衆議院

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第7号 令和6年12月17日(火曜日)

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令和六年十二月十七日(火曜日)

    ―――――――――――――

  令和六年十二月十七日

    午後五時十分 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件

 個人情報保護委員会委員任命につき同意を求めるの件

 カジノ管理委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件

 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(大串博志君外十二名提出)

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(木原誠二君外五名提出)

 政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出)


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    午後五時十二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件

 個人情報保護委員会委員任命につき同意を求めるの件

 カジノ管理委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件

 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

議長(額賀福志郎君) お諮りいたします。

 内閣から、

 国家公安委員会委員

 個人情報保護委員会委員

 カジノ管理委員会委員長及び同委員

 地方財政審議会委員

 日本放送協会経営委員会委員

及び

 公安審査委員会委員長及び同委員に

次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。

 内閣からの申出中、

 まず、

 国家公安委員会委員に秋吉仁美君を、

 個人情報保護委員会委員に藤本正代君を、

 地方財政審議会委員に星野菜穗子君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 個人情報保護委員会委員に宍戸常寿君を、

 地方財政審議会委員に西野範彦君を、

 公安審査委員会委員に秋山信将君及び永沢裕美子君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 カジノ管理委員会委員長に佐藤隆文君を、

 同委員に垣水純一君及び渡路子君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 地方財政審議会委員に小西砂千夫君及び内田明憲君を、

 公安審査委員会委員長に團藤丈士君を、

 同委員に三好真理君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 地方財政審議会委員に古谷ひろみ君を、

 日本放送協会経営委員会委員に藤本雅彦君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

鈴木隼人君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

議長(額賀福志郎君) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長浜田靖一君。

    ―――――――――――――

 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔浜田靖一君登壇〕

浜田靖一君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 本法律案の主な内容は、第一に、各議院の議長、副議長及び議員は、毎年一回、その年において支給を受けた調査研究広報滞在費の金額及びこれを充てた支出に関する事項を記載した報告書を、当該支出に係る領収書等の写しを添付して、その属する議院の議長に提出しなければならないこととし、その報告書及び領収書等の写しを公開することとするものであります。

 第二に、各議院の議長、副議長及び議員は、その年において支給を受けた調査研究広報滞在費の総額から、その年において調査研究広報滞在費を充てた支出の総額を控除して残余があるときは、当該残余の額に相当する額を返還しなければならないこととするものであります。

 なお、本案は、令和七年八月一日から施行することといたしております。

 本法律案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

鈴木隼人君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 大串博志君外十二名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、木原誠二君外五名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、古川元久君外三名提出、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(大串博志君外十二名提出)

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(木原誠二君外五名提出)

 政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出)

議長(額賀福志郎君) 大串博志君外十二名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、木原誠二君外五名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、古川元久君外三名提出、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長渡辺周君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案及び同報告書

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔渡辺周君登壇〕

渡辺周君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、大串博志君外十二名提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案は、渡し切りの方法による支出の禁止等の措置を講ずることにより、いわゆる政策活動費を禁止するものであります。

 次に、木原誠二君外五名提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案は、渡し切りの方法による支出の禁止、公開方法工夫支出についての収支報告書の記載、収支報告書に係るデータベースによる情報提供の充実、外国人等からの寄附及び政治資金パーティーの対価の授受の禁止の措置等を講ずるものであります。

 最後に、古川元久君外三名提出の政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案は、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等について定めるものであります。

 大串博志君外十二名提出の法律案については去る十二月九日に、他の二法律案については翌十日に、それぞれ本委員会に付託されました。

 十一日提出者大串博志君、長谷川淳二君及び長友慎治君からそれぞれ趣旨の説明を聴取し、翌十二日から質疑に入りました。

 さらに、十六日、木原誠二君外五名提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・無所属の会から、政策活動費の廃止に係る規定及び公開方法工夫支出に係る規定を削除することを内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。

 本日、各法律案及び修正案を一括して質疑を行い、質疑を終局いたしました。質疑終局後、木原誠二君外五名提出の法律案について内閣の意見を聴取した後、各法律案及び修正案を一括して討論を行い、順次採決を行った結果、まず、大串博志君外十二名提出の法律案については、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。次に、木原誠二君外五名提出の法律案については、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。次に、古川元久君外三名提出の法律案について、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 さきの衆議院選挙の結果を受けて、国民注視の中で、本委員会は、限られた審議時間と窮屈な日程の下、政治家同士の真摯な意見、主張が繰り広げられ、各党各会派からの中身の濃い質疑と歩み寄りによって、政治改革に一定の前進があったものと存じます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。高井崇志君。

    〔高井崇志君登壇〕

高井崇志君 れいわ新選組の高井崇志です。

 私は、会派を代表して、野党七党提出の政策活動費廃止法案に賛成、国民民主党、公明党提出の第三者機関設置法案と自民党提出の政治資金規正法改正修正案には反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 れいわ新選組は、一貫して、今国会の最重要課題は、政治改革ではなく、経済災害から国民を救うこと、そして能登半島の人々を救うことだと言い続けてまいりました。

 しかし、与党も野党も、補正予算ではしょぼい経済政策しか決めず、石川県知事も求めた土砂撤去への自衛隊投入にも消極的で、政治改革法案の年内成立にこだわり続けました。そこまで年内にこだわるなら、なぜ国会を二十一日で閉じるのですか。会期に反対したのはれいわ新選組だけです。本気でやるならば、三十年前、一九九三年の政治改革で、年をまたいで一月二十九日まで国会を延長したように、なぜやらないのですか。野党も、本丸と主張する企業・団体献金の禁止の議論を、年を越してやらないのですか。

 れいわ新選組は、一貫して、法案の審議よりも、裏金議員の自首若しくは議員辞職と裏金問題の真相究明が先だと言い続けてまいりました。泥棒に泥棒を捕まえさせる法律を作らせてどうするのですか。発覚から一年以上がたって、いまだに、裏金をいつ、誰が、何のために始めたのか、何に使われたのか、何一つ明らかになっていません。自民党は、自分たちの所属議員や職員に聞けばいいじゃないですか。なぜそんな簡単なこともできないんですか。

 野党も、口先だけで証人喚問を求めるのではなく、なぜ補正予算やこの法案の採決の条件にしないのですか。そんなことだから、与党も野党も茶番だと言われるのです。いいかげん、本気の国会をやりましょう。

 そのような中でも、政策活動費廃止法案は、ないよりもあった方がよいと判断し、賛成しました。この法案は、当初、野党七党案と自民党案が提出され、両法案に賛同する委員数は同数となり、れいわ新選組がどちらに賛成するかで決まるという状況でした。今回、れいわ新選組が野党七党案に賛成することにより、与党は野党案をのまざるを得なくなり、野党案が成立しました。

 与野党が伯仲する中で、キャスチングボートを握るれいわ新選組は、これからも是々非々で、人々のためになる法案か否かの一点で、心を込めて審査し、賛否を決めてまいります。

 第三者機関設置法案については、れいわ新選組は、一貫して、第三者機関を与党も野党も茶番の国会に設置すれば十分な監視ができないので、より独立性が高く、権限を持つ三条委員会とすべきと主張してきました。同じく三条委員会を主張してきた公明党が突然主張を翻し、国民民主党案に乗ったこと、そして、それに、自民のみならず立憲、維新も賛成に回ったことは、まさに与党も野党も茶番の国会を象徴しています。この法案では、第三者機関の委員は国会が選ぶことになっており、泥棒に泥棒を監視させる人を選ばせる、そんな法案に賛成できるはずがありません。

 唯一の救いは、今回の特別委員会の議論で、れいわ新選組が提案したお金がかからない選挙の仕組み、具体的には、供託金の廃止、減額と、議院内閣制の先輩であるイギリスに倣った少数野党に配慮した政党交付金の配付方法の見直しの二つについて、各党から前向きな意見が出されたことです。

 政治と金の問題は、入りと出の両方を併せて議論することが大切です。次の国会では必ず政治改革法案と併せてこの二つを実現することをお誓いして、討論を終わります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 井出庸生君。

    〔井出庸生君登壇〕

井出庸生君 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、提案がありました三案にいずれも賛成の立場から討論を申し上げます。(拍手)

 まず初めに、我が党の政治資金問題を改めておわびをし、政治改革特別委員会で党派を超えて議論と協議を尽くした、理事を始めとする全ての方々の御尽力に心から敬意を表します。

 今回の議論の目的の一つに、政治活動費の透明性、公開を高めていくことがあります。政党幹部などへの渡し切りの政策活動費は、我が党含め多くの政党が廃止を提案しました。我が党は、こうした中、外交上秘匿する必要性のある活動、また、犯罪やDVの被害者、少数の立場に置かれている人と意見交換をする上で、こうした方々の個人情報を公開すべきではないケースがあるのではないかと、政治活動費の公開に配慮、工夫を要するケースへの対応を提起いたしました。一定の評価をしてくださった有志の会の皆様には心より感謝を申し上げます。

 外交上の問題については、最後、官房機密費でやるべきだ、野党には必要はない、こうした御意見が大勢を占めました。私は、どの党が与党であれ野党であれ、与野党が拮抗した政治や政権交代を掲げるというのであれば、野党も独自に外交活動をするべきだと思います。野党にだけ不利な状況を制度化してしまうことが、政党政治のためによいこととは思えません。

 しかし、議論の目的は、政治活動費の透明性、公開を高めることであり、この目的を達する上で、多くの党派がいかなる政治活動の秘匿性も排するべきだとのこうした御意見であれば、提案と熟議を尽くした上で合意を決断した我が党現場の同僚に敬意を表したいと思います。

 また、我が党の案では、収支報告書に係るデータベースによる情報提供の充実を盛り込み、政治資金の透明性が高まり、政治活動の公明、公正、信頼の確保につながるものと考えております。一方で、個人の寄附者等に係る事項については対象から除外をしております。政治資金の透明性向上を図るとともに、プライバシーへの配慮を同時に実現することが責任のある提案と考えております。

 また、外国人、外国法人などによる政治資金パーティーの対価の支払いの禁止などについては、寄附と同様、我が国の政治活動や選挙が影響を受けるおそれがあるため、これを禁止するものとしています。

 さらに、公職の候補者自らが代表を務める政党選挙区支部に対して行う寄附については、与野党問わず行われてきて、中には控除を受けてきた者もあり、決して望ましいことではないことから、寄附金控除の特例等の適用対象から除外することとしています。

 最後に、政党に所属する国会議員が起訴された場合における政党交付金の交付停止等については、政党に対して交付すべき政党交付金のうち当該議員に係る議員数割額に相当する額の交付を停止する制度を設けるものとし、このための法制上の措置については、法律の公布の日の後一年以内を目途として講ずるものとなっております。

 ほかに、他党との議論、協議で、国会に政治資金をチェックする第三者機関を設けることを決め、企業・団体献金禁止法案については、精力的に議論を行い、令和六年度末までに結論を得ることを申し合わせました。

 我が党は少数与党となり、予算案や法律案の成案を得るために、これまで以上に他の政党の協力が不可欠となりました。その中で我が党が果たすべき役割は、熟議と公開の議論に加え、議論の結果に責任を持つことだと確信をしております。結果に責任を持つことは、政権交代を掲げるというのであれば、野党の方々にもあると言ってよいでしょう。

 最後に、我が党の同僚に申し上げます。

 三法案の党内議論の場となった政治改革本部で、議論の初めに渡海紀三朗本部長が、一人一人が国民の代表としてこの場にいる、その責任と覚悟を持って議論に臨んでほしいと呼びかけられたことがありました。

 真摯また謙虚であることと、おとなしくしていることは別のことです。一致結束とは、決して静かにしていることではありません。また、静かにしているだけでは、さきの総選挙で厳しい御意見を寄せてくださった方々の気持ちに応えることはできません。

 危機は変革、改革のチャンスでもあります。下を向くのではなく、圧倒的な熱意と情熱を持って日本の未来を語っていく。国民や国家のために必要な政策、予算を堂々たる姿で訴えていく。少数与党であろうと、野党を巻き込み、この国を担うことができるのは我が党であることを示してまいりましょう。

 以上、討論を終わります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 日本共産党を代表して、討論を行います。(拍手)

 この臨時国会で行うべきは、総選挙での国民の審判に応え、自民党裏金問題の真相究明と金権腐敗政治の一掃です。

 政治改革の根幹は、企業・団体献金の禁止です。これこそ国民の声ではありませんか。自民党は、企業・団体献金にあくまで固執し、国民の声に耳をかそうとしていません。

 政治資金は、主権者である国民の浄財で支えられるものです。国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついた国民固有の権利です。

 一方、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。自民党と企業との癒着によって政治がゆがめられた事例は、枚挙にいとまがありません。営利を目的とする企業が巨額の金の力で政治に影響を与えれば、政治は、大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。

 石破総理を始め自民党は、一九七〇年の最高裁判決を持ち出し、企業献金を正当化しますが、この判決は、企業・団体献金の弊害を認め、その対策は立法政策にまつべきと述べており、企業・団体献金を禁止する立法を否定しておりません。今なお企業・団体献金に固執するのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねてきた議論を無視するものであります。

 今こそ、企業・団体献金を全面禁止し、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道を塞ぐことこそ行うべきです。

 次に、法案について述べます。

 国民、公明提出の第三者機関の設置法案は、反対です。

 政治資金は、国民の不断の監視と批判の下に置くべきものです。政治資金の収支をチェックするのは、第三者機関ではなく国民であります。現行の政治資金監査制度の導入後も事件、問題が相次ぎ、収支報告書の形式上の適正すら確認できていないのが実態です。お墨つきを与えるだけの監査制度を残し、更に屋上屋を重ねて第三者機関で監視するなど、隠れみのでしかありません。

 この間の政治資金の公開を後退させる改悪を行ったまま透明性を確保というのは、まやかしです。収支報告書は公的に永久に残し、速やかに、そのまま国民に公開することこそ徹底すべきです。

 また、第三者機関の提言機能は、政治資金に関するルール作りの丸投げであり、看過できません。

 自民提出の法案、修正案は、使途が不明瞭な政策活動費を廃止し、公開方法工夫支出の項目を削除しましたが、重大な問題点が残っています。

 外国人、外国法人等によるパーティー券購入を禁止としながら、日本法人で五年以上上場している外資系企業を特例上場日本法人と規定して、禁止の対象から除外しています。外国人等からの献金は国家主権に関わるといいながら、献金欲しさに例外をつくるものです。特例上場日本法人に献金もパーティー券購入も温存したことは、断じて容認できません。

 また、政党助成金をペナルティーとして利用する制度の一年後創設も認められません。政党助成金制度をめぐっては、当委員会の審議でも、収入の七割から八割を政党助成金に依存していることが問題となりました。政党の在り方が問われています。政党は、何よりも国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくることが基本でなければなりません。今行うべきは、政党助成金の利用ではなく、廃止の議論であります。

 最後に、企業・団体献金は禁止して個人献金を中心として、政党助成金を廃止することが金権腐敗政治の一掃となると申し述べ、討論を終わります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 馬淵澄夫君。

    〔馬淵澄夫君登壇〕

馬淵澄夫君 立憲民主党・無所属の馬淵澄夫です。

 ただいま議題となりました三法案につきまして、会派を代表して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 まず、政策活動費の廃止について申し上げます。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に端を発し、政党が党の幹部に対して支出する使途が不透明な政策活動費が、政党の裏金として問題になりました。政治資金を適正に処理し、できる限り公開することが必要である以上、政党から政治家個人に支出された先の使途について報告が求められない現行制度は、政治資金規正法の趣旨にのっとるものではありません。

 政治に対する国民の信頼の回復を図るため、この法律案において、政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡し切りの方法によっては、することができないこととし、いわゆる政策活動費を全面的に禁止しています。これにより、必ず精算が必要となり、最終的な支出先やその金額が政党の会計帳簿、収支報告書に記載され、透明性の向上が図られることになります。

 当初の自民党案も、渡し切りの方法による支出を禁止することは共通していましたが、渡し切りが禁止される対象団体が政党本部及び国会議員関係政治団体に限定されていること、安全・外交秘密関連支出、法人等業務秘密関連支出、個人権利利益関連支出といった公開方法工夫支出などと、何を意味するのかさっぱり分からないようなネーミングでブラックボックスと化した仕組みを設けようとしていることに厳しい批判が浴びせられました。

 このような、定義も曖昧で透明性が全く図られないような支出を残そうとすること自体、さきの衆議院総選挙で示された政治と金に対する国民の厳しい審判を無視するものであり、我が党としても到底受け入れられる案ではありませんでした。

 私たちは、審議の中で、国民の信頼をかち得るような対応をしなければならないとして、野党七党案に賛同いただき、政策活動費の完全廃止を実現すべきと主張してまいりました。そして、今回、自民党が野党七党案を丸のみして受け入れていただき、公開方法工夫支出が削除されることになりました。熟議と公開という新しい国会の在り方で、政治資金の完全な透明化に向けかじを切ったと評価できます。

 次に、政策活動費部分等を削除した修正後の自民党原案についても申し上げます。

 修正で削除された部分以外の、政党本部又は政治資金団体に係る収支報告書のオンライン提出の義務化、収支報告書に係るデータベースによる情報提供の充実、外国人、外国法人等による政治資金パーティーの対価支払いの禁止等、自らが代表者となる政党支部への寄附に係る寄附金控除の特例及び所得税額の特別控除の適用除外、政党交付金の交付停止等に関する法制上の措置は、我々立憲案にも盛り込まれていた内容であり、賛成いたします。

 続いて、第三者機関についてです。

 当初の自民党案の第三者機関は、政治資金全般を対象とするというより、多くの規定は公開方法工夫支出の監査についてでした。政治資金の制度に関する提言についても、提言を行うとするだけで、提言をどこに行うのか、提言を受けた者の対応など、具体的な規定がありませんでした。政策活動費を完全廃止すれば、この案は不要です。さらに、今回、自民党案を取り下げ、国民、公明案の政治資金監視委員会に賛同されることになったことも評価いたします。

 国民、公明案の政治資金監視委員会については、国民民主党とは元々、東電国会事故調をモデルに国会に置くべきであるとして共に検討し、解散前の国会では共同で法案提出したこともあり、国会に設置するという設置形態や組織の在り方、機能や権限についての方向性は共通しているものと考えられるので、賛成いたします。第三者機関の具体化については、是非、共に真摯に議論していきたいと考えています。

 最後に、企業・団体献金の禁止について申し上げます。

 これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。国民のための政策を実行するためには、特定の企業、団体によって政治、政策決定がゆがめられることのないようにすべきです。

 国会議員が関係する政党支部の二〇二三年分政治資金収支報告書の国、地方分の集計によると、企業・団体献金の総額が十八億九千五百十三万円に上り、そのうち十七億八千四百三十七万円、実に九四%が自民党支部に献金されています。これは、明らかに自民党が企業・団体献金に依存していることの証左です。

 また、政治家個人への企業・団体献金禁止の代替、抜け道としての政治資金パーティーが、自民党派閥による裏金問題につながったと言えます。

 河野洋平元議長のオーラルヒストリーにもあるとおり、そもそも、企業・団体献金禁止と政党助成はトレードオフの関係にあったと言えます。一九九四年以来三十年の懸案となっており、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、今こそ、資金力に物を言わせて政策決定をゆがめる企業・団体献金を禁止し、個人献金中心に移行していくべきであると考えます。

 しかし、石破総理は、企業・団体献金の禁止は憲法二十一条には抵触すると声高に主張したかと思えば、すぐに、違反するとまでは申しませんと答弁を翻すなど、発言に一貫性を欠き、禁止に消極的な姿勢です。

 企業・団体献金の禁止と憲法第二十一条との関係については、政治改革特別委員会に提出された政府統一見解に、企業、団体が政治活動に関する寄附を行うことは政治活動の自由の一部であり、これを禁止することがいかなる状況においても憲法第二十一条に照らして許されないということではないと考えるが、公共の福祉の観点からの必要やむを得ない制約であるか、その必要性や合理性については、慎重に検討する必要があると記されており、禁止が憲法違反であると直ちに言うことはできません。

 企業・団体献金の扱いについては、残念ながら、今国会においては、我が党の主張と大きな隔たりがあり、結論は先送りされて、「衆議院政治改革特別委員会において精力的に議論を行い、令和六年度末までに結論を得る。」という申合せとなりました。

 引き続き真摯な議論を求めてまいりますが、その際、国民の政治と金の問題に対する不信と怒りを率直に受け止め、改正に反映させることが必要と考えております。自民党におかれましても、政策活動費の全面廃止と同じく、企業・団体献金の禁止にかじを切られることを強く求めます。

 以上、関連法案への賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 斎藤アレックス君。

    〔斎藤アレックス君登壇〕

斎藤アレックス君 日本維新の会の斎藤アレックスです。

 会派を代表し、ただいま議題となりました日本維新の会ほか野党提出の政治資金規正法の一部改正案、自民党提出、政治資金規正法の一部改正案修正案及び政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 国民の豊かな生活や暮らしの安全、そして平和の確保に向けた予算配分や立法措置について議論を行うべき場であるはずの国会は、残念ながら、過去一年間にわたり、政治と金の問題に多大な労力と時間を割かざるを得ない異常な状況となりました。

 改めて申し上げるまでもなく、その発端は、自民党派閥による政治資金パーティーの収入不記載問題、いわゆる自民党裏金問題です。なぜ、何のために帳簿に載らない資金を、裏金を自民党議員が欲し、その裏金を自民党議員の皆様は何に使ってきたのか。本日から再び開かれている政治倫理審査会でも、自民党の不記載があった議員の皆様からは、理解し難い言い訳、つじつま合わせの説明が繰り返されるばかりで、その全容は全く明らかになっていません。

 さきの衆議院選挙でなぜ与党過半数割れとなったのか、改めて自民党の皆様には自問をしていただきたい。国民の怒りや失望、軽蔑は、自民党議員にだけでなく、政治家全般に向けられてしまっています。そのことがどれだけ民主主義国日本の国益を害することか、考えていただきたい。そして、裏金問題の全容解明がなされない中、問題の所在が不明確な中、その問題の解決のための立法措置を議論していかなければならないという憲政の常道から外れるような異常な国会審議を強いたその責任も、強く、重く受け止めていただきたいと思います。

 改めて、自民党の裏金問題に関する対応の問題について強く指摘し、是正を求めた上で、以下、法案の賛成理由について申し述べます。

 裏金問題に端を発した今回の政治改革の議論では、政界に残っていた最も大きな不透明な金の流れ、いわゆる政策活動費が一つの焦点となりました。不記載があった自民党議員の多くから、弁明の場において、いわゆる裏金をつくり出す段階で、派閥からのキックバックを政策活動費だと認識していたので不正な資金とは思わなかったとの趣旨の証言が相次いだことからも、不正な政治資金の流れを絶つためには、政策活動費、つまり最終的な使途が明らかにされない渡し切りの経費をなくし、全ての支出に関して使途の公開を義務づける必要があることは日の目を見るより明らかでした。

 今国会で日本維新の会が他の野党六党と共同で提出した政策活動費全廃法案は、政治資金が政治家によって不当な使途に使われているのではないかという国民から向けられた疑念を払拭し、政治に対する信頼を回復するために、党から議員に支給される政策活動費を廃止し、議員に対する渡し切りの支出は例外なく禁止する内容としました。

 一方で、自民党から提出された政策活動費の廃止をうたう法案については、収支報告書のデータベースを活用した公表、外国人による政治資金パーティー券購入の禁止、政党交付金の交付停止など評価できる点もあったものの、主に以下の二つの理由から賛成し難いものでした。まず、当初の自民党案では政策活動費の廃止の対象に政治資金団体が含まれておらず、政治資金団体が政策活動費の支出元、いわゆる抜け穴になるのではないかという懸念が拭えなかった点。もう一つは、政策活動費の廃止をうたいながら、公開方法工夫支出という使途非公開の経費を残そうとした点でした。

 最終的には、政治改革特別委員会などでの議論の結果、自民党、公明党にも、日本維新の会を含めた野党六党提出の法案趣旨に賛同いただき、例外規定や抜け穴を塞ぐことができました。粘り強く交渉に当たられた与野党の筆頭理事を始めとする交渉担当者の皆様、委員会審議に臨んだ各委員の皆様、野党からの厳しい質疑の矢面に立つという特に難しい役割を果たされた自民党提出者の先生方、そして、無理なスケジュールに御対応いただいた委員部と衆議院法制局など、全ての関係者に心から感謝を申し上げます。

 政治改革をやり切ることは、政治に対する信頼を取り戻すためのスタート地点です。その意味において、まだ我々はスタート地点にも立っていないのではないでしょうか。確かに政策活動費の全廃は重要な進展ですが、その他の多くの政治改革の論点の結論が、来年、通常国会へと持ち越しになっています。

 特に重要な残されたテーマの一つが、企業・団体献金の問題です。日本維新の会は、一貫して企業・団体献金の禁止を訴えており、今国会でも、政治改革特別委員会だけでなく予算委員会の場でも、企業・団体献金の禁止に関して、自民党に決断を再三求めてきました。

 石破総理、そして政治改革特別委員会における自民党案提出者は、全ての企業・団体献金が悪とは限らない、企業・団体献金で政策がゆがめられた事実はないという説明を用いて、企業・団体献金の禁止には否定的な答弁を繰り返されていますが、これらの説明の仕方は、企業・団体献金の是非を議論するに当たって、建設的な姿勢とは思いません。

 企業・団体献金を行っている企業、団体が悪意を持って献金を行っているとは我々も考えていませんし、献金を受けていることを理由に、故意に、国民の利益を害すると分かりながら政策決定を自民党がゆがめていると申し上げるつもりもありません。企業・団体献金に関して真に私たちが議論しなければならないことは、お金の力によって、政治の場における利害調整や予算配分に影響が加えられることを国民は果たして求めているのかという点です。企業、団体にも当然政治活動の自由があり、自らが望む政策や予算の在り方の実現を求めて政治に関与することは当然の権利です。しかし、お金の力によって、お金の力を使ってまで企業、団体が政治に影響を及ぼすことを、主権者たる国民は求めているのでしょうか。

 これから日本の政治が取り組まなければならない最も重要で最も難しい課題は、間違いなく社会保障制度改革です。

 人口が増加した右肩上がりの時代につくられた我が国の社会保障制度は、人口減少時代の今日、貧困を解消する機能が弱い一方で、社会保険料は上がり続け、国民生活や経済に悪影響を与えています。同時に、国家予算に占める社会保障関係費は膨れ上がり、国家の財政運営を制約し続け、日本はこの三十年間、未来への投資を行えない国になってしまいました。家計の社会保険料負担を軽減し手取りを増やすとともに、国家財政を立て直し、教育の無償化を始めとした教育、子育て、そして科学技術研究に徹底的な投資を行わない限り、我が国に未来はありません。

 激しい利害対立が生まれる社会保障制度改革を国民全体の利益にかなう最善の形で結実させるためにも、献金の多寡によって特定の意見が色濃く反映されるような政策決定プロセスは避けなければならないはずです。

 企業・団体献金の禁止に関しては、野党の多くが賛同している状況です。日本維新の会として、より多くの国民の皆様に御納得いただける法案の策定を進め、他の野党にも連携を呼びかけるとともに、自民党にも企業・団体献金の禁止について賛同を引き続き求めてまいります。

 今、世界中の民主主義国が困難に直面しており、我が国の民主主義も同様に危機に瀕していると考えなければなりません。民主主義は、国民の政治に対する信頼抜きにして成り立ちません。まさに、信なくば立たずです。国民の政治に対する信頼を取り戻すため、そして、三十年間先送りされてきた積年の日本の課題を解決できる、機能する国会と政治の姿を実現するため、通常国会において徹底的な政治改革議論に取り組むとともに、国民の利益につながる政策実現に向けて全力を尽くすことをお誓い申し上げ、日本維新の会を代表しての賛成討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 森ようすけ君。

    〔森ようすけ君登壇〕

森ようすけ君 国民民主党の森ようすけです。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、衆法第二号、政治資金規正法の一部を改正する法律案、修正後の衆法第六号、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、衆法第一一号、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案の三法案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 我々国民民主党は、いわゆる政策活動費の廃止と旧文書通信交通滞在費の使途の公開を昨年から実行に移している唯一の政党です。国民一人一人の政治への信頼を取り戻すため、他党が取り組んでいないからと言い訳をせずに自主的に取り組んできたことであり、国民民主党の掲げる、正直な政治を貫く、それを体現したことを証する取組です。対決より解決、政策にこだわる政党だからこそ、政治と金の問題に厳しく向き合い、自らも身を律しているのが私たち国民民主党です。

 衆法第二号は、政策活動費について、政党や国会議員関係政治団体に限ることなく、全ての政治団体を対象に抜け穴なく廃止することを規定しています。今回の政治と金をめぐる問題は、自民党派閥の不記載問題に端を発するものであり、その問題の大きな一つであるいわゆる政策活動費が抜け穴なく廃止されることは、まさに我々国民民主党が従来から主張してきた点です。

 いわゆる政策活動費では、政治資金収支報告書上で政党の幹部宛てに多額の支出が計上されており、当該支出の最終的な使途が見えず、公開されないことが問題の一つでした。政治団体の役職員又は構成員に対する渡し切りの方法による支出を禁止することで、国民の政治に対する不信感の大きな要因になっていた政策活動費を完全に廃止する本法案は、昨年末から続いてきた政治不信の回復に向けた第一歩を象徴するものです。

 今後、これまでと同様の不信を招くような政治資金に係る問題を起こさないためにも、また、本法案の規定に実効性を持たせるためにも、我が党も含めて、各党、各議員が襟を正し、自らを律して、政治資金の支出に関して渡し切りの方法ではないかと疑義が生じた場合は、自ら率先して当該支出の詳細の公開に努めることが大変重要だと考えています。

 そして、政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように、政治活動の公明と公正を確保することであります。政治資金をめぐっては、透明性を高くし、国民に開かれた形で原則的に全て公開していくことが望ましく、政治と金をめぐる問題や今般の衆議院議員選挙の結果を踏まえても、民意としてそうしたことが更に求められているものと考えています。

 そうした考え方の下、衆法第六号は、政治資金収支報告書のオンライン提出の義務化及び収支報告書に係るデータベースを用いた公表を義務化するものであり、政治資金の透明性を更に高めることに寄与するものであります。

 また、外国人、外国法人等による政治資金パーティーの対価の支払いを禁止する規定については、我が国の政治活動や選挙に対して外国から受ける影響を軽減するものであり、我が国の健全な民主主義の発展に資するものであると考えます。

 自らが代表を務める政党選挙区支部に対する寄附への税制優遇の適用除外については、政治家の合法的な税逃れを防ぐものであり、国民の納得感を高めるものでございます。

 そして、今般の政治資金をめぐる状況に鑑み、政治に対する国民の信頼を取り戻すため、政治資金収支報告書の不記載等の政治資金に係る不適切な事例をこれ以上起こさないようにすることが肝要です。

 そのためにも、第三者機関を設置し、収支報告書の記載のチェック機能を設けることや、政治家自身が政治家自身を縛るルールを作ることでどうしても抜け道ができてしまうことからすれば、お手盛りとならないように、公正な第三者の目が必要です。登録政治資金監査人による政治資金監査制度も導入されていますが、政治資金収支報告書の不記載等の不適切な収支報告の事例がこれだけ頻発し、政治不信を招く問題の一つになっていることも踏まえると、収支報告書の正確性を確保するために新たな制度措置が必要であると考えております。

 衆法第一一号は、収支報告書の記載の正確性に関する監視、不備があった際に必要な措置を講じること、そして、政治資金の制度に関する提言が行える第三者機関として政治資金監視委員会を国会に設置しようとするものであり、現状の政治資金をめぐる状況を踏まえ、非常に重要なものと考えます。

 なお、本法案はプログラム法であり、政治資金監視委員会の詳細については今後議論がされるものです。国民民主党として、各党各会派と真摯な議論を進め、できるだけ多くの政党、会派の皆様と一致点を見出し、政治資金の透明性確保に向けて実効性ある成案を得ることができるよう、誠心誠意取り組んでいく決意です。

 こうした点が、三法案に対し国民民主党が賛成する理由です。今回の法案で規定されている内容は、本年六月に国民民主党が提出した政治資金規正法等の一部を改正する法律案に盛り込んでいた内容でもあります。

 我々国民民主党は、民、信なくば立たず、政治に最も大切なのは国民一人一人からの信頼であると考えています。これ以上の政治に対する不信感を抱かせてはなりません。一度失ってしまった信頼を取り戻すためには、真摯に、誠実に真面目な政治に取り組むことが欠かせません。

 そうした考え方の下、速やかに国民の皆様の信頼を取り戻せるよう、政治改革に関する特別委員会においては、与野党でしっかり一致できる点を見出して、成案を得るように議論を進めさせていただきました。

 本日討論が執り行われております三法案以外にも、政治資金又は選挙に関する犯罪に係る事件に関し起訴された国会議員に係る政党交付金の交付停止等に関する法案や、企業・団体献金、世襲時の政治資金の扱いに関する論点等を取り扱う法案が各党各会派から提出をされています。

 議論に当たっては、国民一人一人の声にしっかり寄り添って、国民の皆様が納得する形での政治改革を実現していくことが重要です。我々国民民主党は、政治資金改革を皮切りとして、その先には政党改革や選挙制度改革、国会改革までを一体とした令和の政治改革を実現させていく所存です。

 国民一人一人の皆様に開かれた透明性の高い政治改革の更なる推進に向けて今後ともの真摯な議論をお願いするとともに、我が党も、正直で偏らない現実的な政治の実現に向けて引き続き全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、私の討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 山口良治君。

    〔山口良治君登壇〕

山口良治君 公明党の山口良治でございます。

 私は、公明党を代表して、公明党、国民民主党提出、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案、並びに、自民党提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、及び、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、参政党、日本保守党提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案の三法案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 公明党は、国会議員関係政治団体の政治資金をチェックする第三者機関の設置について、本年一月の政治改革ビジョン発表時より一貫して主張するとともに、さきの通常国会においても、その実現に向けて常に議論をリードしてまいりました。また、国会閉会後は、どの党にも先駆けて、改正政治資金規正法の実施推進プロジェクトチームを立ち上げ、第三者機関設置に向けての党内議論を加速、有識者の皆様からのヒアリングも精力的に実施をしてまいりました。

 有識者の皆様からは、第三者機関は、今回の政治と金の問題における抜本的な改革に重要であり、政治改革の急所であること、また、強力な調査権限を持たせることの必要性など、大変力強い御意見をいただいているところでございます。

 また、今回国会に設置しようとする政治資金監視委員会は、最近における政治資金をめぐる状況を鑑み、政治に対する国民の信頼の回復をいま一度図るため設置されるものでありますが、この法案に示された特徴としては、一つには、監査の対象を、いわゆる政策活動費など一部の対象に限るのではなく、国会議員関係政治団体の収支報告書全体としたこと。

 また、二つには、この政治資金監視委員会の権限として、国会議員関係政治団体の収支報告書に未記載や虚偽の記入があると認められるときは、説明又は資料提出の要求も含めた調査や是正、さらには公表の機能など、実効性ある権限を持たせたこと。

 さらに、三つ目には、会計責任者等の適正な収支報告書の作成に資するため、政治資金監視委員会や総務省などにおいて、収支報告書の記載方法などについて、政治団体からの照会や相談に応じる機能を持たせたところであります。

 また、今回の法案は国民民主党との共同提出でありますが、少数与党という現実の中で、今後は、各党が言いっ放しの議論で終わらせるのではなく、何らかの形で議論を収れんさせていく、まとめ上げていくというプロセスが必要になってくると考えます。今回の法案では、それを前倒しするという形で、与党である公明党と野党である国民民主党が共同提案をさせていただくという、今までにない新しい形となりましたが、今回のこの取組は、少数与党の国会における新たな合意形成の在り方として、一つのモデルになるのではないかと感じております。

 ただし、この法案はあくまでもプログラム法でありますため、今後、より精緻で具体的な議論が必要となってまいります。公明党は、今後も、各党各会派と協議を重ねながら、政治資金の更なる透明性向上につながる実効性ある内容を精力的につくり上げていく決意であります。

 また、自民党提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び修正案については、公明党も政治改革ビジョンやさきの国会における質疑においてその必要性を提案してきた、収支報告書のオンライン提出の義務化や、検索も可能とするデータベースの構築が明記をされているとともに、租税特別措置法の一部改正や政党交付金の交付停止に関する法制上の措置などが盛り込まれているため、政治資金の透明性の確保や政治家自身への罰則の強化という点からも、非常に有効な法案であると考えます。

 さらには、立憲民主党などが提出をしている政策活動費の廃止法案については、我が党は、今回、法律案こそ提出はしておりませんが、前国会の議論により、一貫してその方向性を主張するとともに、九月三十日の自公連立政権合意の場でも、我が党から自民党に対して提案してきたものであり、十一月十五日に我が党が発表した政治資金規正法改正案の要綱案で示した内容とも合致をしているため、賛成すべきものと考えます。

 以上のような観点から、上記三法案に賛成する理由を述べましたが、公明党は、国民の皆様の政治に対する信頼を取り戻せるよう、また、清潔な政治の実現、そして不正を絶対に許さない政治の実現に向けて、これからも果敢に挑戦をしてまいります。そして、生活者の側に立った温かい政治の実現を目指し、必ずや国民の皆様にお応えすることをお約束し、私の賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。

 まず、大串博志君外十二名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、木原誠二君外五名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 次に、古川元久君外三名提出、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  村上誠一郎君

       法務大臣  鈴木 馨祐君

       国務大臣  坂井  学君

       国務大臣  平  将明君


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