第7号 令和7年4月16日(水曜日)
令和七年四月十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 堀内 詔子君
理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君
理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君
理事 鈴木 庸介君 理事 太 栄志君
理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君
逢沢 一郎君 五十嵐 清君
英利アルフィヤ君 大空 幸星君
島田 智明君 新藤 義孝君
高木 啓君 広瀬 建君
松島みどり君 松本 尚君
茂木 敏充君 小熊 慎司君
亀井亜紀子君 篠原 豪君
竹内 千春君 武正 公一君
渡辺 周君 西田 薫君
和田有一朗君 深作ヘスス君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
阪口 直人君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
外務副大臣 藤井比早之君
外務副大臣 宮路 拓馬君
防衛副大臣 本田 太郎君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
外務大臣政務官 松本 尚君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 礒部 哲郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 誠君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 斉田 幸雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 柏原 裕君
政府参考人
(外務省アジア大洋州局南部アジア部長) 宮本 新吾君
政府参考人
(外務省中南米局長) 野口 泰君
政府参考人
(外務省欧州局長) 北川 克郎君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 緒方健太郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 橋爪 淳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 郷 達也君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 坂 勝浩君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 中山理映子君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 五十嵐 清君
松本 尚君 島田 智明君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 英利アルフィヤ君
島田 智明君 松本 尚君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)
航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)
千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)
東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一〇号)
――――◇―――――
○堀内委員長 これより会議を開きます。
航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件及び東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官林誠君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○堀内委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。星野剛士君。
○星野委員 皆さん、おはようございます。自民党の星野剛士でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
世界経済は激動の局面を迎えておりますが、我が国としては、こうした状況であるからこそ、世界の国々との間の経済関係、人的交流を様々な角度から更に強化していくことがますます重要となっていると考えます。そこで、本日の審議の対象となっている条約のうち、まずは航空協定についてお伺いをいたします。
既に我が国は六十一の航空協定を締結しておりますが、航空協定の概要及び締結の意義をお伺いをいたします。また、時間が限られておりますので、あわせて、今回、チェコ及びルクセンブルクとの間で航空協定を締結することとなった理由についてお伺いをいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
航空協定でございますけれども、運航する路線、関税等の免除、保安、安全分野の措置、協力等について規定するものでございます。また、紛争解決手続についても定めてございます。
これらの規定によりまして、航空業務を安定的に運営することが可能となり、航空企業による事業運営の予見性を高めることにつながるものと考えてございます。
○北川政府参考人 続けてお答え申し上げます。
チェコ、ルクセンブルク、それぞれでございます。
まず、チェコは、欧州において多くの観光資源を有する国の一つでありまして、新型コロナウイルス感染拡大前の二〇一九年には、年間約十五万人の日本人がチェコを訪問しておりました。また、日本企業の進出も通じた経済関係の発展も見込まれておりまして、両国間の潜在的な航空需要は大きい。したがいまして、二国間航空協定を締結することは重要であると思っております。
ルクセンブルクに関しましても、地理的に欧州の中心にありまして、政策的に物流産業の強化を進めており、欧州の物流の要所であります。我が国との間でも、金融、製造分野等を中心に進出する日系企業は増加傾向にありまして、経済交流拡大が見込まれております。
そうしたルクセンブルク、カーゴルックス航空が日本に週五便就航していることからも、定期航空業務の安定的な運営を可能とする二国間航空協定を締結することは重要だと思っております。
以上であります。失礼します。
○星野委員 次に、WTO約束表の改善、サービス国内規制に関する確認書についてお伺いをいたします。
ルールに基づく自由で開かれた貿易体制の維持強化という観点から、WTOにおける取組を後押ししていくことは重要であると考えております。
この約束表の改善は、WTOにおいてサービス分野で新たに合意をされたルールでありますが、その経緯と内容、それから、我が国がこの約束表の改善に関する確認書を締結する意義についてお伺いをいたしたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
本件約束表の改善は、サービスの提供に当たって必要とされる資格や免許の要件、また手続等に関連する国内規制につきまして、透明性や予見可能性を確保すること等を内容とする新たな規律の実施を約束するものでございます。
新たな規律に関する全加盟国での交渉が難航したため、二〇一七年以降は我が国を含む有志国により交渉が続けられまして、二〇二一年十二月に有志国間の交渉が妥結したものでございます。
新たな規律が多くの国で実施されますことにより、外国市場に参入してサービスを提供する企業等にとって不確実性が減り、また利便性が向上することにつながるものと期待されております。
また、本規律につきましては、WTOにおいて二十四年ぶりに妥結したサービス貿易に関する新たなルールでございまして、有志国間でのルール策定のよい例になるということから、我が国が本確認書を締結することは、ルールに基づく自由で開かれた貿易体制の維持強化に資するものと考えております。
○星野委員 今般の米国による関税措置をめぐっては各国が対応を迫られており、また、WTOについても、かねてからその意義が問われてきていると承知をしております。
私も、かつて経済産業省の政務官を務めているときに、ダボス会議でWTOのセッションに出させていただいたことがありますけれども、当時からも、やはりWTOの意義が問われているというのを肌で実感をしております。
WTOにおいて今回の約束表の改善といった前向きな動きがあることを踏まえ、改めて、WTOの意義について大臣から力強く述べていただけませんでしょうか。今回のアメリカの関税措置に対して様々な思いもございますでしょうから、力強くお答えをいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
○岩屋国務大臣 我が国にとって、法の支配に基づく国際秩序、それに加えて、WTOを中核とするルールに基づく自由貿易体制は外交の柱でございます。この日本経済を含む世界経済の成長にWTOは不可欠な基盤を提供してきたと考えております。
現在、WTOには百六十六か国・地域が加盟をしておりまして、関税に関するものを含めた物品貿易のルールに加えまして、今般の約束表の改善のようなサービス貿易のルール、貿易に関する知的所有権及び投資措置などに関する共通のルールを定めております。
米国による関税措置をめぐる状況を踏まえましても、WTOが今月三日に公表した推計では、世界貿易の七四%以上は依然としてこのWTOのルールに基づいて行われておりますので、WTOは引き続き世界経済の重要なインフラでございます。
我が国としては、WTOの重要性とその改革の必要性を認識をして、同志国、友好国とも連携をして、改革に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと決意をしております。
○星野委員 まさに力強いお言葉をいただきました。ありがとうございます。
そもそも、WTO、その前身も含めて、つくり上げてきたのは、アメリカを中心に自由貿易を広げてきたわけでありまして、その本家本元がこうした対応に出ているということは極めて残念でもありますし、深刻だなと受け止めております。是非、WTO、しっかりと立て直すという意味も含めて、御努力をお願いをしたいというふうに思います。
次の質問に移りたいと思います。
石破総理は、就任後初の二国間訪問として、本年一月に、ASEAN議長国マレーシア、次いでインドネシアを訪問されました。また、岩屋大臣も一月にフィリピンを訪問されるなど、政府はASEAN諸国との関係強化を重視していると承知をしております。
政府は、ASEANとの関係を強化するに当たって、ASEAN貿易投資観光促進センターの活動をどのように評価をしているのか、お伺いをいたします。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
このASEAN貿易投資観光促進センターでございますけれども、貿易、投資、観光に関するセミナーなどの開催や人材育成事業等の様々な活動を通じまして、日本とASEAN諸国の間の関係強化に貢献してきていると考えております。政府としても、有意義な活動を実施していると評価しているところでございます。
一つ、具体例を挙げて御説明申し上げたいんですけれども、今年一月、ラオスの首相が訪日をしたことがございました。この際には、首相、それから外務大臣、計画投資大臣、商工業大臣の参加を得まして、このASEAN貿易投資観光促進センターにおきまして、日・ラオス・ハイレベル円卓会議というものを開催いたしました。これは、ラオスの首相、閣僚に直接日本企業の声を届けまして要望を伝達する機会を提供するものでございまして、両国間の投資の促進に非常に意義のある事業であった、このように考えております。
政府といたしましては、センターが有意義な活動を行っていきますよう、引き続きしっかりと関与していく所存でございます。
○星野委員 このASEAN貿易投資観光促進センター、しっかりと活動をしていただいているとは思いますが、あえて課題ということになりますと、どういったものがあって、それをどう解決しようとされているのか、御答弁をいただければありがたいと思います。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
様々な分野で活動を行ってきておりますが、やはり、人的な、スタッフの数も非常に少ない国際機関ですので、そういった少ないスタッフの中で、いかに有益な活動を継続的に行っていくかという面に関しまして、いろいろ課題もあると思います。予算規模もかなり少ない小さな機関でございます。
そういった中で、いかに有効な、また有益な活動を行って、ASEAN諸国との投資、それから観光も含めまして関係を強化していけるかというところで、事務局長を中心に、スタッフの皆様、ASEAN諸国の方々も来ていますけれども、一丸となって努力をしているところだというふうに考えております。
我々としても、これをできる限りサポートしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○星野委員 様々課題もあるということ、また、人員が余り多くないということも課題の一つに今挙げられておりました。
そこで、そういう意味でも、そこを踏まえても、やはり、今度、民間を含めて、どう民間の皆さんと一緒に進めていくかということが大変重要になってくるというふうに思っております。民間も含めてASEANとの関係が深化していることを踏まえて、政府として、今後、ASEAN貿易投資観光促進センターをどのように活用をしていくのか、お答えを願いたいと思います。
○岩屋国務大臣 今委員御指摘のように、日本とASEANとの間で貿易、投資、人的交流、あらゆる面で関係が進展しております。その中で、ASEAN貿易投資観光促進センターには、政策的に重要性の高い事業に優先的に取り組むということを期待をしております。
具体的には、我が国も重視しておりますGXあるいはDXといった、こういう新たな分野に関する貿易、投資の促進に取り組んでいくことが期待されておりますし、重要だと考えております。
また、ASEANの統合を支援していくという観点からは、ASEANの中の後発国といいますか、その取組を後押ししていくことも重要だと考えておりまして、カンボジアあるいはラオス、ベトナムとの貿易や投資を促進していくということが重要だと考えているところでございます。
○星野委員 時間となりましたので、終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、武正公一君。
○武正委員 武正公一です。
四条約について質疑を行わせていただきます。
今日は、本田防衛副大臣そして土田財務大臣政務官も御出席いただき、ありがとうございます。
まず、今のASEANセンターについて伺いたいんですが、航空協定については、同じ条約の中身ということで、もう法律の改正はないということは聞いておりまして、それは理解するところなんですが、今回、このASEANセンターに関わる義務的拠出金の分担率の改定は、今後そうした改定が行われる場合、条約を改正しなくても、すなわち国会に条約を提出しなくても、理事会決定のみ、交換公文などで発効することができるというのは、何度となくこの場でお伝えしております国会軽視ではないのかということがまず第一点。
そして、今回、分担率を低減させることなんですけれども、増加させる改定時も国会承認は不要になるとすれば、説明責任あるいは民主的統制、これに欠けるのではないかと考えますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、今般の改正が御承認をいただいて発効した場合、今後の分担率の改定については、理事会が採択したときに効力を生ずることとなります。
その上で、本協定上、財政負担については、それぞれの国内法令に従い、センターに対して、その運営に必要な合意された金額を拠出すると規定をされておりますので、当然のことながら、予算の範囲内で拠出するということになります。したがって、今次改正が実現した場合でも、我が国が予算の範囲内でのみ財政負担義務を負うことに変わりはございません。
毎年度の予算については国会の御審議を経て成立するわけでございまして、これまでどおり、拠出金額については国会の御承認をいただくということになります。国民に対する説明責任についても、その予算審議の過程で果たしていただくことになるというふうに考えているところでございます。
○武正委員 一九七四年二月二十日、国会では、当時、大平外務大臣から、国会に報告すべき、あるいは承認を経るべき条約についてのいわゆる大平三原則が示されております。爾来五十年を経過しているわけでございますが、国会とこうした条約の関わりというものが今まさに転機を迎えているのではないかなということで、何度となくこの場で取り上げさせていただいております。
三原則では、一つは、新たな立法措置あるいは法改正が必要なもの、それから二番目は、財政的支払いが必要とされるもの、そして三番目が、政治的に重要なものと言われる、大平三原則でいえば、今の第二点にこれは当たるのではないのか。
今、外務大臣は、予算で審議してもらうから、それでいいんだよということになってしまうと、この外務委員会も存在意義が、政府のあるいは内閣の専権事項である、しかしながら、外交そして条約はこの外務委員会でといったことから、やはりそれにたがうことになるのではないかというふうに思いますが、重ねて御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 委員の問題意識等は、しかと受け止めさせていただきたいと思いますけれども。
今般の改定の中身というのは、もう御承知のとおり、我が国の分担率を軽減させるという中身でございますし、関係国の中で、理事会で協議をして定められていく。手続的には、それぞれが、国によって制度が違いますが、国会承認を経ずして、協議、合意によってその分担率を変更できるようになるということでございますので、全体の、何といいますか、運営の改善というか、効率化といいますか、そういうことに資するということになると考えております。
その意味で、国会の軽視に当たるような改正には当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。
○武正委員 非常に苦しい答弁かなというふうに思います。
やはり、大平三原則から五十年を経て、一つの見直しの、いい意味での見直しの時期かなというふうに思っております。
二番目、WTOサービス協定について伺いますが、全会一致のWTOの原則、また、特にアメリカなども含めて、WTOの上級委員会に委員を送らないなどで機能不全に陥っている中、今回、サービス協定については、七十か国の有志国で進めてきたという一つのいい例になるというふうに考えます。
お手元の資料でも、その一部ですけれども、過去、有志国間の取組がWTO協定に組み込まれた例も掲げておりますが、今後ともこうした有志国によるWTO改革を日本が積極的にリードしていくことについての御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 今般のサービス国内規制に関する新たな規律は、WTOにおける有志国による新たなルール形成の好例になるものだと考えております。
近年、WTOの機能低下といいますか、時に機能不全みたいな指摘も聞かれるわけでございますが、こうした状況を受けて、我が国はWTOの改革に向けた取組を推進してまいりました。中でも、ルール形成機能の強化は我が国が取り組む改革の柱の一つでございまして、有志国間での取組は、全加盟国が参加するマルチの交渉を補完するという意味で、ルール形成のための有効なアプローチの一つであると思います。
最終的には、もちろんコンセンサスが要るわけですが、百六十六の国や地域が参加する枠組みでございますので、こういう形でルール形成が促進されるというのも非常に有効なのではないかと思っておりまして、我が国としては、こうした取組に今後とも積極的に貢献をしていきたいと考えております。
○武正委員 そういう意味では、今回のトランプ関税について、WTOの役割は非常に大事であるというふうに思いますし、この機に、やはり米国にもWTO改革に積極的に関わってもらうよう言うべきであるというふうに思います。
過日、WTO理事会で日本の代表が米国の相互関税についてどういった発言をしたのか、御紹介をいただきたいのと、米国の関税引上げについて提訴した国があるとすれば、どこなのか。また、お手元の方の資料には、二〇一八年の米国による鉄鋼、アルミ関税引上げに対して、ほかの加盟国がWTOに申し立てた案件を並べておりますが、衆議院本会議やそれぞれ委員会でも、やはりWTOへの提訴も、日本としてカードとして考えていいんじゃないかということを申し述べておりますが、これについて、重ねて大臣の御所見も伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘のように、四月九日に、WTOにおいて物品貿易理事会が開催されまして、米国の関税措置についても議論が行われたところでございます。我が国からは、現在の貿易をめぐる混乱が、世界経済や、WTOを中核とする多角的貿易体制全体に大きな影響を及ぼすということを指摘をした上で、関係国と協議しつつ、適切かつ必要な対応を取っていくということを発言をしたところでございます。
現在、今般の米国の一連の関税引上げ措置については、これまで、中国とカナダがWTOの紛争解決手続に申立てを行っていると承知をいたしております。
我が国としては、あらゆる選択肢の、どれも放棄しているわけではありませんけれども、今日にでも赤澤交渉担当大臣が渡米をするということでございますので、まずは、米国との間で交渉の枠組みができましたので、粘り強くこの交渉によって事態の打開を目指していくというのが当面の方針でございます。
○武正委員 赤澤大臣を始め日本政府のチーム、オール・ジャパンで取組を、国会も積極的に応援をしていくということで、立憲民主党の野田代表からは、各党の皆さんに国会決議をということを提案しているのはそういった趣旨であるということを是非御理解をいただき、御賛同いただければとお願いを申し上げたいと思います。
そういう意味では、赤澤さんの交渉を見てからというお話でしたけれども、同時にいろいろなことが進んでいるわけですから、例えば先ほどのWTO改革なんかは、提訴という形ではないけれども、日本側からのやはり一つメッセージを出せるわけですから、いろいろなやり方があるんだということを御提案していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そこで、二週間前のこの場で、ちょうどNATO外相会合に行く直前でしたので、大臣の方には、NATO外相会合ではありますけれども、EUあるいはNATOの加盟国と接する機会があるので、このトランプ関税の対応なども当然いろいろな形で話す機会があるだろうということで、大臣の方からも、意見交換をしていきたいというふうに述べられておりますが、具体的にその成果はどうだったのか、伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 NATOの外相会合でございますので、主たるテーマは安全保障でございまして、特に、NATOですから、ウクライナの問題を中心に議論をされたところでございます。したがって、全体会合で関税についての議論が行われたということはございませんでした。
しかし、この機会を捉えて、EUを始め複数国の外相と会談を行いました。フィンランド、スウェーデン、EUの委員会、ベルギー、エストニア、ウクライナ、カナダと会談をいたしまして、その中では関税問題についても議論が及んだところでございます。
その一々については、外交上のやり取りであるので差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国としては、米国の今般の措置は極めて遺憾だ、そして、今般の相互関税の一部停止措置を含めて、一連の関税措置の内容を精査し、影響を十分に分析しつつ、引き続いて、関係府省が緊密に協力をして、米国に措置の見直しを求めていきたいと思っておりますが、そういう我が国の考えを申し上げた上で、先方のお話も承って、ここでは意思疎通といいますか意見交換というか、そういうことをやらせていただいたということでございます。一様に、関税措置については、各国共にこれを深刻に受け止めているという状況でございました。
○武正委員 ルッテ事務総長とも会談があり、また、その後、ルッテ事務総長の訪日というような形につながっていったということであります。
是非、EUあるいはEU加盟国との、米国の関税引上げについて、やはり連携をしっかりと取っていただくということをお願いしたいというふうに思います。
そこで、防衛副大臣、お見えですが、来日されたルッテ事務総長と中谷防衛大臣の会合において、NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織、NSATUへの参加について、具体的に何の分野を想定して自衛官を派遣するのか、また、ウクライナは戦闘中であるが、戦闘中の国に自衛官を派遣することがあり得るのか、そのときはどのような法律の下、派遣されるのか、伺いたいと思います。
○本田副大臣 お答えいたします。
先般、四月八日のことでしたけれども、中谷防衛大臣とルッテNATO事務総長との間で会談を実施いたしました。中谷大臣からは、ルッテ事務総長に対しまして、御指摘のNATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織、NSATUと言われるものでございますけれども、これへの参加に向けて調整していきたい旨を伝達をいたしました。
このNSATUという組織は、本部が所在するドイツ等において、ウクライナ軍への装備品に関連した支援や訓練の調整、また、ロシアによるウクライナ侵略に関する教訓の収集、分析等を実施していると承知をしているところです。
今後、防衛省といたしましては、この組織に対して具体的にどのような協力が可能か検討していく、そういう段階でございます。現時点で人員の派遣については何ら決まっておりませんが、引き続き、NATOとの間で参加に向けた調整を進めてまいりたいと考えているところです。
また、組織への協力を通じまして、防衛省として有用な教訓が得られることは重要だと考えております。一般論といたしましては、ウクライナ侵略においては新しい戦い方が顕在化しており、例えば、サイバーや偽情報、無人機といった分野を始めとする様々な分野について幅広い教訓や知見が得られることを期待しているところです。
なお、繰り返しになりますけれども、現時点で人員の派遣については何ら決まっていないため、仮定の御質問には申し訳ありませんが予断を持ってお答えはできませんが、いずれにいたしましても、あらゆる自衛隊の活動は、憲法その他の国内法令に従って実施をしてまいります。
○武正委員 岩屋外務大臣、質問通告しておりませんが、ルッテ事務総長と会ったときに、このNSATUについては何か触れられましたでしょうか。
○岩屋国務大臣 そういう具体的なお話は私との間ではありませんでしたが、いずれにしても、NATOとしては、ウクライナ、まずは完全停戦を実現することが何より大切ですけれども、その後の安全保障をどうするかということをNATO内でも今真剣に議論をしているというお話を承りました。
その形が見えてくれば、我が方として、どういう協力、支援ができるかということをしっかり検討していきたいと考えております。
○武正委員 石破総理は、ルッテ事務総長に訪日時、お会いをされて、共同声明を発出しているんですね。
今のNSATU、NSATUの防衛省の説明では、NATOによるウクライナへの現在、将来の戦闘に勝利するために必要な安全保障上の支援、訓練を提供する新たな司令部。戦略、戦術レベルを含め、ウクライナ軍への、一、支援、装備品の供給と修理の調整、二、訓練、三、部隊構築支援を提供、長期的には、NATOとの相互運用性を確保しつつ、ウクライナ軍再構築までの支援を計画というのがこのNSATUということなんですね。
共同声明の方には、こう記されております。対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織への参加に関する日本の意欲を歓迎と。意欲を歓迎ですよね。ですから、先ほど防衛副大臣は検討と言いましたけれども、検討よりもかなり踏み込んだやり取りだったんじゃないでしょうか。防衛副大臣、いかがですか。
○本田副大臣 お答えいたします。
検討というのは、私たち自衛隊が今後どのような形で具体的に協力していけるのかという点につきまして検討を進めていくという趣旨でございます。
○武正委員 でも、総理が意欲を示したと。総理が意欲を示しているのに、防衛省は検討段階、これは非常にギャップを感じるんですが、いかがですか。
○本田副大臣 お答えいたします。
参加そのものに対しましては、参加する方向で調整をしていくという意欲を示しているわけでございまして、その具体的な中身については検討しておるということでございます。
○武正委員 参加する方向で調整をして検討しているということなんですが、参加する方向が、一体どのタイミングで参加するのか。停戦後なのか、停戦前なのか、あるいはどのタイミングなのか、そして、そのときの法的な根拠はということを伺ったんですが、再度御答弁いただけますか。参加する方向で調整されているという、今お答えでしたので。
○本田副大臣 その時期等につきましては、状況にもよりますし、その内容を検討しているという段階でございますので、具体的にまだ決まっているものではございません。
○武正委員 多分、戦闘中に派遣をするということは、日本の憲法あるいは法律からどういう説明になるのかというのが非常に焦点になってくるわけで、今のお答えでは、戦闘中の派遣もまだあり得る、検討しているということでよろしいですか。
○本田副大臣 繰り返しで申し訳ございませんけれども、どの段階でということも含めまして検討中でございまして、いずれにいたしましても、憲法を含めた国内法令に従った形での参加ということを検討しているところでございます。
○武正委員 ちょうど昨日、新聞の方でも、防衛大臣が戦略構想をアメリカに伝達という記事が出ました、朝日新聞朝刊でしたけれども。東シナ海、南シナ海、朝鮮半島を一体の戦域、ワンシアターでということで、非常に大きく取り上げられているんですが。
何かちょっと、非常に安全保障環境は、今、ウクライナ、ガザ、そしてまたこの東アジアと緊張している、そういう状況にあるのは分かるんですけれども、どうも何かこうした防衛大臣の発言などもちょっと前に出過ぎているのではないかなという印象を受け、国会での説明あるいは国民への報告、こうしたものが二の次になっているのではないかというふうに思いますが、今のこのNSATUについても、総理が意欲を示すということで、ちょっと前のめりになっていやしないかということを危惧するわけでございます。
外務大臣、先ほど来お聞きですが、これについて何か述べることができますか。特にこの、通告にはありませんけれども、東シナ海、南シナ海、朝鮮半島を一体の戦域と、防衛大臣がヘグセス国防長官に示したということも言われておりますけれども、こういうようなことが実際にあったんでしょうか、あるいはお聞きでしょうか。
○岩屋国務大臣 まず、NATOへの協力に総理が意欲を示されたというのは、大きな文脈で言われたんだと思います。NATOとして、これから、公正で永続的な平和の実現のために取組を行っていく。我が国は、これまでウクライナに対する支援を継続的に行ってきましたけれども、今後の取組についてもしっかり支援していきますよということを総理は言われたということではないかと思います。
それを具体的にどうするか、特に防衛当局がどうされるかというのは、今副大臣から答弁があったとおりだというふうに思います。
それから、防衛大臣の御発言について私の方から予断を持ってお答えするのは適切ではないと思うんですけれども、防衛当局というのは常に最悪の事態を想定してシミュレーションをやっていなければいけないという任務を負っておられますので、そういう文脈の中でおっしゃったことではなかろうかと推察をしているところでございます。
○武正委員 防衛副大臣は、この後、お引き取りいただいて結構でございます。
ただ、今のお話は、共同声明には、対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織への参加に関する日本の意欲を歓迎ということですので、NATO全体にということも非常に絞った形で言っているということは重ねて伝えたいというふうに思います。
では、どうぞお引き取りください。
○堀内委員長 防衛副大臣、どうぞ御退室ください。
○武正委員 それで、財務政務官にお聞きをしたいんですが、日米閣僚会合が間もなく行われますが、カウンターパートはベッセント財務長官でございます。ベッセント財務長官とは、日米首脳会談後、アメリカで唯一、石破総理が面会をしたわけですね。そういう意味では、ベッセント財務長官が非常に今回のキーマンであるということは今回も明らかになっておりますが、為替について日米閣僚会合で提起がある場合、日本国保有の米国債に議論が及ぶ可能性がございます。
財務政務官には、改めて、外為特会の役割は何なのか。それから、日本の保有する米国債の額などを公表すべきと考えますが、どうでしょう。それと、この場でも申し上げておりますし、本会議でも申し上げましたが、国際機関に拠出金を出す場合に、こうした米国債あるいは米国通貨を利用して為替変動リスクを軽減するなどの柔軟な活用に外為特会を見直してはどうかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○土田大臣政務官 三点御質問をいただいたというふうに思います。
一点目は、釈迦に説法でございますけれども、外為特会が保有する外貨資産については、将来の為替介入等に備えた資産でございます。その上で、外貨資産の運用に当たっては、我が国通貨の安定を実現するために必要な外貨為替等の売買等に備え、十分な流動性を確保するという当初の運用目的に基づき、安全性、流動性に最大限配慮した運用を行っております。
米国債を始めとする個別銘柄の保有額など詳細な内容を明らかにすることは市場に不測の影響を及ぼし得るおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。これは非常に額が大きいので、市場に不測の影響を及ぼさないことが目的でございます。
また、国際機関への拠出金について、外為特会の活用について御質問を賜りましたが、外為特会は、将来の為替介入等に備えて保有する外貨資産の管理について一般会計と区分して経理を明確化することを目的に設置されたもので、歳出項目は外貨資産の管理等に係る経費に限定をされているところでございます。
こうした特別会計の制度趣旨に鑑みれば、その支払いが外貨建てであることをもって、外貨資産の管理等に係る経費を超える支出について外為特会から直接的に支出できるようにすることは適当でないというふうに考えております。その上で、国庫金を外貨建てで送金する場合、民間銀行で両替をする代わりに、外為特会の保有外貨を用いて市場レートで両替することで両替手数料を節減し、効率的な国庫管理に努めているところでございます。
○武正委員 もう実際のところ、米国債がほとんどであるというようなことから、今、百四十兆円の外為特会の額と令和五年度末に言われておりますが、百八兆円は国債、ほぼ米国債ではないかと言われますし、その年限についても、一年以下が三十二兆円、一年から五年が五十九兆円、五年超が四十八兆円、そういった年限もほぼ公表をされております。
なおかつ、この外為特会は運用を外部委託している、六十兆円外部委託していますけれども、運用利回りは二・三七%、ちなみにGPIFは四・四%、運用利回りも低いというようなことも含めて、この百四十兆円も本当に必要なのかというようなことも含めて、やはりこの外為特会の在り方も今問われているということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊です。
星野委員からも武正委員からもWTOの課題については今いろいろありましたけれども、私も、WTO約束表の改善に関する確認書について質問させていただきます。
アメリカのトランプ関税は、世界経済、自由貿易に対する大きな挑戦にはなっているなと思いますし、WTOには、中国も二十一世紀に入って加盟をして、中国が自由貿易を守る立場に立って、アメリカが自由貿易を壊すという、本当に皮肉な世界になっています。ただ、中国がルールメーカーにはなれないなと思うのは、もちろん自由貿易に対して寄与はしていますけれども、知財分野においてはまだまだ先進国に追いついていない状況でもありますから、ここは日本がしっかりとその役割を果たしていかなきゃいけないんですけれども。
アメリカがやっていること、トランプ政権がやっているのはめちゃくちゃなんですけれども、赤澤大臣が行かれて、交渉相手のベッセント財務長官もブレトンウッズ体制の再編ということも言及しているんですが、ニクソン・ショックで終わっていて変動相場制に移行していますから、彼が言うところは何を狙いとして言っているのか、今の自由貿易、自由経済に対する挑戦の一つのキーワードとして言っているのか、私はよく分からないんですけれども、政府のこの財務長官の発言に対する見解をまずお聞きいたしたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
ベッセント財務長官の発言を含め、御指摘、様々報道について承知してございますけれども、米政府高官の発言の逐一についてコメントすることは差し控えたいと思っております。
いずれにしても、我が国といたしましては、トランプ大統領の発表を含め、米国の関税措置の内容を精査し、我が国の影響を十分分析し、米国に対しては措置の見直しを強く求めていく考えでございます。
○小熊委員 マイクに近づかないと聞こえないので。
別に答弁を、差し控えますと大臣もよく言うけれども、そんなに遠慮することはないんですよ。開かれた国会なんだから。全然、積極的に答弁をしていただきたいと思いますけれども。
私が聞いたのは、ベッセント財務長官の発言がいい悪いじゃなくて、どういうふうに解釈をしているか、政府見解を求めたい。もう一度。マイクを近づけて。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
ベッセント財務長官を含めましてアメリカ政府高官の発言につきまして、日本政府としてコメントすることは差し控えたいというふうに考えております。
○小熊委員 だから、どう理解しているのかというその解釈論を言っている。いいとか悪いを述べよと言っているんじゃないので、差し控える必要はないんだけれども。じゃ、もういいや。あとは、帰ってもらっていいです。議論が続かないから、彼はいいです。あとは質問しないから、もういいんですよ。
WTOの改革についても、今日、この委員会で議論されてきましたけれども、改革の前に、WTOが機能不全に陥ったり、いろいろ問題もあるんですけれども、政府としては、WTO改革をしなきゃいけない、積極的にやるという話でしたけれども、そもそも、WTOの課題、問題点というのは、どういうふうに把握していますか。
○岩屋国務大臣 小熊委員の御質問にお答えする前に、先日の本委員会における私の発言の訂正を行わせていただきたいと思います。
三月二十八日の本委員会の質疑において、委員から中国人観光客に対する査証の緩和措置について御質問をいただいた際に、私の答弁の中で、観光査証の免除というふうに申し上げたようでしたけれども、正しくは、観光査証の緩和でございますので、発言を訂正させていただきたいと思います。
その上で、WTOの課題、問題点ですけれども、特によく言われておりますのは、紛争解決手段が実はワークしていない、機能していない、上級委員会に持っていっても、そこが動かないようなことに今なってしまっている、これなどがかなり顕著な課題なんじゃないかなと思います。
だから、問題があれば提訴ができるということになっていますけれども、実際は、解決していく手段が担保されていないような状況にございますので、そういうところもしっかり改革をしていかなければいけないと考えております。
○小熊委員 こういった点を補完していくという意味でも、WTOの改革もありながら、あとは、いわゆる自由経済、自由貿易をしっかり守っていくという意味では、WTO以外のところで、二国間の貿易協定とかミニマルチの協定、CPTPPよりは大きい協定ですけれども、こういったことで自由貿易を守っていくということも、WTOそのものの改革もありますけれども、世界経済の自由を守っていくという意味では、こういうこともやっていくことによってWTOの穴を埋めていくしかないなと思います。
あと、逆に、二国間やミニラテラルの、ミニマルチの貿易協定の方が今の時代に合致した面もあって、古いルールもあるので、今、紛争解決手段の改革が必要だと言いましたけれども、古いルールも新しいものに変えていくという努力はちょっと必要かなというふうには思います。
そういうことによって、ある意味では、アメリカがメンバーであるくせにめちゃくちゃにしているし、アメリカ・バッシングじゃなくてアメリカ・パッシングで、ほかの国々と、こっちの方がやはりいいよとやっていった方が、アメリカを引き込むということはトランプさんでは到底ちょっと期待できないので、逆に、日本がリーダーシップを発揮して自由貿易の大切さをやっていく、恩恵をそれぞれの国とともに享受していくということでアメリカに気づかせるという方が、私は早いのかなというふうに思います。
そういう意味では、今ほど、WTOの改革の問題点の指摘もありながら、それ以外の二国間また多国間の貿易協定を推進することによって、自由経済を守っていく必要があるというふうに思います。
さはさりながら、今、紛争解決の問題が機能していないというのはありましたけれども、一定程度の意思表明というか、相手に対するプレッシャーという意味でも、提訴は必要だというふうに思います。
アメリカに対する提訴は、まずは交渉の推移を見守るということではありましたけれども、交渉が進展がなければ、ちゅうちょなくアメリカを提訴すべきだというふうに思います。これは、総理も、衆議院の予算委員会で可能性は否定しないということを言及していますし、岩屋大臣自身も、WTOの協定上に対してアメリカのやっていることは、深刻な懸念を表明をしているところであります。
状況によってですけれども、ただ、日本だけが抜け駆けする話ではなくて、まさにWTOのメンバーと連携しながら一斉に提訴した方がいいというふうには思いますけれども、そういった取組については見解をどうお持ちですか。
○岩屋国務大臣 WTOの課題については、先ほど、紛争解決の手段が必ずしも有効に機能していないということを申し上げましたが、それに加えて、委員が今御指摘になった、コンセンサスが必要な新たなルールの形成が、加盟国が増加したということもありまして非常に難しくなっておりますので、今般のように、まず有志国で議論をしてコンセンサスを全体のものに広げていくというやり方ですとか、また、WTOが、世界経済の七四%以上、このルールに基づいて行われていますから、ある意味でいうと土台になるわけですけれども、その土台の上に様々な自由貿易協定を結んでいくとか、そういう組合せによって何とか自由貿易体制を守っていかなければいけないと思っております。
我が方の取組ですけれども、いよいよ日米の交渉がこれから本格的に始まってまいりますので、まずはそこをしっかり支援をして、また動向を見ながら次の対応を考えていかなきゃいけないと思います。
総理もおっしゃっておられるように、あらゆる選択肢はまだテーブルの上に置いておりますので、何かをやらないというふうに決めたわけではありませんので、そういう様々な選択肢を持った上で、まずは直接交渉によって事態の打開を図っていくべく努力をしてまいりたいと考えております。
○小熊委員 いろいろ議論されているんですけれども、日米交渉は難しいなというふうには思うんですね。まあ、努力はしなきゃいけないんですけれども。
大体、WTO協定違反だけじゃなくて、日米貿易協定違反でもあるわけですよ。安倍政権下で、しっかり安倍元総理が、トランプさんとの間で、自動車関税にしたってピン打ちをしていたのに、確約してもらっていたのに、簡単にほごにしちゃうわけですよね。
アメリカの言っていることはもう無理難題だし、理論もめちゃくちゃだし、何の整合性もないわけですよ。だけれども、言ってきていることに対して日本が交渉する場合において、はっきり言えば不良少年のカツアゲに近いですからね。言うことを聞いちゃって、駆け引きだ、ディールだといって無理筋を、逆に日本が折れちゃったら、慣例として、過去例としてよくないものをつくるんですよ。カツアゲするやつにお金を上げちゃったら、またカツアゲに来ますから。
日本にとっても利益のあることで合意すればいいけれども、べた折れしてただ緩和してもらったというのは、これはよくないことですよ。中国みたいに報復関税をするという戦い方もよくないとは思うけれども、毅然とした態度でやらなきゃいけない。そもそも、あの数式だってめちゃくちゃですよ。私も数学は得意じゃなかったけれども、絶対あれは数学で出たら零点を取る数式ですけれどもね。
だから、赤澤大臣も真面目で能力があるけれども、真面目な人が行って大丈夫かなというのもあるんですよね。余り固有名詞を出すと問題があるけれども、河野さんが行った方がよかったのかなとも思ったりするんですけれども。
真っ当な相手じゃないから、真っ当なことは聞かないですよ。だって、あらゆる選択肢と言ったけれども、とにかく真っ当じゃない相手に譲歩はしちゃ絶対駄目ですよ、それで緩和してもらったのでは悪い例になりますから。そういう戦いだと思います。
この委員会でも言ったかな、トランプ大統領の若い頃を題材にした「アプレンティス」という映画、もう公開は終わっちゃったかな、それを見なくても、彼の師匠だったロイ・コーンという弁護士のドキュメンタリーがいろいろな配信でされていますので、それを見てみたら分かりますよ。真っ当じゃないです、昔から。それを踏まえて毅然とした対応を取っていかなきゃいけない。
無理筋を言ってきているのに、それを撤回させるために本来日本は譲歩すべきじゃないんです。悪い例になる。ほかの国と一体となって戦っていかなきゃいけない。日本だけが抜け駆けして免除してもらう、余計な譲歩をしない。確約していただきたい、大臣。
○岩屋国務大臣 総理も何回も問われて答弁されているように、我が方が何か一方的に譲歩をするなどということは考えておらないと思いますし、そういう姿勢で交渉に臨むということはないと思います。
また、我が方、日本だけがよければいいという考えに立ってもいないということも総理も言っておられますので、今般の交渉でやはり大事なことは、答えが出てこなければなりませんので、そのためには、様々な戦略、戦術が必要だと思いますけれども、日米の間で何かしらのよい結論を導くことができれば、それは、当然のことながら、他にも波及をしていくということになろうかと思いますので、まずは、冷静かつ毅然と米国側に懸念で伝えるべきことはしっかり伝えながら、交渉が始まっていくというふうに私は確信をしております。
○小熊委員 是非その方向性で頑張っていただきたいと思いますし、日本の国内の利益をアメリカに移すということがないようにしていただきたい。
そういう意味では、自動車関連産業を、工場を建てますよというのは私もどうかなとは思うし、造船のやつをやってやればいいんですよ。だって、中国と比べたらアメリカはもう何分の一になっちゃっているし、逆に、造船技術をしっかり連携していくということは、太平洋の安全保障にもつながる話ではあるので、日本にとってもいい、世界にとってもいい、アメリカにとってもいいということだけを是非妥結していっていただきたいと思います。
次に移ります。
航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定について。
この協定に先立って、今月十一日には、ルクセンブルクとの外相会談を岩屋大臣が行われましたけれども、二国間の関係を更に強化していくということが一致されて、これは外務省のホームページにも発表されていますが、具体的にはどういった強化ということでありましょうか。
○岩屋国務大臣 御指摘のように、四月十一日に、万博で出席するために訪日をされておられたベッテル・ルクセンブルク大公国副首相兼外務大臣との間で外相会談を実施をいたしました。
外相会談では、幅広い分野における二国間関係の強化について意見交換をしたのですけれども、二〇二七年には外交関係樹立百周年を迎えますので、そこを見据えて、特に航空宇宙分野での協力の推進、それからワーキングホリデー制度を活用した人的交流の促進といった取組などについて議論を行ったところでございます。
○小熊委員 二年後の節目の年に向かっていろいろやっていくということで。
この協定にもあるとおり、ルクセンブルクはヨーロッパの中でも航空貨物に関しても最大のハブになっているわけでありますし、いろいろな形で連携を取っていくことが必要だというふうに思います。
また、両外相会談の中では、ウクライナ情勢や、北朝鮮を含む東アジア情勢の中の様々な課題についても連携していくということを確認をされました。
ウクライナは、日本も支援をしていくということでありますけれども、ヨーロッパの国でもある、北朝鮮はアジアの国でもある、離れた両国家がこの課題に対して連携をしていくということでも、具体的にはどういったことでしょうか。
○岩屋国務大臣 地域情勢、国際情勢でいいますと、今委員が御指摘されたウクライナ情勢についても当然意見を交わしましたし、私の方からは、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応を始めとする東アジア情勢についても意見交換を行いました。
詳細は、外交上のやり取りであるため控えさせていただきたいと思いますが、ベッテル副首相兼外務大臣とは、こういった課題に対して、様々なレベルで、二国間で緊密な意見交換、また連携をしていこうということを確認をしたところでございます。
○小熊委員 北朝鮮はウクライナに派兵をしているので、北朝鮮問題はウクライナ問題でもありますから、まあ、ルクセンブルクだけではないですけれども、是非連携してしっかりやっていっていただきたいというふうに思います。
では、協定の方にちょっと詳しくいきますけれども、この協定によって航空運輸需要をもっと活発にしていかなきゃいけないということですが、これは世界貿易の進展のためにも。物を運ぶときには海の方が格安で、大量輸送も優れてはいるわけであります。あと、鉄道は、海よりは早い、空よりは安い。でも、日本は島国ですから、鉄道で国際の運輸関係ができるわけではないので、大きなトンネルを掘らない限り。そうすると、航空分野というのも、世界の中でいうと金額ベースでは三分の一ぐらいを占める、大きな割合を占めているので、この航空運輸というのは大事であります。
ヨーロッパのハブで、世界でも有数の航空運輸のルクセンブルクとこの協定を締結することによって、今後の需要予測というのはどのように立てておられますか。
○中山政府参考人 お答え申し上げます。
日本とルクセンブルクの間では、現在、成田空港へ週二便、小松空港へ週三便の計五便の貨物定期便が運航されてございまして、両国間の航空機による貨物輸送量は堅調に推移しております。
今回の協定締結によりまして、定期航空業務の安定的な運営が可能となるということも踏まえまして、今後も当該貨物定期便が継続され、また両国間の経済関係の深化につながることを期待しております。
○小熊委員 どんどん増やしていっていけばいいなとは思うんですが、一方で、それは日本だけじゃないですよ、ルクセンブルクも。
中国も一帯一路は陸路、海路があるけれども、今、空中のシルクロードという取組も中国はしていて、やはりルクセンブルクを一つの重要な拠点として中国も取り組んでいるところであります。一帯一路のサミットにもルクセンブルクは参加をしているようでありますが。
コロナ前のこの外務委員会でもヨーロッパに行ったときに、ポーランドなんかは一帯一路に最初積極的に入ったけれども、あの時点で、ウィン・ウィンの関係じゃなくて中国だけの利益にしかなっていないという批判的な評価がされていました。ヨーロッパでも、国によって違いますけれども、やはりそういう状況にあります。
先ほど、WTOのときも言ったとおり、中国が自由貿易を守るという純粋な立場であれば、それは連携していけばいいんですけれども、やはりまだまだ自由貿易、自由経済については新人の国なので、ちょっと振る舞いがよろしからぬときもありますから、ルクセンブルクを活用していくという中国の背景がありながら、日本の航空運輸をどういうふうにしていくのかをお聞きいたします。
○岩屋国務大臣 委員の御指摘はしっかり踏まえていきたいと思いますけれども、他国の動向とは関係なく、ルクセンブルクとの関係は、経済関係は着実に進展させていきたいというふうに考えておりますので、今般お認めをいただければ、一層、定期航空貨物便の安定的な運航につながって、物流を始めとする経済関係の発展に大きく資すると期待をしておりますので、そこを目指して、しっかりと協力関係を構築していきたいと考えております。
○小熊委員 日本は日本でやっていって、他国のことではなくということですが、意識しなきゃいけないですよ。
大臣、これは知っていますか。ルクセンブルクの運輸航空、世界でも有数規模のカーゴルックス社、大口株主は、中国の政府系の投資会社が入っているというのは知っていましたか。通告はしていないから、知らないでもいいんです。
○岩屋国務大臣 それは存じませんでした。
○小熊委員 だから、航空運輸を担って世界有数の、まさにこの会社がある、ルクセンブルクに本社を置くカーゴルックス社の株の、済みません、正しいデータか、直近の数字は分からないけれども、私がつかんできたやつは三五%、中国の政府系の投資会社が持っているんです。だから、一帯一路の話をしたんですよ。中国の関与というのを意識した上で、進展をさせていかなきゃいけないんです。日本とルクセンブルク、とにかくやっていこうじゃないんですよ。大臣も知らなかった、この株主。
こういうことなので、だから、別に中国は絶対駄目という話じゃなくて、意識しつつ、中国をちゃんとしたルール、自由貿易を守ると彼らも言っているわけですから、これはやらなきゃいけないということです。
ルクセンブルクと締結するのはもう大賛成でありますけれども、過剰な意識は必要ないけれども、こういう状況ですから。やはり中国を意識しつつ、中国をいい方向に導きということは意識しながら、ルクセンブルクとやらなきゃいけないということなんです。大臣、もう一言。
○岩屋国務大臣 事実関係を我が方としても精査したいと思いますし、御指摘を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
○小熊委員 外務省はちゃんと教えておかなきゃ駄目ですよ、そういう背景を。
ルクセンブルクと日本、先ほど御答弁があったところ、週五便、結んでいるということですが、その中には世界一周便もあるんですね。中国に寄って、日本に寄って、アメリカのアンカレジに行って、ルクセンブルクに大西洋を通じて帰ってくる。いろいろ積んでいくわけですよね。日本で積むものが、医薬品、電子機器、半導体製造装置、車、飛行機のエンジンなどが積まれて、アメリカに行って、ルクセンブルクに帰ってくるんですよね。
でも、トランプ関税によって車とかもかかるわけですから、そうすると、この世界一周便というのも変わらざるを得ないわけですよ。中国だってどうするのか。だから、単に日本とルクセンブルクだけで物のやり取りをしているんじゃないんですよ。アメリカも経由している便があるわけです。でも、トランプ関税によってこの流れが変わっちゃう。じゃ、日本で積む物がなくなってというと、会社としても、せっかくいろいろなところへ寄って物を流して利益を得ていたわけですから、アメリカを経由しなくなるとなると、またうまく考えていかないといけないんですよね、この航空運輸も。
状況というのは変化するんです。これから進展させると言ったけれども、世界一周便に関しては進展がしにくくなった状況になっています。そういったものを含め、どうしていきますか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のように、事ほどさように、今般の米国による関税措置というのは、世界経済、世界貿易全体に大きな影響を及ぼしかねないというふうに思っておりますので、やはりこれは、まずは交渉によってこの措置の見直しを求めていかなければいけないと思っております。
それは、日米のみならず、世界経済、世界貿易について、やはり、より好ましい、望ましい、正しい方向を見出すべく努力をしていかなければいけないと思っております。
○小熊委員 どういう運航をするかというのは会社が考えることではあるんですけれども、だから、日本を経由して航空運輸がどういう国に行ったら会社の利益が出るか、ルクセンブルクとの間のいろいろな関係が強化されるかということを意識する上でも、いろいろサプライチェーンの見直しとかということもありますから、そういった中で、日本のこの航空運輸の発展、他地域との関係強化という意味でも、今までの延長線上で考えていったんでは、せっかくこの協定を結ぶのに航空運輸貨物が増えないというふうになりかねないので。アメリカが冷静になってくれれば、それはいいんですけれども、到底それは望めないという可能性が高いと私は思っていますので、新たなサプライチェーンの構築の中で、こうした航空運輸が進展していく、この協定がより効果を発揮していくというふうにしていかなければいけないと思います。
そういう意味においても、長期の取組だけれども、早急にスタートしなきゃいけない話にもなってくるというふうに思いますので、是非、この協定発効の効果を最大限に発揮できるように、あらゆる手だてを構築していただきたいというふうに思うところであります。そういう意味では、これは、だから民間のことなんですけれども、政府としても、ルクセンブルクと連携しながらいろいろな提案をしていって、この自由貿易の中で利益を確保していくという提案もしていっていいと思うんです。
最終的な運航は民間会社が考えることなんですけれども、そういう提案をしていく、いい例を提示をしていくということも必要だと思うんですが、大臣、一言。
○岩屋国務大臣 米国による関税措置というのは、もう委員も御承知のとおり、日替わりメニューのようにどんどんどんどん変わっていっている、非常にまだ流動的な段階だと思いますので、断定的に必ずこうなって続いていくとも言えない状況だと思うし、交渉、働きかけによって、まずは見直しを求めていくということが大切だと思っております。
いずれにしても、今般のことも含めて、流動化する国際貿易情勢の中で今協定がどういう形で生かされるか、また生かしていくべきかということは、ルクセンブルク当局とも緊密にこれからも意思疎通をして、民間事業者が実際の事業はおやりになるわけでございますが、政府としてどういう支援ができるかということをしっかり検討していきたいと考えております。
○小熊委員 是非、日本は陸路で経済交流が残念ながらできない島国でもありますので、海もありながら、やはり航空貨物というのは非常に重要な分野でもあるし、世界流通の中でも大きな比率も占めているので、この発展に世界の中でリードして寄与していくということが重要でありますから。
今回のこの協定、とりわけヨーロッパのハブであるルクセンブルクとの協定ですから、こういったものを生かしながら今後進展に寄与していただきたい、努力していただきたいということを申しつつ、あと、またアメリカの話も出ましたので、とにかくアメリカのカツアゲには絶対屈しないでいただくよう。本当に、言葉は悪いけれどもカツアゲですよ。言うことを聞いちゃったら、本当に悪い例になる。
岩屋大臣、時間がないかもしれないけれども、いろいろな配信のやつで、彼を育てたロイ・コーンという弁護士のドキュメンタリー、トランプさんのドキュメンタリーがありますけれども、あれを是非見て、トランプさんがどういう人なのか、その一端を知っていただきたいというふうに思います。
あれを見ると、本当に、ああ、こういう人なんだなと思うし、今回の関税見直しのときには、余裕ぶっこいて自分のゴルフ場に行っていたんですよ。悩んだあの結論じゃないですもの。本当に世界をおちょくっていますよ。自分はゴルフをやらないと言ったんですよ。オバマさんが大統領選のときにゴルフをやっていたら、ふざけているといって批判しておいて、自分はゴルフをしているんですよ、結局。そういう人ですから。
是非、ドキュメンタリーを見ていろいろ勉強していただいて、トランプの性格の一端を知った上で、赤澤大臣も真面目な方で、岩屋さんも真面目な方ですから、ああいう人に真面目に当たったって絶対やられるだけですから。
岩屋大臣も若いときはいろいろ行け行けだったと思いますけれども、それを思い出して、僕は新井将敬の秘書をやっていたので仲よくさせていただいていたときの、今もそうですけれども、はつらつとした岩屋大臣、そのやんちゃぶりを是非アメリカとの交渉においては発揮をしていただく、カツアゲには屈しないということを是非お約束をいただいて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。今日もよろしくお願いいたします。
今、航空協定の話が続いていますので、ちょっと航空協定の方は順番を後にしまして、WTOのサービス国内規制の方から質問をさせていただきたいと思います。
先ほどもちょっと質疑の中に出ていました、この確認書が、様々な資格要件だったり免許の要件、透明性、予見可能性を確保するというふうな、そういう意義が先ほど述べられていましたが、本規定は加盟国に大きな裁量が認められているように見受けられます。中を見ると、実行可能な範囲においてというような言葉が多く見られます。そのような裁量がかなりあるという状況の中で、この規制に関する規律の効果、規律の意義について見解を教えてください。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
本件サービスの国内規制に関する新たな規律でございますけれども、高水準の内容を維持しつつ、同時に、途上国の状況にも一定の配慮がなされております。委員から御指摘がありましたとおり、「可能な範囲内で、」や「努める。」といった表現で努力義務を定めている規定が含まれてございます。
具体的には、例えば、可能な範囲内で遵守する義務を負うということは、何らの義務を生じていないわけではございませんで、こうした規律を各国が約束すること自体に一定の意義があると考えております。
世界のサービス貿易の円滑化のためには、本規定に基づきまして、先進国のみならず、途上国において国内規制の透明性や予見可能性の向上に向けた取組がなされるということが重要であると考えております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
この確認書なんですが、ASEANからの参加がシンガポール、タイ、フィリピンの三か国にとどまっていると思われます。アジアのその他の国にどういうふうに参加をこれから促していく、働きかけていくというふうにお考えか、教えてください。
○林政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本サービス国内規制についての新たな規律に関する有志国の取組に参加しておりますのは、ASEAN諸国の中では、現時点ではシンガポール、タイ及びフィリピンの三か国でございます。本規律は全ての加盟国に開放されており、希望する加盟国は随時参加することができることになっております。
また、本規律は、先ほど言いましたように努力義務規定などが含まれておりますけれども、異なる発展段階にある途上国の状況にも配慮された内容となっております。我が国といたしましては、アジア諸国を含めまして、より多くのWTO加盟国が本規律に参加するよう、様々な機会を通じて働きかけていく考えでございます。
具体的には、途上国にとって、本規律の実施を通じて投資環境整備をすること自体が自国への投資の促進につながるものと期待されているところでございますので、我が国としては、アジア諸国との間にある様々な二国間、多国間の枠組みを通じまして、本規律の意義、それから柔軟な内容等について丁寧に説明し、各国の参加を働きかけていく考えでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
WTOでは、このサービス国内規制のほかに、電子商取引そして投資円滑化についても、有志国間でルール作成の交渉が行われてきていると思います。両分野とも、合意した協定をWTO協定の法的枠組みに組み込むということが今後の焦点となってきますが、両協定について、複数国間の貿易協定として追加する場合、全加盟国のコンセンサスが必要となります。
政府は、この電子商取引に関する協定、開発のための投資円滑化に関する協定を複数国の貿易協定として追加するため、コンセンサスの形成にどのような見通しを持っているかということ、それとまた、電子商取引に関する協定のWTOの法的枠組みへの組み込みに向けて、日本は共同議長国としてどのような議論を主導していくとお考えか、お聞かせをいただきます。大臣の御見解をお願いいたします。
○岩屋国務大臣 御指摘の電子商取引協定ですが、これは、電子商取引に関する国際ルールとして、企業の予見性を高めて、消費者にとっても安心、安全な環境の実現に貢献するということが期待されるものでございます。我が国は、豪州、シンガポールとともに、共同議長国として交渉を進めてきました。
また、開発のための投資円滑化協定は、投資に関する手続の透明性向上等について定めておりまして、我が国が投資関連協定を締結していない国や地域との間においても投資の円滑化が図られるということが期待されております。
この両協定については、委員御指摘のように、WTO協定の法的枠組みへの組み込みを目指しておりますが、現時点では必要な全加盟国のコンセンサスは成立をしておりません。我が国としては、今後とも、WTO協定の法的枠組みへの両協定の早期の組み込みについて、関係国と連携しながら、各国に対する働きかけを継続をしていきたいと思っております。特に、電子商取引につきましては、共同議長国間で緊密に協力して、各国と粘り強く対話を行っていきたいと思います。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
WTOの紛争解決手続について、先ほどからも質疑がされていますけれども、二審制の上訴審に当たる上級委員会、ここを、アメリカの任命拒否があって今機能していないという話の中でありますが、その中で、WTOは自由貿易体制の維持にどんな役割を果たせるとお考えか。
それとまた同時に、日本政府は、令和五年、上川外務大臣の国会答弁でも、ルールに基づく自由で開かれた多角的貿易体制は我が国の存立基盤であるから、WTOはその礎として、WTO改革に取り組むというふうにおっしゃっているんですが、WTOの将来像について、大臣はどのようなビジョン、見解を持っていられるか、教えてください。
○岩屋国務大臣 WTOは今様々な課題を抱えていることは、委員御指摘のとおりだと思います。
しかし、自由でルールに基づく貿易体制というのは、我が国にとっても、あるいは世界にとっても必要不可欠なものだと思いますし、その基盤といいますか土台といいますか、それを提供してきたのがWTOだと思います。
したがって、百六十六の国・地域が参加し、世界貿易の七四%以上がまだこの土台の上で行われているわけでございますから、引き続いて重要なインフラだというふうに考えております。したがって、様々な課題について、我々もその解決にしっかり貢献をして、自由貿易体制の土台としてのWTOというものをもう一度しっかりと確立をさせていかなければいけないというふうに考えております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
続いて、もう一つ、ASEANの方に移らせていただきたいと思いますが、このセンターの義務的拠出金の分担率というのが、二〇〇七年協定改正時及び今回の改正時にどのような基準で算出をされたのか、教えてください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
二〇〇七年の改正に際しましては、センターの改革を協議するために設置された賢人会議というものがございまして、その賢人会議の報告書において、義務的拠出金の分担率は、二〇〇三年当時のGDP比率が日本六・四対ASEAN一であったことを参考に、七対一を下回らない範囲で変更すべき、このような提言がございました。このことを踏まえまして、日本とASEANの間で調整した結果、最終的に七対一に改正することに二〇〇七年当時になったということがございます。
今回の改正に際しましては、ASEAN側と鋭意協議を行った結果、二〇二〇年時点の国連通常予算分担率が日本四・三対ASEAN一であったことを参考にしつつ、日本四対ASEAN一に改定することに合意したものでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
ASEAN貿易投資観光促進センター設立の第二次改正についてですが、二〇二五年三月現在、ASEAN構成国十か国のうち、本改正の受諾国はフィリピンとラオスの二か国にとどまっていると理解しています。本改正による義務的拠出金の分担率を段階的に二〇二七年から開始するためには、この受諾していない八か国にこれからどのような働きかけを行っていこうと考えていらっしゃるか、お聞かせください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
この改正は、各国の代表からの賛同を得まして、昨年の六月の理事会において採択されてございます。その際に、併せて採択されました理事会決定におきまして、各加盟国は、二〇二六年度までに改正を発効させるために必要な手続を完了するよう、あらゆる努力を払うことが奨励されております。
この改正は、我が国を含むセンター設立協定の全ての加盟国の受諾が発効要件となっておりますので、我が国として率先して受諾をすることで、ほかの加盟国の受諾も促すことができると考えております。
また、各国の早期の受諾を促すべく、政府としては関係国とも話をしております。先般、前回行いました理事会の際に、日本の理事は私が務めておりますので、私の方から各国の理事に対しましても、直接、早期の受諾について働きかけを行ったところでございます。引き続き、こうした努力を続けていきたいと思っております。
○竹内(千)委員 先ほど武正議員の方からも、今回の改正で、義務的拠出金の分担率の改正が、これから理事会の決定のみで発効されていくと。となると、負担を低減される改定のみならず、これを増加させる、そういう改定についても国会承認手続が要らなくなるということ。
それに対し、政府の方から、予算の範囲内であるのでというようなお話があったと思うんですけれども、たとえ予算の範囲内であったとしても、負担率、負担の分担率が変わるというところに関しても国会の関心事項にはなるんじゃないかなというふうに思うんですが、その点も踏まえまして、改めて、国会への説明責任についてどのようにお考えか、大臣の考えをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたが、予算で認められた範囲内でその分担を行うということでございますので、予算審議を通じて国会の御審議をいただくことになるというふうに考えております。
これは一概には言えませんが、例えば、この種の類いの分担比率でいいますと、グローバルサウスも含めて各国共に着実に成長を遂げてきている。かつて、そうでない段階では、我が方がかなり多くを負担をして、枠組みをつくりリードしていくということでありましたが、そういう意味でいうと、もちろん全くないとは言いませんけれども、分担比率が我が方が上がっていくという機会は考えにくいのではないかと思っておりますが、いずれにしても、予算の範囲内でその分担をしていくということですから、予算審議を通じてしっかり御審議をいただければと思っているところでございます。
○竹内(千)委員 予算の範囲内であったとしても、おかしいと思う負担率の場合にはどうお考えですかというような質問だったので、ちょっと答えがかみ合っていないような気もしますが、ありがとうございます。
次に、先ほど来出てきています、トランプ氏の相互関税に関する一連の対応についてお伺いをしたいと思います。
今日、ちょうどWTOも話題に上がっていますが、WTOの原則、協定違反ではないか。最恵国待遇であるはずなのに、差別をしてはいけないとか、一方的措置は禁止されているはずなのに、これを違反しているんじゃないかとか、あるいは、二〇一九年の日米貿易協定違反、これにも該当するんじゃないかというようなことも先ほどから言われています。
また、トランプ大統領が、日本はお米でアメリカに七〇〇%の関税をかけているというようなこともメディアで報道されていますが、これは、理解が正しければ、無関税でお米を輸入する一定の枠を設けていて、この枠外で輸入するお米には一キロ当たり三百四十一円の関税をかけていて、これは一キロ当たり百五十円という計算にすると約二二七%じゃないかというような、ちょっと正確な数字は分からないんですけれども、少なくとも、このトランプさんの七〇〇%という数字は根拠があるのかと疑わしく思われるんですね。
そこで、私の質問なんですが、こういう明らかなルール違反であったり、客観的な事実、重要な事実に誤認するとかという場合は、やはり法の支配の観点から、トランプさんがずっと法の支配を軽視してきているんじゃないかということは言われていて、大臣も、日本の閣僚の方たちがスピーチするときに、ちょっと法の支配という言葉が消えているんじゃないかということは、ここでもすごく議論になったと思うんですね。
だから、ここで、その法の支配というものが本当に大事なんだということを示すためにも、WTOに提訴はしなくても、これは原則違反では、協定違反ではないかと相手に伝えること、貿易協定違反ではないかと伝えること、この七〇〇%というのは事実無根じゃないかとトランプさんに伝えること、このような姿勢は私は大事だと思うんですが、大臣の見解をお聞かせください。
○岩屋国務大臣 それは、おっしゃるとおりだと思います。
我々は累次にわたって、今般の米国の措置については、WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有している、疑義があるということを言い続けてまいりましたし、これからの交渉においても伝えるべきはしっかり伝えなければいけないと思います。
また、委員から詳しく解説もありましたが、米につきましても、正確な事実関係をしっかりと米国に説明しなければならない、というか、これまでも説明してきたのですけれども、事実誤認の発言があることは非常に残念に思っております。
したがって、伝えるべきこと、申し入れるべきことはしっかりと申し入れた上で、どうやってお互いがウィン・ウィンの関係といいますか、米国にとっても、我が国にとっても、あるいは国際社会にとってもよい結論をどう導き出すかという交渉を粘り強くやっていかなければいけないと思っております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。このような点をきちんと相手に示していただけるということをうれしく思います。
今大臣からもありましたが、これからの交渉、先ほど、戦術が必要だ、ただ、冷静かつ毅然として対応していかなければいけないというようなお話もありました。
本当にいろいろ、何をしてくるか分からないというところがあると思うんですけれども、そこで、このような状況で外交に携わる場合は、核となるポリシーというか、核心というか、先ほど、ちょっと私、法の支配というものを重んじて、ここからずれているときはちゃんと言うべきじゃないかというのも、私が思うその核の一つなんですけれども、確たるものがないと、ぶれた外交になってしまうんじゃないかと思っています。
ここは守るというか、ここは大事にしなきゃいけないポリシーというのを政府の中で何か共有されている、今日から赤澤大臣も行かれていますが、共有されているものがあるかについて教えてください。
○岩屋国務大臣 それもおっしゃるとおりだと思います。やはり基本的な考え方というものに立脚した主張でなければならないと思っておりまして、ただ単に、何とかまけてくれというか、我が方だけが利得するような交渉ではいけないんだというふうに思っております。
法の支配に基づく国際秩序、それから公正なルールに基づく自由貿易が両国のみならず世界全体を豊かにする、平和にするという、これが我が国の基本的な考え方でございますから、そういう考え方に立脚した交渉をしっかりやらなければいけないというふうに思います。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今大臣のお言葉からも出ましたが、やはり自由貿易をしっかり守っていくこともその一つだと思います。あと、それと同時に、日本の国益だけでなく、やはり、周りの信頼をかち得て、周囲と一緒になって対応していく、こういう姿勢も、国際社会からの信頼を得るということも、特にトランプさんなどと対峙していく場合には重要になるんじゃないかというふうに思います。
最後に、前回、三月に、私、ここで、国連の女子差別撤廃委員会、日本政府が、皇室典範に関する言及があったということで、その対抗措置として、国が用途を特定して毎年拠出している任意拠出金、その使途から、CEDAW、この委員会を除外するということ、そして、CEDAWの委員の訪日プログラムの実施を見合わせるというような、厳しい対応、対抗措置を取ったことについての疑問をこちらで質問させていただいたんですが、その最後に、外務大臣からも、これからもCEDAWとの協力を継続していくというお言葉、そしてまた、政府参考人からは、具体的にはどういうことですかというふうに私は伺ったんですが、答えはいろいろな角度から協力していくという、ちょっと抽象的な内容でありました。
ここでまた改めてお伺いしたいんですが、あれからさほどの時間はたってはいませんが、この対抗措置の後に、CEDAWに対して何らかの協力といいますか活動をされてきたのか、あるいはまた、これからされる予定があるのかについてお聞かせください。
○岩屋国務大臣 先般取った対応は、既に申し上げておりますが、CEDAWによる皇室典範改正の勧告に対するものでございます。
我が方からは、皇室典範に関する記述は削除してもらいたいという要求を何度も丁寧に繰り返し説明をしてきたにもかかわらず受け入れられなかったことを重く受け止めて、そのような判断としたわけでございます。
女子差別撤廃に向けたCEDAWとの協力は今後とも大事であると考えておりますし、継続をしていく考えでございます。今後の取組については、今後のCEDAWとの協力の在り方については、個別具体な状況に応じて、様々な御意見もしっかり踏まえつつ、総合的に判断をしていきたいというふうに考えております。
○竹内(千)委員 国際社会からも信頼をかち取ることはとても重要なことだと思います。強い相手には、迎合とまでは言わないですけれども、すり寄っていって、弱い相手には強く当たるというふうな、そんな外交姿勢に見られないように、一貫した姿勢で臨んでいただきたいことをお伝えしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、和田有一朗君。
○和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。
もうかなり深掘りはされておりますが、同じことになるかも分かりませんが、幾つか条約等についてもお聞きさせていただきます。
まず、ルクセンブルクの関係です。
まず、本協定が締結された際に、両国間、交流促進が進んでいくと思います。そういう意味で、どういうふうな程度、今回の協定の締結というものが交流促進に寄与するのか、まずお伺いします。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
ルクセンブルクですけれども、我が国との間で経済関係が緊密化しておりまして、金融、製造分野等を中心に進出する日本企業が増加傾向にございます。また、地理的に欧州の中心に位置しておりますルクセンブルクは、政策的に物流産業の強化を進め、欧州の物流の要所であります。我が国との間でも、貨物便を運航するカーゴルックス航空が日本に週五便就航しております。
本協定を締結する効果を定量的に評価することはなかなか困難ではありますが、本協定締結により、日本とルクセンブルクの間の経済交流等が一層促進され、二国間関係が更に強化されることが期待されております。
○和田委員 そこで、附属書1というものがあって、これに、これまで定期航空便が運航されていない大阪という地名をわざわざ書いてくれているわけでして、我々関西の人間からすると、これが何か関西の経済の起爆剤につながるのではないかと非常に思うんですが、この大阪をわざわざ書いてくださっているメリットというのはどんなものがあるのか教えてください。
○中山政府参考人 お答え申し上げます。
本協定では、双方の航空企業が運航できる定期貨物便の路線として、ルクセンブルクの航空企業が現在運航しております東京及び小松に加えまして、先方の要望等を踏まえまして、大阪を規定しておるところでございます。
このため、今後、各航空企業におきまして、大阪とルクセンブルクとの間の定期貨物便の就航に向けた動きが進展した場合には、迅速かつ円滑な就航に寄与するものと考えております。
国土交通省としましても、今後とも引き続き、両国間の経済交流等の促進に資するよう、後押ししてまいりたいと存じます。
○和田委員 ルクセンブルク、先ほど小熊先生のいろいろな御議論もありましたけれども、大阪にも寄ってくれることになると、いずれ経済が潤う可能性があるということですね。
ルクセンブルクというのは、金融でもあるいはいろいろな面でも、我々から見ると非常に裕福な国に見えるときがありまして、そういう意味で、このルクセンブルクとの友好親善を経済的な側面からもこれから深めていく必要があると思います。ルクセンブルクとの航空協定が結ばれるということもきっかけに、今後、より一層友好親善を深めてほしいと思うんですが、その点について大臣のお考えをお伺いします。
○岩屋国務大臣 ルクセンブルクとは、もう議員御案内のとおり、皇室同士といいますか、皇室と大公家との親密な関係を基礎として、これまでも良好な二国間関係を築いてまいりましたが、今般の協定をお認めいただければ、やはり物的、人的交流が更に促進をされると思います。
それを通じて、金融、航空宇宙、スタートアップ、製造分野などで経済関係を更に強化していきたいと思いますし、再来年は外交関係樹立百周年ということになりますので、そこを目途に様々な連携強化のための取組を行っていきたいと考えております。
○和田委員 お互いに、両国が発展するように努力をしていただきたいと思います。
そこで、WTOの関係に入ります。約束表の改善の件なんですけれども。
今日、絶えず、トランプさんのいろいろな議論になってきたわけでありまして、トランプ関税によって、世界の自由貿易体制そのものが危機に瀕していると言ってもいいかも分かりません。WTOのルールに関しても、実施能力にクエスチョンがついてくる。WTOの紛争処理機関でも、上級審の、上級委員会の、補充は米国が反対して、上級委員会というのはもう機能停止に陥っている。
そんな中で、WTOが自由貿易体制を維持していくということが非常に難しくなってきていると皆様はおっしゃっているし、何とかしなきゃいけないと。今日も議論しているわけですけれども。
そんな中で、WTOの自由貿易体制を維持するということにおいて、WTOはどんな役割を果たせるのか、我が国はいかなる役割をそこで果たせるのか、大臣にお伺いをいたします。
○岩屋国務大臣 これも累次にわたって申し上げてまいりましたけれども、やはり、今日もなおWTOは、ルールに基づく自由貿易体制の基盤、土台を提供しているというふうに考えております。
今、ウクライナやガザ等々、いろいろな紛争を通じて、国連の安保理の機能も正直不全な状況にあるわけですけれども、しかし、国連なくして、じゃ、世界全体がどう運営できるかということを考えると、やはり国連改革はしっかりやっていかなくちゃいけない。
同様に、WTOも様々な課題はありますけれども、百七十近い国々が参加し、世界の八割近い貿易の土台、基盤を提供しているWTOを、しっかりと我々もその改革に加わって、より改善をしていくということが必要だというふうに考えているところでございます。
○和田委員 基盤でありますから、基盤そのものは壊せないわけでありまして、その中で変質を遂げていきますから、それに合わせて我々も合わせていかなきゃいけない。
これは質問でもありませんし、あれですけれども、やはり、今アメリカがやっていることは、いろいろな議論はありましたけれども、最終的には中国との最終決戦に入った。要は、かつて旧ソビエトを倒すためになりふり構わず最終決戦を挑んだように、今アメリカは、ありとあらゆるものを使って中国との最終決戦に入っている。その中で、いろいろな現象が起こっているというふうにも見えると私は思うんです。
そういうことも念頭に置きながら、ベースはベースでありながら、しかし、我々は何が大事かということを考えながらこれから進めていただきたいなと。私も、WTOの議論の中でつけ加えておきたいと思います。
次にお聞きしたいのは、外務大臣あるいは総理が中国の要人と会ったときに、いろいろと話をしたことについての記者発表についての確認をしたいと思うんです。
まず、十二月の王毅・岩屋外相会談、これは十二月のときにあって、その発表がありました。しかし、我々が聞いたことと、中国が発表した内容と日本側の意図している、何というんでしょう、日本側の発表とは食い違っていた。そのことを申し上げると、特に歴史問題ですね、中国側は、岩屋大臣の歴史問題では、おわびを表明したというようなことを中国が言ったけれども、いや、そういう表現は我々はしていないと後から言った。そのことを私もこの委員会で事実関係を確認しまして、そして、そんなことじゃなかったんだという。それで、その後に、正式にホームページ等々でも出てきたりするわけですね、我が国の考えあるいは状況というのは。
その次に、また、そういうことをちゃんとやれと言っている中で、やると、我々もしっかり言うんだ、こう我が国が言っている中で、今度、石破さんと王毅会談の三月のときに、三月二十一日ですかね、三月の会談の後でも同じようなことが起こった。これも後から、日本はそんなことは言っていないというようなことを外務省のホームページで書いたりするわけですね。
この一連の、十二月の王毅・岩屋会談、あるいは三月の王毅・石破会談の後の記者発表の中国側が表現していることと日本の食い違い、そのことについて、事実関係を、まずどうなっているかをお聞きします。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
御指摘の一点目についてでございますけれども、昨年十二月の日中外相会談で歴史認識に議論が及んだ際に、岩屋大臣から、石破内閣は、一九九五年のいわゆる村山談話や二〇一五年のいわゆる安倍談話を含む、これまでの内閣総理大臣談話を引き継いでいる旨言及したわけでございますけれども、これに関連し、中国側が事後の発表において、岩屋大臣から、日本側は歴史問題において引き続き村山談話という明確な立場を堅持し、痛切な反省と心からのおわびを表明すると述べた旨発表したところでございます。
中国側がこのような一方的な対外発表を行ったことに対しては、その日のうちに中国側に対して申入れを行いました。また、こうした経緯や日本側の立場については、岩屋大臣からも、直後の定例記者会見において説明したところでございます。
また、委員御指摘の二点目について申し上げます。
本年三月の王毅部長による石破総理表敬に関する中国側の事後発表において、この表敬の際に石破総理が、中国側が詳述した立場を尊重している旨述べたとされているものでございますけれども、そのような事実はございません。
中国側のこの事後発表の後、中国側に対しては申入れを行い、事実と異なる記述を直ちに削除するよう求めるとともに、翌日、岩屋大臣からも王毅外交部長に対して申入れをし、削除を求めたところでございます。
○和田委員 これは、食い違ったことが続いていくわけですね。
大臣にお伺いしますが、なぜこんなことになるのか。どこにこれは原因があるんだと大臣はお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 例えば、共同声明を出すとか合意文書を作成するということになりますと、これはもう言うまでもなく、一字一句詰めていくわけですね。共通の同じ認識に立って発表するということになりますが、会見の後の発表については、それぞれが行うということでこれまでやってきておりますので、中国側の発表の内容について我々があらかじめ知っているわけでもないし、逆に言うと、日本側の発表についても相手側に知らせているわけではない。お互いの信頼関係にのっとってそれは発表するということになっているので、時にこういう行き違いが起こってしまう。
その都度、我々は、事実でないことについては相手側に指摘をし、又は削除を求め、訂正を求め、また公表もしてきているということでございます。
○和田委員 今、共同声明に関しては一字一句、しかし、そうでないものは、向こうもうちの発表は知らないし、向こうの発表もうちは知らない、こう言いましたけれども、なぜ私がもう一回これを聞こうと思ったかというと、前回、鈴木委員がこのことを聞いたときに、双方の発表内容には多少差異があるが、すり合わせて発表しているわけではない、こういうふうな、当然、今のような答弁があったわけです。
すり合わせていないというこの言葉、これが果たして適切なんだろうかと私は思うんです。やはり、事実関係が違ったことを発表されるというのは、これはおかしいと思うんです。この点についてどうなっているのか、もう一回、参考人にお聞きします。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
御指摘の鈴木委員に対する岩屋大臣の答弁でございますけれども、これは、昨年末の日中ハイレベル人的・文化交流対話に関する事後発表に関し、岩屋大臣から、日中間ですり合わせて発表しているわけではない旨述べたものでございます。事実関係はそのとおりでございまして、昨年末の日中外相会談、また、先ほどの三月の王毅外交部長による石破総理表敬の事後発表についても同様でございます。
その上ででございますけれども、御指摘のこれらの会談の事後発表に関しては、実際のやり取りを踏まえて、日中双方がそれぞれ事後の発表を行う対応を取っているということでございます。
○和田委員 それぞれがそれぞれの事後発表をすると。
私、やはり思うんですよ。中国は、戦後八十年の年に歴史問題を持ち出して、日本に対して優位を占めたいというのがやはり底意にあるんだと思うんです。そういう中で、こういう発言を捉えて、彼らは、日本に対して優位を占めたい、今後のいろいろな歴史戦、世界中の世論戦の中で、日本に対して優位な交渉をしていこうと思うから、こういうことをやっているはずなんですよ、やっていると私は思います。それが全てではないにしても、それもあるだろうと思います。
そういう中で、やはり丁寧にきちっと、今、中国とのこういう物事を発表する文言を出すというときは、やらなければいけない話だと私は思うんです。何となく、向こうは向こうでうちのことは知らないと言っているし、こっちはこっちで逆もそうで、それでは、私、駄目だと思うんです。
やはりきちっと、コミュニケをつくって共同声明を出すときのような、お互いに事務方でやるのではないにしても、それにしても、この意図が酌まれているのかというのは、探るんじゃなしに、ある程度きちっと話合いをしてやるべきではないかと思いますが、今の私が述べた中国の今の状況、そういったことも含めながら、大臣はいかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 まず、中国側の意図について、我が方から予断を持って申し上げることは控えたいと思います。
それから、中国に限らず、こういう会談をやって、それぞれが事後にこういう会談になったということを公表するというのは、外交行事に際しては、日中間に限らず、その他の国との間でも珍しくないというか、それが通常だと思いますよね。事後の発表についてまですり合わせるというようなことは、ほとんどやらないということだと思います。
ただ、こういうことが繰り返されておりますので、その都度対応してきておりますが、今後は、中国側の発表にも目を配るなど、そこは注意深く対応をしていきたいというふうに考えております。
○和田委員 これ以上聞きませんけれども、このことが、一事が万事、日本と中国の姿を表していると思います。その都度、対処療法的に物を言っているだけ、尖閣に船が入ってきても対処療法的に言っているだけ、日本も。それを繰り返しているから、サラミ戦術のように、何もかもこっちは押し込まれていくということになっているんだろうと私は思います。
そういう意味で、今回のこの一連の発表に関しても、丁寧にきちっとやっていただきたいと申し添えておきます。
そこで、次に、修学旅行の話をお聞きしたいと思うんですね。
我が党の西田先生が中華人民共和国との修学旅行の話を聞きましたが、私は台湾との修学旅行のことを聞いてみたい、こう思います。
実は、中華人民共和国への修学旅行というのは、コロナ前の話ですよ、コロナ前、コロナがあってじゃなくて、それでも実は、昔々、平成十二年は四万人だったのが、平成二十七年に、コロナ前ですよ、千八百人に減っているんですね。日本から中国に行く修学旅行生というのは減っている、激減したんです、このとき。それと全く相反して、台湾との修学旅行者数というのは、平成十六年に千百人だったのが、これが、平成二十九年、コロナ前の話ですよ、五万人に増えているんです。もう大変増えたんです、中国と全然違った傾向で。
ここで、まず文科省の方にお聞きしたいんですが、なぜ台湾との修学旅行生は増えたと思いますか。
○橋爪政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省では、二年に一度、高校生段階における海外への修学旅行等の実態を調査しております。
この調査によりますと、我が国の高校生の海外への修学旅行の行く先について、令和五年度は、オーストラリア、シンガポールに次いで三番目に参加生徒数が多いのが台湾となってございます。また、日本の高等学校への学校訪問を伴う教育旅行の受入れにつきましても、平成二十三年度以降、台湾が最も多くなってございます。
その多い要因につきまして、本調査では調べておりませんので明確に把握しているわけではございませんが、一般的に申し上げまして、増加要因は様々考えられるところでございますが、例えば、日本からの距離が近く、移動時間が比較的短いことなどが考えられるのではないかと考えております。
以上でございます。
○和田委員 かつてよく言われた、いわゆる安近短という、安い、近いとか、それと安全である、安全であるということなんです、何よりも。そういったこともあって増えたんではないかと言われます。
大臣にもう一回お聞きします。大臣はどこに原因があると思いますか、台湾との修学旅行生が増えているということ。
○岩屋国務大臣 外務省の立場でどこまで踏み込んでその原因について述べるべきかということはありますが、思うに、台湾というのは我が国に対して非常に友好的な地域でございますので、台湾の人々の日本に対する高い好感や信頼が更に高まっているという点も背景にあるんではないかなと思いますし、委員が今指摘をされた行きやすいというところもあるんではないかなというふうに思います。
○和田委員 それで、いろいろな方にいろいろと聞いてみると、まず言われるのは、やはり、先ほど言ったように、安全だ、中国なんかは本当に、前も西田先生も言ったり、ほかの党の先生方も言っているように、非常に安全、安心ではないということ。
それと、もう一つ言われるのは、中国に修学旅行に行くと、パッケージで必ずと言っていいほど、南京大虐殺記念館なるところに連れていかれるというんです。こんなのはもう真っ平だ、自虐史観を教えてもらうためにありもしないようなことを並べたような、そういう資料館に連れていかれて、おまえのじいさんは悪かった、おまえの御祖先様は悪いやつらだと言われて帰ってくるのは勘弁してくれ、そうじゃないだろう、こういう方々が非常に多いそうです。やはりそういう中で、じゃ、台湾、いいじゃないかということで増えているというふうに聞くことが私は多いです。
そういう中で、やはり私は、今言ったような考え方、教育的な側面も含めても、修学旅行生の台湾に対する往来がもっと増えるように、中国なんかでするよりも、その方が私はいいんじゃないかと思いますが、そういった施策はあるんでしょうか、外務省にお聞きします。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
政府としては、日本の個々の学校に対し、中国であれ台湾であれ、特定の国や地域への修学旅行の実施を促す立場にはございませんけれども、台湾は我が国にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でございます。
日台間の人的往来については、二〇二四年、約七百三十万人を超え、過去最高となってございます。そうした中、政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、こうした人的往来を含め、日台間の協力と交流の更なる強化を図っていく考えでございます。
なお、委員から言及がございました、南京に関連してでございますけれども、日本の学生による中国への修学旅行について、南京が行き先となっていないものも多数把握しており、必ず南京の虐殺記念館が視察先に含まれるというような事実はないというふうに承知しております。
○和田委員 南京にある南京大虐殺記念館の話は一つの象徴事例であって、やはりいろいろな類似したものがあるんですよね。そういうところが組み込まれていくということを私は申し上げるわけです。それはおいておいて、時間が中途半端になってしまいましたので、この問題は大臣にもう一回と思っていましたが、先ほどお答えになったので終わります。
この問題は、やはり、中国なんかに行くんではなく、台湾とかそういうところに行くように我々はしていくべきではないかと私は申し上げて、次の質問、最後、あと二分ぐらいありますので、行きます。
パラグアイという国が中南米にあります。パラグアイは、台湾とかと国交を持っている国です。大統領選挙のときに、台湾との交流を一つの政策に掲げて当選されました。その選挙戦のときにも日本は、アメリカもこの現大統領を応援しました。応援したというのは変な言い方ですけれども、歓迎しました。そういう意図を日本も示すために、ODAをしっかりとつけたり、いろいろするべきではないか、応援すべきではないかということを私も前の期の外務委員会で申し上げて、林当時外務大臣は、それに対して了とするような答弁がありました。
そういう中で、その一環で、今、パラグアイは牛肉の輸出をしている、日本に輸出したいと言っている。それで、中国が、日本が買わないんなら中国が買おうかといって、呼び水を持ってきている。それによって、たくさん買ってやるから国交を結ぼうやみたいなことを、外交的な圧力を今パラグアイにかけているんですね。
我々はやはり、こういう中で、パラグアイの農林水産物、牛肉なんかを買えるような状況にして、そして応援すべきだと思うんですが、まず農水省、どうでしょうか。
○郷政府参考人 お答えいたします。
牛肉を含む畜産物の輸入に当たりましては、海外からの家畜の悪性伝染病の侵入を防止するため、科学的知見に基づき技術的な協議を行った上で、輸入条件を取り決めることとしております。
パラグアイからは、二〇一九年に、牛肉の輸入に関する文書による要請を受けたところでございます。それ以降、両国の担当部局間で継続的に、質問票のやり取りなど、伝染病の侵入リスク等についての技術的協議を実施しております。
引き続き、パラグアイ当局と密接に連携するとともに、両国担当部局の専門家間で、科学的な知見に基づく技術的協議を行ってまいりたいと考えております。
○和田委員 最後に、この件に関して大臣の御所見を伺います。
○堀内委員長 時間が越しておりますので、御答弁は短めに、簡潔にお願いいたします。
○岩屋国務大臣 パラグアイは大事なパートナーだと思っております。
牛肉というのは非常にセンシティブな品目でもありますが、今農水省から説明があった協議が遅滞なく進展するよう、外務省としてもしっかりフォローしていきたいと思います。
○和田委員 御配慮もありがとうございました。
終わります。
○堀内委員長 次に、深作ヘスス君。
○深作委員 国民民主党、深作ヘススでございます。
会派を代表いたしまして、質問をさせていただきます。
本日は、ほかの委員の先生方からも様々御指摘があった部分がございましたので、少し順番を変えて、まずは航空協定についてお伺いをしたいと思います。
今回の航空協定、私たち国民民主党会派といたしましても賛成をするものであります。
先ほど星野委員からもありましたが、現在六十一か国とこういった航空協定を結んでいる。これはやはり、人的、経済的そして文化的な様々な交流のインフラとなるということを考えますと、こういった航空協定を結んでいくことで、様々な国とのつながりをしっかりと太くしていく、新しいつながりをつくっていくという意味で、大変意義があると考えております。
今回、チェコは、日本企業も約三百社弱が今進出をしているというふうに聞いておりますし、先ほどもありましたが、ルクセンブルクは物流の中心地ということで、様々な新しいつながりをつくっていく上で、この航空物流の活発化ということは大変望ましい中であります。
先ほどインフラということを申し上げましたが、実際に人の、又は経済的な交流を果たしていく上で、この航空協定そのものがインフラになっていきますが、本当のインフラ、この航空業界における課題などについても、協定を結んでいけば、様々な分野においてこれが波及をしていくことにもなります。
今回、航空協定を結ぶことで、私もちょっといろいろ調べてみたんですが、羽田空港だけで見れば、一九九三年に発着便数が十九万六千回あったものが、二〇一八年には四十五万回を超えておりまして、その後、コロナ禍でかなり数は落ちるんですが、再び今四十五万回程度になってきています。もう二、三分置きに発着がありまして、山手線並みに飛行機が行ったり来たりしているという状況です。
航空協定において今いろいろと取決めがある中でありますが、様々な航空業界における課題、国際的な課題というものも浮き彫りになっています。一九七二年から国内線のみに課税されている航空燃料課税、こういったものをどうしていくのか、そして、昨日、大臣も沖北でこういった、横田の空域についても発言がありましたが、ほかの大臣だったか、済みません、空域についても沖北の中では議論がありましたが、こういったことであったり、いろいろと、航空協定そのものだけではなく、その先に起きてくる国内の実際のインフラにどう影響が起きていくのか、こういったことにもしっかりと向き合わないといけないと思っています。
既に航空協定においては航空燃料に係る関税の免除というものが定められていますが、航空協定の実効性をより一層高めていくためには、航空業界の抱える燃油コスト、この問題について更なる支援が不可欠ではないかというふうにも考えています。
特に燃油代については、様々な、ガソリンであったり電気代、いろいろと燃料、エネルギーについての支援というものは国も行っていますし、実は、このジェット燃料に関しては、前回、激変緩和措置のときに実は漏れていたという経緯があって、その後、私たち国民民主党としても、このジェット燃料を入れるべきだという話があって、それが実際に今この対象となっているということがございます。
現在、こういった燃油価格の激変にも対応するために、政府としてどのように激変緩和措置を講じているのか。そして、今実施をされている航空燃料費の激変緩和措置、具体的にいつまでを予定をしているのか。本日、資源エネルギー庁にもお越しをいただいておりますので、まずは御答弁いただければと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、燃料油価格の激変緩和事業でございますけれども、一時的、緊急避難的な対応として実施をしております。昨年秋に閣議決定した経済対策におきましても、国際的な脱炭素の流れ等も踏まえ、出口に向けて段階的に対応するとしているところでございます。
現在は、ガソリンの小売価格が全国平均でリッター当たり百八十五円程度となるよう支援を継続してございます。航空機燃料につきましては、足下でリッター当たり一・七円程度補助をしているところでございます。
本事業の今後の取扱いにつきましては、原油価格などの状況を丁寧に見定めながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○深作委員 ありがとうございます。
様々な不安が取り巻く中で、こういったこと、今回も、航空協定で様々な就航が、便数が増えていったりした場合、これに対する不安というものも、その便数が増えていくだけ起きてくるんだと思っています。
なので、ちょっと今御答弁の中で少し触れていただいたんですが、この燃料価格がどういった水準になれば措置が終えられるのか、世界の資源エネルギーの状況についてどういった兆候が確認されていて、また、その中において、措置終了にどういった基準を決めているのか、もしそういったものがあれば、そこだけ御回答いただければと思います。
○和久田政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、この事業は昨年十一月の閣議決定に基づいて実施をしてございまして、その中では、まずは十二月から出口に向けて段階的に対応するということ、それから、今後につきましては、状況を丁寧に見定めながら、段階的に見直すというふうに考えてございます。
先ほど申し上げましたとおり、原油価格などの様々な状況を見ながら、今後の措置は決めていきたいというふうに考えてございます。
○深作委員 ありがとうございます。
資源エネルギー庁、こちらで結構です。ありがとうございました。
続きまして、ASEANセンターについてお伺いをいたします。
もうこれに関しては、小熊先生も触れられていましたし、様々な先生方からも触れられていたんですが、大変重要な点だと思いますので。
やはり改正十条二項にある、改正は理事会の採択、これをもって効力を生ずるということが、今回、一つこの委員会においても議論されていますが、なぜこういった形に変えていくのか。そして、改めて、国会がどういうふうに関与していくのか。予算でという言い方をされてはいらっしゃいますが、本当に関与の在り方というものを考えていく上で、どのように国会が関与し得るのか。ここについてお答えをいただければと思います。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の点でございますけれども、委員御指摘のとおり、今次改正によりまして、義務的拠出金の分担率は新しく追加されます附属書で規定されることになります。今次改正以降の附属書の改定は、理事会の採択したときに効力を生ずることとされております。
したがいまして、このことにより、今次改正以降の義務的拠出金の分担率の改定の際に、改めて新たな国際約束を締結する手続は必要なく、国会の御承認も求めることにはなってございません。このような手続によりまして、今次改正以降、義務的拠出金の分担率の迅速な改定が可能となります。今回、分担率、日本の分担分を少し比率的に下げることになりますけれども、こういった変更を行うのに、かつて時間を相当要したということもございますので、こういった改正を通じまして、より迅速な改定ができるようになるというふうに考えております。
国会の関与ということに関しましては、先ほど来やり取りもございましたけれども、予算を御審議いただく中で、いずれにしましても、改定した分担率に従って、日本政府が拠出する拠出金に関しましては予算の審議をいただく中で御承認いただくという手続になるかと思います。
よろしくお願いします。
○堀内委員長 資源エネルギー庁さんは御退室いただいても、御質問がないそうなので、結構でございます。
○深作委員 分担率の改定について、日本はこれから、では、理事において決まっていくということで今御答弁をいただきましたが、二つ御質問がございます。
先ほど既に理事が、宮本部長が理事を務められているということでしたが、この理事という役割は、国内においては南部アジア部長が務めるということになっているのか、どのようにそれが選任されるのかということが一点目です。もう一つが、ほかの国々が分担率を変えていくスキームで、もし御存じだったら、国会の承認を取っていない、又はいる国、これがどういった違いがあるのか、それについて御存じの範囲で教えてください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
ありがとうございます。
理事の選任でございますけれども、現時点では、協定において、「各加盟国は、理事会において自国を代表する一人の理事を任命する。」という規定がございまして、理事は各国によりそれぞれ任命をされているという状態でございます。
日本の理事は、現時点におきましては外務省の南部アジア部長、すなわち私が務めております。ASEAN各国からは、経済官庁ですとか外交当局、それから在京大使館の幹部が務めている場合も、それぞれの国においてございます。理事会は、日本及びASEAN加盟国の十か国がそれぞれ任命した合計十一名の理事によって構成されております。
それから、二つ目の御質問でございましたけれども、各加盟国における分担金の改定の手続がどうなっているのかということでございます。
ASEAN貿易投資観光促進センター設立協定の今次の改正に係る国内手続、これは国によって異なるわけでございますけれども、我が国として把握している限り、ほとんどの国で国会の承認は必要とされていないと承知しております。ほとんどのと申し上げますのは、例えば、ASEANの中では、ミャンマーのように非常事態宣言延長中で、議会が存在しないような状態になっちゃっている国もありますので、そういったところについてはちょっと有権的に答えることができないので、ほとんどの国というふうに申し上げておりますが、把握している限り、国会の承認は必要ないということになっております。
今次改正によりまして、義務的拠出金の分担率は新しく追加された附属書で規定されることになりますので、全ての加盟国について、今次改正以降の附属書の改正は、理事会が採択した時点で効力を生じて、国会の承認を求めるということにはなってございません。
以上でございます。
○深作委員 ちょっと一点目、今後も、そうすると、南部アジア部長になられる方が理事になるということで決まっているんでしょうか。
○宮本政府参考人 日本側においては、恐らくそういうことになると思います。
○深作委員 ありがとうございます。
先ほども話があったところで、私も同じようなことを思っていて、今回、次の御質問を大臣にさせていただきたいと思っています。
今回、ASEANセンターの改定、率の改定に関して外務省から説明を受けたときには、これは下げる方向なんだ、ASEAN諸国が経済的にも徐々に分担できる状況ができてきて、これを日本はある意味で下げていくんですよという説明を受けました。
それだけを聞くと、日本の負担が減って、そして、より皆さんに責任を持ってもらおうというように見えますし、それは説明としては分かりやすいんですが、ほかの国々がいる中で、対日本とASEANだけの関係を見ればそのように見えますけれども、ほかの国々がどのようにASEANに影響力を持とうとしているのか、関係構築をより活発化をしているのか、こういった幅広い観点から見たときに、本当に減らしていくことだけを議論していくことがいいのかということも考えなければいけないと思っています。
ASEANの直接投資の数を見ますと、これは民間も含めてですが、二〇一三年では、日本が二百四十五億ドル、そして中国が六十億ドル、約四倍の差がありました。二〇二〇年には、日本が百四十五億ドル、そして中国が七十五億ドル、約二倍です。ところが、二〇二三年、日本が百六十億ドル、そして中国が百七十六億ドルと。
単純に今回のASEANセンターのことで比較をできるものではありませんが、徐々にこの影響力、資金で、札束で頬をたたくという話ではなく、やはり人的交流や経済的交流があるところに投資が起きますし、そういったことを活発化させていくことも重要なのではないかということを考えたときに、本当に全てのものを、減らしていくんだからいいじゃないかという議論でいいのかということについても、大臣の御所見をいただきたいと思います。
特に、対ASEANの投資額が減って、今回のASEANセンターの拠出割合の変更も含めて、エンゲージメントが落ちるというふうに私たちは思われるわけにもいかないですし、今後、どのようにASEAN諸国との関係強化であったり信頼醸成を図っていくおつもりなのか、是非大臣から御答弁をいただければと思います。
○岩屋国務大臣 何でも減らしていきたいと思っているわけでは決してございません。
今回の分担率の改定については、各国の経済発展の実態を踏まえましても、ASEAN諸国の理解を得た上で、また、諸国の代表も出席する理事会で決定されたものでございまして、そういう意味では、ASEAN諸国との関係でいうと問題はないというふうに考えております。
我が国としては、東南アジアというのは世界の成長センターでもありますし、インド太平洋地域の要でもありますので、引き続き、最優先の事項として連携強化に取り組んでいくという姿勢に決して揺るぎはございません。
ASEANとの関係はもう五十年を超えておりますし、その意味では、最も歴史のある関係でもあります。また、その間に培った信頼というものが日本の強みだと思います。現地のシンクタンクによる調査でも、その調査開始以来、日本は七年連続で地域で最も信頼される主要国に選ばれております。ありがたいことだと思います。
引き続き、心と心のつながるという言い方をしていますが、信頼のパートナーとして幅広い分野でASEANとの協力を強化していきたいというふうに考えております。
○深作委員 ありがとうございます。
大臣がおっしゃられるように、やはり、日本は信頼があるというのは、これまでの取組の成果として今があるわけですから、今後こういったエンゲージメントをどのように高めていくのか。それを私たちがより見える化をしていって、積極的に関与をしていくのか。これを続けていかないと、今の時点の評価が高かったとしても、三十年後、五十年後、ASEANとの関係がどうなっているのか。
そして、日本対ASEANの関係だけではなく、国際的に見た中で、ほかの国々もASEANそしてグローバルサウスといったところとの関係を強めていこうとする中で、私たちの立ち位置をどのように置いていくのか。そういった視点においても取組をしていただきたいと思います。
少し時間が迫っておりますが、先ほど来、WTOについてもいろいろと議論がありました。
WTOに関しては、機能不全の話はもう繰り返すことはいたしませんが、新興国そして先進国の格差をどう埋めていくのかであったり、気候変動と貿易の関係をどのように考えていくのか、それだけではなく、デジタル貿易のルール作りといったこともまだまだ具体的なルールが定まっていない状況であります。
ちょっと通告はしていないんですが、データの自由な流通とプライバシーの保護をどうバランスを取っていくのかということで、二〇一九年に、G20の大阪サミットでDFFTという考え方が日本側から示され、こういったデータとプライバシーをどのようにバランスを取ってデータの流通を行っていくのか、こういった分野は、日本は私は大変バランスがいいと思っています。過度にプライバシーを保護するわけでもなく、ただ、自由なやり取りを担保しながら、そして、しっかりとルールを作っていくという意味でコミットメントをしていただければと思います。
時間が参りました。
先ほど大臣がおっしゃられたように、こういった様々な分野でまだルールが決まっていないところに、日本がルールメイキングに関わっていく、安保理も含めて国連でも、今、日本が関与できるルールメイキングに関与していくということを、私としても、次回またいろいろと御提案をさせていただきたいと思います。
お時間をいただき、ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、西園勝秀君。
○西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
これまで多くの議論が行われてきましたので、一部質問が重なるかもしれませんが、大変重要な内容ですので、確認の意味も込め、深掘りの質問をさせていただければと存じます。
アメリカの自国第一主義に基づくこの度の関税引上げは、国際的な自由貿易の原則そのものを根底から揺るがしかねない危険な措置です。かつて、保護主義が台頭した結果、世界が経済的に分断され、ひいては第二次世界大戦という未曽有の惨禍を招いたという苦い歴史的教訓を私たちは忘れてはなりません。
そうした反省の上に築かれたのが今の自由貿易体制であり、その象徴が百六十六か国・地域が加盟するWTOの枠組みです。この国際ルールを維持し、より一層強化していくことがこれからの世界経済の安定と発展、そして世界の平和にも不可欠な要素であると確信いたします。
さらに、アメリカ国内においても、今回の関税引上げによって輸入品の価格が上昇し、アメリカ国民、とりわけ低所得層の生活を圧迫することになります。消費が冷え込み、アメリカ経済全体に悪影響を及ぼすのは避けられず、世界一の経済大国であるアメリカ経済の失速は世界経済の停滞、さらには大恐慌を引き起こすリスクもはらんでいます。
トランプ大統領そしてアメリカ政府が冷静かつ責任ある対応を取るよう、国際社会としても働きかけていくことが極めて重要です。日本としても、自由貿易を守る立場から、毅然とした姿勢でアメリカに対してしっかりと意見を伝え、建設的な議論を促していく必要があると考えますが、岩屋大臣の御見解を是非お聞かせいただければと存じます。
○岩屋国務大臣 今委員がおっしゃったことに全く同感でございます。
やはり今回の措置は、ルールに基づく自由貿易体制を揺るがしかねない、そこに大きな影響を及ぼしかねない措置だというふうに思っておりまして、交渉によって是非措置を見直してもらうということを追求していきたいというふうに考えております。
日米双方にとってもよいというだけではなくて、やはり世界全体にとってよいという結論を導くことが大事だと思っておりまして、よく、関税戦争、貿易戦争に勝者はいないという言われ方がされますが、やはりそうだと私も考えております。そういう基本的な考え方に立って、もう交渉担当の大臣もお互いに決まって、明日にでも議論が開始されると思いますので、よりよき結論を導くことができるように、外務省としてもこの交渉を全力で支えていきたいというふうに考えております。
○西園委員 大臣、ありがとうございます。
まさに貿易戦争に勝者はないということで、自由貿易体制を維持することが本当に極めて重要だというふうに考えます。
しかし、残念ながら、アメリカの今回の相互関税は、WTOの基本原則に明らかに反しております。そもそもWTO加盟国は、最恵国待遇の原則の下、全ての貿易相手に対して平等に関税を適用することを約束としています。にもかかわらず、特定の国ごとに関税率を変えるやり方は、国際ルールの根幹を揺るがす明白な違反行為です。さらに、WTOでは、各国が交渉を通じて関税の上限を定め、その範囲内で政策を運用することが取り決められています。今回の措置が仮にその上限を超える形となれば、これは二重の意味で協定違反ということになります。
アメリカ側は、ガット第二十一条、安全保障例外を持ち出して正当化しようとしていますが、日本や欧州など、同盟国に対する関税引上げを安全保障上の脅威を理由に正当化するのは、条文の趣旨を逸脱した明らかな濫用です。思い起こせば、トランプ前政権の第一期でも、鉄鋼製品への高関税が国家安全保障を名目に実施されました。しかし、この件についてはWTOでも正当とは認められず、国際社会から強い批判を浴びました。
大国がこうした論理を振りかざし、自国本位の政策を次々と押し通すならば、他の国々もそれに倣って報復の応酬となり、これまで築いてきた多角的な自由貿易の秩序そのものが崩壊しかねません。日本としては、自由で公正な貿易体制を守り抜くため、必要であれば、WTOへの提訴も含め、アメリカに対し断固たる行動を取るべきだと考えますが、この点について、岩屋大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。
○岩屋国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたように、今般の米国の関税措置は、例えば、米国がWTO協定上約束している譲許税率を超える税率の関税を賦課するものであって、関税及び貿易に関する一般協定、ガット第二条との整合性に深刻な懸念があると考えておりますし、米国による一連の関税措置が今安全保障上の理由によって正当化されるかというと、そこにも大いに疑念があるところでございます。
したがって、WTO協定上の整合性に深刻な懸念と疑念を我々は持っているわけですが、提訴をするか否かということについては、選択肢として全く排除しているわけではありませんが、いよいよこれから交渉が始まるというところでございますので、まずはこの交渉を通じて見直しを求めてまいりたいというふうに考えております。
○西園委員 大臣、御説明ありがとうございます。
本当に難しいかじ取りだと思いますが、ASEANを始めとする世界各国が日本の対応を注視しておりますので、アメリカがつくり出した自由貿易体制の価値を、いま一度アメリカに強く訴えていただければというふうに存じます。よろしくお願い申し上げます。
一昨日行われた衆議院予算委員会にて、公明党の岡本三成政調会長は、日本とアメリカが経済面において、単なる貿易相手を超えた同盟国であるという点を改めて確認されました。その上で、アメリカが新たに設置を検討している政府系ファンド、いわば経済安全保障や戦略的投資を担う枠組みに、日本も共同出資という形で参画し、これを日米共同の政府系ファンドとして発展させてはどうかという具体的な提案をされました。この提案は、日米の経済的なきずなを更に強固にし、戦略的な連携を深める上で極めて意義ある提案だと私も思います。
また、岡本政調会長は、自由で開かれた経済圏の拡大を見据え、CPTPPの加盟国拡大、さらには、その事務局を日本に設置することも提案されました。
アメリカがTPPを離脱した後、十一か国によってCPTPPが発足し、昨年にはイギリスも正式加盟、現在は十二か国体制となっています。そして、今回、アメリカの関税措置が世界経済に大きな波紋を広げる中、自由貿易を志向する国々がより安定した経済枠組みを求めて、CPTPPへの参加を希望する動きが今後更に加速することも十分に考えられます。特に、イギリスの参加の影響もあり、ヨーロッパ諸国がこの枠組みに関心を示し始めた場合、日本こそが先頭に立ち、EUとの連携強化を主導し、CPTPPをグローバルな経済秩序の中核的存在へと成長させていくべきと考えます。
自由貿易の拡大は、単に経済的な利益にとどまらず、国際社会に安定と平和をもたらす土台です。そのためにも、CPTPP加盟国の拡大、そして、その価値と意義を日本が積極的に世界へ発信していくことが極めて重要だと考えますが、この点について、岩屋大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のあったように、CPTPPは、こういう状況であるだけに、いよいよ、なおさら極めて大きな意義を有しているというふうに考えております。我が国がこれまで進めてきた、自由で公正な経済秩序の推進に資する枠組みであるというふうに改めて思います。その観点から、新規加入や協定の一般的な見直しを始めとして、引き続き、この枠組みの発展に向けた議論に積極的に貢献していきたいと考えております。
その上で、新規加入につきましては、もう委員御案内のとおり、締約国間で一致した新規加入対応に係る原則に基づいて対応することとなっております。例えば、EUなどは現時点において加入申請をしていませんが、我が国としては、他の締約国ともよく相談をしながら、戦略的観点も踏まえて、そして国民の理解も踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。
○西園委員 大臣、丁寧な御説明ありがとうございます。
CPTPPに関しましては中国も関心を示しており、将来的には、アメリカや中国といった主要国も含めた経済連携協定が実現すれば、世界経済の安定と発展に大きく寄与するものと考えております。日本には、是非、国際社会をリードする形で、世界共通の貿易ルールの整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
これまで、WTOでは、全ての加盟国が参加する多国間交渉を基本として、世界共通の貿易ルールの整備が進められてきました。しかし、現実には、加盟国が百六十を超える中で、全会一致の合意形成が時間的、物理的に非常に難しくなったため、有志国が集まって行うプルリ交渉によって多国間交渉の成果へと結びつけていく流れができました。まさに、多国間主義の限界を補完する重要な取組であると評価しております。
しかし、真に国際ルールとして機能させるためには、有志国だけで議論を終わらせるのではなく、非参加国も含めた幅広い国々がそのルールに参加し、受け入れていく環境づくりが不可欠です。特に、途上国にとっては、交渉の専門的知識や体制が整わず、参加へのハードルが高いのが現状です。だからこそ、日本は、制度整備支援や人材育成といった能力構築支援を積極的に行い、途上国を含めた幅広い国々が交渉に参加できるよう後押しすべきだと考えます。そのことが自由で公正な国際貿易の枠組みを広げ、結果として我が国の国益にもつながっていくものであると確信いたします。
この点について、政府の御見解をお聞かせ願います。
○林政府参考人 お答えいたします。
委員から御指摘がありましたとおり、有志国による複数国間でのいわゆるプルリ交渉で作成されたルールが真に国際的なルールとして機能することを後押しするために、また、交渉プロセスに途上国の参加を得ていくためにも、我が国としても、必要な制度整備や能力構築を支援する取組を行っていくことが重要と考えてございます。
具体的には、一例でございますけれども、我が国は、WTOにおける有志国の取組である電子商取引に関するルール作成に関連しまして、途上国によるデジタル貿易関連のルール履行や電子商取引の利用機会の拡大のために支援を行っているところでございます。
今後とも、こうした支援を通じまして、プルリ交渉への参加国の拡大を図っていきたいと考えております。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
次に、ASEANセンターについて伺います。
日本ASEANセンターは、一九八一年の設立以来四十年以上にわたり、日本とASEAN諸国をつなぐ懸け橋として、貿易、投資、観光、人物交流の促進をミッションに様々な活動を行っております。一方、その活動の成果が国民の皆様には分かりづらい部分があるのではないかというふうに思います。
二〇二四年度の我が国のセンターへの拠出金は約四億二千万円ですが、国民の税金を用いる以上、拠出額に見合った成果が上がっているかの検証が重要です。日本ASEANセンターの活動が具体的に日本とASEANの経済関係強化にどう結びついているのか、政府の御評価を伺います。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
ASEAN貿易投資観光促進センターは、職員数が二十四名という比較的小規模な国際機関でございます。他方、貿易、投資、観光に関するセミナーなどの開催そして人材育成事業等、様々な活動を通じまして、日本とASEAN諸国の間の経済関係強化に貢献してきた、このように評価しております。
幾つか具体例を挙げて御説明申し上げたいと思いますけれども、例えば、二〇二四年度で申し上げますと、貿易促進に関しまして、十二回のASEAN産品の紹介等を含む輸出入促進事業のほか、五回のワークショップ、四回のウェビナーを開催しております。また、投資促進に関しまして、首脳級の参加する投資対話を含めまして、十回の投資促進事業を実施し、延べ約千名が参加してございます。また、サミット関連行事であるASEAN投資フォーラム及びASEANビジネス投資サミットの開催への協力、そして観光に関する人材育成事業など、こういった事業を展開しておりまして、有意義な活動であるというふうに評価しております。
こうした点はASEAN側からも高く評価されておりまして、日・ASEAN首脳会議の議長声明などにおいても言及されているとおりでございます。外交上の意義も大きいというふうに外交当局としても評価しております。
○西園委員 ありがとうございます。
ルクセンブルクとの航空協定もちょっと質問を用意しておりましたが、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。御準備、いろいろありがとうございました。
○堀内委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
まず、トランプ外交についてお伺いいたします。
関税で脅しをかけるトランプ大統領の手法は、力がある者はそうでない者をねじ伏せることができる、そういう権利があるということを明確に示していると思います。つまり、弱肉強食で、これまで構築された国際協定や法の支配さえも意味がなくなる、こういった世界観です。
日本としては、不完全ながらも、これまで構築されてきたルールに基づいた多国間主義を強化すべきだと思います。トランプ大統領の関税政策は、短期的には相手を圧倒することはできても、長期的にはアメリカの経済的な負担も増して、決して持続可能ではありません。
外交の責任者として、このトランプ外交とどのように向き合っていくのか、改めて岩屋大臣の哲学をお聞きしたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、日米関係ですけれども、先般の日米首脳会談では、自由で開かれたインド太平洋のために日米が今後ともしっかりと連携をしていこうということで確認をされているところでございまして、そういう意味でいいますと、目下のところ、外交、安全保障の分野で米国がそれほど大きく路線を変えたというふうには認識をしておりませんが、今般の一連の関税措置については、これは、日米両国の経済関係はもとより、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体に大きな影響を及ぼしかねないというふうに考えております。
したがって、我が国としては、一連の関税措置の内容を精査して、影響を分析して、そして米国政府に対して措置の見直しを強く求めてまいります。そのための交渉がいよいよスタートするということだと思います。
我が国としては、引き続き、法の支配に基づく世界秩序を維持し、そして自由で公正なルールに基づく貿易体制を堅持していく、これが我が国にとっても、あるいは国際社会全体にとっても有益であるという考え方に基づいて、外交活動を展開してまいりたいと考えております。
○阪口委員 自動車の二五%関税、これは本当に大きな衝撃だと思います。ただ、これを下げてくれとお願いするために農産品を差し出す、いけにえにする、これだけは絶対にやめてもらいたいと思います。
第一次トランプ政権においては、牛肉の関税は最終的に九%まで下がり、豚肉の関税は実質ゼロになりました。また、飼料として日本には適合しないトウモロコシも大量に買わされることになりました。日本にとっての最後のとりでが、私は、米と、そして乳製品だと思うんですね。これは、米国にとっても本丸だと思います。
今、国内米価の高騰で、輸入米を増やすという必要性が議論されています。アメリカ側は、米の関税は七〇〇%だと牽制して、七十七万トンのミニマムアクセスについても輸入差益を問題視し始めています。本当に、WTO協定、日米貿易協定の違反だと思うんですが、ここで踏ん張れずに米さえも輸入に頼るということになると、日本の食料安全保障は崩壊してしまうと思うんですね。
米や乳製品を差し出すことだけは絶対にしないということ、大臣、約束していただけないでしょうか。
○岩屋国務大臣 日米の関税に関する交渉は、いよいよこれからスタートするところでございますので、その内容について、あらかじめ予断をするようなことを申し上げることは控えたいと思いますけれども、まさに当時の茂木大臣も御苦労いただいて、農産物等については既存の枠組みの水準を上回らないという範囲で事を収めているわけでございまして、そこがまず基準になっていくんだろうと思います。日米貿易協定は、まだ、アライブというか、生きておりますので。
そういうことを土台にしながらこれから交渉が始まっていくことになりますが、我が方が何か一方的に譲歩するというようなことにしてはならないというふうに考えております。
○阪口委員 是非、その意気を交渉においても発揮していただきたいと思います。
少ない交渉のカードを探すのではなくて、日本の農業と、そして食料安全保障を守る、ピンチをチャンスに変える契機だ、このように私も考えているんですね。
したがって、あくまでも地球益、人類益をしっかりと視野に置いて、ディールという名のカツアゲに屈することなく、そして、日本はスタート地点にさえも立てていない、人権デューデリジェンス、この視野もしっかり持って、多国間の自由貿易のネットワークをつくっていっていただきたいと考えています。
そして、農業を始めとする国内産業を適切に保護しながら、中国や、また長期的には、ロシアも含む東アジアを始め、インド、南米なども含めたグローバルサウス全体を巻き込んで、共に共存共栄を目指す新しい経済の枠組みをつくっていく、日本はこういう面においてもリーダーになるべきだと思っているんですが、この点についての大臣の考えはいかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 やはり、公正なルールに基づく自由貿易体制というのは、我が国のみならず、地域や国際社会全体の発展に資するものだというふうに思っております。
したがって、その土台となっているWTOについても、しっかり改善、改革の努力に我が国も貢献をしていくということもございますし、今まで我が国が主導してつくってまいりました自由貿易協定、CPTPPを始めとするこういう枠組みを更に充実発展をさせていく、多くの国をその中に取り込んでいくという努力を、これからこそ更にしっかりとやっていかなければいけないというふうに考えております。
○阪口委員 次に、民主主義が崩壊しつつあるカンボジアをめぐる人権侵害について、質問をしたいと思います。
三月二十八日の質疑では、日本政府が、カンボジアの選挙人登録の電子化による二重登録などの不正防止を可能にする制度の構築で、民主主義を機能させる枠組みづくりで成果を上げていることを紹介をしました。
しかし、不正の構造が改善されて、国民議会選挙での苦戦が予想される中、二〇一七年に野党第一党を国民議会選挙の半年前に解散させるなど、政敵を排除して自分の権力基盤を強化してきたフン・セン前首相による独裁化、これは本当に加速しています。
フン・セン氏は、二〇二三年には、首相職を長男のフン・マネット氏に譲って、自分は上院議長に就いて、一族による独裁がますます進んでおります。その間、野党勢力に対する弾圧も強まり、日本における言動まで大変厳しく監視をされているんですね。野党国民の力のスン・チャンティー党首は、来日中の演説で政府批判をしたところ、帰国後に逮捕されて、騒乱の罪ということで禁錮二年ということになりました。
また、母国カンボジアの独裁化に反対をして、民主化を求めて活動する在日カンボジア人夫婦は、デモや集会に数十回参加したところ、カンボジア政府から大変にマークをされて、そして、カンボジアにおいてフン・セン氏らの意を受けた村長らが来て、娘が日本での活動をやめないのであれば、帰国した際に逮捕する、このように母親を脅したということであります。
帰国後、このままでは逮捕されるということで、この在日民主化活動家のカンボジア人は、難民申請を二回したけれども認められず、オーバーステイ状態のため、昨年五月に入管施設に収容されました。そして、昨年六月に三回目の申請をしましたが、それも却下されて、おとといです、四月十四日に入管に出頭を求められて、そして、予定では、昨日、四月十五日に強制送還されるということです。
私も、これはやはりほってはおけないということで、入管に状況を何とか聞いたんですが、個別の事例についてはお答えできないの一点張りなんですね。
質問ですが、帰国したら逮捕されるおそれが強い人々の難民申請がなぜ認められないのかということです。この点、いかがお考えでしょうか。
○礒部政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から個別の事案についての御指摘がございましたけれども、個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただければというふうに思っております。
その上で、一般論として申し上げますと、我が国におきましては、制度と運用の両面から、難民認定手続の適正性を確保しつつ、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しているところでございます。
入管庁としましては、難民認定手続の更なる適正化に向けて不断に取り組むとともに、真に保護すべき者の一層迅速かつ確実な保護を実現してまいりたいというふうに考えております。
○阪口委員 官僚の方による、本当に官僚答弁だなと思うんですが、本当に、一人一人の人間の命、また人権がかかっているんですね。間違いなく、帰国したら逮捕されかねない、逮捕されると宣言しているわけですから、そのような状況でありながら、この状況を黙認、追認していいのか、もう本当に基本的なところですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○岩屋国務大臣 入管のところに関しては所管外でございますけれども、カンボジアの民主主義の定着に向けた支援というのは非常に重要だと思います。委員もカンボジアの選挙監視に従事をされたという御経験がございますけれども、やはり健全な民主主義社会の構築のためには、国民が多様な意見を表明し得る環境が非常に重要だというふうに思います。
我が国としては、これまで、カンボジアの政府、与野党、市民社会等、様々、幅広い間で意見交換をし、また率直な意見を伝えるなどしてきました。私も就任直後に外務大臣と電話会談をいたしましたし、昨年の十一月には、英利外務大臣政務官はフン・マネット首相を表敬しております。
そして、カンボジアの若手政治関係者を招聘するという事業をやっておりまして、三月には第七回目の招聘を実施して、計十名の方が訪日されました。国会を視察してもらい、友好議連と懇談してもらい、千葉県の知事選挙の視察などもしてもらいました。
こういう取組をこれからも粘り強く進めることによって、カンボジアの民主主義の定着に更に貢献をしていきたいと考えております。
○阪口委員 カンボジアの与野党の議員の方々を招いた会合に私も出席しましたが、最初、本当に非常に皆さん慎重だったんですが、ある野党の議員が、カンボジアにおける民主主義の後退、政権による人権のじゅうりんについて本当に勇気を持って話し始めたところ、ほかの議員も堰を切ったように同様の意見を述べ始めたんですね。私も、本当に帰国して大丈夫なのかとそのときも感じました。政府が招待して、そこで自由に意見を言って、帰国後に逮捕。これはもう本当にしゃれにならないことだと思います。ただ、議員であろうが、一般の人であろうが、同じことなんですね。
日本の平和貢献の最大の成功例とも言われているカンボジア。平和だけではなくて、やはり民主主義を実現をするということが大きなミッションであったと思います。カンボジアの民主化の後退について是非注視して、しかるべき対応を今後ともよろしくお願いいたします。
以上です。
○堀内委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○堀内委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○堀内委員長 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会