衆議院

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第2号 令和7年11月7日(金曜日)

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令和七年十一月七日(金曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 枝野 幸男君

   理事 勝俣 孝明君 理事 齋藤  健君

   理事 笹川 博義君 理事 鳩山 二郎君

   理事 今井 雅人君 理事 奥野総一郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 奥下 剛光君

   理事 長友 慎治君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    岩屋  毅君

      大岡 敏孝君    大空 幸星君

      加藤 勝信君    神田 潤一君

      河野 太郎君    高村 正大君

      後藤 茂之君    塩崎 彰久君

      鈴木 貴子君    平  将明君

      田中 和徳君    谷  公一君

      田畑 裕明君    土屋 品子君

      寺田  稔君    平沢 勝栄君

      古川  康君    本田 太郎君

      牧島かれん君    武藤 容治君

      安藤じゅん子君    五十嵐えり君

      池田 真紀君    井坂 信彦君

      市來 伴子君    稲富 修二君

      大串 博志君   おおつき紅葉君

      岡田 克也君    亀井亜紀子君

      川内 博史君    黒岩 宇洋君

      佐々木ナオミ君    重徳 和彦君

      竹内 千春君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      本庄 知史君    道下 大樹君

      猪口 幸子君    高橋 英明君

      萩原  佳君    福田  徹君

      森ようすけ君    中野 洋昌君

      沼崎 満子君    鰐淵 洋子君

      櫛渕 万里君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       高市 早苗君

   総務大臣         林  芳正君

   法務大臣         平口  洋君

   外務大臣         茂木 敏充君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       片山さつき君

   文部科学大臣       松本 洋平君

   厚生労働大臣       上野賢一郎君

   農林水産大臣       鈴木 憲和君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      赤澤 亮正君

   国土交通大臣       金子 恭之君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 宏高君

   防衛大臣         小泉進次郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     木原  稔君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (サイバー安全保障担当) 松本  尚君

   国務大臣

   (復興大臣)       牧野たかお君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     あかま二郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (共生・共助担当)    黄川田仁志君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (規制改革担当)     城内  実君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (人工知能戦略担当)

   (経済安全保障担当)   小野田紀美君

   財務副大臣        中谷 真一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中間 秀彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市川 道夫君

   政府参考人

   (内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室室長代理)

   (内閣府政策統括官)   山野  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡  素彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣官房日本成長戦略本部事務局次長)      鈴木 恭人君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 水田  豊君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   阿久澤 孝君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        中原 裕彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    重松 弘教君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 齊藤  馨君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  小川 康則君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    日笠 和彦君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    吉川  崇君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       中村  亮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北郷 恭子君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  石月 英雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (林野庁長官)      小坂善太郎君

   政府参考人

   (水産庁長官)      藤田 仁司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  安部  賢君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  伊藤 晋哉君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  廣瀬 律子君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        家護谷昌徳君

   予算委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     牧島かれん君

  岩屋  毅君     本田 太郎君

  神田 潤一君     鈴木 貴子君

  塩崎 彰久君     高村 正大君

  谷  公一君     田畑 裕明君

  池田 真紀君     本庄 知史君

  おおつき紅葉君    安藤じゅん子君

  道下 大樹君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     塩崎 彰久君

  鈴木 貴子君     神田 潤一君

  田畑 裕明君     大岡 敏孝君

  本田 太郎君     岩屋  毅君

  牧島かれん君     大空 幸星君

  安藤じゅん子君    岡田 克也君

  中島 克仁君     道下 大樹君

  本庄 知史君     市來 伴子君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     谷  公一君

  大空 幸星君     井出 庸生君

  市來 伴子君     池田 真紀君

  岡田 克也君     五十嵐えり君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐えり君     竹内 千春君

同日

 辞任         補欠選任

  竹内 千春君     佐々木ナオミ君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木ナオミ君    おおつき紅葉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

枝野委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官中間秀彦さん外三十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 基本的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。齋藤健さん。

齋藤(健)委員 おはようございます。自由民主党の齋藤健です。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まずは、高市総理、総理就任おめでとうございます。並々ならぬ努力を重ねられ、そして大いなる皆さんの期待を背負って日本初の女性内閣総理大臣となられましたこと、私、心から敬意を表したいなと思っています。そして、これから御活躍をなされることを期待を申し上げます。

 ただ、心配しておりますのは、余りにハードワークなんじゃないかなということであります。就任直後にASEAN、それから日米、日中、日韓首脳会談をこなし、APEC、そして帰ってきたら連日国会ということで、さすがに、働いて働いて働いてとおっしゃっている総理ではありますが、正直心配なところはあります。いいパフォーマンスをするには休憩も必要なのではないかと思いますので、是非上手にサボりながらやっていただきたいなというふうに心から思っています。

 今日は、幾つか質問があるんですが、順番を変えて、まず内政の方を先に質問させていただきたいなというふうに思っています。

 私は、今、日本経済というのは大きな転機にあって、チャンスを迎えているなというふうに思っています。企業の設備投資も増えてまいりましたし、賃上げもようやく行われるようになってまいりました。このチャンスを生かして、マクロ経済的に、デフレから脱出をして新たな経済ステージに乗っけていくということが今極めて重要な局面に差しかかっているんだろうと思っています。

 しかし、私がより気にしておりますのは、世界が個別の産業を支援する個別産業政策において大きな変化をしつつあるという点でございます。

 かつて日本は、一九八〇年代は、政府が主導して、いわゆるターゲティングポリシーということで、個別の産業にてこ入れをして、そして競争力をつけてきました。しかし、それがアメリカの目に留まって、そういう個別のターゲティングをした産業政策はやるべきではないということで、私が通産省に入った頃は、アメリカが目の敵にして日本の政策に注文をつけてきました。細かい通達にまでアメリカのUSTRが目を通して、これは個別の産業支援ではないかということを、箸の上げ下ろしまで言ってきた、そういう記憶があります。

 そういうものがあったものですから、どちらかというと、その後の経済政策は、個別の産業政策にてこ入れをするということに、どちらかといえばちゅうちょをしてきたような気がしています。

 しかし、今や世界は大きく変わってまいりました。二〇二三年に、EUはドラギ・レポートというものを出しました。このドラギ・レポートの中では、十の戦略分野というものを特定をいたしまして、最大で年間八千億ユーロの投資を行う、日本円にすると百四十兆円ぐらいですかね。中国は、既に中国製造二〇二五ということで、これまた十の重点強化産業というものを指定いたしまして、徹底的に政府がてこ入れをして個別産業政策をやってきています。

 日本はどちらかというと出遅れたのではないかというのが私の印象でありまして、失われた三十年の要因の中の一つに私はこの点があるのではないかと個人的には思っています。

 そこで、今回、高市総理になりまして、政府は、日本産業戦略ですかを策定をするということで、新たに本部を立ち上げて、十七の戦略分野を特定をして、分野ごとに担当大臣を決めて、そしてその担当大臣が、恐らくこれからそれぞれの分野についてどういう展開をしていくかというアクションプランみたいなものを作っていかれるのでしょう。

 私は、この点、日本を再起するための非常に重要な政策だと思っていまして、遅ればせながら本気で日本も政策を取り始めるのかなということで、我が意を得たりの思いでおります。

 ただ、これまでも似たような政策がありました。しかし、今度は本気で、EUにも負けない、そして中国にも負けないだけの、政府と民間が一緒になる、あるいは官が一歩前に出るような形で、個別の産業の競争力強化に本気で取り組んでいただきたいと私は思っております。

 総理のこの本部を立ち上げた狙いと、どういうことをやっていかれるつもりなのかをお聞かせいただけたらなと思います。

高市内閣総理大臣 ありがとうございます。

 世界の潮流は、齋藤委員がおっしゃるとおりだと思います。官民で課題解決のための投資が進んでおります。

 この内閣は、成長戦略の肝は危機管理投資だと考えております。リスクや社会課題に対して、先手を打って供給力を抜本的に強化するために、官民連携の戦略的投資を行ってまいります。世界共通の課題解決に資する製品、サービス及びインフラを提供することによりまして、更なる我が国経済の成長を実現してまいります。

 このため、先日設置した日本成長戦略本部におきまして、十七の各戦略分野について、供給サイドに直接働きかける措置のみならず、戦略的投資の促進につながる需要サイドからの政策支援を含めて多角的、戦略的な総合対策を取りまとめるよう、関係大臣に指示をいたしました。

 民間の有識者にも御参画をいただく日本成長戦略会議、これを早急に開催しまして、経済対策に盛り込むべき重点事項を取りまとめて、成長戦略を始動させてまいります。さらに、来年の夏の成長戦略の取りまとめに向けましては、各戦略分野の担当大臣の指揮の下、スピード感を持って検討を進めてまいります。

齋藤(健)委員 私は、戦略分野ごとにそれぞれ担当大臣が指揮を執って進めるということが極めて重要だと思っております。

 恐らく、この成長戦略本部においても時々フォローアップをするんだろうと思いますけれども、そのときに、よくありがちな、大臣が役人の用意したものを読んで、こうなっていますというような会議ではなくて、その会議以外にも、総理なり官房長官が直接大臣を呼んで、どうなっているんだ、これはまだ駄目じゃないかということを、それぞれの大臣を評価しながらきっちりと進めていただくということが極めて重要だろうと思っていますので、是非そういう形での展開をお願いしたいなと思っています。

 次に、日本の成長戦略の要になると思っておりますのは、先端半導体の開発、そして実用化であります。

 今、北海道の千歳で、ラピダスプロジェクトというものが進展をしています。これは、世界最先端の二ナノレベルのロジック半導体を量産をしようという意欲的なプロジェクトであります。世界最先端です。二ナノというとイメージが湧かないかもしれませんが、一ナノというのは百万分の一ミリです。これを日本政府は、多額の税金を投入してでも何としても実現をするという国家プロジェクトとして今推進をしています。

 かつて日本の半導体は、一九八〇年代、世界の生産の五割を占めていました。今や一割まで、凋落をしていると私は思っています。半導体王国日本の復権を懸けたプロジェクトがこのラピダスプロジェクトでありますので、何としても成功をさせなくてはいけないというふうに思っております。

 ただ、世界最先端に挑戦するわけですから、リスクがないかといえば、あります。ですから、そのリスクを最小限にするような、今も既に行われておりますが、節目節目で第三者の目で進捗状態をチェックするとか、そういう仕組みを組み込みながら、リスクを最小限にして挑戦をしていくことが必要であります。

 私もよく質問されましたけれども、失敗したら一体誰が責任を取るんだ、一兆七千億円も税金を突っ込んでという質問をよく受けました。確かにリスクはあります。しかし、私は、やらないリスクというものもあると思っています。

 これから最先端の半導体需要は、データセンターや電気自動車で、世界で激増します。その激増する最先端の半導体の需要を台湾や韓国やアメリカやEUに全部取られるということで本当にいいのか。これは経済安全保障上の問題も生じるでしょう。そういう意味では、やらないリスクというものもあるんだと。

 したがって、やるリスクとやらないリスクと、どっちのリスクを取るのかというのがこのラピダスプロジェクトの本質なんだろうと私は思っていますので、私は、やる方のリスクを取って、何としても成功させたいと思っています。

 この点についても総理の御見解を伺えたらと思います。

高市内閣総理大臣 かつて、やはり日本は、シングルナノの半導体が作れないというのが弱みでございました。

 ラピダスが取り組む次世代半導体は、生成AIなど最先端技術に不可欠でありまして、我が国の経済の将来を左右するだけではなくて、おっしゃったとおり、経済安全保障上も重要な物資でございます。

 次世代半導体は、強い経済の実現には欠かせないもので、二〇二七年の量産開始に向けて、国が一歩前に出た支援を行っています。これは、委員が大臣だったときに非常に頑張ってこられたことでもございます。

 具体的には、研究開発に、おっしゃったとおり上限約一・七兆円の支援を決定し、次世代半導体事業者に対する金融支援を可能とする法律を制定し、本年九月から対象事業者の公募を開始し、現在、審査を進めているということです。

 このプロジェクトは、私が進める危機管理投資の要となるものでございます。難易度が高いプロジェクトではありますけれども、これを諦めては国益を大きく損なうという問題意識の下、しっかり、このプロジェクトの成功に向けて、力を尽くしてまいります。

齋藤(健)委員 何としても成功させましょう。

 次に、コンテンツ産業です。

 コンテンツ産業も希望の星であります。映画「国宝」は大ヒットいたしました。売上げ、百五十億円です。映画一本で百五十億円。そして、「鬼滅の刃」、一千億円であります。今、日本のコンテンツが海外で稼いでいる金額は五兆八千億ぐらいになっています。これは半導体の輸出規模を上回っています。

 そして、高市大臣が担当大臣だったときに、このコンテンツ産業を振興しようということで、海外で稼ぐ金額を二〇三三年には何と二十兆円にしようという目標を立てて、今推進しているところであります。私は、これも何としても実現をしたいと思っています。

 ところが、世界も今猛烈な勢いで、この分野で政策支援を強化してきています。韓国は年間で七百六十億円、政府資金を投入します。中国は千三百億円です。アメリカは六千二百億円、減税で支援をしています。日本は二百六十億円であります。

 ライバルの韓国や中国が猛烈に追い上げてきています。今、日本の場合は民間が頑張っていてここまで成長してきていますが、これからは、韓国、中国等々との競争を考えますと、やはり政府が一歩前へ出て、今までと違ったレベルの支援をして、何としても勝ち抜いていかなくてはいけないというふうに私は思っております。そして、二〇三三年には、大臣のときに掲げられた二十兆円目標を何としても実現をしていくことが大事だろうと思っております。

 各国に負けないように、一桁違うぐらいのレベルの予算をつけて、このコンテンツ産業で勝負をしていくということも極めて大事だと思っています。総理の御見解を伺えたらと思います。

高市内閣総理大臣 おっしゃっていただいたとおり、私が担当大臣であったときに、新たなクールジャパン戦略を策定しまして、コンテンツ産業を基幹産業として位置づけて、日本発のコンテンツの海外市場規模を二〇三三年までに二十兆円とする目標を設定いたしました。

 今般、日本成長戦略本部におきましても、コンテンツを十七の戦略分野の一つと位置づけました。そして、担当大臣、小野田クールジャパン戦略担当大臣を指名いたしました。

 担当大臣の下に政府の司令塔機能を充実させて、官民連携してコンテンツ産業の発展を推進します。具体的には、複数年の支援も含めたコンテンツ産業の大規模、長期、戦略的な官民投資に加えまして、クリエーターの方々の育成支援、そして安心して働ける環境の整備、そしてまた、海外に展開するときにいろいろ法的な知識も必要ですよね、こういったことも含めてしっかりと応援をしてまいります。

齋藤(健)委員 二十兆円目標、何としても実現をしましょう。

 私は、日本の若者に大いに期待をしています。日本の若者には優秀な人がたくさんいると確信をしています。スポーツの分野でいえば、野球の大谷翔平さん、山本由伸さん、そしてボクシングの世界では井上尚弥さん、これはもう歴史に名を残すような日本の若者なんだろうと思っています。彼らがなぜ活躍できるのかと考えますと、彼らの活躍している分野が英語を必要としない分野なんだろうな、そういう点もあるのではないかと思っています。

 もし日本の若者が英語を自由に繰れるようになれば、いろいろな分野で大谷級、井上級の若者が出てくるのではないか、イーロン・マスクに負けないような、そういう若者も出てくるのではないか、私はそう確信をしています。だけれども、なかなか自由に英語をしゃべれないということでそのチャンスを失っているのが日本の若者なのではないかなと思っていますが、今日は英語教育の話については質問をいたしません。

 先日、ノーベル賞の発表がありまして、生理学・医学の分野では坂口先生が、そして化学賞の分野では北川先生が受賞されました。心からお祝いを申し上げたいと思います。

 そこで私が注目をしておりますのは、研究そのものもすばらしいんですけれども、実は、この研究成果を基に、レグセル社とアトミス社という二つのスタートアップ企業が誕生しておりまして、社会実装に向けて今取り組んでいるというところなんです。つまり、すばらしい研究と、それを企業化する、そういうプロジェクトが並行して進んでいるというところに私は注目をしているわけであります。研究のすばらしさにとどまらず、企業化につながっていく可能性、そういうものを今感じているところであります。

 私は、今、日本には優れた技術シーズというものが実にたくさん眠っていて、現在それらが大きく動き出している、そういう胎動のようなものを実感をしています。研究に打ち込む優秀な研究者も続々出てきていますし、それから、起業して世界で勝負をしようという若者も出てきているんですね。今こそスタートアップの支援を抜本的に強化をして、そして、今までと格段に違うスタートアップ支援をすることによって、私は、将来大きく成長する企業というものが続々出てくるのではないかという本当に実感を持っているんです。

 そういう意味では、私は、税金をまけて若い人たちの手取りを増やす、これも重要な政策だと思いますが、私は若者にチャンスを増やしてあげたいというふうに思っているんです。そういう意味では、まさに、挑戦をしてスタートアップをしようという若者を政府がどれだけ応援するかというのが日本のいわば再起の成否を分けるぐらいの大きな話なのではないかと思っております。

 私は、日本再起のキーワードはスタートアップではないかなと思っておりますので、是非この点についても総理の御見解を伺えたらなというふうに思っています。

高市内閣総理大臣 私自身も、日本各地の学術研究機関ですとか、そして企業ですとか、いろいろなところにすごい技術の種があるな、いや、これは世界一じゃないかというような種があるなと思います。

 これらを育てる、つまり、ちゃんとそれをビジネスにしていく。また、場合によっては、海外の販路の開拓なんかも応援していく。当初の資金繰り、こういった支援もしていく。そうすると、物すごい成長が生まれる。そういう姿を頭に描いていますし、実際に成功している、もう国際的に成功しているスタートアップもたくさんございます。

 特に、経済成長を牽引するスタートアップというのは、我が国にとって重要な存在でございます。新たに立ち上げた日本成長戦略本部の下で、AI・半導体、量子、航空・宇宙などの十七の戦略分野のスタートアップを始め、分野横断的な取組を進めることで、世界に伍するスタートアップエコシステムをつくり上げていきたい、持続可能な経済成長と社会課題の解決を両立させたいと思っています。すばらしいスタートアップは本当にたくさんございます。

齋藤(健)委員 スタートアップ政策については、今日は細かく議論はいたしませんが、やるべきことは多々あると思いますので、是非、これが本当に重要な日本再生のキーだ、そういう発想で取り組んでいただきたいと思います。

 私は、強い経済がなければ財政再建もできないと思っています。そして、強い経済がなければ社会保障の充実もままならないと思っています。経済あっての財政という考え方には大賛成でありますが、私は経済あっての日本だと思っております。

 日本は、資源もエネルギーも、そして食料も輸入に頼らざるを得ません。輸入するためには稼がなくてはいけません。稼ぐためには経済が強くなければ生きていけない国であります。その経済において、今、マクロ経済的にもいい芽が生まれつつある。そして、産業政策的にも様々な芽が出てきている。このチャンスを高市政権においては是非物にしていただきたいというふうに心から思っています。

 話はちょっと角度が変わるんですけれども、大阪・関西万博です。

 入場者も二千九百万人を超えました。そして、剰余金も二百八十億円捻出をする結果になりました。私自身も、数回、万博を訪問させていただきましたけれども、夢を持って上を向いて前進をしていく人間みたいなものを非常に強く感じて、感銘を受けた万博になりました。

 万博が終わりまして、百ヘクタールの土地と二百八十億円のお金が残りました。これをどうしていくのかということであります。百ヘクタールの土地に自由に絵を描いていい、少ないかもしれないが二百八十億円のお金もある、こんなチャンスは私は何十年かに一回ぐらいしか来ないんじゃないかと思っています。

 フランスに、ステーションFという、ベンチャーを育てるインキュベーター施設があります。このステーションFというのは、貨物列車のターミナル駅の跡地に造られたものでありまして、面積は三・一万平方メートルで、年間千社、ベンチャー企業がそこに入りまして、夢を持って若い人たちが活動して、既に八千社以上がそこを使っているというプロジェクトがフランスで進行しておりまして、私もそこへ行って、若い人たちが目を輝かせて、こういうのをやりたい、ああいうのをやりたいというのを目の当たりにしてきました。

 このステーションFは、三・一万平方メートルですから、三ヘクタールです。万博の跡地は百ヘクタールです。この百ヘクタールの土地に自由に絵を描ける、そして二百八十億円のお金があって、まあ足りないですけれども、ここに夢のあるプロジェクトを何としても展開していきませんかという提案であります。

 中身は私自身もまだ固まっていませんが、ただ、若い人が情熱を持って取り組めるような施設なり、あるいは日本の将来が輝くようなプロジェクトなり、そういうものを、この百ヘクタールの白地に絵を描いていきたいなというふうに思います。お金がなかなか苦しいから記念公園にしましたというようなことは、私は賛成できません。この機会に、自由に白地で絵が描けるというこの万博跡地を、日本の将来の発展につながるようなプロジェクトを、これは当然大阪とも協力をしながらということでありますが、実現をしていきたいというふうに思っております。

 この点について、総理のお考えをお聞かせいただけたらなというふうに思います。

高市内閣総理大臣 齋藤委員御指摘のとおり、万博の成果は非常に大きなものがございました。これを大阪、関西、ひいては日本経済発展の起爆剤として、将来につながる夢のある形にしていくことが重要です。経済産業大臣及び国際博覧会担当大臣の下に成果検証委員会を年内にも立ち上げ、万博の成果をレガシーとして次世代に継承していくための方策を検討します。

 万博の跡地についてなんですけれども、これは大阪府と大阪市が来年春に開発事業者を募集すると聞いております。ですから、万博を契機として生まれてきたイノベーションの芽とか多くのつながり、これを日本の成長につなげるような形になっていくとありがたいなと思っております。

齋藤(健)委員 なかなか、繰り返しますけれども、百ヘクタールの土地に自由に絵が描けるというようなことは、もしかしたら二度とないようなチャンスかもしれませんので、このチャンスを是非物にして、すばらしいプロジェクトを展開するようになると心から念じています。

 それから次に、国際問題の方に移っていきたいと思っています。

 まず、総理、就任直後から大変な外交ラッシュで、本当にお疲れさまでございました。

 私は、外交というのはもちろん虚々実々の駆け引きの場であるわけでありますけれども、やはり、そこにおいてトップ同士の人間関係というものは極めて重要だというふうに思っています。相手が自分のことを本当に理解してくれているんだろうか、あるいはどこまで信用できる相手なんだろうか、あるいは本音で腹を割って話ができるような相手なんだろうか、そういうことが実は実際の生の外交においては極めて重要な要素になってくるんだろうと思っております。

 そういう意味では、今回の高市総理のトランプ大統領を始めとする首脳外交、初顔合わせというのは、私は評価をさせていただいております。

 そういう意味で、どういうやり取りが行われたかというのは、もう政府において発表されておりますのでここで繰り返す必要はないと思いますが、私が総理にお伺いしたいのは、それぞれどんな印象をお持ちになったかということを是非伺いたいなと。トランプ大統領に対して、習近平国家主席に対して、そして李在明韓国大統領に対して、どのような印象を持って、どのようなおつき合いができそうだなとお感じになられたか、是非お聞かせをいただけたらと思います。

高市内閣総理大臣 印象ということを聞かれると非常に難しいのですが、率直にトランプ大統領の印象を申し上げますと、とても快活でユーモアのある方だなと思いました。初めての会談と思えないような打ち解けた雰囲気の中で、かなり難しい課題も含めて充実した会談を行うことができました。

 それから、習近平国家主席とは初めての会談でございましたが、とても真面目な方だという印象でございます。でも、中身の深い充実した議論ができました。ですから、懸案についても率直に議論し合える関係を構築することができたと考えております。

 韓国の李在明大統領とも初めてお会いしたんですけれども、とても温かく迎えていただきました。私のことをとてもよく調べておられて、私の方がもっとよく調べていればよかったんですけれども、例えば、自分が果たせなかった夢、バイクやドラムやスキューバダイビングだということで、私の趣味の話であったり、それから、割と、互いに二世政治家じゃなくて、本当にゼロから一生懸命歩んでここまで来たねというようなことで、自分で頑張ってきたということにも言及をしていただいたということです。ですから、予定時間を大きく超えて率直なお話を伺う中で、大統領自らの日本や私への配慮を感じることのできるやり取りがございました。日米韓の連携ですとか、それから、今の戦略環境の中での日韓関係についても問題意識を共有できるリーダーだという印象を持たせていただきました。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 それぞれの国とは大変難しい課題を抱えているわけでありまして、外交も一筋縄ではいかないんだろうと思っていますが、そんな中でも、トップ同士が、おい、ちょっとこれ頼むよというような関係、そういうものも極めて重要なんだろうと思いますので、是非そういう関係を今後も深めていただけたらなというふうに思っています。

 それから、私は、今、世界の経済秩序というものは戦後初めて大きな転換点を迎えてきているなという、ある種の緊張感と危惧を持っています。

 第二次世界大戦というものが、それぞれの国の自国ファーストとそして保護主義によって戦争を招いたという反省から、戦後は自由で開かれたルールベースの世界経済秩序をつくっていこうということをアメリカが主導してやってまいりました。日本は、その流れに乗って戦後復興を遂げ、そして豊かな国になってまいりました。ガットやWTOという国際機関が果たした役割も大きなものがあったのではないかと思っています。

 しかし、今やその経済秩序は壊れつつあるのではないかなというふうに思っております。御案内のように、アメリカは関税を武器にして自分たちの思いを遂げようという方向に完全にかじを切りましたし、それに呼応して、ほかの大国もルールを無視した行動が横行するようになってまいりました。恐らく今後もこの流れは大きく変わらないのではないかなというふうに思っております。

 じゃ、我が国としてどうするのかということでありますけれども、我が国としては、もちろん、自由貿易の旗の下でルールベースの開かれた経済秩序を、何としても、歯を食いしばってでも守り発展をさせていくという方向で努力をしていかなくてはいけないわけであります。

 したがって、CPTPPやEUとの連携なんかは今まで以上に重要になってくるんだと思うんですが、それでも、一方でレアアースなんかについて交易上の様々な動きが起こってきているという現実もあるわけであります。昨日の報道によりますと、ネクスペリア、中国の半導体メーカーの一部の半導体の輸出を中国政府が規制することによって、既に日産、ホンダの生産に影響が出ているという記事もございました。

 こういった複雑な世界経済秩序の動きがあります。こういう世界経済秩序の動揺を前にして、自由貿易こそが頼みの綱の日本としてどのように通商戦略を講じていくのか、これについての基本的なお考えを伺えたらなというふうに思います。

高市内閣総理大臣 ルールに基づく自由貿易体制の維持拡大は、我が国の経済外交の柱でございます。

 我が国は、二国間経済関係の強化や、おっしゃっていただいたCPTPPなどを通じた経済連携の推進に加えて、WTO体制の維持強化にも積極的に取り組んでまいりました。同時に、経済安全保障の重要性は非常に高まっております。我が国の平和と安全、また経済的な繁栄を確保するために、おっしゃったようなレアアースなどの重要鉱物を含めたサプライチェーンの強靱化に向けた取組を同盟国や同志国と連携しながら積極的に推進しています。

 ただ、やはり日本自身も、自分の力で必要な物資をちゃんと研究開発から、そしてしっかりとそれを製品にしていく、また、人材も含めてトータルな自前の取組もしていかなきゃいけないと思います。

 ただ、やはり自由貿易体制の維持強化、そして経済安全保障の確保というのは我が国にとって不可欠なものでございますので、両方の取組を積極的に進めてまいります。

齋藤(健)委員 既にアメリカの関税によって日本の自動車メーカーなんかにはかなり大きな影響が出始めておりますし、この状況は恐らくしばらく継続をしていくんだろうと思っております。自由で開かれたルールベースの国際秩序の下で日本は何とかやってきたわけでありますが、そこが大きく動揺してきているということは、私は看過できない重大な世界経済の変化なんだろうと思っております。

 日本として取り得る政策の幅というものはそれほど大きくないのかもしれませんが、それでもなお、共鳴する国々とこの自由貿易体制の維持ということで全力を挙げていくというのが我が国の使命なんだろうなというふうに思っていますし、一方で、経済安全保障、そしてサプライチェーンの強靱化、これについても遺漏なきように全力を尽くしていくということで、何とかこの世界経済の変化を乗り切っていくということなんだろうと思っていますので、是非総理にも御尽力をいただきたいなというふうに思っています。

 一方で、面白いと言ったら失礼なのかもしれませんが、東南アジアを中心として、アジア諸国に動きが出てきています。

 それは、アメリカの関税によりまして、日本よりもああいう東南アジアの方が厳しい関税措置をかけられているという実態もあるわけでありまして、大変経済的な打撃につながってきています。一方で、中国はアメリカへの輸出先を失ったということで東南アジア中心に安値で輸出攻勢をかけてきているということで、今や東南アジアを中心として、アメリカと中国と両方から攻勢を受けて経済的に板挟みになっている状況で、やはり頼るべきは日本なんじゃないかという機運が東南アジアの中で出てきているのを私は実感をしています。

 例えば、地球温暖化問題で、岸田政権のときにAZEC、アジア・ゼロエミッション共同体構想というものを打ち立てて、今、東南アジアの国々と協力を深めています。この中で、脱炭素に向けました日本の取組に対する共感や、日本の技術そして資金に対する期待というのが大変高まってきております。

 私は、今、中国、アメリカの動きの中で、東南アジア諸国と関係を一気に深めるチャンスが来ているんじゃないかなというふうに思っているわけであります。AZECもそうでありますし、そのほか様々な協力案件というものがあろうかと思いますので、是非この機に、東南アジアの国々と連携を一気に強化するような展開を総理には行っていただきたいと思いますけれども、御見解を伺えたらと思います。

高市内閣総理大臣 地政学上の要衝に位置し、世界の成長センターでもあり、ASEANというのは自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現の要でもございます。我が国を取り巻く国際情勢や安全保障環境が一層厳しさを増している現在、ASEANとの関係をより強化していくことは極めて重要です。そして、今委員がおっしゃっていただいたとおり、チャンスが来ているとも思っております。

 私自身、先般、日・ASEAN首脳会議、そしてAZEC首脳会議にも参加をいたしました。日・ASEAN首脳会議では、海洋安全保障、AI、経済連携などについて、また、AZECの首脳会合では、脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障などについて、各国の首脳との間で今後の協力の基礎となる信頼関係をしっかり築くことができたと思っております。

 また、FOIPを外交の柱として力強く推進する上では、この基本的価値を共有する同志国、またASEANを始めとするグローバルサウスとの連携強化にも取り組んでまいりたいと思っております。

齋藤(健)委員 この際、一気に関係を深めるぐらいの気持ちでやっていただきたいと思います。

 話が突然変わるんですけれども、私は、実は町の本屋さんがどんどんなくなっていくことに大変な危機感を感じています。

 本屋さんというのは、やはり視野を広げる物すごくいいインフラなんだと私は思っています。確かに、ネットで簡単に本が買えるようになったので、本屋さんは今苦境にあるわけですが、ネットというのは関心を狭める方向に持っていこうとします。本屋さんは関心を広げる方向に役に立つわけであります。

 そういう意味では、図書館と本屋さんとネット、この三つが共存する世界が私は日本にとって望ましいんだろうと思うんですが、本屋さんがどんどん減っています。二〇〇三年には二万店ありましたが、今や一万店で、半減をしました。さらには、全国の市町村の中で、本屋さんが一軒もない市町村が何と四分の一になりました。衆議院の議員宿舎がある赤坂駅周辺には、本屋さんはもう一軒もありません。

 私は、そういう意味では、本屋さんが一軒もない自治体で生まれた子供というのは、本屋のすばらしさを知らないどころか、本屋の存在すら知らないということで育っていくことに対して大変な危機感を感じています。本屋に行って何げなく手に取った本から視野が広まるという経験を私は何度もしてきました。私が尊敬する原敬に出会ったのも、たまたま手に取った一冊の本からであります。そういう機会が子供たちから失われていくということはゆゆしき事態だと思っています。

 この点に関しての総理の御見解、是非支援していただきたいと思いますが。

高市内閣総理大臣 書店は、地域住民が多様な作品に触れる、町の重要な文化拠点でございます。美しい日本の伝統文化を守るという観点からも、国民の皆様が多様な作品に触れる機会を提供してくれる書店の役割は大きいと思っております。

 まさに委員が経済産業大臣時代に取組に着手をされた書店活性化プランに基づいて、本の流通コスト削減のための電子タグの導入促進、POSシステムや受発注システムの導入支援を今政府が推進しているところです。

 今後も、しっかりと書店の活性化を進めてまいります。

齋藤(健)委員 書店振興には議員連盟もありまして、この議員連盟では、市町村に一軒も本屋がないということにやはり危機感を感じまして、一村一書店運動というのを展開したらいいんじゃないかという提案をさせていただいています。それぞれの自治体において支援の形態は様々なんでしょうけれども、とにかく、どの自治体にも一軒は本屋があるというような状況を何としても実現をしていきたいと私は思っています。是非、成長戦略本部の十八番目の分野として書店を取り上げていただきたいということを切にお願い申し上げたいと思います。

 私の手元に一冊の本がございます。これは、三十年前に私がたまたま手にして購入した本であります。

 私は、本を読むときには、線を引きながら、コメントを書きながら、あるいは折りながら読むわけでありますが、この本も三十年前に読んだ本ですが、三十数年前かな、線が引いてあったり、コメントが書いてあったりしています。よく調べているなとか、それから、経産省の若手官僚にこういう経験をしたやつはいないなとか、日本もこういうことができないかなとか、グッドアイデアだなとか、そういうことが、この本に私が三十数年前に書き込んだものが今残っています。

 この本のタイトルは「アメリカの代議士たち」というタイトルでありまして、著者は高市早苗さんであります。私が高市早苗さんと出会ったのは、三十数年前、まだ彼女が国会議員になる前、本屋さんでありました。

 本屋というのは、それほどすばらしい出会いの機会を提供をしてくれるものでありますので、繰り返しますが、是非、十八分野目に書店振興を加えていただきたいということを切にお願いを申し上げたいと思います。私は、本屋がどんどんなくなっていくということは、文化の劣化にとどまらず、国力の劣化につながるとまで思っておりますので、是非是非よろしくお願いをしたいと思います。

 最後の質問になります。熊です。

 私は、この熊の問題については不思議なことがたくさんありまして、熊というのは徐々に増えていくものですから、熊の被害も徐々に増えるのかなと思っておりましたら、今年一気に増えました。何で一気に増えるのかよく分かりませんが、ただ、もう安心して住んでいけないという人がたくさん出てきているような状況になっています。

 私は、今の状況は災害レベルに達しているのではないかなというふうに思っていますし、来年どうなってしまうんだろうかという危機感も感じています。もしかしたら熊と人間の縄張争いが起こったのかなというぐらいの危機感を持っています。

 今日は時間がないので、中身を議論する時間はありませんけれども、ただ、岩手、秋田、北海道、その他の県の皆さん方は大変な不安を感じておりますので、総理の、皆さんの不安に寄り添って熊対策を全力を挙げてやるという強い決意と今後の取組、こういう強いメッセージを是非お願いできたらと思います。これを最後の質問にします。

高市内閣総理大臣 政府は、十月三十日にクマ被害対策等に関する関係閣僚会議を開催し、議長である木原官房長官から、追加的、緊急的な対策のパッケージを今月中旬までに取りまとめて、実効性の高い対策を着実また段階的に実行することとしました。

 速やかに実施する対策としては、警察官によるライフル銃を使用した熊の駆除を想定しており、もう今週から他の都道府県警察の応援部隊を秋田県及び岩手県に派遣して、現地の猟友会と連携した訓練を開始しております。

 中長期的には、狩猟免許を持つ方を公務員として任用する、いわゆるガバメントハンターの確保など、専門人材の育成、確保に努めてまいります。科学的データに基づく熊の個体数の適切な管理を進めます。

 とにかく、命に関わる問題です。スピード感を持って、必要な施策を順次実行に移してまいります。

 ありがとうございました。

齋藤(健)委員 時間ですので終わりますが、是非健康に留意して頑張っていただけたらと思います。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、古川康さんから関連質疑の申出があります。齋藤さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。古川康さん。

古川(康)委員 自由民主党の古川康でございます。

 高市総理並びに各閣僚の皆様方に御質問をさせていただきます。

 このような機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げつつ、地方に住む者として、地方の目から地方の思いをお伝えさせていただきたく存じます。

 高市政権が誕生いたしまして、私の地元佐賀県でも非常に大きな期待の声というのを目にし、耳にいたします。日本列島を強く豊かにという高市総理の思いが広がりを見せつつあるということを感じているところでございます。

 そうした中でございますが、まずもって質問をさせていただきたいのが、高市総理、御就任されて、極めて精力的に動いていただいているわけでございますが、日本のリーダーとして政権を担うということに対しての思いと、約一か月間の中で感じておられる手応えというものについて、お聞かせいただければと思います。

高市内閣総理大臣 ありがとうございます。

 日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り開く責任を担っていく覚悟でございます。

 今の暮らしや未来への不安を希望に変えて、強い経済をつくりたいと思っております。そして、日本列島を強く豊かにと訴えてまいりました。これは、日本を強く豊かにじゃなくて、列島と入れたところが肝でございます。日本全国どこに住んでいても、やはり安全に暮らすことができて、必要な医療や福祉を受けることができて、質の高い教育を受けることができて、働く場所がある、そういう日本列島をつくっていきたいと考えております。

 そして、世界が直面する課題に向き合いながら、まさに世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す、絶対に諦めない決意を持って、国家国民のために果敢に働いていく、そういう思いです。

 総理就任から二週間を過ぎたところでございます。最優先で取り組むべきは、物価高対策でございます。就任初日に経済対策の策定を指示しました。国会での御議論も踏まえつつ、国民の皆様が直面する物価高などへの対策を具体化させてまいります。

 また、日本成長戦略本部ですとか、あと、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議を開催するなど、重要課題の対応についてもスタートダッシュを切ることができたと思っています。

 そして、ASEAN関連首脳会議、トランプ大統領の訪日、また、APEC首脳会議、韓国、中国との首脳会談など、濃密で有意義な外交ウィークを走り抜けたところでございます。これは、同盟国、同志国との連携強化を確認するとともに、同盟国、同志国、地域の隣国のリーダーたちと率直に直接語り合って、個人関係を構築したということでございます。

 しっかりとこれからも初心を忘れずに働いてまいりますので、よろしくお願いいたします。

古川(康)委員 国民の高い期待に応えていただくことを心から御期待申し上げる次第でございます。

 また、国のありよう、地域のありようについては、また後ほどお尋ねをさせていただければと思います。

 我が国の国力を高めていくためには、どうしても外交の力が必要だということになってまいります。

 茂木外務大臣にお尋ねをいたします。

 茂木外務大臣も、御就任以来、極めて精力的に、ASEAN、APECを始めとする様々な国際会議に御出席をいただき、そこの中で存在感を示していただきました。まさに船出したばかりの高市外交の、それをしっかりと進めていく大きなお役割を果たしていただいているものと思っているところでございます。

 茂木大臣には、外務大臣二度目ということになるわけでございますが、これまでの二回目の大臣就任についての御感想と、今後、世界の中で咲き誇る日本外交を実現していくためにどのようにお取組をされようとされているのか、お伺いをいたします。

茂木国務大臣 古川委員、私、四年ぶりの外務大臣ということになるわけでありますが、この四年間を見ても、国際的な環境は極めて変化をしている。安全保障もそうです、それから経済もそうでありますけれども、がらっと変わった、こういう印象を持っております。

 そういった中で、どうしてもアメリカを始め全体的に内向きな傾向になる、その隙間に中国が入って、場合によっては、チョークポイントを握って、経済的威圧、様々な手段を使う。こういった中で、日本外交に対する期待感、また日本に対する信頼感、これは間違いなく増しているんだと。先ほど齋藤委員の方からも質問がありましたが、そのことは実感をするところであります。

 私も、先週は外交ウィークということで、まず、ASEAN関連の会合、初日、高市総理が日・ASEANに出席をされた。マレーシア政府としても、トランプ大統領をお迎えする中で、本当に忙しい日程で、わざわざマレーシアまで来てくれた、クアラルンプールまで来てくれたと感謝をしていたところであります。

 二日目のASEANプラス3、そしてRCEP、そしてEAS、そういった会合は私が出席をさせていただきまして、そこの中で、日本が、来年で十年になりますけれども、自由で開かれたインド太平洋、これを主導してきた、そしてこれをこれから進めることが、自由で開かれた世界経済をつくっていく上で極めて重要である、こういったことについては共感を得ることができた、こんなふうに今考えているところであります。

 また、韓国で開かれましたAPECの閣僚会議に私、出席をさせていただきましたが、そこの中でも、一体これから世界経済はどうなってしまうんだろうと。そういった中、WTOそのものは変えていかなきゃなりません。ただ、難しい部分がある。そういった中で、CPTPPであったりとか、EUの関係であったりとか、WTOを補完するような様々なそういう経済連携を日本が主導してきた、間違いないところでありまして、こういったところに対する期待も極めて大きい、こんなふうに私は感じているところであります。

 これから、力強い外交を展開していかなければいけない。高市総理も、日中首脳会談におきましても、主張すべきはきちんと主張をする、そして、中国に対して、中国も大国なんだからしっかりと責任ある対応を取ってほしい、こういうことを申し述べられまして、懸案やそして課題はあるけれども、協力できる分野もある、できるだけ懸案や課題を減らしながら、協力できる分野を増やしていく、こういう戦略的互恵関係、この包括的推進等々についても強く主張していたところであります。

 日本としても、ルールに基づいた自由で開かれた経済秩序、こういったことについてはしっかりと常に主導しながら、日本がそれを主導するという立場を見せていくことが、国際社会における日本の存在感を上げ、さらには、まさにこれが世界の真ん中で咲き誇る日本ということにつながっていくんだと思っております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 まさに、難しい時代だからこそ、四年前とは随分変わってきているからこそ、外交の難しさというものがあると思いますが、そういう中で、しっかり力強い外交を実現していただくようお願いするものでございます。

 次に、地方創生についてお伺いをいたします。

 高市総理は、所信表明演説の中で、地方創生ではなく、地域未来戦略というお言葉をお使いになりました。

 まず、端的にお伺いをいたします。

 この言葉というのは地方創生とは違うものなのか。であるとするならば、どういう思いを込めてこの言葉を使われているのか、それをお尋ねいたします。

高市内閣総理大臣 地域未来戦略ですけれども、高市内閣の基本方針である強い経済の実現に重点を置いて、地方に活力を取り戻すということを目指しております。

 これまでも、国が一歩前に出た支援の結果、TSMCが進出した熊本県や、ラピダスが立地した北海道で、関連する投資が誘発されるといった経済効果が表れ始めています。私は、こうした事例を全国各地に広げたいと思っています。大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地域の強みや技術を生かしながら、世界をリードする成長分野のクラスターを全国各地に形成するという決意でございます。

 あわせて、地域経済を牽引する中堅企業の地域を超えたビジネス展開を後押しするということで、地方に大規模な投資を呼び込みたいと考えております。

古川(康)委員 ありがとうございます。

 地方のいわば活性化、再生、成長に向けての具体的なお話を伺うことができたと思っております。

 一方で、私の地元も含め、日本には多くの地方があり、中山間地域があり、そこで暮らしている方々がいらっしゃいます。そういう方々とお話をしておりますと、特に中山間地域などで暮らしをしておられる高齢者の方々からは、そういう元気のいいことは確かに分かるんだけれども、このことが自分の暮らしに、あしたの暮らしにどういうふうに関わってくるのだろうか、今のこの高市政権というものが自分たちの暮らしに向き合ってもらっているんだろうか、そういうことも耳にするわけでございます。

 このことについて、総理御自身のお言葉で語っていただければと思います。

高市内閣総理大臣 高齢者の方も含めてでございますが、誰もが安心して地方に住み続けられるようにするということは大切なことです。まさに先ほど申し上げた、日本列島を強く豊かにと。どこに住んでいても、やはり安全であること、必要な福祉や医療を受けられること、これはとても大事なことでございます。

 でも、内閣として最優先に取り組むことは、まず物価高対策です。これは、年代にかかわらず、そして地域にかかわらず必要なことでございます。

 既に策定を指示している三つの柱から成る経済対策のうちの第一の柱が、生活の安全保障、物価高への対応を講ずるということでございます。これは、足下の物価高への対応や、地方の伸び代を生かして、地方の暮らしの安定を図るための施策を具体的に取りまとめて、速やかに経済対策を取りまとめて、そして、補正予算を本国会に提出いたします。

 既に実施している御高齢の方の買物支援など、日常生活に必要なサービスを受けられるようにすることなどを通じて、そこに暮らす皆様の暮らしの安心も守っていきたいと思っております。

 また、私自身の経験でございますけれども、やはり、在宅で介護サービスを受けたりするときに、家事支援サービスの中にごみ出しが入っていなかったりして、大変、親の介護のときに一番苦労した点でございました。これらも、特交の中に、特別交付税の中にごみ出し支援特別交付税という制度、親が死んでからですが、創設をいたしました。なかなかやはり財政的な事情で、御高齢の方とか、あと障害者のお宅のごみを分別なしで一括して玄関まで取りに来てくれるというサービスが実施できない市町村が多かったものですから、そういったこともやってまいりました。

 これからも、地方に、そしてまた年代に関係なく、また障害のあるなしに関係なく、いろいろな方が安心して暮らせるような地域づくりに励んでまいりたいと思っております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 いろいろな地域にいろいろな住まい方をしている方々がいらっしゃいます。それが、自分たちが引き続きこの地域で暮らし続けられるんだ、そういう思いを強く持つことができるような、そういう政策の展開を心から期待したいと思います。

 また、地方においては人口減少が厳しいわけでございますが、一方で、今、二地域居住といったような新しい住まい方、新しい地域との関わり方についても、法律も制定され、具体的にどういう形をしていこうかということが検討されているところでございます。こうした動きにも期待したいと思います。

 有人国境離島についての法律というのがございます。まさにこれは、そういう国境離島に人が住んでいただけるということが、国防上、国家の安全保障上、極めて意味が大きいということで作られた法律であり、様々な支援策が実行されていると思います。

 それを基に考えれば、農村地域あるいは中山間地域、こうしたことに人が暮らし続けることそのものが、離島ではありませんけれども、我が国の国土の強靱化といったものに必ずつながっていくことになると思っておりまして、こうしたことについても期待をするところでございます。

 さて、次に、インフラ整備についてお尋ねをいたします。

 私、先日まで三百四十三日間、国土交通副大臣として全国各地を回らせていただきました。そうした中で、様々な御要望というものも聞かせていただいたところでございます。

 そうした中で、私が感じた一つの声というのが、要望として受けるときに多いのは、大動脈とでもいうべき高規格道路などの幹線的な道路なわけでありますけれども、一方で、お金のつき方とか、首長さんたちのお話を聞くと、地域に密着した、生活に密着した、様々な、細かな、目の細かな毛細血管になるような事業の予算のつきというのがなかなかできない。例えば、学校の通学路の整備であるとか、狭い生活道路を広げていくとか、そういったことをやってほしいけれども、なかなか予算がつかない、そういうお話をあちこちで伺います。

 このことについて、金子大臣、どのように取り組まれますか。

金子国務大臣 古川委員には、直近まで副大臣として国土交通行政を引っ張っていただきまして、ありがとうございました。引き続き、御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 釈迦に説法のような話でございますが、御案内のとおり、社会資本整備総合交付金、そして防災・安全交付金は、地方公共団体の創意工夫による様々な取組に対して、地域の実情に合わせたきめ細やかな支援が可能な制度でございます。また、支援内容も、成長力強化や地域活性化、地域における防災・減災対策や老朽化対策など、幅広く対象としておりまして、交付金の安定的、持続的な確保が極めて重要であると認識をしております。

 一方、地域にとって活用しやすいということもあって、近年、地方公共団体からの要望額が増加傾向にあるため、要望額に対する配分額は残念ながら六割程度で推移をしており、全ての御要望にお応えできない状況でございます。

 厳しい財政状況の中ではありますが、引き続き、地域の実情に応じた様々なニーズにより的確に対応できるよう、補正予算も含め、予算の確保に全力を尽くしてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございます。是非期待を申し上げるところでございます。

 このインフラ整備に関係をいたしまして、よく聞く声として、国土強靱化について総理に伺います。

 昨年までの、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化計画は十五兆円規模で行われておりました。そして、新たな国土強靱化の実施中期計画がいよいよスタートする運びとなりました。資料によりますと、事業規模は、今後五年間でおおむね二十兆円強程度を目途とあります。おおむね、強、程度、目途という言葉に、私は大きな期待を寄せているところでございます。

 大きく広がっている災害、またインフラの老朽化のことを考えますと、国土強靱化というのは国家の安全保障そのものであるとも考えます。この高市政権の国土強靱化元年とでもいうべき今回の予算編成の中で、その名にふさわしい、国民が安心できる予算編成をお願いしたいと思いますが、いかがでありましょうか。

高市内閣総理大臣 まさに国土強靱化の取組というのは、私が申し上げている危機管理投資の大きな柱の一つです。これは国民の皆様の命、財産、暮らしを災害から守るということとともに、ライフラインの強靱化をしっかり行って、強い経済をつくっていくということにもつながります。

 これまで、五か年加速化対策の取組で、全国各地で着実に効果は積み上がっておりますけれども、自然災害が激甚化していって、また頻発化していますので、なかなか被害も大きく、また、老朽化したインフラの整備、保全というのが喫緊の課題となっております。もう私たちの目に見える形でいろいろなことが起きてきております。

 今年六月に策定しました第一次国土強靱化実施中期計画、まさに委員が携わられた計画でございますが、これに基づきまして、国土強靱化の取組というのは切れ目なく推進してまいります。この本計画に基づく取組ですが、今般の総合経済対策にも位置づけて、必要十分な事業を実施できるようにしてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございます。御期待申し上げる次第でございます。

 物価高対策について、林総務大臣にお尋ねをさせていただきます。

 先般の所信表明演説の中で、国、地方公共団体から民間への請負契約単価を、物価上昇等を踏まえて適切に見直しますという表現がございました。ここに非常に大きな期待をしているところでございます。

 物価高なのに、なかなか、自治体の予算編成の現場からいうと、去年と同額というような、ある意味、これまでと同じやり方を変えない形での予算編成が行われているというようなところもございます。また、仮に新しく予算を取ったとしても、自治体の工事請負費あるいは委託費というものは、ごみやし尿に対する委託も含めたところで最低賃金とかなり深く関わりを持っています。そうすると、自治体の予算編成は四月の会計年度から行われますが、最低賃金は十月にしか変わりませんので、途中でお金が足りなくなるということにもなりかねません。

 こうしたことを含めて、この見直しますということに大きな期待を持つわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

林国務大臣 今御指摘がありましたように、物価上昇を上回る賃上げを実現する、そのためには、地方の官公需においても適切に価格転嫁が行われる、このことが重要であります。総理が所信表明において、先ほど御指摘のあったようなことをおっしゃっておられるわけでございます。

 このため、総務省においては、自治体に対しまして、最新の実勢価格を踏まえた適切な予定価格の設定、それから今最低賃金のお話もありましたが、最低賃金の改定など契約期間中の状況の変化に応じた契約変更、それから適正な価格での契約を担保するための低入札価格調査制度そして最低制限価格制度の原則導入などの取組を促してきたところでございます。

 したがいまして、今後もあらゆる機会を捉えまして自治体にこれらの取組を促すとともに、運用改善に向けて、その取組状況等についての継続的なフォローアップそして支援等を行ってまいります。

 また、財政面ですが、令和七年度の地方財政計画においては、今ごみというお話もありました、ごみ収集等に係る委託料について、三百億円を増額して計上しているところでございます。

 八年度の地方交付税の概算要求におきましても、経済、物価動向等を適切に反映すること、これは事項要求をしておりますので、今後とも自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと考えております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 次に、物価高対策に関連して、片山財務大臣にお尋ねをいたします。ガソリン、軽油の暫定税率廃止についてでございます。

 地方に暮らす者としては、今回のガソリン、軽油の暫定税率廃止、これは、トラックやバスの事業者の方も含めて大変喜んでいただいているというのが正直なところでございます。

 具体的に、影響を最小限に抑えつつスムーズに廃止に移行するために、ガソリンそして軽油とどういう形での負担軽減を考えておられるのか、それをお示しください。

片山国務大臣 古川委員にお答えいたします。

 いわゆるガソリン、軽油の暫定税率廃止につきましては、一昨日、五日に、与野党六党間で合意に至ったものと承知しております。

 その合意では、ガソリンにつきましては、来週の木曜日、十一月十三日から二週間ごとに五円ずつ補助金を引き上げることにしており、十一月十三日に現行の十円から十五円、十一月二十七日に十五円から二十円、そして十二月十一日に二十円から、いわゆる暫定税率と同水準であります二十五・一円にした上で、十二月三十一日にいわゆる暫定税率を廃止するということになっております。

 軽油につきましても、これも重要ですが、ガソリンと同様、十一月十三日から二週間ごとに五円ずつ補助金を引き上げることとしておりまして、十一月十三日に現行の十円から十五円、十一月二十七日に十五円から、いわゆる暫定税率と同水準である十七・一円にした上で、地方団体の財政年度が開始するタイミングである来年四月一日にいわゆる暫定税率を廃止することとされておりまして、この合意を踏まえまして、関係省庁間とも連携して、しっかりと着実にスムーズにいくように対応をしてまいる所存でございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 大変な減収が発生することも事実でございますが、それについてどうなるのかということにつきましては、国、地方を通じて、しっかりと予算編成の中でその道筋が見えることになることを心から期待するところでございます。

 そして、農業政策について二点お伺いをいたします。

 まずもって、鈴木農林水産大臣、農業政策のプロであるわけですが、地方にとって農業というのは主産業です。今年の秋、収穫を終えた農家の人たちがみんなで集まって話をしたり、お酒を酌み交わすときに、本当に笑顔でございました。この農家の笑顔というものをこれからも大事にしなければと思ったところでございます。

 鈴木大臣の農業にかける思いについてお聞かせください。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 私の農業に対する思いということでありますけれども、私といたしましては、農は国の基である、そして、特に、地域にとっては、農業なくしてそれぞれの地域は成り立ちませんし、それぞれの地域を形作っている、これが農業だというふうに思っております。

 そして同時に、国全体にとっては、国民に対する食料を供給するという重い責任を担っている、そういう産業でもあるというふうに考えておりますから、これからも、現場で頑張っていらっしゃる皆さんが頑張ろうというふうに思っていただけるように、私たち、現場の気持ちに立って農政に取り組んでいきたいというふうに思います。

古川(康)委員 ありがとうございます。

 個別の農業政策についてお伺いいたしますが、共同利用施設の再編合理化についてでございます。

 スマート農業とか、そういう前向きなことも必要でありますけれども、一方で、老朽化した共同利用施設、カントリーエレベーターとか、そういったものの再編についても求められている声が多く出ております。これについては基本的には五〇%補助、それが六〇%にまで上げていただきました。大変ありがたいところではありますが、それでも、物価高の中でこれでは十分ではないという声があります。

 大臣、是非とも、これを何とかあと一歩充実させていただくことはできませんでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、今現状の新基本計画実装・農業構造転換支援事業、これでは、再編、集約等の更なる加速化を進めるために、通常の補助率百分の五十に対して、都道府県が国の補助に上乗せ支援を行う場合には特例として、委員が今おっしゃっていただいた、地元負担を百分の四十まで軽減するということになっております。

 しかしながら、私自身も、現場の皆さんから、この資材費そしてまた人件費、更に高騰のスピードが思いのほかすごいということと、また同時に、自治体の皆さんからも、自治体の負担が各都道府県で一件ぐらいの施設整備であればやれるんだけれども、十件も二十件も予定をされているとなかなか正直厳しいというお声もたくさん頂戴をしているところであります。

 我々といたしましては、令和十一年度までの農業構造転換集中対策期間中に、この更新や再編等の整備を、予定している全ての施設の再編、集約化等が行われるということが、結果としては生産基盤の強化につながるというふうに考えております。ですので、今委員から御指摘をいただいたように、補助率の引上げなど、産地の負担軽減に向けて、政府全体でこれは気合を入れて努力をさせていただきたいと思います。

古川(康)委員 力強い御答弁、ありがとうございました。国庫補助、そして更には地方負担、こうしたものを含めてお願いを申し上げます。

 そして、災害対策といいますか、災害時の避難所における熱中症対策について総理にお伺いをいたします。

 この災害対策というのは、まさに国家としての基本的に求められる政策でございます。そうした中において、最近、避難所における熱中症対策が改めて大きな課題として浮き彫りになっております。

 政府は、令和十七年までに、避難所となる全ての小中学校の体育館のエアコンを整備するという方針を立てております。しかしながら、残念なことに、現時点におきましては、今年の七月現在では僅か二四%の学校しかできておりません。

 こうしたことを始めとして、学校の現場からは学校の施設整備について様々な形で要望が出ておりますけれども、ひどいときには継続事業であっても採択されないというようなケースまで出てきたりもしてきている。そういったことがあってはならないというふうに思うわけでございまして、この学校施設整備の充実について総理のお考えをお聞かせください。

高市内閣総理大臣 継続事業でも採択されないというのはひどいですね。片山大臣が横でええっと言っていましたので、御安心ください。

 公立小中学校の学校の耐震化ですとか老朽化対策、それから避難所となる学校体育館の空調施設やトイレのバリアフリー化、これには取り組んできているところではございますけれども、まだ十分じゃないという数字が示されました。

 地方自治体のニーズをしっかりと伺いながら、必要な予算の確保に努めてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

枝野委員長 この際、高村正大さんから関連質疑の申出があります。齋藤さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。高村正大さん。

高村委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の高村正大であります。

 高市総理、御就任、誠におめでとうございます。各メディアの世論調査の支持率も非常に高い結果が出ています。私自身も、二年間政務を務めた後、久々に毎週のように地元に帰れる状況になって、地元の有権者の皆さんとお話をさせていただくと、高市総理、そして高市内閣への期待が本当に高いんだなということを日々実感しているところであります。高市総理が高く掲げた政策の旗、これが多くの有権者の御理解をいただき、支持をいただいている結果だというふうに思っております。

 そこで、高市政権の掲げている政策を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、私自身が先月まで法務副大臣を務めさせていただきましたので、法務省に関係する政策から伺ってまいりたいと思います。

 鈴木馨祐前法務大臣の下、出入国在留管理庁は、本年五月二十三日に国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランを公表し、入国管理、在留管理・難民審査、出国・送還の各段階に関する諸施策に取り組んでいると承知をしています。そのゼロプランの実施状況について、法務大臣にお伺いいたします。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランに係る取組は開始したばかりでございまして、その効果について分析、評価をするにはやや期間が短いため、今後の状況を更に注視していく必要があると認識いたしております。

 その上で、護送官付国費送還について申し上げますと、ゼロプランの公表後の本年六月から八月までの三か月間で百十九人を送還いたしております。これは昨年の同時期に送還した五十八人という数字の二倍以上に上っており、着実に実施できていると評価できると思います。

 また、精緻な数値があるものではないわけでございますが、入国管理庁からは、長期間にわたって仮放免となり送還を拒んでいた方の中で、自発的に帰国の意思を示す方が出てきているという旨の報告を受けております。この報告を踏まえますと、引き続き護送官付国費送還を着実に実施していくことで、自発的に帰国する方も増加するということが期待できるわけでございます。

 今後も、ゼロプランの下、退去強制が確定した外国人を速やかに送還するなど、国民の皆様方の安全、安心を守るべく力を尽くしてまいりたいと考えております。

高村委員 平口大臣、ありがとうございます。

 この不法滞在者ゼロプランというのは、減少じゃなくて、明らかにゼロを目指していただきたいんだと思っております。不法滞在者ゼロを目指していくためには、入国管理も厳格に行う必要があると考えます。日本版のESTAであるJESTAの導入に向けた取組について、法務大臣にお伺いいたします。

平口国務大臣 委員御指摘のJESTA、つまり電子渡航認証制度でございますけれども、オンラインで外国人に身分事項や渡航目的等をあらかじめ申告させ、スクリーニングを行うことを可能とするものでございます。この制度は、テロリストや不法滞在を企図する外国人等、我が国にとって好ましくない外国人の来日を未然に防止するという観点から、重要な意義を有するものでございます。

 現在、出入国管理庁において、制度の対象者や認証手続のほか、システム開発に当たり必要となる機能の検討を行うなどしているところでございます。

 引き続き、JESTAの二〇二八年度中の確実な導入に向け、スピード感を持ってしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

高村委員 続きまして、外国人による土地取得について伺いたいと思います。

 本来であれば、相互主義に基づいて、日本人の土地取得を認めていない国の外国人を対象に土地取引規制をかけるべきではないかと考えておりますが、政府の見解を教えてください。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人に対する土地取得規制につきましては、その目的や具体的な態様などについて、今、関係府省庁が連携を図りつつ、政府としての適切な規制の在り方について検討を進めていくところでございます。

 その上で、国際約束との整合性につきましては、具体的な措置の内容を踏まえて検討する必要があると考えております。

 国際法における相互主義につきまして一般論として申し上げれば、投資関連協定やサービス関連協定などの国際約束の締約国は、自国が約束した範囲内において外国同士を差別しないという最恵国待遇、あるいは自国と外国を差別しないという内国民待遇等の義務を負っておりまして、その内容はほかの締約国が負っている義務に影響されないものでございます。

 したがいまして、他国が日本に対して土地取得規制を行っていることを理由として、相互主義に基づき我が国が外国人に対して同様の土地取得規制を行う場合は、個別具体に判断する必要がございますが、その規制の態様によっては国際約束に整合しない可能性もあると考えております。

 いずれにしましても、国際約束との整合性につきましては、具体的な措置の内容を踏まえて検討する必要があると考えております。

高村委員 おっしゃることはよく分かるんですけれども、やはり多くの国民が不公平感を感じたり、おかしいと思っていることでもあると思いますので、是非しっかりと検討していただきたいと思います。

 そして、重要土地等調査法の規制の対象に水源地や離島を加えるなど、法律を見直して規制を強化すべきだと考えます。政府の方針について、小野田大臣に伺います。

小野田国務大臣 重要土地等調査法は、防衛関係施設など安全保障上重要な施設の周辺や国境離島等について、その土地等の利用状況を調査し、施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に利用の規制を行うものです。

 政府としては、まず、土地等の利用状況等調査を着実に実施し、安全保障上重要な施設などに対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいりたいと思っています。

 その上で、同法附則第二条には、法の施行後五年を経過した時点での見直し規定が置かれておりまして、また、十一月四日に開催された外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議において総理から、土地取得等のルールの在り方を検討するように御指示をいただいているところも踏まえまして、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、同法の見直しの議論を進めてまいりたいと考えております。

高村委員 多くの国民が小野田大臣に期待していますので、どうぞ、是非よろしくお願いいたします。

 続いて、再犯防止に関してなんですけれども、刑法犯の再犯率が約五〇%と非常に高い中、再犯防止を更に進めていくためには、本年六月に導入された拘禁刑の取組を着実に進めていくことが重要だと考えます。刑事施設における処遇はどのように変わったのか、法務大臣、お願いいたします。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 令和七年の六月一日に導入されました拘禁刑というものは、作業の実施を前提とした懲役刑とは異なっており、個々の受刑者の特性に応じて、作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を実施することで、より効果的な改善更生を図るものでございます。

 具体的には、受刑者の特性等を十分に把握した上で、高齢や障害といった特性等に応じた二十四種類の受刑者のグループごとに、多職種の職員が連携して、個々の特性等に応じて、必要な作業や指導、就労支援、福祉的支援を実施しております。

 委員御指摘のとおり、拘禁刑の導入によって我が国の再犯防止が更に推進されることが期待されておりまして、今後は、拘禁刑の趣旨を踏まえた処遇の充実、刑務官や専門スタッフなどの職員体制の整備、処遇の担い手である職員のスキルアップなど、一層効果的な処遇を実現するための取組を進めてまいりたいと考えております。

高村委員 ありがとうございます。

 本当に再犯率を下げていくということが日本の安心、安全を守っていく中でも大切だと思うので、引き続き取組の方をよろしくお願いいたします。

 続きまして、日本の国際貢献に関して質問をさせていただきたいと思います。

 日本のエネルギー自給率は二〇二二年の数値で一二・六%、実に九割近いエネルギーを海外から輸入しています。また、食料自給率は、二〇二三年の数字ですが、カロリーベースで三八%、実に六割以上の食料を輸入に頼らなければならない、こういった現状にあります。

 日本は、世界が安定していないと今の豊かな生活を送ることができません。私自身、外務大臣政務官としての経験からも、日本は、困っている国や人々がただかわいそうだからというだけで援助しているのではなく、世界の平和、安定が我が国の国益になるんだとの戦略的な観点から援助を行ってきたんだと認識をしております。

 そこで、海外の安定、不安定の影響に関して伺いたいんですが、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化を受けて食料価格やエネルギー価格にはどのような影響があったか、教えてください。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年二月のロシアのウクライナ侵略を受けまして、当時、穀物を始めとする食料価格や原油及び天然ガスの市場価格が一時的に急騰いたしました。また、二〇二五年の六月には、中東情勢の緊迫化を受けて、一時的に原油市場の価格が高騰しております。

 このように、国際情勢の変化は食料、エネルギー価格の安定性に直結するものでして、食料、エネルギーを多く輸入に頼る我が国にとって、国際市場における食料価格やエネルギー価格の安定は極めて重要だと考えております。

高村委員 ありがとうございます。

 国民生活が厳しい中、ばらまき批判なども存在するODAなどの我が国の援助について、世界の安定にも貢献し、日本にも裨益するものだと考えておりますが、外務大臣の見解をお願いいたします。

茂木国務大臣 まさに高村委員のおっしゃるとおりである、こんなふうに思っているところであります。

 ODA、これは日本外交の極めて重要なツールであります。しかも、日本のODAは、例えば道路にしてもそうなんですけれども、非常にインフラ整備なんかも質がいいということで、供与国からも高い評価を受けているところであります。

 私も、数年前、太平洋島嶼国、ある国に行ったんですが、日本の造った道路とほかの国が援助した道路がありまして、日本の道路は、二十年たっているんですけれども、そのままだ、ほかの国の道路は、十年なんですけれども、もうひびが入っている、こういう状態で、この質の高さというもので非常に高く評価されている、こんなふうに考えているところであります。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

 御指摘のように、日本は、エネルギーも食料も、資源の多くを海外から輸入しなければいけない、依存しなければいけない。決してこれがいいということではない、改善はしていかなければいけないと思っておりますが、ODAを通じて国際社会の平和と繁栄に貢献していくということは、資源の安定供給の確保にも直結をして、ひいてはそれが日本の平和や安定、更なる発展にもつながっていく、そのように考えております。

 そして、ODAを通じた日本らしい外交、これを展開することによって相手国の信頼を得る、また、そういった支援によって相手国が経済発展をして、また購買力が向上するということで、日本の優れた製品、サービスや、また農林水産品の輸出を拡大する、こういう機会にもつながっていくのではないかな、こんなふうに考えているところでありまして、ODAを戦略的かつ効果的に活用して、オファー型の協力であったり、最近は、民間投資を引き出す、こういう観点からのODAの仕組み、こういったものも使うことによって、日本にとってもメリットがもたらされる、そしてまた、エネルギーであったりとか重要鉱物といった経済安全保障にも結びつくような形の支援を行っていきたい、こんなふうに考えているところであります。

 自由で開かれたインド太平洋、様々な要素がありますが、そういう中にもODAを組み入れながら、この自由で開かれたインド太平洋も時代の変化に合わせて進化をさせながら、そして、同盟国、同志国との連携、さらにはODA等を活用した、今発言力を強めているグローバルサウスとの協力も更に深めていきたい、こんなふうに考えております。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

高村委員 大臣、ありがとうございます。

 情けは人のためならずという言葉があります。我が国も戦後、大変な荒廃の中から世界の援助を受けて今の経済大国となっています。今、多少国内がつらくても、しっかりと世界の平和、安定に貢献していける、こういった国でありたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 財政健全化と積極財政のバランスについて伺いたいと思います。

 現行の消費税の軽減税率やインボイス制度については、公平、中立、簡素の租税原則のうち、特に簡素に反しており、それを廃止して、生活困窮者等に対しては給付措置で対応すべきとの声を聞きます。また、消費税は、財政の状況に応じて機動的に変更できる仕組みを取ることも考えられます。

 高市内閣では、経済あっての財政の考え方を基本とし、強い経済を構築するため、責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う方針と理解しています。他方、同時に財政健全化も進めるべきとの声が小さくないのも事実であります。

 政府には、財政規律を考えつつ、今の暮らしや未来への不安を希望に変えてほしいという国民の期待にも応えるという難しい両立が求められております。財政健全化と積極財政のバランスをどう取っていくのか、財務大臣にお伺いします。

片山国務大臣 高村委員にお答えをいたします。

 高市内閣では、御指摘のように、経済あっての財政の考え方を基本としつつ、戦略的に財政運営を行い、強い経済を構築し、経済成長率を高めていくというのが原則でございまして、ただ、これらによりまして、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えて、政府の債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していくというのも大方針でございまして、まさに、責任ある積極財政というのはこのバランスでございますので、こうした考えに基づいて経済財政運営を行い、委員御指摘のように、力強く経済再生を進める中で、財政健全化との両立も図ってまいる所存でございます。

高村委員 今、片山大臣から大変力強い御答弁をいただきました。

 その上で、この国の景気対策に向けてどのように取り組んでいかれるのか、総理に伺わせていただきます。

 総理、景気回復に向けて、高市内閣ではどのように責任ある積極財政を推し進めていく考えなのでしょうか。意気込みとともに教えてください。

高市内閣総理大臣 ありがとうございます。

 今、片山大臣が答弁をしたとおりの方針でございます。強い経済を構築するために、戦略的に財政出動を行います。

 まず急ぐべきは、生活の安全保障、物価高対策でございます。家計が苦しければ、とても経済は強くなりません。つまり、消費が増えない。消費が増えないということは、企業ももうかりませんから、従業員の方々の所得も増えないし、それからまた設備投資もできないということになってまいります。そうしますと、結果的に、税収も増えない、財政の持続可能性、ここもしんどくなってくるということです。

 次にしっかり取り組みたいのが、やはり危機管理投資なんですけれども、例えば、食料安全保障、エネルギー安全保障、医療健康安全保障、そしてまた国土の強靱化、サイバーセキュリティー、こういった問題に対してしっかりと、これは官民挙げて投資をしていくということです。

 こういう課題解決型の投資、これを官民で力を合わせてやっていくというのは、もう今や世界の潮流でございます。ですから、こういった取組を通じて、日本が世界に先駆けて、この課題解決型の製品ですとかサービス、インフラを生み出していく。国内でも活用するとともに、海外にも展開していく。このことによって、かなり日本は大きな富を得ることができると思っております。

 とにかく成長しなければ、財政の持続可能性、こういったものも確保できませんので、何としても強い経済をつくる、成長を最優先にするということを考えております。

高村委員 今、総理からサイバーセキュリティーの話がありました。

 昨今でも、大手のビール会社あるいは事務用品通販会社等の民間企業へのサイバー攻撃が発生しております。国民生活に多くの影響を与えている、これは御存じのとおりだと思います。これらの事業者以外にも、電力会社などの重要なインフラの事業者にサイバー攻撃が発生した場合には、より大きな影響が生じるおそれがあります。

 このようなサイバー攻撃を防ぐためには、民間企業においてもふだんからサイバーセキュリティー対策を講じておくことが重要でありますが、政府としても、民間任せでなく、取り組むべきサイバーセキュリティー対策についてしっかりとした基準を示していく必要があると考えます。政府の取組方針について、松本大臣に伺います。

松本(尚)国務大臣 ありがとうございます。

 我が国におけるサイバーセキュリティーの脅威というのは、今非常に広がっていることは委員も御承知おきのとおりだと思います。政府が積極的にこの役割を果たしていくということは非常に重要だと考えております。

 今お話ありました民間企業に対しましては、基準、そしてガイドラインを我々がしっかりと示していくことで、制度的にも彼らを誘導していくというか、協力を仰いでいくということが必要だというふうに思っています。

 この五月にサイバーセキュリティ基本法が改正をされまして、重要インフラ事業者、これが約二万事業者ございますけれども、彼らに対する国の施策についての統一的な基準をこれから作成するということで、もう着手をしております。重要インフラ統一基準、これを作成する。この新たな基準によって、重要インフラ分野全体のサイバーセキュリティーの水準を引き上げていくということがこれから求められる。それを私としてもしっかりとやっていきたいと思っております。

 民間企業に向けては、こういった役に立つガイドラインを分かりやすく説明していきたい。とりわけ、脆弱と言われている中小企業に対して、どういうふうにサイバーセキュリティーの能力を上げていくかということに私としても力を注いでいきたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

高村委員 松本大臣おっしゃるように、大企業は対応できると思うんですよね。下請の中小企業あるいは取引先、そういうところに対してもしっかりと対応していただくことをお願い申し上げます。

 防衛に移りたいと思います。

 今、日本の置かれた戦後最悪の安全保障環境の中、防衛費を増やし、防衛装備品を取得していくことも大切だと思いますが、一方で、組織の一番の基本は人であります。人への投資として、自衛隊員の処遇改善が何よりも重要だと考えますが、防衛大臣の見解をお願いいたします。

小泉国務大臣 おはようございます。

 高村先生におかれましては、今、自民党で自衛官支援議員連盟の事務局長をお務めいただいているということで、自衛官の処遇改善、生活環境の改善に向けて継続的に御支援いただいていること、感謝申し上げます。

 高村先生がおっしゃるとおり、これから防衛力の整備を進めていく中で、基盤となるのは人であります。特に自衛官、そしてまた自衛官の家族、こういった皆さんを守り抜くことは防衛大臣としての責務でもあります。私も地元が横須賀でありますから、日頃から隊員の方々から隊舎の、様々な生活改善に向けた御要望も受けます。

 そして今、全国、北海道から沖縄まで、自衛官の募集に御協力をいただいている方々が大勢いらっしゃいます。しかし、残念ながら、一万五千人の採用を年間でしなければいけないところを、令和六年度は一万人に達しませんでした。約五千人、自衛官の採用に穴が空いている。今年度も一万五千人を採用したいというふうに思っております。

 その上で、もちろん金銭面の処遇だけではありませんが、そこにしっかりと手当てをすることも大事であります。そういった手当が抜本的にも強化をされ、そして、高卒で自衛隊の二士となる、そういった方の額も、今、過去最高額に上げていく状況にあります。

 是非、今、テレビを、またラジオで、ネットで聞いている方々には、自衛隊の手当について、処遇の改善について、ここまで今、広がってきているんだということも、是非その情報に触れていただきたいと思います。

 今後もしっかりと、基盤は人である、その思いで政策強化を努めてまいります。

高村委員 小泉大臣、ありがとうございました。私も引き続き、議員の立場から応援をしてまいりたいと思います。

 安全保障、国土強靱化の観点からも港湾の適切な管理は重要であります。令和七年九月に、山口県の徳山下松港の海域において爆弾の可能性のあるものが発見されています。不発弾の問題はこの事案だけでなく、ほかでも、日本全国どこでも起こり得るものだと思います。このような事案は国が司令塔となって対処すべきだと考えますが、国土交通大臣に見解をお伺いいたします。

金子国務大臣 高村委員御指摘のとおり、徳山下松港の事案につきましては、現在、関係者間で検討しているところでございまして、安全が確保されるまでの間、周辺海域における船舶の航行、停泊を禁止しております。

 一方、四方を海に囲まれる我が国におきましては、港湾は経済活動を支える物流インフラとして、また国民生活の安全、安心を支えるインフラとして重要な役割を果たしており、早期に利用が再開されることが必要だと考えております。

 国土交通省といたしましては、地方整備局等が各港に設置しております会議体を活用いたしまして、関係者間の調整を図り、本事案の解決に向けて全力で取り組んでまいります。

高村委員 金子大臣、ありがとうございます。

 ほかの地域で、不発弾が発見されてから一年半も処理にかかった、こういった事案があるように伺っております。これは、やはり経済活動にも影響を与えないために一刻も早い対応が必要だと思います。

 この後、政府参考人に伺うはずだったんですが、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきまして、次に、働き方改革について伺いたいと思います。

 安倍政権の下で成立した働き方改革関連法が施行されてから五年以上がたちました。この間、私自身も様々な方から働き方改革について話を伺う機会がありました。

 一例として、クレーン等大型重機を運用する業態の場合、重機の移動時間帯や駐車場所も制限され、実働時間の確保が難しい、建設業の関係者からは、短期間で集中的に工事をし、工事完了後にまとまった休みを取るといった働き方が好ましい、労働者の方からも、残業が認められず、働いて稼ぎたいのに稼げないといった声がありました。

 このように、働き方改革については、様々な業種、職種の方から様々な御意見を頂戴しております。

 厚労省では、現在、労働時間制度について審議会で議論をされていると聞いています。こうした現場の声をどのように反映していくのか。また、総理から厚生労働大臣などの関係大臣に対して、心身の健康維持と従業者の選択を前提とした労働時間規制の緩和の検討を行うといった指示がなされていると聞いております。こうした総理の指示を踏まえてどのように検討していくのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。

上野国務大臣 働き方改革につきましては、働き方改革関連法の施行から五年以上が経過をしておりますので、現在、労働政策審議会におきまして労働基準関係法制に関する議論を行っております。

 労働時間規制につきましては、委員から今御披露をいただきましたが、まさに様々な御意見があることは十分承知をしておりますので、誰もが働きやすい労働環境を実現をしていく必要性であったり、あるいは、上限規制は過労死認定ラインであることなども踏まえて検討する必要があると考えております。

 総理からの御指示も踏まえながら、今後、総点検として、現場の皆さんの働き方の実態あるいはニーズ、そうしたものを十分精査をして検討を深めていきたいと考えています。

高村委員 時間となりましたので、以上で。ありがとうございました。

枝野委員長 この際、鈴木貴子さんから関連質疑の申出があります。齋藤さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。鈴木貴子さん。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。

 早速でありますが、鈴木憲和農水大臣に質問させていただきます。

 先ほどの質疑の中で、農は国の基であると。私もそのように同意をするところでありますが、同時に、やはり海に囲まれた日本です。漁業も漁も国の基であると私は思っておりますし、それは鈴木農水大臣も同意をしていただけるものと確信をしてやまないところであります。

 ただ、この状況の中で、漁も漁業も国の基である中で、泣いている漁業者がおります。それは誰かといえば、北海道の小型イカ釣りの皆さんです。理由は明確です。北海道のスルメイカ、おかげさまで今年は豊漁でありますが、北海道の漁期が始まる前に本州で、漁獲可能量、いわゆるTACが上限を既に超えてしまいました。採捕停止措置というものが今講じられているところであります。

 資源管理の重要性というものは私も理解をしておりますし、何よりも現場の皆さんが自主休漁という形でこれまでも丁寧に取り組んできていただいております。

 現行制度は、早く捕れる地域が得をして、漁期が遅くなってくる地域は損をするというような不公平が生じている。このまま禁漁が解除されなければ廃業、そしてまた、加工、運送、様々な関連産業すら廃業してしまう。そういった意味でも、まずは今期の漁を何とか確保していただきたい。知恵を是非とも凝らしていただいて、政府として、今期の漁、出漁をさせていただくべく英断をいただきたいと思いますが、鈴木農水大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、今回の事態を招いてしまったということについては、小型スルメイカ釣り漁業の漁獲量をタイムリーに把握して管理をすることができなかったということが主な原因であるというふうに考えておりまして、この結果、今、鈴木委員から御指摘のあったように、現在、これから主漁期を本来迎えるはずだった北海道を始めとした漁業者の皆さんが操業ができていない状況にあり、結果として、これは函館を始め地域経済に与える影響も大変大きいというふうに私としては認識をしております。

 こうした状況の中で、まず国がやれるべきことというのは、国の留保分五千七百トンのうち、ほかの漁業種類へ配分する見込みであった千二百トンの振替、これに加えて、さらに、新たなデータに基づき、千八百トンのTACの増枠、これについて、十一月五日の水産政策審議会に諮問をして了承を得たところです。

 しかしながら、それをやったとしても、現状では小型スルメイカ釣り漁業の超過分がこれ以上に多いという状況にあるために、今現在で採捕停止命令の解除には至っておりません。

 こうしたことも踏まえまして、まずは、今期の北海道の小型スルメイカ釣り漁船においては、北海道知事が管理する配分数量の中での操業を可能とするための手続を今現在進めていただいているところであると承知をしておりまして、できる限り早く操業が可能となるように、我々としてもしっかり取組をさせていただきます。そして、引き続き、ほかの漁業種類ごとの消化状況も確認した上で、国の留保からの振替や配分済みの数量からの融通の調整というのも進めさせていただきたいというふうに思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 函館はまさにこれからでありますし、私の地元の羅臼は十二月から。今回、資源が戻ってきたという中での沖に出るなというこの不条理。今の農水大臣の答弁の中で、北海道の知事権限の中でということでありました。一つの知恵でありますし、工夫であり、やはり漁に出るということが大前提でありますので、その点については感謝を申し上げます。

 ただ一方で、他の漁法の、定置の皆さん方等々に御理解をいただいてのこの新しい知恵の出し方ということでありますから、是非とも引き続き水産庁には、来期に向けては、この不条理、不公平な制度、そもそも、抜本的な見直しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 お答え申し上げます。

 委員からの御指摘、ごもっともだというふうに考えております。ですので、今後、二点について、委員の御指摘も踏まえて検討させていただくことといたしました。

 まずは、小型スルメイカ釣り漁業の団体において、迅速かつ的確な数量管理を行う体制の整備が不可欠であるというふうに考えておりまして、次期管理年度に向けて、全漁連と協力の上で、情報システムの活用を検討させていただきます。

 そして二点目は、特定の地域における漁獲の集中による先捕りなど、地域間の不公平感が生じている、この指摘が、こういうものがありますから、全漁連とも相談をさせていただいて、小型スルメイカ釣り漁業の配分数量について、海域別であったりとか期間別の管理などについてもこれから検討させていただきたいというふうに考えております。

 これらによりまして、現場の漁業者の皆さんから見て不公平だというふうに思っていただかなくても済むように、精いっぱい努力させていただきたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 引き続き、水産庁、そしてまた全漁連ともしっかりと連携をしていただいて、監督権限というものをしっかりと行使をしていただきたいと思います。

 続いてでありますが、引き続き食料安全保障という観点です。

 世界的にも、気候変動、そしてもちろん、そのしわ寄せというかあおりというものが日本にも自然災害という形で出てきているのは、もう我々は肌身で実感をしていると思います。また、世界に目を向けると、日本は少子化で人口減少が叫ばれていますが、二〇五〇年には世界の人口は九十七億人に達すると言われていて、つまるところ、食料争奪の時代が始まってくると言われています。

 そこで、農水大臣は、真の食料安全保障の確立ということを何度となくおっしゃっておられますし、いろいろ勉強会も開催をしていただいて、私も参加もさせていただきました。その中で、高温耐性品種、この気候変動にしっかりと機動的に対応して、そして乗り越えていく農業をつくっていくという意味では、国際農業研究グループ、CGIARと言われますけれども、による高温耐性品種、また種苗の開発について関心を示されておられたと思います。

 私は、この取組というのは非常に重要であって、日本のまさに食料安全保障、これから食料争奪戦だという中において、また、様々な気候風土というものが変わってきた中においても、持続可能、再生産可能な農業というものを確立していく上で非常に重要だと思いますが、このCGIARの取組をどのように評価をし、また日本政府として取り組まれていくか、見解を教えてください。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、食料安全保障など地球規模課題への対応については、国際協力、これが不可欠であります。特に、豊富な遺伝資源や蓄積された品種開発技術を持ち、各国政府や関係機関とのネットワークも有するCGIARとの連携が私自身重要だというふうに考えております。

 委員とも、前に一度、アフリカのエチオピア、ソマリア国境にお邪魔をさせていただいたときにも、現場で、やはり今後、稲の収量が上がらないかという課題があるというのも一緒に共有をしたところだと思いますが。

 例えばなんですけれども、我が国の研究機関は、古くから、CGIAR傘下の国際研究機関である国際稲研究所、IRRIというふうに言いますが、ここと連携をしております。

 このIRRIは、昔、緑の革命といって、米の収量を大幅に上げるという品種開発、これに成功して、結果として、人口が大変増えていたインドやフィリピンの人口増にも対応することができたという実績があります。そして、今では地球温暖化に伴って高温耐性稲研究、これが重要でありますから、これを今行っておりまして、我々も、こことしっかりと連携をして、その成果を活用して、国内向けの品種開発、新品種の開発も進めているところであります。

 世界人口が増える中で、気候変動、これを乗り越えなければ食料の生産は安定をしませんし、結果としての我が国の食料安全保障というのも確保できないというふうに考えますから、そこに向けて、CGIARとの連携、更に進むように努力させていただきたいというふうに思っております。

鈴木(貴)委員 というように、やはり農水大臣もこのCGIARの評価をしていただき、そして何よりも必要性を今述べていただいたと思っております。

 そこで、茂木外務大臣、出番です。

 といいますのも、このCGIARというのは国際機関なんです。どこが拠出をしているかというと、農水省ではなくて外務省なんです。農水が、農業のプロの、専門の省庁の農水が必要だと言っています。あとは、外務省が拠出をする。そしてまた、そこに、日本人の研究者というものをその国際機関に出すことによって、日本全体の人材力というものも増えてくる、底上げをしてくる。世界における日本のプレゼンスというものもここは高まるという意味で、非常に重要だと思っております。

 ただ、最近の外務省の拠出、ちょっと先細っているなと。ここは、先見の明のある茂木大臣、積極的な拠出、また人材育成について力強い御答弁、よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 鈴木委員、質問の順番が非常にお上手で、前向きな答弁をせざるを得ない、こういう立場に今追い込まれておりますけれども。

 確かに、気候条件に合った作物、品種改良をしていくということは極めて重要でして、それは非常に高温な地域もそうですけれども、寒冷地、例えば北海道の夕張メロン、これは本州であったりとかではなかなか育たない。夕張地方に、メロンとカボチャをかけ合わせることによって作っている、独特の風味を持っているわけでありますが。

 御指摘のCGIAR、我が国としては、気候の条件の厳しい国々、稲を始めとした作物の生産性向上であったりとか、栄養価を高める品種改良を始め、特に邦人の研究者、日本人の研究者が主導する案件、これを重点的に支援をしてきたところであります。

 そして、昨今の状況でいいますと、本来だったらばそういう非常に暑い地域でどうにか生育するような稲というのが、今、今度は日本で必要になる、こういう状況も生まれているわけでありますから、ここでの研究というのは極めて私は重要だと思っております。

 今後、予算におきましては、昨年の査定がどうだったから、こういうこれまでの発想にとらわれずに、必要な予算をしっかりと確保していく。資金面でも、そして人材面でも、この機関にしっかり貢献できるようにしてまいりたいと思っております。

鈴木(貴)委員 タフネゴシエーターを相手に大変力強い答弁を引き出せたと私も大変うれしく思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。

 続きまして、太陽光パネルの問題に移らせていただきます。

 総理にまずはお伺いをさせていただきたいと思いますが、太陽光パネルと自然環境、地域との共生、様々な課題が発生をしているというのは、もうこれは皆さん御案内のとおりだと思っております。自然のみならず景観ももちろんそうでありますし、災害リスクの増大であるとか経済安全保障上の懸念、様々、多岐にこれはわたっております。

 私の地元釧路でもこの問題がありまして、私の地元の場合は法令違反が相次いでいるというちょっと特別な事案でもあるんですけれども、これは確かにゆゆしきことであります。多くの皆さん方が、今すぐ止めろ、事業を停止させろという声もいただくんですが、事業者側にしたら、これは憲法第二十九条の財産権で保障されているんだということを理屈にして開発がどんどんどんどん進んでいってしまっているという実態です。

 現行制度、ほかにも私は課題があると思っていまして、この規制というものが、経産省であるとか環境省、文科省もそうです、国交省、農水、様々にまたがっていること。そしてまた、地方自治体が条例をどれだけ設けたとしても、条例ではどうしても止められないという構図があります。もうここは、時代の要請に応じた、国がしっかりとルールを作っていく。事前の開発許可制度の厳格化であるとか、実効性のある規制の強化というものが待ったなしだと思っております。

 総理のこの問題に対しての認識、見解、今後の展望を含めて、是非ともお伺いさせてください。

高市内閣総理大臣 再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生を図りながら導入拡大を進める必要がございます。

 今、全国各地で、メガソーラーの建設によって森林伐採ですとか、あと不適切な開発によって環境破壊が起きたり、また、災害リスクなどの懸念が見られております。私のふるさとである奈良県でも問題が発生しております。

 政府としては、安全、景観、自然環境などに関係する規制の総点検を行いまして、連立政権合意にも基づいて、不適切なメガソーラーを法的に規制する、そういう施策を実行してまいります。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 規制をしていくということで、方向性を示していただいたということは大変に心強く思っております。

 そこで、文化財保護法の関係で質問をさせていただきます。

 といいますのも、釧路の事例なんですけれども、この手続にちょっと課題を感じました。

 文化財保護法上の手続で、この法律に基づきますと、事業者は、開発行為に際し、地元自治体の教育委員会に相談することが一般的とされています。ですから、釧路市の場合は、例えばタンチョウヅルであるとかオジロワシへの影響について、事業者が調査を今外部の機関に委託をして、そして、その結果というものを市の担当部局に実際に提出しました。

 この調査の実施時期も問題でありまして、十月の数日間で行われております。ただ、オジロワシの繁殖期というのは二月の中旬から九月の下旬。まさに、この調査の期間と合致をしていないんです。となると、繁殖活動であるとか営巣の実態というものが本当にこの十月の調査で分かるのか、判断できるのかという指摘を本来はすべきだった。しかし、提出時点で自治体が調査時期が適切でないと本当であれば指導すべきだったところ、自治体もできていないという課題もあります。

 文化財保護法の趣旨は、自治体は単に届出を受けるということではなくて、地域の自然文化遺産を守るために行政が的確に助言、指導することが目的であると思っています。

 だからこそ、この趣旨をしっかりと履行していただくためにも提案をさせていただきたいと思うんですけれども、実際に、繁殖期における調査の必要性であるとか、具体的な調査基準、判断指針というものを文化庁として自治体にもしっかりとガイドラインを示していくということが実効的な改善につながると考えますが、この提言、大臣、いかがでしょうか。

松本(洋)国務大臣 委員御指摘の釧路市の事案につきましては、太陽光パネル設置に伴う工事が特別天然記念物タンチョウや天然記念物オジロワシに及ぼす影響に対しまして、釧路市としては、事業者による影響の確認が不十分なまま工事が着工されたというふうに承知をしております。

 一般論でありますけれども、天然記念物が生息する地域におきましての工事等につきましては、事業者から地元自治体に事前に相談し、自治体からは影響の確認の考え方などについて丁寧に助言することを通じて、天然記念物の滅失や毀損につながらないことが確認できた状況で行うことが重要だと考えております。

 そういう意味からは、今委員から御指摘があったとおり、改善すべき点が今回の釧路湿原の件ではあるというふうに考えているところであります。

 このため、文部科学省としては、各種工事等が天然記念物に及ぼす影響の確認が不十分なままに実施されることがないよう、今後、全国の自治体に対し、天然記念物の保存への影響について相談を受けた際に助言等を行う場合の留意事項について整理をして周知することを予定をしているところであります。

 委員御指摘のように、繁殖期など、影響の確認を行う適切な時期についての指導をする観点も含めまして、自治体から事業者への助言等が適切に行われるよう、周知する留意事項について検討してまいります。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 冒頭述べましたように、太陽光パネルは省庁が多岐にわたっております。そこで、これは質問ではないんですけれども、この問題というのはすごく根が深いといいますか複雑でありまして、先ほども申し上げたように、憲法の財産権の問題があるから簡単には止められない。そして、土地を持っている人にしても、今まで代々相続してきて建てるものもなかなかなくて、ようやくこれでうちの土地がお金になるぞ、ようやく売れるぞ、買ってくれる人がいるぞといったときに、その売買を、我々で売るなと言うこともこれもまたなかなかできない。

 つまり、この地域のどんな自然をどのような形でどうやってみんなで守っていくかということを、地域を挙げて、省庁のみならず、地元も、地域の皆さんも、土地所有の皆さんも巻き込んで、全体のこの地域の自然、環境の在り方というものを考えていかなくてはいけないのではないのかなと思っておりますので、そういった意味でのリテラシー醸成といいますか啓発方を関係省庁のそれぞれの大臣の皆様方にも是非とも頭の片隅に置いていただきたいなと思います。

 次に、ちょっと話ががらっと変わりまして、刑事訴訟法の再審規定について、いわゆる再審法についてであります。

 というのも、二十四日の所信表明を聞いておりましたら、確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて検討を進めると総理が述べていただきました。所信で再審法に触れていただくというのは異例中の異例だと思っておりますし、私自身は袴田巌元死刑囚の救援議員連盟の事務局長を、国会に上がらせていただいて以来十三年間務めさせていただいております。大変期待とともに受け止めさせていただきました。

 加えて、四日の参議院本会議の答弁でも、現在、法制審において精力的に議論が進められていますが、政府として責任を持って迅速に検討を進めてまいりますと明言していただきました。

 ただ、私は、この法制審の運びに幾つか懸念があると思います。例えば、冤罪被害者からのヒアリングは僅か二つの事件のみです。冤罪の原因そのものの検証というものは、捜査当局は十分に行っておりません。再審請求に対して検察官が抗告できるいわゆる検察官抗告、この問題についても、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなど、主な主要先進国ではいずれも禁止されておりますが、法制審ではいまだに激しく対立されております。

 法制審任せにするのではなくて、何のための、誰のための再審制度改革かという原点に立ち返り、冤罪をなくし、真に国民の信頼に足る司法制度を構築するという国家意思を私は政治が示していくべきだと思っております。

 ちなみに、我が家は家宅捜索を経験しております。

 あくまでも私や私の家族の経験でありますが、家宅捜索に入ってきた捜査官は我が家の居間で腕枕をしてテレビを見ておりました。平べったい段ボールを開いて箱を作って、自ら持ってきた自らのバッグを入れて箱を閉めようとされました。当時中学生の私が使っていた英会話学習のテープ、教材、こういったものを箱の中に詰めて持っていかれようとしました。テーブルの上のティッシュもそうです。私の通知表もそうです。何のための押収だったのか、いまだに分かりません。私の母が、何をそこで寝そべっているんですか、やることをやってくださいと声をかけて、いそいそと立ち上がられた姿を私の家族は一生忘れることはありません。

 真実を訴え続けた結果、戦後最長四百三十七日間の勾留でありました。その間、家族ですら誰一人接見禁止との判断でありましたが、なぜか、夏休み期間中に留学先のカナダから帰ってきた私だけは、高校生の娘さんだけはお父さんに会わせましょうと連絡をいただきました。里心をつけさせて、検察が作った調書にサインをさせようという思惑があったのじゃないだろうか。その真意は分かりませんが、私は家で父の帰りを待ちますと伝えたあのときの気持ちというものは、これまた忘れることができませんし、あのような悔しい思いというものを私は誰一人にもさせたくない、そんな思いで、これからも、不条理と、目の前に課題があるのであれば、それを善処させていきたい。政治家としての、国民の代表としての責務であると思っています。

 同時に、死刑囚とされた袴田巌さんですが、実は一人息子さんがいらっしゃいます。五十八年間、断絶です。まさに再審が決まる直前に、袴田さん、出先のお土産屋さんで熊の小さい縫いぐるみを買われました。あした息子が来るから渡してやるんだと。今でも、その縫いぐるみは巌さんの御自宅の棚に飾られています。これが冤罪のもたらす事実です。五十八年間、ようやく無実だとなっても、返ってこない時間があるということです。

 どうか、高市総理、日本が世界の真ん中で咲き誇るためにも、私は、法の下の平等であるとか基本的人権、こういったものがあって初めて世界で咲き誇ることができる、初めて日本が世界で一番安全、安心な国だと言えることができると思っています。高市総理、今後の再審法改正に向けてどのような思いで挑まれるのか、スピード感も含めて、是非とも御教示いただければ幸いです。

高市内閣総理大臣 再審制度は、十分な手続保障と三審制度の下で確定した有罪判決について、なお事実認定の不当などがあったときにこれを是正する非常救済手続でございます。

 私は、この再審制度が適切に機能することが重要だと考えました。自民党の総裁選挙でも訴えましたし、さきの演説でもこれをあえて入れ込みました。

 そこで、先般、法務大臣に対しまして、再審制度の見直しについて必要な検討を行うように指示いたしました。

 この再審制度について規定されている刑事訴訟法は、これは法務省の所管ですから、現在、法制審議会で様々難しい議論がされているということは承知しています。ですから、内閣総理大臣としてはこの議論を見守ると言わざるを得ないのでしょうが、法務大臣に指示をいたしましたので、政府の責任において迅速に検討を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 経済や技術力だけでなく、まさに、真の正義とは何なのか、法の下の平等とは何なのか、基本的人権というものは何なのか、まさに私は高市総理のリーダーシップの下でお示しをいただけるものであると思って期待をしております。

 続いて、教育の質問をさせていただきたいと思います。いわゆる高校教育無償化であります。

 総理は日本成長戦略本部を立ち上げられました。まさに人材育成というものが、高市総理が掲げられる一つの柱、重要な部分であると思っております。

 そこで、本日取り上げたいのが高校の無償化という部分なんですが、私もそうですし、私の地元、若しくは多くの皆さん、地方選出の先生方は、地元では、地域の地元の公立高校が衰退につながらないか、ひいては地域全体の衰退につながるのではないかという懸念を感じていらっしゃる方がいらっしゃるんじゃないでしょうか。釧路、根室の学生たちが札幌に流れてしまう、そして私立、そしてまた文系の学校に流れてしまうんじゃないか、こういった懸念というものは、私のみならず、多くの方が聞いていらっしゃると思います。

 そこで、無償化を進めるのであればこそ、高校教育の抜本改革、質の向上と人材育成の両立というものを進めていくという打ち出し方が非常に重要だと思っております。

 今までは、どちらかというと、ともすれば都道府県に、地元の高校の教育については都道府県任せだったと私は言っても過言ではないと思っておりますが、国と地方が一体となって支援、共同する仕組みというものが必要だと思っています。高校無償化を教育費支援にとどめず日本の未来を切り開く人材育成として位置づけて高校改革を力強く進めていかなければ、この高校教育無償化というものは、私は、かえって愚策になるのではないか、地方創生に逆行してしまうのではないかという懸念を持っております。

 是非とも総理の意気込みと人材立国への展望についてお伺いをさせてください。

高市内閣総理大臣 国力の要素の中で、私は、最後、六つ目に人材力ということを申し上げております。やはり、我が国の地域ですとか、あと産業の発展を支える人材の育成におきましては、高校教育の果たす役割というのは極めて重要です。

 日本維新の会、公明党、自民党による合意を踏まえまして、これは、安定財源を確保しながら、高校教育の質の向上に向けて、国として高校教育改革に関するグランドデザインを今年度中に提示し、各都道府県が策定する計画に基づく取組を支援する交付金等の仕組みの構築などに取り組んでまいるということでございます。

 あくまでも質です。質の向上に向けて取り組んでまいります。

鈴木(貴)委員 同じ課題感というか意識を共有させていただいているというふうに感じました。

 質問にはなりませんが、松本大臣、是非、縦割りの打破というものも一つ課題だと思っています。農業高校、水産高校の話をすると、いやいや、所管は文科省です。でも、農業であったりとか水産であるとか、今市場で何が行われているのか、十年後、三十年後の日本の漁業は、農業はというのは、やはり文科ではなくて農水省の方がそこの部分はたけている。こういった省庁横断的な取組ということを是非ともお願いをしたいということをまずここで述べさせてください。

 そして、二分ありますので、最後、子供の貧困対策です。

 コロナ禍、そしてその後の物価高騰で、特に一人親家庭を始めとする低所得の子育て家庭は大変厳しい状況に置かれております。

 そんな中、高市総裁からの黄川田こども担当大臣への指示書の中で、子供の貧困対策ということを特出しをしていただきました。私自身、超党派の子どもの貧困対策議連の事務局長も務めておりまして、大変うれしく思ったところなんですが、この議連では、提言をまとめさせていただいて、児童扶養手当の拡充、養育費の確保、就労支援、住まいの支援の強化、そして厳しい家庭には現金、現物、人的支援、これをしっかりと一体となって取り組む、このことを提案をさせていただきました。

 そこで、黄川田担当大臣に質問と提言を是非させてください。

 今般、備蓄米の無償提供をされておられると思います。それ自体は否定をしません。しかし、大事なのは、必要な人にしっかりと届くことではないでしょうか。この点、我々は、反省に反省に反省を重ねなくてはいけないと思っています。是非とも、今回、備蓄米の無償提供をするのであれば、全国あまねく必要な人に届けていただきたい。そして、それを確認していただきたいと思います。

 北海道でも、子供のパントリーであるとかフードバンクが札幌にどうしても集中しています。それでは、稚内の子供たちは、釧路の子供たちは、根室の子供たちは救われません。こういったカバー率というもの、しっかりと全体に行き渡っているかという点、是非とも確認をしていただきたいと思いますが、時間が来ましたので端的に、是非とも前向きな答弁をお願いいたします。

黄川田国務大臣 超党派で取りまとめられた提言の内容は、大変重く受け止めさせていただいております。

 御指摘の政府備蓄米無償交付についてでありますが、子供食堂に対する政府備蓄米の無償交付については、農林水産省と連携して、制度の周知や申請手続の簡素化を実施し、できる限り早期に子供たちに行き渡るよう、引き続き取り組んでまいります。

 議員御指摘のカバー率等、必要なデータを収集し、これに基づく改善を行っていくことは重要であるというふうに考えております。御指摘の無償交付については、どのような情報の把握が可能か、農林水産省とも連携して検討してまいりたいと考えております。

 今後とも、鈴木議員が事務局長をされている超党派、子どもの貧困対策推進議員連盟の提言をよく参考にさせていただきまして、全ての子供、若者が幸せな状態で成長できるよう、政府を挙げて子供の貧困対策に取り組んでまいります。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 痛みの分かる高市総理の下、ため息を笑顔に変える政治、皆さんと一緒になって私も全力を尽くしてまいることをお約束を申し上げ、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、平将明さんから関連質疑の申出があります。齋藤さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。平将明さん。

平委員 自由民主党・無所属の会の平将明です。よろしくお願いいたします。

 高市総理、就任おめでとうございます。本当に激務だと思いますので、体に十分気をつけていただければと思います。

 今日は、外国勢力による影響工作や、サイバーセキュリティー、AIについて質問させていただきたいと思います。

 まず、戦争の主戦場が今サイバー空間になっていて、昔から人類は戦争をしているわけでありますが、陸と海でやっていたものが、飛行機が発明されて、まさに空、制空権を取った方が戦争は勝つというような世界から、今のロシアとウクライナの戦争においては、実際にロシア軍がウクライナの領土に入ってくる前からサイバー空間でせめぎ合いが行われている。

 一番有名なのが、ウクライナの鉄道のメインサーバーに侵入をして、その痕跡を消して、いつでもウクライナの鉄道を止められる状態にしてあった。それをたまたま、たしかアメリカの民間だと思いますけれども、その痕跡を見つけて無害化をし、ロシア軍が攻めてきたときに、ウクライナの鉄道は止まることなく、多くの国民が隣国に逃げることができたということであります。

 この分野においては、先般、サイバー対処能力強化法というのを日本でも作りまして、このことによって通信情報を利用、分析をすることができました。また、その結果として、いわゆる指令を出すサーバー、悪いことをするサーバーが世界のどこにあったとしても、自衛隊、警察がアクセスをして無害化をする、そういう法整備ができたわけであります。

 一方で、もう一つの文脈として、陸、海、空、サイバー空間というのがありますが、ある国は、制空権は空ですけれども、制脳権ということを言い出して、脳というのは脳みそですね、いわゆる認知戦というものを言い出して、こちらの方の防御も大変重要になってくるということだと思います。

 外国勢力による影響工作について、まさに認知戦の話について、今日は政府の認識をお尋ねをしたいと思います。

 まずは、海外の事例。これは有名ですけれども、二〇一六年、英国のブレグジットの国民投票、これは介入があったというふうに言われています。ぎりぎりの投票でしたから、結局、イギリスはEUから離脱することになりました。そこで海外の影響があったと言われています。あと、またこれも有名な話ですが、二〇一六年の米国大統領選挙、ケンブリッジ・アナリティカ事件ですね、これは専らフェイスブックを主戦場にして影響工作が行われたと言われています。また、二〇二四年、ルーマニアの大統領選挙でありますが、これは、親ロシア的なナラティブの拡散により、そもそも選挙の正当性を疑う状況になってやり直しになったということであります。

 このように、世界中で認知戦が当たり前になっていて、外国が、外国勢力が選挙に介入をしてくるという事案が多数発生をしています。

 質問通告していないんですが、総理、確かに表現の自由とか言論の自由というのは大事です、これは民主主義の根幹ですから。これを守るのは当たり前のこととしても、他国が、外国勢力が我が国の民主主義の根幹である選挙に介入をする、若しくはそのことによって選挙結果に影響が出る、これは私はあってはならないことだと思いますけれども、総理、所感がありましたらお願いいたします。

高市内閣総理大臣 表現の自由は、日本国と日本国民の間では保障された権利でございますが、仮に国民であるとすれば、これは公共の福祉によって一定の制限はかけられる。よって、先ほど能動的サイバー防御を可能にする法律の例も挙げられましたが、ああいった法律もできました。

 やはり、外国勢力によって偽情報を拡散される、これが様々な国でも起きている。我が国においても安全保障上の脅威ですし、選挙の公正ですとか、あとは自由な報道といった民主主義の根幹を脅かすものですから、その対策は私は急務だと考えています。

 これは石破内閣でございましたが、今年の九月から、内閣官房副長官の調整の下で、関係省庁で構成される連携体制を構築して、外国による偽情報に対して、情報収集、分析力の充実、また情報流通プラットフォーム対処法の運用の徹底、それから、大事なこと、正確な情報発信を強化する、各種リテラシー施策の向上、こういった対策に取り組んでいるということでございます。

 ただ、まだまだ日本はほかの国と比べて遅れていると感じる点もございますので、早期に情報を収集し、そして対策を打つ、本当に正しい情報を発信していく、この体制をつくり上げねばと思っております。

平委員 そこで、今御答弁いただきましたが、議論の前提となるメカニズムを共有しておいた方がいいと思います。よく、平は何を言っているか分からないと言われるものですから、今日は資料を用意をしました。これは是非、閣僚の皆さん、あと委員の皆さん、見ていただきたいと思います。

 これは本当によく、分かりやすくて、国立情報学研究所の佐藤一郎先生の資料を今日は持ってきました。まず、これを皆さん前提にしてこれから対策を立てなければいけないと思います。二〇一六年のケンブリッジ・アナリティカとかブレグジットというのはもう十年ぐらい前なんですよね。そこから生成AIが出てきたので大分様相が変わっていますが、基本的にはこれです。

 まず、三の一の資料ですね、フェーズ1。生成AIを駆使して、テキストとかフェイク画像とか動画を大量に作ります。もう何でもできちゃいます、今。更に言うと、事前にその意図を持っている人たちが何をやるかというと、アカウントをいっぱい作るんです。そのアカウントは、投稿用のアカウントと、あおる、ブーストをかけるエンゲージメント用のアカウントを作ります。事前に準備をします。

 ですから、それはもう人間ですらないんですよ、プログラムだから。わあっとアカウントがあって、人間のふりをしているけれども。この間、有名なアカウントが凍結されましたけれども、よく見たら人間じゃなかったという、これはよくある話ですね。これがフェーズ1です。

 次、フェーズ2。その次に、こういった投稿用のアカウントに大量に投稿させるわけですね、しかも短時間に。短時間に投稿されると何が起きるかというと、その内容、コンテンツがバズっているとSNSの側が認識するんですよ。ということがあります。

 ちなみに、エンゲージメントが何だかよく分からないという人は、下の注を見てください。あと、アテンションが何だか分からないという人は、下の注を見てください。

 フェーズ3を見ていただきたいと思います。投稿しましたね。大量に投稿すると、ああ、このコンテンツは今バズっているんだなと思ったら、今度はエンゲージメントを上げるということですから、いわゆるバズるブーストをかける。要は、いいねをつけたり、リツイートをつけたり。あと、今は生成AIがあるので、リプライもちゃんと日本語で書いてくれるんですよ。そういうのを大量にやるわけですね。それを短時間のうちにやります。

 その次に、フェーズ4ですかね。これで、この内容はバズっている、しかも、大量にエンゲージメントがつくから、いいねがつくし、リツイートされているからこれはバズっているんだというふうにSNSのアルゴリズムが判断をしているので、何が起きるかというと、今回でいうと、政治に興味のない人にまでレコメンドが来るんですよ。これ、ありませんか、よくみんな、Xを見ていて。レコメンドが来ますよね。そういうレコメンドが来るというのがまずその次に起きます。

 それで、最後の紙です、フェーズ5。レコメンドが来ると、今度は、最初の投稿のアカウント群とあおり用のアカウント群は意図を持ってやっている人がいるんですが、アルゴリズムがバズっていると認識をするので、一般のユーザーに広くレコメンドされて、それを見た人が、何だ、こんなことになっているのか、許せぬと。特にこれはプロパガンダの常道ですけれども、憤り、驚き、集団同調バイアスみたいなものを刺激をするようなものを出しますので、これで普通の人は、何だ、けしからぬといってまたリツイートしたり、コメントをつけたり、いいねを押したりするんですね。

 特に問題なのは、ここで日本人の著名なアカウントが、何だこれは、けしからぬといって、そこでそれをリツイートするわけですよ。そうすると、普通の人は、何かいきなりレコメンドが来た、見たら随分いいねもついているし、リツイートもされている、世の中こういうふうになっているのかと。若しくは、それなりに信頼のある著名なアカウントがそれを再投稿することによって、更に拡散をする。さらに、これが厄介なのが、そこそこ金になるんですよね、バズらせると。

 ということもあって、こういった著名なアカウントが、実は無自覚に、外国のナラティブ、外国がこうしよう、日本をああしてやろう、こうしてやろうというナラティブの実現に加担をさせられているということが起きてくる。

 そして、最後、フェーズ6ですね。これは、SNSのプラットフォーマーが相互に作用するので、どこかのSNSでバズると、例えばXでバズったら、それがインスタに行ったりユーチューブに行ったりしてぐるぐる回っているので、しかも、ほかのSNSにも工作をしていますから、全体的にぐるぐる回って、バズり始めて炎上するということであります。

 さらに、先ほど申し上げましたが、外国において、ヨーロッパは多かったんです、ずっとこの工作は多かったんですが、実は、日本がしばらく守られていたのは、やはり日本語なんですよ。私も、何か標的型メール、随分昔にやられましたけれども、平の字の点々がハの字になった、日本では見たことのないフォントがついていたり、ああ、これはあの国だなとすぐ分かるわけですね。でも、今は、生成AIが入ってきたのでフォントも完璧だし言葉も完璧だということで、残念ながら日本語のバリアは壊れてしまったということであります。

 その上で、この間の参議院選挙では何が起きていたかということでありますが。これは政府じゃないです、民間のサイバーセキュリティー会社、あとはアナリスト、リサーチャー、アカデミア、私のところに来た人たちは、それぞれ独立しています。別に連携はしていません。

 まず、一番最初に僕のところに来たのがサイバーセキュリティー会社であります。それはどういうレポートを上げてきたかというと、外国のナラティブを拡散するSNS上のエコシステムが存在していると。その国のナラティブというのは多岐にわたるんですが、ターゲットとする国や地域の内部で不信感を醸成すること、既存の社会的亀裂をあおり立て対象国の情勢を不安定化させること、キーワードでいうと反グローバル主義や排外主義がターゲットになりやすい。これはちょっと詳細には言いませんが、いわゆる外国の公的な報道のアカウントからニュースを名のるアカウントにつながって、そこから日本のインフルエンサーにつながっている、このインフルエンサーの何個かはそもそも人間じゃなかったということであります。

 それで、別の、今度はアナリストが分析をした結果、特定の政党やその特定のスローガンに言及した投稿が選挙公示後に急拡大をし、まあ急拡大するのはよくあることなんですけれども、この拡大が通常のトレンドの拡大と異なり、人工的なトレンド形成の可能性があるという分析をアナリストがしています。

 今度はアカデミア、これは国立大学ですが、これは一連です、調べているのは同じところです、対象は同じです。XのAPIを利用して解析をした結果、リポスト数の推移に不自然な増加が認められたと。言い方はすごく謙虚ですけれども、工作されているということを言っています。

 今度は別のアカデミアの分析では、これは有名な私立大学の先生ですが、激しく工作をしているタイムゾーン、時間帯が日本の時間帯じゃないんですよ、時差がある。その大学はよくこれを調べたと思いますけれども、活動時間に五、六時間の時差が認められていると。ということは、外国からやられているんですね。ちなみに、五、六時間というと、ウクライナのキーウが七時間です、その東です。だから、時差がある。

 これも、今AIの時代だから自動化されているんじゃないか、時差は関係ないだろうというけれども、そこまでいっていないんですよ、実は。ボットをやっているんだけれども、最後をコントロールしているのは人間なんですよ、今は。でも、これは多分AIで自動化されて、この時差の分析も多分無意味になってくるというふうに思います。

 また、これはかなり話題になりましたけれども、あるリサーチャーが、外国のナラティブを拡散するエコシステム、さっきのサイバーセキュリティー会社が指摘したのと同じグループ、集団というかクラスターですけれども、そういうアカウントを、不正なアクセスを誘引するアカウント群としてX社に削除を要請しました。そうしたら、X社が自社の規定に基づき対応し、いわゆる有力インフルエンサーを含む相当数のアカウントが削除されるという事象も発生をしています。結果として、ある政党のスローガンは、そこの何か伸び率が鈍化をしたという分析もあります。このようなことが今起きているわけであります。

 さらに、添付資料の新聞の資料を見ていただきたいと思いますが、これは私が大臣をやっているときの所管じゃなくて単なる新聞情報になりますが、JICA、結構やられていましたよね、解体運動とかデモとか金よこせとかいろいろやられていたと思いますが、これは新聞報道で、まずは日経新聞。「ロシア「国際協力」で日本に情報操作 途上国支援、SNSで批判あおる」ということであります。内容は見てのとおりです。今、私は一回もロシアと言っていませんけれども、新聞記事はそう言っていますね。これは新聞記事が言っているんですよ。というロシアの介入があったというふうになっています。

 あと、もう一つ新聞記事があったと思いますが、これは読売新聞。「露、SNSで対日情報戦 ウクライナ支援巡り 批判投稿急増 今年一月以降」というような記事があるわけであります。

 これは、かなりやはりやばい状況になっているのではないかというふうに思います。それで、私も一か月前まで閣僚でいたので、これを共有しようというふうに思っていましたが、このメカニズムを含め、今の現状は高市内閣でも是非共有をしていただきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 ありがとうございます。様々な事例を分かりやすく挙げていただきました。今この中継を御覧の皆様にもよく分かったと思います。そこは非常に大きな発信をしていただいたと思っております。

 考えてみれば、二〇二一年秋の時点では、生成AIというのはなかったですね。AIはあったけれども生成AIはまだなかった。それがもう今、生成AIが普及しているという状況ですから、技術に政策が追いついていないというのが現状だと思います。

 日本の政府機関としましても、できる限りの、技術の進展、技術の進展を悪用した犯罪に立ち向かっていけるようにしっかりと対応を進めてまいりたいし、これはやはり先進事例を見ながら調査研究していかなきゃ取り返しのつかないことになると思います。共有をさせていただきました。

平委員 総理、ありがとうございます。

 そもそも、外国からの影響工作については、その主体がどこかと明確に証明するのは本当に難しいです。意図の存在を証明するのも難しいです。何でかというと、本気でやろうと思ったら、こっちがハッキングしなきゃ分からないんです。そうすると、日本のあらゆる法律にぶつかります。

 多分、この間私が担当したサイバー対処能力強化法は、いわゆる第三者委員会の厳しい監視、監督の下、承認をもらって初めて悪さをするサーバーにアクセスできるというぐらい厳格にやっているんですが、日本は選挙とか民主主義を守る法律がないし、ハッキングができないので、特定はできないんですよ。特定はできないんですが、ヨーロッパや北米などは当たり前に外国から介入をされているということでありますので、まさに組織をつくる必要があると思います。情報収集、調査、分析。日本はそこで広報となっちゃうんですけれども、広報と対処というのが大事だと思います。

 そこで、ちょっと海外の事例を御紹介したいと思いますが、オーストラリア。私は、問題意識を持って何年も前からオーストラリアといろいろな話をしているんですが、資料を置いてきましたのでちょっと口頭で言いますが、オーストラリアは、具体的な名前は言いませんが、ある国からの民主主義、選挙の介入というのが非常に懸念をされていて、政府の中に対外干渉対策室というのがあるんですよ。

 更に言うと、選挙管理委員会の下に、選挙の正当性保証タスクフォースというのがあるんですよ。選挙管理委員会だけじゃ、そんな海外からの攻撃とかは分からないですよね、インテリジェンスも分からないし、サイバーセキュリティーのテクノロジーも分からないから。だから、選挙管理委員会の下にチームをつくって、そこにはオーストラリアの外務省、通産省、総務省、連邦警察、インテリジェンス、全部入っているんですね。それで対応しているというチームがあります。さらには、そういったもろもろをコーディネーションするタスクフォースもオーストラリアはもう既に実現をしています。

 さらに、スウェーデンも、スウェーデンの隣にある大国がプロパガンダをがんがんやってくるものですから、二〇一六年の米国や、EUの、イギリスのブレグジットの事例を見て、これはまずいということで、スウェーデンは何と、サイコロジカル・ディフェンス・エージェンシー、心理防衛庁という役所をつくって調査研究をし、さらに、やはり一番大事なのは啓蒙ですよね、国民に対する啓蒙、こういうことをこういうふうな形でやっていくんだということを啓蒙するのは大事だと思うんですが、スウェーデンなんかは今そういうような体制を整えているところであります。

 先ほど総理が言及いただきましたけれども、日本はどうなっているかというと、私はこの分野にずっと関心を持っていたので、実は三年前に、こういう組織をつくるべきじゃないかといって、当時の、木原誠二さんの方の官房副長官に提案をして、いろいろな経緯があって、内閣官房を中心に各省庁が連携をして、外国からの偽情報等の収集、集約、分析や正確な情報の対外発信をする体制を内閣官房に整備をしてもらったんです。

 ただ、これは偽・誤情報なので、例えば、福島の処理水の放出を中国が汚染水と言った、それは汚染水じゃありませんというのでエビデンスをベースに広めるといったところでは機能したんですが、今は、ある国がその国のナラティブを実現をするために利用するのは、実は、さっきは、生成AIが画像を作ってテキストを作って、この同じ主体が投稿用アカウントとあおるアカウントを作ると言っていましたけれども、最近の最新のやり方というのは、そこをすっ飛ばして日本国内で外国のナラティブを実現をさせよと、アカウントに直にブーストをかけるわけですよ。だから、言っている人自体は、これは本当だ、これは正義だと思ってツイートしているので、決して偽・誤情報じゃないんですね。でも、それがある国のナラティブに沿っていれば、それにブーストをかける。そうすると、この体制だと対応できないんですね、偽・誤情報だと。

 だから、そうじゃないんだということで、実は、石破内閣の最後の一か月は、林官房長官に御相談して、今言った私の問題意識に対応させるための組織を急ごしらえではありましたけれどもつくろうということで、先ほど総理が御答弁いただいた形になっています。

 生成AIの進展に伴い、これらを悪用した外国による偽情報拡散を含む影響工作の脅威が増大しているとの認識の下、体制強化に取り組んだ、新しい体制は、内閣官房副長官の調整の下、内閣情報調査室、国家安全保障局、内閣広報室、内閣官房副長官補室、総務省、国家サイバー統括室を始めとする関係省庁が緊密に連携をし、一体的に取り組む体制を整備しました、これは林官房長官の答弁であります。

 ただ、それでは足りないと私は思います。しかも、これはどんどん進化していきますから、人間の思考回路やパターンの回転よりもAIとボットネットの回転の方が速いんですよね。だから、我々がやばいと思って手を打ったらもう次の工作に移っているということもありますので、ここの体制強化が私は必要だと思います。

 既存の組織でいえば、国家サイバー統括室は、いわゆる重要インフラの基幹サーバー、メインサーバーを守る仕組みはできていますが、今いろいろ、今回の本会議の質疑でも、例えば国家情報局とか、例えば対外情報庁とかいう話が出てきましたが、いずれにしても、私は、この分野に対して、やはり守りをしっかり固める、そして情報収集をし、分析をし、対処をする組織が絶対に必要だというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 私自身も、国家情報局の創設や対日外国投資委員会の新設などを訴えてまいりました。

 ただ、新しい組織をつくるということで様々な検討をしなければいけませんので、まずは木原官房長官の下で、しっかりと様々な関係省庁の声も聞き、専門家の声も聞きながら、そういった新しい組織をつくっていく。その中で、ただいまの御提案もしっかりと検討させていただきたいと思います。

 木原官房長官の仕事を増やしますけれども、大切な案件ですので、心に留めて検討させていただきます。

平委員 ありがとうございます。

 私も、党の方で国家サイバーセキュリティ戦略本部長ということになりましたので、是非連携をさせていただければと思います。

 こういった組織をつくるのは、当然立法もしなければいけませんし、体制整備もしなければいけないので複数年かかりますが、その間に攻撃側はどんどんどんどん進化をしていくし、その間に国政選挙とかいろいろな選挙が行われていくので、やはり目の前でできることをしっかりやっていく必要があると思います。

 先ほど総理の御答弁にもありましたが、情プラ法、情報流通プラットフォーム対処法でできることもたくさんあると思いますし、Xもツイッターの頃は何か幸せだったなと思いますよね。何か今、ぎすぎすしている感じがしますが。そもそも、人間じゃないですよ、ボットは。大量のボットで言論空間がゆがめられる、これは余りよくないことだと思うので、例えば、一つのやり方としては、プラットフォーマーが人間かどうかをちゃんと確認する、本人確認をちゃんとやるということも一つあると思います。

 また、公職選挙法のところで、選挙中はさすがにこれは駄目だろう、海外から大量のボットで投稿させて、それを大量のアカウントでブーストをかけてと、これは駄目だろうという。運用の仕方で、多分これは公職選挙法を変えなくて運用でできると思いますので、この辺も含めて、情プラ法は総務大臣だと思います、公職選挙法は総務大臣だと思いますので、総務大臣、よろしくお願いをいたします。

 すごく大事なのは、結局、政府が選挙に対して何か手を出すというのはすごくハードルが高いんですよ、やはり選挙というのは公正中立じゃなきゃいけないので。だから、これは余り政府だけにマッチョなことをやれ、やれというよりは、実はこういうことが今行われているんだという認識の下、やはり各党が一緒になって、こういうふうに対処すべきだとやるべきだと私は思います。

 さらに、民主主義を守る。だから、重要インフラを守る、自衛隊、在日米軍のサーバーを守る法律はできたんだけれども、民主主義と根幹の選挙を守る法律というのがないんですよね。そういった中で、是非、すぐにできることと中長期的にやること、さらには、政府のみならず、各党も大事、アカデミアも大事、メディアも大事、あと、やはり一番大事なのは、国民の皆さんに広く知ってもらうことが重要だというふうに思いますので、今日は無理を言って質問の時間をいただきました。ありがとうございました。

 午後は、これに関して、AIとサイバーセキュリティーの話をしていきたいと思います。サイバー対処能力強化法もできましたが、能力構築はまさにこれからであります。また、同盟国、同志国との連携も重要であります。攻撃も進化しています。

 さらに、AIを取り上げるのは、最後はAI対AIになるので、AIで後れを取ったらもう全部やられます。そういった中で、AIの法律も、城内大臣の下でいい法律を作っていただきました。そうした中でしっかり取り組んでいきたいと思います。

 残りの質問は午後にやらせていただきます。ありがとうございました。

枝野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平将明さん。

平委員 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

 先ほど報道で、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射をされたという報道がありますが、政府、何かお答えできますか。総理、お願いいたします。

高市内閣総理大臣 先ほど北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。我が国のEEZ外に落下したと見られており、被害等の情報は現在確認されておりません。

 この情報を受けまして、私からは、十二時三十八分に、国民の皆様に対する情報提供、またさらに、安全確認の徹底などを指示いたしました。

 引き続き、情報収集に米韓とも連携して努めるという旨、防衛大臣からも指示が出ております。

平委員 万全の取組をよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に戻りたいと思います。

 サイバーセキュリティーについてお伺いしたいと思います。

 サイバー対処能力強化法ができました。そして、重要インフラや自衛隊、在日米軍の重要なサーバーを守るという体制はできました。しかしながら、法律はできたんですが、能力構築はまさにこれからで、しかも、アクティブディフェンスをやるときには第三者委員会の了解をもらわなければできない。そうすると、この第三者委員会もこれからつくるということになります。

 一方で、アサヒビールとかアスクルとか、今いろいろな攻撃を受けていて、アサヒビール、アスクルは、いわゆる法律で定めるところの基幹インフラ事業者にはなりません。しかしながら、国民から見ると、結構有名どころがそういう攻撃に遭うということは大変不安を覚えるんだというふうに思います。

 この法律の取組を前倒しできるのであれば、いろいろな準備を前倒しをする必要があると思いますし、基幹インフラ事業者以外の企業であったとしても、やはり国全体のサイバー防御の力を高めていく必要があるというふうに思います。新任の松本大臣にお尋ねをいたします。

松本(尚)国務大臣 ありがとうございます。

 まさに今、平委員がおっしゃったとおり、政府だけでも駄目だし、民間だけでも駄目だということで、民間に対するサイバーセキュリティーの能力を高めるというのも我々の重要な役目だというふうに承知をしております。

 その上で、基幹インフラ事業者を始めとする民間事業者からいただく情報を整理し、分析し、また、我々が持っている情報を民間にしっかり与えるという、官民連携で、双方向でサイバーセキュリティーを進めていく、そういった枠組みというものをこれからしっかりとつくっていきたいというふうに思っております。これが、先般できたサイバー対処能力強化法に基づく基本方針ということでございます。

 もう一点は、サイバーセキュリティ戦略というものを年内に策定する予定でございます。これは、民間も含めて、サイバーセキュリティーのレジリエンスの向上と、それからもう一つは人材をしっかりとつくっていくということの二点を大きな柱としております。

 いずれにしましても、平委員が御心配、御懸念の、官も民もしっかりと協力しながら、サイバーセキュリティーの枠組み、土台というものをつくっていくのが私の仕事だと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

平委員 しっかりとした取組をお願いいたします。

 最後にAIについてお伺いしたいんですが、AIは、自民党のAIプロジェクトチーム、塩崎さんもいらっしゃるけれども、結構自民党がリードして大きな方針を作ってきました。世界一学習がしやすくて実装しやすい国。学習しやすいというのは、知財の方がよく整理をされていて、学習段階で、有料で売っているデータはそれは当然駄目ですけれども、それ以外は比較的学習が自由で、ただ、出てきたアウトカムが知財違反だったらアウトという整理をしていますので、学習がしやすい。

 あと、圧倒的人手不足の中で、諸外国だと、AIを実装するとなるとデモが起きたり社会不安が起きたりしますが、日本は、どちらかというと一生懸命AIを入れて人手不足に対応しようということもあり、世界一AIの学習がしやすくて実装しやすい国ということで、さらに、この三年間、政策もぶれていないので、GAFAMやオラクルを始め、数兆円単位のAIのデータセンターへの投資が生まれてきています。今、世界のAIは中国とアメリカの二強でありますが、何とか第三極を日本独自の対応で取っていきたいと思います。

 この間、二月に、ダボス会議に赤澤さんと一緒に行く機会がありました。そういう説明をしたら、なるほど、そうかということになったんですが、三つ指摘されました。サイバーセキュリティーは大丈夫なのかと。俺がやっているから大丈夫だと言っておきました。二つ目はデータ利活用ですね。これはまさに、来年になるかもしれませんが、データ利活用の法案を出すというふうに聞いていますので、これは多分松本大臣だと思いますので、しっかりやってください。最後は、やはり電力なんですよね。

 電力はどうするかという中で、実は今、データセンターとスモール・モジュール・リアクターを組み合わせるという考え方が結構アメリカなんかでも出てきています。そうすると、分散型でこういったいわゆるGPUを巨大なAIモデルで回す際に、今のワット・ビット連携、いいんですけれども、もうワンピース足りないなという思いがあって、ワット・ビット連携の政策や地方創生の政策の中にデータセンタープラスSMRというものがあるのではないかというふうに思っているんですが、経産大臣、SMRの可能性など、お願いします。

赤澤国務大臣 平大臣としたダボス会議での昼御飯のときの会話が、後の国会答弁につながるとは思わなかったんですけれども。

 データセンターの安定的な運用に必要となる脱炭素電力確保という観点で、世界的にも原子力の需要は高まっています。中でもSMR、小型モジュール炉ですけれども、小出力を生かした自然循環により、冷却ポンプ、外部電源なしで炉心冷却を可能とするシステムの実現を目指すものです。米国やカナダを始め、海外において、データセンターなど電力多消費設備の脱炭素、安定電源としてのニーズが高まってきています。

 国内にSMRを建設するに当たっては、規制基準の明確化などの課題がありますが、経済産業省としては、引き続き、日本企業の研究開発や製造能力を強化するため支援を行うとともに、日本で設置する際の設計の検討などを支援してまいります。

 電力の需要増加が見込まれる中、脱炭素電源としての原子力を最大限活用すべく、安全性が確認された原子力の再稼働を進めるとともに、御指摘いただいた小型炉を含む次世代革新炉の早期の社会実装に向けた取組を進めてまいります。

平委員 スモール・モジュール・リアクターは、高市総理も過去の総裁選の中で、公約で何回か言及されていて、嫌いじゃないと思うんですね、SMR。総理、一言いただければ。

高市内閣総理大臣 SMRにはこだわっております。早く進めたい、実装したいと思っております。

平委員 このSMRとデータセンターというピースが埋まると、やはり日本はAIの拠点だなというふうになると思います。あとは、まさにデータの利活用ですよね。いいデータはたくさんありますので。

 ですから、サイバーセキュリティー、データの利活用、電力のところのデータセンタープラスSMR、是非、高市政権でこの目詰まりを取っていただいて、強力に進めていただければと思います。

 時間だと思いますが。時間じゃないな、あと三十秒ぐらいあるんですか。

枝野委員長 三十秒です。

平委員 そうですか。ありがとうございます。では、あと三十秒だけしゃべらせていただきます。

 AIの政策は物すごく大事なので、小野田大臣、期待しています。これは微妙なレギュレーションの緩さで優位を保つという戦略なので、余り力業でいじると全体の生態系が壊れるので、是非、党によく相談をしていただいて、一緒にAIの政策を進めていきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 これにて齋藤さん、古川さん、高村さん、鈴木さん、平さんの質疑は終了いたしました。

 次に、本庄知史さん。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。政調会長となりました。改めまして、よろしくお願いいたします。

 先ほど平さんからも御発言がありましたけれども、北朝鮮が弾道ミサイルと思われるものを発射したということであります。安全保障は党派、与野党ありませんので、我々立憲民主党も、可能であればしっかりと御協力申し上げます。御公務第一だろうと思いますので、重大な事案があれば私たちも協力させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質疑に入りたいと思います。

 まず、アベノミクスの評価というところからですが、高市総理は、四日の代表質問において、我が党の野田代表からアベノミクスの評価について問われて、こういうふうにお答えになりました。デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながったと。

 ちょっと私、違和感がありまして、つまり、安倍政権が発足した二〇一二年、そして直近二〇二四年を比較しますと、例えば、食料品価格は三三%上昇、食卓インフレの深刻化です。国債発行は三百七十兆円、五三%増加。実質賃金は六%低下。非正規雇用が三百十万人増加。一方で、企業の内部留保、二百七十三兆円から五百八十八兆円、倍増。所得一億円超の人数も一万二千人から三万二千人に増加。これが、私が確認しているファクトです。

 株価の上昇など一定のプラス面もあったとは思いますけれども、円安、物価高、金利上昇、格差の拡大、財政の悪化といった負の側面も私は顕著だというふうに思います。これらの不都合な真実を直視するところから私は日本経済の再生が始まるというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 アベノミクスが、まずデフレでない状況をつくり出した、GDPを高めた、雇用を拡大した、企業収益の増加傾向にもつながった、これは事実だと思います。ただ、失業率を見ても、失業率そのものは低下をし、そして有効求人倍率は高くなりました。

 こういった面もある一方で、私は負の側面も申し上げました。新型コロナウイルス感染症の影響で、アベノミクスそのものが失速したということもあります、雇用状況も悪くなりました。それから、私は、冷静に見て、第三の矢、つまり民間投資を促す成長戦略、この成果は十分でなかったと思っております。

 そういった両方を踏まえながら評価をしてきたつもりでございます。

本庄委員 デフレではないということですが、コストプッシュ型のよくないインフレ状態だということは、総理も御承知のとおりだと思います。物価高、そして人件費の上昇、そして輸入価格の上昇など、負の影響というのは、私はこれは看過できないと思います。

 それから、総理がおっしゃった第三の矢、つまり、アベノミクス第一の矢、金融政策、第二の矢、財政政策、そして肝腎要の民間投資を喚起する成長戦略ですが、結局ここが鳴かず飛ばずで、その間金融と財政を吹かし続けた、そのしわ寄せ、副作用が今様々な形で経済社会を襲っている、こういうことだと思うんですね。

 それで、高市総理がおっしゃる、成果が十分でなかったという御認識は私は正しいと思いますが、総理は、安倍政権や岸田政権において、二度にわたって自民党の政調会長を務めておられますよね。したがって、アベノミクスの立案、実行等々にも重要な役割を果たしてこられたと、当事者だというふうに私は思うんですね。

 では、なぜ成果が十分でなかったのか、その原因は何なのか、そして現内閣ではどのように改善を図ろうと考えておられるのか、端的に御説明いただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 まず、アベノミクス、これは、第二次安倍政権がスタートする前、私たちが野党であった頃に党内で詰めてきたものでもございました。三本の矢についてもそうでございます。

 ただ、第三の矢について、私は、やはり民間投資を促す成長戦略の成果が十分でなかったと少しマイナス面の評価をしているのは、規制緩和に重きが置かれた。規制緩和そのものは悪くないんです。成長を促すための規制緩和であればいいんですけれども、むしろ、やはり積極的な投資が必要だったと思っております。

 そこで、高市内閣では、責任ある積極財政の考え方の下で、日本の供給構造を強化しながら、物価高を更に加速させることのないように、戦略的に財政出動をする。所得を増やす、消費マインドを改善する、事業収益が上がる、好循環を実現するということで、今の暮らしや未来への不安を希望に変える強い経済をつくっていくということで、特に、この成長戦略の肝として危機管理投資を挙げているところでございます。

本庄委員 ちょっと私、総括が不十分だと思うんですね。

 アベノミクス第三の矢は、民間投資を喚起する成長戦略なんですね。今総理がおっしゃったのは官民でという話で、相変わらず補助輪が必要だ、こういう話に私には聞こえます。場合によっては、ほぼ官がやるんだというふうにも聞こえますね、今、半導体なんてそういう状態になっているわけですが。民間がきちっと投資をしていく、企業が成長していく、そういう状況をつくれる成長戦略が不十分だったというふうに私は思いますし、今回の高市政権でも、そこが最大の重要なポイントだと思います。

 今回立ち上げられた十七分野の戦略投資というのも、官がかなり主導で、どこまで目利きができているのか、あるいは審査、あるいは国民負担が生じないためのリスクのヘッジ、私はこれは非常に重要な論点だと思っております。今日はここには立ち入りませんが、今の総理の答弁からは、やはり第三の矢が鳴かず飛ばずだったことの根本的な原因について御理解いただけていないというふうに思います。

 アベノミクスからの転換というのがやはり必要で、マクロでいえば、やはり、金利の引上げ、あるいは財政の健全化、そして構造改革、こういったことなくして、新しい経済、これは難しい、このことは申し上げたいと思います。

 もう一つお聞きしたいんですが、成長と分配の好循環です。

 安倍政権後半期は、トリクルダウン、利益が大きいところから小さいところに滴り落ちるという、それがうまくいかないこともあって、この成長と分配の好循環が掲げられました。看板政策がころころ変わってかなり迷走していたと思いますが、視点としては私は正しかったと思います。続く岸田政権、そして石破政権でも、この成長と分配の好循環というコンセプトは引き継がれてきました。

 しかし、高市総理の所信表明演説には、分配という言葉はありません。そして、先般、岸田総理、石破総理で立ち上がっていた新しい資本主義実現本部も、衣替えをして日本成長戦略本部、成長戦略会議に替わったわけです。

 高市総理は、この分配ということについてどのように考えておられるのでしょうか。また、具体的にどのような政策でその分配を進めようと考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 私が分配に配慮していないということはございません。

 高市内閣では、日本経済の供給構造を強化するということによって、所得を増やして、消費マインドを改善させるということですから、これは成長と分配の好循環の考え方と軌を一にするものでございます。

 私は、特に危機管理投資というものを成長戦略の肝に据えさせていただいております。今、世界の潮流というのは、官民共同で社会的課題に対して投資を行っていくという方向になっております。リスクや社会的課題について、先手を打って供給力を抜本的に強化する。だから、食料安全保障、エネルギー資源安全保障、健康医療安全保障、そして、国土の強靱化、サイバーセキュリティー対策、これは世界共通課題でございますよね。日本には、これらに対応できる先端技術があります。ですから、早期の社会実装を目指す。

 そして、官民連携の戦略的な投資を促進して、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラ、こういったものを国内外に提供していく、これによって成長を実現していく。それによって、おっしゃる分配というものも可能になるということでございます。

本庄委員 申し訳ないんですが、今の御答弁を聞いているだけで、分配について御関心もなければ御理解もないと思いますね。今お話しになった九五%は成長と供給力の話であって、分配ではありません。

 そして、分配も私の理解では二つありまして、その成長の果実を、要は大企業が中小企業に仕事を下ろしていくような、そういう分配もあれば、所得の格差の是正あるいは移転、そういった分配もあるわけですね。全くどちらの観点からも、今、高市総理からは御指摘がなかったんですね。

 恐らく聞いても意味がないと思うので、違う角度からお伺いします。

 今、世界でいわゆるポピュリズムと言われるものが席巻していますけれども、とりわけ財政ポピュリズムというものについて、これは済みません、通告していませんが、基本認識を聞きたいんですね。総理はどのように認識していますか。

高市内閣総理大臣 財政ポピュリズムということでございますけれども、おっしゃる意味を正しく理解しているかどうか分かりませんが、とにかくお金を配る、お金を配る、お金を配るということで人気を得ようとする無責任なポピュリズムという意味でございましたら、私の、高市内閣の方針とは違います。

本庄委員 私の認識とも違いますが、なぜそういう財政ポピュリズム、つまり減税あるいは歳出についての要望が高まっているかということなんですね。ただ欲どうしいからとかいうことではなくて、例えば、現に生活が困っている、あるいは格差の拡大が大きくなっていっている、そういう中で政治や政策がきちんと対応できていない、そこに対する不満、不安が爆発寸前あるいは爆発している、そういう現象だと私は思います。

 その認識があれば、私は、高市総理、もう少し、成長や供給だけではなくて、分配面から見た政策ということも自らの言葉で語っていただけると思うんですが、いかがですか。

高市内閣総理大臣 先ほど私が申し上げましたような危機管理投資によって、日本経済が成長するわけでございます。

 そして、やはり、先行きが明るいということによって、企業も、人件費、つまり従業員の所得を上げる、そしてまた設備投資もする。そして、従業員は給料が上がりましたら消費も増えますから、また企業がもうかる、そして従業員の給料を上げる、そしてまた。そういう好循環が起こってくるということで、税率を上げずとも税収を増やしていける。そういった形で、私は、分配、多くの方々がメリットを得られる、そういう成長する社会をつくりたいと考えております。

本庄委員 願望はよく分かります。我々も同じです。ただ、現にそうなっていないということを、私、冒頭、数字も挙げて紹介したと思いますね。企業、とりわけ大企業の内部留保は倍に膨れ上がっていますよ。賃金は実質では下がっています。そして、ジニ係数、格差を示す指標も先進国最悪レベルですよ。これがこの十年以上続いてきた経済政策の結果だということを私は言っているんです。

 過去のことをあれこれ言っても仕方がないので、高市総理には、単にアベノミクスを継承するということではなくて、やはり問題を認識していただいて方向転換をしていただきたいというふうに言っているんです。いかがですか。

高市内閣総理大臣 だからこそ、私自身、アベノミクス、丸ごとこれが成功したということではない、一点ここは問題があったということを申し上げてまいりました。

 危機管理投資を一生懸命進めていく中で、危機管理投資といっても、さっき申し上げたような分野だけではなくて、第一に挙げているのが生活の安全保障です。やはり今、物価高、これに手を打つ、これがもう一番急がなきゃいけないことでございます。

 例えば、暫定税率の廃止、これはガソリンもですが、軽油引取税に関しても自民党の総裁選挙で申し上げたのは私一人だったと思います、これも実現してまいります。また、電気・ガス代の支援。それから、官発注の請負契約の単価、これもしっかり引き上げる。医療機関、あと介護施設、今大変な状況でございます、ここにもしっかりと支援を行ってまいります。また、所得や年収の壁の見直し、これにもしっかりと対応をしてまいります。

 そして、やはり重点支援交付金、これをお示しいたしておりますけれども、これはとても大事だと思うんですね。赤字で、要は賃上げ促進税制が使えないような中小企業、小規模事業者に対しても、地方が交付金として、自治体から交付金として出せるようにしたり、農林水産業、本当に今きついというような地域に関してはそういったところに支援をしたり、こういったものをしっかりとお示しをして、年内に効果が出るもの、まず、しっかりここに取り組んでいきたいと考えております。

本庄委員 残念ながらお答えになっていませんので、これ以上質問はいたしません。

 次の話に行きたいと思います。責任ある積極財政です。

 高市総理、看板政策といいますか、キャッチフレーズとしてお使いなんですが、この責任あるというのが、具体的に、何に対するいかなる責任なのかということが判然としません。逆に、無責任な積極財政というのがあるとすれば、これは高市総理の掲げる責任ある積極財政と何が違うのか、これも私、よく分からないんですね。

 深く聞きたいと思いましたが、ちょっと前半の答弁が長くて時間が押しているので、具体的な話から行きたいと思います。

 財政健全化の問題ですね。恐らく、この責任ある積極財政というのは財政との両立という意味も含んでおられるんだろうと思いますので、お伺いしたいと思います。

 配付資料、パネルの一。これはよくある図ですが、プライマリーバランスです。財政の健全化目標として代表的な指標で、年間の政策的な経費を税収でどれだけ賄えているか、こういう指標です。

 現在は、日本でいえば、国と地方合わせて三兆円ほどの赤字という状況で、そこは国債あるいは公債で穴を埋めている。その分、毎年毎年、累積赤字、債務が積み上がっていっている。したがって、これを黒字にしていくことで新たな借金を抑えていく、財政を立て直す、こういう考え方です。恐らく、小泉政権以来長く、政府が、自民党政権も民主党政権も、重要な指標としてきたと思います。

 そこで伺いますが、総理の所信表明演説では、プライマリーバランス黒字化という文言がありませんでした。それはなぜかということです。

 骨太方針二〇二五に明記されている、二〇二五年度から二〇二六年度を通じて可能な限り早期の黒字化を目指す、つまり、今年度若しくは来年度にこの赤字の部分を解消する。この目標を変更されたのでしょうか、それとも、そもそもその目標自体を下ろしたということでしょうか。御説明をお願いします。

高市内閣総理大臣 まず、責任ある積極財政という考え方の下で、戦略的に財政出動を行い、強い経済を構築し、経済成長率を高めるというのが私の内閣の方針です。中期的に債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行う、こういった答弁をさせていただきました。

 つまり、単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、私は、数年単位でバランスを確認する方向に見直すということを検討しております。

 一九八〇年代は、割と複数年度で見ておりました。小泉内閣、二〇〇二年からだったと思います。単年度のプライマリーバランスというものは、G7の中でも特異な考え方だと思っております。

本庄委員 確認しますが、では、今年の骨太まで掲げていた、二〇二五年度あるいは来年度、二〇二六年度での黒字化目標というのは、一旦取下げということですか。

高市内閣総理大臣 単年度ごとという考え方を変えていきたいと思っております。

本庄委員 取下げなんですね、明確にしてください。

高市内閣総理大臣 就任したのが二週間と一日ぐらい前でございますので。来年、ちょうど骨太の方針あたりの時点で、これが数字として示されるかどうかということについては、黒字だったら黒字でそれは大いに結構なことなのでございますけれども、私のこれからの財政運営の在り方としては、少し長いスパンで見ていきたい、単年度ごとにバランスを確立するということではないということでございます。

本庄委員 明確に答えていただきたいですね。取り下げた、取り下げるですか、どっちですか。

高市内閣総理大臣 単年度のプライマリーバランスという考え方については変更する、取り下げると考えていただいて結構かと思います。

本庄委員 複数年のプライマリーバランスというのがあるのか私は知りませんが、現時点では、じゃ、財政健全化目標撤回ということだと理解します。単なる先送りになりかねない、複数年という理屈でと思いますが。

 現時点で総理がおっしゃっているのは、パネル二、配付資料二ですが、これは実は今もある指標ですよね。つまり、プライマリーバランスの黒字化とともに、債務残高の対GDP比を減らしていく。二つの目標を今立てているのを、こちら一本にしていく、こういうお話だと思いますが、GDPというのは経済規模です。債務残高というのは、国や地方が抱えている、いわゆる借金ということであります。

 総理がおっしゃっているのは、成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑えて、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくということですが、本当にこの単体だけで財政健全化の指標となり得るのかですね。特に、今のようなインフレ下において、おっしゃるような理屈が成り立つのかということです。

 インフレ下では、分母であるGDP、経済規模、これはどんどん大きくなっていきますね。物価も上がる、税収も上がっていくわけです。一方で、債務残高というのは、少なくとも今まで積み上がった債務というのは金額が変わりませんから、相対的に分子は小さくなっていくわけです。したがって、インフレ下においては、特段の財政健全化努力をしなくても、この数字はどんどんよくなっていくわけですね。

 だから、総理がおっしゃっているこの指標でこれからいくというのは、財政健全化目標を放棄したように私には聞こえますが、総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 私は、財政の持続可能性というところに重きを置いております。債務残高の対GDP比の引下げ、これを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度を再確認するということを申し上げました。これは、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えて、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくということで、財政の持続可能性、これを実現して、マーケットからの信認を得ていく、確保していくということです。

 いずれにしましても、物価や金利の状況を含めて、様々な指標からちゃんと多角的に評価、検証しながら財政運営は行ってまいります。

本庄委員 今ちょろっとおっしゃいましたね、成長率以上に金利が上がったら対応できないんですよ。分子である債務残高がどんどん膨れ上がっていくという状況になりますね。だから、成長率の範囲に収めていればそれでいいんだということにならないわけです。その点、いかがですか。

高市内閣総理大臣 要は、名目成長率が国債金利を上回っている、この状況をつくっていくために、今回の成長戦略を打ち出していく、実行していくということでございます。

本庄委員 インフレで国や地方の借金を棒引きにしようとしているように聞こえますよ。国民生活はどうなるんですか。物価高、そして、なけなしの預貯金はどんどん目減りですよ。そういう状況の中でどんどん財政を吹かしていく、こういうことですか、総理。

高市内閣総理大臣 おっしゃっているようなことを想定してやっているわけではございません。私は、きちんと成長する経済をつくる、手取りを増やす、そして、国民の方々が安心してやはり消費をする、消費をして企業ももうかる、設備投資や人件費に回せる、また消費が増えていく、このような好循環をつくっていこうと。そして、税率を上げずとも税収が増えていく、そんな中で、国民の皆様に還元をしていける、分配をしていける、そういう社会をつくろうとしているわけでございます。

 それはもう考え方の相違だと思いますけれども、私はそういう経済をつくっていきたいと思っております。

本庄委員 これまで、政府として、プライマリーバランスは財政健全化の一里塚だと答弁してきました。決して目標じゃないんですね、第一歩、入口だと。この今までの答弁と、今のこの間の総理の答弁は全く矛盾をしています。ちょっと整理して政府見解を出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 内閣総理大臣が替わりました。内閣のメンバーも新しくなりました。その前に、自民党総裁選挙で様々な議論を闘わせました。その中で、私が自民党総裁に選ばれ、そしてまた、多くの皆様に選んでいただいて内閣総理大臣になりました。

 経済政策の変更につきましては、内閣が替わったということで、変更したと理解していただいて結構かと思います。

本庄委員 答弁になっていませんね。

 財政健全化の一里塚だという考え方も含めて、解釈や考え方を変えたということであれば、この委員会にきちっと書面で考え方を出してください。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

高市内閣総理大臣 先ほど来答弁しているかと思うんですが、責任ある積極財政の考え方の下で、戦略的に財政出動を行って、強い経済を構築する、経済成長率を高める、中期的には債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度について再確認を行うということです。

 つまり、単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すということを検討しているということを申し上げております。

本庄委員 その新しい考え方というのが出てくれば、しっかりまた議論させていただきたいと思いますが、今伺っている限り、責任ある積極財政なるものは、無責任な放漫財政になりかねないなと言わざるを得ません。

 つまり、客観的な指標や物差しや、あるいは、たががかかっているかどうかが問題なんですよ。今総理がおっしゃっているのを聞くと、ちゃんとやりますから、そこに収めていきますから、大丈夫ですと言うんですが、それはあくまでも政府としての努力目標であって、何のたがにもなりません。

 そして、積極財政という考え方そのものも、もう世界で見れば周回遅れですよ、これだけのインフレ時代で。そういったことを、何のたがもなく、あるいはたがを緩めて前に進めようとしておられることに、私は非常に危機感を持ちました。そのことを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

 経済対策、そして消費税負担軽減の問題です。

 パネルの三を御覧ください。これは、現在取りまとめ中の立憲民主党の主な経済政策の一部を挙げたものです。

 食料品の消費税のゼロ法案、これは、十月一日から八%の食料品の消費税をゼロに下げるというもので、赤字国債に頼らない形で財源を捻出し、一年ないし二年という期間限定で考えています。

 その間、短期の、即効性のある政策として、この物価高・食卓支援金、仮称ですけれども、やはり一定の給付、必要だというふうに考えています。

 そして、総理も賛同されている給付つき税額控除、これは、少し時間はかかりますが、中低所得者に税金をキャッシュバックできる非常に重要な制度だというふうに考えています。

 そして、与野党で合意をしたガソリン、軽油の暫定税率の廃止。

 あるいは、今、非常に医療危機が進んでおりますので、病院や診療所、介護施設等の支援、働く人たちの処遇改善。

 あるいは、学校、私立の無償化はこれから進みますが、公立、大変な状況だということで、公立の小中学校や高校の老朽化対策。

 そして、今大きな話題になっている熊被害対策。

 こういったものを考えております。

 具体的にお聞きしていきたいと思いますが、食料品の消費税ゼロについて総理に伺います。

 今申しましたとおり、立憲民主党として十月三十一日に国会に法案を出しています。維新の会さんはこの食料品消費税ゼロに賛成だということは承知をしておりますが、高市総理も、御持論は賛成だというふうに私は理解をしています。しかし、残念なことに、国会での答弁は非常に後ろ向きなものが続いている。

 今年五月、高市総理が総理になる前、例えば、自民党税調の勉強会に出席されたときにこうおっしゃっていますよね。今、多くの方が物価高でお困りの中で、退職をされたり、障害、病気で働けない方々にもやはり恩恵を受けていただこうと思うとですね、これは国の品格として食料品の消費税率はゼロ%にすべき。

 これは私は分配の一つの考えだと思うんですが、こういう答弁が欲しかったんですけれどもね。

 また、インターネットの番組でも、石破総理が消極的だということを取り上げて、賃上げのメリットを受けられない方々にも広くメリットがあるのは食料品の消費税ゼロだと確信していた、かなりがっかりしているなんですね。逆に、今がっかりしている人はたくさんいると思うんですね、高市総理に期待して。

 これは僅か半年前なんですよ。何年も前ならともかく、半年前。この間、一体何があったんでしょう、お考えが変わるために。

高市内閣総理大臣 おっしゃるとおり、今年の五月、自民党の税制調査会、この消費税率に関しての議論、平場で、私のようにインナーでない者が参加できる機会はたった一回でございました。その場で、私はおっしゃるとおりの発言をいたしました。しかしながら、残念ながら、自民党税制調査会では賛同を得ることはできませんでした。自分が所属する政党で賛同を得られないことをいつまでも突き通すというわけにもまいりません。

 しかしながら、消費税率の引下げ、特に食料品に関しては生存に関わるものでもあり、そしてまた、先ほどおっしゃっていただいたように、年金生活であったり、働けない、今働けないという方々についてもメリットがあると考えて、そういう主張をしてまいりました。

 ただ、現在も、消費税率、特に食料品に係る消費税率については、自民党と日本維新の会の合意文書の中にも検討が入っておりますので、これを選択肢として排除するものではございません。

 他方、今臨時国会におきましては、内閣として、即効性があって有効なものということで、これからお示しする経済対策、補正予算に盛り込むものを厳選したということで、先ほど一部を紹介いたしましたが、そちらを優先させていただくということです。

本庄委員 即効性ある短期のものを優先するから食料品の消費税減税ができないというのは、ちょっと論理的につながらないんですよね。短期だから短期でやるのであって。そして、減税の方は短期ではありません、残念ながら。やはり半年以上、一年ぐらいかかると我々も認識しています。ですので、まず給付金をやってから食料品ゼロをやるというのが私たちの考えなんですが、今の総理のお考えだと、短期だけでいいということなんですか。だから、その後、これをやりましょうよ。

 なので、ちょっと確認しますね。今おっしゃった連立合意ですけれども、食料品を二年間に限り消費税の対象としないことを視野に、法制化につき検討を行うと書いてあるんですね。法制化につき検討を行うなんですね。

 これは、法制化につき検討を行うんですか、行わないんですか。明確に答弁していただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 法制化につき検討を行うというのは合意でございますので、検討を行います。

本庄委員 どういう体制で、いつ、どのように検討されるお考えですか。そんなに時間はないですよね。

高市内閣総理大臣 最優先に取り組むことを先ほど申し上げました。それはこの臨時国会で何としても取り組みたいこと、これからも挙げさせていただきます。

 そして、消費税率の引下げにつきましては、御党でも一定の期間を見ておられると思います。それは、残念ながら、日本の遅れたPOSレジシステムのせいでございます。これも様々確認しましたけれども、ちっちゃな個人商店にある昔からのレジでしたら別に引き下げてもすぐに対応できるとか、それから、一部のチェーンで使われているPOSレジシステムでしたら割と短期で対応できる。ところが、残念ながら、もう八%と一〇%で固定し切っている、しかも在庫管理などいろいろなものにつながっているもので、一年若しくはそれ以上かかるものもあるというようなことで、一定の期間がかかるということも考慮をいたしました。

本庄委員 いや、ですから、だから早く議論を始めないといけないんじゃないですか。

 我々、業界からも話を聞いていますから、一年というのはちょっとかなり過大だと思いますが、半年は要るだろうということで、残念ですけれども、十月一日にしたんですね。四月一日だったんですが、政治空白が長かったので。

 ただ、十月一日なら間に合いますので、我々が出しているこの法案、この臨時会で通していただければ、通せれば、これはプログラム法ですから、その後、減税の作業、財務省が入ってきますから、十月一日だったら間に合いますよ。仮に、十月一日が間に合わない、あともう半年要るんだということであっても、議論を始めるのに何のやぶさかなこともないんじゃないですか、総理。

 是非、いろいろな各党の政策協議の枠組みがありますから、自民党さん、維新の会、そしてうちも入れて、食料品の消費税減税について協議しませんか。いかがですか。

高市内閣総理大臣 まず、自民党と日本維新の会の両党の協議会で議論をしていくことになります。その輪が広がっていくということについて、これを否定するものではございません。

 それから、やはり事業者のレジシステムですけれども、ヨーロッパでありますと、もう税率の違う国でも対応できるような優れたシステムがあります。これを機に、割と柔軟に対応できる、しっかりとしたレジシステムを構築していく、そういうチャンスでもあるかと思っております。

 少なくとも、自民党、日本維新の会の間では協議会をつくって協議をいたします。

本庄委員 順番が逆で、減税をするとか、臨機応変に増税をやるとか減税をやるということを決めないと、そういったレジも普及しないと思うんですね。何十年も税率が変わらないから必要ないわけですよね、そういう柔軟対応できるレジは。私は、ちょっと順番が逆、後先逆だと思いますので、その点だけ申し上げます。

 時間が限られておりますので、給付つき税額控除について伺いたいと思います。

 これは旧民主党以来、もう十年以上訴えてまいりました。なかなか日の目を見なかったことも事実ですが、前石破政権の体制下で、この給付つき税額控除について議論しようというお申出が自民党さんの方からありまして、公明党さんを入れた三党での協議というのが立ち上がりました。

 一回目をやりまして、そこで御党の方の体制が変わって、二回目をやるということになっているんですね。二回目は議題も決まっていまして、この給付つき税額控除に係る様々な論点の洗い出し、それからスケジュール感、そして三党における協議の体制、ここまで二回目でやろうと決めて、ずっとお返事をお待ちしているんですね。

 と思っていたらですよ、総理、所信表明演説の中で、社会保障国民会議ですか、なるものを立ち上げ、有識者、与野党の議員を入れてやる、その中で給付つき税額控除もやる、こういう話が急に出てきて、正直驚いているんですね。

 三党で協議すると言っていた公党間の約束は、もうなしということなんでしょうか。ちょっと明確にしていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 三党での協議、これは内閣総理大臣としての答弁でございますので、政党間の協議というのは進めていただいていいかと思っております。

 その上で、国民会議というものにつきましては、給付と負担の在り方ですとか、給付つき税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について、政府・与党だけではなく、野党の皆様も交えて議論をしようということでございます。この社会保障改革に関して国民的な議論を行う必要については御理解いただけるものと考えております。

 ですから、この国民会議の趣旨は丁寧に説明をしながら、具体的な在り方、具体的な議論、内容や進め方については各政党の皆様とよく相談してまいりたいと思っておりますし、立ち上がりのスケジュールも、もうこれは早期にやるようにということで指示を既にいたしております。

 政党間の協議については、どうかお続けいただいていいかと存じます。

本庄委員 極めて失礼ですよね。自民党総裁ですよ。公党間で約束をし、引継ぎも受けているでしょう。党は党で勝手にやってくれ、政府は政府でやりますからと。私はちょっと残念ですね。

 まず、三党でやると決めた問題について御党としてどうするのかを返事をし、その上で、新しい体制ややり方について決めていくというのが、当然私は道義だと思いますよ。そこは是非お願いしたいと思います。いかがですか。

高市内閣総理大臣 この給付つき税額控除に限りますと、既に設けられている、これは自民党、立憲民主党、公明党、この三党による協議体、そこも尊重しながら、それとの関係も含めた国民会議の在り方、これをしっかりと各政党の皆様と相談してまいりたいということでございます。この国民会議というのは、給付つき税額控除についてだけをやるわけじゃないです。税と社会保障の一体改革を扱うものでございます。

 そしてまた、政府が立ち上げる会議への与野党の皆様の参加につきましては、例えば、中央省庁再編前に設置されていた社会保障制度審議会、ここでは多くの政党の皆様も含めた国会議員や有識者が議論に参加して、戦後の社会保障制度構築の基盤となるような重要な勧告をまとめていただきました。

 先ほどの件につきましては、三党で、それは議論を続けていく、尊重するということでございます。

本庄委員 今総理がおっしゃった社会保障何とかというのは結局うまくいかないから、もうなくなっているんです、今。ないんですよね。政府につくるというお考えなのかもしれませんが、そこに与野党の議員が集って、まともなものが出てくると私には思えません。

 我々は政府の下請ではありませんから、政府でつくった、そういったところになぜ国会議員が入っていくのか、そこから改めてまた説明していただきたいと思いますね。つくるのなら国会につくるべきだと私は思います。どう思いますか。

高市内閣総理大臣 でも、これは国民的な議論を行うということで、国民の皆様の代表である国会議員の皆様、それは与野党共に入っていただく、また有識者の方々にも入っていただく、そういった国民会議の提案を申し上げております。それをどこにつくるかというお話でございますけれども、まずは内閣の方でそういうことを検討いたしました。ただ、その設置の在り方も含めて、各党としっかり相談をさせていただきます。

本庄委員 政府の組織、機関に国会議員が入ってというのは、私はすごく違和感がありますし、何かそれが当たり前だろう、問題ないだろうという言い方にはもっと違和感があります。

 時間がないので、最後、一つ伺って終わりたいと思いますが、医療、介護などの問題ですね。

 物価高、人件費高などがあって、医療機関、介護の施設、福祉施設など、大変もう火の車の状態です。最近の数字だけを見ても、例えば公立病院、八三%経常収支赤字、八割ですよ、赤字。それから、民間では、病院四九%、約半分が赤字。それから診療所、町のお医者さん、ここも、ベッドのない無床診療所で三四%、あるいは有床、ベッドのある診療所で四〇%赤字。

 赤字の原因は様々あると思いますが、やはりその大宗は人件費のアップ、それから薬の価格の値上がり、その他の様々な価格高騰です。これは支援が喫緊の課題だと思いますので、二点に絞って伺います。

 一つは、総理も病院に対する、医療機関に対する支援を明言されているので、それは多といたしますが、病院だけではなくて、今申し上げた診療所、ここもやはりきちっと対応していくべきだと思います。

 開業医はもうかっているんだろうという言い方、意見はよくありますが、ただ、病院と診療所というのは、一体で地域の医療を担っているんですね、役割分担して。ですから、病院だけが残って診療所が潰れていくということでは、結局病院にも今後しわ寄せが出てくるわけです。したがって、診療所も対象にすべきだということが一つ。

 そしてもう一つは、県や基金にお金を積んでやるという今までのやり方では、私は、年内、年度内、かなり厳しいと思います。国から直接、コロナのときにやったようなやり方で支援をすべきだ。

 この二点についてお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。

高市内閣総理大臣 まず、診療所も含まれるかということでございますが、この支援の具体的内容につきましては医療機関の経営状況に応じて定められるものでございますので、支援措置の対象範囲が全ての診療所が含まれるということではありませんが、含まれないということではございません。

 それから、もう一つでございますけれども、これをどのように出していくかということなんですけれども、これから補正予算で対応をしてまいります。その在り方についてしっかりとお示しをさせていただくということでございます。提出後にしっかりと説明をさせていただきます。

本庄委員 終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 この際、岡田克也さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也さん。

岡田(克)委員 今日は、外交問題を中心に総理と議論したいと思います。

 まず、先般の日米、日韓、日中の首脳会談、お疲れさまでした。首脳同士がお互いの信頼関係を築くということは極めて大事なことなので、私は、個々の具体的進展があったとは必ずしも思わないわけですけれども、しかし、成功裏に首脳間の会談を終えられたことは評価したいというふうに思います。

 その上で、気になるところを若干申し上げておきたいと思います。

 総理は、十月二十八日の日米首脳会談後の記者会見において、こう述べられました。これから日本は、世界で最も偉大な日米同盟を基軸として、世界の真ん中で咲き誇る力強い日本外交を取り戻して、国際社会の平和と繁栄により大きく役割を果たしていきたい、こう考えております。

 まず、世界で最も偉大な日米同盟、私はこれに違和感があるんですね。世界の中で偉大な同盟といえば、英米、それからNATO、そういうものが思い当たるわけですね。それ以上に偉大な同盟であると言われるその根拠を教えていただきたいと思います。そもそも偉大という言葉をここで使うということも私は違和感があるんですけれども、お答えください。

高市内閣総理大臣 世界で最も偉大な日米同盟という表現についてですけれども、私は、かつては戦火を交えた、戦った日米が和解を果たして、関係を深めて信頼し合える同盟国となって、今、両国の安全のみならず、インド太平洋の平和と繁栄の礎となっている。一時、アメリカ・ファーストという言葉が出てきて、もしかしたら、いろいろなところから、アメリカはコミットメントしない、手を引いていくんじゃないかといった懸念がありましたけれども、日米首脳会談で確認しましたのは、自由で開かれたインド太平洋、FOIPにもしっかりと関与をしていくといったことでございましたので、国際社会の平和と繁栄にも日米同盟で大きな役割を果たしていける、そういう思いから、そのような表現を使わせていただきました。

岡田(克)委員 トランプ大統領の言葉はよく変わりますから。

 世界で最も偉大というのは、私はやはり、自衛隊が活動できる範囲というのが限定されている以上、米英同盟あるいはNATOとは違うというふうに思うんですね。

 今日、読売新聞に、グラス駐日米大使がこういう表現を使われていますね。インド太平洋における米国の最重要同盟国である。このぐらいなら私は分かるんですよ。世界で最もというのは、まあかなり総理も高揚されていたんだと思いますが、私は非常に違和感があるということは申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、日本外交を取り戻してと言われていますね。世界の真ん中で咲き誇るというのは、総理のお好きな言葉なのでいいとして、力強い日本外交を取り戻して。取り戻すということは、現状から変えるということを意味しておられると思うんですが、どういう意味でしょうか。

高市内閣総理大臣 二〇一六年に安倍総理が、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを提唱されました。そして、その後、第一次トランプ政権でアメリカが抜けた後のTPP、これをCPTPPとして日本が主導しました。さらには、二〇一八年、日・EU経済連携協定、また日米豪印の枠組みなどもできてきて、ちょうど二〇一六年から二〇一九年にかけて、この頃というのは、本当に世界で咲き誇る日本外交を目に見える形で私は経験できたというか、知った時代だったと思っております。

 その取組は今も続けられてはいるんですけれども、今は、私たちが慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの変化と地政学的競争の変化で大きく揺らいでおります。そんな中で、もう一度、もう一度日本が、ASEANなどとも手を組んで、日米同盟も大事にして、日・EUの関係も大事にして、しっかりと存在感を高めていく、こういったことが大事だという思いから申し上げております。

岡田(克)委員 安倍さんが政権に復帰したときに、日本を取り戻すとか外交を取り戻すということを表現されたと思うんですね。それは、政権が替わったから、一定の言葉としてはあったのかもしれません。私たちは、民主党政権の外交、民主党だからできたこともたくさんあると思っていますので、決して安倍さんの発言を認めるわけではありませんが、でも、政権が替わった以上、そういう表現が出てくる。でも、今は自民党政権が続いている中でのこの表現ですよ。

 そうすると、総理の発言は、前任者である石破さんや岸田さんやあるいは菅さん、その外交に問題があったから取り戻すということなんですか。そういうふうにしか理解できないじゃないですか。

高市内閣総理大臣 先ほど申し上げたような取組というのは、岸田政権においても石破政権においても続いてきたものでございます。ただ、私たちの周辺環境が大きく大きく変わっております。特に、中国、北朝鮮、ロシアの軍事的な動向、これは深刻な懸念となっております。

 そういう国際情勢の中で、やはりFOIPを日本の外交の柱として受け継ぐということを再確認して、さらに、時代に合わせて変化させていく、FOIPの中に例えば経済安全保障とかこういった理念もしっかり入れながら発展させていく、こういう考え方というのは必要だと思っております。そして、同盟国であるアメリカはもちろんですが、基本的価値を有する同志国、そしてグローバル諸国との関係強化に取り組んでいく、そういう決意を表明したものでございます。

岡田(克)委員 総理はこの取り戻すという表現が大好きで、例えばこの後の十一月一日のAPEC首脳会議後の記者会見でも、全体で質疑も含めて二十分と短い記者会見だったんですが、二回、日本外交を取り戻すという表現を使われているんですね。

 でも、先ほど言いましたように、私は、外交は継続の部分が非常に多いと思うんですよ。今回、首脳会談で総理が成果として言われている日韓のシャトル外交、これは別に今回決まったわけではなくて、前任者たちが築き上げてきたものであります。日中首脳会談における戦略的互恵関係、これもそうですね。

 だから、そういう先人たちの積み重ねの上に外交というのはあるものですから、何か私は、総理のこの発言を聞いていると、菅さんや、あるいは石破さんや、あるいは岸田さんに非常に失礼な物の言い方になっているんじゃないかというふうに思うんですね。もう少し丁寧に、前任者たちの努力の上で今の外交がある、そういう思いになっていただけませんか。

高市内閣総理大臣 よく承りました。

 でも、FOIPも含めて、ずっと前任の首相も受け継いできたものでございます。そしてまた、特に岸田元総理のときに、その前に外務大臣もとても長く務められましたので、日韓関係も随分改善をしていただきました。そういう基盤の上に立って今私も外交のスタートを切ったということはよく分かっております。

 ただ、FOIPに関しては、少し今の周辺状況の変化を踏まえて発展させていきたい、この思いは非常に強いです。経済安全保障また新興技術をめぐる国際競争など新たな課題も生じていますので、そういう意味では、もっと日本の存在感も強め、そして、多くの国を巻き込みながら発展させていきたい、このように考えております。

岡田(克)委員 新しい外交を切り開きたいという総理の思いは分かります。だけれども、前任者たちに対する敬意というものもしっかり持ちながらやっていただきたいというふうに思います。

 さて、二番目の存立危機事態について、少し時間をかけて議論したいというふうに思っています。

 実は、十年前にこの法律ができたときに、私は野党の代表でした。そのときの私の思いを申し上げますと、従来の個別的自衛権では対応できない事例があるということは認識していました。

 例えば、もう既に米軍が戦っているときに、米軍と自衛隊が共同で対処している、それで、米艦が攻撃されたときに、自衛隊は、日本自身は武力攻撃を受けていないという段階で、それを放置するというわけにはいきませんから、これをどういうふうに説明すべきか。一つは、個別的自衛権の解釈を拡張するという考え方。もう一つは、集団的自衛権を制限して認めるという考え方。両様あり得るなというふうに思っておりました。自民党の中には、全面的な集団的自衛権を認めるべきだという議論もかなりあったと思うんです。

 そういう中で、安倍さんが出してきたのが、この存立危機事態という考え方でした。我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態ということであります。

 我々は、この概念がかなり曖昧であると。例えば、我が国の存立が脅かされる、これはどういう意味だろうか。それから、国民の基本的権利が根底から覆される明白な危険、これも非常に抽象的な概念ですね。だから、武力攻撃事態みたいに我が国が攻撃されたというものと比べるとかなり抽象的な概念ですから、これで果たして限定になっているんだろうかと。

 多くの法制局長官経験者とか著名な憲法学者が、違憲ではないかというふうに疑義を呈されました。そういう中で、私たちもこの法案には反対をしたということであります。

 ただ、あれから十年たって、いろいろな事実が積み重なっていることも事実。白紙でゼロから議論し直すことはできないということも分かっています。そういう中でどういう対応をすべきかということは、これから党の中でしっかり議論していきたい。この法文で本当に憲法違反にならないのかどうか、そして運用はどうなのか、そういうことは議論していきたい。これが今の私たちの基本的スタンスであります。

 そこで、総理にまず確認したいのは、この存立危機事態、いわゆる限定した集団的自衛権の行使ですね、これ以外の集団的自衛権の行使、つまり、限定のない集団的自衛権の行使は違憲である、これは従来の政府の考え方だったと思いますが、そういう考え方は維持されていますか。

高市内閣総理大臣 憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、いわゆる三要件を満たす場合の自衛の措置としての武力の行使に限られます。そして、この三要件は国際的に見ても他に例のない極めて厳しい基準でありまして、その時々の内閣が恣意的に解釈できるようなものではないと思っております。

 先ほど来、存立危機事態における武力の行使についてお話がございましたが、これも、限定された集団的自衛権の行使、すなわち、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置としての武力の行使に限られていて、集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められないという政府の見解に変更はございません。

岡田(克)委員 要するに、憲法違反になってしまうということですね、認められないということは。この存立危機事態を踏み外したようなことがあると、これは法律違反だけではなくて憲法違反になるわけです。

 ということは、この存立危機事態の運用というのは、やはり厳格に、限定的に考えなきゃいけない、それを踏み外したときには単に法令違反ではなくて憲法違反になる、そういう認識でよろしいですね。

高市内閣総理大臣 その政府見解を踏襲いたしております。

岡田(克)委員 それでは次に、平成二十七年九月十四日の当時の公明党の山口代表と安倍総理、法制局長官との特別委員会におけるやり取り、ここに持ってまいりました。

 読み上げますと、これは抜粋ですけれども、武力の行使は、これまでどおり、自衛隊法八十八条に規定された我が国防衛のための必要最小限度の武力の行使にとどまるもの。それから、被害国を含めた他国にまで行って戦うなどという海外での武力の行使を認めることになるといったものではございません。存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えています。

 つまり、これは、存立危機事態と武力攻撃事態というのはほぼ重なり合うということを言っているわけですね。

 こういう法制局長官の当時の答弁ですが、法制局長官にお聞きしたいと思いますが、現在でもこの答弁を維持されていますか。

岩尾政府特別補佐人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成二十七年九月十四日、参議院、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会におきまして、当時、横畠内閣法制局長官はこのように述べました。

  新三要件の下で認められる武力の行使は、これまでどおり、自衛隊法第八十八条に規定された我が国防衛のための必要最小限度の武力の行使にとどまるものであり、他国防衛の権利として観念される国際法上の集団的自衛権一般の行使を認めるものではなく、また、我が国防衛のための必要最小限度を超える、被害国を含めた他国にまで行って戦うなどといういわゆる海外での武力の行使を認めることになるといったものではございません。

また、さらに、

 いわゆるホルムズ海峡の事例のように、他国に対する武力攻撃それ自体によって国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことになるという例外的な場合が考えられるということは否定できませんが、実際に起こり得る事態というものを考えますと、存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えられる

と述べております。

 このように承知しておりますが、これらの答弁で述べられました見解に変わりはございません。

岡田(克)委員 当時の与党であった公明党の委員長と、そして総理、内閣法制局長官のやり取り、これは非常に重みのあるものですね。

 今、法制局長官は答弁を維持しているというふうにおっしゃったわけですが、総理も同じですね。

高市内閣総理大臣 法制局長官が述べられたとおり、平成二十七年九月十四日の委員会で当時の長官が述べられた見解について、変わりはございません。

岡田(克)委員 それでは、そういった答弁があるにもかかわらず、私は、一部の政治家の非常に不用意な発言が相次いでいるというふうに思うわけですね。

 例えば、失礼ですが、高市総理、一年前の総裁選挙でこう述べておられるんですよ。中国による台湾の海上封鎖が発生した場合を問われて、存立危機事態になるかもしれないと発言されました。

 私も、絶対ないと言うつもりはないんです。だけれども、これはどういう場合に存立危機事態になるというふうにお考えだったんですか。お聞かせください。

高市内閣総理大臣 台湾をめぐる問題というのは、対話により平和的に解決することを期待するというのが従来からの一貫した立場でございます。

 その上で、一般論として申し上げますけれども、今、岡田委員も、絶対にないとは言えないとおっしゃっておられました。いかなる事態が存立危機事態に該当するかというのは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断しなければならないと考えております。

 存立危機事態の定義については、ここで申し述べますと時間を取りますが、事態対処法第二条第四項にあるとおりでございます。

岡田(克)委員 海上封鎖をした場合、存立危機事態になるかもしれないというふうにおっしゃっているわけですね。

 例えば、台湾とフィリピンの間のバシー海峡、これを封鎖されたという場合に、でも、それは迂回すれば、何日間か余分にかかるかもしれませんが、別に日本に対してエネルギーや食料が途絶えるということは基本的にありませんよね。だから、どういう場合に存立危機事態になるのかということをお聞きしたいんですが、いかがですか。

高市内閣総理大臣 これはやはり他国に、台湾でしたら他の地域と申し上げた方がいいかもしれませんが、あのときはたしか台湾有事に関する議論であったと思います。その台湾に対して武力攻撃が発生する、海上封鎖というのも、戦艦で行い、そしてまた他の手段も合わせて対応した場合には、武力行使が生じ得る話でございます。

 例えば、その海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかのほかの武力行使が行われる、こういった事態も想定されることでございますので、そのときに生じた事態、いかなる事態が生じたかということの情報を総合的に判断しなければならないと思っております。

 単に民間の船を並べてそこを通りにくくするといったこと、それはそういった存立危機事態には当たらないんだと思いますけれども、実際に、これがいわゆる戦争という状況の中での海上封鎖であり、またドローンも飛び、いろいろな状況が起きた場合、これはまた別の見方ができると考えます。

岡田(克)委員 今の答弁では、とても存立危機事態について限定的に考えるということにはならないですよね。非常に幅広い裁量の余地を政府に与えてしまうことになる。だから、私は懸念するわけですよ。

 もちろん、日本の艦船が攻撃を受ければ、これは武力行使を受けたということになって、存立危機事態の問題ではなく、武力攻撃事態ということになるんだと思います。そういう場合があると思いますけれども、日本の艦船が攻撃を受けていないときに、少し回り道をしなければいけなくなるという状況の中で存立危機事態になるということは、私はなかなか想定し難いんですよね。そういうことを余り軽々しく言うべきじゃないと思うんですよ。

 例えば、自民党副総裁の麻生さんが昨年一月にワシントンで、中国が台湾に侵攻した場合には存立危機事態と日本政府が判断する可能性が極めて高いという言い方をされています。安倍さん自身も、台湾有事は日本有事。ここで有事ということの意味がよく分かりませんけれども、何か非常に軽々しく私は問題を扱っているんじゃないかというふうに思うんですね。

 もちろん、存立危機事態ということになれば日本も武力行使するということになりますから、それは当然その反撃も受ける。そうすると、ウクライナやガザの状況を見ても分かるように、地域がどこになるか分かりません、あるいは全体になるのかもしれませんが、極めて厳しい状況が国民にもたらされるということになります。そういう事態を極力力を尽くして避けていかなきゃいけない、それが私は政治家の最大の役割だというふうに思うんですね。

 それを軽々しく、なるかもしれないとか、可能性が高いとか、そういう言い方が与党の議員やあるいは評論家の一部から、自衛隊のOBも含むんですが、述べられていることは極めて問題だと私は思うんですが、総理、いかがですか。

高市内閣総理大臣 麻生副総裁の発言については内閣総理大臣としてはコメントいたしませんが、ただ、あらゆる事態を想定しておく、最悪の事態を想定しておくということは非常に重要だと思います。

 先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。

 実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断するということでございます。実に武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態に当たる可能性が高いというものでございます。法律の条文どおりであるかと思っております。

岡田(克)委員 ちょっと最後の表現がよく分からなかったんです。武力攻撃が発生したら存立危機事態に当たる。どういう意味ですか。武力攻撃が誰に発生することを言っておられるんですか。

高市内閣総理大臣 武力攻撃が発生をして、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合という条文どおりでございます。

岡田(克)委員 だから、我が国の存立が脅かされるかどうか、それから国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるかどうか、その判断の問題ですね。それを、いろいろな要素を勘案して考えなきゃいけないという総理の答弁では、規範としての、条文としての意味がないんじゃないかと思うんですよ。もっと明確でなければ、結局どれだけのこともできてしまうということになりかねないと思うんですね。

 もう一つ申し上げておくと、これは、朝鮮半島有事も含めて近隣で有事が発生した場合に日本国政府として最もやらなきゃいけないことは何か。それは、そこに住む在留邦人を無事に安全なところに移動させるということがまず必要になると思うんですね。でも、自らが存立危機事態であるといって武力行使したら、そういうこともより困難になってしまう可能性が高いじゃないですか。だから、余り軽々に武力行使、武力行使と私は言うべきじゃないと思うんですが、いかがですか。

高市内閣総理大臣 そういう事態が起きたときに邦人救出をする、これが我が国にとって最大の責務でもあり、優先事項でもあります。ただ、そのときにも安全を確保しなきゃいけないというのは事実でございます。

 軽々に武力行使、武力行使と言うとおっしゃいますけれども、最悪の事態も想定しておかなければならない。それほどいわゆる台湾有事というものは深刻な状況に今至っていると思っております。実際に発生した場合にどういうことが起こっていくのか、そういうシミュレーションをしていけば、最悪の事態というものはこれは想定しておかなきゃいけないということでございます。即これを存立危機事態だと認定して、日本が武力行使を行うということではございません。

岡田(克)委員 ですから、慎重な運用が求められる。やはり大事なのは、まずは在留邦人を無事に移動させること。これは台湾有事に限りません。朝鮮半島有事でも同じだと私は思います。

 それから、有事がもし発生した場合に、例えば近隣の国々、非常に私たちにとって大事な国々です、あるいは地域も含めてですね、そういうときに大量の避難民が発生する、恐らく数十万、数百万の単位で発生するということになります。それを無事に移動させて日本が引き取るということも極めて重要だと思うんですね。ウクライナ危機のときに、ドイツを始めとするヨーロッパの国々が避難民をしっかりと受け止めたということですが、同じようなことが起こる可能性がある。そのときに日本自身が武力行使をしていたら、そういう活動にも極めて差し障りが出てくる可能性が高いですよね。

 そういうこともトータル含めて、やはり存立危機事態の認定、武力の行使ということは慎重に考えていかなければいけないと私は思うんですが、余りにも軽々しく言い過ぎていませんか。いかがですか。

高市内閣総理大臣 まず邦人の救出をしなきゃいけないということは確かでございます。それが最も優先すべきことでございます。

 存立危機事態の認定に際しまして、個別具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思、能力、事態の規模、態様などの要素を総合的に考慮して、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性ですとか、それから国民が被ることになる犠牲の深刻性そして重大性などから判断するということ、判断するべきものだと考えておりますので、政府として持ち得る全ての情報を総合して判断する、これは当然のことだと思っております。

岡田(克)委員 武力の行使をするということについて、私は、余りにも大きな裁量の余地を政府に与えている、今おっしゃった基準というのは、国会でも答弁されていますが、どうにでも読めるような、そういう基準だと思うんですね。

 国会も事前ないしは事後に承認することになっていますよね、存立危機事態。そのときに判断のしようがないじゃないですか。やはりもう少し明確な基準で判断していかなければいけないんじゃないかというふうに私は思っています。そういう意味で今日の議論を申し上げました。

 もう一つ、いろいろなシミュレーション、米軍と自衛隊が一緒になって活動するシミュレーションをやっておられると思うんですね。これは、例えば二〇二二年の2プラス2の共同発表の中でも、そういうものが進展していることを歓迎したという表現が出てきます。具体的にいろいろおやりになっていると思うんですね。

 そのときに気になるのは、自衛隊は存立危機事態に限って武力行使できるんだということがきちんと前提となってそういった共同訓練などが行われているのかどうか。高市総理の最初の答弁で、世界で最も偉大な日米同盟、何か制限なく、イギリスと同じようなことができるような、そういう印象すら与えるわけですが、そこのところは、きちっと米国に対して、こういう限界が憲法上あるいは国の考え方としてあるんだということはお伝えになっていますね。

高市内閣総理大臣 これは、私も自民党総裁選挙のときからも申し上げてきたことなんですが、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインですね、ここでも、自衛隊及び米軍の活動において、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われるということが明記されています。これは日米共通の認識でございます。

 だからこそ、米軍というのは、日本が仮に攻撃をされたようなときにあっても、自衛隊の前に出て戦ってくれる存在じゃありません。まずは自衛隊が自ら国民及びその領域を守り、そして、米軍はこれを支援し又は補完するとなっておりますので、その認識は日米共通であると思っております。また、日本が憲法及び国内法を守らなきゃいけない、これは日米のガイドラインに書いてありますから、共通の認識であると考えております。

岡田(克)委員 次に、ちょっと短くやりたいんですが、在日米軍基地からの直接出撃について少し議論したいと思います。

 岸総理とハーター国務長官の間の交換公文で、在日米軍基地から直接出撃する場合には、日本政府と事前に協議しなければいけないということになっています。これは実は、密約の一つの内容として議論されたところでもあったわけですが、これに関連して。

 日本周辺の有事ということを考えたときに、重要影響事態の認定とか存立危機事態の認定よりも前に、手前に、この直接発進についての協議というのは行われる可能性があると思うんですね。これは、かなり厳しい決断を日本政府あるいは総理に迫るものになると思うんです。日米同盟の最も骨格の部分ですから、米軍基地を日本に維持して使えるようにするというのは。だから、そう簡単にノーと言える問題ではありません。

 でも、これを認めれば、結局、日本が反撃を受ける、攻撃を受けるリスクが非常に高まるという中で、これを決断しなきゃいけない。そういう重大な決断を迫られることがあるという御認識はお持ちですね。

高市内閣総理大臣 もうこれは本当に、そうなれば重大な決断でございます。国家国民の皆様の存亡が懸かっているぐらい重大な決断でございます。その認識は持っております。

岡田(克)委員 ただ、問題は、日本の法令上、この承認問題、協議の問題が位置づけられていないということなんですね。例えば、国家安全保障会議に対する所掌事務というのを見ると、武力攻撃事態や存立危機事態への対処方針というのは所掌として書かれています、明記されています。でも、こういった事前協議があったときの所掌というのは具体的には書いていないんですね。一般的な規定で読むということはできるかもしれませんが。

 私は、もし三文書を見直すということであれば、やはりその中で、この事前協議制度の運用についても、きちんと国の仕組みの中で位置づけて、ちゃんとした手続を取る、そういう考え方を入れるべきではないかと。

 これは、国会はどう関与するかという問題もありますよね。事前、事後の承認みたいなことを必要とするのかどうか。そういうことも含めて、きちんと三文書の議論の中でこの議論をしていただきたいんですが、いかがですか。

高市内閣総理大臣 この事前協議に関する事項ですが、日米安保条約第六条及びその実施に関する岸・ハーター交換公文という国際約束の実施でございます。本来、行政府の専権に属するものでございます。国会の承認を必要とするかどうかというと、必要とするものではないですが、国会との関係をどうするかについては、政府がその時点における諸般の事情を総合的に判断した上で、政府の責任において決定するということになると考えております。

 要すれば、政府としては、これ以上の手続の制定というものは想定しておりません。

岡田(克)委員 条約に準ずるものだから国会は関係ないというのは、私は非常に偏った見方だと思いますよ。だって、さっき言ったように、それで日本が攻撃を受けるかもしれないという重大な決定ですよ。それについて国会は関係なく政府が勝手に決められるというのは、あり得ないと私は思うんですね。そこは是非考えていただきたいというふうに思います。

 最後に、いわゆる川崎重工事件と言われるものについて、残された時間で議論したいと思います。

 これは、川崎重工が下請企業に架空発注をして、六年間で十七億円、そのお金を使って、川崎重工の現場作業員も含むんですが、主として潜水艦の乗組員に対して便宜供与を行っていた。例えば、作業用物品、多分、長靴とかですね。それから、艦内使用備品、冷蔵庫とか、潜水艦の中の。それから、私的物品というのも一部ありました、ゲーム機とかゴルフバッグとか。それから、飲食のツケ払い。こういうことが行われていたということであって、防衛省からは、防衛監察本部の調査の中間報告が二〇二四年十二月二十七日、最終報告が二〇二五年七月三十日に出ています。

 私が特に問題だと思うのは、川崎重工も、十七億円、どこかから手当てしなきゃいけません。それに対して、海上自衛隊の監督官が架空の変更工事指示書を出して、その分を賄っていたということなんですね。これは幾らか分かりません。でも、十七億円に限りなく近いかもしれません。

 そういうことがあったというのは、私はやはり国の予算制度の根幹を脅かすものだというふうに思うんですね。公務員が架空発注して、結果それが裏金につながって、飲み食いも含めていろいろなことに使っていた。

 この事態が深刻であるという認識、総理はありますか。

高市内閣総理大臣 これは、事態としては深刻です。防衛力の抜本的強化を私が申し上げております中、国民の皆様の疑惑や不信を招くような行為はあってはなりません。本件事案の発生というのは非常に深刻に受け止めております。

岡田(克)委員 その割には危機感が足らないというふうに思うんですね。これは長年続いてきたことだというふうに言われていますね。四十年前からやっていたと。調べたのは六年間ですけれども。しかも、これは税務調査が入って発覚したことであって、国が積極的に調べたわけではないんです、最初はね。

 それで、金額不明と書きましたけれども、どのぐらいの架空発注を行っていたのかという数字も出てこない、分かりませんということです。

 おまけに、処分について、今年の七月に発表されたものでは、四十年前から行われていたとか慣例だった側面があるということで、関係者、監督官と言われる人ですが、それに対して訓戒、これが処分ですよ。そんなことでいいんですか。そして、この監督官の上司もいたはずですよ。決裁しているはずでしょう、上司も。そういうのはおとがめなしですか。

 訓戒だけしてもうそれでおしまいというのは、私は余りにも認識が甘過ぎるんじゃないかと。総理もおっしゃった、防衛費、これから増えていくかもしれないと。みんな国民の税金でしょう。それが、こんなことが横行していたということになると、やはり信頼感が失われると思うんですよね。どうお考えですか。

高市内閣総理大臣 先ほどの六年間分の架空取引でございますが、総額約十七億円、その一部が海上自衛隊に対する物品提供等に使用されていたことは確認されております。

 他方で、当時の証言者の記憶が曖昧であること、かつ金額などを裏づける領収書など客観的な資料も不足しているということから、残念ながら、この十七億円のうち海上自衛隊に関係する物品や飲食に係る不正使用の金額が幾らかということが判明していない。これも大変残念で困難な状況でございます。

 今年七月に防衛省が行った隊員九十三名の処分でございますが、艦船の運用上必要な物品、役務を適時に受領するため、部隊において不適切な行為が慣例的に行われてきた側面があったといった事情を踏まえたものと聞いております。私用物品を受領した隊員の処分については、自衛隊員倫理法にのっとり、今後、自衛隊員倫理審査会の審議を経て、判明した事実関係に基づき厳正に対処するものと聞いております。

 それでも、防衛力の強化が一刻の猶予もない中で、本当にこのような事案を二度と起こさないように全力を挙げて再発防止策に取り組まなければならないと考えております。

岡田(克)委員 ですから、ゲーム機とかゴルフバッグを要求していた、こういう話はこれからしっかりと、民間でいえばこれは刑事罰に相当するような話ですから、しっかり対応してもらいたいと思いますが、それ以外の部分というのは、慣例だからというのは私はちょっと理解できないんですね。慣例だったらいいんですか。四十年前からやっていたら、おとがめなしですか。調べれば分かるでしょう。例えば、架空発注しているという書類が残っているでしょう。どのぐらい架空発注しているかって分かるはずですよ。

 そういうのをきちっと明確にせずに訓戒だけで済ませてしまったというのは、私は、本当にシビリアンコントロールが利いているのかということも疑問に思いますよ。そういうことでどんどん無駄遣いされるということになると、国民は防衛費を増やすということに決してイエスとは言わないと思います。

 そういう危機感を持って、小泉大臣、これはもう一回ちゃんと調べ直す必要があるんじゃないですか。いかがですか。

小泉国務大臣 先ほど岡田先生から御指摘のあった一点、指示書の発出に関することで一言申し上げますと、この件につきましては、現在警務隊が調べているところでありまして、そこで判明した事実関係に基づいて公文書偽造等に当たるかどうかを含め判断されるものと承知をしています。

 そして、今、二点目で、もう一回調査をやり直すべきではないか、こういったお話もありました。

 一方で、今回、防衛監察本部は、独立した第三者的な立場から全省的に厳格なチェックを行うとの趣旨で設立をされ、トップである防衛監察監には元高等検察庁検事長を任用するなど、多様な知見を活用して、独立した立場で厳格な監察を実施しております。そして、調査に当たっては、会社側や海上自衛隊から資料を入手するとともに、延べ千六十名の隊員及び会社側関係者からの聞き取り調査のほか、アンケート調査や潜水艦内等の物品等確認調査を行いました。

 私自身も、大臣就任後に報告書を読みました。必要な十分な調査が行われていることを確認をしましたので、改めての再調査が必要であるとは考えてはおりませんが、岡田先生がおっしゃるとおり、今、高市内閣の下で防衛政策の強化をしなければいけない、この危機感が国民の皆さんとしっかりと共有される上で、自衛隊に対する信頼が損なわれるようなことは二度と起こしてはならない、その決意は共有しているものだと捉えています。

岡田(克)委員 公文書偽造あるいは偽造公文書行使、これに当たるかどうかは今まだ検討しているというんですが、もう何年たっているんですか。早急にこれは検討し直してもらいたい。私は、どう考えてもこれは公文書偽造、行使に該当するんじゃないかというふうに思うんですね。そうしたら、訓戒で済む話じゃないというふうに思います。そして、監督官だけじゃなくて、その上司とか、そういったところまできちんと責任を果たしてもらわなきゃいけない事案じゃないか、そのことを申し上げて、私の質疑を終えたいと思います。

枝野委員長 この際、十分間休憩いたします。

    午後二時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十三分開議

枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、長妻昭さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭さん。

長妻委員 よろしくお願いをいたします。長妻昭です。

 高市総理とは同学年で、親が警察官、これも共通しておりますが、思想、信条は相当違うと思いますが、ただ、日本をよくするという思いは一緒だと思いますので、私も前向きの提言をしますので、是非いい答弁をお願いをいたします。総理のみに基本的な質問をしますので、お答えいただければと思います。

 まず、私は、日本の、人の、なかなか、労働生産性を含めて、沈滞という、賃金が物価を上回らないということも含めて、やはり、人権、格差、多様性を軽んじる政治がずっと続いてきたことに大きな問題があると思うんですね。人への投資が非常に薄過ぎる。やはり、人への投資や未来への投資をして社会や経済を発展させるというところにもっと注力しなきゃいけない。成長戦略はもちろんいいんですけれども、これをやるのは全部人間なんですね。その人間の基盤がきちっとなっていないと、成長戦略も絵に描いた餅になる。

 今、教育格差、激しいです。生まれる家庭によってその子の人生が決まりかねないような状況になっていますし、雇用格差、非正規と正社員、これだけ大きな格差がある国はほとんどありません。そして、男女賃金格差や処遇格差も相当な大きいものが日本はあります。

 ですから、こういうような格差を是正して、生まれる家庭によってその子の人生が決まらない、つまり、どんな環境にあっても一人一人の持ち味がちゃんと生きる社会をつくるというのが、私は、人から始まる日本再生、人から始まる経済再生だと思っているんですね。同調圧力が強過ぎるので声を上げにくい、そういう状況が非常に強過ぎるので、創意工夫が花開いていないと思うんですよ。そういう意味では、人への投資、人に着目するということも是非注力していただきたいと思います。

 そこで、まず、国家の礎について質問をさせていただきたいと思います。

 私は、国家の礎という意味では二つの保障があると思うんですね。一つは安全保障、もう一つは生活保障というものがあると思います。社会保障と言ってもいいかもしれません。その二つの保障どちらかでも綻びが出てくると、国ががたついてくる、国力が衰えると私は思っているんですね。

 安全保障については多くの国会議員が関心を持って取り組んでいるんですが、生活保障の方はすごく関心がないんですよ、特に自民党、関心がないというふうに私は感じるんですね。

 これは、私が大臣をさせていただいたときに、高市さんが委員として、相当生活保護に厳しい形で追及を受けました。不正受給は犯罪ですからね、これは私も、大臣のとき、民主党政権のときに、徹底的に取り締まるように厳しくしました。しかし、適切に受ける権利まで奪うということは、これはあってはならないわけなんですね。

 そういう意味では、国の礎である生活保障の根幹、生活保護、これについて、今年の六月、最高裁判決が出たんですね。これは前代未聞の判決です。つまり、生活保護を下げるという判断、行政処分をしたんですが、これが生活保護法違反、法律違反であるという確定判決が出たわけですよ。処分は取消しになったわけですね。

 私は、ちょっと信じられないのは、政府は謝罪をしていただきたいと思うんですが、これはまだ謝罪されておられないようなんですが、ここでちょっと謝罪を、是非、高市総理、していただきたいと思うんです。

高市内閣総理大臣 御指摘の最高裁判決において、厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があったと指摘されて、違法と判断されたことについては、深く反省し、おわびを申し上げます。

長妻委員 それは政府の、今、謝罪というふうに受け取ってよろしいんでしょうか。

高市内閣総理大臣 少なくとも、内閣総理大臣である私の反省でございます。

 厚生労働省において専門委員会を設置して、判決の趣旨や内容を踏まえた対応の在り方については検討を進めているということを承知しております。

 ただ、内閣総理大臣である私が深く反省しているというのは、おわびでございます。

長妻委員 おわびという言葉は初めて出たんですね。これは当然のことだというふうに思います。

 そして、これは、お金をもちろん返す。つまり、下げるという処分が違法だ、処分取消しになったのでお金をお返しする、これは今検討中ということなんですかね。基本的には、最終的にはお金をお返しするということでよろしいんでしょうか。

高市内閣総理大臣 最高裁判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方については、今申し上げましたとおり、専門委員会で検討が精力的に進められております。この専門委員会の審議の結果を踏まえて適切に対応するということになります。

長妻委員 時間もないので、大臣は結構でございます。

 少し進歩したと思います。おわびというのが今までなかったんですね。高市総理、総裁選のときに、原告団のアンケートに答えた総裁候補は高市総裁だけだったということで、期待をしておりますので、きちっとした対応を是非していただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、次に、戦後八十年ということで、節目の年が、もう十一月ですか、暮れようとしているわけでございますけれども、そういう意味では少し、教訓、総括というのが日本はまだなされていないので、その質疑をしたいと思っているんですが、高市総理としては、さきの一連の昭和の戦争というのは日本が植民地支配と侵略をした、こういうふうにお考えでしょうか。

高市内閣総理大臣 これまでの政府見解のとおり、それを踏襲いたしております。

長妻委員 ということは、どういうことですか。

高市内閣総理大臣 現在の状況とは違います。当時の国際法の中でウォー・オブ・アグレッションに当たったかどうか、つまり侵攻ですね。パリ平和条約で、侵攻に当たるということになるかどうかというのはそれぞれの国が判断するといった留保がついておりますけれども、これまで、それを侵略とし、そして植民地支配とし、日本は度々謝罪の意を表しておりますので、その考え方を踏襲するものでございます。

長妻委員 そうすると、これはちょっと初めての御答弁だと思うんですが、今まで高市総理、総理になる前ですけれども、首相になれば新たな歴史見解を発表して村山談話を無効にするというふうにおっしゃっておられたんですが、ということは、この村山談話については、これはもう了解する、自分もこの意見であるということなんですかね。

 村山談話の肝のところは、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」「ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」というふうにありますが、これは高市総理の意見と同じということでよろしいんですね。

高市内閣総理大臣 これまでの内閣総理大臣談話を含めて、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、これからも引き継いでいくということでございます。

長妻委員 是非、肝に銘じて、二度と国策の誤りを犯さないようにというふうにお願いを申し上げます。安倍談話でも、「進むべき針路を誤り、」というふうに言っておりますので。

 そして、もう一つ、私、非常に今気になることがございまして、配付資料にも要望書がついておりますけれども、質問レクも受けられたと思いますが、今、韓国と中国の研究所とか大学が、日本の民間などが持っている戦争の資料、これを結構集められておられるんですよ。その背景には、日本の民間にある博物館、戦争の資料のものが、高齢化によってどんどん閉館になって、それをもう預かるところがないので、捨てちゃうか、中国や韓国が欲しいということで差し上げるか。

 つまり、どういうことかというと、日本には幾つかあるんですけれども、しょうけい館とか昭和館とか国会図書館とか。ただ、そこはもうスペースもいっぱいだし、例えば、政府の公式資料だけは預かるけれども、特攻隊の方の貴重な手紙とか軍刀とか、そういうものは預からない。民間のものは、そういうような扱いなんです。

 私も、シベリア抑留の補償については、戦後初めて民主党政権で補償法案を成立させて、補償しました。その関係で、貴重なシベリア抑留の資料がいっぱいあったんですが、どこも預かるところがない、もうスペースがないし、こういう資料を預かれないということで、たなざらしになっているわけです。それを中国や韓国がどんどん持っていっているわけですね。

 私が聞いた大学の先生は、貴重な資料をずっと研究で集めておられて、退官するときに、大学はもうスペースがないから預かれない、粗大ごみで全部捨てちゃおうかと思ったときに、韓国の大学が、うちが預かるということになっているわけですね。これは、オークションも、御存じだと思いますが、どんどん日本の貴重なものがオークションに出て、そして中国や韓国が買っているということもあるわけですね。

 ですから、こういうようなことは、ほかの国では戦争博物館というものがちゃんとあるわけで、日本も是非、国立の、政府がつくる、今細かいのが幾つか、三つぐらいありますけれども、それを統合しても結構ですので、こういう民間の貴重な資料をちゃんと集める、そういうものを、戦後八十年の節目、前向きに検討するという御答弁をいただきたいと思うんですが、いかがですか。

高市内閣総理大臣 今委員がおっしゃったような戦争関係資料というのは、戦中当時の状況を伝えるための資料で、戦争の記憶の継承のためにも非常に重要なものだと考えております。

 政府として、さきの大戦における戦没者御遺族の経験した戦中、戦後の国民生活上の労苦を伝える昭和館、戦傷病者の労苦を伝えるしょうけい館、戦後強制抑留者及び引揚者の労苦を伝える平和祈念展示資料館において、それぞれの目的に関する資料の寄贈を受け付けています。館で所蔵しておらず、活用が可能な資料については、今後も積極的に寄贈をお受けしてまいりたいと思っております。

 三館それぞれ別の目的で設立されて、目的に関連した資料を収集して、資料の性質に合わせて適切な保管、展示を行っていますので、三館で適切な連携を図りながら運営してまいりたいと存じます。

長妻委員 いや、ですから、それができていないから、今こういう状況になっている。

 ある研究者の方は、中国と韓国に行って資料を見せてもらうということはちょっとなかなかきついなとおっしゃっておられるし、保阪正康さん、著名な研究家も、自分の集めた資料を一体どこが預かるのか、国立のそういうものがないと困るとおっしゃっておられるわけで、多分、政府に上がってくるものはちゃんとやっていますということだと思うんですよ。ところが、実態はそうじゃないので、高市大臣、漏れているところがいっぱいありますから、断っているケースもいっぱいありますので、是非前向きに、調査をして、必要があればそういうものを拡充をするというような御答弁を是非いただきたいんです、この場で。

 厚労省は一組織はありますけれども、政府全体、内閣府に私はつくった方がいいと思う。

高市内閣総理大臣 長妻議員御本人が昭和館に持ち込んだ資料を、収納庫がいっぱいということで断られたということでございましょうか。ちょっとその事実は私どもでは確認できておりません。

長妻委員 そんなことは言っていません。この二ページ目、配付資料にございますが、私が持ち込んだということではありません。シベリア抑留の関係者の方々が、いろいろ自分たちが集めた資料を国がやっているようなところに持ち込んでもなかなか預かってくれない、そういうようなことをおっしゃっておられるわけで、この二ページ目を御覧いただきますと、こういう先生方が、中国の研究機関、韓国の研究機関などに移管されている、だからそういうものをつくってくれということで、この前、石破首相にもお願いしているんですね、せっぱ詰まって。

 ですから、高市大臣、是非実態を、中を見ていただいて、本当に必要があれば拡充する、そして新たな施設をつくるようなことも検討するということでちょっと答弁いただきたいんです。まず、総理、答弁してください。

高市内閣総理大臣 ちょっとその事実は確認できなかったんですが、厚生労働省に答弁をさせてよろしいでしょうか。若しくは、しっかりと、まずは調べさせます、実際に収納スペースがあるのかないのか、実際にお断りをしているのかどうか。貴重な資料でございますので、これをちゃんと保管できるような環境をつくるために、まず調べさせてください。

長妻委員 分かりました。まず、手順を踏んで、では調べていただいて、そして、こういう研究者にも話を聞いて。これは相当深刻です。いろいろな研究を中国などはしていますので、さきの日中戦争などでですね。是非お願いをします。

 そして、もう一つは、斎藤隆夫代議士の戦前の反軍演説、御存じだと思うんですけれども、その議事録復活ということで、石破内閣で少し前に進んだわけでございます。この議場にも斎藤隆夫の地元の議員もおられると思いますけれども。

 今、高市内閣になってその議事録復活が止まっているんですけれども、是非、自民党総裁として、議事録復活の議論、前向きに進めるというふうにおっしゃっていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

高市内閣総理大臣 自民党総裁としてということなんですが、立法府における議事録の扱いについては、ちょっと内閣総理大臣としてコメントすることは差し控えさせてください。

 政府としては、悲惨な戦争の教訓を風化させず、世界の平和と繁栄に貢献していくという決意には変わりはございません。また、我が国の戦争の歴史というのは、こうした戦争への反省を行動で示してきていると考えております。

長妻委員 これは議長の下に設置されている議会制度協議会というところが所掌らしいんですけれども、ちょっと自民党の方が預かっている段階なので、是非、総裁として前向きな御答弁というのはできませんか。

高市内閣総理大臣 ちょっと、自民党の誰が預かっているのか、まだ私は報告を受けておりません。大変申し訳ございません。

長妻委員 じゃ、高市総裁が止めているということではないというふうに理解しましたので、そうしたら、是非確認をして、そのまま、前の流れをそのまま進めるというようなことで是非お願いします。

 そして、もう一点気になるのが、この前、代表質問で高市総理もおっしゃいましたけれども、防衛国債。未定とはおっしゃいましたけれども、例えば報道などでは、高市首相が防衛国債に含みというような報道もありました。これは、新しい財源調達について前向きに考えるというところを受けたのかもしれませんけれども、防衛国債というのを認めるということは私はあってはならないと思います。

 戦後八十年、反省ということで、これは政府のポスター、戦中、戦前のポスターですけれども、「胸に愛国 手に国債 支那事変国債」ですね。これが、だだだというのがあるわけですが、「勝利だ 戦費だ 国債だ」ということで「大東亜戦争国債」、大蔵省とかですね。そして、「一億が債券買って総進軍」ということ、こういうような、「支那事変国債」ということであるわけです。

 結局、防衛費については赤字国債は認められないというようなことが、建設国債も認められないということが昭和二十二年に決まって、当時の大蔵省の答弁というか話では、その狙いは、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定だ、公債のないところに戦争はないと断言し得るということで、そういう教訓に基づいて、借金で防衛費はしないというようなことが決まったわけであります。

 ただ、二〇二三年度予算から、初めて戦後、建設国債に防衛費を入れるようになっちゃったんですね、ほんの一部なんですけれども。ただ、防衛国債というのを大々的に認めるということは私は決してあってはならないと思うんですが、まさかこれはやらないでしょうね。

高市内閣総理大臣 防衛国債という名前にすると申し上げているわけではございません。

 過去に安倍晋三総理も、防衛費というのは、それは消耗するというものではなくて、祖国を子孫に残すための投資、大切な費用であるということをおっしゃっていました。

 私自身が、国防ですとか、それからやはり危機管理投資ということを申し上げていますけれども、未来にちゃんと安全な国を残す、そして成長する国を残す、そのための新たな財源調達の手法というものを考えているというのは事実でございます。ただ、防衛国債をつくるということは申し上げておりません。

 それから、財政法第四条ですが、あくまでも健全財政のための財政処理の原則を規定したものでございます。戦争危険の防止そのものがこの第四条の立法趣旨ではございません。

長妻委員 ただ、その立法をつかさどった当時の大蔵省主計局の課長がそういうふうにおっしゃっておられますし、大蔵次官の小村さんも、財政法の健全財政主義の原則は、戦前の軍事費調達のための巨額の公債発行の反省が一つの契機であった、こういうふうにもおっしゃっておられるので、その歴史の教訓を是非踏まえた判断をしていただきたいと思います。

 次に、労働法制についてお伺いしますけれども、少し私が気になりましたのは、高市総理が代表質問の答弁で、残業代が減ったことで、生活費を稼ぐために無理をして慣れない副業をし、健康を損ねる方が出ることも心配しているとおっしゃったんですが、ちょっとこれは誤解があるのかなと思うんですね。

 今の労働法制の労働時間の上限でいうと、本人一人に対して、複数の会社で働いていても、それを合算して上限がかかるわけです。一つの会社でその方の上限、例えば、一か月百時間未満、複数月平均八十時間以内、これを超えたときに、ほかの会社へ行けばそれよりもっと働けるよということではないんですね。トータルで足し算して、一人の労働者が三つで働いていても二つで働いていてもということなので、これはちょっと誤解だということを申し上げた上で、安倍元総理が、労働法制は岩盤規制だ、こういうふうにおっしゃっておられて、私は岩盤を打ち破る、私のドリルからは無傷でいられませんということで、労働法制をどんどん緩めると。それが日本にとってプラスだという趣旨と私は受け取ったんですが、私はこれは間違っていると思うんですね。労働法制というのは、立場の異なる経営者、労働者、力関係が圧倒的に弱い労働者を守るためにこういう規制がきちっとかかっているということで、緩めれば緩めるほど働く人に不利になるというふうに思います。

 そういう意味では、高市総理は、労働法制は岩盤規制だ、これはくみしないというふうにおっしゃっていただきたいと思うんですが。

高市内閣総理大臣 先ほどの御指摘ですけれども、副業を行う労働者の労働時間管理については、企業は、自らの事業所における労働時間と労働者からの自己申告によって把握した他の企業における労働時間を通算して時間外労働の上限規制の範囲内となるように労働時間を管理する必要があるというのは事実なんですが、必ずしも適切に自己申告されておらず、本業先に副業していることを知らせている労働者のうちに実際に労働時間を申告している労働者が約二五%ということです。

 だから、やはり私は、生活費を稼ぐために本業と異なる慣れない仕事で健康を損ねる、そして、申告をしておられない方が多いということをとても心配をしております。会社によっては、時間外労働を上限規制以下の一定の水準で抑制しております。その結果、更に生活費を稼ぐために、本業先に伝えずに副業を行う方もおられると考えています。

 そういうことも考えながら、私自身は、あくまでも健康第一、そして、やはり本人の選択、これを前提にして、労働時間については一度検討してほしいということを申し上げております。私自身も、過労死に至るような残業をよしとはしておりません。

 働き方改革関連法の施行から五年以上経過したことを踏まえて、今、厚生労働省の審議会においても議論が行われております。(長妻委員「ですから、労働法制は岩盤規制か」と呼ぶ)労働法制が岩盤規制か。いや、でも、これはやはり、職種がどう増えていくか、技術の変化、そういったことに応じて、労働者の方々のニーズですとか働き方の実態、これをちゃんと見極めて検討を進めていくべきものだと考えております。

長妻委員 前段の答弁、ちょっと私はおかしいと思うんですよね。

 つまり、黙って、申告せずに、本来は把握するということなので、これはもう、それはちゃんと言ってほしいというようなこと、企業も把握すべきというふうに、やはりそういう方向に広報などをしなきゃいけないと思いますし、ちょっとそれが、黙っていればできるから、どんどんそういうふうになる、それを推奨というか、そういう御発言というのは私はよくないというふうに思います。

 あるいは、残業の割増し率というのも、先進国に比べて日本は余り高くないんですよ。あとはIT化も遅れていますから、そういういろいろな要因があるので、働く人が一か月百時間、これは過労死ラインですからね、それ以上働くというふうになると、たがを外すと、私は大変なことになると。既にもうそれが上限ですから。さっき、過労死のないというふうにおっしゃいましたけれども、今がぎりぎりなんです。百でも私は高いというふうには思うんですが、それはそれで今それを実施しているわけですから、是非お考えを改めていただきたいというふうに思います。

 そして、次に、政治と金の問題が余り今言われなくなりましたけれども、私は、今、日本の政治の最大の問題の一つがこれだと思うんですね。

 どういうことかというと、国民の皆さんが、物価高の中、大変な思いをして税金や社会保険料を払っていただいていますが、その金がどうしても、今の日本では、政治のパーティー券がよく売れるところや企業・団体献金がよく集まるところに重点的に使われかねないような、そういう状況になっていると私は本当に思うんです。

 逆に、そういうお金をなかなか提供できないようなところ、例えば高額療養医療制度を利用される方々、末期がんとか難病の方々は、なかなかそういう提供ができないところが狙われてしまったり、訪問介護事業所もお給料がどんと下げられて、倒産が過去最多になっている。ここも余りそういうような、政治家に対して資金提供はなかなかできません、かつかつでやっていますから。少子化対策についても、なかなかこれまで予算がつかなかった。なかなか金が集まらない。こういう大きな弊害があると思うんですね。どんな立派な政策を打ち出しても、金の力で予算がゆがめられていたら、これは絵に描いた餅になっちゃう。

 そこで一点、例えばの例でいうと、私は、特定の企業に税金をおまけする裏技がある、よくない裏技がある、これは租特というもの、租税特別措置だと思っているんです。その中でも研究開発税制というのは、政府税調でも、これは追い銭ではないかとか、効果がないということが出ているにもかかわらず、どんどんどんどん減税金額が伸びているわけであります。たった一社で八百億円、ぽんと年間、減税になっている企業もあります。しかも、企業名が一切非公開というようなことになっているんですね。

 これについて、是非この企業名を公表してほしい。公表したら、私は、企業・団体献金とかパーティー券をたくさん購入しているような企業がずらっと並ぶんじゃないかと思うので、いろいろな意味で抑止につながると思います。

 この租税特別措置、トータルで法人に対して二兆円を超える毎年毎年減税、穴が空いているわけですね。是非、この企業名の公表というのを前向きに高市大臣に御判断いただきたい。ちょっと企業・団体献金を含めて後ろ向きの答弁が多いので、やましいところがなければ、この租特を受けている企業名を公表する。ヨーロッパも公表しています。アメリカも州によっては公表していますので、是非お願いします。

高市内閣総理大臣 自民党と日本維新の会の連立合意においても、「租税特別措置及び高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止する。」と盛り込まれておりますので、まず、政府として租税特別措置の適正化を進めるよう関係大臣に指示しております。特に片山財務大臣が責任を持って全体を見てくださいます。

 この公表なんですけれども、個別企業の租税特別措置の適用状況を開示するということになりますと、企業がどういった分野でどの程度の規模の設備投資を行っているかといった経営戦略上の情報が明らかになり得ることから、こうした情報を国が一方的に明らかにするということは、当該企業に競争上の不利益が及ぶおそれがあります。そうした課題を上回る公益上の必要性があるかどうかといった観点も含めて検討する必要があると考えております。

長妻委員 これは前向きに検討していただけますかね。ヨーロッパは公表していますよ。

高市内閣総理大臣 租特の適用を受けている個別企業名の公表について、網羅的に他国の例を確認できているわけじゃないですけれども、EUでは、加盟国に一定額以上の租特の適用がある企業名の公表が義務づけられていて、アメリカでは、州政府から一定の税優遇を受けている企業名を公表しているということも承知をしております。

 ただ、やはり、公益上の必要性があるかどうか、先ほど申し上げたような、競争上の不利益を生じかねないという、そういった課題を上回る公益上の必要性があるかどうかということはちゃんと考えなきゃいけないと思っております。

 その上で、租特の見直し、これについては、場合によっては廃止ということも合意書に入っておりますので、その中で検討をさせていただきます。

長妻委員 今、井坂委員がここにおられますが、井坂委員が今年質問した答弁を聞いて、私はびっくりしたんですね。研究開発税制、研究費を、企業の研究開発費を増やしてもらう、そういう企業に減税するというような趣旨ということなんですが、経産省の答弁では、政府全体としても、さっぱり増えたか減ったか分からない、減税を受けている企業が増えたのか減ったのか一切把握していないということなんですよ。全然効果とかを検証せずに、どんどんどんどん増額して続いているわけですね。

 補助金は、民主党政権のときに、補助金を受けている企業名は非公表だったんですが、我々が頑張って公開しました。全部企業名を公表しています。ただ、租特については時間切れで公表できなかったんですが。

 是非、企業名と減税額だけでいいんですよ、中身の秘密なんかは別に知る必要はないですから。私は、そういうふうに公表したら、企業・団体献金とかパーティー券の購入をたくさんしている企業がずらっと並ぶと思うんですよ。国民の皆さんは分かると思うんですよ。これが金にゆがめられる政治なんだということで、企業・団体献金禁止という機運が私は盛り上がると思いますので、是非、高市大臣、よろしくお願いをいたします。

 そして、最後に、これは私もまたびっくりしたわけですが、今、大学病院が赤字で本当に大変な思いをされています。私も複数の大学病院から聞いて、ちょっと信じられない思いなんですが、赤字を埋めるために、中国まで行って、中国人の富裕層を勧誘して営業しているというんですね。どんどん大学に呼んでいる。大学病院の病室を改造して豪華個室をつくって、中国人の富裕層に来ていただいて、何とか経営にプラスになろうと。自由診療ですから、お金は取れるわけなので。

 そういうようなことで、私も何人かお伺いしましたけれども、本当は、土日も忙しくみんな働いているので、それに上乗せする仕事だからなかなかきついんだ、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。ですから、こういうことを大学病院に赤字を埋めるためにさせるということはいかがなものかなと。

 しかも、例えばダビンチとかヒノトリとか、術後が非常にいい先端医療、それを使った手術をすると術後がいいんですね。ただ、それをやればやるほど赤字が重なっていくわけです。積み重なっていく。だから、中国の富裕層にはそういう最新の設備で手術するけれども、日本人の患者さんには従来型の手術、そっちの方が利益は出るので、それになっているというようなこともおっしゃっておられて、これは大丈夫なのかなということなんです。

 これは高市内閣の判断で調査していただいたんですね、短期間でありましたけれども。ちょっとそれを発表していただければと思うんですが。

松本(洋)国務大臣 お答えをいたします。

 おっしゃるとおり、現実の問題といたしまして、各大学病院におきましては、物価や光熱費、人件費の上昇などによりまして、大変厳しい経営環境になっております。

 令和四年度までは、全大学病院の収支状況を見てみますと、赤字にはなっていない、全体の八十一病院の合計でなっていなかったわけでありますけれども、令和五年そして令和六年度と赤字が膨らみまして、現在、五百八億円となっているところであります。

 委員からもいろいろと御質問、御指摘を受けまして、文部科学省として、都内大学病院、十三大学病院に調査をいたしまして、八つの病院から回答を得たところであります。これによりますと、令和六年度の自由診療による外国籍患者数は、ある病院では六名、そして最大約五百五十名となっているところであります。

 その理由についても聞いているわけでありますけれども、外国人患者を受け入れる目的は、国際的な病院の信頼性向上を含め様々ありますが、実際に、その実施理由の中に、厳しい病院経営を踏まえ、病院の収入を増加させるためということが述べられていることも調査の結果明らかになっておりまして、やむを得ず自由診療の外国人患者を受け入れるということであれば、それは本来あるべき姿ではないというふうに考えております。

 このため、次期診療報酬改定におきましては、大学病院を始め高度急性期を担う病院への適切な評価が必要と考えており、厚生労働省とも連携を図ってまいります。

 また、大学病院は、診療だけではなくて、医師の養成や新たな医療の研究開発を行う場でもあります。これらの維持強化は大変重要と考えておりまして、今回の経済対策、補正予算においても、必要な支援が行えるよう取り組んでまいります。

長妻委員 これは配付資料にしておりますけれども、A大学は五百五十四人受け入れている、B大学は四百八十人、C大学は二百四十人、D大学は五十五人、E大学は六人。第一位はやはり中国の方ですね、富裕層。

 やはり聞きますと、先ほど申し上げたように、中国に行って営業しても、以前は来てくれたんだけれども、今はほかの国との争奪戦が激しいのでほかの国に取られてしまう。そういう過重労働をせざるを得ないような形で、今、大学病院はそういう状態になっておりますので、非常に本末転倒のことが起こっていますので、是非、高市大臣も、私も医療の無駄はあると思います、そこはきちっと削ることは必要ですけれども、増やすところはちゃんと増やす、めり張りをつけていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

枝野委員長 この際、中島克仁さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。中島克仁さん。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 貴重な質問の機会をいただきましたことに、同僚議員に感謝もいたしながら質問をさせていただきたいと思います。

 高市総理におかれましては、総理という大変な重責を担われ、心労もあるかと思います。

 聞くところによると、今日は未明、午前三時から官邸で答弁レクをされたと聞いておりますけれども、私、この後質問にも入れ込んでありますけれども、かかりつけ医機能を持つ家庭医という立場を踏まえて、大変僭越なんですけれども、高市総理には睡眠時間はしっかり取っていただいて、また栄養管理、恐らく、信頼できるかかりつけ医、後ほど時間があったらお聞きしたいと思うんですが、おられると思いますから、何でも早めに相談をしていただいて、体調管理には十分御留意をしていただきたい、そのことをまずお伝えをさせていただきたい。

 その上で、私からは大きく三点。まず一点目は、高額療養費制度見直しについて。そして二点目は、先ほど本庄委員からも質問がございましたが、経営逼迫する医療機関への緊急支援の在り方、また来年の診療報酬改定。三点目が、総理は攻めの予防医療とおっしゃっておりますが、関連して、我々が医療制度改革の一丁目一番地と位置づけている日本版家庭医制度との関連について。大きく三点について、厚生労働大臣もおられますが、基本的なことをお聞きしますので、是非総理のお言葉でお考えを明確に御答弁いただければと思います。

 高額療養費制度、患者自己負担引上げの議論は、今日テレビ入りでもございますので、少し簡単に振り返ってみたいと思いますが、高療費制度、これは医療における我が国の重要なセーフティーネットであって、がんや難病、関節リウマチやまた不妊治療、こういった患者さんが高額な治療を受けた場合、患者さんの負担が重くならないよう、年齢や年収に応じて一月当たりの医療費の自己負担に上限を設けているもので、がんや難病を抱える患者さん方にとっての命綱であります。

 その高療費制度上限引上げを、昨年十二月、ちょうど一年前になりますけれども、社会保障審議会医療保険部会で、たったの四回です、これで決定してしまった。この決定プロセスがずさんだったことに加え、その内容は、がんや難病を抱えながら子育てをし、仕事をする現役世代を直撃した。

 こういったことから、がん患者さん、難病患者さん始め、今日も全国がん団体協議会の天野理事長やJPAの皆さんも来られておられますけれども、そういった方々の本当に切実な声を受けて、石破前総理、当時の政権は、いわゆる政治判断、全面凍結という判断をされたということであります。再三の方針転換の末、今年の秋までに方針決定するということを明言しておりましたが、いまだ方針決定には至っていない。

 一方で、高市総理は、資料の三枚目にございます自民党総裁選の共同通信のアンケート調査において、高額療養費制度の患者負担上限額を引き上げるべきではない、医療保険制度改革全体の中で考える課題と、候補者五人のうち唯一、高療費の自己負担引上げについて回答されておられます。

 改めて総理に確認をいたしますが、総理就任後の今も、この回答どおり、お考えは変わらないということでよろしいでしょうか。

高市内閣総理大臣 高齢化ですとか高額薬剤の普及で医療費全体が年々増加する中で、高額療養費も医療費全体を上回るスピードで増加をしております。

 他方、先ほど関節リウマチという話がございましたが、私もその患者でございます。何とか薬剤で進行を止めているという状況でございます。高額療養費というのが患者の方々にとって大切なセーフティーネットであり、これを将来にわたって堅持していくということが必要だと考えております。現役世代の負担軽減という観点も考えなきゃいけません。

 ですから、応能負担の考え方も踏まえながら、高額療養費制度の在り方についても医療保険制度全体の中で検討していくということが必要です。ですから、見ていただいたアンケートの中でも、私は、医療保険制度全体の中で考える課題とお答えをいたしました。先日の本会議でも、そのような観点から答弁をさせていただいております。

 やはり、患者さんを含めて関係者の意見もしっかりお伺いしながら、療養費の在り方については検討を深めるべきものだと思っております。

中島委員 お考えは総裁選のアンケートのときと変わらないという御答弁だったと思います。

 一方で、上野厚生労働大臣は先日の記者会見で、この高療費の方針決定時期について、本年十二月と発言をされています。今、高市総理は、やはり社会保障全体の中で、慎重に丁寧に。専門委員会の四回目の会議でも、これはやはり社会保障制度改革全体の中で、最後のセーフティーネットである高療費をいかに位置づけるか。

 患者自己負担の引上げについて、結論は十二月などということはあり得ないと思いますが、総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 専門委員会ですとか審議会における議論では、高額療養費制度の在り方について、私がまさにアンケートでお答えしましたとおり、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論する必要があるという認識で一致していると聞いております。

 こうした点も含めて、患者の方々の経済的な負担が過度なものとならないように配慮をしながら、一方で、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から検討を進めていくというふうに聞いております。

中島委員 今の表現が、先日の我が党の野田佳彦代表の本会議代表質問での高市総理の答弁、今の答弁だったと思うんですが、応能負担、負担能力に応じてどのように分かち合うかという表現。

 これを受けて、今日も来ていらっしゃる全国がん患者団体連合会の天野理事長の下には、がん患者さん、また難病患者さんから、まだ上げるのか、いや、本当に上げるのか、上げられたらもう治療を受けられなくなってしまうなど切実な声が届いているんです。そして、今日もテレビで、固唾をのんで、総理がどういう考え方をしているか。総裁選のとき、患者の自己負担はやはり社会保障全体の中で検討していく。

 まさかとは思いますが、上野厚生労働大臣は、十二月に結論、方針を決定するとおっしゃっていますが、例えば、この高療費、多数回該当のはざまにあることであったり、付加給付は入っている保険によって上限が違うとか、様々、現行の制度でも、疾病構造の変化や治療方針の変化にちょっと対応し切れなくなっているところはあると思うんです。

 そういう見直しをすることはいいと思いますが、長引く物価高でただでさえ苦しんでいる方々、その方々に、しかも現役世代ですから、患者負担の上限はこの社会保障制度改革全体が進んだ上で検討する、まさか十二月に患者の負担上限を引き上げるということはないとここで明言をしていただきたいと思います。総理にお答えいただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 私のアンケートでございますけれども、先ほどから社会保障制度と表現されておりますが、医療保険制度全体の中で考えるべき課題であり、高額療養費だけの引上げで解決すべきものではないということで、高額療養費が患者の皆様にとって大切なセーフティーネットだという思いを伝えたものでございます。ですから、医療保険制度全体の中で考えるべきものであるということでございます。

 本年十二月ということでございますけれども、五月に患者団体の方にも参画いただく専門委員会を設置して、五回開催して御議論いただいて、社会保障審議会でも二回御議論をいただいているということでございます。患者団体の方々を始め保険者や医療関係者から複数回ヒアリングをして、制度を利用する患者の家計のモデルケースをお示しして、患者の実態について御議論いただくということで、丁寧に検討を進めてきているというふうに報告は受けております。

 こうした点も含めて、患者の方々の経済的な負担が過度なものにならないように配慮して、一方で、能力に応じてどう分かち合うかという観点から検討を進めていくということでございます。

 十二月云々ということについては、ちょっと厚生労働省から答弁をさせていただけないでしょうか。厚生労働省の審議会でございますので。

上野国務大臣 十二月という発言をさせていただきました。

 この趣旨は、前総理、石破総理のときに、秋までには結論を得たいというようなお話がありました。それにつきまして記者の方から問われましたので、今総理からお話があったとおり、全体的な改革の議論の中で高療費だけを取り出して先にということはなかなかいかないだろうということで、全体的な議論を今進めている中で、年内にはそれを取りまとめられるのではないかという、そうした観測の中で、十二月に差しかかるかもしれないというお話をさせていただきました。

 いずれにいたしましても、今総理から御答弁があったとおり、セーフティーネットとして非常に重要なものでもありますし、また、能力に応じてという観点もあろうかというふうに思いますので、そうしたものも踏まえて、しっかりとした結論が出るようにこれからも努めていきたいというふうに思います。

中島委員 取りまとめただけで患者負担の上限を一定程度引き上げるなどということは、絶対あってはいけませんよ。

 高市総理、慎重に検討されるということでありますから、今のように、取りまとめただけではなく、ほかにもやることはたくさんありますよ。例えば、リフィル処方。リフィル処方の利用率は〇・〇五%ですよ。こういった、医療費全体の中でまだまだ効率化できる部分があるんですから、そういうことをまず実践して、その上で、最後にこの高療費、患者負担の上限の議論はしなければいけない。それが慎重かつ丁寧な議論だということですから。

 今厚生労働大臣がお答えになったように、取りまとめただけで、まだ実践もしていないのに高療費の上限だけ引き上げるなどということは絶対あってはなりませんので、総理、そこは、そんな拙速に上限引上げは行わないと是非明言をしていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますが、高額療養費制度は患者の皆様にとって大切なセーフティーネット機能であるということを繰り返し申し上げております。患者の方々の経済的な負担が過度なものにならないように配慮をするということでございます。

中島委員 今の現状では、私も、全がん連の方、JPAの方、そして、私は週末、外来に参画をしておりますから、実際に高療費を受けている患者さん、これは物価高がこれだけ長引いている状況の中で、生活も苦しいわけですから、加えて、突然訪れた難病を含む病魔に襲われた方々に、現状で上限の引上げは絶対に許されるものではないと思います。是非そのことは、総理御自身、私はより理解をされている総理だと思いますので、しっかり受け止めていただきたいと思います。

 その上で、この高療費制度の見直しに関しては、三月、四月、石破前政権の下で大きな社会的テーマともなりました。そんなさなかに、国会におきまして、高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟、これは超党派議連です。会長には武見敬三元厚生労働大臣、夏の参議院選挙を経て、今会長不在になっておりますが、自民党、公明党、そして立憲民主党も含めて様々な政党が参画をして、超党派議連、そこで私は事務局長を務めさせていただいております。

 今の総理の答弁も踏まえて、この超党派議連として総理に御提言を申し上げる、その準備もさせていただいておりますから、是非、拙速な議論、そして結論ありきのことは絶対にせず、我々の超党派の議員連盟の提言もしっかり受け止めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 提言書をおまとめいただいているということでございますので、しっかりと拝受をして、拝読いたします。しっかりと受け止めさせていただきます。

中島委員 今日、このテーマを、恐らく、先ほど言ったように、固唾をのんで見守っている患者さん方がおられるわけです。制度の持続性も大事でありますけれども、より困難な状況に置かれている方々が、上限が引き上げられて制度を利用できなくなるようなことになっては本末転倒ですからね。

 総理、今日の私の受け止めは、厚生労働大臣は十二月に結論をなどとおっしゃっていますけれども、今は全く、医療制度改革、社会保障制度改革取りまとめ以前に、何も実行されていませんので、これは慎重かつ丁寧に、十二月にはその上限引上げの結論は出さない、上限は引き上げないともう一度明言をしていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 医療制度改革全体の中でということを総裁選挙のときにも申し上げましたし、先ほど申し上げましたとおり、私も難病患者でございます。その病名を告げられたときには絶望的な思いになりました。つまり、一生この薬剤を打ち続ける、注射ですけれども、打ち続けなきゃいけないのか、しかも高いということで、相当絶望的な気持ちになりました。そういう患者の方々の苦しみや悩みやそのときの絶望感、そういったものはよくよく自分で分かっているつもりでございます。

 医療制度改革全体の中でしっかりと丁寧に考えていくという考え方には変わりはございません。

中島委員 総理の御自身の考えも含めて今御答弁いただきましたので、患者さん方、テレビで見ている方々も、今日の高市総理の言葉を信じて、今も不安にさいなまれておりますから、引き続き、超党派議連でも我が党としても、この進捗は、今の総理のお言葉をしっかり注視してまいりたいと思います。

 次の質問に入りますが、医療機関等への緊急支援及び来年度の診療報酬改定について質問をいたします。

 これは、令和五年度、令和六年度における病院、診療所の経常収支、赤字の推移、現状です。先ほど本庄議員もお話しされておりましたが、病院では経常収支の赤字割合が四一%から四九%、診療所でも二五・四%から三四・四%と、赤字経営の割合が増えています。経常利益も、無床診療所においても一部の診療所がもうかって平均を押し上げているという状況もうかがえるわけであります。

 こういった状況を踏まえて、この原因は、やはり長引く物価高。賃上げ、物価高によるコストアップの影響が見過ごせないほど高まっていて、見直し可能な経費の削減などが追いつかない長引くこの物価高騰、これが大きな要因となっています。

 私も医師として、先ほど言ったように地域の医療に参画をしていますが、一部の診療所を含めて、都市部を中心に効率的にやっているところもあるわけでありますけれども、やはり、地方に行くと、一人医師、一人看護師さん、しかも高齢化で引き継ぐ人材もいない、こういう状況を放置すると、本当に、これを機会にと言ったら変ですが、閉院してしまう、診療所を閉じちゃう、こういう状況が、もう今この年内にも起こりそうな状況であります。

 高市総理は、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしと所信でも述べられておりました。経営の改善及び従業者の処遇改善につながる補助金を措置とも述べられておりましたし、先ほど本庄議員との質疑でもそのようにありました。

 緊急支援を補正予算にと先ほど答弁されておりましたが、どのような規模で。対象は、先ほど診療所とおっしゃっておりましたけれども、ちょっと気になる答弁だったんです。診療所が含まれるということではないが、含まれないということではない。

 だから、緊急支援の対象が全ての診療所が含まれるということではないが、含まれないということではない。これはどっちなんですか。診療所も含まれる、緊急支援の対象に含まれるということでよろしいですか。

高市内閣総理大臣 まず、診療所の話からいたします。

 経営状況、これを見て考えなきゃいけません。全部、一〇〇%、例えば黒字のところまで含まれるということではないということでございます。ただ、現在、実情を見ますと、全国の医療機関は圧倒的に赤字が多いということ、それから介護施設の倒産は過去最高ということで、何とか命を守るために緊急で手を打たなきゃいけないと考えました。

 ですから、診療報酬の改定は、例えば診療報酬でしたら年末にありますけれども、実際には来年度に対応するということになると、もうこれは間に合わないので、今回の補正予算でしっかりと対応するということを決めました。これは、経済対策、補正予算に必要な施策を盛り込むということでございます。

 介護報酬、ちょっとまだ先になりますが、これももう、これだけ介護施設が倒産しているということになると間に合わない。だから、今回の補正で措置すべく経済対策に盛り込むということを明言してきたわけでございます。

 ただ、補正予算の編成はこれからでございます。提出はもう少し先でございますので。施策の具体化にしっかりと取り組むという段階でございますので、補正予算を提出しましたら、しっかりと御説明をさせていただきます。今、補正予算案ができ上がっているわけではございません。ただ、しっかりとこれを盛り込む。必ず、医療機関そして介護施設がこれ以上倒産しないように、守るということを申し上げた段階でございますので。

 内容の詳細につきましては、あとしばらくお時間を下さいませ。

中島委員 これも、先ほど、私、地元での話もしたように、長引く物価高と人件費の高騰によって、本当に年内にももう閉院をしようと。そして、診療所、病院、地域の病院、大学病院も大変な状況であります。これがそれぞれの役割を果たして、地域包括ケアシステム、地域の医療を担っている、そういう状況から、もう一刻も早く緊急支援しなきゃいけない。その対象に、やはり、医療機関、病院、診療所、これは明確に組み込んでいただかなきゃいけないんです。

 今、ちょっと御答弁を聞いていると、黒字のところはと、この仕分をそんな短期間でできるのか、私、ちょっと疑問なんです。二四年の介護報酬改定で、訪問介護が、一部の介護事業所が収益を上げていることを基に、基本報酬を下げちゃったんです。基本報酬を下げちゃったことで、地方の訪問介護事業所は軒並み閉鎖してしまった。過去最高の閉鎖率になってしまった。それを見て、井坂議員がおられますが、我々は訪問介護緊急支援法を国民民主党と共同提出しています。それと同じ過ちを、そんなちまちまというか、根拠もなく、黒字のところはとか言っている場合じゃないと私は思うんです。

 今や、原疾患があったとすればそこから出血している状況ですから、まずはそれを止血しなきゃいけない。そのために、より迅速に、医療機関、病院、公的・公立病院も含みますけれども、診療所への緊急支援、加えて、来年の診療報酬改定は止血をした後の輸血ですから、輸血、これは満遍なく、しっかりとやっていただく、そのお約束をしていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 診療報酬や介護報酬に関しましては、賃上げとか物価高について適切に反映させます。現在、まだ胸の中にある話でございますけれども、過去二年分ぐらいの状況を見ながら、この賃上げや物価高、これを適切に反映させるということを考えております。

 ただ、今回の補正予算については、まだ今作業している、編成の指示を出して、経済対策の指示を出して補正予算に反映させるという段階でございますので、確定的に今申し上げるというわけにはまいりません。ただ、病院の倒産を防ぎたい、介護施設の倒産を防ぎたい、そのために診療報酬の改定を待たずに特別に補正で措置をしようということで今準備中でございますので、詳細については、もうしばらくお待ちください。

中島委員 では、赤字に苦しむというその区分け、どこで線引きするのか、私は今の答弁では全く分かりませんし、聞いている人も全く分からないと思います。

 是非、先ほど言った年内に行われると思われる補正予算で、止血目的の緊急支援は病院、診療所を含む、ここは明言していただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 病院、診療所を含めて対象でございます。

中島委員 これで、診療所、地方の診療所も、これは止血目的ですから。私は、構造的課題があることは十分承知しています。だからこそ、今のような表現をしたのは、流れ出る血、止血をして、その後に全身状態がよくなったら根治術、医療制度改革、これを段階式にやっていかなきゃいけない。今、出血している最中に根治術をしようとすると、そのさなかに致命的になってしまう。その処置を緊急で病院そして診療所へということで今明言をいただきましたので、よろしくお願いいたします。

 そして、診療報酬改定においては、来年が二年に一度の診療報酬改定になります。今、本体の部分について御答弁いただきましたが、一方で薬価ね。薬価に関しては、もう八期連続、中間年薬価改定をずっと続けている影響で、国内の製薬企業の体力が奪われて、海外の製薬企業は日本市場への不参入が常態化しています。供給不安が長期にわたって続いていて、来年度の診療報酬改定、本体、薬価ともアップとしないと、これは経済安全保障上の問題でもありますよ。

 コロナ禍に我が国、我が国国民の命を守るための治療薬もワクチンも製造できない、開発できないような、こういう状況に陥ってしまっていることを鑑みれば、その本質は、八期連続で薬価をマイナス改定した根源がありますから。

 来年の診療報酬改定、本体と薬価、やはりこれをプラス改定に持っていく、その決意を是非総理からお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 まず、診療報酬につきましては、物価、賃金を含めた社会経済の変化、医療機関の経営状況、現役世代の支払う社会保険料の動向も含めた医療保険制度の持続可能性の観点を総合的に勘案しますけれども、医療については、先ほど申し上げましたとおり、今、深刻な医療機関の赤字の状況を見ながら、過去も含めた物価、人件費の高騰を見ながらしっかりとした改定にしたいと思っております。

 薬価についてですが、市場実勢価格を反映した国民負担の抑制ですとか、革新的な新薬の開発力の強化、それから安定供給の確保、これはまさにおっしゃった経済安全保障の話ですが、こういった要請に応える観点で改定する必要があると考えております。

中島委員 そういう観点でお願いしたいと思うんですが、先ほど言ったように、地域医療も製薬分野においても、我が国は少子高齢化、人口減少とかつてない厳しい時代を迎えた中で、世界に冠たるこの国民皆保険をどう維持していくか、これはもう本当に綱渡りになる、だからこそ政治の手腕が問われるんだと思うんですが、新たに連立与党となった日本維新の会との連立合意の中で、病床十一万床削減やOTC類似薬への保険給付適用見直し等による医療費削減を一つの文書としてなされています。

 これらの医療費削減のための措置と、今まで高市総理が自民党総裁選でも掲げた地域医療、福祉の持続、安定や、代表質問でも答弁し、今日もお答えになっておられましたが、地域医療を支えるためには高齢化に対応した医療体制の再構築とは、両立は本当に難しい。難しいと思うんです。

 財源を含めて、日本維新の会との連立合意の内容と、今、高市総理が、地域医療、また高額療養費、そういった患者さんたちの期待に応えるためのバランスをどのように実現していくのか、総理に御答弁いただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 これは、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しなどを通じた効率的で質の高い医療の実現について検討を進める、新たな地域医療構想の策定や地域の実情に応じた病床数の適正化、医師偏在の是正に向けた総合的な対策を講じていく、そしてまた電子カルテ等を含めた電子化、そういったことによって効率化を進めていく。

 こういったことについては検討を進めていくと考えられますけれども、診療報酬につきましては、もうこれは賃上げ、物価高を適切に反映させなければなりません。報酬改定の時期を待たずに対応するということはお約束をいたしました。

 これは両立すると思います。私は、医療の効率化、これは例えば、電子化に関してかなり抵抗があった時期というのはございましたけれども、それでも、今、マイナンバーを活用して、電子化も進めながら効率化をしていく、そこによって随分省かれるコストというのはあると思いますので、私は両立はしていくと思っております。

 命を守るのが何よりも大事というこの考えは変わりません。

中島委員 ちょっと時間がないので、今の答弁はちょっと精査させていただきたい。

 日本維新の会との連立合意の中でやはり一番象徴的なのは、十一万床病床削減。これは、私、地域医療を維持する観点からいって、本当に実現できるのかなと本当に疑問に思います。

 病床削減十一万床、代表質問での答弁は、今後、地域医療構想に、検討してと言っていましたけれども、先ほど言った地域の医療の現状を考えれば、十一万床病床削減など私は到底困難だと思いますが、これも実現に向けてやられるんですか、総理。

高市内閣総理大臣 地域の実情に応じた病床数の適正化と私は申し上げてまいりました。

中島委員 同意書にサインされたのは高市総理でありますから、厚生労働大臣にも考えがあるとは思いますけれども、これは両立は非常に悩ましい、難しい課題だということは、是非総理にはしっかり受け止めていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので。

 攻めの予防医療と総理は所信でも述べられていました。私、大変うれしかったんです。これは、今パネルを出しておりますけれども、高市総理の言う攻めの予防医療、正直言って、どこが攻めなのかなと私は思っているんです。だって、がん検診陽性者の精密検査とか国民皆歯科健診、これは今でもやられていることだと思いますし、中身はどうなのかなと思っていたんですが、そのフレーズはうれしかったんですが、残念ながら中身が乏しいなということ。

 そして、上は、我々が掲げている日本版家庭医制度、これはまさに予防中心の医療を実現するものであります。これは、もうかかりつけ医という言葉は氾濫していますけれども、いまだ我が国には、かかりつけ医が何者なのか、何をしてくれる人なのか、全く定義がないんです。

 そんな中、我々は、患者さん、責任性、総合性、継続性を持った、いわゆるプライマリーケア機能を持つかかりつけ医を家庭医と位置づける。そして、登録制、質の担保のための認定制。そして、肝は、総合的に診る部分については包括報酬とする。

 そのことによって、総理は嫌かもしれませんが、もし私が総理のかかりつけ医だったとしたら、家庭医と言いますけれども、家庭医だったとしたら、私は総理が病気にならないようにするんです。病気にならないように、睡眠時間が足りないから寝てください、しっかり休んでください。そうやって、病人が増えないような、これを我が国の医療の根幹に据える立憲民主党の日本版家庭医制度、これこそが攻めの予防医療だと我々は考えていますが、総理、御見解をお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 私が申し上げている攻めの予防医療ですけれども、やはり疾病の予防や早期発見につながるということは大事だと思うんですね。

 がん検診などの充実、これは必要です。受けられない方も多いし、それから、再検査というお知らせがあっても、再検査されない、精密検査されないという方が多いというのも、後々医療費もかかりますし、御本人自体が一番やはりつらい治療を受けなきゃいけないので、これは何としても受診率や精密検査の受診率、これも上げていきたいと思っております。

 かかりつけ医でございますけれども、複数の慢性疾患、それから医療と介護の複合ニーズを有することが多くなってきたと思います。これはやはり高齢化の影響でございます。かかりつけ医機能の確保というのも大事ですし、私は、総合診療医の養成支援、これを進めていくことも重要だと考えております。

 少しおっしゃっている家庭医と違うのかもしれませんけれども、でも、かかりつけ医は必要だし、総合的な診療ができるお医者様というのも必要だなと、年を重ねてきてつくづく思っているところでございます。

中島委員 もう時間がないんですけれども、今お示しした我々の予防医療中心の医療制度改革、これによって、先ほど現場の話と政府の方針を確認しましたけれども、今我が国は少子高齢化、人口減少で、医療費を効率化しようとしている。でも、現場はせっせせっせと患者さんを呼び込む、それしか経営方針がないんですよ。だから、疾病構造の変化に応じた、フリーアクセスを十分担保しながら、患者さんがかかりつけ医、家庭医を選び、そして病気にならなかったら評価される仕組み、日本版家庭医制度を是非、高市総理にも御認識をいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 この際、池田真紀さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。池田真紀さん。

池田委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 早速質疑に入りたいと思います。熊問題です。

 私のいる北海道の熊はヒグマです。そして、アイヌ語ではキムンカムイ、山の神という意味で、いわゆる仕留めたときには熊送りという儀式をする。自然とともに共生してきたこの北海道でも、今の事態は本当に異常な事態なんです。

 そこで、総理にもお伺いしますが、御案内のとおり、北海道でも犠牲者が出ました。先日は日本郵便でも、集荷や配達、窓口業務を一時的に見合わせる、夕方以降は二輪車による配達業務を見合わせるという報道も承知しています。

 私もそうですが、熊の出没地域では、家を出るとき、そして子供たちの登下校、そして我々みんな、通学、通院ですよね、そして保育園の送り迎え、そして仕事をする人たち、先ほどの、新聞配達もそうですけれども、郵便屋さん、ヘルパーさん、コロナ禍同様の緊急事態。本当に毎日毎日おびえながら、そしてさらに、経済活動、日常活動も本当に縮小している、そんな状況なんですね。

 こういう状況を総理は御認識されているのか。総理の御認識をお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 今年は、特に北海道を含む東日本を中心に多くの地域で熊による人身被害が増大していて、また多様化して広域化しているという感じです。熊の被害による死者数は、政府が調査を開始した平成十八年以降過去最多でございます。本日まで十三名の方がお亡くなりになったと聞いております。

 これは国民の安全、安心を脅かす深刻な事態と受け止めておりますので、政府としても、対応のスピードと実効性を一層高めて、総力を挙げて対策を講じてまいります。

池田委員 総理、深刻な事態とおっしゃられました。まさに今の熊対策、関係閣僚会議ということで行われたということですが、一元的に行う体制になっているかどうか。そのトップは総理ということでよろしいですか。

高市内閣総理大臣 議長は官房長官でございます。

 関係閣僚として、新たに関係閣僚会議という形にしたんですね。これまでは、環境省、警察庁、農林水産省、国土交通省で、課長級、室長級の連絡会議で連絡調整が行われていました。でも、今年のこの深刻な事態を踏まえますと、やはり体制強化が必要ということで、官房長官を議長とする関係閣僚会議といたしました。新たに総務省、文部科学省、防衛省も関係省庁に追加をいたしました。

池田委員 総理が全責任を取っていくそのリーダーだということで確認をしたいと思うんです。その意気込みというか、覚悟ということ。総理がトップということでよろしいんですよね。

高市内閣総理大臣 組織的には議長は官房長官でございますが、この内閣の責任は全て私にございます。

池田委員 それでは、緊急パッケージがあるというふうに報道されたんですが、この緊急パッケージの策定中なんですけれども、いつこれができるのかということを伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 クマ被害対策施策パッケージですが、十一月中旬までに取りまとめるように指示しています。ただ、パッケージができるのを待つことなく、できる対応はもう既に開始をしております。

池田委員 開始できるということですけれども、まず中旬というのが非常に、もう少しスピードアップできないかなというふうに思うところなんです。今日、今にでも、本当に先ほどからどんどんSNSで出没通知が来る、こんな状況なんですよ。またいつ犠牲者が出るか分からない、多くの自治体でこういう状況になっているということなんです。

 立憲民主党では、こちらですけれども、提言を取りまとめて、十月二十八日にも農林水産省に提言書を提出をさせていただきました。そして、本日は環境省にも、提案といいますか提言と、そして要望をさせていただいております。とにかく一刻も早く、しっかりと、この危機的な状況で、大胆な対策を迅速に総理にはお願いしたいと思います。

 それでは、具体的にこのままお聞きしてまいりたいと思いますが、まずはハンターの確保です。国の支援体制について伺いたいと思います。この状況を教えていただけますでしょうか。

石原国務大臣 池田委員に回答させていただきます。

 銃器による熊の捕獲経験を有するハンターの数は、環境省が把握しているだけで全国で三千人程度であり、銃猟や熊の生態に精通する地域の猟友会の皆様など民間の方々に御尽力いただいているものと承知しております。

 地域住民の安全を確保するため命懸けで活動されているハンターの方々に、環境大臣として、この場で御礼と感謝の意を伝えたいと思います。

 他方で、ハンターの方々は、高齢化や減少が課題となっているのも認識しております。熊の捕獲が可能なハンターは地域による偏りがあり、また高齢化等による減少を踏まえ、いわゆるガバメントハントを含めた捕獲者の確保、育成をしていくことが重要であるというふうに考えております。

 また、委員が言われている捕獲単価について、各地域で実情に応じて設定されておりますけれども、政府としては、追加的な財政措置を含めて、自治体が必要なハンターを確保できるように支援を行い、人材の確保に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えています。

池田委員 ハンターの数が足りていないというのは、先ほどのグラフもあったんですけれども、そもそも死者数と捕獲数が、本当にグラフでしっかり示されているんですね。本当に一刻も早く十分な対策を行っていただきたいと思っております。

 続けてなんですけれども、そもそもの本業であるような、本業といいますか、熊撃ちの経験者、命懸けで行っている人たちの、自治体格差によるこういった手当の問題もありますが、応援体制といいますか、こういったところで報道があります警察の対応についてお伺いをしたいと思います。

 緊急銃猟とかで、今の発砲できる規制改正が十三日から施行というふうに伺っています。この改正によって、いつからどこに何人派遣されるのか、お伺いしたいと思います。

あかま国務大臣 池田委員にお答えいたします。

 先ほどお話が出ました関係閣僚会議における官房長官の指示を踏まえて、警察においてでございますけれども、市町村による緊急銃猟を引き続き協力をする、あわせて、警察官がライフル銃を使用して、人里に侵入してきた熊を駆除できるようにするため、まさに昨日、特殊銃に関する国家公安委員会規則を改正したところでございます。

 あわせて、特に被害の大きい岩手県及び秋田県、ここにおいて、昨日から他の都道府県警察から応援部隊を派遣をし、現地の猟友会と連携をし訓練等の準備等を進めて、十三日には熊の駆除を開始できる、そういう状態を構築することとしているというふうに承知をしております。

 さらに、もう少し具体的に申し上げると、派遣された応援部隊でございますけれども、これと地元県警察が合同で、ライフル銃携行の警察官を含む四名を一組といたしまして、岩手県、秋田県、それぞれの県において二組編成をして、地元市町村と連携し熊の駆除に当たることとしている、そういうふうに承知しております。

 熊による被害を防止するために取組を進めるよう、警察をしっかり指導してまいりたい、そう思います。

 以上です。

池田委員 とにかく、やっていただいているのは分かるんですけれども、非常に少ないなという印象を受けています。多くの出没地域もありますし、ハンターが不足しているのもあります。

 任務についてもですけれども、熊の性質を知らないと分からないという難しい、非常に危険な任務ということでありますけれども、そもそも、この任務を指揮するあかま国家公安委員長ですけれども、週刊誌によると、記者会見の後に記者が、東北の現場視察を検討しているのかというふうに問われたら、危ないから行かないよと。続けて、男性記者に熊みたいだねとおっしゃったそうですが、事実ですか。

あかま国務大臣 その週刊誌という記事でございますけれども、みんなで組んでそちらの現場に行くこと、これは、そういった現場に大勢で行くこと、必ずしも好ましい話じゃない、危ないよという話でございます。

 なお、人、相手記者を、その体躯であるとか雰囲気、アピアランスをもってそう表現したことは大変不適切だったというふうに理解して、大変申し訳ないと思っております。

池田委員 今、おっしゃったのは事実ということでよろしいですよね。

 そのことについてですけれども、その記者さんに対しては謝罪されたのかどうか分かりませんけれども、大変不適切というふうに思うんですね。言葉自体、撤回したらいかがですか。不謹慎です。

あかま国務大臣 もし誤解を招くようであれば、また、不適切な発言だったというふうに思って、それについてはしっかりと今後職務をもって対応してまいりたい、そう思います。

池田委員 撤回をしていただきたいと思いますが、もう一度確認です。

あかま国務大臣 不適切であった、表現において不適切さがあったというふうに思っておりますので、撤回させていただきたい。また、その不適切さをおわび申し上げたい、そう思います。

池田委員 ありがとうございます。

 危険な状態の中で、私も熊撃ちの方から伺っていますけれども、やはり警察官の今の状況とまた違う相手ですから、皆さん命を懸けて、そういう状況の中で人命を守る、こういう治安をやっているわけですから、そのリーダーとなる、指揮官である国家公安委員長には本当にしっかりやっていただきたいと思います。

 総理、こういったことがあったことは承知しておりますでしょうか。承知していたか、伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 今、本人の口から聞きましたので、承知いたしました。

池田委員 これは本当に一刻を争う事態ですから、是非しっかりとお願いしたい。

 今の認識をちょっと伺いたいです。今の状況をどう思いますか。総理の御見解。

高市内閣総理大臣 今のあかま大臣の発言でございますけれども、不適切だったと認めて撤回をされたということでございます。

池田委員 今、それはただの経過であって、総理のお考えを聞きたかったんですね。残念だったなとか、今みたいなことがあって不適切なことがあった、残念だったというような、総理として、もう一度気を引き締めてやっていただきたいということなんです。

 そういう受け止めをちゃんと持っていただけるか、総理にも伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 しっかりと、内閣、脇を締めてやってまいります。私自身も同じ思いでございます。

池田委員 先ほど話がありましたガバメントハンターについて伺いたいと思いますが、総理からもガバメントハンターについての御答弁をいただいております。

 そもそも、その答弁の内容なんですが、次の、これがいつ実行されるのかということでお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 既に自治体にガバメントハンターがいらっしゃるところもありますが、補正予算、これから組まれますけれども、その予算なんかも通じて可及的速やかに募っていきたいと思います。

池田委員 このパッケージもそうですし、今のことは補正予算に入るということでよろしいでしょうか。

石原国務大臣 今ちょっと発言があれだったんですが、補正予算に熊対策として確保しながら、その予算を使っていただけるようにしていきたいと思っています。

池田委員 とにかく大胆な、十分な予算をしっかりと組み込んでいただきたいというふうに思っています。

 自治体職員など、本当に緊急対応で連日疲弊をしている状況です。ヒグマに遭遇するかもしれないという恐怖の中で、休日昼夜問わず対応しています。自治体任せではなくて、とにかく国が責任を持ってやる覚悟が私は必要だと思っておりますので、予算がないからできないという、今、自治体格差が本当にあるんですよ。実際に、なり手もそうなんですよ。ですから、そんなことで国民の命を失うということは絶対にないように、強くお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、ラストになりますけれども、個体数の管理ももちろんですけれども、生態系に対する政策なんです。高市大臣の指示書によりますと、これらが入っていなかった。認識が薄いんじゃないかと思うんですけれども、総理の御認識を伺いたいと思うんですね。今の緊急対策ももちろんですけれども、全体的に何も入っていなかったんです。

高市内閣総理大臣 熊は我が国の生態系にとって重要な役割を果たしていますが、近年、個体数の増加や分布域の拡大によって人身被害が増大していると認識しております。

 人の生活圏に侵入した熊については、緊急銃猟等を通じて適切に駆除し、地域住民の皆様の安全、安心を確保していきます。これに加えまして、増え過ぎた熊に対しては、個体数管理をせず山に帰すというわけではなく、科学的なデータに基づいて、捕獲による個体数管理を強化して対応をしてまいります。

池田委員 個体数管理も、政府を挙げて、国でしっかり行っていくことを私も求めていきたいと思います。とにかく、中長期的なことももちろんですけれども、緊急対策ということで、とにかく命を守る、最善を尽くしていただきたいということを述べまして、私からの質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、黒岩宇洋さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。黒岩宇洋さん。

黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。

 まずは、遅ればせながら、高市総理、総理就任おめでとうございます。我が国で女性として初めてということもございますし、米国で女性大統領が誕生するよりも先に我が国の女性総理、よく言われますけれども、ガラスの天井を突き破るのが我が国の方が早かったというのは、私も本当に感慨深いと思っておりますので、これからの御活躍、期待をさせていただきます。

 そんな中で、冒頭、ちょっと総理には耳の痛いことをお聞きしなきゃいけないんですが、先ほどの議論の中でも、今朝、朝三時から、宿舎から公邸に移られてレクを受けたと。熱心な総理ならではなんですけれども。

 私、昨日九時頃に赤坂宿舎に帰ったら、そこにいた記者さんから、その三時からの総理のレクに向けて、これから、役所の職員は二時半には出勤する、待機しているということをお聞きしたんですね。これは、役所の職員だけじゃなくて、国会の警備とか衛視の方々、聞くところによると約百人ぐらいの規模の皆さんが待機している、出勤している。そう考えると、じゃ、何時頃に家を出たのかなと。一時とか一時半。中にはもちろん泊まられている方もいると思いますし、省庁の職員の中には、答弁を作成してそのまま徹夜の方もいらっしゃると思うんですよね。

 そう考えると、総理のこのレクという行動で大変多くの方に大きな影響を与えたということは事実だと私は思っているんです。それについて、総理の受け止めをこの場でお聞かせください。

高市内閣総理大臣 済みません、私は、これまで総務大臣や内閣府の特命担当大臣、そして現在は内閣総理大臣を務めておりますが、役所のレクチャーというのは受けておりません。答弁書をいただいて自分で読むということでございます。

 これまでは、例えば総務大臣だったときも内閣府の特命担当大臣だったときも、ファクス若しくはパソコンで受けて、宿舎で自分で読むということでございました。ただ、今回、急に総理になりましてから、衆議院宿舎のホームファクス、ついていますよね、部屋に。大体十枚ぐらいで紙が詰まるやつ、ジーとしか出てこない。あれしかまだ昨日の段階ではなくて、今日から予算委員会が始まるということで、答弁書を受け取るすべがございませんでした。一読もせずに委員会に臨むというわけにもいかず。

 私が昨日夜、夜間も、国会が、本会議が終わってから様々用務がございます。例えば昨日は国家安全保障会議が夕方にあったりしましたが、そういったものが全部終わった時点で、まだ役所の方も質問が取れていなくて、答弁書も全くできていないという状況でございましたので、私が持ち帰ることもできず、またファクスで受け取ることもできず、今回は、でき上がるぐらいの時間がおおむね三時頃だろうという話を受けまして、三時に公邸の方に行きました。官邸に行っちゃいますと、これはもう警護の方からたくさんの職員が出なきゃならなくなりますので、公邸の方に行きました。

 それでも、私がどんどんペン入れして直しちゃうものですから、それを手伝ってくれた秘書官、そして宿舎から公邸までついてきてくれたSPさんとドライバーの方には御迷惑をかけたと思っております。

 私は、基本的にレクチャーは受けません。職員を待機させてのレクチャーはずっとこれまでも受けてきませんでした。

黒岩委員 今のお話ですと、少なくとも、答弁書を受け取ったのは公邸で、そこに何人いらっしゃったかは知りませんけれども、職員の方はやはり公邸に三時には、実際には今私が申し上げたように二時半には待機して、それは総理を一分でも待たせるわけにはいきませんので、そういったことで、多分徹夜で向かわれたんだと思います。今おっしゃったように、SPの方も含め、これは官邸じゃなくて公邸でも、当然国会の職員の方が動いているわけですから、それについて申し訳なかったということは分かりましたけれども。

 それで、これは一点、総理にお願いしたいんですけれども、赤宿に今、宿舎に住まわれている総理の場合、やはり公邸に一刻も早く入ってほしい。それは、今言った時間管理のこともありますが、それ以上に危機管理の観点から、やはり公邸に入られた方がよろしいと我々野党の立場でもおっしゃっていたんですけれども、今申し上げたとおり、是非一日でも早く公邸にお住まいになっていただきたい。このことについてお答えください。

高市内閣総理大臣 就任早々からずっと海外が長くございまして、そのまま本会議、衆参の本会議に突入して、昨日まで参議院の本会議で、今日から予算委員会ということで、また、これらが終わりましたらG20で、お許しが出たら南アフリカに行かなければなりません。それらの一連の日程が落ち着きましたら、何とか引っ越しをしたいと思っております。女性の場合、どうしても洋服とアクセサリー等いろいろなものをセットした上で引っ越すので、今、荷造りの暇がないどころか、睡眠時間もほとんど取れていないような状況で仕事をしていますので、どうかそこは御理解ください。できるだけ早く引っ越します。

黒岩委員 できるだけ速やかにということですね。総理の健康のことも考えて、それをお勧めいたします。

 私、今日は、最初に議員定数の削減についてお聞きしたいと思っております。

 これは、にわかに注目を浴びたというか、急遽、維新さんとの連立の話が出てきたときに、維新さんはこれまで二つのことをおっしゃっていました。社会保険料の削減、そしてもう一つは副首都構想。そこに、維新の会の一丁目一番地である議員定数の削減だと。

 連立合意される前に、私も発言を聞いていましたけれども、吉村代表は、臨時国会で成立させる、これは絶対条件だとはっきりとおっしゃっていたんですよね。ただ、今回の連立合意を見ると、臨時国会に提出し、成立を目指すと、ちょっとトーンダウンしているんですよね。永田町ですと、目指すというのは実際にはやらないというような、そんな評価もあるわけです。ただ、逆に、先ほど申し上げた副首都構想については、令和八年度の常会で成立させると記入してあります。

 じゃ、この違いは一体何なのかということと、そして、今申し上げたように、にわかに沸き起こった維新としての、連立、今まで二つ言っていたんですけれども、この一つを持ち上げた議員定数削減について、総理は所信表明で一切お触れになりませんでした。この理由と、二点についてお答えいただけますでしょうか。

高市内閣総理大臣 済みません、国会議員定数の在り方につきましては、議員立法ということで、これは国会の方で御議論いただくべきことでありますので、内閣総理大臣としての所信表明では触れておりません。

 定数削減についてどう思うかということですかね。(黒岩委員「いやいや、合意書で書きぶりに違いがあるので、副首都構想と」と呼ぶ)

 一行ずつ私も作成に携わり、今、ごめんなさい、合意書を持っていません、持っておりませんけれども……

枝野委員長 もう一回質問してください。言葉、表現の違いを質問で言い分けて。

黒岩委員 連立合意書では、片や副首都構想については、令和八年の通常国会で成立させるという表現になっています。そして、定数削減については、この令和七年の臨時国会において法案を提出し、成立を目指すとなっています。

 成立すると成立を目指すというのは、我々からすれば雲泥の差でありますので、何でこの違いが生じたのか。これは少なくとも高市総裁と吉村そして藤田共同代表との署名入りの連立合意書でありますので、しかも、申し上げた三つの絶対条件のうちの一つですから、るるある合意書の全ての部分と同じというわけでは私はないと思っています。この大きな違いについて、どうしてこうなったのか、総理、分かるように御説明ください。

高市内閣総理大臣 成立させると成立を目指すが違うということなんですが、ただ、これは、もうあえて自民党総裁として申し上げますと、公党間で作った合意書でございますので、まず、議員立法案は提出しなきゃいけない。今、少数与党でございますから、必ず成立するかどうかは分かりませんが、ただ、各党各会派にしっかりとこれは御議論をいただいて、その上で成立を目指すということになったと記憶をいたしております。

黒岩委員 高市総理、総理ほどの議員経験があればお分かりだと思いますが、これほど大きな連立の合意書じゃなくても、我々はしょっちゅう法案に対して、例えば継続審議にするときに、ある条件、そういった文書を交わします。目指すというのは、今申し上げたとおり、やらないかもねと。検討する、これになるとほぼ間違いなくやらない。これが我々の認識ですよ。ですから、成立させると書くのと目指すと書くのの違いぐらい分からないわけはないと思います。

 この違いがなぜ生まれたのか、正直にお答えください。

高市内閣総理大臣 私にとっては、成立を目指すも成立させるも考え方は同じです。合意書ですから、政策を提示して、そこに書くわけです。

 ただ、この臨時国会でということには日本維新の会がこだわっておられました。臨時国会というと、延長をするしないは私が触れるべきことではない、国会の運営のことでございますから、言えませんけれども、そんなにすごく長い、例えば百五十日間とか、そういう国会ではないということになりますと、しかも少数与党でございますから、そういう意味で、目指すという表現ぶりになったんだと思います。

黒岩委員 それはやはり論理矛盾だと思いますね。令和八年になったらいきなり多数与党になるわけではありませんから。副首都構想については、成立させると書いてあるわけです。

 ですので、総理、改めてお聞きしますけれども、総理は、じゃ、合意書は、目指すと成立させるは一緒だとおっしゃるんだったら、それは臨時国会で議員定数削減を成立させるという強い意思である、そういう理解でよろしいですね。(発言する者あり)

枝野委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

枝野委員長 速記を起こしてください。

 内閣総理大臣高市早苗さん。

高市内閣総理大臣 済みません、今、合意書の本文が手に入りました。

 この副首都の方ですけれども、いわゆる副首都構想なんですけれども、「令和七年臨時国会中に、両党による協議体を設置し、首都及び副首都の責務及び機能を整理した上で、早急に検討を行い、令和八年通常国会で法案を成立させる。」。これは、協議体をつくってしっかりと議論をして、それで検討を行って、来年の通常国会でございますから、ですから、これはかなり時間はある、来年の夏場まであるということです。少数与党ではありますけれども時間はあるということで、こういう書きぶり。

 定数に関しましては、これは臨時国会ということに日本維新の会もこだわっておられました。ですから、提出をする、そして成立を目指す。期間が短いということ、そしてまた、先に協議体というものをまだ立ち上げていなかったというようなこともある。

 そういう違いでございます。

黒岩委員 協議体でいうと、定数削減も来週協議体を立ち上げると報道ベースで出ていますし、多分そういうことだと思うんですが、今聞いた私の質問は、そのことではなく、総理は、成立させるも成立を目指すも同じだとおっしゃったわけですから、じゃ、維新さんがおっしゃるように、この臨時国会で定数削減を成立させるということでよろしいんですねと。

 また、裏の聞き方をしますけれども、成立ができない、しないということも、これは排除しないということでよろしいのか、お答えください。

高市内閣総理大臣 これはもう合意書に記載があるとおり、「一割を目標に衆議院議員定数を削減するため、令和七年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す。」ということに尽きます。だって、少数与党でございますし、協議体もこれから立ち上げるということでございますから、公党間の合意ですから、これは実現に向けて真摯に取り組まなきゃいけないことでございますけれども、ここに記載のあるとおりでございます。

黒岩委員 総理、時間が限られているので、私の聞いたことにきっちり真っ正面から答えてください。

 私が聞いているのは、では、成立をさせるという理解でいいのか、それとも、総理がおっしゃるように、少数与党だし分からないから、成立しない可能性もあるということでいいのか。この二つのうちの一つを選んでください。どっちかしかないわけですから。

高市内閣総理大臣 成立を目指すという文言に尽きるんですね。例えば、御党が全員で賛成してくださったら成立できますよ。だけれども、現実的に、少数与党ですから、一人ずつ一人ずつ丁寧に御説明しながら賛同者を募らなきゃならない、そういう状況でございます。

黒岩委員 私は、この一点にやはり、この連立合意書の、維新と、今おっしゃった、総裁でもある総理との間にかなり乖離とそごを感じます。連立合意書自体、今日の、医療とか様々な分野もあるんですけれども、総理は元々、医療だって、総裁選では、赤字病院や赤字の介護施設を緊急に支援するんだと。片や維新は、医療費四兆円削減と。これはまるっきり真逆なことを言っている。

 こういうことの一個一個のことを、私らはここでやはりちゃんと詰めていきたいんですよ。だから、今の答弁というのは物すごく後ろ向きで、いや、ある意味よろしいと思いますよ。そんな早急にこれだけの大きなことを、我々は以前、今代表の野田さんが総理のときに八十削減とまで言った流れもありますので、決して後ろ向きじゃないけれども、ただ、そんなに短時間でできるわけがないんだと。それについて総理がそう思うんだったら、私は真っ当な判断だと思っています。

 更に言いますと、総理、維新さんは、秋の臨時国会、これも吉村代表ははっきり言いましたよ、何度も言いますけれども。成立させる、これは絶対条件だと言っていますけれどもね。

 ただ、昨日、御党も含む、自民も維新も含む超党派の議連が衆議院議長のところに行って、衆議院議長の下の選挙制度に関する協議会でこのことを議論してほしい、さらには、今年行われた国勢調査の結果が分かる来年の春以降にこの協議体で結論を得るべしと。それに対して、この衆議院という立法府のトップである額賀議長は、当然そうすべきだとおっしゃっている。じゃ、もう一つ申しましょう。御党の鈴木幹事長も、この臨時国会で成立させるのは困難だとおっしゃっている。

 その中で、総理、総理は今言ったように、目指すも成立させるも一緒だ、臨時国会でと言うんですが、議長が、この臨時国会ではない、来年の春だとおっしゃっている。御党の幹事長も困難だと言っている。そんな中で、まだ臨時国会、目指すんですか。

高市内閣総理大臣 法案を提出するということです。そして成立を目指すとも書きました。でも、その時点では、議院運営委員会には議員定数に限定した組織というのはございませんでした。中選挙区制度なども含めて幅広く選挙制度を議論している、そういった会議体、有識者も参加する会議体はございましたけれども、議員定数に関するものというのはございませんでした。議長がそういったものを優先的に設置させるということを知ったのは恐らく昨日だったと思います。

 ですから、そうなると状況は変わるのかもしれませんけれども、中選挙区制度なども含めた選挙制度の在り方に関して、既に設置されている協議体においても、自民党と日本維新の会はそこでも積極的に発言していく、こういったことも確認をしております。選挙制度全体の中で考えていくという認識も一致しております。定数削減についてもこれは約束をしております。

 さらに、その手法として、今国会で提出はします。それは少数与党ですから分かりませんけれども、成立は目指します。でも、その後、実際に実行するまでということになると、ちょうど今年、国勢調査がありました。その人口動態について、来年の、正式な数値は秋ぐらいになりますよね、それらも見ながら、どこをどのように削減する、そういったことも詰めていきましょうね、合意書を作るときにはたしかそういう話もいたしました。

 ただ、ちょっと、院のことですので、国会で、議長がそういったものを議運につくられるということになると、それはそちらを尊重しなきゃいけないんじゃないかなと思いますので、少しこれは維新の皆様とも話をしてみたいと思います、その取扱いにつきましては。

黒岩委員 私は、総理に全くほぼ一〇〇パー同感なんですよ。おっしゃるとおりです。今の答弁で、だから、やはり議長のおっしゃる立法府の下での協議体に委ねる、おっしゃるとおり、やはり単に定数だけじゃなくて選挙制度もセットで考えましょうね、これは真っ当な、論理的な話ですよ。それも合意書のときに話で出ていたと。しかも、国勢調査を踏まえれば、春どころか、ともすれば精緻な数字が出る秋以降だと。全くそうだと思いますよ。

 そういう、今言ったように、協議体でという話の時点で、ほぼほぼ、我々が聞く限りは、秋の臨時国会での成立は正直極めて困難なんだろうなというか、そういった意思はそれほど総理は強くないんだろうなと。ただ、維新の会との乖離は指摘をさせていただきますが。

 私どもも、慌てて急に何か決めなきゃいけないんじゃなくて、総理も代表質問での答弁でも、これも本当に正当なことをおっしゃっています。できるだけ幅広い政党そして会派との理解を得て、そして慎重に議論を進めていくと。百点満点ですよ。だから、臨時国会で我々もどたばたしないでいいのかなと思って、私も安心をした次第です。(発言する者あり)そうですよ。今のある協議体ですから。立法府の下でということで、政治改革特別委員会だけで進める前に、やはりまずはこの下でしっかりと有識者も含めてということですから。ありがとうございました。

 では、もう時間をかなり食ったので、外国人政策ということで、今日も議論がありましたけれども、私は一応、不肖ながら立憲民主党の外国人政策の担当者ということなので、その立場で質問いたします。

 特に、最初、これは通告していますけれども、外国人による不動産取得規制。

 確かに、今、外国人の不動産取得によって不動産価格が上がっているんじゃないかとか、様々な不安の声があるということは承知しています。我々も、そういったことの不安にきっちりと応えて、まず、やはりなかなか現状が分からないということですので、実態把握をしていく。当然、総理もおっしゃっているように、それは排外主義と一線を画すどころか、みじんたりとも外国人差別があってはならない、こういう心構えで、今私どもは党で法案の準備をしているということを申し上げて。

 そんな中で、総理、これも総理の総裁選での公約では、外国人問題の司令塔を強化し、関連施策、土地取得規制の検討を強化しますと。その後、連立合意書では更に踏み込んで、令和八年通常国会で、外国人及び外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定する、これは成立でもなければ提出でもないんですけれども、策定すると。ただし、今申し上げたとおり、外国人及び外国法人による土地取得規制というところまで踏み込みました。

 では、質問します。外国人及び外国法人による土地取得規制をかけるおつもりですか。お答えください。

高市内閣総理大臣 外国人による不動産保有、この実態把握はまず進めなきゃいけませんし、土地取得等のルールの在り方も含めて、これは政府一体で総合的な検討を行うべきだと考えまして、新たな担当大臣として小野田さんに司令塔をお願いいたしました。

 土地取得規制をするべきかどうかということですが、これは平成二十三年のことでございますが、私は、自民党の中で、安全保障土地法案というものの骨子を作りました。そして、たくさんの皆様に参加をいただいて、当時野党でございましたけれども、議論を進めてまいりました。当時はまだ日本維新の会という名前ではなかったのですが、当時、維新の方々も同じように議員立法の案を作っておられて、条文案のすり合わせまでいたしました。

 ですから、そのときの問題意識としては、やはり、外国で国防動員法という法律ができてしまって、場合によっては、その国と事を交えたような場合には、その当該国の外国人が保有する資産も含めて、国防動員拠点、要は国防準備ですね、その拠点になるといったことの心配もあり、それからまた、国家情報法という法律もありますから、非常に機微な施設の周りで情報収集などを行われても困るというようなこともあり、そういった議員立法の案をすり合わせたことがございました。ですから、今回も同じような作業を議員立法として両党がやろうということでございます。検討をしようということでございます。

 政府としては、総合的な外国人政策、これは排外主義とは一線を画して、ちゃんと共生できるように、安全で安心に共生できるようにということで、別途組織をつくっております。

黒岩委員 総理の答弁を聞くと、本当に我々と全く同じ立ち位置なんですね。まずは実態把握と。今日、午前中の自民党委員の質問の中でGATSとかいった条約の話も出てきたぐらいですから、これはやはり外国人の土地、不動産取得ということですので、その実態把握はしますと。

 ただ、その先に、必要とあらば外国人の不動産取得に対して規制をかけるんだというこの方向性、お考えはおありなんですか。

高市内閣総理大臣 必要があればということでございます。その規制をかける可能性はございます。

 例えば、今、外国資本による土地買収というのは非常に活発になっていて、それでいろいろなところを開発していく。それから、重要施設の周辺の土地に関しては調査法がございますけれども、これは取得を制限するものではございません。だから、WTOのGATS協定、これで土地取引を日本は留保しておりませんので、そうしますと、憲法九十八条の二、これで国際法の方が国内法より上になっちゃいますから、なかなか現実的には難しいんですけれども、しかしながら、国際法に触れない形での規制の在り方、それは税制かもしれませんし、それからまた特別な届出であったり、チェックであったり、そういったものかもしれませんけれども、一定の歯止めというのはかける必要があると考えております。

黒岩委員 今総理がおっしゃっていただいたGATS、一般の方はちょっとまだ聞き慣れないかもしれませんが、これは一般的なサービスの、サービス協定に関する一般協定という、一つ大きな特徴というのは、サービスの提供に対して、外国人であろうが内国人、自国民であろうが差別しちゃ駄目よと、内国民待遇の義務がかかる。

 これは外務省の政府参考人に聞きますけれども、今総理は、規制をかける場合もある、難しいかもしれないと。そこでお聞きするのは、今申し上げたGATSも三十年ぐらいの歴史があります。全世界の何百か国が加盟して様々なやり取りがある中で、今言ったように自由に対する規制を、要は、結んだ条約の、元々ある約束を、これを、じゃ、修正しましょう、それも、今言った自由に関する規制の部分について、今まで約束している、今言ったように内外無差別、差別しませんと約束している我が国のように、この自由に対する規制に関して、約束、この表を修正しましょうと登録をお願いした例が過去三十年で全世界で何件あって、そのうち、実際にその修正が認められたのが何件で、その修正が認められた事例というのは一体どういうものなのかだけ、ちょっと端的に御説明ください。

茂木国務大臣 GATS、一九九五年にできまして三十年ですけれども、おっしゃられたような形の修正の交渉が行われたのは、たしか四件あって、実際に成立したのは一件でありますけれども、これはEUの拡大に伴うものであります。

 ただ、委員御案内のとおり、GATSですから、サービスを提供しなければこれには抵触しません。例えば、マンションを買う、自分が住む、こういう場合はそれには抵触しないし、様々な形で、抵触しない形での、GATSとは関係ない形の規制、これは十分あり得ると考えています。

黒岩委員 そもそも、我々も分かっているんですけれども、居住用というのはほとんど問題になっていないんですよね。居住しない中で、賃貸で貸すぐらいならば、これはある意味居住用かもしれません。ただ、実際に非居住で価格が高騰している、こういったものを転売すると、これはやはりサービスになりますので、GATSがかかるということも重々承知しております。

 そして、茂木大臣がお答えになっているとおり、今まで、登録したのも四例しかないんですよ。うち通ったのが一例。それも、今の大臣のお答えで分かったとおり、これは今言った内外無差別をやめるだとか新たにつけるとかじゃなくて、たまたまEUが二か国ぐらい拡大したものだから、拡大したことについて、各国はこれを認めてねという、ある意味非常に簡易なものなんですね。

 そう考えると、実際には、今言ったたったの一例でさえ、そういった非常に簡易なものであり、ともすれば手続的なものだと。そうしますと、やはりサービスに対して、我が国は今内外無差別だと言っている国が差別しましょうということが通るというのは、総理、こんなことはあり得るんですか。

高市内閣総理大臣 だから、平成二十三年から、議員立法案を書いたものの、外務省の方からこれは無理だと言われて、結局、取得そのものを制限するような形の法律案を国会に提出することができていないという状況でございます。

 ただ、諦めないというのも私の方針であります。すごくたくさんの国の了解を取らなきゃいけないし、確実に反対しそうな国もあります。でも、相手の国が日本人に土地取得を認めていない、そういう場合に限っては、これは取引を留保させてくれというような形で巻き込んでいく、そういった方法はあるのかなと思っています。相当困難なことは分かっております。

黒岩委員 私、だから、ちょっと懸念しているのは、総理は勇ましく見えて、立派に見えるから、先ほどの定数削減も合意書の中で、秋の臨時国会で成立させる、そうなんだと、そんな気が起こったり、外国人の土地取得規制をするんだと言うと、ああ、じゃ、やるんだと。でも、今言ったように実はかなり困難で、できるかできないかというと、そんな簡単じゃない。そういったことをやはり私どもは冷静に伝えなきゃいけないという。そこで、今この二つのことをお聞きしましたけれども。

 最後に、もう時間がないので、北朝鮮の拉致問題、十一月三日の国民大集会で総理は発言されました。総理就任、十月二十一日の直後に、日朝首脳会談をもう申し入れてあると。投げかけた、呼びかけたと。私もびっくりしました。もちろん私も、一刻も早い拉致被害者の帰国、これは願ってやまないですよ。それは本当にそう思っています。

 ただ、そんな中で、岸田総理の時代に、岸田総理は外務大臣をすごく長くやられた中で、いろいろなチャンネルで、岸田総理もかなり自信を持って、自分の直属の下にハイレベルな協議体を設けると言ったんですけれども、要するに、あと、無条件で日朝首脳会談をやりましょうと言ったんですね。無条件というのは、何を言われても日朝首脳会談をしますという意味ですよ。そうしたら、向こうから返ってきた条件というのは、これはこの十年ぐらいずっと突きつけられていますけれども、要は、もう拉致問題は解決済みだと認めなさいと。こんなことを認めて首脳会談をされては多分たまったものじゃないわけですよ、国民としても、家族会としても。

 そこで、総理、投げかけたというんですけれども、もちろん詳細なことはおっしゃれないということはあると思いますけれども、これは無条件で会う、そういった趣旨なのか。そして、今申し上げた、向こうから岸田総理に対して、これは当然岸田総理はのまなかったわけですよ、拉致問題は解決済みなんてのめないと言った途端に、金正恩総書記の妹である金与正氏が、もうこれで日本との接触も交渉も無視し拒否すると、最大限に強い言葉を言ってきたわけですね。ですから、仮に総理、今言った条件を突きつける蓋然性が非常に高いわけですけれども、拉致問題は解決済みで、そうじゃなければ日朝首脳会談はできないよと言われたら、どう対応されるんですか。

高市内閣総理大臣 北朝鮮に関しては、様々なルートを通じて様々な働きかけを行ってきておりますけれども、事柄の性質上、具体的にはお答えできません。また、今の仮定の質問にもお答えできません。

黒岩委員 私が今いささか驚いたというのは、やはり外交というのは基本的に継続性、組織性、そして戦略性が当然必要なわけですよ。

 総理の就任直後に投げかけたとおっしゃいますけれども、その翌週からは、トランプ大統領や、また李在明韓国大統領、そして習近平国家主席、当時の六か国協議、マルチの様々なチャンネルに入る首脳と会える、そこを土台としてもやはり私は探求していただきたかったんですけれども、その前に投げかけたというのは、多分、外務省も、聞いたら腰を抜かすぐらい驚いたと思いますよ。それでできるんならいいんだけれども。ただ、余りそんなことにとやかく言ってもしようがないので。

 そこで、私は、さっき申し上げたとおり、どうしても拉致被害者の一刻も早い救済を、帰国を願う者とすれば、やはり日朝首脳会談をどうしても開いていただきたい。ただ、今言ったようにかなりのハードルがある、それはもうはっきり、推察するところはそうだと思います。

 そんな中でも、総理、私はやはり言い切ってほしいんですね。日朝首脳会談、必ず開催するんだと是非言い切っていただきたい。お願いします。

高市内閣総理大臣 一連の外交日程の中でも、必ず、たくさんの国の首脳にこの拉致問題の話はしてまいりました。

 日朝首脳会談、これはもう、私は、自分の身がどうなってでもやりたいぐらいの覚悟を持っております。ただ、相手のあることでございますので、必ず相手がのむとかのまないとか、そういうことをここで申し上げるわけにはまいりません。たくさんの御家族をかえって傷つけることになります。でも、最善を尽くします。

黒岩委員 最善を尽くす、貴重な言葉だと思っています。

 ただ、私は、やはり総理の真骨頂というのは、先ほども総理は言いかけましたけれども、私は諦めないんだ、諦めずにやり切るんだと。そういう意味では、総裁になること自体だって、これも相手のあることですよ。自分がなりたい、なるでなれるわけじゃない。でも、諦めずに私はなるんだと。そういう意味では、外交であろうと、相手があろうと、一緒だと思うんですよね。

 だから、そういう意味では、私は、十一月三日に心を躍らせた人たちからすると、やはりちょっと後退したなという、そんな気がしていたとすれば私は残念だと思いますし、そうは思わせないように、これからの総理のこの問題に対しての、蛮勇を振るうという、そのぐらいの活躍を期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 今日はどうもありがとうございました。

枝野委員長 次回は、来る十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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