第3号 令和7年2月12日(水曜日)
令和七年二月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 市村浩一郎君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 大空 幸星君
尾崎 正直君 金子 恭之君
岸 信千世君 草間 剛君
栗原 渉君 小池 正昭君
小森 卓郎君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 島田 智明君
田中 良生君 西野 太亮君
長谷川淳二君 平井 卓也君
平沼正二郎君 広瀬 建君
福田かおる君 古川 直季君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 若山 慎司君
安藤じゅん子君 市來 伴子君
梅谷 守君 おおたけりえ君
下野 幸助君 橋本 慧悟君
藤岡たかお君 馬淵 澄夫君
水沼 秀幸君 山 登志浩君
伊東 信久君 うるま譲司君
石井 智恵君 菊池大二郎君
河西 宏一君 山崎 正恭君
上村 英明君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(サイバー安全保障担当) 平 将明君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策担当) 坂井 学君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(共生・共助担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当) 城内 実君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
内閣府副大臣 古賀友一郎君
総務副大臣 冨樫 博之君
外務副大臣 藤井比早之君
国土交通副大臣 古川 康君
防衛副大臣 本田 太郎君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
内閣府大臣政務官 加藤 明良君
環境大臣政務官 勝目 康君
会計検査院事務総局第一局長 佐々木規人君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 風早 正毅君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 木村 公彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 齋藤 敦君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理) 茂木 正君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 西海 重和君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房「昭和100年」関連施策推進室長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 北尾 昌也君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣法制局第一部長) 佐藤 則夫君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局参事官) 阿部 雄介君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 松田 浩樹君
政府参考人
(内閣府民間資金等活用事業推進室長) 笠尾 卓朗君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 岡田 恵子君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 中 裕伸君
政府参考人
(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長) 高角 健志君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 安楽岡 武君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局次長) 守山 宏道君
政府参考人
(内閣府北方対策本部審議官) 原 典久君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 高杉 典弘君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 谷 滋行君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 佐脇紀代志君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局次長) 嶋田 俊之君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 尾崎 有君
政府参考人
(消費者庁食品衛生・技術審議官) 中山 智紀君
政府参考人
(消費者庁審議官) 井上 計君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 清田 浩史君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(出入国在留管理庁審議官) 君塚 宏君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 斉田 幸雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 田原 芳幸君
政府参考人
(財務省主計局次長) 中山 光輝君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
内閣委員会専門員 田中 仁君
―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 小池 正昭君
栗原 渉君 大空 幸星君
西野 太亮君 塩崎 彰久君
平井 卓也君 金子 恭之君
平沼正二郎君 小森 卓郎君
山際大志郎君 古川 直季君
水沼 秀幸君 安藤じゅん子君
三木 圭恵君 うるま譲司君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 栗原 渉君
金子 恭之君 平井 卓也君
小池 正昭君 草間 剛君
小森 卓郎君 平沼正二郎君
塩崎 彰久君 坂本竜太郎君
古川 直季君 若山 慎司君
安藤じゅん子君 水沼 秀幸君
うるま譲司君 三木 圭恵君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 島田 智明君
坂本竜太郎君 福田かおる君
若山 慎司君 山際大志郎君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 尾崎 正直君
福田かおる君 広瀬 建君
同日
辞任 補欠選任
広瀬 建君 長谷川淳二君
同日
辞任 補欠選任
長谷川淳二君 西野 太亮君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官風早正毅君外四十五名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長佐々木規人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山登志浩君。
○山委員 皆様、おはようございます。立憲民主党・無所属の山登志浩でございます。
早速質問させていただきます。
まず一点目は、共生社会の実現に関しまして三原国務大臣にお尋ねしたいと思いますが、日常生活や社会生活において提供されている設備やサービスについて、障害がなければ簡単に利用できても、障害がある人にとっては非常に利用が難しく、結果的に障害のある人の活動が制約されてしまうことがございます。
そこで、二〇二一年、障害者差別解消法が改正をされ、昨年の四月一日から民間事業者による合理的配慮の提供が義務化されました。それまでは努力義務でしたが、昨年の四月一日からは義務化ということで。
合理的配慮、難しいことではありません、電車とかバスに乗る際、車椅子の方を駅員さんが介助するというようなことでありますけれども、障害者から社会的なバリアを取り除いてほしいという旨の意思表示があったときに、過重な負担にならない範囲で対応することとしております。また、その合理的配慮の内容は、障害の特性やそれぞれの場面や状況によって異なってまいります。
この合理的配慮、なかなか進んでいないのではないかという声がたくさん寄せられています。今回は、合理的配慮の一つとして、金融機関における読み書き支援サービス、代読、代筆支援サービスを取り上げたいと思います。
この質問を取り上げるということをSNSやLINEで告知をしましたところ、幾つか、こういうことで困っているんだという切実な声が寄せられました。
八十代後半の母親が、圧迫骨折で、施設に入っていて、入院をしている、銀行の定期預金を解約をしたいんだけれども、当然御本人さんは銀行に行くことができません。どうしたらいいのかということで御家族の方が問い合わせたら、御本人さんに来てもらわないと解約はできませんと言われたそうであります。
それで、様々調べたそうですけれども、その支店で門前払いされたので、別の支店に出向いて、何とか解約できないですかという相談をしたら、意思確認ができれば解約できますという返事を得たそうで、その支店に改めて出向いてその話をしたら、じゃ、電話で御本人さんから意思確認しましょうよという話になりました。ただ、携帯やスマホは駄目ですよということで、入院している病院に、時間をあらかじめ決めて電話を入れて、御本人の意思を確認したそうです。
さらに、定期預金を解約するときにサイン、署名が必要だということですが、これはちょうどコロナ下だったそうですけれども、面会時間も非常に制約されている厳しい状況の中で、圧迫骨折の手術の後で手が痛い、痛いという中で、それでも代筆は駄目なので、本人さんに無理を言ってサインをしてもらったそうです。大変切実な問題であります。
もう一件、視覚障害者のお子さんをお持ちの方から、やはり代読、代筆サービスは必要ではないのかという御意見もいただきました。本来であれば、社会参加、日常生活を円滑に進めていく上で銀行の通帳やカードは必要なんですけれども、障害があることによって諦めてしまっている場合があるのではないか、どうしても必要なら後見人をつけろと言われても、それ以前に親とか家族がいるわけですので、そこまでしないといけないんだろうか、そういう悲痛なお声をいただきました。
視覚障害者やロービジョンと言われる方はたくさんおられます。視覚障害者の手帳を持っておられる方は、厚労省に確認しましたら、全国で二十七万三千人いらっしゃるそうでありますが、今申し上げたように、様々な事情で、手が不自由な方、あるいは発達障害の方、高齢で読み書きに不自由を来している方、こういう方も含めると、相当数やはり読み書き、代読、代筆が必要な方がいらっしゃるのではないでしょうか。
銀行を監督しています金融庁は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針を作成をし、業界団体に周知徹底をしているかと思いますが、なかなかこれが実践されておりません。
内閣府の合理的配慮に関してのリーフレットの中にも、代読、代筆を進めるという具体的な記述があるんですけれども、なかなか実践されておりません。
金融庁監督局は、全国の障害者団体と金融機関の業界団体と定期的に意見交換を行っておりまして、昨年の三月、オンライン会合が開かれました。その議事録の概要を読みましたら、障害者の当事者団体などから、多くの金融機関が内部の規定を持っているし、ハンドブックも作成しているけれども、現場でなかなかそれが周知されていないのではないかという意見がたくさん出されておりました。
この代読、代筆のサービスについては、今、具体的に研修会をしっかり実践しているのは一部の大手の金融機関に限られております。去る二月七日、三井住友銀行、本店が大手町にあるかと思うんですが、そこで研修会が開かれ、金融庁の担当者も視察をしたと伺っております。
こうした先進事例に学んで、全国各地の金融機関で代読、代筆サービスが確実に実施されるよう、監督指針を改正をするなり、あるいは金融庁の対応指針に実効性を持たせるなり、何らかの対応が必要だと考えますが、金融庁の認識をお尋ねしたいと思います。
○尾崎政府参考人 お答えさせていただきます。
障害者差別解消法の改正による合理的な配慮の提供の義務づけを受けまして、金融庁におきましても、金融機関に求められる対応等を取りまとめた金融庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針に、代筆、代読等への円滑な対応を明記するなどの改正を行うとともに、各金融機関向けの監督指針においても法の趣旨を踏まえた改正を行い、こうした内容について、各金融業界団体との意見交換等を通じまして繰り返し金融機関に周知してきたところでございます。
加えて、平成二十二年以降、預金取扱金融機関等に対する障害者等に配慮した取組に関するアンケート調査を毎年実施しているほか、先生も今おっしゃいましたように、障害者団体と金融機関、関係団体との意見交換の場を設けて、金融機関による取組の進捗を把握するとともに、障害者の利便性向上に向けた建設的対話による相互理解の促進にも努めております。
こうした政府、金融庁の対応によりまして、金融機関における合理的配慮の実施に向けた取組は着実に進展しているというふうに考えておりますけれども、一方で、委員御指摘のとおり、金融機関の現場での対応で十分でない点があるとの御意見があることも承知しております。
金融庁におきましては、引き続き、アンケート調査の継続等によりまして、金融機関による取組の進捗をしっかりと確認していくとともに、様々な機会を通じまして、金融機関の一層の取組を促してまいりたいというふうに考えております。
○山委員 基本的に、指針だとかハンドブックとかがあって形は整っているけれども、まだ一部の金融機関、一部の支店などの取組に限定をされていると思うんです。三井住友銀行などのメガバンクよりも、やはり、地方の住民にとって身近なのは、ゆうちょ銀行でありますとか地方銀行、あるいは信用金庫です。そういったところに住民の方が出かけていって、様々な用を足しているわけであります。
そこで、三原大臣にお尋ねしたいと思いますが、所信表明で、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に政府一丸となって取り組むと述べられました。
三原大臣がリーダーシップを発揮していただいて代読、代筆サービスの取組を広めていくことは、共生社会の実現の一助になると私は確信しておりますが、この点について大臣の所感をお尋ねいたします。
○三原国務大臣 障害のある方が生活の中で感じる社会的障壁を取り除くというのは社会の責務であるという考えの下、令和六年四月から、障害者差別解消法に基づき、合理的配慮の提供を民間事業者に義務づけており、金融機関も義務づけの対象となっています。
全国の事業者においても合理的配慮の提供等を徹底していただけるよう、事業所管ごとに担当大臣が対応指針を策定しており、現場で本法の趣旨が徹底されることが重要であると考えております。
先ほど金融庁から答弁がありましたとおり、金融業における合理的配慮の提供等の徹底に向け、金融庁においても御努力をいただいているものと承知しておりますが、生活の基盤である金融機関での手続で、障害のある方が必要とする代筆や代読が行われずにお困りになった方がいらっしゃるということは大変残念なことであり、委員の御指摘はしっかりと受け止める必要があると考えております。
金融庁における取組の実施状況につきまして、障害者差別解消法を所管する内閣府といたしましても、これはしっかりと注視して、フォローしていきたいというふうに思っております。
○山委員 大臣、ありがとうございます。
今御答弁いただいたとおり、一応形は整っているんですけれども、まだまだサービスが浸透していないわけですので、金融機関の従業員、職員にきちっと検証をするよう促したり、あるいは、こういうサービスを提供していますよというのを、ポスターを貼っていただいたりとかプレートを置いていただいたりとか、そういったきめ細かな対応を心からお願いしたいと思います。
三原大臣、どうもありがとうございました。どうぞ退室なさってください。ありがとうございます。
続きまして、二点目に、林官房長官にお尋ねしたいと思います。
所信表明の中で、「昭和百年」関連施策ということが述べられました。
この昭和百年、私は、今四十五歳、一九七九年、昭和五十四年十二月生まれであります。昨日、大臣のホームページを拝見いたしましたら、大臣は昭和三十六年、一九六一年一月のお生まれで、六十四歳というふうに伺っておりますが、今四十五歳の私、いろいろな過去の歴史的な出来事だとか事件とかを思い出しましたら、ぱっと思いついたのが、昭和六十年、一九八五年八月の日航機の墜落事故、御巣鷹の尾根の事故であります。おぼろげながら、連日悲惨なニュースが伝えられていたのを今でも記憶をしております。
ただ、昭和全体を歴史的に振り返りますと、やはり一番大きな出来事というのは、アジア太平洋戦争、第二次世界大戦だったのではないでしょうか。
政府もこの点はしっかりと御認識いただいているかと思いますが、今年の一月十七日に昭和百年に関連する省庁の連絡会議が開かれて、「昭和百年」関連施策の推進についての基本的な考え方を取りまとめておられます。
その中で、やはり、二度と戦争の惨禍を繰り返してはいけないという誓いの下、外交、通商貿易、文化交流など、多くの分野で平和を希求する道を歩み、揺れ動く世界情勢の中にあって、国際社会の安定と繁栄に貢献してきた、今後とも、平和を希求する歩みを続けるとともに、歴史の教訓を次の世代に継承していくことが必要であるというふうに明記をされております。もっともなことだと思います。
具体的には、戦争体験などの語り部の次世代への継承ですとか、戦争の悲惨さや労苦、これを振り返って学ぶことを施策の方向性として明記をされています。
私は、地元が富山県富山市の選出であります。一九四五年、昭和二十年の八月一日から二日にかけて富山大空襲がありまして、市街地の九九・五%が焼き尽くされて焦土化をし、被災者は十一万人、お亡くなりになった方が二千七百人ということで、当時の地方都市の人口比ではこの富山市の大空襲が一番大きな被害であったというふうに言われておりまして、毎年八月一日、富山市が主催をして、富山市民感謝と誓いの集いを開いておりまして、その式典の中では、富山大空襲の体験談を朗読をしたり、あるいは中学生が作文を発表して不戦を誓ったり、遺族や市民による献花が行われております。
そして、その八月一日、毎年、夜、富山市の中心部を流れる神通川で納涼花火大会というものが行われておりまして、現在も続いております。昭和二十二年からやっておりまして、これは、犠牲者の鎮魂と復興、平和への願いを込めて始まったものだとされております。
そして、昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。大変すばらしいことだと思いますけれども、やはり、核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使われてはならないことを、証言したことを高く評価したものと受け止めております。
一方で、世界情勢というのは混沌とし、緊迫をしておりますが、やはりこういう時代だからこそ我が国が果たすべき役割は大きく、改めて戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶ機会を設けることは重要だと思います。
昭和百年の意義づけでありますとか昭和の時代の位置づけというのは様々な見解がありますし、歴史観も様々だとは思うんですけれども、林官房長官にとって、この昭和百年で我が国にとって最も大きな出来事はどんなものだったとお考えでしょうか。先ほど私が申し上げた、戦争体験の語り部の次世代への継承ですとか、戦争の悲惨さ、これをしっかりと学んでいく、こういった点について官房長官の所見をお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 山先生、昭和五十四年お生まれということで、羨ましいぐらいお若いなと思って聞いておりました。五十四年は、私、大学に入った年でございましたので。一番記憶に残っておられるのは御巣鷹ということでございましたが。
今お話しいただいたように、昭和、これは、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代だと。その中でも、多くの人々が犠牲になったさきの大戦、これは極めて大きな出来事であるというふうに考えております。
亡くなった父が時々話しておったんですが、御案内のように、広島の後、小倉に原爆を落とすというプランがあった。もし小倉に落ちていたとしたら、私は下関ですので、おまえはいなかった、こういうふうに言われたのを、子供の頃、よく覚えております。小学校の同級生にも被爆二世というのがおられて、体調を非常に気遣われていたので、何だろうなと思って聞いたら、そういうことだったということもございました。
こういう個人的な体験もございますので、今後とも、平和を希求する歩み、これを続けていかなければならないと思っておりますし、歴史の教訓を次世代に継承していくということが大変大事であり必要であると思っております。
来年が、昭和元年である一九二六年から起算して百年ということでございまして、この昭和百年をきっかけとして、昭和の時代を顧みて将来に思いを致す、このことは大変意義深いことであると思っております。
この昭和百年が、いつの時代にあっても忘れてはならない平和の誓い、これを継承して、将来にわたって国際社会の安定と繁栄への貢献につなげていく機会にもなりますように、関係府省と連携して具体的な関連施策の検討を進めてまいりたいと考えております。
○山委員 どうも御答弁ありがとうございます。
やはり、戦争と平和の問題こそ、この「昭和百年」関連施策で最も重要なテーマというふうに位置づけていただけるというふうに理解をしました。
続けて質問をさせていただきますが、先日、広島市の市長と長崎市の市長が虎ノ門にありますアメリカ大使館を訪れまして、是非被爆地を、米国の、アメリカの大統領に訪れてほしいという要請をされました。一月二十八日であります。
先日の代表質問でもありましたが、核兵器禁止条約の締約国会議へオブザーバー参加してほしいというような思いもありますが、そういったこともしかりですけれども、やはり、アメリカの現職大統領が被爆地を訪れるということは、世界に対して物すごくインパクトがあり、核廃絶、恒久平和につながることは間違いないというふうに私は確信しております。
是非、政府として、この被爆地の思いを後押ししていただけないでしょうか。昭和百年を待たず、今年は戦後八十年、被爆八十年でありますので、是非、こうした取組、総理大臣に進言していただけませんでしょうか。官房長官、いかがでしょう。
○林国務大臣 我が国としては、唯一の戦争被爆国でございますので、核兵器による広島、長崎の惨禍は決して繰り返してはならない、こうした信念の下で、核兵器のない世界の実現に向けて、米国とも協力しながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねていくということが重要であると考えております。
外務大臣として広島サミットにも、当時の岸田総理に同席いたしまして、資料館、首脳を始め皆様に見ていただきましたので、こういうことの重要さは承知をしているつもりでございます。
今お話があったことも含めて、しっかり総理と共有したいと思っております。
○山委員 大臣は様々な知見をお持ちで、政治家として、また大臣としての経験も豊富ですので、是非、平和行政、地方の平和行政を後押ししていってください。よろしくお願いします。
続きまして、先日、石破首相が日本国際問題研究所というところのシンポジウムに出席をし、これは報道ベースですけれども、今年は敗戦八十年、あえて敗戦後と言うが、終戦という言い方では事の本質を間違える、今を逃して戦争の検証はできないというふうに発言をされております。また、戦争体験者が非常に高齢化していることを踏まえて、残された時間はそんなに長くないという認識を持っていると発言されました。もっともなことだと思います。
また、一月三十一日、衆議院の予算委員会で、我が党の長妻昭議員の質問に対して、石破首相は、今年が八十年という節目であることに関して、なぜあの戦争を始めたのか、なぜ避けることができなかったのか、検証するのは八十年の今年が極めて大事だという答弁をされています。これはもっともなことだと思います。
戦後八十年であります。不戦の誓い、核廃絶、世界の恒久平和、こうしたことをやはり日本は率先して進めていくべきでありますし、そのためにも戦後八十年の首相談話を出すべきではないでしょうか。最終的に総理大臣が判断をし、閣議決定することになりますけれども、この節目の年に、平和国家であり続けることを明確に意思表示すべきであります。
総理の最側近である官房長官、この談話を出すべきだとお考えでしょうか。いかがでしょうか。
○林国務大臣 まず、石破内閣は、これまでの内閣総理大臣談話を含めまして、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおりまして、今後も引き継いでまいりますということを申し上げておきたいと思います。
その上で、現時点で新たな談話を発出するかは決まっておらないところでございまして、今お尋ねがありましたが、今後の対応につきましては、これまでの経緯を踏まえながら、様々な観点から考えてまいりたいと思っております。
国際社会が転換期を迎えておりまして、自由で開かれた国際秩序、こういうものが揺らぐ中で、二〇二五年の様々な機会を捉えて、世界の平和と繁栄に向けた未来志向の戦略的発信に努めてまいりたいと考えております。
○山委員 今日は、「昭和百年」関連施策ということで質問しておりますが、昭和百年、いろいろ、それぞれよって立つところによって歴史に対しての見方も違うでしょうし、思いは様々なんでしょうけれども、昭和百年のうちの最初の二十年、不幸な時期でありました。ここのことをしっかりと向き合わないと、ここから目を背けてしまうと、もし、昭和百年のいろいろなイベントとかシンポジウムとか、今後企画されるんでしょうけれども、台なしになってしまいますので、しっかりと今年、やはり来年のことも考えて、節目の年でありますので、積極的に平和への思いというものを自ら総理大臣が発出をするよう、是非、林官房長官から進言をなさってくださいますようお願いをいたします。
官房長官、どうもありがとうございました。
最後に、時間も限られておりますので、大阪・関西万博についてお尋ねをいたします。
残念ながら、入場券が余り売れていない。二月五日時点で、目標の一千四百万枚に対し七百七十四万枚ということで、個人になかなかチケットが売れていないという現状でございます。
私は、どうしても、始まる前から余り暗い話をしていてもいけませんけれども、やはり大切な国民の税金を使っているわけであります。運営費に対しては、一千百六十億円でありますけれども、国費は投じないということをこれまで国会でも答弁をされております、歴代の大臣。
しかしながら、二月五日、衆議院予算委員会で、我が党の岡本あき子議員が、赤字補填はしないでよろしいですかと確認したいということで、伊東大臣に答弁を求めました。伊東大臣は、基本的にはこの枠内ということでやっておりますけれども、この先の話でありますから、それにつきましてはまたそのとき対応していきたいと思う次第でありますと答弁されています。
この答弁、ちょっといかがなものかなと思います。といいますのは、二〇一七年、平成二十九年四月の閣議了解で、運営費は適正な入場料等の設定により賄うものとし、国庫による負担や助成は行わないということを確認しているわけですので、閣議了解を逸脱するかのような答弁だと思うんですけれども、この点について、改めて政府の見解をお尋ねしたいと思います。
○茂木政府参考人 済みません、ちょっと待ってください。
○大岡委員長 では、止めます。
〔速記中止〕
○大岡委員長 では、起こしてください。
○茂木政府参考人 万博の運営費について今御質問ございましたが、この万博の運営については、まず、博覧会協会において、運営費の収支予測を含む資金計画に基づきまして、入場券の売上げ状況や民間企業の協賛金、ライセンス収入等の動向を踏まえて、赤字にならない範囲の、適正な範囲内で収支を調整していく、これが基本的な考え方でございます。
政府としても、運営費を含む万博の主要な費用の執行状況については、経産省に設置された予算執行監視委員会も活用しながら、しっかりとモニタリングをしてまいります。
開幕を間近にしました現時点におきましては、私どもとしても、成功に向けて一丸となってチケット販売の促進等に全力で取り組むことで関係者で一致しているところでございます。現時点において、私どもとしても赤字になることは想定してはおりません。
伊東大臣の答弁は、こうした取組を進めることを前提とした上で、今後も適時適切に対応していく旨を申し上げたものというふうに承知をしております。
○山委員 対応するというふうにおっしゃっているんですし、楽観論に基づいてお話しされているんですよ。万博は成功してほしいし、させたいですけれども、もし赤字が出たらということを、これはきちっと、政治責任につながりますので、この点、やはり政府としてどうお考えなのか。改めて、時間がないですけれども、手短に再度答弁いただけますか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
運営費の執行状況、これは先ほど申し上げたとおり、しっかりモニタリングをしながら、万が一にも赤字が見込まれるような事態が生じるような場合には、博覧会協会も交えて関係者ともよく相談する必要があるというふうには認識しております。
その上で、先ほども申し上げたとおり、伊東大臣の答弁は、そうした対応も含めて検討していくというふうに申し上げたというふうに理解をしております。
○山委員 場合によっては国が補填するかのようにも受け止められるんです、伊東大臣の答弁は。この点については、しっかりと我が党は追及してまいります。
以上です。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、井野俊郎君。
○井野委員 自由民主党の井野俊郎でございます。
本日は、内閣委ということもありまして、一応、沖縄北方担当大臣というのが置かれているのが内閣府でございます。今日は、北方領土についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、北方領土、この間も、つい先日も、国民決起大会というんでしょうか、そういう会が催されております。
今日は、「われらの北方領土」という外務省が出している資料に基づいて少し歴史的な経緯をお話ししますと、一八五五年の日露通好条約に基づいて、択捉、国後、歯舞、色丹の四島、いわゆる北方領土と言われていますけれども、これが日本に帰属するということが確認をされ、その後、一八七五年にロシアとの間で、樺太千島交換条約によって、択捉の先の千島列島が我が国、日本領土になりました。その後、一九〇五年のポーツマス条約に基づいて、南樺太、今はサハリンと呼ばれていますけれども、この南樺太が我が国に併合され、最後、一九五一年のサンフランシスコ平和条約に基づいて、千島列島が放棄されたというような歴史的な経緯をたどっています。
問題は、この下の、いわゆる第二次世界大戦のときの動きでございます。
皆さんに歴史のことを言うのもはばかられるところでありますけれども、一九四五年の八月九日に、日ソ中立条約を一方的に破棄して、ソ連がいわゆる千島列島等に攻め込んできたという歴史的な経緯がございます。
その上で、これがまた、これは後々のことで問題になってくるわけですけれども、八月二十七までが択捉より先の千島列島、そして八月二十八日に択捉島に侵入したということになっています。その後、九月の一日から四日、国後と色丹島という形で、まず幅がある記載になっています。
そもそも、外務省として、我が国の領土たる国後、色丹、歯舞がいつ占領されたのかということは把握をしていないんでしょうか。
○田口政府参考人 御答弁を申し上げます。
政府としては、当時の日本軍の作戦参謀の証言や旧ソ連軍の資料を踏まえ、ソ連軍は、八月二十八日に択捉島、九月一日から四日までの間に国後島、色丹島及び歯舞諸島をそれぞれ武装解除し、遅くとも九月五日までに北方領土を占領したと認識しております。
御指摘の資料「われらの北方領土」では、当時の非常に錯綜していた状況の全体像を広報資料で簡潔に表現するという観点から、このような説明を採用してございます。
いずれにいたしましても、御指摘を踏まえまして、正確で分かりやすい広報に努めていきたい、このように考えております。
○井野委員 私は広報の在り方を聞いているわけではありません。いつ占領されたのか、これはとても大事なことだと思いますよ。それがいつ占領されたのか分からないというのは、私は、国として、俺のものだと言っている立場上、問題だと思うんだけれども、広報じゃないよ、把握していないということですか。
○田口政府参考人 御答弁を申し上げます。
繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、当時の非常に錯綜していた状況を踏まえて、九月一日から四日までの間に国後島、色丹島及び歯舞諸島をそれぞれ武装解除し、遅くとも九月五日までに北方領土をソ連軍が占領した、このように認識しているところでございます。
○井野委員 全くもってこういう状況だから北方領土問題というのは私は進まないんだと思います。これは後の質問に関連するからね。そういったところをまず私は一つ一つ日本政府として確定していくべきだと思うよ。
その上で、我が国は北方領土を、いわゆる日本の固有の領土だ、択捉、国後、歯舞、色丹、全て四島が固有の領土である、ついてはロシアに対して領土返還を求めるという立場でありますけれども、固有の領土というのはそもそもどういう趣旨で使っている用語なんですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
固有の領土という表現につきましては、政府としては、一般的に、一度もほかの国の領土になったことがない領土、こういう意味で用いてございます。
○井野委員 他方、ロシアは今、当然これらの四島を占領、占有をしています。この状況というのは、ロシアから見たら、今、占領、占有している領土だということになると思うんだけれども、それでも我が国は、いわゆる法的な実効支配をしていない状況だけれども、今も占領、占有しているという理解をしているということですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
詳細な法的根拠、歴史的経緯につきましては、答弁を申し上げますと長くなりますけれども、我が国といたしましては、国際法上、歴史的にも、北方領土は一度も他国の領土になったことがないというふうに認識しておりまして、御指摘のとおりロシアによる占拠があるという状況がございますけれども、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も、北方領土が我が国固有の領土であるという主張に異論を挟む余地はない、このように考えております。
○井野委員 私も決してロシアの肩を持ちたいとは思っていないし、当然に、北方四島が返還というか、返ってくることがベストだ、それは私も思います。だけれども、日本政府のしっかりとした論理的な主張なり根拠がないと、北方領土交渉はいつまでたっても私は進まないんだろうと思っています。そういう言葉のレトリックで、交渉が、私は、申し訳ないけれども、国会では通用するかもしれませんけれども、ロシアとの交渉では正直通用しないと思っています。
だって、現実問題としてそこにロシア人が住んでいて、もちろん我々は認めていないけれども、ある意味ロシアの権力下にあって法律の執行、施行がなされている場所が今の現実問題としての北方領土というものであって、それを、いわゆる他国の領土になったことがないと言っていることが、私は国際的に通用するのかなと、それはちょっと疑問に思うんだけれども、そういう国際的な理解としても、相手国ないしは第三者国が占領、占有しているところを、我々がずっと戦後八十年近く一度も施政権を行使したことがない状況でもそういう状況だという、いわゆる占領されたことがないということを主張し続けることが法的にというか、国際法上認められているというか、そこら辺はどうなっているんですか。国際的な立場として、それは論理的な理由になり得るんですか。
○田口政府参考人 御答弁申し上げます。
まず、国際法上ということでございますけれども、我が国は、歴史的にも、ロシアよりも早く北方四島の存在を知り、十七世紀前半には、北方領土を明記した地図を編さんし、統治を引き継ぐなど、我が国国民が父祖伝来の土地として受け継いできたものというふうに考えております。
議員からも御指摘のありましたとおり、一八五五年の日露通好条約、また一八七五年の樺太千島交換条約におきましても、現在の北方四島は我が国の領土という形になっております。
国際的に通用するかというお尋ねでございましたけれども、領土問題につきましては、国際的に、一般論として申し上げれば、第三国が領土問題について立場を取るということは余りないというふうに認識をしてございます。他方で、北方領土につきましては、例えば米国などが日本の主権の存在というものを認めているというふうに認識しております。
○井野委員 そうであれば、ちょっと歴史的な部分で、もっと言えば、じゃ、今度はロシアの主張について考えていきたいと思うんですね。
日本のそういう主張は、それはそれで通用するかどうかは別として、ロシアの主張は常に、第二次世界大戦の結果だということは、外務省の皆さんは分かっていらっしゃるわけだよね。
第二次世界大戦の結果、なぜこういうことが起きているか。これは日ソ共同宣言に書かれているからですよね。我が国も署名している日ソ共同宣言。何と書かれているか。読みますよ、分かっていると思うけれども。
一九四五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、団体、国民、云々かんぬん、全ての請求権を相互に放棄すると書かれているんですね。
これは、第二次世界大戦の結果、すなわち、領土を含めて全ての請求権を我々はお互いに放棄しようということを、我が国も署名しています、日ソ共同宣言において。その結果、ロシアは、北方領土は俺らのものだ、そういう主張を展開しているわけですよね。
まず、この点は間違いないということでいいですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
議員御指摘のとおり、ロシアは、第二次世界大戦の結果、北方領土はロシアの領土の一部になった、このように主張しているわけでございます。
他方で、私どもといたしましては、繰り返しになりますけれども、北方領土は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も我が国の固有の領土であり、我が国が主権を有する島々であるというふうに考えております。
御指摘に関して申し上げれば、現在に至るまで日ロ間において平和条約は締結されておらず、その意味で、日ロ間では第二次世界大戦の結果は確定していない、このように考えておりまして、したがいまして、ロシアの主張には根拠がない、このように考えております。
○井野委員 根拠がないという主張は私も分かっています。そういうふうな主張をされるのは分かっているんですけれども、問題は、第二次世界大戦の結果というものがどういうものなのかということなんです。
我が国は、確かに、終戦記念日という形で、八月十五日を終戦記念日、玉音放送があったとき、若しくはポツダム宣言を受諾するというふうなことを表明したときが、いわゆる戦争が終わったということと認識していらっしゃる方が多いようなんですけれども、ところが、一応、正式な降伏文書というものは、九月二日、ミズーリ号の艦上で九時二分に署名されたということが、いわゆる法的なといいますか、正式な国際上の降伏、終戦の日だというふうなことだと思うんです。
まず、その点は間違いないですか。どうですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
この点は、これまでも政府が答弁したことがある点でございますけれども、お尋ねの終戦日につきましては、様々な議論がありますところ、政府として具体的に断定することは適当でない、このように考えております。
○井野委員 そんな解釈で大丈夫、外務省は。外務省は、文書がとても大事、レターだとかMOMとかいろいろ結んでいて、いろいろな国々とやり取りしていて、まさに文書で残すものこそが、契約にしても何でもそうでしょう、法的な意味合いがある日でしょう。
じゃ、悪いけれども、アメリカもそういう認識なの。戦争がいつ終わったか分からないという認識なの。そんなことないでしょう。連合諸国だって全て署名しているんですよ。ミズーリ号上での降伏文書に、いわゆる連合国、ソ連と中国、アメリカ、彼らがミズーリ号上で署名をしているんですよ。現実問題として、この降伏文書、日本、梅津美治郎、重光葵を含めて、彼らが署名した後に、彼らも正式に文書として署名しているんです。
それが、一方的にポツダム宣言を受諾すると言った瞬間にほかの国々も、みんなそれで戦争が終わったと思っていたということなんですか。どういう理解を外務省はしているんですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
まず、繰り返しになりますけれども、政府として、終戦日については様々な議論がありますところ、具体的に断定することは適当でないというふうに考えてございます。
一般には、ポツダム宣言の受諾に関する詔書の玉音放送が行われた八月十五日が終戦記念日として認識されているというふうに承知しておりますが、他方、我が国が降伏文書に署名した九月二日をもって終戦日とする考え方もある、このように承知しております。
また、あえて一般的な国際法上の点を申し上げれば、国際法上、あくまで一般論として申し上げれば、講和条約が発効する日をもって終戦とするというふうにする考え方もございます。
その点につきましては、一般的には、講和条約などの締結によりまして、平和条約、戦争状態が、締結するというふうな考え方もあろうかと思います。
○井野委員 講和条約というのは、あくまでも友好条約を結ぶことだと私は思っています。あくまでも、戦争が終わる、もうお互いに戦争することはやめよう、それはやはり降伏文書じゃないですか。ちょっとこれは、もう多分同じような議論の繰り返しになって、私は外務省として問題だと思うよ。だから結局、いつまでたってもこういう問題が片づかないんだよ。ちゃんと明確に、この日が終戦、我々が降伏文書に調印した日、だから国際法的にもこの日が終戦日、戦闘が終わった日だと。だけれども、もちろん八月十五日はポツダム宣言を受諾して武装解除した日だと。そういうことを明確にしておかないと、いつまでたっても曖昧な中で議論したって、それは相手国からすれば、何を言っているんだ、日本となるでしょうや。この点私は、正直言って外務省の怠慢だと思うけれどもね。
問題は、だから、先ほど言ったように、話を戻すけれども、九月二日なんですよ。九月二日に我々はミズーリ号上で降伏文書に調印した。それによって連合諸国は、この日が戦争が終わった日だと認識している。ということは、ソ連からすれば、「八月九日以来の戦争の結果」という日ソ共同宣言六条のこの「結果」というのが、恐らくだけれども、彼らの頭の中では九月の一日なんじゃないのかなと私は解釈しています。実際問題、私はロシアの外務省と交渉したこともないし、そこまで話を聞いたこともないけれども。
すなわち、皆さんが曖昧にしている国後島、九月一日から四日、これが九月一日だったとしたら、ある意味、降伏文書調印前ですよね。他方、色丹、歯舞が九月の二日以降であれば、それは戦争の結果ではなく、戦争が終わった後に勝手に不法に占拠した島々という解釈も取れなくはないよね。
そこら辺がまさに、曖昧にしているから、日本というのはいつまでたっても北方領土交渉というものが私は進まないのかなと思っているんだけれども、その点は、いわゆる戦争の結果、この日ソ共同宣言六条の「戦争の結果」というものは、どこまでを皆さんは含まれると考えているんですか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
ロシア側の考えという文脈でのお尋ねだというふうに理解しましたけれども、一九五六年の日ソ共同宣言、御指摘のものでございますが、その九項は、両国の外交関係回復後に平和条約交渉が継続されることに加え、平和条約締結後に歯舞諸島及び色丹島が日本に引き渡されることを規定してございます。
この一九五六年の宣言は、当時のソ連が批准し、また、ロシアもその有効性を認めているものでございまして、それ以上にロシア側の考え方について日本政府としてコメントする立場にはございません。
○井野委員 日本の立場は立場で、私もそれは否定するものではないけれども、皆さんは交渉のプロなんでしょう。相手方が言っていることをきちんと確認した上で、解釈した上で、じゃ、あなた方はこう考えて、その考える理由はこうだから、だったら我々はこういうふうにしようと思うとか、それが交渉でしょう。それも全く分からずして交渉しているから、いつまでたっても同じ結果しか私はできないんだなと。
私は、正直言って安倍総理の、あのときのロシア交渉はかなり進展していたと思いますよ。あのときに、私も安倍総理から直接聞いたわけじゃないけれども、いろいろな著作、本とかを見て解釈している中においては、やはり安倍総理は、北方領土問題を解決した上で対中政策に、これからどんどん日中関係が厳しくなっていく、そこに全力を注いでいくと。その中で、北方領土問題をいつまでも抱えていたら二正面作戦になってしまう。それはよくない。だからこそ、ロシア外交を安倍総理は、私は進めていたんだと思っていますよ。それが今逆戻りしているというふうに、私は残念でなりません。
この部分、安倍政権時代に、ロシアの北方領土占拠について、たしか法的根拠のない占拠という形で表現していたけれども、今は、こういう本によると、不法占拠という表現に変わっているんですね。
何でこの表現、何も状況は変わっていないのに表現ぶりが変わっているんでしょうか。
○田口政府参考人 答弁申し上げます。
政府としては、北方四島はロシアに法的根拠のない形で占拠されていると認識しておりまして、このような立場に変わりはございません。
その上で、どのような文書でどのような表現を使うかについては、相手国との関係全般を考慮した結果として行われているものと認識しております。つまり、その時々の政策判断により異なり得るものであると考えます。
繰り返しになりますけれども、政府としては、北方四島は我が国が主権を有する島々であるとの認識に異論を差し挟む余地はないものと考えております。
○井野委員 正直言って、こういう表現ぶり一つとってみても、私はロシアというのはすごく緻密だと思っています。
プーチンのメッセージ性というのはすごく理にかなっていると私は思っていますよ。ウクライナ戦争前のいろいろな会議でのプーチンの発言含めて、かなり、ウクライナがNATOに加盟することに対して警告していましたし、それに対して武力行使もあり得るんだぐらいのことはやはり文脈から見て取れるわけです。
表現というのは、何か皆さん、政策的判断だと言うけれども、そんなふうにころころ変えると、私はかえって、相手方外務省にとっては不信感を覚えますよ、日本はころころ態度を変えるよと。そんなことじゃ本当に交渉がうまくいくわけないじゃないですか。
この間言ったことと今日言っていることが違うやつなんか信用できるわけないでしょう。政治家だってそうでしょう。昨日言ったことと今日言っていることで、何かニュアンスが違うことを言っているなと。それで問いただしたら、いや、そういう趣旨で言っていないとか言われたら、真っ当に交渉なんか進まないんですよ。
その上で、ちょっと今日、外務副大臣に来てもらいました。今後、交渉の中で、私は、こういう一貫性のない交渉はやめるべきだと思っています。とにかく、四島を返してもらうなら返してもらうでいいけれども、現実的な交渉をした上で、きちんとした一貫性ある交渉を私は取るべきだと思いますけれども、今後どのようなロシアとの交渉を考えているか。今は具体的に進められる状況、時期ではないからこそ、こういう落ち着いた状況の中でどのように考えているのか、お聞かせください。
○藤井副大臣 井野俊郎議員にお答え申し上げます。
井野委員おっしゃるとおり、現在、ロシアによるウクライナ侵略によって日ロ関係は厳しい状況にございまして、平和条約交渉について何か具体的に申し上げられる状況にはございませんけれども、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題について、政府として、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいりたいと思います。
○井野委員 現状、政府としてはそういうことしか言えないのは十分分かっていますけれども、私は、少なくとも安倍政権時代の交渉スタンスに戻るべきだと思っていますよ。いつまでたってもこのままでは、この問題は解決はしないし、たとえ総理大臣が替わっても、交渉スタンス、若しくは発言内容を変えるということは、私はあってはならないと思いますよ。じゃないと、だって、日本だって、日米同盟は基軸だと言い続けているんでしょう、外務省は。そういうふうに言い続けることというのはとても私は大事だと思いますよ。ぶれないということですよ。
そのぶれないということを前提に考えると、やはりこれは世論の後押しだと私は思います。私も、当時、安倍政権時代にロシア交渉が進んでいく中においてすごく感じたのは、ああいう、交渉が何か進んでいるな、煮詰まってくるな、もしかして平和条約に行くんじゃねえかみたいな雰囲気になると、やれ、四島一括返還なのかとか二島先行論なのかとか、そういう議論が残念ながらこの国会でもすごく散見されました、当時、私は一期生か二期生でしたけれどもね。そういうのは、私、はっきり言って、余り意味がないし、むしろ政府の交渉の足を引っ張っていると思います。
といいますのも、一貫性がないんですよ、はっきり言って。やはり、まずは国内世論を一つにまとめていく必要が私はあると思いますよ。じゃないと、だって、ロシアだって、例えば、安倍総理と交渉して妥結したら、結局、国内世論が反対一色になって盛り上がっちゃって、交渉したけれども全く意味がありませんでした、調印できませんでした、批准できませんでしたなんといったら、ロシアにとっても、ばかを見たな、譲歩しただけ意味がなかったじゃねえかという話になりますよね。
やはり、私は、そういった意味では、国内世論を喚起するというのは、私に言わせると、むしろ一体感、北方領土四島で一括返還だというのか、現実的な交渉を進めて二島だけでもまずは返してもらうんだというような、どういうのか分からないけれども、とにかく世論をまずは一つにまとめていく、この作業が現実的、まずは必要だと思っていますけれども、その点はどう考えていますか。
○田口政府参考人 御答弁を申し上げます。
平和条約の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本政府の一貫した立場でございます。
その上で、御指摘の世論の喚起につきましては、まさに議員御指摘のとおり、北方領土の問題の解決につきましては、国民全体の問題として国民が一丸となって取り組むことが不可欠である、このように考えております。そのためにも、国民世論の啓発は極めて重要でございまして、内閣府の北方対策本部におきましても各種施策を行っておりますが、外務省としても、北方領土の隣接地域を含め全国各地に職員を派遣して、啓発活動に貢献してきたところでございます。
引き続き、関係省庁や元島民を含む関係者の方々とも連携しつつ、国民世論の啓発と結集に取り組んでいきたい、このように考えております。
○井野委員 では、最後に一言言わせてもらうと、そういう国民世論を形成する前提として、こんな曖昧な、いつ占領されたか分かりませんとか、法的根拠はどうなんだか分かりませんみたいな、終戦の日は解釈によっていろいろありますなんということを言っていれば、いつまでたっても世論形成はできないじゃないかということを指摘して、終わりにさせていただきます。
○大岡委員長 次に、菊池大二郎君。
○菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。大雪の山形からはせ参じてまいりました。
先週、日本海側を中心に大変な大雪に見舞われました。地元山形県でも、豪雪災害対策本部が設置されました。除雪作業中の事故などで死傷者も発生しております。お亡くなりになられた方、御遺族様にお悔やみを申し上げますとともに、重軽傷に遭われた方々にもお見舞いを申し上げます。また、各地で道路等の除排雪を始めとする交通インフラの維持に御尽力を賜っております関係各位に対しましても、心からの感謝と敬意を表したいと存じます。
先週の理事会で、委員長そしてまた理事の諸先輩方とも山形新幹線の話をちらっとしておりましたけれども、山形新幹線の整備に御尽力いただいた同郷の鹿野道彦先生の肖像画が後ろにありまして、非常に感慨深いものがありながら質問したいと思います。
私も、先週末、山形新幹線で帰路につく際、遅延の影響をかなり受けました。また、鉄道のレールを除雪する車両が脱線してしまうという事故が発生しまして、数万人への影響が生じました。少し不便は感じましたけれども、多少時間がかかったとしても、故郷と行き来ができないわけではありませんし、そういったところに思いをはせながら、北方領土について、今し方、井野先生から大変格式高い質問がございましたけれども、私からは、国民の意識を醸成させる、決して風化させないと、足下の視点に立って質問してまいりたいというふうに思います。
御案内のとおり、二月七日は北方領土の日でありました。日本の領土であることを確認した日露通好条約が一八五五年二月七日に締結されたことにちなんで、この日が北方領土の日と定められました。
この点、当該条約締結から遡ること約六十年前の一七九八年に択捉島に「大日本恵登呂府」の標柱を建て、日本の領土であることを明らかにしたのが、出羽国楯岡村、現在でいえば、私の地元であります山形県村山市楯岡出身で、北方探検家の最上徳内という方であります。徳内は、近藤重蔵、間宮林蔵とともに北方の三傑とされ、北方の防備、アイヌの救済に傾注し、生涯において計九回にわたって、現在の北海道厚岸町などを拠点に、蝦夷地、北方領土に渡り、測量や探索活動を行いました。
また、厚岸において、徳内は現厚岸神社の前身であります神明宮を建立しまして、こうした縁から、私の地元村山市では、厚岸祭りのおはやしを基に徳内ばやしを発足させまして、毎年八月に開催される徳内祭りは、今では山形県の風物詩となっております。
加えて、山形市に本店を置く、豆はでん六というような、有名な株式会社でん六の創業者鈴木伝六さんが、北海道別海町の北方展望塔の近くの海岸にあります北方四島返還「叫びの像」、親子三代の像を昭和五十七年に寄贈しております。このように、北方領土と山形県には様々なゆかりと歴史がございます。
しかしながら、現実はといいますと、二月八日にNHKで放送された特集によれば、北方四島の衛星写真やSNSを分析するに、この数年で、実効支配を続けるロシアによる北方領土の開発が急速に進んでいるとのことであります。五年間で三倍超となる約五千人の観光客が訪れ、新しいカフェやスーパーがオープン、新しい学校の建設や道路整備が進み、水産ビジネスの拡大や軍事基地化が本格的に進められています。
この点、政府及び独立行政法人北方領土問題対策協会が実施する様々な事業として啓発教育活動を展開されてきたものと理解しておりますが、これまでの取組や実績についてお伺いいたします。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
北方領土問題は、国民全体の問題であり、国民が一丸となって取り組むことが不可欠であると考えております。
現在、北方四島交流等事業を実施できていない状況にあるなど、北方領土問題について取り上げられる機会が減少し、北方領土問題に対する国民の関心が薄れることを懸念しております。内閣府として、ロシアとの外交交渉を後押しするため、多くの国民、とりわけ次代を担う若い世代の関心を喚起し、理解を促進していくことが重要であると認識しております。
このため、内閣府におきましては、関係省庁及び関係団体と連携して、若い世代の正しい理解と関心につながるための働きかけを重点的に進めてきております。具体的には、令和六年度においては、例えば、北方四島交流等事業の使用船舶「えとぴりか」を利用した学生による洋上視察、修学旅行の誘致促進策として、修学旅行を担当する教員を対象とする下見ツアーや、修学旅行に係る経費の補助、SNS等を活用した情報発信などの事業を実施してきております。
引き続き、国民世論の啓発等に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
○菊池委員 一九四五年八月の終戦時、北方四島には三千百二十四世帯、一万七千二百九十一人の日本人が居住しており、約二年後には、一人残らず日本本土への引揚げを余儀なくされました。先ほど来出ておりますけれども、今年は昭和百年目、そして戦後八十年を迎える節目の年であります。元島民の方々も高齢となっておりますし、その数も少なくなってきております。
先日、地元で、啓発事業の一環として放映された「ジョバンニの島」という元島民の方の実話を基にしたアニメ映画を鑑賞してまいりました。鑑賞した会場内で大変印象的だったのは、小学生低学年のお子さん連れの親子が複数いらっしゃったことです。
子供たちに戦争や領土問題に触れる機会を提供するためには、子供たちや保護者が知る機会をいかに増やすかが重要です。また、そうした機会を導くためにも、教育関係者を始めとする関係者の意識を醸成し、知見を高めていくことも不可欠ですし、各自治体における教育委員会の活動を強化するためにも、国において、文科省を始めとした関係省庁が連携を深めていくことが肝要であると思います。
そこで、現在の北方領土の状況もしっかりと直視しながら、戦後八十年を迎える節目の年として、北方領土問題を風化させないという決意の下、更に啓発や教育に力を入れていく必要があると考えます。新規事業も複数、当初予算に計上されておりますが、今後どのように取り組まれていくのか、お伺いをいたします。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども述べましたように、北方領土問題の解決には国民の理解と関心が不可欠であり、内閣府では、関係省庁及び関係団体と連携して、国民世論の啓発や北方領土問題に関する教育、学習の充実などを行っております。
こうした取組に加え、令和七年度政府予算案におきましては、北方領土隣接地域に多くの人を継続的に呼び込み、北方領土問題に関する関心喚起、理解促進を図るとともに、隣接地域の振興にも資するよう、北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究を新たに盛り込んだところでございます。
今後、実際に調査研究を行う際には、地元自治体や関係団体、教育関係者、関係省庁と緊密に連携協力し、また、様々な方の知見もいただきながら、北方領土問題に関する効果的な啓発の在り方等についてしっかりと考えてまいりたいと考えております。
また、戦後八十年となる本年に行う広報啓発につきましては、令和七年度政府予算案に戦後八十年節目啓発事業開催費を盛り込んでおります。同事業では、特に若年層を対象に、全国各地で北方領土に関する啓発パネル等の展示、リーフレットの配布、ステージイベント等を行い、北方領土問題への正しい理解を深め、今後の返還要求運動への参画を促すことを予定しており、今後、教育関係者の皆様や関係団体と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○菊池委員 節目の年ということもあります。現場のお声もお伺いしながら、是非実効性のある取組をしていただければなというふうに思います。
次の質問に移ります。
時間が限られておりますので、一点だけお伺いをしたいと思います。
昨今、生活圏における熊やイノシシの出没、目撃件数が増加していると感じております。実際に山形県においても、厳しい冬期間でありながらも、気候変動や食料不足等の影響があってか、複数の自治体において、民家に熊が立てこもったり市街地に現れたりしており、先日は今年初めての人身被害事例も発生したところでございます。
関係者、猟友会、こういった方々の高齢化が進み、技術継承も難しくなってきております。自治体や猟友会、警察署等の関係団体で構成される鳥獣被害対策に係る連絡会議や協議会がありますが、こうした組織体が形成されていたとしても、緊急対応に備えた連携が密になっているのか、また、形成されていない空白地域にも今後危険が及んでいく可能性もあります。
こうした点を踏まえれば、一一〇番通報により初動から対応に当たる警察の対応力は、個々の警察官においても、また広域的な連携を含めた組織体制においても、住民生活の安全、安心を確保する上で極めて重要であると考えます。また、住民参加型の訓練等の実施を促すなど、地域ぐるみで鳥獣対策のイメージづくりに警察力を生かしていくことを期待いたしますが、現在及び今後の警察の対応についての考え方をお伺いいたします。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
地域住民の安全、安心を守る責務を有する警察といたしましても、市街地に熊が相次いで出没している現状において、委員御指摘のとおり、市町村、猟友会等の関係者と連携いたしまして地域住民等の安全を確保するための取組の重要性を強く認識しているところでございます。
警察におきましても、熊出没時には、速やかに市町村や関係機関等と協力いたしまして地域住民等の安全を確保するための避難誘導や交通整理、警戒活動に当たっております。安全な場所への避難等が円滑に行われるよう、市町村等との合同訓練を行うなどいたしまして、熊対処の練度や意識の向上を図っているところでございます。
今後とも、引き続き、市町村、猟友会等々の関係者と協力いたしまして、地域住民の安全確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
○菊池委員 積極的に取り組んでいくというようなことでありますので、先ほど、私、イメージづくりという話をしましたし、この獣害被害、鳥獣被害対策というのは主体的には自治体が行うものというふうに理解をしておりますけれども、非常に、生活圏域に対する熊やイノシシの侵入が、これまでの農林、農地の被害というフェーズから、我々の住民生活、どう安心、安全を守るかという局面に移行してきているというところもありますので、警察対応力というところを軸にした取組を補完的に、かつ、補完的でもありながら是非積極的に関与していくような姿勢を示されると、住民の皆さんも安心、安全につながっていくのかなというふうに思いますので、このイメージづくりというのを是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
続いての質問に移ります。
地方公共団体における専らの課題は何かと言われれば、私が思うに、延長する道路や上下水道管路や、自然災害による被害を軽減するための河川、山林、そして、総じて公共施設等の維持管理をいかに図るかであります。人口減少、とりわけ生産年齢人口の急速な減少、自治体職員のみならず民間事業者の職員も減少するとともに、極めて厳しい地方財政の状況が見込まれる中で、地域住民の安全、安心を確保した上で、効率的かつ優れた品質の公共サービスを提供していくことが求められます。
この点、国は、PPP/PFI推進アクションプランを策定し、令和四年度から令和十三年度の十年間において事業規模三十兆円を目指すこととしており、地方公共団体の財政負担の軽減のみならず、社会課題の解決と経済成長を同時に実現し、成長と分配の好循環の実現を生み出すことに貢献することから、新しい資本主義の中核となる新たな官民連携の柱としてPPP、PFIを積極的に推進していく方針です。
そこで、まず令和四年度からのアクションプランの進捗、実績についてお伺いいたします。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
事業規模目標については、十年間で三十兆円という目標に対し、初年度で三・九兆円を達成、事業件数十年ターゲットについては、十年間で六百五十件の具体化目標に対し、二年間で百四十三件を達成しており、着実に進捗しているものと考えております。
一方で、人口規模が小さな地方公共団体ほどPPP、PFI事業を実施したことのない団体の割合が高いことが課題として挙げられます。政府としては、PPP、PFI事業の検討を支援する専門家の派遣、PFI推進機構を活用した伴走支援などのきめ細かい支援を行い、地方公共団体のPPP、PFI事業への取組を促進してまいります。
○菊池委員 ちょっと各論について触れたいと思います。
先日、埼玉県八潮市において下水道管の腐食、破損に起因すると考えられる道路陥没が発生し、トラック一台が巻き込まれるとともに、約百二十万人に下水道、こちらは洗濯やお風呂の利用ということでありますけれども、下水道の使用自粛を呼びかけるなど、大きな影響が出ました。上下水道事業、いわゆる水インフラは、国民生活において極めて重要な生活基盤であることを痛感いたしました。
そこで、まず現状の整理として、上下水道施設の老朽化や耐震化等の状況及び埼玉県八潮市の事故を受けての緊急点検の実施状況についてお伺いいたします。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
全国の上下水道管は、令和四年度末時点で、水道管路延長約七十四万キロメートルのうち、耐用年数を超過した管路延長は約二四%に当たる約十八万キロメートル、下水道管路延長約四十九万キロメートルのうち、耐用年数を超過した管路延長は約七%に当たる約三万キロメートルであり、今後も老朽化の進行が見込まれています。
また、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえて、同様の大規模な下水道管路を有する七都府県十三か所の流域下水道管理者に対し、緊急点検を実施し、二月七日までに報告いただいているところです。この結果については、現在取りまとめているところでございまして、早急に公表したいと考えております。
また、耐震化についてでございますが、全国の地方自治体を対象に上下水道の耐震化状況に関する緊急点検を実施し、令和五年度末時点で、例えば上下水道システムの急所となる施設の耐震化率は、水道の導水管が三四%、下水処理場が四八%、避難所や病院などの重要施設に接続する水道、下水道の両方の管路の耐震化されている施設の割合が一五%にとどまることが判明しております。
上下水道は国民の生活に直結する重要なインフラであり、今回の道路陥没事故や能登半島地震での被害も踏まえまして、中長期的かつ明確な見通しの下、強靱で持続可能な上下水道システムの構築に向けて取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
○菊池委員 なぜ上下水道事業についてお伺いしたかというと、令和五年度からアクションプランにウォーターPPPの活用が位置づけられているということがありまして、お伺いをしております。
もう一点だけお伺いします。
この管路等延長が延びているわけでありますけれども、この管路等の施設老朽化対策や耐震化への対応は、加速する人口減少に伴う給水人口の減少、また、付随して使用料が減収するなど自治体の財政状況が非常に逼迫する中で求められる状況下にあります。一方で、施設の更新を進めていけば受益者負担が増えていくということも考えられ、その進捗もなかなか今後進んでいかないことが推察されます。
先ほど八潮市の事故を受けての緊急点検という話がありましたけれども、こちらも、目視による点検というふうにお伺いをしておりますけれども、これは目視というもので果たして大丈夫なのかというような個人的な不安もあります。個人差だったり、そういったものもあるでしょうし、やはり定量的な基準を設けるとか、そこにこそデジタル技術を導入していくんだというようなところが必要ではないかなというふうに思います。
こうした様々な事情を考慮すれば、官民連携のそれぞれの主体にとってメリットがあるのか、また、民間活力の導入形態には様々な手法があるにしても、そもそも民間委託等になじむ分野であるのかといった懸念の払拭や、大中小それぞれの人口規模に応じて、各自治体においてできること、できないこともあり、丁寧な誘導や伴走支援が必要であると考えます。
この点、国においてはウォーターPPPの理解醸成や導入検討等に向けて取組を進められておりますが、進捗状況や既に導入された事例の効果をどのように把握されているのか、また、今後官民連携を進めていく上での課題と対応策についてお伺いいたします。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
上下水道における官民連携は、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用により上下水道施設の維持管理や更新を効果的に進められるなどのメリットがあり、上下水道の基盤強化に向けた有効な選択肢の一つと考えております。
官民連携を進めるに当たっての課題には、官民のリスク分担や官民がウィン・ウィンの関係を構築できるかなどがございます。官民連携において老朽化対策を進める中で、こういったことも留意する必要があると考えております。
この点、官民のリスク分担については、災害や事故時における適切な対応、役割分担等をあらかじめ契約などで明確に定めておくことが重要でございます。また、ウィン・ウィンな官民関係の構築については、地方公共団体が、地域の実情に詳しい地元企業も含めて、官民による対話を丁寧に行い、民間が提供する維持管理のサービス内容や水準、計画的な更新の内容について契約などで明確に定めておくことが重要でございます。
国土交通省としましては、ガイドラインなどにこうした留意点やポイントを盛り込み、地方公共団体に周知することにより、持続可能な上下水道の構築に向けて、官民連携にしっかり取り組んでまいります。
なお、事例の効果ということについてでございますが、例えば宮城県の官民連携の事例では、デジタル技術を活用し、効率的な運転管理、保守点検、監視等が実現した、地域の水インフラを支える会社の設立に伴う地域人材の雇用、地元企業の参画による地域経済への貢献といった効果が報告されているところでございます。
○菊池委員 時間が迫っておりますので、今日は城内大臣にお越しいただいておりますので、地方創生二・〇、クールジャパンについて急ぎ質問させていただきたいと思います。
本日の日経新聞の朝刊にも、これまでの地方創生の取組がどうであったのか、一部事業においては国庫に返納されたものが指摘されております。
この点、やはりコンテンツ産業は非常に、海外展開も含めた市場の拡大というのが大いに期待されるわけでありますけれども、食文化とともに、日本列島において、それこそ点を線にネットワーク化し、国内外からの関心や誘客、消費や投資を拡大させるなど、令和の日本列島改造に資する重要な要素と考えております。点を面に広げていく地方創生二・〇推進のヒントがあるように思います。
そこで、様々な教訓を得ながらこれまでのクールジャパンの取組がなされてきたと理解しておりますが、地域におけるクールジャパンの推進による付加価値創出等を含めた新たなクールジャパンの戦略の取組状況や今後の考え方について、城内大臣にお伺いいたします。
○城内国務大臣 お答えいたします。
今、菊池大二郎委員おっしゃったように、点を面につなげていくということは非常に大事だと思っております。
近年、日本のアニメ、漫画などは世界的な人気が本格化しておりまして、作品に登場した場所や原作者の出身地などを訪問する、ゆかりの地巡りなどが盛んになっており、インバウンドの誘客を含め、地方経済に大きな波及効果をもたらしております。
例えば、私の地元の浜松では、世界的に人気の高いアニメ、エヴァンゲリオンに天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅の車両基地が登場しておりまして、鉄道事業者である天竜浜名湖鉄道及び遠州鉄道がコラボでラッピング車両を企画したり、観光客の施策に取り組んでいるところであります。
クールジャパン戦略としては、日本の漫画、アニメなどのコンテンツを起点としつつ、食や文化、ファッション、自然などの地域資源を最大限に活用し、分野横断や分野間連携の取組を通じた高付加価値化によって、新しい地方経済の創生、さらには我が国の活力につなげていくということが、これはまさに重要だというふうに考えております。
このため、新しい地方経済・生活環境創生本部の取組ともしっかりと連携をいたしまして、本年六月頃の策定に向けて検討を進めております知的財産推進計画において、地方創生二・〇にも資するクールジャパン戦略の具体的な施策をしっかり取りまとめてまいる考えであります。
以上です。
○菊池委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。
今日は、警察庁、仮装身分捜査について、また、大阪IR、カジノ、そして三点目として皇位継承、この三つの課題について質問をさせていただきたいと思います。
本日、大臣として答弁のお願いをしているのは坂井大臣お一人です。私は今日は細かな事務的なことも含めて制度を確認をしていきたいと思っていますが、大臣のお手元には想定問もあると思います。政府参考人にお答えを求めていますが、大臣にもお尋ねすることもあるかもしれませんので、十分御留意いただきながら、心構えをしておいてください。
それでは、仮装身分捜査についてなんですが、捜査員が仮の身分を使用して、そして捜査対象者と接触して、情報あるいは証拠、これらの収集を行うというこの仮装身分捜査、これはお手元に資料を配付させていただきましたが、この実施要領というのが一月二十三日に策定されました。これは闇バイトの対策ということで、当然このような犯罪は撲滅しなければなりません。その摘発手段として仮装身分捜査が必要であるということは十分理解をしております。しかしながら、一方で、このような新しい捜査手法については、国民の中に不安を感じる方もおられることも事実だと思います。
そこで、今日は、この仮装身分捜査について四つの観点からお尋ねをしたいと思います。一つは適用範囲、そして二つ目はその捜査手法の適法性、三つ目は具体的なこの実施要領の運用について、四つ目が捜査官、国民の人権保障、この四つの観点からお尋ねをします。
まず、適用範囲について質問いたします。
お手元の資料、実施要領でありますが、この実施要領の三項に対象犯罪というのが定められております。これは、目を通していただければ分かりますが、インターネット等を通じて実行者の募集が行われる、これは闇バイトですね、これによって、「強盗、詐欺、窃盗若しくは電子計算機使用詐欺」とありますが、「これらに密接に関連する犯罪の捜査において行うもの」とされています。
そこで、政府参考人にお尋ねいたしますが、この「これらに密接に関連する犯罪」とは具体的に何を指していますでしょうか。お願いします。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
お尋ねの「密接に関連する犯罪の捜査」という部分でございますけれども、例えば強盗などの犯罪実行者を募集する行為に、職業安定法違反、有害職業紹介という罪を適用する場合があり得ること、また、強盗等の実行犯らが集合したところを検挙する際に、例えばですけれども、強盗予備罪などを適用する場合があり得ること、こういったことを想定したものでございます。限定している四罪種と関係がない犯罪を対象にするものではございません。
○馬淵委員 様々、今まで報道されている中には、中には殺人行為にまで及んだという犯罪もありますから、これは、関連する犯罪ということで、特定は難しいかもしれませんが、今お話をいただいたようなものだということです。中には、集合したところで度胸試しのように万引きをやってこいとか、これはいろいろなことがやはり起きるわけですから、密接に関連する犯罪というのは様々あるということだと思います。
そして、このような、いわゆる仮装身分捜査、これは、巷間言われていますいわゆるおとり捜査とどのように違うのか、そして、その違う理由は何か、これも簡潔に、参考人、お願いいたします。
○谷政府参考人 お答えいたします。
いわゆるおとり捜査でございますが、最高裁判所の決定によりますれば、捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するよう働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙する捜査手法とされているところでございます。
一方で、今般の仮装身分捜査、あるいは雇われたふり作戦というふうに申し上げておりますけれども、ここにおきましては、いわゆる闇バイトを念頭に、相手方が既に強盗等の実行に向けた行為を進めているところに実行者を装って応募するものでありまして、犯罪の実行を働きかけるというものではないことから、おとり捜査とは異なるものであるというふうに考えております。
○馬淵委員 今、明確にお答えいただきました。おとり捜査とは、すなわちこれは犯罪を誘引する可能性があるということですね。したがって、このおとり捜査に対しては非常に厳格に規定をしてきたということです。これも、例えば直接の被害者が存在しない犯罪、薬物とか、こういったものについては、あるいは銃も含めて、これは一部認められているということでありますが、この仮装身分捜査は、直接の被害者が発生し得る状況で、かつ犯罪を誘引するということはないということから、おとり捜査とは明確に違うんだ、この実施要領の下で許容されるということだと理解をいたしました。
そして、今お話しさせていただいたように適用範囲でありますが、次に、適法性について確認をしたいと思います。
全く別の二つの捜査手法を例にお尋ねをしたいと思います。一つはGPS捜査。警察が裁判所の令状を取らずに被疑者使用の車にGPS端末を取り付けて居場所を把握する、これは、最高裁の判決でも、全員一致で、令状主義に違反する違法捜査だということで、憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な新たな措置が必要だ、このように判決を下しています。
そして、二つ目は成り済まし捜査。これに関しては、窃盗被告事件につき、鹿児島地裁、これは平成二十九年三月二十四日判決で、成り済ましを行うべき必要性がほとんどない、その事例ですね、国家が犯罪を誘発し、捜査の公正を害するもので違法だとして、被告人には無罪判決が言い渡されました。
このように、今申し上げたような二つの事例がありますが、こうした捜査と仮装身分捜査とは何が違うのか、適法と考える根拠は何か、これについて簡潔にお答えいただけますでしょうか。
○谷政府参考人 お答えいたします。
御指摘のGPSに関する捜査でございますけれども、平成二十九年の最高裁判所決定におきまして、個人の意思に反して住居等に準ずる私的領域に侵入する捜査手法であり、重要な法的利益を侵害し、強制の処分に当たると判示されたものと承知しております。
今回の仮装身分捜査でございますけれども、インターネット等を通じて実行者の募集が行われている犯罪の捜査におきまして、警察官の身分を秘して募集に応じたふりをして犯罪に関する情報の入手を図る捜査、これは、最高裁決定で指摘されている住居等に準じる私的領域に侵入するという捜査手法とは異なるものでありまして、これまでも任意捜査の一つとして実施をしてきております。
今回導入する仮装身分捜査は、架空の身分証明書を使うという点を除きますと、入手しようとしている情報も含め、こうした捜査と同様のものでありまして、任意捜査として実施し得るものと考えております。
次に、御指摘の成り済まし捜査につきましてですが、平成二十九年の鹿児島地裁加治木支部判決におきまして、捜査対象者が犯罪を実行しやすい状況を作出し、同対象者が犯罪の実行に出たところで検挙する手法とされておりまして、犯罪を誘発する側面があるとされております。その上で、本件判決に係る事件においては、こうした捜査を行う必要性がほとんどないと認められまして、任意捜査として許容される範囲を逸脱していると判示されたものと承知しております。
今般の仮装身分捜査は、相手方が既に強盗等の実行に向けた行為を進めているところに実行者を装って応募するものでありまして、犯罪を誘発するものではないことから、御指摘の成り済まし捜査とは異なるものでございます。
また、これらの犯罪においては、犯行の指示が匿名性の高い通信ツールで行われている実態が見られるなど、仮装身分捜査を実施しなければ、犯人を検挙し、犯行を抑止することが困難であると認められ、その必要性も認められることから、この点からも、任意捜査として実施し得ると考えているものでございます。
○馬淵委員 いわゆるGPS捜査、これについても違う、ある意味、私的領域を侵犯するものではないということ。そして、成り済まし捜査、これも犯罪を誘引する可能性がある、誘発する可能性があるもの、これとも違うんだということで、実際にはもう犯行の準備を進めているということから、この仮装身分捜査というのは、他に適切な方法があるかといえば、なかなかない、厳しい、難しい状況の中で、犯行を抑止することが困難だというところから、身分証の提示などは、これは当たらないんだということだと理解をいたしました。つまり適法であるということの確認をさせていただいたわけであります。
その上で、この実施要領の四項を御覧いただきますと、ここには、実施計画書に基づいてこの捜査が行われると記されております。すなわち、実施計画書で定めれば、この捜査は任意捜査に当たるということでよろしいですか。これも端的にお答えください。
○谷政府参考人 仮装身分捜査は、刑事訴訟法上、任意捜査として実施するものでございます。御指摘の実施計画書は、この捜査の実施の適正を確保するための手続として、あらかじめ作成し、これに基づき仮装身分捜査を行うことというふうにしたものでございます。
○馬淵委員 実施計画書で定められれば、これは任意捜査として認められる、許容されるということだという答弁をいただきました。
これも最高裁の決定、昭和五十一年三月十六日、ここには、「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為」、こういったものの場合は、これは強制処分に当たるということになるというふうに示されております。したがって、今回の仮装身分捜査に関しては、最高裁決定とも違うということで、強制的に捜査目的を実現する行為には当たらないんだということだと理解をいたします。
こうした状況で、この仮装身分捜査というのは、いわゆる適用範囲も限定的であり、かつ適法性も十分に図られているということでありますが、では、具体的な運用の場合にどうなるかということをお尋ねしたいと思います。
実施要領の四には、先ほど申し上げた中で、ここは、警視総監又は道府県の警察本部長の指揮の下で、あらかじめその承認を受けた実施計画書に基づいて行うとされているわけでありますが、三点お尋ねをしたいと思います。
あらかじめその承認を受けたというのは、例外なく事前承認という理解でよろしいんでしょうか、これが一つ目。そして二つ目は、この計画書の合法性について、何らかの第三者機関による事後的な審査、あるいはそのような制度設計というのは何かお考えでしょうか。三点目、この計画書について、事後の公開あるいはその開示方法など、これを現時点でどのように運用上考えておられるのか。三点の質問にお答えください。
○谷政府参考人 お答えいたします。
一点目の実施計画書でございますが、これにつきましては、事後に承認を受けることは想定してございません。
二点目でございます、仮装身分実施計画書に基づき行われた仮装身分捜査の適法性につきましては、他の捜査活動と同様、当該捜査により検挙され訴追された刑事事件の裁判の過程において裁判所において判断されることになるというふうに考えております。
三点目でございますが、仮装身分捜査実施計画書は、捜査に関する詳細な情報、捜査の手法、技術、体制、方針等に関する情報が具体的に記載されるものでございます。したがいまして、これを一律に公開するということにはなじまないものというふうに考えておりますが、他方で、この計画書に基づいて実施された捜査の経緯、詳細につきましては、当該捜査により検挙され訴追された刑事事件の裁判において必要に応じて審理の対象となるものでございまして、その際、実施計画書の記載そのものが争点となったような場合には、法廷においてその内容が明らかにされるということはあり得るものと考えております。
○馬淵委員 実施計画書については、これは全て例外なく事前承認ということなんですね。その上で、これについては、その後の事後的な審査を含めて、開示も含めて、これは考えていないということ。つまり、捜査手法に直接関わることだと。ここはよく理解いたします。
しかし、今、局長のお話では、これは、その後の、犯罪者が逮捕された後、司法によって明らかにされていく、その場合にこの計画書の中身が争点になり得る、その場合はそこで議論をしていただくということでありますが、それはあくまでも犯罪行為として成立をし、逮捕に至った場合ですよね。つまり、この実施計画書の中身については、そのような状況にまで至らなければ確認できないんですよね。
ここは、捜査の手法に関わるというのはよく理解をいたしますが、一方で、内部的には何らかの形で制度設計というのを考える必要はあるんじゃないか、私はそう思うわけであります。
これは坂井大臣、今、質問と答弁をお聞きいただいて、どうお感じですか、どうお考えですか。お答えいただけますか。
○坂井国務大臣 基本的に、この仮装身分捜査において、今委員が一般の国民の皆さんの不安を代弁をして様々な御質疑をいただいていると思いますが、このたてつけとして、基本的に、警察が、事前、それから捜査に関しては責任を持って行って、そしてその後、問題があるときには、裁判において、裁判所、司法がそれが適切かどうかの判断を行う、こういうたてつけになっているものと思っております。
そういう中で、事前に警察において計画を作り、適切だという中で捜査をした、そして、その捜査の中身において、逮捕されるされないがあったにしても、その中で不適切なものがあるとなれば、たてつけの中で、裁判、司法によって判断をされるということでありますから、司法によって判断をされるべきものと考えております。
〔委員長退席、國場委員長代理着席〕
○馬淵委員 大臣、これは裁判にまで至らない状況を私は言っているんですよ。つまり、実施計画書があります、捜査に入っています、しかし、その中で問題となるような状況が起きたかどうかというのは、これは司法の場に立たなければ分からないでは、まずくはないかということを申し上げているんですよ。
警察庁自身が、まさに自らがこの実施計画書の是非について、内容について、捜査方法を公開せよと言っているんじゃないんです。この実施計画書というのが極めて重要だからこそ、私は申し上げているんです。これを内部で再度確認していくというような制度を考えるべきではないかということ、これは運用上で私は申し上げているんです。いかがですか。
○谷政府参考人 仮装身分捜査実施計画書でございますが、もちろん、ここに記載されていることにつきましては、個人情報を含め、犯罪の容疑に関する様々なことが記載されております。刑事司法手続の中でその内容が明らかになるということは当然のことですけれども、犯人として特定、検挙に至らなかった事案について、これを公にするということにつきましては……(馬淵委員「いや、公とは言っていない」と呼ぶ)はい、内部で。関係者の名誉やプライバシーにもなります。
ただ、内部でこの内容をしっかりと確認していくということにつきましては、警察庁も、当然、この実施要領を作った責任がございますので、様々、業務に関する指導や監察なども実施しておりますので、警察庁としてもしっかりと都道府県警察の捜査活動について指導をする、監督をするということはしていきたいというふうに考えております。
○馬淵委員 これ、司法とか関係ないんですよ。犯人検挙じゃない状態で、しかし、問題があったかどうかということについて、内部でしっかりと監査していく。監察に任せるのではなくて。この実施計画書の運用上、極めて重要なプロセスになり得るんですよね。ですから、私は、そこの部分の観点が欠けていませんかというふうに申し上げているんです。大臣、いかがですか。
○坂井国務大臣 実施は基本的に各都道府県警が行いますので、それを指導し、また監督をしていくという役目が警察庁にあると思っておりますので、警察庁がそこをしっかりチェックをし、適切に行うよう指導していくことは必要かと思います。
○馬淵委員 警察庁が適切に指導し、チェックすると今おっしゃったので、すなわち運用上にこれは盛り込まれるということですから、重要な答弁だと思います。これは確実に進めていただきたいというふうに思います。
その上で、このお手元資料の要綱の六のところを御覧いただきたいと思うんです。
この捜査の実施のところで、(1)ですね、「相当と認められる限度において実施」と。つまり、捜査そのものが相当と認められる限度において実施と書いてあるんですが、この相当と認められる限度においての実施は、これはどなたが判断するんでしょうか。その責任は誰が負うんでしょうか。局長、できるだけ簡潔に答弁してください。
○谷政府参考人 お答えいたします。
仮装身分捜査は、今お尋ねの点も含めまして、仮装身分捜査を行う都道府県警察が行いますので、都道府県警察において一義的に判断をするということになるものでございます。
○馬淵委員 いやいや、ちゃんと質問を聞いてください。どなたが、ですよ。警察といったら全体の組織じゃないですか。県警の本部長なんですか、あるいは、ここには主任官というのが書かれていますが、主任官なんですか。どなたが判断をするのか、そしてどなたが責任を負うのか。簡単な答えですから、ちゃんと簡潔に答えてください。
○谷政府参考人 お答えいたします。
実施要領上も記載されてございますけれども、仮装身分捜査の指揮は警察本部長が実施をいたしますが、個別の捜査の中での具体的な判断につきましては、警部以上の警察官の中から仮装身分捜査実施主任官を指名して、これに指揮をさせるということになります。
○馬淵委員 局長、では確認ですよ。責任は本部長が取る、しかし、判断としては主任官が判断を行う場合も当然起こり得るということでよろしいんですか。イエス・オア・ノーで答えてください。
○谷政府参考人 お答えいたします。
今お尋ねのとおりでございます。
○馬淵委員 当然、現場で御判断されなければならない状況が起き得ると思います。しかし、当然、本部長によって指名された主任官ですから、主任官、若しくは、さらには現場も起きてくるんだと思います。ただ、責任体制ははっきりしていただかなければなりませんので、今回の答弁で確認できました。責任は本部長、そして、主任官、現場で判断されることもあるということだと思います。という状況を確認させていただきました。
その上で、捜査官と国民の人権保障という四つ目の観点からお尋ねをしたいと思います。
この捜査官、ある意味危険な業務に当たるということになりますが、捜査に当たる捜査官の身の安全、これは絶対に確保しなければなりません。
そこで、危険が生じた場合に捜査を打ち切るということは実際に行われるのか。打ち切る場合の判断基準や判断者は誰なのか。局長、これも簡潔にお願いします。
○谷政府参考人 お答えいたします。
仮装身分捜査に当たりまして、捜査員の安全確保に万全を期することは極めて重要であると考えております。
御指摘の、捜査を打ち切る判断基準につきましては、捜査の手のうちに関することなので詳細は差し控えますが、安全を確保しながら捜査を継続することができないと判断される場合には、仮装身分捜査実施主任官の判断によってこれを打ち切ることについても、実施計画書に必要な記載をするよう指導してまいりたいと考えております。
○馬淵委員 局長、どなたが判断するんですか。危険だと判断するのは分かるんですよ。どなたが判断するんですか。
○谷政府参考人 捜査は様々な流れがございますので、ちょっと例外的な場合もあるかもしれませんが、基本的には仮装身分捜査実施主任官が判断することが多いというふうに考えております。
○馬淵委員 危険というのは様々ありますから、その例を特定することは困難だと思いますけれども、主任官が判断することが多いということですが、一方で、これは、今のお言葉でいうと、つまり、現場の捜査官が判断することもあり得るということですね。イエスかノーで。
○谷政府参考人 様々な状況が想定されますけれども、現場で例えば犯人と接触をするような際に、現場の判断で打ち切らなければならないというような状況に至るようなことはできるだけ回避したいというふうに思っています。
例えば、メールのやり取り、オンライン上のやり取りなどで判断する場合は、現場でその後の連絡を差し控えるというようなことは十分あるんじゃないかなというふうに考えております。
○馬淵委員 重要なところなんです、ここも。主任官だけじゃなくて、現場の捜査官の判断、これも十分にあり得るということですね。そうでなければ、身の危険が発生するのは捜査官の方ということになりますから、これも重要な部分だと思います。捜査官の人権保障というところで確認をさせていただきました。
一方で、もう一つ、国民の人権保障の部分なんですが、実施要領の八のところで、(2)ですね、「仮装身分捜査の遂行により、犯人以外の者の日常生活及び社会生活に支障の生じることのないようにする」、これはどういうことが考えられるんでしょうか。これについて、局長、お答えください。
○谷政府参考人 お答えいたします。
捜査におきまして、できる限り一般の方々の生活に支障を生じさせないよう注意を払うというのは、これは当然のことでございますが、お尋ねの項目は、仮装身分捜査においては通常の捜査とは異なる配慮が必要になる場面も想定されるということで、注意的に記載したものでございます。
例えばでございますけれども、この種事案においては、犯人側は応募者に対して様々な身元確認措置を講じてまいります。そういった際のやり取りの中で、無関係の人や場所を関係者、関係場所であると誤解させるようなことを避けるといったことが考えられようかと思っております。
○馬淵委員 ここも極めて重要ですね。今、無関係な方々の身元も含めて特定されることのないようにと。つまり、相手は犯罪行為を行おうとしている者たちですから、それこそ、捜査官が身分証を提示しながら、これは顔の問題もありますよね、じゃ、どうなるのかと。ここも、実際問題、これは捜査に関わることと思いますから私もこれ以上は細かくお聞きはしませんが、本当に、身元特定だとか居場所特定も含めて様々なことが想定される。つまり、日常生活をされている方々が不利益を被らないようにする、これは極めて重要だと思います。ここは、警察庁として、常に犯罪に向き合っているお立場ですから、細心の注意を払って準備をされていることかと思いますが、これは本当に極めて重要な部分でもあります。
逆に言うと、国民の中には不安を感じる方がいらっしゃる部分というのは、ここを特に取り上げて、ネット上なんかでは、どうなんだということが出ていますが、私は、そこは万全を期すんだということをしっかりと国民の皆さん方には伝えていただきたいと思います。
坂井大臣、ここは、大臣として、そのことについての御答弁をいただけませんでしょうか。
○坂井国務大臣 今日の質問全体を通じても、先ほど申し上げましたが、国民の皆さんが不安に感じていると思われることを網羅的に委員から御質疑をいただく中で、答弁をさせていただいたり、また説明をさせていただいたり、させていただいてまいりました。
本当にこれは、国民の皆様に安心していただきながら、そして御協力もいただく中で犯罪を検挙していかなければいけないわけでありますから、委員が御指摘のように、これはしっかり担ってまいりたい、理解していただくように努力をしてまいりたいと思います。
○馬淵委員 この実施要領が発表されてから、国会でこれだけ細かく答弁をいただいたのは初めてだと思います。その意味で、マスコミにも正確に伝えていただきたいですし、むやみに国民の不安をあおることのないように、そして、確実に闇バイトを含めた特殊詐欺撲滅に注力をしていただきたいということをこの件については申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。
次に、IRについて。IRといいますか、カジノですね。
カジノについては、絶対反対という声もやはり私の周りでもあります。そして我が党も反対の立場であります。しかし、このカジノの問題については、実態を把握しておかないと、ただただ反対反対では私はいけないと思っています。その意味で、今日は、残りの限られた時間でありますが、このカジノについてもお尋ねをしたいと思います。
そこで、まず現状、今日答弁に参事官に来ていただいていますが、これもできるだけコンパクトに、冗長に話さずに、コンパクトにお答えください。
カジノを含む施設の認可、契約及び工事の進捗状況、これについてお答えください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
大阪IRのことでございますけれども、大阪IRの区域整備計画につきましては、国土交通省において二〇二三年四月に認定を行いまして、大阪府とIR事業者が締結する実施協定につきましては同年九月に認可をしております。
また、IR事業者においては、二〇二三年十二月よりIR用地の液状化対策工事を進めているほか、並行いたしまして昨年十月から準備工事に着手しております。
今後の予定でございますけれども、本年春頃に建設工事を開始し、二〇三〇年夏頃に完了する予定でありまして、開業は二〇三〇年秋頃の予定であるというふうに承知しております。
○馬淵委員 開業まで五年以上まだあるということですね。
私はもう万博に触れませんけれども、万博のように費用が膨れ上がるとか、こういったことはあっちゃいかぬということでありますが、実際には当初計画の一兆八百億円から一兆二千七百億円に一度費用が増加したというのがありますが、これは、今後このような上積みというのは生じないようにするということだと理解をしております。
また一方、経済界からは万博の開催期間中にカジノの工事をやっているのはこれはよくないという声も上がったやに聞いていますが、これも、大阪府市と経済界、また万博協会を含めて現在調整中ということでありますから、こうしたことも課題としては解決をしていくんだというふうに理解をしています。
その上で、こうした進捗状況の中で、カジノ管理委員会、通称カジ管と我々も呼びますが、事業者への免許付与に向けた具体的な審査、これについて、進んでいるんでしょうか。お答えください。
○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
カジノ事業の免許の審査という観点から申し上げますと、これは区域整備計画の認定を受けた事業者から申請を受けて行うものでございます。現時点では、いまだ事業者からの免許の申請がなされていないため、審査に至っていないという状況でございます。
○馬淵委員 審査は始まっていないということだと理解をいたしますが、じゃ、申請があったときに、この免許の申請の審査ですね、付与までの審査の期間というのはどれぐらいですか。お答えください。
○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
カジノ事業の免許の申請に対しては、カジノ管理委員会において厳正に審査を行うべきものでございます。したがいまして、その審査期間については、申請の内容とかあるいは審査の経過により大きく異なり得るため、一概にお答えすることは難しい点を御理解賜れればと思います。
○馬淵委員 次長、そうはいっても、長々といつまでもやるものじゃないでしょう。
例えば、海外では、米国マサチューセッツ州のカジノ、これは相当時間を要したと言われている例ですけれども、これで一年八か月なんですね。これは二年も三年もかける話じゃないと思うんです。
もちろん、二言目には世界一厳格な審査基準だとおっしゃいます。これは分かりますよ。我々野党が反対だ反対だとうるさく言うので、それぐらい言っておかないといかぬだろうということだと思います。実際問題、確かに、審査基準を見ると、ここまで決めていていいのかなという審査基準の内容なんですが。
私は、こうした状況の中で、じゃ、事前相談、これはちゃんとなされているのかということが気になるんですね。次長、事前相談、どうですか。
○嶋田政府参考人 お答えいたします。
カジノ委員会から事業者すなわち大阪IR株式会社に対しては、同社の求めに応じまして、法令の枠組みの説明など、免許審査に当たって必要な情報、これはその都度提供させていただいているということでございます。
○馬淵委員 これはしっかりとやっていただきたいんですよね。
要は、カジ管は初めて免許を付与するわけです。これは日本国政府として初めてのことですね。だから、世界一厳格な審査基準で審査を行うとしています。一方で、大阪IR、これはMGM・オリックスですよね。こうした海外の事業者は、これまた日本で初めてカジノを運営しようとしているわけです。
となりますと、私が気になるのは、カジ管はカジ管で世界一厳格な審査基準でやると言って、そして一方、MGM、今回そうですが、海外の事業者からすれば、世界中でカジノを運営してきているわけです。もう既に様々な課題について解決しているので、彼らからすれば、それがどういう形で審査、かかっていくのか、全く見通せないという不安が当然起こります。
これを答えられないこともよく承知しておりますが、カジ管の局長の御出身省庁は警察庁、そして次長の御出身は財務省、この二つの省庁です。私も事業官庁にいましたから分かりますけれども、警察庁あるいは財務省、いわゆる事業者相手の部署ではないですよね。それがメインの役所ではないです。
私が何を申し上げたいかというと、いわゆる事業者を管理監督する省庁の、エキスパートの省庁ではない皆さん方が、一般論として、事業者を規制、監督するときに、これは厳し過ぎてもいけないんですよね、事業者に対して。規制、監督する立場ですから、当然、厳格にと言うんですけれども、それをとことんまでやるとどうなるかといえば、事業者の経済行為を阻害してしまう。ある意味、事業者が、ここまで言われたらちょっと難しいなという気持ちになってしまう。事業者を規制しなければならないんだけれども、事業者には経済行為としてしっかりと前に進んでもらわなきゃいけない。そこで必要になるのが、この事前の相談なんですよ。
ある意味、先ほど、法令にのっとって、審査に直接関わらない部分でとおっしゃいますが、ここは相当程度丁寧にやらないと前に進まない可能性があると私は感じるんです。
改めて申し上げますが、警察、財務省の皆さん方がどうだと言っているんじゃないですよ。そういった部分で、事業者を相手にする行政の取組というのは極めて時間がかかり、手間のかかる仕事だというふうに私は経験上理解をしています。その意味で、これからも厳しくチェックをするという姿勢はよく分かるんですが、今申し上げた事前審査というか事前相談、審査と言っちゃいかぬのですね、事前の相談ということが重要なポイントになると思います。
坂井大臣、私が今申し上げていることというのも御理解をいただける部分もあると思うんですが、今私が申し上げたようなことに対しての御所感といいますか、坂井大臣はどういうふうにお感じになりますか。
○坂井国務大臣 まさしく、委員御指摘の点は大事な点だとまず思います。
IR整備法の制定当時、附帯決議がつきまして、そこもかなり厳しくやれということが書かれておりますから、本当に、世界最高水準と先ほどから御指摘がありますが、これはしっかり実現をする中で、しかし、現場で、カジ管と言われる委員会のメンバーが、やはり事業者に対して接する姿勢が、これが、いわば経済活動を最終的にはお互いに進めていくんだという点を腹に置きながら管理をしっかりやっていくということがなければ、確かにできないと思いますので、この丁寧さというものをしっかり意識をしながら現場でやっていただきたいと私からもお願いをします。
○馬淵委員 私は、党の立場でいえば反対ですから、これだけははっきりと申し上げておかないかぬのですが、ただ、私が申し上げているのは、事業者を管理監督する行政の在り方ということで申し上げています。ここは本当に重要なところなんですね。これは、全ての事業者を管理する行政の私は基本的なビヘービアだと思います。
そうした状況の中で、さて、この免許、実は更新期間が三年なんですね。これは先ほども申し上げた、二〇三〇年の秋開業ですから、例えば、この二〇二五年中に仮に大阪IRが申請をしてきた、で、一年か二年かは分かりませんが、仮に、これも先ほど申し上げたように、長いもので一年八か月というのがありますが、日本がどうなるか分かりませんけれども、これを一、二年で審査完了するとなると、開業前までに更新期限が到来するという可能性も実はあるんですよ。
私、今審査はまだ始まっていないということですが、ここは危惧というか、ある意味、こういう状況に陥っていないかということをお尋ねしたいんです。つまり、カジノ事業者とカジ管の間で、お互いに、すぐにやっても免許の更新期限が開業前に来たら困るよねというようなところで、お見合い状態になっているということはないんでしょうか。私は、そこは、我々は反対の立場ですから、心配云々というよりも、そういった状況で、この間のカジ管の業務というのが極めて希薄なものになっていないのか、ということが起こり得るんじゃないかと思うんです。
これは指摘事項でも様々出てくるように、これが令和七年度の予算でいうと三十七・一億円、そして定員数百六十七名という、これだけの、まあ、なかなか大規模な所帯ですよ。このカジノ管理委員会が事業者と、お互いに、今やらなくてもいいよねみたいな曖昧な状況で止まってはいないのかということが、ここは気になるところです。繰り返しますが、私は反対の立場ですけれどもね。これで、では、この予算が果たして無駄にならないのかということも当然指摘されることになりかねないわけです。
さて、これについて、カジノ管理委員会、お答えいただけますでしょうか。
○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、申請というのは、これは事業者の御判断で、彼らのビジネス上の判断というのがあろうかと思います。その上で、免許付与後、彼らには、施設なり設備なりがどう完成したかという完成検査とか、あるいは、従業員に社会的信用のある人がいるのかといったようなチェックも必要だという期間的な流れで一つピースがはまるという部分がございます。
その上で、カジノ管理委員会は何をしているんだろうという御下問でございました。
二〇三〇年というと遠いように聞こえるんですけれども、例えば、業務の効率化をしながら、保秘性の、機密度の高い情報を取り扱う、それから、カジノ行為等々に関する契約については全て認可になるということで、膨大な数の契約が来るといったようなものについてはどのような適切なシステムをつくらなきゃいけないのか。それから、二〇三〇年ということですけれども、カジノの監督ってどうするんだということは、実は日本にありませんので、海外の当局からその知見を集めて我々として最適な監督手法を検討していかなきゃならないということでございますので、カジノ管理委員会として、漫然とそこは過ごしているわけではないということを御理解賜れればと思います。
○馬淵委員 承知いたしましたというか、そういうふうにお答えされるのもよく理解はするんですが、引き続き、カジノ管理委員会の皆さん方、事業者との関係性も含めて、しっかりと我々国会として行政の監視機能を果たすべくウォッチをしていきたいと思いますので、そこにとどめておきます。
あと僅かでありますが、皇位継承問題で法制局にお越しいただいていますので、確認をさせてください。
これも、質問に端的にお答えをしていただくということでお願いいたします。
まず、内閣法制局にお越しいただいていますが、有識者会議の報告書で、女性皇族婚姻後も皇族としての地位を保持する場合、配偶者と子はその皇族という特別な身分を有せず、一般国民としての権利義務を保有し続けるものとすると明記されています。
そこで質問ですが、配偶者と子が国民のままということであれば、いわゆる皇族の家族であることによる公共の福祉による制約は生じないということでよろしいですか。イエス・オア・ノーでお答えいただければと思います。
○佐藤政府参考人 具体的な制度設計につきまして明らかではございませんので、その具体的な内容に応じてということであろうかと思います。
したがいまして、今私どもとして、公共の福祉の問題が生ずるかどうかということを制度に照らしてお答えすることはできませんので、お答えは差し控えたいと思います。
○國場委員長代理 馬淵澄夫君、時間となりましたので、まとめてください。
○馬淵委員 はい。
そういうお答えになるということも、これも何回もお話を聞いている中で伺っておりました。一般論で私は聞いたつもりですが、残念ながら、それはお答えいただけないということであります。
しかしながら、これは国民であれば、当然権利の制約はありません。その上で、皇族方というのは権利の制約が生じます。つまり、皇族が同じ家族となったとしても、その家族の中で権利の不平等が生じるということ、このことを改めて私はお伝えをして、この質問を終わりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○國場委員長代理 次に、山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。
今日は、石破政権のガバナンスってどうなっているんだろうか、この議論をしたいと思います。すなわち、この政権は誰がどこでどうやって政策を決めているのか、その中で、具体的には、赤澤大臣はどういった役割を果たしていらっしゃるんだろうか、そして、そのことが林官房長官を中心とする本来の官邸の意思決定ラインにおいてどのような影響を及ぼしているんだろうかという視点からでございます。
議論に入る前に申し上げておきますと、私は、赤澤大臣は個人的には高校の大先輩でございまして、個人的には敬意を持っているんですけれども、そのことと仕事の評価はちょっと分けて考えなければいけないだろうということで、厳しめに議論していきたいと思います。
まず、資料の1をお配りしておりますけれども、これは新聞のコピーですが、各紙で同様に報じられているんですが、赤澤大臣が総理官邸の五階に御自身の執務室を特別に設けて、そこで仕事をしているないしはしていたという指摘がございます。
大臣にお伺いしたいんですけれども、総理官邸の五階に赤澤大臣の専用の執務室がある若しくはあったというのは事実でしょうか。
○赤澤国務大臣 高校が同じだということを今までちょっと認識しておりませんで、大変失礼いたしました。よろしくお願いをいたします。
官邸内の執務体制についてはそもそも申し上げる立場にございませんが、官邸内の施設に関する詳細については、セキュリティー確保の観点から、従来からお答えを差し控えているものと承知をしております。
○山岸委員 御自身の執務体制、官邸の管理のことは後で聞きます、赤澤大臣御自身の執務のことをお聞きをしているんですけれども、赤澤大臣が総理官邸の五階に御自分の部屋を設けて、そこで働いているのは事実ですかということをお聞きしているんだけれども、お答えいただけない。セキュリティーの原因とおっしゃいました。
ただこれは、各報道によると、赤澤大臣の執務室は既になくなった、撤去をされたというふうにも報じられています。その点では、もはやセキュリティー上の懸念は解消されているわけでございますので、今現に進行中の、いわば秘密の話であれば分かるんですけれども、これは過去の話ということでお伺いをしていますので、そういったことが過去にあったのであれば、その程度のことはお答えになれませんか。いかがですか。
○赤澤国務大臣 過去にあったかどうかということも含めて、全く申し訳ないんですけれども、同じお答えになってしまうので。
官邸内の執務体制については、私は申し上げる立場にございませんし、セキュリティー確保の観点から、従来からお答えは差し控えているものと承知をしております。
○山岸委員 完全なゼロ回答なわけで、いや、それで大丈夫なんだろうかということなんです。
つまり、そういうことがあります、あるいはありましたと御説明いただけるんだったら分かるんですけれども、何も言えないとなると、じゃ、まさに、石破政権の意思決定はブラックボックスですね、こういう御指摘をしなければならなくなってしまうわけで、どういう人がどういう形で官邸の中で総理の意思決定に関与をしているかということが事後的にも検証ができない、こういうことになってしまうわけでございます。
官房長官、これでいいのかなと私は思うんです。今、赤澤大臣からは、官邸の執務のことは自分は言えないから、立場じゃないからという話がありました。じゃ、まさに官邸を管理する立場である官房長官にお伺いしたいと思うんですけれども、林官房長官は、こうした、赤澤大臣が独自の部屋を構えるということに関して、何らか許可をされたりとか、あるいは情報共有をしたりとか、あるいは判断をしたりということはあったんでしょうか。いかがでしょうか。
○林国務大臣 今、赤澤大臣からも御答弁がありましたが、官邸内の施設に関する詳細につきましては、セキュリティー確保の観点から、従来からお答えを差し控えているところでございます。
○山岸委員 官房長官も完全にゼロ回答なんですね。でも、危機管理上いいんでしょうか。つまり、官邸の中に、本来そこで仕事をしているわけではない方が特殊な事情で部屋を与えられる、そういうことがあったかなかったかということも分からないということですよね。
そうしますと、じゃ、これからもこういうことが起こり得る、すなわち、何だかよく分からないと言ったら失礼かもしれませんけれども、本来いるはずじゃない人が、御意見番のような方が官邸の中に陣取って、総理の間近でいろいろなことをアドバイスをするということがこれからも起こり得て、そういったことが、終わった後からでも公表できない、説明できない、何があったか分からないということになるんでしょうか。官房長官、それでよろしいんですか。
○林国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、官邸内の施設に関する詳細については、セキュリティー確保の観点から、従来からお答えを差し控えております。
先ほど委員からは、意思決定、こういうお言葉がございましたので、意思決定をどういうふうにやっているのかということとこの施設に関する詳細ということは別個のことであるというふうには認識しておりますが、部屋ということでございましたので、施設に関する詳細、これは先ほどお答えしたとおりでございます。
○山岸委員 今、長官から率直な御答弁をいただいて、ありがとうございます。意思決定のプロセスの話と施設の管理は別だという話で、施設のことは言えないということで、私もそこは了承いたしました。
では、意思決定に影響はなかったのかということも併せてお伺いしたいと思うんですけれども、部屋のことは言えないということなので。
赤澤大臣が官邸の中に非常に頻繁に出入りをされて、それで様々な形で総理に助言をされるということは、官房長官の立場からしますと、やはり総理官邸というのは、総理がいて、官房長官がいて、副長官がいて、副長官補がいて、こういうラインでの意思決定というのが基本だと思うんですけれども、この意思決定において、何らか不都合であったり混乱を来している、あるいは来していたということはあったのかなかったのか。官房長官、これはいかがでしょうか。
○林国務大臣 もとより赤澤大臣はいろいろな分野の所管をされておられますので、お一人で本当に大丈夫なのかなと思うぐらい広い範囲をやっていただいております。そういうことで、官邸の内外を問わず総理にはいろいろな御報告等をしていただいているというふうには承知をしております。
そのことが、私がずっとおりまして、今おっしゃったような、指揮系統というんでしょうか、それに何か差し障りがあったというようなことは承知をしておりません。
○山岸委員 ありがとうございます。
私がこの問題を指摘しているのは、やはり危機管理上の懸念が一点あると思うんですね。申し上げたように、官邸というのは危機管理の中枢ですから、副長官補室の下にある安危から危機管理の情報が上がってきて、補室から副長官補、副長官、そして官房長官、総理、このラインで物事を決めていく。その途中で、本来そのラインにいるはずがない人が、いわば官邸に常駐をしていて、その方の意見も聞かなきゃねというふうなことが起こってくるようになると、本当に短い時間で判断をしていくという場合に不都合が起こり得るんじゃないか、こういう問題意識でこの問題を指摘させてもらいました。
赤澤大臣、ここまで御議論いただいて、部屋の話は言えないということはよく分かりましたので、御自分の総理の最側近としての責任感の部分と、しかし一方で、官邸の中で仕事をしていく上にあっての、いわば乱してはいけない意思決定のライン、指揮命令系統のライン、こういったこととの区分けというのは、御自分の中できちんとできているというふうに認識をされているか。あるいは、もしちょっとやり過ぎたなということがあるのであれば、これからは変えますというふうなお話というのは何かありますか。いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 山岸委員から今、最側近と言っていただいたんですが、私自身は、総理の左腕という言い方をいつもしていまして、これを言うと、ちょっとまた誤解があるといけないので、石破総理は右利きですので、外国の人から、左腕と言ったら、総理は左利きなのかと言われたことがあって、そうではなくて。そういう認識でおります。
総理を支えるという意味では、私よりはるかに、官房長官もそうですし、シニアの、閣僚もそうですし、先輩議員の方たちがしっかりお支えいただいて、この度の訪米もうまくいったと思っています。
私自身は、総理にお話しするときは、必ず官房長官に事前にお話をし、こういうことで総理に御意向を伺いたいということは申し上げた上で、御了解をいただいてから、なおかつ、総理に会うときは官房長官が必ずおられますので、ということをきちっと守ってやってきていますので、そういう意味では、山岸委員がおっしゃったような、何か指揮命令系統を私が乱すとか、そういうことはないというふうに私自身は認識をしております。
ただ、山岸委員の御忠告といいますか、アドバイスを今いただいたところであります。今後とも、そういうことのないように、ゆめゆめ、危機管理の最速の判断を求められるようなことについて、何か余計な口出しとかはもう一切、当然ながらしない、今後ともそれはしっかり肝に銘じてやってまいりたいというふうに思っております。
〔國場委員長代理退席、委員長着席〕
○山岸委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
官房長官はこちらまでで結構です。ありがとうございました。
まさに今議論してきたように、側近、やはりトップリーダーというのは、どういった方のアドバイスを受けて仕事をしていくかということが、なかなかこれは難しいわけでございますね。助言を誤れば道を誤るわけでございまして、その点でちょっと私、懸念するところがありまして、ひとつ議論をさせていただきたいと思っております。
楽しい日本という話がございました。総理の施政方針演説でお触れになったものでございますけれども、私も手元に持ってきましたが、堺屋太一さんの書かれた「三度目の日本」、これが元ネタであるということを総理御自身がおっしゃっているわけです。これは、元は赤澤大臣が石破総理に進言した、助言した、あるいはこの本を紹介した、こういうふうな経緯でまずもってよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 この「三度目の日本」について総理と私が話をしたのはかなり前でして、お互いちょっとその本に目を通して、これ、なかなかいいねと。内容は、もう本まで入手していただいてあれですので御理解いただいていると思いますが、とにかく、強さを目指した日本、国中心にですね、それが、企業中心に豊かさを目指し、次は、これだけ人口急減少の時代になると、一人一人の国民を大事にして、国民お一人お一人が楽しいと思ってもらえる日本にしたいねという話は長らく総理との間ではしてきた会話なので、どちらが最初に言い始めたかというのは、ちょっと正直、定かに記憶はしておりませんが、堺屋太一先生の本を読んで、総理も私も共鳴するところが非常にあったということでございます。
○山岸委員 ありがとうございます。
御記憶の範囲で構わないんですけれども、資料の三枚目ですけれども、赤澤大臣がかつて金融庁の副大臣をされていたときに、当時の金融庁の広報誌のインタビューに答えられて、この「三度目の日本」という本を紹介をされています。
この本が出たの自体は二〇一九年の五月ですので、それで、この金融庁の広報誌は二〇二〇年の年末号なので、一年半ぐらいしてからということになるわけです。この頃に、当時の副大臣が印象に残った本ということで御紹介されて、楽しい日本に関しても言及されているわけです。
この頃から石破総理とは、これがキーワードだよねというふうな議論を、細かいところは別にしても、折に触れてしてきた、こういうことでよろしいでしょうか。
○赤澤国務大臣 ここにあるのは、多様性を善とし、楽しさを美徳とすると。私自身は、多様性という言葉をこのときは使っておりますけれども、今、割と一貫して申し上げているのは、危機管理を善とし、楽しさを美徳とするということを申し上げていますが、委員御指摘のとおりで、もうこの時点では堺屋太一先生の遺作「三度目の日本」は目を通しており、その中で、中核のアイデアである、強さ、豊かさと来て、これからは、その強さ、豊かさも大事にするけれども、一人一人の国民が楽しさを感じられる日本にしなきゃいけないという思いは持っていたということで、委員の今の御指摘はそのとおりだというふうに思います。
○山岸委員 ということは、五年ぐらいの時間をかけて、石破総理と赤澤大臣だけで、この楽しい日本ということをキーワードにした様々なことを考えてこられたということなんだろうと思います。
実は、私は疑問があるのがここから先でございまして、五年間という時間の中で、かなりこの楽しい日本という言葉に込めている意味というか、指しているものが変わってきているのではないのかということなんです。堺屋さんが言っていた楽しい日本というものと、今現在赤澤大臣と石破総理がおっしゃっている楽しい日本というものは、指している社会像が大分ずれてきているのじゃないだろうかということなのでございます。
資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。これは「三度目の日本」の抜粋なんですけれども、堺屋さんが言っていた楽しい日本というのはどういうことかということなんですけれども、前段で、堺屋さんが、私は三度目の日本を楽しい日本にしようと提言すると。そこで、具体的に何かということで、楽しみを正義にするんだと。どういうことなのかなといって具体例を挙げているんですけれども、八〇年代のアメリカのことをおっしゃっていて、レーガン政権が規制緩和をしてストリップとカジノを緩和した、娯楽すなわち楽しみの解放だ、こういうことをおっしゃっているんですね。そのために必要なのが強力な規制緩和だ、官僚主導の打破だ、官僚主導を止めるんだと。そのために、後段の方ですけれども、例えばカジノ法のような形で、官僚主導を打破してカジノを実現していこう、こういう議論をされているのが元々の堺屋さんの楽しい日本の中身なわけです。
すなわち、官僚主導を打破して、強力な規制緩和によって、例えばカジノのような楽しいものをつくっていきましょうね、こういう議論をされているのが堺屋さんの楽しい日本。堺屋さんはもちろん大変大きな方ではあったけれども、大変失礼ながら、ちょっとこれは二十年前の新自由主義の発想で止まっちゃっているんじゃないかなと思うんですね。
官僚主導を政治主導でぶっ壊して強力な規制緩和をして、カジノをつくって楽しい日本だ、こういう議論というのはやはり一回り前の議論であって、今赤澤大臣若しくは石破総理が言っている楽しい日本、多様性が花開くような、安心、安全な日本をつくるんだという議論とは少し私はずれてきて、少しというか、かなりずれているんじゃないかなというのが正直な実感なんですけれども、赤澤大臣、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 まず、委員がいろいろ今御指摘されたので、一つ一つお話をすると、カジノについては、我が国では、いわゆるIR法、統合型リゾート、特定観光施設整備推進法かな、ちょっと正確だったかどうかあれですけれども、その法律に基づいて所定の手続を踏んで進めているというもので、なおかつ、カジノだけではなくて、その他いろいろな、世界的な会議をできるような会場とか、それ以外の、お子様も楽しめるような娯楽施設とか含めて総合型のものをつくろうということで、一方で、もちろんギャンブル依存とか治安の問題も含めて総合的に検討しながら前に進めているというものだと理解をしております、我が国においては。
その上で、堺屋太一氏の著書についてでありますけれども、強い日本、豊かな日本と来て、これからは楽しい日本を目指すべきで、総理はわざわざ、楽しさについては、共感をした上で、全ての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、今日より明日はよくなると実感できる、多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていける、そうした活力ある国家を目指していきたいと述べられたものと認識をしております。
私としても、我が国は、かつて、強さや豊かさを追求し、幾多の困難を乗り越えてきましたが、直面する人口減少に伴う諸課題に対応するには、本当にこれから人材が希少になってまいりますので、国民一人にとっての楽しさという価値を重視する社会づくりが必要だなということで、皆様とともにそういった日本をつくり上げられるように、石破内閣の一員として努力してまいりたいと思っています。
委員の御指摘の、規制緩和を主に進めて、何かやっていこうということについて言えば、楽しい日本をつくる上で規制の見直しをしなきゃいけない場合もあるかもしれないということは否定はいたしませんが、総理の御発言を聞く限りでは、それを頭の中心に置いているわけでは決してなくて、今申し上げたような考え方でいこうということでありますから、令和の日本列島改造として強力に総理が進めようとしている地方創生二・〇が楽しい日本の中核であり、故堺屋太一先生の著書に記載されている内容とは必ずしも同じではないかなということは申し上げておけるかと思います。
○山岸委員 意味が変わっているということなんですね。でも、やはり言葉というのは文脈や経緯がすごく大事なわけで、字面がいいから使ってしまって意味が違うということではかえって国民に誤解を招くと思うし、キャッチフレーズとしてはなかなか無理があるんじゃないかなというのが率直な実感です。
まさに、赤澤大臣、今部屋はもうないかもしれないけれども、総理の一番近いところにいらっしゃるわけですから、楽しい日本、ちょっとやめにしませんか、違う言葉にしませんかということを御進言なさってはいかがでしょうか。最後にいかがですか。
○赤澤国務大臣 楽しい日本ということに、私は非常に思いを込めています、総理も込めておられると思いますけれども。
まさに委員おっしゃったように、楽しさの中身というのは確かに時代によって変わっていくと思います。明らかに時代の変遷を経て変わっていくものであって、やはりそれは我々が敏感に、国民の皆様に楽しいと感じてもらえる日本をつくるために何をやっていくべきかということを本当に日々考えて、改めるべきところは改めていかなければならないと思いますけれども、私自身にとっては、やはり堺屋太一先生のおっしゃっていた、国中心に強さを目指した日本、企業中心に豊かさを目指した日本、そしてこれから人材が本当に希少になる、人材……(山岸委員「大臣、時間です」と呼ぶ)はい。ということなので、しっかりその楽しさの中身を考えながら、楽しい日本というものを実現をしていきたいというふうに思っております。
○山岸委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、伊東信久君。
○伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久でございます。
本日は、大きく三つのテーマについて質問させていただきたいと思っています。
最初の一つ目のテーマなんですけれども、緊急一時避難施設、いわゆる避難シェルター関連の質問をさせていただきます。
林官房長官は所信の中で、「大規模自然災害を始め、北朝鮮による弾道ミサイルの発射など我が国の領域内外における各種の緊急事態、重大事故、テロ及びサイバー攻撃への危機管理対応、地方自治体等と連携した国民保護の推進、複雑多様化する国際情勢や依然として厳しい国際テロ情勢に対応するための情報収集・集約・分析機能の強化、情報保全の更なる徹底等に取り組んでまいります。」と、現在の国内外における危機意識に関して述べられました。
昨今、自然災害は確かに頻発しております。地政学的なリスクの高まりに伴い、防災に関する危機管理も大事なんですけれども、加えて、有事対応の観点からも、避難シェルターの重要性が増していると思います。国際情勢の不安定化によって、戦争、テロ、核、生物化学兵器などの脅威に備える必要性も指摘されております。もちろん、避難シェルターありきではないと指摘する首長もいてることはいてはるんですけれども、やはり一%でも、その危険性がゼロでないということで、脅威から国民の身を守るためのこういったシェルターも必要なのではないかなと思っております。
ただ、これも、一般家庭向けのものから自治体や企業が設置する大規模なものまで、本当に多様な種類が存在しておりまして、耐震、耐爆機能を備えた地下のシェルター、空気ろ過システムを搭載した防護のシェルター、そして長期間滞在できるために備蓄整備、備えたものなど、用途や目的、これに応じた設計が進んでいるんです。
ここでまず政府参考人にお聞きしたいのは、現在は、沖縄・先島諸島の五市町村のうち、特定避難施設、いわゆるシェルター設備において、これは資料一に示しておりますけれども、与那国、石垣島、宮古島市は防衛省、竹富町、多良間村は消防庁がそれぞれの財政支援をして整備をされていますけれども、まずはシンプルな質問ですけれども、この防衛省、消防庁と財政支援が分かれている理由をまずはお答えください。
○門前政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、沖縄県先島諸島の五市町村が特定臨時避難施設を整備する予定であり、国としてこれを財政支援することとしております。
そのうち、防衛施設を有する与那国町、石垣市、宮古島市につきましては、防衛省が従来から、環境整備法等により、様々な公共用の施設の整備について補助を行ってきた経緯がございます。今回整備する特定臨時避難施設につきましても、防衛省において補助を実施する予定の公共、公用施設の地下に整備するものでございます。
また、防衛施設を有しない竹富町、多良間村につきましては、特定臨時避難施設は市町村庁舎等の公共、公用施設の地下に整備することとされたことや、消防庁が避難施設の指定業務の担当省庁の一つでもあったという経緯がございます。
こうしたことを踏まえまして、先島諸島の特定臨時避難施設の整備に対する国の財政措置の担当省庁を政府全体の議論の中で決めさせていただいたところでございます。
○伊東(信)委員 これまでの経緯のことはよく分かりましたけれども、済みません、ちょっと確認なんですけれども、では、この避難施設の指定業務自体は消防庁が所管しているということでよろしいんでしょうか。
○小谷政府参考人 そのとおりでございます。
○伊東(信)委員 そのとおりと御答弁してもらいましたけれども、では、今後、全国に避難シェルターの設置を進めていこうとする場合、その所管も消防庁が担うことになるんでしょうか。今年度末までに全国のシェルターの確保に関する実施方針を取りまとめて策定する予定であるということは承知しているんですけれども、その場合でも消防庁が担うということでしょうか。それで、その概要や方向性は早急に、やはり災害、有事は待ってくれませんので、速度感も含めてお答えください。
○門前政府参考人 お答えいたします。
今後につきましては、今委員御紹介いただきましたとおり、令和七年度末までに全国のシェルターの確保に関する実施方針を策定をさせていただく予定といたしておりまして、その中で、シェルターの確保策を定め、それに応じた所管省庁についても決定した上で、関係省庁が連携して対応していくことを考えております。
○伊東(信)委員 それでは、現在の状況を見ていきますと、緊急一時避難施設としては五万八千五百八十九か所、地下の施設としては三千九百二十六か所が指定されているんですけれども、資料を見ていただくと。
このことに関しまして、まず一つとしては、人口のカバー率で足りているのか。二つ目としては、これは大事なんですけれども、やはり質としては大丈夫なものなのか。三つ目としては、私は大阪が選挙区なんですけれども、大阪の中でも和歌山に隣接しているところでして、大阪市内だったら地下施設というのは地下街がありますし、建物においても地下施設、可能なんですけれども、大阪においても、私の地元では地下施設がほとんどありません。やはり地方においては偏在するところもあるんですけれども、この解消についてお答えください。
○小谷政府参考人 お答えいたします。
委員御質問の緊急一時避難施設でございますが、これは、爆風等からの直接の被害軽減に有効なコンクリート造り等の堅牢な建築物や地下街、地下駅舎などの地下施設でございます。
委員御指摘のとおり、令和三年度から七年度まで五年間を集中的な取組期間として、関係省庁と連携して指定の促進を進めてきておりまして、令和六年四月一日現在で、緊急一時避難施設については全国で五万八千五百八十九か所が指定されており、そのうち地下施設は三千九百二十六か所となっておりますが、指定された施設の想定収容人数を人口で割った数値である人口カバー率につきましては、緊急一時避難施設については全国で一三九・七%、地下施設につきましては全国で四・七%となっているところでございます。
委員御指摘のとおり、地域的な偏在ということも課題として存在しておりますことから、今後ともより一層の指定促進に努めてまいります。
○伊東(信)委員 先週なんですけれども、一つ下の後輩と食事をしまして、彼は保険会社なんですけれども、いわゆる九・一一のときのあのセンタービルにいてたんですよね。テロの有事が発生して、本来はマニュアルにない、つまりは、非常階段で降りないといけないところを、本人は何を思ったかエレベーターで降りて、すとんと一階まで降りて助かったわけなんですけれども、その瞬間にビルが倒壊したらしくて。
彼の話を聞いていますと、生々しいというよりも、有事に関して想定外のことというのはやはり起こり得ます。前回もシェルターについて質問させていただきまして、先ほどの答弁にもありましたけれども、地下の施設がやはり足りていない。これはやはり、国においては近々に対策をしてほしいと思います。堅牢なビルといいましても、やはりそれが倒壊する可能性というのは非常に高いわけですね。
ただ、ここで、こういった地下の設備も含めて全国に展開するとなると、かなり予算がかかります。単独でこの負担を負うことが厳しい自治体も出てくるのではないかとは思うんですけれども、一方で、命を守るための施設としての機能は維持しなければなりません。この点に関して、参考人にお尋ねいたします。
予算に関して、自治体単独では無理じゃないかというところです。
○門前政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、今後の取組につきましては、令和七年度末までに策定をすることといたしておりますシェルターの確保に関する実施方針がございますので、その中で財政的なことも含めて検討させていただければと考えております。
○伊東(信)委員 有事に対しては待ったなしで、先ほどの後輩の話はいわゆるテロによる攻撃だったんですけれども、やはり国民の皆さんは不安だと思います。
やはりスピード感というのも大事だと思いますので、今年やるということなんですけれども、本当に、強い決意というか、石破総理自身もかねてより危機意識を持たれています。有事の避難シェルターの必要性についても言及されているんですけれども、政府としての今後の方針を、では、どのように取り組んでいくつもりなのか、これは内閣官房長官にお尋ねいたします。
○林国務大臣 今、伊東委員からお話がありましたように、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中でございまして、国民保護の取組強化、これは重要であります。武力攻撃を想定したシェルターの確保、その一環でございまして、着実に推進してきております。
具体的に少し申し上げますと、先島諸島ですが、一定期間滞在可能なシェルターの整備に向けまして、政府による技術的、財政的支援を開始をしております。また、全国的にも、緊急一時避難施設の指定促進、また充実も含めた在り方の検討に取り組んでおります。
令和六年度の補正予算で、今後の緊急一時避難施設の在り方を検討するために、既存施設をシェルター化する際の、どうした費用がかかるのか、工期はどうなのか、その他課題があるのかないのか、こういうことを調査するフィージビリティー調査、これを実施することにしております。
こうした取組を進めまして、先ほど来御議論いただいておりますように、令和七年度末までにシェルターの確保に関する実施方針を策定する予定でございますので、関係府省しっかり連携して、シェルターの確保に着実かつ早急に取り組んでまいりたいと思っております。
○伊東(信)委員 政府におきましても、しっかりとした方針で、スピード感を持って進めていただきたく思います。
二つ目の質問なんですけれども、先ほど、私、和歌山に隣接している大阪の泉州地区というところにいます。関西国際空港がその地区にあるんですけれども、その地区に特区制度がございましたので、このことについて、二つ目のテーマとして質問させていただきます。
特区制度というのは、規制緩和を通じて、地域経済の活性化、産業競争力の向上を目指して導入されておるというところなんですけれども、これも時代の変化とともに大きく三つ設けられておりまして、平成十四年、小泉純一郎内閣の構造改革の一環として特定の地域で規制緩和を試験的に実施するためにまず導入されて、二つ目として、これは平成二十三年、民主党政権下なんですけれども、経済活性化と地域再生を目的に、平成二十五年、安倍晋三内閣の成長戦略としてより強力な規制緩和を目的に設立されました。
さて、石破総理は地方創生二・〇を強力に推し進めていくとされていますけれども、それでは、官房長官にお尋ねしたいんですけれども、石破内閣の位置づけとして、この特区制度を今後も活用していくお考えがあるかどうか、特に、私の地元の泉州地区は総合特区になっておるんですけれども、この活用についてはどのようになっていくのか、官房長官にお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 この総合特区制度を始めとした特区制度でございますが、規制・制度改革、そして国と地域の支援策の活用、こうしたことを通じて、特に総合特区制度においては、産業の国際競争力強化となる拠点形成、また地域資源を最大限活用した地域の活性化を推進する制度でございまして、二十三の指定区域において取組が行われております。お地元はその一つということだろうというふうに思います。
石破内閣が掲げます地方創生二・〇におきましては、付加価値創出型の地方経済の創生、そして地方の課題を起点、スタートとする規制・制度改革に取り組む、こういうことにしておりまして、総合特区制度を含む特区制度についても、こうした地域の期待により一層きめ細かく応えることができる制度ということで大いに活用してまいりたいと思っております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
官房長官に対する御質問はここまでなので、御退室いただいて結構です。ただ、しっかりと推し進めていただけるということで期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
その上でなんですけれども、総合特区というのは、国家戦略総合特区と地域活性化総合特区の二つが設けられておりまして、地域資源を最大活用して地域活性化の取組による地域力の向上を目指した地域活性化総合特区では、ライフイノベーション分野で、関西国際空港、泉佐野市というところにあるんですけれども、国際医療交流の拠点づくり「りんくうタウン・泉佐野市域」地域活性化総合特区という指定を受けております。
資料四に示されて、公民一体となってこれまで国際医療交流の拠点づくりを行っておったんですけれども、現在に至るまで、これは本当に、民主党政権のときから始まっていますので、結構長くこの特区制度は生かされているわけなんですけれども、改めて所管の副大臣から、地域活性化総合特区活用の現状と評価、また、ちょっと個別になっちゃいますけれども、このりんくうタウンの地域活性化総合特区に関する評価等についてお聞かせください。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
総合特区については、産業の国際競争力強化を目的とする国際戦略総合特区として六区域、地域資源を最大限活用する地域活性化総合特区として十七区域が現在指定されているところであります。
各特区の評価については、有識者で構成される総合特区評価・調査検討会で、毎年度特区ごとに評価を行っております。直近の令和五年度評価では、五点満点中、十分に優れていると認められる四以上が約六三%、その他の区域も全て、適当であると認められる三以上となっており、全体としておおむね順調に進捗しているものと考えております。
○伊東(信)委員 おおむね順調と言っていただいたんですけれども、この総合特区については、今後というか、平成二十五年十月以降の指定は見合わせることになっておりまして、予算措置に関しても、総合特区推進調査費というのが令和六年度予算で四百万なんですね。これで医療ツーリズム、国内外から、特に海外から、がん治療の拠点となっているんです。
私は医者をやっていまして、細かいことを言うと申し訳ないんですけれども、がん細胞の、栄養する血管というのがあるんですよね。がん細胞に入り込んでいる血管の中にワイヤを、カテーテルを入れてそこに直接抗がん剤を入れるから、全身投与に比べてかなり副反応も少ないということで、これで総合特区を始めようということになったんですけれども、なかなか四百万だけじゃ厳しいわけでして。
何が言いたいかといいますと、三つ特区制度があって、二つ目のこの総合特区制度が、ややもすれば政府に忘れ去られているんじゃないか、そういう危惧がございますよね。せっかくさきの、さきの政権と言ったら怒られるかな、できたやつなので、それは党派を超えて、しっかりといいものはやってください。
特に、今年は万博がございまして、国内外から更に、来場者も日本に国外から来られるわけですから、こういった医療ツーリズムも含めて、これを提案するのも万博のテーマだと思っておりますので、しっかりとお願いいたします。
ちょっと万博の話をしましたので、最後に万博の質問をいたします。
いろいろ課題はありますけれども、伊東大臣に本来お尋ねしたかったんですけれども、ちょっと御病気というか体調を崩されたということで、まずはゆっくりとお休みいただきたいと思っております。
伊東大臣も石破総理と一緒に万博の方に視察に来ていただいたわけなんですけれども、さて、やはりチケット購入に関して、かなり複雑でなかなか買いづらいという指摘があるんです。本当は伊東大臣に質問しますよと申し上げていたんですけれども、ちょっと事情が事情なので、大臣にまずは質問したかった質問なんですけれども、副大臣、万博訪問の個人的な訪問予定はございますでしょうか。チケットを購入されましたか。若しくは、購入の手段はどうされますか。教えてください。
○古賀副大臣 チケットを既に購入をいたしておりまして、実際に万博会場に行くことを今から楽しみにしている一人でございます。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
もううなずくあれでいいんですけれども、ネットで購入されましたか。
○古賀副大臣 私はコンビニで紙チケットを購入いたしました。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
コンビニで購入できるようになっているんですよね。結構その辺りが、しっかりと報道がされていないんじゃないかなというところもあります。
実は私、購入していなかったんですよ、ネットで挑戦しようと思いまして。やはり今回の万博の一つのテーマとして、デジタルを推進して、そして個人個人にカスタマイズされたサービスを万博内で実施をするというテーマがあったので、購入していなかったんです。一回目はIDが取れなくて、やっとIDが取れたんですけれども、その後のパビリオンその他のところが煩雑なので、実は断念していたんですよ、本当に。
それで、今日の朝、取れました。かなり取りやすくなっているんですよね。改良されています。だから、一回目の挫折は何やったんかなと思っておるんですね。この辺りのところを、メディアはまだアンフェアなんですね、このチケット販売に関して。
大阪府の吉村知事が、今月五日に石破総理に要望書を手渡して、ウェブサイトの改善、五日に出してもう改善されているのかなとびっくりしたぐらい、すぐ買えたんですよ、今日。それで、コンビニエンスストアで購入できることのPRということで、今副大臣がおっしゃられました。旅行会社の提携、誰もが円滑に入場できる当日券。
この当日券の導入も含めて、今後どのように改善が進み、今後どこまで対応を考えていくのか。これは参考人の方からお願いいたします。
○茂木政府参考人 チケットの購入方法が少し難しいという御指摘も多々受けていることを私ども承知をしておりまして、今委員からも御指摘がございましたが、公式のホームページの方は早速改善をさせていただきまして、それから、コンビニエンスストアの方もしっかりとPRをしていきたいというふうに思っております。
それから、全国の旅行代理店、主要な旅行代理店の支店ですとか窓口、こちらでもチケットの購入もできますし、それから、その際には、旅行手段ですね、交通手段ですとか宿泊、こういったものもセットにして、いろいろなツアーもかなり今出てきておりますので、こうしたものも御活用いただきたいというふうに考えております。
公式ホームページの方は、今委員から御指摘があったとおり、二月五日から早速チケットの購入のバナーをトップに置いて、導線をかなりすっきりさせるということで買いやすくいたしました。もっと早くからやれという御指摘はそのとおりでございますが、早速そういう形にさせていただいております。
それから、コンビニの方は、日時予約が不要な紙チケットというのをコンビニで購入いただくことができます。これはまだまだ認知が十分されていないということもございまして、各コンビニさんと連携をして、二月の上旬から全国の、例えばセブンイレブンさんなどは、コンビニエンスストアの店頭にポスターを貼っていただいて、手軽に買えることをPRしていただいております。
それから、パビリオンの入場、これについてもなかなか難しいという声もありました。この点ですが、事前予約をお勧めしておりますけれども、予約が不要で入場可能なパビリオンや当日の予約枠も多数設定しておりますので、万博は事前のパビリオン予約なしでも十分に楽しめるということでもございます。この点も含めてしっかりPRをして、発信をしてまいりたいというふうに存じます。
○伊東(信)委員 そうなんですよね。各社新聞の指摘記事を見ているんですけれども、コンビニで買えるようになったと。なったら今度は、でも、パビリオンは予約が必要だから結局はややこしいという指摘があるんですけれども、パビリオンも予約なしで行けるんですよね。この辺りをきっちりと、やはり政府ももう少し、もう一歩強調していただきたいなと思っております。
といえども、私はウェブで買えましたので、しっかりと見ていただいたら、バナーが前に出てきたというのはよく分かります。ただ、IDに関して、やはりこれは取る方が何かしらメリットがあるんですか。私は取ったから買えましたけれども、IDを取らなければ何か問題があるということはございますでしょうか。
○茂木政府参考人 まず、ネットで御購入される場合にはIDを御取得いただいています。というのは、これは、例えばいわゆる自分のIDのサイトに入ってデジタルチケットを見ていただくわけですが、例えばパスワードを忘れてしまってデジタルチケットが見られないというときに、本人確認をした上でパスワードを再発行する、あるいは変更する、こういった手続が必要になりますので、それに応じた必要なIDを万博IDとして取らせていただいているということです。
一方で、コンビニエンスストアの場合は、予約日が不要ですので、特段IDを取得することなくチケットを御購入いただけるということになりますので、いずれかの方法で取得いただければというふうに思います。
○伊東(信)委員 いずれにしても、私の認識としては、チケット購入に関してはかなり改善されていると思います。
当日券に関しては今後考えていただくというよりも、本当にもう、本日十二日です。二か月後のあしたですよね、万博が始まるので、もう二か月ということなので、この万博の間、万博の開催中も施策をするということなんですけれども、伊東大臣が地方創生にもつなぐことを述べられたので、最後は政府において具体的にどのように進めるかをお尋ねしようと思ったんですけれども、時間なので守ります。
終わります。
○大岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○大岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。橋本慧悟君。
○橋本(慧)委員 立憲民主党・無所属の橋本慧悟と申します。
午前中に引き続き、質疑をさせていただきます。今日は、たくさんの大臣に集まっていただきまして、済みません、ありがとうございます。早速始めさせていただきます。よろしくお願いします。
まずは、政治の信頼回復について官房長官にお聞きしたいと思います。内閣の要でいらっしゃいます官房長官に是非とも御所見をお聞きしたいと思います。
昨年の総選挙で、政治と金の問題が大きく取り上げられ、そして裏金問題が争点の一つともなりました。選挙の結果、少数与党となり、使い道を公開せずに何十億、何百億と支出してきた政策活動費の廃止が決まるなど、何十年も変わらなかったこの政治と金の問題が少しずつ前に進んでいると思います。
一月十九日に産経新聞等が実施した世論調査において、内閣の支持率は約四三%、支持しないが約四九%、二十六日公表の日経新聞等の調査では、支持率が約四三%、そして支持しないが約五〇%ということで、国民の半分が支持をしていないというような結果にも見えるんですけれども、官房長官は、政治の信頼の回復は達成したとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
○林国務大臣 政治改革につきましては、各党各会派で御議論いただくべきものと認識しておりまして、政府としてお答えするということは差し控えたいと思います。
石破総理は、自民党総裁として、一連の政治資金の問題を受け、政治は国民のものとの原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に政治改革に取り組み、昨年十二月の臨時会では、政策活動費、今お触れになっていただきました、そうしたものを含めて必要な法制上の措置を実現した、こういうふうにおっしゃっております。
さらに、昨年の立法を受けまして、第三者機関である政治資金監視委員会、これを国会に設置するための法律、それから、所属国会議員が起訴された場合などにおけます政党交付金の交付停止などに関する法律が必要とされておりますので、その実現に向け、各党各会派と議論を進めていく、こういうふうにおっしゃっております。
さらに、企業・団体献金禁止法案については、衆議院の政治改革特別委員会におきまして、令和六年度末までに結論を得るとされておりまして、自民党としては、禁止より公開という考えの下で、各党各会派との議論を続けてまいるということ、そしてさらに、政治に対する信頼を確保するため、政党などの規律と担保方策、そのための法制度などについても議論を深めてまいりたい、こういうふうに述べられているものと承知をしております。
○橋本(慧)委員 政党の問題であるということで内閣としてはお答えを控えるというような答弁でありましたけれども、政治への信頼とか政府への信頼といいますのは、それを構成する御党の信頼と深く関わっていると感じています。
一月十九日のこの調査では、政治と金の問題をめぐり、政策活動費が廃止されたことについて、自民党の信頼は回復したかという質問に、余り回復していない、また、全く回復していないというのが八七・五%、約九割の回答を占めたということです。実に九割近くが、信頼は回復していませんよというお答えになっているということ。また、最近では、東京都連の裏金問題も発覚をしました。他府県でも同様の事案が見つかるなど、まさに全国隅々までこの問題は根深く、そして政治自体の信頼を失墜している事態の一つに、大きな要因になっているのではないかと思います。
この状況を鑑みて、自民党の皆さんのみならず、政府への信頼、ひいては政治全体、我々も関わっている政治全体への信頼を回復するためにも、力強く、内閣の要でもいらっしゃいます官房長官、政治改革を進めていただきたいと思うんですけれども、この辺り、新たに東京都連の問題も発覚しましたし、今後重要な選挙も控えております。本当に、あと一言、強い政治改革への決意、信頼回復のための決意をおっしゃっていただければと思います。
○林国務大臣 総理が総裁として、信頼が回復しているかどうか、それを総理・総裁の口から言うのではなくて、これは国民の皆様が判断するものである、こういうふうにおっしゃっていたというふうに記憶をしております。その総理・総裁、総理としての石破総理を支える者として、しっかりこうした取組、総理を支えてまいりたいと思っております。
○橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。
政治の信頼回復と併せて、選挙の信頼回復ということも今後は非常に重要な論点というか、テーマになってくると思うんですね。
これはコメントというか要望としてお伝えをして終わらせていただきたいと思いますが、危機管理についても役割を官房長官は担われていると思います。やはり民主主義の根幹であります選挙制度が今非常に疑念を持たれているという状況、これについては、各種、様々な論点で問題が本当にはびこっていると思いますので、是非それをしっかりと横串を刺していただいて、民主主義の根幹である選挙制度を前に進めていただきますようにコメントをして、終わらせていただきたいと思います。
官房長官につきましては、お忙しい中、ありがとうございます。御退席いただいて結構です。
続きまして、個人情報保護法についてであります。
これは、お配りしております資料の一枚目に関連する内容であります。これについては、先週の二月五日に、個人情報保護法の制度的課題に関する考え方が個人情報保護委員会から公表されました。資料はその事前の一月二十二日付の概略図でありますが、個人のデータ等を取り扱う際にどのように利用者の同意を得るか、また、その規制の在り方や漏えいなどが発生した場合の本人への通知などの対応、また、子供の個人情報等の取扱いをどう強化するかなどが主な論点として提示されたと認識しています。
今回の主な論点について、端的に、国民に分かりやすい形でお示しをいただければと思います。
○平国務大臣 橋本委員にお答えいたします。
個人情報保護法のいわゆる三年ごとの見直しということがありますので、今その見直しの作業を進めているところであります。
昨年の六月には中間整理、そして、昨年の七月以降、また、いわゆる課徴金などの関係で検討会などが行われ、昨年十二月に状況の整理を行っています。さらには、今お示しされたのは、今年の一月に、中間整理のパブコメに対して、個人情報保護委員会では、制度の基本的な在り方に関する有識者ヒアリングを実施をして、今年の一月に再整理を行ったと認識をしております。
主な柱は、まず一点目として、先ほど指摘された、個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方、二つ目が、個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在り方、そして三番目として、個人情報取扱事業者等による規律遵守の実効性を確保するための規律の在り方、この三つの柱に沿って、今、制度的論点が整理をされ、議論が進められているものと認識をしております。
○橋本(慧)委員 御答弁ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいた三つの柱でこれから検討が進んでいくものと承知はしておりますが、資料の二枚目になります、めくっていただいた裏側になりますが、三つの論点のうちの一つ目、個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方のところ、左側を黒囲みさせていただいております。
例えば、個人情報の取扱事業者が統計の作成等において膨大な個人情報をAIに読み込ませて統計を作成する場合など、一々本人の同意を得なくてもいいんじゃないのかというような方向性にこの議論は進んでいくのではないかというふうに私は感じているんですけれども、是非ともこれは丁寧に議論を進めていただかないと、情報を預ける利用者側はやはり不安なわけですね。
現状、何かウェブ上での手続を思い浮かべていただきたいのですけれども、例えば、スマホの画面で個人情報を入力して、注意事項やこの規約に同意をしますかというような画面が長々と出てきて、それをスクロールしながら、最後に、同意をするとタップをして、そして次の画面に進んでいるというのは、皆さん、よくイメージがつくと思います。
少し乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、事業者側も、我々利用者側も、この同意という部分に関して余り深く考えずに、スクロールをざあっとしてから、ぽちっと押して次に行かないといけない、その行為をやってしまっているのじゃないか。これについては、大いに議論というか、改定の余地があると思います。
これについては、事業者側がもっと同意の取り方なんかを工夫をすれば、更に今の状況でも実効性のある、よりよい制度になるんじゃないかなと思いますし、それを是非とも促していくべきだと思うんですけれども、是非、御所見、お聞きしてもよろしいですか。
○平国務大臣 まず、AIが大変今進化をしていますので、私自身はAIの政策もやっていますので、AIのそういった発展を余り阻害をしてはいけない、AIの特性に沿った個人情報のいわゆる管理の在り方があるんだろうというふうに思います。パラメーターに溶け込んでいてアウトカムで出てこないようなものは個人情報と遮断されているという考え方もあると思います。
ただ、個人情報保護委員会、いわゆる三条委員会なので、私が政策を指示する立場にないということは御理解をいただきたいと思います。
また、委員の問題意識で、規約をずうっとスクロールして、最後ぽちっと押すのは、私も中は読んでいないです、正直言って。なので、あれは、何でも本人同意という前提があるので、あれが実際、実質、機能しているかどうかも分からないのに、最後まで読ませて、同意さえすれば本人同意があって免責というのは、私はちょっとこれは工夫をしないといけないだろうというふうに思っています。
なので、そのデータ自体が個人情報と切り離されているとか、あと、契約をした人の利益につながるような形を、今、個情委の方でいろいろな議論をして、実効性のある議論が今まさに進められていると承知をしていますので、もし詳細が必要であれば、個人情報保護委員会の事務方が来ておりますので、お尋ねをいただければと思います。
○橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。
確かに、おっしゃるところ、すごく分かるところもございますし、一方で、ただ、やはり利用者側としても事業者側としても、今後、より実効性のあるものに進めていくためには更なる改善が必要だと考えております。
それで、これは大臣に直接お聞きしていいものか分かりませんが、一方で、どちらかというと規制改革、緩める側の監督官庁、例えばデジタルも含めて、できればそういった規制をなるべく、本人同意のお話もるるありましたが、是非とも和らげていただきたいというような立場、両方の立場を所管する大臣であると認識しております。本当に、規制と緩和というのをそれぞれ大臣が一つの所管の中で扱うということは、見方によっては利益相反にも当たるんじゃないか、こういった議論も、指摘もあると思うんですが、そこについてはできれば切り離してやるべきだと思うんですけれども、大臣としてのお考え等があればお聞きしたいと思います。
○平国務大臣 個人情報保護委員会を設置することになった元々の法律も、私、自民党時代にも平井卓也さんとかと一緒に作っていました。ヨーロッパのいわゆるGDPRの十分性認定のためにこの個人情報保護委員会をつくったわけでありまして、個人情報と利活用と、本当は利活用も入れたかったんですが、それはやはり趣旨に反するだろうということで、今の個人情報保護委員会の形になり、いわゆる三条委員会として独立性が担保されていて、私は、規制改革とかデジタル行財政改革の担当大臣でもありますが、細かい政策云々について私が指示する立場にないということで、独立性が担保をされている。
一方で、ヨーロッパはGDPRで個人情報が守られている一方、分野ごとに情報の利活用の法律もしっかり制定をされています。日本はその辺の法律が足りないものですから、これはデジタル行財政の文脈で作っていきたい。個人情報保護の方は独立した委員会が規律の全体のエコシステムをつくっていくということで御理解をいただきたいと思います。
○橋本(慧)委員 まさに今大臣からGDPRについてのお話も言及があったと思います。改正を経るたびに、このGDPR、手元にあるんですけれども、GDPRの基準に日本もどんどん近づいていっているんじゃないかというふうにも承知をしておりますし、子供の同意等につきましてもGDPRの第八条でも言及されておりまして、日本の今回の改正においても子供の権利をしっかりと守るというところが追加される方向、そういう御指摘があったというふうに承知しておりますので、是非とも、その部分については本当に大切な視点だと思いますし、今子供たちの、デバイスでありますとか情報と接する機会というのが本当に増えていますので、しっかりと守られるべきところは守るというところの取組も進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
では、次の質問に移らせていただきますので、平大臣におきましては、ここで退席いただいても結構です。済みません。ありがとうございました。
この個人情報保護法に関して、もう一つ継続させていただきたいんですけれども、私の住む兵庫県では、元県庁の幹部が知事等の違法行為疑惑等を告発した一連の文書問題の中で、本当に一部の、人事ラインにいるような方とか一定の役職の上の方の職員しか知り得ないはずのプライバシーに関わる個人情報を前総務部長が情報漏えいしたという疑惑が取り沙汰されております。複数の県議がこれを前総務部長から見せられたという証言も実際あるんです。これは事実であれば重大な個人情報保護法の違反であると考えておりますし、民間企業よりも更に膨大で、県民の要配慮情報等も知り得る立場の方がこれを流出したとなると、本当に悪質性が高い、極めて高い事案だと大変危惧をしております。
一般論としてのお答えしかできないかもしれませんが、県警や地域の警察組織が様々な問題の対応にも当たると思うんですけれども、やはり県知事でありますとか、一応その傘下に兵庫県警というのは置かれている状況にあります。そういった状況も鑑みて、国とか警察庁として、こういった事案が発生したときに、地域でありますとか都道府県警というような対応だけじゃなくて、もっと国や警察庁としての関与というか、深めていく必要がある。より事態を重く見て、厳正な対応と地域の警察のバックアップ、支援が必要だと感じているんですけれども、国家公安委員長、是非とも御所見をお聞かせください。
○坂井国務大臣 委員も触れておられましたが、あくまで一般論としてということでございますが、個人情報の漏えいに関して警察はどのように対処しているのかということでございます。
都道府県警察におきましては、個人情報の漏えいに関し、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき厳正に対処しております。また、警察庁におきましては、必要に応じて都道府県警察に対して助言や指導を行っているものと承知しております。
○橋本(慧)委員 是非、本当に厳正に法と証拠に基づいて対応をしていただきたい。今本当に様々な問題が世間をにぎわせていると思います。そして、虚偽の情報も含めてSNSで個人情報がむやみやたらに拡散をされてしまったり、誹謗中傷であったりとか、先ほども触れましたが、選挙制度にまで波及して大きな影響があるんじゃないかと痛感しております。この様々な観点から個人情報保護も含んで強化をしないといけないと思っておりますので。
今回の、国の個人情報保護委員会がお示し、公表された考え方や報告書等を読んでおりますと、実効的な抑止手段とか課徴金制度、個人情報保護法の罰則規定、こういったものも触れられていますが、実はこういった課徴金制度とか罰則規定が弱いんじゃないかというような議論も、指摘もあると思います。
これについては、今後、法改正でありますとか今後の見直しのときに、是非とも、もっと実効性を持たせるために課徴金制度でありますとか罰則規定というのを見直しをしていただきたいというふうに考えているんですが、是非とも、その進め方でありますとか御所見、お聞かせいただいてもよろしいですか。
○坂井国務大臣 それは先ほど答弁された平大臣の所管でありますので、私の方からはちょっとお答えできない。事務方にお願いします。
○佐脇政府参考人 お答えいたします。
先ほど平担当大臣からもお話ししましたとおり、現在、三年ごと見直しということで、今委員がおっしゃいました緩和に加えて、どうその緩和したものを規律をしっかり担保するかという措置も含め、全体についての見直しを行っているところでございますので、様々な関係者とも十分に議論を進めながら、しっかり守られるような枠組みとなるよう検討を深めてまいりたいと思います。
○橋本(慧)委員 是非ともよろしくお願いします。
次の質問に移らせてもらいます。
国民の負担を減らす経済財政政策について、食料品等の消費税減税、ゼロ税率について、赤澤大臣にお伺いできればと思います。
これについては様々な議論があると承知しておりますし、党内でもまとまった見解があるわけではなく、私の個人的な見解を含むことを是非御了承いただければと思います。
物価上昇に賃金上昇が追いつかず、国民は手取りのアップ、手元に使えるお金を増やす政策をまさに望んでいると考えています。働いても働いても、税金と社会保険でその収入の約半分を取られてしまって、江戸時代でいうと、年貢制度、五公五民ですよね、収穫した米の五割を年貢として政府へ納めて、残りの五割が農民の手元に残る。そんな状況で、物価高騰が続き、生活必需品の価格も上がって日々の生活が苦しい、これが国民の切実な声だと思います。
さらに、その物価上昇を上回る賃上げが、定着が必要だと政府は皆さん言われていますけれども、三年連続、実質賃金はマイナスという状況です。つまり、頑張って働いて収入を得ても、それ以上に物やサービスの値段が上がるということで、まさに、なかなか消費にも回らない状況じゃないかなと考えています。
そのような中で、GDPの約六割を消費が占めるということで、民間設備投資や公共投資よりも消費が占める割合が大きい。個人消費の拡大こそがまさに経済成長につながると考えますが、その個人消費を増やすための政策について、大臣、端的にお答えいただけますでしょうか。
○赤澤国務大臣 委員の御指摘でありますけれども、実質賃金については、マイナス幅は縮小してきているということと、直近でいえば、十一月の確報値と十二月の速報値ではプラスであるということは冒頭申し上げておきたいと思います。
その上で、我が国のGDPの過半を占める個人消費については、二〇二四年の四―六月期、あるいは七―九月期、二四半期連続で増加したものの、購入頻度が高い食料品等で価格上昇率が高い状況が続き、消費マインドが慎重化していることもあって、賃金、所得の伸びに比べて個人消費の伸びが抑制されていることは御指摘のとおりであります。
国民の皆様に安心して消費していただける経済をつくっていくために、賃上げこそが成長戦略の要ということを総理もおっしゃっていますし、そういう認識の下で、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図っていくこととしております。
あわせて、こうした賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じるということで、具体的には、二月四日の閣僚懇談会で総理から指示がありまして、低所得者世帯の方々の、世帯当たり二万円、子供一人当たり二万円の給付金、あるいは地域の実情に応じた、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々、学校給食費への支援等を行う重点支援地方交付金など、総合経済対策で決定した施策について、一日も早く国民の皆様にお届けし、効果を実感していただけるよう迅速に執行してまいります。
○橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。
もちろん、それらの政策と考え方も当然大事だと思っていますが、私としては、やはり国民目線、国民が日々の生活で何に困っているかが抜けているのではないかと考えております。
資料を配らせていただいておりますが、三枚目、グラフが載っているものを御覧いただければと思います。
先週発表された総務省の家計調査から、家計での消費に占める食費の割合、いわゆるエンゲル係数が、昨年、二〇二四年は二八・三%となったことが分かりました。消費の約三割を食料品等の食費にかけざるを得ない状況であり、諸外国と比べても圧倒的に日本が高い状況です。この下のグラフについては日経新聞の二月七日付の記事からの引用、そしてそれ以外は昨年十一月十七日付の同社からの記事を転載しております。
多くの国民は、日々の買物でも、本当に、少しでも値引き品を買うとか、生活防衛を図っているわけです。私も、国会の閉会中につきましては毎週二回、三回とスーパーに寄って、ここ数年は本当に値上がりがすごいなということを痛感しております。
諸外国では政策的にも行っております。イギリスは二〇%の付加価値税があって、しかし食料品はゼロ。オーストラリアもカナダもゼロ%。韓国も、消費税は一〇%ですけれども、食料品は非課税です。消費税の標準税率が一〇%の国で食料品に消費税をかけているのは、実は日本だけだということです。
このような中、やはり国民の日々の暮らし、一日三食、子供からお年寄りの食を守る、つまり命と健康を守るためにも、今こそせめて食料品の消費税減税、消費税のゼロ税率というのを政府の経済財政政策の一つとしても実行すべきじゃないかと私は考えるわけですけれども、いかがお考えでしょうか。端的にお願いします。
○赤澤国務大臣 橋本委員御指摘のとおり、今、食料品、頻繁に国民の皆様が購入されるもの、あるいは頻繁に目にされるものが価格が上昇しているということで、体感する物価高というのもかなり高いという、いろいろなお声が上がっていることについては我々も認識をしております。
その上で、消費税について、昨年十二月二十日の本会議で石破総理が申し上げたとおり、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増大する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりまして、政府としてその引下げを行うことや廃止をすることは適当ではないと答弁されたと承知をしております。
国民の皆様に安心して消費をしていただける経済をつくっていくためにも、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図っていくこととしておりまして、併せて、こういう賃上げの効果が出るまでの間の痛みが生じているところの物価高対策については、先ほど御説明をしたような総合経済対策の中に盛り込まれた施策について、一日も早く国民の皆様にお届けをし、効果を実感していただけるよう迅速に執行してまいります。
○橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。
様々な議論は確かにありますし、ただ、この食料品の消費税ゼロ税率というのは、食べることはやはり生存権に関わることです。こういった政策的なメッセージを、政府としても、我々議員としてもしっかりと出すということは非常に重要だと考えています。政策効果や制度設計等をよく議論しながら、本当に国民の生活に寄り添う政策の一つとして議論を進めていきたいと考えていることだけ申し添えて、次に移らせていただきます。
時間が少なくなってまいりましたが、子供たちが夢を描ける大阪・関西万博についてお聞きしたいと思います。本来であれば伊東大臣の御答弁をいただきたかったんですけれども、今日はちょっと不在ということで、体調は非常に気になるところではありますが、よろしくお願いいたします。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした万博まで、あと六十日ということです。これまで、予算委員会でありますとか、今朝の山登志浩議員からの指摘もあったように、本当になかなか、チケットの売行きの問題でありますとか、もし仮にこれが赤字になった場合に誰が補填をするんだというところが、ちょっと不明瞭な回答に終始していると思うんですね。
ですので、赤字負担になってしまった場合、これまで様々な段階を経て、倍近く、例えば事業費が高騰しているわけですから、今後、万博に関する費用負担は国としては一切ないということを明言していただけますでしょうか。
○加藤大臣政務官 橋本委員にお答えいたします。
御指摘のとおり、大阪万博の運営費につきましては、閣議了解によりまして、会場運営費は適切な入場料の設定等により賄うものとしておりまして、国庫による負担や助成は行わないこととしております。博覧会協会にて、運営費の収支予測を含む資金計画に基づいて、入場券の販売状況や民間企業からの協賛金、またライセンス収入等の動向を踏まえつつ、赤字にならない適切な範囲内で収支を調整していくものとしております。
政府としましても、運営費を含む万博の主要な費用の執行状況につきまして、経済産業省に設置されました予算執行監視委員会を活用しながら、計画との乖離による費用の上振れが生じないよう、しっかりとモニタリングをしてまいる所存でございます。
また、開幕を間近にいたしました現時点では、成功に向けて一丸となってチケットの販売促進に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。大阪府、大阪市を含めた関係者の間で一致をしているところでございまして、赤字になることは想定をしてございません。
○橋本(慧)委員 赤字を想定していないと言いながら、これまでも、上限をここまで決めた、しかし、その半年後に増額がされたというような、実際あるわけですから、やはり答弁には責任を持っていただきたいと思いますし、しっかりとその予算の中で執行いただく、そして、子供たちに対して、しっかりと予算をつけるべきだと思います。
最後、コメントだけさせていただきます。
本当に、この意義の大きなものに、未来を担う子供たちが参加できることがあると思います。ただし、しかし、熱中症対策がミストだけでは不十分ではないかとか、吹田市長が一昨日の会見でも、学校事業として参加することは保護者の理解を得られないということで取りやめたというようなニュースがありました。これは本当にゆゆしき事態だと思いますので、是非とも国を挙げて、こういったところに予算、安全に子供たちが万博に参加できるような、そして夢と希望を持てるような取組に、例えば保険を負担するでありますとか交通費を助成するとか、そういったところを是非とも、まだ修正可能だと思いますので、それをやっていただきたいと思いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。どうぞよろしくお願いいたします。
私の地元の新潟五区というのは豪雪地帯でして、今日は晴れているんですけれども、晴れ間が差し込んでいるんですが、先週から今週にかけて、昨日までは大雪が降り注ぐ地域でもあります。私、元々東京都文京区というところの生まれ育ちなんですけれども、御縁があってこの新潟五区、以前は新潟六区ですけれども、そこで政治活動をさせていただいております。
当時を振り返ると、私、小さい頃は、雪降れば、ああ、雪降ったな、うれしいな、そして、少ない雪をかき集めて小さな雪だるまを作ったりとか、みんなでかき集めて雪合戦したりとか、そんなことをして楽しんでいた記憶もありますし、また、スキーの時期になれば、時折仲間とスキーに行って、車一台に乗り込んで、みんなで楽しく行って帰ってくる。いわば雪の暮らしというのは、その当時の私にとっては、比較的、悪いイメージはない、いいイメージです。
ただ、実際に、そこで私も新潟で、上越で住まうことになってからもう二十年近くたつんですが、この間、つくづく感ずるのは、雪というのは、やはり暮らしとの格闘だなというふうに思います。田中角栄元総理、私の選挙区でもあったんですが、一九七一年に通商産業大臣に就任した際に、秘書官にこう語っています。温暖な気候の人間にとって雪というのはロマンの対象だよな、川端康成の「雪国」のようにあくまで叙情的な世界だよ、だけど、新潟県人の俺にとって雪はロマンじゃない、雪というのは、生活との闘いなんだというふうにおっしゃっておりました。そのとおりだと私も思います。
ただ、この雪があって、これも釈迦に説法ですけれども、おいしい水がいただける、また、おいしい酒が造れる、おいしいお米が作れるなど、いわば、きれいな水や空気の供給、そして食料の確保、エネルギーの確保、また土砂からの災害防除、そして、今でいえば、鳥獣被害の拡大防止、景観、スキー、リゾートなどなど、豊かな自然が織り成す、いわば多面的機能があるからこそ成り立っているんだという側面ももちろんあるんだということを強く感じますし、東京とか太平洋側が地方を支えるんじゃなくて、お互いに支え合っているんだということを今強く感じております。
この問題意識の下で、そして、今、地方が、まさに豪雪地帯でいえば、やはり当時は若かった方々もどんどん高齢化されて、基本的には、身の回りのことは、除雪を始め、自助でなさる。それがなかなか、もうままならない。そして、空き家が増えていって、集落もどんどんどんどん消えていく。共助もなかなか成り立たなくなってきた。そんな中、ふるさとを思って住まい続けている方々には、住民税非課税世帯という限定の下で公助がなされる。非常に苦しい、だから下りてこい、都市部にどんどん下りて住まわないかということで、どんどん地方が削られていっているような、そんな認識です。
先ほど申し上げたとおり、お互いに支え合うものだという考えに基づくと、地方がどんどんどんどん削られていく、雪国の暮らしがこれだけ大変なのに雪国がどんどん削られていく。このことは、国益にかなうという問題意識の下でこれから通告に従い質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。
まず、一極集中の是正についてお尋ねをします。
資料一を御覧ください。
この記事を見ていただければ、二四年の東京への人口の転入超過、七万九千二百八十五人に上るとの総務省の人口移動報告を受けました。それを受けて、東京一極集中が再び加速しているという報道です。
そこで、まず、長官にお尋ねをします。
東京一極集中是正の重要性についてどのような認識をお持ちなのか。また、地方創生二・〇を掲げていらっしゃいますけれども、このことは、一極集中の是正が核という認識をお持ちなのかということ、そして、併せて、一極集中の是正がどこの省庁、どの大臣の所管なのか、お答えください。
○林国務大臣 委員も、新潟が選挙区ということですが、東京御出身ということで、実は私も小学校三年まで東京におりましたので、雪が降ったら、かまくらを作ったり雪だるまを作ったりして遊んでおりまして、ただ、その後に山口県へ行っちゃったものですから、なかなか、後半の委員の御経験、なるほどなと角栄先生のお言葉をしみじみと聞いておりましたが。
そういう意味でも、雪の話は後ほどあるというふうに承知しておりますが、まずは東京一極集中の是正の重要性、これは総理が施政方針演説等におきましても、地方創生二・〇は、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限に引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す、新技術を徹底的に活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくものと施政方針演説等でうたっております。
そして、地方創生二・〇、これは五本の柱ということになっておりますが、若者、女性にも選ばれる地方の実現、産官学の地方移転と創生、こうした方針を掲げておるところでございます。
「基本的な考え方」というのを本部で決定しておりますが、ワンセクション全て割いて、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散、こういうことで記述もしておるところでございます。
全閣僚から構成される新地方創生本部の下で、これらの方針に沿って、政府を挙げて施策を具体化してまいりたいと思っておりますので、所管というと、この本部が、全閣僚でやっていくということになろうかと思います。
○梅谷委員 所管は全閣僚がやるということなんですか。本部がやって、その……(林国務大臣「所管」と呼ぶ)その所管をもっと明確に。
○林国務大臣 所管とお尋ねになられましたので、全閣僚から構成される新地方創生本部の下で、今申し上げました方針に沿って、政府を挙げてこの施策を具体化してまいりたい、こういうことでございます。
○梅谷委員 では、そうすると、地方創生担当大臣というのはどういう役回りをその中で担うんですか。
○林国務大臣 まさに地方創生、この主たる仕事は担当大臣にやっていただくということでございます。
○梅谷委員 そのことは後で触れるにせよ、今の御答弁を総括して、地方創生というものの中には、東京一極集中の是正、分散型だ、これが核になるという認識をお持ちだというふうに受け止めてもよろしいんですよね。そしてまた、その是正の重要性については共有をしていただけるということで受け止めさせていただきました。
資料二を御覧ください。
今ほど全省庁挙げて対応されるということを伺いましたが、その中で、主要な担当は地方創生担当大臣だという御答弁もいただきました。
振り返りますと、東京一極集中の是正というのは、昭和三十七年十月五日の全国総合開発計画、一全総から既に指摘をされているんですね。そして、その中から、第五次全国総合開発計画、二十一世紀の国土グランドデザインまではもとより、名を変えた後継の国土形成計画の第三次、令和五年に至るまで、全てにおいて、東京一極集中は課題との言及があります。
六十年以上、ずっと政府としてこのように課題認識を示しているにもかかわらず、ここに来て、また加速と、先ほど申し上げましたが、「再び加速」という見出しが新聞各社を飾っています。私の問題意識としては、これは、課題認識しつつも、東京一極集中の是正は成果が上がっていないというふうに言わざるを得ない、私はそういうふうに受け止めています。
今、長官は、いろいろ、るる、二・〇に向けて、こういうことをやられている、若者や女性にも選ばれる地方の実現を目指していきたいというふうにおっしゃいましたが、私、新たな施策を具体化する前に、なぜこの成果が上がらないとお考えなのか、このことを端的に教えていただけますか。
○林国務大臣 地方創生といった取組が始まって以降、各地で様々な好事例が生み出されております。
徳島だったと思いますが、落ち葉、葉っぱですね、これを活用する取組等、私も副大臣のときに担当しておりましたけれども、こうした好事例を生み出されておりますが、これがまだ東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至っていない、そういうふうに受け止めております。
年代別の数字を見ますと、就職や進学を契機として、十代後半それから二十代の若年層や女性の東京への転入超過は依然として継続をしております。こうした中で、地方創生二・〇におきましては、東京圏への過度な一極集中の是正に向けて、若者、女性にも選ばれる地方、先ほど申し上げましたが、こういうことなどを方針として掲げたところでございまして、新地方創生本部でしっかり施策を具体化してまいりたいと思っております。
○梅谷委員 今おっしゃった若年層の東京圏への流入の話なんていうのは、これは単に東京一極集中の要因をおっしゃっているだけなんだなと私は思います。また、その前段では、いろいろな成功事例がありますよということもおっしゃっていますけれども、これはある意味、狭い意味での地方創生かもしれませんが、東京一極集中の本格的な是正、しかも昭和三十七年から指摘をされているこの課題にどこまで向き合っていけるのかという疑問も私は持っています。
私は、先ほど、担当がどなたなのかなということなんですが、政府としては、これまで一極集中の是正を意識して地方創生に取り組んできたわけです、今、二・〇。その政府の方針の下で、各省庁が、経産省は企業立地の分散とか、また、文科省においては学生集中の抑制とか、農水省が農林水産業の生産性向上だったり、国交省が観光振興といったように、様々な施策を打ち出してきています。
先ほどの、この担当というのを本当にしっかりやっていただきたいんですが、これらの各省庁の施策をこれまで取りまとめ切れたのかというのが、私は一番の要因だったのではないかなと思います。すなわち、一極集中の是正は課題だと認識しつつも、そこから先の具体的な政策、そして、それをしっかり取りまとめ、横串を刺して、しっかりそのための分析をして対策をしてきたか、政策資源が投入されてきたか、そういう部分が問われてきたんだなというふうに私は受け止めております。
是非、今、先ほどの体制を本格化していただくのであれば、しっかり責任を持って、本当に、政策に横串を通して、効果が上がっているのかをしっかり逐次検証していただいて、必要なら各省を統括して動かしていただいて、そして政策資源を総動員する。こうやって初めて一極集中の是正というのは前進するものなのではないかなと私は考えていますが、この推進体制について、是非呼応していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○林国務大臣 委員がまさに御指摘いただいたように、それぞれの施策はそれぞれの省庁でやると。
私も、たしか文科大臣のときは、東京の大学の定員というのをこれ以上原則増やさないというようなことをやった記憶がございますが、それを、やはり横串を刺して成果を出していく、また、どういうことでどういう成果が出たかをしっかり回していくということは、委員がおっしゃるように大変大事なところでございますので、新地方創生本部、全閣僚から構成されております、しっかり横串を刺して施策を具体化してまいりたいと思っております。
○梅谷委員 是非、横串を刺して、時にはしっかり統括をしていただいて、そのために、分析の結果、政策資源を投入していただいて、東京一極集中是正について前に推し進めていただきたいと思います。
次に、過疎という言葉の再考についてお尋ねをします。
令和元年の有識者懇談会において、過疎という言葉の代わりとなる用語を検討する方針を打ち出していますが、結局、変更するには至っておりません。
石破総理のおっしゃる令和の日本列島改造や地方創生二・〇が、地方を衰退でなくて新しい創造へと転換することを目指していくことから考えれば、私、この言葉の再考というのは、今まさに、今でしょう、やるべきでしょうというふうに考えております。
その意味で、この過疎という言葉の変更について、長官、短めにちょっとお考えを伺えれば。
○林国務大臣 それでは、少し間引いて御答弁したいと思いますが。
まず、過疎法というのが議員立法で制定されてきているという背景がございます。また、御指摘のあった懇談会では、いろいろな議論があったんですが、まず、認知度が非常に高くて、国民にすっと理解を得られるということと、地域のイメージもしやすく、守っていこうという合意形成が可能、こうした意見が出て、引き続き過疎地域という名称を用いるということが適当とされております。
現行法では、新たに前文を作って、いろいろなことを法の目的として位置づけておるところでございます。
○梅谷委員 当時の懇談会でも、こんなふうな指摘がありましたね。近年、豊かな自然など都市とは異なる特性に魅力を感じる人が増加傾向にあり、マイナスのイメージがある言葉は実態に合わないと判断したという意見もありました。
過疎法は議員立法ですから、各党会派、言葉を変えるとなると、その議論に委ねざるを得ません。次の法改正までしばらく時間はありますけれども、それでもまた、過疎という言葉は過疎法の世界だけに限定されるものではございませんから、その意味で、是非、政府、閣僚の皆様からも御指導をお願いするとともに、もっと前向きな言葉で地域が語られていくような、そういうふうに頑張っていただき、御賛同いただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、燃油負担の軽減についてお尋ねをします。
まずはガソリン価格についてお伺いしますけれども、本来、補助金、暫定税率等々は、各々所管は経済産業省だったり財務省だということは分かっていますけれども、物価高、エネルギー価格の上昇など、経済財政全体を総括して、いろいろな政策を組み合わせて、司令塔として全体を指示するのは赤澤経済財政大臣の権限だと思いますので、そういう意味で赤澤大臣にお尋ねをしたいと思います。
まず、資料三を御覧ください。
二月四日の予算委員会で、立憲民主党の、我が党の大西議員が鋭く総理に迫りました。総理はそのときに、地方においてガソリンが高い、二百円を超えているとして、適切に対応するように、政府として今対策を講じておるところと答弁されました。
事前に事務方に確認させていただいたところ、適切な対応とは、百八十五円を基準価格とする支援を残したことだということでした。
大臣、適切な対応というのは、この理解で間違いないでしょうか。
○赤澤国務大臣 おっしゃるとおり、一月十六日以降、百八十五円以下でも働く補助金についてはもうなくなっておりまして、百八十五円以上の部分は十分の十の補助でやるという制度になっております。総理がおっしゃったのは、その部分の対策を今講じておるという趣旨であると理解をしています。
○梅谷委員 ガソリン価格が各地で全国最高値の水準になっています。私の地元でも、比較的、地域の中でも安くなっているのかもしれませんけれども、うちの地域は。ただ、やはり地方がゆえに、一家に一台どころか一人一台、車を所有する御家庭も結構あるわけでして、そんな地方では、二百円どころか百八十五円でも本当に苦しいという声ばかりなんですね。まさに町中で、私の地元だけとは言いません、これは国中で、全国でそういった声があふれているのではないかなと私は考えています。
この百八十五円を適正な価格として考えればいいというふうに私は全く思わないんですが、大臣は、この百八十五円というのが、国民が受け入れられる水準だとお考えなんですか。
○赤澤国務大臣 燃油価格については、少なくとも、今、しばらく前と比べればかなり上昇して、国民の皆様の生活とか、あるいは事業の経営とかに負担になっているという認識は持っております。
ただ一方で、過去に我々の方で、この燃油価格の支援について言えば、いろいろな御議論がある中で、要するに、百八十五円以下の部分については、少しずつ解除をしていき、そして、一月の十六日以降については今の制度でしばらく様子を見るということを決めさせていただいておりまして、現時点においてそれが動いているということであります。
今後、燃油価格について言えば、実際に痛みを生じているわけでありますから、どんなふうに国民の皆様の生活や事業の経営を支えていくかについて、これについては、現状を注視しながら、我々の方で検討させていただくということだと思います。
○梅谷委員 注視しながら御検討いただけるというお話です。
石破総理が前の臨時国会で、縮小の理由について、「流通の現場に与える影響を踏まえ、出口に向けて段階的に補助を見直していく」と、今大臣がおっしゃったようなことをおっしゃっていました。
このときに、私、気になったのが、ガソリン高で苦しむ方々の、国民の状況とか、地方の現状に触れた説明がなかった。国民の暮らしのことを是非配慮していただいて、今ほど御検討されるというお話をいただいたものですから、是非そのことをいま一度踏まえていただきたいと思います。
そして、先ほど来おっしゃっていた出口戦略というのは否定はしません。だからといって、いきなり、ろくな支えもなくてガソリン価格を上げるというのは、余りにやはり庶民の生活にとっては私は大変なものだと思いますので、是非御検討のほど、くどいようですけれども、よろしくお願いしたいんですが、もう一度、明確に御答弁いただけますか。
○赤澤国務大臣 百八十五円の水準について、委員から御指摘ありましたけれども、今支援をしていなければガソリン価格は二百円を超えているということは計算上は理解できるわけで、私どもとして、国民生活あるいは事業の経営をしっかりお支えしようとして対策を講じているということについては御理解いただきたいと思うのと、あと、石破総理もよく、奥様から野菜がどれだけ高いか聞かされているとかおっしゃっていますし、私も、地方の、鳥取県は実は軽自動車の所有は一人当たり一番多いような、そういう都道府県でありますし、燃油価格の上昇については大変な負担になっているということについてはよく理解をしているつもりでございますので、委員の御指摘も踏まえながら、これまでの議論、出口についてもしっかり議論させていただきたいというふうに思います。
○梅谷委員 先ほどの検討するというところから議論していきたいに、まあ同じと受け止めますけれども、是非、国民の暮らし、庶民の暮らしの苦しい中での部分をしっかりとお感じになっていただいて、議論、検討していただくことを強くお願いをします。
次に、暫定税率の廃止についてお尋ねをします。
資料三の下のところにあるように、「いわゆる暫定税率、ガソリンの暫定税率、廃止をいたします。」というふうに総理も御答弁されています。これは暫定税率ですから、暫定だから、廃止することが前提の話ですよね。だから、ポイントは、いつ廃止するんだね、まさにここが、国民が気になっているところだと私は確信をしています。
その上でお尋ねしますが、予算委員会でさんざんやり取りがありましたけれども、いつ廃止されますか。
○赤澤国務大臣 委員の今の御指摘については、昨年十二月の十一日に、自民、公明、国民民主の三党の幹事長間において、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する、具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進めるとの合意がなされたと承知をしておりまして、令和七年度の与党税制改正大綱においても、引き続き政党間で真摯に協議を行うとされておりますので、現時点において、私としては、政党間の協議の状況を注視をしてまいりたいと考えております。
○梅谷委員 国民の思いは今すぐ廃止していただきたいという、国民というのは政党じゃなく国民ね、国民は今すぐ廃止をしていただきたいという思いだと私は思っています。
そう考えたときに、この三党の協議に委ねていきたいといったとき、国民民主党さん、余り他党のことは言うべきじゃないのでおいておきますけれども、私は、反対している、それを今すぐやるという判断を、ブレーキをかけているのは与党にほかならないのかなというふうに思いますが。反対しているのは与党ですよね、今すぐ廃止するということに対して反対しているのは与党という理解で、私はそう受け止めます。私はそう受け止めています。
そこで、施政方針演説で総理が、与党、野党共に、責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要だと言われております。そういう熟議と公開の国会だと思います。協議は協議として、国会で、誠実に、いつ廃止するべきだ、廃止するということをお答えになるべきではないかなと思いますが、この点、いかがですか。
○赤澤国務大臣 今、総理の発言を、委員がお聞きになられたので、そのとおり発言されたんだと思いますが、私自身も総理でもございませんし、なかなか、総理が各党の協議に任せる、それを注視していくとおっしゃっているときに、私から何か申し上げられることがあるとはちょっと考えません。
○梅谷委員 分かりました。
国民は一日も早くこの廃止を求めているということをどうか強く御認識をいただいて、そして、総理とも協議をしていただき、受け止めていただきたいと思います。
そして、もし、法改正に時間がかかるとか、いろいろ物理的な時間がどうしてもかかるというのであれば、つなぎでの補助金の復活でも、大臣の直接の所掌であれば経済対策でもいいんですけれども、何らかの対応を今すぐすべきだと思いますが、この点はいかがですか。
○赤澤国務大臣 消費者物価上昇率は、エネルギーに加え、食料品など身近なものの価格が上昇しておりまして、エネルギー価格も含めて、国民や事業者の方々が厳しい状況に置かれているものと認識をしております。その上で、政府としては、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げの実現を目指していくということで、こういった、賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じていくということです。
委員はもう御案内のとおり、総合経済対策には、低所得者世帯の方々のために、あるいは重点支援地方交付金といったような総合的な対応を盛り込み、我々としては、一日も早くこれが国民の皆様の元に届くように努力を最大限していくところでありますが、その中で、灯油支援については、厳冬期を迎えることを念頭に、総合経済対策の中で、今申し上げた重点支援地方交付金のメニューがいろいろありますけれども、灯油支援を追加をしたところであります。
実際に、寒冷で暖房需要の大きい地域など、具体的に申し上げれば、青森県やあるいは秋田県といった東北の県でありますとか、長野県、そういったとにかく寒さの厳しい地域、寒冷で暖房需要の大きい地域などで灯油の購入支援が現に予定されているということであります。
エネルギー価格高騰に対しても支援を行い、物価高の克服に万全を期してまいりたいと思います。
○梅谷委員 低所得者の方には給付金というお話もありましたけれども、地方では生活必需品なんですね、ガソリン、まあ燃油もそうですけれども。地方は都市よりも収入が相対的にどうしても低い場合があります、水準が。そのおっしゃり方だと、低所得者以外には物価高対策は要らないというふうに聞こえるようで残念ですけれども、まあいいや、時間も限られているので。
その上で、灯油に触れていただいたんですが、新潟も含まれるんですか、支援は、対象は。
○赤澤国務大臣 一点補足をしますと、総合経済対策に盛り込まれたのは、委員御案内と思いますけれども、低所得者対策と加えて、地域の実情に応じて自治体が工夫できる重点支援交付金であって、その中に灯油支援というのをメニューで加えましたので、どこの地域でも自治体の御判断で灯油支援はやっていただける。それが、まさに我々が考えている、地域の実情に応じたということでありまして、寒さの厳しい地域においては、しっかりその重点支援地方交付金を活用いただいて、灯油の購入支援などを行っていただければということで考えております。
それで、現時点で、私の手元には、北海道でも八件とか、東北でも三十件、北陸で十六件など、いろいろな自治体で灯油支援を考えるというような情報を得ておりますが、具体的に新潟が含まれているかというのは、ちょっと現時点で手元にありませんので、御確認をしてお答えをしたいと思います。
○梅谷委員 豪雪地帯というのは、雪を解かすにも燃油を相当量使いますし、いろいろな意味で、暖房のこともそうですけれども、より多く使う場合がある。そして、本当に今お金がかかって苦しいんだ、困っているんだというのが、私の地元からはよく声をいただいておるものですから、それを、重点支援交付金でそれぞれの自治体の判断でといっても、やれ病院も今大変な状況、物価高で苦しむ、これも大変。その中に、じゃ、灯油も御検討というのではなく、私は、灯油に対しても、取り出して、是非、雪国対策の一環として支援を国として検討していただきたいなと思うので、この点、受け止めていただければと思います。
時間も限られてきたので、最後、豪雪の話を伺わせていただきます。
まずは、自治体への支援について伺います。
資料の四を御覧ください。
ここでは、令和三年度に改正された豪雪地帯対策特別措置法の改正の中身の切り出しです。第十一条で、簡単に言えば、それまでは財政措置が努力義務だったのが、財政の範囲内だったのが、この改正を受けて義務化されたという話です。
そこで、是非お答えいただきたいんですが、さはさりながら、今シーズン、計上していた除雪の予算はもう使い切っているよ、使い切りかねないといって大変な思いをされている自治体が、声が今たくさん上がってきています。使った除雪費が国からきちんと義務的に計上されるように、というか本当に来るのか、自治体からこういった不安の声がすごく上がっているものですから、この十一条に基づいて、是非自治体に対して、追加で使った分の除雪費は満額補填される、心配なく除雪に全力を尽くしてくれとこの場で言っていただけないでしょうか。
まずは国交省、そして総務省さん、そして最後に長官、それぞれ端的にお答えいただければと思います。
○古川副大臣 お答え申し上げます。
豪雪地帯では、近年、特に短期間で集中的な降雪が発生しておりまして、住民生活や経済活動に支障を来すことがないよう、それぞれの自治体において懸命な除排雪作業が実施されているところでございまして、国土交通省といたしましては、自治体が実施をする道路の除排雪の費用について、道路の除排雪補助や防災・安全交付金により支援を行っているところでございます。
道路の除排雪経費につきましては、地方公共団体からの御要望を踏まえまして、年度当初に一定額を配分した上で、一月から積雪の状況や除排雪費の執行状況などを把握をいたしまして、年度末までに追加の配分をすることといたしております。
引き続き、自治体の除排雪が着実に実施されるよう、必要な支援を行ってまいります。
○冨樫副大臣 総務省では、今年に入ってから全国各地で多額の除排雪経費が生じていることから、新潟県内の十四市町を含む百二十四の市町村を対象に、特別交付税の繰上げ交付を実施しました。これにより、自治体が財政上不安を持つことなく除排雪を迅速に行えるように支援をしてきたところであります。
また、今般の大雪についても、除排雪経費等の実態を丁寧にお伺いし、自治体の財政運営に支障が生じないよう、今年度の特別交付税の算定において適切に対応してまいります。
○梅谷委員 しっかり対応していただけるというふうに信じたいですが、是非よろしくお願いします。
最後の質問です、時間がないので。
この豪雪地帯特別措置法があるということは、しっかりと豪雪地帯への対策をやるという話なんですが、資料五を御覧ください。これは組織図です。例えば、離島振興法を受けて、国土政策局の中には離島振興課が置かれています。半島振興法を受けて半島振興室が置かれています。過疎法を受けて過疎対策室も置かれています。
しかし、昭和三十七年の制定以来六十年以上の歴史があるこの豪雪地帯対策特別措置法がありながらも、雪国なりの豪雪関連は地域振興課が所管していて、その中に班が一つ、補佐一人、雪害対策推進係長と克雪体制推進係長の係長二名が置かれている体制です。手薄と言っていいか分かりませんけれども、他の法律を受けた体制よりも位置づけが下がっていると私は言わざるを得ません。
そこで、最後の質問です。
雪国振興課とか豪雪対策の専任部署を、室なりを、より強化していただくことを提案をして、そして、すぐに課とか室というとすごく人が必要になってくるので大変かもしれませんが、将来的にそこに目がけて育てていくという決意も込めて、この点のお答えをいただきたいんですが。
○大岡委員長 古川国土交通副大臣、時間が来ておりますので、手短にお願いします。
○古川副大臣 現在の体制については、委員御指摘のとおりでございます。そういう体制の下でございますけれども、こうした専任の職員が対応させていただいているところでございます。
豪雪対策は、克雪対策だけでなく、親雪や利雪の観点からも総合的な対策を講じる必要があるということで、国交省の各部局、そして関係省庁としっかりと連携を図りながら取り組んでいるところでございます。
委員からの御指摘については、しっかりと受け止めさせていただきます。
○梅谷委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市來伴子君。
○市來委員 立憲民主党・無所属の市來伴子でございます。
本日は、沖縄基地負担軽減担当相を兼任されている林官房長官に、沖縄の基地負担軽減策について質問をさせていただきたいと思います。
私は、成人して初めて沖縄に行ったのが、二〇〇〇年、沖縄サミットのある年でした。そのときは二十代前半でして、大学院生のときだったんですけれども、そのとき初めて普天間基地を見まして、本当に広大な面積でございます。そしてまた、戦闘機が通ると、すごく騒音が、非常に大きな音がする。そういうものを体感いたしまして、いかに地元の住民の方にこの基地が負担となっているか、生活環境が脅かされているということを実感をいたしました。
今、生活環境だけでなくて、経済振興や、米兵による犯罪等々、沖縄には本当に多大な負担があるわけでございます。二〇二五年、二十五年たった今も、国土面積の約〇・六%に約七割の基地が集中している、こういった現実を変えていかなきゃいけないという思いで、沖縄政策に私はすごく関心を持ち続けております。
そういう視点で林官房長官に質問をしていきたいと思うんですけれども、今年は戦後八十年です。石破首相の言葉で言いますと敗戦八十年ということです。林官房長官、今日資料をお配りしておりますけれども、年始のインタビュー記事で、基地負担軽減についての成果と課題を問われまして、林官房長官から、軍用地返還後の跡地利用の先行取得を強力に支援すると述べられております。
まず初めに、この認識について改めて伺いたいと思います。
○林国務大臣 沖縄県は、もう御案内のように、多くの米軍施設・区域が集中しておりまして、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいているという事実を重く受け止めております。
防衛大臣のときに初めて普天間に行かせていただきましたが、幼稚園か小学校か、ちょっと記憶が定かでありませんが、子供たちが中で随分遊んでおられて、楽しそうにしておられたんですが、私、その間近で、外から見ていて、臭いが非常に気になる。逆に、子供たちはもう臭いに慣れちゃっているんだなというふうに、強烈な印象を持った覚えがございます。
そういう意味で、この普天間飛行場を始め、駐留軍用地の返還後の跡地利用、これは今後の沖縄振興にとっても大変重要であるというふうに認識をしておりまして、そういう旨を新春インタビューでも申し上げさせていただきました。
令和七年度の政府予算案には土地の先行取得への支援ということで盛り込んでおりますが、これも含めて、地元の取組、これは引き続きしっかりと支援してまいりたいと考えております。
〔委員長退席、國場委員長代理着席〕
○市來委員 来年度の予算案におきましては、この普天間基地の土地を取得するための駐留軍用地先行取得事業費が六十七億八千万円、新規に計上されております。これは従来、沖縄振興一括交付金のソフト交付金事業として実施されてきましたけれども、なぜ今回、一括交付金から外して、外に出して、新規事業として計上するのか、また、その効果をどう考えていらっしゃいますか。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
駐留軍用地の跡地利用を円滑に行うためには、計画的な公共用地の拡大が必要不可欠であります。跡地利用特措法に基づく公共用地の先行取得については、これまで沖縄振興特別推進交付金により行われてきましたが、跡地利用に向けた取組が加速する中で、地元自治体からは先行取得に的を絞った新たな支援の枠組みが要望されてきたことなどを踏まえ、今般、必要額を計上させていただきました。
内閣府としては、先行取得に必要となる財源を計画的、継続的に確保していくことで、返還後を見据えた自治体の取組を強力に支援してまいりたいと考えております。
○市來委員 継続性が必要であるということでございますけれども、今回、外に出して新規事業で行うということは、本来ですと、今まで沖縄県に一括交付金として交付されてきたものが、ある意味、沖縄県の自主性を尊重するということで一括交付金で支給されてきた、それが外に出てしまえば、沖縄の意思が反映されにくくなるのではないかという懸念もあるわけでございますが、この沖縄の自主性をどう担保するのか、その点について伺います。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
事業の実施に当たっては、各自治体の事業計画や執行状況、土地の取得価格等を踏まえつつ、申請に基づいて配分を行うため、沖縄、地元自治体の自主性は担保されるものと考えております。
○市來委員 是非、沖縄の意思がしっかりと反映される、そういう事業にしていただきたいと思います。
新規に計上された今回の六十七億八千万円の積算根拠について伺います。
また、土地の先行取得の見込みはいかがでしょうか。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
令和七年度予算案に駐留軍用地跡地先行取得事業費として、委員も御指摘されましたが、六十七・八億円を計上いたしております。区域ごとの面積に対して、関係自治体における手続負担等も踏まえて、取得可能であり、令和七年度に必要となり得ると見込まれる額を積み上げたものであります。
繰り返しになりますが、内閣府としては、先行取得に必要となる財源を計画的、継続的に確保していくことで、返還後を見据えた自治体の取組を強力に支援してまいりたいと考えております。
○市來委員 先行取得に力を入れていただくことは私も賛成をするんですが、その一方で、資料でお配りをしております二月五日の報道です。沖縄県が設置した有機フッ素化合物汚染源調査に係る専門家会議が、PFASの汚染源は普天間基地であるという結論をしたということが報道で流れてきております。
PFASの汚染源が基地であるという疑いが更に強まったと思いますけれども、基地負担軽減担当大臣を兼ね、沖縄政策に関わる林官房長官はこの問題についてどう考えるか、お願いいたします。
○林国務大臣 今委員からお尋ねのございましたこの結論ということでございましょうか、これは自治体が実施をしておりまして、評価、分析をしております。したがって、詳細は承知していないため、政府としてコメントは差し控えたいと思いますが、その上で、PFOS等は日本国内で様々な用途に使用されてきております。現時点で、PFOS等の検出と在日米軍との因果関係について確たることを申し上げることは困難であると考えております。
これまで米側からは、在日米軍が保有しているPFOS等が含まれる泡消火剤、消火薬剤については、二〇一六年以降、訓練を目的として使用していない、それから、二〇二一年九月までに普天間飛行場を含む沖縄県における海兵隊の全ての施設において泡消火薬剤の交換作業を完了した、こういう説明を受けてきておるということでございます。
沖縄県民の皆様がPFOS等の検出に対して不安を抱いておられるということ、これは大変重く受け止めておりまして、PFOS等をめぐる問題に関する政府の取組を進める中で、引き続き、関係自治体や米側と緊密に連携いたしまして、県民の皆様の不安の払拭、これをしっかりとやってまいりたいと思います。
○市來委員 昨年一月二十八日付で、沖縄県から林官房長官宛てに要望書が提出をされています。その内容について簡単に説明してください。
○伯野政府参考人 お答えいたします。
昨年一月の沖縄県知事からの官房長官に対するPFAS対策に係る要請の内容について、簡潔に御説明を申し上げます。
地方自治体が実施するPFOS等の対策費用を国が負担すること、過去の対策に要した費用を補償すること、沖縄県が求める基地内への立入調査の実現及び国や米軍による原因究明調査と対策等を早急に実施すること、米軍基地内で事故が発生した場合は、速やかな立入調査の実現等、地元の関係機関と効果的な連携体制を構築することなど、全体で七つの項目について要望があったものと承知しております。
○市來委員 沖縄県から実際こういった要望が出されているわけですから、PFAS汚染対策、沖縄県や市町村に任せることなく、国がしっかりと責任を負っていただきたいと思います。返還された土地のPFAS汚染対策、本事業で取得した土地がPFASに仮に汚染されていた場合、政府としてはどのように対応するんでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
沖縄県における米軍施設・区域の返還に際しましては、先行取得した土地も含めまして、跡地利用特措法の規定に基づいて、返還地の有効かつ適切な利用が図られるよう、防衛省において、返還地を土地所有者等に引き渡す前に、土壌汚染調査等の支障除去措置を講じております。
その上で、現時点では、関係省庁において土壌中のPFOS等の挙動に関する科学的知見の集積などに努めているところであると承知しており、跡地利用特措法においても支障除去措置の対象にはなっていないということでございます。
防衛省としましては、このようなPFOS等に関する動向を踏まえながら、返還された米軍施設・区域の支障除去措置について、関係法令に基づいて、引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○市來委員 基地負担軽減と言いながら、結局PFAS汚染対策で多額の費用が自治体にかかっては、これまた負担になってくるわけでございます。現段階では支障除去措置の対象にはならないということですけれども、是非これは跡地利用特措法の中で定めていただきたい。PFASが支障除去措置の対象になるということを検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
○本田副大臣 お答えいたします。
沖縄県における米軍施設・区域の返還に際して、跡地利用特措法の規定に基づいて、返還地の有効かつ適切な利用が図られるように、防衛省においては、返還地を土地所有者等に引き渡す前に、土壌汚染調査等の支障除去措置を講じているところです。
その上で、現時点では、関係省庁において土壌中のPFOS等の挙動に関する科学的知見の集積などに努めているということでございますけれども、対象になっていないということでございます。御指摘のとおりであります。
防衛省といたしましては、このようなPFOS等に関する動向を踏まえながら、返還された米軍施設・区域の支障除去措置について、関係法令に基づくということで、引き続き適切に取り組んでまいる所存でございます。
〔國場委員長代理退席、委員長着席〕
○市來委員 是非、PFAS汚染対策、入れていただきたいと思います。是非検討をお願いいたしたいと思います。跡地利用のために今回も多額の税金を投入します。これがPFASに汚染されていては、せっかく取得した土地が有効活用できないということにもなりかねません。
また、沖縄県から、汚染源を特定するためにも普天間基地への立入調査をするべきだという要望も出ておりますけれども、これは、事例は違いますけれども、横田基地も立入調査、入りました。普天間基地も是非立入調査を行ってほしいですが、いかがか。お伺いいたします。
○本田副大臣 お答えいたします。
PFOS等は日本国内においてこれまでも様々な用途に使用されてきたと承知をしております。現時点で、PFOS等の検出と在日米軍との因果関係について確たることを申し上げることは困難な状況であります。
その上で、沖縄県からは、嘉手納飛行場や普天間飛行場、キャンプ・ハンセンへの立入りについて累次要請を受けておりまして、様々な機会を捉えまして米側に伝達をしているところであります。
なお、これまで現に、PFOS等の漏出が起こった際には、環境補足協定に従いまして、関係自治体とともに、普天間飛行場を含めて在日米軍施設・区域内への立入りなどを実施してきたところでございます。
防衛省としましては、引き続き、関係自治体及び関係省庁と連携をしながら、米側との調整を続けてまいりたいと考えております。
○市來委員 沖縄の基地負担を少しでも軽減するために、是非PFAS汚染対策も進めていただきたいと思います。
私は、やはり沖縄の負担がこんなに重いにもかかわらず、多くの国民が沖縄の基地負担については余り関心がないということに対しても、しっかりと政治が向き合わなければいけないと思います。林官房長官には沖縄の利益にかなうリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、最後に官房長官から伺って、私の質問を終わります。
○林国務大臣 冒頭も申し上げましたように、沖縄県には多くの米軍施設・区域が集中しておりまして、大変大きな基地負担を担っていただいております。これは、沖縄のためといいますよりも、日本全体のためというか、この地域全体の安全のため、こういうことでありますので、そのことをまず我々が発信を通じて国民の皆様に広く理解をしていただくという努力は引き続き続けてまいりたいと思っております。
その上で、今いろいろな論点を提示していただきましたけれども、負担の軽減を目に見える形で実現するために、私も何度か現地で、知事はもちろんですが、首長さんたちとも意見交換をさせていただいておりますので、こうした意思疎通を図って、お気持ちに沿って対応していくということが重要であると考えておりますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○市來委員 是非、沖縄基地負担軽減に向けて、林官房長官にはリーダーシップを発揮していただいて、推進していただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、最初に、埼玉県八潮市における下水道管破損に伴う道路陥没事故についてお尋ねをいたします。
官房長官にまず御質問いたします。
転落したトラックのドライバーの方の救出に全力を注いでいただきたい。陥没現場近くの住民に避難要請が行われ、工事の影響で避難生活も長期に及ぶ状況となっています。下水道を利用する市民の方百二十万人に対して、お風呂や洗濯を始めとした排水の頻度を下げるなど、下水道の使用自粛を二週間にわたり要請をし、今日やっとそれが解除となったところであります。一時、固定電話や光通信のインターネットが利用できなくなるなどの複合的な被害も生じております。
官房長官にお尋ねしますが、このように、住民生活に重大な負担を強いることになった、このような事態を国としてはどう受け止めておられますか。
○林国務大臣 今委員からお話がありましたように、八潮市で発生した道路陥没事故、これは、事故に巻き込まれましたトラックドライバーの救出作業や応急復旧作業のため、埼玉県において関係十二市町の百二十万人の住民の皆様に対し、下水道の使用自粛をお願いしてきたものでございます。
今まさに委員から御紹介いただいたように、国土交通省も協力して、一部の汚水について陥没箇所を迂回させるという応急的な対策を講じることによって、本日から使用自粛が解除されたということでございます。
救助に向けて、トラック運転席が特定をされ、その位置が確認されたことを踏まえて、応急復旧も兼ねた新たな下水道管の設置などが検討されておるということでございまして、一刻も早く救助活動、応急復旧が進むように、専門家の派遣など、引き続き最大限の協力を埼玉県等に対して行ってまいりたいと思っております。
そして、今回のようなことが再び起きないように再発防止策を講じる、これが重要でございまして、国土交通省におきまして、全国の下水道管理者に対して、同様箇所の緊急点検の実施を要請する、また、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置する、こういうことにいたしたところでございます。
政府として、今回の事故を重く受け止めて、有識者委員会の議論、また事故原因の調査結果を踏まえて、強靱な下水道を構築し、国民の安全、安心を確保できるように、必要な対応をしっかりと検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 救出、応急復旧、また再発防止策のお話がありました。当然のことであります。
その上でやはり、こういった事態についての国の認識をお尋ねしているところで、この道路陥没箇所付近には、中川流域の下水道管だけがあるわけではありません。八潮市の下水道管もありますし、八潮市の雨水管もありますし、八潮市の用水路もある、工業用水路もある、八潮市の水道もある、東京ガスのガス管、NTTの通信管などが地下深くに、いわば複層的に集中をしているわけであります。ですから、こういった大規模な陥没となれば、地域のインフラ、ライフラインが機能しなくなる、そういう深刻な事態だ、こういう認識はお持ちでしょうか。
○林国務大臣 まさに今、委員が御指摘のあったことも含めて、今回このような事態が発生したわけでございますので、まさに、再発防止策と先ほど申し上げたとおりでございます。有識者委員会の議論、事故原因の調査結果、こうしたものを踏まえて再発防止、しっかりと考えていくということだろうというふうに思っております。
○塩川委員 そういった、地域におけるライフライン、インフラが全部機能しなくなる、そういう事態につながりかねない、そういうことを踏まえた原因の究明、また再発防止策が必要だということであります。
官房長官はここまでで結構でございます。
国交省にお尋ねしますけれども、この陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設、中川水循環センターというのは全国的にも大規模な処理施設ではないかと思いますが、どういった規模なのかについてお答えください。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
日本下水道協会が発行している最新の令和四年度版下水道統計によりますと、一日当たりの下水処理能力について、埼玉県の中川水循環センターは、全国の流域下水道で三番目、公共下水道を含めると九番目の規模の処理施設になっております。
○塩川委員 流域下水道というのは複数の市町村をまとめて処理をする、公共下水道というのは単一の市町村、二十三区などがその中心だと思いますけれども、こういった流域下水道、公共下水道、全部というと大体二千ぐらいになるんでしょうかね。数とか分かりますか。
○大岡委員長 ちょっと止めてください。
〔速記中止〕
○大岡委員長 起こしてください。
松原官房審議官。
○松原政府参考人 失礼いたしました。
二千二百でございます。
○塩川委員 二千二百ある下水道事業のうち、こういった処理能力、処理の規模という点でいいますと、全国九番目というのが中川の流域下水の位置づけになるわけであります。大変大きな規模でありまして、いわば突出して大きな下水道施設が中川水循環センターということになります。
下水処理施設に近接する八潮市の下水道管は口径四・七五メートルと巨大なものであり、破損すればその被害は広範囲に及ばざるを得ないというのが今回の事態を見ても明らかであります。
重ねてお尋ねしますが、国交省は今回の事故を受けて下水道管路の緊急点検を行いました。その目的は何でしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
同様の規模の下水道管において同様の事態が生じないように緊急に調査するためでございます。
○塩川委員 同様の規模の下水道管についての調査ということですけれども、要するに、下水の処理量が大きくて大口径の下水道管路という、大規模施設に着目をして緊急点検をするというものであります。
そこで、ちょっと関連してお聞きしたいのが、この緊急点検対象というのが流域下水道だけなんですよ。公共下水道が入っていないんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
○松原政府参考人 流域下水道につきましては、複数の市町村の汚水を集める基幹的な下水道施設でございまして、事故が起こった際に、一般的な公共水道と比較しまして、住民生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼすことが想定されることから、流域下水道を対象とすることといたしました。
また、あわせて、全国の下水道管理者に対しましては、緊急点検にかかわらず、下水道管路施設の適切な点検、維持管理を実施するよう周知しているところでございます。
○塩川委員 流域下水道に限る必要はないと思うんですよね。今のお話の中でも、流域下水道は特に埼玉が規模が大きくて、荒川左岸、荒川右岸、そして中川、これが流域下水道のトップスリーですけれども、それよりも規模が大きい公共下水道もあるわけです。
同じように大口径とかで処理をするということであれば、同様の調査の対象にしてしかるべきだと思うんです。外す理由が分からないんですが。
○松原政府参考人 国土交通省といたしましては、事故原因の、埼玉県の方を中心に行われます調査結果ですとか、今般設置することといたしました有識者委員会での議論なども踏まえまして、必要な対応を検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 答えていないんですけれども、流量や口径の大きい、そういった公共下水道の管路についても点検対象にすべきだということは申し上げておきます。
それから、このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば、住民生活に多大な負担がかかることになります。今回のことがそのことを明らかにしました。国は、大規模施設に着目をした点検基準を法定、義務づけているんでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十七年の改正下水道法に基づきまして、下水道の維持修繕基準を創設し、全ての下水道施設について適切な時期に点検することとなっております。そのうち、腐食のおそれの大きい箇所については五年に一回以上の頻度で点検することとしておりまして、こうした点検につきましては、地方公共団体において、下水道の構造や下水道に流入する下水の量などを勘案しまして、適切な時期や頻度で適切な方法により行うこととされております。
国土交通省といたしましては、今回このような事故が起こったことを重く受け止めまして、委員の方からもお話にありました委員会において、大規模な下水道の点検手法の見直しを始め、施設管理の在り方などについて検討することとして、委員会を設置することとしているところでございます。
埼玉県による事故原因の調査結果や委員会での議論を踏まえながら、必要な対応をしっかり検討、実施してまいります。
○塩川委員 腐食のおそれの大きい場所ということで、段差があるですとか、そういったことを幾つか、点検の手法についての例示もガイドラインで行っているところなんですけれども、こういった大規模施設がこのように破損すれば流域の住民の皆さんに多大な影響が出る、そういう点でも、大規模だという施設に着目をして、そもそも点検対象にしておく必要があったんじゃないのかということであります。
破損事故となれば被害が甚大となる大規模施設に着目した点検基準を改めて義務づける必要があると思いますけれども、義務づけていなかった国の責任は極めて重大ではありませんか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、点検については、地方公共団体において、下水道の構造等を勘案しながら、適切な時期や頻度で適切な方法により行うこととされているところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げた有識者による委員会、この中で、施設管理の在り方、これについては検討いたしまして、必要な対応をしっかり検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 ですから、大規模施設に着目をした点検の基準をしっかりと定めていくということがそもそも欠落していたということが今回の事態にもつながっているわけで、その責任を重く受け止めていただきたい。その上で、必要な対策を取ることを強く求めるものであります。
総務省にお尋ねします。
国は、下水道事業に関し、広域化の推進を図ってきたのではありませんか。
○清田政府参考人 お答え申し上げます。
下水道事業につきましては、人口減少などによる使用料収入の減少や、施設、管路等の老朽化に伴う更新需要の増大、職員数の減少などによりその経営環境が厳しさを増してきており、効率的な事業運営が一層求められているところでございます。このため、関係省庁が連携し、各都道府県に対し、広域化・共同化計画の策定を要請するなどしてまいりました。
なお、計画の策定に当たりましては、維持管理業務の共同化や人材育成の共同化などのソフト面での取組や、ハード面での取組について検討するよう求めてきたところでございます。
○塩川委員 下水道事業に広域化、共同化を要請をしてきた。このように、下水道事業に関し広域化、共同化を要請しておきながら、大規模施設に着目した点検基準もなく、それも義務づけることがなくこういった事故につながったという、やはり国の責任というふうに当然問われる問題であります。
重ねて総務省にお尋ねしますが、国は、地方公営企業法の任意適用であります下水道事業に対し、公営企業会計の適用を推進してきたのではありませんか。
○清田政府参考人 公営企業につきましては、先ほども申し上げましたが、人口減少等による料金収入の減少、施設、管路等の老朽化に伴う更新需要の増大などにより経営環境が厳しさを増している中、必要な住民サービスを将来にわたり安定的に提供していくためには、公営企業会計を適用して、資産や経営の状況等を的確に把握することが必要と考えております。特に下水道事業につきましては、資産の規模が大きく、住民生活に密着したサービスを提供しており、公営企業会計適用の必要性が高いことから、重点的に取組をお願いをしてきたところでございます。
○塩川委員 任意適用でありながら、下水道事業に公営企業会計の適用を推し進めてきたのが国であります。
こういった公営企業会計によりますと、これは、住民負担による受益者負担の原則に基づいて、独立採算で下水道事業を運営するということになりますね。
○清田政府参考人 下水道事業を含む地方公営企業につきましては、法令の規定に基づき、一般会計などが負担することとされている経費を除き、独立採算によることを原則としているところでございます。
なお、今回の埼玉県の事故の関係につきましては、現在事故原因に係る調査が進められているものと承知しておりまして、復旧工事の具体的な費用負担の在り方については、まずは事業主体において検討されるものと認識しているところでございます。
○塩川委員 独立採算で行うということですから、基本、流域の住民の皆さんの下水道料金に転嫁をするということになるわけですね。そうすると、今回のような陥没事故の復旧工事の経費もこの迷惑を被っている流域住民の皆さんに下水道料金で転嫁をするということになるわけですね。
○清田政府参考人 下水道事業につきましては、従来より一般会計からも下水処理に係る費用については一定程度の負担というのはしておりまして、全てが料金収入による対応となっているわけではないところでございます。
今回の件につきましては、その費用負担の在り方については、今後事業主体において検討されるものだというふうに認識しているところでございます。
○塩川委員 ですから、総務省がこういった公営企業会計について繰り出し基準、一般会計から特別会計にお金を入れる、そういった繰り出し基準を策定しているわけですが、そういう中に、今回のような陥没事故に相当するような復旧工事、これを繰り出し基準上明記しているのか。一般会計から特別会計に入れるという仕組みはあるんですか。
○清田政府参考人 総務省から地方公共団体に対しお示ししております繰り出し基準につきましては、御指摘の流域下水道、分流式の流域下水道についてでございますけれども、施設に要する資本費のうち、その経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額について繰り出すという基準を通知しているところでございます。
今回の件については、先ほど御答弁申し上げましたとおり、まずは事業主体においてその費用負担の在り方について今後検討されるものだというふうに認識しております。
○塩川委員 こういった復旧工事に、繰り出し基準上明記されているそういった内容に沿って一般会計を入れることができる、そういう仕組みはあるということでいいんですか。
○清田政府参考人 繰り出し基準上、流域下水道に要する資本費については、先ほど申し上げましたとおり、経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額について、従来より、繰り出すことができるという通知を出させていただいているところでございます。
○塩川委員 復旧工事がそれに当たるかどうかなんですけれども。
○清田政府参考人 復旧工事の内容がどのような内容かどうかということはこれから御検討されるというふうに承知しておりますが、いわゆる資本費の部分については、一定額、これまでも、復旧工事のみならず、いわゆる資本費に充てる部分については一定額認められるというところは通知をさせていただいております。
○塩川委員 県の要望も今後出てくるでしょうから、その点について、やはりこういった繰り出し基準に基づいて、下水道料金という形で住民に転嫁をするような、そういうことでは納得が得られないということは重く受け止めていただきたい。
その上で、そうはいっても、県が金を一般会計から入れるというのも、元をたどれば県民の税金などが原資ですから、そういったことについても、改めて、こういった大規模な破損事故、陥没事故が起こった大本に国の対応、責任が問われているということで、やはり国としてそういった必要な国庫補助などを行うということが可能かどうかということについて国交省にお尋ねいたします。
○松原政府参考人 今後、埼玉県を中心に、事故原因に係る調査が進められるものと承知しております。また、埼玉県におきまして、二月二日に今回の事故に関する復旧工法について検討委員会を立ち上げておりまして、具体の復旧工法について検討が開始されているところでございまして、国土交通省の職員もここに委員として参加しているところでございます。
国土交通省といたしましては、事故原因の調査結果や復旧工事の内容などを踏まえまして、復旧工事についてどのような支援が可能であるか、検討してまいります。
○塩川委員 報道では、県として復旧工事の費用およそ四十億円を盛り込んだ補正予算案を県議会に提出するとのことであります。そういった下水道の復旧工事に国費として、例えば社会資本整備総合交付金とか防災・安全交付金とか、そういうものというのは手当てをし得るということでよろしいんですか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、どのような支援が可能であるかは検討してまいりたいと思っております。
国土交通省といたしましては、速やかな復旧に向けて関係機関と連携しまして、できる限りのことをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 国の責任を踏まえた必要な国庫補助を行うべきだということを求めておくものです。
赤澤大臣にお尋ねします。経済財政担当として、改革工程表を策定する責任者であります。
国は、改革工程表に基づいて、下水道事業への公営企業会計の適用促進をし、広域化、共同化を推進してきました。国が下水道事業の大規模化を推進したことで、百二十万人もの住民にこの事故によって負担を強いることになりました。しかも、下水道事業の独立採算化によって、迷惑を被っている住民に下水道料金という形で負担転嫁を求めるようなことは、こんなことはあってはならない。
こういうことでいいのかということが問われておりますが、大臣の認識をお尋ねいたします。
○赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、埼玉県において関係十二市町百二十万人の住民の皆様に下水道の使用自粛をお願いしてきたというのはまさにそのとおりで、私どもも大変重く受け止めております。
その上で、総務省から御答弁を申し上げたとおり、下水道事業については、人口減少や施設の老朽化など厳しい経営環境が見込まれる中にあって、サービスが将来にわたり安定的に提供されることを目指して、経営状況等を的確に把握するための公営企業会計の適用や、あるいは効率的な事業運営を推進するための広域化、共同化が図られてきたものと承知をしております。
また、復旧工事の具体的な費用負担の在り方については、先ほど総務省から答弁したとおり、まずは事業主体において検討されるものと認識をしております。
その上で、国民の安心、安全を確保する中で下水道の老朽化対策は喫緊の課題であり、国土交通省において、全国の下水道管理者に対する緊急点検の実施要請や、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置することとしたところであり、今後、国土交通省において適切に対応されるものと承知をしております。
○塩川委員 重ねて赤澤大臣にお尋ねしますが、大野知事のテレビ番組の発言で、こういった下水道事業、こういう事故に伴うようなものについて、受益者負担でいいのか、そういう疑問を投げかけているわけです。大規模施設を推進しながら、大規模施設に着目をした法定点検を定めていない、公営企業会計を押しつけて、下水道料金という形で住民に負担転嫁をするというやり方はおかしいんじゃないのか、そういう認識は共有し得るものだと思うんですが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 委員御指摘の今回の事案について、私ども大変重く受け止めていることは間違いありません。
その上で、今後、埼玉県において原因究明が図られるものというふうに承知をしておりますし、あわせて、国土交通省において、緊急点検の要請に加えて、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置するとしておりますので、そこでまず御議論をいただいた上で、今後、国土交通省において適切に対応されるものと理解をしております。
○塩川委員 受益者負担という形で住民に負担転嫁をすべきではないといった点について、やはり国としてしっかりとした姿勢を示し、必要な対応策、財政措置を行うということを求めていきます。
公共事業そのものも、やはり、高規格道路や整備新幹線や大規模港湾など、大型開発、新規投資、新規事業優先ではなくて、安心、安全の防災・減災、老朽化対策に転換すべきだということを併せて申し上げておくものであります。
では、赤澤大臣はここまでで結構でございます。
続いて、道路交通安全対策について、坂井国家公安委員長にお尋ねをいたします。
警察庁は、二〇二四年七月に、横断歩道の白線の間隔、これを現行の四十五センチ程度から、一定の条件下で最大九十センチまで幅を拡大できることにしました。コスト削減をするという趣旨です。
そうなりますと、視覚障害者の方は、音はもちろん、白線の塗料の凹凸を足や白杖で感じるなど、横断歩道に関する情報を総合的に認識して道路を横断しております。四十五センチの白線、それを白杖や足で確認をしながら、横断歩道であることを確認をし、通行する、こういったことが、皆さんが気をつけておられるということです。
警察庁にお尋ねしますけれども、この横断歩道の白線間隔の拡大の導入場所、及びその際に視覚障害者に対しての対応を行っている機器であります音響式信号またエスコートゾーンの導入状況はどうか。お答えください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年七月に、御指摘のとおり、いわゆる標識標示令が改正され、これまで四十五センチから五十センチメートルとされていた横断歩道の白線の設置間隔が最大九十センチメートルまで拡大できることとなりました。
その趣旨は、自動車のタイヤの通過位置を避けて白線を配置し、横断歩道をかすれにくくしようとするものであります。
本改正後、現時点までに、実際に白線の設置間隔を拡大した横断歩道は、仙台市青葉区、福島県福島市、広島市南区、横浜市神奈川区の四か所に設置されており、いずれの場所におきましても、ピヨピヨ、カッコーといった音により信号が青であることを知らせる音響信号機と、横断歩道に点字誘導ブロックをつけ、横断歩道であることを分かりやすくしたエスコートゾーンが整備されております。
○塩川委員 四か所で設置をされ、音響式信号またエスコートゾーンが設置されているということですが、その設置に当たって、視覚障害者の方に意見はお聞きになったんでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたいわゆる標識標示令の改正に当たりまして、視覚障害者の方々が横断歩道を認識しにくくなるのではないかとの御意見が多く寄せられたことを踏まえまして、白線の設置間隔を拡大した横断歩道を設ける場合には、視覚障害者の安全に十分配意することとしております。
その過程におきまして、視覚障害者の方々から、この設置場所、設置する際に御意見を伺っているところでございます。
○塩川委員 坂井国家公安委員長にお尋ねします。
やはり白線の間隔を広げるということについては、こういった視覚障害者の方について今までにない条件を強いることになるといった点で、音響式信号やエスコートゾーンといった視覚障害者に対して本当に安全を確保する、そういった装置と一体に行うことこそ必要で、こういった音響式信号やエスコートゾーンが設置されていないような場所に白線の間隔を空けるような、そういう措置は行うべきではないと考えますけれども、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 今局長から御答弁させていただきましたように、視覚障害者の皆様方から御意見を伺いながら、今四か所においてスタートしたところでございまして、委員御指摘のように、音響信号機、エスコートゾーンが設置されている場所について優先的に設置を検討し、設置後には、視覚障害者等の方々がこれから実際に横断歩道を横断していただくわけでございますので、そういった中で、今後も引き続き御意見を伺いながら対応してまいりたいと思っております。
○塩川委員 視覚障害者の方にとっては、音響式、そしてエスコートゾーンというのは、命を守る情報を提供する装置であります。しかしながら、音響式信号機というのは、全体の、二十万ある信号のうち二万機で、一割しかないんですね。また、音響式なのに時間制限が行われている、そういった信号機も多数あります。横断歩道上の点字ブロックでありますエスコートゾーンは、三千か所余りで、全横断歩道の〇・三%しかついておりません。
政府は、二〇二五年度中に、都道府県警察が特に必要とした箇所全てに音響機能、エスコートゾーンを設置する方針としておりますけれども、この特に必要とする箇所そのものが二千四百三か所で、大変少ないものであります。
音響式そしてエスコートゾーンの設置を大きく引き上げることを求めるとともに、白線間隔の拡大は、音響式信号、エスコートゾーンが設置されていない場所で行うべきではないということを重ねて申し上げておきます。
次に、歩車分離式の信号についてであります。
警察庁は、今般、指針を改定して、歩車、歩行者と車両の分離式信号、歩車分離式信号の整備を推進するとしておりますが、どのような中身でしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
歩車分離式信号につきましては、歩行者と車両の進路が交わることのないよう、歩行者が通行する時間と車両が通行する時間とを分離するというものでございまして、歩行者の安全確保に有効な手段であると考えております。
警察庁におきましては、平成十四年に歩車分離式信号に関する指針を作成し、その導入を推進してきたところであります。また、本年一月には、指針策定当時とは交通事故情勢や道路環境なども変化していることを踏まえまして、歩行者の安全を確保する観点から、歩車分離式信号の整備を一層推進するため、指針を見直したところでございます。
新たな指針では、死亡事故が発生した場合には歩車分離式信号の導入を必ず検討することとしたほか、通学路などにおきます歩車分離式信号の導入要件を緩和するなどしたところであります。
○塩川委員 この歩車分離式の導入というのは、事故対策に一定の効果があり、また、我が党も要求してきたものであります。しかしながら、視覚障害者の方への配慮が必要であります。音で判断して横断をしています視覚障害者の方は、自動車の音も判断材料であるわけですね。ですから、それが歩車分離式だと分からない。そうすると、青なのか赤なのかも分からない。
その点で、音響式信号機というのは、横断歩道の場所、信号の色、横断歩道の方向が分かるもので、視覚障害者のためにも、こういった音響式信号機というのは不可欠であります。
音というのは、騒音ではなく、命に関わる情報でありますので、こういったことについて必要な配慮を是非求めたい。坂井委員長に一言。
○坂井国務大臣 委員御指摘のように、歩車分離式信号は、安全確保に有効な手段であると認識をいたしております。歩車分離式信号の整備の推進に当たって、引き続き、視覚障害者の方々の安全に十分配慮するよう警察を指導してまいりたいと思います。
○塩川委員 視覚障害者の方にしっかり、声も聞き、配慮した対応を求めて、質問を終わります。
○大岡委員長 次に、石井智恵君。
○石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。
大臣所信に対する質疑としては初めての質問となります。今回の質疑では、男女共同参画について、私の実体験を含めた質問とさせていただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、DV被害者支援についてお伺いいたします。
私自身、DVの被害者の当事者でありました。私の場合は、二十代で結婚をし、そして夫の暴力が少しずつ始まって、そこからだんだんエスカレートし、それでも十年間ずっと、私は誰にも相談することができずに、いつかこの暴力がなくなるんじゃないかということで、夫を信じながら過ごしてまいりました。
そういった中で、次女が三歳児健診のときに、何か相談はありませんかということを、書く問診があったときに、夫の暴力のことを少し書いたときに、別室に呼ばれて、そしてこれまでのことを話しましたら、それは典型的なDVですよと。そして、将来お子さんたちが加害者になったり被害者になったりするかもしれないということを言われて、衝撃を受けました。
そこから離婚を考えるようになって、そして、離婚の相談をしたときに、別れ話をするときが一番命が危ないんだ、だから、まず安全なところに身を置いて、そこから裁判をする、そういったことを教えていただきました。そこで、私は、子供たちを連れて家を出て、誰も分からないところに身を潜めて、そこから裁判をし、そして離婚をすることができました。
しかしながら、離婚裁判をするとき、非常に精神的にも負担があって、うつ病にもなり、そして仕事ができなくなって、次第に貧困に陥ってしまって、家賃も払えなかったり電気が止まってしまったりガスが止まってしまったり、そういった経験もいたしました。しかしながら、誰にも住んでいる場所も告げることがない、友達にも今の状況を話すことができない。だから、私たちは社会の中で本当に孤立をしていた状態でありました。
そういった中で、私は行政にも度々相談しましたが、やはり民間の支援というものを求めて、幸い、新聞記事で、子供の心のケアをやっている、そういったDV支援があるということを知って、そこで、その相談センターのところに行って、初めて支援を受けるようになりました。
そこでは、様々、例えば引っ越しの手伝いであったり、子供のカウンセリングであったり、弁護士さんの紹介であったり、そしてまた裁判をするときの同行であったり、いろいろな幅広い支援をしていただいて、ようやく私は自立をすることができました。
また、引っ越し先の学校や保育園の先生たちにお話をしたら、私たちが全力で守りますからということを言っていただいて、そして本当に、私はここでやっていけるんだということを、勇気をもらって私たちは生きていくことができました。
そういった経験をしてきた中で、本当に今、これからのDV被害者支援についてどうあるべきか。これまで私自身は、幸いにして様々な方々のサポートによって私たちは生きていくことができました。これは本当にまれなケースでもあると思います。裁判をすることができて、親権をかち取ることもできて、そしてようやく自立をすることができた。これから、このように、DV被害に遭った方々を、いろいろな立場の人たちの中の視点で支援をしていく、包括的な支援というものがやはり必要だと思いますし、やはり長期的なビジョンに立っての支援というものが非常に重要なんだということを私は身をもって体験をしています。
ですから、DV被害者支援というのは、例えば、通報するときには警察庁、保護するときも警察庁、そしてまた子供のことはこども家庭庁、そして、例えば自立支援については厚生労働省だったりとか、そしてまた、けがをしたりとか精神的な病気になることもあります、そうするときは医療、そしてまた自立のための就職については経済産業省、そしてまた離婚の裁判については法務省、いろいろな各省庁の連携がやはり必要だというふうに私自身は思っています。
これからのDV被害者支援については、やはりそれぞれの各省庁が連携をして、それぞれ回復プログラムによって、その連携をした状態で支援をしていき、そして最終的には、被害者の人たちが自分らしく生きていけるにはどうすればいいのか、それを最終ゴールとして回復プログラムを行っていく。そしてその中には、それぞれのカスタマイズ、それぞれのオーダーメイドでその人に合った支援をやっていく。こういった視点に立ってのDV被害者支援というものがやはり必要なんだというふうに私は思っています。
これからの第六次男女共同参画基本計画も策定すると思いますが、そういった視点で是非とも取り入れていただいて、これからの、被害者とそしてまたその子供、子供たちを含めた幅広い視点でのサポートというものを考えていただけないかと思いますが、三原大臣のお考え、またこれからの対策についてお伺いさせていただきたいと思います。
○三原国務大臣 今、委員の御経験を踏まえた御質問をいただきました。
配偶者等への暴力、これは被害者の尊厳を傷つける行為であり、いかなる理由があったとしても、これは許されるものではありません。DV等の根絶を図ることは、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であるというふうに認識をしております。
また、今お話しいただきましたように、DV被害者の同伴家族、特にお子さん、子供につきましては、当然、心理的虐待という形になりますし、また、それに加えて、転居、転校ですとか、そうしたことを始めとする生活の大きな変化、こうしたこと、影響を受けやすいということで、本当に関係各機関が、今委員がおっしゃったように連携して、警察もそうですし、厚生労働省もそう、こども家庭庁もそう、みんなが子供の状況に応じて、また、カウンセリング等が必要なときもあると思いますし、そういうときの援助、これは適切に対応することが必要だというふうに認識しております。
第六次男女共同参画基本計画の策定に向けて具体的な検討は今後進めていくところでありますけれども、DV被害者の支援につきましても、同伴する児童の支援も含め、児童相談所、あるいは女性自立支援施設、母子生活支援施設等の関係機関が相互に十分な連携を、これを継続的な支援が行えるように、委員の御指摘も踏まえて、しっかりと関係省庁においても連携して取り組んでまいりたい、回復プログラム、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
○石井委員 三原大臣、ありがとうございました。
DV被害の根絶、これはやはり、これからの子供たちに対するサポートが非常に重要だと思っています。子供たちは、社会の中で大人から愛情を持って育ててもらった、そういったことがやはりこれから必要だというふうに思いますので、是非、子供たちのサポートも含めて、前向きに取り組んでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
次に、選択的夫婦別氏制度について御質問をさせていただきます。
先ほど私申し上げましたように、今シングルマザーですが、これから私も再婚をしていきたいというふうに考えております。そういった中で、やはり選択的夫婦別氏制度の導入について私自身は前向きに是非取り組んでいきたいと思っているんですが、私の場合は、シングルマザーになったときに子供が三歳と十歳であって、ただでさえ、急な引っ越しや親の離婚で非常に精神的にも不安定になっていました。そういったことから、子供の名前、氏はそのままにしてあげたいということで、婚氏続称を選択をして、そして離婚後も婚姻時の氏を使っていました。
それから二十年がたって、そして、その名前で私は選挙にも出ました。県議会議員になって活動をしていました。しかし、様々な理由で、やはり旧姓に戻さなければならない、旧姓に戻したいというような事情があって、そして旧姓に戻すことになったんですね。そうすると、なかなかできないということがあって、子供が二十歳になったときに、子供たちに相談して、私たちは分籍をして、親子それぞれ違う戸籍にして、そして私だけ旧姓に戻すことができました。政治家として、選挙に当選した名前でそのまま活動するんじゃなくて、途中で名前を変えたという経験をしたんです。
しかしながら、私は、旧姓に戻ったときに、自ら、自分らしくなったな、本当に心から、解放されたな、そういった気持ちになったんですね。名前って本当に大事だなということをつくづく私自身は感じております。
今五十七歳ですけれども、その私が今度は再婚をしたいと考えるようになりましたが、ようやくこうやって旧姓に戻って、では、今度、再婚になったときに、そうしたら、相手の方の氏と私の氏と、どうするのかといった問題があります。例えば、相手の方も氏を変えたくない、私も氏を変えたくない、そうなれば事実婚しかないということになってしまいます。でも、やはり法的な結婚として法律婚を望みたい、そういった場合の選択肢がないということになります。
こういったいろいろな事情で、氏を変えることができなくて、事実婚を選ばなければならないという方も非常に今たくさんいらっしゃいます。成人人口の中で二%、三%、約二百万人、三百万人は事実婚になっているということであります。その事実婚を選択している方々の夫婦の中で、やはり法律婚を希望されている方も九〇%以上あるというデータもあります。
そして、その御夫婦の間で生まれた子供たちもいます。その生まれたお子さんたちは、生まれたときに、お父さんとお母さんの氏が違っている中で生まれました。そのお子さんたちが、では、今、どうなのか。お父さんとお母さんの氏は違っていて、当たり前のようにずっと生活をしていた中で、では、いじめはあったのか、そして子供たちは本当にかわいそうなのか。
このことについて、私は、この選択的夫婦別氏制度について、よく多くの方々が反対をされている中に、やはり家族の一体感が失われるんじゃないか、そしてまた、子供たちがかわいそうなんじゃないかという御意見を聞くことがあります。では、本当に、お父さんとお母さんの氏それぞれが違っているお子さんたちは実際どうなのか。そのことについて私も調べてみましたが、そういった実態調査はまだないということなんですね。
ですから、やはり、両親の氏が違っていて、事実婚で生活をしているお子さんたちの例えば精神的な負担であったり、実態調査であったり、そういった事実を踏まえた上でこの選択的夫婦別氏制度を考えていくことも私は必要なのではないかなというふうに考えるんですが、三原大臣はどのようにお考えになっているのか、教えていただけますでしょうか。
○三原国務大臣 事実婚など、親と氏が異なる子供についてお尋ねをいただきました。
事実婚関係にある方の割合、先ほど委員がおっしゃったように、二%から三%と少ないということだと思いますが、そこから事実婚関係にある方々の子供の数となると、更に少ないというふうに考えられます。例えば、内閣府が令和三年度に実施しました委託調査のアンケート調査においても、回答者の二・三%が事実婚や内縁関係にあると回答したと承知をしております。
そして、その中で、統計的な分析が可能となる十分な子供の数、これを確保するのはなかなか難しいということであります。と同時に、事実婚などによって親とお子さんの氏が異なる家族形態の方々、それを親御さんが選択したわけですよね。その選んだ判断を子供自身がどう思っているかというところを問うというのが、これは、子供への伝達の状況ですとか、また、子供さんの年齢とかを踏まえたその理解度というのでしょうか、そうしたところも考慮する、心情を考慮する必要というのが私はあるのではないかなというふうに思っております。
ですから、なかなかこの調査をするというのは難しいのではないかというふうに思っております。
○石井委員 それぞれ個々のケースがあって難しいこともあると思います。しかしながら、少ない人数だったとしても、そういった方々が、どういった家族の中で一体感がしっかりと結べられているのかどうかということもやはり併せて調査して、そして、本当に家族の一体感が失われるのかどうかといったことは、やはり、この男女共同参画の中でのエビデンスとして持っておくことは必要なのではないかと思います。
それと、もう一つ。次に、ステップファミリーと言われている御家族もいます。その方々は、それぞれ子連れで再婚をされるという方ですね。
それでは、その方々の氏はどうするのか。それぞれやはりいろいろな事情で、その氏を名のって、そしてお互いに結婚をしたいといった場合の、その氏はどうするのか。現行では、それぞれの氏、お互いに変えたくない、母親側の方にするのか父親側の方にするのか、それぞれやはりあると思うんですが、同時に、それぞれの名前を名のりたいといった場合は、やはり事実婚になるのではないかと思うんですね。例えばそういった方の状況であったりとか、そのような調査、現状というものも、やはりある程度エビデンスとして持っておく必要はあると思います。
そして、もう一つ。これから、五十代、六十代、中高年の方々も、やはり私と同じように再婚をしたい、また、晩婚化で、六十代になったとしても結婚をしたいと思っている方々もいらっしゃると思います。
そういった方々も、これまでその名前でずっと仕事をされたりしてきて、今度結婚をするといったときも、やはりその氏はどうするのかといった問題もあると思うんですね。そういった方々は、やはり事実婚しかないのではないかというふうな選択しかない、こういった問題もあると思うんですが、そういったことも、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 先ほどのお子さんの話ですけれども、統計を取るというよりも、きちっと、どのような状況にあっても、そうした子供の意見を聞く、話を聞くということは非常に重要だと、そこは私も同意見でございます。
お尋ねをいただいた中年期以降の婚姻につきまして、先ほどの内閣府の実施した調査によりますと、四十から六十代の独身男女について、積極的に結婚したいと思わない理由についても調査をしておりまして、女性の場合、五割以上となっている上位三項目が、多い順に、結婚に縛られたくない、自由でいたいからが六〇・七%、結婚するほど好きな人に巡り合っていないからが五八・八%、結婚という形式にこだわる必要を感じないというのが五五・六%となっており、御指摘のような、名字、姓が変わるのが嫌、面倒だからと回答した割合は三五・三%あったと承知をしております。
○石井委員 ありがとうございます。
こういった調査なり実態把握などを通して、これからの選択的夫婦別氏制度がどうあるべきかということをやはり考えていくことも必要ではないかというふうに思っております。
三原大臣は所信表明で、女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現というふうに述べられておりました。
その実現のために、人生の最期、終わりを迎えるときに、どちらも、やはり法律的にも婚姻の関係を結んで最期寄り添いたいと言っている、そういった方々もたくさんいらっしゃると思います。そういった方々のためにも、やはり今後の選択的夫婦別氏制度について、是非、男女共同参画の中で考えていける、国民のみんながそうやって考えていけるような機会をつくっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
次の質問は、先月末、国連の女子差別撤廃委員会から皇室典範改正の勧告を受けたことで、日本政府が国連人権高等弁務官事務所を通して、拠出金の使途から女子差別撤廃委員会を除外する又は委員会の訪日プログラムを中止すると伝達をされたということですが、この日本の対応について、繰り返し政府の方では我が国の考え方を丁寧に真摯に説明したにもかかわらず皇室典範に関する記述が削除されなかったとあり、政府として判断をした、しかし、女子差別撤廃委員会への支援は今後も継続することが適当と岩屋外務大臣は二月十日の予算委員会で答弁をされていました。
しかし、この日本の皇室典範の考え方については、やはり日本の考え方を国際的にもしっかり理解してもらえるように努力をしていく必要があります。そうであるならば、やはり、女子差別撤廃委員会メンバーの方に日本に来ていただいて、そして丁寧に説明をすることでより理解が深まるのではないかというふうに私は思います。
今回、訪日プログラムは、やはり日本の歴史、文化を知っていただく、特に皇室のことについても非常に知っていただくいい機会だったのではないかと思います。日本が批准、締結しているこの女子差別撤廃条約の中で、今回の抗議について、拠出金の除外は経済的威圧だったのではないかという意見もあります。また、訪日プログラムの中止は、日本の考え方を伝える機会をなくしてしまったということもありました。
このことについてやはり考えていくべきではないかと思うんですが、これは外務省の方の御答弁を是非お願いいたします。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
今先生の方からもお話がございましたけれども、先般公開された女子差別撤廃委員会による我が国の女子差別撤廃条約の実施状況に関する第九回政府報告を受けた最終見解については、我が国からの度重なる申入れにもかかわらず、確定版として公表されている最終見解においても皇室典範の改正に係る勧告が維持されております。
かかる状況を踏まえまして、皇室典範に定める我が国の皇位継承は国家の基本に関わる事項であり、同委員会が取り上げることは適当ではない、皇位継承に関する記述は受け入れられず、削除すべきであるという我が国の考えを改めて書面で提出し、同委員会のウェブサイトにも掲載されております。
済みません、長くなって恐縮でございますけれども、今お話がありましたとおり、国連人権高等弁務官事務所に対して、我が国が用途を指定し毎年拠出している任意拠出金については、その使途から同委員会を除外することを伝達し、また、同委員の訪日プログラムの実施を見合わせるということも伝達しております。
女子差別撤廃委員会に対して、審査プロセス及び審査後にも我が国の考えを繰り返し丁寧にかつ真摯に説明してきたところでございますけれども、皇室典範に関する記述の削除要求が受け入れられなかったことは大変遺憾でありまして、そのことを重く受け止め、政府としてこのような判断に至っております。
本年度の訪日プログラムにつきましては、今申し上げたような経緯でございまして、そういう判断になりましたけれども、今回の措置は、女子差別撤廃委員会による皇室典範改正の勧告に対するものでございます。したがいまして、女子差別撤廃に向けたこの委員会との協力も継続していきたいというふうに考えております。
○石井委員 やはり国際的にもなかなか日本の皇室というのは理解しにくい問題だと思いますので、だからこそ、しっかりと丁寧に説明をする機会を設けていただきたいと思います。
次に、内閣府の男女共同参画局にもお伺いしたいんですが、男女共同参画局として、今回の日本政府が取った対応というのが、女子差別撤廃委員会から、日本に対する理解、一歩後退したのではないかというふうにも取られてしまうんですが、このことについてはいかがでしょうか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の対応でございますけれども、先ほど外務省から答弁がございましたけれども、先般の女子差別撤廃委員会の対日審査を受けた最終見解に皇室典範の改正を勧告する記述があったことを受けまして、この委員会によります皇室典範改正の勧告に対して取られたものでありまして、政府として検討し、判断したものでございます。
今般の措置は、いずれも外務省予算に関わる事項ではございますけれども、いずれにしましても、我が国といたしましては、女性活躍、男女共同参画は、全ての方が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を実現するとともに、我が国の経済社会の持続的な発展に不可欠な要素であると考えておりまして、このような観点から女子差別撤廃委員会とも引き続き協力をしてまいります。
○石井委員 ありがとうございました。
この女子差別撤廃委員会への理解を深めていくために、日本も男女共同参画については一生懸命今取り組んでいる、そのこともやはり併せてしっかりと説明をする機会を設けていき、そして皇室典範についてはやはり丁寧な説明がこれからも必要だと思いますので、是非その機会を設けていただいて、そして、より国際的な中で日本の立ち位置というものを、男女共同参画社会を実現をしていくんだということを国際的にも知っていただけるように努力していただけたらというふうに思いますし、私たちも努力していきたいというふうに思っております。
以上で質問を終わります。大変ありがとうございました。
―――――――――――――
○大岡委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として出入国在留管理庁審議官君塚宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村浩一郎です。
三十五分いただきまして、質問させていただきます。よろしくお願いします。
まず、坂井大臣の所信の中に、「我が国の排他的経済水域における海洋再生可能エネルギー発電設備の設置に係る制度の創設等を内容とする法律案を今国会に提出します。」とありました。
これは、昨年、実は、衆議院では審議され、衆議院は通過していたものですけれども、解散によって廃案になっていたものをまた再提出ということでありまして、私は、この趣旨、これは是非ともやっていかなくちゃいけないという思いでありますし、一刻も早くこれをまた通して、参議院も通して、法律にしていくということは大賛成でございます。
その中で、大変私がうれしく思ったのは、これまで洋上風力発電という言い方で結構代弁されていたところがあったんですね、この話は。ここで、私はずっとそこに対しては、いや、もちろん洋上の風力発電もあるけれども、例えば洋上ということを考えると、洋上で太陽光発電でもいいし、洋上だと、例えば波力発電、波の力を利用する発電、また潮力、海の流れを利用する発電もあってもいいとか、あと海洋温度差発電というのもあるんです。ですから、総合的に、単位面積当たり最大の電気を取り出すためのやはりそういう海上エネルギーファーム、洋上エネルギーファームにしなければならないということを経産委員会も通じて大分議論してまいりました。
この度の法律、これは法律名は前からそうだったんでしょうけれども、あえてここは、洋上風力発電と代弁せずに、海洋再生可能エネルギー発電設備の設置と言っていただいたことに関しては、大変、これまでの私のまた思いも、まあ、私の思いだけを受け取ってくれたのかどうか知りませんが、そういう洋上エネルギーファームを造らなくちゃならないという志に対してしっかりと応えていただいたものだと思っています。
そこで、これは答弁というよりも、この洋上エネルギーファームというものに対して、今大臣がどういう思いで取り組もうとされているか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○坂井国務大臣 市村委員がこの問題、テーマに関して大変御関心があり、そしてずっと取り組んでこられたということを、今回の質疑に関して様々御説明を聞く中で私も知ったところでございますけれども、私自身も極めて大事な視点だと思っております。
実際に投資した分を、その分しっかり発電によって回収ができるという仕組みをつくるということが重要であって、ただ、そのためには、やはり技術と、その技術を基にしたシステムというか、これがきっちりできる、つくっていくということが大事だと思っております。
○市村委員 それは言うまでもないことであります。どのような課題に対しても、それを使える技術があるとしても、じゃ、それを実用化するときには様々な困難があるというのは、これは、別にこの海上のエネルギーファームだけじゃないところでも同じことだと思います。
だから、そこにチャレンジするかチャレンジしないかということなんですが、今政府は、こうやってチャレンジするとおっしゃっていただいているわけですから、是非とも技術的課題も乗り越えながら、またそれを更に磨きながら、やはり何事も最初から百点満点は目指さないんですね、大体課題点六十点ぐらいでスタートしてみて、どういう技術もそうだと思うんです、そして、それが売れる、市場性ができてきた場合、売れたらまたそれで利益を得られる、そうしたらそれをまた再投資していく。そこにはもちろん、また新たな投資を呼び込むということもあるでしょうけれども、そしてだんだんだんだん改良されて磨き上げられていくということですから。
ただ、大切なのはやはり志ですよね。洋上ファームをやるという志を持つということが大切でありますが、大臣、いかがですかね。その志はどうでしょうか。
○坂井国務大臣 少なくとも私が大臣をさせていただいている間は、ここを強く持ってやっていきたいと思いますが。
私が担当しております海洋事務局ですね、海洋担当でございますが、様々個別の、例えば今のテーマでいいましても、再生可能エネルギーということであれば環境省とか、もちろん発電エネルギーということであれば直接的にエネルギー庁であるとか、様々な分野に関わるわけで、そういったところをうまく海洋事務局で取りまとめて、今、我々の、お話をさせていただいている志というか、こういった結果を出せるように、うまく調整をして結果が出せればなと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。是非とも海洋本部が取りまとめていただきたいと思います。
何せ、この話、実は私が国土交通大臣政務官をやっているときに一か月だけ海洋本部の担当政務官をさせていただいたんですね、そのときに実は出したテーマなんです、このテーマは。ですから、是非とも、私としても物すごく思い入れを持っているところであります。
実は、今からちょっと国産化の話をさせていただきたいんですが、そのときに私、念頭にあったのは、例えば、もちろんそれは風力発電のシステムが念頭にあったんですね。やはり海洋に風力発電というのが一番私はそぐうと思っています。やはり風力発電システム、日本の場合、平たんの土地がないんですね、そんなに。
風力発電というのは、風向き、つまり、風の通り道に置いていなかったら無用の長物ですね。置いておけばいいというものじゃない、風が来てくれるわけじゃないので。風の通り道に置かなくちゃいけない。
そのためは、風況調査という、要は風の状況調査ですね。これは結構、設置するまでに最低一年はかかるんです。やはりワンシーズンその場で置いて、どの時期にどういう風が吹くかというのは大体あるんですけれども、ただ、日本の場合、非常に地形も複雑で、ほかの地域、砂漠とかああいうところは平たんですから地上でもある程度予測できるんです、どの時期にどの方向から風が吹くか、どのぐらいの強さの風が吹くか分かるんですけれども、日本はなかなか、気候が非常に変わりやすいというところもあって。しかも、電柱一本あっただけで、壁一つあっただけで、風の向きというのは意外と変わるんですね。これは変わるんです、風向きというのは。
桜の時期に、じっと桜に近づいていったりとか、花に近づくと、それまで止まっていたやつが結構揺れたりするのを経験されたことはないでしょうか。つまり、自分が近づいたがために風の向きが変わるんですよね。そうすると、それまで止まっていたのが、近づくと何か揺れ始めるんですね。そういうものなんですね、風というのは。それが大規模になると、なかなか、せっかく造って置いていても、それますというところになるんです。
だから、それを克服するような技術を研究しているところが日本にはあるんですね。これは一つは九州大学でありますが、産学連携という意味でも、そういうところの技術をやはり是非ともまた国にも取り入れていただきたいと思っているんですが、そのときの思いは何かというと、一つ言えば国産化なんです。
今恐らく、海上再生可能エネルギー発電設備の設置ということで考えられているのは、超巨大な風力発電システムを、高さが大体、ブレードの先端、三百メートルぐらいですよ、多分一個十メガとか二十メガとか、こういうやつをEEZ、まあ沖に置こうということを考えられていると思います。これはこれで一つの考え方としてあるとは思います。それを何十基、何百基ぐらい、それをクラスターと政府の方は呼んでいますけれども、私は後で本当のクラスターは違うということをお伝えしたいんですが。だから、じゃ、それでうまくいくかというと、正直、私はなかなか疑問に思っているんですね。
しかも、その風力発電システム、日本のメーカーも取り組みました。三菱さんも日立さんも取り組みました。しかし、もうこれは撤退しちゃっているんですね。そうなるとどうなるかというと、海外からのシステムを取り入れていくということになってくるわけです。
日本に技術力がないならいいですよ、なくて、やらないかぬなら。でも、私は、日本には十分技術力があるというところだし、新たに巨大なのを一個造るんじゃなくて、これからクラスター化というのが、一つのブドウの房ですね、クラスターというのはブドウの房みたいに、なるべく中規模のものを幾つかまとめて配置するというところの技術も唱えているところがあるんですね。これは九大がやっているんですけれどもね、九州大学が。
これは、だから、特にブレードの周りにレンズを、いわゆる輪っかをくっつけて、これは風レンズという言い方をしていますけれども、いわゆる風を集める。そうすると、輪っかを通るときに風速が増すんですね。だから、光を集めるように風を集めてくるんです。それで風速が増すというものなんですね。これをすると、例えば二六%風速が増せば、三乗に比例して発電量は伸びるので、一・二六掛け一・二六掛け一・二六は約二なんですね。発電量が二倍になるという、こういう技術を九大はずっとやってきている先生がいらっしゃるんですね。
だから、そうした技術をもっと生かして、しかも、環境省さんが去年、たしか予算をつけていただいて、去年か、この三年間ぐらいのあれなのか、つけていただいて、今、二百キロワットという発電能力のやつを、九州の玄界沖でしたかね、に設置しようとされています。
だから、環境省さんは十五年前ぐらいから、それこそ洋上エネルギーファームの原型となるようなものに対してお金を出していらっしゃるんですね。日本は、せっかくお金を出してやってきているんですよ、そういう技術を磨いてきているわけです。だから、こういうものをもっと発展させるべくやってほしい。
だから、今動いている超巨大な、一個十メガ、二十メガとかいうやつは、それはそれで、もう今更止められないでしょうから、それを止めてくださいと言うつもりはないんですが、一方で、同時並行で国産化を目指して頑張ってほしい、こういう思いを持っているところでございますが、政府委員、よろしくお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘ございました、洋上風力発電を含めて洋上のエネルギーにつきまして国産化が大事だということでございまして、我が国の産業競争力強化といった観点からも、国産化を進めていくことが大変重要だと考えてございます。
まず、洋上風力発電につきましては、二〇四〇年までに国内調達比率六〇%ということで、経産省として企業の設備投資への支援等を行っているところでございます。現状、洋上風力発電に活用される大型風車本体につきまして、国内に製造できるメーカーが存在しないことも事実でございますので、風車本体を国産していくことを目指して、技術者を確保、育成し、そして設計、製造に係る技術開発を進める、その上で主要製品の生産体制を構築するなど、段階的に進めていく必要があると考えてございます。
また、御指摘ございました、いわゆるエネルギーファームを含めて、レンズ型風車につきましては、御指摘いただきましたとおり、環境省の事業において技術開発が進められてきていると承知をしております。
洋上における再生可能エネルギーについては、今後の可能性として、洋上風力発電のみならず洋上太陽光あるいはレンズ型風車技術等を含む洋上エネルギーファームもあり得ると考えてございます。
洋上エネルギーファームの実用化に向けては、海水による電気設備への塩害等の影響考慮や、コスト低減等の様々な技術的論点がございますので、こうした点も踏まえ、洋上エネルギーファームにつきまして、CO2の排出削減効果や経済波及効果等の観点から、国によるプロジェクト支援の必要性も含めて見極めてまいりたいと考えております。
○市村委員 伊藤部長、ありがとうございました。
本当はもっとやりたいんですが、ここで次に行かせていただきたいと思います。
次は、平大臣、よろしくお願いします。
今からのサイバー安全保障については、また二十時間以上かけて恐らく内閣委員会で法案質疑をやりますから、そこでじっくりやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今日は、最初、スタートということで、この目的を簡単に、改めて大臣のお口から、官僚的な発言ではなくて、大臣が本当に何を求めているかというところで私は語っていただきたいと思います。
○平国務大臣 私は、国会議員になって三期目のときに、今から多分十二、三年前、経産大臣政務官をやっていたときに、標的型メールというのを送りつけられて一度感染をしたことがありました。私のように、それほど、まだ若手の議員ですらそういう標的に遭うんだなというのをまず実感しました。
昨今は、年末、JALが飛ばなかったり、あとはメガバンクがいろいろな不具合を起こしたり、通信事業者もありました。さらには、暗号資産の取引所が攻撃をされて、五百億近い暗号資産が抜かれるという事件も起きました。これを見ると、結構、国家が背景と見られるハッカー集団の攻撃というのがあります。なので、いよいよ大企業といえども一社ではもう守り切れない。更に言えば、同盟国、同志国としっかり連携をし、我が国自体もサイバー防御の能力を高め、これに対処していかないと、重要インフラがいつ止まるか分からないし、仲のいい国ばかりではありませんから、そういう悪意のある国から国民生活を守るためにサイバーセキュリティーが極めて重要だという認識を持っております。
○市村委員 ありがとうございます。
まさに、今の思いは共有するところでありますし、そのためにもこれは必要だということは同じであります。
ただ、じゃ、何をまず守るのかというと、今、要するに情報を守るんだということですよね、情報を守る。じゃ、その情報を守るというときに、一体、本当に今回のスキームで守り切れるのかというところを、これから恐らく法案審査で二十時間かけていろいろな政党なりいろいろな方から多分いろいろな質問、質疑があると思いますが、今回のスキームで本当に守り切れるのかどうか、私は非常に疑問なところを正直持っています。
また、その守り切れないものも含めて、今回のスキームは、民間の情報、もちろんメールの中身までは、これは自動的に排除するということであって、どういうルートを通ってそこに情報が入ったとか、その情報を分析して発信元のサーバーを特定するということなんでしょう。そのためには民間のお力もいただかなくちゃいけないわけですね、通信事業者を含めて。
ただ、それは、敵もさるものというか、これで、じゃ、例えばサーバーを特定しようとすることを日本はやっているな、欧米はもう当然やっている。多分、当然あっちはあっちで防御をするわけでありますし、これはまさにサイバー戦、サイバー戦争というものがもう実際は繰り広げられている中で、しかも、サイバー空間は、例えばデジタル庁に言わせると、これはノートラストなんだというところで、サイバー空間はそもそもノートラスト、つまり、もう守り切れないということですよね。信用はないということです。守り切れない。
ならばということで、これも私も経産委員会を通じてずっと主張してきているのは、ならば、サイバー空間で守り切れないならば、何を守るかというと情報を守るんだから、情報に暗号をかけて、常に暗号をかけて、取られても、要するに、情報をちゃんとした箱に入れて鍵をかけて、この鍵が相手方しか開けられないようにしておけばいいわけですよね。相手方しか開けられないという形にしておけばいいわけでありまして。
だから、そういうことをしっかりと考えて、もう実装して実用化している人が日本にいるのでということで、前の内閣委員会でも官房長官にもお話をしたら、官房長官も、その方のことは知っている、ただ、私も判断できないから、結局、ずっと私がお話を聞いてきたCRYPTRECさんにちゃんと言ってほしい、論文を出してほしいということなんですが。
この完全暗号の話というのは、そんな、何か論文を出して云々の話ではなくて、きちっとやはり国としてこういうものをどう捉えていくかというところで、非常に、本当はクローズなところでしっかり議論をしてほしいわけです。これが本当に使えるものなのかどうか。完全暗号と本人は主張しているけれども、ひょっとしたら全然違うかもしれない。私には当然判断できないわけですから、是非とも早く、国として、これが本物かどうかを判断してほしいというふうに私は思っているところなんです。
だから、それをプラットフォームにすると、そもそも情報を守るというシステムをつくっているわけですから、どんな脆弱なサイバー空間を通じても、取られても、バックアップをしていますし、開けられない、情報は守られるわけですね。ですから、そういうものとしてやった方が、そもそも発想をそこにした方がよっぽどいいんじゃないかなと。
しかも、もうあるんですね、実装されていると言われているわけですから、実用化もされていると言われているわけですから、そんなに開発費は要らないんですよね、要らないんです。だから、あとは、これが本物かどうかを判断して、本物だったら、それなりの費用をかけて、そんなにかからないと思います、もうあるんですから。
今からまた民間にお金を出してもらって、皆さん、しっかりサーバーも登録してくださいね、それでまたちゃんと入れ替えてくださいね、中国のなんかは駄目ですよとか、そういうことに、いや、実際そういうふうに言われているらしいので、私が聞いたところ。アメリカは特にそうですよね、実際にそうしていますよ。中国製品を全部排除しているわけですから。
だから、そういうところで、欧米並みにするとおっしゃっているんだから、じゃ、そういうところまで皆さんに言って、変えてください、だけれども、その費用は、さっき大臣おっしゃったように、だって、おたく、一社で無理でしょう、だから国が入ってやるんだから、一社でやろうとしたら莫大な費用をかけてあなた自分で守らなくちゃいけないんですよと。でも、ある程度プラットフォームは国がつくるから、おたくはちょっと、少しは負担してくれというのが多分今回のスキームだというふうに思うんです。
それでも、本当にそれで守られればいいですよ、守られれば。しかし、結局守られない、情報だけ抜かれ、個人情報は取られている。中身は削除されると言っているけれども、そこも本当に信用していいかどうかというのも、ここもまあまあ、議論の余地があるところだと思います。
だから、そうしたことをこの内閣委員会でこれから法案審議でしっかりやっていきたいと思っていますので、是非とも、サイバーセキュリティーという観点よりも、私はやはり、元々情報セキュリティーという議論をしてきたというふうに聞いています。いつの間にかサイバーセキュリティーに変わった。
多分、平大臣が御経験されたようなことをかなりの方が経験されて、こんなの、たまったものじゃない、何とかしてくれ、こういう気持ちで、サイバー空間、やってくれよと。けれども、個々に任せていたらとても無理です。結局、金融機関も狙われ、空港も狙われるとか、チケット決済システムとか狙われているとか。あと、クレジットカードのスキミングでは、大体年間三百兆円、年に三百兆円が抜かれていると今言われています、毎年。
だから、そういう状況を何とかしなくちゃいけないということで各国とも頑張る中で、日本も特に遅れていると言われているので頑張らないかぬというところで、今回はこれだと思っていますので。
是非とも、ただ、そこをもう一回、情報セキュリティーという根本に立ち返って、じゃ、情報を守るためにはどういうスキームが一番いいのかという観点から、また完全暗号ということも踏まえて私は考えていただきたいと思いますが、大臣の御見解をいただければと思います。
○平国務大臣 まず、データが大事だというのはまさにおっしゃるとおりだと思います。そのデータが抜かれる前段階として、侵入されるということですよね。ここをどう捉えるか。
悪さをする連中というのは大体特定をされていますので、それが海外でどういうネットワークをつくっているのか、これをしっかりと通信情報を利用、分析をして大体当たりをつけておくということは、これは同盟国、同志国と連携をしながらやるということで、これは世界の先進国、同盟国、同志国、みんなやっていることで、日本だけが、日本だけがというのはちょっと言い過ぎですね、主要な同盟国、同志国はできていることが、日本だけができていないということなので、ここはもう是非とも足並みをそろえさせていただきたいと思います。
その上で、侵入されて、データが抜かれるとか、逆にデータが暗号化されて身の代金が取られるとか、さらには、最近は、基幹系のシステムに入って、要は基幹系のシステムを乗っ取って止める、若しくは、今後は、悪用する、暴走させるということも出てくると思いますので、そういったものに対する対処が重要だろうと思います。
暗号化については、エンド・ツー・エンドで暗号化は結構それなりにやっていると思うんですが、先生からアドバイスをいただいている完全暗号については、私の部局でも、これは先生から言われたのでフォローするようにと言っておりますが、なかなか、この保秘のところで、これが本当に役立つものなのかどうかというのが十分確認を取れていないというのが今の政府の現状なので、先生からも是非もうちょっと情報を出していただければということで、話が進むのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○市村委員 そこはまた話をしたいと思います。ただ、何度も申し上げておりますが、そういうものは政府部内で、真剣に話を聞こうという流れを是非とも私はつくっていただきたいと思います。この議論もまた長くなります。また改めて内閣委員会の法案審議のところでやらせていただきたいと思います。
次、ちょっと順番を変えて、まず三原大臣の方に、ちょっといいですか。万博の話は後でします。
三原大臣、昨年のこの内閣委員会で、いわゆるNPO法というのは特定非営利活動促進法人のことですよねということを言ったら、そうですということでお答えいただいて、今回の所信の中では、NPO法人という言葉はもう出てこなくなったんですね。とても私はありがたく存じております。本当に素直に、そうだなと思っていただいたんだなと思っております。
その上で、共助社会の重要性が高まる、まさに私、三十年以上かけて、そのためのシステムを、国の仕組みをつくろうということで志してきた人間ですから、大変ありがたいというか、まさにこの共助の仕組み、システムを国家の三本柱の一つに私は持っていかなくちゃいけないと。
すなわち、マーケットセクターとガバメントセクターに並ぶものとして、三本柱の一個としてNPOセクターがあるんだという、まず共助セクターがある。いわゆる自助セクターが、端的に言うと、はしょって言うと、マーケットセクターが自助セクターとし、行政セクター、ガバメントセクターが公助セクターとして、やはり共助セクターが必要だ。その共助セクターも、単に共助がいいねと言っているだけじゃなくて、仕組みとして国の中に入れていかなくちゃいけない。それがNPOセクターなんですね、私の中では。
公のサービスを民の迅速性や柔軟性や先駆性を持って提供する主体になるのがNPOだと私は思っていますので。だから、その中で、この特定非営利活動促進法もできたわけですね。
しかし、この間申し上げましたように、一般法人制度ができた段階で、これはもう、それを目指していたわけですから、そもそも。一般法人的な、登記によって登録できる、さらに、公益性が高い場合は、今の場合の仕組みでいうと、公益認定等委員会に言って公益法人格をもらって、そこには寄附控除もある、こういう仕組みにしたんですね。民法三十四条を削除しました。
ですから、そういうところに向けて、共助のセクターを一緒に是非ともつくっていただきたいと思います。
そこで、共助の重要性が高まる中というこの文脈の中で、なぜか、NPO法人という言葉は使わないのはいいんですけれども、特定非営利活動法人だけしか出てこないんですね。なぜにほかのNPOは除外されたのか。
要するに、NPOというのは、一般法人こそがNPOなんです。これは法務省がそう言ってくれています。新しい非営利法人制度ということですから、これはまさにNPO法人制度です。一般法人のことです。だから、じゃ、一般法人は除外されてしまうということになるのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思っております。
○三原国務大臣 御指摘の所信につきましては、私の所管施策に対する抱負を申し述べるということに当たって、特定非営利活動法人の活動の促進を例示して挙げながら、共助の重要性が高まっているということについて言及したものでございまして、委員御指摘のとおり、共助を担うのは特定非営利活動法人に限られるものではなく、広くNPOなど様々な主体による活動に支えていただいているというふうに認識をしております。
このことを念頭に、共助社会づくりに向けて、例えば共助社会において大きな役割が期待されるNPOの活動が国民や企業からの寄附によって広く支えられるよう、寄附の促進に関する施策、あるいは休眠預金等活用制度による共助社会づくりの中心的な役割が期待されるNPOや社会的企業への支援、その他様々な政策課題におきまして、NPO等との連携の促進などを図ってきたところでございます。
委員が前回の国会のときに官房長官といろいろとお話をされていた現場の声、一般法人制度への統合による皆さんの声などを整理させてということを、説明を私どもも受けさせていただきました。
まず、特定非営利活動法人制度の一般法人制度への統合ということにつきましては、もう委員御存じのとおり、平成十五年の公益法人制度の改革の際にこれは議論されたものの、関係団体等からは一本化への懸念というのも多くて、新たに創設される一般法人制度の動向を見極める必要がある等との考えから統合が見送られたという経緯がございます。
それも二十年以上もう経過をいたしましたか、現時点におきましても、やはり一般法人は、旧公益法人制度から移行した団体も含めて約九万団体となっておりまして、特定非営利活動法人約五万団体で、一般法人制度の導入以降、一・二万団体の増というふうになっていると承知をしております。
いろいろな、委員御指摘の法人の設立支援を行っている団体等にもヒアリングをいたしましたが、やはり二つの法人制度における法人格の取得要件、この制度趣旨等の違いを踏まえ、それぞれの団体がその活動の目的、内容に適した法人格を選択できるということですね、これが、その制度が活用されているということで、こうした増加につながっているのではないかというふうに思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
まだ実は質問していないこともお答えいただきまして、またそれは改めて議論をさせていただきたいと思います。
それでは最後に、万博のこと、これはチケット販売と輸送、大変懸念をしておりますが、万博に対する懸念はあります。私は、さきの万博も、前の万博、つまり七〇年万博も、例えば今でこそ太陽の塔は何か象徴のように言われていますけれども、始まる前は、大変、何でこんなものを造るんだ、こんなものにお金をかけるなと言われたようなことも聞いておりますし、初日にはまだパビリオンは建設中だったとも聞いています、前の万博も。
かつ、一か月ぐらいは余り入っていなかったというのも聞きました、前の万博のことを知っている方に。だんだんだんだん口コミで伸びていっているんです。だから、私は今回もそうなると思っています。
ただ、そのときに怖いのは、まずチケット販売については大分改善されたと言っていますが、しかし、今度は輸送問題というものが出てくるんですよ。これは今、大阪は最近、土日に行くと、今ですらもういっぱいです。駅前とか、すごい人です。特に新大阪駅も、海外の方々がこんなでっかい荷物を持って、特に欧米系の方の荷物はでっかいんですけれども、とにかく、まあすごいです。
韓国だけで去年八百三十万人ぐらいいらっしゃっているんです、韓国から。この間関係者に聞いたら、何か今年は一千万を超えるだろうと、韓国だけでも。韓国だけですよ。中国も今、大分緩和をしたということで、岩屋大臣が言われていますが、緩和をして、最近、心斎橋あたりに行くと中国語しか聞こえてこないような状況になっています、本当に冗談じゃなく。
これで万博が始まって、チケットの問題も、非常に日本人ですら買いにくいから、また海外の方なんて、ましてや買いにくいわけですね。これで、始まって、リピテーションが上がっていくと、たくさん来られて、一番恐れているのはパンク状態ですね、輸送のパンク。それと、あるところに押しくらまんじゅうとか、そこで将棋倒しとかになって、それで犠牲者が出たりするとどうなるか。
あと、バスも予約制になっているんですね。バスは予約制なんです。これは多分無理ですよ。遅れて、じゃ、そのバスに乗れなかったら、おたくはもう乗れないと言うのか。これはもう大変なことになると思っています。
万が一、もし鉄道か何かが止まって遅れて、自分の理由じゃなくて遅れて、もう乗せられない、あなたのバスは行っちゃいましたということになって、しかも、バスが着くのが、何か東口、それで桜橋、ん、待てよ、バスが、西口と東口、入口があってという感じですね。あっ、もう時間がなくなったので。
とにかく、輸送、今の計画だと、いざというときにパンクすると思いますので、改めてまた内閣委員会の一般質疑でやらせていただきますが、是非とも、大変だと思います、最後に副大臣、一言だけ。政治家が責任を取らなくちゃいけません。一言だけお願いします。政治家の責任です、これは。お願いします。
○大岡委員長 端的にお願いします。
○古賀副大臣 市村委員の御指摘、ごもっともと思います。しっかりと政治家の、政治の責任を持って、この輸送問題、雑踏問題に対処してまいりたい、このように思っております。
以上です。
○市村委員 今日、せっかく来ていただいたのに済みませんでした。
ありがとうございました。終わります。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
私は、子供のときから落ち着きがなくて、もう今八時間目になっているので、みんな、疲れている方はストレッチしながら、特に委員の皆さんは朝からなので、とても大変だと思いますので、ちょっとリラックスして聞いていただきたいと思います。
今日は何の話をするかといいますと、食と水の安全確保のための取組というテーマで、特に、予防原則という考え方があります、それを強化したいなという視点で、今日の質疑を組み立てていきたいと思います。
まず、鳩山副大臣、食と水の安全のある種の担当ということで、予防原則、あるいは、これはいろいろな言い方があるんですけれども、予防的措置とか予防的取組という考え方があるんですけれども、御存じですかということと、御存じであれば、どのように認識されているかというのをちょっとお尋ねしたいと思います。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたしますが、先生から質問をされるまで、私はその予防原則というのがあるということは知らなかったわけであります。
○上村委員 ありがとうございます、正直に言っていただきまして。
簡単に説明しますと、一般的に言うと、一九七〇年代に欧州で始まった考え方ですけれども、当初は、フロンガスというものが、これは皆さん、もう記憶が歴史の中に入りつつあるかなという感じですけれども、冷却材、冷蔵庫の冷却材とかカークーラーの冷却材に使われた。これは夢の物質と言われた。その前はアンモニアを使っていたんですけれども、アンモニアを使うと大変危険性が高いということで、無害ということで大変脚光を浴びた物質だったんですが、これが、破棄された冷蔵庫から空気中に出ると、上っていって、地球上のオゾン層を破壊する。
オゾン層というものが破壊されると何が降ってくるかというと、実は、太陽の紫外線がそのまま来るので大変なことになる。生きているものに対して、太陽というのは、水とオゾン層があればそれなりに生命に役に立つんですけれども、なければ砂漠で喉が渇いたみたいな感じになっちゃうという大変なことが起こりそうになり、これに対して非常に早い段階で対応が取られました。
一九八五年にはこのためのウィーン条約、八七年にはモントリオール議定書という国際環境条約が制定されたおかげで、現在はオゾンホールは塞がっています。これは、そういうふうに早めに早めに対応を取ったがために環境的に成功したという事例があります。
その後、九二年の国連環境開発会議でリオデジャネイロ宣言というのが採択されたんですけれども、この考え方は、第十五条というところに次のように書かれています。重大あるいは取り返しのつかない損害のおそれがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い政策を引き延ばす理由にしてはならない。
これはどういうことか簡単に言いますと、因果関係が分からないから政策は取れないという立場に対して、環境や食品の衛生のようなことは因果関係が分かってからでは遅過ぎる、そのときの被害のことを考えれば、できるだけ早めに対策を取るべきではないかという考え方であります。
これは、ある意味では当時画期的だったんです。我々は、やはり効率を考えます、目の前の効率。ところが、この考え方というのは、未来の時点を含めて効率を考えようということです。将来にこういうことが起きた場合のことを考えれば、今ここでこういう対策を取るべきだなということです。
ただし、極論を言う方は、疑わしきは罰せずといって、全て禁止にするということがあるとまた若干問題が起こるものですから、今回は、疑わしきものにはより厳しく当たる、あるいは、疑わしきものにはより厳しい規制を行うという程度で今日の議論を組み立てたいと思います。
また副大臣にお尋ねしたいんですけれども、アメリカの食品医薬品局、FDAというところが、食用のタール色素の一つである赤色三号という、言葉だけ聞いていると何かきれいなイメージがあるんですけれども、赤色三号という食品添加物がありまして、この使用を二〇二七年の一月十五日までに禁止するということを今年の一月十五日に発表しました。
日本では、この色素は、めんたいことか、タラコとか、かまぼことか、紅ショウガなどの漬物、お菓子等に広く使われているということで、今回のFDAの発表がメディアで大きく報道され、消費者庁のホームページでも、QアンドAが一月十七日にアップされました。同じ一月十七日に、担当大臣である、今日は残念ながら御欠席ですけれども、伊東大臣が記者会見でこの問題に関しても回答をされています。
副大臣に、改めまして、この伊東大臣の回答のポイントをここで確認していただければありがたいなというふうに思いますが。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたします。
我が国においては、食用赤色三号は、食品衛生法第十二条に基づき、人の健康を損なうおそれのない添加物として指定され、国際機関による科学的評価も踏まえて使用を認めております。また、今回のアメリカの発表においても、食用赤色三号の使用が人に危険を及ぼす科学的な証拠が認められたわけではないとされており、アメリカの判断の根拠となった文献について、専門家の意見を聴取しているところであります。
また、二月十八日に食品衛生基準審議会の添加物部会において、専門家の意見も踏まえて議論をいただく予定としております。
○上村委員 今のようなお答えを伊東大臣からいただいているんですけれども、人間に対しては、安全性というのは、実は人体実験ができないですよね。我々に投与してみて、これがどんな害があるかなんということを実験するのは民主国家ではあり得ないということがありますので、基本的には二つのやり方で推定をする。例えば、動物実験が参考になるということです。それからもう一つは、疫学調査という方法があるんですけれども、これは統計学を使って、この物質とこの病気は関係しているのではないかというある種の推計をするということをやるんです。
先ほどのアメリカのFDAは、動物や人にがんを引き起こすと考えられる物質は食品添加物として使用できないという、一九五八年に制定したデラニー条項というのがあって、これに基づいて、赤色三号が動物にがんを引き起こすということに基づいて今回禁止をするという対応をいたしました。
これに関しては付随的な事実関係もありまして、二〇二三年には、カリフォルニア州が州法でこれを禁止するという法律を作ります。それから、欧州連合は、一九九四年に同じく原則禁止、まあ、一部では使ってもいいよということがありますけれども、基本使わない。それから、オーストラリアやニュージーランドも既に禁止というふうに言われています。
今副大臣が読んでいただいた伊東大臣のコメントの中に、米国における決定の内容を精査し、また、諸外国における動向等を踏まえて、科学的見地から我が国における対応の要否を含めて検討してまいりたいというふうに述べられているんですけれども、消費者庁の方、これは今、具体的にはどういうふうに進めようということで計画されているか、明らかにしていただきたいと思います。
○中山(智)政府参考人 お答えします。
米国の決定の根拠となった論文には二報の論文がございまして、その論文につきまして、今現在、我が国における専門家の評価というものを聴取し、その結果をまとめているところでございまして、先ほど副大臣からも申し上げたとおり、来週の十八日に食品衛生基準審議会の添加物部会において、その内容の評価について議論をしたいというふうに考えてございます。
○上村委員 さらに、消費者庁は、今回に関してかなりホームページに詳しく根拠を出していただいたんですけれども、通常の使用による摂取においては安全上懸念はないというふうなことをホームページの中でおっしゃっています。この根拠は何かというと、FAO、これは国際機関ですけれども、WHOの食品添加物専門家会議の評価である。ただし、この評価というのは、一九九一年、三十年以上前の評価ということになります。
その意味でいけば、評価に関する会議が設けられるという話はあったんですけれども、日本独自で新たに調査をするというようなお考えはおありでしょうか。
若しくは、特定の国が禁止をするということがあれば、警告表示というのがあります。例えば、たばこの吸い過ぎに注意しましょうとか、そういうのを貼り付けるとか、そこまで極端でないかもしれませんけれども、何かそういうふうな、消費者に対する警告表示のようなものを、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたします。
新たな調査を行う必要があるか、そういう質問だと思いますが、今回のアメリカの発表においても、食用赤色三号の使用が人に危険を及ぼす科学的な証拠が認められたわけではないとされており、まずはアメリカの判断の根拠となった文献について専門家に意見を聴取し、先ほども答弁しましたが、審議会において御議論をいただく予定としております。
○上村委員 事前のいろいろなお話を聞くときにも、御説明としては、専門家の科学的知見を改めて集めるということや、因果関係が明確になるかという話をよく聞いたんですけれども、今日お話しした予防原則というのは、より詳しく言うと、人間の健康とか権利の侵害、健康権という権利もございます、の侵害とか損害の可能性があるという状況の中で使われる政治的な判断です。
これは事前のレクのときに聞いたんですけれども、例えば、科学的知見を持った方たちの会議でAという決定が出れば、じゃ、政府はAという結果にするのかということがあります。多分、同じような知見があっても、例えばイギリスがそれを厳しくする、あるいはドイツが厳しくするときには、科学的知見はあっても、それを政治が判断しているわけですよね。そうした判断の基準が、一つにこの予防原則と言われるものであります。
ちょっと文脈を外すかもしれませんけれども、済みません、自民党、公明党の皆さんには聞きづらいかなと思いますけれども、日本は世界で唯一の戦争被爆国であります。その日本が、例えば、核兵器の禁止条約にオブザーバーで参加するかと皆さんおっしゃっているんですけれども、なかなか重い腰が上がらないということがあります。これは、国によって、どういう歴史的経験をしているかによって、国際社会に与える影響というのは物すごく違うんですね。つまり、被爆国から来た政府ということになると、いろいろな人たちがやはり意見を聞いてくれるんです。
そういう意味で、自らの発信をどうするかということなんですけれども、同じようなことでいえば、日本は、四大公害、我々のときは教科書で習いました、水俣病、第二水俣病、四日市ぜんそくエトセトラ、そうしたもので世界の有害化学物質による大きな損害を経験した国として、国際的に認知されているんです。これは御存じだと思いますけれども、二〇一三年の十月には水銀及び水銀製品に関する水俣条約というものも締結されました。条約の名前に水俣というのがついたのは、我が国がやはりこういう問題に物すごい歴史的な背景を持っているということを皆さんが確認された結果であります。
御存じのように、もしあの当時、予防原則によって有機水銀に積極的な規制が取られていれば、これは先ほどもちらっと申しましたけれども、その後の被害がどれだけ小さくなったか、あるいはその後の政府の責任がどれだけ小さくなったかという問題を考えるときに、こうした原則を科学の知見に対して適用するということをやっていかないと、まさに我々の仕事が、多分意味がないというふうなことが言えると思います。
つけ加えれば、石破総理も、先月の施政方針演説で、日本の農林水産業、食品産業に徹底的な高付加価値をつけて、基幹産業にするともおっしゃっています。そういうときに、こういう問題についての感覚が鈍いという、ある種の国際的な風評というものがどういう意味があるのかというのをお考えいただければと思います。ちょっと後でまた触れます。
では、環境省の方も来られているので、予防原則に関わる第二の事例として、有機フッ素化合物、PFASの件についてお尋ねしたいと思います。
先週の二月六日に、環境大臣の諮問機関である中央環境審議会の小委員会は、水道水に含まれる有機フッ素化合物、PFASの濃度を水道法で定める水質基準に格上げする方針を了承しました。また、その基準値は、従来の暫定目標値の数値である代表物質、PFASというのはかなり広い物質を含むので、PFOAとPFOSの合計で一リットル当たり五十ナノグラムに据え置くとしました。
この基準値が据え置かれた根拠となっているのも、実は内閣府に属する食品安全委員会の二〇二四年の六月二十五日の影響評価書というものであります。
環境省の政務官にお尋ねしたいんですけれども、この辺の事情はどのように御認識されているでしょうか。
○勝目大臣政務官 お答え申し上げます。
PFOS、PFOA等につきましては、これは地域の方々の不安の声が今上がっているということでございまして、環境省として真摯に受け止めておるところであります。
このPFOS等による健康リスクでございますけれども、飲み水や食品などを経由した経口での摂取が主な要因として考えられております。このため、委員御指摘のとおり、昨年六月の食品安全委員会による科学的な評価結果を踏まえまして、環境省では、今月六日に開催した審議会におきまして、水道のPFOS及びPFOAの暫定目標値について、これを水質検査、遵守義務のある水質基準への引上げといったことを議論いたしまして、おおむね了承をされたところでございます。今春を目途に方向性を取りまとめるべく検討を進めてまいりたいと考えております。
○上村委員 これも、実はアメリカの基準が動いておりまして、二〇二四年、去年の四月に、アメリカ環境保護庁、これはもう皆さん、何人かの方が質問されているんですけれども、EPAが、PFOAとPFOSの水質基準値をそれぞれ一リットル当たり四ナノグラムというものにいたしました。
先ほど、日本では二つ合わせて五十ナノグラムなので、やはり緩いよねという声が上がっているんですけれども、この点に関してはどういうふうにお考えでしょうか。
○勝目大臣政務官 お答え申し上げます。
食品等から摂取するものに関します健康影響の評価につきまして、独立した立場で科学的に実施をしておりますのが内閣府食品安全委員会でございます。そして、御指摘の米国の数値も含めまして、各国、各機関が参照した知見も含めて評価がなされたものというふうに承知をしております。
私どもといたしましては、食品安全委員会が示された耐容一日摂取量に基づいて水道水の基準値について検討したところ、結果として、現行の暫定目標値である五十ナノグラム・パー・リットルと同じ値となりますけれども、この値を水質基準、まさに義務化へと引き上げることが審議会でおおむね了承されたということでございます。今春をめどに方向性を取りまとめてまいります。
○上村委員 実は、私の手元にあるのが、食品安全委員会が作りました二〇二四年六月の報告書であります。
この中で食品安全委員会は何とおっしゃっているかというと、実は、米国の基準は厳しいというのはおっしゃっているんですけれども、同時に、科学的根拠を得られなかった、事実上、そのために、暫定目標値という今までにあった数値を今回水質基準の数値に格上げすることになったんだということをおっしゃっています。だから数字が変わらないということが結論で、さらに、この報告書の中で何とおっしゃっているかというと、各地のPFASの知見を集めなくちゃいけないので、これからやはり知見の集積、あるいは計画的な調査というものをやってほしいということがあります。これは、各地でPFASの被害に取り組む市民団体の希望でもあります。
特に、これを仕切られた姫野座長という方がいらっしゃるんですけれども、インタビュー記事の中で、アメリカでは二年に一回、五千人を対象にしたPFASを含む三百余りの国民健康栄養調査というのをやっていて、その中で女性とか妊婦とか子供と化学物質の関係性を調査しているんですけれども、現地ではヒューマンバイオモニタリングと言うんだそうですけれども、こうしたものを日本の中でやることはいかがでしょうかという、ちょっと御質問をしたいと思います。
○伯野政府参考人 お答えいたします。
様々な調査をすべきではないかということについてでございます。
我が国におきましても、エコチル調査といいまして、化学物質の暴露等と健康影響との関連を明らかにして、リスク管理当局や事業者への情報提供を通じて適切なリスク管理体制の構築につなげることを目的に、平成二十三年から、国立環境研究所において、約十万組の親子の協力の下、採取した生体試料の化学物質と質問票を用いた大規模な疫学調査を実施しているところでございます。この調査の中でPFASの血中濃度を測定し、健康影響との関連について分析を進めているところでございます。
環境省といたしましては、こうした国内外の知見を推進するとともに、科学的に評価可能な疫学研究を更に推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○上村委員 全国的な調査もされているということだったんですけれども、沖縄でもやっていらっしゃいます。
ただし、私が調べた感じでは、沖縄でのPFASの汚染の調査というのは宮古島でやっていらっしゃるんですね。つまり、米軍基地がないところでPFAS項目を調べていらっしゃる。これは、全体の構図が分かっていればちょっとあり得ないでしょうというふうな調査関係になっていますので、是非この辺の御検討もいただきたいと思います。
それから、米軍基地に由来するというのは、先ほど市來委員からも出ましたように、沖縄県議会の中では、かなり確率性の高い、事実関係として明らかになっていますので、こうした問題を、ここにいらっしゃる担当の方たちには少しステップが違うのかもしれませんけれども、是非こういうことを、やらないと、これは河川とか浄水場、地下水の、広範囲に水田とか土壌汚染につながるわけですけれども、そういう問題につながっていかないということもあります。
さらに、去年十一月には、国連の有害物質の特別報告者のマルコス・オレリャーナさんが沖縄に来られまして、基地の周辺で視察をされ、この問題がいかに普遍的かということを語っていかれました。
そのような意味で、是非、沖縄の問題、東京でも米軍基地の問題はありますけれども、そうした基地の問題とオーバーラップしたときに、この環境汚染の問題がどう扱われるのかということはさらに重点的に御検討いただきたいと思います。
時間がだんだんなくなってきましたので、最後の方に行きたいと思うんです。
先ほど、事前レクでお話ししたときに、繰り返しになりますけれども、例えば、科学的知見が大事ということであれば、専門家会議の結論が政府の結論になるんですかというふうにお伺いしましたら、どうも何かよく分からない回答になって、さらに、それでも専門家の知見が大事ですというふうにおっしゃられました。
これに関して、ちょっとおかしいなと私は思ったんですよね。先ほど言いましたように、政治がこういう問題に関わるときには、政治としての判断が当然あってしかるべきであります。
先ほども言いましたように、EUは、ヨーロッパ連合は、この予防原則という原則で、科学的知見を評価するということに非常に感度が高い。アメリカはちょっと低かったんですけれども、最近になって感度が高くなったという中で、日本だけがどうも感度がずっと低いということがあります。
さっきのこの報告書の中にはとても面白いことが書いてあって、あ、そうなんだと思ったんですけれども、この委員会の報告書は、リスク管理とリスク評価、リスク評価というのは専門家の人たち、そしてリスク管理というのが行政の役目なんですけれども、このリスク管理に関して、特に評価の視点からもそうなんですけれども、こう書かれています。一般に、食品中の汚染物質のリスク管理については、ALARAの原則に従い、無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くすべきとされている。
つまり、日本の汚染物質の政治判断も、原則がないわけじゃないんです。このALARAという、何かもうびっくりするような名前ですけれども、ALARAの原則というのがあって、これは何かというと、無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くする、これに従ってこの委員会も数値を決めたということが書いてあるんです。先ほどのことでいけば、行政にとってやりやすい数値を専門家委員会が出したということです。先ほどちょっと話をしました、いわゆる暫定数値をそのまま水の基準にした理由は何かというと、それは行政にとって扱いやすいからです。
そういうことが行われているのであれば、大変申し訳ないですけれども、私は口が悪いので、今までおっしゃっていたことってうそじゃんということになるわけです。科学的見地じゃないわけですよね。つまり、行政と専門家の間で一定取引をする中で、本当は市民の安全と安心を考えればもっと低くしなくちゃいけないのに、そういう結果をもたらさなかった。そういうことがここに書いてあるわけです。書いてあります。
これに関して、環境省あるいは消費者庁、いかがお考えでしょうか。
○中政府参考人 答弁申し上げます。
こちら、ALARAの原則というもの、我々の評価書のほぼ最後の部分、リスク管理についての留意事項として設けております。
我々の評価書の中には、TDIという、この分量を毎日毎日取り続けたとしても、人への健康への影響というのがないだろうというふうな数値を定めると同時に、これに基づいて、できるだけ速やかに基準値等を作ってリスク管理措置を講じていただきたいというメッセージに併せて、それ以外のものについても、できるだけいろいろなリスク管理措置を併せて講じていただきたいというメッセージの一つ目の中に、このALARAの原則というものを専門家の先生方が記載いただいたというところでございます。
この具体的中身、ALARAというちょっと聞き慣れない表現ではございますが、英語で言うとアズ・ロー・アズ・リーズナブリー・アチーバブルということで、合理的に達成可能な限り低くの原則に従って講じていただきたい。我々のリスク評価はやったんだけれども、いろいろやはり科学的根拠等について足りない部分もあったりして、我々としてはしっかりと評価して数値を出したんですが、それだけを見るのではなくて、できるだけ可能な限り必要な措置を取っていただきたいというメッセージではございますので、そういう意味において、先生がおっしゃったような、科学に基づかないで、行政の裁量でやってくれというふうなメッセージではないということは、ここで発言させていただければというふうに思います。
○上村委員 ちょっと苦しいメッセージだなと思ったんですけれども、ALARAの原則というのは、これは御存じだと思うんですけれども、元々、放射線防護のためにつくられたルールで、一九七七年だというふうに私は記憶しています。
つまり、この放射線防護に対する基準の作り方を、食品あるいは水の安全に適用した理由というのは何なんですか。お願いします。
○大岡委員長 一旦止めてください。
〔速記中止〕
○大岡委員長 起こしてください。
中事務局長。
○中政府参考人 申し上げます。
申し訳ございません、放射線防護に関するものが元々のこの原則の由来だということは、正直存じ上げませんでした。
ただ、これは食品安全につきましても国際的に普遍的に用いられている用語でございまして、食品安全委員会における定義集というものがございますが、そこにも記載されているものでございます。そういった意味で、我々としてはこういった使い方をさせていただいているというところでございます。
○上村委員 もう時間が来ましたので最後にしたいと思いますけれども、改めて、いわゆる科学的知見の扱い方というのを、今の形でいいのか。先ほど言いましたように、予防原則というのがある中で、歴史的に公害を経験した日本として、より厳しい基準を作っていくという一つの流れの切替えができないのか。それであれば、例えば沖縄のPFASの基準値もあっという間に変えられると思うんですよね。
そこのところを是非政治の場で、皆さんと私たちが語れるということをこれからもやっていきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
○大岡委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後二十五分、よろしくお願いを申し上げます。
まず最初に、伊東良孝大臣のいち早い快癒、心より御祈念を申し上げたいと思います。
その上で、まず最初に、これは私がずっと言っている、内閣官房、内閣府スリム化について御質問をさせていただきたいと思います。
まず、参考人にお伺いしたいと思います。
二〇一五年スリム化法以降、内閣官房、内閣府、それぞれどの程度の人員増になっておりますでしょうか。これは風早審議官ですかね、よろしくお願いいたします。
○風早政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房の平成二十七年度末定員は千七十七人となっており、令和七年度末定員は千五百四十七人を予定しております。
○緒方委員 内閣府、よろしくお願いいたします。
○松田政府参考人 内閣府分については、私の方から申し上げます。
平成二十七年度末の内閣府の定員は二千三百四十五人、これに対しまして、令和七年度末の定員は二千七百十一人を予定しております。
以上でございます。
○緒方委員 スリム化しよう、スリム化しようということなんですが、数は増えていっているわけですよね。実際に、所掌事項、特に内閣府の所掌事項を見ていると、どんどんどんどん増えていっているということがございます。
ここからは是非、これは与党の方に考えていただきたいと思うんですけれども、来年の三月三十一日以降、大臣のポストが一個減るんですよね、万博の担当相の任務が終わりますので。今、万博担当相の座布団で大臣をやっておられるのは誰か、まさに伊東良孝大臣ですよ。何を担当しておられるかというと、沖北だ、消費者だ、地方創生、公正取引委員会、アイヌ施策と。
我々はこれまで、二〇一五年にオリンピック担当大臣を置いてから、最初の、五年の予定が六年になりましたけれども、オリンピック担当大臣を置いた、特別法で。これで一増だったと。そして、万博担当相を置いて、これも特別法で一増だったと。これに我々は十年間慣れてきたんですよね。しかし、来年の三月三十一日には大臣の数が間違いなく一個減るんです。三原大臣、どう思われますか。これは答弁は求めませんけれども、今言ったような所掌が、内閣府の大臣の間にまた振られていくわけですよ。過剰になっていくんですよ。なので私は言っているんです。
場合によっては、参議院選挙が終わった後、そのときに自民党が与党でいるかどうかはともかくとして、新しく組閣をするときに、三月三十一日で任務が終わる大臣が、一人任命しなきゃいけないんですよ。そういうことですよね。そういうことも考えると、この内閣官房、内閣府のスリム化というのは、結構私は急務だと思っています。
官房長官にお伺いしたいと思います。
よく最近、二・〇と、はやりだそうでありますので、スリム化法二・〇を是非やるべきだと、私はこれを熱く熱く訴えたいと思います。官房長官の答弁を求めたいと思います。
○林国務大臣 このような体形ですと、スリム化と言われただけでぎくっとするわけでございますが、まさに二・〇ということですから、今のスリム化法を更にバージョンアップしろ、こういう御指摘だと思います。
二十七年にやったときも、政策調整機能を強化するためには、閣議決定された基本的な方針に基づいて調整するということをやっておりますし、それからサンセットも入れましたし、いろいろなことをやっておりますが、これは終わりはないと思っております。
私も内閣府の副大臣のときに、大臣が五、六人いらっしゃって、副大臣は三人しかいないんですね。だからそれは全部、今おっしゃったようなことを三人で見ているということも実際身をもって体験をいたしましたので、なるべくこういう精神でやっていく。すなわち、ここでやったら、サンセットは非常にいいと思いますけれども、お返しするということも含めてこれは取り組まなきゃならない問題だと。問題意識を共有しております。
○緒方委員 これは、幾つかちょっと難しい問題が、実は議員立法で所掌事項が増えていくというのがよく内閣府の方にあったりとかするんですけれども、これも含めて、与党が、議員立法のステークホルダー的な議員さんとよく相談するなりして、移せるものであれば移そうとか、そういうことを考える必要があるし、そして、今各省の設置法の中には、内閣が決定をすれば各省の大臣が総合調整を担うことができるという機能もあるわけですよね。それが十分活用できていないと私は思います。各省の大臣の総合調整機能、設置法の中に全て書かれています。こういうものを含めて活用して、是非やっていただきたい。
これは、もう今答弁はお伺いしましたので、問題意識は共有いただけると思います。もう本当に、今年の九月に組閣するときに、来年の三月三十一日で任期が終わるという大臣を一人つくらなきゃいけないんですよ。余り気づいていないと思うけれども。是非、与党の皆さん方、考えていただきたいと思います。
それでは、これで官房長官は結構であります。ありがとうございました。
私、今日は全然違う問いに移っていくんですけれども、この後、賭博とカジノの問題について、坂井大臣、よろしくお願いいたします。
取り上げるのは、スロットマシンとパチスロであります。カジノに置かれるスロットマシンとパチンコ屋にあるパチスロというのは、恐らく台を作る業者は一緒なんじゃないかと思います。そして、やる行為も大体似ている。ボタンをぽんぽんぽんと押していく。そして、やり方に違いはあるものの、三店方式かどうかという違いはあるものの、換金可能だということも、これも変わらないですね。
しかし、スロットマシンというのは、刑法で禁じられている賭博であります。そして、刑法三十五条で、IR法によって違法性が阻却をされている、そういうものです。一方で、パチスロについては、警察庁所管の風営法において規定されている。つまり、IR法がないのであれば、スロットマシンというのとパチスロというものの間には、違法と合法の深い溝があるはずなんです。そういうことですよね。
射幸心との関係で申し上げれば、スロットマシンというのは、これまで政府答弁で何と言ってきたかというと、射幸心を助長すると。射幸心を助長するので賭博として違法化しているというのが政府見解です。一方で、パチスロについて何と言っているかというと、射幸心をそそるおそれがあると。助長とそそるおそれの間に物すごく深い溝があるわけですよね。似通ってはいるんですけれども、法的にはかなりかけ離れているスロットマシンとパチスロ、違法と合法の溝があります。
何がどう違うんでしょうか、大臣。
○坂井国務大臣 カジノ事業の免許を受けて行われるカジノ行為につきましては、委員御指摘のように、特定複合観光施設区域整備法第三十九条において、刑法の賭博罪の規定は適用されない、一方、パチンコ営業については、風営適正化法に基づく規制の範囲内で行われる営業については、刑法の賭博罪に該当しないものとされております。
この点、カジノ事業においては、形式的には賭博に該当する行為であるカジノ行為について、海外の実施状況を勘案し、我が国においても行われることが社会通念上相当と認められるものとしてカジノ行為の種類及び方法を定める中で、電子ゲームについては、賭け金の回収及び勝ち金、勝って手に入れるお金、勝ち金の支払いに関し、理論上の払戻し率に係る規制を設けております。払戻し率というのは、理論上、賭け金の総額に対する勝ち金の総額の比率と。
ですから、賭けたものに関してどれだけ要は配られたか、また戻ってきたかというか、取ったかということになりますが、この比率が理論上の払戻し率で、これによって規制を設けております。
一方、パチンコ営業で使用される遊技機については、当該営業が、これも御指摘のように、お客の射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるものであることから、一分間当たりの遊技料金の上限を設け、一回の入賞により排出される遊技メダル等の上限を設けて、射幸心をそそるおそれがある遊技機の設置を禁止をしているというところであります。
これに加えて、パチンコ営業においては、遊技料金の規制等、所要の規制を行っており、これらの規制の範囲内で行われる営業は刑法の賭博罪に該当しないとされているところでございまして、以上のように、カジノ事業とパチンコ営業では、設置される機械や、その規制の趣旨、内容について明確な違いがあると考えております。
○緒方委員 さあ、皆さん、聞かれて、どう思われたでしょうかということになるわけですが。
簡単にお答えいただければと思うんですが、先ほど、パチスロの件はメダルと言いましたけれども、これまで累次答弁で、これを換金していることについて、警察庁は承知しているという答弁を私は得ています。質問主意書で、換金していると。つまり、パチスロでの換金とカジノでの勝ち金でしたかね、そこには、誰が見ても外形的に明らかなぐらい大きな差がある、合法と違法の判断をするような差があるというふうに私は聞こえましたけれども、そういう理解でよろしいですか。どうぞ。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
風営適正化法におきましては、パチンコ営業者が現金等を賞品として提供することや、客に提供した賞品を買い取ることを禁止しております。
他方、客がパチンコ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、御指摘のとおり、パチンコ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却するというようなことが行われているということについては承知しております。
パチンコ営業者以外の第三者が賞品を買い取るということにつきましては、直ちに風営適正化法違反となるものではございませんが、営業者と実質的に同一であると認められるような者による賞品の買取りにつきましては、これが営業者による賞品の買取りとして評価され得る場合には、同法違反になり得るものと認識しております。
こうした違反行為が発生した場合には、今後とも引き続き厳正に取締りを行っていくということでございます。
○緒方委員 後で議事録をよく読ませていただきたいと思います。
質問を移したいと思います。
同じく国家公安委員長、坂井大臣、よろしくお願いいたします。
外国人、特に中国人が、日本に短期滞在でやってきて、運転免許を日本の運転免許に切替えを行い、その直後、国際免許、ジュネーブ条約に基づく国際免許を取るというのが結構はやっているそうであります。テレビでやっていました。住所は滞在中のホテルである、しかも、試験は二択で、十問中七問正解でオーケーと。私は免許を取るとき、府中の免許場で最後に試験を受けたんですけれども、九割取れなきゃいけなくて、八十八点しか取れなくて、一回落ちているんですけれども、結構厳しいな、それに比べると楽だなと思いました。
こういうことが組織的に行われているということに、私は非常に違和感を持って受け止めております。
大臣の答弁を求めたいと思います。制度を見直すべきじゃないですかね。大臣。
○坂井国務大臣 実は同趣旨の質問を私は予算委員会で、ある委員から受けておりまして、そこの答弁でも申し上げましたが、この外免切替えの制度に関しましては、元々、日本人で海外におられる人向けにも必要な制度でございますので、これをなくすということはまずできないわけでございます。
しかし一方で、昨今、そういう、海外からこの切替えを求める方が多くなっている、増えてきているという、また一方で様々な御意見もあるという中で、もう既にこれは、海外の事例や状況なども勉強し、把握しながら、制度を検討をし、必要があれば変えていくというフェーズに入っておりまして、庁内で勉強するよう今指導しているところでございます。
○緒方委員 まさに、海外にいる日本人が免許を書き換えるというのは、私は外務省で、外国にいるときにやったことがありますので、よく分かります。
これは、何でこういうことをやっているかというと、中国の免許というのは、ジュネーブ条約による国際免許が取れないんですよね。取れないので、日本に来て、日本の免許に書き換えて、そうすると、日本の免許でジュネーブ条約の国際免許を取ると、百か国以上のところで運転をすることができると。夢の運転免許なわけですよね。
そういうことがあるから行われているということであって、余り、こういうことが広く行われているというのであれば、今、検討されるということでありましたし、必要があれば何らかの見直しの可能性についても言及されたというふうに理解をいたしました。大臣、是非頑張っていただきたいというふうに思います。
それでは、坂井大臣、結構であります。ありがとうございます。
三原大臣、よろしくお願いいたします。
ちょっとまた変わったテーマなんですけれども、所得税法第五十六条という規定がございます。これは財務省の主管なんですけれども、何の規定かというと、生計を一にする配偶者その他の親族が労働の対価を受ける場合、必要経費として算入しない、つまり、配偶者の方である、お子さんである、親方が一人いて、家族が働いている、その家族の働き分を必要経費として算入しないということなのでそのまま課税されてしまうということなんですが、まず財務省にお伺いしたいと思います。
脱税防止の意味合いがあるということはよく分かっています。よく分かっています。そして、この後に青色申告をしていれば、これは除外することができる、必要経費として算入できるということは、これもよく分かっています。ただ、私、この規定はそもそもライフスタイルに中立じゃないんじゃないかという思いを持つんですが、財務省の答弁を求めたいと思います。
○田原政府参考人 お答えいたします。
今ほど委員の方から御指摘ございましたように、所得税法第五十六条の趣旨でございますが、これは、親族間の恣意的な所得分割によります租税回避の防止ということでございまして、特定の家族の在り方を前提としたものではございません。
税制の在り方を考える上におきましては、働き方やライフコースの多様化など、経済社会の様々な構造変化に対応して適正、公平な課税の実現を図る観点、こういったことが重要であると考えてございます。
その上でございますが、所得税法第五十六条の見直しにつきましては、白色申告者による記帳でありますとか帳簿等の保存の状況、あるいは与党の税制改正大綱におきましても、個人事業主の記帳水準の向上などに向けた検討を行うというふうにされているところでありまして、こうしたことを踏まえまして、丁寧に検討すべき課題であると考えてございます。
○緒方委員 三原大臣、この規定、家父長を中心とする家社会の残滓にしか私には見えないんですね。
家社会、余り男女の違いを言うとよくないですけれども、父ちゃんが働いて、母ちゃんと息子が働いて、一家でやっています、ただ、そこの母ちゃんの働きと息子の働きについては必要経費として算入しないというのは、明らかに、第二次世界大戦が終わった後も家父長制度を前提としているんじゃないかと思います。
こういうのは男女共同参画から見て問題だというふうに思われませんか。三原大臣。
○三原国務大臣 委員のように、税制が固定的な性別役割分担意識を反映した男女に中立的でない制度になっていないかという観点を持つことは、大切なことだと思っております。
その上で申し上げますと、御指摘の所得税法第五十六条は、親族間の恣意的な所得の分割による租税回避が行われること、今御答弁ありましたけれども、そのために設けられた規定であり、加えて、この規定の条文上は、事業主の性別を女性とも男性とも特定しておりません。一方で、男女を問わず、配偶者が家族従業者として果たしている役割が正当に評価されることも重要だというふうには思います。
財務省からも答弁があったように、事業所得などの適切な申告に向けた取組を進めながら、丁寧に検討が進められていくものと承知をしております。
したがいまして、現時点では、この規定について具体的に見直しを働きかけるとは考えておりません。
○緒方委員 まあ、そういうことなんだろうなと思いながらも、ただ、結構古臭い規定なんです。
これは与党の方にも是非考えていただきたい。脱税を防止するための規定だということはよく分かっています。しかしながら、どう見ても、私、これは今どきじゃないなという思いを持ちますので、直接の担当ではないですけれども、こういった家父長制度の残滓みたいなものは日本の制度の中にあちこちあちこちにありますので、目を凝らして頑張っていただければと思います。
では、三原大臣、結構であります。ありがとうございました。
○大岡委員長 では、三原大臣、退席していただいて結構です。
○緒方委員 最後に、これは厳密にこの委員会かどうかというのはあるんですけれども、地方創生についてお伺いをいたしたいと思います。
地方創生でもうかっているのが、どう見ても東京のコンサル会社じゃないかなと思えることがたくさんあります。地に足の着かない成果物が全国あちこちに残骸のように残っています。特にひどいのが沖縄だと思っています。
地方創生担当、沖縄担当、それぞれどのような認識を持っておられますでしょうか。答弁は短く。
○北尾政府参考人 お答えいたします。
地方創生につきましては、国は頑張る地方を応援するとともに、地方は地域で知恵を出し合って取組を進めていく必要があります。このため、地域のステークホルダーがアイデアを出し合い、汗を流して作り上げた事業について国が後押しをするということが、今回の地方創生において基本になると考えております。
御指摘のように、例えば、自治体が地域で主体的に取り組まず、業務を民間コンサルティング企業等に丸投げするようなことがあれば、それは望ましくないと考えております。この点、新地方創生交付金におきましては、提案、企画立案に関するコンサルティング経費について交付対象外としております。また、交付金の事業の検討、実施、検証の各段階において、産官学金労言などの地域の多様な主体が参画する仕組みを構築することとしております。
このように、新たな仕組みとすることで、地方創生交付金により、自治体の自主性と創意工夫に基づく、地域の多様な関係者が連携した意欲的な取組を後押ししてまいります。
○水野政府参考人 お答えいたします。
緒方委員の御指摘も踏まえまして、沖縄振興予算のうち、いわゆるソフト交付金を活用した、沖縄県が事業実施主体となっている委託事業について、その契約相手方の実績を沖縄県に対して確認させていただきました。
その結果、本社が沖縄県内に所在している事業者に委託した契約の割合は、事業者数で見ると、令和三年度から五年度までの過去三年間で、いずれも八割程度が県内業者に委託しているという報告を受けたところでございます。
いずれにしましても、内閣府としては、地元企業の成長にも配意しながら沖縄の振興に取り組んでまいりたい、かように考えてございます。
以上です。
○緒方委員 最後、本当に、地方創生というと、大体何か、説明会をやるとわあっとコンサル会社がやってくるんですよね。本当に私は問題意識を持っていて、必要なのは真に地に足の着いた取組であって、これは最後、短くそれぞれ答弁いただきたいと思いますが、財務省は予算執行調査で、そして会計検査院は検査で、地方創生の東京コンサル還流を厳しく見ていくべきだと思いますが、見解を求めたいと思います。
○中山(光)政府参考人 委員御指摘のように、地方創生事業につきましては、自治体の自主性と創意工夫に基づく、地域の多様な関係者が連携した意欲的な取組を後押ししていくことが重要と考えておりまして、適切な予算執行がなされるよう、財務省で行っております予算執行調査や行政事業レビューを通じて、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木会計検査院当局者 お答えいたします。
委員のお尋ねは、地方に交付された交付金が最終的に東京の民間コンサルティング企業等に還流されると地方創生につながらないのではないかといった御指摘であると理解しております。
会計検査院は、委員お尋ねの交付金も含めた、内閣府が地方公共団体に対して交付しています交付金等につきまして、事業が所期の目的を達成しているか、また、効果を上げているかといった有効性の観点等からの多角的な観点から検査を実施してございます。
会計検査院といたしましては、交付された交付金につきまして、今後も適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
○緒方委員 終わります。
○大岡委員長 次回は、来る十四日金曜日午後三時二十五分理事会、午後三時三十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三分散会