第25号 令和7年5月30日(金曜日)
令和七年五月三十日(金曜日)午後二時三分開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 市村浩一郎君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 尾崎 正直君
岸 信千世君 草間 剛君
栗原 渉君 田中 良生君
平井 卓也君 平沼正二郎君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 若山 慎司君
市來 伴子君 梅谷 守君
おおたけりえ君 下野 幸助君
橋本 慧悟君 藤岡たかお君
馬淵 澄夫君 水沼 秀幸君
山 登志浩君 伊東 信久君
三木 圭恵君 石井 智恵君
福田 玄君 河西 宏一君
山崎 正恭君 上村 英明君
塩川 鉄也君 緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(海洋政策担当) 坂井 学君
国務大臣 伊東 良孝君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
経済産業副大臣 古賀友一郎君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 高杉 典弘君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 殿木 文明君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 安部 賢君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 堀上 勝君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 若山 慎司君
西野 太亮君 草間 剛君
菊池大二郎君 福田 玄君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 西野 太亮君
若山 慎司君 栗原 渉君
福田 玄君 菊池大二郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)
内閣の重要政策に関する件
ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案起草の件
オンライン上で行われる違法賭博問題への対策に関する件
――――◇―――――
○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府総合海洋政策推進事務局長高杉典弘君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず冒頭、大川原化工機冤罪事件についてお尋ねをしたいと思います。
もちろん、本日は法案審議です。けれども、内閣委員会は国家公安も所管するものですから、お尋ねをさせていただきます。
おととい、民事裁判における二審の判決がありました。これは、一審に比べて更に踏み込む内容です。すなわち、捜査機関による捜査手法の違法性を指摘をしました。はっきり申し上げて、非常に厳しい判断が示されたものだと思います。
そこで、お尋ねします。
この判決に対する受け止めと、また関係者の処分についてのお考えをお伺いします。
○坂井国務大臣 本日の委員会は、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題としており、また、海洋政策、この法案担当大臣として出席しておりますので、警察に関するお尋ねにつきましては、お答えすることを差し控えさせていただきます。
○梅谷委員 おっしゃるとおり、確かに今日は法案審議ですけれども、所管は内閣委員会、冒頭申し上げました。今日のお立場は確かに国家公安委員長ではないかもしれませんけれども、坂井大臣お一人です。何より、警察への国民の信任が問われるじゃないですか。そういう意味では極めて重要な案件であり、お答えになるべきと思います。もう一度お願いします。
○坂井国務大臣 本日の委員会でございますが、今申し上げたように、法案審議のための委員会ということでございますので、警察に関するお尋ねにつきましては、一般質疑等で御質問をいただければと思っております。
○梅谷委員 これは確認させていただきますけれども、国として、これだけ厳しい判断が示されたということは、よもや上告なんてされませんよね。お答えください。
○坂井国務大臣 何度も申し上げますが、お答えは差し控えさせていただきます。
○梅谷委員 お答えいただけず、残念です。上告断念を強く求めて、法案審議に入らせていただきます。
まず、本法案は、再エネの切り札として位置づける洋上風力発電の対象区域をEEZに拡張するというものであって、洋上風力発電については私も大いに共有をするものです。
ただ、この二月に、御案内のとおり、第一ラウンドの三案件を入札で独占した三菱グループが、ゼロベースでの計画見直しを公表し、そして事業からの撤退を示唆しました、もちろんこの点は明言されていませんが。
そして、政府は三月に、第一ラウンド案件の条件を変更する方針を示されました。すなわち、FITからFIPへの移行を認める方針を打ち出したこと、これが事実上救済措置だとも報じられました。
このような事後的な条件変更、これは、第一ラウンドで競合した他事業者、また第二ラウンド、第三ラウンドで落札した事業者との関係で著しく公平性を失すると考えますが、本当にFIPへの変更を認める方針を固めたのでしょうか。お答えください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一二年に施行されたFIT制度につきましては、制度改善を図る観点から、二〇二二年四月にFIP制度、今御指摘いただきましたフィード・イン・プレミアム制度を新たに導入したところでございます。
国民負担を一円も増やすことなく再エネの電力市場への統合を促すとの趣旨によるものでございまして、こうした趣旨に鑑み、政府としては、これまでの審議会等での議論を踏まえて、将来的には洋上風力を含む全ての再エネ電源についてFITからFIPへの移行が望ましいと言い続けてございます。
このため、FIT認定を取得済みの電源につきましても、二〇二〇年四月のFIP制度開始以降は、陸上風力を含め電源種を問わずFIP移行を可能とした上で、必要な事業環境整備を通じ、移行を推進しているところでございます。
今般、公募制度の見直しを反映するため、公募占用指針を制定後初めて改訂するに当たりまして、FIT制度を前提に公募を実施した第一ラウンドのFIP移行の取扱いに係る規定上の明確化についても改訂案に盛り込み、関係審議会にお示ししたところでございます。
ただし、ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、その後、公募占用指針の改訂案につきまして、三月二十八日から四月二十七日までパブリックコメントを実施した際に、反対の意見も含めて様々な御意見をいただいているところでございます。
今後、公開の関係審議会の場におきまして、寄せられた反対の御意見等も全て開示、御提示を申し上げ、公募の公平性や信頼性なども含めて議論をしていただくこととしておりまして、関係者の御意見もよく伺いながら、結論ありきではなく、丁寧に対応してまいりたいと存じます。
○梅谷委員 まだ決めていらっしゃらないという御答弁でした。
ただ、前段の方で、FIPへの移行というのはずっと言い続けてきたという御答弁がありました。でも、これはどうなんですかね。FIPに移行できるとは当時誰も認識していなかったと私は思いますよ。
そして、第一ラウンドの入札では価格の比重が大きくて、三菱は運転開始時期が遅いにもかかわらず、価格で圧倒して、そして落札した経過があります。そこを動かすのは他の事業者との公平性を余りに失するし、入札への国際的な信用にも関わりかねない。他方で、これまで協力してきた立地自治体や関係者の努力を水泡に帰してしまっては、今後の洋上風力全体に関わる問題を招きかねないとも懸念をします。
本来は、撤退するならば事業者にはペナルティーを科し、再入札すべきと思いますが、いずれにせよ、地元のこれまでの努力と国民の批判の両方を踏まえた結論を出すよう、よくよく御検討いただきたいと考えますが、御見解をお願いします。
○坂井国務大臣 海洋担当大臣といたしましては、プレスリリースを三菱商事とシーテックが公表し、夏頃までに結果を示すべく、今、事業主体において取り得る様々な手を尽くして事業性の再評価を行っているところであると認識をいたしておりますので、まずはその判断を待つということだと思いますが、同時に、経済産業省が事業主体に対し、事業実現に向けた徹底した事業性の再評価に加え、地元の方への丁寧な説明を強く求めているところであると聞いておりまして、連携を進めていきたいと思います。
○梅谷委員 承知しました。
いずれにしても、先ほども、パブコメでは非常に厳しい声が多数寄せられたという話もありました。本法案は、洋上風力を更に拡大していこうというものです。だからこそ、今後の入札については、国民負担を最大限抑制しつつ、事後に混乱を招かない、そういった制度設計が強く求められると思いますので、是非このことに御留意をいただいて、今後御判断のほどをよろしくお願いをいたします。
時間の関係で、二と三、ちょっと飛ばさせていただいて、四のところ、他の海域利用との海洋データの相互利用についてお尋ねをしたいと思います。
言うまでもなく、我が国を取り巻く海洋空間、ここは資源開発においては高いポテンシャルを持っています。
例えば、メタンハイドレート。我が国は採掘に向けた研究開発を進めております。メタンハイドレートの賦存する海域、うちの地元の上越沖というところにも多数あるというふうに確認をされていますが、現状の促進区域、有望区域を始め、洋上風力発電の有望視される海域と比較すると、かなり近くにあることが分かります。
メタンハイドレートの賦存する海底は比較的水深が深いので、競合する、問題にはならないとは考えられますが、他方で、メタンハイドレートの調査、開発に当たっては、海域の状況をかなり詳細に調べるため、海底や潮流の状況、水温の季節変動など、かなり詳細な海洋環境データ、これを取得します。このように、メタンハイドレート開発と洋上風力発電の両分野では、いずれも必要なデータがかぶる部分があります。
そこで、提案です。
こうした同じく必要とするデータを互いに連携して共有、活用できる仕組みを整えることで、今後、調査の効率化やコスト削減、環境保全の精度向上が期待されると私は考えています。そこで、海洋環境データ等の相互の共有について政府の御見解を伺います。
○坂井国務大臣 委員御指摘のように、海洋の調査、開発は、当然、国民の御理解が前提ということでございますが、丁寧かつ効率的に進める必要がある。その効率的にということを考えれば、データの共有というのは十分あり得ると考えております。
洋上風力発電設備の設置に当たっても、風でありますとか地質でありますとか、海洋環境等の調査が行われておりますし、また、海洋資源探査では、JOGMEC、JAMSTECなど様々な主体が多様な情報を収集していると承知しておりますので、関係機関と連携しつつ、これらの有用な情報を、機微な情報の取扱いには留意をしながら相互に利用することで、海洋における調査、開発の迅速化、そして何より効率化が図れるよう進めてまいりたいと思います。
○梅谷委員 進めていただけるということで、事前の事務方のレクによれば、まだこの点、行政内部での連携は取り切れていないというふうに伺っておりましたので、是非よろしくお願いします。特に両者の事業は相互補完的に進めることができると思います。かぶる部分もある、今ほど申し上げたとおり。
海外では、海域全体で事前に海洋空間計画を策定する、これから提案する附帯決議にも盛り込まれていますけれども、海洋の効果的な利用はもとより、環境保全、そして漁業を始めとする関係者のためにも特に必要かなと思います。
例えば、こんなことがあります。漁業者が、先日政府の方が来たよと。今度また、別の案件でまた来たよと。皆さん優しい人ばかりでしょうから、しっかりと受け止めてくださるでしょうけれども、でも、中には、そういう煩わしい対応が、もしかしたら不信につながって、どうなるか分からない。
なので、そういうことも含めて、漁業者に対する窓口を、特に沿岸近くに対しては、水域では一元化を図るべきだ、私はそういうふうに思っていますので、その点も是非御留意されながら、今ほど申し上げていただいた両者のデータの共有、そして費用負担なども含めて仕組みづくりを是非鋭意進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをします。
次に、関連して、メタンハイドレートの研究開発について引き続き伺います。
これも、言うまでもなく、洋上風力と並んでエネルギー自給の鍵となる重要資源です。ただ、このメタンハイドレート、誤解がちょっと出ていまして、CO2を排出することから、カーボンニュートラルになじまないんじゃないかという誤解が生まれているので、この点を是非解消するべく御答弁いただきたいと思います。
資料を御覧ください。
これを見ると、二〇三〇年見通し、真ん中あたり、ここで、二〇二〇年から、青の部分、相当上がっていますが、これは原発なんですね。原発のよしあしはおいておいても、この見通しになるとは、どうなんですかね、こんなに伸びるんですかね。そして、もう一方で、オレンジの部分、これは石炭。これも相当縮減されますが、でも、これは増やすことができませんよね。だとすると、このグレーの部分、天然ガス。ここをいかにして広げていくかというのが問われてくると思います。そういう意味では、この政府の考える二〇三〇年の電源構成、これの是非は別として、現在の稼働率から考えて現実的なのかなと、私はこの資料から思うわけなんですね。
ここで、まず確認させていただきますが、政府としても、カーボンニュートラル政策を進める上においても、メタンハイドレートの資源としての早期実用化は極めて重要だという位置づけをしていると受け止めていいのか。御答弁お願いします。
○古賀副大臣 メタンハイドレートでございますけれども、日本周辺海域に豊富に存在するということが期待をされておりまして、エネルギー安定供給の観点から、重要な国産エネルギー源、こういうふうに認識しております。
また、メタンハイドレートを含む国内資源については、地政学リスクあるいは為替の影響に左右されず安定的なエネルギー供給の確保が可能であって、また、かつ将来的に国産水素などの原料としての利用も期待されるということでございますので、継続的な推進が必要、このように考えております。
経産省といたしましては、引き続き、メタンハイドレートの商業生産を可能とするための調査、それから、技術開発、実証事業の推進に取り組んでいく、こういう方針でございます。
○梅谷委員 重要という言葉がちょっと出なかったので。ありましたか、重要と、ありがとうございます。極めて私は重要だと思いますし、思いは一緒だと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
次に、ところで、この第七次エネルギー基本計画には、メタンハイドレートも記載されました。砂層型、それと表層型、私の地元の上越沖は表層型ですけれども、及びメタンプルームと記載をいただいたわけなんですが、今後の開発方針について改めてお聞かせください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、砂層型、表層型、それからプルーム、いずれのメタンハイドレートにつきましても、商業生産を可能とするための技術開発や海洋調査等を進めていく方針でございます。
技術開発におきましては、砂層、表層、プルーム、それぞれ特性の違いを踏まえた異なる技術開発が必要でございまして、かつ世界的にも先端的な取組であることから、難易度も非常に高いと考えてございます。このため、いずれの取組につきましても、外部有識者による成果の分析、評価を経ながら適切に推進してまいりたいと考えてございます。
○梅谷委員 それでは、メタンプルームについて、資源としてどのように評価されているでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
メタンプルームの資源量でございますけれども、学術論文がございまして、その中で、あくまで、今、一つのメタンプルームが運搬する海上面でのメタンガス量でございますが、年間約三千七百立方メートルと試算されているものがあると承知をしてございます。
また、表層型のメタンハイドレートの海洋調査の一部といたしまして、メタンプルームの湧出量を測定、推定する海洋調査を実施してございますけれども、まだ調査研究段階のため、取得データは非公表の取扱いとさせていただいてございます。
○梅谷委員 運搬量について、政府の、論文等を根拠にする、正しい認識はどういう認識なんでしょうか。もう一度お答えください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました資源量でございますけれども、これは、専門家による学術論文におきまして、一定の仮定の下でメタンプルームの運搬量が試算、評価されたものというふうに認識してございます。しかし、当該論文からは、資源量の多いとか少ないを評価することはなかなか困難だというふうに考えてございます。
経済産業省といたしましては、学術的な調査研究の結果も参考にしながら、また、現在実施をしてございます海洋調査の結果も踏まえまして、その湧出量につきまして、それから生産コストや安定供給の観点から、有識者の意見も伺いながら、総合的に評価をして今後の取組を検討してまいりたいと考えてございます。
○梅谷委員 分かりました。科学的知見に基づいて、適切に御判断をいただきたいと思います。
時間的に恐らく最後になると思いますが、去る五月十九日、新潟県の花角知事が経産省を訪問して、海洋エネルギー資源開発促進日本海連合の会長として、武藤大臣に、このメタンハイドレートの商業化促進を求める要望書を提出されました。
ここで確認しますが、現在掲げられている、二〇三〇年度までの商業化プロジェクトの開始、このスケジュールに変更はないという理解で間違いないのか、明確にお答えいただけますか。
○古賀副大臣 メタンハイドレートは世界的にも商業生産されていないという状況でございまして、エネルギー資源として利用するためには、新たに、長期間にわたって安定的に生産可能で経済的な生産技術を確立する必要がある、こういう状況であります。
この表層型メタンハイドレートにつきましては、これまでに採掘や回収等に関する有望技術を特定いたしまして、現在、生産システムとして最も優れた組合せを検討しておりますほか、新潟県上越沖、あるいは山形県の酒田沖などにおける海底調査や海域環境調査を実施しております。
引き続き、経産省といたしましては、二〇三〇年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトの開始に向けまして、長期安定的かつ経済的な生産技術の開発を推進してまいる所存でございます。
以上です。
○梅谷委員 是非よろしくお願いします。
結びにですが、ここまでコロナ等でスケジュールが再三遅れる中で、少なくとも、地元も産業界も、どこまでこのメタンハイドレート、期待を持っていいのかというのが、迷いが生まれているのが正直なところだと思います。ですので、早期にフェーズを前に進めていただいて、そして、今副大臣がおっしゃっていただいた思いは是非省内で共有を改めてしていただいて、そして、強い思いで実用化、商業化に向けた展望、道筋をしっかりと示していただくことをお願いを申し上げ、終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。今日もよろしくお願いいたします。
海洋再生可能エネルギー発電設備という文言がこの法案名にありますが、この話、私ももうかれこれ十五年取り組んできているテーマでございます。うち九年は浪人もしていましたけれども、三期目、今五期目ですけれども、三期目からずっと取り組んできているテーマでございます。これは、私は、洋上再生エネルギーファームという言い方をしてまいりました。
坂井大臣、この海洋再生可能エネルギー発電設備というのは、これは風力発電だけではないですよね。そこをちょっと確認させてください。
○坂井国務大臣 十二分に採算に合う、要は実用化できるという技術を伴うものとなるのであれば、もちろんほかのものも選択肢として上がってくるというか、包含する考え方だということです。
○市村委員 ありがとうございます。
どうしてもこの話になると洋上風力発電ばかりが取り上げられるんですね。もちろん洋上風力発電もその主力の一つというのは間違いないんですけれども、海洋における発電設備というのは、決して風力だけではないんですね。
それは太陽光だって当然、昔、メガフロートなんというのがありましたけれども、今は、あんなメガフロートみたいなものではなくて、もっと洗練された形の浮体というのが考えられています。ただ、ある程度面積がありますから、そこに太陽光だって置いてもいいわけです。もちろん塩害対策というのもあるんですけれども。ただ、そこはちゃんと技術的に、いろいろまた研究されていますので、塩害に強い太陽光パネルができ上がるかもしれません。
かつ、洋上の場合は、更に加えて、例えば海洋の、波力、海の波の力とか、それから海の流れ、潮力ですね。風力と水力と考えると、どちらとも、水流、空流ですけれども、これは水力の方がよっぽど密度は高いわけでありますから、莫大なエネルギーでございます。だから、海の流れ、潮力を利用するとか。
あと、今、地上でも、上空と地上の空気差を利用してうまく発電設備を造ろうなんという発想もありますし、海洋も、浅いところの温度と深いところの温度、これは温度差があるので海洋温度差発電とか、これは様々、いろいろあるんです。
だから、そういうものをしっかりと研究開発していくということが求められているわけでありまして、そういうふうなものを総合的に、単位面積当たり最大の電力を生み出すのはどうしたらいいかというテーマなんですね。これは、私がずっと申し上げてきた、洋上再生エネルギーファームなんです。だから、これをいよいよやってもらえると私は信じておるところでございます。
そのためには、私はもう一個この点で申し上げたいのは、どうしても今の風力発電設備というのは、実は日本はないんですね、国産がないんです。国産を開発しようと頑張ってきたんですが、日立さんも三菱さんも全部撤退して、川崎さんも全部撤退してしまって、ない。だから、さっき話がありました、今の沖合の発電設備の話は三菱商事さんなんですね、三菱電機さんじゃないんですよ、あれは三菱商事さんなんです。三菱商事さんが、自分の得意分野を生かして、海外の発電設備を日本に持ってきて造ろうとしていたんですね。ところがそれが値上がりして、ちょっと今、どうしたものかなというのがさっきの話です。
だから、国産の発電設備を造るという、やはり国産でというのに私はずっとこだわりを持っているわけでありまして、国産をするために、私は、経産委員会でもNEDOさんとか、環境委員会でも環境省さんにもいろいろ言いながら、いろいろお金も出してもらっています、この洋上再生エネルギーファームに対しては。そこもかなりのお金を今つぎ込んできているわけです、日本としても。だから、これを是非とも国産でやっていただきたい、国産の開発にやっていただきたい。
そのためには、やはり国がある程度主導で、国プロと昔言っていましたけれども、国プロでもやってほしいんですね。何か民間が頑張ってくれているのを待って、それを、では引き上げましょうかなんという発想じゃなくて、もう大分来ていますので、国が積極的に資本を投資して頑張るというところにやっていただけないかな。そうすることによって、国産が生まれると国内にサプライチェーンが生まれています。
後でギャンブルの話、オンラインカジノの話もやりますけれども、あれは結局、デジタルデット、デジタル赤字が、一兆二千億どころじゃない、ひょっとしたら何兆円、もっとあるという話もありますが、この分野でも、先ほど申し上げた、全部国産じゃないですから、全部海外ですから、我々は買うだけなんですね、買うだけ。しかも、修理も全部、大変なんです、修理代も結構かかるんです。だから、国産でやるということを是非とも検討していただきたい。
これは、海洋政策本部で大臣が先頭に立って主導していただきたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
○坂井国務大臣 国産で、それは機材も、それから技術もということかと思います。大変大事なポイントだと思っておりますが、やはり技術開発というのがとても大切でございます。それなしには、やはり絵に描いた餅になってしまいますので、まずはそこに、経産省を含め、内閣府においても、こういった科学技術を推進するところが力を合わせてやっていくべきだ、こう思っておりますし、また、例えば、海洋開発関連プロジェクトに関する官民の協議体であります海洋産業タスクフォースというのがありまして、ここに新たに海洋エネルギー発電ワーキンググループというのを立ち上げさせていただきました。ここで洋上エネルギーファームの可能性についての検討を積極的にやってくれということでお願いもしているところでございますので、何とか国産の、要は商品と技術で再生可能エネルギーの一翼を、一部分を担う、こんな形になればいいなと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
今まさにタスクフォースで、再生とはおっしゃいませんでしたね、海洋エネルギーファームとおっしゃっていただいたんですね。だから、再生以外のことを考えておられる場合もあると思いますので、いずれにしましても、今回、特にEEZでございますから、かなり沖ということです。
これは、系統連系を考えないというのも大切であります。ですから、これから、例えば南鳥島、南鳥島は、私はくわ入れに行ってきましたけれども、あそこの港に。あそこの辺りを開発していく。あの辺りがまさに、さっきもありましたメタンハイドレートが結構あると言われています。だから、そういうときの作業船とか、将来は電気船とか、恐らく水素船とか出てくると思います。そのときの電気供給地として、こういう洋上再生エネルギーファームというのは大変重要な働きをしてくれると思います。
将来、それこそ水素の社会、ついこの間、日本とEUの議員会議がありまして、EU側から水素という言葉が結構出ていました。やはり、日本が今、水素は一番先導しているんですね。何でも日本は先導しているんですけれども、いつの間にか追いつかれて、追い抜かれて、周回遅れになっているというのがこの三十年続いてきていますから、これは是非とも、水素も含めてやっていただきたいと思いますが、その決意を最後にお聞きして、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○坂井国務大臣 まさしく、先ほど梅谷委員の質疑で隣にいた古賀経産副大臣も、これからは水素だと私の隣でささやいておりましたが、経産省もしっかり力を入れて、そして今、常温で保存をするという技術もあるということでございますから、ここも一つの大きな可能性を求めて、力を合わせていきたいと思います。
○市村委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。
言うまでもなく我が国は、排他的経済水域、EEZを含めれば、権利が及ぶ海域の面積において世界第六位の海洋国家であり、海洋基本計画においても海洋立国を標榜しています。だからこそ、この広大な海域をいかに国家戦略的に利用し国益を最大化するのかが、まさに海洋国家としての責任であり課題であると思っております。
その中で、今回の再エネ海域の利用法の改正案は、我が国のEEZにおける洋上風力発電の促進に資するものではありますが、現行制度の下では、海域利用の主眼が再エネに偏重しているんじゃないかといった指摘もあります。
その中で、今回の再エネ海域利用法改正法案を契機として、EEZを含む我が国の広大な海域における国益の最大化を図るために、海洋空間計画を国家戦略として本格的に策定、推進していただきたいと思っておりますが、大臣のお考えを聞きたいと思っています。
また、その際には、総合海洋政策推進事務局の在り方も考えなければなりませんし、あわせて、国際法との整合性、また外国との調整も含めた内閣府の在り方というものにも言及していかなきゃならないと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○坂井国務大臣 令和五年四月に閣議決定された第四期海洋基本計画においても、「海洋データの共有を通じて、我が国独自の海洋空間計画の手法を確立する。」としているところでございますが、我が国は、海に囲まれていて、いわばEEZを含めて広い海があります。従来より、海を活用して、漁業であったり海運であったりということで使っていらっしゃる方がいらっしゃるということでございます。
御指摘の海洋空間計画、いわば都市計画のように計画的に、いわば環境も考えながら、効率も考えながら、結果も考えながら、国家戦略として使っていこうということでございますが、やはり難しいというか大変大事なのは、こういった既存の利用者と新たに海域を利用することを希望する人たちとの間でどのように調整を図るかということが大変大きな課題であるということでございます。
課題ではありますが、やはり、よりよい状況をつくり出すためにはそちらの方に向かっていく、進んでいく必要もあるということは考えておりまして、様々な海洋情報を一覧できる仕組みとして、今、政府においては、海しるという海洋状況表示システムを整備、運用していたりいたしますので、こういったものをお示しをしながら、まずは関係省庁と連携をして機運をつくってまいりたい、このように思っているところでございます。
○田中(健)委員 まさに第三次の基本計画でも、第四次でも、検討というところにとどまっているんですね。三次基本計画では、実態の把握に努めるともありましたけれども、そこからなかなか進捗がありません。
今回の改正案は、我が国のEEZにおいて洋上風力発電が本格的に展開されることになれば、もはや単なる再エネ政策ではなく、我が国の海洋政策そのものを大きく転換する契機になると思っていますので、是非、こちら、検討ではなく実行に移していただきたいと思います。
例えば、洋上風力発電には海底ケーブルが必要ですが、AI法のときにも海底ケーブルの議論をしましたけれども、国連の海洋法の条約では、十分に明確な条文というのは定めていません。このため、送電ケーブルを敷設や運用する権利を国連海洋法の条約のどの条文に、どういった解釈で結びつけるかということも、我が国において最大の利益にするためには、やはりこの計画というのが大変重要になってきます。是非、推進をお願いしたいと思います。
その中で、今、様々な省庁と連携を取りながらということでありますが、やはり、海洋国家として、再エネのみならず安全保障や資源や漁業など多元的な利用を調整するには、従来の縦割りの行政を超えた強力な司令塔としての、海洋政策のある意味統合的な管理が必要かと思いますが、その統合的管理を進めるために、大臣はどのようなお考えを持って進めていこうと考えているか、お聞きします。
○坂井国務大臣 総合海洋政策本部も、できて十数年ということになってきたようでございます。その間、今御指摘のような問題意識も持ちながら、そして様々な情報を共有しながら、効率的に活用するということも目指しながら、やってきております。
正直、まだまだ力不足というのを私は実感をしているところでございますので、予算であれ定員であれ、今回予算はかなり増やすことができたわけでございますが、それでもまだまだ僅かということでございまして、まずは定員と予算を充実をさせて、今委員が御指摘のような、国益にかなうような取組も進めていけるような体制づくり、まずはそこをつくっていきたいと思います。
○田中(健)委員 是非、今回のこの洋上風力発電の実施のEEZへの拡大を、日本の海洋政策をオール・ジャパンで総合的に計画的に進めていくその第一歩、大きな一歩としていただきたいと思います。
さらに、進めてまいりますと、今回のこの洋上風力発電計画において最大の課題は、日本国内に大型風車メーカーが存在しないということであります。日本の風車メーカーは、中国製品とのコスト競争力が劣るため、風車の設計、開発、製造から撤退をしています。
一方、直近で二三年九月に国内初の民間資金による一般海域の着床式の洋上風力発電が富山県の入善町で運転を開始をしましたが、ここでは中国製の風車三基でありました。世界の風車ビジネスでは、欧州メーカーが先行してきましたが、今や、中国は世界全体の風力発電施設の製造能力の六割から七割を占めるとも言われます。
一方、やはり中国リスクにおいては、政府としては、縮小が続く造船業の再生をしていこうということの報道も受けています。国が主導して造船ドックの建設や整備を支援して、海外展開も後押しをするということで、大変これには期待をするところでありますが。戻りますと、洋上風力発電の技術や設備導入におけるまさに中国リスクとも言われる問題をどのように認識し、対応を図っていくのか。これは経産省に来ていただいていますので、お聞きします。
○木原政府参考人 お答え申し上げます。
洋上風力発電の導入に当たりましては、委員御指摘のとおり、特定の国に過度に依存することなく、国内に強靱なサプライチェーンを構築し、産業競争力の強化を図ることが重要だと考えております。
このため、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電については、発電事業者の選定プロセスにおいて、国内における製造等が考慮されたサプライチェーン形成計画を高く評価することとしております。具体的には、故障時の運転停止による影響が大きい部品等について、その製造、保管拠点や代替調達先を確認した上で評価を行っているところでございます。
こうした評価基準等により、これまで十の促進区域を対象に公募を実施してきたところですが、結果として、全ての区域について、事業者から中国製の風車メーカーを採用した計画は一つも提案されていないと承知しております。
一方で、委員御指摘のとおり、国内に大型風車の本体を製造できるメーカーが存在しないということは事実でございます。将来的に風車本体を国産化していくことは、産業競争力強化の観点からも重要でございます。このため、まずは技術者を確保、育成し、次に設計、製造に係る技術開発を進め、その上で発電機といった主要製品の生産体制を構築するなど、段階的に進めていく必要があると考えております。その際に海外の知見も積極的に取り入れることが重要でございます。
また、それらを担う事業主体も必要であることから、産業界の協調体制である浮体式洋上風力技術研究組合、通称FLOWRAと呼んでおりますが、これにおいて、発電事業者や学識、有識者がメーカーとの連携も視野に入れて国産風車の実現に向けた検討を進めていると承知しております。
経済産業省としても、こうした企業の意欲的な取組や企業間の連携を支援していくことで、国産風車の実現を目指してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 是非、安全保障上の観点からも推進を図っていただければと思います。
以上です。終わります。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
二〇五〇年までのできるだけ早い時期にエネルギー供給を全て再生可能エネルギーで賄うことを公約に掲げているれいわ新選組としては、今回の法改正を通じて、EEZ、いわゆる排他的経済水域を利用した洋上風力発電の開発を促進することは大変重要なことだというふうに考えています。
今もいろいろな委員の方から御意見が出たんですけれども、海洋国家日本の資源利用という意味での重要性はよく分かりますが、海洋国家という視点から考えれば、例えば災害が起きた場合には、地震とか津波とか高潮とかといういわゆる海洋特有の災害にも出遭うということになるわけです。
例えば、洋上ではありませんが、二〇二四年の能登半島地震では、陸上風車七十三基が全て停止いたしました。その多くが長期間稼働不能になったということを考えれば、今、着床式、これは海底ではありますけれども、いわゆる陸上と同じような構造を取っている場合、それから浮体式の問題というのが検討されているというふうに聞いておりますけれども、例えばこうした災害との関係でどういう検討が行われているかというのをお伺いできればと思います。経産省の方、いらっしゃいますか。
○殿木政府参考人 ただいま委員お尋ねの件でございますが、洋上風力発電設備につきましては、浮体式に限りませず、その導入、運転に当たりましては、安全確保が前提であることは申し上げるまでもございません。
この点、電気事業法におきましては、洋上風力発電設備の設置者は、設置するタワー等の構造物について、技術的ですので若干解説的な言い方になりますが、例えば、設置地点において発生し得る最大規模の地震によりましても倒壊等しないといったことなど、地震や津波に対して構造上安全に設置することが求められているところでございます。
加えまして、設置者に対しましては、設備の保安を適切に確保するため、定期的な検査を行うことが義務づけられているところでございます。
さらに、設置者に対しましては、第三者機関である登録安全管理審査機関が行う審査によりまして、定期検査に係る組織体制や検査の方法等の確認を受けることが義務づけられているところでございまして、これらの取組によりまして、地震や津波への対策も含めて、洋上風力発電設備の保安を確保しているところでございます。
○上村委員 ありがとうございます。
では、次の点に移りたいんですが、風力発電の問題点というのは、今回の洋上の場合を含めて四点ほどいつも出てくるというふうに思います。
低周波の騒音、バードストライク、漁業者との競合、そして、いわゆる国連海洋法条約における他国の権利への配慮などが挙げられますが、こうした問題への、この法案が提出されて、前回からまた時間がたっているわけですから、最近の新しい状況についてどういう進捗が見られるかについて、簡単にお尋ねしたいと思います。内閣府、よろしくお願いします。
○高杉政府参考人 お答えいたします。
先ほど委員から御指摘のございました環境影響につきましては、本法律案において、洋上風力発電事業に係る区域の指定に当たって、環境大臣が海洋環境の保全の観点から必要な調査等を行うとともに、事業者が当該調査の結果を踏まえ環境影響に係る予測及び評価を行うことにより、洋上風力発電事業に係る適切な環境配慮が確保されることになるというふうに考えてございます。
また、漁業者との調整につきましては、経済産業大臣及び国交大臣は、法定協議会の協議等を通じまして、漁業者を始めといたします利害関係者との丁寧な調整を行うこととしております。こういった形で漁業との共存共栄を図りながら、案件形成を進めていきたいと考えてございます。
また、国連海洋法条約との関係につきましては、同条約上、沿岸国は、排他的経済水域において、風からのエネルギー生産を含む経済的活動に関する主権的権利を有している一方で、当該権利の行使に当たっては、他の国の権利及び義務に妥当な考慮を払うというふうにされております。
今後も、関係者との調整を丁寧に行いながら、関係省庁とも緊密に連携して委員御指摘の課題に適切に対応し、洋上風力発電の具体的な案件形成を進めてまいりたいと考えてございます。
○上村委員 一般的な、御答弁としては大変ありがたいというふうに思っているんですが。
もう一歩進んで言いますと、低周波騒音とかバードストライクあたりは、例えばEEZに造るということでメリットがやはりあるんでしょうか。その辺、いかがでしょうか。
○高杉政府参考人 お答えいたします。
まさにEEZということにつきましては、沿岸からかなり離れた海域というふうになってございます。そういったところでのメリットもある一方で、やはりいろいろな状況についてはきちんと調べていく必要があると思っておりますし、まさにこの法案では、環境大臣が海洋環境の保全の観点から必要な調査等を行うといったようなスキームを導入しているところでございます。
○上村委員 こうした問題についてのまた継続的な詳細な調査も含めて、いろいろと進めていただきたいというふうに思っております。
余り時間がないので三点目に移りたいんですけれども。
先ほど、たしか市村委員からも御指摘があったと思うんですけれども、今回のテーマであります、いわゆる海洋の再生エネルギー発電ということについていきますと、洋上風力だけではないということがあります。
その意味では、例えば、先ほどお話があった潮力発電、つまり潮の満ち引きを利用した発電というのも聞いたことがございまして、例えば、私、田舎は九州の熊本なんですけれども、実は不知火海とかというのは、潮の満ち引きが、島の関係で物すごく潮位があるんですね。そうしたものを使った潮力発電の検討とかということがどういうふうに行われているかということを、もしお分かりであれば、潮力発電の可能性あるいは今の研究状況とかというのをお示しいただければと思います。
○高杉政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の潮流発電につきましては、現在、環境省の事業におきまして、長崎県の五島市沖で潮流発電施設の実用化技術の確立や商用展開に向けた実証ということを行っているところでございます。
○上村委員 ありがとうございます。
再生可能エネルギーというのが非常に重要で、我々も、先ほど言いましたように、これで新しい社会のニーズを補っていただきたいなと思うんですけれども、この発電の使い方というのは、むしろ中小規模の発電施設をいろいろ組み合わせて展開した方が実用的ではないかなと。これは皆さんも御存じのように、例えば太陽光発電も、最近は何かというと、メガソーラーということになってしまうと、逆に言ったら、森林を切ってしまうとかということで、逆に物すごく大変な問題が出てきてしまうということになっています。
その意味では、様々なタイプの自然の再生可能エネルギーをうまく組み合わせて、全体のニーズに合った方向性を調整していくというのが多分政府の仕事ではないかなというふうに思いますので、是非その点を御考慮しながらこの活動を進めていただきたいと思っております。
時間が来ましたので、私の質問はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
海洋再エネ海域利用法案について質問いたします。
洋上風力発電が環境や生態系に及ぼす影響について知見が乏しいということは政府も認めているところであります。生物の多様性を保全をし持続可能な利用を進めていくためには、モニタリングによって事業の影響に関する科学的知見を蓄え、その結果を分析、評価をし事業等に反映させる取組、いわゆる順応的な取組が重要であります。
そこで、環境省と経産省で議論が進められている洋上風力発電におけるモニタリングガイドラインの案について質問します。
国と事業者の役割分担についてですけれども、事業者の行うモニタリングに関しては、海洋環境へ影響を及ぼす要因となる項目、いわゆるインパクトと、それに伴い影響を受ける項目のレスポンスを対象としております。一方で、国は、洋上風力発電事業の影響に関連する項目の長期的、広域的な変動に関する情報や、環境への影響の程度に関する知見が乏しい項目の情報について、調査研究を検討するとしております。
そこでお聞きしますが、国が調査研究を検討する項目とはどのようなものなのか。検討するということなんですが、これは実際に調査研究を行うということでよろしいんでしょうか。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のモニタリングガイドラインの案は、洋上風力発電事業の実施に伴う環境影響につきまして、事業者が実施するモニタリングの具体的な内容について取りまとめたものでありまして、今後、パブリックコメントを実施して今年度中に公表することを目指しております。
その案の中では、例えば鳥類の渡りの経路の変化など長期的、広域的な変動に関する情報や、環境への影響の程度に関する知見が乏しい情報につきましては、国が調査研究を検討することとしてございます。
実際に国が調査研究を行う具体的な項目につきましては、海外における知見、あるいは環境大臣による今後の海洋環境等調査それから事業者によるモニタリングの実施結果などによって得られる知見を収集しながら、検討を進めていくこととしております。
○塩川委員 鳥類の渡りなど長期的、広域的な影響に関する項目や、また、環境への影響の程度に関する知見が乏しい項目という話がありましたけれども、このガイドラインの案では、「鳥類の渡りや海生哺乳類の生息状況などの長期的・広域的な影響については事業者が行うモニタリングの対象外とする。」ということですので、鳥類の渡りだけではなくて、海生哺乳類の生息状況など、その他、国の調査対象になるものはどういうものなのかについて御説明いただけますか。
○堀上政府参考人 今委員御指摘の、鳥類の渡りの経路あるいは海生哺乳類の生息状況の変化、そういった長期的、広域的な影響につきましては、国による調査の対象になり得るものと考えております。
なお、実際に国が行う調査の対象それから内容につきましては、その海域における自然環境の特性を踏まえて、洋上風力発電事業により環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある項目などを考慮しながら、個別に検討していくことになると考えております。
○塩川委員 役割分担の話で確認しました。
坂井大臣にお尋ねします。
事業者は、工事段階のモニタリングと、それから運転開始後のモニタリングを行うとしておりますけれども、工事前のモニタリングは行わないのか。法案では、促進区域においては環境省が現地調査を行うと定めておりますが、これが事前のモニタリング調査に相当、対応するものなのか。鳥類や海生哺乳類の生息状況の調査なども行われるのか。この点についてお答えください。
○坂井国務大臣 本法案においては、促進区域の指定の前に環境大臣が海洋環境等に関する現地調査を行うこととしており、事業の開始前における海洋環境の状況は国において把握することになり、これが事前のモニタリング調査に相当するものでございます。
そして、この中で、御指摘の鳥類や海生哺乳類の生息状況についても、地域の自然環境の状況に応じて国において把握することとなり、これが生息状況の調査ということでございます。
○塩川委員 事前のモニタリングは国が行う、まさに公的に行うということに今回なるわけであります。
その上で、このモニタリングデータの公表についてなんですけれども、ガイドラインの案には、「国が一定期間ごとにモニタリングの結果に関するファクトレポートを作成し、洋上風力発電に関する環境影響を整理・公表し、理解醸成を図る。」とあります。
公表されるのは、事業者が作成、公表する事後調査報告書のレビューということですけれども、モニタリングデータ全体を公表すべきではないでしょうか。
○堀上政府参考人 事業者によるモニタリングデータの活用によりまして、洋上風力発電に関する環境影響についての理解醸成が図られて、環境影響評価の予測精度の向上、それから環境影響に関する予見性の向上、それらに資するということが期待されるということは御指摘のとおりでありますけれども、一方で、事業者によるモニタリングデータの公表を求めるに当たりましては、事業者が保有する知的財産権、あるいはデータ公表による不利益、そういったものが生じるか否かにつきまして慎重に検討する必要があるということで認識をしております。
このため、先ほどのモニタリングガイドラインの案では、事業者に対しまして一次データを含めたデータ提供の協力を依頼して、国における分析に活用していくということにしております。
ただ、モニタリングデータ全体の公表の在り方につきましては、引き続き、事業者等の意見も伺いながら、今後検討を深めてまいりたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 事業者のモニタリングデータについて、国として活用していく、それはそれとして必要なんですが、やはりこういった知見が乏しい、海域においてのこのようなモニタリングデータを研究者などと広く共有するということが、実際のこのような開発に当たってふさわしい指摘、意見などを得る機会にもなるということであります。
今回の法改正で、促進区域指定に当たっての現地調査は事業者ではなく国が行うことになる、公的なモニタリングとなっているという点においても、事業者が行うモニタリングについてもやはり公表していく、こういうスタンスで、まさに国民の共有の知的資産として、資源として活用していく、そういうことが必要ではないかなと思いますが、坂井大臣、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 申し訳ありませんが、私、ちょっと御通告いただいていなかったんですが。
共有するということは大変大事なことでありますが、一方で、そのデータそのものは、例えば民間のデータであれば、民間の企業さんの、価値を持っているというか資産の一つでもありますので、そこのところが、競合しないように調整をしながら考えてまいりたいと思います。
○塩川委員 是非、公表によって有効に活用されるということが求められているということを申し上げておきます。
最後に、モニタリングの結果を踏まえて、重大な環境影響が明らかになった場合には、環境影響を低減させるための、個別事業における活用、いわゆる追加的な環境保全措置等が検討されるとあります。
重大な環境影響が明らかになった場合とは、誰が判断をするのか。この点で、事業者任せにするのではなく、環境保護団体や専門家の意見を反映させるために、事業者に対して有識者による検討のための協議会を設置するよう、こういう取組も必要ではないかと考えますが、環境省、いかがでしょうか。
○堀上政府参考人 御指摘の有識者による検討についてでありますけれども、モニタリングガイドライン案におきましては、事業者は、環境影響評価の段階から、モニタリングの結果により環境影響の程度が著しいことが明らかとなった場合の対応方針を事前に検討する、それとともに、モニタリングの結果につきましては、必要により専門家に相談をし指導、助言を受けるなど、科学的かつ客観的な検討を実施するということにしております。
このガイドライン案、今後、先ほども言いました、パブリックコメントを実施して今年度中に公表するということにしておりますので、このガイドラインの策定などを通じまして、洋上風力発電における適切な環境配慮の確保に努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 重大な環境影響という判断、事業者として適切に行われるかどうか、実際に重大な環境影響の判断があった場合にも、それが適切に実施がされるのかどうか、こういった点についても、事業者任せではない対応が必要だということを申し上げて、質問を終わります。
○大岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○大岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、國場幸之助君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。梅谷守君。
○梅谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 国際基準にのっとった生物多様性の保全を重視し、利害関係者の意見を反映させるため、海外で導入事例のある海洋空間計画の実態を把握し、関係府省庁や環境専門家等との連携の下、我が国の実情を踏まえつつ、我が国独自の海洋空間計画の手法を早急に確立すること。
二 環境に十分に配慮した洋上風力発電事業を推進するため、事業者の協力を得ながら、環境影響評価図書の常時公開や事業開始後の適切なモニタリングの実施とその情報公開に向けた制度の見直しを検討すること。
三 公募占用計画等に記載される、事業者が海洋再生可能エネルギー発電設備設置や維持管理を通じて取得する情報について、目的外に利用することがないよう、事業者の情報管理体制について関係府省庁が適宜チェックすること。
四 事業者が洋上風力のサプライチェーン調査を行うことができるよう、他事例等を参考に、助言をする等のサポート体制を構築すること。
五 海洋環境等の保全の観点から環境省が行う調査が十分なものとなるよう、必要な予算と人員体制を確保すること。
六 募集区域の検討・指定や洋上風力発電の計画に関する情報が、その海域で漁を行う漁業関係者に速やかに伝わるよう、都道府県に対する情報提供を徹底すること。
七 募集区域の指定の段階において洋上風力発電が漁業や環境に及ぼす影響について、利害関係者の理解を十分に得た上で当該区域が指定されるよう、意見聴取、関係機関との協議等の在り方について検討し、必要な措置を講ずること。
八 促進区域の検討・指定に対し、各地で地域住民による反対運動が起きていることに鑑み、促進区域の検討に当たっては、府省庁横断的な組織の下で調整を進め、住民への情報提供を十分に行うとともに、住民の理解を得られるよう基礎自治体と緊密に連携し、合意形成プロセスを進めるよう徹底すること。また、大臣許可漁業団体や他県からの入会漁業者など地域と間接的に関連し得る関係漁業者が存在する実態に鑑み、案件形成に当たり、国が積極的に調整を図っていくこと。
九 洋上風力発電を始めとする我が国の再生可能エネルギーの発電コストは、火力発電などの既存のエネルギーと比較すると依然として高いことに鑑み、再生可能エネルギーの導入を進めるに当たっては、発電コストに係る国民負担の抑制を図るため、将来を見据えて電源別の発電コストの検証を随時行うこと。
十 再生可能エネルギーによる発電を促進するに当たっては、電力の安定供給のために既存のエネルギーによる発電の調整力が一定程度求められるものの、これに伴う社会全体でのコストの最小化が図られるよう努めること。
十一 再生可能エネルギー電源の送電線への接続が増加することを想定し、電力事業者等による送配電網の整備及びそれを支える人材の確保・育成について支援を行うこと。
十二 将来的に、遠方にある排他的経済水域(EEZ)に設置する上での課題が技術開発によって解決することを前提に、海洋再生可能エネルギー発電設備の全エネルギーを系統接続によらない手段により輸送できる制度を検討すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂井国務大臣。
○坂井国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○大岡委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○大岡委員長 次に、内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。
ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、國場幸之助君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりのギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。國場幸之助君。
○國場委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。
オンラインカジノについては、日本国内から利用することは従来より違法でありましたが、警察庁の委託調査によると、オンラインカジノの経験者は若年層を中心に約三百三十万人を超え、年間賭額は約一兆二千四百二十三億円に上ると推計されること、オンラインカジノの経験者のうち、約四〇%が違法であるとの認識がなく、また、約六〇%が依存症の自覚があることなど、深刻な状況が明らかとなりました。
本起草案は、このような深刻な状況に対し、オンラインカジノの利用を原因とする依存症を防止する観点から所要の対策を講じるものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、インターネットで国内の不特定の者に向けて、オンラインカジノサイトやアプリを開設、運営する行為、また、オンラインカジノへの誘導情報を発信する行為を禁止することとしております。
この違反に対し罰則を設けることとはしておりませんが、これらの情報発信が違法である旨が定められることにより、その削除など事業者による適切な対応が促進される、あるいは、インターネットホットラインセンターからの削除依頼が適切に行われるといった効果が見込まれることになると考えております。
第二に、ギャンブル等依存症問題に関する知識の普及に当たっては、オンラインカジノを行うことが禁止されている旨の周知徹底を図るための措置が講ぜられることを明記しております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
―――――――――――――
ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。水沼秀幸君。
○水沼委員 立憲民主党の水沼秀幸です。
私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりましたギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案に賛成の立場から発言いたします。
総論として、本法律案は、インターネットを利用して不特定多数の人々へ違法オンラインギャンブル情報の発信をすることや、オンラインカジノのウェブサイト及びプログラムを提示する行為等を禁止する内容となっており、成立すればオンラインカジノに対する抑止力が高まるため、効果的かつ意義深い法律案だと考えます。
その上で、原案に賛成する理由は三点あります。
第一に、オンラインカジノは、健全な社会を脅かすものだからです。
我が国では、公営競技等を除き、あらゆる賭博行為が違法とされています。しかし、オンラインカジノは、海外サーバーを利用することで違法賭博を提供しています。この状況は、国民の規範意識や法への信頼を毀損しかねない危険性があります。そのため、オンラインカジノの違法性について国民への周知啓発を徹底することは、法治国家としての基盤を強化するために必要です。
第二に、インターネット環境が惹起するギャンブル依存症の深刻性が挙げられます。
オンラインカジノは、二十四時間いつでもアクセス可能な特性から、依存症を引き起こすリスクが極めて高い違法ギャンブルです。ギャンブル等依存症は、個人や家族の生活を破壊するだけではなく、犯罪の増加など、広範な社会問題を引き起こします。だからこそ、本法律案を成立させることは、国民の健康と福祉を守ることに寄与すると考えます。
第三に、国富の保護が挙げられます。
オンラインカジノによる年間賭け金の総額が一兆二千四百億円に上ると推計される中、これらの資金の大半が海外の事業者に流れていることは、我が国の経済にとって看過できない問題です。この巨額な資金流出は、国内経済の循環を阻害し、国民の資産を海外へ流出させる要因となっています。オンラインカジノは、国内の公営競技とは異なり、税収や地域経済への還元が存在せず、国富を損なう一方的な搾取の構造を助長しています。だからこそ、立法府が一丸となって対策を講じることは、国民の財産を守り、経済的安定を維持するために不可欠です。
以上が賛成の理由となります。
なお、本法律案の制定は、違法な賭博行為を防ぎ、国民をギャンブル等依存症から守るための一里塚であり、その先には、ブロッキング技術の導入など、より強力な対策の実行を見据えるものだと認識しております。
引き続き、国民生活に寄り添い、ギャンブル等依存症対策に全力を注いでいくことをお誓い申し上げ、私の発言とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会の市村浩一郎です。
会派を代表し、ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案について発言をさせていただきます。
昨今、人気スポーツ選手やテレビでもおなじみの芸能人が、オンラインカジノの利用により相次いで書類送検されるニュースが流れています。スマートフォン一つでも誰もが気軽に全世界の情報にアクセスできる時代に、SNS上では、お勧めサイトとして堂々と海外のオンラインカジノに誘導する情報が拡散されています。こうした状況を放置すれば、知らず知らずのうちに違法行為に手を出し、自らだけではなく、家族や身近な人たちを巻き込む事態に発展していきます。
だからこそ、まずは、オンラインカジノへの誘導も違法であるということを明確に法律で示し、社会全体に周知する本改正は必要不可欠で、課題解決に向けた第一歩であると考えます。
しかし、本改正で全てが解決するわけではないことは、ここにいる全員の皆様が心得ていることでございましょう。罰則規定はないため、違法といえど、処罰はできません。
また、オンラインカジノの入口は様々で、最初は無料で始まり、途中から課金させる、まるでゲームのような仕組みで違法賭博に引き込むこともございます。無課金であれば違法ではない。こうしたグレーゾーン的なサービスをどう制御するのか。法制度と技術的対応の両面からのアプローチが不可欠です。
今後の課題として、罰則規定やブロッキング等、アクセス抑止の在り方といった実効的な法整備に加え、インフルエンサーやプラットフォーマーへの指導といった予防体制、そして相談窓口や依存症対策の体制の充実といった、ギャンブルから抜け出すための支援体制も求められます。海外では合法でも、日本国内から利用すれば違法である。本改正を機に、国民一人一人が違法と理解することを第一歩とし、自らと大切な人を守る仕組みを構築してまいりましょう。
ゼロにはできない。しかし、放置はできない。オンラインカジノの問題は、私たち日本社会の健全性を問う試金石です。日本維新の会は立法と実行の両輪をもって解決に挑んでいくことをお約束し、私の発言とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○大岡委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。
会派を代表しまして、オンラインカジノ規制に向けたギャンブル等依存症対策基本法の改正案について、賛成の立場から討論をいたします。
オンラインカジノをめぐっては、芸能界やスポーツ界における利用が相次ぎ、既に深刻な社会問題となっています。こうした中で、サイトの開設や誘導行為を明確に禁止する今改正案が、与野党の協議の下、委員会提出に至ったことには、まず感謝を申し上げたいと思います。
この法改正により、これまでグレーゾーンとされてきた誘導広告の違法性が明確化され、違法な賭博行為の温床を断ち切る第一歩になると期待をしております。
しかしながら、現行法案だけでは抜本的な解決には至りません。
まず、今回の改正案には、罰則規定が盛り込まれていません。禁止はしたが違反をしても処罰されないというのでは、抑止力としては不十分です。違法な賭博ビジネスの背後には国内外の反社会的勢力が関わるケースも指摘されており、実効性のある罰則の導入は早期に検討すべきです。
また、先日、民間調査で明らかになった違法スポーツベッティングの市場規模は六・五兆円にも上るとされ、警察庁委託調査の推計、オンラインカジノ賭け金約一・二兆円の実に五倍以上の金額です。この分野が未規制のまま放置されている現状は法の抜け穴であり、早急な立法措置が求められます。
さらに、対応を担うべき所管官庁が存在しないという制度上の空白も看過できません。警察庁、総務省、消費者庁、多くの省庁がそれぞれ断片的に関与する現在の体制では、迅速かつ総合的な対応は望めません。責任官庁の明確化と専門的な対応体制の構築が不可欠です。
加えて、我が国として真剣に導入を検討すべきは、サイトそのものへの接続を強制的に遮断するブロッキング措置です。
総務省は、四月から、法的、技術的観点を整理する検討会を設置し、七月をめどに中間報告を取りまとめるとのことですが、違法賭博の深刻さを考えれば、早期に結論を出し、実施に踏み切るべきです。もちろん通信の秘密との関係は慎重に扱う必要がありますが、児童ポルノ対策と同様に、公共の福祉を理由とした例外規定を明確にすることで、憲法上の要請との整合性は十分図れると考えます。
私たちは、本法案を必要かつ重要な第一歩として支持します。しかし、オンラインギャンブルの脅威に真正面から立ち向かうには更に踏み込んだ立法と技術的対策を一体に進める必要がある、その決意を持って本討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
私は、ただいま委員長から提案されましたギャンブル等依存症対策基本法改正案について、会派を代表して意見を申し述べます。
オンラインカジノでの違法賭博をめぐる問題は極めて深刻であり、既に二〇二四年八月には、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表らから、オンラインカジノを規制する法改正又は特別法の立法を求める要望が出されたように、オンラインカジノの早急な規制強化が必要であることは言うまでもありません。
しかし、深刻さという点で規制や対策の強化が急務なのは、違法ギャンブルであるオンラインカジノだけではありません。今や公営ギャンブルの売上げの八、九割を占めるのがオンラインでの購入であり、そこにおいてもギャンブル依存症の若年化が進み、重大な社会問題となっています。
さらに、その裾野でいえば、課金オンラインゲームへの依存も問題です。消費者庁の統計によれば、オンラインゲームの相談件数は毎年増えており、二〇二一年の総相談者数七千二百七十六件のうち、相談者の六一%が二十代未満であり、この二十代未満の相談者の五・五%が百万円を超える課金をしていたという情報があります。まさにギャンブル社会が形成されつつあると言っても過言ではありません。
改正が提案されているギャンブル等依存症対策基本法は、二〇一八年に成立してから既に七年が経過しました。しかし、この七年間の基本対策は、ギャンブル関係者による自主規制の取組であり、依存症予備軍に対する啓発、広告宣伝が中心で、この間の予算も不十分と言わざるを得ません。
れいわ新選組としては、今回の改正に際し、ギャンブル依存症を、先ほどのギャンブル社会という社会的背景を明らかにしながら刑法などの賭博罪や賭博幇助罪などに連携する罰則規定を設けること、オンラインアクセスに対するブロッキングやクレジットカードの利用制限などの実効的措置、ギャンブル依存症被害者のケアをするための十分な予算措置を講じること、そうした方向性や必要性が明示されることを期待しておりました。違法オンラインカジノだけでなく、オンライン化したギャンブル全体に対して効果的な依存症対策や規制を総括的かつ強力に進めるべきと考えました。しかし、残念ながら、現状はこうした期待が実現しなかったということであります。
この時代、本来ギャンブルを産業とする政策がいいのかという抜本的見直しが必要であり、さらに、AI推進法の審議で、こうしたオンライン化する社会の懸念の中で、ギャンブル依存症の問題などが軽視されたことを更に残念に思っております。
深刻化するギャンブル依存症をなくすには、オンライン上の操作と結びついた賭博行為で所得や欲望を満たそうとする、今だけ、金だけ、自分だけ、つまり、これは労働軽視の社会をつくってしまうことにつながりかねません。
こうした社会の在り方を根本的に検証する場としての政治の役割を強調して、意見表明といたします。(拍手)
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、ギャンブル依存症対策基本法改正案に対して発言します。
法案は、国内向けにオンラインカジノやスポーツ賭博などの違法オンラインギャンブルを提供すること及びその広告を出すことを禁止するものです。
違法オンラインギャンブルの提供及び広告が違法となることで、プラットフォーマーに対する広告の削除、また、ライセンスを発行した海外政府に対して見直しを求める後押しとなります。
法案は、野方図な状態となっている違法なオンラインギャンブルを抑止するもので、賛成するものです。
一方で、法案には罰則がなく、実効性に懸念があります。また、決済代行業者への規制も盛り込まれていません。ほかにも、法案が禁止の対象とする違法オンラインギャンブルに誘導する情報の範囲について、例えば、オンラインカジノへの導線となっている無料オンラインカジノも含まれるのかなど、提案者への確認も必要です。
違法なオンラインギャンブルの入口にもなっている公営ギャンブルのオンライン化への規制も欠かせません。今や競馬、競輪、競艇、オートレースは、八割から九割がオンラインによる購入です。オンラインギャンブルは、スマホを使っていつでもどこでも利用可能であるため、のめり込みやすい、賭け金が大きくなる、借金総額が多くなるなど、危険性が高いものです。依存症の専門家は、オンライン化について、ギャンブルの最も強いリスク因子の一つと指摘しています。規制強化が必要です。
さらに、依存症対策として重要なのは、依存症は医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという正しい知識を市民に広く周知、啓発、広報し、依存症の回復支援につなげる取組です。自己責任論は、当事者を依存症の治療や相談から遠ざけ、犯罪や自殺へと追い込むことになります。
日本は、公営ギャンブルやパチンコだけでなく、違法オンラインギャンブルが蔓延するギャンブル大国です。
この深刻な現状に対して、内閣官房始め政府の依存症対策に関する予算は微々たるもので、周知、広報、啓発が余りに不足していると言わざるを得ません。ギャンブルの負の影響に関する調査研究や、医療体制の整備、依存症者とその家族の相談対応、回復支援に当たる民間団体への支援強化と併せて依存症対策を抜本的に強化し、そのために必要な予算の確保と財政措置を求めて、発言を終わります。(拍手)
○大岡委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 この際、國場幸之助君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の共同提案によるオンライン上で行われる違法賭博問題への対策に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。山岸一生君。
○山岸委員 ただいま議題となりましたオンライン上で行われる違法賭博問題への対策に関する件につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
オンライン上で行われる違法賭博問題への対策に関する件(案)
政府は、ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 オンラインカジノについては、依存症の懸念が強く指摘されているほか、賭金として我が国の資産が海外に流出しているという点からも問題視されているところ、令和六年度の警察庁委託調査研究により、スポーツベッティングを含むオンラインカジノの年間賭額の総額が約一兆二千四百億円と見込まれるという実態が明らかとなったこと等に鑑み、オンライン上で行われる違法賭博に係る問題を、国富を損なう重大な問題と位置付け、政府一丸となって対策に取り組むこと。
二 オンラインカジノサイトに対するブロッキングを始めとする、オンライン上で行われる違法賭博を抑止するための措置について、各国において導入されている措置の内容、法的・技術的課題等について調査を行うとともに、我が国における有効な対策を早急に検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
三 オンラインカジノサイトにおいて多岐にわたるゲームやスポーツベッティングが提供されていること、スポーツベッティングが欧米を中心にビジネスとして拡大していること等を踏まえ、我が国においては、法律の定めるところにより行われる公営競技等を除き、スポーツベッティングを含むあらゆる賭博行為が違法であることについて、国民への周知啓発を徹底すること。
四 暗号資産、クレジットカード等の決済手段や決済代行業者の実態など、オンラインカジノの利用に関する決済の実態を解明し、適切な措置を講ずるとともに、決済代行業者を始めとするオンラインカジノの利用を幇助する事業者の取締りを徹底すること。
五 オンラインカジノを始めとするギャンブル等による依存症について、適切な医療を受けられる体制を全国的に整備するとともに、患者家族に対する相談・支援の体制を充実させること。あわせて、ギャンブル等依存症に関する広報啓発等により、ギャンブル等依存症の未然防止を図ること。
六 コロナ禍を経て公営競技のオンライン化が一層進行している下で、オンラインで行われるギャンブルにはギャンブル等依存症につながりやすい特徴があるとの指摘が出されていることに鑑み、依存症対策の観点から対策の強化を図ること。
七 本法に基づく禁止行為については罰則規定を設けないこととすることに鑑み、施行後速やかにその効果について検証し、禁止行為の確実な抑止のために必要があると認められる場合は、所要の措置を講ずること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。
この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。伊東国務大臣。
○伊東国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
ありがとうございました。
○大岡委員長 お諮りいたします。
本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る六月六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十三分散会