衆議院

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第22号 令和6年6月19日(水曜日)

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令和六年六月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君

   理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君

   理事 池下  卓君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      斎藤 洋明君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    平口  洋君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君   おおつき紅葉君

      鎌田さゆり君    鈴木 庸介君

      寺田  学君    山田 勝彦君

      阿部 弘樹君  斎藤アレックス君

      美延 映夫君    日下 正喜君

      平林  晃君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           永島 勝利君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    押切 久遠君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         岸谷 克己君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

六月四日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(石川香織君紹介)(第一七〇八号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一七〇九号)

 同(神谷裕君紹介)(第一七一〇号)

 同(たがや亮君紹介)(第一七一一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一七二六号)

 同(野間健君紹介)(第一七二七号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一七二八号)

 同(湯原俊二君紹介)(第一七二九号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一七六二号)

 同(落合貴之君紹介)(第一七六三号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一七八三号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一七八四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一七八五号)

 同(篠原孝君紹介)(第一七八六号)

 同(末松義規君紹介)(第一七八七号)

 同(緑川貴士君紹介)(第一八三四号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七三四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七三六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七三七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七三八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八〇三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八〇四号)

 性虐待・性搾取等子供への性加害を根絶するためサバイバーの声を生かした施策強化と関係法規の更なる改正に関する請願(石破茂君紹介)(第一八三五号)

同月十日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(篠原豪君紹介)(第一八七六号)

 同(白石洋一君紹介)(第一八七七号)

 同(中川正春君紹介)(第一八七八号)

 同(山崎誠君紹介)(第一八七九号)

 同(長友慎治君紹介)(第一九〇一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一九〇二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一九〇三号)

 同(米山隆一君紹介)(第一九〇四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一九二八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九二九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九三二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九三四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一九三五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九三六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九三七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九三八号)

 同(渡辺創君紹介)(第一九三九号)

 同(道下大樹君紹介)(第一九七五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九七六号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(中川正春君紹介)(第一八八〇号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第一八八一号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第一八八二号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一九七七号)

同月十二日

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(神谷裕君紹介)(第二一一六号)

 同(櫻井周君紹介)(第二一一七号)

 同(寺田学君紹介)(第二一一八号)

 同(中島克仁君紹介)(第二一一九号)

 同(柚木道義君紹介)(第二一二〇号)

 同(大口善徳君紹介)(第二二五三号)

 同(金子恵美君紹介)(第二二五四号)

 同(川内博史君紹介)(第二二五五号)

 同(鈴木庸介君紹介)(第二二五六号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第二三七六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二三七七号)

 同(階猛君紹介)(第二三七八号)

 同(道下大樹君紹介)(第二三七九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三八〇号)

 同(屋良朝博君紹介)(第二三八一号)

 同(米山隆一君紹介)(第二三八二号)

 同(阿部知子君紹介)(第二四九〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二四九一号)

 同(稲富修二君紹介)(第二四九二号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二四九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四九七号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二四九八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四九九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五〇〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五〇一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五〇三号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(福田昭夫君紹介)(第二一二一号)

 同(藤岡隆雄君紹介)(第二一二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二五七号)

 同(金子恵美君紹介)(第二三八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三八四号)

 同(福島伸享君紹介)(第二三八五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五〇四号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(鈴木庸介君紹介)(第二二五二号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(笠井亮君紹介)(第二二五八号)

同月十四日

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(野間健君紹介)(第二六二三号)

 同(森田俊和君紹介)(第二六二四号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第二八五四号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六二五号)

 同(森田俊和君紹介)(第二六二六号)

 同(吉川元君紹介)(第二六二七号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第二七六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七六二号)

 同(神津たけし君紹介)(第二八五五号)

 同(階猛君紹介)(第二八五六号)

 同(下条みつ君紹介)(第二八五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八五八号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第二六二八号)

 同(本庄知史君紹介)(第二六二九号)

 同(道下大樹君紹介)(第二七六五号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(新垣邦男君紹介)(第二七六三号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第二七六四号)

同月十七日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(坂本祐之輔君紹介)(第三〇三四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三〇三五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇三六号)

 同(酒井なつみ君紹介)(第三一六一号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一六二号)

 同(安住淳君紹介)(第三二四三号)

 同(長妻昭君紹介)(第三二四四号)

 同(おおつき紅葉君紹介)(第三三三三号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第三三三四号)

 再審法改正(刑事訴訟法の一部改正)を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一五六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第三一五七号)

 同(柴山昌彦君紹介)(第三一五八号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三一五九号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一六〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第三二四〇号)

 同(仁木博文君紹介)(第三二四一号)

 同(本村伸子君紹介)(第三二四二号)

 同(田嶋要君紹介)(第三三三一号)

 同(吉田宣弘君紹介)(第三三三二号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三一六三号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第三二四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本年五月、滋賀県において、保護司として活動されていた新庄博志さんが不慮の死を遂げられました。誠に痛惜の念に堪えません。

 ここに、新庄博志さんとその御遺族の皆様に衷心より哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

武部委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

武部委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十日、裁判所の司法行政及び出入国在留管理行政の実情調査のため、委員十一名が参加し、福岡家庭裁判所及び福岡出入国在留管理局福岡空港出張所の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 まず、福岡家庭裁判所では、同家庭裁判所の概要及び調停手続について説明を聴取した後、調停室や審判廷、試行的面会交流が行われる科学調査室等の視察を行いました。

 その後、同家庭裁判所の人的体制の実情、ICTの活用状況、DVや虐待が疑われる事案への対応状況、改正民法を踏まえた今後の取組等について、同家庭裁判所の裁判官、家庭裁判所調査官及び書記官並びに家事調停委員の方々と意見交換を行いました。

 次に、福岡出入国在留管理局福岡空港出張所では、福岡出入国在留管理局長から、福岡空港における出入国審査等の業務及び施設の概況について説明を聴取した後、出国審査場や上陸審査場等の視察を行いました。

 その後、出入国審査手続の実情、入管職員のキャリア形成等について質疑応答を行いました。

 以上が、視察の概要であります。

 最後に、今回の視察に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

武部委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官親家和仁君、総務省統計局統計調査部長永島勝利君、法務省民事局長竹内努君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省保護局長押切久遠君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、文部科学省大臣官房審議官奥野真君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君及び国土交通省大臣官房技術審議官岸谷克己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長吉崎佳弥君及び家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。

井出委員 おはようございます。

 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、再審法について聞いてまいります。

 四月の二十二日に予算委員会でもこの件を取り上げましたが、再審無罪が確定するまでに、長いものでは本当に数十年という時間を要し、その大きな原因の一つは、再審請求手続や再審の過程において、当初ないと言われていた証拠が数十年の後に出てきたり、ないないと言っていたものが後から出てくるという、証拠の開示の在り方が大きな問題だと思っております。

 そこで、今日は、まず幾つか事例を紹介したいと思います。資料の一。二枚紙を御覧ください。そこに幾つか事件を並べてまいりました。

 (一)は袴田事件でございます。アンダーラインをつけてまいりましたが、第一次再審段階では二十七年間証拠の開示がなかった。それから、第二次の再審で資料が開示されるようになり、争点となっているものについては、検察官が不存在としていたものを、最終的に自らの反証のために開示したという事実がございました。

 それから、一つ飛ばして、(三)日野町事件。これは、一番下のところを御説明申し上げますが、裁判所から、不存在と回答した証拠物が後に発見された経過については、遺憾であるとの発言が出ております。

 ページをめくっていただいて、(四)湖東記念病院事件。これも、再審無罪後、裁判長が説諭の中で、一つでも証拠が適切に開示をされていれば、本件は起訴されなかったものかもしれない。

 その下、(五)天竜林業高校事件。これは再審請求が棄却になっておりますが、先行する収賄側の再審請求で不存在とされた証拠が、贈賄側の再審請求で開示をされ、最高検が謝罪をするということがあったと聞いております。

 そして最後に、一つ飛ばして、(七)大阪強姦事件。これは、再審が極めてスムーズに進んだ事件です。被害者が証言を覆したということで、スムーズに再審が進んだ。そうした中で、これは裁判所が検察に、決定という形で、証拠を開示するよう求めました。しかし、それについて検察側は、意見という文書で、裁判所がこういう決定を出すのは法律上許されない行為であると記載し、これを拒否しました。

 資料の二枚目。これは、ある再審請求の事件の手続の中で、裁判所に対して検察から示されたものでございます。今日は制度一般を議論するため、個別の部分に係るところは私の方で全て削除をしてまいりましたが、第一は、結論、開示は行わない。下の二です。その理由として、現行法上許容されないと解されている、検察官に証拠開示や証拠の一覧表交付の義務はないということが言われております。

 まず、裁判所に伺いますが、裁判所はそれぞれの裁判体において適切に訴訟指揮をする、その中で開示請求という、証拠を検察側に求めるようなことがあると思いますが、そうした拒否されるという事例が今紹介したように幾つか出ているということ。このことは、一般論において、裁判所が果たそうとする訴訟指揮にとって、いいものなのか、プラスに働くのか、マイナスに働くのか、そこを端的に伺いたいと思います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 お問合せの件につきましては、最高裁の事務当局としまして個別の事案に対する所感を述べることにつながりまして、その点は困難でございます。お答えを差し控えさせていただきます。

井出委員 一般論で、訴訟指揮というものの重要性について、また、それの障害となるようなことについて、裁判所としてやはり訴訟指揮というものは非常に大事であり、それに従ってもらうことは重要だと思いますが、その点だけは。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮ですけれども、個々の事案における裁判所の訴訟指揮の在り方等について、事務当局としてお答えすることは困難でございます。

井出委員 それと、もう一点だけ裁判所に聞いておきます。何度も聞いて、ごめんなさいね。

 検察官が、今私が示した資料の中で、現行法上許容されない、裁判所がこういう決定を出すのは法律上許されないという御主張があるんですが、これは、率直に読めば法律に問題があると。法律を変えれば、それは訴訟指揮に従ってもらえるわけだし。そのことについては、肯定も否定もしませんね。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 法制化の必要性については、立法政策の問題でございます。事務当局としてお答えする立場にはございません。申し訳ありません。

井出委員 お答えをすること、肯定も否定もしないということでいいかな。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 二択で答えろと問われますと、なかなか苦しゅうございますけれども、答弁は変わりません、事務当局としてお答えする立場にございません。

井出委員 二択とは聞いていません。肯定か、否定か、肯定も否定もしないの三択でございますので。

吉崎最高裁判所長官代理者 肯定も否定もしないということになります。

井出委員 ありがとうございました。最高裁としては、ここが精いっぱいかなというふうに思います。

 刑事局長に伺いますが、今私がるる紹介したように、証拠開示をしない一つの理由として、現行法上許容されないという部分がありますが、これは、法律に問題がある、法律が変わればそこはまた変わってくるという理解でいいのか、伺いたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のそれぞれの事件について証拠開示の問題をいろいろ御指摘されましたけれども、個々の事案については、恐縮ですが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上でですが、証拠開示について裁判所の方から求められた場合に、検察官が保管しているけれども応じないという場合がございます。

 それに関しましては、まず、再審請求審における証拠開示に関して裁判所がどのように職権行使をされるかということについては、法務当局としてはお答えはする立場にはないんですけれども、一般論として、検察当局におきましては、検察官が保管している証拠の提出を裁判所から求められた場合には、再審請求審において裁判所が再審開始事由の存否を判断するために必要と認められるかどうか、また、請求人側から開示を求める特定の証拠について必要性と関連性が十分に主張されたかどうか、また、開示した場合における関係者の名誉やプライバシーの保護、また、将来のものも含めた今後の捜査、公判に関する影響などを勘案しつつ、裁判所の意向等も踏まえて、法令やその趣旨に従って、裁判所への証拠提出等に適切に対応するよう努めているものと承知をしておりまして、再審請求審においては有罪判決を受けた者に対して無罪等を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したときに行うことができるとされておりまして、裁判所が再審請求審において御判断されるのは、請求者から提出された証拠に基づいて再審開始事由があるかないかという御判断と承知しております。

 裁判所がその判断に当たって必要に応じて職権で事実の取調べをされるわけですけれども、そういった意味におきまして、再審請求審において検察として開示をすべき証拠の判断としては、先ほど申し上げたようなことによって判断をしているということでございます。

井出委員 想定する中で一番とがった答弁をいただいたと思いますが。

 要は、再審制度というものは、おっしゃるように、職権主義で、裁判所の指揮において行われる。法務省もいつも、裁判所において柔軟かつ適切な処理をされているものと認識をしておりますと。しかし、訴訟指揮とぶつかることがある。じゃ、どうしてぶつかるんだと聞けば、それは検察の方でも真に必要かどうかいろいろ考えて出すと。

 これを踏まえて考えますと、裁判所において柔軟かつ適切な処理をされているものといういつもの法務省の答弁は、これは実は主語が間違っていて、法務省において柔軟かつ適正な処理をされているものと認識をしておりますというぐらい、それだけ、私は、職権主義、裁判所の訴訟指揮というものが、果たして実態として本当に守られているのかと。裁判所の職権の下に、訴訟指揮の下に再審をやるというのであれば、もっともっと裁判所の言うことにきちっと従っていただく必要があるのではないかなというふうに思います。

 それで、大臣に伺います。

 この件は、私、裁判所とか法務省の皆さんと個別に議論をしていると割とかみ合うんですね。昨日もレクを電話でやりましたけれども、本当に相手の方がずっと沈黙してしまうようなやり取りもある。

 しかし、それを、法務省となると、最高裁も肯定も否定もしないが精いっぱいなんですよ。これは別にその二つの省に限ったことではありませんし、再審法の改正というものに対して司法当局が反対するというのは台湾でも韓国でもあることですので、日本の法務省だけがおかしいということは言うつもりもありません。

 しかし、この壁を突破するには、やはり誰かがリーダーシップを発揮して、こうしてみてはどうかと、個別の検証をやる必要が、個別の検証をやるというような趣旨の答弁も前にいただきましたけれども、是非そのリーダーシップ、先導役を果たしていただきたいと思います。

 私は、再審法というものは最後の救済手段なので、少なくとも証拠、本当に実態を判断する主要なものについては、やはり、きちっと手続を条文にしてほしい、そう思っておりますが、ちょっと御見解をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 再審法の改正問題は、よく我々も申し上げますが、司法制度の基盤に関わる問題ではありますね。したがって、様々論点があり、相当専門的な深い議論を重ねていく必要があると思いますが、しかし、結局、全体としては個々の論点によって構成されている一つの問題でありますから、個々の論点に下りていって、そこをしっかりと議論をし、また、コンセンサスが必要ならば理解を求めていく、あるいは制度を編み出していくという、個々の論点に下りた具体的な努力の積み重ねの中で、おのずと答えが出てくるべき問題だと思うんですね。

 こういう国会の場とか様々な公式の場で、なかなか個々の論点に下りた議論ができませんけれども、今、新しい刑訴法改正に関する刑事手続の在り方協議会において、まさに個々の論点に議論が入り、始まっています。一巡、二巡しています。個々の論点全部をやはり網羅していく必要があると思いますので、しっかりと我々もそれをフォローいたしますし、国会においてもその議論をフォローしていただいて、また議論させていただく、かみ合った議論の中で答えを導いていくというやり方が必要かと思います。

井出委員 最後、刑事局長のリーダーシップも求めておきたいと思います。

 資料の三。ここに気鋭の検察官のインタビューが出ておりますが、その中で、検察官になろうと思ったきっかけで、犯人や被害者の人権を守りながら、処罰されるべき人を処罰し、許すべき人を許すことによって、社会の安全と秩序を守るのが検察官の役割だと。

 それから、刑事局長が山形の検事正になったときに、冤罪を生まない、適切な処罰をするをモットーとする、座右の銘は、なせば成るだと。

 刑事局長、私は、法務省がこの件に慎重なのは、それは組織としてだと思うんです。今、大臣にリーダーシップを求めましたが、刑事局長のお立場であっても、罰する人を罰して許すべき人を許す、この後段の部分というものは、私は、再審法の見直しというものが必要ですし、是非リーダーシップを取っていただきたい。

 あちこちで女性初の検事正だ、刑事局長だと言われて、「虎に翼」のような、令和の「虎に翼」なのかなと私は思って見ておりますが。あのドラマも恐らく毎朝御覧になっていると思いますし……

武部委員長 申合せの時間が経過しております。

井出委員 頑張っていただきたいと思いますが、一言、最後に。

武部委員長 松下局長、答弁は簡潔にお願いします。

松下政府参考人 御指摘の資料に書かれていることは私自身の信条でもございまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

井出委員 済みません、超過して。失礼しました。終わります。

武部委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 十五分間の持ち時間でございますので、ちょっと駆け足になろうかと思いますが、よろしくお願いします。

 先月、大津市で保護司の活動を長年続けてこられた新庄博志さんがお亡くなりになった事件でございますが、保護観察中に起きたと思われる事案であり、心から哀悼の意を表したいと思います。

 今まさに持続可能な保護司制度の確立と保護司に対する支援の充実を検討しているさなかでもございますが、今回の事件は、全国の保護司の方々、またその御家族にも少なからず衝撃を与えたと思います。

 我が党からも、一昨日、小泉大臣宛てに、再犯防止の充実強化及び保護司の安全確保等に関する緊急提言を提出したところでございます。

 今後、保護司の方々の不安解消と安全を確保するための方策として、法務省としてどのような対応をお考えか、小泉大臣の御所見をお聞きします。

小泉国務大臣 熱心に活動されていらっしゃいました保護司の方がお亡くなりになり、本当に痛ましい事件でございます。私はもちろん、関係者一同、大変心を痛めているところでございます。

 まず、全国の保護司の方々が大変不安に思っていらっしゃるということに寄り添わねばならないということで、六月十日の月曜日から、保護観察を担当されている保護司の方全員に、電話をかけ、あるいはお目にかかり、不安な点はないかどうか、現状の確認と、そういった意見の聴取を行っております。七月以降は、保護観察を担当されていないやはり全保護司の方々に、接点を求めてアプローチをしてまいります。

 その結果、出されてくる様々な問題点、あるいは不安な点を踏まえて、七月の中旬以降、速やかに、順次、打てる手を打っていこうというふうに考えております。

 複数指名の積極的な運用、あるいは保護観察官による直接処遇の強化、あるいは自宅以外の面接場所の確保、こういった項目が想定されますけれども、個々のケースに応じて、速やかに、できることから早急に進める、こういう段取りで対応したいと思います。

日下委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 次に、再犯防止に関連して、高齢者や障害者の刑事事件をめぐる課題について質問いたします。

 先日、児童精神科医として精神科病院や医療少年院、女子少年院に勤務してこられ、現在立命館大学教授の宮口幸治氏の「ケーキの切れない非行少年たち」という本を読ませていただきました。

 それによると、二〇一七年の刑務所の新規受刑者数は一万九千三百三十六人で、そのうち約二〇%に当たる四千人弱がIQに相当するCAPASという能力検査値が七〇未満の軽度知的障害若しくは知的障害の方々、そして三四%はCAPAS値七〇から八九の境界知能と呼ばれる領域におられる方々、合わすと約半数になるということです。

 これまで知的障害の定義は米国主導で行われてきており、アメリカ精神医学会では、一九五〇年代の一時期はIQ八五未満を知的障害としていましたが、それでいくと全体の一六%が知的障害ということになり、支援が追いつかない等のため、一九七〇年代以降、IQ七〇未満に改められ、今日まで続いているということです。

 ただ、数字の定義は変わっても、知的なハンディや生きづらさは変わらないということでございます。

 著者の宮口氏は、こうつづっています。

 少年院に赴任したての頃は、凶暴な連中ばかりで、いきなり殴られるのではないかといつも身構えていました。しかし、実際は人懐っこくて、どうしてこんな子がと思える子もいました。しかし、一番ショックだったのが、簡単な足し算や引き算ができない、漢字が読めない、簡単な図形を写せない、短い文章すら復唱できないといった少年が大勢いたことでした。見る力、聞く力、見えないものを想像する力がとても弱く、そのせいで勉強が苦手というだけでなく、話を聞き間違えたり、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗したり、いじめに遭ったりしていたのです。そして、それが非行の原因にもなっていることを知ったのです。

 また、一次障害は、障害自体によるもの、二次障害は、周囲から理解されず、学校などで適切な支援が受けられなかったことによるもの、三次障害は、非行化して矯正施設に入り、さらに理解されず、厳しい指導を受け一層悪化する、四次障害は、社会に出てからも理解されず、偏見もあり、仕事が続かず再非行につながるというものです。

 そして、矯正施設内の検査で知能が高く見積もられると、知的な問題はなしと判定され、健常少年と同じ扱いになり、不適応行動を繰り返し、そのたびに単独室で反省、出院延期、それで余計に暴れ、また処分。これを繰り返すと精神科医が呼ばれ、精神科薬が投与、効果が出なければ投与量が増え、出院時には精神科薬がないと生活できない患者になってしまうこともあるといいます。

 少年院や刑務所が最後のセーフティーネットになってしまい、精神科薬がなければ生活できない患者になってしまうケースもあるという、こんな痛ましいことがあってはならないと思います。

 先日、元日本司法精神医学会会長で児童精神科医の松田文雄医師を訪ね、お話を伺ったのですが、こうした障害のある人が加害者になるというよりも被害者になる数の方が圧倒的に多い、素直さゆえにすぐにだまされてしまう、利用されてしまうということでした。

 司法と福祉のはざまで福祉的支援につながることができず苦しむ人を一人でも減らせるよう、関係府省庁が連携し、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。知的なハンディを持って日々生きづらさを抱える人たち、子供たちを、犯罪被害から守る、そして犯罪者にしない、さらに再犯者にしないことが大変重要だと思いますが、小泉大臣の御所見を伺います。

小泉国務大臣 司法の現場において福祉につなげていくことの重要性、これは本当に大事なポイントだというふうに思います。様々な御苦労、御努力が重ねられてきていますけれども、まず、刑事施設においては、刑執行開始時の段階から、必要に応じて福祉の専門性を有する職員が福祉的支援のニーズ等についてアセスメントを行っております。

 また、知的障害等により出所後の自立が困難と認められる者に対しては、出所後に円滑に福祉サービス等を受けることができるよう、関係機関と連携した特別調整等の福祉的支援も実施をしております。

 出所後、福祉サービス等につなげることができれば、加害者が必要な援助等を受けることができ、再び加害者となるリスクだけではなく、被害者となるリスクも低下させることができると考えます。

 引き続き、関係省庁と緊密に連携し、知的障害等のある方の再犯防止、また円滑な社会復帰に向けた福祉との連携、この取組を重点的に推進してまいりたいと思います。

日下委員 よろしくお願いします。

 先ほど紹介した「ケーキの切れない非行少年たち」の著者である宮口先生が考案された認知機能を高めるトレーニング、コグトレを、三重県にある宮川医療少年院で実践されているということでございますが、コグトレに限らず、こうした取組の状況や広がり、成果などを教えていただければと思います。

花村政府参考人 お答えします。

 少年院におきましては、障害又はその疑いのある在院者に対して適切な矯正教育を実施するため、障害等その特性に応じ、社会生活に必要となる基本的な生活習慣を身につけるための指導や、適切な対人関係を築くことができるようになるための指導のほか、資質や情緒等の課題の変容を支援するための治療的指導等を重点的に実施する支援教育課程を設けており、その対象となる在院者は少年鑑別所の鑑別の結果等を踏まえて決定することとしております。

 宮川医療少年院は支援教育課程の在院者のみを収容対象としており、これまで宮口幸治氏が考案されたトレーニングを始めとした先進的な取組を推進してきたところです。

 具体的には、平成二十一年から、在院者に対して、学習の土台となる認知機能の強化を図るため、覚える、写す、見つける、数える、想像するの五つのトレーニングから構成される認知機能強化トレーニングや、身体的不器用さを改善するため、実際に身体を動かしてコントロールする認知作業トレーニングに取り組んでおります。

 これらのトレーニングにより認知機能が強化され、学習に対する意欲や、他者に対して物事を分かりやすく伝える能力が向上するなど、在院者の改善更生に一定の成果を上げていると認識しており、現在、支援教育課程を有する多くの少年院におきまして認知機能の向上に着目した指導を実施しております。

 また、発達障害やその疑いのある者などに対する適切な働きかけのため、平成二十八年に少年院の職員向けのガイドラインを策定し、活用しているところ、より効果的な指導に向けて改定の準備を進めており、更なる処遇の充実を図ってまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 一般の刑務所も含めて、来年六月から拘禁刑への移行が始まります。矯正施設内での個別処遇の充実も図られると思います。是非、全国の矯正施設に広げていただきたいと思います。

 次に、先日、二〇一〇年に開設された広島県地域生活定着支援センターを訪ね、その取組や課題を伺ってまいりました。

 全都道府県にある同センターは、保護観察所等と連携を取り、高齢や障害等の理由で特別な支援が必要な矯正施設からの退所者に対し、生活保護の手続や福祉的な支援、施設入所の手配、手続、アパートで独り暮らしを希望される場合は、一時帰住先の調整や、その後のアパート探しの同行、電気、ガス、水道など各種手続の支援、福祉サービス等の助言、調整等々、入所中から帰住地調整を行うコーディネート業務、そして、福祉施設等へ入所した後も継続的に支援するフォローアップ業務、そして、令和三年度からは被疑者等支援業務が加わり、刑事司法手続の入口段階にある被疑者等と面接を行い、釈放後速やかに地域の中で生活ができるよう事業所等のあっせんや必要な福祉サービスを受けられるように申請支援を行っており、入口と出口の両面での定着事業を行っておられます。

 同センターは、社会福祉士と精神保健福祉士によって構成されておりましたが、出所者を再び刑務所ではなくて本来の福祉につなげる役割を担い、政府が掲げた出所受刑者の二年以内再入率を一六%以下にする目標達成にも大きく貢献するものであったと思います。

 そして、課題も伺ってまいりました。同センターは県からの委託を受け運営されておりますが、事業費に占める国からの予算の割合が少なくなってきているとのこと。現在、定員七名のところを非常勤二名を含め六名、一名欠員で運営しておりますが、人件費を考えるとそうせざるを得ないということでございました。こうした特別な支援を行うにはキャリアをある程度積んだ方に来てもらいたいが、給与面でアプローチできないのが大きな課題と伺いました。

 都道府県によって設置の仕方も異なるようですが、予算面の拡充について、各県の状況を丁寧に聞いていただき、対応をお願いしたいと思いますが、所管の厚生労働省の御所見を伺います。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の地域生活定着支援センターでございますが、各都道府県に設置されております。高齢又は障害によりまして、福祉的な支援を必要とする犯罪をした方等に対しまして、関係機関と連携、協働しながら、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束中から釈放後まで一貫して、社会復帰それから地域生活への定着に向けた相談支援等を実施しているものでございます。

 私どもといたしましては、こうした取組を地域生活定着促進事業として推進しているところでございます。この事業におきましては、高い専門性ですとか経験を有しまして、他の機関と協働して包括的な支援ですとか人材育成等ができる高度な人材を配置するセンターに対する特別支援体制加算を設けております。こうした取組を通じまして、御指摘にも対応できるような配慮をしてきているところでございます。

 引き続き、各都道府県と緊密に連携しまして、犯罪をした方等に対する福祉的な支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

日下委員 よろしくお願いします。

 生活の基盤となる住居を確保することは、再犯防止を図る上で欠かすことができません。この住居の確保が今困難になっていると伺いました。

 一つは、退所後の利用施設のミスマッチの問題。矯正施設の退所前に見学できない場合が多く、具体的にイメージできないため、施設と本人、相互の不満につながっているということ。二つ目に、出所後すぐの一時的な帰住先、シェルターや自立準備ホームが圧倒的に少なくて困っているなどの声もいただきました。

 出所者の住居の確保に関して、法務省の現時点での認識と今後の対応を伺いたいと思います。

花村政府参考人 お答えします。

 高齢又は障害のある受刑者の円滑な社会復帰に向けては、個々の受刑者のニーズに応じた福祉的支援につなげられるようにすることが重要であると考えております。

 刑事施設では、高齢又は障害のある受刑者が帰住先の福祉施設での生活になじむことができるように、刑事施設在所中に当該福祉施設等における福祉サービスの事前体験などを実施するなど、高齢又は障害のある受刑者のニーズに応じた住居の確保等の福祉的支援を実施しております。

 令和五年十二月に刑事収容施設法に社会復帰支援に係る規定が新設されたことも踏まえまして、福祉的支援の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

日下委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、おおつき紅葉君。

おおつき委員 立憲民主党のおおつき紅葉です。

 改めて、先ほど黙祷もささげましたが、五月に大津市で亡くなられた、保護司の新庄さんの殺害された痛ましい事件には、私からも哀悼の意を表しますし、こういった事件、罪を犯した人の更生を支援する保護司の方々には敬意を表します。この方々、ボランティアで支えられているとのことで、各地域で本当に奮闘されている方々、お話も伺ってまいりました。

 そして、こういった方々が、やはり、このような、全国ニュースにもなっておりますし、自宅での面接に対して心配な声も上がってきております。先ほど大臣からも、既に現状でも自宅以外の場所での面接は可能だということも存じ上げておりますが、改めてそういった場所の拡充と、行政の場でできることというのは、やはり場を設けてあげるだとか、あとは、こういった保護司の性質を例えば法人に持たせることによってチームで、例えば、あとは社会と法人が連携をして支援をしていくという在り方が方法論の一つとして、今までのを変えるだけじゃなく、改めて選択肢をつくってあげることによって安心した環境につなげられると思いますので、私から提案でございます。大臣も先ほどの決意を申し上げられておりましたので、こういった提案も含めて、早急に拡充をしていっていただきたいという提案を最初に申し上げさせていただきます。

 そして、こういった観点から、私は、今現在、日下委員が質問された、福祉的支援を必要としている触法者の方々に対する支援の必要性について今日は質問をさせていただきたいと思います。

 現在、法務省においては第二次再犯防止推進計画を昨年度からの五か年で実施しているところだと承知をしておりますが、触法者が検挙されてから地域社会復帰に至るまでの一連の流れと、刑事司法システムがどのような機能、役割を果たすのか、地域資源では何が今足りていないのかについて質問をさせていただきたいと思います。

 まずは数字の観点でなんですけれども、令和五年度の犯罪白書によると、犯罪の認知件数、今約百十八万件、そして検挙件数が約八十一万件であると承知をしております。これでよろしいですよね。その中でも、実は、この検挙された人数の九八%が不起訴や執行猶予そして罰金等なので、矯正施設に入らずに地域に戻っていくこととなっていることが現状です。実刑の人数というのは実は一万五千人ぐらいしかいないんですね。

 こういった中で、誰かに危害や損害を加えたら罰せられるのは当然だと私も思います。ただ、先ほど日下委員も申し上げました、この中に制度のはざまで支援から取り残される方々、こういった方々の入口支援と出口の支援の重要性が今まさに必要になってきていて、増してきているものだと思います。特にその中でも高齢者や障害を持っている方々、こういった福祉的支援が必要とされていると思います。

 そして、その中で大きな役割を果たす方々というのが刑事司法ソーシャルワーカーという方々で、この方々、弁護士や社会福祉士、精神保健福祉士などの専門職や、地域生活定着支援センター等がそれに当たっていて、医療機関や不動産賃貸事業者などとも連携をしています。これらが刑事司法機関といかにしっかりと手を取り合っていくか、これが効果を発揮する前提となってくると私は考えております。

 そして、この刑事司法ソーシャルワークについて、私の地元北海道で触法者支援を行っている団体から、現場目線での課題を今回ヒアリングさせていただきました。その中で、三つ大きく課題があると伺ってまいりました。

 一つが、個人情報の壁です。逮捕歴など犯罪歴は慎重に取り扱うことが必要なのは理解するんですけれども、支援機関であっても公開されない情報等があることで、支援が行いにくくなってしまうということ。二つ目が、支援対象者自身が、福祉サービスの必要性を認識していないことや、支援を希望しない場合もあること、そして、生きづらさを解決しないまま地域に戻ってしまうと、結局、再び犯罪に結びつく可能性が高くなってしまうということ。そして三つ目が、司法的知識や経験を持つソーシャルワーカー自体が不足していることなんですね。刑事司法ソーシャルワークのプレーヤーになり得る人材の育成、まさに人への投資です、これを積極的に行う必要があります。

 この点に関して、法務省と厚労省に、こういった点の課題認識と、解決に向けての展望を今後どのように考えているのか、お答えをお願いいたします。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員から、個人情報を得ることが困難であるとの声を聞くという質問をいただきました。

 障害のある受刑者が出所後必要な支援を受けるため、刑事施設や保護観察所が地域の支援団体等と連携することは、再犯防止、社会復帰にとって非常に重要であると認識しております。

 保護観察所は、高齢又は障害のある受刑者等が矯正施設出所後に福祉サービスを円滑に利用することができるよう、矯正施設、地方更生保護委員会、地域生活定着支援センター等と連携し、矯正施設在所中から必要な調整を行う特別調整の取組等を行っております。

 刑事施設や保護観察所では、特別調整等の取組において、個人情報の提供の同意を受刑者本人から得た上で、福祉サービス等を提供する関係機関、支援団体等に対して必要な個人情報を提供するなどしております。

 今後も、受刑者が出所後必要な支援を受けることができるよう、本人の同意の下、必要な個人情報を提供するなどして、支援団体等との連携を強化してまいりたいと存じます。

花村政府参考人 福祉サービスの必要性を本人が理解していない場合があるというふうな課題について、お答えを申し上げます。

 福祉的支援の性質上、本人の希望がなければ手続を進めることが難しいところ、客観的には福祉的支援の必要性が認められる受刑者であっても、福祉的支援を希望しない場合があるものというふうに認識をしております。

 高齢又は障害等により矯正施設出所後の自立が困難と認められる者に対しましては、釈放後の福祉サービス等を調整する特別調整等の福祉的支援を関係機関と連携しながら実施をしているところ、刑事施設におきましては、刑執行開始時の段階から、必要に応じて福祉の専門性を有する職員が福祉的支援のニーズ等につきましてアセスメントを行うとともに、福祉的支援が必要と認められる受刑者に対しましては、一般改善指導として社会復帰準備指導を実施し、地方更生保護委員会の保護観察官とも連携するなどして、福祉的支援の実施に向けての動機づけ等を行っておるところでございます。

 円滑な社会復帰に向けて福祉的支援の必要性が認められる受刑者につきましては、釈放後に適切な福祉的支援を受けることができるよう、改善指導などの機会を捉えて、受刑者本人に対する動機づけ等の働きかけを推進してまいりたいというふうに考えてございます。

斎須政府参考人 先生御質問の刑事司法と福祉の双方の知識を持った人材育成につきまして、厚生労働省の取組をお答えさせていただきたいと存じます。

 各都道府県に地域生活定着支援センターが設置されておりまして、高齢又は障害によって福祉的な支援を必要とする犯罪をした方等に対して、社会復帰ですとか地域生活への定着に向けた支援を行っているところでございます。

 こうした支援を効果的に行うためには、先生御指摘のとおり、刑事司法と福祉の双方の知識を有する人材を育成することが重要であると認識しております。

 このため、厚生労働省におきましては、地域生活定着支援センターの職員に対する研修を行っておりまして、この中で刑事司法の関係者を講師に招いて刑事司法に関する講義を行っていただくなどして、刑事司法と福祉の双方の知識を有する人材の育成に努めているところでございます。

おおつき委員 今、取組と課題の認識があることは分かったんですけれども、実際に現場ではやはり全然足りていないんですよね。是非、大臣、早急にこういった手当ては進めていかなきゃいけないことだと思います。

 続いて、今は入口支援だったんですけれども、次は出口支援について伺います。

 出口支援に関しては、矯正施設以降のフェーズにおける触法者の支援で、先ほどの入口支援と比べると当事者が抱える問題も複雑で、実刑に至っていることで地域社会に復帰するハードルが高くなってしまうものと考えます。しかし、抱える困難を解消していくことで、新たな犯罪被害者を生まないということはもちろん、制度や環境の整備で、でき得る限り加害者を出さないようにしていくことは、社会全体としても利益であると私は考えております。

 この障害の分野について申し上げれば、医療につながってこなかったことで療育手帳を持っていない知的障害のある人や、境界知能、いわゆるグレーゾーンですね、様々な困り感のある方というのは生活が破綻するリスクも大きくなってしまいます。精神障害、発達障害もしかりだと思います。いわば潜在的な障害者には矯正機関にいる間に障害者手帳を交付する必要があると考えます。

 例えば、令和二年度に法務省の矯正局が実施した特別調査によりますと、全国で千三百四十五名の知的障害を有する又はその疑いがある受刑者がいること、千三百四十五名のうち療育手帳を取得している方々が四百十四名、約三〇%の方々であるということが判明いたしました。

 この調査について、そもそもの契機が何であったのか、また、調査に関する経緯について御説明をお願いしたいのと、また、このときに初めて判明した方々には、療育手帳の交付、これはなされたと捉えてよろしいんでしょうか。

花村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に知的障害を有する又はその疑いのある受刑者につきましては刑事施設への入所度数は全体より多い傾向にございまして、刑事施設に再入所した場合、再犯に至るまでの期間が比較的短いことに加えまして、平成二十九年十二月に閣議決定をされた再犯防止推進計画におきまして、犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等が重点課題の一つとして挙げられましたことから、当局におきまして、全国の知的障害を有する受刑者等の実情を把握するため、令和二年度に特別調査を実施したところ、委員御指摘のように、全国で千三百四十五名の知的障害を有する受刑者などがいること、そのうち療育手帳を取得しているのは四百十四名、約三一%であることが判明したというふうなことでございます。

おおつき委員 この療育手帳のない方々が多いというのも、私が直接ヒアリングをした団体からも伺っております。持っていないんですよ、出所したときに。それを、出所する前に取得に向けた調整を行うことこそが再犯防止に向けて行政の行える第一歩ではないか、まだまだできることがあるんじゃないかと私は感じた次第です。

 実は、長崎にこういった事例があります。令和四年六月に長崎の刑務所において、社会福祉法人と業務委託契約を締結して、しっかりと刑務所と社会福祉法人が連携をした形で、療育手帳等の取得に向けた調整などを行って、在所中から出所後の生活安定に向けた一貫性のある指導及び社会復帰支援を実施するほか、出所して、それぞれの地元などで、帰省した後も、息の長い寄り添い型の福祉サービスに移行できる体制を構築しているんですね。こういった連携とか、こういった締結した活動を全国に広げることによって、繰り返される犯罪の防止へとつなげることができるんじゃないでしょうか。こういった長崎の事例があります。

 生まれた地域によって、自分たちが受けられる支援、支援につながることが大事で、その支援につながる差をどうやって埋めていくかということが私は行政の役割だと思うんですよね。だからこそ、私が今回現場で聞いてきた具体的な事例を、次、質問させていただきたいと思います。

 先ほどの団体を通じて、精神障害のある方で、仮にAさんといたします、この方は、刑期、満期を終えて出所した際には三日分の薬しか与えられなかったということで、Aさんはこの薬を飲んでいたんですけれども、四日目以降、薬が飲めずに症状が悪化しながらも、町を徘徊していて、お金もなく、戻る家もなくて、ただ、幸いなことに偶然にこの支援団体の方々とつながったため大事には至らなかったということで伺いました。

 この場合、支援につながったということは結果論だと思うんですね、町を徘徊している中で。精神疾患の方が、出所した後、三日間で、病院の受診をして、さらに、自治体の窓口で難しい福祉の手続を行って、住むところを決めて、仕事を探す。これは現実的に可能であるとは言い難いですし、やはり出口支援が機能しなかった典型例だと思うんです。

 こういったことが起こってしまうのは、システムのどこに欠陥があるのでしょうか。まず、制度上、出所の際に、処方する薬の期間に定めがあるのか、あるいは施設や医師ごとの判断に委ねられているのか。

 もう一つ、また類似のケースについて、心身の健康を著しく害することや、どうしようもなく再犯に至る可能性もあるわけで、この流れの中で本来行政側ができたこと、していた方が望ましかったことは幾つも考えられます。こういった中で何ができたと考えるのか、是非伺いたいと思います。

花村政府参考人 お答え申し上げます。

 矯正施設の長は、医師等におきまして被収容者について釈放後も引き続き医療機関での診察等の必要があると判断した場合、釈放時にその者に対し医薬品を支給することができるとされているところでございます。各施設で支給する医薬品の分量につきましては、一律に定められているものはなく、あくまでも医師等の処方に基づき必要な分量とするというふうなことにされておるところでございます。

おおつき委員 ただ、こういった事例も含めて、出口支援として成り立っていなかったケースということがあることをやはり受け止めなくちゃいけないと思います。こういった、例えば窃盗や薬物事犯というのは、刑期を終えてもケアや治療が行われなければ何度も同じ罪を繰り返してしまう可能性が高くなるということを伺っております。

 こういった関係は、先ほど日下委員も申し上げましたけれども、治療という観点もやはり大事で、例えば、今、私、提案なんですけれども、刑事施設の収容状況、二〇〇七年をピークに現在の収容率五〇%といって、半分程度となっていると伺っております。在所中に空きスペースで社会復帰に向けた治療とか自立支援のプログラムを検討してはどうかと考えるんですけれども、大臣、受け止めは聞かないですけれども、是非考慮の一つに考えていただけたらと思います。刑務所の空きスペースを利用して、例えば自立支援に向けた、再犯防止に向けた治療と自立支援のプログラムを是非検討していただきたいと思っております。

小泉国務大臣 検討の視野に入れたいと思います。

おおつき委員 検討も視野に、是非検討していただきたいと思います。検討してください。

 次に、出所後の居場所の確保や身元の引受けについてです。

 やはり居場所がないと仕事を見つけられないので、居場所の確保もこういった施設で私はやっていくべきだと考えているんですね。その中で、刑事司法ソーシャルワークに関わるんですけれども、出所後の身元引受けをするために受刑者面談をしよう、受刑者を面談しなきゃいけないですよね、出所する前に。そのときに、刑務所長の判断で認められたり認められなかったりするという相談を受けたんです。

 刑務所長の権限が大きいこと自体は理解いたしますが、ただ、出所後の居場所づくりの重要性は法務省も訴えている中で、このように所長判断で差異が生まれているのだとすれば、原則認めていく方に変えていくべきものだと思うんですけれども、大臣、見解を伺います。

小泉国務大臣 まず、一般的には、刑事施設において面会を許すべきかどうか、これを判断するに当たっては、面会の目的とか、それを求めていらっしゃる方に関する情報とか、受刑者との関係性などを、やはりスルーパスというわけにはいかない、一定のチェックは入ります。

 しかし、特に高齢、障害等により出所後の自立が困難と認められる受刑者に対する特別調整等の福祉的支援、これは大変重要なものでありまして、外部交通としてこれを認めるということではなくて、社会復帰支援としての面接として実施できるというふうに認識をしております。これをしっかりと徹底しなければいけないということだと思います。

 具体的には、個別の事案に応じて、例えば地域生活定着支援センター職員による特別調整対象者との面接の機会を十分にかつ適切に確保することなど、必要な合理的配慮を図っていかなければならないと考えております。

おおつき委員 最後に、出所後の地域復帰に係る地域間の格差について伺います。

 先ほども日下委員からもありました地域定着支援センターなんですけれども、都道府県ごとに取組の温度差が生まれているということです。私が伺ったのは、千葉県ではステークホルダーと様々な連携を図っていてうまくいっているという評価を伺っておりますけれども、今後、厚労省が手引や運営の指針を作成するなど、水平展開を狙うことは考えられますか。お願いします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の地域生活定着支援センターの都道府県ごとの差についてでございますけれども、好事例の横展開等をすることは有効であるというふうに考えております。

 このため、厚生労働省におきまして、地域生活定着支援センターの職員に対する研修において各地の先進的な取組ですとか好事例等を盛り込むとともに、今年度からは、研修受講者が先進的な取組を行うセンターにおいて実践的なノウハウ等を身につける実地研修を実施することとしております。

 また、来月でございますが、地域生活定着促進事業を担当する各都道府県の職員と、それから地域生活定着支援センターの職員が出席いたします都道府県担当者会議を開催することとしておりますが、この中で先進的な取組を行う自治体等から実践事例を御報告いただくこととしているところでございます。

おおつき委員 時間が参りましたので終わりますが、フードバンクを含めて、こういった自立支援につながらない多くの方々が列を成しています。物価高の中で支援の拡充を是非お願いして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 恐らく、今国会最後の質問に当然なろうと思いますし、巷間言われている、秋ぐらいに選挙があれば、戻ってきたいですけれども、戻ってこられなかったら自分にとって最後の質問になるのかなと、すごく遺言的な気持ちも込めて、特に今日は政府と与党の皆さんにお伝えをしたいなと思いますので、是非、ちょっと二十分、おつき合いください。

 今期、私自身、一時期を除いて、ずっと法務に張りついていました。国対にいたとき以外は法務にいたんですが、やはり自分自身、この法務、今期の中でいうと、性犯罪刑法の改正と、昨年と今年の入管法でした。昨年の入管法は自分が筆頭でしたけれども、牧原さんを含め、本当に、大口先生を含めて、多くの皆さんに御尽力いただいて、折り合いを何とかつけようと思ったんですが、なかなかうまくいかず、その法律も、今、施行が、先週ですかね、されました。

 いろいろな思いはありますが、振り返っても仕方がないのであれですけれども、政府と、あと与党の皆さんにお願いしたいことは、確かに、難民の認定の在り方では非常にいろいろな意見の対立はありましたけれども、いざ認められた難民の皆さんに対して、しっかりとしたサポートをしてほしい。ここは別に意見がずれることではないと思います。

 これからお手元にはお配りをすることになると思いますが、難民の認定者数、これは多い、少ないはいろいろ議論はありますが、二〇一九年は四十九名だったものが、二〇二三年、去年は三百名まで増えました。その大半の二百三十七名、八〇%がアフガニスタン難民です、去年は。アフガニスタン難民は二〇二二年も百四十七人と、含めて、かなり大宗を占める形になっております。

 これはもう御存じのとおりと思いますが、アフガン難民に関しては、まさしくタリバンによって首都が陥落したときに、今まで日本政府を一生懸命支えていた大使館の職員だったりJICAの職員だったり、政府及び準政府に、一緒に日本のために頑張ってくれたアフガンの方々です。

 これは去年の質疑の中でもやりましたが、各国、アフガン難民に対して物すごく手厚い受入れをしました。うちの国自身は、聞くところによると八百人程度の受入れですけれども、アメリカに関しては万を超える形ですし、ドイツ、イギリスも含めて、本当に日本とは桁違いの受入れをしましたし、受入れの仕方も、日本は、お手元の資料にあると思いますけれども、最初は短期ビザで入れて、その後、特定活動に切り替えて、現在は一年単位とかと言っていますけれども、基本は、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダを含めて、いきなり永住権ですよ。

 やはりそこを、難民に差はないとは思いますけれども、特に象徴的に、アフガン難民は日本政府に物すごく協力をしていて、タリバンが実権を今度握ったことによって身の危険を感じた方々をしっかりと受け止めて、その方々をサポートしなきゃいけない責務というのはより一層強いと私は思っています。

 では、その受け入れたアフガン難民に対して、どのようなサポートをしているのか。これはこの間の外務委員会でもやって、外務省に対しても意識を持ってもらったんですが、残念ながら、非常に褒められたものではない現状が続いているのが、今の現状です。

 どういうことを進めているか。難民認定をされた方、そして今回の、昨年の法改正でできた補完的保護、準難民の方々は入管でやっていますし、難民の方々は、外務省が主な責任として、RHQをビークルとしながらやっていっている事態ですけれども、実際のところ、このRHQ自体に余りにも人手と予算が足りない。難民としての受入れ自体、実数としては少ないですけれども、二〇一九年は四十四名でしたけれども、いきなり十倍ぐらいに増えているわけですよ。

 だから、それを受け入れてサポートする体制が全くできていないという現状がある中で、私は、RHQは偉いなと思ったんです。

 今お手元にお配りをして、是非、ちょっと牧原さんも部会長も、あと、大口さんも見てください。

 RHQは、自分たちでやっていく中でやはりまだ限界があるというので、「NPO法人WELgeeとの意見交換と協力覚書への署名」という記事、これはRHQが出している記事ですけれども、締結をしました。RHQ自身は、一生懸命、難民申請をされている方々を含めて、生活費を出したりということをやっているんですが、いかんせん、難民として認定された方々に対して、その後のサポートがしっかりできていない。

 このWELgeeですけれども、その後にカラーで表裏でやっていますけれども、どういうことをやっている団体か。

 もちろん、御存じの方々は多いと思うんですけれども、難民と認定された方々には、それぞれの、迫害を受けて逃げてくるわけですけれども、今までその迫害を受けた国の中で様々なキャリアを持っていたわけで、そのせっかくのキャリアを日本に来たときに生かした就労をすることが、その人たちの今後の日本での明るい未来をつくっていく、安定した未来をつくっていくということで、私は非常に大事な活動をされているなと思うんです。これは三十代前半の女性が立ち上げた団体ですよ。立派だなと思います。

 いろいろ話を聞くと、本来難民として認められるべき人も中にはいるけれども、難民として認められるべきかどうかは別として、その人のキャリアを生かした企業に採用されて、その在留資格が技人国を含めてあったら、それはそれでその人にとってはハッピーじゃないかということで、本当に実質的な支援をしようと思ってやっている。

 私も聞いて心が痛かったんですけれども、ある団体からは怒られたりしているらしいんですよ。本来難民認定されるべき人間をそういう形で技人国で入れているというのは、本来の在り方とは違う、裏口みたいなものなんだということで批判をされているんですが、彼女自身としては、とにかく私は、そういう人材に対して、しっかりとキャリアを生かして日本で生活を築いていってほしい、そのサポートを、就労をマッチングさせ、そのためのコーチングもして、企業に紹介して。企業も企業で、やはりそれは、今、人材が欲しいですから、どういう人材がいるのかというのをしっかりとやっていく。

 お手元の方にありますけれども、実績として、従業員五千名以上の上場企業から、スタートアップ、大手メーカーを含めて、今三十八名で、ジャーナリスト、プログラマー、貿易実業家、マーケター、起業家、医師、アスリート、様々な方たちが自らのキャリアを生かした形でやっている。

 私は、難民の認定者数が多いとか少ないとかいろいろ議論があったり、どういう人を認めるべきかとかいったことはありますけれども、認められた難民をしっかり、日本の中で安定した生活を築いていくためには、非常に大事なアプローチだと思うんです。

 大臣、物すごく予算が足りなくて、今、このRHQから協力を依頼されたWELgee、ただでやっているんですよ。(発言する者あり)でしょう。ええって驚く話ですよ。もちろん、志があってNPOでやっているからいいんですけれども、とはいえ、ボリュームとして物すごく大きく、かつ、アフガン難民の方々を含めて、元々日本に留学していた方々とかもいるわけですよ。だから、キャリアも結構しっかりとした方々もいるし、そのお子さんたちもいるだろうし、何とかサポートしたいけれども、とはいえ、先立つものというか、お金の面に関してはどう頑張ったって出てこないので。

 それで、これから概算要求ですよ。そこは残念ながら野党として参画できないですよ。なのでこういう場で言うしかないんですけれども、ちゃんと予算をつけてほしいんです、がっちりと。それを政府としても提案してほしいし、与党としてもしっかりとサポートしてほしいと思っているんです。

 通告はもう少し細かいことをしていますけれども、大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 昨年、先生方に御苦労いただいた改正入管法が施行され、いよいよ共生社会の実現に向けて更に歩みを進めるという段階に入りましたので、受け入れた難民の方々の、おっしゃるとおりだと思いますね、生活あるいは将来、そういったものに我々は責任を持っているということをしっかりと自覚した上で、外務省ともよく意思疎通をした上で、概算要求に向けて全力を尽くしたいと思います。

寺田(学)委員 全力を尽くしてください。

 あと、我々もそうですけれども、難民認定の在り方、どういう人を認定するべきかというのは物すごく激しい議論があるんですけれども、認められた方々に関してのサポートの議論というのはやはりまだ乏しいと思うんです。

 野党は野党で一生懸命頑張るので、部会長を含め、大口先生を含めて、自民党でも公明党でも、WELgeeの方々を呼んでもいいですし、是非、認められた難民の方々のサポートをどうすべきか、マッキーも含めて、答弁できないですけれども、やってください。みんな、はい、はい、はいと言ってくださったんですけれども。

 それで、これはインドシナの難民の頃からあるんですけれども、次長に聞きますけれども、支援期間を六か月と区切っているんですよ。

 正直、難民として来られた方々の、さっき言ったとおり、自分のキャリアを生かしたり、もちろん、かつ、働いてくれといったら、日本語の習得も必要ですよ。六か月間支援するからその後は支援は切られますということになったら、それは六か月間で十分な準備というのはできないですよね。ただ、これは六か月間とインドシナ難民の頃から決められているそうなんですよ。ここも柔軟的にやらなきゃいけないと思うんです。

 しっかりと、それこそ、これは今年の入管法とも関わることではありますけれども、語学の習得もあるだろうし、ここの文化になじむこともあるだろうし、自分のキャリアがどういうものであって、どういうニーズがあって、逆に企業側はどうしてやるべきかということはしっかりやらなきゃいけないんですから、この六か月間という縛りも、私は、今後取っ払って、よりちゃんと実質的な伴走をするべきだと思うんです。

 次長、どうですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 入管庁で担当してございます補完的保護対象者に対する定住支援プログラムの実施期間を、昼間コースは六か月間、夜間コースは一年間とすることにつきましては、昨年十二月一日、閣議了解に基づき設置されている難民対策連絡調整会議において決定したものでございます。

 もっとも、定住支援プログラム終了後であっても、同プログラムを実施している公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部、RHQにおいて、住居、就労、行政手続等に関する相談に対応し、必要に応じて、利用可能な制度の紹介や調整を行うこととしております。

 また、入管庁におきましても、外国人在留支援センター、FRESCや、各地方入管におきましても、難民や補完的保護対象者と認定された方も含め、在留外国人からの各種相談を受け付け、必要な対応を行っているところでございます。補完的保護対象者の方々が我が国で安定した生活を送ることができるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

 また、委員から今、六か月間は短いのではないかという御指摘につきましても、問題意識を持って、政府全体で検討すべきものだと思っております。

寺田(学)委員 難民の認定の在り方に関しては法律事項で、恐らく、昨年改正したので、次の改正案が出てくるまでしばらくかかるんでしょう、早く出してほしいですけれども。

 ただ、そこはもう今言っても仕方がない、仕方がないというか、なかなかそれは政府としてどう動くかということなのであれですが、認められた難民に対しての支援は、まさしくこれから我々がやれることでもあるし、そこをしっかりやれているかどうかというのは、本当に日本の国際貢献の在り方、人道の在り方に関わってくるので。

 これはもう遺言的に申し上げますけれども、私がいなくなっても、是非、ここに残っている方々を含めて、しっかりと取り組んでいただきたいし、大臣から言っていただいたとおり、まず概算要求で十分な予算の獲得をお願いしたいと思います。

 認められた難民に対して、改めて一言いただければ。

小泉国務大臣 我々は、難民の方々の存在というものを、まだ余り身近に多くの国民も感じていないし、でも、ヨーロッパ等では、本当に一緒に生きていくんだ、運命を共にするんだ、そういうつながりを持ちながら難民を受け入れている国もあると伺っております。

 日本が国際的なレベルで難民を受け入れるとすれば、それはもとより、受け入れた後の生き方、生活に責任を持つ、国が。そこまでできて初めて受け入れたことになるんだというふうに思います。

 その点が足りないという御指摘は、まさに私もそのとおりだと思います。したがって、しっかりと取り組みます。

寺田(学)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 もう一点、全然話は変わりますけれども、民事局の話になりますが、国勢調査における同居の同性カップルの取扱いについて。

 これは基本的には総務省の所管でもあるかもしれませんが、同性カップルで居住している方々に対して、国勢調査、五年、十年でやりますけれども、その実態に沿った形で答えているにもかかわらず、それとは同一的な集計がされていないという問題です。

 これは至る所でいろいろな意見が上がっていると思いますが、そもそもですけれども、大臣に聞きますけれども、家族法制、この間、共同親権のものもやりましたけれども、家族法制の検討に当たって、国勢調査による正確な家族実態の把握というのは重要じゃないですか。

小泉国務大臣 一般論として申し上げますが、家族法制について検討するに当たり、御指摘のとおり、各種の調査等により家族の在り方について把握することは重要であると考えます。

寺田(学)委員 一般論と言いましたけれども、今、具体論の話もしていますけれども、同性の方々が、配偶者として、自らの認知としてやっている実態があるということ自体も、今後の家族法制の検討の中においては重要な資料じゃないですかね。

小泉国務大臣 もちろん、そういう事項も含まれると思います。

寺田(学)委員 同性婚を認めるか、法律として認めるかどうかというのは、法務省としてのお考えもあるとしながらも、特に与党の中、自民党の中でいろいろな議論があるでしょうからあれですけれども、ただ、実態をしっかり知っておくということは、どういう法改正をするかしないかは別としながらも、まず実態を明らかにするということは大事だと思います。

 総務省、令和二年調査における同居同性カップルの集計方法というのはどうだったんですか。

永島政府参考人 お答え申し上げます。

 国勢調査におきましては、全国一律の客観的な基準で行う必要がございまして、婚姻関係については、民法などの法制度にのっとった定義で把握することとしております。

 また、同性婚は現行の法制度では認められておらず、国勢調査への回答において、世帯主と世帯主の配偶者の性別が同一であった場合には、性別の記載が誤っている場合などを除きまして、便宜上、世帯主の配偶者を他の親族として集計してございます。

寺田(学)委員 だから、一律でやるのはいいですよ、一律で、別に。それはやっているんでしょう。

 今大臣が言いましたよ、法務大臣が。家族法制を議論する上で実態をしっかり知っておきたい、含むこの件に関してだと言っていましたよ。だったら、総務省が与党に何かおもねる必要はないんですよ、別に。だって、実態を知るための国勢調査なんですから。

 民法の定義に基づきと言いますけれども、民法自体、家族法をどういうふうにやっていくべきかどうかは実態をちゃんと知る必要があるのだというのであれば、実態を知るために、国勢調査というのはすごくお金をかけてやっているわけですから、その実態に沿って、法務大臣だって、家族法を検討する上で必要だと言っているんですよ。やったらいいじゃないですか。何にちゅうちょしているのか、よく分からない。

永島政府参考人 お答えいたします。

 国勢調査は報告の義務を課して行うものでもございまして、回答いただけなかった場合には罰則の対象となることもあり得るというような状況でございます。

 このため、国勢調査において、全ての国民に対して実態を把握するという場合には、センシティブな事項、例えば同性カップルの実態であるとかそういったセンシティブな事項について、報告の義務を課して行うといったことには課題もあると認識してございます。

 いずれにしましても、国勢調査においては、同性の事実婚の実態把握について、法制度が整備された後に検討していく課題であると認識してございます。

寺田(学)委員 ごめんなさい、そのセンシティブの意味が分からない、この文脈における。

 センシティブというのは何の話をしているんですか、この文脈において。

永島政府参考人 繰り返しになる部分がございますが、国勢調査は報告の義務を課して行うということでございまして、同性の事実婚など、人によっては表面的に出したくないということもあろうというケースもあると考えておるような事項について、報告の義務を課してお尋ねすることには課題があると認識してございます。

寺田(学)委員 ごめんなさい、さっきの答弁における文脈においてのセンシティブというのは何ですか。どういう意味ですか。僕は分からないから教えてくださいと言っているんです。

永島政府参考人 御説明いたします。

 法制度などが整備されていない状況で、明確な定義がない事項について、人によっていろいろな捉え方があるといったことについてお尋ねする場合には、報告の義務を課すということに関して課題があるということでございます。

寺田(学)委員 素直に自分で書いているわけですよ、自分で同性の配偶者だとして書いているわけですよ。それを何か、センシティブだか何だか分からないですけれども、自ら書いていることに対してそのまま受け止めたらどうですかと言っているだけです。

 その上で、法改正するかどうかは、それはいろいろな御議論があると思いますけれども、実態がどうなっているかを知ることは大事だし、夫婦別氏もそうでしたけれども、国民世論の議論がどうかとか、どうなっているかまず調べた上でと。ちょっと、やや、もう苦しいですよ、あれも。

 ですけれども、ただ、国勢調査で、実態がどうなっているかを知るためにやっているんだとしたら、そんなもの、あえて皆さんが出してきたものを変える必要はないじゃないですか。そのままやった方がいいと思います。

 大臣、これはちょっと、一回総務省と話し合ってください。お願いします。

小泉国務大臣 分かりました。話し合います。

寺田(学)委員 以上で終わります。

武部委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。

 今日は、資格外活動許可、これについて、留学生三十万人計画と絡めて伺わせていただきたいと思います。

 留学生三十万人計画、これは何度も国会で取り上げられてきた問題ですけれども、平成の二十年七月に出された文書なんですけれども、知的国際貢献とか、優秀な留学生を戦略的に獲得とか、夢のある言葉が並ぶんですね。これを見たときに、日本はどんなにアカデミックで学術水準が高い国になるんだろうと。

 更に言えば、同じ頃私も留学していたんですけれども、各国との学問のレベルについて、三十万人も呼ぶほどのレベルに達しているんだろうかという疑問も残っておりました。

 事実、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションというところの最新の調査だと、百位までの中に、東大が二十九位、京大が五十五位ということで、世界から三十万人もの人たちが高等教育を学ぶために先を争ってやってくるというのとは、今はほど遠い状況なのではないかと思っておりますが、留学生三十万人計画自体は、二〇一九年に三十万人を超えたということで、計画を一年間前倒しで達成したということであります。

 この留学生三十万人計画によく出てくる言葉なんですけれども、大学等、大学等と出てくるんですね。これは、専門学校とか日本語学校という言葉は実は一度も出てこないんです。

 これは、そもそも大学等としたその趣旨に、最初から日本語学校は含まれていたんでしょうか。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の最初からという問いに関してでございますが、留学生三十万人計画におきましては、策定当時も様々な議論がございましたが、日本語教育機関につきましては、策定当時におきましては在留資格がまだ留学ではございませんでしたので、策定時には含まれていなかったという解釈になるのではないかと存じます。

鈴木(庸)委員 微妙に昨日のレクとお話が違うので、びっくりしたんですけれども。

 となると、大学とか大学院生を前提で入れるはずだったのを、なし崩し的に日本語学校で三十万人を達成した、そういう理解でよろしいわけですか。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の議論におきましても、日本語学校の位置づけにつきましては、我が国では日本語学校に在籍する学生の在留資格が就学と区分されているところではございますが、日本語教育機関の卒業生の七割が我が国の大学等に進学し、留学生となることを考慮した扱いとなることが期待されると、当時においても記載されてございます。

 その後、平成二十二年に、在留資格、就学、留学が留学に一本化されて以降、日本語教育機関は大学等に含まれると解釈するようになったという経緯がございます。

鈴木(庸)委員 なるほど。

 となると、最初から大学という前提だけで話は進んだのではなくて、制度的には日本語学校は入っていないけれども、いわゆる大学生だけで三十万人来るだろうという甘い見立てで始まったけれども、留学生だけではそれだけ来なそうだったから、日本語学校も含めて、このまま日本語学校から大学に進む人もいるだろうということで計画を進めていったというような理解でよろしいということなんですか。なかなかこれはイエスとは言えないとは思うんですけれども。

 少なくとも、何を申し上げたいかというと、これも国会でいろいろ言われてきたことなんですけれども、資格外活動許可で働く外国人を、要は最初から大量に日本に入れて、留学生三十万人計画というのは、学問に名をかりた労働政策ではないのかということを聞きたいんです。

奥野政府参考人 お答えいたします。

 大学等の概念でございますが、基本的には、高等教育機関につきまして、各国の制度等におきましても様々な学校種等がございます。

 そういった観点は御留意いただいた上で、ただいまの御質問でございます。

 留学生三十万人計画、当時の骨子におきましては、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間の人、物、金、情報の流れを拡大するグローバル戦略を展開する一環として作成されたものと記されております。

 国、地域、分野に留意した高度人材としての優秀な留学生の受入れや、知的国際貢献等の観点から、体系的、総合的に策定された計画であったものと承知しております。

鈴木(庸)委員 つまり、本来の趣旨とは大きく異なってしまったということですよね、三十万人に至る途中で。分かりました。

 その上で、資格外活動許可について伺わせてください。

 二〇二二年における技能実習生の数と、資格外活動許可の人数を教えていただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年末時点における技能実習生の在留者数は、三十二万四千九百四十人でございます。また、同年中の資格外活動の許可人員につきましては、合計で三十五万七千七十六人となってございます。

 在留資格別内訳につきましては、留学が二十三万八百四十二人、家族滞在が六万五千八百七十一人、そのほかの在留資格が六万三百六十三人となっております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 普通に技能実習生は週三十五時間働くと思うんですけれども、これが三十二万人。それを上回る三十五万人もの人が資格外活動許可、つまり、週二十八時間働けるわけですよね。これは実はすごい数だと思うんです。技能実習生の数よりも資格外活動の許可の方が多い。つまり、実習生と資格外活動許可だけで約七十万人もの労働力になるわけですよね。

 実習生の方については度々法改正まで行われてきているんですけれども、資格外活動許可については、私が議事録を見落としているだけかもしれないんですが、これまで国会でも余り議論されてこなかったのではないかと思っております。

 大臣に伺います。

 あえての質問で大変恐縮なんですけれども、ネパール、ベトナム、スリランカといった国の人々が、百万、百五十万とも言われる大金をはたいて日本に留学して、資格外活動許可を取る理由は何だとお考えになりますでしょうか。

小泉国務大臣 これは統計が二つありまして、一つは、お尋ねの三国に限った統計ではありませんけれども、入管庁が実施しました令和四年度の在留外国人に対する基礎調査において、留学の在留資格で在留する者に対し来日の目的を尋ねたところ、六七・二%の者が勉強のため来日したというふうに回答しております。

 また、同年、令和四年、日本学生支援機構が実施した二〇二二年度外国人留学生進路状況調査結果によれば、我が国の高等教育機関に在籍し、我が国において就職、進学等を希望する外国人留学生は全体の八割弱を占めているという計数がございます。

 こうした統計資料からは、まず、留学生の多くは、勉学に励み、我が国の企業への就職、あるいは教育機関への進学を目的として来日しているという姿が浮かび上がってまいります。あくまで生活費や学費を補う目的で資格外活動許可を取得しているというふうに考えられるところでございます。

 ちなみに、就労を目的とするのであれば、特定技能の在留資格で入国することが可能であり、出稼ぎのために留学の在留資格を利用するとは考えにくいと思われます。

鈴木(庸)委員 資格外活動許可、こちらに滞在しているときにお金を稼ぎたい、実家にお金を送りたいという方もいらっしゃいますし、勉強でいらっしゃった方もいらっしゃれば、資格外活動許可を前提に、仕事をしたいという方もいらっしゃると思うんです。

 資格外活動許可で働ける時間が二十八時間となった理由なんですけれども、これまで国会では、フルタイム勤務、約八時間の半分である四時間を算定の基礎とし、これを七日間行うという考え方ということで、七、八、五十六の半分の二十八ということなんですが、まず、この半分とすることが妥当な法的、文化的、又は健康学的な理由というのは何かあるんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 留学生の資格外活動許可につきましては、留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で、アルバイトを通じて留学中の学費及び生活費を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、入管法施行規則におきまして、申請に基づく資格外活動許可として、一定の範囲内で包括的就労活動を認めているところでございます。

 ですので、あくまで本来の留学という活動を阻害しない範囲内でどの程度認めるかという判断の中において、現在のところでは一週二十八時間という取扱いとさせていただいているところでございます。

鈴木(庸)委員 そうなんです。今御説明いただいたように、なかなか、健康学的にこうだからとか、学問的にこうだからとか、法的にこうだからというよりも、まあ半分以上はいっちゃいけないよね、そういう、乗りとまでは言えないんですけれども、半分以上はいかない方がいいよねという、慣例的なところからきてしまっているのではないかなと思っております。

 もう一つ伺わせてください。

 では、学業に専念するための時間であるならば、平日だけカウントするべきだと思うんですよね。日本人だって、月曜日から金曜日まで働くケースが多いわけですから。

 では、なぜ一日八時間とされる勤務時間のカウントに、土曜日と日曜日も含まれてしまっているのかというところを伺わせてください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の趣旨は、恐らく授業がない休日は別扱いでもいいのではないかという問題意識の御指摘であるとは理解しているところでございますけれども、例えば、今、一週間に二十八時間という資格外活動許可は、留学生が代表的でございますが、ほかにも、家族滞在の方にも同様の資格外活動を許可しているところでございます。そうしますと、家族滞在等の場合ですと、本来活動の時間を示すことがなかなか困難な面もございます。

 留学生に対する資格外活動の包括許可と同様に、週二十八時間ということで家族滞在の御家族の方にも認めているところでございますので、本来活動の時間等の長短のみではなく、資格外活動許可として認める時間は、フルタイム勤務の約八時間の半分という考え方でさせていただいております。

鈴木(庸)委員 今の御答弁だと、家族滞在、先ほど六万ぐらいとおっしゃっていましたか、家族滞在についてはそういう理屈は成り立つんですけれども、留学のビザの人には成り立たないということになってくると思うんですが、もう一つ聞かせてください。

 長期休暇のときには四十時間まで働けるとしていますよね。この長期休暇のときは四十時間まで働けるとした根拠についても教えていただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、現在の包括的資格外活動許可におきましても、夏休み等の長期休業期間におきましては学業への影響が少ないと考えられることから、一日八時間以内の資格外活動を認めているところでございます。

 その上で、労働基準法第三十二条第一項におきまして、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」という規定もあることも考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 学業への影響というところも、では、土曜日と日曜日も学業への影響というところに入ってきてしまうのではないかなというところです。

 何を申し上げたいかというと、別にこれは今の世代の人たちが決めたわけじゃなくて、前の世代の皆さんが決めたことなんですけれども、二十八時間の根拠が余りにも曖昧で、いろいろな法律、労働が四十時間だとか、一日八時間働いて半分だとか、土日も入っているときがあったり、入っていないときがあったりとか。

 ちょっと、余りにも曖昧な中で、先日、あるラーメン屋さんに御相談をいただいて、とにかく人が集まらないんだと。庸介さん、とにかく人が集まらなくて、日本語をしゃべれない外国人でもいいから、券売機を使って何とかやるから、何とか集める方法はないだろうかというような結構切実なコメントをいただくとともに、日本にいらっしゃる方々からも、もうちょっとやはり働きたいよね、少しでも働いて実家にお金を送りたいよねという話もあるという中で、今日のこの質問をさせていただいているんですけれども。

 今、資料を一つお配りさせていただいております。

 経済成長のために必要な労働投入量という計算なんですけれども、これは三菱UFJリサーチ&コンサルティングという会社が「人手不足の現状と今後の展望」という経済リポートの中で言っているんですけれども、そこでは、労働生産性が今のように緩やかに伸びていくという前提だと、今の日本のGDPを維持するには、就業者数掛ける労働時間で百二十億時間、今よりも労働時間が増えないといけないらしいんですね。これは、〇・五%のGDPの上昇を目指すならば、百九十億時間増やさないといけないということなんです。

 これを、単純計算で申し訳ないんですが、先ほどおっしゃっていただいた三十五万七千六十六人の一週間当たりの労働時間が仮に八時間増えたという計算をさせていただいたんですが、すると、これは年間約一億五千万時間になって、現状維持の一%以上を確保することができる。〇・五%のケースでも、〇・八%近くの押し上げ効果が出てくるんですね。

 つまり、何を申し上げたいかというと、技術革新もしないで、新しい法律も必要としないで、先ほど来申し上げているような、微妙に曖昧で、根拠に、えっという感じの、学業に専念というところの説明のつかない解釈を少し変えるだけで、人手不足に悩む業者さんも助かるし、もっと働いて実家にお金を送りたい学生さんも助かるし、さらに、日本としてもGDPの押し上げ効果があるということで、三方一両得というようなことが期待できるのではないかなと思っております。

 私が仮に八時間と今申し上げたのは、入管庁さんのおっしゃるように、半分以上にならないということで、平日は四時間で固定する。ただ、休みの時間の労働時間については、土日を勤務時間とみなしたり、休みの間はみなさなかったりとかいろいろあるわけですから、まずは、土曜日と日曜日は休みだから、本人の自由に使ってもらおう。それが、アルバイトをしたいということがあれば八時間まで働いてもいいんじゃないのということで、週全体で、土曜日四時間、日曜日四時間の八時間を増やして合計三十六時間働けるようにすることによって、いろいろな問題が改善されていくのかなと思っております。

 そこで大臣に伺いたいんですけれども、平日は八時間の半分の四時間で、休日は八時間として週三十六時間働かせることについて、大岡越前は三方一両損ですけれども、是非、小泉裁きで三方一両得ということで検討いただければと思うんですが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 御提案ありがとうございます。

 就労活動が半分を、資格外活動が占める、超えてしまうということについては、やはりそこにこだわらなければいけない一線はあると思います。

 しかし、非常に厳しい労働環境の中で、多くの方が、中小零細企業が困っている、また、働く側においても更に収入が得られる、そういうメリットもあることは事実でございます。

 今回、昨日質問通告においてこの御提案をいただきましたので、ちょっと一晩で結論を出すには至りませんでしたけれども、しっかりと問題提起は受け止めたいと思っております。

鈴木(庸)委員 前向きな御検討、ありがとうございます。

 ラーメン屋さんは今、御案内のように、廃業しているところが多い。一つには、物価高とともに、人を集められないというのもありますので、やはり国会としては、今、短期間でできることについては総動員していくべきではないかなと思っております。

 あと、ちょっと確認なんですけれども、短期滞在においては、臨時の就労、臨時の報酬、例えば短期滞在中にどこかで講演をやりました、その講演の対価をもらいましたというのは認められていますけれども、資格外活動許可を受けた留学生についても、臨時の報酬というのは認められるんでしょうか。認められるとするならば、その継続性に基準というものはあるんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 在留資格、留学を有する外国人は、入管法第十九条第一項第二号により、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動は禁止されております。ただし、業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものは禁止の対象から除かれております。

 具体的には、入管法施行規則第十九条の三に、臨時の報酬等として、一、業として行うものではない講演、講義及び著作物の制作等の活動に対する謝金、二としまして、業として従事するものを除き、親族等の依頼を受けてその者の日常の家事に従事することに対する謝金、三としまして、在留資格、留学を有する者で、在籍する大学等において当該大学等との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動に対する報酬などが規定されているところでございます。

 なお、業として行うものであるか否かにつきましては、当該活動が一定の目的の下で反復継続的に行われるものであるかどうかなどを確認し、その態様に応じて個別に判断しているところでございます。

鈴木(庸)委員 終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 先ほど寺田委員が遺言のように質疑をされたということでございますが、私も、遺言というわけではありませんけれども、このまま会期末を迎えるのであれば、今委員会が最後の質疑になるかな、この通常国会では最後の質問になるかなというふうに思っております。

 そうした中で、私も初めて法務委員会に所属させていただいて、そして野党の筆頭理事という立場で、牧原与党筆頭理事との協議、そして、与野党の理事、オブザーバー、委員の皆様、そして関係省庁の皆様に様々御意見や御協力をいただきながら法案の審議に当たらせていただいたかなというふうに思っていますし、法務大臣を含めて、本当にいろいろとありがとうございました。

 そうした意味で、我々は、立法府の一員として、法案の審議はしっかりともちろんやっておりますが、賛否は別として、法案が成立し、そして施行された後も、審議が終わって採決をしたらそれで終わりというわけではなくて、やはり、成立後も、施行後もしっかりとこれはある意味責任を持つというか、責任を負うという立場ではあるというふうに思っております。

 今通常国会における本当に重要な法案の二つについて、アフターフォローという観点から質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、ちょっと順番を変えて、三番目の民法改正でございます。

 まず、共同親権導入が盛り込まれた民法改正案、本当にこれは様々な議論が展開され、修正案が出され、そして附帯決議も出され、これも、参議院に送られても本当に深い深い議論が行われて、そして修正協議や、さらには附帯決議も参議院で行われたということでございます。

 こうした国会での議論、なかなかテレビや新聞では事細かく報道されませんけれども、こうしたところはしっかりと議事録に残っておりますし、こうした点は、国会での質疑、答弁は、今後、民法、家族法、特に共同親権をめぐる課題について取り組んでいただく関係府省庁や関係団体の皆様には是非とも御理解をいただいて、その審議経過を十分に認識していただいた上で、今後の様々な事案に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 まずは、この共同親権において、国会審議において議論に何度も取り上げられましたガイドラインやQアンドAの策定について、答弁においても、今後、関係府省庁間などと議論を重ねる、そして策定をしていくという答弁がありました。

 そこで、法務省の政府参考人に伺いたいと思いますが、このガイドラインやQアンドAの策定に関して、関係府省庁間などといつからどのように連携をし、策定に取りかかる予定なのか、伺いたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 今国会で御可決いただきました民法改正法につきましては、今後、その円滑な施行に向けて、その趣旨及び内容が国民に正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分に周知したいと考えております。

 参議院法務委員会の附帯決議におきましては、関係府省庁等が連携して必要な施策を実現するための関係府省庁の連絡会議を設置するなどの体制整備を進めることが求められております。

 法務省といたしましては、この附帯決議の趣旨を踏まえまして、関係府省庁等連絡会議を立ち上げることを予定しており、民法改正法の趣旨及び内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等としっかりと連携して、できる限り速やかに、適切かつ十分な周知及び広報に努めたいと考えております。

道下委員 これについては、法律施行は二年ということになっていまして、その間にということで、速やかに関係府省庁間で協議をして策定しなければならない、そして周知、広報に取り組まなきゃいけないというふうに思いますが、私は、こうした省庁間の策定に向けた連携、協議というものも大変重要かと思いますが、その前に、やはり、親権に関して関係となるであろう当事者の方々の御意見をしっかりと踏まえた上で、ガイドラインやQアンドAを作らなきゃいけないというふうに思っております。

 参議院の附帯決議において、「ガイドラインの策定等に当たり、DV・虐待などに係る知見等を踏まえることや、DV被害者等の意見を参考にすること。」という明記がなされました。これは大変重要な一文だと思います。

 そこで、法務省として、今後、DV被害者等の意見をどのような形で聴取するのか、何か今の段階で予定はあるのか、これについては中野政務官に伺いたいというふうに思います。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 今般の民法改正法では、父母双方が親権者である場合には、親権は父母が共同して行うこととした上で、子の利益のための急迫の事情があるときや、監護又は教育に関する日常の行為をするときは親権の単独行使が可能であることなどを定めております。

 法務省としましては、この趣旨及び内容が国民に正しく理解されるよう、関係府省等とも連携をして、適切かつ十分に周知をしたいと考えております。

 また、道下委員御指摘のように、参議院法務委員会における附帯決議におきましては、父母双方が親権者である場合における親権行使のルールなどについて、その意義や具体的な類型等をガイドライン等に明らかにすること、ガイドラインの策定等に当たり、DV、虐待などに係る知見等を踏まえることや、DV被害者等の意見を参考にすることが求められております。

 この附帯決議の趣旨を踏まえながら、各方面からの様々な意見を参考にしつつ、改正法の円滑な施行に努めてまいりたいと存じます。

道下委員 法案などを策定する段階では、審議会等で大まかなものを作った段階でパブリックコメントを募集するということでありますけれども、このガイドラインやQアンドAに関しては、そういったパブコメなどを募集するという法的根拠というか義務はないということでございますが、これは大変重要な案件でございますので、義務ではありませんが、是非ここの附帯決議にのっとって、DV被害者等の意見を参考にすることということで、まずは、私は、ガイドラインを作る前に、QアンドAを作る前にしっかりと、いつからいつまで御意見を求めますというような期間を設けて、そして、それを受け止めた上でガイドラインやQアンドAを策定し、できればこういった形でまとめて、固めていこうと思いますがいかがでしょうかというような、二段階の意見を聴取するような取組をお願いしたいというふうに思っております。

 是非、これは意見にとどめさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。そうすることによって、しっかりと意見が反映されたり、されなくても、やはり法務省なり政府というものが当事者の意見を聞く場を設けたということで、それが信頼の醸成につながるのではないかというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、今通常国会の法務委員会における大きな、重要な法案のもう一つである、入管法改正、技能実習制度の廃止を盛り込んだ、そして育成就労に移行する技能実習法改正法でございます。

 これも重要広範でございましたので、十分な充実した審議ということを心がけておりました。審議時間に関しては衆議院よりも参議院の方が若干多くなったということで、私も野党筆頭として、もっと、例えば、永住権取消しに関する根拠となった自治体からのアンケートというか、これについての資料をしっかりとこの衆の法務委員会で求める、その資料が出てくるまでは新たな質疑には応じられないというような強硬な姿勢も必要だったんじゃないかと自分自身は反省をしております。

 何しろ、一千六百以上もある自治体の中でたった七つの自治体からしか聞いていない。それも、数字的なものではなくて、本当に担当者から匿名で話を聞いたような形でございますので、匿名というか、公にはしないという条件の下で話を聞いたということでございますので、数字的な、客観的データとは全く言えない中で、永住権取消し、制限というような条文が盛り込まれてしまったことは非常に遺憾であるというふうに思います。

 そこで、そうしたことなどで、本当に、今回のこの入管法、そして技能実習法改正案は様々な課題や論点がありました。ただ、まだまだ議論をしなければいけない他の課題もありました。それが、我が国で働く外国人の女性の労働者の点でございます。

 今回も、日本が海外の方々から選ばれる国にならなきゃいけないということを目指してこの法改正になったわけでございますけれども、我が国が外国人労働者を受け入れていく以上、女性の外国人労働者が安心して、働きながら、妊娠、出産ができる体制を整える必要があると思います。

 今の技能実習制度や特定技能、今後は育成就労に移行するわけでありますけれども、そうした制度の下で働いている女性外国人労働者が、妊娠等を理由とする解雇等不利益取扱い、これは禁止されている、政府は周知、広報等しているというふうに答弁されていますが、私はまだまだ十分ではないと思います。

 今国会での入管法、技能実習法改正の議論は、労働力不足や転籍、また永住権取消し制度などの問題に議論が集中し、外国人女性労働者が安心して日本で就労できる環境や制度を整えていくことについての議論は、若干ありましたけれども、他の課題と比べれば乏しかったなというふうに、反省の意味も含めて指摘をさせていただきます。

 そこで、まず伺いたいと思います。

 これは法務省、入管庁に伺いたいと思いますが、今現在、外国人技能実習制度、それから特定技能制度において働いている女性外国人の方々の数と年代別割合について伺いたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、技能実習生の在留者数についてですが、令和五年六月末時点で三十五万八千百五十九人、そのうち女性は十四万九千三十一人となってございます。

 女性の年代別割合につきましては、二十九歳以下が約七二・八%、三十歳代が二一・四%、四十歳代が四・九%、五十歳以上が〇・九%となってございます。

 また、特定技能の在留者数につきましては、令和五年末現在の速報値ですが、全体で二十万八千四百六十二人、そのうち女性は九万三千三百三十一人でございます。

 女性の年代別割合につきましては、二十九歳以下が六五・六%、三十歳代が二九・四%、四十歳代が四・八%、五十歳以上が〇・三%となってございます。

道下委員 今の数字を単純計算すると、技能実習制度においては、女性の割合は、半分以下ですけれども、四割程度かなと思いますし、特定技能においては約半分弱ということでございます。

 そして、年代別割合に関しては、技能実習制度の方が、二十九歳以下、三十歳未満ということですよね、そうすると七二%。三十歳代も含めたら、本当に、特定技能の方々も含めて、年代で考えれば、結婚し、妊娠、出産というような年代層なんですよね。

 そういった方々がこれだけ働いている中で、また、今国会でも、我々立憲民主党が提出した法案では、家族帯同は、最初から二年後以降は家族帯同を認めるというふうになりましたけれども、残念ながら、政府案は、八年までは認めない、八年間は認めないという内容でございました。

 そう考えると、私は、まだまだ、特に女性外国人の方々に日本に来ていただいて、働いて、そして、普通考えるであろう、家族を持ちたいという女性、若い女性の方々が安心して働ける環境ではないのではないかなというふうに思っております。

 そこで、まず、また入管庁に伺いたいと思いますが、女性外国人が、技能実習制度や特定技能制度において、日本国内で実習や就労活動中にお子さんを、子供を産んだ場合、その子の在留資格は現状ではどうなっているのか。ホームページを見ますと、最寄りの地方出入国管理局と相談してくださいというふうに広報しています。相談ですから、これだというふうに決まったことはないと思うんですけれども、この点について、今どのように、現状ではどうなっているのか、伺いたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 入管法上、技能実習及び特定技能一号の在留資格を有する者の子につきましては、家族滞在の在留資格での在留が認められておりませんが、人道上の配慮の観点から、一定の要件を満たす場合には、例外的に特定活動の在留資格を付与し、在留を認めているところでございます。

 その上で、技能実習の在留資格を有する者の子供につきましては、その在留期限内に他の在留資格へ変更すること又は帰国することを条件に、特定活動の在留資格を付与し、在留を認めておりますが、原則として在留期間の更新を認めないこととしております。ただし、やむを得ない事情がある場合には、個別具体的な事情を総合的に勘案し、更新の可否を判断することとしております。

 また、特定技能一号の在留資格を有する者の子につきましては、一号特定技能外国人同士の間に生まれた子や、中長期在留者が特定技能一号の在留資格へ変更した場合に、従前の在留資格で家族滞在が認められていた子など、やむを得ない事情がある場合には、特定活動の在留資格を付与し、特定技能一号の在留資格を有する父母とともに在留することを認めており、父母が本邦に在留する限り、在留期間の更新を認めているところでございます。

道下委員 今、個別の状況に応じて対応しているということで、様々な場合の話をしていただきましたが、これは、今後もやはり、選ばれ、そして日本で働き、技術を、そして日本語力を高めていただいて、働き続け、そして住み続けていただくというのが今回の法改正の趣旨だと私は思っていますので、この点については更なる柔軟な、法改正なり法の解釈なり、こういったものが必要だと思います。

 女性外国人労働者の更に働きやすい法制度、環境づくりが必要だと思いますが、法務大臣の決意も含めて伺いたいと思います。

小泉国務大臣 今、前の質問でございましたように、女性の割合が相当程度高い、特に若い女性のウェートが非常に高いということをしっかりと正面に据えて、認識をして、そして、彼女たちをしっかり守ってあげなければいけないと思います。

 今、日本人と同じように、不利益な取扱いは禁止されていますけれども、これが本当に実施されているのか、御本人たちはまた認識されているのか、そういう広報の在り方についてまずしっかりと点検をし、継続的に点検をするということが必要だと思います。

 また、外国人技能実習機構、育成就労機構では、実習実施者に対し実地検査を行い、その際、実習生からヒアリングを行って、様々な不適正な取扱いがないかどうか確認をするということになっていますが、これが本当に機能しているのかどうか、有効なものとして働いているのかどうか、その有効性のチェック、これも必要なことだと思います。

 近々、機構に私が行って幹部ともお会いし、様々なことについて意見交換をし、お願いをいたしますが、女性の方々を守る措置についての機構の認識についても、また、その行動についてもしっかりと督励をしてまいりたいと思います。

道下委員 残念な痛ましい事件、ニュースが起こらないように是非取り組んでいただきたい。受入れ企業や監理団体からの、子供を妊娠、出産したら強制帰国だよというような脅しなどがあって、トイレで産んでしまわざるを得ないだとか、そういう悲しい事件が起きないように、是非取組をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、再審法に関する諸問題で警察庁の政府参考人に来ていただきまして、ありがとうございます。ちょっと質問をさせていただきます。

 警察の未送致書類等の扱いについて、鹿児島県警が、再審などで不利にならないよう、再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありませんなどと記載されていた、捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を作成していた問題でございます。これは昨年、一部報道がありました。

 これについて、個別ではなくて、こうした内部文書を作成していたり、又はそういう風潮だとか、口頭でそのような話を広めていたというのは鹿児島県警だけなのか、それとも他の県警などにおいて同様の事例はなかったのか、調査等は行ったのか、警察庁から伺いたいと思います。

親家政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の内容が記載された文書は、鹿児島県警察が令和五年十月に発出したものでありますが、誤解を招きかねない表現が含まれていたことから、同県警察において、同年十一月に内容を改めた文書を再発出したものと承知しております。

 警察庁におきましては、昨年十一月の時点でこうした状況を把握したことから、管区警察局ごとに、各都道府県警察を集めた会議の場におきまして必要な指導を行うとともに、定期的に行っております各都道府県警察に対する個別の業務指導を通じまして、順次、捜査書類の適正な保管管理に係る指導状況について重点的に確認を行っているところでございます。

 こうした取組の中で、再発出を検討する必要が認められるような文書は把握しておりませんけれども、引き続き、捜査資料の保管管理が適切に行われるよう、都道府県警察を継続的に指導してまいりたいと考えております。

道下委員 鹿児島県警と同様の内部文書は、他の県警などではなかったということでよろしいですね。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察庁の方で順次行っております各都道府県警察に対する個別業務指導を行う中では、そのようなものは把握できていないということでございます。

 引き続き、そういった指導を適切に警察庁としても行っていきたいと思っております。

道下委員 先ほど井出委員もお話がありましたけれども、捜査における様々な書類とか証拠というものは大変重要なものであり、それが、組織の観点からそれを廃棄だとか、そういう風潮が警察内部にある、これは、はっきり言って、国民の安全や利益も人権も脅かすものでございますので、こういったものは絶対に起きないように、今後も適切な管理等を呼びかけていただきたいというふうに思います。

 ほかにもいろいろと質問したかったんですが、来ていただきました皆さん、済みません、質問できずに。

 これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

武部委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスでございます。

 日本維新の会との統一会派を代表して、本日、質問させていただきます。

 先月末、冒頭、委員長からもありましたけれども、保護司をされていた新庄博志さんが自宅で殺害をされました。新庄博志さんは、若い頃から大津の青年会議所や商工会青年部にも所属をされて、非常に地元貢献活動に熱心でありました。私は大津青年会議所での後輩に当たりますけれども、関係者は一様に深い悲しみを今感じています。

 新庄さんは、保護司となってから二十年近く保護司として活動されていまして、地域ぐるみで犯罪や罪を犯した人の立ち直りを支援するNPOの立ち上げなどにも主導的に関わられるなど、非常に熱心に保護司活動に取り組んでおられました。新庄さんの御逝去を受けて、大津の町の人からは、新庄さんがいないと地域の困り事を相談する人がいない、誰に相談したらいいか分からない、地域の課題の吸い上げは難しくなるといった声が次々と上がっておりまして、新庄さんの功績の大きさを改めて感じております。

 改めて、新庄博志さんに、心から、衷心から哀悼の誠をささげるとともに、御親族、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。

 この件の容疑で、新庄さん自身が保護司として更生を担当していた三十五歳の男性が逮捕されました。まだ容疑の段階でございますので、予断を持って質疑をすることは当然避けなければなりませんので、本日は、一般論として、保護司の安全確保に向けた取組について質疑をさせていただきます。

 まず、改めて大臣にお伺いをいたします。

 今回の事件を受けて、今後、保護司の方が安心して活動できる環境をつくるため、どのような方策を今後講じていくことを検討されているのか、御答弁をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 今回の事件を受けて、全国の保護司の方々が大変大きな不安、また、その御家族の方々も大変大きな不安を抱えていらっしゃると思います。まず、その不安に寄り添うこと、様々な問題点を把握すること、直接連絡を取ること、これを最優先に今始めております。

 六月の十日から、まず、保護観察を担当している全保護司の方々への意見の聴取、不安をお聞きする、これを六月中に終えまして、七月に入った段階で、今度は保護観察を担当していない保護司の方々に対しても全員にアプローチをさせていただいた上で、様々な手を早急に打ちたいと思っています。

 複数指名の積極的運用、あるいは、保護観察官による直接処遇など直接関与の強化、自宅以外の面接場所の確保、アセスメントの充実強化、こういったことが想定をされているわけでありますけれども、個々具体的に保護司の方々の状況を聞いて、また個々具体的に措置を取っていくということを七月から始めたいと思います。

斎藤(ア)委員 今申し上げていただいたことを、何点か私からも追加で質問させていただきたいと思います。

 自宅外での面談の促進というのも、今検討事項だということが挙げられていました。これは私も重要なことだと考えております。

 今回の事件の起きる前から、自宅の面談に関しては、保護司本人は不安を感じていなくても、やはりそれが原因で家族が反対をして保護司ができないといった事例があるということは報道もされています。

 今回の事件を受けて、保護司の本人の方は、いや、それでも私はやるんだ、保護司活動を続けるんだと言っていただいても、やはり家族の理解がないと続けられなくなってしまうと思いますので、自宅で基本的に今七〇%以上の方が面談をされているということですけれども、これを更生保護センターであったりとか公民館、地域の施設などに移していく取組というのが一つ重要になると私も考えておりますし、そういった御意見を地域からもいただいております。

 今、実費を払ってこういった外部の場所を使えるようにされているということですけれども、なかなか使い勝手が悪かったり、また、そもそも保護司の方は無報酬で行っていますので、時間がなくて、なかなか移動の時間、場所を取る時間も取れなくて自宅でやるということも考えられます。

 そういったところも含めると、自宅外での面談の促進というのは、まだまだ今の状況ではできていないんだろうと思いますけれども、どういったふうに自宅外での面談の促進を進めていくことを今考えていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 まず、八百八十六か所あります保護区ごとに、使える会議室、スペース、これの確保をすることはできたわけでありますが、しかし、そもそも広いエリアであったり、行くだけでも時間がかかるというようなところもございますし、平日の夜は使えないとか、土日は使えないとか、そういう制約がかかっているために、結果、まだ三割の方々しか自宅外では活動できないという状況でありますので、この八百八十六の状況について、まず現状をしっかりと個別具体に把握したいというふうに思います。

 一方で、今年度予算においては、貸し会議室を借り上げた場合の経費の実費弁償をするための予算、これは今年度計上されているわけでありますし、自治体への協力要請も、総務省と法務省の連名で、これは令和三年ですけれども、一般的な協力を頼みますということでお願いはしていますが、自治体の力をかりて、自治体が使える会議室、スペース、そういったものも融通してもらえる余地は十分にあるというふうに思っております。

 いずれにせよ、予算、また総務省、自治体の力、そして、まずは前提として、現状把握をしっかりと早急に進めたいと思います。

斎藤(ア)委員 この中で、自宅を使うということにやはり意義があるんだという御意見もたくさんあると思うんですね。家庭の温かみを感じていただいて、それで更生につなげていくという御意見もあると思うので、使い勝手がよくなっても、やはり自宅でやりたいんだ、自宅でやるべきなんだという意見がなかなか変わらないと、自宅の活用からほかの施設への移行というのは進んでいかないと思います。

 ここの部分は保護司の中でもいろいろ御意見が分かれるのかもしれないんですけれども、確かに、自宅を使ったことによってうまくいったというこれまでの御経験もあるかもしれないけれども、今後はできるだけ自宅外を使ってくれというふうに促していく、そういう転換を、使い勝手だけじゃなくて、自宅にこだわらないでくれ、ほかのところでやってほしいということを法務省から打ち出すことも必要だと思うんですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。

小泉国務大臣 それはあり得る措置だと思いますので、検討します。

斎藤(ア)委員 是非その点もお願いしたいと思います。

 次に、複数人での面談をされるといったことも検討の対象だということをおっしゃいました。その点でやはり一つ懸念があるのは、人員確保はできるのかということになります。

 一対一よりも一対二の方が、当然、保護司の方、人数が要るわけですけれども、既に、今、五万二千五百人の定員に対して約四万六千人の保護司の方ということで、ずっと定員割れが続いている状況でございまして、この事件と関係なくですけれども、高齢化をしてきていることもあって、また、ちょっと後ほど申し上げますけれども、やはり今、普通に、再就職とか、七十代近くになっても、七十代を超えても働いている方というのが多くて、なかなか保護司をやろうという時間が取れないという高齢者の方も増えてくるでしょうから、人員確保は更にこれから難しくなっていくと思うんです。

 この点、保護司が定員割れをしている状況というか、そういったところも踏まえて、複数人で面談をしていくというのが物理的に可能であると想定されているのかどうか。これはシンプルな疑問でありますけれども、ちょっとお答えいただきたいと思います。

小泉国務大臣 確かに、定員は、五万人を超える定員ということで設定していますが、保護司の実際の数は、今年の一月一日現在で四万六千五百八十四人です。

 ただ、またもう一方で、保護観察事件の係属数、今保護観察を行っている件数、これは二万二千五百十一件でありますので、二人制にしてもまだ人数的には成り立つわけであります。でも、地域で見ると、二人は無理だという地区も当然出てまいりますので、保護司の確保というのは引き続き重要な課題だというふうに思っています。

斎藤(ア)委員 保護司の確保についてはまたこの後質疑をさせていただきますけれども、可能であるのであれば、二人で、複数で担当するのはどんどん早急に進めていただきたいと思いますし、先ほど、ちょっと戻りますけれども、自宅外の場所を使うことに対する予算はあるということですから、やはりそれを促進していく、使い勝手をよくしていくというのは、今やっている調査であったり様々な検討会の結果が出る前に、できるところはどんどん進めていっていただきたいと思います。その点、よろしくお願いをいたします。

 次に、保護司の確保についてでございますけれども、私は、保護司を確保していく、安全を確保していくためにも、保護司の確保と安全確保両面のために、保護司の方に報酬を払う形に変えるべきだと思っておりますが、ちょっとその前提で質問を次にさせていただきたいというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、地域社会も大きく変わっています。今回の新庄さんもそうですけれども、地域で地域貢献活動をされる方というのは、あらゆる団体に所属して、馬車馬のように働いていただいている状態です。青年会議所にいた人が、次はいろいろな団体に行って、いろいろな活動を地元でして、自治会もやってみたいな感じになって、少数の方にすごい負担がかかっている状況で、なかなか、こういったボランティア活動というか、無償の活動に関わっていただける方というのが少なくなっているのは既に現状としてあります。

 働き方も変わっていて、やはり六十歳で定年するということは本当にまれでございまして、六十五歳まで当然定年は延びていますし、その後もどんどん働いていく、定年後も再雇用されていく、定年も延びていくという状況ですので、なかなか、元気な状態で、よし、ちょっと仕事も、私も年金で十分に過ごせるから、じゃ、保護司の活動をしようかという方もどんどん少なくなっていくんだろうということは間違いないというふうに思います。

 こういったことも考えると、保護司が無報酬のままで、そもそも日本の更生保護の仕組み、確かに保護司の仕組みというのは国際的にも評価をされていて、日本でもこれまですごい活躍をしてきたので、これからも維持していく必要があるんですけれども、そういったことで、無報酬のままで本当にこれから人員確保ができていくのか。これから本当にこの更生保護の仕組みが維持できていくのかについて、まず大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

小泉国務大臣 確かに、全体として見ますと、世代が交代していく中で、報酬の支給を必要とする方向に制度の在り方としては進むんだろうなと私は個人的に思いますが、ただ、今現状においては、保護司制度に関する検討会で様々な議論、特にこの問題は主要な問題点として議論が進んでおりますが、非常に高い志を持って取り組んでいらっしゃる方々の中には、報酬をいただかないので信頼してもらえているんだ、いただかないので自分はやりがいを感じているんだということをかなり強くおっしゃる方もいらっしゃるわけですよね。私の地元の保護司の方も、非常に優秀で立派な方ですけれども、報酬制になるのならもうやめたいというぐらいのことをおっしゃるプライドと使命感と志を持っておられますので、そういう方々を置き去りにして、報酬制にしますという結論にはなかなか直結していかない部分もあります。

 そういう方々の意向も酌みながら、長い目で見て、中長期的に見て、全体としては、個人的意見ですけれども、少なくとも持ち出しを一切認めずに、報酬を出す方向というのは全体論としてはあり得ると思いますけれども、一人一人の方々の思いを酌み取れば、そこまで一気に進むことは難しいのかもしれません。

斎藤(ア)委員 ちょっとこの点、質疑を続けさせていただきたいと思いますけれども、保護司に限らず、報酬をもらうことはいけないことなのかということを問いたいと思うんです。

 いろいろな地域貢献活動があります。日本では、ボランティア・イコール無報酬みたいな、常識になってしまっていますけれども、報酬をもらってしまえばその活動の意義が薄れるのかとか、あるいはその地域貢献の意義が薄れるのかといえば、私は全くそんなことはないと思うので、ちょっとここの意識転換を社会全体で図っていくことも、保護司の制度を維持していく上でも大事なんじゃないかなというふうに思います。

 今ちょっと検討会でのお話がありましたけれども、もし、参考人の方でも、今資料があれば伺いたいんですけれども、無報酬であるべきだという意見が出ているんだと思うんですけれども、なぜ無報酬であるべきだということを、検討会の方はすばらしい保護司の活動をされているので、プライドを持っているし、無報酬で働いていただいていることは本当に感謝の念に堪えませんけれども、ちょっと検討するために、どういった理由で無報酬であるべきだとおっしゃられているのか教えていただきたいと思います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会の中間取りまとめにおいて、報酬制の導入については、報酬制にすると保護司活動が労働として捉えられることとなり適当ではないなどの意見がございますのと、それから、やはり、先ほど大臣からもお話がございましたように、無報酬であることが保護司として誇りであり、それが保護観察対象者ですとかその御家族に対して感銘力を持って対応ができるということの源になっているというような御意見があり、そこは実費弁償について充実するという形でやっていただきたいというような意見があるところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 ここの点は、現役の保護司の方の意見なので、重く受け止めなければならないと思います。

 ただ一方で、この保護司制度を維持していくためにはどういった仕組みが必要なのかというのは第一の検討の目標としていかなければならないと思いますので、私は、報酬の点についてはもうちょっと前向きに検討される必要があると思います。

 では、ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、私、実は三月にも同様の質疑をこの委員会でさせていただきました。繰り返しになって申し訳ないですけれども、大臣が、こういった質疑に対して、無償であることにはすばらしさがある、こういう趣旨の答弁をされました。すばらしいのかどうかということは、無償であるからすばらしい、無償でないからすばらしくないということではないということは確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 無償でないことそのものは、すばらしいことでありますが、それ以外のケースについて比較をして申し上げたわけではありません。この仕事に携わってくださる方々の思いを考えれば、有償であろうと無償であろうと、非常にかけがえのない、大変尊敬すべき、敬意を払うべき御貢献だと思います。そこは変わりありません。

斎藤(ア)委員 私も決して、金もうけで保護司をやっていただく方を増やそう、あるいは、金もうけとして保護司をやっていただく方を入れていこうという話をしているわけでは全くありません。やはり、保護司をする上では、時間も費やすことになりますし、様々な研修を受けていただくことも必要になりますし、そういったことになると、それに対する対価を支払うというのは、これは貨幣経済では当然のことだと思います。

 裏金問題とか政治と金の問題とか言われますけれども、お金自体は別に何も悪くないわけでございます、お金自体に色はないので。ただ、我々は、物を買ったりとか食べ物を買ったりだとか、様々な経済のツールとして、貨幣を媒介として経済を成り立たせているわけなので、その対価として、時間の対価として、労働の対価としてしっかりとお金を払っていくということは当然のことでございます。報酬を払われるからその意義が薄れてしまうだとか、報酬を払われるから信頼されなくなるとか、そういった社会、そもそも、ちょっと社会も変わってきていると思います。だからこそ、無報酬でやっていただける方が減っているんだと思いますので、その社会の変化というのは是非捉まえていただいて、この報酬の議論はしていただきたいというふうに思います。

 重ねての質問になりますけれども、複数人で対応するということは、今の人員では大丈夫だということでございますけれども、人員の確保に対しては、やはり、今のままの無報酬でいいのかという議論も出てくると思いますし、自宅外で面談するということになると、場所を予約するための時間もかかるし、その場所に行くための移動の時間もかかる。田舎の方では、そこまで行くのに三十分ぐらいかかるということは別にざらだと思いますので、そういったところにはやはり時間がかかるわけでございます。

 今の保護司の方の研修というのは、本当に短い時間だけ研修を受けて、あとは、じゃ、やってくださいという状態になってしまっていると思いますけれども、やはり価値観が多様化していて、それぞれの性格に基づいて、それぞれの事案に基づいて、結構対応が難しくなっているということもあると思うんです、SNSも出てきて。

 そういったことでいうと、やはり研修の時間も更に取らないといけない、もっと専門的な知識を身につけてもらわないといけないということも想定されますので、そういったことに対する時間としての対価としてお金を払っていくということは、これはより真剣に、今大臣は、まだ現役でやっていただいている方、活躍をしていただいている方の意見として、やはり無報酬であることのプライドもあるし、無報酬でなければやめてしまう、そういった御意見もあるというのは重々分かりますけれども、今の社会、これからの社会の在り方を考えて、それでさらに、保護司の方に安心して働いていただける環境をつくっていくためには、報酬をしっかり払っていく、そのことが結構一つのキーになると思うんですけれども、そのことをもう一度御答弁いただけますでしょうか。

小泉国務大臣 保護司の方々には、まず経済的な負担がかかり得るわけですね。そして、時間的な負担というのもおっしゃるようにかかりますし、精神的な負担というのもかかりますし、今度の事件から明らかになったように、安全確保のための負担というのも、御本人の中に、いろいろな恐れ、不安、そういったものを乗り越える、そういう部分も必要になってきます。

 それをそれぞれのやり方で緩和していくわけでありますけれども、時間的な制約については、まずデジタル化。保護司の方が面接していただいた後の報告書の作成について、デジタル化を導入することによって、同じ文章を、重なる文章を何度も筆記する必要はなくなります。パソコンをうまく使っていただくことによって、効率的に我々はサポートできるというふうに思っていますが、さらに、そういう時間の負担についての経済的な補償、そういった考え方も否定されるべきものではないと思っております。

斎藤(ア)委員 この点は、なかなか、報酬の点についてはそこまで、私としては、今回、前向きな御答弁というか、いろいろなことを検討していかないといけないという御答弁だったと思いますけれども、主眼は、この制度をどう維持していくのか、そして同時に、今回こういった事件が起きましたので、保護司の方にどう安全な状況下で働いていただくのかということでございまして、やはり、自宅外での面談をしていただくためには時間がかかるので、しっかりと対価をお支払いしていきましょう。様々な難しい問題が出てきているので、更に研修を受けてもらうためにはやはり時間がかかるので、時間の対価としてお金を払っていきましょう。

 金もうけとしてやる方はいないと思います。しっかりとその時間に見合った対価をお支払いして、それをしっかりとやっていただく、保護司の活動を続けていただく、安全を確保していただくということが、御本人の安全のため、そして御家族の理解のために私は必要なことだと考えていますので、報酬を支払うこと、これは必要だと思いますので、しっかりと、法務省の方でも、法務大臣の方でも、是非、より前向きに検討していただきますようお願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。

 今回は、くしくも人の死というものについて質問をさせていただきます。

 保護司さんの死、それと津久井やまゆり園の障害者の方々の死、そして自殺という死でございます。

 まず、最初の保護司制度についてお伺いしますが、再犯リスクを五段階に分類し、その態様で保護司さんたちは面接を行っておるということでございますが、そういうことでよろしいですか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護観察所においては、令和三年一月からアセスメントツールを本格導入し、再犯リスクが高い者等については、犯罪又は非行に結びつく要因等について精緻に分析し、その分析結果を充実した保護観察の実施計画の作成に活用し、その実施計画を基に、保護司の方々に、先ほどありましたような五つの、五段階の密度で処遇を保護観察官とともにやっていただくということをやっておるところでございます。

阿部(弘)委員 犯罪や非行歴、精神状態、環境など、再犯リスクをSからAA、A、B、Cと分けてですね。

 ここで私がお聞きしたいのは、この精神状態のアセスメントというのをどのような評価でなさっておりますか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 アセスメントツールにおきましては、犯罪又は非行に結びつく要因、つまり問題と、犯罪又は非行を抑制し改善更生を促進する要因、つまり強みについて、八つの領域について要因を分析しております。それは、家庭あるいは対人関係、就労・就学、物質使用、余暇などで、その中に委員御指摘の心理・精神状況がございます。

 この心理・精神状態につきましては、やはり本人の、今、面接等において言っていること、あるいは医療機関とかそういったところにかかってそういった治療等を受けていないかとか、そういったことを総合的に見て判断することといたしております。

阿部(弘)委員 主に四号事案についての保護司の活動というのが今回メインではないかと思いますが、そのほか、刑務所を退所された方々の保護観察というのもあると思います。

 私が言いたいのは、こういう裁判で有罪になった方々の中に、例えば薬物事犯、非常に衝動性は強いですよ。あるいは何らかの精神疾患で妄想性疾患をお持ちの方、非常にこの方についても衝動性は強い。

 私は精神科の医者でございますが、精神科の外来、例えば、関東、神奈川県のある外来では、訪ねてきた外来患者さんが突然牛刀を持ち出して診察した医師に向かって襲いかかる、もちろん絶命をいたします。あるいは別の地域で、刃物を持ち出されて、そして素手で刃物を受ける、そうすると、その後、手には障害を残す。私ども精神科の医師は、そういうことを前提に外来の診察を行い、なるべく初診の方々は注意を払いながら、あるいは入院患者さんであっても逃げ道を確保しながら診察を行うものなんですよ。

 今回、保護司さんの絶命という、死亡事故というのは初めてらしいんですが、もっともっと、犯罪精神医学と言わずとも、妄想性疾患とか衝動性についてもっと研究をなされたらどうですか。この保護司制度の中間取りまとめには何らそのことの記載がないですよ。いかがですか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会においてアセスメント等の細部についての御意見はいただいておりませんが、先ほど大臣からもお話がございましたように、大臣の指示の下、我々としては、アセスメントツールの充実ということに力を入れてまいりたいと思っているところでございます。

阿部(弘)委員 ですから、アセスメントツールの中に精神状態というのがありますが、もちろん精神医学の専門家ではないわけですから、妄想性疾患があるのか、妄想が残っているのか、あるいは衝動性があるのかということについては特に注意深く見ないと。このことはそうしょっちゅうは起きないかもしれませんが、やはり何年かに一度はこういうことが起きてもしかるべきだと思いますよ。実際、刑務所から、矯正施設から、私の勤めている病院にお見えになる方、入院される方はたくさんいらっしゃいますし、そういう方々から、私も診療の最中に危ない目に遭うこともたくさんありますので。

 そういうことを保護司の方々は研修もされない。受けていない方々に全部ボランティアで無報酬で任せるなんというのは、僕は非常に国として無責任だと思いますよ。いかがですか。

押切政府参考人 委員御指摘のとおり、例えば妄想性の障害ですとか衝動性等は、非常にやはり危機場面を生みやすいリスク要因になるものだというふうに思っております。

 そういったことも含めてアセスメントを強化するということと、それから、委員御指摘のとおり、保護司の方々の研修については、今現在、年に三回、全保護司を対象とした研修を行っているほか、新任の方、あるいは初任の方で数年目の方などを対象とする研修を行っているところでございますが、様々な場面を通してそういった安全確保に関する研修も充実させていく必要があると思っているところでございます。

小泉国務大臣 このアセスメント、重要なポイントだと思います。

 平成三十年の十月からの試行を経て、令和三年の一月から、保護観察対象者のアセスメントを実施するためのツール、CFPというんですか、これを本格導入しています。我々の方針はこれを充実したいということでありますが、対象の範囲を広げるというよりは、分析の深度を深めたい、そういう考え方で、今、このアセスメントの実効性を高めようということで検討しております。

阿部(弘)委員 大臣も精神医学の専門家ではないのであれですけれども、薬物事犯とか、そういう方々については十分の注意、配慮が必要ですよ。衝動性というよりも、かっとなることが非常に多いです、治療もなさっていなかったら。そういうことが多い。

 私のところの病院のある覚醒剤中毒の患者さんは、弁護士さんが退院請求を、何度も何度も請求されて退院されました。そうしたら、退院したその日に女子中学生をレイプして、そしてまた検挙されるということも起きました。

 ですから、なかなか予見はできませんけれども、法の中でいろいろ守られていくとそういうことも起きてしまう。ですから、いろいろなことに無頓着過ぎる。そういうところで中間取りまとめをずっと読んでいますけれども、何ら今回の死亡事案を防ぐ手だてが行われていないんじゃないかなというふうに私は感じ取ったわけでございますが、大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 令和三年一月から本格導入したということでありますので、これがしっかりと稼働していれば止められた可能性があるのではないかという、厳しいそういう論点もあり得ると思います。まず、しっかりとそこは検証したいと思います。

阿部(弘)委員 キーワードは妄想と衝動性ですよ。そういうことが罪名とかで予測される、そういうものがあるときには、しっかり、この制度自体は私は大変いい制度だと思っておりますし、いいんですけれども、事故が起きない、事件が起きないということが国民にとっては安全、安心につながっていく。そして、犯罪を、過ちを犯した方々が社会復帰をできる制度だと思いますので、是非とも御検討をお願いしたいと思いますが、当事者の局長も答弁をお願いしますよ。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、精神医学的な観点からも、様々な角度から対象になっている人をアセスメントしていくということが非常に大事だと認識しておりますので、今後、アセスメントツールの充実に努めてまいりたいと存じております。

阿部(弘)委員 差別にはつながっちゃいけないんですけれども、しっかりとそういう病歴あるいは犯罪歴についても保護司の方に提供されることを私は強く望みます。

 次の質問に移ります。

 私は、一貫して、議員になってから、医療観察法についての御質問をさせていただいております。

 津久井やまゆり園。障害者の方々が元職員の方に刃物で襲われて殺される。

 あるいは、京都アニメーション放火事件。この方は現在も存命でいらっしゃいますが、自分の作品を盗まれたという妄想を抱いて、ガソリンを建物の中にまいて火をつけた。ほとんどの方々がそこで焼け死んでしまわれた。本人が生きておりますので、その動機については語る機会があったんだというふうに思っております。

 また、同様に、大阪市の曾根崎の精神科クリニックに通う患者さんが、精神科クリニックにガソリンをまいて、そして火をつけた。道連れ殺人といいますか、京都アニメーションのこともよく知っていたのではないかというふうに想像されるわけでございます。

 このように、大量に、ある意味で、どんな妄想を抱いておったか分かりませんが、あるいは社会に対する恨みを持ってやったということもあると思いますが、こういう事件が起きても、国は、医療観察法について何ら手だて、あるいは見直しのための勉強会を一切行わずに、何もなさらないんですか。精神神経学会は、対象者が不明瞭であったり、あるいは病床の不足などを御指摘になっておりますが、まだまだ国民の犠牲がたくさん出るまで、このことについては頬かむりして、行政として何もなさらないのか。そのことについてお聞きしたい。

松下政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、医療観察法の対象犯罪が今六罪種に限定されていることについての見直しをするべきではないかという趣旨の御指摘と受け止めましたけれども、医療観察法におきましては、御案内のとおり、殺人、放火などの一定の重大な罪として規定されている行為に限って対象行為としておりまして、その罪種は、立法当時、様々な議論がございましたけれども、それを経て、いずれも個人の生命、身体、財産等に重大な被害を及ぼす行為であって、実態として心神喪失者等により行われることが比較的多いものであることに鑑み、心神喪失等の状態でこれらの行為を行った者については、特に継続的かつ適切な医療の確保を図ることが肝要であるということで選定されたものでございます。

 その範囲の拡大につきましては、新たに対象とする行為が現行の対象行為と同様な、今申し上げたような点があるかといった点を踏まえ、病状の改善や、それに伴う同様の行為の再発の防止を図り、その社会復帰を促進するため、手厚い専門的な医療を行う必要性、あるいは対象者の人権にも十分配慮する必要性、双方の観点から慎重に検討する必要があると考えております。

 現時点において法改正に向けた検討を具体的に行っているものではございませんけれども、犯罪情勢や医療観察法の運用状況については、今後とも注視してまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 病床の不足とか、あるいは、この医療観察法を運用するに当たり、様々な問題点は学会や関係団体から厚生労働省にも上がっていると思いますが、検討については、その意向というものも含めて、いかがでございましょうか。副大臣にお伺いします。

宮崎副大臣 今ほど法務省の松下刑事局長から御答弁がありましたとおり、この法律は両省の共管でありますので、厚生労働省としても、これをしっかり運用させていただいているところであります。

 ただ、対象行為の範囲の拡大という点だけを捉えますと、これは現行の医療観察法の対象者と同様に、手厚い専門的な医療を行う必要性が高いと言えるかどうかなどの観点から慎重に検討されるべきであると考えておりまして、厚生労働省も、現時点で法改正に向けた検討自体は行ってはいないわけでありますが、医療観察法に基づいて、対象者に適切な医療が提供されて、社会復帰を促進することができるよう、運用状況などを注視しながら、しっかり取組を進めていく必要があるという認識でいるところでございます。

阿部(弘)委員 私も精神保健福祉課の課長補佐をしておりましたが、かつて、在日アメリカ大使のライシャワーさんが精神障害者の方に足を刺されて出血をなさって、虎の門病院に担ぎ込まれた事件が起きました。その結果、精神障害者の外来通院公費負担、無料治療制度が始まったし、それに、ライシャワーさんはB型肝炎にかかってしまいましたので、輸血制度について新たな制度ができたというふうに存じ上げております。

 事件が起きないと日本の制度は変わらないのかなということも思っておりますので、是非とも、大臣、お願いしますよ。意気込みをお聞かせください。

小泉国務大臣 御指摘の医療観察法の対象行為の範囲の拡大については、ただいまそれぞれの参考人から御答弁申し上げましたとおり、立法当時の議論を踏まえつつ、手厚い専門的な医療を行う必要性があるかどうか、社会復帰を促進する観点から、そういう必要性があるかどうか、もう一つは、対象者の人権にも十分配慮する必要があると考えております。

 強制入院という措置を伴いますので、やはり人権に対する慎重な配慮、慎重な検討、これは必要であろうかと思っております。

阿部(弘)委員 いつも時間が迫ってきますので、次の質問に移ります。

 刑法二百二条、自殺関与罪について。

 日本は、西洋と違って、正犯であるべき自殺罪について、その規定がない。ただし、その周りの二百二条にしても、二百三条にしても、法整備は整えられている。正犯がないのに共謀罪がある。どうしてですか、局長。

松下政府参考人 お答えいたします。

 刑法上、自殺を処罰する規定が設けられていない理由につきましては、いろいろな考え方がありますけれども、文献等において、例えば、命は個人的な法益であり、個人の自己決定権は最大限に尊重されるべきことから、自殺は違法性を欠くとする見解が多数であるなどと指摘をされているところでございます。

阿部(弘)委員 ちょっと時間が迫ってきましたので。

 ずっと連続してこのことは聞いておりますが、ちょっと、百年前の議論で大変恐縮なんですが、百十年前、明治天皇が崩御されて、そうすると、乃木大将が自害された。奥様も同様に自害された。日本の英雄である乃木希典大将が死んだことで、日本人は喪に服す。

 一方、白樺派の芥川龍之介などは、前近代的だということで、この自殺については批判的。そうすると、森鴎外は官僚出身ですから、「阿部一族」を書いて、このことを擁護する者がある。

 私は、日本に自殺罪がないのは、こういう切腹という武士の生き方として、美学として捉えられていたから自殺罪がなかったんじゃないかというふうに考えるわけであります。

 森鴎外は、「阿部一族」、非常に面白い書き方をしていますね。熊本の肥後藩主の細川忠利藩主が、おまえは新しい藩主のために生き延びよと阿部弥一右衛門に言い残して亡くなった。しかし、周りの人たちは、なぜ殉死しないんだということを言って、その後に切腹する。そうすると、藩主の遺言に背いたということで家格を下げられてしまう。長男は、忠利公の一周忌のときにまげを切って殉死の意思を示したら、縛り首になってしまう。そうすると、阿部一族はその後、滅亡してしまうわけなんですね。

 江戸時代の武家諸法度で切腹は禁止になっていますけれども、しかし、今、朝ドラなんかを見ていると、やはり多くの方々は武士の流れかなというようなことも十分に考えられるわけでございます。

 日本はキリスト教の国ではありません。キリスト教の国は、贖罪として生きていく、エデンの園を追われて生きていくわけですから、自殺は許されない、しっかり天寿を全うしなさいと。

 私は、また議論しますけれども、こういう、刑法二百二条しかない、自殺を正犯として刑法の中にないことが、安楽死など様々な日本の死についての議論を停滞させていると思っています。百十年前のことを、いまだにそれを守り続けている。

 刑事局長、そのことについてしっかり国民的議論を、大臣も含めて、していくことが、これからの死を、どう生きるかということに、大切なテーマになってきますので、是非とも御議論をいただきたいと思います。

 安楽死などについては前回答弁いただきましたが、自殺が刑法にないことについては、法務大臣、いかがですか。

武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 深い御示唆をいただきました。個人的にも関心を持ちました。しっかり勉強したいと思います。

阿部(弘)委員 私も、六十を超えまして、六つの迷いがあるそうですから、六つの迷いを乗り越えて、しっかりと生きていきたいと思います。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、保護司として御尽力をいただきました新庄博志さんが殺害をされ、お亡くなりになりました。心から哀悼の意を申し上げたいと思います。

 この問題については集中審議をしていただきたいということで、今日の理事会でも申し上げました。先日の理事懇談会でも申し上げさせていただきました。是非、実現のために、委員長、理事含めて、御尽力をお願いしたいというふうに思っております。

 私も、保護司の皆さんからお話をお伺いをいたしました。そういう中で、やはり保護観察官の増員というものも必須だというふうに思います。そういう意味でも、概算要求、予算にしっかりと入れていただきたいというふうに思っております。

 また、今、電話で保護司の方々に御意見を伺っているというふうに聞いておりますけれども、電話だけではなく、匿名で御意見を率直にお伺いできる、そうした書面での提出ですとか、あるいはインターネットを通じての提出ですとか、そうしたことも是非やっていただきたい、それを踏まえた対策にしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、質問に関しましては、児童福祉司の増員、そして裁判所の職員の増員、一時保護の司法審査の関係で質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 来年度から、児童虐待などの被害を受けている子供たちの一時保護に当たりまして、保護者の方の同意が得られない場合に司法審査を行うということになっております。そういう意味では、子供たちの安全を守るためにも、司法審査の迅速さが問われてまいります。そのためにも、裁判所の体制の強化というのは喫緊の課題だと思います。

 さらに、親権、監護、面会交流をめぐる判断についても、子供の意思の確認、尊重、DV、虐待の判断の質の向上は、民法の改定のときに繰り返し求められてきたことです。人員体制の強化がその点でも必須だというふうに思います。

 裁判官、調査官、書記官、事務官などの増員、体制強化、是非やっていただきたいというふうに思いますけれども、最高裁、お願いしたいと思います。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁といたしましては、これまで、こども家庭庁に設置されている一時保護時の司法審査に関する実務者作業チームにおきまして、審査の適正性確保の観点から提出資料の在り方等について意見を述べてきたところでありまして、この作業チームにおける議論を経て作成されました一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)の内容も踏まえ、各裁判所に対し、事務処理の在り方を検討する上で参考となる情報を提供するなどしておりまして、各裁判所においては、こうした情報を踏まえて、事務処理の在り方について検討が進められているものと承知しております。

 また、先般成立した民法等の一部改正法が施行となれば、裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなるほか、新たな裁判手続等の創設に伴いまして、家庭裁判所に申し立てられる事件数の増加が見込まれることは、裁判所としても認識をしているところでございます。

 裁判所といたしましては、裁判所に期待される役割をしっかりと果たすためにも、御指摘の一時保護制度や民法の一部改正法に伴い新たに創設される裁判手続等を含め、それぞれの制度の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実に行われるよう、裁判所全体として適切な審理運用の在り方を検討していくことは重要であると考えておりまして、こうした適切な審理運用の在り方に見合った体制の整備に努めていく必要があると考えております。

 家裁を含む裁判所全体の事件処理能力の一層の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

本村委員 子供の安心、安全に関わる、そして迅速に判断しなければならないということでございますので、是非、体制強化をしていただきたいと思います。

 この間、調査官の子供さんへの聞き取りの内容についてもお話を伺ってきたんですけれども、もっとじっくり子供たちの声に耳を傾けていただきたいというふうに痛感をいたしました。そのためにも、やはり絶対的な増員というものが必要になってまいります。

 調査官の養成というのは、入れたからすぐできるということではなく、二年はかかるというふうに伺っております。二年たったらすぐできる、十分かといえば、そうでもないというふうに聞いておりますので、必ず補正や来年度の予算の中で純増を図っていただきたいというふうに思っております。

 そして、名古屋市の現場の児童福祉司の方からもお話を伺ったところ、国の児童福祉司の増員計画、これが今年度で終わってしまうということで、引き続き国として増員の目標を持ってほしいというふうに言われました。児童虐待の相談対応件数というのは右肩上がりで増えているという下で、当然の声だというふうに思います。

 今までの業務に加えて、来年度からは一時保護の司法審査をしていくということになっておりまして、そのために、書類を書くなど、児童相談所、児童福祉司の仕事も増えていくわけです。

 実際に、今、各自治体、一部の自治体の方ですけれども、一時保護の司法審査の試行ということでやっていただいているんですけれども、名古屋市の職員の方にお伺いをいたしますと、業務量は増えているということを伺っております。そうしますと、やはり、児童福祉司を始め児童相談所の増員、体制の強化が必要となってまいります。

 引き続き、児童相談所の体制の強化、児童福祉司の増員に向けて、補正でも、そして来年度の予算でもしっかりと財政措置をしていただきたいというふうに思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 児童相談所等の体制強化を計画的に進め、児童虐待防止対策を更に進めていくため、令和四年十二月に新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定し、児童福祉司については、令和五年度から二年間で千六十人程度増員することとしています。

 また、令和七年六月に施行する一時保護時の司法審査の導入に向けては、今年の三月から幾つかの児童相談所にて、児童相談所における具体的な運用方法を示すマニュアル案に沿って一時保護状請求までの流れを試行的に実施し、作業ごとの対応時間やマニュアル案に対して意見等を報告していただく試行運用を行っていただきました。

 現在、各児童相談所からの試行運用の結果を集計しておりますが、一時保護開始時の司法審査の導入に伴い、現場では、親権者等の同意の確認、一時保護状請求書及び総括書面の作成等の対応が見込まれております。

 こうした業務量を確認した上、児童相談所の現場の状況等も十分に踏まえつつ、新たな児童虐待防止対策総合強化プランの改定について、必要に応じ検討してまいります。

 これが今、私どもの答えでございますが、本村委員から名古屋市の話が出ております。これは一例だと思って、多分議員は調べられたと思いますけれども、私も名古屋市会議員出身でありましたから、きちっと現場の子ども青少年局の担当課長に現状はどうですかという聞き取りをさせていただいて、すぐさま国に要請なんじゃないですけれども、厳しい状況は確かです。それに応じて、今これは人手が足らなかったらすぐさま要請したいし、頑張れるところは頑張っていきたいけれども、無理があるときはやはり要請をかけていきたいと。

 そして、私も、その辺で、今、予算の話も出ましたが、すぐさま予算化、増員という形は取れない、なかなか厳しいのが現状でありますので。そしてまた、新たな児童虐待防止対策総合プランというものをつくって、つくった途端に人を増員じゃなくて、やはり頑張れるところまでは頑張っていきたい、そして、足らないと思ったらやはり思い切って増員する、そういう考え方に基づきまして、適材適所で配置する、そんな考えでおりますので、御理解賜りたいと思います。

本村委員 児童福祉司の方々にしっかりと専門性を持って取り組んでいただくためにも、増員は喫緊の課題だというふうに思っております。是非、補正でも来年度の予算でも、しっかりと児童福祉司を増やしていくこと、そして家庭裁判所の職員も増やしていくことということを強く求めたいと思います。

 この問題についてはこれで終わりですので、副大臣、御退席いただいても構いません。最高裁の方も退席していただいて構いませんので、お願いをいたします。

武部委員長 副大臣と馬渡家庭局長、御退出して結構です。

本村委員 続きまして、リニアの問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 リニア工事をめぐって、今日は、資料の一で出させていただいているんですけれども、JR東海に関わって、法令違反、そして死亡を含む労災事故の多発、環境破壊、談合などの事件をまとめた一覧表を出させていただきました。各地で本当にひどい問題が起きております。私は、これはまさに人権の問題であり、所有権の問題であり、かなり重大な問題だというふうに思っております。

 まず取り上げたいのは、リニア日吉トンネル南垣外工区の工事が原因とされておりますけれども、岐阜県瑞浪市大湫町で井戸やため池の水がかれ、水位低下が起きました。資料の二を見ていただきますと、水がかれたり水位低下した水源、ため池、井戸、黄色と赤の部分が水がれの部分、そして水位が低下をした部分です。

 私も現地へ行かせていただきまして、地域の方々からお話を伺いましたけれども、地域の方々にとって大事な井戸、水源がかれてしまった。江戸時代から歴史ある井戸もかれてしまいました。ある方は、半世紀かけて、苦労に苦労を重ねて田んぼを作ってこられました。これまで半世紀の御苦労をリニアの工事によって短時間で壊されてしまった、このことに対する憤りのお声をお伺いをいたしました。元に戻してほしいというお声を伺いました。JR東海はどのような責任を取るつもりなのかというふうに、私も大変憤りでいっぱいでございます。

 それで、前提としてお伺いをしたいんですけれども、この岐阜県瑞浪市大湫町で、水がれ、水位低下、いつの時点で事象が起き、いつ岐阜県、国土交通省に報告があったのかという点を確認をさせていただきたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えをいたします。

 JR東海からは、既設の観測用の井戸において二月二十日に水位の低下傾向を確認し、速やかに地域の関係者や瑞浪市に連絡をした、一方、岐阜県に対しては、内容をきちんとまとめて報告したいと考えていたところ、報告が五月一日になったとの説明を受けております。

 国土交通省に対しましては、五月の十五日に報告がございました。

本村委員 続きまして、JR東海から、水位低下、水がれ、この問題についてなんですけれども、日吉トンネル南垣外工区を掘る中で、トンネルを通じて水が流れる量、湧水の量は、上昇がいつから始まったのか、湧水の量をリアルタイムにつかんでいたのか、伺いたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 JR東海からは、本年二月の中旬、現在のトンネルの掘削位置から約百メートル手前の箇所を掘削していたところ、トンネル内の湧水量が増加した、トンネル湧水量については常時計測を行っているとの報告を受けてございます。

本村委員 今年一月下旬、地域の皆さんが南垣外工区の見学に参加をしたときに、トンネルから水が流れてくる湧水がありまして、これは大湫から流れ出ているものではないかということで、一月の下旬の時点で地域の皆さんは心配されていたわけです。

 資料三を見ていただきますと、資料三の右の下のグラフを御覧いただきますと、今年二月から水位観測孔の水位が下がっております。そして、資料四、下の棒グラフを見ていただきますと、南垣外非常口施工ヤードのトンネル湧水は二〇二二年秋から増えているということが分かります。トンネルを通じて水がどんどん流れるわけですから、どこかで水がれ、水位低下が起こっている可能性が高いということになってまいります。

 この大湫の水がれ、水位低下はどのように進行してきたのかということですけれども、二月の時点で水位が下がっていた、一月の時点でも流れていたということですけれども、なぜその時点で止めなかったのかという問題がございます。

 三月の地域の会合があったときに、JR東海に、工事の即時停止、住民の方から要求があったそうですけれども、なぜ止めなかったのか、なぜ五月まで工事を止めなかったのかという点について、副大臣にお願いしたいと思います。

國場副大臣 JR東海からは、二月下旬から既設の観測用の井戸で地下水位の低下傾向が確認されたため、地域の関係者や瑞浪市に連絡し、地域の井戸等の状況を確認するとともに、井戸等を使用して生活されている皆様への影響を最小限に抑えるため、上水道を利用するための工事などの対応を始めた、トンネル工事については、二月下旬で掘削していた箇所は地質が脆弱だったため、安全面を考慮して安定した地質の箇所まで掘り進めていたとの説明を受けております。

本村委員 元々、JR東海が出した環境影響評価には、本線トンネルについて、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリング等、最先端の探査技術を用いて地質や地下水の状況を把握した上で、必要に応じて薬液注入を実施することや、覆工コンクリート、防水シートを設置することにより、地下水への影響を低減できるというふうに書いてありました。

 大湫の水が抜けてしまう前、JR東海は、受注している清水建設・大日本土木・青木あすなろ建設JVに、ちゃんとこういうふうにやるようにということを言っていたんでしょうか。ちゃんとやっていたんでしょうか。その点、いかがでしょうか。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 JR東海は、リニア中央新幹線の建設に当たりまして、平成二十六年に、環境影響評価において、環境影響を低減するための様々な講ずるべき措置を表明してございます。これに基づき対策が行われているものと承知しております。

本村委員 先進ボーリングはこれからやるということですけれども、やっていたんですか、水が出る前。

岸谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般論でありますが、トンネル工事を行う際には、トンネル掘削方向のおよそ百メートル程度のボーリング調査を行うというのが一般的な工法だと考えております。

本村委員 一般論を聞いているわけではないんです。今回の水がれの件で私は聞いているわけでございます。

 少なくとも水がれの原因究明、再発防止ができるまで工事は止めるべきだというふうに考えますけれども、これは副大臣、お願いしたいと思います。

國場副大臣 JR東海は、環境影響評価において、トンネルの工事及び鉄道施設の存在による地下水位への影響は、断層付近の破砕帯を通過する区間や洪積層の浅い場所を通過する場合においては、一部の地下水の水位へ影響を及ぼす可能性があると予測しており、環境保全措置として、地下水等の監視、応急措置の体制整備、代替水源の確保等をすることとしていました。

 なお、今回の事案を受けて、地域の皆様の生活への影響を最小限に抑えることに努めるとともに、薬液注入作業によりトンネル湧水を低減させる取組も進めているとの説明を受けております。

 現在トンネル工事は中断しておりますが、今後の工事の進め方については、現在、岐阜県環境影響評価審査会地盤委員会において原因究明等について議論されており、その議論を踏まえて今後の対応について検討した上で、再開するかどうかの判断を行うと聞いております。

本村委員 様々対策をするんだというふうに言うんですけれども、少なくとも、飲料水、農業用水、井戸の掘削費用、井戸のポンプアップ代、維持管理費用、水道水の料金、そして水道工事、電気料金、水道料金、恒久的に補償するべきだというふうに考えますけれども、副大臣、お願いします。

國場副大臣 JR東海からは、現在、井戸等を使用して生活されている方への影響を最小限に抑えるため、上水道を利用いただくための工事をJR東海の負担で順次実施するとともに、新たに発生する上水道利用に伴う費用等についてもJR東海が負担しているところであります。

 国の基準を踏まえて、地域の御意見を伺いながら補償などを行っていくと聞いております。

本村委員 最後に、これは命の水の問題であり、人権、所有権に関わる重大な問題だというふうに思います。その点、大臣に御所見を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 先ほど来、委員より、リニア中央新幹線の工事に関しての様々な御指摘を伺いましたが、御指摘の工事については、法務省所管外であり、法務大臣としてコメントする立場にはない、このことを御理解いただきたいと思います。

 いずれにしても、課題があるのであれば、政府として必要な対応がなされることが肝要であると考えております。

本村委員 事業を再検証していただきたいんです。今日は埼玉県の資料も載せさせていただきましたけれども、建設費用というのは、価格の高騰、今、様々な原材料費の高騰などを含めて、コストが上がっているというふうに思います。

 再検証を強く求め、そして、もうリニアはやめていただきたいということも強く求め、質問を終わらせていただきます。

武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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