衆議院

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第7号 令和6年4月24日(水曜日)

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令和六年四月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 勝俣 孝明君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 貴子君

   理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君

   理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君

   理事 青柳 仁士君 理事 竹内  譲君

      井野 俊郎君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    金子 俊平君

      高村 正大君    島尻安伊子君

      高木  啓君    中曽根康隆君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古川  康君

      宮路 拓馬君    小熊 慎司君

      佐藤 公治君    松原  仁君

      鈴木  敦君    徳永 久志君

      和田有一朗君    金城 泰邦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

      塩谷  立君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   外務副大臣        辻  清人君

   外務副大臣        柘植 芳文君

   外務大臣政務官      高村 正大君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       木原 晋一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 千代延晃平君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            岡田  大君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 藤本健太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 欣幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高橋美佐子君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 梶川 光俊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 米山 栄一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     高木  啓君

  武井 俊輔君     井野 俊郎君

  深澤 陽一君     金子 俊平君

  穂坂  泰君     中曽根康隆君

  宮路 拓馬君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     武井 俊輔君

  金子 俊平君     深澤 陽一君

  高木  啓君     黄川田仁志君

  中曽根康隆君     穂坂  泰君

  古川  康君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

四月二十三日

 国際復興開発銀行協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第九号)

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の二千九年の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一一号)

同月十八日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第一一一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際復興開発銀行協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第九号)

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の二千九年の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一一号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

勝俣委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官池上正喜君、大臣官房審議官竹谷厚君、大臣官房参事官藤本健太郎君、大臣官房参事官林誠君、大臣官房参事官宮本新吾君、大臣官房参事官山田欣幸君、大臣官房参事官高橋美佐子君、領事局長岩本桂一君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、内閣審議官中溝和孝君、内閣府総合海洋政策推進事務局次長木原晋一君、警察庁長官官房審議官千代延晃平君、金融庁総合政策局参事官岡田大君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、出入国在留管理庁出入国管理部長君塚宏君、財務省大臣官房参事官梶川光俊君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、防衛省大臣官房審議官米山栄一君、防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 冒頭、上川大臣には、当然、私も大臣も一人の日本人として生きているということを踏まえて、その日本人としての立場を胸に秘めた御答弁をいただきたい、このように強くお願いを申し上げます。

 まず最初に、パーティー券販売について総務省にお伺いしますが、現在のパーティー券というものは、いわゆる日本人ではない人も買うことはできますでしょうか。

笠置政府参考人 政治資金規正法におきまして、政治資金パーティーのパーティー券の購入者に係る制限は設けられてございません。したがいまして、購入はできるということでございます。

松原委員 今のは、もっと明確に、言葉は歯切れよくおっしゃっていただいた方がいいんですが、要するに、日本国籍でない人間もパーティー券を買うことができると。

 パーティー券を買う人が、いろいろな国々の方が買うということもあるわけですが、この場合に、ある意味で日本と権威主義で対峙している国、中国、ロシア、こういったところの人も当然買うことができる、こういう認識でよろしいですか。

笠置政府参考人 先ほど申し上げたとおりでございますが、現行の政治資金規正法上は、政治資金パーティーの購入者に係る制限というのはございませんので、購入をすることは可能であると思っております。

松原委員 私は、今回、様々なこの件に関する議論が政党間でも行われているわけでありますが、国民民主党は、外国人がパーティー券を買うのを禁止しようということを言っているというふうにも聞いているわけであります。

 大臣にお伺いしますが、大臣は、このパーティー券に関して、例えば中国の国籍を持つ人間にパーティー券を販売とかはされているかどうか、お答えいただければと思います。

上川国務大臣 私が主催した政治資金パーティーのパーティー券に関しましてということでありますが、特定の国籍者による購入、中国の国籍者による購入ということでありますが、そうしたものについては認識しておりません。

松原委員 意識していないということでありますが、よくよくお願いしたいことは、やはり、外務大臣という立場上、ある意味で権威主義国家と対峙をする必要があるというふうに私は考えておりますので、こういったものに関しては、極めて慎重というか、むしろ買わないということを、その先、最初に買った人間が次に売ってしまうということもあろうかと思います、その場合はしようがないですが、直接大臣が分かる形で中国の方や企業に対するパーティー券の販売とかはされないように、強く要請をしておきたいと思います。

 大臣は宏池会に所属ですか。宏池会においては中国企業によるパーティー券の購入はあるかどうかということは、もし分かればおっしゃっていただきたい。

上川国務大臣 私自身、その実態について知り得る情報はございませんので、購入についてお答えする立場にはないというふうに認識をしております。

松原委員 風聞によると、それがあるんじゃないかというふうな話がありまして、もしそういうことが派閥ぐるみであるとするならば、これは極めて日本の政治に対してネガティブな影響を与える可能性があるので、今後は、是非とも、それは上川外務大臣の立場においてもやめられるように御要望を申し上げます。

 さて、香港国家安全維持法三十八条を問います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の香港国家安全維持法第三十八条でございますけれども、具体的な規定ぶりといたしましては、香港特別行政区の永住民の身分を備えない者が香港特別行政区外で、本法に規定する犯罪、つまり国家安全維持法に規定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する旨規定されているところでございます。

松原委員 俗称、これは火星法とも言われているそうでありまして、火星にいて中国の悪口を言っても捕まるみたいな話であるというふうにも聞いておりますが。

 このいわゆる法律も含めて、大臣にお伺いしますが、ジミー・ライ裁判がありますよね。これは前から出ておりますが、我が国の元国会議員である菅野志桜里さんが共謀者として名前が挙げられている。これは香港国家安全維持法の域外適用と関係があるとお考えですか。大臣、お答えください。

上川国務大臣 香港の国家安全維持法に違反したとして現在香港におきまして行われているジミー・ライ氏に対する裁判に関しまして、検察側の冒頭陳述において菅野志桜里氏の名前に言及があったものと承知をしております。

 その上で、今の御質問でございますが、他国、地域の法律の解釈、運用につきまして、政府としてお答えをする立場にはないということであります。

 なお、菅野氏につきましては、香港国家安全維持法違反に問われるような状況にはなっていないものと理解をしております。

松原委員 冒頭、私は、日本国民としての立場を胸に置きながら御答弁をお願いすると申し上げたわけでありますが。

 域外適用で、例えば日本国内における発言が問題にされて、帰国して捕まった人は香港の中にはいるわけでありますが、菅野さんの名前も裁判で出てきたということになれば、これは、非常に日本国内における発言等々について中国が注視をしていて、それについて犯罪の構成要件とみなすというリスクを感ずるのは当たり前であって、中国の法律だからそれはお答えできませんというのでは、日本国民を守る外務大臣としては極めて不十分だと思いますが、もう一回答えてもらえますか。

上川国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、他国、地域の法律の解釈、運用につきまして、政府としてお答えをする立場にはございません。

 その上で申し上げるところでありますが、このジミー・ライ氏の裁判におきまして元衆議院議員の菅野志桜里氏が名指しされていることに対します評価についてでありますが、それが我が国の主権の侵害に当たるかも含めまして、個別具体的に状況を見る必要があるというふうに考えております。

松原委員 極めて重要な発言だと思います。主権の侵害になるかどうかを見極めている、これですよ。

 主権の侵害になる可能性があるというものを中国が矢継ぎ早に法律で作っているということ。後で質問しますが、中国公民であれば、中国の国家情報法、反スパイ法、国防動員法、こういったものにパスポートを持っている人間は従わざるを得ないというのが文章のたてつけであって、それは日本の主権に対する主権侵害になる可能性が高いと私は思っております。

 次に、警察庁にお伺いします。

 北京オリンピックのときの聖火リレーが長野県であったとき、中国留学生がそこに結集したと朝日新聞の記事に克明に書いてあって、その数は五千人とも、それ以上とも言われている。このことについての警察庁の御認識をお伺いします。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道につきましては承知しておりまして、北京オリンピックの長野県での聖火リレーにつきまして、インターネット上では、当日二千人前後の中国人留学生が長野に入る可能性を示す記事が流れていたようでございますけれども、実際にはそれを上回る人数が集まっていたものと認識をしております。

 これに対しまして、警察では、世界的に注目される大きなイベントであるということを踏まえまして、警察組織を挙げて所要の体制を確立し、警備の万全を期し、また、これに必要な情報収集、分析も行ったところでございます。

松原委員 五千人とも六千人とも言われておりまして、バスをチャーターして、中国の留学生が動員をかけられた。話によると、動員した中国の学生はアルバイト賃を当時の日本円で五千円をもらったといって、中には喜んでいる人もいたという話でありますが、私が問題視したいのは、このようにして五千人規模の中国の留学生が一瞬にして長野に集まって、オリンピック会場に押し寄せた、これは極めて日本の主権に対しての大きな侵害の可能性とも言えると思っております。

 大臣、どう思われますか。答弁をお願いします。

上川国務大臣 国内におきまして、そうしたイベントの折に、どういう形であるかはともかくとして、お集まりをし、オリンピックのスポーツを推進、応援するということについては、それそのものが主権の侵害であるというふうに直ちに申し上げることはできないものと考えております。

松原委員 当時の状況は、一回、外務大臣もいろいろと見た方がいいと思います。

 中国の国旗をたなびかせ、車の窓から国旗を出し、車の天井から国旗を出し、まさに我が物顔でそういった活動が行われ、そして、国旗で人を囲んで、これは未確認でありますが、たたいたという話すらある。私は、それが中国の国によって組織的に行われたというところに非常に大きな問題があって、この事実は重いと思っております。

 そこで、警察の方に更にお伺いしますが、長野に公安関係者を動員したということでありますが、事実上、国による組織的活動、これは、大臣、国によって行われたということが問題なんですよ。国によって行われたことは、言わなくても警察は全部そのことは知っているはずですよ、この場で言おうが言うまいが。今後のこうした組織的活動についての予防をどう感じているのか、お伺いします。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 中国は、各国の政治、経済、行政、学術といった様々な分野の関係者に対して、各種情報収集活動や、通常の外交活動とは異なる手法を用いた働きかけを行うなどの諸工作を積極的に行っており、我が国におきましてもそのような活動があるものと見られるところでございます。

 警察といたしましては、今後も我が国の国益が損なわれることのないよう、平素からこうした動向に関する情報収集、分析に努めるとともに、法と証拠に基づき、違法行為に対する取締りを行ってまいる所存でございます。

松原委員 今の警察庁の答弁は極めて現実的ですよ。つまり、言葉には言っていないけれども、主権侵害的な行動があるということを事実上言っているわけですよ。これは、大臣、きちっと魂の中に銘記しておいてください。

 その上で、中国の海外秘密警察拠点、これも何回も議論されています、それはどのようなものなのかということ、そこをお伺いします。

千代延政府参考人 警察では、本年二月二十一日、中国人女性二名が共謀の上、令和二年七月上旬頃から中旬頃にかけて持続化給付金を不正に受給したとして、警視庁において同女性二名を詐欺罪で書類送致しておりまして、関係先として日本福州十邑社団連合総会の事務所を捜索したところでございます。

 捜査の結果、日本東京海外一一〇番サービスステーションと称して、少なくとも数十名の中国運転免許証の更新手続を支援していたことが確認されております。

 これ以上の事案の詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

松原委員 これはこれ以上の事案の詳細というところが実は重要なんですが、要するに、やはり秘密警察だと思います。

 香港から亡命しているサイモン・チェンさんが秘密警察らしきものから脅迫を受けたと言っている記事がありますが、外務省は承知をしておりますでしょうか。また、范雲濤教授が中国に帰国して失踪したという報道を承知しているのか、分析をお伺いしたい。

林政府参考人 お答えいたします。

 まず、香港から英国に亡命したサイモン・チェン氏の件でございますけれども、御指摘の報道については承知しているところでございます。他国、地域で発生した外国人に関わる事案でございますので、日本政府としてお答えする立場にはございません。報道については承知しているところでございます。

 また、もう一つ、范雲濤教授の件でございますけれども、御指摘の報道は承知しているところでございます。

 なお、范雲濤教授につきましては、長年にわたり我が国の大学において教職に就かれている方でもございまして、同教授の人権に関わる事案でもございますので、本件を関心を持って注視しているところではございますが、事柄の性質上、これ以上はコメントを差し控えたいと思います。

松原委員 事柄の性質上が多いんだけれども、私は、サイモン・チェンさんがどういう恐怖を感じたかという、メディアにおける報道について承知しているというんじゃなくて、どの部分を承知しているのか、簡単におっしゃってもらえますか。それを言ってもらうためにこの設問をしているんですよ。簡単に、時間がないから。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 サイモン・チェン氏に関しましては様々な報道があるということは承知しておりますが、概要を申し上げれば、サイモン・チェン氏、元在香港英国総領事館員であったということでございますけれども、その後、イギリスに亡命されております。様々な活動をされておりますけれども、御本人の言として、中国側から脅迫状を受け取ったという報道があるというふうに承知をしております。

松原委員 要するに、この二つの事案は、秘密警察なるものが、そこが直接手を下すかどうかは別にしても、様々な脅しを加え、例えば、本国に戻らなければ、あなたの本国に残してきた家族、親戚に対して何らかのことが起こるかもしれないというふうな脅迫を加え、その結果、本国に戻らざるを得ない、そして、その結果として、この教授のように失踪してしまう、こういうことになるわけであります。

 私がこの場で申し上げたいことは、もう十年以上前です、長野県における組織的動員、そして、こういった秘密警察らしきものの行動によって、中国の公民、日本にいてパスポートを持っている人たちは、中国政府に対して、常に、ある種恐怖を感ぜざるを得ない環境になっているということ、その指示に従うという精神的な構造になっているということを明確に認識をするべきだと思います。

 大臣、今この場でそれぞれの担当部署が言わなかったこと、これは同じ政府部内ですから共有してもらって、いかにこれが日本の主権を侵すものになるかということを認識していただきたいと思っております。

 さて、中国の国防動員法において、こうした日本在住の中国公民は国防動員法の義務を負うことになるか、お伺いします。

上川国務大臣 国防動員法でございますが、二〇一〇年に中国で施行されたものでありまして、中国の国防動員の方針、原則等を定めた法律と承知をしているところであります。

 これにつきましては他国の法律でありまして、法律の個々の規定の解釈、運用につきまして政府としてお答えする立場にはないというふうに考えております。

松原委員 そういうつれない答弁をしていると、日本国民を守るという意思が全然伝わってこないんですよ。

 中国の国家情報法において、中国公民は、海外に居住していても、国家情報機関から情報活動の協力を求められたとき、その義務を負うと考えるか。では、政府参考人に聞きましょう。簡単に答えてよ、時間がないから。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 国家情報法についての御質問でございますけれども、他国の法律でございますので、同法律の個々の規定の解釈、運用を政府としてお答えする立場にないということでございます。

松原委員 他国の法律だからその解釈は日本はしないと言っていて、その法律が運用によって日本の主権を侵す場合、これはどういうふうな判断をするんですか、大臣。他国の法律だから日本の主権を侵されてもしようがない、こういうふうにお考えですか、大臣。答えてください。

上川国務大臣 それぞれの国内で規定されている法律でありますので、その法律の趣旨に照らして運用がなされるというふうに考えております。

 その意味で、その運用の状況の中の見定めということが必要かというふうに思いますが、その法律自体をもって、それに対して日本の国から何か申し上げるというような立場にはないという意味で、お答えをする立場にはないと申し上げているところであります。

松原委員 解せないですね。

 日本の国内におけるパスポートを持っている中国公民は、従わないと秘密警察から脅迫が来たり、組織動員が大使館側から出たかのような話でありますが、事実は察知をしているでしょうが、そういうふうなことが行われている。主権侵害が既に行われているということをいつになったら認識するんですか。永久に認識しないのですか。

 この法律は、パスポートを持っている日本にいる中国公民はそれに従うと書いてある。日本にいるときは適用除外されていないんですよ。したがって、中国の公民は日本にいてもこの法律に従わなければならないし、それを従わせるための秘密警察も存在する、脅迫もある、それに従わせるための動員も既に行っている。

 こういったことを考えたときに、他国の法律だから、運用の実態がない限りはその法律はコメントしない、日本における適用除外も求めることがない、こういうことですか、大臣、答えてください。

上川国務大臣 一般的にということで申し上げるところでありますが、外国又はその機関が他国の領域内におきましてその国の同意なく公権力の行使に当たる行為を行うことは認められず、仮にそのような行為が同意なくして現実に行われれば、これは主権の侵害ということになるものでございます。

 御指摘いただきましたいろいろな法律がございますが、海外在住の中国公民へのその適用に関しての明示的な規定はないものと承知をしているところであります。

松原委員 明示的な規定がないということは、適用除外もない、こういうことです。

 したがって、今大臣がつらつらおっしゃった主権侵害に該当する事例というものが私は既にあると思っている。警察は握っていると思う。また、様々なことがあると思う。そういったものがあるかないかの調査をしてもらえますか、大臣。

上川国務大臣 この件につきましては、これに関わる警察等におきまして調査をするしないということについて結論を出すことだというふうに思います。一般的に、治安の問題については、該当する機関にしっかりと対応していただきたいというふうに思っております。

 今のような事例が発生して、そしてそれについて問題が生じた場合には、その判断の下で、もちろんのこと、対外的にも外交の中でしっかりと抗議をするということも、これまでもございましたし、これからももちろんあるということでありますが、そのことを踏まえて考えてみても、日本の国内でどのような状況になっているのかということについて、外務省としてそれに対して云々するということについては差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 今の答弁ですと、警察庁からこれは主権侵害のおそれがあるというふうな情報が上がってきた場合は外務省として対応する、こういう認識でよろしいですね。そういうふうに私は捉えましたが、よろしいですか。もう一回、確認。

上川国務大臣 一般論として申し上げるところでありますが、主権侵害に関わる事案が発生した際には、その旨の主張をするというのは国家として当然のことだというふうに認識をしております。

松原委員 これに絡むんですが、日本と中国の中間線、日中中間線、これは二〇〇八年に日本と中国が合意をしているんですよね。合意をしているにもかかわらず、中国はそれに違反する行動を取っている。つまり、中国はこういった合意を無視する国であるというのは前から言っていますが、まさにこれもそうであります。

 それでは、海洋基本計画は極めて重要でありますが、東シナ海側の日本、中国の境界線が画定していない地域において二〇〇八合意が行われた。時間がないので簡単に説明してください。

林政府参考人 お答えいたします。

 東シナ海の資源開発に関します二〇〇八年合意でございますけれども、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの首脳間の共通認識を実現するための協力の第一歩といたしまして、東シナ海の境界画定が実現するまでの過渡的期間におきまして、双方の法的立場を損なわないことを前提に、東シナ海の北部において共同開発を行うこと、また、白樺の現有の油ガス田の開発に日本法人が参加することを主な内容としまして、二〇〇八年六月に日中間で合意されたものでございます。

松原委員 この合意は条約になるのが一般的な外交のルールと聞いておりますが、条約になっていますか、なっていないんですか、どうですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇八年合意を達成した後でございますけれども、二〇一〇年七月に、同合意の早期実施に向けまして第一回の国際約束締結交渉を実施したところでございます。しかしながら、二〇一〇年九月、中国側は、同じ月に発生しました漁船衝突事案を理由に、予定されておりました第二回交渉を一方的に延期し、現在に至るまで交渉は再開されていないという現状でございます。

松原委員 私が聞きたいのは、二〇一八の安倍・習近平会談でも、これがもう一回確認されているということでありますが、しかし、確認をされたり合意をしたりしているんだが、中国はこの合意を踏みにじって様々な資源開発をしていると聞いております。お伺いしたい、そうなんですか。簡単に答えてください、時間がありません。

林政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇八年合意につきましては、その合意が結ばれた後、中国側が、我が国の度重なる抗議にもかかわらず、二〇〇八年合意の実施のための国際約束締結交渉に応じていないということに加えまして、東シナ海の境界未画定海域におきまして、新たな海洋構造物の設置を含めました一方的な開発行為等を進めていることでございますけれども、これは合意の趣旨に反するもので、極めて遺憾であると考えているところでございます。

松原委員 遺憾であるというのを言っているというのは聞いていますが、遺憾であるといったって、全くそんなものを無視して行動するのが中国であります。

 私は大臣にお伺いしたいんですが、中国側は、そういった合意を一方的に破って、カエルの面に小便という言葉がありますが、全く何のこともなく日本の領域まで、最近はブイも踏み込んできている。こういうことに対して、我々は、外交というのは相互主義の原則というのがあって、やられたら、同じことを少なくとも日本側の趣旨に沿って中間線、境界線までは我々もそういったものをやるぞという姿勢を示すべきではないかと思うんですが、やられっ放しでいいんですか、大臣。やられっ放しでいいのか、お伺いします。

上川国務大臣 この地域をめぐりましての状況でありますが、様々なことをしているということについては、それは様々なチャネルにおきまして抗議をし、また、それに対して行為の中止を強く求めてきているところでありまして、外交交渉の中では、そのような方針の中で更に粘り強くその旨を伝え続けてまいりたいというふうに考えております。

松原委員 大臣、胸に手を当てて考えてくださいよ、こんなのでいいのかと。こんな状況で我が国はいいのかと。胸に手を当てて考えてください。大臣、これではたまらぬと内心思うでしょう。内心、こんなのではたまらないと思わなかったら、日本国の外務大臣として資質がないという話になる。こんなことは許せないと思うのは当たり前じゃないですか。

 いいですか。もう遺憾だ、遺憾だという話じゃなくて、具体的な行動を取るべきだと私は思います。目には目をとは言いません。しかし、具体的な行動を、中国と同じことをやれとは言いませんが、最低限の行動をしなかったら、この国は何をやっても大丈夫だと侮られ、なめられるだけだと思います。もう一回、答弁をお願いします。

上川国務大臣 抗議という意味をもう少し幅広く考えながら、その手法についての検討を重ね、そして、それについてどのようなタイミング、あるいはどのような方法で展開していくのかということについても、方針を立ててしっかりと取り組んでいるところでございます。

松原委員 言葉遊びをやっていては駄目だと思うんですよね。大臣が一番分かっていると思う。それは言葉遊びというんですよ。ハーグの裁判所に、何でもいいから提起しようとか、それぐらいの最低限の行動を取らなかったら、もう本当に、見ている我々ががっかりして、情けないよ。頼みますよ、日本の国の大臣なんだから。

 次に、硫黄島遺骨収集の話をします。

 アメリカ兵の遺骨収集は終わったということでありますが、時間がないので簡単に聞きます、それは事実なのか。そして、日本の遺骨収集の現状。さらに、私もこの間、新藤さんと一緒に硫黄島に行って、滑走路下に多くの遺骨が眠っているとされていますが、こういった滑走路下の遺骨はどのように収集をされる方向なのか。お伺いします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 まず、硫黄島における米国による米兵の遺骨収集でございますが、戦後、米国の管理下に置かれていた期間に戦場整理が行われ、おおむね終了しているものと承知をしております。ただ、現在においても行方不明者に関する調査を硫黄島を含む各地域において継続して行っていることは承知をしております。

 また、遺骨収集の硫黄島における現状と今後の展望でございますけれども、硫黄島におきましては、昭和四十三年に小笠原諸島が我が国に返還されたのを契機に本格的に遺骨収集を実施してまいりまして、これまでに戦没者約二万二千人のうち約一万一千柱の御遺骨を収集したところでございます。

 平成二十六年度以降は、政府一体となって取り組むために、内閣官房、厚生労働省、防衛省、外務省を構成員とする関係省庁会議を置きまして、そこで決定された基本方針等に基づいて、収集を計画的に実施しているところでございます。

 滑走路地区でございますが、平成二十五年度に地中探査レーダーを実施しまして、これにより確認された地下ごう三か所の調査、それから固形物の反応がありました地点約千八百か所の掘削を行っております。その結果、千八百か所からは御遺骨は確認できませんでしたけれども、地下ごう一か所からは、これまでに四柱の御遺骨を収容したところでございます。

 これに加えまして、令和元年度からは、今度は面的なボーリング調査等で地下二十メートル程度まで地下ごう調査を実施しまして、これまでに五か所の未探索のごうが確認されたところでございまして、今後、これら未探索ごうについて、ごう内の構造解析や入ごう方法の調査、検討を行って、計画的に御遺骨の収容を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 滑走路の下はどうなっていますか。もう一回、確認です。

鳥井政府参考人 滑走路の下につきましては、レーダーで地下ごうを発見、調査し、それから固形物反応を見るということをこれまでやってきておりますし、令和元年度からは穴を掘ってボーリング調査をするという手法で滑走路の下を探索しているところでございます。

松原委員 滑走路の下は、安倍総理が小笠原、硫黄島に行ったとき、滑走路でひざまずいて頭を下げたという話もありますが、きちっと、実際に使われていても、そこにおける御遺骨を集めるということを早くやらないと。

 まさに、拉致の問題をこの後扱いますが、関係者がいる間ですよ、一緒ですよ、これ。関係者、できればお子さんがいる間にやるべきだった。アメリカは既に終わっている。日本はいまだに終わっていない。このスピード感というのは、私は、みたまに対する我々の思いとして甚だ薄情であると思っておりますので。

 厚生労働省は頑張っているんだと思いますが、是非、更に奮闘、努力をしていただきたい。これは本来は岸田総理に言うべき話だと思っています。

 次に、拉致問題でありますが、金与正発言は、明らかに日本への対応は後退しているというふうに私は思っております。その上で、時間もないので大臣にお伺いしますが、交渉担当を外務省がやって後退したんじゃないか、岸田さんが総理直属の組織と言って後退したんではないかという危惧を私は抱いています。ここまで、昨年来、いい形で、能登半島地震で岸田さんを閣下と呼んだり、こういう状況を考えたらば、少なくとも、交渉担当は外務省ではなく拉致対策本部事務局にもう一回戻すべきではないかと明確に私は思っております。

 私は拉致問題担当大臣をしたことがありますが、拉致に関する情報は、外務省よりは拉致対策本部の方がはるかに私のときは持っていたという認識です。したがって、外務省が交渉するときには拉致対策本部の様々な情報を吸収して交渉してくださいと私は言った記憶があります、担当大臣として。そういった私の実体験を含めて言っているので、いいかげんなことを言っているわけじゃない。

 拉致対策本部事務局にこの交渉権を委ねる、これは人質解放交渉であって外交交渉ではないという認識で私はそう言っています。大臣の御答弁をお伺いします。

上川国務大臣 まさに委員が御指摘いただきましたとおり、拉致問題に関しましての対応を協議し、この問題の解決のための戦略的取組や総合的な対策の推進のために、内閣におきましては拉致問題対策本部が設置をされているところであります。これは総理が本部長でありますし、内閣官房長官兼拉致問題担当大臣及び外務大臣が副本部長ということでありまして、政府を挙げて拉致問題解決に取り組む体制が構築されているところであります。

 岸田総理御自身、これまでも、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向けて首脳会談を何としても実現すべく、直轄のハイレベルで協議を進めてきていると述べているとおりでありまして、外務省といたしましても、御指摘いただきました拉致問題対策本部事務局を始めとする関係省庁とも緊密に連携をしつつ、こうした協議のための外交的な取組につきましては引き続き進めてまいりたいと考えております。

松原委員 拉致被害者を取り返して家族との再会を目指すということを主目的にしているのか、外務省が日本の代表であるということに執着をしているのか、どっちなのかという話ですよ。

 少なくとも、私が言っているのは、現実にスタックしてしまった、そのことを認識していないというんだったらしようがないが、従来のやり方から外務省に移してスタックしたのであれば、もう交渉は外交交渉ではないということで、拉致対策本部の事務局に委ねる。トップは、それは総理ですよ、そんなことは聞いていませんよ。現場の交渉は拉致対策本部の事務局に委ねるべきだということを強く要請を申し上げたい。そうしないと解決しない可能性がある。解決しなくていいなんて思っていないでしょう。解決するためにどうしたらいいか、虚心坦懐に考えるべきですよ。

 もう時間も来たので、最後に、これを行きましょう。

 日本の整理回収機構が、朝鮮総連の件について、債権回収はここ数年ほとんどゼロであるというのは承知をしております。

 私は、アメリカの司法当局が、ワームビアさん、これは拉致とは違いますが、ワームビアさんはほとんど植物人間でアメリカに戻された。北朝鮮籍の船を差し押さえて競売をした、これによって賠償金を一部取り返したと報道されている。日本は、整理回収機構はこのようなスキームを使って、いわゆる債権回収、一円でも債権回収をするということで行動するべきではないかと思っておりますが、お伺いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 整理回収機構が具体的にどのような形で債権回収を行うかにつきましては、それを明らかにすることによって、整理回収機構における今後の債権回収業務に支障が生じ得ることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、整理回収機構が、今後とも引き続き、預金保険機構と連携しまして朝鮮総連の資産等の実態把握に努め、あらゆる回収手段を排除することなく検討し、法令にのっとり厳正な債権回収に努めるよう適切に指導してまいりたいと思います。

松原委員 今日は資料を配っていない。これ、船ですよ、この船をアメリカが没収して競売したんですよ。もちろん、秘密にするのは結構ですよ。ただ、こういったスキームで、事実、ワームビアさんの家族は北朝鮮から債権の回収をしているという、このやり方を受け止めなきゃ駄目だということを言っているんですよ。

 最後に、大臣、やはり外務省はもうちょっと、諸般の主権侵害に対しても気合を入れて頑張ってもらわなきゃいかぬと思うんですよ。もう時間が過ぎていますから、これは事実だから、そのために頑張りますと言ってくださいよ。

上川国務大臣 私も就任して以来、冒頭の方針の中で、我が国の国益を守る、まさに領土、領海、領空を守る、そうした方針の下で、日本の存在感を高め、また、国民が理解をして、支持される外交を目指す、この方針で今臨んでいるところでありますので、こうした我に課した方針を貫いてまいりたいというふうに考えております。

松原委員 本気でやってくださいよ、本気で。口だけではなくて、本気でやってください。

 終わります。

勝俣委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。立憲民主党の小熊慎司です。

 大臣、今日は何の日か分かりますか。牧野富太郎博士の誕生日なので植物学の日というのもありますが、二〇一九年から始まっている、今日はマルチラテラリズムと平和のための外交の国際デーということであります。

 今、ウクライナでの戦争、またガザ紛争を始め不安定な中東情勢、いろいろありますが、今こうしたマルチラテラリズム、多国間主義というもののいわゆる存在意義が問われているところであり、国連の機能も、残念ながら十分に発揮しているとは言い難い状況にもあります。

 他方で、二国間、またミニラテラリズムという、クアッドとかも含めですけれども、そうした幾つかの国の連携で多層的に、二国間、ミニラテラリズム、マルチラテラリズム、こうしたものが重層的に重なって世界の安定というのが求められていかなければならない。どれが適正かというのは分からないけれども、いろいろな方向から世界の平和に向けて不断に努力していくということが重要ではあるというふうに思います。

 ただ、今日はマルチラテラリズムの日なのであえてお聞きしますけれども、こうした不安定な中で国連の存在意義も問われていますが、こうした国際デーに際して、日本として、今存在意義が問われている国連改革といったものについて改めてどう取り組むのか、お聞きをいたします。

上川国務大臣 委員の問題意識につきましては、私も外交の現場で絶えず意識をしながら、また、その機能が十分に発揮できるような国連の役割、あるいは、リージョナルな、地域の中でのミニラテラリズムというのはどういう形でのまとまりかというのは別にして、また、バイの関係も、重層的にこれが折りなしてこそ初めて平和と繁栄の大きな方向に向かって進んでいくというこの共有感については、私も問題意識を共有しているものであります。

 御指摘は、国連の機能をどのように果たすのか、まさにマルチラテラリズムの象徴ともいうべき国連が、今、様々な国際的な紛争あるいは気候変動に絡まる様々な問題、課題、こういったことの中で、ガバナンスも含めて非常に難しい運営が迫られているという中において、改革の重要性は、日本としてもこのことにある意味ではかなり力を入れて取り組んできている状況でございます。

 特に、国連の中でも安保理改革が重要であるというふうに思っておりまして、それを含みます国連の機能強化につきましては、試練にあるからこそ、この時期にしっかりと取り組んで、結果を出していく必要があるというふうに思っているところであります。

 この安保理改革についてでありますが、昨年の国連総会の一般討論演説におきましても、岸田総理から、まさに今年は未来サミットがございますし、また、来年でありますが、二〇二五年は国連創設八十周年という節目の年を迎えることから、それを見据えた形で具体的な行動に移っていくべきことを強調しているところであります。

 私自身、昨年の国連総会の際に、国連安保理改革に関しまして、日本、ドイツ、インド、ブラジルの四か国の枠組みでありますG4の外相会合に出席をいたしましたけれども、それ以外にも、二国間会談や多国間の会合の機会を捉えまして、安保理改革を含みます国連の機能強化の重要性について一貫して働きかけを行ってきているところであります。

 G4、アフリカ、米、英、仏等の多くの国々と連携をしつつ、粘り強くこの問題にしっかりと結果を出してまいりたいと思っております。

小熊委員 長い答弁ありがとうございました。

 そのとおりなんですけれども、結果を出すというのは今難しい部分もありますし、これは二〇一九年制定ですから、クリミアのあれはありましたけれども、まだウクライナの今の戦争はなかったし、ガザの紛争もなかった中で、今回のこうしたことを予言していたかのように、この大事さを訴えて国際デーになったというのはいいことだと思います。

 これを世界で共有して、今大臣が言われたとおり、しっかり結果を出していかなければいけませんが、今の国連の、国際社会の状況でいえば、来年は八十周年の節目なんですけれども、これが曲がり角にならないように、しっかりと多国間主義、結果が出せるようにしていかなければならないと思いますが、決して易しい道ではないというふうに思います。

 一方で、ミニラテラルといったものもあります。そうしたことも折り重なってやっていきながら、外交また世界平和が成り立つと思いますけれども、これまでは、近年まではアメリカを中心とするいわゆるハブ・アンド・スポークで安全保障が保たれていたというのも事実でありますけれども、アメリカの取組も少し変わっていて、ネットワーク連携に変えていくということでありますし、その中で、日本が日豪の円滑化協定や日英の円滑化協定を結んできたというのもその流れかなというふうに思います。

 であるならば、ハブ・アンド・スポークからネットワーク連携型で安全保障をやっていくということであれば、アメリカの同盟国は多数あるわけでありますけれども、そのうち今二か国とは日本は円滑化協定を結んでいますが、ほかの同盟国と円滑化協定を日本はこれから更に取り組んでいくのか。

 私個人としては、やはり韓国です。韓国の外務省関係者ともお話ししましたけれども、中国をどう思っているのと言ったら、中国はフレンドだ。アメリカはと言ったら、ブラザーだと。日本も、中国はフレンドだ、アメリカはファミリーだという言い方をしましたけれども。

 そうした中で、日韓はセンシティブな関係でもありますが、ネットワーク連携ということであれば、韓国とも今でもいろいろな連携はしています、自衛隊との連携もありますが、あえて日豪、日英と結んだような円滑化協定的なものを検討する必要があるのではないかというふうに思いますが、見解を求めます。

上川国務大臣 国家安全保障戦略の中でどのように位置づけるかということの御質問でございますが、同志国間のネットワークを重層的に構築、拡大をしていくこと、これは抑止力の強化の取組の一つとして非常に重要であると考えております。部隊間協力円滑化協定の締結、これをその中心に位置づけているところでございます。

 円滑化協定でございますが、各国との安全保障や防衛協力を進める中におきまして、相手国との二国間の関係、また自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、また相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ、締結の要否を検討していく、こうした方向の中で今進めているところであります。

 その上で、米国の同盟国でありますフィリピンにつきましても、部隊間協力円滑化協定につきましては早期妥結に向けました交渉を重ねている状況でございます。

 今、韓国というお話もございましたけれども、東アジアあるいは南シナ海、東シナ海、様々な安全保障のこうした厳しい中にありまして、平和と繁栄のためのつながりをどうつくっていくのかということを照らして考えれば、その中で議論を進めていく、当然、隣国としての位置づけということでありますので、努力を重ねていくことが必要ではないかというふうに考えております。

小熊委員 先ほど言ったようにマルチラテラルがうまく機能していない段階にあっては、やはりバイラテラルやミニラテラルというものでいろいろ補完しながらうまくやっていくしかないなと思っていますので、とにかく世界平和のためにあらゆる手段、努力をしていくことを求めて、次に移ります。

 もしもトランプがということで、もしトラというふうに言われていますが、通告した際には実現していませんでしたが、麻生自民党副総裁がトランプさんと会談をされました。今月、ポーランドの大統領も、イギリスの外相も、先月ではハンガリーの首相もトランプさんと会っていますけれども、ついこの間、岸田総理が国賓待遇を受けて、どや顔で大統領専用車で写真を撮ったりまでして、高揚感になっている中で、その高揚感がさめ切らぬ中でこうしたことが行われた。

 いろいろなことを想定してやっていくということは別に否定はしませんが、ほかの国もトランプさんに会っているという事実もありますので、そこも否定しないんですけれども、ただ、バイデン政権関係者が、全く下品で全然駄目だと。そう言いたい気持ちも分かりますよ。この間岸田さんが行ったばかりで、これですもの。

 例えば、皆様も自分自身のことで考えれば、私の選挙区は上杉さんとも重なっていますけれども、二十六自治体があって、首長選挙があるときに両方に入って両方のマイクを持つ下品なことは、たまに、本当に百回に一回ぐらいはありますけれども、ないですよ。やるような文化がある人もいて、僕もそれを否定しませんが、僕はやらないです。

 でも、もしものときのいろいろなリスクヘッジというか関係性でやっておかなきゃいけないというのも現実としては分かりますが、ただ、タイミングはあると思うんですよね。

 ほかの国の大統領や首相や外相が行ってバイデン政権関係者がどうコメントしているかは、私は確認が取れませんでしたけれども、取りあえず、日本の今回の麻生さんとの会談に関してはこうした声が聞こえてきています。その件について、バイデン政権からこうした、下品で全く駄目だと言われているんですよ。そのことについての見解を求めます。

上川国務大臣 麻生副総裁の訪米ということでの御質問でございますが、一議員として行われるものと承知をしておりまして、政府として関与していない個人の立場としての活動についてコメントをすることについては差し控えさせていただきたいというふうに思います。

小熊委員 差し控えなくて結構です。お答えください。

上川国務大臣 それぞれの国会議員がそれぞれの判断の中で行動をするということでございます。それについて、私が今、外務大臣としてお答えするということについては差し控えさせていただきたいというふうに思います。

小熊委員 私の質問をよく見てください。麻生さんが行ったことについてどう思うかじゃないんですよ。そのことについてバイデン政権の関係者が不快感をあらわにしたことについて、どう思いますか、どう見解を持ちますかということです。

上川国務大臣 アメリカというのも非常に大きな国でございますが、いろいろな御意見があろうかというふうに私は思います。そして、今のようなことについても、どなたが言ったかよく分かりませんけれども、もしかしたらあったかもしれません。その反応がどうか、また受け止めはどうかということについて、私自身が外務大臣としてお答えをするということについては立場にないということを申し上げたいというふうに思います。

小熊委員 もしトラに対応するということを私は否定しているわけじゃないんですよ。こういう反応が起きることもあると分かった上でやっているかどうかということ。

 それはそうですよ、副総裁だもの、政府の人間じゃない。もしバイデンさんが勝ったとき、あれは副総裁だから政府と関係ない、個人で行っただけですからと言い訳できる。でも、トランプさんが勝っちゃったらば、副総裁をやったんだから、いろいろ重んじていましたよと言える。日本外交の玉虫色のやり方の、まさに日本外交の真骨頂だなというふうには思いました。

 ほかの国は直接政府の人間が行っているわけですね。それはそれでリスクがあるし、相手への心証がある。そういうことも含めて外交だと思っています。百点なんか取れないし。どうなるか分からないときというのはどっちにもダブルベットするという瞬間があるのも分かります。あと、トランプさんだからこそみんなトランプ詣でをしているというのも分かります。トランプさんがなったとき、どうなるか、振れ幅が大き過ぎますもの。そのリスクヘッジをしているというのは分かる。

 ただ、バイデンさんにしてみると、それは不快だということも重んじなきゃいけないし、これは答弁はできないと思いますけれども、一応こういうことがマスコミ上ですけれども伝わってきているので、それはそれでまた水面下で、いやいやとやっておかなきゃいけないでしょうという話です。

 ただ、私は、タイミングとしては、今回あれだけ厚遇を受けた後の話というのは、ちょっとやはり、下品とまでは言わないけれども、下手だったなと思います。ダブルベットするにしても。

 今後、外交ですからいろいろありますけれども、丁寧な、より相手の心証を鑑みて、そしてあらゆる可能性の中で対応していかなきゃいけないという苦言を申し上げさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。

 七分しか時間がなくなりましたので、始めさせていただきます。

 G7外相会合について伺わせてください。

 お疲れさまでした。

 宣言の中で、各国が凍結しているロシア資産のウクライナ支援への活用について様々な方向性が議論されたとあったんですが、まず、G7が凍結しているロシア資産の状況について、簡潔にお願いします。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、我が国は、G7及び同志国とともに、ロシアの中央銀行や個人、団体に対する資産凍結措置を実施しているところです。

 資産凍結の金額については、これまで、G7及びオーストラリアの八か国の総額として、国家資産については昨年九月時点で総額約二千八百億ドルと公表されております。ただし、個別国の内訳については、市場などへの不測の影響を招く可能性もある中で、いずれの国からも公表されていないと承知しており、日本においても公表を差し控えさせていただいております。

 個人及び団体の凍結額については、昨年三月、G7及びオーストラリアの八か国における総額として約五百八十億ドルと公表しております。こちらの数字についても国別の内訳は公表されていないところです。

鈴木(庸)委員 日本側からは言えないということなので、実は、ロシア中央銀行が発表しておりまして、最も多いのはユーロで三二・三%、ドルが一六・四%、人民元は一三・一%となっています。そして、円が五・七%なんですね。金額にして約三兆八千億円ということで出ているんです。

 現金以外でも、個人の不動産といった資産が凍結されているということは承知をしていますけれども、侵略をしたら資産が凍結されて、その資産がどう扱われるかということについては、同じようなことをやろうとして考えている国がいろいろ考えているんじゃないかと思うんです、よくよく注視していると思うんです。

 この凍結しているロシア資産のうち、三千億ドルをウクライナの復興に充てるという議論もG7ではなされたと聞いております。仮にこれをウクライナの復興に充てるよということになったとき、ロシア側も既に現在の海賊行為だみたいなことを言っているので、猛烈な反発があることは予想されるんですが。

 こうした中、G7と歩調を合わせて日本が凍結している資産をウクライナ復興に使ったときに、どのような反発のシナリオを想定して、そのシナリオに対してどのような対策を講じる予定でしょうか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアの凍結資産の活用に関しましては、二月二十四日のG7首脳声明にもありますとおり、本年六月のプーリア・サミットに向けまして、引き続き関係国でよく議論していくということとされております。したがいまして、現段階において特定の措置を取ることが決定されたとかいうことではございませんで、今後の対応についてここで予断するということは差し控えたいと思います。

 したがいまして、我々としてどのような措置を取るかということを決定していない段階で、ロシア側の措置を予測してそれに対する反応ということについてこの場で具体的にお答えしにくいという点については、御理解いただければと思います。

鈴木(庸)委員 なぜシナリオが必要だと申し上げているかというと、ロシアがウクライナに侵攻して三千億ドルの資産が凍結されたことを間近で見ている国が、自国の国が同じような動きをしたときに、同じく資産凍結をされる可能性があると認識していると思うんですね。

 その動きと関連しているとは断定もできませんし、分かりませんけれども、おととい、金の価格が一万三千百五円と過去最高を記録しました。この上昇は、この後もトレンドは続いていくと言われています。

 中国が、去年、二百二十五トンの金を購入して、国別のトップだったわけですね。中国人民銀行が十七か月連続で前の月から買い越していて、今二千二百六十二トンにもなっております。BRICS諸国が中心になった新通貨構想が背景にある、そんなことを言っている人がいるんですけれども、それだと、ロシアがウクライナに侵攻した二〇二二年の年末から中国は買い始めていますから、急に買い急ぎ始めたことの説明には足りないと僕は思うんですね。

 仮に米中対立が激化して、米ドル建ての外貨準備を封鎖された場合に備えているんじゃないかという報道も一部で見受けられるようになっている。更に申し上げれば、二〇二〇年の三月末で一兆八百十六億ドルあった中国の米国債の保有残高も、去年の十月の末には七千六百九十五億まで減少しているわけですよね。

 我々政治家の議論よりも、世界のお金の流れというのははるかにスピード感と予見可能性を持って動いているので、いろいろと想像力を働かせながら、今後起こり得るあらゆるケースに備えて、今回のロシアのケースをしっかりと分析していただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、ハイチについて伺わせていただきます。

 御案内のように、前例のないギャングの暴力ということなんですけれども、情勢について御説明を簡単にお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 ハイチでは、この数年間続いております政情不安に加えまして、主に首都圏におきまして、武装集団による暴力行為ですとか、政府機関及び主要インフラに対する攻撃が頻発してございます。また、武装集団は、国際空港、港湾施設を襲撃し、国内流通を妨害してございまして、国民の日常生活に重大な支障を来してございます。これにより、三月三日以降商用機の欠航が続いてございます。

 こうした中でございますので、現地時間の今月九日、首都の在ハイチ日本国大使館を一時閉鎖いたしまして、大使館業務を在ドミニカ日本国大使館の臨時事務所に移転したところでございます。

鈴木(庸)委員 済みません、もう質問時間が終了してしまったんですけれども、最後に、邦人の保護状況について教えてください。

岩本政府参考人 先ほど説明のありましたハイチ情勢の悪化を受けまして、既に二〇二二年十月には、ハイチ全土の危険情報をレベル4、いわゆる退避勧告に引き上げて、同国に滞在する日本人の方は直ちに退避するよう呼びかけてきておりました。

 こうした中、今般、更なる情勢の悪化を受けまして、出国を希望していた日本人の方二名について、三月末に、フランスの協力を受けながら、ハイチからの出国を支援したところでございます。

 先ほど説明がありましたとおり、我が方の大使館は今隣国の在ドミニカ共和国に臨時事務所を設置しておりますが、引き続き、ハイチの日本人の方とは緊密に連絡を取り合っておりまして、邦人の安全確保に最大限取り組んでいきたいと考えております。

鈴木(庸)委員 終わります。

勝俣委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 岸田首相のアメリカ訪問、日米首脳会談を中心にお聞きをいたします。

 岸田首相は、アメリカ滞在中、日本国内では見たこともない、はじけんばかりの笑顔が印象的でありました。それだけ充実したアメリカ訪問であり、手応えも十分にあったということだろうというふうに推察をいたします。

 また、上川外相も充実した笑顔が大変印象的であったので、申し上げておきたいと思います。

 本題の前に、一つお聞きをします。

 インドのジャイシャンカル外務大臣がアラカルト方式という外交を主張していて、それが外交の世界では結構広がりつつあるという指摘があります。これは、特定の課題について利益を共有する国がその場限りのグループを形成する外交のことであります。インドの外務大臣は、伝統的な同盟を超えた成果ベースの協力がこうした広がりを増すことにつながっているのだろうというふうに著書の中で述べておられます。

 まず、広がりを見せるというこのアラカルト方式の外交について、現状、大臣はどのように御認識されているでしょうか。

上川国務大臣 現在の国際秩序が揺るがされ、地球規模課題も山積する中にありまして、国際社会がこうした様々な課題に対応するに当たって、二国間のアプローチ、外交、また国連を中核とする多国間の外交に加えまして、複数国間の協力が重要性を増しているものということを認識しております。

 我が国にとりましても、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化し、人間の尊厳が守られる世界を実現するため、唯一の同盟国である米国との関係強化に加えまして、G7でありますとか、日米豪印でありますとか、日米韓あるいは日米比といった同盟国、同志国との連携がますます重要になっているところでございます。

 その意味では、そうした様々な目的で連携をしていくという中に問題解決の糸口を見出していこうとする試みについては、いろいろなやり方がその中にもあろうかと思いますが、私自身もそういう方向の中で外交も追求しているところであります。

 本年一月に北欧諸国を訪問した際には、北欧外交イニシアティブを発表いたしまして、北欧諸国との関係の発展のための力強いメッセージを出させていただきました。これまではバイの関係であったものを、北欧の地域の中の連携が進んでいるエリアの中で、それに日本としても参加をするあるいは協力をし合う、こういう関係でありまして、大変スタートがよく切れたというふうに思っております。

 また、大洋州でありますとか中南米の各地への訪問に際しましても、これらの地域と我が国が共通する課題の特定をし、主に解決策を模索するアプローチを重視して取り組んできているところでございます。

徳永委員 今大臣もおっしゃいましたけれども、日本外交を考えた場合、アラカルト方式の外交というのを全て否定するわけではありません。時と場合によっては追求しても構わないと思うんですけれども、やはり日本外交の中核にはアメリカとの同盟関係があるのだということはしっかりと認識した上で取り組むということが必要だろうというふうに思いますので、まずそのことを申し上げておきたいと思います。

 それで、今回の日米首脳会談及び日米両政府が発出をいたしました成果文書などでは、あるいはそれぞれの両首脳の発言の中では、日米同盟をグローバルパートナーという言い方をしているのが目に引きます。元々、日米同盟の一つの性質としてグローバルという視点はあったというふうに理解をしていますけれども、今回はそれを前面に打ち出したというふうに捉えさせていただきます。

 グローバルパートナーという言葉そのものは、二国間の外交関係を象徴する言葉として特段珍しいというわけではないと思うんですね。一般的に使われているものです。例えば、昨年、岸田首相がウクライナを訪問された際に発出された声明は、日本とウクライナとの間の特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明というものでもありました。

 今回の日米共同声明あるいはそれぞれの首脳会談において、前例のない高みに達したとする日米同盟を表現する言葉としてあえてグローバルパートナーという言葉を選んだその理由をお聞かせください。

上川国務大臣 委員御指摘のとおり、これまでも、グローバルパートナーという表現につきましては、日米間においても用いてきている表現でございます。

 今般の岸田総理の訪米におきまして、共同声明あるいは議会の演説等におきましてグローバルパートナーという表現を用いた背景には、かつてなく強固な友好、信頼関係に基づき、日米が二国間や地域にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持強化していく、この不退転の決意を表したものというふうに考えております。

徳永委員 そもそも、パートナーという言葉を辞書等で調べると、共同で仕事をする相手、あるいは相棒とも書かれています。また、配偶者の意味にも使われるわけですね。つまり、上下の関係ではなくて、対等な立場の相手方ということが言えると思います。

 そうした中でいきますと、今後とも国際秩序の維持に日本の果たすべき役割が非常に大きくて、これまで以上に幅広い分野においてアメリカの対等なパートナーとして共に肩を組んで取り組んでいくのだという決意をこの言葉に込められたというふうに私は理解しますが、それでよろしいでしょうか。

上川国務大臣 今グローバルパートナーについて分析的に表現していただきましたけれども、様々な可能性がある、膨らみのある、グローバルパートナーに込めた文言だというふうに私は思っております。

 このコンセプトにつきましては、これをどう育てていくのかということが重要であると認識しているところでございますので、今まさに歴史の転換点ともいえる現在の国際情勢の中におきまして、日本の果たす役割そして責任がますます大きくなっていくということも背景にあるというふうに思っているところでございます。

徳永委員 グローバルパートナーとなりますと、インド太平洋地域が最重点になることには変わりはないと思うんですけれども、より広範な地域、分野での連携した取組も求められると思います。

 対等な立場、パートナーとして共に肩を組んでアメリカと行動をしていくということになるわけですけれども、これは雑駁な質問で恐縮ですけれども、それでは、どこまで肩を並べてやっていくんですかという部分については、疑問があるのはある意味当然だと思うんですね。一体どの部分までアメリカと一緒に肩を組んでやっていくのですかといった質問に対しては、どのようにお答えになられますか。

上川国務大臣 今委員が御指摘いただきましたインド太平洋ということでございますが、日本はこれまでも、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋、こうしたビジョンを提示し、このビジョンにおきましては、米国を始めとする多くの国々が賛同をしてきているところであります。

 また、自由で公正な国際経済秩序のために、例えば、重要なCPTPPでありますとか、あるいは国際社会の平和のために不可欠な核不拡散体制の強化のための取組でありますとか、日本がこれまでリーダーシップを取ってきている局面が増えてきていると認識をしております。その意味でも、日本外交に対しましての期待また信頼は、米国のみならず世界で高まっているというふうに認識しているところであります。

 米国は我が国の唯一の同盟国でございまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化という国益を共有する国であるということであります。

 日米関係は、一方が他方の言うことをどの程度聞くかということではなく、両国間で率直で真剣な議論を重ねて、国際社会の平和と繁栄のために協力を進めていく性格のものになってきていると認識をしているところであります。実際、岸田総理とバイデン大統領、また私とブリンケン長官、また事務方同士の間におきましても、日米間で率直なやり取りを行ってきているというのも事実であります。

 今回の訪米におきましては、このような背景を踏まえまして、日米が深い信頼と重層的な友好、関係で結ばれているということ、そして、かつてなく強固な友好、信頼関係に基づきまして、二国間また地域にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持強化するグローバルなパートナーとなっている、こういったことを確認するものと考えているところであります。

 先ほど申し上げましたとおり、様々な経済の秩序維持につきましても、その地域のエリアというだけではなく、幅の広い広がりの中で様々な意見交換をしながら対話を重ねて一つのものをつくり上げていく、ある意味では共同の作業を共にしていくパートナーであるということを私自身強く認識しながら今回の首脳会談にも参加をさせていただくことができました。

徳永委員 アメリカという国は、ある意味自分たちの力に酔うところがありまして、独善的な判断で軍事行動を起こしたり、あるいは他国の政治に堂々と介入をしたりします。こうした行動に決してくみしないのだということ、国際法的あるいは人道的な観点でおかしいというときには毅然と日本の方からノーというサインを送るということが大事だと思うんですね。ですから、ある意味、イラク戦争なんていうのは本当に明確にノーと言うべきだったと思うんです。

 また、パートナーといえども国が違うんですから、国益が異なる場面も当然出てくるんだろうと思います。そのときには毅然と我が国の国益をしっかりと主張をしていくということもパートナーとしての重要な役割だというふうに思うんですね。

 ですから、そういう観点から一つ個別にお聞きします。

 日本の自動車及び自動車部品の対米輸出関税撤廃の交渉は現状どうなっているでしょうか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 日米貿易協定全般につきましては、二〇一九年の九月に同協定交渉が妥結した際の日米首脳共同声明におきまして、日米両国は、協議を経た上で、関税やほかの貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題についての交渉を開始する意図である旨を発表しております。

 そして、その交渉につきましては、どの分野を交渉するのか、まずその対象を日米間で協議することとなっておりまして、現在まで交渉の範囲を決めるための協議が継続している状況でございます。

 こうした中で、自動車や自動車部品につきましては、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等につきまして交渉が行われることになっております。このことは、日米貿易協定の米国側附属書に、関税の撤廃に関して更に交渉する旨明示されているとおりでございます。

徳永委員 ですから、いまだに関税撤廃の範囲、時期を交渉しているという段階ですよね。

 今おっしゃいましたけれども、日本は既に、自動車及び部品の関税撤廃を前提に、豚肉や牛肉の関税引下げに応じてきているわけですよね。しかも、セーフガードを発動しなければいけない状況にすらなったという過去があります。ある意味、そういった畜産農家の方々には泣いていただいている。それは、自動車部品の関税撤廃がされる、国益にプラスになるからということで御理解をいただいている。しかし、いまだなおそれが実現されていないということについては、これは本当に大きく捉えていただかなければいけないというふうに思うんですよね。

 グローバルパートナーだ、高みに達したと満面の笑みをたたえてうたい上げる一方で、なすべきことがなされていない、日米両政府間の合意すら実行がされていない、こういったことについて、やはりもっと重く受け止めていただきたいというふうに思うんですね。

 しかも、これからアメリカは大統領選挙に入ります。自動車業界というのは大票田ですから、簡単に応じてもらえるとは思えない。先ほど小熊先生の話でいう、トランプさんが大統領に再び返り咲いたら、もっとこういった分野についての交渉というのが、もうテーブルにすら着いていただくことができなくなるようなことすら予想ができるわけですよね。ですから、ここについてはもっと加速させて御努力いただきたいということを強く要望させていただきたいというふうに思っております。

 もう時間がなくなりましたけれども、最後に一問。パートナーシップをより強いものにするためには、お互いの強みを力を合わせてより強くしていくことという一方で、お互いが苦手とする部分、あるいは足らざる部分、欠けている部分を互いに補い合うということも必要だと私は思うんです。

 アメリカは圧倒的な軍事力や経済力を背景に戦後の国際社会をリードしてきた、これはもう事実であります。しかし、時には、先ほども申し上げましたけれども、独善的な軍事行動、他国への内政干渉めいたこともありました。そして、その反動として、ある意味、反米、嫌米感情を持つ国も結構あるということであります。

 こうした考え方が正しいとするならば、そうしたアメリカ外交の、一方で弱点的な部分を補うのはパートナーたる日本の役割だというふうに思うんですけれども、そういった部分、日本外交の強みでアメリカのちょっと弱い部分を補うことが必要だという理解を私はしているんですけれども、大臣は日本外交の強みというものはどういったところにあるとお考えでしょうか。

上川国務大臣 我が国は、戦後八十年近くにわたりまして、平和国家として一貫して世界の安定と繁栄に貢献をしてきたところであります。その中で、相手国の多様性を重視し、そして文化的、歴史的な背景を尊重しつつ、対等な目線でそれぞれの声に丁寧に耳を傾け、きめの細かい外交を展開してまいりました。このような姿勢が、グローバルサウスの国々を含みます幅広い国際社会から日本への高い信頼や期待につながり、日本外交の強みとなっていると考えております。高い評価を得た昨年のG7広島サミットは、そうした日本外交の強みをまさに象徴していると認識をしております。

 私自身、昨年九月の外務大臣就任以来、様々な場面で、このような日本外交への信頼と期待の高さ、そして日本と協力を深めていきたいという意欲を肌で感じているところであります。今後もこの強みを生かし、国際社会を分断、対立ではなく協調に導くべく、きめ細かなアプローチで世界の平和と安定、繁栄に向けた積極的な外交を展開してまいりたいと考えております。

徳永委員 今大臣がおっしゃったとおりだというふうに思いますけれども、特に中東ですよね。幾多の紛争に私たち日本は全く関与をしていませんし、逆に、紛争後の国の復旧というものをお手伝いさせていただいたという経緯があります。また、中東特有の宗教的対立にもくみしていません。加えて、中東で王制をしく国々における我が国皇室への崇敬の念というのは大変なものがあります。

 こうしたことを考えれば、こうした国々というものは、時に反米感情が渦巻いたりするものなんですけれども、逆に反日感情というのはほとんど私も聞いたことがありません。逆に親日的だということが言えると思います。こうした部分が私は日本外交の強みの一つになるんだろうというふうに思います。

 こうした日本の強みとアメリカの弱い部分を補強すること、日本の強みを生かし、アメリカとこうした国々との橋渡し役をしっかりと担っていくということがパートナーとしての重要な役割だということを思いますけれども、最後に一言お願いいたします。

上川国務大臣 まさに、そのバランスをどう取っていくのかということについて、対立と分断でありますととかく二分をされてしまう、こうした中で進めば更にその危機は広がるということでありますので、それに対してバランスを取っていく外交ということについては日本に期待されている部分であると実感をしているところであります。そうした方向に向けて更に努力を重ねてまいりたいと考えております。

徳永委員 外交はよく力と力との対決だという言われ方をしますけれども、それだけではないと思うんですよね。ある意味知恵と知恵とのぶつかり合いという部分でもありますので、そうした部分では、国を挙げて、知恵を絞って、我が国国益の増大と世界の平和の安定にしっかりと努めていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

勝俣委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 今日はロシアの関係からお伺いしていこうと思うんです。

 昨年の八月に、ロシアの反体制派の方々、イリヤ・ポノマリョフさんとか、あるいはロシア国内の少数民族のリーダーの方が、要は民族自決をうたっていろいろな活動をされている皆さんが日本に来られて、東京で、議員会館でロシア後の自由な民族フォーラムというフォーラムを開きました。そのときに私も実は出席いたしました。それで、今我が党の同じ会派におられる鈴木代議士もそうですし、ほかの党でも何人かの国会議員の皆さんが参加されました。

 その後、いろいろな方からいろいろなお話がありまして、お手紙をいただいたりもしまして、この中にもいただいた方もいらっしゃるかも分かりません。そういった民族自決や、ロシア国内で弾圧されている方々に対する情報に接した方もいらっしゃるかも分かりません。

 そういう中で、今ロシアで何が起こっているかというと、プーチン大統領に対する反発、あるいは戦争に対する反対、そのことを言う、口にするということに対しての弾圧がひどくなってきている。国内の政治的な抑圧のレベルが急激に今上昇しているというんですね。戦争に反対すると言うだけで行政当局からいろいろな罰を受ける。

 どういうことかといいますと、外国の代理人というふうに指定する。そういう外国の代理人というものに指定されて、登録簿というものがあって、それに登録されてしまうと、何かあったときに行政的な罰を受ける。最終的には刑事判決を受けて矯正施設に送られてしまう。それで拷問を受けたりする。

 この間のいろいろな、大統領選挙に出た反体制派の方がどうこうという話もその一つの流れの中だと思うんですね。まず、外国の代理人に登録するぞとロシア当局は脅迫していく。そんなことを言ったら登録簿に載せるぞ、こういうふうに脅迫していくというんですね。例えば、せんだって流れたニュースでは、ロシアで非常に有名なポップ歌手、アラ・プガチョワさん、「百万本のバラ」などのヒット曲を歌った方ですが、この方も、外国の代理人に指定するぞ、こういうふうに言われたということなんですね。

 そうなりますと、そうやって脅迫を受けた多くの国民は海外に今出ていっている。逃げている。戦争に反対、又は、今、戦争に動員されようとしていますから、この可能性が出てきた方もみんな海外に逃げようとしている。プーチン反対と言うだけではなしに、戦争には行きたくないと言っただけでも登録簿に載せられる可能性がありますから、その前にということで逃げるわけですね。

 逃げるというのは、パスポートを持っていなくても出られるんです。ロシアというのは、日本人の感覚では分かりませんが、多くの国がそうだと思いますが、パスポート以外にIDカードみたいなものを持っているんですね。

 台湾もそうです。台湾の国民は、今は知りませんけれども、一昔前までは、皆さんパスポート以外にIDを持っていて、国内でどこかホテルに泊まろうと思っても、そのIDを見せないとホテルに泊まれないんですね。最初にチェックインできないんです。へえ、こんなものなのかというふうに横で見ていて思ったことがありましたけれども、世界にはそういう国が多い。

 ロシアでも国内用のIDカードみたいなものがあって、これを持っていれば、旧ソ連諸国、いわゆるCISみたいなところには出国できるわけです。ところが、そこから先は、いわゆる普通の我々が言うパスポートを持っていないと当然出られない。例えば、CISには入っていませんけれども、ジョージアからポーランドに行こうかと思っても、その登録証では出られないんですね。

 こういう方々が、今、実は難民のようになってたくさんいるというんです。いわゆるパスポートは持っていないけれども、とにかく行けるところまで出てきたという人がたくさんいる、こういうふうに今言われています。

 この方々がその先どうするのか。政治亡命を求めるというわけです。要は、パスポートがない、登録証だけで出られるところまで来たけれども、そこから先に行けない、そういう人々が日本に対して、受け入れてほしい、逃げたい。ロシアでは抑圧されて、外国代理人としての登録簿に載せられて、自分はいずれ拘束されるかも分からない。政治亡命させてくれ。こういうふうに言っているロシア人が少なからずいると私は聞いたんですが、そのことに対して外務省は認識はあるでしょうか。どのように捉えておられるでしょうか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇二二年二月、ロシアによるウクライナ侵略が始まったわけでございますけれども、それ以降、ロシア当局は言論、報道の自由に対する規制を一層強化しておりまして、まさに議員御指摘のような状況が国内で起きているというのは、報道を含めて広く知られているところでございます。

 そういう中で、政府として、ロシア国内の情勢、あるいは、どのくらいの人が国外に出ているということも、必ずしも数字が明確に示されているわけではございませんので、詳細にわたって全てを説明できるような情報を持ち合わせているわけではございませんけれども、例えば、有効な旅券を所持していないためにロシア国外に出られない、あるいは、CIS、例えばジョージアですとかカザフスタンまで行ったけれども、そこで滞留している人たちがいる、そういったことは事実としては間違いなくございます。

 そういう中で、では、日本に例えば政治亡命というような希望が出た場合にどうするかということについて申し上げますれば、あくまで一般論として申し上げますけれども、ロシア人の我が国への受入れに当たりましては、人道的観点などを含めまして、個別具体的な状況を勘案しながら総合的に判断し、適切に対応していくことが必要かというふうに認識しております。

和田(有)委員 数字、規模は的確には把握していないが認識しているという御答弁でした。

 ロシアの反戦活動家、そういう表立った活動ではないにしても、戦争には自分は加担したくない、ウクライナに送られてウクライナで人を殺したくない、そういう思いを表現できない、それを避けたいというだけでとにかくロシアを出た人々、こういう人々が日本に保護を求めてやってくる可能性があると思うんです。

 今、一般論とは申されましたけれども、こういう人々に対してビザを発給する、政治亡命を許可する、いろいろなそういったことのための渡航の手続をしていくということは私は必要だと思うんです。そういうことに対して大臣はどのようにお考えになりますか。

上川国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、ロシア人の我が国への受入れに当たりましては、人道的観点等も含めまして、個別具体的な状況を勘案しつつ総合的に判断して適切に対応する、この方針の中で進めていくということだと思います。

和田(有)委員 いつもこの外務委員会で申し上げるように、我々は古来より、御先祖様は、中国とどう向き合うかということとともに、まさにすぐ横にあるロシアとどう向き合うか、苦労してきたわけですね。そんな中で、実際に我々は、杉原千畝さんがいたり、いろいろなことがあったわけです。そういうことと同じことだと私は思うんです。ロシアから逃れてくる方に我々は手を差し伸べて、ビザを出すなりなんなりしていかなければいけないと思います。

 その中でもし日本に逃れてきた方がいるとしたら、その方々に対する法的な対応というのはどのようになっておりますか。法務省にお聞きします。

門山副大臣 一般論としてお答えさせていただきますけれども、難民認定申請について申し上げさせていただければ、委員のお尋ねのような方も含め、我が国において難民認定申請がされた場合には、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約上の難民に該当するか否かを判断することになります。

 その上で、お尋ねのような場合について、申請者が政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがある旨の主張を行うことが想定されます。この場合、難民条約上の難民に該当するか否かを個別に審査した結果として、政治的意見を理由とした迫害を受けるおそれがあることを理由として難民認定される場合もあり得ると考えているところでございます。

和田(有)委員 難民認定され得ることもある、そういう御発言ですけれども、今後こういう事例は起こってくると思います。そして、我々はそこに手を差し伸べることができるかどうかというのは、今後の世界の中の日本の地位というものを見られる、確定することになると思いますから、これ以上聞きませんけれども、しっかりとやっていただきたい、このように申し述べておきたいと思います。

 次に、もう一点ロシアの関係でお伺いしようと思うんです。

 能登半島でお正月に地震がありました。今でも多くの皆さんが御苦労なさっておられます。そんな中で、報道ベースですけれども、能登半島地震からちょうど三か月目の節目の日、四月二日に、ロシアの空軍が編隊を組んで能登半島に対して威圧的な越境侵入を行ったという報道がありました。

 まずお聞きしたいんですが、これは事実として認識されているんでしょうか。

米山政府参考人 御答弁申し上げます。

 お尋ねの件に関しまして、防衛省・自衛隊は、本年四月二日午後、ロシアの爆撃機ツポレフ95二機及び戦闘機二機が大陸方面から飛来いたしまして、石川県能登半島沖で反転した後、大陸方面に向けて飛行したことを確認しております。これらに対して、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させ、継続的に監視を行ったところでございます。

 なお、この推定ロシア機による領空侵犯というものはございませんでした。

和田(有)委員 領空侵犯はなかったけれども、能登半島に向けてやってきて、スクランブル発進した。これはどう考えますか。地震の節目の日に、あえてそういうときにそういう行動を取る。まさに、被災者の皆さんもそうですし、我々日本に対して挑戦的というか、許し難い行為だと思うんです。たしか、東日本大震災のときも同様のことがあったと思うんです。

 もちろん、こういうことを、来るのを野放しにしちゃいかぬのですけれども、しっかりと抗議を外務省、外務大臣はされたんでしょうか。きちっと申入れをして、再発しないなんというレベルの話ではないですけれども、抗議はされましたでしょうか。大臣、その点はいかがですか。

上川国務大臣 御指摘の事案でございますが、今の説明にもありましたが、我が国の領空侵犯に至ったわけではなく、ロシア側に対しましては抗議をしておりません。

和田(有)委員 私は当然抗議したものだと思って今日質問に出てきているんですよ。領空侵犯していないから抗議していない。私は違うと思いますね。

 いろいろな規則はあるでしょう、こういうときにはこうするとか。しかし、報道ベースですけれども、震災から三か月の節目の日にはっきりと能登半島に向かってやってきて、かするように反転して帰るわけですよ。これに抗議しないというのは一体いかなることですか。私には理解できません。

 これは今からでもきちっと何がしかのメッセージを発出するべきです。今までの外務省の規定の中でこういう部分においてはこういう抗議というのがあるのかも分からない。しかし、それに当てはまらないにしても、きちっとメッセージを出すべきだと思います。いかがでしょうか。

上川国務大臣 政府といたしましては、我が国の安全保障上の観点から、御指摘の事案を含めまして、我が国周辺において活発化しているロシアの軍事活動につきましては、高い関心を持って注視してきているところでございます。

 こうした問題意識に立ちまして、これまでも必要に応じ、ロシア側に対してはしかるべき申入れを行ってきているところでございます。引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 適切に対応というのは、今言われたように注視して適切に対応してまいるというんですけれども、このことに関しては、やはり大臣がメッセージを出すべきです。本当は、きちっと外務省として抗議すべきです。人道的観点から見たって、地震が起こってみんなが困っているときに、苦しんでいるときにやってきて、俺たちはおまえたちをいつでも攻撃するぞみたいなことをさせて、それを許しちゃいかぬですよ。私はそう思います。

 今日、松原代議士もいろいろなことを中国の問題で言われましたけれども、日本人として、日本国を代表する外務省として、海外と向き合う事務をする頂点にある外務大臣としては、これに関してはきちっと言ってください。

 ここで言ったからって同じ答弁を繰り返すだけですからもう言いませんけれども、これに関しては、ほかにもいっぱいしなきゃいけないことはありますよ。でも、これは許し難いことです。領土まで入ったら主権の侵害かも分からない。しかし、そんな問題じゃないですよ。真っすぐ来て能登半島の前で反転して帰るんですよ。これは許しちゃいかぬですよ。これはきつくお願いしておきたいと思います。

 時間もなくなってきますから、次の質問に移ります。

 台湾有事の話に移りたいと思うんです。避難のことをお聞きしようと思うんですが、邦人保護の話です。

 邦人が避難をしなきゃいけないときにどうするかという話は、前にも私も聞きましたし、いろいろな皆さんがお聞きになっている。

 このときに、いろいろなシミュレーションがあって、台湾に日本人は二万人ぐらいいるだろう。台湾から避難する人はもっとたくさんになるだろう。それは、日本人だけではなく、台湾の方も逃れてくるだろうというんです。数十万人いるかも分からない。さらに、与那国島や石垣、西表、宮古、この辺からも十万人は避難してもらわなきゃいけないだろう。さらに、そこから大きな問題がある。これは次の質問にしますが、そこら辺の避難等について、今の数字等々の中で本当にできるのか。この膨大な人たちを、いろいろな段階を経るわけですけれども、どういうふうに邦人保護についてお考えになっておられるか、参考人からまずお伺いします。

岩本政府参考人 一般的に、邦人の退避が必要となる事態が発生した場合には、まず、極力、商用定期便を利用していただいて出国、場合によっては安全な場所への移動の確保に努めていただくよう、早め早めに邦人の方にお願いしていくことになると思います。その過程で政府としましても最大限支援をさせていただく。

 もし商用定期便を使うことが難しい状況に至った場合には、その時々の状況に応じまして、あらゆる可能性を念頭に置いて、最も迅速かつ安全な手段を活用して邦人の退避支援に最大限努めていく。こういうことになろうかと思います。

和田(有)委員 事態法をさらったときとかにいろいろな議論をしていますから、これ以上ここでテクニカルなことは聞きませんけれども、今、商用便を使って出てもらうとか、意思がある人に出てもらうと言いました。

 では、次の質問に移るんですけれども、実は、中華人民共和国、大陸中国に十一万人日本人がいると言われている。この人たちが帰ってくることになるんです。恐らく帰るでしょう。今だって、何にもないときだって捕まえられるような国ですから。帰ろうと思ったときに、中国は、人質に取って帰さないということが考えられるんです。日本に対していろいろな外交交渉をするために、台湾有事に対して日本の足を止めるために、そうなるだろうと言われています。中華人民共和国国内に十一万人がとどめ置かれて、出ちゃ駄目だ、帰してほしかったら、日本はあれするな、これするな、これ言うな、こうなってくる。

 こういうことを想定されておられるんですか、どうするつもりなんでしょうか。大臣、いかがですか。

上川国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護でありますが、これは外務省の最も重要な責務の一つでございます。平素から、在外邦人の保護また退避が必要となる様々な状況を想定し、関係省庁とも連携しつつ、各種の準備、検討や訓練を行っており、邦人保護の強化を図っているところでございます。

 その上で、外務省では、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定して、緊張感を持って必要な準備、検討を行っているところでございます。委員の御指摘の点も踏まえながら、引き続き在外邦人の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 十一万人が人質に取られたら大変なことになりますよ。どうやって引き揚げさせるか。そのためにどうやって交渉するのか。おまえら、与那国から先には行くな、そこから先までは来るな、アメリカに何言うな、事態認定するな。おまけにEEZにミサイルをピンポイントで撃ち込まれたらどうするか。全部想定していないと、もう遠い話じゃないですよ。本当に遠い話じゃないですよ。そのことを私は問題提起させていただきます。

 時間がないので、今日はあと二つやり切ろうと思っていますので。

 そこで、台湾の話を何度も何度も聞いてきました。私は前に、日本がもし台湾を失うというのは変な言い方ですけれども、日本の隣にある台湾がなくなったらどうするんですかと林大臣に聞いたんです。

 今日もう一つお聞きしたいのは、日本にとって台湾とは何ですか、それを大臣にお聞きしたいんです。時間がないですけれども、大臣、どうですか。

上川国務大臣 台湾でありますが、日本にとりましては、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでありまして、大切な友人であると考えているところであります。

 日本と台湾におきましては、これまでも、まさに大切な友人として、コロナ禍を含めまして、困難に向き合うたびにお互いに支え合ってきたところでございます。

 今年の年初の能登半島の地震におきましても、台湾の皆様から心温まる多大な御支援をいただき、心から感謝しているところであります。また、四月三日には、台湾東部で発生した地震に際しましても、多くの台湾の方々の力になりたい、この思いで日本からも様々な支援をしてきたところでございます。

 こうした日常の友人としてのやり取り、また経済的な状況、こういったことを踏まえてみますと、大切なパートナーであるということについてはこれを疑う余地もないということであります。

和田(有)委員 パートナーという言葉は、先ほど徳永委員もいろいろな解釈というか、用語のことですとかありましたけれども、私は、パートナーとかそういう以前に、国益を共有する運命共同体だと思います。運命共同体ですよ。あそこの領空も海域もみんな我々とはかぶっている。中華人民共和国が言うところの第一列島線というものがあって、向こうと私たちのまさに利害が全く一致しているんです。運命共同体ですよ。ここでもし中華人民共和国の権益下に入ってしまったら、台湾国民は台湾としてお手上げだけれども、我々もお手上げになりますよ。そのことをよく御理解いただいて、台湾に対する政策、中華人民共和国との向き合い方というのはお考えいただきたい。

 時間がなくなってしまいましたので、次の質問は次に送りますけれども、そのことを台湾有事の話の中で問題提起をし、御理解をいただきたいと思います。

 これで終わります。

勝俣委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 実は、先ほど行った徳永委員の質問内容とほとんどかぶるんですけれども、同じ問題意識を持ちながら、少し違った視点でその問題意識に対する質問をしていきたいと思っています。

 そして、質問通告では、対イラン外交、そして二番目に岸田総理の訪米時の発言としていたんですが、先に岸田総理の米国訪問時における演説、会見等のことについて話をしたいと思っています。

 特に、米議会での演説は、私がアメリカ人であったりアメリカの議員であったら、これほどすばらしい演説はないと思います。スタンディングオベーションも当然だ、私も拍手喝采しただろうと思っています。

 先ほど徳永委員からもありましたけれども、グローバルなパートナー、そして、最も近い同盟国、そして、先ほど上川大臣からもありましたけれども、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をアメリカと一緒になって日本が守っていくんだ、こういう発言もございました。同様の発言を総理もしていたと理解しております。

 私の問題意識は、先ほどもありました、世界最強の軍事力を持ち、世界最強の経済力を持つアメリカと肩を並べて、今言った国際秩序を一緒に守っていきましょうというような国力が果たして我が国にあるのか。思い切り背伸びするだけならまだしも、背伸びでは届かない、麻原彰晃ではないけれども、宙に浮いて地面からはるか離れたような背伸びをしてしまっている。その背伸びをしても届かないようなコミットをする。それが逆に自分たちを縛ってしまう。責任を負ってしまう。本来もっと予算を投ずべき分野があるにもかかわらず、背伸びしたコミットを果たすために貴重な予算を使わなければいけない。これを私は極めて大きな懸念を持って実は聞いていました。

 それで、まず、視覚に訴えるために三枚の資料を今お手元に配っています。この図は、外務委員会でも予算委員会でも使ったことがあるんですけれども、横軸は、それぞれの国、地域が世界の名目GDPに占める自国GDPの割合を表しています。縦軸は、その当時、最初のページでいえば二〇二二年における実質GDPの成長率を表しています。それをこういうグラフに表すと、一つの国がある面積を持つことになります。その当該年における、経済的にどれだけ世界に影響力を持っているのかということを表す図として理解できます。

 二〇二二年を見てください。米国はこの三十年間ほぼ一貫してこれぐらいの面積です。日本は極めて小さなものです。今回もいろいろな意味で対中国を念頭に置いていたと思いますけれども、中国の面積を見てください。今世界の中で占める割合は一七・九%あります。九五年か六年は日本がこれだけの割合を占めていました。

 一枚めくっていただけますか。これは一九九〇年の同じグラフです。このときの日本の面積はこれだけ大きい。一方、中国は、ほとんど見る影もないほど小さなものでありました。さっき言ったようにアメリカはほとんど変わっていない。

 三ページ目を見てください。二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年、二〇一五年、日本は目に見えて縮小していきます。そして、中国が目に見えて拡大していきます。そして、一枚目の二〇二二年になります。

 私が一つ言いたいのは、安倍晋三総理のときからそうでありましたけれども、日本は、この一九九〇年代又は二〇〇〇年代初めのような国力意識を持ったままずっと外交をやり続けている。対米関係でもさっき言った背伸びをし続けている。

 そこで、質問ですけれども、上川大臣、世界におけるある意味では経済的な影響力を示したこの図ですけれども、日本は、米国とある意味対等に、岸田総理はそのように言っていました、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持していくだけの国力なんでしょうか。その点をお答えいただきたいと思います。

上川国務大臣 まず、国力を何で測るのかということについては……(吉良委員「それはもう分かっています」と呼ぶ)分かっている状況の中でということでありますが、その上でということでお話をさせていただきたいと思います。

 今回のアメリカの公式訪問におきましては、岸田総理大臣自身、未来志向のメッセージを日米首脳会談や連邦議会での演説という形で、様々な機会を通じて発信してきているところであります。

 私自身、国力について御指摘のところであるということを前提に、この間、就任後の活動を通じまして、日本の持っている技術力、人材、日本企業からの投資を含めまして、我が国に対する評価や期待が、先進国、途上国を問わず、世界各国で大変高いことを肌で感じてきているところであります。

 これは、先ほど御質問があった中で申し上げた、八十年に及びますODAを中心としてつくり上げてきた、寄り添い型で対応してきた国々がグローバルサウスという形で力をつけていただいている、まさに日本も大きな貢献をしてきたという成果の中で今の国際情勢、国際状況が描かれているというふうに思っておりまして、特に、小さな国ほど日本の存在、日本に対しての期待が強いということについても実感している状況であります。

 力の強さを何で測るのかということとも関係があるところでありまして、もう十分に御承知であるということでございますけれども、私は、こうしたところについては、日本の八十年の歩みというものは、確実に、丁寧に、そして寄り添い型でやってきたアプローチそのものがこれからも極めて重要な要素になっていくものというふうに考えておりまして、その意味で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、法の支配とは何かとか、あるいは、自由で開かれている状況はどういう状況なのか、こういったことを大国であるアメリカとも十分に議論しながら、また、その他の国々とも議論しながら、実際につくり上げていく新しいステージに入っている、こういう認識を持っているところであります。

 今回、日米のみならず、初の首脳会合を実施いたしました日米比、また、日米韓も昨年再スタートしているところでありますし、日米豪印など、様々な取組を活用しながら、まさに法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

吉良委員 私の方からいえば、国力というのはある意味次の四つの掛け算だと思っています。軍事力、経済力、そして先ほども出た外交力、掛ける文化だとかのソフトパワー、それが私は国力だと思っていますけれども、日本の場合は、軍事力は前面に出さないし、それをある意味では自分たちで制約してきたということから考えると、やはりソフトパワーと何といっても経済力なんです。そこがここまで衰えた中で、大国意識を持ち続けるということは自制しなければいけないと思っています。

 ちなみに、日本の平均年収は二〇二二年で四百五十八万円です。今の百五十四円で計算したら三万ドル弱なんです。アメリカに行ったことがある人はいると思いますけれども、三万ドル弱というのは低所得層です。平均が低所得なんです。この一事をもっても、私は、そこまで背伸びをすべきではない。

 私の理解は、アメリカに行って日本の国内向けに演説してきたと思っていますよ。支持率の回復も含めてですね。そういう理解をしていますので、仕方ないかとは思っていますけれども、さっき言いました、その背伸びのコミットで責任を負い、それが必要以上の出費につながる、また、これだけ少子化のときに必要以上のアメリカに対しての協力を要請される、これについては問題意識を持っておかなければいけないということを指摘しておきたいと思います。

 その上で、今、上川大臣がグローバルサウスからも評価されているとおっしゃいました。それは一方ではそうだとは思います。では、頼りにされているか。私は、残念ながらそうではないと思っています。

 二つ理由があります。

 一つは、今問題提起した経済力の問題です。中国が札束をたたいて外交をやっているといろいろ批判されます。それでも、なかなか食っていけない途上国、グローバルサウスからしてみたら、そうやって大きな金額を援助してくれるところはありがたいです。かつての日本が東南アジアを含めて自立できるような援助をしてきた、これは私は物すごく評価していますけれども、それでも、今食えない途上国は、経済力があるところから大きな支援をもらう、これが本音では一番うれしい、ありがたい。日本の外務大臣と会ったときに、あなたはだんだん経済力が弱っていますから、もう知りませんとは言わないですよね。

 もう一つは、時間が既になくなってきたんですけれども、イラン外交を含めて、日本が唯一、中東外交については、先ほど来指摘がありましたけれども、どこの国にも偏らず、イスラエルともアラブ諸国とも、そしてトルコともイランとも、あらゆるところと仲よくし、評価を受けてきた。にもかかわらず、今、対イラン外交を含めて、イランはまだ日本を頼りにしているけれども、日本はアメリカの顔色をうかがって対イラン外交についても独自性を失っていると思っております。

 日本も経済制裁に事実上加わっていますよね。イランが何か経済制裁を受けるようなことを核合意以降しましたか。トランプ大統領が、自分の公約といいますか、自分の支持者にいい顔をするために、厳密な意味で違反していなかったイランにある意味ではいちゃもんをつけてまた経済制裁をやり始めた。日本はイランから石油も今買っていない。

 さっき言いましたように、アメリカがイランと対立していても日本はイランと友好関係を築いてきた。答弁を求めたら、今でもやっていますと言うと思いますよ。けれども、事実上そうではない。アメリカの顔色をうかがった、アメリカが許す範囲でなければイランとの外交も進められない。このようなある意味米国の顔色をうかがった外交を続けている限り、グローバルサウスからの信頼を失ってしまう。

 国連におけるロシアに対する非難決議等々においてあれだけ多くの棄権が出る。中には反対に回る国々もある。まあ、反対に回った国々は論外としまして、棄権している国々の多くは、西対ロシア、中国、この分断、対立に巻き込まれたくない、そういう思いで私は票を投じていると思っています。その中で、日本がアメリカに偏った外交をしたときにグローバルサウスからの信頼が得られるのか。

 そして、何よりも、イラン外交について独自路線に戻るべきではないのか。そして、その独自路線を持っている日本だからこそ、今般起きたイスラエルによるシリアのイラン大使館攻撃、その報復、イランによるイスラエル本土攻撃、またその報復攻撃がありました。これはどこまでエスカレートするか分からない。その中で、日本外交として、このイラン、イスラエルの紛争を過激化させないために何ができるのか、答弁いただきたいと思います。

上川国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国はイランと長年良好な関係を維持してきているところであります。現在に至るまで、首脳や外相レベルにおきましても、これを含めて重層的な対話も継続しているところでございます。

 我が国としては、現下の中東情勢の鎮静化は極めて重要な課題でございまして、この事態が中東地域全体に波及すること、スピルオーバー、このことが極めて大きな課題であると認識し、この問題意識については共有している状況でございますが、イランに対しましても働きかけの継続は重要であると考えております。

 私自身、外務大臣レベルでイランとの対話を深めてきているところでございます。先般のイランによるイスラエルに対する攻撃後におきましても、イランのアブドラヒアン外務大臣及びイスラエルのカッツ外務大臣と電話会談をそれぞれ実施いたしまして、双方に対しまして、更なる緊張の高まり、まさにスピルオーバーし、大きな拡大をしていくことを阻止するため、このことについては強く自制を求めてきている状況でございます。

 これからも、こうしたイランとの長年のよい関係をしっかりと生かしながら、緊張の緩和と情勢の安定化に向けまして、これまで以上に外交努力を重ねてまいりたいと考えております。

吉良委員 時間が来ましたので、もっと突っ込みたいんですけれども、また次回以降にさせてもらいます。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、藤井比早之君。

藤井委員 自由民主党の藤井比早之です。

 私からは、岸田総理の訪米、そして日米首脳会談についてお伺いしたいと思います。

 国際社会は今、歴史的な転換点にあり、複合的危機に直面しております。今般、岸田総理が、安倍総理以来、日本の総理として九年ぶりに国賓待遇で米国を公式訪問されました。今回の訪問で、日米両国が国際社会の問題に取り組むグローバルパートナーであるとの点で一致し、日米首脳共同声明、未来のためのグローバルパートナーでは、日米同盟は前例のない高みに到達したとされております。非常に大きな成果でございます。

 グローバルパートナーシップの中核は、日米二国間の防衛、安全保障協力。日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化、米軍と自衛隊の相互運用性強化、それぞれの指揮統制枠組みの向上、安全保障、防衛協力の拡大、深化で一致されましたが、実務こそが極めて重要でございます。実務、具体的な取組、スケジュールについて、日米同盟の情報共有能力の深化を含めてお伺いいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の訪米に際しまして、岸田総理は、日米がグローバルなパートナーとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持、強化していくという未来志向のメッセージを発信いたしました。

 また、日米首脳会談におきまして、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化が急務であることを再確認し、米軍と自衛隊の相互運用の強化のため、それぞれの指揮統制枠組みを向上させることを含め、安全保障、防衛協力を拡大、深化していくことで一致いたしました。

 今後、日米2プラス2を通じまして新しい関係を発展させ、日米同盟の抑止力、対処力の強化と自由で開かれたインド太平洋を促進していく所存でございます。

藤井委員 2プラス2、早期によろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、実務が非常に重要だと思います。政治的にどのようなことがあったとしても、激動する国際情勢の変化、不確実性に対処できる保証となります。日米同盟の情報共有能力の深化を含めて、早急に実務的な対応を進めていただきたいと思います。

 次に、AUKUS諸国、アメリカ、イギリス、オーストラリアとの安全保障協力でございます。

 日米首脳共同声明では、AUKUS第二の柱における先進能力プロジェクトに関する日本との協力を検討とされております。まさに志を同じくする地域のパートナーとの関係構築が必要です。

 インド太平洋の平和と安定のためには、AUKUS諸国、アメリカ、イギリス、オーストラリアとの安全保障協力は極めて重要でございまして、日米英、日米豪、それぞれ三か国の安全保障協力、そしてAUKUS諸国との安全保障協力の強化、AUKUSへの日本の加盟を含めてお伺いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 国際秩序の根幹が揺らぎ、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、AUKUSの取組はインド太平洋の平和と安定に資するものであり、日本としては一貫して支持しているところでございます。

 その上で、御指摘の先進能力分野に係るAUKUS第二の柱に関する協力につきましては、今後、まずはAUKUS側におきまして具体的な検討が行われていくことになっていると承知しておりますけれども、日本といたしましても、AUKUS側のこうした動きも見ながら、今後の協力の在り方について検討していきたいと考えているところでございます。

 また、近年、日本は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けまして、同盟国であります米国、安全保障面で協力が進みます同志国である豪州、英国との間で平素から緊密な意思疎通を行っておりまして、協力を推進してきたところでございます。

 日米豪や日米英といった多国間の協力につきましても、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化の面で、また、インド太平洋地域の平和と安定に資するものでもありますので、我が国として積極的に推進していく考えでございます。

藤井委員 日米二国間だけではなくて、三か国というのは枠組みとして非常に重要だと思います。自由で開かれたインド太平洋のためには、日米英、日米豪は極めて重要だと思います。

 二〇二五年から、定期的な日米英三か国共同訓練。日米豪は防空システム、無人航空システムという形になります。無人航空システム、連携無人機、ドローンの開発は喫緊の課題でございまして、三か国の安全保障協力の深化を求めるところでございます。

 こうした三か国という点では、今回、史上初めて日米比首脳会談が開催されました。平和で安定した、ルールに基づくインド太平洋にとって、まさに歴史的な首脳会談でございます。

 日米比首脳による共同ビジョンステートメントでは、我々は、南シナ海における中国の危険かつ攻撃的な行動について深刻な懸念を表明する。南シナ海における埋立て地形の軍事化及び不法な海洋権益に関する主張を懸念している。南シナ海における海上保安機関及び海上民兵船舶の危険で威圧的な使用、並びに他国の海洋資源開発を妨害する試みに断固反対する。東シナ海の状況について深刻な懸念を表明し、尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとする行為を通じたものを含む、中国による東シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を改めて表明するとはっきり記載されています。ピースフル・アドミニストレーションですから、平和に日本は統治してきたと。また、中国とはっきりと記載されているところです。

 創設初のOSA、政府安全保障能力強化支援は、まさにフィリピンへの沿岸監視レーダー供与、フィリピンが最初でございました。岸田総理からは、日比部隊間協力円滑化協定、RAAの早期妥結に向けた交渉やODAによる巡視船の追加供与といった協力が進展している旨、発言があったと伺っておりますが、史上初の日米比首脳会談の成果をお伺いいたします。

 特に、防衛当局間協議や共同訓練等を通じた安全保障、防衛協力、海上保安機関間の連携、協力を通じた海上保安協力の強化についてお伺いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の先般行われました日米比首脳会合におきましては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けまして、同盟国、同志国との重層的な協力が重要であるとの認識の下で、太平洋でつながれた海洋国家であり、自然なパートナーでもございます日米比三か国が、経済や安全保障などの幅広い分野において協力を更に強化していくことを確認し、その具体的な内容を御指摘のありました共同ビジョンステートメントとして発出したところでございます。

 特に、安全保障、防衛協力や海上保安協力の分野での協力につきましては、今後一年以内に日米比三か国の海上保安機関がインド太平洋において海上合同訓練、その他の海上活動を実施することや、日米比三か国及びその他のパートナーとの間の海軍種間の共同訓練、演習を通じた協力等により、三か国の防衛協力を推進していくことを確認したところでございます。

藤井委員 自由で開かれたインド太平洋、まさに南シナ海の海の安全のためには、日米比という三か国協力は極めて重要でございます。安全保障協力、そして海上保安協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そう来ますと、三か国という点では日米韓というのが非常に重要でございます。インド太平洋の平和と安定のためには、地域の重要な、志を同じくするパートナーとの間に、強固なきずなを築き続けることが極めて重要でございまして、日米豪印のクアッド、AUKUS、日米英、日米豪、日米比三か国に加えて、日米韓三か国の枠組みが非常に重要でございます。

 昨年八月の歴史的なキャンプ・デービッド日米韓首脳会合を受けた日米韓の安全保障協力の強化の進展についてお伺いします。AUKUS、日米英、日米豪、日米比三か国と併せた日米韓三か国の連携の強化、これらAUKUSや日米英、日米豪、日米比という枠組みに韓国を加えることを含めてお伺いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の日米韓三か国の協力は、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、かつてなく重要になっていると考えてございます。

 昨年八月のキャンプ・デービッドでの日米韓首脳会合におきましては、三か国の首脳は、日米同盟及び米韓同盟の戦略的連携を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げることで一致したところでございます。その後、日米韓三か国におきましては、本年二月の外相会合を始めとする累次の機会に、地域の抑止力、対処力の強化、また、安保理における対応、さらには同志国との協力等について緊密に連携することを確認しております。また、昨年十二月には北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有メカニズムの運用も開始されるなど、防衛当局間の取組も進展していると承知してございます。

 我が国といたしましては、安保理理事国としての国連での連携を含め、米国、韓国と引き続き緊密に意思疎通を行いながら、日米韓の協力が地域の平和と安定に貢献するとの観点からも、御指摘のような枠組みや各国との連携も含めまして、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築していく考えでございます。

藤井委員 まさに、北朝鮮を念頭に置いても、抑止力、対処力の強化という点では、日米韓三か国の安全保障協力というのは極めて重要でございまして、また、今積み重ねている日米英とか日米豪とか日米比というものに韓国も連携していただくのは極めて重要だと思いますので、そういった施策を是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 その韓国でございますけれども、四月十日に韓国国会議員総選挙が実施されました。与党が敗北したという結果でございます。この結果が韓国の外交政策、特に日韓関係に与える影響についてどのように分析し、どのように対応していくつもりであるのか、お伺いします。

 また、先ほど日米韓三か国の安全保障協力の強化についてお伺いしましたが、関係強化とともに、日本として主張すべきことは主張すべきである、そこを訴えさせていただきたいと思います。

 旧朝鮮半島出身労働者問題で日立造船に賠償を命じた裁判の原告側は、供託金を受け取ったと明らかにいたしました。一連の裁判で日本企業が不当な不利益を負うのはこれが初めてでございます。これは、日韓請求権協定第二条に明らかに反する判決に基づき日本企業に不当な不利益を負わせるものであり、看過できません。昨年三月六日に発表された措置から考えますと、韓国の財団が支給すべきであり、原告側が供託金を受け取っているのであれば、その分を韓国の財団が日立造船に補償すべきではないかと考えますが、この点を伺います。

林政府参考人 お答えいたします。

 まず、四月十日に行われました韓国国会議員総選挙の評価につきましては、他国の内政に関する事項でございますので、日本政府としてコメントすることは差し控えますけれども、日韓両国は、国際社会の諸課題の対処にパートナーとして協力していくべき重要な隣国同士ということでございます。

 日本と韓国の対話と協力は、昨年来、政治、安全保障、経済、文化など、様々な分野で質、量共に力強く拡大してきているところでございます。現下の厳しい戦略環境の下、日米韓の連携も重層的に進展してございます。そうした協力の拡大は日韓双方にとって有意義なものと考えております。

 また、御質問がございました昨年末から続きます一連の大法院判決、さらには日立造船の事案につきましては、日本政府といたしまして極めて深刻に捉え、韓国政府に対しては厳重に抗議を行い、昨年三月六日に韓国政府が発表した措置を踏まえ適切な対応がなされるよう、韓国政府に求めているところでございます。

 日韓間に存在します諸課題、諸懸案について引き続き適切に管理し、相手方と緊密に意思疎通を図っていくべきことは政府として当然の責務でございまして、我が国の一貫した立場に基づきまして適切に対応していく考えでございます。

藤井委員 遺憾であると言っているだけではしようがないんです。やはりしっかりと実を結ばねばならないというふうに思います。

 本来、ソフトパワーという点でいくと、韓国との関係は、向こうからは物すごくインバウンドでこっちに来ていただいていますし、日本側は、Kポップとか韓流とか、様々な形で本来はソフトパワーがつながっている。しかしながら、今回の選挙結果を踏まえると、極めて反日的な外交政策に移ってもおかしくないところでございますので、そうならないように外交力の全てを懸けて是非ともよろしくお願い申し上げたいと思いますし、主張すべきところは主張し、それを実現することが大事でございます。日立造船という日本の企業にそういう損害が起きない、起きたとしてもそれをちゃんと補償するということをしっかりとやっていただきたいと思います。

 日米韓の連携強化は、そうはいっても当然必要なわけでございます。岸田総理宛ての能登半島地震に関するメッセージの閣下という文言であったり、金与正党中央委副部長による複数の談話といった最近の北朝鮮の反応もそういった表れではないか、日米韓の連携の強化という点は否めないのではないかと思っておりまして、今回の日米首脳共同声明では、バイデン大統領は拉致問題の即時解決に対する米国のコミットメントを確認というふうに記載されておりますが、拉致、核、ミサイルの包括的な解決、まさに拉致問題の即時解決、一日も早い全ての拉致被害者の帰国実現についてお伺いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組に加えまして、米国、韓国を始めとした国際社会と緊密に連携することが重要と考えております。

 こうした観点から、先般の日米首脳会談におきましては、岸田総理から拉致問題の即時解決に向けた米国の引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領からは改めて力強い支持を得ることができたということでございますので、これは重要な成果と考えております。

 御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人道問題でございます。引き続き、米国や韓国を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するため、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に行動していく考えでございます。

藤井委員 まさに日米の連携、日米韓の連携こそ重要でございまして、拉致問題の即時解決、拉致、核、ミサイルの包括的な解決には、日米、日米韓の一層緊密な連携が極めて重要でございます。完全解決に向けてしっかりと連携を図って実現していただきたい。

 自由で開かれたインド太平洋という点におきましてはインド、志を同じくするパートナーとの間の強固なきずなという点では、クアッド、日米豪印こそが極めて重要でございまして、日米豪印、クアッドへの確固たるコミットメントとインド太平洋の平和と安定について言及されていますけれども、こちらについてお伺いいたします。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 日米豪印は、自由で開かれたインド太平洋の実現のため、実践的な協力を進める重要な取組でございます。今般の日米首脳共同声明においても、日米両国が日米豪印へ確固たるコミットメントを有していることを改めて確認いたしました。

 我が国としては、同盟国、同志国とも連携し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進していくことで、地域の平和と安定に貢献していく考えでございます。

藤井委員 インドは世界最大の人口を擁する国となり、また、GDPでもいよいよ日本を抜いて、そしてまた世界第三位に近々なってくるであろうというのが予測される大国でございます。必ずウィン・ウィンの関係が築けますので、そういう点では、経済協力もそうですが、それが安全保障協力につながるように、そしてそれがクアッド、日米豪印の更なる進展につながりますようよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 こうしたインド太平洋の平和と安定のためには、もはや欧州大西洋地域とインド太平洋地域の結びつきがかつてなく強くなる中、日本とNATO、北大西洋条約機構、またNATOとIP4との間の安全保障協力が極めて重要となってまいります。

 日本とNATOとの安全保障協力の必要性、日米同盟とNATOとの安全保障協力について、また、NATOの日本事務所設置についてお伺いいたします。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国にとりまして、NATOは基本的価値と戦略的利益を共有するパートナーであります。欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるという共通の認識の下で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持及び強化に向けましてNATOとの協力を更に強化していくことが重要と考えております。

 また、アメリカとの関係についても御質問がございました。

 米国は、本年のNATO首脳会合の開催国でもあります。四月十日の日米首脳共同声明におきましても、日・NATO間のパートナーシップを強化することへの期待が示されているところでございます。今後も、米国とも引き続き連携いたしまして、日・NATO協力を強化していく考えでございます。

 それから、NATOの日本における連絡事務所の設置についての御質問でございますけれども、この問題につきましては、NATOの内部において種々検討が進められているところと承知しております。我が国といたしましては、引き続きNATO加盟国間での議論を見守っていく考えでございます。

藤井委員 日本とNATOとの協力は極めて重要でございます。日本事務所はむしろ先方から話があったというふうに伺っておりますけれども、いずれにいたしましても、領域概念というのは理解はするとしても、サイバーセキュリティーとかそういったものについてはもはや領域というのはございませんので、ある意味では防衛協力、安全保障協力はしっかりと進めていっていただきたいと考えます。

 日米の安全保障協力も重要でございますけれども、そこには経済安全保障、日米の経済連携が重要でございます。日米の経済連携、双方向の投資の促進とともに、経済的威圧への対応、サプライチェーンの強靱化が極めて重要です。経済安全保障を確保し、産業基盤を強化し、強靱で信頼性のあるサプライチェーンを維持し続ける。半導体とともに、エネルギー、重要鉱物のサプライチェーンこそが極めて重要でございます。

 このエネルギーとか重要鉱物といった資源はグローバルサウスとされる諸国に多く存在しておりまして、グローバルサウス諸国へのアプローチについては、実は日本の方がアメリカよりもアプローチしやすい国々が多く存在するのではないか。日米両国がグローバルパートナーであるとするなら、グローバルサウス諸国との関係強化、特にこれら諸国とのサプライチェーン強靱化に日本が積極的に取り組み、米国をサポートするぐらい存在感を高めることが必要と考えますが、政府の見解を伺います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 サプライチェーン強靱化のためには、同盟国、同志国等及び信頼できるパートナーとの協力が不可欠でございます。こうした考えの下、昨年五月のG7広島サミットにおきましては、G7内外の信頼できるパートナー国との間でサプライチェーン強靱化を進める上で不可欠と考える諸原則として、強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則を確認いたしました。

 同原則の重要性は、G7大阪・堺貿易大臣会合のサプライチェーン強靱化アウトリーチセッションの機会に加え、二国間でも、これまでベトナム、マレーシアといったグローバルサウスの国々とも確認してきているところでございます。

 また、様々な国際的なリスクへの途上国の経済的な強靱性を高めるべく、昨年改定した開発協力大綱にて打ち出した新しいODAの仕組みであるオファー型協力においても、グローバルサプライチェーン及び産業構造を強靱化、多角化するための支援を開発シナリオの一つに挙げているところでございます。

 これらの取組を進めるに当たっては、引き続き、日米経済版2プラス2やG7などを活用し、米国を始めとする同盟国、同志国としっかり連携していく考えでございますし、委員御指摘のグローバルサウスへの関与というものについても、日本がリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

藤井委員 グローバルサウスといっても、それぞれの個々の国々が求めていることは違いますので、そこら辺のところはテーラーメイドで、日本が強いところというのは必ずありますので、それぞれの国ごとに二国間関係を強化していただいて、それがサプライチェーンに当然つながるように、特にエネルギー、重要鉱物は重要でございますので、そこのサプライチェーンの強靱化を是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 インド太平洋の平和と安定のためには、米国、同盟国との防衛、安全保障協力の強化、抑止力、対処力の一層の強化、そして、同志国との連携、三国間、多国間連携、イギリス、オーストラリア、フィリピン、韓国ほか、先ほど指摘させていただきましたけれども、同志国との安全保障協力の強化を進めていくことが非常に重要でございます。

 日米首脳共同声明でも、尖閣諸島については、中国による東シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を改めて表明とはっきり書いてありますし、また、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を改めて表明と明記されています。

 その上で、一方、インド太平洋における誤解と誤算のリスクを低減し、紛争を防止するため、全ての当事者が開かれた意思疎通のチャネルと実際的な措置を促進することの重要性、特に、首脳レベルを含め、中国との間の率直な意思疎通の重要性を強調というふうにしております。

 力による一方的な現状変更の試みは断じて許さない。一方で、米中の対話は継続しているところでございます。日本と中国との対話の継続についてお伺いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、数多くの課題や懸念がございます日中両国間におきましては、対話や意思疎通は重要と考えてございます。

 具体的には、昨年十一月の日中首脳会談におきましても、岸田総理から我が国の基本的な立場を習近平主席にしっかりと直接伝えまして、日中関係の大きな方向性を確認するとともに、今後とも両国首脳同士で緊密な対話、意思疎通を図ることで一致したところでございます。

 また、中国との間におきましては、外相の相互訪問について検討していくことや、日中ハイレベル経済対話、また日中ハイレベル人的・文化交流対話等を適切な時期に開催していくことでも一致しておりまして、引き続き、首脳同士を含みますあらゆるレベルでの意思疎通を重ね、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な日中関係の構築を双方の努力で進めていきたいと考えております。

藤井委員 しっかりとリスクに備えるといいますか、誤解等に基づいて紛争が生起することのないように是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、イランがイスラエルに対して直接的かつ前例のない攻撃を行いました。現在の中東情勢を更に悪化させるものであり、強く非難します。全ての当事者に対し、更なるエスカレーションを防ぐために取り組むよう強く求めます。中東のエスカレーション阻止に向けた外交努力について答弁を求めます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現地時間四月十三日夜から十四日未明にかけ、イランがイスラエルに対し、ドローンやミサイル等を使用した攻撃を実施いたしました。また、十九日には、イスラエルがイラン国内に対して攻撃を行ったと報じられております。十九日の事案につき、現時点でイスラエルが関与を認めたとは承知しておりませんが、いずれにせよ、日本政府といたしましては、現在の中東情勢を深く懸念しており、事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も強く非難いたします。

 上川大臣が十八日に出席したG7外相会合の中東セッションでは、中東情勢に関する認識やG7メンバーの外交努力等について率直な意見交換が行われました。今般の件も含めて、引き続きG7メンバーとも緊密に連携して対応していく考えでございます。

 日本はこれまでも、イスラエル、イランの双方に対して、現在の状況は、イラン、イスラエルはもちろんのこと、我が国を含めた国際社会全体の利益にならない旨強調しつつ、更なる緊張の高まりを防ぐ必要があるとして自制を強く求めてきております。

 いずれにいたしましても、我が国として、在外邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き、必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。

藤井委員 エスカレーション阻止のために、全ての当事者に外交努力を全力でよろしくお願い申し上げます。

 時間となりました。終わります。

勝俣委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十五分開議

勝俣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、中東情勢について質問いたします。

 イスラエルは、イラン領内の施設に軍事攻撃を行いました。我が党は、この軍事攻撃を強く非難するものであります。

 この間の報復の連鎖は、元々、イスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃するという国際法違反の無法行為に端を発したものであります。だからこそ、国際社会はイスラエルに自制を強く求めていました。これを無視したイスラエルの軍事攻撃に全く道理はありません。我が党は、全ての関係国に報復の連鎖を止めるよう強く自制を求めるものであります。

 さて、ガザ地区南部では、イスラエル軍の撤退後、ナセル病院の敷地内で三百人以上の遺体が埋められているのが見つかり、イスラム諸国から国際刑事裁判所に捜査を求める声が上がっています。我が党は改めて、イスラエルによるガザ市民へのジェノサイドを直ちに中止することを強く求めるものであります。

 そこで、上川大臣に伺いたいと思います。

 G7外相会合で採択された共同声明は、イランによる攻撃を最も強い言葉で非難する一方、イスラエルによる攻撃には、全ての当事者に事態のエスカレートを防ぐよう強く求めると述べるにとどめています。なぜ日本はこの共同声明に加わったのか、その理由は何かを述べてください。

上川国務大臣 四月十九日にイランで発生しました事案につきましては、イスラエルは関与を認めておらず、イランもイスラエルの関与は証明されていないとしているところであります。いずれにいたしましても、緊迫度が高まっている中東情勢につきまして最も重要なことは、事態の安定化や更なるエスカレーションの回避のために取り組むことであります。

 今般のG7外相コミュニケにおきましては、この点を明記しつつ、中東情勢を更に悪化させるような行為を強く非難するとともに、全ての当事者に対しまして事態の鎮静化を求めており、こうした中核的な部分につきまして我が国の政策と一致していると考えているところであります。

 我が国といたしましては、現下の中東情勢を極めて憂慮しており、事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も強く非難する、引き続き、事態の更なる悪化を防ぐべく、必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。

穀田委員 イスラエルによる攻撃については、上川大臣はいろいろなところで、事実関係を十分に把握することが困難で、確定的な評価は差し控えたいと言われる。しかし、その程度の情勢認識でどうしてこのような共同声明に加われるのか。事態が問題化した起点、余りに恣意的ではないか。イスラエル寄りの米国との共同歩調を取り、イランだけを非難する日本政府の対応は、他国からダブルスタンダードだと批判されることになる。そのことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、海外における消費者トラブルについてお聞きします。

 小林製薬が製造した紅こうじを使ったサプリを飲んでいて腎疾患などで亡くなられた方が分かっているだけでも五人に上り、厚労省によれば、四月二十一日現在、延べ二百四十七人が入院しています。有害な物質が含まれていたとして、三種類のサプリの回収、廃棄を命じる行政処分が行われました。しかし、海外に輸出していたという事業者もいます。小林製薬の紅こうじに関わって、海外等での販売トラブルについて外務省としてどのように対応されていますか。

上川国務大臣 三月二十二日、小林製薬が紅こうじ関連製品の自主回収に関します報道発表を行い、同社の製品に起因すると思われる健康被害が国内で報道されたことを受け、一部の国、地域から事実関係に関します照会がございました。

 その後、外務省におきましては、厚労省等の関係省庁とも調整の上、全在外公館等に対しまして、厚労省のホームページを通じた情報提供や注意喚起を周知し、必要に応じて各国・地域の当局に対して丁寧な情報提供を行うよう指示したところであります。それに加えまして、本件に関します各国・地域の動きにつきまして、本省への速やかな情報共有を指示いたしました。

 その上で、各在外公館等からは、小林製薬の紅こうじ関連製品に起因すると思われる健康被害の発生につきましては、現時点までに報告されておりません。

穀田委員 小林製薬の紅こうじを使った製品を海外に輸出していた事業者は、今、新たな被害が起きないよう対策に当たっていると言われています。しかし、現在まで、全ての商品を回収するめどは立っていない、こういう事態が起こっているんですね。

 外務省及び消費者庁は、長年ビューローを担っているOECD消費者政策委員会、OECD製品安全作業部会に参加しています。OECD製品安全作業部会は、二〇二一年の声明で、安全ではない製品を検出し、防止する、消費者製品安全当局と協力し、安全ではない製品のサプライチェーンを特定し、該当する出品を削除するとしています。このような立場に立った対応を求めておきたいと思います。

 続いて、消費者庁にお聞きしたい。特定商取引法、特商法について伺います。

 特商法は、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売など、消費者トラブルが生じやすい取引を対象に、トラブル防止のルールを定めた法律であります。

 まず、現状についてお聞きします。直近で把握されている現在の消費者被害、トラブルの額、消費者相談件数、そのうち、訪問販売、電話勧誘販売の相談割合や被害の状況、また、その特徴についてどう捉えているか、御報告ください。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 二〇二三年版消費者白書によれば、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談の二〇二二年の件数は約八十七万件、消費者意識基本調査や消費生活相談から推計した、信用供与を含んだ既に支払われた額は約六・五兆円となっています。

穀田委員 そのうち、訪問販売だとか……

工藤副大臣 読み忘れまして大変申し訳ございません。

 また、同白書によれば、二〇二二年の消費生活相談における販売購入形態別の割合としては、例えば、インターネット通販が二九・一%、訪問販売が約八・一%、電話勧誘販売が約五%となっています。

 なお、認知症等の高齢者に限ってみますと、同割合は、インターネット通販が四・四%、訪問販売が約三二・二%、電話勧誘販売が約一三・九%となっています。

穀田委員 驚いたのは、今、支払いの額の推計が六兆五千億円なんですよね。すさまじい額だということが分かると思うんですね。しかも、高齢者が訪問販売、電話勧誘販売による消費者被害に遭う可能性が高いことがうかがわれ、今後更にこの傾向が強まることが懸念されるということなんですよね。

 世代全体で見ると、インターネット通販に関する相談が二九・一%と最多であるけれども、若い世代だけではなくて、六十五歳以上の高齢者の相談割合も一九・六と近年最高になっています。ここでも高齢者が消費者トラブルに巻き込まれるという可能性が見られるわけであります。

 二〇一六年の法改正の際、高齢者等の被害が多発した場合には勧誘規制の強化についての検討や、インターネット取引に係る消費者被害が大きく増加している現状に鑑み、実効的な被害の未然防止及び救済措置について検討を行う等の附帯決議がついています。今日までどのような検討をされたのか、簡潔にお答えください。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 これまで消費者庁では、御指摘の二〇一六年特定商取引法改正の際の附帯決議等も踏まえ、訪問販売及び電話勧誘販売については、高齢者等の消費者被害の防止に向け、法執行能力の一層の充実を図るとともに、事業者団体等に対し、再勧誘の禁止等の法令遵守の徹底について取組を促してきました。

 また、通信販売については、インターネット取引に係る消費者被害の増加を受けて、令和三年、二〇二一年特定商取引法改正により、詐欺的な定期購入商法への対策として、誤認表示による申込みの意思表示の取消し権に関する導入等を措置してまいりました。

 消費者庁といたしましては、引き続き、悪質商法や消費者被害の状況を注視するとともに、関係者とともに広く意見交換や情報収集を行いつつ、適切な検討を行ってまいります。

穀田委員 消費者庁は、昨年度予算で、今ありましたけれども、特商法執行に必要な違反事例の調査、分析、現在の商取引に関する実態調査を実施するとしていました。また、今年一月の消費者庁長官の記者会見で述べられていますが、特商法の各取引類型に係る海外の消費者保護体制の調査、デジタル化に対する国内外の政府機関等における消費者取引等に係る取引状況の調査など、特商法関連の調査を五つ実施したとのことであります。

 これらの調査は、何を目的にどのような調査を行って、そして、それらがどう具体的施策につながったのか、簡潔にお答えください。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 消費者庁では、昨年度予算により、特定商取引法の関連で五件の調査を行いました。

 まず、令和三年、二〇二一年改正特定商取引法の執行を充実する観点から、契約書面等の電子化に関する調査を二件実施し、事業者及び消費者の双方にとってより使いやすい制度となるよう、利用実態の把握に努めております。

 加えて、海外における各取引類型の取組状況等を取りまとめ、改正法の執行強化等に活用しております。

 また、デジタル化への対応を充実させる観点から、国内外の個別法における制度等に関する調査を二件実施し、政府による規制の状況や事業者等の自主的な取組、一律の行為規制による影響の把握方法など、様々なエビデンスを幅広く収集し、デジタル化時代における消費者取引対策に活用することとしております。

穀田委員 五つの内容を報告してくれただけで、何がどうやったんやというのがもうひとつよう分からんね。まあ、しゃあないでしょう。

 そこで、二〇二一年の改正のときに、通信販売の詐欺的な定期購入商法の対策が導入されました。ところが、特商法改正施行後も通信販売による定期購入の消費者トラブルは増加しているんですね。二〇二二年には、相談件数は七万五千四百七十八件と過去最多になっています。年齢層別では、三十歳以上の各年齢層で相談件数が増加しており、特に五十歳以上で大きく増加しています。

 消費者庁は実態をどこまでつかんでいるのか、二〇二一年の改正で導入された定期購入対策の効果は出ていると考えているのか、これも簡潔にお答えください。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 令和三年、二〇二一年の特商法改正では、インターネット上での詐欺的な定期購入商法対策として、最終確認画面における誤認表示の禁止規定や取消し権を創設し、適切な法執行と併せ、周知活動や注意喚起に努めてまいりました。

 令和五年、二〇二三年六月には、最終確認画面において定期購入契約でないと人を誤認させるような表示をしていたとして、通信販売業者に対する行政処分も行うなど、違反する事実があれば積極的な対処を行っております。

 また、定期購入に係る消費生活相談件数については、令和三年、二〇二一年の法改正後の周知活動等により、一時期は月一万件を超えるまでに増加したものの、現在では月六千件程度と横ばいとなっております。

 消費者庁としては、引き続き、特定商取引法に違反する事実がある場合には、法律に基づき厳正に対処し、消費者被害の防止に取り組んでまいります。

穀田委員 今お話がありましたように、周知活動や注意喚起に努めてきたとか、改正法に基づく執行を適切に行い、その遵守状況を確認していくということをいつも言うわけですよね。これは普通の語なんですよ、大体。国民生活センターでは、改正特商法施行後から再三にわたって注意喚起を発出しているにもかかわらず、相談件数が減らず、高止まりになっているのが現状なんですね。

 しかも、今どんなことが起こっているか御存じだと思うんですね。定期購入の支払い額が最初は安くて、その後がんと上がっていたというのだったんですけれども、この頃そうでもないんですよね。月に五千円程度払うというシステムをずっとうまくやっているんですね。だから、このくらいなら払っておいてよいかなということで、被害に遭っているということを自覚しない人が増えていると私は思っているんですね。

 だから、今お話があったように、高止まりしている現状を少し減ったと言っているけれども、その裏には物すごいそういう人たちがいるんじゃないかというのが私の問題意識なんですね。

 そこで、先ほどありませんでしたけれども、厳正な執行といつも言うんですけれども、どの程度頑張っているのかなと思ったら、二〇二一年法改正後、施行から約二年間で行政処分はたった四件なんですよね。だから、胸を張ってやってまっせという話を言えるほどええことないんですよ。

 先ほど私が言いましたように、報告があったことも指摘しました。二〇二二年の消費者被害・トラブルの推計額は、先ほど述べたように六兆五千億円なんですよね。これは、二〇二二年の名目GDP、五百五十九兆円の一%を超える。だから、消費者被害が経済活動に及ぼす影響として放置できない問題なんですね。

 そこで、消費者基本法第九条に基づき、消費者政策の大綱となる消費者基本計画があります。五か年計画を計画的に推進するために、具体的な施策の取組予定を定め、毎年度検証、制定している工程表があります。この工程表の重点項目の一つとして、特定商取引法の執行強化等があり、悪徳商法等による消費者被害を防止するため、一、特商法の厳正かつ適切な執行、二、関係諸機関との情報交換及び法執行における連携強化に取り組むということ。この具体的な施策の取組予定を毎年度検証、策定するのが工程表です。

 しかし、今年も来年以降も、前年の取組を引き続き実施するという一行のみなんですね。私は目を疑いましたよ。消費者庁が本気で悪質な事業者から国民の安心、安全を守ろうと考えているのかと。

 二〇二二年における全国の消費生活相談八十七万件、そのうち特商法を対象とした分野の相談は五五%以上にも上っているわけで、そして、この傾向は十年来変わっていないんですね。だから、新たな施策や具体的な取組もなく、これでどうやって工程表が掲げている悪質商法等による消費者被害の防止ができるというのか、その辺の考えを述べてください。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 国民生活センターによれば、二〇二三年度の最新の消費生活相談の件数は約八十八万件であり、うち特定商取引法に係る相談の件数は約五十二万件になります。なお、過去五年間における相談件数の増加は見られません。

 消費者庁としては、引き続き、特定商取引法の厳正かつ適切な執行により消費者被害の防止に努めてまいりますという答弁でありますけれども、まさに穀田委員のおっしゃるとおりでありまして、相手は大変巧妙であり、そして、消費者である国民が今なおこれだけの数の被害を被っていることでありますので、私も、答弁させていただいている副大臣という立場から、微力ではございますけれども、持ち帰りまして徹底的に調査し、そして、行政処分とまでは申しませんが、どこまでできるんだ、踏み込んだことをやるべきだということをお約束して、お答えとさせていただきます。

穀田委員 答弁の前半は私が言ったことと同じことを言っているので時間の無駄なんですけれども、お寺をお互い一緒に行っているという関係もございまして、それは私ごとですけれども。

 自見大臣は今国会で、そういう厳しい環境の著しい変化を踏まえて、消費者基本計画を策定するため、対応すべき事項の検討を進めてまいりますと述べているんですね。

 そこで、基本計画確定に向けた消費者庁の有識者懇談会が開かれて、その骨子が発表されています。そこには、相談現場の委員から、デジタル化により消費者被害の発生、拡大のスピードが増しており、現行の特商法では解決できない場面が多く発生しているとの報告がされています。今決意がありましたけれども。そして、消費者団体からは、マルチ取引の規制強化など、まさに現場では、高齢化やデジタル化の進展を踏まえて、消費者被害を拡大させまいと、特商法の抜本的な改正を求める意見が出されているが、骨子はそれらが十分に反映されたものとなっていないという意見が出されています。

 一昨日、消費者委員会において取りまとめられました意見では、長年消費者が悩まされてきた従来からの課題への抜本的な対策として、長年悩まされてきているわけですから、時代の変化に即した特商法の改正を次期基本計画の重点事項として優先的に取り組むべきと提言しているわけですね。具体的には、訪問販売や電話勧誘販売について事前拒否者に対する勧誘を禁止する制度や、マルチ商法の参入規制の導入が望まれるとし、新たな消費者基本計画には、相談現場の声、そして消費者団体の意見、そして消費者委員会の意見を十分反映させ、早急に実効ある特商法改正に踏み出す必要があるんじゃないか。

 先ほど、えらい頑張って決意を述べられましたので、そういうことを期待してよろしいな。

工藤副大臣 穀田委員にお答え申し上げます。

 先ほどの意見でありますし、今おっしゃられたとおりで、デジタル化、巧妙化、そして、先ほどの訪問販売、電話の通販、いろいろ問題があります。それに対応するためには、例えばAIを導入するとか、先ほど答弁の中で出ましたデジタル、例えば、インターネット、スマホでありましたら、画面を押してももう一度自分が断れるとか、そういうことを促しながら、消費者庁としては、これ以上消費者においてトラブルが出ないように喚起したい、そんな思いであります。

穀田委員 私は、今、消費者庁の存在意義が問われていると思うんですね。特商法が対象とする取引分野における消費者トラブルが先ほど述べたように五〇%を占めているということを踏まえれば、抜本的な改正が必要だ。

 そこで、最後、消費者基本法は何を書いているか。「消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利である」と記しているわけですね。残念ながらそういう対応をしているとはとても思いません。

 私は十年前に、健康食品の機能性表示をめぐって大臣と議論したんですね。そのときに私は、これは命に関わる問題だから、起こってからでは遅いと。私は危ないと言っている。大臣は大丈夫やと言うている。そういうことについて歴史が審判するでしょうと私は十年前に言ったんですよ。どうだったか。今まさに機能性表示という規制緩和がどういう事態をもたらしているかということになるわけですよ。

 だから、こういう問題は即刻手を打つ。そういう点でいうと、特商法の改正は絶対に早急な取組が必要だということを述べて、終わります。

     ――――◇―――――

勝俣委員長 次に、国際復興開発銀行協定の改正の受諾について承認を求めるの件、欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件及び千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の二千九年の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣上川陽子君。

    ―――――――――――――

 国際復興開発銀行協定の改正の受諾について承認を求めるの件

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件

 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の二千九年の改正の受諾について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

上川国務大臣 ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、国際復興開発銀行協定の改正の受諾について承認を求めるの件は、令和五年七月十日、国際復興開発銀行の総務会において改正が承認されました。

 この改正は、国際復興開発銀行の機能を強化することを目的として、協定上の融資の上限を撤廃することについて定めるものです。

 我が国がこの改正を受諾し、その早期発効に寄与することは、国際復興開発銀行における我が国の国際協力を増進する見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 次に、欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件は、令和五年五月十八日、欧州復興開発銀行の総務会において改正が承認されました。

 この改正は、欧州復興開発銀行の機能の強化を目的として、協定上の融資の上限を撤廃するとともに、同銀行の業務の地理的範囲を限られた数のサブサハラ・アフリカ諸国に拡大することについて定めるものです。

 我が国がこの改正を受諾することは、市場指向型経済への移行等を促進することを目的としてサブサハラ・アフリカ諸国に対する国際協力を一層推進する見地等から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 最後に、千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の二千九年の改正の受諾について承認を求めるの件は、平成二十一年十月三十日、同議定書の締約国会議において改正が採択されました。

 この改正は、締約国が、受入れ国との間で協定を締結すること等を条件として、海底下の地層への処分のため二酸化炭素を含んだガスの輸出を行うことができること等について定めるものです。

 二酸化炭素の貯留は、脱炭素化のための重要な手段の一つであり、我が国がこの改正を受諾することは、我が国の気候変動対策の推進の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

勝俣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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