衆議院

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第5号 令和7年2月5日(水曜日)

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令和七年二月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      あかま二郎君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    尾崎 正直君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      河野 太郎君    後藤 茂之君

      小林 茂樹君    高木  啓君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      寺田  稔君    中西 健治君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古屋 圭司君

      山田 賢司君    今井 雅人君

      大西 健介君    神谷  裕君

      川内 博史君    城井  崇君

      黒岩 宇洋君    近藤 和也君

      酒井なつみ君    階   猛君

      藤岡たかお君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    吉川  元君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君    奥下 剛光君

      黒田 征樹君    徳安 淳子君

      西田  薫君    美延 映夫君

      仙田 晃宏君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    赤羽 一嘉君

      大森江里子君    河西 宏一君

      中川 宏昌君    吉田 宣弘君

      大石あきこ君    櫛渕 万里君

      佐原 若子君    赤嶺 政賢君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (防災庁設置準備担当)

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (新しい地方経済・生活環境創生担当)

   (国際博覧会担当)    伊東 良孝君

   復興副大臣        鈴木 憲和君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   経済産業大臣政務官    加藤 明良君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   会計検査院長       田中 弥生君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        北尾 昌也君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   野村  裕君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          坂越 健一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        安楽岡 武君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            徳増 伸二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     藤井 宣明君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          嶋田 俊之君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   布施田英生君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     山野  謙君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     瀧澤  謙君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     大沢 元一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   出口 和宏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤阪 晋介君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     大村 真一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         荻原 直彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      田辺 康彦君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 上田 淳二君

   政府参考人

   (財務省主計局主計官)  今野  治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森友 浩史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           北澤  歩君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     鈴木 貴典君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  田中 利則君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           小野 功雄君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    石川  武君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   正木 一博君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月五日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     あかま二郎君

  田所 嘉徳君     中西 健治君

  深澤 陽一君     尾崎 正直君

  山田 賢司君     黄川田仁志君

  黒岩 宇洋君     長谷川嘉一君

  酒井なつみ君     馬淵 澄夫君

  階   猛君     東  克哉君

  藤岡たかお君     城井  崇君

  本庄 知史君     吉川  元君

  池下  卓君     奥下 剛光君

  徳安 淳子君     美延 映夫君

  西田  薫君     黒田 征樹君

  長友 慎治君     福田  玄君

  橋本 幹彦君     仙田 晃宏君

  大森江里子君     吉田 宣弘君

  河西 宏一君     中川 宏昌君

  櫛渕 万里君     佐原 若子君

  田村 貴昭君     赤嶺 政賢君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     高木  啓君

  尾崎 正直君     深澤 陽一君

  黄川田仁志君     山田 賢司君

  中西 健治君     田所 嘉徳君

  東  克哉君     階   猛君

  城井  崇君     藤岡たかお君

  長谷川嘉一君     黒岩 宇洋君

  馬淵 澄夫君     酒井なつみ君

  吉川  元君     本庄 知史君

  奥下 剛光君     池下  卓君

  黒田 征樹君     西田  薫君

  美延 映夫君     徳安 淳子君

  仙田 晃宏君     橋本 幹彦君

  福田  玄君     長友 慎治君

  中川 宏昌君     平林  晃君

  吉田 宣弘君     大森江里子君

  佐原 若子君     大石あきこ君

  赤嶺 政賢君     本村 伸子君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  平林  晃君     河西 宏一君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

  本村 伸子君     田村 貴昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 令和七年度総予算を審査するに当たり、理事会における熱心な御協議を経て、各省庁別の予算について充実した審査を行うための新たな試みとして、この度、省庁別審査を行うことになりました。

 委員の皆様におかれましては、真摯な議論を賜りますよう、御協力をお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

安住委員長 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十二日水曜日、群馬県及び広島県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより一般的質疑に入ります。

 本日は、特に省庁別審査を行います。

 令和七年度総予算中、午前は内閣府の経済財政政策、財務省及び防衛省について、午後は内閣官房、内閣府の経済財政政策を除く所管、復興庁及び総務省について審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理茂木正君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官、内閣府地方創生推進事務局審議官北尾昌也君、内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府大臣官房審議官廣瀬健司君、内閣府政策統括官野村裕君、内閣府地方分権改革推進室長坂越健一君、内閣府政策統括官林伴子君、内閣府地方創生推進室次長松家新治君、内閣府地方創生推進事務局審議官安楽岡武君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官徳増伸二君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官藤井宣明君、カジノ管理委員会事務局次長嶋田俊之君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官布施田英生君、復興庁統括官山野謙君、復興庁審議官瀧澤謙君、復興庁審議官大沢元一君、総務省大臣官房長出口和宏君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君、総務省大臣官房審議官赤阪晋介君、総務省自治行政局長阿部知明君、総務省自治財政局長大沢博君、総務省自治税務局長寺崎秀俊君、総務省国際戦略局長竹村晃一君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長大村真一君、総務省総合通信基盤局電波部長荻原直彦君、消防庁次長田辺康彦君、財務省大臣官房参事官上田淳二君、文部科学省大臣官房審議官森友浩史君、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕君、国土交通省航空局安全部長北澤歩君、観光庁審議官鈴木貴典君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、防衛省大臣官房長萬浪学君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官家護谷昌徳君、防衛省大臣官房審議官寺田広紀君、防衛省防衛政策局長大和太郎君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛省人事教育局長青木健至君、防衛省地方協力局長田中利則君、防衛省統合幕僚監部総括官小野功雄君、防衛装備庁長官石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 内閣府の経済財政政策、財務省及び防衛省について審査を進めます。

 経済、国の財政状況及び各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。国務大臣赤澤亮正君。

赤澤国務大臣 予算委員会での省庁別審査をお願いするに当たり、令和七年度予算の前提となる我が国の経済の状況及び経済財政運営の考え方について御説明を申し上げます。

 我が国経済は、現在、長きにわたるコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあります。

 昨年十一月に閣議決定した経済対策の裏づけとなる令和六年度補正予算を速やかに執行するとともに、これと一体的に編成した令和七年度予算を着実に実行に移し、切れ目のない経済財政運営を推進します。

 本年一月に閣議決定した令和七年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度では、こうした当面の経済財政運営の効果も勘案し、令和七年度は、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費など内需が増加し、実質で一・二%程度の成長を見込みます。

 また、本年一月に公表した中長期の経済財政に関する試算では、二〇二五年度の国、地方のプライマリーバランスは黒字化しないものの、二〇〇一年度に目標を掲げた以降、最も赤字幅が縮小する見通しを示しました。

 引き続き、経済あっての財政との考え方の下、潜在成長率の引上げに重点を置いた対応を進めるとともに、歳出歳入両面の改革を継続します。

 経済・財政新生計画の枠組みの下、骨太方針二〇二五において、早期のプライマリーバランス黒字化の実現を含め、今後の財政健全化に向けた取組を示してまいります。

 以上、経済の状況及び経済財政運営の基本的な考え方について御説明を申し上げました。

 よろしくお願いをいたします。

安住委員長 次に、財務大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 予算委員会での省庁別審査をお願いするに当たり、令和七年度予算の前提となる現下の我が国の財政状況について御説明申し上げます。

 我が国は、少子高齢化や人口減少といった構造的な課題に直面しており、安全保障環境や金融環境の変化などにも対応しつつ、持続可能な経済社会を実現していかなければなりません。また、足下の経済における明るい兆しを確かなものとし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回り、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していく必要があります。こうした中で、経済あっての財政との考えの下、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図るよう努めているところです。

 このような経済財政運営の下、令和七年度一般会計予算の規模につきましては、前年度当初予算に比べて二兆九千六百九十八億円増額し、過去最大となる百十五兆五千四百十五億円となっております。また、一般会計歳入予算における租税等の収入が七十八兆四千四百億円と過去最高を更新したことに加えて、重要政策課題に財源を確保しつつ複数年度で計画的に取り組んでいることや、これまでの歳出改革努力を継続した結果、新規国債発行額は、前年度当初予算に対し六兆八千億円の減額となる二十八兆六千四百九十億円となっております。

 しかし、歳出が税収を上回る状況には変わりはなく、日本の普通国債残高は累増の一途をたどっており、令和七年度末には千百二十九兆円に上ると見込まれております。債務残高対GDP比は世界最悪の水準にあり、我が国の財政は引き続き厳しい状況にあります。

 財政の見通しにつきましては、本年一月十七日に内閣府が経済財政諮問会議に提出した中長期の経済財政に関する試算において、総合経済対策、補正予算や税制改正の影響などにより、二〇二五年度のプライマリーバランスは黒字化しない見込みであるものの、その赤字幅は、目標を掲げた二〇〇一年度以降で最も小さくなり、二〇二六年度には黒字化するという試算結果が示されました。

 今後の経済状況の変化や、それに伴い追加的な対応が生ずる可能性も念頭に置きながら、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四で示された経済・財政新生計画の枠組みの下、早期のプライマリーバランス黒字化実現を含め、財政健全化に取り組んでまいります。

 現下の我が国の財政状況につきまして御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

安住委員長 次に、防衛大臣中谷元君。

中谷国務大臣 令和七年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明いたします。

 令和七年度予算においては、防衛力整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向けて、防衛省所管の一般会計歳出予算額として八兆六千六百九十億五千七百万円を計上しており、衛星コンステレーションの構築などによるスタンドオフ防衛能力の強化など、将来の防衛力の中核となる分野を始めとする七つの重要分野における事業を引き続き推進をしてまいります。装備品の可動率の向上、弾薬の確保とともに、防衛施設の強靱化への投資を引き続き重視いたします。

 また、防衛生産・技術基盤の強化を推進してまいります。基地周辺対策を推進し、米軍再編を着実に実施をしてまいります。

 これらに加えて、特に令和七年度は、自衛官の現下の厳しい募集状況に鑑み、昨年の関係閣僚会議において取りまとめられた基本方針を踏まえ、人的基盤の強化に係る施策に迅速に取り組み、令和の時代にふさわしい処遇を確立していくこととしております。

 なお、足下の物価高、円安の中、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、引き続き、経費の精査と装備品の効率的な取得を一層推進する考えであります。

 これをもちまして、令和七年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いをいたします。

安住委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾崎正直君。

尾崎委員 おはようございます。高知二区の尾崎正直でございます。

 省庁別審査のトップバッターとして質問させていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず冒頭、令和七年度予算について、この予算案において、中長期的な諸課題にしっかり取り組める構えができているかという視点から質問をさせていただきたい、そのように思います。

 言うまでもありませんけれども、今、日本は、経済成長率の低迷、少子化の進展、厳しい安全保障環境等の諸課題を抱えているわけであります。これらの解決には、小手先の対策ではなくて、戦略的かつ継続的な対策が必要でありまして、予算面においても、いわゆる単年度主義を超えた対応が必要だ、そのように考えるところです。

 令和七年度予算ではこうした重要な課題についていかなる対応をしようとしているか、財務大臣にお伺いをいたします。

加藤国務大臣 申し上げるまでもなく、我が国を取り巻く経済環境、あるいは社会環境は今大きく変わろうとしているところでありますし、複雑化もしております。そうした中で、成長型経済への移行、少子化への対応、厳しい安全保障環境への対処など、重要課題について、予算面からもこれまで以上に戦略的な対応が求められていると認識をしております。

 令和七年度予算においては、こうした重要政策課題については、中長期的な観点も踏まえて、財源を確保しつつ、複数年度で計画的に進めることとしております。

 幾つか例を申し上げますと、まず、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を引き出すというために、AI、半導体分野の投資促進を、AI・半導体産業基盤強化フレームに基づいて、予見可能性を高めながら、官民連携の下で着実に進めていきたいと考えています。

 また、子育て支援に関しては、こども未来戦略に基づいて、同支援を本格的に実施し、全ての子供、子育て世帯に対し、切れ目のない支援を行ってまいります。

 また、令和九年までの五年間にわたる防衛力整備計画に基づき、スタンドオフ防衛能力の強化など、防衛力の抜本的な強化も引き続き推進をしております。

 こうした戦略的かつ計画的な対応により、重要課題に的確に対応し、持続的な経済成長を実現するとともに、我が国国民の皆さんの安心、安全、これをしっかり確保していきたいと考えています。

尾崎委員 予算面でも複数年度にわたるフレームワークというものをしっかり持って対応しようとされている、このことは大変評価できる、そういうことだ、そのように思うところであります。

 ただ、中長期的に対応していこうとすると、途中で事情が変更するということも多々出てくるんだろうと思います。他方で、それを恐れて、あらかじめ全て見通せてからスタートするんだというやり方であっては、正直言って時間がかかり過ぎて、対応が後手後手に回ってしまう。ですから、ある程度の見通しが立ってスタートをし、事情の変更に柔軟に対応するという、いわばアジャイルガバナンスといいますか、そういう対応がこれから予算面でも求められてくるということではなかろうか、そのように思うところであります。

 中長期的な展望を持って進めていくとしても、事情の変更には柔軟に対応すべきだと思います。予算面でどのような対応をしてきているか、そのことをお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今、複数年度の対応については申し上げたところでありますけれども、一方で、今の段階では、確実に、例えば翌年度どれだけ必要かなかなか見通し難いもの、また、これだけ動きが速い時代でありますから、見通しして、予算をして、それから執行したのでは、一年、二年遅れていってしまう。まさに委員おっしゃるように、タイムリーに対応していく、こういう必要性も高まっているというふうに感じております。

 また、もちろん、一方で、単年度だけではなかなか対応し切れない、そうした場合には、基金という手法も活用しながら対応していくということであります。ただ、同時に、基金については、足下の執行状況を踏まえ、使用見込みのない資金については国庫納付を求めるなど、保有資金規模、これが適切になるよう不断な見直しもしていく。この両面の対応をしていく必要があると思っております。

 また、引き続き、先ほど申し上げた事情の中で、真に必要な場合には、基金をしっかり活用していく。一方で、それについて精査をしながら、必要な基金残高をコントロールしていくことを通じて、我が国を取り巻く政策課題に適切に対処していきたいというふうに思っています。

尾崎委員 本当に、御答弁いただきましたように、全て見通せてから対応するというのでは、とてもではないけれども対応できない、後手後手に回ってしまう。他方で、だからといって、中長期的なフレームワークで対応する中にあって、途中の事情変更、これをしっかり織り込んでいくということも大事だ。このバランスをしっかり取って対応していくということが非常に重要なんだろうと思います。

 是非、今後とも、いわゆる予算の単年度主義の弊害というのを乗り越えていただいて、中長期的な諸課題にしっかり対応できる、そういう予算編成、柔軟な予算編成というのを行っていただきたい、そのように思うところであります。

 ちなみに、よく指摘されますのが、プライマリーバランスの二五年度黒字化目標を達成できなかったということであります。

 二〇〇一年度以降で最も赤字幅は縮小したとはいいましても、確かに目標は達成できませんでした。しかしながら、総理も施政方針演説で述べられましたように、これはまさに経済あっての財政との考え方に基づいて、経済的な諸課題にまずは向き合った結果だと評価できるもの、そのように思います。是非、引き続き、経済あっての財政との対応を貫いていただきたい、そのようにお願い申し上げるところであります。

 さて、経済についてでありますが、言うまでもありませんが、長期的な諸課題に加えて、国民の今の暮らしの問題も極めて重要であります。この国民の暮らしの改善という点でポイントとなりますのは、賃金と物価の好循環、これをいかにもたらすかということだろう、そのように思うところであります。

 そこで、まず、物価の動向について政府の認識をお伺いしたい、そのように思います。

 昨日の国会審議を聞いていて、少し、ちょっと分かりにくかったのでありますけれども、政府としては、現在の状況をインフレだとみなしているのでしょうか。いかがでしょう。御認識をお伺いします。

赤澤国務大臣 昨日の衆予算委の質疑において、植田日本銀行総裁が、現状において消費者物価が上昇している点を踏まえて、インフレの状態との認識を述べられたものと承知をしております。

 経済学的に申し上げれば、足下の消費者物価が上昇しているという点でインフレの状態とおっしゃるのはそのとおりであり、植田総裁の認識と特にそごはありません。

 政府としては、安定的な物価上昇の下で、それを上回る賃金上昇が安定的に実現する経済、すなわち、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環を目指しているということでございます。

尾崎委員 クリアに御答弁いただいてすっきりした、そういう思いでございます。本当にどうもありがとうございました。

 その上で、そのような物価の上昇も続いてきている、こういう側面だからこそということでありますが、他方、中小零細企業の賃上げペースというのはいまだ緩やかということであります。

 これは、毎月勤労統計を見ましても、確かに名目賃金は上がってきているんですが、例えば一般労働者所定内給与の伸び率を見ても、三十人以上の事業所では三%近辺の伸びに近日なってきているのに対して、それより小さい事業所では一%近辺の伸びにとどまるという状況であります。

 いかにこの賃金の伸びというものを全体に行き渡らせていくかということが今後のポイントとなるわけでありますが、ただ、中小零細企業において賃上げをするということは、経営上また大きく負荷のかかることでもあります。

 いかにして中小零細企業においても経営上無理なく賃上げできるようにするか、そのような環境整備も含めて、政府として、賃金と物価の好循環をもたらすために今後どのような対応を図っていくか、全般的な経済運営の方針をお伺いしたいと思います。

赤澤国務大臣 大変重要な委員の御指摘だと思います。

 家計を温めるためにも、物価上昇を上回る賃金上昇を中小零細企業においても実現していくことが必要であります。

 昨年十一月の二十六日の政労使の意見交換において、総理から、約三十年ぶりの高い水準となった昨年の勢いで、今年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を要請し、また、最低賃金を引き上げていくための対応策を私が中心となって策定するよう御指示があったところでございます。

 政府としては、中小企業を始めとした事業者の皆様方に利益を上げていただくため、端的に言えば賃上げ原資を稼いでいただくために、適切な価格転嫁の推進や、生産性向上に向けて、省力化、デジタル化投資の促進、また、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAなどを後押しをしていくということにしております。

尾崎委員 本当に多くの国民の皆様が、今、物価高に苦労されているという状況であります。そういう中にあっては、本当にこの賃金と物価の好循環をつくり出すということは大変大事なことだ、そのように思うわけでありまして、そのことがまた、成長型経済への移行を確実なものとする。是非、引き続き万全の対応を図っていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、続きまして、防衛省所管予算についてお伺いをさせていただきます。高知でいつも御指導いただいております中谷大臣に御質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 言うまでもありませんが、我が国は今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしておるわけであります。そういう中にあって、同盟国、同志国との連携強化に加えまして、我が国自身の防衛力を抜本的に強化をしていくということも非常に重要であり、その方針に基づいて、防衛費も近年大きく増額してきているわけでございます。

 そこで、まずお伺いをさせていただきたいのですが、防衛力整備計画に示されました五年間で四十三・五兆円程度という事業規模の予算によって、我が国の防衛力はどのように強化をされていくのか、国民に対して是非分かりやすく御説明をいただきたい、そのように思います。

中谷国務大臣 尾崎委員からは、現在、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているという指摘でございましたが、例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、また、中国の広範かつ急速な軍事力の増強、力による一方的な現状変更の試み、そしてロシア、これは、国際秩序の根幹を揺るがしているウクライナ侵略と、我が国周辺での活発な軍事活動などは一層深刻化をしております。

 それに加えまして、情報戦、これを含むハイブリッド戦といった新たな戦い方、また、情報通信分野の急速な進展によります技術革新、少子高齢化への対応も喫緊の課題でございます。

 そこで、我が国の防衛力はどのように強化されるかということでございますけれども、こういった厳しい安全保障環境を踏まえて、必要となる防衛力の内容を積み上げ、そして防衛費の規模を導き出したところであります。

 今般の抜本的強化の取組によりまして、例えば、周辺国からミサイル攻撃があった場合に、ミサイル防衛により、飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国から有効な反撃、これを相手に加える能力によりまして、更なる攻撃を防ぐことができます。また、戦闘艦艇部隊による海上侵攻や島嶼への着上陸侵攻があった場合には、スタンドオフ防衛能力を用いて、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止、排除することができます。

 また、サイバーや無人アセットなどを用いた新しい戦い方に対しても効果的に対応することができることなど、我が国の防衛力は現在直面し得る事態にしっかりと対応できるようになるものであると考えておりますので、こうした取組を通じまして、厳しい安全保障の環境下においても、国民の命とそして平和な暮らし、これを断固守り抜いていく予算を編成したところでございます。

尾崎委員 ありがとうございました。

 我が国が直面をし得る事態、非常にミサイル攻撃も高度化をしてきている、それにいかに対峙していくか、さらには、海上艦艇によります我が国の領海の侵犯でありますとか、陸上への侵入でありますとか、そういうことに対してもしっかり対処できるようにすることでありますとか、また、サイバー攻撃とかも含めたいわゆるハイブリッド戦にもしっかり対応することとか、いわば今の防衛上の様々な諸課題、今まさに起こっている諸課題に対して、しっかりと国民を守り抜く、そのような予算を編成されている、そのような防衛力の強化を図ろうとしておられる、そういうことだと伺ったところでございます。

 是非しっかり御対応いただきたいと思いますが、しかしながら、そういう中にあっても、かなりの巨額な予算がそれぞれの分野に投入されていくわけであります。是非、それぞれについても、しっかりとその必要性ということについて国民の御理解を得ていくということが大事だろうと思います。

 中でも、五兆円という巨額の予算をかけて整備しようとしているのが、いわゆるスタンドオフ防衛能力というものであります。令和七年度予算案でも、極超音速誘導弾の製造体制の拡充に二千三百九十一億円、目標の探知、追尾に必要な衛星コンステレーションの構築に二千八百三十二億円と、多額の予算が計上をされているところであります。

 これほどまでの予算をかけてスタンドオフ防衛能力を整備しなければならない理由について、改めて、分かりやすく御説明を賜れれば幸いであります。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 現在、諸外国のレーダー探知範囲や各種ミサイルの射程、性能は著しく向上しており、これらの脅威が及ぶ範囲は侵攻部隊の周囲約百キロに及ぶということでございます。そのため、我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に的確に対処するためには、その脅威圏外から対応可能な各種スタンドオフミサイルを導入し、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止、排除できる能力を強化する必要がございます。

 また、ミサイル攻撃が現実の脅威となる中、ミサイル防衛能力の強化だけではこれに完全に対応することは困難でございます。スタンドオフ防衛能力は、ミサイル防衛により、飛来するミサイルを防ぎつつ、更なる攻撃を防ぐため、我が国から有効な反撃を相手に加える能力、すなわち反撃能力としても活用するものでございます。

 更に申し上げれば、スタンドオフ防衛能力の実効性を確保する観点からは、画像衛星コンステレーションを構築し、宇宙領域を活用した常時継続的な目標情報の探知、追尾能力を獲得することが必要でございます。

 御指摘のとおり、各種スタンドオフミサイルの導入や衛星コンステレーションの構築には、五年間で五兆円という多額の経費が必要となる、そう見込んでいるところでございますけれども、これらの整備は、高度化する周辺国のミサイルの脅威に対応し、国民の命と平和な暮らしを守るため、必要不可欠なものだと考えてございます。

 引き続き、効率化、合理化を徹底しつつ、防衛力の抜本的強化の実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えてございます。

尾崎委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 非常に重要性の高い分野だろうというふうに思うわけでありますが、他方、スピード感も非常に重要だろうと思います。是非、着実な整備を進めていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。

 そういう中で、このように多額の経費をかけていく必要性というのは、本当に十分、これは非常に大きなものがあるんだろうと思うわけでありますが、他方で、言うまでもありませんが、我が国の財政状況というのは引き続き大変厳しい状況にあるわけであります。防衛力整備についても、このように多額の経費を要するからこそ、一層効果的、効率的に整備を進めていかなければならない、このことは言うまでもないことだろう、そのように思うところでございます。

 そこでお伺いをさせていただきたいと思いますが、まず、一般論として、令和七年度の防衛予算においても、経費の精査と装備品の効率的な取得、これを一層推進しておられるものと承知しておりますけれども、具体的にはどのような効率化、合理化の努力を行っておられるのか、是非具体的にお話を聞かせていただきたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛予算における効率化、合理化の取組につきましては、毎年度の予算編成に当たって、一つでも多くの事業で経費の縮減が行えますよう、一つ目といたしましては、長期契約を含めた装備品のまとめ買いとか、二つ目、自衛隊独自の仕様をできるだけ絞り込むとか、三つ目、運用の見直しなどによって、今後、自衛隊の中で使用予定のなくなった、こういう装備品の運用の停止、用途廃止を行うとか、四つ目、費用対効果の低いプロジェクトの見直しなどの取組を組み合わせて行っておりまして、令和七年度予算案におきましては、これらの取組によって約二千六百五十三億円の縮減を見込んでございます。

 これら四点につきまして、具体例として、例えば、長期契約も含めた装備品のまとめ買いの取組といたしましては、航空自衛隊のF15戦闘機の部品の修理に当たって包括契約を結ぶということでありますとか、二つ目の自衛隊独自の仕様をできるだけ絞り込むという取組にいたしましては、陸上自衛隊の気象測定装置の更新に当たって、その仕様を見直すとか、また、装備品の運用停止、用途廃止の取組といたしましては、航空自衛隊のU125A救難捜索機を用途廃止するということでございますとか、費用対効果の低いプロジェクトの見直しの取組といたしましては、陸上自衛隊の誘導弾の使用不能となった部品のみを交換することなどの取組を行っております。

 これらの取組は様々な規模にわたっておりますけれども、毎年度の予算要求を行う中で事業内容を精査しまして、個々の取組を積み上げることによって、可能な限り大きな効率化、合理化の効果を上げてきたところでございます。

 今後も引き続きこうした効率化、合理化の取組を徹底して行い、防衛力整備計画に基づく防衛力の抜本的強化を達成すべく努めていく考えでございます。

尾崎委員 どうもありがとうございました。

 以下、この効率化、合理化努力に関連した各論として、二つの点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初は、FMS、いわゆるフォーリン・ミリタリー・サービス、こちらについてお話をお伺いしたいと思います。

 防衛力強化に当たりまして、米国しか製造できない能力の高い装備品を調達できるFMSの活用、これは不可欠だろう、そのように思います。

 他方、FMSについては、未納入、未精算があるとか、そういう課題が指摘されておりますほか、いわゆる型落ち品を買わされているのではないかとの疑問も、そういう声も一部にはあるところでございます。

 これらの指摘に対してどのように答えていくお考えかということについてお伺いをさせていただきたい、そのように思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 FMS調達につきましては、先生も御指摘になりましたように、米国しか製造できない能力の高い装備品を調達できますので、我が国の防衛力を抜本的に強化するためには大変重要なものでございます。

 FMS調達には、未納入、未精算といった様々な課題がございます。令和元年には会計検査院からも御指摘を受けているところでございます。

 未納入、未精算につきましては、履行管理体制の強化や、米側と協議する場における個別具体的な働きかけなど、様々な取組を行っておりまして、防衛大臣レベルでの米国への働きかけも含め、未納入、未精算額の縮減、そして価格上昇の抑制に向けた取組の推進など、FMS調達の合理化に向けて積極的に取り組んでおるところでございます。

 こうした取組の結果、未納入額の規模につきましては、過去十年間遡りますと、平成二十九年度がピークで三百五十一億円あったわけでございますけれども、これが令和三年度になりますと百二十三億円、四年度で百十七億円、そして五年度で百十三億円ということで、減ってきております。

 そして、未精算額につきましても、過去十か年度のピークでありました平成二十八年度は六百二十三億円あったわけですけれども、これが令和三年度に四百億、四年度に三百六十六億、五年度には三百六十五億ということで、着実に縮減しております。

 なお、FMS調達による場合も、当然、我が国自身の判断で行っておりまして、国民の命と暮らしを守り抜くために必要な装備品を検討し、導入の判断を行っているところでございまして、いわゆる型落ち品を買わされているとか、そういった御指摘につきましては全く当たらないものでございます。

 例えば、令和五年に導入を決定しましたトマホークブロック4につきましても、より厳しい安全保障環境の中で、一刻も早く我が国としてスタンドオフ能力を構築するという観点から、我が国自身の判断で、元々取得予定だったブロック5の一部をブロック4に変更したものでございます。

 引き続き、米国としっかりと交渉して、必要な装備品を適正な価格で調達できるよう努めてまいります。

尾崎委員 本当に、未納入額もピークが三百五十億円だった、これが百十三億円まで縮減したということですから、相当御努力をいただいていることと思います。でも、まだかなりの金額が残っておりますので、引き続き、縮減に向けまして御努力を賜りたい、そのように思うところです。

 また、トマホークのブロック4について、一年前倒しということであります。確かに、防衛力、必要な能力について、いわゆる空白期間があってはいけない、とにかくこの空白期間を埋めるんだということで一年前倒しをされたという御判断、これは本当に防衛上の必要性に基づいたものだ、そういうふうに思います。是非、引き続き、国民の皆様に対して分かりやすい説明をお願いしたいと思います。

 他方、翻って、国産の装備品に目を向けましたときに、いわゆる川崎重工潜水艦修理事案について、防衛力を強化する上で逆風とも言える事案が起きておりまして、このことは大変に遺憾だ、そのように思うわけであります。

 この事案を踏まえまして、同社との契約に関して、やはり見直しをしないといけないところもあったんだろうと思いますし、それを予算に反映することも重要であったろうと思います。令和七年度予算においてどのような対応をされたか、お伺いをいたします。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 潜水艦の修理契約に関しましては、川崎重工業と取引先企業との間での架空取引や、海上自衛隊隊員への物品や飲食の提供などの不適切な行為が行われていた件につきまして、防衛力を抜本的に強化していく中で、国民の疑惑や不信を招くような行為があったことを非常に深刻に受け止めております。

 その上で、今般、七年度予算案の編成過程におきまして、川崎重工業船舶海洋ディビジョンに適用する利益率につきまして、不正防止の取組に係る評価を見直した上で経費を計上しております。

 また、それ以外にも、今回のような事態が二度と生じることがないよう、海自におきまして、潜水艦乗員等に対し、業務に用いる物品等につきまして、本来の物品要望手続等に係る教育を徹底すること、そして、特別防衛監察の中間報告におきまして、本来、海上自衛隊が準備すべき物品を乗員が適時適切に入手できない状況が本事案の背景にあったという指摘がなされておりましたので、抜本的な対策として、物品補給方法の改善を検討すること、そしてさらに、適正な契約ができるよう、仕様書、価格算定及び契約方法を見直すことなどの取組を進めております。

 こうした対策を速やかに実施し、再発防止に万全を尽くしてまいります。

尾崎委員 本当に、予算に今明らかになっている事案はしっかりと御反映をいただいているということでございます。是非、引き続き、このような事案が起こらないように対応していただきますとともに、さっき、物品の調達がそもそもできなかったことが背景にある、そういう事案もあったということでございます。それ自体、大変ゆゆしきことだと思いますので、今後、そのこと自体への対応も是非しっかりと行っていただきたい、そのように思うところでございます。

 それでは、残りの時間を使わせていただきまして、当委員会でも大変に議論となっておりますところの防衛装備移転円滑化基金について、これを更に積み増すべきかどうかという点について御質問をさせていただきたい、そのように思います。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

尾崎委員 もちろん、望ましい安全保障環境の構築、更に言えば、防衛力そのものと言える防衛産業の維持発展のために、防衛装備の移転というのは更に進めていくべきだろうと思いますし、その際、相手国のニーズに柔軟に対応することを支えていくこの基金の重要性というものは大変大きなものがあるだろう、そのように思うところでございます。

 ただ、昨日来議論になっておりますけれども、この基金にはこれまで八百億円の予算措置がなされているのでありますが、実際に使われたのはこれまで約十五億円にとどまるという状況だということであります。それにもかかわらず、令和七年度予算案において更に四百億円を追加する必要があるのか否かが焦点となっております。

 中谷大臣は、昨日の御答弁の中で、これまでの八百億円に加えて更に四百億円を積み増す理由について、トータルで百件を超える引き合いが今あるわけでありますが、このうち七年度に認定する可能性があるものが約十件あって、これに対応するために必要な金額を積み上げると千二百億円となる、だから四百億円が必要だとの趣旨の御説明をされました。

 ただ、百件はもとより、この十件についても、まだ協定などが結ばれているわけではなく、確実に認定されるとは言えない状況であります。それにもかかわらず、四百億円を新たに予算措置をしなければならない理由はなぜなのかということであります。

 一言で言いますと、交渉を逃した過去の苦い経験があるはずでございます。日本側が柔軟な対応をできなかった、しっかりとした予算措置の裏づけもなかったので柔軟な対応ができなかった、結果として大きなチャンスを逃してしまった、このような事態が生じてしまった。

 このような苦い経験も踏まえて、相手国との交渉上の必要性などに基づいて措置しようとしているのではないかと推察をするところでございますが、是非、明確な御説明をお願いいたします。

中谷国務大臣 御議論をいただいております防衛装備の移転につきましては、これは、国家安全保障戦略、これに記載をしているとおり、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、我が国にとりまして望ましい安全保障環境の創出のために、また、国際法に違反する侵略を受けている国への支援等のために重要な政策手段でありまして、我が国はこれを官民一体となって推進をしているところでございます。

 装備移転に関しましては、我が国の装備品等に用いられている先進的な技術に係る情報の保全、そして移転先国との防衛協力関係に資するための変更など、安全保障上の観点から、移転対象物品の適切な仕様、性能の変更、調整、それに伴って必要となる一連の作業を企業に実施させる必要があります。

 こうした事情から、国家防衛戦略において、防衛装備移転を円滑に進めるために基金を創設をするということとされまして、これを受けて、基盤強化法を制定し、同法に基づいて防衛装備移転円滑化基金を創設いたしたところでございます。

 この基金は、装備移転を我が国の安全保障上適切なものとするための取組を促進することを目的としておりまして、防衛大臣の求めによりまして、相手国との防衛協力の内容に応じる企業が行う仕様等の調整に要する資金を助成するものでありまして、その上で、装備の移転案件の形成、進捗については、移転先の候補になる相手国の政府等の事情、また調整状況において大きくこれは左右されるものでございます。

 そうした中で、令和七年度中に認定する可能性のある案件として、現在約十件を前提に計算しているところでありますが、装備移転の機会を逃さないためには、突発的に発生する案件などにも迅速に対応できるようにする必要があります。

 例えば、過去に、タイ空軍による防空レーダー、これの国際競争入札におきましては、提案の要求書の公示から締切りまで一か月という例もありましたが、公示期間が極めて短い場合には、公示によって相手国のニーズが明らかになって初めて予算要求を行っていたのでは締切りに間に合わず、企業は、仕様等の調整に係る助成金を前提とした入札価格を設定できません。もちろん、補正予算とか、又は予備費ではこれは対応できないわけでありまして、このような過去の経験も踏まえまして、弾力的な支出が可能となる基金を造成したというところでございます。

 また、この基金の、認定が見込まれる額を事前に計上していくことで、移転に向けた我が国の積極的な意思表示になるとともに、企業へのインセンティブの付与、そして移転先の相手国からの受注促進など、移転に向けた交渉などが進むと考えております。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

中谷国務大臣 仮に、残高不足によりまして基金の使用ができなかった場合には、仕様等調整に係る企業への助成ができない、そして装備移転に支障が生じる、相手国との調整が遅滞するなど、結果として、我が国として望ましい安全保障環境を創出する機会を逸するのみならず、相手国との信頼関係を損なうことにもなりかねないと考えておりまして、以上のことから、装備移転を支障を来すことなく進めるためには、令和七年度における四百億円の追加計上、これが必要であると考えております。

尾崎委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 要するに、防衛装備の移転を行うということは、相手国、ライバルがいるということなんだろうと思います。相手側からの要求に対して、おたくは一か月でできますか、おたくはどうですかと聞かれたときに、日本はできません、こちらの国はできますということになったら、それでは相手国に取られてしまう、別の国に取られてしまうということであって、日本としていかに、ライバルもいる競争環境の中で受注できるための、あらかじめコミットメントラインというものを示しておくかということが非常に大事だ、そういうことなんだろう、そのように思うところであります。

 更に言えば、これは、事は防衛装備の移転に関わること、安全保障環境をどのように、周辺国、同志国との間でよいものをつくり上げていくかということに関わることでありまして、交渉上、できると言ったのにできなかったとか、そういう事態が生じてしまうこととなってしまうと、一言で言うと、相手国との信頼関係を損ねてしまう、我が国の事由によって損ねてしまう。それがもたらす安全保障環境上のマイナスというものは大変に大きなものがあるんだろう、そういうふうに思います。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

尾崎委員 是非、しっかりとした万全の体制を整えて、相手国にも信頼をしていただけますように、ライバルの国に対しても競争を優位な体制でもって交渉を進めていただき、防衛力の装備移転を進めて、我が国にとって望ましい安全保障環境をつくり上げていっていただきたい、そのように思うところでございます。

 是非、防衛省の方で引き続き分かりやすい御説明をお願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 これにて尾崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。

 今日は、給付金行政について質問したいというふうに思っています。

 コロナ禍以降に、生活支援のための給付金事業、これが繰り返されてきました。

 お手元にお配りした資料、一枚物でありますが、そこに、「給付に要した事務費に係る国の予算」と書かれた資料、これを御覧いただければ分かりますが、重立った給付措置だけでも令和二年度から六回もなされ、その事務費総額は六千三百十六億円にも上ります。

 給付そのものは、国民生活を支えるための再分配政策ですから、これは極めて重要だと考えます。しかし、その事業のたびに巨額の事務費を計上するというのは、これは予算の無駄。五年もたった現在でも、この費用を最小化する、そのための給付システムというものはできておりません。

 そこで、この六度の給付でありますが、比較しやすいようにということで、令和五年、この表の下から二つ目と、そして一番下、令和五年の予備費、住民税非課税世帯に対する三万円給付と、令和六年経済対策に基づく低所得世帯向け三万円給付、昨年の補正です、この二つの給付金事業について比較をしたいと思います。三万円給付ということで、そろえてということであります。

 そこで、内閣府、これは参考人にお尋ねします。

 この令和五年の三月予備費、この住民税非課税世帯三万円給付の際、このときの当初計画で確保された事務費は、表では八百九億円となっておりますが、これは総額ですので、三万円給付に限ると、その部分の事務費は三百八十四億円でした。

 では、今回の、昨年補正の、令和六年経済対策に基づく三万円給付、ここで確保された事務費用は幾らでしょうか。端的にお答えください。

松家政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度補正予算における世帯当たり三万円等の低所得世帯向け給付につきましては、その事務費として約三百七十四億円を計上してございます。

馬淵委員 これが三百七十四億円ということであります。つまり、六百九十五億円の内数、これも、この三万円に限ると三百七十四億円ということですが、では、更にお尋ねします。二つお聞きします。

 積算根拠はどうなっていますか。そして、その前回の令和五年の三万円給付の際の積算根拠と差はありますでしょうか。参考人、お答えください。

松家政府参考人 低所得世帯向け給付の事務費につきましては、御指摘の令和五年三月の予備費、そして令和六年度補正予算のいずれにおいても、対象として想定する世帯数に世帯ごとの単価二千五百円を乗じて計算をしてございます。

 令和五年三月の予備費につきましては、低所得世帯約千五百四十万世帯に単価二千五百円を乗じて、約三百八十四億円を計上してございました。

 令和六年度補正予算につきましては、低所得世帯約千四百万世帯と子供加算対象世帯約九十万世帯を合計した約千四百九十万世帯に単価二千五百円を乗じて、約三百七十四億円を計上してございます。

馬淵委員 つまり、積算根拠は変わっていないんですね。一世帯当たり二千五百円の単価、令和五年の予備費、そして令和六年のこの補正ということなんですが、単価は変わらずであります。要は、対象世帯が減った分だけ十億円減ったということなんですね。

 では、この給付の執行状況と完了の見通し、現在のこの令和六年の経済対策、これの給付の執行状況、完了の見通しについて、参考人、お答えください。

松家政府参考人 令和六年度補正予算における給付の状況でございますけれども、一月二十四日時点におきまして、一月末までに全体の約八割に相当する千三百九十の自治体において予算化をしていただく予定でございます。

 また、給付の開始時期につきましては、同じく一月二十四日時点で、一月末までの百十自治体を含めまして、三月末までに全体の約七割に相当する千二百十六の自治体において給付を開始する予定でございます。

 その他の自治体も含めまして、各自治体において可能な限り迅速な給付に向けて取り組んでいただいているところでございまして、内閣府といたしましても、低所得世帯の方々に給付が速やかに行き届くよう、自治体における取組を後押ししてまいります。

馬淵委員 二問目についてはお答えいただいていないんですね。

 今お話がありましたように、千七百四十一自治体、これが、一月末までに予算化予定となっているというのが千三百九十、そして、一月末までに給付開始予定となっているのは百十ということであり、そして、これがいつまでに完了するかは今お答えいただいていないんですが。

 この千七百四十一自治体で、昨年のうちに給付開始されたのは十自治体だけなんですね。石破政権ができて、補正予算を組んで、鳴り物入りの経済対策ですよ。しかし、これが、手をつけたのが十団体のみなんですね。年末のまさに物入りのときに手元に届かないという状況が続いている。また、一月末までに開始は百十自治体と、これは全体の一割以下です、開始がですね。

 じゃ、その前の令和五年の予備費の三万円給付はどうだったか。令和五年三月に閣議決定をして給付がスタートするわけです。給付の事業がスタートしました。そして、その給付完了というのは令和六年三月なんです。これは一年がかりなんですよ。緊急の経済対策だというのに、一年もかけてやっているんですね。こんな状況が続いている。

 しかも、今回、どうですか、費用は、単価は変わっていませんから、要は費用も変わっていないんですよ。全く効率化も進んでいない中で、期間は今はっきりと分からない。つまり、長引くおそれがあるということになります。

 そこで、デジタル庁にお尋ねしたいと思います。

 私は、この問題を再三内閣委員会で取り上げてきました。一昨年の内閣委員会で、私は、より効率的な給付システムを作るべきではないかということを当時の新藤大臣に御提言申し上げ、大変それは傾聴に値するということで、その後、デジタル庁に新たなシステムを開発するという動きが出てきました。

 そして、これが自治体の給付事務の効率化のためのシステムです。給付支援サービスと呼ばれています。これについては、これを利用、応用することでコスト削減や事務作業の効率化が大幅に図られるものとして、デジタル庁はこれを開発されました。私も中身を見ましたが、非常によくできているとは思います。

 このデジタル庁が作った給付支援サービス、これは、じゃ、そもそも開発費はどれぐらいトータルでかかったのか。そして、給付支援サービス導入で事務費削減は幾らになるのか。さらには、令和五年予備費、三万円給付のときに、給付支援サービスを利用した自治体は幾つあるのか。この三つについて端的にお答えください。デジタル庁、お願いします。

安住委員長 デジタル庁楠正憲統括官、簡潔に。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの開発に係る費用につきまして、令和五年度のプロトタイプ構築から令和六年度の開発までの総額が約二十・六億円となっております。

 また、利用団体に関しまして、前回の低所得者給付に関しましては、九十二の基礎自治体において御利用いただきまして、今般の重点支援地方交付金につきましては、二月四日時点になりますけれども、開始しているのは……(馬淵委員「まだ聞いていないよ、そこは」と呼ぶ)はい。以上となります。(馬淵委員「削減額」と呼ぶ)

 削減額につきましては、ちょっと、現状、集計する方法がないものですから、一定の事務費の低減の効果はあったというふうに考えておりますけれども、集計はできておりません。

馬淵委員 開発費は二十億です。これが高いか安いかというのはいろいろな議論があると思いますが、私は相応の金額ではないかなというふうに思います。

 ところが、令和五年、これだけ作ったものを、千七百四十一自治体のうち九十二自治体しか利用されていないんですね。削減額も分からない。これは自治体がやっているからということになるんだと思いますが。

 改めて問います。デジタル庁、お答えいただきたいんですが、作業の大幅な効率化が図られるということが目的で作ったシステムですから、事務費の大幅な削減になる、一定程度なんという話じゃなくて、事務費の大幅な削減になるという認識でよろしいですか。これが一つと、その上で、千七百四十一のうち前回の利用率は、九十二団体ですよ、これは一割にも達していないわけですね。こうした状況で、今回の現時点で、この令和七年の現時点における令和六年の三万円給付で、前回は九十二団体で一割にも達していなかったですが、今回は幾つの自治体が利用していますか。

 二問お尋ねしました。お答えください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点は四団体、二月の末までに十五団体が利用を開始する予定でございまして、引き続き利用を働きかけてまいりたいというふうに考えております。

 また、事務費の低減につきましてもしっかりと取り組んでまいります。(馬淵委員「大幅な削減か聞いているんです」と呼ぶ)はい。大幅な削減に取り組んでまいります。紙の申請書から情報を入力する手間もなくなりますし、通帳のコピー等の確認もなくなりますので、また金融機関におきましても時間を短縮できるということで、自治体の職員の事務量を大幅に削減してまいります。

馬淵委員 そうなんですね。事務量は大幅に削減できるはずです。そして、そのような状況ではありますが、今、二月四日時点で四自治体ですよ。これは〇・二%ですよ。もうとんでもなく低い数字なんですね。

 デジタル庁、もう一つお尋ねしますが、このサービス利用が広がらない理由は何ですか。これも端的にお答えください。

楠政府参考人 現状、各自治体のシステムというのはばらばらに構築をされておりまして、これを個別に給付支援サービスとつなぎ込むというところは難しいというところが課題でございます。

 今般、自治体システム標準化におきまして、ここのインターフェースをそろえてまいりますので、来年度以降、順次、標準システムに移行した団体から容易になってくるというのが一点と、もう一点、それでもやはりSE作業がどうしても入ってしまうんですけれども、ここに関しましては、今、公共サービスメッシュの構築を進めておりまして、こちらの自動化を行っていけば、より一層簡便に連携をして、多くの自治体にお使いいただけるというふうに考えております。

馬淵委員 様々な理由があるということでありますが、これは先ほどお答えいただけませんでしたが、これは利用は有料ですよね。この有料利用ということの要因というのはありますか。これは端的にイエスかノーで答えてください。

楠政府参考人 どうしても、各団体、運用にも費用がかかってしまうものですから、開発費用とは別の、運用、保守等にかかる部分に関しましては自治体にも御負担をいただいておりまして、こちらが累計でこれまで約四億円ちょっとというふうになっております。

馬淵委員 利用料もかかるということで、自治体が二の足を踏んでいる。今、四億円というお話でありましたが、九十二自治体で四・三億円という数字を聞いています。そうなりますと、単純に計算すると、これは一自治体当たり四百七十万程度。四百億の事務費を毎回要するのに比べれば、全自治体で、これはざっくりですが、八十億程度に収まるはずなんですね。開発費も二十億ということでありますから、これはワンショットですので、つまり大幅な削減ができるという可能性が高いということです。

 このように、また、今御説明はなかったんですけれども、前回利用した自治体は初期費用もなくなるんですね。初期費用と月額使用料を払わなきゃいけないということですが、これもなくなるということで、給付支援サービスの利用を考えれば、非常に効率的な給付の仕組みがつくれて、かつ、四百億円に及ぶ事務費が相当程度削減できるはずですよ。

 私は、半分近くになるんじゃないかなと思います。これは二百億円、この五年間で六回もやっているわけですから、昨日の質疑でもありました高額療養費制度、これは二百億なんて、すぐに捻出できますよ。

 このように、我々は、こうした無駄を削るだけではなくて、それをいかに有効な、国民生活に資する予算に振り向けるかということで、この省庁別審査に臨んでいるわけです。

安住委員長 御静粛に。拍手は要らない。

馬淵委員 そこで、赤澤大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今、ここまでの議論で、四百億円の給付に関する事務費、これはもっと大幅に削減することができると、私は、今の答弁を聞いていても、皆さん方、御理解いただけたと思うんですが、赤澤大臣、これは大幅に減ずることができるとお考えではありませんか。いかがですか。

赤澤国務大臣 馬淵委員と事務方のやり取りを、今大変興味深く伺っておりました。

 委員御指摘のとおりです。デジタルを活用した給付事務の効率化や事務費の低廉化は本当に重要であると考えております。給付支援サービスも割と出来はよいという御評価もいただきましたし、そういう意味ではしっかり進めていく必要があると思います。

 御案内のとおり、足下ではエネルギー価格あるいは野菜価格、米価格が高止まりしている中、給付金を始め経済対策を盛り込んだ物価高に対応する様々な施策、本当に一日も早く国民の皆様にお届けしたい、そのことで効果を実感していただけるよう、迅速かつ効果的な執行に努める必要がある中でありますので、本当に、こうした観点から、御指摘の給付事務の効率化、事務費の低廉化を含め、給付金等の施策を迅速かつ効果的に執行していけるよう、私としても、それらの進捗管理をしっかり続けて施策を後押しするなど、万全の対応を図ってまいりたいというふうに思います。

馬淵委員 これは大臣、大幅な削減は可能ですよ。進めるべきです。新藤大臣はそれをちゃんと、提言を受け止めていただきました。

 お手元の資料にお配りした、これは内閣府からいただいた資料なんですが、実は、給付金事業というのが、本当に誰が責任者なのか、まさに司令塔、統括が。過去四回にわたっての給付金事業がどう進められたかということで、これは内閣府提出の資料で、制度設計と執行、取りまとめというふうに分かれています。

 この取りまとめが入っているのは、経済対策があったときの給付金事業です。したがって、そのときには、内閣府の経済財政運営担当、まさに大臣ですね。この一番上のところ、令和四年度予備費は、これは当時後藤大臣でした。令和五年度補正は、これは新藤大臣です。そして令和六年度補正、これはまさに赤澤大臣が所管をされているわけです。しかしながら、先ほど来お話がありましたように、誰が司令塔なのかというのを内閣府も含めて様々聞いても、はっきりしないんですね。

 大臣は、所信の中で、自治体に、市区町村の皆さん方にこれをとにかくお願いをしていく、皆さんの実行を進めていただきたくお願いをいたします、市区町村には、支援を迅速にお届けできるよう、一層のお力添えをよろしくお願いいたします、こう述べられていますね。これを御自身でやるという、その決意と覚悟はないんですか。これはお願いだけじゃなくて、やはり司令塔ですから、ただ単に、先ほどもお話ししたように、自治体がばらばらにやっているからというデジ庁のつらさもありますよ。でも、これを進めるのは大臣のお立場ですよ。

 赤澤大臣、これは自治体任せでいいとお考えなんですか。いかがですか。端的にお答えください。

赤澤国務大臣 私自身が、補正予算の実施についてしっかり進捗管理をすることと、各省の取組を後押しをするようにという指示を総理からいただいておりますので、まさに馬淵委員がおっしゃることについて言えば、私も真剣に取り組まなければならないというふうに思っています。

 その上で、委員の今日の御質疑で明らかになったとおり、有料であることとか、あるいはシステムの標準化、標準準拠システムへの移行が進むまで、自治体がこれを利用することについてなかなか勢いが出ないというような事情はあることは明らかになりましたけれども、そういうものを乗り越えて、一日でも早く補正予算などが国民の皆様の手元に届くように、私もしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

馬淵委員 なら、大臣、私、提言しますけれども、これは自治体は大変負担に思っているんですよ、利用料も含めて。事務も削減したいけれども、今抱えているシステムもあるという中で、これは一定程度国が乗り出さなきゃできないですよ。

 田中弥生会計検査院長は、昨年の十二月十八日の静岡新聞での社説にこう述べられています。懸念されるのは、何種類もの臨時の給付金事務を担う自治体の負担の重さだ、こう述べられているんです。まさにそうなんですよ。ですから、システムをつくる、そして様々な形で自治体に働きかけるだけでは駄目なんです。

 私、提言ですけれども、大臣、四百億がそれこそ半分ぐらいにも下がるかもしれないんですよ。大幅な削減とさっきデジタル庁も言っているように、事務費が削減されるんですから。ならば、国が利用料も含めて国費負担すべきじゃないですか。そして、そのような形で国費負担をして、自治体の事務費計上というのをやめていくんです、下げていくんです。国費負担をして自治体が事務費計上されないでもできるように、国が乗り出していくしかないんじゃないでしょうか。赤澤大臣、どうですか。

赤澤国務大臣 馬淵委員の御指摘も理解はいたします。

 その上で、今日のお話を聞いていると、これは先ほどのデジタル庁の答弁にもありましたけれども、二〇二五年、まさに今年を目標にしている標準準拠システムへの移行というのができれば、自治体がこれを、給付支援サービスですか、使うのに非常にスムーズになってくるということで、恐らく、自治体の立場に立てば、これは有料のサービスでもありますし、今年の標準準拠システムへの移行が済めばスムーズに移行できるというつもりでいる自治体も多いと思う。

 今おっしゃったように、具体的な数字が、四百億とか関係してくる話ですので精査が要ると思いますので、私も、この補正予算について進捗管理をし、各省の後押しをせよということを言われた立場の中で、デジタル庁の平大臣や、あるいは都道府県に力をかりるという意味では総務大臣といった同僚の閣僚とともに、ちょっと相談しながら、どういう取組が一番いいかについてはよく検討させていただきたいというふうに思います。

馬淵委員 この質疑で、整理しますが、明らかになったのは、給付事業、令和二年から六回も繰り返され、膨大な給付事務費がかかっているということ。そして、直近で行われた三万円給付でも四百億もの事務費がかかっている。単価も一世帯当たり二千五百円と変わっていない。そして、この給付期間は、前回は一年がかり。これからもどれぐらいかかるか、まだ見えません。こういう状況の中で、給付支援サービスをデジ庁が開発してきた。

 そして、この事業の制度執行は地方創生推進室に委ねられている状況では駄目なんです。大臣がおっしゃったように、平大臣、そして総務大臣、さらには内閣府にも関わる伊東大臣、この四者がこれに取り組んで、四百億を削りましょうよ。新たな予算を捻出していきましょうよ。

 そのことを強く申し上げますが、大臣、最後に一言。どうですか。

安住委員長 これはちょっと時間が過ぎているので、本当に一言。それで終わり。

赤澤国務大臣 大変重要な御指摘と受け止めさせていただきます。

馬淵委員 ありがとうございました。終わります。

安住委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。

 時間がないので、早速始めます。

 提出資料一枚目は、防衛省さんに作成していただいた資料でございます。令和四年度、五年度における防衛省の契約相手先上位十社の企業名と金額を表にしていただきました。

 これから防衛予算GDP比二%、石破総理大臣は二%でも足りないかもしれないということをおっしゃっていらっしゃって、これからこれらの企業に対する発注は更に増えていくということになるわけで、大変な金額なわけですけれども。

 そういう中で、昨年の年末、海上自衛隊の潜水艦修理契約に関連して、防衛省の調達先、この表の中にも出ていますけれども、二番目の川崎重工さんが下請に対して架空発注を繰り返し、その架空発注をした先からバックを受けて、裏金、これ、防衛省の特別監察報告書に裏金と書いてありますからね、最近はやりの言葉ですけれども、裏金をつくり、それを原資として自衛隊員に対する金品の提供や供応接待を繰り返していたという問題、この報告書が昨年十二月二十七日に公表されました。

 過去五年間で架空発注の金額が十七億円余り、裏金が六億円から七億円。不正は遅くとも四十年前から始まっていた。遅くとも二十年前からは金品の提供や供応接待が行われていたとあります。報告書に書いてあります。

 また、川崎重工が会社として第三者委員会を設置し調査した報告書には、自衛隊との契約は、結果として、架空発注分の金額を含んだ金額となっていたと川崎重工さんが自ら報告をしていらっしゃいます。

 そこで、二枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、潜水艦修理契約の主な契約先というのは、今申し上げた川崎重工さん、そして、三菱重工さん、ジャパンマリンユナイテッドさん、この三社が独占をしていらっしゃいます。

 まず、この三社に対する防衛省・自衛隊出身者の人数、何人ぐらいそこに行かれましたかということを教えていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 再就職等規制導入後の平成二十七年十月一日から令和六年三月三十一日までの自衛隊法に基づく就職の援助の実績及び再就職情報の届出により防衛省として把握している人数は、川崎重工業株式会社約六十名、三菱重工業株式会社約百名、ジャパンマリンユナイテッド株式会社約四十名です。

 なお、この数字は当該期間における再就職者数の累計であり、現時点でこれらの社に在職している人数ではございません。

川内委員 この特別防衛監察では、川崎重工さんの工事の担当者が自衛隊員の要望を取りまとめて金品を提供したり、あるいは供応接待をしたりというキーパーソンというふうに書かれておりまして、川重の報告書では、本当にやはり第三者委員会というのは大事ですね、フジテレビでもそうでしょうけれども。担当が替わってもその仕事は脈々と受け継がれてきたと川重の報告書には書いてあって、伝統であったと書いてあるんですね。

 そこでお尋ねしますが、この特別防衛監察では、事業者側の工担、工事担当者にヒアリングをして報告書を作ったと書いてあるんですけれども、何人ヒアリングし、そもそも、その中に、この事案のキーパーソンである工担の中に防衛省・自衛隊出身者もいたのではないかというふうに思料いたしますけれども、何人いたのかということを教えてください。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の防衛監察本部等が行いました特別監察におきまして聞き取り調査を行ってございますけれども、川崎重工業側関係者は四十八名に聴取をいたしました、聞き取り調査を行いました。そのうち、防衛省・自衛隊出身者は六名おります。

川内委員 ここで改めて二枚目の資料を見ていただくと、過去五年分の潜水艦修理契約、修理がない年もありますから、全部で五年間で、潜水艦五隻掛ける二十五引く修理のない年ということで、百十四の升が作ってあるんですけれども、この表に関してお尋ねしたいんですけれども。

 特別監察の報告書四十八ページには、多数の工担が、各部位を担当する監督官と下見積りについて調整する過程において、当該部位に係る予量、ある特定の調達に必要と見込まれるとして契約担当官等に伝えられる予算額をいう、要するに、その修理の部位の予算を伝えていたというふうに書いてあります。さらに、艦船修理契約は企業側の言い値に近い額での契約金額というふうに書いてあります。

 そこでお尋ねしますが、この表の中の主な契約、金額の一番高い契約は全て一者入札ということでよろしいでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 この表の中にある一番高い金額の契約における入札者数は、全て一者でございます。

川内委員 さらに、この百十四の升の中の金額のそれぞれ一番高い契約は、落札率はほぼ一だ、あるいは一であるということでよろしいでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 落札率につきましては、契約価格を公表しているものですから、落札率を公表いたしますと予定価格が類推されるおそれがあるということで通常公表しておりませんが、しかしながら、一かほぼ一だったかということであれば、一だったものもあれば、ほぼ一だったものもあるということではございます。それ以外の数値もございます。

川内委員 行政事業レビューシートには落札率はちゃんと出ているんですよね。それを今ここで答えないというのは、委員長、これは本当に、特別防衛監察の対象事案になっているにもかかわらず、隠す。

 私は、防衛省や自衛隊に凜としていただきたいという思いでここに立っているわけですけれども、しかし、こういう不祥事案に対してまだ隠すというのは、御自分たちでうみを出すということについては、大変に、そこはやはりお互いに、再就職者もいるし、まあ、いわばずぶずぶの関係だった、それを、じゃ、どうやって改めますかということをみんなで考えなきゃいけないときに、まだ隠すというのは、ちょっと極めて遺憾に思うので。

 国としては、いろいろな不祥事が起こったときに、自分たちで調査して報告書を出すんですね。第三者委員会というのは設置されないんです。国として第三者委員会があるとすれば、それは公正取引委員会であり、会計検査院であるというふうに思います。

 そこで、今日は公正取引委員会委員長、会計検査院院長に来ていただいていますので、潜水艦修理契約に関して、過去五年間の修理契約において、二十五隻の潜水艦掛ける五年分の契約につき、全てが、主契約については一者入札であり、落札率は主契約については全て一、若しくは一に近い落札率であった。特別防衛監察の報告書には、官側が民側に予算価格を教示していたということも書いてあります。入札における談合が疑われる事例であるというふうに思いますし、また、川崎重工の第三者委員会が公表した報告書には、予算額の中に下請に対する架空発注分の金額を含んだものになっていたとまで結論づけております。

 以上により、私は、公正取引委員会に、独占禁止法上の競争入札を、競争を不正に妨害しているのではないか、あるいは、官製談合も疑いもあるということにおいて、潜水艦修理契約に関するこの談合事案について調査をしていただきたいというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御指摘の事案について、現在、私どもでコメントする材料は持っておりませんけれども、先生からの独占禁止法に基づく申告ということでありますならば、それを受け付けさせていただきまして、必要な調査をさせていただきたいと思います。

川内委員 申告いたします。調査していただけますか。

古谷政府特別補佐人 申告として受けさせていただいて、独禁法に基づいて必要な調査を行ってまいります。

川内委員 私はやはり、これから安全保障環境が厳しくなる、厳しくなる、厳しくなっている、そして防衛予算を増やしていくんだというふうにおっしゃるのであれば、魂は細部に宿るので、こういうところをしっかりとみんなでただしていくということが、物すごく国民からの信頼を得るという意味において大事だという思いで発言をさせていただいております。

 会計検査院の院長にも来ていただいていますので、今回の修理契約に絡む報告書などを受けまして、潜水艦は三社ですけれども、水上艦は二社が独占していたりするんですよね。だから、防衛装備品全体について、これまでも検査を厳しくやっていらっしゃると思うけれども、やはり見抜けないこともたくさんあったという反省の下に、更にこの防衛予算について厳しく検査をしていくということを御発言をいただきたいというふうに思います。

田中会計検査院長 防衛省における装備品に係る契約につきましては、会計検査院は多角的な観点から、これまでも検査はしてまいりました。委員御紹介のとおり、潜水艦修理契約につきましては、防衛省で御発表されたような問題もあるということも存じ上げております。

 こういったことから、会計検査院といたしましては、委員御指摘の点も含めまして、国会での御審議を十分に踏まえた上で、ほかの装備品に係る契約につきましても、引き続き適切に検査をしてまいりたいと存じます。

川内委員 ありがとうございます。話題の検査院長にお目にかかれて光栄に存じます。

 中谷大臣、金品の提供や供応接待を受けていたというのは、私は自衛隊倫理法や自衛隊倫理規程に違反すると思うんですよね。倫理上問題があるということは監察の報告書にも書いてある。

 しかし、もう長い間やられてきているから、退職していらっしゃる方もたくさんいるんですよね。今現に隊員である人だけを倫理法や倫理規程に照らし合わせて処分するのは私は公正さを欠くというふうに思うし、長い長い間行われてきたこと全体に対しての責任ということであれば、海上自衛隊あるいは自衛隊全体の偉い人が断腸の思いで責任を取る、私はそういう責任の取り方というものが必要であるというふうに思うんです。

 今現に金品の提供を受けたり供応接待を受けたりしていた人たちだけを処分しても、ああ、運が悪かったねということになってしまうだけですから、上の人が責任を取らなきゃいけないと思うんです。その辺についての大臣のお考えを聞かせていただけますか。

中谷国務大臣 防衛省としましても、今回の事案は重大な事案だと認識をしておりまして、特別防衛監察の調査、これは継続をいたしておりますので、今後判明した事実関係に基づいて厳正に対応してまいりたいというふうに思います。

 おっしゃるとおり、海上自衛隊関係の自衛隊の倫理規程違反に関しては調査を行っている状況でございます。そして、原価計算の精度を高めるためには、見積りの資料のほかに、現実の原価の発生に近い資料の提出も求めて補正するということで……(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

中谷国務大臣 今回判明した事実におきましても、二度とこういうことがないような制度の改正、これは行っているところでございます。

川内委員 それでは、防衛装備移転円滑化基金四百億。

 防衛省さんというのは羨ましいなと思うんですよね。何に使うか分からないものを四百億積めるんですよね。他方で、命に関わる、ずっと話題になっていますけれども、高額療養費制度の上限額引上げについては二百億削られる。大変、本当に世の中の矛盾というか、理不尽を物すごく感じます。

 防衛装備移転円滑化基金については十五億と出ていますけれども、まだ契約はしていないでしょう。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 十五億円は認定したものでございまして、その一部のみについて契約を現時点ではしております。

川内委員 一部というのは幾らですか。

石川政府参考人 一億円でございます。

川内委員 だから、一億だけ今支出したということですよ。大臣、一億だけしか今支出していないです。

 それで、基金から支出するというのは、業者から請求がある、輸出事業者から請求があって初めて基金から支出するので、認定と支出は別だと。いいですね、制度上。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず認定をいたしまして、その枠の中で順次支出してまいります。

川内委員 だから、輸出事業者から、大臣、請求があったら支出するんですよ。この分、お金ちょうだいと言われたら支出するんです。

 だから、防衛装備移転円滑化基金というのは、要するに、事業者が輸出相手国なり輸出相手国の事業者なりに、輸出をするに当たってその国向けの、こんなことは私が大臣に言うまでもなく大臣は知っているので、仕様にするに当たってお金がかかるから、その分を国が補助するからねと、要するに、ビジネスしやすいようにしてあげるからといってお金を出すわけで、別に基金にお金がなくても、その基金の認定さえあれば、予算は後でつけたって、事業者は後で請求すればお金はもらえるんですよ、制度上。

 だから、今年四百億積む必要なんか全然ないんです。全然ないんです。物すごい無駄です。四百億で、資金コスト、金利がかかっているんですよ。

 財源は何ですか、この四百億は。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと御質問の趣旨を正確に理解しているか分かりませんけれども、通常の防衛関係費の中から四百億の補助金を要求させていただいております。

 それと、あと認定の話でございますけれども、防衛省として、認定するに当たっては、基金の残高がないと認定できません。基金の残高があって初めてそれを上限とした認定ができるわけでございます。基金なしでの認定はございません。

川内委員 私が聞いている財源は何かというと、要するに、国民のお金ですということですよね。それは、資金コストもかかるし、寝かせておくだけというのは大変無駄なことにつながるんです。

 今おっしゃられたけれども、基金の上限額の範囲内でしか認定できないと。ちょっとそれは初めて聞いたんですけれども、どこに書いてあるんですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 基金の目的に沿って防衛大臣が認定するという行為につきましては、当然基金の裏づけがなければ認定はできないわけでございます。

川内委員 だから、今、と思うと言ったんですよ。もうめちゃめちゃいいかげんですよ、これ。

 じゃ、この四百億を積んだのは記者レクをした後でしょう。記者レクをした後に四百億積んでいるでしょう。

安住委員長 時間がもうないんですよ。だから、最後、寺田官房審議官、ちょっと端的に答弁して、今の話。

寺田政府参考人 概算要求に当たりまして、我々は報道各社に対してブリーフィングの機会を設けておりますけれども、今回、最初、報道各社の論説委員それから防衛記者会に所属する記者に対して、令和六年八月二十三日金曜日にブリーフィングを行っております。そして、週が明けて、六年八月二十六日の月曜日に、今度は市ケ谷記者クラブとFPIJという在日外国報道協会に対してそれぞれブリーフィングを実施しております。

 先生御指摘のように、八月二十三日に行ったブリーフィングでは……

安住委員長 簡潔に。

寺田政府参考人 お尋ねの基金四百億円の記載というのは資料にはなかったのでございますけれども、八月二十三日にブリーフィングを行った者に対しては、週が明けて、八月二十六日に訂正を行ってございます。

安住委員長 終わってください。駄目。

寺田政府参考人 それを……

安住委員長 やめなさい、もう。ちょっと、時間、一分ぐらい使っているから、終わり。

川内委員 四百億は全く必要ないということを申し上げて、終わります。

安住委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 質疑者も答弁者も時間を守るように。

 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 防衛省を中心に質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、自衛官の処遇改善について伺います。

 石破総理を議長とする関係閣僚会議を経て、昨年末に基本方針が取りまとめられたと聞いておりますが、自衛隊の確保の問題は、これは防衛省や自衛隊だけで任せておいて解決することはないと思います。政府が本気で取り組んでいかなければ解決しないと思うんですけれども。

 自衛隊員の方は、職務執行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えると、自らの命を懸けることをあらかじめ宣誓している唯一の公務員であります。そのような自衛官の勤務環境や特殊性を正しく評価して、自衛隊が誇りや名誉を持ってその責務の完遂に専念することができるような正当な処遇を与えるべきと思いますが、大臣の御所見を伺います。

中谷国務大臣 私もかつて陸上自衛隊で勤務しておりましたが、自衛隊は、やはり人材が非常に重要でございまして、そういった優秀な人材を確保していくということは国防上必要なことでございます。

 御指摘のとおり、処遇とか身分とか名誉とか、まだ至らない部分がございますので、その点、政府で検討会をつくりまして、その充実に充てるところでございますけれども、できるだけ名誉と誇りとそして使命感を持って国防の任に当たれるような環境をつくってまいりたいと思っております。

美延委員 是非よろしくお願いいたします。

 少し中身に入っていきたいんですけれども、我が国の防衛のために日本全国の駐屯地や基地で任務に当たっている自衛官の生活、勤務環境は、まだまだ改善の余地があると思っております。令和七年度予算案にも必要な経費が計上されていますが、果たしてそれで十分であるのかというのが疑問に感じております。

 自衛官の負っている責務を考えると私はこれは不十分だと思うんですが、自衛隊の駐屯地や基地で生活する隊員のやりがいを手当てするために、彼らが生活する場所の環境整備は喫緊の課題だと感じています。また、海上自衛隊の船の乗組員は航海中の精神的な負担が大きいとも聞いています。

 国防という責務を負い、厳しい任務やそして災害派遣、訓練に耐えて生活している自衛官の、その生活する環境をもっともっと改善すべきだと思うんですけれども、現在の改善状況や今後の改善状況、そしてそれの方向性について防衛省に伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊という組織全体のパフォーマンスを向上していくに当たっては、全ての自衛官が士気高く任務に専念できる環境を構築していくことが不可欠です。そのため、社会の変化をしっかりと直視し、若い世代のライフスタイルに合った生活、勤務環境を構築していくこととしています。

 具体的には、営舎内居室の個室化、駐屯地、基地内の厚生棟や生活隊舎における無線LAN環境の充実、女性用区画の整備、被服や糧食の充実などの取組を順次進めているところです。これらの関連事業といたしまして、令和七年度予算案では約三千八百七十八億円を計上しております。

 今後も引き続き、生活、勤務環境の改善にスピード感を持って取り組んでまいります。

美延委員 そのスピード感を是非是非お願いしたいんですけれども。

 次に、募集について聞きたいんですけれども、国家安全保障戦略の二十ページには、防衛力の中核である自衛隊員がその能力を一層発揮できるようにするために人的基盤を強化する、そのためにはより幅広い層から多様かつ優秀な人材を確保すると書かれています。

 総理も、関係閣僚会議において、自衛隊の充足率が約九割にとどまっている、これは極めて深刻な課題であり、自衛官の確保は防衛省のみならず政府を挙げて取り組まなければならない至上命題だと述べたと聞いております。

 私が若い頃、自衛隊の募集といえば、歩いていた学生に声をかけてきて、自衛隊へ入ったら免許がいろいろなものが取れるでとか、特殊免許が取れるでとか、大型が取れるでとか、そういう声がけでというのがあったんですけれども、私は、これからいわゆる、今言われていたように処遇面で充実させるのであれば、採用推進のため、そういう昔ながらの広報じゃなくて、防衛強化の施策について、もっともっと自衛隊をアピールするべきだと思うんですけれども、防衛省はどうお考えですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が深刻な人手不足社会を迎える中、少子化や高校新卒者の有効求人倍率の上昇などにより、人材獲得競争はより熾烈なものとなっております。

 昨年十二月に関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針では、一人でも多くの採用者を獲得するため、速やかに本基本方針の取組を分かりやすく発信することにより、積極的な募集活動を実施することとされました。

 これを受けまして、総理や防衛大臣から、関係閣僚会議による、処遇の改善や職業としての自衛官の崇高な使命ややりがいについて、様々な場でアピールが行われました。

 また、関係閣僚会議後、速やかに、全国の地方協力本部や各部隊が、給与面などの処遇の改善について分かりやすいフライヤーや動画を利用し、SNS等も活用し、積極的に広報、周知を行いました。

 さらに、今月、東京地方協力本部の大田出張所及び神奈川地方協力本部の横浜出張所につきまして、募集に効果的な立地へ移転し、地方協力本部の体制を強化することとしております。

 令和七年度予算では、募集業務の充実強化に関する施策として、更なる募集事務所の移転やサテライトブースの設置などの地方協力本部の体制強化や、より効果的な募集業務を行うための民間の高度な専門知識を活用した地方協力本部の募集業務の見直しを行うこととしています。また、募集広報等のデジタル化、オンライン化の更なる推進や転職者向け募集広報の充実などに必要な経費を盛り込んでいます。

 引き続き、より多くの方々に自衛官という職業を選んでいただけるよう、こうした募集広報活動を推進してまいります。

美延委員 そこはしっかりやってください。

 それから次に、女性自衛官の勤務環境の改善についてお伺いいたします。

 自衛隊にも女性が増えてきております。自衛隊として人材確保が困難である状況において、希望する女性が自衛官になり、我が国の防衛の一翼を担う環境が整備されることは、これは極めて重要であると感じております。自衛官において、全自衛官の中の女性の割合を令和十二年度までに一二%に増加させるという目標は、私もこれは評価をしたいと思います。

 その女性自衛官が勤務する環境について、やはり女性用の施設の整備等も同時に手当てしていくことが必要だと思います。予算案にも、女性活躍推進のための女性自衛官の勤務環境の基盤整備といった項目もありますけれども、今後増えていく女性自衛官が活躍するために、自衛隊内部の環境整備についてどのように進めていくのか、防衛省の御所見を伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、防衛省・自衛隊においては、全自衛官に占める女性の割合を令和十二年度までに一二%まで増加させるよう計画をしており、これを達成するため、積極的に女性自衛官の採用を拡大をさせています。

 令和六年三月末時点の女性自衛官の割合は八・九%であり、十年前と比較して約一・六倍に増加しています。

 また、女性自衛官の配置制限の撤廃により、女性自衛官の活躍の場が広がっています。こうした女性自衛官の活躍を確実なものとするためには、教育、生活、勤務環境などの基盤の整備が不可欠です。このため、関連予算を大幅に増額し、スピード感を持って当該基盤の整備を進めているところでございます。

 具体的には、各駐屯地、基地等における女性用トイレ、浴場、女性用区画の整備や、艦艇の女性用区画の整備など、女性隊員が安心して持てる能力を十分に発揮できる基盤の整備に取り組んでいます。

 引き続き、女性自衛官の採用、登用を積極的に行うとともに、教育、生活、勤務環境などの基盤をしっかりと整備し、女性自衛官の活躍を推進してまいります。

美延委員 そうなんですよね。少し前まで、お風呂は一つしかなくて、男性と女性が別の時間にお風呂に入っていたというような話も聞きましたので、やはり、こういうのをしっかり整備していくということが必要だと思うんですけれども。

 今るる聞いたことは、これからまた改めて細かいことは聞いていこうと思うんですけれども、今後、自衛官の処遇改善や人材確保、今聞かせてもらいましたけれども、それを受けて、大臣、もう一度答弁いただけますか。

中谷国務大臣 現在、我が国は少子化社会になっておりまして、ますます新隊員の募集は非常に苦労しているわけでありますが、やはり自衛隊員を確保しなければ国防に支障が出るわけでございまして、こういったためには、給与とか、生活、居住環境の改善とか、そして、社会的地位の向上ということで名誉とか叙勲とか、退職後の人生における職場の提供とか、そういう要素も必要でございますので、こういったいろいろな施策によりまして隊員の確保を図るということで、一応、基本方針を取りまとめをいたしましたので、これから各施策の実行をするために予算も計上しておりますけれども、こういった生涯設計の確立も含めまして、いろいろな施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

美延委員 ちょっと時間が足りないかもしれませんので、順番を変えさせていただきます。

 次に、財務大臣に伺いたいんですが、防衛増税、いわゆる防衛力強化のための増税のうち、法人税は、課税標準の法人税額から五百万円を控除した額に四%を上乗せした内容で、実施時期は二〇二六年四月。そして、たばこ税は、加熱式が最大で百円、二〇二六年の四月と十月に値上げを実施、紙たばこは二〇二七年以降に最大で一本二円程度値上げする、実施すると聞いておりますが、所得税の増税は未定と聞いております。

 所得税の増税はいつから行う予定ですか。所得税増税の時期と内容について、財務大臣の御所見を伺います。

加藤国務大臣 今お話がありました防衛力強化に係る財源確保でありますが、安全保障環境が厳しさを増す中、我が国自身の防衛力の抜本的な強化は重要な課題である、そのための安定的な財源を確保するという観点から、今お話があった法人税とたばこ税の措置については、令和七年度税制改正において措置を決定したところであります。

 所得税の措置については、与党税制改正大綱において、五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、いわゆる百三万円の壁の引上げ等の影響も勘案しながら、引き続き検討する、こういうふうにされているところでございます。

美延委員 引き続き検討するということは、もしかしたら、要するに所得税を増税しないということもやはり考えの中にあるんでしょうか。

 それと、これも、いわゆる防衛省の増額分の、三分の二は経費の見直しなどで対応する、そして三分の一は増税に頼るということなんですけれども、今の大臣の答弁を聞いておりましたら、三分の一を増税しなくても、やはり、もっともっと精査して全て増税なしで賄うことも考えるべきではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、所得税でありますけれども、所得税も対象にということで、これは五年度税制改正プロセスで議論されました。このときに、防衛力の強化は、国民の命、暮らし、事業を守るためのものであり、個人に広く裨益するものであることを踏まえて、所得税についても対象と。この考え方は現時点でも堅持をされているものと承知をし、その中で、先ほど申し上げた今後の対応について協議がなされているということでございます。

 それから、他の削減措置を努力すれば要らないのではないかという御指摘であります。

 当面の数年間だけではなくて、これからも将来にわたって防衛力を維持していくという意味においては、毎年度約四兆円の追加財源の確保が必要になってくるわけであります。四分の三は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる工夫を行うことで、できるだけ国民の御負担を抑えるべく努力をするわけでありますが、やはり、それでも足りない四分の一は、今を生きる我々の将来世代への責任として税制措置で御協力をお願いするということにさせていただいているところでございますので、引き続き、その点も含めてしっかり理解を求めていきたいと思っています。

美延委員 だから、今大臣言われたように、四分の三はできるのに四分の一だけはどうしようもないというのは、これは全く私は理解できないんです。それだったら、四分の四やりましょうよ。これは、今日は時間が余りないので、またいずれかの機会にやりたいと思いますけれども、是非、増税に頼るんじゃなくて、もっともっと精査すべきであるということを、これは厳しく指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、今週末、いよいよ石破総理とトランプ大統領が米国で会談をされるそうです。これは是非よい会談になってほしい、我々は野党ですけれども、それはやはり日米同盟というのは大切ですので私もそう思っているんですが。

 ただ、その中で、アメリカの大統領の側近から、GDPの三%ぐらいまで防衛の金額を引き上げるべきだということが、これは、いわゆるうわさ話じゃなくて、はっきり言及されている方もいらっしゃるので、もしかしたら今週末の会談で大統領が総理にそれを伝えるという可能性も十分私は考えられると思います。

 そのときに、実際、財務大臣にしろ、防衛大臣にしろ、そのときのことは当然考えられていると思うので、それを両大臣に、ちょっと今どういうふうにお考えなのか。ともかくやめてほしいのは、仮定の話ではもうないと思っていますので、仮定の話にお答えすることはできませんという答えは是非やめてほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。

中谷国務大臣 防衛省側としましては、米国のヘグセス国防長官とせんだって協議、会議を行いました。その際、私は、現在我が国はGDPの二%に達するよう抜本的な防衛力強化をしているということを説明をさせていただきまして、ある一定の評価はいただいたわけでございますが、現在我が国が行っている防衛力の内容、これについてしっかり説明をして、相手側からも理解をしていただくということが基本でございますが、今後、首脳会談がございますので、その場で総理とトランプ大統領の会談がされるということで、その点を注目しております。

加藤国務大臣 仮定の話とお話がありましたけれども、まだこれからなので具体的な言及は難しいことは御理解いただけると思いますけれども。当然、政府としても、二〇二二年十二月の閣議決定の国家安全保障戦略を踏まえて、二〇二七年において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせて、そのための予算水準がGDPの二%に達するよう所要の措置を講じてきているところでございます。

 こうした努力そのもの、これ自身は、我が国自身の判断で、総理もおっしゃっておりますけれども決定をしてきた。今後ともその姿勢は変わらないわけでございます。そうしたことを踏まえた上で、総理が対応されるのではないかというふうに考えております。

美延委員 総理が対応されるということは、当然、財務大臣もそこで対応していくということになるんだろうと思うので、今日は時間がないのでこれ以上聞きませんが、また、しっかりやってほしいと思います。

 次に、ちょっとドローンのことで聞きたいんですけれども、昨年の三月に、横須賀に停泊していた護衛艦「いずも」をドローンが空撮したと称する映像がインターネットに投稿されました。こうした行為を防止できなかったというのは、もうこれは深刻な問題と言わざるを得ないんですけれども、大臣としてこれからどう対策を講じていくのか、教えていただけますか。

中谷国務大臣 「いずも」の事案を踏まえまして、基地警備能力を強化するための取組を、今、省を挙げて推進をしております。

 具体的には、違法ドローンに対して電波妨害による強制着陸を含め厳正かつ速やかな対処を行うように各部隊に徹底をいたしたほか、令和六年度補正予算においては五十七億円、令和七年度予算案におきましては約三十億円と、ドローン対処に係る経費としては過去最大の予算を計上しまして、より高いドローンの対処能力の向上、これを図る次第でございます。

 そして、各国それぞれドローンが非常に進歩をし、普及をいたしておりますので、今後とも、こういった技術の趨勢も踏まえつつ、高い緊張感と、また基地警備能力の向上、これを不断に努力をしてまいりたいと考えております。

美延委員 警備能力の向上ということで、例えばそういう器材を入れられると思うんですけれども、どのような点で能力を向上させていくのか、具体的にちょっと教えていただけますか。

小野政府参考人 お答えします。

 個別具体的な内容につきましては、これは我が方のまさに手のうちに関わりますので、それ以上のなかなか詳細についてはお答えは差し控えたいと思いますけれども、今回新たに対処器材として導入を考えておりますものにつきましては、探知、識別、対処のいずれの点につきましても同種の器材に比べて格段に高い能力を有しているということでございます。

 実際の運用におきましても、まず固定式器材、これによりましてドローンへの対処を行いつつ、状況に応じまして、個人携帯用のドローン対処器材、これも組み合わせて使用するということで、対処に万全を期してまいりたいと思います。

美延委員 中身は言えない、それは私も理解できます。

 「いずも」の事件のような違法ドローンだけではなくて、実際に今、ウクライナなんかでは、戦争の手段として、爆発物を積んだドローンによる攻撃が行われていて、これがゲームチェンジャーになるのではないかとぐらいまで言われているわけですけれども、実際、爆弾を積んだドローンなどの対策も絶対必要だと思うんですけれども、これは防衛省はどうお考えなんでしょうか。

中谷国務大臣 これは、安全保障のみならず、警備とか、犯罪とか、そういうものにもつながりますので、現在、警察また治安当局とも協議をいたしまして、このドローン対策、政府の中で検討しております。

美延委員 最後に、十二月に我が党の浅田参議員が防衛費四十三兆円の計画について見直しを総理に求めたんですけれども、一割か二割ぐらいしか影響はないという答えだったんですけれども、実際、本当にそうなのか、大臣どうお考えか、最後に聞かせていただけますか。

中谷国務大臣 防衛力整備計画を作成したときより、やはり物価上昇、人件費の高騰、円安を伴う為替レートの変動が生じておりまして、この防衛力整備計画に基づく防衛予算の編成に影響を与えるということは事実でございます。

 現在、防衛費四十三兆円ということで実施をしているわけでございますが、これらに伴う増額を現時点で集計して網羅的にお示しするということは困難でございます。

 それはなぜかといいますと、主要経費の増減はいろいろな要因があるわけで、複合的に影響しております。また、物価上昇、人件費の高騰による影響は、防衛力計画の策定に当たった、積み上げた事業の広範囲に及んでいるわけでございます。

安住委員長 簡潔にお願いします。

中谷国務大臣 はい。

 こういった事象の変化を見まして、今後、防衛省として、役割がしっかり果たせる水準に持っていけるように、更に努力を続けてまいりたいと思っております。

安住委員長 時間が参っております。

美延委員 ありがとうございます。終わります。

安住委員長 これにて美延君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本幹彦君。

橋本(幹)委員 国民民主党・無所属クラブの橋本幹彦でございます。

 まず、本日のこの予算委員会、初めて省庁別予算審査ということで、歴史的な場において立たせていただいていることをありがたく思っております。

 そして、この場において、予算委員会を通じて、私は、国会で初めて、自衛隊の運用について本格的な質疑を行いたいというふうに思います。

 我が国の国会における自衛隊の議論は、常に机上の空論でした。いざというときには米軍が守ってくれるに違いないという希望、あるいは、軍事について語ることが平和を乱すのだ、そういった言説によって、現実を見る眼が鈍っていた、濁っていたというふうに思います。

 このような国会環境において、自衛官は、どうせ国会は、国民は何も分かっちゃくれないと、そのような現実の説明を諦めて、本質的な議論というのを公の場で避けてきました。ここに注目したのが、ある意味、自由民主党の一部の方々であるというふうに思います。我々こそ国防の論客であるというような顔で勇ましい言説を述べてきましたが、これもまた私は机上の空論であったというふうに思います。

 この不毛な議論に終止符を打つために、今日この場に立っております。予算を通じて、真の国防とは何なのか議論したいというふうに思います。

 本日の質問に際して、答弁者、政府参考人として、いわゆる制服組の方々を要求しました。陸上自衛隊教育訓練研究本部長、海上自衛隊幹部学校長、航空自衛隊幹部学校長、そして防衛大学校副校長、かつて幹事と呼ばれた制服組の方ですが、このほかにも、いわゆる背広組である防衛研究所の所長も答弁を求めました。しかし、残念ながら、今朝の予算委員会の理事会の決定は、制服組は戦後一度も答弁例がなく、今後もこの前例というのは守らなければならないとして、承認されませんでした。

 委員部が安住委員長にどのように耳打ちされたのか分かりませんが、いわゆる制服組が国会に立った事例は、六十六年前、昭和三十四年にあります。そもそも、制服組が国会に立つことを阻む根拠はありません。法的制約はありません。

 本予算委員会は、去る一月の三十日、清和研究会元事務局長の参考人招致について、異例の採決に踏み込みました。

 安住委員長は、リーダーシップを発揮した委員長であります。そして、前例のない省庁別審査を実現した委員長でもあります。是非、このリーダーシップを発揮していただきたいと願っていますが、委員長、改めて理事会で協議いただけないでしょうか。

安住委員長 橋本君に申し上げますが、理事会では、国民民主党を除く自民党以下全ての会派としての意思は、制服組の答弁は、長い慣例だけでなく、さきの大戦のことも踏まえて、文民統制の観点から、答弁については国会でそういうこととするということでやってきたわけであって、それ以外のところで制服組の話をそれぞれの党や何かが事情は聴取しておりますので、偏った考えでそういう判断はしておりません。今後もこの判断は続けてまいります。

 それ以上の質疑がある場合は、理事会に諮って、申し出ていただければ、理事会で協議します。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 政府にも申し上げます。

 私も、今、偏った言説というような話がありましたが、何も偏ったとは思っていません。ただ、今までの慣行というのがやはり議論の土台というのをゆがめてきたのではないかというような問題意識があります。

 昨日まで、制服組の方々を参考人として要求するに当たって、防衛省のいわゆる背広組の方から、これはあくまで意見としてではありますけれども、幾たびも様々な意見を頂戴しました。はっきり言って抵抗されたなと思うような言説もありましたが、その中には、一たびこの国会に制服組を呼べば際限なく現場から離れた議論に巻き込んでしまうというような、ある意味の親心もあったと思います。

 実際、背広組の皆さんは現場からかけ離れた議論に巻き込まれているので、御苦労をかけているわけですけれども、むやみに制服組を要求したわけではないんです。真に国防の議論を深化させるために必要だと信じて要求したものであります。

 中谷大臣、国防に関して机上の空論になるのは、現実を忌憚なく共有できる環境が整っていないからだというふうに思います。これは国会の側にも責任がありますけれども、政府の姿勢にも問題があるというふうに思います。

 先週から制服組の答弁を要求するということは予告していましたが、昨日になっても、前例がないので呼ぶ準備はしていませんということでした。繰り返しですが、前例はありますし、あるいは、呼ばない根拠、法的根拠はないわけです。

 どうせ国民は分かってくれないという心に、防衛省・自衛隊の心にくさびを打たなければ、決して自衛隊が国民から真に信頼される組織にならないし、真に精強な組織にもならないし、自衛官の社会的地位はいつまでたっても向上しないというふうに思います。

 大臣からも、防衛省背広組の皆さん、制服組の皆さんの理解を深めていただくことを期待しますが、いかがでしょうか。

安住委員長 ちょっと質疑を止めて。理事で集まって。

 時計を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こして。

 質疑者に申し上げますが、先ほど私、申し上げましたけれども、訂正しますが、あなたの所属している国民民主党も合意の上で、シビリアンコントロールの重みをわきまえて、私どもは、私だけに限らず、国会というのはやってきたので。あなたは出身が出身だからそう言うかもしれないけれども、行き過ぎた批判、誹謗中傷は我々としては看過できませんから。

 これはきちっと、戦後、長いルールの中で重く積み上げてきたもので、防衛省の組織として、文官であろうと自衛官であろうと組織として責任を持ってここで答弁をしていることを否定するようなことは許されることではありません。言動に十分注意して発言をしてください。

 では、質疑を続行してください。

橋本(幹)委員 大臣は元自衛官です。私も元自衛官です。今回はこの形で議論したいというふうに思いますけれども、是非、建設的な議論ができればというふうに思います。

 まず一つ目です。ドローンは実効性ある戦闘力なのかどうかということについてです。

 ドローンなどの無人アセット防衛能力に、本年度、令和七年度予算案において一千百十億円、令和五年度から令和九年度までの五年間では約一兆円が配分されております。安全保障の変化に対応するためであり、その方向性は私も理解しますが、当然、装備品の購入だけで戦闘力になるわけではありません。

 ドローンは、ドローンがあるだけでは飛ぶわけではなく、当然、操縦する隊員、開発や改善をつかさどる技能集団、そしてその技能を支えるインフラが必要です。

 一兆円もかけて高いドローンを多く配備しても全く使えないというところは避けなければならないので、是非、操縦者ですとか技能集団、インフラの整備にも十分な予算を充てていただければと要望しますが、インフラの中でも特に重要なのが電波であるというふうに考えています。周波数帯の割当てや省庁間連携の在り方を見直すことが、ドローンなどの無人アセットがより実効性のある戦闘力になるというふうに考えています。

 また、このことは、自衛隊や米軍との能力格差を埋めることにもなると考えます。せっかく米国から高い兵器を買って、それで米軍と同じ行動ができると思ったら、電波に関するルールが違いました、期待していた作戦ができませんでしたとなったら、こんな残念な話はありませんから、この電波について、是非ともこれは、防衛大臣、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに考えております。

 まず、これに関して質問しますが、操縦ライセンス制度というものがあります。これは国土交通省の方で所掌しているものですが、民間のドローンのライセンス、あるいは民間のドローンスクールというものもあります。こういったところに自衛官が通っている、あるいはそういった制度を使用している、活用している事例があるというふうに聞いています。そのことについて、まず、防衛省としては把握されているでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の使用する航空機等は航空法等の一部が適用除外となっておりまして、無人航空機の操縦については、航空法で規定される操縦ライセンス制度に基づく無人航空機の操縦者技能証明の取得の有無にかかわらず、自衛隊内部の規則に基づき、必要な知識及び経験を教育の上、的確に実施できるようにしております。

 操縦ライセンス制度、これの取得の有無にかかわらず、防衛省・自衛隊独自の体系で行っているというところでございます。

橋本(幹)委員 たてつけはおっしゃるとおりだと思います。防衛省独自の体系でやっているものですが、ただ、実態としては、これはドローンに限った話ではないですけれども、民間の慣行ですとか制約というところに極めて大きな配慮をしながら運用しているというところは、大臣も御経験があろうかというふうに思います。

 別に操縦ライセンス制度がけしからぬということではないんですけれども、ただ、操縦ライセンス制度など、そういった民間のものに過度に依存するというのは、依存するといいますか、よって立って運用を考えていくというところは、これは部隊の行動を制約するものではないかなというふうに考えますが、防衛省としてはいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、委員の御質問の趣旨が必ずしも理解できているかちょっと分かりませんけれども、先ほど申し上げましたように、無人航空機の操縦につきましては、我が国は、航空法等の一部が自衛隊の使用する航空機は適用除外となっておりますので、技能証明の取得の有無にかかわらず、自衛隊内部の規則に基づいて、必要な知識経験を教育の上、的確に実施できるようにしているというところでございます。

 各自衛隊において、任務、運用する機材による細部要件が異なりますので、それぞれの組織において無人航空機を飛行させる要件を定めて実際は運用しているというところでございます。

橋本(幹)委員 今のは、お答えになっているようななっていないようなところで、なっていないと思うんですね。

 結局、これは運用の側の話をしているんですね。今のお答えというのは、行政のたてつけがそうだというのは分かったんです。だから、防衛省としてのお答えはそうかもしれないですけれども、自衛隊として、運用を担う者として、今の行政的なお答えでは余りお答えになっていないというふうに考えております。

 続いてお尋ねしますが、自衛隊は、日本無人機運行管理コンソーシアム、JUTMといいますが、このJUTMに加入しているでしょうか。

家護谷政府参考人 お答えいたします。

 日本無人機運行管理コンソーシアム、JUTMと申しますけれども、これは無人機の社会実装に必要な施策の検討と情報発信を行っている財団と承知しております。

 JUTMは、無人機利用者が無人移動体画像伝送システムを使用する際の利用者同士の周波数の干渉を防止するため、利用する場所や時間等の調整を行っているものと承知しています。

 防衛省・自衛隊においても、例えば、民生用の無人機を平素の訓練において使用する際、周波数の利用調整を図る必要があるため、JUTMに加入しています。

橋本(幹)委員 総務省にお尋ねします。

 このJUTMについて、自衛隊は加入は必須なんでしょうか。

荻原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたJUTMにおきまして、ドローン用無線通信システムを用いてドローンの操縦や画像伝送を行うに当たりまして、周波数が混信しないよう、運用者側が主体となって他の利用者との運用調整等を実施していると承知しております。

 自衛隊が使用するドローンが電波を活用して操縦や画像伝送を行う場合には、専用の周波数のほか、民間で利用されている周波数を使用する場合がございます。民間向けの周波数を使用する場合には、他のドローンとの混信を避けるため、民間と同様、JUTMに加入し、運用調整を行う必要があると認識しております。

 他方、自衛隊専用の周波数を使用する場合には、JUTMの会員間の運用調整は必要ございません。

橋本(幹)委員 今の総務省のお答えだと、JUTMのルールにのっとってやる必要は必ずしもないけれども、ただ、それは運用者側の自主的な判断でやっているものである。

 さきに防衛省からも答弁があったように、航空法であるだとか電波法、これは適用除外になっていますから、ここに、JUTMのルールにのっとって運用しなければならないという法的な根拠はないわけです。そもそも財団法人ですから、それは民間がやっていることであるということです。

 ただ、私が問題だと思っているのは、JUTMにいろいろな情報提供をされると、それは、先ほど防衛省からあったのは場所と時間、総務省からは電波、周波数帯の話がありましたけれども、場所や時間、周波数帯、これは平時の訓練であったとしても、あるいは一般で使用するドローン、民生用のドローンであったとしても、訓練で使用する場所、時間、周波数帯、これをJUTMに情報提供することは、部隊の情報保全を害するものにはならないでしょうか。

家護谷政府参考人 お答えいたします。

 航空自衛隊の例で申しますと、滑走路の被害情報の収集等の機会に民生用の無人機を使用することがございます。そのための平素の訓練を行う際には、利用者や利用期間、場所等の情報を用いて、JUTMによる運用調整が行われることになります。他方で、その情報をもって直ちに部隊の情報保全が害されるとは考えておりません。

 ちなみに、武力攻撃事態等におきましては、特定公共施設等利用法に基づき定められる電波の利用指針により自衛隊による電波の優先利用が可能となるため、JUTMを通じた運用調整は必要としないことから、情報保全上の問題が生じることはありません。

橋本(幹)委員 自衛隊といえども、やはりそれは社会の一部であるわけですから、航空法、電波法の適用除外だったとしても一定の配慮が必要だというのは、私も認めます。

 ただ、このドローンの例、電波の例というのは極めて、今は限定的なドローンの話にしましたけれども、やはりこれは実際に自衛隊の部隊の行動というのを制約しているというふうに考えています。

 例えば、それは平時の訓練であったとしても、周波数帯が露出するということは、電波妨害を受ける可能性ということもあるわけですし、あるいは、ドローンというのは、管制系と伝送系、要は映像の情報をやり取りする部分と操縦する系統があるわけですけれども、では、これが幾つの周波数帯なのかというところは極めて重要な情報であります。

 ちょっと質問を飛ばして、配付した一の資料を御覧いただきたいんですけれども、小型攻撃用UGV、これはドローンではないですけれども、似たような無人アセットですね。

 小型攻撃用のUGVの入札に際して、その仕様で、周波数帯を二・四ギガヘルツ帯として指定しています。これは試験的な調達ではあるものの、例えばこういうふうに、二・四ギガヘルツ帯というところで、出力も含めて公になっている情報です。こういった情報の管理というところが、私は、やはり自衛隊の運用上、大変問題があるというふうに思っています。

 特に、この周波数帯、今二・四ギガヘルツ帯ということを言いましたけれども、実際、ではドローンでどういう周波数帯を使うかというと、ウクライナ軍の事例でいったら、五ギガヘルツ帯から、あるいは数百のところまで、かなり幅広い周波数帯を使うわけですね。だから、ここを柔軟に運用できるというところが極めて重要であるというふうに考えますけれども、防衛省・自衛隊としては、このウクライナ軍のドローンの運用から、特に周波数帯についてどういった教訓を得ているか。あるでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、防衛省として、ウクライナ軍のドローンの運用からどういった教訓を得ているかということについて申し上げたいと思います。

 まず、防衛研究所におきましては、令和五年度の特別研究として、ロシア軍によるウクライナ侵攻における航空作戦の戦訓と提言というものを取りまとめております。そこには、以下御紹介するような記述がございます。

 今回の戦いでは、両国共に無人機の増産、追加取得に力を入れている。特に、小型で安価な無人機の大量飽和攻撃は、今後の空の戦いを変化させる可能性がある。大量の無人機を無力化しているという電子戦の重要性も再認識すべきである。高価な専門用途のドローンを少数運用するよりも、廉価で多目的に運用できるドローンを多数整備すべき。ウクライナ海軍は、強力なロシア海軍に対抗できる水上艦艇はなく、侵攻直後は目立った反撃ができなかったが、次第に無人機や地対艦ミサイルの有効活用に成功したということがございます。

 また、陸上自衛隊の教育訓練研究本部におきましては、その機関誌、陸上防衛において、執筆者が個人の立場で、委員御指摘の教訓について記事を公開しているところであります。

 例えば、ウクライナ軍も、アメリカから提供された対ドローンシステムを使ってロシア軍のドローンのGPS信号を妨害し、また、高出力のマイクロ波により電子機器を損傷させたりして、数百機を撃墜したという。このように、現代戦においては、電磁波領域における戦闘の優劣が戦局全体に影響を及ぼすほど重要なものとなっている。また、戦場は、無人機に加え、衛星により可視化が進んでいる上に、そこでは民間軍事会社が活用されている。今後は、それらに係る科学技術開発が進み、運用も実地での成果を受けて更に変化することが予期されるといった記述がされております。

 防衛省といたしましては、こういった研究を含め、様々な情報を勘案し、各種施策の立案を行っているところであります。今後も続けてまいります。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 今の事例、本当にそのとおりだと思います。ドローンの戦争、これは本当に、ドローンを買ったら戦えるものではないんですね。やはりそれは妨害の話も考えなきゃいけないし、日々そのドローンを改善して、例えば、ロシア軍のドローンを鹵獲して、分解して、研究して、それをウクライナ軍のドローンに、またそれを改善しているわけですね。実際の操縦する人間だけではなくて、開発ですとか生産基盤も含めて、ドローンを本格的に運用するということになったら、必ず必要になってきます。

 今、電波の話にちょっと注目して申し上げましたけれども、そういったところも含めて防衛省には是非検討していただきたいですし、ここの本格的な検討なくして、一兆円のドローンというのは、やはりこれはもうデコイにもならないようなものになると思いますから、是非御検討いただきたいというふうに思います。

 ちょっと電波の話に戻りますけれども、電波、これは周波数帯によっては、例えばどこまで届くのかとか、障害物に強いのか弱いのかですとか、あるいはどこまで大きなデータが送れるのか、電波特性は大きく異なります。

 それ自体、作戦行動を規定するものでありますけれども、もう一つ、今、有事においては違うんだというような話もありましたけれども、平時において限られた周波数帯での訓練をしていないということは、それは部隊の能力構築というところにも極めて大きな支障を来すわけでありますし、実際、では有事が起きたときには、今まさに教訓として話していただきましたけれども、妨害というのは極めて大きいわけですね。敵は我々の航空法や我々の電波法を守ってくれるわけではないですから。

 一つ事例としてお見せしようとしたのが、配付資料にあったんですけれども、二番は削除されてしまった資料ですが、これはどういう資料だったかというと、ユーチューブに投稿された外国人の動画でした。

 この動画の内容というのは、ヨーロッパの規格で作られた中国製のドローン、これを、ソフトウェアをいじることで、アメリカの規格、FCC規格で運用できるというような動画です。気になる方は、DJI、FCC、ハックで調べれば出てくる動画なんですが。

 こういったことが実際ウクライナ軍では行われているし、ユーチューブにも上がっている。だから、その辺の民生品のドローンを持ってきて、ハックして、規定されている周波数帯を変えて飛ばすことができるわけです。実際、今、外国人観光客がたくさん来ていて、ドローンを持ち込んで飛ばしているような事例もあると思います。

 これも、行政的にお伺いしたらそういう事例はないと言うかもしれませんけれども、実際、それに類するようなものは見られているわけですし、そういったところが、今、電波法でしっかり割り当てられている中で、平時の行政もしっかりされているんだというような認識はあるかもしれないですけれども、既に実態として、この電波の領域、見えづらいので大変分かりづらいところではありますけれども、かなり混乱があるところだと思います。

 これは防衛省だけではなくて、総務省も含めて、ドローンのインフラを整えないといかぬものだというところの問題意識を持ってこちらの質問をいたしました。

 続いての質問に移ります。

 無形の戦闘力のところですけれども、電波の問題もそうですけれども、平時のマインドが極めて強い組織であるというふうに懸念しています。装備品を購入するとか、あるいは、恐縮ですけれども、処遇改善するとか、政府はどちらかというと形あるものに注目しがちであります。

 ただ、私は、自衛隊が真に国を守る組織になるためには、無形の戦闘力に注目しなければならないし、これは予算上、実際に表れているわけですね。防衛大学校ですとか防衛研究所ですとか、あるいは答弁を求めた各幹部学校、陸上自衛隊の場合は教育訓練研究本部という名前に変わりましたが、こういったところが無形の戦闘力の基盤である。

 ですので、ここを是非、八兆円の、予算を増額したのであればもっともっと手厚くするべきなんだというところが、二つ目の質問の趣旨になります。

 まず、防衛省に伺います。

 自衛官の処遇改善に関する関係閣僚会議において検討されている組織文化の改革というものがありますけれども、これはどのような改革でしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊という組織全体のパフォーマンスを向上していくに当たっては、自衛官一人一人が働きがいを感じられる環境を構築していくことが不可欠です。また、自衛隊が顕在化する新たな戦い方に対応していくに当たっては、質の高い多様な人材を確保し続ける必要があります。そのため、関係閣僚会議において取りまとめた基本方針では、組織文化そのものについても改革を進めていくこととしています。

 具体的には、特に若い世代において、自らの達成感や成長感といった精神的充実が得られる職場を選好するようになっていることを踏まえ、隊員の職務に対する自発的な貢献意欲、いわゆるエンゲージメントを向上させていくための施策が重要であると考えています。

 このように、厳しい安全保障環境に対応するとともに、人的基盤の抜本的強化を進める観点から、将来の戦い方や一般社会の変化に合わせて、人の組織である自衛隊を変革させていきたいと考えております。

橋本(幹)委員 重ねて伺いますが、昨今、川崎重工業による自衛官に対する物品の供与、あるいは手当の不正受給、各種ハラスメントなどの不祥事もあります。こういった不祥事を踏まえた組織文化の改革というところは防衛省は検討していないのでしょうか。

中谷国務大臣 やはり国民から理解を得るということが一番重要でありまして、こういった点におきまして、自衛隊として、この事案につきましては重く受け止めております。引き続き、規律維持に強い姿勢を持って取り組むと同時に、再発防止も徹底をしていく所存であります。

 また、おっしゃいました電子化とかシステム化など、コンプライアンスの機能とか監査機能等を継続的に強化をしまして、自衛隊という組織と個々の隊員が常に高い使命感と倫理観を持って任務に当たれるように、その環境を確保してまいりたいと思っています。

橋本(幹)委員 今大臣から、規律維持、再発防止、コンプライアンス、監査という言葉がありました。

 これは本当に大事だと思うんですけれども、ただ、不祥事があるたびに全国の部隊に通達が流れる、その通達に基づいて各部隊の幹部が隊員に教育する。それは大きな不祥事もあれば、小さな交通事故も含めて、そういったことがあるわけですね。正直、こういう点の施策といいますか、対症療法の施策というのは、現場が疲弊するだけだというふうに考えています。確かに不祥事は重く受け止めなければならないんですが、対症療法を繰り返すのではなくて、組織文化の根幹から変えていかなければ意味がないのではないかというところが問題意識になります。

 少し趣を変えて、財務省に伺いたいと思います。

 財務省では、財務省再生プロジェクトという本格的な組織文化の改革を行っています。配付資料の八番がそのプロジェクトの概要を示すものですが、財務省再生プロジェクトの背景と、本格的な改革のために必要な事項があれば教えていただきたいんです。

上田政府参考人 お答えいたします。

 財務省再生プロジェクトは、過去起こりました決裁文書の改ざん等の一連の問題行為を受けまして、コンプライアンス、また内部統制を実質的に機能させること、常に国民の皆様の視点に立った高い価値を社会に提供できる組織風土をつくり上げることを目指して開始したものでございます。

 また、改革を可能にした要因につきましては、プロジェクトを具体化していく際、一連の問題行為を組織全体の問題として真摯に反省しなければならないという認識の下に、幅広い職員に対するアンケートやヒアリングを通じまして財務省が組織として抱える課題を抽出すること、また、外部の有識者の御参画も得て議論を進めたことなどが重要な要素であったと考えております。

 いずれにしましても、組織風土の改革は不断に取り組むべきものでございます。今後とも、一つ一つの具体策を着実に進めてまいります。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 この財務省再生プロジェクト、森友の問題があったときに、決裁文書の改ざんというところを大変重く受け止めて始まった施策である。もうあれから六年になるけれども、それでもまだ継続的にホームページで公開して、プロジェクトの進捗というところを公開しているわけです。大変誠実な対応であるというふうに思います。

 こういった、自衛隊も、全てを公開するわけにはいかないですけれども、ある程度透明性というところを担保していくということが、国民からの信頼を獲得するところになるというふうに考えています。

 関連して、これは海上自衛隊に関してですけれども、昨年末、海上自衛隊基本ドクトリンというものが公開されました。これは配付資料の三になります。

 この海上自衛隊基本ドクトリンでは、ミッションコマンドを採用しています。防衛省に伺いますが、このドクトリンの制定の背景と、ミッションコマンド採用のいきさつは何でしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、海上自衛隊は昨年十二月、海上自衛隊基本ドクトリンを作成し、公表いたしました。

 この文書は、海上幕僚長の職責の下で、海上自衛隊の任務を踏まえつつ、全ての海上自衛隊員が日々の任務を遂行するための心構え、組織運用や部隊運用において準拠すべき事項と考え方などを示すものとして作成されたものであります。

 この文書のうち、指揮官が留意すべき項目において、委員御指摘のミッションコマンドの重要性を挙げております。具体的には、常に環境が変化する海上作戦の性質に鑑みて、下級指揮官が自らの権限の範囲内において任務遂行の方法を委ねられることの重要性を述べております。

 防衛省といたしましても、こういった考え方の重要性は認識しているところでありまして、特に、宇宙、サイバー、電磁波の領域を組み合わせた複雑かつ変化の激しい戦闘様相が見られる今日において一層重要な意義を有すると考え、ミッションコマンドについて記述したということであります。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 今、宇宙、サイバーといった安全保障環境の変化というところに言及されて、ミッションコマンドが必要だというところをおっしゃっていただきました。

 ミッションコマンドについても資料を配付していて、四、五がそれに当たるものです。どちらも防衛省に関して公表されている資料になりますが、このミッションコマンド、要は、現場にいかに裁量を与えていくかというような指揮の在り方になります。

 どうしても、先ほど来から、自衛隊に対する統制というところ、特にシビリアンコントロールという話はありました。これは大変重い話であるというふうに思いますが、やはり軍政と軍令が、私は、この日本国において混同した議論になっているというふうに思います。

 軍政と軍令、これを分離したのがやはり百五十年前のモルトケであったし、その百五十年前に軍政と軍令を分離したことからプロイセン軍は強くなって、その事例を基に、どの国も、米国も含めて、参謀本部というものを設けているわけです。

 そういうプロイセンのモルトケの改革に淵源があるのがこのミッションコマンドであるということですけれども、考えてみれば当たり前の話で、現場に近いレベルで判断できた方が作戦行動は素早くなるわけですよね。だから、そちらの方が強いわけですけれども、ただ、それの問題というのは、やはり指揮官の側でどこまで統制できるのか、あるいはしなければならないのかという問題と、あとは、シビリアンコントロールといいますか、国民との信頼関係というところが、このミッションコマンドを行うには大変重要なポイントであるというふうに思います。

 ゆえに、このミッションコマンド、大変、採用自体はいいと思うんですけれども、これを行うには相当、今簡単に申し上げたようなところ、知的基盤を強化していって、防衛大学校であるだとか各幕の幹部学校等であるだとか、そういったところで教育訓練を徹底していかなければならないというふうな問題意識があります。

 これについて、防衛大学校について質問しますけれども、まず、防衛大学校で幹部自衛官に期待される精神や徳性、資質は何でしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛大学校の教育は、学生に将来の幹部自衛官としての必要な識見及び能力を与え、かつ、伸展性のある資質を育成することを目的として、特に、広い視野を開き、科学的な思考力を養い、豊かな人間性を培うことに留意して実施しています。

 このため、具体的には、責任感の育成として、教育訓練、規律ある団体生活及び学生の自発的に行う各般の活動の中において、自主自律、積極敢為の気風を養い、国家及び社会の一員としてはもとより、幹部自衛官としてその職責を尽くし得る性格の育成。次に、基礎的学力及び技能の育成といたしまして、大学設置基準に準拠して、幹部自衛官としての必要な基礎的学力及び技能の育成。次に、体力及び旺盛な気力の育成といたしまして、訓練並びに体育活動等各種の運動競技を通じての強健な体力と旺盛な気力の育成。そして、連帯感の育成といたしまして、陸海空幹部自衛官要員相互間の理解、協力の気風の育成。こういった教育方針を取っております。

橋本(幹)委員 今、青木局長がおっしゃったところというのは、それはそのとおりだとは思うんですけれども、実際、では学生がどういったところを強く意識しているかというと、学生舎の生活ですね。朝六時にラッパが鳴って、二十二時に寝る。これまでの間、もちろんアカデミックの時間もあるけれども、学生舎の生活があって、そこで学生綱領というものに基づいて、自主自律の学生運営に基づく教育が行われているわけですけれども、果たしてこれが、では時宜を得ている教育の方式なのかというところは極めて疑問です。

 そもそも、吉田茂が総理だった頃に防衛大学校を設立して、さきの大戦の反省に基づいて、陸海空共通でやるんだということでつくったわけです。初代学校長、槇校長も、そのとき米国の学校に視察に行って、大変感銘を受けて防衛大学校をつくり上げたわけですけれども、そのときの米軍は、ミッションコマンドをやっていないんですよ。

 つまり、現場に裁量を与えるという組織文化ではなくて、その当時はまだ徴兵をしていましたから、どちらかというと中央集権的な色彩が強かった。そういうときの教育としては、米国に、過去の米軍に範を、倣った防衛大学校の教育はいいのかもしれないんですけれども、今、例えば、海上自衛隊もミッションコマンドと言っている。航空自衛隊も、航空自衛隊基本ドクトリンでミッションコマンドと言っているわけです。陸上自衛隊でもそういった研究はしている。

 安全保障環境が大きく変わった、そして、それに応じて組織の体制も変えていかなきゃいけない、予算も増やしていかなきゃいけないという中で、学生綱領に基づく学生舎生活というところが化石のように残されてしまっている。ここが私はやはり問題であるというふうに思います。

 実際、例えば具体例で申し上げれば、防衛大学校の学生は、大体一年間に百二十時間ぐらいパレードをしているんですね、課業行進も含めて。百二十時間、単位にしたら五個、六個分になると思います。それを四年間ずっと続けている。

 パレードに意味がないとは言いません。ただ……

安住委員長 橋本君、時間が参りましたので、まとめてください。

橋本(幹)委員 そういった教育のやり方をしていてよいのかというところを、問題意識を申し上げて、今回の質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて橋本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 赤澤大臣は、今国会の所信表明演説の中で、我が国経済は、成長と分配の好循環が動き始めています、その一方、物価高が継続する中で、消費は力強い回復に至っておらず、あらゆる経済主体がデフレマインドを払拭して、コストカット型経済から脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にありますとお述べになられました。

 岸田総理から始まり、石破内閣でも続いている新しい資本主義の下、デフレマインドの払拭、コストカット型経済からの脱却に向けて、粘り強い政策継続が続いているところだと存じますが、これは気を緩めてしまうとまた元に戻ってしまう。そういう意味で、分岐点でもありますし、また、政策要請の継続が続いていると私は感じております。

 さて、現在、物価高でございますけれども、私は、物価高といえば、あらゆる全ての物価高がネガティブに理解されてはならないというふうに考えております。

 企業と労働者の努力の下、付加価値が生み出され、付加価値が利益に置き換わり、個々の利益の集積が経済成長という形で表れてくるときの付加価値分に相当する物価上昇は、私は経済循環の必然であると思いますし、そして、付加価値から置き換わった利益は企業と労働者に享受され、企業側では次の投資に、また、労働者側では豊かな生活とそのための消費に回される、これが循環している間の物価上昇というものは、私は決して悪いものではないし、むしろそうあるべきだというふうなのが私の意見でございます。

 そこで、赤澤大臣にお聞きをいたしたいんですけれども、今の私の意見に対してどのようにお感じになられたかについて、お聞きしたく存じます。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

赤澤国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

 石破総理も指摘しているように、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下で、こうした経済を実現するため、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性向上を図ってまいります。

 従来のコストカット型ではなくて、委員も御指摘の付加価値を創出して、そこに力点を置いた経営、経済への転換を進め、それに伴って物価と賃金、投資、消費の好循環が回っていくことは、極めて重要だと考えております。

 政府としても、資源価格の変動などの外生的な要因による輸入物価の上昇により物価上昇率だけが高まるのではなくて、安定的な物価上昇の下で、それを上回る賃金上昇が安定的に実現する経済、言い換えれば、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環を目指しております。

 物価上昇に負けない賃上げを普及、定着させるため、人への投資、それから価格転嫁などの取引適正化、DX等の省力化投資等を通じた生産性向上や、経営基盤の強化に資する事業承継、MアンドAの支援に取り組んでまいります。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 私は、今質問したこの物価上昇のことを、私の言葉ですけれども、適正な物価上昇と呼びたいと思っています。

 では、目下の物価上昇はどうなのか、物価高はどうなのか。実質賃金がなかなかプラスを継続できない状況での今の物価上昇、物価高でございます。この物価高、物価上昇は、私は適正な物価上昇、物価高とは言えないと思っております。

 要因は様々考えられますが、例えば、輸入する原材料の円安の進行による高騰分、これが価格に転嫁できないケースや、また、サプライチェーンのどこかの部分で本来転嫁されるべき価格、これが、利益が滞留してしまっているようなケース、そういったものもあるかと思いますが、ほかにもたくさんあると思っております。

 政府は、岸田総理以来、石破内閣に替わっても、全力でこの価格転嫁政策に取り組んでおられます。政府のこの取組には深く敬意を表するところでございますが、まだまだこの政策をしっかり力強く進める要請というのは続いているんだろうと思っております。

 ただ、自由経済社会である日本では、価格転嫁というふうな現象は、これは価格交渉の現場で行われております。

 価格交渉の現場で重要なことは、取引をやっていると明らかなんですけれども、他社との競争、また、価格交渉、いわゆるネゴシエーション、これが非常に重要です。ただ、ともすれば、この価格交渉の現場で起きている競争とネゴシエーション、これが価格転嫁を阻害する要因ともなってしまいます。しかし、だからといって、自由社会経済でございます、この競争とネゴシエーションを否定することはできません。

 結局、適正な価格転嫁を実現するための重要な要素というのは、力関係、これが競争もネゴシエーションも前提にあって、この力関係を取引者同士の対等な関係として価格交渉の現場に提供できるかだというふうに私は思っております。

 赤澤大臣は、今国会に、下請法、これは名称は変わる予定かというふうに承知はしておりますが、の改正案を提出するとお述べになられております。この改正下請法、あえて改正下請法という言葉を使いますが、是非この点に、今私が申し上げた点に留意していただきたく思うのですけれども、赤澤大臣から御答弁をいただければと思います。

赤澤国務大臣 今委員御指摘の、委員の言葉で言う力関係、そういうものをうまく価格転嫁ができるように変えていくために、ある意味では、我々は、いろいろな法律を整備したりして環境を整えるということだと思います。

 中小企業を始めとした事業者の皆様方に利益を上げていただくために、政府としては、適切な価格転嫁の推進に取り組むとともに、生産性向上に向けて、省力化、デジタル化投資の促進や、人材、経営基盤を強化する事業承継、MアンドAなどを後押ししていこうとしているところであります。

 御指摘の下請法の改正については、コストが上昇する中での価格の据置きなどの不適切なケースへの対応とか、あるいは、物流に関係します運送委託取引を規制対象に追加する、また、これも委員御指摘でしたが、下請という用語の変更などを盛り込んだ下請法の改正法案を今国会に提出しようとしておりまして、また、公正取引委員会や中小企業庁に加え、事業所管省庁が連携を一層強める改正を行うことを検討しており、執行力を強化してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 では、今の赤澤大臣の答弁を受けて、中小企業の取引適正化に係る予算、これは令和七年度予算案ではどのように計上されているのかについて、公正取引委員会から答弁をいただきたく存じます。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会の令和七年度予算案におきましては、中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化といたしまして、独占禁止法に違反する優越的地位の濫用行為や下請法違反行為への厳正な対処、昨年十一月から施行されましたフリーランス・事業者間取引適正化等法の効果的な執行や積極的な広報などの取組に必要な経費を九億四千九百万円計上いたしております。

 公正取引委員会といたしましては、引き続き、独占禁止法、下請法等に違反する行為に対して厳正に対処するとともに、関係省庁とも連携して、適切な価格転嫁の実現など、中小企業の取引適正化に向けた取組を進めてまいる所存でございます。

吉田(宣)委員 私のこの質問の趣旨でございますけれども、長く続く、この日本にしみ込んだ商習慣、これを改善する取組なんだろうというふうに思っております。

 石破総理は、先日の我が党の斉藤代表の質問に対して、私から関係大臣に対して、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けた指示をいたしたと答弁をされておられます。赤澤大臣は指示をお受けしたお一人であろうと存じ上げますので、是非お取組を進めていただきたくお願いを申し上げます。

 さて、付加価値、先ほど冒頭、私、このフレーズを使いましたが、付加価値を生み出す源泉は、これは技術です。さらに、赤澤大臣は、科学技術の振興、イノベーションの促進、GXやAI、半導体に関する国内投資の促進、宇宙、海洋分野のフロンティア開拓に取り組むとお述べになられました。

 是非力強くお願いしたいのですが、ここでは、私は特にGXについて質問をいたします。

 カーボンニュートラルやネットゼロ、脱炭素など、いろいろな言葉で表現をされますが、これを実現するのがGXです。Gはグリーン、Xはトランスフォーメーション、日本語に直訳すると、緑の転換ということになるのでしょうか。

 ここで私が重要視するのは、トランスフォーメーション、すなわち転換でございます。では、何から何への転換なのか。エネルギーの側面からこれを表現すれば、炭素を排出する化石燃料から排出しないエネルギーへの転換。また、これを経済的な側面から表現すれば、コストから利益への転換。私は、ここが大変重要だというふうに思っております。

 なぜなれば、化石燃料からグリーンエネルギーへの転換、これを単純に企業活動や国民生活から見れば、これはコスト以外の何物でもないんですね。このコストを逆に利益に転換していく、この鍵がGX技術でございます。

 脱炭素は全世界で取り組まなければならない課題です。全世界が避けて通ることができないと言い切ってもいいかと思います。したがって、やらなければならない。そして、そのための技術は、その開発に各国は激しい競争を繰り広げているところでございます。

 ただ、日本も全然負けていないと思っています。世界でトップレベルの技術というものをGXの分野においても保有をしているし、また更にこれから進化していく、私はそのように確信をしているところでございますが、ただ、残念なことに、技術が優れている、優れている技術であるから必ず使っていただけるということではないのが昨今の世界情勢だと思っております。

 すなわち、劣った技術であっても実装されればそれが勝ちだし、優れた技術であっても、それが実装されなければ、使ってもらえなければ私は負けだというふうに思っております。日本の技術がそうあってはならないというのが私の思いです。

 そこで、優れた技術が確実に実装されるように、日本の技術を国際標準に高めることが必要不可欠であると私は考えております。日本の技術の国際標準化における政府の取組について、本日は加藤経産大臣政務官にお越しをいただいておりますので、答弁をいただきたく存じます。

加藤大臣政務官 吉田委員の御質問にお答えいたします。

 経産省としましては、GX分野などの新しい技術を世界に普及していくためには国際標準化が重要であると考えております。委員御指摘のとおりの、同意見でございます。研究開発の成果の社会実装を実現するため、研究開発の段階から標準化活動の促進に力を入れているところでございます。

 具体的には、経済産業省の研究開発事業などにおきまして、標準化の体制構築や戦略策定を企業に求めているところでございます。例えば、グリーンイノベーション基金で各採択案件の中心的な企業などの約七割で体制構築が進んでおり、約半数が標準化戦略を策定するなどの成果も上がっているところでございます。

 さらに、GXサプライチェーン構築支援事業におきましては、市場獲得に向けた企業のルール形成戦略を評価する項目を審査基準として設けることで、標準化に向けた企業の取組を促進しているところでございます。

 こうした取組を通じて我が国のGX技術の国際展開を更に進め、脱炭素と経済成長の実現につなげていきたいと考えております。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 今、GXの分野で国際標準化についてお話をお聞きをしたところでございますが、実は、国際的に競争にさらされている技術、これはほかにも多数ございまして、競争にさらされている技術全てにこの国際標準の話が当てはまります。どうか政府におきましては、この国際標準に関する取組を是非充実させていただきたくお願いを申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐原若子さん。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、東北選出の議員として、常に経済活性化の問題に直面しています。東北の地方都市はシャッター街が連なり、私の地元弘前でも、地元資本の百貨店が倒産し、ホテルも倒産し、惨たんたる状態です。地方の再生は早急に進めなければならないと痛感しています。

 昨年末から新たな内閣の体制になり、従来の政策から大々的に転換し、地方の活性化を進めていただくことが日本の経済再生の一助になるという観点から、赤澤経済財政担当大臣への質問のお時間をいただきました。

 地方再生は待ったなしの状態です。若者の人口流出も止まりません。そこで、都市機能のバックアップを地方につくり、地方の若者が都市の企業に在籍し、地元でリモートワークなどで大手企業と同等の賃金を得るという構図は有効な手段と考えます。また、例えば、日本の地形、資源を存分に生かし、自然破壊を伴わない小水力発電とエネルギーの価値をデジタル化するNFTとを連携させ、地方のエネルギーを首都圏へ転売することも可能だと思います。

 地方在住の人々が自分たちが住んでいる地域で十分な収入を得て安心して暮らせるように、国の支援を多角的にしっかり行うべきと考えます。大臣のお考えはいかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 委員と問題意識を共有をいたします。

 石破内閣では、都市も地方も、安心、安全で心豊かに暮らせる持続可能な地域社会をつくるため、これまでの成果と反省を生かし、委員御指摘のリモートワークなどもフルに活用しながら地方創生二・〇に取り組むこととしております。

 新しいICT技術の登場により物理的距離が消滅し、場所を問わずに仕事ができるようになり、例えば、週に一日でもテレワークで兼業、副業したりするようなことも可能になっております。委員御指摘のとおり、リモートワークは有効なものと考えており、国として、その推進のために、新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用して、例えばサテライトオフィスの設置などに取り組む意欲的な地方公共団体を支援することとしております。

 今後とも、石破政権の一員として、地方創生担当の伊東大臣をサポートし、地方創生二・〇の推進に全力で取り組んでまいります。

佐原委員 同じような認識を持っているのが分かりました。ありがとうございます。うれしいです。

 従来の政策で地方の第一次産業は衰退していきました。少人数で収量を上げてきた農業など、弱い小さな事業者たちの不断の努力で成り立ってきた第一次産業を、効率化、合理化の名の下に、日本の食文化を支えてきた人たちを排除してきた政策は、人々を幸せにはしませんでした。これは今、大臣も、そして誰もが実感しているはずです。

 実は、小規模形態の第一次産業は、地方から経済、内需を支えてきたのではないかと思っております。成長産業化の名目で大企業を優遇し続けています。これからは、第一次産業の小規模な生産者、事業者を守り、生かす政策が、次世代の承継問題の解決も可能にするのではないかと思っています。

 例えば、三十年ほど前、海のギロチンと呼ばれた諫早湾干拓事業では、海の環境が一変し、宝の海は死の海となり、漁業者が苦しみました。また、一昨年には、諫早湾の漁協によるノリの共同販売が、公正取引委員会により独占禁止法違反として排除命令が出されました。

 国のルールとして一方的に判断を下すのではなく、地域の伝統的な習慣、文化と新たな形態のビジネスとが共存できる仕組みをつくり、サポートするのが本来の政治の在り方ではないでしょうか。一見非効率に見える小さな事業が、実は、環境を守り、リスクを軽減し、地域の経済を守ってきたという側面もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 日本の食料、そして種までも、その多くを輸入に頼っています。このままでは世界的な危機が勃発したときに耐えられるのか、日本人は飢えるのではないか。最悪の事態を想定して、危機を乗り越えられる体制にしなければならないと思います。

 気候変動や物価高騰の中で頑張っている第一次産業の方たちを苦しめる政治は、もうやめるべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 今、ほぼ二問まとめてお尋ねになったような感じもあり、あと、ちょっと御通告になかったことを一言おっしゃったようにも思うので、ちょっと長くなりますが、お許しいただきたいと思います。

 私の地元も農林水産業が盛んな地域であり、第一次産業の重要性は十分理解をしております。お尋ねの第一次産業の小規模な生産者、事業者を守り、生かす政策についてですが、農業経営体の減少が今後も見込まれる中、将来にわたり食料安定供給できる農業の確立が必要です。

 このため、規模の大小や経営形態にかかわらず、農業で生計を立て、効率的かつ安定的な農業経営を目指す方々も、生産性向上と付加価値向上できるように後押しをするとともに、それ以外の多様な経営体についても、地域の共同活動への支援などを行い、農業生産の基盤である農地の確保も図ってまいります。昨年の骨太方針にも、農業の持続的な発展に向けた担い手の育成、確保や、農地の総量確保と適正、有効利用などについて位置づけたところです。

 また、次に、委員御指摘の諫早湾の漁協のノリの共販についてですけれども、昨年五月に、公正取引委員会が佐賀県有明海の漁業協同組合それから熊本県漁業協同組合連合会に対して独禁法に基づく排除措置命令を出したと承知をしております。

 これは、両漁協等が行う共同販売を利用するノリ生産者に対してノリの全量出荷に係る誓約書の提出を求めていたことなどが原因であり、両漁協等がノリの付加価値向上等のために行う共同販売の意義が否定されたわけではないと承知をしております。

 なお、水産庁においては、漁業者等が生産性の向上、品質の一層の向上につなげていくために、健全な取引環境を整備することを目的としたガイドラインを策定し、水産物等の取引に関わる事業者に対して指導を行っていると承知をしております。

 委員の御指摘もいただきながら、農林水産業も含めた地域の活性化のために、知恵と情熱を生かして地域の潜在力を引き出すことが大切であり、地域の稼ぐ力を高めていけるよう、地方創生二・〇に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

佐原委員 ありがとうございました。

 ただ、大臣がおっしゃいました、農地の確保とおっしゃいますが、減反政策などと、矛盾するような政策をしてきたということを、やはり、改めていかなければ、反省していかなければいけないのではないかなと思います。

 大企業を優先する政策、大型化をする政策というのは、やはり、そこからは離脱して、しっかりと国内経済を活性化させる予算を組み込んでいただきたいと思うのです。小さな農業者を守ることはとても大事なことです。地域を活性化させることで根底から国が豊かになり強くなる、それが真の安全保障につながるのではないかと私は考えています。

 大臣のお考えを、まとめて御答弁をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

赤澤国務大臣 私も、政務に入っているとき以外はずっと自民党の農林役員会に所属している人間でございますので、おっしゃっていることについては大変重要な御指摘と受け止めたいと思います。

 確かに、農地に限らず、国土を最大限有効に活用することというのは国土強靱化につながるところも非常にあると思いますし、そういう意味で、我が国の限られた資源を最大限有効に活用して、地方創生二・〇につなげていくということをしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えます。

佐原委員 ありがとうございます。

 私も、今大臣のお考えを伺いまして、本当にそのとおりだなと思いました。失われた三十年を取り戻していくこと、まず小さな農業者たちを助けること、そういった地方から活性化していくことが日本経済を大きくまた飛躍させていくのではないかなと思います。

 しかし、今もなお大企業優先のところもございます。また、価格設定など農民を苦しめているところもございます。これからも、私たちのような小さな事業で生きている人たちのことをどうぞ大切にお考えいただいて、皆様を幸せにしていただきたいと思います。

 今日は本当にありがとうございました。

安住委員長 これにて佐原さんの質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 辺野古の新基地建設について質問をします。

 資料をお配りしておりますが、政府は新基地建設に要する経費について、当初は三千五百億円としておりましたが、二〇一九年、軟弱地盤の改良工事に伴い、九千三百億円に引き上げました。

 ところが、これが実態とかけ離れているのではないかということが繰り返し指摘されております。沖縄タイムスは、独自の試算を基に総事業費は一・二兆円に上ると報じております。琉球新報は、来年度までに総事業費の八一%を支出し、政府の試算を超える可能性が濃厚と報じております。

 一方、政府がこれまでに投入した埋立土砂は、昨年十二月末時点で辺野古側が三百十八万立米、そして昨年十一月に着手した大浦湾側が八万立米、合計で三百二十六万立米であります。計画する二千二十万立米の一六・一%にすぎないわけですね。

 防衛大臣に伺いますが、来年度までにどれだけの土砂を投入する計画ですか。

中谷国務大臣 埋立工事に係る経費につきましては、大浦湾側の埋立区域の土砂の投入のほか、今後埋立てに必要となる土砂の仮置き、そして大浦湾側の埋立区域の地盤改良に要する経費が含まれているところでございます。

 その上で、埋立区域の土砂の投入量について申し上げれば、令和七年度末までに辺野古側で三百十八万立方メートル、そして大浦湾側では約三十六万立方メートルとなる見込みでございます。

 この経費の概略につきましては、令和元年十二月に沖縄防衛局が公表したというものでございますが、今後の検討等によっては変更があり得るということで、工事の進捗を踏まえつつ検討する必要があることから、現時点で具体的に見直す段階にはなくて、今後、大浦湾側の工事の進捗を踏まえて検討してまいります。

赤嶺委員 防衛大臣、私が今伺ったのは、来年度までにどれだけの土砂を投入する計画かということを伺ったんです。

中谷国務大臣 先ほどお答えをさせていただきましたけれども、令和七年度末までに辺野古側で約三百十八万立方メートル、大浦湾側で約三十六万立方メートルとなる見込みでございます。

赤嶺委員 来年度までに大浦湾側で三十六万立方メートルということですね。

 そうすると、今の大臣の答弁にありましたように、計画どおり進んだとしても、来年度末までに埋め立てられるのは、二つの埋立区域の合計で、大臣が答弁された大浦湾側の三十六万立米、辺野古側と合わせた全体で三百五十四万立米、全体の一七・五%です。年間で進むのは一%程度なんですね。要するに、来年度末の時点で八割以上の埋立てが残るにもかかわらず、予算は八割を使ってしまうということです。

 大臣、どう考えても政府の見積りを超過するのは、これは明らかですね。工事の実態を踏まえて、新たな見積り、これを出し直すべきではありませんか。

中谷国務大臣 現在、普天間飛行場の一日も早い全面返還と、そして地元の負担の軽減につきまして全力を挙げておりますけれども、それにつきまして、令和元年十二月に沖縄防衛局が公表した当時も説明をいたしておりますが、この時点での検討を踏まえたものでありまして、今後、検討等によっては変更があり得るというふうに既に申し上げております。

 現在、大浦湾側の工事の実施をいたしておりまして、防衛省としましては、現状、工事の進捗等を踏まえて対応したいと思いますが、一日も早く大浦湾の埋立て、これを完了したいということを目標に進めております。

赤嶺委員 一日も早い普天間基地の移設のための辺野古の基地建設というのは、もう夢物語になっているんですね。一日も早いというのは、二、三年後とかそういうものですね、もう二十何年たっていますからね。それで、予算の九千三百億円をはるかに超えることは明らかです。だけれども、今数字は発表できないと言う。こんな予算の在り方が許されるかと思いますよ。

 別の面から聞いていきますけれども、工事の進捗を踏まえてという点でいっても、キャンプ・シュワブ内で既存の施設を配置する再編成工事があるんですよね、いわば海ではなくて陸上の部分で。既にこれは当初の見積りを超過しております。政府の計画では七百五十億円でした、この再編工事は。来年度までにどれだけの予算を投じることになりますか。

青柳政府参考人 御指摘のキャンプ・シュワブ再編工事に要します経費につきましては、令和五年度末までに支出済額、これの総額は八百九十八億円ということになってございます。そして、令和六年度当初予算は歳出ベースで約七十一億円、令和六年度補正予算は歳出ベースで約四十五億円、令和七年度予算案は歳出ベースで約百六億円を計上しているところでございます。

 キャンプ・シュワブの再編工事に要します経費につきましては、予算に計上したものの様々な事情により執行されなかったものも多く含まれているということのため、これまでも支出済額により経費の状況を説明しているという状況でございます。

赤嶺委員 今の答弁だと、合計で千百二十一億円になるわけですよね。合計千百二十一億円、間違いないですね。

青柳政府参考人 キャンプ・シュワブ再編工事に係ります予算につきましては、沖縄県との協議の状況等により執行されなかったものも多く含まれていると先ほど申し上げたところでございますけれども、このため、経費の状況につきましては、やはり予算額の合計額を用いて御説明することは実態を表しておらず適当ではないと考えてございます。これまでどおり支出済額で御説明いたしてまいりたいと考えてございます。

赤嶺委員 支出済額、それと来年度までの予算、合わせて千百二十一億円。当初は七百五十億円と説明していたわけですよ。来年度までにその一・五倍を投じることになります。こんないいかげんなやり方が許されるはずはありません。

 これまでにどういう施設を何棟整備し、今後はどれだけ整備するのか、そして来年度までに全て終わるのか、答えていただけますか。

中谷国務大臣 せんだって辺野古を視察をしまして、大浦湾の埋立状況、これについては視察をさせていただきました。

 着実に工事は進んでおりますが、これまで計五十施設の整備については日米間で合意しておりますが、倉庫、管理棟、火薬庫など約三十一施設については工事に着手又は工事を完了しておりまして、残り、消防舎、運動施設など十九施設については今後工事をする、実施予定でございます。

 これらの工事の施設の完成時期につきましては、現時点で契約手続を行っていないものもあることから、現在お答えできないということで御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 来年度以降も引き続き整備を継続するわけですね。

青柳政府参考人 陸上再編工事の際につきましては、引き続き日米で合意が取れたものを逐次整備をしてまいりたいと考えてございます。

赤嶺委員 この整備の中に火薬庫というのがあります。火薬庫というのは辺野古弾薬庫で行っている工事です。キャンプ・シュワブの再編成といいながら、火薬庫、弾薬庫は別です、基地は。なぜ別の基地の整備まで日本政府が請け負っているんですか。

中谷国務大臣 これは、キャンプ・シュワブの陸上部及びそれに隣接する辺野古の弾薬庫の陸上部においては既存の施設を再配置をする工事を実施しておりまして、この該当工事をキャンプ・シュワブ再編工事としてこれまでも御説明をしているところでございます。辺野古弾薬庫における火薬庫の整備につきましても、当該工事の一環として実施するものでございます。

赤嶺委員 再編工事といいながら、別の基地まで手がけているわけですね。別の基地の弾薬庫までやっているわけですね。

 米軍の特権を保障した日米地位協定、この中でも、米軍の維持費は米側が負担するというのが原則です。にもかかわらず、アメリカから言われるがまま、直接関係のない施設整備まで請け負っています。到底許されるものではないと思います。

 今後実施する再編工事は、今答弁した施設で全てですか。それ以外にも日米間で協議している施設はありますか。

中谷国務大臣 キャンプ・シュワブの再編工事につきましては、個々の施設ごとに日米間で必要な調整、確認を行いまして、合意をした上で工事を進めているところでございます。

 日米間で合意した施設の整備の計画につきましては引き続き適切に公表してまいりますが、こういう前提で工事を進めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 つまり、これからも新たに協議の上で合意していく施設があるということですね。

中谷国務大臣 もう既に公表しておりまして、これから行うべき施設につきましては、計画に従って、また米側と協議をして行ってまいりたいと考えております。

赤嶺委員 もう予算を超過しているのに、これからも施設整備をやっていくと。アメリカから言われたら次々と追加していくものになっています。

 そもそも、最初の七百五十億円という数字は、一体どういう根拠に基づいたものだったんですか。

中谷国務大臣 日米間で合意した施設整備の計画につきましては、引き続き適切に公表してまいります。

 経費につきましては、二〇〇九年、平成二十一年当時、大まかな見積りといたしまして、キャンプ・シュワブに関するところにつきましては約六百億円とお示しをしたところでございますが、その上で、二〇一九年、令和元年十二月に経費の概略としてお示しをいたしましたキャンプ・シュワブ再編工事に要する経費の約七百五十億円につきましては、二〇〇九年、平成二十一年から令和元年、二〇一九年までの人件費また資材の物価上昇分を反映して見積もったところでございます。

赤嶺委員 資材の高騰分だけじゃないですよ。これからも施設を造っていくというわけですから。

 説明を聞いていて、何をどこまで整備するのか、そして、当初の合意の七百五十億円、これも非常に無責任な説明だったなということで思います。

 既に見積りを超過し、埋立工事も見積りを超過するのは時間の問題です。辺野古でも工事の進捗を踏まえるというなら、今明らかにすべきだと思いますよ、予算の審議をしているわけですから。本委員会に、工事の実態を踏まえた新たな経費の見積りを提出すべきだと思います。

 委員長、米軍の建設ならどれだけ予算を使っても構わないという姿勢は絶対に避けるべきで、本予算委員会の任務としても、これを明らかにしていく必要があると思います。工事の実態を踏まえて、新たな経費の見積り、これの提出を求めていきます。

 委員長、取り計らい、よろしくお願いします。

安住委員長 理事会で計らいます。

赤嶺委員 中谷大臣は、当初からこの問題に関わってきました。一九九六年の橋本・モンデール会談から、この四月で二十九年です。あなた方が一日も早い普天間基地の返還といって、辺野古に手がけて二十九年です。これは、一日も早いという概念から遠く離れております。破綻しているんですよ。いまだに普天間基地の返還は実現していません。

 総理は施政方針演説で、軟弱地盤の改良工事に着手したことを、大きな前進、このように強調していました。思わず噴き出してしまいました。実際には、前例のない難工事となり、長期化が指摘されています。一体いつになれば普天間は返ってくるのか、みんな疑問に思っています。

 この問題の原点は、一九九五年の少女暴行事件です。あのとき県民が願ったのは、少女の尊厳を守れないような社会はもう変えなくてはならないということでありました。八万五千人の県民が結集した県民総決起大会で、日米地位協定の早急な見直し、そして基地の整理縮小、これを日本政府に求めました。

 ところが、事態は何も変わっていません。少女や女性の尊厳を踏みにじる事件は、その後も何度も何度も繰り返されています。

 そもそも、米軍による凶悪事件が繰り返されるのは、防衛大臣、その根本的な原因はどこにあると認識していますか。

中谷国務大臣 その前に、普天間基地の移設につきましては、二十九年ですね、私、二〇〇一年のとき防衛庁長官でありまして、当時は、名護市、国、県とも合意をしまして、協議会もつくっておりました。その後、話合いを続けながら現時点に至っているわけでございますが、大切なのは、やはり、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現をするということでございますので、このために、引き続き工事を適切に執行してまいりたいと考えております。

 そして、お尋ねの米軍の問題でございますが、性犯罪というのは本当に被害者の尊厳を著しく損害して、その心身に長年にわたって苦痛を与えるものでありまして、決して許されるものではないという認識の下に、私もこういった事件があるたびに、累次、米側に再発防止、また二度とこういったことが起こらないように申入れを行っております。

 せんだっても、ヘグセス米国防長官の間で、在日米軍の安定的な駐留というのは同盟の抑止力のために重要でありまして、これには事件、事故の防止も含めて地元の理解が不可欠であるということを認識をしておりまして、また、ターナー調整官にも強く申入れをいたしております。

 このことが実行されるように、更にそういった米側に申入れ、そして更なる努力を続けてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 今日、私は一つの資料を持ってきました。基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、これが、「沖縄・米兵による女性への性犯罪」、一九四五年四月から二〇二一年十二月までですよ、政府が度々再発防止を申し入れても繰り返されているんです。なぜか。それは、軍隊の本質なんです。

 基地の中で海兵隊も米軍も人殺しの訓練をしている。もう既に人権意識を失って、そして基地の外に出てくる。女性を見て、そしてレイプに走る。あるいは、お酒を飲んでタクシー強盗を行う。要するに、米軍の存在がこういう女性の度重なるレイプ事件、これにつながっているのであって、あなた方が言うように、再発防止だとか綱紀粛正というのは、何の意味もないんじゃないですか。

 やはり、軍隊に、基地の中で人殺しの訓練をしている。彼らはどうやって訓練しているか。殺せ、殺せ、殺せといって訓練しているんですよ。母親を殺せるか、そういうような訓練まで海兵隊はやっているんですよ。そういう暴力を伴った軍隊が日常生活に入り込んできて女性の暴行に及ぶ、そこに大きな本質があって、だから、沖縄県民は、基地の整理縮小、これを求めてきたはずです。

 海兵隊がグアムに百人移ったということを防衛大臣はおっしゃりたいかもしれませんけれども、たった百人ですよ。何年前にグアム移転を決めたんですか、その後、いつになるか分からないような。

 やはり、女性暴行事件の本質は、あなた方が再発防止や綱紀粛正をアメリカのどんな高官に求めてもこれは止められない、軍隊を整理縮小する以外にないと思いますが、いかがですか。

安住委員長 もう質疑時間が終了しているんです。

 じゃ、一言だけ、特別。

中谷国務大臣 軍隊にとって一番大切なものは規律の維持でありまして、自衛隊もそうですけれども、事故を起こさないということは大前提でございます。

 そういう意味では、米側にも要望して、米側の努力、これは隊員の教育とか綱紀粛正とか再発防止の徹底について実施をしておりますので、このような事故が起こらないように更に申入れをし、また、努力をしていきたいと思っております。

赤嶺委員 終わります。

安住委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 物価が上がっている、ずっと上がっているということであります。赤澤大臣、それから日銀さんにお越しいただいておりますが、地元に戻ると、専ら、やはり生活が厳しいと。私のところは田舎が多いので、車社会ですから、燃料の高騰で非常に厳しいという悲鳴の声が上がっております。

 今日申し上げたいのは、最初に簡潔に言いますと、私は、安倍さんの時代は、物価の水準も低かった、為替レートもそんなに今ほど円安になっていない、だから、財政金融政策をフル稼働してやるというのはよく理解できるんですが、もう全然今は状況が違うというふうに思います。

 この資料の方を見ていただきますと、資料四を見ていただきますと、安倍さんの頃は円安、あのときも円安でよかったなという声も上がっていたんですよ。民主党政権は円高で悪いということだったんです。それでも、一ドル百円から百十円ぐらいです、平均でいうと。今は百五十二・六円、これは一年で平均しておりますけれども、ずっと円安になってきている。輸入物価指数がこれによって非常に高い水準になっていて、二〇二〇年を一〇〇とすると、今一六五・六というふうになっています。

 消費者物価指数を見ますと二・五、最新の数字でいうと総合で三・八だったと思います。相当上がっている。この数字は、多くの方々は、頻繁に購入する、例えば輸入比率の高い食料品なんかがやはり消費の割合の大部分を占める、こういう人たちにとっては、頻繁に購入する消費者物価指数というのが下にありますけれども、前年比で三・四%上がっている、二〇二三年は六・二%。

 実質賃金の方も、伸び率は鈍化しているけれども、マイナスで推移している、三年続けてマイナスだ。エンゲル係数、懐かしい響きですが、このエンゲル係数は二八・二ということで、四十二年ぶりの水準になっている。消費支出が、ここを私は言いたいんです、個々の人々の生活の厳しさもありますけれども、経済全体としても消費というものが振るわない、マイナス一・四、その前の年はマイナス二・六ということになっています。GDP成長率は、ほかの要因が加わりますけれども、いまいち振るわない、二〇二二年は一・四だったのが、今や〇・三%に伸び率が鈍化している。

 ですから、私は、短期的には、金融、日銀さんの方は、やはり金利を、この前も〇・五に引き上げられましたけれども、もう少しペースを早めて、物価を落ち着かせるべきだ。

 私は、何もデフレに戻れと言っているわけじゃないんです。ここにありますように、かなりもう水準は高くなっているということなんです。ですから、そこをやって、財政は、一種福祉的な三万円を配ったり、いいかどうかはおいておいて、そういうことをやってもそんな大きな影響はないと思いますけれども、やはり物価の水準を下げるべきだというふうに思います。

 日本銀行さんにお聞きしたいのは、物価が今上がっている要因、どういう理由で上がっているのかをお聞きしたいと思います。

正木参考人 お答え申し上げます。

 コロナ禍後の物価上昇の背景には様々な要因がございますけれども、そのうちかなりの部分は、為替円安の影響も受けました輸入物価の上昇などの、いわゆるコストプッシュ要因によるものであると見ております。

 こうした既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は徐々に緩和する方向にございまして、先行きも和らいでいくと考えております。一方で、このところは、賃金上昇等を受けて価格を引き上げる動きが強まっておりまして、こうした動きを反映して、サービス価格も緩やかに上昇しているところでございます。こうした下で、日本銀行としては、基調的な物価上昇率は二%に向けて徐々に高まってきていると判断しているところでございます。

北神委員 基調的物価上昇率というのはよく分かりませんけれども、今あったように、やはり円安によって輸入物価が上がっているというのが非常に大きいと思います。徐々にその要因は剥落しているというふうに日銀さんはおっしゃいますけれども、今後、トランプ政権なんかを見ますと、彼らの経済政策を見ると、アメリカ経済はインフレに、恐らくまた再燃するだろう、そうすると向こうの中央銀行はまた利上げする、そうすると円安の現時点での一番大きな要因である日米の金利差というものがまた開くということを考えると、やはりこれを落ち着かせるべきだと私は思います。

 ここは、大臣、私が同期で尊敬する赤澤大臣ですけれども、私よりもずっと出世されていますけれども、同期ではあります。

 それで、要は、皆さんはいまだにアベノミクスにとらわれて、全然その情勢が変わっているのに、これが逆に景気を悪くしているんじゃないか。というのは、今は消費がいまいち振るわないのは、GDPの消費はまだ若干、二四半期プラスになっていますよ、その前は三四半期連続でマイナスですから、家計調査で見るともうずっとマイナスです。ですから、そういう状況の中で、やはりこれを変えないといけないというふうに思います。

 皆さんは、いやいやいや、北神さん、そんなことはない、まだまだインフレじゃない、物価をもっと上げるんだ、その代わり、北神さんの言う消費なんかは、それは賃上げで、私から言わせると竹やり戦法で、賃上げでどんどん上げて実質賃金をプラスにするんだ、実質賃金がプラスになったら、消費が必ず回復すると。毛沢東もスターリンも草葉の陰で喜んでいますよ。日本はえらい、そこまで緻密な計画経済をやられるのはすごいというふうに思っておられるというふうに思いますよ。

 経済政策というのは、政府は全知全能の神様じゃないんですよ。だから、やはり中道やや左ぐらいの、ちゃんとした、安定した経済金融運営を私はすべきだというふうに思います。

 なぜこの賃上げが問題があるかというと、中小企業の、これは資料はないんですが、信じてください、労働分配率は八〇%、まあ七〇から八〇%ぐらいです。つまり、労働分配率というのは、もうけた分のうち、どのぐらい人件費に回しているか。大体七〇%―八〇%。大企業は大体四〇%ぐらいです。大企業はまだ余地はあります。しかし、中小企業は、一千万円もうけたら、八百万円は全部人件費に回っているわけであります。

 こういう中で賃上げをしろしろということは非常に厳しい状況だというふうに思いますが、この点についていかがお考えでしょうか。

赤澤国務大臣 中小企業は大企業に比べて労働分配率が高いことはおっしゃるとおりでございます。賃上げの原資の、したがって余力が小さいということで、中小企業の皆様方が確かにもうかり、安心して賃上げができるように、政府として全力を尽くしていくということになります。経済団体の皆様も、賃上げ原資が稼げるように政府としてしっかり支援しろということを要望されているわけです。

 その中身は、中小企業の皆様方に利益を上げていただくために、主に三つで、適切な価格転嫁の推進が一つ、それから、生産性向上に向けて省力化、デジタル化投資の促進をやる、さらには三つ目として、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAを後押ししていくということです。

 ということで、それ以上、一つ一つ説明してもいいですけれども、いいですね。ということであります。

北神委員 頑張ります、気合を入れて賃上げを進めます、それぞれ経済団体もそれに呼応してくれているということだというふうに思いますが、この資料二にありますように、これは中小企業景況調査ですけれども、いわゆる中小企業の景況判断というのが二期連続で低下をしている。これをもって全部私の意見が正しいと言いませんけれども、先ほど言った労働分配率でいうと余地は少ないというのはよくお分かりだと思います。

 従業員の、全国の労働者の七割程度が中小企業ですから、ここが今のところは何とか頑張っておられますけれども、今後どこまで彼らもついていけるのかというのは非常に厳しいというふうに思います。

 それで、皆さんの目標というのは実質賃金をプラスにするわけですから、この大量の従業員を抱えている中小企業がこういう状況の中で、今後仮にプラスに少しの期間はなったとしても、これまで三年間実質賃金はマイナスですから、これを取り返さないといけないわけですよ。だから、かなり継続的に実質賃金をプラスに持っていかないといけない。だから、私は、竹やり戦法だというふうに言っているわけであります。

 この政策が、私は机上の空論だと思うけれども、もし経済合理性があるとするならば、菅内閣のときにブレーンを務められたデービッド・アトキンソンさんがはっきりと書いてあるように、日本の経済の生産性が低い一番の原因は中小企業だ、生産性の低いところばかりが多過ぎる、だから、最低賃金をどんどん押し上げて兵糧攻めにして、それに耐えられない中小企業は淘汰されるべきだ、そうするとおのずと生産性が上がると。

 私は反対ですよ、反対だけれども、理屈としては分からぬでもない。そういうことを意図されているんでしょうか。これはちょっと質問にないんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 そういうことを意図しているわけではありません。

 私自身、スタートアップも担当していますけれども、日本全国で、特に最近地方で非常に有望なスタートアップも出てきておりまして、中小企業だからこそイノベーションの余地もあり、そういった方向もしっかり応援をしていきたいと思っています。

 アトキンソンというお話がありましたけれども、私は、彼の著作を見ていると、日本の経営者の皆様に対する敬意がちょっと足りていないなということはすごく思うわけで、何か経営者の皆様の能力が低いから、生産性が低いからというようなことは、私は全くそれは賛同はいたしません。

 ただ、中小企業について言えば、やはりこれだけのデジタル化とか省力化投資ということが余地がある中で、もっともっと我々が応援をして、生産性を上げていくことは十分できると思っていますし、あとは、やはり価格転嫁がまだまだ不十分であるということもあります。また、地方に行けば、後継ぎがなかなかいないという悩みを持っておられる経営者は非常にたくさんおられますので、事業承継とかMアンドAなどもしっかり応援しながら、賃上げ原資を稼いでいただけるような方向を目指しているということで、先ほどおっしゃったような、委員がおっしゃったアトキンソンのようなことを考えているわけではございません。

北神委員 だから、結果としてそうなるおそれがありますよということをちょっと指摘をしておきたいというふうに思います。

 この賃上げ政策のもう一つの問題点は、中小企業と、これは仮に、百歩譲って実質賃金が継続的にプラスになるということになったとしても、六十歳以上の方々、こういった方々にとっては賃上げは関係ないんですよ。若干はありますよ、仕事をされている人は。

 年金は上がるけれども、これは財務大臣、年金は、財務省がうまいこと仕掛けて、マクロ経済スライドで、物価が上がるほどに上がらないようにちゃんとなっているんですよ。だから、それは認めないといけないと思いますよ、大臣。実際、去年の実績もそうです。物価が三・二%上がったけれども、年金は二・七しか上がっていないです。ですから、緩和はします、緩和はしますけれども、そんな、やはり厳しいことには変わりない。

 その数字をちょっと言いますと、資料五にありますが、六十五歳以上の夫婦無職世帯の消費支出と黒字額、これは貯蓄をどのぐらい取り崩しているかというのが分かると思いますが、二〇二一年からずっと、マイナス八・三、マイナス九・四、マイナス一五・一、マイナス九・一と、要するに貯蓄を取り崩している。一番、輸入比率の高い食料が、彼らにとっては生活で最低限の消費をせざるを得ないという中で、貯蓄を取り崩している、こういうところにも影響はある。

 経済全体に関係ないじゃないかと皆さんはおっしゃるかもしれませんけれども、六十歳以上の方は、全国の消費の大体四割ぐらいを占めているんです、今。ですから、そんな軽視する層ではないということを皆さんに申し上げたいというふうに思っております。

 ですから、やはり、好循環、物価を上げて、また更に賃上げをして、うまいこと実質賃金をプラスにするという政策というのは、かなり危ういと言わざるを得ないというふうに思います。

 唯一、じゃ、北神さんの言う金利を上げたら、また景気が悪くなるんじゃないかと皆さんはおっしゃると思います。しかし、先ほどの資料にありますように、消費がずっと減っているんですよ、物価高で。だから、金利を上げなくて今の状況を放置すると、消費も振るわない。GDPの六割弱です。だから、私は、どっちが大きいのかと。

 そんないいところ取りはできないんです。金利を上げたら、若干、住宅ローンとかそういったところにも響く。しかし、金利を上げなかったら、今のまま、トランプ政権になったら更に円安が進んで、また物価が上がっていく。そうしたら、消費がまた足を引っ張られる。どっちがより大きな影響なのかということを皆さんに問いたいと思います。

 日銀さん、まずいきましょうか。

正木参考人 お答え申し上げます。

 御承知のとおり、日本銀行は、二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から金融政策を運営しているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、日本銀行としては、基調的な物価上昇率は二%に向けて高まってきてはいるものの、現時点ではなお二%を下回っているという判断をしているところでございまして、こうした状況を踏まえますと、これが二%に向けて高まっていくよう、緩和的な金融環境を維持することを通じて、経済活動をサポートすることが必要と考えております。

 ただ、その上でということでございますが、日本銀行は、昨年来、経済、物価等の情勢を点検しながら、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いの調整を行ってきたところでございます。今後とも、この基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくという見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針でございます。

北神委員 実質賃金はまだマイナスですよ。だから、実質賃金はマイナスなんですよ。景気に対する作用というのはそこで本来見るべきだというふうに思いますので。そういった意味では、今、日銀さんがおっしゃったように、〇・五%に引き上げてもいまだに緩和的なんですね。要するに、景気にマイナスの影響を与えていない、そういう判断だというふうに思います。

 だから、私はそんなに、私も、何も急に一%、二%に上げろと言っているわけじゃないんです。少しずつ上げるべきだと。しかし、そういうことをしていかないと、逆に消費に対する悪影響というのがどんどん及んでいきますよと。

 大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 まず、実質賃金についてよく四か月連続マイナスという御指摘を受けるんですが、実は、速報ではマイナスだったんですけれども、確報ではプラスになっています。ということで、四か月連続ということでないことはちょっと一応、事実関係で指摘をさせていただきたいと思います。(北神委員「実質賃金ね」と呼ぶ)実質賃金。

 それで、私がやはり指摘をしておきたいこと、今日の御議論をいただいて、非常に大事だと思うのはデフレマインドの払拭だと思うんです。よく分岐点、分岐点ということを言って、今成長型経済への移行の分岐点で、うまくやらないとデフレに逆戻りするぞという、今非常に大事なタイミングであるということを言い、そのために、きちっと成長型経済に移行するのに本当に大事なことはデフレマインドで。

 物価も賃金も、そして成長もほぼないという状態をずっと三十年間経験しているものだから、日本で物価が上昇し始めると何が起こるかというと、またどうせ下がるだろうと思って買い控えすると。欧米だと、物価が上がると、更に上がる前に買おうというので消費が増えるというような全く正反対のことが起きて、それぞれ悪循環と好循環に行くわけです。

 要は、物価が上がれば消費が増えて、結果、また景気もよくなるから更に賃金が上がってという好循環と、一方で、要は、物価が上がると消費を減らすので買い控えて、また賃金、企業の業績が悪くなるから下がってという、それを抜けなきゃいけないので。

 我々が二〇二〇年代に最低賃金千五百円とか、かなり高い目標を無理に頑張って言っているのは、政府が中長期的に賃金が上がっていくことにコミットしてみせることで何とかデフレマインドが払拭できないかということを一生懸命トライしているということについて、まず理解いただきたいのと。

 あともう一つは、実は先ほどまさにおっしゃったことが、賃上げは、だから、高齢者の方のためにも今の制度の下では大事で、要は、物価に合わせて上がらないんだけれども、じゃ、何に合わせて上げているかというと、賃金を上げて年金を調整していっているわけですよ、賃金の上昇率に。そうなると、やはり高齢者の皆さんのためにも賃上げをするのは今非常に大事だというのは、もう制度的にもそういうことになっているというのも御理解いただきたいと思います。

北神委員 いやいや、なるほどではないんですね。これは、後者の方ね。

 私が不思議に思うのは、皆さんは自分たちで物価を上げておいて、うわっ、大変だ、苦しい、だから、物価高対策をするんだ、三万円配る、ガソリン補助金。要するに、マッチポンプをやっているんですよ。自分で火をつけて、それで、大変だ大変だ、水をかけろと。だから、それは私はちょっと違うというふうに言わざるを得ない。

 ただ、前段の方は、これはよくある真面目な議論だと思います、デフレマインドの話は。しかし、皆さん、これは、アベノミクスで今の物価が上がっているわけではないんですよね。ウクライナ戦争、その後の円安、そして今の、恐らく背景には人手不足があるサービスセクターの賃上げ。

 ですから、アベノミクスというのは、一番真面目な部分でいうと、デフレマインドを払拭するんだ、日銀がバズーカ砲を撃つんだ、そうしたらみんな物価が上がると。大事なのは、おっしゃったように、買い控えする、物価が上がらないと、それは一つの理屈ですけれども、実は今何が起きているかというと、じゃ、物価が上がって消費が増えているのかというと、増えていないんですよ。だから、そこはやはり重要な論点だというふうに思います。

 だから、アベノミクスの理論でいくと、物価が上がっているから、みんな、うわっ、大変だ、来年自動車がもっと値上がりするかもしれないから、今買換えしないといけないといって消費が増える、こういう理屈だと思いますけれども、それは、私は経済理論的にも実はおかしいというふうに思っていますけれどもね。

 要するに、期待が働いていわゆる経済主体が行動するというのは、ミクロの世界ではそういう実証研究がなされています。しかし、我々はそれをマクロに拡大しているということを、一部の経済学者とかがやっているという、そういう意味で、理論的にもちょっとおかしいというふうに思いますけれども、もう時間がありませんので。

 今日申し上げたいのは、だから、デフレマインドというのはなかなか払拭、払拭というか、要するに、今の局面では物価高が景気の足を一番引っ張っているのではないか、消費を通じて。だから、ここをやはり考慮に入れないといけない。

 中長期的には、賃上げというのはかけ声だけでできるわけではなくて、やはり、これは皆さん重々御案内のとおり、生産性が上がらぬとあかんと。皆さんもいろいろやっているのはよく分かっています。しかし、私が見ると、省エネとかデジタルはいいですよ、いいけれども、やはり実証的な研究に基づいて、いろいろな資料があるわけですよ。

 そして、私の最後の資料にありますけれども、資料八ですけれども、多分、私が勉強した限りでは、一番生産性向上、これはいわゆるTFPの方、技術革新の方です、労働生産性じゃなくて。これは、やはり研究開発、それから人材投資、この二つなんです。だから、余り、わざわざ、わざと物価を上げて、その物価高対策で財源を使うんじゃなくして、やはりこういうところにもっと本格的に。

 皆さん、科学技術予算でやっているとおっしゃるのは分かりますけれども、これはやはり相当な金額を入れないと意味ないんですよ、研究開発というのは。だから、そういうことに私は専念を、専念までいきません、そういうところにより重点を置くべきだというふうに思います。

 この研究開発のGDP比率が一%上昇した場合に、成長率の効果は〇・三から〇・四。教育でいうと、シンガポール並みに日本の学力が上がれば、平均成長率、四十年間ですけれども、二%ポイント上げるということであります。

安住委員長 北神君、時間。

北神委員 質問になりませんけれども、指摘をして終わりたいというふうに思います。

 ゲーテが言ったように、本当の偉大さは抑制にあるということだけ言って、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

安住委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日午後は、内閣官房、内閣府の経済財政政策を除く所管、復興庁及び総務省について審査を進めます。

 各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。内閣官房長官林芳正君。

林国務大臣 令和七年度の内閣官房及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和七年度予算では、地方創生交付金の倍増や、防災関係の予算、定員の倍増など、重要政策に予算を重点的に計上いたしております。

 内閣官房の令和七年度における歳出予算要求額は、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として千九十五億五千三百万円を計上しております。

 次に、内閣府所管の令和七年度における歳出予算要求額のうち、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として六千八百二十二億八千二百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十九億千四百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百五十三億七千万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として四十一億五千二百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十七億六百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融政策推進等のための経費として二百三十八億五千六百万円、消費者庁には、消費者の安心、安全の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百四十一億千百万円を計上いたしております。

 以上をもって令和七年度の内閣官房及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

安住委員長 次に、復興大臣伊藤忠彦君。

伊藤国務大臣 令和七年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁におきましては、第二期復興・創生期間の最終年度である令和七年度において必要な取組を進めるための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額四千八百六十四億円を計上しております。

 その施策として、被災者の心のケアなど、被災者の支援に百九十九億円、災害復旧などの住宅再建と復興まちづくりに六百七十五億円、事業再開支援などの産業、なりわいの再生に三百六十一億円、特定帰還居住区域への帰還に向けた取組などの原子力災害からの復興再生に三千三百五十五億円、福島国際研究教育機構の取組などの創造的復興に二百二十四億円を計上しております。

 これら復興庁予算に加えまして、震災復興特別交付税交付金などを含め、東日本大震災復興特別会計においては、六千五百九十二億円を計上しております。

 以上、令和七年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。

安住委員長 次に、総務大臣村上誠一郎君。

村上国務大臣 令和七年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和六年度補正予算と一体として、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四に沿って、必要な経費を計上したものであります。

 総務省としましては、能登半島地震の教訓を踏まえた国民、住民の安全、安心の確保、地域経済の好循環と持続可能な地域社会を実現するための地方行財政基盤の確立と地域経済、社会の活性化、信頼できる情報通信環境の整備、国際競争力の強化と国際連携の深化、国の土台となる社会基盤の確保に必要な予算を盛り込んでおります。

 一般会計の予算額は、十九兆五千九百十七億円です。このうち、地方交付税等財源繰入れが十九兆七百八十四億円、一般歳出が五千百三十三億円となっております。

 具体的な事項としましては、主なものとしまして、通信、放送インフラの強靱化といたしまして五百四十八億円、基地交付金及び調整交付金といたしまして三百八十五億円、地域DXの推進といたしまして二百九億円、新技術開発、国際的ルール作り、海外展開の一体的推進といたしまして五百二億円、EBPMの推進及び基盤となる統計の整備といたしまして八百二十一億円、恩給の適切な支給といたしまして五百五十七億円をそれぞれ計上しております。

 以上、令和七年度における総務省所管予算案の概要の御説明を申し上げました。

 よろしくお願いいたします。

安住委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。あかま二郎君。

あかま委員 自由民主党のあかま二郎でございます。

 今日は、午後にあっては、省庁別審査、内閣官房、総務省、復興庁それから内閣府ということでございます。それらの中にあって、いかにこの国にあって稼ぐ力、これを担保していくのか。また、地域の安心、安全をいかに。さらには、これからいかに地方を創生していく手だてをより充実していくのか。そういった視点に立って、特に、総務省、内閣府、地方創生、防災、これらに関して質問をさせていただきます。

 質問に先立って、昨日また今朝から、いわゆる豪雪、大雪、この報道がなされております。北海道帯広、さらには新潟、また今日あたりは北陸地方もという中にあって、この大雪、豪雪、いわゆる最強、最長の寒波という中で、更に被害が予想される中にあって、雪害、さらには除雪、これは自治体にとっては大変な費用、コストだというふうに思っております。

 通告にありませんが、村上大臣、これに関して、地元からの声が上がってきた折にはしっかり対応する、そうした気持ち、また対応、これをお願いできますでしょうか。

村上国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、強い冬型の気圧配置となって、日本海側を中心に大雪が数日続く見込みであると承知しております。

 総務省としましては、自治体の状況等をしっかり把握しながら、適切に一生懸命対応していきたい、そういうふうに考えております。

あかま委員 今、総務大臣の方から状況を見ながら、今後にあって、更なるということであれば、しっかりと対応を願いたいと思います。

 さて、質問の方に移らせていただきたいと思います。

 まず初めに、AI技術、この開発における国際競争力、この向上についてお尋ねをしたいと思います。

 御案内のとおり、AI、一年、二年前に、いわゆるチャットGPT、これらが開発、また一般にというような中にあって、AI、これを聞かない日はないぐらい、社会に、また様々な場面、場面にAIが活用という時代になりました。まさに、AI技術、人工知能技術というものは目をみはるものがあります。その中でも、とりわけ、膨大なテキストデータから学習して文章の理解、さらには生成を行う大規模言語モデル、この開発を強く推し進めるべきだという立場から質問をさせていただきます。

 昨年十月のノーベル物理学賞、現在のAIの技術の中核を成す機械学習の基礎となるコンピューター処理の方法を開発した二人が受賞をした。そのことに対して、ある学者は、今回の選考委員会はまさに今注目されているこの分野に積極的に光を当てたのだと。これから更にこの分野は光が当たるし、それを活用。他方で、その活用とともに、やはり影の部分というものもしっかりと我々は手当てをしていかなきゃならない、そう思っております。

 このAIについて、その開発、運用に欠かすことができない半導体やクラウドに関して、米国企業が約七割から九割を占めていると言われている中にあって、日本でも米国発の技術、サービス、これがどんどん導入が広がっております。過度な依存は、我々は経済安全保障という観点からしっかりと防がなければならない。

 その意味では、日本のAI開発、これを強化すること、これがまさにこれから更に強く必要となってくる中で、現在、英語を中心とする学習データへの依存からの脱却を図るとともに、半導体市場の行く末にも大きな影響を及ぼすものであるからこそ、我が国産業の将来の競争力を強化する上で非常に重要な課題であるときに、では、どのようにこの国にあって。

 お尋ねします。たしかNTTドコモ出身ですよね。我が党のデジタル社会推進本部の中心メンバーでもございました川崎政務官、お尋ねします。

 総務省においては、これまでも大規模言語モデルの開発に取り組んできたというふうには承知はしております。これまでの取組を進める中にあって、どういった課題がまずあったのか、そこをどう認識しているのか。さらに、急速に競争環境が激変する中にあって、今後、国際競争力という観点にあってどう強化していくのか。お尋ねしたいと思います。

川崎大臣政務官 お答えいたします。

 生成AIは、大きな社会変革をもたらす技術として世界中で活発な開発競争が行われており、我が国の国際競争力の強化が必要です。

 海外の一部の事業者が膨大な先行投資によりモデルの規模の面では優位に立っていますが、日本の文化や歴史等の理解を踏まえた上で、利用者の視点に立った的確で正確な回答を出力するAIによる収益モデルを確立することこそ重要というふうに認識をしております。

 そこで、委員御指摘のとおり、現在の、まさに汎用、皆様が使われているAIは英語を中心とした学習データが用いられることを踏まえ、より高品質な日本語データを学習に用いて、信頼性の高いAIを開発することが、我が国のAIの競争力強化に向けた一つの方策と考えます。

 そのため、総務省では、情報通信研究機構、NICTの保有するAI学習用の高品質な日本語データを整備、拡充し、民間企業やアカデミアに提供する取組を行っております。

 総務省としては、引き続き、こうした取組を進めるとともに、NICTを中核とした、政府、関係府省や企業と連携を強化し、我が国の生成AIの競争力の向上に貢献してまいります。

あかま委員 力強い答弁をいただきました。AIの開発、この競争力の強化、これらをNICTを中心にという話でございました。

 このAIの利活用に当たって、技術革新が進んだ先には、いわゆるAI社会、これが訪れるという中にあって、AI社会、この基盤たる情報通信基盤、いわゆるビヨンド5Gの実現が必要とされる中にあって、技術革新の加速に応えられるよう、研究開発さらには社会実装を更にもっと進めなければならないというふうに思っております。

 世界の基地局等の通信インフラ市場、これは間違いなく海外の企業が高いシェア、さらには関連特許の多くを保有している、これが実情であります。日本企業の通信インフラ市場での競争力、決して高いとは言えない状況だ。では、このまま手をこまねく、又は手を打たずに状況が続くこと、これがいいのか。ビヨンド5G、この点にあっても、海外企業の後塵を拝すということがあってはならない。

 今現在取組が進められているというふうに承知をしておる、電気を介さずに光信号だけで通信を行うオール光ネットワーク。大量のデータを、低い消費電力で、信頼高く、遅延は更に短くなる、こうした形で流通させる基幹的なインフラ、オール光ネットワーク。これがそう位置づけられる中で、国際標準につなげていくこと、さらには、日本のAI開発力、AI利活用を促進する。

 この点にあっては、より進める中にあって、総務省、これまで取り組む中で、今後、ビヨンド5Gの実現に向けて、オール光ネットワーク、これを中心とした研究開発、どのように加速化すべきなのか、どう考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

川崎大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、AIの開発や利活用が急速に発展していく中では、これを支える基盤として、大量のデータを高い信頼性で、かつ低消費電力で流通させることが可能な次世代情報通信基盤が不可欠となります。

 こうした問題意識の下、我が国が強みとするオール光ネットワーク技術を中核とする次世代情報通信基盤、ビヨンド5Gについて、その早期実現と国際競争力の強化を目指し、研究開発、国際標準化、社会実装、海外展開を一体的に推進していくこととしております。

 このうち、研究開発等については、革新的情報通信技術基金事業、略称してビヨンド5G基金事業と申しますが、この基金を用いて支援を積極的に進めているところであり、特に、オール光ネットワーク技術については、関連する研究開発プロジェクトに対しては、これまで約四百九十億円の支援をしております。

 また、研究開発と並行して、社会実装を一層加速するために、製品化に当たっての確認、検証ができるテストベッドの整備にも取り組んでおります。

 引き続き、二〇三〇年頃のオール光ネットワークの国内本格導入を実現するなど、世界で最もAIを開発、活用しやすいネットワーク環境の整備に取り組んでまいります。

あかま委員 ビヨンド5G、ここにあって、日本の優位性というものをしっかり確保できる、そうした取組のために、ビヨンド5G基金というもの、活用をしっかりしてもらいたい、そう願っております。

 次に、自治体情報システムについてお伺いをしたいと思います。

 現在、各自治体の現場では、住民基本台帳、税、生活保護、介護保険等の業務にあって、情報システムの標準化が進められておると承知をしております。

 これまで、自治体の情報システム、これは多くの自治体にあっていわゆるカスタマイズが行われて、そのことによって、改修さらに構築に当たっては、いわゆるベンダーロックインによる個別対応を余儀なくされておった。そのことで、いわゆる予算であるとかマンパワーというものが割かれてしまった。

 これが実情という中にあって、現在使っている情報システムから新たなシステムに移行していくためには、国が定めた仕様、これに沿ってシステムを調達する、さらには、住民サービスに利用している各種のデータというものを新しいシステムに移行する必要があり、これは大変な作業であるというふうに承知をしております。

 そこで、これまで地方議会、横浜市議、七期、八期務められた古川総務大臣政務官。地方の自治体の声、とりわけ大都市横浜も同じ声が上がっているというふうにも承知しておりますが、総務省として、自治体情報システムの標準化を進めるに当たり、どのように支援していくのか。また、移行にあっては期限、年限というものがあって、令和七年度にと。じゃ、間に合わない自治体、そうした声もあるという中にあって、そうした自治体にどのような支援を行っていこうとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 総務省は、自治体情報システムの標準化、共通化について、原則令和七年度末までの標準準拠システムへの移行のために、次のような支援を行っております。

 主な移行手順を整理した手順書の提示、自治体の移行作業を把握するPMOツールによる進捗管理の支援、自治体からの様々な質疑への回答、移行経費の支援の実施等でございます。

 一方、議員御指摘のとおり、標準準拠システムへの移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが一定数あるという状況でございます。

 移行経費を支援するデジタル基盤改革支援基金の設置年限は、地方公共団体情報システム機構法で令和七年度末までとされており、地方公共団体からは基金の設置年限の延長を求める意見があったところです。

 これを踏まえ、昨年十二月に地方公共団体情報システム標準化基本方針を改定し、基金の設置年限について、五年延長をめどに検討することとされました。これを受けて、総務省としては法律の改正を検討しております。

 今後も、標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行に向けて、自治体の御意見を丁寧に聞きながら、必要な対応を行ってまいります。

あかま委員 今、委員席からも、ちゃんとやれという声も。円滑に、スムーズにという話、そして各自治体の声をしっかり聞きながら。これをしっかり総務省として応えていくこと、これを要望いたします。

 関連して、自治体情報システムのガバメントクラウドへの移行についてもお尋ねをしたいと思います。

 自治体情報システムの標準化に併せて、システムのガバメントクラウド、ガバクラへの移行、これを取り組むという流れになっております。このガバメントクラウドへの移行によって、地方公共団体情報システム全体のセキュリティー、このレベルが高度化をするというふうな点からいえば大きなメリットがあるというふうに思っております。

 確かに、各自治体にあっては、住民の個人情報、多種多様な個人情報というものを保有している。そのセキュリティーの確保というものは行政執行の大前提となるものでもありますが、現在、政務官の方も恐らく聞き及んでおりますが、各自治体からは、ガバメントクラウドの利用料に係る財政負担が増えるという懸念が示されておるところでございます。

 そうしたことをしっかりとこれからも総務省としてデジ庁とというふうには思っております。この件にあってはデジタル庁の方にお伺いをいたします。いわゆる財政負担、この懸念に対してどう応えていくのか、お尋ねしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 国や地方自治体の情報システムがガバメントクラウドを利用する場合には、クラウドに最適化されたシステムに見直すことでクラウド利用料を削減することが可能と考えてございます。これまでガバメントクラウドに移行した国の情報システムについては、運用経費全体について削減効果が見られているところでございます。

 令和七年度末までに移行対象とされているシステムにつきましては、ガバメントクラウド移行初期において、運用経費が一時的に上昇する場合がございます。ですが、クラウドに最適化されたシステムに見直すことで、デジタル庁の試算においても、中長期的にはほとんどの地方自治体においてコスト削減が見込まれるものと考えてございます。

 このようなことを踏まえまして、デジタル庁では、クラウド利用料の大口割引の提供、希望する地方自治体に対するクラウド利用料の見積りの精査の支援などにより、地方公共団体を最大支援しているところでございます。

 これに加えて、ガバメントクラウドの利用料については、デジタル庁で把握しているガバメントクラウドへの移行状況を踏まえまして、所要の地方交付税措置が講じられることとなってございます。

あかま委員 自治体の懸念に対してしっかりと応えていくということでございますので、更なる丁寧な対応の方をよろしくお願いをいたします。

 次に、国民の安全、安心につながる災害対応力、防災力の向上についてお伺いをしたいと思います。

 政府は、令和八年度中に防災庁を設置すべく、今、鋭意取組を進めているというふうに伺っております。ただ、それまでの間にも、大規模な災害、これはいつ起こるとも限らない。その意味では、備えというものを怠ってはならないというふうに思います。

 防災・減災、国土強靱化について、昨年発災した能登半島地震から様々な教訓というものも得ているものと思っております。とりわけ、NPOさらには民間企業等との連携、これにあっては更に裾野を広くする必要があるし、さらには、それをどう強化、有機的に連携していくか。これは、教訓とすれば大きなポイントだというふうに思っております。

 そこで、内閣防災にお尋ねをいたします。

 ボランティア等の活動支援や育成強化などは今後どのように進めていくのか、広く官民連携による災害対応力の強化に関して、その取組についてどうお考えなのか、お答え願います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害発生時にはNPOやボランティア団体を始めとする民間の様々な主体との連携が不可欠であり、令和六年能登半島地震及びその後の水害におきましても、多数のNPO、ボランティアの方々に被災地で支援活動に当たっていただいているところでございます。このような方々に発災直後から被災者支援の担い手としてそのお力を発揮いただけるよう、平時からの人材育成や顔の見える関係づくりが重要だと考えております。

 このため、内閣府では、避難生活支援を担う地域のボランティア人材を育成する避難生活支援リーダー、サポーター研修のほか、災害時にNPO等の活動調整を行う災害中間支援組織を各都道府県で設置するためのモデル事業を実施しているところでございます。また、被災地で活動するボランティア団体等への交通費の補助事業を今年から開始しましたほか、NPO等との平時からの連携体制の強化に向けた活動団体登録制度の創設に向けた検討を進めているところでございます。

 引き続き、地域におけるボランティア人材の育成強化に取り組むとともに、発災時におけるNPO等の自主的な活動を支援し、活動環境の整備に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

あかま委員 今お答えにありましたとおり、平時から、また多くの主体を組み込んでのという話、これは大変重要なポイントであると思っております。その意味では、モデル事業等を含めて、随時取組を深化させていただきたいと思っております。

 災害対応力、これに関連してもう一つお尋ねをしたいと思います。

 総理が所信で述べられた、避難所での生活環境の改善。過去から比べれば改善はされながらも、より高次の、高い改善、これが求められてくるんだろうというふうに思っておりますし、また、いわゆる災害弱者、これに対して十分に配慮の行き届いた避難所整備というもの、これは皆誰しもが思う部分だと思っております。

 人道憲章と人道支援における最低基準、これを定めた国際基準であるスフィア基準。これは、私自身勉強不足で、総理の所信にあって、ああ、なるほど、こういう基準があるのだなと。これにしっかり準拠した避難所運営ということを総理が述べられる中にあって、避難所の生活環境の改善を、どう抜本的に改善していくのか。その取組の考え方、また実践というもの、坂井防災担当大臣にお答えをいただきたいと思います。

坂井国務大臣 今委員が御指摘いただいたことは大変大切なことだと思います。

 内閣府防災におきましても、避難生活に関する自治体向けのガイドライン、ここに、スフィア基準に沿った避難所運営をこの中において促したところでございます。これが昨年十二月。

 そして、先般成立した補正予算、そしてまた今御審議いただいている本予算等々におきまして、どう取り組んでいくか。

 まずは、各備蓄の量を増やしていきます。それと、備蓄の場所を増やしてまいります。避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組を、補正予算を使って新地方創生交付金をつくり、これによって自治体が備蓄をしていくのを支援をいたしてまいりますし、また、全国にあるトイレカーでありますとかキッチンカーとか、災害のときにはみんな集まっていただいて協力いただくわけでありますが、こういったものが、御協力いただけるものが全国のどこにあるのかといったことが一目で分かるようなデータベースの整備も進めてまいります。

 そして、国の備蓄も、立川一か所から全国新たに七か所、全部で八か所におきまして備蓄をすることによって、どこで災害が起きても素早く運び込めるような体制をまず取ってまいります。

 そして、発災時におきまして、次には、その備蓄の場所から、いち早く、スムーズに災害の場所にそういった備蓄品を届ける体制、これを平時から自治体と物流事業者等々の間で災害時応援協定の締結を促進をすることによって、事前の備え、事前の防災ということで備えてまいります。緊急時には、こういったものを使って国がプッシュ型で物資支援を行いますし、また、独自で物流事業者と契約をして国が行うということも考えております。

 そして、最後でありますが、こういった物資が届いても、例えばいろいろな、様々な機材が届いても、それが避難所においてスムーズに活用されなくては意味がないわけでありますし、活用する人がいないというのも問題となってまいります。ですから、こういったキッチンカーの事業者でありますとか、調理人の派遣に関する飲食業協同組合などと、いざ発災をしたときに避難所でどう役割分担をし、どこまでやってもらうか、そのときの費用分担をどうするかなど、事前に協定を締結をし、温かい食事を速やかに提供することなどを進めてまいりたいと思っております。

 とにかく、今まで述べてきましたように、事前防災を進めるということが大変大事でありまして、そのためには、災害物資や資機材の備蓄やそれに関する協定、そして何よりも、実はそれを使った訓練といったものも行っていただく、訓練を行うことによっていざというときにもスムーズに取り組んでもらう、これをしっかり進めていくことによって、環境整備、抜本的に変えてまいりたいと思っております。

あかま委員 事前防災という考え方に基づいて、避難所の生活環境の改善、これは大いに、また現場の声も聞きながら進めていただきたいと思います。

 防災、これに関連して、総務省消防庁の方にも伺いたいと思います。

 総務省消防庁の来年度予算において、一番最初に、能登半島地震の教訓を踏まえた国民、住民の安全、安心の確保、これが最初に位置づけられております。総務省として、消防防災力、地域防災力の強化、どのように推し進めようとお考えなのか、教えていただきたいと思います。

古川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 昨年元日に発生した令和六年能登半島地震等、災害が激甚化、頻発化する中、最前線で国民の生命財産を守る消防の果たす役割はますます増大しております。

 消防庁では、令和七年度当初予算案において、能登半島地震を踏まえた消防防災体制の強化として、緊急消防援助隊の部隊強化に資する車両等の整備を促進する緊急消防援助隊の充実強化や、消防団の災害対応能力向上等の取組を支援する消防団の更なる充実強化に取り組むとともに、消防防災分野におけるDX、新技術の活用推進として、官民連携による実用化に向けた研究開発の推進に必要な予算を計上したところです。

 このほか、昨年十二月に成立した令和六年度補正予算においても、緊急消防援助隊の体制強化として、小型、軽量化された車両、資機材の整備、無人走行放水ロボット等の整備に取り組むとともに、消防団についても、消防団への消防車両の無償貸付けや救助用資機材の整備に対する補助、消防団員に対するドローン講習の全国実施に必要な予算を計上しております。

 これらの予算を活用しながら、引き続き、消防防災力、地域防災力の強化に向けて、全力で取り組んでまいります。

あかま委員 地域防災力、この強化にということで、消防のいわゆる資機材、さらには消防団、これらに対してしっかりとした手当てをしていくということでございますので、各自治体からの要望に関してしっかりと応えていくことをお願いしつつ、あわせて、災害対応という中で、能登半島地震の折に、いわゆる通信、これが滞った、放送、これが映らない、そういった事態があった。当然、今まさに、これらの分野、住民にとってはライフラインとも言える部分だと思っています。

 総務省の来年度予算において、通信、放送インフラの強靱化、これらがうたわれておりますが、どのように取り組むのか、政務官、お答えをお願いします。

川崎大臣政務官 お答えいたします。

 災害時には、被災者の方々の安全、安心の確保のため、災害関連情報が確実に届けられる環境の整備が必要不可欠です。

 通信は、被災者の方々が、御家族の安否等を確認し、必要な情報を取得するために用いられるとともに、関係機関が必要な情報を伝達するためにも欠かせない手段です。また、放送は、災害情報や避難情報等をいち早く提供するなど、国民の安全、安心を支える極めて重要な社会基盤です。

 能登半島地震では、停電による基地局や中継局の停波のほか、土砂崩れ等による通信回線の断絶が多く見られたことも踏まえると、通信、放送インフラの強靱化は重要な課題であると考えます。

 総務省では、能登半島地震の教訓も踏まえ、災害に事前に備える観点から、来年度予算案においては、長時間の停電にも耐え得る携帯電話基地局の整備、地上波中継局の局舎や鉄塔の耐震対策の実施、ケーブルテレビ網の光ファイバーへの切替えや二ルート化、そして、地上のみならず、衛星通信などいわゆる非地上系ネットワーク、NTNの早期社会実装に向けた取組などを盛り込んでおります。

 こうした取組を進めることにより、災害時に重要な役割を果たす通信インフラ、放送インフラの強靱化を図ってまいりたいと考えます。

あかま委員 通信インフラの強靱化、これは是非推し進めていただきたいと思います。

 地方財政の健全化に移らせていただきます。

 年末の地方財政対策、様々な議論がある中で、各自治体、非常に固唾をのんで見守っていた中にあって、結果的には、一般財源六十三・八兆円、交付団体ベースで、前年度比一・一兆円増が確保されました。そればかりじゃありません。これまで多いときには単年度の発行額が七・七兆円に及ぶいわゆる臨時財政対策債、これが制度発足以来初めて発行額ゼロということで、地方財政の健全化にも目くばせしたものとなりました。

 そこで、村上総務大臣にお尋ねをいたします。この地方財政対策、大臣の受け止め、さらには、地方団体、これらがどのようにそれを評価しているのか、お尋ねをしたいと思います。

村上国務大臣 お答えいたします。

 令和七年度地方財政計画については、自治体が安定的に財政運営できるよう、一般財源総額について、交付団体ベースで前年度を一・一兆円上回る六十三兆八千億を確保するとともに、地方交付税総額については、前年度を〇・三兆円上回る十九兆円を確保することといたしました。

 その上で、先ほどお話がございました臨時財政対策債については、平成十三年度の制度創設以来、初めて発行額をゼロにするなど、財政健全化の取組が進んだものと考えております。

 地方六団体からは、一般財源総額や交付税総額を確保しつつ、地方財政の健全化も図られていることについて、一定の御評価をいただいております。

 一方で、地方財政は巨額の特例的な債務残高を抱えているほか、今後も、社会保障関係費や人件費の増加、物価高などにより厳しい財政状況が続くと見込まれております。

 自治体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、引き続き必要な財源確保に努めてまいりたいと考えております。

あかま委員 地方財政、各自治体が安心してという話があるときに、一点、私の方からも要望をさせていただきます。

 今後、各党の協議にあって、いわゆる所得税における課税最低限の更なる引上げという場合、地方六団体からは、地方財政に与える影響、これは国においてしっかりと責任というものを、代替財源を持っていくんだという声がある中にあっては、そうした声がある場合には、しっかりと所管大臣として対応をしていただきたいと思います。

 最後の質問に移らせていただきます。地方創生。

 地方創生二・〇、その前が地方創生一・〇と呼んだのか呼ばないのか。いずれでも、元、ルーツは安倍政権におけるまち・ひと・しごと総合戦略。あれから十年。じゃ、東京一極集中、これが是正されたんですか。

安住委員長 あかま君、間もなく時間なんです。質問できるかどうか。まとめるか、どちらかにしてください。

あかま委員 では、まとめる中で、いわゆる地方創生二・〇、バージョンアップ版、これらはいかなる点にあって進化をさせたのか、さらには、それらをどう反映して二・〇というものを策定し、そして、そのことが東京一極集中の是正にどうつながっていくのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

安住委員長 時間が終わっているから、本当に伊東さん、一言だけ。

 時間を守りましょう、与党なんだから。

伊東国務大臣 じゃ、一言だけ。

 これまでの地方創生の取組につきましては、石破総理が初代の地方創生担当大臣になってから丸十年経過し、思い入れは相当強いものがありまして、自分のときになし得なかったことを……

安住委員長 端的に。とうに過ぎているんですよ。

伊東国務大臣 はい。

 それらをバージョンアップして、強力なものにしたいということでございます。

あかま委員 終わります。

安住委員長 厳重に注意します。大幅にオーバーしていますから。次からはないように。

 これにてあかま君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、政府基金の見直しについて伺います。

 立憲民主党は、政府のルールに照らして、政府基金に積み過ぎている金額は国庫に返納すべきと提案をしています。一方、政府はこれまで、基金の点検、見直しに三年ルールというものを用いています。三年分は必要な予算を認め、その後に成果検証してから新たな予算措置、こうした仕組みだと思っています。一定の前進だと思っています。

 その上でですが、立憲民主党は、この三年ルールを念頭に置きながら、その後三年間の事業執行に必要な予算額、必要額をきちんと確保をしてもなお基金残高が残る基金の残高を精査すると、国庫に返納することができる、そして、その国庫に返納したお金は、教育無償化など、国民の負担を減らしたり、国民の収入を増やすための政策に充てることができると考えています。

 例えば、一千億円の基金残高が仮にあった場合、ここから三年間、百億円ずつ必要で使いますということになった場合、百億、百億、百億と使っていくと、七百億円残ることになります。ここは使えるんじゃないか。でも、実際に基金を精査してまいりますと、残高で賄えるのに、それを使わずに予算を増やしていく、こういうふうなケースが多くありまして、私どもの精査では、少なくとも百一基金はそういうものがあったというのが立憲民主党の試算であります。

 私たちは、この積み過ぎた部分、私ども立憲民主党の試算では約七・八兆円ということでありますが、これを政策財源として物価高対策に是非充ててくださいということを、予算修正ということで申しております。

 こうした観点から、以下、質問をいたします。

 まず、政府基金の三年ルールの適用について伺ってまいります。

 一月三十一日の予算委員会における私の質問に対する財務大臣の答弁によりますと、政府基金の三年ルールは、令和三年度以前に造成された政府基金には適用されないということでした。大臣、これはまずいんじゃないかと思っているんです。

 どういうことか。これだと、これからは改めますが、これまでは別の扱いだということで、ダブルスタンダードになってしまう、名ばかりで実質が伴わないということになるというふうに考えるわけです。これは改めるべきです。

 さて、行革大臣にまず伺います。

 この政府基金の三年ルールの対象となるのは幾つの基金ですか。お答えください。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

平国務大臣 まず、三年のルールについては、政府のルールというふうに委員は御発言されていますが、今御指摘されたように、令和五年の十二月に策定をされました方針に基づいて、策定以降の基金への新たな予算措置は三年程度とし、成果目標の達成状況を見て、次の措置を検討するというのが政府のルールであります。

 基金が幾つかというのは、質問通告がありませんので、今手元に資料がありませんので、後ほどお答えさせていただきます。

城井委員 財務大臣の見解も伺います。

加藤国務大臣 まず、前段は今、平大臣が言われたことと同様でありまして、指針においては、基金への新たな予算措置は三年程度ということであるということ。

 それから、数字の話ですが、私も、ごめんなさい、金額は手元にあるんですけれども、基金の数自体はちょっと持っておりませんので。

城井委員 今ほど平大臣からお答えいただいた令和五年十二月の基金の点検・見直しの横断的な方針というのは、私も承知しております。

 ここでチェックがスタートして、令和六年でもこの方針に基づいたチェックが行われて、私の認識では、対象基金は全ての基金で、現時点の合計は二百基金だというふうに承知をしています。この認識でよろしいかどうか確認したいんですが。

平国務大臣 済みません、国会答弁ですので、正確な答弁をしなければいけないと思います。質問通告をいただいていませんので、数字は今持っておりませんので、後ほどお答えをさせていただければと思います。

城井委員 三年ルールについて伺うということは通告を申し上げておりますので、きちんとその内容についてお答えいただきたいというふうに思っております。

 さて、この三年ルールの対象が全ての基金に及ぶかどうかということが大変重要なんです。なぜかと申しますと、今ほど申しましたように、基金への新たな予算措置は三年程度として、成果目標の達成状況を見て、次の措置を検討する、こういうふうになっているわけであります。先ほどの財務大臣の答弁と照らしますと、以前に造成した基金が対象に入っていないということが、この政府の行政改革推進会議が定めた方針の中には書いていないんです。

 この方針、先ほどの、令和三年以前は入らないというのは誰がどこで決めたのかお答えいただきたいんですが、財務大臣、分かりますか。行革大臣でもいいですけれども。

加藤国務大臣 今申し上げたのは、令和五年十二月二十日の行政改革推進会議における決定ということであります。

城井委員 でも、それは文書の中に書いていないんですよね。具体的にお示しいただけますか。

平国務大臣 今財務大臣から答弁があったとおり、令和五年十二月二十日の行政改革推進会議、基金の点検・見直しの横断的な方針で記載をされております。

城井委員 どのページのどちらでしょうか。具体的に教えてください。

平国務大臣 どのページというか、十二月二十日の基金の点検・見直しの横断的な方針のいわゆる三番に記載をされております。

城井委員 この話、対象の基金については、この方針のその後の取扱い、令和六年の、年末に行われたものの中でも具体的な基金の数字は入っているわけですが、その足し上げたものが二百基金ということになります。

 なぜこれを聞くかというと、先ほどのダブルスタンダードでよいかという点を確認したかったからであります。

 では、この三年ルールを念頭に、向こう三年分の支出見込みに相当する金額を確保した上でも基金残高が残る基金、これを足し上げたものの合計金額が幾らになるかということを、先日の予算委員会でも財務大臣とやり取りをさせていただいたわけです。元々総理に答えていただこうと思ったんですが、財務大臣からということでした。

 そのときの財務大臣の答弁によりますと、試算するのは難しいということでありました。ただ、委員会では、是非試算をということで、理事会での協議事項というふうにしていただきました。

 ただ、こうなりますと、何のための三年ルールなんだろうかというふうに思うわけであります。そこで分けてしまっていることがどうなんだろうか。

 私どもは、政府の公開情報を基に、仮説を立てて試算をしています。三年分の予算執行分を確保しても、十八・八兆円という令和六年基金シートの中での基金残高のうち、七・八兆円は余るはずだと。この三年ルールに基づく政府基金の積み過ぎ額が試算できないとなりますと、大臣、そうなると、では、基金運用の進捗管理ができないということになるんじゃないか。そのときに使える金額がどれぐらいあるかというのが結局分からないという話になるわけですから、それじゃまずいんじゃないか。途中でも、その目安、めどについてきちんと持った上でチェックしていただくのが筋だというふうに思うわけです。

 そこで、行革担当大臣に伺います。

 向こう三年分の支出見込みに相当する金額を確保した上でも基金残高が残る基金が出てくると思いますが、それを足し上げた合計金額、幾らと見込みますか。教えてください。

平国務大臣 そちらの金額の具体的な質問通告もいただいておりませんので具体的にお答えはできませんが、ただ、その試算の仕方というのはいろいろな考え方があるというふうに思っております。機械的に計算をして出るというものでもないというふうに思っておりますし、柔軟な対応ができるということ、また、予見可能性を高めるという意味で基金に積んでいるということがありますので。

 そういった性格や具体的な事業の内容、これは行政事業レビューでやることになると思いますけれども、そういうものを踏まえて試算をされるべきだというふうに思いますので、今財務大臣からも答弁があったと思いますが、直ちに試算をするのは困難だということでございます。

城井委員 試算困難という最後の答弁のところは受け止めますが、通告についてはきちんと、今私が読み上げた、合計金額が幾らかまでを通告しているということは付言しておきたいと思います。

 今ほど行政事業レビューということをおっしゃっていただきましたが、その中で、国庫返納できる金額の試算ということを、それぞれの基金についてきちんと今後見ていくということでよろしいですか。

平国務大臣 こちらは、具体的な金額については事前に伺っておりまして、今年度については約一兆一千五百六十五億円の国庫返納が見込まれておりまして、これは専らコロナ対策の中小企業支援のいわゆる利子補給とか債務保証のところが、コロナが収束したことに伴って返納の見込みである。

 翌年度以降は、計算はしておりません。

城井委員 国庫返納額の確保と執行は今後も重要だと思っています。私どもの計算によると、積み過ぎ分はかなりあるというのは間違いない。でも、ここは試算が難しいと仮にした場合でも、一定の仮説を置きながらそこにきちんと切り込んでいく、目が届くという体制を是非取ってほしいということはお願いしたいというふうに思います。

 そこで、少し細かい部分を見ていこうと思います。政府基金の執行状況、その乖離の状況について伺ってまいりたいと思います。

 政府基金の事業費の見込みと実際の執行額が大きく乖離している、つまり、かけ離れている基金が多く見られます。政府基金の執行の乖離は、事業費と実績の乖離額、金額ですね、そして、事業費見込みと実績の乖離率で状況を確認できますが、政府による点検、見直しでの議論や取扱いを確認ができておりません。

 この事業費見込みと実績の乖離額や乖離率が大きい、つまり、見込みに比べてほとんど使っていない基金の基金残高は、積み過ぎている可能性がある。これを精査した上で国庫返納させて、そして、その積み過ぎ金額を物価高対策などに充てるべきだというふうに考えています。

 そこで、この乖離額が大きい基金や乖離率が大きい基金の点検、確認について伺いたいと思います。

 資料を御覧ください。令和六年基金シートを基に作成した事業費見込みと実績の乖離額上位十基金、事業費見込みと実績の乖離率上位三十基金に関する一覧表です。

 行政改革大臣に伺います。

 この乖離額が大きい政府基金や乖離率が大きい政府基金について、政府として把握をしているか。昨年行われた政府による点検、見直しでどのような議論をして、どのように扱うこととしたか、お答えください。

平国務大臣 まず、あらかじめ各年度の所要額が見込みが難しいということで基金にしているということがあります。なので、執行見込みと実績に乖離があることのみをもって、基金として適切ではないと評価すべきではないと考えております。

 ただ、国費を適切かつ効率的に活用する観点から、乖離額や乖離率にかかわらず、乖離の状況やその理由を踏まえ、より精度の高い事業見込みを算定し、保有資金規模が適正なものとなるように不断の点検を行うことが重要であるという議論をさせていただきました。

城井委員 財務大臣にも伺います。

 今の事業費見込みと実績の乖離額が大きい政府基金や乖離率が大きい基金について、財務省としての把握はいかがでしょうか。

加藤国務大臣 把握というか、それに対してどう対応していくのかということだと思います。

 元々、基金というのは、当該年度にどれだけ支出するかよく分からないということが前提になっているわけですから、一定程度そういったことは起こり得るということ、その性格上、それを踏まえる必要があると思います。

 ただ一方で、資金を適切かつ効率的に活用する観点からは、今おっしゃった乖離額、乖離率にかかわらず、乖離の状況、その理由、そしてより精度の高い事業見込みを算定して、保有資金規模が適正になるよう不断に点検をしていかなきゃならないというふうに思っておりますし、先ほど平大臣から、令和六年度の点検の結果、約一兆一千五百六十五億円の返納を見込んでいるという答弁をさせていただいたところであります。

城井委員 では、少し個別に見ていきたいと思います。政府基金において乖離額や乖離率が大きくなる理由です。大きい基金を所管する官庁に伺ってまいりたいと思います。

 まず、経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業基金について伺います。

 お手元にも資料をおつけしました。御覧ください。

 令和六年基金シートによると、この事業費見込み、そして実績の乖離率、何%になるかお答えいただけますか。

加藤大臣政務官 お答えします。

 乖離率でいいますと、始まりました二〇二二年の乖離率というのは、支払いが完了しておりませんのでゼロ%でございますが、しかしながら、この事業というのは、二〇二二年に始まりましてから七年間の事業でございます。その中で、主体事業者からの、相談を受けて、研修があって、転職があって、さらにフォローアップということで、複数年の事業ということで見ております。

 当該二〇二二年の予算につきましても、当初、申告額につきましては二・二億円を見込んでおりましたけれども、実際の支払いに当たりましては、事業者から提出された証憑類の確認を行う必要がありましたため、支払いのタイミングが後ろ倒しになっております。実際に、二〇二四年度には、二〇二三年度に見込んでいた額も含めて、現時点で約三十億円の支出を見込んでおります。

 引き続きまして、経済産業省としましては、構造的な賃上げを通じた日本経済の持続的な成長を目指すべく、適正かつ着実な予算執行に邁進してまいる所存でございます。

城井委員 政務官、令和六年基金シートによると、今のこの基金の残高、幾らありますか。

加藤大臣政務官 失礼いたしました。先ほどの乖離率につきまして訂正をさせていただきます。ゼロ%ではなくて一〇〇%でございます。大変失礼しました。

 続きまして、残高につきましてでございますが、現時点で、第一次公募から、今、第四次公募まで済んでおります。今年の一月には第五次公募も完了しております。その中で、約六百五十億円の費用が既にもう交付決定済みということで見込まれておりますので、事務的手続の経費を含めまして、百億円余りが今のところ見込まれる残金と予測されます。

城井委員 その六百五十億円の支出見込みは、我々は公開資料のどこで追っかければいいんでしょうか。

加藤大臣政務官 お答えします。

 交付決定額の公開資料は現時点ではございませんが、公募によりまして、第四次公募まで、現時点で百四件の公募が確定をしておりまして、この中で見込まれる数字といたしまして、六百四十九億円という数字でございます。

城井委員 今のように、実際に政府の公開資料で私どももお金のチェックをしていくわけです。ところが、支出見込みが出てこないようなものが、こうした国会で問うと初めて出てくるような状況です。これではチェックできないんですね。

 さらに、もう一点、この基金の問題点を申し上げてまいりたいと思います。

 令和六年基金シートに、基金所管部局以外による点検というので、外部有識者の所見というのがあります。ここで、管理費が三〇%前後と高い水準と指摘されています。さらには、再委託、再々委託先といった多段階構造となっており、これが管理費率の高い要因の一つではないか、競争性を確保することが必要ではないかと指摘をされています。

 経済産業省は、これを受けて、所見を踏まえた改善点でこんなふうに説明しています。

 本事業は複数年度にまたがっており、事業費に対しては最終年度に精算払いを行う案件が多いため、現時点では管理費率が高くなっている。先ほどの政務官の答弁とも重なるところかと思います。再委託及び再々委託については、実施要綱にのっとり事前に基金設置法人の了解を取得しており、グループ企業含め随意契約とした方が効果的かつ効率的な執行となる場合には、事業者が理由書を作成して、経産省としても理由の妥当性を確認した上で随意契約を認めているということなんですが、これは全く理由になっていないというふうに考えます。

 これは、もし国が契約主体だったら、今どき再委託、再々委託、公共事業だって多重下請をやめようというこの時代に、いまだに、では、基金スタートでやって一般社団法人に任せたら、管理費を抜いて、さあ次です、さあ次ですというのを今後認めるのか。直接に委託できる企業があるんじゃないか、一括で契約すれば金額が下がったんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、政務官、どう考えますか。これはやるべきじゃないですか、本来。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 基金設置法人の選定に当たりましては、総合評価落札方式により公募を行って、申請があった二者につきまして、第三者委員会による審査も踏まえて、EPC、環境パートナーシップ会議を基金設置法人として採択したところでございます。

 なお、審査時は、基金の管理運用、事務局の指導監督、並びに事業実施体制及び事務費用、法人自体についての四つの観点からの評価を行っているところでございます。

 あと、もう一つ、済みません、先ほどのちょっと訂正をさせていただきたいと思います。

 事業採択事業者、現時点で百四件と先ほどお答えしましたけれども、百四十一件でございます。大変失礼しました。

城井委員 政務官、今、再委託、再々委託で、そこで生じている管理費の余分で余計な部分を圧縮できるんじゃないかというふうに言っているわけです。

 今ほど政務官が説明した仕組みでは、管理費で生じている無駄部分を圧縮できていないということになっているから今のこの状況になっているんですが、これは改めていただけますか。(発言する者あり)

奥野委員長代理 時計を止めてください。速記を止めてください。

    〔速記中止〕

奥野委員長代理 時計を動かしてください。

 加藤大臣政務官。

加藤大臣政務官 失礼いたしました。

 不断の見直しをしっかり行いながら、これからしっかり事業として見直しを行ってまいりたいと思っております。

城井委員 政務官、再委託、再々委託というこのやり方を改めるべく取り組むかどうかを確認しています。やっていただけますか。

加藤大臣政務官 しっかりと不断の見直しを行いながら、これからも、事業の成果について、再度また検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

城井委員 具体的に再委託、再々委託について検討を行うというふうにお答えいただきたいと思います。その点を確認させていただきたいと思いますが、お答えいただけますか。

加藤大臣政務官 しっかりと事業の進捗を見定めながら、これから更に、再委託、再々委託につきましても、その事業内容について精査をしっかりとさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

城井委員 その点はしっかりお願いしたいというふうに思います。

 我々も、今、政府基金の洗い直しをする中で、政府資料を一つ一つ読みながら、でも、そこで、公開資料の時点だと、もう既に実は過去の事象になっている部分もあります。ですので、我々がここで切っていこうと思ったときに、いや、その時点ではそうだったかもしれないがということで逃げてしまうようでは、これは話にならないんです。そこから動いていくのは当然承知をするわけですが、その中でも余ってくる部分が、あるいは使わずに積みっ放しになっていたり、見せ金になっている部分がないかというのを我々はきちんとチェックしたいんです。

 行革大臣も今うなずいていただいていますが、この点は合意いただけると思うんですよね。この点を是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

平国務大臣 行政事業レビューをつくって、これは民主党時代に始まったものですが、実は、自民党政権になって、行政事業レビューをやめようという議論もあったんですが、私はやめるべきではないという考えで、今維持をしております。そんな中で、基金についてもレビューを始めたということで、今は一定のチェックがされていると思います。

 これは問題意識があったので、これからつくる基金は三年ルールというのを実装したわけでありますので、これで、ちゃんとタイミングを見て、常に行政改革の文脈で行政事業レビューを行っていきたい、そのように思っておりますし、公開は、もっといい方法、できる方法はないかということは検討をしてまいりたいと思います。

城井委員 我々も、やり方の工夫は是非提起をしていきたいというふうに思います。

 今、行政事業レビューがあるから、そして基金シートがあるから、こうして我々も洗い直しの作業ができるわけですが、これがないと、やはり見逃す件も出てくると思います。

 もう一つだけ御質問したいと思います。総務大臣に聞きたいと思います。

 総務省のデジタル基盤改革支援基金というのがあります。これが、令和六年の基金シートですと、事業費見込みと実績の乖離額が実に五百三十億円に上っています。事業の執行率はたったの二二%です。

 これは、地方公共団体がデジタル化をしていく支援をするという中身なんですが、移行作業の進捗により乖離が生じたというふうに説明をされているんですが……

奥野委員長代理 城井君、時間が近いので、簡潔に。

城井委員 ただ、実際に、積算根拠として、事前にちゃんと、移行経費の状況調査を基にということで、話を聞いて決めたというふうに言っているんですが、ずれ過ぎていて、何でこうなっているんですか。

奥野委員長代理 村上総務大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

村上国務大臣 簡単に言うと、この標準準拠システムへの移行というのは、やはりいろいろな、標準仕様書に適合してやるために、非常に、今、自治体に交付決定し執行するまでに一定のタイムラグが生じて、計上額と執行額に乖離が発生するんです。

 正直言って、今はそうでありますけれども、今の段階では二千五十七億で二九・四パーですけれども、今年度末では、基金の執行率は六九・〇%、四千九百五十。

奥野委員長代理 簡潔にお願いします。

村上国務大臣 なお、令和七年度において、現時点、九割のシステムが標準準拠システムに移行する見込みであって、基金の大部分が執行される見込みであります。

 以上であります。

城井委員 終わります。

奥野委員長代理 これにて城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、主に内閣官房、そして復興庁についてお伺いをしていきたいと思います。

 まずは、復興庁に関して伺います。

 収入の確保という点です。実は、今年度、所得税の定額減税がございました。所得税は四万円、所得税を納めている方々からは四万円減額されています。

 そもそも、復興所得税というのは、所得税の二・一%を付加していただくことになっております。定額減税の影響があったんじゃないかと過去に質疑があったんですが、明確にお答えになっていないと思います。私は、この影響で、復興所得税は定額減税に伴って収入減になったんじゃないかと思います。

 復興庁として、復興大臣に、是非、この影響額、収入減は幾らなのか、お示しください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 定額減税の影響につきましては、昨年の国会におきまして財務副大臣より答弁をしたとおり、令和六年度予算ベースで復興特別所得税が四百八十三億円減少する見込みであると承知をしております。また、財務副大臣からも答弁をさせていただいておりますが、復興事業の執行に影響を与えることなく、今後の復興財源に支障が生じることのないように、責任を持って対応していく所存であるということでございます。実際に、令和三年度から七年度までの復興事業費につきましては、それにおおむね見合う財源を確保できておる見込みになっております。

 復興庁といたしましては、今後とも、必要な復興事業に対してしっかり財源を確保できるよう取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

岡本(あ)委員 ちょっと納得がいきません。

 新年度の予算では影響はない、そうかもしれませんが、トータルで確保するものについてその二・一%をいただく。当然、景気の左右はあるにしても、やはり政策の影響で定額減税を行った。今、四百八十三億円とお示しになりましたこの金額は、復興庁で独自の、いわゆる復興所得税は国民で穴埋めをするものではなくて、私は、一般会計からしっかり復興庁としては確保するべきだと思います。この点、お答えください。

伊藤国務大臣 今私が申し上げたとおりでございますが、委員からもおっしゃっていただきましたとおり、定額減税は財務省がやっておられますが、復興大臣といたしましてはしっかりと取り組んでいくという決意でございます。よろしくお願いいたします。

岡本(あ)委員 具体的にはどう取り組まれるんでしょうか。

 地方税の影響は、地方自治体から、やはり所得減税で地方税に影響がある、これは国で責任を持ってくれといって、最終的には国が一般会計で責任を持たれました。

 復興庁の会計は特別会計です。復興所得税で国民の皆さんからいただく財源、それから、一般会計、ほかの会計からいただく部分、それ以外の税外収入とかがありますけれども、四百八十三億円、穴埋め、穴が空いていると思います。

 ちょっと二つ目の質問と関連で伺います。

 秋の行政レビューにおいて、福島再生加速化交付金、福島生活環境整備・帰還再生加速事業、これはレビューの中で、帰還者の数が明確じゃない、目標が見えていない、それから、国が直接、解除区域で除草とかパトロールをするのではなくて、自治体にお金を出させるべきなんじゃないか、こういうことも含めて見直しをするべきだという厳しい意見が出ました。大臣は、それに対しては心強いお答えをしてくださっております、それは後ほど聞かせていただければと思いますが。

 これが、少し見直せといっても、総額六百五十億程度なんです。四百八十三億円がちゃんと担保できていたら、まずここを本当に減らさなきゃいけないものなのかという議論からすると、私からすると、この財源は、十分、この福島の帰還困難区域を解除して、いち早く帰ってきていただきたい。でも、お一人お一人、生活状況も違う、背景も違う。数値目標を示して、来年帰ってこられますか、こられないなら諦めてください、そんなことを示すのは復興庁のやるべきことではありません。

 これは伊藤大臣は心強くおっしゃっていただいているので、この点はお答えいただきたいんですが、私からすると、ほぼほぼ同額が、この復興所得税が失う四百八十三億円、示されましたけれども、ここで相殺されるぐらいの規模のものなんです。是非、伊藤大臣には、被災者に寄り添って、計画的に来年帰れる、再来年帰れるではなくて、環境を整えること、そのためには、この五百九十九億円足す五十二億円、大事な財源として一円たりとも無駄に使わない、その決意をしていただきたい。

 あわせて、先ほど申し上げました四百八十三億円、大きな金額です。影響ないという大臣の言葉は私としては信じられませんし、確保に努める、そのためには財務省ともかけ合う、これが特別会計としてのやるべき立場じゃないかと思います。お答えください。

伊藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、行政事業レビューのことについてお触れをいただきましたので、そのことについてもお答えをさせていただきますが、外部の有識者の御議論をいただいたものであるということについては、行政レビューの在り方について承知をしております。

 行政事業レビューの指摘について、復興庁として次にどういった対応を行うかは、今後、福島県ともよく相談をさせていただきまして、調整をさせていただきながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 御指摘の事業における具体的な目標等につきましては、例えば、災害公営住宅の入居率、あるいは産業団地において操業している区画数など、既に具体的な数字を設定しているものもございますが、いずれにせよ、レビューにおける指摘については、そうしたことについても福島県とはしっかりと調整をしていくところでございます。

 さらに、特別会計のところにつきましては、何度も何度も申し上げますけれども、この仕組みそのものは財務省とやっておられますので、復興大臣といたしましては、先ほど来申し上げましたとおりに、復興地の場所からの御質言をされておられる先生のお力もいただきまして、我々はしっかりと取り組んで獲得をしてまいりますので、どうぞ御安心をいただきたいと思います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(あ)委員 獲得をしていくという決意をいただきました。財務省との交渉になると思いますので。

 資料一に、福島県知事が、長期の確保と、国として責任を持てということ、福島の御要望ですので、是非、一緒に取り組んでいきますので、よろしくお願いします。心強いお言葉をいただきました。

 財務大臣もうなずいてくださっておりますよね。うなずいていただいたと思います。

 ちょっと時間の関係で言いっ放しにしますが、今年の夏に第三期の復興の基本方針が出ます。できるだけ早めに出していただきたい。今御答弁いただいた部分も含めて、特に、福島の皆さん、被災地の皆さん、行政レビューのインパクトが非常に強くて、不安に思っております。安心をするためにも、次の計画を示すことも求めたいと思います。

 続きまして、大阪・関西万博関連について伺いたいと思います。

 復興庁もブースを出されるということでしたので、是非、被災の状況、それから力強く復興する姿も示していただきたいと思います。

 先ほど官房長官からは、重要政策の説明が、予算がございました。その中に入っている、大阪・関西万博予算になると思います。

 一番最初、二〇一八年のときは、会場建設費は千二百五十億円でいきますと言っておりましたが、二年後には千八百五十億円、それから、二〇二三年には何と二千三百五十億円最大かかるということで、一気に千百億円も上がってしまいました。一方で、運営費も八百九億円から千百六十億円、こちらも上がっております。

 一昨年の年末に私たちの党から確認をしたら、実は、これだけじゃなくて、ほかに、日本政府館、これの出展費用も国が出す、途上国支援の費用も国が自ら出す、それから、会場内の安全確保も国が直接出す、機運醸成費、これも別として国が出すということが一昨年の末に明らかになって、驚いております。

 これら会場建設費、運営費、それから、今申し上げました日本政府館、それから途上国支援、会場内安全確保、機運醸成費、直近からすると、前回公表されたところとどう変わって、今現在、総額幾ら費用が必要なのかお示しをいただきたいと思います。大臣、お願いします。

伊東国務大臣 岡本議員の御質問にお答えしてまいります。

 令和六年度補正予算及び令和七年度予算案等を踏まえまして、大阪・関西万博に関連する国の費用を更新したところであります。

 万博の準備等に直接資する事業に係る国の費用の総額の見通しは、約千七百四十億円となっております。昨年二月の前回公表時と比べると、会場建設費、お話にありました日本政府館の建設のための費用、途上国等の出展支援等のための費用について、今後も含めた国の費用総額の見通しについての変更はありませんが、変更がある点といたしましては、令和六年度補正予算において、会場内の安全確保に万全を期するための費用、これが五十五億円の追加となり、全国的な機運醸成等に要する費用については、当初より計上することが見込まれていた費用の一部として、約二十九億円を具体化したところであります。

 また、令和七年度予算案におきましても、全国的な機運醸成等に要する費用について、当初より計上することが見込まれていた費用の一部として、約三十四億円を具体化したところであります。

 以上でございます。

岡本(あ)委員 大臣、もう一度確認します。

 今ほど、千七百四十億円、直近でとおっしゃられたと思います。一番最初公表したときは千六百二十億、それから、昨年の二月で千六百二十二億だったと思います。直近でいきますと、結局幾ら増えたかという計算をしていただけますでしょうか。

 これは皆さんに資料二を配付しておりますが、これが直近の数字だということです。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました昨年のお示ししたフレームでは、千六百二十三億円プラス今後必要となる費用ということで計上しました。

 今大臣から御説明しましたが、このうち、会場内の安全確保に関する費用として五十五億円の増加、これは令和六年度の補正予算で増額をしたものでございますが、この五十五億円と、それから、同じく令和六年度の補正予算で機運醸成費用として二十九億円、それから令和七年度の予算案の中で三十四億円ということですので、これを全部足しますと、五十五と二十九と三十四で、プラス百十八億ということになりますので、千六百二十三億円が、ちょっと若干端数が違いますけれども、千七百四十億円ということで大臣から御答弁申し上げた次第です。

岡本(あ)委員 百十八億、更に追加になっているということです。

 ずっと御答弁いただいているんですが、会場建設費の三分の一、二千三百五十億円の三分の一、それから、運営費が千百六十億になっていると思いますが、これが、今のところ超えていないと聞いております。超えたとしても、これに関しては国としてはお金を負担する、これ以上負担するということはありませんね。これは大臣にお答えいただきたいと思います。

伊東国務大臣 お答えいたします。

 基本的には、御説明したとおりの枠内で収まる予定でございます。

岡本(あ)委員 今、運営費、千百六十億で本当に賄えるのかという声がありますが、これについても賄えると。要は、赤字が出ても、国が更に負担しなきゃいけない、そういうことというのはなりませんよねという確認ですが、大臣、お答えできますでしょうか。

伊東国務大臣 基本的にはこの枠内でということでやっておりますけれども、この先の話でありますから、それにつきましては、またそのとき対応していきたいと思う次第であります。

岡本(あ)委員 これはちょっと、私としては分かりましたとは言えません。最大限、国としてこれまでも協力をしてまいりました。その先に万が一本当に不測の事態の何かが起きたという場合を除いて、原則、やはりこの費用の中でやっていただくというのが筋ではないかと思います。

 あと、ちょっとこの先、細かいところなので、参考人の方に確認をさせてください、せっかくですので。

 今、更に百十八億膨れ上がったということがあります。その中に安全確保というのがありました。

 東京オリンピックを見ますと、本来、安全確保というのは、オリンピックの運営の経費の中で賄っていたものです。しかし、二三年の秋に、当時西村経産大臣が、安全確保については、運営費ではなくて国が直接出しますと言いました。それが百九十九億円。

 その点について、実は、委員会でうちの山岸一生議員が確認をしておりまして、昨年の五月二十二日の委員会なんですけれども、当時の自見はなこ大臣に、これ以上国がお金を出すということはありませんよねと確認をしたら、そのように御理解いただいて構いませんと答弁をされています。

 ところが、その後、補正予算のときに今御説明いただきました五十五億円、百九十九億円以上出すことはありませんとおっしゃいましたけれども、実は、今回御説明いただいた五十五億円増えております。当時の答弁は間違っていたということなんでしょうか。この点も含めて御回答いただきたいと思います。

伊東国務大臣 自見前大臣の答弁についてでありますけれども、そのいきさつ等もありますので、政府参考人の方から詳しくお話しさせていただきます。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 万博の警備にかかる費用でございます。これは、経産省が要求する、主に民間警備会社が担う来場者のセキュリティーチェックですとか、それから雑踏警備等の会場内の安全確保に関する費用ということでございまして、警察等の警備に必要な経費とは大別されているところであります。

 自見大臣の当時の御答弁は、当時の状況に照らして、必要な会場内の警備費用について御答弁を申し上げたものでございます。

 ただ、その後、開幕に向けまして、海外のパビリオンの出展状況がかなり明らかになってまいりました。こうした中で、各国の要人等の数も相当増えてくるということで、そうした要人等の優先入構をやっていくための会場内の整備、警備ですとか、それから、それに伴いまして車両や要員数が想定外に増加したことなどを踏まえまして、追加的な警備上の対策を講ずることが必要になったことから、改めて令和六年度の補正予算において要求をさせていただいたというところでございます。

岡本(あ)委員 当時と状況が変わったということなんだろうと思うんですが、要人が増えたとおっしゃいますが、海外のパビリオンは逆に減っているんですね。その中で要人が急に増えるというところも、非常に私とすると納得がいかない部分があります。

 さて、今回の資料で、実は、安全確保と加えて増えたのが、機運醸成等に要する費用なんです。

 資料三を御覧ください。それが中身でございます。各項目の右側に、プラス約何億円、何十億円とついているところが増えたのかなと思っております。

 二つ疑問があります。これは政府参考人にお答えいただきたいと思います。

 これは新年度の予算が入っていると思うんですね。機運醸成で新年度三十四億円。これは四月以降じゃないと使えないお金なんですね。もう万博を開いた後に、開いてから機運醸成に使うというのは一体どういう意味なんだろうというのが一点ございます。本来だったら、今までに努力をするべきお金だったんじゃないかと思います。

 それからもう一つ、資料三でいきますと、上から四つ目、警察、海保の警戒警備に要する費用、これは機運醸成等の目的のためにかかる費用なんでしょうか。私からすると、むしろ、先ほど申し上げました安全確保に万全を期するための費用、こっちの方が適切なんじゃないかと思うんですが。

 機運醸成に要する費用が四月以降の新年度予算で間に合うのか、これが一点。もう一つ、警察、海保の警戒警備に要する費用が機運醸成なのか、この点、お答えいただきたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員お示しのこの資料三でございますが、全国的な機運醸成等に関する費用となっておりまして、もちろん機運醸成の費用もございます。

 ただ、今回の令和七年度予算の三十四億円のうち、このうちの約二十六億円が、これが二番目で述べられておりました警察庁、海上保安庁の費用ということでございますので、こちらは、開幕以降の警察等の警備に対する費用ということになります。

 残りの、じゃ、八億円はどこから来るのかということなんですが、これは、一部、もちろん、会期は六か月もございますので、この六か月の間に、たくさんの、まだ引き続き、地方も含めて様々な機運醸成活動を行っています。それが一部です。

 それからもう一つは、関係各省が様々な政策の成果をここで、万博の会場で御披露いただく、そうした関連予算が含まれているということで、こちらの資料三でいいますと、一番下のところで、万博で行う催事等の実施準備というのがございまして、各省の名前が書いてありますが、こういった事業に関する費用ということでございますので、いずれも万博の会場の中で会期中に行われる事業の予算が計上されているということでございます。

安住委員長 岡本さん、間もなく時間ですから、まとめてください。

岡本(あ)委員 私からすると、やはり、なかなかチケットの売行きがよくないから、ここで予算をつけるから全国の自治体も何とか協力してくれよという予算、それから、先ほど二百五十五億円、プラス五十五億円膨れ上がった、この批判をかわすかのように、機運醸成のところに警察や海保の分を計上したんじゃないか、こういう疑念がありますことを指摘させていただき、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて岡本さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局主計官今野治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 本日は、総務省の予算を中心に質問したいと思いますが、その前に、先ほども少し質問があったんですけれども、もう少し具体的に雪害問題について尋ねたいというふうに思います。

 今、北海道、東北、日本海を中心に非常に大雪が降っているという状況の中にあります。今年の一月二十一日に、実は総務省は、雪害についての特別交付税の繰り上げての交付が行われております。是非、今回の雪の被害、これはまだ降っている最中ではありますけれども、要件を満たせば直ちに特別交付税の繰り上げての交付をお願いしたいと思いますが、大臣の答弁を求めます。

村上国務大臣 お答えいたします。

 御高承のように、現在、強い冬型の気圧配置となって、北日本から西日本にかけての地域では、日本海側を中心に大雪が数日続く見込みであると承知しております。

 総務省では、今年に入ってから、青森県を始め全国各地で多額の除排雪経費が生じていることから、特別交付税の繰上げ交付を実施するなど、自治体が財政上の不安を持つことなく除排雪等を迅速に行えるよう支援してきたところでございます。

 現在の大雪についても、来週にも除排雪経費等の実態を丁寧にお伺いしまして、自治体の財政運営に支障が生じないよう、今年度の特別交付税の算定において適切に対応していきたい、そのように考えております。

吉川(元)委員 是非よろしくお願いします。

 それでは、通告しております質疑を始めていきたいと思いますが、まず最初に、来年度の総務省予算案についてお聞きします。

 デジタル通信関係で、ここ数年、執行率が低い一方、繰越金が多いにもかかわらず、毎年同じような予算額が計上されている事業が散見されます。

 一つだけ取り上げます。

 配付資料の一ページを見ていただければと思います。行政事業レビューシートが載っておりますが、ここにあるように、高齢者のスマホやタブレット端末の活用を支援するデジタル活用支援推進事業、実は、今年度は補正予算で二十一億円が計上されております。

 配付資料の二ページを御覧になっていただければと思います。上の表に予算額執行表がございますが、これを見ますと、ここ数年、当初の概算要求にあったものを補正で積むということが続いております。これは何でこういうことをやられているんでしょうか。

加藤国務大臣 デジタル活用支援推進事業、この事業自体は高齢者等のデジタル活用の不安解消に向けた支援を実施するための事業で、御指摘のように補正予算によって予算措置を行っているところであります。

 いずれも、新型コロナウイルス感染拡大、マイナンバーカードの取得促進、あるいはマイナ保険証導入など、時々の社会経済情勢によって、スマートフォンによるオンライン手続等のニーズ、これが変動している、高まってきた、こういったことを踏まえて、事業実施の緊要性、その年度中における緊要性、それを認めたところであります。

 予算措置に当たっては、予算編成過程において、財務省としても講習会の内容や実施件数、受講者数、地方公共団体等の施策との重複などについてしっかり精査した上で、必要額を措置しているところであります。

吉川(元)委員 当初予算、まあ前年度からの繰越し、補正は翌年に繰り越せる、そういう仕組みになっていると伺っておりますけれども、その執行がまだ全部終わっていない段階、まだいっぱい残っているにもかかわらず、概算要求を補正に組み込んでいく、これはやはり、総理が昨年度を上回る補正を組む、そういう方針によって、無理くりこれを補正に組み込んだのではないかというふうにも思います。

 実は、これを見ていただくと分かるように、二〇二五年度の概算要求の金額と、それから昨年秋に決まりました補正の金額は全く同額です。ですから、つまり、概算要求一〇〇%がこの補正で組まれている。これも少し異常なんですが、総務省が出しております今年度の予算の概要を見ますと、そこにまた四・三億円積まれています。

 これは一体どういうことなんでしょうか。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル活用支援推進事業が含まれます高齢者等に向けたデジタル活用支援の推進につきましては、概算要求の時点では、デジタル活用支援推進事業を含む四事業の合計、二十六・三億円を要求しておりました。

 デジタル活用支援推進事業につきましては令和六年度補正予算において措置いただきましたけれども、それ以外の三事業につきましては、令和七年度予算において要求しているものでございます。

 具体的な中身としましては、医療分野におけるデータ活用に関する実証事業や調査事業、ICTの活用推進に向けた政策立案に資する調査分析に関する費用といった、高齢者を含む幅広い世代におけるデジタル活用を推進する取組となってございます。

吉川(元)委員 資料の最後のページに、その概要のページを資料として出しております。

 今の御説明だと、この資料を見ますと、高齢者に向けたデジタル活用支援の推進ということで四・三億円、その説明として、長いので略しますけれども、高齢者のための講習会を全国の携帯ショップ、公民館等で実施と書いてあります。

 この四・三億円は、つまり、この事業は一円も入っていないという理解でいいんですか。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 四・三億円に関しましては、先ほど申しましたデジタル活用支援推進事業を除く、それ以外の三事業ということでございますので、デジタル活用支援推進事業に関する予算は入ってございませんけれども、高齢者を含む幅広い世代におけるデジタル活用を推進する取組となってございます。

吉川(元)委員 これは入っていないということなんですよ。我々野党に対しても、それから国民にも、これはホームページで公表しています。当然、これを見たら、私も最初そうだと思っていました。

 高齢者のための講習会を開くために四・三億円を計上している、これ以外に読みようがないんじゃないんですか。ところが、実際には、中身を見てみると違うものが予算計上されている。これじゃまともな予算審議はできませんよ、大臣。これは一体どういうことなんですか。きちんと説明してください。

出口政府参考人 まず、予算説明資料の記述について御説明をさせていただきたいと思います。

 お尋ねのありました部分は、予算説明資料のうち主要項目の説明になっておりますが、こちらは夏の概算要求の結果が項目ごとにどのようになったか分かるように、概算要求の説明資料の項目に沿い、令和七年度予算に盛り込まれた内容だけではなく、令和六年度補正予算で措置された内容についても記載をいたしております。各項目の説明の記載につきましては、予算のPR資料でございますので、主な事業を簡潔に記載することとしております。

 今御指摘いただいております高齢者等に向けたデジタル活用支援の推進につきましては、予算額の大きさや事業内容を踏まえまして、令和六年度補正予算に二十一億円が計上されましたデジタル活用支援推進事業の説明を記載しているところでございます。

吉川(元)委員 我々は、この資料を見て予算の審議をしているわけですよ。そこに書かれていることと全然違うものが四・三億円載っかっている。

 大臣、これはおかしいと思いませんか。

村上国務大臣 今、官房長が説明しましたように、令和七年度予算案は、令和六年度補正予算と一体として編成することとされております。そのため、総務省の予算説明資料においては、令和六年度補正予算の内容も盛り込みながら、主な事業のみ説明を記載していることから、項目によっては結果的に補正予算事業のみの説明になっています。

 しかしながら、令和七年度予算案の資料にもかかわらず、補正予算の説明のみとなっている項目があるのは分かりにくいという御指摘は、そのとおりだと思っております。(吉川(元)委員「分かりにくいじゃないよ」と呼ぶ)ちょっと聞いてください。

 今後につきましては、当初予算事業の説明も記載するなど、分かりやすい資料としていくように努力いたします。

吉川(元)委員 分かりにくいんじゃなくて、違うんですよ。この四・三億円というのは、ここには使わないお金なんでしょう。つまり、ここに書いてある、高齢者のための携帯ショップ等での講習会の実施、これには四・三億円は使われないのに、この書き方だと四・三億円はこれに使うと。これは誤解ですか、僕の。違いますよね。誰が読んでもそう読めますよね。

出口政府参考人 先ほども御説明いたしましたように、各項目の説明につきましては、令和七年度予算と令和六年度補正予算を合わせまして、どのような施策を推進するという観点から行っているものでございまして、ここではあくまで主な事業を抜き出して御説明をしているものでございます。

吉川(元)委員 これは令和七年度総務省所管予算案の概要なんですよ。補正予算を含むなんて一言も書いていないんですよ。これじゃ、予算審議をしようと思って、例えば、先ほど等という話がありましたけれども、等とか書いていれば、この等って何ですかと聞けるんですよ。等も入っていないんですよ、これは。

 主な事業と書いていて、下の方には、すぐ下の情報アクセシビリティーの確保には、主な経費として字幕番組とか云々書いてあるんだけれども、ここには、主な事業には、デジタル活用推進事業費の補正予算の金額が書いてあるだけなんですよ。だから、これだったら誤解しますよね。誤解というか、明らかに間違った記載だと私は思います。

 一点確認しますけれども、これと同じような書き方はほかにもしているんですか。

出口政府参考人 今回、説明資料に掲載しております項目でございますけれども、全体で八十三ございまして、今回と同じような記載になっているものがあと一つございます。(吉川(元)委員「これ以外に」と呼ぶ)はい。

安住委員長 座ったまま質問しない。

吉川(元)委員 じゃ、時間が余りないので、つまり、そうした記載があるということは、予算審議の前提となる正しい資料が我々に提示をされていない。あるいは誤解、誤解というか、これはほかに読みようがないですよね。これを見てほかのものが入っているなんて思わないですし、これは是非記載の仕方を変えていただきたいと思いますし、後で、何がこれ以外にもそうなのかというのはお示しいただきたいというふうに思います。

 これは何でこんなことになっているかというと、結局、概算要求で出した予算、その多くの部分を補正に突っ込んでしまったがゆえに、こういう例えがいいかどうか分かりませんけれども、豚カツ弁当を頼んだら、豚カツは補正で入れて、残りのキャベツが本予算の中に入っている、だけれども、項目は豚カツと書いてあるんですよ。そういうことでしょう、これは。だから、私は、これはやはり、予算の審議の前提として、きちんと正しく記載をしていただかなければいけないということをまず指摘したいと思います。

 その上で、今回のこの予算ですけれども、過去の執行率、これは配付資料の二ページ目を御覧になっていただくと、非常に低くなっています。二一年度は一五・五、二二年度は三八・三、二三年度は四七で、実際、半分も使われていないのに、毎年毎年二十億円台の予算要求がされています。

 こんな予算要求は必要なのか、これについて尋ねます。大臣。

安住委員長 玉田審議官、簡潔に。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル活用支援推進事業におきましては、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備していくため、全国津々浦々で講習会を実施するための必要な額を計上しております。

 例えば、令和六年度におきましては、九月に事業費が不足することが見込まれ、年度後半の講習会の実施が困難となったこと、また、デジタル格差を早急に解消するために、特殊詐欺などを背景として高齢者のリテラシー向上を目的とする講座を含んだ講習会を実施する必要が高まったことから、補正予算により必要額を計上したものでございます。

吉川(元)委員 ちょっとやはり、私は理解できないですね、執行率が五割を割っている中で更に同じ二十億を積み重ねるというのは。

 それで、じゃ、それは具体的にちゃんと有効に活用されているのかについて尋ねます。

 配付資料の三ページにありますが、財務省の方で予算執行調査を行っております。全国展開型の講座については、受講者は一人しかいないというのが多いと書かれています。全体の何割ですか。

今野政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省が実施しました令和五年度予算執行調査におきまして、令和四年度を調査対象年度として調査した結果、御指摘の全国展開型の講座一こま当たりの受講者が一名であった講座は全体の七一%でありますことを承知しております。

吉川(元)委員 執行率も低ければ、実際に受講されている方も一人しかいないのが七割を超えている。

 私、デジタルデバイド解消のために、高齢者の方にこうしたことの講座が不要だとは言いません。だけれども、国費を投入して、血税を入れるわけですから、これは有効に使ってもらわないといけない。

 そういう意味でいうと、今のこの予算の執行の在り方というのは残念ながら有効な活用にはなっていないということを指摘をさせていただきたいというふうに思いますし、先ほどの四・三億円も含めて、これはやはり私は減額ができるというふうに思います、執行率も含めて見れば。そういう点も是非我々としては提起をしていきたいというふうに思っております。

 次に、地方創生について伺います。

安住委員長 いいですか、村上総務大臣に、言わなくて。

吉川(元)委員 じゃ、是非お願いします。

村上国務大臣 デジタル活用のそれにつきましては、やはり高齢者であることを踏まえますと、一人ということもあり得るんじゃないか。やはり少人数で講習会を開催することが私は効果的であると考えていますし、引き続き本事業の性質も踏まえながら事業の適切な遂行に努めていきたい、そういうふうに考えております。

吉川(元)委員 やはり一人というのは、ちょっと余りにも少な過ぎると思いますよ。しかも、それがたまたまあったんじゃなくて、七割ということは、ほとんどそうだということでしょう。やはりやり方をしっかり考えていただきたいと思いますし、財務大臣……

安住委員長 財務大臣、今のを聞いて、この先どうするか。

加藤国務大臣 むしろ、お示ししていただいた資料のこの右側に「今後の改善点・検討の方向性」というのを書かせていただいているところでございますので、これに沿って対応すべきだと思っております。

吉川(元)委員 時間がないので、次に行かせていただきます。

 まず、地方創生についてですけれども、これは奥野委員も予算委員会の中で指摘をしておりますが、地方創生が始まって十年たちますけれども、様々な創生事業等が行われておりますが、こうした交付金、この十年余りの間、一度も利用していない自治体は存在するのでしょうか。また、その数はどの程度でしょうか。

北尾政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、都道府県は全四十七団体、市区町村では千六百三十一団体が地方創生の交付金を活用してございまして、市区町村については百十団体が未活用となっている状況でございます。

吉川(元)委員 何でそんな事態になっているのか。百を超える自治体がこれを活用していない。その原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。

伊東国務大臣 新地方創生交付金につきまして、これは自治体の自主性、創意工夫に基づくものでありまして、独自の取組を国が後押しをするものであります。自治体が提出した計画に基づき、これまでも地方創生に資する幅広い取組を支援できる仕組みとしており、使途が相当自由な交付金として活用されております。

 また、これまでに参加していない町村につきましては、様々な理由があろうかと思いますけれども、やはり若者、女性にも選ばれる地方、これを重点テーマに設定して取組を進めていただきたいと思うところでありまして、百十団体、今度は伴走支援もありますので、それらを活用しながら、大いに共に活用できるようにしていきたいと思っております。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、なぜ活用していないのかということについて聞いているんですよ。宣伝をしてくれと言っているわけじゃないんです。

 私は、これをなぜ活用しないのか、したくてもできない、そういう原因があるんじゃないのか。

 一つは、相当自由度があると言いますけれども、やはり国のいろいろな、例えば今回のものでいいますと、配付資料の四ページに書いておりますけれども、優先順位をつけてやる。そうなると、これを国が最後に認可するわけですけれども、有識者会議が、だけれども、それに合ったものをつくらなきゃいけない。そのためには、それなりの労力が必要になる。

 それともう一点は、これを見ていただくと分かるように、やはり二分の一の負担が発生するわけです。そうすると、これをやろうと思ったら、まず先立つものを自治体は持っていなきゃいけない。ところが、そうしたものがないところはやりたくてもやれない、そういう状況なんだというふうに思います。

 そこで提案ですけれども、これは奥野委員も前回、前の予算委員会の中で指摘しておりますけれども、地方創生枠、地方創生臨時交付金や地方創生重点支援交付金のようなこうしたスキームを使って、それこそ各自治体が自由に使えるようなものに転換をすべきだというふうに考えますが、大臣、どのようにお考えですか。

伊東国務大臣 新地方創生交付金等につきましては、自由度も高いわけであります。また、全国の自治体で百十団体しか、未利用である、利用されていないということ、そのマンパワーもありましょうし、また、そこの町が行っているほかの事業との兼ね合いというのもあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、やはり意欲があって、やる気のある職員がそろっているところは比較的うまくいっているというふうに思うところであります。

吉川(元)委員 百幾つしかないんじゃなくて、百幾つもあるんですよ。それは、そんなことを言ったら、地方創生なんてできませんよ。

 先ほど言ったとおり、自由度があるといったって、優先順位を決めるわけでしょう。国がチェックするんですよ、これは合っているかどうかと。それよりも、僕も自治体の皆さんとお話しすると、臨時交付金というのはすごく助かったという声が圧倒的なんです。それはなぜかといったら、自由に使えたわけです。

 各自治体、それぞれ事情が違うんです。その事情に合わせて自治体がやりたいこと、これをやれるようなお金、しかも、二分の一の負担が要らないお金に私は変えるべきだ。そして、このお金で例えば学校給食の無償化だって取り組めるわけですよ。是非そういうふうに変えていただきたい。これは是非予算を変えていただきたいというふうに考えます。我々もそのための準備をしていきたいと思います。

 次に、もう余り時間が残っておりませんので、自治体標準システムについて、併せて、最後に一つだけお聞きしたいというふうに思います。

 今回、この自治体標準システム、頻繁に標準仕様が変わって大混乱が今起こっています。これは来年度の三月末までに完成させるような方向で動いているようでありますけれども、とてもこれは無理だということをまず指摘した上で、クラウドの利用、それからいわゆるランニングコスト、これはいずれも以前よりも上がるというような指摘もされております。この場合の財政的な支援をどういうふうに考えておられるのか尋ねます。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 全国の多くの自治体から、標準準拠システムへの移行後の運用経費につきまして、移行前と比べて大幅に増加するというようなお話も伺っているところでございます。総務省としましても、この問題は非常に大きな課題と認識してございます。

 運用経費の増加分につきましては、デジタル庁と連携して把握した状況を踏まえまして、来年度から地方財政措置を講ずることとしております。

 運用経費の削減につきましては、デジタル庁を中心に各種の取組も行われておりますし、総務省としましても、一緒になりまして取組を協力してまいりたいというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 クラウドにしろ標準システムにしろ、行政コストが下がるということで、ある意味でいうと自治体に期限を区切って導入しろ、こうやって国はやってきたわけです。ところが、この段階になって、実はコストが上がってしまう。

 例えばランニングコストでいうと、三割削減できると言っていたんですよ。ところが、実際始めてみたら、今使っているものよりもかかってしまう。もちろんこれは地方の責任じゃないので、きちんと交付税措置をしていただかなければいけないんですが、結局、その分、国と地方を合わせればお金が余計にかかるということになってしまいます。

 そういう意味でいうと、今国の財政が大変厳しい状況の中で、果たしてこれが財政にとってプラスだったのかマイナスだったのか、この点についてしっかりと総括をしていただき、また、先ほど、来年三月と言いますけれども、実際には来年の一月までには完成していないと、支障が発生をします。

 それを考えると、来年度の末までにというこの期限の区切りは是非変更していただきたいということを最後に訴えて、私の質問を終わります。

安住委員長 これにて吉川君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 今日は財務大臣中心にお伺いしたいと思っておりますが、せっかくの機会ですので、男女共同参画担当大臣と平国務大臣にもお話を伺いたいと思います。

 我々、百三十万の壁を越えて配偶者の扶養から外れ、社会保険料の負担で手取りが激減する問題について取り組んでまいりました。この手取り減少分を給付で埋めて、手取りを右肩上がりにする提案を行っています。

 この提案に対し、石破首相は、税金で補填することが公平なのか、財源をどうするのか、そんな問いを発せられました。

 一方、石破首相は、昨年の御地元での講演で、夫は働き妻は家庭という意識が地方から東京圏への女性流出の原因となっているということを指摘されました。百三十万の壁による働き控えで夫の扶養から外れないようにすることは、まさに夫は働き妻は家庭という意識を固定化するものではないでしょうか。地方創生にとっても女性活躍にとってもマイナスです。

 これを変えるために、百三十万の壁対策のために給付を行うために、税金を投入するべきではないかと思いますが、男女共同参画大臣の見解を伺います。

三原国務大臣 一般論として、女性のキャリア形成ですとかライフスタイルの選択に及ぼす影響が中立的な制度、慣行を構築して、女性は働くとしても家計の補助であるという意識を変えていくこと、これは女性の経済的自立を実現するためにも大変意義があると考えております。

 このため、政府におきましては、税制や社会保障制度につきまして、全ての人が希望に応じて働くことができる環境の実現に向け、関係省庁において不断の見直しが行われていると承知しております。

 委員御指摘のいわゆる百三十万円の壁につきましては、一定以上の収入となった場合の社会保険料負担による手取り収入の減少を理由として就業調整をしている方が一定程度いらっしゃるということも承知をしております。

 そうした状況を踏まえまして、厚生労働省におきましては、年収の壁・支援強化パッケージの活用などに取り組まれるとともに、働き方に中立的な制度を構築するという観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、年金法改正案の取りまとめに向けて検討が今行われていることと承知しております。(階委員「質問に答えてください、百三十万円の壁の給付です」と呼ぶ)

 百三十万円の壁の対策に公費を投入することにつきましては、社会保険の制度趣旨、内容を踏まえて、その財源確保策と併せて、制度の所管省庁である厚生労働省において丁寧に検討される必要があると考えております。

階委員 女性活躍と言いながらも、消極的な答弁でした。

 平大臣にも伺いたいと思います。

 資料につけております、五ページ目につけておりますが、過去の予算委員会で、平代議士も、年収の壁を一時的に給付したらどうかというような、我々と似たような提案を行っています。

 それによれば、給付のために約六千億円の財源がかかりますが、経済効果が二・九兆から四・七兆、社会保険財政は六千億円改善するということも言われております。

 我々も、試算の前提は違いますけれども、約八千億円の税金投入で、一・七兆円ほど保険財政が改善するというふうに試算しています。

 そこで、平国務大臣に対し、百三十万の壁対策のために給付に税金を投入することへの見解を伺いたいと思います。

平国務大臣 所管大臣ではないので。

 そのときのことをちょっとお話をさせていただくと、ちょうど一昨年の予算委員会でありました。私の問題意識は百六万円の壁でありまして、私も会社の経営をしていたので、時給をどんどん上げろと言っている、一方でそういう壁があるので働き控えが起きる、なので時給を上げれば上げるほど時間の抑制をしなければいけない。一年前の年末にかなり働き控えが起きましたので、一月の予算委員会で、ちょうどテレビ入りの予算委員会でありましたが、党にも何も諮らず、議論も経ず、私の個人のアイデアとしてそういう発言をさせていただきました。

 その上で、岸田総理、政権においてはそれを真摯に取り上げていただき、今の年収の壁・支援強化パッケージにつながったというふうに思っております。

階委員 では、更に伺いますけれども、今の強化パッケージ、大臣の当時提案したものよりもかなりしょぼいものになっていると思いますけれども、これで十分だと思っていますか。

平国務大臣 繰り返しになりますが、所管大臣ではありませんので。

 私の当時の考えは、やはり、シンプルな仕組みがいいだろうというふうに思っておりました。なので、今の仕組みも、もっと使いやすい改革ができれば更にいいなというふうに思います。

 一方で、先ほど三原大臣からあったように、社会保障の世界に財政を入れてくるのかという大きな整理の議論もありますので、その当時は政府の方で検討して今の仕組みになったので、年内に実現をしていただいたので、私は感謝をしています。

階委員 それでは、もう一つ我々が公費を給付に充てるべきだと言っていることがあります。それは、中小企業の正社員を増やした場合の社会保険料の軽減措置です。

 これについて、先ほどの石破首相の講演の中で、やはり大事なことだということが言われていたと思います。これについてお聞きしたいんですけれども、伊東大臣でよろしいですか、地方創生大臣。

 石破首相が、非正規雇用の正規化の推進が大事だ、必要だというふうに言っていたわけですけれども、中小企業の正規雇用促進策への税金投入について地方創生のために必要だという総理の講演でしたけれども、どのように考えておりますか。

伊東国務大臣 階議員の御質問にお答えします。

 これは、観点からいっても極めて重要なものだと思っておりますし、私の周囲を見渡して、税金で調整をして、時間外で調整しているような方々も見受けたこともあるものでありますから、もう少しまともに、もう少し働きたい人が働けるようになればいいなという、そんな感想を当時持ったものであります。

 ただ、この制度の趣旨からいきまして、税金で果たして社会保険料等々を含めて穴埋めするのが妥当かどうかとなると、また別なお話であろうというふうに思います。

階委員 今、各大臣から御答弁がありました。総務大臣は、ちょっと時間の関係で別な論点についてお聞きしますので、ここは結構です。

 それで、各大臣からお聞きしていて、やはり給付に対して我々が考えているような公費の投入に対して、なかなか消極的なんですね。これは非常に大きな考え方の違いだと思うんですけれども。

 政府の案は、百三十万の壁対策にしても、中小企業の社会保険料減免措置にしても、保険財政の枠内で足らざるところには補填するみたいな考え方、あるいは保険財政の中でやりくりして済ませるというようなやり方なんですが、それではなかなか問題の抜本的な解決にはならないだろうと私どもは考えておりまして、なおかつ、平大臣とのやり取りで先ほど申し上げたとおり、我々も財政負担が極力少なくなるように考えているわけですよ。例えば百三十万の壁対策では、八千億かかりますけれども保険財政には大きくプラスになるとか、八千億は当初かかりますけれども、これから賃金が上がっていけばどんどん給付額が少なくなって最終的には五百億円ぐらいになるというような試算も出しております。

 こうした費用の見積りに対する効果の大きさ、こういうことも考えますと、やはり税の投入というのは前向きに考えていいのではないか、私は必要性と合理性が認められると判断しておりますが、財務大臣の見解をお願いします。

加藤国務大臣 まず、どこを目指すのかという意味において、先ほどからもお話をさせていただいたように、いわゆる働き方に中立的な制度を構築をしていく、また、年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを進める、これは大事なことだ。これは一致していると思います。

 政府においては、被用者保険の適用拡大など必要な施策を講じてき、またこれからも講じようとしているところでありまして、ちょっと試算の話は、今手元にないので、これはまた別の機会に議論させていただくとして、そもそもでありますけれども、穴埋めとして公費を使うという考え方についての意見が多分違っているというふうに思います。

 一つは、制度の対象となって負担減となる方と、そうでない方、この事情の中でどうそれを公平と考えていくのかどうかということが一つあるんだと思います。

 それから、社会保険料を公費で賄うということは、社会保険料というのは、御承知のように、給付と負担の関係になっているわけですね。ですから、負担をこれだけすれば給付をこれだけ受けることができる。ですから、年金の場合には、例えば滞納があって払わなければ将来その分は年金額が下がる、こういう関係になっている。こういう状況の中で、まさにこれが相互扶助の考え方でありますけれども、そこに、負担の部分に一部公的負担を入れて下げるということは、公平の概念、あるいは正当の概念からどう捉えるのか。

 もう一つが財源の話。ここは今、先ほどあったように、試算によればというお話がありましたので、まさにそこの二点を中心に慎重な検討を要すると考えておりますし、そうしたことをベースに総理からも発言があったものと承知をしております。

階委員 財源については、そういうことで我々はちゃんと試算をして、コストパフォーマンスが合うということは示しております。

 それで、前段の公平性の話。これは政府の方も、我々のように公費を使った給付ではないんですが、例えば百三十万の壁の対策ですと、本来だったら保険料を払わなくちゃいけないけれども、一時的な収入変動だということを事業主が証明して、保険者が認めれば、それで免除してあげる、これは公平と言えるんでしょうか。

 また、中小企業の保険料の減免、社会保険料の減免ということでいえば、これも政府の今回検討中の百六万の壁対策の中で、この間の委員会で私が指摘したとおり、百六万の壁が二十時間の壁に変わった結果、事業主の負担割合を増やすと、その結果生じる負担割合の増加分をほかの人の保険料で穴埋めするみたいな提案が政府からされているわけですよ。これも私は公平に反すると思うんですよね。

 だから、保険の中でやる分には公平が保たれて、国の税金で給付をする場合は公平が保たれない、このロジックが私には分かりません。

 むしろ、保険の方が、保険料を払っている人は、当初想定していたリスクのために保険料を払っているわけですよ。そのときに、いきなり、事業主の社会保険料負担の割合を今度増やすから、それを助けるために保険料を使いますと言われても、納得なんかできないじゃないですか。

 保険料と違って税金は、共助ではなくて公助として、政策目的にひもづかないお金なわけですよ、政府の政治判断で積極的に使えるお金なわけですよ。そちらの方で我々が考えるような制度をつくった方が、今、政府がやっている保険財政の中でやるよりはよっぽど公平も保てるし、制度のそもそもの趣旨にも合っていると思うんですが、違いますかね。

加藤国務大臣 今、キャリアアップ助成金のお話がありましたけれども、例えばキャリアアップ助成金については、継続的に労働者の収入を増加させる取組を行う事業主を支援する、こういった目的の中で賃上げ等の取組を行う事業主に対して支援をするということでありまして、直接、社会保険の適用の保険料の負担を補填するという目的ではない、そして、財源は事業主が負担する雇用保険料でやっている、こういった実態もあるところでございます。

 いずれにしても、先ほどと同じことになりますけれども、給付と負担という関係になっている社会保障の部分について、その負担を軽減をし、給付を、同じ金額ですね、要するに、負担を下げたにもかかわらず同じ金額を給付する、そこのところをどう考えていくのかということ、そういった問題があるというふうには思います。

階委員 この問題、最後にしますけれども、ちょっと論点をクリアにしたいんです。

 百三十万の壁が問題だ、あるいは中小企業の社会保険料の負担増が問題だというときに、何か支援策をしなくちゃいけないということでは政府も我々も共通だと思うんですね。その支援策を講じるときに、我々は税による給付で支援すべきだということ、そして、政府は税ではなくて保険財政の中で支援すべきだということなんですよ。

 これはどっちが公平なのかということなんですが、やはり国民の支出とそして使途がひもづかない税でやる方がより自由度は高いと私は思っていて、その方が国民の納得度も高いと思うんです。保険財政の中でやるとなると、本来支出するときには想定されていないところで保険料が使われるということで、公平感とか納得感は損なわれると思うんですが、違いますかね。そこだけクリアにしてください。

加藤国務大臣 今のは保険財政ですかね、百六万の話ですよね。要するに、百六万を超えるところにおいて、まさにいわゆる被用者保険の中に入ってくるわけですから、その中で、相互扶助という中で、そこはしていく。

 しかも、ポイントは、まさにそれに対して企業が補うことによって、それを推進する、百六万より、より働くことを推進する、それに対する支援をしていく、そういう話でありまして。やはりそこには、ポイントは、推進をし、そして、より働きやすい、より多く働いていただく環境をつくっていく、そこにある。

 そして、そうした制度そのものは、まさに保険制度そのものをしっかり適用していただくということにもつながるわけでありますから、まさに保険の中でそうしたことを支援をしていく。そして全体として、保険制度の中、保険制度自体を充実するというか拡大していく、こういうことにつながっていくというふうに私の中では整理をしているところであります。

階委員 税というのは本当に必要なところに使うべきものだと思いますけれども、必要だということでラピダスには五兆円とか投じるわけじゃないですか。それぐらい自由度が高いものについて、今喫緊の働き控え対策のために税を使うとか、物価高であったり賃金高であって経営が厳しい中小企業の社会保険料負担の軽減のために使うというのは、全くもって合理的だし、必要不可欠だと私は考えますよ。ここで税を使わないんだったら、何のために税はあるのかというふうに言わせていただきます。

 じゃ、次の質問に移ります。

 租税特別措置、これは、補助金とは違って、全くもって透明化が不十分だということを言わざるを得ません。

 この租税特別措置なんですけれども、我々の政権、民主党政権のときに、租特透明化法というのを作ったわけです。それに基づいて、昨日、ちょうど、昨年度の租特の適用実態調査報告書というのが提出されました。これは、法人税関係で減税効果のある各租特について上位十社の適用額が示されているんですが、今申し上げたとおり、どこの会社が適用されているのか、そこが不透明になっているわけです。

 租特透明化法を制定した民主党政権時と違って、自民党政権の下では、企業献金によって政策がゆがめられているという疑念を国民は抱いているわけですよ。この疑念を払拭するためにも、今、法改正をして、上位適用先の社名を公表すべきではないか、このことを提案します。財務大臣、お願いします。

加藤国務大臣 まず、租税特別措置法の適用実態調査の報告書を先般も出させていただきました。租特の利用実態を明らかにして政策の企画立案に役立てていくことが目的とされております。こうした目的に照らして、個別法人名まで公表する必要はないという整理が、租特透明化法の立法当時の平成二十二年、これは、当時、民主党政権下ではありましたけれども、決められたという経緯があります。

 その上で、一般論として申し上げれば、国が個別企業の財務情報を公表することについては、財務情報が類推されることで価格交渉等への影響といった競争上の不利益を生じかねないため、そうしたデメリットを上回る公益上の必要性があるかどうか考えていく必要があると思います。

 一方で、補助金については、これは既に一般に国からの交付の決定を受けて個別法人名が公表されているところでございます。これは、個別企業の財務、税務情報が類推されるという事態が想定されないということで、こういう公表制度を取っている。

 一方で、租特についてはそうしたリスクがあるということは申し上げました。ただ一方、近年、租特の適用額が大きく増加し続けている、こうした状況の変化、あるいは今申し上げた補助金とのバランス、こういったことも踏まえながら考えていく必要はあるというふうに思っております。

階委員 考えていくというのは、これは前向きに検討されるということでいいですか。

加藤国務大臣 したがって、先ほど申し上げたデメリットを上回る公益上の必要性があるかどうか考えていくという必要性の中において、そうしたバランスを考えるときにおいて、今申し上げた近年の租特の適用額が大きく増加をし続けてきている、こうした状況も勘案をして考えていく必要がある、こういう意味であります。

階委員 三日のこの委員会で、岩谷委員の質問に答えて石破総理は、企業・団体献金が政策をゆがめたことはないと思っていますが、世間の人はそう思っているならば、そうでないことを証明するのは私どもの挙証責任だというふうに答弁されています。

 挙証責任を果たすのであれば、租特が適用される社名を公表すべきではないですか。お答えください。

加藤国務大臣 おっしゃる点は一つあるかもしれません。

 しかし、他方で、租特を利用されている、先ほど申し上げたように、個別企業の税務情報を公表すると、財務情報が類推されて価格交渉への影響といった競争上の不利益を生じる、こういったことも、これは従前から指摘されているわけでありますから、そこを含めて、まさにデメリットを上回る公益上の必要性があるかどうか考えていく必要がある、こういうふうに述べているところであります。

階委員 租特の透明化をすることによって、本当に租特が必要なのかどうか、これがよりはっきりしてくると思います。

 具体的に例を挙げます。

 租特の中で減税額が大きなものの一つに、賃上げ促進税制があります。昨年度の賃上げ促進税制による法人税の減税総額は幾らなのか。前年度より幾ら増えたのか。また、大企業と中小企業に分けた場合の減税額はそれぞれ幾らなのか。

 これは通告していません。事務方、もし分かればお答えいただけませんでしょうか。無理であれば私の方から。

安住委員長 ちょっと待って。加藤財務大臣が手を挙げています。

加藤国務大臣 賃上げ促進税制適用実績ですが、適用件数全体で見ると、令和五年度は二十五万四千四百八十三件で、四年度は二十一万五千二百九十四件。適用額は、五年度が七千二百七十八億円に対して、四年度は五千百五十億円となっております。

 必要であれば、大企業、中小企業を申し上げましょうか。

 大法人ということでありますが、大法人については、適用件数、五年度が五千二百六十八件、四年度が四千百十六件。適用額は、五年度が三千三百三十七億円、四年度は二千四百九十四億円。中小法人等は、適用件数が、五年度が二十四万九千二百十五件、四年度が二十一万一千百七十八件。適用額は、五年度が三千九百四十一億円、四年度が二千六百五十六億円というふうになっています。

階委員 七千億以上もの減税が行われております。半分近くは大企業です。

 先ほど、赤澤大臣が政府として初めて現在インフレであることを認められました。そして、大企業については史上空前の利益を上げているところも多いわけです。そのような企業でも、今の制度では、三%だけ賃金を上げていれば一〇%の減税が受けられる。

 さらに、会計検査院も先日問題にしましたけれども、教育訓練費を僅かでも増やしていれば、更に減税が上乗せされて、トータル一五%減税となる。そこまで幅広に賃上げ税制の恩恵を及ぼす必要はあるのか。

 これは、透明化して社名を明らかにすれば、どういうところに恩恵が行っているか明らかになりますよ。それを見ると、さすがにそこは自力で十分賃上げできるだろうということが私は明らかになると思っています。その意味でも透明化すべきなんですよ。

 それから、賃上げ税制について、一年前ですけれども財務省が検証を行っています。賃上げ税制の適用と労働分配率上昇との因果関係が不明確だったということを指摘しています。また、賃上げ税制の導入が社会全体の賃金上昇につながった根拠はなかったということも指摘しています。

 賃上げ促進税制の有効性を基礎づける定量的なエビデンスは存在しません。にもかかわらず、七千億以上の法人税減税を行う必要性、合理性はないのではないか。財務大臣の答弁を求めます。

加藤国務大臣 まず、賃上げは、企業収益の動向とか雇用情勢等、これも反映しているところでありますので、税制の効果だけ取り上げて定量的に申し上げるのは難しいということは御承知のところだと思います。

 そうした制約を踏まえた上で申し上げれば、昨年の春季労使交渉における賃上げ率が三十三年ぶりの高水準になるなど、賃上げ促進税制が一定程度寄与したとは考えております。

 今後とも、賃上げ促進税制を含めた租税特別措置については、EBPMの取組等による客観的データに基づいた実効的な効果検証を広く実施していくことを検討した上で、必要性や政策効果をよく見極めて、透明性の高い議論により税制改正プロセスが進められていくことが重要だと考えております。

 実際、今御指摘のありましたように、令和六年税制改正においては、EBPMの観点から令和四年度の申告実績を検証した結果、既存の上乗せ要件の基準をほとんどの適用法人が満たしていることを踏まえ、大企業へのインセンティブを強化するため、一定の大企業について、既存の要件である三%、四%の賃上げを行った場合の控除率を引き下げつつ、段階的に七%の、更に高い賃上げ率の要件を創設するなど、めり張りづけを行っているところでございまして、こういった、おっしゃるように、実態も見ながら、今求められている賃上げ、これをしっかり、まず、それが取り組むことのできる大企業そして中小企業においてしっかり取り組んでいただく。こういう取組をするとともに、また、赤字の中小企業においても賃上げのインセンティブとなる、中小企業向けに五年間の繰越控除制度など新たな制度を創設することによって、中小企業においてもそうした取組にしっかり取り組んでいただける、こういう仕組みとしているところであります。

安住委員長 時間が参りました。

階委員 黒字の大企業に恩恵が大きい賃上げ促進税制よりも、赤字の中小企業にも恩恵が及ぶ社会保険料の軽減措置、こちらを優先すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒田征樹君。

黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。

 私は、二〇一一年、大阪の堺というところで堺市議会議員選挙に初当選をさせていただいて、それから十三年五か月にわたって、堺の成長と住民サービスの向上、そして、何よりも市民の皆様が納税に納得できる、そういった当たり前の政治、行政をつくり上げるために力を尽くしてまいりました。

 そして、今回、国政においては、私自身が地方で感じた、そういった国と地方の関係の改善、そして考え方のずれ、そういったところを解消して、今問題が山積をしています日本の改革を一つ一つ前に進めていくというために、国と地方が一丸となって取り組んでいけるように力を尽くしていきたいというふうに考えております。

 そして、早速質疑に入らせていただきます。

 地方創生についてでありますけれども、今回の予算委員会で質疑するに当たり、まず私が注目した点は、内閣府から提案されております地方創生二・〇の起動という項目の二千億円という金額でありまして、前年度までが一千億円ということでしたので、倍増させるわけであります。

 では、これまで十年以上、一兆円を超える予算を投じてきた地方創生一・〇についての政府としての評価や検証、そして、その検証を踏まえ、地方創生二・〇は一体どのように変わっていくのか、お答えいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕

伊東国務大臣 これまでの地方創生の取組につきましては、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域づくりといった四つの柱に沿って進めてきたところであります。

 十年前に石破総理が初代の地方創生担当大臣になって以来、たくさんの取組がなされてきているところでございます。成功事例もあれば、うまくいかなかった事例もあったと聞いているところでありますけれども、おおむね積極的かつ一生懸命の自治体では有効に活用されている地域が多いのかな、そんな思いもするところであります。

 私も、十月の大臣就任以来、総理に言われて、何か所か有望な地域あるいは成功している地域を見て回りました。例えば、地方創生の交付金を用いて、ドローンを活用した買物支援サービスや、あるいは移動診療車を活用したオンライン診療、自動運転バスを活用した地域交通など、好事例がたくさん生まれているところであります。

 また、企業の地方移転等を促す施策として、地方拠点強化税制などの取組を行ってきたところであり、地域再生法に基づく計画の認定数は約七百四十件、計画における雇用創出数は約三万二千人となっております。

 これまでの取組により様々な成果が生まれた一方で、東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至っていないのは残念であります。その主な原因は、進学や就職を契機として、十代後半及び二十代の若者や女性の転入超過が続いていることが挙げられるわけであります。

 地方創生二・〇においては、これまでの成果と反省を踏まえることが重要と考えており、現在、私の下で開催していただいております有識者会議におきましても、成果と反省について御議論いただいているところであります。

 こうした議論を踏まえ、昨年末に地方創生二・〇の基本的な考え方を取りまとめ、その中で、地方創生一・〇との違いとして、若者、女性にも選ばれる地方をつくることを主眼とすること、これまで十分に活用されてこなかった地域資源を最大限活用した高付加価値化の産業を創出することなどの点をお示ししてきているところであります。

 こうした点を踏まえまして、今後施策を具体化し、本年の夏までに、地方創生二・〇の基本構想をしっかり取りまとめてまいりたいと考えております。

黒田委員 成果が出たものもあれば、出なかったこともあるということであります。また、今後十年間集中的に取り組んでいくということも、この基本的な考え方の概要の中では示されておりますけれども、倍増させた二千億円で十年間ということであれば、総額二兆円にも上っていくわけであります。

 先ほどお話がありましたように、初代の地方創生大臣、まさに今の石破首相でありますけれども、二〇一四年の十二月に、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保する、東京一極集中を是正し、地方の人口減少にも歯止めをかける、そういった長期ビジョンも示されたところでありますが、残念ながら、十年たっても、東京一極集中というのは是正されておらず、人口減少も止まらなかったというところで、私が問題に感じているのは、毎年、あるいは途中経過、こういった検証というのはどうなっていたのかなというところであります。

 効果がほとんどないとまでは言いませんけれども、そういった中で、年間一千億円、十年間で一兆円を投入してきたわけであります。そして、当初予算、これが当初予算ですから、補正予算も合わせると実に一・四兆円投入してきているわけであります。いわば、地方創生というお題目の下で規模ありきで進めてきた、そういう印象は拭えません。ですから、様々な取組を進めてきた結果、これまでの十年間で一・四兆円つぎ込んでいるにもかかわらず、一極集中を是正するどころか、むしろ今は悪化をしているというわけです。

 そんな中で、次の十年は地方創生二・〇で集中的に取り組むと言われても、全く納得ができません。そして、その予算が二千億円に倍増するということでありますけれども、十年間だと二兆円、これは恐らく補正予算も組まれるというところから、二兆円をはるかに超える予算の投入が予測されるわけであります。

 そして、今、新たなカテゴリーを御紹介していただきましたけれども、地元堺市で新たなメニューについてお聞きしましたけれども、様々な条件がついていて、これまでと代わり映えしないというのが私の率直な感想で、むしろ、この使い道について要件が絞られていて、使い勝手が悪くなっているというような印象もあります。そして、新たなカテゴリーとして防災、こういったことに使えるものが新設されたということで、地方はありがたいかもしれませんけれども、それがなぜ一極集中の是正につながるのかというところは全く理解できません。

 それでも政府は莫大な予算を計上しているわけですから、どれだけ地方創生に反映したのか、そして費用対効果の検証と分析、それに基づいてどのような戦略を描いて施策を打っていくのか、そして、それがどんな効果を生み出していくのか。これは国民の税金ですから、しっかりとPDCAを回していただいて、これまでの十年のように、規模ありきで毎年無条件に二千億円というようなことにならないように求めたいと思いますが、大臣の考え方をお聞かせいただきたいというふうに思います。

伊東国務大臣 お答えいたします。

 一千億で足りなかったという話も一方であるわけであります。全国各地からたくさんの応募があり、そして申込みがあったところでありまして、先ほどから申し上げましたように、これでうまくいっている事業もたくさん全国各地で生じているわけであります。

 また、定量的なKPI、この評価指標を用いますと、例えば、関係人口の増加数や移住者数などをKPIとして設定してみますと、複数のKPIの目標のうち一つ以上を達成した事業の割合が七割から八割、目標値に達したKPIの割合が約五割となっており、それぞれ事業で成功をしている部分もかなりあるわけであります。

 常にやはり、実績を含む効果検証を行っており、交付対象事業の実施状況や結果に対する各自治体への調査、あるいは事業の実施状況、KPIの達成状況、効果検証の内容についての分析、これも自治体へ提供をしているところであります。

 新地方創生交付金につきましても、自治体において事業ごとに定量的な評価目標を設定しておりまして、評価結果と改善方策を公表するなど、産官学金労言の参画により効果的な評価あるいは事業の効率化がなされるよう取り組んでまいりたいと思います。

 私も、十月の大臣就任以来、もう何か所も見て回ったけれども、本当にすばらしいリーダーの下で、それは市町村長もそうでありますし、あるいは企業経営者もそうでありますけれども、すばらしい町おこし、地域おこしの取組をしているところもたくさんありまして、そういうところにはできる限りの応援をしていきたい、そんな思いもしていたところであります。

黒田委員 ですから、私自身も、全てが全てうまいこといっていないと言っているわけじゃなくて、やはり大局的に見たときに、この東京一極集中を是正するんだというここの目標にやはり届いていないというところに問題意識がありまして、KPI、確かにある程度達成しているというところもあるんでしょうけれども、本来のそういった目的に向かって、しっかり、それこそ各市町村と連携をしていただきながら進めていただきたいというふうに思います。

 一千億、二千億は皆さんからしたら見慣れた数字かもしれませんけれども、例えば地方自治体ですと、義務的経費でもう目いっぱいになっていますので、住民サービスを維持する若しくは拡充していく、そのために数十万円単位で見直しをかけているというのが実態でありまして、こういった税金の使い方というところはしっかりと意識をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質疑に入らせていただきます。

 石破首相の所信表明演説で、地方創生二・〇、令和の日本列島改造の具体化ということで、楽しい日本を実現するための政策の核心は地方創生二・〇で、これを令和の日本列島改造として強力に進めるとおっしゃられました。続けて、都市対地方という二項対立ではなく、都市に魅力を感じる方、地方に魅力を感じる方、そうしたお一人お一人の多様な幸福が実現できる場として、都市も地方もその魅力を高めていきますと。

 また、田中角栄元首相を引き合いに出されて、かつての日本列島改造では、道路や鉄道といったハードなインフラの整備を起点として人の流れを生み出し、国土の均衡ある発展を目指してきたと。そして、地方創生二・〇では、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限に引き出して、ハードではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す、最新技術を活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくというふうにありました。

 ここで確認をしておきたいのですけれども、政府が考えている多極分散というものは、どういうものを指して、どのように進めていくのかというところをお聞かせいただきたいと思います。

伊東国務大臣 一極集中に反対する考え方の多極分散型であろう、このように思うところであります。

 これは、国土形成計画を所管する国土交通省のお考えもあろうかと思いますが、地方創生担当大臣の立場から申し上げれば、国土形成計画においては、人口や諸機能の配置の在り方等に関する国土構造の基本構想として、東京一極集中の是正を図り、国土全体にわたって、広域レベルでは人口や諸機能が分散的に配置される国土構造を目指すとされており、全国八ブロックにおいて広域地方計画が定められております。

 ただ、委員もお分かりのとおり、若い方々が、人たちが東京に集まり、そして、子育ても結婚も含めて東京で生活をしたいと希望する人がやはり相当数いらっしゃるということでありまして、地方の魅力をもっと高める、そして、地方においてもやはり楽しい日本、楽しい生活、これができるような地域づくりをしていかなければという、そんな思いをしているところであります。

    〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕

黒田委員 今大臣がおっしゃられたように、各地の魅力を出していく、そういう意味で、地方創生二・〇による全国の市町村を対象にした取組というもの、これを否定するものではありません。しかし、まずは構造的な課題というものを認識するべきじゃないかなというのが我々の考え方でありまして、エリア単位での課題、これにどう対応していくのか、そういった視点も必要じゃないかなというふうに思っております。

 まず、なぜこのエリア単位が必要なのかといいますと、千七百四十一市町村がある中で、これを満遍なく成長させていく、聞こえはいいんですけれども、これをやっていくと、各エリアにおいても格差、一極集中というのが進んでいくわけであります。すなわち、小さい自治体というのはいつまでたってもその状況を脱し切れないというようなところでありまして、東京一極集中については、是正どころか、むしろ悪化していくというふうな懸念もあります。

 そもそも、なぜ東京一極集中になるのかといいますと、先ほども大臣がおっしゃられましたけれども、答えは簡単で、まずは、我々が言う長年にわたる構造的な問題が横たわっているということと、まさに政治、経済、文化の中心が東京に集まっているということで。

 政治は、言うまでもなく東京が中心であります。経済的にも、東京に日本の経済を担う大企業であるとか銀行であるとか、そういったことが集中をしているというところで、ビジネスチャンス、アクセス、そういった面から集中をしていくということで、東京に一極集中をしていくということであります。

 文化とか暮らし、そういったことにおいても、若者は、大学そして専門学校、そういったところが、環境が整っている、そういう東京を目指して若者もやってくるというところで、そこで学問を選択して教育を受けて、そのまま東京に移住するケースが多いというようなことで、そういう循環がずっと東京においては起こっているということで。

 こういう原因がそもそもの課題でありまして、先ほども言いましたけれども、これは東京だけじゃなくて、関西なら大阪、そして九州なら福岡、東北なら仙台というような形で、それぞれの地域で規模を小さくして同じ現象が起こっていく、そして、そこで成功していく企業は東京を目指していくということで。

 一極集中が是正されないのはこういった構造的な課題があるということで、我々は、だから、こういう東京一極集中を解消するために、まずは二極化を目指していきましょうということで、そのための大阪都構想であり、そして副首都化、こういったことも求めているわけであります。

 この地方創生二・〇、これを進めるなら進めたらいいとは思うんですけれども、それと同時に、若しくはそれより前に、国全体の構造的な転換をしないと、一極集中の是正につながるということには至らないということであります。

 この地方創生二・〇の基本的な考え方でもありますけれども、ここにも書いてあります。これまでの地方創生、これは、東京一極集中の流れを変えるまでには至らなかったとか、あとは、特に東京が首都となって以降、効率的に資源を集中する形で東京圏への一極集中が進んできた、世界に大都市圏が多くある中で、極端に一極集中の国は日本と韓国だけだ、様々評価はされているわけであります。

 だから、我々は、都市の規模そして地政学的にも、まずは、大阪を副首都として定めて、東京と同等の資源を集積して二極化をさせていく。そして、その先に、道州ブロック単位で成長戦略をしっかりと描いていく。そして、その中で、当然、エリア内で成長戦略を描いていくと様々な格差も出てくるでありましょう。だから、そのときに、そういった格差の是正あるいは財政調整、こういったことも議論をしていく中で、道州制といったような議論につながっていくというふうに考えております。

 日本の未来のためにそういった構造改革に取り組むことこそ、石破首相が提唱する真の令和の列島改造であり、東京一極集中の是正、そして地方創生の実現につながると考えておりますけれども、地方創生の担当大臣として、最後にお答えいただきたいというふうに思います。

伊東国務大臣 委員御指摘の道州制につきましては、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであるということは承知をしているところであります。他方、また、国と地方の在り方を大きく変更するものであり、地方の声を十分にお聞きしつつ、国会における御議論も踏まえつつ対応する必要があると認識をいたしております。

 いずれにしても、様々な意見がまだまだある道州制でありまして、国会での議論、また世論について話をお聞きしたい、こう思う次第であります。

黒田委員 大臣、道州制そのものの議論ということを聞いているんじゃなくて、今のこの日本の構造の問題、一極集中に至るこういった構造の問題を認識しているならば、そういったそもそもの構造改革が必要じゃないですかということをお聞きしているわけでありまして、そういった大臣の認識について、再度お答えいただければというふうに思います。

安住委員長 伊東地方創生大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔にお願いします。

伊東国務大臣 私も昔、道州制を少し勉強したことがありまして、そのいい点、悪い点を含めて認識をある程度持っていたものでありますから、先ほどのような答えになったかと思います。

 いずれにいたしましても、その地域に住む皆さんがそれで幸せを感じ、地域全体が発展していくということが、この趣旨であろうというふうに思います。

黒田委員 地方各地を元気にしていくということと、構造的な問題にしっかりと着手しないといけないというところは、政府としても真っ正面から向き合っていただきたいというふうに思います。

 そして、済みません、時間が参りましたけれども、村上大臣、せっかくお越しいただいたんですけれども、大臣に対する質疑に関しましては、僕自身が総務委員に所属させていただいておりますので、そこでさせていただけたらというふうに思います。どうも申し訳ないです。

 それでは、質問を終わります。

安住委員長 これにて黒田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 一昨日の予算委員会で、能登半島地震、豪雨災害で現場で直面している課題と、今後の防災・減災対策について質問をさせていただきましたが、引き続きお伺いをさせていただきたいと思います。

 冒頭、官房長官への質問でございましたけれども、現在退席中でございますので、質問を入れ替えて、順番を入れ替えて質問させていただきたいと思います。

 まず、被災者支援の差異について赤澤大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日も、被災地を訪れた際に、同じ被害を受けているのにどうして住んでいる場所で支援が変わるんですか、こういう指摘を受けました。被災者が住まいの地域によって支援が異なってしまうということは非常に残念なことでありますし、是非是正できないものかと考えるところであります。

 具体的にでございますが、今年の一月から、被災者への支援の対応の部分で大きく変わったことがございました。それは医療費の免除であります。

 能登地域につきましては、広範囲にわたり皆様被災されているという状況でありますので、一月からも国保につきましては免除をされております。一方で、新潟県ですとか富山県内で液状化で一番大変なところでは、被災の状況は能登地域とは変わりませんけれども、新潟市においては、被災が新潟市の一部でありますので、いわゆる医療費の免除が受けられなくなっている状況であります。

 更に申し上げますと、国の宅地液状化防止事業でありますが、地方公共団体も二・五%の負担が発生いたしますが、熊本地震におきましては、熊本市として、個人の宅地ではありますけれども、公共的な事業と捉えて居住者負担をなしとしました。公共的な事業とみなさない地方公共団体では居住者に負担を求めるということで、同じ被災なのに対応が異なってしまう、こういった事態が見受けられるところであります。

 今後、内閣府防災を格上げして、予算も倍増して防災庁を設置するわけでありますので、このような被災者への支援の差異が出ないよう、例えば、国として、災害対応基金のようなものですとか、また特例制度をつくりまして、今後の被災者支援の視点といたしまして、地方公共団体と連携しながら、支援の差異の解消、こういった課題も是非検討していくべきと考えますが、赤澤大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

赤澤国務大臣 問題意識は全く共有をいたします。

 災害時に、住んでいる地域によって救われる命と救われない命があってはならない、そして、地理的条件が不利な地域や財政的に厳しい地域を含め、いかなる地域で災害が発生したとしても、避難所における支援などの行政サービスに何か不合理な違いがあってはならない、これがまさに石破総理がおっしゃっている人命、人権最優先の防災立国が目指す姿であります。

 各種の被災者支援制度の要件や内容は、被災状況や過去の災害における支援状況、また、地方自治体においてはそれぞれの地域の実情などを勘案して決定されるものと承知をしております。

 発災時に避難生活などにおいて受けることができる支援の質にばらつきが生じないよう、備蓄体制の改善などにも力を入れていきたいと考えておりまして、被災者目線に立った支援制度の整備を始め、防災庁を中核として政府一体となった災害対策を一層効果的、効率的に進めていくことができるように、委員の御指摘も踏まえながら、防災庁の設置に向けて準備を加速してまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 今、財政力、人口規模、地理的条件、行政の体制、様々な要因がありますけれども、この支援格差というのは被災者にとりまして大変深刻なことでございますので、問題提起をさせていただきました。

 次に、広域連携防災と地域防災の在り方についてお伺いをさせていただきます。

 石破総理は防災庁の設置を内閣の目玉にしておりますけれども、設置においては、今何が足りなくて、だから何をしようとするのかを明確にすることが大事だと思っております。

 我が党の提案により、補正予算で、TKB、トイレ、キッチン、ベッドを自治体が配備する予算、これが確保できたところであります。これにつきまして一言今日は言っておきたいと思いますけれども、内閣府から地方公共団体に向けて、導入交付金の地域防災緊急整備型の実施計画等の作成と提出につきまして、この提出時期が二月三日から今日の五日の十二時までという事務連絡がありました。これは制度上、年度内にとの制約があるのはよく分かりますけれども、全国の地方公共団体には小さなところも多く、この日程には私はかなり無理があったと思っております。諦めた自治体もあった、このようにお聞きしているところでございますが、非常に厳しかったということをあえて付言しておきたいというふうに思っております。

 このTKBの整備ですけれども、市町村でこれらを買いました、そろえましたというだけでは私は駄目だと思っております。防災庁を設置する中で一番大事なことは、広域対応をどうやっていくかということであると思います。各市町村でこういった機材が配備されても、他の市町村が配備されていないで一か所に集中しているということではなく、やはり広域で連携していく対応が必要であるということだと思います。横方向の地域連携と併せまして、縦方向、地方と国のスムーズな広域連携によりまして被災者の支援が円滑に迅速に行われていくことが極めて肝要だと思っております。

 広域での対応といたしまして、私は昨年来から、防災道の駅など、道の駅を拡充して、備蓄やトイレトレーラーなどを配備、こうしたことを活用するなどして、災害が起きたときに対応できる広域での災害対応拠点、これを整備するべきだと訴えさせていただいているところでありますが、今後、防災庁が設置されることによりまして地域防災の在り方がどう変わるのか、また備蓄や災害対応での広域連携がどうなっていくのか、そして、防災庁の設置によりどう対応がよくなっていくのか、こういった点につきまして、お考えを赤澤大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

赤澤国務大臣 この御質問についても委員と完全に問題意識を共有するものでございます。

 地域における防災体制を強化することや、自治体同士、国と自治体の広域連携を推進することは極めて重要であると考えております。

 まずは、防災庁設置までの間も、今日は坂井大臣がお見えで、坂井大臣が本来お答えいただくことかもしれませんが、ちょっと併せて私から申し上げますが、令和七年度から、内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面から抜本的に強化し、できることから取り組む所存でございます。内閣府に都道府県ごとのカウンターパートとなる地域防災力強化担当を置いて、備蓄、訓練研修、ボランティアとの連携などを促進していく予定でございます。

 また、広域での対応の強化に向けて、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材あるいは物資の分散備蓄や、避難所運営等を担う地域のボランティア人材の育成、研修等、そしてあわせて、委員が御指摘の防災道の駅など、拠点をどう整備していくかもしっかり検討して進めてまいりたいと思います。

 防災庁設置に向けては、先月三十日に開催したアドバイザー会議において、有識者の先生方から、都道府県を越えた広域連携を始め、あらゆる主体が連携し、総力戦で災害対応に当たる必要があること、そのためには、日頃から顔の見える関係を構築しておく必要があるなど平時の備えが重要であること、官民それぞれの主体の高い専門性を最大限に引き出すためのコーディネート機能が重要であることなどの御意見をいただいております。

 広域連携は大規模災害に対応するための非常に大きなポイントの一つと考えておりまして、令和八年度中の防災庁の設置に向けて、委員御指摘の点も踏まえながら、専門家の方々からの御意見も賜り、準備を加速してまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 広域連携ということを強調させていただいたのは、近年の自然災害というのは甚大化とともに広域化している傾向があるからであります。従来の市町村単位での対策では十分な対応が難しくなってきている。今経験している災害でもそれが分かってきている状況でございますので、是非、この広域連携を強力に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、災害法制に福祉的視点の導入ということについて、前回の委員会でも質問させていただきましたけれども、今国会では災害法制に福祉を明記する法改正が行われる予定でありますけれども、福祉的支援が機能するための体制整備、これをしっかりとやっていくことが大事であるというふうに思っております。

 まず一点目ですけれども、災害時の福祉支援活動を有効に行っていくには、被災高齢者等把握事業や保健師による訪問活動で把握した支援ニーズなど行政が把握した情報と、民間の福祉事業者が把握している支援ニーズとの連携が不可欠でありますけれども、現時点におきましては、個人情報の観点から情報の連携と共有ができていない状況であります。そのために、被災者のお宅に何度も調査を行うといったことも現地では起きまして、被災者にも支援する側にも負担となっている、こういった事態もありました。

 行政と民間福祉事業者等が情報共有できる仕組みを早急に整備するべきだと思いますけれども、坂井大臣の見解をお伺いさせていただきます。

坂井国務大臣 私も、能登の被災地で、委員御指摘のように、何回も何人も聞きに来て、それが負担になるという話を伺ってきたところであります。

 しかし一方で、そういうふうに被災者の方々の状況をお聞きをして、福祉的な面からもニーズをしっかり捉えて対応していくことの必要性は、各それぞれ、行政側の方々も、また支援に入ってくれているNPOの皆さんもよくよく本当に感じていることだということの裏返しかと思います。

 それが無駄にならないように、そして、より効率的に、同じエネルギーで多くの方のニーズをすくい上げて形にするためには、おっしゃるように連携をしていくことが必要でありますし、そのためには、先ほどからも申し上げていますように、事前の備えであり、事前の準備が必要かと思います。

 今そこまで十二分にはいっていませんが、それでも、今はいろいろと連携は進めてはきております。災害時には、例えば、市町村長は社会福祉協議会等の福祉関係者に対しまして、本人の同意なしに、避難行動要支援者名簿情報、それから個別避難計画情報などを提供することが可能になり、提供するようにしておりますし、また、被災者の見守り・相談支援等事業等を活用して、今御指摘のように福祉関係者が御自宅を訪問をしている、そういった活動で現場の声を、行政ではなくて、そういったNPO、福祉関係者の方々に聞いていただくというふうなことも努力をしているところではありますが、いまだ不十分ということかと思います。

 先日も、福祉関係団体等の連携強化を図るため、個別避難計画推進全国協議会という、全国の団体の代表者を集めた会議を立ち上げたところでございまして、福祉的なニーズをしっかりすくい上げて、そうした無駄なく効率的に支援を講じるための努力を進めてまいりたいと思います。

中川(宏)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 そして、被災地に伺って常々思うことは、被災支援の哲学、これを場所の支援から人の支援へ大きく発想の転換を図っていくべきではないかと思っております。ですので、罹災証明の在り方につきましても、従来の家屋被害だけでなく、被災による個々の生活への影響を踏まえた支援へと転換していくべきだと思いますが、この点についても御見解をお伺いしたいと思います。

 また、今回、現場では、罹災証明の発行の手続に何か月も人を投入して、配備して対応していただきましたが、本当に進まなかった現状がございます。罹災証明書がなければ次の支援のステップには行けないということでありまして、この罹災証明書を抜本的に見直しして、早期発行によりまして被災者の皆様が手続に早く入っていけるような、こういった体制も考えるべきだと思いますが、この点につきまして坂井大臣にお伺いします。

安住委員長 坂井大臣、手短にお願いします、時間が間もなく参りますので。

坂井国務大臣 まず、この罹災証明書でありますが、私も被災者からかなり御指摘をいただいた点でございます。

 制度を様々、どういう制度がいいかということを含めて、これは不断の検討を進めていかなければいけないテーマだと思いますが、今、日本行政書士会連合会や日本不動産鑑定士協会連合会等々で被災自治体の支援に係る連携協定を締結するなど、迅速に行う努力はここもまた進めさせていただいております。

 そしてまた、場所から人へというお話でありますが、恐らく災害ケースマネジメント等の事柄を想定されているのではないかと想定いたしますけれども、まさしくそういった形で、いろいろな連携を効率的にしながら、人を、その方の生活全体を支えていくという発想に変えていくことが必要だと思っておりまして……

安住委員長 時間が参っております。

坂井国務大臣 その方向でしっかり進めさせていただきたいと思います。

中川(宏)委員 官房長官への質問があったんですけれども、時間になりましたので、またいずれ質問させていただきたいと思います。済みませんでした。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこさん。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 万博予算について。

 本日の午前中に、大阪府の吉村知事が石破総理に面会したんだと。万博の売れていないチケットのことで相談しています。ネットの販売の仕組みでいろいろ煩雑なことがあって売れていないんだということで、それで、速報で、石破総理が当日券を買えるようにしたいと言ったというのが速報になっているんですけれどもね。

 でも、吉村知事は万博協会の副会長なんですけれども、そういう上役なんですけれども、何で総理にそれを頼まないといけないのかとよく分からないんですけれどもね。どういう権限で、吉村知事には、万博副会長には何でその権限がない、当日券を買えるようにしていいかという、ちょっとよく分からないですけれども、さておき、売れないチケット問題というのは確かにありまして、それは背景に、万博IDを取らなきゃいけないという問題が大きくあるんですね。

 売れないというのは、これは赤字をつくっている問題なんですけれども、そもそも、この万博ID、万博チケットを買うだけで万博IDを取得しないといけなくて、その万博IDを取得するときに、チケットを買う方の個人情報がむちゃくちゃ抜き取られるということが、今、X、ツイッターで話題になっていまして、内容も非常に、これは個人情報の取られ方が異常なので、変えなきゃいけないんです。万博協会の個人情報保護方針、これに全部同意して、ぽちっと押さないとチケットを買えないんですけれども、そのときにむちゃくちゃ個人情報が抜き取られると。

 例えば、これはいっぱいあるんですけれども、氏名とか住所とかは当然のこと、例えば生体情報、顔画像、音声、指紋等と。これからいっぱい言っていきますが、等と言っていっぱい取っていくんですけれども、所属先に関する情報、企業名、団体名、部署名、役職等とかね。そんなの要りますか、チケットを買うのに。医療に関する情報、障害者認定の有無等とかね。ほかにも、SNSの、LINEとかXとかグーグル等のアカウントとかパスワードに関する情報等ということで、ほかにも閲覧履歴、購入履歴等とか、もうむちゃくちゃ抜いてくるんですよ。

 伊東万博大臣にお伺いしたいんですけれども、これは何に使うんですか。

茂木政府参考人 まず、万博IDを取得するときに必要なものというのは非常に限定的でございまして、今委員から幾つか挙げていただきましたけれども、氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、居住国、これが必須情報でございまして、それ以外に挙げていただいた情報については、万博IDの取得時には必要ではございません。

大石委員 勝手に、それしか使いませんと言っているだけで、個人情報保護方針には、これだけ抜きますよと書いてあるんですよ。だから問題やと言っているんですよ。

 何か手を挙げてはりますけれども、何かあるんですか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の個人情報保護方針は、協会が定める個人情報保護に関する方針でございますが、これは業務を進めていく上で必要な個人情報の扱いをある意味包括的に定めている方針でございます。

 したがって、来場者が万博IDを取得するときの個人情報もございますが、それ以外にも、万博会場で働かれる職員の方、これは日本人もいらっしゃいますし外国人の方もいらっしゃいます。こういう方の、例えば、出入に対するIDを出したりするときに必要な情報も含めまして包括的に規定を定めておりまして、万博IDの取得時には、先ほど申し上げたような非常に限定的な情報だけを取得しているということでございます。

大石委員 いいですか、万博IDを取得するときに、それらの個人情報保護方針を全部スクロールして、同意します、ぽちっとやらないと、万博IDを取得してチケットが買えないんですね。

 先ほど、包括的に言っているだけやとおっしゃっていましたけれども、包括的にやったら駄目なんですよ。個人情報保護法の十七条がありまして、「個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」と書いてあるんですよ。

 この個人情報保護法に基づいて、万博で単なるチケットを買うだけなのに、こんなことをやっているのは万博協会だけなんですね。ほかにも、チケットを買うとか、いろいろなネット通販ってあるじゃないですか。例えば、楽天とか、そういうネット通販とか、インターネットバンキングの銀行とか、同じ、イベントのチケットを買うチケットぴあとか、そういうところでも個人情報保護方針を出しているんですけれども、こんなずさんな、ざっくりやっていないんですよ。フルスペックのあなたの情報を、個人情報を抜いていいですね、同意、とかはやっていないんですよ。

 実際に、チケットぴあとかそういう近いところで比べてみても、まず生体情報自体は抜いていません。要らないですよ、生体情報とか、顔情報、音声、指紋等とか。要らないから、それはチケットぴあでもやっていませんし、パスワードとか識別子とか、それはログインに要りますので、ユーザー名とかIPアドレスは抜きますよというふうに、一対一で、何の目的に使うかは全部書いてあるんですよ、これは個人情報保護法に基づいて。なのに、万博協会はこれをやっていないから、煩雑どころの騒ぎじゃなくて、これは変えなきゃいけないんですね。

 もう一つ、大きな問題があるんですよ。こうやってフルスペックの個人情報、ほとんど、その情報を抜かれたら成り済ましが生き続けることも可能ぐらいの、あなたのIDの全てみたいな情報を提供してよろしいですかみたいになった挙げ句、これは第三者にも提供できるということになっているんですよ。

 第三者にどういう人がいるかというのを、これは一部ですけれども、例えば、SNS事業者、広告関係会社、データ分析事業者、協会が業務を提携する事業者と、またざっくりした第三者にフルスペック情報を提供できるたてつけになっているんですけれども、伊東万博大臣にお伺いしますけれども、それらの業者、第三者って誰ですか。

伊東国務大臣 繰り返しになりますけれども、万博チケットを公式ウェブ上で購入する際は、個人情報保護方針への同意をした上で、氏名やメールアドレス等をユーザーの基本情報として万博IDへ登録することが必要となるわけでありますが、個人情報保護方針に列記されている全ての登録は不要で、個人情報の登録は不要であります。

 例えばパスポート番号につきましては、パビリオン出展者等の入場証の発行に当たって、身分証明の一つとして用いられる場合があることを想定して規定されたものであり、一般来場者の万博ID登録に際して求めていないわけであります。

 生体情報につきましても、通期パスや夏パスなど、期間パスを発行する場合に限り、顔認証を可能とするための一般来場者の顔写真の登録が含まれるわけでありますけれども、必要以上の情報を求めるものではありません。その他の情報についても、必要最小限度の、同意を得た上で情報の入力をいただくものであります。

大石委員 そんなことをおっしゃっていますけれども、個人情報保護方針には何も書いていないし、今おっしゃっているけれども、そんなこと証明できないし、万博IDの登録だって、グーグルのIDとひもづけて登録するというやり方もありますからね。その過程で何が抜かれているかなんか分からないから、だから個人情報保護法でこの特定の目的でこれだけを使いますというふうに定めるようになっているのに、個人情報保護法に基づかないような、フルスペックであなたの情報は抜けますよという包括的なものを結んではいけないんですよ。

 かつ、第三者にデータ提供ができる。先ほど、チケットを買う、ほかにもボランティアの人、いっぱいの方に万博の個人情報保護方針を結ばせるんですね。それ自体も問題で、第三者にデータ提供するというのも、ほかのチケットぴあとかでも全然やっていないんですよ。ほかのところでも第三者に提供することがありますという文言は間々あるんですけれども、その第三者が何という会社かというのは、一覧、ちゃんと固有名詞の会社が書いてあるんですよ。なのに、この万博協会の個人情報保護方針にはそれが一切書いていないので、幾らあなたの感想で、何も、こういうことには使わない、実際にデータ入力するときにこうなっていないとかおっしゃっているけれども、何の証明もないですし、この方針上、たてつけでフルスペックで個人情報が抜かれて、フルスペックで、ざっくりとした第三者に提供できるたてつけになっているのです。

 だから、これは変えなきゃいけないんです。変えていただけませんか、法律に基づいて。

伊東国務大臣 例えば、御指摘の外国政府については、公式参加者……(大石委員「指摘していないです。指摘していないので、それは別の質問なので、ちょっと。時間もあるし」と呼ぶ)

安住委員長 静かに、静かに。今答弁中です。

伊東国務大臣 私も同じような心配があったものですから、事務局には何回も念を押したんですけれども、先生おっしゃられるような、情報がだだ漏れするようなことはないというふうに聞いていたところであります。

安住委員長 大石さん、少し時間が短くなってきました。

大石委員 万博自体がデータ活用、ビッグデータを活用するという特区にも認定されていまして、ほかの類似の事業者を見て普通作るだろうに、こういうたてつけなので非常に怪しい、疑われても仕方がないし、ほかにも、再識別をしたらいけないのに再識別できるようなたてつけにもなっているので、これは時間がないのでまた後日行います。

 このように、問題のある万博なんですけれども、近畿地方において遠足の動員が子供たちになされるという、この問題も言っておきたいと思います。

 近畿地方の府県で、学校教育の一環として、今のような個人情報保護も守らないような、教育に悪いんですけれども、学校教育の一環として児童生徒を万博に参加させるという事業を計画しているんですけれども、これはやめなきゃいけない。遠足動員をやめていただきたい。

 実際に遠足動員の参加を見送る自治体が増えているんですね。元々、大阪府内、八十八万人の子供を動員しようとしていた。それが今五十八万人まで減っているんですけれども、もっと減るでしょう。例えば、交野市、熊取町、吹田市、島本町が遠足に参加はしないと自治体ごと撤退しました。豊中市では、保護者が署名運動を広げて、低学年は参加しない学校が増えている。これは大阪市内でも同傾向です。

 何で参加しないのかなんですけれども、会場で三月にメタンガス爆発が起きたんですよね。私も去年、質疑で取り上げましたけれども。熱中症などの安全対策が完全ではない……

安住委員長 大石さん、時間が過ぎました。

大石委員 えっ、そうですか、あと三十秒あるんですけれども、カウントでは。

安住委員長 いや、今、五十四分十一秒です。

大石委員 いや、あと三十秒あるんですよ。あと二十五秒待ってください。十三分あるので。

 希望するパビリオンに行けないとか、下見ができないので、教育目的が分からないなどが理由とされているんですよ。実際にこれは、大阪の子供たち、万博やのに、海外のパビリオンは行けないんですよ。日本のパビリオンの中で空いているところを直前に指定されて、それで行くって、それの何が遠足やねんと。教育に悪いじゃないですか。

 だから、こういう遠足は撤退していっているんですけれども、万博大臣、子供の招待、こんなのはやめるべきと思いますが、やめていただけますか。

安住委員長 もう質疑の時間はございません。答弁はできません。時間が過ぎました。終わってください。

大石委員 万博予算の中止を求めます。

 終わります。

安住委員長 これにて大石さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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