第12号 令和6年5月17日(金曜日)
令和六年五月十七日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 勝俣 孝明君
理事 城内 実君 理事 鈴木 貴子君
理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君
理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君
理事 青柳 仁士君 理事 竹内 譲君
上杉謙太郎君 小田原 潔君
金子 容三君 神田 憲次君
黄川田仁志君 島尻安伊子君
高木 啓君 武井 俊輔君
中曽根康隆君 西銘恒三郎君
平沢 勝栄君 古川 康君
穂坂 泰君 本田 太郎君
宮路 拓馬君 柳本 顕君
小熊 慎司君 佐藤 公治君
松原 仁君 鈴木 敦君
徳永 久志君 和田有一朗君
金城 泰邦君 穀田 恵二君
吉良 州司君 塩谷 立君
…………………………………
外務大臣 上川 陽子君
外務副大臣 辻 清人君
防衛副大臣 鬼木 誠君
外務大臣政務官 穂坂 泰君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 猪原 誠司君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 志水 史雄君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君
政府参考人
(外務省大臣官房政策立案参事官) 金子万里子君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 長徳 英晶君
政府参考人
(外務省北米局長) 有馬 裕君
政府参考人
(外務省中南米局長) 野口 泰君
政府参考人
(外務省欧州局長) 中込 正志君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 山腰 俊博君
外務委員会専門員 大野雄一郎君
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 神田 憲次君
高村 正大君 中曽根康隆君
深澤 陽一君 高木 啓君
宮路 拓馬君 古川 康君
同日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 小田原 潔君
高木 啓君 金子 容三君
中曽根康隆君 本田 太郎君
古川 康君 宮路 拓馬君
同日
辞任 補欠選任
金子 容三君 深澤 陽一君
本田 太郎君 柳本 顕君
同日
辞任 補欠選任
柳本 顕君 高村 正大君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)
航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)
社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)
刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
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○勝俣委員長 これより会議を開きます。
日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長志水史雄君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○勝俣委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
○松原委員 おはようございます。
非常に頻繁に上川大臣に質問する機会をいただいておりまして、関係各位に心より感謝を申し上げる次第であります。
今日もまた様々質疑をするわけでありますが、上川大臣におかれては、もちろん、外務大臣という立場でここにいらっしゃっていることは承知をしておりますが、一人の日本人として真心こもった御答弁をしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思っております。質問は既に通告しておりますので、それに関して御自身の言葉で語っていただきたいということを冒頭、心よりお願いを申し上げる次第であります。
今日の日独の条約でありますが、この協定の締結により有事や緊急事態における支援体制も強化されるが、このことはインド太平洋地域における平和と安全の維持に貢献するとお考えかどうか、まず御所見をお伺いいたします。
○上川国務大臣 おはようございます。
ただいまの御質問でございますが、日独両国におきましては、自由、民主主義、人権及び法の支配、こうした基本的価値を共有する重要なパートナーであります。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けまして取り組む意思について共有しているところであります。
今回、日独間でACSAを締結することによりまして、自衛隊とドイツ軍隊との間におきます物品、役務の提供を円滑かつ迅速に行うことが可能となるわけであります。
近年、両国間におきましては、安全保障や防衛分野におきましての協力の実績が積み上がっているところであります。こうした中におきましてACSAを締結することは、我が国の安全保障のみならず、日独両国がインド太平洋地域を含みます国際社会の平和及び安全に積極的に寄与することにつながるものと考えております。
○松原委員 日本とドイツは類似していますが、ちょっと違うのかなということがありまして、両国とも中国の経済とは極めて大きな経済交流をしているということは事実であります。他方において、ドイツは中国からかなり離れておりますので、その地理的脅威は日本におけるそれとは大分違っているというふうに感じております。
そういった両国の立場の違いを超えながら、インド太平洋における自由な地域の維持のために頑張るということで、この条約は意味を持つだろうと私も思っております。
次に、航空機についてでありますが、日・ブラジル間において直行便がないのは大変残念だと思っております。
この直行便がないということは、私もブラジルに今から十年以上前に参りまして、ブラジルには日本から行った日系二世、三世がたくさんいらっしゃる。彼らは、昔は日本航空の直行便があったけれども、今はそれがない。今、韓国からのブラジルへの直行便はあるわけでありますが、日本からのものはないということでありまして、大変に現地の二世、三世の方は寂しい思いをしているわけであります。
こんなことも含めて、クロアチアとの間の協定締結承認についてお伺いいたします。
直行便が就航しやすくなると考えますが、同時に、このような協定があるところで直行便がないところはどこか、簡単にお伝えください。
○山腰政府参考人 お答え申し上げます。
二国間航空協定につきましては、両国間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものでございます。
我が国は、これまでに六十の航空協定を六十九か国・地域との間で締結してございます。そのうち、現在、我が国との間で直行便が運航されていない国、地域につきましては、ブラジルを含めて二十九か国となっているところでございます。
○松原委員 三番目の問いを先に、大臣にお伺いする前にいたします。
オープンスカイ、こういったところについても同様の質問を国交省政府参考人にお願いします。
○山腰政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、国際線の就航に関しまして、航空会社がそれぞれの判断で、需要に応じて弾力的に新規路線の開設、増便を行うことができる航空自由化、いわゆるオープンスカイを推進しているところでございます。これまでに三十五の国・地域との間でオープンスカイに合意して、自由化が実現をしております。
そのオープンスカイが実現しておりますこれら三十五の国・地域のうち、現在、我が国との間で直行便が運航されていない国、地域につきましては八つございまして、スウェーデン、ノルウェー、スペイン、ハンガリー、パプアニューギニア、ミャンマー、ラオス、カンボジアの八か国となっております。
○松原委員 ブラジルとはこのオープンスカイが締結されていないんですが、これを締結するべきだと私は思っております。御所見を政府参考人にお願いします。
○山腰政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの御答弁におきまして、我が国の推進するいわゆるオープンスカイとは、国際線の就航に関して、航空会社がそれぞれの判断で、需要に応じて弾力的に新規路線の開設、増便を行うことができる航空自由化であると御説明を申し上げました。
一方で、先生御指摘の我が国とブラジルとの間につきましては、現在でも一定の便数の運航が認められておりますため、オープンスカイとなっていない現在においても、航空会社の経営判断によって両国間に直行便を就航することは可能となっております。
国土交通省といたしましても、航空交通ネットワークの拡充は非常に重要な課題と認識をしております。委員からいただきました御指摘も踏まえながら、今後とも引き続いて、両国間の航空需要の状況も踏まえて適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
○松原委員 大臣に御質問いたしますが、直行便の就航というのは、極めて二国間の文化、経済交流などを促進し、両国民、二国間の国民相互の理解も深まる。ビジネスに観光、これも効率的に拡大し、経済も活性化する。他国との国際交流を活性化することも視野に入れ、今後は、直行便就航実現のため、日本政府として外交的に取り組むべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○上川国務大臣 各国と直行便を結ぶということについては、それぞれ民間の航空会社が、様々な需要、そしてその国との発展も含めて総合的に判断しながら決めるところであると思いますが、まさに国と国との関係性の中で、そうしたことにつきましては、私も外交の現場の中ではそうした要請も受けることがございまして、全ての国とというふうに申し上げるつもりはありませんが、でき得る限りの、そうした直行便を通じて、技術が進歩すれば長い時間飛べるわけでありますので、そういったことから、なるべく直行便を飛ばしていくということについては非常に重要な交流の要素の一つであるというふうに認識をしております。
○松原委員 重大なお話を承ったと思っております。
私は、海外との関係で、もちろん、純粋に支援をしようということでODA予算等が組まれているのは承知をしております。
しかし、ODA予算を、もちろん、積み上げで必要なものは必要であろうと思いますが、ODA予算で計上することも大事ですが、その一方、国費を投入して直行便を補助するということは、プライベートな全日空だ日本航空だがやっていますよという議論ではなくて、そこに国が援助をすることのメリットというのは、結果的に、さっき冒頭言ったように、大変重いわけであります。
その国との両国関係を構築するためには、従来の、それはプライベートカンパニーがやっているから勝手に頑張れという話ではなくて、ODA予算を変えろとは言いませんが、ODA予算に国費を投入するならば、同じように、直行便に一定の国費を投入することは極めて国益にかなうと私は思っているわけであります。
是非とも、今御答弁があったわけでありますから、御検討を外務省としてしていただきたいというふうに思っております。大臣、一言だけ、検討すると言ってください。
○上川国務大臣 今、ODA予算との絡みで委員御指摘をいただきましたが、そもそもODA予算でありますが、開発途上国の経済開発及び福祉の促進を主たる目的として相手国に供与されるものでありまして、既存のODA予算を直行便就航を目的とした民間企業向けの補助金に直接的に振り替えることは、予算制度上なかなか困難であると認識をしております。
その上ででありますが、例えば、今、ブラジルの件を冒頭委員から御指摘がありましたが、ODAを通じまして、両国間の人的交流また両国経済の活性化に資する取組を実施してきているところであります。
今後とも、両国の関係強化に向けまして、政府として、ODAも通じました外交的努力も重ねつつ、将来的な直行便の就航に期待してまいりたいと考えております。
○松原委員 ちょっと済みません。私の質問はODA云々ということではなくて、国費を投入することに、ODAをどうのこうのではなくて、ODAはODAで尊重しますよ、しかし、直行便を飛ばすことの国益的なメリットは大きいということを大臣に言ってもらいたかったので。ODAの予算をこっちへ振り向けろとは言いませんよ。でも、結果として国費ですから、国費で初めからそこに予算をつけるべきだということを私は言っている。その方がはるかに、いわゆる日本の様々な国際関係を強くする。
やはり、お金を出すのもそうですが、物を飛ばす方がはるかに日本とその国との紐帯を強くするのは事実でありますから、そのことは、大臣、明確に御認識をいただきたい。同じような答弁をされても時間がもったいないですから、今日は、後ろに座っている秘書官も今うなずいていましたから、だから、秘書官とよく相談して、こういったものはやるべきだというふうにおっしゃってください。
次の質問でありますが、刑事共助におけるブラジルとの間の問題であります。
国際社会において、グローバル化の進展により、国境を越えた犯罪も増加している中で、ブラジルとの間でも、より踏み込んで、容疑者や被告人の引渡しに関する規定を含む条約を成立させるべきと考える。外務省政府参考人、お答えをお願いします。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国との間で人的往来が増大する中、我が国で犯罪を行った後、母国に逃亡する来日外国人犯罪者の問題は、関係省庁と連携しつつ、政府として適切に取り組むべき重要な課題であるというふうに認識をしております。
その上で、犯罪人引渡条約をどの国と締結するかにつきましては、来日外国人犯罪者の問題のほか、相手国との犯罪人引渡しの具体的必要性の有無、犯罪人引渡しに関わる相手国の法制、相手国の刑事司法制度が適切に運用され、我が国から引き渡された者が不当な扱いを受けることがないか等、諸般の事情を勘案して検討していくこととしております。
ブラジルとの間では、いかなる対応が可能か、引き続き話合いを行っていく考えでございます。
○松原委員 時間がないので、次の質問は少し飛ばしながら、この犯人引渡し、日本は韓国とアメリカとのみ締約しているということであります。
今日はこの質問をいたしませんが、次回において竹島の問題をまた取り上げさせてもらいたいと思っておりますが、この竹島において、私は、ここは今日は言いっ放しです、竹島新法なるものを作るなりして、この間の二つの箇条を使うなりして、やはり上陸をした国会議員等に関しては明確にペナルティーを与えるべきだというふうに思っております。
その場合は、こういった韓国との間の、この締結したものも使って行動するべきであるということを強くこの場で、次回の質問にもつながりますが、申し上げておきたいと思っております。
次に、一九八四年十一月、ワシントン・ポストにおいて、米中が外交施設を相互に購入するための条件に同意したとある。これは相互主義によって行われているわけでありますが、外交施設について、アメリカのように、新たな相互主義に基づく立法は、日本として、一つの相互主義というものを考えたときに検討する必要があると思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○上川国務大臣 土地の利用、所有に関します法制度につきましては国によって異なるところでありますが、そもそも、外交関係に関するウィーン条約は、国家組織や社会制度に相違があるということを前提に、国を代表する外交使節団の任務の能率的な遂行を確保するために相互に遵守すべき規範を規定したものであります。
同条約上、外交使節団の設置におきましては、接受国及び派遣国の相互の同意によって行うこととされているところであります。条約にのっとりまして、我が国におきましても、外交使節団が公館設置のための土地を取得するには、日本政府の事前同意を得ることを条件としているところであります。
実際に、外交使節団から公館設置のための土地取得の同意申請があった場合におきましては、関係国内法令を参照しながら、同土地の取得が外交活動のための適切な取得であること等を厳格に審査した上で、同意の付与の是非を決定しているところでございます。
これらに鑑みまして、現時点におきまして、委員御指摘のような立法を検討することにつきましては考えておりません。
○松原委員 今るるお話がありましたが、相互主義というのは、米国はそれを行っているわけであります。アメリカは、中国大使館に土地所有権を与えていないわけであります。一般の、民間であれば土地所有権を与えている。こういったところを毅然とした方が、私は、中国の昨今の日本に対する対応を見ていると、こういったところからもきちっとしていく必要があるんだろうと思っております。
次の質問に移ります。FATFの日本に対する勧告。
FATFは、マネロンやテロ資金供与、拡散防止のための各国の権限ある当局は、適時に、法人の受益者所有及び支配について、十分で、正確なかつ時宜を得た情報を入手することができ、又はそのような情報にアクセスできることを確保すべきと言っている。日本に対しては、法人について、正確かつ最新の実質的支配者情報はまだ一様に得られていないと指摘している。
政府は、実質的支配者リスト制度の利用促進を図るとともに、法人の実質的支配者の情報を一元的、継続的かつ正確な把握を可能とする枠組みに関する制度整備に向けた検討を進める旨述べていたが、現状はどうなっているか、簡潔にお答えください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法人の実質的支配者の情報を把握、管理する制度の構築については、政府全体として検討すべき課題と認識しておりますが、今年の四月十七日に、関係省庁で構成されるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議において、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(二〇二四―二〇二六年度)が決定、公開されております。
この行動計画においては、法人等の悪用防止に関して、法人の実質的支配者情報に関する制度整備に向けた検討を推進しながら、株式会社が自らの実質的支配者情報を特定するため、株主である他の株式会社の実質的支配者リストを活用する方策の検討や、実質的支配者リスト制度につき、金融機関等による直接の確認等の検討を含む制度の利便性の向上、商業登記制度との連携により実質的支配者リスト制度の活用場面の確保などに取り組むこととしております。
法務省としても、行動計画に基づき、関係省庁と連携しつつ、必要な取組を進めてまいります。
○松原委員 これはニュースとして入っていると思いますが、フランス裁判所は十五日、主要ワイン生産地ボルドーで九か所のシャトーを保有している中国人富豪、これはマネロンの疑いがあるとして、シャトーを没収するという判決を言い渡したわけであります。細かいことは時間の都合上言いませんが、フランスのこういった、いわゆるマネロンの観点から中国の不動産の没収等を既に行っている。アメリカも同じだろうと承知をしております。
マネーロンダリングやテロ資金供与、拡散が法人を介して行われる危険があると同様に、不動産取引も多額の金銭を取引されることから、同様の危険を有している。まさにフランスの今回の事例はこのことを証左している。
この点、イギリスは経済犯罪法を令和四年、二〇二二年に制定し、これは大事ですね、外国の法人がイギリスで不動産を所有又は取得する場合、イギリスで登記された外国の法人に限り所有権移転、登記を受けられることとした。これは極めて重要な指摘であります。
その上で、大臣にお伺いしますが、日本政府も戦略的視点を持って、イギリス同様、外国法人の不動産取引を規制していくべきではないか。御答弁をお願いします。
○上川国務大臣 今委員御指摘のイギリスにおきます経済犯罪法につきましては、二〇二二年の三月に、同国におきまして、資金洗浄への対応等を強化するために制定されたものと承知をしております。
同法によりましては、新たな法人登記制度が設けられまして、英国内に不動産を所有し、また所有しようとする外国法人に対しまして、実質的支配者の申告等が義務づけられたものと承知をしております。この措置によりまして、実質的支配者が、不明の外国法人による不動産売買等を通じました資金洗浄を防ぐことが狙いであると認識をしております。
マネロン、テロ資金供与、拡散金融対策は国際社会におきましての重要な課題でありまして、英国ほか主要国の政策等、国際的動向を引き続き注視しつつ、政府として適切に対応してまいりたいと考えております。
○松原委員 政府として適切に対応していただきたいと思っております。イギリスがこのような経済犯罪法を成立させた、そして、日本の政府もこういったものに続くということは、私は、同じ価値を有する国々の連携の中では極めて重要なことであるというふうに思っておりますので。今大臣は、こういったものも検討するやの発言だというふうに聞いております。フランスもやった、イギリスはそのような法律を作っている、日本もこれを作ると。
パナマとかに本社がある会社なんか、全く何が何だか分からない者が東京の不動産も随分持っているということは、既に私が質問主意書で発言をしたとおりであります。中にはロシアの者が事実上不動産の実質的所有者ではないかというようなことも、この場では申し上げませんが、指摘をしたところであります。
こういったことが非常にたくさんあるということ自体が、日本に対しての諸外国の懸念というか、日本は全くそういったものに対して厳しく対応していないというふうなことになってしまうと思っておりまして、是非とも、このイギリスにおける法律等も参考にしながら、大臣はまさに内閣の一員として全ての法律に対しても責任を負う立場でありますから、こういった法律を作っていただきたいと心からお願いを申し上げます。
何かあれば、大臣、一言。
○上川国務大臣 今御指摘の点でございますが、法人の実質的支配者に関する情報の把握、管理といった観点から、まさに関係省庁におきまして法整備、制度整備に向けました検討を行っているところでございまして、外務省としてもその議論に積極的に参加してまいりたいと考えております。
○松原委員 本当にすばらしい御答弁であります。よろしくお願いしたいと思っております。
次に、原爆投下の問題についてお伺いいたします。
日本原水爆被害者団体協議会が、グラハム上院議員による広島、長崎への原爆投下を正当化する主張に対し、発言の撤回を求める抗議文をアメリカ大使館へ送ったというふうに聞いております。大臣のコメントをお伺いします。
○上川国務大臣 これまでこの委員会におきましてお伝えしているとおりでありますが、グラハム上院議員が現下の中東情勢の文脈におきまして広島、長崎に対します原爆投下を引用した議論を提起したことにつきましては適切ではなかったと考えており、受け入れられないことであります。上院議員がこのような発言を繰り返したことにつきまして、極めて残念に思っているところであります。
唯一の戦争被爆国でございます。核兵器によります広島、長崎の惨禍は決して繰り返してはならない、こうした信念の下、被爆の実相の正確な理解を促進するため、グラハム議員側とは意思疎通を重ね、日本側の考えをしっかり申し入れてきているところであります。
○松原委員 私が質問した意味は違うのでして、この次の質問にもありますが、投下した側の責任を問わない姿勢がこうした発言になって繰り返されるのであって、この被爆団体は抗議をした。僕は大臣に抗議をしろとは言いませんよ、なかなか抗議しないんだから。ただ、抗議をしたということについて、それは理解するぐらいおっしゃっていただきたいんですよ。今みたいなト書きの長い御答弁ではなくて、率直に、一人の日本人として、抗議をしたことは理解できるぐらいおっしゃっていただけませんか。
○上川国務大臣 日本原水爆被害者団体協議会によります抗議文の送付につきましては承知をしております。
この点も含めまして、引き続き、被爆の実相の正確な理解を促進するため、不断の努力を行ってまいりたいと考えております。
○松原委員 理解するぐらいおっしゃっていただいた方が、被爆国の外務大臣としてはふさわしいと思っておりますが。
次に、アメリカというのは、上院、下院、極めて世界において強烈な力を持っている。そこに、徹底して、我々が、日本の国の意思を、我々の立場、我々の主張、あえて抗議という言葉を使いたくないんでしょう、抗議とは言いませんが、我々のそういった思いを伝えることが必要だと思っております。
私は、グラハムさんの発言がこのように繰り返されることを含めて、従来もされていたかもしれませんが、今後は、気合を入れて、もっとそういったことをやっていかなければいけないと思っております。局長、答弁をお願いします。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
外務省としては、これまでも、我が国の立場や政策について米国議会関係者の理解を得るべく、現地の大使館、総領事館を通じ、また様々な人脈を活用して、日頃から広く米国連邦議会議員等との関係構築に努めてきているところでございます。また、連邦議会議員等の訪日の機会を捉え、我が国の経済、社会及び文化への理解を促進する取組を行うとともに、我が国及び国際社会が直面する諸課題について意見交換を行うなど、我が国の立場への理解、支持の獲得に努めてきております。
今後、ただいまの委員の御指摘も踏まえ、外務省として、より多くの米国連邦議会議員等に我が国の立場と政策の理解を得るべく、大使館、総領事館、さらには様々な人脈を活用して、議会関係者とのより一層の関係強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○松原委員 より一層の関係強化に努める、そのところだけ、もう一回反復して答弁してください。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
今後、より一層の議会関係者等との関係強化に努めてまいりたいと考えております。
○松原委員 局長、この委員会でより一層と言った以上、より一層やってくださいよ。外交上の様々なことがあるのは承知していますから、人数をこうしろああしろとか、どういう流れでやれとか、それはもうお任せします。
少なくとも、グラハムさんの発言やオースティンさんやブラウンさんの発言は、我々の活動が無駄であったとは言いたくない、でも、十分に必要十分なものであったとは残念ながら言えない。非常に残念であります。こういったことで日米の同盟関係が毀損してしまうということになれば、それは外務省の失点になる。だからこそ、今、より一層やりますと、私は信じていますから、より一層やってください。
もう一回繰り返し答弁してください、大事なところですから。より一層やりますと。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
より一層の関係強化に努めてまいりたいと考えております。
○松原委員 武士に二言がないというわけではありませんが、言った以上はやってください。
次に、さきの委員会における政府参考人の答弁で、ハーグ陸戦条約は戦争参加国が全て加盟していないと適用ではないとされています。
ちょっとお伺いしますが、アメリカが日本に原爆を落としたとき、それは、私の認識では、その瞬間においてアメリカと日本が戦っていて原爆を落とされた、こういう認識であります。
ちょっと時間の都合で、質問を飛ばしながら質問いたします。
原爆を投下したのはB29爆撃機であって、同機は米国の機体ではなく連合国の機体というふうに御認識をしているわけではないと思っております。アメリカの爆撃機だったと私は承知しております。原爆投下を意思決定したのはトルーマン米国大統領であり、他の連合国の人間ではなかったと私は思っております。
トルーマン大統領以外に他国の指導者が原爆投下の意思決定に関与したのか、こういったことも含めて、これは六ページの問いの三でありますが、答弁をお願いいたします。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
B29爆撃機は、米国陸軍の所属であったと承知しております。トルーマン大統領以外の他国の指導者で原爆投下の意思決定に関与した指導者が存在したかは、承知しておりません。
また、原爆が投下された時点におきまして、日本は、英国、中国、当時の中華民国でございますが、及びオーストラリアといった米国以外の国とも交戦をしておりました。その上で、さきの大戦においては幾つかの交戦国がハーグ陸戦条約に加入しておらず、同条約が、原爆投下を含め、さきの大戦に適用されるかについては疑問があると考えております。
○松原委員 そう来るだろうと思っていましたが、それは議論があるんですよね。日米二国間で原爆投下を判断できるという議論も法学者の中にあるということはこの場で明確に申し上げておきたいし、この問題については更に議論していきたい。
ただ、その上で、東京裁判を含む裁判において、連合国は、平和に対する罪、従来の戦争犯罪、人道に対する罪、三つの罪状で日本を裁いた。ドイツに対しても、ニュルンベルクでそうであります。
これは質問通告はしていませんが、余りにも納得できないので聞いているんですよ。人道に対する罪で東京裁判でそういった処断が下されたということは、お伺いしますが、当時において慣習法としてハーグ陸戦条約が既に認められていたがゆえに、人道に対する罪ということが連合国のいわゆる戦争に負けた国に対する処断として行われたのではないか。御所見をお伺いいたします。
○中村政府参考人 お答えいたします。
お尋ねで言及のありました裁判の中で、日本が当事者でありました極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判に関してでございますが、判決文におきましてハーグ陸戦条約等について言及がございます。そこでは、与えられた事態に適用されるべき慣習国際法を決定するに当たって裁判所が考慮に入れるべきものとして、そのハーグ陸戦条約等に言及しているということです。換言いたしますと、東京裁判の裁判所はハーグ陸戦条約を参考とした上で慣習国際法の内容を決定する、こういう趣旨を述べているということでございます。
いずれにいたしましても、そのハーグ陸戦条約の附属書である陸戦法規、これがさきの大戦の時点で慣習国際法化していた、こういう議論があることも承知してございますが、その具体的な条項が当時どこまで慣習国際法化していたか、この点につきましては様々な議論がありまして、一概にお答えすることが困難であるということでございます。
その上ででございますが、原爆投下についての政府の認識は以前から申し上げているとおりで、問題がなかったと申し上げているわけではございません。極めて広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態を生じさせたものと認識しておりますし、その上で、かねてから明らかにしてきましたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しない、このように認識しているところでございます。
○松原委員 かなり正確な答弁だと思って、評価します。
ただ、要するに、ハーグ陸戦条約の二十二条と二十三条のホですが、これは、該当するという議論は全くもって成立をする。それは否定される議論ではなくて、それはいろいろな議論があるけれども、成立する議論でもある。しかも、私が今指摘したように、東京裁判において人道に対する罪が大きなコンセプトになった以上は、これは慣習法として認められていたという判断を日本はするべきだろうというふうに思っております。
質問の順序がちょっと飛んだりしますが、時間もないので申し上げますが、パール判事が、事後法による日本の東京裁判を、それはとんでもない、こういうふうに言って帰ったわけでありますが、彼が戦後日本を訪問したとき、東京裁判の後ですね、私が日本に同情ある判決を行ったと考えられるならば、それはとんでもない誤解である、私は、日本の同情者として判決したのでもなく、西欧を憎んで判決したのでもない、真実を真実と認め、これに対する私の信ずる正しい法を適用したにすぎない、それ以上のものでも、またそれ以下でもないとパールさんは言っている。これを重要に、かみしめるべきですよ。外務省は、上川大臣、この言葉を大臣薫陶で外務省職員に言うべきですよ、毎年。それぐらいの重みがあると思っている。
その上で、パール判事は言っている。日本とドイツに起きたこの二つの国際軍事裁判を、他の国の法律学者がこのように重大問題として真剣に取り上げているのに、肝腎の日本においてこれが一向に問題視されていないということはどうしたことかとパールさんが言っている。
これは敗戦の副産物ではないかと思う。すなわち、一つ、戦争の破壊が余りに悲惨で打撃が大きかったため、生活そのものに追われて思考の余地を失ったこと。二つには、アメリカの巧妙な占領政策と戦時宣伝、心理作戦に災いされて、過去の一切が誤りであったという罪悪感に陥り、バックボーンを抜かれて無気力になってしまったことであるとパールさんは言っています。私は、これは極めて正しい洞察だと思っております。
今日は時間がないから、戦後の米国がどのような情報統制をしたのか、どのような検閲をしたのか。これは江藤さんの本にも書いてありますが、そういうことはこの場で述べません、もう時間がかなり切迫しております。
ただ、外務省の皆さんにおかれては、外務大臣はもとより、このパール判事がおっしゃったこと、これを抜本的に我々は考えていかなければ、日本のいわゆる精神的な再興や本当の経済の活性化はなかなか難しいんだろうなということを明確に申し上げておきたいと思っております。
天皇陛下のお言葉に、十五日のお言葉でありますが、「新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル」という言葉もあります。私は、こういったこと、戦前を見向きしないのではなく、きちっとこういったことも含めて考えていかなければ、日本の歴史のために命を失った方々に対しても申し訳ないし、我々の今後の大きな活躍もなかなか難しいと思っております。
時間がもう少しありますから申し上げますが、東京裁判では、アメリカの弁護士ブルース・ブレークニーは、この原爆投下について議論しております。原爆投下において議論して、とんでもないと。アメリカというのはやはり大変な国ですよ、とんでもないと明確に言うんですから。
ただ、これは、東京裁判のこの辺も、是非外務省の皆さんには勉強してほしいわけでありますが、残念ながら、ブレークニー弁護士の原爆を使用したことを批判したこの文章は、裁判官により法廷記録から抹消されているということも明確に皆さんは考えていただきたいと思っております。
時間もあれなんですが、東京大空襲について、一点だけお伺いいたしたいと思っております。
東京大空襲、これは国際人道法、この中で、今言ったハーグ陸戦条約もそうですが、これによって多くの無辜の、まさに今の天皇陛下の言葉は無辜のという、これは原爆についての話でありますが、無辜の国民が民間人区別なく攻撃された、これは完全に国際慣習法として禁止されているとされています。
東京大空襲、これはすごい回数来ているんですよね。三月九日、三百機以上のB29、以降百三十回、五十万人を超える一般市民が殺りくされた。彼らの無念の思いを胸にしたとき、やはりそれは歴史がたったとしても、このことを我々は全く忘れ去ることをしてはならないと思っています。それは、我々が腰に力を入れて、日本の未来の歴史をつくる上にも必要なことだと私は思っております。
その上で、東京大空襲はかかる国際人道法に違反していると考えるが、大臣の御所見をお伺いします。九ページの六番です。
○上川国務大臣 お尋ねの東京大空襲が当時の国際法に違反していたかどうかにつきましては、確定的に述べることは困難でございます。
一方、東京大空襲が国際法上全く問題がなかったと述べているわけではございませんで、国際法の根底にあります基本思想の一つたる人道主義に合致しないものであったと考えております。
○松原委員 次の質問者が来ていますので、これ以上言いませんが。
大臣、東京裁判はこのようにして人道に対する罪というのを大項目で挙げているんですよ。逆に言えば、この言葉は、人道に対する明らかな罪であるということは、大臣も認めているということであります。
このことは、我々が、時間もたって、さっきのパールさんの言葉じゃないけれども、もう戦後八十年です。こういったものをもう一回見直していかなければ、日本人が本来魂の中に持つ力が出てこないと思っております。それを先導するのは外務省の外交上における行動であるということを今日の後ろに座っている外務省の皆様に強く申し上げて、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○勝俣委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約について質問をさせていただきます。
ただ、今日、大分大事な条約が多くて、これだけ束ねられるというのは本当はしんどくて、充実した審議にする上では少しばらしてもらってもよかったなというのは、委員長、筆頭に、また理事の皆さんにも申し上げておきたいなと思います。
質問に移りますけれども、もちろん条約がなくても捜査の協力関係とか犯人の引渡しなどは行われる、外交ルートを通じたり、それぞれの国内法で処理はされるわけでありますけれども、やはりそこにはスピード感や、いろいろな余計な労力がかかってしまうというところがあるので、これをしっかりスピーディーにやっていこう、効率的にやっていこうということで、こういう条約を結んできているところであります。
また、今国際化が進展しているところでもあり、また日本においてはインバウンドも増えてきている、また、先日質疑をさせていただいた外国人労働者も増えてくるということであれば、こうしたものをしっかり、条約をいろいろな国とやっていくということが望まれるところでありますけれども、今後、ほかの国と更にどう拡大してこういった条約を締結していくのか、お聞きいたします。
○上川国務大臣 これまでに、我が国は、米国、韓国、中国、香港、欧州連合、ロシア及びベトナムとの間におきまして刑事共助条約を締結しております。また、国際的な組織犯罪やサイバー犯罪などの特定の分野の犯罪につきましては、多数国間条約の締結を通じまして、諸外国との協力を進めてきているところであります。
今後の刑事共助条約の締結につきましては、まずは、現在、カナダとの間におきまして、条約の締結に向けました交渉を着実に進めてまいりたいと考えております。
更なる交渉につきましては、刑事共助条約の締結の意義、相手国の刑事司法制度、必要性、実施可能性などを総合的に勘案して検討を行ってまいりたいと考えております。
○小熊委員 うちの党の部会でも説明を受けましたけれども、起きている犯罪の状況とかを含めて、しっかり優先順位をつけてやっているということであります。まして、今、ネット犯罪などを含めて、海外が拠点となっている。この間、フィリピンのがありましたけれども、ああいうこともあるので、是非これはいろいろな形で拡大をしていってほしいなと思っています。
一方で、プラスアルファ、先ほど松原委員も少し触れましたけれども、犯人の引渡条約、日本はアメリカと韓国のみで、ほかの国は百か国前後と結んでいる国が多いわけでありますけれども、先進国の中では日本は極端に少ない。これは、一部には、死刑存置国であるから、これがなかなか結べないという法曹界の指摘もあります。
そういった点を含めて、本来であれば、この刑事共助条約と引渡条約を一緒にやっていかないと、国際的な犯罪にしっかり対応できているとは言えないわけであります。もちろん条約がなくても引渡ししてもらえるのもあるけれども、言ったとおり、これは刑事共助条約と同じように、余計な手間がかかってしまうし、やらないよと言えば、犯人は返ってこないわけですよ。あのカルロス・ゴーンさんなんかもそうですよね。
やはり、引渡条約締結に向けて、もっと日本は努力しなきゃいけないけれども、極端に少な過ぎる。その要因、原因についてお答えください。
○上川国務大臣 他国が犯罪人引渡条約の締結に関しましてどのように考えているかにつきましては、我が国政府の立場からお答えすることにつきましては差し控えたいというふうに思います。
その上で、一般論として申し上げれば、犯罪人引渡条約におきましては、引渡しの拒否事由に関する規定が含まれておりまして、死刑に関する拒否事由が設けられることもあるため、死刑制度それ自体が必ずしも犯罪人引渡条約の締結の支障になるわけではないものと考えております。
いずれにいたしましても、我が国の方針といたしましては、犯罪人引渡条約を締結するかにつきましては、相手国との犯罪人引渡しの具体的必要性の有無や、相手国の刑事司法制度が適切に運用されることにより、我が国から引き渡された者が不当な扱いを受けることがないかといった点など、諸般の事情を総合的に勘案して判断していく、こうした考えでございます。
○小熊委員 ちょっとお聞きしますけれども、分からないということではありますが、では、ちょっと質問の角度を変えて。
死刑存置国であることによって外交上のいろいろな影響があるというふうに私は思いますし、ここにいる鈴木貴子議員と、また、ちょっと離席していますけれども、平沢議員が会長を務めている死刑制度を考える超党派の議員連盟の中でも、英国大使が、死刑制度があることによって外交上いろいろな不利益があると公言をされて、その後、我々議連としては、直接その真意をおただししたこともあります。この委員会でも何回か質疑しましたけれども、過日の日豪の円滑化協定でも、死刑があることによって数年間止まってしまっていたということもありました。
そういう意味では、死刑存置国であることによっていろいろな外交上の影響があるのは事実です。この間、カナダの議員の方々が来て、交流させていただいたときに、日本の死刑があるという話に、えっ、うそでしょう、知らなかったというふうに驚きを持って受け止められました。今度、刑事共助条約をやるということでありますが。
外交上、死刑存置国ということでいろいろな影響があるというふうには、大臣、認識されていますか。
○上川国務大臣 認識しているかどうかとの御質問でありますが、今のようなやり取りにつきましては、私も直接そうした意見を伺ったことがございますし、この立場ということではなく、これまでもということでありますし、そういう議論あるいは意見表明、こういったことについては承知をしております。
○小熊委員 承知している上で、どうしなきゃいけないかという見解はお持ちですか。
○上川国務大臣 死刑制度の存廃についてということの御質問かというふうに思いますが、これは、今申し上げた国際機関における議論の状況、また諸外国における動向などを参考にしつつも、基本的には、それぞれ各国、国の中で決定すべき問題であると認識しておりますので、国民の感情でありますとか、犯罪の情勢でありますとか、また刑事政策の在り方、こういったことも踏まえまして独自に決定すべき問題であると認識をしているところであります。
○小熊委員 大臣は法務大臣も経験しておられますから、いろいろな知見もあるとは思いますけれども、岸田内閣全体として検討していただきたいのは、死刑存置国であるということの是非をもう一回しっかり考え直していただきたいということ。
あとは、度々、死刑について政府の見解、コメントが寄せられるときに、今言った世論の状況というのも、我々議連としても、法務省のアンケートの取り方はちょっと偏っている、ちゃんと国民意識を表していないということも指摘をさせていただいています。
あと、度々、死刑が執行されたときに、官房副長官なりがコメントを寄せるときに、犯罪抑止になっているというのを言っていますけれども、それは、我々はいろいろ研究させていただいた上では、肯定するわけにいかないのは、科学的根拠が一切ありません。根拠がないことを取って犯罪抑止につながっていると言うことは政府見解としては今後二度と使わないように、これは岸田内閣の中でしっかり検証していただきたいというふうに思います。
次に移りますけれども、昨日、今日と、ロシアのプーチン大統領が北京を訪れて、習近平国家主席と会談をされたりして、共同声明を発しましたけれども、この共同声明に対して、日本政府としての見解をお伺いします。
○上川国務大臣 五月十六日に北京で中ロ首脳会談が行われまして、同会談後に、国交樹立七十五周年に際する新時代の包括的戦略的連携パートナーシップの深化に関する共同声明が署名、発表されたと承知をしております。
この共同声明におきましては、例えば、中ロは、合同演習と戦闘訓練の規模を拡大するとあり、また、軍事面での連携を一層強化する意向が示されております。こうした動きにつきましては、我が国周辺における安全保障上の観点から重大な懸念を持って注視しているところであります。
また、ウクライナ情勢に関しまして、危機の解決において建設的な役割を果たすという中国側の用意をロシアは歓迎する等の記述があることについても注視しているところであります。
いずれにいたしましても、我が国といたしましては、今回の共同声明がどのように実行に移されていくのかを含めまして、今後の中ロ関係の進展について、引き続き大きな関心を持って注視してまいりたいと考えております。
○小熊委員 見解はそれだけですか。
その見解は別に否定はしないけれども、この共同声明に対する日本政府の見解として足りていない。とんでもないことを声明に織り込んでいる。東電の福島原発の処理水を核汚染水と言って、国際的な厳しい監視下に置けと言っているんですよ。
これは、見解全体の中での今のあれでしたけれども、日本政府として、ここはしっかり抗議すべき点じゃないですか。もう一回。
○上川国務大臣 所感ということで御質問がございましたので、今、全体観の中で、全体の中で特にそうした部分について言及しつつも、全体の所感を申し上げたところであります。
今回、中ロ両国が共同声明におきまして、ALPS処理水の海洋放出について事実に反する言及を行ったことは、大変遺憾と考えております。翌十六日でありますが、外交ルートを通じまして、中国側、ロシア側双方に抗議を行ったところであります。
○小熊委員 私も日中の様々な友好的な議連に参加させていただいて、中国の政府関係者と、外交部の人でしたけれども、科学的根拠では言っていないよ、政治案件だからとはっきり言われたことがあります。福島の事故のことを、人の不幸にかこつけて政治的なパフォーマンスに使うというのは本当に下劣な行為だというふうに思いますので、外交ルートを通じて抗議したということでありますが、中国は度重なるこういう表現があるわけです。
まして、トリチウム水だけでいえば、中国は、基準値を超える、福島沖での海洋放出の九倍もの物を流していて、国際基準を超えてですよ。そういうことも併せて抗議しなきゃいけない。
これは具体的にどういう外交ルートで、誰に言ったんですか。確認させてください。
○中村政府参考人 お答えいたします。
ただいま上川大臣から御答弁申し上げた抗議でございますが、中国に対しては、外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第二課長から在京中国大使館の参事官、ロシアに対しましては、外務省欧州局日露経済室長から在京ロシア大使館の参事官に、それぞれ抗議いたしました。
○小熊委員 これは大使を呼んで抗議すべきぐらいのことだと思いますよ。だって、安倍政権以来、自民党、公明党さんの政権は、全閣僚が復興大臣だと思って当たっていきますと言っているんですよ。言葉はいいから、行動に移してもらいたい。大使を呼んでやるべき案件じゃないか。参事官じゃないよ、こんなの。
どうですか、大臣、もう一段上げて抗議すべきじゃないですか。しかも、これは一政治家が発言したとかじゃなくて、両国のトップが共同声明であげつらっているんです。もっと強い抗議の仕方があると思いますが、大臣、もう一回。
○上川国務大臣 ALPS処理水の海洋放出につきましては科学的根拠に基づくことでありますので、そのことにつきましても再三にわたりまして、私も、あらゆる、全てのと言ってもいいぐらいな形で申し上げているところでありますし、その理解のために現場に行っていただくということについても動いているところであります。
こういった背景の上で今回のことが起きている、共同声明に盛り込まれたということについては、先ほど申し上げたとおり、大変遺憾であるというふうに思っております。
どのようなルートで、どのような形で申し入れるのかということについては、これまでもあらゆるルートでやってきているところでありますので、適切な対応を更に加えることができるように、声明に対しての抗議と同時に、対国際社会においてもしっかりと発信していかなければいけないというふうに思っておりますので、この件についてはいろいろな形で動いてきておりますので、検討してまいりたいと思います。
○小熊委員 あと、間違った情報発信になると、本当に福島の国際的な風評被害につながるところでもありますし、あと、今回の声明では国際的な監視と言っているけれども、IAEAのタスクフォースでずっと継続してチェックしてもらうんですよ。それもやっていないみたいな印象になっちゃっている。客観的にいろいろな検証をしていないというような、こういった間違った情報発信にもなっているというところもしっかり指摘をしてもらわなきゃいけないと思うんです。
日本だけが言っている話じゃないです。国際機関のちゃんと科学的なレビューをもってして処理しているわけでしょう。今回、その点についても抗議したか、ちゃんとやっていますよと。事実に基づかない発信をするなと、そこも指摘しましたか、ただ単に遺憾ですと言うんじゃなくて。そこまで踏み込んだか。それはどうですか、参考人。
○中村政府参考人 お答えいたします。
詳細について逐一立ち入ることは差し控えますけれども、今回の共同声明の記述が御指摘の点も含めて事実に反しているということは、大臣から御答弁をしたとおり、累次説明してきておりますので、そうした累次、従来からの説明、日本政府の認識も踏まえて申入れを行った、抗議したということでございます。
○小熊委員 国際機関だからあれですけれども、本当はIAEAからも、ちゃんとやっていますよとロシアと中国に言ってもらいたいと思う。
先ほど言ったとおり、これは分かっていて言っている話だから、政治的に発言しているだけで、両国だって、それは、実際は衛星を宇宙に飛ばすような科学技術を持っていながら、こんな科学的根拠を知らないなんていうわけじゃないわけですよ。
だから、科学的根拠を持って説明しているというのも、それは表向きの話で、実際は政治的な裏があっての、はっきり言えばバッシングですから。これは絶対許しちゃいけない。はっきり言えば低俗な政治的な思惑ですから、これは絶対許しちゃいけない案件ですから、より厳しい態度で臨んでほしいし。科学的にどうこうというのはもちろん説明しなきゃいけない、それは彼らも知っていますから。
政治的にどう厳しく言うかということですよ、分かっていてやっているんだから。本当はあれだけの科学的な知見を持った両国であるのに、本当に低俗で、本当にこれは義憤を感じざるを得ません。こうした福島県の思いを是非しっかり持った上で対応していっていただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
まず、刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約について伺わせてください。
ブラジルとの刑事関係というと、やはり思い出すのは、二〇二二年八月、堺市で起きた奥さんとお子さんを殺害した殺人事件かなとも思います。これは覚えていらっしゃる方もいるかと思うんですけれども、堺市東区のマンションで、当時、日本人の二十九歳の奥さんと三歳の長女が刺されて死亡していることが見つかったという痛ましいものなんですけれども、この刺した本人、夫は、事件が発覚する直前にブラジル本国に逃走してしまった。
大阪府警の方も容疑者を殺人容疑で国際手配して、翌年の三月になって、ブラジルの連邦警察がサンパウロ市内でようやく逮捕した。テレビ朝日の当時の報道を見ると、この男が確保されたときには、もう現地で仕事に就いていたというんですね。出頭もするつもりだとか言っているんですけれども、言い方を変えれば、つまり、ブラジルに逃げちゃった後はほぼ自由な状態で生活をしていたということになります。
亡くなったお二人の御冥福をお祈りするとともに、日本とブラジル、それぞれの捜査員の皆さんの御苦労は大変なことだったんだろうなとお察しするんですが、ブラジルとの間の犯罪捜査というのは本当にハードルが高いんだろうなと改めて思う事件でもございました。
そこで、まず伺いたいのは、この条約が結ばれることによって、国と国というよりも、現場レベルの捜査員の皆さんにとってはどう捜査しやすくなるんでしょうか。
○猪原政府参考人 お答えいたします。
現場といたしましても、この条約の締結により、ブラジルに対して請求する共助が条約上の義務として一層確実に実施されるとともに、中央当局間で直接やり取りが行えるようになることで、共助の効率化、迅速化が期待されるものと考えております。
警察といたしましては、この刑事共助条約を効果的に活用して、ブラジルとの捜査協力における連携強化に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 義務化ということでかなりやりやすくなるということだったんですけれども。
ただ、同時に、条約の締結に何でこれだけ時間がかかってしまったのかという疑問もございます。
例えば、一九九九年に静岡県で起きた死亡ひき逃げ事件の容疑者も、ブラジルへ逃げてしまいました。また、同じ静岡県で二〇〇五年には強盗殺人事件が発生しています。この強盗殺人事件の容疑者も、同じくブラジルへ逃げてしまいました。でも、結局、この二つのケースとも代理処罰という形で法が執行されたんですけれども、当時からこうした共助協定があれば、もっとスムーズにいけたのかなとも思っております。
そこで伺いたいんですが、来日ブラジル人の犯罪検挙数自体は減少傾向にある。九〇年代は、御案内のように、入管法が改正されて、いろいろなブラジル人が入ってきた時代がありましたけれども、あの頃の方が今よりはるかにニーズはあったと思うんですけれども、なぜ締結にこれだけ長い時間がかかってしまったんでしょうか。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
日・ブラジル両国間では、二〇〇七年から、司法作業部会において、刑事共助を含む司法分野について議論が行われてきました。その中で、同作業部会のテーマの一つでありました受刑者移送条約の交渉が先に開始され、二〇一六年二月に発効したところであります。
刑事共助条約につきましては、同作業部会において協力推進の必要性が高いとの意見で一致しまして、二〇二二年に予備協議を実施し、交渉に至ったところであります。
○鈴木(庸)委員 この法令の中に、自国の法令によれば犯罪を構成しないと認める場合においては、共助を拒否することができるとあるんですが、この拒否するケースということについては、どういった場合を想定されていますでしょうか。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
この条約の第三条におきまして、被請求国が共助の請求を拒否できる場合として、「被請求国が、請求国における捜査、訴追その他の手続の対象となる行為が自国の法令によれば犯罪を構成しないと認める場合」を挙げております。
例えば、日本がブラジルから共助の請求を受ける場合におきまして、当該共助請求に関わる犯罪行為が我が国で行われたとしたときに、その行為が我が国の法令上は犯罪を構成しない場合には、我が国の裁量でブラジルからの請求を拒否できることとなっております。
○鈴木(庸)委員 ちょっと意味が分からなかったんですが、具体的に何か言えることはありますか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
ただいま答弁申し上げました共助拒否事由、いわゆる双罰性と言われるものですが、この双罰性が認められるか否かにつきましては、罪名や条文のみを形式的に比較して判断するのではなくて、事案の社会的事実関係に着目いたしまして、その事実関係の中に我が国の法令の下で犯罪行為と評価されるような行為が含まれているか否かを検討することにより判断すべきものということにされております。
したがいまして、大変恐縮でございますが、具体的な事実関係と離れて、抽象的に、これは双罰性が認められる、これは双罰性が認められないということを御説明申し上げるのは困難でございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
その一方で、去年、令和五年中の来日外国人の犯罪情勢を見ると、総検挙数に占めるブラジル人の割合なんですけれども、四%なんですね。ほかを見ていくと、ベトナムが四四%、中国が一六・五%、タイが四・七%で、フィリピンが四・一%、その次がブラジルの四%となっているんですけれども、割合とすると、ほぼタイとフィリピンと一致するんですね。
ただ、タイやフィリピンとはまだ刑事共助に関する条約が締結されていないようなんですけれども、検挙数とか構成比率とか、この条約を結ぶ相手と交渉する基準というものは一体どうなっているんでしょうか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
我が国が各国との間で新たな刑事共助条約を締結するかどうか、この点につきましては、相手国に証拠が所在するような犯罪の発生状況、こういったものも含めて、刑事共助条約の締結の意義、相手国の刑事司法制度、必要性、実施可能性等を総合的に勘案して検討を行ってきております。なかなか数字で単純にお示しできないことを御理解いただけたらと思います。
その基準に照らしまして、今御質問で言及のありましたタイでございますが、刑事共助条約の締結に向けた正式交渉会合を実施すべく調整を行っているという現状でございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。分かりやすかったです。
先ほど来、ブラジル人が日本で犯罪を犯して本国に逃げ帰ってしまったという三つの案件について御紹介させていただいたんですけれども、ブラジルの憲法では、いかなる場合でも、他国への犯罪者の引渡しというものを禁止しています。
今回のこのような協定は、ブラジルの捜査当局と日本の捜査当局の距離を近づけるものだとは承知しているんですけれども、これはこの外務委員会でどうこうというのはなかなか難しいところだとは思うんですが、例えば、将来的に、こうした条約の締結がブラジルの憲法にも影響し得て、日本に引渡しをするようなことができるようになるといったような、何らかの動きがあれば教えていただけますでしょうか。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
この条約は、外国の刑事事件の捜査等に必要な証拠の取得等の共助を行うための要件及び手続等を定めるものでございます。
他方で、犯罪人引渡しとは、国外に逃亡した犯罪人を訴追、裁判又は刑の執行を目的として引き渡すことであります。本条約には、これに関する規定はございません。
したがいまして、この条約の締結は、ブラジルの憲法で禁止されている、ブラジルからの自国民の犯罪人引渡しに影響を及ぼすものではございません。
○鈴木(庸)委員 それはそうですよね。
先ほど御紹介した浜松のレストランオーナーの強盗殺人事件では、その後、代理処罰でブラジルの警察が容疑者を逮捕して、最終的には、強盗殺人と放火未遂ということで禁錮三十四年五か月の判決が出ていると聞いております。この三十四年五か月ということについてはいろいろな評価もあると思うんですけれども、少なくともそれなりの処罰をされたということはあると思うんです。
この代理処罰は、憲法で引渡しが禁止されているブラジルにおいては極めて重要な制度になってくると思うんですけれども、今回のこの協定が、先ほど、憲法については影響力を及ぼすことはないということだったんですけれども、ブラジル国内での代理処罰の在り方について影響を与える可能性があるのか、見解を伺えればと思います。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のいわゆる代理処罰とは、明確な定義があるわけではございませんが、一般的に、本来の処罰国に代わって他の国が処罰する理念を指すとされていると理解をしております。
以上、申し上げた上で、代理処罰につきましては、本条約に規定する共助には当たらないことから、例えば、日本で罪を犯した犯罪人がブラジルに逃亡した場合に、本条約は、ブラジル側に対して、同国の国内手続として当該犯罪人の捜査を義務づけるものではございません。
その上で、ブラジル側に当該犯罪の国外犯処罰規定がある場合には、ブラジル側の当局が国内法に基づいて当該犯罪人を捜査することは可能でございます。その際に、必要となれば、ブラジル側からの要請に基づきまして、我が国としても共助を行うことが想定されています。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
このパートの最後に伺いたいのは、やはり日本国内で犯罪を犯した人間については、私は、いろいろな考え方があると思いますけれども、日本の刑務所で罪を償うべきだと思っているんですけれども、犯罪人の引渡条約については少数の国と結ばれる程度になっているんですが、今後、犯罪者の引渡条約について交渉が進んでいる国等々、こういったものはあるんでしょうか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
御質問で言及いただきましたアメリカ、韓国、これは既に締結しておるわけですが、これ以外に、我が国が犯罪人引渡条約の交渉を開始している国としては、中国がございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
次に、オーストリアとの社会保障協定について伺わせてください。
社会保障協定の中に災害保険という制度がオーストリア側にあるということなんですけれども、災害保険というのは日本でいうところの労災保険と言い直すというようなことも御説明はいただいたんですが、こうした異なるシステムがある国同士で社会保障協定を結ぶ場合というのは、一番大変な調整とか、具体的にどういった調整をされているんでしょうか。
○中込政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、日・オーストリア社会保障協定におきましては、オーストリアの災害保険を対象としておるところでございます。
オーストリアの社会保障制度でございますけれども、年金保険、疾病保険、雇用保険、災害保険の各制度が一体のものとして運用されているという事情がありますものですから、オーストリア側の提案を踏まえまして、オーストリア側についてはこれら全ての制度を本協定の対象とするということにいたした経緯がございます。
日本と異なる社会保障制度がある国との調整でございますけれども、社会保障協定の対象とする制度の範囲は、相手国との間で、互いの社会保障制度の類似性とか我が国にとってのニーズ等も踏まえながら、交渉を通じて調整を行う、こういうことでございます。
以上でございます。
○鈴木(庸)委員 その社会保障協定は今二十三か国と結んでいると承知しているんですけれども、この二十三か国を選ぶ基準は何なんでしょうか。
○長徳政府参考人 お答え申し上げます。
社会保障協定の協定対象国の選定に当たりましては、具体的には五つの点を考慮しております。
まず第一に、相手国の社会保障制度における一般的な社会保険料の水準、第二に、相手国における在留邦人及び進出日系企業の数やこれらの具体的な社会保険料の負担額、第三に、我が国の経済界からの具体的要望の有無、第四に、我が国と相手国との二国間関係、第五に、我が国と相手国との社会保障制度の類似性、これらの諸点を総合的に考慮した上で、優先度が高いと判断される国から順次交渉を行っていくこととしております。
○鈴木(庸)委員 経済界からすると、やはり社会保障協定が結ばれると、労使折半の部分で大分楽になるというような話もあるので、交流が活発化されるかと思うんです。
保険料率を日本のように労使折半にしている国というのもドイツぐらいなのかなと思うんですけれども、ほとんどの国は使用者負担の方が多いと思うんですけれども、オーストリアはどのようなケースに該当してくるんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
オーストリアの年金制度の保険料率は二二・八%でございまして、雇用主が一二・五五%、被保険者が一〇・二五%をそれぞれ負担する、こういうことになっておりまして、雇用主負担の方が被保険者負担よりも大きくなっている、このように承知しております。
○鈴木(庸)委員 やはりそちら側のケースなんですね。かしこまりました。
社会保障協定、五年というところがあるんですけれども、一年程度の滞在で行く予定だった人が、結果的に五年以上の滞在になってしまった、想定外のことというのは当然起きると思うんですけれども、その場合はどのような対応になるんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
五年を超えない見込みでオーストリアへ派遣された者については、派遣から五年が経過した後はオーストリアの制度のみに加入することになります。
ただし、必要と認められる場合には、権限のある当局又は実施機関間の合意によりまして、引き続き我が国の制度にのみ加入することができるよう調整できるという規定を設けておりますので、このような調整が可能であるということでございます。
以上でございます。
○鈴木(庸)委員 利用者にメリットがある形でやっていただきたいとお願いを申し上げます。
次に、航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定について教えてください。
これを結ぶということは就航の見通しがあると思うんですが、そのことについて教えてください。
○山腰政府参考人 お答え申し上げます。
我が国とクロアチアとの間では、新型コロナウイルス感染症拡大前の二〇一二年から二〇一九年にかけまして、合計三十一件のチャーター便による直行便の運航実績が積み重ねられてまいりました。コロナ禍を経た現在、両国の航空会社が定期便を就航させる具体的な計画があるとは承知をしておりませんけれども、しかしながら、我が国を発着する国際旅客定期便数は着実に回復をしているところでございます。
こうした中、今後、各航空会社において定期直行便就航に向けた動きが進展することが期待されております。
○鈴木(庸)委員 具体的な話はまだないんですね、なるほど。
ちょっと細かいところになってしまうんですけれども、空港等の施設の使用料金について、最恵国待遇及び内国民待遇と同等の権利の付与というのがあるんですけれども、これを結ぶことによって具体的にどういったメリットが生じるんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
日・クロアチア航空協定でございますけれども、第五条におきまして、一方の締約国がその管理の下にある空港その他の施設の使用料に関し、他方の締約国の指定航空企業を自国の航空企業や第三国の航空企業と比べて差別してはならない、こういうことを規定しているところでございます。
具体的なメリットでございますけれども、例えば、我が国の指定航空企業を想定した場合ですけれども、クロアチアにおける空港等の施設の使用料につきまして、クロアチアの航空企業、あるいはクロアチアに運航する第三国の航空企業に課される料金と同一又はより有利となるということがこの協定によって確保される、このようになるということでございます。
以上でございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
また、指定航空企業の国籍条項というのがあって、「過半数の所有及び実効的な支配」とあるんですけれども、まず、この過半数というのは、その航空会社が発行する株式の過半数ということでよろしいんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、本協定七条の「過半数の所有」とは、航空企業の株式の五〇%超を保有しているということを指しているということでございます。
○鈴木(庸)委員 同じところで「実効的な支配」という言葉もあるんですけれども、ここにおける実効的な支配というのは、具体的にどういう形で認定をしているんでしょうか。
○山腰政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの「実効的な支配」につきましては、外国の航空会社が本邦において航空運送事業を行うに当たって、その企業の事実上の支配権が当該外国に属しているかを国土交通省において確認しているところでございます。
具体的には、航空法第百二十九条という規定がございますけれども、その規定に基づきまして、外国人国際航空運送事業者としての許可を行うに当たりまして、当該会社の代表者や役員の氏名、国籍、それから資本金の国籍別の比率を確認すること等を通じまして、実効的な支配の有無に係る判断を行っているところでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございました。
最後に、日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する協定について伺わせていただきたいと思います。
特にドイツとの関係が今いろいろなところで取り沙汰されていますけれども、今、なぜドイツなんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
ドイツでございますけれども、二〇二〇年にインド太平洋ガイドラインというのを策定してございます。これ以降、毎年、ドイツ軍のアセット、部隊をインド太平洋地域に派遣し、目に見える形でインド太平洋地域へのコミットメントを示してきているということでございます。
我が国にとりまして、ドイツは、自由、民主主義、人権、法の支配という基本的な価値を共有する重要なパートナーでございますし、そういう観点から、ドイツによるこうしたインド太平洋地域への関与の拡大を歓迎して、我が国としても、安全保障分野における日独協力を強化してきているということでございます。
このような文脈におきまして、本日審議をお願いしております日独ACSAの締結を含め、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、ドイツとの協力を一層強化してまいりたい、このように考えているところでございます。
○鈴木(庸)委員 この協定が結ばれた場合に、御案内のように、ドイツはNATOでもありEUでもあるという中で、NATOとかCSDPの枠の中で物品や役務の提供の必要性が生じた場合、ドイツがそういった活動の中で生じた場合に、日本は提供する義務というものはあるんでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
日独ACSAですけれども、この協定ですけれども、これは、締約国に対して、相手国の要請に基づく物品、役務の提供を義務づける、こういうものではございません。
したがいまして、物品、役務を提供する際には、他国部隊の置かれている状況、あるいは物品、役務提供の必要性、緊急性についても緊密に意思疎通した上で、我が国として物品、役務を提供するかどうか、その点について主体的に判断をする、こういうことでございます。
今委員から、ドイツはNATOそれからEUのメンバーであり、EUのCSDPの活動もしているというお話、御指摘がございましたけれども、こういう枠組みの中で活動するドイツ軍への物品、役務の提供に関しましても、今申し上げましたとおり、個別具体的な状況を踏まえつつ、我が国の法令に照らして適切に判断をする、こういうことでございます。
○鈴木(庸)委員 終わります。ありがとうございました。
○勝俣委員長 次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
通告していないんですけれども、冒頭に一問、上川外務大臣に官房機密費の件をお伺いしたいんです。
先週、NHKの「日曜討論」という番組に出させていただきまして、そこで、自民党の鈴木馨祐議員が、官房機密費は選挙目的、党目的で使うことはない、まずそれは断言させていただきますということをおっしゃっていたんですけれども、外務省も官房機密費はたくさん使っていると認識しておるんですが、これは上川大臣も同様の認識ということでよろしいですか。
○上川国務大臣 突然の通告でございまして、今、どのような認識ということでの、NHKの番組にお出になった方と同じ認識かどうか、こういう趣旨の御発言でございますが、私はその番組を見ておりませんので、ここでそれに対して同様かと直ちにお答えすることはできません。
○青柳(仁)委員 同様ですかといいますか、もう一回申し上げますが、官房機密費は選挙目的、党目的で使うことはない、それは断言できるという認識は上川大臣もお持ちですかということをお伺いしています。(上川国務大臣「ちょっともう一度」と呼ぶ)
まず、前提として、外務省は官房機密費を使っていますよね。かなり多くの部分を外務省が使っているのは間違いない。
例えば申し上げますと、一九九三年十月十日から一九九九年八月十六日まで外務省の要人外国訪問支援室長に在任し、四十六回の首相外遊を担当していた方は、九億八千八百万円に上る官房機密費を使っていて、このうち七億円が競争馬、あるいはゴルフ会員権、高級マンション、女性への現金に浪費していたという事件が、これは非常に有名な事件ですけれども、ありました。
これは外務省が官房機密費を使っていたということだと思うんですけれども、外交上、機密費というのは当然必要だと思うんです。ですので、そういった機密費を使われることがあると思うんですが、この機密費の使途は一般の国民には見えませんし、どこかでチェックされるわけでもありませんから、当然、外務大臣もある程度はお使いになっているんだと思うんです。
ですけれども、官房機密費について、選挙目的、党の目的に使われることはないということを自民党のまさに政治改革を担当されている議員の方がおっしゃっていたわけなんですけれども、その認識、その方の認識と同じかということではなくて、官房機密費は党目的、選挙目的で使われることはないという認識を、官房機密費を使っておられる上川大臣としてそう考えているかどうかということの認識をお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 官房機密費に関しての推測的御質問だと思います。
私は、外務大臣としてこの場で責任を持って回答することに関しまして、今、内閣の機密費に関してのお答えについては私はその立場にございませんので、官房長官にお問い合わせいただくというのが、責任のお立場でございますので、私がそれを類推してお答えすることはできません。
○青柳(仁)委員 では、担当のことについてお伺いしたいんです。
内閣の機密費かどうかではなくて、外務省の方でも機密費を使っている、これは事実ですよね、これは聞くまでもないと思うんですが。その機密費自身は外に公開されるものではないわけです。機密費ですから当然ですが。外務省の使っているものに関してそれらが選挙目的や党目的に使われることはないという認識を外務大臣としてお持ちかどうかということを教えていただければと思います。
○上川国務大臣 今お尋ねの機密費という概念でありますが、そのことについては報償費ということでしょうか。多分、機密費という形ではないと思いますが。
○青柳(仁)委員 済みません、名称の問題ですかね。
以前の事件では内閣が持っている官房機密費を受領していたという記事になっているんですけれども、これがもし間違っているとすると名前がもしかしたら違うのかもしれませんが、外交上、機密費というか、外に使ったことの領収書なしで、それに対して会計検査等の一般の予算上の会計処理を行わない経費というのは存在しますよね。まずそれを確認させてもらえますか。
○上川国務大臣 外務省の報償費ということのお尋ねではないかと推測いたしますが、その費目はございます。
○青柳(仁)委員 その費目についてお伺いするんですが、その予算に関しては、党目的、選挙目的で使われることは、当然趣旨と違いますから、ないということで断言できる、そういう認識をお持ちでよろしいですか。
○上川国務大臣 まさに、この費目について何に使ったかということにつきましては、使途ということでありますので、これについてのお答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○青柳(仁)委員 まず、外交上に機密費が必要だというのは私もそこは理解するところです。相手方が誰であったか、いつどんな人に会ったか、どういったことを話したか等々、それらを類推できるような情報を出さないために、機密費というか、一定外に出さないお金が必要だ、これは理解するんですが、それらは当然外交に使われるべきであって、政府の活動に使われるべきものであって、政党としての選挙だとか党のための目的に使われる、これは完全に流用です。当たり前ですけれども、そんなことをしてはいけない。ただ、そうしているかどうかは、まさに使途が公開されないので分からないんです。
鈴木議員は官房機密費に関してはやっていないと断定しているんですけれども、実際に使われている外務大臣として、党目的、選挙目的で使うことはない、これは断言できるという認識ですかということをお伺いしています。
○上川国務大臣 外務省の報償費は外務省が外交に必要な目的で使うところでございますので、その目的の中で適正に使用するということだと思っております。
○青柳(仁)委員 つまりは、党だとか選挙の目的というのは今おっしゃったような外交上の目的には含まれないと思いますので、それはやらない、そういうことには使われないという認識だということでよろしいですか。
○上川国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、外務省の報償費につきましては外交目的のために使うということであります。
使途につきましてのお答えについて、細目についての詳細はお答えを差し控えさせていただくということであります。
○青柳(仁)委員 それは、つまり断言はできないという理解でよろしいですか。
○上川国務大臣 外交の目的に使う、こういう下で計上しているものでございますので、その目的に沿って使わせていただくものであると理解しております。
○青柳(仁)委員 では、選挙のため、党のための支出というのは外交のためではないという認識をお持ちでよろしいですか。
○上川国務大臣 使途については私はお答えを差し控えさせていただきますと申し上げたところでありますので、お答えは差し控えさせていただきますが、そもそも報償費につきましてはその目的のために使うということでございます。
○青柳(仁)委員 ということは、これは外交のためであるというふうに理解すれば基本的にはどんなことにも支出できる、そういう理解ですか。
○上川国務大臣 今、通告のない中で、極めて正確を期さなければいけない問題に対して、今のようなやり取りにつきましては、私は、正確を期すということも含めまして、差し控えさせていただきたいと思います。
○青柳(仁)委員 では、次回しっかり通告させていただきますので、しっかりお答えいただければと思います。
私が伺っているのは外務大臣としての認識ですから、本来は通告しなくてもお答えできることだと思うんですけれども、今、通告がなかったから差し控えさせていただくということですので、次回しっかり通告をさせていただきたいと思います。
では、通告している質問に入らせていただきます。
まず、日・ドイツ物品役務相互提供協定における武力攻撃事態の想定ということです。
日本とドイツは同盟国ではないわけですけれども、ただ、本協定で定められている日本又はドイツの法令により物品、役務の提供が認められるその他の活動というものの中には、武力攻撃のような我が国の平和と安全が脅かされる事態における活動も対象となっています。要するに、こうした武力攻撃を受けるような事態においても対象なわけですから、そういう事態が起きた場合にどんな協力を期待しているのか、あるいは、そういった点についてドイツとの間でどのような議論がされたのかということについてお伺いします。
○上川国務大臣 日独ACSAの下で想定される自衛隊とドイツ軍の協力といたしましては、これまでの実績に鑑みれば、艦艇、航空機の相互訪問、共同訓練、PKO等が典型例となることが想定されます。
一方、日独ACSAの下におきましては、それぞれの国内法令で認められております物品、役務の提供が認められておりまして、御指摘の武力攻撃事態における協力も協定上排除されていないところであります。
○青柳(仁)委員 つまり、武力攻撃等がある中でもこういった物品、役務の提供等はこれで行える、それ自体は私はそれはそれでいいのではないかと思っているんです。そういったことというのは、要するに、我が国の緊急事態の際にドイツが本気で日本と、同盟国ではないですけれども、連帯をもって対処するということの、小さな一歩かもしれませんが、一つの表れだと思っております。
そういった観点から、これまでドイツは中国に非常に慎重な態度を取っていた、自由で開かれたインド太平洋のイニシアチブという中にドイツはなかなか積極的に入ってきてくれないわけですが、こういったドイツがその枠組みの中に入ってきてもらうためのこれは一つの契機になると思うんですけれども、そういった観点での検討、方針等を考えているかということについてお伺いしたいと思います。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
日独両国でございますけれども、自由、民主主義、人権、法の支配という基本的価値を共有する重要なパートナーでございますし、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組む意思も共有しているというふうに考えております。
近年、両国の間でございますけれども、安全保障、防衛分野での協力が積み上がってきておりまして、二〇二一年には、ドイツ海軍フリゲート、バイエルンが我が国に寄港しまして、自衛隊と共同訓練を行っております。二〇二二年には、ユーロファイターを始めとするドイツ空軍機が初めて我が国に寄航しまして、自衛隊と共同訓練を実施しております。昨二〇二三年でございますけれども、米豪主催の多国間共同訓練、タリスマンセーバーに自衛隊、ドイツ軍が共に参加するといったようなことがございます。
こうした協力が積み上がってきているという中で、ドイツとの間でACSAを締結することは、我が国の安全保障に資するのみならず、日独両国がインド太平洋地域を含む国際社会の平和及び安全に積極的に寄与することにつながるもの、このように考えている次第でございます。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。非常にいい答弁だと思います。
おっしゃるとおり、こういった一つ一つの努力、一歩一歩の積み重ねで、来るべきときにドイツにもしっかりと日本と共同歩調を取ってもらえるということにもなるでしょうし、そうでないと、ドイツは欧州だから日本に協力してくれるだろうというような考え方だと、あるとき突然中国の側についてしまうこともあろうかと思いますので、是非こういった一つ一つの条約、特に今回のものは武力攻撃事態にも適用され得るものですから、こういったものを通じて積み重ねをしていただけたらと思っております。
続きまして、その他三本の条約についてですが、ほかの条約に関しては、社会保障の年金に関する相互協定であったりとか航空協定であったりだとか、率直に申し上げると、各国で同じようなものを結んでいる中で、より重要性の高い国から順番に素早く結んでいけばいいのではないかというのが我が党の基本的なスタンスであります。
ただ、その前提にあるのは、他国と日本との間での人の交流、外国人が日本に入ってくる、あるいは日本人が外国に行く、これが今後も活発化していくということが前提にあるんだろうと思っております。
そういった中で、今国会では、ちょうど今法務委員会で審議されておりますが、外国人技能実習に関して、受入れの拡大という非常に重要な法案が審議されております。
これとも関連しまして、まず、全般的な外国人労働者の受入れ拡大を政府としては進めているんですが、外務省あるいは外務大臣としての観点からこれらは歓迎すべきものとして捉えているのか、あるいは、どの程度まで、どのような外国人労働者の受入れを図っていくことが重要だと考えているのか、この点の認識についてお伺いできればと思います。
○上川国務大臣 現在の国際社会でありますが、国境を越えた人の移動がますます活発化する状況でございます。
外国人材の受入れにつきましては、近年、我が国におきまして労働力不足の深刻化や国際的な人材獲得競争が激化していることに鑑みまして、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になることが必要不可欠と認識しているところでございます。
加えて、日本人と外国人が互いに尊重し、安全で安心して暮らせる共生社会を実現していくことが重要と考えているところであります。
○青柳(仁)委員 魅力ある国として外国人に選ばれる国になるべきという、お話の中で一つ御見解があったんですが、誰にとって選ばれるかというのがかなり重要だと思っていまして、上川大臣の御所見をお伺いしたいんです。
例えば、外国人労働者、二〇一二年、十年ほど前に入ってきた数は六十八万人ぐらいでした。二〇二三年にはこれが二百四万人に拡大しております。二百四万人のうち技能実習生は四十一万人、それ以外の活動が三十五万人ということなんですけれども、いろいろカテゴリーがありまして、高度人材と言われる人の数は二百四万人のうちの二万三千人しかいないんです。
二〇一二年のときは六十八万人の中の三百十三人しかいなかったということなので相当増えてはいるんですが、今世界で外国人労働者の獲得競争が起きているのはまさに高度人材の部分だと思うんですが、一方で、日本に来ている外国人労働者の多くはどちらかというと技術的なレベルがそれほど高くない方が多くて、一方で、高度人材からは余り選ばれていない。数字で見るとそういう現状があるんですが、この点についてはどういった外国人の方に是非日本に来ていただきたいと考えるか、教えていただけますでしょうか。
○長徳政府参考人 お答え申し上げます。
高度人材の受入れに関しましては、日本政府として、受入れのカテゴリーを設定して積極的にその受入れを進めているところでございます。
また、高度人材以外の人材、これは、まさに現在国会において審議がなされている育成就労制度、それから特定技能の適正化、これをもって対応していきたいと思うんですけれども、今回の国会の御審議を経て設立される新制度においては、まずは育成就労制度の下で外国人材を受け入れ、就労しながら育成を達成し、その後、特定技能制度に移っていただく、より高度な技術を持って産業界で貢献していただく、こういう制度でございます。是非これも活用して人材の受入れを進めていきたいと思っております。
○青柳(仁)委員 今のお答えだと曖昧なんですけれども。
要は、今法務委員会で審議にかかっている案件は特定技能の話ですから、高度人材といっているのは更にその上の人たちの話です。そういった方々が日本に来てくれるかどうかというのがまさに国としての魅力ではないかと思うんです。日本に来たらどんな暮らしができるのか、ある意味ステータスも含めて行きたいと思ってもらえるか、ここは、今産業界からの要請で出てきている特定技能の話だとか外国人技能実習の話とはちょっと違った、どちらかというと日本のブランディングといいますか、外務省の方の話ではないのかなと私は思うんです。また、今回の法務省の法案ではそこは余り正直焦点が当たっていないと思うので、この場で聞かせていただいたんです。
外務省がこれまでもいろいろな日本の国際的な評判を高めるための活動をたくさんしているとは思うんですけれども、世界の高度人材は今奪い合いですので、技能実習とはまた別の話として、そういった方々を獲得できるように是非しっかりと取り組んでいただけたらと思っております。
もう一つ、これも高度人材のみならず全体の話になるんですけれども、日本は移民政策は取らないという立場だということは存じ上げておりますけれども、今、移民の受入れ、外国人の受入れに関しては、先日バイデン大統領にゼノフォビアというようなことを言われたり、外国人嫌悪という意味ですよね、英語だと結構厳しい言葉ですね。それから、UNHCRなどの国際機関からも日本は難民受入れに極めて後ろ向きな国だと何度も言われている。こういう様々なプレッシャーがあるわけですけれども、ただ、私自身はこれは少しフェアではないなと思っています。
そもそも、アメリカはメキシコ、中南米からたくさんの移民がほっといても入ってきてしまう。あるいはEUもそうですね。ヨーロッパ諸国も基本的には中近東、アフリカからほっといてもたくさん入ってきてしまう。ほっといても入ってくるものをどう制御するかという話と、日本みたいに、入れるか入れないか、どの程度入れるかをある程度自分たちで決断しながら制度をつくっていける国というのは同等ではない、対等ではないですし、それは日本の立場を踏まえて考えられるべきだと私は思うんです。この点は外務省も是非言っていただいた方がいいんじゃないかと思うんです。
ただ、一方で他国からの様々な申入れがあるわけですが、こうした他国からのプレッシャーというのはどの程度外務省として強く受け止めているんでしょうか。
○長徳政府参考人 お答えいたします。
そもそもの原則論でございますけれども、入国管理政策、これは外国人受入れ政策を含むものでございますけれども、これは各国の主権の問題でありまして、各国の責任において定められるものというのが我が国の基本的な立場になります。
その前提で申し上げれば、外国人材の受入れにつきましては、先ほど大臣から答弁がありましたとおり、現在の国際環境に鑑み、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になることが重要だと認識しておるところでございます。
○青柳(仁)委員 取りあえず、日本の立場というのは日本の立場で、各国の立場とは違うという前提で他国からのそういった厳しい指摘についても主張していくという理解でよろしいですか。
○長徳政府参考人 お答え申し上げます。
外国人の受入れに関する状況は、委員の御指摘がありましたように各国様々かと思います。実際のところ、難民の受入れの数において、国際的に日本の難民受入れ数の相対的な少なさについて指摘があるのも事実でございます。
ただ、我が国の難民受入れ政策というのは国連難民条約に基づいて適切に運用しておりますし、その旨を諸外国にも発信して我が国の入国管理政策について理解を求めているということでございます。
○青柳(仁)委員 これは何で申し上げているかというと、先日、アメリカの共和党の関係の方とお会いする機会があって、いろいろお話をさせていただいていたら、トランプ政権がもし再び返り咲きというような形になった場合には、この辺のことについてはもう既にプレッシャーも相当来ているんだと思うんですが、日本に対する国際的なプレッシャーというのはより強くなっていくんじゃないかと思っております。
ですから、そういった中で、ある程度日本としてこういう考え方でやっているんだということをしっかりと持っておかないと、その場その場の交渉で、これはやってもらわなきゃ困るとか、もっと譲歩しろとか、それはできる、できないということだと、今後極めて苦しい立場に追い込まれていくんじゃないかなと思いますので、先ほど各国の立場があるということをおっしゃっていましたが、その辺をしっかりと打ち出していくことが必要ではないかなと思っております。
それから、移民に関してもう一つの質問を大臣に伺いたいんです。
お手元の配付資料を見ていただきたいんですが、我が国における総人口の長期的推移ということで、今まさに法務委員会の法務省の方から出てきている法案の方でも、外国人の労働者をなぜ受け入れるのか、ここの議論が余りされていないと思っております。
一般的には、今、少子高齢化で人口も減っているから、生産人口が足りないと経済成長もできないし、社会保障も持続可能にならないから外国人が必要だみたいなことで、何となくふわっと、そうだそうだという雰囲気になっているんですが、これをよく見ていただきたいんですが、実は、明治維新のときに日本の人口は三千三百万人しかいませんでした。日本の人口は急激にここ百年、二百年で一気に上がっておりまして、一番ピークを打ったのが二〇〇四年の十二月です。それ以来下がり続けています。二〇〇四年の十二月に一億二千七百八十四万人となって、それからどんどん落ちていっている。これは総務省の資料です。この総務省の推計によると、二一〇〇年頃にはまた明治維新頃に戻る、つまり三千七百七十万人程度になっていく、こういう予測がされております。
もしこの予測どおりにいった場合、さっき申し上げたような、何となく、国民世論的なというか、各省も国会もそうですが、生産人口が足りないから外国人が必要だみたいなふわっとした議論で外国人を受け入れていくと、二一〇〇年には、一億二千万人の国を保とうとすると、三人に二人が外国人という国に日本はなるわけです。これは大げさに言っているわけではなくて、生産人口が足りないから補うんだという発想で続けたら最後にはそうなるということなんです。
そういうグランドデザインがないまま、今の技能実習がいいのか悪いのかとか、外国人の受入れが多いとか少ないとか、その場その場で考えているというのが今の日本政府の姿勢じゃないかと思うんです。
ですので、さっきの高度人材のことは外務省の所管だと私は思うんですが、ここは法務省だけで考える話でもないと思いますので、まずは外務大臣としての御認識をお伺いしたいんですけれども、こういった中で外国人の人材については、その人たちに選ばれる国になりたいとさっきおっしゃっていましたけれども、選ばれて来ていただくための目的、何のために外国人に来ていただくのか。今回の三つの条約もそうです。より外国人が日本に来やすくなりますよね。何のために選んでいただいて来ていただきたいと思うのか、その目的についてどうお考えかを教えていただけますでしょうか。
○上川国務大臣 経済社会がグローバル化している状況によりまして、我が国の企業、研究機関等におきましても、世界で通用する専門知識や技術をしっかりと有して、また、教育環境も様々異なる中で、異なる文化を背景として様々なアプローチ、発想ができる人材というのは非常に重要な時代を迎えていると思います。
今、労働なのか高度人材なのかという二つに分類した形で政策をということではなく、日本がこれからも発展していくために、また、地域社会の中で、あるいは経済全体の中で、地域の国際環境の中で、安全保障も含めまして、この国をしっかりと持続し、さらに、しっかりとした存在感を示していくということにおきましては、今、人口の大きな動態という形で、長期でいきますと、さっき二一〇〇年というスパンがありましたが、百年単位で物事を考えていく、こうした発想を持って今の問題にも当たっていく必要があるのではないか、こう認識しているところであります。
私も海外に行きまして、人材の中でも、今、技能で来られた方の中でも、一念発起して学び直す、その意味での努力をしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。そういった様々な可能性を開いていくことができる社会、こういったことにつきましても日本の役割は大きいものと考えておりますし、目下の現在の課題解決におきましても長期の問題におきましてもハーモナイズしながらしっかりと方針を定めて取り組んでいく、そうした方向でこれからも外交努力を重ねてまいりたいと考えております。
○青柳(仁)委員 大臣のおっしゃっている、日本が選ばれる国になるべきだということであるとか、あるいは、外国人材が日本で才能だとか努力をしていただけるような土壌になるように、これは非常にすばらしいことだと思うんですけれども、途中でおっしゃっていたまさにグランドデザインが欠けていると思うんですね。
百年単位で考えたときに、ミクロで正しいことがマクロで正しいとは限りませんから、一般的に外国人も才能を花開けるような状態をつくっていくとか、いい方に来ていただく。ただ、その数がどんどん増えていくことが必ずしも日本のためになるかどうかというのがさっき私が申し上げたところですので、入れるなというわけではなくて、この法案の審議を聞いていても、別の委員会ですけれども、グランドデザインが欠けているのではないかなと思いまして、これは外務省にも関わる問題だと思いましたので、この委員会でも取り上げさせていただきました。
もう一点、関連する質問で、上川大臣もアメリカに住んでおられて感じられたことはあると思うんですが、私も海外で長く住んでおりまして、例えば、アメリカのニューヨークですと、チャイナタウンが年々広がっているという状態があります。ニューヨークというある意味アメリカの誇りであり最も進んだ都市の中で、中国語ばかりが飛び交って中国人ばかりが住んでいて、そこの母国人が行くと外国に来てしまったかのような印象を受けるような地域が年々広がっていまして、昔はリトルイタリーという地域があったんですけれども、今はほとんどチャイナタウンにのみ込まれている。だんだんそういう状況になってきております。
たくさんの外国人を受け入れれば、当然のことながら国内における外国人コミュニティーは広がっていきます。日本における外国人のコミュニティーが広がっていけば、家族を呼び寄せたりだとか、あるいは、そこでの文化的な地元の方々とのぶつかり合いというものも、特に埼玉の川口で今よくクルド人の問題が取り上げられますが、そういうことも増えてくるんじゃないかと思うんです。
日本における外国人コミュニティーの拡大、外国人受入れということを進めていけば当然そういう問題に突き当たる。ただ、人数を増やすなと言っているわけではなくて、人数を増やしていくのであれば適切な対処をしていかなければ、文化的な問題、あるいは場合によっては外交問題にもなってくるのではないかと思うんですが、その点について今大臣がお考えのことをお聞かせいただければと思います。
○上川国務大臣 まず、コミュニティーということの大切さについては、私も海外に留学していた折の非常に短い期間ではありますが、強く感じたところであります。その国の文化あるいは言語にしっかりと触れながら地域の中で共に生活していく、学んでいく、あるいは働いていくという状況でありますので、地域のコミュニティーを尊敬し、そして、その中の一人としてネットワークをしっかり組みながら活動していく、このイメージというのは非常に重要だと思っております。
今、外国人の増加によりまして外国人のコミュニティーが非常に集住するという状況の中で、これについての問いかけということでありますが、まさにここが共生社会の取組の基本になっていくべきことであると思っております。
日本人と外国人が互いに尊重し合い、安全、安心に暮らせる共生社会ということでありますので、この中には、例えば、日本の地域社会あるいは日本の文化そのものへの理解、あるいはコミュニケーションの手段としての日本語の教育を、今は関係機関と連携しながら、来日前に外国人に対しまして日本語の教育環境を整備するでありますとか、あるいは、IOMなどと共催しまして国際フォーラムを通じました啓発活動を行うとか、そういうことを通して、来られた皆さんには、日本の中で、地域の中で集住していただくということについての基本的な考え方、あるいは基本的な生活スタイル、こういったところをオリエンテーションのように学んでいただくというか理解していただくということが必要ではないかと思っているところであります。
今、地方の魅力を世界に発信するプロジェクト等を外務省で実施しているところでありますが、地方と世界各国の交流強化を図りながら、地方における多文化共生の環境整備の重要性を認識しておりまして、こうしたことにも努めているところでございます。外務省としても積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
外国人コミュニティーの問題は外国人受入れを拡大すれば必ず起きてくる問題ですので、起きることが分かっている問題については早めに対処することが必要ですし、また、それらを含めた日本の全体の、どういう国をつくりたいのかというグランドデザインを考えながらやっていかなきゃいけない。これは、一つの省庁でやるというより、外務省も含めて、外国人の話ですから、政府全体で取り組んでいただくべきことではないかなと思っております。
最後に、時間がなくなりましたので、一問、開発協力大綱における新規重点分野での新しいスキームの必要性についてお伺いしたいと思います。
また次回の質問時間のときに細かく指摘させていただきたいんですが、今回の開発協力大綱を改定したときに、まず、経済の安全保障といいますか、具体的には、平和、安全、安定な社会の実現、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化ということが結構明確に重点政策として書かれるようになりました。これは私は大きな変化ではないかなと思っておりまして、自由で開かれた国際秩序というと、防衛白書とか、いわゆる防衛、軍事に関するようなところで一丁目一番地として出てくるような言葉が開発協力大綱の中にも出てくるというのは、かつて軍事と開発というのは完全にそこに一線を引かなければならないという極めて厳しいルールの下で実際に仕事がされてきたことを考えると、隔世の感が若干あるわけです。
ただ、一方で、そうも言っていられない厳しい国際環境の中で平和と安定を保っていくために、開発協力も一定の役割を果たさなければならないということだと理解しますが、そういった協力というのはこれまでの従来の日本のODAのスキームで対応していくのは限界があるんじゃないかと思うんです。ここは新しいスキームをつくっていく必要があると思いますが、その点についてお考えをお伺いできればと思います。
○上川国務大臣 昨年六月に開発協力大綱を改定したところでありますが、その中におきましては、食料、エネルギー安全保障など経済社会の自律性、強靱性の強化として、特に、サプライチェーンの強靱化、多様化、また、重要鉱物資源の持続可能な開発等につきまして積極的に取り組んでいく旨が明記されているところであります。
開発協力大綱におきます新たなODAの取組といたしまして、社会課題解決を目指す民間企業などの様々なアクター、主体と連携し、日本の強みを生かした協力メニューを積極的に提示するオファー型協力を打ち出しているところであります。
先般私が訪問したマダガスカルでの外相会談におきまして、こうしたオファー型協力を活用し、双方でマダガスカルの都市圏の広域開発や、重要鉱物の生産技術の底上げにつながるような協力に取り組み、経済の強靱化を共に進めていくことで一致したところであります。
今後も、この開発協力大綱の下におきまして、我が国の開発協力の機動性、能動性、戦略性、こうしたことを十分に意識しながら、経済安全保障という観点からもODAを積極的に位置づけ、活用してまいりたいと考えております。
○青柳(仁)委員 時間がなくなりましたので最後にしますが、今、通告していた二つ目の質問までお答えいただいてしまったんですが、途中でおっしゃっていたまさにオファー型協力の中で、新しい開発課題に関しては、あるいは新しい戦略性に関しては新しいメニューを積極的につくっていくことが必要だとおっしゃっておりましたので、また次回その点について議論させていただければと思います。
以上で終わります。
○勝俣委員長 次に、和田有一朗君。
○和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。
最初に、社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の関連をお聞きしようと思うんです。
中身に関しては随分議論が深まりましたので、その中でお聞きしたいんですが、外国籍の方、いわゆる外国人が日本にいるときには、いろいろと社会保障の関係費が単純に言えば請求される、納付書みたいなものが来るわけです。日本人が海外にいるときはこれはどうなっているのかをまずお聞きします。
○長徳政府参考人 お答え申し上げます。
社会保障制度の状況は国により様々でございます。国によっては、外国人が強制加入となっておらず、年金保険料等の支払いが求められない場合もありますけれども、外国人の年金制度等への加入が義務づけられていて年金保険料の支払いを求められる国、こういう国は多くございます。
今回審議されているオーストリアを含め、既に社会保障協定を締結済みの国々は、少なくとも締結前の状況ではこういった義務が課されたりとか支払いが義務づけられたり、そういった国々でございました。
○和田(有)委員 そうしたら、細かな話になるんですが、台湾の場合はどうなっているのかを教えてください。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
台湾においては、老年年金に関する制度のうち、国民年金制度への外国人の加入は強制ではございません。この限りにおいて年金保険料の二重負担の問題は生じないと認識しております。
ただし、労働者に対する年金等の制度においては外国人も適用対象とされておりまして、日本企業や在留邦人も保険料を負担することになっている、このように認識しておるところでございます。
○和田(有)委員 向こうに日本人はたくさん駐在していらっしゃるんですが、その方々は払っていない方が多いということになるわけですよね。日本では、日本に来ている台湾の方は、こちらでお仕事をしたりいろいろとしている人は、日本のそういうものに加入し、払っている、こういうことになる場合が多いわけですよね。そういうことですかね。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
台湾におきましては、老年年金に関しまして、国民年金制度というものと、労働者に対する年金の制度、これは労工保険と呼んでいるようでございますけれども、二つ制度がございまして、国民年金制度については外国人は対象ではございませんので日本の駐在員も払っておりませんけれども、労工保険につきましては日本企業、在留邦人も保険料を負担することになっていると認識しております。
○和田(有)委員 いずれにしても、日本に来ている台湾の方は全面的に日本の社会保障にお支払いいただいているけれども、向こうに行っている日本人は払っていない場合もあって、要は、日本の側が国家のそういう社会保障の枠組みで見ると、言葉は悪いですが、取り得をしている部分があるわけですよね。
これは、お互いに、相互主義という観点からいくと、もっと整備をしてイーブンな関係に私はなるべきだと思いますので、外交関係がありませんからできませんけれども、できたら、司法共助のときもそうですが、いわゆる民間ベースでの協定を作って相互主義に基づいたようなシステムをつくっていますから、こういうことに関しても台湾との間ではそういう取決めをつくるべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 台湾との関係に関します我が国政府の基本的立場については一九七二年の日中共同声明のとおりでございますが、必要に応じて、この間、非政府間で実務上の協力文書を作成してきているところでございます。
この件につきましても、そうした範疇ということで位置づけられるものと理解します。
○和田(有)委員 是非とも、非政府間協議の中でこういうことについても、不具合と言ったらおかしいですけれども、お互いに相互主義の観点で仕組みがうまくできるように努力していただきたいと思います。
では、この項は終わりまして、次はウクライナのことですけれども、前回、私は質疑で、我が国とウクライナは共に北方領土とクリミアを軍事占領されているんだから、協力して国際社会に訴えていくべきだ、キャンペーンすべきじゃないかということをお聞きしましたら、最後に御答弁で、クリミアと北方領土は置かれている状況が異なっているので、両者の関連づけについては慎重に考える必要があるというふうにお答えになったんです。このことについてもう一度、私は考え方が違うのでお聞きしたいと思うんです。
ウクライナは、せんだっての会議の中でも平和の公式というものを打ち出して、その中で五番目に、ウクライナ領土の一体性の回復という言葉が挙げられています。考えてみれば、日本の北方領土は日本の一部であって、日本の領土の一体性の回復が北方領土返還の一つの作業だと私は思うんです。そういう意味で言う場合、共に領土の一体性の回復を求めている両国でありますから、私は共に協調して国際社会に訴えていくべきだと思うんですが、もう一度大臣のお考えをお聞きします。
○上川国務大臣 まず、北方領土問題と現在のウクライナが置かれている状況につきましては、様々な面で大きく異なっているものと考えております。
北方領土は我が国が主権を有する島々でありまして、我が国固有の領土でありますが、ロシアにより不法占拠されている状況であります。政府としては、北方領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針を堅持し、ロシアとの交渉による問題の解決を目指して取り組んできたところでございます。
一方、ウクライナにつきましては、ロシアによるウクライナ侵略開始以降、ロシアが軍事行動を継続しておりまして、和平に向けて歩み寄ろうとする兆しが一切見られない中におきまして、ウクライナの主権及び領土、そして祖国と民主主義を守ろうとして懸命にロシアと戦い続けていると認識しております。
この一点を取りましても、御指摘のクリミア併合を含めまして、北方領土問題と現在のウクライナが置かれている状況を同一に関連づけて取り上げていくことがそれぞれの問題の解決にとって有意義かということについて慎重に考える必要があると考えているところでございます。
○和田(有)委員 有意義かどうかという点で御答弁なされていると思うんですが、しかし、どう考えても、我々も昭和二十年の八月に軍事占領されたわけで、軍事侵攻を受けて我々は抵抗もしましたし、その中であの部分で止まったんですよね、先人の御労苦があって。ほっておいたらもっと北海道まで来ていたのを、我々の先人の御労苦があって抵抗もしてあそこで止まった。クリミアだって今軍事侵攻されて占領されているわけですから、私は同じことだと思うんですね。
さらに、もう一つ加えますと、ウクライナの国会は、二〇二二年の日本の北方領土の日に合わせて決議までしてくれているんですよね。日本の北方領土は日本の領土であって、その立場を支持する、なおかつ、諸外国の国会に対して、ウクライナの国会が言っているんですよ、諸外国の国会に対して、日本の北方領土の地位解決に対して関連行動を共に取ろう、こういう決議までしてくれている。ゼレンスキー大統領だって、実は、二〇二三年二月七日に、北方領土の日において、我々は日本政府や日本人と連帯する、そして、北方領土を含む日本の主権回復を支持するという大統領令を出しているんです。こんな国は私が見た限りほかにないと思うんです。
ここまでして、当然それは世界の国際環境に彼らも訴えているわけですけれども、やはり協力して共にキャンペーンを張って、我々は北方領土を取られたんだ、あなたたちウクライナでは特にクリミアを取られたんだ、こういうふうにキャンペーンを張るべきだと思うんです。
このウクライナの皆さんの思いにどうお応えになればいいんでしょうか。もう一度先ほどの点についてお伺いします。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
今委員からお話がありましたとおり、ウクライナでございますけれども、ウクライナ最高会議の決議、それからウクライナ大統領令というのがありまして、そこで北方領土問題に関する日本の立場について支持をいただいているということでございますけれども、そうしたウクライナを含めまして多くの国々から日本の北方領土問題に関する立場について理解、支持が得られるということ自体については非常に有意義だと考えておるところでございます。
他方で、先ほど大臣からもお話がありましたとおり、北方領土問題とウクライナの状況はそれぞれ異なる経緯がございまして、両者を単純に比較して同一行動を取るというのは必ずしも適当ではないんじゃないかということでございます。
先ほども大臣からお話がありましたとおり、北方領土につきましては、我が国としては、平和条約を締結する、ロシアとの交渉による問題の解決を目指しているということでございますけれども、ウクライナについては、ロシアの侵略が継続する中でロシアと戦っているということでございまして、この一点を取りましても日本の状況とウクライナの状況は異なっている、こういうことでございます。
○和田(有)委員 現在戦っているか戦っていないかの違いだというような御答弁ですけれども、経緯は違うということも、では経緯は何がどう違うんだと聞きたいところですけれども、時間がないですからまた別の機会にしますけれども、我々は共に、ウクライナの皆さんも私たち日本国民も軍事的に領土を占領されているということは変わらないわけで、北方領土にはロシア軍が実際にいて彼らは軍事占領しているわけですから、そういう点を踏まえて、世界に向かってそういう国際社会ではいけないという共同キャンペーンを張るべきだと私は思います。これもここで今日は終えておきます。
次に、時間がないので、質問の順番を変えます。
もう一つお聞きしたいのは、四月二十二日に東京でロシア文化フェスティバルというのが開幕しました。このロシア文化フェスティバルは二〇〇六年から始まっているんですけれども、チラシを見ていると、ロシア連邦文化交流庁が後援しています。
この団体というのは、いわゆるソフトパワーを発揮する団体で、様々な公共外交やプロパガンダにプロジェクトの資金を提供している省庁です。そこが後援してこのフェスティバルをやっているんですけれども、その中で、まず、まとめて聞きますね。このロシア文化フェスティバルにロシア政府は資金を出していることを把握していますか。そして、日本の外務省はこのフェスティバルに後援名義を出したり補助金を出していますか。まずお聞きします。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
ロシア文化フェスティバルに参加する文化団体に対しましてロシア連邦文化省が助成金を出していると承知しております。
それから、もう一つのお尋ねでございますけれども、日本の外務省から現在行われているロシア文化フェスティバルに対して補助金は出しておりませんし、後援名義も付与していないということでございます。
○和田(有)委員 日本はさすがに補助金は出していない。しかし、ロシアは当然出している。
今申し上げましたロシア連邦文化交流庁というのは、ウクライナの占領地域でウクライナ人住民や子供たちの言語や文化を通じてロシア化をする役割も担っていると言う方もおられます。いわゆるソフトパワー、いわゆるいろいろな形で世界に向かって自分たちのプロパガンダを巧妙にやっていっている団体だと言われてもいます。
そういう観点から、実は、この団体に関しては、欧州連合、EUは制裁を科していると言われておりますが、その点について事実関係と、日本政府もEUがしているならば制裁対象とすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中込政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の団体でございますけれども、EUの制裁対象になっているということでございます。他方で、日本として現在この団体について制裁対象にはしていないということでございます。
なお、EUは制裁対象になっているというのは今申し上げたとおりでございますけれども、例えばアメリカやイギリスの制裁対象にはなっていないということでございます。
日本といたしましては、ウクライナ侵略についてロシアに高い代償を伴うことを示していくことは必要だということで、G7と緊密に連携して厳しい制裁措置を迅速に実施してきているところでございますけれども、具体的にどういう団体を制裁対象にするかというのは、G7における議論等も踏まえて様々な要素を総合的に判断して決定している、こういうことでございます。
○和田(有)委員 もう一問やる予定だったんですが、申し訳ないですけれども、それは今日はおいておいて、今の話で私の質問は締めようと思うんですけれども、私は、ロシアに対しての制裁がまだ日本は足りていない、こう思うんですね。
当該団体にアメリカはしていないから、こういうふうな御答弁がありましたけれども、EUはしているわけでして、ウクライナの皆さんに寄り添い、そして実効ある今後の展開を考えるときには、より一層我々は制裁を更にこういったロシアの団体に対してもするということを一つ念頭に置いてもう一歩踏み出していくべきではないか。今、ウクライナの戦況が膠着しているところから、いろいろな動きがある。そのときに、もう一歩私たちは彼らに支援の手を差し伸べる一つの方法ではないかと思うんですが、その点についてもう一度大臣いかがですか。
○上川国務大臣 今の答弁に尽きると私は思っておりますけれども、ロシアによるウクライナ侵略につきましては、高い代償が伴うということを示していくという目的で、我が国としてはG7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら厳しい制裁措置を迅速に実施してまいりました。
御指摘の団体でございますが、これにつきましては、EUの制裁対象、また、アメリカやイギリスの制裁対象にはなっていない、こういう中で少し差があるということでございます。このことを制裁対象と認定するかどうかは、まさに我が国が様々な総合的な判断の上で決定する事象でございます。
いずれにいたしましても、ウクライナの公正かつ永続的な平和を実現するために何が効果的かという観点が何よりも大事であると思っておりますので、今後の制裁につきましては、引き続きG7を始めとする国際社会と連携しながら日本としての決定を検討してまいりたいと思っております。
○和田(有)委員 時間が来たので終わりますが、ひとつ有効な手だてをもってこの問題が解決できるように努力してください。
終わります。
○勝俣委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
初めに、日独ACSAについて聞きます。
外務省作成の説明書を見ますと、本協定の第五条に基づく両国間の手続取決めについて、交渉中とあります。
上川大臣、この状況は現在も何も変わっていないのか、今も交渉中なのか、まず御答弁願います。
○上川国務大臣 まず、手続取決め、これはPAということでありますが、プロシージャルアレンジメントということでありますが、これは、ACSAの下で行われます物品、役務の要請、提供、受領及び決済の実施につきまして、その条件の補足的な細目及び手続を定めるものでございます。ACSAの規定に従って防衛当局間で作成される文書であります。
日独のACSAのPAにつきましては、現在、ドイツとの間におきまして防衛当局間で交渉している状況でございます。
○穀田委員 防衛当局間で交渉しているということは分かりました。
では、防衛当局にお聞きせざるを得ないわけです。お聞きします。
両国間の手続取決めで何がそんなに時間を要しているのか、理由を具体的に説明されたい。
○鬼木副大臣 手続取決めは、協定の下で行われる物品、役務の要請、提供、受領及び決済の実施について、その条件の補足的な細目及び手続を定めるものであります。協定上、物品又は役務の相互の提供については、手続取決め、PAに従って実施することとしております。このため、手続取決めは防衛当局間において協定の発効までに作成することとしており、現在、ドイツとの間で細部について交渉を実施しているところです。
なぜ時間を要しているかということにつきましては、日独の防衛当局間で協定の発効までに作成するということでありますので、そこを現在、細部について交渉を詰めているところであります。
これ以上の詳細に関しては、相手国との関係もありますため、お答えを控えさせていただきたいと思います。
以上です。
○穀田委員 簡単に言うと、何で手間取っているか、理由については余り明らかにできないということですわな。
せやけど、今お話があったように、物品その他の提供については手続取決めに従って実施する、こうなっている。だから、実施の際には必要なものだ。しかも、お聞きすると、協定発効前までには今あったように完成せねばならない。そうすると、極めて重要な内容だということが分かる。だから、こうした肝腎な内容が委員会審議が始まった現在も交渉中ということでは話にならないと私は思います。
質疑のしようがないじゃないですか。ここはどないなってんねんと聞いたら、答えられない、こうなるわけでしょう。こんなもの、簡単に言うと、発効前までにすればいいというような話にはならぬ。発効してから条約をかけたらええやないですか。だから、本日採決することなど許されないということについて厳しく指摘しておきたいと思います。物事のけじめをはっきりせなあかんということですよ。
次に、京都の精華町にある祝園弾薬庫の拡張問題について質問します。
防衛省は、今年度予算で全国十四か所の弾薬庫を新設する建設費二百二十二億円を計上しています。そのうち祝園弾薬庫が突出しており、百二億円を計上しています。祝園では、現在十棟ある大型火薬庫に加え、八棟を増設するとしています。これは、安保関連三文書に基づく戦争する国づくり、自衛隊基地強靱化の一環であって、敵基地攻撃能力の保有、継戦能力の強化のためのものにほかなりません。
そこで、まず聞きます。
防衛省は、相手のミサイル発射基地などを攻撃できる敵基地攻撃兵器、スタンドオフミサイルの一つである一二式地対艦誘導弾能力向上型の配備予定を二〇二六年度から前倒しするとしています。
昨年三月二日の参議院予算委員会で、我が党の小池晃参議院議員の質問に、当時の浜田防衛大臣が、新設する弾薬庫に射程千五百キロもの一二式地対艦誘導弾能力向上型の保管を想定していると認めましたけれども、これには祝園弾薬庫も含まれるんですか。
○鬼木副大臣 国家防衛戦略等において、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、弾薬の生産能力の向上及び製造量に見合う火薬庫の確保を進め、必要十分な弾薬を早急に保有することとしております。このような考え方の下、祝園分屯地においては、令和六年度以降、火薬庫等の新設を行っていくこととしています。
他方、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類については、その詳細を示すことにより自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、具体的にお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
以上です。
○穀田委員 いつもそうやって、肝腎要のところは能力の問題だどうやとか言って答弁を避けるけれども、浜田大臣は、一二式の地対艦誘導型の向上型ということはお話しさせていただいていると、保管を想定していることを認めているんです。だから、祝園だけが例外であるはずがない。
同じ答弁で浜田大臣は、十年後までに百三十の大型弾薬庫を日本中に造ると答弁している。その中で突出しているのが祝園弾薬庫なわけですね。
もう一つあります。
祝園弾薬庫は本州の弾薬補給拠点とされていまして、海上自衛隊との共同運用がされるため、巡航ミサイル・トマホークの持込みも予想されます。京都の舞鶴にはトマホーク搭載可能イージス艦が二隻配備されています。トマホークは二〇二五年度から二百発、それ以降四百発も配備される計画です。
そこで、祝園分屯地の拡張に今年度百二億円もの予算が計上されているのは、来年二百発も配備される巡航ミサイル・トマホークのうち、イージス艦に搭載しないものが祝園に持ち込まれると考えるのが普通だけれども、その理解でよいですか。
○鬼木副大臣 トマホークについては、イージス艦に搭載する計画としております。イージス艦に搭載しないトマホークは火薬庫に保管することになりますが、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類については、その詳細を示すことにより自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○穀田委員 差し控える、差し控える言うているけれども、簡単に言えば、イージス艦に載せないやつは弾薬庫に入れるということは言った。つまり、弾薬庫というのは全国にあるけれども、その中心的な拠点である、しかも、大がかりなことをやろうとしているところに祝園があるということになれば、それは当然そういうことになるというのは誰が考えても当たり前だということになるわけです。
問題は、それらが住民に説明されていないということなんです。
祝園弾薬庫の面積は精華町の六分の一にも及びます。この資料です。見たら分かりますように、資料の一、これは京都民報社が作成した祝園弾薬庫の周辺図です。周辺には、京都府立大学精華キャンパス、国立国会図書館関西館、精華台や光台などのベッドタウンがあります。ウクライナを侵略したロシアも弾薬庫を真っ先に攻撃目標にしているんですね。長射程ミサイルを保管する弾薬庫は真っ先に攻撃対象になる。
また、資料二、これは地震との関係で断層が記されている資料です。ここには、弾薬庫は奈良盆地東縁断層帯の真上にあって、地震や火災、移動中の事故など、住民を巻き込むことも懸念される。
しかし、こうした重大な計画が進んでいることについて多くの住民には知らされていない。計画を住民には秘匿し、住民は黙って従えというのが防衛省の立場ですか。
○鬼木副大臣 もう一回言ってください。
○穀田委員 住民には黙っている、知らされていないということは事実なんです。せやから、防衛省は、計画を秘匿し、結局、住民は黙って従え、そういう立場かと言っています。
○鬼木副大臣 情報を秘匿し、住民は黙って従えという立場かという御質問でしたので、そうではございませんで、近畿中部防衛局から精華町や京田辺市等の関係自治体に対し適切に情報提供をしてきているところであります。
○穀田委員 今あったように、市には説明したと言っている。せやけど、一番被害を受けるのは誰か。それは住民ではありませんか。
だから、イージス・アショアのとき私はこの問題について随分取り上げましたよ。そのとき鬼木さんは副大臣ではなかったですけれども、そのときに、秋田県、山口県に配備する計画のときは当時の河野大臣も再三現地入りしているんです。そして住民説明会も行っているんです。しかも、計画が頓挫した後も住民に説明、陳謝したじゃありませんか。
ところが、精華町からの質問状に対して、今年の一月三十一日付の近畿中部防衛局長からの回答書によると、今お話があったとおり、関係自治体へは情報提供するが、住民説明会は予定していないとされている。これは何やねん。
しかし、大分の分屯地、鹿児島県さつま町への大型火薬庫の建設に際し、九州防衛局は住民説明会を実施している。秋田県、山口県、九州の対応と祝園弾薬庫をめぐる精華町に対する対応の違いはどういう理由で生じているんか、明らかにしてください。
○鬼木副大臣 住民説明会は実施しておりませんが、これまでも近畿中部防衛局から町、市等の関係自治体については適切に情報提供してきているところです。
今後、施設の整備を進めていくに当たっては、関係自治体と調整を行いながら、引き続き様々な形で情報提供を行っていく考えでございます。
○穀田委員 皆さん、今聞いて分かるように、私は、住民説明会をほかでしている、イージス・アショアのときもした、今度はしているのかと言っているんですよ。あなたが言っているのは、町に説明した、自治体に説明したと言っているだけじゃないですか。私は、ほかのところでは住民に説明会をやっている、何でせえへんのやと言っているんですよ。
○鬼木副大臣 繰り返しになりますが、関係自治体と調整を行いながら、引き続き様々な形で情報提供を行っていく考えであります。
○穀田委員 ということは、説明会をすることもありということですな。
○鬼木副大臣 関係自治体と調整を行いながら、引き続き様々な形で情報提供を行ってまいります。
○穀田委員 せやけど、大分でやりでっせ、鹿児島でやりでっせ、秋田でやり山口でやって、何で京都ではせえへんのという理屈がないやんか。誰が考えたかておかしいやないの。ここだけは自治体と相談してて、ほかのところは全部自治体と相談してやっているやないの。問題は、住民に対して説明する気があるのかないのかということが問われているということを言っておきたいと思います。
次に質問します。
祝園弾薬庫をめぐっては、土地、貯蔵施設は拡張しないという一九六〇年の確認書があります。防衛省はこれを破って現状変更しようとしている。我々はこれに強く反対するものですけれども、少なくとも、弾薬庫の拡張計画等、設計や工事の日程、想定される危険性、弾薬運搬に関わるトラック等の交通や住民生活に関わる影響、万が一重大事故が起こった場合の消防や住民の避難体制等々、住民説明会を開催し、住民に丁寧に説明するのが筋だと思っています。
そこで、今、情報提供するだけじゃ駄目だと言いましたけれども、資料一の図にあるように、祝園弾薬庫と京都府立大学精華キャンパスの間はフェンス一枚隔てて隣接しているんです。大学の事務長は、大型弾薬庫の拡張方針について防衛省からも京都府からも何ら説明を受けていないと言っておられる。
また、陸自武器学校の教科書、いわゆる武器教範では、弾薬が火災に包まれてから発火、爆発等の反応が起こるまで約二分。二分以内に一キロ以上の距離に避難すると書かれています。これは琉球新報の二〇一九年六月四日付で報道された内容です。
せっかくですから、副大臣、あなたは二分以内に一キロ避難できますか。
○鬼木副大臣 二分以内に一キロは難しいと思います。
○穀田委員 難しいことをやれと言っているんですよ。
ちなみに、一キロの世界記録は二分十一秒なんですよ。正確に言うと二分十一秒九六なんですけれども、世界のトップでさえ行けない。こんなことをやれと言っているわけなんですよ。笑っている場合じゃないんですよ。これを住民にどないして説明するのや。誰もそう思いませんか。
しかも、障害のある方だとか近隣住民、大学ですよ、万が一の場合どうやって二分間で避難できるのか。人命軽視も甚だしいと思いませんか。
○鬼木副大臣 今引用いただいた文章が教範の認識だと思いますが、それに対して、弾薬庫としてもそういうことが起こるか起こらないか、どういう安全対策が取られているか、しっかりと確認をいたしまして、住民の命が守られるように考えたいと思います。
○穀田委員 住民の命が守られるようにするのは当たり前なんです。ただ、その想定がどう考えたかて、今言いましたやんか、二分以内に一キロ避難できるか。世界で一番速い人だって無理なんです。鬼木副大臣も自分は無理だと言っているわけです。
防衛省の副大臣が無理や言うてるのに、どないして住民が避難できますねんな。しかも、そんなことを強要しておったら笑われまっせ。まさにそういうでけへんことをやれと言うてんのかということになりますやん。
だから、私は改めて、こういう人命軽視も甚だしいし、祝園を始め今後十年間で全国百三十もの大型弾薬庫を増設する計画はきっぱり中止する以外にない。こんなことを全国でやって二分で避難せえなんて言うてたらどないなりますねんな。
そこで、祝園弾薬庫をめぐっては、一九六〇年、当時の精華町町長と防衛庁大阪建設部長、陸自中部方面幕僚長との間で二十三項目に及ぶ確認書が交わされています。その中心部とは何か。
皆さんに今お配りしているので、その確認書の該当部分、赤い線を引いておきました。それを読み上げ、かつ、署名捺印の役職と氏名を述べてほしい。
○鬼木副大臣 確認書の御指摘の部分について読み上げます。
一、要望、核兵器は将来に亘り絶対に貯蔵しないことを確認されたい。回答、了承する(核兵器の貯蔵は考えられない) 二、要望、現在以上施設の拡張しないことを確約されたい。回答、現在以上用地買収及び貯蔵施設の拡張はしない。四、要望、弾薬の貯蔵量の基準を定め増加する場合は事前に町側と協議の上決定することを確約されたい。回答、現施設による貯蔵能力以上は貯蔵しない。増加する場合は事前に町側と協議する。そして、その後の署名と押印された方の肩書が、京都府相楽郡精華町長高田熊三郎、防衛庁大阪建設部長錦田直一、陸上自衛隊中部方面幕僚長伊代茂でございます。
○穀田委員 非常に重要な確認書が当時、精華町長、防衛庁、陸自との間で交わされたということなんです。
ところが、防衛省は、三月二十二日の参議院外交防衛委員会で我が党の山添拓議員に次のように言っているんです。この確認書はいわゆる契約的な意味を持つものではないと答弁されています。
しかし、同時に、木原防衛大臣は、一旦これは確認書という形で確認が取れたもの、私どもも行政文書として保存させていただきながらしっかりと認識していくとも答弁されています。
そこで、確認書には、町長、防衛庁、陸自の代表者三者の署名捺印があります。途中でこれを破棄、改定された事実もありません。だから防衛省としても行政文書として大切に保管してきたということになりますわな。
防衛省が言う契約的意味合いがないなどという新たな解釈、理屈は、つまるところ、この確認書は何の意味もないということですか。
○鬼木副大臣 一九六〇年二月二十六日に京都府精華町と防衛庁が取り交わした確認書については、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し、記録したものであり、いわゆる契約的な意味合いを持つものではないと認識しており、精華町も同じ認識であると承知しております。
いずれにしましても、陸上自衛隊祝園分屯地における施設整備等については、これまでも必要に応じて防衛省から精華町に対し説明させていただいているところであり、引き続き様々な形で適切に情報提供を行っていく考えであります。
○穀田委員 話をそらしたらあきませんで。
もう一遍聞きましょうや。
お手元にこれを持っているよね。これはこう書いているわけやんか。さっき言いましたやんな。核兵器は貯蔵しない。了承する。二番目に、現在以上の拡張はしないことを確約されたい。拡張はしない。それから、貯蔵量の基準を示す内容でいうと、決定する場合どうのこうのと書いているし、貯蔵しない、増加する場合は事前に町側と協議する。このことは守るんやね。
○鬼木副大臣 当時の精華町からの要望とそれに対する回答を確認し、記録したものでございます。いわゆる契約的な意味合いを持つものではないということで、精華町も同じ認識であると承知しております。
○穀田委員 精華町も守らんでええと言うてんの。
○鬼木副大臣 精華町も同じ認識であると承知しております。
○穀田委員 精華町が守らんでいいということを認識している、そう言えるのね。それが公式の答弁なのね。
○鬼木副大臣 一九六〇年二月二十六日に京都府精華町と防衛庁が取り交わした確認書については、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し、記録したものであります。いわゆる契約的な意味合いを持つものではないと認識しておりまして、精華町も同じ認識であると承知しております。
○穀田委員 話の議論をすり替えちゃ駄目ですよ、副大臣。守らんでええと言ったんか。あなたが守らんでええって話をするさかい、町も同じように守らんでええと言ってんのかと聞いているわけです。そうしたら、そうやと言うから聞いてんのやないの。別の話をしたらあかんよ。
○鬼木副大臣 精華町も同じ認識であると承知しております。
○穀田委員 違うがな。話を聞いているんかいな。
この確認書の問題の位置づけについては、契約という意味合いがどうのこうの言っている。守らんでええということを言ったから言ってんのやないの。あほなこと言ったらあかんで。
人の話を聞かなあかんし、約束事を守らんでええなんてばかな話がありますかいな。余りにもひどい。前言を取り消すなら取り消す、取り消さないんやったら、そのとおりやなということをはっきりしとこうや。もう一遍言ってごらん。
○鬼木副大臣 繰り返しになりますが、一九六〇年二月二十六日の要望とそれに対する回答を確認して記録したものであります。精華町も同じ認識であると承知しております。(発言する者あり)
○勝俣委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○勝俣委員長 速記を起こしてください。
鬼木防衛副大臣。
○鬼木副大臣 お尋ねについて断定的にお答えすることは困難でありますが、いずれにせよ、この確認書については、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し、記録したものであり、いわゆる契約的な意味合いを持つものではないと認識しております。そして、精華町も同じ認識であると承知しております。(発言する者あり)
○勝俣委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○勝俣委員長 速記を起こしてください。
鬼木防衛副大臣。
○鬼木副大臣 要は、昭和三十五年当時の確認書の性質が、昭和三十五年当時の両者の認識を確認したものであるということであります。
○穀田委員 何回も聞いていることを答えてよ。守らなくていいと町も言っていると言うから話がややこしいわけやんか。そんな事実はないよと言っているわけ。あるのかと聞いているわけやんか。あるんやったら大問題よ。守らんでいいって話を町が言っているなんてどこで聞いたん。取り消すか、確認するか。
○鬼木副大臣 町が守らなくていいということは言っていません。確認書の性質について……(穀田委員「性質の話じゃないよ、あなたが守らんでいいと言うからやんか」と呼ぶ)それは言っていないです。町も言っていません。守らなくていいとは言っていません。
要は、この確認書の性質が契約的なものではなくて、当時の両者の認識を確認したものであるということを申し上げております。
○穀田委員 そういう空論をしゃべったらあきまへんで。町民が聞いたら怒りまっせ。どういう経過でこれをやったか知ってますか。どういうふうに結ばれたか。
これは、実は単に町長が署名したとか押印したとか捺印したという話じゃないんですよ。町と町民を代表して町長がやったんですよ。しかも、大事な点は、この確認書は、一九六〇年当時、精華町の町民ぐるみの弾薬庫反対運動の闘いの中で交わされた大変重い意味を持つ確認書なんですよ。法的な話とかなんとか言ってごまかしたら駄目ですよ。
確認書を交わし、弾薬庫の設置に合意した当時の精華町議会の議事録を私は読みました。おたくは読んでいないでしょう。後に精華町長を歴任した大崎鉄平町議は、いろいろと申し上げれば数限りないが、要するに以上の問題等を少しでも満たすべく町当局は防衛庁側と種々の協定を結ばれたと思うが、決して双方ともその内容を作文に終わらし、また空文化させてはならないと町と防衛庁に最善の努力を要望されているわけです。
問題は、結論からして、その確認書を尊重するのか尊重しないのかと聞いているんですよ。
○勝俣委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○鬼木副大臣 この確認書は、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し、記録したものであり、契約的な意味合いを持つものではないと認識しております。
○穀田委員 何回も言うてるけど、それは守らんでいい話じゃないんだと言っているんですよ。
要するに、当時のものであり、拘束されない。それやったら空文化してええのかということになるじゃないですか。
大体、そんなええかげんな話したらあきまへんで。確認したのは、守らなあかんということを私は言っているんですよ。おたくのところは守らんでいいと言っているのかと聞いているわけですやんか。そして、守らんでいいと言うから話がややこしくなっているんじゃないですか。しかも、町がそう言っているんだ、そう言うから話がややこしいんですやんか。あほなこと言うたらあきまへんで。
最後に一言言いますよ。
私は、こうした横暴勝手に通底するのが現在始まっている地方自治法の改悪案だ。これは、国民の安全に重大な影響を及ぼすと政府が判断した場合、個別の法律に規定がなくても自治体に対し指示ができる仕組みを盛り込むものであります。
一方で、今、町と町民と交わした約束をほごにして、一方では、指示権で地方自治、住民自治を否定する。本来、国と地方は憲法上対等、平等であるべきです。今回明らかになったように、対等、平等であるべき地方自治、住民自治を国が一方的に否定する、こうした横暴勝手は許されない。確認書というのは重大な意味があって、町民と防衛庁を含めて確認した内容だ。実行されなければならないということを最後に申し述べて、終わります。
○勝俣委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○勝俣委員長 これより各件に対する討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党の鈴木庸介です。
会派を代表して、日独ACSAについて反対討論を行います。
急速に変化する厳しい安全保障環境において、自由、民主主義、人権及び法の支配という基本的価値観を共有し、G7等において国際社会の問題に協調して取り組むドイツとの関係を促進することの意義は認められます。その観点から、日独間で緊密な関係を築き、人道支援や災害支援等における活動のみならず、安全保障上の協力を促進していくこと自体は歓迎すべきことです。
一方で、本協定自体は決済手続の円滑化を図るものであるものの、政府は、解釈上も、運用上も、本協定に適用対象として明記されているそれぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動に関して、存立危機事態を想定した訓練などを行うことは除外されないとしており、この間の政府とのやり取りにおいても、存立危機事態における物品、役務の提供が行われないとの答弁は得られず、反対せざるを得ないと判断をいたしました。
○勝俣委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日本・ドイツ物品役務相互提供協定、日独ACSAに反対の立場から討論を行います。
本協定は、二〇一五年の安保法制の成立により可能となった自衛隊から他国軍への物品、役務の提供について定めるもので、平時の共同訓練から集団的自衛権行使を可能とする存立危機事態に至るまで、あらゆる場面で自衛隊とドイツ軍が相互に兵たん支援を行えるようにするものです。こうした武力行使と一体不可分の活動が憲法九条に反することは明白です。
また、本協定では、弾薬等の物品、役務について、提供国の事前同意があれば、受領国が第三国の部隊等に移転することを認めているのも重大です。
防衛省は、第三国の部隊への移転が想定されるケースとして災害対処活動を挙げていますが、この活動は、一般に日本で行う災害派遣とは異なり、有事での作戦行動を含むもので、近年の他国軍との共同訓練もそのことを想定したものとなっています。
安保三文書は、自由で開かれたインド太平洋構想の下、ACSAの整備推進を日米同盟を基軸とした同志国等との連携強化を深める上で重視しており、本協定もドイツとの軍事協力を制度面で強化するための基盤となると位置づけています。
ドイツは、二〇二〇年に策定したインド太平洋ガイドラインで、同地域でのプレゼンスの強化を表明し、それ以後、自衛隊との共同訓練にフリゲート艦バイエルンや戦闘機ユーロファイター2000を派遣するなど、日本との軍事協力を強めています。本協定の締結は、こうした日独両国の軍事活動を一層加速させることは明らかです。
以上を指摘し、本協定に対する反対討論とします。
○勝俣委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○勝俣委員長 これより採決に入ります。
まず、日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○勝俣委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、航空業務に関する日本国政府とクロアチア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○勝俣委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○勝俣委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○勝俣委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○勝俣委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会