衆議院

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第21号 令和6年5月29日(水曜日)

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令和六年五月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君

   理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君

   理事 池下  卓君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      木村 次郎君    斎藤 洋明君

      高木  啓君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    平口  洋君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君   おおつき紅葉君

      鎌田さゆり君    鈴木 庸介君

      寺田  学君    山田 勝彦君

      阿部 弘樹君  斎藤アレックス君

      美延 映夫君    日下 正喜君

      平林  晃君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   総務副大臣        馬場 成志君

   外務副大臣        辻  清人君

   文部科学副大臣      あべ 俊子君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    押切 久遠君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高橋美佐子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  八木 和広君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     木村 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     斎藤 洋明君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一六一五号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一六八二号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一六八三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六八四号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(阿部知子君紹介)(第一六一六号)

 同(荒井優君紹介)(第一六一七号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一六一八号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一六一九号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一六二〇号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一六二一号)

 同(小山展弘君紹介)(第一六二二号)

 同(櫻井周君紹介)(第一六二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六二四号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一六二五号)

 同(寺田学君紹介)(第一六二六号)

 同(中島克仁君紹介)(第一六二七号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一六二八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六二九号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一六三〇号)

 同(山崎誠君紹介)(第一六三一号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一六六八号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一六六九号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一六七〇号)

 同(大島敦君紹介)(第一六七一号)

 同(菅直人君紹介)(第一六七二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六七三号)

 同(徳永久志君紹介)(第一六七四号)

 同(柚木道義君紹介)(第一六七五号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(枝野幸男君紹介)(第一六七六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六七七号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(枝野幸男君紹介)(第一六七八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六七九号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一六八〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田薫君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍君、法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君、法務省民事局長竹内努君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省保護局長押切久遠君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官松尾裕敬君、外務省大臣官房参事官高橋美佐子君、文部科学省大臣官房審議官奥野真君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官八木和広君、文部科学省高等教育局私学部長寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官石垣健彦君、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君及び環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君及び人事局長徳岡治君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。仁木博文君。

仁木委員 自由民主党・無所属の会の仁木博文でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 今日は、裁判官について質問をしていきたいと思いますが、その前に、裁判、憲法に関する違憲訴訟等々、時間を長く要するものもあります。裁判、時間もかかるのは分かります。一般に、時間を長くかけたからといって、その裁判自体が本当に適正なものであったかどうか、あるいは国民が司法というものをより身近に感じられるものであるかどうかということではないと思いますけれども、ただ、最近、いろいろな文明の利器によりまして、捜査方法であるとか、そしてまた、裁判における、証拠裁判主義における証拠そのものが事実かどうかにつながるような手法があります。AIとかICTでございます。

 大臣、一般論としまして、私はそういったものをやはり裁判に取り入れていることは非常に重要だと思いますし、冒頭私が問題点を申しましたが、それは迅速性ということについてでございまして、平成十五年には、裁判は公正かつ適正で充実した手続の下で迅速に行われることが不可欠である、内外の社会経済情勢等の変化で裁判がより迅速に行われることが緊要となっている、もって国民の期待に応える司法制度の実現に資することを目的とするといったものも施行されております。

 そういったことも踏まえまして、私の質問に対して大臣の御見解をお願いしたいと思います。

小泉国務大臣 委員おっしゃいましたように、我々が利用可能なテクノロジー、そういったものが日々進化をしているわけであります。

 したがって、裁判の効率性あるいは真実追求性、そういったものにそういう新しいスキルが資するならば積極的にこれを取り入れるべきだと思いますが、そのときに、客観性というものを担保すること、国民の主観的な、ある意味で国民の主観において、信頼されている、司法への信頼が損なわれない、そういった点についてもしっかり配慮した上で新しいテクノロジーを有効に生かしていくというのは大事な視点だと思っております。

仁木委員 三権分立の中で、大臣の今の御発言、ありがとうございます、より踏み込んだ形で、私も、レクしたときの感想以上のことをいただいたと思っております。

 さて、私が今日問題にしたいのは、裁判官の働き方というか、ありようというか、キャリアアップというか、まさに、後にも質問してまいりますけれども、今回も民法改正がなされました、離婚後の共同親権のありよう等々もそうでございますが、例えば家庭裁判所の裁判官の業務も一層多くなってくることも想定されますので、そういうことを踏まえて、できる様々なツールをフルに活用しながら裁判官の業務を円滑に進めていくことは、先ほど申し上げた、国民がより期待する司法制度の実現に資するというふうにつながっていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、裁判官の業務、例えば事実認定のありようについて質問をしたいと思いますが、このことに関しまして、ICTやAIを用いてやるべきだと私は思っております。具体的には、裁判官になったばかりの方、まさに裁判官としての経験がまだまだ少ない方々に対しまして研修等々があると思いますけれども、そういった場において、例えば、刑事事件等が起こりますと、最近ですと、犯人の証拠たる、例えばDNA鑑定を要するものがあると思いますが、そんなことの科学的、技術的な背景を踏まえて、それが本当にこの容疑者が犯人につながるものに資するかどうか、そういうふうなことも、知識のみならず、それをいかに活用していくかということをシミュレーションというか学んでいく必要があると思いますが、その辺に関しましてはいかがでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今、委員からの御指摘は、科学的証拠を含めたいろいろな証拠等についての評価を含めた、様々、事実認定を含めた判断についての研修に関する御指摘というふうに伺いました。

 裁判所におきましても様々な場面で研修等を行っているところでございます。御指摘いただいたような科学的証拠を含めた取扱い等についても研修を深めてまいりたいというふうに考えております。

仁木委員 例えば裁判官の最高峰とも言える最高裁判所長官、これになるプロセスというか、これは一種のうわさでございますので、確認はする必要はないかもしれませんが、司法試験を通ったときの年齢と、あと、その司法試験の成績でほぼ決まっているようなこともあるんですけれども、そういうことはないですか。どうですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 最高裁長官あるいは最高裁判事の関係については、内閣の任命のことでございますので、恐縮ですけれども、最高裁からはお答えすることを差し控えたいと存じます。

仁木委員 そういう答弁は想定していましたが、いわゆる、様々、世の中も変わっております。ですから、裁判官、本当にいろいろな意味で、多忙な中でお仕事をされておりますけれども、一方で、やはり世の中のこととかいろいろな世間のことも知っておくことが大切だというのは、これは国民の司法に対する思いだとも思います。

 先ほど一つ研修のありようを申し上げましたが、そういうふうに証拠を認定するメソッド、方法、ツールも様々な形で変化しております。ただ、それも、知識だけあったとしても、実践して使っていく、使いこなしていかないと、なかなかこれが自分のものにならないということになりますので、大切な裁判を行う以上、そういった研修も今後取り入れていただきたいと思います。これは立法府にいる者として言える限界かもしれませんが、その辺が私の希望ですけれども、いかがでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、変化する社会の中で科学的知識をどう使っていくかということも含めて、やはり多様で豊かな知識経験を裁判官は備えるということが必要であろうと思います。そういう点で、研修もそうですし、あるいは様々な外部経験というものを判事補に行ったりもしております。

 これからもそのような取組を推進して、多様な人材を確保していけるように努力してまいりたいと考えております。

仁木委員 今、再審法の議論も議員間でなされています。これは先ほど言いましたが、いわゆる証拠を基に、証拠の扱い方、あるいは保存の方法、そういうのも含めたことが背景がありまして議論にもなっているわけでございますけれども、例えば、家事の方にも該当すると思いますけれども、先般、神戸の平成に起きた連続児童殺傷事件における証拠が裁判所の判断で破棄されたというようなこともありました。

 それに象徴されるように、証拠あるいは大切な書類、こんなものは裁判官が今後新たな裁判をするときに非常に重要なものとなってまいりますけれども、その辺のありようについてコメントをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員の方から、神戸の連続児童殺傷事件に関する記録の廃棄についての御指摘を承ったところでございます。

 最高裁におきましては、社会の耳目を集めた少年事件の記録を特別保存に付さずに廃棄していたことなど、記録の保存、廃棄をめぐる一連の問題を重く受け止めまして、有識者委員会の御意見を伺いながら調査検討を行い、昨年五月に報告書を公表したところでございます。

 その後、報告書を踏まえまして、事件記録等の特別保存に関する規則を制定し、本年一月三十日より新規則等に基づく新たな運用を開始しております。

 これにより、国民共有の財産であります歴史的、社会的意義を有する記録を適切に保存する基本的な仕組みを整えたところでございまして、最高裁としては、この新たな運用が確実に実施されるよう、各庁の運用を支援してまいりたいと考えております。

仁木委員 裁判における証拠というのは非常に大切でございます。そして、先ほど特別保存ということもお言葉として出ましたけれども、どういった基準になればその特別保存に移行するのかといったクライテリア、基準の策定にも、私はICTやAIというのは一つ使えると思いますし、これは私が言った、当初の裁判官の業務とは違いますけれども、そういった裁判も、全体ですね、司法制度も、やはりある程度文明の利器を駆使した状態で、使える範囲内で使っていくということは、これから国民が望まれる司法のありようだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、先ほど冒頭私申し上げましたが、裁判官の業務が本当に煩雑、しかも多様になっていまして、今、私は改めてここで、裁判官の一日の仕事のありようとかを検証した上で、例えば、メンタル的なことも含めて、どういったことがあれば、より裁判が円滑にというか迅速にというか、あるいは国民が希望するような形の司法制度になっていくのかということを考えていきたいと思いますが、何か取組がありましたら、お答えいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたけれども、やはり、裁判官が心身共に健康な状態で職務に当たる、その能力を十分に発揮することができるよう、その職務環境を整備するということは重要であろうというふうに考えております。

 そのため、事件動向等を踏まえました適切な人員配置に努めておりますほか、各地の裁判所におきまして、裁判官の手持ちの事件数でありますとか内容も含めた負担の程度につきまして、部総括裁判官を始めとする周囲の者がきめ細かく把握するように努め、必要に応じて、その働き方について助言をしたり、あるいは事務負担を見直したりするなどして、裁判官の心身の健康に配慮しているところでございます。

 今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえつつ、裁判官の職務環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

仁木委員 その辺に関しまして、裁判官以外の様々な方が、裁判官が今現実的に担っている、やっている業務をやっていくというタスクシェアのような考え方も大切だと思いますし、また、法曹一元化ということもかつて議論として出ましたけれども、そういったことも大切だと私は考えます。

 これから、特に家庭裁判所の業務というのは、先ほど冒頭申し上げたような形で増えてくることが想定されますので、その辺に対しての具体的な取組に関する想定というか、何か対策があるか、ありましたらお答えいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今、委員の方からは、家庭裁判所のこと等も例に挙げていただいて御指摘をいただいたところでございます。

 一般論として申し上げますが、裁判所の事件処理に関わる職員といたしましては、裁判官のほかに、事件記録の作成、保管等を行う裁判所書記官というものもおります。また、行動科学の知見や技法を活用して調査、調整を行います家庭裁判所調査官といった職種もございます。

 各種の事件処理に当たりましては、それぞれの事件特性に応じまして、これらの関係の職種が協働して、一緒になって、それぞれの強みを生かした審理運営を行っているところでございます。その中で、裁判官は手続の主宰あるいは判断といった中核的な役割を果たしているものと承知しております。

 委員からも、これからの裁判官の負担についての御指摘もいただいたところでございます。裁判所といたしましても、引き続き、関係職種を含めた様々な体制、仕事の仕方について検討しながら、必要な体制整備に取り組んでまいりたいと考えております。

仁木委員 最後に、冒頭申し上げた結論でございますけれども、やはり、裁判所の裁判官が働きやすい環境、これは非常に重要だと思いますし、先ほど私も例で取り上げました裁判の迅速化に関する法律の理念のように、迅速に裁判が回っていくということも国民が理想とする司法の実現に資するというふうに思いますので、その辺も併せて、よりよい形でつくっていけたらなと思います。よろしくお願い申し上げます。

 今日はありがとうございました。

武部委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 能登半島地震から五か月を経過しようとしているところでございます。

 令和六年度能登半島地震によって損壊した住家に係る公費解体撤去の実施に当たっては、原則として建物共有者や抵当権者等の全員の同意が求められています。中には、相続が生じた時期が相当以前で、相続が繰り返されて、五十人、百人と多数の法定相続人がおり、その中に海外に在留している人もいます。

 建物が倒壊して瓦れきとなっている状態でも、公費解体のために共有者等の全員同意が必要とされ、解体撤去が思うように進んでおりません。所有者不明建物管理制度、あるいはいわゆる宣誓書方式ということも取られておりますけれども、進んでいません。

 私も、弁護士の先生方、司法書士の先生方、また土地家屋調査士の先生方、行政書士の先生方とも災害対策本部長として意見交換もさせていただいています。その中で、土地家屋調査士の先生方との意見交換の中で、建物が倒壊して建物性を失っていれば、民法上、建物の所有権も抵当権も消滅するのではないか、そうであれば、共有者や抵当権者等の同意を得る必要はなく、瓦れきの解体撤去を迅速に進めることが可能ではないか、この考え方を、今月の中旬、環境省あるいは法務省の担当者にお話をさせていただきました。また、五月十五日、また二十二日と、我が党の災害対策本部でもその考え方を示し、そして、このことについて、私のこの考え方を踏まえて、是非とも公費解体撤去の円滑化、迅速化を図るよう求めていたところであります。

 それで、昨日、この資料にありますように、事務連絡の文書、これを被災自治体に発出をしていただいたということで、両省の担当者の迅速な対応に感謝を申し上げる次第でございます。

 今回の事務連絡では、私の提案どおり、災害により建物性が失われた家屋等については、市町が、建物性が失われる前の当該建物等の所有者等の一部の者から公費解体撤去に係る申請を受け付け、提出された建物性に係る申告書等により家屋等の建物性が失われていると判断する場合は、解体撤去工事前に貴重品や思い出の品など必要なものがその所有者等により持ち出されたことを確認した後は、当該家屋等の所有権等を有していた全ての者の同意がなくても、市町村の判断により災害廃棄物として公費解体撤去を行って差し支えない、要するに問題がない、支障がないことを明記していただきました。

 他方、建物性の概念は罹災、被災証明に係る住家の被害認定における全壊の概念とは異なるため、自治体や被災者自身において建物性の有無を判断することができるように明確な判断を示す必要があると主張しました。建物所有権の対象となる建物性の有無は基本的には不動産登記法の解釈によることになると思いますが、建物性の有無の判断の基準について法務大臣に伺います。

小泉国務大臣 能登地域の復興のためには、まず、今ある損壊した建物を一度取り壊して、そこに新しいものを造っていくという手続が必要でありますが、委員御指摘のように、様々な所有者あるいは抵当権者の方々がおられ、必ずしも連絡も取りづらい、そこが大きなネックに現状なっているところでございます。

 そこで、大口委員の非常に鋭い着眼だったと思いますが、建物の所有権の定義として、建物そのものが建物としての構造を失っている、機能を失っている、建物性を失っている、そういう場合には、その建物に対する所有権ももうないだろう、抵当権もなくなっちゃっているだろう、消滅しているだろうという御指摘をいただきまして、法務省としても、また環境省とも連携を取りながら検討しましたところ、まさにそういう解釈が成り立つということになりました。

 そういう判断に基づいて、昨日、関係地方自治体に、関係者との合意を得ることなく前へ進めますよ、こういう一定の場合には進めますよという事務連絡を発出させていただいたところであります。心から先生の御指摘、御提案に敬意を表したいと思います。

大口委員 この資料の裏側に四事例が出ております。これが建物性が認められない例でございます。今回の事務連絡で、建物性が失われたと誰でも判断できる具体的な例を示していただいたおかげで、今後は公費解体撤去が進み、瓦れきの処理が促進されるものと思いますが、建物性が失われたことについて公的機関のお墨つきがあれば、より安心して公費解体を進めることができます。

 法務局では、災害により建物性が失われたものについて、被災者支援の一環として、被災自治体の協力を得て、登記官の職権による滅失登記を行っており、今回の能登半島地震でも、まずは輪島朝市の火災エリアの職権滅失登記に取り組んでいると聞いています。このことは評価をさせていただきたいと思いますが、他方で、被災地における法務局の支局の規模は、これは輪島市、七尾市なんですが、非常に小さくて十分なマンパワーがございません。二万二千棟以上とも推計される公費解体に対応できる体制が整っていないと思われます。

 また、建物性の判断に迷うケースでは、事務連絡で整理された、いわゆる宣誓書方式を用いて公費解体を進めるルートもありますが、滅失登記により建物性がなくなったことを確認し公費解体を進めることも有用であり、こうした事務連絡の趣旨が理解されるよう、法務局が環境省と連携して被災自治体をサポートするとともに、被災自治体と協力して被災者への説明会等を積極的に行うことも重要でございます。

 被災地での職権滅失登記等の実施に向けて、他県からの応援や土地家屋調査士の活用も含めて体制整備を図る必要があるのではないかと考えますが、法務大臣にお伺いします。

小泉国務大臣 まず、建物性が失われていれば、その事実をもって解体に取り組むことができます。自治体に責任が生ずるということはありませんが、しかし、滅失登記を職権で行うことによって、よりそれが確定的になる、より安心できるという効果はあろうかと思います。急いでこれに取り組んでいるところであります。輪島については先行的に取り組んでおります。

 今、名古屋の管区から法務局の職員を応援に出しておりますが、恐らく、今まさに検討中ですけれども、全国ベースで、全国の法務局から応援に入るということができれば、よりスピードアップできる、そういうことでもありますし、土地家屋調査士の方々の協力を仰ぐ、これは予算の問題が片方にありますから、そういう調整も必要でありますけれども、そういった方々の協力も集めて、必要な体制整備を早急に進めたいと思います。

大口委員 大臣の力強いお答え、本当に感銘を受けました。

 今回の事務連絡では、私の提案も踏まえ、建物性が認められない倒壊家屋等について、滅失登記が行われた場合に加え、滅失登記が行われていない場合でも、建物性が失われていると市町が判断すれば共有者等の同意なく公費解体等をして差し支えないとし、これまで示されなかった新しい措置が盛り込まれたわけでございます。

 また、倒壊家屋等以外の場合について、これまで環境省のマニュアルでは、いわゆる宣誓書方式を活用した解体も考えられるという見解を示していましたが、今回の事務連絡では、宣誓書方式を活用する場合の具体的な手順等も示すとともに、共有者等に対する意向の状況や家屋の状況等を総合的に考慮しやむを得ないと考えられる場合は、宣誓書を活用した公費解体を行っても差し支えないという表現が用いられています。

 これにより、今後、市町村がこれまで以上にいわゆる宣誓書方式を活用できるようになりますし、そういう点で、公費解体撤去の手続が円滑に進むのではないかと期待をしております。

 今回の事務連絡によりどのような措置が取られ、どのように手続が円滑化、迅速化されるのか、環境省に伺います。また、今回の事務連絡を被災市町に活用していただくためには、事務連絡に関する説明会の実施や問合せへの対応など、市町村の理解が深まるようサポートを行う必要があるのではないかと考えます。環境省にお伺いいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事務連絡は、法務省と連名で、公費による家屋等の解体撤去に当たり、関係者全員から同意書を取得することが困難な場合があることなどを踏まえ、申請手続の更なる円滑化、迅速化を図るため、議員の御指導も受けて損壊家屋等の解体撤去等の手順をお示しさせていただいたものでございます。

 具体的には、建物性が認められない倒壊家屋等につきまして、滅失登記が行われたもののほか、滅失登記が行われていないものについても、事務連絡に定める考えに沿って建物性が失われていると市町村が判断する場合には、思い出の品など必要なものが持ち出されたことを確認した後は、家屋等の所有権等を有していた全ての者の同意がなくても、市町村の判断により解体等を行って差し支えない旨を明記させていただいております。倒壊家屋等の取扱いについて、このような形で両省が連名で事務連絡をお示しすることは今回が初めてでございます。

 また、倒壊家屋等以外の損壊家屋等につきましては、共有者等の意向を確認することが困難な場合において、意向確認の状況や家屋の状況等を総合的に考慮してやむを得ないと考えられ、解体撤去申請に対して共有者等から異議が出る可能性が低いと考えられる場合には、家屋等の所有権等に関する紛争が発生しても申請者の責任において解決する旨の書面、いわゆる宣誓書の提出を受けることにより解体等を行って差し支えない旨を、具体的な手順等とともにお示ししたところでございます。

 これまでは、宣誓書を活用した解体等につきまして、これを行うことも考えられる旨をお示ししてきたところでございますが、今般の事務連絡では、差し支えない旨を明記し、その活用を促しているところでございます。

 この事務連絡が解体撤去の手続等の円滑化につながるよう、被災市町村に対する説明会の開催や現地の環境省職員等による問合せ対応等にしっかりと取り組んでまいります。

 環境省といたしましては、公費による解体撤去の円滑かつ迅速な実施に向け、法務省を始めとする関係省庁とも連携しながら、引き続き、被災市町村の支援に全力で取り組んでまいります。

大口委員 今回、やはり民事基本法制、そしてまた法務局行政、これを所管する法務省、担当の課長も非常に一生懸命やってくれました。法務省における知識、知見というものと、現場を抱えている環境省の切実な思いが合体して、今回、これまでにない新しい措置ができるようになった。これは非常にいいことだと思います。

 それで、法務省は様々な法的な知見を持っているんですね。本当は、それがもっと各省庁と組み合わされば、もっと政策が向上するんじゃないかな、この一例だと私は感じておるところでございます。

 それこそ、被災地は、発災から間もなく五か月を経過しようとしているにもかかわらず、なお多くの瓦れきがあり、復旧復興の妨げとなっています。二万二千棟以上の公費解体が予想されているわけでありますが、五月二十六日の時点で石川県では、公費解体申請棟数は一万五千六百十四棟、これに対して解体実施棟数は八百三十一棟、そのうち完了した棟数は三百四十六棟で、公費解体の加速化を含めて被災地への支援をしっかりと行うことが政府の責務であります。

 今回の事務連絡で明らかなように、民事基本法制と法務局行政を所管する法務省も、被災地の復興に向けて尽力する必要があると考えます。法務大臣の意気込みをお伺いします。

小泉国務大臣 昨日の夕方、馳知事からお礼の電話がありました。本当にここがネックなんです、これが解き放たれれば、非常に真っすぐ、スムーズに復興が進みますと喜んでおられました。と同時にまた、引き続きの応援要請もございました。

 委員のお知恵をいただいたおかげで、法務省が大きな役割を新たにいただいた思いでございます。一生懸命やらなければと思いますし、また、他の行政分野でも、こういうものを一つのモデルとして、我々がもっと力を発揮できる部分があるかもしれない、そういう可能性も教えていただいた思いでございまして、心から敬意を表します。また、心から御礼を申し上げ、前へしっかりと進んでいく努力をしたいと思います。

大口委員 体制整備に向けて予算の確保もしっかり頑張っていきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。立憲・無所属の鎌田さゆりでございます。

 早速質疑に入らせていただきますけれども、今日私は、入管庁の方々、そして大臣の所見を伺ってまいりたいと思います。

 二〇二三年、昨年六月十六日に公布されました改定入管法について、施行の期日が来月の十日に迫ってまいりました。そこで、改めて事実関係の確認をしながら伺ってまいりたいと思います。

 まず、退去強制令書が出されて出国した人数を伺いたいんですけれども、昨年の二〇二三年の統計は現時点では集計が途中でしょうから、二〇二二年と二〇二一年の人数を伺いたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年中に退去強制令書により送還された者の人数は四千七百九十五人となっております。また、二〇二一年中に退去強制令書により送還された者の人数は四千百二十二人となってございます。

鎌田委員 今の数字の御答弁なんですけれども、二〇二二年が四千七百九十五人、二〇二一年が四千百二十二人、その中で、未就学児を含む未成年者の人数を教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 退去強制令書により送還された者のうち未成年者の人数については統計を取っておらず、お答えすることは困難でございますが、未成年者に対する退去強制手続につきましては、一件一件個別に状況を把握した上で適切に行っております。

鎌田委員 一件一件個別の状況を把握した上で、だけれども統計は取っていないという御答弁でした。

 なぜ、一件一件個別の状況を把握しているのに、未就学児、未成年者の統計は取っていないんですか。なぜ取っていないんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、どういう統計を取るかということにつきましては、行政全体の事務遂行に当たりまして、その負担とか目的とかを考慮しながらやっているところでございまして、現時点におきましては特に未成年者の数ということを集計はしていないということでございます。

鎌田委員 ありがとうございました。

 今、負担と目的を考慮しながらということでした。

 大臣、これは通告をしておりますけれども、今、二〇二二年と二〇二一年の退去強制令書によって出国した方のうち、未就学児、未成年者、いわゆる子供さんですね、その方々の数字、個人情報とまで言っていません、数字の統計を取っていないということなんですね。でも、個別では把握している。これはきちんとこれから入管庁として統計を取っていくべきじゃないでしょうか。大臣のお考えを伺います。

小泉国務大臣 未成年者の取扱いについて、齋藤大臣もああした御判断もされましたし、入管法上の業務の執行において、未成年者というくくりで、グループで、やはり政策を執行していくということがもうありますから、基本的にはこういう統計を取る方が望ましいと思います。

 ただ、一つだけ。やはり行政コストというのは常に伴ってまいりますので、そういう点のチェックは我々もしなければいけないと思っております。

鎌田委員 大臣、望ましいだけでとどめておけばよかったのにと思いました。

 もちろん、行政コストはかかると思います。ですけれども、今、様々IT化が進んでいます。DXと叫ばれています。そして、個別案件は把握しているという次長の御答弁があったんですから、今大臣が未就学児を含めた未成年者のその統計はちゃんと取っておくことが望ましいという御答弁がありましたから、入管庁さん、これから先、次長、是非これは統計を取ってください。今の大臣の御答弁、根拠になると思いますので、取ってください。そのことは強く要望しておきたいと思います。

 次に移りますけれども、今大臣もおっしゃったとおり、昨年、二〇二三年、前齋藤法務大臣の判断によって、送還忌避者の子で在留特別許可が出される対象となった子供、それが二百一名ということでした。この二百一名という数字は間違いないですね。これは入管庁に伺います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月に齋藤前大臣が御表明された対処方針の対象になっている方については、二百一人の子供さんでございます。

鎌田委員 実は、私、今日、本当は資料配付をさせていただきたかったです。今、手で持っているものです。これは令和五年ですから昨年ですね、令和五年八月に出入国在留管理庁からということで、今質問させていただきました「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」というタイトルでございます。昨年のこの法務委員会で、寺田委員も切実に、子供には何の罪もない、子供には在特を与えるべきだというふうに訴えて、それに呼応する形で、齋藤前法務大臣が在留特別許可を出すという前向きな答弁がこの法務委員会であって、そして、入管庁の昨年八月の発表だと思うんですけれども。

 実は、資料配付したかったんです、今手で持っているこれを。ところが、入管庁のホームページを、どこをどう見ても見つからなかったんです。見つかりませんでした。

 委員長、済みません、次長もこれは御存じかどうか、今、私、手元で持っているんですが、次長にこれを見ていただくという御許可はいただけますか。駄目ならば、このまま手持ちにいたします。

武部委員長 手持ちでお願いします。

鎌田委員 じゃ、手持ちのままにさせていただきます。入管庁さんにはあらかじめ、先ほど、この紙についてはお渡しをしております。

 昨年の八月に入管庁が発表した齋藤前法務大臣のこの判断、二百一人に対して在留特別許可は法務大臣の裁量的判断により可能だということの発表資料なんですけれども、これは入管庁のホームページには載せていないんでしょうか。伺います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、齋藤大臣が御表明された内容の説明資料につきましては、ホームページには載せておりません。

鎌田委員 ホームページには載せていないという次長の御答弁でしたが、ですが、当時の齋藤大臣、法務相としての記者会見のときに、記者さんたちには、マスコミには、今私が手持ちで持っていますこの資料、先ほど入管庁さんにはあらかじめお渡ししました、同じものを。これは、記者さんにはお渡しをしているんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 当該資料につきましては、齋藤大臣の記者会見における公表内容を正確に報道していただく関係もございましたので、記者の方にはお配りをいたしました。

鎌田委員 マスコミの記者さんにお渡しをして、記者会見もして、そしてホームページには載せていないと。私は、それはいかがなものかと思うんですよ。

 だって、あのとき、去年ですよ。去年、この法務委員会の場所で、本当に切実な思いを伝えて、大臣もそれに呼応して、この資料を読むと、今回限りという言葉が非常に目立ってしまうんですけれども。今回一回限り、令和四年の十二月末だから、おととしですね、令和四年の十二月末の時点で、在留資格のない送還忌避者四千二百三十三人のうち、本邦で出生した子供は二百一人だ、その二百一人に対して、法務大臣の裁量的判断によって、在留特別許可は可能だという判断をなさって、昨年八月に入管庁が発表して、マスコミの方々、記者には配ったということ。

 これは本当に、その子供さん、該当者の方々にとっては希望だったし、だけれども、今、来月の施行期日を目の前にして、審査というか、精査がされているんだと思います、集約されているんだと思いますけれども、自分はこれに該当するのかしないのか、不安でいっぱいの子供さんもいらっしゃるでしょう。

 なぜ、この大事なことをホームページに載せないんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの資料につきましては、一つは、今回限りの、一回限りのものということもございますし、対象者の方には全て個別に連絡をしておりますので、そういうこともございまして、ホームページには公表しておりません。

鎌田委員 今回限りだからとおっしゃいましたね。そして、対象者には全部個別に連絡している。法務省として大臣が判断をして、非常に重要な判断だったじゃないですか。今回限りだろうと、マスコミの記者に配っていて、会見でも発表していて、そして今、審査中、精査中、集約中のこの案件、入管庁のホームページに載せるべきだと思います。

 大臣、御所見を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 載せるべきであったと思います。

鎌田委員 大臣から、載せるべきであったと思いますという御答弁でした。

 入管庁、今からでも遅くありません。今、来月の十日の期日を目の前にして、この二百一人全員が在特が出るのか、それとも一部なのか分からないですよね、今集約中ですから。これは、今からでもいいから載せるべきですよ。いかがですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣より、載せるべきであったという御答弁がございましたので、それを踏まえて、ちょっとどういう形で載せるかを早急に検討したいと思います。

鎌田委員 早急に検討して、いつホームページにこれを載せたかどうかということを、是非、法務委員会の理事会に御報告をいただきたいと思います。

 委員長、お取り計らいをお願いいたします。

武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

鎌田委員 非常に私は残念でした。今日、配付資料にして、そして、皆様とこのことについて共有をしたかったんですね。

 というのは、二百一名全員かどうかも分からないし、今集約中で、二百一人対象がいたんですけれども、二〇二二年末の時点で、送還忌避者のうち、日本生まれではない、生まれた後で日本に来た未成年者、これは九十四名だったと思うんですね。そうすると、二百一名と九十四名を足すと二百九十五名になるんです。

 私としては、この二百九十五人が本来は対象になるべきだと私は思っています。ですが、昨年の法務省そして齋藤前大臣の判断で二百一人となったというわけですが、この二百一人の集約結果、いつ公表されますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 その点については以前も御説明したかとは思いますけれども、この二百一人の子供さんやその家族についての審査といいましょうか、在留特別許可をどのように判断したかにつきましては、手続の終了後に明らかにする方針でございます。

鎌田委員 何の収容後とおっしゃいましたか。ごめんなさい、もう一回お願いします。

丸山政府参考人 分かりにくくて申し訳ございません。

 今、在留特別許可をするかどうかという判断を個々に進めているところでございます。

 その上で、御本人たちにその結果をお知らせするということが完了した後に、この二百一人の方々について法務大臣、法務省としてどう判断したかということを整理して、公表させていただきたいと考えております。

鎌田委員 その際、二百一人全員かどうか分からない、そのうち何名だったか、個人情報は要りません、何名だったのか、そしてどのような基準でもってこのように判断をしたという御報告は、法務委員会にいただきたいと思います。

 この点についても、委員長、理事会でお取り計らいをお願いいたします。

武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。

鎌田委員 昨年の齋藤前大臣の英断と私たちは受け取りました。

 本当に、この委員会でかんかんがくがくと議論をして、そして、せめて子供だけはということでその判断が出たわけですから、これはとても大事なことですし、今回限りというのは私は到底納得はいきませんけれども、これから先につなげていくべきだと私は思っております。

 一つ前の質問で伺ったんですけれども、二百一人と、それから、日本生まれではない未成年者は九十四名いるわけですね。小さいときに何らかの事情で親御さんと一緒に日本に来た。でも、これは昨年の委員会での審議のときの二百一名のところには入ってない九十四名がいらっしゃって、それは、日本で生まれたかどうかの違いだけなんですね。子供さんが親御さんの事情で日本に来た。

 この子供さんの九十四名というのも、私は同じように、親の事情で、まだ赤ちゃんのとき、一、二歳のときに日本に来ているわけです。この九十四名についても、これからでもいいです、これからでもいいですから、入管庁としてきちんと個別の事情を把握をして、在留特別許可を付与するのかどうかということを私は検討すべきだと思うんです。

 大臣、お考え、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今回の二百一人のスキームはこの一年近く現実の政策として動いてきておりますので、それをしっかりと成し遂げるとともに、個別の在留特別許可、しかもこれは、申請手続が創設をされます。また、これに伴って制定されるガイドラインの改定、このガイドラインの改定の中では、家族とともに生活するといった子供の利益の保護、この必要性を積極要素として考慮するということを明示をいたします。この新たなガイドラインでは、家族とともに生活をするという子供の利益の保護の必要性、これを積極要素として考慮いたします。

 つまり、個別の在留特別許可申請も入り、当事者から申し立てていただくこともでき、またその運用に当たってのガイドラインもしっかりと整備し、その中に、子供が家族と離れずに住まう、これは大事なことだということを明示しますので、そしてまた、先生がおっしゃるように、もし日本で生まれたことしか違いがないのであれば、二百一人の措置は、こちらにもそれは個々の判断をするときには影響するでしょう、恐らく。

 ですから、新たに二百一人というグループ化をして、それで個々の判断を先取りする形で優先的に認める、齋藤大臣の英断があったんですけれども。我々は、そういったものをしっかり認識し、実行しながら、個々にですね、個々にそういった方々を救う道をしっかりと探していきたいというふうに考えております。

鎌田委員 済みません、最後になりますが、取り急ぎこの九十四名、日本で生まれていないんです、親の事情で日本に一緒に来たんです、この九十四名も、私は救われる道があってしかるべきだと思います。今の大臣の御答弁は非常に前向きだったと思いますけれども、もう一つ踏み込んで、この九十四名についても、まず二百一名のグループ化とおっしゃいました、その次、この九十四名について。合計したら二百九十五人になります。

 大臣も御存じだと思います。高校生になって修学旅行に行くとき、あるいはアルバイトしたいと思っても、認められません。そういう子供たちの人権に関わるんですよ。

 ですから、もう一度、その九十四名含めての二百九十五人という認識を持っていただきたいんです。お願いいたします。

小泉国務大臣 先生のおっしゃっていることの意味、趣旨、お気持ち、よくそれは分かります。それを踏まえて、行政的に適切な道を探していきたいと思います。

鎌田委員 次長、大臣の御答弁をお聞きいただいたと思いますので、これから先、私は期待をします。

 別に入管庁の方々を私は責めるつもりは全くありません。ただ、先ほどの大事なことがホームページに載っていない、マスコミの記者には渡すけれども、載っていなくて、しかも、マスコミに渡してあるから、私は、あるいは法務委員の方々も同じかもしれません、少なくともホームページに載っているんだろうと思って探しても探しても、国立国会図書館に確認をしても、いつ掲載されたのか、いつ、もし、消されたのか、何も分からない、今載っていない、そういう状況では、昨年の委員会は何だったんだというふうに思いますので、一刻も早くこれはホームページに載せていただいて、そして、次の質問、伺います。

 退去強制令書が出ていない、退去強制令書が出ていないんだけれども、仮放免中の日本生まれ、日本育ちの未成年者数、教えていただけますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのございました、退去強制令書が出ていないが、仮放免中の日本生まれ、日本育ちの小中学生とその家族世帯数につきましては、統計を作成しておりませんので、これらの人数をお答えすることは困難でございます。

鎌田委員 また統計を取っていないんですか。

 だって、退去強制令書が出ているんでしょう。そして、退去強制令書が出ているということは、仮放免それから未成年者でも収容されることだってあるわけですよね。

 退去強制令書が出ていないけれども、仮放免中の日本生まれ、日本育ちの未成年者数、何でこれは、統計を取らないんですか。今、日本で暮らしているんですよ。仮放免中の日本生まれの日本育ちの未成年者数、この数字、統計を取っていないけれども、御存じもないんでしょうか。今教えてはいただけませんか、通告していますけれども。

丸山政府参考人 重ねてのお尋ねでございますが、恐らく委員の御質問は、退去強制令書は出ていないとおっしゃっていますので、退去手続が進行中の方たちで、在留特別許可するのか、退去強制令書を出すのかという手続が進行中の方という位置づけだと思います。

 ですので、全体として、収容令書が出ている方という数は当然把握しておりますけれども、その中の細かいものについて統計を取っていないということでございます。

鎌田委員 それでは、仮放免の方々、日本生まれ、日本育ちの未成年者の方で、仮放免の年数の違い、これも通告しています。例えば一年の方もいる、二年の方もいる、三年の方もいると思うんですけれども、年数の違いというのも統計を取っていないんでしょうか。

 つまり、聞きたいのは、仮放免のまま、何年もその状態でいる子供さんがいるというのかどうかを知りたいんです。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました、退去強制令書が出ていないが仮放免中の、日本生まれ、日本育ちの小中学生の仮放免期間中の人数につきましても、統計は作成してございませんので、人数をお答えすることは困難でございます。

鎌田委員 非常に遺憾でございます、私は。

 先ほどから、今日の質問の最初から、とにかく統計を取っていない、個別案件は把握しているけれども、統計を取っていない。個人情報を教えてと言っているんじゃないんです、数字を教えてくださいと言っているんです。

 大臣、今までのやり取りをお聞きになられて、最低限、私たちこの法務委員会に提供してしかるべきデータであり、これからの入管法もどう変わっていくのか分かりませんけれども、必要な情報です、開示されてしかるべき情報です、数字ですから、データですから、根拠ですから。それを、入管庁は統計を取っていないというのは、私は非常にゆゆしきことだと思います。怠慢だと言っても私は過言ではないと思います。きちんとそこは統計として取るべきだと思っています。特に、退去強制令書が出ていないけれども仮放免中の、日本生まれの、日本育ちの未成年者数。

 これは、ちゃんと統計を取るように、大臣、指示していただけないでしょうか。

小泉国務大臣 恐らく、入管に出ている書類には、そういうデータ、情報はあると思うんですよね。それをカウントするかしていないか、その違いだと思います。

 数は少ないものではないと思いますが、御意向に沿えるように、御希望に沿えるように、最大限努力したいと思います。

鎌田委員 終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。

 資料一を御覧ください。長崎県大村市が、男性カップル世帯の住民票で、続柄欄に、事実婚関係であることを示す、夫と記載しました。同性婚が認められていない日本において、全国的にも画期的な取組であり、当事者のお二人は、自分たちに寄り添ってくれた大村市の英断に心より感謝していると、喜びの声を私も直接伺いました。私自身、大村市民として、この大村市の今回の対応を誇らしく思います。

 しかし、住民票業務を所管する松本総務大臣は、昨日の記者会見で、今使われている定義ともし異なるとすれば実務上の課題はあるのではないかと御指摘があったように聞いておりまして、そのようなことも含めて状況をお聞きして対応を検討したい、このようなコメントを残されており、明らかに歓迎していない様子が伝わってきます。

 昨日は、さらに、衆議院総務委員会で地方自治法の改正案が可決されました。私たち立憲民主党は、国の一方的指示に従う義務を自治体に課すものであり、自治体側の主体性や自発性をも損ない、現場の的確な判断や対処を妨げかねないことなどを理由に、政府案に反対しております。

 総務省へ伺います。

 憲法で保障されている地方自治に基づきこのように記載された住民票を、妥当ではないと国が覆すような法的根拠はあるのでしょうか。なぜ素直に認められないのか、一体、大村市に何を確認したいのか、お答えください。

馬場副大臣 お答えします。

 御指摘の事案についての報道は承知しておりますが、総務省としては、現在、長崎県及び大村市から事情をお聞きしているところであります。今後、その状況を踏まえて対応を検討してまいりたいと考えています。

 なお、一般論として申し上げますと、住民票における「夫(未届)」という記載については、実務上、戸籍制度の下での婚姻届の届出に至っていない内縁の夫婦の場合の続き柄として用いられており、この定義と異なる用いられ方であれば、実務上の課題が生じるのではないかと考えております。

 いずれにしましても、当該団体の状況をお聞きして対応を検討してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 今、大村市だけではなく全国の自治体でパートナーシップ制度の導入が進んでおり、同性カップルに対し、結婚に相当する関係とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくしています。

 そもそも、世界の多くの国々同様に日本でも同性婚を認めていれば必要のない制度であります。国がだらしないから自治体が頑張っているのに、民主主義のとりでである地方自治を踏みにじるような誤った判断をしないよう強く申し上げております。

 それでは、馬場副大臣、総務省はこれで結構ですので、ありがとうございました。

武部委員長 それでは、馬場副大臣と総務省三橋大臣官房審議官は御退席ください。

山田(勝)委員 資料二を御覧ください。この大村市のカップルは、関西から就労を目的に移住してきて、厚労省所管の雇用保険法に基づく移転費の申請を、大村市の住民票を根拠に、パートナー分も含め、親族を随伴する場合でしていました。しかし、厚労省は、親族に同性の事実婚は該当しないという理由から、パートナー分の移転費を除外する通知を五月二十四日にしています。同性パートナーや大村市の思いを踏みにじる許し難い行政処分です。

 一方、資料三を御覧ください。最高裁は、三月二十六日、犯罪被害者給付金をめぐる訴訟で、同性パートナーも事実婚パートナーに該当すると、初めて画期的な判断をしました。家族法の専門家である京都産業大の渡辺教授は、同性であるために事実婚の関係を法的に不利に扱うことは平等権に反すると指摘しています。

 資料四を御覧ください。警視庁は、その翌日には、すぐにこのような公文書を通知し、司法の判決に従う対応をしています。

 なぜ厚労省は司法の判決に従わないのでしょうか。国家権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する三権分立の原則を定めた憲法違反ではないでしょうか。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘の最高裁判決は、犯罪被害者等給付金の支給制度の目的が、犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族等の精神的、経済的打撃を早期に軽減するということを踏まえた、そういった中での遺族の範囲ということに同性パートナーも含まれ得るという解釈を示されたものと認識しております。

 その上で、雇用保険の移転費につきましては、基本手当の受給資格者等が再就職をすることを容易にすることを目的としておりまして、受給資格者等が公共職業安定所の紹介した職業に就く場合等に、受給資格者本人と、その者により生計を維持されている同居の親族の移転に要する費用を支給するものでございますけれども、その支給要件は、労使の保険料負担によって賄われる雇用保険財政において、給付と負担のバランスを踏まえて定めているということでございますので、同性パートナーは、その対象に含まれた形では取り扱っておりません。

 ただし、雇用保険の移転費における同性パートナーの取扱いにつきましては、他制度における検討状況も踏まえ、必要に応じて労政審において議論した上で、検討してまいりたいと考えておるところでございます。

山田(勝)委員 今、検討するという御回答がありました。ただ、現時点において、法律の趣旨、目的が違うからという御回答でありました。

 是非政務官にも御理解いただきたいんですけれども、犯罪被害者の方も、こうやって就労を目的に移転して新しい町で新しい生活をしようとする同性カップルの方々も、同じようにこういう行政処分を受けたことによって精神的な苦痛を受けているのは一緒です。なので、この当事者の方の声を紹介させていただきます。

 二人の関係は異性の夫婦と何ら変わらず、日々、支え合って穏やかな暮らしをしています。こういうときに急に制度上の壁を突きつけられてしんどいです。私たちも雇用保険を毎月支払っています。それにもかかわらず、一方のカップルには家族分の移転費が支給され、もう一方のカップルには一人分の移転費しか支給されないのは、明らかに不平等で、明確な差別です。私たちをカップルとして認めない雇用保険制度に保険料を納めているのは不条理です。

 ハローワーク大村の職員に二月に面談をして、事実婚のカップルには家族分の移転費を支給していると言われました。そのため、事実婚関係を証明できる書類を改めて用意しました。事実婚関係を証明したにもかかわらず、どのような理由で支給をしないと言っているのか理解ができません。私たちも雇用保険を納めています。私たちも引っ越しにお金がかかっています。平等に扱ってほしい、ただそれだけなのにと思います。

 こういった声、切実な声を残されていらっしゃいます。

 是非、厚労省を代表し、政務官、この声にどのようにお応えになられるか、お願いいたします。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、あくまでも、雇用保険の移転費における同性パートナーの取扱いにつきましては、他制度における検討状況を踏まえた上で、必要に応じて労働政策審議会において議論した上で、今後検討してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 是非前向きな検討をお願いしたいと思っております。

 それでは、三浦政務官、そして厚労省の方々は結構でございます。ありがとうございました。

武部委員長 三浦政務官と石垣審議官については御退席して結構です。

山田(勝)委員 小泉大臣も今の議論をお聞きいただいていると思いますが、事実婚の中で、同性と異性で明らかに国の受けられる給付金に差がある、これは差別以外の何でもない、明らかに平等権に反していると思っております。そして、そもそも、なぜ自公政権は同性婚をいまだに認めようとしていないのか。

 私たち立憲民主党は、民法を改正し、同性同士でも婚姻が成立する婚姻平等法案を既に国会に提出しています。一連の裁判で、現行法で同性婚を認めないのは違憲あるいは違憲状態だとする判決がどんどん出されています。同性婚の合法化を求める声は日に日に高まり続けています。そういった時代の要請を全く読めず、G7で同性カップルに法的な保障がないのは日本だけです。

 小泉法務大臣、パートナーとして選んだ人の性別によって結婚ができないのは、明らかに差別ではないでしょうか。司法のこういった判決を見守るとかではなく、司法の判決を待たずに、是非、政治家として政治決断すべきではないでしょうか。

小泉国務大臣 委員がおっしゃっている趣旨も、それはよく分かります。また、そういうお考えも多くの方が共有するようになってきているんだろうとは思いますが、しかしまた、我が国には様々な国民がおり、様々な考え方があり、様々な家族観があり、様々な利害、そういったものもあるわけでございます。

 国全体が、基本的な婚姻制度という人間の生活にとって、人間の生きることにとって一番基本なこの部分について大きく変更するのであれば、これをしっかりと理解をしてもらって、コンセンサスに向けての一つの動き、そういったものをしっかりと見極めた上で対応していかなければならないというふうに思っています。

 それは、我々は中立であって、まとめ役でありますから、最初からどちらかに寄るわけにはいきません。どちらが少数か、どちらが多数か、それだけではなくて、少数であれ多数であれ、両方の声に耳を傾けて対応していかなければならないというふうに考えています。

 ですから、それが注視という言葉でありますが、確かに、司法の動きもありますね、最近、裁判。また、今おっしゃった地方の動きもありますよね。海外からの様々な声もあります。

 ですから、我々は、受け身じゃなくて、積極的に、何というんですか、身を乗り出して注視をする、そういうスタンスでしっかりと臨みたいと思っています。

山田(勝)委員 新しい答弁が、積極的な注視を行うという画期的な答弁がありましたが、今大臣が言われたように、この問題に対して様々な考え方がある、それこそまさに多様性ではないでしょうか。多様性を認めることが、この同性婚であり、夫婦別姓を認めることだと強くお訴えさせていただきます。

 これは本当に残念ながら、毎回毎回この法務委員会でも議論になっているんです。自公政権がこういった時代の変化や国際感覚、人権への配慮がないために、明らかに進んでいない。日本では、自民党の保守派と言われる政治家を中心に、同性婚や夫婦別姓といった家族の多様化を阻止する動きがあり、志ある官僚の皆さんも大変迷惑をされていることでしょう。その影響により、日本の性的少数者の権利を守る法整備の遅れは国際社会で際立っています。

 この遅れを取り戻す最も近道が政権交代であるということが、大臣との議論ではっきりいたしました。私たち立憲民主党なら、すぐに同性婚も夫婦別姓も実現いたします。

 その上で、次のテーマに移ります。

 私たちの国が選ばれる国であるために重要な日本語学校と留学生についてです。

 昨年十一月八日、法務委員会で、日本語学校の設立申請をし不許可となった場合、文書でその理由も含め通知し、その理由に納得いかない場合は不服申立てができるようにすべきだと私は質問させていただき、文科省からは、不許可理由を文書で通知する運用に改めると、改善をしていただく約束をしてもらいました。

 ただ、その際、不服申立ての仕組みは設けないという答弁がありましたが、これはやはりおかしいのではないでしょうか。不服申立てができるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

八木政府参考人 お答えいたします。

 本年四月から施行されました日本語教育機関認定法に基づく日本語教育機関の認定申請におきましては、認定等に当たり確認すべき事項や日本語教育課程編成のための指針、よくある質問集などの各種資料を公表し、また事前の説明会を複数回開催すること等により、必要な情報の提供に努めております。また、実際の申請に当たりましては、問合せ窓口を通じた質問対応や、事前相談による書類の形式的な指摘、確認の実施など、各機関の円滑な申請をサポートするため、丁寧な対応を心がけております。

 なお、委員御指摘の不服申立てにつきましては、認定申請における審査結果について不認定となった機関の設置者より、行政不服審査法に基づく不服の申立て等を行うことが可能であり、その場合は法令に基づき適正に対処してまいります。

山田(勝)委員 すばらしいです。つまり、こうやって、入管庁から文科省に所管が移って、こういう現場に寄り添った制度に改められているということです。

 続いて、オンライン授業についても、前回の質疑で、これを課題とさせていただきました。

 留学生に対しては原則対面での授業である、しかし、感染症や災害時の臨時的な対応、ゲストスピーカーによる授業参加をオンラインで可能にするかどうか検討していく、当時そういう答弁がありましたが、その検討結果については、これはもう対応いただくと昨日のレクでもはっきりといただいております。ありがとうございました。

 時間がないので、次に行きます。

 留学ビザの認定についてです。昨年三月、本委員会でも指摘しました。

 全く同じ書類を準備して提出しているにもかかわらず、その提出先が、例えば、東京入管であれば落とされ、同じ書類を名古屋入管で提出すれば留学ビザが下りた、こういう事例が多発し、現場は混乱しています。このことを大変な問題だと指摘させていただき、その後、許可基準の透明化、統一的な制度の在り方は進んだのでしょうか。お答えください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、地方官署によって在留諸申請の審査結果が異ならないようにするため、入国・在留審査要領などを定め、地方官署に通知するとともに、研修や会議を通じて判断の統一化を図っているところです。

 また、従来より、ホームページの在留手続案内において留学の在留資格に関する申請に当たっての留意事項を公表し、その内容の充実を図っているところでございますが、本年四月には、証明書などを偽造したり一時的に経費支弁者の口座に多額の振り込みがある場合には慎重審査の対象となる旨の記載を追加したところでございます。

 今後とも、判断の統一性、透明性の確保に努めてまいります。

山田(勝)委員 今御答弁があったとおり、今の運用上は、追加された資料、公開基準というものが設けられるようになったということで、資料五を御覧ください。経費支弁能力に係る資料内容についてです。

 ここで、証明書の偽造や一時的に口座に高額を振り込み、疑義がある場合、入管庁の担当者の裁量によって判断がされるという事前の説明をいただきました。こういう判断基準に曖昧さがあってはいけないと思います。

 資料六を御覧ください。実際に留学生の申請をしたときの不交付通知書がこの資料になります。根拠となる事実のBに勉学意思・能力立証不十分と記載されております。

 この勉学意思、勉学に対するやる気とか意欲というのをどうやって測るのか、これこそ曖昧な判定になってしまうのではないかと違和感を感じます。そして、こういった理由でかなりの留学希望者が落とされている現実があります。

 申請者からは、日本で日本語を学ぶ目的といった題材のA4一枚、母国語とさらにそれを日本語に翻訳したものを、作文が提出されているんですが、まさかこの作文の内容で留学希望者の勉学意思や能力について判断しているということではないと思いますが、どのような基準で判断されているのでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの勉学の意思、能力の確認につきましては、申請代理人である教育機関などを通じまして、必要に応じて日本語能力に係る資料、どういった試験に合格しているかとか、どれぐらい勉強しているかというような資料を提出していただいた上で審査を行い、担当官の判断のみによるのではなく、必要な決裁を経た上で許否を判断しているところでございます。

山田(勝)委員 それは、日本語学校で勉学するに当たって、これまでの日本語に対するどういう学習をしてきたとか、そういったことで判断するということですね。つまり、私が指摘した、作文で判断しているわけではないという理解でよろしいですか。

 そうだとすれば、もはやこの作文を提出させる必要はないと思いますが、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本に留学する目的ということでそういう文章をいただいている場合もあろうかと思います。その中で、仮に、勉学の意思を全く示されていない、日本で働きたいんですと仮に書いてあれば、それは留学ではないですねということになろうかと思いますけれども、そういった最低限の確認はさせていただいているところはあろうかと思います。

山田(勝)委員 つまり、そういった文章で留学の意思の確認を図るために、では、これは必要書類という理解でいいですか。必ず、必須の書類だということですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 留学生の入学の手続の資料につきましては、受入れ機関によって若干相違がございます。いわゆる問題在籍者が少ないような学校であれば、ほとんど資料をいただかないという取扱いもしてございます。あるいは、不法残留者が多く出ている学校とかは若干丁寧に審査させていただく関係上、幾つか資料、先ほど申し上げた日本語を学ぶ理由であるとか日本語能力の証明とか、そういうのをいただいているというところ、ですから、学校によってちょっと取扱いが違うと。

山田(勝)委員 学校によって取扱いが違うとか、そういった作文で日本での勉学意思、意欲を確認するとか、かなり、こうやって、やはり現時点においても、許可をするに当たって担当レベルによる曖昧さ、基準が、申請する側においては不安定な状況であることはいまだ変わりません。

 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、こうやって入管庁が疑義があると判断して不許可の通知をした、それに対してなぜ申請者側が不服申立てができないのでしょうか。

 先ほど、日本語学校の設立申請においては、入管から文科省に替わった瞬間にこういった不服申立てができるように改善されているんです。留学の申請をするに当たって、それもまた、わざわざ海外から日本に来てもらうんですよね。私たちの国は選ばれる国でありたいと、大臣も入管法の審議の中でも言われていました、何度も。そのまさに大事な留学生、若い、そういった外国の方々を迎え入れる。そういった方々は、人生を懸けて、日本で学びたいという申請をしているんです。しかし、それが不許可となった、それに対して不服申立てができないというのは余りにも公平じゃないんじゃないですか。

 なので、これは大臣の政治決断ですぐに、その許可の基準の在り方をどうこうじゃないですから、それに対して不服があったらそれを申し立てる権利を与えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 これは、国際慣習法上、外国人の入国、在留を認めるか否かは国家の主権に関わる事項であり、元来、国家の裁量に属する事項であると考えられます。そのため、外国人の出入国に関する処分等については、その処分の性質上、行政手続法や行政不服審査法による規律にはなじまず、その適用が除外されているわけでございます。

 在留許可処分についても、そのような性質の処分であることに変わりはないため、行政手続法や行政不服審査法の対象とすることは、法制度としては適当ではないと考えます。

山田(勝)委員 全く理解ができないんですよね、なぜ入管庁にだけそういった権限が与えられるのか。

 今の答弁だと、そういったことを議論するつもりも検討するつもりもないということでしょうか。

小泉国務大臣 なお、不服があれば行政訴訟に訴えることができるわけです。そういう道はしっかりと確保されているわけです。

 ただ、水際で、外国人を入れるか入れないか、それは国家の主権に直結する問題であるので、個々の不服は受け止めませんというのが、国際慣習法上の主権に関わる考え方から導かれる結論でございます。

山田(勝)委員 不服申立てを受け入れる受け入れないで、そこまでのハードルを課す必要はないと思います。堂々と、もし納得がいかないのであれば、ちゃんと日本の国内法の不服申立ての権利に基づいて、そういった声をしっかりと受け止めるべきだと強くお訴えさせていただきます。

 そして、まだまだ改善点があります。

 日本語学校を適正校と非適正校に分類し、適正校のみ書類の簡素化を認めているようですが、そもそも、できるのであれば、最初から簡素化すべきではないでしょうか。

 例えば、留学生の経費支弁者である両親などの通帳の写しを三年分も提出させているのは異常じゃないですか。それが適正校になれば一年分でよい、こういった運用がされているようです。だったら、最初から一年分でいいんじゃないでしょうか。不要な書類など業務が減ることで、現場の先生たちはその分本来の学生に対する授業に集中できますし、日本語教育の質を高めていくことにもなります。

 そもそも、厳しい認定条件をクリアした日本語学校は、開設の一年目から適正校同様に書類を簡素化していくべきだと考えますが、小泉大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 そういった御指摘を踏まえまして、この取扱いについて検討を行った結果、過去三年分を求めずとも、必要に応じ資産形成過程に係る説明を求めることで経費支弁能力を確認することが可能であると考えられることから、本年四月、地方局への通知により、一年分の通帳の写し等を提出させる運用に改め、これをホームページで公表しているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。一年分に改まった運用をなされているということで、大変すばらしいことだと思います。

 ただ、この通帳の写しというのは、たくさんある業務書類の一例でしかありませんので、こういった書類の簡素化、これは不断の見直しを是非お願いしたいと思っております。

 続いて、日本語学校、所管が文科省となりました。日本語教師、これが国家資格となっていく、社会的ステータスや報酬が上がることはいいことなんですが、現場は今人手不足です。学校現場から、今更試験でふるい落とされても困るという懸念の声も聞かれています。今現在日本語を教えている先生たち全て、試験を受けないといけないのでしょうか。

八木政府参考人 お答えいたします。

 認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する者は登録日本語教員でなければならないこととされており、登録日本語教員として登録を受けるためには、日本語教員試験の基礎試験及び応用試験の合格と実践研修の修了が必要となっています。

 登録につきましては、現に法務省告示機関で勤務されている日本語教員を中心に、新たな制度への円滑な移行と負担の軽減の観点から、一定の要件を満たす場合には試験や実践研修を免除する経過措置を五年間設けることとしております。

 具体的には、法務省告示機関などで実務経験を有する日本語教員の方で現行の告示機関の教員要件を満たす日本語教員養成課程等を修了されている方につきましては、実践研修を免除するとともに、オンデマンド形式の講習の受講を条件に日本語教員試験の基礎試験を免除することとしており、こうした経過措置を設けることで、制度の円滑な運用に努めてまいります。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 最後に、一問だけ。

 円滑な移行を目指しているという御答弁でございました。これは、やはり一番の懸念は、何といっても人手不足です。この試験のハードルが高過ぎることによって、かえって日本語教師が現場で少なくなってしまえば、元も子もありません。なので、例えば、これは五年間の経過措置があるということなので、チャレンジして駄目だったとしても、五年間の間は日本語教師として働き続けられるという内容です。ただ、その一年目、二年目の試験が余りにも合格率が低過ぎるとなった場合は、試験の難易度、こういったことの調整も必要だと思いますが、いかがでしょうか。

八木政府参考人 お答えいたします。

 日本語教員試験につきましては、令和六年度日本語教員試験実施要項におきまして、合格基準を、基礎試験については総合得点で八割、応用試験については六割の得点としているところです。

 なお、実施要項において、基礎試験、応用試験とも、今後の年度ごとの難易度等によって合格基準の調整を行ってまいります。

山田(勝)委員 そういった合格基準の調整というのは大変重要なことだと思います。ありがとうございます。

 保護司や沖縄刑務所についても質疑をしたかったのですが、時間が参りました。次回以降とさせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 山田委員の質問、二分延びましたので、それは調整をさせていただきます。

 冒頭に、ちょっと訂正させていただきたいと思います。

 山田委員の質疑の中で、すばらしい質疑ではあったんですけれども、自公政権が同性婚を阻んでいるという趣旨の発言がございました。しかしながら、公明党北側代表は、二〇二三年の二月九日には現行憲法で同性婚は可能であるというふうにおっしゃられておりますし、四月三十日には同性婚を検討すべき時期にいると御発言されておりまして、阻んでいるのは自民党のみであると御訂正させていただければと思います。

 訂正させていただいた上で、せっかくですので、通告はないんですけれども、ちょっと小泉大臣に御質問させていただきたいんですが、小泉大臣は先ほど、国民の中でいろいろな意見があるというふうにお答えになって、しかも、それを注視してくださるというふうにおっしゃられました。それはすばらしい御意見だなと思うんですけれども、そういったいろいろな意見がある中で、注視して、ちゃんと法制審をやって、そして法制化した例が、何とこの一か月以内にあるわけですね。共同親権というので、これはいろいろな御意見があって、反対する人も賛成する人もおりましたけれども、法務省がリーダーシップを取られて、法制審でちゃんと答申をして、そして成立させたわけでございます。

 一方、夫婦選択的別姓は、九六年に法制審が出ておりまして、そして、いろいろな意見はあるとおっしゃられながら、しかし、かなり多数は賛成である。しかも、いろいろな意見はあると言いますけれども、他人の姓がどうなろうが、別に、同姓にしたい人は同姓にすればいいわけなんですね。

 うちなんかは、私が米山で、妻も戸籍は米山なんですけれども、一般には、米山○○さんといっても誰も知らず、室井さんだとみんな思っており、そして、余り言いづらいですけれども、実は息子がいるんです、連れ子の息子がいるんですけれども、連れ子の息子は、やはり独立した人ですから、おふくろが米山に変わったって俺は変えないよと言っていますので、旧夫の、前夫の姓のままなわけでございます。

 そうしますと、我が家には三人姓があるんですけれども、誰一人困っていないということで、しかも、誰一人それに文句を言っていない。おまえがそんな姓にすると俺たちの家族観が壊れるからと誰からも言われたことがないんですね。じゃ、別にこれでいいじゃないということだと思うんですが。

 そうしますと、先ほどおっしゃられたように、もう法制審も出ており、実は我が党からもちゃんと法案を提出しており、かかっている状態ですが、是非これは法務大臣としてリーダーシップを取って、成立に向けて具体的に動き出していただきたいんですけれども、御所見を伺います。

小泉国務大臣 夫婦別氏の件ですね。これは、法制審の答申も出ておりますが、その後の経過を見ますと、政治過程においてうまく進まなかったということが重なりました。したがって、今度やろうとすれば三回目なんですけれども、しっかりまとめていかなければいけない。三回目ということになりますので、しっかりと慎重に、幅広く様々な方々の意見もよく聞きながら、うまく進めていくためにこそ慎重でなければならない、そういう思いでおります。

米山委員 今、前向きな御答弁と伺いましたので。これからも、何度も折に触れて質問させていただいて、是非、慎重かつ迅速に進むように、我々と力を合わせていかさせていただければと思います。

 それでは、通告している質問の方に移らせていただきます。

 私は何度も特定技能について質問しているんですけれども、育成就労制度ができました。できていないです、ごめんなさい、衆議院を通過いたしました。参議院で審議中でございます。

 この育成就労制度は、やはり特定技能につながる制度だと、制度上もう書いてあるわけですよね。特定技能一号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とするということで、それに合わせて一号、二号の分野も広がっております。

 そんな中で、私も、この委員会の現地視察ということで群馬へ行かせていただきました。その中で、非常に先進的な企業のところで、ベトナム人の実習生の方、非常に熱心に真面目に取り組んでおられて、すばらしい取組だなと感じました。

 その実習生の方とのやり取りでおっしゃられたことは、やはり試験が難しい。試験というのは、もちろん、育成就労はそれでいいんですけれども、技能実習はいいんですけれども、やはり特定技能に行く試験が難しい、難しいとおっしゃられていて、試験の難易度を検討してほしい、これは皆さんおっしゃられましたよ。それこそ、真面目にやって、そこの工場はすごいいい工場で、試験の練習もさせてくれるんです、使って。真面目にやっているからこそ、やはり難しさが分かるんだと思うんですよね。

 そして、その中で何より難しいのは漢字だと。いや、そうでしょうと。漢字にルビを振ってくれるだけで全然違いますという極めて現実的な訴えといいますか、要望をいただいたわけなんですよ。これは私、いや、振ればいいじゃないかと思うわけなんです。

 漢字って、我々日本人は子供の頃から習っていますから、それは読めて当然だと思うでしょうけれども、一方、では逆に我々はどうなんだと。今どきもう小学校から英語を習っていて、十年、二十年習って、アルファベットだけの英語をなかなかしゃべれる人ばっかりじゃないでしょう。それに加えて、日本語には何せ三つも文字があるわけでして、これは、だって、Rが逆転しているロシア語とか、逆の方向からのアラビア語とかという文字を一遍に入っている言語を学んでいるようなものじゃないですか。それは難しいに決まっているわけですよ。

 一方、ルビを振って読めるということは、それは実は読めているのと等しいですよね。だって、我々、それこそ子供の頃を振り返って、ルビが振ってある本を読んだじゃないですか。あれって日本語を理解しているわけでしょう。別に、その人がルビがあって読めたら、それは日本語を理解して、地域に溶け込めて、いろんな技術も分かるわけですよ。何もこんな、多分、外国人の方から見たら相当うにゃうにゃとした文字に見える、到底そんなアルファベットとははるかに違う構造に見える漢字を習得してもらうことにこだわる理由って余りないんだと思うんです。

 これは是非、一号、二号の試験には振り仮名を振るべきだ、振り仮名を振るということ、しかも公式に振るべきだ、決めるべきだと思うんですが、法務大臣の御所見を伺います。

小泉国務大臣 これは各分野を所管する行政機関において、分野の特性を踏まえつつ試験問題を作成しておりまして、御存じのとおり、一部の分野の試験では振り仮名を付しております。各省庁の担当、所管省庁の判断に委ねているわけであります。

 御指摘ですけれども、確かに漢字の能力を問う試験ではないわけですよね。その先にある技能を見極められればいい。したがって、漢字が少し大きな要素になり過ぎているのであれば、技能がありながら漢字が読めないために点数が出ないという、適正ではない結果に結びつく可能性は十分にある、そういう御指摘だというふうに受け止めます。そういうふうに受け止めた上で、関係省庁と意思疎通をしてみたいと思います。

米山委員 それは関係省庁で意思疎通しなくて大丈夫なんです。お配りした資料一を御覧ください。「「特定技能」に係る試験の方針について」というのがございまして、これは出入国管理庁が大体大きなガイドラインを決めて、その上で関係省庁に作れと言っているわけですよ。だから、この「試験の方針について」でルビを振ることと書けば、関係省庁はみんなルビを振ってくれます。

 それは省庁間のいろんなやり取りはあるんでしょうけれども、基本、これをやはり統括しているのは入管庁という図式だと思うので、これに法務大臣が書けと言えば書けますので。御所見を伺います。

小泉国務大臣 所管上はこうなっていますけれども、実態は各省庁が各業界を見て行政執行しているわけでありますから、実態から考えれば私が一方的に押し切るわけにはいかない。理解がなければ続かないでしょうし、本当の理解がなければいっときで終わっちゃうでしょうから、そういう点で、やはり御理解いただきたいと思います。意思疎通はしますので、御理解いただきたい。

米山委員 今、与党側からも応援の声がありましたので。しかも、何せ、いや、そうはいっても、逆に、法務省の方がガイドラインに書いたら、それを他省庁から文句を言うのはかなり難しいと思いますよ。出入国管理庁が書いた方針について他省庁が文句を言うなんて不可能でしょう。これは押し問答しませんが、是非前向きに取り組んでいただければと思います。

 では、そのガイドラインの中に、これも私、何度も言っているところなんでございますけれども、この中で、「技能を要する技能が求められることを踏まえ、上級技能者のための試験である技能検定一級の合格水準と同等の水準を設定する。なお、例えば、「実務経験A年程度の者が受験した場合の合格率がB割程度」など合格者の水準を可能な限り明確化する。」というガイドラインを入管庁が作っているわけなんですよ。この何割って要らないじゃないかという話はもうして、でも、したんですけれども、事実上何割だというのがあるんです。そこはもう繰り返さないんですけれども。

 でも、とはいえ、じゃ、その何割程度の試験みたいなのを、特に製造業みたいなところで統一的に試験することの意味が本当にありますかというのをお伺いしたいと思います。

 これもやはり、非常に有意義な現地視察だったので、その現地視察の方、頑張って取り組んでおられるわけですね。共通のプラスチック加工の試験を頑張って取り組んでおられて、もちろん、技術のベースのところに共通の部分というのがあるのは分かるんです。そこはもちろん試験をして、共通な試験はしたらいいじゃないか、それは思うんですね。

 でも、同時に、ちょっとぶっちゃけみたいな感じでお話をすると、その試験場にある機械はこんな機械だともう分かっていて、機械の癖も分かっているから、その試験場の機械向けの練習をしているんですみたいなことをおっしゃるわけですよね。その時間はどうなんですかというと、でも、それがやはり通用力になるから、それはいい、むしろ推進しているんですみたいなことをおっしゃっていて。

 もちろん、これもまたさらに、通用力になるという点もあると思うので、それは共通試験で、あちこちにも行ける、それこそ、転籍を許可するわけだから、あちこちに行けますから、それがあるのはいいんですけれども、でも、同時に、これから、それこそ、いろいろな、少しはやはり応募が拡大するんだと思いますよ、拡大していく中で、本当に現実に応じた熟練度の試験ということをするのであれば、やはり結構、各社でやった方がいいんじゃないですか。だって、各社としては別に、そこにいてほしいわけだし、技術の熟練って、今どき製造業でも機械が全部違うわけですから、それぞれの機械ごとに変わっていくわけですね。逆に、汎用性のある技術ばかりやっていたら、実は熟練なんて分からないわけですよ。むしろ熟練の技術になればなるほど、各社で分かれてしまうわけでしょう、多分。それは僕はそんなに詳しいわけじゃないですよ、恐らくそうだと思いますよ。

 そうであれば、もうこれは試験も何か各社でやればいいじゃないかと。もちろん、それじゃ内輪だけになっちゃうから、各社でやっている試験を、それこそ経産省とかが確認して、それを、各社試験確認団体みたいなのをつくって、各社の試験のクオリティーを確保してやれば、誰もがうれしいんじゃないんですかと。会社の人だって、余り実は関係ないような試験の練習みたいなことに時間を使わなくていい。まさに我が社の必要な技術に熟練することに時間を使ってもらう。実習生、育成就労生にしたって同じ。かつ、経産省だってちょっとはうれしいでしょうみたいな、そういうところだってあるわけじゃないですか。

 是非、これは現実に応じて、各社で、各工場で試験をするようにしたらいいと思うんですけれども、それには、今ほどおっしゃられました入管庁の許可も要りますから、この方針を立てていますから。それができるのか、そんな予定やそういうつもりはあるのか、入管庁そして経産省の御所見を伺います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 特定技能の試験につきましては、委員御指摘のとおり、令和二年一月三十日に出入国在留管理庁が定めた「「特定技能」に係る試験の方針について」に基づきまして、二号特定技能外国人につきましては、長年の実務経験等により身につけた熟練した技能であって、現行の専門的、技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性、技術を要する技能が求められているところでございます。

 このような技能水準につきましては、経済産業省は、分野所管省庁として、一定程度の統一性や公平性に基づき判断される必要があると考えております。このため、企業や工場ごとに試験を細分化することにつきましては、技能水準についての一定程度の統一性や試験実施に係る公平性が保たれた試験の実施が可能かどうかや、人材の流動性を妨げるおそれについての検討が必要であると考えております。

 したがって、製造分野の特定技能二号試験は昨年十一月に開始したばかりということもございますので、まずは、本制度の「試験の方針について」に基づき、適切な試験の実施に努めてまいりたいと考えております。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 特定技能制度では、同一の分野の中で有する技能の水準に大きな差が生じることは望ましくないことなどから、特定技能外国人の技能水準を測る試験は一定程度の統一性や公平性が求められると考えております。

 現在の特定技能制度におきましては、御指摘のように、各会社、各工場単位で試験を実施している例はございませんが、仮にそのような試験を実施することとした場合、技能水準の統一性や試験実施に係る公平性が保たれるかについては慎重な検討が必要と考えております。

 いずれにしましても、技能試験の適正な実施方法につきましては、分野の特性を踏まえ、まずは、製造業分野であれば、分野を所管する経済産業省において検討いただく必要があると考えております。

 法務省としましては、引き続き、分野を所管する経済産業省等と連携しつつ、特定技能の技能水準を測る試験が適正に実施されるよう努めてまいります。

米山委員 現行制度がありますから、今のところそういう御答弁なんでしょうけれども、同時に、全否定でもなかったなというところで、これは私も別に、共通部分があることを全然否定するものじゃないので、その上でより工夫していただけると思っておりますので、是非、またこれも引き続き質問させていただきますので、前向きな取組をお願いできればと思っております。

 それでは、次に大川原化工機事件についてお伺いいたします。

 これはもう本当に広く報道されまして、いかがなものかと、幾ら何でも。警察官が、率直に言って、証拠の捏造と言っていい誘導を行って、さらには不利な証拠ももみ消すことで逮捕、勾留して捜査を行って、起訴をした後、結局起訴を取り消したという事案でございまして、しかも事案が大きいですし、さすがにちょっと前代未聞というふうには思うわけです。

 とはいえ、起訴取消しというのは実はある事案でもあるので、起訴取消しというのは一体、年間どのぐらいあるのか、それはどのような理由によるものなのか、年間の大体の数字と累積の数字を教えてください。

松下政府参考人 お答えいたします。

 確認させていただきたいんですが、冒頭、検察官とおっしゃいましたか。(米山委員「警察官と言いました」と呼ぶ)警察官、分かりました。ありがとうございます。

 お答えいたします。

 御指摘の事件は、現在、国家賠償請求訴訟が係属中でございまして、その中で、警察官の捜査活動の国家賠償法上の違法性等についても審理の対象となっているものと承知しておりますけれども、お尋ねの全国の地方検察庁における公訴が取り消された人員数でございますが、令和二年が二十一人、令和三年が三十二人、令和四年が三十一人でございます。

 統計によりますと、その内訳は、それぞれ詳細はあれですけれども、嫌疑不十分ですとか心神喪失、あるいは被告人がお亡くなりになった、法人が消滅した、所在不明、その他ということになっております。

 細かい内訳も必要でしょうか。

米山委員 そうしましたら、心神喪失や死亡、要は、それはしようがないでしょうといいますか、それはどうにもならないというところを除いていただいて、嫌疑不十分みたいな、要は、検察の見立てと違いましたというものは大体そのうちのどのぐらいなんですか。大体、年間二十から三十ぐらいあるわけですけれども。お願いします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 令和二年は嫌疑不十分が一人、その他六人となっております。その他の内訳はちょっと分からないんですけれども。令和三年は嫌疑不十分が一人、罪とならずが一人、時効完成が一人、その他が十一人。令和四年の内訳として、嫌疑なし一人、心神喪失二人、その他十人ということでございます。

米山委員 そうしますと、結局、年間一例、二例なわけですよね。それは、あらゆる起訴で必ず最後までできることを求めるというのは違うと思うんですよ。それは一定の誤りがあることを前提にしないと、そもそも、疑っている時点で有罪だみたいな話になっちゃいますから。それはもちろん、疑っている、だんだん訴訟を追行している段階で、いや、やはり違ったということがあって、しかもそれを取り下げるというのはむしろ健全なことだろうとは思うんですよ。

 しかし、それにしたって、やはり一年に一回あるかどうかみたいな例外的な事案であり、しかもそれがこんな大きな事件で起こったというのは、それはなかなか看過していいことでもないでしょうと思うんです。

 そうすると、ちょっと直前で通告と順番を変えましたけれども、では何でこんなことが起こったのか、その経緯ということについて、事務方で把握しているところを教えてください。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案については、国家賠償請求訴訟が係属中でございまして、詳細にお答えできない部分があることは御理解いただきたいと存じますが、お答えできる範囲で申しますと、検察当局におきましては、捜査の結果を踏まえまして、起訴の時点においては、犯罪の成立について合理的な疑いを入れない程度の立証が可能である証拠関係であるという判断の下に公判請求をしたものの、その後公訴を取り消しておるわけでございますが、その理由につきましては取消しの際に公表しておりまして、公訴提起後、弁護人の主張等を踏まえて再捜査を実施した結果、公訴事実記載の、噴霧乾燥機というものの輸出が問題になっているんですけれども、それが輸出に当たり許可を要する貨物として政令で定められているものに該当することについて疑義が生じたことなどの事情を考慮したと公表しているものと承知しています。

米山委員 結局、今だとこういう答弁になるんだとは思うんですけれども。

 そして、今のお話で、必ずしもそれは検察が全部悪いと言うつもりもないといいますか、取り下げたのは取り下げたので立派だと言わないと、取り下げなくなっちゃいますからね。公判前整理手続の段階で取り下げたのは勇気ある決断だったんでしょうとは思います。そこは認めなきゃいかぬとは思うんですけれども。

 同時に、これはやはり再発を繰り返しちゃいかぬじゃないですか。その意味も、決してその可能性をゼロにしろというんじゃないですよ。何度も言っているように、誤りをゼロにしろというと、起訴もできなくなってしまったり、若しくは取り下げられなくなったりしちゃうので、かえってよくないわけなので、別に、誤ったと思ったらそれは取り下げていただいて構わないんですけれども、同時に、こんなことは何回も起こっちゃいかぬでしょうだとは思うんです。

 そうだとすると、法務大臣として、一体これはどうすれば再発を防げるのか。しかも、この原因といいますか、責任はどこにあったのか。それは、法務大臣の御所見を伺って、しかも、ちゃんと調べた上でそれを公表して、そして責任があるべき人は責任に応じて責任を取っていただくということをすべきだと思うんですけれども、その点についての大臣の御所見を伺います。

小泉国務大臣 まず、恐縮でございますが、基本は、個別案件であり、国家賠償請求訴訟の係属中の案件でありますので、これについてというお答えは直接は差し控えざるを得ないわけであります。そこは、申し訳なく思いますが、御理解いただきたいと思います。

 検察の方も、公判に向けた手続を進める中で、あくまで一般論でありますけれども、構成要件の該当性に疑義が生じ、結果的に公訴の取消しに至る、こういったケースにおいて、やはり検察当局においてもそういった事態を真摯に受け止めているものと承知をしております。

 私の立場でできることは、個別的な指揮権に関わらない範囲で、一般的指揮権というものをフルに発動し、検察にしっかりと、そもそもの基本的な捜査の在り方、また権力の行使についての様々な心得、そういったものが「検察の理念」としてまとめられているものがありますけれども、そういったものをしっかりと浸透させていく、また理解させていく、そういうことに全力を尽くして、ひいては、こうした事案が起こらないようにしっかりと取り組まなければいけない、そういう思いでおります。

米山委員 もちろん、個別的指揮権を行使しろなんて話じゃない。それは分かりますよ。でも、同時に、これは別に事件が、まあ裁判があるというのはそれは分かりますけれども、裁判が終わって事件も終われば、それは指揮権もくそもないわけですよ。終わった事件について、きちんと検証して、原因を確かめて、責任のある人に責任を取らせて、それはちゃんと公表する、それは別に全然いいことだし、全然指揮権の問題じゃないですしね。かつ、それはまさに法務大臣の職責だと思うんです。

 そして、それをちゃんとしないと、やはりこの事件というのは法務行政に対する信頼性を物すごく落としていると思うんですよね。もう検察なんてとんでもないんだという意見が流布してしまうことというのは、それは法務省にとってマイナスでしょうし、職員にとって残念なことでしょうし、それ以上にやはり日本における法の信頼というのがなくなっちゃうわけなんですね。ですので、それをやっていただきたいわけですよ。

 これはちゃんと、裁判中はしようがないというのは、それはしようがないんですけれども、もう一審は終わっていますよね。控訴審であればそこまできっと時間はかからないわけですよ。それが終わったら、ちゃんとこの事案を解明して、責任者を、別にむちゃくちゃな責任を取らせろというんじゃないですよ、責任に応じた責任を取らせて、それをきちんと公表していただけるということをお約束いただけますでしょうか。

小泉国務大臣 これは、別の案件で、最高検が問題を認識し、また原因を究明し、分析し、再発防止に向けた報告書をまとめ、公表させていただくということが近々ございました。そういった例が重要な先例になるというふうに考えております。

米山委員 今のは、してくれるという意味だと思いますので、是非やってください。

 そして、次に、時間が迫っておりますけれども、もう一つこの件でお伺いしたいんです。そういう意味じゃ、文科副大臣、済みません、質問がちょっと行かないと思うんですが、済みませんね。

 この事件で逮捕、勾留された取締役の一人、相島さんという方がおられまして、この方、七月七日に逮捕、勾留されて、そのとき既に貧血を呈していると。九月二十五日にはHb五・一、色素五・一で、これは高度貧血で、もう絶対出血しておるという状態になっているわけですね。十月六日にはがんであることが判明したと。ところが、再三の要請にもかかわらず、勾留執行停止がなされて外部に入院できたのは一か月後の十一月五日ということになります。

 この問題は非常に深刻でして、というのは、何せ逮捕、勾留中というのは別に普通の人なわけですよね、推定無罪ですから。しかも、この相島さんは、推定無罪どころか本当に無罪といいますか、そもそも冤罪で逮捕、勾留されておったということでして、最初の体調不良のところでなかなか分からなかった、貧血のところで分からなかったというところに関してはしようがない部分もあろうかとは思うんですけれども、九月二十五日でHb五・一といったら、それはもう直ちに、あした出血したって分からない、大出血して亡くなるかもしれないという話なわけなので、もう一分一秒でも早く出して、そして入院していただくのが通常でしょうと思うわけなんです。

 それはいろいろ経緯があったと思うんですけれども、ちょっと時間がないので、この経緯を説明していただこうと思ったんですが、そこは実はレクの中で聞いていますので、それは共通認識として、なぜこんな事態になって、そしてこれをどう思われるのか、大臣の御所見を伺います。

武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 これも、恐縮でありますけれども、個別事件であり、また係属中の案件でございますので、お答えは差し控えたいと思いますが、事実関係の中で、検察は勾留執行停止申立てに対して反対意見は提出をしておりません。止めたという事実はなかったと認識しております。

米山委員 それでは、きっとそれはむしろきちんとおっしゃられた方がいいと思うんです。これはやはりすごく、検察が止めたという話になっていますから、逆に、責任を取るべきは取る、そうでないところはないとしっかり言っていただければと思います。

 済みません、ちょっと時間がオーバーしましたが、ありがとうございました。

武部委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下でございます。

 本日もよろしくお願いしたいと思います。

 まず、本日、最初に御質問させていただきたいのは、内密出産における子供の出自を知る権利というところから質問させていただきたいと思うんですけれども。

 内密出産といいますのは、御家庭の事情であったり、望まぬ妊娠というところから、お母さんが自分の氏名を名のらないで出産していくというものであります。今現在、御存じのように、熊本市の慈恵病院で行われるということ、承知をしております。

 内密出産といいますのは、その目的といたしまして、子供を遺棄したり、若しくは生まれたての子供を親が殺してしまう、こういう悲しい事件を防ぐためのものであると承知をしております。当然、内密出産自体を私は推奨するものではありませんけれども、一方で、このお子さん、今大体二歳くらいになられるということで聞いておるんですけれども、このお子さんが大きくなったときに、自分の出自はどうなんだということを知る権利ということのバランスというのも私は非常に大事だと感じております。

 実は、私、令和四年の五月、厚生労働委員会の方で、所属させていただきまして、大臣の方、当時、後藤大臣だったと思うんですけれども、質疑をさせていただきました。その中で、私は、内密出産に対して救済できる仕組みの創設、そして法整備等について質問したところ、大臣からのお答えといいますのが、中略させていただきますけれども、仕組みについて法整備を行うことについては、子供の出自を知る権利をどう考えるとか、未成年が内密出産を希望する場合の支援の在り方等々、そもそも様々な課題が指摘されておりまして、そういう意味では、内密出産の制度化や一時金の取得等を始めとした、そうした制度的な運営についてどのような議論をしていくかということは、現時点でなかなか難しい問題であると考えておりますと。中略しまして、妊娠期から出産期までの切れ目のない支援を行うこととしたいという具合に考えておりますという御答弁を当時いただきました。

 今回、法務委員会ということで、この内密出産における子供の出自という、その権利について質問させていただきたいと思うんですけれども、内密出産における戸籍についてですが、これまでの国会答弁の中で、生まれたお子さんはいわゆる棄児、捨て子ではないということと、両親とも不明で、かつ日本で生まれた赤ん坊、これは日本国籍を有するということでされておりました。加えて、誰からも出生届が出されない場合であっても、日本国籍を有すると認められるときは、戸籍法の第四十四条第三項に基づいて、市区町村長の職権によって子供の戸籍を作成することができるという具合にされております。

 そこで、まず大臣にちょっとお伺いをしていきたいと思うんですが、内密出産の取扱いについて、法務省においても、共同でガイドライン、これを発出されているという立場であると思っておりますが、今後、子供の知る権利を考慮した対策をこども家庭庁と協力して推進すべきと私は考えておりますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 御指摘の内密出産の取扱いに関するガイドライン、これは令和四年の九月に厚生労働省との共管で、共同で発出した通知であり、その中で、法務省は、戸籍制度を所掌する省庁として、いわゆる内密出産により出生した子について、市区町村長の職権による戸籍作成など戸籍関係の取扱いをお示しをしております。

 その通知の中に示されております子供が自らの出自を知る権利に関する取扱いについてはこども家庭庁の所掌に係るものではありますが、法務省としては、本通知に基づく運用が適切に行われるよう、こども家庭庁と連携して、この問題も含めて、引き続き、必要な、適切な対応を図ってまいりたいと思います。

池下委員 今、御答弁いただきました。ガイドライン、これは令和四年の九月ですかね、出されたということで、私が質問させていただいたのがその前の五月ということなので、そこからいろいろと作っていただいたということを承知しておりまして、今も、大臣からも、今後もこども家庭庁と協力して適切に行っていくと。

 その内容についてこれから少し質疑をさせていただきたいと思うんですが、じゃ、こども家庭庁の参考人さんの方にお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、子供が自分の出自を知りたいと思った際、どのような制度の中で担保されているのか。今、大臣、ガイドラインという話もありましたけれども、それも加えて御説明いただきたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の出自を知る権利でございますけれども、子どもの権利条約の七条の方で、児童は、出生後直ちに登録される、児童は、出生のときから氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有するというふうに規定をされているわけでございます。

 これまでのこういった子供の出自を知る権利という観点の取組で申し上げますれば、出生前後の経緯によって実父母と異なる保護者によって養育されるに至ったというようなお子さんの出自に関する記録という意味では、そういった実父母と異なる方に養育されるに至った経緯に関わる機関において、その出生に関係する情報を管理していただくということが基本になっております。例えばでございますけれども、あっせんによって養子縁組に至った場合には、その民間あっせん機関の方で情報を管理して保管していただく、永年保管をしていただくということになっております。

 そうした中で、御指摘の内密出産の関係でございますけれども、こちらの方は、御指摘のガイドラインにおきまして、内密出産を希望する母親に対して子供への身元情報の開示の意義をしっかり伝えること、母親の氏名などの身元の情報については、病院の中で規程を作ってこれを明文化し、そして、それに基づいて適切に管理をしていただくこと、それと、身元情報の開示の方法でございますとか開示時期、こうしたものがしっかり子供に伝達されるように医療機関あるいは児童相談所において対応していくこと、こうしたことなどを定めさせていただいているところであります。

 こうした、ガイドラインの中で示された仕組みといいましょうか、取組といいましょうか、こういったものを通じまして、内密出産で生まれた子供の出自を知る権利、こういったものに対応できるように対応しているところでございます。

池下委員 今、ガイドラインの中身等々も御説明いただきましたけれども、まだまだこれはガイドラインであるというところでありまして、今、私、手元に慈恵病院さんのホームページのコピーをちょっと持っているわけなんですけれども、やはり、内密出産で生まれた子といいますのは、いろいろな状況の中で生まれてきているわけなんですね。

 当然、その出自の情報といいますのも、本当に機微に関わることがたくさんあると承知をしております。中には、望まない妊娠というのも、女性の方、実は、レイプをされたりとか近親相姦で妊娠してしまったという情報もあるわけです。ですので、お子さんが、ただ単に、自分がどう生まれたのかなということで、知りたいよねということで、ぱっとこう考えたとしても、非常に機微な情報も含まれているわけなんですね。

 ところが、今御説明もちょっとあったわけなんですけれども、令和四年九月に、先ほど大臣言われました法務省と厚労省、今はこども家庭庁ですが、から発出されているガイドラインにおいては、子供の出自を知る権利を保障する観点から、医療機関内で出産した者の身元情報については医療機関内で適切に管理することということが書かれております。私も手元にガイドラインを持っております。

 また、内密出産など緊急下で行われた出産につきまして、先ほど御紹介した熊本の慈恵病院さんがやられているわけなんですけれども、この出自の問題に関しても、病院さんが、御自分の病院内、医療機関内で、これは熊本市と共同してやられているということなんですけれども、検討会、出自を知る権利の保障等に関する検討会というのを自らつくられて運営をされているということで聞いております。

 ホームページを見る限りにも、検討項目として、子供に対する真実告知の在り方に関すること、やはりこれは微妙な内容が入っていますから、真実告知の在り方をどうしようかというところ。あと、出自情報の範囲に関すること、これはもうどこまでお知らせするのかということでありますし、出自情報の開示手続等に関すること、保護者等の身元情報の保存方法に関することなど、多くのことを医療機関が検討されているということであります。当然、医療機関がこれをやられているということなんですけれども、やはりお子さんに、知りたいよねと思ったときに、今度、精神的なダメージというのもありますから、そういうことがないようにということでやられていると承知をしております。

 一方、国の方のガイドラインに関しましては、適切な身元情報の開示が行われるよう、医療機関において当該身元情報と特定情報をひもづけて管理することという具合に、やはりちょっと、国の方というのは一歩引いてやられているような感じがするわけなんですね。

 私はやはり、内密出産というのは、率先してやるものではないけれども、現実問題として、やむにやまれずに子供を、こういう状況下の中で生まれてきている子がいる、これは現実としてあります。その中で、お子さんがいずれ大きくなったときに、この出自の問題を知りたいとなったときに、やはり民間、医療機関、自治体だけではなくて、国がしっかりと法整備をしていくべきだと私は感じているわけなんですけれども、国としても、これはしっかりと、ガイドラインだけでなく積極的に法整備を進めていくべきだと考えますけれども、見解の方、お伺いをしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の内密出産を行う場合の各種出自に関する情報、つまり母の身元情報でございますけれども、医療機関の中で規程を明文化をして適切に管理をすること、その規程の中でどういったことを定めていただきたいのかということをガイドラインの中で示しているところではございます。

 ただ、御指摘にございましたように、確かにこのガイドライン、それぞれの関係する機関がどういったアクションを行っていただくのかというところ、非常に実務に即してこの流れを整理しておりますので、そういったところで、なかなかちょっと読みづらさとか、行間の読み取りづらさとか、そういうところがあるのかもしれませんが、ただ、こういった出産を推奨するものではないとしつつも、一応、必要な事柄といいましょうか、必要と考えられる事柄について、一覧をまとめてお示しをしているところでございます。

 こうしたガイドラインの中で、基本的には母親の身元情報の中身であるとか開示の手続について一定程度お示しをし切っているのではないのかなというふうに考えておりますので、現時点でこれに加えて何か更にということは、現時点でたちまちのものとして考えているものはございませんが、先生からも御紹介ありましたように、現在、熊本市と慈恵病院さんが共同で、子供に対する真実告知への支援の在り方であるとか、あるいは内密出産に関わる妊婦の身元情報の管理などについて、実情を踏まえた議論がなされていると承知をしております。

 また、ガイドライン、令和四年に策定したばかりでもありますので、まずはそうした議論の中身なども注視をしてまいりたいと考えてございます。

池下委員 今、こども家庭庁の態度といいますか、方向性というのをお伺いをいたしました。内密出産自体を推奨するものではない、私は当然同じ意見でありますし、ただ、現実としてあるというのは間違いのない話であります。

 私も手元にこのガイドラインを持っておりますけれども、これはやはり、ほわっとした内容といいますか、医療機関任せであるといいますか、そういう内容が書かれています。

 当然、今、内密出産で生まれた子、先ほども申し上げましたけれども、まだ二歳くらいのお子さんですので、これから、じゃ、自分の出自を知りたいよねと思うのはもうちょっと大きくなってからだとはもちろん思うんですけれども、それまでにしっかりとこういう整備の方をしておくということが、私、肝要でありますし、自治体であったりとか医療機関任せではなくて、やはり国が、先ほども大臣も言われていますけれども、前のめりか積極的に注視するではないですけれども、こども家庭庁の方も前のめりにしっかりと支援というものをしていただきたいなと思います。

 ちょっとこれはホームページの方から先ほどの慈恵病院の方を紹介させていただきたいなと思うんですが、当院が実施している内密出産において、実母さんからお預かりした出自証明書の保管につきましても問題があります、現状では当院が独自で決めた手続で出自証明書を管理していますが、内密出産についての法整備がなされたドイツでは、公的機関が法律で定められたルールにのっとって出自証明書を管理していますと。ドイツでは法律も定められているわけなんですよね。我が国でも何らかのルールを作っていただきたいところということで、これは御要望をされているわけなんです。これが現場の声なわけなんですよ。

 是非、ここに関しましても、お考え、ちょっと質問ないんですけれども、この現場の声を聞かれて、もう一度御答弁いただければと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 そのようなお声があるというのは承知をしておりますけれども、一方で、内密出産につきましては、やはり母に対する福祉的な支援が出産後にすぐに途切れてしまうといった、こういった形態そのものについてやはりどう考えるのかということであるとか、あと、内密出産を希望せざるを得ない状況に追い込まれた妊婦の方々に対する説得であるとか相談対応、こういったものをどのように組み立てていくのか、こういった状態に至る前にしっかり発見をして伴走型の支援をしていくとか、こういったことを、やはり体制をまずは整えるべきではないかとか、幅広い観点から様々な御意見がある状態であって、なかなか慎重に議論を深めていく必要のある課題ではないのかなというふうに考えております。

 そういう意味では、ひとまず、やはり令和四年にお示しをしましたガイドライン、こちらの運用状況といいましょうか、こういったものを把握をしながら考えていきたいなというふうに考えております。

池下委員 ちょっと時間もなくなってきますのでこの議論はこれで終わりにしたいと思うんですけれども、まだ令和四年に出されたばかりということは承知をしています。

 当然、今、私、法務委員会なので、子供の知る権利というところら辺を中心に話をさせていただきましたけれども、当然お母さんの支援というのも欠かせないと思いますし、産まれた中ですぐさま仕事に戻らなきゃいけない、その状況を、産んだ状況なんかというのを周辺の方に伝えられない状況、だから内密出産になっている状況というのは当然承知をしているわけなんですので、そういうところのフォローも含めながらしていただければなという具合に思います。これはまた引き続き違う委員会でも取り組みたいと思います。お願いします。

 それでは、続きまして、ちょっと違うところで質問を一つ二つさせていただきたいと思います。

 再犯防止対策についての推進というところでさせていただきたいと思いますけれども、再犯といいますのは、当然、刑務所等々、少年院等々から出所されて、多くの方が真面目にやられていくという具合に信じておるわけなんですけれども、一方で、やはり再犯される方というのは当然多くいらっしゃいます。これから、犯罪を犯されて出所された方の高年齢化であったりとか、又は、就職、どうやって支援をしていくのか、やはり、保証人がいないということで居住地がなかなか定まらないであったりとか、いろいろ問題があるという具合に感じております。

 そういう中での課題があって再犯を繰り返してしまうというところがあるかと思うんですけれども、そこで、令和五年三月に第二次再犯防止計画が決定されたという具合に聞いておりますが、どのような取組をして再犯の減少につなげられているのか、大臣の方にお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 再犯者数の絶対数は着実に減少しておりますけれども、刑法犯検挙者の約半数が再犯者という状況はなかなか動かすことができずに変わっておりません。新たな被害者を生まない安全、安心な社会の実現に向けて、再犯防止の取組を一層推進していくこと、これは重要なことであると認識しております。

 昨年の三月に、こうした観点から、再犯防止施策の羅針盤となる第二次再犯防止推進計画、これを閣議決定をいたしました。この計画の中では、やはり、就労、住居の確保、また、民間協力者の活動の促進、民間の力もかりよう、地域による包摂の推進など、重点課題の下、九十六の具体的施策を掲げております。

 国、地方公共団体、民間協力者、これが一体となって進まなければいけない、こういう認識の下で、関係省庁、地方公共団体、民間協力者の連携をこれまで以上に進めていきたい、このように思っております。

池下委員 御答弁いただきました。私も、先ほど申し上げましたように、この就職、やはり、矯正施設を出た後の就職、居住地、これというのは非常に大事だと思いますし、そこに関しましては民間の御協力というのは不可欠だと思っております。

 そこで、私、以前、府議会議員時代からちょっと注視していましたというか、取組をちょっとやっていたんですけれども、職親プロジェクトというものがありまして、これを大阪の企業さんがスタートされたんですけれども、矯正施設の中で出所後どのように生活していくのかというプログラムを受けられて、出所後に、職親企業というものが出所後の方を受け入れて、仕事をして、居住地、アパートも借り上げでということもよく聞いていたんですけれども、そういう中でフォローをしていくというプロジェクトがあります。

 ちょっと時間がないのではしょりながらお話をさせてもらいたいと思うんですけれども、私も、府議会議員時代、松井一郎当時知事にこの話をしたところ、大阪府も非常に協力的にしていただきました。今後、政府として、再犯防止のためにこの職親プロジェクトを推進するための協力企業というのを増やしていくべきだと考えますけれども、対策はどのようにしていかれるのかというのを一つ質問させていただきたいと思います。

 そして、ちょっと時間がございませんので併せて質問をさせていただきたいと思うんですけれども、この職親プロジェクト、職親企業さんに、再犯防止に協力していただいた企業さんに対して支援策、これはどのようにしていかれるのか、併せてお伺いをしたいと思います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 刑務所出所者等の立ち直りのためには就労の確保と安定が極めて重要であるところ、公表されているところでは、現在、職親プロジェクトに参加する企業は約四百社に上り、各企業での雇用数は七百人を超えるなど、職親プロジェクトの取組は非常に効果的な取組であると認識しております。

 法務省としては、職親企業のように、刑務所出所者等を積極的に雇用していただける企業の確保に取り組んでおり、例えば、刑務所出所者等の雇用に関心を抱いていただいている企業に対して、その雇用に関する制度等について説明するセミナーを開催するなどの働きかけを積極的に実施しております。

 また、職親プロジェクトの参加企業については、原則として、全国の保護観察所に、協力雇用主として御登録をいただいているところ、協力雇用主の取組を紹介するユーチューブ動画を作成するなど、広く国民に知っていただくための取組を進めております。

 法務省としましては、引き続き、刑務所出所者等の希望や適性に応じた適切な就労先のマッチングを行えるよう、職親企業を含む多様な業種の協力雇用主の確保に努めてまいります。

 また、支援策でございますが、法務省においては、職親企業を含む協力雇用主のための支援策として、刑務所出所者等を実際に雇用し、就労継続のための指導等を実施してくださった場合に、年間最大七十二万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金支給制度を実施し、経済的負担の軽減等を図っているところです。また、就労時の身元保証人を確保できない保護観察対象者等について、民間事業者が一年間身元保証を行い、雇用主に業務上の損害を与えた場合に見舞金をお支払いする身元保証制度などを実施しております。

 今後とも、これらの支援策を効果的に活用しながら、職親プロジェクトの協力企業を含む協力雇用主の下で実際に就労する刑務所出所者等の増加に向け、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

池下委員 時間が参りました。

 本当に職親企業さん、協力企業さんも大変な御苦労があると聞いておりますので、是非そこら辺のサポートもよろしくお願いしたいと思います。

 質問の方、終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の美延映夫です。

 本日は質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年の臨時国会、十一月の八日の当委員会で、保護司制度について、保護司の現状、保護司の安定的な確保について、保護司の待遇改善、保護司の負担軽減策について、的確な答弁をいただき、ありがとうございました。

 前回時間の関係で持ち越した内容を、本日少し質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。前回の質問内容と関連性があり、若干内容的にかぶるところがあるかと思いますが、どうぞ御容赦いただきたいと思います。

 昨年三月十三日に閣議決定された第二次再犯防止推進計画において、持続可能な保護司制度の確立とそのための保護司に対する支援策として、五つの具体的施策を掲げています。その具体的内容について、確認の意味も踏まえて、質問をさせていただきます。

 まず一つ目として、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討、試行を掲げています。その中で、法務省は、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向け、保護司の待遇や活動環境、推薦、委嘱の手順、年齢条件及び職務内容の在り方並びに保護観察官との協働態勢の強化について検討、試行を行い、二年を目途として結論を出し、その結論に基づき所要の措置を講ずるとありますが、現在、どのような検討、試行が行われているのでしょうか。また、二年を目途として結論を出すという理由を、根拠を交えて、もう少し詳しく説明していただけませんでしょうか。

 よろしくお願いいたします。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和五年三月十七日に閣議決定された第二次再犯防止推進計画に基づき、同年五月十七日に法務大臣決定として、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を設置し、検討を進めているところです。

 これまでの検討会において、例えば推薦や委嘱の手順については、保護司活動インターンシップや保護司セミナーの実施、地方公共団体の広報誌等を通じた広報により保護司候補者を募集するといった公募の取組を試行してはどうかという議論がございました。また、待遇における報酬制の導入については、報酬制にすると保護司活動が労働として捉えられることとなり適当ではないなどの意見や、幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには報酬制の導入に向けた門戸を閉ざすべきではないなどの意見がございました。このほか、いわゆる現役世代が仕事をしながらでも保護司活動が可能となるような環境の整備に努めるべきとの議論がございました。

 本年三月二十八日の検討会において中間取りまとめがなされたところですので、今後は、中間取りまとめに盛り込まれた施策のうち、実施可能なものについては速やかに取り組むこととし、更に検討を要する論点については本年秋頃を目指して一定の結論を得たいと考えております。

 二年の根拠でございますが、第二次再犯防止推進計画において検討の期間につき二年をめどとされたのは、検討会の論点が多岐にわたっており、また、簡単に答えの出せない非常に難しいテーマでもある中、これらの論点について検討会での議論を全国各地の保護司にお伝えし、御意見を広くお伺いした上で検討会の議論に還元するといった丁寧な検討を実施するためには、相応の期間を要することが考慮されたものと認識しております。

美延委員 今、答弁にもございましたように、日当の話、これは確かにボランティアであるから、やはりそれは取るべきでないという御意見の方もいらっしゃるし、私自身も伺ったことがあるし、いや、そうではなくて、やはりこれから有償ボランティアということも考えていかないといかぬのではないかという御意見もあるということも、私も承知をしております。その辺についてもう少し検討していただいて、是非、やはりできるだけよい結論に導いていただきたいと思います。

 次に、二つ目についてお伺いいたします。

 保護司適任者に係る情報収集及び保護司活動を体験する機会等の提供ですが、内容としては、法務省は、保護司候補者を確保するために、総務省、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の協力を得て、保護観察所において、地方公共団体、自治会、福祉、教育、経済等の各種団体と連携して、保護司候補者検討協議会における協議を効果的に実施し、地域の保護司適任者に関する情報を収集する取組を強化する。また、法務省は、保護観察所において、保護司活動についての理解を広げるための保護司セミナーや保護司活動を体験する保護司活動インターンシップなどを通じて、保護司候補者検討協議会で情報提供のあった保護司候補者等に対して、保護司活動についての理解を深めてもらうとともに、実際に保護司として活動してもらえるよう、積極的に働きかけるとしております。

 保護司の社会的認知度の向上は、具体的施策の、地方公共団体からの支援確保、国内外への広報啓発の内容にも関連しますが、そこでお伺いをいたします。保護司の認知度に対する評価と、なぜ保護司について認知度が上がってこないのか、この辺について政府はどうお考えでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、保護司適任者を確保する上で、保護司の社会的認知度の向上は重要であると認識しております。

 平成三十年度に内閣府が実施した世論調査によれば、保護司について知っていると答えた者は五七・四%であり、特に世代が若くなるほど知らないと答えた者の割合が高く、いまだ保護司については十分に認知されていない部分もあるものと考えております。

 保護司は、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けることをその使命としており、社会内で保護観察対象者やその家族の機微な局面に関わるという役割を担っていること、また、保護司適任者の確保について、退任する保護司の人脈に頼ってきたことなどから、保護司の認知度が十分に高くなっていないものと認識しております。

 しかしながら、保護司数の減少や高齢化が進む中で、保護司の適任者確保は喫緊の課題となっており、保護司の職務内容等についてもより積極的な広報活動が必要であると考えております。

美延委員 そうなんですよね。やはりかなり高齢化が進んでおるし、保護司さんの場合は定年もあるわけですから、どこかで交代してもらわなきゃいけない。でも、交代してもらうには次の方が見つからないということが、もうこれは一番の問題だと思うので、それも含めて、一問、大臣に伺わせていただきたいんですけれども。

 保護司の活動を一般的に認知してもらうことは、保護司活動に対する理解を広め、保護司候補者を確保するために重要であることについては今触れさせていただきました。保護司の方々の日頃の取組が保護司活動に対する理解を広める第一歩であることは言うまでもないと思うんですけれども、政府としても、積極的に広報を行うなどして一般に広く認知してもらうように取り組んでいくことが必要でないかと私は思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば、内閣府が作成している政府広報オンラインでは、内閣府大臣官房政府広報室が企画、制作した各種広報が掲載されており、そのようなツールを利用するのも一つの方法だと思いますが、政府において現在行われている保護司の認知度を上げるための施策を踏まえ、今後保護司について認知度を上げるための取組、その内容について、もう少し大臣から詳しく御所見をいただけますでしょうか。

小泉国務大臣 保護司の方々は本当にかけがえのない貴重な活動をされておられるんですが、しかし、地域社会においても、必ずしもその社会貢献の実態が伝わっていない、特に若い世代にそれが伝わっていないということは私も痛感をしております。

 今政府では、御指摘がありました、動画を作る、あるいは公式SNS等でこうした動画を広げる、こういう一種の空中戦を一生懸命やっているんですけれども、やはり、これは私の個人的な意見に近くなりますが、もう少し地域に密着して、保護司の方に、例えば、地元の小中学校に行って日頃の活動を一時間話をしていただく、そういうような機会を地道に増やしていくということも必要なのではないかと思うんですよね。ああ、○○鉄工のおじちゃんは、ここでこんなことをやってくれていたんだ、そういう固有名詞ベースで広がっていく若い方々の認知度上昇、そういったものに、私も問題意識を持っておりますので、政府の取組と並行して、新たな方法として、そういう草の根的な広報、そういったものにも取り組みたいと思っております。

美延委員 今の、大臣がおっしゃった、例えば学校でそういう保護司の方に来ていただいてというのは私もいいことやと思うので、是非そういうのを実現していただきたいと思います。

 次に、オンラインカジノについて伺わせていただきたいと思います。

 公営ギャンブル以外の賭博が禁じられている我が国において、スマホやパソコンを通じて気軽にアクセスできるオンラインカジノのアクセス数が増加の一途をたどっています。

 少々古いデータで恐縮ですけれども、あるデジタル分析支援会社の調査では、日本国内から海外の主要オンラインカジノへのアクセス数は、二〇一八年十二月に月間約七十万回だったものが、三年後の二〇二一年九月には何と約八千三百万回ものアクセスがあり、二〇一八年十二月と比べると約百十八倍にもなっております。これはもうすごいことだと思うんですけれども、この異常なまでのアクセス数の増加について、まず政府の見解を伺いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 法務当局といたしましては、オンラインカジノへのアクセス数について把握をしておりませんで、お答えすることは困難でございますが、委員御指摘のようなアクセス数の増加についての報道があるということは承知をしております。

美延委員 御存じということで、今、局長から御答弁いただきましたけれども、二〇二二年の四月に、山口県の阿武町で、新型コロナの給付金を誤ってある男性に四千六百三十万円振り込み、その振り込まれた男性が給付の返還を拒み、それをオンラインカジノに使ってしまった事件は記憶に新しいところですけれども、同じく二〇二二年の六月一日の予算委員会では、岸田総理は、オンラインカジノは違法であり、関係省庁と連携し、厳正な取締りを行うとの考えも示されておられます。

 オンラインカジノに参加することは、刑法百八十五条の賭博罪に該当しますが、改めて、オンラインカジノが日本において違法である根拠について、説明をお願いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、まず、刑法第百八十五条で賭博行為について処罰することとされておりまして、オンラインカジノの実態としてこれに該当するものについては、刑法上の当該罪に当たると考えられます。

 さらに、賭博行為がオンラインで行われる場合でありましても、その行為の一部が日本国内において行われた場合には、刑法上の当該罪が成立することがあると考えられます。

美延委員 刑法上、賭博が犯罪とされるというのは、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情によって財物を獲得しようと他人と相争うものであるからとされています。

 他方、公営ギャンブルにおいては……(発言する者あり)はい、済みません。公営競技においては、それぞれの関係省庁が所管する法律に基づいて実施されているものであり、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないように、刑法上の配慮がなされると理解しております。

 改めて確認になりますが、なぜオンラインカジノが違法で、公営競技が違法でないのか。公営競技の違法性の阻却をすることとした理由についてお伺いをいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の公営競技につきましては、それぞれ、関係省庁が所管する法律に基づいて実施をされておりまして、法務省はそれらの法律を所管していないため、直接お答えする立場にはないのでございますが、賭博の罪を定める刑法を所管する立場から申し上げますと、理論的には賭博の罪の構成要件に該当する行為でありましても、法律に従って行われるものであれば、刑法第三十五条による法令による行為として違法性が阻却されることになります。

 そして、既存の公営競技の根拠となる法律、各種あるわけですけれども、これにおきましては、刑法が賭博を犯罪として規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮、例えば事業の公正性ですとか公益性を担保するような制度についての配慮がなされているものと認識をしております。

美延委員 続いて、国内の現行法でも、オンラインカジノが規制できる可能性についてお伺いをいたします。

 オンラインカジノを運営している会社は、当然のことながら、海外に拠点があります。日本国内でギャンブルの場所を開設、提供する行為は、刑法上の賭博場開張図利罪に当たりますが、オンラインカジノのように運営会社が海外にある場合は、日本の捜査が及びません。海外に拠点を置く運営会社を取り締まるのが難しいとされる一方、こんな、国内の現行法でも規制できるのではないかと考えた場合に、まず考えられるのが、決済に至るお金の流れです。

 海外のオンラインサイトに賭け金を入れるために使われているのが、日本の利用者と海外の運営会社との間での金銭のやり取りをする仲介業者、いわゆる決済代行業者というサービスであります。こうした決済代行業者が日本から送金を受けるパイプ役となり、仲介行為自体がオンラインカジノの運営に協力していると認定されれば、賭博場開張図利罪の共犯や犯罪行為へ唆す幇助犯として決済代行業者を現行の国内法で取り締まれる可能性は十分にあると思いますが、政府の見解をお願いいたします。

和田政府参考人 一般的に、日本国内からオンラインカジノサイトに接続して賭博を行うことは、そのサイトが海外で運営されているものであっても賭博罪に該当するものであり、警察では、いわゆるオンラインカジノを始め、オンライン上で行われる賭博事犯について、賭け金の決済に関与する者を含め取締りを強化しているところです。

 例えば、昨年九月には、警視庁等においてオンラインカジノの決済システムを運用していた者を、また本年五月には、兵庫県警察等においてオンラインカジノを利用するための決済サービスを提供していた者を、それぞれ常習賭博幇助で検挙しているところです。

 引き続き、このようなオンライン上で行われる賭博事犯について、あらゆる法令を駆使した厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。

美延委員 それは是非推進していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今警察の方から御答弁いただきましたけれども、警察庁や消費者庁のホームページには、オンラインカジノは犯罪ですと注意喚起がされていますが、日本国内の何%の国民が警察庁や消費者庁のホームページを目にするんでしょうか。実際にオンラインカジノの違法性の周知徹底に関して政府が現在行っている取組についてもう少し詳しく教えていただきたいんですが、よろしくお願いいたします。

和田政府参考人 警察といたしましては、オンライン上で行われる賭博事犯について取締りを強力に推進しており、事件を検挙した際はその内容について積極的に広報を行っているところです。また、これまでに、消費者庁と連携してポスターを作成し、若者に対する啓発を重視して大学等に掲示したり、今後さらに、オンライン上の賭博に興味を持っている者に対してSNSを活用した広報啓発を行うこととしているなど、オンラインカジノを利用させないための取組に努めているところです。

 引き続き、関係省庁とも連携を図りながら、こうした取組を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 しっかり取締りをしていただいて、そしてしっかり広報啓発をしていただいて、これをもうなくしていくということをよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 非正規滞在になってしまっている子供たちの人権保障について質問させていただきたいと思います。

 日本は一九九四年に子どもの権利条約を批准し、今年は三十年の年に当たります。世界の中で百五十八番目に批准をする、大変出遅れたスタートでございました。その子どもの権利条約の要である四つの原則、大臣にも改めて御認識を深めていただきたいということで述べさせていただきます。

 一つ目は、差別の禁止、差別のないこと。全ての子供は、子供自身や親の人種や国籍、性、意見、障害、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定める全ての権利が保障されますということが子供の権利の趣旨でございます。

 子供の最善の利益、二つ目です。子供にとって最もよいこと。子供に関することが決められ、行われるときは、その子供にとって最もよいことは何かを第一に考えます。これが二つ目です。

 そして、三つ目。生命、生存及び発達に対する権利。命を守られ成長できること。全ての子供の命が守られ、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

 そして、四つ目。子供の意見の尊重。意見を表明し、参加できること。子供は自分に関係ある事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を子供の発達に応じて十分に考慮しますということが、子どもの権利条約の大切な四つの原則です。

 まず、大臣に、ちょっと通告はしていないんですけれども、お聞きをしたいんですけれども、人権擁護を大臣は所管をしております、人権擁護局も持っておりますので。人権擁護を所管をする法務大臣も、この子どもの権利条約の四つの原則を大切に思っていただいているということでよいですねということと、仮放免を含め非正規滞在になっている子供たちも、この子どもの権利条約の権利の主体であるという、その子供の中に入っているという御認識でよろしいですねということ、確認をさせていただきたいと思います。

小泉国務大臣 この四原則を含め、その趣旨全体について非常に重要な価値であるというふうに心得ております。

 そして、その対象者の子供という中には、今おっしゃったような非正規の形で在留する子供たち、これも当然含まれていると認識しております。

本村委員 資料でお示しをしておりますが、先ほど鎌田議員からも、ホームページに載っていないという問題はございますけれども、資料として出させていただきました。

 齋藤大臣の時代に、強制送還の対象となっている、日本で生まれて在学中の子供たちに在留特別許可を出す対応の方針が決定をされました。在留特別許可が出た子も既におりますけれども、そうではない子もおられます。同じ地域で住んでいるのに子供たちが傷ついているということを、深く私たちは考えなければならないというふうに思っております。

 小さいときに来て日本で育った子供たちは対象外です。日本生まれでなければ対象外です。そして、強制送還の対象となっていない、先ほども鎌田議員が言われましたけれども、強制送還の対象となっていない仮放免などの非正規滞在となっている子供たちも対象外と、この齋藤大臣の措置はなっております。

 まだ認められていない子供さんの中には、高額な手術が必要な子供さんなど、病気を抱えた子供さんもいらっしゃいます。仮放免の子は国民健康保険などに入ることはできません。通常高額にならない通常の医療でも、仮放免の方は高額になります。

 インフルエンザにかかった仮放免のお子さんの事例について申し上げたいと思います。これは、小泉大臣、そして牧原筆頭理事のお地元でございます埼玉の子供さんの事例です。

 東京新聞、五月七日の記事です。埼玉県の少女、十五歳が、今年の二月下旬、三十八度を超える熱を出した。市販薬を服用したが、けいれんを起こして気絶。救急車で医療センターに搬送された。インフルエンザと診断されて一日入院し、点滴などを受けて退院したが、請求された診療費は二十四万円。家族とともに仮放免中の少女は国民健康保険に加入していなかった。保険適用後の医療費の負担は原則三割だが、同病院では無保険者に全額自己負担の一・五倍を課すのがルールだったということで、二十四万円の請求をされております。

 前から厚生労働省に、せめて医療費、医療を子供たちに提供をということで救済を求めておりますけれども、厚生労働省は在留特別許可が必要なのだということを言うわけです。

 この今お示しした埼玉の十五歳の女性の方の例では命が助かった例なんですけれども、こうした重い医療費では病院に行くことができないケースが多々あることが分かっていただけるというふうに思います。

 この十五歳の子供さんは、その子にとっては物すごく巨額の医療費、二十四万円の借金を返すためにアルバイトをしたいと言っているそうです。でも仮放免の子は、非正規滞在になってしまったこういう子は働くことはできないわけです。

 こういう現状は、先ほど大臣と共有をいたしました子どもの権利条約の四原則、差別の禁止や、生命、生存、発達に対する権利、子供の命が守られ成長できること、このことが保障されていないというふうに考えます。

 こういうお地元で起こった事例でございます。これは余りにも子供たちにとってむごいことをやっているというふうに思います。日本語で育ってきた子供たち、そしてその家族を強制送還するということは、私は人道に反しているというふうに考えます。何とか子供たちを救っていただきたいというふうに思います。

 高額な手術が必要な子供さんは、真っ先に今すぐ職権で在留特別許可を出していただきたいというふうに思いますし、子供たちを線引きせず、非正規滞在の子供たちに在留特別許可を出すべきだというふうに考えますけれども、大臣、伺いたいと思います。

小泉国務大臣 齋藤大臣が御英断されました子供の在留特別許可、これは、その大本の考えをたどっていくと、結局、法務大臣が持っている裁量権、人道上の配慮、本当の個別の案件を見た上での人道上の配慮から特別に在留を許可する権限、それに淵源があるわけですよね。ただ、それをグループとしてくくり、優先度の高い要素を持つ子供たちであるという認定をして、そして大勢の子供たちを迅速に在留特別許可に導こうという行政的なイニシアティブであります。

 しかし、そこに乗らなかった、そのグループに入れなかった方々が、在留特別許可の道をそこの時点で失ったかというと、そういうことではないと思います。

 個々の事情をしっかりと我々は把握をさせていただき、また、申請主義というものが創設されます、改正入管法によって在留特別許可の申請というものが可能になります。

 また、先ほども、鎌田議員のとき御説明しましたけれども、本年三月、在留特別許可のガイドラインの改定を行いました。考慮事項の評価に関する考え方を明確にいたしました。その中で、家族とともに生活するという子供の利益の保護の必要性を積極要素として考慮するということを明示いたしました。

 こういったものを踏まえて、在留特別許可の申請をいただいた場合には、もちろん職権という道もあるわけでございますけれども、個々の事情に照らし、個々の、人道の本来の在り方に照らし、必要な在留特別許可というものは出していこうというふうに考えています。

本村委員 是非、子どもの権利条約の四つの原則の、この原点に立って、人道的な対応をしていただきたいというふうに思っております。

 ある非正規滞在の子供さんは、こういうふうな手記を寄せております。私は、小学校六年生のときに、自分の生活だけ学校の友達と違うことに気づきました、みんなは風邪を引いたらすぐ病院に行くけれども、私たちは行くことができない、夏休みや冬休みに友達は海外に旅行するけれども、私たちはビザ、在留許可証がないから行けない、私も友達みたいに自由が欲しいし、飛行機に乗れる権利も欲しいです、この夢が現実になるのを願っていますというふうに語っておられます。

 私がお話をお伺いした方は、保育士になりたいというふうにおっしゃった子もいらっしゃいますし、医者になりたいという子もいます。それぞれの可能性が花開くように、日本で住む全ての子供がその努力に応じてしっかりと報われるようにしていただきたいということを強く求めたいと思います。先ほども前向きな御答弁をいただきましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、六月十日、改悪入管法の施行ということになっておりますけれども、難民認定の仕組みも、国連の難民高等弁務官から、大臣、厳し過ぎるんだというふうに直接言われているのに、改善もしておりません。にもかかわらず、強制送還の危機があるわけです。命と尊厳の危機がある人を強制送還しては絶対にいけないということも、強くこの場で強調させていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、イスラエルによるガザ攻撃についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 私、三月に、超党派の議員の皆さんと一緒に、国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの事務局長にお会いをいたしました。

 そのときに、ラザリーニ事務局長がこういうふうにおっしゃっておりました。日本政府に対して、イスラエルによるガザ攻撃を止めるため、国際社会に積極的に停戦実施を呼びかけてほしいというふうにおっしゃっておりました。ガザの状況は今までに見たことのない危機で、十月から三月の五か月にガザで死亡した子供の数は、二〇一九年から二〇二二年に起こった全世界の紛争の死者数を上回るなど、死者数、子供の死者数、ジャーナリストの死者数、国連職員の死者数も今までにない人道危機だというふうに強調をされておりました。そして、イスラエルの包囲による人間がつくり出した飢餓がまさに目の前にある、市民は爆撃に遭うか飢えるかのどちらかで死ぬという状況にあるという非常事態を訴えておられました。

 そこでお伺いしますけれども、イスラエルは自衛権ということで言っているわけですけれども、二月十四日の参議院外交・安全保障に関する調査会で、名古屋大学の松井芳郎名誉教授がこういうふうに自衛権についておっしゃっておりました。自衛権には必要性と均衡性の要件もございまして、したがいまして、自衛のためであれば何でもできるということにはならない、自衛のために必要最小限のこと、相手の行動と均衡の取れた反応だけできるのだという要件に照らしても、全くイスラエルの行為は自衛権では正当化できないというふうに述べておられました。

 日本政府の認識は、この松井名誉教授と同じ認識か、また別の認識であればその認識についてお伺いをしたいと思います。

辻副大臣 御質問ありがとうございます。

 我が国として、イスラエルは、ハマスの攻撃を受けて、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識していますが、同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければなりません。いかなる場合においても国際人道法の基本的な規範は守らなければならないと考えていまして、必要性と均衡性の要件は満たされなければならないと考えていまして、我が国として、イスラエルの行動が国際法と完全に整合的であるとの法的評価を行っているわけではございませんが、現在、委員御指摘のように、民間人の犠牲者数はますます増加している中で、軍事行動が全体として国際法上正当化されるかどうかについても、当事者による一層の説明が求められるような状況となってきていることは確かでございますので、引き続き、日本政府としては、そういった部分で国際社会の中で連携を取っていきたい次第でございます。

本村委員 改めて確認をさせていただきますけれども、十月七日以降、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区に対して行った攻撃は自衛権で正当化できると考えているんですか。

辻副大臣 我が国としては、イスラエルは、ハマスの攻撃を受けて、国際法に基づいて自国民を守る権利を有すると認識している一方で、今次事案の個別具体的な事情や関連の情報については、事実関係を十分に把握することが現状困難であることから、確定的な法的評価を行うことは差し控えますが、我が国として、これは、イスラエルの行動が国際法と完全に整合的であるとの法的評価を行っているわけではございません。

本村委員 国連国際司法裁判所、これが、ガザへの攻撃に関して、停止をする暫定命令を出しました。そして、国際刑事裁判所も、逮捕状を請求をしているという状況がございます。

 それでも、自衛権で正当化できることではないのだということを言えないわけですか。

辻副大臣 我が国としては、人質の解放が実現するよう、そして人道支援活動が可能な環境が確保されるよう、即時の停戦を求めています。

 そして、五月二十七日にも、上川外務大臣がカッツ・イスラエル外相と電話会談を行い、こうした日本の立場を伝えています。特に、人道支援活動が阻害されることのないよう大臣からは改めて求めたと同時に、国際司法裁判所、委員御指摘のICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものであり、誠実に履行されるべきものであるという旨述べさせていただきました。

 今後とも、人道状況の改善に向けて、引き続き、粘り強く積極的に外交努力を行っていきたい次第でございます。

本村委員 今のこれまでの延長線上の取組ではいけないというふうに思うんです。

 例えば、イスラエルによる無差別殺りくに関して、本気になってこれが問題であると、子供たちがこれほど異常に殺されていることは問題であるというふうに本気で思っているのであれば、イスラエルと経済連携協定、EPA、これを結ぶということにはならないというふうに思いますし、そのための共同研究、これももうやめるという決断をするべきだというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

辻副大臣 今般の事案に関しまして、繰り返しになりますが、現在の情勢に関し、我が国としては、イスラエル側の人質の解放が実現するよう、そして、人道支援活動が可能な環境が確保されるように即時に停戦を求めてまいっております。

 そして、それに対してはしっかりと、国際社会、特に国連、またICJの様々な命令や行為に対して、これは当事国を法的に拘束するものであるから、誠実に履行されるべきものであるという旨、我々からは積極的に展開をしておりますので、今後も、粘り強くそういった外交努力を続けていきたいと思っております。

本村委員 イスラエルとのEPA、そのための共同研究、これはやめるべきだというふうに思います。

 最後に、別の問題で質問させていただきたいと思います。

 日本に来て、難民認定申請者の方がホームレスになっている事例がございます。以前質問させていただいて、ESFRAに、緊急宿泊施設に入ったわけですけれども、日本に来て即座にホームレスになることがないように、是非、保護のための予算を抜本的に増やしていただきたいと思いますし、次の住宅が見つかるまで、ホームレスにならないように手厚い支援が必要だというふうに考えますけれども、最後に副大臣、お願いしたいと思います。

辻副大臣 難民認定申請者に対する保護については、これは、国際的に各国にも道義的責任がある重要な業務であると認識しています。

 この認識の下、難民認定申請者のうち、当面の住居を自力で確保できない者に対しては、外務省として、事業の委託先であるアジア福祉教育財団難民事業本部、いわゆるRHQを通じて、緊急性と必要性などを総合的に判断した上で、このESFRA、難民認定申請者の緊急宿泊施設を提供しています。

 その上で、ESFRAに入居する者に対して、委託先のRHQは、転居先の家探しを支援するなど様々な支援を行っていますので、いずれにしましても、今後も、適正な保護が実施できるよう不断の検討を続けてまいりたいと思います。

本村委員 是非、難民認定申請者の人権を守る立場で、手厚くやっていただきたいということを重ねて申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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