちの物語にとどめてはなりません。日本中の同じ課題を抱えている皆様と、これまでの地方創生の成功事例から学び、産官学金労言で英知を集め、我がまちを輝かせるため、共に取り組んでいく所存であります。デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めてまいります。

 地方創生二・〇を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増します。新しいICT技術もフル活用しながら、持てるポテンシャルがまだまだ眠っている地方の農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化を進めるとともに、新たな重点として、文化芸術、スポーツの振興にも取り組みます。来年四月に開幕する大阪・関西万博の機会も最大限に活用いたします。

 この夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しいところです。人口減少下においても、農林水産業、食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保いたします。農林水産業に携わる方々が安心して再生産でき、食料システム全体が持続的に発展し、活力ある農山漁村を後世に引き継げるよう、施策を充実強化いたします。

 地方の取組が花開くためには、国としての環境整備も必要です。GXの例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力につながる動きが始まりつつあります。投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として二十兆円規模の先行投資支援を行い、官民で百五十兆円を超えるGX投資を実現します。GXによる産業構造や産業立地の将来像について、二〇四〇年に向けたビジョンを年内に示し、核となる拠点を広げてまいります。エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画もまとめてまいります。

 地方創生二・〇には、魅力ある働き方、職場づくりも重要です。男女間の賃金格差が地域によって異なる中、若者や女性が安心して暮らせる働き方とは何か。非正規雇用の方の正規化をどのように進めるか。時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も、大いに活用すべきであります。女性の雇用におけるL字カーブの解消、男性の育児休業の推進にも取り組み、社会の構造、意識の変化につなげてまいります。

 人づくりこそ国づくり。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めます。

 三十年前、日本のGDPは世界全体の一八%を占めていましたが、直近の二〇二三年では四%です。そして、一位だった国際競争力は、今、三十八位に落ちました。配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました。デフレ経済の中、雇用は安定してきたが給料は上がらない、安い商品はあるが革新的な商品、サービスはあまり生まれてこないという状況だったのではないでしょうか。

 しかし、ようやく、約三十年ぶりの高い水準の賃上げと過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが現れています。コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営、経済への転換を進めなければなりません。ドイツや韓国と比較すると、GDPに占める輸出の割合が低い我が国においては、経済安全保障の観点からも、付加価値の高いサプライチェーンを国内に回帰、立地させていくことも重要であります。

 先般の政労使の意見交換において、約三十年ぶりの高い水準となった今年の勢いで、来年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請いたしました。また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示いたしました。

 DXを切り口として、日本の潜在的な強みであるAI、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーションとスタートアップの支援、スキル向上などの人への投資を進めてまいります。

 今こそ、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現し、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国といたしてまいります。

 これらの取組とあわせて、子育て支援を強力に推進するとともに、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を構築します。本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者を始め女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を生かして支え合う全世代型の社会保障を構築してまいります。今月、関係大臣には、改革工程に掲げられた事項の具体化を指示いたしました。丁寧な議論を行って、実現できる項目から着実に実施をいたしてまいります。

 来月二日には健康保険証の新規発行が終了いたします。マイナ保険証の利用を促進しつつ、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、これまでどおり診療が受けられるようにしております。国民の皆様の不安には迅速にお応えし、丁寧に対応するというのが私の考えであります。

 経済あっての財政との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政を作ってまいります。

 重要政策課題の第三は、治安、防災への更なる対応です。

 国民お一人お一人に生き生きと充実した日々を送っていただくための基盤となるのは、安心、安全な社会です。

 地理的な条件が不利であり、財政も厳しい地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということは、国家としてあるべき姿ではありません。避難所での生活環境を改善し、災害関連死を防ぐためにも、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準を発災後早急に全ての避難所で満たすことができるよう、事前防災を進めてまいります。また、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを二倍に加速いたします。

 能登半島地震、豪雨での教訓も踏まえ、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーなどの迅速な派遣のための官民連携による登録制度の創設、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材、物資の分散備蓄、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設など、避難者の皆様の生活環境の向上のため、最大限の対応をいたしてまいります。被災者が災害関連の各種申請を容易に行うことができるよう、更なる改善に取り組みます。

 被災地では、自身も被災者である自治体職員の負担を軽減しつつ、災害対応に万全を期する必要があります。他の自治体に派遣する職員に対する訓練や、職員派遣による経験の蓄積を促進するとともに、特に大規模な災害については、あらかじめ支援自治体を定めるなどの準備も進めてまいります。

 政府における体制を着実に強化します。内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面において抜本的に強化することに加え、被災者の方々の声を必ず施策に反映させるとの強い思いから、十一月一日に立ち上げた防災庁設置準備室において、令和八年度中の防災庁の設置に向け、着実に準備を進めてまいります。

 福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし。全閣僚が、こうした決意の下、被災者の生活や産業、生業の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進に全力で取り組んでまいります。

 最近、いわゆる闇バイトによる強盗、詐欺の報道を見ない日はありません。他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観、道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはなりません。

 悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取組を一層推進してまいります。学校での啓発活動、若者に向けたSNSによる情報発信等を強化するとともに、闇バイトを募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めてまいります。防犯カメラ等の整備、青パトによる活動などを国としても支援し、町ぐるみの防犯対策を更に促進してまいります。また、性暴力、DV、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。

 国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じていただくためには、現在や将来の賃金、所得が増えていくことが必要です。そのことを最重要課題として、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策を策定いたしました。

 第一に、日本経済、地方経済の成長です。

 家計を温めるためにも、物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。まず、最低賃金の引上げに取り組むほか、中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かに儲かり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化、デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化、成長のための支援を充実いたします。

 地方の皆様方が希望と幸せを感じていただくことも重要です。地方創生の基本的な考え方を年末までにとりまとめますが、地域活性化とあわせて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きなムーブメントを作り出していくため、いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、地方創生の交付金を倍増しつつ、前倒しで措置いたします。

 将来も継続的に所得が増加する手立てを講じておくことも必要です。資産運用立国及び投資立国を実現します。今後、二〇三〇年度までにAI、半導体分野に十兆円以上の公的支援を行い、十年間で五十兆円を超える官民投資を引き出します。経済安全保障の強化や、リスキリングを含む人への投資も促してまいります。

 第二に、成長型経済への移行に当たり、誰一人取り残されないようにすることが重要であります。

 賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現までの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要です。低所得世帯の方々に対し、給付金の支援を行います。地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにいたします。

 家庭の電力使用量の最も大きい一月から三月の冬季の電気・ガス代を支援します。

 エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現のため、クリーンエネルギー自動車の購入支援や省エネ性能の高い住宅へのリフォームを支援します。

 第三に、国民の安心、安全の確保です。

 国民の皆様方が豊かさを感じられるのは、安心と安全があればこそです。

 能登地域の皆様方が受けた地震、豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速します。災害廃棄物処理の加速化、公営住宅の建設などの生活再建を進め、被災事業者の生業の再建を後押しします。防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。シェルターの確保等により、国民保護の取組を強化します。

 以上申し上げてきた経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってまいりました。いわゆる百三万円の壁については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げます。いわゆる暫定税率の廃止を含むガソリン減税については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。これらに伴う諸課題に関しましては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。

 政府としては、この経済対策をできるだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出いたします。そして、国会での御審議をいただき、早期の成立を目指します。

 先の選挙結果は、主権者である国民の皆様からの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責であったと受け止めております。政治は国民のものとの原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら、政治改革に取り組んでまいります。

 政党から議員に支出され、その先の具体的な使途が公開されていない政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第三者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めてまいります。

 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の使途公開及び残金返納に向けて、既に国会で御議論いただいているところです。

 国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、年内に、必要な法整備も含めて、結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意尽力をしてまいります。

 憲法改正については、私自身、これまで長らく衆議院憲法審査会の委員を務め、議論に参加をいたしてまいりました。国会による発議の実現に向け、今後、衆議院及び参議院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待いたします。

 石橋湛山内閣の施政方針演説では、「常に国家の永遠の運命に思いをいたし、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽していくように努めたい」とあります。

 外交においても、内政においても、国民の後押しほど大きな力はありません。国民の皆様に御信頼を頂けるよう、誠心誠意取り組んでまいります。

 国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

鈴木隼人君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る十二月二日午後一時から本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。

議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  石破  茂君

       総務大臣    村上誠一郎君

       法務大臣    鈴木 馨祐君

       外務大臣    岩屋  毅君

       財務大臣    加藤 勝信君

       文部科学大臣  あべ 俊子君

       厚生労働大臣  福岡 資麿君

       農林水産大臣  江藤  拓君

       経済産業大臣  武藤 容治君

       国土交通大臣  中野 洋昌君

       環境大臣    浅尾慶一郎君

       防衛大臣    中谷  元君

       国務大臣    赤澤 亮正君

       国務大臣    伊藤 忠彦君

       国務大臣    伊東 良孝君

       国務大臣    城内  実君

       国務大臣    坂井  学君

       国務大臣    平  将明君

       国務大臣    林  芳正君

       国務大臣   三原じゅん子君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 橘 慶一郎君


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