第2号 令和7年3月21日(金曜日)
令和七年三月二十一日(金曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 堀内 詔子君
理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君
理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君
理事 鈴木 庸介君 理事 太 栄志君
理事 杉本 和巳君 理事 和田有一朗君
理事 西岡 秀子君
逢沢 一郎君 英利アルフィヤ君
大空 幸星君 大西 洋平君
草間 剛君 新藤 義孝君
高木 啓君 松島みどり君
松本 尚君 茂木 敏充君
小熊 慎司君 亀井亜紀子君
篠原 豪君 竹内 千春君
武正 公一君 山崎 誠君
西田 薫君 深作ヘスス君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
阪口 直人君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
外務副大臣 藤井比早之君
外務副大臣 宮路 拓馬君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
防衛副大臣 本田 太郎君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
外務大臣政務官 松本 尚君
外務大臣政務官 生稲 晃子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡 朋史君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 大鶴 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房国際文化交流審議官) 岡野結城子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 柏原 裕君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 渡邊 滋君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 神ノ田昌博君
政府参考人
(農林水産省大臣官房参事官) 平中 隆司君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
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委員の異動
三月二十一日
辞任 補欠選任
広瀬 建君 草間 剛君
亀井亜紀子君 山崎 誠君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 大西 洋平君
山崎 誠君 亀井亜紀子君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 広瀬 建君
同日
理事杉本和巳君同日理事辞任につき、その補欠として和田有一朗君が理事に当選した。
―――――――――――――
三月十九日
独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
同月十四日
代執行による辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七六号)
同(志位和夫君紹介)(第三七七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三七八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三七九号)
同(田村貴昭君紹介)(第三八〇号)
同(田村智子君紹介)(第三八一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三八二号)
同(本村伸子君紹介)(第三八三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
国際情勢に関する件
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○堀内委員長 これより会議を開きます。
理事の辞任についてお諮りいたします。
理事杉本和巳君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に和田有一朗君を指名いたします。
――――◇―――――
○堀内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
○武正委員 立憲民主党、武正公一です。
それでは、質疑を進めさせていただきます。
岩屋外務大臣におかれましては、先日も、G7外相会合、カナダ・シャルルボワということで、また、今日もそのことについても聞かせていただきたいと思いますし、明日は、たしか日米韓外相会談もあるということで、今、非常に日本にとって大事な局面ということで、大臣ほか政務三役の皆さん、また、今日は防衛副大臣も御出席いただいております。ありがとうございます。御精励を心から御祈念申し上げたいと思います。
まず、二月十三日、私、衆議院本会議に質疑に立ちまして、その場で、日米首脳会談を受けて質疑を行わせていただいた折に、やはり、自由で開かれたインド太平洋についての記述が、法の支配に基づくという、これまでのG7だったり首脳会談だったり、そういった記載が見られない、これは非常に問題ではないかということで提起をし、併せて、直後に開かれるミュンヘン会議でのG7外相会談では、是非、この法の支配を明記した形で共同声明なりが発出されるようにということを石破総理に求めました。
明確なお答えはなかったんですが、お手元の資料にありますように、資料一ですけれども、これはミュンヘンのG7外相会合後の共同声明、三段目のところに、「G7メンバーは、法の支配及び主権の尊重を基礎とする、自由で開かれた安全なインド太平洋」という形で記載をされたということは評価をしたいというふうに思っております。
ただ、三月十四日のカナダ・シャルルボワのG7外相会合になりますと、資料二、下から二段目でございますが、「我々は、主権、領土一体性、紛争の平和的解決、基本的自由及び人権に基づく、自由で、開かれた、繁栄し、安全なインド太平洋」という形で、法の支配が抜け落ちているということでございますが、こうした共同声明、二月は入っていたものが、三月になってしまったら抜け落ちたこと、また、非常に何か細かい、こうした言葉がつくようになった背景、これについて外務大臣に伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 武正委員には、外務副大臣も御経験でございますし、外交政策において日頃から御指導いただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
御指摘のミュンヘン及びシャルルボワ、今回のカナダでのG7外相会合共同声明については、異なる機会に出された文書でございます。特に、シャルルボワでは、ウクライナにかなり大きな動きがあったということで、そういうことに議論が集中をしたということもございます。G7外相会合を開かれるたびに置かれた状況というのはかなり変わるわけでございまして、必ずしも文言の一言一句が同一であるわけではございません。
その上で、いずれの外相会合の機会におきましても、G7として、自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントを確認をしているところでございます。法の支配がなければ、自由で開かれたインド太平洋というのは実現しませんので、これはもう大前提の話でございます。G7としての立場に何か変更があったということではございません。
また、会議の中におきましても、私からもしっかりと法の支配については発信をし、また、G7各国からも賛意が得られたところでございまして、自由で開かれたインド太平洋ということがしっかり確認されているということで、法の支配というのはもうその中に包含されているというふうに御理解をいただければありがたいと思います。
○武正委員 確かに、G7外相会合では、海洋安全保障及び繁栄についての共通のステートメントなんかでは法の支配ということが入っているんですけれども、あるいはまた、バイの、それぞれ外相の会談を見ましても、岩屋外務大臣から、やはり法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋という形で発言をしているわけですね、バイでは。
それが、この共同声明になりますと、二月は入っていたのが、幾らウクライナについて米ロのいろいろな動きがあった直後にせよ、これが抜け落ちてしまったというふうに言わざるを得ないんですね。
あわせて、では、なぜこのように細かく共同声明に入ってくるのか。もう一度言いますと、「我々は、主権、領土一体性、紛争の平和的解決、基本的自由及び人権に基づく、自由で、開かれた、繁栄し、安全なインド太平洋」、これは法の支配という一言で済むのではないのかと思うんですが、なぜこのように細かく共同声明で、ウクライナのことで忙しかったんだというのであればなおのこと、このように細かく共同声明に記載をする意味がよく分からないんですが、併せて伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 我が国が提唱している自由で開かれたインド太平洋と申しますのは、言うまでもなく、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することによって、地域全体、ひいては世界の平和と安定、繁栄を確保していくというビジョンでございますので、そういう文言が入ってきたというのは特段不思議なことではないと思います。
先生も御案内のとおり、一応、議長国が原案を用意し、外相会合での議論を踏まえた上で、各国の意見を聞いてコンセンサスが得られたものが文章にまとめられていくという過程でございますので、毎回同じような文言が使われていくということにはなかなかなりにくいということも実態でございます。ただ、意味としてはそういうことであるということを御理解いただければと思います。
○武正委員 多分、この記載をされた「主権、領土一体性、紛争の平和的解決、基本的自由及び人権」以外に法の支配がカバーするところがあることで、それについてはやはり抵抗を示したG7の加盟国があったということで私は理解をする次第ですが、だからといって、法の支配に基づくというこれまでの我が国の主張をG7外相会談が取り下げてしまったことはやはり認められないということで、引き続き求めていくべきだというふうに主張をしたいと思います。
それで、今日は、お手元の資料で三ページの方を御覧いただきますと、今国会、外務委員会には日伊のACSA、物品役務協定が提出をされております。それに基づいて、防衛省設置法等、この整備法、これが安保委員会の方に提出をされているというふうに理解をしておりますが、資料五を見ていただきますと、防衛省設置法等一部を改正する法律案が、それぞれのACSAに応じてこのような形で審議をされてきた経緯があります。
また、今国会には、RAAについても提出をこの外務委員会にされておりまして、資料四にありますように、これに関連する法案も同じく安保委員会の方に提出をされております。
ただ、まず防衛副大臣に伺いたいと思いますが、今国会で防衛省が提出をした防衛省設置法等の一部を改正する法律案、これを可決すると、今後、日本と諸外国で結ぶACSAが新たに外務委員会などに署名を経て承認の提出がされた場合には、法案もやはり同じように提出をされるようになるということでよろしいでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
今国会におきまして、ACSAの共通化規定が改正を見ました場合には、今後、法案の審議としては委員会で行われるものではなく、条約審議として行われる、そういうことだと理解しております。
○武正委員 具体的には、これまで締約国の名前が法案に入っているので、新しい国が新たに条約を締結した場合には、国を加えた形で法案が毎回提出をされてきた。それに応じて、このように、安保委員会の方では二時間半、七時間、三時間、三時間、六時間と審議が行われてきた経緯がありますが、今回の法改正では、締約国ということで全部そこに入ってしまいますので、以後法案を審議する必要がないということで、なぜそういうような法改正を今回提案をしているんでしょうか。
○本田副大臣 今回のACSAの共通化の規定は、これまで様々な国と締結してきました法律が内容において共通化する部分がございますので、今後、各国と実施する、国内担保実施措置が定型化している、そういう実態に鑑みれば、今後締結するACSAの内容を、相手国に対しても予見可能性を高めるということもございますし、さらに、ACSAの交渉の円滑化にも資するということでございますので、国名を列挙しない形で法改正を行うということでございます。
○武正委員 条約の審議というのは、御承知のように、政府が条約を署名をする、これについては政府の方に、内閣の方に、優先権というか許諾をするというか、その権限を与えるという形で国会には承認を求めるという手続があるわけですが、ただ、条約は、御案内のように、衆議院で可決をすれば三十日以内に成立をするというような形で、そういった国会での審議というのは、ある面、非常に制限された形でなっております。
そのときに、法案がセットで国会に出されることで、やはり国会での審議を通じて、国会の関与をしっかり行っていくということが私は仕組みとしてあるんじゃないかというふうに思うわけです。
セットで、このRAAも含めて今国会で両方とも改正をして、以後条約が提出をされても安保委員会などで審議をしなくていいという形になってしまうのは、非常に私は国会の関与ということで問題があるというふうに思いますが、外務大臣は、今後、ACSAを、条約国会承認時に衆議院安全保障委員会に防衛省設置法等改正案が提出されないということについては、今回のこの法改正については、いつ、そのことを承知をされたのか、そして、それを外務省として容認するに至った理由、私は、国会の関与という点では、条約と法案をセットでやはり国会が関わるべきという意見ですが、外務省としてそれを容認するに至った理由を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 今国会の提出に向けてACSAの国内実施法を共通規定化することについては、二〇二四年、昨年六月に防衛省から外務省に協議があったと承知をしております。
その理由は、先刻、防衛副大臣から説明をされたとおりでございまして、日米以外のACSAに規定する活動の範囲及び提供される物品、役務の類型がもう定型化しておりますので、これに伴って、ACSAの国内実施法、国内担保法である自衛隊法及びPKO法の改正内容は基本的に同様となっていると承知をしております。そういう理解を我が方もさせていただいたところでございます。
ただ、言うまでもないことながら、今後もどの国とACSAを締結するか、RAAを締結するかについては、その都度国会で審議をお願いすることになるわけでございます。
○武正委員 ちょっともう一度、日時というか、いつだったか伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 二〇二四年の六月だったと承知をしております。
○武正委員 資料としては、質問要旨には入っていませんが、RAAもつけているんですけれども、RAAも同じような時期であったということでよろしいでしょうか。
○岩屋国務大臣 RAAについては、二〇二四年五月に協議があったと承知をしております。
○武正委員 外務大臣はそれでよしということだというふうに今承りましたが、今日は、午前中、安全保障委員会の方にも出席をされていたと思います。
先ほど触れましたように、条約は衆議院で可決をすれば一か月で成立をするということになっておりますので、また、この影響が非常に大きいのは参議院の外務防衛委員会ではないかというふうに思います。
ですから、これまでは、参議院の外務防衛委員会は外務省、防衛省、法案、条約をセットでやっておりましたので、これまでであれば、ACSAあるいはRAAについては参議院の外防委員会で審議ということでありますが、これから、このACSAあるいはRAAが署名されて条約審議に付されても、参議院では法案の審議はない、条約のみ、それで、条約は衆議院をもう既に通過しているわけですから、一か月以内に自然成立することがある、もうそれが見えていながら参議院では外防委員会で審議に入るというようなことを言うと、これは院は違うわけですが、参議院にも多大な影響が、特に条約のみということであればあるのではないかというふうに思います。
ここは衆議院ですけれども、そうしたことも含めて、本当にこうやって国会の関与を減らすことに、同じ文言だから別にいいんだよというお話ですけれども、国も違えばそのときの状況も違うわけですから、やはり、自衛隊と諸外国の軍隊との関わりに関する条約が法案とセットで審議があってしかるべきと私は思いますが、再度、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたが、国内実施法だから、何をどうやるか、物品、役務の類型が定型化している。そういう意味でいうと、RAAについてもそうだと思います。したがって、それは、一々審議をしていただかなくともいいのではないかなと思います。
ただし、定型化した、類型化したものから外れるような事項が出てきた場合には、当然、法律の改正ということになりますので、それはしっかり審議をしていただくということになると理解をしております。
○武正委員 私も、この外務委員会で理事も何度か務めましたので、理事各位、それから委員の皆様も同じような認識を持っておられると思いますのは、社会保障協定あるいは租税協定、こうしたものが国会に三本、四本まとめてどばっと出てくるというのが、この外務委員会の常であります。
何でこんなにたくさん、一遍にまとめるというのもどうなのかなと思いますけれども、ただ、外務委員会で社会保障協定についてどこまで深く議論ができるかな、これはやはり厚生労働委員会なのかな、租税協定については同じようにやはり財金なのかなという印象を持っていたんですね。
そして、今回、これをやってようやく分かったんですが、過去、実は、社会保障協定も毎回同じように法案が出されていて、厚生労働委員会で審議をしてきたんだけれども、それをやはり、面倒くさいからというのかよく分かりませんけれども、束ねて、締約国というような形で、平成十九年に厚生年金保険等の特例法を成立をさせて以降、社会保障協定は外務委員会だけの審議に付されるようになりました。
それから、一番近いところでは、昨年、令和六年、所得税法の改正案で、租税条約特例法ということで、租税条約は法案審議はなしにする、外務委員会だけにする。それに倣って、今回、防衛省さんは出されたということでよろしいでしょうか、防衛副大臣。
○堀内委員長 本田防衛副大臣。(発言する者あり)
答弁できますか。
○本田副大臣 済みません、遅くなりました。
今回の改正によりまして共通化規定が成立した場合には、ACSAの下での物品及び役務の提供の自衛隊法上の根拠について、従来のように国ごとに個別の条文が分立するのではなく、共通規定化された条文に統合されるというのは御承知のとおりでございます。
これにより、ACSAに規定する活動の範囲や提供される物品、役務の類型が自衛隊法上どのように規定されているかについては、国ごとに個別の条文を見比べるわけではなくて、統合された条文のみを参照することで、より分かりやすく確認できるようになるということでございます。
また、現在も、外務省や防衛省のホームページにて各国と締結したACSAの協定を掲載しておりますので、どこと締結したかということは非常に分かりやすくなっているということでございまして、御指摘のとおりといいますか、に当たると思います。
○武正委員 残念ながらお答えいただけないので、条約を締結するのは外務省ですから、やはり岩屋外務大臣に伺いたいんですが、今回のこの法改正は、防衛省から出されているとはいえ、当然、私は、昨年六月、五月の前にもいろいろやり取りがあったというふうに思います。
外務省として、過去、先ほど触れたように、社会保障協定あるいは租税条約、こういう形で、もう法案の審議をしなくていいようにやっているからいいんじゃないのというような形で防衛省にもし答えていたとすると、私は、今回のこのACSAとRAAは、社会保障協定と租税条約とはやはり趣を異にするものではないかということで、こうやって質疑をさせていただいております。
先ほど言ったように、社会保障協定、租税協定もやってきたから、外務省とすれば、防衛省さん、いいですよというような形でお答えになったということでしょうか、外務省。
○岩屋国務大臣 昨年五月、六月の段階では、私は判断者ではありませんでしたが、就任後に、本件について説明を聞いて、了解をしたところでございます。
我が国は、今、戦後最も厳しい安全保障環境に直面しておりまして、私どもとしても、できるだけ多層的、重層的に、今後より多くの国とACSAあるいはRAA等々を締結をして、安全保障の大きな枠組みをつくりたいというふうに考えております。
もちろん、どの国とそういう協定を結ぶかということは極めて重要なことでございますので、条約はその都度国会でしっかりと御審議をしていただきたいと思っておりますが、その実施法、担保法である国内法についてはもうほとんど類型化、定型化されておりますので、もしそこに変更があるような中身が加わるということであれば、もちろん法案の形でまた審議をお願いするということになりますが、私としては、その方法でいいのではないかというふうに判断をさせていただいたところでございます。
○武正委員 資料六を御覧いただきたいんですが、日米ACSAにつきましては、二〇〇四年の協定改正時に、当時のテロ特措法、それからイラク特措法、これを付表二に加えるという改正が行われ、このとき以来、付表二にこうした日米の関係する法律を加えることは、もう協定を改正しなくていいというような形にしたというふうに承知をしておりますが、その理由は何でだったか、お答えいただけますでしょうか。
○岩屋国務大臣 二〇〇四年の第二次改正の際に、旧日米ACSAに付表二が加えられました。これは、同協定第六条の「権限の範囲内で、」との規定を受けまして、第六条に基づいて自衛隊が物品、役務を提供する権限を有している場合はいかなる場合かを明確にするものでございます。
同じく、二〇〇四年の第二次改正の際に、旧日米ACSA第十二条三項におきまして、付表二は、日米両政府の書面による合意により、この協定を改正することなく修正することができることが定められたわけでございます。二〇一七年発効の現行の日米ACSA第十二条三項でも、同様の規定が置かれております。
これは、今後の我が国における立法措置によって、米軍への物品、役務の提供権限を付与する新たな法律の規定が設けられた場合には、迅速に当該規定による自衛隊から米軍への物品、役務の提供を行い得るようにするためのものでございます。
○武正委員 本来であれば協定改正が必要なものを、両国の間で、付表二に法律を加えることで、それを済ませようという改正でありました。
こういうようなことで、日米間あるいはまた日本と諸外国に関する、物品役務協定あるいはまたRAA、これはこれからどんどん増えていくんだ、今、日本は極めて大事な局面にあるという御認識だとすれば、やはり国会での説明というのは私は非常に大事だというふうに思います。
私も本会議で質問したように、対GDP比三%への増額を日米首脳会談で要求されたのではないですかと総理大臣に聞きましたら、そんなことはないという答弁でしたが、その後、国防次官の上院での証言で、あるいは提出された紙で三%の要求というようなことが明らかになっておりますので、もしかすると、やはり日本のこの負担、あるいは防衛費の増額などが、今も我々立憲民主党は、二%への増額についても積算根拠なんかを示すようにということで国会で求めていますが、それがなかなか出てこないという状況も含めて、更にもしかしたらというような中で、この令和七年の法改正で、衆議院安全保障委員会また参議院外務防衛委員会での法案審議が必要なくなるような改正を同時にセットで、ACSAとRAAでやるというのは極めて残念であるというふうに言わざるを得ません。
やはりこの外務委員会も、安全保障委員会も、また立憲民主党も、現実的な外交、安全保障を取ろう、そういった立場で審議に臨んでいるわけですから、極めて政府の今回の法案提出は非常に不誠実だというふうに言わざるを得ないと思いますが、再度外務大臣としてのお考え、今回、法案審議、過去を見ても分かるように、附帯決議も残念ながらつけておりませんので、私は、まだまだいろいろなやり方があるのかなというふうに思いますが、改めて最後に御所見をもう一度伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 ACSAにしてもRAAにしても、言うまでもなく、防衛協力あるいは安全保障協力のための協定でございまして、それをどういう国と結んでいくべきか、また、それが妥当かということについては、言うまでもなく、国会でしっかりと御審議をいただかなければいけないということだと思います。
ただ、それを受ける国内実施法の中身について変わりがほとんどないのであれば、それはまた別途、一々議論するというよりも、どの国と本来そういう防衛協力あるいは安全保障協力の関係を結ぶべきかということについて、国会でしっかりと御審議をいただくということがとても大切なことではないかなというふうに思っているところでございます。
○武正委員 極めて残念でありますが、まだ安保委員会などの審議はこれからということもありますので、まだまだ国会としてやるべきこと、また、与党、野党を含めてそれぞれの党の代表の方もいらっしゃいますので、是非国会として努めることをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
まず始めに、海外における邦人保護についてお伺いをいたします。
今月、ベラルーシにおきまして、ベラルーシもロシアの同盟国であり、ルカシェンコ大統領は欧州最後の独裁者とまで異名を取っている国で、いろいろ問題のある国ですけれども、ここにおいて、昨年七月に拘束された中西さんという方が、スパイ活動罪で懲役七年の判決が下されました。昨年、ベラルーシでの国営放送の特集番組では、明らかに誤りのある証拠で犯人と決めつけたような番組も作成されているところでありますし、非公開での裁判でもありましたので、これは事実関係が把握はできていないところであります。
また、別の邦人が高架橋を撮っただけで拘束をされているという状況もあり、これまでの間、外務省におきましては、即時釈放や、人道的観点から問題があるというふうにベラルーシには伝えているというふうにも聞いてはおりますけれども、改めて、これまでの対応と、今後、上訴も含めどういうふうに対応していくのか、お聞きをいたします。
○岩本政府参考人 ただいま御指摘のありましたベラルーシでの邦人の拘束、現在二名日本人が拘束されているわけですけれども、いずれにつきましても、拘束当初から、日本政府としましては、ベラルーシ側に対しまして即時釈放の働きかけを累次行ってきているところでございます。
昨年七月に拘束された邦人の方につきましては、今月判決が出ましたので、この判決も踏まえつつ、引き続きベラルーシ側に働きかけを強めていきたいと思っております。十二月に拘束された方につきましても、同じように今働きかけを強めておりますし、また、両名との領事面会等も継続していきたいという具合に思っております。
○小熊委員 これは、ベラルーシ側に伝えた上で、どういう反応でしたか。あわせて、あと、上訴はするんですかね。
○岩本政府参考人 まず、ベラルーシ側の反応につきましては、ベラルーシ側の独自の主張がございましたけれども、これについては、私どもとしては受け入れられないという具合に考えております。
判決の出られた日本人の方が上訴されるかどうかについては、現時点では決まっておりません。
○小熊委員 これは本人の意思もありますけれども、政府としては上訴すべきと促しているのか。あと、今言った、ベラルーシ側の受け入れられない特別な理由と言っていましたけれども、具体的にはどんなことですか。この二点、お伺いします。
○岩本政府参考人 まず、昨年七月に拘束された日本人の方につきましては、先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、ベラルーシ側は、当初から、その日本の方が諜報活動を行っているというような主張をしておりましたが、これについては、私どもとしては、そのような事実はないという具合に考えております。
昨年末に拘束された日本人の方につきましては、そもそもがどういう容疑で拘束されているのか、現時点でもいまだはっきりしておりませんので、その点を含めて私どもは釈放を求めているという状況でございます。
そして、最初の日本人の方の上訴されるかどうか、これについては、御本人ともしっかり意思疎通をしながら、最終的な判断をされるということだと思っておりますので、いずれにしましても、現時点では決まっておりません。
○小熊委員 確認ですけれども、現地では、御本人たちにきちっと直接接触はできているんですね。ちょっと確認です。
○岩本政府参考人 はい。両名とも、私どもの大使館の方で接触をさせていただいております。
○小熊委員 これは言えないのかもしれないけれども、御本人たちはスパイ活動をしていないという意思は表明していますか。伝えていますか、外務省の方に。
○岩本政府参考人 両名、御本人がどういうことをおっしゃっていたかというところにつきましては、ちょっとこういう場でございますので控えたいと思いますが、いずれにしましても、私どもとしましては、ベラルーシ側が言っているような諜報活動、そのような事実はないという具合に考えております。
○小熊委員 これは大臣にちょっと答弁をお願いしたいんですけれども、これは通告はしていない部分ですから、答えることはないんですが。
ベラルーシで拘束されているほかの海外の人もいるはずですよね、多分同じような案件で。何人いるかは、別に通告していないので、それは聞きませんけれども。あと、中国においてもこういうことがある、ほかの国でもこういうことがあるわけですし、日本人、邦人だけではないわけですよ。
ここも、やはり国際的な連携の下に、ちゃんとした、合理的な、法的な運用の下になされるのであれば、海外で邦人が罪を犯せば、それは刑に服さなければなりませんけれども、こうしたいわれのないことでなることは、やはり国際連携の中でやっていかなきゃいけないというふうに思います。
そこで、外務省、邦人保護、努力はしていますけれども、こういった案件がほかの国でもある場合は、そうした国と一緒に連携を取ってやっていかなければいけないし、ベラルーシだけではなくて、中国でもこういうことが起きておりますので、こうした国際連携の中で当該国にしっかり抗議をしていく、働きかけをしていくということが必要だと思いますけれども、大臣、よろしくお願いします。
○岩屋国務大臣 この段階で、ただいまベラルーシにおいて、日本以外の他の国の人がどういう形で拘束されているかというのはちょっと承知しておりませんけれども、委員がおっしゃるように、場合によっては、同様の状況に置かれている国と連携するということもあってしかるべきだというふうに思っております。
もちろん、それ以前に、我が国として即時釈放というのをこれからも強く求めてまいりますが、最も有効な手だてを考えてまいりたいと思います。
○小熊委員 ベラルーシは渡航については注意喚起を出していますけれども、例えば、中国においてはそんなことはないわけですよね。でも、観光に行って、ばしばし写真を撮って拘束されちゃったなんということも出てきかねない状況でも今あるので、国際社会の中でしっかり連携をしていきながら解決をしていかなければなりませんし、今日質疑をさせていただいたこのベラルーシのお二人については、即時釈放に向けて最大限の努力をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
米国開発局、USAID、今事実上の閉鎖に追い込まれようとして、事業も八〇%以上停止をしています。このUSAIDは、直近、二〇二三年ベースで、百三十か国余りで四百億ドルのプロジェクトに関わってきていました。これはいろいろな効果があったと思いますし、メリーランド州の連邦地裁では、今停止していることについて差止め命令が出たようでもありますけれども、いずれ混乱をしていて、事実上止まっています。
このことに対しては、もう地球規模の大きな影響を与えていますし、このまま八〇%以上が閉鎖に追い込まれれば、例えば、あらゆる疫病がまたパンデミックを起こしたり、また、貧困が更に続いて紛争や戦争につながりかねない、そうしたゆゆしき事態だというふうに思っております。
そういう中で、日本政府としても、これはアメリカの決定ですけれども、地球全体の公益性に関わる地球益の問題ですから、国際連携して、米国にしっかり説得をしていくということが必要だと思います。
だから、この委員会でもずっと私も言ってきましたけれども、日本のODAもしかりですけれども、チャリティーではないわけですよ、海外援助というのは。これはお互いの、地球規模の公益性のある事業であって、チャリティーだったら出さないで終わるんだけれども、それをやることによって、アメリカだって影響を受けるわけですよ。
そういうことをしっかり説得していくべきだと思いますし、これはアメリカの内政ではなくて、国際社会の一員としてアメリカに強く言うべきだと思いますけれども、この点についてはどう対応していきますか。
○岩屋国務大臣 今、米国政府においては、対外援助と外交政策の整合性について評価の作業が進んでいるというふうに承知をしておりまして、委員御指摘のとおり、USAIDについては事業がかなりストップしてしまっていると承知をしております。
ただ、事態が極めて流動的というか、現在進行形のところもありますので、このことに関していろいろな声が今米国にも寄せられていると承知をしております。したがって、最終的にどういう形に決着するかというのは、まだ予断を持って申し上げたり評価することは控えたいというふうに思います。
我が国としては、おっしゃるように、こういう支援というのは、情けは人のためならずということではありませんけれども、米国に対する評価、リスペクトということにも関わってくるというふうに、正直、私は心配しておりますので、我々のその懸念や心配ということについても伝えていきたいというふうに考えております。
○小熊委員 現在進行形で決定事項ではないというところが実は大事で、決定してしまって、例えば廃止とか解体した後で、もう一回やってくれよというのは、そっちの方が大変ですよ。現在進行形だからこそ方針が示されている、廃止とか、あらゆるプロジェクトから撤退するという、最終決定していないからこそ言えると思いませんか。だから、今の時点でこそ強く言うべきです。どうですか、大臣、もう一回。
○岩屋国務大臣 外交上のやり取りですから、詳細については控えさせていただきたいと思いますが、例えば、関税政策についてもそうでございます。これは我が国だけではなくて、世界中が今影響を受けようとしているわけであって、我が国は我が国の申入れはしておりますけれども、米国のためにもというのはちょっとおこがましい言い方かもしれませんけれども、やはり言うべきこと、伝えるべきことは伝えてきておりますし、これからもそうしたいというふうに考えております。
○小熊委員 外交上控えることはないんですよ、堂々と言っていいんですよ。外交上の話にしても、それは関税の話と多少重なる部分もあるけれども、これは人道上、またいろいろな世界の人々の健康にも関わるもので、取引の話でもない部分もありますよ。
アメリカのUSAIDの実績でいえば、エイズの蔓延防止とかマラリアの防止とかに相当役立ってきたわけですよ。今、日本はインバウンドでいろいろな国の人が来るということは、USAIDがやってきたことが全くなくなってそういう病気が蔓延したら、結果として日本にもそういう影響があるということですから。
これは我が事として、他人事ではなくて、しかも、貿易上の交渉とはまた別で当たらなきゃいけないと思いますよ。そういうレベルの話だと思います。もう一度、お願いします。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおり、こういう事業は、いわゆるグローバルサウスといいますか、島嶼国もそうですし、アフリカ地域もそうですし、世界全体に影響をもたらすということになっていくと思います。
また、米国のコミットメントが引いたところは、では、一体どこが穴埋めをするのか、それだけの資金があるのか、人材がいるのかといった問題で、我が国のみならず、各国のそういう支援活動、援助活動にも影響を及ぼすことでございますので、そういう問題意識を持ってしっかりと議論をしていきたいというふうに考えております。
○小熊委員 今大臣が先に触れていただいたので。
そうなんです、もしこのままプロジェクトの停止やUSAIDの解体となったときに、では、これはどうするのと。退場したままでだったら、今言ったように、疫病も蔓延するし、いろいろなものが、貧困も進んでしまうということですから。
ここが、言われているとおり、中国が目をつけているわけですよね。今、世界のGDPの一七%ほどを中国が占めていて、かつて日本がODA過去最高額を占めていたときは、割合を占めていたときは、まさに日本が世界のGDPの同じぐらいの割合があった。今、世界四位といっても、世界の比率の中では四%ぐらいですから、その中で効率よくやっていかなきゃいけないというのはありますが。
ただ、日本のODAというのは世界一の海外支援の実績があるというふうに私は評価をするところであり、ただ、今、日本の財政事情、また世界のGDP割合が四%ということの実力でいえば、アメリカの肩代わりをするにはなかなかしんどいところがあります。
では、二番手の中国がやるといっても、中国には、中国の外交部の人にも言いますけれども、あんたら、やっていることで間違っているものがいっぱいあるよ、嫌われているぞとまで言うんですけれども。よく、海外援助の場合は、例えば、緊急時には魚を上げなさい、本当の援助は魚の釣り方を教えることだと。中国は、魚を自分のところで釣って、自分のところの益にしちゃっているという、それはうがった言い方かもしれませんけれども、そういう海外の援助ですよ。
いろいろなものが散見されています。自分の国益のためだけであって、その国のためになっていないものも多い。だから、中国がアメリカのUSAIDの肩代わりをしたら、これはこれでまたいびつな海外援助の世界ができ上がってしまうなというふうに思います。
今後、アメリカには粘り強く説得をしつつ、もう準備をして、中国に対して、そういうゆがんだ国際援助にならないように、日本は指導的役割をしていくべきだというふうには思いますけれども、その辺については、大臣、どうですか。
○岩屋国務大臣 人道援助や開発援助について、必ずしも米中対立というか米中競争の次元で語るべきではないというふうに思っておりますが、実態の問題としていろいろな影響が出てくるだろうというふうに思います。
もちろん、我が国はできる限りのことはやっていきますけれども、委員御指摘のように、そんなに突然予算を増やせるわけでもない、人員を増やせるわけでもない。やはりそういう影響が最小限にとどまるように、しっかりと米側とも議論をし、意見交換をしていきたいというふうに思います。
○小熊委員 来週、JICA法の法案審議でもちょっと触れようとは思いますが、こういう有機的に効果のある活動を通じて、そういうことにも寄与していかなければいけませんし、あと、世銀とかアジア開発銀行とかを通じて、中国と共同のプロジェクトを呼びかけてくる、単独でやるとやはりちょっと不安ですから、共同のプロジェクトを呼びかけていって、もしUSAIDが活動を本当に停止をしてしまった、解体をしてしまったときのフォローアップはそういうことでやっていけばいいし、また、国際連携の中でこうしたものをやっていくということで、本当にこれはとんでもない話で、もう地球規模の災害だと思っています、このUSAIDの解体というのは。
ここはしっかり、今現在進行形でまだ決まっていないからこそ、もっと強くアメリカ政府に各国と連携して働きかけをしていただきたいというふうに思います。
あと、この日本のODAの在り方は、来週以降の法案審議でまたさせていただきたいと思います。
次に移りますけれども、国際的風評被害の払拭、また科学的根拠のない輸入禁止措置の解消に向けては、委員のメンバーでもある元外務大臣の茂木大臣にも大変御尽力をいただいて、タフネゴシエーターと言われる茂木元大臣、さすがにいろいろ実績を残してきていただいておることには、改めてこの場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。
安倍政権下では、全ての大臣が復興大臣であるという思いで全力を尽くすというふうに宣言をしておりましたし、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしというのも、枕言葉をもう何回も使っているわけでありますけれども、改めて、石破政権においても、全ての大臣が復興大臣という思いで事に当たっているかどうかを確認させてください。
○岩屋国務大臣 はい、そのとおりでございます。
また、石破総理御自身も、復興推進会議において、全閣僚が復興大臣であるという思いの下で、復興のための取組を更に加速させていくとおっしゃっております。石破政権下においても、福島、東北の復興のために全力を尽くすという姿勢は変わりません。
○小熊委員 東電の原発事故で発生した除染土が福島県内に東京ドーム十一個分あります。これは三十年後に県外という法律になっていますけれども、実態は、二〇一五年を起点としての二〇四五年です。搬入に十年ぐらいかかりました。あと二十年なんですけれども、実際には、最終処分場を見つけるには、あと十年ぐらいのところで見つけないと、それは間に合わないんですね。でも、東京ドーム十一個分ですけれども、濃いものを移すということで、再利用できるものは再利用していきましょう、これが東京ドーム十個分程度になるんですが、二〇四五年に使い切れなかったら、それも最終処分場に行くということなんです。
これまで環境省は、東京ドーム一個分もありませんよ、県外に持っていくものはと言っていたけれども、一切使われなければ、東京ドーム十一個分の土地を探さなきゃいけないということなんですね。
この再利用の土に関しては、今お手元の配付資料のとおりに、国の二十三施設で四十一鉢置いていただいています。官邸にもあるし、外務大臣のところにもあるということですが、鉢植えを増やしても東京ドーム十一個分は一切解消されない。この再利用土は、県外だけじゃなくて、福島県内においても使うことになっているんです。濃いところは県外ですよ。
私も、地元の自治体の関係者と、内々、当該市町村に持ってくるというのはどうだと議論を投げかけているんですけれども、やはり賛成派もいれば、それは反対派も出るだろう。双葉町の町長が、双葉町にやってみようかという議論を投げかけました。もちろん、地域住民でも意見は分かれています。
これは、政府だけじゃなくて、だから、私も地元で話しているように、委員の皆さん自身も対象なんです。被災地に寄り添うと言うんだったら、正式じゃなくてもいいです、委員の皆さんにも、是非、地元で福島の再生土、これは議論してみることが必要です。結果、それは使わなくても。そういうことに常日頃我々はさらされているんです、福島県民。
私は、議員会館に置きたい、政府で一鉢ずつ置いているから、置きたいということを環境省に今問合せしたら、貸与になるのか譲渡になるのか、また、議運とかに諮らなきゃいけないのか今整理をしているという段階になっています。
過日の参議院の予算委員会で、与党の議員が、官邸で使ったらと。総理は使うと言ったんです。明言したんですけれども、質問した議員は植栽で使えとかと言ったんですね。鉢植えだったら室内ですから。その辺の植栽で使うといったら、では、国会もどうするんだとなる。外務省も植栽で使うとなったら、それは自治体とか周辺の人に説明が必要になってくるんですね。国としての実験は新宿御苑と環境省の所沢の施設でやろうとしたけれども、反対運動で頓挫しちゃったんですね。
今日、環境省、来ているんですよね。官邸で総理は使うと言ったけれども、具体的には何も決まっていないんですよね。ちょっと環境省、確認。
○小田原政府参考人 総理からそのような答弁があったことは認識してございます。先般も一度お話しさせていただきましたけれども、官邸での利用も含めまして現在検討をしておるという状況でございます。
○小熊委員 室内なら別だけれども、では、道路に面した植栽で使うとなったら、いろいろ地域の方々とも合意を取らなきゃいけないですよね。
○小田原政府参考人 恐らく、どこで何をしなければいけないかというのは、具体的な箇所が決まってきた段階で調整ということになると思われます。
私どもとしましては、いずれにいたしましても、福島県内での除去土壌というのは、再生利用する場合でも環境省が責任を持って管理をしていかなければいけないというところでございます。
○小熊委員 国会でも、議員会館の植栽でも、国会の植栽でも、使ってみようかという結果にならなくても、その旗印を上げたときにいろいろな議論が巻き起こると思います、賛成も反対も。それを受けてどうするかということが我々の責務なんですよ、原発事故を乗り越えていくとき。寄り添うということはそういうことです。
皆さんの選挙区に持っていけというのは、それもしんどいと思いますよ。僕の選挙区だって再生土を使えるけれども、やはり議論が二分しちゃうというのが、今自治体の議員とか首長とかと話していますけれども、これが実態です。でも、福島県だけではなくて、やはり全国民で、結果、受け入れなくても、議論が必要だと思いますので、是非委員の皆さんも、うちの選挙区で使うのを、大臣もちょっとやってみてください。
外務省にお願いしたい点は、これは大臣のところとか政務三役とかは置いてあるんですけれども、飯倉公館に何で置かないんですかね。これは、科学的根拠、安全だ安全だと対外発信していますといってやっているわけですよ。これは資料のとおり、鉢植えの隣にちゃんと線量計も置いて、説明パネルまであるんだもん。
飯倉公館に置かないのは、それは先頭に立っていないんじゃないですか。復興大臣としての意識がちょっと頼りないんですけれども、飯倉公館としては、逆に、対外発信できる場にこそ置くべきじゃないですか。
そこはどうですか、飯倉公館とかそういうところに置くというのは。
○岩屋国務大臣 確かに、今、外務大臣室とか副大臣室とか政務官室とかに置かせていただいておりますけれども、量としては知れていますので。外務省の植栽というと、外務省の桜はとても有名ですが、では、あそこの土を全部入れ替えるのかという話にもなりますし、あの辺は官庁街ですから住居がすぐ近くにあるというわけではありませんけれども、地域への説明も必要だろうと思います。
だから、いろいろ考えているんですが、どういう方法があるのかというのをもうちょっと真剣に検討していきたいと思います。
○小熊委員 だから、さっき環境省に確認して具体的なものは決まっていないといっても、総理は明言をしたんです、使いますと。外務大臣も、詳細はこれから詰めなきゃいけないけれども、今のままのこの鉢数ではなくて、やれるのであれば外の部分も含め、検討すると明言できないんですか。石破総理は明言したんですよ。復興大臣という思いであるのであれば、明言できるんじゃないですか。
○岩屋国務大臣 ですから、検討はしっかりさせていただきます。
○小熊委員 あと、鉢植えの話はもう今実績があるので、飯倉公館に置いてくださいよ。ああいうところに置かないと、まさに情報発信にならないじゃないですか。飯倉公館はすぐ置けますよ。どうですか。鉢植えですよ、植栽じゃなく、飯倉公館に。ああいうところに置かないと、何の意味もない、何の意味もないんじゃなくて、発信するいい公館なんですから、そこにこそ置くべきだと思いますけれども。
これはすぐに言えるんじゃないですか、検討じゃなくて。大臣、もう一回。
○岩屋国務大臣 それも含めて検討させていただきたいと思います。
○小熊委員 来週には飯倉公館に鉢が置かれたというハッピーニュースが届くことを御期待申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、源馬謙太郎君。
○源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
私、今年、花粉症デビューしまして、済みません、マスクのまま今日は失礼いたしたいと思います。
まず、対米関係について伺っていきたいと思います。
先ほど武正委員の質問でもありましたが、最近、法の支配に基づいた自由で開かれたインド太平洋という言い方がところどころなくなっているというふうに思います。
先ほど武正委員は共同声明のお話を取り上げていましたが、ちょっと違う角度で申し上げますけれども、岩屋大臣がDCを訪問された際の外務省からいただいた資料です。
日米外相会談、ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官、それからハガティ上院議員と会われたときに、それぞれどういうお話をされたかというのを、外務省から資料をいただいていますが、日米外相会談でも、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、日米で協力をしていくことを確認したと。それから、ウォルツ氏との中でも、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、ハガティさんのときは特になかったということですね。
同じ時期に大臣が御参加された、日米豪印、クアッドの外相会談の共同声明では、ここでは、法の支配と民主的価値、主権及び領土一体性が堅持され擁護される自由で開かれたインド太平洋と、しっかり法の支配という言葉が入っています。
なぜ、アメリカとバイのときに、法の支配という言葉を入れられないんでしょうか。
○岩屋国務大臣 これは、先ほど来御説明しているように、何か意図的に落としたとかいうことではなくて、事あるごとに、私どもは法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋ということを言い続けております。それが、表現として法の支配という言葉が入るときも入らないときもあったということでありまして、何か法の支配の重要性が減退しているとか、軽視されているとか、そういうことではございません。
米国とのやり取りだけではありませんけれども、国際社会とのやり取り、国際場裏でこの話をするときには、もう必ず、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋、また、その国際秩序を維持強化しなければならないという主張は一貫して行っているところでございます。
米国との関係でいいますと、三月十三日に行われた日米外相会談では、私からルビオ国務長官に対して、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋ということを申し上げて、再確認をさせていただいたところでございます。
○源馬委員 済みません、ちょっと細かな確認になりますが、じゃ、一月のときの日米外相会談では、大臣から、法の支配に基づいたということも、それも言ったということですか。三月と同様、一月のときもしっかり御発言されているということでよろしいですか。
○岩屋国務大臣 そのとおりでございます。
○源馬委員 そうしたら、理由は不明ですが、外務省のこの説明資料、我々に説明をしていただく資料に、日米外相会談のときや米国とバイでやるときの御報告には、法の支配に基づいたという文言が、どういう意図か分からないけれども書かれていない、大臣がおっしゃったにもかかわらず書かれていないということであれば、やはり、これは、私たちからうがった見方をすると、もう十分伝わっていると思いますが、トランプ政権が行おうとしていることが法の支配に必ずしも基づいているかどうかというと、ちょっといろいろ怪しいところもあるから、あえて抜いているんじゃないかと思われてしまうから、我々は聞いているわけなのです。
いや、そうじゃなくて、ちゃんと言っているんだというんだったら、なおさら、外務省からの資料には、言ったんならちゃんと書いておいてもらいたい。法の支配に基づいたと大臣もしっかり発言していて、それを合意したということを書いていただきたいと思うんです。
そうしたら、要らない疑念は要らなくなりますので、是非、大臣からそのように指導していただきたいと思いますが、いかがですか。
○岩屋国務大臣 そのように徹底させたいと思います。
○源馬委員 是非、そうしていただければと思います。
続いて、関税の問題です。
先日、武藤経産大臣が、アルミに関する関税引上げを日本は除外してもらいたいということをお願いしに行ったけれども、首尾うまくいかなかったという報道がありました。
このことについて、日米関係を含めた上での大臣の受け止めを教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 先般は、武藤経産大臣が渡米されて、委員御指摘のように、カウンターパートであるラトニック商務長官を始め、米国の要人と会談して申入れをしていただきました。
私としても、ルビオ国務長官に対して、鉄鋼、アルミニウムの関税、課税からは日本は除外されるべきだ、自動車の話も出ているけれども、これは我が国経済に甚大な影響を及ぼすので、これも除外されたしということを事あるごとに伝えております。
鉄鋼、アルミについては発動されたということについては、遺憾の意を伝達をしているところでございます。これもまだ、事態は進行中というか、これから政策変更、転換を我々は迫っていかなきゃいけないその最中でもございますので、引き続き、その努力をしていきたいと考えております。
○源馬委員 自動車のお話が今出ました。私も懸念しているのは、この自動車の件です。
前回の予算委員会でもちょっと取り上げましたが、日米貿易協定が二〇二〇年に発効されて、そのときに、アメリカからの豚肉、牛肉は関税を引き下げるという約束で、随時引き下げてきています。さらに、豚肉について言うと、当時は一キロ当たり四百八十二円かかっていた関税が、再来年、二〇二七年には五十円まで下げる、四百八十二円から五十円まで下げるという約束をして、約束どおり、日本政府はしっかりやっているわけです。
一方で、自動車については、二〇二〇年から四か月以内に、自動車関連部品のどの部分についてか対象を決めて関税撤廃の方向に向けて進んでいくということを言っていて、これはウィン・ウィンだというふうに当時おっしゃっていました。離席されましたが、茂木さんが多分御担当者だったと思います。
実際、もし大臣が分かればで結構ですが、二〇二〇年から四か月以内に対象を決めるということでしたけれども、自動車のどの部分なのか、今、関税撤廃の対象は決まっていますか。
○岩屋国務大臣 それは、まだ検討されていないということ、協議に入っていないということだと思います。
○源馬委員 二〇二〇年からもう既に五年たっていて、四か月で決めるべきことが決まっていない。それがまた今度、バイデン政権を経てトランプ政権になって、今御存じのような状況になっていて、本当に自動車関税は撤廃の方向に、日米貿易協定どおり、撤廃の方向に進んでいくと我々は信じていいんですか、大臣。
○岩屋国務大臣 最大限の努力を政府としてしていかなければいけないというふうに思っております。
そして、もう委員御案内のとおり、二〇一九年の九月の日米共同声明においては、両国は、協定、日米貿易協定が誠実に履行されている間は、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないということが明記されていて、このことは、日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認したと承知をしております。
こういう経緯、経過もございましたので、そういうことも踏まえて、しっかりと交渉の努力を継続していきたいと考えております。
○源馬委員 大変難しいと思いますが、是非御努力をいただきたいと思います。
誠実に履行されているというのは、日本側が誠実に履行しているだけで、まだ自動車については四か月で決めるべきところも決めていないということですので、せめて対象部分については、もう時を待たずに協議を始めて、決めていただけるようにお願いしたいと思います。これは要望しておきます。
先ほどからお話がある関税についてなんですけれども、除外を求めるというのも確かに一つの戦略ではあると思いますが、なかなか難しいと思うんですよね、トランプ政権のこれまでの様相を見ていると。
なので、こういうときだからこそ、我が党の野田代表なんかはいつも言うんですが、除外を求める外交ではなくて、日本がむしろ自由貿易をリードして、アメリカに国際秩序に戻ってきてもらう努力をしながら、日本だけ除外して除外してじゃなくて、じゃ、ほかの国と協力をして、TPPもRCEPもそうですけれども、自由貿易の盟友たちを共同でリードしていくように、そういう外交が今、日本には求められると思いますし、それをやればかなり尊敬も高まると思いますが、大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。除外を求めるのではなくて、違う面でリーダーシップを発揮していく。
○岩屋国務大臣 除外を求めるという言い方をしたことは事実でございますが、何も日本だけ大目に見てほしいというような気持ちで言っているわけではありませんで、やはり、米国の貿易政策、関税政策というのは世界市場全体に大きな影響を及ぼす、あまたの国が影響を受けるということでございますので、ここから先は外交上のやり取りになるので詳細な中身まで申し上げませんけれども、そういうことを踏まえた意見も伝えているところでございます。
○源馬委員 是非、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。
次に、日韓関係について伺います。
政務官に、今年は日韓国交正常化六十周年となりますけれども、この六十周年を記念して、記念事業をいろいろ考えて検討されていると思いますが、今の検討状況、どんなことを考えられているのか、教えてください。
○松本大臣政務官 源馬委員の質問にお答えしたいと思います。
日韓関係は、一九六五年の六月に基本条約が締結されまして、今年で六十年ということでございます。両国の国民にとって、これから先、未来に向けて重要な観点であるということで、準備を今、両国の間で進めているところでございます。特に、日韓関係の未来を担う若者の交流を更に後押ししていきたいということで両国が一致しているということを申し述べておきたいと思います。
外務省としては、昨年から、民間団体そして地方公共団体が主導する六十周年記念事業として、皆さん御承知おきのとおり、東京タワーのライトアップ事業を二月に行いました。また、政策広報等の動画の公開を三月になど、種々の取組を実行しているところでございます。
もう少し具体的にお話を申し上げますと、既に終わっているものとしては、日韓未来パートナーシップ基金、日韓高校教師の交流事業であるとか、あるいは、日本側学生の訪韓、韓国側学生の訪日プログラム、日韓の青年パートナーシップの学生会議などを行っているところでございます。
今後としては、舞台芸術関係あるいは音楽関係で様々なイベントが用意されているというふうに承知をしております。
○源馬委員 ありがとうございます。
大臣にちょっと、じゃ、一つお伺いしたいんですが、これも予算委員会でも質問しましたが、山口県の長生炭鉱にある遺骨の問題ですね。この回収がなかなか進んでいないということもあって、ちょっと細かい説明は後でしますけれども、この遺骨の回収事業ですね。朝鮮半島出身者の遺骨もあるし、日本人の遺骨もある。これをずっとほっておくのもあれですから、六十周年記念事業として日韓共同事業にしたらどうか、これは韓国側からのお話もあります。
今、検討しているお話がありましたけれども、東京タワーのライトアップもいいですが、でも、ひとつ日韓の友好を更に前進させるためにも、共同事業にしていくということに意義が十分あると思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘の長生炭鉱の件については、もう遺骨の回収ができるものなら、本当に一日も早くしてさしあげるべきだというふうに思っておりますが、厚労大臣から答弁もありましたように、海底の坑道、しかも相当以前に潰れてしまっている坑道に潜水して調査、発掘することについては安全性の懸念もあると承知をしております。
民間のダイバーの方が一回潜ってみた、先般ですね。しかし、なかなか、もう坑道が潰れていて中に入れないというような状況だったというふうにも聞いておりまして、安全性のことも正直考えざるを得ないかなというふうに思っております。
韓国側と、人道主義、現実主義又は未来志向の三つの原則に基づいて、朝鮮半島出身労働者等の遺骨の問題については取り組むことを合意しております。外務省としても、この考え方に基づいて、引き続き、どういう対応があり得るか、検討していきたいというふうに思っているところでございます。
○源馬委員 ありがとうございます。
じゃ、厚労省にちょっとお伺いしたいと思いますが、今大臣からもお話がありましたけれども、民間ダイバーが潜って調査をされているわけですね。民間のダイバーが調査をできるのに、国は危険があってできないという、その理由は何なんでしょうか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
まず、一九四二年に長生炭鉱において発生しました事故におきましては、痛ましい事故であったと、犠牲になられた全ての方に心からお悔やみを申し上げます。
旧朝鮮半島出身労働者等の御遺骨につきましては、先ほど外務大臣の方からも御答弁がありましたとおり、日韓双方は、人道主義、現実主義及び未来志向の三つの原則に基づいて取り組んでいくことで合意をしておりまして、政府として、当該合意に基づく取組を総合的に検討して、御遺骨の実地調査等を行っております。
長生炭鉱の御遺骨は、先ほども外務大臣からもお話がありましたとおり、海底に水没をしている状態でございまして、その御遺骨の埋没位置、深度等が明らかではなく、八十年以上も前に落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することにつきましては安全性に懸念もございます。
こうしたことを考慮しますと、実地調査という実務に照らしまして、対応可能な範囲を超えていると考えております。
○源馬委員 危険がありそうだからということで、調査して危険があるからできなかったというのは分かりますけれども、調査する前から、危険そうだから調査もしないというのは、私は、ちょっと誠意がないんじゃないかなと思います。
民間ダイバーの方も、自ら命を張って、行ってみて、やはりこれは無理かもと言うかもしれない。それをまず調査というんじゃないですか。なので、それすら国はしないで、ただ見ているというのは、私は、ちょっと誠意がないなと思います。
追加通告しましたけれども、二月一日に行われた長生炭鉱の慰霊祭に、厚労省あるいは福岡大臣の元に、参加の要請とか、依頼とか、招待とか、あったように私は現地の方から聞いていますが、それはありましたか、確認していただけましたか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
今委員の方からお話がありました追悼式につきましては、確認をさせていただきまして、公式な参加要請等は大臣にも厚生労働省にもいただいていないということで承知をしております。
○源馬委員 それでしたら、ちょっと私の情報が違っていたのかもしれませんが。いずれにしても、韓国側からは来ているわけですね。さっきも言いましたが、日本人の遺骨もあるわけですよ。なので、もし来たら、是非参加していただけたらと思います。
先ほど大臣からもお話がありましたけれども、どんな形でできるかということを引き続き検討していただいて、韓国は今政情が大変ですけれども、でも、やはり日韓の関係は重要なので、六十周年に向けて、いい形になるように取り組んでいただけたらと思います。
じゃ、鰐淵副大臣はもうこれで結構でございます。ありがとうございます。
○堀内委員長 御退室ください。
○源馬委員 次に、ちょっと順番を変えまして、最後の通告の、ミャンマーについて伺いたいと思います。
ミャンマーでは、二〇二〇年に総選挙が行われて、アウン・サン・スー・チーさん率いる国民民主連盟が改選議席の八割を超す議席を獲得して圧勝した。一方で、国軍系の政党は三十三議席しか得られなかったということで、かなり国軍が焦って、そして、そのことについて、総選挙に不正があったと主張して軍事クーデターを起こし、アウン・サン・スー・チーさんを始め国民民主連盟のリーダーなどを拘束させ、そして、その後、御存じのとおり、デモになった。デモになって、クーデターが起きたということです。今でも、二〇二五年三月十八日までに、六千四百十人を殺害して、二万二千人以上が現在も拘束されている状況というふうに聞いています。
さらに、国軍が、今年の十二月あるいは来年の一月ぐらいに、この状況での総選挙を行うということを発表した。実際に多数の議席を取った国民民主連盟が事実上解党されているこのタイミングで、クーデターを起こした国軍が実際コントロールしている今の状況で選挙を行っても、仮にその選挙結果が国軍側が勝っても、やはり、それは選挙を経たんだというお墨つきをかえって与えてしまうことになって、非常に私は問題ではないかと思いますけれども、このミャンマーの選挙を行うという、そういう発信について、政府の受け止めとお立場を教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおり、三月七日に、ベラルーシを訪問中のミン・アウン・フライン・ミャンマー国軍司令官が、今年の十二月あるいは来年一月に総選挙を実施する旨表明したと承知をしております。
日本政府といたしましては、アウン・サン・スー・チー氏を含む被拘束者の解放や、事態打開に向けた対話などの政治的進展に向けた動きが見られないままで総選挙を実施しても、かえってミャンマー国民による更なる強い反発を招いて、平和的解決がより困難になるということを深刻に懸念をしております。
いずれにせよ、今後の動向を更に注視をしてまいりたいと考えております。
○源馬委員 是非、そのお立場をミャンマー側にも強く伝えていただきたいと思います。ミャンマーはやはり我が国の影響もかなり大きい国だと思いますので、その価値をしっかりと伝えていくということも日本外交にとって大事なことだと思いますので、是非よろしくお願いします。
では、日中関係について伺います。
まず、昨年十二月二十七日に岩屋大臣が記者会見の中で、昨年六月と九月に起こった、日本人が犠牲になる、あるいは中国の方が犠牲になる痛ましい事件がありましたが、この件について中国側からは、事件の詳細について、司法プロセスの中で適切な形で説明する機会があるという説明を受けているという御発言をされています。
報道によると、両事件の犯人はそれぞれ死刑判決が下されたということですけれども、その後、中国側から何か説明がありましたか。
○岩屋国務大臣 昨年六月の蘇州及び九月のシンセンにおける日本人学校児童等殺傷事件につきましては、事件発生当初より、一刻も早い事実の解明を中国側に求めてまいりました。私も、今御指摘があったように、王毅中国外交部長に対して、就任直後の電話会談でも、また十二月に訪中した際にも、直接申し上げたところでございます。
その後、今年の一月末に両事件の判決が下されました。いずれも、故意殺人罪で死刑が言い渡されております。そして、犯行動機につきましては、蘇州の事件は、借金苦から生きているのが嫌になり犯行に及んだとされたほか、シンセンの場合は、インターネットで注目を集めるために何ら罪のない児童を殺害したという説明がございました。いずれの判決においても、日本に関する言及はなかったところでございます。
○源馬委員 やはり、日本人も不安に思うことは結構あると思います。また、別の機会にもちょっとお伺いしていきたいと思いますが、邦人が拘束される事案が幾つかあると思います。何をしたら拘束される危険性があるのかというのがやはり分からないのが一番怖い。中国の国内法ももちろんありますが、そこは、日本人が安心して活動できるように、司法プロセスの中で、どんなことが罪というふうに言われて、何が駄目だったのかというのをやはり政府としてもきちんと確認をして、それを日本人の皆さんに、国民の皆さんに伝えていただきたいというふうに思いますので、これはまた以降議論をさせていただきたいと思います。
最後に、日本国内にいる中国出身者の方に対する嫌がらせ、弾圧があるという報道があったりとか、あるいは、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチさんがそういうレポートも出されています。日本でちょっとセンシティブな政治活動を行っているような中国出身者の方の、中国にいる親戚の方に脅しがあったりとか、あるいは、中国当局と思われる側からいろいろなプレッシャーがあったりするという事案があるという、そういう調査結果があるんですが、このことについて外務大臣は、こういった事案というか、こういったことがあるということを認識されていますか。
○岩屋国務大臣 御指摘の報道などについては承知をしております。
言うまでもないことですが、在留外国人を対象とするものも含めて、国内で法令違反等が疑われる事案を把握したときは、関係機関で連携して調査、捜査を行い、もし法令に違反する行為が認められれば厳正に対処することとなります。
外務省としても、関係省庁と連携しつつ情報収集に努めておりますけれども、国内の実態把握の現状については、外務省からお答えすることは差し控えたいというふうに思います。
いずれにしても、我が国としては、国際社会における普遍的価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、これが保障されるということが重要であるというふうに考えておりまして、こうした我が国の立場については、諸外国についてもしっかりと伝達をしていきたいと思います。
○源馬委員 済みません、もう時間が間もなくだと思いますので、細かい議論はまた以降にさせていただきますが、日本も国連人権委員会で署名された国境を越えた弾圧に対する共同声明に署名しているというふうに思いますので、国内での事案とそうでないものとの差はもちろんあると思いますが、是非適切な対応をお願いしたいと思います。
ちょっともう喉がこれで駄目です。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。よろしくお願い申し上げます。
今日は、日韓でかなり温度差も感じる日韓大陸棚南部共同開発協定、いわゆる第七鉱区の件について伺わせていただくとともに、それに付随して、東シナ海での資源開発について伺いたいと思います。
いわゆる第七鉱区として知られている地域に関してなんですけれども、御案内のように、相当の石油や天然ガスが埋蔵されているのではないかというような報道が散見されるんですが、国によって埋蔵予測量というのはかなり差があるということも御案内のとおりだと思います。
さらに、韓国では、洋上の石油採掘船の乗組員が謎の巨大生物と死闘を繰り広げるという、「第七鉱区」という映画が二〇一一年にそこそこヒットしたようで、日本に比べてかなり認知度が高いんですね。さらに、アメリカを最近訪れた韓国の役人の方もこのことに言及されたりしていて、第七鉱区の開発については、特に韓国の方では今後の共同開発への期待値が高まっているというような状況があるかと思います。
そこで、まず伺いたいんですけれども、この第七鉱区の開発を含む日韓大陸棚南部共同開発協定について、概要を御説明いただきたいと思います。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
日韓大陸棚南部共同開発協定は、一九七八年に発効した協定でございますけれども、日韓両国に隣接する大陸棚の南部において、日韓それぞれの境界画定に関する立場を害さないことを前提に共同開発区域を設定し、日韓両国がそれぞれ認可する開発権者が共同開発区域において資源の探査及び採掘を行うこと等を規定している協定でございます。
○鈴木(庸)委員 もうちょっと概要の中で、これは二〇二八年で一応切れるということなんですが、その三年前の今年の六月二十二日からは通告により終了できると思うんですけれども、その辺りもちょっと御説明いただけますか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
この協定は、二〇二八年六月二十一日をもって協定の有効期間である五十年が満了するということになります。協定上、三年の予告期間をもって、満了時又はその後いつでも協定を終了できる、このような規定になっております。
○鈴木(庸)委員 その協定、五十年間、まあ、ほぼ四十七年間続いてきたんですけれども、これまで日本側ではどのような調査がこの地域については行われてきたんでしょうか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
一九七八年にこの協定が発効した後、一九七〇年代の末から一九八〇年代後半にかけて、探査あるいは七本の試掘を行う等の活動が行われてきております。しかしながら、商業化可能量の石油資源を発見するには至っていないところでございます。
○鈴木(庸)委員 そうなんですよね。長い間調査は行われていないんですけれども、これまでのところ、飯の種になるほどの多くの資源が見つからないというのが日本側の判断では一つあるのかと思います。
そういうことは承知の上で、今の段階で、今後更なる調査の予定というのはあるんでしょうか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
これまでの探査等の結果、商業化可能量の石油資源の発見に至っていないところでございます。その上で、現在、我が国においては、共同開発区域において天然資源を探査し又は採掘するために必要な開発権者の認可申請がなされていないという状況にありますので、協定に基づく探査等が現時点で行われる状況にはないものと理解しております。
○鈴木(庸)委員 そうなんですよね。かなりの埋蔵量があるあるみたいな雰囲気では語られているんですけれども、実際試掘してみると、商売になるほどの量が見つからない。さらに、その前提でいくと、今後についてもほぼ調査はしないというような今の答弁であったかと思うんですけれども、そうすると、急速に期待値もしぼんできてしまうのかなとも思うんです。
第七鉱区といっても、そこから更に小さな小鉱区に分かれているかと思うんですけれども、今、権利関係は申請されていないというお話があったんですけれども、探査権とかいろいろ設定されていると思うんですね。その辺りの小鉱区の権利関係というのは今どうなっていますでしょうか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
日韓大陸棚南部共同開発協定に基づく探査権の存続期間は、原則として、日韓それぞれの開発権者の間で締結する事業契約の効力発生の日から八年とされているところでございます。
○鈴木(庸)委員 八年ということは、つまり、もう全部切れているという理解でよろしいんですね。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
現在、探査権は設定されていないということでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
なかなかちょっと、今後、この地域の開発というのは大変かななんというふうに日本側の態度を見ると思うんですけれども、例えば、韓国側では、ちょっと反応が違うんですね。
ワシントンに、御案内のCSISというシンクタンクがありますけれども、ここで行われたセミナーでは、先日、呉成益国土交通部中央土地収用委員会の事務局長の方が、韓日間のJDZ、ジョイント・ディベロップメント・ゾーンですけれども、JDZ協力は、韓国と日本、さらには米国の安保的協力に肯定的な雰囲気をつくることができると言っていました。
また、韓国国内でも、韓国の石油資源大国という夢に向かって、来年、御案内のように、日韓国交成立六十周年なので、これをてこに何とかこの協定を延長したいと。五十年で、先ほど御答弁をいただきましたけれども、今年の六月から、もう協定を日本側から破棄することはできるんですけれども、協定を延長したいという前のめりな雰囲気が結構国内に広がっているなというように感じます。
そういう中で、去年の九月二十七日に、この協定を存続させるかどうかについて、韓国外交部との協議が日本側と行われたと報道されております。韓国からは、外交部の黄国際法律局長、産業通商資源部の尹資源産業政策局長、そして、日本側からは、外務省の大河内アジア太平洋局審議官と、そして、今日お越しいただいていますけれども、経済産業省の和久田部長が御出席されているということなんです。
これも、現地のメディアでは、今回の共同委員会の会合では、協定の将来についてよりは、協定の履行に関する経過評価とか、また現時点で協定を履行する重要事項は何かを確認する機会になると期待していると、またここでも前のめりな報道が散見されるわけです。
これははっきりストレートに聞きますが、九月二十七日の韓国側との協議はどんな結果になったんでしょうか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
今委員から御指摘がございましたように、昨年九月、東京において、日本側からは、外務省アジア大洋州局審議官それから資源エネルギー庁資源・燃料部長が参加する形で、また、韓国側からは、外交部国際法律局長及び産業通商資源部資源産業政策局長が参加する形で、日韓大陸棚共同委員会の第六回会合が開催されました。
この会合においては、日韓大陸棚南部共同開発協定の実施に関する事項等について協議が行われ、引き続き双方で緊密に意思疎通を行っていくということで一致したところでございます。それ以上のやり取りについては、外交上のやり取りであり、この場では差し控えたいと思います。
○鈴木(庸)委員 なかなか、どういったことが決まったかと言えないところもある微妙な話だとは承知しているんですけれども、協定を延長するにしても、終了するにしても、いろいろなシナリオが考えられると思うんですね。
中間線までを日本の領域とするならば、第七鉱区の約九割が日本の領海となるわけです。一部には、この九割を得てからじっくりと探査をもう一回すればいいじゃないかなんという意見もあるんですけれども、先ほどの御答弁をいただいたところでは、別に、今後余り探索の予定もないみたいなお話でした。
しかしながら、仮に日本が協定を破棄した場合、また中国が出てくるのかなと思っています。中国側が、国連大陸棚限界委員会、CLCSに、沖縄海溝まで自分の管轄権を主張する案を既に提出していると伺っています。そうすると、この共同開発が仮に終了したとすると、中国はより強力に管轄権を主張してくる、管轄権を主張してくるだけではなく、何らかの行動に出てきてしまうのではないかなというリスクについても感じております。
正直、この確認埋蔵量、予測じゃなくて確認埋蔵量が物すごいというんだったらちょっと話は違ってくると思うんですけれども、今のところ採掘の予定がないという中では、外交的にも、この協定をどう扱っていくかというのは大変難しい判断になるのかなと思っております。
これは改めてなんですけれども、こうした状況で、今後の日韓大陸棚南部共同開発協定についての判断について、続ける、続けないという話は言えないと思うんですが、大臣の御所見を伺えればと思います。
○岩屋国務大臣 今年は日韓国交正常化六十周年という節目の年でもありますし、一頃冷え込んでいた日韓関係は改善をして、更にこれを改善をさせていこうとしているときでもございます。
したがって、本件についても、韓国側としっかりと意思疎通をして、円満に解決といいますか、円満に乗り越えなければいけない課題だなというふうに考えております。この段階で、こういうふうにするということをちょっとまだ申し上げられる段階にございませんけれども、お互いにそういう思いを持って、丁寧に意思疎通をしていくことが大事だと考えております。
○鈴木(庸)委員 外交の技術論として、仮に協定が終了した場合には、この海域についての開発の権利関係というのは一体どうなるんでしょうか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
仮定の御質問に予断を持ってお答えするということは差し控えたいと思います。
いずれにせよ、日本政府としましては、今後の対応については、諸般の事情を総合的に判断して適切に対応していくということになります。
○鈴木(庸)委員 いろいろなシナリオがある中で、単純に考えられるのは二つのシナリオだと思うんですね、この協定が終了する場合と継続する場合と。
協定が終了する場合は、今おっしゃっていただけませんでしたけれども、海洋法条約の国際判例では、等距離中間線を基礎とする境界画定が主流になっている、上川前大臣もそういったことを答弁されていますけれども。この終了を日本側で主張することによって中間線の画定を強化することができる、九割方うちですよねという話を補足することができるというメリットは一つあると思っております。
もう一つ、協定を継続する場合ですよね。この場合は、前のめりな韓国との間にもう一度新たに境界線の画定紛争が生ずる可能性があるのかなと。その場合は、もう何十年も前の開発ですから、改めてこの開発方式とか共同開発水域のへりのところがどういう関係になってくるのかとか、さらには、先ほどから申し上げている中国の主張に対する調整をどうするのかといった、いろいろな問題も生じてくると思うんですね。
これは本当に難しい問題だと思いますが、様々な展開を想定して対応をお願いしたいと思います。
第七鉱区を含む東シナ海の資源開発について伺わせてください。
これはもう皆さんには釈迦に説法ですけれども、御案内のとおり、中国にとってエネルギー不足は大きな問題でありまして、中国にとっては、当然、尖閣諸島周辺の資源開発の、石油資源の権利を確保するためには、尖閣諸島の領有権を主張しなければいけないわけですね。
この地域を含む東シナ海全体で、あるデータで、中国では八百億バレルという膨大な石油量を見込んでいる。その一方で、日本は三十億ちょいぐらいじゃないと見込んでいるとされるんですが、これは大変大きなギャップがあります。アメリカも、なぜか国防総省とエネルギー省が両方とも違うデータを出していて、それぞれ中国と日本の予測量の間を取っているぐらいの感覚なんです。
いずれにしても、これからの尖閣諸島周辺に対する国防も含めた政策を考えたときに、この石油埋蔵量についての中国側の予測と我々の予測のギャップというものを考えていかないと、政策を誤ってしまうのかなと思っております。
その上で、伺わせてください。これまでの日本の尖閣諸島周辺でのエネルギー調査というのはどういった形で行われてきましたでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
尖閣諸島周辺におけるエネルギーに関する調査ですけれども、昭和四十四年に国の委託調査がございまして、東海大学が尖閣諸島近海で、気温、水温、塩分等の観測、それから海底の地形調査、採泥及びサンプル分析による海底の地質調査、それから海底下の地質構造調査が行われたと承知をしてございます。
○鈴木(庸)委員 これは昭和四十四年が最後ということになりますか、今の答弁だと。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
確認した限りでございますけれども、その後、関連した調査は実施されていないと認識をされてございます。
○鈴木(庸)委員 なるほど。その辺り、もう五十年以上前になるわけですよね。御案内のように、中国はばんばん調査しています。
海上保安大学の教授などを歴任されて、今、立憲民主党の福岡第七区で活動しております亀田晃尚総支部長がすばらしい論文を書いていて、「尖閣諸島の石油資源と二十一世紀初頭の中国の行動に関する一考察」という論文を書いています。
ここからちょっと引用させていただくんですが、これによると、中国は、二〇一一年に海底四千メートルの掘削にもう成功していて、技術的な要素も考慮した上で、この膨大な、八百億バレル、それ以上かもしれませんけれども、その予想量を数字として見積もっているわけなんです。
その一方で、我々は、昭和四十四年にちょこっと大学に委託してやったデータを基にこの地域の資源について唱えているということが今の答弁だったと思うんです。
さらに、国連の海洋法条約では、沿岸国は、大陸棚の石油資源等の天然資源の開発に関する主権的権利を有するとされていて、この海洋法条約を踏まえれば、当然のことながら、尖閣諸島の領有権を有する沿岸国が同島周辺の大陸棚にある石油資源の主権的権利を有するわけでありますから、突然中国が一九七一年に尖閣の領有を主張し始めたことの理由についても、推して知るべしというところになるのかと私は思っております。
かの国にとっては、海上輸送をするよりも、ここからぼおんとパイプラインで国内に石油を流せた方が極めて安定的かつ安全に供給できるルートということになるわけですから、まさにかの国にとっての核心的利益につながってくるのではないかなと思っております。
同じく、この亀田氏が想定しているのは、中国が第一にやはり考えているのは、一九七〇年代から同様に、尖閣の領有権の棚上げを前提とした共同開発による石油資源の確保なんじゃないかと。
そうすると、当然、先ほどの第七鉱区の話もそうですけれども、仮に共同開発なんという話になったときは、小鉱区に区切って、どちらの国がどこをやるとか課税をどうするのかとか、いろいろなことを決めなきゃいけなくなるんですけれども、彼らはそんなことをお構いなしに、こちらの同意がないままばんばんばんばん海洋調査が頻繁に行われていて、かつ一方的なガス開発も行われていますよね。
ですから、本当に彼らが開発したいんだったら、我々とちゃんと話をしなくちゃいけないと思うんですけれども、残念ながら、そういう話をしてもらえない限りにおいては、日本国内の世論としても、共同開発なんというのは相当具体的に遠い話だと思うんですよね。
石油という話がないと、領土的な野心でこの尖閣問題だけが語られてしまうというのは、やはり結果的に不測の事態を起こしてしまうということもあるのではないかなと思っております。
とにかく、これは当たり前の話なんですけれども、対話の努力が必要ということになるわけですけれども、日本でも、やはり昭和四十四年から行われていない東シナ海の資源について、今後どの程度見込まれているのかといったことについて考えていただきたいなと思うんです。
一般論の技術論としてなんですけれども、いろいろな、ブイとかをやられていますけれども、海底より更に下にある天然ガスとか石油の量を調査する、これから我々が調査するとしたら、一体どんな手段があるんでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
石油、天然ガスの量を調査する際には、まず、地震探査と呼ばれる手法がございます。これは海中で強力な音波を発生させまして、地層から反射してきた音波を受振をしてデータ分析をするという手法を用いて、石油や天然ガスがたまる地下構造があるかどうかを探すことがまず一つございます。その後、有望と考えられる箇所に井戸を掘削をいたしまして、得られたデータからその量を推計するという手法が一般的に採用されると認識をしてございます。
○鈴木(庸)委員 ちなみに、一番の音波を用いてという話なんですけれども、先ほど申し上げたように、二〇一一年に既に四千メートル級の採掘に彼らは成功しているわけなんですが、四千メートルとかというのは音波でいけるんでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
どのぐらいの深度までいけるかということにつきましては、調査機器のスペック等によりますけれども、例えば、今JOGMECで三次元の物理探査船を持っておりますが、そういったものでは、大体六千メートルから八千百メートルぐらいの調査機器、これはストリーマーケーブルというケーブルを伸ばしまして、それを幅九百から千百メートル、相当広大な面積について船の船尾から展開し、曳航するということで、面積的にもそれから深さ的にも詳細なデータを取る。そういった形でデータを分析すれば、地下深くまで分析できるものというふうに認識をしております。
○鈴木(庸)委員 そうなると、技術的な話で結構なんですけれども、掘削しなくても、それなりの深いところまではデータが出てくるという理解でよろしいんでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げました地震探査につきましては、地下の、海底下の構造、地層の構造を把握するという意味では分析はできるということでございますけれども、そこに、実際、石油とか天然ガスが胚胎しているかということにつきましては、その地層の構造のみならず、実際に井戸を掘って、石油が出るかどうかというのを確認をする、地層の実際の、コアといいますけれども、そういった岩石を採取して分析をするということが必要になるというふうに考えております。
○鈴木(庸)委員 やはり共同開発みたいなものを仮に彼らが考えているとするのならば、我々としても、我々のデータを昭和四十四年からアップデートしないといけないと思うんですね。四十四年から全くデータがありません、この海域にどれだけの埋蔵量が眠っているか分かりません、分からないけれども、中国はそうなんですか、いやいやいやいや、尖閣の話は敏感な話だからいろいろとすることはできませんという話だと、せっかく、尖閣諸島というのは我々の領土でありますから、この領土で採掘、いわゆるその下に眠る豊富な天然資源というものを得ることができない可能性というのが出てくるわけだと思うんです。
最後に、あえてお聞きするんですけれども、じゃ、この東シナ海の資源について、今後政府としてどのような姿勢で臨んでいくのか、大臣に御所見を伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 それは、言うまでもなく、国際法にしっかりとのっとっていくという以外にはないと思います。
○鈴木(庸)委員 是非、多くの資源が眠る東シナ海の海というものを、腫れ物に触るような扱いだけではなくて、しっかり、領土的云々のナショナリズムの部分じゃなくて、資源という目から目を向けていただいて、これから我々が何とか、ここからも我々もしっかりと利益を取れるような体制を築いていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党の竹内千春です。
今日は、国連の女子差別撤廃委員会からの勧告に対して、今年の一月に外務省が発表した対抗措置についてお伺いします。
国連の女子差別撤廃委員会、今日は委員会と呼ばせていただきますが、一九七九年に国連総会で採択された女性差別撤廃条約の履行確保のために設置された組織で、日本が一九八五年に条約を批准して以降、委員会は、条約の実施状況に関する日本政府報告書に対して、総括所見を発表してきました。この所見は、自国だけでは気づきにくい人権問題を認識し、改善の契機となるものですが、勧告は強制力を持つものではなく、御存じのように、選択的夫婦別姓の導入についても、再三勧告をされても、いまだに日本では実現をされていません。
昨年の十月に、八年ぶりに、日本政府に対する総括所見でも、選択的夫婦別姓を認めるべきとの四回目の勧告も含まれていますが、今回は、この所見の中に皇室典範の改正に関わる勧告が含まれており、これがけしからぬということで、委員会に対して二つの対抗措置を取ったと外務省は発表しています。
岩屋大臣も今年の二月、衆議院予算委員会の鈴木委員からの質問に対して、今般、同委員会の事務を行っている国連人権高等弁務官事務所、OHCHRに対して、我が国が用途を特定して毎年拠出している任意拠出金につきましては、その使途からCEDAWを、これは委員会のことですが、CEDAWを除外するということを伝達しました、あわせて、本年度に予定されていたCEDAW委員の訪日プログラムの実施を見合わせるということを伝達したところでございますと答弁されています。
北村外務報道官も一月の記者会見で、任意拠出金の中から女子差別委員会に関連する活動にお金が使われたことはなく、少なくとも平成十七年以降はありませんけれども、今般の決定によりまして、今後とも、女子差別撤廃委員会の活動に、この任意拠出金の一部なりとも使われないことが確保されることになりますということを述べています。
そこでまず、ちょっと通告の、質問の順番を変えさせていただいて恐縮ですが、最初に大臣の見解を、所見を伺いたいと思っています。
つまり、この拠出金は、日本が拠出金を選べる性質のもので、これまでも日本は委員会へは拠出をしてきていない。対抗措置として今後もお金を委員会に出さないのであれば、これまでどおり拠出先に選ばなければいいだけのはずにもかかわらず、わざわざ拠出金の使途から委員会を除外すると委員会に伝達して、そしてまた、記者会見で国内外にも周知をしている。
私は、これは外交として品位を欠く、懐の狭いもののように感じるんですが、まず、大臣の見解をお伺いさせてください。
○岩屋国務大臣 竹内委員には申し訳ありませんが、先ほどの源馬委員とのやり取りの中で、一点、ちょっと答弁を修正させていただきたいところがありますので、お許しください。
日米貿易協定の自動車のところで、協議に入っていないというふうに私、申し上げたと思うんですが、これは交渉分野を特定する協議が終わっておらず、交渉に入っていないという趣旨で申し上げたのでございますので、御理解をいただきたいと思います。
それから、済みません、竹内委員からのお尋ねでございますが、これはCEDAWに対して、CEDAWの活動全部を、私ども何も否定をしているわけでも何でもありませんで、皇室典範、皇位継承に関して、繰り返し繰り返し丁寧に我が国の考え方を説明をしてきたにもかかわりませず、確定版として公表された最終見解において皇室典範に関する記述が維持され、削除の要求が受け入れられなかったことは大変遺憾であり、その我が国の遺憾という意思をしっかりと伝えるがために、政府として検討し、このような判断となったところでございます。
言うまでもなく、我が国としては、女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を実現するとともに、我が国の経済社会の持続的な発展に不可欠の要素であると考えておりまして、女子差別撤廃に向けたCEDAWとの協力は今後とも継続をさせていただきたいと思っております。
○竹内(千)委員 北村外務報道官は、記者会見で、訪日プログラムについて、その取りやめについて次のように述べています。
二〇一七年以降、毎年、大体二名から四名の委員を日本に招聘し、国内の関係当局との意見交換、あるいは大学等の教育機関における講演活動等を実施してきました。併せて地方視察等も行っています。これまで累計八名の委員を日本に招聘し、女子差別撤廃委員会の中における対日理解の向上に一定の成果を上げてきたと理解していますと。その上で、二〇二〇年度以降、コロナウイルスの流行等の理由から実施を見合わせてきましたが、今年度からそれを再開する予定でした。それを今回取りやめることにしたところです。それを通達した、それを委員会に伝達したのが一月の二十七日だと回答しています。
すごく私が驚いたのは、先ほどの拠出金もそうなんですけれども、年度内ということは、遅くともこの三月末まで実施が予定されていた国際活動を一月二十七日に見合わせる、つまり訪日を取りやめてくださいと相手に伝えていることになります。
二か月以内に海外からの委員の受入れのプログラム実施が予定されていたということは、どなたが来日するか、実施する活動、受入れ体制も当然決まっていたと思うんです。この突然の取りやめを先方に伝えるというのは余りにも無礼だし、多くの関係者に迷惑をかける行為であると思うんですが、そこで、お尋ねしたいと思います。
一月二十七日の時点で、具体的に、委員の方何名がいつ来日を予定しており、どんなプログラムを行うことになっていたのか。また、ドタキャンとも言えるこのような見合せを先方に伝達したとき、先方の反応がどんなものであったかを教えてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
まず、訪日プログラムについては、その時点ではまだ何も決まっていなかったというふうに承知をしております。
また、先方とのやり取りにつきましては、我が方のジュネーブの代表部大使から伝達をしたところでございますけれども、それ以上の詳細については、外交上のやり取りでありまして、お答えは差し控えたいと思います。
○竹内(千)委員 訪日についてまだ具体的に決まっていなかったにもかかわらず、わざわざ、年度内に訪日することになっていたんですけれども、それをキャンセルした、相手にお伝えしてきたところですと伝えることは、むしろ、もっと品位を欠く行為だと私は思います。
そこで、大臣にお伺いします。
私は弁護士として、日弁連の国際室というところで弁護士や弁護士会の外交に携わってきたことがありますが、外交に何より大切なのは対話だと思っています。
特に、今回のように、委員会が日本の皇室について理解が不足していると思われるのであれば、なおさら訪日いただいて、直接対話をして丁寧に説明すべきだったのではないでしょうか。それを直前にシャットダウンして対話を封ずるというのは、とても人権を重んずる国家の外交姿勢とは思えない、国際社会の信頼を失う行為じゃないかと思うんですけれども、改めて大臣の見解をお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 本件については、先ほどもお答えしましたけれども、審査のプロセス及び審査の後にも、我が国の考えは繰り返し丁寧にかつ真摯に説明をしてきたつもりでございます。にもかかわらず、最終見解においてもそういう記述が維持されたということを私どもとしては大変遺憾に思っているところでございます。
丁寧な対話が必要だという御指摘は全くそのとおりでございますが、私どもは、丁寧にかつ真摯に繰り返し説明をしてきたということは、是非御理解をいただきたいと思います。
○竹内(千)委員 ここで丁寧な説明は十分だったという判断を行うよりも、そういう直接来日の機会があるなら、私はやはり対話を継続すべきではないかと思います。
今回、そもそもこの対抗措置がなぜ取られたかという理由については、今日のこの配付資料をお配りをしております。
この書面は、外務省のホームページ、内閣府のホームページ、また外務省からの申入れで、委員会のウェブサイトにも掲載をされているということなんですけれども、今日は限られた時間ですので、今ここで、ここに書かれている内容の妥当性を議論することはいたしませんが、ただ、私見として、二点、指摘をさせていただきたいと思います。
まず、委員会が皇室典範について勧告をすべきでないという一つの理由として挙げられているのが、皇位につく資格は、基本的人権に含まれないので、皇室典範で皇位継承資格が男系男子の皇族に限定されていても、女子の基本的人権が侵害されることにはならないというふうに書かれています。
私は、この外務省の見解は、自らに皇位継承資格があるかないかというその皇族の方の人権を語っていますが、それだけではなくて、女性という生まれついての属性によって、国家の象徴である皇位の継承資格がないことが法律で決められている、そのことに同じ女性という属性を持つ私たち、私も含め、一般の国民、女性の権利が侵害されていないんだろうか、そういう観点が欠落しているんじゃないかと思います。
また、二つ目の、これは国家の基本に関わる事項だから、委員会が皇室典範について取り上げるのは妥当ではないと書かれているんですけれども、じゃ、国家の基本に関わることは誰が決めるのかといったら、それは主権者である国民です。
そして、二〇二四年四月の共同通信の世論調査では、九〇%が女性天皇を認めることに賛同しているという結果も出ています。皇室典範を変えることに少なからずの国民が賛成するくらい、国内でも議論がある。性別が法律要件に関わる事柄に、委員会が人権侵害の観点から強制力のない勧告をすることがそれほど不適切なのか、私は疑問に思っています。むしろ、これを契機に、もっと国民の間で議論を喚起をすべきではないかとは思っています。
そのことは、ここではこの指摘をするにとどめまして、次に、今回の意思決定の過程についてお伺いをしたいと思います。
今年三月十三日の参議院法務委員会で、福島みずほ議員が、生稲晃子大臣政務官に、拠出金からの当該委員会を排除、また委員の訪日プログラムの停止について、一月二十九日の記者会見までに聞いていたかと尋ねた際に、生稲大臣政務官は、そのときまでは聞いておりませんでした、事前に知らなかったと回答しています。
そこで、同じ大臣政務官であられる英利アルフィヤ大臣政務官にも、今日お願いをしておりますが、同じ質問をさせてください。本件の対抗措置を決めるに当たって、英利アルフィヤ大臣政務官は、意見を聞かれるなどしたのか、そもそも決定の議論に関わっていたのか、お願いいたします。
○英利大臣政務官 ありがとうございます。お答えいたします。
これらの対応については、政府として検討しまして、このような判断となりました。政府内の検討の詳細については、お答えは差し控えたいと思います。
ありがとうございます。
○竹内(千)委員 生稲大臣政務官の方は、少なくとも知らなかったという発言をしてくださっているので、ちょっとその対応にばらつきがあるんじゃないかという今印象を持ちました。
この配付資料は、外務省のほか、内閣府のホームページにも掲載されています。我が国の男女共同参画の問題に関わるテーマでもあり、男女共同参画、女性活躍担当の大臣であられる三原じゅん子内閣府特命担当大臣は、この件について少なくとも意見を聞かれることがあったのか、お尋ねをいたします。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の対応は、先般の女子差別撤廃委員会の対日審査を受けた最終見解に皇室典範の改正を勧告する記述があったことを受けまして、委員会による皇室典範改正の勧告に対して捉えたものでございまして、政府として検討し、判断したものでございまして、その過程の詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○竹内(千)委員 日本は、世界各国の男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数が、二〇二四年も百四十六か国中百十八、先進国では常に最下位クラスです。その要因は、男女の経済格差と政治分野での女性の数の少なさです。それを改善しようと、政府も政治分野に女性を増やして、政治にもっと女性目線を取り入れようとしているはずです。
にもかかわらず、外務省の政務三役の立場である女性、少なくとも生稲大臣政務官には聞かされていなかった。このような女性の人権に関わる問題について、意思決定に含めていないのは私は非常に残念だと思います。
そこで、大臣に伺います。
今回の対抗措置、これは閣議決定もされていません。大臣お一人で決められたのか、それとも、どのような形で意思決定がされたのか。また、意思決定において、政務三役、特に今回の問題については女性の意見を聞くべきではなかったか、私はそう思いますが、大臣の所信、お考えをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 これらの対応といいますか、本件に対する対応につきましては、政府として検討し、このような判断となったところでございますので、検討の詳細については、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○竹内(千)委員 では、最後に、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
今年は、日本が女性差別撤廃条約を批准してから四十年目の節目の年となります。
大臣は所信演説で次のように述べています。本年、国連が創設八十周年を迎える中、国連の機能強化に取り組むこと、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSに関する国連加盟国ネットワークの共同議長国として、人権や女性参画に根差した外交を推進してまいりますと述べられています。
こういうことを述べながら、現実には、国連の女性の権利を守る、そんな組織体に対して、納得のいく話合いや説明ではなくて、お金を渡さないことを必要以上に強調したり、対話をシャットアウトをすることで抗議する外交姿勢を国内外に示してしまっていると思います。国際社会から、日本は女性の人権を軽んじる国と認識されるリスクも大きいと私は思います。
今回の外務省の対応に反対する岩屋大臣宛てのオンライン署名も、既に二万八千を超えています。大臣の決断で、リーダーシップで、早急にこれらの対抗措置を撤回すべきではないかと考えますが、改めて大臣の見解をお聞かせください。
○岩屋国務大臣 今回の対応は、先ほども申し上げましたように、あくまでもCEDAWによる皇室典範改正の勧告に対するものでございまして、我が国としては、言うまでもなく、女性活躍、男女共同参画というのは非常に大事な課題だというふうに考えておりますので、女子差別撤廃に向けたCEDAWとの協力は継続してまいります。
皇位継承の在り方について、ここで議論すべきことでもないと思いますが、私は、これは私見ですけれども、やはり国の根幹に関わる問題であるだけに、静ひつな環境の中でそのコンセンサスをつくり上げていくということが非常に大切だというふうに思っております。そういう議論が静ひつな環境の中で進んでいくことを期待をしたいというふうに私個人の意見として思っておりますけれども。
繰り返しますが、今回の対応はあくまでも皇室典範改正の勧告に対するものでありまして、女子差別撤廃に向けてはCEDAWとの協力を継続してまいります。
○竹内(千)委員 CEDAWの活動に協力を継続していくというのは、具体的にはどのようなことをお考えでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
引き続き、様々な人権機関との協力について、いろいろな角度から協力していくということになると思います。
○竹内(千)委員 誰がどういう経緯で意思決定をしたのかが国民には見えてきません。大臣の顔も見えてきません。これから検討するとか、何か常に大臣AでもBでもCでも、平成でも令和でも変わらない、数多く存在してきた大臣の中のワン・オブ・ゼムの決定で、人々の記憶にも残らない、こんな日本の外交は私は寂しいと感じます。
今回の対応は、ジェンダーギャップ指数が低い日本を象徴するかの外交姿勢を世界に知らしめてしまった。その時代の外務大臣として岩屋大臣は記憶されてしまうかもしれません。言葉だけでなく、令和の時代の岩屋毅大臣の決定、リーダーシップ、人権を重んじるんだという外交姿勢を見せてほしい、そのことを多くの女性が、また、女性だけじゃなくて多くの国民が望んでいるということを指摘させていただいて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。
今日は、外務委員会、お時間をいただきまして、ありがとうございます。
私から、外務省の組織ガバナンスについて取り上げさせていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
早速質問に入らせていただきます。
私、外務省の医務官の皆さんの活躍について、これまでも注目をしてまいりました。ちょうど茂木さんもいらっしゃるんですが、茂木大臣のとき、予算委員会でも取り上げさせていただきました。コロナ禍でも在外公館にいて活躍をされている医師の方々がたくさんいらっしゃいました。そうした方々が本当に今後もしっかりと仕事をしていただける、そういう組織環境になっているかどうか、その点を確認してまいりたいと思います。
さきの経済産業委員会の質疑、昨年の十二月十八日ですが、この点、ちょっと取り上げさせていただきました。
電子カルテの記載についての漏れ、電子カルテ上、医療行為が行われたのに白紙であったり、別添参照とのみ書かれているような、そんな問題が指摘をされておりました。宮路副大臣からは、診療所内で確認したところ、電子カルテ又は紙カルテへの記録がしっかり行われているという答弁をいただいたんです。
どのようにこれは確認したのか、確認結果について具体的にお聞きをしたいと思います。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきまして、改めまして、電子カルテそれから紙カルテが漏れなくそろっているかということを複数の診療所の医師の中で行いまして、電子カルテシステムにつきましては約十五年前から運用されておりますけれども、紙のカルテの作成につきましては二〇二二年九月以降開始をいたしまして、本年二月末までの間に約六十件作成されているということが確認されております。
これは、全ての医師が閲覧できた電子カルテにつきまして個人情報保護の問題があるということで、紙のカルテというのが二〇二二年以降行われていたわけですけれども、照合の結果、全て、紙カルテあるいは電子カルテの形で保存されているということを確認いたしたところでございます。
○山崎(誠)委員 私、結構、この数にこだわっているんですけれども、二年間で六十件、これは正確な数は分かりませんか。
○大鶴政府参考人 六十件でございます。
○山崎(誠)委員 二年間で六十件ということで、正確な数字だということでよろしいでしょうか。
○大鶴政府参考人 さようでございます。
○山崎(誠)委員 確認しました。
これは、要は、電子カルテが白紙であったり、あるいは別添参照ということであって、紙のカルテが存在するからそれで大丈夫なんだというお話ですけれども、この紙のカルテがちゃんとなければ、これは医師法の違反にも当たる重大な行為であります。
私、実際、いろいろとお話を聞いて、その指摘を超える白紙やあるいは別添参照、そういう記録があるんではないかというお話も聞いておりましたので、あえてお答えを求めました。今のお話で、二年間で六十件、正確な数字だということを確認をさせていただきました。
それでは、照合した紙の書類、診察記録というのはどういうものですか。
○大鶴政府参考人 カルテにつきましては、医師法第二十四条に定めます診療録を記載するものというふうに概念されておりますが、基本的に紙媒体で長年保存されてきたものであります。
しかしながら、平成十一年四月二十二日付厚生労働省からの通知によりまして、一定の基準を満たす場合には、電子媒体での保存が認められるという通知が出ておると承知しております。
これを受けまして、外務省診療所では、それに基づいてカルテを電子媒体で保存するということに切り替えたところでございますけれども、電子カルテが、担当の医師以外の、診療所全ての医師が閲覧できるということでありましたことから、二〇二二年に、個人情報のより適切な保護を行うために、診療内容を別紙に記載し、それを紙のカルテというふうにしてきたものです。
○山崎(誠)委員 別な、その記録、カルテというのは何だったのかを教えてください。それは、どういう書類に、診療の、治療の記録があったのか、それをお聞きしたいんです。
○大鶴政府参考人 紙のカルテと呼ばれるものを作成していた医師というのは、診療を行う者であると同時に、業務復帰支援、長期の病気休職などに入った職員がスムーズに業務に復帰できるかどうかということを行う面談を担当する医師でございました。
このための面談、今、ちゃんと眠れていますかとか、業務に戻って大丈夫ですかといったような面談を行っていたわけでございますけれども、当然、その中に、専門の医師の資格の下に、患者さんのリクエストなどに基づいて薬を処方するといった診療部分が入ってくるということがございましたので、その部分について紙のカルテにも記載をする。
ただし、そのままでは、薬の処方箋というところまでに、システム上に行かないことになっていたものですから、そこの薬の処方の部分のみ抜き出して、電子情報、電子媒体の方にも併せて記載するということを行ってきたわけです。
なので、端的にお答えいたしますと、委員の問題意識であります、その紙のカルテに記載されている事項というのは、いわゆる業務復帰支援の面談の部分と診療の部分が混在していたということでございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
要は、面談記録に診療の記録も書いてあったということですね。これは診療所として適切な対応だったということでいいんですか。
○大鶴政府参考人 法令上、カルテに記載する診療録は診療に関する事項を記載するというふうにされていると承知しております。
診療録が満たすべき記載事項は医師法関連規定に定められていると承知しておりまして……(山崎(誠)委員「診療所で適切かと聞いているの」と呼ぶ)はい。これらの記載事項が記入してあれば、フォーマットや書式のいかんにかかわらず、診療録として取り扱われるということになります。(山崎(誠)委員「診療所で正しいかと聞いているの」と呼ぶ)そのため、面談の記録でありましても、診療に関する事項を記載したものであれば、当該記録は診療録、すなわちカルテとして扱われるというふうになります。
○山崎(誠)委員 これは大事なんですよ。
診療所の所長は、面談と診療は別だから、ちゃんと記録を、電子カルテの方、診療の記録も取らなきゃ駄目だ、そういう指導をしていると思いますが、いかがですか、確認していますか。
○大鶴政府参考人 このカルテの在り方につきましては、診療所内で様々な議論が行われているというふうに承知しておりますけれども、人事面談部分と診療部分が混在していたということにつきましては、法令上何ら問題はないというふうに理解しております。
○山崎(誠)委員 今、私がお聞きしたのは、面談記録では不十分だ、ちゃんと電子カルテで共有しましょう、そういうオペレーションをしましょう、診療所で所長がそういう指導をしたと。だから、あなたの今の答弁は矛盾しているんですよ。法令上の問題を問うているわけではありません。
次の質問をさせていただきます。
この処理をした、こういう処理をしていた医師は何人ですか。そして、その方はどんな役職に就いて、何年その職に就いているかをお答えください。
○大鶴政府参考人 一義的には診療所の副所長でありまして、紙カルテを作成していたのはこの人間、人物一人でありますが、その紙カルテを閲覧できたのは、もう一人、心療内科の先生がございます。(発言する者あり)
ちょっと済みません。何年かというのは、今調べます。
○堀内委員長 指名を受けてから御発言をしてください。
○山崎(誠)委員 それだけではない。兼職があるはずですよ。
○大鶴政府参考人 業務復帰支援を担当します人事課の上席専門官としての肩書も持っております。
ちなみに、人事課上席専門官になってから五年一か月ということになります。
○山崎(誠)委員 大変長くこの分野に携わっていて、そして人事課も兼務をして、面談をしながら診療もして、そういう立場にあるという先生であります。
この方がきちっとやはり面談をした、そして医療の記録も残して、それは所長の言うように、そういうことできちっと手続を取ることが私は大事だと思います。それができていないんではないかと御指摘をさせていただきます。
もう一つ、診療所の医師の方から、千代田保健所に診療所の問題について通報が複数あったと聞きました。これは事実ですか。どのような通報の内容があったか、教えてください。
○大鶴政府参考人 申し訳ございません。承知しておりません。
○山崎(誠)委員 確認してください。確認して、そういう事実があったのかどうか、どういう内容なのか、いつ、どういう通報があったのか、委員長、この委員会に報告を求めます。
○堀内委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議させていただきます。
○山崎(誠)委員 よろしくお願いします。
厚労省に来ていただいています。
外務省の診療所も、医療法二十五条一項の立入検査の対象になると考えますが、正しいかどうか。立入検査というのはどういうときに、どういう目的で実施されるのか、簡潔にお答えください。
○森政府参考人 医療機関に対する立入検査のお尋ねでございます。
医療法に基づく都道府県等による診療所への立入検査につきましては、必要な人員や構造設備等を有し、適正な管理等が行われているかどうかを確認するために行われるものでございます。都道府県知事等が必要があると認めるときは、診療所等に立ち入り、人員、構造設備や診療録等を検査することができることとされているところでございます。
○山崎(誠)委員 答えてもらっていないですけれども、外務省の診療所も、この立入検査の対象になりますね。
○森政府参考人 失礼いたしました。
個別の事案についてお答えは差し控えさせていただきますが、こうした診療所の立入検査については、都道府県等が管轄区域内の所在する診療所に対して実施することになりますので、基本的に都道府県等が判断していただくことになると考えております。
○山崎(誠)委員 対象かどうか答えていただいていない。まあ、対象だということだと思いますよ。
それで、大臣、こういうお話で恐縮なんですけれども、非常に、診療所のマネジメントに対して内部からもこういう声が上がって、そして、やはりいろいろな問題がありそうだということなので、是非ここは立入検査、これを考えてはどうか。
適正な医療を担保するためには、こうした第三者のきちっとした立入検査を受けて、そしてその判断で、何も問題なきゃ、もちろん、本当に大手を振って、今のまま診療を続けていただければいいんですけれども、いろいろな疑義がある中で、是非この立入検査を検討いただきたい。そして、大臣の責任で是非実施を促していただきたいと思います。
大臣、お願いします。これは大臣に聞いている。
○岩屋国務大臣 本件については、官房長からずっと累次説明をさせていただいたとおりだと思いますけれども、立入検査ということになると、ちょっと尋常ではないという話だろうと思うので、軽々には判断できないことだと考えております。
○山崎(誠)委員 これは信頼回復のためにも、次のテーマにも関わるんですよ、是非実施をしていただきたいと思います。
外交というのは、人が全ての役所だと思います。そういう意味で、その人事に関わるガバナンスというのは死活的に重要だ、これは同意いただけると思います。職員の皆さんが安心して各自の持てる力を存分に発揮できるような、そんな人事が、そしてそういう環境をつくるのが人事課の役割だ、そう信じたいところなんですけれども、残念ながら、人事課が深く関わるハラスメント事案についての内部通報を受けました。複数です。
まず、最近の事例で、診療所のこれも医務官の方なんですけれども、今年の一月に、一斉メールで、百人を超える方に自身が遭ったハラスメント事案について内部告発をしています。この事実について、外務省、把握していますか。人事課は、これをハラスメント事案として認識していますか。そして、そこには、今カルテの問題でも取り上げた精神科医の名前も記載されていますが、事実関係は調査されていますか。
○大鶴政府参考人 御指摘のメールの存在については承知しております。私も読ませていただきました。その内容につきましては、そこに書かれてある記載事項の中身が正確かどうか、今、外務省関係者の間で精査をしております。
ただし、今まで調査しました結果、一部、事実関係ですとか、その背景にある事実認識、中のところに関係者間で意見の相違がございますので、この辺につきましては、公正なチェック、検証が必要かと思います。
したがいまして、この事案がハラスメントに当たるかどうかというのは、その辺の検証を踏まえた上で判断ということになろうかと思います。
○山崎(誠)委員 本件の訴えは、典型的な執拗なハラスメントが人事課も関与しながら行われていた、それを隠蔽しようとしているというお話であります。大変深刻です。人事課も加害者の当事者になっているんですよ。だから、人事課に適切な対処は期待できませんので、人事課を外してこの案件についてはきちっと精査をしていただきたいと思います。
訴えのメールには、以下のような記述までありました。よろしいですか。読ませていただきます。
在外において医務官はメンタル不調者の盾であり、その在外医務官の盾となるような、本省のメンタルヘルス専門医師と考えます。このメンタルヘルス専門医師というのが、先ほどのカルテの問題でも出てきました。事務方がおかしな措置をしようとしたら、おかしいと指摘し正すのが医師の役目であると思います。残念ながら、外務省のメンタルヘルスは機能しているとは思えず、メンタルヘルス専門医として人事課を始め事務方に適切な勧告もできていなかったと感じています、こうあります。
これは、百人を超える方にメールで送信をされた内容です。メンタルヘルスも含めてハラスメントが隠蔽されているとの訴えですよ。
この案件だけではないんでありますけれども、是非、第三者を入れてきちっと事実関係を調査して、関係者の処分も含めて適切に対応していただきたいと思いますが、大臣、お願いします。
○岩屋国務大臣 言うまでもないことですが、外務省では、本省あるいは在外公館を問わず、パワハラはあってはならないという強い意識を持って、人事院規則等に基づいてパワハラの防止及びパワハラ事案への適切な対応に努めてまいりたいと思います。
○山崎(誠)委員 ほかにも複数のこういった事案が、なぜか私のところに内部通報が来るんですよ。
本件についてヒアリングをしている間に、人事課の担当者がこういうことを言うんですよ。内部告発をしている方々に対して、特定の人物を攻撃するような目的を持って行っているなどという声があるので、慎重に対応していますという説明が繰り返しあるんですよ。
いいですか。問題のある行為を指摘してそれを正そうというのが内部告発なので、それを、特定のことを非難しようとしている、自分のことを、例えば再就職を目指している、そんな疑いを持ってこういう声を受け止めてはいけないんじゃないでしょうか。
こうした決めつけ、今、人事課がやっている決めつけは、告発者に対する圧力であって、口封じですよ。私は、真っ当なハラスメント対応が取れていないと、この事案を通しても痛感をしています。大臣にも是非お伝えをしたいと思います。
訴えられている加害者を擁護して組織を守ろうとするような姿勢が外務省にあっては困るので、是非ここは、この案件、ほかもたくさんあります、しっかりと第三者を入れて調査をして、ハラスメントのない、そうした体制をつくっていただきたいと思います。私は、今、体質の改善、体制の一新が必要な外務省だという認識でおります。改めて、岩屋大臣、見解を求めます。
○岩屋国務大臣 繰り返しになりますが、そういうパワハラ等はあってはならないという強い認識を持って、各部署にも指示を徹底してまいりたいというふうに思います。
○山崎(誠)委員 是非、この件、続けてまた私も注目をしてまいりたいと思います。
残念ながら、自浄能力というんでしょうか、パワーハラスメントに対する認識、私は、人事を含めて外務省は欠けているんじゃないかと非常に疑いを持っておりますので、申し訳ないんですけれども、ここはしっかりと調査、そして対応を取っていただきたい。お願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、和田有一朗君。
○和田委員 ありがとうございます。日本維新の会の和田有一朗でございます。
今、世界は難問山積でございまして、日本外交はもう本当に課題が山積している中でありまして、まさに法と秩序が壊れかけた世界の中でどうやって国益を守るかということで、大臣も大変だと思います。東奔西走、ウクライナは日々物事は変わっていく、対米交渉も日々状況が変わっていく、大変だと思います、御苦労さまでございます。心から感謝を申し上げたいと思います、日々の活動に。
それと、今日、たくさんのことを聞こうと思いましたら、びっくりするくらい当局の皆さんが並んでしまいまして、全部は多分やり切れないと思うんです。やり切れなかったら次回に送らせていただきますので、その点はもう最初からおわびを申し上げてスタートしたいと思います。
まずは、ウクライナの関係をお聞きしたいと思うんです。
ウクライナの和平における日本の関与についてです。トランプ政権が発足しまして、予測不能なスピードで予測不能に物事が進んでいる。今、停戦交渉がサウジアラビアで行われるとは誰も思っていなかったと思います。そういう中で、恐らくは、見立てとしては、なぜか分かりませんが、アメリカというより、トランプさんはこの案件を非常に急いでおられる。それは、見立てとしては、中国と向き合うためにロシアと中国を分けたい、デカップリングをしたいというような意図があるのではないのかなというふうに思う向きもあります。
そういう中で、じゃ、日本は、この米ロが接近する中で、どのように関わっていくのか。日本は、ロシアとは北方領土問題を抱えているわけです、そういう中でどのように向き合うのかということをお聞きしたいと思うんです。
それと、幾つか重ねて、ここでまずお聞きしていきますが、トランプさんは、ゼレンスキーさんの選挙を求めるようになってきました。この真意は分かりません。しかし、その中で、選挙が行われる、ウクライナの国内の話ですから、国内の法に基づいて手順を踏んでやるんでしょうけれども、それを見たって、いろいろな方々の話を聞いていると、半年やそこら辺はかかるだろうとは言います、今からスタートしたとしても。
そうなったときに、選挙監視団というものを我々は組むことになるかも分からない。そんなときに、日本はどのようにそのことに向き合うのか。まず、そこまでお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 これは、委員はもちろん御存じで聞いておられるんだと思いますが、ウクライナにおいては、戒厳令に関するウクライナ国内の関連法令では、戒厳令中にウクライナ大統領の任期が満了した場合、戒厳令解除後に選出される新大統領就任までその任期が延長される旨規定をされている、あるいは、戒厳令下における大統領選挙の実施は禁止される旨をそれぞれ規定していると承知をしておりますので、そういうことをめぐってもいろいろ議論が交わされていくんだろうというふうに思います。
お尋ねは、選挙になったら選挙監視団はということではありましたが、この段階ではまだ、予断を持ってそういうことにお答えするのは時期尚早ではないかなと考えております。
○和田委員 その前に、日本とロシアの関係、こちらも今お伺いしたんですが、いかがですか。北方領土問題を抱えながら、我々はロシアと向き合わなければいけない。
アメリカは恐らく、プーチンさんを抱き込んできているのは、アメリカから中国を見たときに、ロシアと、中国との関係を引っ剥がすためにやっているのではないか。そういった流れの文脈の中で見たときに、日本はロシアとどう向き合えばいいのか、どう向き合うべきなのか、大臣としてはどうお考えなのかをお伺いしたいんです。
○岩屋国務大臣 米側の戦略的判断がいかなものであるのかということについて、我々からまた断定的に述べることは控えたいと思います。
日ロ関係については、ウクライナに関して申し上げれば、やはりロシアの行為というのは明白な国際法違反の侵略であるというふうに我々は思っておりますので、一貫してウクライナを支援し、ロシアに制裁を継続をしているわけでございます。
一方、御指摘の北方領土問題もございます。それから、隣国でありますから、漁業の問題あるいは北方四島交流、北方墓参の問題等々、ロシア側とは解決をしなければならない問題もありますので、これは適切に意思疎通をしていく必要もあると思っておりまして、ウクライナ問題に戻って言えば、停戦の合意等について、是非ロシア側にも、前向きそして適切な対応を期待したいというふうに思っております。
○和田委員 ちょっと複雑なことを聞いたような感じがしますが、結局、非常に複雑な因数分解みたいな話でして、結局、アメリカは中国とロシアを引き離すために、アメリカはロシアと仲よくしようとする。そのときに、日本にも我々はロシアと仲よくするぞという意思表示をしたときに、我々はどう向き合うかということで、非常に難しい、選択とまで言いませんけれども、方向性を見せなければならない状況がこれから出てくる、そのことを申し上げたかったわけです。それをしっかりと念頭に置いて、対米外交をするために対ロ外交をしていただきたいということを言いたかったわけでして。
それは、日本は、今まで歴史上、ロシアとつき合って、いいことはなかったことが多いんですね、はっきり言えば。大東亜戦争だって、最後はロシアに頼っていって、結局はやられちゃったわけですよ。戦争は終わっているのに、攻められた。安倍外交だって、ある意味では、ロシアにかなりウェートを置いたけれども、結局はうまくいかなかった。
しかし、アメリカは、ロシアと今、取りあえず仲よくしようやみたいなニュアンスを、雰囲気を醸し出す中で、日本もその枠組みの中でどう立ち回るかという難しい状況に来るわけで、そういう中で、私はお聞きしたかったんです。ロシアにおもねるといいことはないと私は思いますので、そういうこともしっかり念頭に置きながらやっていただきたいと思います。
そこで、何でさっき選挙監視団のことをお聞きしたかといいますと、これは参考人にお聞きしたいんですけれども、突然、ちょっとここまで行くとあれではないかと怒られるか分かりませんが、今、実は、ウクライナというのはレベル4だと思うんです、邦人の行き来に関しては。選挙監視団になったら、レベル4ではできないと思うんですよ。何らかの措置をしないと、いろいろな方が行きますから。戦況にたけた学者の人とか、あるいはいろいろな団体の人とか。
これが唐突に、今恐ろしいスピードで突然物事が動いていますから、そんなことがアメリカ主導で、さあ、選挙監視団だ、選挙だ、やれどうだと言われたときに、どうなさるんですかね。何か腹案をお持ちですか。ちょっとお聞きしてみたいんですが。
○石川政府参考人 お答えいたします。
現在、委員御指摘のとおり、ウクライナに対しては、危険情報、基本的にレベル4、退避すべきだというレベルで出しております。一定の例外はありますけれども、復興に関わる邦人は、厳しい制限、いろいろな条件を課させていただいていますけれども、その厳格な条件の下でキエフにいるということは認め得るというような内容にしております。
今委員御指摘の選挙監視団の委員を派遣する場合ということにつきましては、先ほど大臣の方から申し上げましたとおり、現時点で、他国の内政に関わることでもあり、我々として予断するものではない、お答えを差し控えたいということで、それ以上のものではございません。
○和田委員 ただ、今の国際情勢を見ていると、いつ何が、どんなことが起こるか分かりませんので、検討はされた方がいいと私は思います。そういう意味で、今ちょっとお聞きしてみました。
次に行きます、ウクライナで。
もう一点お聞きしたいことがありまして、今、ウクライナは、ミサイルや何かで人道的に許せないような攻撃を受けています。そんな中で、防御をするために、人の命を守るためのいろいろな防御装備というものを我々はお手伝いすべきではないかという、いろいろな議論があります。
今のところ、ところてん方式で、アメリカが向こうに送る物を日本がアメリカに対して応援をするというようなことをやっておりますが、アメリカの状況次第では、それがもう間に合わないという状況になってきている。こういう中で、防空装備の支援という形で、ところてん方式ではなく、そろそろ直送方式、日本から直接ウクライナに送るというようなことをしてもいいのではないかと思うんですが、これについていかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 ウクライナへの直接の、防空というか防衛装備移転については、言うまでもないことながら、我が国の防衛装備移転三原則に基づいて、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念とこれまでの平和国家としての歩みを堅持しながら、厳格かつ慎重な対処を行っていかなければならないというふうに考えておりますので、直接に防空装備を移転をするというハードルは非常に高いというふうに考えております。
○和田委員 ハードルは高いと思いますけれども、検討すべきときは来ていると思いますし、前向きに一度考えていってほしいと私は要望しておきます。
次の質問に移りたいと思うんです。
対中姿勢についてであります。
昨今、この今申し上げた米ロの関係を見て、中国は、今まで中ロというものが一つのくくりがあったんですけれども、これではいかぬと思ったのかどうか知りませんが、日本に接近をし始めているような感じを私は受けます。対日接近をしてきているような気がします。
例えば、福島原発の処理水の問題に関わるような話でも、徐々に軟化をしてきているようなニュアンスを出している。あるいは、例えば経団連のメンバーを招いて、中国経済の発展に貢献した井戸掘りをしてくれていると非常に称賛してみたり、日本に対する接近というんでしょうか、そういう状況を今醸し出しているように私には見受けられるんです。
そういった中で、それに呼応しているかのように、我が国の政府、外務省、あるいは岩屋大臣も、何か呼応しているような雰囲気があるように私には取れるときがあるんです。
それは、例えば、私が先般、石破総理のアメリカに行ったときの帰朝報告に対して本会議で質問したときに、これまで、CPTPPに関して、私は、この委員会でもそうですし、いろいろなところで台湾の加盟についてお伺いしたら、外務大臣はウェルカムだと、それを申し込むというのか、それは歓迎すべきことだとか応援したいというような言葉があったのに、そのことをこの間の帰朝報告に対する質問をすると、そういう言葉はなかった。あるいは、外相の今回の所信の中にも、台湾海峡という言葉は出てきますけれども、台湾という表現、言葉、ワードはないんですね。
どうも抑制的になってきているのではないか、台湾に関して。裏を返せば、中国に対して何かすり寄っているように私には思えてしまうんですが、そこら辺について、外相の御意見を、真意をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 中国にすり寄っているなどということは断じてありません。
習近平主席と石破総理との首脳会談が行われた際に、戦略的な互恵関係、これは以前からあった言葉でありましたけれども、一時期冷えていた。これの原点に立ち戻って、包括的にこの関係を進めていこう、そして、建設的、安定的な関係を築いていこう、課題と懸案を減らし、協力できるところを一つずつ増やしていこうという合意をしていただきました。
私が訪中をして、それを具体的に進めていこうということで、もう今日お見えになったのかな、王毅外相も来日をされて、日中韓の外相会合もあしたやらせていただきますけれども、そういう両首脳の約束に基づいて、一歩一歩今その作業を進めているということであって、すり寄っているという御指摘は全く当たらないというふうに思っております。
それから、台湾については、委員御案内のとおり、日米首脳会談においても、台湾の国際機関に対する意味のある参加という文言も共同声明の中に入れられておりますし、台湾に対する我々の考え方も全く変更はございません。
台湾は、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて我が国にとって重要なパートナーであり、大切な友人でございます。このスタンスも全く変わってはおりません。
○和田委員 では、CPTPPに台湾が加盟をしようとしていることについて、もう一度そのことについての御発言をお願いします。
○岩屋国務大臣 台湾によるCPTPP加入要請につきましては、我が国として歓迎する立場に変更はございません。
いずれにしても、加入要請を提出したエコノミーの扱いについては、他の締約国ともよく相談しつつ、戦略的観点や国民の理解も踏まえながら対応していきたいと考えております。
○和田委員 ありがとうございます。理解できました。
そこで、じゃ、もう一点確認したいんですが、前回、十二月二十五日に、岩屋大臣が北京で王外相と会談したときに、中国外務省が、岩屋大臣は歴史問題で深い反省と謝罪の意を表明したと発表しているんですね。そのことについて、本当にそうだったのか。記者会見ではそんなことはないと否定されているんですけれども、そのことについて、もう一度ここできちっと説明をしていただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘の点は、昨年の十二月の私の訪中に伴う日中外相会談で、歴史の問題に議論が及んだ際に、私から、石破内閣は、歴代の談話、五十年談話、村山談話、六十年小泉談話、七十年安倍談話を含むこれまでの内閣総理大臣談話を引き継いでいるということを申し上げたものでございます。事後の対外発表は、すり合わせをして行ったわけではなくて、日中それぞれが行ったものでございます。
御指摘の中国側発表における私の発言とされている部分の趣旨は今申し上げたとおりでございまして、中国側が一方的な対外発表を行ったことに対しては、その日のうちに中国側に対して申入れを行っております。
また、こうした経緯や日本側の立場については、昨年十二月二十七日の、帰ってきてからの大臣定例記者会見において私からも明確に説明をしており、また、その記者会見の記録は外務省のホームページに英語版も含めて掲載しており、適切に発信をしてきておるところでございます。
○和田委員 くれぐれも誤解を国際社会に招かないように、しっかりと発言をして、しっかりと発信をしてください。そのことを申し上げておきます。
あと二つ、どうしても今日中に聞きたいことがあります。
一つは、尖閣のブイの話です。
先ほど、中国が日本に接近し始めているのではないかと言ったのは、一つ撤去しましたですね、向こうは。一つ撤去したら、また一つ置いたわけです。この新しくブイをまた置いていることについて、前も聞きましたけれども、ただただ犬の遠ぼえみたいに、どけてくれ、どけてくれと言っていたら話が始まらないわけでして、しっかりとした対応をしていただきたい。
フィリピンなんかは、中国が南シナ海に設置したブイなんかは撤去しているんですね、実力的に、実力行使で。そういうことも含めてしっかりとやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 ブイが一つ除かれて、また一つ置かれたというのは事実誤認だと思います。私は、訪中した際に、訪中の直前に二つ目のブイが見つかったということで、王毅外交部長に対して、これら二つのブイの即時撤去を求めたところでございます。
その後、東シナ海のブイは本年二月に中国側が回収をしたということを確認をしましたが、与那国南方の我が国EEZで設置が確認されたブイについても、これはまだ残っておりますので、引き続き、あらゆる機会を捉えて即時撤去を強く求めてまいります。
○和田委員 しっかりと撤去をするところまで頑張っていただきたいと思います。
最後に一点、実は、タイにとどめ置かれていたウイグル人の方々が中国に強制送還をされるという出来事がありました。ウイグルの議連でも、そのとき、何とかならないだろうかというお話を私どもも伺いまして、いろいろと外務省にもお話をしたりしたと思うんです。
このウイグル人の難民、難民ではないですね、こういうのをウイグル人の政治難民というんですかね。こういう人々を、これはタイでの話ですけれども、タイから、中国が圧力をかけて、強制送還せよと迫ったときに、私たちは何ができるのか。法と秩序を守り、人権を守るという観点から、我が国はタイ政府に対して何をしたのか、何ができたのか、これから何ができるのか、それをちょっとお伺いしたいんです。
○岩屋国務大臣 御指摘の事案については、私自身も、日本ウイグル議員連盟、それから超党派の人権外交を考える議員連盟の皆さんから、外務省に直接御要望をいただきました。これを真摯に受け止めて、強い問題意識を持って関係部局に対応を指示してきたところでございます。
タイ政府に対しては、日本側の懸念を繰り返し伝達をしてまいりましたが、先月二十七日、タイ政府が、拘束されていたウイグル人を中国に送還したことは誠に遺憾でございます。タイ政府に対しては、日本側の懸念を改めて伝達し、適切な対応を取るように働きかけております。
また、中国側には、今回送還されたウイグル人の処遇を含め、同自治区の人権状況について懸念を持って注視をしているという旨を改めて伝達をしているところでございます。
○和田委員 時間がなくなりましたので、あとの質問は次に回させていただきたいと思うんですが、申し訳ありません。
今、最後にウイグルの皆さんのことを申しましたけれども、ウイグルだけではないんです。チベットの問題もある。いろいろな問題が、中国は人権という観点からあります。法と秩序を、我々が、価値観を持っている国から見ると、およそ考えられない状況がある。この中国とどう向き合うかというのが私たちにとっては大変大きな課題であって、そこで、すり寄っていない、こう言われましたけれども、とにかくすり寄ることがあってはならないし、我々は毅然とした態度で向き合わなければならないと思います。
そういったことを含めて、次回は台湾の問題をお聞きしたいと思います。
今日はこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○堀内委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○堀内委員長 速記を起こしてください。
次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
私、昨年十月に初めて当選をさせていただきました。先般、岩屋大臣とは衆議院予算委員会で少しだけ質疑応答をさせていただきました。今日は二度目となります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問をさせていただきます。
まずは、佐渡島の金山の追悼式についてお伺いをさせていただきます。
この話を深くしてしまうと時間が随分かかってしまいますので、簡単に流れだけ私の方から説明をさせていただきたいというふうに思っておりますし、もし間違いがありましたら指摘をしていただければというふうに思っております。
昨年十一月に、佐渡島の金山の追悼式、これは世界文化遺産に登録をされたということで、そして追悼式が行われるという中で、その二日前、政府の出席者が、生稲政務官が出席をされるということでありました。それを受けまして、過去に靖国を参拝されていたということが報道されまして、韓国で随分大きな話題になった。すると、その式典の前日、韓国側は出席を見送るということで、結果、韓国側の出席者が来られない中でこの式典が開催をされた。
ところが、過去に靖国を参拝されていたというのが誤報であったということで、後に、林官房長官も、それは事実ではない、そして、併せてそれを韓国に説明をしたという報道もなされていたわけであります。これは合っていますよね。
そこで、まず政務官にお伺いしたいんですが、政務官は靖国参拝はされていなかったんでしょうか。そして、過去にも参拝されたことはないんでしょうか。まずは御答弁願います。
○生稲大臣政務官 お答えいたします。
私は、外務大臣政務官就任後に靖国神社を参拝したことはございません。また、外務大臣政務官就任以前に国会議員として靖国神社に参拝したことがあるか否かについてですけれども、現在の立場に鑑み、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○西田(薫)委員 それをなぜ控えないといけないんですか。参拝したかしていないかだけの話ですよ。控えずに御答弁ください。
○生稲大臣政務官 繰り返しになりますけれども、外務大臣政務官就任以前に国会議員として靖国神社に参拝したことがあるか否かについては、現在の立場に鑑み、お答えすることを差し控えさせていただきます。
○西田(薫)委員 現在の立場というのはどういうことですか。一体どなたの顔色をうかがっているんですか。これは言えないですか。
○生稲大臣政務官 国務大臣等が私人の立場で靖国神社を参拝することにつきましては、個人の信教の自由に関する問題であり、政府として立ち入るべきものではないというふうに考えています。
その上で、靖国神社の参拝につきましては、私自らが適切に判断をいたします。
○西田(薫)委員 いやいや、全く私の質問と違う御答弁なんですよ。
ちょっと外務省の方、政務官の答弁を出すときに違う答弁を渡されているんじゃないですかね。私は、政務官になってからは行かれていない、じゃ、国会議員になったとき、その前はどうですかということを聞いているだけです。
○生稲大臣政務官 済みません、何度も同じことになってしまうんですけれども、現在の立場に鑑み、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○西田(薫)委員 じゃ、なぜ御答弁できないんですか。
○岩屋国務大臣 政務官が繰り返し答弁をしていますように、現在は外務大臣政務官でございますから、様々な影響に鑑みて、そのことに関するお答えは差し控えますというふうに答弁をしているところでございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
○西田(薫)委員 いや、正直、理解はできないですね。
これは国会議員になってからの話ですよ。今だったら政務三役です。という中で、やるかやらないかとか、参拝するかしないかとかいうことだったら分かるんですけれども、国会議員になってからの話は一切できないということですか。おかしくないですか。何をそこまで配慮をしないといけないんですかね。政務官になる前は参拝しましたと、なぜ普通に言えないんですかね。
どうしても言えないですか。これは通告もしていますよね。
○堀内委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○堀内委員長 速記を起こしてください。
生稲外務大臣政務官。
○生稲大臣政務官 本日は政務官の立場として答弁をしておりますので、現在の立場に鑑みて、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○西田(薫)委員 私は、今日は五問用意していましたので、この話ばかりはできないので。ただ、やはりおかしいですよ、その御答弁。
そうしたら、これも通告はしています。通告している中で、じゃ、政務官にとって靖国神社というのはどういう存在ですか。
○生稲大臣政務官 通告していらっしゃったかどうか……(西田(薫)委員「やっています。通告しています」と呼ぶ)そうですか。
国務大臣等が私人の立場で靖国神社を参拝することにつきましては、個人の信教の自由に関する問題でありまして、政府として立ち入るべきではないというふうに考えています。
その上で、靖国神社の参拝につきましては、私自らが適切に判断をしたいと思います。
○西田(薫)委員 参拝の有無を聞いていないんですよ。靖国神社というのは政務官にとってどういう存在ですかというのが私の質問です。
○生稲大臣政務官 お答えいたします。
本日は政務官の立場で答弁をしておりますので、靖国神社を参拝すること、靖国神社のことに関しましては、個人の信教の自由に関する問題であるというふうに思っています。ですから、政府として立ち入るべきものではないというふうに考えています。
○西田(薫)委員 これだったら、全然話が進まないんですよね。
私が思う靖国神社というのは、本当に、美しい祖国を守ろう、愛する家族や兄弟を守ろう、そして、いとしい妻や子供を守ろうという思いの中で散っていかれた御英霊の方々が祭られている場所。そして、青春を謳歌することもできなかった、本当に悲しい時代を生きられた、そういった皆さんに思いを寄せて哀悼の誠をささげる場。そしてまた、そういった皆さんの犠牲の上に今日我々が平和を享受をさせていただいている、そういった思いから感謝の誠をささげる場所というふうに私は思っているんですよ。
そういった思いはないですか。単に思想、信条、宗教の自由という話じゃなくて、そういう思いというのはないですか。
○生稲大臣政務官 何度も大変申し訳ございません。ただ、本日は政務官の立場で答弁いたしておりますので、その辺りは政府として立ち入るべきものではないというふうに考えています。
○西田(薫)委員 今回、私は通告はしていましたよ。政務官にとって靖国神社というのはどういう存在だと思われますかということも聞きますと通告までしていたんです。
そして、この質問に対しても、最初の質問と同じ答弁なんですよ。聞いてもいないこと、だから、参拝したかしていないかという過去の話の質問に対する御答弁をずっと繰り返されているんですよね。
私は、今回政務官に対し二問質問しますといった中で、過去参拝されていたかどうかという質問と、靖国神社というのは政務官にとってはどういった存在ですか、この二問を聞きますということを通告していたんですよ。にもかかわらず、過去に参拝したかしていないかの答弁をずっと繰り返しているんですよね。非常に残念に思います。
大臣にとって靖国神社というのはどういう存在でしょうか。
○岩屋国務大臣 私にとってどういう存在かというよりも、これは委員が御指摘になったように、過去の戦争において貴い命を犠牲にされた英霊の皆さんが眠っておられる神社だということだと思います。
○西田(薫)委員 大臣もそういうふうに思われるということですよね。だから、そういう御答弁がなぜ普通にできないのかなというのが正直残念です。
最初、私はこのニュースを見たときに、生稲政務官は過去に参拝していたという記事を見たとき、物すごくうれしかったんですね。ああ、しっかり参拝されているという思い。ところが、その後に、実は参拝されていなかったというニュースを知って、正直悲しく思いました。残念に思いました。
そういった観点から、今日はいろいろな質問をしていきたいと。決して政務官を個人的に追及したいとかいうわけじゃなく、そういった思いを持っているというのであれば、そういった気持ちを引き続き持っていただきたいという話もしたいという思いで、この質問をしようと思っていたんですね。
今回、これでもう十分ぐらいたってしまったので、なかなか残りの質問をしづらくなってきているんですが、この質問の、今回の一連の流れの中で、何より私が一番がっかりしたのが、林官房長官の会見でのコメントなんですよね。林官房長官は、靖国神社を参拝した事実はないと承知しており、韓国側に事実関係を説明したということを述べられたと。私も、報道で、ニュースで知っただけですから、会見の全ての内容は聞いておりません。一部分だけを切り取ってこういった形の報道をされているかもしれませんけれども。
これで、私は何で、韓国側に事実関係を説明したと、これをなぜ説明しないといけないのかなというふうに思ったんです。本来は、政務官が過去に行ってようと行っていなかったとしても、これは関係ない話なんですよ、内政干渉甚だしい話でして。それを普通に官房長官は言えばいいのにもかかわらず、韓国側にも説明したということをニュースで知ったんですよね。今回の話、これが私は一番ショックだったんですよね。
そこで、今回、この委員会において林官房長官も出席をいただきたいということをお願いしたところ、官房長官は外務委員会なので出席できないということなので、副長官だったら調整すれば出席できるかもしれないということでしたが、ただ、これは林官房長官の会見でのコメントですから、そこに副長官が来られても果たして御答弁できるのかなという思いがありましたので、もう結構ですというふうにお断りしたんですけれども。
これは本来は、参拝していようと参拝していなくても関係ない話であるという、もっと毅然たる態度を持っていただきたいなと。なぜそこを韓国に配慮しないといけないのかなという、ここがそもそも私はおかしいんじゃないかなというふうに思っております。
ですので、これからも、先ほどの答弁でなく、参拝するんだったら、堂々と、参拝していますというお気持ちを普通に言えるような外交をしていかないといけないんじゃないかなということだけは申し上げておきます。
あと残り四分しかありませんので、次の質問で恐らく最後になってしまうんじゃないかなと思うんですが、次は、尖閣諸島の開拓の日百三十周年の記念式典について質問をさせていただきます。
一月の十四日、十五日に、尖閣諸島の開拓の日百三十周年の記念式典が行われました。我が党からは、前原代表を始め七名の国会議員で出席をさせていただきました。
実は、この案件というのは、私は、政府に対する質問主意書を出させていただきました。そして、回答、答弁書をいただいているんですが、ちょっと余りにも残念な内容でしたので、もう一度この委員会で言わせていただこうと思ったんですが、ここには、外務の政務三役はどなたも出席をしていただいていなかったんですね。
そこで、大臣、これはなぜ出席していただけなかったのか、御答弁願いたいと思います。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しております。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというのが政府の立場でございます。
尖閣諸島開拓の日につきましては、石垣市が条例で定めたものであり、記念式典への政府の出席者については、その都度諸般の情勢を踏まえつつ、適切に判断しているところでございます。平成二十七年以降、基本的には、内閣官房領土・主権対策企画調整室長、内閣審議官が出席しているところでございます。
○西田(薫)委員 この質問も大臣にしますという通告はしていましたよ。
今の御答弁というのは全く政府の答弁書と同じような内容なんですよ、諸般の事情によりと。諸般の事情というのは何ですかね。
そして、大臣、日本全国各地で毎日のようにいろいろな式典は開催されていると思います。しかし、これは尖閣に関係する式典なわけですよね。国家の三要素、領土、国民、主権、その三要素のうちの一つの、これは領土に関係する式典なわけですよ。最も大切な式典じゃないかなというふうに思っておりまして、来年、百三十一周年記念式典をされるかどうかは聞いておりませんが、是非御出席いただきたいなというふうに思っております。
これは、総理も、祝電が届いておったと思います。もしかしたら私の記憶違いかもしれませんが、自由民主党総裁という名前で祝電が送られてきたんですね、送られていたと思います。総理大臣ではなかったんですね。
ちょうどこのとき、自民党、公明党の政府・与党の皆さんは、日中の与党交流協議会で訪中されていたというふうに聞きました。同じ十四日の日です。この開拓の日の式典のときには、自民党、公明党の幹事長は中国に行っておられた。果たして、この開拓の日が一月十四日に式典があるという中で、なぜこのときに訪中しているのかなというのも非常に不思議に思いました。
そして、その翌日の新聞です。これは産経新聞、八重山新聞にも載っておりましたが、その日中与党交流協議会が行われた翌日においても、中国海警局は、我が国のこの接続水域に船が近づいていた、これは五十八日連続でなっていた。そして、昨日の新聞でも、今は連続百二十二日、接続水域に中国海警局の船が来ているんですよね。
この現状についてどう思いますか。もっと厳しく抗議すべきだと思うんですが、もう最後にこれを聞いて質問を終わらないといけないと思うんですが、最後に大臣、御答弁願います。
○岩屋国務大臣 まず、尖閣諸島は、先ほど事務方から答弁をさせていただきましたが、事務方が答弁するまでもなく、紛れもなく我が国固有の領土であって、ここに領土の問題などは存在しないというのが我が国の立場であって、一貫してそのことをこれまでも中国側にも伝えてきているところでございます。
問題は解決しなければいけないんですよね、いつか。やはり対話によって解決するしかないというふうに思うんですね。だから、中国との対話というものをやはり様々なレベルにおいて粘り強く重ねていくということで、これらの問題を解決していかなければいけない。そのためにどういう環境をキープしていくべきかということも含めて、外交当局はやはり考えていかなきゃいけないということもありますので、そのことも是非御理解をいただきたいと思っております。
○西田(薫)委員 もう時間が過ぎましたのでこれ以上質問はしませんが、今日はそのほかに、あと、中国のブイの件であったり、ドイツに設置をされた慰安婦像の件も通告をしておりましたが、関係の方が来られておれば、質問できなかったということをおわびを申し上げて、私の質問を終わります。
○堀内委員長 次に、深作ヘスス君。
○深作委員 国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。
本日は、会派を代表いたしまして、岩屋大臣に、主に日米関係についてお伺いをしていきたいと思います。岩屋大臣の率直な御答弁、今日も朝から長い一日かと思いますが、冒頭、お願いをさせていただきます。
さて、先日、日米首脳会談が行われたと承知をしております。
これまで、大臣におかれましては、ルビオ国務長官と、ワシントン、ミュンヘン、シャルルボワと、三度のバイ会談、そして、いわゆる立ち話、意見交換をされてこられていると思います。これまで、ほかの委員からもこれについては触れられてきていますが、大臣の中で、これまでの外交方針、日米関係について確認をしてきたというのが、確認がなされてきたというのが一つの成果だと思いますが、三度の会談を経て、大臣が、これがこの三回の一つの成果であるというものがあれば是非お聞かせください。
○岩屋国務大臣 トランプ政権発足まではというか直後も、もしかして、日米関係に極めて重要な変更が加えられるのではないかというような心配がなされていたことは事実だったと思います。
しかし、私が最初にルビオ国務長官と会談したのは、まさにトランプ大統領の就任式、その直後に、マルコ・ルビオ氏がトップバッターとして議会で承認をされて、国務長官に就任をし、国務省に初登庁した一時間後に日米豪印の外相会合を主催をされた、その直後にまた日米外相会談を行ったということで、それらを通じて、日米同盟をより強固なものに、高みに引き上げていこう、それから、これまでの日米豪印、日米韓、日米比、フィリピンですね、そういった枠組みもしっかりキープをしていこうというようなことが正式に表明されたということで、やはり、その根本というか基本は決してぶれていないというか、揺らいでいないということが確認をできたということだと思います。
○深作委員 この後、私、ブリンケン前国務長官とも岩屋大臣はこれまで向き合ってきているということで、それからの変更といいますか、どのように変わってきたように感じられるかということをお伺いをしようかと思ったんですが、ある意味において、変わってこなかった、確認をし続けることができたということが大きな成果なのではないかと思っております。
その中で、先日、三月十三日に行われました会談の中では、先ほども発言がありましたが、鋼鉄、アルミに対する二五%の関税について遺憾の意を伝えたというふうに大臣はおっしゃられましたが、報道などでは、ルビオ国務長官が持ち帰ると回答したというふうにあります。
この持ち帰りについて、現場での反応、そして、持ち帰り、この宿題をどのように回収していく御予定があるのか、もしそこの見込みがあればお聞かせください。
○岩屋国務大臣 最初に日米外相会談を行った段階では、いわゆる貿易政策を所掌する商務長官がまだ議会で承認されずに、決まっておりませんでした。その段階で、鉄鋼、アルミの関税は我が国を是非除外されたしということをルビオ長官に申し入れたわけですが、先般の日米外相会談、カナダでの際には、もう既に、関税政策、貿易政策を所掌する商務長官、ラトニックさんが決まっておりまして、我が方は武藤経済産業大臣が渡米をして、そういうカウンターパートと交渉が始まっておりましたので、ルビオ国務長官としては、私からの申入れをしっかりワシントンに持ち帰って、所管の大臣に伝える、また、ホワイトハウスに伝える、そういう返答だったということでございます。
○深作委員 それに対して、今後、具体的にいつ何をということではなく、様々な所管をする大臣等から逐次確認をしていくということでよろしいでしょうか。
○岩屋国務大臣 もちろん外交レベルでも働きかけを続けていきますし、また、経産省は経産省として、あるいは、NSCはNSCとしてというか、あらゆる政府のレベルから働きかけ、申入れ、協議を続けていくということだと思います。
○深作委員 この問題だけでなく、アメリカが今行っている関税を含めた様々な政策、日本から見ればどうしても日本に向けられているもののように感じますが、トランプさんの考え方としては、世界全体に向けて行われているうちの一つであると考えています。
だからこそ、今回のこの鋼鉄、アルミニウムに関しては、アメリカが輸入をすること、これが米国の安全保障に悪影響を与えるものではないということを明確に日本から主張していただくこと、そして、日本の高品質な製品の輸入、これは代替が難しいということで、これが米国の産業競争力を担保するためにも重要であるということは、引き続き大臣からもアメリカ側に伝えていただく、この努力を続けていただきたいと思います。
先日の日米首脳会談も含めて、これまで、ほかの委員からもいろいろ御指摘がありましたが、やはり不安定要素が大きいこのトランプ政権の中で、大臣もおっしゃられたとおり、これまでの様々な約束が守られるということが確認をできたということが、私は大きな成果だと思いますし、外交当局の皆さんの御努力の成果であったと思っています。
他方で、トランプ政権において、両国間の価値観外交の根底にある基本的価値、これを揺るがしかねない様々な事案が顕在化をしていること、これにもやはり私たちは直面をしなければいけないと思っております。
我が国として、様々な懸念に対して明確な立場を示していく。先ほどもありましたが、武正委員そして源馬委員からもあったように、法の支配、こういったことに対しての疑念、大臣からは先ほど、今後徹底をするという御発言がありましたので、是非、今後、バイが行われる際などにも、こういったことは引き続き御確認をいただきたいと思っています。
そこで、済みません、通告三つ目を先に持ってこさせていただきますが、トランプ大統領が署名をした大統領令について、一点お伺いをいたします。
北アメリカ大陸の南東部に位置し、アメリカ、メキシコ、キューバに囲まれた海域で、かつ、アメリカ沿岸の大陸棚を含むこのエリア、これを日本政府は何と呼んでいるのか、その呼称についてお聞かせください。
○岩屋国務大臣 御質問の海域について、日本政府として公式に名称を定めているというわけではありませんが、メキシコ湾という名称は、国際社会において、国際水路機関を始めとする国際機関によって認められており、外務省としてもこの名称を使用してきております。
○深作委員 おっしゃられるように、今回の大統領令によって、実は、これは海域ではなく大陸棚の名称を変更するというかなりテクニカルなことをして、国内だけで、行政機関のみでこの呼称を利用するというような形で大統領令が発出をされていますが、ある意味で国内向けのパフォーマンス的要素が多いものであると考えるとともに、国際水路機関、IHOも現時点ではメキシコ湾の名称を維持をしている。
そして、これが即座に国際社会に受け入れられるものではないということは承知をしておりますが、他方で、米国内においては、グーグル社がいわゆる地図アプリでアメリカ湾の名称を使い始めるなど、いわゆる力、軍事的な力ではないですが、政治的な力であったり、企業への圧力をもって現状変更を試みるような取組が行われているとも考えることができると思っております。
ですので、今回、こういった取組がある中で、日本が、こういった取組に対して、こういった動きに対して、大臣がどのようにそれを捉えているのか。これは大臣もよく御承知かと思いますが、我が国も、日本の呼称、これを変更せんとする隣国からの挑戦的試みに直面をしているという事実もあります。これを鑑みて、このようなことを行っていることに対して、何か所感があればお聞かせください。
○岩屋国務大臣 なかなか答えにくい御質問でありますけれども、本来、こういう問題は、その当事国同士が、もし何か不服があれば話し合って、合意の下に決められていくべき事柄だというふうに思います。
それ以上のことは控えさせていただきたいと思います。
○深作委員 先ほど偶然、鈴木委員からも、大陸棚、これは隣接をしている、周辺のという意味での大陸棚でありますが、日本にもこういったエリアがあって、もし仮に同じようなことが同じような手法で行われた場合、やはり、我が国としては厳しくそこに対抗していくという立場になっていくと思います。
ですので、同盟国であったとしても、このような試みに対しては、これは間違っているということは言わなければいけないということを、改めてこの場においても私の方から主張させていただきたいと思います。
そして、この現状変更を試みる行動や言動というものは、この呼称問題だけではなく、御存じのとおり、グリーンランドの話、カナダの話など様々な場所で今表れてきています。
これまでの国際的な常識や両国間の共通の理解を変更とする、こういった取組は、実は御存じのとおり、第一次政権のときから続いておりまして、日本との関係においては、日米安全保障条約が不平等であるとする発言も二〇一六年からトランプ氏は繰り返しています。今月に入ってからもホワイトハウスの記者会見で、米国は日本を守らなければいけないが、日本は米国を守る義務がないと述べ、日米安全保障条約が片務的である、こういった批判を強めています。
政府はこれら発言をどのように捉えているのか、また、これまでも国会での確認をされていますが、日米安全保障条約は片務的な条約なのか、双務的であるのであれば、その根拠も含めてお示しください。
○岩屋国務大臣 安保条約に関しましては、御案内のとおり、第五条において、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処することを定めている。一方、第六条においては、米国に対して、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、我が国の施設・区域を使用することを認めているということになっておりまして、確かに非対称ではありますけれども、決して片務的ではないというふうに我々は思っております。
やはり、我が国における、米軍基地があることによって、米軍のプロジェクション能力というか、展開能力が確保をされているわけでございまして、我が国は同盟上の義務はしっかりと果たしているというふうに考えているところでございます。
○深作委員 先ほど駐留経費についても発言がありましたが、本来であれば、日米地位協定二十四条において、全てのこの費用というものは米国が持つということが前提となっている中で、思いやり予算というものが、今、日本であるように、私たち自身も、この条約を守りつつ、どうやって双務性を担保していくのかというのを歴史的に歩んできたはずです。
これまでどうしてもアメリカ側の主張ばかりが聞こえて、特にアメリカ国内ではそれを信じる方々が多い中において、私たちの主張というものをどのようにしっかりと発信をしていくのか、この理解を深めることで、双務性、この部分を理解をしていただくということが大変重要であると思っております。
大臣がおっしゃられるように、やはりフォワードプロジェクション、いわゆる前方展開を担保しているのは間違いなく日本でありますし、これなくしてアメリカの安全保障戦略というものは成り立ちません。そういった意味においても、こういった国会の場で、逐次こういったことを確認をしていくことが重要であると考えております。
さて、少し時間が迫ってまいりましたが、今回、大臣、ルビオ国務長官の就任から、毎月会談をされておられます。これは大変いいことだと私は思っています。
ルビオ氏は上院議員の時代から、日本への造詣の深さ、そして政策への解像度が高いということもあって、日米関係の実相をよく理解をされているものと私は考えています。ルビオ氏がトランプ政権の閣僚となった今、なかなかその立場から発言しにくいこと、主張がしにくいということがあるかもしれませんが、とはいえ、私は、カウンターパートがルビオ氏であるということは大変いいことであると思っています。
この中で、なかなかトップ同士が双方腹を割って話せない中で、私は、岩屋大臣の役割というものが大変、今、日米関係の中で重要になっていると考えています。先ほども少しこの場で紛糾をしていましたが、靖国に関してもルビオ氏は過去に、こういったことは日本の問題であって立ち入るべきではないということを明確に言っている、そういった閣僚でもあります。ですので、我が国の主張というものをこういったときだからこそどのようにしっかりと通していくのか、こういったことを是非進めていただきたいと思っています。
そして、先日、三月十三日には、次期駐日大使に指名される予定のジョージ・グラス氏の公聴会が行われました。この中で、グラス氏は、自らの役割として最も重要なことは、日米同盟、防衛協力の深化を進めること、そして中国の拡張主義的な脅威に対抗することであると明言をされています。そして、その公聴会の中では、グラス氏三名の御子息のうち、長男が十三年間日本に住んでいて、そしてお孫さんが日本で生まれ、日本で育ったというようなこともおっしゃっています。
日米関係において、主張すべきは主張するということは大事でありますが、先ほど竹内委員から、大臣がしっかりと名前を残していただく、大臣だからこれが進んだ、又は、相手がルビオ氏だから進んだんだということが一つでも前に進んでいくことが私は重要であると思っています。
もちろん、当局間の交渉の中でこれまでのことが確認をされていくことも大事ですが、大臣、改めて日米関係に向き合う上で、どのようにこれから深化を図っていくのか、そして我が国の主張を通していくのか、是非、その思い、所見をお聞かせください。
○岩屋国務大臣 カウンターパートはルビオ国務長官になるんですけれども、正確に言うと、これまで三か所で、バイの会談とかマルチの会談とかいろいろ含めると七回、短期間のうちに会っております。しっかり、ルビオ国務長官とは信頼関係を構築したいと思っています。
私はやはり、アメリカ、米国には正しくリーダーシップを発揮してもらいたいというふうに思っているんですね。今なお世界一の経済大国で、また世界一の軍事力を有している、我々とは、言うまでもなく、価値、原則というものを共有しているはずの米国には、この国際社会において正しくリーダーシップを発揮してもらいたいと思っておりますし、その意味で、合衆国国務長官というポジションは極めて影響力の大きいポジションだと思っております。
是非、マルコ・ルビオ氏とは、ありていに言えば腹を割った話合いができる関係を構築していきたい、そのことによって日米同盟をより高め、また、地域と世界のためになる日米同盟にしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○深作委員 時間が参りました。
今日は、大臣の先日の所信の中で、外交力の強化ということで在外公館の体制などについてもお伺いする予定でした。また、次回以降、取扱いをさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
今日最後の質問となります。岩屋大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど和田委員からもございましたけれども、まず、私からも、ウクライナの和平のことにつきまして質問させていただきたいと思います。
三月十八日夜、トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談が行われまして、エネルギー施設ですとかインフラへの攻撃停止から始めるということを合意したという報道がございました。プーチン大統領は、ウクライナへの外国からの軍事援助と情報提供をやめることがその条件だといたしまして、米国とウクライナが事前に合意をしていた三十日の停戦は受け入れられませんでした。
ただ、二十三日に米ロの和平協議がサウジアラビアで行われることが発表されております。この交渉の行方というのは、ヨーロッパだけではなくて、世界中、アジアも含めて世界の安全保障に大きな影響があるということは言うまでもないというふうに思っております。
今回の合意、これに対する岩屋大臣の受け止めとともに、今後、我が国が果たす役割は大変重要だというふうに思っておりますし、岩屋大臣が果たされる役割も大変重要だと思っております。このことについて、まず、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、米国のイニシアチブによって、三年間、四年目に入ったこのウクライナ侵略が、膠着していた状況が停戦やあるいは和平に向かって動き始めたということは歓迎したいと思います。
そして、米、ウクライナの話合いがあって、米ロの首脳電話会談があって、また今度、サウジアラビアで当事者同士の話合いがそれぞれ行われるということで、すぐには完全な合意はでき上がらないと思いますが、一歩ずつ一歩ずつ前に進んでいってほしいというふうに願っておりますし、我が国も、それがためにできる役割をしっかり果たしていかなければいけないというふうに思っております。
委員が御指摘のように、これは決して人ごとではありませんで、ウクライナのことは。ウクライナにおける和平の在り方が、世界の安全保障、インド太平洋の安全保障、我が国の安全保障にもすぐさま大きな影響を与え得るものだと思っておりまして、やはりその意味で、誤った教訓が導き出されるようなことがあってはならないと思っておりますので、我が国も言うべきことはしっかり言っていかなければいけないと思っております。
○西岡(秀)委員 大臣、ありがとうございます。
先ほどまさに深作委員に対する大臣の御答弁にあった正しいリーダーシップ、これを是非アメリカに果たしていただけるように、また、特に、先ほどからの質疑の中でも大臣がおっしゃっておりましたけれども、ウクライナを支援するという我が国の立場というのは明確だということもおっしゃいました。
今回の、和平へのスタートが切られたということは大変私も歓迎すべきことだというふうに思いますけれども、特に、トランプ大統領の、どういう、今後、この和平へ向けたことの道筋ができてくるのかということが大変未知数な部分もありまして、やはりロシア側に有利な和平交渉が進むのではないかという懸念もございます。
この交渉の行方というのは、先ほど大臣からもありましたように、これからの世界、そして我が国にとっても大変大きな影響があるということも含めて、是非大臣には、言うべきことは言うということもおっしゃっていただきましたけれども、アメリカが正しいリーダーシップを果たしていただける、その道筋を是非大臣のお力でつくっていただきますように御尽力いただくことをお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、大臣が大臣所信でも述べられております、核なき世界へ向けた政府の取組についてお尋ねをさせていただきます。
三月十九日でございますけれども、議長応接室におきまして、議長、副議長が御出席の下、ノーベル平和賞を受賞されました日本被団協の田中熙巳理事を始めとした役員の皆様をお迎えをいたしまして、表祝行事が行われました。堀内委員長の下、私も理事として参加をさせていただきました。
今回、日本政府が第三回締約国会議のオブザーバー参加を見送ったことは、私も極めて残念に思っております。
政府はこれまでもずっとそういう主張をされておりますけれども、核兵器禁止条約とNPT体制というのは相入れないものだということの認識の中で、NPT体制の中でしっかり核なき世界を進めていくというのが、これまでも今も政府の方針だというふうに理解をいたしておりますけれども、この二つの条約は相反するものではなくて、補完するものであるのではないかというふうに私自身は考えております。
日米同盟が我が国の安全保障の基軸であることはもう間違いのない事実でございますし、このNPT体制も極めて重要な体制であるというふうに私も認識をいたしております。ただ、トランプ政権になって、やはりアメリカの状況も大きく変化をしているのも私は事実だというふうに思っております。
核兵器は、存在する限り使われるリスクがあります。同時に、核兵器廃絶へ向けて、唯一の戦争被爆国である我が国が、その実現へ向けて、我が国にしか果たせない役割を国際社会で果たしていくということは、我が国にとっての使命であるというふうに考えます。
昨年の原爆の日に当たって、広島県知事がその挨拶の中でおっしゃった言葉でございますけれども、核廃絶は遠くに掲げる理想ではなく、今必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実問題ですという言葉を昨年の原爆の日に述べられました。これは、まさに私たち国会議員が全て共有すべきお言葉ではないかというふうに私は考えておりますけれども、このNPT体制の維持強化、そして核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を進めるということを大臣は所信の中で述べられております。
NPTは国際的な核軍縮・不拡散体制の礎であって、大変重要な条約であるということは先ほども申し上げました。一方で、近年の国際情勢を見ますと、NPTを取り巻く環境は大変厳しい状況になっているのも事実でございまして、第六条に掲げる、締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務というのが規定されているわけでございますけれども、実際には、加盟国である大国が公然と侵略行為を行い、核兵器の使用をちらつかせている、これが今の現実であるというふうに思っておりまして、その義務が果たされていない、こういう状況がございます。
この大変困難な中で、その義務が果たされるように尽力していくのが我が国の役割ではないかというふうに思っておりまして、このことに対して、日本がもっとリーダーシップを持って取り組むことが必要であるというふうに考えますけれども、岩屋大臣の御見解をお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 核軍縮、廃絶に対する思いは、委員が被爆地の御出身であるがゆえに、切実なものがあると思います。また、お取組に敬意を表したいと思います。
被団協の皆様のノーベル平和賞御受賞も、本当に喜ばしいことというか、心から長年にわたるお取組に敬意を表したいと思います。
その意味で、核禁条約オブザーバー参加をしないという判断をしたこと、期待に沿えなかったことは申し訳なく思っておりますが、現行、一万発以上の核弾頭がこの世界にあり、四千発がすぐにでも使える状況にある、なおかつ、核軍拡が実際には進んでいる、我が国周辺も非常に厳しい環境にあるという中にあって、やはりNPTという枠組みの中で、今委員が御指摘になった、まず核軍縮ですね、これを実効あるものにしていくということがより現実的、実効的な取組なのではないかという判断をさせていただいたところでございます。
そして、NPTも、御指摘のとおり、非常に難しいところに来ておりまして、過去二回は、いわゆる成果文書を作ることができなかったということで、来年運用検討会議が開催されます、今年準備会合が開催されますが、こういうところに向かって、我が国として、核軍縮というものがもう一度前に進んでいくように最大限の努力をしていきたいと考えております。
○西岡(秀)委員 是非、ここに最大限御尽力をいただきたいということをお願い申し上げるとともに、核兵器禁止条約でございますけれども、オブザーバー参加を是非していただきたいと思う私の一つの大きな理由としては、核兵器禁止条約のこれも第六条なんですけれども、核兵器や核実験による被害者への援助と環境の修復というものが第六条に掲げられておりまして、基金の今議論もあっているというふうにお聞きをいたしておりまして、オブザーバーとしての参加であっても、唯一の戦争被爆国である日本が、ここに国際社会でお役に立つ必要があるのではないかということも是非申し添えたいというふうに思っております。
続きまして、これも、今年は被爆八十年の節目に当たるんですけれども、核のタブーが希薄になっている現状を踏まえまして、被爆の実相、悲惨さ、核兵器の非人道性、これを国際社会に伝えることが今ほど求められていることはありません。このことは岩屋大臣も共有をしていただいているというふうに認識をいたしております。
私は、先般、本会議においても石破総理にも要請をさせていただきましたけれども、そのためには、国内外のリーダーに被爆地に直接お越しをいただいて、原爆資料館の訪問や被爆者のお話を直接聞いていただき、被爆の実相に直接触れていただくことが極めて重要だというふうに考えております。
まず、大臣、お聞きをいたしますけれども、広島、長崎原爆資料館にお越しいただいたことはありますでしょうか。
○岩屋国務大臣 私、九州でございますので、長崎はまさに子供の頃に行かせていただきました。広島も行ったことがありますが、リニューアルされてからはまだ伺っておりません。是非、早く行きたいと思っております。
○西岡(秀)委員 資料館も展示もかなりリニューアルをされておりますし、また、長崎は、二〇二六年に向かって、再リニューアルに向けて今議論をしているところでございますので、是非原爆資料館に大臣にお越しいただきたいというふうに思っております。
二〇一六年当時、オバマ大統領が米国大統領として初めて広島を訪問されました。今、トランプ大統領でございまして、様々、今この委員会でも議論があっておりますけれども、是非、もう一つの被爆地長崎にトランプ大統領にお越しをいただいて、被爆の実相に触れていただく機会をつくっていただきたいと思いますけれども、様々難しい課題があると十分承知をいたしておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 オバマ大統領の広島訪問のときは安倍政権だったと思いますが、岸田政権のときの広島サミットで世界各国の首脳に見ていただいたというのは本当に意義深かったと思います。
したがって、そういう世界のリーダーの皆さんに広島、長崎を訪れていただくということについて、外務省として最大限の努力をこれからもしてまいります。もちろん、トランプ大統領も来て、見てもらいたいと思っておりますが、そういうことも含め、これからしっかり検討させていただきたいと思います。
○西岡(秀)委員 今大臣からお話しいただいた、やはりG7広島サミットが行われてから、海外からの資料館への訪問客がかなり増えたというデータもございますので、やはり世界のリーダーに来ていただくということの意味というのは大変大きいものがあるというふうに思っております。
特に、被爆地長崎でございますけれども、これも、二〇二一年の長崎の原爆の日の平和宣言の中で田上前市長がおっしゃった言葉でございますけれども、広島が最初の被爆地という事実は永遠に歴史に記されるとすれば、長崎が最後の被爆地として歴史に刻まれ続けるかどうかは、私たちがつくっていく未来によって決まりますということをおっしゃいました。長崎の原爆資料館のまず展示の初めのところには、長崎を最後の被爆地にというプレートを掲げております。
また、世界のリーダーを含めて是非多くの方に、被爆地広島、長崎、今年八十年という節目でございますので、今日御出席の委員の皆様も含めて多くの皆様に被爆の実相に触れていただくことを心からお願いをして、そして、この問題は被爆地出身の議員だけの問題ではなくて、日本の、我が国の問題であり、世界の問題であるということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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○堀内委員長 次に、内閣提出、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岩屋毅君。
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独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○岩屋国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。
改正の第一は、開発途上地域の法人等に対する有償資金協力の拡充による民間資金動員の促進を目的に、まず、手法として、現行法の資金の貸付け及び出資に加え、債務の保証及び債券の取得を追加し、また、現行法の開発事業に係る業務に加え、開発途上地域の経済及び社会の持続可能性の向上に資する計画に係る業務を追加することであります。
改正の第二は、国際協力機構の無償資金協力について、その手法として、現行法の開発途上地域の政府等に対する資金の贈与に加え、国際協力機構による財産の贈与及び開発途上地域の政府等に代わっての債務の弁済を追加することであります。
改正の第三は、国際協力機構の委託により行う開発途上地域に対する技術協力について、その委託先を、現行法に列挙されている主体に加え、国際協力に係る知見、技術その他の能力を勘案して外務大臣が指定する者、独立行政法人及び学校等にも拡大することであります。
改正の第四は、有償資金協力業務の財源に充てる長期借入金について、現行法の政府からの借入れに加え、主務大臣が指定する者からの借入れを可能とすることであります。
改正の第五は、無償資金協力のために国際協力機構が管理している資金であって外務大臣が中断したと認める計画に係るもののうち、中断したと認める時点で当該計画に必要となることが見込まれる資金以外の資金について、国庫に納付しなければならないこととし、また、外務大臣の承認により翌事業年度までの贈与等に充てることを可能とすることであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同いただけますようお願い申し上げます。
○堀内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時八分散会