衆議院

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第4号 令和7年3月19日(水曜日)

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令和七年三月十九日(水曜日)

    午前九時二十五分開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      上田 英俊君    大空 幸星君

      勝目  康君    栗原  渉君

      小池 正昭君    小森 卓郎君

      坂本竜太郎君    武村 展英君

      田野瀬太道君    中野 英幸君

      根本  拓君    根本 幸典君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮下 一郎君

      森下 千里君    簗  和生君

      山本 大地君    若山 慎司君

      市來 伴子君    岡田 華子君

      金子 恵美君    川原田英世君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      西川 将人君    野田 佳彦君

      福田 淳太君    柳沢  剛君

      山田 勝彦君    空本 誠喜君

      林  佑美君    臼木 秀剛君

      許斐亮太郎君    村岡 敏英君

      庄子 賢一君    角田 秀穂君

      八幡  愛君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  栗原  渉君     松本  尚君

  根本 幸典君     勝目  康君

  長谷川淳二君     中野 英幸君

  平沼正二郎君     上田 英俊君

  山本 大地君     小森 卓郎君

  石川 香織君     川原田英世君

  金子 恵美君     市來 伴子君

  緑川 貴士君     野田 佳彦君

  許斐亮太郎君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     平沼正二郎君

  勝目  康君     根本 幸典君

  小森 卓郎君     坂本竜太郎君

  中野 英幸君     長谷川淳二君

  松本  尚君     若山 慎司君

  市來 伴子君     金子 恵美君

  川原田英世君     石川 香織君

  野田 佳彦君     緑川 貴士君

  臼木 秀剛君     許斐亮太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     山本 大地君

  若山 慎司君     栗原  渉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房統計部長深水秀介君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、畜産局長松本平君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、環境省大臣官房審議官堀上勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 皆さん、おはようございます。

 まず、質問に入る前に、岩手県の大船渡市で大規模な山林火災が発災をいたしました。被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 また、党に情報連絡室を設置しまして、特に農林水産、林業、こうした影響がどれぐらいあるか確認をしてまいりました。引き続き被災地の復旧復興のために我が党も全力で後押しをしていきたいということを決意として申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、私が農水委員会で質問するというのは実は初めてでございまして、だから雪が降ってきたのかなと思いますけれども。

 私は、父親が富山県の農家の六人兄弟の末っ子で、そして母親が船橋の農家の十人兄弟の末娘で、ずっとDNAとしては農業者の血を引き継いでおりますので、農は国の基であるという、私自身もそういう信念を持っておりますが、今、大変大きな過渡期を迎えておりますので、ここにいる仲間たちが練り上げてきた提案を今日は頭出し的に行っていきたいというふうに思っておりますので、是非、御指導のほど、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 まずは、去年、食料・農業・農村基本法が改正をされました。この折に我が党からも随分いろいろな提案をしたんですけれども、残念ながら一顧だにされなかった。一部の党の一部の意見は反映されたと思いますけれども、極めて残念に思っているんですね。

 今回は、基本計画を閣議決定をする前に与野党で合意をして、この委員会で審議をするということ自体はとても意義があると思いますので、委員長を始め与野党の理事の皆様には心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 基本法のときは、本来は、全ての会派が賛同して送り出す形が本来の形ではなかったのかなと思うんですが、そういった意味では、今回は、基本計画については、これからいろいろな提案を我が党も出したいと思いますけれども、それをしっかりと受けていくという構えを、大臣、お持ちなのか、まず基本的な姿勢からお伺いをしたいというふうに思います。

江藤国務大臣 今日は、野田元総理とこのような形で議論ができることを大変光栄に思っております。私のおやじも農家の次男坊で、大変、小作の農家でありまして、私自身は農業経験はありませんが、私にも一応DNAは入っておりますので、今日は先輩の胸をかりるつもりでしっかり議論させていただきたいと思います。

 二月の二十八日に、御党の議員の方々に多数、大臣室にお越しをいただきました。そのときにも申し上げましたし、大臣所信でも申し上げました、今回は熟議の国会とせねばならない。

 そして、今回の基本計画は、今後の農業政策のいわゆる肉づけに当たりますが、どのような方策をするのか、そしてそれにはどれぐらいの予算が必要なのか、そういったことを具体的に示す内容になってまいりますので、これは、自由民主党、公明党だけではなくて、関係団体の方々、各党の方々、多くの方々の御意見を賜ることが必要だと思っております。

 三十七項目にわたる御提案をいただきました。もう既に農林水産省の方から一部については御返答させていただいておりますが、慣例でいうと、大体三月三十一日までに答申をいただいた上で決定するというのがこれまでの通例でありますが、自分としては、まだ議論が足りない、もっと議論すべき点が残っているということであれば、三月三十一日を越えて四月に入っても、更に議論を進めた上で、もうこれは政党でありますから、全ての方が全く百点だという落としどころはないと思います。しかし、それぞれ納得をして、ここは落としどころだねというところを見つける努力をしっかりしたいというふうに思っております。

野田(佳)委員 前向きに受け止めていただくという姿勢を感じることができましたので、感謝申し上げたいと思いますし、今日、この後も同僚議員がいろいろな提案をしたいと思いますので、しっかりと受け止めていただければというふうに思います。

 次に、食料安全保障について二問、質問をしたいというふうに思います。

 一つは、基本法の中で、有事の際のみならず平時の食料安全保障が記述をされました。このこと自体は私は評価をしたいと思っているんです。

 そこで、まず第一問として、政府は、生産者ばかりではなくて、消費者や食品製造、流通、小売なども含めてしっかりと手当てをして、国民の皆様に安心、安全な食料を提供していく責任について、大臣に御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

 それからもう一つですけれども、昨年、食料供給困難事態対策法が成立をいたしましたけれども、この中身を見てみると、計画を出さなかっただけで前科がつき、逮捕や勾留あるいは家宅捜索なども可能となる罰金という処罰がありますけれども、これは幾ら何でも重過ぎるのではないかと考えます。

 そこで、農業者の思いに立てば、罰金を過料に変更するなどのことが必要なのではないかと考えますが、この際、他の野党とも御相談をさせていただいた上で改正案を国会に提出をしたいと考えていますけれども、これに対する大臣の受け止めはどのようなものか、御見解をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 改正法案を国会に出していただくということでありますから、これについて大臣の立場でいいとか悪いとか申し上げるのは大変不適切なので、これは御議論をいただく内容だと思っております。

 前後いたしまして恐縮ですが、この食料供給困難事態対策法につきましては、国民生活安定緊急措置法、これに大体内容は類似しております。この法律を作る段階で、法務省と極めて密に連絡を取り合いました。法務省の意見としては、内容がほぼ同等であるということであれば、この法律と整合性を取ってもらうことが必要だということになりましたので、我が党の中でも、正直申しまして、当時私は調査会長をしておりましたので、刑事罰というのは厳し過ぎるんじゃないかと。前科がつくという御指摘もありました。それから、行政罰ですから、過料にすればですね、そっちの方がいいんじゃないかということを党内でも実は議論があったんですよ。しかし、法務省の御指摘を受けて、やはりそろえてくれという、政策的というよりもいわゆる立法的な立場から、今、罰金刑ということ、刑事罰ということにしていることは御理解をいただきたいと思います。

 それから、最初に御指摘いただきました生産、流通、加工、そして最終的には消費者の方々に最終的な御理解をいただくことが、とてもこれからの食料システム、食料の供給を農林水産省として安定的に果たしていく上では大切なことだと思っております。

 ですから、食料システムの法律を今国会にも提出を予定しておりますが、しかし、一番よくないのは、生産者の方々が一番割を食っているとか、どこかの段階の人が過度に利益を得ているとか、そういうことがあってはやはりならないんだろうと思います。商取引上の優越的地位の濫用であるとか、そういったことをならしていくことによって、この流れをしっかり、食料システムをつくることによって、農林水産省として、食料を国民の皆様方にお届けする、その責任を果たしていきたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 大きな項目で九つ質問予定なので、本当は予算委員会だと更問いなんかしたくなってしまうところなんですけれども、今のお話を聞いていて、やはり本来は、大臣も厳しいという認識を持っていらっしゃって、自民党内でもそういう動きがあったということですので、これは農業者の立場に立って、むしろ法務省を説得するぐらいのことを是非やっていただきたいということだけ申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。

 食料安全保障と農業基盤強化についてでありますけれども、食料安全保障を担保する上で、まずは、我が国で生産できるものはしっかりと国内で生産をしていくということが重要だというふうに思います。その上で、農業者、農地といった農業基盤を更に強くしていくということが更にまた重要だというふうに思います。

 そこででありますけれども、食料生産の基盤となる農地に着目した直接支払いを適切に実施し、農地を農地としてしっかり活用している農業者に対して支援をしていく。結果として、我が国の農業基盤が守られて、国民に安心、安全な食料を供給できるものと考えますけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。

江藤国務大臣 基本的な考え方は、元総理と全く意見を同一とするものであります。まさにそういった形を目指さなければならない。ですから、直接支払いについても、前回、五年前に一度大臣を経験いたしましたが、そのときからその有効性について私は否定をいたしておりません。ですから、日本も直払いを行っていることは元総理もよく御存じのことだと思います。

 御参考までに若干申し上げますと、WTOに対して各国が通報したものについて試算したものですが、農業所得に占める直接支払いの割合、日本は大体五七%、米国は一二%、EUは六三%という数字も出ております。ですから、この数字自体が全てを表すとは申し上げません。その政策の有効性については、今回、水活も見直すことにいたしましたので、全ての政策を俎上に上げて、この直払いについても整理もしたいと思いますし、内容の検証もしたいと思っております。

 ですから、この直払いの在り方について、これから御党とも、ほかの政党ともしっかり議論を重ねた上で、在り方については考えていきたいと考えております。

野田(佳)委員 それでは、直接支払いについて、更に質問を続けていきたいというふうに思いますけれども、農業基盤の維持について最も心配をしているのは、全体の四割を占めると言われている中山間地等の条件不利地域のことでございます。国土政策や多面的な機能の発揮という観点からも、こういう地域において農業を継続をしていただくということは極めて重要だというふうに思います。

 そこで質問でございますけれども、条件不利地を耕作放棄地にさせず、今後も活用いただくためにも、適切なかかり増しコストを再度検証し、単価などの面でより充実強化した適切な直接支払いを実施をしていく、これも我が党の考える農地に着目した直接支払いの一つの考え方でありますけれども、これについての大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

江藤国務大臣 全く同意するところでございます。

 私の地元は、三つの村があり、中山間地域ばかりの選挙区でございます。この地区が果たしている、いわゆる日本の原風景、そして多面的機能の発揮、これは、国にどれほど、目立たないけれども貢献しているか分からない、すばらしいものだと思っています。その地区でしっかり人が定着をし、そこで営みが行われるようにしなければならない。

 ですから、多面的機能支払いも行っておりますが、特に中山間直接支払いについては、傾斜のみに着目した支払いに今までなっておりました。例えば、山の上で平らな農地がある。ここは、山の上ではあるけれども、傾斜がないから直払いの対象にしないということになっておりましたが、そういうことではなくて、地域によって、この地区は条件不利だということであれば、そのことをしっかり考慮した上で直払いの形に変えようと思っておりますので、まさに元総理がおっしゃるように、中山間直払いについては、その地区で営農が続けられるように、人が残るように、どのような見直しをしたらいいか、皆様方としっかり議論してまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 共通認識は持てているというふうに思いました。

 今、宮崎県のお話が出ましたけれども、先般、農水産キャラバン隊で、渡辺議員の御案内の下、大臣の御地元も視察をしてまいりましたので、後でこれについても触れたいというふうに思います。

 引き続き、食料安全保障支払い、農地維持支払い、これらについての質問をしたいと思いますけれども、平地であっても、残念ながら、離農や耕作放棄ということが発生をしています。そこで、耕作放棄地の発生を抑止し、農地を農地として活用していただくため、全ての農地に対して薄く広く支援をしていくことが必要ではないかと思います。もうやめてしまおうと思っていらっしゃる皆さんにも、粗放的であっても農地として活用し、農地を維持していくための農地に着目した直接支払いを提案をしたいと考えておりますけれども、この点についてもお考えをお聞かせをいただければと思います。

江藤国務大臣 まず、具体的な御提案をいただきたいなというふうに思っております。

 具体的な内容はございませんが、例えばドイツについて私もしばらく調べてみましたが、ドイツは家族経営といっても耕作面積が四十二ヘクタールございます。大体二千三百円、十アール当たり支払っておりますが、大体それでも年間九十八万円であります、まさに薄くですね。そして、全農業経営体の平均が六十三ヘクタールですから、それで年間百四十六万円になります、ドイツの場合。

 これを日本が同じことをやるとすると、家族経営の平均が大体一・八ヘクタールですから年間に四万一千円しか、しかと言ったらいけませんが、四万一千円となります。全経営体の平均が三・一ヘクタールですから七万一千円、そして中山間地域でも大体六万二千円ぐらいになります。

 ですから、薄く広く、やはり国の税金を使う以上は、政策効果、今回の基本計画の中でもKPIをしっかり回すんだということになっております。これだけのお金を使って、これは大体一千億くらいかかるんですが、果たしてどれほど耕作放棄が止まるのか。これは数値的にKPIを回せば出てきますので、ですから薄くやることがどれほど有効かということについてはかなり議論が必要だと思っております。

 御提案については、また農林水産委員会で更に先生方と議論をさせていただきたいと思います。

野田(佳)委員 ちょっと今までと違って、少し慎重なトーンになったというふうに受け止めました。

 具体的な制度設計のお話がありましたけれども、金子NC大臣の下で具体的な制度設計を、具体的にこれから提示をしていきたいというふうに思います。

 先ほど宮崎に行ったお話をさせていただきましたけれども、どんなところに行ったかというと、二十頭程度の牛を放牧などによってコストをかけずに経営している繁殖農家をお訪ねして御意見をお伺いいたしました。加えて、適正規模の面積、ハウス数でキュウリを栽培している家族経営の農家も参りました。私は全て回り切れていないんですけれども、ほかは、みんな、もっと充実したいろいろな視察をしていますけれども、私も一部だけ合流をさせていただいて、見学をさせていただきました。

 そこで強く感じましたことがあります。それは、やはり農村には多様な経営体が必要なんだなと。多様な経営体、決して大規模だけではなくて多様な経営体が必要で、それぞれが地域を支える重要な担い手であるということを改めて実感することができました。

 そこで大臣に御質問でございますけれども、中小・家族経営を含め、多様な農業を展開されることがこの国の農業の豊かさにも通ずると考えますが、御見解はいかがでしょうか。

江藤国務大臣 この点についても全くそう思います。

 様々な農家の形があります。規模を拡大して、農業生産法人に移行して、多くの方々を雇用しながら農業をやることも一つの農業の形ではありますが、しかし、家族で、やはり朝一緒に御飯を食べ、お昼も一緒におにぎりを食べて家族で農業をやるというのは、大変、私にとっては憧れです。自分の次男坊が実は今農業をやるということで懸命に努力中なんですが、政界を引退したら息子と一緒に農業をやるというのが私の人生設計でありますので、まさに多様な、家族経営を含めた農業経営体を守っていくということが大切だと思っております。

 特に御視察いただいた二十頭の岩田さんは私の大変な友人でありまして、名物のところで、一つの風物詩、もしかしたら牛の近くに行くと危ないので余り観光というのは向かないかもしれませんが、やはり粗放的な飼い方によって、粗飼料、それから配合飼料の量を減らすような効果も十分にありますので、一つの取組になると思います。

 まさに、今、兼業農家の方々を中心に離農が進んでいくことが一つの大きな問題になっておりますが、そういう方々も大切な担い手であることは間違いがありませんので、多様な農家を多様な形で角度を変えて支援していくことは、まさに今後、四百二十七万ヘクタールの農地を守り、食料安全保障を確立する上ではとても大切なことだろうというふうに考えております。

野田(佳)委員 全く同意という御答弁をいただいて、非常にありがたいと思いましたし、改めて大臣の農政にかける思いを私も今感ずることができました。予算委員会で石破総理と議論するより相当かみ合っているなと改めて思った次第でございます。

 次に、米政策についてお尋ねをしたいと思います。

 先般、政府は米の大幅な輸出を方針として打ち出しました。ただ、私がちょっと疑問に思っているのは、それで国内需給の調整弁になるかどうか、これは疑問ではないかと実は思っています。

 大幅な増産は、消費者にとっては好ましい米価となる可能性がありますけれども、一方で、農業者の経営には痛手となる懸念も併せてあるだろうというふうに思います。需要予測を大幅に超えて生産を促すとしても、生産費と米価に乖離が生じる場合には適切な所得の補償が行われるべきと考えますけれども、これについての大臣の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

江藤国務大臣 三十五万トンという大変意欲的な数字を示させていただきました。これは、主に新たな市場を開拓するという、お米について、メインは輸出になるということになりますが、平時において国内の需給が切迫したときの一つのバッファーとして機能することも期待しているということであります。

 乖離が起こったときにどうするかというのは非常に難しい議論です。決して批判するつもりはありません、私は前回も批判はしておりませんから。民主党政権で行った米の所得補償については、期間が短かったので正確な政策評価は難しいと思っています。

 しかし、トータルで三千三百億かかりました。そして、生産数量目標の数値をはめました。ですから、農家にこれだけの数量を作るということを守ってくれた場合については補填しますよということでありますので、それでも三千三百億。もし自由に作るということになったら当然上振れするわけで、量が増えて価格が下がれば、国の持ち出しはもっと増えます。財政のことは元総理が一番、私の百倍もよく御存じのことでありますので、財政のこともやはり考えながら政策を組んでいかないと、政策効果と国の負担、そして国民の理解ということを考えながら、これから更にこれについては議論を深めていく必要がある。

 しかし、米については国民の関心が極めて今高い、そして主食であるということでもありますので、元総理のおっしゃることも、私としてはしっかり受け止める必要があるだろうというふうに考えております。

野田(佳)委員 今、財政のお話になりましたので、ちょっと一問飛ばして予算関連にしたいと思うんですけれども。

 私も財務大臣を務めたことがあります。十五年ほど前ですね。そのとき、ざくっと言うと、各省庁別の予算というと、防衛省が五兆円ぐらい、それから文科省も同じぐらいの、農水省は四兆円台だったかな、大体ほぼ似通って、横並びぐらいだったんですけれども。安全保障、これに関係する防衛省は、今八兆円規模ですね、右肩上がりなんです。安全保障環境が厳しくなっているからということも理解はできますけれども、右肩上がりなんです、安全保障は。教育関係は大体横ばいです、ずっと。一方で、農水省は、四兆円台から、今二兆円ちょっとでしょう。安全保障は右肩上がり、食料安全保障は右肩下がりなんですよ。

 これでいいとは私は決して思わないので、なぜ、この十五年の間、こんな右肩下がりになっちゃったのか。これで農は国の基なんて言えない状況で、だからこそ、米の実態とか把握する職員もいないんじゃないですか、今。そういうところを削減せざるを得なくなってきているということがありますので、これは最後の質問で用意していたんですけれども、今、たまたま財政のお話に触れられたので、一番最後の質問をまずやりたいと思うんです。

 食料安全保障を実効あらしめるためには、政府の責任として、政府全体で農水省予算以外の財源の確保にも努めるべきではないかというふうに思います。大臣の所感と、これは是非、御決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

江藤国務大臣 大変エールをいただいたと思っております。

 予算が減ることについて、所管の大臣として是とするわけがないわけであります。ただ、減った原因としては、農業土木を中心に、かつて多かったときは、今、ちょうど老朽化が進んでいる例えば水利の施設であったり、そういったものを一気に造った時期がありました。その時期であったので予算が膨張していた。そして今、更新の時期を迎えております。土地改良法の改正法案も昨日御可決をいただきました。まさに、議論すればするほど、急施の事業については国が前に出てやらなきゃいけないということも御指摘をいただいておりますので、そうなると、農林水産省としては、必要な予算はしっかり要求していかなきゃいけない。

 今お話がありました、農林水産省以外の財源の確保という話になりますと、またちょっと私も勉強しなきゃいけないなと思います。しかし、今回の基本計画をしっかり作ることによって、最初に申し上げましたように、これから何をやるのか、食料安全保障を確立するためにどのような政策をし、どのような政策効果を求めるのかをはっきり書きますので、それを実現ならしめるためにはこれだけの予算が要るということは、堂々とこれは主張できる話だと思っております。

 ですから、基本計画の策定がとても大事で、三月三十一日を越えてもしっかりとした熟議を重ねて、そして全ての政党の皆様方の応援をいただいて、そして、八年度の予算の要求の折には、食料安全保障に資するものになるような予算の要求ができるように努力したいというふうに考えております。

野田(佳)委員 もう時間がなくなってしまったと思いますけれども、本当はもう一問、水田活用直接支払交付金の後継施策について三点ほど質問する予定でしたが、もう終わりよと来ましたので、質問を終わりたいと思います。

 今日は初めて農水委員会で質問させていただきました。非常にかみ合った議論もできたと思いますので、またチャンスがあればお伺いをしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時五分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡田華子君。

岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子です。青森の津軽地方、リンゴの産地の出身で、一期生でございます。

 冒頭、昨日の長谷川淳二先生に続きまして、私からも今回の雪害について一言お願いを申し上げたいと思います。

 昨日の閣議で予備費の支出が決まるなど、大臣には農水の雪害対策に御尽力いただいており、大変感謝しているところでございます。青森はまだ雪が園地に残っていまして、これからだんだん被害の実態が、全容が分かってくるというフェーズなんですけれども、昨日の大臣からの御答弁にもありましたように、様々な事業を用いて支援をしていければと思っているところでございます。

 その中で、改植、植え替えの助成制度についてのお願いでございます。

 今国会の予算が通り次第、改植助成事業の自然災害特例の制度にのっとって、農家さんに、こういう制度があるよ、助成制度があるよと、苗木の助成ですね、その申請の募集がされていくものだと思っているんですけれども、この春のリンゴの春植えに係る苗木については、タイミング的に間に合わないんですね。

 そこで、大臣にお願いしたいのが、この春の植え替え、春植えの苗木に関しましても、例えば領収書があれば助成が受けられるなど、遡って対象にするといった柔軟な御対応について御検討いただければと思います。

 また、この先、苗木の供給体制にも不安がありまして、欲しい品種の苗木が今年入手できませんと、植えるのを来年に持ち越す事例というのも想定されております。そこで、こちらについても、対象期間を広げて改植事業の自然災害特例の対象としていただけるような、そういった検討をいただけますよう、二点、お願いを申し上げます。

 答弁をいただけるようであれば、是非お願いいたします。

江藤国務大臣 御通告がないので知っている範囲でお答えしますが、何とかしたいです。

 昨日も、実は、この雪害について、大臣室の方で、現状どのような取りまとめができているのか報告を受けました。しかし、まだ雪が深いので、今委員がおっしゃったように全体像が見えませんが、取りあえず、閣議決定においては除雪の費用について予備費を活用するというところまでは来ました。

 今後、ハウスもたくさん潰れているでしょうし、それからリンゴの木も折れたり、様々被害が出てくると思います。それについては、もちろん、共済に加入している方は共済のお金を早く払うということが一番大事でありますが、入っていない方についても、これから共済事業に参加するという意思を示していただければ、今お話しいただいたような改植とか、そういったものについては対象として御支援することも可能でありますので、まず、しっかり把握した上で、やはりすばらしい産地ですから、青森は、そこが産地として疲弊しないように方策を講じてまいりたいと考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。是非前向きに御検討いただければと思います。

 それでは、食料・農業・農村基本計画についての質疑に入らせていただきます。

 まず、今回の大きな改正点の一つで、基本計画内のKPIについてでございます。

 KPI、キー・パフォーマンス・インディケーターで、目標達成に向けたプロセスの進捗を定量的に把握するための指標と言われておりますけれども、私、前職が製造業の会社のサラリーマンをやっておりまして、KPIといいますと毎月の業績会議の記憶が思い起こされるんですね。胃が痛くなるような、そういう会議だったんですけれども、地域別の売上げですとか、在庫量、歩留りといった様々なKPIをにらみながら、業績目標の達成に向けて、今何が問題なのか、どこにてこ入れが必要なのかといったのを、かんかんがくがく毎月議論をしていたわけです。

 例えば、問題が製造なのか、調達にあるのか、それとも営業なのか、為替なのかといったところについて、自社原因なのか、外部要因なのかといった議論をするんですけれども、今回、基本計画の中で、二〇三〇年の目標値とそれに向けたKPIが設定されております。基本計画に示されているKPIは、二〇三〇年時点での目標値として、現時点での実績と二〇三〇年での数値という書き方がされております。そして、少なくとも年一回、その目標の達成状況の調査、公表、KPIの検証によりPDCAサイクルによる施策の見直しを行うとあるんですけれども、この点、毎月KPIとにらめっこしていた経験を踏まえると、頻度とかスピード感といったところに若干の違和感があるわけです。

 そこで質問なんですけれども、そもそものところで、二〇三〇年までのKPIを例えば隔年ごとにブレークダウンしたような、そういった細かいKPIをお持ちかという点と、今回のKPI分析が施策の見直しに反映されるまでのスケジュール感、そういったものも含めて、KPIの具体的な運用について教えていただければと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のKPIを単年度にしたものがあるかということに関しては、現在のところ、そういうようなものは設定を検討しておりません。

 また、今後どういうふうに展開していくのかということでございますが、先生も御指摘のとおり、政策効果を適切に発現させていくためには、目標、KPIというものを適切に定めた上で、その進捗を検証していくことは大切だというふうに考えております。

 このため、先生も御指摘のとおり、KPIにつきまして、目標の達成度合いとか施策の有効性を示すために設定することとしたところでございますが、現在、基本計画を審議いただいております食料・農業・農村政策審議会企画部会におきましても、KPIというのは立てて終わりではなくて、目標達成に向けて施策がどれだけ効果的につながっているのか、常に検証することが重要だというような御指摘をいただいております。

 このため、我々としても、政策評価部局と連携しながら、毎年、食料・農業・農村政策審議会企画部会に目標やKPIの達成状況をお諮りして、透明性、客観性を持って政策評価を行っていただいて、それを政策にしっかりフィードバックしていくというような取り進め方で進めてまいりたいというふうに考えてございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 懸念としては、前年度との比較ぐらいしかできないといったようなものが、そんな感じの分析になってしまうと残念だなというふうに思いますので、是非、今御回答いただいたように、施策に向けて反映されるような検討をいただければと思います。

 今、農政の大転換期ということで、この五年間がすごく重要だと大臣所信の中でもあったかと思います。一方で、やはり予算は単年度主義で、農業の特性として、年に一回とか二回の収穫といった、タイムラインがやはりほかの事業とは違うという観点も踏まえて、農政特有の検討の仕方というのがあると思うんですね。なので、達成状況の公表も行うということなので、PDCAを是非見える形で今後の運用の中で進めていっていただければと思います。

 続きまして、食料自給率の目標についてお伺いをいたします。

 今回、摂取カロリーベース自給率の指標が新たに設定されました。従来は、供給熱量、カロリーベースと生産額ベースの二つの指標だったところに追加となったと。今回なぜ増えたのか。この指標を使いながら、何をどの方向に進めていくのか。国民からすると、二つが三つになって、国はどっちの方向に行こうとしているのか、ちょっと分かりにくくなったのかもしれないなというふうに思いましたので、是非、この点について、三つの役割について、それぞれ御説明をいただければと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の基本計画におきます食料自給率につきましては、FAOが定めます国際基準に準拠して算定します国内消費仕向け量に占める国内生産の割合を示す指標ということでございます。

 まず、その中で、カロリーに着目して、国内に供給される熱量を分母とし、国内で生産される熱量を分子とした供給熱量ベースの自給率。あと、経済的価値に着目して、国内で供給される食料の生産額を分母とし、国内で生産される食料の生産額を分子とする生産額ベースの食料自給率、これがございます。

 今回、新たな基本計画におきましては、これらに加えまして、一人当たりの必要な摂取熱量に対してどの程度国内生産が確保されているのかということを示すために、国内に供給される食料から食品ロス等を除いた熱量である摂取熱量を分母とし、国内で生産される熱量を分子とする摂取熱量ベースの食料自給率というものを新しく示すことといたしました。

 これを通じまして、消費者の皆様方などに食品ロスの削減などにより関心を持っていただいて、ひいては食料安全保障に対する意識を高めることにつなげられないかということを考えているところでございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 食料安全保障の観点も含めて、今、私たちの食べているものについての実際の国産の比率がどんなものなのかといったもの、広く国民の認識を高めていくことが重要だと思いますので、そういった周知の施策と併せて今回の指標を普及させていっていただければと思います。

 続きまして、地域計画とKPIという点なんですけれども、今年度末、今月末に集計されてくる地域計画がございます。基本計画の中では、二〇二五年以降、策定された地域計画の分析を行って、集約化の進捗率を定量的に評価するための手法を実装する、検討を行うとあったんですけれども、これについて、今後新たなKPIが策定されるといったことはお考えなんでしょうか。教えてください。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 三月末までに全国の市町村で策定される地域計画、これは農政の核になるものでございまして、四月以降は、策定された地域計画に基づき、人や農地に係る施策を展開していく必要があると考えております。

 地域計画との関連のKPIでございますけれども、農業者が減少する中、食料を安定供給するためには、農地の集積、集約を図っていくということから、担い手への農地集積率をKPIとして設定する方向で今企画部会で議論をしております。

 また、基本計画の中におきましては、集約、これは客観的に測る方法についてまだ定まったものがないということでございますので、それについて、基本計画に基づいてその手法の開発を行って必要な検討を行っていきたいと考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 地域計画ができたところについては、今御回答の中にありましたような、農地の集積率といったところでKPIの進捗が見ていけると思うんですけれども、そもそも計画の策定が進まないですとか、地域によって計画の粒度にばらつきがあるといった問題も指摘されているところでありますので、本当に、今おっしゃられたように、地域計画は農政のベースになるもの、政策の基本になるものでございまして、これからの五年間の本当に核になるものですので、策定に向けたフォロー策を是非積極的にといいますか、しっかりした地域計画ができるようにきめ細やかなフォローを実施していただければと思います。

 続きまして、次に、また果樹の振興について御質問させていただきます。

 前回、私、リンゴを取り上げさせていただいて、地元で、岡田の質問は今回リンゴ果汁一〇〇%だった、ほかの質問をしていなかったというふうに言われてしまって、今回、米にしようと思ったんですけれども、もう予算委員会も含めて皆さんお米の質問なので、今回もちょっと、恐縮なんですけれども、果樹を取り上げさせていただきます。

 まず、果樹の基本的な政策のところで、基本計画の中で、果樹については省力樹形の推進、そして、経営形態については大きな資本の法人の参入を促進するといった方針が見えます。リンゴの作り手さん、特に青森はまだまだ従来の慣行的な樹形、広がった樹形の小規模農家さんが多い中、そういった農家の視点が反映されているのかなというふうな懸念を持ちました。

 といいますのも、食料・農業・農村政策審議会企画部会のメンバーですとか、あと、東北ブロックの意見交換会のヒアリングをされたヒアリング者の中に慣行樹形のリンゴ農家さんがいなかったんですね。長野からの参加者もおられなかった。

 ですので、ちょっとメンバー選定の基準について少しお伺いできればと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の基本計画における地方意見交換会につきましては、様々な意見を伺う場ではありますが、特に今回の場合、水田政策の見直しについて御意見を頂戴するということが今後の政策立案におきましても大変重要なことでありましたので、まず、水稲と野菜をやっている若手の生産者、水稲と飼料作物をやっている生産者、あと、中山間地域の農業も含めて、水田園芸、加工野菜、畜産など、品目横断で生産を行っている農業協同組合の代表者、この方々をまず対象者とさせていただいた上で、畜産物を取り扱う加工、流通事業者、あと、新たな基本法の基本理念として位置づけた国民一人一人の食料安全保障の確保に重要な役割を果たすフードバンクの代表などにおいでいただきまして、様々な観点からの御意見を頂戴したというところでございます。

 委員御指摘の果樹農家の選定につきましては、ヒアリング時点で、果樹農家の皆様方は、豪雪への対応などで、お願いできる、選定できるということがなかなか難しかったことに加えまして、委員の御指摘にもありました、今回意見交換会の座長を務めていただきました内藤氏は、青森県でのリンゴ生産にも大変関係が深い、状況も分かっている方だということも踏まえまして、他の農業、食品に関連する分野とのバランスも考えさせていただきまして、果樹農家の選定を見送ることとしたところでございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 様々な果樹以外の方の御意見も踏まえなければならないですし、必ずしも慣行樹形のリンゴ農家を入れてくれというお話ではないんですけれども、やはり内藤さんのところも、高密植で、大規模法人で、大資本が入っている会社というところで、若干やはり、青森県の中でも二つの系統があるうちの一つだったりするんですね。なので、幅広い意見を取り入れる機会を持っていただきたいというのが私からの要望でございます。

 高額療養費の見直しのときも、審議会のメンバーについて、患者側のメンバーが入っていなかったといった問題も指摘されたところですので、様々な意見の取りこぼしがないように、これから先、ヒアリングですとか説明会のタイミングなどがあると思いますので、その際にお声がけを是非よろしくお願いいたします。

 その上で、大臣にまたちょっと果樹の振興についての御所見をお伺いしたいのですけれども、果樹については、計画案の中でも触れられているとおり、労働集約的で機械化が難しい、園地の集積、集約化も難しくて進んでいないと。スマート農業が進まないというのは、樹形ですとか育成方法から制約があるから。法人化が進まないのは、サラリーマン感覚じゃなくて、自分の畑で手塩にかけていいものを作るという職人さんのプライドみたいなところも背景にありまして、なかなか今回の農水省の計画の中に入っているような方針と合わないような実態というところもあります。

 聞くところでは、ベテランとバイトさんでは作業の速さも品質も違う、リンゴ職人の観点でですね、ベテランであっても、人の畑を手伝いに行くときと自分の畑でやっているときとじゃもう力の入れ具合が違うみたいな話があって、私は、こういう話を聞くと、職人さんの世界だなというので、好きなんですね。

 なので、大規模な省力樹形の果樹経営だけではなくて、例えば畑ごとの支店長さんのような、そういう法人化も含めた経営形態を増やしていくのがいいのかなというように思ったりするんですけれども、大臣は、果樹経営の未来について、将来的な形についてどういった思いをお持ちか、未来を描いているのか、お伺いできればと思います。

江藤国務大臣 五年前の基本計画のときも私が大臣だったんですが、そのときに、規模の大小にかかわらず農業経営を支援するべきだという項目を書き加えました。これは、果樹経営でも全く同じ考えでございます。

 いわゆる慣行樹形だからいけないということではありません。ただ、やはり御高齢になると、高い台に上って上の方の収穫をするというのは危険も伴いますし、非常に労働荷重が重いということで、なるべく背の低いところでやった方が長く続けられるのではないんでしょうかという意味で、慣行樹形からいわゆる矮化栽培の方に移行したらいかがですかということを申し上げているだけであって、慣行樹形が駄目だということでは決してないと思います。

 そして、日本の果物はすさまじい国際競争力を持っています。リンゴも、大きいもの、小さいもの、小さいものを好む国もありますし、大き過ぎるものは日本じゃ商品価値はありませんが、国によっては、でっかければでっかいほど価値を感じてくれる国もある。

 そして、青森におかれましては、いわゆる引きはたくさんあるのに生産が追いついていないというのが今の現状ですから、ということであれば、企業経営のような方々もしっかりやっていただく必要もありますけれども、慣行樹形で、長年手塩にかけて果樹園を守ってこられた方々についても、しっかり国としては目くばせをして、そして、先ほど、ちょっと合わないようなところがあると御指摘もありましたので、またちょっとそこら辺については、現場の御意見も伺ってみたいと思います。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 私は、大臣おっしゃったように、数量の確保というところが今はやはり大きいのかなというふうに思っています。数量の確保と、あと就農者の確保ですね。なので、法人化ですとか大規模化といったところも大事な視点でありますので、多様な経営体という考え方の下、バランスが一番大事なのかなと思いますので、これからの議論を深めていければと思います。

 問題点の一つ、新規就農のところですね、法人に雇用される就農形態というのが今後増えてくると思うんですけれども、慣行樹形を含めて、育成に技術を必要とするのが、果樹の場合は新規就農のハードルの一つになっているということが指摘されます。その点について、国としてもし対策があればお伺いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

笹川副大臣 御質問ありがとうございます。

 私の地元も、梨の産地でもありますので、新規就農というのはなかなか難しかったんですけれども、たまたま福島からやっている方に移住していただいて、その人たちを中心として、今、専門の販売所まで、これは農水省の補助事業でもあったんですけれども、設けてやっております。そういった意味では、経営者の積極派と、こっちの方は、従前型の、来てくれればありがたい、今までのお客さんは大事にしてというような、ちょっと二極化に分かれていますけれども。

 いずれにしても、今、新規就農の中で、やはりおっしゃったように、職人の世界の、高度な技術を要する、それからまた、園地の確保というのが、新規就農をするためにはこれも非常に困難だ。それとあと、一定期間の収穫ができない、未収穫ということもありますので、そういったところの課題に対して、やはり研修用の園地を用意し、そしてまた実地で研修しというような形で、果樹型のトレーニングファームの取組ということは多分委員の方も大変御関心がおありということでありますので、こういったことを引き続き続けていくことが新規就農に対する後押しということになるのではないかというふうに思います。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 トレーニングファームの取組、私もすごく注目しておりますので、是非、青森でも宣伝してまいりたいと思っております。

 もう一点、新規就農の中でも、特に女性の就農については、技術的な面以外でもハードルが多いのかなというふうに感じております。女性の就農を増やしていく点について、国としての取組があれば教えていただきたいです。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 我が国の農業者が減少していく中で、新規就農は大変重要でございます。特に、雇用型の就農が増えておりますので、やはり労働環境の整備ということが大事だと思います。労働環境につきましては、男女を問わず、他産業との人材競争が激化しておりますので、農業が選ばれる産業となるような労働環境改善というのを図っていくということが重要だと思います。

 このため、農水省では、まず、農業現場における働きやすい環境を推進するために、就業規則の策定や労働負荷軽減のための作業工程の見直し、それぞれの実情に応じた労働環境改善を行う農業法人などを支援する事業を実施しているところでございます。

 議員おっしゃるように、特に女子につきましては、女性の就農促進を図るためには、現場においては、例えば男女別トイレであるとか更衣室の確保、また子育てへの配慮とか、そういった特段の配慮が必要だというふうに考えております。

 現在、農水省として、農業の労働環境改善に向けた政策の在り方に関する検討会というのを開催しておりますので、この検討会で有識者からいただいた知見も含めて、女子も含めた、農業の持続的な発展につながる取組を推進していきたいと考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 農家さんとお話ししていると、園地でトイレがないみたいなお話も出ていたりして、先日の農業新聞でも、そういった点がすごく重要といったところがありましたので、きめ細かい、本当に実体験、現場で作業されている女性の方の声を是非拾っていただければと思います。

 最後に、農業の知的財産の保護、活用のところで一点御質問をさせてください。

 リンゴも含めて、品種の開発は、費用も時間もかかるところです。しかも、どの方向で開発を進めていくか、当たる、当たらないというところもあります。食味を追うのか、それとも病害虫とか気候変動に強い方向性で開発していくのかといったところで、青森の場合は、若干その方向性を外してしまったところもあって、今、品種のところの開発は頑張っているところであるんですけれども。例えば、青森だけでなく、ほかの道府県を含めて、重複の研究とならないように、今後、効率よく進めていけたらいいなというふうに感じているところです。

 その上で、国内であれば、開発の成果を広く国内で享受できるように、海外に出す場合は、国内産業とコンフリクトのないように、どんどん海外で稼げる体制を築いていってほしいと思っているんですけれども、国としての方針、今後どういうふうに対応していくのかについて、現時点での農水省の対応についてお伺いさせてください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 果樹を始めとしました優良品種は、我が国の農産物の国際競争力という意味でも非常に重要と考えてございまして、こういった品種の開発はますます進めていく必要があると考えてございます。

 海外ライセンスの関係でございますけれども、日本品種の無断栽培を実効的に抑止しながら、国内農業振興や輸出促進に寄与するように行われるべきものというふうに考えてございます。

 こうした考え方に基づきまして、農林水産省では、令和五年十二月に海外ライセンス指針というものを策定してございまして、ここで、ライセンス展開の考え方につきましては、生産国やパートナーの選定、また収穫物のターゲット市場の考え方、こういったことを示しているほか、ライセンス契約の在り方として、日本からの輸出や日本市場と競合しないための出荷の制限でございますとか、無断栽培等の監視業務をしていただくといったような、契約で定める事項などを示させていただいているところでございます。

 こうしたライセンスを推進しまして、我が国からの輸出だけでなくて、例えば、端境期に海外で生産することによりまして、海外市場における日本品種の周年供給を実現するなど、輸出促進につなげていくとともに、ライセンスの生産、販売を通じてロイヤリティーを確保しまして、新品種の開発投資、また農業振興に還元するサイクル、こういったものを確立していきたいと考えてございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 ここ数年で、本当に聞いたこともないリンゴの新品種というのが増えてきて、私も、地元に行って、あっ、こういうのがあるんですねというお話をすることが増えてまいりました。ですので、今後も、開発の分野で、新しい、おいしい果樹、ほかの農産物ができますよう、農水省の皆様と一緒に頑張っていければと思っておりますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、柳沢剛君。

柳沢委員 立憲民主党の柳沢剛です。

 宮城三区、仙台より南の名取市以南の四市九町で昨年初当選させていただきました。本日、初質疑となります。このような場で発言するのは初めてです。本日は貴重なお時間をいただき、心から感謝申し上げます。

 初当選以来この農林水産委員会に出席させていただきまして、これまで皆さんの質疑を拝聴し、党派を超え、農林水産業に携わる人たちの思いに寄り添った各議員の皆さんの発言は、日本のよりよい農林水産業を純粋に求めての質疑なんだという印象を持っております。大臣の畜産に対する熱い思いも伝わってきました。私自身もその一助になればと強く思っているところであります。そんな視点から、本日はこの場に立たせていただきます。

 私の母は、群馬県箕郷町の農家の次女。養蚕、畜産、水田、私にも農家のDNAが流れております。そして、この世界に入る前は仙台のテレビ局に勤めており、十四年前の東日本大震災の際は、ヘリコプターの生中継を始め、連日、凄惨ですさまじい被災現場を目の当たりにしてきました。そして、もちろん、その後の復旧復興も見届けてきました。

 本日は、取材させていただいた方も含め、そんな宮城の方々がインターネットを通してこの農林水産委員会を御覧になっています。孫につないでもらったので今日初めてインターネットでこの委員会を見るという農家の方から先ほど電話をいただきました。

 では、早速質疑に入らせていただきます。

 今、少子化、人口減少に伴い、あらゆる産業で人手不足となっておりますが、農林水産業の分野の担い手不足、こちらは顕著です。そして、高齢化がますます進んでいます。農業従事者数、二〇〇〇年から現在まで、この四半世紀の間に二百四十万人から百六十万人に減っています。平均年齢は六十八歳。今後二十年間で農業従事者の減少は加速度を増し、三十万人まで減少するとも言われています。

 まずは、食料・農業・農村の基本計画で、農業者をこれから将来にわたってどのくらいに見積もっているのか。あらゆる政策そして対策を立てるに当たっては、そこに携わる人たちが一番大事だと思いますので、その農業に携わる人たちの人数、目標値なり想定値を教えていただきたいと思います。十年後、二十年後、どの程度の農業従事者を見込み、目標としているのでしょうか。大臣の見解をお願いいたします。

江藤国務大臣 大変大事な視点でもありますし、大変難しい話であります。

 百十一万人から三十万人まで減るというトレンド、これは推計ですから、これがいいとは全く思っておりません。これを止めるために、少しでもそのベクトルを緩やかにする努力をしなければなりませんが、しかし、日本の人口動態、それから高齢化率、少子化を考えれば、このトレンド自体は変えられないんだろうと思います。

 今回の基本計画においては、今までは十年後の計画だったんですが、先ほども質疑いただいたように、KPIは、キーパフォーマンスですから、毎年毎年やるということでありますから、非常に厳しいです。厳しいけれども、これをやはり書き込むということでありますから、いろいろ省内で議論をいたしました。

 もちろん、五年先、どれぐらいの数字になるかということを明示的に示すことは大事かもしれません。ただ、なかなかこれを示すことは難しいですよ。難しいので、そこで、いろいろ検討した結果、やはり、長い期間農業に従事していただける人をどれだけ確保できるか、これが将来の農業従事者の数、総数に直結するということで、四十九歳以下の方について目標数値を決めることにいたしました。今、企画部会の中で、案を示して検討していただいております。

 これに加えて、いかに生産性を上げていくか。そして、幾らスマート農業をやったとしても、やはり最終的には、農家の方、マンパワーをどうしても必要とするというのが一次産業の宿命でありますので、委員の御指摘もしっかり踏まえた上で、まだ数字的なものはもちろん決まってもおりませんし、なかなか明示的な数字を示すことは難しいと思っておりますが、御意見はしっかり承りたいと思っております。

柳沢委員 ありがとうございます。

 農業者の減少は必至です。大臣おっしゃっていただいたように、農業機材の導入など、スマート化で生産性の向上により補填していくとしましても、それを動かし、オペレートする、それは人間です。人が確実に必要になってきます。その意味でも、最低限の農業者人口の把握は必要と考えております。食料安保の意味からも、そして自給率目標の達成に向け、国内で食料を生産するのにどれだけの農業者が必要なのかを試算し、対処、対応していくことも必要だと思いますので、御考慮のほど、よろしくお願いいたします。

 そして、私の地元宮城三区は、奥羽山脈蔵王連峰、阿武隈山地があり、大規模化することが困難な中山間地が多く、しかも高齢化が顕著です。七十歳以上の御夫婦で農作業を行い、娘、息子夫婦は共働き、土日祝日など休みの日に、もっと言えば、田植時期と稲刈り時期だけ手伝っているという御家族が多くなっています。現状、農業だけでは食べていけないということです。そして、そのお孫さんたちは、そんなお父さん、お母さんの姿を見ていますから、農業をなりわいにできるとは思っていないというのが残念ながら実情となってしまっています。

 とはいえ、そんな中でも法人化して、集約化をして頑張っている三十代の人たちもいます。宮城県の柴田町というところで、三人で現在三十五町歩の田んぼを作っている方たちは、AIやドローンを使いながら、これから四十五町歩まで増やすそうです。最近、自分で作らなくなった田んぼをたくさんの方々から頼まれるそうですが、請け負うのは残念ながら広く平らなところだけ、採算面を考え、中山間地はお断りしているという現実があります。

 一方、その中山間地の農家の方から、先日、メールをいただきました。七ケ宿町という山形県境の農家の方のコメントをここで御紹介させていただきます。

 平地の少ない山間地域の水田は、終戦後の食糧難の時代にそれぞれ自らが生きるために苦労して整備し、収穫に努力したものです、私たち世代にとっては大切な農地ではありましたが、農地を引き継いだ世代にとっては、労働力や生産性の面に加え、将来性においても魅力を持てない状況となってしまっているようですと、切々とつづられていました。

 昨日、土地改良の質問でもありました。そして、本日、野田代表からの質問にもありましたが、農林水産省では、この中山間地問題、今後、どのように考えているのか、改めて伺いたいと思います。中山間地の農家の方にも分かりやすく答えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域は、我が国の耕地面積、総農家数、農業産出額の約四割を占めるなど、食料供給と多面的機能の発揮において重要な役割を担っていますが、人口減少、高齢化により、農業生産活動の継続や集落の維持に課題を抱えております。

 このため、中山間地域におきましては、規模拡大が難しい地域も多いということもございますので、規模拡大のみを基本として農業構造の転換を図るのではなく、中山間地域等直接支払いを通じて営農を下支えしつつ、地域計画に基づく担い手の育成、確保、農地の適正利用の推進や営農困難な農地の多様な利用、保全、地域特性を生かした高収益作物の導入、中山間地域を含む多様な現場ニーズに対応したスマート農業技術の研究開発、中山間地域における省力化に資する基盤整備やこれと併せて行う生産、加工、販売施設等の総合的な整備などを支援しているところでございます。

 さらに、人口減少、高齢化により集落の維持に課題を抱えているところも多いという事情がございます。複数の集落協定や自治会などが連携し、農地の保全や生活を支える農村RMOの形成、地域資源やデジタル技術を活用した高齢者の買物支援ですとか見守りなどといった社会課題の解決や、農村関係人口の創出拡大等による地域活性化の取組など、こういったものに対する支援を強化しているところでございます。

 今後とも、これらの事業の推進に努めるとともに、中山間地域農業の振興を図ってまいる考えでございます。

柳沢委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、日本の農地の四割、中山間地域と言われています。総合的な支援、引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、日本人の主食、米についてお伺いします。

 先日、備蓄米が放出され、来週中にも店頭に流通しているということで、流通と価格の安定、こちらを期待するところではありますが、地元の農家の方が口々に言うのは、そもそも、昨年秋に収穫された米の量そのものが、農水省が発表した量より少なかったのではないかというものです。まず、この点について農水省の見解をお願いいたします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 全国の主食用米の収穫量でございますけれども、これのまず調べ方から申し上げます。

 無作為に選定いたしました全国八千筆の調査圃場におきまして実際に稲を刈取りをいたしまして算出した玄米の収量、これを基にいたしまして各都道府県の十アール当たり収量を決定して、この収量に各都道府県の主食用米の作付面積を掛けて算出しております。これが、令和六年産では六百七十九万トンということでございます。

 令和六年産の調査結果を見ますと、十アール当たり収量は、多く取れている圃場からそうではない圃場まで、平均値を中心に偏りなく分布しておりまして、調査方法としては問題がなく、正確性が確保できているものと考えております。

 ただ、先ほど議員から、農家の感覚とのギャップのお話がございました。

 この調査は、主食用に供給される可能性のある玄米の全量を把握することを目的として実施しております。このため、一・七ミリのふるい目幅を使用しまして、農産物検査で規格外に該当しない三等までの玄米を収穫量の基準としております。

 統計調査でございますので、公表値である十アール当たり収量は、収量の少ない圃場から多い圃場までの平均値でございまして、調査結果でも、これより取れていない生産者の方も取れている生産者の方もおられるということは把握をしているところでございます。

 このように、収穫量の対象は農産物検査で三等まで、かつ、ふるい目幅一・七ミリ以上としていることもございまして、農業者の方々の中には、自分が使用しているふるい目で選別された収量が公表値よりも少ない、さらに、品質向上を目指して色彩選別機で選別された収量が公表値よりも少ないと感じている方が一定程度いらっしゃると認識しております。

 そこのところが農家の方々の感覚とのギャップだというふうに考えてございます。

柳沢委員 ありがとうございました。

 その食用米、収穫量の一つの目安となる作況指数、こちらの方を見てみますと、宮城県の場合、北部と東部が一〇七、中部と南部が一〇六、全県では一〇七の良となっています。

 しかし、現場では一〇六、一〇七という実感は全くなく、猛暑による高温障害、前年より収穫量が少なかった、これが本当の実感。調べ方、検査の仕方に疑問が残るという声が多々聞かれております。

 そのような農家の方たちの声に対して、農水省の見解、先ほどとダブるかもしれませんけれども、お願いいたします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 作況指数につきましては、先ほど御説明したのは収穫量の調査の仕方でございますが、作況指数は、実際に刈り取って把握したところは一緒でございますけれども、その把握した十アール当たり収量を、過去からの単収の動向から、その年に異常気象などがなかったとした場合に想定される収量で割って算定したものでございまして、その年の十アール当たり収量が平年と比べて多いか少ないかを示しているものでございます。

 つまり、前年とか前々年の収量と比較したものではないというところを御理解いただきたいと思います。

 その作況指数につきましては、令和六年産で宮城県の作況指数は一〇七となっているところでございます。

 作況指数の算定につきましては、先ほどは収穫量につきましてはふるい目を一・七ミリというふうに申し上げましたが、作況指数につきましては、農業者の実感に合うようにということで、それぞれの地域で農業者が多く使っているふるい目、宮城ですと一・九ミリでございますけれども、これでふるって算出しているところでございます。

 ただ、農業者の方の実感との作況指数に関しての違いという意味で申し上げれば、農家の方々が、一等米を目指して色彩選別機等で選別を行っていらっしゃるような方につきましては、作況指数が高く感じるという方もおられると思いますけれども、先ほど申し上げました、主食用に供給される品質の玄米の十アール当たり収量を平年と比較した指標としては、適切に算定できているものと考えております。

柳沢委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。一・七ミリで、この辺の数が、農家の方々を始め、皆さん混乱している方が結構いるので、ちょっと丁寧に答えていただければと思うんですが。

 そして、もう一つなんですね。東北の農家の方々の不満、不安を解消するために質問させていただきます。

 作況指数算定に用いるふるい目の幅、これが、資料にありますように、都道府県ごとに違います、今おっしゃられたように。北の方から、北海道から宮城までは一・九〇ミリ、福島は一・八五ミリ、大臣の宮崎は一・八〇ミリです。

 このようにふるい目の幅に違いがあるのはなぜなのか。そして、その五つの県で今回ふるい目が変わったのはなぜなのか。そして全国で統一することはできないのかという素朴な疑問の声、ふるい目だけにちょっと細かいんですけれども、そもそも違うというコメントもあるかもしれません、それぞれいろいろな意見があると思いますけれども、この辺に答えていただけますでしょうか。農家の方もたくさん見ていると思います。よろしくお願いいたします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 作況指数についてのふるい目でございますけれども、実は、かつては全国統一して一・七ミリを使ってございました。しかし、各地域で農業者の方々が主に使っているふるい目が異なる中、作況指数算出について、やはり自分たちが使うものとふるい目が違うという御意見が多々聞かれたものですから、作柄状況の把握の観点では、より生産現場の実感に近いものとした方が適当と判断をいたしまして、令和二年産から、各都道府県において生産者の方々が最も利用されているふるい目幅で選別された玄米を基に算出するように変更したところでございます。

 これはまさに、農業者の皆様方の実際に使っていらっしゃるふるい目幅をお聞きをした上で変更しているもので、令和五年産から六年産にかけて変更したものも、実際にお聞きをした結果、どの大きさが一番使われているのかというのが変更になったために、変更したものでございます。

 このように、作況指数あるいは収穫量の調査につきましては、それぞれの目的に応じてふるい目幅も変えるなどして対応しているわけでございますけれども、先ほどもございました、農業者の方々の中で、ギャップを感じていらっしゃる方々、様々いらっしゃいますので、どういったことが要因でギャップが生じると考えられるのかなどにつきましては、引き続き、機会あるごとに農業者の方々あるいは関係団体と意見交換を丁寧に行いまして、周知と理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。

柳沢委員 素朴な疑問なんですけれども、全国で、それでは統一してほしいという意見が大勢になれば、統一できるものなんでしょうか。お願いします。

深水政府参考人 全国でもちろん統一してほしいという声が大勢だということになれば、そうなるわけですけれども、今申し上げましたとおり、実際に使っていらっしゃるふるい目がございますので、それに合わせた方がということで、それぞれに分けて対応しているものでございます。

 したがいまして、全体として農業者の方々がこのふるい目が大勢だということなので、それに合わせるべきだという話であれば、それに合わせるということになっていくものと考えてございます。

柳沢委員 どうもありがとうございました。

 米を始め、農産物、微妙に品種も違い、その地域やその年の気候によっても収量が大きく左右されるものだと思います。それだけに、そこに携わる農家の方々の不満や不安、そして疑問には、私自身も丁寧に応えていきたいと思っております。

 最後に、先ほど、農家の方にいろいろ話を伺っている中で、農業はいかにやる気になるかだと言う方がいらっしゃいました。農業はいかにやる気になるかだ。

 これから春になりますが、タラの芽やシドケが出れば、どんなに腰が痛くても、毎年山菜を取りに行く、それは家族や友人の喜ぶ顔が浮かんで腰の痛みも忘れてしまうからなんだそうです。

 また、耕畜連携による補償で中山間地でも飼料米やデントコーン、転作した牧草などを作れば赤字にはならないから、牛のためにも、家族のためにも頑張れる、そういうものだろう、ちょっとでもいいんだ、赤字にならなければ、プラスになるのであれば、孫が喜ぶものを買ってやれる額になるのであれば張り合いを持って農業に向かうことができる、そんな話も伺いました。

 そんな中で、かつての戸別所得補償制度の復活を求める声もよく聞きます。農地に着目した直接支払いも含め、こういった方々の声に対して、最後に、江藤大臣の見解をお願いいたします。

江藤国務大臣 先ほど野田元総理にもお答えをさせていただきましたが、薄く広くやることについては、政策効果をしっかり見極めないと、私も、地元の中山間地域の高千穂とか五ケ瀬の人たちに、年間四万円ぐらいだけれども、どうと言ったら、それはちょっとというような反応もありました。これもまた議論しなきゃいけないと思います。

 先ほども申し上げましたとおり、民主党政権時代の米に対する直接支払い制度自体を批判することは私はいたしません。しかし、結果を申し上げると、生産費の差額を補填する部分で大体一千九百億円、それから、いわゆる変動部分を補填する部分で一千四百億円、これを合わせると三千三百億円かかったということであります。

 そして、元総理に申し上げたように、生産数量の目標数値を守った者のみに対して補填を行うということであります。

 ですから、現下の状態において、米については三十五万トンの輸出の目標も立てました。やはり、これはバッファーとして、国内の需給が危うくなったときには国内の需給の安定にも資するものだ、そして、しかるべき水稲の耕作面積を確保することが食料安全保障に非常に寄与するものだという観点でありますので。

 戸別所得補償に大変感謝をしている方がたくさんいるということは、私も見聞きはたくさんいたしております。ですが、先ほど予算が少ないとか、たくさん御批判もいただきましたが、現下の状態の中で三千三百億をひねり出すことは到底無理でありますので、極めてハードルは高いかなというふうに今考えております。

柳沢委員 本日、宮城の中山間地の方、そして、農家の方がたくさん見ています。そんな人たちに、励ますコメントを是非大臣から一言いただきたいんですけれども、よろしいでしょうか。

江藤国務大臣 百十一万人から三十万人に減って農業はもう駄目になるというような、何かそういう暗い話が非常に多いですけれども、私は地元の若い人と話すと、やる人間が減ったら、やっている人間の社会的な評価、社会から感謝される度合い、その重要性、社会で果たす役割はますます大きくなると。ですから、農業をやっていることが非常に社会で評価される時代が必ず来ると私は信じています。

 そして、食べるものはまさに基本でありますから。スマホがなくなったら生きていけない人もいるかもしれませんが、本当はそうじゃなくて、食べるものがなくなったらいかに困るか。そして、日本の食料安全保障は、基本的に船便による海外からの輸入に頼っている部分も多分にあります。九九%は船便ですから、もし、有事が起こってシーレーンが閉鎖されるようなことになったときに、農地もない、農業者もいないということになったら、日本人は飢える、そういう時代に逆戻りをしてしまいます。そういうことにならないためにも、農業者の方々が、今は様々御苦労も多く、大変かもしれませんが、是非プライドを持って、我々がこの日本の国の屋台骨を支えているんだという気持ちを持って営農に取り組んでいただければありがたいというふうに思います。

柳沢委員 どうも、熱いエールをありがとうございました。

 農家の皆さんだけではなく、消費者の皆さんにも、食料安保の意味からも日本国内で農産物を生産していくことの意味を御理解いただき、一次産業に携わる方々を守っていければと思っております。

 私の地元、蔵王の麓では、酪農や畜産をなりわいにしている方もたくさんいます。先日、畜産農家の方に言われました。出荷する黒毛和牛の子牛の値段、こちらが半値になってしまった、なのに、餌代は逆に倍になっている、もうやっていけない、今おなかの中にいる子牛が生まれたら、それを十か月間育てて出荷し、そして、これを最後に廃業するとのことでした。

 また、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた水産業。こちらは何とか復活は遂げたものの、海水温の上昇で、捕れる魚の種類が変わってきています。アカガイで有名な閖上では、アカガイはまだ大丈夫なんですが、名物のカレイが全く捕れなくなっています。逆に、タチウオやタイ、そして、仙台湾でイセエビが揚がっています。捕れているからいいじゃないか、そんな話もありますけれども、これに伴う水産加工会社、こちらの方がてんやわんやです。機械が追いつかない。どんなものを、どうすればいい。遠くから持ってくるのか、それとも新しい機械を入れるのか。いろいろな悩みを持っていらっしゃいます。

 日本の一次産業、農林水産業を守るということは、ひいては日本の国民を守ることだと私は信じております。農水に携わる現場の人たちが安心してその仕事を続けられる環境を整備していくことを切にお願いして、私の質疑を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

御法川委員長 次に、西川将人君。

西川(将)委員 立憲民主党の西川将人でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今、前段質疑された柳沢委員でございますけれども、元々テレビ局のアナウンサーということで、私も今、声を聞いていて、ふだんの話されている声と全然違って、テレビから流れてくる声を聞いているような感じで、本当に聞きほれておりましたけれども。

 声色はちょっと変わりますけれども、普通の声になりますけれども、質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先週の委員会でも、米価格の高騰について質疑をさせていただきました。ちょっとしつこいようで申し訳ないんですけれども、私の北海道、地元上川、米どころということでありまして、是非この件について、少し違った視点から質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の米価格の高騰で、消費者の皆さんが悲鳴を上げているというのはもちろんなんですけれども、一方で、農家の皆さんからも、必ずしも、満足しているというよりは、逆に困惑しているというような声が結構あるんですね。

 私の地元の米農家の方から聞いているお話をちょっと紹介させていただきたいんですけれども、米の価格、十キロ換算でお話しさせていただきますが、これまで、十キロだと大体、米の、農家の方の売る価格というのは二千円ぐらいだったんですね。それが去年は三千円、平均してです、産地や銘柄によって当然違いますけれども。そのことで、人件費や燃料、あるいは資機材が高騰している中で、この十キロ千円上がったということでようやく一息つけたというのが農家の皆さんの声であります。

 ただ、小売価格を見ると、これをはるかに上回る状況で、十キロにすると、四千円だったものが八千円ですから、倍になっているんですね。

 このことについて、農家の皆さん、申し訳ないなという気持ちと、それと、生産者として悔しいという気持ちをやはり私に伝えてくるわけであります。そこで、これは農家の一方では生の声だなということで、今日は大臣にお伝えをさせていただきたいと思います。

 米価格が、農家段階では十キロ千円しか増えていないんですけれども、これが倍になっているということは、四千円増えているわけですね。これは、米が生産者の手から離れて、そしてその後の流通に乗って小売のところにたどり着くまでの間にやはり倍になっているわけなんです。これは、価格がつり上げられているというのが非常にやはり問題だというふうに感じております。

 消費者の皆さんに対してももちろんなんですけれども、先ほど申し上げたように、生産者の皆さんもやはり戸惑っているわけでありますから、しっかり、今回、米の流通ルートを検証していただいて、そして、一日も早く正常な価格に戻していただきたいというふうに切に望むところでございます。

 そこで、質問させていただきますけれども、今回の米価格の高騰、原因としていろいろ、米の買占めですとか、あるいは投機の対象になっているといったようなことが言われておりますけれども、私はやはり、そもそもこの原因というか誘因、こういった状況をつくり出した誘因の最初のやはり原因というのは、流通している米の絶対量、これが不足して需給のバランスが崩れたということではないかというふうに捉えておりますが、これについて見解をお聞かせいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 昨年の八月でございますけれども、南海トラフ地震臨時情報が発令されまして、その後も、地震、台風等、こういったことがございまして、買い込み需要が発生し、スーパーで品薄になったわけでございます。

 こうした中、その後、九月以降、新米が供給されていくということになったわけでございますけれども、その際、これまでにない集荷競争、こういったものが発生いたしました。その結果、米の生産量自体は前年よりも多いにもかかわらず、集荷の大宗を担っている大手の集荷業者の集荷量が前年に比べて大きく減少したということでございます。

 通常こうした大手集荷業者と取引をしていた卸売業者は、必要な量を調達するために、集荷業者は集荷数量が集まっていないわけなので、例年とは異なる調達ルートからも補完的に比較的高値で仕入れざるを得なくなった、こういったことで流通の目詰まりが生じ、この結果がスーパーなどの小売店での価格の上昇につながっているというふうに考えております。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 米を始め農産物というのは、価格弾力性が非常に小さくて、少しの供給量の増減で価格が大きく動くと言われています。車に例えると、車が真っすぐ走るために、やはりハンドルに遊びが必要なんですね。この遊びがないと、路面に過剰反応して、車は真っすぐ安定して走ることができないと言われております。

 国民に安定して米を供給していくためには、やはりこの遊びというか、車のハンドルのように、多少、米の需要と供給の間に余裕、バッファーがあってもいいんじゃないか、持たせる必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 先週の質疑の中でも、大臣から政府備蓄米に対してのコストのお話がありました。百万トンの備蓄経費、約五百億円ということで、財政上の課題についてもお話しされておりましたが、これを例えば米十キロに換算するとどれぐらいなのかというと、五百円なんですね。

 この十キロの米を五百円のコストをかけて備蓄することで、例えば今回のように、四千円だったお米が八千円、倍になるということを防ぐことができる、あるいは、そういうことを回避することができるのであれば、私は、その備蓄コストというのは、必要経費、政策経費として、説得力を持って必要性を説明できるのではないかというふうに考えております。

 現在、国民の可処分所得が減っている、そしてエンゲル係数も二八%ということで上昇し続けている中にあって、主食である米が適正価格で流通することは、国民の生活を守るという点からも大変重要だと考えています。

 このような点から、米の需給に余裕を持たせるためにも、作付面積、生産量、これを増やしていくべきではないかと考えておりますが、大臣に見解をお聞きいたします。

江藤国務大臣 現下の情勢を見れば、委員がそのような御指摘をされることは十分理解ができます。しかし、今は高くてこういう議論をいたしておりますが、ほんの数年前まで、米が安くて、本当にもう農家の方々は御苦労されていて、この安いということについて議論をしていたというのが農林水産委員会の主題だったというふうに思います。ですから、今は、食糧法に基づいて、生産数量目標をはめることなく、いわゆる各地区において生産数量について考えていただいて作っていただいている。

 物の価格については、需給のバランスを取るということはやはり基本です、それは米に限らずですね。あらゆる生産物、工業製品でも何でもそうですが、需給のバランスが崩れれば、分かりますよ、レーシングカーみたいに全く遊びがない車だと、ちょっとハンドルを切ったらぎゃっと曲がりますから、それが価格弾力性の話なのでよく分かりますが、しかし、本当に余裕を持たせたときに米価がどうなるのかということをやはり考えなきゃいけないと思います。

 そして、備蓄米のことについても若干触れていただきましたが、これについては、備蓄米のやはり本来の目的があります、本来の目的が。需給の安定のために今回は特例的に放出を決断したわけであって、これを恒常的に需給並びに価格の安定に考える、キロ五百円ということはよく分かりますけれども、しかし、この五百億かけている理由というものについてしっかり、何のためにこれまでこういうことをやっているのかということを逸脱してはやはりいけないんだろうと思いますので、米政策はこれから難しい議題になっていくと思いますが、またしっかり議論させていただきたいと思います。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 大臣のお話しされることも分かりますが、輸出米について、今、二〇三〇年に三十万トン、そして四〇年に百万トンを目指すということで、政策としてやっていこうというお話を聞いております。そして、備蓄米も、本来の目的とは違うわけですけれども、二次的効果として、輸出米と備蓄米というのは、やはり需給バランスを調整するバッファーとしての役割を担うことが当然できるわけで、今回緊急的に放出をしたということも、緊急事態的ではありますけれども、そういう役割も二次的にやはり担うことができるというふうに考えております。

 今後、輸出米をしっかりと増やしていく、万が一国内の需給バランスが崩れたときに、輸出米として活用していく、あるいは、そこに備蓄米としてストックをしていく。あるいは、先ほど柳沢委員からもありましたけれども、価格が暴落したときには下支えする直接支払いという制度があれば、これはやはり農家の皆さんの経営も非常に安定していくのではないかなというふうに思っております。

 そんな観点から、この備蓄米についてですけれども、是非これを増やしていく必要があるのではないか、しっかりとした根拠があるのではないかと私は考えておりますけれども、見解をお聞かせください。

庄子大臣政務官 お答えいたします。

 ただいま大臣からも御答弁がございましたとおり、繰り返しのようになってしまいますけれども、政府備蓄米につきましては、食糧法第三条第二項に規定がございます。米穀の備蓄というのは、生産量の減少によってその供給が不足をする事態に備えて行うものという規定がございますので、改めて確認を申し上げたいと思いますが、その上で、現在の約百万トンという備蓄の水準につきましては、十年に一回程度の不作に備えているものでございまして、年間消費量で申し上げますと、約一・八か月分を持っているということでございます。

 これも再三御答弁がありますとおり、年間約五百億円これに経費がかかっているということでございまして、そのため、今委員がおっしゃったお話でございますが、備蓄米の水準を増やすということにつきましては、当然、国民の理解と、そして財政規律の観点が必要でございますので、よく検討が必要だというふうに認識をしております。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 是非今後御検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。

 次の質問に入らせていただきたいと思いますが、今回の基本計画における農業者の確保目標と雇用就農支援制度の拡充についてという部分でお聞かせいただきたいと思います。

 農業分野における人手不足、年々厳しさを増していて、春、秋の繁忙期は人の取り合いになっています。人材派遣会社に高額な手数料をお支払いをして、農業経験のない就労者を受け入れなければいけないというような状況も年々増えてきておりまして、これは、農家経営にとりましては経費の増加また作業効率の低下といったこともあって、看過できない状況が年々やはり増えてきております。

 そのような状況下で、二月の二十五日に大臣が会見をされましたが、そのときに、今回の基本計画には農業者の確保目標を設けるかどうか未定ですというようなお話があったというふうに聞いております。

 また、今回の基本計画の案の中では、四十九歳以下の担い手の確保目標については現状維持をしていくというような案が出されておりますけれども、この四十九歳以下の担い手という人数が今、四万八千人であります。認定農業者が二十一万人おりますので、割合にすると二三%程度。基幹的農業従事者が百十万人程度ということでありますから、これに対してこの四万八千という数字は四%程度にしかならないわけなんですね。

 先ほど、私どもの野田代表からの質疑に対しての大臣の御答弁にもありましたが、日本の農業を多様な農業者の皆さんが担われていて、多様な農業者の皆さんが今の日本の農業を守っているというように私も考えておりますけれども、そういった中で、農地、農業を守っていくために、今回、四十九歳以下の担い手、現状維持という目標だけでは本当に心もとないのではないかなというように考えております。

 将来の農業者人口の予測をしていくというのは簡単ではないかもしれませんが、例えば食料自給率については、これまでも、具体的な指標、またそれに伴う必要な予算というのを十分示し切れていない中でありながらも、四五%という目標を持って、それに向かってやはり様々政策を取ってきたわけであります。

 今回、四万八千人という数値目標だけでは、本当に、船に例えると、羅針盤を持たないで太平洋を漂ってしまうような状況になってしまわないだろうか。将来の農業者の確保目標がなければ、ほかのいろいろな指標にもやはり影響が出て、流動的になってしまうのではないかなという危惧もしております。

 そこで、大臣にお聞きしますが、今回の基本計画には、四十九歳以下の担い手の数という部分がありますけれども、それだけではなくて、担い手以外の農業者も含めて、更なる農業者数の確保目標というものを定めていくべきではないかと考えておりますけれども、御見解をお聞かせください。

江藤国務大臣 極めて詳細に分析をいただきまして、確かに四万八千という数字は、全体に占める割合は低いということは承知をいたしております。ですから、親元就農であっても、何とか親元で農業者、担い手として定着していただけるように、一部の施策転換をいたしました。けれども、こういう目標を定めているということについては重く受け止めたいと思います。

 そして、先ほども一部お答えしましたが、これは非常に難しい御質問です。多分、今日御質問いただいた内容の中で一番答えづらい。百十一万人から三十万人に減るというトレンドは、残念ながらトレンド自体は変わらない。どんな政策を打って、例えば何兆円規模で戸別所得補償を行ったとしても、多分止まらないものだと思います。

 それを是としているわけではありませんが、しかし、KPI、これも先ほども答弁させていただきましたが、キー・パフォーマンス・インテグレーターですから、これは毎年毎年数字を検証しなければならないということでありますから、これを例えば一定の数字を示したということであれば、非常に基本計画の作り方が甘かった、ぬるかった、できていないじゃないかという国民の御批判は免れないんだろうというふうに思います。

 ですから、この件については、まだ最終決定をしたものではありませんが、非常に悩んでおります。悩んでおりますけれども、具体的な数字を示すことが果たして現実的なのかどうか。もちろん、高い目標を設けて、四五%の話もしていただきました、それに向かって努力することが政治の要諦ではあると思いますが、しかし、実現可能性というものもその横ではやはり意識しなければならない。ですから、四十九歳についてはこういう数字を示したわけでありますから、全体の総数についての数字についてはなかなか示すことは今の時点では難しいかなというのが正直な私の気持ちでございます。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 なかなか難しい課題であるとは思いますけれども、やはり一人でも多くの方にこれからも農業に携わっていただきたいという切な思いがあるものですから、やはり何らかの指針がなければ、そこに向かっていく道がどんどんと薄くなってしまうのではないかなという危惧をやはり持っているので、こういう質疑をさせていただきました。

 少し細かい、制度的な部分のお話をさせていただきたいんですが、今回、雇用就農資金制度の制度変更が予定をされています。農業人材を確保していく上で、雇用就労者の労働環境の改善というのは喫緊の課題であると考えておりますが、そのためには、例えば給与面ですとか、保険面、年金、休日面、そういったところでの処遇の改善というのが必要になってくると思います。

 今回の改正で、これまで、一経営体の申請できる上限人数は人数制限がありませんでしたけれども、今回、これは五人に制限されて、そして、これまで一人につき六十万の支給があった制度でありますが、これが、三人を超えると二十万に、三分の一に減額をされるというような制度変更になっております。

 より多くの方に利用していただきたいということから、現行の予算の範囲内ではこういう判断をせざるを得なかったなということは理解しますけれども、私は、先ほどの将来の農業人口の確保ということも含めて、むしろ、こういったような制度は、更なる利用を呼びかけて、農業人材確保のための制度として予算をしっかりとつけていくべきではないかなというように考えております。雇用体制強化のためには、ほかにも就労条件改善などの支援制度などもございますけれども、これらも含めて、雇用就農支援制度全体をやはりブラッシュアップしていくべきではないかと考えております。

 そこでお聞きしますけれども、農業人材確保対策としての目的、それともう一つは、都市部から地方に人の流れをつくる、これは地方創生にも当然つながっていくわけであります。農業を守りながら、なおかつ地方の人口減少、過疎化にも一定のやはり歯止めをかけていく手段として、この雇用就農資金制度の拡充を含めまして雇用就農支援制度全体を拡充していくべきではないかと考えておりますけれども、見解をお聞かせください。

庄子大臣政務官 御指摘ありがとうございます。

 私も東北の人間ですので、都市部から地方へという流れにつきましては、今委員おっしゃっていただいたとおり、共感をするものでございます。

 雇用就農資金にお触れをいただきました。今後の農業の必要な人材を確保するためにも大変重要な事業でございます。このため、農水省といたしましては、雇用就農のための資金の交付あるいは農業の働き方改革に資する取組への支援、こうしたことを行ってまいりました。

 御指摘をいただきました雇用就農資金につきましても、対象となります従業員が退職した場合、交付を終了していました、今までは。これを新たに、現場からは、退職後に補充した者も交付対象にしてほしいという要望が強くございましたので、令和七年予算、ここからは、やむを得ない理由で離職をしてしまった従業員の代わりに雇用した者も支援対象とするという拡充を行うことにさせていただきたいと思っております。

 おっしゃっていただきましたように、より多くの経営体にこの資金を利用していただくという、そうした主眼を持っておりますので、御理解を頂戴したいと思います。

 また、現在、農業の労働環境改善のための検討会を開催しておりまして、有識者の意見を聞きつつ、政策の在り方の再検討を進めておりまして、この議論を踏まえて、雇用就農の推進に努めてまいりたいと思っております。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 是非これからも、農業者人口をしっかり確保していくことができますように、是非とも様々な施策を総合的に進めていただきたいと心から期待をしているところでございます。

 次、三問目に移らせていただきますが、有機農業の将来についてということでお聞きしたいと思います。

 二〇二一年に策定しましたみどりの食料システム戦略におきまして、二〇五〇年に、想定される全耕地面積約四百万ヘクタール、これの四分の一に当たる百万ヘクタールを有機農地に転換をしていくという目標が打ち出されております。

 農水省としても、みどりの食料システム戦略推進総合対策の下で様々な事業を進めていただいているところでありますが、現状は、この有機農地、約三万ヘクタールということで、いまだ全農地の〇・七%という状況にあります。

 ちなみに、世界でトップはオーストリアで、有機農地が二七%であります。世界平均が二%ということでありますから、日本の状況は世界平均よりもまだ低いという状況で、遅れているというのが今の現実ではないかと思っております。

 この有機農業がなかなか進まない理由として、いろいろありますけれども、人手と手間がもちろんかかります。また、農産物としては高く販売できるんですけれども、一方で、様々な外的要因を受けやすくて、収量が安定しないといったような課題もあるように聞いております。

 そして、この有機農産物に対しての消費者の理解、この醸成ということももちろん進めていかなければいけないとも考えておりますが、この将来百万ヘクタールという目標を達成するためには、今朝、野田代表からも質疑の中に少しありましたが、予算面という部分では、これは農水省の予算の枠を超えて、国全体としてやはり考えていくべき大きな課題ではないかなというふうに捉えております。

 その理由の一つをちょっとお話をさせていただきたいんですが、これは環境省さんに関連をするお話になると思いますので、環境省さんに答弁いただきたいと思います。

 今、無機農法で使っている化学肥料、これが、問題点として、二酸化炭素の約三百倍の温室効果があると言われております亜酸化窒素、亜酸化窒素の呼び方は幾つかあるように聞いておりますが、化学式にすると、N2Oという化学式になります。これが大量にやはり大気中に拡散をされているという問題です。畑にたくさんの化学肥料がまかれますけれども、このうち約六割は、実は、土壌や農作物に吸収をされないで、この亜酸化窒素という状態で気化をして、大気に拡散をされていると言われております。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて具体的に温室効果ガスの排出量を削減をしていくためには、やはりこの亜酸化窒素という部分も問題として解決していく必要があると考えております。

 地球温暖化対策税という税がありますが、約二千百億円の税があります。ただ、これは今、温暖化対策の様々な事業に使われていますけれども、この税の当初制定された目的から、石油ですとか石炭、天然ガスなどといったエネルギー起源の二酸化炭素排出抑制施策に対しての活用に限定をされているということでありまして、例えば、冷蔵庫に使われている代替フロン対策ですとか、あるいは今申し上げた化学肥料から出てくる亜酸化窒素、あるいは牛のげっぷから出てくると言われているメタン、こういった対策には税が今使うことができないような状況になっております。

 そこで、温暖化対策を主導している立場である環境省さんにお聞きしたいんですけれども、今現在、農水省の方で進めている有機農業、これはまさに、地球温暖化対策、環境保全対策そのものだというように考えております。今後、この有機農業を推進していくために省庁の枠を超えた対策が必要と考えますけれども、見解を是非お聞かせいただきたいと思います。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、有機農業の推進などによって化学肥料の使用量の削減をすること、これは温室効果ガスの一つであります一酸化二窒素、これは亜酸化窒素のことでありますけれども、これの排出削減に効果があるというふうに認識をしております。

 我が国は、地球温暖化対策を総合的に進めるために、先月十八日に新たな地球温暖化対策計画を閣議決定いたしました。この計画におきまして、二〇五〇年ネットゼロ実現に向けて、この一酸化二窒素につきましては、二〇一三年度比で二〇三〇年度一七%減、それから二〇四〇年度三一%減という目標を掲げております。

 この目標の実現のための取組のうちで、御指摘の化学肥料の使用量の削減につきましては、二〇三〇年度にCO2換算で二十四万トン、それから二〇四〇年度に同じくCO2換算で三十万トンの排出削減量を見込んでいるところでございます。

 この新しい計画の実施に際しましては、委員御指摘のとおり、農林水産省を始め関係省庁連携していくことが必要でありますので、実現に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。

西川(将)委員 どうもありがとうございます。

 是非これは国全体の課題として進めていっていただきたいという部分で、環境省には大きな役割を担っていただきたいと思っておりますし、また農水省としても、本当に、有機農地を増やしていくというのは非常に重要な今後の政策テーマになっていくと思いますので、是非私も一緒に頑張らせていただきたいなというふうに思っております。

 残り時間があと三分ほどあるんですけれども、もう一問質疑をすると足りなくなると思いますので、ここで終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今日は、実は経済産業委員会で朝、産業の米たる半導体、ラピダスの問題について質問させていただきました。今日、財務政務官もいらっしゃっていただきましたけれども。

 そして、ここからは、本当の米の話についていろいろ聞いていきたいと思いますが、まず、食料・農業・農村基本計画における食料安全保障上の食料自給率の目標設定、いろいろ今話題となっておりますけれども、私自身、このパネル、配付資料のとおり、予算委員会とかまた農水委員会で度重ねて、一人一日当たりの必要摂取量約二千二百カロリー、これに基づいて、農水省さんが示している米、麦中心の作付を対象とした食料自給力指標、これを基に算定して、五〇%を目指すべきということをずっと訴えさせていただきました。

 今回、カロリーベース、一日の必要な摂取量、そういった考え方を取り入れていただいたことは大変うれしく感じておりますけれども、この目標設定について、今現状、先ほどももうお話があったので、農水大臣からお聞きしたいところですが、もし時間があれば、飛ばしていきたいと思います。飛ばします。もう先ほど議員の皆さんから質問がありましたので。こういった食料自給率についての見直し、また、カロリーベースだけじゃなくて生産ベースとか、そういった意味でしっかりと議論をこれからも深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、一番大事なこと、農家が本当にもうかるのか、稼げるのか。稼げる農業は本当に我が国の農業政策として正しいのか。もうかる農業というのが我が国の農業政策として掲げていいのかどうか。特に米作りについては、従事する稲作の農業者の皆さん、本当にもうかっているのかなと。

 平地と中山間地域は違います。ただし、様々な転作奨励とかされて、一生懸命頑張っていらっしゃる。けれども、なかなか、物価高騰もあり、農機具とか肥料とか農薬とか、こういったものの価格高騰もあって、生産費が本当に上がっています。

 その中で、例えば厚生労働省さんの職業情報サイト、ジョブタグというのがありまして、これは事前に農水省さんにお知らせしておりますが、稲作農業者の平均月収は幾らか。二十・五万円、最新で。そして、平均年収は三百七十四万円であります。一般の会社員、サラリーマンの方々より約百万円低いんですね。

 一生懸命いろいろなことを農水省の方々が考え、考え、転作奨励、また土地の集約、集積、こういったことを一生懸命考えて、地域の方々も取り組んできたけれども、一向に農業者の所得は上がらない。サラリーマン、会社員をしていた方が楽である。だから、息子さんは都会、町に出て、農業から離れる。そして、離農が進み、高齢化が進むということが悪循環となっておりますが、まず、農水大臣、米作り産業は他の産業に比べてもうかる産業なのでしょうか。いかがでしょうか。まずお答えください。

江藤国務大臣 まず、委員からお示しいただいたこのジョブタグについては、私も事前にもちろん見ました。これは前から出ている数字でありますので。非常に厳しい数字だと思います。林業とほぼほぼ一緒です。林業もこれぐらいの水準で、マイナス百万円。ですから、今の加重平均的に見れば、もうからない、米農家の方々はもうけていないということは事実として認めなければならないと思います。

 ただ、中には、非常に先進的な農業に取り組まれて、米の農家であっても、しかるべき利益をしっかり確保している方もいらっしゃいますし、米も非常にブランド化している部分もありますので、ブランドによっては高収益を実現している方々もいらっしゃると思います。

 しかし、前回の食料・農業・農村基本法、それからその前の食料・農業・農村基本法、昭和三十六年かな、三十六年に遡りますけれども、そのときの目標としては、やはりサラリーマンの方々と遜色のない所得を確保しなければいけないというのが基本法のそもそもの立法の理念だったということは、この二回目の改正、二十五年ぶりの改正を行った今でも私は変わっていないものだと思っています。

 ですから、この現状をしっかり把握した上で、これから先、ですから今回、食料システム法案も国会に提出します。米も対象とします。ですから、米も合理的な価格の形成の対象となっていきますので、そういった施策を通じて、何とかこの現状を是正できるように努力をしたいというふうに思っております。

空本委員 江藤大臣からいただきました答えとしては、やはり米作りは厳しいというところだというふうに結論づけておられると私は把握いたしましたが、中では、もうかっている方々というか、利益を上げていらっしゃる方々もいる、けれども、大多数の米作り農家は赤字でありますと。これは間違いないですかね。どうですか、大臣。

江藤国務大臣 様々だと思います。私の近隣の方々については、例えば縁故米で、ほぼほぼ全部やってしまっている方もおられる。それから、御近所としっかり契約をして、毎年毎年、この消費者米価が上がっている時代にあっても、去年と同じ値段で、お約束だからといって渡していらっしゃる方もおられます。そして、兼業農家も多いということであります。

 ですから、米専業の農家、十五ヘクタール以上の耕作面積を持ってやっている方々を対象として議論をするのか、それとも加重平均的に平均を取って議論するのかによって議論の視点が変わってきますが、全体としては、先ほど申し上げたように、やはり米の、ジョブタグの数字はもう数字として明確に出ているわけでありますから、非常に厳しい数字が出ているということであります。

空本委員 ありがとうございます。お答え、本当に厳しい農業であると、米作りは。

 この数字が、厚生労働省がもう出しちゃっているんですね。求人するために、平均月収二十万。本当にこれは来ないですよ。お子さんを持っている四十代の方々が就労してくれればいいんだけれども、家族を養えない、若しくは家族を持てないとか、そういう状況に陥る金額ですよね。ならば、これは所得の補償をある程度しなきゃいけない。

 前大臣の坂本大臣に、戸別所得補償制度について、そして米の一反当たり、若しくは六十キロ当たり幾らの価格であるべきかということをお聞きしたんですが、ここでまたお聞きしたいんですが、米の適正価格というのはどう考えるべきか。

 集荷業者さんとの取引、仲卸との取引、そして最終小売での販売価格、これについて、様々な方がいらっしゃいます。今回は米の買占めもあり、上がっていますが、米の適正価格、各集荷、仲卸、小売においてどの程度であるべきか。市場介入しちゃいけないんですけれども、ある程度、主食ですので、高過ぎてもいけないし、最終小売としては、今みんなが悲鳴を上げ出しているということも踏まえて、どの程度であるべきか農水省としてお考えか、大臣よりお答えください。

江藤国務大臣 先ほどの御質問に若干つけ足させていただきたいと思うんですが、米専門でやっていらっしゃる、東北ではですね、米専業でやっていらっしゃる方ももちろんおられますが、やはり、収入保険等も措置しておりますので、米だけではなくて、米とか麦とか大豆とか高収益作物とか、様々複合的な経営をやることによって農家全体の経営を安定させるということも大変有効だというふうに私は考えております。

 今委員から言っていただきました、介入は駄目と。介入は駄目です。介入は駄目ですが、農林水産省の責務として、国民の皆様方に食料を安定的に供給する責務を負っているということは根本的にありますので、消費者の方々が、とても手が出ない、こんな値段だったらパスタを食べたりパンを食べた方がましだというふうになってしまうような米価水準になるということは適切ではないというふうに思っています。まさに米離れを助長することになりますので。

 しかし、言われるように、農家の経営は厳しいわけでありますから、今回のいわゆる値上がりについて、これで米をもっと頑張ろうと思っている人たちも出てきました。私の地元でもそうですよ。来年はもうやめようかなと思っていたけれども、ちょっと米にも夢がありそうだから、もうちょっと頑張ろうという人も出ているわけでありますから。

 消費者の方々にとっては、やはり主食として手に取れる価格帯、そして生産者の方々にとっては、再生産はもちろんのことですが、再生産だけではなくて、これまで更新してきた機械の償還であったり、これから将来に向かっての投資であったり、そういったものに収益が向けられるような価格水準、それが私が考える適正価格で、幾らということは申し上げられませんが、そこを目指していきたいというふうに思います。

空本委員 今のお答えは本当にありがたいことだと私は思っていまして、まあ額は言えないと思います。ただし、米の生産費を考えながら、その中で、六十キロ、生産費を考えて、入ってくる金が一万数千円、二万円ぐらい、このぐらいが適正といいますか最低ラインかなと。今、物価高騰がありますので、もう少し行かなきゃいけないのかなと思うんですけれども。

 今、いろいろ私自身、地元を歩くとともにアンケートを取らせていただいています。農業者の方々に、集落営農とか、中山間の直接支払い、多面的機能、こういったものを取り組んでいらっしゃる方々に聞いています。そういったところで、本当に生産費の価格、価格形成、こういったものを考えてほしいというところもあって、その中で、やはり、赤字は間違いないので所得の補償はしていただきたいと。生産費を加味した上で、販売価格との差分をちゃんと補填する、そうしなければ農業が若い者に維持、継承できないよというのが現状であります。

 やはり、戸別所得補償制度、民主党政権、私もあのとき取り組ませていただきまして、全中、全農の皆さんとけんかするぐらいやりました。でも、よかったと最後は言っていただいたんですよ。三千三百億かかったかもしれませんけれども、やはりこれは、国民のおなか、生活、命、こういったものを保つためには必要な米ですよ。そのためには必要なんですよ。

 もう一度、所得補償制度という、これは自民党型でも結構です、取り入れることは、お考えございませんか、大臣。

江藤国務大臣 私がこの職に就いたときに申し上げたのは、思い切ってやらないと将来にやはり希望が持てない。日本の農政はまさにこの五年間で思い切ってやらないとどうにもならないという思いは、非常に委員とも多分共有できるものだと思います。

 その手法についてはいろいろあると思います。先ほど元総理に御答弁させていただきましたので、重複は避けますが、農家の方々に直接いわゆるお金を支払う形での農家の経営の支え方もあると思います。

 ただ、その片方で、より生産性の高い農地を農家の方々に所有していただくことによって、流した汗が成果として、より多く果実として手元に戻ってくる。そのための基盤整備であったり、集約化であったり、それからスマート農業であったり、そういった形で、自分が努力したものがまず報われる形の農業の基盤の強化ということによって農業の所得を上げていくことも適当だと思っています。

 最初から戸別所得補償について全否定ということは私は申し上げておりません。ただ、米について、余り批判はしたくないんですが、生産数量目標を定めておりましたので、それでも三千三百億ということでありますから、それも設けないで作ったときに、どれぐらい財政的に負担があるのか。これは毎年のことでありますので、やるからにはやはり財政的な根拠もしっかりと示した上でやらなければなりませんから、今後、また先生方とちょうちょうはっし議論させていただくことになるとは思いますけれども。

 民主党政権時代の政策が駄目だったからどうこうということを言っているんじゃなくて、やはりこれからの基本計画の下ではKPIですから、KPIをしっかり回すということであれば、やはり、三千三百億以上の金をかけて、どれだけ、例えば、耕作面積が減る、そのスピードが落ちたのかとか、担い手はどれだけ増えたかとか、そういったものを数量的に見なきゃならなくなりますので、慎重な検討が必要だなというふうに思っているところであります。

空本委員 だったら、民主党政権でやった生産数量目標を入れて、三千三百億若しくは五千億とか、そういった形で私はやっていいと思うんですよ。否定するわけじゃない、生産数量目標を入れたっていいと思います。やったんですから。あのとき成功したと私は感じています。農家さんはみんな戻してくれと言っていますからね。どうですか、大臣。

江藤国務大臣 平成三十年にいわゆる生産数量目標の張りつけをやめました。それによって、各地域によって、自分たちのブランドも考えながら、私の宮崎だったら、超早場米で、もう田植が始まっているんですよ。そういった様々な各地の強みを生かしながら、そして、中には、飼料用米を作ろうかとか、ほかのものに転作しようかとかいうようなことを、やはり地域の自主性によって判断をいただいて、今回の米のいわゆる販売価格の高騰が起こるまでは私はうまくいっていたんだと思います。非常に定着をしたと思っています。定着をしていましたよ。

 ですから、戸別所得補償自体もうまくいったという御評価もそれはそれであると思いますが、生産数量の割当てをやめて各地方の御判断に任せたという政策も、他方ではうまくいっていた。

 ただ、今、先ほどのほかの委員の先生からの質問にもありましたが、やはりバッファーがないとということであったので、価格弾力性の話もあって、いろいろな議論はありますが、果たして、三千億とか五千億とか組んで生産数量目標を定めて、そしてまた、それによって、それから漏れる人も出てくるわけでありますから、それが米政策全体にどういう影響を与えるのかということについては、やはりしっかりちょっと考えさせていただきたいと思います。

空本委員 是非しっかり考えていただきたいんですが、財務省さんにお伺いしたいと思います。

 予算委員会でも加藤大臣に私はお願いしました、農業予算、少な過ぎませんかと。一般会計、二兆円強。

 ところで、ラピダスというのは幾らかけますか。十兆円、これから五年間でかける。今もう二兆円は入れるところ。二兆円ですよ。同じなんですよ。産業の米ではある。ただし、先ほど、ラピダスのときに言いました、これは失敗しますと。なぜかというと、成功の判断基準を経済産業省は持っていないんですよ。私から提案しましたというか、私は得意ですから、半導体の量産化を、二〇二七年、歩留り八割以上でできなければ失敗。経済産業省はその数字とかそういったものを一切答えませんでした。それでも二兆円突っ込むんですよ。

 米ですよ。人の命を守る米ですよ。それに一兆円ぐらい加えてもいいじゃないですか。ちゃんと査定して適正に、これは江藤大臣は賛成だと思いますが、農林水産予算に一兆円、あのときはすごく朗らかにいらっしゃったので、予算委員会で。

 農水予算、自民党の皆さんも、あと一兆円増やしませんか。公明党の皆さんも、いいじゃないですか。だって、皆さんの生活を守るためなんですよ。米がなかったら生きていけないんですよ。あと一兆円増やしてもいいじゃないですか。何で一兆円増やせないんですか。自民党の方々、公明党の方々がここで奮い立てば、確実に農業政策は変わりますよ。そのために江藤大臣が今先頭を切ってやっているんですよ。自民党の方々、いかがですか。やりましょうよ。一兆円増やすだけでいいんですよ。ラピダス二兆円なら、農水省の予算、三兆円でいいじゃないですか、簡単な話ですよ。

 財務省にお伺いします。

 ラピダス、こんなに巨額を投じています。人の命を守るための米、これがなかったら日本はやっていけない。財源を増やす覚悟はございませんか。

東大臣政務官 我が国の農業者の減少、高齢化、そして国際社会における食料需給の不安定化に直面している中で、農林水産業の収益向上を通じた所得の向上を通じて食料安全保障の強化を図ることは重要だと考えております。

 こうした中、本年度末をめどに新たな食料・農業・農村基本計画を策定する予定でもあり、米を生産されている農業者に対しても、その内容を踏まえつつ、スマート農業の導入、農地の集積、集約と大区画化、品種改良等による生産性の抜本的向上、そういった所得の向上を図っているところでございます。

 財務省としては、先ほどの増額のお話なんですけれども、過去減少してきた経緯はあります。政府としては、その時々の状況を踏まえて必要な予算を図ってまいりました。農業予算においては、前年度から二十億円増となる二兆二千七百億円を計上しておって、農業・農村基本法の改正を通じて、収益向上の実現を通じ、農地を維持している、必要な予算はしっかりと確保できているものと考えております。

 引き続き、農林水産業の持続的な発展に向けて、所管である農林水産省と連携して、必要な予算を確保していく、こういうことだと思います。

 以上です。

空本委員 必要な予算なんですよ、だったら確保しなきゃいけないんですよ。

 これであと五年後、いつもいつも、五年後、もう農水は終わってしまう、農業は終わってしまうというんですが、本当に今、平均年齢も高齢化していて、八十代の方々が農作業をしている段階であって、七十代の方々も中心ではあるけれども、もう八十代になっていくわけですよ。そうなったときに担い手が全くいないわけですよ。

 今こそ、担い手、四十九歳とか若い方々、四十代、五十代、いや四十代、三十代の方々に、新規農業参入じゃなくて、今やっていらっしゃる方の息子さんとかが一生懸命一緒にやってくれる、兼業農家でいいから、土日帰ってきて手伝ってくれればいい、田植そして稲刈りのときに手伝ってくれればいいです。

 だからこそ、日本の瑞穂の国に合っているのは田んぼなんですよ、水稲なんですよ、そこをちゃんと理解したら、自民党の皆さんだって、あと一兆円増やせるでしょう。どうですか。皆さん、下を向いていますよ。何で下を向くんですか。本当に農業のことを考えていらっしゃるのなら、ちゃんと予算をつけてくださいよ。

 最後の質問をします。

 もし万が一、シーレーンが封鎖されたとき、種、肥料、入ってくるのか。入らない、全く入らないときに、種苗とかを確保できるのか、肥料を確保できるのか。そして、どの程度、国民のおなかを満足させられるのか。農水省、お答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、稲の種子でございますけれども、国内流通の全てが国内で生産されているというところでございます。また、野菜の種子でございます。一割は国内生産でございます。九割は日本の種苗会社が海外生産したものを輸入しております。

 また、肥料につきましては、化学肥料原料はほとんど海外に依存しております。現在、国内の資源の利用割合はリンベースで二五%であることから、これを拡大していくということでございます。

 それから、輸入が途絶した場合の影響ということでございましたけれども、例えば化学肥料につきましては、海外からの輸入が止まった場合でも、しばらくは土壌中に肥料成分が残るということで、その影響というのはなかなか一概に言えないかなということで考えております。

 こういった、その影響が一概に言えない中で、網羅的に、食料の自給率、そういった種子、肥料、こういったことを考慮した上で算定することは難しいと考えております。

空本委員 万が一入らなかった場合は、本当に厳しい状況になる可能性がある。種苗が本当に、肥料が本当に入るかどうか分かりませんし、自前でできるわけではない。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、こういったところから肥料材料が入ってこなかったら、もう全くやっていけない。状況はもう見えているんですよ。ならば、そういうことも踏まえた上で、食料安全保障上のある程度の措置を講じていかなきゃならない。

 半導体もありますが、半導体の研究開発は私は賛成です。萩生田前大臣のときに、二兆円でもつけてもいいよと私は言いました。二兆円つけるのはいいんですよ。でも、失敗したときにはやめる方向、立ち止まる。

 米作りは今進めなきゃいけないんですよ。今、財務省もそして農水省も、タッグを組んで、しっかりお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 以上で終わります。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。臼木秀剛君。

臼木委員 ありがとうございます。国民民主党、比例北海道ブロック選出の臼木秀剛と申します。

 ふだんは農水委員会に所属しておりませんが、今日は、このような大変貴重な機会をいただき、同僚議員また各先生方に対して改めて御礼を申し上げます。

 今日は、冒頭、私も質疑を、インターネット中継の方を拝見しておりましたところ、立憲民主党の野田代表から、農水予算確保は必要である、その後も各委員の皆様方から、予算確保は必ず必要だというお声もありましたし、また大臣も、今回の策定の基本計画に基づいて今後の農政に必要な施策を示し、予算も確保していくんだという力強い答弁がありました。私も全く同感であります。

 今回の基本計画に目を通させていただきましたけれども、多様な論点が非常に網羅的に盛り込まれており、大臣の並々ならぬ決意をかいま見た一方で、優先順位や工程がやや見えにくい面もあるかと感じております。

 そのような中で、我々国民民主党として、先日、大臣に対して申入れを行わせていただきました。その中にもある二点につきまして是非お取り組みをいただきたいと思いまして、二点質問をさせていただきます。

 まず一つ目が、資料にもお配りをしていますが、済みません、順番が逆ですね、四番のところにありますけれども、農地面積、水田面積の確保、ここの部分について御質問させていただきたいと思っています。

 個別品目の作付目標、作付面積目標については、国内生産の増大を基本とすることは当然ながらも、年ごとの豊凶差、また地域ごとの単収差が影響するために、生産数量目標であってよいのではないかとは思いますが、農地につきましては、食料の安定生産、安定供給のための必要な生産基盤であります。

 しかし、今回、基本計画案を見たところ、農地は我が国人口一・二億人分の国内需要を賄うために必要な面積の三分の一程度しかない状況だと記載がされているものの、目標値である二〇三〇年目標については四百十二万ヘクタールということで、減少目標が示されています。改正農振法でも、食料の安定供給の確保のための農業生産に必要な農地等の確保に関する基本的な事項を定めるとしております。

 是非、我々が示しておりますように、これまでの趨勢ベースの目標ではなく、自給率目標を達成するための農地面積目標の設定、また、今日の委員会でも話題に上がっておりますが、昨今特に問題となっている、米の生産基盤であり我が国の原風景である水田面積、こちらについても具体的な数値目標を設定すべきであり、これ以上減らさないという決意、覚悟も含めて、是非大臣に御答弁をいただきたいと思います。

江藤国務大臣 答弁させていただきます。

 先日二十八日に、たくさんの方に大臣室までお越しいただきまして、ありがとうございました。御出席いただいた先生方には、一人一人、全ての方に意見を述べていただいて、大変有意義な意見交換ができたなというふうに思っております。二十六項目にわたった御提案でありますので、私も当然読み込ませていただきましたし、省内でもしっかり検討させていただいております。

 まず、委員がおっしゃったとおり、農地そのものは生産基盤そのものですから、そして三分の一しか賄えないというのもそのとおりであります。目標数値も下げめに設定していることもそのとおりであります。

 高い目標に向かって努力するのは政治の要諦であることは認めますけれども、やはり私も二十年この農政をやってきて、この五か年、KPIを回す、毎年毎年数字について検証するということであったら、責任を持てる数字、目標等をつけなければ、やはりそれは無責任だろうという気持ちも逆にあります。高い理想を掲げながら、やはりその横では実現可能性というものもしっかり考えなきゃいけないということでこのようなことになったということは、今の段階では御理解をいただきたいと思います、最終的な数字じゃありませんので。

 それから、農地の面積につきましては、昨年、農振法を改正いたしました、御存じだと思いますが。これについては、農地面積の目標達成に向けた措置、これは、国や都道府県は、例えば農地じゃなくなった土地ができたら、農振から外れた土地があったら、新しくそういう代替する面積をちゃんと手当てしてくださいというような農振法の改正も行いましたので、様々な法律も手当てしながら、国と地方で所要な農地面積の確保に努めてまいりたいと考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 我々も、無責任に実現不可能な目標を立てろと言っているわけではなく、農家の皆様方が将来に展望を持って、このような目標の下で我々もやっていきたいんだという具体的な数値、野心的な数字を是非お示しをいただきたいと思いますし、そこに必要なための、例えば荒廃農地の発生防止であったり、農地確保をきちんとやっていくんだ、こういう政策も併せて、前向きな数字を示していただきたいという思いで御質問させていただいていますので、是非この点を盛り込んでいただきたいと思っています。

 二点目につきましては、同じ資料で上げております、一番目の直接支払いに関する要望であります。

 今回の基本計画案では、農業が持つ多面的機能がより明確にされております。農業者が担っている、必ずしも数字で測ることができない役割に対する評価、これはやはり重要だと我々も考えております。

 今日の午前中でも質問が出ておりましたが、大臣も既に答弁をされていたとおり、各種の直接支払い制度は実際あり、多面的機能を評価する要素も一定程度考慮されているということは十分承知はしております。ただ、各種支払い制度の目的、対象、また要件が余りにも複雑化しておりますし、根拠法令につきましても大分制定当時から年数がたったものもございます。現場の皆様方からすれば、複雑、それから使いづらいといったお声も伺っております。

 今回、世界情勢の不安定化、食料安全保障の確保ということが今本当に我が国にとって喫緊の課題でありますので、我が党が提言し続けている環境加算、防災・減災加算を含む食料安全保障基礎支払いの新設も含めて、直接支払い制度を整理、検証し、簡素化していくこと、これこそが必要な政策で、予算確保のためにも資するのではないかという思いから、是非この提言も入れていただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 この御提言の中の一番目でありますので、大変重要視されているということは重々承知をいたしております。ただ、名称はお示しをいただいていますが、まだ具体的な提案内容についてお示しをいただけていないので、なかなかコメントするのが難しいなと思っております。

 ただ、昨年、玉木代表と議論させていただいたときに、私は全ての政策をテーブルの上にのせるということを申し上げました。玉木代表から言われたから言ったのではなくて、当初からそのつもりでございます。制度はあくまでも、使いやすい、分かりやすい、アクセスしやすいということはとても大事なことでありますので、様々なものについては、その法的な根拠であるものについても大分年数がたったという御指摘もそれは正しい。ただ、今でも通用するものもあるということも御理解いただきたいと思います。

 御指摘いただいた防災、減災への果たす役割、これはまさに多面的機能の発揮でありますので、こういった視点というものはこれからの農政には取り込まれていくべきものだというふうに思っております。ですから、今後、中山間地域直接支払いについては、何度も答弁しているとおり、抜本的に、例えば、平地であっても中山間であれば認める、急傾斜でなくても認めるというようなこともやっていこうと考えておりますので、これをいかに面積要件を外しながら広げていくかということはなかなか難しい議論ではありますが、是非、御党からも、考えていらっしゃる直接支払い制度の制度設計もお示しいただいた上で、また議論できればいいというふうに思っております。

臼木委員 ありがとうございます。

 既に、各党、直接支払い制度や基礎支払いについての考え方も示しておりますし、我々としてもずっと、結党以来この食料安全保障基礎支払いはお示しをし続けております。まさに、具体的な中身について是非というお言葉をいただきましたので、各党の皆様方と建設的な議論をできるように、我々としても努力を重ねてまいりたいと思っております。ありがとうございます。

 続いて、酪肉近の方に移りたいと思っております。私もちょっと農業関係は不勉強であったこともあり、今回この質疑をするに当たって、過去、平成十二年だか十七年ぐらいまでの酪肉近をずっと読ませていただきました。平成二十七年、令和二年の酪肉近に記載がされていた、いわゆる畜産クラスター事業、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業、この文言が今回の案では消えておりました。

 まず、ちょっと端的にお伺いをさせていただきたいんですけれども、このクラスター事業という文言、ここが消えていた理由をちょっと教えていただけますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現在策定中でございます次期酪肉近につきましては、現行酪肉近以降の様々な情勢の変化を受けまして、国産飼料に立脚した経営の重要性、生産基盤の維持強化を盛り込むこととする予定でございます。

 このための支援につきましては、事業名を記載するのではなく、例えば、生乳需給と経営の持続可能性を考慮した生産基盤の維持強化を図るための支援を講じるなどの具体的に取り組む内容を記載する、こちらの方が重要と考えているところでございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 とはいえ、前回、前々回の酪肉近については、個別の事業である畜産クラスター事業というものが載っていたわけですけれども、今回、そういうことの事業名を載せないということと、この判断が変わったということを、もう一度ちょっと御説明いただいてよろしいでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになるところもございますが、令和二年策定の現行の酪肉近、こちらにつきましては、当時の乳製品需要の拡大を受けまして、畜産クラスター事業などの生産基盤の強化、こちらを位置づけ、その方向性につきましては業界全体で認識され、共有されたものでございます。

 その後の新型コロナ感染症や資材価格の高騰など、想定をし得なかった世界情勢の変化があり、需給が緩和し、業界一体となって需給改善対策を講じてまいりました。このような中でございますが、畜産クラスター対策につきましては、この一環としまして、令和四年度補正対応から、酪農の施設、機械への支援を停止しているところでございます。

 これらにつきまして、需給緩和対策の効果が出始めてまいりましたので、酪農の需給環境が改善し、乳価の引上げ、こちらが実現したところでございます。こうした中で、施設、機械への支援再開を求める声がございますのですが、こちらにつきましては、畜産クラスターの事業目的である、地域の関係者が連携をしまして、地域一体となって収益性を図る、このような趣旨につきましても明記させていただいているところでございます。

臼木委員 ありがとうございます。大分丁寧に御説明をいただいて、私が先に質問しようと思っていたところまでお答えをいただいたので、ありがとうございます。

 まさに今御説明があったとおり、平成三十年当時、前回の酪肉近制定時には、明らかに供給が足りていないということで、資料の、ちょっと順番が逆になりますが、四ページ目につけておりますけれども、供給不足であったために、供給が足りていないということで生産量を増やすという意味もあった。また、TPPの政策関連大綱に基づく施策としてもやられていたということ、これは先ほど御説明があったとおりであります。

 ただ、クラスター事業につきましては、この間、私も余り多くの方々のお声ということは聞けてはいないんですけれども、多くお声をいただいているのは、施設整備と初妊牛導入の補助に基づく増頭、増産、これが、二〇一五年から一九年には酪農バブルとも北海道の中では言われていたということもお聞きをする一方で、先ほどあった国際情勢等の変化によって、酪農危機と言われるように大きく状況が変わってしまったということがありました。これもやはりこのクラスター事業が一定程度は影響していたのではないかと思っておりますし、そのような評価もされていることと思います。

 特にまた、酪農危機と言われた状況下で、想定外の需給緩和を行わざるを得なかったわけですけれども、減産を強いる政策ではなくて、国の一定の責任の下での出口対策を講じるべきではなかったかというお声もいただいておりますけれども、その点につきましてお考えがあれば、大臣でも政府参考人でも、御答弁をいただきたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 生乳の需給の環境を整えるというのは国の役割だと思っております。そういうことからしまして、過剰でありました脱脂粉乳、こちらの在庫対策を調整をいたしまして、これらに取り組むことによりまして需給環境を調整し、乳価の引上げを行う、このような流れで畜産経営の改善を図る、このような取組を進めてまいりました。

臼木委員 必ずしも質問に対するお答えにはなっていないかなとは思いつつも、時間の関係もありますので、次に行かせていただきます。

 今お話があったとおり、様々、需給というものをやはり見ながらの施策ということは当然大事だと思っております。その上で、ただ、クラスター事業というのは、二〇一五年から始まった事業としては、やはりちょっと需給に大きく、事業の本旨からすると、需給に少し振り回されたのかなという思いはあります。

 本来的に、平成二十七年策定の酪肉近のところに記載があるとおり、畜産農家、流通加工業者、市町村、農協等の地域関係者の連携協力を通じて、地域全体で畜産の収益力の向上を目指すという、酪農家や酪農地域を支える施策として、今回、様々御意見がありますし、農水省内でも課題の洗い出しをされていることと思います。このような点を洗い出し、引き続き、地域の収益力向上、ここに、本当に実現ができるような政策として、引き続き実現をしていくということをやっていただきたいと個人的には思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 やはり酪肉近については、様々反省は正直あります。

 コロナという思いもよらないことが起こったということでありますが、その前にやはり需給が逼迫していた、そして、生産者の皆さん方も、それについて非常に前向きに取り組もうという姿勢を示してくださいました。その意を受けて、国としても、その意欲を形に変えるためにも畜産クラスター事業をしっかり推進するということでありましたが、コロナ禍の中においては、頭数を淘汰したり、そして乳量を制限したり、様々な、現場では特に厳しい御判断をされたことについては、私も非常にこの期間は心を痛めておりました。非常につらい思いをされている。中には、おまえたちが畜産クラスター事業を強力に推進したから、そのせいじゃないかという厳しい言葉を自民党内の議論の中ではぶつけられたこともあります、私、調査会長だったので。

 しかし、そういう御批判もしっかり受け止めるのが政治の役目でありますから、それは反省は反省として承りますが、しかし、申し上げておきたいのは、国が押しつけたものではないということであります。生産者の方々の意欲もあり、それを受け止めた結果やらせていただいたということでありますから、その結果に責任を持つのが政治の役目でありますから、責任放棄をするということではありませんけれども、ですから、これからの酪肉近については、やはりこの教訓を踏まえたものにしなきゃいけないと思っています。

 ですから、私が今考えているのは、目標の妥当性については毎年検証するということにしようかなと思っております。これまでとはちょっとやり方が違いますけれども、やはり一年一年で経営環境が大きく変わることが想定されますので、今回、食料・農業・農村基本計画でもKPIということを設定いたしましたから、酪肉近においても、毎年検証ということも有効ではないかなと。まだ決定ではありませんが、そういうことを頭の中では考えております。

臼木委員 ありがとうございます。本当に真摯な御答弁をいただき、ありがとうございます。

 大臣も今おっしゃっていただいたように、やはり需給というのは、酪農の生産物である生乳の性質も考えると、やはり需給の見極めであったり調整というのはかなり難しいということは、本当に私もこの間、今回質問させていただくに当たって痛切に感じております。

 今回、まさに需給の見極めは難しいということも酪肉近の案には入っておりまして、今回、国の施策として需給調整機能を確保、拡充していくことが現下の課題ということで、クロスコンプライアンスの導入や客観的なデータに関する情報発信強化なども挙げられておりますし、先ほど大臣がおっしゃっていただいた毎年の検証ということも入っております。

 やはり私がちょっと感じるのは、様々な考え方があることは承知はしているんですけれども、消費者のニーズに応えることも重要だとは思うんですけれども、生産基盤がなくなっては元も子もないことだと思っております。地域の多様な生産者の声も耳を傾けていただき、本当に酪農形態というのは、北海道内を見るだけでも多様な形態、経営環境がありますし、それが都府県に行けば、ちょっと私もまだまだお声を全然伺えてはいませんが、様々な形態があると承知をしておりますので、こういった多様な生産形態、生産者に寄り添った目標設定ということを行っていくべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 まさに言われるとおりでありまして、例えば、都府県の酪農家においては、数十頭でしか飼育はしていないけれども、自分でつくった生乳については全て製品化して、そしてブランド化をして、大変経営が順調なところもございます。片や、北海道に行けば、いわゆるパーラーのようなものを造って、すさまじい規模でやって、すごくいい人もおられるし、しかし、過剰な設備投資が経営の重荷になって、その償還に苦しんでいらっしゃる方もおられます。

 ですから、経営の形は様々ではありますが、ほかの農業生産と同じように、様々な経営形態、様々な販路、様々な規模において、我々農林水産省としてもしっかり目くばせをしながら、これらの支援策を考えていきたいと考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 最後に、私は、今回質疑をするに当たって、酪農学園大学、帯広畜産大学、北大の学生さんたちとも意見をお伺いした際には、やはり先行きが見通せない中、新規就農というのはなかなか難しいんじゃないかとか、あとは、現場の皆さんからは、不測の事態になったときに施策としてはしごを外されるのではないかとか、本当に厳しいお声を伺っています。

 今回、酪肉近の案を拝見したときには、こういった点の配慮も入っておりますので、是非具体的な施策に反映をしていただきたいと思っております。

 ちょっとお時間が来ておりますけれども、可能であれば、酪農家の皆様方に、安心して安定的な供給をこれからも続けていってほしいというメッセージを是非大臣、お届けをいただけないでしょうか。

江藤国務大臣 牛乳を国内で生産していただくということ、特に生乳を供給していただくということは、国民にとって欠かせないものでありますが、これがなくなってしまったら大変なことになってしまいます。

 ですから、是非我々もしっかり、この酪肉近の案をまとめるに当たってもそうですし、これからの施策をまとめるに当たっても、今まで以上に現場の気持ちに寄り添う。局長から言ったように、やはり脱粉の処理というのが一つの肝になりますから、それによって、生乳において四回価格改定、そして、加工乳を入れると四回価格の改定につながりました。そういった実績も踏まえて、いいものについてはいい教訓として、悪いものについては反省をしながら、しっかりやっていきたいと思っております。

臼木委員 ありがとうございました。

 以上で質疑を終わります。

御法川委員長 次に、簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。

 基本計画に関する質疑ということで、今回、この基本法が四半世紀ぶりに改正をされて、初の基本計画ということでございます。初動五年間を農業構造転換集中対策期間というふうに銘を打っているということもありますので、しっかりと、最初の段階での予算の確保というものが私は大変重要だと思いますので、それについてお伺いをしたいというふうに思っております。

 これまでも今日、いろいろな予算に関して大臣の意気込みについて質問がありましたけれども、私は、よりちょっと現実的に、ざくっと予算を増やせという話ではなくて、基本計画を作って、そして、それに基づいて具体的な取組を一つ一つやります。ですから、それに必要な予算については財務省が何と言ってもしっかりと確保していく、そういう強い意気込みが必要なんだと思います。そしてまた、初動五年間ということでありますので、やはり中期的に、安定した見通しを生産現場にも持っていただくという意味で、言うならば国土強靱化予算のような形で、しっかりとした形で中期的な予算、これを財政当局とも話をつけて確保していく、こういう試みも必要なのではないかというふうに思います。

 その上で、大臣からの意気込みをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

江藤国務大臣 簗委員は、私が最も信頼する、農林族の中の中核的なメンバーでありますので、この基本法の改正に当たっても、ずっと部会長として私を支えてくれましたし、宮下現調査会長もまさに私の親友ですので、もう本当にスクラムを組んでやってきたことであります。

 そして、この集中期間五年間ということを最初に言い出したのは宮下元大臣でございます。宮下大臣のその発言に対して、みんながそのとおりだと、この五年間で集中的に頑張ろうということでありますから、まさに簗委員がおっしゃるように、最初が肝腎で、そして、八年度の予算について必要な予算についてはしっかり獲得をする、その気持ちは強く持っておりますが、そのためにこの基本計画をしっかりとしたものにする。

 そして、理想は、党内で随分議論をいたしましたが、国土強靱化五か年計画のように中期計画を立てられれば、まさに政府としての意気込み、農政に対する姿勢を明確に示すことができますので、それがベストだと思っております。

 それに向けては、様々越えていかなければいけない、財務とは言いませんが、壁もたくさんありますので、是非これは、今回、農林水産委員会、まだ始まって回数は多くありませんが、全ての政党の方々から応援もいただいておりますし、与党にも本当に頼もしい仲間がたくさんおりますので、自民党、公明党はやはり核となって、そして、与党の先生方の御意見もしっかり承って、この目的が達成できるように頑張っていきたいと考えております。

簗委員 大臣、大変力強い御答弁、ありがとうございます。まさに大臣のリーダーシップ、本当に様々な政策を機敏に打っていただいているということで、私はありがたく思っております。

 次に続く話が、今回の水田政策の見直しという部分につきまして、令和九年度以降の在り方については検討していくということはメッセージとして出していましたけれども、もう早々に、今の段階で、見直しの方向性について、大臣のリーダーシップで出していただいた。これは生産現場も大変に安心して、よくやってくれたという声をよく聞いておるところであります。

 今後の取組として、令和九年度以降になりますけれども、しっかりと水田、畑地にかかわらず必要なものについては生産振興を図っていくということでありますので、交付単価をしっかりとその水準を維持をする、また、それ以上に高めて確保していく、こういうことが必要なんだというふうに思います。

 現場にとっては、じゃ、この後、それだけ、水田、畑ということで、対象の面積が広がる可能性もあるので、単価が薄まってしまうんじゃないか、そういう懸念もあります。これから財務当局との折衝ということになろうと思うんですけれども、是非、この交付単価、しっかりとした水準を取って、そして予算をしっかり確保していく、この意気込みを庄子政務官からお伺いしたいと思います。

庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。

 水田政策の見直しの検討をスタートするに当たりまして、今般は大きな方向性をまずはお示しをしたという段でございます。この上で、この大きな方向性について、与党、野党の垣根を超えて議論をしていただくこと、そして、現場の皆様、関係団体の皆様から丁寧に意見を伺っていくこと、それを基に基本計画をしっかり策定をしていくことということの順だというふうに思っております。

 今委員がお話しをいただきました交付単価水準、まさにこれが肝になりますので、肝であるがゆえにしっかりとした調査を行うということ。そして、それをよく整理、分析をした上で、七年度中に方針を策定し、八年度夏の概算要求、そして九年度からの事業の実施、こうしたものにしっかりとつなげてまいりたいというふうに思っておりますので、引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。

簗委員 ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 次に、地域計画の実効性の確保について伺ってまいりたいというふうに思います。

 この三月末までに各自治体から地域計画が提出されるということでありまして、十年後の地域農業の姿について、目標地図が作成されるということになります。策定後の地域農業の目標とする姿の実現に向けた取組をしっかりと支援をしていくということが重要になろうかと思いますし、また、一旦、策定して終わりということではなくて、継続的にこれをブラッシュアップしていく、不断の見直しも行っていくということが不可欠であります。

 ですから、これまでの枠組みでは、これを法定化をして作るということになりましたけれども、策定して終わりではなくて、その後も何か国がしっかりと関与をした枠組みのようなものをつくって、継続的に改善していく、こういう仕組みが必要なんだろうというふうに思います。その点についてお伺いしたい。

 それから、地域計画とそれから国全体としての基本計画に基づく数量目標等があります。この辺も関連をさせて、様々な政策を打つ必要があるというふうに思っています。それぞれに特化した産地を形成していくというやり方もあろうかと思いますし、是非、全体の基本計画を進める上で、この地域計画をより実効性のある形で利用していくということが必要になろうかと思いますので、そういった面も含めて答弁をお願いしたいと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 地域計画につきましては、地域の課題や今後の方針が定められておりまして、その実現に向けて、地域の実態に応じた担い手への農業用機械、施設の導入、また、受け手がいない農地への新規就農者の呼び込みなどの取組を支援しているところでございます。

 一方、委員御指摘のとおり、地域計画の内容は様々でございますので、地域計画は、策定して終わりではなく、よりしっかりとした内容にブラッシュアップしていただくことが非常に重要と考えております。

 農水省としても、地域計画の分析をしっかりと行って、優良な取組を全国に展開するとともに、更なる検討、協議が必要な地域についても、都道府県や市町村と協力して、丁寧にサポートしてブラッシュアップしていきたいと考えております。

 また、次期基本計画の内容については、現在企画部会で御議論いただいておりますけれども、その中でも、地域計画を核として様々な施策を講じるということが提案をされております。

 そのため、全ての基本計画の内容をしっかりと分析をした上で、受け手がいない農地、これは地域計画の中で相当明らかになってくると思いますけれども、それを適正に利用するための取組、また、品目ごとの生産性を向上するために集約化を進める取組など、農地の適正利用と生産性向上に向けた施策の検討を更にしっかり進めていきたいと考えています。

簗委員 地域計画の策定によって担い手というものがより明確になって、そして、農地を地域の中で積極的に引き受けていただくという経営体に対しての支援というものもより強化をしていかなきゃいけないというふうに思っています。農業機械、施設等の導入に係る個者支援の在り方、これまでは産地というものに着目をして、産地の取組に対してそういったものも支援をしていくという形になっていたんですが、私はより個者というものに着目をした支援というものも充実させていく必要があるというふうに思っています。

 現状では、担い手確保・経営強化支援事業等がありまして、農業機械等の導入に係る支援に対して行っておるわけですけれども、予算の制約によってポイント制度というものが設けられていて、私の地元でも、大変意欲がある農業者の皆さんであっても、十分にそれが行き渡っていないというケースが年ごとにあったりとか、そういうケースが見受けられます。

 非常に要望も強いものですから、是非この辺の制度の改善と、それから予算を私は大幅に増やしていただきたいというふうに思っております。御答弁お願いします。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の担い手確保・経営強化支援事業等では、地域計画に位置づけられた者を対象に、経営改善に必要な農業用機械、施設の導入等を支援をしております。

 委員御指摘のように、地域計画に基づき農地を受ける者、これは基本的には個者でございまして、そうした者が農業経営体の規模拡大を行う、若しくは機械化を進めるために、本事業に大変強い要望がございまして、採択率がある程度低いというのも実態でございます。

 このため、令和六年度補正予算で二十七億円を措置するとともに、令和七年度予算において、前年度のほぼ倍の予算額、十一億から二十億を措置したところでございます。

 また、地域の農地を積極的に引き受け規模拡大を目指す担い手を支援するため、地域農業構造転換支援タイプを新設し、補助上限額の引上げを行うとともに、リース導入を定額補助をするという支援対象の追加などの拡充を行ったところでございます。

 今後、農業者の減少、高齢化が進む中、現在より相当程度少ない経営体で食料生産を担っていく必要がございますので、地域の農地を積極的に引き受ける経営体のニーズを踏まえ、こういった者が持続性の高い農業構造の実現に必要な支援を行えるよう、今後とも支援の在り方をしっかり検討し、必要な予算を確保していきたいと考えております。

簗委員 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。私もしっかりとその辺の検討には関与をして、これからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 次に、畜産、酪農関係に話を移したいと思います。

 国産飼料基盤に立脚した畜産、酪農経営が重要だということで、今回の酪肉近についてもその辺を大きな一つの柱として議論をさせていただきました。畜産農家も、今話がありましたこの地域計画の策定においてしっかりと関与してもらう、畜産農家の側から、団体等を通じてでもいいですけれども、しっかりと、飼料がどれだけ必要だとか、そういう話を投げかけていただいて、積極的に関与していく、こういうことが引き続き必要なんだろうというふうに思います。

 それからまた、実需に基づく飼料作物についてはしっかりと支援をしていくということなんだと思います。先ほど水田政策の見直しがありましたけれども、従前の飼料用米やWCS等のみならず、畑地化して作っているような飼料作物についてもしっかりと、交付単価の話もさっきありましたけれども、支援をしていく、こういうことが重要になろうかというふうに思います。

 それから、あと、飼料については生産の地域偏在というものがやはりありまして、それを広域で融通していくという広域流通体制の構築も従来からの課題ですけれども、改めて必要になろうかと思います。その辺を含めて御答弁をお願いしたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 畜産経営の安定を図るためには、委員御指摘のとおり、国産飼料基盤に立脚した経営に転換すること、こちらが重要と受け止めております。

 このため、農林水産省におきましては、飼料生産の地域計画への位置づけを促し、耕畜連携による地域の実情に応じた国産飼料の作付拡大、こちらを推進してまいりたいと考えております。

 また、飼料生産の重要な担い手でございます飼料生産組織のオペレーターの育成、確保、作業機械の導入の運営の強化、草地改良、大区画化等の草地基盤の整備、耕畜連携にも資する飼料用穀物、食品製造副産物といった地域の飼料資源の活用、効率的な飼料輸送等によります販売、流通の拡大、これらの取組を推進してまいりたいと考えております。

簗委員 ありがとうございます。

 続いて、牛乳・乳製品の需要拡大について触れてまいります。

 生産者の皆様に意欲を持って酪農を営んでいただく、その上では、やはり安心をして搾れるという環境が必要です。要は、需給の変動によりまして、せっかく搾ったのに売れないという状況になると、また需給調整、生産抑制という話が始まってしまいます。

 こういうことがあってはなりませんので、先ほど来の答弁の中でも、この需給環境をしっかりと整えていくのが国の役割だというお話がありましたけれども、こういう取組を進める中で、私が、やはりこれから最も重要になるのが、需要の拡大をしっかりとやっていくということなんだろうと思います。これは官民を挙げて協調してやっていくということだと思いますし、乳業メーカーだけではなくて、生産者の皆様にもより積極的に関与をしていただいて、牛乳・乳製品の需要拡大をやっていく必要があります。

 酪肉近においても将来推計のようなものも記述をされていますけれども、飲用のものについては、牛乳については十万トン需要が下がるという見通しであります。また、脱脂粉乳を使った様々な乳製品、こういうものも需要を拡大していかなければ、引き続き在庫低減の対策が必要になるということでもありますので、まずは、生産意欲を持って生産を拡大していただく前提として、需要を国を挙げて拡大していく、牛乳・乳製品をよく消費していただく、こういう国民運動的なものが必要になると思うんですけれども、今までの需要拡大の取組に対する評価、そして今後の具体的な取組の内容、方向性について、見解を聞きたいと思います。お願いします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 輸出を含めました点でお答えさせていただきたいと思っております。これまでも、この輸出を促進するために、生産者、メーカー、輸出事業者で構成しています各産地のコンソーシアムの活動や、輸出対応施設の整備などを支援してきております。輸出額につきましては、令和四年以降、三百億円を超え、順調に伸びてきているところでございます。今後も、アジアを中心に、更なる牛乳の伸びに期待しているところでございます。

 また、国内につきましては、これまでの需要拡大に向けた民間による取組、こちらを国が支援することにより、脱脂粉乳の需給も相当程度改善はされてきたところでございます。

 需要拡大の具体的な取組としましては、官民で連携します、牛乳でスマイルプロジェクト、こちらにおきましては、委員御地元の栃木産牛乳を用いた料理専門学校による新商品パンの考案、また、大手乳業によりますミルクコーヒーなど新商品の開発、業界を挙げた広報などに取り組んでおります。

 今後とも、生産者の方々が所得を向上させながら安心して生産していけるよう、関係者が目線を合わせながら、牛乳・乳製品の需要を全力で拡大させていくことが重要と考えております。

簗委員 是非輸出を、いろいろ可能性を探っていただきたいというふうに思います、せっかく品目団体という制度もできておりますし。牛乳・乳製品で首長さんがトップセールスをやったというのも私は余り聞いたこともないものですから、アジアを中心にLLとかそういったものは非常に可能性があるというふうに思っておりますので、旺盛な乳製品・牛乳の需要を取り込んで、そして、ここで生産の拡大に寄与できるような環境づくりを是非していただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、食と農への消費者の理解醸成に向けた取組というところに触れていきたいと思います。

 食料安全保障がしっかりと明記をされて基本法が改正をされましたけれども、何といっても、その肝は消費者の行動変容なんだというふうに思います。

 合理的な費用が考慮された価格形成というものを行うにしても、消費者がそれをしっかりと負担する意思がなければいけません。当然、経済状況もよくして、負担する能力というものも、国の経済政策としてやらなければいけないですけれども、やはり食育、食農教育ということで新しく今進んでいますけれども、こういったことも含めて、農の現場を理解して、そして農業を支えていくための自分たちの行動というものはどうあるべきなのか、こういった思想の転換と行動変容をやはり消費者自身が起こしていく必要がある。これが食料自給率の向上にもつながるんだというふうに思います。

 その上で、党としても今、プロジェクトチームを立ち上げまして私が座長として取り組んでいるわけですけれども、様々な取組をこれからしていく中で、農水省として、やはりしっかりと、まず私は省内の体制を強化していただきたいというふうに思います。消費・安全局が担当していますけれども、やはり体制的にはもっと強化して、消費者政策というものをしっかりと農政の中に位置づけてやっていく必要があると思います。

 それから、食育、学校の現場では文科省と連携していますけれども、他省庁との連携というものもこれから重要になります。大人の食育という言葉も使っていますけれども、それぞれの企業も様々な取組をしていますので、経産省や厚労省、こういったところも含めて、省庁間の連携も強化していく必要があるというふうに思っています。

 民間主体も巻き込んだ協働の場をつくって、そして国民一丸となって、消費者の理解醸成と行動変容につなげていく必要があると思っておりますので、是非今後の意気込みについて、消費・安全局からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

安岡政府参考人 御指摘のとおり、国民の食や農への理解醸成、そしてこれに基づく行動変容を進めるというのは極めて重要でございます。こうした中で、改めて食育が重要になっているというふうに認識をしております。

 消費・安全局、しっかり取り組めというお話でございますが、我々としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 今後の取組でございますけれども、学校などでの子供たちへの食育の強化、これはもちろんのことでございます。これからは、学校を卒業した後の大人に対する食育、言い換えれば大人の食育が重要だというふうに考えております。このため、食品企業などを巻き込んだ大人の食育の活動の推進、さらには、こうした取組を進めるための推進体制の構築なども進めていきたいと考えております。

 また、生産現場への理解の増進ということで、体験活動が重要でございます。子供の頃から食や農に対する理解を深めていただくということで、農林漁業教育、こういうものも進めていきたいと考えております。そのためには、やはり文部科学省など関係省庁と連携を一層密にして取り組んでいきたいと考えております。

 引き続き、様々な議論を伺いながら、民間企業、他省庁との連携を図りながら、新たな施策にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

簗委員 ありがとうございました。

 将来の我が国の農業の在り方、そして国民生活を決める、そうした重要な基本計画になるというふうに思いますので、引き続き、大臣を始め皆様方のリーダーシップの下で、我々もしっかりと協力をしていきますので、すばらしい基本計画を作れることをお祈りをして、そして我々もしっかりとやることをお誓いをして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会


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