第3号 令和7年3月18日(火曜日)
令和七年三月十八日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君
理事 葉梨 康弘君 理事 神谷 裕君
理事 野間 健君 理事 渡辺 創君
理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君
東 国幹君 大空 幸星君
栗原 渉君 小池 正昭君
坂本竜太郎君 武村 展英君
田野瀬太道君 土田 慎君
丹羽 秀樹君 根本 拓君
根本 幸典君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 福田かおる君
宮下 一郎君 森下 千里君
簗 和生君 山本 大地君
岡田 華子君 金子 恵美君
小山 展弘君 近藤 和也君
宗野 創君 西川 将人君
福田 淳太君 水沼 秀幸君
緑川 貴士君 柳沢 剛君
山田 勝彦君 奥下 剛光君
空本 誠喜君 林 佑美君
菊池大二郎君 許斐亮太郎君
村岡 敏英君 庄子 賢一君
角田 秀穂君 八幡 愛君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 笹川 博義君
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 堺田 輝也君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 安岡 澄人君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 前島 明成君
政府参考人
(林野庁長官) 青山 豊久君
政府参考人
(水産庁長官) 森 健君
農林水産委員会専門員 千葉 諭君
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
武村 展英君 丹羽 秀樹君
田野瀬太道君 東 国幹君
森下 千里君 福田かおる君
山本 大地君 坂本竜太郎君
石川 香織君 宗野 創君
空本 誠喜君 奥下 剛光君
村岡 敏英君 菊池大二郎君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 田野瀬太道君
坂本竜太郎君 土田 慎君
丹羽 秀樹君 武村 展英君
福田かおる君 森下 千里君
宗野 創君 水沼 秀幸君
奥下 剛光君 空本 誠喜君
菊池大二郎君 村岡 敏英君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 山本 大地君
水沼 秀幸君 石川 香織君
―――――――――――――
三月十四日
国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四五号)
同(志位和夫君紹介)(第四四六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四四七号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第四四八号)
同(田村貴昭君紹介)(第四四九号)
同(田村智子君紹介)(第四五〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第四五一号)
同(本村伸子君紹介)(第四五二号)
同(八幡愛君紹介)(第四五三号)
同(田村貴昭君紹介)(第五〇八号)
同(長友慎治君紹介)(第五〇九号)
同(西川将人君紹介)(第五一〇号)
同(野間健君紹介)(第五一一号)
同(村岡敏英君紹介)(第五一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
農林水産関係の基本施策に関する件
棚田地域振興法の一部を改正する法律案起草の件
山村振興法の一部を改正する法律案起草の件
棚田地域の振興に関する件
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○御法川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、消費・安全局長安岡澄人君、農産局長松尾浩則君、農村振興局長前島明成君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○御法川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、法案の審議に先立ちまして、岩手県大船渡市の山林火災による甚大な被害に対しまして、激甚災害の早期指定を始め、地元の水産業の支援、森林再生に向けて迅速な対応をいただいております大臣、副大臣、政務官の御尽力に感謝を申し上げます。
さらに、この冬は、昨年末以来の記録的な大雪によりまして、東北地方始め全国的に、リンゴ、ブドウ、サクランボなどの果樹の枝が折れたり、また、農業用ハウスが倒壊するなどの被害が発生しております。
私の地元の愛媛県でも、ミカンの農業用ハウスが倒壊したり、ミカンの木が折れたりするなど、多くの被害が発生しています。県や地元のJAがハウスの撤去など応急的な対策を講じておりますけれども、やはり生産者からは更なる支援を求める切実な声をいただいております。
そこで、二月二十一日の予算委員会の集中審議においても私から総理に要望させていただきましたが、今回の記録的な大雪により全国的に農業被害が発生している状況を踏まえまして、生産者の営農再建に向け、農業用ハウスの再建、被害果樹の植え替え、あるいは未収益期間に対する支援など、国として積極的な支援が必要と考えますが、お伺いをさせていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 まずは、大船渡、それから今回の大雪、たくさんの方がお亡くなりになりました。お悔やみを申し上げ、お見舞いを申し上げたいと思います。
この大雪でも六十名の方がお亡くなりになっています。そして、愛媛県では二名の方が負傷されています。まだ全体図がつかめませんけれども、一部の報道では千二百棟というような報道もなされました。非常に深刻な事態だというふうに受け止めております。
本日の閣議で、国及び地方公共団体が実施する除雪、そういう費用については予備費の使用が決定をされました。今朝方です。予備費の使用額は四百七十一億円ということになっております。
それから、十九道県から被害が出ているわけでありますが、これにつきましては、まずは共済の加入者の方々に対しましては、三月の十四日以降、順次の支払いを行うということになっております。
愛媛県では、共済加入率は、園芸ですけれども、八五%、非常に高い、全国に比べても非常にすばらしいと思います。しかし、入っていない方もおられるんですね。ただ、入っていない方については、例えば改植とか植え替えについては、共済に入っていなくても、今後共済に入るという意思を示していただければ対処することも可能ですから、役所の方に相談をしていただきたいというふうに思います。
それから、セーフティネット資金、日本政策金融公庫ですが、これは非常に低い金利で、下は〇・九五から借りられますので、これを是非御活用いただきたいと思います。
そして、最寄りの支店においてもこの相談にしっかり応じるように金融機関に対してもお願いをしておりますので、まだ雪が今日もまた降っているんですかね、そういう状況でありますから、全体図をつかんだ上で、農林水産省としても、営農の再建、再開、そして将来に向かっての、またそういったことについてもしっかり寄り添ってまいりたいと考えております。
○長谷川(淳)委員 大臣、ありがとうございます。
果樹に関しては、改植から収穫するまでやはり大変長い期間がかかります。息の長い支援が必要でございますので、是非とも農水省の支援メニューをフル活用して、息の長い支援をお願いしたいと思います。
続きまして、土地改良法の改正案について質問させていただきます。
この改正案の提出の経緯としまして、基幹的農業水利施設の老朽化に対して早急な対応を講じる必要性が指摘をされています。
私の地元愛媛、宇和島、八幡浜などを中心とした南予地域はちょうどミカンの産地でございます。リアス式海岸に迫る急傾斜地、段々畑において、温州ミカンを始め、新しい品種を次々と導入して、収益力の高いミカン、かんきつ生産地を営んでおります。
耕して天に至ると称されていますが、その段々畑の樹園地に農業用水を届けているのが国営南予用水事業でございます。南予地域の二市八町、受益面積七千二百ヘクタール、これに水を供給する大規模畑地かんがい事業として、昭和四十九年に着工しまして、足かけ二十三年の歳月をかけ、平成八年から園地一帯に用水を供給しています。元々、こういった私の地元は干ばつに悩まされる痩せた急傾斜地で、カンショや麦が主作物でありました。その地域を日本一のミカン、かんきつの生産地に育て上げたのが基幹的農業水利施設である南予用水でございます。
一方で、施設の老朽化が進んでいます。漏水や機械設備の不具合が生じておりますので、現在、国の機能保全事業によりまして、貯水池や用水路の補修、水管理施設や揚水機場の改修を進めていただいています。南予用水に限らず、全国のこうした農業水利施設は、戦後から高度経済成長期に集中的に整備をされています。老朽化が進み、維持管理に係る農家の負担も増大し、災害への備えも決して十分ではありません。
この改正案において、基幹的な農業水利施設の老朽化対策を計画的に進めるため、農業者からの申請だけでなく、国、県の発意による事業実施も可能となります。施設の適切な保全が図られるという点で大変時宜を得た改正だと思います。
一方で、老朽化した施設は農業水利施設だけに限りません。農業用水を始め、土地改良事業が食料の安定供給にいかに貢献してきたか、私どもの南予用水事業など、こうした食料の安定供給に対する土地改良事業の貢献、これを具体的な数値として示すとともに、老朽化対策や保全管理の必要性を国民にまず十分に理解していただくことが肝要ではないかと思います。
そこで、我が国の食料の安定供給を確保するため、農業用水事業を始め、土地改良事業の果たしてきた役割をどう評価しているのか。また、基幹的農業水利施設等の老朽化対策に中長期的にどう取り組んでいくのか。そのために、本改正案を踏まえ、食料・農業・農村基本計画において、基幹的農業水利施設等の老朽化対策をどのように反映し、実行していく方針なのか。前島局長にお伺いをします。
○前島政府参考人 お答えいたします。
土地改良事業は、農地の大区画化や排水改良などを通じて、地域特性に応じた多様な農業の生産性の向上や農地の集積、集約化の推進を実現するとともに、農業水利施設の整備や防災・減災対策により、農業用水の安定供給、健全な水循環の維持形成や農村地域の安全、安心な暮らしの実現を図るなど、食料の安定供給や農業、農村の強靱化に極めて大きな役割を果たしていると認識しております。
委員から今御案内がありましたように、南予地区におきましては、これまでに実施されてきた国営や県営の土地改良事業によりまして、かんがい施設を備えた生産性の高い農地が整備されたことで、ミカンを始めとするかんきつ類の一大産地となっているところでございます。
基幹的農業水利施設等の老朽化が進行している中で、今後は、今回の法改正で措置する仕組みを活用し、計画的な補修、更新、事故の未然防止のための迅速な補強、事故が発生した場合の迅速な復旧などを施設の規模や状況に応じまして的確に実施し、その機能保全を図っていく考えでございます。新たに策定する食料・農業・農村基本計画にもこれらの取組について位置づける方針でございます。
○長谷川(淳)委員 前島局長、ありがとうございます。
南予用水事業は、実は生活用水供給事業もやっています。今、水道の老朽化対策は大変大きな課題となっていますが、やはり、基幹的農業水利施設は、生産者にとってはもちろん、国民全体の生活にも寄与しているということを国民の皆さんに理解をしていただき、こうした老朽化対策の必要性を御理解いただくことが重要ではないかと思います。
続きまして、南予用水の話を続けますけれども、この南予用水事業は、附帯事業として、県がスプリンクラーを園地の隅々まで整備をして、ミカンの栽培に必要なかん水や防除をしております。このスプリンクラー施設についても、老朽化が進んでいます。維持管理費用がかさんでおりますので、スプリンクラーの制御室やパイプラインの交換、補修、こういうのを進めています。
その上に、新たな取組として、スマートフォンによってかん水を遠隔操作ができるようにするシステム、あるいは、土壌の水分量を自動的に計測して、散水の量や散水の区域を自動的に設定できるような自動かん水システムの開発に取り組んでいます。
本法案では、スマート農業を推進するための措置として、土地改良区が情報通信環境を整備できるような附帯事業を拡充されていますが、やはりスマート農業技術の開発は、県や土地改良区が単独で対応するには当然限界がございます。やはり、国の支援が不可欠であります。
そこで、本法案も踏まえまして、農業水利施設の自動散水システムの整備、こうしたものを含めて、土地改良事業におけるスマート農業技術の研究開発、実証や実装、さらには横展開を国が強力に後押しをすべきと考えますが、堺田総括審議官に、関連予算の確保も含めて決意をお伺いします。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
農作業の省力化を始め、生産性の高い食料供給体制を確立するには、土地改良事業と併せて、スマート農業技術の研究開発及び導入を推進することが大変重要と認識しております。
このため、昨年施行いたしましたスマート農業技術活用促進法に基づく取組として、かんきつの栽培現場におきまして、気象データや生育データを基に、お話がありましたようなかん水、施肥の最適化、それから、更なる自動化を実現するための栽培技術、また、傾斜地で実用可能な、防除に対応できるドローンの開発、こういったものが進められているところでありまして、これら技術の速やかな実装に取り組んでいく考えであります。
さらに、令和六年度補正予算、それから七年度の当初予算案におきまして、収穫ロボットなどの必要性の高い研究開発、あるいは中山間地域を含む多様な現場ニーズに対応した研究開発など、スマート農業技術の開発導入に必要な予算を盛り込んでいるところでございます。
これらの予算を十分に活用しながら、土地改良事業と連携し、生産現場への技術導入を加速してまいります。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
特に、今、局地的な豪雨被害が発生していると同時に、全国的に温暖化の影響で水が少ないという中で、やはり有効に水を活用する観点からも、自動かん水システムを是非重点的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
そして最後に、農業農村整備事業に係る予算確保についてお伺いいたします。
本法案では、土地改良施設について、事前防災の強化、あるいは改良復旧、これが導入されております。さらに、農地中間管理機構関連事業の拡充が盛り込まれています。
私の地元の話をまた続けますが、平成三十年西日本豪雨災害でミカン園地は甚大な被害を受けました。その復旧に当たりまして、単に原状に復旧するだけではなくて、再編復旧の工法によって、農地中間管理機構の関連農地整備事業を活用し、農家負担なく、被災しなかった園地も含めて、被災時よりもより緩やかな傾斜で生産性が高い園地として基盤整備を行いました。この春にようやく全ての再編復旧について、ミカンの改植が行われる運びとなりました。
やはり、こうした復旧に当たって、単なる原状復旧でなくて、より生産性の高い形での復旧をするということがこれから極めて重要になると思います。
さらに、二十五年ぶりの基本法改正を踏まえまして、食料安全保障の強化を始め、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の五年間で集中的に実施するための予算の確保、これが不可欠でございます。
そこで、我が国農業が大きな転換期にある今、本法律案による制度面での改善も踏まえ、先ほど申し上げたスマート農業に対応した生産性向上につながる基盤整備や、基幹的農業水利施設を始めとする土地改良施設の老朽化対策、これを強力に推し進めるために、国土強靱化対策に係る予算を含め、農業農村整備事業の予算の確保が何より重要と考えますが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 もう全く委員のおっしゃるとおりだと思います。そして、大変な目にも遭われましたけれども、未来に向けていい園地ができたということは、日本の成功モデルになるというふうに思っています。
ですから、これから、いわゆる様々なコストは上がっています。資材費も上がっていますし、人件費も上がっていますし、同じ予算でも整備できる面積は減るということは当然想定されるわけでありますから、地域計画を策定して、今、全国の農地について調査を行って、三月三十一日が近づいています。
生産性を上げるには、土地改良事業は欠かせません。私が前回の大臣のときに、災害があっても、排水暗渠等を入れているおかげで、一度冠水したけれども全く収穫に影響がなかったという農地もありました。そういうことを実装したところの実績を見た上でも、土地改良は今まで以上に進めていかなきゃいけない。
これから農業人口も減っていくような統計も出ています。それでも農地面積を守り、そして食料自給率を向上させ、食料安全保障を確立するということであれば、この土地改良事業に関わる予算につきましては必要なものをしっかり要求していきたいというふうに考えております。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございました。
私も土地改良事業に関する予算の確保をしっかり取り組むことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、森下千里君。
○森下委員 比例東北ブロック選出、自由民主党、森下千里でございます。
今日は、農林水産委員会での初めての質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。大臣にも御出席いただいておりますので、時間に限りもあります、早速質問に入らせていただきたいと思います。
先週、三月十一日を迎え、震災から十四年がたちました。東日本大震災によって、私の地元宮城県の農地は、津波や地盤沈下、また塩害、そして排水設備の破損などで大きな被害を受けておりますが、着実に復興が進んできているとも感じております。
被災跡地の有効活用として、例えば、宮城県東松島市の宮戸地区では、津波で被災した水田の一部を果樹園として再活用しております。これは漁師さんたちが何と桃を育てるというプロジェクトでありまして、あえて硬いときに食べる桃なんですが、とても甘くておいしいと評判。この季節になりますと、今では地元の名産となって、たくさんの方が買いに来られるようになっております。
また、東北コットンプロジェクトといって、こちらは綿花を栽培している、そんなところもありまして、これは、近隣のみならず県外や全国から子供やボランティアたちも集まって、大変なにぎわいとなっております。今では一つのイベントとして存在しておりまして、農業の再生だけでなく、地域復興にも貢献しております。
そして、塩害被害に強い二条大麦を作付したところがございまして、これはクラフトビールを造っている。
十四年たった今でも、こういった取組が新たにどんどんと生まれてきている。大変に心強いなと私も思い、また、皆さんとともに震災復興に向けて頑張っていきたい、そう思っております。
とはいえ、やはり人口減少と大変な施設の老朽化も進んでおりまして、農業はかなり厳しい現実に直面しております。また、東日本大震災から十四年の間に、全国を見渡してみれば、熊本地震や能登半島地震、台風十九号、そして先日の大船渡での山林火災もありました。自然災害はいつどこで何が起きるか分からない、そんな状況にあると思います。
自然災害が激甚化、頻発している中で、防災や減災そして国土強靱化に向けた取組が急務であると思いますが、今回の改定の中で、急施の防災事業、急施の復旧事業の拡充の内容について、聞いている方がイメージしやすいような御説明をいただきたいなと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○前島政府参考人 お答えいたします。
農業水利施設の老朽化が進んでいることにより、近年はパイプラインの破裂を始めとした突発事故が増加しているほか、自然災害の頻発化、激甚化によりまして、一度被災して復旧した施設が再び自然災害で被災する、再度災害の発生が懸念されているところでございます。
これらへの対応のため、農業者の同意徴集などの手続の一部を省略する事業である急施の防災事業といたしまして、パイプラインのひび割れ、漏水などの事故の予兆が確認された段階で事故を未然に防止するための補強を行うなど、老朽化等による事故が生じるおそれがある場合の事前の対策、急施の復旧事業といたしまして、パイプラインの破裂が発生して復旧を行う場合に同じ条件下にある近隣のパイプラインも併せて補修するなど、老朽化等による事故が発生した施設で引き続き起きかねない類似の被害を防止するための対策や、豪雨によりため池の堤体が被災して復旧を行う場合に併せて越流を防ぐために洪水吐きを拡幅するなど、自然災害で被災した際の再度災害を防止するための改良復旧を迅速に着手できるようにするものでございます。
○森下委員 ありがとうございます。
急施の防災事業、急施の復旧事業の拡充でございますが、こういったことをまず多くの方に知っていただくことも大変に重要なのではないかなと思っております。
次の質問に参りますが、埼玉県八潮市での道路陥没事故に象徴されますように、インフラの老朽化はかなり進んでおります。農業水利施設の突発的な事故は年間一千件を上回っており、施設の崩壊リスクが高まっているというふうに感じます。また、あそこまで大規模でなくても、水道管が破裂して水が突然噴き出していく、そのような事件が起きているというふうにもしばしば伺います。
これは地元の水道設備屋さんから伺ったことなんですけれども、そのときにおっしゃっていたのは、やはり人手不足のため、復旧作業に当たりたいんだけれども、万が一あんな大きな事故が起きたときには、うちらの方ではなす手がないというふうに泣きつかれました。このように、人手が足りないという状況の中で、やはり未然に防いでいくということは大変に重要だなと感じます。また、たとえ仮に他県から人が援護に来てくれたとしても、時間がかかることだというふうに想定されます。
激甚化、頻発化する自然災害に対して、こうした事故の予防的措置や再度災害に備える万全の体制が必要だというふうに考えておりますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 これは、委員が御指摘のように、万全の体制というのはなかなか厳しいです、正直なところ。
今、例えば水道管を換装する場合には、地震で揺れたときに、硬いやつじゃなくて、ちょっと弾力性のある管に換えたりとか様々な工夫はいたしておりますが、何といいましても、土地改良事業で管理している水路だけで四十万キロ全国でありますので、これを全て検査をして全てすぐに手をつけるということは難しいですが、しかし、緊急性のあるものからやろうということで急施ということになっておるわけであります。
途中で話が変わりますが、桃は私も何度もいただいて食べていますが、大変すばらしい桃でありまして、感動的なものであります。
ですから、委員が言われるように、未然に防ぐことの方が安く上がるわけですよ。破裂してしまってから施工する場合と未然にやる場合では全然コストが違いますから、やはり未然にやるということが大事だろう。
そして、先ほど御指摘がありました再度災害、同じところでまた起こると、またか、またここかと。私の地元でも、これは水利施設ではありませんが同じところが崩れて、江藤君、ここはもう四回目だ、直すのはと。ですから、原形復旧ではなくて、機能が上がるような復旧をやっていかないと税金の無駄遣いだという御指摘も受けますので、こういった土地改良法の改正によって、そういったことについてもメスが入るのは大変いいことだと思います。
ですから未然に防ぐ、そして国から発意をすることによって国が主導権を取って、そして、今までは土地改良事業者の方々が三分の二の同意を得なければいけないという大変な手間がありましたが、その手間も国が代行することによって事業が円滑に進むように、様々な協力をしていきたいというふうに考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
桃も召し上がっていただいたということで、大変にうれしく思っております。
こうした、皆さんにもちょっと意見を、意見というか、こういったことがあったよということをお返しさせていただくと更に励みになるのではないかなと思いますので、私もしっかり周知を併せて頑張っていきたいなと思います。
おっしゃるとおりで、どこを直していくのかというのは、本当に土地計画の中で大変重要なことだと思います。コストも無限にあるわけではないというのは重々分かっておりますが、しっかりとまずは備えていくということが大切であり、また重要なのは、私はスピード感だというふうに感じております。
自然災害というのはいつ発災するか分からないという考えの中、備えは本当に肝腎でありますし、とはいって、その一方で、整備事業をするにも時間がかかります。これも地元の方からなんですが、事業採択を受けてから完成するまで時間がかかるというお話も聞きます。また、御高齢の方ですと、もう担い手がいない。例えば、圃場整備をするといっても、もう担い手がいないので、これを完成するまで見届けられないかもしれないからもう結構です、そんなふうに断られてしまったこともございます。
こういったことから考えますと、やはり全体的なスピード感、スピードアップが求められると思っておりまして、是非ともこの法案を早期に成立させて、しっかりと現場に周知させ、そして活用していくということが必要だと思いますが、同じ地元御出身で、防災にも一方ならぬ思いをお持ちであろう庄子政務官に御見解をお伺いしたいと思います。
○庄子大臣政務官 お答えをいたします。
委員御指摘のように、どんなにすばらしい事業、支援があったとしても、そのスピード感、あるいは現場への周知ということがなければ宝の持ち腐れになりますので、御指摘のとおりだというふうに思っております。その上で、出水期を目前に控えている時期でもございますので、急施の事業について、できるだけ早く現場に浸透するということについては委員と同じ思いでございます。
このために、急施の防災事業、復旧事業が必要になった際には、地方公共団体等が速やかに対応できますように、今回の法改正並びに予算が成立した後に、関係土地改良事業の要綱などを地方公共団体や土地改良関係団体などに通知をいたしまして、周知をしてまいります。
また、その際に、現場に赴きまして、説明会、あるいはウェブでの会議等を四月に行う予定をしてございますので、委員御指摘のような制度の活用をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。
○森下委員 ありがとうございます。
本当に多くの方に知っていただけるよう、確かにウェブの活用等も進めていただければなというふうに思います。
また、本日こちらにおられる皆様方、同じ意識だと思いますが、土地改良には大変に大きな役割があるというふうに思います。
農業水利施設というのは、農地と一体的に機能して水を届けるというところから、様々なリスクに対しても備えていくという大きな役割があります。とはいえ、近年では、ゲリラ豪雨が多発化しておりまして、そして台風も大型化しております。また、地元の、実は、排水機場の処理能力が追いついていないということで、内水の問題なんかもあったりしております。また、農地においては、圃場整備がされないところでは、引受手がいなくて放棄地になってしまう可能性が高いというふうに考えております。
先日の委員会でも、どうやって農地を守っていくのかということを大臣が自らその大切さに触れられておりましたが、私も、こうした整備をしていくこと、そしてこの土地改良ということに対して、しっかりとこれからも存続していく、また力を入れていくということが必要であるというふうに感じております。
今回の法改正も踏まえて、今後も土地改良区がしっかりとやっていけるような支援の充実を図る必要があるのではないかと考えますが、政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
土地改良区が、将来にわたって地域の農業水利施設の保全管理の中核を担っていけるようにするため、本法案では、連携管理保全計画、いわゆる水土里ビジョンの仕組みを設けることとしております。この取組を通じまして、土地改良区が市町村等の関係者と連携して、基幹から末端までの農業水利施設の保全に取り組むようにするとともに、土地改良区の経営改善や再編整備を進め、安定的な運営体制の確立を目指す考えでございます。
また、令和七年度予算におきましては、水土里ビジョンの策定の準備として行う経営診断、改善指導、水土里ビジョンの策定そのものへの支援、水土里ビジョンに位置づける施設の維持管理や整備、補修の補助率のかさ上げ、土地改良区の合併を行う場合における事務機器等の整備に係る合併後の地区面積に応じた支援などを盛り込んでおりまして、これらを活用して保全管理に係る負担を軽減いたしまして、土地改良区の運営基盤を強化してまいりたいと考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
時間も参りましたので、本日は質問をこちらで終了させていただきたいと思いますが、大臣、副大臣、政務官始め先輩方の御指導を賜りながら、今危機にある日本の農業の持続的発展のために、私も皆さんとともに努力してまいる所存でございますので、引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。また、今日の委員会の開催に当たり、職員の皆様方、本当にありがとうございます。
質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 おはようございます。
今日は、土地改良法の改正に関しての質問ですが、その前に、大船渡市山林火災、本当に大きな被害を及ぼしました。お亡くなりになられた方には心からお悔やみを申し上げます。そしてまた、被災に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。
農林省としても視察に行ったということなので、状況を報告していただければ、こう思っております。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
改めて、大船渡の山林火災、亡くなられた方にお悔やみと、同時にまた、被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
今委員から御指摘ございましたが、昨日、省内の対策本部長であります滝波副大臣、そしてまた山本大臣政務官がそれぞれ現地に赴きまして、合足地区の被災した森林、それからまた綾里漁港の皆さんということで、漁協関係者、大船渡市長等との意見を交わしたということでございます。
その結果を踏まえまして、岩手県、大船渡市と調整した上で、いわゆる森林の被害木の伐採、搬出と、今現在調査しておりますので、調査後に造林の事業を設定してまいりたいというふうになります。その後にまた、保育なりの支援事業を展開していくということになってくると思います。
いずれにいたしましても、林業、漁業、それぞれのなりわいの再建に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思います。
○村岡委員 今報告をいただきましたけれども、農林大臣にお願いしたいのは、激甚災害指定、これからあると思いますが、もちろん住宅とか様々な生活支援もあると思います。プラス農林水産業、しっかりとこの復旧をしていっていただけることを大船渡市の方に言っていただければ、こう思っております。
○江藤国務大臣 まさに、本当に津波という大変な目に遭われ、そこから立ち上がられ、そして、なりわいが再建されたと思ったこのタイミングでまたこういうことでありますから、心の傷を含めて、しっかりやはり国が寄り添ってやるんだという姿勢を示さなければならないと思っています。
今副大臣から御答弁いただいたとおりでありますが、自分も、まだ調整がつきませんけれども、現場には行こうと思っています。そして、共済の縛りとか様々ありますが、いろいろ相談をしています。それを超えて何かできないかということで。ですから、今委員からもしっかり言われましたので、現場の声は、副大臣、政務官から直接私に報告はもちろんいただきましたけれども、それを踏まえた上で、更に検討を加え、しかるべきタイミングに私自身も現場に行って対応していきたいというふうに考えております。
○村岡委員 是非大臣、大臣がおっしゃったように、東北大震災、そしてこの山林火災、本当に住民の方々は大変な生活を送っているので、それをお願いしたいと思います。
それでは、土地改良法の改正の方に移らせていただきます。
改正の中で、防災・減災、国土強靱化ということで、土地改良の中で、施設の改良、それぞれを進めていくということでありますが、急施の防災事業、重大事故の予兆となる事故対策を追加し、そして災害復旧に併せて再度災害を防止するための事業、突発事故の類似被害を未然に防止する対策などを追加されております。
これは、これからということだけなのか。それとも、昨年の夏、山形、秋田でも大きな豪雨災害があり、農業の復旧事業がこれから始まろうとしています。査定に十二月までかかりましたので、その後、雪が降り、まだそこにかかっておりません。もちろん復旧事業を一刻も早く進めていただく、プラス、豪雨があったときの改良事業もしていただきたいと思っておりますが、どのような方針で臨まれますか。
○笹川副大臣 今委員から御指摘ございました秋田、山形の昨年七月の豪雨であります。本当に甚大な被害が出たということでありますので、本当に被災地の皆さんにも改めてお見舞い申し上げると同時に、やはりそういう皆さんの気持ちに寄り添いながらやっていかなきゃならないということでありますので、委員御指摘のとおり、両県合わせて六百二十一件の災害査定を十二月に終えております。
現在は、各被災自治体において復旧事業の発注手続を進めているところでありますので、いずれにしても、復旧工事に速やかに着手し、早期の復旧に全力を挙げてまいりたいというふうに思います。
また、今回の法改正においては、先ほど来から答弁でもさせていただきましたけれども、再度災害防止のための改良復旧を急施の復旧事業の対象としたところであり、迅速に事業を行うために、事業主体である地方公共団体が手続の一部を省略して事業に着手することが可能ということになりました。
いずれにいたしましても、こういうことをやはり自治体に対して周知をし、そして理解をしていただく、そのことも大切だというふうに思います。いずれにしても、あとはまた地元の皆さんにも御理解いただかなきゃなりませんので、丁寧な説明もしっかりとやっていかなきゃいけないことだというふうに思います。
○村岡委員 副大臣、是非、地元の現状、そして営農を再開するためにどのような対策が必要か、相談して進めていただきたい、こう思っております。
そして、中山間地のことに関して、秋田も中山間地が多いわけですけれども、江藤大臣のところも大変多いと思っております。中山間地は、全国の総農家数、耕地面積、農業産出額のそれぞれ約四割も占めており、大切な日本の農地であり、食を生み出すところだと思います。ここが守れないと、前回の質問で言った九十二万ヘクタール減るということにも大きくつながっていってしまいます。
ここの対策をどのようにできるのか、そして、土地改良をして農業がしっかりとできるような体制に整備できるのか、それが大切だと思っていますが、大臣がこれから取り組んでいこうとすることを述べていただければと思います。
○江藤国務大臣 非常に、委員、難しい課題ですよ。場所によっては、子供が一人もいないというようなところはもう現実にあります。そういうことであれば、農業政策だけでは私は足りないんだと思います。
例えば、道路が、離合もできないような道路しかない、国道なのに。残酷の酷と書いた方がいいんじゃないかというような指摘もありますよ。ですから、様々な施策を総合的に展開をしないと、中山間地域の農業は守れません。買物弱者であり、学校は閉鎖される、そして病院はない、そういった状況の中で、そこで踏ん張る意義というものを、いかにその地域で生きている方々に見出していただくかということが非常に大事だと思っています。ですから、義務感だけではやれないですよ。
ですから、決して、中山間地域だから土地改良ができない、基盤整備ができないということではありません。少しでも、基盤整備や土地改良事業を行って、生産性の高い土地を使っていただく、そして中山間直接支払いも、是非制度的に見直していきたいと思っています。
そこで頑張れるようにするにはどのような施策が必要なのか。これは、もちろん私は農林水産省所管ですから農林水産政策について検討を深く深めていきますけれども、内閣全体として、四割の農業生産がこの中山間地域で行われているんだ、そして食料自給率と食料安全保障も守っていかなきゃいけないんだということを、やはり政府全体として受け止めて総合的な対策を打っていかないと、委員がおっしゃるような未来図はなかなか描けないので、私の所管としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○村岡委員 確かにそうなんですね。もう農林水産業だけでその集落が守れたり、そのようなことがないところがこの中山間地域になってきています。中には、もう通勤農業だけの地域もできてきているような形ですから、いろいろな組合せをしっかり、これは農林水産省だけじゃなく内閣全体で取り組んでいただきたい、こう思っています。農業だけでなかなか生活ができない地域もあります。そういう場合には、地域のところで通勤農業なりいろいろなことを考えていかないと、農業の農地が守れない、こう思っています。是非とも取り組んでいただきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
次に、円滑な土地改良のための連携についてお聞きします。
実は、私も地元に戻ると、いろいろな農業者の方々とお会いします。そのときに、農林省が様々な施策を、キャラバンで各地域に行きます。そのときに、意外と土地改良の人たちがそこに参加していないという例があるみたいです。後で知らされるというような状況がある。これでは、水土里ビジョンを進めていくにも、最初から入っていないとうまく計画が進まないので、そういうのは農林省が是非、県なりその地域の農協なりにきちっと指導していただくようにお願いしたいと思っていますが、どうでしょうか。
○前島政府参考人 お答えいたします。
土地改良区は、農業水利施設の管理を担い、地域の農業の継続的な実施に当たって重要な役割を果たしているとおり、地域の農業の姿を議論する上で欠かせない存在だと認識しております。
このため、先ほど委員おっしゃいました農政に関するキャラバンですとか、あと、私どもですと、農業農村整備事業に関するキャラバン、こういったところでは、県土連の方々にも参加していただいて、御意見を伺ったり御説明をしたり、又は地域の意見交換会などにも御出席いただいたりというようなことをしているところでございます。
また、地域計画の策定に当たりましては、土地改良区を含む関係者による協議の場を設けた上で、地域計画について意見を聞かなければならないこととされております。また、地域農業再生協議会におきましても、その構成員として土地改良区が示されております。地域の利水面の観点などから意見を聞くべき対象とされているところでございます。
その上で、今回の改正により土地改良区が定めることとしている連携管理保全計画、いわゆる水土里ビジョンにつきましては、将来にわたり基幹から末端施設までの保全を図るため、土地改良区が、市町村を始め、地域の末端施設の管理者として、重要な多面的機能支払いの活動組織、自治会、水利組合などや、その他の農業に関わる関係者として、地域の農地や営農について知見を有します農業委員会、農業協同組合など、幅広い主体との協議の上で作成することとしているものでございます。実効性のある計画が作られ、取組が行われるよう、これまで以上に土地改良区とこれら関係者との連携が図られていくよう努力してまいります。
○村岡委員 是非、連携していかなければ、農地を守っていく、そして農業政策を進めていくことができませんので、農林省が指導しながら是非お願いしたい、こう思っております。
そしてもう一つ、地元に行ってお聞きするのが、全国の実態はちょっと分かりませんが、利水の部分、水利権についてなんですが、川で、その水の権利は国交省にある、堰なんかも国交省が造ったりしていますけれども、そのときに、これは田植の時期に水を取水するわけですけれども、それがなかなか、十年に一遍契約でやっているわけですけれども、今様々な品種やそれから区画が大きくなったということで、水を取る期間を柔軟にしていただきたいという要望が非常に来ております。その中で考えるところは、農家の人から聞くと、手植えをしていた頃と全く取水するところが変わらないというようなことも聞いています。
その辺の柔軟性を、これは土地改良区が当然契約者ですから、国交省と話したりするんだと思いますが、農林省がそこのところをしっかりと地域の実情を踏まえて取水を変えていくようなこともお願いしたいと思っています。昔と違う大区画になっている農家でありますし、また、品種によっては大分早くなってきているということもありますので、是非、その辺の検討をお願いしたい、こう思っております。
○前島政府参考人 お答えいたします。
水田地帯におきましては、担い手の経営規模の拡大や気象の変化、水稲の品種、営農方法の変化などによりまして、従来の水利権が実態にそぐわなくなっているというような場合がございます。
このような場合におきましては、農林水産大臣が水利権を有している地区におきましては、農林水産省におきまして、必要な水量、期間などに関する調査や土地改良区との調整などを行った上で、河川管理者と協議いたします。また、その他の地区につきましては、水利権を有している地方公共団体や土地改良区等への支援や助言を行ってまいりまして、必要な水利権を確保するよう努めているところでございます。
水利権の取得に当たりましては、河川の流量やダムの容量などの制約がございます。できるだけ地域農業のニーズを満たすことができるよう努めてまいりたいと考えております。
○村岡委員 大臣、大臣にも是非、これは各省庁や自治体に関わりますので、農林省がしっかりと水利権のことに関して調整していただければと思いますので、大臣からも一言お願いします。
○江藤国務大臣 やはり利用している方が、もちろん、ダムの水量とか、そういった制限はあるんですが、しかし、使い勝手が悪いというのはよくないと思いますね。ですから、その人のために水利を管理しているわけですから、これは、今日御指摘をいただいたので、役所で、帰りましたらよく検討して、御期待に応えられるように検討したいと思います。
○村岡委員 是非よろしくお願いします。
そして、今日は土地改良法の改正のことですけれども、土地改良は、今後、農業の基盤整備、この基盤整備がしっかりとしたスマート農業につながっていく、そして生産力の向上になっていく、非常に大事な土地改良だと思っています。しかし、そこで、いろいろな農林省も施策を取っていただいていますが、やはり、受益者負担、当然あるんですが、これが余り高いと、担い手の人たちや受益者の負担を減らしていく、農家の負担を減らしていく、そこには是非尽力していっていただきたいと思うんですが、大臣から御答弁を。
○江藤国務大臣 確かに、なかなか、受益者の数自体が減っていくということであれば、普通に頭割りにすれば金額は上がってしまうわけですよ。その分については手当てができるようなシステムをつくってありますが、やはり、これから大区画化になり、受益者の数が減っていく、そして負担が上がっていくということであれば、様々なことを考えながら、予算との見合いがありますけれども、委員の御指摘はまさにそのとおりだというふうに思っております。
○村岡委員 そこが担い手の人たちが一番、基盤整備はしてくれる、新しい施設は造っていただける、それはいいんですが、農家の負担が大きいということが将来に向けて農業を続けていくかどうかの瀬戸際になってきていると思いますので、その施策も是非進めていただければと思います。
そして、最後になりますけれども、御質問ですけれども、備蓄米を放出しました。落札もしました。流通関係はよくなるかもしれません。しかし、まだ値段が下がっていないということで、消費者からも、どうなるんだという不安の声があります。そして、今のところは最高の四千円を超えるということで、大変消費者も心配しています。
今後の対策を、大臣の方から、消費者の人そして農家の人たちにもメッセージが伝わるようにお願いいたしたいと思います。
○江藤国務大臣 一回目の入札は九四・二という落札率になりました。正直な気持ちを申し上げますと、余り高い値段で結果が出てしまうと、これは余りよろしくない。価格にはコミットしないということでは、前提としてはありますが、しかし、余り高値で落ちても困るということで、上限数量を決めました。
ただ、省内で検討したときに、入札者によっては、自分がもらった数量ほどは要らない人は確実に出てくるだろう、こんなに扱い切れないということになると、落札率がどんと下がるおそれがあるね、この制限を設けて大丈夫かという議論は随分しました。ですけれども、入札者も頑張っていただいて、入札価格についても、量についても九四・二までやっていただいたので、一回目は私は成功だったというふうに評価いただけるんじゃないかと思っています。
そして、もうじきに二回目の公告を行います。七万トン追加をするわけでありますが、大体スーパーの店頭に並ぶのは今月末ぐらいになってくるので、どういう動きになるのか、これもやはり量に注目したとは言いながらも、やはり私も注視しなきゃいけないんだろうと思っています。
そして、買戻しについても、非常に慎重にやらないと、出すこと以上に私は難しいと思っています。ですから、備蓄米の二十万トンの買入れも無期限で延期することにいたしました。市場から米を吸い上げるぞと言えば、またこれはビジネスチャンスだと思う方もいるかもしれない。ですから、備蓄米の買上げについても、もし急落するような場面があれば、やはり早めの買戻しということも考えます。
ただ、全体の流れを見ると、やはり出来秋を見てからの買上げになると思いますが、とにかく、今日も閣議後記者会見で、どこが適正価格だと江藤は考えているんだとブン屋さんから言われましたけれども、消費者の方々が米離れを起こさない、やはり、農家の方々の御苦労も考えて、これぐらいだったら許容できる価格だねと。そして、生産者の方々も、再生産だけではなくて、再生産した上で手元にしかるべき利益、次の営農に資するだけのお金が残るような備蓄米の放出になるように細心の注意を払って行っていきたいと思っております。
○村岡委員 大臣、このお米の需給バランスは大変だと思います。買戻しもいつにするのかというのは非常に大変な難しい政策だと思いますが、是非、難しいところだからこそ、大臣、そこをお願いしたい、こういうふうに思っております。
そして、土地改良法の改正の方に関しては、受益者負担を少なくするという方向性を是非お願いしたいと思います。
終わります。
○御法川委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
土地改良法等の一部を改正する法律案でございますけれども、流れは、改正後の食料・農業・農村基本法の方向性に即した農業生産の基盤の整備及び保全を的確に実施できるよう、目的規定にその旨を位置づけるというようなところからスタートして、つまりは、食料・農業・農村基本法は改正して、今、基本計画が策定されつつあり、作業中でありますけれども、その流れの中で、しっかりと農業生産の基盤の整備をせよ、そして、保全を的確に実施できるように今回この法律を改正せよというような流れであります。これは説明をいただいているところであります。
そういったところから、基本計画がどのように策定されるかという、大変これは関心事、当然のことであります。
江藤大臣が先週十三日の参議院の農林水産委員会で、基本計画の策定について、年度内の策定にこだわらない、熟議の国会にふさわしい議論を重ねていくというような、そういう旨の御発言をされました。ここはとても重要なことでありまして、熟議というところで、どのような形で今後熟議をされて、そして基本計画を策定されるのか、お伺いしたいところでございます。具体的なイメージがありましたら、是非お答えいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 イメージを具体的にというのはなかなか難しいんですけれども、とにかく、今、企画部会の方にお願いをして、三月二十一日に開催予定であります、次は。そして、今月中に答申をいただけるということでありますが、この日にちが決まっておりません。例えば、ぎりぎりになるかもしれません、二十九とか三十とかですね。それは分からないじゃないですか。
その時点で、御党からも、二十八日だったですかね、お越しいただいて、しっかりとした御提言をいただきました。そして、御提言の内容についてのある程度のお答えはさせていただいたと思います。御満足いただけているかどうかは分かりませんが。
御満足いただけなければ、永遠に延ばすということはそれは無理ですよ、正直なところ。政治は落としどころを見つけるのが仕事でありますから、どこかでやはり折り合って、これでいいというところで折り合いたいと思いますが、しかし、強引に、三月三十一日という日にちが来たからこれでもうすり合わせは終わりというようなことは私は乱暴だなというふうに思っております。
企画部会の答申もとても大事ですが、熟議の国会だということを大臣所信でも申し上げた以上、熟議だったなというふうに皆様方から御評価いただけるようにしなければいけないと思いますので、それについては引き続き意見のすり合わせをさせていただければありがたいと思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
基本計画につきましては、明日の農水委員会でも審議がなされるということでありますし、また、今大臣おっしゃっていただいたように、熟議の国会にふさわしい議論をしっかりやっていかなくてはいけないというふうに私は思っていますし、現場の皆様方も、理事の皆様方も懸命に働いていただいているということで、そのことを含めまして、大臣もしっかりと受け止めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
その上で、食料・農業・農村政策審議会、十四日の企画部会で基本計画の案が示されているわけですけれども、二〇三〇年に向けた数値目標やKPI、これが示されました。
その中で、もちろん、たくさんの目標数値が示されていますから、全てを質問したいところではありますけれども、本日審議している土地改良法等の一部を改正する法律案と関係する部分について挙げていきますと、まず、我が国の食料供給という項目での整理の中では、土地改良区の理事に占める女性の割合は現行の目標と同じ一〇%とされている。
また、土地改良法の中に農地中間管理機構関連事業が措置されておりまして、今回の改正案でもその事業内容を拡充していますので、その関連からしますと、担い手への農地集積率の目標は、従前は令和五年度までに八割という目標が設定されておりましたが、実績は遠く及ばない六〇・四%という結果でありましたので、それが理由か分かりませんけれども、十四日に出された案では、二〇三〇年の担い手への農地集積率の目標は七割とされてしまっているわけです。ハードルを下げたのかなというふうにも思われます。
次に、土地改良事業とも関連する、ため池対策ですが、防災対策を講じる優先度が高い防災重点農業用ため池における防災工事の着手割合については、現状値の約五割から、二〇三〇年、九割以上という目標とされているというわけです。
このように、審議会で案が示されて、もちろん検討中ではありますけれども、それは承知しながらも、改めて、目標の数値、土地改良法制、土地改良事業と関係のある目標数値について、大臣はどのような御所見をお持ちでいらっしゃるか、お伺いしたいというふうに思います。特別な思い等があれば、お伝えください。
○江藤国務大臣 今回の基本計画については、KPIをしっかり設定するということが大変大きな課題というか、目玉と言ってもいいと思います。
ですから、土地改良の女性理事、一〇%でも少ないという御指摘はあると思います、正直なところ。しかし、現場に行くと、コミットしてくれる人自体の数がなかなか確保できないということもありますので、現実的な数字かなと思います。
集積率については、ハードルを下げたという御指摘でありますが、やはり、実現性のある数字を掲げられた審議会なのかなと思います。これについては受け止めさせていただきます。
それから、防災ため池は、これは非常に重要です。本当に様々悪さをするため池も現実にあるわけですから、これについては、やはり九割を目指すことは適切だろうと思っております。
ですから、今回、食料自給率の確保に向けて、いずれも重要な施策でありますので、優良事例、そういうものを横展開しながら、予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○金子(恵)委員 女性の比率というのは難しくて、現在一・四%というふうに伺っておりまして、今回、後ほど実は質問もしようかなというふうに思いましたけれども、実際に今回の法改正の中では、やはり女性の比率、あるいは多様性という形で、偏らない役員の方々をしっかりとお願いできるような、そういう体制づくりをするというようなことでの法改正も中にありますので、ここのところは、より現実的と言いつつも、なぜこれをしなくてはいけないかということも含めて是非お考えいただきたいというふうに思いますが、今、数値についての思いというのはお知らせいただきました。ありがとうございます。
農政の大転換があるということを大臣もこれまでもおっしゃっていましたから、その上で様々な数値というものが設定されているというふうに思っていますので、より現実的なことを目指すのか、それとも、ハードルを高くして、そこに大きく目指していくのか、ここはちょっと違う問題になってくるわけなので、大臣の思いというのはどこら辺だったのかなと、もう一度、再度質問したいところでありますが、時間がないので次に行かせていただきますが、ただ、整理をしていただきたいというふうに思います。
実現可能かもしれない、でも、それでいいのか。大転換を大臣は目指されていたというふうに思いますので、そこはよろしくお願いしたいというふうに思います。
次の質問に行かせていただきたいと思いますが、土地改良法の原則と例外的な事業との関係ということです。
土地改良法、土地改良事業自体は、個人の財産である農地の形質を改良することを前提とする公共事業として実施されています。そのために、原則として農業者の申請や同意、費用負担を求めることが基本的要件とされています。
しかし、今回の法律案でも拡充することとしている急施の事業、農地中間管理機構関連事業についてもそうでありますが、例外的に、農業者の申請や同意、費用負担を求めずに実施することができるということになっております。
この例外的な事業は、特に平成二十九年以降の法改正において拡充されているということで、附帯決議がその当時付されているということなんですね。農業者の費用負担を求めない土地改良事業の実施に際しては、費用負担を要する従前からの事業との間で不公平感が生ずることのないよう、既存事業における農業者の費用負担の在り方について、検討を進め、その実質的な軽減が図られるよう配慮することを求めるという、この項目が含まれていました。
その流れから今に至るまで、このような形でこの附帯決議に書かれているような、そういう対応ができているのかどうかということと、そして、今後のその費用負担の在り方についてどのような方向性をお持ちなのかも含めて、御答弁いただきたいと思います。
○江藤国務大臣 確かに、費用負担を求めない事業が新設されるということであれば、これまで、土地改良法については、受益者負担についてはこれは強制力を持って徴収するということがもう土地改良法上にはしっかり書いてありますので、そういう気持ちはあるかもしれません。
しかし、急施の事業をやらなければその地域にとって壊滅的な災害が起こる可能性があるということを国の発意によってやるということは、私は極めて有効だと思います。
地域の方々は必要だと思っていても、同意形成も難しそうだから、なかなかできないよねというような声も実際あります。そういうときに、国から、ここは危ないからやった方がいいよ、やりなさいということでやりますから。御存じだと思いますけれども、七年度予算に盛り込んでいるのは、事故が生じるおそれがある場合の事前の対策、それから治水に係る対策については、原則として農家負担を伴わないようにするという方針でありますので。
これは、やはり公共性の観点とか、防災、減災の観点とか、そういったものが入っておりますので、こういったことは、こういうケースを増やしていく必要がやはりあるんだろうと私は思っております。地方公共団体の負担の指針、いわゆるガイドラインにおいて、原則として農家の負担を伴わずに実施できる、そういった事業、これは全てではありませんが、こういうケースについてはできるだけ増やしていきたいというふうに考えております。
○金子(恵)委員 基本は、できるだけ、厳しい状況にある農業者の方々の負担を軽減する方向、これでいいんですよね。
○江藤国務大臣 これは更にまだ検討が必要ですが、先ほども御答弁させていただきましたように、受益者の数が減る、頭で割ると、頭割りの金額については上がっていく。それについては、何か後ろも分かっていないみたいなので、十分なお答えはできませんが、その頭数が減った分については支援するシステムがあります。何か局長もよく分かっていないみたいですが。
十分でないということであれば、今後の検討課題としてしっかりやらせていただきます。
○金子(恵)委員 農業者の数が減っている、そして、全てに対して、全てに関して人手不足ということにはなるというふうに思うんですが、先ほども、ほかの委員の方から水土里ビジョンについても質問がありまして、それに対して御答弁もあったところでありますけれども、水土里ビジョン、これを今回策定できるというようなことで、連携管理保全事業というものが進められることになっていくわけなんですが、やはり連携管理保全事業の連携の対象、先ほど答弁もありました。農業委員会とも連携をしっかり取っていくような旨の答弁があったというふうにも思いますけれども、実際にどういう方々を連携の対象として見ているのかということをもう一度確認をさせていただきたいというふうに思います。
そしてまた、この水土里ビジョン自体を作成するためには、もちろん、予算措置もされていて、策定についての支援もするというふうにはありますけれども、実際にどのような形でその支援がなされているのか。土地改良区、土地連のやはり現場の負担軽減というのも目指していかなくてはいけないですし、しっかりとしたサポートもしていかなくてはいけないというふうに思っています。その支援の在り方についてお答えいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 この水土里ビジョンは、いわゆる将来にわたって基幹から末端施設までの保全を図るということが大切でありますので、土地改良区が市町村それから関係者と協議の上でやるということであります。
どういう方々が具体的にということでありますが、末端の施設管理者として挙げられるのは、多面的機能支払いの活動組織、それから自治会、水利組合、そして、その他の関わる方々としては、例えば農業委員会、それから農業協同組合、JAですね、こういった方々が考えられるということであります。こういった方々、幅広い方々に参加していただくことが大変重要だというふうに思っております。
国としましても、水土里ビジョンの取組を支援するためには、令和七年度の予算として、策定の準備として経営診断、改善指導、それから水土里ビジョンの策定そのものへの支援、それから水土里ビジョンに位置づける施設の維持管理や整備、補修の補助率のかさ上げなどを取り組んでおりますので、これによって土地改良区の負担を軽減してまいりたいというふうに考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。
次に、再度災害を防止するための改良復旧の複合的な災害への対応について質問させていただきたいというふうに思うんですけれども、基本、防災・減災、国土強靱化のための措置ということで、災害復旧に併せてこの再度災害を防止するための事業、いわゆる改良復旧のための事業を急施の復旧事業に追加しているということで、この改正というのは、もちろん前進していることだというふうに思いますし、単なる原形復旧に限られていないというところではとても重要なことだというふうに思っていますが、中身について言うと、例えば、地震で被災しました、そうすると、次の改良の部分についても、同種の自然災害が起き得ることを想定して、その上で改良するというようなことの説明がされることがよくありますが、そういうことなのか。
あるいは、もっと複合的な災害が現在起きています。能登半島もそうでした。地震、そして水害です。東日本大震災、私の地元もそうでした。地震だけではありません。後に何度も地震もありましたけれども、その間に様々な水害にも見舞われています。そういうことを含めると、やはり複合的な災害への対応というのは重要だというふうに思うのですが、しっかりと柔軟性を持ってその対応ができるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
先ほど大臣からも答弁ございましたが、被災した後の復旧事業というのはやはりコストはかかりますよねということでありますので、そういう意味では、国土強靱化の事業の大切さも御答弁させてもらいました。
同時にまた、農林水産省としても、原形復旧だけではなくて改良復旧にも取り組んできたという事例もありますので、今回の法改正において、再度災害防止のための改良復旧を急施の復旧事業の対象としたところであるが、このような改良復旧の考え方は急施の復旧事業においても変わらないということでありますから、いずれにいたしましても、原形だけの復旧じゃなくて改良復旧というのは大切なことだというふうに思っておりますので、それについては変わらないということであります。
○金子(恵)委員 地震に遭って被災したということであれば、その改良復旧の部分も地震に対する対応ですか。同種の災害だけですか。
○前島政府参考人 内容、細かいところがございますので、私の方からお答えいたします。
今、笹川副大臣が御答弁申し上げた改良復旧に関する考え方でございますけれども、こちらは既に、改良復旧につきましては、例えば豪雨で大規模に被災をした、ため池が被災をしたと。豪雨で被災をいたしましたので、まず現行の設計指針に基づいて復旧をいたします。ですので、昔の雨量ではなく、現在の雨量でしっかりとした設計をするということでございます。それだけでなくて、例えば洪水吐きを一緒に直すというようなときに、この洪水吐きについて、雨量だけでなくて、現在の設計指針に基づいて、必要な耐震性も考えて、ちゃんと設計をいたします。
ですので、現在の復旧の仕方におきましては、豪雨災害の場合であっても耐震性というものをある程度考慮した復旧がなされますし、逆もまたあるということで、一定程度機能が発揮されるということを考えているところでございます。
○金子(恵)委員 複合災害に対応できる仕組みを持つということでよろしいですよね。そういう理解をさせていただきました。ありがとうございました。
もう一点、最後となりますけれども、休眠土地改良区の解散の手続の見直しについて質問させていただきたいというふうに思うのですけれども、令和四年の土地改良法改正では、土地改良区が一般社団法人とか認可地縁団体へ組織変更できる仕組みというのも創設されたわけですね。
休眠になる前にしっかりとまず支援ができてきたのかということと、そしてまた、様々な点で、組織変更というのはこれからの課題かもしれませんけれども、こういう仕組みがあるのだということも含めて、単に全て解散するということではなくて、しっかり最後まで支えた上で、そしてその上でこのような手続を取っていくという結果になれば仕方ないとは思いますけれども、そういうことでいいのか。休眠土地改良区の休眠状態を例えば解消するための支援とか、そういうことも十分にした上でこういう結論づけになるのかどうか。
ここはとても重要なことです。歴史のある土地改良区がたくさんあります。人手不足だからとか、農地がなかなか使うことができない状態だからとか、維持管理ができない、そういうことがあるかもしれない。ですけれども、改良区としての歴史というものも考えながらこのような手続を取っていくことになるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。支援についてはどう考えていますか。
○笹川副大臣 休眠土地改良区は、二年以上事業を行っていないということでありますので、これは都道府県に聞き取り調査を行った結果ですけれども、全国で四千九十五の土地改良区において、二百六の地区において休眠状態ということであります。
ただ、やはりこの課題は、実質的にいろいろな形の管理はしているが、じゃ、その管理責任はどうするんだということがやはりあるというふうに思うんですよね。ですから、そこのところをどういう形にしていくのか、解散をしてそれぞれの市町村に移管をしていくのかということになってきたときに、やはり法的な手続というものもあろうかというふうに思いますので、やはりそういう意味では、清算人を指定してもらってということの手続もあろうかというふうに思うし、いずれにしても、これは、もう少し丁寧に二百六の休眠の土地改良区の状況を把握をした上で、やはり何かしらの手だては考えていかなきゃいけないということになると思いますので、もう少し詳細な調査というのは必要かなというふうに思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。
休眠土地改良区について、しっかりと状況を把握するための調査をしていただけるということでもありましたので、それをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○御法川委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 お疲れさまでございます。
農家の私的財産である農地、この利用関係にやはり影響を与える土地改良事業でございます。その利益を受ける農家からの申請によるということがやはり原則であります。
農家の申請によらない、いわゆる非申請事業は、一部の事業にこれまでも限られていますけれども、それを今回、老朽化が進んでいる、標準耐用年数を超えている基幹的な農業水利施設が半数以上あるということで、その更新に必要な事業として国や都道府県による発意でこれを行えるようにして、農家の申請や事業計画の作成などの手続負担をなくしながら計画的な整備を進めていけるというメリットはあるというふうに思いますけれども、あくまでも例外としての扱いである非申請事業というものが今後は増えていくことになります。
手続を国などが代行するという以上は、この国の発意というものが、そのきっかけがあくまで現場の声でなければならないと思いますし、その地域全体の意見を反映した発意であるということを常に、国の発意というときには確認をしなければならないというふうに思います。
そして、事業計画を公表した後に受益農家の三分の二以上の同意を取るという過程においても、事業に対する農家の理解が、手続がスムーズになるとしても、それが置き去りにならないように、とりわけ費用負担というものが基幹的農業施設の更新では発生をしてまいります。こうした費用負担への理解を国としてしっかり醸成をしていくということ、丁寧に説明をしていくということをお願いをしたいというふうに思います。
そして、あわせて、事業経費の一部を農家に求めながら施設の管理を担っている土地改良区の徴収を新たにしていくようなことも出てまいります。こうした現場の負担にも配慮する必要があるというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 現場が全く求めていないようなことを国の発意だから強引にやるということは決してあってはならない話で、これはもう当たり前のことだと思います。
しかし、国が言ってくれないとなかなか踏み切れないという部分もあって、しかも、時間がたって、御指摘のとおり、かなりの施設がすぐに手をつけなければいけないような状況にあるということも分かっております。ということでありますから、今回、土地改良法の改正において、国それから自治体の発意によってこれをやれるようにするということは極めて意義があります。
ただ、その過程では、受益者である方々、御負担をいただく方々に対して十分な説明、そして同意をいただく段階でも丁寧な説明が必要だと思っています。
そして、今回は、管理コスト、様々な、上がっておりますので、今回の水利施設の維持管理への支援として、水土里ビジョンに位置づける国営造成事業等に対しましては一九%から二五%へのかさ上げ、それから渇水、温水対策のためのきめ細やかな水管理、これは補助率、これは新規ですが、五〇%補助するというような新しいメニューも説明しながら、御理解をいただく努力をしっかりしていきたいと思っております。
○緑川委員 やはり、経営体、現場では資材費も上がっているし人件費も上がっている、そうした中で、特に今、農地の集積、集約化が進んでいます。中小の経営体にも費用負担は生じますけれども、特に、大きな経営体が、土地改良区画内で営農を中心的に担っている経営体が、単位農地当たりの賦課金も更新設備によって費用の値上がりということがやはり懸念をされますので、こうした経営体が営農意欲がそがれることがないように、同意の手続を踏む以前の段階から広く丁寧に合意形成を図っていただきたいというふうに思っています。
今回の法案では、こうした基幹的農業水利施設に係る非申請事業の拡大ということに加えて、今議論になっている農地バンク関連事業、そして急施の事業の、二つの非申請事業も対象が広がることになります。
各事業の費用負担は、これは従来どおり、確かに従来どおりなんですが、国の補助としての基幹的農業水利施設整備の場合には、半分は国の負担、そして残る半分は都道府県と市町村、受益農家の負担になります。そして、農地バンク関連事業と急施の事業については、農家の負担はないんですが、自治体の費用負担は直轄事業以外では四割から五割の負担になるわけであります。
こういう負担割合自体は従来と変わらないんですが、やはり異なるのは、国主導のものを含めて、こうした発意というものを含めて、対象事業が広がった各種の非申請事業に今後取り組みやすくなっていく、つまり事業着手がスムーズにできるようになっていく分だけ、地区によってはトータルの事業量が増えていくという懸念がやはりございます。その自治体の人手や財政的な負担とのバランスもしっかり考えながら事業を進めていく必要があるというふうに思っています。
大臣のお考え、いかがですか。
○江藤国務大臣 言われるように、ある自治体では複数箇所ある、そこを一気に、国から急施だと言われて、国の発意だということでやれと言われたら、自治体の負担分について、急に言われてもそんなに負担できませんというようなことがありますので、そこはまさに委員が言われるとおりバランスを取る必要があると思います。危険性が高いだけという理由でばんばんやると、多分問題が出るんだろうと思っております。
今言っていただきましたけれども、中間管理機構については負担ゼロでこれはやりますね、当たり前の話ですが。今回の法改正によって市町村が実施主体となるケースも同様に扱うということになりますので、これはいい話だろうと思うんですよ。
ですから、急いでやらなきゃいけないこともありますけれども、大規模な事故等が発生した場合、先ほども言いましたが、事前にやった方がコストは確実に安くなりますので、ばあんとぶっ壊れた後にやり直すとなると大変なことですから、事前に、危険性のあるところについては国の発意によってやる、そして自治体の発意によってもやるということは、ですから、自治体の意見聴取をもちろんしますし、地域の農家の方々のそれに対する思いも当然聞きながら合意形成を進めていくことが基本になるというふうに思っております。
○緑川委員 やはり、地域全体の広い声をしっかり踏まえた上で計画を進めるということが必要ですけれども、やはり客観的なデータに基づいて進めていくということが大事だと思います。個別の、今古くなっている施設の機能診断、現地調査というものがやはり重要であるというふうに思います。
その中で、基幹的農業水利施設の突発事故の大半を占めているのはパイプラインであります。近年は、毎年千件を超えるような数字で事故が起きています。下水道の老朽化による道路陥没というのは深刻ですけれども、一方で、農業用パイプラインの漏水によって農道が陥没をしてトラクターが転落するという事故も発生しています。
自治体では、パイプラインなどの緊急点検のための経費を独自に支援をしているという自治体もあるんですけれども、国としてこれを、緊急点検の経費支援を行っていくということが必要ではないかと思いますが、その考えをお伺いしたいのと、また、あわせてなんですが、資料をお配りしているんですが、漏水が起きる主な原因というのはパイプの種類別でも違ってきます。例えば、下の円グラフで、PCやRCのコンクリート管では、パイプの継ぎ手、この接合部がずれることによって漏水が発生をしているということが多く、また、SPという鋼鉄管のパイプの場合は外側が腐食をしているというケースが多かったり、FRPMという強化プラスチック、そしてPVCの塩ビ管は、衝撃に弱く、パイプの破損によって漏水が起こるということが多いようです。
この目視による異常の確認というものは、パイプラインはやはり地中に埋まっていますから、非常に難しいです。そして、管の材質もやはり特徴があるということで、パイプラインの状態、実態を可能な限り効率的に把握できるような、技術的な支援というものを自治体に対してもお願いをしたいというふうに思いますが、いかがですか。
○江藤国務大臣 大変我々としても有効な資料を御提示いただきまして、ありがとうございます。
やはり埋設したときに何を埋めたかは資料として残っているはずですから、それによって急施であるかどうかの判断も多分できるんだろうと思います。ですけれども、急施の事業につきましては、自治体の財政負担は軽減しなければなりません、当然ですね。ですから、測量、設計費それから工事費はもとより、調査それから調整に係る外部委託の費用、これについても国庫補助の対象といたします。ですから、必要な予算の確保、これに努めていかなければなりません。
そして、農業用のパイプラインについては、突発事故が多いわけでありますから、昨年の九月から、道路陥没のリスクの大きい箇所なんかを洗い出して、本年の二月から現地調査を始めました。あの埼玉のやつですけれども、始めておりますので。
また、都道府県が造成した施設につきましては、一般的には小規模でありますが、大規模なものも国と同様に点検を行うように今促しているところでございます。
これらの点検によりまして確認がされた場合には詳細な調査を行うことになりますけれども、国が造成した施設については国の調査費で措置をする、そして県が造成した施設については県がやりますが、県に対しては補助事業によって、国庫補助によって財政的な支援をする。
それから、技術的な支援につきましては、やはり、詳細な調査をどのようにやったらいいかという手引、そういったものを各自治体にも配付をして、手助けをしていきたいというふうに考えております。
○緑川委員 自治体の技術系の職員はやはり減っていますし、点検作業に潤沢に人手を割けるという自治体はやはり多くないというふうに思いますので、様々なパイプラインの漏水の位置を検出できるような技術を農研機構も開発をしていますし、水道では、センサーで感知をして、漏水の音と人とか雑踏の音を識別できるような、こうした技術を開発している民間もありますので、こういう技術も、しっかり国として、導入、普及が図れるように、しっかりお考えをいただければというふうに思っております。
そして、自治体の取組ということですけれども、ちょっと通告にはないんですけれども、防災工事を含めて、今後、水利施設の更新が各地で進んでいくことになりますが、豪雨災害のときに田んぼに一時的に雨水をためて地域の水害を抑えるという田んぼダムの取組というものも、やはり今改めて注目をしなければならないと思います。
ハード整備のようにコストが要らない。そして、被害を受けた地域でこの導入が進んできましたけれども、やはり関係者一体で水害を抑えようという流域治水の観点からも非常に重要な取組であると思いますが、様々な導入課題はあることは承知をするんですけれども、今、更新の設備、これをしていこうという機運の中で、こういう田んぼダム、なかなか進まなかったことについても併せて地域でこれを共有して、話合いをしながら進めていく必要もあるんじゃないかというふうに思いますが、一言、簡単にお伺いできればと思います。
○江藤国務大臣 私のところにもあります、田んぼダムについては。やはり、昔から地域の合意事項として、いざというときにはここに水を張ってもいいよ、私のところはある意味、犠牲田として、地域に貢献しようということでありますが。
委員御指摘のとおり、やはり、自分の私有財産について、いろいろなものが流れ込んだりします。水だけじゃなくて、流木が流れてきたり、ごみが流れてきたり、様々あります。次年度の耕作に悪い影響が与えられることもあります。ですから、これを強力に推進しますということもなかなか言いづらい部分はありますが、ただ、流域治水という委員の御指摘はまさにそのとおりで、流域全体で治水をしなければ水の管理はできませんので、御指摘はしっかり受け止めさせていただきたいと思います。
○緑川委員 御答弁ありがとうございます。
堰板などを含めた排水升の設置とか、この排水升の費用であるとか、田んぼダムを導入する際のあぜの強化費用、この補強費も全額補助している、豪雨災害で被害があった倉敷市などの取組もありますので、こういう自治体の取組をしっかり応援をしていただきたいというふうに思います。
そして、用排水路など土地改良施設というのは水田で特に重要ですけれども、これまで水田の畑地化も進められてきました。施設の利益を全く受けない場合には、地区除外の決済金を払うことによって土地改良区に賦課金を払うことがなくなる、つまり組合員でなくなる農家が今増えています。昨年度、今年度の畑地化促進事業で、この地区除外決済金支援の制度がありますけれども、昨年度は五十一億円、今年度は、確定値ではありませんが四十三億円が国から支払われています。
区画の途中が例えば畑地化されてしまった場合、ちょっと虫食い的な区画になってしまった場合は、箇所によっては、これは用排水の操作や管理に支障が生じ得る。あるいは、組合員が今減っていますけれども、更にこうして抜けて減っていくことで、地域の共同活動の人手もやはり減って、施設の維持管理が厳しくなっている。こういう畑地化政策の土地改良事業に与えてきた影響について確認できればと思います。
○江藤国務大臣 これは農家の御判断によって畑地化されているわけでありますから、それが悪いと言うことはやはりできませんよね。その方の高収益作物に転換したいというような御意向があれば、それは尊重されるべきものだと思います。
今委員から御指摘があったように、一番問題なのは虫食い状態になったときですよ。こういう場合は、水利の維持管理が非常に難しくなる、困難になるということでありますから、一応、土地改良区を含む関係団体の合意を得ること、そして団地化してくださいということを要件といたしております。ですから、これをできれば守っていただきたいということですね。
そしてまた、規模によっては再編しなきゃいけない場合もあります。また撤去しなきゃいけない場合も出てきますので、そういったものにも対応しなきゃいけませんから、補助事業、これは組んであります。御存じだと思いますが、畑地化の総合事業、これは当初予算で六百七十八億、農業水利等の長寿命化が二百八十二億、畑地化等の促進事業で二十二億、これを使えますので、これを使って、やはり、土地改良区の今後の畑地化が土地改良区の運営に影響が出ないように、しっかり予算面でも対応していきたいと考えております。
○緑川委員 やはり、地区除外となった場合は水利組合も抜けることになりますので、これまで用水路の泥上げなんかも一緒に地域の共同活動で行ってきた人がいなくなっていく。自発的にこれからも協力していく農家もいるんですけれども、そうしない農家ももちろんいます。
そこで、施設管理准組合というのは、前回の法改正で導入された任意の制度でありますけれども、昨年度末時点では全国八つの土地改良区でしかやはり加入の実績がありませんけれども、私の地元の秋田県では、鹿角市あるいは秋田市の雄和地区の土地改良区にはそれぞれ加入がございます。少ない人数ですけれども、地域の住民が協力し合いながら、施設の保全管理、頑張って続けています。
導入すれば有効な制度であるというふうに思いますので、人手を確保するためには、地域の外から入れることを検討するのも大事なんですが、こうした、先ほど申し上げた地区除外によって組合員でなくなった地区の農家にも施設管理准組合員として共同活動に関わってもらう、こうした協力関係を維持しながら、施設の保全管理の充実を図っていく、こうした体制の充実を図るということが大事ではないかというふうに思いますが、最後にお伺いをしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
施設管理准組合員制度は、委員御指摘のとおり、平成三十年の改正により創設されたものでございます。制度は残念ながら導入が進んでいないわけでございますけれども、その理由といたしましては、既に土地改良区と活動組織が連携して施設の草刈りや泥上げに取り組んでいる事例も多く見られている、実質的に土地改良施設の保全管理において支障が生じている事例がこれまで多くはなかったということがあろうかと考えております。
他方、農業集落の人口減少、高齢化が進む中で、将来の施設の保全管理に不安を抱える土地改良区も多くございます。今回の法改正によりまして、施設管理准組合員の要件を土地改良区の周辺地域外の団体まで広げるとともに、個人、法人についても参加できるようにしたいと考えております。
これによりまして、周辺地域に住所を有していないものの、地域の多面的機能支払交付金活動に参加しているNPO法人ですとか、委員から御指摘ございました、組合員でなくなった地域内の農家を含む地域住民の方々、また、土地改良施設の管理に協力してくださる地域の建設会社やコンサルタント企業などの、多様な関係者の参画を期待しているところでございます。
また、これらの者は水土里ビジョンの構成員として参画してもらうことにもなじむというふうに考えておりますので、こうした仕組みも活用いたしまして、地域内外の多様な関係者の参画を推進いたしまして、安定した保全体制の構築を図ってまいりたいと考えております。
○緑川委員 時間の関係で駆け足になりました。地域の共同活動に資するよりよい制度になるように、私からも現場に周知をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
質問を終わります。
○御法川委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。
これまでの審議も踏まえて、今回の土地改良法の改正には、その意義を理解をし、基本的には賛同できるというスタンスに立って、その前提で、法改正の内容を踏まえ、農政の現状や今後の見通しを俯瞰しながら、一部頭の体操も含めて質疑をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今改正の柱の一つである急施の事業は、防災、復旧、それぞれの観点から導入、そして数次の拡大が行われてきたわけですけれども、その実績は、令和元年度から令和五年度までの累計で、防災事業が国営で、耐震化一地区、復旧事業が国営で、災害復旧十六地区、突発事故復旧二十一地区の計三十七地区、よって、全部で三十八地区。都道府県営事業では、防災事業が二百八十九地区、復旧事業が百六十九地区で計四百五十八地区という具合になっています。地域的に防災事業を見るとかなり偏りがあって、その数は近畿、東海、北陸が目立つという状況になっております。
ここまでの経緯を見ると、その様々な効果を見定めながら、拡充を段階的に図ってきた。それが今回の新たな段階に入って、更なる拡充として、おそれがある場合の補強に加えて、原形復旧を超えた再発防止や、突発事故被害と類似被害の防止などにまで対応の幅を広げようとしているというのが現状かというふうに思います。
そこで、基本的な認識を問いますが、急施の拡大は、災害の激甚化や農業用施設の老朽化などの現状を踏まえれば、今後も取組の重要性は増していくというふうに思います。ここは金子委員や緑川委員が話していることと問題意識は一緒でありますけれども、改めて、政府の立場から今回の拡充の意義を確認しておきたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
同意徴集などの手続の一部を省略して迅速に着手できる急施の事業には、委員から御紹介がありましたとおり、急施の防災事業と急施の復旧事業の二種類がございます。
急施の防災事業は、いつ発生するか分からない自然災害に迅速に備える観点から、平成二十九年に耐震化のための事業として創設したものでございます。令和四年の改正により、豪雨対策を追加したところでございます。
また、急施の復旧事業は、昭和二十四年の法制定時以来、災害復旧について設けられております。平成二十九年の改正により、災害によらず生じる事故に対応するため、突発事故被害の復旧を追加したところでございます。
今回の改正は、施設の老朽化の進行や自然災害の頻発化、激甚化の中で、これらの対応に万全を期すため、急施の防災事業の拡充として、老朽化等によるひび割れや漏水など事故が生じるおそれがある場合の事前対策を急施の復旧事業の拡充として、パイプラインの破裂など老朽化等による事故が発生した施設で引き続き起きかねない類似の被害を防止するための対策、自然災害で被災した際の再度災害を防止するための改良復旧を措置するものであり、農村地域の防災・減災、国土強靱化を図る上で重要な意義を有するものだと考えております。
○渡辺(創)委員 今改正における急施拡大の事業は予算措置を伴うわけですが、新年度予算案において今回の急施拡充を視野に入れた予算をどのように措置されているか。予算をどうされているかだけで結構ですので、端的に御答弁ください。
○前島政府参考人 お答えいたします。
では、予算についてだけお答え申し上げます。
従来の土地改良施設突発事故復旧事業、これを今後は土地改良施設突発事故復旧・防止事業といたしまして、予算額も、令和六年度の十六億円から令和七年度には三十七億円へ増額計上しているところでございます。
○渡辺(創)委員 今法改正の含むトレンドは、既に申したように、農業施設の機能を維持し、トラブルを回避するためには、拡充、つまり対象となる事業を増やしていく必要があるというふうに思うんですが、中期的な視野に立った場合、今後の事業選定が増えていくこと、また拡大の可能性についてどのような認識を持っているか、事務方に聞こうと思ったんですが、さっき金子委員の御質問で、同様の趣旨で大臣が増やしていく方針であるという認識をお示しになったので、ちょっと改めてここで大臣に、済みません、事務方に聞く予定でしたけれども、先ほど大臣から答弁があったので確認をしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 やはり、危ない箇所が見つかってそれを放置するというのは、責任の放棄に私はつながるんだと思うんですよ。
ですから、もちろん予算との見合いもありますし、地域の自治体が、負担がありますから、どれほど受け入れられるか、そういうリミットはあると思います。しかし、事業の数自体は、やはり激甚化も進んでおりますし、災害の規模も大きくなっておりますから、そういうのに伴って対象を増やしていくことが私は必要だというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 大臣、ありがとうございます。
同じ問題意識でいますので、その方向、必要なことだと思いますので、大臣から確認できて大変よかったと思っています。
次の質問に移っていきたいと思いますが、基幹的農業水利施設の更新整備についてお伺いをします。
基幹的農業水利施設というのはどのような施設を指すのか、農水省の基準を簡潔に御説明ください。
○前島政府参考人 お答えいたします。
例えば受益面積が三千ヘクタールを超えるような、受益面積の広いような施設のことを指しているというものでございます。
○渡辺(創)委員 全国では、ダムや取水堰など約七千七百か所、水路は五万キロにも及び、その資産価値は二十兆円にもなるという重要なインフラだというふうに理解をしていますが、その半数が、今日も質疑で出ているように、標準耐用年数を超えている状況で、用排水機場においては八割にも至るという現状かと思います。これはかなり深刻だと思うので、早期の計画的な対応が必要だということは言うまでもないと思います。
この手の事業というのは、先ほど緑川委員の議論もありましたが、受益者の申請で始める申請主義が原則だというふうに思います。
まず確認をしたいんですが、現行の制度の下でも、非申請、申請を端緒としない形での事業化を図ることができるというケースはありますでしょうか。また、あわせて、そのケースにおいて、当然、工事に入るまでには関係者の同意を得る必要があるわけですけれども、非申請で着手をし、必要な同意を得られなかったというケースが実例としてあるのか確認しておきたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
現行の土地改良法第八十七条の二におきましては、埋立て又は干拓、埋立て又は干拓と併せて行う土地改良施設の整備、受益の範囲が広く工事に高度な技術を必要とするなどその事業の性質又は規模に照らすと申請によらないことが適当な土地改良施設の整備、多目的ダムの建設等の他の公共事業等と併せて行う土地改良施設の整備、この四つにつきまして、事業の性質上、農業者からの申請を待っていたのでは事業を開始し得ないものとして、国又は都道府県が申請によらず事業を行うことを可能としているところでございます。
事業の実施に当たっては、事業実施主体である国などが、市町村、土地改良区や地元の農業者などの意見を踏まえまして、事前の調査を十分に行い、事業の必要性について地域での合意形成が図られた後に手続を開始するのが通例でございます。
必要な同意が得られず、事業計画の決定ができなかった事例はこれまでにないということでございます。
○渡辺(創)委員 今度は、今回の法改正を前提にお伺いをします。
少し頭の体操ですが、非申請で事業化ができる道が広がるということは、果たして、申請主義が原則という考え方が意味を継続的に持つことができるのかという課題があるというふうに思います。
今回、このような対応が必要になった理由は、関係者の高齢化や土地改良区に多くの専任の職員がいないという実態上の課題を踏まえたときに、申請に伴う、言い換えれば合意形成に伴う手間を簡略化し、計画的な更新整備を円滑に進めるためだというふうに思います。もちろん、実態上、今御答弁もあったように、地域の意向を完全に無視して事業化を図るというようなことは余り想像できませんし、大臣も先ほどおっしゃったとおりだというふうに思っています。
ただ、ファジーな形で納得が築かれているというようなものを非申請にしていく形が、これからも容易に想像していくわけです。しかも、前段で述べたように、老朽化で対応を求められる施設というのは次から次に出てくるということになるわけですから、その状況を踏まえて確認しておきたいんですが、今改正後も、非申請の事業というのはあくまでも補完的対応であるとの認識でいいのか。加えて、今後、非申請での事業化が拡大していくんだというイメージを持っておくのが、我々、これからの未来を理解する上で実態に即していると言えるのか。中期的な展望を含めて御説明ください。
○前島政府参考人 お答えいたします。
広範囲の受益を有する基幹的な農業水利施設は、地域における農業生産活動の継続を確保する上で特に重要な施設でございます。このような施設の老朽化が進行する中で、更新整備を計画的に実施する必要があると考えております。
一方、委員御指摘のとおり、高齢化の進展などで、更新事業の実施に向けた同意徴集などの申請時の手続が農業者にとって負担となっている場合がございます。
このため、今回、国又は都道府県の発意によって更新事業を実施する仕組みを設けることで、基幹的な農業水利施設の更新を計画的に推進できるようにしたいと考えております。
なお、この仕組みを適用するか否かは、地域の農業情勢やその展開方向、個々の施設の規模や状況等によって個別に判断する必要がございます。ですので、現時点でこれを拡大する方向であるとかいうことを見通しているわけではございませんけれども、あくまでも原則は、申請に基づいて土地改良施設の整備というのは行っていくという考え方に立って、この事業を進めていくというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 私は、今回の土地改良法の改正の目的をこう理解しているんです。かつては、リスク低く安定的に営農できる農地を拡大する意欲が社会にあって、それを担う農業者も一定以上担保できていたわけです。それを強くバックアップする機運も十分にあった。そのために、優先順位を決めるためには、地元の本気度であったり熱意を見る必要があったために、申請主義であるという必要性があったんだというふうに思います。
しかし、時代が変化して、更新期を迎えている今は、改めてここで言うまでもなく共通認識だと思いますが、農地の維持にすら困難を抱えていて、就農者数もどんどん低下している。この状況の中では、農業者の自発的な動きだけに委ねていては、これまでの長い農政で築いてきたある種の社会資本的施設がその価値を下げかねないという状況、しかも老朽化の課題が目の前に迫ってきている。
だから、原則を緩めてでも、システムの弾力化、現場での合意形成の弾力化を図る必要を迫られている、こういうことだというふうに私は思うんです。これが今回の法改正の本来の背景にある事情だというふうに思います。
私の選挙区でも、大事業として行われてきた水利のパイプラインの事業とかがすごく期待されて始まったわけですが、時間を経ていく中で、なかなか今はもう農地として実はやれていなくて、賦課金というか負担金を払うこと自体も、やっていないけれども、払うだけみたいな形で困っていらっしゃる。
こういう時代の変化があっているという現状をきちんと踏まえておかないと、その中でこの法改正の意味がどういうところにあるのかということをきちんと押さえておくことが重要だというふうに思いますので、私は、今もし賛同いただける話なら、この辺のところの転換をきちんと農水省から強く農業者の皆さんや自治体にも言わないと、法改正の狙いがきちんと伝わっていかないと思いますので、これは意見として申して次に行きたいと思います。
今回、非申請での事業化が可能になる基幹的農業水利施設が、災害などのリスクの状況によっては、先ほど冒頭の質問で扱った急施の対象になる施設にもなり得るということはあり得ますでしょうか。
○前島政府参考人 お答えいたします。
申請によらず国等が発意する場合でありましても、農業者の三分の二以上の同意が得られなければ更新事業を実施することができないため、事前の調査を十分に行いまして、更新の必要性やタイミングについて丁寧に農業者に説明をし、地域での合意形成を図りながら事業に着手することとしております。ですので、国等が発意した後に農業者の同意が得られないという事態が生じることは想定していないところでございます。
また、急施の事業、こちらにつきましては、自然災害や老朽化などにより損壊するおそれがある施設について緊急的に対策を行う場合ですとか、損壊した施設を復旧する場合に迅速に事業を実施するためのものでございます。緊急の対応が求められるものではない施設更新事業について、農業者の同意が得られない場合に切り替えて実施するということは、そもそもできないというふうに考えているところでございます。
○渡辺(創)委員 次の質問まで御答弁をいただいたので。同意が得られない中で、ある意味では急施に切り替えることによって、状況が変わればあり得るんじゃないか。先ほども議論があった負担の問題も急施にすれば変わってくるので、合意形成にある意味その手法の変換が効果的に働くこともあるのではないかと思って、問題意識で確認しようと思っておりましたが、先に御答弁いただいたので、その状況については理解をできたところであります。
ただ、なぜこういう話をしているのかというのは、現状の中ですぐにそういう手法が想像できるということではないのはもちろん分かっています。なので、あえて頭の体操というふうに言っているわけですが、切迫感のある状況を考えれば、現場で御苦労をして、何とかやろう、それに価値があるという判断の中でいろいろなことがあると思うんですね。なので、今回の法改正の中である程度整理しておきたいというふうに思ったところですので、その問題意識だけお伝えできればというふうに思います。
次に、土地改良事業全般についてお伺いをしたいというふうに思います。
今回の改正では、条文から、開発であったりとか、総生産増大であったり、選択的拡大という文言が削除され、保全というのが強調されているわけであります。
もちろん、この流れというのは、これまでの基本法の議論等々を踏まえても決して違和感のあるものではないというふうに思っていますが、一方で、やはり、戦後のというか日本の農政をずっと振り返ってくると、その変遷を踏まえたときに、この表現の変わりぶりというのは実に象徴的な変更との印象もあるところでありますが、ちょっとざっくりとした聞き方で恐縮ですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 大変深く今回の法改正の意義について、背景も含めて御理解をいただいていることにまずは感謝をしたいと思います。
拡大したい、とにかく拡大していかなきゃいけないんだという意欲も現場でも強かった時代背景から、四百二十七万ヘクタールの農地をいかに次の世代に保全していくかというステージに変わって、こういう急施の事業というものも新設をして、国が一歩も二歩も前に出る。決して、緩めたというのはちょっと違うかもしれませんが、国が一歩前に出て、積極的にコミットしていくという姿勢を示したものだというふうに私は思っております。
今言っていただいたように、改正した基本法によって、整備に加えて保全を明確に位置づけました。これは大変、今言った趣旨からいって正しいと思っています。
これまでの土地改良法の目的、意義は、昭和三十六年にできた基本法を受けてできたものでありますから、あえて申し上げれば、他産業との生産性の格差の是正、やはり貧しかった時代を背景に、これが一番大きかった。そして、生産性の増大。それから農業生産の選択的拡大、なるべくもうからないものは作らずに、金になるものを作ろうというのがこの言葉の意義ですから、これはやはり時代の意義には余り合わないということだろうと思います。
ですから、改正後の食料・農業・農村基本法に沿って、農業生産の基盤の整備及び保全を図ること、これを明確化させていただいたというところでありますので、委員の御指摘が、まさに今回の法改正には十分反映されているというふうに考えます。
○渡辺(創)委員 令和七年度の予算額等も聞こうと思いましたが、ちょっとそれはもう飛ばします。
配付資料を御覧いただければ分かりますけれども、農業農村整備事業関係の予算の推移をまとめたものでありますが、御覧いただければお分かりいただけると思いますけれども、平成の前半に大きな山が訪れて、その後、下落傾向をたどっています。この評価はさておいて、今日の質疑のトータルのテーマにもなっているように、この山の高い時期に整備された農業用施設を維持更新し、その機能を保持していくためには、簡単に言えば、この山の盛り上がりを、高さがどの高さかはともかくとして、もう一度つくらなければならないということは明白だというふうに思います。つまり、農業関連施設が更新期を迎えることを踏まえると、今回の一連の法改正の目的を果たすためには、やはり予算枠の大幅な拡大を伴わなければ実効性が担保されないと考えるのは極めて自然だというふうに思います。
ここからは個人的な意見でもありますが、農水省の今の予算の中でのやりくりというだけでは限界があると思います、時代の要請だと考えれば。そうすれば、政府全体の中でしっかり位置づけを持って、その枠を広げて予算確保を図っていかないと、求められるものに対応できていけないという時代、状況だと思いますが、大臣の見解をお伺いして、最後にしたいと思います。
○江藤国務大臣 まさに、今、既存の予算のどこかを切って、この急施の事業を含めて、国が前に出るということは全く考えておりません。ということであれば、これだけの法改正を行うということでありますから、しっかり予算の確保に努力する義務を私としては負うものだというふうに思っております。
何度か答弁いたしましたが、予算をくれくれと言っても予算は得られるものではなくて、何をやるから、何のために必要だから、これだけの予算が必要なんだということを、やはり国民に対しても、それから財務御当局に対しても説明ができないと、予算が確保できません。
ですから、今回の法改正は、いわゆる老朽化している、そしてもう耐用年数を過ぎ始めている、そして危険性も帯び始めている、そういったものについて、今やらなければ、いわゆる地域計画に基づいて、いい農地を担い手に渡したとしても、その機能を土地改良区が発揮できない可能性があるという背景の下にこれはやっているわけでありますから、是非この法律を御可決いただいて、この法律を前に出して、そして予算の確保にも全力で努力してまいりたいと考えております。
○渡辺(創)委員 どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、林佑美君。
○林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。この通常国会では初めての質問になります。
江藤大臣が所信でおっしゃっていたとおり、我が国の農林水産業は、食料の安定供給を支えるだけではなく、国土保全や地域経済の活性化、さらには環境保全の面でも極めて重要な役割を果たしています。
しかしながら、昨今の国際情勢の不安定化、気候変動の影響、人手不足、農業従事者の高齢化など、多くの課題に直面しております。
こうした状況の下、農林水産業の持続可能な発展を図るためには、国の積極的な支援が不可欠であり、本委員会の役割はますます重要になっています。
先日、江藤大臣が所信表明の中で述べられましたように、現在の日本の農業は、生産基盤の強化、食料自給率の向上、農業構造の転換、輸出拡大、食料安全保障の確保など、大胆な政策転換が求められています。
特に農地は、農業をするために不可欠な要素です。農地と水路がどうなっているかによって生産性が大きく変わります。品種や技術ももちろん大事ですけれども、これまでの農業の発展の歴史を見ても、昔から水と農地の整備が生産性の向上に大きく貢献してきたのは明らかだと思います。そのため、農政においては、この水と農地を大事にするという基本が重要であると考えております。
本日は、土地改良法等の一部を改正する法律案の質疑ということで、法案について、そしてさらには、お時間等の許される限り、私の地元和歌山県において課題となっておりますクビアカツヤカミキリの防除対策、これも対策にスピードが必要な内容ですので、お聞かせいただきたいと思います。子供食堂の課題と支援についても、できれば質問を行いたいと考えております。
土地改良法の改正は、食料・農業・農村基本法の関連法案として検討が進められてきたと思います。内容としては、基本的な農業施設の老朽化に対してその保全の必要性を入れたもの、また人口減少に対応したものであり、どの条文の改正も重要なものだと感じております。
起こってほしくはないことですけれども、埼玉の水道管の破裂による道路の陥没など、基本的なインフラ整備の老朽化と破損の防止について国民の皆様の関心がこれほどまでに高まっていることは過去に余りなかったかと思います。農業者の皆さんはもちろん、国民の皆様の安心を確保するためにも、今回の改正は必要なものであると考えております。
その前提の下、持続可能な発展を実現させるためにも、本日の議論を通じて、政府、農水省の政策をよりよいものにしていくための道筋をつけられればと思っております。
それでは、具体的な質問に移らせていただきます。よろしくお願いします。
我が国の農業は、少子高齢化や人口減少に伴う農業従事者の減少、農地の荒廃といった深刻な課題に直面しております。私の地元和歌山県におきましても、中山間地域が多く、農地の維持管理が困難な状況が続いております。地元を歩いていても、平たんで大きい条件のよい農地でも転用されているところが目立ってきていると感じております。
農林水産委員会に所属をし、改めてこういった状況を目の当たりにすると、とても寂しく思います。こうして農業者が抜けていってしまうと、水に関する施設を維持していくことは、資金面でも労力の面でも非常に困難が伴ってきます。地方において人口が減少していく中でもしっかりと維持管理をしていくためには、農業生産基盤の整備と維持管理を効率的かつ効果的に行うことが求められております。
今回の改正では、土地改良区を中心に、水利組合、多面組織、市町村等が連携管理保全計画を策定し、計画的に地域の水利施設の保全を行う仕組みを導入するとのことですが、まさにこれをしっかり進めていくことが重要だと考えます。この計画をきちんと立て、計画を立てるだけではなく、きちんと実行に移していくことが重要です。このためには、国も積極的に関与することが必要だと思っております。
そこで、どのように土地改良区を支援し、進めていくのか、大臣のお考えを伺います。
○江藤国務大臣 委員の御指摘のとおり、水であります。昔は、水戦争なんというのがありました。上流から水は流れていきますから、上で水を使ってしまって下流の畑には水が来ない、それで本当に人の命に関わるような争いが村単位で起こったり、そういう時代もありました。
しかし、今はもうそういう時代でなくなって、逆にこの水利を利用する方々の数自体が減ってしまい、委員の御指摘のとおり、人口減少に伴って基幹的農業従事者の減少、また、おられても高齢化が進んでいる、そして離農も残念ながら進んでいる、耕作放棄地も残念ながら増えている、そういった中において、これからもしっかり維持管理をしなければなりません。
そのためには、委員のおっしゃるとおり、その基幹的な方々だけじゃなくて、基幹的なところから末端までいろいろな方々がコミットしていただいて、みんなで計画を立てて、そしてこれを守っていくんだということが、地域を守る上でも極めて重要であります。
ですから、土地改良区におきましては、連携管理保全計画、これの中核になっていただく必要があります。そして、言われるように、これを実行しなければなりません。やはり実行力があるのは誰かというと、私は、土地改良区の方々に頼らざるを得ない。それに対して、委員の御指摘のとおり、国がしっかりとサポートする、支援をするということによって補完をしていくということが大事だと思います。
国としましては、やはり診断とか改善につきましては、いろいろ、先ほども答弁いたしましたけれども、水土里ビジョンの策定そのものへの支援、一ビジョン当たり三百万円支援ができます。それから、水土里ビジョンに位置づける施設への支援、これも補助率を一九%から二五%に引き上げることにいたします。
それから合併への支援も、今までは一地区当たり二百万円だったものが、百ヘクタール当たり二百五十万円まで上げるというふうに手厚くいたしますので、このような内容もしっかり地元に説明をさせていただいた上で、実効性を高めていきたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
土地改良区の組織運営が円滑に進み、安心して安定的な事業の展開ができますように、大臣からも、国がしっかりとサポートできることが大切という力強いお言葉がございました。農水省としても御支援をどうぞよろしくお願いいたします。
次に、ため池の質問に移ります。
ため池は西日本に多く、西日本において、農業のための大切な水源として使われてきました。農業用のため池はなくてはならないものですが、一方で、老朽化により破損が起きてしまうと、人的被害にもつながってしまう可能性があります。また、当然、農業にも大きな影響を及ぼします。実際、残念ながら、過去にも自然災害によりため池が決壊するなどの事故があったかと思います。
このため、ため池の防災対策を進めていく必要があると考えます。
そして、ため池の防災・減災対策を効果的に推進するためには、現場での具体的な取組が不可欠であると考えております。例えば老朽化したため池の修理や管理主体の明確化など、多くの課題が存在します。
そこで、ため池の老朽化対策の現状と今後の取組について伺います。
全国には多くのため池が存在し、その中には老朽化が進行しているものも少なくありません。これらのため池に対する点検、診断の実施状況と、老朽化が判明した場合の改修や撤去などの対応策について、現状と今後の取組をお聞かせください。
あわせて、ため池の管理主体の明確化と支援策について伺います。
ため池の管理主体が不明確なケースや、管理が困難な状況にある地域も存在します。これらのため池に対する管理主体の明確化のための方策や、管理が困難な場合の支援策についてどのように対応される御予定か、御説明ください。
○前島政府参考人 お答えいたします。
ため池の老朽化対策につきましては、ため池工事特措法、これは通称でございますので、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法、これに基づきまして、決壊した場合に人的被害を与えるおそれがある防災重点農業用ため池の劣化状況等の点検、評価を行い、これに基づき、防災対策を講じる優先度が高いため池につきまして改修工事を推進するとともに、利用される見込みがないため池について廃止工事を推進しているところでございます。
今回の法改正では、漏水などが発生し、事故が生じるおそれがあるため池の老朽化対策につきましても、手続の一部を省略して迅速に実施できるように、急施の事業に追加することとしております。こうした事業制度の活用も通じまして、防災重点農業用ため池の老朽化対策の更なる推進を図っていく考えでございます。
ため池の管理主体につきましては、ため池管理保全法、農業用ため池の管理及び保全に関する法律におきまして、ため池の所有者等による都道府県への届出を義務づけております。この届出制度も活用して、管理主体の明確化を図っているところでございます。
さらに、ため池の管理につきましては、多面的機能支払交付金などによりまして、地域の共同活動として行うため池の日常管理を支援するとともに、農業水路等長寿命化・防災減災事業によりまして、ため池の管理者等への技術的な指導助言等を行うため池サポートセンターの活動を支援しているところでございます。
これらの取組を通じて、ため池の適正な管理を支援していきたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
ため池については、約七〇%が江戸時代以前に建造されたもの、また建造年代が不明なものもたくさんあります。ため池の老朽化対策の充実や管理主体が明確化されることを期待しております。
次に、先ほどの土地改良とともに、農業にとって基本的でかつ大事な要素となる、農地や農道についての質問をいたします。
近年、農業従事者の高齢化が進み、農業の担い手不足が叫ばれる中で、日本の農業インフラ、特に農道や水路といった基盤設備の老朽化が深刻化しております。
先日の二月二十八日付の日本農業新聞の記事によれば、新潟市を始めとする各地で農道の陥没が相次いでおり、農作業中のトラクターの転落事故まで発生しているとのことです。この記事では、過去五年間で、農道の陥没による事故が全国で多発しているということが報じられておりました。これは、単に道路が損傷したという問題にとどまらず、農業従事者の安全の確保、さらには食料供給の安定という観点からも極めて重要な課題であると認識しております。
農道の老朽化の背景には、農道や農業用パイプライン、そして農業用水路等は、一九六〇年代から一九八〇年代にかけて整備されたものが多く、耐用年数を超えたものが各地に存在しているといった課題が挙げられます。これは、昨今問題となっている水道管の破裂などと同じで、日本のありとあらゆる施設設備に共通することだと思います。これにより、路盤の沈下や水路の漏水が発生し、結果として農道が崩落するリスクが高まっております。
結果的に、自治体や土地改良区の財政負担が増えますけれども、農道の維持管理を担っている地方自治体や土地改良区は、高齢化や担い手不足により、維持管理のための財源が十分に確保できていない現状があります。特に、農業者の減少によって土地改良区の負担が一層厳しくなっており、修繕費の捻出が困難になっています。
また、農道の陥没によって、農業従事者が事故に巻き込まれるケースが増えており、トラクターや農業機械は重量もあるため、陥没した道路への転落の際には被害がとても大きくなります。これは、農業従事者の生命の危険を伴うだけではなく、農作業の効率を著しく低下させる要因ともなっています。その中で、畑地化を進めるために、賦課金を積み立てて、水利施設の整備費や維持費に活用されている土地改良区もあると思います。
そこでお伺いいたしますけれども、耐用年数を超過する施設が増えていき、農道や農業用パイプライン、農業用水路等の改修の必要性が高まるなど、今後一層資金が必要となってくると思いますが、農水省として、どのように資金確保のために支援をしていかれるのでしょうか。
○前島政府参考人 お答えいたします。
農道の陥没事故は、道路下に埋設されている農業用パイプラインの破裂や、委員が指摘された新潟市の事例のように、下水道管の破裂などによって生じているものでございます。その復旧などにつきましては、農道の管理者ではなく、原因である農業用パイプラインの管理者、又は設置者や下水道等の管理者が対応しているところでございます。
これらのうち、農業用パイプラインにつきましては、近年、破裂等の突発事故が多発しております。道路陥没も年間三十件程度発生していることから、農業用水の安定供給や農道の安全を確保する観点から、農業用パイプラインの事故対策を強化する必要がございます。このため、道路陥没等の突発事故が発生した場合には、パイプラインの管理者又は設置者において、迅速な復旧に努めているところでございます。
今後は、道路陥没リスクの大きい施設について、今回の法改正で拡充する急施の防災事業によって迅速に補強などを行い、事故の未然防止を図る考えでございます。
これらの突発事故の復旧や防止の予算につきましては、土地改良施設突発事故復旧・防止事業で措置することとしておりまして、今後とも必要な予算の確保に努めてまいる考えでございます。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
このままでは、農業生産基盤の弱体化にもつながると思います。是非とも維持管理に向けての支援の拡充、御検討をよろしくお願いいたします。
この質問に関連しての質問が続きますけれども、私は、農道の老朽化対策としての令和七年度農林水産予算における農地整備事業の更なる拡充が必要不可欠であると考えます。農業基盤の強化は、単に生産性の向上を図るだけではなく、農業従事者の安全確保、災害時の被害軽減、さらには地域の活性化にも寄与するものです。
そこで、まず、現在、全国の農道陥没がどれぐらい発生しているのか、きちんと把握する必要があります。現在、農水省はどの程度把握されているでしょうか。また、日頃より、こうした情報について、自治体や土地改良区同士の情報共有に努められていると思いますが、そういった意思疎通は今後も重要だと考えております。このため、自治体や土地改良区との情報共有はどのように行われているのか、お聞きいたします。併せてこの二点、御見解をお願いいたします。
○前島政府参考人 お答えいたします。
農道は、市町村や土地改良区などが管理しており、死亡事故など重大な事故につきましては、国へ報告するよう地方公共団体に依頼しておりますけれども、農道陥没の要因や規模は様々でございます。また、延長も大変長うございます。陥没事案の全てを網羅的に把握するということはしていないということでございます。
ただし、農道陥没の原因が農業用パイプラインの破損であるケースにつきましては、当省においても把握をしております。農道やパイプラインの復旧に携わる市町村や土地改良区との情報共有も図られております。
なお、農道陥没の要因が下水道等の破損によるケースにつきましては、現在におきましても、下水道等の管理者と農道管理者との情報共有が図られているものと考えております。
今般の八潮市の事故を受けまして、国土交通省が設置した下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会におきまして、道路管理者を始めとする他の管理者とのリスク情報の共有等の在り方、これが主な検討項目となっております。農林水産省もオブザーバー参加しております。
農林水産省といたしましては、本委員会の検討結果を踏まえ、農道を含む道路管理者と農業用パイプラインの管理者との間における今後の適切な情報共有などの在り方について検討してまいりたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
是非とも実態把握を調査いただき、そして自治体と土地改良区との情報共有の強化も、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、農道の老朽化対策として、令和七年度の農地整備事業予算において、地方自治体が農道の補修を円滑に行えるような支援策は検討されているのでしょうか、お伺いいたします。なかなか自治体の財源が厳しい状況にある中、老朽化対策は待ったなしの課題でありますから、国としても、しっかり支援をしていく必要があると考えております。
また、人が少なくなっていく厳しい状況の中では、最新の技術を使って、人手をかけずとも、リスクの把握をしていくことが不可欠になっていくと思っています。スマート農業はよく聞く言葉ですけれども、スマート農業の意味に、こうした農地や水利施設といった基本的な施設に関するスマート化の意味も含むことができたらと思っております。
農道の補修、維持管理のための予算確保を強化することに加えて、AIやドローンを活用したインフラ点検の導入、土地改良区と連携した予防保全型の農道管理モデルの構築など、新たな技術活用についての検討は進められているのでしょうか。併せてこの二点、農水省の御見解をお聞かせください。
○前島政府参考人 お答えいたします。
農道につきましては、老朽化に対応するため、農道管理者である市町村や土地改良区などが、施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図るストックマネジメントの取組を、最新技術も活用しつつ実施しているところでございます。
この取組を支援するため、農村整備事業や農山漁村地域整備交付金におきまして、農道の点検、診断、対策工事の費用を補助してきておるところでございます。令和七年度予算におきましては、これらに加えまして、農業水路等長寿命化・防災減災事業の中で、農道の補修などの整備も支援対象としているところでございます。
今後とも、農道の機能が適切に発揮されるよう、必要な予算を確保するとともに、ドローンを用いた点検などの新たな技術を活用した農道の効率的な管理の推進を図ってまいりたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
日本の農業を持続可能なものとし、次世代に継承していくためには、農地整備事業の更なる強化が不可欠だと思います。農道の陥没が発生する現在の状況を見過ごすことなく、農業者の安全と生産基盤の安定を確保するためにも、先ほどドローンというお話もありましたけれども、新たな技術も活用しながら、積極的な対策を講じることを強く求めます。よろしくお願いいたします。
冒頭申し上げましたとおり、今回、土地改良法の改正は、起こってほしくはないことですけれども、基本的なインフラ設備の破損について国民の皆様の関心が高まっている中での改正となりました。土地改良法は土地改良区に関連する基本的なことを決めている法律ですが、今回の改正は、土地改良区の関係者だけではなく、広く国民の皆様に関わることだと考えております。私は、本日、自治体との関係についても触れさせていただきましたが、農水省におかれましても、関係者に対して丁寧に説明されることを望んでおります。よろしくお願いいたします。
次に、クビアカツヤカミキリの防除に関して質問いたします。
クビアカツヤカミキリは、桜や梅、桃などのバラ科樹木を加害する特定外来生物であり、その被害は全国的に拡大しております。私の地元である和歌山県内においても、昨年十二月時点で、和歌山市では、農地で六十三本、農地以外で七十本、岩出市では、農地で六十四本、農地以外では八本、農業が盛んな紀の川市では、農地で四百六十一本、農地以外で四十六本の被害が報告されております。
この昆虫被害は、農業生産に深刻な影響を及ぼすだけではなく、公園や街路樹などの景観にも悪影響を及ぼします。
和歌山県では、国の研究機関と連携し、生態解明や防除対策の研究に取り組んでおりますが、現時点では抜本的な対策は確立されておりません。
特に、被害が拡大すると、桜など樹高の高い被害木の伐採や処分には高所作業車などが必要となり、多額の費用がかかることから、市町村の財政に大きな負担が生じております。
また、農地における被害蔓延地域では、被害拡大防止と経営維持の取組を一体的に行う必要があります。
さらに、公園や街路樹等においては、成虫の活動期以前である四月からの速やかな防除対策が求められますが、現行の特定外来生物防除等対策事業では、交付決定に時間を要することから、迅速な対応が難しい状況です。
これらの課題に対し、農林水産省としてどのようにお考えか、幾つか伺います。
始めに、防除対策の強化と支援策の拡充について、現行の防除対策や支援策を見直し、迅速かつ効率的な防除が可能となるよう、制度の改善や新たな支援策の導入、また、被害拡大に伴う市町村の財政負担を軽減するために、補助率のかさ上げや地方財政措置の拡充など、国としての更なる財政支援を検討していただけないでしょうか。農水省の御見解をお聞かせください。
○安岡政府参考人 お答えいたします。
委員から今御紹介いただいたとおり、クビアカツヤカミキリは、現在、国内でも十五都府県で確認されており、桜のほか、近年では、桃や梅などの果樹園にも侵入して、農業生産に被害が生じているため、環境省とも連携して対応を進めているところでございます。
これまで、農水省では、都道府県による早期発見のための園地の調査、さらには蔓延防止のために被害樹にネットを被覆するといったこと、さらには被害樹の伐採などの防除対策に対して支援を行っているところでございます。
また、封じ込めや被害低減に向けて、効果的な低減対策を進めていくことが重要でございます。最新の防除に関する技術の知見を取り入れた新たな防除体系の確立に向けた実証なども進めております。これについては、令和六年度補正予算により、全額を国費で支援しているところでございます。
また、地方財政措置でございますけれども、この虫が含まれる特定外来生物の防除に係る経費、これは、令和五年度から特別交付税措置の対象となったところでございます。
引き続き、都道府県、市町村、関係省庁と連携しながら、クビアカツヤカミキリの蔓延防止対策を進めてまいります。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
和歌山県においては、国からの支援をいただいているということを大変ありがたく感謝しておりました。ただし、財政的にも大変厳しい状況であります。産地での被害の影響も大きいと思いますので、再度、国としての支援策に関する補助率を上げるなどの御提案の御検討、そして、是非とも迅速かつ効果的な防除可能となるような対策を、自治体と連携して、重ねてよろしくお願いいたします。
時間となりましたので、終了いたします。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございました。
土地改良法改正案について質問させていただきますが、初めに、農業水利施設の維持管理についてお伺いをしたいと思います。
農業水利施設のうちの、ここでは特に水路の老朽化対策について伺いたいと思いますけれども、埼玉県八潮市の下水道幹線の破損が原因と見られる道路陥没事故以外にも、水道や下水道など地下埋設物の老朽化による漏水事故、道路陥没事故が全国で相次ぎ発生をしている状況です。
農業水利施設のうち基幹的水路については、四六%、半分近くが標準耐用年数を超過をしておりますが、この基幹的水路、五万一千九百五十四キロメートルのうち、暗渠、すなわちパイプラインは一万八千キロメートルあり、このうち、口径八百ミリ以上の大口径管が二五%、四分の一を占めております。
農水省の調査では、施設の老朽化の進行で、突発事故の発生件数は近年増加傾向にあり、特にパイプラインの破裂による事故は、二〇一〇年頃までは年間二百件から四百件程度、こうしたペースで推移をしていたものが、その後、年々急増しており、二〇二二年には約一千二百件に上っております。
道路下等に埋設されている大口径管の破損は、農業への直接的な影響にとどまらず、深刻な事故を引き起こすおそれがあり、維持管理の重点化が必要と考えます。
限られた予算の中で効率的な補修、更新を進めるために、危険度を判定するためのまず総点検を早急に進めるべきと考えていますが、この点について、点検の実施の現状、今後の取組についてお伺いをいたします。
○前島政府参考人 お答えいたします。
農業用パイプラインは、老朽化の進行などにより、近年、漏水、破裂等の突発事故が多発しております。
農業用パイプラインに破裂等の事故が発生すれば、一時的に農業用水の供給に支障を来すだけでなく、そのパイプラインが道路下に敷設されている場合には、道路陥没も引き起こしかねないところでございます。
このような農業用パイプラインの事故に起因する道路陥没が年間三十件程度発生していることから、事故対策を強化する必要がございます。このため、昨年九月から、道路陥没リスクの大きいパイプラインについて、総点検を進めているところでございます。
具体的には、道路下に埋設されている直径八百ミリ以上のパイプラインを洗い出しする作業を行ってきており、その上で、本年二月から現地調査を実施中というところでございます。この調査によりまして異常が認められた場合には、順次、詳細な調査を行って優先度を判断した上で、今回の法改正で拡充する急施の防災事業により、速やかに補強等を進めていきたいと考えております。
今後とも、必要な予算の確保に努め、農業水利施設の機能保全に取り組んでまいる考えでございます。
○角田委員 八潮市の事故を教訓として、耐用年数に達していない管路でも必要に応じて更新しなければならない、耐用年数を見ているだけでは重大な事故を防ぐことはできないということが教訓として挙げられると思います。劣化の状況を正確に判断できる検査手法がそのためにも求められます。その検査についても、最新の技術を活用して、少ない人員で効率的に実施できる手法についての開発、検討を進めていただきたいと思います。
その上で、優先度に応じて計画的な更新を今後ペースアップしていく必要がありますが、この点について、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
まず、パイプラインの保全につきましてでございますけれども、事例がかなり蓄積されてきております。ですので、今この機能診断の手引を委員会の方にお願いをいたしまして、技術者の方々、学識経験者の方々に集まっていただいて手引の更新の作業をお願いしているところでございます。これを来年度中に新しい手引という形でまとめていきたいと思っておりまして、これに従ってパイプラインの点検をしっかりと進めていきたい。
これを踏まえて、先ほど御説明いたしましたとおり、機能診断もした上で、随時更新を進めてまいりたいというふうに考えております。
○角田委員 土地改良法改正案では、防災・減災、国土強靱化のための措置として、急施の防災事業について、損壊が生じた場合だけでなく、損壊が生ずるおそれがある農業水利施設の補強等の事業を追加するとともに、損壊した箇所の復旧だけではなくて、類似の被害を防止する事業も急施の事業で実施できることとしております。
耐用年数を超過して漏水事故が発生した管だけでなく、同様に、老朽化して近い将来に破損する可能性のある箇所についても同時に更新ができるようになり、経済性、効率性の面からも積極的に活用されることが期待をされますけれども、そのためには、具体的に急施の事業として実施できる範囲などの判断の基準、これについて明確にしておく必要があると考えますが、この基準についてはどのように定めていくのか、お伺いしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
今回の改正による急施の事業の拡充では、大きく分けると三種類の改正を行うこととしております。
委員御指摘のとおり、老朽化等によるひび割れや漏水など事故が生じるおそれがある場合の事前の対策、パイプラインの破裂など老朽化等による事故が発生した施設で引き続き起きかねない類似の被害を防止するための対策の二種類を含め、急施の事業を実施できる範囲などの判断基準をできるだけ明確にする必要があると考えております。
一つ目の事前の対策につきましては、事故が生じるおそれがある場合の判断に当たっては、ひび割れや漏水の有無などの施設の状況を客観的に見て判断することとしております。
二つ目の類似の被害を防止するための対策につきましては、事故が発生した施設と同一の施設におきまして、材質や施工時期等の条件が同等と判断される場合などに実施できるようにすることを想定しております。
これらの内容を予算事業の要綱等で定めて示すとともに、これまでの具体的な事例を整理して、本制度が活用可能な事例として共有し、地方公共団体や土地改良団体などへの周知をしっかり図ってまいりたいと考えております。
○角田委員 続きましては、農業水利施設の保全管理、これが人口の減少で、特に末端の施設の保全管理については、多くの土地改良区が従来行ってきた活動に支障を来している状況にあります。
これに対して、改正案では新たに、地域の農業水利施設等の保全に取り組む改良区と市町村、集落など関係者が協議する枠組みを設けるとともに、連携しての管理保全事業も土地改良区の附帯事業として実施ができるようにすることを盛り込んでおり、そのための連携保全計画を策定をして農業水利施設等の保全体制を構築した土地改良区の受益面積割、これを令和十一年度までに八割以上とするKPIを掲げております。この目標を達成するためには、関係者の協議を促していく取組も必要と考えますが、この連携保全計画の策定を促進するためにどのような取組を行っていくのか。
あわせて、今年度末までに策定することが義務づけられている地域計画との関係についてですけれども、この地域計画の策定作業も現場にとっては大きな負担となっているという声もありますが、更なる負担を地域に強いることがないよう負担軽減の工夫も目標達成、末端の適正な保全管理という目的を果たすためにも重要と考えますが、この点についても見解をお伺いしたいと思います。
○庄子大臣政務官 お答えをいたします。
計画策定の促進と、そして負担軽減の工夫という御指摘だと思います。
令和十一年度までに八割以上というKPIを設定をしたことにつきましては、これはできる限り早期に広い範囲で農業水利施設の保全体制を確立をしたいという考えから設定をしたものであります。
具体的には、比較的体制の整っております規模の大きな土地改良区が先行して取り組むことを想定しておりまして、例えば、五百ヘクタール以上の受益面積を有する土地改良区、約千地区が策定をしていただきますと目標は達成できる見込みとなっております。
また、ビジョンの策定に対しましては、令和七年度予算におきまして、県土連などが経営診断あるいは改善指導を行うこと、そして水土里ビジョンの策定そのものへの支援といたしまして、一ビジョン三百万円定額で計上させていただいております。また、水土里ビジョンに位置づけます施設の維持管理あるいは整備や補修の補助率のかさ上げなどを盛り込んでおりまして、こうしたことにより早期の取組を促してまいりたいというふうに思っております。
○角田委員 続きまして、今、全国に土地改良区が四千以上ありますけれども、このうち専任の職員が配置をされていない改良区が半数近くを占めている状況に対して、合併等による土地改良区の基盤強化もやはり積極的に進めていく必要があると考えますが、土地改良区の基盤強化へはどのように取り組んでいくのかお伺いをしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
三百ヘクタール未満の規模の小さな地区を中心に、専任職員を配置できない土地改良区がいまだ半数程度、これは四千九十五地区のうち千九百八十一地区ということになっておりますけれども、それだけの土地改良区が存在している一方、三百ヘクタールを超える土地改良区では平均して二人以上の専任職員を配置できていますように、一定の面積規模に達した土地改良区におきましては安定した運営基盤を持てると期待できるところでございます。
このため、本法案に盛り込んだ連携管理保全計画、水土里ビジョンの取組を通じまして、市町村等の関係者と連携して基幹から末端までの農業水利施設の保全に取り組むようにするとともに、土地改良区の経営改善や合併を始めとした再編整備を進めまして、安定的な運営体制の確立を目指す考えでございます。
国といたしましても必要な後押しを進めるべく、法案におきましては、水土里ビジョンに合併に関する事項を定めたときの認可のワンストップ化という特例を設けております。また、令和七年度予算におきましては、先ほど庄子政務官の方からも御答弁ありましたように、様々な支援を講じているところでございます。
法制度、予算の双方からの支援を通じまして、土地改良区の運営基盤を強化してまいりたいと考えております。
○角田委員 続きまして、女性活躍に関して質問したいと思うんですけれども、第五次男女共同参画基本計画における成果目標として、土地改良区の理事に占める女性の割合を令和七年度に一〇%に引き上げることとしておりますが、現状どうなっているのか、達成の見通しは立っているのか。また、土地改良区を含め今後、農業分野での女性活躍推進にどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
○庄子大臣政務官 土地改良区におけます女性理事の登用につきましては、男女共同参画基本計画で掲げております令和七年度に理事全体の一〇%との目標に対しまして、現状では令和五年度末で一・四%にとどまっています。前年度に比べれば〇・六%の伸びとはなりましたものの、現状を踏まえますと、目標の達成につきましては残念ながら困難な状況だと認識をしております。
ただし、これまでも土地改良区に対しましては、女性理事登用の手引を作成し、これを用いて役員研修を行っているほか、農水省の職員が現場に出向きまして働きかけを行ってまいりましたし、これからも行ってまいります。
また、今般の改正法におきまして、土地改良区の理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮する旨を規定しておりまして、こうした取組で、着実に進んでいくバックボーンにしていきたいというふうに考えております。
土地改良区に限らず、第五次男女共同参画基本計画に基づきまして、農業分野の更なる女性活躍に向けまして、女性農業経営者の育成や地域の方針策定への女性参画を進めてまいりたいと思っております。
○角田委員 目標は高い方がいいと言いますけれども、余りにも高過ぎる目標はかえってやる気をそぐ結果にもなってしまいます。基本計画のKPIにおいても、職員が達成に向けて頑張るぞというような目標になるよう検討をお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
私は、本日、初めての法案についての質問なんですが、やはり、一つ一つ丁寧に法案を掘り下げていく、それは国会での重要な仕事だと思っております。日本の農政をしっかりと底上げしていくために、今現在中継を御覧になっている国民の皆様にもしっかりと関心を持っていただけるように質問を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
今回改正案が出てまいりました土地改良法というのは、一九四九年に制定された法律ですが、農地の区画整理や農業用排水施設、農道など、土地改良施設の新設、変更、管理などを行う土地改良事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定めたものです。
昨今、気候変動による災害リスクが増えていく中で、農業水利施設の老朽化が急速に進行する中において、国や行政側からの発意による農業生産の基盤の整備及び保全を的確に実施できるよう、土地改良法などの一部を改正する目的ということなんですが、当然、その必要性というのは理解できますし、国や行政が積極的に老朽化対策などを行うことには私も賛成なんですが、今回の法改正について、まずは大臣の御見解を伺うとともに、特に、国などの発意に際しては農業者を始め地域の関係者に対し十分な事前の説明を行うなど、丁寧な運用に努めることが重要だと思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。
○江藤国務大臣 それはもう当然のことであります。求めていないことを国が発意をしてこれをやりなさいと、そして、地元自治体の負担もあるわけですから、そういった合意形成がなされない上で強引に進めるという意義のものではありません。
これまでも、地域の方々が一番自分の地域の状況というのをよく分かっていらっしゃる、しかしなかなか踏み切れなかった部分がある。急施ということになれば、いろいろ今までの事業とは比較して有利な点もあるということであれば、国が一歩前に出ることによって地域の御要望に更にお応えできる。その段階においては十二分な説明をすることは欠かせないというふうに考えております。
○八幡委員 しっかりと現場の声が生かされるように進めていっていただけるということで、ちょっと安心はしたんですけれども、今回の改正法案では、防災・減災、国土強靱化のための措置として、突発事故被害において、復旧するだけではなくて、損壊のおそれのある施設などに対しては補強工事も復旧事業としてできるようになります。
私自身、災害対策そして防災対策というのは力を入れて進めるべきだと考えておりますし、れいわ新選組としても、国による積極的な防災インフラの整備の実施を訴えております。
この改良復旧においては、できる限り農業者の負担軽減が必要だと考えるんですが、どう今後図っていかれるのか、政府の見解を知りたいです。お願いします。
○前島政府参考人 お答えいたします。
急施の復旧事業は、農家の同意を得ず、行政発意で行うものでございます。災害復旧事業を急施の復旧事業で行う場合、事業の補助残につきましては、事業実施主体である地方公共団体が自ら負担するものと考えております。
なお、災害復旧事業には、暫定法や激甚法による補助率のかさ上げ措置がございます。国の補助率は極めて高いものとなっておりまして、例えば、暫定法ですと、施設であれば約九六%、激甚法ですと、約九九%が国から補助が出されるということになっております。
また、補助残を地方公共団体が負担する場合は、地方財政措置が適用されることとなっているところでございます。
○八幡委員 しっかりと手厚い予算も措置があるということは分かったんですが、ほかの委員の方も御指摘あったみたいに、やはり災害というのはいつ来るか分からないので、急速にその準備をしていくためにも、農林水産省としても予算の確保は訴えていきたい、私もそれを同時に、一緒に訴えていきたいと思っております。
前向きな法案ということは分かったんですけれども、私としては、やはりもう一声欲しいんですね。というのは、改良復旧が可能となるのは、同種の自然災害、例えば震災後の改良復旧として認められるのは同じ地震に備えた改良だけで、例えば豪雨災害などのほかの自然災害に備えた改良というのは認められていないということになっているんですが、別の自然災害への対応は防災事業としてやっていくんだという説明は受けたんですけれども、事業計画が簡素で対応が迅速にできる復旧事業、これと比べて、防災事業だけだとちょっと遅いのではないかなと危惧しております。
近年では、震災の後、豪雨災害が発生した能登半島の例もあります。複合災害も想定して、例えば、農業者としては、地震に備えた改良復旧だけでなく、同時に豪雨災害に備えて改良復旧をしてほしいんだという場合もあるとは思うんですけれども、当然地域差もあるかと思いますが、農業者のこうした意向への配慮も必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○前島政府参考人 お答えいたします。
急施の復旧事業では、迅速に災害復旧事業を行うため、事業実施主体である地方公共団体が、農家の同意を得ることなく、手続の一部を省略して事業に着手することが可能となっております。
平時から、地方公共団体に対しまして、こうした急施の復旧事業の趣旨や制度内容を周知するとともに、急施の復旧事業を行うに当たっては、関係する農業者の方々などに事業内容等を丁寧に説明するよう、地方公共団体をしっかり指導してまいる考えでございます。
また、急施の復旧事業による再度災害の防止のための改良復旧につきましては、例えば、豪雨によりため池の堤体が大規模に被災した場合であっても、洪水吐きが被災しなかった場合、こういったような場合が考えられるわけでございますけれども、この洪水吐きの流下能力が不十分なとき、再度災害防止のために行うものでございます。洪水吐きの対策工事は豪雨による再度災害を防止するためのものでございますけれども、現行の設計指針に基づいて行われますので、必要な耐震性も確保されることになるわけでございます。
このように、急施の復旧事業による改良復旧は、被災原因となった自然災害により施設などが再度被災することを防止するために行うものでございますけれども、異なる自然災害に対しても一定程度効果を発揮することになると考えておるところでございます。
○八幡委員 やらないよりはやっていただいた方がいいんです。災害大国日本において、様々なリスクを想定して柔軟に改良復旧できた方が効率がいいんじゃないかなと思います。
今日、大臣も、別の委員の質問でおっしゃっていましたけれども、事故が起きてからではなくて、未然に防ぐことがコストもかからないしいいんじゃないかとおっしゃっていて、まさにそのとおりだと思うんですね。なので、いろいろ手続とか何かルールとかあると思うんですけれども、時代の流れに合わせて、柔軟な対応を引き続き私は訴えていきたいなと思っております。
続いての質問に参ります。
れいわ新選組は、ただいま、ごはん会議と題しまして、東京大学の鈴木宣弘先生を講師にお招きした勉強会を全国で行っております。農水委員の私も各地に参加させていただいているんですが、現場の農家さんたちから、土地改良区と工事請負業者との癒着を疑う声をよく聞くんです。
今回の土地改良法も、内容を見たら賛成なんだけれども、これは一部の会社をもうけさせるためのものになっていないのかなとよく私は言われるんですけれども、その国民の感情というか、私はすごく理解ができるんですけれども、この話を、この前、通告レクのときに官僚さんの前でやったら、めっちゃ笑われたんですけれどもね。
実際、香川県内の土地改良区で収賄事件が相次いだということを受けまして、香川県が特別検査をして、その結果が昨年十一月に公表されました。法令違反はなかったものの、工事の実績があったほぼ全ての団体で入札方法などに改善が必要なことが判明していたり、今年の二月にも、富山県の射水市で、土地改良区の贈収賄事件として、当時の専務理事ら三人が在宅起訴されているんです。
特に、改良復旧が必要な事業というのは緊急性があって、事業着手までの時間的な猶予が余りない中、やはり国民感情としては、行政と懇意であるような特定の工事請負業者が受注することにならないのかなと、どうしても懸念してしまうと思うんですが、そこは、やはり開かれた入札が行われるようになってほしいなと私は思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 私の地元ではそういう癒着の話は聞いたことがないんですが、しかし、香川県の話、富山県のお話、これはもう実際にあったことで、特に富山についてはあった話でありますから、やはり発注元としても厳粛にこれは受け止めなければならないと思います。
国においては、公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、これがありますから、これに基づいてやるのは当たり前で、透明化、それから公平性の確保、それを行って、一般競争入札によって行う、もう当然のことであります。
また、契約の過程、急がなきゃいけないという御指摘はあると思いますけれども、その過程においても、情報の公開、それから第三者による監視を受けること、それから透明性と公平性の確保、これを図ってまいりたいと思っております。
県や市町村においても地方自治法に基づいて同様の取組が行われておりますので、そういうことが起こらないように、しっかり我々としても目を光らせておきたいと思います。
○八幡委員 大臣の地元ではそんなことはないとはっきり断言していただいたんですが、やはり日本全体でこういうことがあってはならないということを、農水省としても、もう一歩前に踏み込んで言っていただきたいなと思っていて、そもそも、これは都道府県とか自治体とかに任せ切りじゃなくて、素人意見で申し訳ないんですが、公正性確保のためのガイドラインみたいなものを作成するべきじゃないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 これは、今申し上げましたように、入札に関わる法律がしっかりありますので、この法律を遵守していただくということがいわゆるガイドラインということになりますので、土地改良法の改正に基づいて発注される事業に対して特別、別枠でガイドラインを設けるというのは、少しなじまないのかなというふうに思います。
○八幡委員 是非是非、一歩前に踏み込んだ御指導をお願いしていただきたいと思います。そうじゃないと、せっかくいい改正、法律を改正していくのに当たって、やはり国民の方が不信感を持ってしまうというか、その裏に何かあるんじゃないかみたいなことを言って、それがちょっと、議論が止まってしまうとか、何か国民がそれで興味を失うみたいなところというのはすごくもったいないなと私は思いますので、しっかりと農水省としても御指導をよろしくお願いいたします。
今回の法制案についてでは、施設管理准組合の地域要件をなくして、幅広く加入できる仕組みとするということがあります。これは農業者の高齢化や担い手不足に対応するものだと思うんですが、ただただこの要件を緩和するだけではなく、施設管理准組合員が実際に増加するような支援が必要だと思っています。
土地改良区の理事の構成見直しとしても、理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないものとすると書いてあったんですけれども、女性や若手層の参画において、何か具体的な支援策は想定されていますでしょうか。お願いします。
○前島政府参考人 お答えいたします。
今回、土地改良法の改正におきましては、理事の年齢及び性別について配慮する規定、これを設けているところでございます。
若い世代の理事の割合が低いというのは、そもそも、農村部において組合員資格を有する耕作者や土地所有者の高齢化が進展していることが背景としてあろうかと考えております。また、女性理事の割合が低いのは、土地の使用収益権の名義人の多くが男性である、これらの者が組合員となって、その中から理事が選ばれている、これが主な要因となっていると考えております。
このため、これまで、女性理事登用の手引を作成し、これを用いまして土地改良区の役職員を対象とした研修を行うとともに、員外理事の定数を増やしまして、女性や若い世代の方々に理事に就任していただくよう、直接、農林水産省の職員が現場に赴きまして働きかけを行ってきたところでございますけれども、土地改良区の方々からは、法律上の根拠が明確ではない、そういうようなことから抵抗感を感じるとの意見もあったところでございます。
今般の土地改良法改正におきまして配慮規定を設けることで、地域の実情に応じつつ、今後、それぞれの土地改良区で着実に取り組んでいただくためのバックボーンとしていきたいという考えでございます。
今後は、更に事例を収集いたしまして、女性のみならず若い世代が理事に就任している優良事例の横展開を図るとともに、引き続き、直接、農林水産省職員が現場に出向いて働きかけを進めるなどして、若い世代や女性の理事が増えるよう支援してまいりたいと考えております。
○八幡委員 るるおっしゃっていただいて、これは法律案なので、先に言葉が来てしまうのは仕方ないですし、私がやはり一番言いたいのは、言いっ放しとか書きっ放しじゃなくて、しっかりと、人があってこその法律案であったり現場だと思いますので、そこは重要視していただきたいなと思っております。
私は、農林水産委員会でありますけれども、厚生労働委員会にも所属をしております。農水で出てくる法案は前向きなものが多い印象を受けております。野党としても、附帯決議なども提出させていただきながら、与野党話し合って、日本の農政を是非一緒に前に進めていきたいと思っております。
引き続き、法案審議にしっかりと取り組んでいくことを宣言いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
風光明媚な嵐山という地域、御存じだと思いますけれども、そこに桂川という一級河川がとうとうと流れていまして、渡月橋の左岸の方にいわゆる水門があって、そこからずっと農排水用路が三条通りというところを、その横を流れている。これは同時に、農排水用路でもありますし、地元の住宅街が多いので、生活排水の受皿でもあるというところであります。
これは洛西土地改良区というところが所管をしているんですけれども、以前、私は令和四年にこの質問をしまして、年に二回、総出でお百姓さんたちが集まって、いわゆる川掃除、泥上げをするんですが、なかなか、平均年齢が七十歳以上なので、私も現場に行ったことがあるんですけれども、かちかちで、もう土砂が固まってしまってコンクリート状態になっている。なかなかうまくいかない。大雨のときに、水がやはり三条通りにまで浸水したり、あるいは床下浸水ということで、住宅の皆さんも困っているという状況なんです。そのときに、要するに、土地改良区だけではなかなか対応できないということなんです。
今回の法案は、ですから、それに救いの手を伸べるものではないかと私は推測しているんですが、まず局長さんにお聞きしたいのは、五十七条の十一第一項に、土地改良区が、市町村あるいはそのほかの関係者と連携をして、いわゆる連携管理保全事業というものを行うことができるということなんですが、残念ながら、そのときも、京都市が手伝ってくれたらいいのになというふうに地元の土地改良区はおっしゃっていたんですが、それは法律上、土地改良区の話だということで、京都市もなかなか協力してくれないということなんですが。
まず一つ、これは市町村、義務になっていないですよね。これは残念だと思うんですけれども。ですから、例えば、京都市が何か人手不足だとか、なかなか時間がないとか、そういう理由で参加しないということになってしまわないかということと、そのほかの関係者とは一体何を指すのか、この二点についてお聞きしたいと思います。
○前島政府参考人 お答えいたします。
連携管理保全計画、いわゆる水土里ビジョンの関係者とは、委員御指摘の第五十七条の十一第一項に規定されておりまして、具体的には、市町村のほか、地域の末端施設の管理者として、多面的機能支払いの活動組織ですとか、自治会、水利組合、また、地域の農地や営農について知見を有する農業委員会、農業協同組合など、幅広い主体に参画してもらうことを想定しているところでございます。
御指摘のとおり、市町村に限らず、どの組織におきましても人員が減ってきていると認識しておりますけれども、水土里ビジョンは、土地改良区が所有、管理する施設に加えまして、関係者が所有、管理する施設も含めて、関係者間の協議によりまして、各施設の保全に関してどのように役割分担や費用分担を行うかなどの連携方法を定めるものであるため、むしろお互いの人員不足をカバーし合うことができるのではないかと考えておるところでございます。
また、令和七年度予算におきまして、先ほどから答弁が度々ございましたけれども、ビジョン策定そのものへの支援を始めとして様々な支援をしております。また、土地改良区機能強化支援事業によりまして、それぞれの施設の状態の調査や協議会の運営などの必要な準備を支援できるようにもしております。
こういったものを活用いたしまして、土地改良区や市町村を始めとした関係者の負担を軽減しつつ、農業水利施設の保全を図ってまいりたいと考えております。
また、市町村がなかなか動いてくれないというような場合には、法律上はなかなか義務づけということは難しかったわけでございますけれども、やはり都道府県、今回の場合は京都府になろうかと思いますけれども、府がやはり大きなプレーヤーになっていただくことを期待しているところでございます。京都府と一緒になって、国といたしましても、京都市に出てきていただけるように後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
○北神委員 大臣、この問題は、私の地元のことだけではなく、都市近郊型農業の多分一つの象徴的な問題だというふうに思っています。
今回の改正、今局長さんから話がありましたが、そういった、土地改良区では高齢化が進んで、あるいは人手不足で、なかなか農地管理の維持というのが難しいという中で、今回の法案というのは、改正案がこういうところの支援になるかどうか、余り抽象的な話をしてもしゃあないので、今も申し上げた嵐山の事例について、この法案というのは適用されるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○江藤国務大臣 当然、今お話しいただいたところで、最初に委員がおっしゃったように、救いの手になるような法改正の内容にしなけりゃなりませんし、運用についてもそうなることを大いに期待しております。
局長から御答弁させていただきましたが、できるだけ多くのプレーヤーがこれに参加をしていただく、高齢化それから人口減少、確かに、私も泥上げをやったことがあるんですよ。腰にきますよね。非常にしんどい仕事でありますので、できるだけ若い人にも参加できるようにしていただきたいと思っております。
ですから、市町村、なかなか市の方の協力が得られないということであれば、法律的な縛りはありませんけれども、やはり京都府を中心に市にも協力していただきたいですし、それから多面的機能支払いの組織、それから自治会、そして水利組合、農業委員会、そしてJA、そういった方々を総動員で、こういうことにやはり協力していただきたいと思っております。
そして、何度か答弁いたしましたけれども、ビジョンの作成については、一ビジョン当たり三百万円支援をいたしますし、今度は補助率も、施設に関しましては三〇パーから四〇%にかさ上げをいたします。ですけれども、都市近郊型であればあるほど、末端の水利の管理にお困りの地域、そういったところでこの法改正の支援内容が生かされるようにしていきたいというふうに考えております。
○北神委員 ありがとうございます。
あと、最後に、多面的機能交付金ですか、これも、私が令和四年にこの問題について質問したときに、当時はこの改正の前ですから、そういう多面的機能の交付金がある、これで使ったらいいんじゃないかという話があったんですが、私の調べたところによりますと、令和七年度、今回の予算の要求の段階では土地改良区も、今、御案内のとおり、農家の皆さんが組織をつくって、そこが事業主体になる、私は、やはり土地改良区もその主体になるのは一ついい考えかなと。そして、農林水産省としても要求段階ではそれを言っていたけれども、結局それが実現できなかったので、本来はすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○前島政府参考人 お答えいたします。
多面的機能支払交付金につきましては、委員御指摘のとおり、令和七年度予算概算要求の段階では、共同活動の継続が困難となっている地域において、土地改良区が共同活動を主体的に担うことが可能となるよう、多面的機能支払いの事業実施主体に追加をする、これを検討していたところでございます。
しかしながら、その後、秋の時期に、私たち職員が出向いていって、いわゆるキャラバンというものを行っております。その中で、土地改良区を事業実施主体に追加することにつきましては、期待の声がある一方で、地域から事業実施主体になることを求められ、十分に見合うメリットがないまま、土地改良区の業務負担だけが増えるのではないか、また、これまで地域でまとまりを持って活動に取り組んでいた組織に混乱をもたらすのではないかといった、懸念の組織が、地域から寄せられたこともございます。
このため、今回、事業実施主体に追加することはせず、今後引き続き、現場の声をよく聞きながら検討していくものとしたところでございます。
○北神委員 現場の土地改良区がそう言っているのであれば、あればというか、賛成の方もいるわけですよね。ですから、私が思ったのは、選択制にすれば別にいいんじゃないかというふうに思うんですよ。よく分かります、土地改良区が主体になるとほかの人たちは協力しない、おまえらの仕事やから自分で勝手にやれということになるのを懸念するのはよく分かりますが、選択制にすれば、より効果があるんじゃないかというふうに思います。もう質問しませんけれども、そういうことを是非検討を今後していただきたいというふうに思います。
あと最後に、先ほど質疑を聞いていると、キュウセの事業と言うでしょう、局長も。あれはキュウシじゃないですかね、正確には。まあ答えなくていい、国語の教室じゃないのでね。後で聞きます。ちょっと国語の教室を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○御法川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木貴子君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺創君。
○渡辺(創)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
最近の農業・農村を取り巻く情勢変化の中で、土地改良事業が、良好な営農条件を備えた農地・農業用水等の確保と有効な活用を通じて、農業生産の増大、農業生産活動の継続的な実施、農村地域の活性化、国土の保全、防災・減災等に果たす役割は一層重要なものになっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 農業水利施設の老朽化が急速に進展する中において、施設に重大な事故が生じ、営農等に支障が生じることがないよう、基幹的な農業水利施設の計画的な更新を着実に進めること。また、国・都道府県の発意による農業水利施設の更新の実施に際しては、更新の必要性について、農業者を始め地域の関係者に対し、事前に十分な説明を行うなど、丁寧な運用に努めること。
二 連携管理保全事業の創設に当たっては、関連施設の管理者、関係市町村とともに、農地中間管理機構、農業委員会などの連携管理保全事業に係る地域の地域計画に関わる者を含めて連携を図ることを基本として連携管理保全計画が作成されるよう、制度の趣旨、運用の在り方等についてきめ細かな指導・助言等の必要な支援措置を行うこと。また、事業推進のための予算措置を継続的に確保するとともに、連携管理保全事業に取り組む土地改良区等に対し、都道府県土地改良事業団体連合会等が地域の実情に応じた適切な伴走支援を行える体制を整えるよう努めること。
三 農業者の申請・同意・費用負担を求めずに実施する急施の防災事業及び急施の復旧事業の実施に際しては、国・都道府県において、老朽化の状況や長寿命化に向けた取組を的確に把握した上で、農業水利施設の損壊の危険度等を踏まえ、事業要件の透明性を確保し、適切に判断するとともに、複合災害等に対する柔軟な運用を図ること。また、農業者の費用負担を要する従前からの事業との間で不公平感が生ずることのないよう配慮するとともに、現行の急施の事業の進捗に支障が出ないよう、適切な運用を図ること。
四 農地中間管理機構関連事業の拡充により、都道府県及び市町村が当該事業を実施するに当たっては、各市町村において策定された地域計画の実現に向けた取組と連動し、適切に整備された農用地が、地域計画に位置付けられた担い手等に対し、確実かつ円滑に貸付け等がなされるよう指導・助言等の支援を行うこと。
五 土地改良区がスマート農業等に対応した情報通信環境を整備できる附帯事業の拡充に当たっては、特に当該事業に係る農業者等の施設利用者の経費負担について納得が得られた上で実施されるよう配慮すること。また、情報通信環境整備事業と併せて、スマート農業技術が効果的に活用されるよう、土地改良区等の関係者の人材育成等の支援を行うこと。
六 施設管理准組合員の資格要件の見直しについては、連携管理保全計画や地域計画など地域の実情を踏まえた取組に理解のある者が施設管理准組合員となるよう、資格要件や判断基準の考え方を示すなど適切な運用を図ること。
七 理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮する規定については、地域や土地改良区の実情に即した配慮を求めるものであること、土地改良区の理事として適正な者が選任されることが引き続き重要であること等を丁寧に周知すること。
八 土地改良施設の更新に必要となる資金の積立ての仕組みについては、平成三十年改正で導入された複式簿記会計の円滑な実施と併せて、これらの仕組みや制度の趣旨及び必要性についての理解が醸成されるよう、研修や説明会の実施等必要な支援を行うこと。
九 休眠土地改良区の解散の手続を見直し、総会の承認を都道府県知事の認可に代えることについては、土地改良施設の管理は土地改良区が行うことが原則であり、休眠土地改良区の休眠状態を解消するための施策が優先されることを基本として、休眠土地改良区の解散が機械的に行われることのないよう、慎重な運用を図ること。
十 本法に基づく広範な改正内容について、土地改良区、農業者、地方公共団体等の幅広い関係者に対し具体例とともに説明するなど、丁寧な周知に努めること。また、改正事項の運用に当たっては、地域の農業者が安心して営農を継続できること、地域計画を始めとした地域の実情を踏まえたものとなること、地域の営農活動や集落活動に支障を及ぼすものとならないこと、土地改良区や地方公共団体等の過度な負担とならないこと等に十分配慮すること。
十一 農業生産基盤の保全及び担い手のニーズに対応した基盤整備に関する措置、土地改良区等の体制及び運営に関する措置等が的確に講じられるよう、土地改良制度の在り方について不断の見直しを行うとともに、適宜、連携管理保全事業を始めとした本法による改正後の規定の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは当該規定について検討を加え、その結果に基づいて適切な措置を講ずること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○御法川委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○御法川委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、棚田地域振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各会派間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
棚田地域振興法は、貴重な国民的財産である棚田を保全し、棚田地域の多面的機能の維持増進を図り、もって棚田地域の持続的発展及び国民生活の安定向上に寄与することを目的として、令和元年に議員立法により、時限法として制定されました。
本案は、同法の実施の状況に鑑み、法の有効期限を延長するとともに、施策の充実を図るもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、法の有効期限を五年間延長して、令和十二年三月三十一日までとすることとしております。
第二に、都道府県棚田地域振興計画が調和を保たなければならない計画に、特定居住促進計画を明記することとしております。
第三に、国の行政機関の長又は地方公共団体の長は、指定棚田地域内の土地を認定棚田地域振興活動計画に定める用途に供するため農地法等による処分を求められたときは、当該処分が迅速に行われるよう配慮することとしております。
第四に、国及び地方公共団体は、指定棚田地域の振興に資する事業に関する情報を関係者に提供するよう努めることとしております。
第五に、棚田地域の特性に即した農業の振興を図るための生産基盤の強化など所要の配慮規定を追加することとしております。
なお、この法律は、令和七年四月一日から施行することとしております。ただし、法の有効期限の延長に関する規定は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
―――――――――――――
棚田地域振興法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○御法川委員長 お諮りいたします。
棚田地域振興法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○御法川委員長 この際、鈴木貴子君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組及び有志の会の七派共同提案による棚田地域の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。福田淳太君。
○福田(淳)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
棚田地域の振興に関する件(案)
棚田は、農産物の供給にとどまらず、国土の保全、水源の涵養、生物の多様性の確保その他の自然環境の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等の多面にわたる機能を有する国民的財産である。棚田を保全し、棚田地域の振興を図るためには、棚田及び棚田地域の置かれた状況に十分に配慮した上で、様々な課題に対処することが求められる。
よって、政府は、「棚田地域振興法の一部を改正する法律」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 棚田地域の特性に即した農業の振興を図るために、中山間地域等直接支払制度における棚田地域振興活動加算等の活用が更に促進されるよう検討を行い、必要な措置を講ずること。
二 棚田地域における農地の区画整理、農業用用排水路、農道、法面の修復等の小規模な整備を図るとともに、草刈機等の棚田等における農作業の省力化を図るために必要となる先進的な機器等の導入を確実に進めるために必要な措置を講ずること。
三 農林水産省、環境省等の野生鳥獣被害対策の関係省庁は連携して、棚田地域における野生鳥獣被害の防止対策が実効性を確保しつつ継続的に実施されるよう必要な支援を行うこと。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。
ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただき、関係府省が一体となって棚田地域の振興に取り組んでまいる所存であります。
○御法川委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○御法川委員長 次に、山村振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各会派間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
山村振興法は、山村における経済力の培養と住民の福祉の向上を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的として、昭和四十年に議員立法により十年間の時限法として制定されました。その後、五回の延長を経て、現在の有効期限は本年三月三十一日とされております。
本案は、同法の実施の状況に鑑み、法の有効期限を延長するとともに、施策の充実を図るもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、法の有効期限を十年間延長して、令和十七年三月三十一日までとすることとしております。
第二に、目的規定に、山村の自立的かつ持続的な発展及び地域の特性を生かした産業の成長発展等の文言を追加することとしております。
第三に、基本理念に、山村における農林水産業の生産活動及び地域住民による共同活動の継続並びに持続可能な地域社会の維持及び形成を追加することとしております。
第四に、山村振興の目標として、日常的な移動のための交通手段の確保など所要の事項を追加することとしております。
第五に、国の責務として、山村の振興のために必要な施策を総合的に策定し及び実施するとともに、税制上の措置を講ずるよう配慮すること、また、都道府県の責務として、市町村相互間の広域的な連携の確保及びこれらの市町村に対する必要な情報の提供等の援助を行うように努めなければならないことを追加することとしております。
第六に、山村振興基本方針は、防災基本計画、国土強靱化基本計画及び水循環基本計画とも調和したものでなければならないことを追加することとしております。
第七に、地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保など所要の配慮規定を新設することとしております。
なお、この法律は、令和七年四月一日から施行することとしております。ただし、法の有効期限の延長等に関する規定は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
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山村振興法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○御法川委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。
政府としては、山村地域の現状に鑑み、本法律案については特に異存はないところであります。
この法律案が御可決された暁には、関係府省と連携を取りつつ、配慮規定等に十分留意するとともに、施策の一層の振興を図るなど、その適切な運用に努め、山村地域の一層の振興を期してまいる所存であります。
○御法川委員長 お諮りいたします。
山村振興法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明十九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会