衆議院

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第3号 令和7年2月3日(月曜日)

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令和七年二月三日(月曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    井野 俊郎君

      鬼木  誠君    国光あやの君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      寺田  稔君    中西 健治君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古屋 圭司君

      山田 賢司君    今井 雅人君

      大西 健介君    岡田 克也君

      神谷  裕君    川内 博史君

      川原田英世君    黒岩 宇洋君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    柴田 勝之君

      福森和歌子君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    青柳 仁士君

      阿部  司君    池下  卓君

      猪口 幸子君    岩谷 良平君

      黒田 征樹君  斎藤アレックス君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      萩原  佳君    藤巻 健太君

      臼木 秀剛君    田中  健君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      村岡 敏英君    赤羽 一嘉君

      大森江里子君    岡本 三成君

      河西 宏一君    中川 宏昌君

      山口 良治君    櫛渕 万里君

      塩川 鉄也君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君    北神 圭朗君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      武藤 容治君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    浅尾慶一郎君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (防災庁設置準備担当)

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齋藤  敦君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   野村  裕君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    筒井 洋樹君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  杉浦 直紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    南   亮君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 小善 真司君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    宮澤 康一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     鬼木  誠君

  高木  啓君     井出 庸生君

  酒井なつみ君     岡田 克也君

  米山 隆一君     福森和歌子君

  池下  卓君     岩谷 良平君

  徳安 淳子君     阿部  司君

  西田  薫君     萩原  佳君

  長友 慎治君     臼木 秀剛君

  橋本 幹彦君     田中  健君

  大森江里子君     中川 宏昌君

  河西 宏一君     山口 良治君

  田村 貴昭君     塩川 鉄也君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     井野 俊郎君

  鬼木  誠君     河野 太郎君

  岡田 克也君     川原田英世君

  福森和歌子君     米山 隆一君

  阿部  司君     青柳 仁士君

  岩谷 良平君     斎藤アレックス君

  萩原  佳君     黒田 征樹君

  臼木 秀剛君     長友 慎治君

  田中  健君     村岡 敏英君

  中川 宏昌君     大森江里子君

  山口 良治君     岡本 三成君

  塩川 鉄也君     田村 貴昭君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     中西 健治君

  川原田英世君     柴田 勝之君

  青柳 仁士君     徳安 淳子君

  黒田 征樹君     藤巻 健太君

  斎藤アレックス君   池下  卓君

  村岡 敏英君     橋本 幹彦君

  岡本 三成君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 健治君     高木  啓君

  柴田 勝之君     酒井なつみ君

  藤巻 健太君     猪口 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 幸子君     西田  薫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官齋藤敦君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府政策統括官野村裕君、警察庁警備局長筒井洋樹君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治財政局長大沢博君、総務省情報流通行政局長豊嶋基暢君、法務省刑事局長森本宏君、法務省人権擁護局長杉浦直紀君、外務省大臣官房審議官大河内昭博君、外務省大臣官房審議官熊谷直樹君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、文部科学省初等中等教育局長望月禎君、文部科学省高等教育局長伊藤学司君、文部科学省科学技術・学術政策局長井上諭一君、文部科学省研究振興局長塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、厚生労働省社会・援護局長日原知己君、厚生労働省保険局長鹿沼均君、農林水産省大臣官房総括審議官宮浦浩司君、農林水産省消費・安全局長安岡澄人君、農林水産省農産局長松尾浩則君、農林水産省畜産局長松本平君、水産庁長官森健君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官南亮君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁資源・燃料部長和久田肇君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君、国土交通省不動産・建設経済局長平田研君、国土交通省住宅局長楠田幹人君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君、国土交通省政策統括官小善真司君、観光庁次長平嶋隆司君、海上保安庁次長宮澤康一君、防衛省防衛政策局長大和太郎君、防衛省整備計画局長青柳肇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 去る一月三十一日の長妻昭君の質疑に関連し、岡田克也君から質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田(克)委員 立憲民主党の岡田克也です。

 まず、近く予定されている日米首脳会談について。

 今日の報道によりますと、トランプ大統領の、カナダ、メキシコに対する二五%、それから中国に対して一〇%プラスの関税を課すことが決定をされたということです。

 これは、外交は取引である、関税は取引の重要な手段であるということでなされたことだと思いますが、そういう考え方の是非、総理のお考えを聞きたいと思いますし、それから、首脳会談でもこの問題について日本の考え方をきちんと述べて、そして望ましくないということを主張すべきだと思いますが、総理のお考えを聞きたいと思います。

石破内閣総理大臣 トランプ大統領からそのような発言があったことは報道等によって承知をいたしております。これはトランプ氏が選挙中から公言をしておったことであって、それを公約どおりにといいますか、実施するということを述べたというふうなものだと承知をいたしております。

 外交は取引であるというようなことをこれまた言っておられる、一種のディールと言っているのかもしれません。これがいかなる背景に基づいてこのような決定がなされたか、それによってどのような影響が及ぼされるのかということはよく私どもとして考えていかねばならないと思っております。

 同時に、トランプ氏が言っておるのはフェアという言葉、これをよく使うのでありまして、これがどのようにして合衆国の国益にかない、世界のこれからの自由貿易というものに対して影響を与えるかということは我が国としてよく精査をしてまいりたいと思っております。

岡田(克)委員 いろいろ精査をするのは結構なんですが、だからどうなのか、日本としてどう考えるのかというお答えは全くなかったですよね。やはり近々、日米首脳会談があるということであれば、もちろんこれは日本に降りかかってくる可能性もあります。それから、世界の貿易にとって望ましいことでは決してないということはきちんと述べられるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 それに関連して、首脳会談で、自由で開かれたインド太平洋という考え方が恐らく合意されるだろうと思うんですね。これは日本の強い主張でもあり、トランプ大統領も第一期のときにこの考え方を認めておられましたので、この地域にアメリカの関与を持続させるという意味でも、日本にとっても極めて重要な概念だというふうに思います。

 この自由で開かれたインド太平洋ということの中身として、日本としては法の支配ということを非常に重視しているわけですね。その法の支配ということとトランプ大統領の取引外交というのが果たして矛盾しないのか。結局、自由で開かれたインド太平洋という言葉は共有しても、中身については同床異夢じゃないかというふうにも思うわけですね。

 私は是非、首脳会談で、文書を作るのか記者会見かは分かりませんが、その場で法の支配というものをしっかりと述べてもらいたい、あるいは合意してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりだと思っております。自由で開かれた太平洋ということは、言葉を換えれば、力による現状変更、これは認められないということになります。力によって現状を変更する、つまり、法の支配というものを力によって突き崩していくということは認められないのだということ、これは日米間で共有するものだと思っております。

 ですから、トランプ氏が言っておる法の支配、自由で開かれた太平洋という概念、これは我が国と合衆国が共有をするものでございまして、その点においてそごが生じるとは思っておりません。

岡田(克)委員 ですから、力による現状変更というのは中国というものを念頭に置いた考え方だと思いますが、今やそれが中国だけじゃなくてアメリカもというところに問題があるわけで、やはりここは、インド太平洋にある国々は非常に不安を持っている。やはり法の支配というのは重要だということを改めてトランプ大統領との間で明確に確認するということは、私は非常に意味のあることだと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、繰り返しになって恐縮でありますが、力による現状変更は認められないということは、法による支配ということとほとんど概念的には重なるものだと思っております。そういうことが起こらないように、日米として、この地域において協力をしながら役割を果たしていくということ。

 そして、私が委員の御指摘を誤解しているのかもしれませんが、合衆国がこの地域において力による現状変更を試みているというふうには承知をいたしておりません。

岡田(克)委員 ですから、関税を使って脅しをかけるとか、そういうことも力による現状変更じゃないかと私は思うわけですね。是非、首脳会談の折、文書でも記者会見でも結構です、法の支配が重要だということは確認をしてもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。

 次に、地球温暖化対策基本案、政府が現在出しているものですが、これについて少し議論したいと思います。

 トランプ大統領は、パリ協定からの脱退を表明しました。パリ協定では、産業革命以前に比べて二度Cより十分低く保つ、一・五度Cに抑える努力をするということが確認されたもので、ここから世界第二の排出国であるアメリカが離脱をするということは非常に大きなことだと私は思います。

 そこで、私は、日本を始めとする先進国の責任というものがより重くなっているというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 我が国として、この地球温暖化というものを阻止するために、いろいろな計画を策定し、着実に実行に移しておるところでございます。

 合衆国はこの後どのようになっていくか、また、ユナイテッドステーツという国の成り立ちからいって、連邦政府あるいは州政府がどういう役割を果たしていくか、そのようなことは精緻に分析をしていかなければなりません。それは、委員御指摘のように、我が国として、地球温暖化阻止のために引き続き合衆国の適切な関与というものは求めていかねばならないし、それはそれとして、我が国が地球温暖化阻止のために果たすべき役割というのは極めて重要になってくる、そのように認識をいたしておるところでございます。

岡田(克)委員 掘って掘って掘りまくれと言っているトランプ大統領ですから容易なことではありませんが、第一期のときも、州政府とかアメリカの企業とか、そういう中には懸命にこの問題に取り組むところも多かったわけで、そのことも含めて、日本としてもしっかり努力していかなければいけないと思います。

 総理は今、我が国の責任も重いということをおっしゃったと思うんですが、ちょっとパネルの一を御覧ください。

 現在政府が発表している、二〇三五年と二〇四〇年の目標というものを政府は発表していて、二〇三五年六〇%マイナス、二〇四〇年七三%マイナス、これは二〇一三年度比ということですが、こういう数字が出ております。

 私は、二〇三五年度六〇%削減というのは極めて不十分だというふうに思っているわけですね。三つ根拠を挙げて申し上げたいと思うんです。

 まず先進国、今総理も、先進国や日本の責任ということはおっしゃいました。世界全体で二〇五〇年にゼロということのためには、やはり先進国がそれに先立ってゼロにしなければ、途上国は後で技術とかいろいろなもので追いかけてきますので、ゼロにならないと思うんですね。そういう意味で、もっと早くゼロにすべきではないかというふうに思いますが、日本としてはですね、二〇五〇年じゃなくて。いかがですか。

浅尾国務大臣 岡田委員の御質問にお答えさせていただきます。

 我が国は、今御指摘のとおりの目標を、今パブリックコメントを掲げているところでありますけれども、先進国全体で二〇五〇年にネットゼロを目指すということでございます。この点については、他のほぼ全ての先進国がパリ協定の一・五度目標と整合的な形で二〇五〇年ネットゼロを掲げるということでありまして、全てのセクターをカバーする絶対量の目標を設定し、世界の先頭に立って不断の排出削減に取り組んでいるところでありまして、その結果として、これまでのところ着実に削減を続けております。

 その中に、様々なシナリオはありますけれども、世界全体では二〇五〇年ネットゼロということで、それは……

安住委員長 手短に。

浅尾国務大臣 先ほど申し上げましたように、ほぼ全ての先進国がそうした目標を掲げているということであります。

岡田(克)委員 今回のトランプ大統領のパリ協定離脱ということも踏まえて、私は、責任はより重くなっていると思いますし、それから、IEAが二〇二三年九月に発表したロードマップでは、先進国は二〇三五年のCO2排出を八〇%削減が必要だというふうに言っているわけです。これとも整合していないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、その六〇%削減というのが、先ほど申し上げたように、二〇一三年度比であります。しかし、日本のこの二〇一三年度、六〇%というのは、世界基準でいえば、二〇一九年比で考えれば、六六%削減しなければいけないということになります。だから、基準年が違っているわけですね。

 結局、世界の約束も果たしていないということに対して、総理、どう思われますか。私、環境大臣に聞いているんじゃないですから、総理、お願いします。

石破内閣総理大臣 この削減目標というのは、昨年の政府の地球温暖化対策推進法、二〇五〇年のネットゼロに向けて、二〇三五年度といったらあと十年先、これで六〇%、そしてまた、二〇四〇年度七三%減ということを掲げておるわけでございます。

 本当にそれだけが削減できるかということは、普通、考えてもかなり野心的な厳しい目標であるが、これを達成するということで、政府として真摯に産業界と協力をしながら取り組んでいくところでございます。

 今、基準年のお話がございました。これは、二〇一三年度を基準としている日本の削減目標は、少なくとも二〇三五年度に六六%以上とするべきではないかというような御指摘かというふうに理解をいたしたところでございます。

 委員御案内のとおりかと思いますが、IPCCの第六次評価報告書というものが、二〇一九年比六〇%削減というふうにいたしております。これは、世界の気温上昇を一・五度に抑える複数の削減のやり方、これの二〇三五年の中央値でございます。この報告書では、科学的な不確実性がございますので、幅がございます。四九%から七七%までの削減という幅で示しておるものでございまして、決して甘い目標だと思ってはおりません。

 私どもの達成目標というものは厳しいものでありますけれども、この実現に向けて、日本国として最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところであります。

岡田(克)委員 幅があるから一番甘い数字でいいでしょうというのは、リーダーシップを発揮していることに全くならないじゃないですか。

 もう一つ申し上げておきます。

 現在のこの計画、菅政権のときに作ったものですが、そのときにこの二〇三〇年マイナス四六%ということを決めたわけですが、同時に、マイナス五〇%の高みに向けて挑戦するという表現が入りました。これは、当時の菅さんのリーダーシップだったと私は思います。この表現は現在の案でも生きています、二〇三〇年については。

 ところが、二〇三五年や二〇四〇年については、高みに向けて挑戦するという表現がないんです。なぜないんですか。挑戦することをやめたんですか、総理。いかがですか。

石破内閣総理大臣 やめたということは一切ございません。その高みに向けて努力をしておるということに何ら変わりはございません。

岡田(克)委員 そうであれば、今、パブリックコメントを求めているところですが、二〇三五年、二〇四〇年に向けても、高みに向けて挑戦するという表現を是非入れていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 現状におきましても考えは全く変わっておりません。表現があるなしにかかわらず、その目標に向けて政府として取り組んでいくという方針には何ら変更はございません。

岡田(克)委員 政府の方針なら閣議決定文書に入れてください。そのことを求めておきたいと思います。

 次に、エネルギー基本計画について質疑したいと思います。

 今、エネルギー基本計画についても、案の段階ですけれども、二〇五〇年に向けて電力需要が減るのか増えるのか。従来は減ると。省エネとか人口減少とか、そういう要因もあって減ると。ところが、今回の案では増えるということになっています。増える原因は、生成AI普及に伴うデータセンターや、それから半導体工場の増設ということが言われているわけですね。

 しかし、本当に同じ調子で、当面の五年、十年を取れば、もう既に具体的計画がありますから、電力需要は増えるんだと私も思いますが、二〇五〇年に向けて同じトレンドなのかどうかというのは、私は分からないと思うんですね。むしろ、生成AIが出ることによって、より効率的なエネルギーの使用ということも可能になるかもしれません。半導体も、技術革新は日進月歩ですから、より省エネ効果の高い半導体がどんどん出てくる可能性もある。

 そういう意味では、電力需要がずっとプラスであるというのは、私は一つの仮定にすぎないというふうに思うわけですね。もっと現実的な見通しを持つべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

武藤国務大臣 岡田克也委員に、今、根拠についての御質問をいただきました。

 余り長くならないうちにお話をさせていただきますと、次期エネルギーの基本計画、これは二〇四〇年度一・一兆から一・二兆キロワットアワー程度として発電電力量としております。今おっしゃったように、省エネ技術が様々に進むだろう、また、この指針を出すことに当たりましては様々な機関の見通しを今回経産省で分析した上で、根拠ある数字だというふうに申し上げます。

 具体的にちょっとだけ申し上げますと、六者のエネルギーの環境分野のシンクタンクに、前提条件をそろえた上で、技術進展を踏まえた複数パターンの将来試算を依頼をして、その中の一者の結果を基にしております。データセンター、半導体工場等による需要増、あるいはCO2削減の観点からの、化石燃料の消費を減少させるための電化が進展することなども織り込み、試算結果の多くは二〇四〇年に向けて電力需要が増加するとの見通しを示しているところであります。

 政府が採用した見通しは、これら分析結果のおおむね中間点の水準ということでございます。審議会の間でも、有識者の間から、大幅な省エネ効果を見込んだとしても、将来の電力需要については増加する可能性が高いという点については共通的な認識がされたところであります。

 おっしゃるとおり、省エネ技術が進んでも電力需要が二〇四〇年に向けて増加するとの見通しは、今回こういう形で示させていただきました。

岡田(克)委員 参考にされたと思われる、例えば電力中央研究所の分析。昨年の三月の数字では、三つのシナリオで、高シナリオでは確かに増えるんですね。しかし、低シナリオでは現状と変わらない。電中研ですらそういう数字を出している中で、あえて高いものを取ったのは、やはり、だから新しい原発を造るんだという、そのための手段として需要を上乗せしたんじゃないかというふうにも思われるわけですね。

 私は、原発の再稼働については、一定の要件、つまり、安全性の確認と地元理解と避難路の確保ということが満たされれば、現状においては、CO2を抑えるという意味でも再稼働はやむを得ないというふうに考えているわけですが、新しい原発を造るということになると、これは話は別だというふうに思うわけですね。

 従来の基本計画では、原発依存度の低減ということになっていた。それが今回からこの表現が消えて、ということは、原発の最大限活用ということに、ある意味で百八十度変わるわけですよ。総理も総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力と言っておられましたよね。

 本当に、新しい原発、新増設をどんどんやっていくというお考えなのか、それとも、やはり原発については、将来的には原発に依存しない社会を目指すべきだ、新増設は控えるべきだとお考えなのか、いかがなんですか。

石破内閣総理大臣 福島原発事故のときに私どもは野党でございました。私、政調会長をいたしておりましたが、あのときの衝撃ということは決して終生忘れることはないと思っておりますし、ともすれば風化しがちなそういうことについて、常にリマインドしていくことは必要だというふうに考えております。

 先ほど経産大臣からお答えいたしましたように、確かに人口は減るということであります。省エネ技術も進みます。しかしながら、人口が減る過程において、電力の需要というのは、より増えるということも可能性としてはあり得ることでございます。いかにして人口が減る中において日本の経済を維持していくかということを考えましたときに、もちろん省エネも一生懸命やる、再エネも一生懸命やるということでございますが、幾つかのシナリオの中に、電力の需要がそれでも増えるということは見込んでおかなければいけないことだというふうに考えております。

 その中において、地熱であるとか太陽光であるとか風力であるとか、例えば太陽光の伸びというのは各国の中で最高の伸びを示しております。日本国として最大限の努力をいたしてまいりましたし、これから先もやります。

 原発の安全を最大限に高めていくということは当然のことでございまして、そのことの努力をしながらも、なおエネルギーの自給率を考え、そしてまた将来の電力需要を賄うために、そういうものを最大限に活用した上で、安全が最大限に確認された原発というものの稼働も考えていかねばならないということでございます。

岡田(克)委員 総理は今、安全性の最大限の確認とおっしゃいましたが、先ほど言いましたように、総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力というふうに言っておられたんです、原発について。その考え方は変えたわけですね。

石破内閣総理大臣 それは、そのこと自体が自己目的なのではございません。そういうものを、再エネというものを最大限に活用をしていくということ、そして省エネというものを徹底していくということ、その上においてなお、日本国として、これから先、国民生活の安定を維持していくためにおきましても、原発の活用は必要だということでございます。

 ですから、再エネの利用あるいは省エネの徹底ということを通じまして、最大限の安全性を確保した上で原発の依存度というのは低下していくということでございますが、そのこと自体が自己目的なのではございません。

岡田(克)委員 考え方をお変えになったというふうに言わざるを得ないと思うんですね。

 基本計画の案の中に、ここに示したような表現が出てきます。安全神話に陥って悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省するとともに、このような事故を二度と起こさないためのたゆまぬ努力が必要だというふうに言っておられます。

 これはどういう意味ですか。安全神話に陥ったというのは具体的に何を言っているんですか。そして、二度と起こさないよう努力が必要だというのは分かりますが、本当に二度と起こさないというふうに断言できますか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 神話というのは、きちんとした検証のない思い込みというのがその本質だと思っております。

 原発の安全性を確認しなければならないということは、委員や私どもの世代は、原発というものが増えていく中において常に常に考えてきたことではあるのですけれども、そのことについての真摯な検証、そういうような姿勢が、自分の反省からいえば、やや十分ではなかったのではないかという反省を持っておるところでございます。

 絶対的に安全だと思い込む、科学的、技術的な、そういうものに欠ける、そういう姿勢があったことは真摯に反省をしていかねばならないことだと思っております。ですので、このような考え方は原子力基本法にもきちんと盛り込んでおるところでございます。

 ですので、原発の最大限の安全の確保というのは、そういうような天変地異もございましょう、あるいはテロもございましょう、あるいは武力攻撃ということも、最悪、想定をしておかなければならないことでございます。ゼロリスクはないという認識には立っておかねばなりません。

 そして、本当に一番烈度の高いそういうようなダメージを被ったときに、それでもなお安全が保たれるということは、常に確認をしておきたいと思っておるところでございます。

岡田(克)委員 今の総理のお答えは、私、大体認識は共有するんですが、要するに、リスクときちんと正面から向き合う、そして一〇〇%ということはない、そういう認識に立つことだと思うんですね。

 そこで、原発ということを考えたときに、やはり福島の我々の経験も、要するに、核分裂を止められなくなる、冷やすことができなくなる、そうすると手に負えなくなるということで、結局、メルトダウン、水素爆発ということになりました。そういう、原発というのは怖さを持っているわけですね。

 普通の火力発電所なら、火力発電所が爆発したとしても、被害は限定的。何万人、何十万人、何百万人という人が退避するとか家に帰れないとか、あるいは東日本全体が駄目になるとか、そういうリスクを持っているのは、私は、原発の、ほかのリスクとは違うところだと思うんですね。

 ですから、一〇〇%はないということであれば、そういう可能性が、繰り返される可能性があるということについて、もっと私は恐れを抱くべきだというふうに思うんですが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、原発事故の恐ろしさというのは、福島第一のときに本当に思い知ったことでございます。あのときの場面というのは、終生忘れることはございません。それは、あのときにこの国会に籍を置いておった者はみんな共通の認識だと思っております。

 ですので、先ほど申し上げましたように、多分大丈夫だろうでは駄目なのであって、最も烈度の高いそういうような侵害、それは天変地異に限りません、武力攻撃も含むものでございます、そういうものにも耐え得るようなものでなければならないということで、安全性の度合いというものを徹底的に高める努力は、片時たりとも怠るつもりは全くございません。

岡田(克)委員 しかし、想定外の地震が起こるとか、あるいはミサイル攻撃を受けるとか、それに対していろいろな対応はするんでしょうが、一〇〇%大丈夫だということは言い切れないと思うんですね。そういう状況において新たな原発を造っていくということが、果たしてこの国にとっていいことなのかどうか。私は、そうは思えないんですね。

 この点を、最大限活用というふうにかじを切られるわけですから、もっと国民にしっかり説明しないと到底納得を得られない、私自身も含めてというふうに申し上げておきたいと思います。

 原発以外にもう一つの選択肢というのは、やはり自然エネルギーを更に高めるということです。

 これはIEAの数字ですけれども、ソーラーパネルとかバッテリーストレージ、蓄電池ですね、二〇一五年から二〇二三年の僅か八年間で非常に下落しているわけですね。もっと自然エネルギーにシフトして、しっかりとその導入を図るべきだというふうに私は思うわけです。

 日本の今回の計画もありますけれども、二〇四〇年で再生可能エネルギー四割から五割という数字、これは低過ぎると私は思うんですよ。例えばイギリスやドイツでは、二〇二二年段階でもう既に再生可能エネルギーは発電量の四割を超えている。それを二〇四〇年に四割から五割というのは、余りにも低過ぎるというふうに思うんですね。ドイツの二〇三〇年目標は八割ですよ。

 ここをもっと高める、そこに予算も投入して努力するべきだと思うんですが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣からお答えを申し上げますが、基本的な認識は委員と何ら変わるものではございません。

 再生可能エネルギーの割合というものをどうやって高めていくかということについて、事実を申し上げれば、FIT導入以来の十年間でございますが、再エネの比率というのは、当時一〇%でございましたが、十年前に比べて、二〇%、倍になっておるという事実がございます。

 平地当たりの我が国の太陽光発電の導入量、これは先ほどもお答えをいたしましたが、ドイツやイギリスよりも導入量は大きいものでございます。主要国の中では最大ということになっているのも、委員御案内のとおりでございます。

 これでもちろん満足をすることではございませんで、再生エネルギーを主力電源として最大限導入するということにいたしております。

 ペロブスカイト太陽電池の導入、すなわち、国産でかなりの部分を賄うことができますヨウ素を原料といたしますところの、ペロブスカイトというのは何のことだいと思われる方もおられるかもしれませんが、要は、ぺらぺらのという言い方をしますかね、そういう形でできるようなものでございます。そういうような導入、あるいは、まだ可能性が多分にございます地熱、あるいは小水力、これの導入は最大限にやってまいりたいと思っております。

 そういうことをやらずして原発政策というものは成り立つと私は思っておりません。

岡田(克)委員 日本は山が多く海が深いから自然エネルギーには向かないと、私、岸田総理にそういうふうに答弁されたんですが、そういう考え方の人間ばかりとつき合っていると、そういう表現になっちゃうんですね。

 でも、現実には、政府も認めておられるように、例えば太陽電池であればそういった新型のものもありますし、それから屋根置きとか、営農型ですね、農地に太陽電池をというポテンシャルはまだまだあるわけですね。そういうものを推進していくような仕組みをもっと政府としてもつくらなきゃいけないというふうに思うんですね。

 風力の方は、私は、十年ぐらい遅れたのは本当に残念なことだと思うんですけれども、ようやく立ち上がって、これから次第に進んでいくとは思いますが、当面できるとしたら、総理もおっしゃった地熱とかもありますが、やはり太陽電池をよりたくさん設置する、そのためにもっと予算を使うべきじゃないか。

 次世代型革新炉開発で八百八十九億円計上されていますよね。それよりは、やはり自然エネルギーじゃないですか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりでございます。

 先ほど来議論になっておりますペロブスカイトというのは、要は、あのような、今我々が常識で考えておる太陽光ではなくて、例えばビルの壁面にそういうものを張り巡らすことによって相当の発電量が期待できるというものでございますし、国産の資源を使うということが大きなメリットでございます。そういうことになりますと、都市でも発電ができるということになってまいります。

 そういうものを最大限に導入をするという方針に何ら変わりはございませんし、今後一層、これは加速をしていかなければならないと思っております。

 ですから、従来の太陽光ということになりますと、やはり、森林面積が多い、そして傾斜度が高い我が国において、どうしても導入には一定の制限はございます。じゃ、もう駄目なのかということで諦めるのではなくて、そういうような都市でも発電ができるというようなもの、これが数年で景色を一変させるような、そういうような思いで取り組んでまいります。

岡田(克)委員 屋根置き型とか営農型ということであればまだまだポテンシャルがあるということは、政府もお認めになっているわけですね。

 時間も限られていますから、次に。

 トランプ大統領とお会いになったときに、地位協定の問題、地位協定そのものをいろいろ言うのかというのは一つの問題ではあると思うんですが、少なくとも、現在の在日米軍兵士による相次ぐ暴行事件などが国民の反基地感情を高めて、日米同盟の根幹を揺るがしかねない、そういう深刻な事態にあるんだ、だから、これはしっかり両国政府で責任を持って対応しなきゃいけないんだということはきちっとお話しになって確認された方がいいと思うんですが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それはそのとおりでございます。

 つまり、日米同盟というものがどういうときに危機に瀕するかということを考えたときに、私は防衛庁長官でございましたが、沖縄国際大学にヘリが墜落したというときにどれほど大きな衝撃を受けたかということを私は忘れることはございません。

 地位協定というものを改定していくということは何のためかといえば、それは日米同盟が常に有効に機能するということのために必要なものだというふうに承知はいたしております。そういう中において、今までどのように改善をなされてきたかということもきちんと検証しながら、これから先、トランプ政権、四年間の間に、日米同盟を更に安定的なものにしていくために必要な努力はしてまいらなければならないと思っております。

岡田(克)委員 総理が防衛庁長官のときに沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件が起きました。これについて、地位協定の問題なのか、それとも、同じ一九六〇年に両国政府で結ばれた合意議事録によるものかというのは議論のあるところで、地位協定上は完全に日本の警察や行政をシャットアウトするようなことはできなかったはずだ、しかし、合意議事録ではそれが可能になっているという考え方もありますね。やはり、合意議事録というのは、これは役所間で結ばれたもので、国会は関与していないんです。それと地位協定の間にかなりの矛盾があるという指摘もありますよね。

 だから、私は、合意議事録をまずしっかり見直すということが重要じゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

岩屋国務大臣 これはもう、外務大臣としてこの問題を所管されていた委員には釈迦に説法ですけれども、日米地位協定の合意議事録は、同協定の実施細目等を定めるものとして締結された国際約束でありまして、日米地位協定は、この合意議事録等を含んだ大きな法的な枠組みであります。

 総理も言及されましたが、沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件の後、二〇〇五年四月に、現場統制の在り方に関して日米両当局の明確な役割分担を定めるガイドラインが了承されました。その後、二〇一九年には同ガイドラインの改正を行ったところでございまして、今後とも必要な検証や見直しは行っていかねばならないと考えております。

岡田(克)委員 この合意議事録と地位協定、これは矛盾していませんか、でも、比較したときに。施設若しくは区域内の全ての者若しくは財産について、捜索、差押え又は検証を行う権限を行使しないというふうになっているわけです。これを根拠にして日本の警察は入れなかった。それと地位協定の表現は、私は、矛盾があるし、どちらかというと、一九六〇年以前の行政協定の中身がこの合意議事録にかなり落とし込まれていて、事実上の、地位協定を制約しているというふうに思うんですね。そこは是非しっかり検証してもらいたいというふうに思います。

 日米合同委員会というのが地位協定を運営するために開催されています。北米局長と米軍の副司令官との間で毎月のように開催されているということです。二年前の外務委員会でも指摘したんですが、その議事録が六十五年間全く公表されていないという問題があるわけですね。これは一体何なのか。

 それは一九六〇年段階なら分かりますよ。まだ占領時代の影を引いていたかもしれない。だけれども、その後、日本政府も例えば情報公開法とか公文書管理法という法律ができて、三十年で原則公開ということになりました。ところが、一つもこれは公開されていないというのは、私は絶対に間違った運用だというふうに思うんですね。しっかり全体を検証して、そして公開できるものは公開すべきじゃないですか。これは国民の財産ですよ。

 恐らく、六〇年段階で、相当外務当局も御苦労されて、アメリカとのやり取りの中でいろいろな議論があったと思うんですね。そういうことも含めてきちっと公開して、今は時代が違うんですから、新しい発想で取り組むべきだと思いますが、いかがですか。

岩屋国務大臣 日米合同委員会の合意事項や議事録は、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するために、日米双方の同意がなければ公表されないことになっているわけでありますが、最終的に日米で一致する場合は公表するように努めてきております。

 この議事録等は行政文書として保存されておりますが、保存期間の満了後も、行政機関の職務の遂行上、保存して利用することが必要であるということに鑑み、必要な限度において保存期間を延長しております。したがって、保存期間が満了したことをもって自動的に公開するといった対応は取っていないわけでございますが、当然、公開することについて日米間で一致に至った場合は、これはしっかり公表をしていきたいと考えております。

岡田(克)委員 二年前の答弁と全然変わっていないんですが……

安住委員長 岡田君、時間が来ておりますが、会派として、時間を延ばすのであれば。

岡田(克)委員 もう、すぐやめますから。

 これは、どう考えてもおかしいんです。私、外務大臣のときに公開したことありますよ。だって、アメリカの公文書館で公開しているんだから。そういうことも多いはずですから、きちっとこれは確認して、六十五年間何も知らせないというのは明らかに間違った対応だと思いますので、総理、うなずいておられますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 何かありましたら。

安住委員長 ちょっと待ってください。時間をオーバーしていますけれども、立憲の会派内の時間で調整してください。

石破内閣総理大臣 国民に対して説明責任を果たすということは、当然のことだと思っております。私どもといたしましても、国民に対して公表すべきものは公表するという姿勢で今後とも臨んでまいりたいと思っております。

岡田(克)委員 終わります。

安住委員長 この際、神谷裕君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 今日も質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 冒頭なんですが、これは実は御通告申し上げていないんですけれども、一問、どうしても、これは聞くというか、是非伺っておきたいと思いまして、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場決定に向け、国と原子力発電環境整備機構、NUMOが東京都内で開催した説明会で、北方四島に最終処分場を建設してはとの出席者の意見に対して、経済産業省の幹部が、実現するのであれば魅力的な提案だと発言したと聞いております。また、NUMOの幹部も、一石三鳥、四鳥と発言したとのことでございます。

 北方領土の関係の皆さんにとっては、これは本当に看過できない発言であったと思う次第でございます。ここについて、改めて私どもとしても抗議をしたいと思いますし、これについて、これは御通告申し上げていないんですが、沖北大臣、そして経済産業大臣のお話を聞きたいと思います。いかがですか。

武藤国務大臣 神谷委員の御指摘、私も聞いたときに正直言ってびっくりしまして、職員やNUMO幹部の発言については、本当に全く配慮に欠ける軽率な発言だったと考えております。

 資源エネルギー庁の長官から、当該発言を行った職員及びNUMOの理事長に対して、指導、注意を行ったところであります。今後、このようなことがないように、細心の注意を払いながら丁寧な説明をこれからも徹底してまいりたいと思います。

伊東国務大臣 御指摘の報道につきましては承知をしているところであります。最初に聞いたとき、驚きを禁じ得なかったところであります。

 私も、三十年ほど前から、北海道の深地層研究所というところで、最終処分の実験がどういう形でできないかということで取組をされているとき以来、三十年にわたって関心を持ってきているところでありまして、これが、急に北方領土に処分場を造ってはどうかなどというとんでもない話が出てくる、驚きを禁じ得ないところでありまして、断固撤回を申し入れるものであります。

石破内閣総理大臣 話になりません。大変申し訳ございません。

 このようなことは絶対にあってはならないことでございまして、そういうような発言がいかなる意図であったか分かりませんが、やはり、緩みとか、おごりとか、思い上がりとか、そういうものがあったということだと思っております。

 政府の責任者として深くおわびを申し上げます。大変申し訳ございません。

神谷委員 ありがとうございます。

 本当に北方領土の元々の住民の方にとっても、非常に傷つける発言であったと思いますし、今、現実に、墓参もできない、戻りたいけれども戻れない、そういった方々の気持ちを思ったときに、この発言は余りにも軽い。本当に厳重に猛省をしていただきたいと思いますし、二度とこのような発言がないことを本当にお願いをしたいと思います。

 また、こういったことが、こういった発言が、間違ったメッセージとして日ロの外交に影響があるんじゃないか、そのことも大変に懸念をするところでございます。

 こういったところも是非考えていただいた上で、こういった発言がもう二度とないように、このことは何度も申し上げたいと思います。どうぞ御注意のほどお願いを申し上げたいと思います。

 それでは本来の、私自身、農林水産業、これをずっとやっている人間として、この国の大切な一次産業について改めて質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、食料安全保障、これは非常に大事な話だと思います。昨年の春に、食料・農業・農村基本法が改正になりました。その際に、この食料安全保障が大変に大きな話題になったわけでございますが、食料安全保障そのものは従前からある概念でございまして、その際に議論になったのは、むしろ平時のときの食料安全保障という概念でございました。ですので、むしろ危機のときに際しての食料安全保障というのは、従前というか、変わらない概念だと思います。

 そういった意味においては、今回、食料安全保障の確保についてはやはり重要なことが幾つかあります。一つは農業生産の基盤である農地の確保、そして農地を利用できる経営体の確保、そして労働力当たりの収穫の向上ということになるわけでございまして、農水省でも、食料自給指標みたいなことを出していただいております。

 現在でいえば、日本の、我が国にある農地、そして農業者、この数であれば、今のところ、例えば海外から輸入が途絶したとしても大丈夫、ぎりぎり、まあ米と麦だと足りないんですけれども、芋類に代えていただければ大丈夫というような状況でございますが、逆に言うと、これ以上農業者の方やあるいは農地が減るということになると、この国でこの国の国民の皆さんを養っていくこと、これが全くできなくなるというようなことでございまして、今がぎりぎりのタイミングであると私どもは思っているわけでございます。

 その上で、実は、この間、農業者の数あるいは農地は本当に危機的な状況にあるんじゃないかと思います。実は、農業者も激減をするという予測が立っているところでございます。二〇二〇年には百八万経営体あったものが、二〇三〇年には五十四万。さらには、この後、もっともっと減っていくんじゃないかというような試算もされているというようなところでございます。

 だとするならば、なぜというか、前回の改正、昨年の改正は何だったのかという話になっていくわけでございますが、更に申し上げますと、この趨勢というのは今に始まったわけではありません。

 更に申し上げますと、今日は、石破総理もそうですし、林官房長官もそうですし、農林水産大臣経験者が政府の要職を占められ、あるいは、自民党においても幹事長が農林水産大臣経験者。歴代農林水産大臣経験者が今枢要な位置におられる。ということは、この状態になったことは、歴代の皆様方のいわば責任の問題でもあると私は思っております。

 かつて、民主党政権のときに、石破総理はこの席で、我が方は赤松農林水産大臣に対して同じようなことを質問をされています。しかしながら、現状、今どうでしょうか。農地は下がっていく、農業者は減っていく、この現状は全く止めることができないどころか、より厳しくなっている状況にあると思います。

 この間の農政について、やはり一回反省が必要なんじゃないでしょうか。総理の御答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 私が自民党政調会長を野党として務めておりましたときに、時の農林水産大臣は、御指摘のように赤松広隆元副議長でありました。同じように尋ねました。それはやはり、自給率は下がり続けている、ほとんど上がらない、農業者の数も減り、農地も減り、世界の中で、農地を減らし、農業生産量を減らしているという国は日本ぐらいのものでございます。そのことを認識はきちんと持っておかねばなりません。

 それは、何だかんだ言いましても、私も含めまして、農政を担当してきた者はどうしてこんなことになったのかということの反省を持たねばなりませんし、同時に、例えて稲作について申し上げれば、労働時間というのは十分の一になっていると思っています。じゃ、その分が稲作の生産性向上につながったかといえば、決してそうではないということの反省を真摯に持たねばならないと思っております。

 江藤大臣の下で、もう一度農業政策というものは総点検をして、これから先、世界に向けていかにして日本の農産物を出していくかということ、そして、国内において、どのようにして国産の農産物というものを更に消費をできるようにしていくかということ、そして、サステーナブルな農業人口というものを維持していくために何が必要なのかということについて、それも深い反省は持っております。

 私自身、深い反省、大きな反省をしなければなりません。きちんと委員にも納得していただき、国民の皆様においても納得していただける農政の転換というものは私どもの内閣として実現をいたしてまいります。

神谷委員 今、反省の弁をいただきましたが、ただ、反省をしただけでは当然先に進めるわけにはいきません。今、サステーナブルというお話もありましたけれども、そのためにやはり一番大事なのは所得の確保ではないかと私どもは考えているわけです。

 ですから、この間、農業者戸別所得補償であるとか、そういった直接所得補償、こういったことを進めるべきではないかということを、この間、国民の皆様にもあるいは与党の皆様にも申し上げ続けてきたという歴史がございます。

 だとするならば、この状況の中で、いわばそういった所得確保の具体的な政策、これがやはり待たれているんだと思うんです。これについて、改めて進める気はないのか、伺いたいと思います。

江藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 おっしゃることはよく分かります。ですから、我々は、こういった状況をこのまま続けるわけにいかないという認識の下に、食料・農業・農村基本法の改正を二十五年ぶりに行いました。これは理念法でありますから、これに基づいて基本計画を、与野党の先生方と垣根を越えてしっかりとした基本計画を作らせていただきたい。これに基づいて、実際の政策を実行する上の予算措置は令和八年からになりますから、この基本計画に基づいて令和八年でしっかり予算要求をしていくということが大事なんだろうと思います。

 所得の確保が大切だということは全くおっしゃるとおりです。やはり、食っていけない、家族を養えない、子供を学校に行かせることができない、これでは魅力のない産業になってしまいます。ですから、所得をしっかり上げていただくための努力、それはスマート農業の導入であったり、基盤整備の推進であったり、単位面積当たりの労働時間を減らすであったり、収益率を上げるだったり、様々な政策を動員いたします。

 それから、直接所得補償についても、日本型直接支払い、それから中山間地域の直接支払いも含めて、全て今、検討に入っておりますので、是非先生方の御意見も伺いながら、いかなる政策が有効であるか考えていきたいと考えております。

神谷委員 今、いろいろなことを言っていただきました。その中に、日本型直接支払いというお話もありましたけれども、日本型直接支払い、もう大臣も御案内のとおり、これは、農業、農村整備から来ているようなお話でございますので、必ずしも利きがいいわけではない。しかも、そういう意味においては、所得の確保ということは一定の限界があるというふうには思うんです。

 金曜日ですか、この委員会におきまして、江藤大臣、水活についての発言もございました。拍手も起きました。しかし、考えようによっては、これは非常に遅い決断だったんじゃないかと実は思っています。

 だって、そうですよね。この間、令和四年から令和八年の間で、この改革、水田活用直接支払いの改革をやろうじゃないかというようなお話でやってまいりました。しかし、令和四年から令和八年の、最初に始めるとき、どれだけ農業者の方が懸念があって、それを様々に農水省にお伝えになっていたのか。その声があったら、こんなに遅くはなかったんじゃないかと逆に思うわけです。というよりは、この令和四年から令和八年の改革は何だったのかということを改めて問わなければならないんじゃないでしょうか。

 そういった面において、今回、過ちを正していただいたのかなというふうに私自身は思うわけでございますけれども、この間、農業者に対しては本当に大変な思いをさせたということを大臣は実感として持っておられるのか、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 あのときは、私は自民党の調査会の会長でしたから、党内で毎日のように議論をいたしました。水張りをやること、前にも答弁いたしましたが、水を張ることによって収量が落ちる、例えば大豆とか、そういうようなものもあるということは、現場の声を十分聞きました。

 しかし、あのときは、会計検査院から農林水産省の本省にまで監査が入り、これをほっておいたら制度自体を維持することが不可能になってしまうというところまで追い詰められました。そして、更に言えば、これまで受給しておられた農業者の方々にも過去に遡って返金命令が出るというようなことまで言われました。ですから、後ろに時間の限りがあって、何とか早くこの危機的な状況をくぐり抜けなきゃいけないということで、ああいうまとめになったというふうに承知をいたしております。

 しかし、あれから三年がたちまして、やはり現場からは、水張りはきつ過ぎる、何とかならぬかという声が多数上がっておりますので、これから五年間の農業構造改革の集中期間において、このタイミングに、御不満があることは重々承知をしております、そのことは私の胸には物すごく響いておりますが、その上でも、水張り要件は外すべきだという判断をいたしました。

神谷委員 江藤大臣、その経過は私もよく存じ上げております。しかしながら、もし、あの時点で、今から議論するであろう世界をしっかりと提案できたのであれば、今のようなR四からR八の農家の皆さん方の、今の時点で言うとR四からR六になるかもしれませんけれども、この間の様々な努力、あるいは大変さ、これはもっと軽減されたんじゃないかと思うんです。

 なぜR四の時点でこういった次の世界を描くことができなかったのか、これについてはもう一回考えなきゃいけないんじゃないか。これは与党さんだけじゃなくて我々もかもしれませんが、しっかり、なぜ考えられなかったのか、これはもう一度、我々は問われなきゃいけないんじゃないか。

 しかも、大事なのはやはり現場だと思うんです。現場の農家の皆さんからあれだけの声が上がっていた。それを、もちろん会計検査院の指摘はあるかもしれません、それを受けた上で様々な対応をされたということは理解をしつつも、やはり本当に大事なものは現場にあるわけでございまして、この間、無理をさせたことは間違いないわけでございますから、ここに対しては率直に、今回、そういう意味では変えていただけるのかもしれませんが、やはり、この間の反省というか間違ったんじゃないかということは、これは頭に置かなきゃいけないと思うんです。

 総理も何かうなずいていただいているようなので、この際、いかがですか、御答弁は。

石破内閣総理大臣 それは、なぜこのようになったのかということの反省なくして改革はできないということはよく承知をいたしております。

 私も、三十五年ぐらい前に政務次官をやって、二十五年前に副大臣をやって、十三年前に大臣をやりましたが、いろいろな対話はしました。でも、なぜできなかったのかということの反省はきちんといたしまして、私どもの内閣として、本当に変わったねということを実感していただけるべく、またこの場でも委員と御議論させていただきたいと思っております。

神谷委員 時間もなくなってきましたので、次に、ちょっと価格の話をさせていただきたいと思います。米価の話、ちょっと順番が逆になって恐縮でございます。

 米価の話、金曜日に、これもまた新しい形というか、備蓄米の放出の話が出てまいりました。遅ればせながらというか、米の価格、これは大変な大きな問題になっているところでございます。

 ただ、農家の皆さん、出来秋、昨年の秋にもう既に出荷をしておられるので、しかも系統なり農協なりに出しておられるので、実は、あの時点で出した皆さん方、ほとんど大宗だと思いますが、今回の価格の高騰、全く農業者にはメリットがないと言っていい状況だと思うんです。

 だとするならば、なぜこの高い値段、もちろん我々は、農家の皆さん方に対しての価格もやはり配慮しなきゃいけない。しかし、もう一方でいうと、消費者の皆さんに対しての価格もしっかり見ていかなきゃいけないんじゃないか。

 そういった意味において、今回、備蓄の放出という形を取られる、このことは、ある種、これまで全く手段というか方策がなかったところにおいては唯一新しい方策が出てきたのかなというふうには思うのですが、少なくとも、昨年秋の出来秋のとき、直前の米価の高騰を見たときに、やはり価格も含めてしっかりと見ておくような体制がなぜ取れなかったのか。

 あるいは、これだけの行き過ぎの中で、これは明らかにやはり異常な事態だと私どもは思うわけです。ちょっと常軌を逸しているような値段になっていると思うんです。これに対して何ら対策が取れなかった、このことについては、やはりこれも反省しなきゃいけないと思うし、しっかりと対策というか方策を立てていかなきゃいけないと思うんです。そういう意味においての備蓄なのかもしれませんが、やはりこれは適当ではない、元々、備蓄という制度の本質にはかなわない。

 そこのところを踏まえて、やはり我々としては、消費者も大事、米農家も大事、それを並び立たせるような、いわば監視というか、そういった方策がなぜ取れなかったのか。この辺について、江藤大臣、答弁ください。

江藤国務大臣 昨年から、まず申し上げたいのは、国内で必要な米の量に対して供給量は十分にあったということであります。これまでの米の歴史の中で、このような状況の中で価格が高騰したことはありません。

 ですから、南海トラフとか様々な事情があって上がったわけでありますけれども、しかし、これは一時的なものだというふうに当時の農林水産大臣が判断したことは、私は無理もないことだというふうに思います。(発言する者あり)私はそう思いますよ。そして、出来秋にしっかり米が出てくるという状況が予見されていたわけですから、これは私は、あのときの判断が間違っていたとは申しません。

 しかし、現在に責任を取るのは私の責任でありますから、元々は、答弁もいたしました、食糧法の三条の第二項、これには、いわゆる国民が困ったときに、大不作であったり大災害であったり、そういうときだけ米を出すんだと。いわゆる市場価格が上がったときに備蓄米を活用するという条項はありません。ですから、出せないという答弁もいたしました。しかし、しっかり食糧法を読んでいきますと、国民生活の安定に資するという項目も第一条にありました。四十九条を読むと、これは雑則でありますから使えないということがありました。

 ですから、法律によって備蓄米というものは縛りがかかっているわけでありますから、やはり関係省庁としっかり議論をして、法律上問題ないのか、大臣の判断でできるのか、それはしっかりとした議論が必要だったということだけは御理解いただきたいと思います。

神谷委員 大臣、その当時に予測ができなかったということはあったにしても、この状況を踏まえたときに、やはり何らか対策が取れるようなことをなぜ検討できなかったのか。しかも、今回、こういう形で備蓄を決めていただいた。ということは、もしその当時に検討すれば、あるいはこの方策、同じ答えが出たかもしれない。だとすると、今日のこの米価の高騰はなかったかもしれない。そのことも、もう一回考えなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 備蓄の本旨は分かります。だとするなら、備蓄以外の方策も含めて、やはり考えておくべきだったんじゃないですか。ここは率直に反省すべきだと思うのですが、いかがですか。

江藤国務大臣 反省がないのかと言われれば、大いに反省があります。農林水産省は、国民に安定的に安心な食料を届けるということは大きな責務でありますから、これだけ価格が高騰して物価も高い状況の中で御家庭で御苦労していることに関しましては、農林水産省として大いに、私としては反省はあります、もちろんあります。

 しかし、平成三十年から、いわゆる生産数量の張りつけをやめました。そして、各生産地において独自の御判断によって、これぐらいの国内需要があるからこれぐらい米を作ろうということを自主的に判断されるような状況がようやく定着をいたしました。それがうまくいっていたというふうに私は思っています。

 ですから、それがあるべき姿、そして、総理もいつも言われておりますけれども、価格は市場で決まるということも正しいと思いますが、今の状況は異常な状態でありますから、これを何とかしたいという思いもあって、備蓄米の活用を検討した次第であります。

神谷委員 何度も言いますけれども、備蓄米の放出というのは、本来の本旨からはかなわないというか、やはり適当ではないんです。

 今回というか昨年ですか、基本法の改正と同時に食料供給困難事態法も通しております。とするならば、この世界、この食料供給困難事態法の中で、当初いただいた説明の中には、これが通れば、いわば異常事態のときには、どこにどれだけの量があるかということは把握できるんだというような説明もあったかと思います。これがワークすれば、どこにどれだけの量があるのかということが把握できるんでしょうか。

 あるいは、現状、私はこれ自体が問題だと思うんです。農水省さんがどこにどれだけ米があるかが分からないということ、これが実は大きな問題の一つではないかなと思うんです。この困難事態法が通れば、通るじゃない、もう通っていますから、施行されれば、そういったこともきっちり把握ができた上で、そして今回のようなことが起こらないというふうに言えるんでしょうか、あるいは、監視ができる体制になっているんでしょうか。いかがでしょうか。

江藤国務大臣 民間在庫がどれだけあるか、米に限らず、これをしっかり調べることができるという法律であることは間違いありません。

 それに加えまして、我々は、農産物の合理的な価格形成のための法律を今国会に出させていただきますが、各流通の段階で、例えば、スーパーの方が卸業者の方から、法外な値段で、これでしか売らないよと言われたときには、それは優越的地位の濫用じゃありませんかということを農林水産省に申立てができるような仕組みにしたいと思っています。

 ですが、流通の流れの中で、滞ることが一番流通はまずいわけですから、しっかり各流通段階で利益は取っていただかなきゃなりません、生産でも流通でも加工でも、そして販売でも。しかし、どこかでスタックして、そして今回は、どうも、今まで米を扱ったことのないような人まで参入している気配があります。断定的には申し上げません。農家の中には、自分のところで止まっているところもあるような感じです。

 ですから、今、農林水産省では、これに先立ちまして、どこにどれだけあるか、今、調査を一生懸命かけています。やはり知ることはとても大事なことなので、できる範囲で、今の法律の縛りの中で、調査はしっかり今かけているということを申し上げておきます。

神谷委員 大臣、今、適正価格のお話、適正価格というのか、皆さんの世界でいうと合理的な価格の形成というのかも分かりませんけれども、その世界の中でこの値段を考えたときに、市場価格というのは果たして合理性があるのかないのか、そういう話になってくるわけです。

 おっしゃられるとおり、横の連携の中で何が適正価格かということももちろんできることはできるでしょうけれども、今回の市場価格、市場価格をあえて適正でないということはなかなか難しいんだというふうに思います。もちろん、今回のはかなり異常な事態だというふうに私も思います。ただ、なかなか手出しができないのは、市場で決められた価格なんだろうということなんでしょう。だとしても、国民生活を考えたときに、やはり何らかの手段、方策は必要だ、そこは私も同意をいたします。

 ただし、この適正価格、もちろん私どもにとっても、農業者の価格、これは非常に大事です。一方でいうと、消費者の価格も、これは非常に大事なんです。だとするならば、やはり、先ほどから申し上げているように、農家に対してはしっかりと所得の確保、所得補償をつけていく、これが一つのベーシックな考え方であって、その上で価格は市場にお任せをする、そういう世界があっていいと思うんです。だからこそ、我々は、農業者戸別所得補償ということを制度として頑張ってきた。現実に、農家の皆さんにも一定の安定、そういうものを実現できたと思いますし、消費者の方々についても、この間、米価についてそんなに問題が起こっていたとは承知をしていません。

 今回、大臣も答弁の中でずっとおっしゃっていたように、基本計画の議論の中で、直接所得補償というか直接支払いについても議論をしていくというようなお話がございました。米政策についても議論をしていくというお話がございました。そしてまた、備蓄についてというか、水田活用直接支払いについても議論をしていく、議論というか、形をつくっていくというような御答弁がございました。そういった中で、できるだけ早くこれも決めていかなきゃいけないと思うんです。

 というのは、もちろん水田活用は令和四年から令和八年、すなわち令和九年からの話になるかもしれませんが、ただ、米政策に関して、あるいは、そのほか水田活用も実はそうかもしれない。この四月以降だって影響を受けるわけですから、これはやはり、この予算にも関連してくることですので、予算委員会、少なくとも衆議院でしっかりやっている最中、しっかり議論できるときには、ある程度、ひな形というのか、形が見えていないと、やはりきついんじゃないかなと私は思うんです。

 そういう意味で、できる限り早くお示しをいただかなきゃいけないと思いますし、あるいは議論をしていかなきゃいけないと思うわけでございます。そういったことを是非含めて配慮していただいて、議論の場というのか、結論を決める場というのか、そういったことに御配慮いただけないか、最後に大臣にこれを伺わせてください。

江藤国務大臣 前回の、五年前の基本計画を作ったとき、また私が大臣だったんですが、あのとき、法改正を伴わないものでありましたから、ある程度ゆったりとした感じでやりましたけれども、三月のほとんどぎりぎり末ぐらいに提出をいたしております。

 ですから、今回は、総理の御指示で熟議の国会をしなさいということでありますので、もちろん各党で御議論もいただかなきゃなりませんし、我が党でも議論しなきゃなりませんので、いついつまでに出すということは申し上げられませんが、農林水産省としても、議論に資するように、できるだけ早いタイミングで提出できるように努力をいたします。

神谷委員 時間でございますので、ほかに通告していたもの、できなかったことをおわび申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 石破総理とは三度目の議論となります。今日もよろしくお願いいたします。

 まず、財政健全化と補正予算についてお伺いをしたいと思います。

 二〇二五年度にプライマリーバランス、基礎的財政収支を黒字化するとの財政健全化目標が実現できないということが確実になりました。この点について、我が党の野田代表が代表質問で、昨年末の巨額の経済対策、補正予算十三・九兆円が原因だと指摘をいたしました。これに対し石破総理は、着実に財政状況は改善しているなどと開き直りの答弁に終始をされています。

 しかし、この二〇二五年度プライマリーバランス黒字化は閣議決定された目標なんですね。それを実現できなくなったことの重大性、責任を御理解されているのでしょうか。私は、総理大臣として無責任な答弁だというふうに思います。謙虚かつ真摯に、プライマリーバランス黒字化目標が達成できなかったことについて反省の弁を述べるべきではありませんか。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 本年一月、内閣府が試算をいたしました。二〇二五年度のプライマリーバランスは黒字化しないという見込みが示されたところでございます。それは、いろいろな要因があって、補正予算を組みました、いろいろな財政需要がございました、予期しない事象も起こりましたということがございました。しかし、結果としてそれが実現できないということにつきましては、よくよくそのことを認識しながら、改めるべき点を改めねばならないと思っております。

本庄委員 全く反省されていないですね。

 黒字化目標が達成できず、四・五兆円の赤字ですね。その最大の要因は昨年の経済対策ですよ。マイナス五・八兆円の影響。ほかにもいろいろな影響は確かにあったと思います。だけれども、圧倒的な大きな理由なんですよ。そのことについて総理はどのように認識されていますか。

石破内閣総理大臣 経済対策は必要であったと思っておりますし、それに見合った効果というものは発揮をされておる、発現されておるというふうに認識をしております。

 それは、あれをやったからこんなことになったのではないかという御指摘かと思いますが、では、やらなかったらどうなりましたかということでございます。その地域地域において現場のお声をお聞きし、経済対策として必要なものを打ってまいり、御審議をいただき、そのような予算を執行しておるところでございます。

本庄委員 去年の議論は水かけ論になると思いますので、これ以上深入りしませんが、ただ、閣議決定が達成されないということは事実ですよ、いかなる理由があっても。私は、その点についてはきちっと正面から反省の弁を含めてお述べになるべきだと思います。

 どんなに厳正に入学試験をやっても、裏口入学が認められていれば意味がないわけですね。今の当初の予算と補正予算の関係は、私は、裏口とまでは言いませんが、かなり抜け道、逃げ穴になっている、その結果が今回のプライマリーバランスの未達成ということにつながっているというふうに考えています。

 この点は是非総理にも御理解をいただきたいと思いますし、昨年の予算委員会でも、補正予算に依存するということはしない、本来であれば当初予算できちんと積むべきだ、こういう答弁もありましたよね。例えば宇宙基金、三千億円、二年連続で補正予算で積んでいました。今年の当初では宇宙の予算は積まれておりません、基金の。ということは、今年度は、もう補正予算に依存しない、一年間、昨年の補正予算でつけた金額でいく、こういうふうに考えていらっしゃるということでよろしいですね。

石破内閣総理大臣 それは、当初予算を編成したときに予期せざる事情が起こったときに補正予算というものを組み、そして御審議をいただくということでございます。本来そういうことであって、では補正を組むときに本当に予期し得なかった事象が発生したのかどうかということは、よく国会において御議論いただき、私どもも説明責任を果たしていかねばならぬ。

 だから、補正予算と組み合わせてワンセットみたいなことは、本来、財政の趣旨に反するものであるということはよく承知をいたしております。そうでないと本予算の審議というものの意味が形骸化してしまうということもよく認識をいたしておるところでございます。その点は重々承知をいたしておりますので、今後とも御指摘を賜りたいと存じます。

本庄委員 現時点では新たな宇宙基金の積み上げは要らないと判断してこの当初予算には計上していない、当然ですけれども、そういうことですね。今後もし計上するようなことがあれば、相当の説明責任を負うというふうに私は理解いたします。

 その上で、総理は施政方針演説の中で、今年の骨太方針で、早期のプライマリーバランス黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取組を示す、こうおっしゃっています。

 しかし、この早期にというのは非常に曖昧で、きちっと、いついつまでにと明確に期限を切った新たな財政健全化目標を再設定すべきだというふうに思いますが、この骨太で決めるとおっしゃっているものは、期限が明記された健全化目標になるんでしょうか。基本的な考え方です。お答えください。

石破内閣総理大臣 委員の御指摘は、骨太において明確に示せというようなこともお考えなのかなというふうに思っておるところでございます。

 早期のプライマリーバランス黒字化の実現に向けて、経済あっての財政の考え方の下で、歳出歳入両面の改革を継続するということの方針は明確にお示しをしておるところでございます。

 今までと違いますのは、金利のある世界という中に入っていくことになりました。そしてまた、大災害、有事に備えた財政力というものも確保していかねばなりません。そういう意味で、早期のプライマリーバランス黒字化の実現ということは、御指摘いただきました期限も含めて、今後議論をしていかねばならぬと思っております。

 財政健全化の旗は降ろしませんと、旗さえ降ろさなきゃいいというものではございませんので、その点はよくよく承知をいたしております。時期の明示も含めまして、今後政府部内でよく検討してお示しをしたいと思っております。

本庄委員 安倍政権のときに、二〇二〇年度というのが延期をされて今の二〇二五年度になったわけですね。これが達成できないので次の目標を早期にということですが、場合によっては次は期限なしの目標かもしれない、こういうことですか、総理。

石破内閣総理大臣 期限なしの目標に意味があると私は思っておりません。

本庄委員 では、しかるべき時期で、そして、確実に達成できる、するんだという覚悟を持った時期を是非設定していただきたいと思います。その設定がされた後、また議論を深めたいと思います。

 予備費についてお伺いをしたいと思います。パネル、配付資料一を御覧ください。

 二〇二五年度、来年度予算で予備費として一兆円が計上されています。この積算根拠がよく分からないんですね。

 平成三十年度、二〇一八年度までは三千五百億円程度で推移をしています。令和元年、二〇一九年度以降は、コロナとかウクライナ対応とか物価高といった特定目的の予備費、これは五兆とかいったわけですが、これを除けば一般予備費は五千億円で推移をしています。昨年も、五千億円の予備費に、能登の復興ということで修正をして一兆円にしたということであって、ベースは五千億でした。

 来年度、二〇二五年度予算も、概算要求では五千億円という中で、実際に出てきた予算案は倍増の一兆円ということになっています。これはなぜ一兆円に膨れ上がってしまったんでしょうか。財務大臣、お答えください。

加藤国務大臣 今、お話がありました令和七年度予算における予備費の計上については、頻発する自然災害、物価高騰、国際情勢変化等の予期せぬ事態が生じた場合に機動的、弾力的に対応できる備えとして必要ということで、一般予備費を積み増して、一兆円の計上をしております。

 御指摘のように、コロナ禍以前においては一般予備費の計上が五千億でありました。他方で、足下、令和六年度では、能登震災や物価高騰などへの対応のため、現時点においても一兆五千億程度の使用をしている状況であり、こうしたことを踏まえて、今回計上している一兆円の予備費が予期せぬ事態に機動的、弾力的に対応するための備えとして必要ということで計上したところでございます。

本庄委員 予期せぬはいいんですけれども、予備費は憲法にも書かれておりますね。予見し難い予算の不足に充てるため、憲法八十七条に規定された支出であります。

 今おっしゃった物価高、エネルギー高というのは、昨年末も補正予算で対応しています。もし同様のことが、例えば、夏、冬、電気代がかかるんだというようなことであれば、もう今からでも見通せる話です、しっかりと予算計上すべきですよ、予備費ではなくて。

 あるいは、非常時であれば、おっしゃったように、特定目的予備費という形で計上することも選択肢ではありますが、今回はそれを取っておられませんね。それは、昨年閣議決定された骨太方針でも、歳出構造を平時に戻すと。平時ですね。つまり、五千億ですよ、平時は。戻すということを閣議で決めているわけです。我々、この予備費は余りにも過大だというふうに考えております。

 これは総理に伺いますが、閣議決定に基づいて、平時の五千億円に予備費は戻すべきではありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 足らざるところがあれば財務大臣から後ほどお答えをいたしますが、現時点において、令和六年度ですね、一兆五千億円を使用しておるところでございます。予期せざる事象というものが非常に頻発する、それは自然現象もそうでございます、国際社会においてもそうでございます。もちろん、そういうものがきちんと予見できるように、当初予算というものについていろいろな可能性を考えながら編成をいたしまして、今、御審議をいただいておるところでございます。現時点で一兆五千億円を執行中であるということを考えますれば、一兆円というものは過大であるというふうに私は認識をしておらないところでございます。

 ただ、そういうことがなるべくなるべく少ないように当初予算の編成を行い、御審議をいただくということは、憲法の趣旨からいっても当然のことだと理解をいたしております。

本庄委員 物価高対応が予備費で計上すべきほど予見できないものなのかということは、私は考えを異にしております。

 懸念していますのは、これは配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、この過大な予備費が余ったらどうなるかという話です。

 この予備費も含め、余ったお金、予算は決算剰余金という形になります。そして、その決算剰余金は、半分が国債の償還に充てられるということです。ところが、さあ、残りはどうなるのかということですが、配付資料二を見ていただきたいんですが、二〇二三年度決算、剰余金八千五百億円に対して、四千二百億円が防衛財源に回る。さらに、二二年度決算を見ると、二・六兆円剰余金がありましたが、このうち半分、一・三兆円が防衛財源に回るということで、過大な予備費が余った場合は防衛財源に回るというのが今の仕組みなんですね。そのために予備費を積み増しているんじゃないかと思われても仕方がないという状況です。

 我々、先ほど申し上げましたように、予備費一兆円は平時の五千億円規模に戻して、他の必要経費の財源に充てるべきだというふうに考えております。我々、そういった修正を提案していきたいと思いますが、総理、是非受け入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、ちょっと予備費と剰余金のお話でありますけれども、御指摘のように、防衛力強化のための安定的な財源の確保という観点から、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、税外収入の活用と併せ、決算剰余金の活用、これはもう明らかにしているところであります。

 その上で、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれた場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定、これは出納整理期間の制度でありますが、に基づき、特例公債の発行額の抑制に最大限努める、いわゆる、その年、年度を越えた次の六月までよくその動向を見て判断するとされているところであります。

 そして、予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が、そういった意味で直接的に対応するわけではありません。実際、令和五年度の決算においても、予備費に関しては約一・六兆円の不用が生じましたが、税収等の上振れもあり、特例公債発行額はこれを上回る九・五兆円を減額をし、結果、決算剰余金の金額は〇・九兆円となり、これは予備費の不用額を下回っているわけであります。

 御指摘のような、防衛財源を確保するため、決算剰余金を膨らましたり、あるいは予備費を過大に計上しているという御指摘は当たらないものと考えております。

本庄委員 そこに縛りはありませんよね。実際、発行した国債は減額になっているといったって、ゼロになっているわけじゃないんですよ、結局。ですから、減額に努めてはいるかもしれませんが、やはり一部は防衛に回っているわけですよね、余ったお金は。それが現実じゃないですか。いかがでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 ですから、最初に申し上げた防衛財源の確保の考え方は大きく四つでありまして、歳出改革、税外収入、決算剰余金、そして、国民の皆さんに御負担をお願いする、この四つの柱で確保するということは申し上げてきている。しかし、決算剰余金をそのために積み増すということはしているわけではありません。結果として出てきた決算剰余金をどう使っていくか。

 これまでも予算の中で毎年度決算剰余金は活用しているところでございますし、例年を見ると、コロナの前においては一兆円を超える決算剰余金が計上されている時期も結構、多々あったわけでございますので、申し上げたいのは、そのために決算剰余金を膨らましている、あるいは予備費を過大に計上している、こういう考え方は取っていないということであります。

本庄委員 まあ、そのために積み増しているなんて言う人はいませんよ。ただ、そう見えるし、そう取られますよ、そういうふうに申し上げているんですね。答弁になっていないと思います。

 繰り返しになりますが、過大な予備費は削減をして他の必要な経費に充てるべきだ、こういった提案をしてまいりますので、是非受け入れていただきたいと思います。

 時間もありますので、半導体の話に移りたいと思います。

 まず、ちょっと基本的なことから、考え方から申し上げたいと思いますが、我々立憲民主党も、私個人も、半導体の重要性、それから国の支援の必要性、これについては十分理解しています。推進すべきだというふうにも思っています。一方で、巨額の税金を特定の産業や企業に投入するということは、そのリスクやモラルハザードも含めてやはり慎重に検討しなければいけないというふうに思います。こういった観点から、半導体支援の在り方について議論させていただきたいと思います。

 まず、配付資料三、パネルを見ていただきたいんですが、旧通産省、経済産業省の産業政策、特に一九八〇年代以降の半導体支援は、失敗の歴史だったと言われても仕方がないと思うんですね。

 一九八八年は、日本は半導体の世界シェア、五〇%ありました。一方で、アメリカとの関係もあって、日米半導体協定が結ばれ、貿易の規制、あるいは、例えば日本国内では海外の半導体を二割使わなきゃいけない、こういったことも課されました。そういう中で、反転攻勢を期していろいろなプロジェクトが組まれた。MIRAI、HALCA、ASPLA、あるいは、書いていませんが、あすか、いろいろなものがあります。そして、四百六十五億、十七億、三百十億というお金も投じられてきました。しかし、まさに半導体は衰退の一途をたどってきたわけです。

 そして、極めつけが、このエルピーダメモリ社ですね。一九九九年にNEC、日立がつくり、三菱が合流をし、スタートしました。しかし、リーマン・ショックなどもあり、経営が苦しくなって、産業再生法が適用され、結局、三百億円の出資、百億円の融資という形で、四百億円の公的資金の支援を受けました。しかし、その結果は、二〇一二年に経営破綻です。そして、今どうなっているかというと、アメリカのマイクロンという企業に買収されているんですね。大きな利益を出していますよ、今、マイクロン。そして、今、ラピダスという会社に新たな投資をしようとしている。

 今現在、半導体のシェアは世界で一〇%を切りました。この三十年間を見れば、明らかに失敗の連続なんですね、申し訳ないですが。

 経済産業省に伺います。大臣、まず、この検証、失敗の歴史、されているのかどうか。そして、その検証の中で、されているのであれば、経済産業省自身の責任をどのように総括されていますか。お答えください。

武藤国務大臣 本庄委員から御質問いただきました。

 経済産業省の責任についてでありますけれども、今パネルにお作りいただきました先生の御指摘のとおり、一九八八年、五〇%のシェアが、今何と八・七%、これはまさに我々の、今おっしゃられた日米の半導体協定に始まり、様々な貿易摩擦の影響、またバブル経済崩壊というものがあって、そういう意味の中で大胆な投資ができない、政府として適切な投資をしてこなかったという反省があり、これを真摯に反省をしなくてはいけませんし、検証という意味ではそういう形でされてきたところであります。

 そして……(発言する者あり)じゃ、外部有識者は後にしておきます。

本庄委員 今、検証されてきたとおっしゃいましたので、その検証したものを、資料を本委員会に提出していただきたいと思います。

 委員長、よろしくお願いします。

安住委員長 理事会で協議します。

本庄委員 その上で、投資が足りなかったとか支援が足りなかったというようなお話もありましたが、エルピーダメモリの社長だった坂本さんは、国の支援がなかったと言っているんですよ。独り、孤軍奮闘していたと。そういう中で、最終的には経営破綻に陥ったということで、今の大臣のお話は、私は正確ではないと思います。そういったことも含め、つまり、なぜエルピーダメモリを救済しなかったのかというようなことも含めて、しっかりと検証を示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、配付資料の四ということで、これはパネルにもしていますが、今の話に移りたいと思います。

 これは、総理も、半導体に五十兆円の官民投資ということを繰り返しおっしゃっています。ここ三年間だけを見ても、半導体産業への巨額の税金が投入されてきています。令和三年度補正から七千億円、一・三兆円、一・九兆円、一・四兆円、そして、今回の七年度予算でも〇・三兆円と計上されています。これは、合わせると五・七兆円ですよ。巨額の税投入がこの三年間だけでも行われています。うち、このラピダスという特定の会社に九千二百億円、一兆円近く投じられている、あるいは投じる予定と決定されている。さらに、来年度の予算案では一千億円の金融支援も含まれている。こういう状況です。

 この総理のおっしゃっている五十兆円とか、さらに、半導体フレームで十兆円支援するという話もありますが、この金額の必要性、根拠については私は定かではないというふうに思いますが、このラピダスへの投資、これも非常に不透明な部分が多いというふうに思っています。

 この会社は、次世代の半導体を作るベンチャー企業で、トヨタとかデンソー、ソフトバンクなどが出資をして二〇二二年に設立をしました。二ナノという世界最先端の、今各国しのぎを削って、各社しのぎを削っているものについて、今研究開発をしていますが、もう二年後に量産を開始すると。まだまだ試作品もできていません。この春できるらしいんですが、ただ、二年後にはもう量産を開始するという話になっています。

 どこまでお金を入れていくのか、どういう形で、これが見えないまま九千二百億円まで来ているということです。

 そこで、経産大臣にまずお伺いしますが、ラピダスが二年後の量産開始までに必要な資金、幾らですか。そのうち、国は幾ら支援しようとしているんでしょうか。お考えをお聞かせください。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 先ほどの御質問の中で、ちょっと一部、検証を出せということですけれども、日の丸自前主義といいますかね、結局、世界、今、今回TSMCみたいな台湾との連携が始まりましたけれども、そういう国内企業同士の統合を優先してしまったという我々の判断もあるし民間の判断もあるんだと思います。ビジネスを取り巻く情勢分析といいますか、そういうものもしっかり見ながら、この検証をまた今後出していきたいと思いますし、今の話の中で、今の外部有識者の話でありますけれども、ラピダスにつきましては、今おっしゃったように、これまで、合計、研究開発費として九千二百億円投入をしております。外部有識者が研究開発の進捗状況あるいは事業計画等の精査をした上で支援額を判断することとなりますので、現時点で支援総額の見通しをお答えすることはできないと思います。

 民間資金の調達のうち、出資については、今おっしゃったように、一千億円、これを今国会の中で、また法律の中で決めていただきますけれども、調達を見込んでいるところであります。

 そして、今の現時点でのラピダスの進捗状況でありますけれども、課題があることは承知をしております。もちろん、量産技術の確立、顧客の獲得、資金調達、人材の確保、育成等の課題、これも様々でありますけれども、大きな問題がございます。この上で、外部有識者から、研究開発は今現在順調に進捗しているということも評価をいただいております。

 本年四月から、北海道千歳で試作ラインの稼働が開始をする予定をしております。顧客獲得に向けても、国内外での事業者との提携、連携が進んでいる、現時点で一千億円程度の民間出資が見込まれている中で、これの、いわゆるユーザーの拡大も含めて進めていきたいというふうに思っております。

 政府としては、次世代半導体の量産に向けて、事業者の財政基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進する観点から、出資や債務保証等の禁止を、可能とする法律案を出します。

本庄委員 大臣、本当にこれは失敗の歴史を検証したんですか。そういう対応だから失敗を続けてきているんじゃないですか。

 もう二年後の量産開始なんでしょう、まだ試作品もできていないけれども。そこに幾らかかるかも見通せていないんですか。そういう中で九千二百億円、もう投じているんですか。どこまでやるんですか。

 やはり、全体像をちゃんと示してくださいよ。何に対してどこまで国が税金で面倒を見るのか、いつまで面倒を見るのか、顧客や販路をどうするのか、採算が取れるのはどうなればなのか。何にも今示されていませんよ。

 総理、どう思いますか。これで更に税投入……

安住委員長 担当局長がいるから。野原経済産業省商務情報政策局長、まず、ちょっと端的に今の質問に答えて、その後、総理に質問して。

野原政府参考人 ラピダスにつきましては、ラピダス設立当初から、ラピダス側は、研究開発で二兆円、量産化投資に三兆円かかるという説明をしています。これは、二ナノの開発、量産に取り組んでいる他社、海外の他社にも確認をいたしますと、研究開発で二兆円台、量産投資、一棟二兆円台かかるということを言っていますので、ラピダスの説明している額はそんなにグローバルな相場からは外れてはいないというふうに思います。

 ただ、総事業費の妥当性は、外部有識者で確認しながら精査していく必要があります。国の研究開発予算でありますとか、あるいは、二〇三〇年頃のIPOを目指していますので、IPOをして資本市場で調達するとか、あるいは、それよりも手前のところで、官民で、量産投資、生産ラインの拡張のところでは官民の資金を組み合わせてやるということになってきますので、それぞれのところで幾らぐらい出てくるか。ラピダスが二〇二七年の十月から量産しますので、それまでのキャッシュフローもありまして、その辺の組合せで額が決まってきますので、政府がどこの部分を支援で手当てするかというのは、有識者で精査しながら決まってくるということで、決まっていないということを申し上げています。

本庄委員 結局、税金の逐次投入なんじゃないですか。たかだか二年先まで、しかも、五兆円要る、あっ、五億円要ると……(発言する者あり)五兆円か、済みません。五兆円要ると。余りにも巨額過ぎて、間違えてしまいました。五兆円要ると。もう一兆、国は出している。あと四兆要る。そこをどう民間とシェアするのか、それも今の段階で見通せないまま、更に一千億の金融支援、あるいは、場合によっては更なる補助金、こういったことを考えているんですか。私は、ちょっとあり得ないと思いますね。

 大事ですよ、もちろん。私は、ラピダスにも成功してもらわないと困るし、北海道の皆さんの期待も高い。でも、だからこそ、全体像をしっかり示して、そしてその支援の基本方針も示して、ロードマップも示して、その上で、一兆出す、二兆出す、こういう話をやはり国会にはすべきじゃないですか。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 委員のおっしゃることは至極ごもっともだと思っております。いやしくも税金を使うわけですから、そういうことが分からないでこの計画が進むということはあってはならない。

 同時に、おっしゃいますように、これは失敗するわけにいかないので、そしてまた北海道の皆さん方の御期待もある、そしてまた雇用も創出していかねばならない、事実そのとおりでございます。そういうことを確実なものとするために、国民の皆様方に対する説明責任を果たしてまいります。

 同時に、これは物すごい国際競争をやっておりますので、全てを明らかにするというわけにはなかなかいかない部分もございますが、政府の中でよく検討いたしまして、納税者の方々にも御理解いただくことができるように努めるのは当然の責務だと認識をいたしております。

本庄委員 このラピダスに十億円出資しているソフトバンク社長の宮川さんが去年十一月、記者会見していまして、ラピダスについて聞かれまして、課題は山積みだと答えているんですね。半導体も、作るまでがゴールではなくて、作って売って、それが継続できるかだ、TSMCと本当にやり合えるだけの製造能力のある工場を造っているかというとそうでもない、出資者がこう言っているんですよ。その上で、孫正義会長が追加支援に反対しているということも示唆をして、えらいけんかになったと述べているんですね。

 これは、出資している企業でさえこういう状況ですよ。私は、この先、本当に民間の投資、出資が集まるのかどうか非常に不安です。その根本にあるのが、全体像が見えないと。もちろん、リスクはありますよ。でも、全体像が見えないということだと思います。

 今国会にも経産省は法案を出していますよね。新たな半導体支援のフレーム、二〇三〇年までに十兆円を投じるということですが、その中にはラピダスの支援も入っているんでしょう。

 この法案は、これから審議です。いろいろな情報は報道などでも出ていますが、例えば、一千億を拠出する先は情報処理推進機構、IPA。ここは、半導体の知見なんかあるんですか。出資や金融支援の経験があるんですか。そんなところに慌てて一千億も金を渡して、年内にラピダスに出資する。私は、こんなことはあり得ない話だと思います。

 こういった議論も法案審議の中でしっかりやらなきゃいけないし、今ほど申し上げてきた全体像についてもきちっと示していただかないといけないと思います。このラピダスに対する様々な支援、もっと言えば半導体産業全体に対する支援は、そういった大きな枠組みや基準をしっかりと政府が示してからこれから更に前に進めていくべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 法案を今国会において御審議いただきたいというふうに思っております。

 同時に、国際競争が激烈であるということを考えますと、法案の御審議をいただき、成立した後に支援をするということになると、一年遅れるということが起こります。当然、時程表からいえばそういうことになります。

 その一年の遅れが取り返しのつかないことになりかねないものでございまして、法案の審議の際に、今委員が御指摘のようなことがきちんと明らかにできるように、私も、このラピダスの話は、もうかなり前から何度も聞いておりますし、経営者の方々からもお話も聞いてまいりました。また、経産大臣始め、担当の者たち、現場にも行きまして、よく把握をいたしておるつもりでございますが、つもりだけであってはいけないので。

 一年遅れるというわけにはまいりません。しかし、法案の御審議の過程において、そういうことが得心をいただけるように、政府として更に努力をいたしてまいります。

本庄委員 せいては事をし損じるという言葉もあります。貴重な税金を使う、そして、これは場合によっては国民負担に最終的になる可能性もあるわけですね。私は、そのリスクについてもきちっと国民の皆さんに対して政府は説明すべきだと思います。その上で、やはり大事な産業だから税金を投じていくんだ、私は、こういう丁寧な、真摯な姿勢が求められていると思います。

 その上で、もう一つちょっと懸念を申し上げたいと思います。トランプ2・0リスクですね。

 このラピダス社は、アメリカのIBMと技術協力をしています。これまでは順調に来たかもしれません。しかし、トランプ大統領の言動、政策を見ていると、いつ待ったがかかるか、介入が入るか、予断を許さないと思うんですね。例えば、国の大事な先端技術が日本に流れることはけしからぬ、外国に流れることはけしからぬということもあるかもしれません。あるいは、北海道じゃなくてアメリカで生産しろと言うかもしれません。これは分かりません。ただ、リスクではあるというふうに思うんです。

 そこで総理にお願いをしたいなと思うんですが、今度、日米首脳会談をされます。これまでも日米間では半導体協力について首脳間で協力をするということを確認をしてきています。石破総理も、今度首脳会談するときに、是非この半導体協力を日米間で引き続きやっていくんだということを改めて再確認されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 トランプ大統領が半導体に非常に強い意識を持っていることはよく承知をいたしております。台湾に対しましても、半導体をめぐりまして非常に強烈な問題意識を持っているということもいろいろな情報から承知をしておるところでございます。

 トランプ大統領との会談におきまして、どういう会談の流れになるか、まだ今予断を持って申し上げることはできませんが、半導体をめぐる日米の協力の重要性につきましてもよく認識を一致させたいと思っております。

本庄委員 是非、予期せぬトラブルが起きないように、丁寧な議論をしていただきたいというふうに思います。

 私、冒頭にも申し上げましたが、半導体の必要性、これは十分に我々は理解しております。一方で、産業政策は半導体だけではありませんし、そもそも政策経費は産業政策だけでもない。社会保障、防衛、その他もろもろ、多くの必要な分野が控えているわけです。そういう中で、特定の分野、企業にやみくもに税金をつぎ込んでいくということは決してあってはならないというふうに考えておりますので、是非よろしくお願いします。

 最後に、防衛についてお伺いをしたいと思います。

 二〇二五年度の税制改正で、防衛財源として法人税、たばこ税を二〇二六年四月から増税という方針が決まっています。まだ確定はしていませんね、国会での議論次第です。一方で、二〇二七年一月から所得税も増税するとなっていましたが、これは見送りとなりました。

 総理は就任前、東洋経済のインタビューで、防衛費は基本的に法人税で賄うというのが国民の理解を得やすい、こういうふうにおっしゃっているんですね。

安住委員長 本庄君、間もなく質疑時間が終わりますから、最後の質問にしてください。

本庄委員 はい。

 そこで伺いますが、我々は法人税、たばこ税も含めて反対ですけれども、せめて、この御持論どおり、この際、所得税増税はもう見送られたらいかがでしょうか。総理、いかがでしょう。

石破内閣総理大臣 御指摘も踏まえてよく検討いたしてまいります。

 要は、応益負担と応能負担の一致点をどこに見出すかということでございます。防衛力を増強すること、整備することによって、これは国民全体が裨益をするものでございます。しかしながら、どこが負担能力を持っておるかという点につきましては、国民の皆様方の御負担能力というものを考えながら、今後よく議論してまいりたいと思っております。

安住委員長 終わってください。

本庄委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて長妻君、城井君、源馬君、階君、奥野君、酒井さん、近藤君、今井君、岡田君、神谷君、本庄君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会幹事長の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 今国会、与党の過半数割れの中で、熟議の国会と言われております。我々も、この与党の過半数割れという状況の中で、確実に結果を出す政治をやってまいりたいと思っております。

 そして、今国会では二つの結果を出したいと考えています。一つは、繰り返し申し上げておりますが、教育の無償化。そしてもう一つは、社会保険料の値下げ。これをやって、日本を経済成長に導きたいと考えております。

 資料一を御覧ください。

 日本の成長に必要な改革とはということで、日本の成長を阻む二大要素として、一つ目は、若者の負担が増えているということがあります。そして、特に、税金よりも社会保険料の負担が重い。

 年収三百五十万円の単身世帯を例にすると、所得税は年間七万円ですが、社会保険料は年間五十万円にも上る。そして、若者が、現役世代が手取りが上がらず、結果、消費が伸びない、そして経済が成長しないという悪循環が起こっている。そこで、我々は社会保障改革をやって、この社会保険料を引き下げたいと考えております。

 そして、もう一つの原因は、言うまでもなく、圧倒的な少子化の進行。

 出生率は、二〇〇四年、百十一万人が、昨年、二〇二四年は六十万人台ということで、半分近くになってしまっております、この二十年で。そしてまた、教育費の負担も非常に重くなっている。ここを無償化することで、少子化に歯止めをかけ、かつ、子育て世帯の皆さんの手取りを増やして、そして個人消費を伸ばす、我々はこういった改革を提案をさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、次のパネルを御覧いただきたいんですが、資料二になります。

 社会保障費について今日はお伺いいたしますが、これはもう御存じのとおり、一般歳出に占める社会保障関係費の割合、どんどん増えています、下の青色の部分ですね。ついには一般歳出の五六%、額にして三十八兆円、過去最高にまでなってしまいました。

 次のパネル三を御覧ください。

 当然、社会保障費が上がるということは、その分社会保険料に跳ね返ってきていますから、社会保険料がずっと上がってきた、税金も上がってきた結果、手取りはこの二十年でどんどん減っている。この二十年で、一人当たりの税金と社会保険料の負担は、平均四十一万円も負担が増えております。だから手取りが上がらない。手取りが上がらないから、繰り返しになりますが、個人消費が伸びない、そして経済が成長しないという悪循環に陥っているということであります。

 そして、今回、社会保障費の中でも、我々は医療費に注目してみたいと思います。

 増え続ける医療費ですね、資料四。

 二〇二五年、赤の縦棒ですけれども、今年は約五十五兆円の医療費と予測されておりますけれども、十年前は四十二兆円、更にその十年前、二〇〇五年は三十三兆円。年間一兆円ぐらい増えていっているようなイメージでして、十年後の二〇三五年には七十兆円に達する、そして十五年後の二〇四〇年には約八十兆円に達するということで、財政もそれはもちませんよ。

 そして、社会保険料にこれは跳ね返ってきますから、現役世代の皆さんの暮らしももちません、このままでは。ここにメスを入れなければいけないと考えております。我々は、大体二兆円ぐらい社会保障費を削減したら、年間四万円ぐらい国民の皆さんの負担を下げることが現役世代を中心にできると思っております。

 我々は、大阪で与党という立場で政治、行政を担っておりますから、無責任に何でもかんでも下げろと言うつもりはありません。しっかりと改革をやって財源を生み出して、下げるということを提案をしたいと思いますので、今日は具体的に二つの改革提案をさせていただきたいと思います。

 一つは、OTC類似薬の保険適用除外についてです。

 OTC類似薬といいますと、我々、例えば風邪を引くと、二つの方法がありますね。薬局に行って、薬剤師さんと相談して風邪薬を買って飲む、そして治す、セルフメディケーションですね。あるいは、お医者さんにかかって、診察してもらって、処方箋をもらい、そしてそれをまた薬局に持ち込んで処方薬を受け取る。

 この二つのやり方があるわけですけれども、風邪薬とか湿布薬とか胃腸薬、あるいは保湿剤、一般に多く市販されているもの、これをわざわざお医者さんにかかって、診てもらって、処方箋を持って薬局で受け取るという場合がたくさんあろうかと思いますが、もう市販薬で買える風邪薬とか胃薬とかに関しては、薬局で薬剤師さんと相談して買って自分で治していきましょうということで、保険適用除外にすれば、例えば湿布、保湿剤、胃腸薬、解熱剤だけでも年間約三千五百億円ぐらいの医療費の削減ができるというのが民間の調査で明らかになっております。

 これは、ちゃんと薬局に行けば、専門性の高い薬剤師さんからいろいろ御指導いただけますので、こうして自分で薬局で買って治していこうという、OTC類似薬の保険適用除外について、本会議で、総理は御答弁で、二〇二八年度までに検討を行うとおっしゃいました。しかし、三、四年間これから検討して、まず、それは検討するだけで、やるかどうかも分からないという状況なんですね。これじゃ余りにも遅い。もう社会保険料の負担は限界まで来ているわけですから、こういったことは直ちにやって、そして社会保険料を下げるという方向にかじを切っていただきたいと思います。

 ちなみに、市販薬を買う場合とお医者さんにかかって薬をもらう場合、場合によっては市販薬を買う方が安い場合もあるということですから、これは患者さんの負担軽減にもなる可能性があります。

 この我々の提案について、総理、いま一度御答弁いただきたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘の効率化、適正化というのは大変重要な観点だと思います。

 今御指摘ありましたように、改革工程においても、二〇二八年度までに検討を行うべき項目として掲げられております。それを急ぐべきじゃないかというような御指摘もありましたが、これはやはり患者さんに対する必要な保障が欠けることのないようにする点にも留意する必要があることから、丁寧に検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

岩谷委員 現役世代の皆さんは本当に今苦しんでいます。経済成長もそれで阻まれています。やはり何か、スピード感に関しまして、あるいは危機感に関しまして、非常に認識に、我々と政府・与党の皆さんとは乖離があるなというふうに思います。これは引き続き今国会で議論をさせていただきたいと思います。

 そして、改革提案の二つ目ですが、金融所得や資産を考慮した応能負担の強化、そしてマイナンバーの活用についてお伺いしたいと思います。

 パネル七を御覧ください。

 年齢による医療費と負担額の違いですけれども、下が保険料ですね。上が医療費になります、青い部分。そして、横に、右に行けば行くほど年齢が上がっていくということになります。これは一目瞭然ですが、高齢者になればなるほど保険料とか自己負担は小さくて、医療費が多くかかっている。そして、現役世代になると、逆に、医療費は小さいけれども、それ以上の保険料とか自己負担がかかっているというグラフになります。

 そして、次のパネル八を御覧ください。

 当然、高齢者の皆さんの医療費は、保険料以上に医療費がかかっているわけですから、足りませんので、どうしているかというと、現役世代の皆さんの保険料から支援金ということでお金を送っているということになります。今、後期高齢者の方でいいますと、給付、医療費の四割が現役世代からの支援金で賄われているということになります。

 そして、これはいいんですけれども、どういいかというと、当然、高齢になると病院にかかる機会が増える、そして年金暮らしでそれほど所得もないとなると、負担を下げようということで、保険料を低く設定したり、窓口負担を七十歳以上は二割、そして七十五歳以上は一割と、現役世代の三割よりも低く設定している。

 その趣旨というのはもちろん理解をしておりますが、問題は、株とかの配当で何百万という収入がほかにあるにもかかわらず、同じように負担が低く抑えられていたりしている。あるいは、資産が何千万、億とある方も、窓口負担とか保険料については低く抑えられてしまっている。ここはやはり不公平じゃないかということなんですね。

 現役世代の皆さんは、収入も少なくて資産もほとんどない中で保険料をしっかり負担しているのに、高齢者、年齢という区別の下で、高齢者になれば、どれだけ資産があっても、あるいは金融所得があっても負担が低く抑えられている例があるということで、ここをしっかりと、マイナンバーも活用して、応分の負担をしていただこうという改革提案をさせていただきたいと思います。

 これも、総理は本会議の答弁で、二〇二八年までに実施について検討するとおっしゃいました。しかし、これも、先ほどの薬の話も一緒ですけれども、もう何年も検討している場合じゃないので、こういったことはすぐにでも、直ちにやっていただきたいと思うんですね。

 それから、マイナンバーの活用も、やはり資産をちゃんと把握しないと今のシステムはできませんから、そのためには銀行口座とのひもづけが必要になりますが、これは促進していると政府はおっしゃいますが、大手銀行での預金口座のひもづけは今五パー以下という状況でありますから、これを抜本的に、直ちに改善する必要があると思います。

 この二点、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 委員御指摘のありました社会情勢を踏まえまして、今、政府においても、全世代型社会保障、御負担の能力に応じて負担し合っていただく、そういう改革を進めているところです。

 その中で、御指摘ありましたように、医療に介護も加えて、金融所得や金融資産の保有状況を負担に反映させることは、改革工程表において、二〇二八年度までに実施について検討する取組とされているところでございます。

 預金口座へのマイナンバーの付番の状況等を踏まえつつ、どのように金融所得や金融資産を把握するかなどの実務的課題があることから、そういうことについて引き続き丁寧に検討を行ってまいりたいと考えております。

岩谷委員 ですから、遅いんですよ。二、三年検討して、やるかどうかもまだ決まっていないわけでしょう。そんな悠長なことを言っている場合なんですかね、今。

 今年、二〇二五年というのは、御存じのとおり、団塊の世代八百万人全員が七十五歳以上の後期高齢者になります。そして、社会保障費の負担が重くなったり、医療、介護の体制維持が困難になると言われる、二〇二五年問題とまで言われている。

 今、この二〇二五年において、いまだに数年かけて検討しますという答弁しか返ってこないということが、いかに危機感がないか、国民や我々との認識にずれがあるかということの表れではないかというふうに思いますので、これも引き続き議論したいと思います。

 そして、ちょっと質問を一つ飛ばしまして、年収の壁のお話をさせていただきたいと思います。

 パネルの九番を御覧ください。

 百三万円の壁と言われるのは、所得税がかかる壁ですね、これは立憲民主党さんも昨日やられていましたけれども。百三万円をパートやアルバイトで稼いだ方が、百四万円、一万円多く稼いだら、そこから所得税がかかって、例えば一万円上回ったら、年間でも五百円なんですね、所得税五百円。手取りは減らないんですよ。

 一方で、問題になるのは百三十万円なんです。百三十万円は、一万円でも超えると、いきなり三十万円近くの保険料が取られるんですね。だから、百三十万円まで一生懸命働いたら百三十万円ぐらい手取りが入ったのが、百三十一万円になった瞬間に百万円ぐらいに手取りが減っちゃう。ここが働き控えの原因なんじゃないでしょうか。まさにこれは崖なんですね。

 ちなみに、立憲民主党さんは、これをならして、更に坂にして増やしていくような案を提案されていますが、立憲さんの案は八千億ぐらいかかると聞いていますが、我々は、まずはこの崖を埋めるだけ、平らに。埋めるだけならば二千億ぐらいでできるだろうと試算をしておりますので。

 この百三十万円の崖を埋める、そして働き控えをなくすという我々の提案について、御答弁をいただきたいと思います。

福岡国務大臣 御提案につきましては、給付を受ける方にとっては負担減となりますが、保険料によって賄われるべき給付と、公費で補填されて拠出した保険料負担の関係が不明確となるのではないかといった課題であったり、今御指摘あった財源の話、また、賃金以外の収入も含めた所得をどのようにきめ細かく迅速に把握し、そしてどのように給付を行うかなど、実務上の課題があるというふうに承知をしています。

 政府としましては、引き続き、年収の壁・支援強化パッケージの活用などに取り組みながら、働き方に中立的な制度を構築する観点から、制度的な対応として、被用者保険の更なる適用拡大を含む年金改正法案の取りまとめに向けて、丁寧に対応していきたいと考えております。

岩谷委員 今政府がやっている年収の壁・支援強化パッケージについては、これは取組を行った事業者への支援ということで、働く側に選択権はないわけですよね。それから、あくまでも一時的に収入をオーバー、百三十万をオーバーした場合に補填しますというような内容になっておりまして、極めて不十分だと思っております。やはり人手不足が経済成長を阻んでいる理由にもなっている中で、この最大の原因である百三十万円の壁の崖ぐらいは埋めないと、いつまでたっても経済成長は実現しないと思いますよ。

 我々は、第三号被保険者制度自体についても見直しを提案をさせていただいておりますが、まず応急処置として、引き続き、この百三十万円の崖を埋めるという御提案を、議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、残りの時間、政治改革のお話をさせていただきたいと思います。企業・団体献金の禁止です。

 企業・団体献金の禁止は、前回、十二月も総理にお伺いをさせていただきました。ちなみに、我々維新の会は既にこれを実行していますから、さらに、パーティー券も企業、団体に売っていませんから、これはできるはずなんですよね。

 これは何が問題かといいますと、パネルの十にありますとおり、健全な民主主義というのは、国民の皆さんの一票で我々は議員になって、それを意思決定に反映させて、国民の皆さんに利益を還元するというのが当然の民主主義の姿ですが、企業・団体献金が入ってくると、巨額の金が流れてくるわけなんですね。そして、意思決定は、結局、その巨額の数百万、数千万、億単位の献金をしてくれた企業、団体のための意思決定、利益になっているんじゃないか。自民党の皆さんは否定されるかもしれませんが、少なくとも国民の皆さんはそう思っているわけなんですよ。

 実際に、例えば租税特別措置があります。これは特定の業界団体だけ、お金をくれるところだけ減税しているんじゃないのかとか、あるいは、お金をくれるところだけ補助金を出しているんじゃないのかと、やはり疑ってしまいますよね。だから、ここを断ちましょうということを言っているわけなんです。

 よく政治には金がかかるとおっしゃるんですが、それはうそじゃないですか。だって、我々は企業・団体献金を受け取っていません。パーティーも、企業、団体に売っていません。だけれども、政治はできていますよ。何で自民党さんだけがお金がかからないと政治ができないんですか。政治がお金がかかるんじゃなくて、選挙に勝つためにお金がかかるということじゃないんですか。ここにいる皆さんは、多分それを分かっているでしょう。政策決定をゆがめてまで選挙のために金をつくる、そんな政治を、本当に皆さんはそんなことをやるために政治家になったんでしょうか。

 やはり皆さんの初心に立ち返っていただきまして、お金のための政治じゃなくて、本当の国民の皆さんのための政治をやるために、単なる透明化ごときでごまかすんじゃなくて、企業・団体献金の禁止、シンプルに。

 総理、これは、私は総理だから申し上げたいんです。自民党さんの中に抵抗はあると思いますよ。だけれども、総理は改革派だと思いますから、トップダウンでイニシアチブを取って、自民党さんの中で、しっかりと総理のトップダウンで企業・団体献金の禁止をやっていただけませんか。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

石破内閣総理大臣 私は、企業・団体献金で自民党が政治をゆがめたとは思っておりません。それは、もしそういうことをやっていたとすれば、我が党はこんなに長く政権を担当させていただくことはできなかったんだろうなというふうに思っております。ただ、それがそうでないようにきちんとお示しをするということは、我が党として、もっときちんと国民の皆様方にお示ししたいと思います。

 この議論の中でもう一つ大事な論点というのは、平成の初めの頃の政治改革の議論の中で、公費だけに頼る政党というのがあってはならないだろう。そしてまた、資産家だけ、あるいは知名度のある、私ども世襲議員もそうなんですけれども、知名度のある者でなければ議員になれないというのはおかしいだろうという議論がございました。その中で、どんな方でも、意欲、能力のある方が議員となっていただくために、どういうような負担が望ましいのかということで、企業・団体献金というものを、きちんとした透明性の確保の下に、公職選挙法あるいは政治資金規正法の趣旨にのっとり、私どもとしては、これから先、公開性を高めていきたい。

 ごときとおっしゃいますが、これは有権者の判断に資するという意味では極めて重要なことだと思っております。私どもは政策をゆがめたことはないと思っておりますが、委員がおっしゃいますように、世間の人はそう思っているということであるならば、そうでないような、そういうことを証明するのは私どもの挙証責任だと思っております。

岩谷委員 世間の皆さんはそう思っている、そして、更にその不信が高まっている。それは、そもそも裏金問題が原因じゃないんですか。

 自民党さんの国会議員の皆さんが裏金をつくって、国民の政治不信が極限まで高まりました。そして、その後、自民党さんの都議会の方でも裏金が発覚した。それから、昨日は、自民党の六府県連で計一千八十一万円の不記載が発覚したと報道が出ております。そのうち一千万円は大阪府の自民党さんの組織ということで、他党とはいえ、同じ大阪府ですから、大変残念に思います。こうして国民の皆さんの政治への信頼を地に落としたのは、自民党さん自身なんですよね。

 だから、企業・団体献金の禁止、まず旧文通費の領収書公開を求めてきて、やっとこれは過半数割れの中で実現が決まりましたし、政策活動費の廃止も決まりました。次は企業・団体献金の禁止なんですよ。これは、本来、信頼を損ねた自民党さん自身が禁止を主張すべき事柄じゃないんですか。何でこんなこともようやらないのかということが、私にも理解できないし、恐らく国民の皆さんも理解できないというふうに思います。

 我々、もう既にこれは検討していまして、抜け穴を塞いだ形での企業・団体献金の法案を今国会に出したいと思いますので、是非議論をさせていただきたいと思います。

 こうして、結局、自民党さんは改革ができない、そういう自民党さんが今なお政権与党の座にいる、これは日本にとって極めて不幸なことだというふうに思います。

 我々は、やはり改革政党として、しがらみのない改革をやって、教育を無償化する、社会保険料を下げる。そして、日本の経済を成長させるために、まずは次の参議院選挙で与党の過半数割れを目指す。そして、その先には、政権交代を目指して、国民の皆さんの利益のためにこれからも働いてまいりますことをお誓い申し上げまして、時間がもう来ると思いますので、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 この際、阿部司君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 初めに、日米経済関係について質問させていただきます。

 バイデン前大統領が安全保障上の懸念を理由に日本製鉄のUSスチールの友好的な買収提案を阻止したことは、同盟国としての信頼関係を損なうゆゆしき事態と言わざるを得ないと思います。

 更に深刻なのは、クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOが、太平洋戦争の敗戦を引き合いに出し、我が国を寄生虫と呼ぶなど、激しい侮辱的発言を行ったことです。一企業のトップの発言とはいえ、歴史的な文脈を持ち出して日本企業の正当な投資活動をおとしめることは、今後の日米経済関係に重大な悪影響を及ぼしかねないと思います。また、このような発言を放置することは、米国への投資を検討している日本企業全体に萎縮効果をもたらすおそれもあります。

 総理は、今週、トランプ大統領との初めての首脳会談に臨まれます。日米同盟の新たなステージを築く重要な機会においてこの買収問題を取り上げ、日本企業の正当な経済活動を守る姿勢を明確に示すべきです。そして、現地メディアの前で、クリーブランド・クリフスCEOの不適切発言に対する明確な抗議声明を出すべきと考えます。

 この国会の場でUSスチール発言への対応を明言することは、日本企業全体の力強い応援となり、また総理の強い決意表明にもなると思いますが、御見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 御指摘の企業のCEOの発言というのは、事実誤認、偏見、そういうものに満ち満ちたものであって、こういうものに対して私どもとしてコメントを出すつもりはございません。一体何を考えているんだということであって、このことは、良識のある人なら分かることでございます。必要であれば、私どもとして措置を取りますが、現時点において、このようなものに対して取り合う必要はないものと考えております。

 また、バイデン前大統領の大統領在任中に、今回のUSスチールの件につきましては、私どもは重大な懸念を持っているということは申し上げたところでございます。

 今後とも、必要な発言は、私どもとして、していかねばならないというふうに考えておりますが、現状において、トランプ大統領との会談において何を話すべきかということは、この国会の御議論も踏まえてよくよく検討してまいる所存でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 侮蔑的な発言、取り合う必要はないという御答弁でしたけれども、まずはトランプ大統領との信頼関係をしっかりとつくっていただいた上で、国益を損ねないディールを行っていただきたいと思います。

 次に、昨年の前回予算委員会の続きとして、再び規制改革について質問させていただきます。

 パネル一を御覧いただきたいと思います。

 昨年四月に導入された日本版ライドシェア、こちらは、既存のタクシー事業者に事業者を限定して、営業時間や営業区域も制限し、運賃もタクシーと同水準という極めて限定的な制度となっております。

 世界では、プラットフォーム事業者の参入を認めて、営業区域を限定せずに、ダイナミックプライシングも導入する、そうした柔軟な制度設計が当たり前となっております。規制改革推進会議でも、既存のタクシー事業者だけでなく、意欲と技術のある様々な企業が参入できるフェアな環境整備が必要と指摘をされております。

 代表質問で、総理は、全面解禁に慎重な御答弁をされました。しかし、その前提としてお伺いしたいんですけれども、そもそも総理は、この分野における日本の制度的な遅れについて問題意識をお持ちでしょうか。総理、御見解をお伺いいたします。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

石破内閣総理大臣 私は、交通空白というものが、特に地方において非常に顕著であるという認識は強く持っておるところでございます。ですから、これは、東京とか大阪とか名古屋とか、大都市部における交通空白の状態と地方における交通空白の現状というのが全く異なるということはよく認識をしておるところでございます。

 東京や大阪のように、望めば公共交通機関が張り巡らされておるところと、地方のように、そういうものがほとんど望めないところとは状況が全く違いますので、地方における交通空白の解消のためにこの日本版ライドシェアというものがきちんと機能しておるかどうか、その点につきましては強い問題意識を持っております。今後とも、よく検証をいたしてまいります。

阿部(司)委員 明確なお答えではなかったかなと思うんですけれども、単純に、今の日本版ライドシェアは百点満点の制度だと思っていらっしゃるのかどうか、お伺いできますでしょうか。

石破内閣総理大臣 世の中に百点満点の制度なぞございません。

阿部(司)委員 総理、百点満点の制度はないかもしれませんが、百点満点に近い制度を目指すことは非常に重要なことだと申し上げておきたいと思います。

 このモビリティー分野における規制の遅れについて、一昨年十月、当時の河野デジタル大臣が、別の文脈で極めて重要な指摘をされていらっしゃいます。それは自動運転に関するものです。

 河野大臣は、諸外国で自動運転が既に実用化されている中、日本では技術があるにもかかわらず実現できていない、これは規制の失敗と言わざるを得ないと明確に断言されております。この河野大臣の認識、すなわち、日本の自動運転の遅れは規制の失敗であるという認識を政府として踏襲されるお考えでしょうか。総理にお伺いしたいと思います。

 また、総理は、施政方針演説で、自動運転の実装加速に向けた制度整備を進めると述べられておりますが、技術があるにもかかわらず実装が進まないという現状において、諸外国と比べ、我が国は明らかに遅れているという御認識をお持ちでしょうか。御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、実装のところでありますが、確かに米国の西海岸とか中国においては全自動のタクシーがもう既に商用化をされていると承知をしておりますので、その点については、そこに比べれば遅れているというふうに認識を私自身もしております。

 また、河野前大臣の、規制の失敗のちょっと意味が明確ではありませんが、いずれにしても、イノベーションのスピードとレギュレーションのデザインの平仄が合っていないということが、今までの実装において後れを取ってきた原因だと思いますので、デジタル大臣、またデジタル行財政改革、規制改革の担当大臣として、その平仄を合わせる努力は今後してまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 ライドシェア、自動運転について諸外国と比べて遅れがあるという認識は示されたかと思います。

 この遅れの本質的な原因について、パネル二を御覧いただきたいんですけれども、極めて示唆的な報道があります。

 東京交通新聞によれば、日本版ライドシェアの運転手はほとんどがタクシー会社の役員や内勤者であり、採算は取れないが、全面解禁を防ぐための自己犠牲の精神でやっているとのことです。

 この報道は、タクシー業界による既得権益の防衛構造を如実に示していると思います。すなわち、業界自らが採算を度外視してまで形だけのライドシェアを運営することで、真の競争環境の整備を阻止しようとしているのでないか。これはまさに既得権益による自己防衛の典型例なのではないでしょうか。ライドシェアも自動運転も、結局、同じ構造であります。タクシー業界を始めとする既得権益が自己防衛のために様々な障壁を設けている。

 本来、政府は、こうした既得権益の壁を打ち破って、真の競争環境を整備する役割を担うべきだと思います。しかしながら、現状は、こうした既得権益への配慮を優先されて、結果として、我が国の技術革新と国際競争力が大きく損なわれているのではないでしょうか。総理、御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 まず、ライドシェアにつきましては、骨太方針に従って、例えば日本版ライドシェアについては、大阪においては、営業時間帯とかエリアの厳しい規制を一旦外して、どういう効果が出るかという検証を今されているというふうに承知をしています。

 一方で、委員御指摘の、いわゆる外国で言われるところのライドシェア、担い手とかダイナミックプライシングも含めてのところは、今こういった検証結果も踏まえて議論を進めているという、両方走らせているという今現状にあります。

 自動走行の方の基本的な問題は、諸外国は、自動車自体をIoT端末にして、いっぱい走らせて、それをビッグデータで吸い上げて、AIで解析をして、アルゴリズムを改変して、またIoT端末の自動車に戻してくるというエコシステムができている。日本は、そこにおいては、そういうエコシステムができていないということがこういった進化や実装に大きな影響を及ぼしていると思っておりますので、特に、既得権に配慮があって遅れているという認識はしておりません。

阿部(司)委員 るる御説明いただきまして、ありがとうございました。

 もちろん、一足飛びにやっていくにはなかなか、ハードルも様々あると思いますけれども、こうした矛盾を捉まえて改革をしていくというのが私は政府の役割であると思いますので、是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど岩谷議員もお話をされていましたけれども、総理、いわゆる企業・団体献金についてです。

 昨年、企業・団体献金によって政策がゆがめられることはないと総理は明言されております。しかし、現状を見ると、やはりその言葉の正しさを疑わざるを得ないと思います。このタクシー業界を始めとする既存業界からの企業・団体献金と規制改革の遅れ、こちらは明確な因果関係があるんじゃないでしょうか。

 我が党は、今国会で三つの重要な要求を掲げております。まず一つは社会保険料の引下げ、そして二つ目は教育費の無償化、そして企業・団体献金の廃止であります。とりわけ企業・団体献金の廃止、こちらは真の規制改革を加速させていく上での大前提になってくると思います。これらの要求について前向きな動きが政府・自民党からなければ、我が党としては予算案になかなか賛成ができないということも踏まえて、慎重にお答えいただきたいと思います。

 企業・団体献金と規制改革の遅れには因果関係がないとお考えでしょうか。総理、お考えをお伺いできればと思います。

石破内閣総理大臣 企業も公的な存在でございますので、企業全て悪、個人全て善というお話にはなりません。その企業が、例えば、今明確な因果関係があるというふうにおっしゃいましたが、地方の運送事業者、タクシー事業者というのは、本当にほとんど自己犠牲の下でやっていると言ってもそれは過言ではないところでございます。

 地方において、いかにしてそういう足を確保するかということを私どもは政党として常に考えてまいりましたし、そのときに、献金をもらっているから、そこに有利な取り計らいをするというようなことは考えたこともございません。

 どうやってそれぞれの企業がその地域において、あるいは社会において公的な役割を果たしているかということは常に認識をしながら、私どもは企業の御要望というのを聞いておるところでございまして、お金をもらっているので、そこの利益に奉仕するというようなことを我が党はいたしたことはございません。

阿部(司)委員 因果関係はないとのお答えでありましたが、私は、先ほど岩谷議員も指摘しておりましたが、明らかに多額のお金が業界から自民党に流れている、これは国民から見れば疑わざるを得ない状況であると思います。この認識の下では、真の規制改革はまだまだ進まないと思いますので、こちらの企業・団体献金を始めとする癒着関係というものを抜本から取り除くような政治改革をしっかりと進めていただけるようにお願いを申し上げます。

 次に、フジテレビ問題について、政策議論の観点から質問をさせていただきます。

 パネル三を御覧ください。

 今回のフジテレビ問題について、文春報道に訂正が入るなど、事案の全貌が分からない状況ではありますけれども、このパネルにありますとおり、見過ごされてきた政府の責任として、三つの重要な問題点を挙げさせていただきたいと思います。一つ目は、企業の人権軽視を許容してきたのではないかということ、二つ目は、監督官庁と企業の不透明な人事関係があったのではないかということ、そして三つ目は、競争を阻む時代遅れの周波数割当て制度です。

 まず一点目、人権軽視の問題についてお伺いしたいと思います。

 フジテレビが問題発覚後も当該人物を起用し続けたこと、そしてコンプライアンス室が機能していなかったこと、これは同社の人権意識の決定的な欠如を示していると思います。欧米では、ビジネスと人権の法制化が進んで、企業活動における人権尊重が厳しく求められております。人権を軽視する企業とは取引をしないというのが世界の潮流であります。その延長線上に、フジテレビにスポンサーが戻ってこないという異常事態があるわけであります。

 政府は、人権教育・啓発に関する基本計画ですとか、ビジネスと人権に関する行動計画を策定して、企業の人権尊重の取組を実質化させる環境整備の責務があります。しかし、政府の取組姿勢は明らかに後退していると思います。その象徴が、今そこに座っておられます中谷大臣が務めていらっしゃった国際人権問題担当総理補佐官職の廃止です。

 補佐官職は、企業活動における人権尊重を政府として推進する重要なポジションでありました。その廃止は、人権問題に対する政府の消極的な姿勢を企業に対して示すことになって、結果として、企業の人権意識も低下、形骸化していっているのではなかろうかと指摘をさせていただきたいと思います。今回のフジテレビ問題も、こうした政府の姿勢の後退が企業の人権軽視を許容する環境を生み出してきた結果とも言えます。

 なぜこの重要な時期に補佐官職を廃止したんでしょうか。また、企業の人権意識の低下、形骸化を防ぐためにも、体制強化を含めた更なる取組が必要と考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣からお答え申し上げますが、私どもの内閣として、閣僚全て、人権意識の徹底ということは本当によくよく確認をし、常日頃の職務遂行におきまして、その旨果たすように努力をいたしております。

 また、中谷大臣も人権担当補佐官から防衛大臣ということになっておりますが、自衛隊においても、セクハラ等々、いろいろな問題がございました。その撲滅のために中谷大臣が先頭に立っておるところでございまして、政府を挙げて、人権問題を決して軽視することがない、日本は世界一の人権大国であると言われるように、内閣全体として努力をいたしてまいる所存でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 中谷大臣がせっかく閣内にいらっしゃるわけですから、是非、人権問題の取組強化をしていただきたいと思います。

 次に、同じくフジテレビ問題における二つ目の論点、監督官庁と企業の不透明な人事関係についてお伺いしたいと思います。

 フジテレビには、総務省で総務審議官という要職を務めた方が取締役に就任をされております。この人事について、村上総務大臣は、同社が自らの判断で採用したもの、天下りという事実はないと述べられております。確かに、国家公務員法上の違法性はないのでしょう。しかし、行政の公正性において重要なのは、実際の違法性の有無だけではなくて、国民から見て不正の疑いすらないと判断できる外形的な公正性の確保ではないでしょうか。我が党は、この外形的公正性を重視して、大阪でも行政を担ってまいりました。

 そこで、総理に伺います。

 適法であることは承知をしております。一方で、放送事業者に対する監督官庁である総務省と被監督企業であるフジテレビという関係において、このような人事に外形的公正性も確保されているというお考えなんでしょうか。イエスかノーで、総理、お答えいただけたらと思います。

石破内閣総理大臣 法令にのっとり、放送行政を適切に担っているというふうに認識をしておるところでございます。

 イエスかノーかというふうに答えろという御指摘でございますが、とにもかくにもフジテレビに、フジテレビに限りませんが、そういうような公正性が疑われるというようなことがないように、外形上も、そして内実もきちんと確保をしていかなければ、それはスポンサーの理解も得られなければ、視聴者の理解も得られることではございません。

 外形的もともかくといたしまして、内実としてそういうことが絶対にないように、今後、放送業においては更に徹底をしてまいることと承知をいたしておりますし、私どもとしても、所管官庁として総務省を中心によく徹底をいたしてまいります。

阿部(司)委員 適法性と外形的公正性というのは全く異なる問題であると思います。今、すごく深くうなずいておられますけれども。国民の行政に対する信頼というものを確保するためには、法令違反がないというだけでは不十分であります。誰が見ても不正の疑いがないと判断ができる状況、すなわち、外形的公正性の確保というものが不可欠であります。

 そこで、伺います。

 一般論として、監督官庁の職員の再就職について、法令に違反しないとしても、監督官庁と被監督企業の関係において、外形的公正性を保つための明確なルール化が必要ではないでしょうか。総理、御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 お答えします。

 今の委員の御指摘でありますが、基本的には、様々な問題を踏まえて、議論を重ねて法制化をしているわけであります。そんな中で、再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守状況を監視をするということでありますので、もし外形的な、国民から見て、そういった信頼感を得るための制度が必要だということであれば、またこれを法律として、しっかり議論して法定化する必要があると思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 しっかり検討をしていただいて、監視をしていただいて、必要な場合には法制化もあり得るという御答弁だったと認識を……(平国務大臣「法制化が必要だ、やるなら」と呼ぶ)やるなら必要だということですね。

安住委員長 答弁席から発言しないように。

阿部(司)委員 しっかり、この公正な行政の確保という、より根源的な価値を重視していただけるよう、お願いを申し上げたいと思います。

 そして、この不透明な人事の背景には、より本質的な問題があると考えております。それが先ほど御説明をした三つ目の問題点、競争を阻む時代遅れの周波数割当て制度であります。

 パネル四ですね、御覧いただければと思います。

 こちらのデータを御覧ください。既存の地上波テレビのテレビ局の視聴率は一六・二%も減少する一方で、新興メディアの視聴は一二四・六%も伸びております。今や、テレビ離れ、こちらは決定的で、通信との融合も加速度的に進んでいっております。

 フジテレビの一連の問題を受けまして、総理は、放送事業者の新陳代謝が必要だとはお感じにならなかったでしょうか。現在の制度では五年に一度の再免許審査があると聞いておりますが、実態として、新陳代謝は全く起きておりません。

 放送分野においても、既得権的な周波数割当てから透明性のある周波数オークション制度への移行が必要だと私は思うんですけれども、総理、御見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 今問題となっておりますフジテレビの一連の問題でございますが、総務省からフジテレビに対しまして、一月二十三日、第三者委員会において早期に調査を進め、適切な対応を行うように要請をしておるわけでございます。

 この第三者委員会の調査結果が出る前の現時点で、今、この点について、新陳代謝という言葉をお使いになりましたが、これが必要であるとかないとかいうことを行政として申し上げるべきだとは考えておりません。第三者委員会においていかなる結論が出るかということを見ながら、政府として適切に対応してまいりたいと思っております。

 新陳代謝という言葉を仮に使うとするならば、それは、やはり視聴者そしてまた番組提供者が正しい判断をするということであって、新陳代謝そのものが自己目的なのではございません。しかしながら、そこにおいて、きちんとした対応、判断がスポンサーあるいは視聴者においてなされるということは大事なことだと思っております。

阿部(司)委員 視聴率の急激な低下が示すように、国民のニーズは明確に変化をしております。この放送分野も規制改革が必要な分野だと思います。是非、周波数オークションを前向きに御検討いただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、斎藤アレックス君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 お世話になっています。日本維新の会の斎藤アレックスでございます。滋賀一区から参りました。

 どうか、本日、教育無償化について質問をさせていただきますので、皆様の真摯な答弁を求めたいと思います。

 本日も、自民党、公明党さん、そして日本維新の会の三党による教育無償化などに関する協議を行ってきました。今もまだ続いていると思いますけれども、私も中座をさせていただきまして、こちら、予算委員会に出席をさせていただいています。

 いろいろ真摯に議論をさせていただいていますけれども、タイムリミットは近づいていると思いますので、是非その点を、改めてリーダーシップを総理には発揮していただきたいという趣旨で、何点か本日質問をしていきたいというふうに考えています。

 本日の協議の中でも、これまでの協議の中でも感じていることがありまして、それは、やはり自民党さんと我々日本維新の会の間では、教育に対する投資の在り方、子育てに対する支援の在り方に対して理念的な違いがあるなというふうなことを感じています。もちろん、これは各党それぞれいろいろな方がいらっしゃいますので、傾向としてということなんですけれども。

 やはり、自民党さんのお話を聞いていると、親の責任で子育てをすべきだ、自助をしっかりと活用していくべきだ、そういった考え方が強いかなと思うんですけれども、我々日本維新の会としましては、教育や子育てはしっかりと社会でサポートしていこう、面倒を見ていこうと。

 子育て世代や子供たちが親の所得によって何か不平等を被ったり、あるいは選択肢を狭められる、そういったことにならないように、しっかりと社会としてサポートしていこう、負担をしていこうという、こういった思いで我々日本維新の会は教育無償化などの提案をさせていただいているわけでございます。

 この自民党さんの理念と我々日本維新の会の理念の違いが、所得制限をつけるべきかつけるべきでないかといった議論に結構反映されていると思うんですね。自民党さんのお話をいろいろ聞いていると、やはり所得制限は必要だ、中所得層、高所得層に対して所得制限なしで一律に支援するのは、それはどうなんだというお話もたくさん出てきます。

 どちらが正しいか間違っているかということを申し上げるつもりは全くないんですけれども、考え方が違うということは当然あるんですけれども、現下の少子化の状況であったりとか、現下の子育て世代、現役世代の負担を鑑みて、やはりここは所得制限をなくして、一人目の子供から教育の無償化であったり、子育ての支援というのを抜本的に拡充をしていくことが重要だというふうに考えているんですけれども。

 この所得制限の在り方、一人目から支援するのかしないのか、こういったところの一律の支援の在り方について、まず総理、現時点でどのような思いでこの教育政策、教育無償化などに対する議論を見られているのか、その点をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。

石破内閣総理大臣 今、三党の実務者で真摯な協議が行われている状況でございますので、総理大臣として意見を申し述べることは差し控えたいと思っておりますが。

 私、総理に就任したばかりの頃でしたかしら、親ガチャという言葉が一番嫌いだということを申し上げました。御家庭が所得が十分ではない、それで教育の機会というものをきちんと享受できないということは絶対にあってはならぬことだと思っております。それは、ひいては格差の再生産を招来することでございますので、これは絶対あってはならないということについては、委員と多分認識は一緒なんだろうと思っております。

 十分な所得がある御家庭に対しても制限なしに無償化を行うべきかどうかということについては、何も誰かが得しようと思って話をしているわけでも何でもございませんので、ここにおいてどうやって認識の一致を見るかということで今も議論が進められておることだというふうに承知をいたしております。

 そういうような、十分に所得のある御家庭と残念ながらそうではない御家庭との間で、所得制限なしということで本当にそれが公平なのだろうかということにおいて、真摯な議論の末に国民の皆さん方にとってよい結論が得られるということを期待をいたしておるところでございます。

斎藤(ア)委員 子供たちのために、未来のためにということは、思いは各党一致していることだと思いますし、協議会の場でもそこは確認をさせていただいています。

 理念、考え方の違いがあるかもしれませんけれども、やはり、格差を是正していくだけではなくて、少子化対策としても非常に重要だと思うので、所得制限をつけてしまうと、制度が分かりづらくなって支援の対象になるか分からないということで、子育て、子を産むことにためらう理由をまた残してしまうことになると思いますので、そういったところも踏まえて、所得制限の撤廃というところを是非考えていただきたいと思います。

 何点か協議会の場でも具体的なテーマについて議論させていただいていますので、時間の許す限り総理にもお伺いをしていきたいと思いますが、まず高校の無償化について、我々維新から御提案をさせていただいていることを説明をさせていただきたいと思います。

 まず、就学支援金制度というのが今ありますけれども、そこでは、所得が五百九十万円、目安ですね、家計の、世帯の状況によってこの所得の基準が変わってきます、それも分かりづらいんですけれども。おおよそこれぐらいの所得がある世帯、家計では、私立高校に通っている子供についても三十九・六万円分の支給があるということですね。九百十万円までは、公立授業料相当分の十一万八千円程度については今支給をされるという状況になっていますけれども。

 我々維新が今御提案をさせていただいているのが、まず所得制限は撤廃をしてくださいと。親の所得によって子に対する支援の差別があるのはおかしいという考え方と、子育て支援としても重要なので、まず所得制限は撤廃をしてくださいということを申し上げているのと。

 また、今、私立学校に通っている低所得世帯に対しては三十九・六万円ということですけれども、全国平均の授業料はもう既に三十九・六万円より数万円高くなっていますし、家庭が学校に払うお金というのは授業料だけではないですよね。施設使用料的なものも払って、これはほぼ授業料と変わらないんですけれども、これらを足し合わせると全国平均で六十二、三万円ぐらいになるわけでございますから、この水準まで支給上限を引き上げる。こういったところをセットで、我々は今御提案をさせていただきたいというふうに考えております。

 今協議中のことでございますので、ここの場で何か具体的な言質を取りたいということではないんですけれども、やはり現場の議論をしていても、なかなか、党としての、また内閣としてのリーダーシップがなければ、また財務省としての協力がなければいろいろ物事が進まなくなってしまいますので、是非総理には、この交渉の妥結に向けて、また、何か実を得る、結論を得るためにもリーダーシップを発揮していただきたいというふうに考えているんですけれども、この高校の無償化について、総理、どのようにお考えになっているか、ちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。

石破内閣総理大臣 それは、広くあまねく無償化できればそれにこしたことはないということは私も承知をいたしております。

 それは、所得が高い御家庭も無償化をすべきなのかということは本当に多くの国民の御理解を得られるものだろうか、委員が御指摘のように、それが少子化対策というものにどう結びつくものなのだろうかということについて認識の一致を見たいというふうに思っております。

 それは、所得の高い御家庭に対して云々かんぬんというお話ではなくて、教育というものはすべからく無償化で社会がやるべきものだというのも一つの価値観なんでございましょう。

 そこにおいて、それでは、私学と公立との差は一体何なんだと。お金を払っても私学において教育を受けたいという方々が無償化ということになると、それは、公立に行く人というのはいなくなっちゃうかもしれません。そういう場合にどう考えるんだろうかということもございます。

 多くの論点がございますので、子供たちの教育というものをもっと高くしていかねばならない、今でも九九%でございますが、そこにおいてより質の高い教育がどうできるか、公立と私学との間をどのように考えるべきかという論点について、各党の間で至急に論点を詰めていきたいというふうに思っております。

 政府としても必要な情報の提供というものはいたしてまいりますし、私も自由民主党総裁として果たすべき役割を果たしていきたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、私学も含めて無償にすると公立が淘汰をされてしまうのではないかという御懸念の声がありますけれども、実際に、公立の方が人気が高いところがありますし、それは安いからその公立が人気があるというわけではなくて、いい授業をしているから、いい教育を提供しているから評価が高いということがありますので、私学を無償にすることによってより健全な競争が生まれると我々は考えております。

 また、三五%はもう既に私立高校に通っているわけでございます。そこも含めて考えなければ、私立高校があることを前提として日本の高校教育は、制度は成り立っているわけですから、そこも含めてしっかりと無償化にしていかなければ全ての子供を支援するということにならないと思いますので、是非、私学も含めて、全ての子供がしっかりと対象になるように、そこの部分は最後の決断を求めていきたいというふうに考えております。

 次に、財源についてお伺いをさせていただきたいと思っています。

 この日本は三十年以上にわたってずっと財政赤字が続いて、端的に言えば、将来世代から前借りをして今我々が必要な支出を賄っている状況でございます。これは子供たちからしたら、自分たちからお金が盗まれて、それが今大人たちに使われてしまっているのではないか、そう思われても仕方がないというふうに思うんですね。それがずっと三十年間も続いてきた。

 この期に及んで、これはあなたたちのためのお金なんだからと、あなたたちから貸してください、子供たちから貸して、あなたたちに投資をしますということは、これはある種、私は偽善だと思うし、詐欺的な話だと思うので、しっかりと財源は確保して、財源がある中でこの政策、教育無償化の実現をしていきたいというふうに考えておりますので。

 この高校教育についても、協議の中でも何点か、財源については御提案をさせていただいています。

 まず一点目、外為特会の剰余金について活用するということを改めて申し上げていきたいというふうに思っています。

 毎年毎年、外為特会の剰余金というのは、令和二年度からの今数字を出していますけれども、二・六兆円、一・四兆円、三・二兆円。令和六年度予算であれば三・二兆円。この令和七年度予算案でも三・二兆円の剰余金が出るというふうに見込まれて予算が立てられているわけですけれども、そのうち、一般会計に繰り入れて歳出に回している部分というのは例年七割程度になっているわけです。残りの三割については、もう一度外為特会に、まあ外為特会に置いておいて、言ったら積立金を増やすということに使われています。

 外為特会の額を確保する重要性は私も十分に理解をしていますし、これをいきなり全部取り崩せという話では全くなくて、高校の無償化をするための財源、今、我々の提案では六千億円程度かかるような試算をさせていただいていますけれども、この外為特会に残している、今年度予算であれば一・四兆円、今審議をしている来年度予算であれば一・四兆円という同じ額がありますけれども、その一部を更に一般会計に繰り入れて、教育のための、子供たちのための、未来のための投資へと回していこうということを是非考えていただきたいんですけれども、まずその点、財務大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 外為特会に一定の積立金を残しておく必要があるという、そこは同じベースに立っているんだろう。じゃ、どのくらい残すのかということだというふうに思います。

 実際、外為特会の場合、資産は外貨でありますけれども、負債、これは実は債務を負って積立金を、要するに外為証券を発行して、そして、介入しその結果としてドル建ての資産を持っているというのが今の格好でありますから、どうしても、その金利、要するに、我々調達している金利の問題、それから為替自体がどうかかるかによってドル建ての資産が変わっていくという、その為替と金利のリスクがあるということであります。

 そこをどの程度見込んでいくのかということで、外為特会の健全な運営に必要な金額を外為特会に留保する旨が特会法でも規定され、私どもとしては、一般会計繰入れルールという形でこれは公表しております。

 そして、今委員御指摘のように、為替、金利の変動に備えて毎年の剰余金の三割以上を留保するということを基本とし、外為特会の財務状況や一般会計の財政状況を勘案して一般会計への繰入額を決定するという考えで、令和七年度予算においてもそうした考え方にのっとって、剰余金の七割に当たる三・二兆円の一般会計繰入れをしているところであります。

 一般会計繰入れの更なる増額という御示唆がありますけれども、今申し上げた特会の趣旨、あるいは積み立てている趣旨、そうしたことを考えると、一時的に何かというのはないことはないと思いますけれども、恒常的にということについては慎重に考えるべきだというふうに思います。

斎藤(ア)委員 恒常的に、まあこれは打ち出の小づちではありませんので、恒常的にやるというのはもちろん難しいと思いますけれども、例えば、令和五年度の外為特会の留保額が、ここはゼロ兆円になっていますけれども、これは防衛財源確保法で防衛財源に使ったからゼロ兆円になっているわけでございますし、一時的に、緊急避難的に使われることはこれ以外にも過去にもあったわけでございますから、子育ての、教育の、本当に今危機的な少子化であったり、日本の国際競争力の低下、これにしっかりと対応するための財源として必要なのであれば、ここも活用していくべきだと思いますので、是非再検討をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、様々な基金を政府はこれまで数年間積み立ててこられました。

 そもそも基金を使って財源を措置していくというところには大変疑義が我々としてもあるわけでございますけれども、その中でも、特に、その積み上げた基金が全く投資に回されていない、その基金を運営する人件費だけが支出されてしまっていたり、あるいは、これまで、これから何年度かかけて使っていくお金があるけれども、その部分の、先の部分については一旦戻してしまっても構わない、運営に問題がないような基金もあるというふうに理解をさせていただいています。いろいろお話を聞いております。

 こういったものについては、そもそも基金の在り方を再検討していただく、検証していただくことも重要なことでございますけれども、今必要な財源として、使われていないお金がただだぶついているだけなら、それを国庫に返納してもらって、教育に、子育てに回していくということも私は有効だと思うんですけれども、その点については、財務大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、基金からの国庫返納ということでありますけれども、令和五年十二月に決定されたいわゆる基金ルールの趣旨も踏まえ、基金ごとに事業の中身、執行状況を精査し、基金を所管する大臣、行革大臣とも連携をしながら、必要な場合には国庫返納を求めた対応を行ってきたところでございますし、令和六年度、これは予定額でありますけれども、約一兆一千五百六十五億円の国庫返納も予定をしているところでございます。

 ただ、こうした努力は引き続き続けていかなければならないと思いますが、他方、基金からの国庫返納というのは一時的に生じるということで、今おっしゃるように、教育の無償化ということになれば恒常的に経費が必要になってまいりますから、その恒常的な経費を一時金でやり続けるということ、そのことが必ずしも適切ではないのではないか、やはり恒常的な経費は恒常的な財源で対応していくということが必要ではないかというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 恒常的な財源をしっかりと確保していくという前提に立った上で、来年度の予算の組替え、修正に当たっては、外為特会の剰余金の活用であったり、基金の国庫返納、ほかにも予備費の部分とかありますけれども、そういったところをしっかりと幅広に財務省さんに、財務大臣に考えていただければ、高校の無償化、我々来年度からと申し上げていますけれども、その部分の財源は十分に確保できると考えておりますので、是非、財務省さん、財務大臣にも一層の御努力をお願いをさせていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 この協議会の場では、高校無償化だけではなくて、〇―二歳の保育料の無償化、給食費の無償化、また、将来的な大学改革を前提とした上での高等教育の無償化なども、自民党さん、公明党さんに我々日本維新の会から御提案をさせていただいているところでございます。

 まず、〇―二歳の保育の無償化、まさに今協議会の場で議論してきたところでございますけれども、改めて、今の日本の少子化に対する危機感を是非政府にも持っていただきたいと思います。

 日本は公的な教育への投資が少ないということは、繰り返し繰り返し日本維新の会から申し上げていますけれども、特に、就学前教育段階での公的な投資というのがOECDの中で最下位でございます。三十三か国中三十三位ということで、就学前教育に特に日本は公的な投資を行っていない国になってしまっています。

 若い方々にとったら、子育ての負担、教育の負担がかかるから子育てを諦めよう、子供を持つことを諦めようという人がどんどん増えてきてしまっているのは、これは紛れもない事実でございます。

 自民党さんからしたら、〇―二歳の子育てというのは母親がすべきだと、そうおっしゃるのかもしれませんけれども、キャリアを断絶させない、そのためにはしっかりと社会で支えていく、保育も安心して預けられるようにする、そういったことが私は必要不可欠だと思いますので、これは教育というよりかは社会保障政策、子育て支援施策、少子化対策として特に重要だと思いますので、この〇―二歳の保育料の無償化も是非やっていただきたいと思います。

 あわせて、総理にお尋ねをさせていただきたいのが、給食費の無償化でございます。

 小中学校で子供たちが食べる給食、これはやはり義務教育段階で必要なお金でございますので、しっかりと社会で、公で支えていくということにそぐう、そういった無償化のメニューだと思いますので、給食費の無償化についても早急に実現をしていただきたいと思います。

 この〇―二歳の保育料と、そして給食費の無償化、これはいかがお考えか、総理大臣にお話をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 総理で構わないです。

三原国務大臣 幼児教育、保育の利用料につきましては、消費税の引上げという安定財源を得た際に、三歳から五歳児は広く幼稚園や保育所等を利用していることから全員を無償化としつつ、ゼロ歳から二歳児では保育所等を利用している子供が約四割にとどまっていることから、低所得世帯について無償化しているものであります。この対象の拡大につきましては、通園されていない方との公平性、更なる必要な財源をどこに求めるかといった点について検討が必要であるというふうに考えております。

 〇―二歳児も含めた子育て世帯への支援策といたしましては、こども未来戦略の加速化プランに基づきまして、児童手当の抜本的拡充やこども誰でも通園制度の創設など、こうした大規模な改革を進めておりますので、今後の対応をしっかりと検討してまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 今の現状の取組をおっしゃっていただきました。それはもちろん重要なことですけれども。

 昨年生まれた子供の数は七十万人を割り込むということでございます。二〇一六年度に百万人を割り込んでからまだ十年たっていないわけでございます。この十年たたないうちに三割も生まれる子供が少なくなってしまった。今の支援では足りないんだ、今の考え方では駄目なんだ、そう思っていただかなければ国が滅びますので、今の現状の取組を自信満々におっしゃっていただくだけでは私は全然駄目だというふうに考えています。

 若い女性が、保育料、これは普通に働いていて、共働きで保育園に預けると、〇―二歳、八万円とか十万円とかかかってしまうわけでございます。それだったら一旦仕事を離れて子育てに専念しようかということで、通園させたいけれども諦めている親御さんもたくさんいらっしゃると思います。四割しかいないから、この支援を対象に無償にするのかどうなのかという議論ではなくて、四割しか今使ってもらえていない、本当はキャリアを継続するためにもっと預けたい人がいるのではないか、そういった観点に立って無償化であったり人材確保をしていただきたいと思いますので、その点を強く求めていきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 総理でも構わないということでございますので、お答えをさせていただきたいと思います。

 おっしゃることはよく理解できます。そうなんだろうなと思っています。この少子化のスピード、恐ろしく速いんですよね。これをどう考えるか。

 つまり、少子化は少母化なので、婚姻数が減っているということが一番の原因だと思いますが、婚姻をされた場合に、では、お子さんを一人だけにとどめようかなというときに、この保育の問題がどれだけ利いているかということは、私も強い問題意識を持っておるところでございます。

 と同時に、保育士の方々のきちんとした配置というもの。潜在保育士という方々は大勢いらっしゃいます、八十万人とか九十万人とかおられるわけで、潜在保育士の方々がきちんと現場に出ていただける環境。

 つまり、若いお母さん方が子供を保育所に預けて、本当にどれだけきちんとした保育をしていただけるか、使命感と能力を持った保育士の方々が今潜在保育士のままでいるのはなぜなのかという問題も含めまして、保育士の方々の適切な現場への復帰というもの、就職というものを含めて、この問題は、少子化の問題と併せて、解決が喫緊の課題だということはよく承知をしております。

 三党間の話合いがより充実したものとなり、よい結論が出ることを期待をいたしておるところでございます。

斎藤(ア)委員 総理に答弁いただいて、大変うれしく思います。ありがとうございます。

 ちょっと時間が限られるので、教育についてはもう質問を今ので最後にしたいと思います。

 本当に、少子化もそうですし、日本の国際競争力の低下もそうでございます。今できることはしっかりと今やる、来年度からできることは来年度から始めるということが非常に重要だと思っております。今、三党協議を継続をさせていただいていますけれども、是非とも実りのある、子供たちの未来のための投資が実現できるよう、一層の努力をお願いしたいと思います。

 一つだけ、外交、安全保障政策について総理にお伺いをしたいと思います。

 関税戦争が西側諸国の間でももう始まってしまった様相でございます。トランプ大統領とトルドー・カナダ首相が、ツイッター上で応酬をするような状況になっていて、非常に、日本の総理大臣としても、これからどう取り組まれていこうか、いろいろ御検討いただいているところだと思います。

 本当に大切な仕事でございますので、トランプ大統領との会談であったり、様々なお話合いを期待したいところでございますけれども、それについてどういった形で向き合っていくのか。

 トランプ大統領はやはりビジネスマンでもございます。全体でこれは利益のあるディールなんだと言っても、なかなか理解されないと思います。このディール、この取引はアメリカにも利益があるんだと、そういった、これまでの政治家とは、大統領とは違う形で説得をしたりプレゼンをしていくことが大変重要だと思いますけれども。

 トランプ大統領が就任をされました。これから四年間はトランプ大統領が大統領としてアメリカの政治をつかさどるわけでございます。このトランプ大統領とどのように交渉を行って、そして、日本としてもアメリカとしても利益のあるディールというか関係を継続をしていくのか、是非その点、お伺いをしたいと思います。

石破内閣総理大臣 くだくだ議論しても仕方がないので、論より証拠で、例えて言えば、この五年間で日本のアメリカにおける投資額というのは世界一なのだ、この表を見てくださいということだと思いますね。

 あるいは、兵器を購入するに当たっても、防衛費も大事ですが、どれだけ合衆国製の兵器を買ったかということなのですけれども、それがどれだけ日本の防衛に寄与するものかということでなければ、国民に対する説明責任は私たちは果たせないわけでございます。

 ですから、合衆国の利益でもあるが、日本の利益であるということもきちんと認識しながら話をするのが、日本国の行政の責任者の立場でございますので、単に、怒らないでくださいね、こんなこともしています、勘弁してくださいねということで、日本の納税者に対する責任が果たせるとは私は思っておりません。それがいかにして日本の利益になるものであるかということも、きちんと併せて提示をしてまいりたいと思っております。

安住委員長 斎藤君、時間が来ました。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 日米関係、非常に重要でございますので、御期待をしております。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 企業・団体献金について質問させていただきます。

 日本維新の会は、今回、企業・団体献金の完全の禁止というものを求めておりまして、法案の提出も予定しております。

 その中で考えているのは、企業・団体献金、お金を渡す見返りをやはり出し手は求めている、そして、出された側はその見返りを与えている、こういうことがあると、やはりお金のある人の言うことだけを聞く政治になってしまう。お金のない一般の人たちは、物価高に苦しみ、国民負担率が上がり、手取りも増えない、こういうことで、こういう政治が続いてしまうんじゃないか。こういう中で、企業・団体献金、この機に禁止すべきだと考えております。

 まず、総理に伺いたいのは、我々は、今申し上げたとおり、企業・団体献金の出し手である企業、団体は、見返りを求めて企業・団体献金を出していると考えております。

 これについては、昨年十二月五日の総理自身の答弁で、企業が、営利企業であります以上、利益を見返りと全くせず献金をするということは、それ自体おかしなことでございますと総理御本人がおっしゃいました。全く同じ認識でおります。

 それでは、お伺いしたいんですが、じゃ、この企業・団体献金の出し手側となっている企業、団体が考えている見返りというのは一体何だとお考えですか。これまでどんな見返りを求められましたか。

石破内閣総理大臣 見返りを明示をされたということはございません。そのようなことで私どもは政策を決めてはおりません。

 ただ、それぞれが政策要望はいたします。私ども自由民主党として、いろいろな団体の御要望を聞くということは政党の当然の活動として行っております。

 それを聞くときに、それが公益に資するものであるかどうかということにつきましては党内でかんかんがくがくの議論をいたしますが、それが一つの企業あるいは一つの団体、それの利益に沿うような、専らそういうものであるとすれば、私も自由民主党の中で長く議論をしてまいりましたが、そういう議論は必ず党内で淘汰されるということでございます。

青柳(仁)委員 私が聞いたのは、それに対してどうかではなくて。

 総理、もう一回言いますが、十二月五日の答弁で、企業が、営利企業であります以上、利益を見返りと全くせず献金をするということは、それ自体おかしなことでございますとおっしゃったんです。

 だから、営利企業が、その営利企業であるものに対する利益を見返りとしているとすれば、その見返りというのは何ですかと聞いたわけなんですけれども、それをちょっともう一回お願いできますか。

石破内閣総理大臣 それは、いろいろな規制とか、あるいはいろいろな業界に対します支援とか、そういうものはございます。それが、我が党として、本当に公益に資するものであるかどうかというお話は常にいたします。

 それがその業界にプラスになるとか、ましてや企業にプラスになるとか、そんな議論が自民党で行われたことは一度もございません。

青柳(仁)委員 自民党でそういう議論が行われたかどうかは聞いていないんです。

 営利企業としての見返りは何だと思うかということをお伺いしたんですが、今まさにおっしゃいました、規制であるとかいろいろな、ほかにも恐らく許認可であるとか補助金であるとか、いろいろ考えられるわけですけれども、そういった見返りを求めて企業、団体が献金をしているという、ここは恐らく同じだと思うんです。

 このパネルを見ていただくと、これは企業、団体というより医師会なんですけれども、何度かお見せしているんですけれども、例えば医師会の場合は、まあ医師会ばかり例に取って申し訳ないんですが、こういうふうに書いてあって、会員さん向けにこういうものを配っているわけですよ、全国の医師連盟の結束で診療報酬のプラス改定をかち取りましたよと。この記事をよく見ていただくと分かるんですけれども、いろいろな要望をしていますよと。そして、医師会から七億円ぐらいの献金をもらっていますよね、自民党さん。だから、こういうことがほかの団体でも起きているというのが実態だと思うんです。

 今度は、その求めているものに対して与えているかどうか、これが大事だと思うんですけれども、自民党は、石破総理、自民党に長くいらっしゃいますけれども、御記憶にある限り、これまで企業、団体に企業・団体献金に対する見返りを与えたことは本当に一度もないとお考えですか。

石破内閣総理大臣 それは何をもってして見返りというかなのですけれども、委員御指摘のように、いろいろな規制の改革、緩和と言ってもいいでしょう、あるいは補助金等を中心とする支援、それが本当に公益にかなうものであるならば、それは結果的にその企業、団体が裨益するものであったとしても、行われることはございましょう。

 ですけれども、我が党の議論で、本当にそれが全体の公益に資するものなのかどうかという点、そこを中心に私は今まで議論をしてきたと承知をいたしております。私がいろいろな政調の責任者を務めておりましたとき、政調会長でおりましたときも、本当に公益に資するものかどうかということを中心に議論をするというのは、我が党の伝統でございます。

青柳(仁)委員 時間の関係で余り深く突っ込みませんが、今の御答弁だと、営利企業であるから企業は見返りを求めて献金をするんですが、その見返りというのは、何か公益のようなものみたいなイメージなんですが、そんなわけないと思うんですよね。だって、個々の企業が、自分の身、自分に対する見返りを求めて献金するわけですよね。世の中のためにというだけで献金する企業がそんなにたくさんあるとは、とても、まず思えません。

 その証拠に、そういった企業が起こしてきたいろいろな事件が実際あるわけです。例えば、一九五四年、造船疑獄事件。政府の計画造船における適格船主の選定等をめぐって、海運業界、二億七千万円を超える資金が政界に流れて、逮捕者七十一人を出していますよね。それから、黒い霧事件。一九六六年、共和製糖の不正融資ですね。これは、一部、企業・団体献金として自民党に入っています。それから、ロッキード事件。これも自民党ですね。当時の田中角栄総理が、ロッキードに航空機の購入を約束して、対価として五億円のお金を、企業・団体献金ですね、受け取っていますよね。リクルート事件も同じです。未公開株。共和汚職事件。北海道のリゾート開発という見返りに対して、大手鉄骨加工メーカー、これが九千万円の賄賂、企業・団体献金ですね、贈っているわけですよ。

 こういうことがあって、三十年前に細川政権でこういった企業・団体献金についての見直しが行われたんですが、その後も、一九九三年、ゼネコン談合汚職事件。これはゼネコン各社の談合に対する見返り、この見返りに対してお金が払われている。KSD事件。御記憶されている方はたくさんいらっしゃると思いますが、これは大学設置に対する、こういう見返りに対するお金ですよね。IR事業。これは二〇一九年、これも七百五十万円の賄賂を受け取っていますね。それから、鶏卵汚職事件。二〇二〇年、元農水大臣が、国際機関への飼育基準案への反対を求めて鶏卵大手企業から贈られた計五百万円の賄賂を受け取っている。それから、一番記憶に新しいのは、二〇二二年、洋上風力発電の汚職事件。これも自民党の衆議院議員ですよね。国会質問の依頼の見返りに、計七千二百万円相当の賄賂、これを企業・団体献金として受け取っているということですよね。

 だから、こういう企業・団体献金を受け取る見返りにいろいろなものを与えてしまった、その与えたものが脱法行為になってしまった例というのはたくさんあるわけですよね。今までたくさん与えているじゃないですか。

 これは収賄事件だとか、これは脱法行為だから違うんだというふうにおっしゃりたいかもしれないですけれども。ハインリッヒの法則というのを御存じか分かりませんが、これは労働災害の分野でよく知られている、事故の発生についての経験則なんです。一件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった二十九件の軽微な事故が隠れていまして、さらに、その背後には事故寸前だった三百件のヒヤリ・ハットがある、こういうことがあるんですけれども。こういう、実際に見返りを与えてきて大事件になっているものもある、しかし、大事件にならない、合法的な範囲のものでやられているものもある、これが企業・団体献金だと、少なくとも我々は考えるわけです。その実態があるというふうに考えております。

 だからこそ、こういうことをやっているから、本来、改革を行わなきゃいけないときでも、企業・団体献金の出し手となっている既得権への配慮で、自民党はしっかりした改革ができない。ひどいときには、こういう形で事件になってしまう。この金権政治のしわ寄せを受けているのが、経済成長も起きないし、賃金も増えないし、社会保障と税ばかりが増えて豊かにならない、一般の、お金のない、献金できない皆さんだ。これが維新の会としての基本認識ですが、ただ、強調したいのは、これが国会の共通認識でもあったということなんです。

 企業・団体献金は、三十年前に廃止が決まっていましたよね。

 これは申し上げたいんですが、十二月五日の予算委員会で、総理が、公的助成が入ったので企業・団体献金はなくなるという意識を持った者は、少なくとも自由民主党には当時いなかったと思っています、こういうふうにおっしゃっています。この当時というのはいつかというと、細川元総理と河野総裁がトップ会談をした一九九四年の一月のことだと思うんですけれども、ところが、石破総理は一九九三年十二月から一九九七年四月まで自民党を離党しておりました。

 これは河野洋平さんがまさに十二月下旬の講演でおっしゃっていたんですが、石破総理はそのとき自民党にいなかったはずだ、いなかったから分からないだろう、こうおっしゃっています。当時、自民党の中にいなかったのに、なぜ自民党にいる皆さんがそう全員が考えていた、そもそも、そういう認識を持った者がいなかったと証明するのはすごく難しいと思うんですけれども、なぜそれをこの場で言い切れるのか、教えていただけますか。

石破内閣総理大臣 平成六年一月に細川総理と当時の河野総裁との間で結ばれた合意書、そこには何が書いてあったかというと、企業等の団体の寄附は、政治家の資金管理団体に対して、五年に限り、年間五十万円を限度に認めるというふうに書いてあるわけであって、政党及び政治資金団体に対する企業・団体献金につきまして何ら言及があったものではございません。

 私は、そのときのこと、その晩のことをよく覚えています。物すごい雪の降る日でございました。そのときに、自由民主党の中で、離党した者、新生党、あるいはさきがけ、私どものような無所属、あるいは自民党に残った者、そのときのお互いの意思疎通というのは常になされておりました。自由民主党……(発言する者あり)それはそういうものです。当時いなかった人は分からないんでしょうけれども、それはそのときに、常に、これで本当に政治改革ができるのかということ、そういう議論は積み重ねておりました。

 ですから、そのときにそういう合意がなされた、細川さんと河野さんとの間で企業・団体献金は廃止ということで決まりましたという認識、そういうものを持っておった者は与野党共にいなかったというふうに承知をいたしております。

青柳(仁)委員 今、石破総理のおっしゃっていることというのは、石破総理の主観なんですよ。客観的な事実じゃないし、それから自民党にとって都合のいいように歴史的な事実をねじ曲げているだけだと思います。

 まず、これについてお二人の方はおっしゃっています。皆さんの先輩ですから、ちゃんと聞かれた方がいいと思いますよ。

 まず、細川護熙元総理、十二月二十日の毎日新聞のインタビューで、政党助成制度と企業・団体献金の禁止は直接関係ないと石破さんは言っておられましたけれども、誰が考えても二重取りなんですね。献金が正当化されるような総理の発言は、私は全く納得がいかないです、細川内閣の出発点になった九三年の非自民八党派の連立政権樹立に関する合意事項は、企業・団体献金の廃止を明確にうたっています、私も国会の所信表明演説で、企業・団体献金について廃止の方向に踏み切ると明確に言っていますし、廃止が細川内閣の基本方針だったわけですとおっしゃっています。

 もう一つ、河野洋平元自民党総裁、これは衆議院事務局のオーラルヒストリーの中でおっしゃっていますけれども、何度か紹介されていますが、政党助成金の制度は、企業献金を廃止するから、一方で公費助成をするというトレードオフの関係なのに、終わってみたら、こっちは取ってあっちはそのままになってしまった、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしい、しかも、激変緩和のため五年後に見直すと法律の附則に書いたのにスルーしていると言っていました。それからまた、二〇二四年の十二月下旬の講演では、企業・団体献金をやらないために政党助成金を導入したと改めて明言されております。

 ちなみに、自民党と今連立を組んでいる公明党について申し上げると、公明党も、平成五年の第百二十六回国会に社会党と一緒に衆法第一二号、政治資金規正法の一部を改正する法律案というのを提出しておりまして、この中で、第六条として、法人その他の団体、政治団体を除く、は、政治活動に関する寄附をしてはならないということを法案提出されています。今立憲民主党さんが出されている法案とほぼ同じ内容ですね。

 ですので、今申し上げたとおり、総理のおっしゃっていることというのは主観なんです。客観的事実とも違うし、当時の合意をしたお二人の認識とも全く違うんです。これは事実として申し上げておきたいと思います。

 それから、企業・団体献金をやめる代わりに政党助成金が導入されたと認識、それから企業・団体献金は全面的に禁止する、こういう意図は、少なくともトップ会談をされた、それを遠くで見ていた石破総理ではなく、張本人のお二人はそう考えているというのは、インタビューで何度もおっしゃっておりますので、この事実は指摘しておきたいと思います。

 その上で、申し上げたい。

 自民党は今、企業・団体献金は禁止ではなく公開だ、こうおっしゃっています。その公開ということで、先日案をまとめられたというふうに伺っております。中身も見させていただきました。これについてお伺いしたいんですが、自民党は、なぜ企業・団体献金を透明化する必要があると考えているんですか。

石破内閣総理大臣 当時のことを知っている人はもうほとんどいなくなりましたが、私は、明確に企業・団体献金をこれで禁止するという合意がそのときになされたとは思っておりません。そうであるとするならば、当時の自民党というのは、もっと大議論があったはずでございます。

 当時、連立与党というのがございました。御存じかもしれません。連立与党の中に日本社会党というのがありまして、日本社会党が連立与党の中で企業・団体献金禁止というのを非常に強く主張された。どことは申しませんが、そのときに連立与党の中でそれは駄目だということをおっしゃった党がありまして、それでそういう形で連立与党もまとまらなかったというのは、当時の報道にもあるとおりでございます。与党の、そういう八党でしたっけ、その中でそういうこともあったということも是非御承知おきいただきたいと思う。

 それで、じゃ、何で公開をするのかということでございますが、本当に政党が企業、団体の言うことを聞いているのか、聞いていないのか、大企業に奉仕をする自民党とかいろいろな言葉がございますが、それが本当にそうなのかどうなのかということを、有権者の方々が簡易にそういうことが分かる、どの党がどの企業から、どの団体から幾らもらっているのかということが分からなければ、議論はちっとも前に進まないということでございます。

 あわせまして、じゃ、個人ならよくて企業、団体なら駄目というのは、一体これはどういうことなんだろうかということでございます。個人でも大金持ちの方はいらっしゃるわけで、企業、団体は駄目で個人はよいという話に私は直接ならないものだと承知をいたしております。

青柳(仁)委員 今日は余り時間がないので、端的にお答えいただけるとありがたいんですが。個人の話とかは今していませんので、ちょっとそこはお願いしたいんですけれども。

 まず、ちょっと申し上げたかったのは、もし透明化をする、今おっしゃっていたように、そういう見返りがないかどうかということを透明化した方がいいみたいなことをおっしゃっていましたけれども、さっきの議論で、税制とか許認可とか補助金とかで見返りを与えている可能性があるんですよ。ですから、本当にそこの、見返りを求めているかどうかということ。

 それから、見返りを与えているかどうか、これを透明化するんだったら、入るところだけを透明化するんじゃなくて、それに対して、じゃ、例えば租税特別措置でどういうところにやっているか。今、コードでしか見られないですから、全然、どこにどういう措置がされているのか分からないんですよ、私も調べてみたんですけれども。とか、補助金がどこに行っているのか、そこの相関関係も併せて透明化しないと、今の自民党さんが出されている、何か、入ってくるところだけ透明化すればいいというのでは、全く実態が分からないというふうに私はまずは思います。

 それから、もう一つ申し上げたいのは、じゃ、透明化というんですが、結局、今まで、要は、平成の政治改革でどこが不透明で残ったのかというと、この赤い枠のところなんですね。要は、企業、団体からの、公職の候補者であるとか、政治団体、後援会とかですよね、そういうところに対する寄附というのは禁止されたんですけれども、政党、政治団体に対する寄附が禁止されなかったんですよ、赤枠のところ。だから、ここを通じて企業・団体献金が、抜け穴になっちゃっているわけですね。ですので、ここは最低でも止めなきゃいけない。その上で、この黄色の部分も抜け穴になり得るから止めるべきじゃないかという議論を今しているわけですが、そもそも、この赤いところは前提としてやはりやめさせなきゃいけない。

 まさか、ここは政党に対しての献金だから大丈夫だろうと当時は言っていましたけれども、しかし、実際、ここに支部を無数につくり上げるという新たなスキームを自民党が考えたものですから、それによって完全な抜け穴になってしまっている、こういう状況があります。

 令和六年一月一日時点で、自民党の支部というのは全体では七千八百四十五団体あります。何でこんなにいっぱい、一万に近い数までつくり出したのはなぜか。この中で職域支部は千八百個あるわけです。この中には、以前の質疑で指摘もありましたが、株式会社がそのまま支部になっているようなところもあるんですよ。めちゃくちゃなんですよ。この赤い枠の中を最大限有効利用するためのスキームというのをこれまで歴史的につくり上げてきたのが自民党なわけです。

 そして、今回、前回の国会で成立した政治資金規正法の一部を改正する法律案では、収支報告書に関するデータベースによる情報提供をやると書いてあるんですけれども、対象が政党本部、政治資金団体又は国会議員関係団体となっております。これはよく読まないと抜かれちゃうんですけれども、要するに、この千八百個の職域支部というのは含まれないんですよ。

 一番不透明な職域支部が、この赤枠の中で、これからも企業・団体献金の抜け穴になり得る上に、この間自民党が出して成立した透明化の法案の中でも対象になっていないんですよ。なぜ、国会議員関係団体でない政党支部、すなわちこの職域支部です、これは情報公開の対象にならないんですか。今回もしないんですか。

石破内閣総理大臣 それは今党内で議論をしておるところでございますので、より透明性を高めるための議論というものは、当然、我が党としては真摯に検討してまいりたいと思っております。

 おっしゃいますように、入る方だけ分かってもしようがないだろうと。では、租税特別措置法で何をやったの、補助金で何をやったのということは、それは今きちんと公開の対象になっております。我が党がどの企業に、団体に対して何をしたかということは誰でも分かるような仕組みになっておるわけでございまして、この部分が分からないということをもし委員が御承知でしたら、どうぞ御指摘を賜りたいと存じます。

青柳(仁)委員 租税特別措置はコードしか見られません。どこの団体に対して何を行っているかは分かりません。今、事実としてできませんので、そこははっきり申し上げたいと思います。

 それから、今、検討中とおっしゃっていたんですけれども、法案提出されましたよね。職域支部、入っていないですよ。職域支部、これからも守り続けるわけですね、この抜け穴を。こういう姿勢で政治改革に臨んで、裏金の、失ってしまった国民の信頼を取り戻そうというのが、そもそも私は自民党の姿勢としてあり得ないと思います。

 ちょっと最後に、時間がなくなってしまったんですけれども、さっき個人献金の話がありましたので。

 これは法務省に伺いたいんですけれども、国会議員が収賄罪あるいはあっせん利得処罰法違反等の罪で起訴された事件で、やり取りされた金銭が個人献金だったという事例はあるんでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、法務省において、お尋ねのような観点から事案を網羅的には把握しておりませんので、お答えすることは困難であることは御理解いただきたいと思います。

 その上で、公の情報において判決の内容等が確認できる範囲内で、過去二十年以内に起訴された国会議員に係る収賄又はあっせん利得処罰法違反で検索しましたところ、先ほど御指摘のあった鶏卵汚職、令和三年の事件におきまして、被告人であった元農水大臣が政治献金として受け取っており、賄賂とは考えていなかった旨を主張したものの、有罪判決が言い渡された事案があることが確認できました。

 なお、判決文上確認できるところによれば、被告人は、株式会社の代表取締役等を務める者からポケットマネーから出している金銭と言われていた旨供述していたとのことでございますが、当該政治献金が個人献金であるか否かについては……

安住委員長 時間が来ています。簡潔に。

森本政府参考人 済みません。

 判決文上は触れられておりません。申し訳ございません。

安住委員長 最後ですよ。

青柳(仁)委員 個人献金と企業・団体献金は全くこれまで事実関係が異なりますので、ちょっと、今の答弁も含めて、今後また改めて精査させていただきたいと思います。

 以上で終了します。

安住委員長 これにて岩谷君、阿部君、斎藤君、青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、来年度予算案を見ますと、来年度税収は八・八兆円のプラスというような見通しが立っております。主な要因は、物価高に連動した消費税収の増加と企業努力による法人税の増加などが考えられます。

 一方で、私、先日、一日に地元で国政報告会を開かせていただいて、地元の方々ともいろいろな意見交換をした中に、参加者の方の中には、この間スーパーにお米を買いに行ったんだ、ただ、値段が高過ぎて買うのをやめたというような声もいただきました。確かに、今お米は五キロで大体四千五百円から四千七、八百円ぐらいしているというふうに思っております。昨年の今頃は二千五百円から二千八百円程度でしたので、この一年間で約一・八倍ぐらい上がっているということになりますね。本当に現場では厳しい声がたくさん聞こえております。

 また、一月には、私、北海道に行った際に、やはり暖房代、燃料代が物すごくかかると。今、電気代も高くなっている、そして灯油も高くなっているということで、一月当たりの光熱費が十万円を超えてしまうような御家庭もあるというふうに伺いました。本当に地方の暮らしは大変厳しいと思っております。

 ですから、我々国民民主党の今回の予算案に対する基本姿勢は、懐を暖めるなら、国よりも、政府よりも、国民の皆様を先に暖めるべきだ、この基本姿勢でこの後の質疑に臨んでいきたいと思っています。

 それでは、パネルの一を提示をさせていただきます。資料の方も一番を御覧ください。

 今回、我々は百三万円の壁を百七十八万円に増やすという提案をさせていただいておりますが、与党から出てきたのは百二十三万円という数字でした。この内訳としては、基礎控除プラス十万円、給与所得控除プラス十万円という内訳だそうですけれども、まず、この根拠について総理に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 それぞれ十万円ずつ引き上げた根拠でありますけれども、消費者物価指数が、最後に基礎控除を引き上げた、これは平成七年でございますが、以降一〇%程度上昇し、今後一定の上昇が見込まれること、また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価が二〇%程度上昇していること、これらを踏まえて、それぞれ十万円ずつ控除額を引き上げるということでございます。

浅野委員 基礎的物価が二〇%上がっているということで、そういったことも加味したということなんですが、ちょっと更問いになって恐縮なんですが、そもそも今の考え方、物価が二〇%上がっているから控除額を二〇%上げるという考え方のようにも聞こえます。ただ、果たしてそれがよいのかどうか。

 例えば、二割増やすのであれば、国民の皆様が食品を買うためにかけられるお金を二割増やすべきだと思うんですね。控除額を二割増やしても、国民の方々の税負担は、実際、食品を買うときに上がっている二割に満たないんです。

 具体的には、連合の調査によりますと、両親と子供二人の四人家族の内食費、いわゆる外食を含めない、家庭の中で消費するお金、食費、これが平均すると月五万四千五百二十円だそうです。この二割に相当する金額は、大体一万円から一万一千円程度になります。五万四千円の二割ですから、一万円から一万五百円程度でしょうか。

 この政府の案で試算をしますと、年収三百万円の世帯や年収五百万円の世帯で年間の減税効果というのは五千円から一万円。これを月当たりに換算すると、月当たり四百円から八百円程度。でも、現実には、これは二割増えていることを考えれば、一万円程度の余力が必要になるわけですね。

 我々国民民主党の提案だと、三百万円の年収の世帯でも年間十一万三千円、五百万円の世帯年収であれば十三万二千円。これを十二で割れば、大体、月当たりの内食費の増加分と整合します。

 物価が二割アップしたから控除額を二割上げればいいという考え方はやはりおかしいと思うんですけれども、ここについてはどう考えますか。

加藤国務大臣 一つは、給与所得控除については、課税最低限と併せて控除率というのが決まっているわけでありますから、当然それは、賃金が上がれば、率ですから、当然控除額は増える、そういう関係になっているのは委員御承知のとおりでございますので。そういったことが一つ。

 それからもう一つは、今の点については、特に、所得の低い方に対する給付、あるいは、今回、重点支援地方交付金等を活用して、それぞれの地域において、そうした物価高に対する対応、あるいは燃費に対する支援、こういうものを総合的に実施することによって、国民の皆さんの負担軽減、特にその負担がより強く出ておられる層、こういった方々に対する支援、これらを行っているところでございます。

浅野委員 今の話を聞いても、やはり与党側の提案だと、実際、低所得層、まあ三百万円を低所得とは呼ばないと思いますけれども、三百万円の世帯でも月当たりの減税効果というのは四百円なんですね。プラス、今、重点支援地方交付金などを活用してそれ以外のサポートもしているんだという説明だったんですが、じゃ、それがちゃんと、例えば内食費、食費だけ見てもこの四百円ではカバーし切れないわけです。それをしっかりカバーできるような内容になっているのかというのは、是非この予算委員会の中でも今後しっかり議論させていただきたいと思います。

 続いての質問です。

 あとは、この年収の壁引上げによる効果について、少し政府の見解を伺いたいと思っています。

 先日の総理答弁を見ますと、この減税効果、あとは、特定扶養控除の見直しに伴う十九歳から二十三歳の世代の就労参加による効果、これを見込んでいたと思いますが、ただ、それ以外にも、非課税部分が広がる、壁の高さが上がることによって、その分多く働いた方々は所得が増えるわけですね。所得が増えれば、その分消費に回す可処分所得が増えるというわけですから、消費も活性化するはずなんです。

 この分の試算が入っていないので、これも入れるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 引上げ効果、今、一つありますのは、基礎控除の引上げ等による所得税の減収分〇・七兆円に伴う家計の可処分所得の押し上げ効果。それから、就業調整の緩和にも一定効果があると考えております、大学生等に係る特定親族特別控除の創設による労働供給の増加に伴う雇用者報酬、これが〇・一兆円程度。これは見込ませていただいているところであります。

 委員の御指摘の、それ以外の労働供給の影響でありますけれども、給与所得がある方御本人には所得税の課税により確かに課税はされるんですが、実質所得が目減りするわけではなくて、働く時間数に応じて上がっていくという関係になって、まさに逆転が生じていないということ。そして、その方が一緒にある世帯全体についても、配偶者の方々について申し上げれば、配偶者特別控除制度によって世帯の手取りの逆転が生じない。これは所得に応じてだんだんだんだん調整する仕組みを入れました。

 したがって、それが、じゃ、どういう形で労働供給に影響を与えるのか。正直言って、まずデータがないということが一つあります。それから、今申し上げたところで、徐々に上がっていくわけですから、じゃ、それがどのくらいの、おっしゃる壁を外すことによって労働供給が増えるのか、これはなかなか推測し難いなということもあって、私ども申し上げている中では、前者の二つの効果を申し上げているところであります。

浅野委員 まだそこまで見積もるためのデータが政府の中に存在していないということは今の答弁でも分かったんですが、ということは、つまり、いわゆる減税した分、家庭の可処分所得が増えることによる効果と、あとは、十九歳から二十三歳の若年層の労働参画による所得向上効果、この二つは最低限発生する効果ではありますが、ここに加えて、今データがないとおっしゃっていた、十九歳から二十三歳以外の世代の方々の壁の引上げに伴う労働参加による経済効果というのは、今現時点では盛り込まれていないわけです。

 つまり、今、政府の試算というのは極めて抑制的な試算だと言えると思うんですけれども、我々は、やはり今後、EBPMの推進の観点からも、こうしたデータは是非政府にも取っていただきたいと思います。壁が引き上がったらどのくらいの労働者が更に労働時間を増やそうという意欲を持っているのか、国民の意識調査も含めて、是非そういったデータを取っていただきたいと思います。

 それでは、続いての質問に移りたいと思います。

 パネルの二番、資料の二番を御覧ください。今の百三万円という基準の妥当性について、少し問題点を指摘させていただきたいと思います。

 我々が従来から主張させていただいているのは、最低賃金、一九九五年から約三十年間、一・七三倍に最低賃金が増えたので、それに合わせて百三万円も一・七三倍すべきだという主張をさせていただきました。これは今でも堅持をしておりますが、これに加えて、やはり生存権保障という観点からは生活保護の制度を見ないわけにはいきません。この生活保護の年間事業費、事業予算ですね、これを年間受給者数で割ったときに出てくる数字が、この資料にもある百八十四万円という数字になります。

 これに加えて、先日の参議院本会議で我が党の川合孝典議員が指摘させていただいたのは、ある一定の世帯、単身世帯をモデルにしたときに、年間支給額は百五十六万円という数字も出させていただきましたが、やはり、生存権を保障するために最低の生計費を国が支給する際の支給額、これは百五十六万円以上、そして、予算的に見れば百八十四万円程度が国は確保しているということなんですね。これは動かぬ証拠であります。

 そんな中で、百三万円というこの基準はやはり低過ぎるように思えてなりません。我々としては、百七十八万円にしてようやく妥当な水準まで来ているのではないかというふうに思いますが、この百三万円が、生活保護の金額あるいは最賃で割り出した数字と見比べても余りにも低い、この妥当性について政府はどう考えているのか、答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 まず、所得税の課税最低限は、生計費だけではなくて公的サービスを賄う費用を広く分かち合う必要性も含めて、総合的に検討して定められているわけであります。一方で、生活保護制度は、憲法二十五条の理念に基づき、生活困窮者に対して必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている。

 まさに目的が異なることもあり、例えば、保有資産については、課税最低限では保有状況は考慮されない一方で、生活保護においては、その目的に鑑み、資産、能力その他あらゆるものを最低限の生活の維持のために活用することが受給の要件であったり、また、地域差もございまして、課税最低限は全国一律になるわけでありますけれども、生活保護はそれぞれの地域ごとに異なっている。したがって、百五十六万のお話がありましたけれども、最も低い地域では、百十万円となっているという地域も一方であるわけであります。

 それから、あと、割り戻したら百七十三万円でしたか、というお話があったと思いますが、その中には、いわゆる医療費の扶助、これが約半分ぐらい入っているわけでございますので、そういったもろもろの異なることを含めて考えますと、生活保護費と課税最低限の額、これを単純に比較して議論するのは必ずしも適切ではないというふうに考えております。

浅野委員 その一方で、今答弁にもありましたが、今のいただいた答弁、先日の参議院本会議で総理が答弁された内容と一部重なっておりましたけれども、一度整理すると、所得税の課税最低限は、生計費ではなく公的サービスを賄う費用を国民全体で分け合う、そんな考え方も加味しているというふうにおっしゃっています。一方で、生活保護制度は、生存権保障に基づく最低限度の生活を保障するための最低生計費だということですよね。

 前者は生計費プラス公的サービスを分かち合うための要素を含んだもの、後者は最低の生計費を保障するためのものです。だとしたら、水準としては、前者の方が高い水準、高い部分で金額を設定しなければ、こちらは生計費プラス公的サービスの分かち合いの要素まで含んでいるわけですから、片や生活保護は最低生計費を保障するものですから、これは生活保護の水準よりも非課税限度額の方が高くなければ考え方としてはおかしいのではないかと私は思います。ただ、現状は生活保護の水準よりも低い水準に百三万円がなっているということは、その考え方を聞いても、やはり納得ができないというふうに思います。

 確かに、個人資産、預貯金を含めれば、たくさん持っていらっしゃる方もいるかもしれません。でも、今、国民の三分の一は貯金ゼロというふうに言われております。そういった中で、それを全国一律の基準とすることの妥当性を考えれば、やはり私はもう少し丁寧な説明あるいは考え方に合った水準への見直しというのが必要になると思います。

 時間がありませんので、これについては今後また引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、続いて、パネル一番、資料の一にもう一度戻っていただきたいんですが、財源に関して少し議論をしたいと思います。

 政府では、今回、百二十三万円に引き上げるに当たりまして、これは物価調整なので特別の財源を必要としないというふうにしています。一方で、国民民主党の提案に対しては、財源はどうするんだということを要求されています。我々としては、この後説明しますが、税収の還元や予算の精査というものを考えていますが、まずその前に、なぜ不要としたんでしょうか、なぜ不要とできるんでしょうか。その考え方がどうにも理解できないので、是非答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 令和七年度与党税制改正大綱において、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除等の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという所得税の制度的な課題に対応するものであるため、特段の財源確保措置を要しないと整理をされているところであります。仮に今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、同大綱では、歳入歳出両面の取組により、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるものとするとされております。

浅野委員 それはこれまでもいただいている答弁だと思いますが、一方で、先日の本会議の総理答弁を聞いておりますと、我々、八・八兆円の増収を見込んでいますよね、だからそれを財源として使えるはずだということを川合議員が参議院本会議で述べた際、総理はこう言いました。令和七年度予算では、これまでの歳出改革努力を継続する中で、過去最高と見込まれる税収を充ててもなお二十八・六兆円の新規国債を発行していること、令和七年度末の国の債務残高は約千百二十九兆円に上る見込みであることなどを踏まえました議論が必要であると考えております、こうおっしゃったんです。

 でも、国債発行額が幾らです、今、国の債務残高が幾らですということを理由に挙げるのであれば、やはり物価調整といえども、政府の方にも財源の検討がなければおかしいと思うんですね。野党の提案に対しては、この厳しい財政状況を理由にし、政府の提案、与党の提案に対しては、今のように、金額が固定であることや物価調整のためであるから財源は不要だというような理屈をおっしゃっているんですけれども、これはどうにも、政府自身に甘く、野党提案には厳しいというような印象を与えています。

 これに対して是非考え方を示していただきたいと思うんですが、こちらについて、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 別に与党、野党で判断基準を変えているわけではなくて、基本的には、委員御指摘のように、新しい措置を講じる場合には、特に恒常的な政策を実施する場合には安定財源を確保していくということ、これは申し上げております。

 ただ、一方で、今申し上げた今回の控除のように、定額でこれが設定されている場合には、全体の物価、賃金等が上がれば実質的な負担が高くなってしまうということでありますから、そこを是正するという意味において、その分については増収分を充てるということ、こういう整理をさせていただいているところでございます。

 引き続き、今後、いろいろな税制措置を検討する、あるいは支出の拡大を検討する際には、それぞれの措置が必要となる背景、根拠、そうしたことを踏まえて財源確保の要否、必要かどうかも含めて判断していかなきゃならないと思っておりますが、それに当たっては、冒頭申し上げた、大きく二つの原則にのっとって考えていきたいというふうに思っております。

浅野委員 これは双方の考え方が異なる部分に端を発していると思うんですが、政府としてはこれは物価調整だというふうに言っていて、我々は元々これは生存権保障のために引き上げる必要があると言っているんですね。ですので、我々も、これは税収増分をこれに充てる正当な理由だという考えに基づいて主張させていただいておりますので、政府の考え方と我々の生存権保障の部分の考え方、これが今後の三党協議の中でどのように整理をされていくのかというのは是非私も見守っていきたいと思うんですけれども、ここの部分の考え方をよくよく整理しないといけないということは、今日この質疑の中で指摘をさせていただきたいと思います。

 続いての質問です。

 次は、パネル三、資料三を御覧ください。こちらは、やはり改めてになりますが、今回の税収が増えた分を国民に還元してほしい、その理由はこれだということを説明したい資料になります。

 左側を御覧いただくと、ここ数年の名目賃金と実質賃金の推移を描いております。御覧のように、実質賃金は近年の物価上昇を受けてマイナスになっております。

 その一方で、物価が上がれば、冒頭申し上げたように消費税収が伸びる、そして、それに加えて、企業努力もあり、法人税収が伸び、現在、政府の税収、地方も含めた国、地方の税収は伸びております。来年度に関しては十二兆円増える。二〇二四年度までを考えても二二%増えているんですね。それに対して、名目GDP、国内総生産は一二%程度しか伸びておりません。国内の経済成長の伸び以上に政府の税収が伸びている、だからこそ国民にその税収の一部を還元してほしい、これが我々の主張であります。

 そしてまた、次のパネルも御覧ください。次のパネルは、左側の黄色い部分に関しては、今申し上げた、国、地方の税収の推移です。それに対して右側は、一般会計の不用額。過去五年分を示しております。過去、二〇一九年から二〇二三年までの不用額を平均すると、年間六兆円。

 やはり、ここで言いたいのは、国民が頑張って、国民がつらさを忍んで、実質賃金が低下する中でも国に一生懸命税金を納めている。一方で、国は平均年間六兆円の不用額を出している。一部還元をしてほしい、その上で、予算を精査すればこの不用額をもっと圧縮できないか、それを国民のために使えないか、これが我々国民民主党の基本的な考え方であります。

 これを是非、総理には、予算をこれまで以上に精査をする、そして、今、税収増を見込んでおります、是非、国民に還元してほしい、この考え方を少しでも共有していただきたいと思うんですが、総理に答弁を求めたいと思います。

石破内閣総理大臣 お考えは、共有する部分、たくさんございます。では、国民の皆様方に我々も還元したいと思っております。

 法人税収は、企業の業績が絶好調でございますから伸びる。じゃ、所得税はどうなのかというと、高額所得の方の所得税は確かに増えているけれども、税金を納められない方もたくさんおられるという状況でございます。それに比べて消費税は、物価の上昇と大体並行いたしますから、余り伸びていないということでございます。そうすると、我々として、国民の皆様方にお返しするような、そういうような財政状況かといえば、全然そうではないということでございます。

 税収増は、今申し上げたような背景によって行われたものでございますが、では、その分、国民の皆様方にお返しできるほどの税収増があるのか。それよりは、国の財政状況というものを、不測の事態にも備えまして、更に安定をさせていくことも必要なのではないかと我々として考えておるところでございます。

 できるものであればお返ししたいけれども、今の状況は、なかなかそれを許すような状況にはないということでございます。

浅野委員 それでは、少し表現を変えます。

 今の話に関しては、増えた税収を国民に還元してほしいという以外の表現として、今、総理がくしくもおっしゃいました、高額所得者の方は税金を納めていただいている、生活が苦しい方、低所得者の方はなかなか納められない。であるならば、政治そして政府の役割は、その再分配だと思います。そういった考え方も取り入れながら、この年収の壁の議論、これから是非行わせていただきたいと思います。

 これは政府の皆様とも、今、総理も深くうなずいておられますけれども、この再分配の議論、これは大いに、我々も一緒にできる部分だと思いますので、是非よろしくお願いします。

 それでは、続いて、ここからは、ガソリンの暫定税率について議論を進めたいと思います。

 パネルの五番をお示しいただきたいと思いますが、こちらは、現在行われている激変緩和措置が開始されてから直近までのレギュラーガソリン価格の推移が黒いグラフで、そして、補助金によって調整された販売価格の平均値が赤いグラフによって示されております。

 まず、経産大臣に伺いたいと思いますが、現在の激変緩和措置の政策効果と政策コストに対する評価、是非お聞かせください。

武藤国務大臣 浅野委員から御質問いただきました、今の政策評価とコストに関するお尋ねであります。

 八円から四十一円まで、リッター当たり、これまで、もう三年になりますか、今、こういう体制をつくってまいりました。補助事業ということですから事務コストが生じる一方で、一つは、灯油や重油についても支援できましたこと、そして、迅速かつ臨機応変に価格抑制を図れ、そして補助の仕組みを調整することで買い控え等によるいわゆる流通の混乱、これを防げてきた、こういうような原油価格の動向や取引環境を踏まえながら、柔軟かつきめ細かく対応できてきたと思っております。

 価格的には、全国平均でありますけれども、ガソリンなどの高騰に伴う負担を軽減する、ある一定の目的は達成できたと思っています。

 以上です。

浅野委員 ありがとうございます。

 今回の補助金施策、賛否両論あります。私も、本当に補助金でいいのかということは当初から申し上げてきました。ただ、今大臣からおっしゃっていただいたように、一定、これが全くなかったときよりは国民の負担というのは間違いなく軽減されていると思いますが、ここからちょっと一点、我々からの改めての提案になります。

 この資料の中にもう一本、青いグラフが見えておりますが、こちらは、仮に一リッター当たり二十五・一円の暫定税率が廃止された場合にどのような価格推移を取ってきたかというグラフになります。二十五・一円を差っ引くだけですので、黒いグラフからそのまま二十五・一円分下にスライドをしたようなグラフの形になっています。このそれぞれの平均値を見ますと、過去三年間、トータルでの平均値です、全く対策がなかった場合には、レギュラー一リッター当たり百九十四・七円。そして、今の政府の施策による実績値としては、一リッター百七十三円。そして、我々が提案してきた、暫定税率を廃止したとすると、この三年間の平均値は百六十九・三円になります。

 まず、それぞれの政策を比較したときに、暫定税率廃止による平均値というのは現行の政府施策よりも安くなるということを一つ覚えていただきたいと思います。

 続いて、パネル六番、資料の六を御覧ください。じゃ、財政で見たときにどうなるかということです。

 こちらは、政府の補助金と我々の暫定税率廃止の、財政面から比較をしたものになります。非常に簡単な式ですけれども、三年間のガソリンと軽油の税収が合計で九兆五千六百四十三億円、ここから補助金による執行額四兆七千四百億円、これを差し引きますと、国の税収の残りというのは四兆八千二百四十三億円。一方で、暫定税率廃止をしたと仮定したときには、その税収減は四兆五千億というふうに見積もられております。これを九兆五千億から引くと、五兆六百四十三億円が国の税収として残るということになります。

 まとめますと、暫定税率を廃止した方が、国の税収としては現行政策よりも約二千億と少し増えます。これがインパクトとしては非常に、二千億有効に使えますから、大きいですね。さらには、先ほどのグラフのとおり、三年間の平均価格というのは、政府の補助金を投入した場合と比べても、一リッター当たり約四円安くなるんです。

 政策効果、政策コスト、財政への影響も考えたときに、やはり三年間を振り返って、私たちは、暫定税率廃止の方がいいのではないか、そうすべきではないかというふうに思います。

 ですので、是非、四月から暫定税率の廃止を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 今のパネルで御説明いただきまして、私も、前回浅野先生がそういう御質問をしたときに、どうなっているんだということで、ちょっと一部、そういうことで確認をさせていただきました。

 資料五の方のパネルでありますけれども、これはガソリンのみの価格比較をしているところでありまして、資料六のパネルの方が、ガソリンに加えて軽油も含めた数値が示されていると思います。軽油につきましては、暫定税率廃止分よりも手厚い補助を行っているゆえに、両者を単純比較することはいささか不適当ではないのかなという気がしております。

 具体的に言いますと、軽油に関する暫定税率廃止の効果はリッター当たり十七・一円であります。補助金では平均二十二・五円、これはリッター当たりですけれども、この支援をしてきたところで、資料六の、補助金による予算措置が暫定税率廃止による税収減を上回っているということになるということを確認させていただきました。

浅野委員 軽油、ディーゼル車のみを見たときにはそうなるかもしれませんけれども、我々としては、そもそも、この暫定税率が創設された五十年前、当時どんな主張を政府がしていたかといえば、日本全国に高速道路を張り巡らせる、そのための財源を確保するために、当時高級品であった自動車、これを使う人たちに負担をしてもらおうということで、燃料に暫定税率を上乗せすることにしました。そして、当初は、二年間だったと思いますが、限定措置として約束がされたものであります。

 もう既に今、地方では一人一台の時代です。そして、これからは免許返納が増えていって、移動したくても移動できない人たちが増えていく中で、やはり、地方創生の観点からも、各家庭の燃料費負担、これを最小限にしていくという考え方は国民が望んでいるものだと我々は考えています。

 もう一つ、このパネル、最後にお示ししたいんですが、こちらは、ガソリンと灯油、これの各家庭の負担を地域別に調査をした結果です。これは総務省が統計を取ったデータで、左に行けば行くほど大都市圏、右に行けば行くほど地方になっているというようなイメージを持ってください。

 これは地方創生二・〇を掲げている石破総理に是非伺いたいと思いますが、地方の暮らしは今このような状況なんです。先ほど、冒頭でも申し上げました。降雪地帯では、今、灯油の費用が非常に膨れている。全国的にガソリンの値段が上がって非常に家計が苦しい。地方創生二・〇をうたう総理であれば、是非このガソリンの暫定税率廃止、これは非常に大きなインパクトを持つと思うんですね。

 加えて言わせていただきたいんですが、これから地方創生をするためには、国内での人の移動というのをもっと活性化させなければいけませんよね、交流人口を増やしていかなければいけません。そのためにも、航空機燃料への支援。そして、今、一次産業は大変厳しい、重油への支援。これは暫定税率とは別の話になりますけれども、是非、今の激変緩和措置に代えて暫定税率を廃止し、なおかつ、航空機燃料への支援、LCCは厳しいです、航空機燃料への支援、一次産業者への支援、重油への支援、そして、もちろん灯油への支援、降雪地帯に住む皆様への支援、こういったものを是非強化をしていただきたい、これを求めたいと思います。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 御趣旨、承りました。

 地方は、それは三人働き手がいれば三台車があるわけで、そして公共交通も発達もいたしておりません。航空機についての言及がありましたが、航空機に乗らなきゃどこにも行けないみたいな地方は結構あるわけでございます。そうすると、地方創生、地方振興の観点から、いかにしてそういう燃料代を低減するかということ、また、高齢化も著しく進んでおりますので、そういう方々がもっと利便性よく交通機関が利用できるような、今、ガソリンが大体リッター二百円みたいなところもございますので、これはもうゆゆしき問題だということは、自分の地元から考えましても大変なことだということは認識をいたしております。

 今後、政府といたしましても、御指摘を踏まえて、地方振興、地方創生の観点から、この燃料の問題は考えてまいりたいと存じます。

浅野委員 そろそろ時間が来ましたので終わりますが、総理は、先日の施政方針演説で、国民一人一人の幸福実現を可能にする、人中心の国づくりを進め、全ての人が幸せを実感できる人財尊重社会を築くというふうにおっしゃいました。そのためには、国や政府は、我々国会議員もそうですけれども、その土台にならなければいけないと思っております。そして、経済が好転した際の恩恵は、冒頭申し上げたように、政府ではなく、まず国民の皆様が享受すべきであることを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、村岡敏英君から関連質疑の申出があります。浅野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村岡敏英君。

村岡委員 秋田県出身、国民民主党、村岡敏英でございます。

 七年ぶりに予算委員会で質問させていただきます。

 七年たつと国会も変わるもので、石破総理、おめでとうございます、総理大臣になられて、安住予算委員長という、この少数与党という姿。私が七年前にいたときには、圧倒的な数が、与党が多いという数でありましたので、熟議の国会といっても、与党が出した法案がそのまま通るというような状況で、大変野党としてはなかなか難しい国会であったと記憶しております。

 しかし、その中で、私、農林水産委員会で、あの圧倒的な数だった安倍総理、安倍総理と一緒に、農協法の改正で修正案を決め、参議院では二人で、説明者として安倍総理と並びました。横には今官房長官をやっている林官房長官も並びました。それだけ多数でもしっかりと修正をしたということですから、少数与党ということで、是非、熟議の国会をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、私も在野に七年おりましたので、昨年の元旦の能登半島の地震、そしてその後の豪雨、本当に能登の人たちは今大変な思いをしていると思います。国民民主党も、この震災、また豪雨の復旧復興には、政府の進めることにしっかりと協力してまいりたいと思います。

 そして、今、全国どこでも災害が起きています。私の地元秋田、山形でも、昨年の七月、大きな豪雨災害がありました。いまだかつてない災害で、私の地元の由利本荘市でも、道路の寸断や河川の氾濫、農業の被害、そして、農業の共同施設、カントリーエレベーターや種苗センターも水没し、大きな災害となりました。政府に激甚災害の指定はしていただきましたが、今、冬であります。手つかずの状況でおります。しっかりと政府にもこの災害の復旧を行ってもらいたいと思っております。総理、お願いいたします。

石破内閣総理大臣 秋田の状況はよく承知をいたしておるつもりですが、委員の御指摘も踏まえて、由利本荘の方々にも喜んでいただけるように。

 恐ろしいのは、豪雨であるとか豪雪であるとか、もうこれをいい機会としてという言い方は問題かもしれませんが、農業をやめちゃおう、これを機会としてここに住むのをやめちゃおうという方が物すごく増えてきているということでございます。ですから、額もそうでございますが、この復旧を急がなければならないという認識は強く持っておるところでございます。

村岡委員 是非、今総理がおっしゃったように、農業をやめようかと思う人もいますので、早急にしっかりとした対策をしていただきたいと思います。

 そこでなんですが、先ほど同僚の浅野議員が、百三万円の壁、そして暫定税率、ガソリン税のことをお話ししました。財源のこと、そして効果のこと、様々話しました。それは同じ繰り返しになるので、私からは話しません。

 私は、地元でよく言われているのが、政治って言葉の遊びをしているんですかということを言われます。例えば、昨年の政治と金の問題。火の玉になって総理は解決すると言いました。しかし、国民から火の玉になって解決したとは思われていません。そしてまた、総理が、総裁選のときに、しっかりと予算委員会でそれぞれの政策を聞いて、ぶつけ合って解散すると言いました。しかし、そういうことではありませんでした。それに対して国民は、政治家というのは、その言葉を表面的に受け止めても駄目だと。もうそれが、どんどんどんどん投票率を下げている、そして政治全体の信頼を失っていると思います。

 そこでなんです、百三万円の壁、三党の幹事長が合意しました。「いわゆる「百三万円の壁」は、国民民主党の主張する百七十八万円を目指して、来年から引き上げる。」これは三党でこっそり決めたわけじゃないんです。ちゃんと記者会見もして、国民に知らしめています。国民は百七十八万に行くんだと思いますよ、これは。

 全くそこのところで、これが、合意が終わった後に、何と総理も答えているかというと、誠実には行うけれども、財源、どうしたんだ。そして、こんなことはできない、将来に禍根を残す、このような言葉を言われています。しかしそれでは、国民は、この合意は何だったのかということを当然思います。

 また、ガソリンの暫定税率の廃止、いわゆる暫定税率は廃止すると、もうはっきり「廃止する。」と書いています。時期が書いていませんと言われます。時期が書いていなかったら五年でも十年でもいいんですか。こういう政治をやっているから、国民は政治家の言葉を信じなくなる。

 それをどう思われるか、総理からお答え願いたいと思います。

石破内閣総理大臣 暫定税率にしてもそうですし、百七十八万円にしてもそうですが、これは、私どもとして、百七十八万円を目指してということを言っているのは、いいかげんなことを言っているのではございません。先ほど浅野議員とのやり取りでも、なぜ百七十八万円なのかということについてお示しをいただきました。この予算委員会でそれをお示しをいただいたのは初めてかもしれません。そういうことだったのねということで理解は広がるということでございます。

 そういうときに一々やゆしておっても何にも話は進まないのであって、我々自民党としてきちんと誠実に取り組む。そして、暫定税率にしても、廃止は決まっているわけですから、じゃ、その時期はいつが望ましいのかということでございます。それは、そのことによる税収減をどのように考えるかということと併せてやりませんと、無責任なことはできません。

 ですから、じゃ、それによって減収する分をどうしますか、そして地方の納得をいただけますか、じゃ、その分に代わる財源は何ですかということをセットにしてお示しをするというために、我々自由民主党としても、公明党とよく相談をしながら御党と協議を進めてまいります。

村岡委員 総理、まあ同じ答弁なんですけれども、やはり三党で協議するといっても、なかなか今進んでいないんですよ。しっかりと進めていただかなきゃいけない。特に、ガソリンの暫定税率はもう廃止すると決まったわけですから、いつが適正かというのは、今なんですよ。今やらなきゃいけないんですよ。そこを是非やってもらわなければ困ると思いますし、こういう約束は、しっかりと国民に、政治は動くんだ、約束したことは前に進むんだということを是非石破総理が実行していただきたい、このように思っておりますが、もう一度お答えください。

石破内閣総理大臣 御指摘、確かに受け止めてまいります。それは、今の委員のおっしゃいますことは、委員だけのお気持ちではなくて、選挙区の方、国民の多くの方々が思っておられることでございますので、我が党幹事長あるいは政調会長、そしてまた官房長官始め閣僚、そういう人たちにこれはきちんとやるという意思は申し伝えてございますので、結果の出るのが早くなりますように更に努力はいたしてまいります。

村岡委員 総理、国民の声だということを受け止めていただいて、それを進めていただきたいと思います。

 次に移ります。

 総理が、強い日本、明治維新の富国強兵、そして、さらには豊かな日本、戦後、そして楽しい日本。所信表明で聞いていたときには、何か、何だろうなという違和感がありました。しかし、時代背景として、実は、リハックに出られたことを見ていましたら、国会と違って明快に説明されていたんですね、笑顔で。

 それは、私も年が三つ下だけですから、若いというか、小学校、中学校とどんどん物が発達していく。例えば、月面着陸なんかの映像を小学校で見ました。テレビもカラーテレビになりました。自動車もどんどん新しいのが出てくる。そして、働いたときには、もう働いて働いて、お金を得て何か買いたいという、ある物では、物を欲しいという中でわくわくどきどき感がありました。しかし、今は違うんですよ。今の若い人たちが違うんですよ、我々のときと。そのときに楽しいと感じるのは多様なんですよ。

 そこは、多様なことをしっかり認識されているのかまずお聞きしたい、こう思っております。

石破内閣総理大臣 私が昭和三十二年で委員が三十五年ですから、ほとんど同じ世代を生きてまいりました。あのうちには車というものがあるそうだといって、頼んで乗せてもらいに行きました。カラーテレビがあるそうだといって、見に行きました。同じ思いだと思います。

 今、何かそういうような、わくわくするような商品があるんだろうか、サービスがあるんだろうかということを考えたときに、コストカット型の経営で、そういうような商品とかサービスを開発する、そういうような投資を抑えてきたということは大きな理由だと思っています。それが一方にございますのと、もう一つは、物だけじゃないよというのが今の村岡委員の御指摘だろうと思っております。

 やはり、地方にいる楽しさというのは何だったんだろうということを考えると、どんどん、由利本荘でも秋田でも我々の鳥取でもそうですけれども、町が目に見えてすてきになっていくということと、面白いことがたくさんありませんでしたか。臨海学校は楽しかったし、林間学校も楽しかったし、夏休みで毎日がわくわくどきどき楽しかった。そういうような、いろいろな人の価値観は違いますが、毎日が楽しいということをつくっていきたいし、お互いが悪口を言い合う世の中というのはすごくつまらないと思っております。

 そういうような楽しさと、あとは、若者、女性、そういう人たちの意見を、あるいは存在を抑圧するような精神風土みたいなものはやはり変えていかなければいけないと思っております。

 そういうことを総合的にやっていきながら、秋田にしても島根にしても山口にしても鳥取にしてもそうですが、地方にいることって楽しいよねということをもう一度取り戻したいと思っております。

村岡委員 総理、若い人たちの感覚のつかみ方というのは、我々世代のときと違いますので、それはしっかりつかまなきゃいけない。

 ところが、この三十年間、若い人たちとともにしっかり考えておかなきゃいけないのが就職氷河期の方々なんです。千七百万人、千八百万人いると言われています。この方々は、大学を卒業して、就職の夢を持ったのに、五十社、百社とこれが入社できずに、そして、非正規であったり、正規でも自分の望むところに入れなかったり。そして、給料も上がりませんから、将来年金が低い。この人たちも楽しいと考えていけるような対策を取らなきゃいけない、こう思っています。

 特に、これは経済的に失われたというだけじゃなく、そのときにちょうど人口も減っていきました。バブルがはじけ、そして、就職氷河期の世代の方々、決して経済的な問題だけではありません。しかしながら、総理が生まれたとき、私や官房長官や江藤大臣が生まれたときの一九六〇年、男性が五十歳で未婚の人は一・二六%、女性が一・八八%。バブルがはじけ、氷河期の方々が五十歳になったときには、男性が二八・二五%結婚されていない。そして、女性が一七・八一%。

 もちろんいろいろな、結婚にも自由がありますから、また、時代が変わって、必ずしも経済的な理由だけではありません。しかし、お金がなくてというのも、地元の人で、五十前後の人で結婚していないと聞くと、本当に若い頃お金がなかった、そして非正規だったと。なかなか結婚できない。農業の方もそうです。サラリーマンの方もそうです。

 そういう人たち、もう五十を超えています、そういう人たちに対してどんな対策を取っていくかが、この楽しい日本というのは、非常にここの対策は大事だと思っていますけれども、総理はどのような対策を取っていきたいと思っておりますか。

石破内閣総理大臣 施政方針で申し上げたことですが、今、日本というのは、人材希少社会に入っていると思っております。一人一人をいかにして大切にしていくかということに政策の重点を置いてまいりたいと考えております。

 私なんかが就職したときは、おまえの代わりなんか幾らでもいるんだと何度叱られたか分かりませんが、今はもう、あんたの代わりなんか誰もいないよという時代になりました。

 その中において、御党が今強く主張しておられる就職氷河期世代、もうこういう方々も五十代に差しかかっておられます。今はまだ親御さんが健在で、おうちもあるんだけれども、あと十数年でしょうか二十年でしょうか、親御さんも年を取って、おられなくなる方もある。家もだんだんと朽ちていく。そういうときに、こういう方々が生活保護ということになっていかれると、これは本当に社会として大問題だと思っております。ですから、やるなら今しかないんだというふうに思っております。

 政府も努力をいたしてまいりまして、就職氷河期の方々にかなりの政策を集中してまいりました。その世代の方々の不本意非正規雇用者比率あるいは無業者比率というのが、全世代の中でも低い二・五%ということになっていますが、二・五になったらそれでいいのかいというお話には全くなりませんので、これを更に引き下げていくべく努力もしたいと思っております。

 就職氷河期世代の方々に対する対応に余り時間は残っていないということは、よく承知をいたしております。

村岡委員 総理、是非、その認識は、今日はほかの質問もあるので深く掘り下げませんが、これは本当に、楽しい日本、日本がもう一度再起動するということになれば、これは大切な問題だという認識を是非共有したい、こういうふうに思っております。

 次に、食料の安全保障ということで、三八%の食料自給率は、国民の皆さんも何度も言われてよく分かっていると思います。日本が経済的に世界から食料を買えれば困らない。しかしながら、今ここに出した資料は、一九九八年、日本が食料を輸入している、世界の輸入の中で、千三百四十一億ドル中、日本は四〇%輸入していました、世界の中で。ところが、二〇二一年は、日本は一八%になりました。何かGDPと同じような感じですけれども。

 なぜかというと、それは中国の台頭なんです。中国がやはり食料を求めてどんどん世界から買っています。そうなると、食料自給率というのは、例えば、気候変動であったり、また、なかなか、砂漠化して耕作面積が減ったり、日本が買えなくなったときに、食料の争奪戦が始まるんですよ。そうなると物すごく高い値段になるんですよ。だから、今、食料自給率は上げていかなければならない、こう思っているんです。

 そこが、今日午前中の論議でもありました、農林大臣経験者が閣僚等にもいると。石破総理も農林大臣経験者、林官房長官も農林大臣経験者、そして江藤大臣は二回目、森山幹事長も農林大臣。まさに、今やるんですよ、今やらなきゃいけない、そう思っていますよ。農業に、食の大切さを分かっている、その部分の内閣において是非取り組んでいただきたい、こう思っています。

 そこで、水田フル活用の交付金の件です。

 昨日ですか、水張りはしなくてもいい。これは七年前に、会計検査院ですかね、財務省の審議会ですか、御指摘されて、そこから始まり、そして、三年前には農家に水張りの厳格化を通達しました。私も地元に行くと、もう農業をやめようという人がたくさんいました。そして、昨日の発表までの間に、もう今年はやめようかという人もたくさんいました。この水張りをしなくてもいいということで、実際、金曜日ですか、金曜日に言ったんですから、土日に地元へ行きましたら、物すごく喜んでいます。

 しかし、これは、水張りしなくてもいいとなっただけです。九年度からどのような品目にどのような交付金がつくかということがしっかりしなければ、ぬか喜びと、言い方は失礼ですが、そうなってしまいます。そして、農業の生産者の意欲を失ってしまいます。

 私は、農水委員会で、江藤大臣に対し、水活のこと、これを続けたら、農地は荒れ、そして離農する人が増え、三八%なんてあっという間に落ちてしまい、もう二〇%に落ちてしまうといって、これは早くやらなきゃいけないと。いや、二年間かけるというのを早く前倒しでやっていただいたことは、これはいいことだと思っております。しかし、これからどうしていくのかというのを、どんな計画でやるのかを農業者に示さなきゃいけないと思っています。

 二年というのは農業にとってすぐなんですよ。米なら一年に一遍、そして果樹もそうです。野菜なら何遍かありますが。そして、営農するためには準備が必要です。二年というのは非常に短い期間です。それを総理はどのようにしていきたいと考えておられますか。

江藤国務大臣 先生から厳しい御指摘をいただいたことをよく覚えております。

 評価をいただいているということであればよかったなと思いますが、おっしゃるとおり、これを直した後にどうなるんだということは、これから大変議論になると思いますが、まずは、所要額については、各種の実態調査、これをしっかりやらなければなりません。制度が変わるんですから、当然、中身は変わってきます。そして、営農に支障が出ないということがやはり担保されなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

 そして、その上で、予算の要求は、令和九年から新しい制度が始まりますから、先ほども申し上げましたけれども、八年度において概算要求を行いますので、私はそのときは違うと思いますが、しっかり概算要求にはつなげていかなければならないというふうに思っております。

石破内閣総理大臣 結局、政策目標をどこに置くかという話でありまして、この水活をどうするんだという指摘を最初に受けたのは秋田の方からでございました。そのことはよく覚えております。

 政策目標として、じゃ、自給率の向上というものを政策目標としてプライオリティーの上位に置くとするならば、一体何に対してどういう政策を行うのかというのはかなり変わってくるんだろうと思っております。

 委員御案内のとおりですが、自給率が下がってきたのは、米を食べなくなって、ラーメンとかパンを食べるようになったからなのかといえば、必ずしもそうではない。油脂それから肉、そういうものを食べることになったことによって自給率が下がってきたのであって、じゃ、そういうものに対する支援を減らしますかというと、それはまた大問題になるわけでございます。

 そうすると、この自給率の目標を、仮にカロリーベースとしてどこに置くのか。そのためには、どの産品に対してどういう支援を行うのかということを、農林水産委員会でもここでも徹底的に議論していかねばならぬのだろうと思っております。

 それは、一体何を政策として大事に置くのか、委員御指摘のように、これから食料争奪戦が始まるということもよく念頭に置きながら議論をしてまいりたいと思いますし、私どもとしても誠実に対応をいたしてまいります。

村岡委員 具体的に言うと、交付金の部分でいけば、直接支払いをやはり農業に取り入れなきゃいけない。特に農地をしっかり守らなきゃいけない。その部分においては、やはり所得を上げていかなければ、農家の方に、例えば米を作っているのに飯が食えない、こんな皮肉なことがあっていいはずがありません。

 ですから、しっかりと、まずは食料の安全保障支払いということを我々は提案しています。農地は、別に水田じゃなくても、畑でも。それが基本にあって、その上でいろいろな対策。例えば、これから政府が取り組もう、農林省が取り組もうとしている価格に関して、いろいろ調査をしながら、適正価格を望んでいくということも必要でしょう。そして、需要を増やすために様々な取組が必要でしょう。そして、輸出も必要です。

 特に輸出は、総理が非常にそこに力を入れているみたいで、これは一月の二十日ですか、動静を見ると、江藤農林大臣、林官房長官、農林省の幹部たちが集まって、一時間もやっておりますけれども、これは輸出に関して本格的に乗り込むという形の相談をされたんでしょうか。

石破内閣総理大臣 済みません。議論の詳細についてお話はいたしませんが、とにかく輸出をするということでないと、休耕田、耕作放棄地が増える一方で、日本の農産物、なかんずく米に対する世界の評価は恐ろしく高いということがございます。

 そこにおいて、本当に休耕田をつくることなく、世界の人たちに日本の食のすばらしさを味わっていただくということは、いざとなれば、これはお米を食べることによって食料の安全保障にもつながることで、輸出の振興すなわち自給率を上げることだと。何でそれが結びつくんだと言われますが、輸出が高いところ、割合が高いところ、フランスにしてもそうですね、それは輸出で自給率を上げているわけですから。そういう認識を強く持って、今、関係閣僚と話をしておるところでございます。

村岡委員 総理、当然、それは輸出は自給率のアップになります。そのときに、取組方というのが大切だと思います。今現在、米は七百万トン一年間に取れている中で、輸出はたったの四万トンです。これをどのぐらい増やしていくかという戦略をしっかり立てていかなきゃいけないと思います。

 先ほど、フランスの話が出ました。フランスやイタリアが最初にパスタや何かを、もちろん違う国が作っている加工もありますが、やるときにはやはりワインを、非常にセットにして、全世界のイタリア大使館、そしてフランス大使館に、ワインと一緒にイタリアの食材を持っていって、例えばレストランだとか、いろいろなところに紹介していきました。

 そういう意味でいけば、日本が本当に米を売ろうと思ったら、それはパックだとかいろいろなことがありますけれども、日本酒というのは非常に今注目されているんです。

 その辺、江藤農林大臣にお聞きしたいと思いますが、戦略を考えなければ、四万トンを十万トン、二十万トンと増やすのは大変なことだと思っていますので、お聞きしたいと思います。

江藤国務大臣 日本酒はいいと思いますし、私の地元は焼酎ですから、焼酎も是非持っていけたらいいと思いますが。

 あとは、炊き方の問題があるんだと思います。日本は軟水なので、海外は硬水の国が多いので、日本の炊飯器をそのまま持っていっても、なかなか日本並みにはおいしく炊けない。それと、どうしても中粒種それから長粒種を好む食文化もあります。

 ですから、マーケットインということももちろん大事なんですが、マーケットをつくっていかなければいけない。それが先生のおっしゃる、持ち込んでいってアピールをして、そして御理解をいただいて買っていただくということであります。それにはやはり、価格競争も、当然タイとありますから、そうなると、基盤整備をしっかりやって、十ヘクタール、十五ヘクタールというある程度まとまった農地を造っていくということもやっていかないと、この先の輸出には、見込みは大変ありますので、取り組んでいきたいと思っております。

村岡委員 時間がないので、農業だけで終わりそうですけれども。

 今、農業の部分の中で、百八万あった米などの耕作の農家の経営体は、三〇年には半分になる、五十四万になると言われています。そして、農地の三分の一は耕す人がいなくなっちゃう。この中でスマート農業だとか様々なことがあるにしても、今取り組まなければ日本の食は危機にある、こう思っています。

 そして、農業新聞や様々な農業者が言っているのは、今こそ政治が出番なんです。農業をしっかり守るということは、政府・与党、自民党、公明党だけじゃなく、これは野党も全員協力すると思いますよ。熟議の国会で、農業者が所得向上し、そして日本の食料自給率が上がるためにしっかりと取り組みたい、こう思っていますので、総理にもその覚悟があるか、最後にお聞きして終わりたいと思います。

石破内閣総理大臣 まさしくそうあらねばなりません。ですので、これを言うとあの団体が怒るのではないかとか、そういうことを言っていると話が全然前に進みませんので、それはいかなる団体であっても、それは消費者であっても生産者でも一緒です。とにかく食料自給率、自給力、これを上げていかないとこの国はもたないのだということ。

 私は、日本の農業というのは世界有数の潜在力があると思いますので、これを最大限に生かすために、本当に遠慮のない議論というものをさせていただきたいと思っております。是非よろしくお願い申し上げます。

村岡委員 ありがとうございました。

 是非、これからも議論をして、日本の農業、地方がよくなるような形でのものを目指していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて浅野君、村岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党政調会長の岡本三成です。

 今日は質疑の時間をいただきまして、皆様、ありがとうございます。

 総理、二〇二五年は日本にとって勝負の年となります。もちろん国内でも海外でも様々な不安定要素がありますけれども、我が日本にとって本当にすばらしい年になったと言っていただくようにしなければいけませんし、必ずそれは実現できると思っています。そのために、野党の皆さんとも協力をさせていただきながら、予算の中身もよりよいものにできるのであればしていくべきだし、様々な法案も政策も、野党の皆さんとともに日本を前に進めていきたいという覚悟で今日は質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、足下では物価高で多くの皆様が御苦労されていらっしゃいます。一方、賃金も上昇傾向にあります。経済の環境が変わってきたので、日銀の金融政策も変わりまして、先日、利上げも行われました。

 実は、政府と日銀の共同声明、アコード、二〇一三年に結んでいただいておりまして、同じ文言で今も続いています。そのアコードの中には何と書いてあるかというと、デフレを脱却して物価安定目標二%を実現する。

 デフレを脱却する、物の値段を上げたい。世の中の方は物価高で御苦労されているんですね。にもかかわらず、いまだに、政府と日銀のアコードの内容は分かりづらいような表現になっています。実は、この内容をよくよく吟味いたしますと、日銀法の中で日銀に与えられている責任、そのマンデートが雇用や賃金に言及をされておりませんので、表現としてはこのような文言になっていますけれども、分かりづらいんですね。

 せめて政府が国民の皆様に説明する中では、何で物価を二%で安定させるのが大事なのか、それがなぜ国民生活にとって大切なのか、分かりやすい言葉で御説明いただきたいと思います。

赤澤国務大臣 物価については、いろいろ御議論がある中ですけれども、まず、国民の皆様が物価上昇で生活が、あるいは経営者の皆さんであれば経営が大分厳しいという認識を持っておられることについては我々も強い問題意識を持っております。

 その中で、これは岡本委員は御案内でおっしゃっていると思いますが、日銀がまず物価安定目標を二%と言っているものは、これは基調的な物価上昇と言われるもので、経済が順調に進んでいるとき、生産性が向上して賃上げも伴う形で望ましい形の物価上昇が起きる、その物価上昇を基本的に二・〇%に持っていきたいというのがアコードに書いてあることです。

 その上で、国民の皆様が直面している物価というのはちょっとそれと別のもので、いわゆる輸入物価が上がることで上がってしまうようなコストプッシュの部分も乗ったもので、消費者物価の総合と言われるものです。

 その二つがちょっと入り交じっているので分かりづらいところでありますが、資本主義社会において経済が順調に成長していくためには、基調的な物価上昇、これは物価安定目標に書いてある二・〇。そして、国民の皆様がコストプッシュ型の物価上昇で苦しんでおられるときにはきちっと対策を講じるということで経済を成長させていこうというのが基本的な考え方であります。

 アコードについて言えば、そういう意味で、岡本委員も御案内のとおりと思いますが、書いてあることはまさに基調的な物価上昇を二%に持っていくということで、今ようやくそれが少しずつ上がって二%に近づいているという認識であります。一方で、国民の皆様が直面している物価上昇というのは、それにコストプッシュが乗っかった、コストプッシュも乗っけた消費者物価総合というものなので、そこについては丁寧に説明をして、書いてあることについてはまさに今も意味は変わっているわけではありませんし、それをきちっと実現していくことが重要であると我々は共通認識として持っているということを御理解いただけるようにしていきたいと思います。

岡本(三)委員 基調的物価上昇をリードしながらも、ざっくり言うと、物価が二%ぐらいの基調で上がると、それ以上のスピードで賃金が上がることが実現しやすい状況をつくるので、結局、賃金がより上がるがゆえに実質賃金が上がって生活が豊かになっていくんだというふうなことを、分かりやすく今後もいろいろな場面で語っていただきたいと思います。

 今回の本予算の目的は、全ての世代の皆さんの現在、将来の賃金そして所得を上げていくことを実現することです。

 今や流行語となっていますが、百三万円の壁。これは、百三万円の壁とともに手取りを増やすという、ここに多くの国民の皆様は期待を抱いていらっしゃるんだと思うんですね。

 手取りを増やすためには、確かに給料の後の差し引かれるものを少なくすると手取りは増えていくわけですけれども、同様に給料自体を、額面をどう増やしていくかというのがより重要なところであって、であるがゆえに、今回の本予算も昨年末の補正予算も、中小企業支援がこれでもかというぐらい盛り込んでいただいています。働く方の七割は中小企業で働いていらっしゃるので、ここの利益を上げ、そして労働分配率を上げて、どういうふうにして額面を上げていくか、このことを更に執行していきたいというふうに思っているんですね。

 確かに今年は法律も、下請法も改正をして、価格転嫁をしやすくしていきます。そして、一つ一つの支援に関しては、例えば補助金、省人化補助金。どこも人手不足なので、人手不足解消のために何か設備投資をしようとしたら、テーラーメイドで、五〇%をその補助金が使えます。もし中小企業の皆さんで設備投資をお考えの方がいらっしゃったら、まずその設備投資が補助金の対象になるかということを確認をしていただきたいと思います。

 加えまして、企業の規模が小さいと、やはり規模の経済を追求できませんので、昔はMアンドAと言われると大企業と大企業でしたが、今は人員確保のために、三十人の会社が二十人の会社を吸収合併をしながら、又は後継者不足に悩んでいらっしゃるところをしながら利益率を上げていくような、これも税制で支援をしておりますし、中小企業のMアンドAの後には、その後の経営支援もしています。

 またさらに、中小企業の輸出を支援するような予算にもなっています。何で中小企業の輸出が大事かというと、二〇二三年の通商白書、これは日本ですけれども、二つの中小企業があって、一つは輸出を始めた、一つはしていない。五年たつと、輸出を始めて五年たった企業は、していない企業と比べると、売上高、成長率五倍です。生産性、利益率八倍です。めちゃくちゃもうかるんですね。もちろん、いろいろなケースがありますけれども、ターゲットマーケットが大きくなっていきますので、これもジェトロを含めてやっていきます。

 要は、これでもかというぐらいにメニューはそろっているんですが、私、何回もこの場でも申し上げましたが、多くの経営者の方々にその支援の選択肢を御認識いただいていないんですね。

 様々なチャネルを使って経済産業省もやっていただいておりますけれども、私は一つ問題提起、提案をしたいことがあるんです。ホームページを使って必要な情報を必要な方々に適切に十分にお伝えをいただきたいんですね。

 たくさんの中小企業支援の例えば窓口があります。そのハブは中小企業庁のホームページなんですが、御覧になっていただきたいんですけれども、ホームページのトップページがこれなんですね。

 まず、中小企業庁のホームページを出すと、ちょっと残念な感じの、寂しい感じの、キーワードを入れてくださいと。色味も冷たいです。もうちょっとわくわくするような、例えば、総理や経産大臣がトップページに、この国のトップリーダーとして中小企業を全力で支援していきますというメッセージを載せるとか、もうちょっとわくわくさせてほしいんですね。

 この下、いろいろな情報がいろいろなところにわたっているので、例えば補助金だとミラサポプラス、Jグランツ、J―Net、七つ出てくるんですけれども、この七つの横に関連リンク一覧というのがあります。クリックすると、関連リンクの先が五十団体出てきます。どこの何を見れば自分が欲しい情報が取れるかということが全く、何回も何回も。

 これを見る中小企業の経営者の方というのは、見るときは、仕事終わりで疲れていらっしゃるんですね。しかも、そのほとんどが文字情報です。例えば、いろいろなチラシを一分ぐらいのショート動画にして、それで、疲れていても御覧になっていただいて、興味があったら更に深く追求していただくような、別次元への圧倒的なクオリティーのアップをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 いつも御指摘いただきまして、岡本委員には敬服をいたします。わくわくするかどうか分かりませんが、総理だったら多分わくわくすると思いますけれども。

 今の中小企業のホームページの件は、本当に、臨時国会からも御指摘をいただいたり、様々な形でこれまでも御指導いただいてまいりました。今日も、こういう閲覧リンクの一覧からすぐ出るんだけれども、正直言って、現場からは大変まだまだ遠い存在にあるんだと思います。

 いろいろと事前にちょっとレクを受けて、新しく今度、公開動画を短めのやつですけれども作りますということで、ホームページをいじろうと思っていますので、ちょっと期待をしていただきながら、しっかりとこれからやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岡本(三)委員 期待しますので、よろしくお願いいたします。

 要は、こういう選択肢があるかどうかを分かった上で使わないのと、知らないのでその補助を使えないのは、全く別問題でありまして、税金を使ってやるからには、多くの皆様にその選択肢を是非お示しいただきたいと思います。

 今の足下の中小企業を支援するのと同時に、予算の目的は将来にわたって全世代の賃金を上げていくということですので、五年後、十年後、日本が何で稼いでいくかということに関しても、この予算の中で大きく措置をしていただいております。

 分かりやすいトピックでいえば半導体。これは産業、会社共々に支援をいたしますが、目的はたった一つの産業を支援することではなくて、例えば、熊本のTSMCに見られるように、地域の活性化につながり、雇用が湧き、賃金も湧いてくる。次のラピダスも、一つの企業を支援するのではなくて、それでサプライチェーンも強化をしながら、地域創生にかなうようなものです。

 けれども、実は半導体産業と比べても更に大きな産業が世界にはあり、その産業の中で日本が既に大きな地位を占めているものがあります。それがコンテンツ産業です。

 コンテンツ産業は、今、世界で市場規模約二百兆円です。既に、政府の支援もまだまだ不十分でも、輸出の売上げは五兆円です。昨年、政府に取り組んでいただき、これを、これから十年、これからあと八年ぐらいで四倍の二十兆円までということになりましたが。

 実は、漫画、アニメ、ゲーム、日本のコンテンツというのは、ポケモン、ハローキティ、アンパンマン、マリオ、ガンダム、私でもどんどんどんどん出てくるんですね。昔は、外国の方は日本を好きになるきっかけが、例えばソニーのウォークマンであったりトヨタの車でした。けれども、今、世界中の若い方は、日本のコンテンツに接することによって日本が大好きになっていっていただける、その流れができているところであります。

 政府の取組は評価いたしますけれども、私は余りにも縦割りなんじゃないかなというふうに思っているんですね。例えば、一番支援しなければいけないのはクリエーターの方々です。やっていただいています。けれども、文科省と文化庁でやっていらっしゃるんですね。産業を後押しするには経産省が必要です。世界に売っていくには更に外務省も必要になってきます。海賊版を取り締まる、様々なところを横串に刺すとおっしゃっていますけれども、実際にはまだまだ不十分で、このポテンシャルを十分に発揮できていないところを危惧をしています。

 そこで、二つ要望したいことがあるんですが、一つは、昨年の補正とこの本予算で、これから二十兆円取っていこうとしているのに、政府の予算は約百億円です。今後更に必要な予算を必要なところにつけていく、その大きな拡大を、今回の第一歩として、十五か月予算で百億円だということで、拡大をしていただきたいのが一つ目。

 もう一つは、これは文化庁だとか、これは経産省だとか外務省とかではなくて、チーム・ジャパンで取り組んで、クリエーターを育成し、日本の海外輸出の最大の産業になるような支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 コンテンツの関係で励ましの質問をいただきまして、ありがとうございます。

 まさに二〇二二年に五兆円でありますが、二〇三三年に今の先生おっしゃられた海外売上げ二十兆円を目標としているところであります。予算的な規模は今おっしゃっていただきましたけれども。

 先日、サウジアラビアへ行きまして、何とeスポーツ担当の大臣、これは王子様のお一人でいらっしゃいますけれども、お会いさせていただいて、まさにeスポーツ、これはオリンピックとも、協会とも連携をしながら世界的に今目指そうということで、今先生おっしゃられたように、日本のコンテンツというものの世界に対する影響をとうとうと私にも教えていただきました。

 しっかりと連携をしながら、世界へ向けて各省連携でしっかりと支援を行うことが大変大事だと思っています。

 私ども経済産業省は、海外市場の獲得に資する翻訳や広報支援、そしてコンテンツ分野のスタートアップに対する支援、海賊版対策のために九十五億円を措置したところであります。

 御指摘のように、両省庁、様々な連携をしながら、クリエイター支援基金に統合するなど、一貫的に強力的な支援体制を整備することとしております。文化庁さんとも連携を取りながら、しっかり頑張らせていただきます。

岡本(三)委員 是非、文科大臣もお願いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えします。ありがとうございます。

 本当にコンテンツ産業、大変大きい中にありまして、私どもチーム・ジャパンで、しっかりと予算を、これ以上にまた次の年も確保したいというふうに思っておりまして、特にコンテンツ産業は今、半導体や鉄鋼に並ぶぐらいの大きな産業になろうとしているところでございまして、特にコンテンツの源泉である若手クリエーター、ここの育成、クリエーターが安心して創作活動が営めるように継続して支援をしていきながら、若手の育成支援、また海賊版対策、これをしていかないと大変厳しいところでございますので、令和六年度の補正予算におきましてはクリエイター支援基金として九十五億円を措置しました。

 また、本当に文化庁と経済産業省、双方が強みを生かしていきながら、クリエーターの発掘と育成と海外展開、一貫して頑張ってまいりますので、これからもよろしくお願いします。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 クリエーターの賃金、是非上げていただきたいですよね。結局、マネタイズすることがうまくできれば、そこで働いていらっしゃる方々の金銭的な恩恵につながりますので、是非お願いいたします。

 ちなみに、今日、インバウンドがここまで大きく拡大をした大きな転換点は、インバウンドの方々が最終の観光の目的地とされているような例えば神社仏閣、ここを管理監督しているのは文化庁だったんですね。けれども、戦略全部を考えていたのは観光庁でした。これは一緒に動かないので有機的に地方への誘客ができなかったときに、文化庁と観光庁がアライアンスを結んだんですね、一緒にやっていきましょうと。あのアライアンスから大きく物事の進め方が変わってきたように思っていますので、先ほど申し上げたように、チーム・ジャパンで是非取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、いよいよ始まりました、賃金アップの流れを確実にする春闘の現状、そして、これからそれを後押しする政治の取組についてお伺いをしたいと思うんですけれども。

 春闘の中でも、とりわけ中小企業の皆さんに対して、まず、財政的な支援もしながら賃金を上げていただくような仕組みも予算の中に多く組んでいただいています。一方で、最低賃金の議論も大きく加速させなければいけません。これまで政府を中心に政労使会議を行っていただきまして、爆発的に、そして継続的に賃金が上昇していくような流れはつくっていただいているというふうに思っています。

 私、特に今年が大切だなというふうに思っているのは、物価がここまで高い中でも、継続的な賃金の上昇が確実に今後も続くことを働く方々が実感できれば消費性向が高まってくる、非常に大切なその分岐点に差しかかっているのが今年だというふうに思っているんですね。

 最低賃金、政府としては、二〇三〇年までに全国平均千五百円台まで上げていただくというような目標を設定いただきました。

 私、最低賃金が大切だと思っている理由は、もちろん最低賃金ですから、最も時給の安い方々の生活水準を上げていくことが一義的には目的なんですけれども、最低賃金が上がりますと、中間所得の中でも低所得の方々の賃金が背中を押されまして上がっていきます。だって、最低賃金が上がっているので、月給十五万の人は二十万、二十万の人は二十五万円にならなければ、会社の中の賃金構成が成り立たないんですね。ですから、分厚い中間層を更に分厚くしていくための大切な政策手段として、経済手段の一つが最低賃金、もちろん、その人の生存権を守るための最低賃金でありますけれども、様々な意味合いが出てきたというふうに思っています。

 その中で、最低賃金や春闘の賃上げを、今後流れを決める一発目の大きな発表というのが、二月の半ばに予定されています国交省の設計労務単価です。これは公的賃金なんですね。資材は上がっています。ただ、働く方々の賃金が資材に対しても非常に大きな割合で上がっているのに、なかなか労務単価までは上がらないという民間の現実があります。

 設計労務単価が上がると何が起こるかというと、国土交通省が国民の命を守るための公共事業だけではなくて、民間の建築等の労務単価も上がっていきます。建設産業で働いていらっしゃる方々の人数は限りがありますから、あるところでしっかりとした賃金を受け取れるのであれば、ほかのところも賃上げしないとやっていけないからなんですね。

 これをどの程度、今年の設計労務単価を上げるかというのは非常に重要で、これだけ災害も頻発していますから、私は、国民の命を守ることで大切なことは、そういう予算をつくることだけではなくて、どんなにお金があってもその事業を請けてくださる事業者の方がいなかったら、防災、減災はできないんですね。

 ですから、十二年連続で上げていただいておりまして、昨年も五・九%上げていただきましたが、今回の設計労務単価が今後の大きな賃上げの流れを位置づけていく、道づけていくというような、そういう決意の下、今年はどういうふうな見通しを持っていらっしゃるか、そして、その上昇の意気込みを中野国交大臣にお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 公共工事の設計労務単価につきまして御質問いただきました。

 委員御指摘のとおり、建設業は我が国の持続的な経済成長、そしてまた防災・減災、国土強靱化の基盤づくりを担っているということで、処遇の改善による担い手の確保というのは今喫緊の課題でございます。

 御指摘のとおり、現場の技能者の賃上げに向けては、公共工事の設計労務単価の果たす役割というのは極めて重要であります。この段階でまだ、幾らということはなかなか申し上げにくいんですけれども、最新の賃金の上昇の情勢等を十分に踏まえまして、適切な労務単価の設定を図ってまいりたいというふうに考えております。

 あわせまして、今、改正建設業法に基づきまして、適正な労務費の確保とともに、これをやはり現場にしっかり行き渡らせるというところを図っていくとともに、御指摘の資材が今高騰しておりますので、転嫁対策も強化をいたしまして、労務費にしわ寄せがいかないように防止も図ってまいりたいというふうに考えております。

 こうした政策を着実に実施することによりまして、賃上げの実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

岡本(三)委員 次に、江藤農水大臣にお伺いしたいと思います。

 米の値段がめちゃくちゃ高いです。東京でいいますと、昨年の一月は五キロ二千四百四十円、コシヒカリだったんですが、今年の一月は四千百八十五円、七〇%以上アップしています。昨年は豊作だったんですね。にもかかわらず価格は高騰。やはり、流通のどこかで買占めや売惜しみが起きているのではないかというふうなことも懸念されます。これはある意味、投機的な動きだというふうに私は理解をしています。

 この予算委員会の中でも議論をいただいておりますけれども、先週の金曜日、一月三十一日に、農水省の食糧部会有識者会議で基本指針の見直しを決定をいただきました。備蓄米の運用に関しまして、これまでは著しい不作のときのみ活用されていたんですが、今後は円滑な流通に支障が生じる場合にも活用を認めるということを御決定をいただきました。高く評価をいたします。

 昨年の十月まで我が党の参議院議員の高橋光男さんが農水省で政務官を務めておられました。このときに、流通問題が滞ったときのために備蓄米をどういうふうに活用するかということを農水省の中でも様々議論をしています。提案もしています。

 そして、その後に、昨年の十二月十九日に、参議院の農水委員会で江藤大臣にこのように提案をしています。

 米の需給逼迫のとき、備蓄米の活用を是非お願いいたします。貸し出したり又は売り出した後に、一定期間後、買い戻すようなことで、生産者の方への影響もしっかりと考えた上で、流通を滞らせることなく、消費者の方々の米の価格に対しても十分な配慮をするような仕組みを議論していただきたいんだけれども、一月の有識者会議でこのことを是非取り上げて結果を出してくださいと御提案をされました。

 その答弁として、江藤大臣は、しっかり省内でも検討させていただいて、いずれ結論を出したいと思いますという答弁をされていらっしゃいます。

 その結果を受けて、先週の金曜日、このような運用指針、基本方針の変更をつくっていただいたことは高く評価をいたしますけれども、その上で、三つお願いしたいことがあるんですね。

 一つは、別に売り切らなくても、この新たな運用指針、基本方針の変更をある意味抑止力として、投機的な動きができないような、その流れをつくっていただきたいというのが一つ目です。

 二つ目は、買い戻すときにはやはり価格が上がります。売った量と同じだけ一年以内に買い戻すわけですから、買い戻すときの価格にも細心の注意を払いながらオペレーション、取引をお願いしたいというのが二つ目です。

 三つ目では、今回は価格が上がっても生産者の方はほとんど、売った後の流通段階の目詰まりが大きかったように私は聞いておりますので、価格が上がっても生産者の方の所得には余りつながっていないという理解なんですが。けれども、余り安過ぎるのも、消費者はいいけれども生産者の方は困ってしまいます。

 ですから、双方がしっかりと、新たな仕組みの中でしっかりとした所得を確保し、そして購入の米の価格についても、安定的な米の価格を実現できるような運用のオペレーションをやっていただきたいと思いますけれども、江藤農水大臣の答弁を求めます。

江藤国務大臣 昨年、高橋議員、元政務官から御質問いただきました。あのときは非常にまだ悩んでおりました、正直なところ。生産者の方々は米の値段が上がっていることを大変喜んでいます。これまで苦労してきたけれどもやっと報われたという声もたくさん聞きました。そういうのを聞いて、備蓄米を出して、今、三番目におっしゃったように、下の方のベクトルが利き過ぎたときにはどう責任を取れるんだろうとすごく悩みました。

 しかし、今年、十八万トンも多い六百七十九万トンの米が出てきて、それでも上がるということであれば、議員がおっしゃるように、投機的なものであってマネーゲームであるということは明らかだと思います。

 ですから、これは、買戻しについても、一年と食糧部会の方からは答申をいただきましたが、ここも若干慎重に考えた方がいいかなと個人的には考えております。

 それから、売り切ろうとしなくてもというのも、今のところは仕組みをつくったわけでありますが、ただ、申し上げておきたいのは、十七万トン少ないというふうに、集荷業者が少ないと申し上げておりましたけれども、二十一万トンになったんですよ。十一月末、十七万トンだったのが、今二十一万トンの減ですから、このままでは間違いなくスーパーの店頭からまた米がないという状況が起こりますので、これから先いつでも出せるように、ちょっと準備は急がせようと思っております。

岡本(三)委員 是非、適切な運用をお願いしたいと思います。

 もう一問、農水大臣にお伺いをしたいことがありますけれども、今年も花粉症の季節がやってまいりました。この議場内にも花粉症の方が多くいらっしゃると思いますが、私はまだ、たまにちょこっと来るんですけれども、家族はやはり大変な状況になっておりまして、もう日本最大の社会問題と言っても過言ではないと思います。

 加えまして、経済的なロスも非常に大きくて、空気清浄機を販売しているパナソニックが、どれぐらい経済的なロスが花粉症から起こっているかという試算を出していまして、一日二千三百四十億円、一か月間で七兆円の経済ロス。それは、いろいろなことがあります。一人一人のやはり生産性が下がっていくことによって、職場での自分自身のパフォーマンスが下がっていく。また、やはり遠出したくなくなる。買物に行くのも近くで済ませるようなことが多いということで、パナソニックさんは清浄機を販売していらっしゃいますので、ちょっと。適切な分析をされていると思いますけれども。やはり、民間の金融機関のエコノミストであっても大変大きな経済的な損失もあるというふうに思って、何よりもその花粉症の方々の状況をどう改善していくかというのは、もう国の責任だというふうに思うんですね。

 実は、国ももう取り組んでいただいています。二年にわたって取り組んでいただいておりますが、国民の方のほとんどはその国の取組を御存じないので、ちょっと確認させていただきながらアピールさせていただきたいんですけれども。

 圧倒的に杉花粉が多いので、花粉を飛ばさないような杉にどんどん植え替えていただいています。ただ、余りにも急速にやっていきますと、新しい苗木も足らなくなりますし、又は水害のときの山崩れ等も心配になっていきますので、安定的に。また、雄しべに対してある天然由来の菌をまくと、その雄しべが花粉を飛ばさなくなるというふうなことも今実験をやっていただいていて、今の予想ですと、十年後には花粉の飛散量は二割減、三十年後には五割減。

 医学者の方々に伺うと、花粉症ってある一定水準を超えると発症するので、花粉がゼロにならなくても、ある一定以上の飛散量になると花粉症の発症の率は物すごく下がっていくという研究結果があるそうで、もしかしたら、二割花粉が飛ぶ量が減ると、花粉症の方は五割以上減る可能性だってあります。

 今の政府の取組、そして目指すところ、是非、国民の皆様にアピールをいただければと思います。

江藤国務大臣 大分御通告と違うので戸惑っておりますが。

 岸田政権のときに、しっかりやろうということで政策が始まりました。非常にいいことだと思います。私は幸いないんですけれども。

 私が議員に通ったときには、木材の自給率は一八・八%しかありませんでした。今は四三%まで上がってきておりますけれども、しかし、材価がそれに伴って上がっているかというと、上がっていないわけであります。

 やはり、山での所得が上がらないと、山で働く人も生まれてこない。緑の雇用とか、高性能林業機械とか、様々導入はしておりますけれども、山でしっかり生きていこう、そこで暮らしていこうという人たちを育てていくことがやはり大事だろうと思っております。

 苗木については、一生懸命作っています。ただ、難しいんですよ。私の地元でも花粉の飛散が少ない苗木を作る努力をしている人がいます。だけれども、かなり失敗しています。うまくいかない人が多いです。ですから、技術指導も必要だと思います。

 そして、治山のお話もされました。山の保水力が下がると水害が必ず出ます。無計画に山を切ることは治山という観点からは非常にまずいことでありますので、間伐をしながら、特に高齢の杉、これは花粉を多く飛ばすので、高齢の杉から積極的に切っていきたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 大臣、ありがとうございます。

 特に、国産材を国内でより活用していくような道筋にもつながっていきますので、是非、農水省を挙げて御尽力いただきたいと思います。

 最後に、外交のことについて総理にお伺いをいたします。

 今週、トランプ大統領と首脳会談を行われるという報道に接しました。

 私は、総理とトランプ大統領はケミストリーが合う、ウマが合う可能性、あるんじゃないかなと思っているんですね。私は、トランプ大統領は比較的周りの人がどういうふうに反応しても自分が思っていることをばんばん言う方に信頼を置いていらっしゃるような気がしておりまして、総理が元々政治家としてずっとやっていらっしゃった私はこの道を信じているというスタンスの中で、是非、信頼関係を築いていただきたいと思うんですけれども。

 その上で、私は、今年、日本外交を前進させる大きなチャンスではないかと思っています。例えば、いい悪いは別にして、トランプ政権の誕生で戦々恐々としている国、例えばカナダ、メキシコ、ヨーロッパ、世界中にあります。この方々は、やはり自由経済、自由貿易のトップリーダーの一人である日本を中心として、今後、五年後、十年後の世界の経済や貿易や産業のルールを作っていきたいと思っていらっしゃるんですね。

 今こそ日本が、例えば、TPPの枠、これは世界最高水準で経済の集合体をつくっていこうとしています。ここに、イギリス等に加えて更に多くの国に参加していただいて、世界水準の日本水準のスタンダードを世界に広めていったり、またRCEPを更に強化していくようなことも含めて、他国、とりわけアメリカ以外の国との外交を大きく前に進めるということを、是非、総理に御尽力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは御指摘のとおりで、相性が合うかどうか知りません、会ってみなきゃ分からないので。ただ、トランプ大統領って意外と人の意見をよく聞くというのは聞いております。安倍さんとの会合においても、七割、八割は安倍さんの話を聞いていたというんですね。ひょっとしたらケミストリーが合うかもしれない、やってみなきゃ分かりませんが。よく努力をしたいと思います。

 CPTPP、例えて言えばこれなのでございますけれども、これは新たな共通ルール、これを世界に広めていく意義というのを持っておるわけでございます。その観点から、新規加入、協定の一般的な見直しなどなど、いろいろな提案が我が国にもできるだろうと思っております。

 アメリカとの間において、それは関税を上げないでくださいねとかいろいろなことはもちろん我が国としてございますが、それだけよければいいんじゃなくて、世界の貿易ルールというものを我が国が作る努力をしていく。ASEAN始め、いろいろな国とのそういう関係を深めていく。それが合衆国とのいろいろなこれから先の関係を強化することにもつながるわけであって、トランプ大統領との間で、二国間だけにとどまるような、そういうような話合いに終わらせるつもりはございません。

岡本(三)委員 例えば、カナダからの輸入品に関してアメリカは二五%の関税ということで、今度、トルドー首相の後に首相になる可能性が高いと言われているマーク・カーニー氏は、私、前職、同じ会社で働いておりまして、彼は日本支店でも働いていまして、日本が大好きです。しかも、様々なエネルギー政策でも日本と更に強化をしていきたいと思いますので、いろいろな国と是非外交を進めていただきたいと思います。

 最後に、外交に関しまして、先日の代表質問で、我が党の斉藤代表が総理に対してパレスチナのガザ地区支援に対する質問をさせていただきました。

 今回、一時的な停戦、これからの恒久停戦につなげていきたいというふうに思っていますけれども、イスラエルに対してはトランプ政権はかなりインパクトを持った行動を取られて、大きな、背中を押すことになったと思いますが。

 この斉藤代表の質問に対して総理は、喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧復興支援に積極的な役割を果たす決意を述べられました。

 確かに、瓦れきの山しかありませんので、まずは建設、復旧だというふうに思うんですけれども、私、二〇一五年にパレスチナ・ガザ地区を訪問いたしました。その中で、どういうものが必要かということを、破壊される前のところを見てまいりました。やはり、リーダーが必要なんですね。どういうふうにパレスチナの自治を、そしてガザの産業を進めていくかというリーダーを育成していくのがすごく大切だと思っています。

 ガザに行く過程、その道すがら、シリア人難民の最大キャンプ、ヨルダンのザワタリ・キャンプを訪問しました。そこでの経験を基に、当時の安倍総理にあることを提案しました。それは、シリア人難民を日本に大学院生として迎え入れて、日本で教育を受け、いずれシリアが大きく発展していくためのトップリーダーとして、日本が支援をして、いずれは知日派として、日本とシリアの関係向上のためのそういう人材育成に貢献しましょうということを申し上げて、二〇一七年にこのプログラムが始まって、昨年まで八十二人のシリア人難民の留学生を迎え入れて、大学院でマスターを取って、いずれシリアのトップリーダーになっていきます。

 私は、パレスチナにも同様のプログラムを中長期的に、是非総理に実現をしていただきたいんですね。日本に来ていただき、日本の中で教育を受けていただき、そして日本を大好きになっていただき、いずれガザに帰ったときには、ガザのリーダーとして、パレスチナのリーダーとしてその地域を発展させ、そして日本、パレスチナ関係をよりよくするということの中で、世界中に日本の味方をつくっていく、そういう中長期的な支援を是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 ありがとうございます。

 斉藤代表の質問で、ガザで病気あるいはけがをなさった方々、何とか日本に受け入れられないかということで今鋭意努力をいたしておるところでございます、メディカルエバキュエーションですね。

 それと、今、岡本委員が御提案になりましたところの、シリアをモデルにした、それと同じような事業がこのガザの方々にもできないかということ。これは、政府といたしまして、委員の御提案を踏まえて、実現に向けて努力をしてまいりたいと思っております。

 そのときに、どこの大学が受け入れてくれるかということも極めて大事でございまして、たしかシリアのときには足利大学とか創価大学、あるいは関西学院大学、慶応義塾大学、そういうような大学が受け入れてまいりました。受入れの体制ということも含めまして、シリアの例をよく参考にしながら、実現に向けて努力をいたしてまいります。

 御指摘ありがとうございました。

岡本(三)委員 政府の予算によって、そして施策によって、本当によい一年になったと年末に国民の皆さんが言っていただけるような予算の執行をお願いして、岡本の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、中川宏昌君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。

 私からは、能登半島地震、また豪雨災害からの復興、そして防災、減災を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、防災、減災の観点から、埼玉県八潮市で発生をいたしました道路の陥没事故について関連し、二問お伺いをさせていただきます。

 トラックの運転手の捜索が全力で行われております。まずは、一刻も早い人命救助とともに、埼玉県内の広範囲にわたりまして市民生活に影響が及んでおりまして、対応が急がれます。

 東京都足立区では、我が党の都議会議員が、八潮市にお住まいの方からお風呂に入れずに困っているという御相談を受けまして、すぐに区に要請をし、自粛対象の自治体の住民に足立区内の銭湯二十三か所を無料で開放するようにしました。

 公明党といたしましても、地方議員が市民生活に影響が出ないように各方面で御協力をさせていただいているところでございますが、付近の住民を含めまして不安が大変広がっており、政府としても全力でこれは対応に当たっていただきたい、このように思っているところでございます。

 まず、陥没事故の現在の政府の取組状況と、今後どう対応されていくのかお伺いをするとともに、また、今回の事故を受けまして、国交省として全国で緊急点検を行うとしております。我が国全体の下水道管の総延長は約四十九万キロで、耐用年数の五十年を超えているのは七%ですが、今回の陥没場所の下水道管は五十年未満でありました。能登半島地震でも上下水道に大きなダメージがあった中、上下水道の耐震化を含めて、これはしっかりとした対策が必要であります。

 上下水道の運営、維持管理や全国の上下水道を含むインフラの老朽化対策は、地方公共団体にとっても喫緊かつ大きな課題となっておりまして、今後策定される防災・減災、国土強靱化の中期計画が非常に重要になってくると思っております。そこで、加速化五年の後の中期計画の重要性について、以上二点につきまして中野国交大臣にお伺いをさせていただきます。

中野国務大臣 二点御質問いただきましたので、二つとも私の方から回答させていただきます。

 まず、一月二十八日、埼玉県八潮市で発生をした下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没事故への対応でございます。

 二月一日に救助作業のためのスロープの設置が完了するなど、懸命にドライバーの救助活動が進められているところでございます。現場で御尽力いただいている皆様、また、先ほど御指摘のあったような、様々御協力いただいている皆様に改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 国土交通省では、事故発生当日から埼玉県庁にリエゾンを派遣をするとともに、汚水の緊急放流、これは上流の方で今やっておりますので、このため排水ポンプ車を派遣するなど、救助活動に対して、今、最大限の協力を行っております。

 また、復旧に向けまして、この救助が完了次第すぐに応急復旧作業に着手できるように、今、国土交通省からも現地に専門家を派遣したほか、具体的な復旧工事の進め方について検討するべく、埼玉県が開催をいたしました復旧工法検討に関する有識者委員会にも参加するなど、関係機関と連携して検討準備を進めております。

 人命救助に全力で協力をするとともに、一日も早く地域の皆様が通常の生活に戻られるよう、埼玉県など地元の自治体等ともしっかりと連携をして、速やかな復旧に向けて最大限取り組んでまいります。

 あわせて、御指摘の、このような事態を再び起こさないように、事故の翌日に、全国の下水道管理者に対しまして同様の箇所の緊急点検を二月の七日までに実施するようにということで要請したところでございます。事故原因の調査結果なども踏まえまして、こうした事故が起こったことを重く受け止めまして、しっかりと今後の必要な対応を検討、実施をしてまいりたいと思っております。

 そして、あわせて、国土強靱化実施中期計画についても御質問がございました。

 御指摘のとおり、上水道、下水道の老朽化が進展をしているという中で、能登半島地震でも上下水道施設は甚大な被害も生じました。そして、今回、埼玉県八潮市での道路陥没事故の被害も踏まえまして、これは中長期的かつ明確な見通しの下、強靱で持続可能な上下水道システムの構築に向けた取組を着実に進めないといけないと思っております。

 国土強靱化実施中期計画は、非常に重要だと認識をしております。現在、同計画の策定に向けました検討を政府全体で今進めているところでございますが、上下水道の強靱化に必要な対策がしっかりと盛り込まれるように検討してまいりたい、このように考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 まずは、八潮市の事故につきましては、引き続き国の全面的な御協力をお願いしたいと思っております。

 それから、下水管の耐用年数、これを考慮しますと、陥没事故は今後全国で発生する可能性は極めて高いと思っております。そういう意味では、大規模な点検、また対策をしっかり位置づけていただくように併せてお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、能登半島地震、豪雨災害からの復興についてお伺いをさせていただきます。

 能登半島地震の復興が何でこんなに遅いんだと多くの国民の皆様が思っております。私自身も、本当に悔しくてしようがない、こういう思いでおります。私はこれまで四十回現地に行かせていただきまして、公明党の復興加速化本部としても、担当の国会議員が何度も現地に行く中で、私どもは毎回被災者の皆様から怒られております。

 今、被災者の皆様の一番の願いは、復興のスピードを加速して、先が見えるようにしてもらいたいということであります。急峻な地形の中の復旧復興は想像以上に時間がかかっております。だからこそ、大事なことは、政府としていつまでに復興を成し遂げるのかという、この強い決意であります。それが被災者の安心につながります。

 石破総理の決意をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 石川県が被災住民の皆様のお声を踏まえて作成した石川県創造的復興プランというのがございますが、そこにおきまして、応急復旧は令和七年度まで、本復旧は令和十年度まで、震災前以上のよりよい状態への復興は令和十四年度までというふうに、石川県の方からそういうようなプランが提示されておるところでございます。

 これは、必ずこの期間内にできるように、政府としても先般も馳知事とお話をしたところでありますが、これは必ずやるということでございますが、この後、委員からまた御指摘があろうかと思いますけれども、もっと早くならないのかということはよく認識をしながら、というのは、どんどん高齢化も進みますし、その地域そのものがなくなりかけているという問題意識を持っておりますので、それを更に加速するべく何ができるかということを、御指摘も踏まえながら努力をいたしてまいります。

中川(宏)委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 災害公営住宅についてお伺いをします。

 先日も、被災地を訪れましたときに、御高齢の方から、住み慣れた場所に戻りたい、でも、きっと五年では帰れないだろうな、こういうため息混じりの切実な声をお伺いしてまいりました。被災された方の多くは、地元に戻りたい、このように希望をしているところであります。

 今後、現地では災害公営住宅が着工されていきますけれども、半島は急峻な地形の中で平地が極めて少ない。公有地だけでは災害公営住宅を建てるには限界があります。

 一方、別の視点で見ますと、御高齢者の方からしますと、自宅を公費解体した後に家を建てようと思っても、皆さん一様に、それはできない、こういうふうに言っております。私もそのとおりだと思っております。

 そこで、災害公営住宅建設におきまして、地理的状況、また高齢化を鑑みまして、被災者の住み続けたい、こういう思いに応えまして、公費解体後の私有地を災害公営住宅建設に最大限活用していただきたいと要望させていただきたいと思います。

 例えば、公費解体後の私有地に戸建ての災害公営住宅を建てるですとか、隣接する私有地を一まとめにして活用するなど、是非知恵を絞っていただきたいと思います。

 災害は、起きた場所により、形は全く変わってまいります。ですから、復興への対策も違って当然であると思っております。被災地に対応した柔軟な災害公営住宅の建設を求めますが、国交大臣の見解をお伺いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 能登半島地震に係る災害公営住宅、各自治体による意向調査等が今進められていると聞いておりまして、昨年末の時点では、十市町において約三千戸が必要だということも伺っております。

 この災害公営住宅につきまして、私も着任してすぐ現場の能登半島にも行かせていただきましたけれども、やはり民有地の活用も含めて円滑な整備を進めていくために、まず、支援の枠組みといたしましては、例えば、民有の農地等を災害公営住宅の敷地とする場合の整備費用も補助対象に含めるとともに、民有地を取得した場合は家賃低廉化の補助期間の延長を行うなど、こうした枠組みを整えまして、令和六年度の補正予算で当面必要な予算を確保したところでございます。

 委員の御指摘の、公費解体後の私有地も活用してというところでありますが、今後、災害公営住宅を整備をする際には、やはり入居者の利便あるいはその後の管理のしやすさなども考慮し、なるべくまとまった土地を確保できるように、公費解体後の民有地の活用も含めて、用地の確保を積極的に進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、引き続き、各自治体の、御地元の御意向をしっかり丁寧に伺いながら、災害公営住宅の整備を円滑に進められるように支援に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 是非、被災者の住み続けたい、こういう思いに応えるよう、柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 仮設住宅についてもお伺いをさせていただきます。

 発災前に賃貸住宅等に入居されていた方の仮設住宅への入居期間は原則として一年とされておりますが、次の住まいの確保の状況によっては、二年間の入居が可能であるとされております。しかしながら、このことが被災された方には十分には伝わっておりません。先日も、被災地に伺ったところ、賃貸にいたからどこかに住んでくださいと言われても、半島自体が被害を受けていて住むところなんてないですよ、こういうふうにお叱りを受けました。

 被災者に安心していただくために、入居期間については、防災担当大臣から正しいメッセージを丁寧に発信していただきたいと思います。

 また、災害公営住宅においても、発災から二年以内に完成しない場合は、仮設住宅への入居期間を延長する必要性が出てまいります。そういった場合には延長について柔軟に対応していただきたいと思いますが、坂井防災担当大臣の見解をお伺いさせていただきます。

坂井国務大臣 この点でございますが、石川県の要綱によりますと、被災前、元の住家が借家又は公営住宅である被災者の仮設住宅への入居期間は御指摘のとおり一年以内とされておりますが、今説明がありましたように、代わりとなる適当な物件がない等の場合には、石川県と担当の市町の協議、同意によって、更に一年の範囲内で入居期間の延長が可能であると承知しております。被災者が無用な不安を感じることがないよう、石川県には被災者に対し引き続き丁寧な説明に努めるよう、国としても改めて要請することとしたいと思います。

 また、後半でありますけれども、仮設住宅は応急的な建築物であるため、原則として完成から二年を供与期間としておりますが、過去の災害におきましても、例えば東日本大震災や熊本地震等の際には、道路復旧や災害公営住宅の整備の進捗状況などを踏まえ、随時、地元の自治体と国と相談をしながら期間を延長し、最後のお一人まで生活再建を支援をしてまいりました。

 実際に、先日、私も能登にお伺いしたときに、半島の六市町のある首長さんから、令和五年の自然災害における仮設住宅の供与期間の延長について御相談をいただきましたけれども、被災された方々の生活再建の状況に応じて、期間の延長が必要であれば、国として柔軟に対応してまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 被災自治体は、職員の皆さんの数も少なくて、丁寧に説明しようと思ってもなかなかできない。それを政府がどうやってフォローしていくかということ、これが非常に大事だと思っております。

 今御答弁いただきましたけれども、被災者目線に立ちまして、被災された方が少しでも安心できるメッセージを政府からも是非発信していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 次に、液状化対策について伺います。

 液状化により、住んでいる家がどうにもならないという方がたくさんいらっしゃいます。液状化した地域では、再建に向けての第一歩が地籍再調査でありますが、法務省からは、復元が前提と言っているんだよ、このように被災者は言われております。大変な地域では、三メートル以上も動いている、こういうところもございます。被災された方からは、地べたの境界線が思いっ切りずれていて、どう復元できるんですか、復元なんか無理でしょう、このように私どもも再三怒られてまいりました。

 今回、災害対策基本法等の一部を改正しまして、地盤の液状化について初めて明記される予定でありますが、大事なことは、実態に対して具体的に対応する実効性だと思っております。是非、被災者の立場に立って、国が全面的に協力をし、知恵を出してもらいたい。

 この解決策について、国交大臣の答弁を求めます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 今回、非常に液状化をした地域もございます。私も、現地も行かせていただきまして、まさに大きく、道路ごと大きくずれるような大変に厳しい状況であるということも、現地も見させていただきました。

 委員御指摘のとおり、不動産の登記の制度、土地の境界の問題がございます。液状化を含む、局部的な地表面が移動しても、土地の境界そのものは移動しないものとして解されているというのは、先ほど、法務省からそういう御指摘があったということがあったと思います。他方で、土地の境界と実際の現況のずれが大きい場合は、やはり現況と照らして、所有者同士が合意をできる土地の境界というのを改めて確定をさせる必要があるというふうに考えております。

 現在、国土交通省では、液状化による被害を受けた自治体に対しまして、土地の境界の確定に関する専門家、土地家屋調査士等、様々専門家の方を派遣をし、そして、地籍再調査、これによって現況とのずれの把握をするという進め方であるとか、あるいは、今後の土地境界の確定の手法について、こういう助言等を行っているところでございます。

 今後、やはり、地籍の再調査を実施をする際には、国土交通省からも補助金が活用可能でありますので、これはしっかりと支援をしてまいりますし、また、現況とのずれの状況が把握された場合には、土地区画整理事業の活用等により土地境界の確定をするということも可能でございますので、こうした土地境界の確定に向けた支援を行うなど、引き続き、液状化の被災地の早期の復旧復興に向けてしっかりと支援を行ってまいりたい、このように考えております。

中川(宏)委員 次に、和倉温泉、輪島の朝市などの復興支援についてお伺いをします。

 能登半島は観光資源が地域経済を支える柱でありまして、中でも、和倉温泉と輪島の朝市は、能登地域の経済を牽引し、大きな経済効果をこれまでも与えてまいりました。

 甚大な被害が出ている中で、私は赤羽一嘉衆議院議員と何度も和倉温泉に伺い、和倉温泉を創造的に復興していくんだとの熱い思いを持った関係者、また若手経営者の皆様方と何回も意見交換をさせていただきました。

 和倉温泉の復興の一丁目一番地でありました、所有者が混在していた護岸につきましては、我が党も再三にわたり関係省庁に要望させていただき、各旅館が所有する護岸を公有化して一体的に復旧する道筋ができましたが、宿泊施設は壊滅的な被害で、営業を行っている宿泊施設はほんの一握りで、宿泊施設の公費解体は進んでおりません。

 また、この間の雇用の維持など、復活には相当の年数を要し、課題も多々あります。和倉温泉、輪島の朝市などの復興は、能登地域の雇用を守り、能登の地域経済を立て直すための始まりでありまして、国を挙げて応援するべきだと思います。

 観光立国の重要拠点である和倉温泉、輪島朝市などの復興支援について、総理にお伺いをさせていただきます。

中野国務大臣 済みません、まず私の方から。

 能登半島は、地域経済を支える産業の一つに観光業がございます。今般の地震により、和倉温泉など多くの観光地で大変に甚大な被害を受けたと承知をしております。

 委員のおっしゃられた和倉温泉あるいは輪島の朝市、いずれも古くからの歴史と高い知名度を有しております。能登のまさに観光の拠点として大事な役割を持っているというふうに考えております。私も、いずれも現地も行かせていただいております。

 現在、被害を受けた宿泊施設におきましては、解体あるいは施設の復旧作業、これが進められていると承知をしております。特に、被災した和倉温泉の護岸につきましては、旅館を営む事業者の方が所有する民有護岸を公共帰属、公共の岸壁ということで帰属をさせた上で、国土交通省が一括して昨年十二月より鋭意工事を進めているところでありまして、令和八年度中を目途に可能な限り早期の完成を目指します。

 また、地域の経済を支える観光業の創造的復興を推進をする取組も必要であります。

 国土交通省では、観光地の復旧計画の策定、そして復旧後の誘客促進を図るためのコンテンツの造成等の支援に取り組むこととしておりまして、必要となる予算につきましては令和六年度補正予算に計上したところでございます。

 引き続き、被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、被災地の観光復興に向けた支援に全力で取り組んでまいります。

中川(宏)委員 次に、災害時に避難所として使用されております学校の体育館の空調設備についてお伺いします。

 公明党は一貫して、学校の教室、体育館への空調整備を粘り強く推進してまいりました。

 空調設置率ですが、昨年九月時点で、公立小中学校の普通教室では全国で九九・一%の設置率、一方で、学校体育館におきましては一八・九%にとどまっております。

 私は、この令和の時代に、避難所となるべき体育館に空調がないということは、これはあり得ないことだと思っております。

 昨年の臨時国会で、公明党の要望に対しまして石破総理は、学校体育館の空調整備のペースを二倍に加速する、このように言っていただきまして、補正予算で学校体育館の空調整備に係る臨時特例交付金が実現をいたしました。学校体育館の空調整備に限った画期的な交付金でありまして、これは感謝を申し上げたいと思います。

 この交付金は、公明党の地方議員からの要望を基に、断熱性などの補助要件の緩和もされているところであります。

 交付金の募集がされたわけでありますが、体育館の空調整備の工事というのは、夏休みや冬休み、こういった休みに集中をしまして、施工業者の確保が非常に難しいといった課題もありまして、申請が全国で三十都道府県にとどまっておりまして、一つの市町村からも申請がない県、これは十七県もあります。このように、検討中や申請に至っていない地方公共団体への好事例等の情報提供、また、今後、この申請がなされていないところの追加支援も必要と思います。文科大臣の見解をお伺いさせていただきます。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 本当に、空調の円滑な整備を進めるために、私ども、御指摘の施工業者の確保など、各自治体が抱える課題に丁寧に向き合って解消を図ることがまさに重要でございまして、文部科学省といたしましては、例えば、夏休みなどの長期の休業期間以外の期間における工事実施事例、また、経済性に配慮した効果的ないわゆる断熱、遮熱の対策の実施事例の周知に取り組ませていただいているところでございまして、御指摘のとおり、臨時特例交付金に関しましては、申請期限後も整備の検討を進めている自治体があるというふうに伺っているところでございまして、二月中旬に追加の募集を行う予定でございまして、引き続き、公立小中学校の体育館の空調の整備を加速するために、必要な取組をしっかりと進めてまいります。

 以上です。

中川(宏)委員 今、二月中旬に追加ということで、大変ありがとうございます。その上で、なかなか踏み切れていない自治体に、是非諦めることがないよう、全国の小中学校で体育館の中に空調設備が是非実施できますように、特段の御配慮をお願いしたいと思います。

 それから、空調設備が設置された後には、当然としてランニングコストがかかってまいります。体育館の空調整備の光熱費ですが、昨年、我が党の浮島智子衆議院議員がランニングコストの支援を訴えまして、総理の御決断で地方財政措置が実現をしました。

 このランニングコストの支援の対象でありますけれども、これから設置される空調だけではなく、既にこれまで設置をされている、こういった体育館も対象とすべきと考えます。この点につきまして、総務大臣の見解をお伺いさせていただきます。

村上国務大臣 お答え申し上げます。

 ふだんからこの問題に御尽力いただきまして、本当にありがとうございます。

 公立の小中学校の体育館への空調設備が進められていることを踏まえ、学校体育館の空調設備の光熱費について、令和七年度の地方財政計画に計上するとともに、令和七年度から地方交付税措置を講じることとしております。

 具体的には、普通交付税の基準財政需要額において、空調設備の設置状況に応じて算定することとしております。今回の交付金により設置されたものに限らず、既に空調設備を設置済みのものを対象に含め、適切に算定して反映していきたいと考えております。

 以上であります。

中川(宏)委員 前向きな答弁、大変ありがとうございました。感謝を申し上げたいと思います。

 次に、災害法制に福祉の視点ということにつきましてお伺いをさせていただきます。

 阪神・淡路大震災から三十年、東日本大震災から十四年がたちます。阪神・淡路大震災を契機に、公明党が粘り強く推進をし、避難所となる学校の耐震化を含めました建物やインフラの耐震化が進み、被災者の再建を後押しします被災者生活再建支援法ができました。

 また、今回、長年我が党が主張してまいりました、災害法制に福祉を明記する法改正が行われる予定でありますが、これは、ただ法律に明記するだけでは機能はしません。福祉を明記して、機能するための体制整備をどうつくっていくかということが極めて大事であります。

 このことを踏まえて、お伺いをします。

 まず、災害法制に福祉を明記し、それが実際、災害時に機能できるようにするためには、平時の福祉体制の強化が不可欠であります。しかし、実際の福祉の現場では人材確保にあえいでいる状況の中で、このままでは十分機能は発揮できないと判断をされます。

 平時の福祉制度に災害の視点を導入するとともに、平時から災害時を想定した人的体制の強化、これを図るべきではないかと思いますが、厚生労働大臣にお伺いをさせていただきます。

福岡国務大臣 御指摘のとおり、社会福祉施設などが防災力を高めていくということは、災害時における入所者への支援を継続することに加えて、福祉避難所となる施設である場合には、被災した要配慮者の方を受け入れる役割を担うため、地域を支える上で大変重要だというふうに考えております。

 内閣府の災害対応検討ワーキンググループが昨年十一月にまとめた報告書では、災害時に福祉避難所となる社会福祉施設等において、平時から補助金等を活用して必要な物品を購入し環境整備に努めるということ、また、今、人員不足、御指摘がありました、災害時の運営人員の不足に対応するため、平常時から他地域との応援協定の締結等の方策を検討すべきといった点が指摘されているものと承知をしております。

 災害発生時のときも高齢者の方や障害者の方々の要配慮者の支援を継続していくために、平時より、社会福祉施設等の耐震化等に向けた財政的支援を行うとともに、業務継続計画の策定について徹底されるよう、取り組んでいきたいと考えております。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、残余の質問はまたの機会に質問させていただきたいと思いますが、今回、災害法制に福祉の視点を導入するということで、私は、災害が起きたときに、人間の尊厳が守れる復旧復興、尊厳が守れる復旧復興、これをしていかなければならないと思っております。

 是非とも、そういった災害法制をしっかりとまとめていくとともに、石破総理も、防災庁の設置、これを目玉としているところでございますけれども、これからの日本の中に起きる災害において、皆さんの命が守れる、そういった対応を是非ともつくっていきたい。

 そして、私ども公明党といたしましても、防災、減災、全力でやっていきたい、このようにお誓いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて岡本君、中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 会派を代表いたしまして、来年度予算案について質問いたします。

 総理、昨年の予算委員会で私は、最近スーパーに行かれましたかとお尋ねいたしましたが、それを受けてか分かりませんが、年末に行かれていましたよね。スーパーに行かれて、どうお感じになりましたか。

石破内閣総理大臣 高いなと思いました。それは、私自身が行くと結構大騒ぎになりますので、なるべく控えてはおるのでございますけれども、私の配偶者が昨日もスーパーに行っておったようですが、あなた、高いわよという話をよく聞かされておるところでございます。

櫛渕委員 そうなんですよ。物すごい物価高、特に食料品が大変高いんです。余りに食料品が高くてみんな困っています。

 データで見ても明らかなんですね。このパネルは、昨年お示ししたパネルに最新情報を加えたものです。どれも相変わらず高いんですが、キャベツは二倍から三倍、白菜は一・五倍から約三倍、お米も上がっています。

 年が明け、つい先日発表された一月の消費者物価指数を見ても、一年前と比べて、食品は二四・二%、生鮮食品に限ると、何と四九・三%、約五〇%近くも上がっています。

 一方で、一年で給料が一・五倍上がった人なんてほとんどいないと思うんですよ。これじゃ暮らしていけない。賃金も年金も下がり続けています。本当に今、国民は物価高に苦しんでいて、生活が行き詰まっています。何とかしてくれ、せめて税金だけでも下げてくれ、街頭をやっていても、新年会へ行っても、多くの声をいただきます。

 実は、この声は一昨年前から続いている。JNN世論調査でも、望ましい経済対策はと聞かれて、断トツトップは消費税の減税、四一%でした。百三万円の壁を引き上げる、給与所得控除の拡大は一八%。倍以上の数字です。

 さらに、総理は先週、私の地元、両国国技館に来られました。大相撲初場所の千秋楽で総理大臣杯をお渡しされたとき、場内、税金を下げろ、税金を下げろ、すごいやじが飛んでいたのを御覧になりましたか。いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 いろいろなお声をかけていただきました。その中に物価を下げろというお声があったことも、記憶をいたしております。

櫛渕委員 その税金を下げろという声を受けて、どうされるおつもりですか。物すごい、SNSでも随分それが回っていました。いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、両国でああいうお声をいただいて、そこでお答えするわけにもまいりませんので。

 それは、税金を下げろということは、税金を下げるということも大事なのでしょうが、同時に、その税金がどのように使われておるか。例えば、今、消費税の御指摘がございました。消費税は全額社会保障目的に使わせていただいております。ある意味で、所得が多くない方々に対して厚いという、逆の意味でのそういうような性格も持っております。ですので、そこで、いかにして税金が使われているかということについて、納税者の方々の得心をいただくということも併せて大事なものだと思っております。

櫛渕委員 いろいろ言われましたけれども、税金を下げるつもりはないというお答えと受け止めました。

 要は、財政が厳しいからということなんでしょうが、今回の私の質問のテーマはまさにここにあります。税金を下げてくれという国民の声を財政が厳しいからという理由で政治は無視をする、それで本当にいいんでしょうか。

 先日、石破総理は施政方針演説で日本列島改造計画を引用されましたが、一九七四年、このときの通常国会も最大の課題は物価上昇でした。それに対して、田中元首相はこう言っています。物価高騰の最大の弊害は、国民生活の将来への不安を拡大し、所得及び資産の不公平な分配をもたらすと述べて、現在に換算して約四・二兆円の減税を実施しました。当時、石油危機の影響で戦後最大の不況、戦後最大の生産低下という背景、つまり、財政が厳しい中での大幅減税の実施だったんですね。

 自民党ホームページにも、田中内閣は、自ら提唱した日本列島改造論よりも、インフレに苦しむ国民生活の安定を優先させたと功績が書かれており、総理、見習うべきはこの決断ではありませんか。

 今、食料品高で悲鳴が届いているという声は先ほどお伝えしましたけれども、それだけではありません。光熱費もガソリン代も高くなっているんです。もうこれじゃ生きていけないという声が今年に入って更に増えていますよ。

 総理にお願いがあります。財政という数字ではなくて、国民の生活を救うという、まずは人間を見ていただきたいんですよ。

 石破政権では、手取りを増やすとかで百三万円の壁が百二十三万円の壁になりそうですが、民間試算では二百万円から三百万円の人の減税額は年間たったの五千円にしかすぎません。国民民主党の求める百七十八万円にしてもしょぼい。やるなら、今や労働人口の四割弱を占める年収三百万円の人までゼロ税率でもなければ、低所得者にメリットはありません。今やるべきは、全ての人に大幅に手取りを増やすことなんです。一番効果的でスピーディーなのが、消費税廃止と一律の給付金です。

 では、消費税を廃止したらどれぐらい効果があるのか、パネルを御覧ください。

 幾つか前提条件を置いた上での試算ですけれども、衆議院調査室の調べでは、年収二百万円から三百万円の世帯の場合、年間約十八万円手取りが増えるんですね。つまり、手取りを増やす効果は、百二十三万円の壁にしたのと比べて実に三十六倍です。しかも、年収の壁の方は、長時間働くことが前提で、さらに年末調整まで待たなければならない。でも、消費税を廃止すれば、働く時間を延ばす必要はなく、その時点で即効果が出ます。そして、特に所得の低い人にほど効果が出ます。これは大事なポイントですよ。

 総理にお聞きします。年収の壁引上げよりも、消費税の廃止、少なくとも消費税の減税に切り替えるべきではありませんか。やるのかやらないのか、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、消費税を廃止したとして、その分の減収をどこで賄うのか。先ほど来申し上げておりますように、消費税は全額社会保障に使われております。それを廃止したときに、それでは社会保障はどの財源をもってして充てるのかということ。

 そして、あわせまして、法人税にいたしましても所得税にいたしましても、どうしても直接税というのは税収に振れがございます。これから先の少子高齢化、こういう時代を踏まえました上に、社会保障の安定的な財源というものは絶対に必要だと私は思っております。

 ですから、消費税をやめればこれだけのお金が浮きますというだけの片面的な議論というものに私はくみするつもりはございません。

櫛渕委員 いつも社会保障のことを言うんですけれども、実質、社会保障には使われていないじゃないですか。何のためにスーパーへ行ったんですか。やじのあの声をもう一度思い出してくださいよ。またしても財政を理由に断るんですね。でも、本当ですか。

 今回の税収、過去最大の百十五兆円、そして、そのうち税収は六年連続最高の七十八兆円です。そのうち消費税がさらにトップで二十五兆円。これだけ税収が増えれば、総理や財務大臣にとってはそれは楽しい日本でしょう。しかし、この税収の押し上げ要因は物価高とインボイスの影響ですから、裏を返せば、この税収は、国民や中小企業や事業者の悲鳴と苦痛の裏返しの数字と言ってもいい。パネルにも書いていますけれども、消費税は国民にとって、特に低所得者層にとって逆進性が高い、一番負担の重い税金ですよ。

 また、今、中小・小規模事業者の倒産件数は過去最多の勢い。介護事業所や学習塾、放課後デイサービスなどの福祉事業、農家の倒産も相次いでいます。最近、新規倒産の五〇%以上が消費税の滞納によるものです。インボイスも導入され、赤字でも払わなきゃいけない。消費税を払うために、金融機関に借入れに行っている人もいるんですよ。

 国民は税金取られ過ぎ。国は取り過ぎ。喜んでいるのは財務省だけです。こういうのを火事場泥棒というんじゃありませんか。

 さらに、この図を見てください。取られ過ぎの税金に加えて、社会保険料の負担も足した国民負担率です。ずっと右肩上がり。二〇二四年は四五・一%、収入の半分近くが消えていきます。一番左、一九七〇年、二四・三%からすると、負担率は倍近くになっており、特に社会保険料の負担が三倍以上になっています。この三十年間、国民負担率はずっと上がり続けてきました。

 では、財政はどうだったか。今回の本予算の特徴は、実はここです。パネル六。予算がどれだけ国債に依存していたかを示す国債依存度、これを見てみますと、国債依存度は上がり続けていませんね。コロナのときは別として、二〇〇九年度の五一・五%から減少傾向となり、二〇二五年度は二四・八%、二十七年ぶりの低さ、こうなっています。これをよく見ると、三十年前の一九九五年の依存度とほぼ同じことが分かります。つまり、失われた三十年とよく言いますけれども、財政だけは元に戻った、こう言えるんじゃありませんか。

 国民負担が上がっているのですから、公債依存度は減る。これは数字上は当然なんですけれども、深刻な問題は、重い国民負担で国民が犠牲になっていることですよ。総理、国民の生活が財政の犠牲になっていいんでしょうか。誰かの犠牲の上に立つ暮らし、誰かの犠牲の上に立つ組織、それは続かないということをよく言われます。多くの国民の重い負担の上に成り立つ財政は、国そのものが弱体化していくんじゃありませんか。

 こちらです、厚労省の国民健康基礎調査。生活が苦しいと感じている世帯の割合、六割。高齢者世帯でも六割。子供のいる世帯では六・五割で更に多い。そして、パネル八。日本の貧困率は一五・四%。今や国民の六・五人に一人が貧困。高齢者の五人に一人、独り暮らし女性、四人に一人が貧困、一人親世帯、二つに一つが貧困。もうむちゃくちゃなんですよ。そのことを、街頭とか、演説していると、それは私のことです、こう駆け寄ってきて、話を聞いてくれ、こういう場面が多々あるんですよ。これが町中の状況です。

 総理にお聞きします。財政は改善したけれども国民も事業者も苦しい、この状況をどうお考えですか。くどいようですけれども、もう一度お聞きします。消費税を下げる、社会保険料を下げる、悪い物価高が収まるまで季節ごとに給付金を出す、本当にこれをやらないおつもりですか。こうした考えはないんですか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、経済そのものが、賃金は上がりません、下請に対するお金も十分には払えません、そして、新商品あるいは新しいサービス、そういうものを開発するための投資もいたしませんということで経済が伸びなかったわけで、であらばこそ我々は、コストカット型の経済から付加価値創出型の経済、これは魔法みたいに一遍に実現するはずはない、しかしながら、それをやっていくことによって確実に賃金の引上げを図るということでございます。

 本当に、三十数年ぶりの賃上げというものを実現をし、今年の春闘でもそれを目指してやっていかなければなりません。それが急に上がらないということを前提といたしまして、いかにして低所得の方々に給付金をお支払いをするかというようなこともきめ細かく対応して、今回の予算の提出に至っているものでございます。

 ですので、消費税をやめるとか下げるとか、そういうことでぱっと世の中がバラ色になる、そんな簡単な世の中ではございません。

櫛渕委員 そういう社会をつくったのは自民党政権なんですけれどもね。

 何度聞いても、やらないというお答え。残念です。財政規律を優先して国民の生活は置き去りというお考えは変わらないと受け止めました。

 物価高を上回る賃金上昇を目指すと総理は度々おっしゃっていますけれども、でも、今回の予算でそれは実現できませんよね。今回の予算に、政府ができるはずの国家公務員や非正規公務員の給与や教員の大幅引上げはない。介護や保育、医療といったエッセンシャルワーカーの賃金も予算で上げられるのに、一桁足りない。スズメの涙です。

 賃上げ促進税制はほとんど効果が出ていない。会計検査院からも、適切なものとなっていないと指摘されているじゃありませんか。

 そもそも、現実を見てください。三十年、日本は先進国で唯一実質賃金が上がらない。

 次に、パネル十。その上に、この三年間の急激な物価高です。消費者物価指数と実質賃金、これだけ開きがあるんですよ。

 総理、経済あっての財政とおっしゃるなら、積極的な財政出動で、特に低所得者に負担の重い消費税を廃止、少なくとも減税し、使えるお金を増やして消費者マインドをぐっと上げて、GDPの六割を占める消費を回復させる、そして需要を伸ばし、本気で景気を上向かせる。そうすれば、総理の言う物価を上回る賃金が実現できるんじゃありませんか。そうすることで税収も増えますよ。その方が、むしろ真の健全財政につながるんじゃありませんか。そうお考えになりませんか。

 次のパネルを御覧ください。総理、今回の施政方針演説でも石橋湛山を引用されましたけれども、湛山はこう言っているんですね。財政に赤字を生じたために通貨の増発を来しても何ら差し支えはない、それどころか、かえってこれこそ真の意味の健全財政である。湛山は、総理だけではなく大蔵大臣も経験されています。こういう考え方の下で、当時、今の貨幣価値で十兆円減税を行ったんです。

 今、先進国で、三十年不況で実質賃金が下がり続けるのは日本だけ。失われた三十年を引き起こしたのは自民党政権の政策の失敗です。総理、積極財政で、重い国民負担から国民を救ってください。財政が幾らよくなっても、国民の暮らしがひどくては意味がないんです。

 また、今回の本予算は、防衛費も過去最高の八・七兆円。三年前の一・五倍というとんでもない伸び方です。幾ら武器を増やしても、国民が貧しい国は強い国とは言えないと思いますよ。まずは国内の安全保障、つまりは国民の生活の安定です。

 れいわ新選組は、日本を守るとはあなたを守ることから始まる、これが党の第一の考え方です。

 さて、先日、同じく減税に反対している立憲民主党の野田代表はこう言いました。減税は未来からの搾取。でも、違いますよね。増税こそ現在からの搾取と私は申し上げたい。

 不況のときに増税をしてはいけない、これは中学校の教科書にも載っている基本的な経済のセオリーですよ。それを無視して、この三十年、政府は増税路線を続けてきました。お金が足りなかったら国民から搾り取る、政府が困ったら国民のポケットからお金を出させる。これが税金、そして社会保険料にしてもです。だから日本の経済が壊れて、労働環境が破壊され、国力が弱まり、日本の競争力が駄目になってきたんじゃないんですか。だとすれば、この増税路線の延長線上に新しい答えは期待できません。

 緊縮財政で増税を続けるのか、それとも積極財政で減税にかじを切って国民を救うのか。総理、積極財政で減税にかじを切ってください。不況は人を殺します。

 今問われているのは右とか左ではなく、経済的に上か下か、こうした問題が深刻です。

 このパネルを御覧ください。財政支出を伸ばしている国ほど経済成長率が高い。他国の例を見ると、財政支出を伸ばしている国ほど成長していることが分かりますよね。IMFのデータを基にしたグラフですが、縦軸が名目GDP成長率、横軸が政府支出の伸び率で、相関関係が明らかですが、日本はこんな左下の隅っこで、低い位置にあるわけです。

 未来からの搾取を言い訳にして、日本は財政支出を切り詰めてきた。このグラフ上も日本の成長率は見えないんですよ。すなわち、増税路線の日本は失敗しているんです。

 次の資料からも、財政支出の伸びが大変低いことが分かります。二十五年間の財政総支出の伸び率、三七%。日本は一番右、ちっちゃいですね。

 総理、増税という現在からの搾取をやめて、積極的な財政支出で減税路線にかじを切り、国民の負担を軽くして、いかに安心してもらい、国民を幸せにするか、是非検討いただきたいんです。もしも、そんな気力も意思もそして知恵もないんだったら、政権を交代してください。国民の生存が懸かっています。

 増税で日本を壊すのか、それとも消費税廃止で国民を幸せにするのか、今この瞬間、その瀬戸際に立っているのが総理と私です。是非、積極財政で減税にかじを切り、国民を救う判断をお願いをしたいと思います。

 さて、総理、国民の生存といえば、一月二十九日、終末時計が残り八十九秒とカウントされ、世界の指導者が警鐘を鳴らされています。二〇二五年はこれまでで最も短く、去年より一秒進んだとアメリカの科学者が発表したものです。主な原因は核兵器のリスク。

 総理にお聞きします。昨年の予算委員会で私の質問に対して、総理は日本のオブザーバー参加について検証するとおっしゃいましたけれども、どんな検証状況なのか。報道によれば、政府のオブザーバー参加は見送り、与党議員を派遣する方針と伝えられていますが、その理由を併せてお聞かせください。

岩屋国務大臣 検証のことですから、私から先にお答えさせていただきます。

 核兵器禁止条約の締約国会議、委員からいただいた資料にありますとおり、第一回目のオブザーバー参加国、いわゆる核の傘の下にいる国でいいますと五か国、二回目は四か国ということになっております。私ども、検証におきましては、こうしたオブザーバー参加国が参加に至った経緯、それから、締約国会合における発言等の事実関係といったことを今、真剣に検証し、検討をしております。

 これに加えまして、我が国を取り巻く戦後最も厳しい安全保障環境、特に周辺では質的、量的な核軍拡に直面をいたしております。その中で、核抑止の信頼性の確保を含む我が国の安全保障にいかなる影響があるかということを熟慮しなければいけないと思っておりますし、なおかつ、核兵器のない世界に向けて、唯一の戦争被爆国として、核軍縮において実質的な進展を得るためにはいかなる取組が真に効果的かということも熟慮しなければいけないと思っておりまして、更に検証、検討をいたしまして、しかるべき時期に適切に判断したいと思っております。

櫛渕委員 いつ判断するんですかね。

 もう一つお聞きします。被爆者の方や日本被団協、そしてICAN、こうした方々にヒアリングされましたか。

岩屋国務大臣 直接にはヒアリングはしておりませんが、御発言や御意見等々もしっかりと踏まえた上で検証、検討を続けております。

櫛渕委員 派遣議員の目的、報道によれば情報収集とか言っているんですけれども、私も一回目、二回目、既に参加しています。国会議員、日本を代表して四名参加しており、そうした議員にも聴取すべきじゃないですか。聞いてくださいよ。ドイツやそしてオーストラリアの政府代表とも話してきています。先ほど大臣がおっしゃったように、じゃ、事実は何なのか、どんな発言があったのか。

 例えば、NATOの参加国のドイツは、明確に今の段階で核兵器禁止条約の署名や批准はできないと言った上で、しかし、被爆者の人たちの健康回復のための支援はしていこうということで各国に呼びかけて、被爆者プラス核実験の被害者も集めて証言の会をやり、各国に、国際基金を集めよう、こういう呼びかけをして、リーダーシップを取っているんですよ。こういう参加の仕方もあるんですね。

 また、核抑止力のことも言われていましたけれども、アメリカに対して何か影響が、その参加した後受けたのかということをオーストラリアの代表に聞きましたけれども、何もないと。むしろ、日本は何でそんなに遠慮して参加しないんだ、こう聞かれるぐらいです。どういう検証や、何を情報ルーツにして検討されているのかは知りませんが、こうした生の声、現場の声を是非ヒアリングしていただきたい。約束いただけませんか。議員の聴取、そして被爆者、ICANのヒアリング、約束できますか。

岩屋国務大臣 全員ではありませんが、オブザーバー参加をされた議員の方からお話も承っております。

 それから、委員が今御指摘されたように、参加の仕方の中には、被爆の実相を更に広めていこう、あるいは被爆者の支援を更に強化していこうという趣旨の目的で参加をしているという参加の仕方もあるということも承知をしておりますが、先ほど申し上げたようなことも含めまして、やはり総合的にしっかり検証、検討して結論を出さなければいけないと考えているところでございます。

櫛渕委員 是非、全議員、いろいろなスタンスで参加していますので、聴取をする。検証についてはいろいろな角度からの意見が必要だと思いますので、是非、大臣には、そして総理にも、その御指示、お願いをしたいと思います。そして、是非、被爆者の団体の方の直接の声は今回の検証に入れるべきだと思いますので、改めて強く要請をいたします。

 また、この決定のプロセス、もう一つ私は申し上げたいことがあります。

 オランダは、第一回締約国会議に参加するとき、国会決議の下で政府に要請を出して政府は参加するというプロセス。そして、カナダの国会は、実は、ノーベル平和賞を被爆者団体が取ったときに、その日のうちに、この受賞に対する祝意と、そして核兵器禁止条約にカナダ政府が積極的に関与することを求める動議を国会で全会一致で可決させているんですね。本来であれば、唯一の被爆国である日本が真っ先にこうした国会決議をやるべきなんですよ。

 こうして、参加のプロセス、私は大変大事だと思います。国会の責任です。自民党以外、各政党がオブザーバー参加については賛成をしていますし、国民の六割はオブザーバー参加どころか核兵器禁止条約の参加にも賛同している、このようなアンケートも出ています。

 是非、私、委員長にお願いしたいんですが、被爆者やICANの方々を呼んで、参考人招致をし、そして集中審議を行う、そして、国会でのこのプロセスをもって政府に求める決議を行ってはどうか。予算委員会を主体として国会での決議につながる、こうした民主的なプロセスで政府にオブザーバー参加を求めていくということも被爆八十年の大事な役割だと思いますので、是非御検討をお願いいたします。

安住委員長 運営については理事会で協議します。

櫛渕委員 では、最後になりますが、トランプ大統領が、第二次政権、誕生いたしました。先日、ダボス会議の演説で非核化という言葉が出されたという報道があります。真意は分かりませんし、行方は全く未知数ですけれども、少なくとも私は、第一次トランプ政権のときの二〇一八年米朝合意に盛り込まれた完全な非核化を思い出しました。当時と背景が大きく異なるとはいえ、そこに戻る外交努力に日本が積極的に関わることは、私は、六か国協議もなくなった今、大変重要だと思うんですね。

 是非、最後、総理、今週トランプ大統領にお会いになると思いますが、非核化に対する御決意、そして、唯一の戦争被爆国として、核廃絶、これを強くトランプ大統領にも表明をする、その御覚悟をお聞かせください。

安住委員長 質疑時間が参りましたので、最後の答弁となります。

石破内閣総理大臣 朝鮮半島の非核化ということは、我々として目指していかねばならないことでございます。

 と同時に、拡大抑止に裨益をしておる我が国の状況ということもきちんと直視をしていかなければなりません。拡大抑止の信頼性の向上というものは、我が国に対して武力攻撃が行われることを抑止する、そのために非常に重要なものだと思っております。そのことと朝鮮半島の非核化というのは何ら矛盾するものではございません。

櫛渕委員 終わりますが、朝鮮半島の非核化が実現をする、そして日本は非核三原則がある、このことをベースにすると、北東アジアの非核化のプロセスが大きく一歩進みます。是非、総理にはそのリーダーシップを取っていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 石破総理、自民党総裁であります石破総理に、自民党の裏金問題についてまず質問をいたします。

 旧安倍派の裏金復活の経緯に関わった松本元事務局長の参考人招致の実現を是非求めたいと思っております。また、関係する旧安倍派幹部の証人喚問が必要だ、このことも冒頭申し上げておくものであります。

 都議会自民党の裏金問題であります。

 しんぶん赤旗日曜版のスクープを契機にして、都議会自民党が二〇一九年と二〇二二年の収支報告書に政治資金パーティーなどの収入、計約三千五百万円を記載していなかったとして、経理担当職員が政治資金規正法違反の虚偽記載で有罪となりました。都議会自民党によると、ノルマ超過分を会派に納めない中抜きの手法で裏金づくりが行われ、その都議やOBは二十六人に上り、うち八人は会派の幹事長も務めたベテランだった。極めて重大であります。

 しかし、この裏金問題について、誰がいつから何のために行ったのか、こういうことはいまだに明らかになっていないと思いますが、総理はそのこともお認めになりますね。

石破内閣総理大臣 これは都議会自民党の会派ということでございます。都連でもございません、党そのものでもございませんが、自由民主党の組織というものがそういうことを起こしておるということの認識は、私は強く持っておるところでございます。

 この実態解明につきまして、党として、党本部として、東京都連とも協力をしながら、解明すべき点は今後更に努力をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 解明すべき点は取り組んでいくという話でありますけれども。

 この件につきまして、我が党の都議団が明らかにしました二〇一九年の政治資金パーティーの際の都議会自民党の内部文書には、都連所属衆参議員四十六名、一人三十枚配布とあります。

 記者会見で、都議会自民党の小松幹事長は、都連所属の国会議員にもチケットの販売は依頼していると認めておりますが、不記載はなかったのかと問われて、ヒアリングは行ったが、そうしたことは確認が取れていない、不記載の有無について確認が取れていないとしております。

 総理にお尋ねします。

 都議会自民党のこの裏金問題に関わって、国会議員が不記載かどうか、この点については調べておられるんでしょうか。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 国会議員に販売を依頼したパーティー券の枚数、あるいは都議会自民党への納入状況を確認した、あるいは国会議員側へのヒアリングを行った、このようなことを行いまして、都議会自民党といたしましては事実関係を調査したというふうに聞いておるところでございますし、検察当局の捜査に対しましても真摯に協力をし、説明をしてきたということであります。

 その結果として、刑事事件として立件されるべきものは立件されたということでございまして、ここに至るまで、都議会自由民主党といたしましてこのような問題に真摯に対応してきたものと承知をいたしておりますが、なお、議員におかれまして、この点はまだ納得できないということがあれば、御指摘くださいますようにお願い申し上げます。

塩川委員 刑事事件と言いますけれども、実際には、裏金の都議会議員自身は、それについては罪に問われていないという問題があります。

 そういう点でも、誰がいつから何のために始めたのか、全容解明を、明らかにするという点で、都連所属の国会議員のこのパーティー券の扱いについてしっかりと明らかにするということは、これは当然必要なことではありませんか。

石破内閣総理大臣 都連所属の国会議員にそういうことを確認をするということと、この都議会自民党の不記載の問題というものが直接リンクをしておるわけではございません。ただ、都連所属の国会議員に対しまして、これはどういうことであったのか認識していますかということについては、私どもとして、これから先、必要であれば聞いてまいりたいと思っております。

 今日は都連会長もおりますが、我々は、東京都連所属の国会議員としてこの問題に対して真摯に対応してまいりましたし、今後もそうありたいと思っております。

塩川委員 必要であれば確認したいと、必要ですから、是非確認をしていただきたい。

 都議会自民党の裏金づくりは、ノルマ超過分は事務局に納めないことを前提としており、旧安倍派による裏金づくりと同じ手法であります。二〇一九年の都連所属国会議員四十六人のうち、旧安倍派などの派閥パーティーの裏金に関わった議員が、そのうち十人もいるわけであります。

 同じようなことがなかったのか、こういうことを調べるのは必要じゃないでしょうか。是非こういったことについて調査をし、この委員会に報告をいただけますか。

石破内閣総理大臣 委員会に対します報告は、理事会で是非御協議をいただきたいと思っております。

 今御指摘の都連所属の我が党国会議員につきましてもパーティー券の販売の依頼はなされておったということでございますが、都議会自由民主党として所要の調査を行いました。国会議員が関わる収支報告書の不記載はなかったということまでは承知をいたしております。

塩川委員 聞き取りだけで、その先のまともな調査が行われていないわけであります。国会議員から地方議員まで裏金にどっぷりつかっているのが自民党であります。改めて、誰がいつから何のために行ったのか、この全容解明を求めるものであります。

 さらに、二月二日の共同通信によれば、自民党の八県連で党本部からの交付金を不記載、過少記載があったという話でした。書き間違い、事務的ミスにとどまらない問題であります。

 不記載は、公にすべきものを公にしていなかったということであり、法の根幹に触れる悪質なものであり、それすら守れないというのでは、国民に対する背信行為であり、民主主義の根幹を脅かすものだ、このことを指摘をし、裏金問題についての全容解明を重ねて求めておくものであります。

 次に、裏金問題について、国民は、暮らしが大変なときに自民党の裏金は許せないという怒りの声を上げております。物価高騰の問題でも、その声が切実に上げられているわけであります。

 この間、昨年、二〇二四年十二月の消費者物価指数は、前年同月と比べて三・〇%上昇し、上昇率が三%台の水準となるのは一年四か月ぶりであります。この間の食品の値上げ品目は多数であり、帝国データバンクによると、二〇二五年の値上げ品目数は、現状のペースで続いた場合、早ければ四月にも累計で年一万品目を突破すると予想される、年間では、昨年の一万二千五百二十品目を大幅に上回る一・五万から二万品目に到達する可能性があるとしており、暮らしの先行きは深刻であります。

 このような物価高騰に苦しむ国民の皆さんの暮らしに重くのしかかっているのが消費税であります。

 パネルで紹介をしておりますけれども、年収に占める消費税の負担割合ですが、年収二百万円未満の世帯の支出に対する消費税の負担割合は八・三%にもなります。一方、年収千五百万円以上の世帯では二・一%で、六・一九ポイントの差があるように、示されているように、非常に、所得の少ない方に重い負担がかかるというのが消費税ということが明らかであります。

 総理にお尋ねします。

 総理自身も消費税の逆進性について触れておられるということは承知しておりますが、そもそも、所得の少ない人ほど重い負担がかかる逆進性のある税金が消費税ということはお認めになりますか。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 税ということで。

 今御指摘のように、消費税については、負担の側面だけ見れば、そこの表にもございますが、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高い、そういう意味では、いわゆる逆進性を有するものであるというふうに考えております。

 そうした中で、軽減税率などの実施によりその緩和が図られていること、また、受益の側面を見ますと、消費税源が充当される社会保障給付等によって低所得者ほど手厚く所得の再配分を受けるという面もありますので、そうした面も含めて評価すべきものと考えております。

塩川委員 総理は、消費税の逆進性はお認めになりますか。

石破内閣総理大臣 今、財務大臣からお答えをいたしましたとおりで、これは消費税導入のとき、売上税と言っておりましたが、中曽根内閣でこういう議論が行われたときからこの逆進性というのは指摘をされてきた、それはよく承知をいたしております。竹下内閣でも随分議論はいたしました。

 同時に、それでは受益ということを考えた場合に、多く消費税を負担している方の受益と少なくしか負担できない方の受益というのは、それは差がございません。そういたしますと、多く消費税を納めているからいい医療が受けられるとか、そのようなものでは全くございませんので、そういう意味で、消費税の御負担が少ない方々にも同じような医療、社会福祉、そういうものを提供しているという面もございます。

塩川委員 低所得者にも受益の面でプラスになっているんだという話がありますけれども、そもそも、低所得者に対してこういった税金を取り立てること自身が生計費非課税の原則や応能負担の原則に外れるものだ、物価が上昇すれば消費税額が増えるのも腹立たしいという皆さんのまさに生活実感からも、こういう消費税の在り方について大本から見直すことが必要であります。

 そこで、このような消費税には所得の少ない人ほど重い負担がかかる逆進性があることは認められたところであります。あらゆる商品が値上がりをする中、最も効果があるのが、毎日の買物で払っている税金である消費税の減税であります。

 総理、消費税の減税に踏み出したらどうでしょうか。

石破内閣総理大臣 消費税を減税した場合に、それでは社会保障の財源をどこに求めるかということでございます。これから先、社会保障費というのはどうしても増大が見込まれておるところでございまして、仮に委員がおっしゃいますように消費税をきっぱりと廃止した、じゃ、それに代わる財源をどこから求めるかということも併せて御提示をいただければ、議論は更にかみ合うかと思っております。

塩川委員 二〇一九年の雑誌で、石破議員が、当時、私はこれまで社会保障のためには消費増税が絶対に必要だと主張してきましたが、逆進性の高い消費税に社会保障を委ねることが本当に正しいのだろうかと考えるに至りましたと述べていたわけであります。社会保障の財源を消費税に委ねることに疑問を呈していたということであります。

 最近の、昨年の著書で、石破総理は、名目賃金や物価が上昇したために所得税や消費税が増収となり、円安で輸出企業の円建ての利益が増加したために法人税が増収したのは当然のこと、法人税減税に目ぼしい意義は見出せず、もしも経済的格差の拡大を是正するのであれば、消費税の逆進性をどう軽減するかを議論すべきとも述べておりました。

 ということであれば、法人税減税に意義が見出せないということをおっしゃるのであれば、法人税を引き上げて財源をつくり、消費税を減税したらどうでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは税体系全体の中でこれから議論をしていくべきものだと思いますが、企業の税収が絶好調であるということを考えましたときに、応能負担というものをどのように考えるかというお話でございます。そこにおいて、先ほどお触れになりましたが、消費税をこれ以上上げるということを今政府として考えているものではございません。私自身も考えてはおりません。

 そこにおいて、それでは税全体の体系を考えましたときに、法人税のこれからの在り方というものは、税体系全体の中で更に議論が必要だというふうに考えております。

塩川委員 大事なポイントは、やはり庶民が苦しんでいる、特に所得の少ない方が大変な苦労をされておられる、そういったときに、やはり生活費に税金をかけるようなことはやるべきではない、これが政治の取るべき姿勢ではないでしょうか。この立場で税制の在り方を考える必要がある。

 この間、企業ですけれども、この三十年間で、大企業は経常利益が五・五倍、配当金は九・四倍に増えて、内部留保は三・四倍、今では五百三十九兆円を超える金額となっているように、大幅に増やしております。その理由の一つが、大企業への法人税減税ではないでしょうか。

 パネルに示しましたように、左側の方では、資本金十億円以上の大企業などの法人税の負担については、一九九六年のときに三一・八%だったものが、二〇二二年度には九・七%と大きく減少しているわけであります。

 また、パネルの右側にありますように、企業規模別の法人税負担率を見ますと、資本金一億円程度、中小企業、中堅企業は二〇%であるにもかかわらず、資本金十億円以上の大企業を見ますと、十億円超では一七・四%に下がり、五十億円超では一四・〇%に下がり、百億円超では一三・二%に下がり、連結法人、今は通算法人ということですけれども、六・七%と、大きな企業ほど法人税の負担率が下がる。こういう税制を改めて今見直していくことが必要ではないのかということが問われているわけであります。

 是非総理、今こそこういった大企業減税を見直して、もうけに応じた応分の税の負担を求め、消費税の減税に踏み出す、そのときではありませんか。

加藤国務大臣 今お話がありましたけれども、中小企業に比べて大企業の法人負担率の御指摘でありますけれども、中小企業に対しても様々な措置を、例えば軽減税率の特例等を講じているところであります。

 その上で、委員の御指摘は、一つは、大企業と中小企業を比べると赤字法人の割合が明らかに違う、こういったことも一つ背景にある。それからもう一つは、受取配当等の損益不算入制度、あるいは外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度、これは国際的にも二重課税を避けるための措置とされているわけでありますが、それらを実際に適用する企業は大企業が多いため、大企業の負担率が低く見える、こういった面もあるということは御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 なお、法人税については、令和七年度与党税制改正大綱において、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくとされたことも踏まえつつ、検討を進めていきたいと考えています。

石破内閣総理大臣 二〇一〇年代に累次法人税の引下げを行ってまいりました。それは、投資でありますとか賃上げでありますとか、そういうことが行われるということを企図して、あるいは期待をして、累次法人税の引下げを行ってきたものでございます。

 それが本当に実現されたのかということの検証はきちんとしていかねばならないと思っております。それが、賃上げあるいは設備投資、そういうものも十分でなかったということであるならば、その法人税の引下げは何であったのかということになりますので、これは今財務大臣がお答えを申し上げましたように、税全体の中でめり張りの利いた税制というものの実現に向けて、私どもは皆様方と議論をしてまいりたいと存じます。

塩川委員 かつて石破総理がおっしゃっておられたように、目ぼしい成果が出ていない。まさに賃上げもできずに、また設備投資にも回らない、内部留保だけ積み上がる、これが今の法人税の減税の結果なわけですよ。

 だとしたら、これこそ見直せ、こういった負担を求めることによって国民の暮らしを応援をする、消費税減税をしっかりと行っていく、このことを求めたいと思います。最も困っている人に届く政策として、消費税の廃止を目指し、まずは消費税の五%への減税、そしてインボイスを廃止をする、大企業の法人税をアベノミクス以前の税率に戻し、大企業と富裕層への税優遇を正せば、消費税を五%に引下げができる、ここにこそ踏み出していくことが必要であります。

 今述べたように、石破総理は、消費税の逆進性を認め、また法人税減税に目ぼしい意義は見出せないということも述べておられたわけですけれども、消費税減税、法人税引上げには踏み出そうとしない。消費税減税や法人税引上げに耳をかさないのはなぜなのか。そこにあるのが、経済団体の経団連との深い関わりがあるからではないのか。

 一九九三年、リクルート事件を機に、国民の厳しい批判の声を前に、経団連は、企業・団体献金のあっせんの中止ということを決めました。企業献金については、公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべき、経団連は、来年以降、そのあっせんは行わないとしたわけであります。

 それなのに、二〇〇三年、日本経団連は、企業献金あっせんの復活を決定をしました。日本経団連では、政党へ透明度の高い資金を提供する仕組みを整備し、政党本位の政治の実現に協力していくとして、優先政策事項に基づき政党の政策を評価をし、献金の目安としました。いわゆる政党通信簿であります。パネルに示したように、左上にあるとおり、税制改革を見ると、経団連として、法人実効税率の引下げ、消費税の引上げを掲げております。

 当時、自民党と語る会で、奥田経団連会長は、日本経団連では政策評価に基づく政治寄附を促進している、会員企業が自民党の政策への理解を深め、社会貢献の一環としての政治寄附をしていただくよう期待をすると述べておりました。

 その間、二〇〇三年から二〇二三年で、法人実効税率は四〇・八七%から二九・七四%に引き下げられ、消費税が五%から一〇%に引き上げられました。その間に、経団連等の企業、団体から自民党の政治資金団体である国民政治協会への企業・団体献金額は四百八十八億円にも上ります。

 多額の金の力で法人税の減税、消費税の増税が行われてきた。総理、これが実態ではありませんか。

石破内閣総理大臣 それは、日本経済団体連合会との間で我が党はいろいろな意見交換は行っておるところでございますが、それが企業・団体献金の見返りとしていろいろな政策を我が党が決定をし、行ってきたということはございません。

 しかしながら、そういうようないろいろな御疑念あるいは御懸念がございますので、更なる透明性というものを高めるために、私どもとして、今後法案を準備をして、御審議を賜りたいと思っております。

塩川委員 経団連の政策評価というのは、基本は自民党のためなんですよ。

 民主党政権となった二〇〇九年に、経団連は、八月の総選挙により政権交代が実現をし、政治情勢は大きく変化した、現時点では十分な評価を行える状況にないとして、政策評価そのものを取りやめてしまいました。

 それが、自公政権復活後の二〇一三年に政策評価を再開をしております。法人実効税率二五%に向けた抜本改革、消費税の着実な引上げ、原発の再稼働プロセスの加速を要求した。これに応えてきたのが自民党。まさに自民党のための政策評価が経団連の政策評価、政党通信簿ではありませんか。

石破内閣総理大臣 政権交代をして民主党が政権を担われたときも、経団連からそのような申出があった、そのことについては歓迎するというような新聞報道を読んだことがございます。

 私はそれを新聞報道でしか存じませんので、そのことについての評価をここでいたすことは差し控えますが、私どもとして、経団連あるいはいろいろな企業、団体から経済的な御支援をいただくことはございます。しかしながら、それの御要望に沿って政策を決めるということはございません。

 そのときに、午前中の議論でも申し上げましたが、いろいろな要望がある、いろいろな企業に対する、団体に対する、業界に対する支援もそう、あるいは租税特別措置もそう、自由民主党の中で議論をいたしますときに、そのような献金があるからとか、ある業界、団体に特化したとか、そのような議論を行ったことは一度もございません。

塩川委員 昨年の臨時国会の答弁で石破総理自身が、営利企業である以上、利益を見返りと全くせず献金をするということは、それ自体がおかしなことという形で、まさに見返りを期待するのが営利企業だということを認めておられるわけであります。

 実際、自民党への献金額というのは、自民党の野党時代には、二十二億円だったものが十三億円に大幅に減りました。それが、政権復帰をすると、その十三億円が二十億円から二十二億円へと大幅に増額をした。

 経団連は社会貢献のためと言いますけれども、政権党かどうかで献金額が変わるというのが何で社会貢献なんですか。結局、自らの要求を実現してもらう見返りということではありませんか。

石破内閣総理大臣 企業も、法人税というものを中心に納税は行っております。納税の義務というものを企業は果たしている。企業が、自分たちが納税の義務を果たしている、それぞれがいろいろな政策の要望というものがある、じゃ、どういう形でできるかというと、企業に投票権があるわけではございません。そういたしますと、きちんとした規律の下で企業が、あるいは団体がそのような政治献金を行うということは、それは資本主義における民主主義として当然肯定されるべきものだというのは八幡製鉄事件の判決を見れば分かることでございます。

 しかしながら、それが、本当にそうなのかい、そういうふうに政策がゆがめられていないのかいということで、透明性は更に高めていく、極限まで高めるということは大事なことだと思っております。

安住委員長 質疑時間が過ぎております。

塩川委員 企業は投票権がない、まさにそのとおりで、まさに参政権、投票権がない企業が多額のお金で政策を動かし、政治を誘導する、これ自身が国民の参政権を侵害するものであり、そもそもの賄賂性が問われている。

 企業・団体献金の全面禁止を求めて、質問を終わります。

安住委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 総理、世界を見渡せば、極端な政治が広がっています。排他的なポピュリズムという政治、極端な政治が広がっている。これに伴って、いわゆる関税を一方的にかけるような保護主義が復活をしている。これは、やはり世界自由経済主義というものが終わったんだ、いわゆる物、人、金が国境を自由に越えて、みんなでもうけましょう、こういう時代が終えんを迎えつつある。USスチールなんかはその象徴だというふうに思います。やはり我が国がそうならぬように、なぜこういうことになったのかということを我々もよくよく理解しないといけないというふうに思います。

 私は、世界自由主義経済によって、確かに経済は成長した。しかし、国内では格差が拡大した、移民も増えた。そして、中国がこの世界自由経済を利用することによって台頭したけれども、かえってこれが脅威になっている。この三点かなというふうに思っています。

 最初の二つの、格差、それから移民については、国民の生活がこんな厳しいのに、なぜ外国人だけが優遇されるのか、こういう国民の不満につながる。中国については、あの国は自由経済をさんざん利用しながら、自分たちは閉鎖的で、国家主義的な体制でちゃっかりもうけているじゃないか、加えて、各国の自由社会の隙をついてスパイ活動など好き勝手やっているじゃないか、こういう不満につながる。こういう不満をあおる形で、極端な政治勢力が水を得ているというふうに私は理解しています。

 一方で、我が国は、一応、格差はじわじわと広がっていますけれども、まだ比較的、外国に比べてはましだ。移民がまだ少ない。中国に対しては、鈍感というのか、まだ気づいていない、私からすればですね。でありますが、だから、皆さんは与党過半数割れで大変だと思うと思いますが、世界の中では比較的我が政治は安定している。しかし、その不満の政治勢力の兆しというのを私は感じています。

 ですから、やはり政治はこういう国民の不満に真剣に向き合って、これに対応しないと、今後えらいことになってしまうんじゃないかと懸念をしております。諸外国の既存の政治は、こういう国民の不満を単なる感情論だと片づけてしまったところに失敗があったというふうに思います。

 そこで質問ですが、移民について、昨年、政府は、本格的に大量に受け入れるという方針転換をされました。今後、移民が飛躍的に増える、外国人が飛躍的に増える。私は、あらゆる分野で人手不足ですから、全て反対とは言いません。言いませんが、やはり受け入れるに当たって、やらなければいけないことをやっていないんじゃないか。

 例えば、生活保護。これは、第一条に、国が生活に困窮する全ての国民に対してと、対象が国民に限定をされているわけであります。ところが、この下の昭和二十九年、七十年以上も前ですよ、厚生省の局長の通知一本で、当面の間は外国人に対して保護を行うということであります。

 七十年前は、国が主権を回復して、日本の国籍を失った方々に対する配慮、これは私は何の問題もないというふうに思います。しかし、七十年たって、いまだに、こういう方たちとは何の関係もない方たちに、依然として生活保護が、法律に、国民に限定しているにもかかわらず、支給をされているということです。

 ですから、厚生労働大臣にお聞きしたいと思いますが、福岡さん、やはりこれは単純に法律違反じゃないか。そして、皆さんいろいろ理屈をおっしゃると思いますが、外国人に対してどのぐらい生活保護を出しているのかということを今まで明らかにしていないんです。これは少なくとも明らかにすべきだと思います。単純計算では毎年一千二百億円ぐらいですよ。それでいいのか、大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘のとおり、生活に困窮する外国人の方々に、永住者等の一定の在留資格を有する場合について、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしてございます。一般的に、国民の権利を制限し、又は義務を課することのない限りは、必ずしも法律の根拠を必要とするものではございません。

 生活保護法は、条文をお示しいただいたように、憲法二十五条の理念に基づいて、日本国民を対象と定めてございまして、外国人の生存権保障の責任は、第一義的にはその者が属するべき国が負うべきものという考え方に立っております。

 他方、外国人の方については、人道上の観点から保護を行っているものでございまして、このことを踏まえれば、行政措置にとどめるべきものと考えておりまして、法律に位置づけることには慎重な議論が必要だと考えております。

 支給総額についてお尋ねがございました。

 生活保護の決定、実施については世帯単位で行っておりまして、生活保護受給世帯の中には日本人の方と外国人の方で構成される世帯もありますことから、外国人の方のみを切り出した支出総額については把握してございませんが、その上で、世帯の中に日本人が含まれる場合を含め、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯に対する生活保護費について機械的に推計を行いますと、令和四年度の生活扶助費は年間三百八十億円程度、住宅扶助費は年間百八十億円程度となってございます。

北神委員 数字を今まで多分出されていなかったんですが、機械的な試算であると思いますが、出された。私も初めて聞きましたけれども、五百六十億円ですね、令和四年度で。大分、機械的な試算よりも少ないと思いますけれども。

 法律の問題に戻りますと、皆さんは行政行為として認められると堂々とおっしゃいますけれども、この金額、やはり五百六十億円も、そんな小さな金額ではない。もちろん、生活保護全体でいうと三・七兆円ぐらいの予算でありますから、それに比べると少ないと思われるかもしれませんが、やはり私なんかは、今の、行政処分だからいいんだということでなかなか納得はいかないし、ましてや、今国民が物価高で苦しんでいる中で、それで本当に納得するのかということだというふうに思います。やはり生活保護は税金ですからね。

 百歩譲って、人道上の理由という、そんな信念が厚生労働省さんにあるのであれば、私は、ちゃんと国会で審議をして、堂々と法律改正をして、法的根拠をやはりちゃんとつくるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今御指摘のとおり、法的に位置づけることについては慎重な議論が必要だというふうに感じておりますが、人道上の観点から保護を行うに当たっても、国民の方々の御理解というのは大事な観点だと思います。

 引き続き、先ほど申しましたように、実態把握等に努めてまいりたいと考えております。

北神委員 私は、なかなかそれでは納得できないというふうに考えております。

 五百六十億円だということですが、今後、先ほど申し上げたように移民がどんどん増えていくわけでありますので、財政的にもこれはちゃんと考えるべき課題だというふうに思いますので、なぜ法律改正に適していないのかよく分かりませんが、そこもちゃんと検討していただきたいというふうに思っております。

 もう一つ、この生活保護の運用面で、国民と外国人の間で取扱いが違うんです。国民の場合は、何か問題が生じたら、政府が銀行の口座なんかを調べて、資産状況というものを把握する権限があります。調査権があります。ところが、外国人にはこれが全くない。少なくとも法的にはない。

 例えば、外国人が本国では資産をたっぷり持ちながら、日本では収入がないということで生活保護を受けている、こういう場合も考えられるわけですよ。これについて、政府は調査できない、お手上げ状態。これもおかしいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

福岡国務大臣 今御指摘ありましたように、資産調査については、被保護者の国籍にかかわらず、保護申請時に資産や収入の状況について申告を求め、また、少なくとも年一回は資産等の報告を求めることとしてございます。加えて、必要な際には金融機関等の関係機関に調査を行っておりまして、その結果、資力があるにもかかわらず保護を受けたと認められる場合には、返還を求めるといった対応を行ってございます。

北神委員 私の調べた限りでは、これは自治体のレベルでやっていますけれども、町田市とかさいたま市、やはり彼らはできないというふうに言っております。ですから、やはりここをきちっとやらないと。

 何を言いたいかというと、皆さんからしたら、北神君は心の狭いやつやなと思われていると思います。しかし、外国で、実際にこういう移民問題で反動が起きているんですよ。日本はそうならないと、皆さん、言い切れますか。法的な根拠も曖昧、外国人に対する支給の金額は、今日、多少機械的な試算を出されましたけれども、行政処分にもかかわらず、百億円単位で出している。しかも、資産状況については、取扱いがむしろ日本人、国民の方が不利な状況になっている。

 だから、私は、何を言いたいかというと、皆さんが目指している外国人との共存共栄というのが、こういうことをほったらかしにすると、逆に夢のまた夢になるということです。ですから、中道やや左の立場から私は申し上げているんですよ。

 それで、次に、中国の問題ですけれども、これも世界自由経済が終わって、もう既に各国は外国人に対して土地規制というのを強化しています。これは、外国人の爆買いによって住宅価格が上がって、肝腎の国民が住めなくなっている。住宅政策の観点、それから水源を含む食料安全保障の観点、さらには防衛の観点から規制をしています。

 我が国は、例に漏れず丸裸です。ですから、山林も農地も住宅もマンションも離島も海岸線も、どんどん買われている状況であります。やはり、政府がせっかく二〇二〇年にRCEP条約で、外国に対しても土地規制をやることができますよということを、合意を取り付けているんです。御丁寧に、外国人土地法というものも、ちゃんと法律まで載せているんです。

 ですから、総理、やはり外国人土地法を改正するなり、あるいは新しい法律を作るなりして、土地規制をすべきではないでしょうか。

石破内閣総理大臣 中道やや左かどうかはともかくといたしまして、委員の問題意識、いろいろと議論もしてまいりましたし、委員の見識には私はかねてから敬意を持っておるところでございます。その問題意識というものは本当に共有をいたしますし、よく受け止めてまいりたいと思っております。

 今、外国人土地法の全面的な改正も含めまして、又は新たな法律の制定も含めまして言及がございました。この件につきましては、政府といたしまして、立法措置も含めまして、何をすべきかということについて検討を進め、そして必要な措置を講じてまいりたい。そこにおいて、委員の御指摘を踏まえ、私としても問題意識を持って主体的に対応いたしてまいります。

北神委員 ありがとうございます。

 この問題は、この場で岸田総理にも二回ほど質問したんですが、検討という言葉すら出なかった。私は、温和な表情とつぶらな瞳で惑わされたところもあって、検討したというふうに思っていたんですが、議事録を見ると、それすらしないということで。今の総理の答弁は、非常に具体的で、希望の持てるものであります。是非、国土を守るために、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 この規制をするに当たって、やはり外国人がどこまで不動産を所有しているのか、これを把握する必要が私はあると思います。各国はしています。ところが、我が国はまた例に漏れず、全くしていないわけです、把握していないんです。

 国交大臣、この統計はやはり整備すべきではないでしょうか。

中野国務大臣 不動産というのは国内の社会経済活動を支える基盤でもございまして、そういう意味では、日頃から不動産市場の動向の把握を進めていくということは重要なことであるというふうに認識をしております。このため、国土交通省では、例えば不動産事業者からの市況の定期的な聞き取り等を行っているところでございます。

 委員御指摘の外国人による不動産の取得につきましては、一定のそういった実需があるということも承知をしております。現在のところ、聞き取りを行っておりますが、不動産取得にこれまでと異なる傾向が生じている状況とは聞いておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、今、不動産価格、いろいろな、建設コスト高騰等様々な理由があるんですけれども、不動産価格が上昇傾向にある中で、不動産の市場の動向の分析を深めていくということは必要なことであるというふうに考えております。

 委員御指摘の外国人の取得の動向も含めまして、今後とも実態の把握、分析にしっかり努めてまいりたいというふうに考えております。

北神委員 不動産業者に聞いても、それは彼らはほんまの話はしないですよ。いや、中国人によってめちゃめちゃもうかっていますということは言わないと思います。ですから、やはり利益相反があるんです。ですから、やはり国がしっかりと統計を作ることを求めたいというふうに思います。

 もう余り時間がないので、もう質問は終わりたいと思いますけれども、ちょっと講釈だけ垂れさせていただきます。

 やはり外国の不動産購入については、住宅の問題だけではない、国家安全保障にも関わるということです。

 一昨年一月に、我が国で中国の国家安全局、秘密警察のアジト、拠点が二か所見つかっています。この人たちは、日本にいながら、中国の法律に基づいて行動しているんです、反中活動を取り締まるとかですね。ですから、こういうことを許すべきではないと私は思います。

 こういう拠点、建物というのは、やはり民間の方がまず買っているんですね。中国の国家安全局が日本の不動産屋に電話して、もしもし、秘密警察ですが、いい物件はありますか、こんなことはないんです。まず民間の方が買って、その後に、本国の指示の下でアジトと化すということです。ですから、民間人といえども、いつ何どき工作員に化けるか分からないんです。

 ほかの国は、これに対処するために、アメリカ、オーストラリア、カナダ、英国は、外国影響力透明化法という法律を制定しています。この法律は何かというと、必ずしも悪質じゃなくても、そういう外国の指揮の下、あるいは影響の下で活動している個人や団体は全て登録しなさい、その上で、どういう活動をしているのか、資金はどこからもらっているのか、本国、外国政府との関係はどうなっているのか、こういったことをちゃんと報告しなさいという法律です。

 やはり我が国でも、私は、こういう法律を検討すべきだというふうに思っています。そうじゃないと、こういう民間人を、そういう準スパイ的な活動とか、なかなか取り締まる法律がありません。警察は困っています。ですから、持続化給付金とか、違う方法で立ち入っているわけですよ。やはりこういうことは整備をすべきだというふうに思います。

 いろいろ心の狭いことばかり言いましたけれども、私の真意は、やはり極端な政治の反動の兆しが出ているということです。ですから、これから移民がどんどん増えて、外国人が日本の土地を買い占める中で、政府がきちっと対応しないと、国民の不満が爆発してからでは遅いということです。

 あえて私は中国の古典、易経から引きますが、固い氷は霜を踏むより至る、こういう言葉があります。つまり、固い霜を踏んでいくうちに、靴の底に、霜がだんだんと固くなっていく。固くなった時点では遅過ぎる、やはり霜の段階で対処しなさい、そういう意味です。

 ですから、先手を打つことが大事です。不満が募ると、極端な政治勢力が出てきますよ。極端な政治勢力は……

安住委員長 北神君、いいところですけれども、そろそろ。

北神委員 あと三十秒。

 極端な政治勢力は、国民と非国民を分断するんです。国民が分裂するんです。分裂したら国力は弱ります。

 ですから、そういうことで、以上、小さな鐘かもしれませんけれども、ささやかな警鐘を鳴らして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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