衆議院

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第18号 令和7年3月3日(月曜日)

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令和七年三月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    井野 俊郎君

      栗原  渉君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    柴山 昌彦君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    田村 憲久君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    深澤 陽一君

      古屋 圭司君    松本 洋平君

      向山  淳君    山田 賢司君

      今井 雅人君    大西 健介君

      岡田  悟君    神谷  裕君

      川内 博史君    城井  崇君

      黒岩 宇洋君    後藤 祐一君

      近藤 和也君    重徳 和彦君

      階   猛君    杉村 慎治君

      中島 克仁君    藤岡たかお君

      水沼 秀幸君    三角 創太君

      山 登志浩君    早稲田ゆき君

      渡辺  創君    阿部 圭史君

      池下  卓君    金村 龍那君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      林  佑美君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    古川 元久君

      赤羽 一嘉君    河西 宏一君

      山崎 正恭君    櫛渕 万里君

      辰巳孝太郎君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣         加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       武藤 容治君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     平  将明君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 坂井  学君

   国務大臣         赤澤 亮正君

   国務大臣

   (新しい地方経済・生活環境創生担当)       伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  千代延晃平君

   政府参考人

   (内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官)  藤吉 尚之君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        風木  淳君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            中村 英正君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (消防庁次長)      田辺 康彦君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   政府参考人

   (気象庁長官)      野村 竜一君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    石川  武君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     佐々木 紀君

  高木  啓君     山田 賢司君

  深澤 陽一君     向山  淳君

  神谷  裕君     水沼 秀幸君

  藤岡たかお君     渡辺  創君

  早稲田ゆき君     後藤 祐一君

  徳安 淳子君     金村 龍那君

  西田  薫君     阿部 圭史君

  橋本 幹彦君     古川 元久君

  田村 貴昭君     辰巳孝太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     井出 庸生君

  向山  淳君     鈴木 英敬君

  山田 賢司君     栗原  渉君

  後藤 祐一君     早稲田ゆき君

  水沼 秀幸君     岡田  悟君

  渡辺  創君     藤岡たかお君

  阿部 圭史君     西田  薫君

  金村 龍那君     林  佑美君

  古川 元久君     橋本 幹彦君

  辰巳孝太郎君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     井野 俊郎君

  栗原  渉君     高木  啓君

  鈴木 英敬君     深澤 陽一君

  岡田  悟君     山 登志浩君

  林  佑美君     徳安 淳子君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     河野 太郎君

  山 登志浩君     杉村 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  杉村 慎治君     三角 創太君

同日

 辞任         補欠選任

  三角 創太君     神谷  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算並びに松本洋平君外四名提出、令和七年度一般会計予算及び令和七年度特別会計予算に対する両修正案及び重徳和彦君外三名提出、令和七年度一般会計予算及び令和七年度特別会計予算に対する両修正案、以上三案及び各修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案及び各修正案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官千代延晃平君外三十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 本日は、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間が短いので、早速質疑に入っていきたいと思います。本日は、高校授業料の公費負担化を中心に伺いたいと思います。

 現在の高等学校就学支援金制度は、公立高校の授業料に相当する十一万八千八百円を年収九百十万円未満の世帯に支給するとともに、私立高校につきましては、年収五百九十万円未満の世帯に対して三十九万六千円まで加算して支給をしております。今般の見直しにより、令和七年度より基準額の十一万八千八百円部分について所得制限を事実上撤廃し、令和八年度から私立加算額を四十五万七千円に引き上げて、所得制限なしに支援する方向だと伺っております。

 ここで、皆さんはよく無償化というお言葉を使われますけれども、正しくは税負担化と言うべきだと思っております。学校がただで授業を提供するのではなくて、従来保護者が支払っていた授業料を、納税者の皆様に御負担を切り替えていく、これだけのことだと考えております。子育て世帯に無償化を実現しましたと言うと同時に、これは、仮に四千億かかるとすれば、国民の皆様が一人当たり四千円負担して授業料をただにしてあげるということを御理解をいただかなければならない話だと思っています。

 新たな負担を、増税をしないまでも、そんなにお金が余っているんだったら税金下げてよというお考えをお持ちの方もいらっしゃいます。御負担をいただく納税者の皆様に御理解をいただける制度でなければならないと考えています。

 そこで、まず、自由民主党修正案提出者、柴山議員にお伺いしたいと思います。

 例えば、年収何千万とか何億も稼ぐ裕福な家庭のお子さんを、立派な施設や教育内容も充実した私立高校にただで通わせる費用を税金で賄うことについて納税者の御理解が得られるか、お考えをお聞かせください。

柴山委員 山田議員にお答えをいたします。

 この度の自民党、公明党、日本維新の会の三党の合意は、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、子育て世帯への支援を強化する観点から、論点の十分な検討を行って、いわゆる高校の無償化、税負担化を始めとした教育の負担軽減を進めようとするものであります。

 その中で、いわゆる高校の無償化につきましては、骨太方針二〇二五の策定までに大枠を示した上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現すること、令和八年度から収入要件を撤廃し、今お話があったとおり、私立加算額を四十五・七万円に引き上げることに加え、低中所得者層への高校生等奨学給付金の拡充や公立高校などへの支援の拡充を行うということまでも盛り込まれております。

 また、三党の合意では、議員御指摘のような収入要件の撤廃に向けた支援対象者の範囲の考え方についても、詳細につきましては、高校無償化に係るその他の論点と併せて十分な検討を行うこととされております。

 ということで、この合意後も、引き続き、三党の枠組みで合意事項の実現に責任と誠意を持って取り組むこととされておりますから、今後こうした制度の具体化を進める中にあって、その目的ですとかあるいは仕組みを十分に明らかにして、納税者である国民の皆様に丁寧に説明して理解を求めていくことを考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、高校の教育、高校に通う授業料を国民みんなで負担してあげよう、この考えには反対するものではありません。また、今の制度で、五百九十万円までは加算があるけれども、六百万、七百万になるといきなりなくなるというのも、これもまた酷な話だというふうに考えます。ある程度緩やかな支援の傾斜があってもいいと思うんですけれども、どこまでも無制限になっていくということは本当に理解が得られるのか。これは、今後、制度設計をされていかれると思いますので、様々な論点を議論させていただきたいと思います。

 本日は、私の方にもたくさんの御意見をいただいています。こうした論点の幾つかについて確認をさせていただきたいと思っています。

 まず、日本人のお子さんで海外の私立高校に通わせる場合も、授業料を国が負担して保護者負担をただにするのか。これは、事前に文科省に聞きましたけれども、今はそういう制度にはなっていない。日本人学校など一部の支援はあるものの、海外の私立高校に日本人のお子さんを通わせる場合は対象ではない。

 他方で、資料二を御覧ください。ここに掲げているような国内のインターナショナルスクール、外国人の方であっても、子弟を通わせる授業料については、現行制度で公費負担の対象になっていると伺っています。これを、今後、所得制限なしに、支援額も増額して公費負担の対象にするというのは、到底、ちょっとこれは納税者の理解が得られないのではないか。

 日本人の子供が海外の私立学校に通う費用は支援しないのに、外国の高校生は、日本に来ればただでインターナショナルスクールに通えるということになると、こんなことに税金を使うぐらいだったら、日本の子供たちが海外へ留学する支援に充ててあげるとか、公立高校の国際化に予算をつけてあげてほしいという声が寄せられております。

 今後の制度設計については、この際、根本から見直して、外国人学校に通う外国の子弟は授業料の公費負担の対象から除外するように考えていただきたいと思います。参考人、何かありましたら、御意見をお聞かせください。

望月(禎)政府参考人 山田委員から、日本国内のインターナショナルスクールなどに子弟を通わせる外国人についてもというお尋ねがございました。

 現在の法律に基づきまして、各種学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものについては、制度の対象としてございます。現在、四十三校の外国人学校が対象となってございまして、当該学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者については、国籍を問わず支援の対象としているところでございます。

 その際、国籍を問わず保護者等の税情報を利用して受給資格を認定してございますので、税情報は確認をいたしてございますが、保護者等が一方でも日本国外に在住する場合には、加算の部分は受けられません。一方、基準額につきましては、両親のうち一方が日本国内に在住している場合は当該保護者のみの収入で判定して、所得制限に該当する場合には支援対象外となり、日本国内に在住している保護者等が一人もいない場合は、収入のいかんにかかわらず、基準額等が上限として支給されているという制度になってございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 是非、今後の見直しに当たっては、お金が余っているのであればいろいろなことをやればいいと思うんですけれども、ただでさえお金がなくて、もっと教育を充実してくれというお声がたくさん寄せられております。是非、日本人の子供たちのよりよい教育のためにお金を使っていただきたいと思います。

 続きまして、私立高校の授業料を公費で支援したとしても、私立高校がその分、授業料を値上げするのではないか、いわゆる便乗値上げという問題があります。

 質疑を伺っていますと、いわゆる便乗値上げは許さないんだ、合理的な理由がないと値上げを認めないんだというお話もありますけれども、幾らまでなら値上げしていいのか、国が認可する公定価格のようになってしまうのか。

 そもそも私学というのは、建学の精神に基づいて、その教育理念に共感して、特色ある独自の教育方法や内容を評価して、費用をかけてでも通わせたいという親御さんたちが通わせているのであって、授業料の水準は学校と保護者の間で納得すればよく、国が認可するような話ではないと考えております。

 私立の授業料をただにしたとしても、入学金のほか、制服や課外活動などでお金がかかると言われています。制服代や課外活動まで公費で負担しろというのは、またこれは違う話だと思っています。

 税金で負担するから話がおかしくなるのであって、私学は税金で負担をせずに自由にさせるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

望月(禎)政府参考人 お答えいたします。

 高等学校等就学支援金制度は、授業料を支援することによりまして教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与することを目的としてございます。

 その授業料無償化に関して、教育基本法等の規定の趣旨に鑑みますと、特に私立高校の授業料を含む経費につきましては、御指摘のように、私立学校の建学の精神に基づく自主性の尊重に留意する必要がございます。一方で、支援の拡充に伴いまして、保護者負担の軽減の観点からいきますと、各学校で合理性のない授業料の値上げが行われないようにする観点にも留意する必要があると考えてございます。

 今般の三党合意に基づきまして、具体的に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私立にも二種類あって、二種類という言い方も変なんですけれども、優れた特色ある教育があるから、是非お金をかけても行きたいというところと、安い公立に通いたかったんだけれども、試験に合格できなかったからやむを得ず私学に通っている、ただ経済的に余裕がないから助けてほしい、こういう性格もあるんだろうと思っています。

 私立高校が、公立の高校の不合格になった生徒の、言い方は悪いですけれども、滑り止めとしてセーフティーネットになっているから助けてあげるべきだ、こういう考え方も多分あろうと思うんですけれども、本来、セーフティーネットというのは公立が担うべき役割であって、入学定員を十分確保するとか、あとは、入試の機会の問題、中学を卒業して、十五の春を、人生を懸けた勝負を、一発勝負の試験で落ちてしまうと浪人してしまう、こういったところにやや無理があるのではないか。

 むしろ、公立高校の入試を、一発勝負じゃなくて、複数受験にするなど機会を増やしてあげるべきではないかと考えますが、参考人、いかがでしょうか。

望月(禎)政府参考人 お答えいたします。

 公立高校につきましては、各地域の状況あるいは生徒の多様な学習ニーズに対応した教育の提供を通じまして、高校教育の機会均等を図る上で大切な役割を果たしていると存じております。

 一方で、高校入試の方法につきましては、設置者である各都道府県教育委員会等が決定するものでございますけれども、文部科学省では、従来から、各教育委員会等に対しまして、受験機会の複数化や選抜方法の多様化などに配慮をしていただくよう依頼をしているところでございます。

 多くの自治体では、同一の高校又は課程におきまして、複数の学科等を設置している場合には複数出願もすることを認められていると承知してございますが、例えば、福岡県の一般入試では、中学生の進路選択の幅を広げ、公立高校の志願をしやすい環境をつくるために、第一志望に加え、第二志望ということで一定の学校を出願できるという制度を設けてございます。

 いずれにしましても、学ぶ意欲を有する生徒に対しまして学びの場が確保されるという観点から、高校入試の方法につきましては、都道府県教育委員会で適切に決定していただくものと考えてございます。

山田(賢)委員 資料三を御覧ください。都道府県別の国公私立の生徒数をグラフにしていただいた資料です。

 これを見ると、圧倒的に東京都、大阪府といった都市部において私立高校が多くて、他の道府県では公立が高校教育の役割をかなり担っているんだろうと思っています。

 そこで、提出者にお伺いします。

 大阪で先行して私立の授業料の公費化を導入されていますが、これについての評価についてお聞かせください。

柴山委員 今回の自民党、公明党、日本維新の会の三党での協議の中では、今委員が御指摘のように、既に無償化に取り組む先行自治体において得られた成果の検証や課題の整理を踏まえて検討すべきでないか、そのように、特に私ども自民党から強く意見を申し上げたところであります。

 議員御指摘の大阪府が行っている高校無償化の取組については、公立高校の定員割れや専門高校の衰退への懸念、あるいはキャップ制による私立高校の自主性、独自性への懸念が指摘をされていることは私どもも承知をしております。ただ、まだスタートしてから日が浅いものですから、十分なデータが集まっておりません。

 ただし、こうした、おっしゃったような懸念、あるいは、私どもがぶつけたような懸念を払拭するためにも、三党合意の中では、公立高校などへの支援の更なる拡充を含む教育の質の確保ですとか、あるいは、多様な人材育成の実現、公立と私立の関係といったようなことも今後検討すべき論点として示されておりまして、今後、制度の具体化を図る中で、そうしたことに十分な検討を行う必要があると考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 教育の分野で必要な予算というのはたくさんの分野があります。裕福な家庭の子弟を立派な施設で教育内容の充実した私学に通わせるために四千億も公費を費やすよりも、むしろ公立高校への支援を拡充して、優秀な先生に来ていただくとか、文化芸術、スポーツの充実、本物に触れる機会を確保するとか、体験学習あるいは国際交流の促進などを通じて公立高校の魅力や質を高めることを優先させていただきたいと思いますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 お答えさせていただきます。

 公立高校は、まさに高校教育の普及と機会均等を図るとともに、地域のそれぞれの人材を育成するという重要な役割を担っているというふうに認識しております。

 また、文部科学省といたしましては、高校教育の質の向上のために、専門的な外部人材の活用、また大学との連携などを通じましてDXハイスクール事業の実施、また芸術家の派遣などによりまして本物の文化芸術に触れる機会の確保、これは地域地域でそれぞれの文化がございます。さらには、地方創生二・〇に向けまして、地方における地域産業に密着した産業界の伴走支援を受けた、専門高校を拠点とする地方創生支援、地域人材の育成と、留学生の受入れなども含めた国際交流を重点的に実施する事業などの実施に取り組んでいるところでございます。

 各高校におきましては、多様な学習ニーズに対応した地域に密着した教育を行っていきながら、生徒から選ばれる学校になることが重要でございまして、今後は、今回の三党の合意に基づきまして、公立高校などへの支援の拡充について具体化に向けた検討を行いまして、必要な取組を速やかに進めてまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 続いて、部活動の地域移行について御質問させていただきたいと思います。

 文科省では、令和八年八月から、土日の部活動を原則地域クラブに移行するという方針を打ち出されております。

 受皿が整備されていて学校の部活動をやめるということであればまだしも、受皿が確保できないのに来年からやめると言われると、生徒も保護者も不安になっております。引受手となる地域スポーツ団体でも、予算面がどれぐらい確保されるのか分からない中で、手を挙げられないという声も伺っております。早急に固めていただきたいと思います。

 この中で、中学校の部活動を地域移行、民間委託するに当たって、受益者にも負担を求めていく方針だというふうに伺っています。こちらはより深刻だと思っています。

 今まで無償あるいは数百円の部費で賄っていたクラブ活動は、文化にしろスポーツにしろ大変教育的意義が大きいと思っておりますが、これが地域移行で民間委託されることによって、たとえ月数千円であったり、一万円であったり、取られるということになると、人によっては、そんなことにお金がかけられないという家庭も出てきて、文化やスポーツ、部活動ができなくなってしまう、そんなことがあってはならないというふうに思っています。

 全ての中学校の部活動を地域クラブに移行するに当たって、生徒が誰一人取り残されないように、公立中学校に通う生徒たちが皆無償で部活動ができるよう、十分な予算を確保することを優先していただきたいと思いますが、予算確保に向けて文部科学大臣の御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるとおり、本当にスポーツ、地域にとってまさに重要な部分でもございまして、急激な少子化が進む中で、将来にわたって生徒が継続的にスポーツまた文化芸術活動に親しむ機会を確保、充実するため、部活動の改革を進めていくことはまさに必要なことでございます。

 そのため、文部科学省といたしましては、令和七年度予算案について、地域クラブ活動への移行に向けた実証事業、これを拡充して実施するための予算をしっかりと計上していくとともに、また、令和八年度以降の部活動改革の在り方につきましても有識者会議の議論を進めてまいりますので、文部科学省として、この有識者会議の議論も踏まえさせていただきながら、地域の実情に応じた形で、持続可能な、多様なスポーツ、文化芸術環境の整備が進むよう、一層の推進に取り組んでまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 続いて、給食費の公費負担化について御質問します。

 よく、給食費をただにしろとか、保護者から一円たりとも取るなという御主張もあるんですが、他方で、ただにしなくていいから、追加費用を払ってでもいいから、我が子には、安心で質のよいもの、充実したおいしいものを提供してほしいという御要望があるということも是非知っていただきたいと思います。

 地域によって食材費も物流コストも異なる中、安全な国産品であったりオーガニックを使うとコストも高くなってしまう。それを例えば全国一律で二百五十円とか三百円と支給する代わりに、追加負担を保護者から求めてはいけないとなると、質を下げざるを得なくなってしまうという懸念の声があります。もちろん、自治体ごとに補助額に差異を設けると、公平性を欠くという話になってしまいます。

 国費で支援するとしても、平均的な額を補助した上で、あとは自治体に裁量を持たせる形が望ましいと考えますが、参考人、御意見を聞かせていただけますでしょうか。

日向政府参考人 お答えします。

 いわゆる給食無償化については、三党間の合意内容も踏まえ、まずは小学校を念頭に、地方の実情を踏まえ令和八年度に実現する、その上で、中学校への拡大についても、できる限り速やかに実現する。地方自治体に対して重点支援地方交付金を活用した対応を促すとともに、学校給食法との関係、児童生徒間の公平性、支援対象者の範囲の考え方、地産地消の推進を含む給食の質の向上、国と地方の関係、効果検証といった論点について十分な検討を行う。施策の実現に当たっては、政府全体で行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保することとしております。

 今回の三党合意の中では、地方の実情等を踏まえ令和八年度に実現するとされていることから、議員御指摘の点も含め、三党を始めとする関係者の意見もよく拝聴しながら取り組んでまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 最後に、総理にお伺いしたいと思います。

 教育は国家百年の計であります。目先のことで国策を誤るようなことがあってはならないと考えております。公立高校の存在意義、私立との役割分担、地方と国の在り方、今後の社会の在り方を含め、日本の教育体系全体に関わることであり、結論ありきではなくて、我が国の教育がどうあるべきか、腰を据えた制度設計を行う必要があると考えます。総理の御見解をお聞かせください。

石破内閣総理大臣 委員のおっしゃるとおりだと思っております。

 無償化、つまり、高等教育は義務教育ではございませんが、今九九%の方が高校へ進学されるという状況を考えますと、やはり高等学校の教育というものは国民全体の負担で賄うべきものである、家の経済状況にかかわらず、望むところに、学力があれば行けるべきだというのは一つの考え方だと思っております。

 また、いろいろな御議論がございますが、私、高等学校の教育の質というものは本当に何が問われるべきなのかという議論が、これから先の三党の議論も踏まえまして、国会全体で御議論いただくべきものだと思っております。

 私、自分の経験に照らしまして、高等学校から急に勉強が難しくなったという覚えがございます。それが、単に高校を卒業したという卒業証書をもらうためではなくて、本当に高校三年間で何をどれだけ学んだのかということ、仮に大学に進学をするという希望がある場合に、高校の勉強がどれだけ大学の高いレベルの教育に役に立つものか、そういうことが私は大事なのではないかと思っております。

 ある高等学校があって、すごく建学の精神がすばらしくて、教育の内容も高いんだけれども、お金がないので行けないなという人が出てはいけないんだろうと思っております。そういう家庭をなくすということと、教育の質。

 そしてまた、今文科大臣からお答えいたしましたように、農業高校あるいは林業高校、水産高校、そういうところの、今、そこを出たから農業、林業、漁業に就業されるかというと、そこは必ずしもそうではない。そこにおいてもっとふさわしい教育ができるように、これは公教育が担う部分が非常に大きいんだろうと思っております。

 全体的に、量と同時に質を高める。国家にとって、そして世界にとって有為な人材、単にお勉強だけできればいいわけではございませんので、そういうものの質ということをあえて申し上げるとするならば、その点についての更なる御議論を賜りたいし、政府としてもよく考えてまいりたいと思っておるところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も与党の議員として、予算の成立というのは物すごく重要なことだと思っています。教育、もちろん大事ですけれども、それ以外に、様々、今回論点にならなかったことも含めて、国民生活、これをしっかりと支えていくための予算を通すということは何より大事であります。

 そんな中で、三党協議に御苦労、御尽力いただいた柴山先生始め、また維新の会、公明党の先生方も含めて、この御努力に感謝を申し上げたいと思うんです。向かっている方向は同じだと思うんですね。よりよい制度になるように、これから与党としてもしっかり議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしますと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、鈴木英敬君から関連質疑の申出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 自民党の鈴木英敬です。

 この場に立つ機会をいただきました関係者の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 まずは、岩手県大船渡市などにおける山林火災に関し、心からお見舞いを申し上げます。また、困難な消火活動に当たっていただいている関係の皆さんにも御尽力に感謝を申し上げつつ、一刻も早い鎮圧に向けて、これを心からお祈りしますし、政府としても是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 さて、石破総理には、本年一月六日、伊勢神宮に参拝いただきましてありがとうございました。首相の神宮参拝としては三十九年ぶりの雨でありましたけれども、実は、この三十九年前というのは、石破総理が初当選された年でありますし、自民党が衆参ダブル選挙で大勝した年でありますので、石破総理の御武運をこれから祈念したいと思います。

 準備していた質問に入ります前に、通告しておりませんけれども、日本時間一日未明、アメリカ・トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談をしました。異例の事態とも言われる激しい口論や、あるいは合意文書の署名がない、そういうような状況がありました。停戦への影響も不可避だと思います。

 石破総理に、両大統領の会談について、受け止めをお伺いします。

石破内閣総理大臣 テレビで見る限り、報道で見る限り、何でこんなことになったんだという思いはございます。

 トランプ大統領にはトランプ大統領なりの思いがあって、アメリカがどこまで負担をすべきなのか、アメリカの納税者たちのためにアメリカ大統領としてどうすべきなのかという考えはあったんだろうと思っております。そこにおいて、ウクライナ側から本当にそれにふさわしい思いが提供されていなかったという思いが、少なくともトランプ大統領にはあったのだろう。

 しかし、いろいろなことがあったとしても、多くの国民が命を落としていく状況にあって、いかにして平和をもたらすかということについてゼレンスキー大統領の訴えというものが十分な功を奏さなかったとすれば、これは極めて残念なことであったと思っております。

 私どもとして、どっちの側に立つとか、そういうようなつもりは全くありませんが、とにかく、G7が結束していくということが何より大事であるし、アメリカの関与なくして本当にこれは終わるのかということだと思っております。私どもとして、いかにしてアメリカの関与というものをつなぎ止めるか、そしてG7全体の結束をどう図るかということに、日本としては更に尽力をしてまいりたいと思っておるところでございます。

鈴木(英)委員 今、石破総理おっしゃっていただいたとおり、先般の日米首脳会談で構築したトランプ大統領との関係性、あるいはG7の首脳との関係性、これを生かしてしっかり結束を固める、その要に是非石破総理になっていただきたいと思います。

 さて、今日は、我が国が直面する危機、たくさんありますけれども、主に三つの危機、台湾海峡、人手不足、一極集中、この危機についてお伺いをしていきたいと思います。

 リーダーの重要な仕事かつ優先事項の高い仕事は、危機への対応であります。是非、今日、この三つは優先度を更に高めて取り組んでいただきたい、そんな思いでお聞きをしたいと思いますし、最後は、今年、昭和百年の節目でありますので、次の百年のスタートに当たってということで質問をしていきたいというふうに思っています。

 まずは、台湾海峡の危機であります。

 台湾有事は日本有事と安倍元総理がおっしゃられました。実は私、昨日、五回目となります安倍総理のお墓参りに行ってまいりました。

 私は、現在、山下貴司座長の下、党の台湾政策検討PTの事務局長を務めております。二月上旬、国会のお許しを得まして、台湾に訪問をし、外交部長、副総統、国家安全会議秘書長などと面会をしてきました。石破総理が日米首脳会談に臨まれて、その後に最初に会う日本の国会議員でありましたので、非常に日米首脳会談に対する高い評価をいただいたところであります。

 特に、これまでも共同声明に書いてあった台湾海峡の安定、それから両岸関係の平和的解決、これに加えて初めて台湾のパートに、力による一方的現状変更に反対、それから、国際機関への台湾の意味ある参加を支持するということが書いてありました。大変高い評価でありました。

 この共同声明の台湾パートのところに込めた石破総理の思いをお聞きしたいと思います。

石破内閣総理大臣 いかなることがあったとしても、力による現状変更は決してあってはならない、それはもうみんなが認めるところでありますが、じゃ、ウクライナは何であんなことになったのということを考えなければなりません。

 なぜウクライナに抑止力が利かなかったのかということをきちんと検証するとともに、私は、ウクライナの戦いが始まったときから思っているのですが、ロシアは相当周到に準備をしてきたと思っております。特に財政においてそうだったと思っております。

 そこにおいて、いかにしてこの台湾海峡において抑止力を利かせるかということについて、我が国としては、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない、それはそうだ、じゃ、どうすれば抑止力が利くのか、どうすればアメリカのこの地域におけるプレゼンス、そしてそれに対する日本の支援、これが行われるか。

 とにかく、戦いを起こさないために、理念とともに抑止力というものを着実に高めていくということも私どもとしては考えていかねばならないことであって、そういう思いも込めて日米首脳会談の共同声明にあのような盛り込み方がされたというふうに私は思っておるところでございます。

鈴木(英)委員 是非、その思いのまま、今後も具体的な対応を続けていただきたい、そのように思います。

 続きまして、岩屋外務大臣にお伺いします。

 頼清徳新政権ができて、昨年五月、十月、十二月と、中国の台湾周辺における軍事演習が行われています。このように中国の軍事活動が活発化している状況は、中国がそういう軍事活動を常態化させて、国際社会に当たり前じゃないかというふうに認知をさせる、そんな思いがあるんじゃないかとさえ思ってしまう状況で、台湾関係者も大変危惧をしていました。

 特に、十二月は、中国が非公表でありましたし、その演習内容の厳しさが高まったという評価をされていますので、大変な危機感を持っていました。

 一方で、我が国の対中外交でありますけれども、水産物あるいは米、牛肉、その輸入再開もまだ、EEZの中のブイも撤去されないまま、こういうような状況の中で、我が国が求めている宿題返しというのがまだ具体的になされていない状況であります。

 以前、一部報道で、石破総理の訪中検討というようなこともありましたが、まずはその宿題返しをしてもらうということが先だというふうに思っております。

 是非、岩屋外務大臣に、中国の台湾周辺における軍事演習に関する受け止めと今後の対中外交、毅然とした対中外交をやっていく、そういうことについての御所見をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとよりですけれども、国際社会全体の安定にとって極めて重要だと考えております。

 したがって、台湾をめぐる問題が対話によって平和的に解決されることが重要だというふうに考えておりまして、こういう立場につきましては、先般の日米首脳会談でも確認をしておりますし、私も、日中の外相会談を行った際に、中国側に明確に伝えております。引き続き、中国側に直接しっかりと伝えていくとともに、同盟国、同志国と緊密に連携していきたいと考えております。

 その上で、日中関係は、首脳会談で確認したように、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係を構築していくという考え方の下に、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくべく取り組んでいきたいと思っておりまして、御指摘の様々な懸案について、一つでもこれが解決に向かうように、しっかりと中国側と更に対話を重ねていきたいというふうに考えております。

鈴木(英)委員 是非、一つでも多く早期に解決できるようにお願いをしたいと思います。

 続いて、武藤大臣にお伺いをします。

 台湾海峡などで事態が緊迫したときに、日本へのエネルギー輸入が途絶するというような、そういう事態も十分想定して、対応を万全にしておく必要があると思っています。そういうことが起きれば、今ただでさえ、ガソリン代や電気代、エネルギーの負担で、高騰していて国民の皆さんは困っているわけでありますから、それを更に増幅する可能性があります。

 そこで、今回、第七次エネ基に、そういう万全な対応を取るということを書かれたというふうに聞いております。是非、その内容と今後の具体的対応を教えてください。

武藤国務大臣 鈴木議員にお答えをさせていただきます。

 先生おっしゃられるとおり、我が国は、石油、LNGなど海外の輸入に大きく依存しており、台湾海峡等における有事を含めて、地政学リスク等による輸入途絶も想定しながら、安定供給を確保することが極めて重要なことだというふうに承知をしているところです。

 石油につきましては、これまでも、備蓄制度を構築して備蓄水準を維持するとともに、機動的に備蓄を放出できるように訓練などを実施しているところであります。また、貯蔵が困難なLNGですけれども、有事の際、機動的に国内に届けられる余剰LNGを確保する仕組みをつくりました。また、加えて、緊急時に調達ができる国際協力体制の構築、また、事業者間のLNGの融通スキームの整備なども進めているところです。これらの取組を第七次のエネルギー基本計画に明確に位置づけました。

 その上で、有事が起こった際に迅速に対応できるよう日頃から様々な事態を想定した準備を進めながら、エネルギーの安定供給の確保に支障がないよう自給率の向上に万全を尽くしてまいりたいと思っています。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 訓練なども重要です。訓練でできないことは本番も絶対できません。是非、そういう備えもお願いをしたいと思います。

 続いて、鈴木法務大臣にお聞きします。

 鈴木大臣が先ほどの台湾PTの座長のときに、台湾の事態緊迫のときに台湾からの避難民が本邦に押し寄せる状況がある、そのときに、混乱時に乗じて工作員などが入っていると国内の治安維持上大変問題であるので、適切な入国管理が必要だということを提言されていました。

 現在、その適切な入国管理に対する検討状況を教えてください。

鈴木国務大臣 国民保護の観点からも、台湾有事を起こさせない、これは大前提でありますけれども、実際に起こってしまえば、まさに日本有事だと思います。そういった観点から、大量の避難民、これが生じる事態、これは当然に想定しておかなくてはいけないと思います。

 そういった意味でいえば、どのようにして避難民の保護を行うのか、同時に、やはりそこに敵性国の関係者が交ざることも当然考えられますから、そこをどのようにスクリーニングをしっかりするのか、こうしたことをきちんと取り組んでいくことが大変大事だと思っております。

 具体的な想定については、事柄の性質上、答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、出入国在留管理庁を所管する立場から、しっかりと検討させてまいります。

鈴木(英)委員 こういう場ですから、具体的に言うと手のうちを明かすようになりますので、具体的に言えないのはよく分かりますけれども、しっかりとした対応、関係省庁連携して取り組んでいただきたいと思います。

 では、二つ目、人手不足という危機についてです。

 この左側が、皆さんから見て左側、これは下に行くほど不足感が高いというグラフになっていまして、実は、人手不足感はバブル期並みになっています。しかしながら、バブル期と全然違うのは、当時は人口増加局面です。今は人口減少局面。だから、余計深刻さがひどいということでありますし、これは全国ベースの統計ですけれども、地方や一次産業を見れば、もっと不足感が強いかもしれないと思っています。

 それから右側でありますが、これは青い線と赤い線のギャップが人手の余裕を示すわけでありますけれども、全く余裕のない時代に突入していくということであります。

 これは、人手不足を理由に倒産した企業の件数です。御覧のとおり、過去最多、コロナ前の倍近くになっているという状況で、人手不足を理由に倒産していくという時代になっています。

 今回、いわゆる百三万円の壁などで、手取りを増やすということのほかに、やはり、この人手不足を解消という観点でも対応したことは非常によかったというふうに思っております。

 しかしながら、近年、人手不足の政府の対応は、省人化投資とか生産性向上とかやっているんですけれども、若干やはり縦割り感がありますし、ちょっと小粒のものも多く、メッセージという意味では少し弱いんじゃないかなというふうに思っています。

 私たち政治家は、先輩諸氏に申し上げるのは大変僭越でありますけれども、現場の肌感覚とか現場の風景とか、そういうものから乖離してはならないと思っています。私は、石破総理が国民から期待をされているのは、石破さんなら私たちの現場のことをよく分かってくれる、私たちの気持ちを分かってくれるはず、そういうふうな期待があるんだと思います。

 そこで、全国津々浦々、現場の状況をよく見てこられた石破総理に、人手不足の危機ということに対する現状認識、今後の対策についてお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 これが特効薬だというものがあると私は思っておりません。鈴木委員が御指摘のように、やはり、生産性の向上というのをどこまでやってきただろうか、農業にしても漁業にしても林業にしてもそうなのですが。

 それが、例えば、米作りなんというのは労働時間が十分の一になった。では、その部分が生産性の向上に充てられてきたかというと、いやいや、そこで浮いた労働時間を公共事業に従事をする、誘致企業に従事するということで、農業の生産性向上に向けられてこなかった。それは漁業でも林業でも一緒だと思っています。いかにして生産性の向上というものに取り組んでいただき、政府としてどこまで支援ができるか、そして省人化というものにどこまで行けるかということは、やはりやっていかねばならぬことだと思っております。

 その点、鈴木委員が知事御在任中に三重でいろいろな実績を上げてこられました。例えばジビエにしても、みえジビエというのはブランドになって、全国であちこち普及するようになってきている。その地域にしかないものをいかにして付加価値を上げ、いかにして省力化をしていくかということについて、地方自治を一番御存じの鈴木委員のお知恵をかりながら、これからすぐやっていかねばならぬと思っております。

 余り時間が残っておりませんので、生産性向上、省力化、そしてまた、大勢の人が、二地域居住でもいいのでありますが、その地域に必ずしも定住しなくてもいいという考え方もあろうかと思っております。

 時間が少ないということをよく念頭に、委員のお知恵をかりながら、地域の存続、発展というものに尽力いたしてまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 是非、石破総理が今おっしゃっていただいたとおり、政府の本気度を示していく。石破総理のリーダーシップで、是非、人手不足のそういうパッケージみたいなのをつくっていっていただければと思います。

 続いて、武藤大臣に御質問します。

 やはり、ロボット導入というのは不可避だと思います。日本はロボット大国でありましたが、それは産業用ロボットであって、人との対応をするサービスロボットというのはアメリカや中国の後塵を拝しています。

 しかしながら、それをやるためのAI開発とかはまだ世界で進んでいない状況です。是非、そのAIロボティクスの分野で我が国が牽引して、ロボット大国日本の復活をしていくべきと考えますが、その戦略についてお伺いします。

武藤国務大臣 人手不足につきましては、鈴木委員も私も東海地区、物づくりの地域としては、どこへ行っても同じ話題で、大変な関心事であることは我々も承知しているところです。

 今先生がおっしゃられたように、人手不足が深刻化する中で、ロボットというものが解決の切り札になるんだろう。地域の中小製造業や介護、物流などの分野へのロボット導入は、国内の人手不足には解消に必要なものであります。

 こうした分野では、誰もが使いやすいもの、そして多様な現場で活躍できるロボットも求められており、そういう意味でいうと、自ら考えて作業するといった、まさにAIの発展に伴った、こういう融合したロボットがまさに鍵となってきているのが昨今だと思っています。

 経済産業省では、AIを含む最先端のソフトウェア、これをロボットに組み込むことができるオープンな環境を構築していくこと、そして、ロボットが高度な判断、動作ができるように、データの蓄積、活用、循環の仕組みや、データを用いたAI基盤モデルの開発を推進しておりまして、必要な予算を六年の補正予算に、三百二十三億円ですけれども、計上させていただいたところです。

 これまで、我が国のロボット産業は、先生おっしゃられるとおり、世界の製造現場の生産性向上を牽引してきた、ちょっと後れを取り出したというところだと思います。ここはまさに問題点もよく追求しながら、人手不足という難局も克服できるロボットを作り出しながら、人手不足の解消と世界をリードするロボット産業の競争力強化を同時に実現させていきたいと思っています。

鈴木(英)委員 二〇一五年以来改定されていないロボット新戦略の改定も視野に、是非頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、外国人人材との共生についてでありますが、外国人材との共生社会の実現、人権を守る、その大前提の下で鈴木法務大臣にお伺いしますが、先日、党の合同会合で自見はなこ参議院議員からも指摘がありました、技能実習生の税、保険料の未納が中核市などの自治体で多くあるということであります。

 今、特定技能と育成就労の基本方針を議論していただいておりますが、実は、その基本方針の中には、そういう未納の状況の改善などについてまだ触れられておりません。今国会も、税の負担軽減や社会保険料の負担軽減の議論がたくさんありました。外国人と日本人との共生という観点でも、やはり不公平感をなくすということが大事だと思います。

 是非、この基本方針、特定技能や育成就労の基本方針に、そういう税、社会保険料の未納対策、実態把握の手法も含めて、自治体と連携してやっていくということを盛り込んでほしいと思いますし、その際は、受入れ機関たる中小企業の負担にも十分配慮した上でやっていただきたいと思いますが、御意見を伺います。

鈴木国務大臣 今御指摘の外国人材の公租公課の点でありますけれども、外国人材、そして受入れ機関の双方に適切に公租公課に係る義務を果たしていただく、これは極めて大事であります。

 現状においても在留審査等の際に確認はしていますけれども、これが十分じゃないという御指摘もあることは受け止めておりまして、今後、基本方針の策定に当たって、さきに述べられました課題に対応すべく、公租公課の未納を防ぐため、外国人材及び受入れ機関の双方に公租公課を適切に支払う責務があることを明記をいたします。それとともに、関係行政機関と連携の上、必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと思っております。

鈴木(英)委員 大変具体的なお話をいただきました。是非よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、一極集中の危機。

 総理に、一極集中是正、あるいは分散型国づくり、そして、党から提案をしている社会機能移転分散型国づくり本部、それの設置などについて考え方をお伺いしたいと思いますが、これを見ていただいたら分かりますとおり、赤いやつが東京圏への転入超過が再加速しているということと、緑と黄色を見ていただくと、特に二十代、これは仕事の関連だと思いますが、二十代での東京圏への転出が増えています。

 一極集中是正への思いなどについて、総理にお聞きしたいと思います。

石破内閣総理大臣 東京にお住まいの地方出身の方々で、四十代、三十代の方々、主に四十代ですが、じゃ、一生東京に住まいたいかというと、そうではない。過半の方が、やはり地方に帰りたいという思いは持っておられると私は認識をいたしております。これは、十年前の地方創生担当大臣をしておったときからそうなのです。

 いかにして、その四十代の方々あるいは三十代の方々が、一度は東京へ出たい、それは私は否めないことなんだろうと思っています。そういう方々が地方に帰って、東京で身につけたスキルを地方で生かすかということは極めて大事なことだと思っておりますが、そこにおいて、仕事はあるの、あるいは、教育は十分なの、医療はどうなるの、福祉はどうなるの、せっかく東京に建てたおうちはどうするの、そして、行きたきゃあなた一人で行きなさいと奥様に言われて挫折しちゃう人もいっぱいいるわけで、そういうような問題をどのようにして解決をしていくかということが大事なことなんだろうと私は思っております。

 東京一極集中是正というのは、何も東京の富を地方にということではなくて、東京に更なるゆとりあるいは安全をもたらすということ、地方にもにぎわいを取り戻すということ。東京対地方の二極構造で議論をしている限り、これは駄目なんだろうと思っております。いかにしてそれが東京にもメリットがあることなのかということもきちんと訴えていきながら、一極集中是正というものを実現してまいりたいと思っておるところでございます。

安住委員長 鈴木君、間もなく時間が来ますので、まとめてください。

鈴木(英)委員 ありがとうございました。

 本当はこの後、次の百年に向けてということをお聞きしたかったんですが、済みません、平大臣と武藤大臣、ちょっと私の時間配分が悪くて申し訳ありません。

 是非、デジタル庁二・〇というのをやっていただきたい。行政DXから社会全体のDX、これに向けて、これはもう平大臣しかできないと思うんですね。平大臣のリーダーシップで、デジタル庁二・〇、社会全体のDX、是非お願いをしたいと思います。

 そして、武藤大臣には、この次の百年、エネルギー輸出国への転換、そのために、国産再エネ、そして次世代エネルギーの普及拡大、これについて、是非、加速のための取組をお願いしたいと思います。

 私からの質問を終わります。以上です。ありがとうございました。

安住委員長 この際、田所嘉徳君から関連質疑の申出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田所嘉徳君。

田所委員 自民党の田所嘉徳でございます。

 発言の機会をいただきましたことに感謝を申し上げまして、質問に入ります。

 まず、高額療養費制度についてであります。

 石破総理は、先日、令和七年度は患者負担上限額の引上げを行うが、令和八年度以降の制度設計については、今後広く関係者の意見を聞いて、今年秋までに再検討するということを表明いたしました。今後のより現実的な対応を約束したことは評価されるというふうに思っております。

 これに対する野党案では、この制度を持続的なものにする方策というものは示されずに、利用者負担上限額引上げを凍結すべきと主張しております。中止とは言っていないので、ある程度認めているのかなとも思ったりもするわけでありますけれども。

 しかし、この凍結案と、政府の、今年は引上げを行うということとを比較すれば、やはり批判されないとは限らないわけでありますので、そこで、その実施の理由について、これは十分に国民に理解されるようにしなければならないというふうに思っております。本制度における所得区分の細分化や多数回該当の意味、社会保険料の財源効果等について、詳しい説明が必要だと思います。優れた高額療養費制度の持続性を確保するために、どのように考えた結果がこの表明なのか、福岡大臣に表明してもらいたいと思います。

福岡国務大臣 少しお時間いただいて、丁寧に御説明させていただきます。

 高額療養費につきましては、前回実質的な見直しを行った約十年前と比較いたしますと、高額な薬剤の登場によりまして、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びているほか、実効給付率につきましても、八四・八四%から八五・四六%に、〇・六二%増加してございます。

 他方で、世の中の物価、賃金は、特に足下で上昇してございまして、十年前と比較いたしますと、平均的な収入の方の給与収入は一〇%程度増加し、物価も継続的に上昇するなど、経済環境も大きく変化しております。

 こうした中、高額療養費というすばらしい制度を我々の子や孫の世代まで守っていくためには、社会保険料をお支払いいただいている方々の御理解もいただきつつ、世の中の平均的な物価、賃金の上昇に見合う分の費用増加を皆が負担能力に応じて支え合う仕組みとすることが重要だと考えています。

 そのため、今回、二つの観点から見直しを行うこととしています。

 一つ目は、物価、賃金動向に合わせた見直しでございます。

 前回の見直しから十年が経過する中で、その間の物価、賃金動向を踏まえた負担額の見直しを行わせていただきます。その際、平均的な所得を下回る方につきましては、負担額の引上げ率を抑制することで経済的負担に配慮をしてございます。

 二つ目は、負担能力に応じた負担、いわゆる応能負担という観点からの見直しでございます。

 現行制度では、年収三百七十万円の方と年収七百七十万円の方とが負担額が同じであるなど、所得区分が大くくりとなっています。そのため、年収七百七十万円を若干下回る方が年収七百七十万円を超えると、負担額が八万円から十七万円と、二倍以上になるというような状況でございます。よりきめ細かな制度とするため、所得区分の細分化とそれに伴う負担額の見直しを行うものです。

 これによりまして、最終的に、被用者保険に加入する方の場合、一人当たり三千円から四千二百円程度の保険料軽減効果が見込まれます。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

福岡国務大臣 他方、今回の見直しにつきましては、国会でも、また患者団体の皆様方からも様々な御意見をいただいてまいりました。長期にわたり療養される方の負担に最大限配慮し、高額療養費に年四回以上該当する方の負担額を据え置くこととしたところでございますが、患者団体の皆様、また国会でも引き続き御指摘をいただいている中で、先週の金曜日に総理から改めて御答弁があったところでございます。

 具体的には、新たに病気になる方についても、令和八年度以降の所得区分の細分化に伴う負担額の引上げに伴い多数回該当から外れることがないよう、新たに多数回該当の判定基準を設けること。制度見直しのうち、経済、物価動向に対応する定率改定、高齢者の方の外来特例の見直しは予定どおり実施させていただいた上で、一旦立ち止まり、新たに設ける多数回該当の判定基準を含め、所得区分の細分化については、本年秋までに、政府として、患者団体を含む関係者の御意見を十分承った上で、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、改めて方針を検討し、決定することとさせていただいたものでございます。

 高額療養費が皆様にとってセーフティーネットとして機能し続けますとともに、支え手である被保険者の保険料負担の増加にも配慮した持続可能な制度となるように努めてまいりたいと考えています。

田所委員 この制度を、患者に寄り添った、そして持続可能なものにしっかりと推進してもらいたいというふうに思います。

 続いて、人口減少対策についてお伺いをいたします。

 先日、人口動態統計調査の速報値が発表されまして、二〇二四年度出生者数が七十二万人、そして九年連続最少を更新ということであります。これは外国人も入っておりますので、日本人だけだとこれは六十万人台になってしまうのではないかと言われておりまして、大変な状況であります。静かな有事どころか、音を立てて崩壊しているような、そんな感じを受けるわけであります。

 戦後のピークのときには、二百七十万人生まれておりました。その四分の一というすさまじいことでありまして、私は、二百七十万人子供が誕生した時代、すばらしいと思うんです。それは、子供は本当にかわいくて、子供と親、おじいちゃん、おばあちゃんもいるでしょう、そういった愛情があふれていたんだろうというふうに思っております。

 子育ては親育てでありまして、子供を育てる責任感、やんちゃな夫婦がしっかりと自覚を持つようになって、仕事にも、社会を支える人材として大きな力を発揮してきた、それが日本の力だったというふうに思います。これで力が減退してしまったんですから。

 ただ、少子化対策はこれまで累次にわたって行われてきました。一九九〇年の一・五七ショックから、エンゼルプラン、そして異次元の少子化対策と進めてきたわけでありますけれども、この状態である。

 なぜ人口増加がここまでできないで減少に転じて進んでしまったのか、これをどのように考えているのかということをまず当局から聞いておきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃるとおり、少子化は我が国が直面する大変重要な課題だというふうに考えております。

 政府としては、これまでも少子化対策に取り組んでまいりました。その結果、例えば、保育所の待機児童数が減少するといった成果を上げることはできましたけれども、全体としては、残念ながら、急速な少子化には歯止めがかかっておりません。

 少子化の主な原因といたしましては、夫婦の子供の数の減少等がございますけれども、これにつきましては、今般の加速プランで、誰でも通園制度など、長年指摘されながら実現することのできなかった施策を数多く盛り込んでいるところでございます。また、婚姻数の減少につきましては、賃上げを進めるとともに、地域の出会いの機会の提供などを、取組を支援しているところでございます。

 以上でございます。

田所委員 これまで様々な政策を行ってきたわけであります。児童手当や、あるいは出産一時金、奨学金、様々行ってきましたけれども、なかなか結果が出なかった。私は、今までの政策が無駄だったとは言いませんけれども、やはり他事考慮にすぎなかったのではないかなとも思っているわけであります。

 戦後の昭和二十二年当時は、保育所は完備されておりませんし、児童手当もない、社会保障も整っていない、そして労働環境も非常に厳しかった。私は農家に生まれましたが、朝に朝星、夜に夜星という、朝から晩まで働いて、梅干しというのを作るんですね。貧しいから、昼間は梅干しの入ったおにぎりを食べて仕事をしたという状況であります。しかし、合計特殊出生率は四・五、子供は二百五十万人生まれたわけであります。その背景には、やはり子がいる、孫がいる、そういった信頼が私は非常に厚かったのではないかなというふうに思っております。

 私は、希薄な家族、核家族、そして家族観、そして個人主義の偏重というものにやはり問題があったというふうに思っております。価値観の押しつけというものはならない、これを余りにも心配するばかりで、結婚へのマインドの醸成に力を入れなかったことに大きな問題がある。誰しも初めての人生であって、どんな生き方がいいか分からない。そういう中で、押しつけるのではなくて、こんなライフスタイルがあるよというようなことを例示する、あるいは自主的に選択してもらう、そういったリードが必要だったのではないかなというふうに思っております。

 少子化の克服が政治の責任と言われるのであるから、婚姻に関する自発的な意識の醸成も政治の領域として取り組むべきものであると思いますけれども、どう総理は考えるか、お聞きしたいと思います。

石破内閣総理大臣 これはずっと考え続けて、まだ答えがありませんが、人口の減少率と、何が正の相関にあるかというと、間違いなく婚姻率でございます。いい悪いとか言うつもりはありませんが、日本の場合に、婚姻があって出生があるということになっておりますので、婚姻率が低いところほど人口は減るということが起こっております。これはもう間違いなく正の相関でございます。

 いかにして婚姻率を上げるかということは、個人の価値観に国が介入すべきではございません、そのことはよく承知はしておりますが、出会いの機会が恐ろしく減ったということは間違いないと思っております。つまり、見合い結婚というのはほとんど絶滅しました。そして、社内結婚というのも数字として物すごく下がっている。そういうことを言おうものならば、パワハラ、セクハラというふうに御指摘を受けますので。そうすると、価値観に国が介入すべきでは決してありませんが、いかにして出会いの機会というものをつくっていくかということは、やはり行政として努めていかねばならないことだと思っております。

 そして、非正規の方々の婚姻率というものは、正規労働者に比べて明らかに低いということがございます。いかにして、非正規労働者というものを、望まない非正規というものを減らしていくか、収入を増やしていくかということにもっと注力をしていかねばならぬと思っております。そういう点で、将来に対する不安というものをいかに取り除くかということ、これも併せて考えていかねばなりません。

 ですから、例えば委員の茨城というところが、もういろいろな指標は日本一なわけですね。可処分所得も日本一、そして、中央世帯の可処分所得も日本一ということがございます。私はおべんちゃらを言うわけでも何でもありませんが、茨城というようなすばらしいところが、婚姻率が上がる、出生率が上がる、なぜか知りませんけれども、県の魅力度四十七位というのは私はなかなか理解がし難いところでございまして、そこはまだまだ幾らでも余地があるんだろうと思っております。

 それぞれの地域の可能性というものを併せて最大限に引き出していきながら、この状況を何としても変えてまいりたいと思っております。

田所委員 少子化対策といいましても、総理もよく少母化というようなことも言っておりますが、これはなかなか反転攻勢に出るというのは事実上は難しいという中で、私は、多角的な政策を進めることが人口減少対策として大変重要だろうというふうに思っております。それは、一人一人がより大きな力を発揮できるような教育、さらにはリスキリング、そしてAIとか、これは仕事が取られると言われたんですが、取られた方がいいくらいでありまして、ロボティクス、さらには情報通信、人が動かなくても仕事ができる、さらには、定住人口が増えない中にあっても交流、関係人口をしっかりと増やしていく、あるいはインバウンド、そして、外国人が活力を出してくれるようなそういう共生社会というもの、多角的に行っていくのが少子化対策に変わっていくものだというふうに思っております。

 総理の考えをお聞きしたいと思います。

石破内閣総理大臣 それはもう、まさしく御指摘のとおりだと思っております。

 どのようにしてそれを改善していくかということは、地域地域によってかなり実情が異なっておりますので、その地域の実情に合った対策、政府として価値観を押しつけるつもりもございませんが、地方創生というのはそういうことであって、地域においてこれが最も効果的だと思われるものに対して、なるべく自由に使えるような、そういうような支援を更に高めてまいりたいと考えております。

田所委員 それでは、一つ飛ばしまして、平大臣、見えてますので、お聞きしたいと思います。

 大阪・関西万博が始まります。私はわくわくしているわけでありますが、批判する人もいる。ここで、エレベーターとか、無線電話とか、あるいはリニアモーターカーとか新たな力が出てきた、そういうものが発表されてきたわけであります。

 そういう中にあって、私は、デジタルの進め方、発信度が、深さがまちまちだというふうに思っております。コンビニに行ってスマホで住民票を取れるとか、証明書をPDFにして添付するなんというのは、これはデジタル化でも何でもないと思っておりますので、平大臣のすばらしい手腕で一気に進めてもらいたいというふうに思っております。

 そういう中で、マイナポータル、確実に名宛て人に対して情報が届き、管理できるということが、私は初歩的で一番重要だと。ファクスを笑っていますけれども、ファクス以前の、紙をまだ送ったりもらったりしているわけでありまして、しっかりとこれを転換していくということが重要だろうというふうに思っております。

 そういう中で、私は、マイナポータル、大変すばらしいものがあったというふうに思っているんです。最近何か工夫されて、通知がログインしなくても来るというようなこともされています。積極的に使って、名宛て人宛てにいろいろな情報を出すということを進めてもらいたい。

 さらには、資格者のしっかりと指導を得て補助金等ができるJグランツ、この申請の仕方がありますが、これまで入れなかったんですね、しかし、GビズIDで入って代理ができるようになった。あるいは、e―Gov、これによって行政手続が、やはり代理人も入ってしっかりと推進できるようになる。大きく進んでいくんですが、まだまだ理解が進んでいない。

 全部一緒になりましたが、これを画期的に進めていくのが大変重要だろうと思っておりますので、平大臣にお聞きしたいと思います。

平国務大臣 ありがとうございます。

 質問通告三問、まとめていただきました。

 デジタルガバメントで、あと、ガバメントクラウドというのも昨年法律を通させていただきました。これによって、いよいよワン・トゥー・ワンで、困っている人に困っているタイミングで必要な手を差し伸べることのできるデジタル的な行政が可能になる基盤ができたと思います。そこに今度は生成AIが入ってきますので、力を入れてAIの導入を図っていきたいと思っております。

 また、マイナポータル、御指摘いただきましたが、やはりUI、UXの改善が非常に重要で、今はアンドロイドでも使えますが、今年の中頃には今度はアップルにもマイナンバーカード自体が搭載をされますので、UI、UX、劇的に改善をされると思いますので、御活用いただければその便利さを分かっていただけると思いますし、e―Gov、Jグランツも、代理、士業の方々のサポートも得るような仕組みも導入をしておりますので、是非皆さんには御活用いただきたい、そのように思っております。

田所委員 ありがとうございました。

 端的にしっかりと答えていただきまして、感謝を申し上げます。

 私は、元祖アキバ系だと思っておりまして、フリルのついたメイドさんじゃなくて、電子パーツを売っていまして、アマチュア無線なんかもやっておりました。鉄腕アトムが好きで、じっと見て、様々な問題を科学技術で解決していく、まさに私はそういうことが今問われているというふうに思うんです。様々な問題、まさにアトムの世界、それは、世界が悲惨な戦争に暮れている、さらには、地球温暖化、頻発する災害、パンデミック、そして急激な人口減少、通信はサイバー攻撃を受けているということでありまして、科学の力でこれらを解決していかなければなりません。

 人口減少には、AIとかロボットと言いました。さらには、強毒性のエボラ出血熱のようなパンデミックが発生すれば、これは人間の英知とワクチンの開発の競争になるんだろうというふうに思っておりますし、防災DXで安全な社会をつくっていかなくてはならないというふうに思っております。

 そういう中にあって、私は、気象のこと、これがまさに、お金をかけても、多くの人が救われる、そういう社会をつくるために大きな意味があるというふうに思っております。そういうことで、今、次期「ひまわり」を上げて、線状降水帯も、早く、もっと狭いエリアに発信できる、そして確実な避難ができる、そういうことが進められるわけであります。

 そういうことにつきまして、どのような計画に基づいて今気象庁では衛星について取り組んでいるのか、お聞きしたいと思います。

安住委員長 野村気象庁長官、時間が参っていますので、簡潔に答弁をお願いします。

野村(竜)政府参考人 お答え申し上げます。

 線状降水帯や台風等の予測精度を向上させるセンサーを搭載した次期静止気象衛星について、令和十年度の打ち上げ及び令和十一年度からの運用開始ができるよう、着実な整備と必要な予算の確保に努めてまいります。

田所委員 全ての力を結集して、安全、安心な、防災庁もできるようでございます、国づくりを進めてもらいたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて山田君、鈴木君、田所君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 冒頭、ちょっとこれは通告しておりませんが、総理に伺いたいと思います。

 岩手県の大船渡市で平成以来最大の山林火災が発生している状況でございますけれども、これまでも都道府県をまたいで、緊急消防援助隊が駆けつけるなど、懸命な消火活動にいそしんでいただいていることには敬意を表したいと思いますし、お亡くなりになった方には御冥福をお祈りしたいと思います。

 これまでの対応と今後の鎮圧に向けた見通し、あるいは、避難者支援、復旧に向けた国としての対応、これについての総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 政府におきましては、緊急消防援助隊の投入、自衛隊の災害派遣、これらを迅速に行っております。危機管理センターに官邸対策室を設置をいたしました。被災情報の収集、集約、災害応急対策の調整にも当たっておるところでございます。関係機関が連携いたしまして、住民の皆様方の安全保護に努めておるところでございますし、二月二十六日、火災を認知をした日でございますが、直ちに災害救助法の適用決定をいたしております。

 二月二十八日には関係閣僚会議を開催をいたしました。消防、自衛隊が一体となった消火活動、良好な避難生活環境の確保、お住まいが被害に遭われた方々に対する生活再建支援、そして支援内容に関する分かりやすい広報ということを行っておるところでございます。

 とにかく前例のない規模で起こっておることでございます。そうしますと、消防と自衛隊のあらゆる能力を投入をして、これはもうある程度燃え広がるのはやむを得ないところはございますが、人家に対する影響というものはないように、これは万全を期してまいります。

 同時に、この酷寒の季節でございますから、避難所の皆様方に政府はちゃんと分かってくれているねというふうな思いを持っていただくために、プライバシー、そして衛生、食事、高齢者の方々あるいは病弱な方に対する配慮、そういうものについて、これ以上ないという体制を実現するべく、今鋭意努力をいたしておるところでございますので、お気づきの点はまた何でも御指摘賜りますようお願い申し上げます。

後藤(祐)委員 火災で都道府県を越えた対応というのはこれまでそれほどなかったことだと思いますので、今後のモデルケースにもなると思いますから、是非これは政府も主導して頑張っていただきたいと思いますが、長引いていますので、避難者のケアの話については今お話ありましたが、それに加えまして、被害を受けた方の今後の生活支援ですとか災害廃棄物の処理、あるいは水産業ですとか林野の復旧、こういったものも今後必要になってくると思いますので、是非万全の対応をお願いしたいと思います。

 それでは、予算の修正について議論に入りたいと思いますが、今回、本予算の国会における修正というのは、一九九六年以来、二十九年ぶりというものになります。

 ここまで、我々も修正案を提出して与野党で協議をしてまいりましたが、ちょっとおさらいをしたいと思うんです。

 予算案の修正というのは、政府に対して、これはそもそも話にならないから出し直してくれというやり方と、そうではなくて、出てきたものを国会で国会議員が修正する国会修正という二種類がありますが、今回は、自公維で今検討しているものも、自公が出したものも、あるいは我々立憲民主党が出しているものも、国会による修正です。

 この国会による修正については、実は、半世紀前から深遠なる議論があって、要は、余り大幅な修正は駄目だという政府の解釈があります。つまり、内閣には予算提出権というのが憲法上あって、国会には修正権というのがあるんですが、どこまでだったらそこが修正できるんですかということに関して、こういうことらしいんですね。

 これは、実は、自民党、公明党が提出している予算の修正案なんですが、元々の原案なので字が小さくて見にくいんですが、下のところの内閣府に、これはどこかの埋蔵金みたいなやつを納付させる修正なので、雑納付金という項目、元々あった項目、項ですね、雑納付金という項の額が増える、これは問題ないんです。ですが、その上のところ、国土交通省の、これは住宅金融支援機構の埋蔵金なんですかね、百四十九億を納付させるという自公の修正案ですが、国土交通省の予算案には雑納付金というのは、政府原案は元々入っていません。それに対して、今回の修正で項を新しく新設しているわけです。

 こういったものは我々は大いにやるべきだと思うんです。与野党で協議して、新しい項目が増えることもあるでしょう。ですが、半世紀前の議論から、こういうのはやっちゃ駄目だというのが政府の見解なんですね。これは、今回でもって、こういった項を新設して新しい予算の項目をつくるということは、できるようになったというのが与党の御見解でしょうか。自民党の提出者に伺います。

松本(洋)委員 お答えを申し上げます。

 国会の予算修正につきましては、従前より、政府から、内閣の予算提案権を損なわない範囲において可能と考えられる、今、後藤委員からお話があったとおりであります、の旨を答弁していると承知をしております。

 ただ、項を新設したからといって、一概に内閣の予算提案権を損なうものではなく、個別のケースごとに判断されると考えております。

 その上で、今般の予算修正案においては、歳入予算において、国土交通省所管の独立行政法人からの納付金を歳入計上するため、国土交通省主管の雑納付金の項が新たに追加をされておりますが、歳出予算が内閣の支出権限を付与するものではなく、収入の見積りを行うものであるといった点を踏まえますと、今回の歳入予算に係る項の新設は内閣の予算提案権との関係で許容されるものと考えております。

 いずれにせよ、国会における予算修正と政府の予算提案権との関係については、今回の予算審議における御議論も踏まえまして、今後とも議論がなされるものと考えております。

後藤(祐)委員 これは、今までの憲法解釈が変わった瞬間なんです。項の新設は認めていなかったんですよ。

 これは政府側にもちょっと確認する必要があります。財務大臣、項の新設は国会における予算修正でオーケーということでいいですね。

加藤国務大臣 今、松本提案者からお話がございました、昭和五十二年に、かんかんがくがく議論があって、当初は項の新設そのものがどうなのかという議論もありましたが、最終的に、当時の議論として、先ほどお話がありましたけれども、一概に内閣の予算提案権を損なうものではなく、個別のケースごとに判断されるものという法制局長官の判断が示されているものでございます。

 その上にのっとって、今回、ケース・バイ・ケースということになるわけでありますが、政府としては、先ほど、歳入予算における性格として、政府に徴収権限を付与するものではなく、収入の見積りを行うものである、一方で、歳出予算は内閣に支出権限を付与するものである、その本質が違う、そこに異なることがあるという点を踏まえると、今回の歳入予算に係る項の新設は、内閣として、予算提案権との関係で異論を挟むものではないものと考えております。

後藤(祐)委員 今のは、よく聞くと、歳入の方は項を新設してもいいけれども、歳出の方は項を新設しては駄目みたいな答弁に聞こえるんです。例えば、百三十万の壁、崖を直すために新しい交付金をつくろうとか、こういうのは項の新設が必要になったりするわけですよ、場合によっては。

 これは、歳出についても項の新設ができるということでいいですか。歳出と歳入を分けてなんということは、五十年前も含めて、今までそんな答弁はないはずなんです。金曜日に我々が自公の修正案を見て、あれ、これはありなんだということで、ありなんですねと聞いたら、五時間、財務省からも与党からも返事が返ってこなかったんですよ。金曜日になって、この週末ひねくり出した議論なんじゃないですか。歳入はいいけれども歳出は駄目というなら。歳出もありということでいいですか。

加藤国務大臣 いや、今申し上げたのは、歳入予算と歳出予算の性格がそもそも違うということを申し上げたわけであります。そうしたところも勘案して、先ほど、ケース・バイ・ケースで議論しましょうと。そして、今回については挟むものではないということであります。

 従前からの、昭和五十二年のときの議論も、別に歳入予算、歳出予算と限って項の新設を議論したわけではなくて、一般としての項の新設について議論があり、それについてはケース・バイ・ケースだということでありますから、今後とも、我々として、当時の考え方、基本的な考え方にのっとって判断していく必要があるというふうに思っています。

後藤(祐)委員 歳入歳出両方とも項の新設が国会修正で可能であるということを明確にした政府統一見解をこの委員会に提出していただくよう求めます。

 委員長、理事会で御協議願います。

安住委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 続きまして、修正案について具体的な議論をしてまいりたいと思いますが、まず、ガソリン、軽油の暫定税率についてでございます。

 その前にちょっと全体像のお話をしたいと思いますが、これは立憲民主党の予算修正案の財源確保の部分ですけれども、無駄な基金二・七兆円をやめて、予備費ですとか創生交付金ですとか、こういったもので合計三・八兆円財源をつくって、これでもって、増やす方は、ガソリン、軽油価格の引下げ、これは一・五兆円かかります、学校給食の無償化ですとか、高校の無償化、これは私立も含めてですね、ですとか、あるいは、今一番現場では困っている介護、障害者、保育、幼稚園で働く方の処遇改善、あるいは、百三十万円の崖、中小企業で正社員をもっと雇えるようにするには支援が必要じゃないかとか、あと、今一番問題になっている高額療養費、この辺りを含めて三・八兆円の増額が必要、ちゃんとプラス・マイナス・ゼロという修正案を出させていただいております。

 まず、この中でガソリン、軽油の暫定税率について、これは自民党、公明党、立憲民主党の順で提出者に伺いたいと思いますが、ガソリン一リットル二十五・一円、軽油一リットル十七・一円引き下げるという暫定税率の廃止、これは、我々は、国税法案の修正案、地方税法、軽油は地方税なので地方税法の修正案で、それぞれ税法の改正案を提出するとともに、これによって七年度予算は変わりますから、予算の修正案でも提出しております。一方で、去年の十二月十一日の自民党、公明党、国民民主党の三幹事長の合意書では、いわゆるガソリンの暫定税率を廃止すると明確に示されているわけですから、当然これは与党も賛同いただけると思いますが、このガソリン、軽油の暫定税率廃止、御賛同いただけるということでよろしいですか。自民党、公明党、お願いします。

後藤(茂)委員 いわゆる暫定税率の廃止についてでございますけれども、今委員御指摘のように、国で一兆円、地方でも五千億円の減収になります。道路等のインフラの整備、維持管理等含めて緊要な歳出がある中で、国、地方における安定的な財源の確保が本当にしっかりと可能であるのかどうか。それから、税率引下げによりまして、急激に行われますとマーケットに大変大きな影響が出るわけで、流通や販売への影響がどうであるのか。それから、その場合には、ガソリンスタンド等、手持品に対する調整とか、そういうこともございます。

 それから、現在の税収を前提に今議会で予算が組まれておりまして、議会審議も行っている、そういう状況でございますので、御党の修正案は、私の理解によれば令和七年四月一日から実施するということになっておりまして、そういうことになりますと、予算編成を行っている自治体への、要するに予算のつくり替え等、大変大きな影響が出るということで、慎重な検討が必要であるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、三党合意等の幹事長合意はございますので、我々、丁寧にしっかりと、問題を解決していくという視点でしっかりと今後とも議論させていただきたいというふうに思っております。

山崎(正)委員 後藤委員の御質問にお答えいたします。

 基本的には先ほど自民党さんの方からお話がございましたとおりで、私ども公明党としましても、この三党合意に向けまして、廃止に向けては引き続きこの合意文書に向かって、しっかりと廃止の方向に向かって取り組んでいかなければならないと思います。

 その上で、先ほどもありましたけれども、御党の修正案について言えば、現在の税収を前提として既に予算編成を行っている自治体への影響等が大きく、慎重な検討がなされる必要があるというふうに考えております。

 その上で、暫定税率の廃止については、諸課題の解決に向けて、多くの関係者と丁寧な調整を図っていくことが必要であると考えておりまして、しっかりそれに向かっては丁寧な議論の下で進めていくべきであるというふうに考えております。

重徳委員 立憲民主党からお答えさせていただきます。

 まず、国民民主党さんが昨年十二月、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止すると与党との間で合意を取り付けたということでございます。心から敬意を表したいと思います。ただ、あとは時期なんですね。

 立憲民主党が今提出をし各委員会で審議されているガソリン税それから軽油引取税の暫定税率を廃止する国税、地方税の修正法案は、今年、すなわち令和七年四月から廃止と明記をいたしております。そして、予算の修正案、これも提出しておりますが、その中で、財源も、先ほど後藤委員からお話があったように、しっかりと確保をさせていただいております。恒久財源についても、これから、税法の修正案を今提案しておりますので、その中で、今後税源を恒久的に確保できるように、別途確保できるようにといった内容の法案も提出をいたしております。地方の減収にも配慮をしておりまして、国の責任において地方の減収しかねない部分については補填する、こういった内容のパッケージとさせていただいております。

 この法案を衆議院で可決するには、国民民主党さんだけではなく、日本維新の会始め各党の御協力が必要となってまいります。

 そもそも、暫定の税率ですから、廃止が前提のはずの税率なんですよね。だけれども、時期だけ決まっていないから、だから五十年間も暫定という状況が続いているわけでございます。今、ガソリン高騰で国民生活が圧迫されています。ガソリン暫定税率を廃止するなら今でしょうということを考えております。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

重徳委員 各党の皆様、御協力をお願い申し上げます。

後藤(祐)委員 今の各党の見解の差、明らかになったと思いますが、総理、三党合意があるわけじゃないですか。更に言うと、今日は維新は提出者ではないからいませんが、予算も税の法律も、維新が賛成しないと通りませんよ。維新はまだ税法について賛成するか反対するかは決まっていないと伺っておりますが、きちんと約束を果たすべきじゃないですか。

 ガソリンと軽油の暫定税率はこの七年度から廃止するということを総理として御決断ください。

石破内閣総理大臣 廃止することは決まっておるんです。今も重徳提出者からお話がございましたが、それでは、代替の財源は何に求めるのか、そしてまた地方の減収分をどのようにして手当てをするのかということについて、結論が出ないままに、いつ廃止をするということは私どもとして申し上げることはできません。

 もちろん、廃止はします。しかしながら、インフラ整備の必要性というものは、高まることはあったとしても低くなっているとは思っておりません。それをどのような財源をもってして賄うべきなのかという答えを見出して、暫定税率廃止に向けて更に議論が行われるものと承知をいたしております。

後藤(祐)委員 今総理のおっしゃったインフラ整備というのは、道路特定財源の話ですかね。確かに、田中角栄総理が最初につくったときは、日本中に道路を造るために、道路特定財源で、この暫定税率二十五円を充てようと。でも、これは、福田政権のときに、二〇〇八年に、もう道路特定財源ではないということで一般財源化しているわけですから、その説明は当たらないと思いますよ。

 総理、もうこれは税法をどうするかというところがふん詰まってきていますよ。税法が変われば予算も変わるわけですよ。ここがすっきりしないと、この予算委員会での質疑をもっとじっくりやっていく必要があるということにもなりますから、是非、七年度からの暫定税率を与党として御決断いただくよう、改めてお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、高額療養費について触れたいと思いますが、これは自民党、公明党の提出者に伺いますが、この高額療養費の上限の引上げについては、昨年十一月、審議会で突然出てきて、たった一か月で決めたというふうに伝えられておりますけれども、これは自民党、公明党の中の手続は丁寧に進められたんでしょうか。本来であれば、自民党だって実際にがんの患者の方とかからお話を伺って議論すべきだと思うんですが、これは丁寧に進められたんですか。自民、公明の提出者に伺います。

田村(憲)委員 高額療養費の見直しでありますけれども、これは総理からも厚労大臣からもお話があったと思いますが、専門的な知識を持たれた専門家の方々が参加する社会保障審議会の医療保険部会で、議論を複数回、データ等を基に話合いをしていただいております。それを基に我々も議論しておりますが、これに関しては、もう御承知のとおり、医療保険の持続可能性でありますとか、保険料率が上がっているという部分もありますので、それをいかに抑えていくかという観点から議論いただきました。

 これは民主党政権のときにおやりをいただいた、大変我々も感謝している部分なんですけれども、総報酬割というもの、今までは、人数割から総報酬割で、加齢に伴う高齢者の方々の疾病リスク、これをどうやって社会連帯で分かち合うかということでスタートする。しかし一方で、そうなると若い方々の保険料が上がる方々も出てこられますから、高齢者の方々も二割負担等々、また、七十歳から七十五歳に関しても随時そういうようなこともやってまいりましたし、それから、更に申し上げれば、この高額療養費も以前も見直しをさせていただきました。

 そして、今般、ジェネリック推進の意味から、長期収載品に関してもこの差額というものを一定程度利用者の方々に御負担をお願いする、様々な改革をやって何とか保険料をなるべく上げないように、料率を上げないようにということをやってきた中においての今般の見直しであるわけでありますが、実際問題、これは法律事項じゃありませんので、与党の事前審査プロセスにはのりません、政令で変わりますから。しかし、我々もお話はお伺いをいたしました。

 その上で、患者団体の皆様方からも非常に厳しい、その厳しいというのは、要するに多数回該当という、高額療養費を三回もう既に年の中において利用されて上限までいかれて、四回目以降という方々が、非常に、一部のがんの方々に長期にわたってそれをずっと使われる方々がおられる、こういう方々にしてみれば、普通の多数回該当よりも負担がずっとかかっていくわけでありますので、そのような意味からの観点からお話をお聞かせをいただいて、その上で、与党としても判断しつつ、また国会で野党の皆様方からもいろいろな御議論がありましたので、そういうものも踏まえた上で、我々として、今回のような多数回該当の限度額の見直しというものを据え置いたということであります。

山崎(正)委員 お答えいたします。

 先ほど自民党の田村提案者からお話がございましたとおり、公明党としましても、この政府の動きの中で、党内でも討議を重ねてまいりました。

 しかし、その中で、法案提出後に患者団体の皆様方からも様々な御意見がございました。また、この予算委員会の中でも活発な議論が行われてきましたので、それを受けて、先ほどございましたように、高額医療費に関する、年に四回以上該当される方の自己負担限度額に関しましては、やはりしっかり据え置いていくということが大事だということで、今回の予算案の修正案につきまして公明党も提出をしたところでございます。

後藤(祐)委員 つまり、自民党でも公明党でも患者の皆様方からお話を伺ったけれども、多数回該当のところはそのままにして政府案を出してきたということじゃないですか。そして、この予算委員会の質疑の中で、我々立憲民主党あるいはほかの野党も含めて、やはりこれはまずいんじゃないかということになって、ようやく皆様方の方から、少しはやらなきゃということで、総理が先週金曜日、多数回該当のところについては今までとちょっと違う答弁をされたわけじゃないですか。与党の事前審査というのは崩壊しているじゃないですか。そして、この予算委員会での予算の審議があったからこそ、多数回該当の話が少し動いたわけじゃないですか。そういう意味で、これは非常に有意義な場であるということも是非国民の皆様にも御理解いただきたいと思います。

 これは厚労省の事務方に伺いたいと思いますが、そもそも、この高額療養費の上限見直しの話というのは、要するに財源が足りないからということでこの話は出てきていると思うんですけれども、元々の政府案、二〇二七年八月までに三段階で上げて、トータルで総額幾らの医療費の削減になるんでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今回の修正案の前の、最初のときの政府の提案だということで理解をしておりますが、今回、施行が二〇二五年八月から二〇二七年の八月までの三段階で行われ、最終的には、満年度化がありますので、二〇二八年度に最終形になります。そのときの給付費といいますか影響額ですが、保険料で三千七百億、国費で千百億、地方費で五百億、合計で、給付費ベースで五千三百億円の軽減になるということでございます。

後藤(祐)委員 この五千三百億円をどうするかという話なんですよ。本当に一番、人生最大のリスクにさいなまれている患者の皆様に負担させるのがいいのか、ほかのやり方はないのかという話だと思うんです。

 これは総理に伺いたいと思いますが、通告していますが、そもそも、この高額療養費の上限引上げの話というのは、こども未来戦略、要は、子供、子育ての歳出を増やさなきゃいけない、その財源を何とかしなきゃいけない、この加速化プランというのがあって、三・六兆円の財源が必要だということで、その三・六兆円の財源の一部を確保するためにこの高額療養費の上限引上げが行われた、こういう理解でよろしいですか、総理。

石破内閣総理大臣 それは、お金に色はついていないので、どこから何を持ってきたかということをきちんきちんと説明することには限界がございますが、少なくとも私どもとして、こども未来戦略のためにこのようなことを行ったということは、全くそれはございません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 それは、こども未来戦略は未来戦略として大事なことです。しかしながら、先ほど来政府がお答えをしておりますように、まさしくこの場の議論がとても意味があったということだと思いますが、高額療養費というものの問題について、患者の方々が本当に苦しまれることがないようにということは最大限配慮をいたしてまいりました。同時に、これをこれから先安定的に続けていきますためには、保険財政がどうなるのかという議論も当然必要なものでございます。

 高額療養費というものは、この制度をそもそも設計したときには想定を外れておったものだと思っておりまして、もちろんそれは大事です、命のために幾らでもそういうような負担はしていかねばならない、政府としてですね、それはよく分かっておりますが、同時に、この制度をいかにして続けていくべきかという御議論も更に賜りたいと思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、こども未来戦略のためにこのようなやり方を考えたものでは全くございません。

後藤(祐)委員 総理、それは違うと思いますよ。こども未来戦略の中の財源の基本骨格というところに、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)における医療・介護制度等の改革を実現することを中心に取り組み、一・一兆円程度の確保を図るということが、これは決まっていますよね。この一・一兆円の中の一部が高額療養費の引上げですよね。

 こども家庭庁の役所の方、これで正しいですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お示ししたとおり、こども未来戦略の中で、財源の一つに歳出改革がございます。歳出改革につきましては、社会保障の改革の流れの中で改革工程というものを作るというふうに聞いておりまして、この改革工程の中でどういう改革が行われるか、これはこれでしっかり議論していただく必要があると思っていますが、今総理が申し上げたように、改革プランの財源確保のために今回の高額療養費の見直しが行われたというふうには認識しておりません。

後藤(祐)委員 これははっきりしてもらいましょう、まだ議論が続くと思いますので。

 こども家庭庁の方、もう一つ確認したいんですが、医療・介護制度等の改革でもって一・一兆円の財源をつくるんですが、それが何で高額療養費の引上げにすごく幅寄せしなきゃいけないんでしょうか。

 実際、この決まった文書をよく読むと、医療のDX化とか、AIを用いた医療データの利活用とか、医師の偏在対策とか、長期入院の是正とか、介護のロボット、ICT活用とかいろいろなメニューがあって、こういうのを使って財源を節約していくと書いてあるんですよ。こういう医療、介護のほかの選択肢というのも財源のつくり方としてあるということでよろしいですか。それともう一つ、医療、介護以外の改革でもって財源を調達するということも否定されていないということでよろしいですか。事実関係を伺います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 改革工程のお話でございますので、私の方からお話をさせていただければと思います。

 改革工程のメニューの中には先生おっしゃったような様々なものが入っておりますが、医療DXにつきましても、またそのほかのものにつきましても、ほとんどのものについて既に検討に着手し、また実現しているものが多くございます。中には、検討の中で非常に難しい、例えば金融所得を勘案する部分についても検討は昨年いたしましたが、なかなか非常に難しいというところで、更に検討が続いているものもございます。

 そういった意味でいえば、改革工程について、高額療養費の問題についてまず始めたということではなくて、全体、様々なことについて議論をさせていただいて……(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

鹿沼政府参考人 その中で、逆に高額療養費の話はむしろ少し時間がたって議論をさせていただいたというものでございますので、決してこれから先に議論したというものではございません。

後藤(祐)委員 今、厚労省の役所の方も、様々な議論はある、要はいろいろな選択肢があると。さっき総理自身が、お金に色はついていないと。

 つまり、足りなくなっちゃう五千三百億ですか、どこかから探してくればいいじゃないですか。我々は、例えば賃上げ税制をやめれば七千億円出てきますよ。これは恒常的な財源ですよ。やりようはいろいろあるんです。医療の中で見ても、さっき言ったように、いろいろなやり方があるわけですよ。

 これは総理、通告していますけれども、ちょっとさっきのこども未来戦略から引用したものですが、「財源については、国民的な理解が重要である。」と書いてあるんですよ。「既定予算の最大限の活用」「徹底した歳出改革等」、そして、「実質的な負担が生じないこととする。」と書いてあるんですよ。高額療養費の引上げというのは、国民的な理解がないんじゃないんですか。患者の皆様にとっては、実質的な負担がまさに生じているんじゃないんですか。このこども未来戦略で決めたルールに反したやり方をしているんじゃないんですか。

 総理、まさにお金に色はついていないんですから、お金が足りないのは分かります、ほかの手段も含めて検討しましょうよ。この二百億円の高額療養費引上げの凍結を求めます。総理。

石破内閣総理大臣 それは手段と目的の関係に立つものではございません。これによって、つまり高額療養費の見直しを行うことによって、そこの財源をこども未来戦略に充てよう、そういうような手段と目的の関係に立つということを私どもは申し上げたことは一度もございませんし、政府の中でそういうことを検討したこともございません。そこはよく御理解をいただきたいものだと思っておるところでございます。

 私どもとして、このすばらしい制度であらばこそ、患者の方々の御負担を最小限に抑えた上で、これから先も高額療養費というものは恐らく増えていくでしょう、医学の進歩というのはそういうものでございます。そのときに、がんを始めとして、そういうような疾病に苦しんでおられる方々が、より広く、少ない負担でこの療養を受けていただくためにどうすればいいかということを考えて今回の結論に至っておるものでございます。

 政府の中で十分に検討が足りなかったではないかというような御指摘も踏まえまして、厚生労働大臣あるいは厚生労働省として患者の方々の御意見も十分に承ってまいりましたし、これから先もそうあらねばならぬと思っております。

 一方において、どうやってこの制度を持続可能なものとするか。どこかから見つけてくればいいではないかという御指摘でございますけれども、そのようなものが簡単に見つかるものでもございませんし、これは保険というもので運用しておるものでございます。その中で、いかにして保険者の負担というものをこれから先も過度に増やすことがないようにできるかということも十分に考えてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 医療保険というのは保険料だけでは賄えないんですよ。税金からの何らかの補助というのは必要なんですよ。それをどういう組合せでやるかという話ですから、選択肢はいろいろあるじゃないですか。是非、まだ最後まで時間はありますから、総理、もう一度御判断いただきたいと思います。

 それでは、次に行きたいと思います。

 給食費無償化、介護、障害施設、保育、幼稚園で働く皆様の処遇改善、訪問介護の支援、こういったことについては、立憲民主党ではきめ細かくこういったものを、例えば働く皆様に一月一万円プラスするといったような修正案を出しているんですが、自民党の提出者に伺いたいと思いますが、この給食費無償化、なぜか八年度から小学校だけやって中学校はやらないということになっていますが、何で中学校を外しているんですか、何で八年度からなんですか。お答えください。

柴山委員 お答えいたします。

 給食の無償化の問題なんですけれども、いろいろと検討するべき論点がございます。

 まず、食材費を保護者負担としている学校給食法との関係、そして、喫食する児童とそうでない児童、お弁当とか、あるいはアレルギーのある方々、児童生徒の間の公平性、また支援対象者の範囲をどうするかという問題、また地産地消の推進を含む給食の質の向上という問題、そして国と地方との関係という問題、あるいは、そもそもこれは何のためにやるのか、少子化対策なのかどうかというような効果の検証の問題、こういった論点についてこれまでもいろいろと議論のあったところなんですが、こういうことについて十分な検討を行う必要がございます。

 そして、もう一つはやはり財源の問題です。施策の実現に当たって、政府全体で徹底した行財政改革を行うことによって安定財源を確保する必要がございます。給食の無償化は私たちがぱっと想像するよりも非常に大きな財源を必要とする施策でありますので、そういうことも踏まえて、まずは小学校を念頭に地方の実情等を踏まえて令和八年度に実現をする、その上で中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現するということになっております。

 なお、中学校については、公立中学校においても完全給食実施率は小学校よりも低くなっておりますし、また、一部の自治体においても、中学校について、給食を喫食するか家庭からの弁当を持参するかをその都度選べる選択制給食を実施したりする自治体もありますので、小学校と比べて検討するべき課題が多いというふうに私たちとしては考えております。

後藤(祐)委員 もう既に中学校の給食を無償化している自治体はいっぱいあるんですよ。そこでは、例えば私立の中学校に通っている子をどうするかとか、それはお金を上げているんですね、あるいはアレルギーの方がいる場合どうするか、全部答えは出ているんですよ、現場で。今から勉強している場合じゃないんですよ。

 まさに公平にというお話がありましたけれども、文科大臣に伺いますが、そうはいっても八年度から少なくとも小学校はやるんだと思いますが、そのときに、例えば地方交付税で措置しますとか言われちゃうと交付税の対象になっていないようなところは不公平になっちゃいますし、あるいはもう既に給食無償化をやっているところはできるでしょうというわけにもいかない。全部一律公平にやっていただけるということでよろしいですか、文科大臣。

あべ国務大臣 お尋ねいただきました給食無償化の実施内容に関しましては、今回の合意内容の実現に向けまして、三党を始めとする関係者の御意見をよく拝聴しながら取り組んでまいります。

後藤(祐)委員 心配になっちゃうな。

 自民党提出者。

柴山委員 今お話をさせていただいたとおり、三党合意書の中身は三党合意ということになっておりますけれども、もちろん、野党ですとか、あるいは先ほど後藤委員が御指摘になられたような先行して実施をしている自治体、そして、今お話があったとおり、それに対して国として支援がどうなっているのか、そういうことも含めて、しっかりと精査をした上で検討してまいります。

後藤(祐)委員 これは公平にやってくださいね。

 それと、最後、介護について伺いますが、我々、介護だとか障害者福祉施設で働いている方、保育、幼稚園もそうなんですが、処遇改善提案していますが、自民、公明からは何も返事もいただいていません。今の介護の現場は崩壊しています。この改善なくして介護が回るとお思いですか。自民党、公明党の提出者に伺って、終わります。

安住委員長 田村提出者、時間が間もなくなので、手短に。

田村(憲)委員 御承知のとおり、今まで数度にわたって介護従事者の方々の処遇改善を進めてまいりました。一方で、そもそも、若い人たちがいなくなる中で、労働者不足の一環としてやはり介護の人が足らないという部分もあります。そういう意味で、外国人の方々にもお力をおかしをいただくということで、今、訪問介護の方も議論をしておる最中であります。

 いずれにいたしましても、これからも介護従事者の方々の処遇を改善していくことは大変重要だというふうに思っておりますので、我々与党としてしっかりと力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

安住委員長 山崎提出者、手短に。

山崎(正)委員 お答えいたします。

 公明党としましても、やはり介護、障害者の従事者の皆様方、また保育士、幼稚園教諭の皆様方の処遇改善は非常に重要だと思っております。

 内容の認識につきましては、先ほど田村提案者が言ったとおりでございまして、引き続き取り組んでいかなければならない課題だと承知しております。

安住委員長 終わってください。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、渡辺創君から関連質疑の申出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、農林中金の一兆九千億に及ぶ巨額赤字決算についてお伺いをします。

 先月十日の予算委員会で江藤大臣とも議論をいたしましたけれども、石破総理は不在でいらっしゃったので、改めて総理の受け止めなどをお伺いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 おさらいですが、農林中金は、二〇二四年度決算において、一兆九千億円の最終赤字を出す見通しです。住専問題時、リーマン・ショック時に続く赤字転落で、今回も、リーマン・ショックのときと同じでありますが、JAグループの出資で一・四兆円の資本増強を図って、金融機関としての健全性、安定性を担保しました。ただ、金融機関にとって、資本を毀損しないということは極めて重要なことですので、今回の事態がかなりのインパクトがあることであるというのは間違いありません。

 前回質疑をした後に、先月の二十日に農林中金の理事長が、問題の渦中の昨年五月には続投を決めたばかりだったにもかかわらず、引責辞任を表明をした。この展開からも、事態の重さというのは明らかなところかと思います。

 今回の事態の特徴は、ほかのメガバンクが軒並み好調な中で、大変失礼ながら、農林中金の独り負けというところにあるかと思います。農林中金の利益構造を見ると、貸出金利息の比率が極めて低く、他のメガバンクが四〇%程度であるのに対して僅か一二%、さらに、収益の八〇%が有価証券関係で、特に米国債を中心とした長期外国債券への依存が突出していたというところにあるというふうに思います。

 運用が順調だった時期もありますが、二〇二二年以降の欧米諸国の複数回の利上げの結果、調達金利である短期金利が利回りの長期金利を上回る逆ざやが発生し、外国債券への高い依存があだとなった。さらに、損切りのタイミングも繰り返し逃し続けた結果が現状に至っているということだと思います。

 農林中金の資金は、基本的に全国の農林水産業の方々や准組合員がJAバンク等を通して預けているものです。額に汗し、生産に取り組んだ収益であったり、先祖伝来の農地を手放した代償として得たお金であったりします。また、JAなど構成団体には、様々な形で日本の農林水産業を支援し、守るために、公的なバックアップもなされているわけであります。農林中金は、そういう意味で、極めて公益性の強い性格を持った金融機関と言うことができると思います。

 江藤大臣は、十日の質疑で、名前が業務内容と合っていない、そして、大変恥ずべきことだ、組織は信頼で成り立つのだから、農林中金も、地方あっての組織であるということを改めて自覚してほしいと大変厳しい姿勢を示されました。

 農水大臣の御経験もある石破総理、この件を総理はどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

石破内閣総理大臣 事実関係はそういうことでございます。今般の決算におきまして、一・九兆円程度の純損失の見通しであることを踏まえまして、農林中金の投融資運用の体制に対してどのような対応を取るべきか、現在、江藤大臣の下で検討がなされておるところでございます。

 このお話は、私が農林水産大臣をやっておりました十数年前から、やはり同じような御指摘をいただいてまいりました。これは、農林中央金庫法に、農林水産業の発展に寄与しということが目的に書いてございますので、そのことをもっと重視すべきではないかという議論はずっと昔からございます。そのとおりでございます。

 今の経営者の皆様方も、見識の高い、そしてまた農林水産業に非常に情熱をお持ちの方々でありますが、結果としてこのようなことになって、人事の交代がなされるということでございます。

 では、農林水産業で本当にお金がすごくもうかるかというと、この事柄の性質からして、そういうものでもございません。そこにおいて、農林水産業に従事される方々にきちんと利益を還元する、そういうような融資とはいかなるものであるかということを私はもう一度よく考えてまいりたいと思っております。もうかりさえすればいいというものでは全くございませんが、農林水産業というものが、こんなにがんともうかるような、そういうものでもございませんので、どのような部門に融資をしていくべきなのかということは、農林中金、私ども政府は一体としてよく考えてまいりたいと思っております。

 大事なのは、出資者の方々、農林水産業の皆様方に、いかにしてこの金融機関が寄与できるかという実感を持っていただくことだと承知をいたしております。

渡辺(創)委員 総理の最後のところだと思うんです。全国で一生懸命一次産業に取り組んでいる皆さんの思いが乖離したところにならないようにしなきゃいけないと思いますし、今、昨年、基本法も新しくなったところでありますが、農業を取り巻く環境が大きく変わっている状況ですから。

 先日、大臣ともお話をしましたけれども、ある意味、これからの時代に農中がどういう役割を果たすべきかというところを、もちろん、金融機関としての自主性の部分もあると思いますが、しっかりと検討していく、方向性を導き出していくということが大事だと思いますので、そのことを指摘して、次のテーマに移りたいと思います。

 備蓄米の放出について、関連して何点かお伺いをしたいと思います。

 私は、今回は、現状や判断の是非という観点ではなくて、今回の放出という政策判断が、今後、備蓄や米価の考え方についての大きな転換点になるのではないかという前提をちょっと冷静に整理したいというふうに思っています。

 昨夏から続く米の品薄、価格上昇は、令和の米騒動とも呼ばれる事態に達して、農林水産省が備蓄米を放出するという異例の事態に至ったことはもう周知の事実です。

 農水省は二十一万トンの放出方針を公表しましたが、実際に店頭に並び始めるのは今月末以降ということのようであります。ただ、方針の決定だけでも、アナウンス効果というか口先介入というか、それでも一定の効果が出ないかなと淡い期待を持ったところでありましたが、現時点ではその効果は出ていないというところかと思います。

 まず、江藤大臣にお伺いをしたいと思いますが、今回の備蓄米の放出は米の流通の円滑化が目的ということになっていますが、実態は、円滑化が図られることによって、高騰している米の販売価格を低下させたいというのが狙いと理解するのが自然だというふうに思います。まず、その理解でよろしいでしょうか。

 もちろん、安ければいいと言っているつもりはありません。生産者の方々にも適正な利益が出る水準であるべきということは言わずもがなの前提というところで、御答弁いただければと思います。

江藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 食糧法の理念上、やはり価格に直接コミットするというのは筋が合いませんので。もちろん、二十一万トンというエビデンスが出てきた、それによって、店頭価格が上がっている、ですから、常識的に考えて、足りない分だけ出せば、価格にコミットすることに間接的にはなりますが、しかし、最終的な、期待として価格がないとは申しませんけれども、あくまでも流通の円滑化が目的だということでございます。

渡辺(創)委員 今大臣の答弁にあった食糧法の理念というのはよく分かるんですね。ただ、ちまたの報道を見ていても、国民の受け止めも、当然、これは米価を引き下げるためだというふうに大方の国民は思っているというのが自然な理解かなと思います。ただ、食糧法の理念は分かるところであります。

 引き続き江藤大臣にお伺いをしたいと思いますが、報道等を見ていると、状況いかんでは更なる放出も否定していないというふうに伝えられていますが、その理解でよろしいでしょうか。

江藤国務大臣 委員も御存じのように、二十一万トンということで、十二月末でしたが、更に二万トン。さらに、集荷業者に集まっていないという状況が発生いたしております。

 やはり状況に対して、我々としても変化に対しては対応していかなきゃなりません。そして、効果がなければ、それに対応して追加をするということは当然ありますが、ただ、備蓄米の趣旨として、大量に出して備蓄米の総量が減ったときに国民の皆様方が不安にならないのか、大規模な災害が起こったり、今年秋にもし大冷害が起こったときにどうするんだということも考えながら、慎重に運用を行っていきたいと考えております。

渡辺(創)委員 もう一点お伺いします。

 今回放出する備蓄米は、購入業者から一年以内に同量を買い戻すことを原則としています。現在の備蓄米制度の趣旨を踏まえれば、これは当然の理屈だというふうに思います。

 ただ、販売価格が農水省の予測のように動くか否かというのは分からないというのが現状であるわけでありますので、これは、仮に米の価格が下がらないというような事態が続いた場合には買戻しを行わないという選択肢はあり得るのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 まず、申し上げますが、買い戻すということが本旨であります。備蓄米は、何度も申し上げましたが、国民の皆様方がいざというときに困らないようにするために持っているのが備蓄米の趣旨でありますから、やはり百万トンという一定の目安に向かって一定の量を確保する義務があります。

 ですから、買戻しはいたしますが、ただ、常識的に考えて、高い値段で買い戻してしまえば、二十一万トンも買い戻すということであれば、逆に価格上昇の圧力になります。しかし、逆に、生産者の方々からしてみれば、大幅に急落したときに全く買い戻さないということであれば、これだけ農家の方々が生産コストも上がって困っているときに、こんなところでもまだ買い戻さないのかというふうに言われると思います。

 ですから、この放出を決めたときに一番悩んだのは、二十一万トンという量も悩んだんですが、どう買い戻すのか。ですから、一年以内というのが審議会からの答申でありましたが、一年たっても買戻しをしないということもあり得ると私は考えております。常識的に考えて、これから田植をして、出来秋、そして概算金が出てくる、そこら辺の数字を見ながらやるのが一番常識的な考え方かなというふうに考えております。

渡辺(創)委員 大臣、本当に正直に御答弁をいただいていること、ちょっと言い方は変かもしれませんが、ある意味、感謝を申し上げたいと思いますが。

 備蓄米制度を考えたときに、買入れであったりとか、さらに、備蓄後の売渡しが市場に影響するということを極力避けてきたというのがこの制度であるというふうに思います。しかし、裏腹に、今回の対応によって、流通の円滑化と言っていますけれども、これは行き着くところ、つまりは米価の引下げを狙っているわけであります、私はそう理解しますので、市場価格のコントロールに備蓄米を使ったという側面を否定できないということになるかなと思うんです。これまでの備蓄米の制度を前提に考えれば、言ってみれば、これは禁じ手であるわけでありますから、だからこそ、農林水産省も大変苦悩されたんだというふうに思っています。

 私は、この判断が間違っているとかと言いたいわけではありませんで、ただ、今回のことというのは、備蓄米制度の考え方や前提が大きな転換を迎えたということであるというのをきちんとみんなで認識をしなきゃいけないという問題意識を強く持っています。

 つまり、今回の放出によって米価が下がれば、備蓄米の出し入れが米価コントロールに有益であることが証明をされるわけでありますので、ここからは頭の体操の話でありますが、備蓄米の全体ボリュームをもっと弾力的に考えられるようになれば、米価が高騰した場合には備蓄米を放出し、米価が低迷した場合には備蓄米を増やすことで米価を安定させるというような、スタビライザーのような機能を持たせることも理屈上は可能だということになるというふうに思うわけです。

 そこで、確認をしておきたいのですが、今後も、米価高騰というのは、国民生活のリスクとして排除はできないというふうに思います。同様のようなことが起こった場合の際に、今回の放出が前例となって、価格操作を意図して備蓄米の放出が行われるということは今後も政策判断としてあり得るのか。つまり、備蓄米放出は恒常的な選択肢というふうになったのか、それとも、あくまでも今回だけの特別な措置であるということなのか、政府の見解を確認したいと思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まずは、今回の価格の高騰ですから、去年の六月ぐらいからという話でありますが、まずは南海トラフの緊急地震情報が出た、あれで消費者の方々がスーパーに殺到した、それで店頭から米が消えた、それを見て新たなプレーヤーが市場に参入してきて、大体九月、十月、十一月、十二月、大体九月ぐらいから上がり始めました。九月から一月の間にとんでもない値段まで上がってきて、こんな急激な上昇というのは普通はあり得ないですよ。ですから、イレギュラーな現象だと私たちは思っております。イレギュラーである以上は、これは緊急的な、異例な措置であって、委員が御指摘のように、本旨ではありません、全く。最初から、私は、この方策は王道ではないというふうに申し上げました。

 そして、ちょこっと、今度は下がったときに買うのかという話をされましたが、そういう機能を持たせるということになれば、これはもう食管法みたいな話になってしまいますので、それはまた別の話だと思います。

 しっかり今回は市場の動向を見ながら放出量を決めながら、買戻しについても慎重に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 同じ質問を総理にもお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 農水大臣がお答えいたしましたように、このような運用というのは、決して備蓄米制度が予定をしておるものではございません。理由はともかくとして、十年に一度のそういう状況に対応するために備蓄米制度というものはあるわけでございまして、今回、アナウンス効果というふうにおっしゃいました、口先とか、いろいろな言い方はあるんですけれども、それでも下がらないという状況をどう考えるべきなのか。仮に三月の末にそれを放出したとして、実際、何が起こるのか等々をよく見ながら検討いたしてまいりたいと思っております。

 今回の対応が恒常的に行われるということは、私として、現在考えておるところではございません。

渡辺(創)委員 ありがとうございます。

 今お話にあったように、これは予定しているものではないというところだと思うんです。ただ、この事態になっているわけですので、備蓄制度、総理は金曜日の予算委員会でもお話をされていましたが、備蓄制度をどう考えるかということでもあるし、農産物の価格形成や直接支払い制度、さらには食糧法にも大きく関わっていくことなので、一過性の話と捉えずにきちんと構え直すということを、みんなで検討するということは必要だと思いますので、そのことを指摘して、次のテーマに移りたいと思います。

 ここから、教育無償化に関するテーマについてお伺いをします。政府及び自公案の提出者、立憲修正案の提出者にも質問してまいりますので、お願いいたします。一部、ちょっとテーマが入れ替わるところがありますので、よろしくお願いいたします。

 まず、高校無償化についてですが、自公維の合意文書を前提にお伺いをしますが、新年度を経て、令和八年度からは私立高校の加算額を四十五万七千円に引き上げるとされています。今回の修正案には直接影響しませんが、セットで国民に示されているわけですので、必要な財源額の見通し、必要な額をどのようにして確保するのか、自公案の提出者にお伺いします。

柴山委員 お答えいたします。

 お尋ねの令和八年度から私立加算額を四十五・七万円に引き上げる場合、この場合に必要な所要額について、文部科学省において、仮に現行制度を前提として機械的に大まかに試算をしたところによりますと、所得制限を外して、私立の生徒には、全国の私立高校の現在の授業料である、今御指摘の約四十五万円を支給をする、それから、国公立の生徒につきましては、現行制度の全日制高校の支給上限額十一万八千八百円を支給すると仮定した場合には、現行予算の四千億円に加えて追加で必要な所要額は、やはり四千億円、要は倍増するというふうになります。

 また、財源確保のお尋ねにつきましては、三党合意において、施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどによって安定財源を確保するとされておりますので、この合意内容に基づいて、一年ありますので、しっかりと合意事項の実現に責任と誠意を持って、検討、取り組んでまいりたいというように考えております。

渡辺(創)委員 もうちょっと具体的な御説明が聞きたいというところではありますが。

 立憲民主党案の提出者に伺いますけれども、立憲民主党も同じような提案をしています。また、高校授業料の実質的無償化といえば、民主党政権時に着手してきた政策でもあります。そういう意味では、高校での教育を安定的に充実をさせ、家計の負担を抑えながら進めるということには我々は大変強いこだわりを持っているというふうに思っていますが、今回の自公修正案及び自公維合意文書から読み取れる高校無償化の内容について、立憲民主党の見解をお伺いしたいと思います。

城井委員 お答え申し上げます。

 与党修正案には、これまで立憲民主党から求めてきた高校無償化の拡充、その政策の一部が含まれていること、具体的には、令和七年からの公立の所得制限の撤廃、令和八年からの私立高校の加算四十五・七万円、こうした点が含まれている点については評価をいたしたいと思いますが、不十分な点もあると思っています。

 民主党政権時から始まった高校の実質無償化は既に十年以上経過しておりまして、関係する仕組みについて、関係者は習熟していただいたというふうに考えています。

 所得制限の撤廃だけではなくて、私立高校の加算の引上げ、所得制限撤廃も十分に令和七年度中に実施できるものだ、工夫はあるというふうに考えています。

 一方で、高校無償化を先行した大阪府の例を見てみますと、やはり公立高校の志望者が減少し、私立高校を目指す方が増えたというのは間違いないと思っています。ですので、公立高校の支援、公立高校の魅力向上に向けて取組が必要だ。

 立憲民主党では、六百七十億円の施設整備費の追加が必要だという提案を財源つきでいたしましたが、与党案の中では僅か十億円という有様であります。これでは不十分だというふうに考えています。公教育の機会確保へもっと支援を充実すべきだというふうに考えます。

渡辺(創)委員 ちょっと順番を入れ替えようと思いますが、高校無償化に関連して、定時制、通信制高校の支援についてお伺いします。

 全国の高校在籍者数及び定時制、通信制高校の在籍者数はどうなっているか、文科省に、政府参考人で結構ですので、御答弁ください。

望月(禎)政府参考人 お答えいたします。

 全国の高等学校の在学者数でございますけれども、令和六年五月一日現在におきまして、全国の高校生は三百十九万七千八名、定時制高校につきましては七万二千三百四十七名、通信制高校については二十九万八十七名となってございます。

 これは、直近の四、五年、令和二年と比較しますと、全国の高校生については約十万人減少、定時制高校生については約七千人減少、通信制高校生については八万三千人強が増加をしているところでございます。

渡辺(創)委員 パネル一を御覧いただきたいと思うんですが、これは令和六年のデータを基にすると、今御答弁もあったように、高校生全体のうち、定時制高校の生徒は二・三%、通信制の高校の生徒は九・一%、合わせると、高校生の一一・四%が定時制、通信制の生徒です。文科省の学校基本統計によれば、工業高校の生徒は全体の六・九%、商業高校は五・六%、農業高校は二・三%ですので、各専門高校で学ぶ生徒さんたちよりも定通制の生徒の方が多いというのが現実であります。

 パネル二を飛ばして、パネル三を御覧いただきたいと思いますが、折れ線グラフが高校生全体の数の変化、棒グラフが通信制高校で学ぶ生徒数の変化を示しています。一目瞭然ですが、日本の高校生は、平成二年がピーク時で約五百八十万人だったものが、今、三百二十万人まで減少しています。一方で、通信制高校で学ぶ生徒は、十六万人から二十九万人と倍増の勢いです。

 棒グラフの色分けを見ていただければ分かりますが、最大の要因は、黄色い部分、私立通信制、大半はいわゆる広域通信制の伸びが要因であるということははっきりしています。定時制、通信制で学ぶ高校は、今の教育界のいろいろな現状を反映して、少子化の中でも増えているということになります。

 お伺いをしていきたいのは、今の高校無償化の仕組みのベースとなっている就学支援金の制度には、支給期間の上限があります。標準的なものは、修学年限に合わせて、全日制だと三十六月、定時制であると四十八か月、定通制だと四十八月となります。

 定通制の特徴というのは、義務制の段階で不登校だった生徒や、中には、働きながらであったり、その他社会活動を行いながらであったり、体調面の課題を持っていたり、進路や学び方に悩みがあったりと、多様な状況を抱えながら在籍する生徒も少なくないということにあります。

 そういう中で、ボリュームからいえば少数ですが、一年間の中で十分に想定する単位を取得できない、つまり、学年をやり直すということは決して珍しいことではありません。これは、ある意味で、多様な学び方を尊重し、学習機会を担保するとりでとしての定通制の性格を踏まえれば、特段問題視されることではないというふうに思います。

 しかし、現状では、こういう一年余計に学校に通うことになった場合には、就学支援金の対象からは外れるということになります。

 文科省に伺いますが、学び直し支援金という制度があります。簡潔に説明してください。

望月(禎)政府参考人 今委員御指摘の学び直しでございますけれども、高校等を中途退学した後に再び高等学校等で学び直す場合には、卒業までの最長十二月、定時制、通信制課程の場合には二十四月、法律に基づく支援金とは別に、授業料に係る支援を受ける仕組みとしているところでございます。

渡辺(創)委員 今のポイントは、この学び直し支援金というのは、A高校を中退してB高校に替わって、同じ学年を重複してやり直すときには学び直しの支援金が出るんですが、同じ高校の中で学年を重ねて重複してやる場合には、さっきの上限がかかるので、三年分、四年分しか支援金が出ないという仕組みになっています。お分かりいただけたでしょうか。

 学校を中退して替わればカバーされるのに、学校を替わらず、同じ学校の中で一年余計にかけることには手が施されていない。これはどう考えても制度の矛盾だし、谷間だというふうに思うんです。何とか措置してあげるべきだというふうに私は思うんです。特に、全日制でも起こる問題ですが、定通制というのは多様な学びを保障するという場所ですから、ある意味では、こういうことが顕在化しやすいというのが実態だと思います。

 是非、教育無償化の充実を図るというタイミングに、この問題も一緒に解決、改善させるべきだというふうに私は思いますので、自公、そして立憲、それぞれの提出者にお考えをお伺いしたいというふうに思います。

柴山委員 今委員から実態について詳細に御説明をいただいたかと思います。確かに、定時制、そして通信制に通う生徒さんたちの中には、様々な事情によって、四十八か月を超えて在籍している場合があるということであります。

 ただ、現行制度において就学支援金の支給期間を通常の修業年限の期間としている趣旨は、所定の修業年限内で高等学校等を卒業する者が受けられる就学支援金の総額との均衡、また、今おっしゃったように、法律の文言上は、何々以上の在籍期間を認めているわけなんですけれども、それでは、無制限にその方々に公費を支出するということが納税者の理解を得られるか、こういったことも非常に重要な観点であるというふうに考えています。

 ですので、今御指摘の点については、こうした現行の制度、考え方を踏まえつつ、高校無償化に関するその他の論点と併せて、この後、十分な検討を行わせていただきたいと考えております。

城井委員 是非手だてを増やしたいというふうに考えます。

 立憲民主党では、社会全体で子供たちを支える、子供たちを分断しない、こういう理念で取組をしておりますが、高校無償化も当然その下に入るというふうに考えます。

 定時制、通信制に通う生徒の中には、様々な環境の下で、修業年限で卒業できない生徒がいることも理解をしています。社会全体で支える観点から是非対応したい。

 これまでも、立憲民主党提出の高校無償化拡充法案において、具体的に検討条項として言及をしています。政府は、速やかに、高等学校又は中等教育学校の後期課程の通信制の課程に在学する生徒等に係る経済的負担の更なる軽減に係る方策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることというふうにいたしております。

 是非実現に向けて党派を超えてお声がけをし、実現してまいりたいと思います。

渡辺(創)委員 この件、細かい制度については聞きませんが、こういう考え方は必要だと総理は思われませんか。総理の御感想を聞きたいと思います。

石破内閣総理大臣 済みません、いろいろな御教示をいただきました。

 通信制、定時制で学んでおられる方々には、いろいろな御事情がおありなのだろうと思っております。

 では、高等学校で学ぶべきことをきちんと習得をしていただくというために何ができるかということが重要なのだと思っておりまして、今後よく検討させていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺(創)委員 最後に、公立高校の支援についてお伺いをしたいと思いますが、公立と私立の間の格差が進むのではないかという問題も指摘されています。

 立憲民主党は、老朽化が進む公立学校の施設整備の必要性等も強く打ち出してきておりますけれども、具体的にはどのような対応が必要と考えているか、立憲民主党案の修正案提出者にお伺いをします。

安住委員長 城井修正案提出者、時間がありませんので、簡潔に。

城井委員 先ほどお答えしましたように、公立学校の魅力向上に加えて、自治体の財政難などで施設の老朽化が大変進んでおります。ここを勘案して、公立学校の施設整備を早急に進めていくために支援拡充を行って、安心の確保、そして教育の質の向上につながるように取組をするということで提案をさせていただいています。

渡辺(創)委員 どうもありがとうございました。

 これで質問を終わります。

安住委員長 この際、黒岩宇洋君から関連質疑の申出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。黒岩宇洋君。

黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。

 今日は、ちょっと通告の順番を変えて、済みません、三番目の参考人聴取及び裏金問題というところで、ちょっと総理にお聞きしたいんです。

 参議院の場合は、参議院選挙を控えていますけれども、裏金のキックバックについて、選挙に当たる年に、改選期の参議院についてはノルマが免除され、衆議院だとノルマを超えた分がキックバックだったんですが、全額、派閥のパーティー券を売った分、全て自らに返ってくる。これは検察も、松本被告の初公判で認めていますし、事実ですので。

 やはりこの全額キックバックというのは非常に悪質だと思いませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 済みません、当時の経緯を、ちょっと私自身、よく承知をいたしておりません。私自身はそのとき執行部でもなかったので存じ上げておりませんが、問題は、それが政治資金収支報告書というものに記載をされない、誰からどのようなものを受け取ったのかということが有権者の判断に供されないということだとするならば、それは決していいことではない。

 キックバックそのものの問題ではなくて、それが有権者の方々に、誰が誰から幾らもらったのということがもし仮に不記載ということであるとするならば、これはこの問題の本質と通底するものがあると思っております。

黒岩委員 当然、今、不記載のことを申し上げているので、有権者には派閥のパーティーだと言って、実際には派閥に納めずに、自分のところが全部いただく。これはやはりとんでもないなと国民も思いますし、当然、総理としてもそういう認識を持っているということを、再度御答弁いただけますか。

石破内閣総理大臣 それは、法の趣旨からして、大きく逸脱するものだと思っております。

 この点について有権者の方々から厳しい御批判を私どもは頂戴をしておるわけでございまして、それの払拭に努めるというのは党として当然のことだと思っております。

黒岩委員 そこでお聞きしたいんですけれども、この夏の参議院選挙の不記載議員、裏金議員に対する自民党としての公認基準、衆議院のときには三つほど示されていましたけれども、参議院についてどういう公認基準なのか、それを御説明ください。

石破内閣総理大臣 これは、詳細にお答えをしておりますと時間が幾らあっても足りませんが、私どもとして、公認をいたします際には、その者が当選の可能性というものがどれだけあるかということはかなり重視をいたしております。

 それは、我が党として自由民主党公認ということで有権者の方々に問います以上は、どれぐらい当選をする可能性があるのかというのは、どれだけその地域の方々から信任され、御理解を得ているかというのはとても大事なことだと思っております。

 公認基準は様々ございますが、その中で私どもが重きを置いておりますのは、その人が日頃からどれだけ地道に地元を回って、地元の課題を把握して、当選をするだけの理解を得ているかということも併せて重要だと思っております。

 公認基準につきましては、党として、より適切に判断をいたしてまいります。

黒岩委員 総理、私は公認基準の一般論を聞いているんじゃないんですよ、受かる可能性が高いとか、地元で汗をかいたかとかという。一般的にはそれでよろしいかと思いますが、少なくとも、今総理がおっしゃった政治資金規正法という、これは国会議員自らが自分らを正すという趣旨で作った、この法律のまさに趣旨から大きく逸脱していると総理がおっしゃられた。

 その候補者に対しては、衆議院では特別の基準、党の処分がいかがなものかとか、政倫審で弁明しているとか、ないしは特段に裏金問題に対して地元からの理解が得られている、こういった基準を立てたわけですけれども、当然、参議院選挙においても基準を立てられていると思いますが、この特化した、不記載議員、裏金議員に対してどういう厳しい基準で挑むのか、このことを聞いているんです。お答えください。

石破内閣総理大臣 これは、国会議員であります以上は、衆議院と参議院で顕著な差があっていいと私は思っておりません。

 そこにおいて、衆議院の場合はこういうことでございます。国民の皆様方に、我が党候補者に対します御支持をお願いするか否かを判断する場合には、自民党党則における、選挙における非公認よりも重い処分を受けた者、それよりも軽い処分を受けた者であったとしても、説明責任が十分に果たされず、地元の御理解が十分に進んでいないと判断される者、そういうような者は非公認としたところでございます。

 基本的には同じ考えが踏襲されるものと承知をいたしておりますが、これから先、公認を最終的に決定するに当たりましては、党において綿密に、そしてまた地元のお考え、国民の皆様の御理解、そういうものを踏まえて判断をしてまいりたいと考えております。

黒岩委員 ということは、総理、こういうことですか。

 ノルマを超過した分だけをキックバックしてもらった衆議院と、選挙のときに、ノルマなしで、派閥のパーティーだといって集めた金を全部、全額キックバックされた参議院とで、これは公認基準が同じだということですか。

石破内閣総理大臣 それは、個々によって事情は違います、それぞれに。だから、それだけが判断基準なわけではございません。

 しかしながら、今委員が御指摘のようなことも、当然、有権者の御理解がどれだけいただけているかということを判断する場合には重要な要素だと思っております。

黒岩委員 総理、衆議院と参議院では、今言った字面のこと以上に決定的な違いがあるんですよ。それは、参議院の場合は、自らの選挙にこの裏金を使ったかもしれない、ないしは、その可能性は極めて高いんですよね。

 先ほど申し上げたとおり、検察も、改選期のみ全額キックバックというものを、公判でもしっかり説明しています。そして、なぜそうなのかといったときに、選挙にお金がかかるから、こういった証言も複数ございます。

 そうなると、総理、考えてみてください。裏金を選挙に使った、言い方を変えれば、裏金でバッジを、議員の当選を得たということ。これは、総理、民主主義選挙に対する冒涜というか、大変私はよこしまな挑戦だと思うんですよね。決定的に違う。これでいて、同じ基準で参議院も公認するということでよろしいんですか。

石破内閣総理大臣 公認を決めるに当たりましては、我が党の中で、先ほど来お話をしておりますように、地元の御理解がどれだけいただけているかということを重視しながら判断をしてまいりたいと思っております。

 キックバック、日本語的に言えば還付金ということになりますが、これの使い道につきましては、みんながそれを使ったわけではない。そもそも、それを使わなかった者も相当数おります。そしてまた、使った者につきましては、会合費、研修会の施設経費、人件費、交通費、書籍代、通信費、これが主な使途となったというふうに私どもとしては把握をいたしておるところでございます。こうした調査結果につきましては、党といたしましても、報告書で明らかにし、国民の皆様方に御説明をしてきたものでございます。

 これから先、使途につきましては、関係議員におきましても、会見等々の場におきまして、必要な説明というのは今後ともやってまいりたいと思っております。

 要は、そのことだけを判断要素にするわけではございません。そのお金を何に使ったかということについては、先ほど来の答弁の繰り返しになりますが、会合費あるいは人件費、そういうものに使ったという者が多いわけでございます。その分を何に使ったかということの説明責任も、私どもは果たしてまいりたいと考えております。

黒岩委員 多分、総理のその答弁書、一年以上前から変わっていないと思いますよ、恐らく。説明の機会とかといって、これから記者会見を開く人は一人もいないし、慌てて今、政倫審を受けよう、公認が欲しいからと、もうかなり局面が変わっていますからね、総理。

 とにかく、衆議院と参議院では全くもって違った運用がされている。しかも、それが選挙の年に、選挙でお金がかかるから裏金だという、このことを検察も認めているわけですから。そう考えると、私は、当然、そういった人間は、選挙に出る資格すらないとまでは言いませんが、ただ、出るにしたって、党としてはかなりのペナルティーを、すなわち非公認というペナルティーをもってして、それでも国民の理解が得られるならという、こういう本当に背筋を伸ばした、党としての真摯な対応を示していただきたい。

 総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございます。我が党としてそのように取り組んでまいりたいと思っております。

 それは、私どもの責任として、それぞれの選挙区において、あるいは比例区もそうですが、信を問います以上は、今委員が御指摘のようなことを可能な限り払拭をしていく責任はあるだろうと思っております。このことについて、国民の皆様方のいろいろなお考えというものを甘く見るつもりは全くございません。

 昨年の総選挙におきましても、私どもとして可能な限りの対応を取ってまいりましたが、私の行き届かないところもあって、十分な御理解を得られていないということは、私自身よく認識をしておるところでございます。

 来る参議院選挙におきまして、我が党として、国民の皆様方の御理解を更に得るべく、最大限の努力はいたしてまいります。

黒岩委員 今の総理の御答弁、驚くというか、ありがたかったのは、私の趣旨を認めてくれるということは、参議院については自民党でもかなり厳しい基準で非公認とする、こういったことで挑むということでお聞きしましたので。ありがとうございます。

 ただ、なかなかそうはいかないといったときに、これは最低限、私、約束していただきたいのは、今、裏金のあった議員が一次公認で十二人ということになりますが、要するに、二〇一九年に裏金を、改選期で全額キックバックされているわけですよ。私が今指摘しているのは、それが本当に選挙に使われていたかどうか。総理も先ほど、やはり公開していくとおっしゃいました。

 そこで、では、この裏金を選挙に使ったという蓋然性、可能性が非常に高いわけです。これは有権者の皆様に、自分は決して裏金を選挙に使っていないんだよという挙証責任は、立候補する側にあると思います。

 そうなると、二〇一九年のこの裏金は、少なくともパー券はみんな売っていますから、しかも、検察が認めたように、全額、それは派閥に入らず自分のところに入っていますから。ですから、その額が幾らで、そして重要なのは、その使途について、全て領収書をもって、自分は裏金を選挙に使っていないということを証明させる。それなしには、要するに、疑わしきは公認はしないんだ、このことを、総理、約束していただけませんか。

石破内閣総理大臣 我が党の公認につきましては、我が党で判断をさせていただきます。我が党として、我が党の責任の下に判断をさせていただきます。

 国会におけるいろいろな御指摘は念頭に置きながらやってまいりますが、要は、外部の弁護士を交えて調査を行ってまいりました。そういうようなお金、キックバックと言っても還付金と言ってもいいのですが、主なる使途は先ほど申し上げたとおりでございます。

 また、収支報告書の不記載につきましては、検察による厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、取り上げるべきものは立件されております。その中でも、還付金が選挙運動に違法に使用されたというような事案は承知をしておらないところでございます。そういうようなお金が何に使われたのか、それが違法にという決めつけは、私はそれはきちんと検証しなければならないと思っております。

 そういうものがきちんと適法に使われたということを説明する、そういう責任は私どもにあろうかというふうに考えておりますが、その上で、誰をどのようにして公認をするかということは、我が党の責任において、最終的には公認権者たる私が判断をさせていただきます。

黒岩委員 総理、選挙のときだけ全額自分の懐に入る。そのことも検察が認め、多くの有権者は、これは選挙に使っているだろうという、これだけの疑い、不信の目が向けられているわけですから。

 だから、私は、今申し上げた、少なくとも二〇一九年、これは書類がないとか記憶がない、これでは済まされない。すなわち、挙証責任が自分にあるわけだから、書類にしたって、しっかりと探し出して、残念ながら書類がありません、立証できませんでした、その人間は、裏金に使った可能性は極めてあるわけですから、公認しない。これは私は当然の帰結だと思っております。

 総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 選挙の年にお金がかかるのは当たり前のことであって、それはもうどの党でも一緒でございます。選挙のときに、いかにして活動量を上げ、そして広報を行い、丁寧に選挙区を回るということであって、それは、そういう年に選挙活動を強化するということは決して不自然でもございませんし、還付金の金額が増えたことをもって直ちにそれが選挙運動に投入されたというふうに決めつけられることには、かなり論理の飛躍はあるんだろうというふうには思っております。

 それは、私どもとして、それがきちんと公開をされねばならないということ、それが決して違法には使われていないということをきちんと説明する責任は我々自由民主党にあるということはよく承知をいたしております。

黒岩委員 総理、私はあえて可能性という言葉を使っているのは、決めつけているわけじゃありません。

 ただ、状況的にその蓋然性が高く、そして、ここは司法の場ではありませんから、政治の場というのはあくまでも国民との信頼であり、国民にここまで、今申し上げた、選挙時にお金が全部自分のところに入ってきて、しかも選挙にお金がかかる、それはみんな一緒ですけれども、ただ、自民党以外は裏金なんか使っていませんから。

 総理、先ほど、参議院の公認に対しては衆議院以上に厳しい姿勢をもって挑むという答弁には、私も評価をいたします。ただ、今の、禁止より公開、そこまで言っている割に、公開を求めない、これを公認基準にしないということに対して、私は、政治不信に対する払拭に対して極めて消極的であって、後ろ向きな政党であり、その答弁であったということを指摘させていただいて、この問題についてはここで一旦終わります。

 そして、次に、これまた順番が変わって、二番目の農業問題に行きますけれども、これは農水大臣にも聞きながら、総理も農業問題に大変関心を持っていらっしゃるので。

 最初に、先ほどの渡辺議員のところに出ていましたが、備蓄米の放出について、これは通告していないんですけれども、改めてお聞きしたいんです。

 実は、先々週、私の地元の新聞にインタビュー記事が載っていました。それは、二十年前に農水の事務次官をやられた渡辺好明氏という、去年まで新潟食料農業大学の学長をしていた農政のスペシャリストであり、行政の専門家です。

 この方がインタビューで、米の価格高騰についてこう答えているんですね。一部の業者間の間では一俵四万円で取引だ、これはバブル期の土地転がしのような投機的なものだ、こんなことが常態化すれば消費者の米離れが進む。

 この次が肝腎なんですよね。私も驚いたんですけれども、二四年の米不足は二三年の秋に予測されていたはずだ、だから、本来は、二四年に備蓄米の放出や生産の拡大も含めた対応策を取っていればこの秋の混乱は防げたはずだ、こうプロが断言しているんですね。

 江藤大臣も、少なくとも備蓄米の放出、年明けになって、若干の遅れはともかく、こういった価格が上がったことについては、責任から逃れるわけではないと予算委員会でもしっかりと答弁されていた。そして、私は、今の大変厳しい指摘をしっかりと受け止め、やはりこの混乱の一端が、農水省に責任の一端もあったということを改めてお認めになって、今後の反省材料にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

江藤国務大臣 その先生の御指摘は、斜め読みはしましたけれども、しっかり読んでいないので、もう一回しっかり読ませていただきます。

 一部には、予見されていたのではないかという御指摘があることは承知しております。しかし、二四年産については、八千筆、農林水産省としては調査をしております。そして、それぞれの作況がどうなっているのかを調べた上で、八千筆にいわゆる作況の一〇一を掛けて、そして面積を掛ければ、間違いない数字が出てくるわけですよ。

 ですから、二年前から予見されていたじゃないか、それはちょっと検討が必要だと思いますが、では、去年の時点から米不足がもう予見されていたというのは、私は、その先生には大変失礼かもしれませんが、若干違和感を感じます。

 というのは、今年も十八万トンも余計に作っていただいたということも数字として出てきておりますので、御意見は御意見として、様々な御検討はあると思いますけれども、受け止めますけれども、それを聞いて反省しろと言われても、ちょっと受け止め方が違う、分析の仕方が違うとしか申し上げようがありません。

黒岩委員 二十年前の農水次官、大先輩ですので、是非またその記事も読んでいただきたいと思います。

 そこで、今日は、我々は、米の価格はこんな状況ですから下げるべきだ、ただ、やはり農家の所得というのは上げていかなきゃいけない、こういう視点で、これも農水省にお聞きしますが、予算委員会でも議論になりましたが、二〇二二年で結構ですので、水田作経営、いわゆる米農家の一時間当たりの所得というようですけれども、率直に言ったら時給は幾らになりますでしょうか。お答えください。

深水政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘いただきました統計につきましては、一時間当たりの農業所得を公表しているという性格ではございませんけれども、水田作経営の農業所得の状況につきましては、経営規模等に応じて大きく異なってございます。

 例えば、作付面積が二十ヘクタール以上の層になりますと、農業所得を単純に農業労働時間で割った値は千七百六円でございますけれども、五〇%以上が農業所得であるような主業経営体について申し上げれば六百九十九円、また、販売があれば、自家消費が主な小規模な経営体をも全て含んだ場合の農業経営体の平均は十円ということになります。

黒岩委員 国民の皆さん、今、一般の最低賃金、千円にいこうとか、千五百円に時給はいっているんですけれども、稲作農家は十円です。

 総理、私は、施政方針演説で総理が、農林水産業をもうかる産業にする、本当にそうしていただきたいんですよ。でも、時給十円、これが事実です。

 そして、私は、稲作にだけ特化するんじゃなくて、やはり我が国の農業の実態はどうなっているか、これは総理にも江藤大臣にもよく御認識をいただきたい。江藤大臣は今、専門的にやられていると思いますが。

 ちょっと質問も、2を飛ばして3で、国際比較の方に行くんですけれども、これを御覧いただけますでしょうか。二〇〇〇年から約二十年間の、代表的な国、またEUの農業所得の推移。

 我が日本は、二〇〇〇年で全体で三兆五千億だったのが、二〇二〇年、二〇二一年と二兆一千億、四〇%農業所得が下がっている。多分、これだけお聞きになると、皆さん、ああ、そんなものかな、日本は少子化でなかなか後継ぎがいない、高学歴化で農業をやってくれない、このぐらい衰退してくるのかなと。

 ただ、同じような先進国、ましてや日本よりももっと狭い国土のEUで見ますと、米国は二〇〇〇年で五兆四千億でした。二〇二一年は十五兆四千億ですよ。すなわち、米国は農業所得が減るどころか、三倍に増えているんですね。では、EUを見てください。二〇〇〇年は六兆九千億、それが二〇二一年になると十四兆で、二倍になっているわけですね。

 いかがですか、総理。一人当たりの農業者の所得で見ると、米国なんかは日本よりちょっと少ないので、二〇〇〇年だと、一人当たり、大体日本と米国は一緒ですよ。そう考えると、日本は、今から僅か二十年前、農業大国、米国と肩を並べるぐらい稼げていたんですね。EUになりますと、人口では日本の四倍ぐらいですけれども、農業の就労人口で考えると、この頃は日本の半分でした、一人当たりの農業所得が。それが今どうなっているかというと、米国は我が国の五倍です、一人当たりの農業所得は。EUも、二十年前は我が国の半分だったのが、今、我が国の二倍稼いでいます。

 いかがですか。そのぐらい、我が国は衰退しているけれども、世界の先進国というのはどんどんどんどん進んでいる。

 ちなみに、農業生産額でいっても、今から大体十五年前、我々民主党政権のときにすごく有名になった農業大国日本という、世界で、これは農業生産額ですよ、所得じゃなくて産出額が五位だったんですけれども、残念ながら、二〇二三年で、今、十七位まで落ちている。日本だけがこの二十年で独り負けですよ。

 僅か二十年前、我が国は本当に農業大国と言えるほど実は所得があった。でも、二十年でこれほどまでに、米国との差が五倍、ヨーロッパとの差が二倍だ、こんな状況になったんです。

 そこで、質問は、江藤大臣、まずは、米国やEU、世界の国々は何でこの二十年間ここまで農業所得を上げることができたのか、お答えください。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、二〇〇〇年ですけれども、日本には二百九十万人の農業従事者がいらっしゃいました。これが二十年たって、約百万人減ってしまった。そして、それに伴って耕地面積も減ってしまいました。

 そして、もう一つの要因は、日本においては大変規模拡大が遅れたということがあると思います。例えば、この図には出ておりませんけれども、オランダだと、家族農業が大体九〇%を占めているんですが、その方々の耕地面積は平均三十五ヘクタールです、家族農業でありながら。ドイツだと、家族農業が八三%ですが、耕地面積は四十ヘクタールです。日本とは全く規模感が違うということが圧倒的な違いです。

 そしてもう一つは、日本は農業生産額の二%しか輸出をいたしておりません。一方、米国は一一%輸出をいたしております。そして、EU諸国を見ると、多い国は八〇%輸出をして、外で稼いでいます。

 ですから、これから先、農業の構造改革をして、やはり日本型直接支払いも含めて様々なものを見直して、今、少なくなってしまった農業者の方々が、耕地面積を守っていただき、稼げる農業とするためにやっていかなきゃいけません。

 そして、米国なんかでは、これは言わなくてもいいんですが、遺伝子組み換えなんかをやっていますので、穀物の生産量は異常に増えています、遺伝子組み換えをやりますから。それが世界に輸出されることによって農業所得を大幅に上げているという側面があるのではないかというふうに分析をいたしております。

黒岩委員 大臣、今幾つかおっしゃられました。

 ドイツは四十ヘクタールというんですけれども、では、二〇〇〇年から二〇二〇年で規模はどれだけ大きくなったんですか。

 あとは、輸出額ですけれども、伸びたというけれども、二〇〇〇年から二〇二〇年でどれだけ伸びましたか。お答えください。私は、米国とEUが何で所得が上がったかということを聞いているわけですから、では、どれだけ伸びましたか。お答えください。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

安住委員長 農林水産省森輸出・国際局長、簡潔にお願いします。

森政府参考人 一農業経営当たりの平均経営面積は、EUでちょっと取りますけれども、EUですと、二〇〇〇年に十一ヘクタールであったところが、二〇二一年には十七ヘクタールというふうになっているところでございます。

黒岩委員 二、三〇%上がってしまう、ドイツの話が出てこなかったんですけれども。

 それで、私がこの質問を農水省の皆さんにして、その答えが返ってくるのに三週間かかったんですね。

 ということは、これはすごく重要なんです。これだけの状況です、今言ったように。日本は四割下がった、世界は三倍、二倍になって、そして農家の一人当たりの所得は五倍に差を空けられた。これは統計を取っているんです。

 ただ、これはさすがに同じ部署から出てきましたけれども、ほかの統計というと、部署も違うんですね。統計は取っているけれども、統計というのは本来、生かして、分析することが目的ですけれども、簡単に言うと、取って終わりなんですね。だって、それまでにこれだけの衝撃的な数字を見て分析していれば、答えに三週間も四週間もかかるわけがない。ああでもない、こうでもないといって出てきた。

 今回、私が聞いていたのとは、もうちょっとひねりを利かせた江藤大臣の答弁ペーパーになっていましたけれども、私のときには大体三つでした、EUも米国も。それはやはり生産性の向上とか、あとは大規模化。では、これは数値的に入れられるんですかと聞いたんですよ、二〇〇〇年から二〇二〇年。全く数値は持っていないと。となると、ともすると、よく言えば定性的な分析だけれども、正直に言ったら、もう想像の世界に近い。

 そして、アメリカもEUも穀物相場が上昇した、だったら、そのグラフを持ってきてくれと。今朝、私、見ましたが、二〇〇八年から二〇二五年まで、横ばいどころか下がっていますよ、穀物相場は。

 そうすると、これはすごく大事なことで、縦割りだという問題もあるんですけれども、統計は取るけれども分析すらしない、こんな状況になっているんですよ。私が、では今後どうするんですかという話をしても、定性的というよりは、抽象的というよりは、文学的なものが返ってくる。

 では、江藤大臣、ちょっとこれとは違うんですけれども、二〇一〇年から見ます、我々民主党政権から。そうすると、二兆五千億から二兆一千億と、この間、割と下げ幅は少ないんですけれども、四千億、所得額が下がっていますよね。

 これは参考人でもいいんですけれども、では、二〇一〇年から二〇二〇年の間、先ほど申し上げた生産額というのはどうなっているんですか。こんなふうに下がっているんですか。ちょっとお答えください。

深水政府参考人 お答えいたします。

 二〇一〇年から二〇二〇年までの農業生産額については、二〇一〇年に比しまして、二〇二〇年は一兆五千億ほど増えてございます。

黒岩委員 いかがですか。生産額は一兆五千億増えているんだけれども、所得は四千億下がっている。これは理由ははっきりしていて、この間、農業の労賃が大体七千億円ぐらい上がっているとか、あとは種苗代が四千億上がっているとか、飼料代が上がっている。

 ただ、我が国は、これは不思議なんですよね、少なくとも二〇一〇年までというのはデフレで、賃金も上がらない時代に、何でこんなにコストが上がったのか。これは欧米だって同じですよ、賃金の上昇率や物価の上昇率は日本より高いわけだから。だから、欧米も、このコストの増大を吸収し、それを凌駕して所得につなげているわけですね。でも、我が国は、このコストの増大を全く吸収できないどころか、凌駕もせずに、稼いでも稼いでも、重要なことですよ、農家が頑張って稼いで稼いで、一兆五千億も売上高は上がったけれども、所得は下がる。つまり、稼いでももうからない農業になっちゃったんですよ。非常にこれが問題だと思っています。

 一つは、実は、二〇〇〇年から二〇一〇年までは、総生産も産出額も一兆円ぐらい下がっているんですよ。二〇一〇年から二〇二〇年まではV字回復で、一兆五千億上がっているんですね。一つは、やはり所得補償を入れることによって、そしてその後、自民党さんも、名前は違えど、直接支払いといって、所得補償にちょっと形を変えた形です。

 所得補償というのは、皆さんも御存じのとおり、江藤大臣も石破総理も御存じのとおり、コストの増大に最も強い仕組みなんですよね、コストの増大分を全部国の税金でちゃんと賄いますよと。どんなにコストが増大してもそれに揺るがないというのは、所得補償の最大の利点なわけですよ。

 これは、実は先ほどの渡辺好明元農水次官のインタビューの中でも、やはり所得補償はしていかなきゃ駄目よ、価格は自由でもいいけれども、こういうことをおっしゃっています。

 そこで、私は所得補償のことだけ言うわけじゃないんですけれども、江藤大臣、では、我が国の今後の、ここまで所得が下がった中での所得向上策というのを教えてください。

江藤国務大臣 何度か御答弁いたしましたが、私は、政治家として、所得補償全体について否定的な立場を取っているものではありません。

 やはり、所得を補償するということは、農業の根幹にあってもいいだろう。ただ、そのやり方についてどうするのか。例えば、今の農地面積全部にドイツ並みに二千三百円ずつ配ったとしても、一千三百億ぐらいですか、ちょっと御通告いただいていないので数字が間違っていたら申し訳ないですが、一千三百億ぐらいかかる。そして、鈴木教授ですかがおっしゃったように、三万円張るとすると三兆円かかるということであります。

 ですから、やり方をよほどうまくやらないといけないんだろうと思っています。条件不利なところもあれば、条件が十分整っているところもある。例えば、今回、水活を令和九年で見直すことにしまして、品目に着目して支援するということになると、今まで支援されていなかった畑地にも支援することになります。そこは、今まで支援がなくてもやっていけたところに金を出すのかという意見もないことはないです。

 ですから、やり方というものは、全くこのシステム自体、否定はいたしませんが、よほど日本の財政も横目で見ながら、効果のある仕組みを考えていくことが大変求められていくんだろうというふうに思っております。

黒岩委員 所得補償について、そういった柔軟なお考え方はうれしいんですが、私は、所得補償に限らず、これからの所得の向上策を聞いているんです。

 農水省、事務方も幾つか答えてくれましたけれども、大臣、お答えください。

江藤国務大臣 稼げる環境をつくることだと思っています。

 私が前回大臣だったときに、台風が来ました。千葉や茨城に視察に行きましたけれども、土地改良をしっかりやっているところは、同じニンジン畑でした、農道の右と左、片っ方は土地改良済み、無傷、片っ方は土地改良をやっていない、全滅という状況でした。泣いていました。ですから、農家の方々が御苦労して汗を流した分がしっかり収穫できるような基盤をつくるということがまずは基本だと思います。

 そして輸出も、総理の下で米も一生懸命やろうと今思っておりますが、それにはやはり基盤整備をしっかりして、新しく大きな機械も入れられる、コントラクターも利用できる、そういったものによって労働単価も下げていく、面積当たりの労働生産性も上げていくということによって所得向上を図っていくことが肝要であろうと思っております。

黒岩委員 今大臣がおっしゃったことというのは、今までもずっとやってきたことですよね。今までずっとやってきたことですよ、一個一個、間違いなく、一生懸命、農水省は。でも、その結果がこれなわけですから。そうすると、やはり抜本的なものとか新しい視点だとかということが求められると思います。

 そこで、最後に総理にお聞きしますけれども、先ほど申し上げた、ここまでの危機的状況ですよ。私は、どうも農家の皆さんも、何か農業というのは所得が上がらないねとずっと言われて、日本の常識、世界から見ればまさに非常識なんだけれども、そこにある意味抑え込まれて諦めてきた、そんなものかなと。ともすると、農水省の皆さんも、そんなものかと思って諦めてきた。私は、この意欲の改革度というのが大変劣っていることが重要な問題だと思っています。

 そこで、農水省の縦割りを除去するなんという矮小化した話じゃなくて、私は、国家プロジェクトが必要だと思っていますよ。だから、スマート化だとか遺伝子組み換えとか、よしあしは別にしていろいろなことが絡んでくるときに、当然、経産省も絡んでくるでしょう、科学技術を持っている文科省も絡んでくるでしょう。先ほどの所得補償だって、赤字国債を垂れ流すわけにはいかないでしょう。

 そうしたら、農水省の中だけで自分の予算を削るといったって、加減がありますよ。では、国家予算を全部見る中で、食と農は国の礎と考えたときに、どこをどう予算づけするのか。この判断をできるのは日本でたった一人です。それは総理大臣だけです。

 そういった意味で、総理大臣、この危機的、ともすると、もう危機的状況から衰滅的な状況になる、消滅的な状況になるような日本の農業を立て直すために、どうか、今申し上げた国家的なプロジェクトで挑む、このことを御判断いただけないでしょうか。お願いいたします。

石破内閣総理大臣 それは私も、当選してすぐ農林水産委員になって、ずっと手がけてまいりました。あれこれやってきましたが、状況は衰滅的というのか壊滅的というのか危機的というのか、そういう状況であることはよく承知をしております。

 正直申し上げて、高コスト構造は変わっていません。これをどうやって本気で取り組んでいくかということを考えたときに、機材、そういうものの共同使用というのはもっと考えていかなければなりません。いかにしてコストを下げるかということで、相当の余地がございます。

 先ほど来大臣がお答えしておりますように、世界で農地も減れば農業生産も減っているというのは日本ぐらいなものですから。品質の高い日本の農産物は間違いなく世界に売れるはずであって、輸出につきましては、大臣を中心に、これから先、全力で取り組んでまいります。そして、いかにしてコストを下げるか、いかにしてマーケットを広げていくかということについて、これは御党のお知恵もかりながら、最大限、できる限りのことをやってまいります。

 予算が必要であれば、それは国家全体のプロジェクトの中で必要な予算を増やしてまいりますが、所得補償について申し上げれば、誰に対して、いかなる理由で補償するかということをきちんと明確にしませんと、それは決して農業を強くすることにはならないと思っております。

 大臣もお答えしましたように、私自身も、所得補償というものについて、決して否定的な立場には立っておりません。そこでもう一度議論しなきゃいかぬのは、生産調整というものをどう考えるかというお話について、これは政治的な立場を離れて、徹底的に議論をさせていただきたいと思っております。

 先ほど来名前が挙がっております渡辺好明さん、私も長い間よく知っておりますので、彼がそういうことを唱えていると最近知りました。できれば参考人にでも呼んで、徹底的に議論したいなというふうに思っておるところでございます。

安住委員長 終わってください。

黒岩委員 済みません、伊東大臣、今日、地方創生まで聞けずに申し訳ありませんでした。石破大臣と、今後、農業政策を議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、早稲田ゆきさんから関連質疑の申出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 質問の機会をありがとうございます。

 それでは、午前の質疑に引き続き、私も高額療養費等について伺ってまいりたいと思います。

 まず、立憲民主党は、令和七年予算に対しまして、私たちは、省庁別審査、これをしっかりやった上で徹底的に無駄を洗い出し、そして三・八兆円の財源を確保して、その上で予算審議に臨ませていただいております。修正案も出させていただいております。そのことを前提に、以下、質問をしてまいるわけですけれども、高額療養費です。

 こちらにもありますとおり、今回突如、四回だけの審議会で出された結論といいますか、その案は、どなたにとっても大変な支出増になるということが分かりました。

 今、ここは段階的になっておりますけれども、まず今回は令和七年度、そのところでは一〇%の引上げ。これは総理が何回もおっしゃっているように、経済それから物価、こうした状況を見て、その上がり分でやらせていただくというようなこともおっしゃいましたけれども、そもそも、物価高騰であるならば、実質賃金は下がっているので、これこそ下げるべきではないかと私は思います。何でそれが理由になるのか全く理解ができません。

 そして、その上ででありますけれども、二十八日、先週金曜日、野田立憲民主党代表の質疑に対して総理もお答えになって、そのときには再検討というお言葉が出てまいりました。

 つまり、総理は、令和七年度八月からは十年間の物価変動を踏まえた定率の引上げをやるけれども、八年以降については、改めて、制度の在り方を皆さんと、患者団体の方ともお話ししながら考えていく、再検討した、そういうふうに述べられたと思います。

 その上で伺いたいのですが、そうしますと、その再検討の中身というのが、やはり私たちは知らないと、予算の審議でありますから大変重要だと思っています。

 この再検討の選択肢に、二年目、三年目の二段階、三段階、これは階段状で自己負担増になっているんですけれども、これがトータルでいえば縮減される、削減される、そういう可能性も視野に入れて再検討をなさるという意味でよろしいでしょうか。

福岡国務大臣 高額療養費の見直しにおきまして、令和八年度以降に実施いたします所得区分の細分化につきましては、総理も申されたとおり、一旦立ち止まり、新たに設ける多数回該当の判定基準を含め、本年秋までに、政府として、患者団体さんを含む関係者の御意見も十分承った上で、増大する高額医療費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、改めて方針を検討し、決定していただくということになっております。

 そういうことでございますので、その検討結果がどのようになるかというのは現時点で予断を持ってお答えすることはできません。

早稲田委員 正確にお答えいただきたいんです、これから考えるにしても。

 じゃ、今お見せした、例えば五百十万から六百五十万円の方、今八万百円ですけれども、これが十一万三千四百円になる。それから、年収七百万の方では十三万八千六百円、これは七三%の増加でありますから、大変厳しい増加なんです。

 でも、そういうものを縮減をする、自己負担を縮小していくということも当然ながら視野に入れてということですかと、視野ですから。何も決まっていることを聞いているのではなくて、そういうことも含めてお考えいただく、再検討をするということでよろしいか、そのことを端的に答えてください。

福岡国務大臣 患者団体さんを含む関係者の御意見も承った上で、改めて方針を検討し、決定するということになってございますので、その結果がどうなるかということについては現時点で予断を持ってお答えすることはできないということでございます。

早稲田委員 何回も同じ御答弁なので、次に参ります。

 それでは、令和八年そして九年、この三段階目の終了時に、自己負担増の総額、それからまた総額でいうと、国費の方は千百億円、それから総額では五千三百億円、これが削減の枠組みになるというふうに先ほども説明をされましたけれども。これも、国費については一千億円が半分になるとか、それからまた五千三百億円も九割とか八割、七割に減らされるとか、そういうこともいろいろ含めて、減らすことも考えて、選択肢としてこれを再検討していくという意味でよろしいかどうか、政府参考人にまず伺います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今大臣の方からもお話しいただきましたように、患者団体を含む関係者の御意見も十分承った上で、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から改めて検討しということでございますので、その検討結果がどのようになるか予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思っておりますが、高額療養費制度の見直しの再検討を行った結果として当初案より歳出削減額が変化した場合には、それは今後の予算編成過程の中で検討を行うものというふうに承知をしております。令和八年度以降の話でございますので、予算編成過程の中で議論していくということだと思っております。

早稲田委員 もう一度伺います。

 今、変化した場合にはというお話でございました。大臣、五千三百億円、これが減る可能性も、もちろん、患者団体の方、学会の方、皆さんとお話をして、そういうことも視野には入っているということでよろしいですか、減るということについて。

福岡国務大臣 再三答弁していますように、患者団体さんも含む方々に御意見を承った上で、改めて方針を検討し決定するということでございますから、現時点で方向性が定まっているものではございません。

 その上で、必要な予算が生じた場合は、予算編成過程の中で検討を行うということでございます。

早稲田委員 方向性が定まっていないというのはもちろん分かります、これから再検討だから。でも、視野に入れてということで、今、政府参考人は、そういう減った場合にはというふうにおっしゃったわけですから、そういうこともあり得ると私は理解をするわけですけれども、もちろん、皆さんとお話合いをして。そういうことでよろしいですね。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 私、先ほどの答弁の中で、歳出削減額が変更された場合とかいった場合に今後の予算編成過程の中で検討を行うものというふうにお話をさせていただきましたので、減るとかどうかということを予断を持ってお話をさせていただいたものではないというふうに御理解をいただければと思います。

福岡国務大臣 今局長が答弁したとおりでございまして、まさにこれから検討していただくということですので、そのことについては予断を持ってお答えできないということでございます。

早稲田委員 そうしますと、変更した場合ということをお答えになっておりますので、その増減も含めて、これ以上増ということは当然ながらないと思いますし、これを下げてください、自己負担を減らしてくださいと皆さんおっしゃっているわけですから、当然ながら、そこのところは減るという可能性もゼロではない。

 それからまた、もう一つ伺いたいのは、これだけではない、高額療養費の一千百億円ですね、この高額療養費以外にも医療費の削減ということがいろいろ挙がっておりますよね。例えば、OTC類似薬、それからまた、もう少し病気の軽度の方、その方たちの制度についてとか、そうしたことも当然含まれると思いますので、そうしたときにほかの財源が見つかれば、こちらを例えば半分にするとか、そういうことも視野に入ってくるというふうに私は理解いたしますが、それでよろしいでしょうか。

福岡国務大臣 それは、それぞれの制度がどうあるべきかということの中で議論されていくべきものと思います。

 その上で、高額療養費につきましては、これまでも、ほかの改革工程でいうと、医療DXの推進だったり、また長期収載品の薬の一部患者さんの自己負担の増だったり、そういった様々手当てすることについては着実に行った上で、今回、約十年間見直しが行われていなかった高額療養費を、物価、賃金等の状況に合わせて、そして次の世代にこの制度を維持するためにお願いをさせていただいているというものでございます。

早稲田委員 一つ一つ別とおっしゃいますけれども、全部医療費ということでやれば、当然ながらここから持ってきてもここから持ってきてもいいわけですから、それを一番リスクの高い難病の方それからがんの方で、長く患っている、治療費もかかるという方たちの負担を上げるということ自体が、やはり再検討してくださいという要望が高かったから、総理も再検討とおっしゃったと私は思うんですね。

 ですから、医療DXも、それから様々なそういう改革をできれば、ほかで財源ができれば、持ってこられれば、是非、これについては削減のこともあり得る、総額の高額療養費の五千三百億円、国費でいうと千百億円、これについても縮減ができると思いますけれども、総理、最後、このことについてお答えください。総理にお願いします。

石破内閣総理大臣 先ほど来お答えをしておるとおりでございますが、要は、高額療養費の制度そのものがどうすれば持続可能になるかということで考えておるところでございます。もちろん、ほかのところで削減して充てればいいではないかという御議論を私は決して全面的に否定をいたしませんが、そこにおいて生ずる財源というものが本当に安定的なものなのかということを考えていかなければなりません。

 私どもとして、この高額療養費制度というものがいかにすれば存続可能かということを考えていろいろと議論をさせていただき、御指摘も踏まえながら、これから先検討してまいりたいと思っておるところでございます。

早稲田委員 今、否定するものではないが、ほかの財源についてもとおっしゃいました。

 私たちは、三・八兆円の予算というもの、財源を確保しての議論でありますから、決して無責任なことを言っているのではありません。そして、この後質疑をされる藤岡議員も、厚生労働省の中のワクチン基金、これについても、これが財源としてできるのではないかという話もされます。こういうものを積み上げて私たちは三・八兆円ですから、是非これを考えていただくべきだと思います。そうでないと、本当に一番リスクの高い方たち、その方たちが本当に苦しい思いをこれ以上しなければならないということになります。

 そして、命に関わることでありまして、私がお話を伺いました大阪医科薬科大学総合医学研究センターの准教授、伊藤ゆり先生も、これはWHOの方で言っていることですけれども、とにかく、収入のうち、生活費を除いた分の四〇%を医療費が超えてくると、破滅的な支出と言われる。そして、まさにこれをそのままやったら破滅的支出にどの所得層の方もなるんですよ。

 これが一番の問題で、これが命に関わることなのに、今から再検討すること、例えばこれを減らすことも考えていただけますよねと言っても、全く決めていない、決めていないということでは、余りにも無責任ではないでしょうか。命に関わる最大のリスクのこれは政策ですから。そして、破滅的な支出ということにならないように、是非、私は、これを一旦凍結をするということを改めてここで申し上げます。

 その上で、予算の修正案、高額療養費二百億円の修正案を提出、そしてまた議員立法も出しております、立憲民主党。立憲民主党の提出者からこのことについて御説明いただきたいと思います。

中島委員 御質問ありがとうございます。

 高額療養費制度は、命に関わる重大な病気を抱えられた方々を経済的にお支えする極めて重要な制度であり、我が国の医療におけるセーフティーネットであり、最後のとりででございます。見直しに当たっては、命の問題であることを十分に認識し、慎重かつ丁寧に議論を尽くしていく必要があります。

 しかし、今回の政府の見直し案はそういった観点が完全に欠落しています。様々問題点はございますが、大きく二点。

 一点目は、引上げ幅の問題でございます。例えば年収七百万円の方であれば、これまで八万一千円の上限額の基準が、二年で三回の引上げによって十三万八千円、額にして五万八千五百円、率にして何と何と七三%の引上げとなっております。審議会では最大一五%と説明しており、審議委員のみならず国民の皆様を欺くような形で大幅な引上げを行う内容となっています。

 そして、二点目の問題点でございますが、この高額療養費の見直しは、昨年の骨太の方針、また八月の概算要求では明らかになっていなかったにもかかわらず、昨年十月の総選挙が終わった後の十一月二十一日、社会保障審議会医療保険部会ですね、突如として俎上に上げられ、たった四回の内容で決定をしてしまいました。この間、がん、難病患者さんなど当事者の意見を聞く場も持つこともなく決められ、明らかに手続に瑕疵があったと言わざるを得ません。

 内容にも手続にも明らかに妥当性を欠く見直しであることから、先ほど来、早稲田委員も御質問されておりますが、再検討とか一部凍結などと、中途半端なつけ焼き刃、びほう策、そのような対応ではなく、一旦全面凍結、そして丁寧な議論をやり直す必要があると、我々は予算を修正するものでございます。

 そして、改めて、高額療養費制度を利用する方々の家計、生活実態調査、分析、受療行動に与える影響等についても十分な調査、分析を基に、がん、難病等の当事者団体そして医学界など様々な関係者の意見を聞いた上で、社会環境の変化、疾病構造の変化、治療方針の変化に対応するために、制度の抜本見直し、制度設計の新たな見直しも含め、慎重かつ丁寧な議論が不可欠であると考えています。

 そういった意味でも、来年度予算案を修正をし、今年八月からの定率引上げも含め全面凍結、一年延期して丁寧な手続をやり直すことが必要だと我々は考えております。

早稲田委員 総理、今提出者の御説明を聞いていただいたと思いますけれども、まさに第四期がん対策基本計画の中には、誰一人取り残さないという文言を加えていただいたわけです。こんなことをしていたら、誰一人取り残さないどころか、本当に皆さんが取り残されるままになってしまいます。命をないがしろにするような政策変換を、こんなにも透明でない、その審議会のたった四回の中で決めてはならないと私は思います。

 今の提出者の御意見に対して、総理、もう一度、一旦凍結、七年度の定率引上げも含めて考えていただきたい、凍結をしていただきたいと思いますが、総理、お願いします。

石破内閣総理大臣 高額療養費は、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びております。患者負担が増えます以上に保険料負担が増えておるということも、早稲田委員御存じのとおりでございます。

 そうしますと、本当に大事な制度、命に関わる制度であるからこそ、この持続可能性というのは維持をしていかねばなりません。そして、現役の方々も数は減っていくわけでございます。いかにして保険料を抑制するかということも併せて考えていかねばなりません。

 私どもは、命をないがしろにするなどと、そのようなことは毛頭考えておりません。命が大事だと思うからこそ、この制度を存続させていかねばならないというものでございますし、この制度はこの制度として存続をしていくということを考えていかねばなりませんで、どこから財源があったからそのときにというような考え方ではなくて、これがこの制度として存続可能なものなのかということもきちんと検討していきたいと思っております。

 さらに、令和八年度以降に実施します所得区分の細分化につきましては、これはこの表現を使いますが、一旦立ち止まる。本年秋までに政府として、患者団体の皆様方を含みます、そういう方々の御意見を十分に承った上で、改めて決めていきたいと思っております。

 以上でございます。

早稲田委員 お考えは変わらないようですけれども、私たちは、このことについては、しっかりと患者団体の皆様の御意見も聞いていただいて、まだ変えられる余地があると思っています。

 何といいましても、支える現役世代が少なくなっている、もちろんですけれども、令和七年度だけでいえば月額七十五円の負担減になるということなんですね。七十五円です。三年間全てやっても、これが年額で三千百円、そして月でいえば二百五十円の負担減なんです。

 でも、これはやはり、自分たち現役世代も難病にかかるかもしれない、がんにかかるかもしれないという中でのリスクを保険で掛けるわけですから、決して現役世代の方たちも、このために自分たちの二百五十円を削れないというようなことはおっしゃらないと思うんですね。

 ですから、私は、そこのところもきちんとエビデンスをもっと積み上げて、そしてやっていただくことを強く要望いたします。一旦凍結ということを更に立憲民主党としては申し上げます。

 次の質問に移ります。

 先ほども議論がございましたが、介護従事者、それからまた保育そして障害福祉の現場で働く皆様の処遇改善法案ということを私たちは出しておりますし、修正案にも入れさせていただいております。これも、三・八兆円の財源を確保した上ででございます。介護従事者の処遇改善には二千九百六十六億円。このことにつきましては、さらに、この処遇改善。これだけ違うんですね、介護の職員の方たち二十六・四万円、全産業平均三十四万円ですから、もう六、七万円違う。訪問介護の方も、今回も更に大変な状況になっています。

 それで、私たちは、訪問介護の基本報酬引下げの緊急助成三百五十七億円、これも予算の修正案に計上しております。是非これをやらないと、とにかく人手不足が深刻でありまして、訪問介護もなくなっているところがたくさん、七百件以上ということは、皆さん報道で御存じのとおりであります。

 総理、鳥取の方も大丈夫でしょうか。訪問介護の事業所があと残り一つというようなところも鳥取県にはあるようであります。こうしますと、結局、そこの地域で自宅で見守りをする方がいなくなるということで、大変深刻な状況であります。

 これは是非行うべきではないかと思いますけれども、修正をして私は処遇改善を行っていただきたいと思いますが、大臣に伺います。

福岡国務大臣 介護全般についてそうですし、訪問介護につきましても、人手不足や燃料代等の高騰により大変厳しい状況にあるという認識はございます。

 その上で、御党の提出の案につきましては国会で御議論いただくことでございますが、厚生労働省といたしましては、令和六年度介護報酬で措置した処遇改善加算、これを更なる取得促進に向けて要件の弾力化を行いますとともに、先般の補正予算を通じて更なる賃上げに向けた支援を行うほか、経験年数が短いヘルパーさんへの同行支援の強化や、ヘルパーの常勤化への支援、そして重点支援地方交付金による燃料代等の支援など、地域の特性や事業規模等に応じたきめ細かい柔軟な対策に取り組んでいるところでございます。

 こうした効果をしっかり見極めながら、また更に必要な対策を取っていきたいと考えております。

早稲田委員 ずっと同じ答弁を大臣も繰り返されているんですけれども、補正予算では確かに少しありましたけれども、これは一時金ですから。これで何が改善するのかということなんです。

 それが、先ほどのグラフにもありましたとおり、六、七万円安いということを、私たちの修正案だってまだ足りないですよ、月額一万円ですから。年額で十二万円。でも、まずはやって、そして産業平均にもっと近づけるべく努力をしなければならないと思うんです。

 私、この間、公聴会で渡辺先生にこのことを伺いましたら、やはり、物価にきちんと見合うように、こうした公定価格、報酬の方たちの職種についても見ていくべきではないか、毎年毎年こうやって上げましょう、上げましょうと言っても上げられない状況が続いてはならないという御答弁もありました。

 是非これは考えていただきたい。いつも同じ御答弁ではなくて、是非処遇改善をやっていただきたい。

 それから、さらに、今度は障害福祉ですけれども、こちらの方の現場は更に深刻であります。もっと、有効求人、第一希望だと二十一倍、こんなに人がいらっしゃらないわけですね。ですから、私たちはこれも処遇改善をしなければならないと思っています。

 それでは、これについて修正案提出者にも伺いたいと思います。まず、介護と障害福祉、お願いいたします。

中島委員 御指摘の介護、障害福祉施設職員の方々においては、いわゆるベーシックサービスに関わる仕事をされている重労働であり、重い責任を負いながら働いているにもかかわらず、その賃金は全産業平均に比べて大変低い水準という現状にあります。

 こうした方々が不足し、介護などサービスが適切に提供されなくなってしまった場合、今働き手として社会を支えている方々が、離職をして自ら介護に当たらなければならなくなります。これは、働き手不足に深刻に悩む社会にとって大きな損失であります。

 こうした更なる働き手不足を防ぐため、立憲民主党といたしましては、改善の第一歩として、月額一万円の賃上げを実現することを御提案をさせていただいております。介護、障害福祉施設の職員の方々、一刻も早く、最低でも全産業平均に並ぶ賃金となるよう、継続的な処遇改善に取り組んでまいります。

早稲田委員 続きまして、保育士、幼稚園教諭につきましても、私たちは同様の、月額一万円、年額十二万円の処遇改善を出しています。

 これも、少しは上げる予算をつけていただきましたけれども、それでは到底足りないから申し上げているわけでありまして、こうした現役世代の、例えば高齢者の方を見ていただく、あるいは子供さんを見ていただく、そういうエッセンシャルワーカーの仕事をもっと、質も上げるけれども、賃金を上げなければ質も上がりません、残念ながら。

 そういう負のスパイラルに入ってしまっていることを改善するためには賃金を上げるということが大変重要でありまして、総理に伺いたいのですが、この保育士、幼稚園教諭について伺います。

石破内閣総理大臣 それは、更なる賃上げは実現をしたいと思っております。

 それと同時に、どなたかの御質問にお答えをいたしましたが、じゃ、人がいないのかといえば、そういうわけではない。潜在的な保育士さん、そういう方々は相当数いらっしゃるのですが、そういう方々に見合うような働き方というものは提示をされていないというところにも大きな問題があろうかと思っております。

 賃金の引上げとともに、働き方改革、もっと情報が公平に伝わるように、更に努力をしてまいりたいと思っております。

安住委員長 早稲田さん、間もなく時間が参ります。まとめてください。

早稲田委員 潜在的保育士さんとおっしゃいますが、そうなんです、多いです。でも、それは、賃金が上がっていない、この賃金では働けないという方が多いんです。

 ですから、私は、終わりますけれども、先ほどおっしゃった介護職員、保育、処遇改善に取り組んでまいりたいと自民党、公明党の皆様もおっしゃいましたので、是非、それは言行不一致ではなく、この修正案を私たちは……

安住委員長 終わってください。

早稲田委員 議員立法を可決させたいと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

 以上です。

安住委員長 この際、藤岡たかお君から関連質疑の申出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 まず冒頭、この予算委員会で修正案の審議がなされること、本当に意義深いことだと思っております。自民党の提出者、公明党の提出者、そして立憲民主党の提出者の皆様に、まず心から敬意を表しまして、その上で質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと順番を変えまして、与党の修正案についてお伺いをしたいと思います。

 令和七年度予算の修正案、これは一連のものでございますが、新規の国債を発行しない、国の借金を増やさない、こういう視点で作られるということでよろしいんでしょうか。

松本(洋)委員 この度の与党の予算修正案につきまして、所得税の基礎控除の特例の創設によりまして六千二百十億円の税収減が計上されており、財源が一対一の関係で定まっているわけではありませんけれども、財源に相当するものとして税外収入の増額や予備費の削減が行われており、これらの歳入歳出の増減の結果といたしまして公債金収入は減額をされまして、新規国債発行額の追加は行われておりません。

藤岡委員 その中で、所得税の減収があり、当然、地方交付税への定率繰入れが減るということで、地方交付税交付金が減額になる。当然、そのための措置というのを手当てをされていると思います。手当てをされているそのやり方につきまして、提出者からお答えをいただきたいと思います。

松本(洋)委員 今回の所得税の減収に伴いまして、交付税原資の減がございます。これにつきましては、地方団体に交付をする交付税の総額への影響が生じないよう、交付税特別会計借入金の償還額を減額することにより対応することとしております。

 令和七年度におきましては、既定の償還計画における償還額に、これまで償還を後年度に繰り延べてきたもののうち、令和六年度までの繰延べ分二・二兆円を加えた二・八兆円を償還することとしていたところであります。

 今回の交付税原資の減に伴いまして交付税特別会計借入金の償還を〇・二兆円減額するといたしましても、なお二兆円を前倒しして償還をすることになるものであり、地方財政の健全化が進むものと考えております。

藤岡委員 前倒しというか、元々それは先送りされてきたものでありますので、その点は、まず指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、今、重要な御答弁なんですけれども、交付税特会の借入金の償還の金額を減らしたという御答弁でございました。これは、特別会計の修正案をそのままなぞらせていただきたいと思うんですけれども、この与党の修正案で、交付税及び譲与税配付金の特別会計の借入金の、これはいわゆる一時借入金ですね、一時借入金を毎年毎年やっていって、返してやっているので、この一時借入金の金額につきまして、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金が二十五兆三千百二十二億円から二十五兆五千百七十八億円へ二千五十六億円分増えるという理解でよろしいですね。この修正案、そのままなぞらせていただいております。

大沢政府参考人 事実関係でございますので。御指摘のとおりかと思います。

藤岡委員 総務省の自治財政局長、御答弁ありがとうございます、修正案につきましても。

 これは、要するに借入金が増えているんですよね。先ほど私、国債の新規発行、国の借金というふうに申し上げたんですけれども、この予算修正に当たって国債発行はしないという印象は与えながらも、特別会計の方につけ替えて、結果として国の借金を増やしているじゃないですか。

 私たちが、総理、これは申し上げます、何かやろうとしますと、すぐよく恒久財源、安定財源ということを言われますけれども、この与党の修正案は、恒久財源はおろか、ワンショットの財源も見出されていないんじゃないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 私どもとして、そのような無責任なことはいたしておりません。それは、財源の恒久性というものは常に私どもは目指してきたところでございまして、ワンショットで今年だけしのげればいいなぞということは考えておりません。

藤岡委員 済みません、お答えになっていなくて、特別会計の一時借入金が増えているんです。そのまま、予算修正の予算書でございますから、増えているんです。増えているので、私は、これはワンショットの財源も見出されていませんねということを指摘をさせていただいているんです。

 これははっきり言って一時借入金ですから、二千五十六億円、後に繰り延べたら、これは短期の借入れですから、金利の負担もかかりますから、毎年、十二億円ぐらい、今、〇・六%平均の金利がですね、最後の公募の状況を見ますと。

 要するに、ワンショットの財源を見出されていないんじゃないんでしょうか、借入金が増えているんじゃないんでしょうか。総理、自民党総裁としての見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 済みません、必要であれば提出者からお答え申し上げますが、修正案全体として見れば、結果的に公債金収入は減少しておるということでございます。したがいまして、財源は確保した形になっておると考えております。

 その上で、与党といたしまして、八年度予算編成及び税制改正において、歳入歳出の両面の取組を通じて財源の確保について検討しておるものでございます。政府といたしましても、財源につきましては引き続き必要な検討を行ってまいります。

松本(洋)委員 今回の地方交付税交付金の減少でありますけれども、これは、元々、所得税の減収に伴って、法定分の減少を交付税においても行うということであるということがまず第一点だと考えております。また同時に、法定のそもそもの償還予定、計画に比べますと、今回二兆円前倒しをするということにさせていただいておりますので、そこはそういう形で整理をさせていただいていることだと考えております。

藤岡委員 それは答弁になっていないんですけれども。

 これは、要は、先送りをしているものを前倒しをされているということだけでございまして、少なくともこのワンショットの財源すらやはり見出されていないということは強く指摘をしたいと思いますし、一般会計で新規国債を発行しないと言いながら、これは特別会計の方につけ替えて、この一時借入金の借金を増やしているということは強く指摘をさせていただきたいと思います。これは押し問答でございますから、また次の方に移りたいと思います。

 では、続きまして、年収の壁対応、いわゆる百三万円の枠の引上げの話について質疑をさせていただきたいと思います。

 これは、当初、働き控えの対応だとか就業調整の対応とか、そういうふうに始まったというふうに私も見ておったんですけれども、もちろん、減税を全て否定するつもりはありませんし、減税できるならば、よいやり方で当然した方がいいというふうに思っております。

 しかし、今回の基礎控除の上乗せ特例という複雑怪奇な税制措置は、何か物価高対策の単なる定額減税のようにしか見えないんですけれども、これは何のために、誰のために、どういう目的で行ったんでしょうか。

後藤(茂)委員 百三万円の壁というのは、いわゆる百三万円の壁なので、百三万円の壁というのはいろいろな意味があります。それをトータルで検討いたしましたが、第一点としては、おっしゃったように、就業調整の壁になっている。もう一つは、百三万円という課税最低限が、物価調整を長らく行ってこないで、実質的に負担増になっているのではないか。それからもう一つは、手取りを増やすという意味で減税が必要だ。そういう三つの頭で整理をして、議論しております。

 基礎控除百三万円の引上げの目的、端的に御質問にお答えするとしますれば、政党間協議や国会質疑を踏まえまして、低所得者層の税負担に対して配慮する観点とか、あるいは、物価上昇に賃金上昇が追いつかないでいる状況で、中所得者層にも税負担を軽減する観点からということで改正をいたしております。

 具体的には、低所得者層の税負担に対して配慮する観点ということについては、給与収入二百万円相当以下の方に対して、基礎控除の特例として三十七万円の恒久的な上乗せを行うこととしています。また、物価上昇局面において、幅広い収入の方たちに税負担の家計負担が増加していることに鑑みて調整をする分については、二百万円相当超八百五十万円相当以下について、令和七年、八年の措置として、基礎控除の特例を上乗せ措置として講ずるというものでございます。

 また、目的ということに関係がございますのでもう一言申し上げれば、高所得者優遇とならないように、政府案と修正案を合わせて、それぞれの課税ブラケットの収入区分において減税額が平準化されるような、そういうような目的でいわゆる百三万円の壁の引上げは行っております。

藤岡委員 今、非常に長く、物すごい複雑なので、聞いていても本当にすごく分かりづらいというふうに思いました。

 その中で、物価高対策というなら、住民税非課税世帯は対象になりませんけれども、これはしようがないという判断なんですか。

後藤(茂)委員 住民税非課税世帯については、昨年の補正予算で三万円の給付金を行っているということもあります。それから、生産性の向上を通じた、経済の状況による給与所得の向上を通じて、全体としてしっかりと対応していくという方針で臨んでいるところでございます。

藤岡委員 要は、住民税非課税世帯は置き去りになっているということを指摘をさせていただきたいと思います。

 その中で、もう一点、先ほどの長かった御答弁の関係で、ちょっと一点確認させていただきたいんです。要は、目的が物価高対策ということだと思うんですけれども、それで働き控えというのがどうなっちゃったのかよく分からなかったんです。

 例えば、これはすごく、基礎控除を細分化したり、時限にしたり、恒久にしたり、非常に複雑になっているんですけれども、年収二百万円までは、与党修正案の恒久措置で、プラス三十七万で合計百六十万円の控除ということになりますよね。逆に、二百一万円になると、二年間は百五十三万ですけれども、二年間過ぎると百二十三万円になってしまって、結局、二百万円だと百六十万円控除。ところが、二百一万円ですと百二十三万円で、三十七万円も控除額が異なることになりますので、二百万と二百一万で手取りが当然逆転してくることが生じますけれども、これは新たな年収の大きな壁をつくられた、そういうことなんですか。

後藤(茂)委員 確かに委員御指摘のように、二百万円を超えたところで、二百一万の壁ということでいえば、三十七万円の控除の差がありますから、税率五%を掛ければ一万八千五百円の壁ができるのは事実でございます。

 この一万八千五百円をどう評価するかですけれども、必ずしも大きくないものと考えてはおりますけれども、もしそこに何らか壁が生じないような手当てを講じるとすれば、例えば消失控除のようなものを考えるとかいうこともありますが、それは制度を複雑にしていくこととのバランスだというふうに思っております。

藤岡委員 制度を複雑にしたから、要するに、新たな壁をつくったということをお認めになられたということだと思います。

 総理、ちょっとこれはお伺いしたいと思います。

 今回のこの複雑怪奇。給与所得控除を今新たな修正案で上乗せしたわけではない、政府のではそこを上乗せしていますけれども、基礎控除の所得区分の細分化、所得区分ごとに異なる控除の金額、二年時限と恒久化。本当に、ここまで来ると、二次元の平面や三次元の立体では表現できない、何か時を超えた、四次元にわたる複雑怪奇な税制案になっていると私は思います。

 公平、中立、簡素な税の基本原則から大きく逸脱をしていると思いますけれども、総理・総裁、石破総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 怪奇かどうかは別として、複雑であることは確かでございます。

 これをどうやって分かりやすく御理解いただくかということについては、私どもとしても更に努めてまいりたいと思いますが、公平公正ということを考えました場合に、二律背反とは申しませんが、制度が複雑になるということは、これは委員も長く行政にいらっしゃいましたから、御案内のとおりだと思っております。

 公平公正を目指すということと制度を簡素にするということをどうやって両立して分かりやすく説明をするかということは、今後、与党あるいは野党の御意見も承りながら、更に努力はいたしてまいります。

藤岡委員 本当に、このような案だったら、先ほど大西委員から声が上がりましたけれども、要は、二万円の定額減税のようになっているわけですね。さっさと二万円給付してやった方が早いんじゃないんですか、これだったら。私はそういうふうに本当に思いますけれども。

 減税すること自体、全て否定するものではありませんけれども、住民税非課税世帯には恩恵が行き渡りませんし、公平、中立、簡素を逸脱し、やはり不公平で複雑な、泥縄の生煮え減税になっているとしか私は思えないんです。総理、このままでいいんですか、本当にこの案で。

石破内閣総理大臣 私どもとして、この案で何とかいかせていただきたいなと思っておりますが、これを御理解いただくために、今の委員の御質問もあるのだろうと思っております。足らざるところは更に説明を尽くす努力をいたしてまいります。

藤岡委員 率直に、僭越でございますが、このような修正案を出されるというのは、政権担当能力が低下しているということをやはり指摘をせざるを得ないなということを私は思います。

 続きまして、財源、ワンショットの財源と同じく、基金の話をちょっとさせていただきたいと思います。

 まさに立憲民主党は、この基金の問題に取り組ませていただいて、城井先生を先頭に取り組んでまいりました。その中で、この基金について三年ルールという、要するに基金は、メリットももちろんありますけれども、一度計上されたら国会のチェックがなかなか働かなくて、ため込み過ぎちゃってそのまま行く可能性もあるという面で、デメリットが非常にあるわけでございます。

 その意味で、今後は、三年間、一体どのぐらい基金に必要なんだということをちゃんと見積もって、三年間分をちゃんとやって、その後は、成果を出して、それからまたやっていきましょう、これが令和五年の十二月に発表された話だと思います。

 ところが、それが問題なのは、既存基金、それまでに予算措置がされていたものに対して、これが適用されないで、そのままに来ているということが、そういう問題が今あると私は思っていまして、これを立憲民主党の提出者にお伺いをしたいというふうに思っております。

 この三年ルールを何とか既存基金にも適用して、そして、積み過ぎ基金というのを試算をしてこられたと思いますけれども、その金額、その思いについて、階ネクスト財務金融大臣からお答えいただきたいと思います。

階委員 藤岡委員の質問にお答えいたします。

 今委員がお示しになっている基金の積み過ぎ額、百一基金約七兆七千八百十二億円、非常に莫大な金額です。政府にも三年ルールで同じような金額を試算してもらいましたところ、合計すると、やはり八・一兆円になるということであります。

 今回、私どもの修正案三・八兆円のうち、この基金の積み過ぎを充てる分は二・七兆円ぐらいにとどまっております。しかし、残りの五兆円以上についても、やはり不断の見直しをしていく、令和八年度以降の財源としてやはり使わなくちゃいけない。

 先ほど藤岡委員の方から、今回の与党の修正案によって借金が増えているのではないかというお話がありました。今、金利のある世界です。〇・六%の金利が短期の金利でもかかります。長期の金利では、もう一%をはるかに上回っています。これだけの金額、八兆円という仮に基金の積み過ぎがあると、一%というだけで八百億円、これだけの年間の利払いが発生するわけです。

 こうしたことを食い止めていかなければ、我々の政策は実現できませんし、何よりも国民の貴重な税金が無駄になるということで、しっかり基金の見直しに努めてまいりたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。

 やはり、これは、与党、野党を問わず、ちゃんと検証して、本当に今国民の皆さんが困っている課題にワンショットでもいいから充てていくことも含めて、考えていった方がいいと思うんですね。

 公明党さんにお伺いしたいと思います。既存基金にこの三年ルールを適用して、公明党さんとしては、これは一体どのぐらい積み過ぎだろう、あるいは所要額は基金にどのぐらいあったらいいんだ、それはどのぐらいというふうに思われるでしょうか、お伺いしたいと思います。

山崎(正)委員 藤岡委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のいわゆる三年ルールが盛り込まれている基金の点検や見直しの横断的な方針は、先ほど委員からお話がありましたように、令和五年十二月に策定されたものというふうに承知しております。

 先ほど来委員からも御指摘があります、三年ルールを、その策定より前に措置された予算額に対して直接当てはめることは適切ではないかなというふうに公明党としても考えています。

 例えば、三年以上の期間を想定して既に予算措置、採択や交付決定等を行い、具体的に事業を進捗させているものもある中で、御指摘のように三年分の必要額を一律に切り出してお答えすることはなかなか難しいかなというふうに思います。

 その上で、これまでの国会でも政府から答弁があったとおり、基金については、毎年度の予算編成過程において、事業の必要性を精査した上で、必要となる金額を計上するとともに、いわゆる基金ルールの趣旨も踏まえ、足下の執行状況を踏まえた合理的な事業見込みを算定し、不用と見込まれる分は国庫返納を行わせるなど、不断の適正化が行われていかなければならないというふうに考えております。

藤岡委員 まさに、その不断の見直しが甘いし、緩いんだと思うんですね。

 この国会でも、本庄議員が取り上げたグローバル・スタートアップ・キャンパス構想の基金の話、そして、岡本議員が取り上げ、先日私も深掘りさせていただいたワクチン基金の話。例えば、状況が変わっていることに対して、一度基金を積むと、結局そのままためられてしまって、これは私はやはり役所の悪い面が出ていると思います。一度積んだものに対して、なかなか、状況の変化が来たときに、それを決断して一回戻して、じゃ、もしも必要なときはとかということができていないと思うんですね。

 また、先ほど、直接適用するなとおっしゃったんですけれども、個別の基金を、やはり確かに検証するのは、私も検証してみて、物すごいこれは大変だと思いました。でも、それを一個一個やはり検証して、本当にどうなんだということを私は見るべきだと思うんですね。

 これは自民党の提出者にも同じことをお伺いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本(洋)委員 この度の基金の見直しに関しての見解については、先ほど山崎提出者の方からお答えがあったとおりであります。

 今委員からの御指摘もあったように、そうした基金に対する不断の見直しというものもしっかりとやっていくことは、大変必要なことだと考えております。

藤岡委員 今、自民党の松本提出者から、不断の見直しが必要だということの御答弁がありました。

 総理、これは、城井議員からも一月三十一日以来、加藤財務大臣にも再三、この三年ルールを既存基金に適用したら、一体どのぐらいの基金に本来所要額が必要なんだ、それに対して積み過ぎと思われるのはどのぐらいなんだと。

 私たちは率直に、政府ほど情報はありません。したがって、一定の仮定を置いてやはり試算をするしかありません。一つ一つの基金の中身というのは、これはやはり政府の方でしっかり検証していただく必要があります。その中で、私たちも、本庄議員が取り上げたグローバル・スタートアップ・キャンパス構想を始め多くの基金に、私たちなりに深掘りをさせて、財源を見出す努力を必死にしてまいりました。

 総理、是非政府も、既存基金に対して三年ルールを適用し、もちろん機械的な適用じゃなくてもいいかもしれません、中身を見てもらってもいいです、既存基金に三年ルールを適用して、積み過ぎ基金についてしっかり検証をして、財源として見出すべきじゃないですか。総理の見解をお伺いします。

石破内閣総理大臣 御指摘は真摯に受け止めてまいります。

加藤国務大臣 そもそも三年ルール以前については、先ほど、ちょっと提案者からもお話がありましたけれども、三年以上の期間を想定して予算措置をしている基金もあって、三年という期間を前提とせずに、既に採択、交付決定等を行い、具体的に事業を進捗させているものもあるわけですから、一律に切り出すというのはなかなか難しいということ。

 それからあと、先ほど委員が支出見込額というお話をよく言うんですけれども、支出が一定程度分かるのであれば、これは当年度、それぞれの年度予算に計上すべきもので、そこがなかなか確定し得ないという中で、しかし、将来に向けていろいろな対応をしていかなきゃいけない、スピード感を持ってやっていかなきゃいけない、そういう中で基金というのはつくられている。

 そうした事情もしっかり踏まえながらも、ただ、おっしゃるように、やや異例の措置であることは間違いないわけで、単年度主義から考えればですね。ですから、予算編成というか、年度年度のときにおいてしっかり検証していくこと、そして、不用が見込めるものであれば、それは国庫に返納する。これまでもそうさせていただきましたし、これからもそういった形でしっかり見ていきたいというふうに思っています。

藤岡委員 今、私は支出見込みと多分この場では申し上げなかったと思うんですけれども、要するに、支出見込みも、新たな基金に対してはそれをちゃんと見込んでやっているわけじゃないですか。だから、既存基金に対しても同じように、個別の状況を見て検証してやりましょうよということを言っているんです。

 改めて、本当に、やはり政府の方、また与党の方、財源を見出す気合、思いが足りないんだなということを強く指摘をさせていただきたいということを思います。

 その上で、時間も限られてきまして、基金の個別基金の中で、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想というのがございました。これは、先日来、本庄議員から、事業が進まない要因として、昨年五月に新藤大臣がMITなどに訪問した折に、いわゆる伊藤穣一さんをめぐる過去の問題でMIT側から協力は困難と言われていて、なかなか事業が進まない。

 議事録の提出は、いつ出していただけるんでしょうか。

藤吉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の文書につきましては、海外大学とのやり取りのため、相手方のある文書でございまして、また、その中に第三者に関する言及等もありますので、相手方に当該文書について確認するなど、慎重に確認を行ってきたところでございます。

 現在、相手方からの連絡も踏まえて最終確認中でありまして、速やかに対応を進めたいと考えております。

安住委員長 藤岡君、まとめてください。

藤岡委員 もう三週間もたっていますので、明日にも提出を是非お願いをしたいと思います。

 最後に、まとめさせていただきます。

 今回、私、予算委員会の審議、安住委員長のリーダーシップの下、省庁別審査が導入され、圧倒的多数だった長期政権の影響で、まあ問題の予算が浮き彫りになった、基金の積み過ぎ、財政のひずみが浮き彫りになったことは、やはり非常に大きいと思います。

 そして、大先輩に敬称を略して恐縮ですけれども、私たちの立憲民主党にも厳しく御指導を賜って、本当に、その予算委員長のモデルが、今後もまた誰が委員長になっても継承されることを心から祈念いたしまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて後藤君、渡辺君、黒岩君、早稲田さん、藤岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村龍那でございます。

 今年に入って、総理とは初めての予算委員会での質疑となります。改めて真摯な議論をしてまいりたいと思います。

 その上で、まず初めに、我々日本維新の会は、この本予算の審議が始まった冒頭、幹事長から一つの質問をさせていただきました。日本の成長に必要な改革とは何か。現状をしっかりと分析して、そして、そこに対してしっかりと改革のアプローチをする。

 お手元にも資料があるかと思います。日本の成長を阻む二大要素、若者の負担増、そして圧倒的な少子化の進行。

 もう従前、いろいろな場所で議論されていると思いますが、我々の所得は、一般的には、税より社会保険料の負担の方が重いです。年収三百五十万円の単身世帯を例に挙げると、所得税は七万円、そして社会保険料の負担は年間五十万円と、圧倒的に社会保険料の負担が、若者の負担、現役世代の負担につながっている。ここをしっかりと改革していくために必要なのが、社会保険料を引き下げるための改革。

 そして、圧倒的な少子化の進行については、親の所得格差が子供の教育格差につながり、そしてそれが所得格差につながるという、この負のスパイラルをしっかりと改めていくためには教育の無償化が必要なんじゃないか、これを一月の段階で我が党から質疑させていただきました。その結果、我々日本維新の会は、三党合意という重い決断を受け入れました。

 総理、この日本の現状、そしてこの問題点、課題点をしっかりと洗い出すために、そして、それをしっかりと克服するために必要なのが、社会保険料の引下げと、加えて教育の無償化である、この意義についてどのようにお感じなのか、お答えください。

石破内閣総理大臣 恐らく、問題意識は委員と共有しておるのだと思っております。

 この根底にあるのは、とにかく少子化が物すごい勢いで進んでいるということでありまして、これに対する対応を考えていきません限り、一方において高齢化も進んでおるわけですから、ほっておけば若い世代の社会保険料の負担というものが物すごく増えていくというのは、これは子供が考えても分かる理屈でございます。

 一方において、医療にしても福祉にいたしましても、水準を低下させるということはあってはならないことでございまして、そこにおいて、言葉は選んで使わなければいけないのですけれども、本当に必要なものと、それに劣後するものというのは、分けて考えていかねばならないのだろうと思っております。

 そこにおいて、若い世代の負担を減らす、そして医療、福祉の水準を下げない、この難しい問題をどうやって解決するかという議論がずっと行われていると承知をいたしております。

 それから、教育無償化については、恐らく考え方は一緒でありまして、今日ずっと議論がありますとおり、お金がある世帯も無償化していいのかという議論はずっとございます。しかしながら、教育というものが社会全体のレベルを上げていく、お金がないということによって高いレベルの教育が受けられないということはあってはならないのと同時に、お金があるなしにかかわらず、教育というのは社会全体で負担すべきものだという、これは一つの価値観の問題だと思っておりまして、そのことについて我々は御党と考え方を一にするということで、今回協議を進めさせていただいておるところでございます。

金村委員 今、少子化に触れながら社会保険料や教育の無償化だったと記憶しています。

 やはり、少子化対策の根本には、若い人たちの所得を上げていく、使えるお金を増やす、手取りを増やす、この視点が最も重要で、その観点から、社会保険料を下げるというアプローチと、親の所得格差が子供の教育格差につながらないようにするための教育無償化であることを改めて御理解いただけていると思います。

 その上で、三党合意の中にある、いわゆる社会保障制度に関わる協議体について、少し質問をさせてください。

 我々日本維新の会は、社会保障制度改革、とりわけ医療制度に関わる部分は、医療品に係る非効率の是正、そして応能負担による不平等の是正、さらには既得権の排除、この三つがセンターピンであると。そして、その設計思想の背景には、やはり、軽症患者ほど病院に行かずに健康を回復させる、そして重症患者ほど、いわゆる高額医療制度のような保険機能の中でしっかりと安心、安全に医療にかかれる、私は、これが本来あるべき医療制度であると。

 こういった設計思想を背景にして、医療制度そのものの構造改革、医療サービス、さらには医療費の適正化、これが真っ正面から議論される場所が、今回、三党合意の先にある、自民党、公明党、そして我が党の、いわゆる社会保障制度に係る協議体で議論していかなければならないと思っているんですが、総理自身はこの協議体をどのような位置づけに置かれているのか、改めてお伺いさせてください。

石破内閣総理大臣 理解が不十分であったら御指摘をいただきたいのですが、医薬品には非効率な部分があるんだろうと思っております。そしてまた、不平等の根底にあるものは、応能負担というものが正面から議論されていないというところにあろうかと思います。既得権も、ないとは私は思っておりません。

 ただ、こういう話をしますと、既得権とは何だといってまたお叱りをいただきます。応能とは何だといってまたお叱りをいただくところであります。非効率なものなんかあるのかということでありますが、今までそれに触れずにずっと来たのですけれども、これにいよいよこの問題を正面から議論しなければならない、そういうような時期に差しかかっていると思います。そうしないと制度自体がもちませんので。

 ですから、これから先、三党において設置されます新たな協議体というのは、そういう問題に正面から切り込んでいかねばならない。そういう意識を共有する三党であればこそ、その場その場でいい顔をしていても仕方がないので、応能負担とは何ですか、非効率とは何ですか、既得権とは何ですかということについて、私どもは正面から議論する、そういう協議体であっていただきたいと思っておりますし、政府としても、必要な情報提供はさせていただきたいと考えております。

金村委員 我々の問題意識をしっかり共有し、そして、その定義すらそこで議論をしていくという答弁であったと思います。

 この協議体の価値は、今総理が言っていただいたように、構造改革、そして適正化に向けた土台だと思います。しかし、それだけ価値をつけても、しっかりと議論を継続していかなければ、この協議体が絵に描いた餅になってしまう。

 そういう意味では、この協議体、まず、いつ立ち上げをしようとするのか、そしてスケジュール感、どのようなイメージをお持ちなのかお答えください。

石破内閣総理大臣 これは問題意識を共有します以上は、この協議体の発足は早ければ早い方がいいと思っております。これはまた、来年度の予算編成あるいは税制改正、その前に骨太の方針の提示というものがございますが、そういうものにきちんと間に合うようにこの三党の協議体というのは発足をし、議論を開始していただく。

 議論というのは、するためにあるんじゃないので、結論を成すためにありますので、そこにおいて濃密な議論と適切な結論が出ますように、私どもとしても、できる限りの協力というか情報提供はいたしてまいります。

金村委員 率直に、前向きな答弁をいただけたと思います。

 いわゆる三党、政党間協議ですので、しっかり、政党の役割を担った者が真摯に、そして前向きに議論をしていく必要があると思います。

 その上で一点、先ほど、医療制度に係るいわゆる背景、設計思想のところで、我々は、軽症患者ほど医療機関を利用せずに健康を回復することができる、そういう環境を整えていくことがまず入口として医療控えから医療費の抑制につながる、そして、重症患者ほど、保険制度ですから、保険制度の範疇の中でセーフティーネットを構築していく。本来、この設計思想があって、そこから高額医療制度がどうあるべきかという議論をされるべきで、確かに、今の医療制度を前提として、延長線上に描いていくと、高額医療制度の負担を上げて、でも全体の負担は下がるんだよという説明に至ると思うんですね。つまり、今回の高額療養制度の自己負担引上げは、もはやこの医療制度や保険機能が立ち行かなくなっている何よりのあかしだと考えています。

 だからこそ、我々日本維新の会は、いわゆる医療費全体を抑制していけるような新たな医療制度の思想を、しっかりと国民と向き合いながら、そして理解をいただいて、次のステージへと進まなければならないと思っています。

 その上で、今回の高額療養費自己負担引上げについて、一点お伺いをさせてください。

 政府はこれまで二度にわたり修正をされてきたと理解しています。その中でポイントとなるのが、多数回該当に当てはまらない長期療養者。今回新たに設ける多数回該当の判定基準についてお答えいただけますか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 従来の政府案では、高額療養費制度の見直しにつきましては、令和八年度以降に所得区分の細分化を実施する場合には、現在の所得区分の中で収入が高い方は負担額が引き上げられるということになっておりました。その場合、これまでであれば多数回該当に当てはまっていたであろう所得水準の方が、上限額が引き上がることによって多数回該当に当たらなくなる場合がある、そういったようなことで、施行前後で大きな差があるといった御指摘があったところでございます。

 こうした指摘にも対応し、今回、細分化による限度額の引上げに伴い多数回該当から外れることがないよう、細分化する前の基準に据え置くこととする多数回該当の判定基準を設けるという御提案をさせていただいております。

 ただ、この点も含めて、令和八年度以降に実施する所得区分の細分化については一旦立ち止まり、本年秋までに、政府として、患者団体を含む関係者の御意見も十分承った上で、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うか、こういった観点から改めて方針を検討して決定することとしたい、このように考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 ちょっと更に少し踏み込んでお伺いしたいんですけれども、判定基準を検討するという答弁だったと思うんですが、これは構成を分析すると、既に論点が幾つかあって、その論点を明確にした上で具体的な制度設計を行うということになると思うんですけれども、現時点で政府が考え得る論点について明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今回の私どもの修正案もそうですし、今回の見直しの提案もそうですけれども、やはり一番のポイントは、長期療養者の方に対しての負担をどうするかというところかと思っております。そういった観点から、まず、修正案では、長期療養者の方々について、負担上限額を同じような形で、要するに改正前と同じような形にし、また、今回も、先ほど言ったようないろいろな御指摘もあったので、それを更に推し進めるような形で見直しをさせていただいたということでございます。その辺が今回やはりポイントかなと思っております。

金村委員 私は、今回政府が高額療養費の自己負担引上げを決断した背景には、これまでの制度設計を基にしていれば、高額療養費で自己負担が上がっても日頃の負担は下がっていくんだという思いでやられたということは理解しています。しかし、保険機能である以上は、これだけ若い人たちに負担が偏っている今、一生懸命働いて所得を得て暮らしを賄っている人たちが、ある日突然大きな病にかかり、そして通院を余儀なくされたときに、自己負担が上がるということは、やはり、今の若い人たちにとってはなかなか納得がいかないというのもこれまた当然だと思うんですね。

 そういう意味では、根にある医療制度や医療サービスとの国民の向き合い方、医療サービスとはこういうものなんだ、医療制度とはこういうものなんだというのを再定義していくことがこの課題の克服への最も近道であると私は感じておりますので、是非、協議体の中でしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 そして、次に選挙制度改革についてお伺いをさせていただきます。

 総理御自身、総理に就任される前は、いわゆる中選挙区連記制という選挙制度について御関心があられたと私の中では認識しております。

 そもそも、この選挙制度を語る上で最も大切なのは、やはり日本のガバナンスですね。私は以前、岸田総理のときにも政治改革の議論のときに総理にお伺いしたんですが、自民党の総裁には参議院の議員会長の人事権がない、参議院は参議院のいわゆる選挙で選ばれている、つまり人事権が及んでいないんですね。

 さらに、憲法五十九条の二項を見ていただくと、いわゆる衆議院の優越について規定があります。衆議院で議決をし、参議院に行って参議院が異なった議決をした場合、衆議院に差し戻され、そして衆議院で出席議員の三分の二を超えると再議決となる。これは物すごくハードルが高いなと思っているんですね。

 つまり、予算が伴う、本予算の審議とかは、衆議院側で通過すると自然成立するので、あたかも衆議院側に大きな優越があると誤解していますが、実際には参議院側の方が強い権限を持ってしまっている。九三年、そして二〇〇九年、衆議院における政権交代が起きたときも、その前段階で参議院におけるねじれが起きています。そういう意味では、この五十九条の二項にあるように、日本のガバナンスは、二院制を使っていますから、このガバナンスが非常に不安定なんじゃないかというのが、まずそもそもの私の問題、課題意識です。

 その上で、では、どういう選挙制度で選ばれた政治家が議会を構成し、そして審議をし、法律を作っていくのかと考えたときに、今の日本の小選挙区比例代表並立制は、余りにも私は過度にいろいろな意見を取り入れなければならない選挙制度に至っているなと思っています。

 これは私の視点ですから御理解いただけるかどうか分かりませんが、衆議院の小選挙区比例代表並立制は、いわゆる民意の集約と民意の反映を同時に進行した制度だと思っています。先ほど言ったとおり、国会には衆議院と参議院が存在をして、そして、一見すると衆議院に非常に権限があるように見えるけれども、蓋を開けてみれば、参議院側に非常に強い権限が残っている。そういう中で、衆議院だけが集約と反映をしてしまうと、やはりガバナンス上、不安定になっていくんじゃないかと理解をしています。

 その上で、今、議長の下に衆議院の選挙制度に関する協議会が立ち上がり、既に二回協議をされています。私もその協議のメンバーです。

 まず初めに、この選挙制度についてどのような御持論がおありなのか、御披露いただければと思います。

石破内閣総理大臣 私も、衆議院選挙を十三回やってきました。中選挙区で三回、小選挙区で十回選挙をやらせていただきましたが、これがベストだという選挙制度はないねということは、もうよくよく分かりました。

 どちらがベターなのかということは、私は、ユーザーフレンドリーというんでしょうか、有権者の意思と余り違う選挙制度をつくってはいかぬのだと思っております。

 自分の反省を込めて申し上げれば、中選挙区から小選挙区比例代表並立制に変えるときに、選ばれる我々の側の理屈がどうも優先してしまったのではないかなという反省は持っております。

 あのときにこんな議論がありました。中選挙区がなぜすばらしいかというと、まず自由民主党というのを選んで、その中から、ABCでも甲乙丙でもいいのですが、誰を選ぶか。党を選んで、その上で人も選べる、こんなにすばらしい制度がどこにあるんだという議論を私は昨日のように覚えておりますが、そのようなことをやると、同じ自民党の候補者でありながら、私は自民党だけれども消費税には反対とか、私は自民党であるが憲法改正には反対とか、そういうものを許容してしまうので、これはまずいのではないかという話がありました。この点はもっと詰めたい、詰めていくべきではないかと思います。

 そして、衆議院と参議院がほとんど同じ選挙制度を取っております。これは本当にいいのだろうかということについて、突き詰めた議論というものをまだいたしておりません。これも、国民主権の考え方の下に、何が国民の意思に最もかなうものであるか。衆議院と参議院がほとんど同じ選挙制度ということになると、下手をすると一年半に一回国政選挙をやっておることになります。そのことの意味は一体何なんだということは、党利党略を離れて議論したいというふうに私は一議員として考えておるところでございます。

金村委員 何か、総理の本音が聞けて、非常に僕は今の答弁はうれしかったんですけれども。

 やはり、少数与党の国会運営、少数与党だからこそ、国会改革はもちろん前に進むんだと思います。

 しかし一方で、やはり政治家は、一票を投じていただいて、その一票を背に国民の声を届ける、そして一方で、困難な道のりにある人たちの声をすくい、しっかりと日本の成長につなげていくという視点に立てば、やはり選挙制度が根にあり、そして一方で、衆議院と参議院が、今総理がおっしゃったとおり、同じような選挙制度で、そして、しかし一方で、ガバナンス上、参議院に強い権限が残ってしまっている。やはりここは、ガバナンス上も、そして政治家自身がよって立つ上でも、選挙制度改革を前に進めるべき。少なくとも、この小選挙区制度がどうであったのか、一方で、あるべき選挙制度がどうなのか。

 私がそれこそ勉強して学んだうちのものの一つとして、たしか、選挙制度が変わった九三年以降、各党がそれぞれ自分たちのふさわしいと思う選挙制度を闘わせて、そして最終的に、細川政権が誕生し、細川総理と当時の河野総裁が合意をして、九六年から今の選挙制度がスタートしたと記憶しています。

 そういう意味では、今こそ選挙制度に正面から向き合う、そういう時期に差しかかっていると思うんですが、総理、もう一度答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 それは、そういう御認識で結構でございます。

 ただ、小選挙区であれ、中選挙区制であれ、有権者の意向というものを常にきちんと把握をするという努力は、どちらも変わるものだとは思っておりません。

 ただ、衆議院の優越は、参議院で否決されました場合に衆議院に戻して三分の二の再議決というのは、私は防衛大臣のときに一回やったことがあります。テロ特措法によるインド洋への派遣の延長というのは、参議院で否決されましたので、衆議院に戻して再議決ということをいたしましたが、それはたまたま与党で三分の二を持っておったからできたことであって、そういうことが常態だとは思っておりません。そうすると、参議院の優越というものは、その三分の二ということのハードルを前提として考えるべきなのか。

 衆議院は権力をつくる議院であり、参議院は権力をチェックする院であるということを更に実効性を持たせるために、もちろん参議院の独自の御判断ではありますが、更なる議論は必要だと思っております。衆議院と参議院が本当に同じような役割、同じような選挙制度というのは、国家にとって必ずしも有益だとは私は思っておりません。

金村委員 ありがとうございます。

 私の問題意識とほぼ共有しておりまして、やはり衆参の役割を明確にすることで、より国民の声が届き、さらに、その声をしっかりと推進する力になっていく、そういうガバナンスの在り方こそがこれからの時代にふさわしいと思います。

 いわゆる選挙制度が変わった九〇年代前半、いわゆるアメリカと当時のソ連の冷戦が終わり、ベルリンの壁が崩壊し、そういった環境の中で日本も新しい姿をつくらなければならないというものの一つが、私は、選挙制度であり、そして二大政党制であり、政権交代であったと思います。

 しかし、先日行われたアメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談、あれを見て、新たな地平線に世界の政治が動くんじゃないか、これまでどおりの日本社会、経済、政治体制の中で、同じような日本のポジションが取れ、そして成長に邁進できるとは限らない。つまり、新しい時代がまさに始まろうとしている中で、この国会でしっかりと選挙制度も含めて議論をしていけることを切にお願い申し上げ、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、三木圭恵さんから関連質疑の申出があります。金村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三木圭恵さん。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 本日は、質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、もめにもめた松本参考人招致の、理事会での、参考人招致での聞き取りを終えて、石破総理に質問をさせていただきたいと思います。

 二月二十七日に予算委員会で松本淳一郎さんに対する参考人質疑を行いました。私の松本さんとお会いした率直な受け止め、感想は、非常に穏やかで真面目そうな方というのが第一印象でした。

 聞き取りの中で、今まで解明されてこなかったことが、新たに疑問点などが浮かび上がってきたというふうに思っております。

 まず、還流に至った経緯では、既にパーティー券をもう販売しちゃっていて苦しいということを七月にある議員から具体的な話を聞いて、八月の派閥の幹部会で還流やむなしとなったとの証言がございました。その中で、そのある議員というのは誰ですかという問いに対して、松本さんは、名前は言えないけれども、現職の方ではないというふうなお答えをされました。

 朝日新聞の報道では、東京地検の取調べの中で、このある議員というのは、現職じゃない、下村さんじゃないかということが書かれておりました。東京地検の取調べの中でそういうふうな発言があったということです。

 今、現職ではない議員の方というと二人に絞られてくると思うんですけれども、これは報道が正しいのかどうか確かめるべきだと思うんですが、自民党総裁として、石破総理、どう思われますか。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

石破内閣総理大臣 それは、報道は正しいこともあれば間違っていることもあるので、私がここでどちらだと言うことはできません。

 ただ、この問題について真実が解明されるというのは極めて、我が党のみならず、政治の信頼にとって大事なことだと思っております。

 先般、参考人に対する質疑が行われたわけでありますが、今後まだなお、三木委員がおっしゃるような疑念、疑問、そういうものがあったとすれば、また国会の御判断があるのだと思っております。我が党としては、それは国会の御判断というのか、真実が明らかになるために、我が党として可能な協力はしていかねばならないと思っております。

三木委員 自民党として、可能な限り協力をしていくという御答弁だったと思います。本当に、やはりこれは与野党の枠を超えて、政治家が不信を抱かれているわけですから、これは自民党の方にも責任を持ってこの真相を究明していただきたいなというふうに思います。

 そのお二人に絞られるというだけではなくて、松本さんは、自分が会計責任者になったときは既にこういった仕組みであり、前任者から引継ぎを受けたというふうにおっしゃっておられました。また、その前任者も、この不記載の還流がいつから始まったのか分からないというふうにおっしゃっていたということでした。

 一体いつからこの不正な還流を行い、政治資金収支報告書に不記載の金額がどれほどあったのか、また、そのお金の使い道など、これも明らかにしなければ、この問題は終わらないと思います。この点も、自民党総裁として、やはり自民党にも協力をいただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

石破内閣総理大臣 我が党としても必要な調査は進めてきたところでございます。調査の結果といたしまして、清和政策研究会においては、還付金、これを収支報告書に記載しない取扱い、これが遅くとも十数年前から行われておった可能性が高い、場合によっては二十年以上前から行われていたということもうかがわれるということが判明をいたしておるところでございます。

 還付金等の使途につきましては、そもそも全然使わなかったという人も相当数いたというのは午前中の答弁で申し上げたところでございますが、それを何に使ったかというのは、会合費、研修会、人件費、交通費、書籍代等々ということであることが判明をいたしております。国民の皆様方にそのようなことを御説明をいたしてまいりました。

 今後とも、なお必要であれば、我が党としても調査はいたしますし、そしてまた、国会における御議決、御要請というものがあれば、私どもとしても、これはきちんとそれに応じる責任もあろうかと思っております。

 ただ、事実関係がまだ不明の点がございますので、予断を持って断定をすることはいたしません。

三木委員 今、石破総理がおっしゃった不記載になった分のお金の使い道というのは、人件費であったり交通費であったりということなんですけれども、それだったら、別に不記載にする必要はないんですよね。別に、ちゃんと記載して、収支報告書の中からちゃんと出せばいいことであって、なぜそれを不記載にしなければならなかったかという点が明らかになっていないので、そこをちゃんとやはり明らかにしていかないと、なぜ不記載にしたのか、その使い道は何だったのかということをきっちりと真相究明していくべきだというふうに思います。これは要望として、今後、予算委員会の中で、やはりきっちりと詰めていかないといけないところだというふうに考えています。

 私は、松本参考人というのは、話を聞いている中で、私がそんな指示をする権限はとにかくないんですよ、事務局長ですから、会計処理についても、こちらからああしろこうしろとか、そんな尊大なことは、もちろん申し上げられませんというふうにおっしゃっていたんですね。でも、自分は会計責任者で、この収支報告書の代表だから、こういうふうな罪、つまり、禁錮三年、執行猶予五年というような重い刑罰を受けても仕方がないのだというような発言をされておりました。

 私は、やはり、これは非常に政治家として、まあ、いたたまれないというか、政治家の指示があって、恐らく松本さんは事務局長としてこういった処理を行ったのだろう、今までそういうふうな処理を行ってきたのだ、指示をしたということはないと。当然、事務局長が、私たちの常識から考えれば、衆議院議員や参議院議員に指示をするというようなことはあり得ませんから、そういったことを考えると、誰かの罪をかぶって、一人で罪をかぶって松本さんが刑罰を受けたというふうに私は感じますけれども、総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、そういう推測は成り立つんだろうと思っております。かつて、ロッキード事件のときもリクルート事件のときも、そういう事務的な責任を負う立場の方が自ら命を絶たれたりという、いろいろなことを私は間近で見てまいりました。そういうことが私はあってはならないと思っております。

 あわせまして、どういうふうな意思決定がなされたかというのは、その場にいた者でなければ分かりませんので、推測で物を言うことは控えたいと思っております。

 ただ、事務局長なる者が、名前が事務局長であったとしても、それは清和政策研究会に限らず、どの政策集団もそうだと思いますが、事務局長がそんな権限を持っておるはずはございません。そこにおいて、いろいろな意思決定がなされるわけですが、誰かがこうしなさいと指示をしたのか、何となく雰囲気でそういうふうに決まっていったことなのか、そこは分かりません。分からないことについて、私が総裁として物を申し上げるべきだとは思いませんが、いずれにいたしましても、真相というものが解明されるということは必要でございまして、我が党としても、信頼回復のために、我が党の名誉に懸けましても、そこは必要な協力はしていかねばならないと思っております。

三木委員 松本さんの参考人招致のときには、やはり今は一般人になられているからということで、自民党の方々は反対をされました、参考人招致の決議に関して。

 じゃ、今回は、石破総理は、今、石破総裁としてお答えいただいたと思うんですけれども、自民党はできる限りの協力をするというふうにおっしゃったので、これは参考人招致に賛成していただけますか。

石破内閣総理大臣 それは党として決めることでございますから、党のしかるべき機関ともよく相談をしながら決していかねばならないと思っております。私がここで断定的なことは、申し上げることはいたしません。

 ただ、我が党として、真相の解明に後ろ向きであるというような判断が国民の皆様方になされることは、我が党のためにもなりませんし、日本の政治のためにもなりません。いかにして真相の究明というものに我が党として協力できるか、そして、国会の議決というものが重いものであるということは承知をいたしております。

 しかしながら、我が党も組織政党でございますから、意思決定におきましては、しかるべき立場の者とよく協議はいたしたいと思っております。

三木委員 参考人招致に関しましても、石破総理は、党の中で、組織の中で、きっちりとそういったことを言及して、主張していただけるというふうに私は受け取りましたので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 次に、いわゆる外免切替え手続と、その制度についてお伺いします。

 まず、日本の免許がない外国人が日本で自動車を運転するためには、ジュネーブ条約を締結している国同士は、国際運転免許証、これが日本に上陸後一年間発行されます。これがパネルの一番上のものですね、国際運転免許証、グレーの紙の、ちょっとノートみたいな形になっているものです。

 二番目に、外国の運転免許証に日本語の翻訳文を添付して運転するというのは、日本と二国間で取決めのある、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾の方は、日本に上陸して一年間、自国の運転免許証に日本語による翻訳文が添付されたものを所持することで、日本の国内で車の運転ができます。

 ここまでは普通の手続で、外国の方が日本で車を運転するという手続になりますけれども、このジュネーブ条約を締結していない国、そして二国間の協議をしていない国という、ほかの国々が日本で車を運転しようとすればどういう形があるかというと、これはもう日本の免許を取ってもらうしかないということになるんですね。

 免許を外国で、母国で運転免許を持っていない方というのは、日本で一から学科、筆記試験も一から、技能試験も一から教習所に通って取っていただく、そういった形になると思います。

 問題は、外国で、母国で運転免許を持っている、三か月以上その外国に在籍していた、住んでいた人が日本で免許を取る際の免許というのが、筆記試験が物すごい簡単なんですね。十問中七問正解したら筆記試験に合格します。だから、九〇%ぐらいの人が受けに行ったら筆記試験に合格するんです。二択で物すごい簡単な筆記試験が行われています。それから、実地試験、技能試験、こういったものもある。これはいいんですけれども、筆記試験の簡単さとか、例えば、観光客の中でも、住民票を持っていない方は、住所がホテルでも大丈夫、運転免許証が取れるというんですね。

 様々問題があると思うんですけれども、この制度に関して、立憲の大西さんも質問をされておりました。

 私はやはり、一番問題なのは、この免許証の形状。これは、外国人の方も、例えば、日本に在住していて、日本に住民票を持って生活しているという方ならまだしも、短期間しか日本に滞在しない外国人でも、日本人と同じ材質、形状、見た目の全く同じ免許証を与えてしまうということが、私はちょっと信じられない行動だなというふうに思います。

 我々日本人は、皆さんそうだと思うんですけれども、運転免許証を身分証明書代わりに使っていますよね。それだけやはり顔写真、住所、そして生年月日、そういったものが入ったものが、身分証明書として運転免許証を使っているんですけれども、それだけ信用度の高いものとして我々日本人が使っているものを、住所の中にホテルの名前が入っていたりとか、そういった、外国人の方がそこに住んでいないにもかかわらず日本人と同じ形状の運転免許証を取得すればどういったことになるのかという、日本の運転免許証の信頼度が一気に下がってしまうという問題点が私はあると思っています。

 もう一つ問題なのは、日本の運転免許証を持っていれば、日本で国際運転免許証に切り替えられるんですよ。だから、日本でこうやって簡単に免許を取得してしまったら、ジュネーブ条約に定められた国に行って運転できるということになるんですよね。

 私たちは、やはり、日本の国は、このジュネーブ条約に定められた国、条約を締結した国が一番信頼度が高いというふうに思っています。その次に、外国の運転免許証に日本語の翻訳文を添付して運転するスイスや台湾の国の信頼度が高い。水準としても、運転免許の、運転の水準が日本と同じ国たちというふうにこの一番、二番は定めているわけですね。

 そうじゃない国々の方々が日本で簡単に運転免許を取り、そして、更に問題なのは、ジュネーブ条約で非常に高い水準だと言われている交通規制の、我々と同じ水準だと言われているところと同じ国際運転免許証が取れてしまうというこの仕組み自体が私は非常に危険なものじゃないかなと思うんですけれども、国家公安委員長の御所見をお伺いします。

坂井国務大臣 実は、先ほどのお話にもありましたように、今国会におきましても外免切替えの問題点は御指摘をいただいているところでございまして、今委員が御指摘の点も含め、課題であると認識をいたしておりまして、今必要な検討を行っているところでございます。

 海外におきましても日本の外免切替え制度と同様の制度があることから、この検討に当たっては、我が国の制度を見直した場合に、日本人の海外での外免切替えにも影響を生じるおそれがあるということなども考慮する必要がございます。

 そこで、警察では現在、海外の外免切替え制度について調査を進めているところでございまして、既に十五の国と、場合によっては各州ごとに免許を出しているところがありますので、その州宛てに今照会をかけているところでございまして、こういった調査結果を踏まえ、外免切替え制度の在り方について制度と運用の両面から検討を進めることといたしております。

三木委員 制度の検討、再検討を進めているということですので、免許を日本で取得するにはやはり一からちゃんと日本人と同じように免許を取っていただくことが必要なのかなというふうに思いますので、私はそういう議論が必要だと思いますので、これは要望で伝えさせていただきます。

 是非、きっちりとした、日本の信頼が損なわれないような、そして日本人の持っている運転免許証の信頼度が低くならないような、そういった制度に改変をしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、高額療養費の件についてお伺いをしたいと思います。

 私は、個人的に、今回の高額療養費というのは一年間凍結すべきじゃないかなというふうに思っています。いろいろな問題点がやはりあって、この予算委員会の中でも様々な質問が出て、様々な御意見がありました。やはり、熟議の国会ということであれば、一年間凍結していただくのがいいのかなというふうに思います。

 私は、ちょっと違う視点から高額療養費の件についてお伺いをしたいと思っています。

 日本の高額療養費制度というのは、日本が誇る、日本人のための、いざというときに頼れる保険制度ということで、多くの方が高額医療が受けられないということがないように担保する制度だと承知をしています。

 そこで、私は、外国人の医療保険制度適用について質問させていただきたいと思います。

 まず、二〇一二年の入管法、住民基本台帳法の改定と外国人登録制度の廃止により、一年以上の在留資格を有することが条件となっていた国保加入が三か月に短縮されました。

 もちろん、国保を支える一員となっていただいて病気やけがなどに保険を使うのは当然のことと思いますが、真面目に日本で働いたり学んだりしている外国人の方も治療を受ける権利があるのは当然のことなんですけれども、二〇一七年から一八年にかけて、ネットの中で、医療保険をただ乗りして、高額療養費を不正に使用しているのではないかとの記事が見られるようになりました。

 協会けんぽに加入して、母国にいる家族まで加入させ、高額療養費を使用して治療を行う留学ビザを利用した不正、国保を使う経営・管理ビザを利用した不正等々の問題が提起され、国は二〇一九年一月から、厚生労働省と法務省で連携して、在留資格の本来活動がなされているかいないか、不正である可能性があれば出入国在留管理局に通知する仕組みを実施していると承知しています。

 これは、在留外国人の国民健康保険適用の不適正事案に関する通知制度の運用についてという通達を市町村に出して、市町村から通知する仕組みをつくったということなんですけれども、これは果たして機能しているんでしょうか。

    〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕

福岡国務大臣 外国人の高額療養費の利用につきましては、現状把握しているデータによりますと、国民健康保険によります外国人被保険者の状況でいいますと、外国人の方、被保険者でいうと三・六%の割合、その中で、総医療費に占める割合でいうと一・三八%、高額療養費の支給額に占める割合でいいますと一・一五%となってございまして、外国の方の医療費が全体として大きいという状況であったり、高額療養費制度を多く利用しておられるという状況にはないというふうに認識をしてございますが、様々な、今御指摘ありました報道等があるのは承知しておりますので、実態を把握しながら適正な利用に向けて取り組んでいきたいと考えています。

    〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕

三木委員 外国人で健康保険を利用されている方が皆さん悪いと言っているわけじゃないんですよ。ただ、やはりその中で不正に利用されている方もいらっしゃるんじゃないかということで、国がそういう制度をつくっているけれども、市町村に任せっ切りでは、私はこれは、高額療養費を使ったら市町村の健康保険課で分かるということでそういうふうに市町村に通達を出していると思うんですけれども、市町村に任せっ切りでは、一々一々それを現地まで調査しに行くわけにいきませんから、人員も足りませんし、市役所も。ですから、そういったこともちゃんと国がもう少し手当てをするように考えていかないといけないのかなというふうに私は思っています。

 それはなぜかというと、今そういったことをきっちりと国が調査をして、検証をして、しっかりとやっていかなければ、不正に利用した人はちゃんと検挙をして、そういうことをしたらちゃんと検挙されるんだよということも示していくことも大切だし、留学生の中でも、そういう不正な利用をしたらそれは処罰の対象になるんだということもきっちりと示していくことがやはり大切だと思うんですね。

 これは、なぜそういうことを言うかというと、留学生政策にも影響を及ぼしてくると思うんですよ。

 二〇二五年二月に、東京大学の中国人留学生が日本の医療制度を使い、多額の医療費を不正に受給したと見られる事件が発生しました。仮にAさんとすると、彼女は、二〇二三年十月から二〇二四年十月の間、頻繁に通院や入退院を繰り返し、その額は合計千三百二十六万一千百五十円、高額療養費制度のおかげで自己負担額は僅か数十万円に抑えられていたとされています。

 なぜこれが表面化したのかというと、本人が中国のSNS、レッドで、留学生として入院したら僅か一年で日本で千三百万円の医療費をだまし取ったとし、日本円をばか幣、愚かな国の通貨と呼び、日本の医療制度を悪用したことを自ら暴露しているんですね。

 この医療内容がはっきりと分からないので、これがどこまで日本の制度から外れた行為であるのか、犯罪行為であるのかは私には分からないですけれども、少なくとも、この事柄も市町村や大学や病院からの通報で分かったわけではないということなんですね。本人が自国に帰って暴露しているということなんですよ。

 だから、ちゃんと日本の国が調べられていないんじゃないかということは、私はすごく懸念として持っているんですね。国はもっと責任を持って調査しなければならないと私は思います。

 そういった調査もなしに、ここですけれども、高額療養費が七倍になっているからといって、一年間の凍結もせずに高額療養費の上限額の引上げを行っていいんですかと私は思います。こういう調査をちゃんとして、それから必要な制度改変をしていくということが必要だと思います。

 これは、市町村に調査権限を与えているということですけれども、市町村にもこれといったメリットはないんですよ。病院側も保険適用された方が取りっぱぐれがないから、病院側からも余り通報は上がってこないんですね。だから、ちゃんとした調査をする必要があるというふうに私は思います。総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 後ほど厚労大臣からもお答えをいたさせますが、基本的にはそういう考え方が成り立つんだろうなというふうに思っております。

 必要なのは、委員も御指摘になりましたように、このすばらしい制度をどうやって存続させるかということと、国民皆保険制度ができましたときに、このような高額療養費のようなものが出てくるとは、正直言って、想像を超えておりました。そうしますと、保険制度というものが成り立つために、保険者の負担能力も考えながらどうしていくべきかということと、余り議論がございませんでしたが、民間の保険というものをどう活用するかということも、併せて考えていかねばならないと思っております。

 いずれにいたしましても、私どもとして、本当にこの薬があることによって、この治療があることによって命を長らえるという方々の思いというものは極力大切にしていかねばならないということはよく承知をいたしております。

三木委員 質疑時間が終了しましたので、終わらせていただきます。

 総理は、楽しい国日本というふうにおっしゃっております。これはやはり、日本人が楽しい国日本をつくっていただいて、外国人が楽しい国じゃなくて、日本人が楽しい国をつくっていただきたいということを要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて金村君、三木さんの質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず、総理に、先週まで行われておりました自民党、公明党、そして私たち国民民主党、三党での税制に関する三党協議についてお伺いします。

 私自身、交渉当事者として協議を行ってまいりました。三党協議が合意に至らなかった、これは本当に残念で、この三党協議の結果に期待をしていただいた国民の皆様方には本当に申し訳ない思いでいっぱいでありますし、また、私たち自身の、私自身も含めての力不足、それを本当に反省しているところであります。

 私たち国民民主党は、昨年の総選挙で、今政治が取り組むべき最優先課題として、手取りを増やす経済政策の実現を訴えました。その訴えが、物価高で生活が苦しくなっている多くの国民の皆さん、特に、この三十年余り、給料は上がらないのに、税金や社会保険料の負担ばかり上がって厳しい生活を強いられてきた現役世代の皆さんの共感を呼んで、それが私たち国民民主党の昨年の総選挙での躍進にもつながったというふうに私たちは考えています。

 私たちは、そうした多くの国民の皆さんの声、特に現役世代の声を受けて公約として掲げた手取りを増やす経済政策、これは何とかして実現したいと考えて、ただ、躍進したといっても衆議院で僅か二十八議席です、何でもできるわけではありません、ですから、そういう中で、私たちが掲げた手取りを増やす経済政策、幾つも掲げていますけれども、その中でも最も最優先項目に掲げた、そしてまた有権者の皆さん方の、ここをやってもらいたい、そういう声も強かった百三万の壁の引上げとガソリン税の暫定税率の廃止に絞って、今、与党が過半数割れをしている状況の中で、予算や税法に賛成するかどうかの判断材料とする、そのことを与党の皆さんとの交渉のてこにして、昨年末から先週まで協議を行ってきたものであります。

 この間の協議で、私は、現在いかに国民生活が厳しい状況に置かれているのか、また、物価高に賃金上昇が追いつかなくて手取りが減っている現状が続けば、最近、国民の節約志向が高まってきていますけれども、これが更に高じて、日本経済のメインエンジンである個人消費が減って、再びデフレへと逆戻りしかねない、こうしたことを何度も訴えて、だから、ここは、デフレからインフレになって、そのことによって増えた税収を国の懐に入れるんじゃなくて、国民の懐にお返しして、国民の懐を暖かくする、手取りを増やす、そのために政策を講じるべきだというふうに主張しましたが、残念ながら、結局受け入れてもらえませんでした。

 今回、三党の協議が合意に至らなかったことについて、総理としてどうお考えになっているか、総理の御見解を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 ここに至りますまでの古川委員を始め国民民主党の皆様方の誠心誠意の御努力には、心から敬意を表したいと思います。

 残念ながら、令和七年度予算、税法の審議の詰めのタイミングまでに合意を形成することが困難であったという報告は受けておるところでございますが、昨年十二月の幹事長合意というものがなくなったわけではございません。昨年十二月の幹事長合意というものを踏まえまして、今後とも御党と真摯に議論を続けてまいりたいと思っております。

 いかにして国民の所得を増やすか、手取りを増やすかということについては、意見は一致をしておるんだろうと思っております。そしてまた、制度の持続可能性というものをいかに維持をしていくか、あるいは、ガソリンにつきましては、そのインフラ整備を中心といたします財源をどこに見つけていくかということにおいて、御党も常に実態を把握した上での現実的な議論を展開しておられますので、私どもとしても、それを傾聴しながら、今後とも更に真摯に協議を進めたいと考えております。

古川(元)委員 総理、今総理が答弁された認識が本当にあるんだったら、私は合意できたんだと思うんです。そこの認識がなかった。また、総理の答弁というのは、本当にこの話は、ずっとこの間、非常に淡々と、何か余り感情も入らずに、用意されたものを読んでいらっしゃるのかどうか分かりませんけれども、述べていらっしゃると思うんですね。

 そこで、今度はこういう聞き方をします。三党協議にどういう形で総理は関与されたのか、リーダーシップを発揮されたのか。

 この議論は、まさにさっき総理もおっしゃられた三党の幹事長間合意もありましたけれども、その前の、昨年の補正予算をめぐる経済対策、その三党の政調会長協議、私もその場にもいましたので、その合意を受けて始まって、また三党の幹事長間でも合意して、そこで協議を行ってきました。

 この間も、私たち国民民主党の仲間が本会議や委員会で総理の考えを何度もただしましたけれども、そのたびに総理は、現在三党において協議しているところ、そういう答弁ばかりで、その推移を見守りますと言うばかりで、はっきり言って、極めて塩対応。総理がこの問題に対してどういう思いがあるのか、そういう思いというものは全く感じられませんでした。

 総理、本当に国民の皆さんが非常に関心を持った、そして注目していたこの問題に対して、総理は、一体この協議に対してどのような形で関与してきたんですか。あるいは、これは幹事長以下に任せていると、任せていたんですか。どういう形で関与してきたのか、教えてください。

石破内閣総理大臣 これは、新聞に総理の一日というのが出ますが、それを御覧になれば、適宜適切に政調会長、幹事長から報告を受けております。私も政調会長も幹事長もいたしましたが、そこにおいて、総裁が余り一つ一つに指示をするということは今までもございませんでしたし、我が党においても、意思決定というのはそういうものでございます。

 そこにおいて、特に高額療養費につきましては、制度がいかにすれば持続するかということに重点を置いて、そしてまた、患者の御負担にも配意をしながら決めてもらいたいということは申し上げてまいりました。

 そしてまた、ガソリンにつきましては、それが特定財源ではございませんが、どのようにして地方の要望でありますインフラの整備というものにきちんと対応できるような財源というものを見出すか。特に、ガソリンの負担は、地方というものは非常に重い。そこにおいての配慮というものを併せてやっていかねばならないし、リッター当たり百八十五円というのはきちんと死守をするということも併せて、国民民主党さんとの協議というものを誠心誠意続けていくべきだということを常に申し上げてきたところでございます。

古川(元)委員 じゃ、百三万の壁の引上げについては何も指示もしなかった、任せていたということですか。

石破内閣総理大臣 任せていたというよりも、いかにして手取りを増やすかという点についてはきちんと配慮するようにという指示はいたしてまいりました。

古川(元)委員 歴代総裁はそういうふうに任せてきたと言いますけれども、そうでもないんですよ。

 確かに、自民党というのは、税については、これは税制調査会、特に税調会長という話がずっと、それは自民党の七十年にわたる伝統だったかもしれません。しかし、その中では、それこそ亡くなられた安倍元総理は、私はこれはいいとは思いませんでしたけれども、軽減税率を導入する、これについては、時の野田税制調査会長は最後まで反対していた、しかし、そこは総裁として、総理としての決断で、それに反対するのならということで野田税調会長を更迭して、その後に今の税調会長の宮沢さんを就けて軽減税率を導入した、そういうリーダーシップを発揮していることがあるんですよ。

 だから、税こそまさに政治じゃないですか。これだけ国民の皆さんが関心があることに対して、総理が、総裁はそういうものに口を出さないということで、ガソリンは、私は、先ほどの総理の答弁で、指示をしたとはとても思えない。考えてね、考慮してねという、何か役所が言うような、そういうことのサジェスチョンをしたぐらいですよ。

 百三万の壁については全く何も言わなかったということですか。

石破内閣総理大臣 それは、協議はその場その場で動いてまいります。それで、今、安倍元総理の例をお出しになりましたが、それぞれの総理・総裁によってやり方は違います。

 私は、やはりそれぞれのつかさつかさが現場において判断をすることが正しいと思っておりますが、決めるのは、最終的に総理・総裁の責任において決めるものでございます。

 今の時代、総裁がこう言った、総理がこう言ったというのが、ともすれば独り歩きをいたします。そして、甲と乙によって受取方が全く違っておりますので、かえって議論の混乱を惹起をするというのは、私はいいことだと思っておりません。

古川(元)委員 石破総理に期待をしていた多くの国民の皆さん方は、今の答弁を聞いたらがっかりすると思いますよ。

 やはり自民党の古い体質なんかを変えてもらいたい。小泉元総理なんかは、自民党をぶっ壊すと言ったわけですよ。いい悪いは別にして、それがやはり人気が出たところもある。今の石破総理に多くの国民の皆さん方が、総理になられる前、国民人気が高かったのは、そういう自民党の古い体質や、あるいはやり方を変えてもらいたいと思ったからなんじゃないですかね。

 今みたいに、そこはもうお任せしてという、そんな石破総理を国民の皆さんは見たいとは思っていなかったんじゃないかと思いますけれども、どうですか、総理。

石破内閣総理大臣 別に人気を取ろうと思ってやっているわけではございません。

 それから、先ほど来申し上げておりますとおり、いかにして制度が持続可能なものであるかどうか、いかにして手取りを増やしていくことができるかということについては、方向性は全く変わっておるものではございません。

 そこにおいて、政策判断の一つ一つに至るまで指示を出すということは、私はそういうやり方はしてこなかったということを申し上げておるものでございます。

古川(元)委員 いや、私は、何か細かいことを指示しろというんじゃないんですよ。やはりここはちゃんと、今は何が優先順位なのか。我々国民民主党と同じような考えだったら、今は、それこそ少々国の懐が減って大変になっても、やはり国民の懐を増やす、そこが大事だろうと。

 総理は、私とのこの前の予算委員会のときに、経済あっての財政だと言ったじゃないですか。であれば、今はやはり国民生活、暮らしを最優先する。財政規律ももちろん大事だけれども、まずそこを優先して、じゃ、どうしたらいいかということを考える、そういう大きな方向性の指示をしろということですよ。そういう指示さえもされていなかった、今日の議論を聞くと、そのことが分かった。

 だけれども、そういう状況ではなかなか現場がまとまらないというのも、私は今の総理の答弁を聞いて理解できましたけれども、残念ながら、やはりこれは総理のリーダーシップがなかったから、私は合意にも至らなかったんだと思いますよ。

 では、その上で、今回合意に至らなかったんですけれども、自民党、公明党で提案した、我々は受け入れなかったその修正案が今出されて、審議されています。

 これは、先ほどあそこで一緒に協議した後藤さんもなかなか苦しい答弁をしていましたね、制度も複雑になって、新たな壁ができてと。我々が、壁をなくすのにもっと壁をつくってどうするんだと言ったら、まさにそれをお認めになったわけですけれども。

 この修正案を総理はどう評価していますか。

石破内閣総理大臣 それは、協議の末、まとまった修正案でございます。そこは、よくこれから先の御議論を踏まえまして、この修正案というものが審議がなされ、成立に至ることを期待をいたしておるところでございます。

古川(元)委員 いや、協議でまとまっていない。我々は受け入れないと言ったわけなんですよ。受け入れない案を出したんですよ。

 ですから、ここはやはり政府として受け入れても、我々は受け入れていないし、そんな自信がない話を、そんな形の答弁では、これは本当に国民の皆さん方は、税というのは、根拠もなく、そして複雑にして、やはり国民の皆さんの信頼があって初めて、ちゃんと税金を納めようという気になるんですから、逆に、今回の案というのは、私は税に対する信頼を損ねる、失わせることにもつながるんじゃないかと大変に危惧しております。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、まず、今の日本経済の認識についてちょっと伺いたいと思います。

 今回協議が合意に至らなかった大きな原因の一つが、今の国民生活や日本経済の現状に対する認識の違いがあったというふうに私は考えています。さっき余り変わらないというふうに言われましたけれども、どうも私は、ずっと協議していて、そうじゃないと思いました。

 我々は、国民の生活が物価高で厳しくなっている、それは低所得の人だけじゃなくて中間層も同じ。特に、こうした中間層というのは、今、日本社会を支えている現役世代が中心であって、デフレの間も税負担や社会保険料負担が増え続けてきて、そこにインフレが起きて、また賃金アップがそこに追いついていない、そのため、日々の生活が本当に厳しくなっている、そういうふうに認識しているんです。

 また、さっきから申し上げているように、ここできちんと手取りを増やして、物価上昇を超える賃金上昇が実現する状況になるまで消費が減らないように支えないと、またデフレへ逆戻りしちゃうんじゃないか、そういうやはり強い懸念も持っているんです。

 そういうことを何度も繰り返し言ったんですけれども、どうもそこまで国民生活や日本経済の状況を厳しく見ていない、むしろ楽観視している、そのようにしか思えなかったんですけれども、総理は、今の国民生活の置かれている状況や日本経済の状況についてどのような認識を持っておられますか。

石破内閣総理大臣 それは、一番我々が配意をしていかねばならないのは低所得の方々だと思っております。こういう方々に対するきちんとした手当てをすることが私は一番肝要だと思っています。

 経済全体についての見方というのは、やはり長い間この国の経済というのはコストカット型の経済を続けてきたということは、これは否定ができないと思っております。雇用関係は維持するが、賃金は上がらない。そしてまた、下請の系列という言い方がいいかどうかは分からないが、それは維持するが、十分なお金は払われない。新しい商品、新しいサービスを開発するだけの投資がなされない。そうすれば、GDPが付加価値の総和である以上、経済がよくなるはずはないということだと思っております。

 時あたかも春闘というものが行われるわけでありますが、本当に物価上昇を上回るだけの賃上げというものが獲得できるかどうか、それは労働組合の皆さん、経営者の皆さん方、双方の御努力だと思っております。賃上げは、基本的には労働者と経営者との間の交渉において決まるものであって、政府といたしましては賃上げ税制その他で支援はしてまいりますが、基本的に、いかにして生産性を上げていくかということ、そして労働分配率を上げていくかということは現場においてよく議論がなされ、結論が得られるべきものだと考えております。

古川(元)委員 だから、賃上げは、今総理がおっしゃるようにそう簡単じゃないんですよ。まして、組合もないような中小零細まで含めたら、これはなかなかまだ時間もかかる。だから、その間、生活を支える、そしてデフレにまた逆戻りしないようにするためには、政策的にできることは何かといったら、国民の懐から出ていくものを減らす。だから、税金を減税するとか、また、電気代、ガス代とかガソリン代、そういうものを価格を下げる、それを私たちは提案しているんですよね。そこまでやらないと、本当に国民生活や日本経済は支えられない。そこのやはり認識の違いというのが私たちはあったと思います。

 もう少し具体的なところに入っていきますけれども、百三万の壁の問題についてちょっと伺います。

 百三万の壁が三十年ぶりに、私たちが訴えたことによって動いた、そのこと自体は私は評価をします。また、この協議の中で、今後物価が上がっていけば、その物価に合わせて基礎控除等をちゃんと上げていく、そうしたことも法定化される、そこについては評価をしたいと思いますけれども、基礎控除というのは、元々、最低生計費には課税しない、そういう趣旨から設けられている、それに年収制限をかけるというのはやはり税理論的にはおかしいんですね。だからこそ、我々は、年収制限を設けずに、一律に控除額を引き上げるように求めました。しかし、それは受け入れられなかったわけであります。

 先ほど、繰り返し申し上げているように、やはり税というのは国民の皆さんの納得が必要で、そのためには理屈が大事なんです。理屈が大事であるにもかかわらず、理屈に合わない年収制限を導入して、撤廃しろという我々の要求を受け入れなかった、それはなぜですか。理由を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 政府の立場で与党の修正案にあれこれ見解を申し上げることは控えるべきだと思っておりますが、基礎控除に所得制限を設けましたのは、これは協議の場で何度も我が党から主張してきたと思いますが、決して高齢者優遇とならないようにということは考えてまいりました。そして、政府案と修正案を併せて、それぞれの収入階層での減税額が平準化されるようにしたいと思ってまいりました。

 公平性の確保というのはそういうものだというふうに承知をしておるところでございます。

古川(元)委員 公平性じゃなくて、そもそもの基礎控除の趣旨ですよ。最低生計費には課税しないというその趣旨に鑑みてどうかということです。

石破内閣総理大臣 失礼、言い方を間違えました。

 基礎控除に所得制限を設けることは、高所得者の優遇にならないようにということに配意をしたものでございます。あくまで私どもとして、高所得者が優遇ということは排除をしていかねばならないと考えております。

古川(元)委員 でも、高所得者だからといって、最低生計費には課税しないというその根拠が排除されるんですか。やはり税の理屈的にいったら、一律にそこの部分は引いて、その残りのところにちゃんと累進税率でかけていく、それが税の基本じゃないですか。

 これは加藤大臣にちょっと聞きますけれども、どうですか、そこは。

加藤国務大臣 税の基礎、公平、簡素、中立という話と、いかに財源を確保する、所得を再配分する、それから経済安定機能、様々な機能、場合によってはそれが矛盾する場合、それをどうバランスを取っていくか、こういう議論だと思います。

 例えば、現行の制度でも、平成三十年の税制改正では、基礎控除について、所得が二千四百万円を超える水準については所得制限を設ける改正を行ったところでありまして、それには、所得再配分という観点からそういったものをビルトインした、こういった経緯もあるということでございます。

古川(元)委員 要は、財源からということでしょう、ここは。理屈だったら、本来は。

 やはり財源というのに余りにこだわり過ぎて、税の、今回のはすごくおかしくなった、複雑になったのは、余りにこの財源のところにこだわり過ぎた、そこの枠の中でという、やはりそこのところが非常に制度を複雑化して、税に対する信頼を失わせるような、そうした制度になっているんだと私は思うんですよね。

 その結果、今回の与党の修正案でいうと、我々は、現役世代の手取りを増やしたい、それが大事だ、今の生活やあるいは日本経済全体の状況を考えて。それが、低所得者対策という形に、与党の修正案というのはそういうものに趣旨が変わってしまったんじゃないか、私たちが求めていたものとは似て非なるものになっちゃったんじゃないかと思いますが、いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 私どもとして、低所得者層の税負担に対して配慮をするという観点だけでこの議論をしてきたつもりはございません。

 物価上昇に賃金上昇が追いついていないという状況は、現状でもそういうところはあろうかと思っております。つまり、中所得者層、八百五十万相当以下のことでございますが、これを含めまして税負担を軽減するという観点から、所得税の基礎控除の特例、これが創設されたものと考えておるところでございます。

古川(元)委員 でも、足下で、物価上昇で、それに賃金上昇が追いついていなくて、手取りが減っている。あるシンクタンクの試算によると、九万円ぐらい減っている中で、二万円ぐらい手取りが増えても、全然手取りは増えないんですよ、実質。だから、そういった意味で、全く対策になっていないんですね。これでは、私たちが主張したことの効果が全然出てこないんです。だから、我々は、これは受け入れられないと言ったんですよ。

 次に、ちょっと時間がなくなりますから、ガソリン税の暫定税率廃止について伺います。

 総理は、何度も、ガソリン税については道路整備にも必要だからと言いますけれども、これは二〇〇九年、自民党政権の時代に一般財源になっている、二〇〇九年四月から一般財源化されているんですね。税というのは根拠が大事だ。課税の根拠を失っているんですよ、元々暫定税率というのは。

 道路整備を推進するために、基本税率に暫定税率をかける。しかし、一般財源になったところで、課税の根拠はとっくの昔になくなっている。にもかかわらず、それから十五年以上も続いているというのはやはり全くおかしな話であって、地方で生活している人たちを中心に、非常にガソリン高騰で負担が多くなっている。ですから、一日も早くやめるべき。

 これは三党の幹事長合意でも、廃止するということになっているんですから、私たちは、ちゃんといつ廃止するのか時期を明示してくれと言いましたけれども、最後まで時期は明示できないと言われました。何で時期を明示できないんですか、やめる時期。

石破内閣総理大臣 それは、一・五兆の代わりの財源をどこに求めるかということについて確たる結論が得られたとするならば、その時期は一日も早く明示をした方がよいというふうに私は思っておるところでございます。

 そこについて、誰も新しい税というものを課されるのは嫌なのですが、じゃ、この分、一・五兆円減った分をどこに求めるべきなのかということについて、私どもの党としては、それが見出せるまではこの当分の間税率というものを維持しなければならない。だけれども、当分の間というのは当分の間なのであって、これがいつまでも続けられていいとは私は全く思っておりません。

 今、暫定税率という言い方はいたしておりませんので、当分の間という言い方をいたしました。

古川(元)委員 まさにこれも財源なんです。でも、課税の根拠もなくなっているのに、財源がないからといって税金を取り続けるのは、これはやはりおかしいですよ。

 今、当分の間税率と言いましたでしょう。分かっていますよ、当分の間税率を入れたのは私ですから。私が、二〇〇九年、政権交代のあったときに国家戦略室長として税制改正の取りまとめ役をやりました。元々これは一般財源になっているから、形式的には、二〇一〇年、平成二十二年の税制改正で、暫定税率は根拠がなくなったとして廃止したんです。

 ただ、当時はリーマン・ショックがあって、九兆円を超える大幅な税収減が起きていた。大きな穴が空いていたんですよ。また、一時高騰していたガソリン価格も、当時は百五十円台まで収まっていたので、税収が平年度ベースに戻るまでの間、まさに本当に一、二年の当分の間、それまでは、申し訳ないけれども、暫定税率分と同じ税率分の負担を国民の皆さんにお願いしたいということになって、法文上は、今総理が言われたような、暫定税率じゃなくて当分の間税率となっているんです。

 ただ、そのときは、本当に、私自身が思っていたのは、そんなものをずっと続けるつもりは全くありませんでした。一、二年で、とにかく平年度ベースに税収が戻ったらやめようと。ところが、そこで二〇一一年に東日本大震災が起きて、復興のための財源確保が必要となって、暫定税率をやめたのに、そこを当分の間で上乗せしたから、ガソリンの価格が高騰したときにはトリガー条項を発動して、暫定税率をやめましょうというトリガー条項の凍結もせざるを得なくなってしまったんですね。

 それからもう十三年もたっている。しかも、税収は戻っているどころか、上振れしているんですよ。もういいかげんやめないと。

 これは、私自身の、自分自身の反省としても、当時、やはりこれはきちんとやめるという時期を明示すべきだったと思っているんです。それをしなかったがせいで、当分の間、一、二年でやめるつもりが、今まで続いてしまっている。だから、これをちゃんと時期を明示しないと、今総理が言われたように、ちゃんと財源が確保できたらなんて言っていたら、またずるずる、これから十年、二十年続きかねない。

 だから、私たちは、一日も早く時期を明示すべきだと思っているんですけれども、どうですか、総理。

石破内閣総理大臣 それは、惰性で続いてきたと私は申しませんが、やはり時期を、これは多くの党と議論をした上で決めるべきものですが、それを決めないといつまでもこれが続いていくということは、私は懸念としては残るんだと思っております。

 そこにおいて、御党も党利党略で言っておられるわけでは決してないのであって、じゃ、そこの一・五兆円というのをどこに求めるのか。そして、特定財源ではございませんが、これがどのように使われて、これから先の見通し、これから先、そのようなインフラ整備というのは、強靱化と併せて、私はその需要は減ることはないのだろうと思っております。

 そうしますと、そこにおいて、代わりにどのような財源を見つけていくべきなのか。これから先、特定財源ではございませんが、インフラの整備をどのように進めていくのかということも併せまして、今後も幹事長合意に基づきまして、その実現が早く行われるように、私どもとしても努力をいたしてまいりたいと思っております。

 いつまでもずるずると続けるということがあってはならないのは、御指摘のとおりであります。

古川(元)委員 私は何度も協議の中で、とにかく今何が最優先かといったら、国民生活が厳しい、特に地方ではガソリンの価格の負担が重い。だから、まずはやめて、しかも、今、どっちみち、補助金をつけているわけでしょう、下げているわけでしょう。また、来年度でも一兆二千億ぐらいの、補助金に充てるための予算が積んであるわけじゃないですか。だから、当面、とにかく早く、補助金にやるものはやめる、地方の必要な部分というのは、補助金に充てる部分だったところを取りあえず充てておくという形で、まずは暫定税率分を引き下げて税率を下げて、そして、その恩恵をちゃんと地方の人たちを中心に国民にお返しをして、その上で、その後、しばらく時間をかけて、その税収はどうするんだ、そういうことを考えていくというやはり順番を。

 やはり優先順位が何かといったら、今は、財源を確保するということよりも、まずは国民の暮らしを少しでも楽にする。しかも、当面、地方に迷惑をかけないための十分な財源というのは、そのお金は積んであるんですから、やはりそこをやるべきで、いつまでも決めないということが、結局ずるずる続く。だから、今の総理みたいなことを言っていたら、またずっと続いちゃいますよ。

 だから、我々は、とにかく一日も早く、逆に、早く期限を決めて、とにかくそこまでに調整しよう、調整しようというふうにやらないと。そういうリーダーシップを取ってもらいたいんですよ、総理には。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

古川(元)委員 その上で、百三万の壁もそうです、そしてガソリン税もそうですけれども、この間、合意に至らなかったもう一つの理由として私が痛感するのは、私たちは、当初から、今政府が出した当初予算の予算フレームにこだわらないで、フレームそのものを修正する、そうしたことを考えていました。だから、国会修正の形じゃなくて、一旦、政府が出した予算案を引っ込めて、そして政府修正をして出し直す、そういう修正を考えていた。ところが、与党側は、最後まで、修正はこの政府予算のフレームの枠内、とにかく国会修正じゃないと駄目だ、そこにこだわり続けました。

 なぜそこまで国会修正にこだわるんですか。

石破内閣総理大臣 それは、今ここまで御審議をいただいておるものでございます。

 予算の提出権というものは政府が持っております。それを損なわない範囲内で、私どもは可能な修正に努めておるところでございますので、そこのところは御理解を賜りたいと思っております。

古川(元)委員 でも、ちゃんと一旦出し直すということはできるんです、政府は。確かに、予算編成権は政府にあります。だから、国会修正でそこまで枠を超える、変えることはできないけれども、政府修正をやるということであれば、枠組みを変えられたんですから。

 なぜそこまで国会修正、フレームの枠内にこだわったんですか。

石破内閣総理大臣 これは御案内のとおりでありますけれども、現在の税収を前提として、各自治体におきましては既に来年度の予算編成、予算審議を行っておるところでございます。そのような形で考えてまいりますと、このような形でいかざるを得ないということでございます。

 また、先ほど来申し上げているとおり、特定財源ではございませんが、道路等のインフラの整備、維持管理等を含めました歳出の必要性ということも踏まえまして、安定的な財源の確保ということは、その必要性について何ら変わるものではございません。

 安定的な財源の確保ということと、実務的には、今、地方自治体におきまして予算の審議が始まっておるという状況を考えますと、このような形を取らせていただきたいというお願いになるものでございます。

古川(元)委員 総理、そこが、結局、国民の暮らしよりも国や地方政府、そちらの懐の方を重視している姿なんだと思うんですよ。総理は、経済あっての財政だと。私も、別に財政規律を無視していいというわけじゃない。しかし、単年度ではなくて、もう少しやはり長い目で、中長期で見て、今は本当にここは国民生活を支えて、経済の好循環に着実に持っていくときだから。だから、そこは思い切って国から、頑張ってでも、我慢してでもちゃんと国民に渡す、今までの、従来のフレームにこだわらないでやる、やはりそこが総理に求められていたことだと思うんですね。

 残念ながら、そうした大きな政治決断を総理にしてもらえなかった、そのことも我々が合意に至らなかった大きな理由だと思います。今日よく分かりました。

 その上で、総理に伺います。

 何か総理は、三党の幹事長合意、それに従ってというふうにさっきから何度も言われていますけれども、我々は、今のこの状況というのは、ずっと長く協議して、それで結論を出すことを考えていたわけじゃないんですよ。やはり予算と税法の審議、採決のときまでにちゃんと結論を出すということを考えていた。

 そういった意味では、三党幹事長合意というのは守られなかった、そういう我々は認識です。これは党の総裁として、その責任はどのようにお感じになっていらっしゃいますか。

石破内閣総理大臣 私どもとしては、この幹事長合意が守られなかったとは考えておりません。これは税法の審議の詰めのタイミングまでに合意を形成できなかったということでございまして、これから先もこの議論は続いていかねばならない、続けていただきたいと思っております。

 それから、先ほど委員は、私どもが国民生活よりも国や地方財政、地方政府の状況というものを重視しているということでございましたが、これは、全国の自治体から、暫定税率というものは維持してもらいたいという要望が出ていることは御存じのとおりでございます。そういたしますと、どのようにしてその声に応えていくかということも私どもとしては考えていかなければなりません。

 繰り返しになりますが、特定財源ではございませんが、インフラの整備にこの財源というのが充てられてきたというのは間違いない事実でございまして、これを維持しながらどのようにして財源を見つけていくかということについて、残念ながら、いまだ合意には至っていないという状況だと承知をいたしております。

安住委員長 時間なので、古川さん、そろそろまとめてください。

古川(元)委員 我々は、地方の財源をなくせと言っているわけじゃないんです。でも、やはり今は本当に国民の暮らしをきちんと向いて、そこにちゃんと寄り添う政治をしないと、総理、国民の皆さんの既成の政治家や政党に対する政治不信は、本当に欧米で広がっているような、そういうところまで広がりますよ。

 日本社会が分断と対立にならないためにも、ちゃんと今、現役世代を中心に国民の皆さん方にきちんと寄り添う姿勢、そのための手取りを増やす経済政策の実現、我々国民民主党はこれからも最後まで頑張っていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 今日は時間も限られておりますので、早速質問に入らさせていただきます。

 まず、二月二十六日に発生をいたしました岩手県大船渡山林火災でございますが、五日たった今日朝六時の時点で、焼失面積は何と二千百ヘクタールに広がっている。これは、実は昨日の段階では千八百ヘクタール、一昨日は千四百ヘクタールと、毎日三百から四百ヘクタールどんどんどんどん延焼が広がっているという状況でございます。

 千八百九十六世帯、四千五百九十六名の方々に避難指示が出て、その多くが避難所や親戚のお宅に避難をされている。そして、一名の御遺体が発見をされたということでございます。改めまして、亡くなられた方への御冥福をお祈り申し上げますとともに、今回の被災で被害を受けられた全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 政府としてというか地方自治体も、岩手県周辺の十四の都道県が、緊急消防援助隊四百五十三隊、千六百九十七名を派遣し、また加えて、自衛隊も、大型のヘリ六機を含む計十三機が上空から消火をし、地上からの消火活動にも奮闘しているということでございます。これらの皆様に大変な中御奮闘いただいていることについても重ねて感謝を申し上げたいと思います。

 我々公明党、地方議員の皆様も含めて、この被災地、地元被災地の避難所を訪問しているところでございますが、これは現場の声として、床マットが薄くて、大変冷え込みが厳しくてなかなか寝つけないとか、食事は、立ち上がった直後ということもあったと思いますが、カップヌードルやおにぎりしかなかったとか、何より正しい情報の伝達がなく、今後どうなるのだろうか、自分の自宅がどうなっているかも分からないし、そうしたことの情報の伝達、正しい情報の伝達、そして、政府や県からの顔が見えない、やはりメッセージということを発信していただきたい、そうした話が出てまいりました。

 住宅地地域付近にまで火が迫っているというような状況もございますし、今、政府を挙げて万全な消火活動をしていただいていると思いますが、このことは新しいタイプの災害でもあり、地震や津波とはちょっとまた違った段階です。なかなか政府としての災害対策本部を立ち上げるという基準に達していないのかもしれませんが、私は、ちょっとこれまでの災害体験からして、また、先日のロサンゼルスの郊外での山林火災の大惨事を教訓として、政府はやはり改めて対策本部を立ち上げて、鎮圧体制を万全として、また、住宅の再建ですとか、特になりわい、漁業の再建、大変やらなければいけないことがあると思いますので、それをまず総理が先頭に立って万全を尽くしていただきたい、こう思いますが、総理の決意と御見解をお願いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 午前中の質疑でも答弁をさせていただいたところでございますが、直ちに官邸対策室を設置をいたしたところでございます。先週の金曜日には関係閣僚会議も開きまして、各省庁に対しましてこれで本当に十分かという確認はいたしましたが、今委員の御指摘のように、現場において地元の方々がなお足らざるという意識を持っておられるということは重く受け止めたいと思っております。

 今、対策本部の設置も併せまして御提案をいただきました。政府としてよりよい対応が早期になされますように、ただ、あえて申し上げておきますと、消防も自衛隊も可能な限りの対応をいたしております、そこは私は自信を持って申し上げることができますが。

 今、避難所における対応、確かに、私も現場に行って見たわけではありませんが、映像には、やはりカップヌードルといいますか、商品名を申し上げてはいけませんか、カップ麺みたいなものを召し上がっておられるということがございましたので、温かい食事というものはすぐに対応できるようにという指示は出したところでございます。

 また、今回お気づきかと思いますが、体育館の中にテントのようなものが即座に展開をされまして、プライバシーの確保にも万全を期しておるところでございます。

 なお、今の床の冷たさがそのまま伝わってきているというようなことは即刻改善を指示をいたしたいと思いますので、どうぞまたいろいろな御指摘を賜りたいと思います。

赤羽委員 是非、被災者に寄り添ったきめ細やかな対応をしていただきたい、こう思うわけでございます。

 今回の山林のこれほど大規模な火災ですとか、大津波また直下型の地震、大雨土砂災害等々、様々な、やはり災害大国日本として、これは石破総理の一丁目一番地の政策でありますが、まさに防災庁を設置して、あらゆる災害の予報、予知等々、また専門人材の育成、確保、また、私は地域防災力の向上は不可欠だと思いますので、ちょっと今日は、質問は、時間が後であれば、後回しにしますが、そうしたことというのは、屋上屋を架すから反対だという意見は必ずあるんですけれども、私はそうしたことは全く当たらない、こう思いますし、公明党としても防災庁の設置についてはしっかりと建設的な意見を申し上げていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、能登半島の対策について移りたいと思いますが、昨年一月の大地震に加えて、九月も大雨土砂災害に見舞われました。本当にダブルパンチの大変な状況でございます。

 公明党は、被災自治体、被災市町に複数の国会議員を、担当を決めまして、地域並びに団体の皆さんの要望の声、現場の生の声を聞きながら、党の対策本部として毎週その対策実現に全力を挙げてきたところでございます。私も責任者の一人として足しげく通わさせていただきました。

 しかし、やはり現地に行って改めて思いますが、やはり半島であるがゆえのアクセスの貧弱さであるとか、被災地域の高齢化。これは、珠洲市も輪島市も六十五歳以上がそれぞれ五五%を占めている。極めて高齢化率が高い。恐らく被災世帯の世帯主の大半が、現役世代というより年金受給者の方々がたくさんいらっしゃるのではないかなというふうに私は実感をし、私自身も、阪神・淡路大震災以後、中越地震ですとか東日本大震災、熊本の地震、大震災のあるたびに党の責任者として現地に足を運びましたが、これは今までと違って、やはり高齢化ということの対応をしなければいけない、やはり復旧復興も少しフェーズを変えなければいけないということがございまして、そうしたことについてちょっと提案をしたい、こう思うわけでございます。

 一つは、上下水道の再生。これは大変長引きました。通水をしたといっても、私も現場へ足を運ぶと、一軒一軒家が大変広いんですね。ですから、宅地内の配管の修理というのは、そもそもそこに住んでいませんし、お金もかかるから、なかなかそれができないということで、生活用水等々がなかなか実際には供給できなかったということが続いている。

 そんな中で、珠洲市では、大規模な浄水場が破壊してしまった、これを再建するかどうかで大変な議論があったと。

 私、東日本大震災のときに、岩手県の大槌町、あそこも上下水道を本格復旧したんですが、大変人口流出がすごくて、結局、十数年たった今、水道料金というのは実は二五%アップになった、下水道料金は四五%アップになって、その維持管理というのが大変な状況だと。ああしたものを造ったことが本当に持続可能な復旧復興であったのかどうかということを、やはり反省しなければいけないというふうに思っております。

 そうしたことから、今回珠洲市では、大型の浄水場の本格復旧はやらない、そして、住宅や集落ごとで、循環機器で水を再利用する小規模の分散型上下水道システムを検討しているというふうに承知をしております。

 これは、国土交通省が今こうした事例についてもしっかり取り組んでいるということで承知をしておりますので、今後の自然災害で、高齢化はどんどん増えていきますから、こうしたこと、過疎地域、高齢化が高い地域での災害の上下水道をどうするかというのは同様の事例となるというふうに思いますので、是非ここは、珠洲市に任せるのではなくて、国が前面に立って、実用化に向けての技術面、予算面の大きな支援をして、本格的な対策として進めるべきだということが第一点。これは後で国土交通大臣に質問しますが。

 もう一つは、住宅再建も、私は同様の、共通の課題があるというふうに思っております。

 つまり、今、奥能登の全壊世帯については被災者生活再建支援金の最大支給額の三百万円の二倍の六百万円が支給されていますが、六十五歳以上の方、七十歳を超えた方が新たに住宅を再建するかどうか、六百万円もらっても住宅再建に踏み切れるかどうかというと、私は、正直言ってそこに踏み切れる方は少ないんじゃないかなというふうに思っております。

 現地では公費解体が順調に進んでおりますのでどんどん更地が増えているんですけれども、更地が増えるだけで住宅再建が始まらない。そして、まして半島ですから、なかなか平らな土地がなくて、仮設住宅を造るのも大変難儀をした。ここで、被災者の皆さん、大変不安に思っています、住宅の再建をどうすればいいかと。

 そして、そのことを、私、やはりこうした地域の被災地の特殊性に鑑みて、これまでのルールとはちょっと逸脱するかもしれないけれどもということで、更地となった個人の宅地ですとか農地に戸建ての災害公営住宅を設置する、そして、災害公営住宅ですから、恐らく七、八年ぐらいだと思いますが、低廉な家賃をいただいて、そして最後は払下げをする。これはたしか東日本大震災でもそうした事例はあった、こう思います。

 こうしたことを行うということが、私、数々のいろいろな災害を、現場へ行って常に思うことは、復旧復興の最大のネックは平時のルールなんですね。平時のルールがあるからこれができない、そんなことを言っていたらとてもじゃないけれども復旧復興は進まないけれども、それはルールを守らなければいけないからといって、ルールを守ることの方が被災者の生活再建より大事だみたいな話が展開されてしまっているのが現実だというふうに思っております。ここは高齢化率が高い、平地が少ない、大変現役世代も少ないといったところで、私は、こうしたことは国交省の中で、政府の中でこうした特例的な災害公営住宅の建設はできると思います。

 上下水道の分散型のシステムと、また、戸建ての、私有地に災害公営住宅を造る、これは難しくないし、これができればぐっと、被災者の皆さんは大変喜ばれると思いますが、国土交通大臣の見解と決意を述べていただきたい、こう思います。

中野国務大臣 赤羽委員の御質問にお答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、上下水道と災害公営住宅ということで、二点御質問いただきました。いずれも被災地、被災者を支える非常に重要な生活のインフラでありますし、私も、国土交通大臣の任命を受けてすぐに能登半島、現場に行かせていただいて、やはりこうした地元のニーズに合った形でしっかりインフラの復興を進めるということは非常に大事だというふうに本当に痛感をしておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 二点ございましたので、少し簡潔に、具体的に少しお話もさせていただきますと、上下水道の、特に分散型のシステムの活用ということにつきましては、今まさに珠洲市の方で、令和六年度の補正予算を活用いたしまして、珠洲市において技術実証を行うということを先月二十八日に公表させていただいたところでございます。

 今後、人口減少、また今後の災害、こういうことも見据えて、分散型システムの位置づけ、あるいは導入支援の在り方などについてもしっかり検討を行い、御地元の御意見もしっかり伺いながら、強靱で持続可能な上下水道システムというのを構築してまいりたいと思いますし。

 また、災害公営住宅につきましても委員から何点か御指摘いただきました。

 公費解体後の民有地や農地を活用して必要な用地の確保に取り組んでいくことも重要だと思いますし、共同住宅型だけでなく戸建て型の災害公営住宅を整備するという視点も重要だというふうに思います。地元でもこうした検討も進められているというふうにも聞いておりますし。そして、その戸建て型の住宅を一定期間運用した後、入居者の方に譲渡をするということも、これは制度上可能であります。

 東日本大震災等での例も参考にしながら、こうした希望も踏まえてしっかり対応していくことが大事だと思いますので、被災自治体の意向を丁寧に伺いながら、地元のニーズにしっかり合った形で、しっかりとこうした復興復旧していけるように取り組んでまいりたいと思います。

赤羽委員 どの地域の復旧復興も、やはりキーは、私、スピード、そしてそのスピードを上げることが災害関連死を防ぐことだと思いますし、加えて、やはり被災者の尊厳を守る被災支援ということが大事だということは常々言っていることでありますが、是非、能登半島についてもよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、先ほどからお話が出ています百三万円の壁の問題について、私も当事者の一人として、少し古川さんに強めに言われたので少し個人的にはショックを受けていますが、非常に友好的な、前向きな議論ができたと思いますが。

 先ほど、他の立憲民主党の方の質問で、百三万円の壁は当初は大学生の就業調整というのは、あれはどうなったのかと。これは、先ほど総理が答弁していただいているんですけれども、まさに、いわゆる百三万円の壁というのは二つ意味があります。

 一つは、大学生がアルバイトで百三万円以上を仕事してしまうと、親が特定扶養控除を受けられなくなってしまう。この賃金を上げようとしているときに百三万円というのはどうなのかねということを、これは国民民主党の皆さんから指摘を受けて、三党で議論し、結論としてはこれを百五十万円まで引き上げたということでございますので、この百三万円の壁の一つ目の、いわゆる本当の壁は結論が出ているということでございます。

 二つ目は、百三万円の所得税の部分ですね。様々な議論がありました。そもそも、百三万円、この課税最低限を、基礎控除は本来は物価の上昇に合わせて引き上げる。逆に言うと、一九九五年から我が国というのはほとんど物価が上昇してこなかった。そして、全然変わらなかったけれども、近年物価が上がってきたということで、この物価の上昇に合わせて基礎控除並びに課税最低限を見直すべきだということが三党の議論のテーマになったわけでございます。

 自公の中で、まず、この物価の上昇ということで、総合指数、CPIではということですが、約一〇%しか上がらないし、よく考えてみれば、食費とか家賃とか、生活必需品の基礎的支出の物価にやはり充てるべきではないか、最近物価高はそういったものが高くなっているからということで、これは実は二〇・一%引き上がっている。そうしたことで、百三万円の課税最低限を、給与所得控除を十万円引き上げ、基礎控除も十万円引き上げ、百二十三万円にしたところでございます。

 これは昨年末の与党税調の結論でありますが、年が明けて、国民民主党の皆さんから、それでは十分じゃない、これだけ物価高が厳しい中で、もう少し幅広い世帯に、しっかりと支えなければいけないということがあり、私たちも、課税最低限が生活最低費に食い込んでいるという実態はやはり是正する必要があるのではないかということが我々の議論でもございました。

 特に、お手元の資料で、ちょっと上と下なんですけれども、まず、上の段は、いわゆる課税最低限、現状は百三万円だったのが、昨年の年末に百二十三万円にした。これをどう引き上げるのかということで、生活環境が厳しい、最低賃金で働かれている方というのは大体年収二百万円以下だと。そこの人を対象に、生活保護基準ですとか最低生活費のことを参考にして、課税最低限は百六十万円に引き上げることが適当であろうと。このことは三党で大変評価もされた、先ほど御発言があったとおりでございます。

 このことについて、物価上昇に賃金上昇が追いついていないという状態なので、この百六十万円の引上げ、基礎控除三十七万円の引上げは全世帯に敷衍するべきじゃないか、こうした収入制限は入れるべきじゃないということが、そうした指摘もございましたが、やはりこれは高額所得者優遇となるという、そうした批判も出るだろうと思うし、なるべく幅広くかつ公平にということで、いろいろな議論をしながら知恵を絞ったのがこの下でございまして。

 年収二百万以上は、いわゆる八百五十万円。この八百五十万円というのは、実は給与所得控除の上限額百九十五万円が八百五十万円以上になるとフラットになるところでありますので、ここを基準にする。ここの八百五十万円以下というのは、全ての納税者五千六百万人のうち八割強を占める四千六百万人であります。

 四千六百万人、八割強を占める方々というのは、やはり中間層はカバーされている、その範囲はいいのではないかというふうに、私はそう思っておりましたし、また、基礎控除を上げるということは収入が多いほど減税額が多くなるので、ここはやはり高額所得者に対する優遇とならないように工夫をすべきじゃないかということで、このブラケット自体に、二百万から四百七十五万。

 四百七十五万というのは、所得税の限界税率が四百七十五万で五%から一〇%になるわけです。二百万から四百七十五万は五%です。ここは四十万円引き上げるわけですので、四十掛ける五%で一人二万円、下も入っていますと二・四万円。

 四百七十五万から六百六十五万、これは限界税率一〇%。ここは政府原案の十万円にプラス十万円引き上げて二十万円。ここに一〇%を掛けると二万円。

 六百六十五万円から上は、所得、限界税率二〇%でございます。八百五十万円のところは、五万円の上乗せにして十五万円。これに二〇%を掛けると三万円。

 この一人当たり二万から三万円強の減税額にしていくというのが、こうしたことが公平でかつ幅広く行き渡る対応じゃないかということで、こうした案を提案をし、与党の案として国会に提出をするに至ったわけでございます。

 こうした考え方について、財務大臣、当然、与党の案についてコメントはしにくいというふうに思いますが、私、是非、この場をおかりしまして、まず一つは、低所得者層について生活最低費も勘案して手厚く措置した、これは百三万から百六十万に引き上げたこと。次は、物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえて、中所得者層も含めて税負担を軽減した、これは八百五十万円以下までを対象にしたということ。そして最後に、高所得者優遇とならぬように、一人当たりの減税額を平準化する、二万円から四万円に平準化する。そうした考え方に基づいて、三党の議論の中で、ない知恵を絞ってできたこの与党案について、財務大臣の御見解をいただければと思います。

加藤国務大臣 まず、税制については、自民、公明、国民民主の三党において、十二月の三党幹事長間の合意を踏まえ、真摯かつ活発な議論を重ねられたことに敬意と、また感謝を申し上げたいと思います。

 長年にわたってデフレが続いてきた我が国でも、足下、今までお話がありましたけれども、食料品など物価上昇率が高い状況が続き、広く国民や事業者の皆さんが物価上昇の影響を実感されていることは我々も認識をしているところでありますので、特に相対的にエンゲル係数が高い低所得者層ほど物価上昇の影響を強く受け得るものと認識をしております。

 所得税自体は、消費や将来の消費に備えた資産の蓄積に充てることができる経済的な価値である所得に応じて税負担を求めるというものになっております。その意味で、低所得者層に手厚く配慮するという意味は、所得税の考え方と整合的だと考えております。

 また、物価上昇に賃金上昇が追いつかず、広く物価上昇の影響が実感されている現状において、税負担軽減の対象に中所得者層まで含め、幅広く家計支援を行う必要性があることにも、問題意識を共有しているところでございます。

 もちろん、物価上昇への対策は今回の所得税の見直しのみによって行われるものではありませんけれども、政府としても、国会での議論を踏まえ、引き続き適切な対応を図っていきたいというふうに考えております。

赤羽委員 物価高対策ですとか賃上げというのは税制だけでやることではないと思いますので、様々な諸施策を引き続きよろしくお願いしたい、こう思うわけでございます。

 また、いわゆる当分の間税率の廃止についてに質問を移らせていただきたいと思いますが、公明党は、これは三党間の合意でありますから、これは廃止は必ずやるということを約束したいと思います。

 しかしながら、三党の現場では、今年の六月までにということを明確にというふうに言われましたが、これはさすがに、先ほどから総理の御答弁にもありますように、一兆五千億のうちの五千億が地方自治体の地方税でありまして、今、各地方自治体共に、それを前提に予算編成をされ、議会の審議もされている。私のところに全国知事会の会長も政令市市長会の会長からも直接連絡をいただいたので、ここは何とか混乱を避けてほしいというようなこともございました。

 また、いわゆる当分の間税率は、対象に灯油とか重油は入っておりませんので、そこに対する支援策も講じなければいけませんし、軽油を免税で使用している、許されている業界も多数ございますので、そうしたことについての支援も必要だということでございます。

 当然、恒久減税ですから、ワンショットの財源ではなくて安定的な財源を確保するべきというのは先ほど総理の御答弁にあったとおりだと私たちも思います。

 そうした意味で、私の思いは、この年末には決着をつけるべく、様々なやらなければいけないこと、地方には御迷惑はかけられない、ガソリンスタンドの現場にも混乱を避けなければいけないということで、しっかりとやっていかなければいけない。

 大事なことは、やはり今、全国、地方を回りますと、少子高齢化、人口減少化、かつ公共交通機関がなかなか継続が難しくなっている。どこに行っても、私の神戸市の北区の地域でも、やはり車は二台、三台あるのが当たり前。地方に行けば行くほど軽自動車が多くなっていて、やはりこの燃料油の価格抑制というのはすごく大事なんですね。

 いわゆる当分の間税率を廃止するということは、予算としての抑制措置、これはロシアによるウクライナ侵略からずっとやってきた、これをやめるわけですから。私は、仮にもし税率を引き下げたとしても、消費者にとっては価格というのはそんなに変わらないのではないかなというふうに思いますので、現実的には、当分の間税率を廃止するまでの間は、今一・二兆円用意されているというこの抑制策の支援策を、やはり現場を歩きながら、必要であれば更に深掘りをするなど、やはり、政府として、国民の生活を守るんだと、強い発信、強い対応が必要だというふうに思いますが、石破総理の御見解をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、地方に行けば行くほどそうなんです、働き手の数だけ車はありますので。ほかに何か公共交通手段があるかというと、そんなものはありゃしませんから、地方ほどガソリンの負担が重いということは、私ども地方に住む者というのは切実に感じておるところでございます。

 とにかく廃止ということに決まっているわけですから、この間どうするのかということでございますが、例えば、長野県のように、ガソリン価格が高いよ、車が主要な移動手段だよというところは一定額の燃料券が配付をされておる。三か月分のガソリン負担をリッター当たり三十数円程度軽減する。重点支援地方交付金を使いまして物流事業者に対する支援を講じている自治体、これは委員の御地元の兵庫県がそうだというふうに承知をいたしております。

 地域地域の実情に合ったような対応はいたしてまいりますが、先ほども委員がおっしゃいました十二月を目途にというのは、私は一つの見識なんだろうというふうに思っております。そういうふうにして期限を区切ることによって、じゃ、どうするんだという議論が加速をしていくものでございますから、私どもとして、政府や地方自治体の事情というものを優先して、一般国民のそういう暮らしを等閑視しておるというようなことは全くございません。

 私どもとして、この問題に三党で早急に結論を得る努力は、現場において是非ともお願いをいたしたいと思っておるところでございます。

赤羽委員 どうも、前向きな答弁ありがとうございました。

 次に、教育について質問を移させていただきたいと思います。

 公明党は、結党以来、子供は家庭の経済的な事由にかかわらず、誰もが公平に良質な教育を受けることができ、そして各個人の個性や能力が大いに発揮できる社会とするべきだということで、随分昔から、結党以来ですから、昭和三十八年の四月に、小学校一年生入学の生徒さんを対象に、義務教育の教科書無償配付を皮切りに、これは四十四年に小中学校全部完成したわけでありますが。また、昭和四十七年に児童手当の創設も尽力したり、近くは、給付型の奨学金ですとか、幼児教育の無償化、高校の授業料実質無償化等々、着実に実現をさせていただきました。

 今回、三党の協議によりまして、こうした教育費用負担軽減が一歩前進することは私も大変喜ばしいと思います。ただ、私は、教育負担軽減も重要なことながら、総理も所信表明演説で述べられておりましたが、公教育の質の向上というのは本当に真剣に考えなければいけないのではないかなと。やはり、教育の質というのは、教育費用の負担は親の問題ですけれども、質というのは子供の問題です。

 やはり今、日本の学校、十一年連続不登校生徒が増えているとか、いじめが相変わらずあるとか、また読書の習慣がなくなっているとか、子供の体力が低下しているとか、語学力も相変わらずの状況だとか、余り楽しい数字が出てこないわけであります。

 私は、日本の公教育、一生懸命現場でやられている方々に対してはちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、全体のボトムアップをするということが目的だったりとか、画一的な教育ということではなくて、生徒一人一人がやはり主体的に、興味ある分野を楽しく、一生懸命学べる教育であるべきだ。

 そうしたことをしていかないと、まさに国際社会で通用するような国際人材を育成したりとか、一流の文化芸術に触れる機会をしっかりとつくるとか、また自然体験学習や、スポーツをしっかり体得できるとか。また、これも授業のIT化、いろいろなことが配置されていますけれども、現実、授業には使われていないようなことも多いと聞いておりますので、こうしたこと。

 私は、やはり公教育の質の向上をしていくということが、教育費用負担も重要ですけれども、何より、これからの日本の将来のため、またお子さんたち一人一人の、青年の未来のために重要な政策だと思います。

 石破総理もこの点についてはずっと思い入れがあると思いますので、御見解をよろしくお願いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 教育は社会全体で支えるものだという考え方の下に今回の議論が進んできたと思っておりますが、赤羽委員がおっしゃいますように、質を上げる、特に公教育。では、これをどのようにして上げていくのか、そして、その検証をどのようにやるべきかという議論は、私自身まだよく得心をするに至っておりません。

 私は、やはり教育というのは楽しくないとインセンティブは利かないということはよく承知をいたしております。高校になって、勉強するというのは楽しいなということがありました。楽しくなければいかぬのだけれども、楽しいばかりでちっとも中身が伴わないということではどうにもなりません。

 今、高校生の教育の質が確実に上がったねということが、判定という言い方をあえてするとするならば、そういうやり方というものについて、実際に当事者の方々、子供たちも交えていろいろな議論がなされているんだと思っております。私は、本当に怖いのは、質がほとんど上がっていない、これを判定するような手法というものはやはり開発をされなければいかぬのだろうと思っております。

 高校から大学に進学する方も多いわけでありますが、そこは一回ぶち切れているような気がするのですね。大学も、受かったところに行くということではなくて、この学校のこの授業を受けたいということで、高校のときからそれに向けた勉強をしていくということ。私は、そこは高校と大学の一貫性みたいなものも更に議論されてしかるべきだと思っておりまして、単に卒業証書さえもらえばそれでいいというのは、私はそれは教育の名に値しないものだと思っております。

赤羽委員 もう時間が間もなく来ますので終わりにしたいと思いますが、実は、バリアフリーの社会、共生社会というのは公明党は一生懸命やってまいりました。私も国土交通大臣として、新幹線の車椅子のフリースペース六席、世界最高水準を実現したりしています。

 この中で、ちょっと一つ最近発見したんですけれども、新設の大型商業施設、敷地面積二千平米以上はバリアフリーの義務化がされているんですが、実はそこに入っているテナントは全く義務の対象じゃないんですね。障害者の皆さんというのは、何を食べたいかでお店を決めるんじゃなくて、車椅子が入れるか、トイレが使えるかということでそうしたお店を決める、これはやはりあってはならないことだと思うんです。

 このことについて、是非、国土交通大臣、中野さんが一生懸命、必ず大臣として決断して実行していただけると思いますので、時間があれば聞きますけれども、多分もう、今日はテレビ中継ですから、私の思いと、中野さんは私の後輩なので、それを受け止めてくれるということを信じて、私の……

安住委員長 まだ一分ぐらいあるから、じゃ、それで終わってください。

赤羽委員 じゃ、一分だけ。決意を。

中野国務大臣 非常に大事な御指摘だと受け止めております。車椅子の使用者の方が健常者の方と同様に飲食や買物などを楽しめる環境を整備する、非常に大事であります。

 バリアフリーの建築設計標準のフォローアップ会議におきまして、今後、実態の把握、あるいは課題の整理、こういうのをしっかりと行った上で、実効性のある対策をしっかりと講じてまいりたいと思っております。しっかり対策をやってまいりますので、よろしくお願いいたします。

赤羽委員 やらない理由は幾つもあるようですが、大臣の決断で頑張ってください。

 以上です。

安住委員長 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 冒頭、裏金問題について一言申し上げます。

 先週行われました松本氏の参考人聴取は、公開が原則であるものが非公開の秘密会となり、れいわ新選組や少数会派の質問が許されない形で行われたことに強く抗議申し上げます。

 参考人招致を受ける側が要求した条件に従って、この予算委員会全体を構成する会派の一部が質問権を奪われるということは、立法府の国政調査権、これを侵害することに当たり、これまでの前例にはありません。

 れいわ新選組は、一年前から、公開と出席を原則とする、そしてこれが義務である証人喚問、これを要求し続けてきました。今回のことを受けて、安倍派幹部の証人喚問、さらには二階派、岸田派の全ての裏金議員の証人喚問を議決することを委員会に求めます。

 さて、総理、今、物価高が止まりません。先週発表された消費者物価指数では、昨年に比べて四%の上昇、米は一・八倍など、どんどん高くなっています。

 パネル一、御覧ください。値上がりしたら困るものランキングですが、一位が米、先日の私の質疑でも指摘しましたが、政府は有効な手だてを取れていません。そして、二位がガソリンなんです。

 今日はここに焦点を当てていきたいと思いますが、ガソリンの小売価格は今年に入ってから百八十五円を超えている。一月は、昨年十二月と比べて三・六%も高くなりました。ドライバーや物流業者にとって負担が重く、生活を直撃しており、悲鳴が上がっているんです。

 このガソリン価格高騰について、これまで政府は、石油の元売会社に補助金を出す形で対策を行ってきました。しかし、本当にこの政策は正しかったんでしょうか。会計検査院から、支給する額が小売価格に反映されていない可能性や、それを所管の資源エネルギー庁が調査や分析をきちんとしたのかという厳しい指摘があり、要は、一部中抜きされて、消費者の負担軽減に効果が出ていないのではないかと言われているわけですね。政府はこの対策に幾らかけてきたか。三年間で八兆一千七百十九億円を投じてきています。

 まず、財務大臣にお伺いします。この約八兆二千億円の財源は何ですか。

加藤国務大臣 歳出と歳入というのは一対一関係になっていませんから、その財源が何かと言われてもなかなか特定できるわけではありませんけれども、基本的に、国の歳出については税金そして国債の発行等によって賄われているということが言えると思います。

櫛渕委員 公債というお話がありましたので、公債も含んでということだと思います。

 れいわ新選組が積極財政による政策を打ち出すと、財源が財源がと厳しく言われるんですよ。でも、結局政府も国債を入れているじゃないですか。国債を発行してお金を投入し、ガソリン税を下げてきたわけですよね。私たちの求める消費税廃止や給付金にも国債を出してくださいよ。これには厳しく批判をするのに、自分たちの政策には簡単に大きな規模の国債を普通に出している。これが実態です。

 パネル二、御覧ください。そもそも、お分かりのとおり、ガソリンは税金の塊と言えます。実に四割が税金。石油石炭税、ガソリン税の本則に加えて、当分の間とする上乗せ分、いわゆる暫定税率があり、その上に消費税までかかっているんです。この赤い部分全部が税金なんですよ。

 地方での生活には車が必需品、私は東京の選挙区ですが、それでも物流には車が欠かせません。ガソリンが高くなることは、生活コストに直結しているんです。しかも、これから安くなるようには思えません。こうした国民負担を下げるには、石油元売会社に対する補助金で一部の人だけが恩恵を受けるような方法では意味がない。ガソリン価格が安定するまでガソリン税はゼロにする、これが一番シンプルで効果的であり、また、物流コストを抑えることができる。商品、サービス価格の値上がりも抑制することができます。

 財務大臣、物価高が深刻になっていますから、いわゆる暫定税率から更に踏み込んで、ガソリン税自体、本則も含めた見直しを行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 暫定税率と本則の話、ちょっと別々に議論させていただきたいと思います。

 まず、暫定税率については、今、三党間で、今までも議論されてきております。ただ、一方で、トータル一・五兆の財源をどうやって確保するのか。それから、今、ガソリンと軽油については確かにそうでありますけれども、それ以外の油種に対しても、補助金で支援をすることによって、価格を維持、維持というか、急激な引き上がりを抑えている、こういったこともあるということ、このことはまず申し上げておきたいと思います。

 あと、本則については、これを含めて、自動車には様々な課税がなされているわけでありますから、それらをどうしていくのかということは、与党税調においてもこれから議論をしていかなきゃいけないとして指摘をされているところでございます。

櫛渕委員 本則も含めた見直しを行うということは明言いただけませんでした。

 ガソリン税が大きな負担になっていることは明らかですが、消費税も問題なんですね。しかも、ガソリン本体にかかるガソリン税に更に上乗せとして消費税がかかっているわけですから、財務省が何と言おうと、これは二重課税なんですよ。そうですよね。

 次に、パネル三。実際、総理も会員かもしれませんが、JAF、日本自動車連盟の調査、このアンケート結果によると、何と九割、九割の方が、ガソリン税には消費税がかからないようにしてほしい、このように答えています。このアンケート、サンプル数は十九万という大きさです。これはおととしの調査ですから、消費税が始まってから三十年以上たってもなお、自動車ユーザーはガソリン税に消費税がかかっていることに納得していないんですね。

 総理、先ほどは、ガソリン税本則の見直し、このことには財務大臣から明言はいただけませんでした。それならば、二重課税を何とかしてくれという九割のドライバーに対して、その答えに応えるには消費税を廃止するしかありません。総理のお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 消費税については今更繰り返すことはいたしませんが、社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うということでございますし、法人税や所得税のように景気の変動によって税収が大きく振れたりいたしませんので、安定的な税収として必要なものだということだと私自身は承知をいたしております。

 私自身、確かに、日本自動車連盟でしたか、ジャパン・オートモービル・フェデレーション、この会員ではございますが、そのたびに、とにかくこれは二重課税反対だという意見が機関誌に大きく載っていることは承知をいたしております。

 誰でもそういうものに反対なのですけれども、これから先、インフラが老朽化していく上において、そういうものの整備のための財源も併せて必要だというふうに私どもは考えておるところでございます。

櫛渕委員 消費者連盟ではなくて自動車連盟ですが、このアンケート結果の九割のユーザーの声を是非聞いていただきたいんですね。

 私がお聞きしたのは、消費税廃止、これはいかがですかとお聞きしたんです。

 総理は以前から、消費税は全額社会保障に使われているというふうにお答えになるんですが、先週二月二十八日、分科会で私は財務省にこう聞きました、消費税を廃止しても道路の整備や補修に影響はないですね。これに対し、政務官は、お金に色はついていない、一つの財源で賄っているわけではないので一概には申し上げられないとお答えになりました。

 これは、逆を返せば、総理が言う話と根底から矛盾しますね。つまり、消費税が全額社会保障に使われているなら、道路整備費には影響しないはずなんですよ。しかし、お金に色はついていないということは、消費税が社会保障以外にも使われているということになります。

 総理、どっちですか。いかがですか。お答えください。総理です。総理、お願いします。総理が、社会保障に使われている、全額ということを私にお答えになったんですから。

加藤国務大臣 今の説明は、社会保障に消費税が使われております。消費税がなくなれば、じゃ、社会保障の財源はどうなるんですか。当然、もしそういうことになれば、他の税収を含めてやらなきゃいけない。そうすれば、他の歳出に影響が及ぶ。これは当然のことなんじゃないでしょうか。

櫛渕委員 消費税は全額社会保障に使われていないということを私は申し上げているんですよ。

 総理は前回そのように私にお答えになったので、お聞きをしたんですね。全額使われているんですか。全額使われているんですか、お答えください。

石破内閣総理大臣 全額使っております。

 もし、委員が使われていないとおっしゃるのでしたらば、使われていないということについて実例を挙げてお示しください。

櫛渕委員 逆に、使われていると検証結果を出してくださいよ。全額使われているという検証結果、出せますか。出せないですよね。一般財源で、お金に色はついていないと言っているんですから、そっちの方が正しいんじゃないんですか。お金には色がついていないのは確かです。

 私からすれば、色がついているのは総理の真っ赤なうそ、この言葉です。消費税は全額社会保障に使われていないのに、こうした二枚舌で都合よく国民をだまして、税金をむしり取ってきた。だから、国民はどんどん貧しくなり、経済は衰退し、国力が落ちてきたんじゃないんですか。即刻、自民党政権は退陣をしていただきたい。来年度予算は過去最高の税収です。国は税金取り過ぎ、国民は取られ過ぎ。消費税は廃止、ガソリン税をゼロにして、今すぐ国民にお金を返してください。

 さて、この点、立憲民主党の予算修正案では、ガソリン税の暫定税率部分のみを廃止するとしています。パネルをもう一度出しましたが、ただ、これでは、一リットル百八十五円だとすると、二十五・一円下がるだけなんですね。れいわ新選組が求める、暫定税率はもちろん本則まで踏み込み、消費税も廃止、そうすれば、一リットル七十円以上、二倍になります。二倍以上なんですよ。どちらがもっと手取りを増やせるかは明らかです。

 さて、トラック協会によれば、燃料価格が一円上がると全体で百五十億円、これぐらい負担が増えるんですよ。ガソリンあるいは軽油が高くて、トラック会社は息も絶え絶え。東京商工リサーチの調査でも、道路貨物運送業の倒産は四年連続で増加、過去十年で最も多くなっています。

 こちらのパネル、御覧ください。倒産に関して、注目すべき点は二点です。まずは、税と社会保険料の滞納を理由とする倒産が増えていること。そして、去年は二〇二一年の何と九倍にもなっているんですね。また、税の滞納の五〇%以上が消費税であるということなんです。消費税が、国民も、そして中小企業も追い込んでいるんですよ。この追い詰められている状況が続けば、物価上昇を上回る賃上げなどとても無理です。

 倒産で二つ目に重要な点は、ゼロゼロ融資後の倒産。昨年はおととしに比べて一二・六%の増加。資金繰りの支援策が六月で終わってしまった影響が明らかに出ています。

 総理にお願いです。中小企業を救うため、ゼロゼロ融資の返済猶予や低金利融資の継続を是非やってください。

 それでは、修正案を提出した立憲民主党にお聞きします。

 中小企業対策として、社会保険料の負担軽減は知っていますけれども、消費税の廃止、少なくとも消費税減税、またインボイス廃止が必要と考えますが、この修正案に反映されていますでしょうか。政府は、インボイスによる増収分を最大二千四百八十億円と試算しました。逆に言うと、インボイスを廃止すれば、最大その分の歳入減額が立つはずですが、この修正案には見当たりません。いかがですか。

重徳委員 修正案を提出しました重徳です。御質問ありがとうございます。

 私ども、修正案の中に、中小企業対策としましては、消費税には直接触れておりませんが、社会保険料の負担を軽減することによって正社員をより雇いやすくする、つまり、今、人材不足で大変中小企業の皆さん方はお困りになっております、そういった問題を解消していこうとか、御指摘のガソリン等の暫定税率を廃止することによって、これはあまねく中小企業の皆様方が御苦労されている、そうしたコスト負担の軽減にもつながっていく。また、百三十万円の崖と我々は呼んでおりますけれども、これも、働いても働いても、年収百三十万円のところになると急激に手取りが減る、こういった問題を解決するためにその崖を埋めていこう、そうやって人材を確保していこう、こういう様々な政策をこの中に盛り込んでいるつもりでございます。

 こういったこと一つ一つについても、やはり財源が必要になってまいります。私たちは、消費税だけ、もし思い切り軽減できるんだったら、それはそれで一つの選択肢かもしれないけれども、やはり何事もバランスというものもありますし、何かをやるためには財源だって必要なんです。財源確保にも責任を持つのが、私どものように政権を目指す政党としての絶対条件だと考えております。そういったことについても御理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。

櫛渕委員 財源の話はこの後申し上げますが、政府だって、先ほど申し上げたように、国債を発行してお金をつくっているじゃないですか。こういうやり方を何でやらないんですか。

 中小企業の倒産の理由、消費税がいかに重いかという話を先ほど申し上げたんですよ。だから聞いているんですね。野党第一党さえ、消費税減税、このことを決断していただければ、野党全体が一致して、消費税減税、インボイス廃止法案を提出をし、そして、野党が多数ですから、国民を救うことができるんですよ。是非、皆さんやりましょうよ。そうじゃありませんか。是非、立憲民主党さんの修正案に盛り込んでいただきたい。お願いいたします。

 れいわ新選組は、政府案も、どちらの修正案にも消費税に一言も言及がないため、全く理解ができません。現行の政府案を撤回した上で、れいわ新選組の組替え案、予算案を提出いたします。

 パネル五。消費税ゼロ、ガソリン税ゼロ、国民一律十万円給付……

安住委員長 櫛渕さん、時間ですので、そろそろお願いします。

櫛渕委員 はい。

 社会保険料の引下げ、是非、れいわ新選組のこの提案、御検討いただき、国債はまだまだ発行できます。今は需要不足、コストプッシュインフレですから、まだ余地はあるんです。是非、このことを皆さんにお訴えをし、れいわ新選組の予算案、お受け止めください。

 終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。

 自民、公明、維新の三党合意について聞きます。

 合意では、社会保障削減のための協議体の設置と、二〇二五年までの予算編成の過程で十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて、来年度から実行に移すとされました。三党の社会保障削減のための検討について、合意には具体的な数値が書き込まれております。これは数値目標ではなくて具体的な数値です。

 パネルを用意いたしました。先に下の方に行きます。

 国民医療費の総額を年間で最低四兆円削減するということを念頭に置くと記されております。これは、総理も自民党総裁として合意に署名をいたしました。

 総理、今年度末までに、この国民医療費を最低四兆円削減することを念頭に検討を行い、早期に実現可能なものについて、来年の二〇二六年度の予算に盛り込んで実行に移すということですか。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、まさしく今御紹介いただきましたように、国民医療費の総額を年間で四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるとされておるわけでございますが、これを念頭に置くことを合意したというものでございます。

辰巳委員 これはとんでもない合意なんですね。国民医療費の総額を年間で最低四兆円、これは、この間の医療費の抑制施策に照らしても、途方もない数字だと言わなければなりません。

 厚労大臣に聞きますが、この間、予算委員会で繰り返し大問題になってきた高額医療費の負担上限の引上げですよね、これは、当初の案で、実行後の財政影響は医療費ベースで幾らになっていますでしょうか。

安住委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 福岡厚生労働大臣。

福岡国務大臣 当初案で申しますと、五千三百億でございます。

辰巳委員 今国会で大問題になってきた高額療養費の負担上限引上げ、これが、医療費の削減抑制、五千三百三十億円なんですよね。それでも、がん患者など、重い病気にかかり、多額の医療費を長期にわたって負担をして治療を続ける患者さんに深刻な影響をもたらそうとしているわけであります。がん患者の中には、家族の将来のために、治療を中断してお金を残した方がいいのではないかという悲痛な声も出されております。

 厚労大臣、もう一度確認しますけれども、二〇〇〇年度以降の医療費抑制を狙った制度の見直しで、自己負担と保険給付を合わせた医療費ベースでの財政影響が年額で一兆円を超えたものは過去ありますでしょうか。

福岡国務大臣 二〇〇〇年といいますと平成十二年になりますが、二〇〇〇年以降でいえば、医療保険制度の改正では医療費の削減額が一兆円を超えるものはございませんが、診療報酬改定では、二〇〇六年、平成十八年度の改定におきまして、医療費、一兆円をやや超える削減額の規模となってございます。

辰巳委員 ということなんですね。二〇〇六年のこの一兆円の削減で一体何が起こったのか。

 二〇〇八年、東京で、出産間近の妊婦が七つの医療機関に受入れを拒否され死亡する事件が起こりました。政府の医療費の削減で医師や看護師不足を加速をさせ、医療現場を疲弊をさせてきたわけであります。本来助かる命が助からない事態が起こりました。まさに、その二〇〇六年の一兆円の削減が、踏ん張り続けてきた現場の心を折って、医療崩壊をもたらしたわけであります。当時、医師が病院からいなくなる立ち去り型サボタージュ、そういう言葉もありました。

 総理、年間の〇・五兆円、五千億円の削減でこれだけの痛みです。一兆円で医療崩壊です。今回の四兆円の削減というものが一体どれだけの痛みをもたらすのか。これは医療崩壊を四回も起こすことになるんじゃないですか。総理、いかがですか。

福岡国務大臣 先ほど総理も申されましたし、今日この配付資料にもございますが、そもそも、この念頭に置くという書き方については、政府・与党として二〇二三年から二〇二八年にかけて一兆円減少させる、公明党さんの考えも書いてある、そして維新の党の考えも、それぞれ三党の考えを書いてあって、それを念頭に置いて協議を行っていくということでございます。

辰巳委員 いや、ですから、その念頭に置くという文書に総理も確認の署名をしたわけですよ。そうですよね。総理、どうですか。一兆円で医療崩壊。今回総理が署名された四兆円というのは、まさにその医療崩壊を四回も起こすような途方もない削減になるんですよ。いかがですか。

石破内閣総理大臣 崩壊しないようにやっているんですよ。崩壊しないために、それぞれの御負担というものもお願いはしていかねばならないものでございます。

 今大臣がお答えを申し上げましたように、政府・与党の方針や提言に加えて維新の会が公表された改革案で、国民医療費の総額を年間で四兆円削減することによって現役世代お一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるということは維新の会のお考えでございます。ですから、政府・与党の考え方、そして維新の考え方、それぞれを紹介をいたしまして、それを念頭に置きながらこれから先考えていくものでございます。

 私どもは、医療崩壊を目的としてこのようなことをやっているのではございません。誰かが支えていかなければ、このすばらしい制度を今後存続させていくことは不可能でございます。いかにしてこの制度を崩壊させないか、いかにしてこの制度を継続するかということのために私どもは一生懸命考えておるところでございまして、崩壊を企図しておるようなことは全くございません。

辰巳委員 総理、私の話を聞いていただきたいんですね。過去、一兆円の削減で医療崩壊を起こしてしまったんですよ。起こさないようにするといっても、四兆円の合意を総理は署名されているんですよ。こんなことをしたら、医療崩壊が起こるのは間違いないじゃないですか。これは絶対に許してはならないんです。

 三党合意の文書の中には、それだけじゃありません、こうあります。OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しというものが盛り込まれているんですね。

 OTC医薬品とは、薬局あるいはドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる医薬品であります。OTC類似薬については保険適用除外にすべきだという声が、この間、財界や保険者、一部政党から上がってまいりました。そして、OTC類似薬を保険から外せば、医療保険が負担をしていた薬剤費負担が減少をして、その分患者の負担が増えることは間違いありません。しかし、患者負担というのはそれにとどまりません。

 二枚目のパネルを御覧ください。

 公定薬価の三割負担、つまり、実際に患者が病院などで処方箋をもらって、それを薬局でお薬をもらう、その自己負担の分ですね。これを赤の部分で記しました。これが自己負担金額でございます。

 上から見てみますと、アセトアミノフェン、これは解熱鎮痛薬、いわゆるカロナールと言われるものですけれども、三百ミリグラム一錠当たりで一・八円ですね。しかし、これがOTC医薬品、つまり市販ということになりますと、メーカー小売希望価格では一錠当たり八十八・九円。つまり四十九倍になります。

 ファモチジン、これは胃酸分泌抑制薬、ガスターですけれども、十ミリグラム一錠当たり三円ですけれども、OTC医薬品ということになりますと百七十九・七円。何と六十倍になるわけですね。

 フェキソフェナジン、これは花粉症の薬、アレグラですけれども、六十ミリグラム一錠当たり三円ですけれども、OTC医薬品では百三・二円で、三十四倍にもなります。

 総理、これらで医療費を三千四百五十億円節約できるんだという報道もあります。しかし、三千四百五十億円が保険給付から外れて、市販の薬に置き換わるということになれば、三千四百五十億円が患者負担になるということにとどまらずに、現在の薬剤費、自己負担で払っている分の二十倍から六十倍もの自己負担を迫られることになるんじゃないですか。いかがですか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

福岡国務大臣 まず、お示しいただいた表につきましては、単純に薬の価格だけを比較していらっしゃいますが、医療機関に行けば当然、初診、再診が別途その患者さんに発生するということでございます。

 その上で言えば、今いろいろ御指摘いただいたことは、まさに今後、三党でハイレベルの協議体を設置し、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しを含め、国民負担を軽減するための具体策についてこれから検討が深められるものと考えております。

辰巳委員 これから検討するというんでしょう、これだけの負担増を。むちゃくちゃじゃないですか。

 OTC類似薬を保険医療の対象外にすれば、自治体独自の医療費助成の対象外ということにもなります。

 私も子供がいますけれども、アトピー性皮膚炎あるいは食物アレルギーに伴うかゆみ、アレルギー性鼻炎のための主要な治療薬には抗ヒスタミン薬があります。臨床で使用されるほとんどに同一成分、剤型、容量のOTC薬があります。

 総理、三党合意による医療費の削減は、長期にわたって使用するこれらの薬がもう医療機関ではもらえずに、市販品を購入して治療しなければならないということになる。子供が該当する疾患にかかっている場合は、大変な親御さんの負担となる。払えない家庭は治療を諦めざるを得ない。健康格差の拡大を招くんじゃないですか。いかがですか。

福岡国務大臣 まさに内容につきましては、先ほど申しましたハイレベルによる協議が今後進められるということでございますが、御承知のとおり、OTC類似薬を保険給付の対象から外すことにつきましては、改革工程においても、その検討がなされてきている中におきまして、これまでも社会保障審議会医療保険部会でも御議論いただいています。

 その中では、当然、皆保険の持続性を確保する観点から、保険料負担の軽減につなげるべきという御意見がある一方で、医療上の必要性に応じて患者の方が適切な医薬品を選択できるよう何らかの担保措置が必要ではないかといった御意見であったり、医療用と市販薬では、同一の成分であっても期待する効能、効果や使用目的、患者さんの重篤性が異なる場合があり、市販薬の有無で取扱いを変えることが妥当かどうかといった御意見もいただいているところでございます。

 そういったことも踏まえて、今後更に協議が進められることと承知しています。

辰巳委員 大臣の答弁を聞いていたら、やる気満々じゃないですか。子供たちの健康被害、健康格差、これを拡大させることになると言わなければならないと思います。

 三党合意に盛り込まれた、与党の、実質的な社会保障負担軽減の効果を一兆円程度生じさせる、この施策の一環として行われる高額療養費の上限の見直しも、あるいは、保険料負担の軽減と引換えに更に負担と上乗せされるのが、まさに今言っていたOTC類似薬の適用除外ということになります。

 そういうリスクに備えている人は、例えば民間のがん保険などを購入できます。しかし、それができない人は、払い切れない負担に治療の継続を諦めなければならない方が増えるということになります。国民の医療費というのは減少しますけれども、家庭が行う医療費の関係支出は、民間医療保険の購入や市販薬の購入で、トータルの負担というのは増大をするんじゃないですか、総理。

 こんな三党合意を結んでいいんですか。総理の答弁を聞かせてください。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が来ますので、簡潔にお願いいたします。

石破内閣総理大臣 ですから、委員がおっしゃるような、そういうことによって受診の抑制が起こらないということはきちんと確認をしておかないと、制度自体に対する信頼がなくなります。本当に必要な診療が抑制されることがないように、しかしながら、この制度自体が続いていくように、その接点を見出していかねばならぬので、それぞれの主張を念頭に置きながら、どこに接点を置くかということです。

 そこは、世の中に魔法みたいなことはありませんので、どのようにして制度を守っていきながら受診抑制が起こらないようにするかということを、これから先、誠心誠意、全力で考えてまいります。

安住委員長 辰巳君、時間になりましたので、まとめてください。

辰巳委員 こんな健康格差の拡大をもたらす毒薬入りのまんじゅうを国民に強要することがあってはならない。この三党合意の中止を求めて、私の質問を終わります。

 以上です。

安住委員長 これにて辰巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、三十分、よろしくお願いいたします。

 まず、質疑に入る前に一言。

 この予算委員会の中央公聴会での河村参考人の財政への危機感、これを皆さん聞いたと思います。崖っ縁という言葉でした。その危機感がこの予算委員会で本当に共有されているのかとつくづく思います。

 少数与党に対して、恒久財源を挙げることなく、各野党が陳情を繰り広げています。そして、与党がそれを査定して箇所づけをするのに一喜一憂しています。箇所づけの根拠は、予算に賛成してくれるのか、どの程度負担が少ないか、そういうことだけです。ここに、どの政策が必要なのかという必要性の議論が極めて希薄だと思います。これがさきの総選挙で示された民意に応える行為でしょうか。

 そもそも、今の円安進行の背景には、金利を機動的に上げられない日本の現状があります。それは、公的債務が積もり過ぎていて上げられないからという一面があるはずです。公的債務の累積は、日本の苦境を間違いなく招いています。

 我々は歴史の法廷に立つ覚悟を持ってやっているのかと、全ての予算委員のメンバーの良心に訴えかけたいと思います。そのことを述べた上で、質問に入ってまいります。

 まずは、人口減少社会への対応ということで、村上大臣、よろしくお願いいたします。

 空き家と固定資産税という課題について取り上げさせていただきたいと思います。

 固定資産税が、家を建てれば減税、そして、逆に言えば、家を壊せば、平地にすれば最大六倍も増税になる、そういう仕組みです。この仕組みが日本全国で空き家を増やしている、私はそう思います。実際に、私の地元でも、家を壊すのに金がかかる、金がかかった上に税金が六倍になる、空き家なんか壊しませんよねと言われたことが何度もあります。

 今の仕組みは、住宅が足らない時代に、土地を寝かせず住宅を建てようという政策目標からつくられましたが、人口減少社会では、空き家を取り壊す動機がないというふうにブレーキになっています。これまで空き家対策を政府が講じてこなかったとは言いませんが、基本的にはぼろぼろの空き家に対する対応が主であって、本丸たる固定資産税に切り込んでいないと思います。

 ただし、この本丸は極めて難易度が高いです。地方の基幹税に手をつけなくちゃいけない。増税と減税の方が出る可能性が高い。そして、土地税制の在り方そのものががらっと変わってしまうということもあって、極めて難易度が高い作業でありますが、これは誰かがやらなくてはいけない大作業だ、私はそう思っています。

 この作業に取り組むことができる人物というのは、頭が切れて、度胸があって、そしてこの困難な事業にも楽しく乗り出していくことができる、少し変わった方である必要があると思います。

 村上大臣、適任だと思います。いかがですか。

村上国務大臣 まず最初に、緒方林太郎委員の大所高所の御見解、本当にありがとうございました。私自身も長年やっていますが、緒方委員の見解、本当に感謝します。

 まず、御指摘の住宅用地の特例は、住民の日常生活に必要な住宅用地の税負担を軽減するという住宅政策上の見地から、昭和四十八年度に設けられたものであります。ただし、この特例が適用され続けることにより、空き家が放置される要因の一つになっているんじゃないかというふうに御指摘があることも承知しております。

 一方で、空き家が放置される要因には、固定資産税のみならず、まず第一点は、解体費用の負担が困難であること、そして二番目は、相続等の権利関係の整理がつかないことなど、様々なことが要因であると考えられます。適切な管理がなされていない空き家の増加は、倒壊による保安上の問題や景観上の問題などが生じることから、重要な課題だと考えております。

 人口減少の急速な進展に伴い、今後更に空き家が増加していくことが見込まれておりますので、これまでの政策理念の転換が必要であり、委員のおっしゃるとおり、固定資産税の在り方のみならず、住宅政策や土地政策も含めた幅広い見地から総合的に進めていく必要がある、そういうふうに考えております。

緒方委員 もう一言。

 確かにいろいろな課題があることはよく分かります。解体費用もあるし、権利関係の整理、物すごく重要なんです。これは重要なんですが、ただ、そのうちの一つとして、結構大きな玉として固定資産税が、家を壊して税金が増えると誰も壊しませんよねというのは、やはりよく聞く意見なんですね。

 もう少し踏み込んで答弁いただけないでしょうか。村上大臣。

村上国務大臣 御高承のように、この管轄は今、国交省になっているんですね。

 それで、結局、平成二十六年度の議員立法により成立した空き家特措法に基づいて、倒壊等のおそれがある空き家の敷地については、市町村長から勧告を受けて、住宅用地特例の対象から除外することを講じております。

 また、令和五年度に、より前段階から特例の対象から除外されるよう、管理不全となっている空き家について、その対象を拡大しているところであります。これまでの広く住宅用地一般を対象としてきた特例措置について、空き家の除却を推進しようとする観点から、住宅用地特例の対象から除外するものであり、大きな意義を有していると考えております。

 まずはこれらの制度を徹底することが大切だと考えておりますので、この空き家対策については、固定資産税の在り方のみならず、今申し上げた住宅政策としても。

 ただ、これは考えていただきたいのは、土地の関係者の、要するに誰が相続するかとか、いろいろな問題があります。それから、最後は、地方自治体が除却することで、またその代金を要求しなきゃいけないんですね。そういうところもやはり国民の皆さん方から大きく判断をいただいて政策転換しないと、総合的には難しいんじゃないかな、そういうふうに考えています。

緒方委員 もう一言あるかなと思ったんですが。

 先ほど言われた特定空き家というのは、これはもうぼろぼろの空き家をどうするかということであって、極めて限界事例の話であって、この限界事例でどうするかというのですら、各地方自治体でこの仕組みを使って本当にやっているかというと、やっている自治体とやっていない自治体が物すごく分かれるんですね。もう少し答弁が来るかなと思って期待していたんですが、ちょっと残念であります。

 質疑を移したいと思います。

 次に、世界に冠たる国民皆保険制度についてお伺いをしたいと思います。

 保険料を支払う人が多くて、給付する方が少ない時代は、世界に冠たる国民皆保険制度だったと思います。しかし、もはや世界に冠たるとは言えないと思います。借金まみれで、持続可能性がないので。

 今、日本の国民皆保険制度をそのまままねしたいと思っている国など、世界にあるはずがないんです。日本の財政は危機的な状況です。もう猶予は許されない。世界に冠たると言えるためには、給付と負担が均衡すること、このことがとても大事になってくると思います。

 来年度から即実施というのは無理だということはよく分かっています。ですので、これを均衡させるための手段、そしてタイムフレーム、ロードマップをしっかりと作ってはどうかと思うんですね。

 私は思うんですけれども、冒頭申し上げましたが、今の国会論戦は政策の競争になっていないんです。なぜなら、国債にどれぐらい頼るかとか、そこら辺の話が全部、バケツの底が抜けているので、皆が穴の空いたバケツで競い合う限りは、政策のコンペにならないです。

 なので、まず、政権与党が給付と負担を合わせるためのロードマップをしっかり描く、そして、同じ条件で野党各位もアイデアを出す。そうすることによって、同じ条件で競い合うことができるようになるし、まさにそこに政策の競争というのがあるのだというふうに思います。

 石破総理大臣、この世界に冠たる国民皆保険制度をもう一度つくり直すために、給付と負担をぴたっと合わせるためのロードマップを描く、そして、同じ作業を野党に求め、それを国会で皆で議論する、そういうふうにしませんか。石破総理大臣。

石破内閣総理大臣 委員が冒頭お触れになったのは、河村小百合さんのお話ですね。

 たしか、私の記憶に間違いがなければ、この国はもう駄目なのかという著書がございまして、私はあれを三回、四回読みました。実際そうだなと思って読んだ、共感を持って読んだところでございます。

 あそこで強調されているのは、応能負担というのをどう考えるかということなんですが、何なんだ、応能というのはということについて、そこで議論が終わってしまうわけですね。だけれども、応能負担とは何なのかということに切り込んでいかないと、この話はどうにもならない。

 そして、世界に冠たるというのは、この制度ができたときは間違いなく世界に冠たる制度だったはずなんです。でも、それは労働災害であり、結核であり、リスクが普遍化していたから保険が成り立ったのであって、これが、がんと、成人病というんですか、生活習慣病というんでしょうか、それと認知症ということになると、これはリスクが平準化しません、普遍化しません。そうすると、保険の理論がそのまま成り立たなくなっているというところがございます。実際に疾病がどのように変化をしてきたかということと、あるいはリスクがどのようにして偏在してきたかということ。

 そして、実は高齢者の方は、確かに所得は少ないのだけれども、金融資産というのを一番持っておられるのはその層なのです。そこにおいて、その把握というものをどうやってやっていくかということ、それが委員のおっしゃることを実現するために必要なことなのであって、何が論点かということをきちんと把握した上で、どの党が最も国民の将来を考えているかということを競って、国民の御判断をいただくというのが私は正しいのだと思っております。

緒方委員 ですので、まず政権が、例えば、別に来年からと言っているんじゃないんです、十年かかるかもしれない、十五年かかるかもしれないけれども、今借金まみれで運営されているこの国民皆保険制度をもう一度世界に冠たるというために、こういう道筋をたどってやりますという、そのロードマップを是非政権に示してほしいし、そして、それを同じ条件で野党も提示をして、この国会の中で皆で議論しようじゃないですか。

 是非、その決意をお伺いをいたしたいと思います。石破総理。

石破内閣総理大臣 それは是非やりたいと私は思っています。それをやらないとこの国はもちませんので。

 応能ということについてきちんと議論するということは必要なことです。そして、疾病がどう変化してきたかということについても、あるいは、先ほど来OTC薬についての議論があるのですが、やはり私は、セルフメディケーションというのはもっと真面目に考えた方がいいんだろうというふうに思っております。それが受診の抑制につながらないで、なおかつ、セルフメディケーションということをやることによって医療の現場の負担も減らしていかなければ、医療はもちません。

緒方委員 やるべきだという答弁がありましたので、それをそのまま受け止めたいと思います。

 質疑の順番をちょっと入れ替えまして、次に、公文書管理法についてお伺いをいたしたいと思います。

 公文書というのは、国の歴史です。公文書管理法が、二〇〇九年、元々福田康夫総理の頃に検討が始まって、成立したのは麻生内閣ではなかったかと思いますが、できて十六年です。極めて崇高な理念ででき上がっている法律でありますが、それとは裏腹に、その運用、解釈によって、ぼろぼろになっています。

 特に、この十年程度の公文書の扱いはひどかったと思っています。この間繰り広げられた、個人メモ、公文書でない、廃棄済みといった理屈は、公文書管理法の理念を大きく損なわしめていると思います。

 また、近年、会計検査院の検査報告で驚いたことがありまして、コロナワクチン、GoToトラベル、こういったものの算定根拠を検査しようとしたら、検査しようとしてもデータがない、なのでこれ以上検査をすることができませんという検査報告が出ていました。政権全体として、公文書を守ろうという意思が弱くなっているように感じます。

 石破総理は、森友学園の情報開示で上告断念を決意されました。今こそ公文書管理法の大改正を行って、そして、この十年繰り広げられてきた様々な公文書管理法をなきものにするような運用、解釈、そういうものに蓋をしていく、そういう改正をやろうではありませんか。これをやってようやく、森友学園の情報開示の上告断念、こういった話に、最後、ピリオドを打つことができるのではないかと私は思っています。

 石破総理の英断を求めたいと思います。

石破内閣総理大臣 行政文書が適切に管理されているということが行われないと、民主主義が成り立ちません。どのようにして意思が決定されたか分かりませんということになりますと、有権者は何で判断していいか分かりません。ですから、私は福田内閣で防衛大臣を務めておりましたが、あのときに福田総理がこのことには本当に厳しく臨まれたということをよく覚えておるところでございます。

 最近時々言われますのは、これは個人メモなので行政文書ではないみたいなことを言う人がいるわけですが、そういうような恣意的な解釈がなされてはなりません。

 行政文書の定義におきまして、公文書管理法は、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」これは何を言っているかよく分からないと思いますが、要は、意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の閲覧に供されるとするならば、それはもう公文書であるということでございます。

 そういうものがきちんと主権者の目に触れるということは、行政の客観性、そして公正性を担保するために必要なものでございますので、今どのように条文を改正するかということについて私にアイデアがあるわけではありませんが、意思決定がなされるときに供せられた資料というものは、ことごとくというか、すべからくというべきか、民主主義の主権者である国民に常にアクセスが保障されなければならないものだと考えております。

緒方委員 ただ、結局、既に行われた運用、解釈というのが、いわゆる先例みたいな形で、前例という形で残っているわけですよね。個人メモとか、公文書でない、廃棄済み、不存在、いろいろな理屈がありました。

 こういうものに蓋をしていくときというのは、何か行政がアクションを追加的に起こさないと、既に行われてしまった解釈、行われてしまった運用があるわけですから、それの積み重ねで、今、公文書管理法の運用が積み重なってきている。これを見直すアクションを何らかの形で行政が起こさないと駄目だと思うんですね。法律改正なのか、若しくは運用の見直しなのか何なのか、そういうことを私は絶対に行うべきだと思います。

 石破総理、答弁を求めたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 ちょっと静粛に。

石破内閣総理大臣 それは、私も政務次官あるいは副大臣、大臣として行政機関の中におりまして、これは公文書だというものが結構あるわけですね。いかに規則を整えましょうとも、実際に、それぞれの行動において、これが公文書なんだというような意識を常に持つことは必要なことなんだというふうに思っております。

 そこにおいて個人メモなどという言い訳が通用するはずはないのであって、それは公文書であるということを、それぞれの官庁に政治家が政務三役として入っておるわけでございますが、そこは有権者に対して直接責任を持つ政治家が、そういう意識をきちんと持って役所を率いていかねばならないものだと思っております。

 そこにおいて政務三役が果たすべき役割というのは、有権者に直接責任を果たすという意味合いにおいて極めて重要なものであって、それぞれの行政機関において意思決定がどのようになされたかということをきちんと記録に残すのは民主主義の根幹だという意識を徹底させるために、私どもは行動してまいります。

 もし法改正が必要だということであるならば、御指摘をいただいて、私どもも検討させていただきます。あるいは、運用の改善というもので、委員も役所にいらっしゃいましたから御存じのことはたくさんあろうかと思いますが、運用の改善において必要なことがあれば、また私どもに御指摘ください。民主主義の根幹ですので、必要なことは行ってまいります。

緒方委員 頑張りましょう、皆さん。

 続きまして、憲法改正、一票の格差についてお伺いをいたしたいと思います。

 鳥取県の人口が五十三万人を切りました。人口最大の小選挙区、福岡五区よりも人口が少ないです。令和六年の住民基本台帳をベースにアダムズ方式で計算をすると、鳥取県の商は一・一六九でありました。鳥取県の衆議院選挙区が全県区となるのはそれほど遠い将来ではないんじゃないかと思います、今のままいけば。

 参議院選挙区が既に合区をされておりまして、これによる鳥取県の参議院議席を仮に一と仮置きするのであれば、衆議院二百八十九のうち一、そして参議院百四十八のうち一であって、選挙区で選ばれる議員衆参合わせて四百三十七、ここで二人しか国政に行かないという状況になる。

 しかし、私自身は、自然や文化、食等、すばらしいものを持っている鳥取県の国への代表制がこれでいいとは全く思いません。そして、衆参を通じた同様の議席数の減が、例えば島根、徳島、高知、福井、山梨、佐賀、そういった県にいつやってきてもおかしくないと思っています。

 一方、諸外国に目を向けると、アメリカでは、ロッキー山脈のど真ん中にあるワイオミング州、人口は鳥取県と余り変わりません。しかし、上院議員は二人です。そして、人口最大のカリフォルニアとは、機械的に計算すると六十七倍です。しかし、これは理念がしっかりしているので、誰もこれをおかしいと言うことはないんですね。

 私が住んでいたフランスでは、憲法に、上院は地方自治体を代表すると明確に書いてあります。したがって、小さな自治体がきちんと代表されるようになっているんですね。

 私は、まず、参議院の合区を早急に解消しなきゃいけないと強く思います。憲法改正に全て反対だという立場の方々は、極論すると、先ほど言った鳥取、島根、徳島、高知、福井、場合によっては山梨、佐賀、こういった県の国政への代表がだだ下がりしているのをやむを得ないと言っているのと大して変わらないと思います。憲法改正反対派は本当にそれが言えるのかなと思います。

 ただし、自由民主党がこの件に関して掲げている憲法改正案というのは、余りに技術的なところが強過ぎて、技術的な考慮材料を増やすことによって合区を解消しようというだけであります。私は、理念がはっきりしないし、失礼を承知で言わせていただくと、志が低いと思います。

 別に、私は、鳥取一区で石破茂さんという方が当選するかとか、鳥取二区で赤澤亮正さんという方が当選するかとか、それはこの文脈においてはどうでもいいことだと思っています。ただただ代表制の在り方についてしっかりと我々が考え、それは恐らく憲法改正によってしか実現できないのではないかと思います。

 国会がお決めになることという答弁はもう要らないです。当事者である赤澤大臣、そして石破内閣総理大臣の答弁を求めたいと思います。

赤澤国務大臣 委員御指摘の衆議院と参議院の在り方や合区制度を含む選挙制度の在り方については、議会政治の根幹に関わる重要な問題であり、各党各会派において御議論いただくべき事柄であり、閣僚の立場から申し上げることは差し控えたいと思います。

 その上で、政治家個人としてあえて申し上げれば、人口の減少と一極集中が進む中、地方から選出される議員の減少等により、地方の声が反映されにくくなることや、選挙への参加意欲の低下なども懸念されていることと承知しており、これらは重要な課題であると認識しております。

 例えば、衆議院の選挙区についてお触れになりましたが、議員定数を削減する中でいわゆる一票の格差一対二を実現するとなると、東京の定数は物すごく増える一方、地方については、日本で一番一票が重い鳥取一区を鳥取二区と一緒にして鳥取県を一つの選挙区とする、その場合、人口が最も少ない鳥取県の一票が全国で一番軽くなるということになります。地域の民意をどのように反映させるかという観点も重要であると考えます。

 合区の解消については、我が党においても、その実現の手法はともかくとして、合意が得られているところでありますが、これは地域の民意の適切な反映という観点からも重要なものであると考えています。

 現在、選挙制度の在り方については、衆議院では、衆議院議長の下に設置された衆議院選挙制度に関する協議会において、参議院では、参議院議長の下に設置された参議院改革協議会において、それぞれ議論されていると承知しております。

 委員御指摘のような点も含め、地域の民意の適切な反映と投票価値の平等との調和を図る観点から、国会において議論されることが重要と考えております。

石破内閣総理大臣 何度も鳥取県を御紹介いただきまして、誠に恐縮に存じます。

 本県は、出生率は全国十位以内から落ちたことはございません。そしてまた、他県からの移住される方、特に二十代、三十代の方は、数で言えば全国一です、これは。それも二十代、三十代の方が六割を占めております。

 よそから来られる方も多い、そしてまた出生率も高いにもかかわらず、なぜ人口が減るのかということを考えましたときに、十八歳の方が自県、自分の県の大学や専門学校に進学される率、それが非常に、全国第四十六位であったと思います。いろいろな理由はございますが、本県も人口がどうすれば増えるかということに最大限の努力はいたしてまいりましたし、これから先もそうです。

 合区というのは、憲法改正、委員が御指摘になりましたように、これを急ぐべきだと思っております。鳥取―島根は何せ東京―名古屋よりも遠いわけですから、そこにおいて有権者が候補者の意見にきちんと接する機会が奪われていいと私は思っていないのです。有権者の方々がきちんとそれに接する機会も、私は、憲法できちんと保障されなければいけないと思っております。

 ただ、先ほどアメリカの例をおっしゃいましたが、ユナイテッドステーツの国と日本とは国の成り立ちが違いますので、委員はそのことをよく御存じの上で御質問になっておられるかと思っております。それは、ユナイテッドステーツでない我が国においてこれをどう考えるかにつきましては、憲法改正と併せましてまた議論をさせていただきたいと思っていますが、これがこのまま続きますと、さっき鳥取とか島根とか佐賀とか福井とか、いろいろな例をお挙げになりましたが、これがずっと広がっていくと多分この国はなくなりますので、これは急ぎたいと思っております。

安住委員長 緒方君、間もなく時間です。

緒方委員 終わります。

安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明四日午前九時から委員会を開会し、締めくくり質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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