衆議院

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第4号 令和6年3月22日(金曜日)

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令和六年三月二十二日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 勝俣 孝明君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 貴子君

   理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君

   理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君

   理事 青柳 仁士君 理事 竹内  譲君

      小田原 潔君    黄川田仁志君

      塩谷  立君    島尻安伊子君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    穂坂  泰君

      宮路 拓馬君    山口  晋君

      小熊 慎司君    佐藤 公治君

      松原  仁君    鈴木  敦君

      徳永 久志君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   復興副大臣        高木 宏壽君

   外務副大臣        辻  清人君

   外務副大臣        柘植 芳文君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         金子万里子君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片平  聡君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     高木  啓君

  高村 正大君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     上杉謙太郎君

  山口  晋君     高村 正大君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

勝俣委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房政策立案参事官金子万里子君、経済局長片平聡君、総務省大臣官房審議官西泉彰雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案について質疑をさせていただきます。

 博覧会というと大阪万博もありますので、花博というふうに略させていただきますけれども、この花博については、ほかの委員会でもこれまで様々議論をされてきたところでもあります。

 まず初めに確認をさせていただきますけれども、大阪万博でも議論されていますが、物価高騰、人件費の高騰等で予定以上に費用がかさんでいるというのが現状であります。限られた予算、決められた予算の中でしっかりと効果を上げなければならないことではありますが、こうした経済状況、社会の状況の変化によって予定以上の費用がかかる場合、どこが新たに負担をするのか。大阪万博の方でも議論されていますけれども、改めて、この花博について、予算内で収まることが理想ですが、そうじゃないような状況も生じかねませんので、予算以上にかかった場合に負担がどういうふうになっていくのか、まず確認させてください。

堂故副大臣 お答えします。

 二〇二七国際園芸博覧会につきましては、「幸せを創る明日の風景」をテーマとして、花や緑、農との関わりを通じ、自然と共生した持続可能で幸福感が深まる社会の創造に寄与することを目的に、横浜市での三年後の開催に向けて、関係府省庁や横浜市などとともに準備を進めております。

 本博覧会の費用につきましては、国際園芸博覧会協会が昨年一月に策定した二〇二七国際園芸博覧会基本計画において、会場建設費三百二十億円、運営費三百六十億円とされており、令和三年六月の閣議了解に基づき、会場建設費については、国、地方公共団体、民間がそれぞれ三分の一ずつ負担することとされており、一方で、運営費については、適正な入場料の設定などにより賄うものとし、国による負担は行わない、助成も行わないとされているところであります。

 物価や人件費の高騰が生じていますが、会場建設費については、施設整備のグレードにめり張りをつけるなどして、国の負担が増加することのないよう最大限の努力を続けてまいります。

小熊委員 堂故副大臣、最初に言っておきますけれども、余計な答弁は要らないですからね。目的なんか聞いていないから。負担が生じたらどうするか。委員長、これは我々の時間泥棒ですよ。厳しくやってください。副大臣、気をつけてください。

 では、終わった後、一千五百万人を想定していて、入場チケットでは一千万人を想定していますが、かつての大阪の花博よりは、あれは入ったのが二千三百万人だったかな、控えめな数字であるんですけれども、ほかの国で行われているものからすれば、ほかの国は数百万人。規模も全然違うからあれですけれども、一千五百万人、これが大きな数字なのか、実現可能なのか、私は測りかねていますが、仮に、今はやる場合の補填の部分は国はしないということを確認しましたが、やった後での赤字についての費用負担は国はどうするのか、端的にお答えください。

堂故副大臣 令和三年六月の閣議了解に基づき決定しておりますので、例えば会場の簡素化、あるいは入場料の設定や入場数の確保など、事前に最大限の努力をすることによって赤字が出ないようにする、国の負担が起こらないようにするというのが現在の考え方です。

小熊委員 赤字が出ないようにするというのはそれはそうなんですが、精神論を聞いているわけじゃない。出たらどうするか、想定内に入れておかなきゃいけないでしょう、お金の話だし。だって、一千五百万人呼び込みますよと予定しているんだから。将来のことを語っているわけですよ。その中で、一千五百万人を超えればいいんだけれども、超えなかった場合のことも想定していなきゃいけない。こんなずさんな計画ではいけない。

 ちょっと飛ばしていきますけれども、博覧会協会の理事の一人に俳優のサヘル・ローズさんがいらっしゃいます。これは非常にすばらしいことですし、彼女のこれまでの様々な活動からすれば適任でもあると思いますし、また、花博を成功させるために世間に広く周知するという意味では、いわゆるインフルエンサーとしても適任であると思います。

 彼女が理事になられたときに、真面目に現地を訪れて見ていて、理事が初めて現地を訪れたということになっていますが、彼女がその後、御自身のブログで、素直な、別にやゆするわけでもなく、反対という立場でもなく、素朴な、素直な疑問というか課題をブログに書かれておりました。これについて、国としては、この彼女の意見、彼女の指摘した課題という点についてはどういう見解をお持ちか、なお、その課題についてどう対応しているのか、お答えをお願いします。

堂故副大臣 お話のありました理事の一人であるサヘル・ローズ氏が、昨年七月のブログにおいて、本博覧会の問題点、課題点として、河川の源流部の保全に問題があること、道路拡幅のために地元に愛されてきた桜を伐採することなどの問題点を指摘されております。

 大変大事な指摘もされておりますけれども、サヘル・ローズ氏は、一番重要なこととして、この企画に関わる方々が現地を実際に偵察し、地元の方々に何度も何度も説明を行うこととされております。

 国土交通省としても、本博覧会の会場整備を進める上で、地元の御理解、御協力を得ることは大変重要であると認識しておりますので、引き続き、地元の方々の声に耳を傾けながら、丁寧な説明を行っていく必要があると思っています。

小熊委員 私も、この質問に当たって、昨日になりますけれども、予定地を見てきました。もう既に工事が始まっているところでありますが、大阪の万博と違って、どういう整備をするかという意味では間に合うなという感じはしたんです。

 心配だったのは、今、地元の声もちゃんと聞くということがありましたけれども、我が党の太議員がそこの選挙区になりますのでちょっと意見交換をさせていただきましたし、現地だけではなくて、いわゆる新交通システムをやるといって頓挫しちゃったわけですよね。この跡地についても、いろいろ決まってはいるものの、まだ明確には具体化されていない。そして、間に合わないけれども、新交通システムはやらないけれども、地下にバス専用道路を造るという話もあります。

 ただ、花博に向けてどう対応するのかということを、これまでのほかの委員会の議事録も丹念に読み込ませていただくと、また、様々情報提供をいただくと、幾つかの駅からいわゆるシャトルバスを出すということで、専用レーンも道路に造るというんですけれども、私が昨日、瀬谷駅からだけでしたけれども、瀬谷駅から花博会場まで移動した感じでいうと、あそこのバス専用レーンの拡幅も間に合うのかな。家が建っています。拡幅はあれを移転しないでできるのか。太議員に聞くと、地元の意見としても、間に合うのかと。道路の部分ですよ。花博そのものじゃなくて、アクセスの部分。

 残念ながら先ほど言ったとおり新交通システムが頓挫して、二転三転して、何とかこれでもやれます、バス利用者も入場者の十数%だから渋滞を起こしませんと言うけれども、結構大きいイベントで、あの瀬谷駅の感じで、そこからのアクセス、歩こうと思って歩けないこともないけれども、かなり気合を入れないと大変だし、そこまで行く歩道も普通の歩道なので、どかっといっぱい人が来たら歩道もあふれちゃうしということで、アクセスの問題は課題が解決されていないし、今の段階で取り組んでいることについては、地元住民は理解されているというより不安になっています。

 この点について、どうですか。

堂故副大臣 お答えします。

 来場者の動向に合わせて既存の交通インフラを最大限活用するために、シャトルバス等の輸送手段の導入を念頭に、来場者の利便性と地域の生活環境の双方に配慮した対策を進める必要があると思っています。国、県、市の行政機関そして交通事業者等で構成される輸送対策協議会において検討が進められていますが、令和六年度には具体的な内容を定める来場者輸送実施計画が取りまとめられる予定であります。その中で、地域の生活にも配慮した具体的な対策について課題が整理されていくことになっております。

 国土交通省といたしましても、そういった地域の皆さんの声にしっかりと耳を傾けていく必要があると思います。また、計画段階で地元住民の声をしっかりと聞いていく必要があると思っています。

小熊委員 ちょっと遅いと思うんですね。物理的に解決しなきゃ、今のところを最大限活用というのは僕はできないと思います。地元の人もそれを思うから、こんなのは無理だよねということで不安なんですよ。

 ここから道路を拡幅するかといったら、時間的にちょっとどうかなというのもある。だから、時間的に、物理的にも非常に無理がある。こんなのは新交通システムが駄目になったときにぽんと出てこなきゃいけないけれども、出ないということは、やはりしんどいんですよ、難しいんですよ。

 ここでやりますよという話だけじゃなくて、さらに、アクセスが悪いことによって花博そのものが成功に結びつかないということもリスクを背負っていかなきゃいけない話になります。行っても混んでいるし、アクセスが悪いしという評判が一たび飛んだだけで多分入場者ががた減りですよ。

 このアクセスの問題は非常に重要で、そんな簡単な話じゃないし、時間をかけていい話でもないわけです。これはもっと厳しくやらなきゃいけないし、政府として、これまでほかの委員会でも、間に合うんだということも実は言っているんですよ。バスで行く人は、新交通システムは元々総入場者の十数%しか見ていなかったから、これが新交通じゃなくたって代替の何かで間に合いますと言い切っているんです、ほかの委員会で。

 これから検討すると今言ったけれども、そういう認識ですか。改めて確認します。

堂故副大臣 お答えします。

 そういう時間的な制約もありますので、現在使われている既存の交通インフラの最大活用が大事だと思っています。その上に、シャトルバスの輸送手段を大幅に改善する、あるいは電気バスを導入するなどして開始に間に合わせたいという思いであります。

小熊委員 副大臣も一年限りのあれだからあれだけれども、電気バスは、環境にはいいけれども、今言った大幅な輸送人員をどうするかということの答えではないから、取ってつけたように言わない方がいい。いずれにしろ、しっかりしなきゃいけないですよ。

 連節型のバスもやると言っていたけれども、あそこは、駅前も連節バスが入れないことはないけれども、ほかの既存のバスが駄目になっちゃうなと思いました。シャトルバスをばんばん走らせて消化できても、まさに生活する人たちの日常も守らなきゃいけないわけですよ。シャトルバスが走ることによって通勤通学が困難になったとならないようにしなきゃいけない。新交通システムを断念したことによって、ある意味非常に難しい課題を抱えてしまったので、しっかり対応して地元住民の理解を求めるように努力していただきたいと思います。

 あわせて、もう一つ、横浜市の方からうれしい提案があって、昨年、福島県の復興を後押しするために福島県も出展しませんか、どうぞやりましょうと提案があって、今、博覧会協会と福島県と横浜とでどうするかということを協議しているところであります。私は非常にいいことだと思いますし、オリンピックのときも、復興の姿を世界に発信といっても、どうだったのかなというところがあったし、千葉の人には申し訳ないけれども、サーフィンをやるんだったら、国際大会をいっぱいやっている福島でやってもらえばよかったのにと思ったけれども、それはそれとして。

 でも、いろいろな国際的なイベントの中で復興の姿を見せていく、今の現状を世界に発信していくというのは非常にいいきっかけになると思います。これは横浜、福島県、博覧会協会で協議中ということを確認していますが、国としてこの件についてはどう支援していくのか、お答え願います。

堂故副大臣 昨年八月の関係閣僚会議で決定した二〇二七国際園芸博覧会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針におきまして、東日本大震災からの復興の状況等を世界に発信するとされていることからも、本博覧会が福島県を始め被災地の取組を発信していく絶好の機会になると思っています。福島県からの出展を期待しているところでございます。

 なお、地方公共団体が本博覧会に出展するに当たっての支援措置はございませんが、福島県が出展するに当たり必要となる情報提供などを引き続き行ってまいりたいと思います。

小熊委員 特別の予算措置をしないというのは、それはそれでそういう仕組みなんだけれども、オリンピックのときに言っていたみたいに復興の姿を見せますといっても、世界に向けたイベントですから、さっき一番最初に、冒頭、聞いていないけれども目的を言っていたけれども、その目的に従って世界発信していくんだから、その中に復興の姿も見せていきたいというのを入れるだけでいいですから、復興というキーワードを使って花博を盛り上げる。お金の話はしていませんよ。言いぶりとしてやっていくべきだと思いますが、今後、復興というワードも目的の中に入れていただけませんか。

堂故副大臣 私の一存では決められませんが、大変大事な視点だと思います。福島を始め、東日本大震災からの復興、あるいは、今、能登半島で大変大きな災害が出ております。それらを励ますためにも元気なタイトルが必要だと思いますが、持ち帰らせていただきたいと思います。

小熊委員 初々しく、手を挙げるのも忘れていたぐらいですけれども、その初々しさで、今副大臣としては重く受け止めていただいたので、是非持ち帰っていただいて具体的に検討、実行していただきたいと思います。

 世界発信でいろいろやっていくと、海外のお客様もしっかり受け入れていかなければならないということになってきます。国内だけで盛り上がっても仕方ない話です。世界発信のイベントですから、国際的なイベントだから。

 しからば、現時点でインバウンドはどうなっているのかを見ると、月別でいってもコロナ前に戻ったということで、非常に喜ばしい限りでありますし、また、コロナ前と大きな流れが変わってきていると私は実感しています。

 東京を見てみても、コロナ前はどちらかといえば中国、台湾、韓国といったアジア地域が多かったわけでありますけれども、コロナ後はほかの地域からの訪日客数が増えているというのは実感もしていますし、実際、数字上でも、例えばアメリカなんかはコロナ前よりも一・五倍ぐらいになっているんですね。

 ただ、今、国全体ではいいんだけれども、地域ごとに見ると、このトレンドが格差が乖離してきているなという感じがしています。

 実際、北米の人たちは、東京、南関東、北海道や、京都を中心とした関西の方と、西銘さんもいるけれども、沖縄もいっぱい来ているでしょう。一部地域に限られているんですね。それは、それぞれの地域、観光客の自由な意思に基づいてやっていくわけですから、その結果といえば結果なんですけれども。

 私の地元の福島県においても、コロナ前に戻りつつあるということで、この間県が発表していましたけれども、宿泊者数の一位は台湾になっています。これはこれでいいことなんですけれども、これからアジア地域は、台湾にしろ中国にしろ韓国にしろ、少子高齢化でパイとしては縮小していく国でもあります。今の日本全体のトレンドとして新たなトレンドがありますので、これを取り切っていかなきゃいけないと思っています。

 この格差をどう埋めていくのか、また、どう認識してどう埋めていくのかということについての取組をお伺いいたします。

堂故副大臣 お話のありましたように、コロナ前と比べて、インバウンドの性格が、方向が三大都市圏に集中するということが更に加速しております。また、御指摘がありましたように、傾向として、調査したところ、お客様の志向が日本食、日本のおもてなし、日本のお酒、日本の歴史、伝統文化体験というニーズが非常に高まっているということが分かります。ということを考えると、日本各地にあるすばらしいもの、これらを生かすことで地方誘客を更に促進していかなければいけない、そのような施策を進めていく必要があると思います。

 具体的には、日本各地で、その地域を訪れたくなるような地域ならではの特別なコンテンツの創出、付加価値の高い旅行者への対応、さらには、各国の、あるいは各地域のニーズを踏まえた方々への日本の魅力を情報発信することなどに努めていかなければいけないと思っています。

 国土交通省としては、引き続き、インバウンドの地方誘客の促進による地域の活性化に取り組んでいきたいと思います。

小熊委員 国際的な情報発信は外務大臣も担っているわけでありますし、今、東日本の復興、また、福島県はALPS処理水の海洋放出もあって、国際的な風評被害にも大臣始め外務省はこれまでも努力してきていただきましたし、科学的根拠のない理不尽な規制に関してもかなり改善してきました。ただ、中国等はまだ規制をはめているところでありますが、その点については答弁は要らないです、今までもいっぱい質疑してきたし。

 私も、武井委員とも一緒に超党派で中国政府にも常々言っていますけれども、科学的根拠でやってくださいよと言ったって、彼らもそんなのは分かっているんですよ。月まで衛星を飛ばすぐらいの国なんだから。そのぐらいの科学的知見はあるのにやっているというのは、これは政治問題としてやっているのであって、福島をこういう政治問題にしていること自体が中国はよろしくないよというのも、僕は大使を始め厳しくそこは言っているんですけれども。

 いずれにしましても、ほかの地域と違って福島県はこうした課題も抱えているので、更なる後押しも欲しいところでありますし、今ほど副大臣からあったとおり、地域間格差があって、情報発信をそれぞれの自治体だけでやれといっても、国際的な情報発信がしんどいところはありますよ。これは国がきっちり責任を持って日本各地のそれぞれの魅力の発信を率先してやっていただかなければいけない。

 そういう中で、福島は処理水の問題を抱えて、国際的にも、分かっていただいているところは分かっていただいているけれども、国だけじゃなくて、世界中の一般の人たちに国がしっかり情報発信をしていただかなければならないし、私は久々に外務委員会に戻ってきたから大臣とは初めて質疑しますが、これまでも常々言っていたのは、科学的根拠、真面目な説明はもういい。いいというか、それ以上のことをやらなきゃいけないと言っているんです。

 それはもう十分やっていると思うんです。それでこの結果なんです。それを踏まえて、大臣、どう情報発信していくのか、お願いいたします。

上川国務大臣 福島県が置かれている今の現状を鑑みますと、まさに風評被害の払拭は外交の中でも極めて大きな課題でございます。

 私も、昨年十二月に福島県を訪問させていただきまして、東電の福島第一原発を視察し、さらに、地元の水産物を試食もさせていただきました。その意味で、様々なチャネルでその旨のことも含めて発信をしている状況であります。

 外務省の対外的な広報の基地は何といっても在外公館でございます。例えば、三月十一日でございますが、ブリュッセルに所在しておりますEUの日本政府代表部の主催によりまして、福島県を含みます東北地方の魅力を発信するためのレセプションを実施しているところでございます。

 このほか、正確な事実関係、さらに、その理解に基づきます報道がなされるよう、各国あるいは地域の報道関係者を対象とした取組も実施しております。

 今後も、あらゆる外交機会を捉えまして、在外公館、また、海外で築きました人脈といった外務省の持っているリソースを最大限活用しながら、各国や地域事情に合わせました戦略的な広報につきましては全力で取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 これまでの内容と余り変わっていなくて、大臣が替わってもこれは変わっていない。私がずっと常々言ってきたのは、そういうアプローチはもう十分やっていただいている、でも、それで結果が出ていないんだから違うアプローチが必要だとずっと言ってきました。違うアプローチとは何かというのは、ソフト的なアプローチです。

 例えば、この間も、残念ながら鳥山明さんが亡くなって、全世界が泣きましたよ。この間、韓国の大使館の人と食事をしたとき、失われた十二年の話をしたら、失われた十二年の前から国民の雰囲気が変わっていましたと。何でと言ったら、「スラムダンク」の映画が変えてくれましたと。今、大谷選手も韓国に行って、もう戻りましたけれども、ここでも日本のイメージが変わってくる。こういうアプローチが必要だと思いますし、かつて日本政府もやっていたんですよ。

 韓国が今やっていますけれども、自分の国のコンテンツ、映像文化を自分のところの予算で、無料でその国で放映してくれとやっているんですね。かつて日本はやっていたんですよ、一回だけ。政府が放映権を買って各国に配っていた。これが「おしん」です。「おしん」というコンテンツがよかったから百何か国でやったわけじゃないんです。それだけじゃない。もちろん、コンテンツがよかったから広まったのもあったけれども、政府がお金を出して、各国に放映してくれとやった。でも、あの影響は今でもいい影響があるじゃないですか。その後、日本政府がこういったことをやったかというと、やっていない。

 新しいアプローチでやりませんか。いいコンテンツ、ドラマでも映画でもいいですよ、ドキュメンタリーだけじゃなくて。被災地のものとかをやって海外に提供して、そういう日本の魅力発信というのもあると思いますよ。

 だって、日本政府が努力しなくたってアニメや何かは全世界で売れているんですよ。大谷選手だって政府のおかげでなっているわけじゃない。本人と周りの努力です。鳥山明さんだって、ほかの「ワンピース」とか「ドラえもん」だって政府の支援とかじゃないんだけれども、こういうコンテンツを切り口にやっていくべきだという今日は提案にとどめさせていただくので、また後日の質疑で深掘りしたいと思いますので、是非検討をお願いいたしたいと思います。

 このインバウンドについて、拡大アクションプランというのがありますが、ここに、福島の国際研究教育機構、いわゆるF―REIへの支援についても言及されています。今日は、並行して行われている復興の特別委員会に山崎理事が初めて国会に来られるということでありますが、我々も、この間、鈴木庸介議員共々、我が党の復興本部で現地を訪れて様々聞いてきました。

 これは西銘さんが大臣のときからも言っていたけれども、世界に冠たる研究機構と言っている割には予算規模が足りない。今、国際社会で人材獲得競争になっている中での予算規模ではない。格好いいことを言っているけれども、実態は残念ながらほど遠い。

 実際、この事業は、研究を公募して今様々契約を結んでいますけれども、全て国内の大学です。国内の大学が悪いとは言っていない。世界に冠たる研究機関と言うのであれば、世界中の研究機関、大学等との連携がなければならないけれども、確認しますが、応募もゼロだと聞きました。まず、この現状と今後についてお聞きいたします。

高木副大臣 F―REIについては、昨年の四月に設立されて、設立初年度の今年度は、委託研究を中心に研究開発に着手すべく、国内外の大学等研究機関に公募を行ったところであり、五分野、二十七テーマ、五十六事業について開始あるいは開始に向けた協議となっております。

 今年度の委託先は、東大、東北大を始め、国内で実績のある大学等研究機関やコンソーシアムとなっており、結果として海外の研究機関等への委託はなかったところであります。

 これらの委託研究は順次F―REIの直営の研究に切り替えていくこととしており、その際、PI、研究代表者や研究員等の採用については、国内外から広く、卓越した能力を有する人材を確保していくことが重要と考えております。

 そのためには、成果や能力に応じて柔軟に設定した給与等の水準、国内外の有力な大学や研究機関等との連携体制の構築、クロスアポイントメント制度や組織的な人材交流の積極的活用、若手や女性の積極的な登用が必要と考えております。

 F―REIでは、既に高水準かつ柔軟な給与規程をもってPIの公募を開始したほか、米国パシフィック・ノースウエスト国立研究所等との連携を進めるとともに、国際的に活躍されている四名の国際アドバイザー等の知見も生かしつつ、研究人材の確保に取り組んでおられるものと承知しております。

 F―REIが世界に冠たる創造的復興の中核拠点にふさわしい人材を確保できるよう、政府としても引き続き支援してまいります。

小熊委員 時間が来たので終わりますけれども、世界に冠たると言葉ばかりは大きいんだけれども、やっていることは小さいですよ。大リーグを目指すと言っていて草野球みたいなことをやっているんだから。

 今関わっている人の努力がやっていないということじゃないですよ。国が言葉を言っている割には実行に移っていない。お金だけの話じゃない。だって、予算も十倍以上違いますよ、世界に冠たる研究機関をつくるというのであれば。そういうことも含めて、あとは言葉遣いも含めて、世界に冠たると大風呂敷だけを広げて福島県民に過剰な期待をさせないでください。着実な夢を示さなきゃいけない。

 そういうふうにはなっていないという自覚を持って、今後、F―REIの充実化に向けて、実現に向けて努力していただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 連日お疲れさまでございます。

 条約について伺いたいと思います。

 博覧会にしても、国際会議にしても、実際にやるのは国土交通大臣だったり国土交通省だったりしますけれども、外国の方々をお招きするわけですから、外交上、何か目的を持って、何か成果を得ていただかないと困るわけでございます。

 二〇二七年の花博に関しては、七十か国、国と地域ということを目標にされていると思いますけれども、この花博でお越しいただいた国々あるいは地域の皆さんと、外務省として、外務大臣として意見交換をして、どのような成果を得ようとするのか、その目的をまず伺いたいと思います。

上川国務大臣 二〇二七年国際園芸博覧会でございますが、「幸せを創る明日の風景」をテーマに、国際的な園芸文化の普及や、また花や緑のあふれる暮らしの実現に加えて、気候変動への対応や、また生物多様性の保全等の社会的な課題解決等への貢献、これを目的に開催されるものでございます。

 我が国といたしましては、この国際園芸博におきまして、自然環境が有する多様な機能を活用するグリーンインフラの推進や、またスマート農業を始めとしたデジタルの活用による経済発展と社会課題解決の両立などの取組を積極的に紹介してまいりたいと考えております。

 外務省といたしましても、この国際園芸博を、日本が誇ります自然との共生の知見や優れた技術を国際社会に対しましてアピールする絶好の機会であると考えておりまして、参加各国に対しまして積極的に働きかけを行ってまいりたいと思います。

 また、国際園芸博に合わせまして来日されます各国の要人との間で会談を行い、各国との二国間の関係、またSDGsの達成を始めとする国際社会におきましての課題解決への連携強化、こういったことにつきましても、最大にこの機会を生かしてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 こういう機会を生かしていただくという前提の下で、じゃ、何を武器にされるかということなんですよ。

 博覧会そのものについては国交省さんかもしれませんし、スマート農業を進めるんだったら農水省さんかもしれませんし、何か技術ということであれば経産省さんかもしれませんけれども、それを使って外交をされるのは外務省であり、外務大臣である上川先生なんですね。

 何を武器にされるかということを口を開けて待っているだけではよくないと思います。例えば、外務省として、国内外に発信したいものがあったり、技術があったりするんですよね。先ほどおっしゃったスマート農業ということでいえば、例えばドローンということをどういうふうに使っていくか、園芸に絡めたドローンの使い方というのを検討するべきだと私は思います。

 例えば、これは私が復興特の視察で浪江町に伺ったときに、福島ロボットテストフィールドで拝見しましたけれども、災害時に地形を3Dスキャンするような観測用ドローンを開発されて運用されている会社があるということで拝見してまいりました。こういったものというのは、例えば地形をスクリーニングするとか、スマート農業にも生かせる技術を多分に使っていると思いますし、また、もうPKO等でも日本はよくやっていますけれども、水処理ですとか、こういった部分は園芸に絡めていっても優れた技術だと思います。

 何を使って外国にアプローチするかということを、大臣からも各役所なり同僚の皆さんにもお話をして、吸い上げていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

上川国務大臣 外交の会談を行う際におきましては、各国の中の事情に応じて、例えば、農業のことについて積極的に取り組みたいという場合には、日本にある技術について御紹介をする。あるいは、既にもう企業同士で対話をしているというケースも多く見られます。

 その成果そのもの、あるいは新しい技術の開発をしているもの、先ほどおっしゃった、ドローンあるいは衛星から取り込んだ農業のフィールドの様子などをリアルに見ていただきながら、それに応じて対応策を考えるというようなことについて、もう既に日本は先端的な取組をしておりますので、そういったことを積極的に展示をし、また、そこに来ていただく方々に触れていただく。

 これは内外共にということでありますが、そういう機会を捉えて、これから必要なグリーンインフラ、GX、またDX、こういったものを積極的に様々なフィールドに活用することができる、その一つのテスト的なモデルの事業を積極的に展開していく。こういったことを具体的な事例も含めて紹介をしながら、様々な方々に来ていただくことができるように呼び込んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 なぜこれに触れたかというと、もう委員の皆さんもそうですけれども、今、携帯電話、スマートフォンで電話をかけるとき、親指で番号を押して通話ボタンを押しますよね。世界どこに行ってもそうですけれども、そのモデルになったのは、日本でやったんですよ。

 一九七〇年、大阪万博でワイヤレステレホンという技術を開発して、そのときに、どちらかというと人間というのは親指でボタンを押す傾向にあるという情報と、あるいは、通話ボタンを押してから番号を押すのでは、順序が逆になってうまく電話をかけられない人が続出したということで、番号を押してから通話ボタンという順番に変わったりとか、これは世界で今常識になったわけですよね。

 つまり、博覧会とかで最先端の技術として展示したものというのが、ブラッシュアップを経て世界のスタンダードになる可能性があるわけですから、ここで何を売るかというのは、多少採算が取れなかったとしても日本の将来のために投資になると思いますので、外務省からも興味のある分野をプッシュしていただきたいと思います。

 次は、ちょっと毛色が変わりますけれども、この花博にしても、来年の万博にしても、TICADにしてもそうですけれども、あらゆる国際的な会議だとか、あるいは、日本は観光資源が豊富ですから、外国のいろいろな方々もお越しになりますけれども、そういうとき、これから気をつけなきゃいけない、あるいは世界では既に取組が始まっているのが偽情報への対応です。

 ウクライナでの紛争、ロシアの侵略についてもそうですし、台湾の総統選挙もそうですし、世界各国のあらゆる地域で、選挙への介入だったりとか、あるいは偽情報、誤情報の拡散といったものが国際的な問題になっています。EUでは法規制までされています。

 我が国もこれは対応していかなければいけないと思いますし、余りやり過ぎると検閲になりますけれども、少なくとも国として関与しなければいけないところも一定数あろうと私は思います。現時点で外務省では何をされているのか、それを教えていただければと思います。

上川国務大臣 まさに偽情報に対しましてどのように対応するかは、外交の中でも大変重要な課題として、私も、バイ会談あるいはマルチの場におきましてこの問題につきましては提起をし、また、それに対する取組につきましても議論をしてきている状況でございます。

 もう既に地政学的な競争が深刻になっている状況の中で、偽情報等の拡散を含みます情報操作によりまして、国際的な情報戦は恒常的に生起をしている状況であります。日本の政策等に対しましても信頼を損なう、あるいは国際協力を阻害する、こうした情報操作への対応の重要性はますます高まっていると認識をしております。

 そうした認識の下におきまして、二〇二二年の十二月に国家安全保障戦略が決定されたところでありますが、この戦略も踏まえまして、まさに情報部門、政策部門及び広報部門が連携をいたしまして、情報収集と分析、また発信能力を強化してきている状況であります。

 具体的な対応例として御紹介させていただきますが、先ほども議題に上りましたALPS処理水に関しましては、外国の自称メディアによりまして偽造文書を用いた偽情報がユーチューブ上で発信された際に、これを速やかに否定する情報、報道発表等によりまして対応をしたところでございます。

 こうした情報操作でありますが、先ほどおっしゃったとおり、多くの国でも問題意識が高まっているところでございまして、G7等の多国間、米等との二国間での情報共有、また対応能力の強化に向けましての協議等も行ってきているところであります。

 これはますます巧妙化していく大きな課題であるということで極めて深刻に受け止めておりまして、これへの対応につきましては、でき得る限りの状況の中で最善を尽くしてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 今ほど御紹介をいただいたように、国民を混乱させるという目的で偽情報を拡散している場合には、ある意味で、カウンターの正しい情報の発信というのは必要だと思うんです。ただ、イタチごっこになるんですね。今SNS上とかウェブ上にある全てを偽情報かどうかを精査して、ファクトチェックした上で、これは違います、これは違いますと一個ずつやっていたら切りがないわけです。

 かつ、偽情報というのも、体系的には二つに分けられると思います。一つは国家安全保障上の偽情報対策と、あるいは国民一人一人が持つべきリテラシーの部分と、二つあると思いますね。今ほどのALPSの件ですとか、あるいは、日本でこれが起こったら大変なことになると思いますけれども、各国で散見されている選挙への介入といった、社会的に分断を生むような大きな偽情報や誤情報の拡散というのは、国である程度管理をしなければいけないと思います。

 ただ、一方で、今SNS上に蔓延している偽情報、そして拡散してしまっている偽情報というのは、各個人個人が情報リテラシーを高めていっていただいて、国民の皆さんにそれが真実かどうかの判定をある程度していただかないといけないと思います。

 実際に、台湾ですとか幾つかの国や地域では、国民がそもそもその情報源をちゃんと調べて、正しいものかどうかを、ファクトチェックを御自分で回しているという状況ですし、第三者のファクトチェック機関を民間でつくってファクトチェックをしている。これを国がやると検閲ですけれども、民間がファクトチェックをやれば情報リテラシーの向上につながると私は思います。

 ですので、是非それをやっていただきたいんですが、実は、総務省さんが分かりやすい資料を実際に作っておられるんですね。作っておられるんですけれども、これは質問のレクチャーを受けたときにも申し上げましたけれども、スライド十何枚をずっと並べて、これをクリックしていくと情報リテラシーの学習になりますというんですけれども、一枚一枚見ているだけでもすごい時間がかかるものを、多分、学校の授業とかじゃない限り、全てのスライドを見ないんですね。

 だから、例えば、こういう投稿があったら、それが本当のものかどうかをこういうふうにチェックしてくださいという副読本のようなものを総務省さんから出していただいて、まず国民の皆さんの情報リテラシーを高めていただく。これは疑えと言っているんじゃありません。今そこにある情報が、偽情報が蔓延しているという現実をまず御理解いただくという意味で、総務省さんにまずやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西泉政府参考人 お答え申し上げます。

 生成AIなどの新たな技術が普及する中で、インターネット上の偽・誤情報の流通、拡散が深刻化しており、情報の受信者、送信者共に、幅広い世代の利用者のICTリテラシーの向上がますます重要になっていると認識をしております。

 こうした認識の下、総務省では、昨年六月に、関係省庁などと連携の上、ICT活用のためのリテラシー向上に関するロードマップを策定し、青少年、保護者、高齢者など幅広い世代のICTリテラシーの向上に取り組んでおります。

 具体的には、偽・誤情報に関する啓発教育教材及び講師用ガイドラインの作成、公表、青少年、保護者、教職員などに向けたインターネットトラブル事例集の作成、公表、学校などに対する出前講座であるe―ネットキャラバンの実施などに取り組んでおります。

 また、国民に分かりやすい形で情報発信していく観点から、今般、総務省のみならず、関係事業者などが作成している学習コンテンツやICTリテラシー向上のための取組を一括して掲載した利用者向けウェブサイトを新たに作成、公開し、活用していただいております。

 総務省としては、引き続き、関係省庁、事業者などと連携しつつ、国民一人一人が健全な情報空間確保のため責任ある行動を取ることができるよう、偽・誤情報対策も含め、幅広い世代のICTリテラシーの向上に取り組んでまいります。

 今委員から御指摘のありました御指摘も踏まえて、より効果的な対策が取れますように、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 キャッチしやすい情報をつくっていただくということがベストなんですね。

 例えば、外務省がつくっている国民保護というのは漫画なんですよ。「ゴルゴ13」なんですけれども、上川大臣も出ていられるんですけれども、あれはみんな見ますよね。だけれども、インターネット上のスライドは全部はめくって見ない。

 これはもう先日も申し上げました。分かりやすい事例だけ取り上げて、イラストをつけて、霞が関のポンチ絵じゃないですよ、ちゃんとしたイラストをつけて、分かりやすくキャッチできるようにしていただきたいと思います。

 最後に、申し上げるだけにしておきますけれども、今度また時間があったらやりますけれども、ロシアが主にやっている情報戦というのは、偽情報の拡散だけではありませんよね。一部正しい情報を入れて、国民の分断を招くような使い方をしてきます。一見すると偽情報ではないんです、正しい情報なんです。ただ、その情報に必要な素材が意図的に外されているので、あたかも間違った認識になるようにつくられている。これは反射コントロールという考え方ですよね。

 彼らのそういった戦略については、今後、日本としてやっていかなくちゃいけませんし、これは国家安全保障の問題なので、また別の機会に大臣とは議論をさせていただきたいと思いますので、そのときにお願いをしたいと思います。

 もう一度最後に申し上げたいとは思いますけれども、今後行われる博覧会とか、あるいは国際会議の場で、これもある意味ソフトターゲットですから、そこに対して偽情報が拡散をして、例えば、そこで使われている水がどうだとか、空気がどうだとか、あるいは感染症がどうだとか。今、サッカー日本代表でも、北朝鮮といろいろやっていて、日本には悪性の病気が蔓延しているからできませんとかという話になっていますけれども、あれも一種の偽情報ですよね。こういうことに対応していくという考え方、改めて外務大臣から、どうやって対処していくかの対処方針を最後に伺えますか。

上川国務大臣 生成AIも含めまして、今本当にこの分野におきましては多くのソフトの開発が進んでいるということで、今、まさに反射コントロールというお話もございましたけれども、あらゆる分野におきまして、そうした可能性については、リスクは全部抑えることができないぐらい拡大している状況であります。

 今おっしゃったように、こうした大きなイベントの際におきましての偽情報という視点から物を捉えていくということによって、総合的に様々な知見と、そしてまた政策の結集ということも可能になろうかというふうに思いますので、今委員御指摘いただきましたそうした視点も併せて、様々なプラットフォームの中で検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 また次回お願いします。

 終わります。

勝俣委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案について質問します。

 二〇二七年国際園芸博覧会は、神奈川県横浜市の旧米軍上瀬谷通信基地跡地の一部を使用して開かれます。

 今日は、大臣に端的に一つだけ。最近の花博の状況、つまり参加目標と実績はどうなっているかだけお答えください。

上川国務大臣 端的にお答えをさせていただきます。

 所管の農林水産省によりますと、オランダで開催されました二〇二二年のアルメーレ国際園芸博覧会では、来場者数の目標として二百万人を掲げ、実際の来場者は六十九万人であったと承知をしております。また、カタールで今開催中の二〇二三年ドーハ国際園芸博覧会では、来場者数の目標として三百万人を掲げ、昨年十二月末時点での実際の来場者は二百万人であると承知をしております。

穀田委員 日本の有料入場者数目標は一千万人、一日当たりでいえば五万五千人となります。

 大事なことは、二〇二二年のこの博覧会特別措置法審議の際に私どもは明らかにしましたし、本日も他委員から意見がありましたが、結果として公費負担が膨大に膨らむようなことがないよう、開催地の皆さんが求めている身の丈に合った規模の博覧会、会場アクセスなど様々な問題の解決など、こうした動きを引き続き私たちとしては注視していきたいと思います。

 今度の博覧会の目的は、国際的な園芸文化の普及、園芸、造園産業の成長産業化、ひいては園芸を支える花卉農家の振興。花卉とは、御承知かと思いますが、観賞の用に供される植物ということです。今日は、この花卉農家の育成、振興問題について農林水産省にお聞きします。

 二〇二二年の農業経営統計調査によると、ビニールハウスなど施設花卉作が、二〇二一年の四百二十二・二万円から、二〇二二年、四百五・五万円に、露天の畑で自然の状態で栽培する露地花卉作に至っては、二〇二一年の百九十七・四万円から、二〇二二年には百七十一・八万円と、大きく収入が減収しています。花卉の出荷量、耕作、作付面積、産出額、農家戸数、いずれも急減しています。

 今すべきことは、高騰している燃料、肥料、農薬について補助すること、花卉農家の経営が破綻に陥らないよう一定の所得を補償する直接支援が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。

武村副大臣 我が国におきましては、花卉に関する豊かな伝統と文化が国民の生活に深く浸透しておりまして、花卉産業の振興は、国民の心豊かな生活の実現に資すると考えております。

 お尋ねの燃料高騰、肥料価格の高騰につきまして、農林水産省としましては、まず、燃料につきましては、施設園芸等燃料価格高騰対策による補填金の交付や、ヒートポンプ等の省エネ機器の導入によりまして、高騰による影響の緩和と高騰の影響を受けにくい省エネ技術の導入の加速化を図っております。肥料につきましては、肥料価格高騰対策事業によるコスト上昇分の一部支援や、堆肥等の国内資源の利用拡大により、国際価格の変動の影響を受けにくい構造への転換を進めているところです。

穀田委員 その程度の支援があっても、まともな収入にならないから、続けたくても続けられないという声が上がっています。

 私は、沖縄、福島で、ラン、スプレーギク、カスミソウなどを栽培している花卉農家の皆さんから直接お話を伺いました。皆さん口々に、燃料費が高い、重油が約三倍、肥料や農薬が約二倍、市場に出すための段ボールも値上がり、ビニールハウスのビニールなどを直さなければならないが、ビニールや建材も上がっているというふうに言っています。ですから、今の措置で間尺に合っていないということをみんな言っているわけですよ。その声を聞かなあかん。

 もう一点、関税問題です。

 一九八五年に関税がゼロになり、中国、コロンビア、マレーシアなどの安い切り花の輸入が年々増大し、国内生産を圧迫しています。農水省自身も、国産品にとって脅威とかつて言っていました。

 輸入自由化を改めて、関税などの国境措置を再構築する必要があるんじゃないか。簡単に。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 花卉の国内流通のうち、国内生産は金額ベースで約九割ですが、輸入額の大半は切り花です。我が国の切り花の輸入につきましては、母の日やお彼岸など需要が一時期に集中するカーネーションや菊が多く、国内産で不足する部分を補っているという状況にあるというふうに認識をしております。

 輸入花卉からシェアを奪還するには、国内の鮮度、日もちのよさ等の強みを生かすことが重要であり、輸送中の品質管理技術の向上等を支援しているところです。

 一方、日本産の切り花は、農家の高い栽培技術や各地で生産される高品質かつ多種多様な品目という強みが評価されまして、直近十年間で輸出額が五倍に伸びています。

 我が国の切り花の輸入関税につきましては、WTO協定において無税とされております。関税を引き上げるためには、関係諸国、地域と交渉し、かつ合意を得ることが必要であり、極めて困難だというふうに考えております。

穀田委員 最後の方だけ言ってくれたらええねんわ、関税はと言って。困難だでは駄目だと言っているんです、ちゃんとやれということを言っておきたいと思うんですね。

 つまり、輸入品の値段が安くて、自分たちが作った花の値段が輸入品に左右される、こういうことでは花卉農家は踏んだり蹴ったりだと私は思います。中国の関係でも、二種類関税があって、十一年後、二十一年後にゼロになるということを含めて、よう考えなあかんと私は思うんですね。

 そこで、花博が日本の花卉農家の成長、振興に寄与したかということについて、結論をちょっと言ってくれませんか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 花博が花卉産業の振興に寄与しているかどうかというお尋ねですが、博覧会開催後も定期的に記念事業が行われておりまして、花や緑を取り入れたライフスタイルの提案、また、町づくりの取組がその後も継続をして続けられております。関係県の花卉農業の、花卉産業の振興に寄与するものとなったというふうに考えております。

穀田委員 大阪の花博はみんな知っているんですよね。あれは一定成功したと思うんですけれども、一九九八年をピークに減少しているというのを見ないとあかん。

 余り何も言うてはれへんから、こっちが言いますわな。

 国際園芸博覧会、いずれもA2、B1のカテゴリーで、二〇〇〇年には淡路でやっているんですよ、二〇〇四年には浜松で開催しているんですよ。それぞれ、翌年どうだったかというと、花卉産出額は二〇〇〇年で四千四百六十六億円、二〇〇一年は四千四百六十億円で、六億円も減少している。二〇〇四年は四千百五十六億円、翌年、二〇〇五年は四千四十三億円と、百十三億円の減と。つまり、花博をやった次の年、全部落ちているわけですよ。

 淡路それから浜松でやった花博の後、全部、産出額がぐっと低下している。つまり、その後、確かに全部見てもやはりじりじり減少して、二〇二二年の花卉産出額は、一九九八年、ピーク時の七四%、三千四百億円台になっているんですね。

 つまり、ここで何が言いたいか。イベント開催に頼る花卉農家の成長、振興政策は功を奏していないということなんですよ。だって、花博をやった次の年にずっと落ちて、そのままずっと落ちとんのやから。

 だから、そこをきちんと改めて、私が先ほど提起したように、一定の所得を補償する直接支援と、それから関税の見直しということをしないと、花卉農家の本当の意味での成長はあり得ないということを事実をもって述べて、終わります。

勝俣委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

勝俣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

勝俣委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十四分散会


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