第4号 令和6年12月19日(木曜日)
令和六年十二月十九日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 池畑浩太朗君 理事 橋本 幹彦君
石橋林太郎君 江渡 聡徳君
大空 幸星君 加藤 竜祥君
金子 容三君 黄川田仁志君
草間 剛君 栗原 渉君
小森 卓郎君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 関 芳弘君
土田 慎君 中曽根康隆君
長谷川淳二君 福田かおる君
松本 尚君 向山 淳君
山本 大地君 若山 慎司君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
伊藤 俊輔君 重徳 和彦君
下野 幸助君 松尾 明弘君
阿部 弘樹君 平岩 征樹君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
赤嶺 政賢君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
防衛大臣 中谷 元君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 斉田 幸雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 三宅 浩史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 安部 賢君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 加野 幸司君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
(防衛省大臣官房審議官) 家護谷昌徳君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 大和 太郎君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 青柳 肇君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 田中 利則君
政府参考人
(防衛装備庁装備政策部長) 坂本 大祐君
政府参考人
(防衛装備庁プロジェクト管理部長) 嶺 康晴君
安全保障委員会専門員 花島 克臣君
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委員の異動
十二月十九日
辞任 補欠選任
草間 剛君 大空 幸星君
鈴木 英敬君 栗原 渉君
鈴木 隼人君 山本 大地君
中曽根康隆君 若山 慎司君
福田かおる君 長谷川淳二君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 草間 剛君
栗原 渉君 小森 卓郎君
長谷川淳二君 松本 尚君
山本 大地君 鈴木 隼人君
若山 慎司君 石橋林太郎君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 加藤 竜祥君
小森 卓郎君 土田 慎君
松本 尚君 福田かおる君
同日
辞任 補欠選任
加藤 竜祥君 中曽根康隆君
土田 慎君 鈴木 英敬君
―――――――――――――
十二月十六日
平和、命、暮らしを壊す大軍拡、大増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一五号)
同(志位和夫君紹介)(第二一六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二一七号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二一八号)
同(田村貴昭君紹介)(第二一九号)
同(田村智子君紹介)(第二二〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二二一号)
同(本村伸子君紹介)(第二二二号)
同(志位和夫君紹介)(第二五七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国の安全保障に関する件
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○遠藤委員長 これより会議を開きます。
国の安全保障に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、警察庁長官官房審議官松田哲也君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾崎正直君。
○尾崎委員 どうもおはようございます。
中谷大臣、今日は本当に、こういう形で安全保障委員会で初めての質疑で、大臣に御質問させていただくのは光栄でございます。いつも高知県でお世話になっておりますので、長年御指導いただきまして、本当にどうもありがとうございます。
必ず十分間で終わるようにという厳命を受けておりますので、早速質問させていただきたいと思います。
言うまでもないことでありますが、中谷大臣が所信で述べられましたように、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっているところであります。北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返し強行しておりますし、ロシアは、この北朝鮮と軍事協力を深めております。さらに、中国は、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化し、台湾に対する軍事的圧力を高め、更に南シナ海での軍事拠点化を推し進めているところであります。
こういう中にあって、我が国としても、しっかりと抑止力を強化して、平和を守り抜くためにも抑止力を強化していくということが極めて大事か、そのように考えるところです。そして、こういう中で、我が国の防衛力整備、今、スピード感を持って進めていく、そういう状況にあろうかと思います。大臣所信でも、スタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力という将来の中核となる能力を強化するとされているところでありまして、是非スピード感を持って進めていただきたい、そのように思います。
しかしながら、このような将来の中核となる能力と言われているもの、この実効性を確保するためには、同盟国、同志国との連携を併せて強化することも極めて重要だろう、そのように思うところです。例えば、このスタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、いずれにしても、ミサイル発射の探知からターゲティング等につきまして、瞬時に情報共有を図る体制を平時より構築していく必要があります。日米同盟を基軸として、日米韓、日米比の多国間協力を進めていくことは、外交上、安保上のマクロの連携強化に加えて、抑止力の具体的な実効性を高める観点からも極めて重要だと考えるところです。
しかし、誠に残念ながら、現在、岸田政権でこれまで積み上げてきた多国間協力の先行きは不透明となっております。一月にはトランプ新政権が発足しますが、新政権には、この日米プラスアルファの多国間協力を進めていくことの必要性につき、しっかりと理解を得ていかなければなりません。他方、問題は韓国であります。韓国では、防衛交流が本格的に再開されようとする矢先、まさにこのときにあって、青天のへきれきとも言える展開でありますが、突然非常戒厳が宣布され、尹大統領の弾劾訴追案が可決されたという状況でありまして、極めて先行き不透明な状況となってしまっています。
外交努力によりまして、トランプ新政権や今後の韓国の政権に日米韓の協力強化の必要性につき理解を得ていくことが重要でありますが、あわせて、防衛当局間でも、ミサイル関連情報の共有などの防衛協力を着実に進めていく必要があろうかと考えるところであります。
この点に関しまして、防衛省としての今後の対応方針につきまして中谷大臣にお伺いをいたします。
○中谷国務大臣 尾崎委員には、高知県の知事時代から安全保障につきましては大変高い御見識をいただいておりますが、特に平和安全法制の審議のときには、高知県で地方公聴会を開催しまして、そのときに参考人として御意見もいただきました。また、日米の共同訓練など高知県でも開催いただいたり、お世話になっております。
今日、韓国の御質問でございますが、今、北朝鮮情勢を始めとしまして、我が国が戦後最も激しく複雑な安全保障環境に直面している中で、日米韓の三か国の連携というのは、地域の平和にとって、安定にとっても非常に不可欠でございます。
特に韓国との関係は、木原稔筆頭理事が防衛大臣のときに、六月にシンガポールで日韓防衛相会談、また七月には東京で日韓防衛相会談を開催いたしまして、非常に防衛協力のことには前進がありましたが、御指摘の日米韓、この三か国におきましては、最近では七月に三か国の関係閣僚会合、木原大臣のときでございますが、を開催しました。それから、参謀長会議、今年九月にはDTTという実務者協議を実施いたしました。また、昨年来、安全保障会議では、北朝鮮のミサイルの警戒データのリアルタイムの共有、また複数領域における三か国の共同訓練、フリーダム・エッジを開催し、三か国の協力の制度化を目的とした日米韓三か国安全保障協力枠組みの覚書などに署名しまして、大きな進展を遂げたわけでございます。
引き続き、北朝鮮のミサイルの警戒データのリアルタイムの共有を通じまして必要な情報収集、分析を行いまして、警戒監視に万全を期するとともに、三か国強化のための取組を継続していくということで、地域の平和と安定に貢献していく考えでございます。
○尾崎委員 ありがとうございます。その制度化というのが非常に大事だと思うところでございまして、是非進めていただきたいと思います。
続いて、ちょっと、時間がございますので、一問飛ばしまして通告の三問目から御質問させていただきたいと思います。
抑止力強化の観点からは、新たな能力の獲得などと並んで、いわゆる機動展開能力の強化ということが非常に重要になる、そういう中にあって輸送力の強化などが非常に重要だろうと思います。ただ、あわせて、同時に極めて重要となるのが事態認定の在り方だろう、そのように思います。武力攻撃には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態との要件を満たし得ると考えられる状況に至った場合には、遅滞なく速やかに武力攻撃予測事態の認定を行って、例えば道路交通法の適用を緩和して自衛隊の部隊移動を迅速化させるだとか、さらには国民保護のための措置を迅速に展開できるようにするとか、そういうことが非常に重要だろう、そのように考えるところです。
この点については、予期せぬエスカレーションを防ぐために事態認定のレベルを上げることには慎重であるべきとの意見もあります。しかし、お互いが疑心暗鬼の状態にあるならばいざ知らず、相手国が明確な意図を持って軍事的な対応を強化していこうとしている状況にあっては、武力攻撃予測事態の認定をちゅうちょせず行い、必要な準備を早期に行うことが、抑止力を高め、結果として国民を守ることにつながると思うところであります。
岸田政権において当時の木原防衛大臣は、ちゅうちょせず武力攻撃予測事態を認定するとの趣旨の答弁をされていますが、防衛大臣としてこのスタンスにお変わりはないか、中谷大臣のお考えをお伺いいたします。
○中谷国務大臣 私といたしましても、前任の木原大臣と同様でございまして、武力攻撃の予測事態の認定は、我が国として、抑止のための態勢を構築して、もって武力攻撃の発生という最悪の事態を阻止しようという意思決定にほかなりません。実際に発生した事態の個別的、具体的な状況に即しまして、政府として、その持ち得る全ての情報を総合的に勘案しまして、ちゅうちょなく認定すべきものであると考えております。
したがいまして、こういった武力攻撃予測事態の認定による我が国の抑止態勢の構築開始を相手側が察知し、それに攻撃の開始があったとしても、それは相手国の一貫した意図に基づく侵攻であって、エスカレーション、すなわち、互いの防衛態勢を誤認した意図しない武力紛争への発展は至らないというふうに考えております。
○尾崎委員 大変心強い答弁をいただきまして、誠にありがとうございます。
防衛力の整備とともに、しっかりと国内において、例えば予測事態を早期に認定するでありますとか、準備行為はしっかり行っていくだとか、そういうような、いわゆる運用上の体制整備をしっかり図っていくことも大事だと思いますし、またあわせて、同盟国、同志国との情報共有、これはサイバーセキュリティーの体制の強化ということも含めて大事なんだろうと思うわけでありますけれども、是非、これから非常に重要な時期を迎えるわけでございまして、防衛省そして外務省の皆様が連携して、しっかりとした対応を取っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 午前中最後の質問となりました。私は、兵庫県の西播磨、中播磨から参りました、日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
安全保障委員会では初めての質問をさせていただきたいというふうに思います。本日は、大臣所信に対する質問であります。
私の地元にも、陸上自衛隊の姫路駐屯地があります。候補生の入隊や行事にはいつも御招待いただきまして、参加させていただいております。県議時代にも、伊丹の千僧駐屯地がありましたので、自衛隊とは御縁がございます。都度、防友会とか隊友会にも参加させていただきながら、自衛隊の皆様に御縁を感じさせていただきながら、今回質問させていただきたいと思います。
大臣所信では、人的基盤の強化と大臣は言われました。以下、人的基盤の強化について質問させていただきたいと思います。
自衛官の定員の充足率の向上、優秀な人材の確保、そして自衛官という仕事に魅力を感じていただくためには、現在、自衛官の処遇改善が喫緊の課題となっているというふうにお聞きさせていただいております。こういった質問に至ったのは、私の選挙区であります赤穂市に海上自衛隊の方が来られまして、せっかく安全保障委員会に所属をしたので、どういったことが課題ですかという質問をさせていただいたところから始まりました。
自衛官の衣食住の部分についていろいろお話を聞かせていただきましたが、着るものや食事に関してはかなりいいんだというふうに聞かせていただきました。その中で、やはり住については、本当に若手の方々が住まいするには少しちょっとしんどいんだということでありました。
防衛省では、二〇二三年度から五年間の防衛力整備計画で、自衛官の生活環境の改善に向けての予算をつけて、これから取り組んでいこうというふうにされておられるというふうに聞きました。全国にある自衛隊の官舎を建て替えたり改修したりするにはこの先もまだまだ時間がかかるというふうに思いますが、全国で大体四万九千戸ほどあるというふうにお聞きさせていただいておりますが、老築化した官舎の建て替えは順次進めていくとしても、地方には入居者のいない民間住宅も多数あるというふうに思います。まずは、こうした民間住宅の借り上げなどを含めて検討されているというふうに思いますが、今どういう状態かお聞きさせていただきたいと思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省におきましては、国設宿舎のほか、地域の事情等を踏まえて、民間住宅の賃貸物件を借り上げて公務員宿舎として活用し、必要数を確保しております。具体的には、民間賃貸の借り上げ宿舎は、防衛省・自衛隊宿舎の総戸数の約一割となっております。
また、宿舎の老朽化対策につきましては、宿舎の建て替え、外壁改修及び内装のリノベーションなどの大規模な全面改修、そして、外壁、内装、給排水設備改修などを実施する中規模な部分改修、これらを組み合わせた計画的な措置を実施していくことで居住環境を改善していくこととしております。
自衛隊がその能力を十分に発揮し、士気高く任務を全うするためには、隊員及びその家族の居住環境の改善に取り組むことが重要です。今後も、必要な予算をしっかり確保しまして、これらの取組を推進してまいります。
○池畑委員 今答弁いただきましたとおり、四十年たっている宝塚の官舎、私の近所にありましたけれども、やはり、魅力的な居住空間をつくっていただき、そして、隊員の方々がしっかりと国を守れるような環境というのは大事だというふうに思いますので、是非御検討をよろしくお願い申し上げます。
次に、大臣所信で述べられた人的基盤強化の第二なんですが、少し角度を変えて質問させていただきたいと思います。
武器弾薬や燃料といった軍需品、医療品、そして食料などの生産、補給、輸送、兵たんこそが軍事情勢の判断をする上で重要であるというふうに言われておりますが、ここは、我々日本が歩んできた、そして歴史が明らかにしていることだというふうに思いますけれども、二〇二二年の十二月に閣議決定をされました国家防衛戦略では、防衛力の抜本的な強化に当たり重視する能力の中で、自衛隊の継戦能力を確保するため、これは持続して戦うということなんですが、必要十分な弾薬、燃料等の早急な保有や、自衛隊の継戦能力向上のために衛生機能の強化について明記しておりますが、しかし、我が国の継戦能力の確保を考えるに当たりまして、防衛力の中核でもあります自衛隊員が作る食料についても、その質、量共に十分な確保に努めていく必要があるというふうに考えておりますが、そういった言及は見当たりませんでした。
これも、先ほどの赤穂の話と一緒で、なぜこういう質問に至ったかといいますと、自衛官の方が、池畑さん、大体二十何万、有事があってはいけないんですけれども、自衛隊が動くとして、大体どれぐらいの自衛隊が食料を確保して戦争ができると思いますか、戦争というのは有事、これはあってはいけないことなんですが、有事があったらいけないというふうに思うんですが、大体、私、一か月か二か月ぐらいもつんでしょうかという話をしましたら、大体四日か五日ぐらいしかもたないんですよということを言われました。
というのは、いろいろな意味での四日か五日だというふうに思うんですが、戦闘態勢になる段階だとか、非戦闘のときの食料だとか、いろいろあるというふうに思いますけれども、ナポレオンは、軍隊は胃袋で行進するというふうに言われていました。有事に際しても、特に食料の重要性を指摘しています。食料はエネルギーの塊とも言われておりまして、その生産には多くのエネルギーが必要であるため、エネルギーの海外依存度が高い我が国にありましては、輸入がなくなった場合、どういったところで危機に備えるかという検討が急がれているというふうに思います。
これは自衛隊の食料確保にとどまらず、広く国家の安全に及ぶものであるというふうに思いますが、また、日本の継戦能力の確保に係る問題であるというふうに私は考えております。
我が国の食料確保についても、今回は大臣政務官が答弁いただけるということなんですが、私は、お父様の農林水産大臣の金子原二郎先生にもいろいろ御答弁をいただきました。今回は、そういった農業の関係も含めまして、その食料の確保について、大臣政務官はどういうふうにお考えか、答弁をいただきたいと思います。
○金子大臣政務官 父も大変お世話になりまして、ありがとうございました。
お答えさせていただきます。
自衛隊におきましては、様々な事態を想定した上で、長期保存が可能で、有事を含め、災害派遣や訓練等で使用する非常用糧食等について、必要と考える数量を確保しております。
その上で、委員御指摘のとおり、糧食の確保につきましては、自衛隊が継戦能力を保持する上で重要な役割を果たすものであると認識しておりまして、引き続き、あらゆる事態に対応できるよう、必要な数量について確保してまいりたいというふうに考えております。
○池畑委員 一歩踏み込んだ質問をちょっとさせていただきたいと思うんですが、やはり、自衛隊が食べる食料、今、継戦的な食料を確保するというふうな答弁もいただきましたけれども、私のおいも、自衛官に所属をしていたときに食料部隊におりまして、その食料部隊という中でも、次の質問にもつながってくるんですが、やはり生産する能力を持ってもおかしくないんじゃないかなというふうに思いますので、食料を確保しつつも、生産力を上げていく、農業ができる部隊もつくっていくべきじゃないかなというふうに思いますが、政務官、どういうふうにお考えか、答弁いただきたいと思います。
○金子大臣政務官 お答えをいたします。
自衛隊の中で食料を作る専門の部隊をつくってもいいのではないかというふうな御質問というふうに認識をしております。
やはり、我が国の人口減少が継続しており、また深刻な人手不足社会の到来が現実のものとなる中で、限りある自衛隊の人的資源でございます。今、充足率は九〇%という状況でもございますし、自衛隊しか担えない業務に有効活用していく必要があるというふうに考えております。
また、御指摘のとおり、食料の確保は継戦能力の確保という点で重要ではありますけれども、食料は市場で十分に確保できる、調達できるというふうに考えておりまして、限りある自衛隊の人的資源を有効活用するという観点からは、食料を生産する自衛隊の部隊を新編するというふうな考えは、現時点におきましてはございません。
○池畑委員 ありがとうございます。
なぜその質問をさせていただいたかといいますと、その次につながる質問であります。
それでは、次の質問に移らせていただきますが、一般公務員より退職年齢の早い自衛官の再就職の支援も、自衛官の処遇改善については、重要な課題の一つであるというふうに考えております。
自衛官は、やはりトラクター、そしていろいろな、トラクターだけではなくて機械を運転できるというところで、大分シンクロするというような形で、さきの参議院で石破総理も答弁されていらっしゃいました。
また、これから質問させていただく内容は、昨日、農林水産委員会で質問させていただきまして、江藤大臣からも、今、新たに学び直すリスキリングというのは政治のトピックスでもあります、防衛大臣にも話をしてみたいというふうな答弁をいただきまして、是非ちょっとお聞きさせていただきたいんですけれども、今回は、十二月の十三日、先ほど総理が答弁をされた内容でもありましたけれども、参議院の質問の中で自衛官の話が出てまいりました。
退役自衛官に農業をやっていただくというのも一つの方策ではないかという質問だったというふうに思います。関係閣僚会議でも、文科大臣も総務大臣もいろいろと答弁されていらっしゃいましたけれども、その中に農林水産大臣系が答弁をする順番が回ってこられて、これからは退役軍人の方が農林水産分野でも活躍をしていただけるよう、更に研修機会の提供や現場とのマッチングに向けて関係する組織団体や情報発信を強化するということで、いつも言われております。
これも、なぜこういう質問に至るかといいますと、先週、兵庫県知事が国の予算編成に対する提案を持ってこられた際に、企画部長共々、我々国会議員たちに説明されました中に、農業大学校が今回新たに、これは仮称というふうに書いてありましたが、有機農業アカデミーで、概要と施設の整備も入っておったんですが、三億二千万ほどの結構高額な予算を計上しておりました。
その中で質問をさせていただいたんですが、閣僚会議の内容でいろいろな、こういうふうに情報発信をしていくとか、組織、団体にちょっと伝えていきますよみたいな話があるんですよというふうなことを齋藤知事に伝えさせていただきましたら、是非、先ほど申しました千僧だとか姫路だとか、やはり兵庫県にはたくさんの自衛隊の方が活躍をしていただいておりますので、そういった再就職先にも兵庫県は二年前ぐらいから取り組んでいるんだというふうな話でありました。
であれば、具体的に今、金子政務官からも答弁いただきましたが、具体的にはさすがに農業をやっていただく部隊というのは今の段階では難しいというふうに思いますが、退役の方でありましたらやはり気力も体力もある、そしてセンスもあるということでありまして、四十九歳の壁というのを質問されていらっしゃったんですね、参議院の先生は。補助金が出ないとかという話だったんですが、その前の段階で、やはり五十六歳で退官していかれる自衛官の方々に、やはり二年間ほどの研修は絶対に必要だというふうに思います。
そもそも、そういった農業というのは、昨日農林水産大臣も言われていましたけれども、参入していくには案外ハードルが高いです。いろいろな技術、野菜を学ぶような技術もありますので、なかなか簡単じゃない。だったら、兵庫県だけのみならず、全国に農業大学校がありますので、その農業大学校で二年間研修をしていただいて、できればこれは防衛省に予算を組んでいただきまして、そういった枠をつくっていく。
先ほど、有機農業アカデミー、仮称、これは十名ほど募集するということだったんですが、自衛官の枠を持っていただきまして、各五百名ぐらい、全国で五百名ぐらいになると思いますので、是非、退役自衛官の方々に農業大学校で学ぶ枠をつくっていただいて、その後農業をやっていただくということを具体的に推進していってはどうかという質問をさせていただきましたら、先ほどの話で、新たに学び直すリスキリングが政治のトピックスでもある、防衛大臣にも話してみたいというふうな話でありましたので、是非、この話を聞いて防衛大臣がどう思われるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中谷国務大臣 池畑委員から、農業大学校に退職自衛官の受入れ枠を設けて退職自衛官の就農を推進していけばどうかという非常に建設的な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
陸上自衛隊は、野外で活動したり土に親しむということで、そういう点におきましては非常に適性がある部分もございます。
農業大学校は、全国四十一都道府県に設置されておりまして、農業の担い手を育成する中核的な機関でございます。これまで防衛省は、退職自衛官の農林水産分野への再就職支援として、農林水産省と連携しまして、退職予定の自衛官向けの業種説明会、また農業インターンシップなどの取組を行っております。
現在、総理を議長といたしまして官邸の方で関係閣僚会議を行っているわけでありますが、自衛官としての知識、技能、経験、これを生かした更なる再就職先の充実を検討しているところでございまして、関係機関が提供しておる学習機会と連携しまして、退職自衛官に対する再就職に向けた職業訓練といった再就職支援の取組を強化していくということは重要でありまして、今後とも、農林水産省と連携しまして、農業大学校での研修の実施など、就農を希望する退職自衛官の再就職の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 ありがとうございます。
江藤大臣も言われていましたが、毎日、毎日ですね、誕生日が来ると退官していくんですと。大きな戦車に乗られている方々もそうですし、最新の飛行機に乗られている方も誕生日が来れば退官していくと。いろいろな意味で、これからそういった人材をどういうふうに活用というか、自分の能力を使っていただくか。
農業というのは、やはり、就農人口も少なくなっておりますし、これから希望が持てる産業にしていこうというようなことをやっております。江藤大臣が、大臣に話しかけるというふうに言われていましたので、是非とも聞いていただきまして、進めていただければありがたいなというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
大臣所信では、防衛生産・技術基盤の強化にも述べられておられました。
今日、日英伊の次期戦闘機開発に向けて三か国の政府そして企業の調整を担う政府機関、GIGOを設立する条約が発効しました。三か国の企業が均等に出資するという共同企業体の設立も結構具体的に決まってまいりました。いよいよ開発が本格化しようとしております。他方で、日英伊三か国の政府がこの共同開発にサウジアラビアを加えるという調整に入ったということを報じられております。
木原大臣の頃に、参議院での外交防衛委員会での審議も読ませていただきました。我々が歩調を合わせていくという角度から質問させていただきたいというふうに思います。
サウジアラビアがGCAPへの参加に関心を示していることについては、以前から報じられておりました。これについては現時点では想定していないと、二〇二四年の三月の二十一日、参議院外交防衛委員会での木原防衛大臣の答弁でありました。第三国の参加について予断する段階にない、これは二〇二四年十二月三日に中谷防衛大臣からの記者会見で述べられました。
しかし、次期戦闘機の共同開発を担う政府間機関、共同企業体が設立をされて、出資比率も決まって、いよいよ作業が本格化しようという段階になって、まだ第三国の参加について予断する段階にはないというのはなかなか理解しにくい状況ではあります。GCAPへのサウジアラビアの参画の可能性の報道の事実関係、また、もしこれまでの答弁に変更があるならば国会においてもきちんと説明していく必要があるというふうに考えますが、中谷防衛大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
○中谷国務大臣 GCAPに関しましては、前任の木原大臣のときから各国と調整をしまして、ついせんだってGCAPが発足し、その発表のときに、共同の首脳声明にもあるとおり、GCAPというのは、日英伊三か国の共同の同盟国やパートナー国との協力を念頭に置いて設計されてきたものでございます。したがいまして、現時点で第三国の参加については申し上げる段階には来ておりません。
その上で、GCAPにおける日英伊の三か国の協力は、今後数十年にも及ぶ英伊両国との幅広い協力の礎となるとともに、一層厳しさを増す安全保障環境の中でインド太平洋地域及び欧州地域の平和と安定に大きく貢献するものであると考えておりますので、防衛省としましては、引き続き英伊と緊密に連携をし、次期戦闘機の共同開発、これを着実に推進してまいりたいと考えております。
○池畑委員 サウジアラビアはユーロファイターという飛行機を使っております。その後継機を使うということでありまして、今の答弁をいただきました内容ですと、第三国は参加した方がいいとは余り思われていないというふうに思います。
次期戦闘機、木原元大臣からも答弁をずっとされておられましたとおり、これからどういうふうな枠組みで闘っていくのか、第三国に売っていく場合、やっていくのかというのは、いろいろな意味で、我々、冒頭に申し上げましたとおり、歩調を合わせていきたいというふうに思っておりますし、協力をしていきたいというふうに思いますので、今後とも是非しっかり情勢を見極めながらやっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、最後の質問に移らせていただきたいというふうに思いますが、少し時間がありますので、ゆっくり行かせていただきたいと思います。
最後に、例のフリゲートの最終選定に向けた政府の取組について質問させていただきたいと思います。
大臣所信では、官民一体となって取り組んでまいりますというふうに述べておられました。その中で、今回、防衛装備品の輸出に関して質問させていただきたいと思います。
我が国は過去に、潜水艦の「そうりゅう」の売り込みに失敗した苦い経験がありますが、政府はこの経験からどのような教訓を得て最終選定に乗り込もうとしていらっしゃるのか、まず中谷防衛大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○中谷国務大臣 本件も、前の私が大臣のときの話でありまして、二〇一五年から一六年にかけて、オーストラリア政府が実施した将来潜水艦の選定プロセスにおきまして「そうりゅう」型の潜水艦をベースとした提案を行いましたが、オーストラリア政府は二〇一六年にフランス企業の提案を採用いたしました。一般的に、潜水艦の運用方法は国ごとに異なっておりまして、フランス企業の提案、これがオーストラリアの運用ニーズに最も適合していたために選定されたのではないかなと考えております。
防衛省としましては、こうした経験も踏まえまして、関係省庁、関係企業と密接に連携をした上で、オール・ジャパンの体制で相手方のニーズ、調達事情、政治情勢等に基づいた提案内容の検討が重要であると考えておりまして、このような認識の下に、先日、関係省庁、関係企業を交えたオーストラリア政府の次期汎用フリゲートの共同開発・生産に向けた官民合同推進委員会を設置したところでございます。
引き続き、最終選定に向けたよい提案ができますように、関係企業とまた関係省庁としっかり連携をしまして、官民一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 ちょっと時間がある中で、最後の方の質問の答弁もあったんですが、この潜水艦の「そうりゅう」の売り込みに失敗したという中で、次のフリゲート艦の「もがみ」型までに大体約八年ぐらいありました。その八年間に防衛大臣も何人か替わられましたけれども、官民一体の今委員会を立ち上げたというお話でありましたが、やはりその「そうりゅう」、フランスや、今この「もがみ」に関してはドイツがライバルだというふうにお聞きをしておりますが、このフリゲート艦の候補「もがみ」も、大臣所信で、そろそろ販売ができそうだということまでお話しされたということの意味と、これから官民一体で頑張っていくんだという話でしたが、三菱や川重、いろいろな業者があるというふうに思いますけれども、この八年間にそういったことの委員会が開かれなかった理由、そして、これからは官民一体となっていくんだというふうなきっかけになった流れは、この八年間に何があったか、答弁をいただきたいというふうに思います。
○中谷国務大臣 先日、オーストラリア政府による選考が行われまして、ドイツと日本が選ばれました。我が国はオーストラリア海軍が求める時期に確実に引渡しができる強固な建造基礎、これは有していると考えておりまして、これまでに「もがみ」型の護衛艦を十二隻連続して建造している実績に加えまして、令和六年度型の護衛艦についても、今後十二隻の建造を計画いたしております。
また、我が国が提案する艦艇は、米空母機動部隊にも同行できるスピード、これは三十ノット以上でありますが、それを持っております。そして、米海軍との相互運用性を確保した信頼性の高い武器システムを搭載しつつ、自動化、省人化により、従来の艦よりも大幅に少ない人数で運用が可能となっております。さらにステルス性、これにも優れたプラットフォームを採用しておりまして、オーストラリア海軍の要求を高いレベルで満足するものだと確信しております。
最近の自動車もEV化ということでありますが、実際、コンピューターがいろいろ組み込まれて、いろいろな応用もできるわけでありますので、こういったハイテクの技術も相当組み入れられたものでございます。
今般の絞り込みにおきまして我が国が最終選考に選定されたということは、このような点も含めまして、我が国の優れた技術が結集した令和六年度型護衛艦に対する高い評価と信頼の表れではないかなというふうに考えております。
○池畑委員 やはり、一台、一隻をずっと売り続ける、その実績をつくるということはすごく大事なことだというふうに思います。
先ほどの日英伊で造っておりますユーロファイターの後継機も含めて、どういうふうにこれから、次期戦闘機もそうなんですけれども、販売していくかということは大きな課題になってくるというふうに思います。
いろいろな御意見がある中、また参議院の議論の中にもありましたけれども、いろいろな世界情勢の中で、これから日本がそういった技術を世界とも共有しながら、そして日本が独自に開発していることも含めまして販売していくということに力を入れていくんだというふうなことでありました。
今申し上げました官民一体となっている企業の部分ですね、この企業の部分の方々というのは、かなり情報を交換していくということも大変だというふうに思いますが、少しちょっと戻るんですけれども、日英伊の共同体の前に、アメリカとも組んでいくというような話があったというふうにお聞きをしております。
アメリカはなかなか情報開示をしてこない、そして、一部ブラックボックスのまま進めていくような技術開発の仕方というのはなかなか難しいというお話もお聞かせいただきました。
友好国と組んでいくということは大事なことだというふうに思いますし、これから戦艦も含めてそういった武器を販売、武器というかこういった技術を販売していく上でどういったことに気をつけておられるか。組む国々もあるというふうに思いますが、アメリカとこれからどういうふうな関係で、トランプ大統領との関係も含めて、実際こういった武器の技術提携ということに対してアメリカはどういう枠組みか、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中谷国務大臣 アメリカはかなりブラックボックスという部分がありまして、我が国の製造や開発等につきましては、なかなか情報が分からなかったわけでございます。
そういう点に鑑みまして、今回、オーストラリア政府が次期汎用フリゲートの最終候補に選んでいただいたということで、非常に新たな展開が期待されるようになったわけでございます。
これを受けまして、先ほどお話がありました官民一体、その体制を強化するということで、先般、増田防衛事務次官と三菱重工業の泉澤社長の二人を共同委員長とするオーストラリア政府の次期汎用フリゲートの共同開発・生産に向けた官民合同推進委員会を設置しまして、十二月十三日に第一回の委員会を開催いたしたところでございます。
防衛省、また三菱重工業に加え、三菱重工に関連する日本の代表するようなハイテクの技術を持った企業も参加いただいておりまして、そういった民間のこういった技術、それに官側からは内閣官房、外務省、経済産業省、財務省、国土交通省といった各省庁、そして民間には本事業に参加する企業が参加しておりまして、まさにオール・ジャパンの体制を取ることができたわけでございます。
引き続きまして、いろいろなアイデアや、また販売におけるノウハウ、そして今後の進め方など、ここで協議いたしまして、緊密に連携して、最終選定が行われるように、更にいい提案ができますように、官民一体となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○池畑委員 今大臣から、オール・ジャパンというお話がありました。軍事産業に関わる企業がどんどん撤退していく中、防衛省も大分応援していこうというような企画を考えておられる。そして、今、そのフリゲート艦もそうなんですけれども、次世代の技術を搭載したような形のものも含めてやはり企業を支えていく。販売している官民一体の事業もそうなんですけれども、やはり、今大臣がお話をされたように、新しい技術を持った企業体たちをいかにつなぎ止めるか、これから、AIも含めてそうなんですが、どういう形に企業体を、これから、防衛産業とは言いませんが、防衛的な、防衛企業というのを守っていこうというふうなことについて取り組んでおられるというふうにお聞かせいただきました。
是非、どういった形でオール・ジャパンでやっていこう、そして、どんどん防衛産業から撤退していく企業をとどめようとしていらっしゃるのかというのを少しお聞かせいただいて、最後の質問とさせていただきます。
○中谷国務大臣 これにつきましては、もう一昨年末に国家安全保障戦略が作られまして、この中に、防衛生産・防衛技術は、いわば我が国の防衛力そのものであり、抜本的な強化が不可欠であるということをうたっております。
その考えの下に、防衛生産基盤強化法、これを設定していただきまして、防衛産業の国内基盤の維持強化の必要性、そして我が国の持つ科学技術、イノベーション力を結集して技術的な優位性を確保する重要性、官民が一体となって装備移転を推進する必要性を含む、装備品等の開発、生産の基盤強化に関する基本方針、これを昨年十月に策定しておりまして、今後とも各種施策に取り組んでまいる所存でございます。
また、防衛省としましては、今後の防衛産業の在り方について、中長期的に望ましい方向性を示していくことが重要であると考えておりまして、戦略三文書、基本方針、これを踏まえつつ、新たに我が国の防衛産業戦略を策定するための検討を進めている考えでございます。
ちょうど今、自動車業界も、各国の技術向上に対抗するため、日産とホンダが提携するというようなことでやはり技術の総結集を図るための民間の工夫もされておりますが、今回は、官民を挙げて、他国に負けないような科学技術が結集した艦艇ができるように更に努力を続けてまいりたいと考えております。
○池畑委員 官民一体というのがキーだというふうに思います。是非取り組んでいただきたいと思います。
やはり今日、大臣所信に対しての質問でありました。いろいろな多岐にわたった質問でありましたけれども、やはり退役された皆様、そして技術を積み重ねた皆様、どういった就職先をこれから考えられるか、そして、自衛官の方々がいかに国を守っていく体制をこれから整えていかれるかということは大事なことだというふうに思いますので、是非とも頑張っていただきたいと思います。
最後に、大臣、御就任誠におめでとうございます。
これで、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤委員長 時間に対する御配慮、ありがとうございました。
午後三時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前九時四十四分休憩
――――◇―――――
午後三時二十分開議
○遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。屋良朝博君。
○屋良委員 委員長、そして両大臣、よろしくお願いいたします。立憲民主党の屋良でございます。
所信の質疑ということで、これは石破総理もおっしゃっていたわけですけれども、沖縄の負担軽減を政府の重要な課題として取り組んでいただけるということを繰り返し所信で表明していただいているということでございます。
ここで、言葉の意味というか、負担軽減とはどういうことなのかということを、まずそもそも論で議論させていただきたいと思っております。
両大臣とも安全保障、防衛については大変精通なさっているお二人なので、そこのところ、そもそも論になりますけれども、負担とはどういうものなのか、それを軽減するとはどういうものなのか、最近グアムへの移転が始まったという報道もありますので、そういったところも突っ込んで少し議論させていただきたいと思っております。
一般的に、沖縄の基地というのは、戦争が終わって米軍が駐留してそのままずっと駐留しているというイメージがあると思うんですけれども、それは間違っていて、戦争が終わった直後は本土側の方が駐留米軍はずっと多かったわけです、御承知のとおり。比率で言うと八対二、ほとんど本土だったんです。それがどんどんどんどん沖縄に移転してきた。今、沖縄の米軍基地の七割を占有している海兵隊です。だから、全国の中で沖縄に米軍基地が七割集中しているんだよという数字はよく出てきますけれども、沖縄の中でどれぐらいの部隊のシェアかというと、七割が海兵隊です。
その圧倒的に大きな存在である海兵隊がそもそもどこにいたのかというと、余り広く知られていない。そもそもは岐阜県や山梨県や静岡県に分散配置されていた。一九五〇年来、朝鮮戦争があって、朝鮮半島を警戒するために海兵隊が日本に配備されたのが初めであります。
それが沖縄になぜ来たのかということです。岐阜県とかに配備されたのは一九五三年。沖縄に移駐してきたのが一九五六年で、僅かな間です。それはなぜかということを議論させていただきたいんですけれども、資料一でまとめてみました。
一九五〇年代というのは、六〇年安保とか七〇年安保にかけて国内のあちらこちらで基地の反対運動があった時代です。その中で海兵隊が来て、海兵隊に対しても反対運動が起きたということです。
そんな中で、アメリカの政策は、在日米軍に対する日本国民の反対が強くなって政治的なコストが高くなると日米関係は不安定になるから、沖縄に集めましょうということをはっきり書いてあるアメリカ国務省の一九五六年十二月二十一日付の日本における米国の軍事的立場の再考というレポートがありまして、その中に何が書かれているかというと、米軍基地の存在を日本国民の目に留まりにくいようにして、反基地感情を減らすべきだ、日本に駐留する政治的コストが高騰した場合、本土から撤退し、沖縄を主要基地として保持し続けるというふうに書かれております。
ということは、今、抑止力の維持、あるいは地理的優位性、安全保障の問題、日米同盟の問題という言葉でいろいろ沖縄の基地について説明がなされますけれども、元をたどれば、政治的な判断で、日本国内で基地問題をクローズアップさせたくなかったというのが当時の判断であったということが言えると思うんです。
大臣、政治的な背景があったということについて大臣の御見解を伺いたいんです。中谷大臣、よろしくお願いします。
○中谷国務大臣 当時は朝鮮戦争の終わった後ということでございました。それまでの日本は、戦争に敗れまして米国の占領を受けるということで、米兵が全国各地に展開いたしまして、武装解除や戦後の政治の安定ということで寄与されていましたが、朝鮮戦争が始まりましたので、多くの米兵が朝鮮半島に行かれました。その後、終戦後、日本に帰ってきたわけでございますが、そういう意味では、基地をある程度集約し、また、米兵の目的も日本の安定統治から極東の平和、安定というような観点もありまして、沖縄の方に集約された部分がございます。
海兵隊などは、一番まとまったところに所在することが運用上便利である、また、まとまった部隊がすぐに行動できる手段があるというようなことで検討されて現在の配置になったのではないかと思っております。
したがいまして、その状態で現在も海兵隊等を中心とした移設などを検討しておりますが、何とといっても、東南アジアへの対応など、極東地域の平和と安定のためにいかにあるべきであるのか、国際情勢をにらみながら所在しているのではないかと思います。
○屋良委員 政治的な状況よりも、軍事的な理由、その合理性を優先させたので沖縄に集約したんじゃないかというお考えを今述べられたと思います。
しかし、軍事が政治を優先することはほとんどあり得ないことだと思っております。なぜ最初に岐阜、山梨、静岡に駐留したのか。それは朝鮮半島を警戒したからであって、五〇年代の半ばはまだ朝鮮半島は不安定です。なぜ遠い沖縄に持ってきたのか、理由が全く分からない。アメリカの資料を読んでみると、それは本土における反対運動が強くなったから沖縄に移転させたんだということがはっきり書かれているわけです。
先ほど大臣がおっしゃったのは、あたかもアメリカがそういうふうに考えているからということをおっしゃったような気がしますけれども、アメリカがそんなことをやりますかね。だって、日本は独立国じゃないですか。独立国の中で、ここをよこせ、この土地を、この場所を、俺たちの機能で必要なんだということを言いますかね。そうすると日本はどういう立場になるかというと、植民地ですよ。それはちょっとおかしな話になると思います。
資料二で御提示したのは、これはほとんど十年ぐらい前の話になります。まさに中谷大臣が大学生のインタビューに答えてこのようにおっしゃっているんです。普天間の負担軽減でいろいろなところ、場所を探しているんだけれども、これがうまくいかないんだよね。辺野古の移転についてもなかなかうまくいかないんだと。ほかのところで理解してくれる自治体があれば移転できるんだけれども、なかなか米軍反対というところが多くてね、なかなか米軍基地の移転が進まないということで、沖縄に集中しているのが現実です。九州とか北海道とかそういうところにお願いはしています。基本的に米軍が一番沖縄が便利だという理由はあるんですけれども、分散しようと思ったら九州でも分散できるんですけれども、民主党の時代のときに県外へということでやってみてもうまくいかなかったんですよね。なかなか抵抗が大きいという現実がありますというふうにおっしゃっています。
今私が読んだのは、この当時のインタビューがユーチューブでアップされて、それを私は記録してあるんです。今でも僕のパソコンの中に入っていて、当時の先生の生の声がいつでも聞けるようになっているんですけれども、まさに先生は正直に真摯に学生たちに自分のお考えを説明なさっているわけです。
だから、先ほど言いましたけれども、政治的な理由ですねということは、まず軍隊と政治との関係の上では当たり前の話。だって、外国軍が沖縄をよこせと言うはずがないし、それをそうですねと言う受入れ国もあってはいけない、基本的には。論理的にはそうだと私は思っている。
ただ、現状を説明する上では大臣が先ほどおっしゃったような説明を言わざるを得ない。なぜかというと、本土に持っていくと日米同盟が空中分解しちゃうからということなんじゃないでしょうか。六〇年安保、七〇年安保が再来しちゃうということになります。そうすると、日米同盟を管理する上で大変リスキーなので、今、政治的な理由で沖縄に集中していますというのが大臣の御発言だし、過去の経緯を見るとそういうふうに理解するしかない。
さらに、政治と軍隊の関係を見ても、軍隊というのは政治の決定に従って動く、政治の決定を最大限、一〇〇%遂行するために動く、そういうふうに訓練されているはずであり、そのように配備されているはず。そうじゃないとおかしな話なんです。
しかも、海兵隊の機能を見てみると、中谷大臣も当然御承知だと思いますけれども、彼らの移動手段は海兵隊だから主には船ですよね。その船は長崎県の佐世保にしかないじゃないですか。だから、朝鮮半島で何かがあります、あるいは、東シナ海、南シナ海で何かがあります。船が長崎から出航して、沖縄で兵力と物資を載せて、オスプレイとかヘリコプターも載せますよ。それで出ていくわけでしょう。朝鮮半島の有事で出ていくとなった場合、北から南に下りて、また北に上がっていかないといけない。そんな不合理な配備になっている。
なので、大臣が学生たちにちゃんと説明したとおり、これは政治的な問題なんだということをまずお認めになった上で、その上で負担を軽減していきましょうという話だったら私たちは分かります。
ただ、沖縄の人のために、普天間の危険性を一日でも早く除去するために私たちは頑張っているんだよというふうなことを言われているので、どうもそこのところはしっくりこないわけです。やってあげているんだけれども、沖縄の人たちがよく理解していないのか、あるいは安全保障を知っていないのか、反対するんだよねなんていうスタンスで説明されると、ちょっと待ってよ、では、安全保障の負担というのはどういうふうに日本全体で受け止めるんですか。ずっと沖縄側からの提起があるじゃないですか。
自分たちのところでは、昔、一九五〇年代に、アメリカ海兵隊はいろいろな問題もあるから、事件、事故を起こして負担が重いから出ていってくださいといって、出ていった先が沖縄になっちゃった、五十年前に。それがずっと続いているということなんです、多分、歴史を振り返ると。
それをしっかりと真っ正面から向き合わないと、この負担軽減という言葉がどこを目指しているのか全くよく分からない。しかも、一日も早くという言葉。どれだけ一日も早くなんでしょうか。日米両政府が普天間を返還しましょうねと決めたのが二十八年も前です。当時は橋本龍太郎総理が五年ないし七年のうちに返しますよというふうに約束されているわけです。辺野古の埋立許可を当時の仲井真県知事から取ったときに、五年以内に使用停止、運用停止しますよとこれまた約束されている。全然約束が守られていない。にもかかわらず、一日も早く、一日も早くと。
沖縄の負担をどのように解決するか、あるいは、どのように規定するかということすら言葉が乱れている。言葉を使う人によって全然その定義が違ってきているという状態がずっと続いているわけです。これはとても不健全であり、日本にとって不幸だと私は思っております。全然解決できない状況になっている。それを変えていかないといけないわけです。
大臣は、この間沖縄に来られて、百人が移動を開始しますよとおっしゃいました。千里の道も一歩からで、百人を取っかかり、それがスタートになって、これから予定が組まれているはずですから、グアムへの移転なりが始まると思います。これは、いつまでにやるかとか、そういったこともしっかり明示してくれなければ、負担の軽減と言われても対応するのが大変なんです。
だから、もう一度お伺いしますけれども、沖縄の負担というのは一体どういうふうに理解すればいいのかということです。政治的な問題で沖縄に基地が集中しているというふうに規定すべきだと私は思いますけれども、もう一度、インタビューで大臣がおっしゃったことの真意をお聞かせください。
○中谷国務大臣 これは、二〇一四年当時でありますけれども、私が議員会館にいたときに、ひょっこり学生が来られて、この報道の内容の話をしました。まさかインターネットに載るとは思いませんで、その後、琉球新報に載ってしまいましたけれども。
これは、正直な気持ちで、私も、沖縄の負担軽減ということで、負担とは何かというと、騒音とか土地の利用とか、様々に県民生活に影響を及ぼしていることが一つであります。
私は二〇〇一年に防衛庁長官に就任しましたけれども、このときは、負担軽減という意味におきましては、モンデール・橋本合意がありまして、キャンプ・シュワブ沖に普天間を移設しますというようなプランがありまして、それが辺野古のところに行って、そのときは移設協議会というものができて、そこからスタートしたんですけれども、少しでも負担軽減を図るということで、政府を挙げて沖縄の米軍基地の縮小、移転に努めておりました。
その後、嘉手納以南も全面的になくそうということでプランが進んでおりまして、前回も玉城知事とも各市町村長さんとも面談をいたしまして、現在の状況や御意向を聞きまして、一日も早く移設が進みますように努力しなければという思いでございます。
しかしながら、県外、国外という話がありましたが、実際、訓練の移転とか飛行機の移設とかはできましたが、基地自体を受け入れてくれる自治体がほとんどなかったわけであります。
そういう意味で、グアムの方へ移設するということで話もまとまりましたので、そういうことで、少しでも沖縄の基地の負担軽減、縮小のために全力を挙げていかなければならないと思っております。
○屋良委員 ありがとうございます。ひょっこり現れた大学生のインタビューに正直に答えられたというお話で、まさに中谷大臣らしいなというふうに受け止めました。
今おっしゃったとおりだと思います。今、大臣は原稿なしでお話しになっていたので、そのとおりの御発言をされたのかな、真摯にお話しになられたなと私は受け止めましたけれども、政府がそこのところを表に出すというのは難しいとは思います。だって、自分のところに米軍基地を受け入れることをやる人はいないし、多分、それを受け入れたところで地元が反対するし、それを受け入れた政治家は落選するし、これは政治では大変重いことになるだろうな。それが今沖縄に七割が集中しているわけですから、私たちも本当に大変ですわ。
毎日毎日お年寄りが、おじいちゃん、おばあちゃんたちがずっとゲートの前で反対の気勢を上げているわけです。これをずっと三十年近くやっていて、辺野古はいつ終わるか分からないけれども、今のところ十二年かかると言われていますので、都合四十年間それをやらされ続けている地元の人たちの身にもなっていただきたいと思います。
その上で、大臣がおっしゃったように、政治の問題である、負担軽減、負担の偏重だということをみんなでコンセンサスを持って当たった方が私は正直な政治になるのではないかと思っております。
それで、グアムに移ります。グアムに移る兵力はかなりの数です。今二万人近くいると一応言われていますけれども、そのうちの半分ぐらいが、九千人ですかね、いなくなるということです。実動兵力でいうと六千人ぐらいの実動兵力が移って、残るのは三一海兵遠征隊という機動展開部隊です。それの地上戦闘兵力は八百人ぐらいにしかならないんです。だから、地上戦闘兵力の数で見ると、グアムやオーストラリアやハワイに行くのは六千人、沖縄に残るのは八百人ということなので、これはかなりの兵力移転になります。
そこのところは余りクローズアップされていなくて、司令部が多く残るわけですけれども、そうすると、抑止力の維持というところで、はたと考えてしまうんです。沖縄に八百人しかいなくても抑止力の維持になると言えば抑止力の維持ですよ。八百人しか残らなくても安全保障のために必要だと言えば、それは安全保障のために必要だということになってしまう。その言葉を使う定義者がどのポジションにいるかによって定義されていく。大臣がおっしゃれば、それはそうだろうなというようなイメージになるんでしょうけれども、私が言っても、おまえはうそを言っているんだろうみたいな話になるんじゃないのかなと思います。
ただ、数字を見た場合、かなり小さな部隊になるということが前提でなければ、これは事実なので、それをずっと、抑止力の維持であり、安全保障のためでありというふうなことで説明されていることの窮屈さというんですかね、何か無理があるような気がするんです。
31MEUは別に沖縄にいなくてもよくて、一年間の半分以上は、六か月とか八か月ぐらいは長崎県の佐世保にある船に乗ってアジア太平洋地域をぐるぐるぐるぐる回っているわけじゃないですか。それが事実であるとすれば、沖縄の辺野古が唯一の解決策だということも言葉の定義として正しいのかという疑問が湧いてくるわけです。
ここで私が大臣にお願いしたいのは、分かっているスケジュールは前倒しで公表していただかなければ、どれぐらいの土地が返ってくるのか、そのためにはどれだけの予算が必要なのか、これは地元の自治体にとっても大変なものですよ。
今、大きな土地が返還されたところが何か所かあります。そこは三十年ぐらいかけて跡利用を進めてすばらしい町づくりができています。それぐらいの時間を要するということなのです。
だから、二〇一二年に米軍再編が決まって見直しがされて、ようやく十二年後に今百人が移るという話になっているわけです。そうすると、いつ返ってくるのか、いつこの土地は地元が利用できるようになるのかをあらあらでも説明していただかなければ地元が行政的に対応できませんので、そこのところを分かっている範囲で是非とも公表していただきたいんですけれども、どうでしょうか。
○中谷国務大臣 計画によりますと、今後は、段階的に行われますけれども、四千人以上の海兵隊の要員が沖縄からグアムに移転することを日米間で確認しております。
せんだって沖縄に参りましてターナー四軍司令官に面会し、今後のことにつきましてもお話をいたしましたけれども、今後の計画については、米側において、厳しい安全保障環境の下に、インド太平洋地域における多様な事態に対応できる運用能力と体制の維持、確保を考慮しつつ検討を進められるということでございました。
事実、沖縄の海兵隊はこの地域の平和と安定のために寄与しているところでございまして、抑止力と対処力を維持していくことにおきましては、沖縄に海兵隊が存在していることは非常に重要なところでございますが、一方で、移設するということも約束しておりますので、こういう国際情勢の中で、今後、移設をできるだけ早く進めていただくように努力していきたいと思います。
防衛省としましては、可能な限り早い時期のグアム移転の完了に向けまして、引き続き、米側に情報提供を求めるとともに、情報が得られ次第、地元の皆様方に説明していきたいと考えております。
また、自衛隊も沖縄に駐留しておりますけれども、日米同盟の抑止力、対処力という観点で、訓練にしても勤務にしても、いかなる体制がいいのか、常に米側と調整して協議していきたいと考えております。
○屋良委員 ありがとうございます。
資料三でお示ししたのは、GAO、アメリカの会計検査院の資料です。結構前のものですが、当時から二〇二四年にグアムへの移転が始まるというようなことが書かれていて、半分ぐらいは二〇二六年ぐらいまでに移転し、二〇二八年にはそれが完成するだろうというふうな見通しがアメリカ側の資料には出ているのです。それがさっぱり国内では見通しが示されていないという現状は、地元、返還を受ける側にとってみたら、先が見えない話で、その跡利用の予算確保もできなくて、非常に不親切であり不誠実だなと思っていますので、是非とも防衛省においては、その辺をしっかりと、地元が跡利用できる、これも負担ですよ、その負担を軽くしてあげるような対応をしていただきたいとお願いしたいところです。
抑止力の維持について大臣は話されましたけれども、こんなに兵力が減って抑止力が維持されるんでしょうか。実戦兵力でいうと、六千人ぐらいが八百人ぐらいになると一個大隊になっちゃうよ、31MEUで。
何度も私は質問していますけれども、どうも釈然としないのが、政府がこれまで繰り返し、何かがあったときには沖縄に分散した部隊が戻ってくるから大丈夫だよ、集結するから大丈夫だよというふうな説明をされるんです。質問主意書を出して答弁書にそのように書かれていたので、びっくり仰天。何だ、何かがあったときに集まればいいのか、それだけの話かというふうな気がしたんです。変な話じゃないですか。沖縄じゃないと駄目だというふうなことを言われていて、米軍再編で兵力が低下してハワイとかグアムとかに分散するんだけれども、何かがあったら沖縄に集結するから大丈夫ですというその答弁書を読んだときには、これは説明が崩壊したんじゃないかなと思いました。
なので、抑止力の維持という言葉の使い方も定義も日本政府が言うのはなかなか分かりにくい。ただ、アメリカの方で資料を求めたり、あるいはアメリカの国防総省の人たちと話していると、別に沖縄じゃなくていいよと。大臣が大学生にお話しになったことですよ。航空部隊と地上戦闘部隊が一緒にいるのは連携訓練をしないといけないからであって、日頃の連携が必要なので一か所に集まっている。そうしたら、地上戦闘兵力と航空部隊を一緒にどこかへ持っていくことは可能じゃないのと聞いたら、あなたの論理を否定することはできませんと言われました。そのとおりだと思います。
だから、そもそも、持っていくところがないから沖縄に集中させておく、それを合理性を装って説明しないといけないので抑止力とか地理的優位性とか言っていると思っておりますので、是非ともここは分かりやすく地元には説明していただきたいと思います。スケジュール感も含めて、どれだけの負担軽減になるからどれだけサポートしていくんだよというようなことを併せて説明していっていただきたいと思います。これはお願いで終わらせていただきます。
時間も押してきましたので、次に、去年の十二月、ちょうどこの時期に、アメリカ兵が十六歳未満の未成年の女児を誘拐、拉致し、レイプ、強姦したという事件がありました。それが六か月間全く公表されなかった。外務省が隠していたんです。
私は、当時、日米が決めた連絡網がある、これに乗せなかったのはなぜかということをさんざん質問したんですけれども、この連絡網に乗せないという判断を事務方が決めましたと言うんです。事務方のどのレベルの誰がやったのかと聞いたら、全く説明してくれない。大臣には適宜説明しましたと。前大臣にですけれども。そういうふうな御説明だったんです。
連絡網に乗せないということは、防衛省も分からないし、防衛省の出先機関である防衛局も対応できなかったという大変な問題だと思うんです。日米間で決めた連絡システムを一方的に外務省の事務方が無視したということなんです。
もう一度同じ質問を大臣にさせていただきたいんです。
これは組織の中のガバナビリティー、シビリアンコントロールの問題だと思います。誰が、どのような立場の人が日米合意を蹴飛ばしてもいいという判断をなさったのかということを是非ともお話しいただきたいと思います。お願いします。
○岩屋国務大臣 御指摘の事件に関して、本年十二月十三日、那覇地方裁判所は懲役五年の有罪判決を言い渡しましたが、本件のような事件が発生したことは極めて遺憾でございます。
お尋ねの一九九七年の日米合同委員会合意に基づく通報の取扱いについては、日頃から外務省事務方において対応しております。
本件につきましては、捜査当局において、事案が公になることによって被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ることなどを考慮して、非公表とすべきと判断したものと承知しておりまして、外務省におきましても、そのような捜査当局における判断を踏まえて、事務方において関係者に対する情報提供は控えるべきものと理解し、対応したところでございます。
この対応方については、既に改めているところでございます。
そして、誰だったのかというお尋ねですが、外務省としては組織として対応していることでございますので、誰であったかということを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○屋良委員 日米合意があったという前提で考えた場合、それにのっとらなくてもいい、それを守らなくてもいいということの判断というのはやはり重大だと思うんです。それによって防衛省は対応できなかったし、沖縄県も対応できなかった。
警察がこの手の事案を公表しないのは当たり前です、それは、みんなそうやっているから。公表か非公表かという話じゃなくて、この連絡システムに乗せるか乗せないかという話です。そうすることによって関係省庁が対応できるわけです。この子のケアもできるし、再発防止をどういうふうにしようというのが迅速にできるわけです。それができなかったのが今回の事案なんです。
この子のプライバシーや尊厳を守るためと言いますけれども、この子は裁判所で被害者として証言しているんです。あのとき何があったかということをこの子はしゃべらないといけなかったんです。これをプライバシーの保護とか言っている外務省の人権意識のなさ、私はこれは大変な問題だと思っています。
だから、誰がどういうふうなポジションでこの判断をしたのかということは重要だし、それを組織としては明らかにすべきだと思いますけれども、最後にもう一度伺います。お願いします。
○岩屋国務大臣 先ほども御説明したとおり、本件については、捜査当局において、この事案が公になることによって、むしろ、被害者の人権といいますか、名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得るという判断に基づいて、外務省においてもそのような対応をさせていただいたところでございます。
そして、この事案を受けて、通報の仕組みについては改めさせていただいておりまして、今後、沖縄県警から米軍人等による性犯罪で報道発表しないものについて、検挙後に那覇地方検察庁と相談した上で、被害者のプライバシー保護等に留意しつつ、可能な範囲で沖縄県への情報共有を行うことになったと承知しております。
○屋良委員 時間なので終わりますけれども、この問題は引き続き質問させていただきます。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。どうぞよろしくお願いします。
今、屋良議員からは沖縄問題をるる御質問されておりましたが、私は東京選出の衆議院議員でもありまして、首都圏の話を少しさせてください。
先月、令和六年十一月十二日に、現在横田基地に設置されている在日米軍の司令部が六本木に移転すると星条旗新聞が報道いたしまして、その後、日本の新聞各紙においても同様の報道が相次いでおります。この在日米軍司令部の移設に関連して幾つか質問をさせてください。
まず、今回の報道で対象となっております在日米軍司令部について、基本的な事実関係を確認させていただきたいと思っています。
この在日米軍司令部は平時におきましてどのような機能を果たしているのでしょうか。また、有事においてはどういった機能を果たすことが予定されているのでしょうか。具体的に教えてください。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
在日米軍のプレゼンスは、地域における不測の事態の発生に対する抑止力として機能し、我が国や米国の利益を守るのみならず、地域の諸国に大きな安心をもたらすことで、いわば公共財としての役割を果たしていると考えています。
いわゆる日米ガイドライン、日米防衛協力のための指針にもあるように、日米の間では、平時から緊急事態までのあらゆる段階において、自衛隊及び米軍により実施される活動に関する政策面及び運用面での調整を行うこととしています。
在日米軍司令部は、日米ガイドラインの下の調整のためのメカニズムにおいても重要な位置を占めており、平素から防衛省・自衛隊は在日米軍司令部との間においても様々なレベルで緊密に連携しております。
また、在日米軍は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、日米の共同対処を迅速に行うために不可欠なものであり、また、米軍の来援のための基盤となるものであります。その司令部の役割は非常に重要であると考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。
今横田基地にあります在日米軍司令部ですが、そもそも横田基地に今設置されている根拠はどういったものなんでしょうか。その決定が何らかの形で行われていると思うんですけれども、この行われた経緯とか理由、それに関連して、日本政府と米国との間でどのような合意がなされているのか、そういったものについて教えてください。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの点については、一九七三年の日米安全保障協議委員会において、関東平野地域における施設・区域の整理統合計画を日米間で了承し、関東平野地域における空軍施設を削減することとなったと承知しております。この計画に基づき、一九七四年に、それまで府中空軍施設に所在していた在日米軍司令部を横田飛行場に移転したものと承知しております。
○松尾委員 先般の大臣の所信の中におきまして、日米同盟は日本の安全保障政策の基軸であるといった発言がございました。それ自体はもちろん私も同意するものですが、在日米軍司令部が基軸とされる日米同盟の中で具体的にどのような意義を持っており、日本の安全保障政策においてどのように位置づけられているのでしょうか。米軍との連携機能の強化を図るという大きなグランドデザインの中でどのような機能を発揮することが期待されているのか、そういった辺りを教えてください。
○中谷国務大臣 日米同盟の基軸の中核とは何かという御質問でございますが、日米間では、指揮統制、防衛装備、技術協力、同志国との連携など、幅広い分野において抑止力、対処力の強化に向けた具体的な取組を着実に進めることにしております。
その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、様々な緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる体制を維持している在日米軍の駐留は日米安保体制の中核となります。
これらを踏まえますと、在日米軍司令部の存在というのは、日米安全保障体制にとって重要な意義を有するとともに、日米防衛協力の実務を遂行する上での欠かせないカウンターパートであると認識しております。
防衛省・自衛隊と在日米軍司令部の間では、平素から様々なレベルで緊密に連携しておりまして、私自身も、本年十月に在日米軍のジョスト司令官と意見交換をした際に、自衛隊と緊密な関係を築くとともに、地元とも良好な関係を構築される旨をお話ししたところでございます。
防衛省としましては、引き続き、在日米軍司令部を含む米側のカウンターパートとの間で幅広い分野で協力を進めていく考えでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。自衛隊と在日米軍との連携の軸になるというか、連結点になるような重要な機能を果たすということで理解しました。
話は変わるんですけれども、今年七月三十日の衆議院安全保障委員会、閉会中審査が行われていると思うんですが、こちらで前防衛大臣の木原防衛大臣が、「日米2プラス2におきましては、日米同盟の抑止力、対処力を向上させるべく、日米それぞれの指揮統制枠組みの向上を始め様々な案件について連携強化の方向性を議論いたしました。」そのように発言されております。
これを受けまして、本年九月には、日米両国による指揮統制の枠組みの向上に係る作業部会というものが設置されて、様々な議論がされているであろうと推察しております。
この在日米軍と自衛隊との指揮統制の連携強化、指揮統制の向上というものが進められる中で、一部には、有事の際に日本の自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれてしまうのではないか、そういった懸念が示されていると承知しております。
このような懸念に対して、政府としてはどのような説明を行い、国民の理解を得ようとされているのか、教えてください。
○中谷国務大臣 この九月の合意は非常に大切な合意でありまして、日米の合同の行動をいかに進めていくかということでありますが、あくまでも、自衛隊の活動といいますと、主権国家たる我が国の主体的な判断の下に、日本国憲法、国内法令に従って行われる。また、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮権、指揮系統を持っていまして、それに従って行動するということについては何ら変更するところはございません。
また、自衛隊の指揮については、法令で定められているとおり、内閣総理大臣が最高指揮官でありまして、自衛隊を指揮監督するということにも変わりがないわけでありますので、指揮統制の連携変化に伴って米軍の指揮下に組み込まれるという御指摘の懸念はないものと考えます。
○松尾委員 ありがとうございます。
話は戻りまして、最初に述べたとおり、在日米軍司令部の移転については、横田基地から六本木に移転するような計画がされている、そんな議論をされていると報道されております。
この点について、日本政府としては、米国、在日米軍の方から、在日米軍司令部の移転の時期であったり移転計画の内容について何か報告とか相談は受けているのでしょうか。仮に受けていないのであれば、そういった報道を受けて、日本の方から在日米軍に対してどうなっているのかという問合せはされているのでしょうか。教えてください。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
本年七月末の日米2プラス2において、アメリカは、現在の在日米軍をインド太平洋軍司令部隷下の統合軍司令部として再構成する意図を公表いたしました。これを受けて、先ほど委員のお話にありました、本年九月に、日米両国は、指揮統制の枠組みの向上に係る作業部会を設置いたしました。
この作業部会においては、統合軍司令部として再構成された在日米軍の任務や能力を含む組織構成の検討、また、それを踏まえた自衛隊の統合作戦司令部と米軍のカウンターパート関係の整備、また、統合軍司令部の具体的な場所など、多岐にわたる内容について現在検討を行っているところでございます。
今月の日米防衛大臣会談においても、向上された指揮統制の枠組みにおける日米連携の在り方について、議論を加速させて深めていくことを改めて確認したところであります。
引き続き、日米の作業部会を通じ、日米の調整要領や連携強化について議論をしてまいります。
○松尾委員 そういった議論、検討をされている中で、仮に、報道で出ているように、今横田基地にあります在日米軍司令部が六本木に移転するような場合には、周辺環境についてどのような影響が生じると今政府としては想定されているのでしょうか。移転による影響を当然事前に調査して検討する、さらに、それを周辺住民、関係自治体に対してきちんと説明して、必要に応じて協議を重ねる、こういったことが不可欠だと考えておりますが、やるかやらないか、どういった内容か、そういったことについて今決まっていることを教えてください。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申しましたとおり、本年九月以降、この作業部会で、統合軍司令部の具体的な場所も含めて議論を続けているところであります。
したがって、具体的な場所について今お話しすることができないということは御理解いただきたいんですが、いずれにせよ、防衛省といたしましては、引き続き、米軍施設等の周辺地域に与える影響が最小限になるように米側に働きかけを行っていくとともに、今後、米側の統合軍司令部の具体的な場所が決まった際には、関係自治体に対して丁寧に説明するなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
○松尾委員 是非丁寧な説明をお願いします。
一方で、移転を予定されていると報道されている六本木の米軍施設については、米軍のヘリポート基地、赤坂プレスセンターと呼ばれている基地が今既に設置されております。その周辺の港区の近隣住民は、現状でもヘリポート基地の使用による騒音に悩まされている実態があると承知しております。
私は東京七区が選挙区でして、港区は選挙区に含んでおりますので、実際に私も、地域の住民の方から、あそこの施設の騒音がとか、あそこに基地があること自体が不安だといった声も少なからず耳にしております。
こういった住民の声を受けまして、港区そして港区議会がこれまで防衛省に基地の早期撤去を要望しておりますし、今年二月五日には、防衛省に対して、基地の撤去、米軍関連事故の再発の防止、継続的に騒音等の実態調査をすることを要請しております。
これらの要請、要望に対する対応について、それぞれの進捗状況、特に騒音等の実態調査等々はどうなっているか、状況を教えてください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、本年二月五日に港区長それから港区議会議長から防衛大臣宛ての御要請を承っております。
御指摘のように三点御要請をいただいておりまして、まず一点目、赤坂プレスセンターの撤去ということでございますが、これにつきましては、米軍にとって、この赤坂プレスセンターは、都心へのヘリコプターによる要人等の迅速な輸送を可能とするほか、都心における広報拠点などの役割を果たしている施設であることから、現時点において返還は困難である、こういった御回答をさせていただいております。
二点目の米軍関連事故の再発防止ということでございますが、これにつきましては、米側に対し、航空機の点検整備の確実な実施や安全管理の徹底を申し入れているということをお答えさせていただいております。
三点目の国の責任において継続的に騒音等の実態を調査することということでございますが、この際、港区が実施した騒音調査結果についても御提供いただいております。これによりますと、環境省が示す航空機騒音に関する環境基準の指標のうち、専ら住居の用に供される地域については、Ldenの五十七デシベルという基準がございますが、いずれの地点においてもこの数値を下回っており、大部分はLdenの四十デシベル台と承知しております。
したがいまして、当省においては、直ちに調査を実施する状況ではないというお答えをさせていただいておりますけれども、一方で、周辺住民の方々への影響は最小限となるよう、米側に対し今後とも働きかけてまいるということを申し上げた次第でございます。
○松尾委員 ありがとうございます。
移転に当たっては様々な協議、検討がされている、そして周辺への説明もされるという答弁もいただいておりますので、是非慎重な御検討をよろしくお願いします。
話が変わりまして、いわゆる横田空域と呼ばれている横田基地の飛行訓練の問題を質問させてください。
毎日新聞の取材班による継続的な取材、報道がされておるところですけれども、二〇二〇年以降に米軍ヘリが、東京都の上空、東京駅だったり新宿駅の上空であったり東京スカイツリーの周辺を飛行訓練で飛んでいるのではないか、飛行パターンが非常に多岐に及んでいる、こういった報道がなされており、実際にそういった実態があるのかなと考えております。
一方で、米軍に日本政府や地元の自治体などが飛行ルートや訓練の内容を明らかにしてほしいという要望をしてもなかなかそれが明らかにされることがなく、当然いつ来るのか分からないということで、騒音であったり振動、墜落事故がもしあったらというのは上を飛んでいるとみんな不安になりますので、こういった苦情が寄せられているといった報道もなされているところです。
ここでお伺いしますけれども、日本政府として、実際のところ、こういった在日米軍機、特に横田基地発着の米軍機による首都圏における飛行訓練の詳細をどの程度把握されているのか、その把握の状況が過去に比べて現在増えているのか減っているのかを教えていただきたいとともに、住民から苦情、問合せがあったときの対応のやり方についても教えてください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省といたしましては、これまでも、米軍機と思われる苦情などが寄せられた場合には、当該苦情等の内容を米側に伝えるとともに、地域の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう配慮を求めてきておるところでございます。また、日米の共同訓練でありますとか大規模な米軍訓練などにつきましては、その訓練の内容について可能な限り地元の皆様に事前に御説明するよう努めておるところでございます。
その上で、米軍側の日頃から実施している独自の飛行訓練でございますが、これにつきましては、個々の訓練について明らかにすることは、米側の体制でありますとか能力をつまびらかにしかねず、米軍は、運用に関する事項ということで、その詳細については明らかにはしていないところでございます。
こうした米軍機の飛行訓練につきましては、パイロットの技能の維持向上を図る上で不可欠な要素でございますし、また、日米安保条約上の義務である我が国の防衛を全うする観点から重要なものであると思っております。
他方、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動するということが当然の前提となっておるところでございます。米側から累次にわたって、飛行に際しての安全確保については最優先事項であるということでありますとか、従来から米軍機の飛行についてはICAOのルールでありますとか日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているとの説明を受けております。
私どもとしては、引き続き、今後とも米側に対して、米軍機の飛行訓練に際しては、安全面に最大限配慮しつつ、地域の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう求めてまいりたいと思っております。
○松尾委員 おっしゃっていること自体はそのとおりだと思うんです。ただ、実際にそういった情報が公開されない、開示がされないことによって、それは本当に実現されているのか、実行されているのかという不信感はどうしても多くの方が感じるところであるのは致し方ないと思っております。引き続き、なるべく多くの情報公開に努めていただければと思っております。
その情報公開という観点から、一九七五年に日米間で、個々の米軍機の行動に関する事項は、いずれの政府も双方の合意なしには公表しないという覚書が交わされているとされております。この覚書によって、飛行計画、交信記録、航空機運航票記載事項又は高度留保要求等の個々の米軍機の行動に関する事項についても、いずれの政府も双方の合意なしには公表しないということになるとされております。
この覚書の内容、具体的な合意プロセスについて、説明できる範囲で説明してもらえますか。お願いします。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
まず、一般的にということで申し上げますけれども、日米合同委員会やその下部組織での合意事項につきましては、日米双方の合意がなければ公表しないこととしております。
したがいまして、御指摘の合意の有無そのものについてはお答えを差し控えざるを得ないのでございますが、御指摘の合意というものが、一九七五年四月の覚書としまして、かつて二〇一九年二月二十二日の衆議院予算委員会で議論された合意ということであればでございますけれども、そうであるとすれば、当時の河野外務大臣が、この合意につきましては、米軍の航空機の運用について、日米双方の合意がない限りこれを公表しないということを再確認している文書であると答弁していると承知しております。
○松尾委員 私も、いろいろな日米間のやり取りを一から十まで全てつまびらかにするべきだと言うつもりはもちろんないですし、機密事項としてつまびらかにできないものが多々あるだろうというのは当然理解しております。一方で、米軍の訓練情報を、先ほどの話を逆に取ると、大規模な演習はさることながら、定期的な、日常的なものであれば見ていれば分かるわけですから、そういったものはむしろ公開してもいいのではないかとすら思われるわけです。
訓練のリスクが何も説明されないままにただただ放置されている状況というのは健全ではないと思われますし、国民の生命、身体、財産を第一に考えるのであれば、米軍機の訓練ルートとか時期についてもなるべく情報の提供を受けた上で、関係自治体であったり地域住民に対して提供することを日本政府としても積極的に行うべきではないかと考えておりますが、その点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 日米合同委員会の合意事項や議事録は、先ほど事務方から説明いたしましたように、日米双方の合意がなければ公表されないことになっております。これは、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するためでありますし、航空機の運用のあり様ということになりますと、まさに軍事機密、防衛機密という側面もあろうかと思います。
他方、日米地位協定の運用を含む日米間の様々な外交上のやり取りについては、国民の皆様に丁寧に御説明する観点からも、最終的に日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてきております。
政府としては、こうした取組を通じまして、引き続き国民への説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。
先ほども申し上げたとおり、私自身も全てが公表できるものではないというのは当然理解しております。一方で、ある程度の情報開示、公開というものがないと、そもそも何があるのか、公表されるべきなのかどうかすらも分からないというのも一方で事実ですので、国民の知る権利、情報公開という観点から、積極的な情報公開、できる限り米軍側とも協議していただきますよう改めてお願い申し上げたいと思っております。
話ががらっと変わりまして、今外務大臣に答弁いただいたので、引き続き外務大臣にお伺いしたいんですけれども、今月五日にこの安全保障委員会で外務大臣も所信を発言されました。その中で対中関係について相当な分量を述べられておりますけれども、安全保障的な観点であるものが非常に多かったかなと捉えております。当たり前だと思いますけれども。
一方、今月二日に、日本の非営利団体、言論NPOと中国国際伝播集団が発表した、日中両国で実施いたしました共同の世論調査の結果では、日本への印象がよくないと回答した中国人が合計で八七・七%だったとされております。これは、昨年二〇二三年の調査に比べて二四・八ポイント、悪いという感情があって大幅に上昇しているものです。一方で、中国に対する印象をよくないと答えている日本人が、多少改善されたとはいえ八九%、こういう高い水準となっております。
古今東西、世界のいろいろな紛争が偶発的な事象を端緒としていることを踏まえると、日中間の国民感情が悪化しているということは非常に憂慮すべき事態であると理解しております。
一方、先月のアメリカ大統領選挙においてトランプ前大統領が次期大統領に選出されたということもありまして、米中間、日中間の関係も変わってこざるを得ないかなと思っておりますし、日本が対中強硬姿勢を仮に強めたとしてもアメリカがなかなかそれに乗ってこないこともあり得る。いろいろ想定されるわけです。
そういったことを踏まえると、日中間の関係、感情の悪化というものは憂慮すべきことだと思っておりますが、この悪化していることについて、日本政府としてはその原因についてどのように分析しており、今の状況についてどのように評価していて、それを今後どのように改善、改良していくように考えていらっしゃるか、教えてください。
○岩屋国務大臣 松尾委員御指摘のように誠に憂慮すべきことだと私も思っております。両国民の九割近くがお互いを嫌い合っているという世論調査ですから、これは改善していかなければいけないと思っております。
一つは、日中間のハイレベルの交流もこの間必ずしも十分ではなかったと私は思っておりまして、先般、石破総理は李強首相とも習近平主席とも首脳会談をやって、戦略的互恵関係を包括的に推進していこう、そして建設的、安定的な関係をつくっていこう、そのためにハイレベルの交流をしっかりやっていこうということを確認しておりますので、私もできるだけ早く訪中して王毅外交部長にお会いしたいと思っております。
また、日中間には様々な懸案や課題があることも事実で、双方のメディアがネガティブなことばかり取り上げ過ぎだと私は思います。そのことも私は正直影響しているのではないかと思っておりますが、日中の関係をこれから安定的、建設的なものにしていくために、しっかり対話を重ねていきたいと考えております。
○松尾委員 外務大臣が中国の外相と対話をされるというのも非常に重要だともちろん思っておりますし、ハイレベルの交流も大事だと思っているんですけれども、もう少し全般的な、普通の一般の人々の対話、交流も含めて日中間の関係改善、交流の深化というものを深めていくべきだと私は考えているんです。
その辺りで、外務省としてこれをやっていかなければいけないという思いは何かあるでしょうか。
○岩屋国務大臣 私は、先般、東京北京フォーラムという会合に出させていただいたんですが、そこでもこの世論調査のことを取り上げておられました。そこはむしろ有識者の皆さんの定期的な会合ですが、委員がおっしゃるように、民間レベルの交流をもっと促進する必要がありますし、観光交流もそうでしょうし、お互いの国民同士がお互いを理解することのできる機会をもっともっと増やしていかなければいけない。そのために外務省としてもそういう取組もしっかり進めてまいりたいと思っております。
○松尾委員 是非よろしくお願いします。
中国もビザの免除をするといった動きもあるようでして、お互いに歩み寄っていければいいなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。
最初にお話ししたとおり、安全保障においては在日米軍との間で機密情報が多くあるという一方で、国民に対して、周辺住民に対してきちんとした情報公開をしていって、不安、不信感を払拭していくことが非常に重要であると私は考えておりますので、引き続き、在日米軍横田基地に限らず、様々な情報公開の在り方について議論させていただきたいと思っております。
終わります。ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、新垣邦男君。
○新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。
前回に引き続き安全保障委員会に所属することになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、嘉手納以南の米軍施設の統合計画についてお伺いしたいんです。
先ほどもお話があったんですが、中谷防衛大臣は、先週末に来沖し、玉城デニー知事や米軍基地関連市町村長との会談で在沖海兵隊のグアム移転開始をアピールしておりました。他方、首長の皆さんからは、日米が二〇一三年に合意した嘉手納以南の米軍施設統合計画をめぐり、いまだに返還時期が決まらない施設が多い、そのため、返還時期の明確化や、その間の基地負担軽減を求める声が相次いでありました。これは大臣もお聞きになっていると思うんです。
そこで、統合計画における返還条件の進捗状況をお伺いしたいと思っております。
特に、キャンプ瑞慶覧ロウワー・プラザ住宅地区、そして喜舎場住宅地区の一部、これは五ヘクタールと小さいんですけれども、そして、牧港補給地区、キャンプ・キンザーの倉庫地区の大半を含む部分、そして、残りの部分の返還時期はいずれも二〇二四年又はその後、あるいは二〇二五年又はその後ということになっているんですが、代替施設の提供のめどは立っているんでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省におきましては、沖縄統合計画に基づきまして、嘉手納以南の米軍施設・区域の返還を進めております。中でも、沖縄において代替施設が提供され次第返還可能となる区域というものがその大半を占めておるところでございまして、移設に必要な工事等に取り組んでおるところでございます。
その進捗状況に関する一例を申し上げますと、例えば、キャンプ瑞慶覧のロウワー・プラザ住宅地区につきましては、既存住宅を全て解体し、本年三月からは緑地広場として一般利用を開始したところでございます。地元の皆様からは、生活の利便性向上に加えて、跡地利用の検討に資する空間と時間を創出するものということで、歓迎していただいているというふうに伺っております。引き続き、移設先での住宅建設を進めてまいりたいと思っております。
また、キャンプ瑞慶覧の喜舎場住宅地区の一部でございますけれども、同様に、既存住宅の解体とともに、移設先の住宅建設を行っております。現在のところは順調に進捗しているところでございます。
なお、地元北中城村では、跡地利用として県道の拡幅などを御要望されていると承知しておりまして、早期返還は大変重要なものであると認識しております。
さらには、牧港補給地区でございますが、キャンプ・ハンセンそれからキャンプ瑞慶覧等への移設を進めておりまして、そのうち幾つかの施設は既に完了するなど、着実に工事を実施しているところでございます。
こうした中、現時点におきましては、これら施設・区域の返還時期のめどについて明確なものをお示しする状況には至っておりませんけれども、基地負担の軽減や跡地利用に対する地元の御期待に応えるという観点からも、できるだけ早期にお示しすることは極めて重要であると思っております。引き続き、移設に必要な工事等に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○新垣委員 前回もそれは聞いたんですけれども、米軍が入る住宅建設を急ぐんだと言っているんですが、以前からそういう話があるんですが、遅々として進んでいないじゃないかと思っているんです。地元では、早く返してほしいと。例えば、五年以内なら五年以内の計画ができるし、十年たっても返らないんだったら、もう話にならないと。要するに、地方自治体では計画書を作るわけです。例えば、めどがあれば返還計画を作ってちゃんと示さなきゃならないんですが、計画書だけがずっとたまるんです。いつになっても返還がないので。
例えば、五年以内にはできますよというめどぐらいはつかないのかなと思うんですが、いかがですか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
住宅建設についてしている説明が変わっていないというお話でございましたが、移設先での建設事業は着実に進捗しております。
他方、明確な返還の時期につきましては、米側との調整等様々な要素がございますので、現時点におきまして明確な時期をお示しするには至っておりません。先ほども申しましたけれども、こうした返還のめどにつきまして地元に早期にお示しすることは、跡地利用の観点からも極めて重要であると思っております。引き続き、私どもとしても最大限取り組んでまいりたいと思っております。
○新垣委員 統合計画の概観に、「付表Aにおける施設・区域の返還時期は、日米両政府により、三年ごとに更新され、公表される。」とあるんです。私が去年十二月の本委員会で防衛省に確認したところ、これまで統合計画が変更されたことはないという答弁があったんですが、なぜ、三年ごとに更新、さらに、これを公表するという規定があるにもかかわらず更新されないのか、その理由をお聞かせください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この統合計画における返還時期について更新したという実績はございません。
現在、先ほど来申し上げているとおり、可能な限り速やかに返還を実現できるよう、統合計画に記載された手順に従って必要な工事等を着実に進めているところでございます。また、日米間で様々な調整、協議を実施しているところでございまして、返還時期を更新できる段階に至っていないものと認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、防衛省として、目に見える形で沖縄の負担軽減を実現するため、日米間で緊密に連携しながら、嘉手納以南の土地の早期返還に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
○新垣委員 余り目に見えるような形では行われていないのかなというのが率直な思いです。
二〇一五年十二月四日付の日米共同報道発表、沖縄における在日米軍施設・区域の統合のための日米両国の計画の実施なる文書に、牧港補給地区、キャンプ・キンザーですが、の返還に係る更なる議論は統合計画の三年ごとの更新の文脈で行うと理解すると書かれているんです。統合計画の返還時期がいずれも二〇二四年の後とか二〇二五年の後とか、この後というのが一体どのぐらい待てばいいのかさっぱり分からないんです。
こういう見直しが前提としてあるわけですから、三年ごとにきちっと返還条件の進捗状況を点検して、必要に応じて返還時期を更新し、公表すべきだろう。そうじゃないと、永久に返ってこないと言われてもしようがないのじゃないか。三年ごとに更新して公表するというわけですから、三年ごとに、まだだというなら言う。そういう時期を明確にしないと、当該自治体は大変苦労しています。
その辺を是非もう一度検討していただいて、既に返還区域を抱える基地所在市町村では、計画的な土地利用を進められないで町づくりに大きな障害となっている事実を踏まえて、是非、防衛大臣の御見解もお伺いしたいと思います。
○中谷国務大臣 沖縄には多くの米軍施設・区域が集中しておりまして、県民の皆様方には大変大きな負担をおかけしております。
私も、先週、現地に参りまして、県知事そして市町村長の皆様にお話を伺いました。その際は、沖縄の統合計画に基づく土地の返還を早期に実現してほしい、そうした多くの声を伺いまして、施設工事を着実に進めていくことで一日も早い返還を達成するという決意を新たにしたところでございます。
各地におきましても工事が進んでおりまして、目に見えて進んでいるところもありますけれども、まだ遅れているところもございます。しかしながら、実現に向けて話合いを続けて御理解をいただく努力をしておりまして、御指摘のありましたとおり、返還時期また見通しを地元の皆さんにお示しすることは大変重要なことだと認識しておりますので、可能な限り速やかにお示しできるように全力を挙げて取り組んでまいります。
道路にしても建物にしても倉庫の移転にしても、できるだけ早く実現して返還を求めたいと思っております。
○新垣委員 是非大臣の御尽力をお願いしたいと思います。声を上げても遅々として進まないというイメージが地元にはあるわけです。せっかくそういう規定もあるし、決まりもあるわけですから、是非お願いしたいと思っております。
次に、キャンプ・キンザーの共同使用ということで、これは避難道路の新設ということですが、これはとてもいい計画だなと私も思いました。キャンプ・キンザーの西海岸沿いに新しく災害時の避難用ゲートを設けて、そこから国道五十八号の既存ゲートにつなげる避難道路を整備するために、去る十一月二十日の日米合同委員会で、牧港補給地区の一部財産の共同使用が合意されております。
これを私が防衛省に照会したところ、当該事業は浦添市が実施する事業だ、本年度中の使用開始を目指しているということですが、避難用ゲートや避難路舗装、誘導標識などの完成後、米軍に提供されることになっている、それらの維持管理はいずれも米側が行うことになっているんです。
私も十六年間、基地所在市町村の首長をやっていたんですが、共同使用が認められて、区域を地元自治体が整備し、完成後に米側に提供する、そして管理も米側が行うという手法は余り聞いたことがないんですが、これまで事例があるんでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
今御質問を受けまして、私もいろいろ記憶を改めているところですけれども、こうした事例については、申し訳ございません、私の記憶にはございません。
○新垣委員 私もないわけですから、なかなか珍しい方法だなと思っております。浦添市が事業主体となっている。自治体が事業主体になって整備して、米軍が維持管理するということ。これはどういう経緯かよく知らないんですが、こういう事例は極めて珍しいと思っているんですが、私としては、これは非常にいいんじゃないか。
そこで、是非これはお願いしたいんですが、もう一点、避難用ゲートや避難路はふだんは当然閉まっているわけです。非常時に開放されて市民、県民の通行が可能となるんですが、ゲート開放の判断、権限は市がやるんですか、それとも米側がやるんですか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
このゲートの開閉の権限でございますけれども、具体的な要領につきましては、今後、浦添市と現地米軍当局との間で調整をされまして、手続という形で定められていくものと承知しております。
その中で最も大事なことは、発災時の迅速な避難を可能とする手続をきっちり定めることが極めて重要であると思っております。私どもとしましても、沖縄防衛局を通じまして浦添市をしっかりと支援してまいりたいと思っております。
○新垣委員 提案ですけれども、せっかくこの避難道路を共同使用するわけですから、万が一災害に遭った場合、いきなり、そこを使ってください、避難道路だから使ってくださいと言ったって、市民、県民はほとんど認知されていない。ふだん使っていないわけだから分からないわけです。
そこで、可能であれば、例えば、せっかく造った避難道路だから、朝夕の混雑時はそこを使っていいよ、本来ふだんから使えればいいんですが、そういう制限があるというのであれば、ふだんから市民、県民が使っていて、ここは避難道路なんだ、そういう認識を与えるためにも是非開放すべきじゃないかと思っているんですが、大臣、いかがですか。
○中谷国務大臣 地元にとりまして非常に有意義な御提案をいただきまして、ありがとうございました。
せんだって浦添市に参りまして、現場も見ましたし、その後、市長さんとも懇談をしたわけでありますが、残念ながら、地元の浦添市からはそういった御意見とか御要望はいただいていないわけでございます。
また、牧港補給地区は米軍の施設でありまして、その性質上、保安警備の必要から、一般の方々が平素入れるようなことにするのは非常にハードルが高いということを聞いております。
いずれにしましても、沖縄の基地負担の軽減に全力を挙げて取り組む中で、今後、浦添市とも緊密に連携しながら、何ができるのか、今日の御発言を基に議論してまいりたいと思います。
○新垣委員 恐らく、浦添市さんもそうなんですが、みんなそうなんですが、基地の中に全く入れないと思っているわけです。ただ、基地の中でお祭りがあるときには、みんな公開して、どうぞ入ってくださいというあれがあるんです。
ただ、キャンプ・キンザーだけじゃなくて、私の地元の北中城にはキャンプ瑞慶覧という大きな基地があります。そこを石平地域というんですが、そこはゲートがあるんです。昔からそういう提案をしているんですが、そのゲートを通って五十八号に下りたら十分で行くんです。そうじゃないと、現在、ずっと基地を回っていくものですから、四十分ぐらいかかるわけです。混雑時には一時間以上かかるという話なので、これは是非、返せとは言いませんよ、共同使用ができるならば、当然防衛省としては、規則をどうするんだとか安全性をどうするんだとか、こういうことは確かにあると思います。
しかし、いつも防衛省、大臣も、県民に寄り添う、基地負担軽減を目指すんだとおっしゃっているわけですから、是非、その辺、やれることがもしあれば、何らかの対策でやれるのであれば、これは沖縄県としても非常に助かるし、県民としても非常にありがたいと思っています。
今、県民の中には、基地の中には入れないし、どうしても対策もやれないだろうと諦めている感があるわけです。ですから、中部地域は基地がど真ん中にあるんです、大臣も御承知のとおり。共同使用であるならば、そこをうまい具合に使えるようにしてもらいたいと思うんですが、是非その辺をもう一度、大臣、お願いします。
○中谷国務大臣 新垣委員からそのような御意見と提案がございましたので、受け止めまして対応してまいりたいと思います。
○新垣委員 よろしくお願いします。
続いて、地位協定について外務大臣にお尋ねしたいと思います。
石破総理は、九月十七日に那覇市内で行われた自民党総裁選挙の演説会で、日米地位協定の改定に着手すべきで、米軍基地は自衛隊と共同管理にすると明言しております。そのとき、自衛隊との共同管理については私を含めて異論を唱える県民も多いと思いますが、ただ、この国の総理大臣になろうとする方が地位協定の改定を事実上の公約として掲げたことに、圧倒的多数の沖縄県民が喜んで期待をしたわけです。これまで誰に言っても、何度ここで取り上げても、地位協定には一切触らないんだというようなことが言われてきました。ところが、石破総理が、総理大臣になろうとする方が初めて地位協定に触れたということで、非常に大きな期待をしたわけです。
ところが、石破総理は、就任直後の臨時国会、さらには今国会のいずれの所信表明演説でも、日米地位協定の改定については一言も触れておりません。
これは私も非常にがっかりしたんですが、地元に帰っても、どうなっているんだ、何で言わないんだということを再三言われているんですが、外務大臣は石破総理から日米地位協定改定に着手するようにという指示はあったのかどうなのか、よろしくお願いします。
○岩屋国務大臣 私は、総理の地位協定に対する思いは変わっていないのではないかと思っております。しかしながら、総理自身が、一朝一夕に実現するとは思っていないので、まずは自民党においてしっかり検討するようにという指示をされたと承知しております。そして、その指示に基づいて、先般、自民党でアジアにおける安全保障のあり方特命委員会が開催され、議論がスタートしたと承知しております。
私としては、予断を持つことなく、例えば、米国が各国と結んでいる地位協定との比較検討でありますとか、もちろん国情が違いますので単純比較はできないと思っておりますが、これまで累次にわたって行ってきた運用改善の経緯でありますとか、そういうものをしっかり勉強させていただいて、党における議論も踏まえつつ、同盟の抑止力、対処力を強化する、もちろん負担軽減ということも念頭に置きながら、しっかりと検討は進めてまいりたいと考えております。
○新垣委員 総理が御自分の言葉でおっしゃったわけですから、是非それは検討していただきたい。
最初から全て変えろというのは当然無理です。先ほど来お話がありましたが、沖縄県は米兵の事件、事故が多い、その中で、沖縄県民の人権を守るにはどうするんだということは、根底には地位協定がどうしてもひっかかってくるということなので、これは定期的に開催するのかどうか分かりませんが、党でやるということですが、是非国としてもやるべきだろうと私は思っております。そうじゃないと全然改定にならないと思っているので、是非その辺はよろしくお願いします。
関連するんですが、先ほど屋良委員からあったんですが、一九九五年の日米での通報体制はしっかり守られているのか、また新しく何かルールができたのかどうなのか、確認です。
○岩屋国務大臣 先般の事件を受けまして、先ほども答弁させていただきましたが、通報の仕方につきましては、今後、沖縄県警から米軍人等による性犯罪で報道発表しないものについても、検挙後に那覇地方検察庁と相談した上で、被害者のプライバシー保護にも留意しながら、可能な範囲で沖縄県への情報共有を行うというふうにしたと承知しております。この仕組みをしっかり運用していくことが大切だと思っております。
○新垣委員 是非これはしっかり履行してもらいたいなと思っています。
先ほどお話があったんですが、実は、去年の十二月にこういう事件があって、この間、沖縄防衛局も知らない、誰も知らない、県も知らない。この半年間で三件、米兵による暴行事件が起きているんです。だから、事前にそれがしっかり通知をし、連絡網が通っていたら防げたんじゃないかという思いがあるんです。
その辺はしっかり守っていただいて、当然プライバシーの問題はみんなそれは思っています。そのことは私は理由にはならないと思っているので、今までも公表して止めてきたという事例もありますし、プライバシーもしっかり守られてきたというのはあります。今回の少女は自ら裁判に立って証言したわけですから、これも本当にかわいそうなぐらいですよ。そういう意味では、人権を守るという意味では、是非それはしっかりやってもらいたいと思っております。
次に、時間がないので、防衛省広報アドバイザーの件でお尋ねしたいと思います。
防衛省から広報アドバイザーに任命されている弘兼憲史氏が、講談社の「モーニング」誌上の連載「社外取締役島耕作」の中で、アルバイトでやっている人がたくさんいますよ、私も一日幾らの日当で雇われたことがありましたとのせりふを入れて、辺野古新基地建設反対運動の現場で日当が支払われているとのデマ情報が広がって、沖縄では大きな問題になっています。
ですから、この件については、広報アドバイザーの選任基準や業務、あるいは勤務体制、報酬、任期等について一体どうなっているのか。今、広報アドバイザーは何名ぐらいいらっしゃるのか。
○加野政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの防衛省広報アドバイザーでございますけれども、防衛問題等に関する防衛省による広報活動への協力におきまして、特に重要な役割を果たし、より効果的な活動が期待される方を御指定申し上げているということでございます。
指定期間でございますけれども、一年ということでございますが、最大五年まで継続することができるものでございます。
現在は九名の方を御指定申し上げております。
活動内容につきましては、防衛省・自衛隊が主催する各種の広報イベントへの参加、あるいは各種情報発信等、広報活動への御協力をその都度御依頼申し上げているというものでございます。
なお、防衛省の広報アドバイザーにつきましては、広報活動への協力に要した交通費等のほかに、必要に応じて最大で時給二万九百円の謝金をお支払いする場合もあるというものでございます。
○新垣委員 我が国の防衛政策や防衛省の実施する事業を広報アドバイザーに周知するために、今のお話だと、どのように広報アドバイザーの方々と意見交換をしたり、説明をしたり、レクチャーをしたり、回数とか、定期的にやっているのかどうなのか。
○加野政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省広報アドバイザーの皆様に対しましては、例えば防衛白書を送付するなど、一般的な防衛政策について御理解を深めていただくために情報提供等を実施しているところでございます。
○新垣委員 広報アドバイザーである人物が辺野古新基地建設反対の現場で日当が配られているというのを事実であるかのように発信すると、先ほども話があったんですが、手弁当で毎月一回、そして毎日そこで、何とかしてほしいという戦争体験者、そしてお年寄りの皆さんがたくさんいらっしゃるんです。そういう人たちの信念に基づく行動だと私は思っています。これが全て否定されるような形になるわけです。ましてや、この弘兼氏は、かなり人気のある雑誌でこれが全国一斉に行くと、辺野古の新基地建設は、日当でやられているのかということが拡散されていくとなかなか止まらないという話なので、これは県民を愚弄する話だと思っているんです。
そういう意味では、任命権者である防衛大臣として、弘兼氏の広報アドバイザーの任を解くなど、しかるべき対応を取るべきじゃないかと私は思っているんですが、大臣の御見解をお願いします。
○遠藤委員長 時間が参っております。中谷防衛大臣、簡潔にお願いいたします。
○中谷国務大臣 弘兼氏の連載内容につきましては、防衛省としてコメントする立場にございませんが、弘兼氏の防衛省広報アドバイザーの指定につきましては、令和七年五月三十一日までの指定で合意しているところでございまして、現時点におきましてはこれに変更はありません。
防衛省としましては、引き続き、国民の皆様に防衛省・自衛隊の活動について御理解が得られるよう、各種広報活動を積極的に実施してまいりたいと思います。
○新垣委員 終わりますが、大臣、これは大きな問題になりかねないので、来年五月までとおっしゃっているんですが、こういうことが起こってしまったということに関しては、広報アドバイザーとしての責任、それがないんじゃないかと思っているので、対応方を是非御検討をお願いしたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
米軍犯罪について質問をいたします。
昨年十二月、米軍嘉手納基地所属の米兵が十六歳に満たない少女を誘拐し性的暴行を加えた事件で、那覇地裁は、十二月十三日、懲役五年の実刑判決を言い渡しました。判決は少女の証言を全面的に認めるものとなりました。しかし、そのために、PTSDに苦しみながら、加害者もいる法廷の狭い遮蔽板の中で五時間もの証言に耐えなければなりませんでした。二度とこのようなことを繰り返してはなりません。
政府は、この間、報道されるまで半年も事件を隠蔽し、沖縄県にさえ伝えていませんでした。米軍は何の対策も取らず、昨年以降六件もの性的暴行事件が立て続けに起きていました。にもかかわらず、推定無罪の原則まで振りかざして自らの対応を正当化してきたのが外務省であります。
今回の判決は、事件を隠蔽し、何の対策も取ってこなかった日米両政府に向けられたものでもあります。今回の判決をどう受け止めているのか、米軍犯罪を根絶するために今後何をやるのか、外務大臣の認識をまず伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、このような事件は二度と起こってはならないというふうに考えております。
その上で、先ほどの御指摘につきましては、当時の通達の運用におきましては、捜査当局において、事案が公になることによって被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得るということを考慮して、非公表とすべきと判断した、捜査当局においてそういう判断がなされたということを踏まえて外務省として対応を取ったものでございます。しかし、その後、この通達の運用を改めたということは先ほど申し上げたとおりでございます。
今般の裁判所の判断につきまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
いずれにしても、これまでに米側が発表した一連の再発防止策が実際に事件、事故の再発防止につながることが重要でございまして、私も、在日米軍司令官に対して申入れは行いましたけれども、引き続き、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を強く働きかけてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 こういう事件が起きたときに、今まで沖縄県警は広報していたんです。それが、最近になって広報しなくなった。それをいいことに外務省が隠蔽した。そして、少女は五時間も法廷に立たされた。これは、プライバシーと言うけれども、本当に、皆さん自身が、少女の気持ちを侵害し、踏みにじっている行為であります。
今、外務大臣が、アメリカ側の再発防止策が再発防止につながっていくことが重要だ、こうおっしゃいましたが、その中身は、リバティー制度の見直しなど、従来から全く効果のなかった対策ばかりです。
リバティー制度は、十月以降、午前一時から五時までの基地の外での飲酒禁止措置を全ての軍種に広げたといいますが、そもそも、今回の事件が起きたのは午後六時頃です。深夜の飲酒制限が同様の事件の再発防止にどのようにつながるんですか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のように、米軍が発表した再発防止策の中に御指摘のリバティー制度の見直しがございます。これもお話があったように、午前一時から午前五時の間に、自宅やホテルを除く基地外での飲酒を禁止する、また基地外での酒類を提供する飲食店への入店を禁止したほか、司令官の監督責任を強化しているということでございます。
それが果たしてどのぐらい再発防止につながっているのかというお尋ねですが、これを定量的に申し上げることはできませんけれども、その他の再発防止策も含めて、在日米軍においてしっかりとこれを守ってもらうということが再発防止にはつながっていく、その効果はあるというふうに思っております。
○赤嶺委員 しっかり守ってもらうという外務大臣の力強い発言なんですが、残念ながら、リバティー制度が本当に実効性を持っているかどうか検証しないといけないと思いますよ。
米軍の再発防止策というのは、従来から効果のなかった対策を並べ立てたものにすぎません。二〇〇八年にも女子中学生に対する性的暴行事件が起こりました。米兵が少女をだまして連れ去ったのは、午後八時半頃でありました。こうした未成年者に対する犯罪の防止には全くつながっていないというのが現状であります。
私は、岩屋外務大臣もそうですが、岸田さんが外務大臣時代にも真の実効性のある再発防止策ということを何度も聞かされてきましたが、その後も何度も事件が頻発している。最近では、余りにも事件がひど過ぎるので、それを隠蔽するようになってきたとしか思えません。
そもそも、リバティー制度は、深夜未明の飲酒絡みの事件、事故を防ぐことに主眼が置かれたものであります。
警察庁に伺いますが、米軍が制度を改めた十月以降、沖縄県内で米軍関係者による刑法犯や道路交通法違反などの事案がどれだけ起こっているか。そのうち、午前一時から五時の間に発生したのは何件で、飲酒絡みの事案にはどのようなものがあるのか、明らかにしていただけますか。
○松田政府参考人 警察庁が令和六年十二月十日までに把握している件数についてお答え申し上げます。
米軍関係者による刑法犯や道路交通法違反などの事案のうち、令和六年十月一日以降に発生したものの件数は、刑法犯十一件、交通人身事故二件、道路交通法違反十二件、特別法違反一件で、合計二十六件であります。そのうち午前一時から午前五時までの間に発生した事案は、刑法犯二件、道路交通法違反五件で、合計七件であります。
なお、警察庁として飲酒の有無を網羅的に把握しているわけではありませんが、ただいま申し上げた七件につきまして申し上げますと、刑法犯二件はいずれも、飲酒の上、犯行に及んだ建造物侵入事件等でありまして、また、道路交通法違反五件につきましても、いずれも酒気帯び運転の事案であります。
○赤嶺委員 一昨日、沖縄県議会で基地関係特別委員会が開かれて、沖縄県警の刑事部長が、特に十月以降の、再発防止策を取って以降の事件が余りにも多過ぎると県警が嘆いているんですよ、リバティー制度も含めて。それから、夜中の事故も事件も全く防げていない、大変だという答弁を沖縄県警がやっているんですよ。全く効果がないではありませんか。
日本政府が効果があるようにしてほしいと言っても、それは願望であって、米軍の事件、事故は全く抑えられていない。刑法犯についても把握していないということですが、十一月二日には、午前二時台、酒に酔った米兵が那覇市内の教育関連施設のガラス戸を壊して侵入する事件も起こりました。そして、十月以降も、禁止時間帯の飲酒絡みの事案を含めて事件は多発しているんです。多発しているのに、皆さんの答弁は、いや、実効性あるものに、米側に努力していただきたいという、この程度なんですよ。
米軍の綱紀粛正、再発防止策で事件を防ぐことはできないと思います。だから、私たちは、日米地位協定の抜本的な改正、米軍基地の縮小、撤去が必要だと繰り返し指摘してきました。事件、事故が繰り返されるのは、日米地位協定によって守られているという認識が米兵の側にあるからであります。まずこれを改めなければならないと思います。起訴前であっても日本の警察に拘束される、日本の法律を尊重するだけでなく遵守する、こういう当たり前のことを地位協定に明記すべきだと思います。
石破首相の那覇市での演説も、先ほど屋良議員、新垣議員からもありました。地位協定の見直しに着手する、その気持ちは変わっていないと外務大臣もおっしゃっておりました。外務大臣も、かつて、自民党の議連の副会長として、この地位協定の問題に取り組まれてきました。今こそ地位協定の改定に踏み出すべきであります。
先ほど明確な答弁はなかったんですが、総理から外務大臣に指示はあったんですか、なかったんですか。総理の気持ちは変わっていないという答弁をいただきましたが、指示があったかどうか、答えていただけますか。
○岩屋国務大臣 総理から外務大臣に対してという明確な形の御指示があったわけではありませんが、この地位協定のことに関しては累次にわたって意見交換をいたしております。その上で、総理から、まずは党の中でしっかり議論を深めてもらいたい、検討をしてもらいたいという指示が出されたということでございます。
そして、私は、先ほど申し上げたとおり、私として、これまでの過去の運用改善の経緯、その効果、あるいは各国の地位協定に類する協定の中身の検証ということをしっかりやりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 自民党の特命委員会なるものもスタートしているようですけれども、これは期限を切った委員会の議論になっているんでしょうか。外務省の方々もその特命委員会に出席しておりますが、期限はあるんですか。いつまでに地位協定の見直しをやるんですか。
○岩屋国務大臣 これは、党における会合、党における検討でございますので、政府の立場からはその見通しについて予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。
外務省は、これまでの知見を要請に応じて提供するために参加しているということでございます。
○赤嶺委員 特命委員会の初会合で、これは総理もおっしゃっている、同じことなんですが、小野寺政調会長は、一朝一夕でできる課題ではない、このように述べているわけです。政府の答弁も同じ言葉が繰り返されております。
自民党の特命委員会で検討しているということによって、結局は問題をうやむやにしようとしている、そういうことであれば、これは、地位協定の抜本改定、石破総理の那覇での演説、これに対する県民の期待を裏切るものであります。県民に対する裏切り行為になる、そういうことを強く申し上げておきたいと思います。
もう一点、看過できない問題があります。
総理の所信表明演説では、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めるとともに、駐留に伴う諸課題の解決にも取り組むと述べております。この共同使用というのは具体的に何をやるということですか。これまでも進めてきた共同使用の拡大を続けるということなのか、それとも基地の管理権を日本側に移管するよう求めるということ、どちらですか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の共同使用ということでございますけれども、これまでも、例えばでございますが、本年七月末に実施しました日米の2プラス2、ここにおきまして、同盟の抑止力の基盤となる即応性の維持強化のため、領域横断的な訓練、演習の向上、拡大等が重要であるという認識で一致しておりまして、これを踏まえ、南西諸島を含む日本全国における日米共同演習及び施設・区域の共同使用の更なる機会の追求を支持するというふうにしております。
これ以上の詳細につきましては、今後、日米間で議論しまして、所要の調整に努めていくということになっております。
○赤嶺委員 外務大臣にも、今日は防衛大臣もいらっしゃいますけれども、一番求めるのは基地の管理権、地位協定三条ですよね。これが日本側にない、米軍の運用については物も言えない、こういう状態を改善してくれというのが地位協定の抜本改定の要望ですよ。今は、日米の共同訓練を増やしていくだけの話ではありませんか。これが沖縄県民の負担軽減にはならないと思います。
結局、共同使用の拡大というのは、米軍基地での自衛隊の訓練を拡大し、自衛隊基地でも米軍の訓練を拡大し、結果、県民の基地負担は増大するというものになっていきます。これを今後進めていくと。つまり、基地負担の軽減にはならない、更に基地負担を増していくものになる。これが共同使用ということではありませんか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりまして恐縮でございますが、今申し上げている共同使用ということでございますが、日米共同演習及び施設の共同使用の更なる機会の追求ということでございまして、これ以上の詳細ということにつきましては、今後日米間で議論していくということになっております。
○赤嶺委員 主権国家であれば、米軍の犯罪を野放しにするような地位協定上の運用、米軍基地の管理権を日本側が持たないで、運用については口を挟めない、こういう日本の現状、主権国家の誇りを持って、本当に地位協定の改定を求めるなら求めるという具合に、姿勢を取ってほしいと思います。
今のような皆さんの態度では、地位協定の抜本改定もできない、米軍犯罪も抑えられないということを強く申し上げて、質問を終わります。
○遠藤委員長 次に、平岩征樹君。
○平岩委員 国民民主党の平岩征樹でございます。
選挙区は大阪八区でございまして、今回、比例近畿ブロックで初当選をさせていただきました。この安全保障委員会で今回初質問でございまして、貴重な質問をする機会をいただけましたことに感謝いたします。
自衛隊は、私の友人にも自衛官はいますし、私の会社でも即応予備自衛官を雇用しておりまして、現在、私の秘書も一人、即応予備自衛官がございまして、非常に身近な存在でございます。我が国の国防、安全保障を議論する重責を感じつつ質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、質問に入ります。
中谷防衛大臣も所信で述べられていましたように、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しく複雑なものとなっていることは周知の事実であり、刻一刻と変わる情勢に、あらゆる事態を想定されていることと思います。
そんな中、お隣の韓国では、十二月三日に尹錫悦大統領が非常戒厳を宣布し、戒厳軍が国会に進入するという事態になりました。ごく限られた軍幹部が計画を立案し、実行に移したことが判明しているようですが、大惨事にならなかったのは、現場の兵士のサボタージュに近い行動があったからだと言われています。国会に出動した特殊部隊は実弾どころか空包も持たせないなどの状況だったと言われていますが、いわゆる事実上の抗命権の行使があったと理解しています。
我が国で同様のことが起こるとは思いませんが、何かしら、国際人道法上や憲法に反する命令であった場合の対処は想定し得ることだと考えます。
そこで、質問です。
自衛隊においては、いわゆる抗命権は、質問主意書の答弁書が過去に存在しますが、これは今も同じ認識でいいのでしょうか。そして、そもそも抗命権は存在するのでしょうか。政府のお考えをお願いいたします。
○中谷国務大臣 自衛隊法の五十七条に規定する上官の職務上の命令については、重大かつ明白な瑕疵がある場合に、すなわち、当該上官の職務上の命令が無効である場合を除き、自衛隊員はこれに従わなければならないと考えるとされておりまして、現時点でも同様の認識でございます。
したがいまして、五十七条がございますが、自衛隊法には抗命権というのは規定をされておりません。委員の御指摘の答弁書がいわゆる抗命権を認めたということは一概には解せないものと考えております。
○平岩委員 抗命権で有名なのは、ドイツ連邦軍のものがあると思います。兵士は上官に従わなければならない、最大限の力で命令を完全に良心的にかつ遅滞なく実行しなければならないとし、命令によって犯罪が行われるであろう場合には兵士は命令に従ってはならないという有名な抗命権があって、さらに、人間の尊厳を侵す命令には従わなくてよいとされているということです。
今御答弁ありましたように、自衛隊法五十七条がある上で、重大かつ明白な瑕疵がある場合、すなわち、当該上官の職務上の命令が無効である場合を除き、自衛隊員はこれに従わなければならないものと考えるということですが、ちょっと私の理解では、抗命権は存在しないが、一方で、命令が無効であった場合もあって、従わない場合が存在するという理解でよろしいでしょうか。その認識でよろしいんでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
抗命権につきましては、先ほど大臣が答弁をしたとおりでございまして、自衛隊法にはそのような抗命権というものは規定されておりません。
その上で、自衛隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するということとされております。隊員に対しては、その職務に関係する法令等について教育を行っており、そういったことはしっかり守られるようにしているということでございます。
○平岩委員 ありがとうございます。
それでは、その重大かつ明白な瑕疵というのはどういう場合を想定されているのでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、上官からの職務上の命令が適法か否かということだと思いますけれども、例えば、現場で上官からの職務上の命令が適法か否かにわかに判断し難い場合、そういった場合があるかもしれませんが、そういった場合には、その命令を受けた者は基本的には発令者に確認を行うという必要があるというふうに認識しております。
ただ、一方で、急を要する命令で、かつ、確認を取るようないとまがないということも現場ではあり得ると思いますけれども、そういった場合には、我々としては、まず、知識経験共に長じている上官の判断、これを信頼して命令に従うということにしております。
もちろん、命令が違法であるということが判明した場合には、その責任は上官が負うということになるというふうに考えております。
○平岩委員 ありがとうございます。
この抗命権の問題は、いわゆる自衛隊の民主的統制において非常に重要な議論だと考えておりまして、今お答えいただいたように、上官の判断によるというものだということですが、やはり、いきなり判断するという場面になっても、ふだん教育されていないと、なかなかどう判断するかというのは難しいと思うんですね。
今、自衛隊において、各級指揮官及び隊員が適切に判断できるような教育がなされているんでしょうか。お答えいただけますか。
○中谷国務大臣 私も自衛隊で勤務した者でございますが、自衛隊の中で、やはり、防衛大学校とか幹部候補生学校とか幹部学校、教育部隊などにおいて、各種の課程において、非常に長い時間をかけて幹部自衛官となる者また幹部自衛官に対しての教育を行っておりまして、その中で、命令の意義、命令の根拠、命令する者の権限等について教育を受け、自ら考え、仲間と議論を通じて自衛官としての人格と素養を磨いておりまして、指揮官として、いかなる事態においても法令を遵守し、適切な命令を行う素養を修得をさせております。
その上で、隊員は上官の適法な命令に服従する、こういう義務がありますが、違法な命令に服従する義務は存在しないといった点についても、例えば自衛隊法第五十七条また国際法などを学習する際にも教育をいたしております。
したがいまして、いかなる事態においても隊員が正しい知識を持って任務に従事できるよう、引き続き、様々な機会を通じて教育を実施してまいります。
また、指揮官の中でも、上層部とか、また曹のクラスの部署もおります。常に、この命令が適切かどうか、そういう点は、そういった上下関係の意見も聞きながら、最終的には指揮官が判断して行うということでございます。
○平岩委員 ありがとうございます。
もちろん教育されているということですが、抗命権はないということですが、でも、なかなか、そのような概念であるとか考え方というのをそもそも教育しているということが非常時においてやはり重要であるかなと思っています。
抗命権は存在しないが、命令が無効であって、従わない場合が存在するという場合において、今後、適切に判断する、その抗命権に類するみたいな概念的な、教育課程みたいなものをちょっとプログラム化していくみたいなことはお考えになっておられるでしょうか。
○中谷国務大臣 大変正しい御指摘がございました。
今後とも、教育課程の中で、そのようなことを生かしていけるように推進をしてまいりたいというふうに思います。
○平岩委員 ありがとうございます。
それでは、次の質問に移ります。自衛官の処遇改善についてです。
現場の自衛官の皆さんから現場の様子をお聞きしますと、訓練又は災害派遣、その他業務に関して私物を使っているという事実があるようです。
例えば、陸自では、作業服二着、戦闘服二着が迷彩服として支給されていますが、それだけでは回せないので、自分で追加で二、三着買うという隊員もおられるようです。また、手袋や寝袋の質が悪いというので、自分で購入したり、折り畳みベッド、ヘッドライトなど、装備を私物で購入して使うという例は、挙げれば切りがないというふうに聞いております。
我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つために我が国を防衛することを主たる任務とする自衛隊の現場からこのような声が聞こえてくることに憂慮しております。
現在、防衛省では、自衛官が訓練又は災害派遣、その他業務に関して私物を使っているという事実について調査があるのでしょうか。お答えください。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
隊員に支給している被服等の官品につきましては、品質の改善や必要な数量を見直すように、様々御指摘いただいているところでございます。
それを受けまして、自衛官が訓練等で使用する被服等の使用状況について、これにつきましては定期的にアンケート調査を実施しております。その結果、自費購入していると回答した隊員が多く確認された作業用の手袋、靴下につきまして、令和七年度概算要求におきましては、品質改善、例えば、滑りにくさとフィット感を持たせる手袋であるとか、あるいは耐久性、通気性を改善する靴下であるとか、こういう改善を図りながら、さらに、交付する数量の見直しなどに係る経費を計上しているところでございます。
委員御指摘のとおり、隊員が日常的に使用する官品につきまして、必要とする品質や数量を確保することは重要であると考えております。これらの改善に取り組み、引き続き、隊員の生活環境改善、勤務環境の改善に努めてまいります。
○平岩委員 ありがとうございます。
アンケート調査によって年々改善しているというお答えですが、まだまだ十分でないように聞いています。
そこで、部隊によっても必要な装備品は違うので、今後、一律ではなくて、各部隊ごとの裁量で、もう少し自由度を持たせて購入できるような予算をつけるというようなことは考えられないでしょうか。お答えいただけますか。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
やはり、先ほどお答えしましたとおり、必要とする品質、数量を確保することが重要でございまして、これの改善につきましては全体的に取り組んでいきまして、引き続き、隊員の生活、勤務環境の改善を進めたいというふうに考えております。
○平岩委員 是非、任務で要るものは全て支給する、そして品質のいいものを支給するということをやっていく必要があると考えております。そういう環境を整えていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次に、自衛官の給与に関してです。
先日の委員会の質問でも取り上げられていたと記憶しておりますが、もう一度、確認の意味でも、専門的かつ特殊な勤務体系における自衛官の給与を人事院勧告に依拠して改定しているということについて、その趣旨はいかがでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
自衛官の給与制度は、民間準拠を基本とする他の国家公務員の給与を参考にすることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しつつ、自衛隊の任務の特殊性を踏まえた俸給表や手当制度を独自に設けております。
自衛官についても、人事院勧告を尊重した一般職の公務員の給与改定に準じまして、先般、この委員会でも御審議いただきましたけれども、初任給や若年層に特に重点を置いた改定を行う法案が成立したところでございます。
それは俸給でございますけれども、それのほかに、航空手当とか乗組手当、災害派遣等手当といったような、自衛官の任務の特殊性、困難性を考慮した独自の手当、これも併せて支給をしております。
こういった俸給と、あと諸手当、こういったもので自衛官の処遇を確保しているということでございます。
○平岩委員 ありがとうございます。
自衛官は定年も早いということで、仮に今後少し定年等を引き上げたとしてもやはりその任務から考えると限界があるという中で、つまりは生涯年収で考えると圧倒的に不利になるというような状況で、安全保障環境が厳しさを増している中で、募集困難というのはなかなか解消されないのではないかと考えております。
その自衛官の特殊性の一つとして、今申し上げましたように若年での退職が挙げられますが、退職後の処遇改善について、現在実施している施策であるとか、今後実施予定についての考えはありますでしょうか。お答えください。
○中谷国務大臣 自衛官は一般の公務員よりも若くして退職を余儀なくされるために、若年定年制から生じる不利益を補うために若年定年退職者給付金、これを支給しておりまして、再就職支援と本給付金の支援によりまして退職後の生活を支えておるわけでございます。
しかし、私の経験上、自衛官にとりましては退職後の壁というものがありまして、つまり、自衛官の退職後の収入は、再就職後の収入と若年定年退職者給付金を合わせても退職時の収入よりも低くなっておりまして、再就職先の充実、また再就職賃金の充実と併せて、自衛官が将来の不安を払拭できる退職後の収入水準、これを確保できるように、この若年退職給付金の給付水準の在り方について、部外の専門家による御意見なども踏まえて今検討しております。
そして、加えまして、現在、官邸で、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議におきましても、再就職先の拡充、そして再就職賃金の充実、自衛官の新たな生涯設計の確立、また定年の在り方、こういうことを検討しておりまして、その結果といたしまして、関係省庁と連携して処遇改善に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○平岩委員 これらの問題を一つ一つクリアしていかないとなかなか人材確保というのは難しいと思いますので、これはしっかり取り組んでいただくことをお願いして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党の橋本幹彦でございます。
まず、次世代戦闘機のイギリス、イタリアとの共同開発、GCAPについて伺います。我が国が発揮すべきリーダーシップについて伺います。
先日、十二月十日、次期戦闘機の共同開発事業を管理する国際機関、GIGO設立のための条約が発効しました。このGIGOの初代トップには我が国から元防衛審議官の岡真臣防衛省顧問が就任されますけれども、この就任の意義、政府としてどのように認識されているでしょうか。
○中谷国務大臣 GCAPはせんだって日英伊によりまして創設したわけでございますけれども、これは、三か国の同盟国、パートナー国の協力を念頭に置いて設計されたものでございます。その際に、民間も合わせて参加できる協議会というものを立ち上げまして、日本の国内におきましては、関係の製造メーカーとか関連の会社などとまた政府の各省との連携を行っていくために官民合同の協議会を立ち上げております。
そういうところで、できるだけ新しい技術、そして使いでやニーズなどを検討いたしまして、海外でも通用できるような戦闘機の製造に向けて努力してまいりたいというふうに思っております。
○橋本(幹)委員 次期戦闘機の共同開発について、サウジアラビアの参画について報道されています。十一月二十九日の日経新聞では、日本、英国、イタリアは次期戦闘機の共同開発にサウジアラビアを加える調整に入った。翌日のNHK、三か国がサウジアラビアの参画を検討していることが政府関係者への取材で分かりましたと。
政府はサウジアラビア参画の検討状況というものを認識しているでしょうか。
○中谷国務大臣 まず、GCAPというのは日英伊三か国の協力を念頭に行っているものでありまして、現時点で第三国の参加については申し上げる段階にはございませんが、新たにGCAPに参加したいという意向を示す場合は、イギリス、イタリアとも協議の上、具体的に判断することになると考えております。ただし、このことにつきましては、条件についても現時点で決まったものはございません。
○橋本(幹)委員 GIGOのトップを輩出する国が詳細を認識していないということはないと思いますけれども、ただ、この参画、もしするということになったら極めて慎重な判断が必要だというふうに考えております。英国のウォレス国防相はGCAPについて、短い恋愛ではなくて結婚である、四十年間のプログラムで後戻りできない、そのように述べたわけです。大変重いですし、大変含蓄のある言葉だというふうに思います。
後戻りできないパートナーは慎重に見極めるべきですし、英国やイタリアはサウジアラビアの参画について前向きだというような報道もあるようではあります。もし我が国がサウジアラビアの参画を認めるのでありましたならば、国内への丁寧な説明というのはもちろんですけれども、我が国に対する相当の利益が認められなければサウジアラビアの参画というのが認められるわけではないと考えております。
GIGOの初代トップを我が国が取ったからだといって、必ずしも三か国間の外交上のイニシアチブを取れるわけではないので、是非、政府には関係各国に対する力強いリーダーシップを期待したいというふうに思っております。
あわせて、技術面についても、主導権もいま一度確保されるように望みます。要求性能や改修の自由、こういったところ、今まで国会でも議論されてきましたけれども、これらはもちろんですけれども、イギリスですとか、イタリアが勝っている分野の技術、ここの主導権についても、完全に明け渡してしまうのではなくて、むしろ、その技術を日本が習得して、技術者が育つような、そういった環境を確保すべく、交渉していただきたいと思いますが、御認識を伺えればというふうに思います。
○中谷国務大臣 日本、イギリス、イタリアの三か国の技術をかけ合わせまして、世界最高級の戦闘機を造ってまいりたいと思っております。
その上で申し上げますと、GIGOの設立条約の上で、日英伊以外の国が今後GIGOに参加するということ、加入すること、これは排除されておりませんので、今後、仮に新たな国がGIGOに加入をする場合におきましては、本条約の規定に従って、本条約を改正する必要があるために、我が国においては、改めて国会での御審議をいただくということになります。
○橋本(幹)委員 パートナーとなる国として今サウジアラビアという名前が報道では挙がっているわけですけれども、サウジアラビアについて、我が国としては、どういうような国であるのか、どういうような立ち位置の国であるのか、その認識も伺えればと思います。
○岩屋国務大臣 委員は航空自衛隊の御出身でいらっしゃいますので、この分野は大変お詳しいと思います。いろいろ御指導いただきたいと思います。
サウジアラビアですけれども、こういう言い方がいいのかどうかは分かりませんが、アラブの盟主というふうに言われておりますが、地域の大国でございますので、中東地域の平和と安定において、大変重要な役割を担っておられる国だと認識しております。
我が国にとりましては、エネルギー安全保障上の重要なパートナーでございます。安全保障分野においても、協力関係をこれから深めていきたいと思って対話を深めてきてはおりますけれども、今のところは、防衛装備や技術に関する具体的な協力についてはまだ決まっていないということでございます。
政府として、外務省としては、同国との戦略的パートナーシップを重視し、これから幅広い分野での協力を推進していきたいと考えております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。GIGOについては、質問を以上といたします。
次に、自衛隊車両限定の免許について質問します。
陸上自衛隊に入隊しますと、隊員が自衛隊車両限定の大型免許を取得することができます。陸上自衛隊において、この自衛隊車両限定大型免許を取得する隊員は、年間何人いるでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度の例でいいますと、約五千人がこの大型免許を取得しております。
○橋本(幹)委員 かつては、無条件の大型免許というのを取得できました。これが、中型免許の新設に伴って、自衛隊車両限定の大型免許というふうに変わりました。三トン半トラック、いわゆるカーゴを多用する陸上自衛隊において、特別な取り計らいがあったものだというふうに理解しておりますけれども、陸上自衛隊では、退職自衛官には、自衛隊車両限定の解除の訓練というのを実施しております。
ここで質問します。この解除の訓練、年間何名を対象に実施しているでしょうか。また、どのような隊員を訓練の対象としているでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
この大型自動車の限定解除でございますけれども、五年度の例でいいますと約五十名、四年度ですと約七十名が受講して、限定解除を受けております。
○橋本(幹)委員 およそ毎年五千人が限定付免許を取得して、百名前後の退職者が限定解除の訓練を受けているということですけれども、これは率直に言って少ないのではないかなというふうに懸念しています。
現在、政府では自衛官の処遇改善を推進しておりますけれども、このうちの一つとして、退職後の就職支援というのも含まれております。処遇改善等に関する関係閣僚会議の配付資料にも、トラックですとかバスの業界、ここへの就職のために国交省と連携して取り組んでいるというような記載がありましたけれども、一方で、防衛省だけでできる訓練が隊員には余り周知されていないのではないかなというふうに考えております。
先日も、SNSで自衛隊車両限定大型免許について誤った認識も投稿されていましたけれども、自動車運送業界もドライバー不足が深刻です。処遇改善の観点からも、ドライバー不足の解消の観点からも、限定解除訓練を推進していく、あるいは退職する隊員に対してしっかりと周知していく、こういった施策が必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 私も、四十年前、自衛官で大型免許を取得させていただきました。非常に助かっております。
したがいまして、自動車教習所で、免許等につきまして再就職支援として部外の教習所を活用することによりまして限定解除を自己負担なく行うことも可能でございますし、また、自衛隊においても隊員の約一割程度が自動車運送業等に再就職をしております。
この充実の観点から、本年六月に、国土交通省、防衛省及びバス、タクシー、トラック、自動車整備に係る業界の間で自動車運送業等との自衛隊の人材確保の取組につきまして相互に連携していくことということを申し上げたところでございますが、近々関係閣僚会議もございまして、この件につきましても議論しているところでございますので、この結論を得て更に充実させていきたいと考えております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
この臨時国会中、三回、中谷大臣には質問の機会をいただきました。毎回、自分の言葉で、自分の経験に基づいて答えていただいて本当にありがたいというふうに思っております。
ただ、これは中谷大臣が元々自衛官だからこういうような答弁ができるものだというふうに思います。是非、この国会において、制服組が出るということに法的な制限はないというふうには承知していますけれども、どうしても、内局がこの参考人として立つということが慣行として根強いところであります。今後の更なる深い議論をするためにも、是非この点も解消していければというふうに思っております。
以上で質問を終わります。
○遠藤委員長 次に、西園勝秀君。
○西園委員 公明党の西園勝秀です。
初めての国会質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、いかなる暴力の威嚇や行使も国際紛争を解決する手段としてはもう二度と用いてはならない、さきの大戦への深い悔悟の念とともに、我が国はそう誓いました。法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。
明年は、戦争終結から八十年の節目となります。しかし、中谷防衛大臣が所信表明演説で述べられたように、中国軍機による領空侵犯、北朝鮮による弾道ミサイル発射、ロシアの活発な軍事活動など、今、我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑なものとなっています。
そのような中、戦争放棄を定めた平和憲法を有する我が国は緊迫するこの国際情勢にどのように対処すべきか。まずは、防衛力の規模の観点から質問させていただきます。
中谷防衛大臣にお伺いします。二〇二四年度の防衛予算は対GDP比約一・六%ですが、国家安全保障戦略の中ではこれを二%まで引き上げるとされています。なぜ二%まで引き上げる必要があるのでしょうか。理由をお聞かせください。
○中谷国務大臣 委員御指摘のように、今、国際情勢、社会は、ロシアによるウクライナの侵略が示すように、深刻な挑戦を受けて、新たな危機に突入しております。いわば力による現状変更、今までは国際秩序ということで、余り力によって現状を変えるような国がありませんでしたけれども、近年、非常にこれが見られるようになりました。
我が国周辺におきましても、力による一方的な変更の試みの深刻化、また北朝鮮による度重なるミサイルの発射、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると言えると思います。
こうした中で、安全保障戦略等の策定につきまして、現在、防衛力の抜本的強化に努めているわけでございますけれども、現下の防衛に総合的な国力を活用して対応するという考え方で必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国、同志国等の連携を踏まえて、国際比較のための指標も考慮しまして、我が国自身の判断としまして、二〇二七年度において防衛力の抜本的強化、それを補完する取組、これを合わせまして、予算水準がGDPの二%に達するよう所要の措置を講じることといたしております。
政府としては、引き続き、丁寧に説明を尽くしながら、国家安全保障戦略等に基づきまして、我が国の抑止力、対処力の強化のために防衛力の抜本的強化を着実に進めていく考えでございますので、よろしくお願いいたします。
○西園委員 中谷大臣、ありがとうございます。
まさに、我が国自身の判断として防衛費の対GDP比二%を確保するという決意だと思います。これはまさに我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているという中で、他国が我が国に侵略してきた、そういう場合に、同盟国の当然支援を受けつつということではございますが、これを阻止し、また排除できるようにするために必要な防衛予算の目標値だと受け取りました。
では、この水準が他の西側先進国と比べて多いのか少ないのかということでございます。
お手元に資料をお配りしておりますので、御覧をいただければと思います。
これは、二〇二四年のNATO加盟国の国防費がGDPに占める割合を示しております。これを見ると、二%の水準を超えている国は三十二か国中二十三か国です。この中には、日本と同じくロシアと国境を接するフィンランド、ルーマニア、ブルガリア、トルコが含まれています。日本はNATO加盟国ではありませんので同列に考えることはできませんが、ロシア、中国、北朝鮮と国境を接する我が国は、アメリカとの同盟関係の下、どれくらいの防衛予算を確保すれば国民の安全を守れるのか、冷静な議論が必要だと思います。
政府は、防衛力整備計画の中で、令和五年度から令和九年度までの五年間で四十三兆円の防衛予算が必要だと示しました。しかし、国民の皆様への説明が十分になされていないのではないかと感じます。その必要性、具体的な内容を国民の皆様に分かりやすく御説明いただければ幸いでございます。
○中谷国務大臣 まず必要なのは防衛力の抜本的強化でございます。それは、国際情勢が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙をしていく極めて現実的なシミュレーション、これを始めとする様々な検討を行いまして、必要となる防衛力の内容を積み上げて、そして防衛費の規模、これを導き出しました。
この抜本的強化に当たりましては、七つの柱、これを立てました。
第一の柱は、スタンドオフ防衛能力の強化としまして、例えば、一二式地対艦誘導弾能力向上型などの取得です。そして、統合防空ミサイル防衛能力の強化といたしまして、〇三式中SAM改などの取得でございます。
第三には、無人アセット、これの防衛能力の強化としまして、各種無人アセット、ドローンとかグローバルホーク、これの取得。
そして、第四の柱は、領域横断作戦能力の強化といたしまして、護衛艦十二隻、戦闘機F35A、B計六十五機、そしてスタンドオフ電子戦機一機などの取得をすることとしております。
第五の柱は、指揮統制、情報関連機能の強化といたしまして、電波情報収集機RC―2などの取得。
そして、第六の柱といたしまして、機動展開能力、国民保護といたしまして、輸送船舶、輸送機等の各種輸送アセットの取得、そして強化された機動展開能力の住民避難への活用。
そして、最後に第七の柱といたしましては、持続性、強靱性としまして、各種弾薬、また部品の整備、そして避難場所とか、こういった施設の強靱化などを進めていくということにいたしております。
さらにもう一つ、防衛生産や技術基盤、また人的基盤につきましても、いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤の強化に係る費用、そして防衛力を支える人的基盤の強化を含む教育訓練費並びに基地対策費などをしっかりと積み上げております。
このような積み上げを一つ一つ計算いたしまして合計したのが四十三兆円程度という防衛費の規模でありまして、これは防衛力の抜本的強化が達成できて防衛省・自衛隊としての役割をしっかり果たすことができる水準として不可欠であるというふうに認識しております。
○西園委員 大臣からの丁寧な御説明、ありがとうございます。ただいま七つの柱としての内容を御説明いただきました。私、軍事の専門家ではございませんので、このものがちょっと妥当かどうかというのは正直分かりませんので、専門家の意見を聞いて、是非、ちょっと私自身、検証してまいりたいというふうに思います。
なお、この度、今大臣が防衛予算の中に国民保護に関する予算が含まれているとおっしゃってくださいました。私、大変大事な視点だと思っております。本当に絶対にあってはならないことではございますけれども、万が一、国民が戦渦に巻き込まれるようなことがあった場合、一刻も早く国民を退避させなければなりません。防衛力そのものも大事ですけれども、国民を退避させ、その命を守るのに必要な国民保護の予算をまずはしっかりと確保いただきたいというふうに思います。
いずれにしましても、中谷防衛大臣の下、防衛省・自衛隊の皆様は、二十四時間三百六十五日、常に緊張感を持って我が国を守ってくださっております。皆様の献身的な御尽力に心からの敬意を表し、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 本日はお疲れさまでございました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十八分散会