衆議院

メインへスキップ



第12号 令和8年4月14日(火曜日)

会議録本文へ
令和八年四月十四日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  令和八年四月十四日

    午後一時開議

 第一 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    …………………………………

  一 防災庁設置法案(内閣提出)及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 防災庁設置法案(内閣提出)及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


このページのトップに戻る

    午後一時二分開議

議長(森英介君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(森英介君) 日程第一、旅券法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長國場幸之助君。

    ―――――――――――――

 旅券法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔國場幸之助君登壇〕

國場幸之助君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案の主な内容は、

 一般旅券の発給等に係る国分の手数料について、徴収する手数料の全体額で旅券の発給に必要な費用を賄えるよう手数料の具体的な額を政令で定めること、

 受領されずに失効した一般旅券について、失効してから五年以内に新たな旅券の申請があった場合の徴収額を当該申請に係る手数料の二倍の額とすること、

 有効期間五年の旅券の発給対象を十八歳未満のみとし、また、十八歳未満の者が現在所持している旅券の残存有効期間と等しい旅券を申請する制度を廃止すること、

 公用旅券発給の際に戸籍謄本の提出を求める要件を改めること

などであります。

 本案は、去る四月七日外務委員会に付託され、翌八日茂木外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十日に質疑を行い、質疑終局後、引き続き採決を行いました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(森英介君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(森英介君) 日程第二、物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長冨樫博之君。

    ―――――――――――――

 物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔冨樫博之君登壇〕

冨樫博之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、貨物自動車相互間の中継輸送を促進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、国土交通大臣は、中継輸送の実施に関する基本的な方針を定めること、

 第二に、貨物自動車中継輸送事業を実施しようとする者は、その実施に関する計画について国土交通大臣の認定を受けることができることとし、当該認定を受けた事業者は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による資金の出資及び貸付けや、関係法律の特例措置等の支援措置を受けることができること

などであります。

 本案は、去る四月七日本委員会に付託され、翌八日金子国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 防災庁設置法案(内閣提出)及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(森英介君) この際、内閣提出、防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣牧野たかお君。

    〔国務大臣牧野たかお君登壇〕

国務大臣(牧野たかお君) 防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、防災庁設置法案につきまして御説明申し上げます。

 本法律案は、世界有数の災害発生国である我が国において、人命、人権最優先の防災立国を実現すべく、我が国の防災全体を俯瞰的に捉え、徹底した事前防災と、発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔となる防災庁を設置するものであります。

 このような趣旨から、この度、本法律案を提案することとした次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、防災庁の設置、任務及び所掌事務について定めております。

 防災庁は、内閣に置き、災害対策の基本理念にのっとり、防災に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けること及び防災に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ることを任務としております。

 また、その任務を達成するため、防災の施策に関する基本的な方針や計画、大規模な災害への対処に関する企画立案や総合調整、関係行政機関が講ずる施策の実施の推進をつかさどります。

 さらに、防災に関する組織の設置や運営、防災計画の推進、被災者の応急救助、大規模地震等への対策、防災に関する技術の研究開発や国際協力等の事務をつかさどることにしております。

 第二に、防災庁の組織について定めております。

 防災庁は、内閣総理大臣を長とし、事務統括権と関係行政機関の長に対する勧告権等を有する防災大臣を置くとともに、副大臣及び大臣政務官を一人ずつ置くこととしております。

 また、防災庁の庁務を整理し、各部局等の事務を監督する事務次官一人を置くこととしております。

 加えて、防災庁に、従来内閣府に置かれていた中央防災会議を置くほか、文教研修施設を置くことができることとしております。

 さらに、防災庁の地方機関として防災局を置くこととしております。

 最後に、本法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和八年十二月三十一日までの間において政令で定める日としております。

 続きまして、防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。

 本法律案は、防災庁設置法の施行に伴い、内閣府設置法その他の関係法律について所要の規定の整備を行うとともに、あわせて、防災庁の組織や権限に係る災害対策基本法その他の関係法律について、防災庁がその司令塔機能を果たすため必要となる規定の整備等を行うものであります。

 このような趣旨から、この度、本法律案を提案することとした次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、災害対策基本法において、災害からの復旧復興を推進するための新たな本部の設置等について規定を追加するとともに、科学的知見に基づく災害リスク評価により事前防災の改善を図ることや、全ての被災者ができる限り良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることを基本理念に追加するものであります。

 第二に、大規模地震への対策を一層推進するため、基本計画の見直しや国から地方公共団体等への必要な情報提供及び助言などの援助について規定を追加するものであります。

 第三に、内閣府設置法その他の関係法律について、内閣府から事務を移管し、新たな行政機関として防災庁を設置することに伴う所要の規定の整備を行うものであります。

 以上が、防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨及びその内容の概要であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 防災庁設置法案(内閣提出)及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(森英介君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。西田昭二君。

    〔西田昭二君登壇〕

西田昭二君 自由民主党の西田昭二です。

 ただいま議題となりました防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、会派を代表して質問をいたします。(拍手)

 近年、我が国では、豪雨、台風等の風水害が頻発化、激甚化しており、例えば昨年度も、八月の大雨により全国各地で多くの被害が発生をいたしました。

 また、地震災害についても、昨年十二月の青森県東方沖を震源とする地震や本年一月の島根県東部を震源とする地震により被害が発生しており、今後三十年以内には、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、南海トラフ地震など、我が国に国難級の被害をもたらしかねない巨大地震の発生が強く危惧されております。

 そのような中で、一昨年元日に発生をいたしました能登半島地震においては、貴い命が失われ、多くの住民が住まいやなりわいを奪われるなど、地域社会に甚大な被害が生じました。さらに、その後の豪雨により被災地は再び大きな打撃を受け、いわゆる二重被災という極めて厳しい状況に直面しております。能登地域の選出議員として、被災者の一人として、現地で目の当たりにした現実は、我が国の防災体制の在り方に対し、強い危機感を抱かせるものでありました。

 その一方で、我が国は、人口減少、少子高齢化やインフラの老朽化、さらには地方自治体の人員不足など、災害対応力の低下につながりかねない課題に直面をしております。加えて、能登半島地震で顕在化したように、地震と豪雨が重なる複合災害や分野横断的な課題への対応など、災害をめぐる状況は大きく変化しております。

 こうした中、従来、我が国の防災行政は内閣府の防災担当を中心に進められてきましたが、人員や予算の制約もあり、必ずしも司令塔として十分に機能してきたとは言い難いのではないでしょうか。

 そのため、災害から国民の命を守り、国家、社会の機能を維持し、被害を最小化するための司令塔として、新たに内閣直下に防災庁を設置し、我が国の防災体制を抜本的に強化することが必要不可欠であると考えております。

 そこで、総理にお伺いをいたします。今回の法案を議論する前提として、防災庁が我が国の防災行政においてどのような役割を果たすべきとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 次に、法案についてお尋ねをいたします。

 防災庁については、我が党でも、防災体制抜本的強化本部の下で、必要な権限や組織等について議論を積み重ね、昨年五月には防災庁の設置に関する提言を取りまとめ、十分な権限や組織体制を基礎に、徹底的な事前防災の推進や、発災時から復旧期、復興期までの一貫した災害対応を担う司令塔組織の設置の必要性を強く訴えてまいりました。

 このような経緯で取りまとめられた防災庁設置法案等により我が国の防災体制がどのように強化されるのか、今回の法案の意義について、改めて牧野防災庁設置準備担当大臣にお伺いをさせていただきます。

 今回の法案では、防災庁の所掌事務として、関係行政機関が講ずる防災のための施策の実施の推進を定めるとともに、防災大臣の権限として、関係行政機関の長に対する尊重義務つきの勧告権が盛り込まれております。

 これは、防災庁が防災行政の司令塔機能を果たしていく上で非常に重要な権限になるかと思いますが、防災庁においては、これらの権限を生かしながら、どのように個々の防災施策を推進していくのか、牧野防災庁設置準備担当大臣にお伺いをさせていただきます。

 また、防災庁が司令塔機能を十分に果たすためには、防災庁の実務に従事する個々の職員の質を高める必要があると考えております。そのため、防災庁の職員には、事前防災、発災時の対応、復旧復興の防災の各局面における高度な専門的知見を備える必要があると思いますが、これらは一朝一夕で身につくものではないと考えております。

 そこで、防災庁においては、防災の専門人材をどのように育成していくのか、牧野防災庁設置準備担当大臣に伺いたいと思います。

 最後に、司令塔としての権限と人材を備えた防災庁には、我が国の防災力を抜本的に強化するため、新たな施策に積極的に取り組んでいただきたいと思います。その際には、過去の災害から得られた教訓を生かすのはもちろんのこと、人口減少やインフラ老朽化に苦しむ地方への支援や、効果的、効率的な災害対応を可能とする新技術や知見を有する民間団体等との連携の観点を持っていただきたいと思います。

 防災庁においては、どのような施策に具体的に取り組んでいくのか、牧野防災庁設置準備担当大臣にお伺いをさせていただきます。

 冒頭にも申し上げましたとおり、激甚化、頻発化する風水害や切迫する巨大地震など、災害大国と言われる我が国において防災体制の強化は喫緊の課題です。防災庁が、災害から国民の命を守り、国家、社会の機能を維持し、被害を最小化する、その司令塔として存分に力を発揮することを御期待を申し上げ、私の質問を終わりとさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 西田昭二議員の御質問にお答えいたします。

 防災庁の役割についてお尋ねがございました。

 防災庁は、徹底した事前防災と、発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔機能を担うこととしております。

 本法案が成立した暁には、今年中に防災庁を設置し、防災体制の抜本的強化を図ってまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣牧野たかお君登壇〕

国務大臣(牧野たかお君) 西田昭二議員の御質問にお答えさせていただきます。

 まず、防災体制の強化と今回の法案の意義についてお尋ねがありました。

 防災庁では、専門人材の養成を含め人材を拡充し、地域に伴走する体制を整えながら、平時には、地域レベルでの災害リスクの評価を行い、防災大臣の勧告権も活用して関係省庁の取組を進めつつ、地域における防災対策の充実を支援し、関係府省庁における抜け落ちや漏れのない事前防災の取組を推進してまいります。

 また、災害時には、迅速に職員を被災地に送り込み、デジタル技術なども活用して一元的に状況を把握いたします。その上で、関係省庁と連携し、いち早く被災された方々の救助や必要な物資の提供を進めてまいります。さらに、ワンストップ窓口として、復旧復興に至るまで伴走型の被災地支援を行うなど、防災庁が中核となって関係省庁等と緊密に連携し、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 このように、防災体制の強化を法律によってはっきりと定めることがこの法案の意義であると考えております。

 次に、防災庁における個々の防災施策の推進についてお尋ねがありました。

 防災大臣が、尊重義務つきの勧告権も背景に、各種計画における各府省庁の個別具体の施策の進捗状況について適時フォローアップを行い、更に施策を推進する必要がある場合には、勧告権を行使することで、府省庁の縦割りによる施策の抜け落ちや漏れをなくし、防災関係の施策を政府一体となって推進していくことができるものと考えております。

 続いて、専門人材の育成についてお尋ねがありました。

 防災庁がその役割を果たしていくためには、防災に関する専門的知見を備えた人材の確保や育成が不可欠であると考えております。

 そのため、省庁間の人事交流や民間人材の登用などを通じて、防災のエキスパート人材の確保を行ってまいります。また、様々なニーズに対応できる防災人材の育成を推進するため、仮称ではありますが、防災大学校の設置の検討を進めるなどして、防災人材の教育や訓練の更なる充実を図ってまいります。

 さらに、防災庁が重点的に取り組んでいく施策についてお尋ねがありました。

 防災庁におきましては、南海トラフ地震などを想定し、徹底した事前防災を推進することで、被害を最小限に減らすことを目指しております。

 そのために、地域の防災力の抜本的強化のため、その前提として、各地で科学的なシミュレーションに基づいた災害リスクの評価を行い、それを踏まえた対策を講じてまいります。

 また、被災者支援につきましては、災害関連死を防ぐといった観点を始め、良好な避難生活の確保のため、備蓄品目の指針の策定や国の分散備蓄の拡充といった取組を進めるなど、全国どこで災害が起こったとしても、被災者の方々に寄り添った十分な支援体制を実現してまいります。

 今回の法案におきましても、これらの内容を災害対策基本法の基本理念に追加するとともに、新たに創設した交付金の活用などを通じて、地域における取組の支援を充実してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 中川宏昌君。

    〔中川宏昌君登壇〕

中川宏昌君 中道改革連合の中川宏昌です。

 会派を代表し、ただいま議題となりました防災庁設置法案並びに防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、全て高市総理に質問いたします。(拍手)

 今日、四月十四日は、最大震度七を二度観測した熊本地震の発生からちょうど十年という大きな節目を迎えます。

 改めて、この震災により犠牲となられた全ての方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 私たちは、未曽有の被害をもたらした東日本大震災、能登半島地震など、これまであまたの災害で失われた貴い命と、今なお仮設住宅等で困難に直面されている方々の思いを決して忘れてはなりません。

 我が国は、近年の気候変動の影響により、自然災害は頻発、激甚化し、全国各地で、豪雨、台風や、地震、豪雪、噴火などの災害による深刻な被害に見舞われています。中央防災会議の発表によると、南海トラフ巨大地震では、最大死者約二十九万八千人、経済被害約二百七十兆円に及ぶと予想されています。

 国民の命と暮らしを守るとの崇高な使命と責任を託されている私たちは、こうした国難級の災害に真正面から備えるべく、防災、減災が主流となる社会を必ず実現しなければなりません。

 私が公明党に所属していたときから、これまで、事前防災から復興までの一貫した司令塔としての防災庁の設置を公約に掲げ、その実現に向けて粘り強く訴えてまいりました。こうした長年の取組が実を結び、防災庁設置に係る法案が国会に提出されたことを高く評価いたします。

 しかしながら、新たな組織となる防災庁は、各省庁の屋上屋とならないのか、各省庁の縦割りの弊害を克服できるのか、そして専門職人材を育成、確保できるのか、地域防災力は向上するのかなどなどの諸課題が解決される法案となっているかが重要です。

 以下、具体的に質問をさせていただきます。

 私は、能登半島地震発災直後から五十八回にわたり現地に足を運び、被災者の声に耳を傾けてまいりました。被災現場には、机上では見えない厳しい現実があります。発災直後から、被災自治体職員は、自らも被災をしながら、避難所設営や物資支給、罹災証明書の発行など、昼夜を問わず尽力してきました。

 一方で、避難所環境の厳しさ、在宅避難者への支援不足、要配慮者を抱える家族の疲弊、情報不足への不安など、被災者を取り巻く困難は深刻です。さらに、六十五歳以上が五五%を占める超高齢化や脆弱なインフラが復旧復興を一層困難にしています。こうした課題は、防災庁設置を契機に抜本的に改革すべきです。

 法案が、科学的リスク評価に基づく事前防災と被災者の良好な生活環境の確保を掲げた点は評価をします。しかし、その実現には、防災庁の組織、制度、予算、人員配置の具体化と、全ての人の尊厳を守るという理念を根幹に据えることが不可欠です。

 防災庁が司令塔機能を発揮するに当たり、法案では中央防災会議が鍵を握ることになっていますが、その機能を十分発揮できる仕組みになっているかということを危惧しております。

 そこで、中央防災会議が置かれる防災庁は、有事の際だけ号令をかける指揮組織ではなく、平時から地方自治体や被災者支援の民間団体の意見が反映される仕組みを構築し、事前防災から応急対応、復旧復興までを切れ目なく支える常設の防災司令塔としての役割を果たせるように位置づけるべきではないか。

 また、防災庁と各省庁や実動部隊との役割分担を明確にして、防災庁が屋上屋とならない制度設計となっているのか、総理の答弁を求めます。

 次に、防災庁が実効性を伴う防災、減災を実行できる司令塔となるためには、縦割りを超える実行力、自治体に寄り添う伴走力、そして、情報を意思決定につなぐ統合力を持つことが不可欠です。

 災害時には、物資、医療、福祉、在宅避難者、要配慮者支援などの情報が、別々の機関、別々のシステムで管理されがちです。その結果、情報が集約されず、責任者の意思決定の判断に使えない、実行部隊に届かないという事態が起きています。

 必要なことは、防災庁、国の関係省庁、地方自治体、実動部隊の間で共通の状況認識を持ち、それらが的確な避難判断、応急支援、物資輸送、医療、福祉支援の重点化へ直結する仕組みが重要です。

 防災庁はこの情報統合基盤の司令塔となるのか。誰が情報を入力し、誰が閲覧をし、誰が意思決定し、誰が実行するのか。単なる見える化ではなく、デジタルで一元化された情報がリアルの意思決定と現場執行にどう連動するのか、総理に答弁を求めます。

 次に、現場の実動力と自治体への伴走支援についてお伺いいたします。

 災害を乗り越えてきたのは、最前線で動く現場の力です。しかし、小規模自治体では、大規模災害時に支援の受入れ窓口そのものが機能不全に陥ることがあります。そこで不可欠なのが広域的な支援体制の標準化であり、全国共通の標準モデルを整備し、平時から訓練しておく必要があります。

 防災庁は、地方の出先機関である防災局を、単なる地方自治体との連絡窓口ではなく、広域支援制度、物資輸送、情報集約、被災者支援の実動拠点としてどう構築するのか。また、災害時に支援を円滑に受け入れ、活用することが困難な自治体に対し、平時からどのような伴走支援を制度として届けるのか、総理に答弁を求めます。

 次に、事前防災の推進についてお伺いをいたします。

 私どもは、これまでも、日常の備えなくして危機管理なしという考えを重視してまいりました。インフラの点検、補修による強靱化の推進、物資備蓄や地域防災訓練、災害弱者の把握など、地域防災力の向上こそ最大の危機管理です。被災者支援や応急復旧の強化と、災害を未然に防ぎ被害を軽減する事前防災は、まさに車の両輪です。

 そのためには、人員、物資、輸送、医療、福祉、通信などのリソースが十分にあるのかを、地域レベルで具体的かつ分野横断的にシミュレーションし、災害リスク評価を実施する必要があり、その評価に基づいて、避難計画、受援体制、備蓄計画、インフラ投資を進めるべきです。

 国、都道府県、市町村が連携をして、各地域における災害リスク評価とそれに基づく事前防災をどう推進していくのか、防災庁の取組を総理にお伺いをいたします。

 次に、被災者支援と福祉の法定化についてお伺いいたします。

 昨年の法改正で、私どもの強い働きかけで、災害対策基本法、災害救助法に福祉サービスの提供が明記されたことは大きな前進です。しかし、理念が法律に書かれただけでは現場は変わりません。

 避難所における災害関連死を防ぐためには、初動段階から介護や福祉的ケアを確実に行き渡らせることが不可欠です。特に、TKB、トイレ、食事、寝具の確保は、避難者の命と健康を守るための最低条件と言えます。今後は、国際的なスフィア基準を踏まえ、避難所環境の標準化とその導入を強力に推進していくことが求められます。

 能登半島地震では、多くの介護関連施設が深刻な被害を受け、入居者を受け入れることができる介護施設が足りず、やむなく、いしかわ総合スポーツセンターを仮の受入れ施設としたものの、介護士の数が絶対的に不足しました。

 防災庁の制度設計において、在宅避難、車中泊、広域避難にも対応できる災害ケースマネジメントの拡充、いざというときに即応体制が取れるよう、DWATの十分な人員確保をどこまで制度として担保できるのか。また、災害救助の概念を、単なる生存から、尊厳ある生活の維持へと実質的に高める決意があるのか、総理に答弁を求めます。

 最後に、専門人材の育成と産官学民の総力結集についてお伺いをいたします。

 災害のたびに各省庁から人を集め、数年ごとの異動で入れ替わるこれまでの体制では、専門性も支援ノウハウも蓄積されません。防災庁が単なる出向者の寄り合い所帯であっては、真の司令塔としての役割を果たすことが難しくなると危惧されます。

 法案にある防災大学校を核として、専門職人材の育成、確保を進めることが最重要のミッションです。例えば、専門職人材育成の場として、アメリカのFEMAの訓練場であるディザスターシティーを模して福島浜通りに設置されているロボットテストフィールドを活用することを提案します。

 また、自治体、民間、NPOとの人事交流を進めるとともに、共通指揮体系の整備を恒常的な仕組みとして定着させるべきです。防災DXについても、高齢者、障害のある方、外国人を含め、最後の一人まで情報と支援が届く仕組みでなければなりません。

 政府の専門職人材の育成、確保、並びに産官学民の総力結集に向けての具体的な方策をどうするのか、総理に答弁を求めます。

 防災庁の設置は、ゴールではなく出発点です。縦割りを排した実効性ある制度運用が示されて初めて国民の信頼が得られます。

 平時のインフラ強靱化はもちろん、有事には、専門人材が被災者の小さな声に寄り添い、生活再建までをきめ細やかに支え抜く。現場主義を貫く真の司令塔として機能することを強く求め、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 中川宏昌議員の御質問にお答えいたします。

 防災庁の制度設計についてお尋ねがございました。

 各府省の専門性、即応性などは従来どおり最大限に生かしつつ、内閣府防災担当を発展的に改組する防災庁を内閣の下に置き、一段高い司令塔となって関係府省や自治体と連携し、徹底した事前防災と、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 なお、中川議員御指摘のとおり、防災庁は事前防災から発災時の対応、復旧復興までを切れ目なく担当する常設の司令塔であり、平素から自治体、民間団体などともしっかり連携しつつ、関係施策を進めてまいります。

 防災情報の一元化などについてお尋ねがございました。

 発災時には、官民の関係機関が被災地の被害情報や対応状況を共有し、相互に連携して災害対応に当たることが重要です。

 防災庁は、大規模災害時には、直ちに政府の災害対策本部の運営等を担い、対策本部長の指示権なども生かして司令塔機能を発揮することとしております。

 その上で、政府では、防災庁の指揮の下、自治体も含む各関係機関が収集し入力した情報を一元的に集約し、各関係機関が閲覧できるようにした情報共有システムを運用することとしており、関係省庁や実動部隊は、このシステムを活用しつつ、共通の状況認識を持って災害対応を行うこととしています。

 防災庁は、この情報共有システムなども駆使して、産官学民のあらゆる関係者が連携し、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 自治体への支援体制についてお尋ねがありました。

 発災時に最前線で災害対応に当たる自治体への支援体制を強化することは重要です。

 そのため、従来、内閣府では、避難生活環境の改善に向けた物資や資機材の整備、自治体の受援体制の構築の促進、支援物資の迅速な輸送のための体制構築を進めてきたところです。

 防災庁では、地域防災を担う統括官を新たに配置し、自治体向けの新たな交付金を創設するなど、地域の防災力強化に向けた取組を強化していくこととしています。

 また、四十七都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員や、地方機関である防災局を置くなど、抜本的な体制の強化を行い、防災局と本庁が連携しつつ、平時も発災時も自治体のニーズを踏まえて伴走しながら、各地域で災害対応に必要な体制の構築を進めていきます。

 災害リスク評価とそれに基づく事前防災の推進についてお尋ねがございました。

 防災庁においては、大規模災害に対する事前防災への取組のため、地域レベルでの具体的かつ分野横断的なシミュレーションに基づく災害リスク評価により、災害に対する地域や社会における課題を把握することとしています。

 そのため、現在、専門家の御意見も聞きながら、具体的な評価手法について、早期の取りまとめに向け、検討を進めているところです。

 また、今年度から、防災力強化総合交付金を創設し、地方自治体による災害リスク評価の実施に対して財政的支援を行うとともに、各都道府県ごとにふるさと防災職員を設置し、地域ごとの実情に応じながら、技術面も含めた、顔の見える、きめ細やかな伴走支援にも力を入れてまいります。

 そして、災害リスク評価により明らかになった課題については、それぞれの地域での改善の取組が確実に進むよう、防災庁として最大限支援するとともに、国土強靱化施策とも連携して対策を講じてまいります。

 災害対策の概念や、災害ケースマネジメントとDWATについてお尋ねがありました。

 被災された方々が尊厳ある生活を営めるようにすることは重要であり、今般、災害対策基本法における災害対策の基本理念にこの趣旨を明記することとしています。

 どこで被災をしても、被災者の方々が良好な生活環境を享受できるようにするためには、自治体、NPOなどを含め、全ての関係者が知見を共有し、丁寧に取組の向上を図っていくことが重要であり、国としても、モデル事業を実施するなどにより、一人一人の状況を踏まえた災害ケースマネジメントの取組を進めてまいります。

 また、DWATとして活動してくださる人材を登録する仕組みを含む法改正案を別途今国会に提出しており、関係省庁が連携して、更なる体制構築に努めてまいります。

 専門人材の育成と産官学民の総力結集についてお尋ねがございました。

 御指摘いただきましたように、防災庁が、防災DXの取組も含め、政府の災害対応を指揮する司令塔機能を担い、その成果を上げていくためには、防災の専門人材の確保や育成が不可欠です。

 そのため、省庁間の人事交流や民間人材の登用、さらにはプロパー職員の確保などを通じて、防災のエキスパート人材の確保を行ってまいります。

 また、様々なニーズに対応できる産官学民の防災人材の育成を推進するため、仮称ではありますが、防災大学校の設置を検討しており、これも生かして、人材教育や、先進技術の活用も含めた実践的な訓練の更なる充実を図ります。

 その際には、議員から御提案があったように、既存の様々な施設の活用の可能性も検討してまいります。

 こうした産官学民の関係者間の顔の見える関係の構築や連携を平時から推進し、災害への備えに万全を期してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 黒田征樹君。

    〔黒田征樹君登壇〕

黒田征樹君 日本維新の会の黒田征樹です。

 会派を代表して、防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について質問いたします。(拍手)

 冒頭、これまで日本各地で発生した災害により犠牲となられました方々に謹んで哀悼の意を表し、今なお復興の途上にある被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 日本は世界有数の災害大国です。しかし同時に、世界最高水準の防災技術と経験が蓄積された国でもあります。その底力を生かす司令塔がこれまでなかった、そのことを問い直し、ようやく形にしようとしているのが本法案でございます。

 日本維新の会は、この法案に込められた問題意識を支持いたします。縦割り行政を超えた司令塔機能、専門人材の育成、平時からの備え、これらは維新がかねてより訴えてきた方向性そのものであり、今こそ実現するチャンスです。

 さらに、維新は、東京一極集中というこの国最大のリスクを解消するため、大規模災害時に政府中枢機能を代替し得る副首都の設置を求めてきました。先月末、自民、維新の実務者協議において副首都法案の骨子案が合意され、防災と分散型国家づくりはいよいよ実現に向けて動き出しております。

 だからこそ、この防災庁を有名無実に終わらせてはなりません。組織をつくることと機能することとは別の話です。本日は、法案をよりよいものとするため、前向きな姿勢で政府に問わせていただきます。

 防災庁の設置によって具体的に何がどう変わるのか、まず三点、お伺いをいたします。

 一点目は、被害軽減目標についてです。

 昨年十二月、首都直下地震の被害想定が十二年ぶりに改定され、死者最大一万八千人、経済被害八十三兆円という数字が示されました。注目すべきは、前回策定時に政府が掲げた、十年間で被害をおおむね半減するという目標が達成できなかったという点です。南海トラフ巨大地震における昨年三月の十年ぶりの見直しも目標は未達成で、約三十万人という甚大な被害想定が残されております。

 前回と今回の数値算出方法が異なるといった理由があるようですが、政府はこの十年間、目標が達成できなかった原因をどのように総括をしているのでしょうか。それを踏まえ、防災庁はどのような役割を担い、どのような権限を持った組織体制になるのか、明確にお示しください。

 二点目に、司令塔機能が本当に働くのかを伺います。

 防災大臣には各省への勧告権が付与されますが、その法的性質は、拘束力を伴わない尊重義務にとどまります。なぜ従う義務を課す指示権としなかったのか。勧告を受けた省庁が従わなかった場合の対応と、勧告権が形骸化しないための具体的な運用をお答えください。

 三点目は、効率化の観点から、防災庁が新たな屋上屋とならないかという点です。

 消防庁は総務省、気象庁は国土交通省の外局として引き続き並立いたします。専門家からは、既存省庁の改編という根本的な組織論には踏み込まなかったとの指摘があります。

 維新はかねてより、二重行政の解消と、簡素で効率的な行政運営を主張してまいりました。防災庁と各省庁との役割分担の明確な境界はどこに置くのか、お示しをください。

 続いて、防災備蓄の格差解消と共同調達について伺います。

 日経新聞が内閣府データを基にした調査では、南海トラフ地震で甚大な被害が想定される十四都県百三十九市町村の約六割で、食料、簡易トイレ等の主要品目が備蓄ゼロという深刻な事態が明らかになりました。小規模自治体ほど、財政力の制約から備蓄が手薄になります。

 防災庁として、広域的なガイドラインを策定し、共同調達や相互融通を制度化すべきではないでしょうか。備蓄ゼロ解消に向けた具体的な取組と工程をお答えください。

 住民、自治体の利便性向上について伺います。

 能登半島地震では、支援窓口が分散し、パッケージで支援が必要だったとの声が現場から上がりました。

 防災立国推進の基本方針では、防災庁を被災自治体のワンストップ窓口と位置づけておりますが、発災時の窓口は本当に防災庁に一元化されるのか、能登の教訓を踏まえ何が具体的に変わるのか、お答えください。

 あわせて、防災DXについて伺います。

 防災DXの実態調査では、予算、人材不足から、約半数の自治体がデジタル技術を十分に活用できておりません。

 防災庁は、デジタル庁との役割分担をどう整理し、とりわけ小規模自治体のデジタル防災基盤の底上げにどう取り組むのかをお示しください。

 人材育成について伺います。

 政府は、プロパー職員の育成を重視するとしていますが、初年度の採用規模と将来的な増員計画はどう考えているでしょうか。

 また、防災大学校の設置は任意にとどまっていますが、設置の判断基準と時期をどう考えているか。設置までの間の人材育成の補完策、自治体との人事交流や現場知見を政策に還元する仕組みについて、併せてお答えください。

 首都バックアップ機能について伺います。

 法案第十六条の防災局は、設置先が政令委任となっており、現時点では明らかにされておりません。

 首都バックアップ機能を担うには、東京と同時被災リスクが低い地域への配置と、平時からの権限、人員、情報の分散が不可欠です。設置場所の選定基準、候補地の検討プロセス、平時からの機能分散の具体像をお答えください。

 次に、副首都との関係について伺います。

 政府は、南海トラフ巨大地震の経済被害は最大二百九十二兆円と試算されており、東京一極集中は我が国最大のリスクです。

 自民、維新の実務者協議では、副首都を、大規模災害時に首都中枢機能を代替し、多極分散型経済圏の中核を担うとして、法案骨子を合意いたしました。

 防災庁設置法と副首都構想は、東京が機能しなくなったときへの備えという目的を共通するものであり、一体的に推進されるべきです。政府として、両者の政策的連携をどのように位置づけるのか、明確な方針をお示しください。

 最後に、PDCAの徹底について伺います。

 法案第五条第二項は、防災庁が自ら政策を評価し、企画立案を行うと規定していますが、自己評価のみでは客観性の担保に限界があります。

 自己評価の枠組みをどう設計し、目標未達の場合の責任の所在と次期計画への反映をどう担保するのか、第三者機関による外部評価を制度的に組み込む考えはないのか、防災行政のPDCAを実効的に機能させる具体策をお答えください。

 防災庁の設置が単なる組織再編にとどまるのか、それとも実効性ある防災国家への転換となるのか、その真価が今まさに問われています。国民の命と暮らしを守る責任に真正面から向き合い、具体策と結果で応えることを政府に強く求め、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 黒田征樹議員の御質問にお答えいたします。

 首都直下地震等の減災目標が達成できなかった原因の総括と防災庁の役割、組織体制についてお尋ねがございました。

 首都直下地震等の減災目標が達成できなかったことについては、各種対策に一定の進捗があったものの、住宅の耐震化や家具の固定等の取組状況、初期消火成功率、早期津波避難率などが想定していたほど改善しなかったことが原因だと考えております。

 こうしたことも踏まえ、防災庁では、対策の進捗状況のフォローアップを定期的に行い、防災大臣の勧告権も活用して関係省庁の取組を進めるとともに、人員の拡充等により、国民の皆様への普及啓発や自治体に伴走支援する体制を強化していくこととしております。

 防災大臣の勧告権の運用と、防災庁と各省庁との役割分担についてお尋ねがありました。

 防災大臣の勧告を受けた各大臣などには、勧告を尊重する法的な義務が課されることから、議員御指摘の勧告に従わないという事態が生じることは想定していません。

 防災庁設置により、それぞれ専門性を有する各省庁の役割が変わるものではありませんが、防災庁が一段高い立場の司令塔となり、大臣の勧告権を背景に、各府省庁の個別具体的な施策の進捗状況を把握するとともに、各府省庁の更なる対応を促すために必要が認められればその勧告権を行使し、防災関係の施策を政府一体となって進めていくことができるものと考えております。

 自治体の備蓄についてお尋ねがございました。

 災害対策基本法において、自治体は、防災に必要な物資等を備蓄し、その状況を公表することが義務づけられています。

 また、国の防災基本計画において、市町村が、地域完結型の備蓄施設を確保し、簡易トイレや食料、飲料水などの避難生活に必要な物資を備蓄することを求めています。

 一方で、自治体においては、物資購入における財政面の制約や、備蓄場所の確保の難しさ、消費期限が短く備蓄が難しい物資があるなどの課題があることも承知いたしております。

 こうした課題の解消に向け、防災庁が司令塔となり、民間事業者との協力の在り方などの観点も踏まえた、自治体備蓄に関するより詳細なガイドラインを今年度中に示すとともに、本年度予算に新たに計上した防災力強化総合交付金を活用して、広域的な展開が可能な資機材の整備を支援するなど、各自治体における効率的、効果的な備蓄を促進してまいります。

 発災時のワンストップ窓口と防災DXについてお尋ねがありました。

 昨年度から内閣府に、各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を置き、平時から顔の見える関係を構築した上で、発災時には速やかに現地に派遣し、ワンストップ窓口として、被災自治体と国との連絡調整役を担わせております。防災庁では、この仕組みを確立し、充実を図ることとしています。

 また、御指摘のとおり、自治体におけるデジタル技術の活用促進、これは重要な課題でございます。国においては、新総合防災情報システム、SOBO―WEBですとか、新物資システム、B―PLoを整備し、必要な訓練を実施するとともに、発災時には国からの派遣職員が支援することにより、自治体がデジタル技術を活用できる環境整備を進めてまいります。

 デジタル庁においても、防災DXサービスカタログの整備など、自治体のデジタルサービス調達を支援する取組を進めており、防災庁とデジタル庁が協力し合いながら、一体となって自治体の防災DXに取り組んでまいります。

 防災庁における人材育成、防災大学校などについてお尋ねがありました。

 産学官民を通じ、防災の専門人材の確保は重要です。

 そのため、防災庁においても、プロパー職員を採用し、中長期的な視点に立って、必要な専門人材を育成していけるよう、具体的な採用などの在り方を検討してまいります。

 加えて、体系的な官民の防災人材育成を進めるため、正式名称は未定ですが、防災大学校の設置についても、法案成立後、具体的な設置時期やその機能について本格的な検討を進めてまいります。

 あわせて、各省庁、自治体、民間企業などの相互の人材交流を通じた人材の育成、確保にも努め、現場の知見を政策に生かしてまいります。

 防災局及び防災庁設置法案と副首都構想の関係についてお尋ねがありました。

 防災局については、大規模災害の発生時における政府の災害対応の継続性の観点のほか、地域における事前防災への取組や迅速な被災地支援体制の構築などの観点も踏まえ、設置に向けた具体的な検討を行うこととしています。

 また、副首都構想については、与党による協議体において精力的に協議が重ねられ、先日、法案骨子案について、合意がなされたものと承知しております。

 今後、合意に基づき、法案化の協議が進められ、今国会への提出に向けた調整が行われると承知しております。

 こうした副首都構想の動きも踏まえ、防災庁においては、災害対策の司令塔として、大規模災害時の首都中枢機能の継続性確保にしっかりと取り組んでまいります。

 防災行政のPDCAについてお尋ねがありました。

 御指摘の規定は各府省庁の組織法において共通に設けられている規定であり、防災庁も、他府省庁と同様に、政策評価、行政事業レビューを行い、その際、外部有識者のチェックを受けます。

 客観的な外部評価を踏まえて、PDCAサイクルを回し、効果的、効率的な防災行政を実現してまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(石井啓一君) 佐々木真琴さん。

    〔佐々木真琴君登壇〕

佐々木真琴君 国民民主党・無所属クラブの佐々木真琴です。

 会派を代表して、ただいま議題となりました防災庁設置法案について質問いたします。(拍手)

 中学二年生のとき、岩手県宮古市で東日本大震災を経験しました。中学校の坂の下まで津波が押し寄せ、通学路は見る影もなく、祖父母の家も流されました。母と連絡がつかない数日間、避難所での生活、車のエンジンをつけてはニュースを見てまた切って、弟と二人で毛布をかけて夜を明かした日々を思い出します。決して私一人だけの力でなく、学校の先生、地域の皆様、市や県、国、世界中の様々な皆様のおかげで生かされた命であると強く感じております。

 過去の震災で得られた教訓がこの国の防災をどこまで変えてきたのか、次の災害に本当に生かされているのか、今、改めて問われています。我が国はこれまで災害大国であると言われ続けてきました。そして、今、私たちは、そこから防災立国へと転換をしていく、その岐路に立っていることは明らかです。今回の防災庁設置法案をその大きな転換点とするべく、過去の経験を未来につなぐべく、質問いたします。

 まず、防災庁の設置の意義、必要性について伺います。

 これまで我が国では、防災機能を国土庁から内閣府へと移し、内閣総理大臣の下、一元的に調整する体制を構築してきました。これは、縦割り行政を超えた、司令塔機能の強化を目的としたものであったと理解しています。

 その上で、今回、更に防災庁という新たな組織を設置するということは、これまでの体制では乗り越えられない課題が明確に存在するという認識に立っているものと考えます。全国の都道府県知事と市区町村長を対象としたアンケートでは、防災庁に期待八八%と、多くの期待が寄せられています。

 一方で、現場感覚を持っている皆様や専門家からは、組織を新たにつくることで本当に現場は変わるのかという疑問の声があることも明らかです。制度の再編、組織の再編が目的化してしまえば、現場は変わらないまま、負担だけが増えることになりかねません。また、課題は、必ずしも組織の有無ではなく、意思決定の遅れや、権限の曖昧さ、そして平時からの準備不足にあるのではないかという指摘もあります。

 だからこそ伺います。今回の防災庁設置によってこれまでと何が本質的に変わるのか、内閣府の機能強化ではなくあえて新たに組織を設ける理由は何なのか、現場はどう変わるのか、どう変えたいのか、明確にお答えください。

 あわせて、施行より二年以内につくるとされている防災局についても、どのような役割を担い、現体制からどのような点を改善したいがために設置するのか、改めて伺います。

 次に、司令塔機能について伺います。

 防災庁は司令塔とされておりますが、それが単なる調整機能にとどまるのか、それとも意思決定と実行を担う実効的な司令塔となるのか、極めて重要です。各府省庁や関係機関がそれぞれの役割を果たす一方で、全体を俯瞰した意思決定や、迅速な指示が十分に機能していたのかという点について、課題が指摘されてまいりました。こういったアドバイザーや専門家からの指摘をどのように受け止め、その課題はどこにあったと分析をしているのか、今回の防災庁がどこにどのように機能するとお考えなのか、お聞かせください。

 加えて、司令塔機能について、フェーズごとにお聞きします。

 まず、平時における司令塔機能について伺います。

 事前防災がメインになるフェーズでは、防災庁は、どのように各府省庁や自治体と連携をし、どの段階でどのような指示や調整を行うことを想定しているのか、その具体的な役割と機能について、現状どのような方針を想定されているか、お聞かせください。

 次に、災害発生時における司令塔機能についても伺います。

 災害の規模や地域特性に応じて様々であるとは思いますが、大規模災害時には、防災庁は、どの段階で指揮、指示機能を発揮し、どのレベルまで関与するのか、また、その判断基準をどのように整理していくのかについてもお聞かせください。

 勧告権の位置づけについても伺います。

 これまでの組織でも、同様の権限がありながら、十分に機能してきたとは言い難い状況です。権限はあるが使われない、使えない構造になっているという指摘もあります。防災庁が有する勧告権が、実質的にどの程度の拘束力を持ち、各府省庁に対してどのように機能するのか、また、従わない場合の対応も含め、どのように実効性を担保するのかについてお聞かせください。

 次に、事前防災の定義と構造について伺います。

 まず、防災の定義についてです。

 今般の防災庁設置法案第三条や災害対策基本法において、災害からの復興を追加するとともに、災害予防から復旧復興までを防災と定義づけるとあります。災害からの復旧復興は、次の災害に向けての一歩目の事前防災であるという理解から、復興までを含むという思いなのだと推察いたしますけれども、復興というものは大変広範で、終わりのないものです。復興庁との関係もあります。私自身は、防災分野に関わってまいりましたので、災害予防から復旧復興が一貫した地続き問題として認識、理解をするところですが、一般的には、復興とは防災ではなく町づくりと捉える方も多いのではないでしょうか。

 今回の新たな防災の定義を国民の皆様に理解いただくことが大切です。どのように整理し、国民の皆様に伝え、理解を進めていくのか、高市総理のお考えを伺います。認識や理解の一致がない中では、正しい議論が展開できません。これから、各自治体、地域の自主防災組織に至るまで、様々な角度でこの法律が関与していくことになります。しっかりとした答弁を求めます。

 本法案では、徹底した事前防災が大きく掲げられております。その内容は非常に広範です。大きく分けても、インフラ整備、人づくり、社会の仕組みづくりといった複数の分野にまたがります。専門家からは、日本はハード整備は強い一方で、ソフトの設計や運用が弱いという指摘は長年なされてまいりました。災害は人の力で乗り越えてきていることは、誰しもが疑う余地がありません。

 政府は、事前防災をどのように定義し、インフラ整備、人づくり、社会の仕組みづくりといった各分野をどのように整理しているのか。また、防災庁は、それぞれの分野について、どのように統括し、どのような考え方でコーディネートしていくのか、方向性について伺います。

 次に、防災教育について伺います。

 防災教育は学校と地域と様々ありますが、共通するものは、防災教育とは知識だけではなく行動変容であるということです。

 東日本大震災時、岩手県宮古市田老にいた私の祖父は、当時七十歳を超えていましたが、九十歳の曽祖母をおぶって山を登り逃げてくれました。これは偶然ではなく、教育と地域の積み重ねの結果です。

 私の地元岩手県宮古市では、何度も津波の被害を受け、そのたびに立ち上がってまいりました。そこにあるのは、全ての道を山に向かって走らせること、曲がり角でぶつからないように交差点を直角にせず、隅切りといって角を切って区画をつくっていたこと、まさに今回防災庁が目指す災害後の復旧復興における町づくりを、次の災害の第一歩目として既に導入をされておりました。そして何より、それをきちんと使うための津波てんでんこ、まず逃げるという行動が文化として根づいていました。

 事前防災の中で、防災教育をどのように位置づけ、幼少期、家庭、学校、地域を通じた体系としてどのように構築していくのか、伺います。

 また、防災大学校の設置については、設置が決まっているわけではなく、いわゆるできる規定となっておりますが、現段階での見通しや、どういった機能を持たせたいと構想しているのか、伺います。

 次に、避難所の運営について伺います。

 災害のたびに、今の避難所は当時より格段にいいはず、十五年もたっているのだからと思いますが、なかなか変わらないことに悲しみと悔しさを覚えます。熊本地震では多少改善が見られましたが、特に能登の際には熊本のときよりも悪化していたとも聞きます。

 各地域によっての特徴もありますが、事前のシミュレーションを基に、早期の改善は急務です。避難所の在り方についても、国家戦略の立案に当たり、既存の枠にとらわれず、あらゆる可能性を排除せず検討する認識でよろしいか、伺います。

 自治体の現場からは、人手が足りない、役割が曖昧という声が上がっています。避難所運営において、国、自治体、関係機関の役割分担をどのように整理し、防災庁としてどのような体制を構築するのか、お聞かせください。

 次に、子供の視点と居場所について伺います。

 東日本大震災当時、私たち子供はどこに行っても邪魔でした。弟や近所の子たちを集めて、体育館のギャラリーの冷たい床で静かにトランプをしても怒られました。本当に居場所がありませんでした。

 もう一つ、私たち子供になかったもの、それは、子供の主権、意見を言う権利です。私たち子供だって、大人の力になりたかったし、地域のためになりたかった、そう思います。

 子供は守られる存在でもありますが、それと同時に、権利の主体でもあります。避難所における子供の居場所の確保や参画の仕組みを構築するための、児童の権利に関する条約やこども基本法に規定される機会確保や、NPO法人など関係団体への支援などの具体的な取組について、お聞かせください。

 次に、物資について伺います。

 これまで、災害時の物資供給には、道路寸断による輸送網の寸断、情報不足による需要管理の遅れ、人手不足による物資の滞留など、問題が生じていました。避難所では、使うことのできない物資をしまうだけの部屋があります。物資をパッケージ化する作業も発生します。当時、私たち中学生が食料を仕分ける作業をしておりました。必要なのは、システムと、それを使える人や体制です。

 政府では、昨年、能登での反省を受け、新物資システム、B―PLoを改良したと聞いております。長年の課題である物資支援の煩雑さについて、今後どのような観点でアップデートしていくお考えか、お聞かせください。

 次に、ボランティアや民間団体との協力制度について伺います。

 阪神・淡路大震災ではボランティア元年と言われました。専門家からも、ボランティアや専門人材を制度にどう位置づけるかが今後の鍵になるという指摘や、ボランティアはいてもコーディネートする人がおらず、マンパワーを最大限に活用できていないという地方自治体からの声もあります。

 防災庁において、ボランティアやNPOの役割をどのように組み込み、位置づけ、平時からの連携体制を始め、どのように構築していくのか、伺います。

 最後に申し上げます。

 この防災庁の議論は、単なる組織の話ではありません。命を守ること、生活を守ること、そして地域の未来をつなぐことです。東日本大震災から十五年、あの経験がこの国の防災を本当に変えたと言えるのか。防災庁の設置を通じて災害大国から防災立国へと転換していく、本物の防災庁を共に目指してまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 佐々木真琴議員の御質問にお答えいたします。

 防災庁及び防災局を設置する意義、必要性についてお尋ねがございました。

 防災庁は、内閣直下の独立した庁としてこれまでより一段高い立場の司令塔と位置づけられるものでございます。

 これにより、平時には、地域レベルでの災害リスクの評価を行い、地域における防災対策への支援を充実し、事前防災の取組を推進します。

 また、災害時には、迅速に職員を被災地に送り込み、デジタル技術なども活用して、一元的に状況を把握します。その上で、関係省庁と連携し、いち早く、被災された方の救助や必要な物資の提供を進めます。

 さらに、ワンストップ窓口として、復旧復興に至るまで伴走型の被災地支援を行うなど、防災庁が中核となって、関係省庁等と緊密に連携し、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 また、防災局につきましては、千島海溝地震、日本海溝地震と南海トラフ地震に対する、地域における事前防災への取組や、迅速な被災地支援体制の構築、さらに、大規模災害時の政府の災害対応の業務継続性などの観点から、設置に向けた具体的な検討を行うこととしております。

 防災庁の司令塔機能についてお尋ねがありました。

 災害対応においては、関係機関がそれぞれのノウハウを最大限発揮するとともに、相互に連携して対応を進めることが重要です。

 防災庁は、まさにそうした課題に応えるため、平時から発災時、復旧復興までの一貫した政府全体の司令塔としての役割を担うために設置するものです。

 平時においては、国、県、市町村が連携し、地域レベルでの災害リスク評価を行い、防災庁が、各主体の対策の抜けや漏れを把握し、必要な勧告、支援を行うなどにより、事前防災を徹底してまいります。

 また、防災庁は、大規模災害発生時には、直ちに政府の災害対策本部の運営を担い、対策本部長の指示権なども生かして迅速な対応を行うとともに、復旧復興のワンストップ窓口となって、伴走型の被災地支援を継続するなど、必要に応じて個別具体の施策レベルまで司令塔機能を発揮して、災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 勧告権の機能、実効性の担保についてお尋ねがありました。

 防災庁が司令塔としての役割を果たすことができるよう、防災大臣には勧告権が与えられることになりますが、勧告を受けた大臣などには勧告を尊重する法的な義務が課されることから、議員御指摘の勧告に従わないという事態が生じることは想定していません。

 防災大臣は、この勧告権を背景に、各府省庁の個別具体的な施策の進捗状況を把握するとともに、各府省庁の更なる対応を促すために必要が認められれば勧告権を行使することにより、防災関係の施策に政府一体となって取り組んでいくことができると考えております。

 防災、復興の定義についてお尋ねがございました。

 内閣府設置法上、現在、内閣府が所管する防災の定義にも復興は含まれており、防災庁はこれを引き継ぎます。

 その上で、復興庁の知見も生かして、一段高い発災時の対応から復旧復興までの一貫した司令塔、ワンストップ窓口となることで、議員御指摘の被災地の町づくりも含め、政府一丸となった復興への伴走支援体制を強化することとしています。

 こうした防災庁の役割については、防災庁に新たに広報担当の部署を設置し、SNSも活用するなど、発信方法にも工夫を凝らすことにより、国民の皆様にしっかり周知をしてまいります。

 事前防災の定義と方向性についてお尋ねがありました。

 事前防災とは、被害の未然防止と軽減のための取組であるとともに、円滑な災害対応のための事前準備であり、幅広い分野での取組を進めることが不可欠なものであると考えております。

 防災庁は徹底した事前防災の司令塔として、地域レベルでの災害リスク評価を進め、防災大臣の勧告権も活用して必要となる関係省庁の取組を進めつつ、産官学民の総力を結集する要となって、ハード整備はもちろん、人材育成も含めた、地域の災害対応に臨む体制構築を加速してまいります。

 防災教育及び防災大学校についてお尋ねがありました。

 災害による被害を最小限とするためには、災害を我が事として捉え、自ら助かる行動が取れるよう、学習機会を充実させることが重要です。

 政府としては、学習指導要領に基づく各地域や学校の実情に応じた防災教育や、地域住民の皆様や子供たちが主体的に参画するコミュニティー防災の取組などを実施しています。

 こうした取組を通じて、子供たちを含む国民の皆様一人一人の行動変容を促し、社会全体として自ら助かる行動の定着を図ってまいります。

 また、仮称ではありますが、防災大学校については、防災庁職員に加え、地方自治体職員や民間人材も対象とし、様々なニーズに対応できる防災人材育成を進めるための機関の設置を検討してまいります。

 避難所の在り方についてお尋ねがございました。

 災害関連死を減らし、発災直後から尊厳ある生活を営むため、避難所の環境整備は重要であり、関係省庁が連携して、特に、快適なトイレ、ベッド、温かい食事などを意識した取組を進めてきました。

 また、発災時に、国や他の自治体からの応援、NPOなどとの連携が速やかに行われる体制構築、避難所資機材の充実などにも取り組んでいます。

 防災庁が司令塔となって、地域単位での丁寧なシミュレーションに基づく災害リスク評価を進め、全国どこで災害が起こったとしても、被災者の方々のニーズに沿った、快適な避難環境を実現するよう、あらゆる可能性を排除することなく柔軟に取り組んでまいります。

 災害時の子供の居場所についてお尋ねがありました。

 令和七年五月に、「災害時のこどもの居場所づくり」の手引を策定しており、発災後二、三日以内に、各避難所に子供の居場所を設置すること、子供、若者の主体的な活動の場を提供することが望ましいこと、災害時に侵害されやすい子供の権利を守る場となる必要があること、支援団体などとの連携と調整が重要であり、平時からのネットワークを構築すべきことなどをお示ししています。

 官民一体となって、災害時の子供の居場所づくりの取組を進めてまいります。

 物資支援の改善及びボランティアやNPOとの連携についてお尋ねがありました。

 政府では、能登半島地震の教訓も踏まえ、迅速かつ確実に必要な物資が届けられるよう、視認性や操作性を向上させたB―PLoを昨年四月から運用開始しています。

 加えて、それを使える人材の育成や体制の整備が重要であることから、自治体職員などを対象とした操作訓練のほか、円滑な輸送や荷さばきが行われるよう、自治体と民間物流事業者との間の協定締結を促進してまいります。

 また、被災者支援には、ボランティアや専門性のある民間組織の力が不可欠であることから、平時より、行政と民間組織とが顔の見える関係を構築しておくことが重要です。

 政府としては、被災者支援を行う民間団体の登録制度の運用や、災害中間支援組織の設置、機能強化などを通じて、発災時に迅速、円滑に官民連携による体制整備が行われるよう努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(石井啓一君) 川裕一郎君。

    〔川裕一郎君登壇〕

川裕一郎君 参政党の川裕一郎です。

 会派を代表し、防災庁設置法及び関係法案に関して質問をいたします。(拍手)

 私は、石川県民であり、能登半島地震を体験した一人として、本法案が日本の防災力を高める大きな一歩になり得ることを前向きに受け止めさせていただいております。その上で、実効性ある組織とするために、幾つか確認と提案をいたします。

 まず、地方自治体との関係と支援の在り方です。

 災害対応の最前線は、市町村、都道府県の現場であります。ところが、現状、情報提供も財政支援も個別補助メニューが乱立し、自治体職員が国への申請業務に追われる状況が続いてきました。私自身、昨年まで、石川県議会議員として、複数省庁にまたがる補助金制度を追いかけ、地域の声を国に届けることの難しさを痛感をしています。

 防災庁は、地方公共団体への支援について、予算、人材、情報、訓練をどのような新たな仕組みで一体的に提供しようとしているのか。特に、人口減少、職員不足に直面する中山間地や離島の自治体に対し、専門人材の派遣、常設的なハンズオン支援、デジタル技術を活用した遠隔支援などをどこまで具体化するのか、総理の方針をお聞かせください。

 次に、能登半島地震の教訓について伺います。

 総理は、能登の被災地を視察され、被害と復旧の現場を自らの目で確認し、被災前の活気ある町並みを取り戻すことは国家の責務だと決意を示されました。被災地の方々から、生活再建の不安や地域コミュニティー維持への思い、将来世代にこの地域を残せるのかという切実な声も聞かれたはずです。

 まず、総理御自身が現地で感じられた率直な感想と、復旧復興に挑む決意をこの場で改めてお示しいただきたいと思います。

 その上で、能登半島地震から得られた教訓を防災庁の設計にどう反映させるのか、伺います。

 あの震災では、孤立集落の発生、道路、港湾、通信などの基盤インフラの被害、被災者支援と生活再建の長期化、医療、介護、福祉の一体的支援の不足など、多くの課題が浮き彫りになりました。さらに、志賀原発を抱える地域では、避難ルートとなる道路の寸断により避難計画自体が破綻をしました。

 こうした教訓を踏まえ、防災庁にどのような組織、権限、予算、人材育成の仕組みを持たせるのか、特に、広域かつ長期、さらには原子力災害との複合災害に対して、具体的にどう機能させるのか、総理の答弁を求めます。

 次に、災害対策の基本理念として掲げられた科学的なリスク評価に基づく事前防災、いわゆるシミュレーションの推進について伺います。

 地域単位のシミュレーションを通じて、発災後に地域住民の命を守る、つなぐために必要な機能や物資の過不足を定量的に分析するとありますが、防災庁はどのようなデータとシミュレーションに基づく災害リスク評価をどう位置づけて進んでいくのか、また、その結果を実効性のある事前防災対策にどうつなげていくのか、防災庁設置準備担当の牧野大臣にお聞きいたします。

 最後に、防災人材の育成基盤に位置づけられる防災大学についてお伺いします。

 防災大学の具体的な目的、教育内容、対象とする人材像、自治体職員や民間人材のリスキリングとの関係をどのように描いているのか、学位授与機能を持つ高等教育機関とするのか、それとも既存大学との連携型とするのか、基本的な考え方を牧野大臣にお伺いします。

 その上で、私は、防災大学の立地として、能登地域を有力な候補として検討することを強く提案いたします。能登には空港があり首都圏からのアクセスも比較的良好で、国内外から学生や研究者、実務家が集まりやすい環境が整っています。他方で、能登では若い世代ほど地元を離れ人口流出が止まらず、市町の行政職員も相次いで退職をし、地域を支える人材基盤が急速に痩せ細っています。

 この流れを反転させるには、学びと仕事と地域貢献が一体となった拠点を被災地そのものにつくることが必要と考えます。能登に防災大学を設置し、防災町づくり、地域医療、福祉との連携を通じて全国から人材が集い、根を下ろす環境をつくることは、地域と日本全体の防災力を高める具体的な投資になるのではないでしょうか。

 総理は、防災大学の立地について、被災地能登を含めて検討する考えがあるのでしょうか。是非、高市総理の前向きな答弁を期待し、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 川裕一郎議員の御質問にお答えいたします。

 自治体への支援についてお尋ねがございました。

 中山間地や離島の自治体を含め、人口減少や職員不足に直面する自治体の実情も踏まえつつ、平時から地域の防災力を強化していくことは重要であると考えております。

 そのために、四十七都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を配置し、地域におけるニーズの丁寧な酌み取りや助言を実施してまいります。

 また、新たな交付金の創設による地域への支援強化を始め、産官学民の防災人材の育成や、官民連携体制の強化に取り組むなど、関係省庁と連携しつつ、デジタル技術も活用して、自治体に伴走しながら、各地域で災害対応に必要な体制の構築を進めてまいります。

 能登の被災地で感じたことと、復旧復興に臨む決意についてお尋ねがありました。

 昨年十二月に、地震と豪雨の二度にわたる甚大な災害に見舞われた能登半島の状況を私自身の目で確認するため、被災地を訪れさせていただきました。

 復旧復興が着実に進んでいることを確認する一方で、被災現場を目の当たりにし、今なお不自由な生活をされている方々に被災前の活気ある町並みを取り戻すことが国家の責務であるとの思いを強くしました。

 本当につらい思いをされ、今なお大変な状況でいらっしゃる中、例えば、珠洲市の応急仮設住宅や、穴水町のスマイルマルシェの皆様からは、体に気をつけてね、頑張ってね、そんな励ましの言葉までいただきました。

 引き続き、実情を丁寧に伺いながら、一日も早い復旧復興に向け、県、市町とも緊密に連携を図りながら、現地のニーズに沿った創造的復興を全力で支援してまいります。

 防災庁における組織、権限、予算や人材育成、複合災害への対応についてお尋ねがありました。

 防災庁は、一段高い立場の司令塔であり、設置後は、防災大臣が有する勧告権も活用することにより、関係省庁の縦割りによる施策の抜けや漏れをなくし、政府一体での防災施策への取組を更に強化することができるものと考えております。

 また、令和六年度の内閣府防災担当と比較して、今年度の関係予算は三倍近く、防災庁設置時の定員は三倍超と充実させております。

 本法案成立後も、必要な予算、人員の確保に努めるとともに、仮称防災大学校の設置についての検討も進め、体系的な官民の防災人材育成に取り組んでまいります。

 原子力災害との複合災害についても、避難計画作成における緊密な連携や、実践的な訓練の実施などを通じ、関係府省庁が連携し、政府一丸となって災害対応に臨む体制を構築してまいります。

 防災大学校の立地についてお尋ねがございました。

 地域における災害対応力の確保のためにも、国全体として、防災の専門人材の確保や育成を体系立って行うことが重要です。

 様々なニーズに対応できる産官学民の防災人材の育成を推進するため、効果的で充実した教育や訓練を行えるよう、今後、仮称防災大学校の立地を含めた施設の在り方について具体的な検討を進めてまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣牧野たかお君登壇〕

国務大臣(牧野たかお君) 川裕一郎議員の御質問にお答えいたします。

 地域の防災力の抜本的強化のためには、その前提として、各地で科学的シミュレーションに基づいた災害リスクの評価を行い、それを踏まえた対策を講じていくことが重要であります。

 災害リスク評価の具体的な手法については、現在、自治体向けのガイドラインを検討中ですけれども、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震などを想定することが重要であると考えております。

 また、想定される被害に対して、避難、救助、医療など地域レベルで具体的かつ分野横断的なシミュレーションを行うことにより、弱い部分を定量的に把握し、必要な対策を検討することが重要であります。

 この評価の結果が防災対策に関する各種の計画に反映されることで、より実効性の高い取組につなげてまいります。

 続いて、防災大学における人材育成についてお尋ねがありました。

 地域における災害対応力の確保のためには、地方自治体の職員や民間人材の育成と連携が大変重要であると考えております。

 現状でも、内閣府の防災担当では、地方自治体の職員などを派遣していただき実務を経験するOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニング研修を実施しております。

 また、防災業務全般の知識や技能などを体系的に学ぶ研修や、地方自治体に出向き、地域の実情やニーズに応じた内容の研修を実施しております。

 防災庁においては、こうした取組を更に充実させるために、仮称ではありますが、防災大学校の設置の検討を進めますが、まずは、国や地方自治体の職員、さらには、民間人材を対象とした実務的な研修、訓練を行い、防災人材の育成強化を図っていきたいと考えております。(拍手)

副議長(石井啓一君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(石井啓一君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  高市 早苗君

       外務大臣    茂木 敏充君

       国土交通大臣  金子 恭之君

       国務大臣    牧野たかお君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 尾崎 正直君

       内閣府副大臣  瀬戸 隆一君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.