衆議院

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第2号 令和7年3月12日(水曜日)

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令和七年三月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      石橋林太郎君    大空 幸星君

      大西 洋平君    川崎ひでと君

      栗原  渉君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    高見 康裕君

      武村 展英君    田野瀬太道君

      西野 太亮君    根本  拓君

      根本 幸典君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    広瀬  建君

      三反園 訓君    宮下 一郎君

      向山  淳君    森下 千里君

      簗  和生君    山本 大地君

      石川 香織君    岡田 華子君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      近藤 和也君    西川 将人君

      福田 淳太君    緑川 貴士君

      柳沢  剛君    山田 勝彦君

      空本 誠喜君    中司  宏君

      林  佑美君    許斐亮太郎君

      村岡 敏英君    庄子 賢一君

      角田 秀穂君    八幡  愛君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     石橋林太郎君

  根本  拓君     広瀬  建君

  長谷川淳二君     高見 康裕君

  森下 千里君     三反園 訓君

  山本 大地君     坂本竜太郎君

  林  佑美君     中司  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     向山  淳君

  坂本竜太郎君     大西 洋平君

  高見 康裕君     川崎ひでと君

  広瀬  建君     根本  拓君

  三反園 訓君     森下 千里君

  中司  宏君     林  佑美君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 洋平君     山本 大地君

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  向山  淳君     小池 正昭君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     長谷川淳二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房統計部長深水秀介君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、畜産局長松本平君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君、文部科学省大臣官房審議官奥野真君、環境省大臣官房審議官飯田博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。

根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典です。

 今日は、質問の機会をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 私、地元を回っていますと、やはり今、ほとんどのところでお米の問題というのが必ず皆さんから声が出ていまして、まず消費者の皆さんは、お米が高い、手に入らない、こういうことも言っていますし、あと、お弁当屋さんとかさらには飲食店の皆さんも、そういうようなお話をされる。それから、小売とか卸の流通の方も、実は、結構値段が高くなっているので、仕入れの資金が、今までに比べるとやはりかなり資金が要るようになるというので、結構その資金繰りが大変だなんという話もあります。また、生産者の方も、これからどうなっていくんだということで大変不安を抱えている、こういった状況だというふうに思います。

 そして、大臣の英断で備蓄米を放出していただいて今週から入札が始まっている、こんなふうに聞いているわけであります。今回は、備蓄米の買戻し条件付売渡しということでありますけれども、消費者に迅速かつ適切に届けられるように効果を上げる取組をした方がいい、こんなふうに考えていますが、農林省、どのようにお考えなのかお伺いをしたいというふうに思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回売り渡します備蓄米につきましては、きちんと流通し、消費者の元にきちんと届くよう、売渡先に隔週ごとに販売数量、金額といった販売状況を農林水産省に報告することを義務づけております。

 加えまして、卸売業者から小売業者への販売につきましては原則精米ということで、速やかに消費者の手に渡るようにしております。また、町の米穀店、学校給食、こういったところは、精米することができるそもそも事業者でございますから、例外としております。

 さらに、今後、地域ごとの需給状況にも配慮した供給がなされるよう、集荷、販売事業者に働きかけをしていくこととしております。

 三月の半ばには備蓄米の引渡しを開始することとしておりまして、農林水産省としては迅速に対応してまいりたいと考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございます。

 これで三月の半ばから引渡しということで、多分、スーパー等々に三月の下旬ぐらいには並ぶのではないか、こういうふうに言われていますが、大変消費者の期待が高いものですから、是非、効果が上がるように、引き続き注視して、状況を見ながら、また、場合によっては次の対策も含めて取り組んでいただくことをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そして、二つ目の質問になりますけれども、初動五年間の農業構造転換期間、この予算の確保についてお伺いをしたいというふうに思いますが、今、農業現場というのは大変厳しい状況だというふうに思います。特に、農業者、人材に関しては大変厳しくて、農水省の方も、これから十五年で基幹的農業従事者がかなり減少する、こういう数字も出ています。

 実態として、やはり私の地元も若い方がなかなか農業に取り組んでいただけないというのがあるんですね。例えば、私の地元に農業高校があるんですが、昨年の三月末、百人弱の学校なんですが、卒業した中で就農された方は一人もいませんでした。場合によっては、専門学校に行ったり、大学に行ったり、企業に勤めて、その後就農するという方もあると思いますが、なかなか今までの中ではないような状況で、若い方に入っていただけない。

 そうしますと、やはり農業の持続可能性というのが不安になってくる。やはり、特に今急いでやらなきゃ私はいけないというふうに思っているんですね。今急いでやる。したがって、この初動の集中五か年、こういうことで、大臣の所信の中にもお話があったんだというふうに思います。

 この初動の五年間の農業構造転換集中対策期間においてどのような施策を実施するのか。また、施策の実施のために中長期的な農業予算の確保が必要と考えますが、農林水産省の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

笹川副大臣 今委員が御指摘あったとおり、日本の農業は大変厳しい状況、特に、日本全体としても、各分野にわたって働き手をどう確保していくのかというのは大きな課題であります。そういった意味では、まさに初動の五年間の農業構造転換集中対策期間を設けて、そして、速やかに対応が求められているという御指摘はごもっともでございます。特に食料安保、それから持続的な食料自給という観点からも大切なことでありますので、そういう意味では、初動五年間で農業の構造転換を集中的に推し進める。

 一つには、農地の大区画化、そして共同利用施設の再編と集約化、さらにはスマート農業技術の導入加速化などの施策を充実強化するとともに、人材の育成と確保を進める上でも、生産性向上や付加価値向上を通じた農業者の皆さんの所得向上を図っていく、つなげていくということが大切というふうに思っています。

 そうした上でも、施策の推進に当たっては、やはり原動力となるのはまさに予算でありますので、中長期的な視点を持って予算を獲得していく、継続的に確保していくということに全力を挙げていきたいというふうに思っております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 今ありましたように、農地の大区画化、さらには共同利用施設の再編、集約化、スマート農業の技術の導入と、それぞれやはり財源がないとなかなか進まないんですね。

 やはり、いかに生産性を上げていくのか、そして、農業がもうかるのか、これを若い人たちにお示しをしていかないと、若い人が農業に参入をしない、こういうことになりますから、特にこの五年間でしっかりと対策を打っていただいて、若い人たちが誇りを持って自信を持って農業をやろう、こういうふうに思ってもらえるように、是非農水省としても取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど御答弁の中でありました共同施設の再編、集約化、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 初動五年間で農業の構造転換を集中的に推し進められるよう、新たな基本計画を策定し、共同利用施設の再編、集約に係る施策を充実強化する、こういうふうになっているんですけれども、どのように共同施設の整備を進めていくのか、農水省の見解をお伺いしたいというふうに思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 共同利用施設につきましては、過去のUR対策により整備した施設が多く、老朽化が進行している状況でございます。したがいまして、ここまでの地域農業の変化でございますとか、将来の見通し、こういったものを踏まえまして、共同利用施設の再編、集約、合理化、こういったことが必要となっております。

 このため、新基本計画実装・農業構造転換支援事業、こういった事業を、令和六年度補正予算におきまして新たに四百億円措置、また令和七年度当初予算においても八十億円を計上しております。

 この事業でございますけれども、通常の補助率は大体百分の五十ということでございますけれども、都道府県と国と合わせて最大百分の十を上乗せいたしまして、地元負担を百分の四十まで軽減できる仕組みとしております。

 食料安全保障の確保を図るためには生産基盤の強化が極めて重要でございまして、こうした事業を活用して、共同利用施設の再編、集約化に必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 R六の補正でこの予算をしっかりつけていただいていまして、やはり地元の関係者も大変期待をしていますし、大分老朽化した施設も多いものですから、ここをしっかりやることで、生産等々、しっかりと対応できるというふうに思いますので、引き続き、この共同利用施設の整備に関して取り組んでいただきたい、こんなふうに思っております。

 それから、続いて、鳥獣対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 私の地元も、結構私のところはイノシシが多いんですが、元々イノシシがいた地域からだんだん地域が広がってきているんですね、より住宅地に近いところまでイノシシが出てきているという、こういった実態があります。そういう意味では、生産者の皆さんも大変苦慮をしながら生産をしているということでありますから、鳥獣対策というのは、農産物の被害のみならず、人身被害も含めて喫緊の課題だというふうに考えております。

 しかし、現行の鳥獣保護管理法では、住居が集合している地域などにおける銃猟は原則禁止をされております。しかし、現場では、その地域の判断基準が必ずしも明確ではなくて、ビニールハウスが点在する農地などで安心して猟銃による捕獲が行えない、こういった声も聞かれております。こうした声に対して環境省としてはどのように対応していくのか、お伺いをしたいというふうに思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣保護管理法におきましては、原則として住居集合地域等において銃器により鳥獣を捕獲することは禁止されております。鳥獣被害対策を実施する際に、委員御指摘のビニールハウスなどが点在する農地周辺が住居集合地域等に該当するか判断に迷う場面があるとの意見があることは承知しているところであります。

 委員の御指摘やこうした地域の声も踏まえまして、環境省としましては、農業用ビニールハウスは住居に含まれないことなど、住居集合地域等の考え方につきまして、今月中に都道府県に向けまして通知の形でお示ししたいと考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 そういう意味では、ビニールハウスは住居の集合している地域とは違うということで、環境省の方からそれぞれ関係者に情報提供していただける、こういうことでありますので是非進めていただきたいというふうに思います。

 大臣の所信の中にも、鳥獣被害対策は非常に重要だ、こういう御発言がありました。今後、この鳥獣対策をどのように進めていかれるのか、大臣の決意をお伺いしたいというふうに思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 作ったものが収穫直前になってやられてしまう。猿なんかは、シイタケなんかは遊びで上から下までばらばらばらと落としてしまう、そしてスイートコーンなんかは、あしたの朝収穫したら一番うまいだろうなというその朝に、まさに食べていってしまう。ですから、農家のやる気をそぐ、金額的な損害だけではなくて、農家の方々の気持ちを折ってしまうのが私は鳥獣被害だと思っています。

 作ってもしようがないから、そこで作るのはもうやめてしまうということになれば、それは直接、耕作放棄地になってしまう。そして、耕作放棄地が増えれば人家に鳥獣が接近してしまう、そうなると人的被害が起こる。

 昨年から、小泉元環境大臣といろいろ話をして、この鳥獣保護管理法についてはいろいろ議論をしてまいりました。猿なんかは飛び回るものですから、イノシシとかは上の方には行かないですよね、だけれども、猿なんかは、特に撃ちづらい、撃ちたい人もいない。ですから、鳥獣を管理するにはまず猟友会の方々の人員の確保も大事ですし、様々な支援が必要だと思っています。

 ですから、共存しなきゃならないことは我々は認めなきゃなりませんが、しかし我々は農林水産でありますから、やはり汗を流して作ったものがしっかり収穫に至るようにしていくことが、今後の担い手の確保、地域を守る上でも大事だと思っております。

 予算について申し上げると、令和七年の予算におきましては、補正を合わせて、昨年度の百五十億から百五十五億、微増ではありますが増やしております。特に、鹿の被害なんかによると、ネットでは駄目で、フェンスまで造らないとどうにもなりませんので、この予算の獲得にも、現場の事情をよく聞きながら努力をしてまいりたいと考えております。

根本(幸)委員 大臣の決意を聞かせていただきまして、やはり生産者に寄り添って、生産者が苦労して作った農産物、これをあした市場に出したい、こんな思いがくじかれるとやはり気持ちが萎えてしまいますので、是非、大臣の決意、地元の皆さんに私も伝えたいというふうに思いますので、しっかりと鳥獣対策をしていただくことをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、価格の問題、食料システム法が今国会の中で法案が提出をされた、閣議決定されたということであります。

 去年から今年にかけては、いろいろな要因があって農産物の価格というのは上昇しているんですけれども、おととし、その前というと、私の地元は野菜が多いんですが、トマトとかでも、施設を造ったんだけれども、その施設の借入れの返済ができなかったり、キャベツを売っても原価割れでどうなるんだ、出すだけ大変で、せいぜい箱代ぐらいにしかならない。こんなような状況がある中で、私も、やはり農家の皆さんが、きちっと価格が安定することによって持続可能な農業になる、こういう思いを持ってずっと取り組んでまいりまして、いよいよこれから国会の中で議論をされるというわけであります。

 合理的な価格形成に向けた取組、さらには、一番大事なのは消費者の理解ですから、消費者にどう理解してもらうのか、これが一番大切だと思っていますので、この消費者の理解に向けた農水省の取組についてお伺いしたいというふうに思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先週七日の金曜日に国会に提出をさせていただきました食料の持続的な供給のための食料システム法案でございます。

 今委員からもお話がございましたとおり、生産資材などが高止まりする中で、費用を考慮した価格形成を進めるということで、生産、加工、流通、小売の事業者間の取引において、コストなどの取引条件を示して協議の申出があった場合には、誠実に協議することを求めるというものでございます。

 その上で、その的確な実施が必要な場合には指導助言を行ってまいりますし、取組が不十分な場合には、勧告、公表を行うという仕組みにしてございます。

 こうした措置によりまして、コストを考慮した取引を促して、コスト割れでの供給を抑止するということを狙ったものでございます。

 また、コストを考慮した取引を促すという観点では、コスト自体を明確化する必要がございます。このために、この法案の中では取引実態を調査するとしておりまして、生産から加工、流通、小売の各段階におきましてコストがどれほどかかっているのかということを調査をいたします。

 また、米、野菜などを候補として現在協議を進めております指定品目に関しまして、各段階のコスト構造を明らかにし、消費者の手元に届くまでにどれだけコストがかかるのか、これをコスト指標として分かりやすく情報発信するというふうにしてございます。

 こうした措置によりまして、消費者の理解醸成に努めていきたいと考えているところでございます。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 では最後の質問ですが、輸出の促進についてお伺いをしたいと思います。

 私は、現在、自民党の農産物輸出促進対策委員会で委員長を務めているんですけれども、二月七日に、稼げる輸出に向けた第七次提言というのを出させていただきました。

 その中では、輸出の促進とともに、一つとして、食品産業の海外展開、さらにはインバウンドによる食関連消費の拡大、この連携を進めて、農業、食品産業の海外から稼ぐ力を強化すべきだ、こう提言をしたんですが、農林水産省のこれに関する受け止めと今後の取組についてお伺いをしたいというふうに思います。

笹川副大臣 委員におかれましては、党の輸出促進委員長ということで、輸出施策につきましての御提言を取りまとめいただきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 いずれにしても、輸出総額、さらには海外への外食産業の進出、それからインバウンド、共に非常に好調だということでございますので、引き続き、この海外から稼ぐ力を強化していく必要があろうかというふうに思います。

 新たな基本計画においても、輸出拡大、食品産業の海外展開、インバウンドによる食関連消費の拡大ということの相乗効果を発揮するための取組を盛り込む考えでございますので、引き続き関係省庁とも連携して施策の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 昨年、食料・農業・農村基本法を改正をして、そして今年は基本計画を作るということで、極めて大事な年でありますので、輸出のみならずいろいろな施策を実行していただくことをお願い申し上げ、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、栗原渉君。

栗原委員 おはようございます。自由民主党の栗原渉であります。

 本日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 私は、日本の農業生産の産出額の約四割は畜産が占めるという状況で、極めて畜産は大切な分野だと思っています。また、その畜産に非常に影響があるというのが家畜伝染病のことだというふうに思います。

 本年一月に高病原性鳥インフルエンザが養鶏の集中した地域に連続して発生しています。現場の御労苦に思いを致しながら、江藤大臣を始め農水省の皆様方の対応に敬意を表したいと思っております。

 また、かつてはBSEや口蹄疫も経験をしたところであります。豚熱についても様々に国として今対応を続けていただいているところであります。私は、家が養豚とブロイラー生産をしている家で育ったものですから、そのことを思いますと、豚熱のワクチンの接種について、このことは大変難しいことだったと思います。当時、判断されました江藤大臣のことを思い返しますと、大変なことだったとつくづく感じているところであります。

 令和二年からコロナウイルスによるパンデミックが起こりまして、これはまさに人獣共通の感染症でありまして、自然界に生きる私たちにとりまして、この向き合い方を考える大きなきっかけになったというふうにも思っています。人と動物の健康を考えるワンヘルスという考えがありますが、この推進も必要性も非常に強く今改めて感じますし、そういう出来事でありました。

 さて、昨年十一月でありますけれども、家畜が罹患する病気で、日本で初めてランピースキン病が発生いたしました。これは福岡県そして一部熊本ということでありましたけれども、このことについても、国、それぞれの県、御関係の皆さんが対応に当たっていただいたことは感謝します。

 そこで、このランピースキン病の発生に伴いまして、要するに、牛肉を海外に輸出しているわけでありますが、その輸出が制限を受けました。三月に入って米国への牛肉の輸出制限が解除されたというふうにお聞きしているところでありますけれども、今の状況と今後の見込みはどうか、教えていただければと思います。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 ランピースキン病の発生に伴い、福岡県においてワクチン接種を実施していただいているところでございます。

 他方、今委員からもお話がございましたけれども、アメリカは、昨年十二月からワクチンを接種する県産、すなわち福岡産の牛肉の輸入を停止しているところでございます。

 日米当局間で協議を行った結果、この度、輸入停止措置の解除に合意をいたしました。輸出が再開されることになったところでございます。

 現在、米国側において、輸出に必要な証明書の様式であるとか実際の輸出解禁日について最終調整中ということでございます。手続が終わり次第、輸出が再開される見込みとなっております。

栗原委員 ありがとうございました。

 家畜伝染病予防法というのがあります。これは幾つかの類型がございますが、先ほど申し上げた口蹄疫あるいは豚熱、高病原性鳥インフルエンザなど二十八種類は家畜伝染病になっている。そして、牛伝染性リンパ腫、あるいは先ほど申し上げたランピースキン病など七十一種類が届出伝染病といった具合になっております。

 そこで、この類型はいつ頃決定されたのか、どのような趣旨で分けられたのか、この点について御説明いただきたいと思います。

安岡政府参考人 法的な整理について御説明をさせていただきます。

 家畜伝染病予防法上、第二条で定める家畜伝染病は、家畜の伝染性の疾病のうち、病性、発生状況、予防、治療法の有無、さらには畜産の情勢、経済的な影響などを勘案して、発生による蔓延を防止するために、殺処分を始めとした強力な措置を講ずる必要があるものを定めているものでございます。

 一方、もう一つの分類である届出伝染病、これは昭和四十六年の法改正で措置されたものでございます。家畜伝染病のように殺処分といったような強力な措置を講ずる必要はないものの、行政機関が早期に疾病の発生を把握し、被害を防止するのに必要な家畜伝染病に準ずる重要なものを定めているものでございます。

栗原委員 今説明のとおり、届出伝染病については、昭和四十六年に措置されている、そしてまた、御説明いただいたその趣旨に、家畜伝染病のように強力な措置を講ずる必要はないものの云々ということになります。私は、ここが実は非常に考えるところではないかというふうに思っているんです。

 今回のランピースキン病の発生した酪農の現場にも当時行ってまいりました。酪農は、もちろん、出産をさせて、そして搾乳する。出産したぬれ子は、通常は外に、市場に出すということです。しかし、これが実は出せない状況になった、止まってしまう。もちろん、搾乳した生乳についても、自主的に、風評被害とかを広げてはいかぬという思いで処理する。あるいは、ぬれ子は出せませんから、一貫して後継牛まで全部つくってやっているようなところはよろしいですが、そういうところではなくて、大体、F1でやっているとか、様々にありますから、出せないので、ずっとつないでいるんですね。

 やはり、家畜に対して、特に大動物はそうですけれども、愛情が湧くものであります、私のところは養豚でありましたが。この話を聞いたとき、非常に私はつらい思いを共有したんですが、生まれてくるぬれ子、出産を間近にしている、つないでいますから、餌代もかかるし、物すごく経費がかかる、もうつなぐところもない。そうしたときに、事故で生まれてくればいいけれどもと一瞬思った自分がつらいと生産者が言われていました。いわば、生き物を扱うというのはやはり心だと私は思うんです。

 そして、そのように、家畜伝染病であれ届出伝染病であれ、現場にあっては、動かせない、出せない、これは結局一緒なんですね。そこで、この発生時には、結局、届出であるゆえに、ここは法律に基づく支援や対応策が違ってきているというのが今の現実であります。

 今申し上げたように、家畜伝染病であろうと届出伝染病であろうと、現場の負担は変わらないわけであります。そして、先ほど一つちょっと触れましたが、人獣共通感染症ももう表れているような時代でありますし、伝染病に対しては、これから更に取組を進めなきゃいかぬと思っています。

 家畜伝染病予防法における疾病の在り方自体を検討すべき時期ではないかと思いますが、農林水産省のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

庄子大臣政務官 お答えをいたします。

 家畜伝染病予防法におけます疾病の位置づけということにつきましては、今委員お尋ねのとおりでございますけれども、疾病の発生状況、あるいは今の治療法の技術の進展といったことも踏まえまして、不断の見直しあるいは検討といったことを行っていく必要があるだろうというふうに思っております。

 恐らく、直近では平成二十三年に見直しも一度行っていると記憶をしておりますが、その上で、今御指摘のランピースキン病ですけれども、昨年十一月の発生の初動におきまして、一部、発生農家の皆様の中で自主淘汰に応じていただけないというケースがございまして、地域的な蔓延を招いたということがございました。

 そうしたことを踏まえまして、今後の蔓延防止という観点からどのような措置が必要なのか、例えば殺処分の命令といったことも含めて、不断の検討ということを行っていく必要があるというふうに農水省としても認識をしております。

 また、今お話しのように、人獣共通の感染症につきましてですが、これまでも、法におけます疾病の位置づけの検討の際は、人への影響も基準の一つとしていたところでございます。例えばBSE、狂犬病といったことですね。

 引き続き、適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。

栗原委員 是非、先ほど申し上げたように、現場がどうなるかということをよくよく踏まえていただいて、検討を進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、続いて、米について質問をしたいと思っています。

 昨年に食料・農業・農村基本法が制定されて、現在はそれに基づく基本計画の策定作業に入っているところでありますが、水田農業、水田政策について、令和九年度に向けて、現行、水活による支援策の根本的な見直し検討を開始するということで、大臣も表明されて、作業を進めていただいているところでありますが、事米は主食であります。そして、自給可能なものであると思っています。

 また、食料自給力、供給力も含めて上げていくには、麦や大豆の生産をしっかり拡大していくということも大事ですし、とりわけ二毛作地帯であれば、水田をやっている方が麦、大豆をやりますので、水田がなくなればそっちもできなくなるというのが米だというふうに私は考えています。

 そして、そのときに、地域をまた守っていく中で、集落営農や様々に展開をされていますが、これも維持していくということで考えれば、産地交付金というのが今ありますが、これも引き続きしっかりとした予算を確保して、水田の維持、また、生産力向上に充てていくということが必要だと思っておりまして、このことは意見としてまず申し上げさせていただきたい。

 そこで、米の流通のことでありますけれども、米の流通はWTOが批准された後、世界に入って、流通の形態が様々に変化して、多様化してきたというふうに思っています。

 そして、今、米の価格については、御案内のとおり、非常に高騰をしているような状況になっています。ここは、考えるところは幾つかあると思うんですが、今の米の価格は、これまで生産者売渡価格あるいは一次集荷団体から卸の価格、ここはコスト見合いが乗せられなかったわけで、コスト割れしてやっていたところに、今、米が上がってきた。このことは一つ、ある程度よかったと私は思っています。

 ところが、心配なのは、スポット買いと言われているような、これまで米の流通や集荷に関わってきていない方が米を売買をするということが見られているという点でございます。

 これは非常に複雑な思いであります。消費者価格が高騰していること、そしてまた、不足感もある。先ほど申し上げたような、生産者価格はやはりもうちょっと維持して、上げていかないといけない。非常に複雑な中でありますけれども、備蓄米の一部放出の決断をされたというのは、そのような複雑な中での決断でありますから、この点について、江藤大臣の決断は本当にどれぐらいのものかと察するところであります。

 そして今、心配しているのは、報道でちょっと見たんですが、そういったスポット買いとか、今まで手を出したことがないような方々が米を買って、それを保管している絵が出てきたんですね。軽トラが止まっているような普通の倉庫に米の袋が平積みしてあるんです。これを見て、私はどきっといたしました。

 つまりは、米を集荷して、水分調整も含めて調製して、そして流通に回していって、安全、安心なものを提供するというのが私は米の生産、流通の世界だと思っているんですが、あの絵を見まして、平成二十年だったと思いますけれども、事故米の問題が発生したときのことを思い返したんです。

 当時の農林水産大臣は故人となられました太田誠一農林大臣で、私はその秘書をずっと、当時もやっておりましたので、鮮明に覚えています。大変なことになりました。一民間事業者のことで事故米が発生したことによって、米に対する信用自体が本当に危うくなるような状況になったんですね。

 そのことを思い返すと、今、米の流通は、本当に適正に管理されなければならないんだと思っています。スポット買いされる米の中にこのようなことが起こってはいけない。平積みされた、普通に置かれている米を見たときに、本当にこれは心配になったわけであります。

 そこで、現在の米の流通に対しては届出制になっております。米の届出制については、年間二十精米トン、二十トン以上の米を販売する方は届出をするということになっていますが、先ほど申し上げたように、届出をしていない事業者、業者が、そういった米管理が本当にできているのか。かつての事故米みたいなことが起きては、せっかく今頑張って、これから価格も上げていこう、生産も拡大していこうということに大変な影響があるというふうに思っています。

 そこで、消費者に安心して米をこれからも購入していただける環境をつくるために、届出の二十トンという基準、これを下げていくということも検討して、関わられる方々はその責任を持ってもらわなければなりませんし、事故が起こらないような、その抑止にも私はつながると思うんですが、この点について江藤大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 昨日はありがとうございました。地元の方をお連れいただいて、現場の声を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

 まさに、今回は様々なイレギュラーなことが起こっております。スポットが全て不適切な管理をしている業者とは限りませんが、しかし、テレビ等を見ると、玄関に積んであるとか。私もお米をいただきますが、お米をいただいたら、家の中の冷暗なところ、いわゆる食品庫にすぐ持っていきます、いただいた瞬間に。それでもなかなか保管を完璧にするのは難しいです。

 コクゾウムシが湧いたら、中はすかすかですから、お水に入れたらぷうっと浮かんでしまうような米になってしまうので、こんなものをほかの米と混ぜてブレンド米で出されたら、消費者の方々は、炊くときに水を入れたら米がうわっと浮いてきて、何だこれはということになって、まさに米への信頼が失われてしまうという事態になりかねない、大変な事態だと私も思っております。

 委員御指摘の米の衛生管理につきましては、食品衛生法がございます。これについては、米を仕入れて販売する全ての業者、その量にかかわらず、保健所への届出が必要です。HACCPに沿ったものが必要であります。ですから、衛生管理がちゃんとできていないということであれば、保健所がこれについては撤去を命じるとか、そういうことはできますが、しかし、ポリシーメイキングというのは、できるだけ多くのエビデンスを基に政策は展開されるべきものだということを今回の事案で私も痛切に感じています。

 ですから、二十精米トンを例えば半分の十精米トンにするということになると、それだけマンパワーも要るということでありますから、なかなか大変ではありますが、しかし、今回の御指摘をいただいて、ちょっと考えてみようと思います。やはり消費者の方々の信頼を失って米離れが起こってしまったら、これはまたとんでもない被害が消費者の方々にも生産者の方々にも及ぶことでありますので、その精度を上げていく努力はできればしたいと考えております。

栗原委員 大臣、ありがとうございました。これまで様々に苦しい局面で英断を重ねてこられた大臣でありますので、是非この点についても前向きに検討を進めていただきますことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、岩手県大船渡市の山林火災の被害に遭われました皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、犠牲となられた方に心から哀悼の意を表したいというふうに思います。

 今回の火災では、山林だけではなく、漁業者の方々も被害を受けたということであります。東日本大震災の被災地でありました。

 昨日の三・一一、三月十一日、私は地元の福島県の東日本大震災追悼復興祈念式に出席をさせていただきまして、笹川副大臣にも御参列いただいたところであります。丸十四年でありますけれども、こうして、東日本大震災の被災地では、二重の災害、あるいは三重の災害、四重かもしれませんけれども、様々な災害を受けて、また、本当の意味での真の復興再生というのはまだまだ先になっていくんだというふうに思います。

 そこで、今回、改めて、岩手県の問題もありましたけれども、岩手、宮城、福島を中心といたしました東日本大震災原発事故からの第一次産業の再生に向けて継続的な支援が必要となっているだろうというふうに思います。今申し上げました二重三重の災害が発生した場でも、更なる支援をしっかりとしていかなくてはいけません。大臣の御所見を伺いたい、そして御決意を伺いたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 三月十一日は、実は私の妻の誕生日でございまして、十四年前から、お祝いはしたいんだけれども、余り、お祝いをしていいんだろうかというふうに思うようになって。

 私も、今年を含めて二回参りました。大変復興は遂げられたと思います。遂げられたと思いますが、まず、なかなか人が戻っていない。そして、まだ帰還困難区域も多くあって、本当に草がむしてしまっているような建物もたくさんある。ですから、非常に近代的になって新しい姿を見せている場面と、本当に時間が止まってしまっているような場面とが混在している地域だと思います。

 特に、今回の大船渡については、今朝もまたうちの妻が言っておりました、本当に本当に気の毒だと。被災した上に、また家を何とか頑張って建て替えて、漁業も再生して、そして頑張ろうという矢先にまた全部失ってしまう、でもそこでまた頑張らなきゃいけない。しっかりやってねと、私の妻からもそういうふうな言葉を言われました。ですから、やはり、そういう御苦労されている方々に、一〇〇%というわけにはいかないかもしれませんが、全力を尽くしたいと思っています。

 そして、何度も申し上げておりますが、これだけの被災を受けたところが、いわゆる原状復旧ではなくて、未来志向の、今よりも機能が向上するような、そういう復興復旧になるようなことに取り組めればいいなと。もっと言えば、農業も漁業も、林業はちょっとなかなか難しい部分がありますが、モデル的な地区になれるようなことができないか、工夫をさせていただきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 温かいお言葉もいただきましたけれども、大船渡市の山林火災、本当に面積的にも大変な被害状況でありますので、今おっしゃっていただきましたように、森林の再生というのは大変難しいことにもなっていくわけですけれども、今の段階ではもちろん生活再建が一番でありますので、その次に、とにかく環境整備と、そしてまた、なりわいをしっかりと再生しなくてはいけないというふうに思っております。

 今大臣がおっしゃっていただいたことでとても重要なことは、原状回復ということの復旧じゃなくて、しっかりと未来、明るい未来をしっかりと見ることができるような復興を目指すということだというふうに思います。そういった意味では、今回、土地改良法改正案もありますけれども、そこも、多分、単なる原状回復じゃない、一つ、一歩進んだ形で整備できるような、そういう法律になっていかなくてはいけないというふうにも思っているところでもあります。

 是非、東日本大震災原発事故からの再生に向けた道のり、見守り続けていただき、そして支援を是非政府としてしっかりと続けていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。このところ、永田町では大変風化が進んでいるような気がしておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に参りますが、農水大臣に申入れをいたしました、高病原性鳥インフルエンザ対策でございます。

 先ほど少し家畜伝染病のお話があったところでありますけれども、これは、一月だけで、全国で高病原性鳥インフルエンザによる約五百四十万羽の鳥が殺処分されたということもありまして、これは過去最悪の状況になっていくわけです。ですので、これは私たち、もう待ったなしだというふうに思いまして、立憲民主党として、高病原性鳥インフルエンザ等対策本部、これを小川淳也幹事長を中心といたしまして立ち上げさせていただきまして、大臣宛てに申入れをさせていただきました。

 この申入れの日には、笹川副大臣、御対応いただきまして、ありがとうございました。

 この内容としては、もう恐らく申入れ書も読んでいただいていることだというふうに思いますけれども、私たちとしては、やはりしっかりと防疫的な措置をする、あわせて、生産、流通、経営支援をしっかりやっていく、そして、様々な国民生活の不安払拭に向けていろいろな対策に取り組んでいただきたい、そういうことでありまして、特に、やはり研究をしていくということ、これは重要な課題になってきているかなというふうに思います。

 何度も何度も、農水省の指示どおりに動いていたとしても、またどうしても発生してしまう家畜伝染病がある。特に鳥インフルエンザ、本当になかなかこれは予防、防止ができないという状況にありますので、そのことも含めまして、大臣は、実は今回の大臣所信の中で、冒頭、この鳥インフルエンザについて触れていただいているんですね。ということであれば、強い信念を持って、よほどの決意を持って取り組んでいかれるという、そんな思いがおありかなと思いましたので、改めて質問させていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 鳥インフルエンザに限らず、家畜伝染病についてはやはり、口蹄疫を経験しておりますので、強い思いがあります。

 あのときのまさに、電話がかかってきて、死のうと思うと。自分のところで口蹄疫を出したばかりに、周りに迷惑をかけて、もう生きてはおられぬので、今から首をくくろうと思うというような電話がかかってきて、慌てて車を走らせたりとか、様々な経験をいたしました。ですから、こういう家畜の伝染病については強い思いを持っております。そして、まさに、その地域全体から火が消えてしまう、地域が壊滅してしまうというような姿を見ました。ですから、こういうことについてはしっかりやらせていただきたいと思っております。

 五十一例、九百三十二万羽です、今のところ。大変現場は頑張ってくれました。一月いっぱいでは、どうなることかと思いました。このままでは過去最高を更新してしまうんじゃないかと思いました。しかし、二月は無事に切り抜けてくれました。これはどれだけ現場が頑張ってくれたかということの証左だと思っております。現場の方々の御努力には、本当にありがたいと思っております。

 早期通報もしっかりしていただきました。空振りでもいいから通報してくれ、迷惑がかかるから、空振りかもしれないなと思っても、通報してくれと。本当に、通報数も確実に増えました。

 そして、御党からも笹川副大臣のところに申し入れいただきました。しっかり読ませていただきました。重なるところがほとんど、大部分です。ただ、例えば県職員の人件費についてちょっと見てくれとか、ちょっとなかなか難しいところはありますが、しかし、大きな方針については合うところが、ほぼほぼ合っていると思います。まさに、蔓延の防止、生産者の支援、これは大事です。

 それから、研究も大事です。一生懸命これまでも感染経路も含めて研究してきたんですが、なかなかこれが解明できないところがあって、今回は、じんあい、いわゆる乾燥によるほこりみたいなやつ、あれで運ばれてきたんじゃないかという新たな知見もあります。それによって、不織布を張ってみたら有効であった、じんあい、ほこりが入ってこないようにしたら、その農場だけ、近くにあったのに入らなかった、そういう知見も得られましたので、研究についてはしっかりやらせていただきたいと思います。

 経営再開につきましては、もちろん、手当金、殺処分したら評価額の全額ということは基本でありますけれども、しかし、手当金が出るまでの時間がかかりますので、この度は、ALICの資金によってクイック融資をすることにしました。ですから、手当金が出るまでの間、非常にやはり、人は雇い続けなければなりませんし、お金はかかるわけでありますから、その間の資金については、これは四月から活用が可能になりますので、是非クイック融資を使っていただきたいと思います。

 様々な研究、それから家畜伝染予防法の不断の見直しも含めて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 人件費、殺処分等に対応しなくてはいけなかった皆さんの部分とかは、実は私たち、この申入れをする前に、九百三十三万羽という、これが対象になったということですけれども、三分の一ぐらいが千葉県で発生したということでもありましたので、千葉県知事に面談をしてまいりまして、そのときに、このような要望を受けてきています。

 もちろん、農水省にだけではなくて、きちんとほかの省庁にもこれは申入れしなくてはいけない内容でもありまして、つまりは、政府としては、鳥インフルエンザの対策というものをしていただいているという会議体があるわけですが、我々の対策本部も、農水だけではありません、もちろん関係省庁一緒になって対策本部を立ち上げているわけですけれども、そういったところから、まずは、この産業をとにかく支えるためにも、農水大臣から関係省庁に対して、必要に応じて、是非、後押しをするための言葉を発していただければありがたいなというふうに思っています。こういうニーズがあるということと、それから、またさらには、やはり養鶏業者だけではなくて、関連したところに対する支援も必要ということでありました。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。ありがとうございます。

 次に参ります。

 食料・農業・農村基本法の改正を受けて、今、計画が策定されているということでありまして、この作業が大詰めを迎えているのではないかというふうに思います。こちらの方も、私たち、二月二十八日、これは大臣に御対応いただきましたけれども、食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項として、江藤大臣御自身に申入れをさせていただきました。三十三項目です。そのときも、絞りに絞って三十三項目ということを申し上げさせていただきました。

 ここでは全てを説明することはちょっと時間的に難しいのですけれども、私たちの項目といいますと、主なものは、新たな直接支払い制度の実施、そして食料自給率を向上させることの明確化、水田政策見直し後の支援の継続、国産種子の開発普及、総合的な新規就農対策の体系化、そして農業に従事する者への人権への配慮、備蓄食料に係る施策の整理、食料安全保障における安全面の明確化、適正な価格形成の明確化、農村振興の意義の明確化、自然災害への対応、予算の確保、全体構成の見直しとして、農業の持続的発展の位置づけの明確化ということを申し入れさせていただきました。

 そのときに、大臣、ありがたいことに、目指すべき方向性に大差はない、方法論については各党考え方が違うが、尊重されるべき内容はたくさん含まれているなどと発言くださいました。ありがたい言葉でした。

 この日、他党の方々も申入れをされておられまして、その申入れもとても重要なことだというふうに思いますけれども、期間的な猶予はもう限られているというふうに思いますが、私たちのこの申入れをどのようなプロセスで御検討いただいているのか。そして、この中から、やはり今回の基本計画に取り入れる、そのような内容があるのかないのか。今検討中だというふうに思いますけれども、大臣の御所見をいただければというふうに思います。お願いいたします。

江藤国務大臣 まず申し上げたいことは、しっかり読ませていただきました。しっかり読ませていただきました。ほかの党のものもしっかり読ませていただいて、そして、宮下一郎調査会長とも連携を取らせていただいております。やはり、私も前調査会長ですから、党との考え方もしっかりすり合わせる必要があります。立憲さんや他党の話ばかり聞いて自分の所属する政党の話を聞かないということは非常にまずいので、それはさせていただいております。

 この三十三項目のうちどれぐらいあるのかということは申し上げませんが、当然取り入れられる部分はあります、当然あります。ただ、ありますが、予算を伴うものとか法律に伴うものとか、様々ありますので、もう少し検討する必要があるなというふうに思っております。ですから、審議会もありまして、企画部会において御議論いただいておりますので、御党の申入れは当然参考にさせていただいております。リップサービスで申し上げたわけではありません。

 これから五年間の構造改革の集中期間とする大事な時期ですから、多方面からの御意見をしっかり取り込んで基本計画を作ることがとても大事だと思っています。これは安定多数を失ったから言っているということではなくて、これから先の農政を考える上ではそういった姿勢はとても大事なことだと思っておりますので、まだ、三十三項目のうち幾つが採用可能かということは申し上げませんけれども、できる限り、御党も御理解がいただけるように、他党においても納得をいただけるような線を、与党ともすり合わせをしながら、それから企画部会の皆さん方の御議論も反映しながら、決めていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 もちろん、私たちも他党の方々とやり取りをしながら、更にバージョンアップした形での申入れをするのかどうか、といってももう時間はありませんから、そこまではいかないというふうに思いますけれども、様々な協議は必要かなというふうに思っていますし、もちろん、この委員会の中でも、しっかりとこの基本計画についての審議の時間を設けていただくということだというふうに思いますので、その際に、できるだけまとまった形で、同じ考えで私たちは動いている部分がたくさんあるというふうに思いますので、最終的にいい計画が作られればいいなというふうに思っています。

 宮下一郎与党農林水産のトップ、今ちょっと退席されていらっしゃるようでありますけれども、いろいろとやり取りはするのだというふうに思いますけれども、是非、入れ込めるものは全部入れ込んでいただきたい、そういうふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。これはまた基本計画についての審議の場でなされる議論だというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 これも大臣の所信表明の中でおっしゃっていただいていることなんですけれども、農業生産活動を継続していくためには、農業、農村の基盤整備が欠かせないというふうにおっしゃっていらっしゃいます。しかし、農村人口の減少が進んでいる、こういう状況の中でありますので、農村でいかに人材確保をしていくかということがとても重要な課題になっているわけです。

 大臣は、農村を支える人材を確保し、活力ある農村を次世代に継承していくため、官民共創、農泊、六次産業化、農福連携、そして農村RMOの形成、中山間地域等における基盤整備や中山間地域等直接支払いを通じた支援、スマート農業技術の開発、実用化等を推進してまいりますというふうにおっしゃっておられます。

 農村人口をまずは増加させる、この施策、しっかりやっていただきたいというふうに思うんですが、改めて、どのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 極めてハードルの高い話だと思っています。

 私の選挙区には三つ、村があります。諸塚村、椎葉村、西米良村という三つの村を選挙区に持っておりますが、人口の減少率は少ないです。人口は減ってはおりますが、率でいうとそんなに高くないです。それは懸命に努力しています。やはり、地域の結びつき、そして助け合い、共助の気持ちが非常に強い。

 そういうことも大事ですが、やはり政策的には、土地改良の話もしましたが、これはやはり農地の生産性を上げる。例えば長崎なんかは、非常に急峻な農地ばかりですけれども、土地改良をやったことによって、農家の農業所得は確実に上がりました。ですから、中山間地域では土地改良は有効ではないというのは私は違うというふうに思っておりますし、農村RMO、これは、最初の何年間しか支援できないという欠点はありますけれども、しかし、こういうものでやはり支援していく。

 そして、農福連携もあり得るだろうと思いますし、そして二地域居住ですか、そういったことも、今の若者の中には、都会で暮らしながら、田舎にも、一定時間を過ごす、その心のゆとりを設けたい、そして農作業にも参加したいという若者が増えているというような調査もありますので、そういった若者をいかに取り入れるかという努力もしてみたいと思っております。経済面の支援と生活面の支援があるんだろうと思います。

 あとは、民間の企業等の参画も求めたいと思っています。民間の企業も、なかなか中山間地域で農業をやるというのは難しいかもしれませんが、私の地元でいうと、例えばヘベズという、カボスとはちょっと違うんですが、そういうのがあって、ヘベズなんかを中山間地域でやってみようという建設業者なんかも出てきました。大分、大規模にやってくれています。そういう人たちを応援するということもあったり、それから企業とのマッチングをしたり、何か一つをやればうまくいくということでは全くないと思います。

 いろいろなことを一生懸命やらないと、農村の人口を維持し、増やすというのはとてもハードルは高いと思いますが、しかし、これには取り組んでいかないと、その地域に人がいなくなった未来の日本がどんな日本なのかを考えると、ぞっとするんですよ。この地域、例えば椎葉村がなくなった日本、諸塚村が消えてしまった日本、西米良村がなくなった日本というのは決していい日本じゃないと思いますので、それは、産業政策というよりも地域政策として、内閣を挙げて私は取り組むべき課題であろうというふうに思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 内閣を挙げて、しっかり政府を挙げて取り組むべき課題だとおっしゃっていただいたんですが、そのとおりであって、食料・農業・農村基本法の議論をしているときに、先輩委員が、食料、農業、農村じゃなくて、農村が先じゃないかという議論、そういうお話をしてくださったこともありましたが、やはり、私たちのふるさとがなくなってしまったら農業は成り立たないわけですね。

 ですから、しっかりと農村を守っていくということをしていかなくてはいけないということで、大臣は今お触れにならなかったんですが、農村RMO、これは、どのような機能を持ち、そして、どのように農村をしっかりと守るという意味でプラスになっていっているのか、お伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 これは、令和八年度までに、農用地の保全に取り組む地域運営組織をつくるということで、百地区としておりますが、令和六年までに八十六地区できました。御存じのように、一千万円を三年間、これを支援をするということであります。それによって地域の自立を確立していただきたいということでありますので、これはリージョナル・マネジメント・オーガナイゼーションですから、地方をマネジメントするオーガナイゼーションをつくっていくということでありますので、こういう取組は私は有効だと思います。

 この三年間の三千万円の支援を是非活用していただいて、それでその先には自立していただく。もっと長く支援した方がいいんじゃないかとか、様々な御意見があることは分かっておりますが、とにかく伴走型の支援もしたいと思っております。

 この後は、当該の地方自治体が伴走型の支援をする、それから、JAなんかの組織が伴走型の支援をする、そして、農林水産省も、地方農政局も協力して、このRMOを立ち上げた事業体については伴走型の支援を続けていくことによって、これが無駄にならないように努力をしていけば、一定の効果は確実に得られるのではないかというふうに考えております。

金子(恵)委員 詳しくはおっしゃらなかったんですけれども、やはり、複数の集落の機能を補完していく、そういう意味合いがあるんだというふうに思うんですね。

 とにかく、コミュニティー機能の弱体化が懸念されている地域をいかに守っていくかということでこの農村RMOというものがあるということで、令和八年度までに農村RMOを百地区で形成するという目標に向けて、各種取組に対する支援を行い、農村RMOの形成を後押ししているというふうに聞いておりますけれども、そのことを含めて、今おっしゃっていただいた、モデル事業を三年間、その後もしっかりと支援というのはやはり継続していくべきだというふうに思います。いきなり、もう補助金も何もない、ばっさり三年間で切っていくということであれば、そこで生活している人たちとの連携とかそういうものが構築されつつあるところでありますので、簡単に切られてしまうと、今まで成り立っていた事業等ができなくなる、そういう可能性があるのではないかというふうに思います。

 伴走型の支援をするというようなことをおっしゃっていただきましたが、それは、例えばモデル事業が終わった後もずっと継続していく、どれぐらいの期間を継続して支援を行っていただけるのかも含めて教えていただけますか。

笹川副大臣 伴走型の支援が大変有意義だということは委員の御指摘のとおりであり、実は、地元の方に、本省の職員として私の秘書官が行かれたということでございますので、本人にとってもいい経験だったというふうに思っております。

 しかしまた、いずれにしても、制度的には三年間ということでありますが、先ほど大臣答弁の中でも、様々なプレーヤーがそれぞれの形の中で伴走していく、そして、それぞれの、農水省の様々な施策がほかにもございますから、それを有意義にまたつなげていく、そのことが大切だというふうに思いますので、期間というよりは、やはりそういった形の中で寄り添っていくことが大事じゃないのかなというふうに思っております。

金子(恵)委員 ということは、期間は決めていない、ニーズに合わせてしっかりと伴走型支援を続けていくというふうにも理解もできるというふうに思うんですが、いかがですか。

笹川副大臣 RMOのこの支援の三年間という手法は三年間という形の中でありますが、しかし、農水省としては、様々な形の地域の振興について、農政の振興についての制度、補助がありますから、そういったものをやはりきちっとつなげていく。そのことはどういうふうに工夫したらいいのかということについて、農政局も含めて、さらにはまた、本省は事あるときに手を差し伸べていく、それでつなげていく。そういうことに別に期限があるわけではありませんので、そういったことが大事ではないのかというふうに思います。

金子(恵)委員 期限はないということで、しっかりとこの農村RMOに対しての伴走支援を続けていっていただきたいというふうに思いますし、よくいろいろなところの資料を見ていくと、この伴走型支援が農水省から都道府県や全国団体への支援というようなイメージになってしまっているんですが、今の副大臣の御説明でありますと、直接その組織、地域の農村の組織にしっかりと直接的な支援をするというようなもので間違いないでしょうか。

笹川副大臣 直接というのがどういう意味合いなのかということだと思いますが、少なくとも、今も何度も申し上げておりますが、様々な施策を農水省も用意しておりますから、そういったものにどうつなげていくかというのは現場でもまだ分からない点もあるかもしれませんし、そういったところをどうつなげていくかというのは、やはり農政局も含めてそういった様々なプレーヤーもありますから、そういうところがみんなで連携をしていくということが大事だというふうに思います。

金子(恵)委員 副大臣に細かいところを御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 それで、この農村RMOの推進研究会というのがありますが、これは二月の十七日の日農新聞でも指摘されていました。「農村RMO研究会休止 農村政策後退させるな」という見出しの論説が記事になっておりました。実際には、担当者の方に聞きましたら、休止ではなく廃止ということですので、もうなくなってしまうわけですね。

 農林水産省が令和七年度から農村RMO推進研究会を廃止することを決めたその理由というのは何なんでしょうか。もうニーズはないんでしょうか。いろいろ聞いてみますと、事例発表とか基調講演が主であるフォーラムとか、自治体や農業者の方々が知識を習得する中央研修会が継続されるということなので、それで十分じゃないかというようなお話なんですが、それでよろしいですか。

笹川副大臣 御指摘のとおりでありまして、三年間の開催をさせていただきましたが、この三年間の中でそれぞれ、四年から始まっておりますので、事例も含めて手引を作成をすることができたという成果を得られたので、一つの区切りという形の中で、今委員の御指摘ということだというふうに、廃止ということになりました。

 ただ、一部の報道にありましたとおり、現場に戸惑いがあったということになると、やはり、廃止に向けての手続、説明の仕方、このことについては反省すべき点はあったというふうに思います。

 ただ、これから農政局が推進フォーラムを開催をしてまいりますので、そういった中でそれぞれの全国の事例についてももちろん共有した形になるわけでありますし、また、何かありましたときには必ずまた本省の方も連携をしということでございますので、御理解賜れればというふうに思います。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 しっかりと連携を取っていただきたいというふうに思いますし、農村政策を後退させないようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 農村の中で、やはり問題になっている鳥獣被害対策であります。

 これは会計検査院の改善処置要求が昨年十月にありましたが、これは、会計検査院から改善の処置を要求され、それを受けて、しっかり改善されているのかどうか。そして、今後やはりしっかりとこの鳥獣害対策を進めるべきですけれども、御所見を伺いたいと思います。

笹川副大臣 会計検査院の御指摘はしっかりと真摯に受け止めていかなきゃなりません。また、調査方法についても、やはり分かりやすくしていくことはこれは大切だというふうに思います。

 ただ、鳥獣被害につきましては、先ほど大臣答弁もありましたけれども、やはり農家の方にとっても非常に心が折れるということでありますので、いずれにいたしましても、会計検査院の御理解も得られるように、改善すべき点は改善していく、しかし、鳥獣対策についてもこれからもしっかりと全力で取り組んでまいりたいと思います。

金子(恵)委員 是非よろしくお願いいたします。

 また、農村の中で、先ほど少しお触れになっていらっしゃいましたけれども、土地改良事業等がありますが、これが農村の中でやはり農業生産の向上につながってきたんだ、農業生産の基盤整備は本当に重要なんだということであろうと思います。

 しかしながら、残念ながらここまで農業水利施設等は老朽化してしまったということで、今回の、先ほども申し上げましたけれども土地改良法の改正、しっかりと審議をしていかなくてはいけないというふうに思っていますが、これまでの土地改良事業等の評価と課題ということについて、どのような御認識を持っているのか、お伺いしたいと思います。

笹川副大臣 全体で七割ぐらい、小規模な土地改良区ということでありますので、人的なものも含めて、なかなか十分な運営基盤を有していないということでございます。

 また、土地改良区の運営基盤の強化を図るための、複式簿記の導入、経営改善や、合併を始めとした再編整備を進め、毎年十地区から二十地区程度の合併が行われているので、一土地改良区当たりの面積の増加が図られるなど、一定の成果は上がっているという認識です。

金子(恵)委員 農村でこの土地改良区の話をすると、本当に実はいろいろな課題が出てくるんですよ。人手不足、まずは、人がいない中でこの土地改良区をいかに守っていくかということであります。

 そういったところで、今回の法案審議の中でも、多分本当の現場の声を聞きながら改正しなくてはいけないというふうにも思っていますので、しっかりと私たちもそのつもりで臨んでいきたいというふうに思っています。評価は、いい評価というようなことでいただきましたけれども、でも、まだまだ、ここまで老朽化が進み、そしてまた災害対応をしっかりとやらなくてはいけませんので、そのことも含めて、また法案審議の際によろしくお願いしたいと思います。

 最後になります。

 トランプ米大統領が施政方針演説で言われた、海外産農産物の関税を引き上げる方針であります。

 相互関税というものの対象に日本もなっていくかどうかということは、仮定の質問になってしまうかもしれませんけれども、是非お答えいただきたいのは、実際に、二〇二四年の日本の農林水産物・食品の対米輸出額は二千五百二十九億円で、国、地域別トップなんです。ですから、もしこれが本当に起こってしまったら大変な状況なんです。大臣、いかがですか。

江藤国務大臣 おっしゃっていただいたように仮定でございますから、トランプさんがいろいろ考えているんでしょうが、日本が対象になるべきでないというふうにまず考えております。そして、必要な国境措置、これは維持することは基本であります。どうするかは向こうの出方次第なので、今、どうこうということは答えられませんが、一番の輸出国であり輸入国でもあるわけですから、輸入もしているという立場でもありますので、事の情勢については慎重に見極めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、小山展弘君。

小山(展)委員 静岡県中東遠地域出身の衆議院議員小山展弘です。

 早速質問させていただきたいと思います。

 基幹的農業従事者数が二〇〇〇年の二百四十万人から二〇二二年には百二十三万人まで減少し、今後、団塊の世代のリタイアとかそういったこともありまして、二〇四二年頃には三十万人になるんじゃないか、こういう見込みもございます。金子委員の先ほどの質問の中にも同様の趣旨のことがあったかもしれませんけれども。

 一方で、今、大規模化というようなお話もございましたが、大規模な農家さん、私がいろいろお話をした方はお米農家さんで、しかも、農協の役員さんなんかもやっていらっしゃって、それこそ自民党さんの役なんかもやっているような、地元の名士ですね、そういった方でも、お子さんが農業は継いでくださっているんですけれども、じゃ、お孫さんはどうかというと、一般企業に就職して得られる収入と同じぐらいの収入は最低でもなければ、あるいは、企業に勤めた場合と比べて社会保険なんかのメリットもありませんものですから、なかなか、孫には農家を継がせようかどうか迷っちゃう、継がせられない、そういう声も実は聞かれております。

 農家の収入を増やす、安定して収入を得られる保証がなければ、なかなか、離農者、下げ止まらないんじゃないか、そのようにも考えるわけですけれども、国は、どのようにこの離農を食い止めて、また、どうやって食料生産量を維持する方針でありますでしょうか。

江藤国務大臣 大変難しい課題だと思っています。ただ、収入の補償というところまで踏み込むと、これはなかなか政治の範疇を超えるんだろうと思います、補償ですから。

 しかし、将来の収入の予見性、必ず、農業という職業を選択したら、自分は家族を持って、そして子供二人、三人はしっかり大学に行かすことができて、そして、同級生でそれなりの会社に勤めている、役場に勤めている仲間と比較して自分の生活水準は決して劣っているものではないというような未来が想像できるような農業の産業構造にしていくことが大事なんだろうと思っています。

 私は、地元の若い人と話すときに、確かに基幹的農業従事者は減っていくかもしれないけれども、これは、残った人間がどれほど感謝され、どれほど大きな仕事をするかも考えてほしいと。日本の人口は確かに減りますが、世界の人口は爆発的に増えて、食品産業もはるかに今よりもマーケットは大きく拡大をしていきます。そのときに、作る人が少なくなったときに、じゃ、今の農産物のプライスがどうなっているのか、そしてその人たちの社会的地位がどれほどのものの、今と比較して変わっているのかを私は想像してほしいと思うんですよ。

 作る人が減れば、その人は尊重されるはずですが、減ることが是と言っているのではありません、減らない努力をするために魅力を上げていきたいと思っておりますが、委員の気持ちはよく分かります。やはり、魅力のある産業でなければ、収入が保証されなければ、自分の人生を懸けるということは、ましてや自分のかわいい、私も孫がおります、かわいい孫にこの道をということをなかなか勧められない、分かりますけれども、大事なことは、農業というものがやはり稼げる、そして所得が確保できる、そして家族を養っていける、そして夢が持てる、そういう産業にするために総合的に施策を展開したいなというふうに考えております。

小山(展)委員 おっしゃるところも大変共感するところも多うございますし、多分、私がいろいろお話しする限りですと、先がとても夢があるとか、どんどん所得が上がっていくまでいかなくても、ぼちぼちやっていければいいと。でも、なかなかそれが、これから、大臣おっしゃったとおり、基幹的農業従事者の方が減っていって、食料も今価格も上がって、食料生産していただいていることが大変すばらしい役割を果たしているんだという評価がやはり出てくるようになれば、また変わってくるかと思いますけれども、ただ、足下のところではなかなかそこまでいっていない。

 ちょっと余談で、これは話すつもりもなかったんですけれども、去年、農水委員会のときに、去年は農水委員じゃなかったものですから、出張して質問させていただいたときに、江戸時代から続く農家さんが農地をどんどん借り受けて、まさに今おっしゃられたとおり、プライドを持って、また御本人、思いも持って、米の、その方も米農家ですけれども、やってきた。

 ところが、そこを開発したいと、農振地域ですけれども、道路を通して。そうなると、農地所有者の方々が、あなた方が反対しているから、だから開発できないじゃないか、こういうような信じられないような話があって、ちょっとそこから先は言い難いところもあるんですけれども、非常に苦しんでおられるというようなところで、当時の静岡県知事の川勝知事が、これはいい話なんです、プライドを持って農業をやっている人の思いを傷つけたらいけない、開発も大事だけれども、だけれども、こういった農家の方々にもちゃんと理解をもらってきなさい、こういう指示を出して、県の職員さんにも説明に行って、道路は私たちはいつまでも反対するわけにもいかないと。

 ただ、そういうことも起きておりまして、やはりこういった、大臣がおっしゃるようなところにいくことも大事ですし、やはりどうやって、農業、食料を生産していただいているということが大事な役割を果たしているかということを、やはり国民的な理解を深めていく。その意味では、国民皆農なんて私の先輩の農中総研の蔦谷栄一先輩は言っておりますけれども、そういった何らかの形で国民がみんな農業に関わっていくというようなことも、これは生産を上げていくということも含めて、大事なことかなとも思っております。

 それと、今、金子委員の話の中でもありましたけれども、基幹的農業従事者が減少しても、スマート技術、あるいは今の大臣のお話にもあった大規模化ということで生産性を向上させられるんじゃないかということは農水省の職員さんからも伺っておりますけれども、ただ、このAIとかスマート農業、機械化を更に進めるというのは非常に設備投資もかかるわけですね。そうしますと、設備投資をしても、設備投資をしたものが回収をできない、だからなかなか導入をためらうんだ、こういうような声も聞かれます。

 あるいはまた、家族経営の場合には規模拡大にも一定のところでやはり限界がありますし、それか法人になって、人手不足の今日、人件費も上がって、あるいは最低賃金も上がってきて、社会保険料も払わなきゃいけない、かつ、固定資産税などの税金を支払う資産効率も生まれなければなかなか規模拡大できない、そういう認識の農家さんもいらっしゃいます。

 今後、人口減少で必要な食料生産量が減少するということを織り込んでも、なかなか、スマート化、あるいは機械化、DX化、あるいは規模拡大で十分に国民の食料需要を満たすことについては、やはり基幹的農業従事者が減っていくと懸念があるんじゃないか、そう思うわけですけれども、政府の認識はいかがでしょうか。

笹川副大臣 私の選挙区も、群馬県で、私はどちらかといえば関東平野の一番とば口の平地なんですよ。中山間地も、ここはやはり豪雪地帯でもあり、私たちのところは雪は降りません。同じ群馬県でもそれぐらい条件が違うわけでありますので、確かに、スマート農業、AIと言われるものは、決して私は万能ではないというふうに思っておりますし、多分、委員の御地元も茶畑でございますよね。ですので、やはり、このスマート農業の話をしたときに、私自身も中山間地の県内の農業者と話をしても、なかなかぴんとこないよねという声は聞きます。

 ということになると、やはり作目別にどう技術的なものを開発していくのかということも大切なことだと思うし、同時にまた、先日も大臣と一緒に福島にお伺いしたときのキャベツの自動収穫機と呼ばれるものは、たしか五千万とかというようなお値段の話をしておりました。ただ、これもまだ試作の段階だろうというので、量産効果の出るような形にするためにはどういうふうな形で全国的に配備をできるのかということも出てくるだろうし、そういったことで、やはりコスト的にも、導入コストについても貢献をしなきゃならない。それから、省人化、省力化についても貢献をしていかなきゃならない。これはやはり、メーカーさんにもよくその辺のところを指摘しつつ、開発というものを進めていくことが大事だろうというふうに思います。

 やはり、今の現状の技術あるいは効果の発揮という意味では導入をしていくということも大事だというふうに思いますので、やはりそういったところの配慮をしつつ、先ほど大臣からありました稼げる所得を確保するということに貢献をしていく、それがやはりスマート農業の前提ということにはなるんじゃないかと思います。

小山(展)委員 離農をどうやって食い止めていくかという視点もありまして、その前に、御党の森山裕幹事長が中国に視察に行ったときに、大変なスマート農業の、ほとんど無人で生産しているところを視察をされたということで伺っておりまして、こういった他国の進んだ事例というのも大いに参考にしていく必要があろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、今の農家さんが導入するというと、非常に設備投資の回収に不安、懸念があるというようなところもありますので、そうするとなかなか離農が止まっていかないというようなこともあろうかと思います。

 ですので、先ほど大臣は、ちょっとなかなか収入あるいは所得の補償というところは難しいというお話がありましたけれども、私はやはり、ぼちぼちやっていける、少なくとも収入が減少はしていかない、一定程度、物価と同じぐらいの水準でいけるんじゃないか、こういう見通しを持つ上では、是非、やはり超党派で、所得補償やあるいは直接支払い、もう名前とかメンツとかそういったことはどうでもいいと思います。そして、手柄とかということもどうでもいいと思います。是非、超党派でこういったことを、それぞれの党が意見を持ち寄って御検討いただければと。財務省の方からの予算措置といったところが大きなハードルになろうかと思いますけれども、是非、与党の先生方にも御理解賜れれば幸いと思っております。

 また、もう一つ、合理的価格形成もこの国会で審議をされるということになっておりますけれども、農家とパートナーシップを結ぶような流通業者にも更に政策的な支援をしていくということも、設備投資というところで考えれば必要なことではないかなと思っております。

 今、笹川副大臣からお茶のことを触れていただきまして、ありがとうございます。例えばお茶なんかですと、今、抹茶とか、抹茶のもとになる碾茶生産なんかは非常にニーズがあって、ただ、抹茶の、碾茶なんかで碾茶炉なんてやっているのは、実は農家というよりも茶商なんですね。茶商の方になると、これは農家ではないものですから、近代化資金の対象にはならない。

 だけれども、掛川市なんかでは、ちゃんと合理的価格形成に近づけるフェアトレードというものを結んだところは、これはやっていますよということで、茶商さんと農家さんと一緒に、フェアトレードで、適正価格でやっていますということを公表するようになって、金額も公表したらいいんじゃないかと思っているんですけれども、そこがまた基準になりますので。

 そういう、例えばフェアトレードをやるような茶商さん、あるいは流通業者さんに対しても近代化資金の対象にしていくとか、こういったこと、農業の関連産業にももう少し応援をする。ただ、それは自分たちのためだけというのじゃなくて、それは経産省の範囲になるでしょうから、ちゃんと農家と合理的価格形成をできるというところに、条件にやっていくとか、そういったことも是非御検討いただければいかがかと思っております。

 ところで、昨年の米の品薄、あるいは現在に至る米価格の高騰に至った原因について、これは様々なことが指摘をされております。

 農水省さんは当初、二〇二四年の、去年秋のお米の収穫の後には収束に向かうんじゃないかという予測を示していて、私もそう思っていたんですけれども、なかなかそこが高止まっておりまして、流通の目詰まりということでアナウンスをされております。

 ただ、今の米の価格が、一九九〇年代と比べるとそれほど、大体当時と同じぐらいであるとか、日本人の所得が減っているという事実も踏まえなければいけないということもあると思いますけれども、この流通の目詰まりの実態についてどのように把握をされていらっしゃいますでしょうか。

江藤国務大臣 この実態を正確に確保するということはなかなか難しいことであります。

 七月以降の動きを見ると、もう何度も申し上げましたけれども、作況は一〇一、十八万トン多い生産、そして、需要量が六百七十四万トンに対して、在庫を合わせても八百三十二万トンですから、八百三十二対六百七十四、まあ六百七十四が甘かったという指摘はありますけれども、これを比較しても、足りなくなるはずがない。これはそうなんですね。

 八千筆、全国で無作為に畑を選んで、その畑十アール当たり、三か所でしっかりサンプルを取って、作況も調べて、そして面積を掛けて数量を出しているわけですから、正確なはずなんですよ。今まで狂ったことはほぼありませんから。これは正確な数字であるはずなのに、昨年は、台風や、臨時情報等が出て、消費者の方々がたくさん買われた。一・五倍にまず価格は上がった。

 その後、消費者の方が、テレビが、マスコミが悪いとまでは言いませんが、テレビでがんがんそれが流れたら、更にスーパーの店頭から米が消えた。今は違いますよね、スーパーの店頭には米はありますから。それを見て、やはり、新しいいわゆるプレーヤーが、米いけるんじゃない、米を扱えばもうかるんじゃないということでマーケットに参入してきたというのは、やはりこれまでにないエビデンスだったんだろうと思います。

 ですから、米の流通実態の把握については、毎月、五千トン以上の人については、これは今までも、大規模集荷業者を中心に在庫調査をしておりましたけれども、さらに、生産者、それから小規模な集荷業者、そして卸業者についても、三百トン以上であればこれはちゃんと調査をしようということで、今、集計中であります。だんだん数字が集まってまいりました。三月下旬には公表ができるんじゃないかと思っておりますので、エビデンスに基づいてしかるべき対応をしていきたいと思っております。

小山(展)委員 西日本新聞の記事だったと思いますが、建設会社さんの倉庫から六百キログラムの米が見つかったと。多分、こういうような動きとか、あるいは、去年も、お米をふだんは一袋しか買わないけれども、価格が上がるんじゃないかと思って何袋も買ったら虫が湧いちゃって、どうしたらいいですかという問合せがあったとか、まさにいろいろなところで多分買い込みといったものが起きているんだろうと思います。

 また、去年の米の需要が七百五万トンで増えたというところの中には、お米が、この価格が上がる前、その時期には、パンとか麺とかに比べるとお米が割安というようなことで一定程度需要がちょっと下げ止まったところも、今またちょっと、価格が上がっていますので、需要の低下傾向というものがまた元のトレンドになっているかと思いますけれども、去年のあの価格が上がる前まではそういったこともちょっと、この円安の中で輸入物価が上がっていますので、あったのではないかなということも思っております。

 現在、流通業者の中では、在庫が少ないということで、夏から秋にかけて在庫がなくなることも懸念して米の確保に走っているというようなこともあろうかと思いますけれども、流通で投機的な動きが出ているということはあると思います。

 ただ、米は、よく言われるとおり、食品、価格弾力性が小さいということで、僅かな在庫の増減でも価格に大きく影響を与えるということも背景にあるのではないかと思っております。このことはちょっと後ほどもう一度お尋ねさせていただきたいと思いますが。

 その前に、令和六年から七年の米の需要見込み量を六百七十三万トンとしたこと、また前年比から三十二万トン減るわけですけれども、この需要量見込みとした根拠について御答弁いただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米の需要量につきましては、一人当たりの消費量の減少、また人口の減少ということで、トレンドといたしましては毎年十万トン程度の減少が続いてきたところでございます。そうした中で、令和五年七月から昨年の令和六年六月ですか、一年間の需要見通し、先ほど委員御指摘のあったようなことによって、当初の見通しを上回る七百五万トンということになったわけでございます。

 それで、その後の令和六年七月から今年の令和七年六月までの需要見通しでございますけれども、これは昨年の十月あるいは今年の一月にも食糧部会で二回ほど御議論させていただきました。というのは、最新のデータをもって御議論させていただきました。その中で、まず一つは、やはり一人当たりの消費量の減少、人口減少は当然続いております。そうした中で、足下を見ると、やはり価格が昨年から大きく上昇している、あるいは、最近の直近の大手卸の販売あるいはスーパーでの店頭、こういった販売量がやはり前年より減少しているということでございましたので、六百七十四万トンということで、トレンドをベースに需要の見通しとしたところでございます。

小山(展)委員 令和五年から六年にかけての需要は、当初の需要の見込みを二十五万トン上回りまして、実績の需要量を約四十四万トン上回る、先ほど申し上げました七百五万トンとなった。一方で、令和六年六月末の民間在庫は、令和五年六月末の在庫と比較して四十四万トン減少した。ほぼほぼここが一致するわけですね。ですから、民間在庫量の減少で需要を賄った事情が見えてくるんじゃないかなと思っております。

 令和六年に始まる米の、去年のこの価格高騰の部分は、先ほど申し上げました米の価格弾力性が小さいということで、民間在庫の減少の要因が大きいんじゃないかということを指摘する識者もおります。

 経験則では、直近十年の動きを見ていますと、六月末在庫が百八十万トンから二百万トン程度に収まると翌年産の米価が六十キロ一万五千円近辺を維持して、在庫がそれを超えると六十キログラム一万二千から一万三千円ぐらいまで下落をする。だから、どうも民間の流通業者は、百八十万から二百万トンぐらいの民間在庫量が適正ではないかと認識をしているという識者もおります。これはあくまで認識の話です。

 確かに、六月末百五十三万トンであると、大体一か月六十万トンと思うと、約二か月半の需要に相当しますので、九月半ばまではもつことはもつんですけれども、また、早場米の出荷が八月から始まって、九月から徐々に新米が出回るとしても、流通業者からするとこの在庫の逼迫感というのは相当あったんじゃないか、そういう中で集荷競争が過熱したといったことも推測されようかと思っております。

 この民間在庫の適正在庫量あるいは在庫についての指標について、国はどのように認識しておりますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米の需給見通しなり、こういったものにつきましては、食料・農業・農村審議会食糧部会で、専門家の方々の御意見もいただきながら作成してきたところでございます。

 それで、先ほど、在庫量のお話がございました。現在、米の消費量というのは大きく減少してきている中で、在庫の状況で、量だけで着目していいのか、こういった議論もあったことでございますので、私ども、現在、需要量と在庫量の比率である在庫率というものを併せてお示ししながら公表もしているというところでございます。

 昨年の令和六年六月末の在庫量は百五十三万トンということでございます。在庫率から見ると二二%で、これは二十三年の六月、二十四年六月と同水準ということでございます。そういった中で、昨年、新米が出てくるわけなんですけれども、六年産の生産量というのは前年よりも十八万トン多いという中で、六百七十九万トンという中であったんですけれども、やはり新米の集荷競争ということが生じてきたんじゃないかというふうに考えております。

小山(展)委員 在庫率で見ていくということ、また、食糧部会などでも御議論をされていて、理屈としてはそのとおりだと思います。

 ただ、なかなか流通業者の方々が、年間十万トン需要が下がっているということに対しての感覚的な認識、この部分というのは、なかなか在庫率ということで皆さんお感じになっていないところもあって、そのことがやはり、認識によってこの集荷競争というものは生まれてくるので、ここは、在庫率だけを見ていた、理は通っているんですけれども、それが実際に米価の、価格をもう少し消費者のニーズに応えていこうという場合には、理は通っているんだけれども、それで実際に私たちがこうしようと思っている政策が実現できるかどうかというところは、もう少し御配慮が必要ではないかなと思っておりますし、先ほど申し上げましたとおり、円安基調というのは、私は、実質実効為替レートベースで見ればこれからも変わらないと思っております。日本の産業が相対的に低下しているからです。

 そうしますと、これからお米の値段が落ち着いてきたときに、やはりお米の方が割安じゃないかというようなことが起きてくる可能性はやはりあると思いますし、例の七百五万トンで下げ止まったということもまた起きかねないとも思いますので、是非ここは、在庫量の方も併せて、バッファーも含めて、お米の値段が安定的な価格になるように政策的配慮をお願いしたいと思います。

 また、令和七年産の主食生産量を六百八十三万トンとしたこと、前年比一〇二%増加とした根拠はどのようなものでしょうか。昨年のように猛暑となると、米の歩留りが悪くなって実際の収量が減少したり、あるいは、今くどく申し上げておりますが、価格弾力性が小さいということで、そういった少しの在庫の品薄が米価高騰にまたつながりかねないことも懸念されます。

 この六百八十三万トンの生産目標が適正な生産量、供給量であると考えられた根拠を答弁いただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申します。

 需給見通しの作成に当たりましては、生産だけではなくて、需要量でございますとか期首、期末の在庫量、こういったものも含めまして総合的に勘案して策定しているというところでございます。

 昨年、令和七年産に係る需給見通しというものを立てましたけれども、これにつきましては、まず、令和七年六月末の民間在庫量が百五十八万トン、令和七年七月から八年六月の需要量六百六十三万トンというのが見通される、こういった前提の中で、昨年の秋の段階で、まさに本年の七年産の営農計画の検討に着手する、農家がそういう段階であるときに、令和六年産の生産量六百八十三万トン、こういったものを同水準に置いた、この結果、令和八年六月末の在庫量が百七十八万トン、こういうふうになったわけでございます。

 そういった全体のものにつきまして食糧部会で御議論いただいて、なおかつ、今年の一月でも、最新のデータも踏まえまして、こういったものが妥当であるということで私ども見通しを立てております。

 なお、生産現場の実態につきましては、七年産につきましては、二十九の再生協議会が生産量の増加をするというような動きでございますので、少なくとも令和六年産よりも増産傾向というふうに考えております。

小山(展)委員 増産傾向というお話もありまして、そのことで少し、ほぼほぼ、前年比一〇二%ということで、米の生産量を増やすということですけれども、需要に見合った生産をしていくというこの根本的な姿勢で、それで価格が暴落しないようにしていこうということについて、最近、批判的な意見が出てきたり、いろいろ、様々な意見も出ております。

 例えば、鈴木宣弘教授は、米の生産を減らして市場価格を維持しよう、需要に見合った生産をして市場価格を維持しようということをしても、流通大手が非常に安く安く買おうということで、悪い言葉で言えば買いたたき、ですので、なかなか、水田活用の補助制度を利用して需要に応じた生産を目指しても、生産者の手取りに結びついていかないのではないかというような指摘もございます。

 あるいは、もっと極端な話ですと、こういった需要に見合った生産というものを目指さずに、たくさんお米を作ってそれを輸出に回せばいいと。ただ、これはちょっと幾ら何でも、そこまで米の内外価格差、半分に下がったり、あるいは三分の一に下がっても、ここを所得補償でやっていくんだといっても、これはなかなかちょっと難しいところがあるんじゃないかとも思っております。

 あるいは、鈴木教授は、備蓄に回すべきだというような意見もございますけれども、今後とも、農水省は需要に応じた生産を後押ししていく方針で臨むのか、その場合に、どのように農家の所得の確保、増加を図るのか、答弁いただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米の政策、平成三十年より、生産数量目標の配分というものを国が行わないような、そういう政策に移行いたしまして、それぞれの農業者、産地が需要に応じた生産を行うということが基本になっております。

 加えまして、現在、担い手が急激に減少していく、こういった構造の変化、こういったことへ対応するために、令和九年度から水田政策の見直しを行うということにしております。その中で、米につきましては、輸出を含め国内外の需要の拡大、あるいは、大区画化、スマート技術の活用、品種改良、こういったことで生産性を上げていくということにしております。

 加えまして、米の取引価格につきましては、国民の皆様に食料を持続的かつ安定的に供給していくために、生産から消費に至る食料システム全体で、費用を考慮した価格形成、こういったことで法案も提出させていただいているということでございます。

 こういったものをしっかりと使って取り組んでまいりたいと思っています。

小山(展)委員 最後に、水産のことを一つだけお尋ねしたいと思います。

 海洋環境の変化による不漁が続いておりまして、漁業者の苦境が続いております。これは、海水温の上昇によるいそ焼けのような状態が発生していて、資源管理というよりも、水産資源そのものがない、食べる魚が捕れないというような問題が起きております。

 水産庁は、資源管理の実施で水産資源は回復すると見込んでいるのか。あるいは、さらに、この環境の変化ですから、もう少し踏み込んで、藻場の再生を人工的に促進するとか、より積極的に生態系に働きかけるための施策も必要と考えられますけれども、政府はどのような対策を行っておりますでしょうか。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、海水温の上昇、海流の変化など海洋環境が変化する中で、様々な資源の変動が生じているという状況でございます。

 こうした変化の中におきましても、引き続き、人為的な要因による資源の影響を最小限にするためには、科学的な資源評価に基づく資源管理、これを取組を推進していくことが引き続き必要だというふうに考えているところでございます。

 他方で、こうした変化に対しましては、漁法や漁獲対象魚種の複合化ですとか、養殖業への転換、さらに、加工、流通においてもこうした魚種の変更への対応などが求められているというふうに承知をしております。農林水産省としても、新しい操業形態の構築に向けた実証的な取組の支援、あるいはそれを下支えをいたします漁業共済制度の改善、あるいは加工原料の転換や調達の多様化などの取組を後押しをしていくこととしているところでございます。

 さらに、御指摘の藻場や干潟の保全、こうした取組も、やはり沿岸漁場の生産力を回復させていく観点から大変重要だというふうに考えております。このため、海藻が着生しやすい基質の設置や、あるいは母藻の設置などを進めるとともに、藻場の保全活動の支援も含めて、ハード、ソフト一体的な取組を実施していくこととしているところでございます。

小山(展)委員 私の地元ではシラス漁のところがありますが、全然捕れなくて、なかなか遠州灘では、養殖をやろうといっても波が高くて難しいので、こういった資源回復といったことにも、できることをやっていただければと思います。

 以上で終わります。

御法川委員長 次に、石川香織君。

石川委員 立憲民主党の石川香織です。よろしくお願いいたします。

 まず、私もお米についてお伺いしますけれども、行方が分からないお米について最初にお伺いをさせていただきます。

 今日は資料をお配りしておりますが、農産物検査数量についてお伺いをします。

 玄米を精米する際の歩留りの目安、ここで一等米とか二等米とか区分されるんですけれども、全国にある登録機関と呼ばれる検査場で、全国で統一された規格に基づいて格付をしていくということで、この登録機関は主にJAとか集荷業者、卸業者などに置かれていますが、全国に一万七千機関ほどあるそうです。

 JAなどの大きな集荷業者にお米を出している生産者を中心にこの検査場を通ることになりますが、検査場を通過しないケースもあります。例えば、直売所で直接売るものであったり、親戚ですとか近所の方に配る、いわゆる縁故米と言われるもの、それから個別に取引したものなどは検査場を通さないケースがありますので、毎年一定数、生産量と検査場を通過した米の量にずれが出ます。

 契約を結んでしっかりお互いが納得をしていれば、検査場を通さずに売買するのは全く違法ではありません。しかし、問題は、検査場を通らない、いわば個々の小さい取引をしている割合が増えているという点。

 資料を御覧いただきたいと思います。左の表ですけれども、令和二年から六年までの生産量に対しての検査を通った比率が書かれていますが、令和二年から五年までは、生産量自体は徐々に減ってきていますが、検査比率が六二%ということです。しかし、令和六年は、検査比率が五九%となっていまして、令和五年の検査数量四百八万トンから四百二万トンと、豊作にもかかわらず六万トン減っているということであります。

 なぜ前年度と比べると令和六年産が検査を通らない米がここまで増えたのか、この要因をどのように分析されているか、お伺いします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和六年産の十二月末の農産物検査数量につきましては、前年に比べて六万トン減の四百二万トンということになっております。

 この要因といたしましては、聞き取りベースではございますけれども、検査現場からは、まず一つは、縁故米あるいは生産者が保有する、こういった米が増えているのではないか。あるいは、消費者などへ直接販売する、こういったものが増えているのではないかというようなことが指摘されているところでございます。

石川委員 今いろいろ説明いただきました。作況指数が一〇一を超えても検査数量が前年同期割れだった産地が十四県あるということもありまして、検査場を通過しないお米の割合が増えたということも含めて、積もり積もって二十一万トン行方が分からなくなってしまったというのが今回の米騒動の、皆さんが不安に感じる大きな問題点の一つではないかなと思っております。

 しかし、お米は主食ですので、先ほどから様々委員の皆さんから質問があったように、ほかの食物にはない、在庫とか流通の管理体制がしっかり取られている作物です。現在、二十トン以上の年間取引がある業者には、二十トン以上扱っていますよという届出が義務になっています。二十トンというと、規模的にはそんなに大きい規模ではなくて、届出業者だけでも七万業者いるそうなんですね。先ほどの栗原委員の質問で、届出義務を二十トンより引き下げる可能性について、大臣も、考えてみようという可能性について触れられたと思います。

 それからもう一つ、届出をしても、その後、いつ、誰に、どのぐらい、どのお米を送ったかという内容自体は報告する義務が今もありません。

 今回、この検査場を通るお米の比率の減少ですとか、実際に行方が分からないお米が二十一万トンもあるのかというインパクトはかなりありましたので、先ほど二十トン以下の規模の取引業者に対しての届出義務の可能性にも触れられておりましたが、もう一つ、改めて、小規模であっても取引の内容まで何らかの形で報告するという必要性もあるのではないかという点について、大臣のお考えをお伺いします。

江藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたが、十トンに下げるだけでもマンパワー的な問題がありますのでなかなか難しいと思いますが、しかし、今回の事案を受けて取り組んでみたいと思っております。

 そこから先、エビデンスをどう政策に生かしていくかというのは、委員の御指摘は正しいと思います。届出をさせるだけではなくて、その内容についても精査をしろということでありますので、そこまでいけるかどうか、今日はちょっと即答できませんが、これが直接そのまま全て二十一万トンにつながったということはまた諸説あると思いますけれども、御意見としてしっかり承っておきたいと思います。

石川委員 先ほど言ったように、二十トン以上の届出業者というのは七万ありますので、更にそれを掘り下げていきますとかなりの規模になる、そういう問題はまず一つあると思いますし、家族とか近所で分け合うお米までしっかり把握する必要があるのかということもあると思います。

 ただ、昨年、一定数、今まで取引をしていなかった業者と米農家なりに新たな契約が交わされていたのだとすれば、そういう行方の分からないお米が今後増えていってしまうとこれまた大きな混乱につながるのではないかと思いますので、是非、引き続きそういう議論も深めていただければなと思っております。

 そして、もう一つは、様々なお米に関する情報のアナウンスというものがありましたが、これについてお伺いをします。

 昨年、お米が足りないぞといったような報道が流れましたときに、当時の坂本農水大臣は、しきりに、日本に総量としてはあるんですというアナウンスをされていましたけれども、そう言われましても、スーパーに行ったら物がないということがありまして、発信される情報と目の前にある現実との乖離というのをかなり多くの皆さんが感じられたんじゃないかなと思っています。

 実際、私も卸業者の方、小売業者の方、お米農家の方などにお話を聞きましたけれども、例えば、作況指数で一〇〇を超えていても、この地域、こんなに取れているかなと感じることがあるという話をされている方はかなりいらっしゃいました。

 この作況指数、生産量の土台になるデータは、農水省の統計で取られておりまして、言わずもがな、ベースとして大変重要なデータであります。改めて、どのように統計を取っているのか、その方法についてもちょっと触れて答弁いただければと思います。

深水政府参考人 お答えいたします。

 全国の主食用米の収穫量につきましては、無作為に選定をいたしました全国八千筆の調査圃場におきまして、実際に一つの圃場ごとに三か所の稲を刈り取りまして算出した玄米の収量を基に各都道府県の十アール当たり収量を決定し、この収量に主食用米の各都道府県の作付面積を掛けて算出するという方法で算出しております。

 収穫量調査につきましては、基準といたしまして、主食用に供給される可能性のある玄米の全量を把握するということを目的として実施をしておりまして、このため、一・七ミリ以上のふるい目幅を使用し、かつ農産物検査で規格外に該当しない一等から三等までの玄米を収穫量の基準としております。

 統計調査でございますので、公表値は平均値ということでございまして、調査結果でもこれより取れていない農業者の方、あるいは取れている農業者の方がおられるということは把握しておりますけれども、このような収穫量の対象が農産物検査で三等相当までであること、それからふるい目幅が一・七ミリ以上の玄米としていること、こうしたことから、農業者の方々の中には、議員からの御指摘のとおり、自分が使用しているふるい目で選別した収量はそれよりも少ない、あるいは、品質向上を目指して色彩選別機で選別された収量は公表値よりも少ないと感じていらっしゃる方が一定程度いらっしゃるというふうに認識しておりまして、ここがその肌感覚との違いというところかと存じます。

 ただ、この選別ではじかれた玄米につきましては、米穀事業者等の手によりまして再選別されまして、主食用に実際に供給されるということに回っていくものでございますので、本調査においては把握が必要と考えております。

 ただ、御指摘のとおり、ギャップを感じている方々も相当程度いらっしゃいますので、どういうことがギャップの原因となるのかなどにつきまして、機会あるごとに、農業者の方々等と意見交換を行い、丁寧な周知と理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。

石川委員 大変な御苦労をされて統計を取っているんですね、実際に米を刈って。抽出された代表性のある田んぼを各産地ごとに刈り取って、もみの数とか茎の数とかを出して計算しているということなんですが、その精度の高さを改めてしっかり発信をいただきまして、生産者の皆さんにも安心できるようなデータとしてしっかり使っていただけるような、そういう説明もしていただきたいなと思っています。

 それから次に、備蓄米のお米の量についてお伺いをします。

 日本は今、お米以外に、小麦、家畜の餌を備蓄をしています。国だけではなくて民間の在庫についても備蓄というのがありまして、基本法の議論の中でも、官民合わせた備蓄、総合的な備蓄としてその必要性が挙げられて、今、民間の在庫に関しても、これを把握していこうという努力をされている最中だと思います。

 政府備蓄米は百万トンでありまして、今、最も古い備蓄米は令和五年産で、もう既に家畜の餌としてほぼ使われていることになると思いますけれども、百万トンといっても、今の日本人の米の消費量で考えますと一・八か月分に当たるということであります。今回、初めに放出する十五万トンは大体二週間分ぐらいの消費量になるということでありますけれども、今、一・八か月分という備蓄の量を、世界の備蓄と比べてみます。

 ノルウェーは、二〇二三年、パンデミックとか戦争、気候変動を踏まえて、穀物の備蓄を再構築するという方針を表明しておりまして、二〇二四年には一万五千トンの穀物を備蓄して、十年後には八万二千五百トン、今の八倍弱の主食用の小麦の備蓄を保有する計画を立てている。

 スイスでは、お米や油脂、食用小麦四か月分、砂糖、コーヒー、餌用麦三か月分、それから、動物用の薬なども含めて、国家経済供給という制度がコロナや戦争を機に発動しております。

 国の立地上の安全保障上の理由であったり、貧困対策といった目的はそれぞれでありまして、品目、数量は違いますけれども、特に自給率の低い日本で、さらに、輸出規制も引き続き行われている国が多い中で、備蓄する品目、備蓄米もそうですけれども、目的、品目、数量などについて議論する必要があるのではないかと感じますが、この点、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 大変スケールの大きいお話だと思います。

 基本法の議論を自民党で行っている最中にも、食料安全保障が今回の基本法の柱であるということであれば、この百万トンについて、更に上を目指すべきではないかという意見は自民党の中でも出ました。しかし、その議論の中で、御存じのように、百万トンを維持するために五百億のお金がかかっている、逆ざやも発生しているということであれば、財政見合いでこれぐらいにしておくのが妥当かということで今百万トンになっているわけであります。

 御紹介いただいたように、ノルウェーのことは私は知りませんでしたけれども、例えば、フィンランドなんかは、穀物全体で国民の九か月分ということでありますが、人口が六百万人ということで、約二十分の一しかいない、そしてまた、国境を極めて厳しい国と接しているという安全保障上の緊張感がある。スイスはああいう国ですから、特別な国ですよね。しかし、ドイツなんかでいうと、ああいう国であっても、八千万人の人口ですが、数週間分しか備蓄をしていない。

 貧困対策も含めて備蓄米を活用している国があることは存じ上げておりますが、これはよくよく考えなければならない問題だと思っています。

 確かに、私も考えないわけじゃないんです。日本に入ってくる全ての輸入品の九九%が船によって運ばれてくる。シーレーンがもし塞がれてしまう、台湾有事とか不測の事態が起こったときに、果たして日本という国はやっていけるのかということを考えると、今の備蓄の量が適切かどうかということは考えないではありませんが、ただ、今の国民の理解、それから財政上の見合い、そういうことを考えると、百万トンという数字であることが適切だろうというふうに思っております。

 これについては、言う必要はありませんが、いろいろ、この百万トンも多過ぎるんじゃないかという勢力もおりますので、国内には。そういうことについては、御意見は御意見として承っておくという程度にしておきたいというふうに思っております。

石川委員 これは難しくて、多ければ余っていると言われますし、足りなかったら足りなかったでこういう大きな問題になるわけです。適正というのがどれぐらいかというのは人それぞれ違うと思いますし、何が必要かということもそれぞれ違うと思います。

 備蓄する場所、やはり今、全国の倉庫がいっぱいだという話もありますし、それを今後、人口減少の中で投資をどうやってしていくかということも大きな判断になるでしょうし、保管料の原資、国がするとなると税金が原資ということもありますし、夏に品質を維持するために冷房を使わなきゃいけないとか。やはりそういう大きな問題はありますけれども、今、個人レベルでも防災グッズで食料をちゃんと完備しておこうとかそういう流れがある中で、非常に今関心があるところだと思いますので、是非いろいろな世界の例なんかも見ながら、いろいろ議論させていただく機会をいただければなと思っております。

 次の質問でありますけれども、次は酪農のことについてお伺いさせていただきます。

 昨日示されました酪肉近の本文案では、バターの需要は増えるとする一方、飲用需要が減る、脱脂粉乳対策は引き続き必要になるといったような内容も書かれておりました。

 北海道では、来年度の生乳生産目標数量が、系統出荷が昨年度と比べて〇・二%増の四百三万八千トン、系統外の枠も入れて昨年よりも多く搾ろうという目標設定に臨もうとしている。

 一方で、今、乳用の雌の後継牛が急激に減っておりますし、こういう問題もあります。農家戸数も減っている中で、Jミルクは二六年度以降の生乳生産量が減る可能性があるということも言及をしておりますが、今後の生乳生産についての認識をお伺いさせてください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 経営判断の一環としまして、一時期、酪農におきましても乳用雌牛、こちらに和牛の種つけが行われておりました。これによりまして、令和六年度の二歳未満の乳用種の頭数でございますが、令和五年度よりも少なくなっており、令和七年度の搾乳頭数はやや減少する可能性がございます。こちらが先ほど申されたJミルクの見通しでございます。

 また、現在におきましては十分な乳用種の種つけが行われておりまして、令和八年度以降の後継牛は回復していく、このような見込みも出ているところでございます。

 加えまして、生乳生産量につきましては、一頭当たりの乳量、こちらに大きく左右されるという現状がございます。その乳量につきましては、夏の気温、飼料の質、改良による能力向上などの影響を強く受けるものでございます。

 令和七年度や令和八年の生乳生産量を現時点で確定的に申し上げることは難しいところではございますが、先ほどございました脱脂粉乳の在庫削減対策を通じまして需給を安定させ、酪農経営をしっかり支えていきたい、このように考えております。

石川委員 御答弁いただいたように、脱脂粉乳が非常にずっと頭を悩ませてきたということなんですけれども、関税がかからない輸入給食用脱脂粉乳というものがありまして、これはカレントアクセスと別枠であるんですけれども、学校とか幼稚園とかに対しての給食に使う脱脂粉乳七千トンというものが関税なしで輸入されております。現状、給食用七千トンの枠に対して千トンしか消化されていないということでありますけれども、それぞれの自治体とか学校の、教育機関の判断でそれを使おうということにはなるわけではありますけれども。やはり、関税なしの輸入の脱脂粉乳、これを例えば国産に置き換えたとしても、幼稚園とか学校の給食に係る負担の差額というのは年間二万ほどではないか、これはもちろんそれぞれ変わったりすることもあると思いますけれども、と言われておりまして、酪農家がこれまで負担してきた拠出金の規模を考えますと、学校などが国産の脱脂粉乳をもっと活用することを後押しする、そして農家や地元がもっと恩恵を感じられるような支援に注力するべきではないかと思うんですけれども、この点についてお伺いをします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 国産脱脂粉乳の在庫低減対策につきましてですが、生産者の方々、あと乳業者が資金を拠出をしまして、輸入に向けた取組、また輸入製品から国産製品への置き換え、新商品開発などを実施しているところでございます。学校給食用の脱脂粉乳につきましてもこの在庫低減対策の対象になり得る、このように考えております。

 他方、学校給食用の脱脂粉乳の輸入制度につきましては、保護者負担の軽減を図る観点から、昭和二十七年から続くものでございます。こうした長い間の輸出国、輸入業者及び給食事業者などの間での取引関係がある中で、現在の脱脂粉乳対策のような一時的な取組、こちらを活用するかどうか、これらにつきましては、民間事業者の判断、まずこちらの判断に委ねるところが大きいと考えております。

石川委員 これは、カレントアクセスと違って、輸入枠が増えてしまうとかそういうことではないわけではありますけれども、非常に、地元の酪農家も含めて、学校の給食に輸入の脱脂粉乳がこうやって関税なしで使われているのか、国産のものをもっと使ってほしいという思いがあるということをお伝えをしたいと思います。

 次に大臣にお伺いをしたいのは、このカレントアクセスなんですけれども、先日、三月五日の田名部委員の予算質疑で、ミニマムアクセスのことについての質疑があったと思います。このことで、先日関係国との意見交換の場が設けられたということで、ミニマムアクセスが今の時代にちょっと合っていないところがあるという現状も説明したというようなお話がありました。

 大臣からも、なかなか厳しい返事ではあったけれども、あらゆる機会をつかまえて日本もしっかり主張するべきところは主張すべきだと思っているという御答弁があって、田名部委員からも非常にすばらしいというような意見があったと思います。

 同様に、カレントアクセス、義務ではない全量を輸入し続けるというのはおかしいということを私も何度も質問しておりますし、これはいまだに酪農家も納得しておりません。是非カレントアクセスについてもこういう関連国との意見交換の場を設けるなども含めた大臣の意気込みをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 米についてはトライをしてみました。国の名前は申し上げられませんが、事務レベルではありますけれども、国内環境が変化した、一千万トンを超えていた時代、八百万トンを切った時代、数量についても国内の理解も得づらい、そして財政負担もこれだけ生じているんだということを申し上げました。何とかこれを見直したいんだということを申し上げました。

 なかなか、気持ちは分かるけれども、事情はよく分かるけれども引き続き頼むというような返事ではありましたが、やはり、日本として主張するということは、いかなる場面でも私は必要なことだと思います。

 これまでも、乳製品においては、輸入状況や国内の需給状況などについて関係国と意見交換、これは定期的に実は行ってきております。今後もこうした機会をつかまえてやるべきだと思いますし、そもそも、ウルグアイ・ラウンド交渉で内容を見直すということであれば、これは米に限ったことではありませんので、米に限定されるものではないというふうに認識をいたしております。

石川委員 これからもあらゆる機会を捉えて挑戦していきたいという大臣の言葉を信じて応援し続けたいと思いますし、カレントアクセスの件についても、これからも質疑をさせていただきますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 では、続いて、林業についてお伺いをさせていただきます。

 森林整備の公共予算、これは公共労務単価の引上げと同時に十三年連続で微増はしているんですけれども、林道の整備が進んでおりません。林道は、森林整備のためだけではなくて、災害時の代替路としても命を救う役割があるということが、石川県の輪島市の件でも明らかになったところであります。

 改めて、この林道整備の支援に力を入れるべきではないかと思いますが、この点について伺います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 人工林資源が本格的な利用期を迎えております中で、林道等の路網整備は切って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用に欠かせないものでございます。

 路網は木材輸送の要であるとともに、委員御指摘のように、災害時に代替路として活用されるものもございます。

 このため、路網整備に当たりましては、林地の傾斜や使用する林業機械に応じて、林道と森林作業道の効率的な配置を考えて整備を推進するとともに、近年の災害の激甚化等を踏まえまして、路網の強靱化や長寿命化を図る取組を進めております。

 また、事業体が経費面で安心して工事を発注できるよう、現場実態に合った積算基準の見直しや、ICT活用工事の推進にも取り組んでいるところでございます。

 農林水産省としては、これらの路網整備を進めていくために必要な森林整備事業等の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

石川委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 次の質問にも関連するんですけれども、丸太を運搬するドライバーについて伺うんですけれども、重い丸太をうまくバランスを取りながら狭い林道に入っていくというのはすごく大変だという話を聞きました。舗装された道の上を走るのと全く違う、技術も能力も度胸も必要だという話も聞かれました。

 最近、こうした技術を持った、丸太を含む木材を運ぶドライバーの方が非常に少ないということで、丸太を工場に運ぶことができなくなる事態、本当にすぐそこにそういう事態が来ているという危機感が現場にはあるという話がありました。

 改めて、丸太を運ぶドライバーの重要性も加味しながら直接的な支援が必要だと思いますけれども、大臣の考えを伺います。

江藤国務大臣 私のところはまさに杉の生産日本一でありまして、私の友人も、山師もおりますし、トラックの運搬業者もおります。まさにすさまじい技術ですよね。林道だけじゃなくて、私のところは国道も非常に狭いので、そこにフルトレーラーが走ると、まあ見事に曲がっていくものだなと思いますよ。まさに特殊な技術だと思います。

 しかし、農林水産省の政策として、ドライバーを育成するというのはちょっと筋が違いますのでそれはできませんが、ただ、ドライバーの皆さん方が負担が少ないようにするということはやらなきゃいけないと思っています。そのためには、例えば林道を更に走りやすい道に改良していくとか、トラックなんか、グラップルクレーンという、こういうがっとつかむやつですけれども、あれがついているやつに替えるとか。

 私の地元には、卓洋運輸という、私の同級生なんですが、その会社があって、ここは十トントラックを全部フルトレーラーに替えました。これによって一回で運べる量が大幅に増える、それによって、週休二日制です、完全土日休業、これが実現いたしております。そして、この会社では、運転免許はなくても入社をさせて、そこで運転免許を取得させて、訓練をして、そして山に派遣するというようなことまでやっております。

 こういった優良事例もありますので、こういったことを是非紹介をさせていただいて、山の仕事が円滑に運営できるように農林水産省としても努力してまいりたいと思います。

石川委員 ありがとうございます。今、熱い思いを語っていただきました。

 機械もトラックも本当に高くなっているという負担もあるわけでありますし、この技術をしっかり磨いて、一人前のドライバーとして活躍いただくまでにやはり時間がかかるという話も聞きました。ドライバーが大型免許を取る際の助成などは国交省でもあるわけですけれども、是非この重要性も加味して引き続き農水省も応援をいただきたいと思います。

 では、最後の質問、二つありますけれども、一つにまとめてお伺いさせていただきます。

 農作業中の事故についてお伺いをします。

 私の地元でも本当に痛ましい農作業の事故がありまして、本当に何とかしてこれを少なくしなくてはいけないという思いがあるんですが、この農作業中に亡くなる方は近年増加傾向にありまして、農水省が二月二十六日に発表した、二〇二三年に発生した農作業事故、死者が二百三十六名となっていまして、二二年よりも二人減ったんですけれども、農業従事者十万人当たりでは〇・五人増えたということで、農業従事者十万人当たり十一・六人ということで、過去最高となってしまいました。

 死者数は減ってはいるんですけれども、農業者も減っているので、割合で見るとむしろ高くなっているということなんですが、この要因と、改めて、どうやってこれを防いでいくかという発信も含めて、農水省の取組をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、農作業における死亡事故でございますけれども、やはり大きいのは、事故リスクの高い高齢層の農業者が非常に増えてきている中で、平均の耕地面積も増えておりまして、そういった死亡リスクの高い農業機械を扱う就業者の面積が増えている、こういったこと。加えまして、最近は熱中症のリスクも高まっておるわけでございます。

 こういった要因の下で、私ども大きく二点の面から対応しております。一つは、農業機械の安全性ということでございます。例えば令和七年度から発売が開始される全てのトラクターにシートベルト未装着を警報する機構、あるいは座席を離れると動力が遮断される、こういった農業機械を工夫して、標準装備をしてもらう。もう一つは、やはり農業者の方々の安全意識の向上ということで、令和六年度は、農作業安全研修の開催、受講ということで、前年度の三倍となる約十六万人の方々が研修に参加していただいています。

 こういった両面の取組を進めてまいりたいと思っております。

石川委員 では、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、西川将人君。

西川(将)委員 立憲民主党の西川将人です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私のふるさとであり、また今、地元でもあります北海道、旭川を中心とする上川なんですが、日本有数の米どころで、周辺には豊かな農村地帯、米の生産地帯が広がっています。そんな中で、地元に帰ると、専ら話題はお米のことばかりで、週末、本当に地域の皆さん、農家の皆さんからいろいろなお米の話を聞いて、またこちらの方に戻ってきているという状況であって、今日、お米を中心に少し、また私からも質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず初めに、昨年の財政制度等審議会からの建議について大臣の受け止めと、今後の政府備蓄米の在り方についてということです。

 昨年の十一月の財政審の中で、食料自給率を重視することは不適当、また、百万トン程度の政府備蓄米の備蓄量を減らす方向で検討するべきだというような内容の提言がございました。

 現在の米不足と価格高騰に苦しむ国民の視点から見ると、かなり乖離した感覚だというふうに考えますけれども、当時、大臣からは、責任を持って検討していくなど、様々な御発言がございました。

 今回、備蓄米二十一万トンを市場に出していただくという御英断をしていただきまして、三月下旬以降に店頭に並び始めてくるかと思います。米不足解消と価格低減を図れるのかどうかという部分について、国民の皆さんは、本当に今、祈るような気持ちで店頭に並んでくるのを見守っているわけでありまして、また、大臣からも、更なる放出も考えているというような御発言もありましたけれども、是非、事態が解決されなければ適切な措置を取っていただきたいと思っております。

 先日、家族でやっている、私の知人の本当に小さい米の小売店の人から、知人から連絡がありまして、なかなか米が手に入らないという状況で、このままいくと四月以降、開店休業になってしまうかもしれない、何とかしてほしい、そんな悲痛な叫びの電話がありました。

 個人経営で米の入手先が限られているような小さな米穀店は、いまだにやはり米をなかなか安定して売ることができないという状況が続いておりまして、改めて米不足というのはまだ深刻に続いているのだなということを実感せざるを得ないようなお話でありました。

 また、原則一年以内にお米を買い戻すというようなことに対しても、市場は当然敏感に反応をしていくでしょうから、果たして今回の放出で米不足と価格高騰が収まる、つながっていくのかというのは非常にまだまだ疑義を有するところかなというふうに考えております。

 また、仮定の話です、こうなってもらったら本当に困るんですけれども、今回、二十一万トン放出をして、足りなければ更に備蓄米から放出をしていった場合、どんどんどんどん備蓄米自体が目減りをしていくわけであります。そんな中で、万が一ですよ、今年大凶作になって、十年に一度と言われている作況指数九〇ぐらいといったような秋を迎えてしまった場合に、米の生産量が六百万トンぐらいまで落ち込むという可能性が十分あるわけでありまして、本当にそうなると、市場から米がなくなってしまうのではないか。去年の夏の米騒動以上に大変な状況が起こり得る可能性がゼロではないというように思っております。

 先ほど来、石川委員からも他国の備蓄量についていろいろとお話がありましたが、お隣の中国では、約十四億の国民の皆さんが一年半ほど食べることができるような穀物の備蓄をしようということで、今、国家プロジェクトとして進めている中にあって、米が主食の日本においてこういうぎりぎりの備蓄量で本当にいいんだろうかという課題意識はやはりあるわけです。

 今回の米騒動を通じて、是非とも、米の価格、需給に対して政府がしっかりと把握をしていただいて、分析、予測ができるように、トレーサビリティー、これの強化を図っていただいて、司令塔としての機能を是非とも発揮していただく体制づくりを進めていただきたいと期待をしております。

 そこで、三点、大臣にお聞きしたいんですけれども、まず一点目は、国の最も重要な責務であります国民の命を守るということから考えて、財政審からの建議内容について、適当であると思っていらっしゃるかどうか、見解を聞かせていただきたいと思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まずは、備蓄米につきまして大変深い御理解をいただきまして、ありがとうございます。

 非常に悩んだのは、何といってもマーケットが相手でありますから、人によっては、正直に言うと、百万トンではなくて、手持ちは九十一万トンですから、九十一万トン以上は出せないんだろう、それをまずマーケットが読むのではないか。そして、一年以内に買い戻すということであれば、いずれ市中に出回る米の量は平準化されてしまいますから、放出の効果はなくなるのではないか。そうなると価格に対する影響もほぼほぼないんじゃないか。そしてもう一つは、食料安全保障上、備蓄米の本来の責務である国民の非常事態に備えるための米の量が減ることがまさに食料安全保障上正しいかどうか。様々な御指摘があって、今でもどうしたらいいのか日々悩んでおりますが、しかし、何とか様々なことを、更なる工夫も実は考えております、考えておりますが、まずはその効果を見極めたいと思っております。

 そして、この財政審の話、国民の負担によって支えられている農業ですか。これは、国民のために農業を支えているんですから。農家のために国民負担をしているんじゃなくて、国民の生活を守るために国民負担をしているわけでありますから、ちょっと考え方が違いますね。

 それから、備蓄は、総合的な対応を考える中で必要であるが、在庫量も踏まえと。在庫量は踏まえておりますよ。しかし、一・八か月というものは、先ほども議論させていただきましたが、果たして、これだけ国際的な安全保障上の環境が緊張した中で適切かどうかは様々な御議論があるということでありますから、これもちょっと考え方としては違うと思いますが。

 それから、食料自給率のみを過度に重視すると。それは、自給率のみを過度に重視するというのはおかしいかもしれません、自給力とか様々な指標がありますから。

 おかしいと思いますが、御指摘は御指摘でありますから受け止めますけれども、私としては、これからまさに食料・農業・農村基本計画を作って食料安全保障を確立するということに向かっていくわけでありますので、こういった御意見については、意見としては聞きますが、ああ、なかなかですなという感想を持っております。

西川(将)委員 大臣、ありがとうございます。少し安心しました。

 次に、二点続けて御質問させていただきたいんですが、米については、今、国で生産調整を行っているという状況ではありませんが、米の供給が需要を上回った場合には、やはり、市場にいろいろな影響が出てきます。

 そこで、調整弁として、今輸出米をどんどんと増やしていこうということで、二〇三〇年に向けて、あるいは四〇年に向けて、こういう目標を持っていこうという検討がされていると農業新聞の方にも少し紹介されておりました。輸出米を米の需給の調整弁にも使っていけるんじゃないかなというふうに考えておりますが、農水省として、米の作付面積を増やしていって、生産量と備蓄米を、是非、増量を進める方向にかじを切っていきながら、輸出米ということも含めて、是非、生産量を増やしていくべきではないかと考えておりますが、この見解をまず一つお聞きしたいと思います。

 それと、先ほど少し触れましたけれども、ないとは思いますが、万が一、政府備蓄米が底をつくような状況が発生した場合に、民間で抱えている在庫米、あるいはMA米、あるいは海外からの輸入米、様々なお米がありますけれども、これを安心して迅速に国民の皆さんに米を届けるためには、しっかり準備を進めていかなければいけないと考えておりますけれども、この件について、現時点での見解をお聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 やはり、お米はしっかり作っていくことが大事だと、まず思っています。そして、必要な水田の面積を確保するということは食料の安全保障上も極めて重要だと思っております。

 しかしながら、今はトレンドが止まっておりますけれども、高齢化はどんどん進んでいきます。生まれる子供の数も減っています。そういう中で、近いうちに十万トンずつ減っていくトレンドは変わらないんだろうと思います。

 しかし、それだけを見ていると、水稲の作付面積は少なくていいのではないかという議論に収束してしまいます。そうではなくて、安全保障上も、水稲作付面積を守るということであれば、マーケットを見つけていかなきゃいけない。そのために、やはり輸出に積極的に取り組んでいくということは、危機的な状況に陥ったときのバッファーとして、国内の消費者の方々にも安心を与えることになりますので、輸出に取り組むことは国民の主食に対する安心感にもつながっていくものだというふうに考えておりますから、頑張ってまいりたいと思っておりますが、そのためには、やはりコストを下げていかなければなりません。

 世界中で五千万トンの主食用米の流通がございますが、いわゆる短粒米は一千万トンしかありません。その中でマーケットを取っていくのは、そんな簡単なことではありません。ということであれば、八千円とか九千円とか、そこまでコストを下げるためには、基盤整備であるとか大規模化、大区画化、それからITであるとか、そういったことを積極的にやる必要があると思っております。

 それから、万一、底をついた場合、先ほども申し上げましたけれども、まず、ないというふうに思いますが、しかし、政治は最悪の事態を想定しないというのは、やはり駄目だと思います。ですから、私も、省内では、もしこれが尽きるようなことになったら、どういう手だてが打てるのかということは、当然省内では、議論ですけれども、いたしております。

 ただ、余りこのことにフォーカスしてしまいますと、国民がまた不安になりますので。過去、東日本大震災のときに備蓄米を出しました。そのときには四万トンです。そして、熊本地震のときにも出しました。そのときは九十トンです。ですから、これだけの災害が起こっても、これだけの量しか過去に出した実績はないということでありますので、本当に、今委員がおっしゃったような大不作、作況が九〇まで落ちるようなことが起これば大変なことになりますが、あらゆる事態が起こっても国民に米が届けられるように、あらゆるシミュレーションをして、準備をしておきたいと考えております。

西川(将)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 次の質問に移らせていただきますが、令和九年度からの水田政策の大転換についてということで、何点かお聞きしたいと思います。

 令和三年に転作田への具体的な五年水張りルールが示されて、現場の混乱が継続している状況の中で、昨年の十二月に、水田政策を令和九年度から抜本的に見直す検討を始めるとの発表がございました。

 水田活用直接支払交付金制度を、作物ごとの生産性向上への支援に転換し、令和九年度以降、五年に一度の水張り要件を求めないこと、また、令和七、八年については、連作障害の取組を行った場合は水張りをしなくても交付対象となるということでございます。

 しかし、この発表後も、今現場は混乱が続いている状況です。生産者は、今もう既に、春からの農作業の準備に入っておりますが、制度変更の内容が抽象的な表現であって、米政策が今後どのように変わっていくのかという先行きが見えない中で、今、春を迎えようとしているわけであります。

 そこで、大臣にお聞きしますけれども、これまでの転作田という概念、そして、水活の制度自体がなくなっていって、水田においては、あくまでも米を生産、畑においては畑作物を生産するという、この米政策全体を抜本的に見直していくんだということを、もっと分かりやすいメッセージで、全国の生産者、特に、なかなか情報が入ってこない高齢者の生産者の皆さん等に分かりやすく発信をしていただきたいと思いますけれども、見解をお聞かせください。

江藤国務大臣 一月三十一日にお示ししました、水田政策の見直しの検討の方向性ですから、まだ決まっていないわけでありまして、決まっていないものを余り強く言えないというところは御理解いただきたいと思います。

 ですから、農林水産省のホームページにも、まだ載せることができないんですよ。自分としては、この方向性について、動画で私のホームページに貼り付けることも実は考えました。考えましたが、まだ決まっていないことを断定的に言うと、後々ちょっと困ることにもなりかねないので、役所の職員と検討した結果、今のところは行っておりません。

 しかし、まだ現場で混乱が続いているということについては、やはり、私たちとしては反省をしなきゃいけないと思っております。

 ただ、意見交換会は積極的に行っております。北海道でも、札幌で二月の十八日にやらせていただきました。是非、必要があれば、農林水産省の担当者をそれぞれの地域に派遣をしまして、説明会等の追加も行いたいと思っております。

 やはり、情報については、しかし、方向性が決まったということは、大体こういうことだというふうに言っていい部分はあるんですよ。ただ、確定していないということは御理解をいただいて。委員の御指摘もいただきましたので、なるべくその混乱が収まるように努力をしてまいりたいと思います。

西川(将)委員 決定されていないということで、一定程度やはり、いろいろな話し方の工夫はされなきゃいけないなというのはよく理解できます。

 私も、地元に帰ったときに、機会あるごとに、こんな方向だというのは私なりにかみ砕いてお話をさせていただいているんですけれども、やはり非常に不安なんですね、生産者の皆さんは。ですから、一日も早く、しっかりと公式な見解を農水省として発表していただきたいというふうに思っております。

 また、次になんですけれども、具体的な今後の農産物への支援内容が、果たして、これまでと同程度に維持されていくのか、それとも減らされていくのか。これもやはり、生産者の中で、令和九年度以降どうなのかというのを、本当に固唾をのんで政策の方向性を今見ている状況なんです。

 将来の営農計画に大きな影響をもたらしていく政策転換でありますので、今後の検討スケジュールをしっかりと明示をしていただいて、そして生産現場の皆さんの意見をしっかりと聞きながら作業を進めていただきたいと思いますが、見解についてお聞きをいたします。

庄子大臣政務官 お答えいたします。

 今大臣が御答弁申し上げましたとおり、大きな方向性を示しているという現段階ではございますが、その上で、今委員御指摘がございました、スケジュール感というお話がございました。

 例えば、今後の方針の検討に当たりまして、青刈りトウモロコシなどの導入可能面積の調査でありますとか、これを導入するに当たっての必要な施策を探っていくための実証事業でありますとか、産地交付金の実態調査、条件不利地域の生産コストの調査といったことを令和七年度中に行ってまいりたいというふうに思っております。

 こうしたことを踏まえまして、与党、野党の垣根を超え、また現場の生産者の皆様、関係機関の皆様方の御意見を丁寧にお伺いをしながら、令和九年度からの新しい水田政策に向けまして、令和八年夏の概算要求につなげてまいりたいというふうに思っております。

西川(将)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 あと、少し先の議論になっていくのかなとは思うんですけれども、例えば、これから大きな政策の大転換がある中で、元々畑地で、水活の交付金を得ないで畑を作っていた生産者がいるわけです。一方で、今回、畑地化の促進事業も活用しながら畑地に転換をしていくということを決断した生産者もいるわけです。また、令和四年から六年の二年の間に既に水張りを終えた生産者もいれば、またこれからという生産者もいます。そしてまた、水田にしようか畑地に転換しようかということをいまだ悩んでいる生産者もたくさんいらっしゃるわけなんです。

 こういったいろいろな立場、背景の異なる生産者からある程度一定の理解を得ることができるような、公平で整合性の取れる政策を令和九年度に向けてつくり上げていかなければいけないと考えておりますけれども、これについて見解をお聞かせください。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員ただいま御指摘のとおり、現場には様々な農業者の方々がいらっしゃるということは承知しております。私たちも、今後の水田政策の考え方、具体化に当たりましては、地方意見交換会でも一定説明をさせていただいておりますが、さらに、現場の方々、関係団体を含めて、より幅広く丁寧な説明を行った上で、そうした様々な農業者の方々のいろいろな御意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

西川(将)委員 どうもありがとうございます。

 次の質問なんですけれども、令和七年、八年においての水張りの不要要件についてなんですけれども、現在、既に春以降の農作業の準備が始まっております。そんな中で、例えば、連作障害対策をするために、土壌改良材、こういったものを具体的に準備をしていかなければならないということが必要になってきます。

 具体的にどのような対策をすると、この水活の交付要件に沿っていくのか。それとも、農業生産者それぞれの自己判断で、これが連作障害対策ですということで、それで交付対象になっていくのか。これも、結構生産者の皆さん、今すごく不安に感じているんですよね。これはやはり具体的な指針を示すべきではないかと思いますけれども、見解を聞かせてください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現行の水田活用の直接支払交付金につきましては、令和七年、八年の対応といたしまして、連作障害回避の取組をしていただければ、水張りしなくても水活の交付対象と。

 こうしたことにつきまして、具体的な連作障害回避の取組につきましては、土壌改良資材の施用、有機物、堆肥、もみ殻ですが、こういったものの施用、薬剤の散布、後作緑肥の作付、こういったことを考えております。

 七年、八年ということでございますので、今後、水活の要綱等、こういったものにもきちんと明記をしながら、生産現場に丁寧に説明していきたいというふうに考えております。

西川(将)委員 既にもう生産現場は春の作業に入っておりますので、一日も早くしっかりと具体的な指針を示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 最後の質問をさせていただきますけれども、令和九年度以降の生産者への交付金について、現行の水活の見直しと、また既存の施策の再編によって得られた財源、あくまでその財源の枠内で行っていくということが今の考え方として示されておりますけれども、新たに畑地化した生産者と元々の畑地生産者に対しても作物ごとに対策をしていくということになれば、非常に予算が足りなくなっていくのではないかということを危惧をしております。

 それと、現在、生産者の一体何割の人が畑地に転換をしていくのか。令和七年、令和八年とまだ二か年ありますけれども、そこまでどれぐらいの方が畑地転換していくのかというのは現時点で把握されていないというふうに聞いておりますけれども、例えば、これは土地改良区の経営ですとか、今後の維持についても様々な影響が出てくると思うんです。

 この二点について見解をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

江藤国務大臣 まず、私の方から。

 まず、九年以降の見直し後の予算について御心配があることは承知をいたしております。まずは既存の制度をしっかり見直した上で、どれだけのものが流用可能であるかを検討することは、まずは当然であります。しかし、九年度以降、政策が移行した後に農家の方々の御理解が得られないということであっては、私は何にもならないと思っているんですよ。ですから、それで必要になった予算についてはしっかり確保していくという姿勢を取ろうと思っております。

 ただ、具体的にまず検討をしませんと、その先のお金の話はできませんので、まずは既存のものをしっかり精査をする、見直しを行う。そして、その先に、農家の方々の御理解が得られる水準を保つために、必要な予算は確保するという方針でやってまいりたいと思っております。

庄子大臣政務官 二点目の畑地化への移行の促進については、把握でございますけれども、既に令和六年度までに合計四・八万ヘクタール活用いただいております。現在は、令和七年度産につきましては、聞き取りなどの調査を行っておりまして、四月末までの受付ということでございます。

 ただし、この畑地化が虫食いで進んでまいりますと、土地改良によります水利施設の維持管理が困難になってまいりますので、この事業の実施に当たりましては、土地改良区を含む関係団体、例えば農業委員会等の御理解をいただくといったことを要件にしたいと思っておりますし、また、団地化で行っていただくということを要件にしております。

 さらに、畑地化の規模によっては、水利施設の集約、再編、撤去などが必要になってまいりますので、こうしたことについて、農業者の負担なしで基盤整備事業を実施できますように補助事業を措置をしているところでございます。

 なお、畑地化に伴いまして組合員が土地改良区を脱退する場合につきまして、将来的な施設の維持管理費に係る他の組合員への負担が過度に生じないように、地区除外決済金等を国が支援することとしているところでございます。

西川(将)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。兵庫の西播磨、中播磨から参りました。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 大臣所信について質問させていただきたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 現在は、今るる委員からたくさんの質問がありましたけれども、農業政策は大きな転換期にあるというふうに私も考えております。

 昨年、農政の憲法とも言えます食料・農業・農村基本法が改正をされました。私も農林水産委員会の理事として携わってまいりました。前の宮下大臣、そして坂本大臣、江藤大臣が関わられて、そもそもこの基本法のうったてを立てられた江藤大臣が仕上げられたというふうに認識をさせていただいております。まだ基本計画を作るという大事なところも残っておりますが。

 去年もそのような大きな波がありましたが、今年は、米不足、今もずっと委員からたくさん質問がありますが、農林水産に多くの関心が集まっているというふうに思います。

 まずは、米を安く欲しいという消費者の声、ある程度高く買ってもらえないと農家が続けられないといった農家の声、どちらも真実であるというふうに私は思います。これを両方実現するためというのはなかなか難しいことではありますが、農政は何をしたらいいのか、今がかなり大きく問われている時期だというふうに思います。

 大臣は、基本法を実現する熟議の委員会、議会とされているというふうなお話をよくされます。集中対策時間だとおっしゃっておられました。水田政策も見直しを発表されました。これも大きな決断でしたし、備蓄米も大きな御決断をされたというふうに思います。

 この農林水産委員会の中で、我が党としても、農業政策のあるべき議論をしていきたいというふうに思っておりますし、今日を我が党としてのそのスタート地点にしたいというふうに考えております。

 今日は、まず、前回の通常国会、私の一期目のときにも質問させていただきましたが、余り国会での議論が深まっていないと思える直接支払い、戸別所得補償について、大臣に改めてお伺いをしたいというふうに思います。

 その上で、今農林水産省が発表された水田政策の見直しはどのように進めていくのか、構造改革や成長産業化など、どういうふうに進めていくかということをお聞かせいただきたいというふうに思いますし、農業政策がこれまでになく注目をされておりますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 まず、戸別所得補償について質問させていただきます。

 第六分科会で、大臣の答弁を聞かせていただいております。これは山田委員に対しての答弁だったというふうに思いますが、前の通常国会でもこれは申し上げさせていただきましたが、戸別所得補償については、野党側からは、やるべきだ、復活させるべきだという一方で、政府の答弁は、難しい問題がある、その繰り返しである。議論が深まる感じがしないなというふうに私個人としても思っておりました。そもそもこの委員会でのやり取りは、一往復だけというふうに言っても過言ではなく、数字がどうといった議論はほとんどされませんでしたというふうに前回の通常国会では質問させていただきましたが、先ほど申しましたように、第六分科会、数字を入れて大臣が答弁をされていらっしゃいました。

 その中で、今議論に上がる戸別所得補償とは米だけなのかとか、作物へもなのかとか、畜産は含みますかなど、ここでも不明確のまま議論が進められているんじゃないかなというふうに私は感じておりました。財源もどうするか、ここでは不明確ではありましたが、第六分科会の議論も含めまして、予算は無限にあるわけではありませんから、農業に全部お金を使うんだみたいな話があれば、それは全く問題ないんですが、民主党政権でありました当時の戸別所得補償では、土地改良予算を使って、なかなか土地改良が滞ったんじゃないかというような議論もありました。

 大臣が言われておりましたけれども、本体の予算を半分以上使うわけにはいかないという答弁もされておられました。根本的に、なぜ米への直接支払いは問題があるのか。それは、国内に足りない、今回はなかなか足りないわけではなくて、全然、全く足りないわけですが、当時は、私が質問させていただいたときは、むしろ余っているんじゃないかといった議論に終始をしておりましたし、そこに補助金をつけるのはいかがなものかというような議論でありました。

 行政の補助金というのは、将来必ず必要にならなければいけないもの、また、足りないものを増やすために支援をするというものでないといけないというふうに思っております。他の産業でも同じことができるのではないかというふうに思っておりますが、消費者が納得するような税金の使い方でないといけないというふうに思います。

 これも、よくEUの直接支払いの議論もされます、EUとの比較をされます。これも大臣はドイツの例を出されて答弁をされていらっしゃいましたけれども、EUで導入する直接支払いを日本で同じように導入すればいいんじゃないかという議論というのはなかなか難しいことだというふうに私も思っております。EUには田んぼがない、いろいろなことがありますけれども、その中で、EU制度をスライドさせればいいというものではないというふうに思いますが。

 まずは、決して大臣は戸別所得補償に対して否定的ではないというふうに私個人的にはお見受けをしておりますけれども、この戸別所得補償に対しての大臣の率直な答弁や御意見をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 今、委員からの御指摘の中で、国民の納得が必要だという御発言がありました。特に納税者の方々の御納得をいただかないといけないんだと思います。そして、税金を投入する以上、どれだけの政策効果が上がったか、それをしっかり国民に示す必要があるんだろうと思います。

 農地には様々な耕作条件があります。ですから、私が戸別所得補償に対して否定的でないと申し上げているのは、例えば、中山間地域、どんなに努力をしても、どうしても耕作条件が不利で所得が得られない、しかし、その地域の人が残ってもらわないと、日本という国は駄目になってしまう、そういったところについては考えてもいいのではないかということを、個人的にですけれども、政治家として考えております。

 ですから、全く戸別所得補償が悪いということではありませんが、ドイツの話をしていただきました、大体十アール二千三百円ぐらい払っております。大規模なところは十アール二千三百円もらってもそれなりの所得になりますが、日本の場合は非常に耕作面積の狭い農家が多いわけでありますから、そこに二千三百円ずつ配ることによって生産基盤が守られるのかという政策効果を考えると、なかなか難しい。それで一千億ですから。

 そして、これは決して批判しているわけではありませんが、鈴木先生、私は尊敬しております、立派な方です。十アール当たり三万円ということになると一兆三千億ですから、これはちょっと、これから水活の見直しをやる上でも様々な予算が必要となってきます。ちょっと実現が難しい。それに加えて、畜産も加えるとかいうことになると、予算の規模が青天井で増えるということであれば議論の前提が変わりますけれども、しかし、それについてもなかなか議論があると思います。

 そして、EUの場合はもう一つ問題があって、面積払いをしておりますけれども、一割の農家にEUが払っているお金の七割が集中しているんですよ。規模のでかいところはほとんどの農家が十五ヘクタール以上ですから、EUの場合は。ですから、これもEUで問題になっておりまして、全く、規模がでかいところにどかんと金が行って、家族経営のような小さいところにお金が行っていないじゃないか。ですから、EUの中でも見直しの議論があるようです。

 ですから、将来的に何としても、耕作面積四百二十七万ヘクタールですが、これを守っていきたい気持ちは強いですし、担い手もつくっていきたい気持ちも強いですから、戸別所得補償というものの有効性は、それぞれの地域の事情も踏まえてしっかり検討する必要があるんだろうというふうに考えております。

池畑委員 ありがとうございます。

 こういった議論を私も六人の農林水産大臣とさせていただきましたが、今、江藤大臣から、個人的にはでしたが、やはり進めていくべき部分でもあるというような答弁をいただいたように感じました。

 いろいろな、EUでも見直しがあるということは大体分かる話でありますが、今、大臣からの答弁で大事なところでございまして、我々野党が何かを進めるときに、やはり農林水産省の幹部の方にもお話を伺いますし、地元の方にもお伺いする。そして、今、大臣の指針、進め方というのもすごく大事なことだというふうに思いますので、具体的に何が駄目なのか、何がいいのか、またプロセスも含めて今大事な答弁をいただきましたので、進めさせていただける部分は進めていきたいというふうに思います。

 次は、質問にかぶるところなんですが、これも戸別所得補償の話も少し含めますが、今の大臣のお話を踏まえてなんですが、質問させていただきたいと思います。

 今回の見直しの中で作物対策と言っておられますが、どのように戸別所得補償と違うのか。民主党政権が、先ほども少し触れましたが、戸別所得補償をやっていたからという理由だけで受け入れられないということはないというふうに思います。今の大臣の答弁もありました。

 我が党としても、よいものであればよい、悪いものであれば悪いというような話なんですが、党内では、ばらまきじゃないかという話がよくありまして、私も説明をいろいろさせていただく、また経緯を、させていただく中で、党内の中でそういった声がとても多いです。よい政策をつくろうよという話なんですけれども、今回の見直しは、作物対策と言いながら、あれもやりますよ、これもやりますよというふうに見受けるんだというような話がよくありました。これは戸別所得補償と何が違うんだと思ってしまったりもするんだというような話が党内でもよく出てまいります。

 しかも、今回は、現行の水活から単価が上がったとか下がったという議論ではなくて、本来は、将来目指すべき農業の姿を示して、それに向けた支援対策とすべきだというふうに考えております。自民党の代議士の先生方もいろいろな地域から選出をされてこられておられますから、中でもいろいろな議論があるんだというふうに思います。

 そこで、令和九年度の水田の政策の見直しに向けて、具体的に農家にどのようなものを求めているのか、答弁をいただきたいと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の水田政策の見直しでございますが、現在、水田を対象にして支援してきた現行の水活制度を根本的に見直しまして、米の生産性を抜本的に向上させつつ、必要な水田を維持するとともに、米以外の作物を作る農地についても、食料自給力向上の費用対効果を踏まえまして、これまで作付けてきた作物の本作化を図って、水田、畑にかかわらず生産性を向上させるということで、政策構造を転換したいというものでございます。

 具体的に、そういう検討に当たりまして、先ほど庄子政務官からもございましたが、例えば青刈りトウモロコシなどの導入可能な面積がどういうことかとか、そういうような実態調査を詳細に行う必要がございまして、その上で、与野党の先生方はもちろん、現場の方々、関係団体を含めた幅広い御意見を丁寧に伺った上で、意欲を持って取り組んでいただいている農業者の皆様の営農に支障が生じない、これはもちろんのことでございますが、先生御指摘のとおり、どのような生産性向上を対象にするのか、こういった点についても十分に検討を行い、あるいは御意見を伺いまして、制度設計を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 一方で、今後の農業者の急激な減少ですとか、あるいは気候変動による農業生産への影響の顕在化などを考えますと、農業の収益力の向上ですとか、食料安全保障の確保という観点からも、いま一層、土地生産性あるいは労働生産性の向上というのが不可欠な課題だというふうに認識しておりますので、こうした観点からも、大区画化ですとかスマート農業の活用、あるいは、品種改良、共同利用施設の再編、集約化などの生産向上対策をこうした見直しと並行して検討する必要があると思っていますので、一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。

池畑委員 今、山口審議官からいろいろメニューをいただきました。ちょっともう一回質問させていただきたいんですけれども、今、審議官が、最後、いろいろこういった政策をしていきたいというお話、見直しをしていきたいというお話がありましたが、山口審議官が考える、これが一番だというものがありましたら、ちょっと答弁いただきたいんですが。個人的でいいです。

山口政府参考人 私も、大臣の下で、御指示の下で働いておりますので、個人的というのは余りないわけでございますが、大臣からも常々、やはり生産性の向上というのを今こそ図るべきタイミングに来ているという御指示はいただいておりますので、そういう観点で何ができるのかということを一生懸命考えていかないと、これから農業者が減っていく、あるいは気象変動が大変だという中で、大変なことになってまいりますので、基本計画の中でもそういった施策の実現に向けて様々検討してまいりたいと考えております。

池畑委員 済みません、出番を何遍もつくらせていただきまして、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

 やはり生産性の向上というのは、私たちもそう考えておりますし、次の質問にもつながってまいりますので、ありがたい答弁だったというふうに思います。

 まず、次の、今、山口審議官の話もありましたけれども、もう一つ、スタンスを明らかにしておかないといけない点があります。それは、農業者の規模をどう考えるのかという問題であります。

 日本の農業は、多くの小規模農家と大規模農家によって支えられている一方で、農家の経営規模構造について、構造改革が今は道半ばじゃないのかなというふうに考えております。我が党も、過去には、過去にはというか、今でもなくなってはいないんですが、主業農家に支援を集中していこうというふうにうたっていたこともありました。

 現在、米不足と言われておりますから、当然、小規模農家にもやめていただいては困るというような状況ではありますが、すなわち、担い手といいつつも、コストを下げる観点からも、農地の担い手への集積そして集約、農地の大区画化など、より一層重要になってくるということを考えております。このことについて、農水省の見解をまずお伺いしたいというふうに思います。

杉中政府参考人 まず、構造改革に向けたスタンスという御質問だったと思いますけれども、これまで議論があった、農業者の減少、高齢化が進む中で、現在よりも相当少ない経営体で食料生産を担っていく必要があるというふうに考えておりまして、人、農地、技術を最大限活用して生産基盤の更なる強化を図っていく必要があるというふうに考えております。

 そのような中、規模の大きい農業法人、これは既に販売金額の四割、経営耕地面積の約四分の一を担うまでに拡大しておりますけれども、離農する農地の受皿としてこういった法人がより役割を果たしていくということが必要であるというふうに考えております。

池畑委員 地域の集約、大区画化というのも大事なんですが、やはり、大きくやればやるほどちょっと厳しい経営状態になるんじゃないのかというふうなことを言われております。私も、農業高校出身で、農業大学校出身で、農業高校の実習助手を続けていた間に、やはり就農していく生徒もたくさんいました。その中で、ある一定の大きさまでになってしまいますと、かなり厳しい経営状況になっていくということもるる見てまいりました。

 今、地元では、中山間地域で、すごく狭い地域ではあるんですが、百ヘクタール、二百ヘクタールでまとめているところがありまして、その農家さんたちが、今、農業生産法人という話もありましたけれども、どうやって経営をしていくんだろうというふうにこちらが心配になってしまうような集積の仕方をしているグループがありまして、販売するルート、マーケットを見つけていくということを、大臣もさっきも大事だというふうなお話をされていましたが。

 ここは市川町というところなんですが、集積している場所はまた違うところなんですけれども、市川町というところで、ちょっと有名なユーチューバーさんがおられて、何十億再生というふうなことをされるような方なんですが、その方が、ふるさとに対して、また農業に対して何か思いを持って来ておられまして、これは大きなうねりが起こりそうな気配だけ、気配だけあるんですが、その気配を潰す必要はないんじゃないかなというふうに思っておりまして、今百ヘクタール、二百ヘクタールを集めたところでという部分は多くあるんですが、じゃなくて、中身がやはり大事なんだよと。

 今、大臣がこの話の中で、新たなプレーヤーという表現をよく使われました。これは、米不足に対して、米不足を見つけて販売する方々を指して新たなプレーヤーというふうに大臣はされていたんですけれども、本来の新たなプレーヤーたちを見つけて、頑張っておられる方々をどうにか見つけていくべきだと。

 市川町というところには、今、アイアンの発祥の地とか卵なんかで、ふるさと納税が大体何億というものが出ていっておりますけれども、長崎県の方や大阪の方が、ふるさとの市川町、ユーチューバーの方が一生懸命、何か新しい農業をやっていこうということを取り組んでおられますので、私もそれを応援しつつも、やはり今、国がどういう方向で進んでいるのかということをまた改めて質問をさせていただきたいと思いますので、大区画化の集約とか、農水省の今の見解もいただきましたので、しっかりといろいろ意見のすり合わせをしながら、そういった農家の発展に寄与していきたいというふうに思っています。

 その中で、やはりコストの削減については、もう一つ重要な要素があります。多収性の品種とか、高温、多収品種の開発普及が不可欠だというふうに考えておりますし、これからは、収量を上げるということと、近年すさまじい猛暑が続きますので、高温耐性品種も重要であるというふうに考えます。

 これは基本法改正のときに我が党の主張を政府・与党に受け入れていただいたものでありますけれども、種子の開発には費用がかかるものでありまして、研究にもたくさんお金を入れるということはもちろんのことなんですけれども、知的財産としても保護していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。

 開発機関が意欲的に開発ができるように、種を使った方は適切な対価を払うということが当然のことだというふうに考えますが、今の段階での、種子に対してどのように守っていくか、そして、どのように政府が考えておられるか、まず答弁をいただきたいと思います。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、品種開発のコストの負担のお話であったかと思いますけれども、新しい品種を開発するにおきましては、一般的に、育成者が多大な投資を行うことが必要でございます。優良な品種を持続的に開発していくためには、育成者が開発コストを回収し、新品種の開発に投資していく、こういう好循環をつくっていくことが重要と考えてございます。

 この品種開発コストは、育成品種を利用することで利益を受ける品種利用者が許諾料として負担すべきものとなってございます。ただ、我が国の実態といたしまして、農業生産上重要な食用作物や果樹品種の多くが公的機関によりまして普及を目的に開発されているという現状がございまして、これを背景に、許諾料が政策的に低廉に設定されていることが多いというところも実情でございます。

 こうした中、委員御指摘のように、現場の生産者が品種本来の開発コストや経済的価値を認識していただくということは、品種保護の意識を高める観点からも重要と考えてございまして、農林水産省としては、育成者が、品種本来の価値に見合った許諾料を示しながら、品種の利用者に応じた許諾料を設定するように推進するということで進めているところでございます。

 あわせまして、我が国の優良品種を活用いたしまして戦略的に海外ライセンスを設定する、こういうことを進めまして、海外からのビジネスベースでの許諾料収入による品種開発コストの回収でございますとか、新品種開発への投資を促進する、こういったいわゆる知財サイクルの確立を進めていく考えでございます。

池畑委員 知財サイクルの進め方について今最後に言及がありましたけれども、やはりそういったことが大変重要だというふうに思います。その中には、やはりゲノムの問題に対してもいろいろ関係してくることがあるというふうに思います。かなり慎重に扱っていかなきゃいけないことだというふうに思いますが。

 また、種子について、今答弁をいただいたことを踏まえてもう一問質問させていただきたいんですが、種子の開発は、国と県、これは兵庫県なら兵庫県で行っておりまして、二重になってしまっているのではないかなというふうに思ってしまうこともあります。

 特に、県ごとに同じような特性、さっき高温の話をしました、多収性の品種だとか高温耐性の品種、これは、昔はなかなかそういった開発を県の方ではするということがなくて、国の方が担っていたというような経緯もあるというふうにお聞かせをいただきましたが、これは二重になってしまっているんじゃないかなというふうに思います。

 特に、県ごとに同じような特性を持った、今、話がありましたけれども、例えば、国の、にじのきらめき、にじきらとか、兵庫県では最近発表しまして、コノホシという品種なんですが、兵庫県では、にじのきらめきの普及率がゼロ%でありまして、同じような品種であれば別にどちらかがということはないと思うんですけれども、今後、それぞれの役割分担をきちんと交通整理をして、国と県、また県ごとに連帯をする必要があるのではないかというふうに思いますが、まずは農水省の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

堺田政府参考人 お答えいたします。

 生産コストの低減、さらには気候変動のリスク等がある中で、委員御指摘ありました、にじのきらめきといった多収性、高温耐性の品種につきましては、こうした課題の解決に大きく資するものと考えております。

 こういった中で、より速く、低コストで品種開発を行うために、農研機構を中心に、AIを活用したゲノム情報による最適な組合せ等の予測を行う育種の支援システムの開発を現在推進しているところでございます。

 また、並行して、農林水産省が実施する品種開発事業におきましては、農研機構と県との連携はもちろんでございますけれども、民間や大学も含めて、基礎から実用に至るまで、それぞれの強みを生かしました連携による共同研究体制を組んで、役割分担も行った上で、品種の開発に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 農研機構においてはより先導的な品種の開発を、そして、都道府県においてはその先導的な品種の開発を更に地域でアレンジしていく、そういった役割分担を基本に置いて体制を組んでいきたいというふうに考えております。

 今後とも、産学官連携を強化し、優良品種の効率的な開発普及を推進していきたいと考えております。

池畑委員 今、ゲノムの話をさせていただきました。ゲノム解析というのは、やはり植物に対しての取扱説明書を早く見られるということだというふうに思います。

 ある作物にゲノム解析をかけますと、蜂蜜が有効だということがゲノム解析の中に出てきます。その中で、蜂蜜をその植物が摂取をするに当たって何の蜂蜜がいいのか、いろいろありますね、レンゲの蜂蜜もあれば、そのほかの蜂蜜もあるんですけれども、そのゲノム解析によると、アカシアの蜂蜜がいいんですというようなデータが出てくる。それに向けて、どのように摂取をしたらいいのかということも含めて、今のAI技術も含めて、どのように吸収させることが一番効率がいいのか。農水省の方々とも議論をさせていただいた中に、やはり昔でしたら百ぐらいの治験をこれからやらなきゃいけないということが十とか五とかに結構絞られてきますので、スピード感も出てくるんですというような話でした。

 いろいろな品種改良を、それぞれの県や、今言われた農研機構でやられている。今言われていましたけれども、地域にアレンジしてもらうために農研機構の方は今頑張っていくんだという役割分担の話もされました。

 今回は大臣質疑ということですので、今回は、大臣所信になかったので、ちょっと質問にはさせていただきませんが、私は、県と県との関係、各地域に寄り添った政策は何なのかということを考えていきたいというふうに思っています。

 今ある県単位では結構小さ過ぎて、農政局というのがありますよね。農政局というのがやはり大きな役割を果たしていかなきゃいけないというふうに私は考えておりますし、農林水産省の方々とこの件について議論させていただいたときに、やはり、九州地方であったりとか東北であったりとか、農作物の性質は大分違いますよね。それぞれ違いますから、是非そこは、再編していく上で、頭の体操として考えていく必要もあるんじゃないかなというふうに思います。それは、農林水産省、農政局ごとで、地域の統括局があるわけですから、農政局は単独で農水省の予算を持っているわけじゃないんですけれども、今の段階では難しいというふうに思いますけれども。

 やはり、各県がやっていること、そして国がやっていることというのは、単純に、こっちは県でやっているから、こっちは国で同じようなことをやっているからまとめてしまえという議論ではなくて、やはり地域の特性に合った研究開発をし、そしてスピードアップをして、農家の方々に還元ができる。品種として、これは同じような作業をしていて多収が取れるのであればかなりいいよねというような話も含めて、情報交換が必要だというふうに思いますし、これから、ゲノム開発だったりとかそういったことが結構かなり重要になってくるというふうに思いますので、知的財産を確保し、海外にも進出していく上で、かなりの戦略が必要だというふうに思います。

 私の祖父も農業試験場の場長をしておりまして、ハッカの研究をずっとしておりました。その当時のことでありますから、知的財産という感覚は余りないというふうに思います。東京大学で論文を発表して、博士号を取って頑張っておりましたが、その内容が農家に還元されているかどうかというのはなかなか追跡ができませんでした。

 しっかり、やはり農家の方々にうまく使っていただけるように、兵庫県でいうコノホシであったり、これもかなり優良品種だと思いますけれども、にじのきらめきであったり、どんどん広報していただきたいというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。国内の流通、先ほど質問もありましたが、輸出についてであります。

 米を輸出することは、今の段階で言うと、何事かということになってしまっている。これは誤解を生じているというふうに思いますが、私は外務委員会でも前に輸出の意義について大事だという質問をさせていただきまして、これからも、米にかかわらず、農作物の輸出に関しては、食料の安全保障の観点からもその仕組みは大事だというふうに思いますし、大臣も、その仕組みについて大事だという話は先ほども答弁をされておられました。

 一方、先ほど申し上げましたけれども、一般消費者の方からすると理解しづらい部分、今のこの米のないときに輸出の議論をしているのは何なんだという話になってくると思います。これは時事問題ですから、どういった解決の仕方になってくるかはちょっとおいておきまして、米を輸出する意義について、改めて詳しくお聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 あらゆる機会をつかまえて、やはり稼ぐことが大事だと思っております。海外のマーケットに出す方がもうかるということであれば、そのマーケットを取りに行かない手はないということであります。そして、日本の農地はどうしても米の、水稲を作付けるのに一番向いている田が非常に多いということであれば、その特性を生かさない手はやはりないんだろうというふうに思っています。

 そして、食料安全保障が今回、基本法の大きな柱として立ちました。食料安全保障を確保する上で、主食をしっかり作れるだけのバッファーを持っておく、そのバッファーは水田面積であるということであって、輸出用に作っているということは、何か起こったときには国内にすぐに振り向けることがもちろんできるわけでありますから、これは国民の皆様方に対する安心にもつながるというふうに思います。

 確かに、委員御指摘のとおり、今、米が高いときに何で輸出に軸足を置くのかという御指摘はあるかもしれませんが、しかし、日本の四百二十七万ヘクタールという耕作面積をしっかり守っていくということを主眼に考えていくと、やはりこの水田を守るということは大事なことでありますから、その一環として輸出にも目を向けることは極めて有効だというふうに考えております。

池畑委員 そのとおりだというふうに思います。四百二十七万ヘクタールには、いろいろな中山間地域、いい場所だけではありません。国土を守るという点でも、やはり、農家のモチベーションを上げるにも、輸出に向けて頑張っていくんだ。

 先ほどのお話にもありましたが、品種にこだわって、先ほど大臣も言われていましたけれども、米をといだときに浮いてしまうような米、これは、海外にこんなものが出ていったらどうなんだと。でも、国内でも、そういった米の品質、そういうところに置いていたんだということを改めて知った方もおられると思います。米を積み上げてただ置いているだけではなくて、品質管理をかなり頑張ってやっているんだということを国民の方にもやはり知っていただかなきゃいけないですし、今、石川委員にもありました、貯蔵していくにもかなりの金をかけて、いいものを貯蔵して、いいものを緊急事態のときに出していこう、そういった考えなんだということを、もっと広報も含めてやっていく必要があるんじゃないのかなというふうに思います。

 これは次の質問につながるんですけれども、今大臣が答弁していただいた内容の中にもちょびっとだけ関わるんですが、これは農林水産省の問題ではない部分もあるんですが、誤解なのか誤解でないのかということは、今、大事なテーマであります。

 最近、SNS、兵庫県でも大きな問題になっておりますが、大きなテーマの中で、今、二月の十九日に、これは書簡の署名でありますが、これは先ほど、ちょっと繰り返し申し上げますが、農林水産省だけの問題では当然ありませんし、問題ではないというふうに、私は、問題意識があって今質問するわけではないんです。二月の十九日に、書簡の署名ではありますが、東アフリカのブルンジ共和国へ、政府の備蓄米を三・五億円と、精米をする機械、六億円ぐらいですかね、七億円かな、含めて十億程度の無償資金協力、国際会社を通じて出していったと。

 やはり、国際社会でこういった困っている国に対して責任を果たすことは当然だというような声もありますし、当然、長期的な外交として必要なものだったというふうに考えることはあります。政府や外務省との考え方もあったというふうに思いますし、これは先ほどの話にもつながってくることでありますが、発信力が必要だというふうに思います。

 米の不足になっているこの日本の中で、やはり結構センシティブなことだというふうに思いますけれども、こんな時期に何なんだという話のパートツーみたいな話なんですが、これは、先ほど申し上げています、農林水産省だけの問題ではないというふうに思いますが、当然、食料危機対応、持続可能な農業生産支援の立場であったんでしょうが、農林水産省として、今この時点の立場から、この時期に、今、農林水産省としてはこういうことがあってこういうことを頑張ったということを含めて、意義をはっきり答弁いただきたいというふうに思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、食糧援助でございますけれども、被援助国政府の要望に基づき実施しております。被援助国政府から日本産米の要望があった場合には、ミニマムアクセス米だけでなくて、こういった政府備蓄米も食糧援助に活用しているところでございます。これは、食糧援助ということの中で、先方の要望をベースとしつつ、海外の方々にも可能な範囲で日本産米を提供するというようなことかと考えております。

 これまで、令和五年度の食糧援助につきましては、政府備蓄米三万トン、ミニマムアクセス米一万トン、こういったものを引き渡したところでございます。これから調整する案件につきましては、関係府省ともよく相談しながら、ミニマムアクセス米の積極的な活用を含めて検討してまいりたいと思っております。

池畑委員 検討という話だったんですが、今、農水省の立場として、これは政府や外務省の方から要請があったのではないかなと推測をするところではありますが、これはやはり誤解を生じる一つだというふうに思いますので、もうちょっと答弁をいただきたいんですが。農水省として、今、こういう話が来ましたよと。

 外務省のホームページではこれは出されておりますけれども、農水省として何かリンクをされてしまうようなイメージがありますね。米の供給と精米機の供給なんか、これは農林水産省じゃないかみたいな話になっている部分があって、SNSでも拡散をされている部分で、かなり農林水産省を批判しているような言葉というのは結構多く見受けられますし、国民感情からすると、米がない時期にというような話なんですが。

 農林水産省としてもう少し、こういう時期に云々かんぬんという答弁をする必要はないというふうに思いますが、やはり外務省と政府と一体となってこういうことを取り組んでいるんだということをあと一つ二つぐらいつけ加えるべきだというふうに思いますけれども、農林水産省の考えをもう一度聞かせていただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 こういった食糧援助につきまして、相手国から要望があって、それで、それぞれどういったもので対応していくかというのを、ある程度時間をかけて調整していきます。そういった中で今回こういった援助ということになったんだと思っております。

 委員御指摘のとおり、これから備蓄米というものを売り渡していく中で、私ども、今後の新しく調整する案件につきましては、関係府省とよく相談いたしまして、ミニマムアクセス米の積極的な活用を含めて検討していきたいと思っております。

池畑委員 せっかく日本のお米がアフリカの方へわざわざ行くわけですから、やはり輸出に関してはアピールの状況にもなるというふうに思いますので、そういったことも全部合わせ技で、今大臣からもありました、やはりもうけていける節に関してはかなり積極的に、がめつくやっていく上で、どうせ出すんだったら宣伝をするぐらいの気持ちでやっていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問になります。

 まず、地元の兵庫県でもそうなんですが、地理的表示のGIというものがあります。このGIは、地元兵庫なんかでもよく取られておりまして、神戸ビーフであったり佐用もち大豆であったり、皆さん御存じだと思いますが、揖保乃糸というのがこの間GI登録をされました。

 このGI登録というのは一体何なんだというところもあるかもしれませんが、今、輸出の件の話を出させていただきました。この中で、今、米の話をさせていただきましたので、米に関する登録状況についてお聞かせをいただきたいというふうに思いますけれども、品種の特性がいろいろ、コシヒカリだとか、今でいう新之助だとか、いろいろありますけれども、米の登録が今のところないんですね。今まで米の登録の申請とか、何か問題があったのであればお聞かせいただきたいという合わせ技なんですけれども、まずは、今まで米の申請があったかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、GI保護制度なんですけれども、地域ならではの環境で育まれてきた品質、製法、伝統といった地域と結びついた特性を有する産品の名称を保護するとともに、その産品の特性を登録簿を通じて明らかにすることによりまして、差別化、ブランド化の重要なツールになるものと考えてございます。

 お米についても、地域特性を有する産品につきましてはGI法に基づき審査をして登録が可能となっているところでございますが、現在、お米については二件の申請がなされておりまして、それぞれについて今審査を進めているところでございます。

池畑委員 二件の申請があるということでありました。

 これは、地元の地域で二十五年以上その作物を作っているだとか加工しているだとか、そういったものが条件としてあるというふうにお聞かせをいただきました。

 米の申請が今されていて、受理されるかどうかは分かりませんが、やはり米というのはいろいろな品種に特徴があるものでして、よく地域で頑張っている、ブランド力を買っていただいて、それが世の中に出ていってGIでというのはなかなか難しいというような話もありました。

 海外でのイベントとか、GI食品がつながっているといえども、海外の方々は何のこっちゃか分からないということもありますし、提携をしている国があると思います。中国であったりアメリカであったり、いろいろな条件の下、JASの関係も含めて、安心、安全ですよということをPRしつつやっているということもあるというふうに思いますので、是非、このGI登録、余り、私の感覚では、今、百五十幾つ、百六十近く、東京では、これだけ広い東京で一種類ぐらいしか登録をされていないように思いますが。やはり、これがたくさん登録をされることで何かが生まれるものではないのかもしれませんが、是非、米の輸出、今議論にさせていただきましたけれども、そういったことで、GI登録をする上で何か障害、障壁があるのであれば、また逆にいろいろ公表していただければいいかなというふうに思っておりますので。

 是非進めていく上で、チーム・ジャパンとなってやっていきましょうという話はよく農林水産省でお話をさせていただきます。和牛も、神戸ビーフだけではなくて、各地域の、近江だったり米沢であったり、チームでまとまっていって、向こうで、海外に出ていこうという話が多くありました。

 やはり、こういう農林水産省が考えておられますいろいろな仕組みや考え方、そして、一番大きくは、戸別所得補償だとかという、農林水産省がどういうふうに進めていこうかということは、やはり広報的にはすごく大事なことだというふうに思っておりますので、いろいろな誤解が生じる部分の広報、農林水産省として我々はこういうことを取り組もうとしているという広報、いろいろなことが必要だというふうに思っております。

 我々は、何か農林水産に関しては、党と党との対決ではなくて、農林水産大臣が今一番最初にお話をいただきました、ちょっと象徴的でもあります戸別所得補償に対してやはり議論を進めて考えていくべきじゃないのかというふうに私も思っておりますし、我々の党も一生懸命、農水に関して考え、そして行動させていただきたいというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今日は四十五分という質問時間でありましたが、これからやはり基本法の計画に関しては、いろいろ我々も議論をさせていただきながら、提案もさせていただきたいというふうに思います。一生懸命取り組んでいきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。許斐亮太郎君。

許斐委員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、大学、大学院時代に農学を専攻していました。専門は、畜産利用と動物の品種改良、遺伝育種でした。その後、なぜかNHKに就職しましたが、そこでも、報道カメラマンとして様々な農業の現場も取材してきました。それらの経験も踏まえて、今回は、日本の農業を守るための政策について、感染症や害虫の防疫、防除の観点から質問させていただきます。

 初めに、家畜伝染病、感染症対策についてお伺いいたします。

 私は、NHK宮崎放送局で四年間勤務経験がありました。初めて宮崎空港に着いてびっくりしたのが、空港のボーディングブリッジです。まずは、足下に消毒液をしみ込ませた防疫マットが乗客を迎えます。さすが畜産県宮崎だなと思いました。

 やはり忘れてはいけないのが、二〇一〇年四月から始まった口蹄疫の流行です。四か月間、宮崎県の畜産が壊滅的になった。何人もの人が畜産業から去っていった。

 今回、大臣の所信で、伝染病について全力で取り組むと述べています。その決意を、口蹄疫の惨禍を経験した宮崎出身の大臣としての改めての御決意、お聞かせください。

江藤国務大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 これは本当に大事です。二千三百億を超える経済的損失、そんなことではありません。

 国道十号線沿いに川南や、もう御存じですけれども、都農とか新富があるわけですが、そこを通ると必ず家畜のにおいがする、車の窓を開けるとですね、それが当たり前だった。それが、何のにおいもしなくなって、街からは灯が消え、まさに地域がなくなってしまうという地獄のような状態でした。

 そして、何といっても予防的殺処分、手塩に育てた自分の牛を殺処分しなきゃいけないという、そのときの酪農家の悲痛な声、酪農家は特につき合いの期間が牛と長いですから、もう泣きながら、牛の前で酒を飲みながら、今でもちょっと思い出すとしんどいんですけれども、そういうことがあってはならないというのは私の政治家としての強い思いであります。

 ですから、前回大臣になったときに豚熱が発生しました。そのときに、動物検疫犬を大量に増やして、ハンドラーも増やして、とにかく国に入れさせない、入れさせない努力、入ってしまったら農場に入れさせない努力、農場に入ってしまったら早期に通報していただく、そして、家畜伝染予防法に基づいて、各都道府県においてはしっかり予行演習をしていただいて、埋却等もしっかり行っていただくということを何としてもやっていただきたいんですよ。

 報道の場面でいろいろな場面を見られたと思います。夜になると、埋却した牛がガスがたまって破裂する音がするんですよ。とんでもないことですよ。

 ですから、このようなことが日本で少しずつでも減るように、これからも動植物検疫、この防衛に向かって努力をしていきたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 感染症が一度蔓延したら、なかなか立ち直ることができません。一気に廃業が進んでしまいます。一生懸命頑張っている農家を守るためにも万全を期していただきたい、そう思います。

 引き続き、牛の感染症の質問です。

 午前中の栗原委員からの質問にもありましたが、昨年十一月に、私の地元福岡で牛の病気が確認されました。皮膚の異常や発熱、足の腫れ、そして泌乳量の低下などを引き起こす、牛のランピースキン病です。

 そこで、その原因と侵入経路と対策、そして現在の蔓延状況を教えてください。重ねてお伺いします。また、被害を受けた農家への助成は今後もあるのでしょうか。よろしくお願いします。

笹川副大臣 今委員の御指摘のございましたランピースキン病、これは、サシバエや蚊等の吸血昆虫が媒介をするということでございますので、アジアの発生国からウイルスを保持した昆虫が風や船舶によって日本に運ばれる可能性が高いというふうに思われています。

 私も、環境省にいたとき、スズメバチなんかでも、本当に風に乗っかって、対馬、それから九州ということで、我々人間の想定外の非常な行動力、行動範囲といいましょうか、広うございます。

 今現在、発生農場での疫学調査を踏まえて、本病の特性や伝播経路の分析をいたしております。福岡で十九例、そして熊本で三事例ということでございます。蔓延防止に向けて、発病した牛を自主淘汰した場合には、再導入支援、それから農場の消毒、吸血昆虫対策の実施、福岡県におけるワクチン接種の推進など、県と連携した対策を実施してきており、国としても、引き続き細かい支援はしてまいりたいと思っております。

 特に、自主淘汰やワクチン接種等の支援対策の結果、現在、発症頭数はゼロということで抑制をされておりますので、ただ、また暖かくなってくるとということになりますので、吸血昆虫の活発化が予想されますので、引き続き発生予防対策に万全を期していきたいというふうに思います。

許斐委員 ありがとうございます。しっかりと農家への御対応、よろしくお願い申し上げます。

 やはり、国内への侵入経路がたくさんあって、なかなか一つに特定できないということでした。午前の質疑で、大臣から鳥インフルエンザの答弁もありました。やはり、今の時代、どこから感染症が来るか分からない。

 そして、所信ではアフリカ豚熱のお話もありました。アジアでは日本と台湾だけがまだ侵入を許していませんが、そこまでもう危機は来ていると思います。一方で、まだ有効性や安全性が高いワクチンは今世界にはありません。

 そこで、日本でアフリカ豚熱のワクチン開発はどこまで進んでいるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

笹川副大臣 今委員が御指摘いただきましたこのアフリカ豚熱、今、治療方法が現況ないわけでありますので、侵入を許した後のことを考えると、大変我々も強い危機感を持っております。

 やはり、ワクチンの開発というのは進めていかなきゃなりません。現在、病原性を弱めたワクチン候補株を作り出しておりますので、令和七年度より、豚に接種して有効性と安全性を検証することといたしております。

 アフリカ豚熱ワクチンの開発には依然として様々な課題がございますので、大学、国内企業とも連携を図りながら、早期の実用化に向けて取り組んでまいりたいと思います。

許斐委員 ありがとうございます。

 世界で最初に開発できたら、これは商業的にも明るいことになると思います。そして何よりも、アジアでの感染を止められるのであれば食料安全保障にも寄与できると思いますので、早い開発を期待しています。

 ワクチン開発について、重ねて質問です。

 国内の家畜伝染病対策を着実に進めるためには、まず水際でたたく、そして最初の病畜を見つけてきっちり対処する、それが大切ですが、加えて、治療よりも予防の観点から、ワクチンの準備が重要だと思います。それも国産です。海外の大手メーカーに頼るのではなく、承認の迅速化や新技術の導入などを含めた、国内でスピーディーに開発、実用化できる体制づくりがやはり重要だと考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。国産でしっかり、そして必要な量を不測の事態に備えてしっかり備蓄をしておく、そのことが極めて重要だと思っております。

 ですから、昨年の十一月に、動物用のワクチン戦略は策定をいたしました。御存じだと思います。これについては産学官が一体となって開発しなければなりません。新技術を活用したワクチンの開発、承認の迅速化もしなければなりません。余り時間がかかってもこれは意味がありませんので。それから製造能力、どれだけの量を作ることができるか。いきなりラインを増やせと言われても製造はできません。ですから、製造のそういうバッファーをしっかり持っておくことも大事だと思います。

 最近では、私の五年前の経験ですけれども、ヘリコプターから経口ワクチンを、イノシシに食わせるということで、まきました。大変な数が要ったんですけれども、これは結構高かったんですよ。これはドイツ製です。そして、何とかこれを国産化しようと思って努力をしてまいりましたけれども、もう五年がたちました。まだできておりません。しかし、ようやく実現しつつあります。

 このように、時間はかかりますけれども、しかし、こういったことにお金をかけることは、いざというときの経済損失と地域における損失を考えると決して高いものではないと思っておりますので、こういった技術開発や産学官の連携、しっかり進めてまいりたいと考えております。

許斐委員 力強い御答弁をありがとうございます。

 原則の、安全性、有効性、品質を担保しながら、様々な環境の変化に対応するため、これまでの殻を破る大胆な政策転換に挑んでいただきたいと思います。

 話題を変えまして、続いて、害虫の問題について質問いたします。

 資料の一、二です。セグロウリミバエについての質問です。これは、全国的に影響が出るのではないかという危機感に基づいての質問です。

 沖縄のウリ科の作物、特にゴーヤーやヘチマ、カボチャ、そしてパパイヤに被害をもたらすセグロウリミバエが、去年の三月に沖縄名護市で確認されました。

 以前、沖縄では、同じ仲間のウリミバエの根絶に苦労して、その取組はNHKの「プロジェクトX」にも取り上げられるほどでした。根絶の方法は、ハエに放射線のガンマ線、コバルト60を照射して、不妊虫、繁殖機能をなくした虫をつくり、ヘリコプターでばらまいて個体数を減らすものです。これは資料二になりますかね。その根絶のおかげで、一九九三年以降、県外への果実の持ち出しが解禁になり、今の沖縄の農業や観光業を支えています。それを脅かすおそれのあるのが今回のセグロウリミバエの発見です。

 農水省として、もう既に全力で取り組まれていると思いますが、現在の蔓延状況と、大臣としての危機意識、お聞かせください。

江藤国務大臣 これは大ごとだと思っています。

 これは、かつて出たときに、十八年ですか、かかりました。もう大変な時間をかけて、沖縄の方々もとんでもない努力をして、十八年かかって、やっと、それでやっと島外に出すことができるようになって、いわゆる農業産出額の中で大きなものを占めるまでに成長していることでありますから、これがまた出たということは、どれほど沖縄の農家の方々が緊張されたかということはもう想像に難くないと思っております。

 出荷は可能となっておりますので、それほど影響はないというふうに思っておりますけれども、しかし、とにかくウリ科のものについては、沖縄にとっては極めて極めて重要な産物でありますので、基幹的な農業生産物でありますので、これに支障がないように、今後もしっかり目を光らせて、また発生しないように管理していきたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 続きまして、そのセグロウリミバエの今までの対策を簡潔にお伺いするとともに、今後の具体的な取組を教えていただけませんでしょうか。

庄子大臣政務官 お答えをいたします。

 昨年三月に発見をして以降でございますが、このセグロウリミバエの根絶を目指しまして、沖縄県とも連携をいたしまして、トラップによる発生調査、そして薬剤散布、あるいは不要な果実の除去など、取組を行ってまいりまして、国からも、沖縄県に対しまして、例えば徹底防除について文書の発出もしたところでございます。

 しかし一方、気温が上がってまいりますと、また活動が活発になりますので、四月から、植物防疫法第十七条に基づきます緊急防除を実施をいたします。全額国費負担でございますので、地域一斉の薬剤散布を行うとともに、移動制限等を行うこととしております。

許斐委員 その緊急防除ですが、どのようなことを行われるんでしょうか。お聞かせください。

庄子大臣政務官 この緊急防除に伴う移動制限で検査を行うに当たりまして、沖縄以外の他の四か所の植物防疫所から防疫官を沖縄県に派遣をし、対応してまいりますほか、沖縄県及び関係市町村職員を植物防疫員に任命をいたしまして、関係機関で連携して、必要十分な要員を確保した上で、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、このセグロウリミバエが寄生しているか否かの確認につきましては、果実の表面が柔らかく軟化したり、あるいは変色をしますので、目視検査を基本として調査をしてまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしても、効率よく実施をしていく必要がありますから、トラップ調査によりまして細かく発生地域を特定した上で、発生地域のみで検査を行っていこうというふうに考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 目視ということですので、なかなか大変な作業になると思いますが、すり抜けがないような対応をよろしくお願い申し上げます。

 そして、今後、蔓延が広がってしまった、そして生息密度が濃くなった場合、今度は、目視だけではなくて、本島外への出荷を全面的に禁止する可能性というのは想定していますでしょうか。その際は、農家への経済的支援はどうするのか。もしお考えでしたら、大臣の考えをお聞かせください。

江藤国務大臣 まずは、そのような事態にならないようにすることについて、本省からの派遣も含めて、全力で取り組ませていただくということでございます。政務官からお答えしたとおりでございます。

 そして、各農家が大変適切に薬剤散布等を行っていただいておりますので、被害の拡大は今抑えることができている、それが可能な状況にあるというふうに認識をいたしております。

 今政務官が言っていただいたように移動制限は行いますけれども、出荷前にしっかりと検査を行うということでありますから、合格したものについては島外にも出してもいいということでありますので、実質的な被害というものはそれほど発生しないのではないかと思っております。

 ですから、今のところ、全面的な禁止、そういったものは想定しておりません。

許斐委員 しかし一方、これはやはり、沖縄の外に出る、最悪のシナリオも考える必要があると思います。今や、国内から沖縄へ訪れる観光客は年間七百五十万人を超えています。風に乗ってだけではなくて、観光客の人流、そして航空機、そしてお土産から、沖縄県外へ虫の流出が、これは否定はできないと思います。

 その場合、沖縄県外でセグロウリミバエが見つかった場合の対策は考えていますでしょうか。教えてください。

庄子大臣政務官 沖縄県外への蔓延防止のためには、沖縄本島、沖縄のこの発生した本島からの寄生植物の移動制限とともに、侵入を迅速に確認するための侵入調査を全国で実施をしております。

 万が一、万が一ですが、侵入を確認をした場合、都道府県と連携し、直ちに薬剤散布等によります初動防除、委員御指摘のように初動が大事でありますので、それを実施をすることにしております。

 本虫の国内での被害発生を防止するため、全国の都道府県等と連携して対応してまいります。

許斐委員 よろしくお願いいたします。

 加えて、今後は、この資料二にあります、前回の封じ込めで使った、不妊虫を使った、この虫を利用する可能性も出てくると思います。

 そして、現在では沖縄で根絶したウリミバエですらも、今、週に約五千万個体が県内にまかれています。それを、那覇にあるウリミバエ不妊虫大量増殖施設で今も繁殖、飼育されています。そして、加えてここでセグロウリミバエもその虫をつくるとなると、並行して、ダブルで繁殖、飼育していくことになるので、沖縄にとって大変な負担になると思います。

 そして、大臣、温暖化が進む中で、日本全体で害虫の脅威も増していると思います。全国でこのような不妊虫を扱うことが出てくるおそれがあります。将来的に、国の施設として、不妊虫の飼育施設、若しくは、このような類似した虫の研究施設をつくるお考えはありますでしょうか。お答えください。

江藤国務大臣 今委員から、沖縄の負担が重いという話を伺いました。ちょっとそれは役所からしっかり聞き取りをさせていただきたいと思います。ウリミバエとセグロウリミバエ、二つですからね。これは別のもの、似ていますけれども、違うものでありますから。

 そして、確かに、あらゆるリスクを考えなければならないということは、委員がおっしゃるとおりだと思います。

 そして、海を見ても、例えば北海道でブリが釣れるとか、そういう時代になってきたわけでありますから、こういう病害虫についても、どんどん北上していくということはやはり想定する必要があるんだろうと思います。

 ですから、今の段階で、予算措置をしてこのような研究施設をつくるということは考えておりませんが、しかし、今日、委員の御指摘も受けて、こういったことについてどのようなリスク管理が可能か、少し考えてみたいと思います。

許斐委員 ありがとうございます。

 想定外を想定することは、やはり危機管理上、本当に大切なことだと思います。仮定の話にきちんと対応していく、これがシミュレーションであって、危機に対する体制づくりにつながると思います。いたずらに危機をあおってはいけませんが、病気や虫の脅威を過小評価しない、そのかじ取りをしっかりしていただきたいと思います。

 まずは、沖縄を一九九三年以前に戻してはなりません。根絶に向けた万全の対応をよろしくお願いいたします。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 国民民主党、秋田県出身の村岡敏英です。

 今日は、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、通告していないんですが、実は大変うれしいことがありまして、今日のニュースでしたが、農水省の官僚が秋田県大潟村に副村長として出向するということです。まだ聞いていなかったでしょうか。そうですか。

 大潟村は農業のモデルであって、二千八百人ぐらいの村であります。この村に農水省の三十七歳の女性官僚が副村長で来られる。大潟村というのは、皆さん御存じのように、琵琶湖の次に、第二番目の広さの湖を干拓し、国の事業で、一人当たり十五ヘクタール、そして五百世帯ぐらいの方々が農業を営み、日本の近代的な農業を目指してきた。

 ここに農林省の官僚を派遣するというのは、将来、計画を立てていくときに、農林省にもその部分が大きな勉強にもなるし、日本の目指すべき農業が一つ取り上げられるんじゃないか、こう思っていますが、知らないと聞けないんですが、どう思われますか。

江藤国務大臣 農水省は、そういった重い役職だけではなくて、例えば、畜産の肥育の現場とか、繁殖農家の現場にも、若いキャリアの官僚が研修に行っております。我が宮崎でも、随分受け入れています。

 ですから、やはり農林水産行政は現場感覚を持っていないと、ずれが生じますので、そういったところに我が省の優秀な職員が行ったということは、朝早くからレクだったものですから、済みません、ちょっと聞いていなかったですけれども、また連絡を取り合って頑張るように励ましたいと思いますし、このような例がまた横展開できたらいいなというふうに感じております。

村岡委員 今日のニュースだったので、後で見ていただければ、こう思います。

 それでは、大臣所信に対して質疑を進めてまいります。

 認識は同じだと思うんですが、日本の農業の就農人口のうち、農業をなりわいにする基礎的農業従事者の数は約百三十万人で、平均年齢は六十歳から七十ぐらいになっている、これが十五年後、二〇四〇年には三十万人まで減ってしまう。そしてさらに、農業新聞に出ていたショックなことは、僅か五年後の二〇三〇年、日本の耕作面積が二〇二〇年と比べて九十二万ヘクタール減ると言われています。東北全体で八十一万ヘクタールしかないんです。

 このような状況では、農業は危機的な状況だということで計画をそれぞれ立てていくことになりますが、この前、我々国民民主党も、大臣室に行って提言をいたしました。よく読んでいただいたでしょうか。その部分もいろいろ取り入れていくことを、先ほど立憲民主党の方々にも言っておりましたが、我々の提言もよく読んで、取り上げていただきたいと思いますが。

江藤国務大臣 まず、農業新聞の記事を私も読みましたが、九十二万ヘクタール減らないようにするために、地域計画をしっかりと作って、担い手をそこに張りつけて、そして、白地になったところについては奨励するような交付金をしっかり創設をして、この九十二万ヘクタールのようなことにならないように、万全の努力を懸命にしてまいりたいと思っております。

 そして、何度も申し上げましたし昨日の所信でも申し上げましたけれども、熟議の国会にしたいということであれば、各党の御提案がどのような内容であるかについて私がしっかり読み込んでおくことは基本的なことでありますので、もちろん御党の御提案についても読ませていただいて、取り入れられるところは取り入れてまいりたいと考えております。

村岡委員 そこでなんですが、大臣は、殻を破るということを言われています。しかし、その殻はどういう殻を言っているのか、前提がなければ殻は破れません。どのような殻だと思っているんですか。

江藤国務大臣 これまで続けてきたことを漫然と続けていては、多分尻すぼみになってしまうということであります。

 水活については一定の方向性を出させていただきました。それから、担い手についても、少しでありますが、見直しをさせていただきました。そして、日本型直接支払い、その他の交付金、直接支払いについても、一度テーブルの上にのせて、整理できるものは整理をしたい、簡潔にできるものは簡潔にしたい、そしてビルドアップするものはしたい、そういったことを考えております。

 全てをいわゆるスクラップ・アンド・ビルドということは農政はできません。農政の連続性というものはやはり必要です。余りにもむちゃくちゃに変わると、農家の方々が混乱してしまうことも当然あり得ますので、そこには目配りをしなければなりません。

 しかし、これから、委員も御指摘いただいた農業人口の減少、それから高齢化の状況、これを見れば、いかに日本の食料安全保障が厳しい状況にあるかは明白でありますので、これまでの常識では考えられないようなことも是非御提案をいただいて、我々も懸命に考えて、実現可能なものから一つ一つであってもやっていくことが私は殻を破ることにつながっていくんだろうというふうに思っております。

村岡委員 私は、殻というのは、安倍政権のときもそうだったんですが、減反政策を五十年以上続けてきた。その中で、生産意欲が失われ、例えば単収なんかも、米なんかは減反政策がありますから、どんどん技術を高めて生産の向上をしようということができなかった。この減反政策をどのように本当に変えるのか。安倍政権では、確かに国の管理ではなくなりました。しかし、引き続いて減反政策をやってきた、こう思っています。

 そして、今大臣が大胆に、新聞ですからまだ発表されていないでしょうけれども、輸出が百万トン、そうなると、百万トンというのは農地が二十万ヘクタールぐらい必要になります。もちろん、例えば一般品種の飼料用米をそのまま植えるということもあるでしょうが、やはり単収を上げていかなきゃいけない。

 そこには、殻というのは、減反政策から、得意なものを増やして、そして輸出につなげて増産していくということだと思っていますが、大臣はどのようにお考えですか。

江藤国務大臣 ここは委員とは若干かみ合わないところなんですけれども、減反政策というのは、とにかくペナルティーを科して、これをやったら、ある意味ひどい目に遭わせるよ、次の年はもっと面積を増やすよ、もう国の補助事業も採択してやらぬよというようなことをやって、ほぼ強権的にやるのが減反政策だと思っています。

 確かに、委員がおっしゃるのは、水活というのは、水田の機能を持っているけれども、ほかのものを作ったら、かくかくしかじかの支援をしますよと。ですから、これが、間接的ではあっても、水田の作付面積を減らすという意味での減反政策ではないかという御指摘をされているんだと思います。しかし、これも九年にはやめるということでありますので、これはある意味で殻を破ることになるんだろうと思います。

 増産というものは、あらゆるものにとって私は必要だと思っています。特に、これだけ高温が続いたり、気象の変動が激しいと、高温耐性を持っている米を作ることは当然必要です。そして、輸出を百万トンという数字は、これはある新聞が書いただけで別に決まった話では全くありませんが、しかし、大きな目標を持って輸出をするということであれば、基盤整備もしっかりしなければなりません。

 今の分散錯圃のような農地の条件の下で、大体九千五百円ぐらいまでコストを下げていかないと、今の為替水準でですけれども、国際情勢の、国際的な取引の中では競争力を得ることはできませんから、土地改良もしっかりやらなきゃいけない、土壌改良もしなきゃいけない、そして品種改良もしなきゃいけない、それによって収量も上げていかなきゃいけない。それは、委員の言っていることは正しいと私は思います。

村岡委員 増産していくというのは、全ての作物において大事なことだと思っています。それは農家の意欲にとってもそうですし、自給率を上げる、国民の食料を守る。そして、大臣所信には、生産力向上というのは何回も出てきます。その方向性は、やはり食料を守るということで正しい方向性だ、このように思っております。

 そこで、やはり米というのがこれまでも農林省の中で一番大きな課題であり、そして稲作農家を、どのようにして主食を守っていくかということが大切なことだと思っております。

 その中で、ちょっと意見が違うと言いましたが、メッセージがやはり減反ではなく増産ということの中で、これまでの中で減反政策というのが農家の生産意欲を落としてきたことは確かだ。しかし、それは別に前のことが悪かったというわけじゃなく、余ってそれが財政的な負担になればこれは致し方がないことだったのかも分かりませんが、これからは日本はしっかりと増産していくんだというメッセージが大臣から出ていくことは非常に大切だと思っていますが、どのように思っていますでしょうか。

江藤国務大臣 増産するんだということは、今、国内の米の事情は御存じのとおりであります。そして、今の石破総理は米の輸出について大変強い熱意を持っておられます。総理とも随分、意見交換の時間を持ちました。

 そういうことであれば、当然、増産しなければ輸出はできません。そして、輸出する意義というのは、やはり外貨を取っていくんだ、世界ででかくなっていく食のマーケットにおいて、日本の米の強みを生かして、マーケットメイクをして、そこにマーケットインをして、そして金を取っていくんだということでありますから、そういう意味であれば、増産というメッセージを私が出すことについて別にちゅうちょがあるわけではありません。

村岡委員 そのメッセージは大切だ、こう思っております。

 私、秋田へ帰って農業者の人とも会いました。また、農林水産委員会に所属しているので、全国の農家からもいろいろな声が届いています。その中で、江藤大臣には非常に期待しているんです。というのは、あの三年ちょっとの間ですか、水張り要件というのが、いろいろな意見があっても全く変わらない、それを変えたということだけで、そしてまた農林水産委員会でいろいろな答弁を聞いていると、食を守るということに大変情熱を持っているというふうに感じています。だからこそ、先ほど言った増産メッセージはしっかり出して、農業者が生産力を向上していけば、農業者としてしっかりと営農が続けられるんだというメッセージがあってこそ、日本の食料を守れる、このように思っています。

 いま一度、しっかりと農業者の生産力向上を農林省は目指していくんだということを、農家の方々、農民の方々に話していただければと思います。

江藤国務大臣 これは米に限らず、例えば私の地元は施設園芸なんかが多いんですけれども、同じ施設、同じ種苗、同じ肥料、同じ農薬を使っても、全く収量が違うんですよね。同じ条件の下でも高い収量を上げている人は、非常にやはり悠々としていらっしゃいますよ。農業はもうからない、もうからないと言いますが、しっかりもうけている人は確実にいます。確実にいるんですよ。

 そういった人たちはやはり単位面積当たりの収量、そして金額ベースでも必ず上げているから余裕があるわけであって、委員がおっしゃるように、農家の方々が単位面積当たりのいわゆる所得を上げていく、手取りを増やしていく、そういった取組をしっかり今やることによって、食料安全保障も、将来の農業のいわゆる魅力、若い人たちが農業に取り組んでみようという意欲にもつながっていくものだというふうに考えます。

村岡委員 米の流通のことに関してお聞きしようと思ったんですが、それももちろんしっかりとやっていかなきゃいけないですけれども、根本的な問題は、やはり増産していくということによって日本の主食を守っていき、国民の食料を守る、そういう方針でいくことが大切だ、それをもう一度発信していただいたことはありがたいことだ、こういうふうに思っております。

 そこで、最後ですけれども、先ほど大潟村の職員の話をしましたが、大潟村の米の生産者協会の涌井さんという方がいらっしゃいます。この方は減反政策に反対して、どんどん増産して、闇米の王様みたいな形で言われましたが、しかし、今は六次産業化をして、そして御飯のパックを、大手じゃないのに、生産者が作って努力しています。

 この方が、輸出をコストを下げてやりたい、是非輸出に取り組みたいと。もちろん精米した米もありますが、パック御飯というのは、このようなことを言っています。炊飯器は全世界にないけれども、電子レンジはある、パックには将来があるということを彼が言っています。そのように、生産者の意欲はだんだん高まっていくと思います、メッセージがしっかりすれば。今日の「クローズアップ現代」にも涌井さんは出ます。いろいろなところで見てみてください。

 大臣もパック御飯を進めていくというのを最後にお聞きして、もう時間がないので、終わらせていただきます。

江藤国務大臣 私は、東京で一人なので、パック御飯には大変お世話になっています。ほぼ一週間に三つぐらいは確実に食べていると思います。

 そして、今回、ウクライナにもパック御飯を出させていただきました。非常食としても非常に有効性が高い。

 ですから、炊飯をするという文化がなかなか欧米ではないし、そして水も、硬水であったり軟水であったり、それぞれ条件が違いますから、お米を出しても、日本と同じような味覚で味わえるとは限らないということもあると思います。

 ですから、あらゆる売り方をするということは商売上極めて有効なことでありますから、このパック御飯は、いわゆる米粉も含めて新しい販路として極めて有望だと思っておりますので、農林水産省としても応援してまいりたいと思います。

村岡委員 「クローズアップ現代」、見てみてください。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問は通告した順序とは大分異なりますので、御了承いただければと思います。

 今日は文科省からも参考人にお越しいただいていますので、まずその質問から入らせていただきたいと思います。

 高等教育の無償化について質問いたします。

 家庭の経済状況にかかわらず、大学、短大、高等専門学校や専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、令和二年四月から高等教育の修学支援新制度がスタートし、今年度からは、多子世帯や私立の理工農系の学部等に通う学生等の中間層への支援が拡大をされ、令和七年度からは、多子世帯の学生等について、大学等の授業料、入学金が無償となります。

 教育無償化については、公明党としても一貫して取り組んできたことであり、今後も、財源を確保しつつ、更なる対象拡大を目指そうとしているところです。

 水産業を担う人材育成を目的とする高等教育機関として、水産大学校があります。

 淵源をたどれば、昭和十六年、釜山高等水産学校として設立以来、変遷を経て、現在は、国立研究開発法人水産研究・教育機構が設置、運営する教育訓練施設として、これまで、水産庁を始め都道府県などの行政機関、さらには水産関係の団体や企業などに多くの水産分野で活躍する人材を輩出しており、今も八百四十人の学生が在籍をして勉学に励んでおります。

 水産大学校は、大学ではありませんが、卒業すれば水産学学士の学位が授与をされます。また、大学卒業者と同様に、大学修士課程や、大学の専攻科への入学資格も得られるなど、大学と同格、大学そのものの教育研究施設です。

 にもかかわらず、水産大学校のホームページには、「本校は、農林水産省所管の大学校であり、令和二年四月から実施されている高等教育無償化制度の対象には含まれておりません。」「同制度による給付型奨学金等の修学支援(令和七年度からの多子世帯の学生等に対する大学等授業料等の無償化も含む)は受けることができません」と記されており、高等教育無償化の対象にこの水産大学校は入っておりません。

 農林水産関係では農業大学校がありますが、この農業大学校は高等教育無償化の対象となっております。

 大学校と名のつくところでも、職員としての採用を前提として、給料を受け取りながら学ぶところもあるなど様々ですが、水産大学校については、授業料を納めて修学をして、卒業すれば学位が授与をされます。大学と全く変わらない水産大学校も教育無償化の対象とすべきと考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの高等教育の修学支援新制度についてでございますが、給付型の奨学金事業につきましては独立行政法人日本学生支援機構法、授業料の減免につきましては大学等における修学の支援に関する法律におきまして、委員御指摘のとおり、学校教育法に規定する大学、高等専門学校及び専門学校の学生等を支援の対象と規定しているところでございます。

 この理由についてでございますが、お尋ねのとおり、水産大学校を含めまして、各省庁が政策目的を達成するために設置した学校教育法上の学校ではない大学校につきまして、こちらは、従来からこれらの大学校につきましては、各省庁の政策目的の達成の必要に応じまして、それぞれ各省庁ごとに、学生のまさに授業料の扱い、修学支援の在り方等をそれぞれ、その要否含め、個々の省庁ごとに対応されてきたという経緯がございます。

 したがって、これらの法律でもって一律に規定する形ではなく、各省庁ごとの対応が行えるようにという観点で、支援の対象外としてきたという経緯がございます。

角田委員 大学校といっても様々で、水産大学校については、学位も授与されるし、修士課程の入学資格も得られて、学生支援機構の有償の奨学金なども受けられます。大学と同格と言える水産大学校が高等教育無償化の対象とならないというのは、やはり理解ができません。是非対象に入るようにこれは検討いただきたいと思います。

 大臣所信においても、日本の水産業の維持発展を支えるため、担い手の育成、確保の取組を進めるとしていますが、優秀な人材確保のためには、学費等の負担軽減を是非とも考えなければならないと思います。これについては農水省も、学生の負担軽減のためにどのような方策が取れるのかについて今後しっかり検討していただきたいということを要望させていただきます。

 続きまして、米について二点ほど質問をさせていただきます。

 昨年八月に南海トラフ地震臨時情報やその後の神奈川県西部地震等の影響で買い込み需要が急増して以来、九月に入って新米の仕入れが順調に進み、ほとんどの店舗で精米が夕方まで棚に並ぶようになって、品薄感は解消に向かうものと見られておりましたが、現実はそうはなりませんでした。

 生産量は前年を上回っているのに、民間在庫は逆に前年を下回り、しかも、月を追って不足が増えている状況で、通常の供給ルート以外に米が流れ、そこで滞っている可能性が高いということから、初めて買戻し条件付の備蓄米売渡しを行うこととして、この十日から初回入札が行われたわけです。

 私自身もお米屋さんを回っておりまして話を伺っている中で、一つには、いつ、この備蓄米が小売に入荷してくるのか、その情報というのが全くないということを聞いて、一体いつになるんだということを聞かれましても、私もはっきりとお答えすることができなかったので、ここでまず伺いたいと思いますけれども、備蓄米が小売に入荷し、店頭に並ぶのは最短でいつとお答えすればいいのか、これについて教えていただければと思います。

庄子大臣政務官 備蓄米が最短でいつからかというお尋ねでございますが、三月十日から十二日、今日まで入札を行っておりまして、三月半ばには、備蓄米の引渡しを開始するという予定でございます。

 集荷業者は、引き渡されてから一週間程度で政府備蓄米を卸売業者に売渡しを始めることが可能でございますので、卸売業者に届けば、数日から一週間程度でスーパーなどの店頭に並べることは可能だというふうに理解をしております。

 ただし、卸売業者もスーパーも、既に在庫を抱えております精米済みのお米、これから先に店頭に並べていくということも考えられますので、供給された政府備蓄米を原料としたお米がそうした後に店頭に品出しされるということも考えられます。

 いずれにしても、農林水産省としては、できるだけ早くお米を届けられるように努めてまいります。

角田委員 ありがとうございます。

 この備蓄米の売渡しは、流通の目詰まりで不足してしまっている量を補うためのもので、価格についてはあくまでも市場に委ねる旨の発言を大臣もされておりますが、今、小売や消費者が不安に思っているのは、やはり何といっても価格です。この価格の異常な上昇、これが消費者の大きな不安となっているわけです。

 今年一月の消費者物価指数を見ましても、生鮮食品を除いた指数が前年同月よりも三・二%上昇し、二か月連続で上昇率が三%台となっておりますけれども、こうした中で、米類の上昇率は七〇%を超えています。米だけがやはり異常な跳ね上がり方をしております。

 このために、消費者が右往左往するような混乱が起こっている。少しでも安い米を求めて県外から米を買いに来たり、また、米屋さんの方では、新規のお客さんはお断りというような張り紙をするようなところも出てきている。ネットなどで少しでも安い米を探して買ってみたら、石が混じっていて精米機にもかけられない、そういう米を買わされたという話も伺いました。

 主食である米の価格をめぐる混乱を鎮静化するための更なる取組が必要ではないかというふうに思います。価格がやはり落ち着かないことには、買い急ぎ、一方で、売る側としては売惜しみによる品不足解消ができないと、更なる価格上昇といった悪循環に陥ってしまうのではないかとも考えます。一刻も早くこうした状況を改善する必要があると考えております。

 初回入札分十五万トンに加えて、売渡しを公表している六万トンについては流通状況を調査した上で時期を判断するとされておりますけれども、消費者の安心のためにも、迅速かつ的確な判断、これが求められていると思います。適時適切な対応は、生産者への影響をできる限り抑えるという意味からも重要なことだろうと考えております。

 大臣所信においても、今回の備蓄米の売渡しを迅速に進めることで、米の流通の円滑化、国民生活の安定を図っていくとされております。そうしたことのためにも、流通状況の監視体制を更に強化すべきと考えますが、この点についてお考えを伺いたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回売り渡された備蓄米がきちんと流通されているかといったことを確認するために、売渡先には、隔週ごとに、販売数量でございますとか金額でございますとか、こういった状況を農林水産省に報告することを義務づけておりまして、これらの情報は、きちんと取りまとめ、公表していくこととしております。

 また、それ以外の、例えば価格でございますと、相対取引あるいはスーパーの店頭、こういった価格動向をしっかり把握する、あるいは、集荷業者、卸売業者の在庫、販売状況、こういった様々な各種データもきちんと調査、公表していくことで、流通の把握に努めてまいりたいというふうに考えています。

角田委員 平時ならともかく、今は、国民の不安に寄り添って安心を届ける、そのために最大限の努力をすべきときだと思っております。隔週の集荷からの報告徴収で本当によいのか。小売の、スーパーのPOSデータについても、一週間後の把握で、この局面での適時適切な対応また判断というものができるのか。ひいては、国民生活の安定が図られるのか、安心してもらうことができるのだろうかというふうにも思います。

 これから目指す合理的価格形成も、消費者の理解があってこそのものだと思っております。この点について、農水省としても更なる流通段階での把握、そして的確な判断を下すための対応というものについて検討をいただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、離島支援について質問をさせていただきます。

 燃料や資材の高騰の影響を最も受けているのが離島であります。それに加えて、台風や干ばつ、病害虫、鳥獣の被害の頻発にも悩まされながら、基幹産業である農林水産業を守っております。不利な条件の中で将来に向かって持続可能性を高めていくためには、できるだけ島内で完結できる循環型社会を構築することが、特に離島では求められているというふうに思います。

 先週、石垣島で、現地を視察させていただいて、現場の方々からも様々話をお伺いいたしました。製糖工場においては、バガスを燃料に工場の電力を一〇〇%賄っており、また、このバガスを牛の敷きわらとしても再利用をしている、そして、この牛ふんから製造した堆肥を畑に還元をしている。

 こういった循環型の社会は、畑作や畜産、製糖など、どれが欠けても成立をいたしません。畜産は畜産、サトウキビはサトウキビといった単発の支援ではなく、循環型社会形成のために総合的な支援というものが講じられるよう取組が必要だと思いますし、こうした観点からの施策の検討というものも是非お願いをしたいと思っております。

 その上で、島内の資源循環を担っている重要な拠点が製糖工場ですが、石垣製糖の工場は、一九六一年創業以来、六十三年が経過しており、老朽化が著しいことに加え、手刈りから、九割が今はハーベスターとなり、収穫作業の省力化が進んでいる反面、受け入れる工場では、トラッシュの処理など負荷が増大して効率が低下、操業が長期化をしており、維持管理にも支障を来している状況です。

 これは石垣にとどまらず、ほかの島もほとんどが更新時期を迎えており、計画的に更新が進むよう財政支援の充実、これも是非必要と思いますけれども、この点について見解をお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 鹿児島県、沖縄県の分蜜糖工場につきましては、原料作物であるサトウキビの生産とともに、地域の経済活動の維持発展や雇用の確保に大きな役割を果たしていると考えております。

 御指摘のとおり、その中の工場は、今ほとんど築六十年とかを超えておりまして、安定操業を持続させるための対応が課題となっております。

 こうしたこともありまして、農林水産省におきましては、令和六年度補正、あるいは令和七年当初予算におきまして、新基本計画実装・農業構造転換支援事業、新しい共同利用施設の支援の仕組みをつくりまして、都道府県が国の補助に上乗せ支援をする場合は、更に地元の負担を軽減する、そういった仕組みをつくったところでございます。

 農林水産省といたしましては、今後とも、地元関係者に適宜適切な助言、いろいろ相談に乗りながら、分蜜糖工場の持続的な生産体制の構築に努めてまいりたいと考えています。

角田委員 ありがとうございます。

 やはり、地元では、費用の負担、資金面はどうするのかということで、なかなか話がまとまらずに、それがなかなか更新に着手できない大きな要因ともなっていると伺いました。是非、国としても寄り添って、しっかりと一緒になって考えて助言をしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 もう一点、牛ふん堆肥についてなんですけれども、堆肥にするのはいいんですけれども、扱いづらく、なかなか利用が広まらないという声も伺っております。この堆肥というものをペレット化することは、堆肥の拡大に不可欠だというような声も強くありました。耕畜連携の促進の観点から、また、島内の資源循環システムを構築をしていくという観点からも、ペレット化への支援、また効率よく畑にまくための機械散布への支援、こうしたものも、とりわけ離島にこそ手厚くしてもらいたいというふうに考えておりますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。

庄子大臣政務官 肥料の安定供給や資源循環を通じました環境保全の観点から、耕畜連携を通じて、家畜排せつ物から生産する堆肥の活用を推進することは極めて重要だと思っております。

 今委員御指摘のように、圃場に散布しやすいペレット状に成形するということが有効だというふうに理解をしております。本省といたしましては、令和六年度補正予算におきまして、堆肥をペレットに成形するための設備、あるいはペレット堆肥を圃場に散布する機械、ブロードキャスターの導入支援を行っているところでございます。

 今後とも、国内堆肥資源の利用拡大に向けて、取組を強力に進めてまいります。

角田委員 離島に対する支援について、しっかりこれからも充実を目指して取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 質問の機会、ありがとうございます。限られた時間ではありますが、お伺いしたいことが山盛りです。

 先日の所信表明でも大臣から語られましたが、農は国の基と言いつつも、日本の食料自給率は三八%、種や肥料の自給率の低さも考慮すると、最悪、一〇%あるかないかではという見方もございます。

 れいわ新選組は、世界の富裕層のための輸出拡大ではなく、国民を飢えさせないための国の安全保障としての農林水産の政策を目指しております。私もその姿勢で、今国会、農林水産委員会として法案審議や質問などに努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ほかの委員も質問テーマにされていたんですが、大臣所信では、輸出を促進するなど、農業、食品産業の海外から稼ぐ力の強化を表明されておられました。政府は、輸出の目標として、二〇二五年までに二兆円、二〇三〇年までに五兆円という金額を掲げています。

 私は、輸出そのものを否定する立場ではないんですが、今輸出拡大に力を入れるのは、国民からすると、やはりちょっとずれているんちゃうかなと思われるのではないかと思っております。輸出を拡大するよりも、国内需要があるものをしっかりと生産して、国民の食料は国内で賄えるように食料自給率を高めていくべきだと考えます。

 その上でお伺いしたいんですが、米国のトランプ大統領は、外国産の農産物への関税引上げを来月、四月の二日に発動する予定だと明らかにしています。日本について直接的な言及はなく、対象になるかは不明ではありますが、ちょうど先ほど、全ての国に鉄鋼とアルミに二五%の関税を発動するぞと発表もされましたし、農林水産省は、もしトランプ大統領が日本の農産物の関税を引き上げた場合、どうするおつもりなのでしょうか。お願いします。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 トランプ大統領が三月四日の施政方針演説におきまして、相互関税について四月二日に開始すると述べたこと、これは承知してございます。ただ、対象国や対象品目、関税率などの具体的内容は、現在米国側で検討中という状況と承知してございます。

 これにつきましては、政府として、日本が対象となるべきではないと考えている旨を米国に申入れをいたしてございまして、意思疎通を図っているところでございます。

 我が国の農林水産物の貿易におきましては、米国は最大の輸入相手国であるとともに、最大の輸出相手国でもございます。重要なパートナーであると認識してございます。

 農林水産省といたしましても、現在、高い関心を持って米国政府の動向を注視してございますので、引き続き関係省庁と連携して対応してまいる考えでございます。

八幡委員 言って聞いてくれる大統領だったらいいんですけれども、そんな同じようなことを、日本にはせめて鉄鋼とアルミを上げんといてと言ったのに上げてきたという事実を農林水産省も受け止めた方がいいんじゃないかなと思います。

 そもそも、日本の農政がこうやって海外に振り回されるべきではないと私は思います。政局によって拡大しろと言われたり縮小しろと言われたり、困るのはやはり国民だと思います。

 そして、大臣にもお伺いしたいんですけれども、日米間で様々な事情や忖度があるのかもしれませんが、トランプ大統領の関税引上げが日本に対してももし実行されたなら、それを理由にして、私は、米国に対しての輸出拡大というのをやめた方がいいんじゃないかなと思います。そうしないと、また、輸出した分、例えばアメリカのお米をもっと輸入しろとか、むちゃを言ってくるかもしれないですし。

 実際、ちょうどこれも数時間前のニュースなんですけれども、米大統領報道官が、米に七〇〇%の高い関税を課していると、日本を名指しで批判しているんですね。当然、日本は、ミニマムアクセスとかやっているので、それには当たらないと言っているんですけれども、そこをすっ飛ばしての批判をしてきているので、やはりちょっと私は不安でしかないと思うんです。

 その辺り、江藤大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 確かに、海外に対する輸出については、その国の事情によって、いきなり止めるということはあり得ることであります。特に、今の政権になったら、私は六十四歳なんですが、私の人生経験でも考えられないようなことをされるので。また、報道官は委員と同じぐらいの年齢の方ですけれども、昔の、米が安かったときの水準のことで七〇〇%と言っているのであって、もうちょっと勉強していただきたいなと正直思いますよ。

 しかし、日本が輸出を目指すというのは、やはり、食料自給率にも直接影響するからです。四百二十七万ヘクタールの農地を守っていくには、これから、国内の市場だけを見るのではなくて、広く世界のマーケットを見た方が、農地を守る上では有効です。そして、農家の所得を一定水準以上に確保する上でも、海外のマーケットを取っていった方が有効です。海外に物を出して、もうからないんだったら、やる必要はありません。

 そして、言われるように、国内で求められるものを作るということは極めて正しい判断です。その考え方については全く賛同するものでありますが、しかし、農家の方々も、先ほど村岡委員からの質問もいただきましたけれども、やはり海外のマーケットを見て、ビジネスチャンスがあるというふうに思っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいますので、そういった方の背中を押すのも農林水産省の仕事だろうというふうに思っております。

八幡委員 大臣にしっかり言及いただきましたけれども、この七〇〇%の関税というところ、そこはしっかりと日本としても否定をしていただきたいですし、当然、関税に関して、WTOでは一方的な関税引上げというのはルール違反となっていますから、もしもトランプ大統領がまだ関税引上げに言及してきたら、日本政府として強硬な姿勢で挑んでいただきたいんです。石破総理が、私からすると、ちょっと弱腰なんちゃうかなと思うので、日本の農水大臣として、江藤大臣からもびしっと言っていただきたいなと思っております。

 お米の輸出について、昨日の農業新聞によると、政府は二〇四〇年に米の輸出量を百万トンを目標にするなどの報道もありました。

 さらに、大臣所信では、米の輸出を拡大するプロジェクトを推進ともあり、これは、重要なマーケットとして中国への期待もあると思うんですけれども、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、やはり、お米の値段が高騰して十分に食べられない国民がいると言っているのに、それを無視する形、これは国民からの感情ですよ、何か無視されとるんちゃうかなと思います。いろいろ食料自給率のこととかもおっしゃっていただきましたけれども、国民の感情を無視する形での米の輸出拡大というのは、私は違和感しかないと思っています。

 さらに、今朝の日経新聞によると、輸出用としてお米の生産を増やすことで、国内での需給の逼迫時には、一時的に国内供給に回して物価高騰を防ぐことも視野に入れているんだと書いてあったんですけれども、率直に申し上げて、話の順序が逆だと思うんですよね。まずはやはり、我が国だと思うんです。少なくとも農政においては、ジャパン・ファーストであるべきだと私は思います。

 続いて、食料自給率についてです。

 二〇二〇年三月に閣議決定された現行の食料・農業・農村基本計画では、食料自給率を四五%に引き上げるという目標が設定されていましたが、今月、改正を迎えて閣議決定される予定の基本計画の骨子案では、食料自給率の目標が明記されておりません。

 食料自給率を高めると言いながら、その目標がいまだに設定されていないということに対して、本当にやる気があるのかと国民に疑われても仕方がないと思うんですが、農水大臣としての食料自給率の目標を、是非今ここでお聞かせください。

江藤国務大臣 今ここではちょっと無理です。ですけれども、しっかり数字は出します。必ず出します。新たな食料自給率目標、それから目標の実現に向けて必要な具体策、これが必要ですから、これをしっかりと決定した上で出してまいります。

八幡委員 これから出すということですが、期待をしております。

 当然、れいわ新選組としては、早急にカロリーベースの自給率、五〇%に高めていくべきだと考えております。そして、更に意欲的な目標を追求することを訴えておりますので、大臣、是非一緒にやっていきましょう。

 続いて、大臣、先週七日の金曜日に、政府による備蓄米放出について、消費者が米を買い急ぐ状況ではないとして、冷静な行動を呼びかけておられましたが、そもそも何でこんな状況になったのか。お米が買えないと国民が訴える中、備蓄米の放出を渋ってきたからこそ、国民に不安が広がってしまったという現実をしっかりと受け止めていただきたいんですね。

 そして、ようやく備蓄米が放出されるわけなんですが、近年、多くの農家が採算割れの中にあり、離農、廃業と、農地の荒廃が急速に拡大してまいりました。農家さんにしてみれば、資材や肥料などの生産コストが軒並み高騰して、厳しい経営が続いていた中、今回の米の値上がりでようやく利益が出る水準になってきたなという側面もあると思います。

 今回の備蓄米放出でお米の価格が下がることは、消費者からすると大変ありがたい、助かる話なんですけれども、このままお米の価格の値下がりが続いた場合、それが新たな価格の基準となるわけですから、政府はその分、生産者に価格保障をしないのでしょうか。また厳しい経営を再度、生産者の人たちに強いるのでしょうか。お願いします。

江藤国務大臣 渋ったという話をされましたけれども、渋ったわけではなくて、大変悩んだというのが正直なところであります。

 御指摘いただいたように、農家の方々は、売渡しの米価が安いということにずっと苦しんできました。ですから、いわゆる高付加価値のほかのものを作るという努力も一生懸命されてきました。それで水活なんかもあったわけであります。

 しかし、出すことによって、どれだけ出すかも悩みました。五万トンがいいのか、十万トンがいいのか、十五万トンがいいのか、それとも二十一万トンがいいのか。今までやったことがないので、どのような市場に影響を与えるかは、正直なところ、分かりません。あくまでも価格は市場で決まるものであります。

 ですから、一番更に悩んでいるところは、これからの買戻しです。余りにも高い水準で買い戻したら、国はやはり農家の方に余りにも軸足を置き過ぎている、高い米価水準を維持したいんだというふうに消費者の方々からは叱責を受けるでしょうし、米価がどかんとおっこちるところまで買戻しを行わなければ、やはり安い方向に行きさえすればいいんだというふうに言われる。そういうと、農家の方々は、今委員が言われるように、その分、何とかしてくれという話も出てくるかもしれません。ですから、何とか、難しいんですけれども、そういう声が消費者からも生産者からも出ないように、一生懸命考えています。

 これは、いわゆるマーケットを相手にしていますので、機動的に行わなければなりませんけれども、何分、知見が不足しております、経験がないので。しかし、追加的な放出も考えておりますが、買戻しについても、一年を超えても買い戻さない場合もあるということも一応お伝えをしておりますので、無理な買戻しもしない、しかし、安値に落ちていくその過程においても放置はしないという姿勢で、生産者の方にも応えていきたいと考えております。

八幡委員 大臣の悩ましいという思いはすごく伝わってきたんですが、農産物の目標価格を市場価格が下回った場合には、やはりその差額を政府が補填する仕組みが必要だと私は思っています。

 今回の備蓄米放出についても、生産者が採算割れしないように、財政出動をして、国が価格保障するべきだと考えます。もしかしたら、大臣の中では財政出動とか国債を刷ってでもみんなを助けるという感覚がないかもしれないんですけれども、是非、悩んでいる間に一回やってみてほしいんですね。是非、財政出動をして、農家の人たちを支えるということも一度御検討ください。

 備蓄米について、続いての質問にも関連してまいりますが、私は、前回の委員会で、いわゆる米国のフードスタンプのような、食料に焦点を当てた低所得者への支援制度について、日本でも同様の政策ができないのかと質問をしました。国民の六人に一人が相対的貧困にある日本で、生活困窮者などへの食料支援の制度化というのは緊急の課題だと思います。

 そんな中、昨年、子供食堂などへの政府備蓄米の無償交付が開始されましたが、もっとこれも進めていけば、政府備蓄米によるフードスタンプが実現できると思うんですよ。いわゆる減反政策とか生産調整を図るのではなくて、生産者さんにはたくさん作ってもらって、余剰分は、政府が買い上げ、備蓄をしていく。また大規模な災害が来るかもしれないですし、備蓄するには絶対これから大事だと思っているんですね。

 何よりこれが農業支援策としても有効であると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 私が前回大臣になったときに、実は子供食堂への備蓄米の活用を決断いたしました。今回、フードバンクにも出すということにさせていただきます。

 お気持ちはよく分かります。私の地元でも、今まで子供食堂には地元の農家からたくさんお米が集まっていました。しかし、昨今の状況を受けて、余りお米が集まらないという声は、私の地元の子供食堂を運営されている方からも直接聞いているので、そのお気持ちは分かりますが、我が国では、社会保障制度とか社会福祉制度の施策の中で行っている。

 フードスタンプについても、いろいろな評価があるじゃないですか、ここでは申し上げませんけれども。米に特化したフードスタンプというのは新たな提案でありますけれども、その分備蓄するということになれば、今の百万トン水準でも年間五百億のいわゆる税金の負担を今国民の皆様方にお願いしておりますので、それを行うに当たっても、国民の皆様方の御理解がやはり必要になってくると思います。

 御提案は分かりますが、なかなか厳しいかなというのが正直な気持ちであります。

八幡委員 財源のこともおっしゃっていましたけれども、国民の負担ではなく、政府による財政出動でやっていけばいいんじゃないかなと思っております。

 現在、子供食堂が全国で一万か所を超えています。子供たちがおなかいっぱい食べられるように、NPOや民間団体に任せ切りではなくて、政府としての対応を引き続き求めてまいります。

 質問、新規就農支援について考えていたんですけれども、ちょっとこれは飛ばしますね。

 続いて、農林中金について行きます。

 農林中央金庫は、JAグループなどが集めたお金を預かって運用し、配当を還元することを主な業務としており、その所管は農林水産省です。

 しかし、先日、その農林中金が外国債券の運用に失敗したと大きく報じられました。二〇二四年度の最終的な損失額は、何と一兆九千億円。その責任を負い、理事長の辞任、新理事長の就任、一連の事案に対する今後の改善策などが先月二十日に発表されました。

 私はこの報道を耳にしたときに、素人意見で申し訳ないんですけれども、日本の農業が、農政ががたがたなのに、どうして国内に投資せずに海外でマネーゲームをして、しかもそれを溶かしているのかなと驚きました。外国債券ではなく、なぜ比較的安全とも言われております国内債券で運用しないのかも疑問ですし、他人のお金だからと思ってハイリスクな金融商品に手を出して、無謀な投資を行っているのではないでしょうか。

 この農林中金の損失額一兆九千億円について、大臣の受け止めはいかがでしょうか。

江藤国務大臣 大変なことだと思っています。

 やはり、農林中金という名前を冠しているわけでありますから、農林中金らしくあってほしいというのは、ずっと前から理事長に私は申し上げてきました。

 農林中金の貸付けは農協に充てているものなんですよ。農業者については政策金融公庫が前に出てしまっています。農業者に対する融資は全体の〇・四%しかないということであります。もちろん農協を支えるという大変な大きな役割を果たしてきたわけでありますが、農林中金である以上は、これからの構造改革にやはり力をかしてほしい。これだけの体力のある、自己資本比率も、これだけの損失を出しても極めて、メガバンクよりもまだ高いんですよ。

 それだけの体力を持っている金融機関でありますから、日本の農業が農林中金の支えによってある意味立ち直った、そういうような形がもし描けたら、農林中金にとっても、日本の農政にとってもいい結果であると思いますので。法律があります、農林中金法という法律が。法律の改正も含めて、農林省としてはこれから検討を進めてまいりたいと考えております。

八幡委員 私が言いたいことを大臣がもう代わりに言ってくれているぐらいに、私も本当にそうあるべきだと思っています。

 農林水産業の発展のために融資をしていく組織へと今こそ立ち返るべきだと思っています。食料安全保障が重要なテーマとなる中、担い手の確保など取り組むべき課題は多いんですから、新規で例えば就農したい人のためにとか、そこに農林中金の資金力を生かせないのかなと思っていました。マネーゲームをするよりも国内の農林水産業への融資拡大をしていく方が、お金には代え難い利益が生まれるのではないかと思っております。

 当然、日本の農政に今こそ政府の支出で積極財政すべきだと考えるれいわ新選組ですから、これからもしっかりと予算を確保すべく、農林水産省の予算を今よりも倍増させることを目指していきます。今、二兆ちょっとだったら、もう四兆とか五兆でも目指して私たちは訴えていきたいと思っています。

 先日、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会が呼びかけた国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援を求める請願というのをお受けいたしました。全国から本当にたくさんの署名が集まりまして、農水委員会所属として引き続き国民の皆様の声を受け止めて、そして大臣にも、この質問の機会を使っていろいろ一緒に考えていきたいなと思っております。

 令和の米騒動とかも言われていて、今回の備蓄米放出に至るまで、大臣も悩まれたと思うし、何か本当に大変だなと思って見ていたんですけれども、見方を変えると、政治は生活に直結しているんだということを国民がちょっと気づいたと思うんですよ。大臣は大変だったかもしれないけれども、私はすごく、江藤大臣のおかげでみんなが政治に興味を持ったし、この農水委員会だって、きっと今、中継でたくさんの方が見てくださっていると思いますので、引き続きここでいろいろな議論ができたらいいなと思って、私の気合を添えて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

御法川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 まず、大臣には、今回の備蓄米の放出についての決断に敬意を表したいというふうに思います。大変難しい決断だったと思います。私もそれをかねてから提案をしておりましたけれども、おっしゃるように、生産者にとっては今の価格というのはむしろ当たり前ぐらいの価格であるけれども、一方で、消費者においては、今でも地元を回ると、一番やはりお米の値段の悲鳴というのが聞こえてくるということですので、大変難しい決断をされたというふうに思います。

 その上で、この問題は、大臣は就任されてかなり早い段階で決断をされましたが、私は、実は去年の五月八日に取り上げています。私だけではなくて、共産党の田村委員も取り上げておられました。

 やはり、大臣というよりは、農林水産省の方がこれは反省をしないといけないというふうに思うんですよ。あの段階では、需給逼迫していない、別にそんなに価格が高いとも思えない、一部のスポットを除いて、また新米が出てきたら大丈夫だということをおっしゃっていました。反省って、何も頭を下げる必要はないですけれども、やはり総括をして、今後こういうことがないようにしなければいけない、そういう趣旨で質問をしたいというふうに思います。

 資料を見ていただきますと、大臣に最後に聞きますけれども、裏側を見ていただきますと、スーパーの販売数量と価格の推移がございます。私が質問した五月の段階では、この赤い数字が、既に販売数量というのが少なくとも前年、前々年を上回って推移をしているということがお分かりだと思いますし、販売価格というのは下の方ですけれども、少しずつではありますけれども、やはり前年、前々年よりはかなり水準が上がっていたということは事実だというふうに思います。

 去年五月八日に私が質問したときには、この前の方の資料を見ていただきますと民間在庫の推移というのがありますが、去年の五月の段階、これはかなり、私からすると、少なくとも令和四年の九月ぐらいから少しずつ在庫というもののマイナス幅が増えていっているというのがお分かりだと思います。私が質問した五月の段階ではマイナス四十万トンということで、これがずっと推移しているわけです、一回限りとか、そんなんじゃなくて。

 これを見ると、大体三十万トン、四十万トンぐらいマイナスで在庫が推移をしていますので、私は、この段階で供給が、かなりお米が、これは程度の差はあると思いますけれども、この委員会でも議論があったように、やはり価格弾性値というのが小さいですから、ちょっとした需要が増えたらぐっと上がってしまうということを考えると、やはりこの段階で分かっていたんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の昨年の春頃から秋にかけ、例えば、ここでお示しいただいておりますのはPOSの数字でございます。

 もう一つ、小売物価統計というのがございますけれども、例えばコシヒカリですと、令和六年四月が二千三百八十四円、令和六年八月が二千八百七十一円、最新の令和七年二月というのが四千三百六十三円ということで、大きく上昇しているところでございます。

 それで、委員御指摘の昨年の最初ぐらいということでございます。ここでも何回かございましたけれども、ちょうど令和五年産米が、作って、売られるところでございました。これにつきましては、まず、高温の影響によって精米の歩留りが低下していたということで、余計玄米が必要だということと、その頃はやはり、パンとか麺とかに比べると非常に価格が、ある意味値頃感があったということで、委員御指摘のPOSのデータのように消費が増えていたというような当時の状況でございました。

北神委員 だから、分かっていたということだというふうに思います、今の答弁は。分かっていたというか、分かることができた、分析することができたということだと思います。

 歩留りの話がございました。これは大臣は専門家ですけれども、要するに、供給量として、何が本当に正確な数字なのかというのは非常に難しいですけれども、農林水産省さんは、いわゆる作況指数とか収穫量で見ている。ところが、実際に出回るお米というのは玄米の段階なので、そこから精米して白米に変えないといけない。

 歩留りが減少したというのは、ちょっと資料を用意していないんですが、過去平均九一・四%だったんですね、歩留りの減少率というのは。要するに、八・六%ぐらいは、玄米から精米するときに、多分、高温障害とかで粉々になってしまって、もう出回ることがない。

 過去は、十年平均すると九一・四%だったのが、令和五年を見ますと九〇・六だと。たったの〇・八%の差だと思われるかもしれませんが、実は、農林水産省の方で、大手卸業者六社にヒアリングをすると、主要銘柄別の精米歩留りを単純平均するとマイナス一・四%減少と。つまり、皆さんが思っている供給量から、実際の白米になる段階で一・六%減少している可能性があるんですね。これは六社のヒアリングですけれども。

 一・六%というと、計算すると、下手すると十万トンぐらいなんですよ。だから、少なくとも五万トンから十万トンぐらいは数字に差が出てくるということで、やはりこういうことも踏まえて、これからお米の供給量というのを分析をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和五年産につきましては、歩留りの問題というのは非常に注目すべき点だったというふうに考えております。先ほど申しました五年産の高温による影響により、精米の歩留りが非常に低下した。一方で、私ども、令和六年産、今のお米もよく分析をしております。

 歩留りを見るときに、委員御指摘のように、割と大きい業者の数字を把握するというのと、もう一つは、農産物検査で、一等米比率のところで歩留りを見るというような物の考え方もございます。一等が落ちると、要すれば、形状が、歩留りが落ちやすいということでございます。

 それで、まず、農産物検査の状況を見ますと、令和五年産の一等米比率は六一・三%でございました。他方、昨年の、令和六年産のお米は七五・九%ということで、過去五年平均の七五・二%からすると遜色ない水準と。それから、先ほどの大手の歩留りでございますけれども、六年産は八九・五ということで、前年の五年産の八八・五から一ポイントの回復ということで、両方を見ると大分回復に向かっているということでございます。

北神委員 局長、今、回復しているという話もいいんですけれども、やはり去年の段階で注意を少なくともすべきだったということだけ申し上げたいというふうに思います。

 あともう一つ、統計の方で、これは資料の表の右側に、流通経路別の流通量の状況というのがあります。これは令和四年産の話ですが、統計を取るのがやはり時間がかかるということで、二年遅れるんです。

 このうち、いわゆる流通、今度は流通の統計の話ですけれども、農林水産省は流通の大体七五%は把握をしているということをおっしゃるんですが、今後の話ですけれども、去年から米騒動を受けて、生産者が今まで農協さんに入れていたのが、だんだん直販の方にかなり。多分皆さんも聞いていると思います。ですから、やはりそういう動きというものも把握して、これまでだったら、例えば農協さんが集出荷業者のところに当てはまるんですが、大体四割ぐらいなんですね、全体の。そういう意味では、この四割がもっと減っているかもしれない。

 つまり、何が言いたいかというと、農協ばかり余り重視していくと、実際の流通量というのが把握できない可能性がある。こういう統計の変化というものも是非検討してほしいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今、流通実態の把握につきましては、定期的に行っておりますのは、まず、食糧法に基づきまして、毎月五千トン以上の大規模の集荷業者の例えば集荷ですとか販売とか契約でございますとか、こういったものを調査し、また、販売事業者、卸につきましては、五百トン以上の集荷業者の在庫、あるいは四千トン以上の卸売業者の在庫ということで、在庫も調べております。

 ただ、昨今の課題ということで、目詰まりが生じているということで、今回、生産者でございますとか、三百トン以上のどちらかというと小規模な方々の集荷業者、卸売業者の在庫というのも今調べているところでございます。

 委員御指摘のとおり、米の流通は、非常に、特に農家から直売されているところとか難しいところはございますけれども、私ども、集荷業者、卸売業者、小売業者、あるいはそういった方々の販売、流通、そういったものを、できるだけきちんと様々なデータを調査、分析して把握に努めてまいりたいと思います。

北神委員 ありがとうございます。

 最後に、だから、僕が申し上げたいのは、実は需給がそれなりに逼迫をしていたのではないかと。大臣なんかは、このスーパーのデータを見ますと、確かに、去年の八月、九月ぐらいに南海トラフの調査とかを受けてかなり需要が増えているんですけれども、その前からそれなりにやはり需要があって、そして供給の方は、農林水産省が思っていたほど出回っていないんじゃないかと、漠然として言うとですね。

 ですから、そういった意味で、今後の皆さんの対策のやり方についても反映してほしいんですけれども、おっしゃるように、生産は基本的に自由だということですけれども、やはり皆さんは安定的な供給の責務を負っているわけですから、そのためには、やはりこの数字をもう少し、例えば今の流通量のやつでも二年遅れなんですよ、データが。こんなことでは、なかなか流通の目詰まりとか、そういうものも瞬時に把握できませんので、こういう統計の整備、そして統計の分析の仕方、こういったことも含めて、大臣の今後の、どうやって生かしていくかということも含めて、ちょっとお答えを聞きたいと思います。

江藤国務大臣 極めて精緻にマーケットを見ていただいて、御指摘いただいたことには感謝をしたいと思います。

 決して強弁するつもりはありません。ただ、数字の上では、国が示した供給量と国内需給と比べるとまだ余裕があったということについては、答弁を変えるつもりはないということだけ御理解いただきたいと思います。

 しかし、二度と、こういう事態が起こることは生産者にとっても不幸でありますし、消費者にとっても大変な迷惑でありますから、やはり我々農林水産省は、統計局を中心に人員削減を極めて厳しくやられてきました。その弊害がやはり一部出ているのかなという気は、正直なところ、私はいたしております。

 ですから、政策を決定するに当たっては、細かく正確なエビデンスを積み上げることが基本だと思いますので、委員の御指摘を十分踏まえた上で、今後、なるべく正確な数字、正確な情報を生産者にも、消費者の方々にも、そして国民の皆様方にもお示しできるような努力はしたいと思いますので、また御指摘を賜れればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

北神委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、私も、言うだけではなく、農林水産省の人員削減というのは、ほかの役所に比べてもかなり減らされています、予算だけではなくて。こういったことも一緒に応援をしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。

    ―――――――――――――

 土地改良法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

江藤国務大臣 土地改良法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 これまで、土地改良事業の実施により、総延長約五万二千キロメートルに及ぶ基幹的な水路や、約七千七百か所の基幹的なダム、頭首工等の施設を始めとした農業生産の基盤の整備が進められ、農業の生産性の向上等に貢献してきました。近年、これらの農業水利施設は、整備から年月を経る中で老朽化が進行していることに加え、気象災害のリスクの増大、農村人口の減少等の農業、農村をめぐる情勢は厳しさを増し続けています。このような状況下においても、農業生産の基盤の整備の効果が将来にわたって確実に発揮され、農業生産活動の継続的な実施に資するよう、昨年改正された食料・農業・農村基本法においては、農業生産の基盤の整備に加えて保全に必要な施策を講ずることが明記されたところであります。

 加えて、農業者が減少する中においては、圃場周りの管理の省力化や農作業の効率化の観点からの農業生産の基盤の整備を進めることも欠かせません。

 こうした状況を踏まえ、農業水利施設の老朽化の進行、気象災害のリスクの増大、農村人口の減少等に的確に対応し、農業生産の基盤の保全及び担い手のニーズに対応した基盤整備に関する措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、目的規定について、食料・農業・農村基本法の内容に即して農業生産の基盤の整備及び保全を図ることを明確化する等の見直しをするとともに、土地改良長期計画に係る規定についても同様の見直しをすることとしております。

 第二に、基幹的な農業水利施設の計画的な更新に係る事業の創設であります。基幹的な農業水利施設の更新については、農業者からの申請によらず、国又は都道府県の発意による事業を実施できるよう措置することとしております。

 第三に、土地改良区が地域の関係者と連携して行う農業水利施設の保全に係る制度の創設です。土地改良区が施設の保全に係る計画を作成できることとし、この計画において、土地改良区と市町村等の関係者の役割分担等を定め、施設の保全に向けた体制を構築できるよう措置することとしております。

 第四に、急施の事業の拡充であります。老朽化等により損壊が生ずるおそれのある農業水利施設の補強等の事業、再度災害を防止するための改良復旧の事業等について、原則として農業者の費用負担や同意を求めずに事業を迅速に行う制度に追加することとしております。

 第五に、農地中間管理機構関連事業の拡充であります。事業実施主体に市町村を追加するとともに、農地中間管理機構が所有権を有する農用地を対象に追加することとしております。

 第六に、情報通信環境整備事業の創設であります。地域におけるスマート農業の導入の推進及び農業水利施設の管理の効率化を図るため、土地改良区が都道府県知事の認可を受けて情報通信環境を整備する事業を実施できるよう措置することとしております。

 このほか、土地改良区の体制及び運営に関する措置を講ずるとともに、土地改良事業の適切な実施に関する措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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