衆議院

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第3号 平成29年3月10日(金曜日)

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平成二十九年三月十日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 浜地 雅一君

      今津  寛君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      熊田 裕通君    佐々木 紀君

      島田 佳和君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      松島みどり君    山田 美樹君

      石関 貴史君    緒方林太郎君

      吉良 州司君    松田 直久君

      渡辺  周君    真山 祐一君

      笠井  亮君    宮本  徹君

      足立 康史君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        岸  信夫君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            白川 俊介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   山崎 和之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房報道官) 武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     加藤 寛治君

  中川 正春君     松田 直久君

  原口 一博君     緒方林太郎君

  岡本 三成君     真山 祐一君

  笠井  亮君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     金子万寿夫君

  緒方林太郎君     原口 一博君

  松田 直久君     中川 正春君

  真山 祐一君     岡本 三成君

  宮本  徹君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長山崎和之君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房参事官飯島俊郎君、中東アフリカ局長上村司君、領事局長能化正樹君、内閣官房内閣参事官望月明雄君、内閣府国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、金融庁総務企画局審議官白川俊介君、財務省主計局次長茶谷栄治君、防衛省大臣官房報道官武田博史君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 本日、三十五分、在外公館名称位置給与法につきまして質疑をさせていただきます。

 三ッ矢委員長とは、青山宿舎の代表世話人、副代表世話人ということで、いつも本当にお世話になっております。

 まず、昨日、安保委員会で岸田外務大臣に、私、済みませんでした、通告なく質問させていただきましたが、北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZに落ちたということについて質疑をさせていただきました。

 国連海洋法条約では、排他的経済水域そして大陸棚には主権的権利というのが認められています。主権ではないですけれども、主権的な権利という非常に微妙な言葉が使われているわけでありますが、今回日本のEEZにミサイルが落ちたことによって、私は、実は、日本の主権ではない、だけれども主権的権利というものが侵害をされたのではないですかというふうに、昨日お伺いしました。

 通告がありませんでしたので、きょう再度お伺いをさせていただきます。岸田大臣、いかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 昨日、委員の方から御質問をいただきまして、改めて私も国連海洋法条約を確認してみました。

 そうしますと、国連海洋法条約五十六条の一に、沿岸国はEEZにおいて天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利を有している、こう記されています。要は、この主権的権利とは、天然資源の探査、開発、保存及び管理、こうしたことを行うことを指していると承知をします。そして、その上で、今度は五十八条の三には、他国のEEZにおいて、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払わなければならない、こうした規定が設けられています。

 そして、委員の御質問は主権的権利が害されたかどうかということだと思いますが、要は、この条約上、軍事訓練が行われたとしても、妥当な考慮が払われていたならばそれは可能であるとされています。EEZ内で軍事的な訓練を行うということは、これは先ほど言いました天然資源の探査、開発、保存及び管理といったこの権利を害するかどうか、これは判断が大変難しいものがありますが、そうだとしても、条約上は、妥当な考慮が払われていればそれは可能であるというふうに解釈するべきであると承知をしています。

 そして、今回の北朝鮮によって発射された弾道ミサイル、我が国のEEZ内に落下したわけでありますが、これは、何らの事前通報もなかったことを鑑みれば、我が国の権利及び義務に妥当な考慮を払ったとは言いがたい、このように考えるべきであると考えます。

緒方委員 いや、最後の一言がなかったんですけれども、妥当な考慮が払われていなかったことをもって主権的権利が害されたというふうに大臣はお考えですか。

岸田国務大臣 主権的な権利が害されたかどうかというのは大変難しい判断であると聞いております。

 そして、害されたかどうかを判断するよりは、妥当な考慮が払われていたかどうか、これが重要であるというのが、この条約の解釈の仕方であると認識をいたします。これは、軍事訓練であっても事前通報があれば可能であるというのが、この条約における解釈のありようだと承知をしています。

 そのことを考えますと、妥当な考慮が払われたかどうか、これこそ最も重要なことであり、今回は払われていなかった、これはその点で問題であると認識をいたします。

緒方委員 なかなか苦しい答弁だったことは理解をいたしました。

 それでは、次の質疑に移っていきたいと思います。

 きょうは、本当は名称位置給与法について質問をするつもりなんですが、少し外務省改革についてお伺いをいたしたいと思います。

 平成十四年、少し前ですけれども、外務省に不祥事が起きまして、そのときに、外務省を改革しなきゃいけないということで非常に大きなうねりがございました。当時私は外務省におりまして、そのうねりのど真ん中にはいませんでしたが、その末席ぐらいのところにいたんじゃないかなと思います。そのときに、当時の川口外務大臣のもとで、外務省改革行動計画というものが策定をされました。百六十項目あります。いろいろなことについて、こういうことはこうしよう、こういうことはこうしようと、かなりいいことが書いてあります。

 しかしながら、最近、外務省を見ておりますと、実は、そのときの改革に対する熱が少しなくなってきているのではないかなというふうに見えることがございます。

 外務省官房長にお伺いいたしたいと思います。

 百六十項目の外務省の改革案、全て実施できているというふうに思われますか、官房長。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、緒方先生から御指摘がございました平成十四年の外務省改革に関する行動計画につきましては、国際環境の急激な変化への対応、外務省に対する国民の信頼を取り戻す観点から策定したものでございます。その中では、政と官の関係のあり方や外務省職員の意識改革、それから、人事制度の再構築、政策構想力の強化、大使館などの業務の見直しなどの、御指摘のとおり、十四分野百六十項目を実施することが具体的に明記をされております。

 外務省といたしましては、この行動計画を強力かつ着実に実施すべく、外務大臣を長とする改革推進本部を設置し、各項目の着実な実施に向けてこれまで不断の努力をしてまいりました。今後も、行動計画策定当時の精神に立って、引き続き、推進すべき課題につき鋭意検討し実施してまいりたいというふうに考えております。これは、引き続き、時代に合わせて、精神に立ち、実施を続けていくということでございます。

緒方委員 必ずしもできていない部分があるという理解でよろしいですか、官房長。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省としては、百六十項目一つ一つを、その時代に合わせて着実に実施していくということでございます。我々、チェックをしておりまして、この点はまだ不十分ではないかというふうに考える部分もございますので、それをその時代に合わせて常に実施していく努力を続けていくということであるというふうに考えております。

緒方委員 では、マル・バツ表というか、どれぐらいの進捗状況かということについて、後日示していただければと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、きょうの在外公館名称位置給与法について質疑に入っていきたいと思います。

 今回、法律そのものには総領事館の新設とかそういったことが入ってきまして、大使館というのはもともと存在をしていることになっているので、大使館が新しく実館になることについては法律改正を要しないということで、入っていないというふうに思いますが、ただ、予算措置として、新しい実館を設けることについて予算措置が行われている、その中にキプロスという国があります。

 私は、昨年、他委員会ですけれども、内閣委員会の方でキプロスという国に行きまして、非常にいろいろ示唆的なところもあったわけでありますが、これまで大使館がございませんでした。EUの中で、恐らく、実館がないのはキプロスと、マルタがないのかなと思いますけれども、EUの中で、今、大使館の実館がないところというのはだんだん限られてきているわけであります。

 まず、外務省にお伺いをいたしたいと思います。キプロス、今回大使館を実館で新しく開くわけでありますが、その重要性について答弁をいただければと思います。

小田原大臣政務官 キプロスは、EU加盟国であるとともに、中東地域に近接するという地政学上の重要性を有しています。対ISIL作戦における西側諸国の拠点の一つとして、国際社会における注目が高まっていると承知しています。

 政府としては、こうしたキプロスの戦略的重要性を踏まえ、時宜を得た情報収集や現地対応を行うべく、今般、キプロスへの大使館新設をお願いしたところであります。

緒方委員 今、ISIL対策で非常に重要な役割を果たすというような話がございました。そのとおりなんです。

 キプロスという国は、国土の三%が英国領であります。租借地でも何でもなくて、純粋に英国領です。行ってびっくりしたんですけれども。そして、そこにイギリスの空軍が基地を持っています。

 中東に対して、中東に何らか有事があるときに欧米諸国が使えるポイントとして、トルコのインジルリクがありますね。そしてディエゴガルシアがあります。そしてもう一つ、このキプロスというところの重要性というのは、これは本当に私は否定できないと思います。

 英国の空軍が基地を持っていますが、周辺の方に聞いてみると、時々アメリカの空軍の飛行機が来るはずだと。飛行機を見ている限りにおいてですね。そういう意味で、情報収集という観点からも非常に重要。これは、キプロスの軍隊ということもありますけれども、恐らく英国の空軍の関係者がかなり住んでいます。こういった方々との関係を通じて、今何が起こっているのかというのを全体として見きわめるという意味で重要だと思いました。

 あと、EUの一員であるというのはもちろん言うまでもないことですが、行ってみると、制度を一生懸命EUに合わせようと非常に努力している国です。いろいろな、国の制度が、彼らの説明によると英国にほぼ準拠している。なので、ブレグジットでEUからイギリスが抜けていったら、できればうちに来てほしいなみたいなことを言っている方もおられました。

 あと、中東と物すごく近いというのを感じました。イスラエルは本当に目の前です。エジプトとも非常に関係が深いということ。

 そして、私はびっくりしたんですけれども、ロシア人のプレゼンスが極めて高い。年間、キプロスを訪問する外国人のうち、百万人がイギリスから来る、五十万人がロシアから来るということで、町中でもロシア語を見ることが非常に多かったです。今、日本の名誉総領事として、キプロスに名誉総領事になっておられますネオクレウスさんという方がおられますが、ロシアとの関係が非常に深いですね。

 そういったこともあって、これは単なる示唆でありますのでどれぐらい答弁が返ってくるかわかりませんが、あともう一つ、南北分断国家でPKOが出ているということもあったりして、防衛駐在官を置いてはどうかなという気がするというのと、あと、ロシア語のわかる方を一人置いてはどうかなというふうに私は思うんですね。こういった考え方についてどう思いますか、官房長。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございました防衛駐在官の派遣につきましては、派遣元の防衛省とも協議の上、軍事情報の収集や関連当局との協力、交流促進等の外交上の必要性に応じて、適切な配置をするように努めているところでございます。今後も、防衛省と協議し、国際的な安全保障環境の変化を踏まえて、限られたリソースというふうに伺っておりますけれども、その中で、キプロスも含めて検討するように、引き続き努めてまいりたいと思います。

 また、在キプロス大使館が設置させていただけた場合のロシア語要員の配置につきましても、大変今の御指摘は示唆に富むものだと思いますので、それも含めて検討させていただきたいと考えております。

緒方委員 いろいろな、人事の話ですのでこれ以上立ち入ることはいたしませんけれども、見ていると、ロシアと近いということはなかなか感じないと思うんですね。けれども、すごいですよ。なので、ぜひ考えていただければと思います。

 そういった中、やはり、キプロスの首都ニコシアに行きますと、一番何が目につくかというと、南北分断国家であるということです。我々が通常行くときというのは、南の方のところから行って、ただ、南の方から入っていって、町のど真ん中に停戦ラインが引かれていて、北側を見るとトルコの国旗とか、あとモスクがあったりする。夕方どきになると、これ見よがしにイスラムのアザーンが流れてくるというようなことがあったりして、ああ南北分断国家なんだなというふうに物すごく感じます。

 出ているPKOは、UNFICYPといいまして、もう長らくずっと出ています。行ってみると、南北分断国家で停戦ラインが引かれていてPKOが出ているという話をすると、すごい緊張感なのかなと思いきや、結構のどかです。停戦ラインを越えていくのも結構自由に、お買い物感覚で停戦ラインを越えていったりして、PKO自体も、もちろん緊張感がゼロとは言いませんけれども、すぐに何か危険なことがあるというわけではないPKOです。

 通常我々がPKOとして想像するものというのは、例えば今、南スーダンに自衛隊の方が行っている、ああいうのと比較すると、全然違うな、同じPKOなのにこんなに違うのかと思うぐらい違うんですね。逆にこういうところに派遣できればなという思いも出てきたわけでありますが。

 ただ、私、そこで最初、何かこんなのどかなところでやっているPKOってどうなのかなと思ったんですけれども、もう一度よく考え直してみて、PKOって、もしかしたらこういうものをPKOと呼ぶんじゃないかなという思いが出てきたんです。今、南スーダンとかで出しているPKOというのが通常の形態ではなくて、むしろああいうキプロスに出しているようなPKOみたいなものが通常のパターンなのではないかなというふうに、ちょっと思うようになりました。

 ここからはPKOのあり方について質問をさせていただきたいと思いますが、国連では、PKO改革のためのさまざまな報告書であるとかハイレベルパネルの報告書であるとか、そういったものが出ています。そこで何が書かれているかというと、国連の能力が変化に追いついていないとか、政治的なサポートが足らないとか、求められるものとできることのギャップが非常に大きいとか、国連の官僚主義が弊害になっている、そういった指摘がございます。

 そういった中、これからの動きとして四つ挙げられていて、政治的な解決の重要性とか、現場の情勢に応じた柔軟な対応を図るべきだとか、多くの関係者をできるだけインクルーシブに取り込んだパートナーシップが重要だ、現場にフィールドオリエンテッドなPKOであるべきだとか、そういうことが書かれていて、何かというと、国連の、恐らく事務方も含めて、魂の叫びだと思うんですね。何でもかんでもPKOに押し込まれていて、もうそれが耐えられないというふうに、国連の、少なくとも現場にいる方は思っているんじゃないかと思うんですよね。そういう認識を共有されますか、内閣府。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 今委員の御指摘にありますように、まさに国連におきましては、HIPPOの報告書ですとか国連の改革の問題、鋭意取り組んでおられます。新しく事務総長になられたグテーレス事務総長も同じ問題意識で今取り組んでいると思っておりまして、我々も現場にPKO要員を出しておりますので、そのような国連の動向についてはしっかりフォローしながらやらなければいけないというふうに思っております。

緒方委員 これから、日本だけではなくて世界全体で見たときに、PKOでやるべきものとPKOでやるべきでないものというのを分けるべきではないかと私は思うんですけれども、では、これは外務省、いかがお考えでしょうか。

小田原大臣政務官 国連のPKOが対応を迫られる紛争というのは、かつては伝統的な国家間の武力紛争でありましたが、近年は国内における衝突や、それと国家間の武力紛争との混合型に変化し、かつ、長期化する傾向があります。

 それに伴い、国連のPKOのマンデートは、伝統的な停戦監視などから多様化しつつあり、近年は文民の保護、和解の促進、調停、また政治プロセスに対する支援、国家制度の構築支援、人道支援実施の環境づくりといったマンデートの重要性が増してきています。

 このように、多岐にわたるマンデートが課せられていることは、国連PKOが国際社会の平和と安定の確保において重要な役割を担うことへの強い期待を示すものであると認識しています。

 一方で、マンデートは明確で達成可能なものであるべきという問題意識も広く指摘されています。我が国としても、その問題意識を共有しています。したがって、我が国としても、安保理非常任理事国及び要員派遣国として、安保理、国連事務局、要員派遣国間の対話を促すなど、マンデートをさらに現実的なものとし、それを通じて効果的な活動を促進することに貢献したいと考えています。

緒方委員 今、国家と国家の紛争についてが伝統的な紛争だった、それを言い直して、いろいろと、近年、非国家組織によるところの衝突と言いかえたんですよね。紛争ではないんですか、小田原さん。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点は、英語で言うところのアームドコンフリクトの訳語に係る部分かと思いますけれども、状況に応じて、以前の委員会で御答弁差し上げたとおり、国連における、安保理における用語として、国際社会の一般通念として武力紛争ということはございますけれども、その場の状況に応じまして、これが武力衝突であることもございますし、我が国のPKO法上の武力紛争ではないという前提のもとに、我々、このいろいろな衝突事案について着目しているところでございます。

緒方委員 それは、もうこれ以上、この話はここで詰めませんけれども、英語でアームドコンフリクトと書いてある。時々、外務省は武力紛争と訳す。時々、外務省は武力衝突と訳す。その区分は何だと説明できますか。できないと思いますよ。できないと思いますよ、その時々で分けている。

 それは何で分けているかというと、日本がPKOを出しているところは武力紛争と書くとまずいから武力衝突と訳しているんです。その明確な区分を言えますか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、状況によって、国際社会の一般通念としての武力紛争ということを使うこともございますし、我が国のPKO法上との関係で、武力紛争ではないと言うことももちろんございますので、それは状況によっていろいろと表現ぶりは変わってくるものと思います。

緒方委員 今、すごい答弁が返ってきましたよ。我が国のPKO法上との関係で武力衝突と訳すこともあると、まさに稲田大臣が答弁したラインと同じじゃないですか。憲法九条に合わせるためにそういうふうな訳をつくっているというのと、ほぼ似たような答弁ですよ。

 この話はやりませんが、ただ、これもぜひ、アームドコンフリクトを武力紛争と訳すケースと武力衝突と訳すケース、それぞれどういう基準で、そしてこれまでどういうケースがあったか、代表的なもの、資料で出してください。お願いします。(発言する者あり)ちょっとやめさせてくださいよ。やめさせてくださいよ、これ。何ですか、これ。

三ッ矢委員長 ちょっと不規則発言は控えてください。

緒方委員 何ですか、これ。ひどいじゃないですか。(発言する者あり)うるさい。うるさい。

三ッ矢委員長 不規則発言は控えてください。

緒方委員 それでは、質問を続けたいと思います。

 この国連のPKOに関するハイレベルパネルの中に結構衝撃的なことが書いてあります。多くの今日のPKOは維持すべき平和がほとんどないか全くない状況で派遣をされているというふうな表現が書かれています。私の訳が正確で正しいかどうかわかりませんが、少なくとも何が該当しているかということはわかっていただけていると思います。

 今日の多くのPKOが、維持すべき平和がほとんどないか全くない状況で、そういう環境のもとで派遣をされているというこの認識を、外務省でも内閣官房でも結構ですが、この認識を共有しておられますか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政務官からも御答弁がございましたとおり、国連のPKOのマンデートは多様化してございます。伝統的な停戦監視型からいろいろなマンデートがふえてきてございますので、そういう中にあって、国連のPKOの中で非常に厳しい状況の中で活動が続けられているということは承知しておるところでございます。

緒方委員 答えていないですね。国連のハイレベルパネルの報告の中で、維持すべき平和がほとんどないか全くない状況で派遣されているPKOが多いと。ア・ナンバー・オブ・ピース・オペレーションズという言葉で書かれています。その認識を共有しておられますかということを聞いているんです、外務省。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、HIPPO報告書は、国連PKOが、より困難な状況で活動することがふえていると述べております。

 一方で、同報告書は、国連にできることについての野心には限度を設ける必要があるとし、軍事的な対テロ作戦を担うべきではないともしております。

 また、この報告書は、主要な当事者の同意、普遍性、自衛及び任務防衛のため以外の実力の不行使が、引き続き国連PKOの基本三原則であるともしております。

 国連PKOの活動について種々な意見があることは承知しておりますけれども、我が国としては、いずれにいたしましても、国連PKOが抱える課題の解決に積極的に取り組んでいくべく努力してまいりたいと考えております。

緒方委員 全然答えになっていませんでしたが、質問を移したいと思います。

 では、南スーダンに出しているPKOについてですが、南スーダンにはキープすべきピースがあるというふうに思われますか、外務省。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダンの平和の維持のために、我が国を含む国連PKOが活動しているものと承知しております。

緒方委員 ただ、本当によく考えていただきたい。全く、これは多分、国連の関係者の本当に魂の叫びだと思いますよ。ゼア・イズ・リトル・オア・ノー・ピース・ツー・キープという表現で書かれている。これは物すごく強い表現ですね。守るべきピースがないところに派遣をされている、これを改革してほしいと言っているんです。

 これは、やはり、何でもかんでもPKOに押し込まれていることに対する不満のあらわれだと思います。先ほど、日本は非常任理事国とかでいろいろな改革に取り組みたいと言っているようにも聞こえましたが、ここは、岸田外務大臣、本当に考えていただきたい。PKOでどこまでやるのか、何をどこまでやるのかということについて真摯な議論が必要だと思います。

 五原則が満たされ、安全で有意義な活動ができるのであれば、今、日本のPKOは出せるということになっていますが、ただ、それが満たされたからといって、何でもかんでもやるわけじゃないわけですよね。国際的にどこまでやるのかという話、そしてその中で日本がどこまでやるのかという話。この件についてもう一度よく考えないと、本当に何でもかんでも押し込まれる。その中から日本が自分たちの判断で選ぶ、これは私、余りいい状況ではないというふうに思っています。岸田外務大臣のお考えをお伺いできればと思います。

岸田国務大臣 委員の御指摘になられた国連平和活動に関するハイレベル独立パネル報告書の内容にありますように、PKOのあり方につきましては、国連において、あるいは国際社会においてさまざまな議論が行われていることは承知しております。

 実際、PKOをめぐる環境もどんどん変化しているわけですから、その変化に対してさまざまな議論があり、問題提起がされている、このことは承知しておりますし、我が国も、その中でどうあるべきなのか、真剣にその議論に参加し、この議論に貢献していくことは大事だと思います。

 ただ、一方で、我が国は、憲法との関係においてPKO法があり、PKO法の要件が満たされなければこうした対応はできない、これも事実であります。PKO法に加えて、平和裏に安全に意義ある活動ができるという観点からも我が国のPKO活動について考え、具体的な対応を決定していく、これも事実であります。この両方の議論の中で我が国のありようを考えていくべきであると考えます。

緒方委員 参加するんじゃなくて、議論を主導する側に回ってほしいということを希望として述べさせていただきます。

 最後に、キプロスに行きましたときに、もう一つすごく印象的だったのが、ギリシャの経済危機の結果としてあの国でペイオフを実施したということがあって、町中で話すとその話がすごくよく出てきます、預金が削られたとか。

 もっと幅広く、ベイルインと言っておりますが、先進国の中でかなり幅広くベイルインが導入された国というのは恐らくキプロスぐらいだろうというふうに思います。個人の高額預金が大幅にカットされたり、預金者不安が生じ、そして、銀行が二つあったのが一つになったりとか、そういったさまざまな経済の信頼が損なわれたことによって非常に苦しい思いをしたということがあるんですが、学ぶところが多いと思います。

 EUがなぜキプロスに公的資金を、まあ公的資金を投入していますが、ベイルアウトの形で救済せずにベイルインを導入したかというと、恐らく、これは本当にそう言っていいかどうかわかりませんけれども、一度ちょっと試験的にやってみようという思いもあったのではないかなと私は思うんですね。それを踏まえて、今EUは、キプロスでの経験を踏まえて、ベイルイン法制を整えています。

 まず、金融庁にお伺いをいたしたいと思います。

 このキプロスで起こった金融危機とそれに対するキプロスの対応、そしてそれを踏まえたEUでのベイルイン法制の整備についていかがお考えでしょうか、金融庁。

白川政府参考人 お答え申し上げます。

 キプロスでは、先生御指摘のとおり、非付保預金を含むベイルイン、これは債権者や株主による損失負担が実施されまして、大手行の破綻処理が行われたというふうに承知しております。

 キプロスの非付保預金のベイルインに関しましては、キプロス議会に提出された全ての預金に対する課税案が否決されるなどの混乱が生じている中で、債権保有者に加え、大口預金者にも負担を求めることによって政府や納税者の負担を軽減することにつながった面もあると認識しております。

 ただし、キプロスの預金の約四〇%が国外居住者のものであったということや、キプロスの金融業に対するマネーロンダリング疑惑等のキプロス特有の事情があったということにも留意が必要だというふうに考えております。

 金融庁といたしましては、これまでも金融機関の破綻防止に努めるとともに、仮に金融機関が破綻した場合であっても金融システムや国民生活への悪影響を最小化すべく、預金保険法に基づく破綻処理の枠組みを整備し、円滑な実施に向けた取り組みを続けているところでございます。

 こうした観点から、他国における金融機関の破綻処理の実施や、それを踏まえた国際的な議論の進展も参考にしながら、引き続き、ベイルインを含めた破綻処理の円滑な実施に向けた検討を続けてまいります。

緒方委員 そうなんですね。実は、預金者不安が生じたものの中に、何から先に切っていくか、金融危機が起きたときに何から先に切っていくかという、その順番決めというのは非常に重要でありまして、まず資本を切って、そして損失を吸収する条項がついた債券から切っていくかとか、そういったいろいろなことがあると思います。

 それを考えて、今度は日本の預金保険法で、事実上このベイルイン法制を整えているということになっていて、日本の預金保険法第百二十六条の二において、銀行とか金融機関が破綻したときの制度がいろいろ書いてあるんですけれども、すごくざっくり書いてあるんですよね。物すごくざっくり書いてあって。

 では、日本でそういうことが起こることを想定したくないですけれども、起こったときに、実は、日本の預金者への優先弁済権はどうなっているんだとか、何から切っていくんだということに対する不安が結構あるわけでありますが、最後、この件について御答弁いただければと思います。

白川政府参考人 お答え申し上げます。

 もう先生は預金保険法の条文まで十分御存じなので、その説明は省かせていただきまして、私ども、具体的に、この預金保険法に基づいてどういうふうに実施するかということですが、まず、その他ティア1とかティア2とかという、資本性の重さに応じて資本商品に種類があるんですけれども、これらにつきましては、実質破綻認定時に元本削減や普通株式への転換が行われることが要件となっておりまして、契約等に従ってベイルインがなされるということをこの預金保険法で想定しております。

 また、グローバルに、システム上重要な銀行としてFSBから指定されている金融機関、これは日本ではメガバンクなどを指します、これらの持ち株会社が発行することが求められる無担保債、これはTLACと呼んでいますが、これらにつきましては、倒産手続を通じてベイルインがなされるということを想定しております。

 我が国における具体的な運用に際しましては、こういう制度はあるんですけれども、他国の事例や、それを踏まえた国際的な議論の進展も参考にしつつ、実際に破綻処理が求められる事例が生じた場合に、その時々の状況を踏まえて、経済社会に混乱を及ぼすことがないよう適切な手段を講じてまいる所存でございます。

緒方委員 それでは質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 在外公館給与法の質疑をさせていただきたいと思います。

 私が二〇一四年の十二月に戻ってきて、外務委員会に御縁があって入ってから、多分三回目の質疑、三年目の質疑になるんですかね、毎回、この法律については議論させていただいております。

 ちょっと今記憶が定かじゃないんですが、去年なのかおととしなのか、メキシコのレオンに設置の議論をして、これから自動車の集積、北米向けの集積が始まるので重要で、日本人がたくさん集まってきているのでということで議論して、恐らく、多くの方の賛成をもって設置が決まりました。

 ただ、トランプが勝って、そのトレンドというものがどうなるのかということで、そこの公館の必要性というものが、また、たかだか数年の間に色合いが変わってくるということは、本当に今の激動の時代をあらわしているなと思います。逆に、レオンに関しては、それこそ、そういう立場が不安定だからこそ公館を置く意味があるのかなという意味で、非常に前向きに捉えています。

 今回も、ブラジルの方に新たな公館を置くということに関連した法案です。そのことはそのことで前向きに捉えたいと思いますが、場所を置いたからいいというわけではなく、やはりその場所自体でどれぐらいのパフォーマンスを出せるかということが最も大事なことだと思っています。

 具体的、細かいことを毎年議論していますが、その前に、ホットトピックなことをちょっとお伺いしたいなと思っています。

 朝の通告で大変申しわけなかったんですが、在韓国の日本大使が、今、日本に帰任をしています。帰任という言い方じゃないんですかね、一時帰国をしています。慰安婦像の設置に係る抗議の意味も含めた外交的な措置だということで、私も前向きに理解していますが、その後、マレーシアでの事件、また間髪置かずに北朝鮮からのミサイルという安全保障上非常に重要な局面に今立っている中で、日米韓の協力ということはやはり今まで以上に大事になってきている。

 もちろん、大使が現地におられなくても公使の方が代理でやられている部分もあるとは思いますが、やはり大使がいるといないでは大きな違いがあることは議論の余地がないと思っています。

 非常に高度な政治判断であるとは思いますけれども、安全保障環境が非常に流動的かつ緊迫している環境において、大使をいつまで韓国から離しておくのかということは、私は早晩結論と国民の理解を得るときが来ているんだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 韓国をめぐりましては、本日十日、朴槿恵大統領の弾劾に関する憲法裁判所の宣告が予定されています。

 また、北朝鮮をめぐりましては、緊迫した状況が続いており、日米韓、こうした関係国の協力が重要であるということは言うまでもありません。

 また、慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意につきましては、両国が誠実に履行しなければならないと強く思っておりますが、この問題に関する動きについても注目をしているところです。

 御指摘の大使の帰任問題については、今現在、時期は決定しておりませんが、さまざまな点、諸般の状況、こうしたものを総合的に判断し、そして決定をしていくべきであると考えております。

寺田(学)委員 まさしく大臣が今御指摘されたとおり、きょうの十一時ですから、間もなく弾劾裁判の判決が出る。どういう判決だろうとも、非常に韓国国内が流動的になることは必至ですので、一個人の提案ですが、大局的な判断として、大使を職務に戻すということは考え得る一つの大きな選択肢だと私は思っていますので、早急に政府の方でも議論をしていただき、されているとは思いますけれども、対応していただきたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと細かいことになりますけれども、在外公館の役割の充実のために、ことしで三年目になりますが、議論し続けていることをお話をしたいというふうに思っています。

 今回も、いろいろ調べる中において、おもしろい記事が出てきたので、一点ちょっと、大臣。クイズはしませんが。

 外交の一端を支え続けた方の特集ということで、一昔前、外務省には、大使にとって大事なのは、第一に何々、第二に何々、第三に何々というジョークがあった、大使にとって必要な三つの要素ということだそうですが、大臣に聞いてもわからないですかね。

 大使にとって、もちろん外交努力のために精進するとかそういう大きな話ではないです、何が大事か、すごく細かいことなんですが、何か思いつくところがあれば御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 突然の御質問で全く見当はつきませんが、あえてお答えするならば、大使にとって大事なのは、まずは赴任地におけるさまざまな情報、見識、これは重要だと思います。それから、実際の外交を進める上において、やはり人脈というのは大変重要ではないかと思います。そして、あえてきょうの議論の中身から推察するに、公邸料理人というものが重要なのではないか、こんなことも想像をいたします。

 それ以外にも重要なことはあるかと思いますが、たちまち思いつくのはその三点であります。

寺田(学)委員 御答弁ありがとうございます。

 大使館を置く意味は、もちろん、邦人の保護等がありますけれども、外交活動という意味においては情報の収集が最も大事なことであり、その情報を収集するためにどのような手段があるのか、どのような環境があるのかだと思います。

 この記事の冒頭、私が今御紹介する記事ですけれども、外務省で一昔あった、今あるかどうかわかりませんが、大使にとって大事なのは、第一に料理人、第二に席次、席順、第三に夫人、ここは夫人という言い方をしていますが、配偶者。だから、御飯であり、食事であり、そのレセプションをする場合の席順というものも大事であり、そしてまた配偶者の方も大事だと。この場合、夫人と言われていますが。

 公邸での、言い方は、平易に言うと宴席ですけれども、海外の要人の方々を招いて、その場で懇親を深め、そして、さまざま、人脈をつくり、情報をとって、また本国に届けるということがいかに大事かということを伝えたエピソードだと思います。

 一つ、一番、目にとまったのは、この後ろに控えられている外務省の方々は御記憶があるのかわかりませんけれども、内田勝久さん、入省が一九六一年、最後は、二〇〇五年に交流協会台北事務所長、駐台湾大使に相当のところでおやめになられて、イスラエル、シンガポール、カナダの大使も務められた方の御夫人のお話です。

 大使の、あえて今回は、この場合は女性でしたので御夫人と呼ばせてもらいますけれども、御夫人、この内田夫人がお話しされているのは、ここまでやるのは大したものだなという意味で御紹介しますけれども、以前招いた人には決して同じメニューを出さないとか、さまざまなことをお考えになられて、ともに、外交活動と言うと語弊があるかもしれませんが、大使館の一つの役割というものを体現されていたと思います。

 おもしろいエピソードだなと思ったんですが、この勝久さんがイスラエル大使のとき、パートナーの方がそうだったときに、情報機関のトップ、モサドだと思いますけれども、大使公邸の夕食に招いて、隠密行動で知られる方だったそうです、非常にシークレットが多かったんですが、その情報機関のトップの方がこの御夫人の隣に座られて、前もって言い忘れていたんですが私はニンニクが苦手なんですと、情報機関の方が言われたそうです。そのときに、この御夫人の方が、さまざまな今までの御夫人としてのおつき合いがあって御存じだったんでしょう、大丈夫です、私はあなたのことが全てわかっておりますということで、そういう形で手配をしていて、その情報機関の方が非常に驚かれたというエピソードを提示されています。

 ちょっと順番が逆になってしまいましたが、この大使夫人のことからお話をしたいと思います。

 まず、冒頭に申し上げますけれども、私自身として、大使として着任された方の配偶者の方、今、傾向としては男性が大使の方が大多数ですので、妻、女性の方がパートナーとして行かれると思いますが、その方が必ずしも一緒に行かなければならない、そして、一緒に行ったのであれば、さまざまな大使を支える業務をやらなければならないという義務で考えているわけではありません。

 ただ、今御紹介したとおり、さまざまな役割は必然的に帯びることになりますし、そのときの立場であったり待遇であったりということ、今まではボランティアベースであったり、さまざま考えられてきましたけれども、私は、しっかりと議論する時期にあるんじゃないかなと。公的な役割を、責任を帯びてしまう私人の方という表現になると思いますけれども、そういう方の立場をちゃんと考えるべきではないかなというふうに思っています。

 今、森友学園の件で、総理大臣夫人、安倍昭恵さんのことが話題になっております。ポジティブな話題にはなっていませんけれども、総理夫人の与える公的な影響力というものは、やはり議論の対象になっていることだと思います。

 まず、一般的なことをお伺いしますけれども、今回、総理夫人の話題が今出ていますけれども、外務大臣として、この総理夫人の立場と役割、あと、できれば今回の一連の話題に関しても、どのように大臣として捉えられているのか、お話しいただければと思います。

岸田国務大臣 総理大臣夫人の役割ということについては、予算委員会等でさまざまなやりとりが行われていると承知をしております。私も全ての議論を承知しているものではありませんが、基本的には、総理夫人という立場の方は、私人ではありますが、総理大臣の公務を補助する立場にあるというような議論が行われていたと記憶しています。

 そして、この事件全体についてどう考えるかということでありますが、事件といいましても、これはかなりさまざまな要素が絡んでいます。御指摘の、総理夫人のありようという議論もありましたが、あわせて、政治家の関与というような議論もありましたし、そして国有地の払い下げについて手続としてどうなのかというような問題もありました。

 御指摘の問題につきましても、いろいろな議論の要素が絡んでいる問題であると認識をしております。

寺田(学)委員 あえて、国有地の払い下げというよりも、総理大臣夫人というところに焦点を当ててちょっと質問したつもりですけれども。

 各国のファーストレディーがどのような立場になっているかと役所の方にお伺いしたんですが、答えとしては本当にさまざまで、どれをモデルにしていいのかという参考はなかなか見つからないんですが、今回、こういう形で昭恵夫人のことが話題になりましたので、私は、森友の件は森友としながらも、しっかりと総理夫人というものの立場及び役割に関して、一般的に国民の皆さんが理解できるような形で議論をし、一定程度の立場としての結論というものを、変わらないという結論でもそれは一つかもしれませんけれども、議論すべきだと思います。

 外務大臣夫人のことも聞きたいんですが、ちょっと時間がないので。

 主たる大使夫人、大使の配偶者、女性の大使の場合は夫ということになりますけれども、その外交一般における重要性、役割は、先ほど申し上げたとおり、強制するものではありませんけれども、私はあるものだと思っています。

 これは政府参考人から御答弁いただく方がいいのか、大臣がいいのか、わかりませんけれども、どうでしょうね、この配偶者の方の役割の重要性、役割の重要性と言うと強制的になるんでしょうか、役割を果たしたときの効果というものの重大性、大きさというものは、私は一定程度認めていいのではないかなというふうに思うんですが、御答弁いただけたらと思います。どちらでも結構です。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、大使を含む外交官の配偶者は、国家公務員ではございません。また、国内法令上、配偶者の法的地位や立場を規定する定めはございません。また、配偶者は、外務省や大使館において指揮命令系統に属するものでもございません。

 一方、ただいま先生から御指摘がございましたように、国際社会におきましては、外交活動の場に外交官が配偶者を同伴して参加することが期待される行事も多うございます。配偶者が、その意思に基づき、公務を補助する目的で外交行事等に参加するケースが多々ございます。

 積極的に外交を展開する上で、配偶者による外交面での活用は有益でございます。活動は、本人の自発的な意思によるべきものであり、現在その前提で、配偶者の活動は各地において適切な形で行われているものというふうに考えております。

寺田(学)委員 一定程度、その効果ということはお認めになられた上でということだと思います。

 今、きのうレクを受けている段階では詳細はわからないということでございますが、さまざまな事情を抱えて、単身で、大使のみ行かれている場合がかなり多いということを聞いています。これはちょっとお願いベースですけれども、大体の、現状把握のためにぜひ、急ぎではないですけれども、今の現状、単身で着任されている大使がどれぐらいの割合なのかということは調べてほしいということと、あ、わかっているのかな、では、どうぞ。

山崎政府参考人 現時点でございますが、海外に赴任している大使は百四十九名おります。うち、単身で赴任している大使は四十八名でございます。

寺田(学)委員 さまざまな御事情があると思います。配偶者の方の、もちろん職を持たれている方も多いでしょうから、日本での職を続けたいということもあるでしょうし、介護を抱えられてなかなか一緒に行けないということはあると思います。

 まさしく、自由な意思において同伴して、同じように大使と一緒に着任地に出向くということは自由意思で決めるべきだと思いますが、私は、配偶者の方が望むのであれば、望んでいるけれども行けない、さまざまな事情があるという場合は、最大限サポートをするべきではないかなと思いますし、一緒に着任されたときに、ボランティアベースでやっていくということ自体に疑問を持たれる方も多いと思いますので、どういう形がいいかわかりませんけれども、ある程度公的な立場というものを約束し、配偶者の方が活動されることも、一定程度、本当に国民の理解を得ながらやっていけるんだというような議論喚起からまず始めなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。大臣、どうですかね、そこら辺は。

 私は、本当に、強制ではないですが、海外だけじゃないです、日本においても、外務省の方々がカウンターパートと食事をされるときに、カウンターパート側の方が御夫婦で来られるときに、外務省職員が一人で行く、いや、できれば妻、パートナーを連れてきてくださいよと言われたときに、自費で払うべきだという議論もあるかもしれませんが、立派な仕事ですから、そういう場合もしっかりと省としてサポートしていく、そのことを国民も理解していくということは、私は、事外交活動に関しては大事だと思いますし、理解してもらいたいと思うんですよね。そういうことも含めて、ぜひ大臣から総括的な一言をいただければと思います。

岸田国務大臣 まず基本的に、先ほどの答弁の中にもありましたように、外交官の配偶者の外交における活動、これは大変有用なものであると認識をいたします。ただ、基本的には、これは本人の自発的な意思に基づくものであるということであります。ただ、それを最大限サポートするためには何ができるのかということについては、検討することは重要なことではないかと思います。

 外交において有用であります外交官の配偶者の活動について、最大限外交において活用できるための環境づくりについて、外務省として検討することは大事なことではないかと考えます。

寺田(学)委員 検討は大事だというお話でしたので、検討の結果をぜひともお伺いしたいと思います。何とか、規模は問いませんので、少しちょっと、配偶者のあり方及び活動のサポート、あとは、逆の意味でいうと、昔はお花番とかあったみたいで、今はあるのかどうかちょっとわかりませんけれども、外注できるものはしっかりと外注をして、配偶者としてサポートできる部分にもう少し専念できるような環境を整える等もあると思います。ぜひとも省内の方で議論をしていただきたいと思います。

 もう一個の方、公邸料理人の方です。三年目です。

 徐々に徐々に、別に質疑の成果があってかということはわかりませんけれども、公邸料理人の公的制度に関してさまざまな施策が練られて、今試験段階にもあるというのはわかっていますが。毎年ここに同じ方がいらっしゃるかどうかわかりませんので申し上げると、今、基本的に、公邸料理人の方に対して公的に補助しているお金は十七万円しかない、それ以外は大使のポケットマネーで払うというのが基本的な仕組みになっています。

 私は、これでは大した、今頑張っていらっしゃる方は物すごく、私から見ると厳しい待遇にもかかわらず、頑張っていらっしゃると思いますが、より一層、海外において、日本食でも洋食でも何でもいいですけれども、大使館内で開かれる祝宴に関して好感を持ってもらい人脈を広げるという意味では、もっともっとこの立場は拡充するべきだと思っていますが、現状について、官房長の方からでもいいですが、御説明いただければと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたように、公邸料理人の給与は、基本的には在外公館長との私的雇用契約に基づき公館長より支払われるとともに、在外公館長に対しては官費の補助が行われております。この官費補助につきましては、現在の制度は、官費補助額は料理人の給与額の三分の二の上限及び十七万円までの上限という上限がございます。

 平成二十四年七月に、外務人事審議会におきまして、将来的には公邸料理人制度を外務省と料理人との公的契約に基づくものとして、給与等は官費から支出し、私的に使用した分については公館長の私費負担とすべきとの勧告が外務大臣に提出されております。

 この勧告も踏まえ、公的契約に基づく委嘱料理人という制度を、平成二十七年十月から順次試験的に十公館において行っております。従来の制度では、先ほど申し上げましたように、公邸料理人との契約は私的契約でございましたが、この委嘱料理人制度においては、料理人は在外公館の技術スタッフとして、館員に準ずる公的な位置づけを付与しているものでございます。

 また、委嘱料理人は、報酬月額を三十万円から三十五万円として、このうちの四分の三を公費負担、残る四分の一を公館長の私的な食事分として公館長の費用負担額という形で負担を分けているものでございます。

寺田(学)委員 公邸料理人には社会保障はあるんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保障費につきましては、現在の制度は公的社会保障制度のもとでの負担に関する官費による補助はございません。一方、ただいま申し上げました委嘱料理人につきましては、これは海外旅行傷害保険というのがございまして、その費用の一定を、範囲内で官費補助をするということはいたしております。

寺田(学)委員 そんな環境で頑張っていらっしゃるわけですよね。毎年、拡充してくれ、しっかりともう少し立場を強くしてあげて、もっともっと働きやすいようにして、いいものを出してもらいましょうと議論しているんですが、なかなか、もちろん前進はしていますが、進んでいない。進まない原因はどこにあるのかということで、きょうも、今回も財政当局に来ていただきました。

 大した額じゃないですよ、全体から考えれば。財務省、次長、一言お願いします。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省としましても、引き続き、外務省からの要求、要望をお聞きしつつ、公邸料理人の果たす外交上の役割の重要性を踏まえ、必要な予算はしっかりと措置するよう努めてまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 官房長にもお伺いしますけれども、これがなかなか拡充していかない原因はどこにあるんですかね。財務省は今建前的にもこういうことを言っていますけれども、官房長からちょっと一言お願いします。

山崎政府参考人 毎年の予算要求におきまして、料理人の待遇、給与等につきましても、財政当局の方と、現状を御説明して協議をさせていただいております。

 先ほど御紹介申し上げました委嘱料理人につきましては、配置から一年以上経過をしておりますので、その効果について検証しているところでございます。

 この制度のもとで採用されました料理人は、既に公邸料理人経験をした方が多く、過去に外務大臣表彰を受賞している方が十人のうち半分を占めるなど、非常に質の高い料理人の採用につながっているというふうに考えております。

 したがいまして、この制度は効果が上がっているというふうに考えておりますので、さらに検証の上、制度の拡充の可能性等につきまして、今後の方向性について検討していきたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 前向きに進んでいることは理解しますし、応援します。

 大臣、そんなに大きなことではないですし、予算的にも、そして制度的にもそんなに大胆なことでもないですし、異論があるところではないと私は思っていますので、大臣、一言。ちんたらと言ってはよくないですけれども、どかんと、ちゃんとやりましょうよ。大臣、一言お願いします。

岸田国務大臣 優秀な公邸料理人を確保し、活躍をしていただく、これは外交にとって大変重要な取り組みだと承知をしています。

 さまざまな取り組みを今日まで行ってきましたが、ぜひ、より優秀な公邸料理人の皆さんに活躍してもらうために、待遇面はもちろんですが、予算も含めた条件面につきましても、外務省としては、充実のために一層努力を続けたいと思います。外務大臣として、こうした問題意識を持ちながら、先頭に立って予算についても考えていきたいと考えます。

寺田(学)委員 現在働いている方々が、より一層働きやすくなるために、それと、今後もいい人材が集まってくるようにということで、待遇の改善ということを今申し上げましたが、もう一アプローチあるとすれば、先ほど官房長ですか、お話しされたとおり、外務大臣表彰ということで、公邸料理人の中で一部の方々に優秀公邸料理長という称号を与えてやっているということでした。

 私は、海外の在外公館の料理長をやって帰ってきたということが日本におけるステータスになること、そのステータスがより一層高いものになることでいい人材がもっともっと集まりやすくなってくる、外務省からいただいた資料で、例えばフレンチのキハチの喜八さんが以前やっていたということを初めて知りました。やはり、そういう形で若いころに海外に出て料理をし、文化を知り、そして戻ってくることによって日本でも開花するということはあると思うので。

 この表彰のあり方も、私が勉強不足かもしれませんが、正直、三年目になって初めて知りました。もっともっと私は宣伝してもいいと思いますし、そういう優秀な方々が海外で外交を支えているんだということを国民に知ってもらいたいですし、何より当人たちが誇りに思ってもらいたいと思うんですよ。

 この表彰のあり方、外務大臣表彰というのは一つのふさわしい形かもしれませんが、もっともっとさまざまな形で、メディアに対して広報することもそうですし、何より、衆参の外務委員会の方々も含めて、表彰の際にお招きもいただいて、一言声をかけたいなというふうに思いますので。

 大臣でも官房長でもどちらでもいいです、この表彰のあり方、その方々の意識を高めていくあり方ということも、もう一段検討の余地があると思うんですが、どうか、御答弁いただきます。

山崎政府参考人 ただいま御指摘がございました、公邸料理人のうち、優秀かつ貢献度の高い方に対して外務大臣表彰を行っております。これは昭和六十年度から行っておりますけれども、平成二十八年までに延べ三百四十八名の方が表彰を受けておられます。

 さらに、平成二十年度からは、表彰された方に優秀公邸料理長の称号を認定しております。外務大臣表彰については、料理専門誌やメディアで報じられるなど、最近では知っていただく機会もふえているのではないかと思っております。

 今後も、こうした取り組みを通じて、公邸料理人が外交活動において果たす役割、貢献の意義を広く発信していくことを通じて、優秀な公邸料理人の確保を外務省としても図っていきたいと思いますし、努力をさらに高めてまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 本当に大事だと思うので、頑張ってください。

 大臣、官房長からお答えはなかったんですが、ぜひこの表彰に関しても、衆参の外務委員会の方々でも結構ですので、我々が行くと皆さんそれぞれ個人のブログであったりさまざまなところへ載せて発信することもありますし、より一層この公邸料理人、私たちも海外へ行ったときにお世話になっていますので、御礼の言葉も含めてかけたいと思いますので、どうか呼んでください。どうですか。

岸田国務大臣 公邸料理人の表彰は、より優秀な方々に公邸料理人として頑張っていただくために大変意義あるものであると思います。それをしっかりとショーアップしていくことは重要であります。表彰式に委員の皆様方を招いてもらいたいという御依頼がありました。ぜひ検討したいと思います。

寺田(学)委員 頼みますよ。それぐらい、すぐに大臣、一言で言ってください。

 いずれにせよ、細かいことではありますが、配偶者の方の外交もそうです、今回の公邸料理人の件もそうです。茶谷次長、よろしくお願いします。

 本当に拡充して、いろいろな、ただでさえ外交ツールが少なくなってきて、マンパワー的にも中国にかなわないんですから、何とかそういうところ、一つ一つの威力をより最大化して頑張っていくという努力を外務省にはしてもらいたいということを申し上げて、終わります。

三ッ矢委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 在外公館法の改正案について、我が党は、必要な措置であると考え、賛成の立場です。

 その上で、岸田外務大臣にお尋ねします。

 今回、在レシフェ日本国総領事館を新設するわけですが、同館は二〇一〇年一月一日付で一度廃止されています。当時、廃止の理由について外務省は、管轄地域で日系企業進出数、在留邦人数の大きな増加がないためとしておりました。外務省の海外在留邦人数調査統計を見ると、二〇〇七年の同総領事館管轄地域の日系企業数は十八社、在留邦人数は一千百二十九人、二〇一六年現在は、日系企業数は十六社、在留邦人数は千二百一人。

 数だけ見ると廃止を決めた際と大差がないわけですが、この現状で新たに総領事館を設立する意義、これはどう考えているんでしょうか。

岸田国務大臣 在レシフェ総領事館、平成二十二年一月当時、我が国としてグローバルな視点に立って、新たな必要性が生じている地域における在外公館の新設を行うため、同総領事館を廃止し、領事事務所を設置いたしました。

 そして、その後の動きでありますが、近年、ブラジルの経済発展にとって同地域を有する戦略的な重要性が高まっています。

 進出企業数について御指摘がありましたが、企業数もこれは上下、波があるようでありますが、日本企業の関心が高まっている、これは事実だと思います。その証拠に、日本企業の支援件数、これにつきましては、平成二十二年一月と比べまして八倍にふえております。そして、企業のみならず、在留邦人の数は一割増加、邦人援護件数は三倍に増加をしています。査証発給件数も増加をしています。

 こうした状況は、我が国だけではないようであります。平成二十二年以降の動きとして、英国、米国、あるいは中国、こうした国も現地での体制の拡充、総領事館の体制強化、こういったことを行っています。

 こうした変化を受けて、同地域に十八万人の日系人が居住しています。そして、日系社会との連携強化の最前線の一つであるというようなこと等、総合的に勘案して、今般、総領事館の設置をお願いするようになった次第であります。

宮本(徹)委員 わかりました。

 次の質問に移ります。

 在外公館の活動にも影響を与えるのが国内の政治であります。この間、森友学園の問題というのは海外のメディアでも大きく報じられております。そして、塚本幼稚園、これについては、昨年の段階から海外のメディアでずっと報じられてきました。とりわけ、国家主義的な教育をやっている、戦前のような教育をやっている、そこを総理夫人が名誉校長を引き受けようとしているということで、懸念の目が国際的にも向けられてきておりました。この問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 きょうは、防衛省が森友学園理事長の籠池氏に感謝状を贈呈してきた件について伺いたいと思います。感謝状を出した際に、若宮防衛副大臣も同席されていましたので、きょうは若宮副大臣に来ていただきました。

 まず伺いますが、防衛省・自衛隊が主催、共催、支援する行事へ塚本幼稚園児の出席の実績について、これは、いつから始まって、これまで何回行ったのか、また園児の出席の目的は何なのか、お答えください。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 私ども防衛省・自衛隊といたしましては、みずから主催をいたします行事等のほかに、部外団体からの御依頼等を受けまして、さまざまな行事に参加あるいは御協力をさせていただいているところでございます。

 今委員が御指摘になられました、防衛省・自衛隊主催、あるいは共催、それからまた支援する行事等への塚本幼稚園園児の出席の実績につきまして調査をいたしました結果、確認できる範囲におきましては、防衛省・自衛隊が主催した行事に塚本幼稚園の園児を御招待し、参加をいただいた実績というのはございませんでした。ただ、部外の団体が主催をされたもので、私ども防衛省・自衛隊が参加した行事に塚本幼稚園の園児が参加をされたものが十四件あったということを承知いたしております。

 その上で、私ども防衛省でもさらに調査を行いましたが、現時点におきましては、追加で確認できたものがない状況でございまして、いつから始まり、これまで何回行ったかという今の御質問については、今ちょっとお答えするのが困難な状況であることを御理解いただければというふうに思っております。

 また、さらに、今申し上げた十四件の行事につきましてですが、塚本幼稚園の参加につきましては、私ども防衛省・自衛隊として判断したものではございませんで、部外の団体の方々が御判断されたものということでございます。その部外の団体と塚本幼稚園との具体的なやりとりにつきましては、私どもといたしましては承知をいたしていないところでございますが、ただ、艦艇の港への入港等に際して隊員を激励していただいているものというのは承知をいたしているところでございます。

宮本(徹)委員 きのう、防衛大臣感謝状を出す際に内部の手続である上申書を私はいただきました。これを見ると、籠池氏、功労年数は十七年というふうに書いてあるんですね、推薦名簿を見ますと。十七年ですから、きょう資料を配っていますけれども、これは平成二十三年から二十八年の六年分しかないわけですね。実際はもっと長期にわたってやってきたのは間違いないと思います。私、ちょっときのうインターネットで見ましたけれども、これは二十三年からの資料ですけれども、二十二年にも同じようなことで参加しているというのはネットで検索してもすぐ出てくる話ですから、これはさらに調査していただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど、部外の団体だということを殊さら若宮副大臣は強調されましたけれども、これは、この資料を見ましても、主催、関西水交会というところが多いわけですけれども、この水交会というのは、防衛省所管の海上自衛隊OBの天下り財団じゃないんですか。部外部外と言いますが、そうですよね。

武田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の水交会につきましては、海洋安全保障に関する調査研究や政策提言に取り組むとともに、海上自衛隊が行う諸活動への協力や、地域社会活動への参加、諸団体との交流等を行う団体としてございます。また、この水交会につきましては、海上自衛隊のOBの方々も属していると承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、今副大臣も申し上げましたけれども、艦艇の入港の際の行事につきましては、この水交会、すなわち部外の団体が主催をして行われているということでございます。

宮本(徹)委員 部外部外と言いますけれども、防衛省所管なんですよね。

 海上自衛隊のホームページを見ましても、塚本幼稚園児の行事参加というのが紹介されております。

 例えば、二〇一五年五月三十一日、大阪護国神社での海軍戦没者追悼式。主催は関西水交会で、海上自衛隊は支援ということになっていますが、海上自衛隊のホームページでは、阪神基地隊儀仗隊らの国旗掲揚のほか、塚本幼稚園園児による追悼演奏が行われというふうに、ちゃんと自衛隊のホームページでも紹介しているんですよね。

 水交会のホームページを見ましたら、追悼式は、塚本幼稚園児四十八名による国歌斉唱にあわせて黙祷をささげました、園児たちによる追悼演奏、教育勅語、五カ条の御誓文の唱和及び海軍関係戦没者の英霊に対する追悼のメッセージを実施しました、こうあります。

 確認しますけれども、こういう追悼式で教育勅語の唱和だとかをやっているというのは、当然防衛省として把握していたということでいいんですね。

武田政府参考人 お答えいたします。

 過去、委員に御提出させていただきました平成二十三年三月二十一日から十四回、塚本幼稚園は入港式等に参加をしているということは承知しておりますが、その際、幼稚園において具体的にどのような教育をしているのかなどについて、その詳細については承知をしていないものと承知しております。

宮本(徹)委員 いや、幼稚園の教育について聞いていない。今、その追悼式で、海上自衛隊もホームページで紹介し、水交会でも紹介のホームページも出ているわけですよ。教育勅語の唱和をこの追悼式でやったということが水交会のホームページでも紹介されています。この行事については防衛省のホームページにも出ているわけですから、阪神基地儀仗隊の人たちも出ているわけですよ。当然、こういう場で園児たちが教育勅語の唱和をやっていた、これは認識されているんですよね。

三ッ矢委員長 宮本君に申し上げますが、指名を受けてから発言してください。(宮本(徹)委員「失礼しました」と呼ぶ)

 防衛省武田報道官。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ホームページ等に出ているものはあるということは承知をいたしております。他方、私ども、今この時点において、出席された方々から、その場においてどのようなことが具体的にあったのかという細部については報告を受けていないところでございます。

宮本(徹)委員 報告は受けていないけれども、ホームページに出ていることは承知しているということだから、知っているということじゃないですか。

 それで、もう一点お伺いしますが、籠池氏に対して防衛省はこれまで五回感謝状を贈呈しておりますが、この実績について、年月日と贈呈者名と、特に贈呈の理由、これについて明らかにしていただけるでしょうか。

若宮副大臣 感謝状につきましては、自衛隊に対しましていただいた御協力、援助の功労が著しい個人あるいは団体に対して贈呈するものでございます。

 籠池氏に対します防衛大臣感謝状につきましては、海上幕僚監部の推薦に基づきまして、同氏が長年にわたり、自衛隊の部隊との交流を通じて、防衛基盤の育成と隊員の士気高揚に貢献されたことに対しまして、平成二十八年の十月の二十二日に、防衛大臣から感謝状を贈呈させていただいたところでございます。

 また、海上自衛隊におきましては、艦艇の入港に際しまして、先ほど委員も御指摘になっておられましたけれども、園児による鼓笛隊を編成し隊員を歓迎する、あるいは海賊対処に従事する隊員に対して、園児の皆さんたちが手づくりの品をつくってくださり、それを送っていただき、また隊員の士気高揚に貢献をされたとして、平成十五年の五月の十七日に阪神基地隊司令、そして平成二十一年の十月の三十日に呉地方総監、それから平成二十六年の十一月の十四日に海上幕僚長から、それぞれ感謝状を贈呈しているところでございます。

 また、陸上自衛隊におきましては、これは一般功労という形で、平成二十一年の五月の十七日に第三師団長から、感謝状は贈呈をいたしたところでございます。

 以上です。

宮本(徹)委員 今説明があったわけですけれども、ちゃんと語っていない部分があるんじゃないかと思うんです。

 この防衛大臣感謝状を贈与する際の推薦名簿を見ましたら、推薦の対象項目、「防衛基盤の育成」とあるんですが、その次に、功労の大要ということで、なぜ籠池氏に防衛大臣感謝状が渡されたとか、端的に書いていますね。端的に書いてある。これを、若宮さん、読んでいただけますか。感謝状贈与候補者推薦名簿、功労の大要。

武田政府参考人 お答えいたします。

 感謝状贈与候補者推薦名簿にございます籠池氏の功労の大要でございますが、「園児による隊員の激励及び将来の青少年への防衛思想の普及に寄与」とございます。

宮本(徹)委員 私、これを見て驚きましたよ。「将来の青少年への防衛思想の普及に寄与」と書いているわけですね。これまでの国会の答弁でも、こういうことを全然紹介してこなかったわけですが、驚くべきことですよ。

 もう一カ所読み上げてほしいと思います。防衛省がまとめた、籠池氏の個人功労調書があります。そして、その中に、「功労が部内及び部外に与えた影響」という項目があるわけですが、部外に与えた影響というのは何と書いてありますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 個人功労調書に、「功労が部内及び部外に与えた影響」という欄がございますけれども、そこに、部外に与えた影響のところには、「園児の海自部隊への激励を通じ、防衛思想の普及に大きく貢献している。」とございます。

 なお、今ほど委員から御指摘いただきました件について……(宮本(徹)委員「いいです、読んでいただかないでいいです、ちょっと時間がかかりますので」と呼ぶ)

三ッ矢委員長 宮本君。

宮本(徹)委員 それで、これは防衛大臣に感謝状を出したときの上申書。

 もう一個もらいました。その前に、海上幕僚長が感謝状を出したときの上申書、手続の書類ですが、これを見ると、もっとわかりやすく書いてあるわけですね。功労が部外に与えた影響、「園児及びその父兄等の海自部隊への訪問、激励等を通じ、海上防衛思想の普及に大きく貢献している。」と。

 それから、保育士さんが体験入隊をやっているわけですが、これの目的も書いているんですよね。「保育士に対する定期的な海自教育隊への教育入隊を計画・実施する等、将来の青少年への海上防衛思想の普及に大いに貢献している。」と書いているんですよ。保育士さんが体験入隊して、保育士さんに防衛思想を広げるんじゃなくて、それは全て将来の青少年への海上防衛思想の普及に大いに貢献すると。

 ここで言っている将来の青少年というのは、一体誰ですか。今青少年じゃないという人ですよね。将来の青少年というのは、誰のことを言っているんですか。

武田政府参考人 その功労の一つに、保育士の自衛隊への体験入隊等による防衛思想の普及に寄与をされたということが感謝状を贈呈する主たる理由になってございますけれども、今御指摘いただいた将来の青少年という言葉につきましては、私どもは一般的な意味で使わせていただいております。

宮本(徹)委員 一般的な意味って、それは一般的な意味をこんなところに書くわけないでしょう。具体的な功労があったから、皆さんは感謝状を出されたんじゃないんですか。

 将来の青少年といったら、今は青少年になっていないんですよ。六歳になっていないということじゃないですか。将来の青少年というのは、誰を指しているんですか。

武田政府参考人 先ほど、一般的な意味で記載しているということをお話しいたしましたが、将来の青少年というのは、これからまさに青少年になられる方々という意味でございます。

宮本(徹)委員 全く説明になっていないですよ。

 結局、塚本幼稚園の園児に対する防衛思想の普及、これに感謝状を出したという話じゃないですか、これを見ると。

 先ほど、一般論で皆さん答えられますけれども、大体、将来の青少年、幼稚園児に関して普及する防衛思想というのは何なんですか。幼稚園児に普及する防衛思想というのは、何を指しているんですか。

武田政府参考人 保育士への自衛隊への体験入隊による防衛思想の普及ということでございますけれども、防衛思想につきましては、必ずしも具体的な定義があるわけではございませんけれども、我が国の国土、領土、領海を守る、そういった我が国防衛に関する考え方ということで認識をいたしております。

宮本(徹)委員 いや、幼稚園児というのは、まあ皆さんも子育てしたからわかっていると思いますけれども、私の子供も今、下の子は保育園ですよ、はっきり言って、善悪の判断がやっと芽生える段階ですよね。そういう段階ですよ。皆さんも御存じだと思いますよ。もちろん安全保障政策の善悪なんてわかるはずがないんですよ。そういう将来の青少年、青少年になっていない、少年にもなっていない、そういう人々に対して防衛思想を普及する、これが感謝の対象なんですか。

三ッ矢委員長 防衛省武田報道官。

 答弁お願いします。

武田政府参考人 もう一回読ませていただきますと、保育士に対する定期的な海上自衛隊教育隊への教育入隊を計画、実施するなど、将来の青少年への海上防衛思想の普及に大いに貢献しているということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、我が国を守る、領土、領海を守る、そういった考え方、これはさまざまなことがあろうかと思いますけれども、そうしたことについて、将来の青少年になられる方々に対しまして普及を図っていくということでございます。

 私ども、防衛白書というものを毎年出させていただいておりますが、小さいお子さんも読めるように漫画による防衛白書というものも出させていただいており、国民の幅広い方々に我が国防衛に対する考え方などを普及するように努力しているところでございます。

宮本(徹)委員 幼稚園児が防衛白書を読めるとは思わないですけれども。幼稚園児を防衛思想の普及の対象にして、それをやったら感謝状を出すというのは、若宮副大臣、これは、こんなことをやっていたら、本当に国際社会に対する私たちの国の評価を下げることになりますよ。どうですか、若宮副大臣。(発言する者あり)

三ッ矢委員長 静粛に願います。

若宮副大臣 感謝状につきましては、今いろいろと委員からも御指摘があり、あるいは議論がございますけれども、訓令に基づきまして個人または団体に関しまして贈呈をさせていただいているところでございます。

 今、特に籠池氏に関しましては国会でも議論もなされているところでもございますし、いろいろさまざまな報道もなされているところでもございますので、こういった事実関係をしっかり踏まえまして、これは大臣の方からも先般申し上げているかと思いますが、感謝状を取り消すことも含めて、状況を見ながら適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 いまだに感謝状も取り消していないわけですから、驚きましたよ。半月も前の話じゃないですか、感謝状を取り消すかどうかって。

 大体、森友学園で教育勅語を暗唱しているのは問題だと思いますけれども、私は、そもそも、防衛省がこういう幼稚園に対して防衛思想を普及しよう、これを感謝の対象にしていく、こういう考え方自体が根本的に間違っていると思いますよ。これは戦中の軍国主義の教育と一緒じゃないですか。全く同じですよ。こういうことをやっていることが、そういう学園に安倍総理夫人が名誉校長をやろうとしていた、務めていた、これが国際社会で懸念の目で見られているわけですよ。

 岸田外務大臣、最後、一言お伺いしますが、国際社会からそういう厳しい目で、戦前の教育勅語を教育現場に持ち込もうとしている動きについて、見られていることについて、どうお考えですか。その点をお伺いして、終わります。

岸田国務大臣 今回の件につきましては、海外のメディアにおいてさまざまな報道が行われていることは承知をしております。

 本件については、国会においてもさまざまな議論が行われてきました。その中で、政府としてできる限り説明を行っていると承知をしておりますが、引き続き、まずは我が国の国会において丁寧に説明をしていくこと、国会あるいは国民の理解をしっかり得ていくことが重要であると認識をいたします。

宮本(徹)委員 時間になりました、終わりますけれども、若宮副大臣、これは、感謝状は直ちに取り消す、それから幼稚園児に防衛思想を普及する、これを感謝の対象にするような基準は即刻改めるということを強く求めて、質問を終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは法案審議ということですので、関連の通告を三つほどさせていただいていますが、実は、きのう、ちょっとばたばたしていて、紙で一行ずつお出ししただけで、ほとんどコミュニケーションがとれていませんで、御不便をおかけしたであろうことを、まず最初におわび申し上げておきたいと思います。

 ちょうど、きのう、初めて都庁へ行きまして、ちょっと小池都知事に苦言を呈してまいりましたので、それはまた。外務委員会と関係ありませんので。

 きょうは、大使館というか、法案の関係でありますが、入る前に、先ほど緒方委員が私の不規則発言に対して反応されまして、不規則発言を申し上げたことについては委員長初め皆様におわびをいたしたいと思いますが、反応されたところだけ残っていますので、ちょっと一言補足をさせていただきます。

 結局、ちょっと私、余り詳しくないんですが、言葉の問題ですね。英語の和訳の問題で、同じ言葉に日本語を使い分けているというようなことだったかと思いますが、同じような問題が、緒方委員も御紹介をされた、戦闘、南スーダンに係る戦闘という言葉が日報にあったということで、大分予算委員会で議論になりました。この問題は大変重要だと思っていまして、一言、きょうの緒方さんの関連ということで一言だけ補足をしますが。

 大臣、私は一連のやりとりにちょっと違和感があるんですね。違和感というのは、例えば日報の戦闘という言葉を、国会でも議論になっちゃうので、稲田防衛大臣が最後どういう結論にされたかもちょっと覚えていませんが、要すれば、戦闘という言葉を使わない、PKO五原則とかとの関係で、あるいは憲法との関係で、戦闘という言葉が誤解を招くのであればそれは使わない方向でという結論になっていたような気もしますが、私は、日報に戦闘という言葉があるのは、もう全然問題ないと思っているんです。

 だって、自衛隊員の皆様がどういう言葉を使うか、そんなもの、東京から、これはこうしてこうすべきだなんということを言うのは、国会のつまらない議論を、議論ですよ、国会がつまらないんじゃないですよ、つまらない議論があると私は思っていまして、そのつまらない議論を、南スーダンの現場の自衛隊員の皆様に押しつける、縛ることになるということで、心配をしています。

 この件については、もう我が党を離れていらっしゃいますが、橋下徹さんが、今私どもの党の法律政策顧問ということで顧問弁護士みたいなことをやっていただいているんですが、こういうことをおっしゃっています。要すれば、戦闘にもいろいろあって、PKO五原則に抵触する戦闘と、抵触しない戦闘があると考えればいいんだと。橋下さんは弁護士ですから、例えば、世の中には遺言というものがごまんとある、しかし、民法で保護されている遺言というのは民法が保護している遺言だけで、民法が保護しない遺言も世の中にはごまんとあるんですと。

 だから、戦闘にもいろいろな戦闘があって、PKO五原則に抵触する戦闘。だから、日報に問題があったんではなくて、日報に問題があったと言ったらそれは自衛隊員がかわいそうですから、むしろそれは全然問題ないんだと。でも、国会で、大臣が国民に対して、あるいは野党に対して、この、ここの日報に書いてある戦闘はPKO五原則に抵触する戦闘ではないんだとはっきり言えばいいんだと。何でそうはっきり言わないんだ、それをはっきり言わないから現場に負担がかかっているんだということを橋下さんがおっしゃっていましたが、私は全く同感であります。

 きょうの緒方さんの議論に関係するので、ちょっと一言。今のような議論、日本維新の会としてこの議論は決してオーソライズしているわけではありませんが、私は、個人的にそのとおりだと。国会の議論の都合で、国会の議論をやりやすくするために、現場に無用な線引き等を、あるいは言葉遣いとかを制約するのは現場がかわいそうだと私は思いますが、どうですか。

岸田国務大臣 要は、紛争、戦闘、あるいは衝突、こういった言葉がさまざまな場所で使われているわけですが、少なくとも、国会は立法府でありますので、法律においてこうした言葉は定義をされています、その定義に基づいて正確に使わなければならない、しっかりと使い分けなければならない、こういったことなのだと思います。その点が重要だということが、この議論の本質であると考えます。

足立委員 いや、もうまさに御見識であると思いますが。

 繰り返しになりますが、私は、現場に負担をかけるべきではない、現場が戦闘という言葉を使うのは全く問題ない、その戦闘がPKO五原則に抵触するかどうかを国会でしっかり議論していったらいい、こう思います。

 こういう議論がそもそも起こること自体が、私はやはり、野党の責任は大きい、こう思っています。野党というのは野党四党ですね、うちではありません。野党四党が、やはりその言葉尻を捉えて、現実をどう議論するのではなくて。例えば私どもは、吉田代議士がウガンダに行ってきました、現場を見ようと。ちょっといろいろ御負担をおかけしたかもしれませんが。

 だから、要は、現場が大事なんです。現場が大事なのに、国会で野党四党が言葉尻を捉えて攻撃をするものですから、政府・与党、政府が、それをディフェンスするために、そういうつまらない攻撃から政府の議論を守るために言葉を使い分け、法令上はわかりますよ、法令上はわかりますけれども、しかし、現場にそれを押しつけるのは、憲法九条をめぐる国会の非常に難解な解釈論を現場にも押しつけていることにつながっているのではないかということで、大変深く懸念をしていることを申し上げて、質問に入りたいと思います。

 それから……(発言する者あり)あ、質問に入りますよ。緒方委員には失礼な不規則発言を申し上げましたが、その後の寺田委員の質問は大変すばらしい質問で、私も同感であります。余計なことですね。

 それで、大使館なんですが、予算委員会でも議論になったかもしれませんが、トランプ大統領が、イスラエルが首都としているエルサレムにアメリカの大使館を動かすんだ何だという議論をされています。私もちょっと覚えていませんが、日本は追随しないというような御答弁が既にあったかと思いますが、それは日本の外交政策としてはよくわかりますが、これは米国と、そういうふうに大使館の場所が股裂きになることの弊害みたいなものはないんでしょうか。

小田原大臣政務官 まず、他国の政府の施策について逐一コメントすることは差し控えたいと思います。

 他方で、本件の動向については注視しています。

 我が国としては、エルサレムの最終的な地位の問題も含め、イスラエル、パレスチナ間の紛争は、これまで累次採択されてきた関連する国連安保理決議や、これまでの当事者間の合意に基づいて交渉により解決するべきという立場であります。我が国としては、大使館をエルサレムに移転する考えはありません。

足立委員 ありがとうございます。

 次に、これも、本来であれば事前にレクをいただいて済む話でありますが、ちょっと時間がなかったので、この場で取り上げさせていただくので、申しわけありません。勉強もしていませんで、大変申しわけないんですが、在外拠点、外務省の大使館、領事館、在外拠点が世界じゅうにあるわけですが、この拠点の数とかあるいはそういう在外活動の予算とかあるいは人員とか、細かいことを何か申し上げるつもりはないんですが、そういうリソース、日本が外交に割いている、国内での活動ももちろんありますが、在外拠点に係る、非常に物理的にはっきりしていますね、箇所数とか人員とか予算とか、これはふえているんですか、減っているんですか、そういうのもちょっと事前に勉強する時間がなかったので、ごめんなさい、ちょっと教えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましては、急速に変化する安全保障環境や国際情勢に対応して、また、日本企業支援、戦略的対外発信を行っていく上でも、外交実施体制の強化は急務であると考えており、主要国並みの体制を実現すべく、在外公館の数を着実にふやしており、また、定員につきましても、定員増を毎年お願い申し上げている状況でございます。

 近年では、平成二十八年度、今の状況でございますけれども、大使館百四十九、総領事館六十三、政府代表部八の合計二百二十公館を今設置しております。現在御審議いただいております平成二十九年度の予算におきましては、これを二百二十三公館、三公館の増設をお願いしている状況でございます。

 また、予算につきましては、これは在外公館に関係する予算でございますけれども、平成二十八年度は約千四百四十億円でございます。二十九年度予算案におきましては、円高等を勘案して、微減でございますけれども、千四百十四億円の予算案となっております。平成二十六年度には千二百五十一億円でございましたので、これも趨勢としてはふやしていただいているというふうに考えております。

 また、人員につきましては、外務省の定員は現在五千九百八十二名でございます。平成二十九年度予算が御承認いただけました場合には、これが八十三名増の六千六十五人の定員になることが想定をされておりまして、これも年々御理解をいただきまして増強させていただいている状況でございます。

足立委員 ありがとうございました。

 私はとにかく、今御紹介があったように、ますます重要になってきているわけでありますので、強化をしていくべきであると私も思うし、また、政府にもそういう方向で、ますます必要なリソースをそこに張りつけていくことをお願い申し上げて、先ほど寺田委員がおっしゃった公邸料理人でしたかを含めて強化していくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 在外公館の名称、位置、給与に関する法律の一部改正案、法案の審議に関連して質疑をさせていただきたいと思います。

 外務省の資料から、在外公館の設置状況などについていろいろと調べてみました。在外公館の合計が二百六十七、領事事務所等も二十一あるということで、先ほどは答弁の中で、外務省の職員は六千六十五人ということで答弁をいただいております。

 あわせて、ディプロマティックブルーブック二〇一六、二〇一六年度の外交青書を拝見させていただきました。

 その中で、ページとしては、「情勢認識」という中に、「イスラム過激派の武装勢力である「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」」、私たちは通称ISというふうに言っていますが、「(ISIL)は、二〇一五年一月及び十一月のパリにおけるテロ事件など拠点地域以外での多数の一般市民を巻き添えにするテロ事件」、「二〇一五年初めには日本人も犠牲になった外国人人質の殺害事件等を引き起こしている。」ということです。中略いたしまして、「また、ISILの活動によって多数の難民・国内避難民が発生しており、深刻な人道危機が発生している。」というふうに青書で書かれております。

 それから、「地球儀を俯瞰する外交と「積極的平和主義」」の中で、今度は日米同盟の強化の点が述べられています。「日米同盟は日本外交の基軸である。」、「日米同盟をあらゆる分野で強化していく。」、「日米両首脳は、四月の安倍総理」「訪米の際、地域や世界の平和と安定の確保に引き続き主導的な役割を果たしていくことを確認」したとあります。

 それから、「四月には、日米安全保障協議委員会(「2+2」)が開催され、新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)が発表された。新ガイドラインは、平和安全法制とともに日米同盟の抑止力・対処力を一層強化するものであり、その下での取組も含め、幅広い分野における協力を拡大・強化していく。」ということで、外交青書にはこのように書かれています。

 私がきょう質問したいことのまず一点、これは、二月二十七日、ロイター電が伝えるところですが、アメリカ国防総省は二十七日、過激派組織イスラム国、IS打倒に向けた計画の草案をホワイトハウスに提示、マティス国防長官がトランプ政権の高官に対し説明を行う予定である、国防総省のデービス報道官が記者団に明らかにしたところによると、国防総省が提出した案は包括的な計画の枠組みで、イラクやシリアだけでなく、世界じゅうのISを視野に入れ、ISを迅速に打倒できる内容になっているということです。報道官によりますと、国防総省の案には、外交上の取り組みに加え、戦地の能力や目標を増強する軍事的枠組みも盛り込まれているということです。

 つまり、アメリカが、IS打倒に対して、これから本格的に拡大していくということが述べられているわけです。

 このように、二〇一五年、安倍総理が中東国歴訪の中、エジプトにおいて、イスラム国対策のためとして、イラクやレバノンに二億ドルを支援することを表明し、これに対して、ISは、日本を敵国とみなしテロの対象になるということを、ユーチューブなどを通じて世界に拡散しています。中東を含め、多くの在外公館の危険及び危険度も以前より増しているものと私は思料するものであります。

 そこで、質問させていただきます。

 まず、在外公館の所在地、あるいは日系企業進出地の近郊等において、軽微な被害を含めて、現地の邦人に対しての事件並びに事故等の報告が多い国及び地域はどこでしょうか。その件数等の推移はどう変わっているのか、お聞きいたします。

小田原大臣政務官 外務省が発表している二〇一五年海外邦人援護統計に基づけば、事故や犯罪被害等での援護件数の多い国・地域は、国では米国の四百五十六件、地域では欧州の二千四百二十八件であります。

 米国の援護件数の推移は、二〇一一年が四百十八件、二〇一二年が四百四十二件、二〇一三年が四百十一件、二〇一四年は四百四十件、二〇一五年が四百五十六件です。

 欧州地域の援護件数の推移は、二〇一一年が二千四百四十六件、二〇一二年が二千七百六十九件、二〇一三年は二千八百十五件、二〇一四年は二千六百四十九件、二〇一五年は二千四百二十八件であります。

玉城委員 邦人が活動する地域においては、やはり事件、事故に遭う確率が高いということが思料されます。

 現在の在外公館の防犯及び安全対策等のセキュリティー対応、これは、サイバーを除いた物質的な対策ということで捉えていただきたいと思いますが、セキュリティー対応はどのようになっておりますでしょうか。テロ対象とみなされて以降は、ISが発表して以降は、セキュリティー体制は強化されているのでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館は、諸外国における日本の外交活動の基盤であり、かつ、邦人の方々の保護の最後のとりでであるというふうに考えております。そこで働く在外公館の職員が職務を果たせるよう、現地の治安情勢等を考慮しつつ、人的な警備と、施設の安全対策強化や警備機器による物的警備の両面で必要な対策を講じております。

 御指摘のとおり、ISILが我が国在外公館への攻撃を呼びかけたこと、また、昨年七月、バングラデシュで経済協力に従事する邦人の方々が殺害される事件が発生する等テロの脅威が増大していることに鑑み、平成二十九年度予算案におきましては、前年度比約一億三千九百万円増の、全体で六十三億七千万円の在外公館の警備対策予算を計上しております。

 引き続き、緊張感を持って在外公館警備の強化に取り組んでいきたいと考えております。

 事柄の性質上、どのような対策をとっているかということを具体的に御説明することには制約がございますが、例えばバングラデシュの日本大使館につきましては、警備員の増員配置、監視カメラシステムの強化、間仕切りのための壁の強化等の物的な措置を講じるとともに、在外邦人に対する安全対策のいろいろな指導をさせていただいておりますけれども、それに積極的に取り組んでおります。

 今後とも、在外公館警備体制の一層の強化を図り、安全対策に万全を期していきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、在外公館の監視カメラによる来訪者のチェックやデータ管理、それら記録の保管方法、それから本省への報告の都度などはどのようになっておりますか。

山崎政府参考人 在外公館の監視カメラ画像につきましては、警備員から見て死角となる箇所の警戒、不審者の侵入の発見等に活躍し、侵入警戒等の警備活動に活用をしております。

 画像データにつきましては、在外公館において、ハードディスクにまず保管をしております。事案が発生した場合、これらのデータは事案発生の経緯等の確認等に用いられ、また、警備対策改善策の検討にも活用をしております。事案発生の際には、必要に応じて本省に画像データは報告されることになっております。

 保存期間につきましては、対外的に公表しておりませんので詳細にはお答え申し上げられませんが、一定期間は保存をしております。

玉城委員 国民の皆さんは、このようにセキュリティーにしっかり対応しているというふうな、ささいなことであっても、その情報として聞きたいというふうに思っていると思います。

 最後に質問いたします。

 これはどこまで答えられるか、内容にもよりますが、自衛隊派遣地域の部隊では、監視カメラの警備体制、記録の保管など、その点についてどのようになさっていらっしゃるか、防衛省に聞きたいと思います。

辰己政府参考人 現在、自衛隊は、南スーダンのジュバ、それからジブチに主に自衛隊を派遣しています。

 ジュバの日本隊宿営地におきましては、宿営地周辺の必要な箇所に防壁を設け、ゲートにおいては人や車両の出入りを厳重に管理することはもちろん、周囲を複数のカメラで常時監視をしております。また、警備小隊という要員が宿営地の巡回を一定の頻度で行うなど、二十四時間体制で宿営地の警備に万全を期しております。

 ジブチにおいても同様に監視体制をとっておりまして、ここでは警衛隊が要員による拠点内の巡回を一定の頻度で行うなど、また、複数のカメラで常時監視をし、二十四時間体制で拠点の警備に万全を期しております。

 また、こういった記録についても一定期間保存して、必要に応じて情報を上級部隊に報告することとしているところでございます。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございました。終わります。ニフェーデービタン。

三ッ矢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十五分散会


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