第1号 令和7年3月11日(火曜日)
本国会召集日(令和七年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 池畑浩太朗君 理事 橋本 幹彦君
江渡 聡徳君 金子 容三君
黄川田仁志君 草間 剛君
鈴木 英敬君 鈴木 隼人君
関 芳弘君 中曽根康隆君
福田かおる君 向山 淳君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
伊藤 俊輔君 重徳 和彦君
下野 幸助君 松尾 明弘君
美延 映夫君 平岩 征樹君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
赤嶺 政賢君
令和七年三月十一日(火曜日)
午前十一時開議
出席委員
委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 池畑浩太朗君 理事 美延 映夫君
理事 橋本 幹彦君
江渡 聡徳君 金子 容三君
岸 信千世君 草間 剛君
佐々木 紀君 島田 智明君
鈴木 隼人君 関 芳弘君
福田かおる君 山本 大地君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
伊藤 俊輔君 重徳 和彦君
福森和歌子君 松尾 明弘君
平岩 征樹君 西園 勝秀君
山崎 正恭君 赤嶺 政賢君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
防衛大臣 中谷 元君
外務副大臣 藤井比早之君
外務副大臣 宮路 拓馬君
防衛副大臣 本田 太郎君
外務大臣政務官 生稲 晃子君
防衛大臣政務官 金子 容三君
防衛大臣政務官 小林 一大君
安全保障委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
三月十一日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 佐々木 紀君
鈴木 英敬君 岸 信千世君
中曽根康隆君 島田 智明君
向山 淳君 山本 大地君
下野 幸助君 福森和歌子君
同日
辞任 補欠選任
岸 信千世君 鈴木 英敬君
佐々木 紀君 黄川田仁志君
島田 智明君 中曽根康隆君
山本 大地君 向山 淳君
福森和歌子君 下野 幸助君
同日
理事池畑浩太朗君同日理事辞任につき、その補欠として美延映夫君が理事に当選した。
―――――――――――――
二月十七日
平和、命、暮らしを壊す大軍拡、大増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三号)
同(志位和夫君紹介)(第四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第六号)
同(田村貴昭君紹介)(第七号)
同(田村智子君紹介)(第八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第九号)
同(本村伸子君紹介)(第一〇号)
同(川原田英世君紹介)(第八九号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一六号)
同月二十八日
大軍拡をやめることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六二号)
同(志位和夫君紹介)(第二六三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二六四号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二六五号)
同(田村貴昭君紹介)(第二六六号)
同(田村智子君紹介)(第二六七号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二六八号)
同(本村伸子君紹介)(第二六九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国政調査承認要求に関する件
国の安全保障に関する件
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○遠藤委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
本日で東日本大震災から十四年を迎えます。
これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
全員御起立をお願いいたします。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○遠藤委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
――――◇―――――
○遠藤委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事池畑浩太朗君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に美延映夫君を指名いたします。
――――◇―――――
○遠藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
国の安全保障に関する事項について、本会期中国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○遠藤委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
この際、防衛大臣から所信を聴取いたします。中谷防衛大臣。
○中谷国務大臣 防衛大臣の中谷元です。
遠藤委員長を始め、理事及び委員の皆様に、防衛大臣としての所信を申し上げます。
今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっています。
中国は、国防費を急速に増加させ、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化しています。
このような軍事力を背景として、中国は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海、日本海、西太平洋等、我が国周辺全体での活動を活発化させるとともに、近年、台湾周辺での大規模な軍事演習を複数回実施するなど、台湾に対する軍事的圧力を高め、さらに、南シナ海での軍事拠点化等を推し進めています。
このような中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦となっています。
北朝鮮は、体制を維持するため、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組んでいます。近年は、低空を変則的な軌道で飛行する弾道ミサイルの実用化を追求するとともに、ICBM級弾道ミサイルの発射を繰り返し強行しており、本年に入ってからも弾道ミサイルの発射を行っています。
北朝鮮は一貫して核・ミサイル能力を強化していく姿勢を示しており、今後も、各種ミサイル発射や衛星打ち上げ、核実験などの更なる挑発行為に出る可能性があると考えられます。
このような北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっています。
ロシアは、ウクライナ侵略を継続するとともに、我が国周辺においても北方領土を含む極東地域において、新型装備の配備や大規模な軍事演習の実施等、活発な軍事活動を継続しています。さらに、近年は、中国と共に艦艇による共同航行や爆撃機による共同飛行、各種訓練を実施するなど、軍事面での連携を強化しています。
こうしたロシアの軍事動向は、我が国を含むインド太平洋地域において、中国との戦略的な連携と相まって防衛上の強い懸念となっています。
また、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、北朝鮮はロシアと軍事面での協力を強化しています。
北朝鮮兵士のロシアへの派遣やウクライナに対する戦闘への参加など、最近のロ朝軍事協力の進展の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべきものです。
このように、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、防衛力の抜本的強化を速やかに実現させる必要があります。
スタンドオフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力といった将来の中核となる能力を強化するとともに、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能の強化に取り組みます。
また、部隊が迅速かつ粘り強く活動するためには、機動展開能力や持続性、強靱性の強化も重要です。現有装備品を最大限有効に活用するため、可動率向上や弾薬、燃料の確保、防衛施設の強靱化への投資を加速してまいります。
既存の国際秩序への挑戦が続く中、こうした防衛力の抜本的強化に加え、同盟国、同志国等と協力、連携を深めていくことが不可欠です。
日米同盟は我が国の安全保障政策の基軸であり、その抑止力、対処力の強化に向けた具体的な取組を着実に進めてまいります。
あわせて、普天間飛行場の辺野古移設や在沖米海兵隊のグアム移転を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力、対処力の強化を図りながら、沖縄を始めとする地元の基地負担軽減を図るため、全力で取り組みます。
本年一月の米国のヘグセス長官就任直後に電話会談を実施し、日米同盟の重要性について確認するとともに、可能な限り早期の対面での会談の実現に向けて調整していくことで一致しました。引き続き、トランプ政権との間で、日米同盟を新たな高みに引き上げるため、努力していく考えです。
同時に、日米韓や日米豪といった、日米を基軸とした多国間協力の発展もこれまで以上に進めてまいります。そして、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に資する取組を進めるため、多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進します。
本年初め、インドネシアを訪問し、シャフリィ国防大臣との防衛相会談を行い、防衛当局間での閣僚級を含むハイレベルの協力と意思疎通の強化など、様々な形で具体的な取組を強化していくことで一致しました。
また、イギリスを訪問し、ヒーリー国防大臣との日英防衛相会談を開催し、アジア及び欧州における相互に最も緊密な安全保障上のパートナーとして、日英間での連携を一層深めていくことで一致しました。
先月にはフィリピンを訪問し、テオドロ国防大臣との防衛相会談では、運用面における連携、人的交流、防衛装備、技術協力を更に強化し、両国の防衛面での協力と連携を更に一段高いものに引き上げていくことで一致しました。あわせて、日米比や日米豪比など多国間防衛協力を強化していくことも確認しました。
引き続き、こうした防衛相会談を積極的に実施してまいります。
加えて、現在、我が国は日英伊三か国共同での次期戦闘機の開発を進めています。このプログラムは欧州及びインド太平洋地域の平和と安定のために不可欠な極めて重要なものであり、三か国で緊密に連携しながら進めていく考えです。
そして、韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。韓国における内政の動きについては日本政府として注視していますが、日韓、日米韓の連携がますます重要となっていることに変わりはありません。
また、防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのものと位置づけられるものであり、その強化は必要不可欠です。防衛生産基盤強化法等により、防衛生産・技術基盤の強化に向けた施策を引き続き力強く進めてまいります。
そして、豪州政府が進める次期汎用フリゲートの最終候補に、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型護衛艦が残っています。最終選定に向けたよい提案ができるよう、官民合同での委員会も開催していますが、引き続き、関係省庁としっかり連携し、官民一体となって取り組んでまいります。
人的基盤の強化も待ったなしの課題です。
防衛力の最大の基盤である自衛官が十分に充足されていないことは極めて深刻な課題です。少子化による募集対象人口の減少などを背景とした厳しい募集環境の中においても、自衛隊員を安定的に確保していくことが必要不可欠です。
昨年、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針に基づき、必要な施策を速やかに実施します。
最後に、国会提出法案について申し上げます。
防衛省設置法等の一部を改正する法律案は、自衛官の手当の新設、引上げを始めとする人的基盤の抜本的強化や、自衛官定数の変更を含む自衛隊の組織改編、物品役務相互提供協定に係る規定の整備といった同志国等との協力強化を主な内容とするものです。
また、防衛の分野に係る円滑化協定に係る法制の簡素化及び円滑化協定の適確な実施を確保するための法律案も提出予定です。
委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
以上、防衛省・自衛隊が直面する課題に対し、防衛大臣として、全身全霊、職務に邁進していく所存です。
皆様におかれては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○遠藤委員長 次に、外務大臣から所信を聴取いたします。岩屋外務大臣。
○岩屋国務大臣 外務大臣の岩屋毅です。
安全保障委員会の開催に当たり、遠藤委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、安全保障政策の所信を申し述べます。
国際社会の分断や対立が深まり、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持することの重要性がより一層高まっています。
外交と防衛は表裏一体をなし、国の根幹を成すものであります。私自身、政治家として一貫して外交、安全保障に携わってきた経験を生かし、激動する国際情勢から我が国を守り抜き、地域や国際社会の平和と安定に取り組んでまいる決意です。
我が国の外交、安全保障の基軸である日米同盟の充実と強化は、石破政権の最優先事項です。先般の日米首脳会談の成果を踏まえ、日米同盟を新たな高みに引き上げてまいります。
この観点から、自由で開かれたインド太平洋を実現するため、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に取り組んでまいります。具体的には、同盟の指揮・統制枠組みの強化、南西諸島のプレゼンス強化、拡大抑止の一層の強化、防衛装備や技術協力の強化などの優先事項を重点的に進めてまいります。
また、在日米軍の態勢の最適化に向けた取組を進めてまいります。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に取り組んでまいります。
日米同盟を更に発展させていく上では、外交、安全保障と経済を一体として議論していくことが重要です。こうした観点から、経済安全保障分野での協力を始め、経済分野における協力を更に拡充し、深化させてまいります。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持することにより、インド太平洋地域、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けては、G7、ASEAN諸国、豪州、インド、韓国、EU、NATO、太平洋島嶼国などとの協力関係を更に強化し、日米豪印、日米韓及び日米比を始め、実践的な協力を進めてまいります。
同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、防衛装備品の共同開発や移転を始めとする安全保障分野での協力を一層強化していく考えです。
英国及びイタリアとの間で行う次期戦闘機の共同開発についても、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現すべく、引き続き三か国で緊密に連携して進めてまいります。
近隣諸国などとの間の懸案の解決も重要な課題です。
日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を負っています。価値を共有する同盟国、同志国との確固たる連携を前提とした上で、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係を構築するという大きな方向性の下、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために互いに努力していく必要があります。
中国との間では、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。
特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船の活動は、国際法違反であり、認められません。我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、かかる行為に対しては冷静かつ毅然と対応してまいります。そして、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると引き続き強調してまいります。
今後も中国の軍事活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけてまいります。
韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。目下、韓国には内政上の動きがあり、また、日韓間には隣国であるがゆえに難しい問題もありますが、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性はいささかも変わりません。
竹島については、歴史的事実に照らしても、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
北朝鮮による核・ミサイル開発も推し進められています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。
さらに、北朝鮮兵士のロシアへの派遣やウクライナに対する戦闘への参加、ロシアによる北朝鮮からの弾道ミサイルを含む武器弾薬の調達及び使用といったロ朝軍事協力を強く非難します。こうした動きは、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に懸念しています。
米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの方針に変わりはありません。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、総理自身の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。今なお続くロシアによる一連の攻撃を改めて強く非難します。ロシアによる核の威嚇、ましてや使用は断じてあってはなりません。
その上で、現在行われている米国、欧州を含む各国による外交努力が、国際社会の結束の下で、長年にわたる戦闘行為の終結と一日も早い公正かつ永続的な平和の実現につながることが重要です。こうした我が国の立場に基づき、G7と連携しつつ、今後もウクライナ支援と対ロ制裁を継続してまいります。
日ロ関係は引き続き厳しい状況にあります。ロシア側による一方的な発信や措置には毅然と対応してまいります。同時に、漁業や我が国周辺の安全に係る問題のように、隣国として解決しなければならない懸案事項があり、ロシア側と適切に意思疎通を行っていく必要もあります。
北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持しつつ、最優先事項の一つである北方四島交流訪問事業の再開については、特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を強く求めてまいります。
地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。
中東情勢は引き続き予断を許しません。ガザ情勢については、人質の解放と停戦に関する合意の誠実かつ着実な履行が必要です。
シリアにおいては、シリア人による対話を通じた包摂的な政治的解決の実現のための支援を行ってまいります。イスラエルとレバノンの停戦合意の完全な履行も不可欠です。
引き続き、関係国、機関と緊密に連携しながら、事態の早期鎮静化、人道状況の改善、イスラエルとパレスチナの二国家解決の実現、そして中長期的な地域の平和と安定の確立に向け、外交努力を重ねてまいります。
また、我が国は中東地域に原油輸入の九割以上を依存しています。世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギーの安定供給、そしてこれを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。
グローバルサウスとの連携も極めて重要です。八月の第九回アフリカ開発会議、TICAD9などの機会も捉え、様々な課題への解決策をアフリカとともにつくり上げてまいります。
核軍縮・不拡散については、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を行ってまいります。
また、サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全と促進など、経済安全保障の課題にも全力で取り組んでまいります。
政府安全保障能力強化支援、OSAの推進や、サイバー対応能力の向上、テロ及びサイバー犯罪を含む国際組織犯罪分野での協力の強化にも取り組んでまいります。
そして、人間の安全保障の理念の下、貧困、気候変動、自然災害などの複合的危機への対応についての国際協力を進めるとともに、地球規模課題におけるルール形成の議論を主導してまいります。
また、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSについても国際的な協力を進めてまいります。
以上、当面する諸課題についての所信を申し述べました。
議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
○遠藤委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。
次に、令和七年度防衛省関係予算の概要について説明を求めます。本田防衛副大臣。
○本田副大臣 防衛副大臣の本田太郎でございます。
遠藤委員長を始め、理事、委員の皆様におかれましては、御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和七年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
令和七年度予算においては、防衛力整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向け、必要かつ十分な予算を確保するという考えの下、衛星コンステレーションの構築等によるスタンドオフ防衛能力の強化など、将来の防衛力の中核となる分野を始めとする七つの重点分野における事業の推進に必要な金額を計上しております。
装備品の可動率向上、弾薬確保とともに防衛施設の強靱化への投資を引き続き重視します。
また、防衛生産・技術基盤の強化を推進してまいります。基地周辺対策を推進し、米軍再編を着実に実施してまいります。
これらに加えて、特に令和七年度は、自衛官の現下の厳しい募集状況に鑑み、令和六年十月に設置された関係閣僚会議において取りまとめられた基本方針を踏まえ、人的基盤の強化に係る施策に迅速に取り組むこととし、自衛官であること、また、自衛官であったことの誇りと名誉を得ることができるような令和の時代にふさわしい処遇を確立していくこととしています。
なお、足下の物価高、円安の中、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、引き続き経費の精査と装備品の効率的な取得を一層推進する考えです。
防衛省所管の一般会計歳出予算額は八兆六千六百九十億五千七百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、七千五百十八億八千万円の増となっております。
継続費の総額は、護衛艦建造費で三千百六十五億二千六百万円、潜水艦建造費で千百九十三億九千七百万円となっております。
また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で六兆八千二百五十九億七千三百万円となっております。
次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。
第一に、我が国の防衛力整備については、前年度に引き続き、射程や速度、飛翔の態様、対処目標、発射プラットフォームといった点で特徴が異なる様々なスタンドオフミサイルの研究開発、量産、取得を行います。また、スタンドオフ防衛能力の実効性確保に必要な目標の探知、追尾能力の獲得のため、令和七年度末から衛星コンステレーションの構築を開始します。さらに、宇宙領域において、現在運用中のXバンド防衛通信衛星「きらめき」二号の後継機として、通信能力等が向上された次期防衛通信衛星の整備に着手します。
第二に、同盟国、同志国等との協力については、我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による抑止力、対処力を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。
第三に、防衛生産・技術基盤の維持強化については、防衛生産基盤強化法の着実な執行等により、力強く持続可能な防衛産業の構築、様々なリスクへの対処、防衛装備移転を推進するとともに、研究開発、民生の先端技術の活用に取り組んでまいります。また、グローバル戦闘航空プログラム政府間機関を通じ、次期戦闘機の共同開発を推進します。
第四には、自衛官の処遇、勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立です。
自衛官の現下の厳しい募集状況に鑑み、正面装備品のみならず、人的基盤を拡充することは極めて重要な課題です。令和六年十月に設置された関係閣僚会議において取りまとめられた基本方針を踏まえ、しっかりと必要な施策に取り組む所存です。
具体的には、まず、自衛官の処遇改善のため、過去に例のない三十を超える手当等の新設や金額の引上げ等を行い、特に募集状況が厳しい士の確保のため、任用一時金の引上げを行います。また、予備自衛官の処遇改善も重要であり、手当の引上げ等を実施します。
生活、勤務環境の改善も重要であり、若い世代のライフスタイルに合った生活、勤務環境の構築のため、営舎内居室の個室化や隊庁舎の改修等を実施するとともに、仕事と育児、介護の両立及び女性活躍の推進や被服、糧食の充実も推進します。
このほか、新たな生涯設計の確立、自衛官採用の推進のための広報、募集強化などに取り組みます。
以上の防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百十三億九千三百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。
これをもちまして、令和七年度防衛省関係予算の概要の説明を終わります。
○遠藤委員長 以上で説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十分散会