第11号 令和7年2月17日(月曜日)
令和七年二月十七日(月曜日)午前八時五十九分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
井野 俊郎君 岩田 和親君
黄川田仁志君 国光あやの君
河野 太郎君 國場幸之助君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
土屋 品子君 寺田 稔君
永岡 桂子君 中曽根康隆君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山田 賢司君 今井 雅人君
大西 健介君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 酒井なつみ君
佐々木ナオミ君 階 猛君
竹内 千春君 野田 佳彦君
藤岡たかお君 藤原 規眞君
本庄 知史君 矢崎堅太郎君
柳沢 剛君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
徳安 淳子君 西田 薫君
前原 誠司君 守島 正君
許斐亮太郎君 田中 健君
丹野みどり君 長友 慎治君
橋本 幹彦君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 平林 晃君
櫛渕 万里君 高井 崇志君
志位 和夫君 田村 貴昭君
緒方林太郎君
…………………………………
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣 武藤 容治君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(サイバー安全保障担当) 平 将明君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(全世代型社会保障改革担当) 赤澤 亮正君
財務副大臣 斎藤 洋明君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 平井 康夫君
政府参考人
(内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局審議官) 岩井 勝弘君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門松 貴君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 七澤 淳君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室長) 坂越 健一君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 堀本 善雄君
政府参考人
(消費者庁次長) 吉岡 秀弥君
政府参考人
(総務省行政管理局長) 平池 栄一君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 大鶴 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 柏原 裕君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局アフリカ部長) 堀内 俊彦君
政府参考人
(外務省国際協力局長) 石月 英雄君
政府参考人
(外務省国際法局長) 中村 和彦君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(財務省主計局長) 宇波 弘貴君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 谷村 栄二君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小見山康二君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 伊吹 英明君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(中小企業庁次長) 飯田 健太君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
政府参考人
(防衛装備庁長官) 石川 武君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
二月十七日
辞任 補欠選任
国光あやの君 中曽根康隆君
高木 啓君 黄川田仁志君
谷 公一君 井野 俊郎君
土屋 品子君 永岡 桂子君
酒井なつみ君 矢崎堅太郎君
藤岡たかお君 野田 佳彦君
池下 卓君 前原 誠司君
徳安 淳子君 猪口 幸子君
西田 薫君 阿部 圭史君
長友 慎治君 田中 健君
河西 宏一君 平林 晃君
櫛渕 万里君 高井 崇志君
田村 貴昭君 志位 和夫君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 岩田 和親君
黄川田仁志君 高木 啓君
永岡 桂子君 土屋 品子君
中曽根康隆君 國場幸之助君
野田 佳彦君 藤岡たかお君
矢崎堅太郎君 藤原 規眞君
阿部 圭史君 守島 正君
猪口 幸子君 徳安 淳子君
前原 誠司君 池下 卓君
田中 健君 丹野みどり君
平林 晃君 河西 宏一君
高井 崇志君 櫛渕 万里君
志位 和夫君 田村 貴昭君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 谷 公一君
國場幸之助君 国光あやの君
藤原 規眞君 佐々木ナオミ君
守島 正君 西田 薫君
丹野みどり君 許斐亮太郎君
同日
辞任 補欠選任
佐々木ナオミ君 竹内 千春君
許斐亮太郎君 長友 慎治君
同日
辞任 補欠選任
竹内 千春君 柳沢 剛君
同日
辞任 補欠選任
柳沢 剛君 酒井なつみ君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官平井康夫君外四十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 本日は、我が国を取り巻く外交、安全保障問題等についての集中審議を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれんさん。
○牧島委員 おはようございます。自民党の牧島かれんです。
週末の発表を受けまして、一問目は、高額療養費制度の見直しについて質問をいたします。
この制度、三割負担の患者さん、今、お薬の値段も上がってきていますので、三割負担といっても自己負担額が大きくなってしまう。だからこそ、この負担額、自己負担額の上限というものを設けています。この上限を超える部分については高額療養費制度で賄うということになります。だからこそ、この制度を維持する必要がある、維持するためには見直しが必要だという御意見も寄せられてきました。
一方、患者団体の皆様からは、長期にわたって治療されている患者さんにとって不安のない制度にしてほしいという御要請がありました。当初、この団体の皆様からは、七回目以降、自己負担額を下げるという御提案がありましたが、今厚労省から発表されている修正された案は、この患者さんの団体の皆様が当初提案されたものを、より踏み込んだ案になっているというふうに考えております。
長期にわたる治療、又は毎月のようにお薬を飲まれている患者さんにとって、この方たちというのは複数回該当と呼ばれている方々、この複数回該当の患者さんに対する見直しは行わない、複数回該当の見直しは凍結をする、今までどおりにするというふうに厚労省は高額療養費制度見直しの修正を発表されました。
その趣旨について、まず冒頭、御説明をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 先週金曜日に、福岡厚労大臣が患者の団体の皆様とお会いをいたしました。その際に、団体の皆様から、総理の言葉で国民に対して説明してほしいというようなお話があったというふうに報告を受けております。
この機会をいただいて説明を申し上げます。
今御指摘のように、近年、高額なお薬、薬剤が登場いたしました。健康保険組合では、一月で一千万円以上の医療費がかかるケースが令和五年度に二千件以上、この十年間で七倍となっております。
このような中で、高額療養費の総額は、医療費全体の倍のスピードで伸びております。前回の見直しが平成二十七年度でございましたが、そのときと比べますと総額は三千六百億円、平成二十三年度から比べますと八千億円増加をいたしております。
年収七百万円の方の場合に、医療費が百万円のケースで自己負担は月八・七万円となりますが、残りの約九十一万円は被保険者の皆様の保険料、税で賄われておる、こういうことでございます。平成二十七年度以降、高額療養費の見直しを行っておりませんで、自己負担以上に保険料負担が増大をいたしておるということでございます。
今後もこうしたペースでこれが増加し続けました場合、この制度というものの持続可能性、このすばらしい制度がずっと続いていくことができるんだろうかということ、現役世代を中心に保険料負担はどうなっていくんだろうかという大きな課題も一方においてございますので、前回見直しを行った約十年前からの賃金の変化などを踏まえた負担限度額の引上げを行いつつ、平均的な所得を下回る方については引上げ率を抑制するとともに、施行を三回に分けるなどの配慮措置を講じた上で、この制度の見直しを行うということにしておりました。
その後、国会でも御指摘をいただきました。そして、厚生労働省及び厚生労働大臣において患者団体の皆様方と複数回面会をさせていただき、切実なお声をお伺いしたところでございます。私自身も、その報告を受けまして、また、この予算委員会におきましても与野党の各委員から患者の皆様方のお声をお聞かせをいただきました。その多くは、毎月のお支払いが大変だというお声、そして、三か月に一度の処方であるが治療が年単位になっているなど、長期にわたって治療を継続されておられる方々の御不安の声であったというふうに承知をいたしております。
これを踏まえまして、今般、高額療養費に年四回以上該当される方の自己負担額の見直しを凍結し、据え置くということを政府として決断をさせていただきました。これによって、現に長期間治療が続き、先が見えない中で経済的な御不安を感じておられる方々にとって、負担額は変わらないということになります。
一方、仮に今回の高額療養費制度の見直しを全て凍結をいたしました場合には、後期高齢者で年額平均千円、現役世代では年額三千円から四千二百円、この保険料が負担増になります。
政府には、保険料負担の増に対する多くの切実な御不安の声も届いておりまして、この払拭も喫緊の課題でございます。多数回該当の見直しを凍結しつつも、高額療養費制度の見直し自体は実施をさせていただき、この大切なセーフティーネットを次の時代にも持続可能なものといたしたいと思っております。
患者の皆様方と被保険者の皆様、どちらのお声も真摯に勘案をして、政府としてこのような結論に達したものでございます。
○牧島委員 総理から丁寧な御説明をいただきました。長期治療に当たっておられる患者さんに寄り添った形の修正の提案であるというふうに受け止めております。
厚労大臣は以上でございますので、御退出いただいて結構です。
○安住委員長 はい、結構です。
○牧島委員 本日の予算委員会、外交、安全保障の集中ということで、話を進めてまいります。
まずは、石破総理、訪米お疲れさまでございました。
日米共同声明におきまして、自由で開かれたインド太平洋の戦略が堅持をされ、そして、日本とアメリカ、平和そして成長、繁栄というテーマで共同して進めていくということも確認をされました。自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった大きな価値観を日本はこれから世界の中で引っ張っていく役割が期待をされていると思います。
そこで、総理に一問目の御質問は、中国についてです。
力による現状変更の試みについて、そして台湾海峡についてどのように日米共同声明でまとめられたのか、御説明をお願いしたいと存じます。
○石破内閣総理大臣 今般の首脳会談におきましては、トランプ大統領との間で、東シナ海、南シナ海などにおける力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対すること、台湾海峡の平和と安定が重要であること、これを強調いたしました。
法の支配、平和と安定を日米の協力の下で堅持していくことは、日米のみならず、国際社会全体にとっても極めて重要でありまして、引き続き、同盟国でありますアメリカ合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対しても、その立場にふさわしい責任を果たしていくということを働きかけてまいりたいと考えております。
○牧島委員 続いて、北朝鮮についてです。拉致問題。
有本恵子さんのお父様がお亡くなりになりました。その報に接し、心を痛めております。心からお悔やみを申し上げるところでございます。さぞ無念であっただろうと思います。
拉致被害者の親世代は、横田めぐみさんのお母様、早紀江さんだけになってしまいました。一刻の猶予もありません。さらに、拉致問題だけではなく、北朝鮮は核及びミサイルの脅威もございます。この点、アメリカ側の反応を含めて、総理からの御報告をお願いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 有本明弘さんには、私も、つい数か月前、お目にかかってお話をさせていただきました。二十三年、私自身、存じ上げておる方でございます。今回、亡くなられましたことは本当に残念でありますし、最後に交わした言葉というものは私の脳裏に強く焼き付いておるところでございます。
そういう中で、一日も早い拉致被害者の御帰国ということは、あらゆる手段を使って実現をさせていかねばならないところであります。日米首脳会談におきましても、即時解決につき、私の方から申し述べ、支持を得たところでございます。
これは我が国の主権に対する侵害でございますので、あくまで我が国が解決すべきものでございますが、トランプ大統領が今後、金正恩氏と面会するに当たって、常にこの拉致問題というものを提起をし、日本の拉致問題の解決ということを決して忘れてはならないということを常に大統領から金正恩氏に対して提起をするということは、極めて意義深いものだと思っております。
しかしながら、アメリカ頼みでということではございません。我が国として、あらゆる方策を講じてこれを解決するということは、私どもの内閣として至上命題であるというふうによく認識をいたしております。いろいろな御提案を今後とも承ってまいりたいと存じます。
○牧島委員 今総理から、至上命題である。早期解決に向けて、私たちも力を合わせていかなければならないというふうに思っております。
私たちが守らなければならない安全保障領域、陸海空を超えて宇宙、サイバーへと広がってきています。サイバーセキュリティーの法案、一日も早く成立をさせるべきだと訴えてまいりました。今、準備に入っている、だからこそ、私たちは成立を今国会で実現をしていきたいと思います。
平大臣とは、オーストラリアのサイバーセキュリティーセンターを共に視察をさせていただきました。そこで私たちが見たのは、ナレッジウォールというものでした。リアルタイムで情報が入ってきて、そこで深刻度、重要度、緊急性などがトリアージされて、次の対処に向かっていく。そのさまを見て、日本でも同じようなものをつくるべきだと私は考えてきました。
平大臣には、これから恐らく、協議会からも情報が入ってくる、また、インシデント報告も入ってくる、それを分析をし、国の関係機関に知らせる、そして対応に当たる。また、場合によっては、セキュリティークリアランスを持っている人に共有される。又は、秘密の情報は含まれていないので、広く国民に、重要インフラ事業者に伝えていくというふうに、情報のフローが流れてくることになると思います。
この体制の強化をお願いをしたいと思いますが、平大臣、お願い申し上げます。
○平国務大臣 牧島委員と、オーストラリア、二年前だというふうに思いますけれども、その当時から、サイバーセキュリティー、また、安全保障分野での、サイバー空間での防御といったものに問題意識を持ち、当時は、国会議員としての問題意識で、一緒にオーストラリアにお邪魔をさせていただいたところでありました。その後、自民党では、いわゆるサイバーセキュリティー、アクティブディフェンスに関するプロジェクトチームということで、牧島PTが立ち上がり、数次にわたって提言をいただきまして、ありがとうございます。
昨今の国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大やデジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえると、大企業といえども、一社のみ、若しくは民間のみ、若しくは官のみでサイバーセキュリティーの確保は極めて困難になっております。このため、牧島委員御指摘のとおり、政府が情報を集め、分析をし、その結果を率先をして必要な関係者に提供していくことが極めて重要であります。
先般国会に提出したサイバー対処能力強化法案においては、政府がインシデント報告、通信情報、協議会を通じて得られた情報などを整理、分析をして情報提供することを法定化をさせていただきました。具体的には、政府としては、サイバーの専門家が求める技術情報や、経営者の判断に必要な攻撃目的等に関する情報を積極的に提供していく考えでございます。
ただ、こうした情報には、攻撃者の詳細な活動状況やインフラ設備の具体的な脆弱性など、秘匿性の高い情報も含まれている可能性があるため、本法案では、国の行政機関や、一定の情報管理が義務づけられる協議会構成員などに限って、こうした秘匿性の高い情報も含めて提供できることとしております。
一方で、協議会に属さない方々に対しても、こうした秘匿性の高い情報を適切に取り除いた上で、サイバー攻撃による被害を防止するために必要な技術情報を中心に周知、公表を図ることとしております。
こうした一連の取組を通じて官民双方向の情報共有を促進をすることで、我が国の全体のサイバーセキュリティーを強化をしていきたいと考えております。
○牧島委員 情報の適切な共有によってサイバーセキュリティー体制が強化されるフローについて、大臣のイメージを私たちに共有をしていただいたと思います。
総理、このように、情報やインテリジェンスの重要性というものが高まってきています。日本においては、インテリジェンスコミュニティーといいますと、内調、内閣情報調査室が取りまとめる形で、警察庁、外務省、防衛省、そして公安調査庁が存在をしています。それぞれに特徴がありますし、得意としている分野もあるのだというふうに思います。
一方で、人員体制も予算もほかの国に比べて圧倒的に少ない、低いということに私は課題を感じています。このインテリジェンスの強化について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 この問題は、私も三十年来取り組んでおるところでございます。
委員御指摘のように、じゃ、情報サイクルというものがあって、つまりオーダーがあって収集をして分析をする、こういう情報サイクルがうまく機能しているのか。今御指摘のように、いろいろな機関がありますが、それぞれがばらばらなことを言っておってもどうにもならない。そういうような、情報収集・分析体制はこのままでいいのかということ。そして、予算、人員、そしてもう一つは権限、これは今のままで十分なのかということについては、国会の御議論を踏まえて、我々としても結論を出していかねばならないところでございます。
情報にはエリントとかシギントとかヒューミントとかございますが、電波情報であり画像情報であり人的情報でありということですが、特に人的情報の面において、私どもはなお十分ではないところがあるのではないかというふうに考えております。定性的に、圧倒的に不足をしているということは、私自身、よく認識をしておるところでございますが、いろいろな国が、我が国の情報収集の体制はこうなっておりますよなぞということは、なかなか明らかにはなりません。
しかしながら、私の問題意識として、そういうような機関が必要なのではないか、では、それは内閣府の外局なのか、外務省の外局なのか、そこにおいてどのようにして情報の集約を行うのか、そして、権限というものが本当に今のままで十分なのかということ、そこにおいてどのようにして秘密が保全されるかというのは、極めて重要な課題でございます。そのことについて、国会でも御議論をいただいて、我々政府として解を見出していかなければならない。
サイバーセキュリティーの重要性はよく認識をいたしておりまして、今国会におきまして法案の成立を期したいと考えておりますが、是非、この体制についても、国会における御議論を賜り、私ども政府としてもきちんと検討して答えを出していかねばならない、そのような認識を持っておるところでございます。
○牧島委員 石破総理からヒューミントが重要だという御答弁をいただいたこと、私も同意をするところでございます。
今、日本を取り巻く安全保障状況は厳しさを増しています。だからこそ、抜本的な防衛力の強化が必要だ。そのためには財源が必要だ。だからこそ、法人税、たばこ税、所得税の三税による税制措置が、私たちは今議論しなければならないんだということを認識をしておりますけれども、その意義について、まず防衛大臣から、そして財務副大臣からも御答弁をお願いしたいと思います。
○中谷国務大臣 牧島委員の御指摘のとおり、今、最も厳しく、そして複雑な安全保障環境に対峙して、何といっても抜本的な防衛力の強化というのは必要でございます。
この点におきまして、現在、国家防衛戦略におきまして、防衛力の抜本的強化は、将来にわたって維持強化をしていく必要があるとされておりまして、今般の日米首脳会談の共同声明におきましても、現行の戦略に基づき、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメント、これを表明し、しかも、日本の自主的そして主体的な防衛努力に対して、米国も認識をしているということでございます。
こういった防衛力を安定的に支えるためには、何といってもしっかりとした安定的な財源確保、これが必要でありまして、それを、国民の皆様の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる努力を行った上で、それでも足りない部分におきましては税制措置での御協力をお願いしているところでございます。
この税制措置につきましては、与党の税制調査会等における御議論の結果として、閣議決定及び法律において、法人税、たばこ税、所得税の三つの税目を対象とすることとされているところでございますが、様々な配慮を加えまして、国民の皆様の御負担を抑えるという内容となっております。
防衛省といたしましても、この抜本的強化を実現するために必要な予算につきましての国民の皆様方の御理解を得られるように、これからも丁寧な説明をしまして、防衛力の抜本的強化、これを達成してまいりたいと考えております。
○斎藤副大臣 お答え申し上げます。
国家安全保障戦略等に基づき抜本的に強化される防衛力は将来にわたり維持強化していく必要があり、これを安定的に支えるための財源も確保していく必要があります。ただいま防衛大臣から答弁申し上げたとおりでございます。
具体的な内容について私から補足いたしますと、この税制措置につきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、法人税については、令和八年四月一日以後に開始する各法人の事業年度から税率四%の新たな付加税を創設する。たばこ税については、令和八年四月より加熱式たばこの課税の適正化を、令和九年四月から税率引上げをそれぞれ段階的に実施をする。所得税については、令和五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえ、引き続き検討するとされたところです。
その際、例えば、法人税の措置につきましては、中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から五百万円を控除する仕組みとすることで全法人の九四%程度が対象外となる見込みであるなど、様々な配慮が加えられております。
こうした安定財源の必要性や様々な工夫について国民の皆様に御理解いただけますように、丁寧な説明に努めてまいります。
○牧島委員 防衛大臣、自衛官の処遇改善も重要なテーマだというふうに考えています。
自衛官候補生として入隊すると十七万九千円が初任給であったわけですが、これは制度の見直しもあって、入隊すると二十二万四千六百円と変わっていきます。
初任給が変わるものだけが自衛官の処遇改善ではないと思います。生活空間の個室化ですとか、インターネットにつながりやすい無線LANの整備なども併せて、複数年度にわたって処遇改善、環境整備を進めていく必要がありますけれども、まずは令和七年度に着手をすべきものについて、防衛大臣のお考えをお聞かせください。
○中谷国務大臣 御指摘のとおり、自衛官の人材確保、これは至上命題でありまして、昨年、石破総理を議長とする関係閣僚会議におきまして取りまとめた基本方針、これに基づきまして、関連事業に係る経費として令和七年度予算案に四千九十七億円を計上いたしました。
この七年度におきましては、具体的には、採用が厳しい士のクラスの確保のための方策を含む、過去に例のない三十を超える手当等の新設、金額の引上げ、これによる処遇改善を行ってまいります。また、営内居住者につきましては個室化、また、駐屯地、基地における無線LAN、これの環境の充実による生活、勤務環境の改善を行います。さらに、再就職、これの拡充による新たな生涯設計の確立に加えまして、採用促進のための広報、募集の強化といった取組を進めてまいってきております。
この基本方針で取りまとめた各施策を確保するために、引き続き、事業実施をし、隊員の処遇、また生活環境の改善にスピード感を持って全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○牧島委員 関係閣僚会議が開催されることによって議論が積み上がって、そして具体的な施策につながっている事例だというふうに思います。
もう一つ、外交官の処遇、また在外公館に勤務をされる、赴任をされるときの手当の在り方についても外務大臣と課題認識を共有させていただきたいと思っています。
日本の外交官がある町に赴任をされた、そのときに、ほかの国の外交官に比べて手当が低い、又は、同じ日本人であっても民間の駐在の方に比べて圧倒的に低いということですと、外交力の低下を招きかねません。やはり外交の要諦は人にあるというふうに思います。
それだけではありません。大使館や領事館の修繕が間に合っていないものが出てきています。万が一のときの日本人を保護しなければならないといったようなケースを考えたときに不安が残るようでは困りますし、大使館や領事館というのもまた日本の顔だと私は考えています。
だからこそ、領事体制の強靱化、あらゆる意味で強化をしていく予算を編成すべきだというふうに考えておりますが、外務大臣のお考えをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 毎年、牧島委員にも御尽力いただいております自民党の外交力強化決議におきましても言及されておりますとおり、おっしゃるとおり、在外公館は我が国の顔でありますし、ある意味最後のとりででもございます。
特に、近年、世界各地で緊急事態対応あるいは邦人保護案件が頻発してきておりまして、領事事務対応に遺漏なきを期していかなければいけないと思っております。そのためにも、在外公館施設の営繕や人的体制の整備を含めた外交最前線の体制整備、強化が重要だと認識しておりまして、私もこの取組に強く指示を出しているところでございます。
具体的には、警備面も含めまして、今御指摘のあった老朽化している施設への対策、それから、高い家賃を払い続けるよりも、むしろ国有化した方が経費の抑制になるというところもございます。こういった中長期的な取組の視点を持って、在外公館の強靱化を引き続き計画的に推進してまいりたいと考えております。
また、人的体制も、令和七年度予算案をこの国会でお認めいただければ、在外公館の定員数は前年比で五十六名増の三千七百七十四名となります。外務省の場合、半分は外に出ているということになりますが、その外交活動の最前線に立つ職員が、その職務と責任に応じて能力を十分発揮することができるように、在勤手当の不断の見直しを含む各種の体制整備を行ってまいりたいと思います。
○牧島委員 体制強化、引き続きお願いを申し上げます。
外務大臣、TICAD9がこの八月に横浜で開催されます。横浜の関係者は、大変精力的に準備を進めてくださっています。
もちろん、石破総理がアフリカの首脳とバイで会談をするということが重要であるのは間違いありませんが、TICADはそれだけにとどまらないというところが大事だと私は考えてきました。
特に、今年のテーマはユース、若者にあります。日本の、そしてアフリカの若い世代の皆さんがそれぞれの未来を共に議論するような場を増やしていきたい、だからこそ、TICAD9は、外務省の一行事にとどめることなく、あらゆる政策テーマが課題になりますので、オール・ジャパンの体制で臨んでいただきたい。TICAD9に向けた外務大臣の意気込みをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 毎回、横浜で大変お世話になっております。
本年八月に横浜で開催するTICAD9に向けましては、まず、昨年八月に東京でTICAD閣僚会合を開催をいたしました。そのときに、革新的課題を解決するための共創、アフリカとともにというテーマを設定いたしまして、その成果の方向性を議論し、共同コミュニケを発表することができました。
外務省としては、その成果も踏まえまして、アフリカ諸国や日本国内の様々な関係者の皆さんの声を聞きながら、今、TICAD9に向けた検討と準備を進めているところでございます。特に、今御指摘のあった国内の関係省庁との間で、様々な機会を捉えて今議論を重ねております。
今後とも、共催者及びアフリカの諸国に加えまして、国内の関係省庁、独立行政法人、自治体、そして、御指摘のあった若者、民間企業、市民社会を含めた様々なステークホルダーと協力をしながら、TICAD9に向けてオール・ジャパンの体制で準備を進めていきたいと考えております。
○牧島委員 オール・ジャパン体制でという外務大臣からの力強い御答弁をいただいたところです。
外務大臣、Gaviワクチンアライアンスについてもお尋ねをしておきたいと思います。
これは、予防をすれば防ぐことができる感染症の対策、命を救うための組織として立ち上げられました。日本もドナー国ですし、しかも主要なドナー国、理事会のメンバーでもあります。一ドルがもたらす効果が大きいと言われています。一ドル投資することによって、かかるかもしれなかった医療費二十一ドルを削減することができる、又は、健康な生活を送ることで経済活動五十四ドル分を生み出すことができる。だからこそ、効果があると言われてきた枠組みであります。日本は、これまでも累計で約十六億ドル拠出してきました。次期戦略に向けて、三・三億ドルの要請が来ているということも聞いています。
グローバルヘルス、感染症というのは、日本がこれまでも世界においてリードをしてきた分野でありますし、遠い国の出来事ではなく、いつ日本に降りかかってくるかも分からないテーマである。もっと言えば、マラリアとかデング熱、黄熱病というのは、その分布がだんだんと上がってきている、変わってきているとも言われています。
そうした観点から、次期戦略に向けて日本もしっかりとコミットしていくんだということを確認をしておきたいんですけれども、外務大臣の御答弁をお願いいたします。
○岩屋国務大臣 今、牧島委員御指摘のあったGaviワクチンアライアンスと申しますのは、低所得国の予防接種率を向上させることによって、子供たちの命と人々の健康を守ることを目的として立ち上げられた官民連携のパートナーシップでございます。
我が国は、国際保健を外交の柱の一つに位置づけております。人間の安全保障の考え方に基づいて、全ての人が効果的で良質な保健医療サービスを負担可能な費用で受けられるということを目指すユニバーサル・ヘルス・カバレッジが達成されるように、各種の取組や支援を実施してきております。
その中で、御指摘のあったこのGaviワクチンアライアンスは、途上国における予防接種率を向上させ、人々の命と健康を守る活動を行っておりまして、引き続き積極的な役割を果たしてまいりたいと思います。
拠出額についてですが、現在検討中でございますが、新型コロナの収束や日本の厳しい財政状況等も総合的に考慮して、厚労省や関係省庁と連携しながら、慎重に議論を行っていきつつ、しっかりと貢献をしてまいりたいと考えております。
○安住委員長 牧島さん、そろそろ時間が参りました。
○牧島委員 日本は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・ナレッジハブも設置をし、多くの方に私たちの制度又は知見を共有するということになっております。引き続きこの取組が強化されることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、黄川田仁志君から関連質疑の申出があります。牧島さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。黄川田仁志君。
○黄川田委員 自由民主党の黄川田仁志です。
本日は、外交、安全保障に関わる集中審議でございますが、その前に、大切なことでございますので、私の地元であります埼玉県で発生しました八潮市の道路陥没事故についてお伺いします。
まずは、本事故に伴い行方不明となっているトラック運転手の方の救出を切に願いつつ、被害に遭われた方々に対し、心からのお見舞いを申し上げます。また、生活排水などの制限に約百二十万人の方々に御協力をいただきました。併せて心より感謝を申し上げます。
二月十一日、埼玉県は、被災地である八潮市への災害救助法の適用を決定しました。埼玉県によりますと、発見されたトラックキャビンへのアクセスと下水管の応急復旧に約三か月を要するとのことであります。
ニュース映像などで御覧になられているかと思いますが、この度の事故は、過去に類を見ない未曽有の災害であります。下水道の本格復旧まで考えると、想像を超える大変な費用と人手、多くの時間が必要となります。また、事故現場近くの避難を余儀なくされている方々の生活再建も待ったなしの状況であります。現在は、災害救助法が適用になりましたので、国としても、中小企業などによる、事業者支援がようやく始まりました。
しかし、当初は、未曽有の事態であるがゆえに、被害に遭われた方々に必要な情報や支援の手が届くまで複雑な工程と時間を要しました。そして、これから復旧工事や生活再建を進める中で、想定していない新たな課題が発生することも十二分に考えられます。さらに、複数の省庁にまたがる課題が発生する可能性も否定できません。実際に、ここ数日は、農業や環境のことでも地域の方々から心配の声をいただいております。復旧を担う主体は埼玉県や八潮市でありますが、このような事態を考えれば、国の協力が不可欠であることは言うまでもありません。
一昨日、大野埼玉県知事からも、中野国土交通大臣に対して要望が行われました。事故原因の検証を見守りつつ、政府には、埼玉県や八潮市とこれまで以上に連携して、場合によっては関係する他の自治体に対しても、積極的かつ柔軟に、技術的、財政的、政策的な支援を実施していただきたいと考えますが、石破総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは政府といたしましても、県、市任せにするつもりはございません。専門家の派遣でありますとか、国としてできます限りの支援は現在も行っておるところでございます。
御指摘のように、ドライバーの方の救出に向けまして、汚水を迂回させるバイパス工事等々、これには三か月程度かかるというふうに考えられておりますし、また、汚水を緊急放出、放流いたしますと、水質が悪化する、また、臭いが出るというような、周辺の方々への影響ということが懸念される状況であるということは御指摘のとおりでございます。
埼玉県が八潮市への災害救助法の適用を二月十一日に決定をいたしておりますが、国といたしまして、陥没箇所周辺というのは陥没箇所から直径六十三メートルのことをいうのでありますが、そこにお住まいになっておられる避難者の方々、そこにお住まいになっておられる方々が避難しておられるわけですが、十余名、ホテルに収容いたします、そのことに対します支援を行います。
また、中小企業、小規模事業者の皆様方に活用いただけるセーフティーネット貸付けにつきまして、最近三か月の売上げが五%以上減少という要件になっておりますが、これを満たさなくても適用できるというような要件緩和の措置を講じたところでございます。
今御指摘のように、それでは農業に対してどんな影響が出ているのか、これは国交省だけの話ではないと承知をいたしておりますので、地元の皆様方がどういうことで今お困りなのかということをよくお聞きをいたしまして、政府として可能な限りの対応、そして、これはこの地域だけではございません、同じような御不安を抱えておられる地域がたくさんあろうかと思います。国として、想定外でしたということがないように、今後とも対応いたしてまいります。
○黄川田委員 ありがとうございます。石破総理の力強い答弁に心より感謝申し上げます。
本会議などでも御答弁いただいておりますが、今後このような悲劇が二度と起きないよう、次期国土強靱化実施中期計画に下水道の強靱化も盛り込むとともに、必要かつ十分な予算確保に一層努めていただきますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、これより外交、安全保障のテーマに移ります。
日米首脳会談を踏まえまして、北朝鮮の拉致問題についてお伺いします。
質問に入る前に、拉致被害者の有本恵子さんのお父様であります有本明弘様が九十六歳でお亡くなりになりましたとの報道がありました。有本明弘様並びに御家族のお気持ちを思うと、本当に無念でなりません。謹んでお悔やみを申し上げます。
昨年の臨時国会から私は拉致問題特別委員会の筆頭理事を務めさせていただいております。そのため、拉致問題に関する会議やイベントに多く参加する機会がありました。そのような場所で横田めぐみさんのお母様の横田早紀江さんにお会いすると、年を重ねられて、拉致問題の解決は本当に待ったなしであり、痛切に何とかしなければならないと激しく心を揺さぶられるのであります。
一方で、二〇〇二年に拉致被害者五名の帰国が実現されたことをテレビや新聞の報道を通じて体感していない世代が増え、特に若い世代の拉致問題への関心の低下が懸念されております。内閣官房拉致問題対策本部を中心に、若い世代の方々が拉致問題の関心を持ち続けられるよう、学校での啓発活動などに力を入れて取り組んでいただいております。
このことは、拉致問題を解決する上で大変重要なことだと私は思います。なぜなら、北朝鮮は拉致問題の風化を待っているように思えてならないからであります。絶対に風化させてはなりません。もちろん一分でも一秒でも早く拉致被害者の全員の帰国という根本的な解決を追求しなければなりませんが、それとともに、拉致問題を絶対風化させないよう、政府にはそのための努力を常に国民に見せ続けなければならないと私は思います。
絶対に風化させないという観点から見て、今回の日米首脳会談で、石破総理からトランプ大統領に対し、拉致問題の即時解決について引き続き理解と協力を明確に求め、全面的な支持を得ることができたことは、大変大きな意義であったし、成果だと考えます。
その上で、石破総理に更にお願いしたいことがございます。
それは、トランプ大統領が日本への公式訪問の招待を受け入れたと聞いております。ですから、一日も早く公式訪問を実現していただきまして、二〇一七年、二〇一九年の訪日のときと同様に、トランプ大統領に拉致被害者の御家族に直接面会していただきたいのです。
このことは、トランプ大統領に対して、拉致問題をアピールするだけではなく、国民や国際社会に向けたアピールにもなり、そして、北朝鮮に対しても、私たちは絶対に拉致問題を風化させない、絶対に取り戻すという決意を突きつけることになるからであります。
是非、石破総理に実現していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 御指摘、承りました。
私が、この問題は国家主権の侵害であると言っているのは、何も思いつきで言っているわけではございません。学校で国民主権というのはよく教わるんですが、国家主権というのは余り教わったことがない。領土と国民と統治機構、この三つが国家主権の三要素でございまして、同胞が他国に拉致をされたまま帰ってこないというのは、まさしく国家主権の侵害であります。
これは、ほかの国の力をかりてということではない、我が国が実現せねばならぬことなのですが、トランプ大統領が金正恩とのこれから接触というものを示唆しておられるところでございまして、そこにおいて、拉致問題というのを決して自分も忘れていないぞ、この解決は必ずやってもらいたいということを合衆国大統領から常に北朝鮮に対して提起をするというのは極めて意義深いことだと思っております。ですから、先般の会談のときも、この問題は取り上げました。大統領から、あのときに拉致被害者の御家族と会ったこと、よく覚えているぞというような発言もございました。物すごく心を動かされておる状況もよく分かりました。
したがいまして、まだ、日程等々詳細には確定をいたしておりませんし、ここでは断定的なことは申し上げませんが、来日の際には拉致被害者の御家族と面会していただけるように、そういうことも当然働きかけていかねばならない、よく承知をいたしております。
○黄川田委員 是非とも、拉致被害者の家族とのトランプ大統領の面会、実現できるよう、よろしくお願い申し上げます。
その上で、石破総理にもう一つお願いがございます。
拉致被害者の全員の即時帰国を目指すことは当然ではありますが、北朝鮮は、外交上、大変難しい国であり、あらゆる手を尽くしてもなお膠着状態が続いていることも事実ではあります。私たち国会議員も、この厳しい現実から目を背けてはなりません。
しかしながら、成果を急ぐ余り、拉致被害者の御家族の思いに寄り添うことを忘れてはならないと私は思います。例えば、日朝間に連絡事務所を設置するといううわさが出ては消えております。私のところにもそのような情報が実際に届くことがございます。石破総理は御承知と思いますが、拉致被害者の御家族は、日朝間の連絡事務所の設置に明確に反対しております。
拉致問題の解決に取り組むに当たっては、石破総理のリーダーシップの下、政府一丸となって、拉致被害者の御家族の思いに寄り添う形での解決策を探っていただきたいと思います。石破総理のお考えをお聞かせください。
○石破内閣総理大臣 被害者の方々がそういう強いお気持ちをお持ちであるということは、私自身もよく承知をいたしております。被害者の御家族の思いに、私ども、きちんと寄り添っていかねばならないと思います。
同時に、この問題をいかにして可視化していくかということも重要なことでございます。どこで何が行われているのかさっぱり分からない、私どもの主張と北朝鮮の主張と、どこが食い違っているのか、これとこれとこれはおかしいではないかということを、私ども、提起をいたしてまいりました。
あるいは、核、ミサイルにつきましても、常に外交ルートを通じて抗議も行っております。これがきちんと見える形で、どのようなことを我が国は主張し、相手がどのように答えているかということが国民の皆様方に見えるようにするにはどうすればいいかということでございます。
連絡事務所の設置ということだけが唯一の解なのではございません。どうやって可視化をし、国民が、この問題はこことここに違いがあるんだねということ、そういうことを認識していただくことというのは大事なことだと思っております。
今までずっとこの問題が解決してこなかったということの認識を私どもはもっと強く持ちたいと思っておりますし、御指摘も踏まえて、今後適切に対応いたしてまいります。
○黄川田委員 ありがとうございます。
可視化することが大切ということでございます。先ほど私がお話ししたとおり、アメリカ大統領と御家族の面会も一つの可視化ではあると思いますし、また、家族に寄り添いながらのしっかりとした対策、これも同時に必要だというふうに思っておりますので、石破総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。
続きまして、日米首脳共同声明について伺います。
共同声明の中には、様々な分野の政策について取り上げられております。私が本日取り上げますのは、入国管理についてであります。
共同声明の中には、このような記述がございます。「両首脳は、経済的繁栄を支える渡航制度の完全性へのコミットメントを共有し、技術窃取、犯罪者による渡航及び不法移民に対処するため、渡航者の審査及び日常的かつ安全な情報共有に関する取組を強化する意図を有する。」というものであります。
共同声明のこの部分を日本政府がどのように解釈したのか、教えてください。外務省、よろしくお願いします。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の文言でございますが、これは、日米間で技術窃取や犯罪者による渡航、不法移民といった課題についての問題意識を共有するとともに、これらの課題に対して、日米の関係当局間において平素から行っている審査や情報共有、これに関する取組を一層強化するという方針を確認したものでございます。
○黄川田委員 共同声明のこの部分は、第一次トランプ政権の頃から、特に不法移民対策、入国管理に力を入れているトランプ政権の思いを表したものと理解します。そして、日本もこの共同声明にあるとおり、入国管理について、これまで以上に米国と連携を深め、更に強化していくものと理解しました。
私の選挙区は、埼玉県川口市の一部を含んでおりますが、川口市とその隣接する地域では、外国人に関わる課題が多く発生しております。改正入管法の施行や地域の皆様の努力により以前より改善傾向にありますが、地域が抱える課題は継続しております。
我が国では、育成就労制度の導入などにより、外国人労働者がこれからも増加することが予想されます。加えまして、インバウンド、外国人観光客の数は、昨年、年間三千六百万人を超え、過去最多を記録している状況であります。国内には、これまでにない数の外国人の方々が滞在し、暮らしております。そして、これからも外国人は増えていく見込みであります。
政府は、外国人との共生社会の実現を目指しておりますが、そのためには、日本国民が安心、安全に暮らすことができるよう、入りを制すことであると私は思います。入国管理制度の対策、制度をしっかりと担保すること、これが責務であると私は考えます。犯罪を犯す危険性のある人物やテロリストは入国させない、不法滞在、不法在留は認めない、そのための制度や対策を強化すべきです。
今回の共同声明のこの一文を見て、日米関係の上でも、この考え方が重要であることを改めて認識しました。また、国際的に見ても、ドイツや英国、スウェーデン、オーストラリアといった国々が入国管理に関わる制度や対策を強化しております。
それらの取組の中で私が特に注目をしておりますのは、ESTA、いわゆる電子渡航認証システムの導入であります。観光など短期滞在の場合、ビザの取得を免除している国からの入国はスクリーニングできません。しかし、ESTAを導入することで、入国者ほぼ全員を対象として、身分や犯罪歴などの情報を事前に確認することができます。そして、その情報を他国と共有することもできます。
私は、今回の共同声明を機に、日米連携のあかしとして、日本版ESTA、いわゆるJESTAの導入を早期に実現すべきであると考えます。政府は既に、二〇三〇年、令和十二年までに導入することを明言しておりますが、それでは遅いです。国民の安心、安全のために、米国を始めとする同盟国や友好国と歩調を合わせるためにも、積極的に前倒しで導入すべきと考えています。
ただし、JESTAは、調査研究の段階では、入国税である国際観光旅客税が財源で、観光庁の予算です。システム開発自体と現場での運用は出入国在留管理庁が担っておりまして、法務省の予算にも関わってくることが予想されます。ですので、財務省との調整も必要であります。よって、導入のためには、石破総理のリーダーシップの下、これら複数の省庁間の調整が必要となります。
そこで、是非とも石破総理に、政府を代表して、JESTAの早期導入への意気込みを語っていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございました。
電子渡航認証制度、JESTA、日本版ですとJESTAということになりますが、それは一体何だということでございます。我が国への渡航目的などを来日前にオンラインなどで事前に申告するというような制度であると承知をいたしております。
これは、入国審査の円滑化だけではない、御指摘のように、好ましくない外国人の来日を未然に防止するということからも大きな意義のあるものでございます。実際、これは、アメリカ、イギリス、韓国などでは既に導入をされており、EUでも今後導入がされるというふうに承知をいたしております。
二〇三〇年というのは、訪日外国人旅行者数六千万人を目指すという政府目標を踏まえたものでございますが、御指摘のように、事の重大性あるいは有用性を考えますと、実態調査を急いで進めてまいりますが、御指摘を踏まえて、できる限り早期に導入するということは、我が国の安全をきちんと守る点からも、あるいは便宜を図るという点からも重要なことでございます。政府部内において、きちんと検討し、御趣旨に沿った対応をしてまいりたいと考えております。
○黄川田委員 石破総理、国民の安心と安全のために、そして日米首脳会談の成果を表すためにも、是非とも、このJESTAの早期導入について力強いお力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
さて、この度の日米首脳会談で、改めて日米安全保障条約の第五条が尖閣諸島に適用されることを確認できたのは大きな成果の一つであったと思います。しかし、当然、これで日本が安泰なわけではありません。他国から武力攻撃を受けるような事態でない日常においては、自国の領土、領海、領空、そしてそれに伴う管轄権は、日本自身が断固たる意思と態度を持って守らなければなりません。
二〇二三年七月に、尖閣諸島沖の我が国のEEZ内に初めて中国のブイの設置が確認されました。その際、私を含め与野党の複数の国会議員が、国会質疑を通じまして、中国がブイの撤去要請に応じないのであれば、日本自らが即刻撤去するべきだということを求めました。しかし、政府は、検討するという答弁を繰り返してきました。そして、昨年十二月、日本政府が検討を続けている中、二つ目の中国のブイが与那国島の日本のEEZ内に設置されました。これが中国のやり方、常套手段であります。既成事実をつくって、そこから勢力を拡大していく、そして世界に認知させる。中国の世論戦の一環であることは明白であります。
これに対処していくためには、初動が大切です。しかし、二つ目のブイの存在が確認されてから一か月半が経過してしまいました。それでも、このブイを、即刻、日本は自ら撤去すべきです。
二つ目のブイの設置は、尖閣のときとは明らかに意味合いが異なります。尖閣諸島は、頻繁に中国海警が船舶を出している特殊な海域であります。しかし、与那国島は、千六百人余りの日本国民が平和に暮らす島であります。そのような島の沖合の我が国のEEZ内に中国のブイが設置されたことに、政府はもっと強い危機感を持つべきだと私は思います。この与那国島沖のブイの設置によって、中国は、日本が主張するEEZ内に複数の構造物を勝手に設置できると手応えを感じているのではないでしょうか。誠にゆゆしき事態であります。
そうこうしているうちに、中国は、尖閣諸島沖の日本のEEZ内に設置したブイを中国自ら撤去しました。中国が自らブイを撤去したからよかったという話では全くありません。中国が撤去するまで一年半もかかり、その間、与那国沖のブイを設置し、そのブイは今もなお設置されたままです。何も改善されていません。
中国は、外交部の定例会見で、ブイの敷設は中国国内法、国際法に合致すると発表しております。これは、尖閣諸島は中国の領土であると主張しているのと同義です。日本政府は、即刻、官房長官や外務大臣の会見など、公式な場を通じて中国に抗議すべきであったと私は思います。
岩屋外務大臣は、このまま検討を続けているだけでよろしいのでしょうか。改めて御見解をお聞かせください。
○岩屋国務大臣 中国側に対しましては、東シナ海の我が国EEZ内に中国が設置していたブイについて、これまで、首脳また外相レベルを始め、即時撤去を強く求めてまいりました。
そうした中で、昨年の十二月、与那国島南方の我が国EEZ内で新たにブイが確認されたことは極めて遺憾でございます。これは、当然のことながら、国連海洋法条約との関係では問題になるものでございます。このような一方的な現状変更の試みは、全く受け入れられません。これは私、十二月の訪中直前に与那国島南方のブイが発見されたということでございましたので、私から王毅外交部長に対して、ブイの即時撤去を求めたところでございます。
この二つのブイのうち、一つは、今委員御指摘になったように、既に我が国EEZ外に移されているということは御承知のとおりでございます。残る与那国島南方のブイについても、あらゆる機会を捉えて、即時撤去を求めてまいります。
なお、ブイを設置したことに対して関係国がどこまで物理的な措置を取ることが国際法上許容されるかということについては、国連海洋法条約に明確な規定はなく、また、これまでそういった事例の蓄積も見られないことから、国際法上の基準が不明確な中で、様々な観点から総合的な判断が求められると考えております。関係省庁間でしっかりと連携して、可能かつ有効な対応を適切に実施していきたいと考えております。
○黄川田委員 確かに、国連海洋法条約には、自国のEEZ内にたとえ違法に設置されたブイのような構造物といえども、自国で撤去してよいという規定はありません。しかし、撤去してはならないという規定もないのであります。何の規定もない、それが実態であります。何の規定もないのでございますから、日本は、主権を守るために一歩踏み込んで、違法に設置されたブイを撤去すべきだと私は思います。
私は、そもそも、国連海洋法条約に何の規定もないことが大きな問題とも考えております。
実は、ブイの問題だけでなく、国連海洋法条約の様々な欠点により、新たな国際問題が発生しております。例を挙げますと、バルト海や台湾周辺で発生している意図的な国際海底ケーブルの損壊は、国連海洋法条約に規定されている旗国主義によって、防止することが困難であると指摘されています。また、海上で海賊に該当しない妨害行為が行われた場合、例えば、テロリストからの襲撃やドローンで攻撃された場合、どの国が対応措置の権利を有するのかは、国連海洋法条約には定められておりません。
国連海洋法条約は、一九九四年に発効した条約です。時代が大きく変わり、発効当時には想定されていないことがたくさん発生しております。我が国が国際社会に対して率先して法の支配の重要性を訴えるのであれば、日本は、同盟国や友好国と議論を重ね、巻き込みながら、国連海洋法条約の改定、又は、同条約の原則に基づく運用の工夫にリーダーシップを持って乗り出すべきだと考えますが、岩屋大臣のお考えはいかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 黄川田委員御指摘のとおり、国連海洋法条約は採択からもう四十年が経過しておりますので、今委員から御指摘があったような、採択時に想定されていなかった問題もたくさん出てきていると承知をしております。
一方、この国連海洋法条約は、海洋の包括的な枠組みを定める条約として、国際社会に広く受け入れられ、海における法の支配の根幹を成しているものでございます。それを前提に、やはり、新しい課題にどう対応するかという議論はしっかりやっていかなきゃいけないと思っております。
この中の幾つかの課題については、新たな多数国間条約の採択や地域間のルール整備を通じて工夫しながら対処してきておりますが、今委員から御指摘があった様々な課題について、我が国もリーダーシップを発揮して、海洋秩序の更なる発展に積極的に関与していくために議論をリードしていきたいというふうに考えております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
海洋に関する様々な問題について日本のリーダーシップを発揮していくことをお願いをいたしますが、その上で、繰り返しになりますが、私は、与那国島沖の日本のEEZに設置されたブイは日本自ら即刻撤去すべきであると考えますので、岩屋大臣、どうぞ、検討ばかりでなく実行に移していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、安全保障に関することとして、防衛装備品の円滑化について伺います。
防衛装備移転は、国家安全保障戦略等において、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出などのための重要な政策的手段とされております。
装備移転を進めていく上で、防衛装備移転円滑化基金の意義について、中谷大臣、分かりやすく説明をお願いします。
○中谷国務大臣 防衛装備移転円滑化基金の意義につきましては、防衛装備移転を実現する際には、装備品等の仕様、性能を自衛隊が使用するものから変更して、先進的な技術の漏えいを防止する等のため、企業に設計、製造、試験などを実施させる場合が多く見込まれます。この基金は、企業が仕様等の調整に要する資金を助成するものでありますが、基金残高に必要な確保がされることで、移転に際して必要となる仕様等の調整が確実に実施される裏づけとなるものでございます。これによりまして、相手国との信頼関係の維持に加えて、企業にとっては適時に助成金の認定を受けることで事業、移転に積極的に参入するインセンティブになるなど、望ましい安全保障環境の創出を力強く後押しをするものであります。
また、この契約等につきましては、移転先の候補となる相手国政府の事情また調整状況によって大きく左右をされるものであります。実際に、過去には、防空レーダー、これの国際競争入札が公示されてから提案書の締切りまで、タイ空軍の実例では一か月程度、マレーシア空軍では三か月程度と極端に短い場合がありまして、企業が仕様の調整等のコストの回収にリスクがあると判断した結果、応札を断念したという事例もあります。
したがいまして基金が必要でありまして、こういった公示期間が極めて短い場合に、公示によって相手国のニーズが明らかになった際に、基金に十分な残高がないと仕様等の調整計画の認定ができませんので、企業は仕様等の調整に係る助成金を前提とした入札価格を設定することが困難になります。
このような過去の経験も踏まえまして、弾力的な支出が可能となるような基金を造成したものでございます。
○黄川田委員 現在の防衛装備移転円滑化基金の認定実績は、インドへの艦艇用アンテナの移転に関わる約十五億円で、そのうちの支出は約一億円となっていますが、令和七年度では相当な認定が見込まれると聞いております。そのために、令和七年度予算案で基金に四百億円を追加計上していると承知しています。その必要性について、改めて、中谷大臣、具体的に御説明をお願いします。
○安住委員長 中谷大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔に答弁してください。
○中谷国務大臣 令和七年度中に認定が見込まれる装備移転案件としては約十件、厳選をしております。これらの十件につきましては、現在準備中でございますけれども、事業規模といたしましては、合わせて一兆七千億円以上を見込んでおります。その上で、この十件を念頭に、具体的に金額の見積りなどを行いまして、最大一千二百億円程度の基金が必要だと見込んでおりまして、オーストラリア向けのフリゲートを含む大型物件もございます。仕様等の調整計画の認定が見込まれる額が一千億円を超える規模であるために、令和六年度、これを四百億円計上したものでございます。
○安住委員長 簡潔に。
○中谷国務大臣 この四百億円は必要な経費だと考えております。
○安住委員長 時間ですから終わってください。
○黄川田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて牧島さん、黄川田君の質疑は終了いたしました。
次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 おはようございます。
立憲民主党の野田佳彦です。総理、今日はよろしくお願いいたします。
通告では、日米首脳会談について五問、最初、用意していましたけれども、予算修正の大詰めの週だと思いますので、予算案についての質問からまずはしていきたいというふうに思っています。
今、世界中で分断と対立の政治というものが心配をされて、デモクラシーの危機が言われています。日本も、昨年の秋、少数与党政権となり、与野党伯仲となって国政が停滞するのではないか、何にも決まらない政治に陥るのではないかという懸念をする向きもあったと思います。でも、こういうときこそ熟議と公開の精神で国会を改革して、そして、日本の民主主義の底力を与野党が知恵を出し合って発揮すべきときだと私は思うんです。
その中でも大事なのは、やはり百十五・五兆円の予算の審議だと思っています。我々は、いたずらに予算を人質に取って衆議院の予算通過を遅らせたり、あるいは年度内成立を阻むということはしないというふうに決意をしています。ある意味、これは野党にとっては武装解除みたいな話でありますけれども。だけれども、与野党が知恵を出し合って国民のためによりよい予算をつくっていくという姿をつくることは、私は政治に対する信頼を取り戻す第一歩になるのではないかと思っています。
実は、これは本当はトラウマがありまして、私のときは年度内成立できませんで、暫定予算を組んだんです。これは余りよくないんですよ。やはり、国民生活を考えたときには、行政執行が切れ目なく行われるということ、あるいは外交を考えても、政権が不安定だと思われれば、これは足下を見られてしまうんです。自分にとっては残念でした。
あのとき、暫定予算を組んだときに、これは二〇一二年の三月三十日、暫定予算の審議を衆議院に戻ってきてしていただいたときに、厳しく責任を問うてきたのが予算の筆頭理事だった石破茂さんでした。そのときに苦しい答弁をしたのが、私と安住財務大臣でございました。
報復をしたら、でも切りがありませんので、ここはぐっと我慢をして、思うところはありますけれども、なるべく、お互いにいい予算をつくるために知恵を出し合いたいと思っていますので、そういう構えで今日はお答えをいただければというふうに思います。
なお、本来は野党全体で旧安倍派の会計責任者の方の参考人招致を、これは野党全体でお願いをしていますので、是非これは実現してほしいと思っているんです。予算を人質にこれをかち取ろうとは思いませんけれども、今言った我々の思いを酌んでいただいて、逆に、与党の側、自民党の側がしっかりとこれは汗をかいていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 十二年前、そんなことがありましたね。本当に、私どももいろいろと改めねばならないことはたくさんあると思っております。
安倍派の会計責任者であった方の参考人招致についてでございます。
この委員会において招致の議決がなされました。そのことは私どもとして重大に受け止めております。
私どもとしても、御本人の意向、民間人でございますし、自由民主党と直接の雇用関係があったわけではございませんが、そんな言い訳を言っていても仕方がないので、御本人の意向というものも確認をいたしております。可能な限りの働きかけは私どもいたしております。
対応については、国会の御意向を踏まえて本人が判断することでございますが、私どもとしても、この議決の重みをよく受け止めた上で、引き続き必要な努力はしてまいりたいと考えております。
○野田(佳)委員 また政治と金をめぐる予算の集中もあるかと思いますので、またそのときにも改めて御要請をさせていただきたいというふうに思います。
この国会から、予算委員長の発案もあり、そして与野党が合意をして、省庁別審査が始まりました。僅か三日間の省庁別審査でありましたが、極めて大きな成果が上がったのではないかなというふうに思います。長い間国会をウォッチしてきているメディアのOBの方であるとかあるいは専門家の方たちが、こういう予算審議をもっと早くからやっていれば、放漫財政が改まったんじゃないのか、財政赤字の垂れ流しが止まったのではないかというような御意見も頂戴をしています。
これからは、むしろ、省庁別審査というよりも、もっときめ細やかに、局ごとの審査、国交省道路局とか、局ごとの審査などを丁寧にやれば、より充実した予算審議になるんじゃないかと思うんですね。ということなども含めて、省庁別の審査を総理はどのように評価をされているのかをお尋ねをしたいと思います。
私どもは、この省庁別の審査に当たって約七十人規模の歳出改革の作業チームをつくって、各省庁別の予算を厳しくチェックをして、そして、これは無駄ではないか、お金の使い方は変ではないかということを洗いました。洗った上で、この度、三兆七千九百三十五億円という修正予算のフレームをつくりました。
この財源については、省庁別審査などを通じてつくり出した財源で、この国会中に是非実現していきたいという政策要求とセットでつくったものであります。ある種、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則にのっとった、新たに赤字国債をつくらないという、そういう枠組みでつくった予算の修正フレームであります。これについてもどのような評価をされているか、総理の御意見を頂戴をしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 この省庁別審査の意義というのは、私も改めて拝見をしておって感じたところでございます。
今まで分科会というやり方をやっていましたが、あれは何か個別陳情の場みたいになってしまって、私も分科会の委員として参加もしたこともありますし、野田元総理があそこで本当の本質的な議論をされておったというのも何度も拝聴したりしたことがございます。
この省庁別審査というのは今後も活用されるべきものだと思っておりますが、国会の御決定にきちんと従いたいと思っております。
ただ、先ほど局別ということをおっしゃいましたが、そうするとかなり議論が細部にわたってまいりますので、これは、今、政府委員制度というものの在り方というものもまた問われるべきものかというふうに考えておりまして、政府の答弁の体制をどうするかということも併せて考えてまいりたいし、御議論をいただきたいというふうに考えております。
ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのは、私はそれなりに非常に意味のあることだと思っております。新しい事業を行う、あるいは減税を行う際には代わりになる財源がなくちゃ駄目よということは、私は財政としてあるべきものだと思っておりまして、このようなことの意義というものは私自身よく考えておるところでございます。
委員のお言葉をかりれば、本気の歳出改革として財源を御提示いただいたというふうに承知をいたしております。
政府といたしましては、本当に、その財源確保の考え方というものについて、政府として議論を尽くして結論を得たいというふうに思っておりますし、このようなことは三党間の政調会長での議論が今始まったところでございます。ですので、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というものの重要性というものをよく認識をしながら、政府といたしましても、三党間の議論というものの行方というものを注視をし、それを見ておるだけでは仕方がないので、政府としてそれをどのように考えるかということも常に考えてまいりたいと思います。引き続き御指摘を賜りたいと存じます。
○野田(佳)委員 大きな枠としては、方向性としては御賛同いただいているというふうに承知をさせていただきました。それを踏まえて具体的な予算修正の話に入っていきたいというふうに思いますけれども。
では、ちょっとパネルを出していただきたいと思いますけれども、ちょっとちっちゃくて見にくいかもしれません。お手元に資料はお配りをしておりますので、御覧いただきたいと思います。
この資料でいうと右側のところで、「「本気の歳出改革」の成果」として、財源を提示をしています。
突然増えた一般予備費の五千億分を減らしていこうと。大体、予備費、元々概算要求で五千億であったはずが、なぜ一兆になったのか。そろそろコロナ禍の財政運営からは平時に戻さなければいけないときに、一兆というのは私は多過ぎだと思いますので、それは減額すべきだということ。
それから、これは各委員が一生懸命調べ上げて出した、例えば防衛装備移転円滑基金。さっき御議論ありましたけれども、これを提示した川内さんがこの後多分拾ってくれると思いますので詳しく言いませんけれども、基金残高八百億円のうち契約済みは僅か一億円のみで、更に四百億積み増すというのは、全然これは有効活用されていないというふうに思います。
それから、コロナワクチンの生産体制等緊急整備基金。これは岡本議員が指摘をいたしましたけれども、一年間に必要な額、七百五億円をはるかに上回る千八百億円を基金に投入しているというのも、これも奇異に思います。
グローバル・スタートアップ・キャンパス基金。これは本庄議員が指摘をしましたけれども、基金残高が六百三十六億円で、二年以上経過して実際の支出は二千四百万のみ、これは明らかに基金の活用としてはおかしいと思います。
一つ一つ丁寧に説明していきたいんですが、白丸の四つ目、三年ルールを逸脱した、三年ルールというのは政府がつくっているんですけれども、これを逸脱した基金の積み過ぎを、我々は七兆七千億あると言ってきましたけれども、財務大臣の答弁ではこれは八・一兆になるというふうにお話を聞いておりますが。いずれにしても、有効に使われないで積み過ぎている、三年ルールから逸脱したものがこれだけあるならば、全部とは言わなくても、一律例えば二割財源にするとするならば、相当な額の財源が、確保するわけですね。
そういうことも含めて、財源確保の裏づけを持って、国民の負担を減らすために、税負担や教育費の負担を減らす、あるいは国民の収入を増やすという形の政策実現をしようと思っているのが我々の予算修正の枠組みでございます。
その中で、まず最初に掲げてありますガソリン、軽油価格の引下げについてであります。
私は、トランプ大統領がタリフマンと言われていますけれども、私もなぜか増税男と言われていまして、不本意なんですけれども。今、増税を言っているわけではありませんし、かつては自動車関係諸税の見直しは非常に熱心にやってきたんですよね。財務大臣のときに自動車重量税を引き下げました。総理大臣のときにもう一回、自動車重量税を下げているんです。
もう一つやりたかったのが、今日取り上げているガソリン、軽油取引税の引下げ、暫定税率の部分。かつては、それこそ川内博史隊長の下で、ガソリン値下げ隊を五十人規模でつくって全国キャラバンもやったことがあるぐらいなんですが、リーマン・ショックの後で税収が足りなくて、残念ながらそれは実現できませんでした。
改めてお伺いをしたいと思いますけれども、円安などの影響で、一部の地域では一リッター二百円を超えるようなガソリン価格となっておりますけれども、これを引き下げるために、当分の間暫定的に上乗せされている部分を廃止して、リッター当たり二十五・一円、引き下げるべきではないかと思いますけれども、総理のお考えをお伺いをしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 今は暫定税率という言い方をいたしません。だから、いわゆるというふうに委員もおっしゃっておられるのであって、それは当分の間という言い方になっていますからね。だから、何が違うんだと言われますが、ですから、いわゆるというふうに野田委員も御指摘になっておられるわけですが。
それはともかくといたしまして、じゃ、これをやめますということになります、そうすると一兆五千億円穴が空きます、そうすると道路整備等々の財源はどうしましょうかということになるわけで、そのことについてどうするのかということについての議論というものが必要だ。
確かにガソリンが下がるということはよいことだ。私どもとしても、ただいま小売価格が全国平均でリッター当たり百八十五円ということになりますように、激変緩和ということで支援はいたしております。ですから、そこを超えているところもあるじゃないかという御指摘もありますが、百八十五円ということになるように支援策を行っておるところでございます。
それでは、当分の間税率をやめます、じゃ、そこにおいて財源に穴が空きます、このことについてどうしますかということについて議論を詰めていくということ、それによっておのずから結論は出るものだと考えております。
○野田(佳)委員 財源の話をちょっと今、かなり違う、違和感のある答えをされていまして、道路特定財源ではありませんので、しっかり対応できると思います。
我々の提示している財源はどちらかというとワンショットのお金が多いんですけれども、もし御賛同いただいて実現できるならば、それは当然、安定財源確保のために責任を持っていくということは申し上げておきたいというふうに思います。今日はちょっと感触をつかむだけで、実務者協議に具体的に委ねていきたいと思いますけれども。
次は、教育費の負担を減らしていくという趣旨の下で、まず、学校給食費の無償化、四千九百億円ということを計上させていただいております。
今、家庭によっては、厳しい格差の中で給食費を払えないという御家庭が増えてまいりました。そういう状況を踏まえて、今、財政力のある自治体は、給食費の無償化を随時実施しつつあります。県レベルでいうと、東京都と青森県が給食費無償化を実現をしています。その他、自治体レベルでも全国で三割ほどの自治体が無償化をしているというふうに思います。
でも、食育という言葉があるように、学校給食というのは教育事業の一環だと私は思っています。教育は機会均等であるべきであります。そして、憲法にも「義務教育は、これを無償とする。」とあるんです。だとするならば、これは、自治体間によって差があるのではなくて、国が責任を持って学校給食を提供する、無償化をすべきだと私は思います。
総理は一月にインドネシアに行かれましたけれども、インドネシアは二〇二九年からは八千万人を対象にして無料給食を実施しようとしているんですよね。その志を我々も学ぼうじゃありませんか。いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 現在におきましても、委員が御指摘になりました、給食費が高いので払えないよという方々には無償化を実施をいたしております。それは一四%になっておるわけでございます。だから、高くて払えないという方に対しましては政府として無償化という対応をいたしております。
恐らく野田委員の御指摘は、そういう話ではなくて、教育なのでそれは無償化すべきだというお考えであろうというふうに承知をいたしております。そこはどのようにこの給食というものを考えるか。教育そのものとして考えるべきなのか。そうすると、広くあまねく北海道から沖縄まで無償化すべきであり、国が持つべきだという考え方も、それは論理として成り立つことだと思っております。
ただ、そこにおいて、それぞれの財政力の差異というものをどう考えていくかということ。現在においても、地域地域において、先ほど青森の御指摘がありましたが、無償化を実現をしておるところがございます。どういう形でその地域に合った負担の軽減をやっていくか。
それは教育そのものなのか、それともややずれる部分があるのかというところが議論の本質だと私は思っておりまして、その点について更なる協議というものはしてまいりたいと考えております。
○野田(佳)委員 是非これは真摯に議論に向き合っていただきたいというふうに思っています。今総理が御指摘いただいた観点から私は申し上げていますが、加えて、今回は物価高対策として保護者の負担軽減という考え方も取っておりますので、生活困窮世帯に対する支援は承知していますけれども、生活困窮者だけではなくて、あまねく保護者の負担を減らすことによって可処分所得を増やすという意味においても、教育の観点のみならず必要であるということを申し添えておきたいというふうに思います。
加えて、じゃ、次に高校無償化の拡充です。
これは元々民主党政権のときに、私どもは公立高校の授業料の無償化を実施をしました。そのときは、ばらまき四Kの一つとして、自民党、公明党からも厳しい御批判をいただきましたけれども、この高校授業料の無償化は当時の少年少女たちの高い評価を得て、今、どの政党も教育の無償化を訴えるようになったんじゃないでしょうか。悪夢のような政権と言われたけれども、正しかったことは私は継承されるんだということを確信をしていますので、先頭に立ってきた、やはり先鞭をつけてきた立場として、より高校授業料の無償化の拡充を是非していきたいというふうに思っているところであります。
今回、公立高校のみならず私立の高校に通う子供たちに対しても、これは、全国の私立の授業料の平均が四十五万数千円と聞いておりますので、支給額を四十五万円にする、それと同時に、各地域における公教育の機会確保のために公立小中高校の老朽化対策も加速をする、そして、当然のことながら所得制限を撤廃をするということで、三千七百九億円の計上をしていますが、これについての総理のお考えはいかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 何か十数年前の議論をまざまざと思い出すのですが、私どもとして申し上げておったのは、本当に十分な財力を持った御家庭というものがある、十分に払える、そういうところも無償化するということは格差是正という観点から見てどうなんだろうか、十分に財政的な余力のあるところも本当に困窮しておられるところも同じに扱うということが本当に多くの国民の御理解を得られるものなのだろうかという観点から、私は政調会長でございましたが、随分と鳩山政権において議論をさせていただきました。私は同じ思いを今も持っておりまして、やはり格差是正というのは大切なことなのではないか。
あるいは、国民の御理解、納税者の御理解というものを得る。現状において高校の進学率は九九%ございますが、そこにおいて全て無償化ということについて、国民の皆様方がどう御理解いただくのかということは根源的な議論だと思っております。
そこについて私は野田委員と随分価値観は共有させていただいているように思いますが、同時に、教育の質というものをどう考えていくのだということでございます。私も高等教育は受けました。物すごく難しくなったという覚えがございます。つまり、皆さん方が無償化によって高等教育を受けられる、同時に、それをいかにして御理解いただけるかということの努力をどうしてやっていくのかという点も議論をさせていただきたいと考えております。
公立小中学校の施設の老朽化でございます。これは、コストを抑えながら、建て替えと同等の教育環境を確保するということ、排出する廃棄物も少ないという長寿命化改修というものを進めてまいりたいと思っております。
私は、全国あちこち回っておって、すごく立派な学校が廃校になったという例を幾つも見ております。やはり、そこにおいて長寿命化というものは必要なのではないかというふうに考えておるところでございまして、学校規模の適正化、そうすると学校は減っちゃうじゃないかというお話もございます。学校が減ったところは集落の活性化が著しく損なわれるということも承知をいたしておりますが、規模の適正化、ほかの公共施設との複合化、管理運営の改善というような検討もやっていきながら、早急に効果が表れるようなやり方は何なのだということで、老朽化対策は急ぎたいと考えております。
○野田(佳)委員 老朽化対策については一致点を見出したというふうに思うんですけれども、前段の部分については、理念のところでまだ少し開きがあるかと、十数年前と同じだと思っているんですけれども。公立高校の授業料無償化をやったときに、我々は最初から所得制限なしでいっていました、そのときはね。この後ちょっと介護の問題も触れますけれども、介護保険が導入されて介護は社会化されましたよね。同じように、子供の育ちや学びも社会化していこうというのが我々の理念であります。その理念についてはこれからもっと議論を詰めていきたいと思いますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
次に、ちょっと急がなきゃいけません、介護ですけれども。さっき言った二〇〇〇年の介護保険、制度導入をして、今、物すごい大きな過渡期を迎えていると思っているんです。それは、介護の需要はどんどん高まっていますし、超高齢社会になっていますから、しかも二〇二五年から団塊の世代が全て後期高齢者になるということで、ますます介護需要が高まると思うんですが、問題は、担い手不足と、事業経営が難しくなってきているということなんですね。
一つは、この担い手不足のところは待遇改善をしていかなければいけないということで、我々は、介護やあるいは障害者福祉を担当する人たちの例えば待遇をよくするために、月額一万円、年として十二万円の報酬引上げ、賃金引上げをしていこうと。そして、今、訪問介護の基本報酬の引下げがあって、これは、真面目に一生懸命やってきた事業者が極めて危機的な状況で、倒産をしたり経営危機に陥っているという状況があります。こういうことのために、処遇改善で四千二百二十五億円、そして訪問介護事業者に対する緊急支援で三百五十七億円の提案をしています。
それに見合った財源で、例えば、基礎年金の国庫負担、今三分の一から二分の一になっていますけれども、その国庫負担に係るところの年金給付で毎年一兆数千億円ぐらいの不用額が発生をしている。半分を借金返済、半分どうするかという問題があって、その中の一部を、基礎年金の給付費の一部を利用して財源に充てたらどうかという提案をしています。
これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 介護の現場が非常に厳しいということは、私も現場を回ってよく承知をいたしております。そこに従事をする方の労働がいかに過酷なものであるか、私は本当に、そういう方々の現場を見て話をするたびに、これは何とかしなければならないという思いは強く持っています。
それと同時に、介護離職をしなければならない方々が大勢おられる、それによってその御家庭の負担が物すごく増えますし、そして、それによって失われる労働力の大きさというものもよく承知をいたしております。
この介護人材を確保するために何ができるかということは、更に議論は詰めてまいりたいと思っております。御党あるいはほかの党の方々の議論とも併せまして、よい解が見つかるように今後とも努力をしてまいりたいと思っておりますが。
そこにおいて、御指摘の、財源をどこに求めるのかということでございます。不用額が出たからといって、それをそのまま回していいかどうかについては議論のあるところでございます。
先ほどの学校給食の例でおっしゃいましたが、やはり私は、お金のあるところもないところも同様に扱っていいか、それを社会化という言葉で全部一まとめにしていいかどうか、ここは相当の議論があるところだと思っています。給食と違いまして、あるいは教育と違いまして、介護の社会化ということにつきましては強い問題意識を持っております。
その財源をどこに求めるかということについて、私どもとして今最善のものとして予算を提案をさせていただいたところでございまして、更なる御議論を賜りたいと考えております。
○野田(佳)委員 全ての業種の平均に比べても、やはり介護に携わる人たちのお給料というのはかなりまだ低いので、今回の我々の提案なんかまだ一部向上ぐらいなんです。しっかりこれは受け止めていただきたいというふうに思います。
それからもう一つ、今度は働く人の支援をという意味で、百三十万円の崖対策。これは本会議でも私は説明をしましたので詳細は語りませんけれども、年収二百万円までいわゆる就労支援をしていくという、お金を支給していくという形の、七千八百億円の予算規模で対応できる案なんです。
国民民主党の皆さんに百三万の壁を突破していただく、これも期待をしたいと思いますが、あわせて、社会保険料に対する対応をして、働き控えの影響はこちらの方がむしろあると思いますので、この百三十万円の崖対策についての総理の御見解をお伺いをしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 御提案はよく理解をいたしております。つまり、年収百三十万円を超えても手取りが増えるように、収入に応じて公費で支援金を給付するということが御提案のポイントかというふうに理解をいたしております。
それは、給付を受ける方にとっては、いいことだ、いいことだ、負担が減るぞということ、それはそれで立派なことだと思いますが、社会保険料というものはそれぞれの方々の負担できる能力に応じて決まっておるものでございます。これを公費によって直接穴埋めするということになりますと、給付と負担との関係というのがよく分からなくなってまいります。そこに公費を入れるということ、そのこと自体は給付を受ける方の負担が減ることになるんですが、そこに公費を入れていいものかどうかという点。
それからもう一つは、賃金以外にも収入があるわけでございますが、その所得をどのようにして把握をするか、そしてそれにどのように給付を行うのか等々、実務上は相当の負担が大きい、事務的な負担が重くなってまいります。
この点についての認識の一致というものが得られるかどうかについて更なる議論を賜りたいと思っておりますが、事務負担もそうでございますが、そこに公費を入れるということの妥当性について、よく御意見を承りたいと考えております。
○野田(佳)委員 これこそ私は税と社会保障の一体改革のテーマだと思っていますので、百三万の壁と百三十万の崖はセットで、パッケージで是非考えをお互いにまとめていけるようにしなければいけないということを、御提起をさせていただきたいというふうに思います。
この一連の政策実現の中の最後、金額は二百億円なんですけれども、高額療養費の自己負担上限引上げの凍結、これは強く要求をしたいと思います。
先ほど何か、厚労省の一部見直しのお話の説明が出ていました。一部見直しでは私は駄目だと思っているんです。駄目です。なぜならば、そもそも現役世代の社会保険料を軽減していこうという方向性は理解します。だけれども、同じ現役世代で、働きながら子供を育てながら治療をしている人たちの命を縮めるようなことはうかつにやっちゃいけないと思いますね。本質的に間違っています。年収七百万の人が月額例えば八万から十三万に上がる、これは劇的な、上げ過ぎですよ。そういう本質的な問題をちゃんと議論しなきゃいけないんじゃないでしょうか。
ということと、プロセスに決定的な瑕疵があると思います。過ちがあると思いますね。当事者である皆さんの意見を聞かずにこんな大事な政策を決めるなんということはあってはならない。当事者の意見を聞かないで決めたということは、私は大きな過ちだと思います。
過ちを改むるにはばかることなかれ。一部修正ではなくて、今年八月から予定をされていますけれども、凍結をし、これに関わる予算、二百億円、見直すべきじゃないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 当事者の方々の御意見を十分に聞くという努力は更にすべきだったというふうに私自身は思っております。そうであるがゆえに、厚生労働省並びに厚生労働大臣において、委員会での御指摘も踏まえて、何度も丁寧にお話を聞かせていただくということはいたしてまいりました。
御指摘のように、事前にきちんと御理解を得るべきであったということは私どもとして真摯に受け止めていかねばならないと思っております。今後更に努力をする余地はあるというふうに私自身の責任として考えておるところでございますが、厚生労働省並びに厚生大臣として、その後、御指摘を踏まえて真摯に努力をしたという点はどうか御理解を賜りたいと存じております。
その上で、今御指摘のようなことでございますが、先ほども答弁で申し上げましたが、全て凍結したとしたら何が起こるのかということでございます。全て凍結をした場合に、後期高齢者の方、七十五歳以上の方であっても年額平均一千円の御負担ということになります。現役世代の方々でも年に三千円から四千二百円ということの負担が増えてくる。全て凍結をしたら何が起こるかということを政府の立場として申し上げておるところでございます。
では、その部分をどうしましょうか。私どもとして、そういう方々、子育て世代で高額療養費、そういうものを適用を受けておられる方々の負担は凍結をいたします。しかしながら、これを全てに凍結をかけました場合には、では、そういう方々の負担というものはどういうことになるのかということについて、私どもとして制度の持続可能性というものは何とか担保をいたしてまいりたいと思っております。後期高齢者の方々も、あるいは現役世代の方々も御負担は減らしていかなければ、これは制度として持続が困難だというふうに判断をいたしております。
その点について、では、どこからその財源を求めていくのかということについて御提案をいただき議論をするということは重要だと思っておりますが、私どもとして、本当に困っておられる方々、この場でのいろいろなお声も聞かせていただきました。そういうことも踏まえまして、政府として誠心誠意対応したのが今回の結論でございます。
○野田(佳)委員 総理、大きな誤解をされていますよね。二年間で三段階に分けて引き上げていくという話でしょう。それを全部止めろという話じゃなくて。我々が言っているのは、この令和七年の八月に関わるところです、一回分です。これを、ちゃんと制度設計を全部やってから考える。
方向性はおっしゃるとおりで、社会保険料の負担は下げていくべきだと思うし、持続性を考えるということはそうなんですよ。でも、それは、患者さんの団体も含めて、丁寧な議論を出して、納得ずくで進めていくべきであって、いきなり、修正しないで、このまま、お任せくださいじゃ、これは通用しません。
そこだけは申し上げたいと思うし、多分これからのほかの議員も取り上げると思いますので、しかと受け止めていただきたいというふうに思いますが、特に予算修正のフレームの中で、額は二百億ですけれども、私は命に関わるテーマだと思っているので、これは特に強く要求をしていくことを申し上げたいと思います。
ちょっと、今度、外交案件についてお尋ねをしたいというふうに思うんですね。
まずは、一泊三日の強行軍だったようであります。本当にお疲れさまでございました。日米首脳会談ですね。よろしいですか、テーマが変わっていきますよ。
一泊三日という強行軍、これは大変だと思うんです。私もかつて、G20、メキシコに行ったときにゼロ泊三日というのがありました。これはきつかったです。大体、閣僚席、総理を始め、同年代の人が多いんですね。海外出張が多い方ばかりですけれども、一泊三日というのはたまりませんよね。という御苦労をされたことについては敬意を表したいと思いますし、今回の日米首脳会談は、ある種、オール・ジャパンの政官財の底力を感じる部分がありました。非常にファーストコンタクトとしては評価できるのではないかと私は思います。
ですが、その一日の首脳会談は一定程度の成果が上がったとしても、その後のトランプ大統領の言動を見ると心配なことがいっぱい次々起こっておりますので、この点についてお尋ねをしたいと思うんですけれども。
まず、共同声明で、トランプ大統領の関心をインド太平洋地域につなぎ止めたということは、これは私は意義があると思っているんです。問題は、共同声明だけではなくて、具体的にトランプ大統領の行動でそれを実現してもらえるかが大事だと思うんですね。
去年の秋に総理もEAS、東アジア・サミットに出られたと思います。ASEAN諸国と、そして日、中、ロシア、本当はアメリカも参加すべき会議です。
私のときに、カウンターパートのオバマさんは初めてこの東アジア・サミットに参加をしてくれました。これはASEAN諸国は物すごく喜んでくれたんですよね。
ところが、第一次トランプ政権では、トランプさんは全然出てこないんです。バイデンさんは出てきたり出てこなかったり。これでは困るんです。
やはり、アジア太平洋地域にコミットをするように粘り強く主張をして、そして、このサミットにも出るように促すということが大事だと思いますけれども、御意見をお伺いをしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 野田代表、私、岩屋大臣、中谷大臣、同じ三十二年で。でも、国家のために、それは全身全霊、疲れたなんて言っておれませんので、全身全霊、今後ともお互いに努力をしたいと思っております。
EASの出席でございます。
私もずっと記録を調べてみましたが、バイデン大統領は出ていた、しかしながら、トランプ大統領は前の四年間においても一度も出ていない、確かにそうでございます。
どの会議に出る、出ないは、それはその国の判断でございますが、私として、このサミットに出席をするということの重要性は機会を見てきちんと説いてまいりたいと思っております。ただ出てよ、出てよだけではなくて、我が国がこの東南アジアにおいて、アジアにおいてどういうことをやっているかということをきちんとやった上で、なぜ米国の出席が必要なのかということをきちんとロジカルに説いていくことも重要だと考えております。
○野田(佳)委員 今回、共同声明の中では、東シナ海とか南シナ海での現状変更の試みを厳しく批判をすることが共同声明に盛られているんです。この姿勢は私も同意をしたいと思うんですけれども。
一方で、今、ウクライナとロシアの停戦に向けての協議が始まろうとしていて、その仲立ちをアメリカが、特にロシアと首脳会談を開いてやろうとしているんですが、力による現状変更をもしかするとこの欧州では認めてしまうようなことになりかねないのではないか。
私は、この前の岸田政権の頃から、ウクライナで起こっていることは東アジアでも起こるかもしれない。だから、G7のメンバーで、アジアで唯一、一員だけれども、NATOと連携して経済制裁を行い、ウクライナ支援を行ってきたじゃないですか。
力による現状変更はアジアでは駄目だと言いながら、一方でウクライナでは認めてしまったら、これはロシアの成功体験になってしまいます。断じてこれは認めてはいけないと思いますけれども、総理のお考えはいかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それはそのとおりです。それを認めてはなりません。同時に、一日も早く戦闘を終わらせるということもやっていかねばならぬ。一日に何百人という人たちが命を落としていくということを一日も早く終わらせるということと、ロシアにそういうような論理を認めさせることはあってはならない、これをどう両立するかということでございます。一旦停戦はする、しかしながらロシアに成功体験を与えないということをどうやって両立するかということについて、私どもは知恵を絞っていかねばならぬと思います。
成功体験を与えるな、そのとおりです。一日も早く停戦せよ、そのとおりです。これをどう両立させるかということについて知恵を絞っていかねばならないのであって、このお話は二〇一四年のクリミアのときまで遡っていかねばならない、そういう問題だと認識をしております。
○野田(佳)委員 全くそのとおりです。クリミアに遡ってほしいと思います。あそこでロシアは成功体験したゆえに、ウクライナの侵攻につながったと思います。あれは国際社会の対応が甘かったからです。そこはしっかり認識していただきたいというふうに思います。
これは多分最後になると思いますけれども、関税については日米首脳会談で余り突っ込んだ議論がなかったと思うんですね。
今回の商務長官候補が、かなりこの関税政策の司令塔だと思います。やり方は結構緻密にやってくると思います。国別に、例えばカナダ、メキシコ、中国に対応するやり方。ある種、近隣窮乏化策を本当に隣国に当てはめてしまっているようなやり方なんですね。品目別に、鉄鋼、アルミと来ました。自動車も来そうですね。それから、いわゆるお互いの関税の率がどうかというような相互関税の問題。もう一つは、関税を税収にしていこうという考え方。あるいは、非経済分野のペナルティーで関税を使おうと、コロンビアに対してとか。非常に多角的にやっているけれども、意外と緻密にやってくるので、それに対する構えはしっかりしなければいけないと思います。
ただし、その構えというのは、日本だけ勘弁してくれみたいな言い方では、世界中が同じことをやったら、これはある種思うつぼで、駄目です。
むしろ、こんな関税は万能ではないということ、むしろ関税政策を万能だと思ってやり過ぎれば、これはインフレと景気後退が進むスタグフレーションになりかねない、世界のリスクだということを、ほかの国々とも共通しながら、直言をしていかなければいけないと思います。
もう一つは、そう簡単に言っても変わらないだろうと思うので、時間が来ちゃいましたけれども、やはり、逆に自由貿易体制の旗印を日本が掲げて、アメリカがいない分を補っていく。そういうことを是非やってほしいと見解を述べただけで、もう質問時間を守りたいと思います。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。
○川内委員 予算委員会の在り方を大きくお変えになられた安住委員長の下で、そしてまた、与野党の理事の先生方にお許しをいただいて、石破総理大臣以下閣僚の皆様と議論をさせていただく機会をいただいたことに、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
外交、防衛等ということで、まず、先ほどの防衛装備移転円滑化基金のことについて一問聞かせていただいて、その後、ほかの議題に移らせていただきたいというふうに思います。
中谷大臣、先ほど契約が一億というふうにおっしゃられたんですけれども、輸出企業と相手国との契約はまだ結ばれておらない、まだ契約は実際には結ばれていないんだということを、ちょっとこの委員会の皆さんに御説明いただきたいと思います。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、まだ契約は結ばれておりません。
○川内委員 だから、一億は、基金からNECさんに一億、仮払いで払われたという話で、相手国インドとNECさんとの間の契約はいまだ成立していない、そういう状況である。それにもかかわらず四百億積むというのは国民の理解が得られないというふうに、まず申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、今、与野党の先生方の間で修正に向けた協議が進んでいるわけですが、その御努力に心から敬意を表しつつ、また、その修正協議を受ける政府としてどのような御対応をされるのかということで、基本的な姿勢について、最も象徴的なこととして私が考えているのは、総理、先日、森友関連文書の判決が確定をいたしました。今日は、実は、石破総理大臣も御友人である赤木雅子さんも傍聴にお見えになっていらっしゃいます。
今日、二月十七日というのは、八年前、安倍総理大臣が、自分や妻が関わっていたとしたらという御発言をこの議場でされて、そこから森友問題というのが大きな問題になった。
そして、もうすぐ三月七日、赤木俊夫さんが自死をされた御命日がやってくるということになるわけですけれども、私は、石破総理大臣を大変尊敬申し上げております。赤木俊夫さんの命日の日にメッセージをきちんと打った政治家は、恐らく石破さんお一人であろうというふうに思います。大変心のあることをされているというふうに思います。
その赤木雅子さんに宛てたメッセージ。御無沙汰いたしております。本日は赤木俊夫様の御命日であったかと存じます。改めてみたまの安らかならんことを切にお祈り申し上げますとともに、森友事件の真実が明らかになりますよう、微力ながら努力を重ねてまいります。いつか必ず正義が実現することを信じて、御健勝にてお過ごしくださいませ。赤木雅子様。
という形で、私は、このような心のあることをできる政治家というのは本当に立派だなというふうに思います。そして、正義を実現するときがいよいよやってきているのであろうというふうに思うのです。
そこで、前提として幾つか事実を確認させていただきたいというふうに思うんですが、過去の情報公開請求訴訟の中で、存否応答拒否、文書があるのかないのかも言わずに不開示決定をした政府との間の訴訟についての判決内容とその後の対応ということを、今日は総務大臣にお運びいただいているので、過去の存否応答拒否訴訟についての判決内容とその後の対応ということで、御教示をいただきたいというふうに思います。
○村上国務大臣 川内委員の御質問にお答えします。
各府省庁等に存否応答拒否を争う訴訟で確定した判決は、今回の財務省の森友事案を除いて、二十四件の報告がありました。二十四件のうち、存否応答拒否が認められなかったものが厚生労働省で一件、文化庁で一件ありました。判決の後、厚生労働省は全部開示を行い、文化庁は、文書を保有していないため不存在であるとして、全部不開示としたということに承知しております。
○川内委員 過去、存否応答拒否訴訟で二件、存否応答拒否は駄目よということで判決が出て、一件は全部開示、一件は本当に不存在だったので、不存在だったので、なしよと。
だから、今回の場合は、もう文書があることはお認めになっていらっしゃるわけですから、過去の事例に倣うのであれば全部開示ということに、私の主張ですよ。加藤大臣はそこでううんと首をかしげていらっしゃると思うんですが、私の主張では、全部開示というのが行政の前例である、存否応答拒否訴訟についての前例であるということになるわけです。
もう一つ確認しますが、赤木雅子さんの訴訟では、財務本省並びに近畿財務局での森友文書、森友関連文書が対象になっているわけでございますけれども、財務本省の分、近畿財務局の分、両方とも今回は財務本省で精査をして判断をされる、精査をされるという理解でよろしいんでしょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
関連文書につきましては、現在、財務本省の方に戻ってきておりまして、その取扱いについて検討しているところでございます。
今後につきましては、情報公開法上も、事案の移送という制度もございまして、まだ事務的に検討している段階ですけれども、財務省の方で一元的に対応することも含めて、現在検討しております。
○川内委員 財務省で一元的に、なぜかというと、石破総理大臣や加藤大臣がしっかりと確認をした上で赤木雅子さんに対する開示というものをされるべきであるというふうに考えるからです。
石破総理大臣は、国民への説明責任を果たす観点からというふうにこの開示について御方針を述べていらっしゃるわけですが、国民への説明責任というのは、赤木雅子さんへの説明責任ということも当然に含むという理解でよろしいわけですよね。
○石破内閣総理大臣 当然そのような御理解で結構でございます。
○川内委員 説明責任を果たすというのは、いかなる経過でこんなことになってしまったのかということが分かるように開示に向けて精査をするという理解でよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 最初から結論はこうだということを決めて、そこから論理を組み立てるということはいたしません。
世の中にはいろいろな推測もございます。いろいろなお考えもあることはよく承知をいたしておりますが、私も、行政の責任者といたしまして、情報公開法の規定にのっとって適切にやっていくというのは当然のことでございます。
赤木俊夫さん、赤木雅子さんに対する思いというのは、私なりに強く持っております。と同時に、結論を決め打ちすることなく、情報公開法の趣旨にのっとってきちんと対応いたしてまいります。
○川内委員 情報公開法の一条、目的規定のところには、「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする」と。
要するに、私が先ほど平たい言葉で申し上げましたけれども、政府の諸活動、なぜこんなことになってしまったのかということが、その説明責任が果たされるようという、私は、情報公開法の一条の目的規定に沿った質問をした。それに対して、総理は、法令にのっとりと。
それは、情報公開法一条の目的をも十分に含んでいるということで、なぜこんなことになってしまったのかということが、その説明責任が果たされるようということでよろしいのかということを、もう一度、情報公開法の一条の目的規定、それにも合致するようにするよということを総理から御発言をいただければ、雅子さんも安心をされるのではないかというふうに思います。
これは、正義の実現をするという、総理が自らメッセージの中にお書きになられた、正義を実現する、そのこととも合致することであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 この情報公開法第一条、これは私、今回、もう一回よく読み直してみました。これが非常に大事であるということは、私は、福田内閣において福田康夫内閣総理大臣から厳しく教わったことでございます。
そして、その中に、国民にちゃんと説明をしましょうねということに、当然、赤木雅子さんも、今はこの世におられない赤木俊夫さんも、厳密に言えば、それはおられない方を含むのはおかしいのかもしれませんが、確かなことでございます。
そこにおいて、最初から予断を持ってやってはなりません。きちんとした証拠というものがなければ、それは法治国家の体を成しませんので、それが両立するように私として努めてまいります。
○川内委員 加藤大臣に。
森友文書、森友関連文書、今後開示に向けて精査をされる。その中で、仮定の質問には答えられないよということなのかもしれませんが、新たな事実等が明らかになったら、なぜなら、森友に関する調査報告書では、核心の部分は分からない、なぜかこうなってしまったということが書かれているわけです、その核心の部分が明らかになったときは、私は、報告書をきちんと書き直して、そして行政機関、そして私ども国会、みんなで共有して、二度とこのようなことが起こらないようにするということが必要なのではないかというふうに思います。
事実がもし明らかになるとしたら、それを基に報告書をもう一度修正するというようなことをお考えになられるかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 これまでも歴代の大臣が説明されてきたと思いますが、まず、調査報告書を取りまとめる際には、検察に任意提出した文書の中身も含めて、できる限りの調査を尽くして、その結果をお示しをしたということでございますので、現在申し上げられるのはその一点ということでございます。
こうなればこうだという話、それは論理的にはいろいろあると思いますが、私どもとしては、これまで歴代の皆さん方が努力をして、そしてその中でできる限りの見解を示させていただいた、こういうふうに認識をしています。
○川内委員 私は財務金融委員会の委員でもございますので、またこの件は財務金融委員会などでも加藤大臣とじっくり議論をさせていただきたいというふうに思います。
石破総理、文書開示がなされたら、私は、こういうことが起きてしまったということに関して、やはり政府の責任者として、赤木俊夫さんの墓前に、お墓参りをされるべきではないかというふうに思います。その件について、総理の御方針を聞かせていただければというふうに思います。
○石破内閣総理大臣 今後の政府の対応につきましては、私並びに財務大臣から申し上げたところでございます。最初から結論、予断を持って決めることはいたしません。きちんとした証拠というものを基に、説明できるものは誠実に説明責任を果たしてまいりたいというふうに考えておりますし、それが私の責任でございます。
墓参りについての御指摘でございます。
これがこの後どのような推移をたどっていくか、これは時期の問題も含めまして、よく考えさせてください。私自身、個人として、行きたいなという思いは強く持っております。
同時に、行政の長として行くというのはそれとはまた違う意味を持つものでございますので、個人としては、本当にお墓参りも行きたいと思っています。と同時に、それがどういう推移をたどるか、そして、行政の責任者としてどうあるべきかということは、適切に判断をいたしてまいりたいと思います。
○川内委員 それでは、次の論点に移らせていただきたいというふうに思います。
先ほどから議論になっております高額療養費の上限額引上げの問題でございます。
今日は、同僚の藤原規眞議員、親友にパネル係をしていただきますが、この上限額引上げに係る経緯というもの、与党筆頭の井上理事がこの前テレビで、いや、議論の経過が不十分だったと私も思いますよ、こう御発言されていましたよね。与党筆頭がそのようにおっしゃるぐらいですから、これは本当に、我々からしたら、一体何でこんなことをしたのというふうに言わざるを得ないわけですね。
ここでも前提となる事実を一つ確認させていただきたいんですけれども、医療給付費の総額と高額療養費の総額、直近のものを、年間のものを示していただきたいというふうに思います。
○鹿沼政府参考人 直近で実績を把握しておりますのが令和三年度の実績になりますが、医療保険制度全体の医療給付費は三十六兆円、そのうち高額療養費の支給額は二・八五兆円となっておりまして、また、伸び率で見ますと、平成二十七年の値を一〇〇とすると、令和三年には医療費全体では一〇七、高額療養費については一一四というふうになっております。
○川内委員 三十数兆円の中の三兆円ということですね。ほかの部分でまだまだ改革できる部分もあるということで、私は、なぜここから先にやるのかということがよく分からないんですけれども。
なぜなら、国民皆保険制度の中の中核の制度だと思うんですね。核心の制度だと思うんです、高額療養費制度というのは。
なぜなら、重大な病気、がんとか白血病とか様々な、いろいろな病気はあると思うんですけれども、命に関わる大変な、高額な医療を必要とする人々にとっての命綱で、その命綱を短くするという話ですから。生死に関わる問題について、皆保険制度が、制度としては維持されても全く手の届かない制度になってしまったら、私は、皆保険制度が壊れてしまうだろうというふうに思うんです、石破さん、極端に言えば。
そのぐらい大事な大事な、みんなで守っていかなければならない制度が高額療養費の制度であるというふうに思いますし、百十五兆円の中の予算でも、先ほど野田代表もおっしゃいました、二百億だが最も大事だ、最も大事なものがこの高額療養費の制度なのだということを私たちは思っているわけでございます。
この議論のスタートは、実は二〇二四年十一月八日、全世代型社会保障構築本部が開かれて、そこの構築本部で総理は御挨拶をされているんですけれども、その翌日に、新聞の見出しに、高額療養費の上限額引上げ、引上げへという記事が出るんですよ、構築本部の翌日に。
総理は、構築本部で御挨拶されたときに、高額療養費の上限額引上げをするもんね、しなきゃねというふうに思いながら御挨拶されましたか。
○石破内閣総理大臣 十一月八日、昨年でございます、全世代型社会保障構築本部というのがございました。そこから、私から担当大臣、赤澤大臣、福岡大臣に対しまして、改革工程に掲げられた具体的な改革項目について、実現できるものから着実に実施し、人口減少時代に合った、全世代が活躍できる社会保障への転換に向けて検討を深めてくださいというふうに指示をいたしたのは間違いのない事実でございます。その中にこの事項が含まれておったことも事実でございます。そこは、私自身、別に否定をするつもりはございません。私自身、そのような発言をいたしております。
○川内委員 いや、その発言をしながら、厚労大臣、改革工程表の中では、二〇二八年度までに高額療養費制度については見直しの検討を行う、見直しするでもなくて、見直しの検討を行うというのが書かれていたんです。そのことを総理はこの構築本部で御発言された。
その御発言をされたときに、高額療養費の上限額引上げ、もう令和七年度予算案でやるんだということが総理の頭の中にありましたかということを聞いているんですけれども。
○石破内閣総理大臣 お時間を取って恐縮でございます。
そこで私が何と話をしたかというと、赤澤大臣、福岡大臣におかれては、関係大臣と連携をし、全世代型社会保障構築のための改革工程に掲げられた具体的な改革項目について、有識者の皆様方の幅広い御意見も踏まえつつ、実現できるものから着実に実施をし、この人口減少時代に合った、全世代が活躍できる社会保障への転換に向け検討を深めていただきたい、こういうふうに発言をいたしております。
それがあたかも決定のごとくに報ぜられたというのは、私がここで申しましたのは、検討を深めてくださいということを申し上げました。その検討の中に今の高額療養費というものは含まれております。含まれています。それは検討を深めるということであって、何も決め打ち、決定をしたものではございません。
○川内委員 それがなぜか引上げへと、だあっと一か月ぐらいの間に進むわけです。だから、総理の言葉というのは非常に重いんだなというふうに思うんですが、不十分な議論であったというのは与党筆頭も認めているわけです。
厚生労働大臣、不十分な議論だったというのはお認めになられるわけでしょう。
○福岡国務大臣 審議会のメンバーには、幅広い見識をお持ちの方々に、様々なデータを用いて、四回にわたって御議論をいただいています。
過去の事例を見直しても、そこが欠けた議論だったというふうには認識をしておりませんが、その後、様々な国会での御指摘もありました。そのことを受けて、私も患者団体さんと面会をして、お声を聞かせていただいたということでございます。
○川内委員 いや、だから、患者団体からきちんとヒアリングをしなかった、こんな大切な制度を議論するのにヒアリングをしなかったということに関しては、ああ、今から思えば不十分だったね、そのときは一生懸命やっていたのかもしれませんが、今から思えば不十分だったねというふうに素直におっしゃらないと、私は、議論にならないと思いますよ。
○福岡国務大臣 過去の検討の経緯を見ましても、直接患者団体様からヒアリングをしたということは、過去に行っておりません。
そういったことも踏まえて今回も審議会で御議論いただいたところですが、今おっしゃったように、国会の御議論も踏まえて、そういった患者団体様の声も踏まえた判断というのは必要だという観点から、今回、私はお話を聞かせていただきましたし、今後の見直しの際には、どういう形でそういった声をいただいていくかということも検討してまいりたいと考えております。
○川内委員 政府というのは、間違いとか、袴田さんのことにしたって間違っていないもんと言うぐらいですから、間違いを認めないというのは、政府としてはそれはそうなのかもしれませんけれども、私は、この高額療養費制度の上限額引上げについては、ちょっと、やり方が余りにもまずかったと思うんですよ。井上さんにも聞いていただきたいんですよ。
社保審で議論した、議論したと言うじゃないですか。厚生労働大臣も、社保審で議論したんだもんと。では、社保審で議論した十一月二十一日から十二月十二日にかけての四回、この中で高額療養費の上限額引上げのシミュレーションをしているわけですよ。シミュレーションの最大の引上げ幅は何%ですか。何%でシミュレーションしましたか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
今回の見直しに関しまして、医療保険部会におきましては、そもそも、具体的な見直し内容について御了解をいただくというものではなく、委員の皆様にいろいろなデータを提示し、見直しの方向性について大所高所からの御意見をいただき、最終的には、与党とも調整の上、政府の責任において決定したものでございます。
したがいまして、先生おっしゃる医療保険部会におきまして、様々なケースについての機械的な試算ですとか引上げに関するイメージのようなものは提示をさせていただきましたが、引上げ額や引上げ幅に対する具体的な政府案というものを御提示しているというものではございません。
○川内委員 委員長、注意してくださいよ。
私は、社保審でシミュレーションとして何%を最大の引上げ幅として出しましたかと聞いたんです。べらべらべらべら言って、いや、具体的なものは社保審には示していないんですよと。
社保審で議論した、議論したと言うから、社保審でどんな議論をしたんですかということをこっちは聞いているわけですよ。それについて答えない。一体どういうことですか、これは。
○安住委員長 鹿沼保険局長、では、もう一回。
○鹿沼政府参考人 社保審でどのような御議論があったかということでございますので、委員の皆様方に応じて必要なデータをお示しさせていただいた上で、見直しの方向性について大所高所からの御意見をいただいたというものでございます。
その上で、先生おっしゃる引上げ幅は最大何%と説明かというものにつきましては、まず、一律引き上げる部分については五%から一五%のシミュレーションを出させていただいて、区分についてはイメージのようなものを出させていただきました。
ただ、具体的に何%だというものについて、最終的なものについて御説明はさせていただいていないということでございます。
○川内委員 だから、総理、シミュレーションは一五%で示しましたと今答弁したんです、最大で一五%。
では、厚労大臣、もうここはパーセントだけ答えてください。一月二十三日に社保審に報告した引上げ幅の最大のパーセントは何%ですか。厚労大臣、パーセントだけ答えてください、時間がないんだから。
○安住委員長 では、鹿沼さん、数字だけ答えられる、本当に。
数字だけだよ。そうでないと止まっちゃうからね。
○鹿沼政府参考人 一月二十三日につきましては、現行の自己負担限度額と見直し後の自己負担限度額を数字で明確にお示しはしておりますが、引上げ幅について、何%という御説明はしていません。ただ、明らかに御理解いただけるような形でお示しはさせていただいております。
○川内委員 いや、だから、数字を示しているんだから、最大の引上げ幅は何%かというのは計算すれば分かるじゃないですか。何で答えないんですか。
○鹿沼政府参考人 要するに、数字は幾らから幾らに引き上がるという説明はしましたが、何%ということはその場では説明しないということとさせていただいたものであります。
その数字につきましては、それぞれの、最大で何%という説明はしておりませんので、それぞれの……(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと静かに。
○鹿沼政府参考人 それぞれの収入で違いはございますが、例えば、三百七十万円から七百七十万円の方であれば八万百円が今の自己負担限度額の上限でございますが、それが、最大、六百五十万から七百七十万の方であれば十三万八千六百円になる、そういうような数字をお示しをさせていただいております。
○川内委員 だから、その上げ幅は何%ですか、何%引き上がるんですかということを聞いているんです。聞いたことに答えていただけますか。
○安住委員長 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 では、速記を起こして。
鹿沼保険局長。
○鹿沼政府参考人 二十三日の医療保険部会の場でお答えしているわけではございませんが、今計算させていただきますと、先ほどの数字は七三%の引上げになるというものでございます。
○川内委員 社保審の委員の先生方に大所高所から御議論いただくときは、最大の上げ幅は一五%でシミュレーションを示した。実際に、一月二十三日に、予算案に向けて報告事項として決めたときには、七十数%ですよ、最大の引上げ幅が。
私は、筆頭、これだけでもごまかしがある、筆頭の御見識は誠に正しい。
○安住委員長 川内君、こっちを向いて質問して。井上さんじゃなくて、総理の方ね。
○川内委員 いや、与党筆頭が不十分だと言っているのは大変大きなことですから。
それで、全世代型社会保障構築会議の中では、多数回じゃなくて急性期、一か月、二か月、三か月、急性期で一番医療費がかかるのは若い世代だと出ているんですよ、御発言されているんですよ。そういう意味では、多数回該当だけ据え置くよということでは、この高額療養費の制度というのは維持できないんです。
だから、患者団体の皆さんも厚生労働大臣に、多数回該当だけじゃ駄目です、高額療養費制度を一旦、一旦凍結というのは、未来永劫凍結してくれと言っているんじゃないんですよ。政府がおっしゃっていらっしゃることもよく分かるから、もう一度みんなでよくよく議論して、来年か再来年か、二〇二八年度までに改革工程を実現していこうというわけですから、みんなでよくよく議論しようねということを患者団体も言っているわけですよ。一旦凍結というのはそういう意味です。
患者団体の思いは一旦凍結だと、厚生労働大臣は総理大臣に御報告されていますか。
○福岡国務大臣 先般の患者団体さんとのやり取りにつきましては、まず事務方から総理に報告した上で、私自身からも、そのやり取りについては総理に御報告させていただいております。
○川内委員 総理、がん対策基本計画というのも閣議決定文書ですよね。誰一人取り残さないということが書いてあります。他方で、全世代型社会保障改革工程表も閣議決定。
先ほどのウクライナのこともそうですけれども、たくさんの人が戦争で犠牲にならないようにする、他方でロシアの利益にもならないようにする、それをどう両立させるかにみんなで知恵を絞るんだということを石破総理はおっしゃられた。
がん対策基本計画、誰一人取り残さないという考え方と、社会保障を全世代型でどうやって改革していくのかということ、その中核の制度が高額療養費の制度であるとするならば、一番苦しんでいらっしゃる方の声を聞かずに決めていいとは思わないと総理は御発言になられ、必要ならみんなに会うよということもおっしゃられていらっしゃる。
総理は、全世代型社会保障構築本部の本部長なんですよ。本部長として責任をどうお果たしになられるのかというときに、いや、厚労大臣に任せているからということでは私はないと思うんです。なぜなら、野党の私どもが、この二百億は一番大事だと言っているんですよ。野田代表がこの場で言ったんですから。一番大事だと言ったんですから。
いろいろあるけれども、少数与党の状況の中で、みんなで熟議と公開で予算を作っていこうねというときに、一番大事だよと言っているこの二百億について、総理が患者団体の皆さんにちゃんと会って、きちんとその意見を聞いて、最終的に、いや、このままいくもんというふうに判断するのか、では、一旦凍結してもう一度みんなで考えようねということを厚労大臣と社会保障改革担当大臣に御指示をされるのか。本当に重大な局面だというふうに私は思います。
石破総理大臣に、ちゃんと会って、最終的に自分が決めるからということを御発言いただきたいというふうに思います。
○石破内閣総理大臣 最終的に私が決めるものでございます。
私、この問題は、本当にこれは御理解いただきたいのですが、厚生労働省も厚生労働大臣も、この委員会における御指摘を踏まえて、誠心誠意、一生懸命対応いたしておりました。ほとんどみんな寝てもおりません。誠心誠意対応しましたし、私自身、強い問題意識を持って福岡大臣に指示をいたしたところでございます。
その中において、同時に、私自身、身内をがんで亡くした、皆さん方もそういう方が身内におられると思います、高額療養費ではなかったけれども。と同時に、これから先この制度が続いていくのかいという方々の御意見も聞いていかなければなりません。それは、命を金で左右してはならぬということはそのとおりです。そのことはよく承知をいたしております。ですが、この制度自体が瓦解するともう誰も救えなくなってしまうということも、現実として認めていかなければなりません。
今回、このような対応を取らせていただいておりますが、これから先、財政が持続していくのかどうかということについてもまた議論は深めていただきたいと思っております。政府として誠心誠意対応いたしてまいりました。
○川内委員 いやいや、石破大臣、この制度をどうやって持続可能にしていくのか。医療費全体で三十六兆円です、高額療養費三兆円です。
では、私たちは、無責任に高額療養費制度は一旦凍結しろと言っているわけじゃないんですよ。例えば全体の入院日数をもうちょっと短縮できないかとか、OTCの問題とか、様々な医療費を削減していく、医療費がなるべく効果的に使われるようにする方策も考えますよ。
だから、一旦、一年ぐらい、この問題をもう一度議論する時間をつくりましょうよ、議論が不十分だったからということを申し上げているわけで、もう一度議論をみんなでやる上で、患者団体の皆さんの意見を総理がまず聞くことは大事だねということを申し上げているんです。
患者団体の方々とお会いになっていただきたいんです。そのことについてお答えいただけますか。
○石破内閣総理大臣 厚生労働大臣、そして厚生労働省において誠心誠意承らせていただきました。私も、そのやり取りは逐一報告を受けております。どういうような対応をしたのか、これでは不十分ではないかということは、本当に逐一報告も受けてまいりました。
私どもとして、その結果としてこのような結論に立ち至ったものでございます。
○安住委員長 川内君、そろそろ時間になります。
○川内委員 私どもは、この二百億、高額療養費制度を一旦立ち止まってもう一度議論するということは、この予算案を考える上で最も大事なことであるということを、総理に再度、もうくどいぐらいに申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○安住委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。
○近藤(和)委員 立憲民主党の近藤和也でございます。よろしくお願いします。
通告外ではあるんですけれども、岩屋大臣に先に伺いたいと思います。
ドイツからのお帰り、お疲れさまです。帰ってこられたばかりだと思いますけれども、ミュンヘンでの安全保障会議で、その会議の中で、アメリカのトランプ大統領が仲介するウクライナ侵略の停戦交渉をめぐって、ロシアが勝者になる終わり方であれば、中国に対してのみならず、世界中に誤ったメッセージを与えると発言をされたと報道に出ておりますが、事実関係、そしてその意図を教えてください。
○岩屋国務大臣 それは、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障が密接に関わっているというテーマのパネルディスカッションでございました。私に司会者の方から、ウクライナの和平の成立の仕方といいますか、戦争の終わらせ方が中国にどういう影響を与えると思いますかという質問がなされましたので、私が申し上げたのは、やはり終わり方は大切で、それは中国のみならず、おかしな終わり方をしてしまえば全世界に影響が及ぶということを申し上げさせていただいたところでございます。
○近藤(和)委員 総理に伺いますが、総理も同じ思いということでよろしいんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、先ほど来答弁申し上げておりますように、一刻も早く停戦だということと、それがロシアの力による現状変更を認めるものであってはならない、これをどう両立させるかということです。それは、一旦停戦はする、しかしながらこれがロシアの領土拡大を認めるものではない、これは言うのは簡単ですが、相当に難しい。だとすれば、ロシアがこれで停戦に応じるとは考えにくい。ここをどうするかということについて、私どもはずっと議論を重ねておるところでございます。
○近藤(和)委員 ロシアの在り方ということも大変大事なんですけれども、実際には、やはりアメリカのトランプ大統領の行動によって日本の外交であったり内政に影響を与えるということを大変心配をしています。
総理に伺いますが、トランプ大統領のロシアとの交渉について、どのように現時点で評価をされていますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 まだ具体的に、このような形で戦争を終結させるということについてトランプ大統領から提案があったとは承知をいたしておりません。
ですので、これは物すごく難しいのですが、じゃ、何でこのような戦争に立ち至ったか、クリミアのときにどうだったのか、そこまで遡って考えなければいけないのですけれども、とにもかくにもやめよう、何にしてもここでやめということだけが優先するということになりますと、これが本当に今度はウクライナの承服するところにならないわけでございます。
そこにおいて、NATO諸国がどのように考えるか、アメリカがどのように考えるか、その中において、我が国がこれを、先ほどどなたかが御指摘になっておられましたが、今ウクライナで起こっていることはやがて東アジアにおいても起こるかもしれないということを念頭に置いて、私どもとして対応していきたいと考えております。
○近藤(和)委員 トランプ大統領に関しては、やはり今、大統領に就任されてから、そして総理が訪米を終えてから、日本に対して、特に自動車の関税のことを発言をされておられます。
この予算委員会でも、過去、私も質疑に立ったことがありますけれども、やはり、日米貿易協定の中で、日本のものは譲るのはもう確定だけれども、自動車のところは譲るという交渉をするよねということで、ゼロ%にしていくよ、交渉するよねということで、結局、その交渉をずっとしないままで来たわけですよね。もう完全に振り回されてきているわけです。親しき中にも礼儀ありかもしれないですが、やはり、今までの、協定という中で守るべき当たり前のことを守らないことに対しては、しっかりとした毅然とした姿勢を示すべきだと思います。
今日はここの部分は通告をしていませんので、今後また仲間の議員も含めて議論していきたいと思いますけれども、しっかりとした日本の姿勢を毅然としてまた示していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、食料の安全保障のことに議題を移したいと思います。
お米ですね。特に今、今日のNHKのニュースにも朝出ていましたが、物価上昇に困っている、九割近くの方々だったと思います、特にお米だと思いますが、総理、お米の今の値段ですね、高過ぎると思いませんか。
○石破内閣総理大臣 高いですね。倍とは言いませんが、五割は上がったという実感は持っております。実際にスーパーへ行くと、米そのものがないということがありますので、これは、消費者の方々にとって極めて深刻かつ重大な問題だという意識は共有いたしております。
○近藤(和)委員 曖昧な答えをされるのかなと思っていましたが、高いんですよね。そうでないとなかなか議論が進まないので、よかったというふうに思っています。
やはり、恐らく議員の皆さんもそうだと思いますが、今、物価が上がってきている、食料品の値段が上がってきている、文句を言われることってあるんですよね。あんたたちは、政治家はたくさんもらっとるから、もうおらっちゃの大変さ何も分からぬがやろうと。これは能登弁なんですけれども、恐らくそれぞれの地元の言葉で怒られていると思うんです。
このパネルの一にありますように、これは、令和の二年を一〇〇といたしまして、消費者物価指数は一一〇、一割、五年間で上がっています。そして、その他の食料品もその倍以上上がっているんですが、特に二年前は卵の値段が物すごく上がった。落ち着いたらまた最近上がってきているんですが。そして、やはりお米ですよね。数年間おとなしくしていたのが、これは米作農家の方にとってはとんでもない話だったんですけれども、去年で急騰してきたということです。政府としての危機感をしっかりとやはりマーケットに対して示していくべきときに来ているのではないかというふうに感じています。
そこで、まずは、備蓄米の放出については、先月の一月二十四日に江藤大臣が表明をされました。そして、先週の金曜日ですね、その詳細が発表になったわけですけれども、そもそもが、令和の米騒動として大騒ぎになったのが去年の八月時点ですね。大体、一月の頃には五キロ当たり二千四百円でした。それが、八月の段階では二千八百円になっていました。このときには恐らく、大都市圏ではどこに行ってもお米がないというような、とんでもない事態だったと思いますが、このときには国の方から、今年はお米がある程度取れそうだから、お米が秋になったら出回るから大丈夫ですよというアナウンスがありました。私たちもそのとおりなんだなというふうに思っていたわけですけれども、結果として九月も上がった、十月には三千八百円まで上がった、そして一月には四千百円を超えてしまっているというような状況です。
それで、十月の食料・農業・農村政策審議会食糧部会の中でも、委員の中からは、集荷が思ったようにされていないという意見であったり、備蓄米の活用ルールを柔軟にすべきではないかというような意見も出されていたわけです。
実際には、昨年の夏の八月の段階と、十月、十一月の段階は切り分けて考えなければいけないとは思いますが、少なくとも秋の段階で事態が悪化をしていったわけです。今回の備蓄米の放出の判断が遅かったのではないでしょうか。御見解を伺います。
○江藤国務大臣 あらゆる、このことに対する御批判は受け止めたいと思っております。判断が遅かったという御指摘についても受け止めさせていただきたいと思います。
しかし、私は、この米の上がっている段階で農家の方々が、やはりこれで営農の意欲が湧いた、人に農地を預けていたけれども、取り戻して自分でもう一回米を作ろう、そしてしっかり国民の期待に応えようという声もたくさん聞きました。
私は、一番農林水産大臣としてやってはいけないことは、営農者の方々の生産意欲をそぐということですよ。そういうことになることがすごく怖かった。そして、今回二十一万トンという決断をしましたが、これだけの数量を一気に出すことにはすごく迷いました。もう夜も寝れないぐらい迷いました。これで本当に急落してしまったらどうなるんだろうと。
そして、今まで考えられなかったようなプレーヤーが市場に参入してきた、そういったことも最近ようやく分かってきました。様々なイレギュラーなことが起こったんですよ。いわゆる食糧法ができた後で初めて、初めて備蓄米を市場に放出するという決断は、そんなに簡単にできるものではないということは御理解いただきたいと思います。
○近藤(和)委員 営農意欲をそいではならないというのは確かにおっしゃるとおりなんですけれども、お米の値段が上がらない、去年の状況がなければ、そもそもが営農意欲を皆さん、そがれまくっていたわけですよ。もう、いつやめようか、いつやめようかという状況がずっと続いていたわけです。ですから、今は、米価が高騰し過ぎている状況から、下がり過ぎたらどうしようというときには、やはり、そもそもの農政を考え直していく必要があると思うんですね。
総理も総裁選挙のときには、お米、特に農政に関してはやはり制限というものは考えていくべきではないか、赤字のところは所得補償をすべきではないか、これは私たちもずっとそのことを言い続けてきているので、同じことだと思うんです。
そもそもが、平常時においての対策ができていなかったから、こういう緊急時で果断な動きを取ることができなかったんだということは、是非とも反省をしていただきたいと思います。
そして、もう時既に遅しの部分はありますから、今、もう一つ、何とか早めていただきたいということが、今備蓄米を放出をすれば大体四月ぐらいですかね、マーケット、市場に出回るのが三月の末から四月ぐらいではないかということだとは思いますが、一週間でも五日でも早めることをしていただきたいんですが、ここは江藤大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 この決定は、突然決めたわけではありません。これは、年末から年明けにかけて役所の中では検討に入りました。しかし、今までやったことのないことをやるわけですから、その制度設計、詳細については、省内で検討の時間は当然要りますよ。そしてその影響も、相手はマーケットですから、しかも投機筋が入っているということであれば全く予測がつかない。これはやはり、正直なところ怖いですよ。私の記者会見でも、経済新聞の方からは、公的な立場にある者がマーケットのプライスに影響を与えるようなことをしていいのかという、逆の指摘もありました。
ですから、しっかり準備をしましたので、役所の方からは、これぐらい時間がかかりますということは言われましたけれども、かなり手続は短縮させました。最速でできるように努力をしたいと思います。
○近藤(和)委員 最速の努力をしていただきたいと思います。
実際、私も、市場に手を突っ込むような形、これも本当は望ましいとは思いませんが、今は緊急事態です。TPPのときにはお米は聖域だという話がありましたが、日本人にとってお米は聖域ですから、やはり農家も守らなきゃいけないし、消費者も守らなければいけないというときには、踏み込む覚悟はもっともっと強く持っていただきたいと思います。
それで、パネルの二ですけれども、今回のそもそもの問題点ですね。ちなみに、こちらの資料は、今、令和六年のお米の話をしているんですが、データがちょっと古いので、数字のところは御参考までということで見ていただければと思いますが。
そもそもが、去年の夏の段階では、お米の量が、出回っている量が少ないということで、消費者のところで米価が上がっていた。そして秋になって、幸いにも十八万トン、たくさんお米が取れました。しかしながら、集荷のところで、当初は十七万トン足りないという話だったのが、今になって二十・六万、二十一万トンない、どこかに行ってしまった、どこかに消えてしまっているということで、そちらをあぶり出すために、同量の二十一万トンを今回売却をするということですよね。
その中でなんですけれども、問題点とすれば、やはり私も、下がり過ぎることは怖いと思っています。ただ、そのときには、それこそ国が責任を持って全農家を、米作農家を守るんだということをしっかりと表明する、これが必要だと思っています。そして一方で、下がらないことも怖いんですよね。下がらないこと、お米の値段が。
事実なんですけれども、先物の値段ですが、今日の段階で、二月限は二万六千百五十円です。一時間ぐらい前の値段ですね。先週の、大臣が発表されたとき、二十四日の段階では二万六千五十円ということで、ほとんど変わっていません。
そして、一月の二十四日に備蓄米を放出するという表明をされたんですね、記者会見をされたわけですけれども、一月二十三日から二十四日にかけては千円落ちました。ある意味よかったねということだったかもしれないですけれども。
結果として、二万六千円台から二万五千円台まで落ちて、また今、一月二十三日とほとんど変わらない水準に来ているんです。これは、ある意味、商売をされておられる方、流通、卸、どの部分かは分からないですが、備蓄米をめぐるチキンレースになるんじゃないかなという怖さはあります。
九十一万トンですよね。九十一万トンの中で二十一万トン出すわけですから、底が見えているわけです、七十万トン。日本人が大体一月から二月ぐらい食べる分しか逆にもう残らないということですから、下がらなかった場合にどうするのか。若しくは、不作だった場合は更に困るわけです。
実際は、今回の備蓄米は売って買い戻すから、ある意味触媒的なものだから、マーケットには、価格には影響を与えませんよということだとは思いますが、価格が下がらなかった場合、若しくは、不作で更に米価が上がってしまった場合、更に消費者が大変なことになりますが、そちらに対しての対応は考えていらっしゃるでしょうか。
○江藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、マーケットが相手ということに加えて、これまで想定されていなかった方々がマーケットにプレーヤーとして参入をしている。
マーケットを私のところでこうなるということを予見するのは難しいですよ。ですから、下がらなかったときにどうするのか。ですから、二十一万トン以上、もう覚悟を決めて、出すという覚悟をしました。そして、下がり過ぎたときにはどうするのかという御指摘もありましたが、買戻しの条項がついておりますので、一年以内というのは、下がればすぐに戻そうと思っています。
機動的に、これは逐次公表はいたしますが、マーケットを本当は国がコントロールすることは正しいことではないかもしれませんが、上がり過ぎない、下がり過ぎない、消費者の方々も御納得いただける、生産者の方々も、これぐらいの水準だったらいいんじゃないかというところに何とか行けるように知恵を絞っていきたいと思いますが、先輩たちの時代も含めて誰も経験したことのない世界に入っておりますので、覚悟を決めてやらせていただきます。
○安住委員長 午前中の審議が終わりますので、まとめてください。
○近藤(和)委員 午前中の時間が過ぎましたので、また午後、引き続き議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。近藤和也君。
○近藤(和)委員 午前に引き続いてになります。
お米の問題、引き続きさせていただきますが、今回のこの騒動というのは、不思議な状況というか、生産されているのに値段が急騰している、ある意味、未体験ゾーンではないかなというふうに思います。
そして、昨年は、食料・農業・農村基本法が二十五年ぶりに改正をされて、あわせて、安全保障ということで食料供給困難事態法も作られました。私たちは、計画どおりにしなければ、計画を出さなければ罰則を、刑事罰を設けるというのはもうとんでもない、これは今でも、これをなくすようには求めていきたいとは思っていますが、ただ、食料供給困難事態法は、あくまでも生産若しくは輸入も含めて二〇%減るというところですよね。
今回はそうではありませんので、じゃ、別の対応ができないのかということであれば、国民生活安定緊急措置法であったり、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、これはオイルショックのときに作られた法律ですけれども、国民生活安定緊急措置法に関しては、ティッシュや家庭用灯油、そしてコロナのときにもマスクやアルコールを指定をされました。
そこで伺いますが、今回、お米に関して備蓄米の放出とはなりましたが、これらの法律の適用を検討しなかったのか、さらには、今後、米価が上がり続けてしまった場合に検討することがあり得るのか、答弁をお願いいたします。
○江藤国務大臣 今委員の方から御説明いただいたとおりでございまして、オイルショックのときにできた法律ですが、これは一般のいわゆる物価そのものが上がったときの対応ということで、今、品目についても御紹介をいただきました。
そして、この二つの、売惜しみ防止法も含めて、私、大臣として考えなかったわけでは当然ありません。しかし、過去の例を引いても、今回に引用することはとても無理だということで、結果として、食糧法の二十九条に基づいて、今回、買戻しを条件に放出することにしたわけでありますが、しかし、これも、量についてのみ食糧法は書いてあって、価格については書いてありませんので、何度も答弁いたしましたけれども、法制局の方とも意見交換をして、法律上、しっかりとこれは説明がつくのかということも検討した上でやりましたので、検討しなかったわけではありません。
しかし、これから先、どんなことがあるかは分かりません、世界は不安定ですから。将来的にもこの二法について全く適用を考えないのかという御質問であれば、もうとんでもないことになればこういうことが適用されることもあり得べしというふうに考えております。
○近藤(和)委員 検討はされたし、今後も検討をする可能性はあるということですね。
実際には、相当乱暴だとは思います。乱暴ですけれども、やはり、食料を守っていく、消費者を守っていく、そしてひいては農家を守っていくということでは、しかるべきときには決断をするんだということの姿勢は示していく必要があるのではないかなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問ですけれども、まずは、今回の米騒動は、やはりそもそも論として、農家が減ってきている、そして農地も減ってきている、農業に関しての脆弱性が今回表れてしまったのかなというふうに考えています。
農家の基幹的農業従事者数でいけば、一九九〇年からでいけば、二百九十二万人から百十一万人、百八十万人減っています。大体、岡山県だとか三重県ぐらいの人口ですね、三十五年間で丸々農家の方がやめてしまったという状況ですし、農地に関しては、五百二十四万ヘクタール、一九九〇年ですね、そして昨年では四百二十七万ヘクタールということで、約百万ヘクタール減っています。大体、大阪府や東京の半分ぐらいの面積の農地がなくなってきているということで、さらには、今後、農家の数でいけば、十五、六年で大体六割ぐらい減る。そして、農地に関して言えば、あと五、六年で、二〇二〇年比ですけれども、三割減る。
農家の方が六割減って、農地も三割減って、それで安定供給ができますかねということなので、今回、やはり危機意識として持つべきは、令和の米騒動は今回限りではないということを覚悟しておかなくてはいけないのかなと。まずは収まってほしいんですけれども。そして、その上で、やはり農地、農家をいかに守っていくかということを、これは与党、野党超えてしっかりと答えを出していく必要があると思います。
それで、パネルの四です。今回の私の地元の輪島市の田んぼの様子です。実際には、奥能登地域はお米を作れていない農家の方が多いので、今回、お米の値段が上がって一息ついたという全国の方々と比べて置いていかれているというつらい状況もあるんですが。
今、今後の更につらい状況といいますのが、これは二日前の写真です。十ヘクタール以上をされている四十代の農家の方ですね。お子さんもいらっしゃいます。借金もあります。リース代も払うのが大変だということの中で、今、問題としてありますのが、収入保険や農業共済、ちゃんと入られていました。ただ、あくまでも、去年なんですね、去年しか入れないんですね。今年は入れません。確かに、保険の世界でいえば、車を買って、それで保険に入って、壊れたら保険金が出てくる、これは当たり前ですけれども、壊れた車があるから保険に入らせてくださいということも難しいということは理解をしていますけれども、四、五年、もう耕作できないのではないかというふうに説明を受けています。
その中で、じゃ、今年作れない、来年作れない、再来年作れないという中で、確かに、国としては、幾つかの支援制度、直営施工であったりとか、別の農業法人で働いたら日当ぐらいは出るとか、残渣処理に対してお金をいただけるとか、幾つかのことはしていただいていることは間違いないんですけれども、ただでさえ、この十ヘクタール全部作れて、そして売れて、ようやくとんとんぐらい、借金を返してとんとんか、できるかできないかぐらいの農家の方が、全部作れない、若しくは一割、二割しか作れないという中では、とてもじゃないですけれども、もう諦めたということになってしまいかねません。
でき得れば、直接的に、このような農家の方々、何万人もいらっしゃるわけではありませんので、何らかの形で営農していただく、続けていただく、そういった支援ができないのか。そして、今後の、未来の被災地のことを考えれば、一年目は収入保険や共済で賄うことができたとしても、二年目、三年目、四年後も何らかの形で補償して、補償という言葉、手当てですね、手当てをしていけるような手段を考えていくべきではないかと思っています。
一年目は払わないという、一年目だけは戻ってこないという保険商品もあり得るんじゃないかというふうには思いますし、例えば、被災者生活再建支援金のような形で積み立てていって、一年目の被害にはお金はもらえないけれども、二年目、三年目、四年目のときにはお金が出るような、そういった仕組みができないのかということですが、こちらは農水大臣に伺うのか、若しくは総理に、今後そういうことが考えることができないのかということですが、お答えいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 私も能登に行かせていただいて、被災者の方々と意見交換を行いました。一時間の予定でしたけれども二時間を超えて、本当に、一年目はいいけれども、二年目、そして三年目、今回の地震に加えて水害も含めて復旧まで五年かかる、この間は、とてもじゃないけれども、今おっしゃったように、いわゆる様々な返済もあるんだ、とてもやっていけないというお話は聞きました。
しかし、保険制度でありますので、収入保険そのものをいじるということになれば、保険料率自体を見直さなきゃならないことにもなりかねないと思います。今でもまだ二十数%しか収入保険には入っていただいておりません。それはやはり、一年目の積立金も含めて、保険料が高いという指摘もあります。ですから、いろいろメニューは変えてきましたけれども、複数年度補償したい気持ちは物すごくあります。今大事なことは、農地を守り、そこで営農してくれる人たちを将来にわたって確保する、それが食料安全保障の一番の要諦だという気持ちは先生と全く変わらないですよ。
ですから、新しい制度の検討についていろいろ御提言をいただきました。今ここで、検討しますというところまでは踏み込めませんけれども、果たしてどういうことができるのか、細かい支援の内容は、例えば自分で施業したらこれだけ払うとか、それとか、地域でやったらお金が日当としてもらえるとか、もう全部知っていらっしゃいますから申し上げませんけれども、しかし、これだけ災害が激甚化し頻発化すると、やはり将来の食料安全保障のために、何か考えられることがあれば努力はしてみたいなと思っております。
○近藤(和)委員 やはり、災害に関しての復旧復興支援というのは、複数年度にわたっていくということで、賄い切れないところがあるんだということは、是非とも共有の認識として持つ必要があるんだろうなと。
雇用調整助成金に関しては、今年一年間、更に延長していただきましたよね。今までになかったことをしていただいたということは大変ありがたいと思いますが、ただ、例えば和倉温泉などは、来年もまだ営業再開ができないところがあるわけです。
特例の特例の特例が果たして本当にできるのかということも含めて、新たな制度が必要だという認識を是非とも総理も持っていただきたいんですが、防災省の設置のところも含めて、そのような概念を入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 収入保険も共済も、単年を予定いたしております。商品設計としてそういうものでございます。
ただ、こういうことはこれから全国あちらこちらで起こるのだろうということを考えましたときに、もちろん農業だけではございません、ほかの産業もそうなのでありますが、どういう制度設計ができるかということについては政府としても考えてまいります。
是非、委員各位におかれましても、こういう制度でどうなんだろうか、そこにおいて私的財産が増嵩することになるわけですから、そこにおいて公費の入れ方をどのように考えるかということも含めて、これは答えを出していかねばならないと思っております。政府としても考えますが、是非とも御提案、御提起を賜りますようお願い申し上げます。
○近藤(和)委員 被災者生活再建支援金のような形のものも含めて、何らかの形で以前はなかったものを新たにつくっていく、なりわい補助金もそうだと思いますが、私たちの方からも提言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
時間があと数分しかないので、ちょっと意見表明、お願いをさせていただいて、終わりたいと思います。
今、奥能登の一番就業人口の多い産業というのはどこだと思いますかということなんですけれども、医療と介護、医療、福祉なんです。一番多いんです。ただ、観光ですとか伝統産業ですとかと比べて、なかなか光が当たらないんですよね。大変困っていらっしゃいます。
そして、直接お話を伺ったんですが、社会保険料の負担ですね。社会保険料の負担を、今は支払いを一時凍結といいますか、止めていただいていますが、免除にはならないんです。田舎ですから、せっかく働いていただいている方を、災害を理由に、もうあなたは来なくていいなんということはできません。当然です。しかも、介護の分野は、有効求人倍率が〇・七倍とか〇・六倍だった時代も、二倍、三倍で、やはり不人気だったんですよね。なかなか、先日、厚生労働省さんからもお話を伺いましたが、一旦契約を切ればその分負担はかからないんだという説明も聞きましたが、そんな殺生なことはやはりできないですよ。
東日本大震災と阪神・淡路大震災のときには、特例法ということで免除されたんです。ある特定の災害において特例ということは、やはりいかがかというふうに思います。ある程度、大災害は一くくりで同じような扱いをしていくべきだということと、医療、介護の方々にも光を当てていただきたいということを申し上げまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、早稲田ゆきさんから関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆきさん。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。
それでは、追加をいたしました外交問題について一、二点伺います。
岩屋外務大臣にまず伺います。
ミュンヘンの安全保障会議、お疲れさまでございました。ルビオ米国務長官、それからまた韓国の趙兌烈外相とともに、二期目のトランプ政権発足以来初めての、ドイツで開催されましたミュンヘン安全保障会議、こちらで、共同声明で北朝鮮について、完全な非核化、これを求める確固たるコミットメントを再確認をしたというニュースが流れております。
これについて、日米韓の結束というものがどのように確認をできたのか、大臣に伺います。
○岩屋国務大臣 ミュンヘンでの安保会議に合わせて日米韓の外相会合を行いました。これは、トランプ政権が発足して、また、マルコ・ルビオ国務長官が就任されて初めての日米韓の外相会議ということになりました。
この会議を通じまして、我々を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、複雑化する国際的な課題、あるいは北朝鮮の問題に効果的に対応する上で、日米韓の戦略的な連携はこれまでになく重要だ、そのことを確認をさせていただいたところでございます。
その中で、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向けての三か国のコミットメントを再確認できたことは極めて意義があったというふうに思っております。
○早稲田委員 その上で、総理に伺います。
トランプ大統領は、北朝鮮との二国間のディール、取引を重視をするのではないかとの見方もあります。この日米韓の枠組みの意義が改めて問われる、これが重要視されると思いますけれども、総理のお考えを伺います。
○石破内閣総理大臣 それはそのとおりです。
北朝鮮が言ってきますのは安全の保証、それは日米安全保障条約の保障ではなくて、証の方ですね。これは全然違う概念ですのでね、同じホショウという発音ですが。これをどうするんだ、誰がどのようにしてこれを保証するんだということでございます。
体制を維持するということがあの国の核心的利益でございますから、それと核保有というものをどう切り離して考えるかということを真剣に考えていかなければなりません。私は、事の本質はそこにあるんだろうと思っておりまして、そうであるからこそ、日米韓で対応に差があってはいかぬのだ、北朝鮮の完全な非核化ということと彼らが求める体制の保証というものをどう両立するかについて、三か国間で常に連携を図り、意思の疎通を図りたいと考えております。
○早稲田委員 今総理から御答弁いただきましたが、トランプ大統領は北朝鮮の金総書記と接触を図ろうとしておられるような報道もございますし、一期目のトランプ政権におきましては、史上初の米朝首脳会談も行われたわけでございます。そのリーダーシップということはよろしいとしても、やはり日米韓でしっかりとした連携をして、そして拉致問題もしかり、それから完全な北朝鮮の非核化交渉、これをきちんと連携をしてやっていただく、これが揺るぎないものであっていただくように私からも要望させていただきます。
それでは、質問の次に移ります。
私たちは、この間、財源ということにもきちんと責任を持ってやるべきだという考えに立ちまして、二月十四日、立憲民主党は、令和七年度の予算の修正案、これを提示をさせていただきました。
ここにおきましては、省庁別の審査での結果も踏まえて、非効率な、無駄であると考えられる、そうした予算も多く明らかにすることができました。その上で、積み増し過ぎた基金や予備費、そしてまた様々な削減を行って、三・八兆円の財源を確保し、そして、それを本当に国民が困っていらっしゃるところにこそしっかりと修正案で予算づけをしていくべきだという考え方に基づいてのこの修正案を出しました。
立憲民主党は、政権を担い得る責任政党として、財源にも責任を持って、そして、さらに、国民のための税金の無駄遣いが行われていないかということ、それからまた国民の負担を減らすということ、それからもう一つは国民の収入を増やす、この三本柱で修正案を計上をいたしました。その中身について伺ってまいりたいと思います。
私たちは、パッケージで三・八兆円を提示をしています。つまり、ワンイシューではなくて、いろいろな、子育て支援もそう、高齢者の方の支援も障害者の方の支援もということで、これをパッケージにいたしましたので、総理を中心に聞かせていただきます。
まず、国民の負担を減らすというところからでございますが、高校の授業料無償化、パネルを御覧ください。
この無償化につきましては、自民党さん、公明党さん、維新さんで協議を進めていると聞いております。このことにつきましては、この図を見ていただきたいんですけれども、水色の部分は、今、所得制限つきで高校の授業料が無償化をされています。
私たちは、まず、元祖民主党政権で、所得制限なしで高校授業料無償化を行った経過がございます。これは先ほど野田代表もおっしゃっておられました。その上で、立憲民主党も、予算の修正案に、教育費の家庭の負担を減らすためにこそこれをやらなければならないという思いで入れておりますけれども、まず、今回は、この高校授業料の無償化予算は、所得制限なしで三千七百九億円を提案をしております。
しかしながら、元々二〇一〇年に民主党政権で所得制限をなしにしたものを、二〇一〇年から一四年、大変評価も高かったと思います、にもかかわらず、これを二〇一四年に安倍政権で、自民党政権で所得制限をまたやった、つけてしまった。これについては、大変この失われた十一年の大失策ではないかと私は考えます。
これについて、今こうやって復活をしようとされているわけですから、そこは評価をしますけれども、やはりこの十一年の、所得制限をつけたということについて、これは大失策であったし、間違いであったということをまず総理には反省をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○石破内閣総理大臣 これは野田代表にもお答えをしたことでございます。十分に所得のある御家庭とそうでない御家庭を本当に一緒に扱っていいですかと。これは根本的な価値観の問題で、一緒に扱っていいという方も大勢いらっしゃいますが、十分お金もありますよという方々にも無償化にするということになると、そこで失われたというんでしょうか、そういうお金はほかに使い道はありませんかという議論は当然あるんだろうと思っております。
もう一つは、それをやることによって格差是正ということはなくなっちゃうんだよねということが起こりはせぬだろうかということでございます。それを同列に扱う、全部無償化だということになりますと、所得のある御家庭、そうでない御家庭の格差是正ということについて、決してプラスの影響にはならない。そのことが政策の目的ではございませんが、格差の是正という観点から見てどうなんだろうかという議論、それは今でもあるんだろうと思っています。
私どもも、当時は私は政調会長でございましたが、全部無償化だということがより多くの御支持を得られるかもしれないとも思いました。ですけれども、限られたお金の中で本当にどこに光を当てていくべきかという議論は今も残っているんだろうと思っております。
○早稲田委員 格差是正とおっしゃいますけれども、何もこの高校授業料無償化の所得制限なしだけが格差是正をやる政策ではございません。たくさんの格差是正のための貧困対策ということをやっております、それもまだまだ足りない部分はありますけれども。
さらに、子育て支援ということであれば、非常に家庭の、子育て世帯の家計の負担が重くなっているこの授業料の無償化を、九百十万円、五百九十万円というところで切ってしまうのではなく、やはりここのところはしっかりと、みんなで選べる、学校も選べる、そういうふうにやっていくことが必要なのではないかと私は強く思います。少子化対策であり、子育て支援は、やはり社会でやっていくということだろうと私は考えています。
昨日も首長の方に言われました。隣の東京都では、もう既に高校授業料無償化が所得制限なしで始まっている、それから、第一子の保育の無償化も始まっている、そうすると、とにかく後追いでこの神奈川はやっていかなければならない、こうしたことがもっと国で一律でできないのでしょうかということを強く私たちも要望されております。全国の首長からのそういう要望書にも書かれているとおりであります。
私は、これは是非やるべきだという視点に立ちまして、私たちの案を申し上げたいと思います。
今進められているのは、二五年度から十一万八千八百円を支給する方針が提起をされております。さらに、二六年度から、その上、オレンジの部分、これは、やはり所得制限を撤廃して、三十九万六千円を支給する案として出されております。
私たち立憲民主党は、二月十四日に、高校授業料無償化、所得制限なしという法案も提出をいたしました。そして、この予算の修正案にも入れさせていただいております。これは、東京方式を全国展開をしたらどういうふうになるか、そして、全国平均の私学の平均が四十五万円ということでございますので、四十五万円まで私学の支援金を出す、支援をさせていただくということの案をここで提示をさせていただいています。
これは東京都が先んじて始めていらっしゃいますけれども、東京都の立憲民主党都議団が従来から所得制限なしの高校授業料無償化をずっと提案をしていて、そして、ようやく今回政策実現がされたものでありまして、私たちもその東京方式を全国展開しようという思いでこの修正案を出しております。これは四十五万円ということでございますけれども、いろいろ、今、各野党の皆さんからも案が出ていると思います。出ておりますけれども、やはり全国平均レベルまでは上げて、そして私学支援ということは非常に重要であります。
それと、もう一つ私たちが掲げておりますのは、公立小中高との格差ができてはならないという意味からも、公立小中高が非常に学校の施設整備が、老朽化をしておりますので、その施設整備費も倍増をする、それも含めた案が三千七百九億円であります。これもやはり進めていただかないと、私学に劣るというようなことが公立学校で言われておりますので、そこのところも是非整備を進めていただきたい、その思いであります。
今、この修正案の議論の山場だと思っております。総理には、四十五万円まで私学の支援金の上限、それから公立学校の施設整備費の倍増、これを両輪でやっていただきたいと思いますが、是非決断をしていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 御趣旨は承知をいたしております。
そのときに、東京とか大阪のように比較的財政が潤沢でありますところと、そうではないところ、ここをどのようにしてバランスを取って考えるかという問題と、もう一つは、私立の高等学校もある程度あるところと、私立が余り多くなくて選択がなかなか難しいところ、それをどのように考えるか、この二つを解決をする必要があるだろうと思っております。
その結果として、私は、幾らという数字は出てくるものであって、東京方式に合わせる、あるいは大阪方式に合わせるというときには、そのほかの条件が違う地域とのバランスというものをよく考えながら、各党間において御議論をいただき、政府もそれを真摯に承ってまいりたいと考えております。
学校の老朽化対策でございますが、これは、公立小中学校と高校とは違いがあるのは委員御案内のとおりでございます。
小中学校におきましては、先ほども答弁を申し上げましたが、コストをいかに抑えるか、あるいは排出する廃棄物も少なくできるかという観点から長寿命化を進めていかねばならないと考えております。これは余り受ける話ではないのですが、学校規模の適正化、あるいはほかの公共施設との複合化というものも併せて老朽化対策を進めてまいりたいと思っております。
高校につきましては、学校教育法に基づきまして、基本的に、設置者であります地方公共団体の一般財源、これで実施をすることといたしております。
そのように考えました場合に、国と地方との役割分担についてきちんと考えていく必要があると思っておりまして、小中学校と高校にはそのような本質的な差異がございます。
○早稲田委員 あくまでも、私学の無償化ということにつきましては国でやっていただく。そして、それは、もちろん、地域によって私立の多いところも少ないところもございますけれども、やはり子供たちが経済状況にかかわらず選びたい学校を選べるという意味では大変重要な政策だと思っています。
これは本当に時間がないんですね。総理、今週に決断をしていただかなければならない。そして、野党の皆さんも、維新さんも、皆さんこれに賛成を、公明党さんも、与党の皆さんも賛成をされている。無償化ということ、所得制限をなくしていこうということには基本的に合意をしていらっしゃるはずですから、是非総理、この四十五万円、もう一度伺いますが、決断をしていただけないでしょうか。是非お願いします。
○石破内閣総理大臣 各党の協議の結果というものをきちんと見定めまして、政府としては誠実に対応いたします。
○早稲田委員 協議も時間がないわけですし、もう何回も協議をしていらっしゃると思いますから、私たちの修正案もパッケージで提案をしておりますので、是非、この四十五万円のものも含めて、高校の所得制限なしの授業料無償化を進めていただきますように強く要望させていただきます。
それでは、次に参ります。
今は国民の負担を減らすということで、子育て世帯のことでございましたが、今度は収入を増やす政策であります。一つには、保育士、幼稚園教諭の処遇改善ということでございます。
このパネルを御覧ください。
これは、賃金構造基本統計調査、決まって支給する現金給与額、この厚労省の数字に基づいて作りました。全産業平均で月額三十四・七万円、これと、保育士は、見てください、二十七・一万円でございます。これは本当に差があるんですね。ほかの介護の方も申し上げますけれども、保育士さんでいえば七・六万円も差がある。そして、今回、このプラスアルファのことは処遇改善でやっていただいていますけれども、それでも到底追いつかない格差であります。
ですから、私たちは、せめて、まずは月額一万円で年額十二万円の処遇改善を行うべきではないかと考えておりまして、このことについて総理のお考えを伺います。
○三原国務大臣 保育士、幼稚園教諭の処遇改善につきまして、これは継続的に行っております。
直近、令和六年度補正予算では一〇・七%の大幅な改善を実施しておりまして、令和七年度予算案でも、財源を確保した上でこれを反映しております。具体的には、平成二十五年度以降、累計で約三四%の改善、これに加えて、技能、経験に応じた月最大四万円の給与改善も平成二十九年度から実施しております。
政府のこれまでの取組によりまして、全産業の平均賃金との差は随分縮小して、今後も引き続き、こども未来戦略に基づき、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善を進めてまいりたいと思っております。
○早稲田委員 今、一〇・七%の処遇改善とおっしゃいましたけれども、これも全部給与に反映できるとは限りません。そうですよね。そういうものなんです、この処遇改善のものは。経営のこともありますから。
そして、これまで三四%改善してきたよとおっしゃいますけれども、全産業の方もどんどん上がっておりますから、その格差というのは縮まっていないんですよ、ほとんど。広がっているんです。だから、そういう意味でいえば、やはりきちんと給与に、全ての方に賃金に反映できるように、私たちは年額十二万円の引上げ、処遇改善ということを改めて要望をいたします。
それでは、次に進みます。
これまでは、子育て支援ということで政策を打ち出してまいりました。私たちは、いろいろ町に出て聞いておりますと、やはり子育て支援も大事なんだけれども、高齢者の私たちの支援はどうなっているのというお声もたくさん伺います。だからこそ、私たちは、三・八兆円を確保した中で、ワンイシューではなく、高齢者の方たちが安心して暮らせる社会のために、そういうためにも政策を打ち出しております。
その一つでございますが、まずは介護人材、つまりは、介護を受けたくても受けられないような、そしてまた選べないような状況になってきているというのが現在の状況であります。私たちは、介護の現場の従事者の方たちの処遇改善の法案を何度も出しております。そして、今回も、年額で十二万円のアップをするための法案を一月三十日に衆議院に提出をいたしました。これについても、一時金ということで補正予算で上げてはいただきましたけれども、これでは完全に不十分です。
これを見てください。
特に訪問介護の場合は、これも何回も議論しておりますが、介護の基本報酬を引き下げたんです。そして、処遇改善加算でやってくれと言いますけれども、これでは到底立ち行かないということが、後で数字も出していただきたいと思いますが、まずは、訪問介護の職員の方は二十八・四万円、全産業平均と比べればマイナス六・三万円、そして、介護職員の方、ほかの全般の方をいうと二十六・四万円、これでは八万円以上の差が開いております。これが一時金だけで解決できると思われないですよね、大臣も。いいんです、御答弁は。そういうことなので、私たちは、とにかく年額十二万円を上げていただきたいと思います。
そこで、参考人に伺います。
介護報酬の改定もありました、そして全体として上がったとおっしゃいますけれども、二〇二四年の倒産や休廃業した介護事業者数、それからまた訪問介護の事業者数はどのくらいありますでしょうか。また、一緒にやりますが、緊急対応の処遇改善の支援金でどのくらい改善が見込まれると試算されているのか。
二問一緒にお答えください。簡潔にお願いいたします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの介護事業所の休廃止の状況につきましては、昨年十二月に公表した自治体アンケート調査の速報値におきまして、令和五年の六月から八月までの三か月で休廃止した事業所数は全体で二千五百五十一件、うち訪問介護は五百十八件でございます。
それに対しまして、令和六年の同期間で休廃止した事業所数は全体で二千七百三十二件、うち訪問介護は五百六十三件でございまして、対前年同月比で、いずれもおおむね一割弱の増加と承知をしております。
一方で、同時期に新規開設、再開した全体の事業所数は、令和五年が二千九百二十四件、令和六年が三千五百九件と五百件以上上回っておりまして、事業所数の総数としてはやや増加しているというのが現状でございます。
続きまして、令和六年度の補正予算での効果というお尋ねがございました。
今般の事業につきましては、何%、何か月分の賃上げのための人件費という考え方に立ったものではございませんが、例えば、仮に平均的な配置職員の事業所におきまして補助額が全額人件費に充てられた場合、常勤換算職員に六か月分支給したとして機械的に計算すると、一人当たり九千円に相当するものでございます。
○早稲田委員 今、月額で言っていただきましたが、九千円改善されるのではないかということですけれども、これも、全ての一時的な支援金が給与に回った場合の話です。そうではなくて、私たちは、きちんと賃金に、引上げができるように、年額で十二万円、まずは月額一万円の賃上げをするための処遇改善を求めております。
そして、先ほど、今数字を言っていただきましたが、休廃業してもまた新しいところができているというような御答弁をいただきましたが、でも、休廃業しているのは二千七百三十二件ですよ、三か月で。三か月です。そして、これも一割弱増えています。それから、訪問介護においても五百六十三件、八・七%の増加になっているわけです。
そして、これは自治体だけの調査でありますから、これからもっと詳しい、そしてまた、この自治体調査だけでは非常に誤解が生じますので、私も、もっと小規模の事業者の方の意見を聞いてほしいということで厚労省には求めているところで、もっときちんとした調査がこれから出てくると思いますけれども、まだまだこういう数字だけでは実態が見えておりません。
それから、先ほど総理は、現場を回らせていただいて、介護の社会化ということは大変重要だとおっしゃいました。きっとそういう気持ちを持ってこの処遇改善にも当たっていただけると私は信じておりますけれども。
この数字を見て、二〇二五年はまさに介護崩壊元年だという記事もございます。これを見れば、介護崩壊元年というのはどういうことか。つまり、今年、団塊の世代の方たちが加わって、七十五歳以上が二千百万人、介護職員はどのくらいかと申しますと二百十二・六万人、前年度よりも二・八万人、初めて減少に転じました。つまり、処遇改善もなされない、仕事もきつい、時間もよく分からない、そういう中でのこうした動向であります。それからまた、他産業は賃上げになっていますから、流出もどんどん進んでしまっているわけですね。
そして、二〇四〇年にはどうなるかというと、団塊ジュニアの方たちが後期高齢者。そうすると、五十七万人不足ということがもう数字で、試算を厚労省もされているはずです。
こういうことを見れば、今、九千円ぐらいのと言っては大変申し訳ないけれども、賃上げでは到底どうにもならない。ここでいえば六万円、七万円の賃上げが必要なんです。
そうしたことでいえば、私は、訪問介護の緊急的な一時金、これも法案を出しております、これと重ねて処遇改善を是非総理にはやっていただきたい。
二〇二五年が介護崩壊元年、そして、介護離職で九兆一千七百九十二億円の経済損失という記事も出ております。これは淑徳大学の結城康博先生が、「介護格差」の著者でありますけれども、待遇悪化もあり、訪問介護のヘルパーの有効求人倍率は十四倍と人材不足の極めつけの状況だということも言っておられます。
この介護崩壊元年、介護崩壊政権に石破政権がならないように、是非この処遇改善を進めていただきたい、私たちの法案を一緒に進めていただきたいと思いますが、総理に伺います。
○福岡国務大臣 御指摘のとおり、保険料を払っていただいて、その地域でサービスが受けられないということはあってはならないというふうに思っています。
御指摘がありましたように、処遇改善加算を講じていますが、まだ十分取得いただけていない場合に、その処遇改善加算の要件の緩和等も行わせていただいていますし、御紹介がありました補正予算で措置等もしております。その補正予算の、これが今後また事業所に渡っていく中で、しっかりその実態調査を踏まえまして、必要な対応を行っていきたいと思っています。
○石破内閣総理大臣 現場の厳しさはよく承知をいたしております。
有効求人倍率十四倍というのはただごとではございませんで、このこともよく認識をしております。
介護崩壊というのは、介護を受ける側もそうですが、介護離職というもので、そちらの方の家庭も崩壊するという危険性がございます。そのことはよく認識をいたしております。
今大臣から答弁を申し上げましたように、私どもとして支援制度を随分充実してまいりましたが、それをどれだけ取得していただいているのかということもよく調べなければなりません。
この周知に努めますとともに、介護に従事される方々の所得を増やしていくための財源というものをどこに見出すかということでございます。このことの必要性は十二分に認識をいたしておりますので、政府部内でよく検討いたしてまいります。
○早稲田委員 不十分なんですね。もちろん、今までよりは支援金を出していただいているとか、処遇改善をなされているというのはありますけれども、それでも不十分なんです。処遇改善加算を取れないところもたくさんまだあります。簡単にしていただいたと大臣はお答えになっていらっしゃいますけれども、簡単にしても取れないところがあるんです。そういうところは、やはり賃金を上げるというところの処遇改善をしっかりやっていただくということが一番即効性がございます。だからこそ、私はやっていただきたいという意味でこの質問をしております。
これにつきましては、介護の、それから次にやります障害福祉施設で働く処遇改善は四千二百二十五億円、それから訪問介護事業者に対する緊急支援は三百五十七億円、これは、私たちが先ほど申しております三・八兆円の財源の中の、やはり厚労省関係で、基礎年金給付費の一部活用、これは不用額が毎年一兆以上のものが出ております、三兆というときもございました。それで、いろいろこれも考えてはいただいているようですけれども、全部ではない、その一部を利用してこういうことができるわけですから、財源論を無視して私たちは提案をしておりません。ですから、是非、福祉に冷たい石破総理ということにはならないように、この十二万円、処遇改善をやっていただきたいと思います。
さらに、一つ障害福祉従事者の問題でございます。
これの処遇改善も喫緊でございます。これを私たちは千二百五十九億円で修正案に入れておりますが、介護以上に担い手不足なんです、御存じだと思いますけれども。先ほど、訪問介護の場合は十四倍ということの有効求人倍率ですが、福祉全般では四・五倍なのに、障害に関しては六・五倍という有効求人倍率の高さであります。そして、充足率、つまり、募集に対して採用がどのくらいなされたか、これは五三%足らずなんです。十人募集しても五人しか来ないということです。その中で、障害福祉を担っていらっしゃる皆様は、もう泣く泣く、移動支援とか地域生活支援とか、こういうものの担い手がいないので、これをカットしていかざるを得ないということの悲鳴が聞こえてまいります。
これにつきましても、是非、私たちは月額一万円で年額十二万円の処遇改善を必要だと考えますし、これをやるべきだと思いますが、総理のお考えを伺います。総理、お願いします。
○福岡国務大臣 こちらにつきましても、先ほどと同様、処遇改善加算を取りやすくしていただく環境の整備を行いますとともに、補正予算で一定の措置を講じさせていただいています。そこの経営改善の状況をしっかりと見極めた上で、必要な対策を講じていきたいと考えております。
○石破内閣総理大臣 今大臣がお答えしたとおりですが、それの取得の状況、周知の状況、そして改善の状況、よく把握をさせていただきまして、対応を取らせていただきます。
○早稲田委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、処遇改善をまだ取られていないんじゃないかとか、実態調査とおっしゃいますが、報酬改定は、また八年度ですよね。もう遅いんですよ、本当に。今やらなければ、介護離職が進んで九兆円の経済損失です。
大臣もそれから総理もよく御存じと思いますけれども、エッセンシャルワーカーのお仕事というのは、もちろん、介護それから障害の方たち、要介護が必要な方たちを支えていただいているんですけれども、その前に、働く私たちの仕事とそれから生活を支えていただいているんです。それだけきちんと評価を、介護の方それから障害福祉の方たちのお仕事を評価をしていただき、処遇改善をしていただくことが喫緊の課題でございます。
また調査をかけて事態を見るとか、そういう段階じゃないんですね。本当に介護崩壊、障害福祉の崩壊が起こっています。私たちは、それを食い止めるために修正案を出させていただいていますので、是非年額十二万円の、総理、前向きにこれを検討していただくということでよろしいですね。
○安住委員長 これは、時間が間もなく来ますので、石破総理、最後の答弁ということで。
○石破内閣総理大臣 御趣旨を踏まえて、政府部内で真剣に検討し、対応いたしてまいります。
○早稲田委員 よろしくお願いいたします。
是非修正案をのんでください。お願いいたします。
○安住委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。
○大西(健)委員 大西健介でございます。
本日、私は立憲民主党の質疑者の最後になりますので、これまでの質疑者の質問も受けながら質問をしていきたいと思います。
そこで、まず、午前中に川内委員の方から、森友学園への国有地の売却問題をめぐっての財務省の文書改ざん問題について、この改ざんの経緯が分かる文書の開示をするのかということを総理に問いました。総理は、赤木さんに対する思いは私なりに強く持っていると同時に、結論を決め打ちすることなく、情報公開法の趣旨にのっとってきちんと対応していく、こういうふうに答弁をされたんですが、そこで二つ確認をしておきたいと思います。
一つは、この文書の開示に当たっては、黒塗りをすることなく開示をしていただけるんでしょうか。それからもう一つは、この開示はいつまでにやるのか、このことについてお答えいただきたい。
総理の答弁について私は聞いているので、総理が御答弁したことについて追って聞いているので、総理からお答えいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、前から申し上げているように、開示、不開示について、総理から、法令にのっとって国民に対する説明責任をしっかり果たし、丁寧に検討しろということでございますから、当然、情報公開法は、御存じのように、開示、不開示等の規定がございますから、それにのっとって対応するというのが一点目であります。
それから、めどについては、今精査をさせていただいております。どういう段取りで、どういうふうにやれば、どんなスケジュール感で出せるかということをやっておりますので、まずはその作業を早急に進めさせていただきたいと思っています。
○大西(健)委員 この文書を不開示とした国の決定を取り消した大阪高裁の判決が十四日に確定をしています。
これは、先ほども、加藤大臣からは、今どういうふうに出せるか検討しているということですけれども、先ほどまさに言ったのは、この改ざんの経緯が分かるようにということですから、先ほど総理は、赤木さんに対する思いは私なりに強く持っている、こうおっしゃっていただいたわけですから、これは当然、経緯が分かるためには黒塗りはしない。それから、もう十四日に確定してから、そんなに時間はかからないと思いますよ。
今週も、予算委員会はまだ集中審議も予定をされておりますので、これは開示していただいた上で、ちゃんとここでそれに基づいた審議もしなきゃいけないので、是非、いつまでに開示するのか、今週中ですか。あるいは、もっと言えば、予算の出口というのもいつか来ますけれども、旧安倍派の元会計責任者の松本氏の参考人もそうですけれども、やはりこの衆議院の予算審議中に、ちゃんとここで議論できるような余裕を持って開示をしていただける、こういうことでよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 財務大臣がお答えしたとおりでございますが、午前中の答弁で申し上げましたように、これは根拠法令として情報公開法第一条というものがございます。この趣旨にのっとって政府としては適切に対応いたしてまいります。
事実関係が明らかにならない状況のままで、いついつということは申し上げることはできません。それが明らかになった時点というものがなるべく早く行われますように、しかしながら、いいかげんなことを申し上げるわけにもまいりませんので、それが明らかになり次第、それは開示をするということでございます。
もう一つは、いわゆる黒塗りにならないようにということでございます。これも情報公開法一条の趣旨にのっとって適切に判断をいたしてまいります。
○大西(健)委員 重要なのは、やはり事実関係というか、この問題の全容を明らかにすることですから、そのためには、個人名とか、どうしてもというところはあるかもしれませんが、やはり黒塗りすることなく、速やかに公開をしていただきたいというふうに思います。
それでは、今日は外交、安全保障等についてのテーマでの集中審議ということですので、私からも外交、特に、トランプ大統領が四月二日頃にもやると語った自動車関税についてお聞きをしたいというふうに思います。
まず、岩屋外務大臣はミュンヘンでルビオ国務長官と意見交換をして、鉄鋼、アルミニウム製品への関税や相互関税の対象から我が国を除外するように求めるとともに、自動車関税についても問題提起を行ったというふうに報じられていますけれども、これは外務大臣がいないから総理でもいいんですけれども……
○安住委員長 今、戻ってきましたから。
○大西(健)委員 済みません。今言いかけたんですけれども、岩屋外務大臣はミュンヘンでルビオ国務長官とお会いになった、意見交換したということでありますけれども、そのときに、鉄鋼、アルミニウム製品への関税であったりとか相互関税の対象からは我が国は除外してほしい、こういうことを言ったということが報じられています。併せて自動車関税についても問題提起を行ったというふうに報じられているんですが、自動車関税についてどういうことをルビオ国務長官に言っていただいたんでしょうか。
○岩屋国務大臣 外交上のやり取りでございますので詳細については控えさせていただきたいと思いますが、自動車関税ということになりますと、やはり我が国経済において極めて甚大な影響がある、ここは是非考慮をしていただきたいという趣旨の話をさせていただきました。
○大西(健)委員 まさにそうなんですよね、甚大な影響がある。
自動車関税については、現時点では必ずしもその中身というのがはっきりしませんけれども、トランプ大統領は米国の貿易赤字を削減することを一番に考えている。そういうことである以上、米国の乗用車輸入額において、メキシコに次いで日本は第二位です。またさらに、メキシコとかカナダの工場で造ってアメリカに輸出しているというのもありますので、そういう意味では、この自動車関税の対象になる可能性というのはやはり高いんじゃないかと思います。
また、自動車関税というのは何なのかよく分からないんですけれども、相互関税の一部じゃないかと言う専門家の人もいます。
例えば、日本が米国から輸入する自動車というのはほとんど関税がかかっていない。そういう意味においては、相互関税という点では日本への影響というのはそんなに大きくないんじゃないか、当初はこういうふうに見られていたわけですけれども、その後、トランプ政権は、相手国の関税率だけではなくて、不公平な補助金、規制、付加価値税、為替、それから知的所有権など非関税障壁も対象になるんだというようなことを言っています。そうなりますと、我が国への影響というのは本当に避けられないというふうに思います。
二四年の対米輸出額のうち、鉄鋼が占める割合は一・四%なんです。でも、自動車は、自動車だけで二八・三%、部品を加えるともっと多いんですよね。自動車産業は製造品出荷額の約二割を占めていて、約六百万人の人が自動車産業で働いています。これは我が国のまさに基幹産業であります。
そういう意味では、外務大臣からも答弁があったように、これは大変、日本経済に与える影響は甚大だと思いますけれども、午前中の質疑でも野田代表も言っていましたけれども、一つ一つについて、鉄鋼、アルミニウムは勘弁してね、自動車は勘弁してねと言って勘弁してくれれば、それはありがたいんですけれども、そういうわけにはいかないと思います。
この自動車産業、我が国の基幹産業に与える、経済に与える影響の大きさに対して、この自動車関税に対して、総理、どのように対応していこうと思っておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、日本だけお目こぼしをみたいなことを申し上げるつもりはございません。我が国として、アメリカに対して、この五年間、アメリカに対する投資は世界一の投資をしてきております。
そしてまた、自動車産業に限りませんが、アメリカで多くの雇用者を創出をし、所得の向上にも寄与し、日本の工場といいますか、アメリカにあります工場の給与というのはあらゆる国の中で一番高いのであって、それだけアメリカの国民の生活にも寄与しているというのは、ほかの国と全然訳が違います。
そこはよく理解をしてもらいたいし、首脳会談で申し上げましたが、トヨタであり、いすゞであり、そういうところは更に進出をしてそういうことをやってきているので、ほかの国と一緒にされてはそれは困るということは申し上げておかなければなりません。
それから、非関税障壁と言われるものも、それが一体中身が何なのか。以前は排出ガス規制なぞというものがございましたが、安全対策においても、我が国が、我が国の消費者、ひいては世界中の消費者の安全に資するものであるとするならば、それは非関税障壁の中にカウントされてはおかしいんだろうというふうに思っております。日本だけ特別扱いしてくれということではなくて、日本がどれだけ主張に正当性があるかということは、きちんと私どもとして今後とも立証してまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 今の総理の答弁の中にあったように、既に日本の自動車メーカーは現地生産も行って、現地でも雇用しているということなんですけれども、でも、ますます関税がかけられて、じゃ、現地生産をどんどん増やしていきましょうとなると、今度は日本国内における自動車産業で働く人たちの雇用も失われるわけですから、これは本当に大きな影響がありますので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。
続いて、自動車関係で、午前中の質疑でも野田代表からもありましたけれども、ガソリン暫定税率の廃止については、これは自公国の三党の幹事長合意で廃止をすることは決まっているんだけれども、時期が明示をされていない。我々は、今審議されているこの予算案を修正するとともに、所得税法等の一部改正案、これについても修正案を出して、この四月からガソリン価格をリッター当たり二十五・一円下げたいというふうに思っています。国民はこのガソリン高騰に今困っているので、一年後に下がってもこれは意味がないんです。ですから、四月からやらなきゃいけないんです。
では、政府・与党は暫定税率の廃止をいつからやるのかということなんですけれども、令和七年度ではなくて、一年前の令和六年度の与党税制改正大綱というのをもう一度読み直してみました。そうすると、そこには何と書いてあるかというと、ガソリン税を含む自動車諸税の抜本的な見直しについては、次のエコカー減税の到来時までに検討を進める、こういうふうに書いてあるんですね。
次のエコカー減税の期限到来時というのは二〇二五年末なんですよ。ですから、この二〇二五年中に、ガソリン税だけじゃなくて自動車関連諸税をひっくるめて抜本見直しをやるんだというのがこれまでの政府の方針なんですね。ですから、結局、時期が書いていないということは、これは元々七年度中に暫定税率廃止なんというのは政府は考えていないんですよ。
それどころか、私が思うに、自動車取得税が廃止になって環境性能割が導入されたときのように、暫定税率は廃止するけれども自動車諸税をガラガラポンで見直したときに、結局、その分は負担をつけ替えて、結果、ユーザー負担は減らないなんということにもなりかねないんじゃないかと思っているんです。
暫定税率廃止は二〇二五年末までの自動車諸税全体の見直しの中で検討される予定で、廃止の時期はどんなに早くても令和八年度以降になるんじゃないか、こういうふうに私は見ているんですけれども、総理、違いますか。
○加藤国務大臣 御指摘の税制改正大綱があることは事実でございます。
他方で、昨年十二月、もう言うまでもなく、自民、公明、国民民主の三党の幹事長間において、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する、具体的な実施方法については、引き続き関係者間で誠実に協議を進めると合意がなされております。
令和七年度与党税制改正大綱においても、引き続き政党間で真摯に協議を行うとされているわけでありますから、政府としてはその結果を踏まえて適切に対応していくということ、これまで申し上げているとおりであります。
○大西(健)委員 まさに四月からやろうと思ったら、この予算を修正しなきゃいけないんですよ。だから、もう時間はないんですね。週末にもネットニュースで、政府・与党は、ガソリン暫定税率、困難というふうに見ているというのが流れると、もう一斉にネット上でも、何でこんなに遅いんだ、増税は早いのに減税は何でこんなに遅いのか、こういうコメントが流れていました。私もそのとおりだと思います。
先日、私がこの委員会で暫定税率の質問をしたときに、総理はこのように答弁しました。ガソリンが高いことに非常に強い問題意識を持っておりますと。じゃ、すぐに暫定税率を下げられないんだったら、総理はガソリンが高いことに対して何をしてくれるんですか。エネ庁は、百六十八円から十七円を超える分に対する補助率についても段階的に見直していくというのが今までの方針です。この方針を変更してまた補助を積み増すのか、補助をまた増やすのか、そういうことなんでしょうか。
ちなみに、ガソリン補助金の累計支出は一月時点でもう六・六兆円に達しています。暫定税率廃止に必要な財源は年間一・五兆円なので、もう四年分以上出しているわけですね。もし策がないんだったら、私たちの修正案に賛成してください。そうすれば、四月から二十五・一円、ガソリンの値段が下げられますので。総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 ガソリンが高いということにつきましては、強い問題意識は持っております。
今でもリッター当たり百八十五円になるように補助を講じておるところでございまして、これなかりせば、恐らく、リッター当たり百九十九円ということになるはずでございます。政府として、このガソリン高騰に無策ということではございません。ですから、政府といたしまして、このガソリン高騰に対します支援というものは可能な限り行ってまいりました。
いわゆる暫定税率、これをやめましたときに、それでは、そこで空きます一・五兆円をどうするのだということについて、今三党でいろいろなお話合いがなされているところでございます。その結果を見て、政府としては適切に対応いたしてまいります。
○大西(健)委員 一・五兆円の財源は、さっき言ったように、我々は、本気の歳出改革、それから省庁別審査の中で明らかにした、この後個別に聞いていきますけれども、その中からも出せるし、それから、さっき言ったように、もう累計六・六兆円、補助金で出しているんですよ。年間一・五兆円で減税できるのに。
ですから、それは私は理由にならないと思いますし、今の御答弁で、確かに今も補助が入っているんです。だから百八十五円で済んでいるんですけれども、でも、その補助も、さっき言ったように、資源エネルギー庁は段階的に更に減らしていく方針なんですけれども、じゃ、これをまた増やすんですか。どうするんですか。ガソリンが高いのに、問題意識を持っていると言うんだったら、何をやってくれるんですか。それをはっきり教えてください。
○石破内閣総理大臣 現在のところ百八十五円に抑えてきておるところでございます。この先に、為替相場もございますので、どう動くかは分かりません。この百八十五円というものが守られますように、政府としてはよく注視をいたしてまいる所存でございます。
○大西(健)委員 ということは、百八十五円より下がらないんですよ、この高い状態がずっと続くんですよ。
改めて、ガソリンに税金がどれだけ取られているのかというのを見てみたいと思うんです。
パネルを御覧いただきたいと思うんですけれども、例えば、これは大体今の水準に近いと思いますけれども、百八十六・五円だとすると、本体価格は百十二・九円、残りの七十三・六円は税金なんです。そのうち、ガソリン税は五十三・八円、その約半分が、上乗せで徴収している二十五・一円ということになります。これを見てもらえば、ガソリンが高いのは税金のせいだというのが分かるんじゃないでしょうか。
しかも、ここに消費税が十七円と書いてありますけれども、この消費税の十七円は、ガソリン本体価格とガソリン税と石油石炭税を足したものの更に一〇%を消費税としてオンしている。つまり、タックス・オン・タックスになっているということなんですね。
今日から確定申告が始まっています。暫定的と言われている、午前中の質疑にもありましたけれども、今は当分の間税率と名前は変わっていますけれども、暫定でも当分の間でもいいですけれども、それが約五十年も続いてきていること、それから二重課税になっていること、こういうことを見て、今日、確定申告が始まっていますけれども、これが納税者の理解を本当に得られると総理は思っておられるのかどうか。このことについて御答弁いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まさにそうしたことを含めて議論を進めていただいているので、先ほど申し上げた政党間を見ていくということであります。
ただ、今委員御指摘のその図でありますけれども、ヨーロッパ各国は税負担五〇%を超えているんですね。日本はどちらかというと、アメリカはより低いですけれども、低い国になっている。
それから、タックス・オン・タックスについても、諸外国において、通常、そうした個別課税の上に付加価値税等が計算されているということで、別に日本だけが、それがいいかどうかという議論は別として、日本だけが特別にこうした施策を取っているわけではないということは御理解いただきたいと思います。
○大西(健)委員 まさに、ちょっと言い訳的に言っておられたけれども、認めておられるわけですよ。つまり、これは油まみれならぬ税金まみれのガソリンの価格なんですね。ですから、まさにこれでいいんだ、ほかの国もいっぱい税金がかかっているんだから取ればいいんだというのが本音じゃないかというふうに私は思います。
これは、やはり一年後じゃなくて、ガソリン高に苦しんでいる国民を救うためには、今やらなきゃいけないということを重ねて申し上げておきたいというふうに思っております。
それでは、今日のもう一つの本題でありますけれども、我々は、政権を目指す責任野党として、目の前の物価高に対して、今のガソリン減税もそうですけれども、様々な提案を行うと同時に、無駄な予算を洗い出して、その予算を生活応援のために回すということをセットでお示ししています。その全体フレームがこちらになります。
立憲民主党は、党内に設置をした総勢七十人規模の本気の歳出改革作業チームにおける検証を踏まえて、予算委員会の省庁別審査で非効率予算をあぶり出して、その成果をこの予算修正案に盛り込んでいるということであります。
従来の予算委員会は、専ら政治闘争の場となって、不祥事の追及など予算に直接関係ない質問ばかりが行われている、こういう批判もありましたけれども、一般質疑を活用したこの省庁別審査では、野党が予算の使い道を厳しくチェックをして、緊張感のある議論が行われたと専門家の皆さんからも大変高評価をいただいております。これは、昨年の総選挙で少数与党となって、野党が予算委員長のポストを握ったことによる国会改革の成果だというふうに言うことができると思います。
それでは、以下、午前中も野田代表がざっと説明はされ、触れられましたけれども、この予算の修正フレームの中から、生活応援に回すべき非効率予算、これを一つ一つ個別に指摘をして、テレビを御覧の皆様に知っていただくとともに、総理の御意見を是非いただきたいと思います。
これは、私が指摘することというのは、省庁別審査でもう同僚議員が、個別の、所管閣僚の皆さんとは議論していることですので、今日は、その一つ一つについて総理がどう思うのかということを是非お答えをいただきたいというふうに思います。
まず、一般予備費でありますけれども、一般予備費については、本庄委員が指摘したように、概算要求段階で五千億円だったのが一兆円になっている、それで、その根拠というのも答弁を聞いてもよく分からない。
新型コロナ対策など有事で膨らんだこの財政運営について、歳出構造を平時に戻すというのが骨太の方針でありました。しかし、それとは全く違ったことになってしまっている。コロナ禍以前は、予備費というのは大体、昔は三千五百億円というときもありましたけれども、五千億円だったのが一兆円になってしまっている。
この無駄に積まれている五千億円の予備費はほかに必要な事業に振り向けるべきではないかというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 令和六年度の予備費におきまして、年末の段階で、能登地震あるいは物価高騰、そのような対応に充てるために一兆五千億円程度を使用しているという状況でございました。七年度におきましても、これはあってはならないことではありますけれども、震災、天災、物価高騰、いろいろなことが起こり得ることでございます。そのときに備えて、機動的、弾力的に対応できるようにしたいと思っております。
一方におきまして、今委員が御指摘になりましたように、歳出構造を平時に戻す取組を進める必要がございましたので、昨年度までのように特定目的予備費というものは設置をいたしません。一般予備費を積み増して一兆円を計上するということにいたしたものでございます。
これは、平時に戻すというのはどういうことかということでございますが、これだけ災害が多発をし、為替が動く、物価が動くということに適切に対応して国民生活を守るためには、やはり、この予備費というものの必要性は私どもとして変わらないものだと思っております。
○大西(健)委員 我々も予備費は必要だと思っていますけれども、その適正な規模というのがあると思うんです。
そうすると、今の答弁だと、もうこれからは、災害が多発しているから一兆円がベースになるということになってしまいますよね。私たちは、そうじゃないんじゃないかと思います。これは、財政民主主義の観点からしても、全く国会の議決なく自由に使われてしまうみたいなものというのは、やはり限定的にしておかなきゃいけないというふうに思います。
次は、城井委員が精査をした積み過ぎ基金の活用の話です。
基金は、中長期的な課題などに対応するために資金をプールして、複数年にまたがって支出する仕組みです。政府は、昨年秋のデジタル行財政改革会議で、基金への予算措置は三年程度をめどにし、成果目標の達成状況を見て次の措置を検討する、こういうルールを打ち出しました。
立憲民主党は、この三年ルールに従って、令和六年度の基金シートに公開されている百九十八基金を精査したところ、残高で三年分の基金事業に必要な額を賄えるにもかかわらず、予算を増額している基金が百一ありました。計約七・八兆円が積み過ぎになっているんじゃないか、こういうことを指摘をさせていただきました。
この七・八兆円というのはあくまで立憲民主党の試算ですけれども、政府にも三年ルールを適用した場合の基金の積み過ぎ額を試算していただいていますけれども、その金額を財務省の参考人からお答えいただきたいと思います。
○宇波政府参考人 御答弁申し上げます。
パネルには表示があるかと思います。では、そこは繰り返しをいたしませんが、委員から今パネルでお示しをいただきました四つの数字は、衆議院の予算委員会の……(大西(健)委員「まだ示していない」と呼ぶ)済みませんでした、申し訳ありません。
それでは数字から申し上げますと、令和五年十二月に策定されました、いわゆる三年ルールが適用される基金につきまして、各所管省庁が作成している令和六年度基金シートにおける基金残高や支出見込額を単純に足し上げますと、令和五年度末の基金残高は十六・四兆円、令和六年度当初、補正予算において措置された金額を合計すると約三・五兆円、令和六年度支出見込額は約五・六兆円、令和七年度の支出見込額は約六・二兆円となります。また、令和八年度の支出見込額につきましては、現時点で見込むことが困難であり、基金シートでも記載されていないものと承知をしております。
これらの数字につきましては、二月十三日の衆議院予算委員会のときに財務大臣からも申し上げましたように、幾つかの留意点がございます。政府として、御指摘の積み過ぎ額の試算を申し上げたものではございません。
○大西(健)委員 今のものを整理すると、こういうふうになります。
積み過ぎ額を試算したものではないと言いますけれども、じゃ、この数字、十六・四兆円に三・五兆円を足して、それから今後の見込額を引くと、ここには書いてありませんけれども、この計算をすると、八・一兆円になるんですね。
ですから、我々の七・八兆円というのはそんなにずれていない。実際、これぐらいの額がある。そして、この八・一兆円の中には特別会計の基金もありますので、全て財源に活用できるわけではありませんけれども、一部は十分に私たちは活用できるというふうに考えています。
また、八兆円というのは大変大きな額でありますので、これは先日の本委員会で階委員が指摘しましたが、使われずに基金にブタ積みされている資金を仮に運用したら、多額の運用益を得ることができる可能性もあります、これも可能性ですけれどもね。ただ、その機会費用というものを考慮すれば、もっと有効な施策に活用すべきだと思います。
基金残高から向こう三年分の支出見込みに相当する金額を確保した上で、残る分は取崩しが可能と考えますけれども、総理、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、城井委員との中で、どこまで示せるかということでお示しをしたのであって、それで、八年度以降数字が入っていないわけですが、具体的に、そこも含めて将来の見込みをベースにそれぞれ基金が積み上げられているということでありますから、無駄に積んでいるというものでは全くないということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、その運用についても先般議論させていただきました。
まさにどのタイミングで支出があるかがなかなか分かりにくいこういう費用について、どういう期間で運用できるか、これはなかなか慎重にやらざるを得ないし、そこを間違えると、逆に、例えばこうした金利が上がるとき、例えば債券で運用していたら債券額は下がってしまいますから、その分だけ損失が出るということもございますので、これは、それぞれの基金運用省庁において、そうした状況も踏まえながら適切な運用がなされるよう、引き続き対応していきたいと思います。
○大西(健)委員 じゃ、八・一兆円のうち、幾らだったら使えるのかというのを示してくださいよ、逆に言うと。そうじゃないと、八・一兆円でまだまだ使うかもしれないからと言うけれども、それを示さないから、余っているんじゃないですかと我々は言っているわけですよ。
そして、家計が火の車の場合には、例えば養老保険や学資保険を解約して当座の必要な生活資金に充てることだってあるじゃないですか。ましてや、基金にもし取り崩せるお金があるんだったら、今、物価高で苦しむ国民のために使うべきじゃないですか。私はそう思いますよ。
もう一つ、我々は、この三年ルールをもっと厳格に適用すべきだと考えています。ところが、実際には、これは骨抜きにされているケースが散見をされます。
例えば、宇宙戦略基金は、令和五年度に新設されて、三年分の費用として三千億円が積まれましたけれども、令和六年度の補正でもまた同額の三千億円を追加計上しているんですね。支援する技術開発の採択は昨年十月から始まったばかりで、成果の検証は不可能なはずで、明らかにこれは三年ルールを逸脱しているんです。
補正で積み増した分というのはほとんど返納可能なんじゃないかと考えておりますけれども、基金への予算措置の三年ルール、これはもっと厳格にやるべきだと思いますけれども、総理、いかがですか。大臣に聞いていないですよ。だって、財務大臣に任せていてもこんなにずるずるになっているんだから、総理にこれは厳しくやってくださいということをお願いしているんです。
○加藤国務大臣 三年ルールそのものは、三年ルールを決定した以降に決めた予算について適用する。それ以前については、それを、三年を超えて執行することも想定しながら事業は既に運営されていますから……(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと静粛に。
○加藤国務大臣 それを、そこまで適用しないという仕切りでやらせていただいているので、全てが三年でということではないということをまず御理解いただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 宇宙戦略基金について、これはもう無駄ではないのかいというお尋ねもいただきました。(大西(健)委員「無駄じゃなくて、検証せずに積んでいるじゃないですか」と呼ぶ)
○安住委員長 そこでしゃべらないで。
○石破内閣総理大臣 これは、きちんと検証することは必要でございますが、実際問題、既に、二十二テーマのうち二十テーマの採択者、これを公表したのは御案内のとおりでございます。逐次これを、契約を締結し、支援を開始しておるところでございまして、今年度中には、これらのテーマについて研究開発が開始されるということでございます。
物事はそういうものでございまして、さればこそ、基金というものを積んで対応しているわけでございます。いつ何どき何が起こるか分からないというときに、基金の有用性というのはいささかも減じるものではないと考えております。
○大西(健)委員 私が言っているのは、ちゃんと三年で検証した上で次に積むと言っているのに、検証もせずに、また三千億円、六年度補正で追加計上している。だから、これは三年ルールが全くずるずるになってしまっているんですね。
それから、先ほど防衛装備移転円滑化基金、これは繰り返し委員会でもやられていますし、午前中も話がありましたから質問はしませんけれども、中谷大臣は何か、引き合いのある案件を積み立てたら千二百億円になりますと言っていますけれども、四百億、四百億、四百億と三年続けて千二百億円積んでいて、それがぴったり千二百億円になるなんて、こんな答弁は本当にあり得ないというふうに思いますし、しかも、今まで認定された一件は十五億円で、そのうち、まだ支出しているのは一億円ということなので、これは装備の輸出が決まっても、すぐに補助金を支払わなければならないわけじゃなくて、結局、補正でもこれは対応は可能なんだと思うんですね。
しかも、これをやっている団体が天下り団体ですよ。天下り団体で、毎年そこに管理費として三千七百万支出している。OBに食いぶちをあてがっていると見られても仕方がないんじゃないかと思います。
こういうふうに、例えば、防衛予算の中には、二千億円ぐらい基金に充てているものがあるんですね。私は、四十三兆円というのがちゃんと積み上げたものじゃないから、こういうちょっと何か使い道が決まっていないのを基金に積んでおこうかみたいな、こういうふうになっちゃっているんじゃないかと。
石破総理は、総理になる前には、なぜGDPの二%なのか、四十三兆円の数字ありきになっていないのか、こういうことを繰り返し指摘をされていました。
総理は、参議院の本会議で、先日、円安や物価上昇が生じている状況にあっても、この五年間で四十三兆円程度という防衛力整備の計画、この数字は堅持をするんだ、こういうふうに答弁をされましたけれども、それは裏を返せば、四十三兆円が積み上げじゃないということを言っているのに等しいんじゃないですか。だって、本来、為替も変わっているし、物価上昇をしているということであれば四十三兆円が変わらなきゃいけないのに、積み上げがないからこれでいいんだと言っていることに私は等しいんじゃないかと思います。
以前から総理は言っておられましたよね、積み上げじゃない、積み上げじゃないといけないんじゃないかと。これはどういうことなんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、積み上げを本当に行ってきて四十三兆円になったものでなければなりません。その精査は常に行っていかなければならぬので、問題は、金額がどうのこうのという話ではなくて、その中身が本当に日本の独立と平和を守るにふさわしいものであるのかどうなのかということです。
ですから、金額ありきでもなければ、パーセンテージありきでもございません。それがどのようにして積み上げられたものであるかということは、この予算委員会あるいは安保委員会を通じまして、きちんと政府として明らかにする責任はあるものと承知をいたしております。
なお、それでは、為替がこれだけ変動しました、物価が上がりました、対応が必要ではないかという御指摘でございますが、なお工夫の余地は多分にあると思っております。そういうものをきちんと詰めまして、国民に過度の御負担が行かないように努めてまいります。
○大西(健)委員 まさにその積み上げは、じゃ、示してくださいよ、本当に。そうじゃないと議論できないんじゃないですか、この予算委員会で。
続けて、医師でもある岡本充功委員が、コロナワクチンの生産体制等緊急整備基金に不用が見込まれるということを指摘をしました。基金には約一千八百億円が積まれていますけれども、医療機関への納入量は約八百万回分で、一本当たりが八千三百円なので、単純に掛け合わせると六百六十四億円。今後、出荷本数が少し伸びたとしても、八百億もあれば足りるんじゃないか。新たなパンデミックが起きた場合には、新しいワクチンの開発には半年かかるので、それこそ予備費を使えばいいし、必要なら補正を組めばいいじゃないですか。私たちも補正には賛成しますよ、そういう緊急事態なら。
一千億円は、これは余るので、取り崩して必要なところに充てるべきです。例えば、今日もさんざん議論があった高額療養費の問題、これは凍結は二百億円でできるんです、一千億円あればできるじゃないですか。病人に負担を強いるんじゃなくて、こういう無駄な予算を削って、困っている人たちを助けようじゃないですか。いかがですか、総理。
○加藤国務大臣 福岡厚労大臣からこれまでも質問に対してお答えをさせていただいておりますけれども、ワクチン生産体制等緊急整備基金については、令和八年度末を期限とした基金であって、引き続き、新型コロナワクチンの研究開発、実生産を行う施設の整備、生産体制の維持等に係る経費に対する支援、定期接種に係るワクチン助成等を実施する、そうした観点から、必要な額として計上させていただいているところでございます。
○石破内閣総理大臣 財務大臣からお答えしたとおりでございますが、このワクチン生産体制等緊急整備基金につきましては、令和三年度末からの二年間で十九億円運用損が出ておるところでございます。また、これに加えまして、三億円の信託報酬が生じたということでございます。
これは、当時、マイナス金利下でございましたので、金融機関に預金の上限額が設定をされておりました。したがいまして、ワクチン確保のために必要な資金を預金することができずに、一部の資金を信託管理に預託した結果ということで生じたものでございます。決して好ましいことでも望ましいことでもございませんが、そういう状況下におきましてはやむを得ない対応であったと承知をいたしております。
○大西(健)委員 これは、私、質問していないんだけれども、先に答えているんだけれども。
今、聞こうと思ったんですよ。まさに、このワクチンの基金は、驚いたことに、階委員の質問で明らかになったんですけれども、今言ったように、十九億円の運用損と信託に払った三億円で、二十二億円、赤を出しているんですよ、ただ積んでおくだけで。こんなばかな、血税をこんな無駄遣いしてどうするんですか、二十二億円も。本当に、テレビを御覧の皆さんに知っていただきたいですよ。
基金以外にも、多額の不用が見込まれる予算というのはほかにもあって、これも岡本委員が指摘をした、これも先ほど、午前中も触れられましたけれども、基礎年金給付金の令和五年度の不用額が三兆六千七百八十一億円にも上っているという話、これについて、福岡厚労大臣が岡本委員に対して答弁しているんですけれども、決算額の推移を見ていくと、令和七年度の決算額は二十六兆円台後半になりますよね、そうすると、予算との差額は約一兆四千億円程度になりますね、そうすると、国庫負担はその半分ですから、七千億円ぐらい余るんじゃないですか、こういう話をしたんですね。
これについて、午前中、野田代表は、その一部を活用して、介護従事者の処遇改善や訪問介護事業者の支援に充ててはどうかと提案しましたけれども、総理はそれに対して、それは年金の予算だから云々と言って、非常に消極的な答弁だったんですけれども、もしそうであるなら、これは年金のお金ですから、だったら、物価高で今、生活が苦しい年金生活者のためにちゃんと年金を増やすとか、使わなきゃいけないんじゃないですか。それを単に、こんな七千億もまた無駄に積んでおいていいんですか。
私はこんなことはやめるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、福岡大臣自体は、岡本議員が質問された前提にのっとって数字を申し上げたということでありますから、別にそれが不用だという意味で言われたわけではないと認識をしております。
その上で、基礎年金給付については、受給権者からの請求に応じて支払う義務的な経費であり、毎年度支払いに必要な額、不足することなく確実に給付を行えるよう必要な予算額を確保することが大事なことは言うまでもありません。
ただ、最近の動向を見て、令和七年度予算案では、予算と実績の乖離が大きくならないように見直しをし、令和六年度と比較して一・七兆円の減となる二十八・四兆円を計上しているところであります。
必要な額、まさに冒頭申し上げたように、基礎年金、大変大事な年金、その支給が滞りなく行えるよう必要な額を確保しているということであります。
○安住委員長 大西君、時間ですから、まとめてください。
○大西(健)委員 はい。時間が来ていますので。
これはやはり、必要性の乏しい予算は真に必要なところに回しましょうよ。例えば、愛知県では来年、アジア大会があるんですけれども、物価高騰や資材不足で、本当に、開催費が膨らんで大変困っています。ですから、要人もいっぱい来ますから、例えばこういうところに回していただきたいと思います。
冒頭も言いましたけれども、確定申告が始まりました。国民の皆さんは一円単位で納税申告しているのに、なぜ自民党の政治家は脱税が許されるのかと怒りの声が、一年前も上がっていましたけれども、その状況は全く変わっていません。
○安住委員長 時間です。終わってください。
○大西(健)委員 是非しっかりと国民の信頼に応えるように審議をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
○安住委員長 これにて野田君、川内君、近藤君、早稲田さん、大西君の質疑は終了いたしました。
次に、前原誠司君。
○前原委員 日本維新の会の前原でございます。
質問の機会をいただいた同僚議員に感謝を申し上げたいと思います。
まず冒頭、十四日の未明に、北朝鮮による拉致被害者である有本恵子様のお父さん、明弘さんが御逝去をされました。心から御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思っております。
今日パネルを持ってくれます阿部圭史代議士の選挙区の方でありまして、約一年前に明弘さんにお会いしたという話を伺いました。家にはトランプ大統領との写真が飾ってあったということでありまして、大変温かく接していただいたということであります。
午前中の質疑も聞いておりましたけれども、石破総理、やはり、歴代の総理大臣と同じく政権の最重要事項であるという言葉だけではなくて、一刻も早く解決するということが大事であり、そのためにはどうすればいいのかということを真剣に考えていただきたい、こういう思いを持っております。
何かありましたら、一言いただければと思います。
○石破内閣総理大臣 私も、去年の十月か十一月であったと思います、大会で実際に、わざわざ神戸から有本さんのお父さんがいらっしゃいました。実際に対面でお話をしたのはそれが最後でございましたが、一月ぐらい前、年が改まってからだと思います、電話でお話をする機会もございました。その思いは、私は十分に受け止めておるつもりでございます。
決意だけ述べても駄目だ、そのとおりです。今までなぜ何も進捗しなかったのかということはきちんと検証しなければなりませんので、そこは委員ともこの議論は随分としてまいりました。委員は外務大臣もお務めでありましたから、よく御存じだと思います。
何が有効で何がそうでないのかということ、そして、先ほどの答弁でも申し上げましたが、体制の維持というものが、あの国の死活的利益というんでしょうか、核心的利益でございます。そのときに、リビアの例を見てもイラクの例を見ても、核を放棄した独裁者の末路は何であったのかということを彼はよく知っているはずなので、それでは、それにどう対応するか、体制の保証とは何なのかという本質的な問題について更に議論をして、この問題の解決に臨んでまいりたいと思っております。
○前原委員 是非、お題目での最重要課題ではなくて、今、石破総理がおっしゃったように、今までの、なぜできなかったのかということも検証していただいて、拉致問題の解決に全力で取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。
さて、パネルの一枚目。
少数与党ということもありまして、我々は、とにかく野党も責任が問われているんだと。ある程度の数を持っている政党が協力をしなければ、法律は一本も通らない、予算も通らない。それでは国民の生活に対して大きな支障が生じるということで、我々野党も責任が問われているんだということの中で、各党がそれぞれ何を修正してもらうことを求めるのかということを真剣に考えて、我が党としましては、教育の無償化、そして社会保険料について特出しをさせていただき、そして、自民、公明両党の御協力も、政策責任者の方々あるいは実務協議者の方々の御協力もいただいて、議論を積み重ねてまいりました。
いよいよこれから予算の審議も大詰めを迎える中で、その皆様方の御努力の中で積み上げてこられた議論について、私の方から一つ一つ総理に問いかけをし、そして決意を述べていただきたいというふうに思っております。
まず、高校教育の無償化であります。
我々のモットーは、全ての子供が、親の所得に関係なく、学びたいと思う子供は学ぶチャンスを与えるという意味での所得制限のない無償化というものを行っていく。
高校授業料もそうでございます。高校授業料の基準額は十一万八千八百円でありますが、現在は九百十万円で所得制限がかかっております。与党からの現段階の御提案では、来年度から所得制限を撤廃すること、約一千億円超のお金がかかるということでございますけれども、政府としてもそれをやるという御意思でいいのか、確認をさせていただきます。
○石破内閣総理大臣 御党の提案に基づきまして、今、自民、公明、御党の三党で議論が行われております。心から敬意を表する次第であります。
この協議が調えば、いわゆる高校の無償化につきまして、骨太方針二〇二五の策定までに大枠をお示しいたしました上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現をさせたいと考えております。
このため、高校教育の在り方に関わります様々な論点、これを、先行自治体の取組も参考にいたしまして、本格的な制度改正に向けて、具体的には、義務教育との関係、教育の質の確保、多様な人材育成の実現との関係、収入要件の撤廃に向けた支援対象者の範囲の考え方、引上げを前提とした私立加算額の水準の考え方、支給方法の考え方、国と地方との関係、公立と私立との関係、現場レベルの負担等々、これはもうずっと委員会で申し上げてきたことでございますが、これらの論点につきまして十分な検討を行い、安定した恒久財源の確保と併せて実現させたいと思っております。
その上で、必要に応じて、令和八年通常国会において関連法案の改正を図っていきたいと思っております。
なお、申し上げましたとおり、私立加算額の引上げにつきましては、先行自治体の取組も一つの参考としつつ、実態調査や、公立、私立の高校生それぞれ一人当たりに投入されます公費のバランスなども勘案しながら、今後検討を深めていくべきものと考えております。昨今の授業料の実態を鑑みますと、引き上げる方向になるかというふうに考えております。
協議が調えば、合意内容を踏まえて、今後、与党及び御党の御意見を拝聴しながら詳細を考えてまいります。
○前原委員 今の御答弁を勘案しますと、十一万八千八百円について、基準額については令和七年度から所得制限なく無償化、そして、御答弁では、昨今の授業料の実態を鑑みると引き上げる方向になるという御答弁でありましたので、この基準額に私立加算を加えた三十九万六千円以上となる、これは先ほど御答弁がありました令和八年度から無償化ということであります。
骨太方針二〇二五の策定までに大枠を示した上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現させたいということは、令和八年度からの実現を明言されたことになり、その点については評価をいたします。
ただ、もう一つ伺いたいのは、私立加算の三十九万六千円以上ということになるという御答弁を今されたわけでありますけれども、この上限額、では、三十九万六千円以上についてはどのぐらいの上限になるのか。我々は、大阪府のモデルでいうと六十三万円ということを提示をさせていただいているわけでありますが、そうなると年間の予算が六千億円ということになるわけでありますけれども、この点についてはどういうお考えなのか、更に伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 先ほど、答弁で十分じゃない点がございました。
令和七年度から何らかの先行的な取組をすべきではないかという御指摘もいただいております。協議が調えば、先ほど申し上げましたような本格的な制度改正を見据えた先行措置といたしまして、国公私立の全世帯を対象といたします年十一万八千八百円の支援金の支給につきまして、令和七年度分について、年収九百十万円未満の収入要件を事実上撤廃することを考えたいと思っております。
このため、令和七年度予算を修正する方向で与党とも相談をしていきたいと考えておりまして、令和七年度分の財源として、令和八年度以降の恒久財源確保を前提に、政府全体として一時的な財源を確保すべく取り組んでまいりたいと思っております。
今お尋ねの点でございます。
私立の加算額の引上げの検討に際しましては、直近の全国平均授業料、令和六年度で四十五・七万円をベースとし、ここから、外れ値、外れました値を除外し、詳細な実態調査を行う必要があるものと考えております。
その上で、公立に通われるお子さん一人当たり、私立に通われるお子さん一人当たり、それぞれに投入される公費のバランスや授業料と施設費との関係、私学助成との関係などの論点も勘案しながら、安定財源の確保と併せまして検討を深める必要があると認識をいたしております。
○前原委員 確認なんですが、この四十五・七万円という金額は、これは平均値ですか、それとも下限値ですか、上限ですか。どうなりますか。
○石破内閣総理大臣 平均値でございます。
○前原委員 そういった御提案があったということについても一定の評価をしたいというふうに思います。
また、三党協議の中で、与党側からは、水産高校あるいは農業高校に、私立の加算分、同じような優遇をすれば、行かなくなるのではないかという懸念があるとか、あるいは、公明党さんからは、低所得者世帯に手厚くすべきではないかとか、そういった意見があるというふうな報告を受けております。
そういったことも併せて、総額についても一定のやはり規模感というものをお示しをいただきたいと思いますが、もしお答えできるのであれば、おっしゃっていただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 協議が調えば、その合意内容に沿いまして、国と地方の関係など今御指摘もありました様々な論点を整理の上で、具体的な制度設計を進め、安定した恒久財源の確保と併せて実現させていくことになります。
具体的な予算規模でございますが、そうした作業を積み上げた上で確定するものでございまして、現時点で私から規模感を申し上げることは差し控えるべきかと思っております。
御趣旨を踏まえながら、必要な内容を積み上げてまいります。
○前原委員 この点については、更に三党の政調会長あるいは教育の実務者協議で詰めさせていただきたいというふうに思います。
次は〇―二歳でございますけれども、〇―二歳の幼児教育、保育についても、将来的に、できれば令和八年度から、無償化に向けて、保育料の負担が重いために預けたくても預けられない御家庭への更なる負担軽減を進めていくべきではないかと考えますが、御答弁をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 まずは、令和五年十二月に閣議決定いたしましたこども未来戦略に基づきまして、こども誰でも通園制度の創設、保育所などにおける職員配置の改善、保育士等の処遇改善を通じた保育の質の向上といった施策、これらを着実に実施に移していきたいと考えております。
その上で、〇―二歳児の幼児教育、保育につきまして、御指摘のように、保育料が高いことが原因で保育園などに預けたくても預けられないといったことがないように環境整備を進めていくべきという今の御指摘を重く受け止めております。
政党間で協議をいただいている状況ではございますが、これが調いますれば、しかるべきタイミングで、御指摘の保育料の負担軽減の問題も含めまして、更なる負担軽減、支援の拡充につきまして、論点を整理いたしました上で十分な検討を行い、その結果に基づき、安定した恒久財源の確保策と併せて成案を得ていきたいと考えております。
○前原委員 成案を得ていきたいということでありますけれども、令和八年度から負担軽減策を行うべきだと我々は考えておりますし、また、その負担軽減も半額程度にまで下げるべきではないかというのが我々の考え方ですが、現時点で御答弁があれば、お答えをいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 時期につきましては、また三党で御協議をいただけるものと承知をいたしております。
現時点で水準につきまして具体的なことを申し上げることはできませんが、ゼロから二歳の幼児教育、保育につきましては、先ほど来申し上げておりますように、保育料が高くて保育園などに預けたくても預けられないといったことがないように環境整備を進めるべきだという御指摘を重く受け止めねばならないと思っております。
その結果として、それが先ほど半額ぐらいでどうだというお話でございますが、どの辺りにすればそういうようなことが防げるかということについて、更なる御議論を賜りたいと思っております。
○前原委員 この点についても、また三党で詰めさせていただきたいというふうに思います。
次は、学校給食の無償化でございますけれども、給食の無償化につきまして、令和八年度から、まず小学校で実施すべきではないかと考えております。また、実施状況を踏まえて、中学校でも可及的速やかに拡大すべきではないかと考えますが、御答弁をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 いわゆる給食の無償化につきましては、地方自治体に対して、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金、これを活用した対応を促してまいりたいと考えております。
その上で、政党間で協議をいただいておる状況でございますが、その協議が調えば、学校給食法との関係、児童生徒間の公平性、支援対象者の範囲の考え方、地産地消の推進を含む給食の質の向上、国と地方との関係、効果の検証等々の様々な論点につきまして十分な検討を行い、まずは小学校の給食無償化を念頭に、安定した恒久財源の確保策と併せまして、令和八年度以降、できる限り早期の制度化を目指したいと考えております。
中学校への拡大につきましては、今申し上げましたような論点を十分に踏まえ、検討し、可能な限り速やかに実現したいと考えております。
○前原委員 令和八年度以降、できるだけ早期の制度化ということでありますが、我々は、令和八年度からの実施を求めております。やるということについて言質をいただいたということについては評価したいと思いますけれども、これが早くできるように、我々としても様々な知恵を出していきたいというふうに考えております。
その上で、次に、一人からの高等教育の無償化についても確認をさせていただきたいと思います。
先週、院内で各大学、国公立、私立の大学生が院内集会をされまして、私も出席をさせていただきました。とにかく、学費値上げ反対、学費はむしろ値下げをしてもらいたい、あるいは、授業料は無償化をしてもらいたい、給付型の奨学金を拡大してもらいたいという、本当に多様な御意見をたくさんいただきまして、我々としても、また新たに、これをしっかりやっていかなくてはいけないという思いを強くしたところであります。
しっかり制度設計をした上でではありますけれども、一人からの高等教育の無償化、学力等一定の要件を満たす学生については無償化をすべきではないかというのが我々の考え方でありますが、それについての御答弁もいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 高等教育の支援につきましては、まずは、こども未来戦略に基づき、多子世帯の学生向けの無償化措置などを着実に実施に移していくことといたします。今通常国会に提出しております関連法案を早期に成立させたいと思っておるところでございます。
政党間で今御協議をいただいておる状況ではございますが、この協議が調えば、しかるべきタイミングで、更なる負担の軽減、支援の拡充について論点を整理した上で十分な検討を行い、その結果に基づき、安定した恒久財源の確保策と併せまして、できる限り早期に成案を得ていきたいと考えております。
その際には、御指摘のように、学力など一定の基準や対象となる大学の基準を設け、質の高い高等教育を実現していくということも一つのアイデアでございまして、そうした点も含めまして検討を深めていくということが考えられるものと承知をいたしております。
○前原委員 一人からの無償化についてもできるだけ早期に成案を得ていきたいという答弁をいただきました。評価をしたいというふうに思っております。
総理が予算委員会の場で答弁をされたことですので信頼をするということが大前提でありますけれども、しかし、これをどのように担保をし、そして実行していくのかということについて少しお話をさせていただきたいと思います。
今まで、令和八年度からの〇―二歳児の保育料の引下げと将来の無償化、令和八年度からの小学校給食の無償化と中学校の早期実施、そして、一人からの大学無償化の早期実現、どうやって担保するかということであります。
最低レベルでいうと、自民、公明、維新の三党で合意文書を作成する、そして、それを三党の党首で署名をする。これだけでは紙切れで終わってしまう可能性があります。そんなことはないですか。そんなことはないということなんですが。その言葉は信じたいというふうに思いますが、済みません、疑い深い性格でございまして。
それを、まずは、今年六月にまとめる骨太方針に書き込んでもらう、これは閣議決定でございますので、これに書き込むというお約束をしていただきたいということと、その三党の合意文書をプログラム法にして今国会で成立させるということが、担保させる意味でも私は大事だと思いますが、総理の決意をお願いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 骨太の方針二〇二五の策定までに大枠を示すということといたしたいと考えております。
合意内容の実効性の担保の在り方につきましては、御指摘のように、骨太の方針などの閣議決定も含めまして様々な方法があるというふうに考えております。
御指摘のプログラム法も含めましてでございますが、この点も含めまして、今後、三党間で協議が進められると認識をいたしております。この協議の状況をよく注視をしたいと思っております。
どのような方法がなじむかという点も含めまして三党間で協議が進められる、繰り返しになりますが、そのように認識をしておるところでございます。
三党党首が署名しても信じられないぞと言われますと、そこはなかなか、信じてくださいみたいな話になるわけでございますが、どういう形がよろしいのかということ、時期につきましても、先ほど申し上げたとおりのことでございます。二〇二五骨太方針の策定までに大枠を示すことといたしたいと考えております。
○前原委員 三党の党首で合意をする、そして骨太の方針に書き込む、それは閣議決定される、そしてプログラム法を策定する、そのことで是非三党間で更なる合意を得ていきたいというふうに思っております。
次に、社会保険料について確認をさせていただきたいと思います。
我々は二つ問題意識を持っておりまして、一つは、働き控えを起こしている年収の壁の問題であります。
我々日本維新の会がこだわっておりますのは、百六万円の壁、百三十万円の壁の見直し、撤廃であります。つまり、働きたいのに働けないという働き控えが生じてしまっておりまして、これは日本の経済にとって大きな制約要因であると考えております。
百六万円の壁については一定の対応が進められておりますけれども、百三十万円の壁は引き続き残っています。この百三十万円の壁の撤廃、見直しを行うべきではないかと思いますが、その対応策についての答弁をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 ただいま政党間で御協議いただいておるところでございますが、今国会に法案提出予定でございます年金制度改革後もなお残りますいわゆる年収百三十万円の壁の問題につきまして、手取りの減少によります働き控えの解消を図るため、被用者保険への移行を促し、壁を意識せず働くことができるような環境整備を行うべきであるという今の前原委員の問題意識は共有をいたします。
この点、現在行っております年収の壁・支援強化パッケージでは、いわゆる百六万円の壁対策として、賃上げや就業時間の延長等を通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を講じております。
現在進めております政党間協議が調えば、このような現行措置も参考にしながら、労働保険特別会計におきまして臨時に行う時限的措置を令和七年度中から実施することを検討したいと考えております。
加えまして、年収百三十万円の壁に関します制度的な対応の在り方について更に検討を進めていくことも重要であると考えておるところでございます。
○前原委員 百六万円の壁に対する現行措置も参考にしながら、労働保険特別会計において臨時に行う時限的措置を令和七年度中から実施することを検討するという御答弁でありました。評価をしたいというふうに思っております。
ただ、若干懸念は、現在の百六万円の壁を意識して働いている方は約六十五万人おられるということなんですが、現在政府が提案している百六万円の壁を越えるメニューの利用者総数は三十一・三万人と、半数にも満たない状況であります。
全員が全員壁を越えたいということではないのかもしれませんけれども、こういったことも踏まえて、より実効的な百三十万円の壁の対策メニューをまとめて実行に移してもらいたいということを要望させていただくのと、最後に、制度的な対応の在り方について更に検討を進めていくということについて付言をすれば、やはり将来的には、私は第三号被保険者制度というものはフェードアウトしていくということが大事だというふうに思いますので、その点について総理のお考えもお聞かせいただければというふうに思います。
○石破内閣総理大臣 将来的には、そういうことは視野に入れてやっていかねばならないと思っております。
ただ、第三号につきましては、それを必要としておられる方々というのも全くなくなるわけではございません。そういう方々に対する対応というものも併せて考えていくことが必要でございますが、問題意識は共有をいたします。
○前原委員 おっしゃるとおり、七百万人以上の方が第三号被保険者でありますので。ただ、保険料を払っていないのに医療が受けられる、三割負担で受けられる。あるいは、将来年金を受けられる。働いて保険料を払っている方々との不公平さというものも、今は共働きが中心になって起きていることでありますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。
最後に、社会保険料を引き下げる入口としてのOTC類似薬の保険適用除外についてであります。
現役世代の社会保険料負担を下げるために、OTC類似薬の保険適用見直し、社会保険料の応能負担の徹底、医療DXによる生産性向上などの社会保険改革を進めて社会保険料を下げるべきだと我々は考えております。
そのためには広範な議論を継続的に行っていくことが肝要でありまして、社会保険料を下げて国民負担を軽減するために、三党でハイレベルの協議体を設置して、話合いを行って結論を出していくということについて、すぐにこれは結論が出る話ではありませんので、予算の賛否という目先の問題だけではなくて、この問題についてはしっかりと、こういう三党でハイレベルの協議体を設置して、話合いを行って結論を出していくべきだと考えておりますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が参りますので、手短に。
○石破内閣総理大臣 問題意識は共有をいたしております。
その上で、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、具体的には、例えて申し上げますと、OTC医薬品と効能、効果が同等なOTC類似薬について、患者さんにとって必要な医療へのアクセス、これに配慮しつつ、OTC医薬品との負担のバランスの観点から保険給付の在り方を見直す、能力に応じた負担を徹底する、医療DXを通じました効率的で質の高い医療の実現などの項目を含めました社会保障改革を進めていくことにより国民負担を軽減するということは大事な課題でございます。
○安住委員長 手短にお願いします。
○石破内閣総理大臣 その実現のため、与野党の垣根を越えて検討を深めるということは大変意義深いことでございまして、政党間協議が調えば、これらの項目につきまして、令和八年度から具体的措置を実行するなど、社会保障改革の実現に向けた政党間の協議体を設けるよう、私として党に指示したいと考えております。
○前原委員 もう終わりますが、とにかく、少数与党の中で、熟議の国会というものが求められていると思います。我々は、野党の立場として、厳しく対峙するところは厳しく対峙をいたしますけれども、建設的な提案を行って政策を前に進めていくという姿勢でこれからも臨んでいきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、守島正君から関連質疑の申出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。守島正君。
○守島委員 日本維新の会の守島です。
早速質問に入らせていただきます。
御安全にという挨拶をさきの臨時国会でも立憲の大島議員がされていたと思いますが、これは製鉄所では多くの場面で使われる挨拶でして、すれ違っても、御安全に、そして電話に出るときも、御安全にというふうに挨拶をいたします。
ということで、私の社会人の最初のキャリアは、新日鉄、今の日本製鉄ということもありまして、この間のUSスチール買収に向けた動向を注視してきたとともに、このディールが成立すれば、歴史的なクロスボーダーMアンドAとなり、日本企業が世界で攻勢に転じるモデルとなり得たと考えていましたが、まず、率直に、今回日鉄がUSスチール買収にチャレンジしたことに対する総理の見解を教えてください。
○石破内閣総理大臣 これは、バイデン前政権においてはこれは駄目だというふうに言われておりましたものを、トランプ政権に移行したこともありまして、日本製鉄として、これはもう買収ではない、投資なのだということで、よりよい製品を作ることにより、USスチールも、そして日鉄も、共に利益を得るというふうに発想を大きく転換をしたということは、今日の事態を招来する大きなきっかけとなったというふうに承知をいたしております。
この発想の転換というところは極めて重要でありますが、今後の協議を見ながら、これが本当に双方、利益を得るように、私どもとしても必要な対応はしていかねばならないと考えております。
○守島委員 発想の転換の話はちょっと後でしようと思っているんですが、そもそも、買収から投資になったという話に関して、日鉄、USスチール、両社寝耳に水という話も伺っておりますので、それが今完全にそういう状況になったかというのは後で確認したいと思います。
まず、話を整理させていただきますと、元々、今回の話は、米クリーブランド・クリフス社がUSスチールの買収提案を二〇二三年に行ったものの、USスチール側に却下されたことから始まっておりまして、経営不振にあったUSスチールが、その後、広く売却入札を求める中で、日本製鉄の買収提案が最終的に選ばれたというのが流れであって、あくまでこれはUSスチール側の要望に応えてきたという経緯があるということは皆さんに御認識いただきたいというふうに思っています。
ここにパネルを出させていただきましたが、このように、世界の粗鋼生産ランキングは、今、中国勢が上位を大きく占めておりまして、その結果、中国産の安価な鉄が市中に回り、価格抑制の圧力となっています。
日鉄がUSスチールを完全子会社化すると、この日本製鉄の粗鋼生産ランキングが上がるとともに、日鉄の最先端技術がUSスチールにも伝わって、付加価値の高い鉄の生産が可能となることで、米国内での高品質の鉄が供給できるなど、アメリカにとっても大きなメリットを生むことが予想されていました。
ちなみに、私が所属した二十年前の新日鉄と今の日本製鉄というのは大きく印象が異なっておりまして、当時は、鉄は国家なり的な思想も残っていまして、国内インフラメーカーとしてのプライドが高く、意思決定も遅い経営、そして現場も取りあえず生産量にこだわるというような、いかにも元官製企業という雰囲気でしたので、大国を代表するインフラ企業を買収するという思想は、僕がいた当時はなかったように感じていますが、今の橋本英二会長が社長になって以降、合理的に企業利益を求め、グローバルマーケットへ視野を広げる、全く別の組織体となったと、古巣を見ながらそういうふうに感じています。
そういう点においても、日本の最も老舗である鉄鋼メーカーがアメリカの老舗である鉄鋼メーカーを買収するというのは、世間の重厚長大メーカーからすると、非常にインパクトが大きい、抜本的なイメージを変えるような買収提案だったというふうに思っています。
それと同時に、昔の鉄鋼マンのマインドも、私、一定分かるので、逆に、アメリカの方々が、単なる鉄鋼メーカーじゃなくてUSスチールだから他国の企業に買収されるのが嫌だと、そういう精神的な気持ちも理解するところではあります。
とはいえ、世界の市場ってどんどん変わってきています。この鉄鋼メーカーの粗鋼生産ランキングにおいて、今二位に位置するアルセロール・ミッタル、この会社ですが、これは元をたどれば、ミッタル・スチールというインドの小さな電炉メーカーで、一九九〇年ぐらいから海外の鉄鋼会社を買収して事業再生し、どんどん大きくなって、粗鋼生産が世界一位となるまで上り詰めたメーカーで、その後、二〇〇六年、粗鋼生産二位のアルセロール、ヨーロッパの会社を買収し、現在のアルセロール・ミッタルとなっています。もちろん、このときも、ヨーロッパの政財界やアルセロールの経営陣は反発が大きかったので、買収困難と見られていたんですが、ミッタルは、個人株主の支持を得て、結果的にこのビッグディールを成功させ、世界ナンバーワンの企業をつくり上げました。
その後、中国メーカーの台頭があって今に至りますが、何が言いたいかといいますと、世界の鉄鋼業界はこの二十年で大きく様変わりしておりまして、国を越えたMアンドAは当たり前になっているんですね。こうした環境下において、日本製鉄によるUSスチールの買収は、外国企業による米国の事業買収を国家安全保障の観点から審査する対米外国投資委員会、通称CFIUSにおいて、CFIUS内で意見がまとまらなかったとして、その審査の詳細を明らかにせず、昨年十二月に取引認否の判断をバイデン前大統領に付託し、今年になり取引禁止令が出されました。
国を越えたMAが一般になった時代において、ましてや幅広い分野で経済安保上の協力を進めている両国間において、鉄鋼の分野だけ連携できないという判断はあり得ず、これは不当な政治介入だと思っておりますが、このCFIUSやバイデン前大統領が行った判断に対する見解を、総理、お答えください。
○石破内閣総理大臣 おっしゃるとおりです。不当な政治介入だと思っております。さればこそ、我々は、このことに対して異を唱えましたし、理解し難いということを申し上げたところでございます。
これは妙な話ですが、経営者も株主も従業員も来てほしいねと言っているものを、いかなる理由か分かりませんが、政治がそれを妨げるということは、非常に理解し難いことでございます。ただ、今回改めて思いましたのは、鉄は国家なりということはまだ生きているということでございます。
ただ、それを、今もベスト二十四を見ますと、ようやっと最下位にUSスチールが入ってくるわけで、日本として、いかに品質の高い鉄を出すか、そこにおいて技術の保全をいかに図るかということは極めて重要な課題でございます。
○守島委員 総理おっしゃるとおり、本当に妙な話なんですよね。両社であったり関係者が合意しているのに、政治がそれを妨げたということです。
次、パネルを出します。
これは総理もよく使う話なんですが、これは直近十年、二〇一三年から二〇二三年の対米直接投資の資料です。
日本のアメリカに対する累積株式投資残高は七千八百三十億ドルで、日本は米国に対して最も投資している国です。かつ、今でも毎年数百億ドルの投資フローがあるなど、今なお多くの投資を続けているパートナーなんですが、にもかかわらず、先ほどの話ですが、アメリカの財務省、国務省、国防総省がリスクなしとするなど、安全保障上の懸念が、根拠というのが乏しい中で政治的な意図が動いたのが今回の話でして、CFIUSがこれまで取引禁止にしたのは過去に八例だけになります。その八例全てに何らかの形で中国の関与があったとしているんですが、ということは、やはりバイデン前大統領の決定は、まさに国と国の信頼関係を毀損する、そういうような判断だったと思っております。
こうした状況打開のため、石破総理は先ほど買収から投資という話をされたんですが、トランプ大統領と建設的な意見をなさったというふうに思ってはいます。
ちなみに、現在でも、日本製鉄は、米政府に対する行政訴訟と、クリーブランド・クリフス及びUSW会長に対する民事訴訟の二つを提起しておりまして、行政訴訟の方は、アメリカ政府が政治的に日鉄側の訴えを却下するよう働きかけるような新聞報道も示唆されていましたが、トランプ大統領の判断次第ではこうした状況は覆るかもしれませんので、期待しております。
この間、バイデン前大統領の判断を日本政府として牽制してきたのか。そして、取引禁止令を覆すべく、トランプ大統領と何か具体的な話を総理はなされたのか。また、言える範囲で、当該行政訴訟に対する今後の政府の方針を教えてください。
○石破内閣総理大臣 これは、第一義的には民間企業の判断でございますので、私ども政府といたしまして、もちろん意思疎通は図りながらではございますが、適宜適切に対応いたしてまいりたいとしか申し上げようがございません。民間私企業に対しまして訴訟をどうしろこうしろと言う権限は政府にございませんが、よく状況は認識を共有してまいりたいと思っております。
バイデン政権、本当にいよいよ末期といいますか、いよいよ最後にばんと出てきたわけですね。その後、私、直接申し上げました、これは考え直してほしいということ。しかし、その後の反応はございませんでした。トランプ大統領に対しましても、何とかしてくださいという話ではなくて、これはアメリカの利益にもなることですよということを申し上げておかないと、これは話には乗りません。そのことをきちんと申し上げた上で、我が国の雇用と所得、これを守っていくのは秘密保全と併せまして極めて重要だという認識を持っております。
○守島委員 ありがとうございます。
バイデン政権末期には訴えたけれどもナシのつぶての状態で、トランプ大統領にはメリットをちゃんと伝えていかないといけないということで、それはおっしゃるとおりだというふうに思っていますが、やはり、民間への関与ということに関しては抑制的になる総理の意見も分かりますが、アメリカがかなり民間の取引に突っ込んできたというのが経緯なので、やはりバイデン前大統領の禁止令というのは大問題であり、この状況が続かないようにやはり政府としてはいろいろな窓口でネゴシエーションしてほしいというふうに思っております。
買収の話に戻しますと、日米首脳会談後、今の話でもそうなんですけれども、日鉄の買収ではなく投資という認識を両首脳間で共有したとされており、総理は、どちらかが一方的に利益を得るような話ではないというふうにされていましたが、しかし、事の経緯は、最初私が話したように、USスチール側からの売却提案でして、日鉄の買収案が受け入れられたこと自体、そもそもどちらにも利益がある取引だったというふうに思っています。
それを買収ではなく投資としたことは、これはUSスチール側にとっては日鉄の技術供与を受けられるのでメリットは残っているというふうに思っているんですが、日鉄側にとっては、先ほどのランキングも含めて、完全子会社であったり連結子会社にならないことで、簿価上の見た目であったり売上げ上の見た目、そういうものが当初の計画よりもやはり後退してしまうというか、そういうふうに見えてしまうので、買収案からの一歩、二歩、大幅な後退というふうにも見えてしまうんですが、実際に、日本製鉄はあくまでUSスチールの完全子会社化を目指すという意向を変えないという報道が先日ありました。
この、買収ではなく投資としたことに対する総理の見解を教えてください。
○石破内閣総理大臣 さきの首脳会談におきましては、とにかく単なる買収ではない、お互い利益を得なければいけないという話をしたわけで、私、日本側の利益のラインが後退しているとは必ずしも思っていないのでございます。
これが、日本が、日鉄が、そこにおいて投資を行うことにより、より優れた製品ができるということと、先ほど委員がお示しいただきましたランキングが、世界、何といったって第二十四位ですからね、これをアメリカにおいて、更に市場を高めていく、シェアを高めていくということには相当の余地があるんだろうというふうに思っております。
私どもとして、更にこれを高めていくべく努力はいたしますが、これが後退であるというふうな認識はいたしておりません。これによって更にビジネスが拡大しますように、政府としても必要な支援は行ってまいります。
○守島委員 いや、やはり今の話では後退なんですよね。だって、アメリカの、USスチールの粗鋼ランキングが上がることがメリットと言えるか。元々の買収提案では、日鉄のランキングが上がる、日鉄の売上規模が上がるというところから、アメリカの品質が上がる、アメリカの売上規模が上がるというところに線を引いているので、これは明らかに後退だというふうに思っているんですよ。
やはり、石破総理は、最初の交渉から引き下がったように感じていまして、単なる投資になると、やはり日本側、そして日鉄側のメリットは当初のものより下がっているというふうに思っています。まあ、これも、バイデン前大統領の状況からは改善してくれているので、一定前進することを望んでいると同時に、まだ、日鉄側も完全子会社を目指すということで、様々な可能性が残されているものと認識して、日米双方にとって、やはり言いなりにならないように、双方にとってメリットになるように、新たな交渉のステージに入っていただけることを期待しております。
ちなみに、総理は、十二月の所信表明の際に、我が党の前原代表のトランプ氏に対する働きかけを求めた質問に対し、個別企業の経営に関する事案であり、コメントは差し控えるという回答でしたが、その後、アメリカが、個別企業の経営に関して政治的に横やりを入れて買収を阻止し、その後、トランプ大統領との会談で今話している新たな道が模索されているというふうに考えると、やはり、バイデン前大統領の動きを受けて、日本政府が積極的かつ即座に動かなかったことが、一連の問題をこじらせてしまったんじゃないかなというふうにも考えているんですが、今後、このような国を越えた民間の取引が政治的理由で困難に陥った際、どのようなスタンスを取っていくのか、また、総理として、今後、日本の産業をどうトップセールスしていくのか、考えを教えてください。
○石破内閣総理大臣 御指摘はそのとおりでございます。
今後、トップセールスというものはやっていかねばなりません。そのことはよく承知をいたしております。やはり、今回私は後退だとは思っていないのですが、あと株をどこまで保有するかということについては、今後、USスチールと日鉄の間でいろいろな話合いが行われることでございます。
トランプ大統領がこだわっているのは、アメリカの会社なんだよな、経営者はアメリカなんだよなということに相当にこだわっていると思いました。最初から、そんなことは認められないと言いますと話は最初から全部壊れますので、私として、そういう選択はしなかったところでございます。
○守島委員 もちろん、ディールなので、向こうに交渉の条件を突きつけるのは大事だと思いますし、窓口が閉ざされている状況から改善したことに関しては、総理の努力に感謝したいと思いますが、やはり、後退か後退じゃないかということに関しては、完全子会社から後退だというふうに見えておりますので、これに関してはしっかり政府としても後押ししてほしいと思いますし、日鉄も諦めていないということで、しっかりこれからアメリカと日鉄側のディールを注視していきたいと思うんですが。
市場に対して、さっき総理、政府が介入するのは好ましくないとおっしゃいましたが、僕自身、民間出身なのでそのとおりだと思っていますが、やはりこの一件を見ても、世界において政治というのはしたたかなんだなと本当に思った次第なので、日本政府も、日本国も、したたかさで海外の政治家に負けないように、是非、皆さん協力していただきたいというふうに思っております。
残り時間がもうほぼ一分程度なので、今日、テーマとしてはもう一つ、統治機構改革をやるつもりでした。
私ども維新の会は、吉村新代表が誕生しまして、その維新のパーパスの一つに道州制を実現する政党というのを掲げました。我々は、この道州制など統治機構改革こそが、地方分権や多極分散型の成長する国家づくりに必要であると考えていますが、今、道州制議論は低迷していますし、この十年、全然自治体の枠組みというのは変わってきていませんので、こうした統治機構改革をしっかりやっていただきたいというふうに思いまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○安住委員長 これにて前原君、守島君の質疑は終了いたしました。
次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。本日はよろしくお願いします。
今日は、防衛、また外交、安保ということでありますので、私は、拉致問題と、また先日起きましたハンガリーの事件についてお聞きをしたいと思います。
まず、北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんのお父様、有本明弘さんが、十四日未明、老衰のため亡くなりました。謹んで御冥福をお祈りいたしたいと思います。
明弘さんは、昨年十二月、神戸市で開かれていた北朝鮮の拉致被害について知ってもらうためのパネル展示会を訪れ、ぎりぎりいっぱいまで生きてきた、年齢的にはもう限界などと口にしていたそうであります。まさに痛恨の極みであります。御家族のことを思うと、無念で悔しく、怒りの気持ちでいっぱいなのは、ここにいる全ての国会議員の同じ思いかと思います。総理、本当に一刻の猶予もございません。
そんな中で、一月三十一日、予算委員会の中で、総理は、迂遠な道ではなく、連絡事務所を置くことによって、より我が国の有権者の前に明らかになることのメリットというものがあろうかと思いますと発言をしていました。ここで言う有権者とは誰を指すのか、また、明らかになるメリットというのは具体的にどのようなことを総理はおっしゃっているのか、伺います。
○石破内閣総理大臣 有権者というのは、全ての国民のことでございます。主権者たる日本国民のことでございます。
メリットとは何なのかといえば、どこで何が行われているのか分からないという状況が、正直言って続いてきたのではないかと思っています。これは、私、この問題は二十四年前からやっておりますので、どこで一体誰が何をやっているのかということが、事柄の性質上明らかになってこないこともございました。それはそうなのですが、事実として、この問題が全くあのときから動いていないということの認識は、政府として強く持ちたいと思っております。
午前中の議論で、風化を恐れるというお話がありました。実際、そういうことがあるんだろうと思っています。それを風化しないためにも、この問題の可視化というのは必要なことだと思っておるところでございます。
○田中(健)委員 石破総理が初代の拉致議連の会長であることも何度も発言がありましたし、また、午前中、確かに、可視化をする、これが重要だ、可視化が、国民に認識をしてもらう、これも大事なことだと言っていましたが、可視化をするといっても、もう拉致という言葉よりも、まさに日本に対するテロであり、人権侵害であり、そして主権侵害であるということは、この拉致問題については総理も認めていることでありますから、今更、連絡所をつくって、そして、ここにも違いがあるんだと、さらに、意見交換をして、問題を明らかにして、全ての国民に知らせるということを今するときなのか。これをつくって、どう総理が次につなげていくのかということが分かりません。
連絡事務所については、家族会も一貫して反対の意を唱えています。昨日も会議があり、横田代表からは、総理は、私たちが何度も反対の意思を示しているのに、事務所の設置について前向きな見解を述べ続けている、極めて残念だ、私たちの立場は、改めてこの考えは間違っていると申し上げなければならないと言っています。やはりこれは相互の理解が足りないんじゃないかと私は思っています。
ですから、総理の考えるメリットについて、もちろん、今発言をしてもらいましたが、今、意見が違う家族会に直接やはり総理から説明をして理解を求めるということも必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 もちろん、家族会の御理解を求める努力は最大限にいたしてまいります。
なぜこの問題が全く前に進まなかったのかということについての真摯な反省は、私は持たねばならないと思っていますし、今更何だとおっしゃるかもしれませんが、私は、この拉致問題がなぜ起こったのか、なぜこういう地域において起こったのか、何の目的でなされたのか等々について、どれだけ多くの国民が意識を共有しているかといえば、少なくとも二十三年前よりは相当に後退をしているということは認めざるを得ません。
彼らの言っていること、北朝鮮の言っていることが、どこが理にかなわないか。この拉致問題のみならず、ミサイル発射にしてもそうだと思っております。最近も、本当にかつてない頻度でミサイルが発射されている。我々は外交ルートで抗議を申し込んでいる。しかし、それに対して反応があったこともないし、ミサイル発射がやんだということもない。
やはり、目に見える形で、彼らがいかなることを反論するかということが、そしてまた、いかに理屈の通らないものであるかということを可視化することは、この拉致問題もそう、核もミサイルもそう、そこにおいて可視化というのは、私は重要なことだと思っております。
しかしながら、家族会の理解というものは必要であるということは、御指摘を踏まえて、今後ともよく認識をいたしてまいります。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
○田中(健)委員 是非、家族会に説明をして、理解を求めていただきたいと思います。
横田代表は、こうも言っています。北朝鮮は厳重な監視国家だ、拉致した日本人がいつ、どこで、何をしているかも把握している、どこにいるか分からないといったうその前提に立って最初から調査をしましょうというやり方は北朝鮮の時間稼ぎじゃないか、更に言えば幕引きのための工作じゃないかと。つまり、連絡所をつくって、そして意見交換をして、説明を受けたら、もう全て見せましたよね、いらっしゃらないですよねといって、まさにアリバイ工作に使われるんじゃないかということを心配しているわけであります。
やはりそこは、総理が、メリットがある、そしてそれが必要だと思うならば、まず家族会にこのような発言をさせてしまうこと自体が私は残念でなりませんので、今、説明を総理からすると言っていただきましたので、お願いをしたいと思います。
なぜなら、家族会は、岸田政権、前政権下の下では、事実上、拉致問題を核とミサイルと切り離して人権問題として扱うという戦略を掲げている中、それを後押しして、つまり、岸田政権と家族会が同じ歩みを進んでいた、足並みをそろえていたというのがありますが、今の現状は、やはり総理の考えと家族会が足並みがそろっているという状況ではないんだと思っています。
ですから、今回の連絡所についても、どう拉致被害者を、そして拉致の家族を救うのかというやはりビジョンと意思、またロードマップですね、連絡所をどういうふうにして活用し、またそれがつながっていくのかというのを是非示していくのが総理の役目ではないかと思いますが、御意見をお伺いします。
○石破内閣総理大臣 拉致も核もミサイルも、我が国の主権に対する侵害であることについては全く変わりはございません。このことについては、私は全く同じ問題として捉えていかねばならないと思っております。
過去の経緯を考えましたときに、それでは、遺骨と称するものが全く違っておったということでございますが、彼らがそれを何で間違えたか、恐らく意図的とも考えられることですが、そのことについて、きちんと公の場で、これは違うということを私どもは指摘をしなければなりませんし、向こうからどういう返答が返ってくるかということ、そのことも一つ一つ検証していかねばならないことだと思っております。
もちろん、それがこの問題の解決にプラスにならないことであれば、そういうことはいたしません。しかしながら、これが時間稼ぎになるかどうかということは、それは分からない。
あなた方の言っていることは、こことこことここがおかしいではないかということを全世界に知らしむるということ、つまり、この問題を二十数年前にやったときに、私ども、この拉致問題について、英語のみならず、ドイツ語、フランス語、中国語、いろいろな国の言葉に訳して、世界中にこれを伝えてまいりました。これは、日本国だけではなくて、世界に向けて、この問題の残虐性、非道性というものを伝えるという努力は今後もいたしてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 今言ってもらったこと、世界中に発信をして理解を求めるというのは当然でありますし、これまで、歴代の拉致の担当大臣の人、また外務省も取り組んで、また政府ももちろん取り組んできたんだと思いますが、それと連絡所がどうつながるかというのはまた私は別の問題だと思いますので、しっかりそれは説明をしていただきたいと思います。
そしてさらに、さきの予算委員会では、アメリカに協力を求めるべきではないかという話の中で、総理は、求めるだけでは駄目だ、日本が何をできるかを示してアメリカに協力を求めるんだと発言をしました。当然だと思っていますが、この会談において総理は、まさに今総理が示しているのはこの連絡所でありますが、御自身がメリットとして考えておられますので、これについてトランプ大統領に言及をされたんでしょうか。この連絡事務所設置が、今、日本ができ得る中身だったのではないのでしょうか。伺います。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○石破内閣総理大臣 論点が少しずれるかもしれませんが、先ほど来答弁しておりますように、安全の保証というものを誰がどう行い得るかということを考えたときに、我が日本国として北朝鮮の今の体制の安全の保証というものができるか、そしてするべきなのかということを考えたときに、私はそれは違うのではないかというふうに考えております。今の体制の安全を保証するということについて、彼らがそのことを至上の命題であると考えていることは事実であって、では我が国がそれをなし得るかといえば、それは我が国の中にもいろいろな御意見はございましょう。
トランプ大統領は、金正恩という者に対して特別な思いを持っている。かつて二度会談いたしましたね、シンガポール、ハノイ。そのことをこれから先やるときに、この拉致問題というものを絶対に解決しなければならぬということは大変な圧力になるし、解決に資するものだというふうに考えております。
尖閣の問題もそうなのですけれども、これはあくまでほかの国に頼ってやることではございません。日本国としてどこまでこの問題に対して努力をしたかということが問われるのであって、それがあって初めて拉致問題の解決にアメリカの力をかりる意味があるということだと思っております。
私どもは、あの体制を保証するということがどういうことなのかということについて、私は私なりの考え方は持っておりますが、この場でよく議論をさせていただきたいと思っております。
○田中(健)委員 連絡事務所はトランプ大統領にお話ししたかという答弁は答えていただけなかったんですけれども。
さらに、今回、総理の日米首脳会談においては、トランプ大統領に対して強い切迫感と解決への決意を伝え、力強い支持を得たということが発表されましたけれども、これまでの共同声明の中には拉致問題においてもコミットメントという言葉があったものの、今回の共同声明にはその言葉が落ちています。これは、見方によっては、米国の拉致問題への支持のレベルが後退したんじゃないかといった声も聞かれておりますが、総理はどういう見解でありますか。
○石破内閣総理大臣 そのようなことは全くございません。
○田中(健)委員 それは何をもって全くないと言えるのか。それでしたら、是非、コミットメントも共同声明の中に入れて発表することができたんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは記者会見の中で申し上げたことでございます。トランプ大統領にこの問題を提起をし、大統領からこの問題に対する強い支持があったということを申し上げており、コミットメントという言葉は確かに落ちているかもしれないが、意図的に落としたものでも何でもございません。この問題に対する我が国の主体的な解決の責任と合衆国の関与というものは、強まることこそあれ、弱まることはございません。
○田中(健)委員 ありがとうございます。強く総理からその発言をいただきました。
是非、もう一つお願いしたいのは、これも午前中にはありましたが、アメリカとの連携を深める、また国との、その力を強めるためには、トランプ大統領の来日時に是非被害者家族との面会を実現してほしいと思います。しかし、面接を実現するにも、やはり総理と家族会の皆さんの足並みがそろっていることというのがトランプ大統領も必要かと思いますので、是非面会の実現も併せて行ってほしいということを改めて総理にお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 限られた時間で、議題は先ほど、USスチールの問題もございました、台湾の問題もございます、多くの問題がある中で、拉致問題について相当の時間も取りました。大統領の強い関心、共感、これも得られたところでございます。
いつ来日するかということにつきましては、最も効果的な日を選びたいと思っておりますし、大統領の日程の中で、拉致被害者の家族の方々と会っていただけるということにつきましては、日本国政府として努力をいたしてまいります。
○田中(健)委員 ありがとうございます。是非とも実現をお願いしたいと思います。
家族会の横田代表からは、家族会の親世代の高齢化は厳しい現実を突きつけられている、残された時間は長くはないという発言が昨日もありました。親世代で健在なのは、横田めぐみさんのお母さんの横田早紀江さんだけになってしまいました。
日本に対する、まさに拉致はテロでもあり、改めて言いますが、主権の侵害であります。連絡事務所をつくり、そしてそれで終わってしまうのではなく、親の世代が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国を実現するために、総理からありました、アメリカに何とかしてくれではもちろん駄目でありますが、日本だけでは前に進まないというのも、これは半分事実でもございます。是非、日米力を合わせて、また世界の協力も得てと総理の発言がありましたので、進めていただきたいと思います。
また、今日の話でもありましたけれども、まさに、個人と個人の関係でもそうでありますが、実際に会いもしないで、見もしないで相手を非難しても始まるものじゃない。総理としては、まず会って、首脳による決断と実行が時代を動かすということ、これも前回の予算委員会でお話がありました。総理もそこまで言っているのであれば、最後は総理と金正恩のトップの会談かと思っておりますので、是非、日朝首脳会談の実現に向けて、総理の最後の決意を伺います。
○石破内閣総理大臣 それは御指摘のとおりです。
先ほど来申し上げておるように、彼らの目的は体制の保証です。それは、我が国の国益と相反する部分が多分にございます。それであって、我々としてどのようにこれを提起をするか。拉致問題の解決、朝鮮半島の非核化、なかんずく北朝鮮の非核化、そしてミサイルの停止、国連決議に基づいてこの三つをきちんと解決をするということでなければなりません。
会談するのは、それは意義のあることです。しかしながら、決裂するために会談するわけではございません。この問題について、ではどのように考えるか。私どもは私どもの考え方がございますが、田中委員は田中委員なりのお考えをお持ちのことだと思います。どうやって、この体制の維持というものが我が国の国益と沿う形で実現するか。私は、それは極めて困難なことだと思っております。その問題も含め、この議会においていろいろな御議論を賜り、よりよい解決を目指してまいります。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
総理の決意とともに、もちろん、ここにいる全ての国会議員もその責任を負っておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
時間がありませんが、ハンガリーの問題についてもお聞きをしたいと思います。
こちらは、さきの予算委員会で井坂議員が取り上げておりましたが、今年一月、ハンガリーの日本人女性が亡くなりました。その後、アイルランド人の元夫が殺人の疑いで逮捕されたということであります。元夫によるDVについて相談を受けていたハンガリーの日本大使館が当該の女性及び子女に対して行った支援に対しては、岩屋外務大臣からは、女性からDV被害の相談を受けていた現地の大使館の対応は適切だったという発言がありました。
しかし、子女の旅券発行を希望した当該女性に対しては、外務省は、未成年者のパスポートの発行には共同親権者である元夫の同意が必要だと対応したということであります。その後、その女性は大使館を訪れることがなく、結果、殺害ということに至ってしまいました。
子女の旅券の発行には、子供のパスポートが元夫に取り上げられていたという状況がありまして、元夫のDVの状況を以前聞いていたとするならば、その説明が、元夫の同意がなければできませんよというのは、余りにも最後通告というか、最後、大使館に助けを求め、ないしは最後の望みを求めていた女性に対してはどうだったのかという私は思いがあります。旅券発行が困難な場合でも、例えばDVから避難する等、命に関わる緊急事態については、帰国のための一時渡航書の発行を行うことができなかったのかという思いがありますが、大臣の見解を伺います。
○安住委員長 岩屋外務大臣、時間が迫っていますので、簡潔に。
○岩屋国務大臣 今般の痛ましい事件に対して、御遺族の皆様に対し、改めて、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
その上で、お子様の旅券の発給手続にお越しになった際には、当該の邦人女性から元夫によるDV被害等についての言及はなく、その時点で元夫が旅券発給について同意するか否かについて予断することは困難でありました。
委員御指摘のように、帰国のための渡航書というのを発給することはできる仕組みになっておりますけれども、その後、結果的には旅券発給の手続は行われなかったということでございます。
○安住委員長 簡潔にお願いします。
○岩屋国務大臣 いずれにしても、在外公館の取るべき対応をもう一度点検、再確認するように、私から領事局長を通じて指示をしたところでございます。
○安住委員長 田中君、時間が参りました。
○田中(健)委員 邦人保護の人員体制、警備と邦人保護は兼任するケースもあるとも伺っておりますので、是非、不十分なら拡充して、私たち日本人の生命と財産を守っていただきたいと思います。
以上です。
○安住委員長 この際、丹野みどりさんから関連質疑の申出があります。田中君の持ち時間の範囲内でこれを許します。丹野みどりさん。
○丹野委員 国民民主党、丹野みどりです。質問の機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。
本日、私は、日本人の金融リテラシーを上げるために金融教育を義務教育ですべきだというテーマで進めたいと思っております。
まずは、暗号資産について取り上げます。
産経新聞、一月二十九日の記事によりますと、北朝鮮のハッカー集団によるサイバー攻撃で日本のDMMビットコインを含む暗号資産の被害、世界で年間一千億円と推計されました。とりわけ、その中で日本の被害が最多となっていて、ほかに韓国なども被害を受けているということです。
こうした被害を受けまして、日本とアメリカと韓国が共同声明を出しました。この声明を抜粋いたします。北朝鮮によるサイバー計画は、我々三か国及び国際社会を脅かし、特に国際金融システムに重大な脅威をもたらす、我々は、北朝鮮の違法な大量破壊兵器や弾道ミサイル計画のための不法な資金を途絶するという最終的な目標の下、共に努力するということになっております。
暗号資産はこのように世界が対峙しなくてはいけないというものにもちろんなっておりますし、この暗号資産関連でいきますと、おととしの通常国会で我が国民民主党の玉木議員が、そして昨年の臨時国会では浅野議員が暗号資産の申告分離課税について質問をしております。
こういったように、暗号資産が、本当にお金の概念自体が大きく変化している状況で、こういった中で我々国民はますます金融に対する知識、リテラシーが必要な状況になっていると感じております。
そこで、加藤金融担当大臣にお聞きします。日本人の金融リテラシーについてどのようにお考えか、お願いします。
○加藤国務大臣 今のお話も含めて、社会全体、いろいろな意味でデジタル化が進んでおります。暗号資産を含めて、近年、送金・決済手段、金融商品といった金融サービスが多様化し、こうしたサービスを適切に活用するということ、また金融に関するトラブルを避けるといった観点から、国民の金融リテラシーの向上、今後、より一層重要になると認識をしております。
金融庁では、これまでも、暗号資産のように新しく登場したものを含め、金融に関連してどのような商品、サービスがあるか、家計管理やライフステージなどに応じた資産形成など、こうした商品、サービスとつき合っていくための考え方、金融トラブルに遭わないための知識などについて普及に努めてまいりました。
今後も、国民の皆さんの金融リテラシーの向上に向けて、昨年四月に設立をいたしましたJ―FLECを中心に、官民が一体となって金融経済教育が受けられる機会の拡大などに取り組んでいきたいと考えています。
○丹野委員 ありがとうございます。
本当に大臣がおっしゃるように、金融に対する知識、欠かせないんですけれども、日本人の間で二極化していると私は感じております。つまり、詳しい方は物すごく詳しくて、運用をたくさんしていらっしゃるんですけれども、知識がない方は、全く何もしていない、よく分からないからしない、何もやらないという方が多くて、そういう日本人を示すデータがこちらにございます。
ちょっとパネルを御覧ください。これは、日本の家計金融資産の伸びの比較でございます。日本とアメリカなんですけれども、折れ線グラフでいきますと、かなり自分の資産を伸ばしているのがアメリカなんですね。その理由なんですけれども、下の山、シルエットの山のような、折れ線グラフの下にありますが、棒グラフ、これは運用リターンによるものということで、いかにアメリカの国民は運用によって自分の資産を伸ばしているかということがうなずけます。日本は全くそうではないということがこのグラフからも分かるわけですね。
かつては、みんな一斉に結婚して、一斉に子供を持って、家を持ってという時代もありましたけれども、今は、結婚する人、しない人、子供さんを持つ人、持たない人、働き方も千差万別で、そういう人生多様化の時代には、やはり自分のライフプランに合ったお金の準備や計画が必要と思います。そのためにはお金の知識やスキルが必要と思うんですね。
だからこそ、やはりお金の教育が必要ではないかと思います。もちろん、年金制度を始めとする社会保障の整備、これをしっかりするというのは我々政治の責任でもありますけれども、その一方で、国民の皆さんが自分の資産を増やすというスキルを持つべきではないかと考えております。
冒頭に申し上げました暗号資産もそうですけれども、お金を取り巻く状況、かなり変わってきています。こういう時代を生き抜いていく子供たちだからこそ生きる力を与えたい。そこで、その教育が必要と思っています。そのためにもお金の教育を、小学一年生から中学三年生までの義務教育でしっかりと体系的にすべきだと考えています。
実は、この金融教育なんですが、高校の家庭科の授業で始まっておりまして、そこで質問があります。高校の家庭科の授業で始まりました金融教育について、どういったものか教えてください。
○望月政府参考人 令和四年度から本格的に実施をされてございます現行の学習指導要領の高校家庭科では、家計の構造や生活における経済と社会の関わり、家計管理について理解すること、また、生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性につきまして、将来にわたるリスクを想定し、不測の事態に備えた対応などに触れながら、ライフステージ等と関連づけて考察することなどを盛り込んでございまして、この学習指導要領は国公私全ての学校に適用されているところでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
実施するに当たり、文科省が教員にどういった教材を提供していたのか、それも教えてください。
○望月政府参考人 文部科学省では、金融経済教育推進機構と連携いたしまして、同機構が文部科学省の協力の下で作成した教材を全国の高校に提供してございます。
この教材の中では、投資のリスクとリターンの関係、価格変動のリスク、あるいは長期、積立て、分散投資といった資産形成の視点、詐欺の実例、詐欺に遭わないためのポイントなども具体的に紹介しているところでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
いろいろな教材が用意されたということですけれども、実は、実態の声として私伺いまして、地元、愛知県豊田市なんですけれども、豊田、みよしの全ての公立高校の家庭科の先生にお話を伺いました。すると、いろいろなお声があったんですね。驚きましたというお声があったりとか、あとは、工業高校は以前から金融教育をやっているので大丈夫ですよというところもあれば、やはり学校の先生によっては濃淡があるなという印象を受けました。
もう一つ多かったお声が、一年に二単位だからというお声だったんですね。これはどういった意味なのか、教えてください。
○望月政府参考人 子供たちが学ぶ大綱的基準であります学習指導要領では、例えば高校でございますけれども、高校の各科目の標準単位数と一単位ごとの標準授業時間等を定めてございます。こうした枠組みの中で、科目に含まれる様々な学習内容、具体的な内容をそれぞれどのくらい、何時間で指導するか等につきましては、生徒の実態も踏まえまして、各学校、教員の裁量に任されているところでございます。
例えば、高校の家庭科の家庭基礎では、標準単位数が二単位となってございます。年間の授業時数は七十単位時間、金融教育が含まれる家計管理に加えまして、保育、福祉、食生活と健康といった様々な内容がございまして、それぞれ何時間を割り振るかというのは各学校、教員の裁量となっているところでございます。
○丹野委員 ですので、金融教育がせっかく始まったんですけれども、やはり、調理もやらなきゃいけない、お裁縫もやらなきゃいけないと、いろいろな中で金融教育となると、本当に少ないなというのが実感です。
こういった教育の状況と違って、欧米ではかなり進んでいるんですけれども、アメリカやイギリスの金融教育の事例をちょっと教えてください。
○望月政府参考人 アメリカ、イギリスの金融教育の状況につきましての問合せでございます。
アメリカ、イギリス両国と我が国の教育制度が大変異なりますため、両国の金融教育の状況を正確に把握することはなかなか難しいところでございますけれども、民間団体が各学校に参考として提供している拘束力のないモデルカリキュラムというようなものがございます。あくまで全ての学校で実施されているわけではないわけでございますけれども、アメリカの民間団体の今申し上げましたモデルカリキュラムでは、小学校の段階で投資と預金の違い、あるいは中学校の段階では、金融商品のリスク、単利と複利の違い、クレジットの種類、あるいは高校段階では、個人のリスク許容度と行動の偏りが投資の選択に及ぼす影響、あるいはポートフォリオ分散の利点などが盛り込まれていると承知しています。
また、イングランドの民間団体のモデルカリキュラムでは、小学校から高校段階にかけまして、発達段階に応じまして、お金の管理方法、お金に関連するリスクと感情の管理などにつきまして、知識、スキル、態度それぞれで構成する内容が含まれているところでございます。
○丹野委員 やはり、お聞きしていると、日本の金融教育とは全然違っていて、欧米では小さい、発達段階にはもちろん合わせますけれども、かなり投資を含めた教育がなされているんだなというのが分かります。
金融庁に伺いたいんですけれども、金融庁さんは、金融教育の大切さというのをずっと痛切に感じていらっしゃって、いろいろと取り組んでいらっしゃることを認識しておりますけれども、金融庁が行っている国民に向けたアンケートの結果を教えてください。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
金融リテラシーにつきましては、旧金融広報中央委員会が三年に一度、十八歳以上七十九歳以下の個人を対象に、お金や金融に関する知識あるいは行動の特徴を把握するためにアンケート調査をやっております。
直近の二〇二二年に実施された調査によりますと、金融経済教育を行うべきと思うと答えられた方が七二%いらっしゃいましたが、一方で、学校、大学、勤務先において金融経済教育を受ける機会があったけれども、それを受けたと認識している方の割合は全体の七%、これにとどまっております。
この後者の調査項目は、日米比較が可能な項目になっておりまして、米国の場合は二〇%ということになっております。
○丹野委員 こういった、必要性は感じているんだけれども実際はほとんど教育を受けていないというお声が大多数だったという結果なんですけれども、この結果を受けて、金融庁が感じている必要性、現在までの取組を教えてください。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
金融庁といたしましては、国民の金融リテラシーの向上、これを通じた各国民の金融面での厚生を高めること、このことには、関係省庁と連携をしつつ一層取り組むべきだというふうに考えております。
したがいまして、昨年三月に国民の安定的な資産形成の支援に関する施策の総合的な推進に関する基本的方針を閣議決定させていただきまして、金融経済教育を受けたと認識している人の割合については米国並みの二〇%とすることを政府目標として掲げております。
その一環として、昨年四月にはJ―FLECを設立いたしました。この機構におきましては、幅広い層に対して、ライフステージ、金融リテラシーの程度に応じた幅広い分野の金融経済教育を提供できる体制を整備しておりまして、この中で、学校現場に対しては、関係省庁等と緊密に連携をいたしまして、教材の公開や全国の学校への出張授業や教員向けの研修等の実施を進めているところでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
今お話がありました、昨年から始まった金融経済教育推進機構という枠組み自体は本当にすばらしいと思っていまして、と申しますのも、私が目指している金融教育の行い方なんですが、学校現場に丸投げではなくて、民間の方、例えば銀行とか証券会社とかファイナンシャルプランナーの方とか、そういう民間の方も入って、しっかり教える側の体制もつくった上で学校現場にというイメージがあります。
なので、この枠組みの発想自体は歓迎すべきですし、ここに呼応した学校が手を挙げて、そこに出前授業をしているという取組も本当にすばらしいなと思うんですね。それは思うんですが、ただ、このままですと、関心があったり手を挙げる人にはその教育がつくんですけれども、そうではない人にはやはり知識がつかないという、日本人のリテラシーの差を埋めることにはつながらないと思っております。
私が課題意識を持っているのは、全ての今の日本人の金融リテラシー、金融に対する知識が、もっともっと底上げを全員ですべきだと思っておりまして、だからこそ、有無を言わせず義務教育で、一年生からしっかりとカリキュラムに入れるべきという考えがございます。
では、最後に総理にお聞きします。総理は、日本人の金融知識について現状どう思われているか、そして、金融教育を義務教育にしたいという提案に対してはどのようにお考えか、教えてください。
○石破内閣総理大臣 御指摘はそのとおりでございます。
日本のリテラシーが低いのは金融と、私は、もう一つ、医療だと思っているのですね。つまり、コロナのときにさんざん議論したんですが、お医者さんの言うことが理解できないという国民の比率は世界の中でもかなりトップに近くて、何でだろうかと考えてみると、大学入試に出ない、以上、おしまいみたいなところがあって、お医者さんになる人が大学入試に出ないから勉強しないなぞという、何か不思議なことも起こっております。
この問題は、誰が教えるのということ、そして、何を教えるの、どのように教えるのということでございます。これはなべてそうなのですが、学習指導要領はどうするかということでございまして、現在、学習指導要領改訂の議論を行っておるわけでございますが、委員の御指摘もよく念頭に、誰が教えるの、何を教えるの、言ったとおりやったら大損したぜみたいなことになったら大変なことでありますので、そこはよく教育現場のお声も踏まえて適切に、というのはいいかげんにという意味ではなくて、きちんと対応してまいります。
○丹野委員 ありがとうございます。
私も、この金融教育、本当に中身も大事と思っております。お金もうけだけを教えたいのではなくて、例えば税金の仕組みとか社会保障の在り方とか、お金を通した全ての社会の成り立ちを教えることが重要と思っています。それは、税金への意識の高まりにつながり、そして政治への関心の高まりにつながると思っています。これは、これからの日本を支えていく子供たちの主権者教育につながると思っております。
なので、しっかりと金融教育を義務教育へ取り入れたいということを主張しまして、私の質疑に代えさせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて田中君、丹野さんの質疑は終了いたしました。
次に、平林晃君。
○平林委員 公明党、平林晃と申します。
本日は、予算委員会集中審議における質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。
早速、質問に入らせていただきます。
石破総理大臣、今回の日米首脳会談、本当にお疲れさまでございました。やはりトップ同士が人間関係を築くということは大変重要である、このように感じたところでございます。世論調査にもいい影響が出たのではないかな、このようなことも言われているところでございます。
とはいえ、今後、難しい局面が様々出てくるかとは思います。ですが、国際社会の平和、繁栄のため、そして我が国の国益を守るためにも、手を携えるところは携え、言うべきところは言う、このような形で日本を、世界をリードしていただきたい、このことを切にお願いを申し上げる次第でございます。
このような思いを持ちながら、日米首脳会談につきまして幾つかお聞きをさせていただけたらと存じます。
まず、日米首脳共同声明におきまして、自由で開かれたインド太平洋を堅持するとともに、暴力の続く混乱した世界に平和と繁栄をもたらす、日米関係の新たな黄金時代を追求する決意を確認した上で、三点、第一に、平和のための日米協力、第二に、成長と繁栄をもたらす日米協力、第三に、インド太平洋地域における日米連携、これら三本の柱をうたわれたわけでございます。
いずれも大変重要な内容ばかりですけれども、私のバックグラウンド的に、この第二の柱である成長と繁栄をもたらす日米協力関係に興味が行くわけでございますが、AI、量子コンピューティング、先端半導体といった重要技術開発において世界を牽引するための協力を追求する、このことが述べられております。言うまでもなく、これらの分野はいずれも競争が激しく、世界で覇権が争われています。だからこそ、民主主義的価値観を同じくする日米が連携することは重要なことであると認識をしております。
そこで、総理にお聞きをさせていただきます。この連携の中身がどのようなものになっていくのかということでございます。
この中身を伺いますとともに、連携が充実して継続していくということにおきましては、技術力がどちらかが高くてどちらかが低いということでは駄目だというふうに私は思っておりまして、あくまでも対等であることが必要と考えております。そのためには、米国の技術自体が発展著しい状況ですので、それと対等性を維持するためには、日本の技術力も同じように向上をさせていかなくてはなりません。それをどのように成し遂げていこうとされているのか、この点も含めまして総理の御見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 今回、改めて感じたことでございますが、アメリカが日本の技術力について高い評価をしているなということは強く認識をしたところでございます。
そうしますと、量子コンピューター、あるいはAI、半導体等につきまして、二〇三〇年度までに十兆円以上公的支援をするという枠組みをつくりまして、次世代半導体の量産に必要な法案を提出をいたします。そして、量子コンピューターにつきましては、世界最高水準の研究開発拠点を整備するとともに、国内サプライチェーンの強化に向けた研究開発支援を実施するということにいたしたいと思っております。
これは国際競争が物すごく激しいのでありまして、日本とアメリカが組んでようやっと他国を凌駕できるかできないかというレベルだというふうに私自身認識をいたしておるところでございます。この点については、平林委員が高い見識をお持ちでありますので、御指摘をいただきながら、更によりよきを期してまいりたいと考えております。
○平林委員 ありがとうございます。
先日、私、日本のトップリーダー的な研究者のお一人と懇談の機会をいただきました。その方は極めて高い技術力でプロジェクトを率いておられまして、であるからこそ、米国の超有名企業からもその技術を求める、こういう連絡が届いているということで、まさに今総理が御披瀝をいただきました、米国が高い評価をしているということは認識を共通するところでございます。
その上でなんですけれども、日本の研究者、今、なかなか、残念ながら疲弊している部分もございます。この分野におけるエコシステムが成り立っていない部分もあるんじゃないかなというふうにも感じているところでございます。
時間、研究費、将来のポスト、こういったものが非常に厳しい状況でありまして、そういう先輩研究者の姿を見ていると、若い人が博士号を取得することをちゅうちょする、こういうような状況になってしまっているところもございます。省庁別審査でも申し上げたところなんですけれども、国立大学では賃上げすらままならない、こういう状況もあるところでございます。
どうか、石破総理、日本の研究者を元気にして、一部の元気な人はいいんですけれども、もっと全体を元気にしていただきたい、このように思っておりまして、この部分に関してお心添えをお願いしたいと思っているところがございます。通告は余りできていない部分で恐縮なんですけれども、御見解をいただけませんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 金ない、時間ない、ポストない、おら、もう嫌だみたいな人が大勢出ておるのは、私自身実感をいたしておるところでございます。
委員のお言葉をかりれば、疲れ切っているみたいなところがございまして、賃上げもできなくて、日々の暮らしに精いっぱいだみたいな研究者の方、それが国際競争に勝てるはずはないのであって、研究者がお金もうけではなくて研究活動に専念できる待遇、環境、これを整備をしていかなければいけないと思っております。
それは、研究者の安定ポスト、これを確保していかねばなりません。あるいは、競争的な研究費を充実させねばなりません。そして、支援体制の整備をしていかねばなりません。博士人材の増加に向けた、博士後期課程学生に対する支援も拡充をしていかねばなりません。予算委員会において、本当にその予算は十分なのかという御指摘もございます。
あるいは、平林委員の御指摘も踏まえまして、これは負けるとこの国は立ち行きませんので、研究者の方々が安心して研究に専念できる環境の充実に今後とも努めてまいります。
○平林委員 本当に総理、熱のこもった御答弁をいただいたことを心から感謝を申し上げます。
私も全く同じ思いでございまして、やはり日本は人が一番でございますので、それをしっかりと支援をしていただきたい。研究者も是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
では、続いて、先ほど議論のございましたUSスチールの買収計画、これは本当に、守島議員の方から深く鋭いお話がございましたので、私の方からは一点だけちょっとお聞きをさせていただけたらというふうに思います。
記者会見におきまして、トランプ大統領は、日鉄はUSスチールを所有するのではなく、多額の投資をすることで合意した、このように発言をされたわけでございます。その上で、その後、マイノリティー出資であれば大きな問題だとは考えていない、こういうようなことも御発言になったという報道があるわけでございます。
この部分が、日鉄の当初の買収計画、一〇〇%の完全子会社ということと矛盾する、相反するようなところがあるのではないかなというふうに思っておりまして、こういう一連の御発言に関しまして、総理は矛盾というようなことを感じられたのかどうか、どのように捉えておられるのか、そのことをお聞きできればと思います。
○石破内閣総理大臣 これはもう本当に会談の直前でございますが、日鉄側から、トランプ大統領になったことで、買収から投資へというふうに考え方を変えたという表明がございました。それは、私、日鉄側と子細に詰めたわけではございません。しかしながら、バイデン大統領がもう駄目だということを言って、もう訴訟だということになっておったのを、買収ではなくて投資というふうに変えた。
そして、日本の優れた技術そして資金を投入することによって、製品の品質を上げ、そして、これを世界に広げ、日米で国際競争に打ちかちたいということについては、トランプ大統領の強い賛意を得たところでございます。そこにおいて大統領がこだわったのは、あくまでアメリカの会社なんだなと。これはやはり、鉄は国家なりというのがまだ生きていると思いました。
そして、アメリカにおいて、トランプ大統領の就任演説の中で、幾つも言いましたが、製造業をもう一度世界一にすると。つまり、アメリカのGDPというのは大きいんですけれども、製造業のシェアが物すごく下がっているわけですね。アメリカの製造業をもう一度世界一に、そして、アメリカの軍事力を世界一にということも言っております。
そこにおいて、今、造船業も物すごく衰退をしておるところでございまして、日米で優れた鉄を造ることによって、もう一度アメリカの製造業を復活させる、そしてまた、日米共に世界に向けて多くの優れた製品を広めていくということにおいて協力をしてまいりたいと思っております。
○平林委員 ありがとうございます。
さらに、別の件でお伺いしたいと思います。
トランプ大統領は、日米首脳会談に先立つ一月二十三日、スイスで行われたダボス会議にオンライン参加をされまして、ロシアや中国とともに核兵器削減に意欲を示したことが報道されています。
二〇二四年一月時点の世界の核弾頭数はおよそ一万二千発とされており、核兵器関連支出額、米国は八兆円とか、中国は二兆円とか、ロシアは一・二兆円とか、そんなことが推計ですけれども示されているところでございまして、トランプ大統領はここも問題視されているのではないかと推察をしております。
トランプ大統領がどれだけの下ごしらえをしてこの発言をされたのか分からないところもございますが、この機を捉えて、核軍縮の流れを再び確かなものにしていただきたい、そのようにも考えているところでございます。
核軍縮を進める、アジアにおける平和と安定につなげる、日本としてもこれにリーダーシップを発揮していただきたい、そういった思いで、今回の会談でこの件についてお触れになられたことがあったのかどうか。あるいは、なかったとしても、今後トランプ大統領と連携をして核軍縮を進める件についてお考えを聞かせていただけたらと思います。
○石破内閣総理大臣 二時間という時間でございますので、全てのテーマを取り上げることはできませんでした。とにかく、USスチールの問題であり、関税の問題であり、安全保障の問題であり、どうしても限られた時間で優先順位をつけていかざるを得なかったということは御理解いただけることだと思っております。
その中で、拡大抑止の強化ということも確認をいたしております。それと、核軍縮というものをどう整合させてこれから議論していくのかということは、今後のテーマとして残っております。
我々として、拡大抑止、つまり、ロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、核を持った、我が国とは全く違う政治体制の国が取り囲んでおる状況において、この拡大抑止の実効性というのは更に高めていかなければなりません。それと、核のない世界というものをどう両立させるかということは、この問題を真剣に考えてこられた御党の、あるいは平林議員のいろいろな知見も承りながら、今後、私どもとして努力を重ねてまいりたいと思っております。
○平林委員 ありがとうございます。本当におっしゃるとおり、極めて難しい問題、我々もしっかりと知恵を絞ってまいりたいと思っております。
続きまして、その流れでもございますけれども、我が党が今考えておりますアジア版のOSCEという部分に関しまして、総理の見解を伺えたらと思います。
斉藤代表も本会議で質問をされたことでございますが、公明党はアジア版OSCEの創設を構想しており、戦後八十年のこの春をめどに発出予定の平和創出ビジョンに盛り込むことにしております。
OSCEは、欧州安全保障協力機構のことでありまして、対立関係にある国も参加をして頻繁に対話を重ねながら信頼を醸成し、軍事衝突を防ぐ目的で、一九九五年、ちょうど三十年前に設立されたものであります。
オーストリアのウィーンに事務局と参加国の常駐代表部を置き、毎週、参加国の大使級の代表が集う常設理事会と、軍事問題を扱う安全保障協力フォーラムを、ハプスブルク家の居城だったホーフブルク宮殿にある国際会議場で開催をしているということだそうでございます。
対立している国の代表も会合で同席をし、自国の立場を説明したり、他国の代表からの質疑にも答えたりするということです。会議以外で、休憩時間などにも接触をする。こうしたことで、緊張関係にある国が誤解を解き、軍事衝突を未然に防ぐ協調的安全保障の仕組みをOSCEは備えているということであります。
アジアには、現在、こうした常設組織はありません。引き合いに出されるのは、ASEAN地域フォーラム、ARFでございます。こちらは、外相級で年一回会合を開き、ASEAN十か国を始め、日米など二十五か国と北朝鮮、EUが参加をし、安全保障に関する議論を行っておりますけれども、常設ではないということでございます。
今日、安全保障をめぐる課題は、サイバー攻撃のような、従来の軍事衝突の形を取らないものも含めて多様化しており、脅威とみなされるものの移り変わりも早くなってきている。迅速性が求められる、こういう状況において、やはりこのOSCEのような常設機構が必要ではないか、このように考えているところでございますけれども、総理の御見解をお願いを申し上げます。
○石破内閣総理大臣 この問題につきましては、御党の斉藤代表からも提起をいただきました。そしてまた、それと相前後して山口那津男前代表も官邸をお訪ねいただきまして、かなり長い時間、OSCE、アジア版でございますが、その意義について御見解をお述べになり、私もそれを拝聴したところでございます。その後、この問題にお詳しい学者の先生のお話も一時間ほど承る機会がございました。
御指摘のように、このアジア地域において、アメリカ・韓国、アメリカ・日本、アメリカ・フィリピンみたいな関係はございます。あるいは、イギリスが個々に五か国同盟というのを置いておりますが、常設のそのような、軍事的同盟ではない、しかしながら安全保障について議論する、そういう常設の仕組みがございません。
自由民主党内におきましてもそのような議論を重ねておるところでございますが、政府といたしまして、地域外交をより一層強力に推進しますために、では、それをつくるときに、どこに本部を置くのか、その資金はどのように分担すべきなのか、そこにおいて誰が代表として来て、それがどのクラスであり、そして、政府の中においてどのような人がこれに対応するかという具体像を構築をしていかねばならないのだというふうに考えております。
この問題には、私自身強い関心を持っておりまして、また、知見を承りながら具体化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○平林委員 ありがとうございます。
我が党におきましても、今おっしゃられたようなポイント、具体像をしっかりと検討してまいる所存ですので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、ヒロシマ・アクション・プランについて、外務大臣にお聞きできればというふうに思います。
核兵器のない世界に向けた取組として、被爆の実相の共有に我々公明党は一貫して取り組んでまいりました。その意味におきましても、日本政府のヒロシマ・アクション・プランはとても重要な取組である、このように我々も認識をさせていただいております。
二つ質問がございますが、まとめて聞かせていただけたらと思います。
まず、同プランで訴えておられる各国指導者等による被爆地訪問の促進でございますが、二〇二三年のG7広島会合では、招待国を含めた各国首脳が原爆資料館を訪問し、被爆の実相に触れていただくことができました。ただ、その後に交代された国もあります。具体的には、米国やイギリス、欧州理事会議長であり、カナダ首相は辞意を表明されているということもございます。招待国でいえば、インドネシアも交代をされているということでございます。
米国については、先日の参議院本会議において秋野議員が訴えたとおりでございますけれども、米国以外の新しい各国首脳に対しても、この被爆地訪問を是非呼びかけていただきたいというふうに思ってございます。
あわせまして、ヒロシマ・アクション・プランの一環として展開されているユース非核リーダー基金の一期生の研修プログラム、成功裏に終えたと認識をさせていただいております。
私、直接、参加者の方からお話を伺うことができました。百名が昨年の一月に選抜をされて、オンラインで研修を受けて、そのうち五十名の方が実際に八月に広島、長崎の被爆地を訪問されたということでございます。百名の中に日本人の方が二人いらっしゃったということなんですね。厳正な審査があったんだというふうに思いますけれども、残念ながら五十名の中には含まれなかったということで、被爆地の訪問にはかなわなかったということも伺っているところでございます。
ただ、その百名、五十名の方というのは、とても、若い世代における見識の高い方なんですけれども、いざ実際に現地に伺ってみると、被爆者の話を直接伺って、そんな経験は今までしたことがなかった、これは本当にすばらしかったということも言っておられた、こんな声も伺ったところでございます。
私は本当にすばらしいプログラムをやっていただいているなと思っているところでございますので、これは是非、継続するだけではなくて拡大をしていただきたいというふうに思っております。百名選んだんだったら、百名、広島、長崎に来ていただきたい、このようにも思うところでございます。
二問続けて外務大臣にお聞きをいたします。
○岩屋国務大臣 広島サミットのときに、各国首脳に原爆資料館を訪問していただいたのは大変有意義だったと思います。今後とも、世界の指導者の方々にできるだけ被爆地を訪問していただいて、被爆の実相を知っていただけるように、外務省としても努力をしていきたいと思います。
例えば、今月も、フィレモン・ヤン国連総会議長が訪日されました。総理にも表敬していただきましたが、その後、広島に訪問をしていただいて、被爆の実相に触れていただきました。更にこういう活動をしっかり展開していきたいと思っております。
それから、平林委員御指摘のユース非核リーダー基金プログラム、これは、我が国による一千万ドルの拠出に基づいて国連が立ち上げたプログラムでございまして、これから二〇三〇年まで四クール実施をしていくことになっております。このプログラムも、更に充実した成果が得られるように、引き続き積極的に展開してまいりたいと思っております。
○平林委員 なかなか拡大という言葉は出てこなかったわけでございますけれども。五十名現地というところもそうなんですけれども、百名オンラインというのはまだ拡大できるんじゃないかな、そういった気もいたしますので、それ自体も本当にすばらしいプログラムであるということを伺っておりますので、是非御検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、核兵器禁止条約に関連しましてお聞きをさせていただきます。これも外務大臣にお聞きをいたします。
この度、締約国会議への日本政府のオブザーバー参加について、オンライン署名が若い世代を中心になされました。このオンライン署名ですけれども、未来アクションキャンペーンというグループがやられました。核兵器廃絶、気候危機の解決を求める若者主導の取組でありまして、まさに昨日までやっていたんですけれども、直近の四十日間程度で、若者を始めとする約七万人が賛同をされたということでございます。
本日、キャンペーンの賛同団体の代表が外務省を訪れられ、まさにお昼の本当に貴重な時間を使っていただいて、外務大臣が自ら受け取っていただいたというふうに伺っているところでございます。その受け止めを聞かせていただいてもよろしいでしょうか。
○岩屋国務大臣 本日昼休みに、未来アクションキャンペーンの代表者の方々が外務省にお越しになりまして、キャンペーンの一環として行われたオンライン署名活動の結果を頂戴しました。短い時間で、あっという間に七万人集まったということでした。また、斉藤代表も御同行いただきました。
このように、核兵器のない世界に向けて若い方々が熱意を持って活動されているということは大変心強いことだと思っておりまして、皆さん方の御要請はしっかりと受け止めさせていただいたところでございます。
○平林委員 本当に貴重な時間を使っていただいて、感謝を申し上げるところでございます。
核兵器禁止条約に関しましては、公明党は、過去二回の締約国会議に国会議員を派遣をいたしまして、締約国やNGOその他の参加者との対話に励み、被害者支援や汚染地域の環境修復など、唯一の戦争被爆国として可能な取組をこれまでも行ってきたところでございます。そして、今回の第三回締約国会議にも平木参議院議員を派遣し、これまで以上の活動に取り組んでいく、このように考えているところでございます。
日本政府は、核禁条約を、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約と位置づけておられます。だからこそ、今回の締約国会議には、引き続き、オブザーバー参加をお願いをしたいというふうに思っているところでございますし、今後も検討をお願いしたいというふうに思っているところでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。これはお願いにとどめさせていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、ガザ地区支援会議というものに関しまして、石破総理大臣に御質問させていただきたいと存じます。
石破総理大臣は、先月十日、マレーシアを訪問されまして、アンワル総理と首脳会談を開催をされました。そして、安全保障、経済、防災、人材育成の四分野について協力を深化していく方針を発表されたところでございます。この訪問、佳子夫人のファーストレディーとしての初めての舞台でもありまして、いつもと変わらぬ笑顔に共感を持った国民は私だけではなかったんじゃないかな、こんなふうに思っているところでございます。
この四分野の協力に続きまして、様々な国際情勢についても意見交換が行われまして、特に、パレスチナ・ガザ地区の支援などを協議するガザ地区支援会議を七月に日本と共同で開催することが合意をされたということが報道されております。この訪問、一月十日の訪問の直後に、一月十六日、ガザの停戦が合意をされたところでございまして、状況が不安定なところはありますけれども、局面が大きく変わってきているところでございます。当該会議の重要性は増しているように感じております。
ガザの復興には日本の経験や技術が活用される場面は多いと考えます。当該会議に対してどのような思いを持って臨んでいかれるのか、石破総理大臣の見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 御指摘のガザ地区支援会議、これを七月に、マレーシアあるいは日本、これらが共同で開催するということで合意をするということになっております。
私は、三十数年ぶりにマレーシア、インドネシアを訪問をいたしました。当選二回のときに行って以来です。その前にASEANの会議に出まして、マレーシア、インドネシアが、この中東の問題、なかんずくガザ地区について非常に強烈な発言をしておったということは極めて印象的でございました。
それは、考えてみれば、イスラム国でございます。一方においては国の教えと定められておるところもございます。そういう国々がこういう強い意識を持っている。それと日本が連帯をすることは極めて重要なことである。ガザ地区の支援のために、復興のために、日本がそういう国々と連携をしながら何ができるかということは、更に私として詰めてまいりたいと思っております。
マレーシアを一月に訪問しました際、アンワル首相との間で、パレスチナ向け協力を含む連携を推進することで一致をいたしました。停戦合意を踏まえ、現在、CEAPAD閣僚級会合の開催に向けて鋭意調整をいたしておるところでございます。我が国は、将来の独立したパレスチナが平和かつ安全に共存する二国家解決の実現に向けて、東アジア諸国の知見を動員をして、国づくりを支援してまいりたいと思っております。
このことについていろいろな御意見があることは承知をいたしておりますが、私どもとして、あのガザ地区の人たちの幸せを実現するために何ができるかということは、ASEAN諸国ともよく連携をしてまいることが極めて重要だと認識をいたしております。
○平林委員 ありがとうございます。
この件に関しましても、NGOなんかも非常に強い意欲を持っておられるところもございますので、是非、様々御活用というか、様々な力を結集していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
最後に、ウクライナの復興支援についても、これは外務大臣に伺えたらというふうに思います。
○安住委員長 まとめてもらっていいですか。
○平林委員 分かりました。
では、最後に、ウクライナの復興支援について、外務大臣がドイツ・ミュンヘンで御発言のとおり、私もそれに賛同するところでございます。総理大臣も先ほどおっしゃられたところで、そのままでございます。私も、ロシアが勝者になる終わり方であってはならないというふうに思っております。その上で、停戦が成し遂げられた場合にはウクライナの復興に積極的に貢献していくべきである、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
大変にありがとうございました。
○安住委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。
次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。
時間が十六分しかありませんので、早速質問に入ります。
日米首脳会談で総理が約束した一兆ドル、百五十兆円の対米投資ですけれども、総理はテレビ番組で、民間がやることで、政府があれこれ言う問題ではないなどと言い放っておられましたけれども、民間企業がやるかどうか分からないのに、勝手に約束したんですか。
民間企業にどうやって投資してもらうんですか。何か支援策はあるんですか。経産省の事務方に聞いたら、事前の打合せもなかったし、指示もなかったと言っていました。
資料一。これはアメリカへの各国の投資の推移です。緑の折れ線グラフ、これが日本です。
日本のアメリカへの投資は、二〇一八年から急激に増え始めていて、イギリスを抜いてトップになります。この時期にちょうど消費税が八%から一〇%に引き上げられて、法人税が引き下げられています。
消費税には輸出還付金という仕組みがあって、輸出企業は海外では消費税は取れないので、取引先に支払ったであろう消費税分の還付を受けています。ところが、取引先が下請企業の場合は消費税をまけさせているケースが多いので、この還付金が事実上の輸出補助金になっているんです。ですから、消費税が八%から一〇%に二五%増えれば、輸出還付金も二五%増える。その分、投資も促進されるということになります。
総理、まさか今回も、二〇一八年と同じように、消費税増税と法人税引下げをセットで行って、投資を促す気ではないでしょうね。
○石破内閣総理大臣 そのようなことはゆめさら考えておりません。
そして、先ほど、どなたでしょうね、経産省のどなたでしょうか。是非、誰が言っているということを明らかにしていただきませんと議論になりません。
私どもとして、今までの積み上げた額というものをベースといたしまして、トランプ大統領と会談をする前には、アメリカにこれから先、投資を行う、そういう企業の代表者ともきちんとお話をいたしております。そんないいかげんな外交をするつもりは全くございません。
○高井委員 質問通告で来てくださった方ですけれども、いろいろ言っていましたよ、ジェトロが州政府と話をするとか。私からしたら、非常に、そんな話か、その程度でそんな約束をしたんですかということを私は感じました。
本当に、本来なら、アメリカへの投資を約束するなら、日本にも投資をしてもらわないと。そのくらいの話をやはり総理はしてくるべきだったんじゃないですか。
ただ、今の日本は、三十年間経済が全く成長していませんから、そこにコロナが来て、物価高で、国内消費は落ち込んで、もう海外からの投資が集まるような環境にないんですよ。
三十年間日本経済が全く成長していない理由というのははっきりしています。これは、三十年間に三度、消費税を増税しているからです。しかも、前回の予算委員会でもやりましたけれども、一回の消費税の増税で、百年に一度と言われたリーマン・ショックをはるかに上回る消費の減少、落ち込みが起きています。つまり、日本は、三十年の間に、百年に一度のリーマン・ショック級の経済恐慌が四回起きたということになるわけですよ。これで経済が成長するはずがないですよ。
総理、景気が悪いときには税金を下げる、これは中学校の公民で習う経済学の基本中の基本なんですけれども、総理、この経済学の基本中の基本、中学生のときに習った記憶はありますか。
○石破内閣総理大臣 ここ数年、アメリカの日本に対する投資は、世界各国の中で一番でございます。アメリカも日本に対して投資を行ってきているのでありまして、引き続きアメリカの日本に対する投資というものは促してまいりたいと考えております。単に日本がアメリカに投資をして、日本国内の雇用を失わしめるというようなつもりは私は全くございません。
私が中学校の頃、小学校の頃というのは昭和三十年から四十年代でございますので、まだ消費税という概念はございませんでした。当然のことでございます。ただ、奢侈税とか物品税とかいうものはあるということは知っておりましたが、それは、民のかまどのお話というのは、絵本でも読んだことがございます。
景気がよくないときに税金を下げるべきだということは、それは一つの考え方として有効なものでございます。しかしながら、今消費が伸びないのは、将来に対する不安ということもあって消費が伸びないということは認めねばならぬ。そして、振れ幅の大きい直接税か、それとも振れ幅の少ない間接税、消費税なのかという議論もきちんと詰めていかなければなりません。
消費税が全ての根源であり、消費税を廃止するということが景気拡大の、景気回復の非常に有効な手段だという委員の御主張はかねてから承っているところであり、そのことは私もよく認識をいたしておるところでございます。
○高井委員 中学校の公民は、別に消費税と言っていませんから。景気が悪いときに税金を下げる、これはもう当たり前のことなんですよ。
総理は、今も言いました、結局、消費税は安定財源だから必要だと言うんですけれども、景気が悪いときには安定した財源を取っちゃいけないんですよ。安定した税金は取らないんですよ。
政治家とか財務省がよく言うんですけれども、消費税は一度下げたら上げられないなんて言いますけれども、これは職務怠慢以外の何物でもないですよ。景気のよしあしを見て税金を上げたり下げたりする、世界各国みんなやっているじゃないですか。コロナのとき、百か国以上が消費税を下げているんですよ。日本だけ、下げる議論すらしていないでしょう。
だから、制度が悪いんだったら、制度を変えてくださいよ。もっと機動的に税金というのは上げ下げするべきなんです。税は財源だとばかり考えているからそういう発想になる。景気の調整機能があるんだということを、是非総理には自覚していただきたいと思います。
ここで、資料二。消費税がいかに悪税であるかという五つの理由を書いています。
一つ目は、消費税はリーマン・ショック超えの大不況を誘発します。先ほど説明したとおり、過去三回の消費増税のたびに、一回の消費増税で、百年に一度と言われる大不況、リーマン・ショックをはるかに上回る消費の落ち込みが起きているんです。
そして二つ目、消費税は社会保障の財源には適しません。社会保障を支える税は、本来、お金がある人から取って、ない人に回すという応能負担がふさわしいんですよ。ところが、消費税は、お金がない人により重い負担がかかる、逆進性の強い税なんです。世界中で、消費税、付加価値税を全額社会保障に充てている国なんてありませんよ。これは財務省の税制調査会の中間答申ではっきり書いていますから。
そして三つ目、消費税は大企業を優遇する、大企業に優しい税なんです。消費税導入以来、消費税を上げるたびに、大企業が払う法人税を下げてきているんです。消費税導入の平成元年から今まで、国民の皆さんがこつこつ払った消費税総額約五百兆円のうちの実に三分の二は、本来大企業が支払うはずだった法人税減税の穴埋めに使われているんです。更に問題なのは、先ほど言った輸出還付金です。二〇二二年度の一年だけで、輸出企業の上位二十社に対して一・九兆円もの税金が還付されています。
四つ目、消費税は中小企業に厳しい税です。法人税は赤字の場合は払う必要はありませんけれども、消費税は赤字でも払わなければなりません。この結果、消費税を払えずに倒産する中小企業は後を絶ちません。インボイスの導入で、その傾向はますますひどくなっています。
それから五つ目、消費税は正社員化、賃上げにブレーキをかけます。これは余り知られていないんですけれども、消費税を納税するのは消費者じゃないんですよ、事業者なんです。明確に法律に書いているんです。そして、消費税は非課税仕入れ、すなわち人件費にかかるんです。正社員を派遣社員にすれば、人件費を外注費にできますから、消費税はかからなくなります。つまり、企業にとっては、消費税を節税するために、正社員を派遣社員にしたり、あるいは賃上げを抑えるインセンティブが働いているんです。つまり、実は企業は、消費税が増税されるたびに、正社員化や賃上げをちゅうちょしてきているんです。
資料三。今盛んに議論されている年収の壁、所得控除と消費税廃止の減税効果を比較しました。年収二百万から三百万世帯の場合ですが、年収の壁を百二十三万円に引き上げた場合と比べて、手取りにこれだけの差があります。
資料四。さらに、国民民主党が主張する百七十八万円まで引き上げても、消費税廃止の方が圧倒的に効果が高いんです。
総理、これだけ懇切丁寧に説明すれば、れいわ新選組が、結党以来、消費税廃止を一貫して訴えている理由、お分かりいただけましたでしょうか。消費税廃止、決断していただけませんか。
○加藤国務大臣 まず、消費税については、急速な高齢化に伴い社会保障給付が大きく増加する中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけているわけであります。
例えば、年金生活者支援給付金などの消費税財源が充当される社会保障給付等による受益は、低所得者ほど多く、所得の再分配につながる面もあるということであります。
それから、リーマン・ショックの話をよくされますけれども、リーマン・ショックは特に企業部門に大きな影響があって全体としてGDPに利いてきたわけで、確かに、御指摘のように、消費支出だけ見れば御指摘のところはありますけれども、それだけをもって、リーマン・ショックと消費税率引上げによる影響の大きさを比較するというのは適切ではないと考えております。
また、大企業優遇の税制がありました。法人税については、これまで累次にわたり法人税率を引き下げてきたところではありますが、これは我が国の競争力強化、国内投資や賃上げ促進等の観点から対応してきたものであり、租税特別措置を見直し、課税ベースを拡大する中で実施をしておるもので、消費税が法人税減税の財源という指摘は必ずしも当たっていないと考えております。
また、消費課税については、輸出品に関する国際的な競争力に対し中立性を保つ観点から、輸出取引を免税とすることが国際的にも共通の取扱いとなっており、我が国も同様に免税としている結果、輸出企業が控除し切れなかった仕入れ時に支払った消費税額の還付を受けることがありますが、このような取扱いは、もちろん、扱っている売上げによってその額は変わるわけでありますけれども、取扱いそのものは企業の規模とは関係なく、大企業を優遇しているものではないということでございます。
また、中小企業に厳しいというお話がありましたけれども、これはあくまで売上げに関して受け取る消費税額の一部から納税していただく仕組みであるということであります。
さらに、正社員や賃上げのお話がありましたが、人件費との関係については、消費税が課されない給料として支払う場合も、消費税を上乗せして派遣料を支払った上で仕入れ税額控除を活用する場合も、全体としての支払い額は同じであり、消費税が正社員の採用や賃上げを妨げるものではないと考えているところでございます。
○高井委員 よく分からない御答弁です。これは大臣とは財務金融委員会でやりますから、総理の認識を私は聞きたいんです。
それで、総理も財務大臣も、必ず財源のことを言いますよね。社会保障の財源なんだということなんですけれども、財源は、私たちは、国債をもっと発行すべきだと考えています。
誤解してほしくないんですけれども、我々は、国債を無限に発行できるとは一言も言っていません。インフレが急速に進んで、国債が暴落する可能性が少しでもあれば、国債の発行は控えるべきだといつも言っています。しかし、その可能性はみじんもないということをこれから説明します。
資料五。これは国債の信認を左右する五つの指標です。G7七か国の日本の順位です。
財務省とかマスコミが騒ぎ立てるのは、この1の政府債務残高対GDP比です。これは確かにG7の中でも七位です。でも、ほかの指標、世界各国の財務当局とか経済学者たちが重視する五つの指標で見れば、1以外全部、G7の中でも上位ですよ。
そして、資料六。国、地方の債務残高、千二百八十兆円とあります。これは確かに多いんですけれども、一方で、我が国の保有資金、つまり支払い能力は、国、企業、家計、政府を合わせた金融資産は九千八百九十五兆円、もう約一京円ですよ。これだけあるんです。そして、個人の家計の金融資産も二千兆円以上ある。対外純資産は四百七十一兆円。日本は世界ナンバーワンの資産大国ですよ。
資料七。こういったデータがある結果、CDS、クレジット・デフォルト・スワップといいますが、これは債務に対する保険料のようなものです。このCDSで算出した五年以内の国債デフォルト確率は、日本は僅か〇・三三%ですよ。G7の中ではドイツの次に低い確率なんです。世界で見ても、トルコは一一%、ブラジルは四%ですから、日本がいかに財政破綻する確率がゼロに近いのかがよく分かります。
だから、日本は国債をまだまだ発行できるんですよ。今のデータは、自民党の応援団の経団連のシンクタンクが発表している数字ですからね。
国債の発行を渋って、緊縮財政を続けて政府支出をしてこなかった結果、日本は三十年間経済が全く成長せず、デフレ不況が続いてしまったんです。こちらの方がよほど子や孫に、将来世代にツケを回しているんじゃないですか。
総理、消費税を廃止して、財源を国債発行で賄って、そして政府支出、財政出動を増やす。積極財政こそが、今の日本にも、そして将来の日本にもベストだと思いますが、総理の考えを聞かせてください。
○安住委員長 石破総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔に。
○石破内閣総理大臣 お説はかねてから承っておるところであります。
日本国が持っております純資産、あるいは個人の資産、このようなものを当てにして、これから先もどんどん国債を出していいという話には、私は全くくみすることはいたしません。
そしてまた、あわせまして、確かに御負担はいただいております、逆進性もないとは言えない。しかしながら、それによって、低所得の方ほど、受益という言い方はいたしませんが、給付を受けておられるということ、いわゆる再分配的な機能というものもございます。
そこも併せまして、私自身として、消費税を廃止するというようなことで国民経済をギャンブルにかけるようなことはできません。はっきり申し上げておきます。
○安住委員長 高井君、質疑時間が終了しています。
○高井委員 終わりますが、れいわ新選組は、積極財政で消費税廃止、これを実現することをお約束して、質問を終わります。
ありがとうございます。
○安住委員長 これにて高井君の質疑は終了いたしました。
次に、志位和夫君。
○志位委員 私は、日本共産党を代表して、総理に質問をいたします。
米国トランプ新政権に対して日本がどう向き合うのかについて、二つの点に絞って総理の見解をお聞きしたいと思います。
一つは、パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させ、米国が土地を長期的に所有するというトランプ大統領の発言に対する対応です。
国際社会が人道支援と停戦の恒久化のために全力を尽くすべきときに、イスラエルのジェノサイドによって傷つき、疲れ果てた人々を追放し、観光地にするというのは、余りにもおぞましい構想です。こんな主張が許されるならば、法の支配に基づく国際秩序が根底から壊されることになってしまいます。
そこで、総理に伺います。
国連憲章は、力ずくで領土を取得することを禁止しています。戦時の文民保護を定めたジュネーブ条約は、占領地域から住民を強制移送することを、理由のいかんを問わず、厳しく禁止しています。トランプ氏の主張が国連憲章と国際法に違反することは明瞭だと考えますが、総理にはそうした認識はありますか。端的にお答えください。
○石破内閣総理大臣 トランプ大統領の発言は承知をいたしております。
その後、国務長官が、いやいや、大統領の真意はそうではなくて、その間、復興に対していろいろな工事なんかをしなければなりません、その間にガザの住民の方々がそこに住まうことはできないのでという発言をいたしておりますが、事ほどさように、アメリカの国内の議論がまとまっておるとは承知をいたしておりません。
我が国として、イスラエルと将来独立したパレスチナ国家とが平和かつ安全に共存する二国家解決ということを支持する、こういう方針には何ら変わりがないものでございます。ジュネーブ条約も含めまして、国際法に合致した行動を各国が取らねばならないのは当然のことでございまして、それぞれの国が取っている行動が国際法に照らしてどうなのかということについての考察は、常に我が国として行ってまいります。
○志位委員 何かコメントしないという答弁だったと思うんですね。
国務長官がいろいろ言っているということですが、トランプ氏の発言は一貫しているんです。こんな明瞭な国際法違反にコメントしないでいいのか。
パネルを御覧ください。
これは、トランプ発言に対して国際社会から上がっている批判です。国連事務総長、パレスチナ、ヨルダン、ドイツ、フランス、カナダ、ブラジル、中国、インドネシア、マレーシア、ASEANなどから、国際法違反、強制退去反対など、厳しい批判の声が広がっています。こうした下、総理がコメントを回避するというのは、情けない態度と言わなければなりません。
総理自身の基本的認識をシンプルに問いたい。パレスチナの人々をガザから強制移住させるなどということは絶対にあってはならないことだという認識はありますか。はっきりお答えいただきたい。
○石破内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、合衆国としてそういう方針を決定したという事実を私として承知はいたしておりません。
○志位委員 トランプ氏がネタニヤフ氏との会談で強制移住を明言したわけであります。
私は、トランプ氏の御機嫌を損ねることは、どんな無法なことであっても口をつぐむというのは、余りに卑屈な態度と言わなければなりません。それでは、日本が世界に向かって法の支配を説く資格を失うことになります。今からでもトランプ氏に発言の撤回を強く求めるべきだということを言いたいと思います。
次に進みます。
いま一つの問題は、総理が、さきの日米首脳会談で発出した日米共同声明で、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化していくと宣言した上で、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことを約束したことです。これは極めて重大です。
パネルを御覧ください。
政府が二二年十二月に閣議決定した安保三文書の防衛力整備計画では、二三年度から二七年度までの五年間で軍事費を四十三兆円に増額する大軍拡を行った上で、二七年度以降、防衛力を安定的に維持すると明記しています。ところが、共同声明では、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくとなっている。
維持から抜本的強化に勝手に変えたのはなぜですか。理由を説明していただきたい。
○石破内閣総理大臣 それは読み方が違うと私は思っているのですね。
つまり、現行の国家防衛戦略をよくお読みをいただきたいんですが、そこに何と書いてあるかというと、防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持強化していく必要があるというふうに、明文でこのことを定めておるところでございます。
戦略三文書は、防衛力を抜本的に強化しつつ、これを安定的に維持する、こういうことを申し述べているのでございまして、維持から抜本的強化に変えたものではございません。この言葉は従来から申し上げているものであって、今回特に新しく出たものではないということは、皆様方、御理解をいただけることだと思っております。
我が国の周りの安全保障環境がここ数年極めて悪くなっているということについて我々はどう考えるか。それはアメリカに頼めば大丈夫よというようなことだとは私は一切考えておりません。我が国の防衛力を抜本的に強化をし、それを維持していくというのは我が国の確固たる方針でございます。
○志位委員 私は、維持から抜本的強化に変えたのはなぜかと聞いたんですが、説明になっておりません。
総理が今読み上げた国家防衛戦略のどこにも、二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくなどということは書かれておりません。現行の安保三文書では、二七年度以降、防衛力を安定的に維持すると明記しているのであって、安保三文書のどこを探しても、二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくなどということは一言も書かれておりません。
防衛力を安定的に維持と、抜本的に防衛力を強化する、誰が読んでも全く違う話じゃないですか。説明してください。
○石破内閣総理大臣 今のままで十分だとは私は思っておりません。抜本的に強化をし、その水準を維持するという努力はしていかねばなりません。防衛力は、単にお金だけ増やせばいいというものではございませんので、これを強化し、維持するだけでも大変なことだと思っております。
はっきり申し上げておきますが、我が国としては防衛力を更に強化する必要がある、それが現下の安全保障環境から見て当然のことで、そのために努力をすることは政府の責任だと認識をいたしております。
○志位委員 全く説明になっていない。
閣議決定された安保三文書では、二七年度までの五年間で防衛力整備を集中的に実施し、防衛力を抜本的に強化する、その後の防衛力整備は二七年度の水準を基に安定的かつ持続可能に行うとしています。すなわち、二七年度までの五年間で防衛力を抜本的に強化し、二七年度以降は防衛力を安定的に維持するというのが閣議決定なんですよ。
二七年度以降は安定的に維持するという閣議決定と、抜本的に強化するという日米共同声明が明らかに整合しないではないかということを聞いている。答えてください。
○石破内閣総理大臣 済みません、手元に原本を持っておりませんが、今の国家防衛戦略におきまして、防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持強化していく必要があるというふうに明示をいたしておると考えております。
○志位委員 将来にわたって維持強化していくと書いてあるだけで、二七年度以降、抜本的に強化すると書いていないじゃないですか。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○志位委員 これは非常に重大な問題で、三回聞いても説明できない。
つまり、軍事費の更なる増額を求めているトランプ氏との間で、あなたは安保三文書の根幹部分を勝手に変更した、書き換えたということですよ。こんな重大なことを国会にも諮ることなく、閣議決定すら行わずにアメリカに約束する、許し難いことであります。
政府は、今、防衛力の抜本的強化のかけ声で、二七年度までの五年間で、軍事費をGDP比一%から二%へと二倍にする空前の大軍拡を進めています。その上、さらに、二七年度より後も防衛力の抜本的強化のかけ声で大軍拡を進めたら、三二年度には、軍事費はGDP比二%から四%になってしまう。
総理に聞きます。
二七年度以降、GDP比二%を超えることは絶対にないと言明できますか。
○石破内閣総理大臣 将来にわたりと書いてありますのは、当然、二七年度を含むものでございまして、そこに全く矛盾はございません。当然のことでございます。
必要であれば、二%を超えることはございます。必要でなければ、そのようなことはいたしません。数字ありきではなくて、安全保障環境をきちんと踏まえました上で、陸海空、必要なものを積み上げた結果としてその数字があるものでございまして、数字から逆算するなぞということをやるつもりは全くございません。
ただ、現状において、防衛力を急いで抜本的に強化をしなければ我が国の独立と平和を守ることはできないというふうに考えておりまして、それは単に兵器を買うことを意味しておるものではございません。先ほど防衛大臣が答弁をいたしましたように、人的基盤の強化というものを併せて図っていかねばならないのは当然のことでございます。
○志位委員 GDP比二%を超えることはあり得ると言ったことは大変重大です。
そして、将来にわたってと書いてあるとおっしゃいましたけれども、二七年度以降は安定的に維持するというのが閣議決定なんですよ。それとの不整合を説明できなかった。
トランプ大統領は、NATO諸国に対してGDP比五%の軍事費を要求しています。新しく国防次官に指名されたコルビー氏は、日本に対してGDP比三%の軍事費を要求している。そうなったときに、ガザ問題一つ取ってもトランプ氏の顔色をうかがって何も言えない総理に拒否できますか。できるわけがありません。
大軍拡によって、既に暮らしの予算が圧迫されています。
パネルを御覧ください。
大軍拡が始まる二二年度予算と二五年度予算案の主要経費の構成比の変化です。防衛費、軍事費だけが四・二ポイントも構成比を増やす一方、社会保障、文教科学などの暮らしの予算は全てマイナスとなっています。
軍事費の膨張によって、高額療養費の上限の引上げ、大学の学費の値上げラッシュなど、暮らしの予算が圧迫され、削りに削られている。
もう一枚、パネルを御覧ください。
二五年度予算案の主要経費別の前年度比伸び率です。防衛費、軍事費だけが九・五%増になっている。社会保障、文教科学、中小企業など暮らしの予算は、物価上昇にも追いつかない実質マイナスの予算です。食料安定供給費に至っては、米の価格が高騰している下で、実額でもマイナスですよ。
物価高騰が続き、国民が苦境に追い込まれている下で、この軍事費の突出ぶり、総理は異常だと思いませんか。どうでしょう。
○石破内閣総理大臣 私どもは、これを軍拡だと全く思っておりません。いかにしてこの激変する安全保障環境に対応し、我が国の独立と平和、国民の生命財産を守るかということの結果として数字が出てくるものでございまして、最初から数字ありきではございません。
そして、志位委員も長い御経験で御存じのことかと思いますが、我が国の装備品、あるいは防衛法制、運用構想、どれを取りましても、他国を侵略するようなものには全くなっておりません。装備品だけで判断をするのではなくて、その装備品一つの内容もそうです、それを動かす防衛法制もそうです、自衛隊の法制が何のためにポジリストになっているのかということはよく御認識をいただきたいと思います。運用構想もそうでありまして、私どもが軍拡なぞという意識を持ったことは一度もございません。
○安住委員長 志位君、時間が参りました。まとめてください。
○志位委員 この異常な予算を異常と言えないあなたが異常だということを申し上げておきたいと思うんですね。
軍拡と思っていない、驚きました。侵略的な兵器はない、こうおっしゃるけれども、長射程ミサイルをたくさん買おうとしているじゃないですか。私は、暮らしも平和も壊す大軍拡の中止を求めます。外交の力によって東アジアに平和をつくる取組こそ政治の責任だということを申し上げて、終わります。
○安住委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十八日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時一分散会