第7号 令和8年3月6日(金曜日)
令和八年三月六日(金曜日)午前九時十一分開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 勝俣 孝明君 理事 齋藤 健君
理事 笹川 博義君 理事 とかしきなおみ君
理事 鳩山 二郎君 理事 藤原 崇君
理事 長妻 昭君 理事 池下 卓君
理事 長友 慎治君
東 国幹君 安藤たかお君
石川 昭政君 石橋林太郎君
石原 正敬君 井出 庸生君
伊藤信太郎君 稲田 朋美君
井上 信治君 上野 宏史君
小田原 潔君 鬼木 誠君
加藤 鮎子君 神田 潤一君
北神 圭朗君 国定 勇人君
後藤 茂之君 小林 史明君
塩崎 彰久君 菅原 一秀君
鈴木 淳司君 平 将明君
高階恵美子君 武井 俊輔君
谷川 とむ君 土田 慎君
中山 泰秀君 西田 昭二君
西野 太亮君 野中 厚君
橋本 岳君 平沼正二郎君
深澤 陽一君 福原 淳嗣君
牧島かれん君 丸川 珠代君
三ッ林裕巳君 山田 美樹君
鷲尾英一郎君 渡辺 博道君
有田 芳生君 伊佐 進一君
國重 徹君 後藤 祐一君
中川 宏昌君 中野 洋昌君
野間 健君 山本 香苗君
東 徹君 うるま譲司君
住吉 寛紀君 横田 光弘君
臼木 秀剛君 日野紗里亜君
福田 徹君 村岡 敏英君
川 裕一郎君 豊田真由子君
なかやめぐ君 和田 政宗君
高山 聡史君 辰巳孝太郎君
畑野 君枝君
…………………………………
総務大臣 林 芳正君
法務大臣 平口 洋君
外務大臣 茂木 敏充君
財務大臣 片山さつき君
文部科学大臣 松本 洋平君
厚生労働大臣 上野賢一郎君
農林水産大臣 鈴木 憲和君
国土交通大臣 金子 恭之君
環境大臣 石原 宏高君
国務大臣
(デジタル大臣) 松本 尚君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当) あかま二郎君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 黄川田仁志君
国務大臣
(外国人との秩序ある共生社会推進担当)
(経済安全保障担当) 小野田紀美君
内閣府副大臣 鈴木 隼人君
財務副大臣 中谷 真一君
財務副大臣 舞立 昇治君
経済産業副大臣 井野 俊郎君
国土交通副大臣 酒井 庸行君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 清水 雄策君
政府参考人
(内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室室長代理)
(出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 殿木 文明君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 横山 征成君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山田 好孝君
政府参考人
(警察庁警備局長) 千代延晃平君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 飯田 健太君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 中村 英正君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 齊藤 馨君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 荻原 直彦君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 出口 和宏君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(法務省民事局長) 松井 信憲君
政府参考人
(公安調査庁次長) 霜田 仁君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 野村 恒成君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 渡邊 滋君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 三宅 浩史君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(外務省国際協力局長) 今福 孝男君
政府参考人
(文化庁次長) 日向 信和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房長) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 押切 光弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 堺田 輝也君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 山口 靖君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 長井 俊彦君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 小林 大樹君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 松本 平君
政府参考人
(水産庁長官) 藤田 仁司君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 竹田 憲君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総括審議官) 岡野まさ子君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 池光 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官) 平嶋 隆司君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 佐々木正士郎君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 宿本 尚吾君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 石原 大君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 新垣 慶太君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 宮澤 康一君
政府参考人
(観光庁次長) 木村 典央君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 関谷 毅史君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 堀上 勝君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 角倉 一郎君
参考人
(日本銀行副総裁) 氷見野良三君
予算委員会専門員 藤井 宏治君
―――――――――――――
委員の異動
三月六日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 鬼木 誠君
石原 正敬君 野中 厚君
塩崎 彰久君 土田 慎君
三ッ林裕巳君 安藤たかお君
山田 美樹君 武井 俊輔君
鷲尾英一郎君 国定 勇人君
伊佐 進一君 國重 徹君
中野 洋昌君 野間 健君
山本 香苗君 中川 宏昌君
うるま譲司君 住吉 寛紀君
福田 徹君 臼木 秀剛君
村岡 敏英君 日野紗里亜君
豊田真由子君 なかやめぐ君
和田 政宗君 川 裕一郎君
辰巳孝太郎君 畑野 君枝君
同日
辞任 補欠選任
安藤たかお君 高階恵美子君
鬼木 誠君 西野 太亮君
国定 勇人君 鷲尾英一郎君
武井 俊輔君 山田 美樹君
土田 慎君 塩崎 彰久君
野中 厚君 石原 正敬君
國重 徹君 伊佐 進一君
中川 宏昌君 有田 芳生君
野間 健君 中野 洋昌君
住吉 寛紀君 うるま譲司君
臼木 秀剛君 福田 徹君
日野紗里亜君 村岡 敏英君
川 裕一郎君 和田 政宗君
なかやめぐ君 豊田真由子君
畑野 君枝君 辰巳孝太郎君
同日
辞任 補欠選任
高階恵美子君 小林 史明君
西野 太亮君 深澤 陽一君
有田 芳生君 山本 香苗君
同日
辞任 補欠選任
小林 史明君 上野 宏史君
深澤 陽一君 東 国幹君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 平沼正二郎君
上野 宏史君 三ッ林裕巳君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 石橋林太郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和八年度一般会計予算
令和八年度特別会計予算
令和八年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○坂本委員長 これより会議を開きます。
令和八年度一般会計予算、令和八年度特別会計予算、令和八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑、特に省庁別審査を行います。
令和八年度総予算中、本日は、法務省、農林水産省及び国土交通省について審査を行います。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官清水雄策君外五十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。法務大臣平口洋君。
○平口国務大臣 令和八年度法務省所管等予算の概要を御説明申し上げます。
法務省関係の一般会計予算額の総額は、前年度当初予算額と比較して五百十三億六千六百万円の増額となる八千六百四十七億九千百万円であり、そのうち、人件費が五千六百九十六億七千二百万円と多くを占めております。また、デジタル庁所管の政府情報システム予算及び国土交通省所管の国際観光旅客税財源充当事業の予算を含んでおります。
令和八年度予算における重点項目は、以下のとおりでございます。
第一に、総合法律支援の充実強化、人権擁護活動の強化、民事基本法制の整備を含む国民の権利擁護に向けた取組として四百四十六億七千百万円、第二に、再犯防止対策の推進、犯罪対策の強化、公安調査庁の情報収集・分析能力の強化を含む安全、安心な国民生活の実現として二百四十億七千百万円、第三に、厳格かつ円滑な出入国審査の推進のための体制強化や、外国人材の適正かつ円滑な受入れのための体制整備を含む出入国及び外国人の在留の公正な管理の推進として四百八十九億三千三百万円、第四に、司法外交の戦略的推進、法務行政のDXの推進、法務省施設の整備を含む国際貢献の推進・時代に即した法務行政に向けた取組等として六百七十八億六千百万円を計上しております。
各施策をしっかりと進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 次に、農林水産大臣鈴木憲和君。
○鈴木国務大臣 令和八年度農林水産予算の概要を御説明いたします。
一般会計の農林水産予算の総額は二兆二千九百五十六億円であり、その内訳は、公共事業費が七千二十六億円、非公共事業費が一兆五千九百三十一億円です。
続いて、重点事項について御説明いたします。
農業については、農地の大区画化、共同利用施設の再編、集約、合理化、スマート農業技術の開発普及、輸出産地の育成に向け、農業構造転換集中対策を実施します。
また、米の安定供給、麦、大豆の本作化、合理的な価格形成、フードテックへの投資促進、地域計画の実現、農業生産基盤の整備、保全、農泊、農福連携等による農村振興、鳥獣被害防止、環境と調和の取れた食料システムの確立、多面的機能の発揮などに向けた施策を推進します。
森林、林業、木材産業については、森林の集積、集約化、スマート林業、JAS構造材、CLT等を活用した木造化、森林整備や治山対策などを推進します。
水産業については、資源の調査、評価、担い手の育成、確保、スマート水産業、海業の全国展開などを推進します。
以上で、令和八年度農林水産予算の概要の説明を終わります。
御審議のほどよろしくお願いいたします。
○坂本委員長 次に、国土交通大臣金子恭之君。
○金子国務大臣 国土交通省関係の令和八年度予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
一般会計予算の国費総額は六兆七百四十九億円です。うち、公共事業関係費は五兆二千九百五十億円、非公共事業費は七千七百九十八億円です。
このほか、復興庁の東日本大震災復興特別会計に三百四十八億円、財政投融資計画に一兆三千七百九億円を計上しております。
これらの予算により、国土交通省は三本柱で取組を進めてまいります。
第一に、国民の安全、安心の確保のため、危機管理投資等を進めながら、東日本大震災や能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧復興、それらの災害を踏まえた災害対応力の強化、埼玉県八潮市の道路陥没事故等を踏まえたインフラ老朽化対策の加速化を始め、防災・減災、国土強靱化の着実な推進、交通の安全、安心の確保、海上保安能力の強化等に取り組みます。
第二に、持続的な経済成長の実現のため、成長分野への投資を持続的に拡大し、観光立国に向けた取組の推進、賃上げにつながる人への投資、生産性の向上等に寄与する戦略的な社会資本整備、DX、GXの推進等に取り組みます。
第三に、個性を生かした地域づくりと持続可能で活力ある国づくりのため、二地域居住等の促進、交通空白の解消等に向けた地域交通のリデザインの全面展開等に取り組みます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○坂本委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○坂本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野中厚君。
○野中委員 自由民主党の野中厚でございます。
早速、質問に入らせていただきます。
まず、金子国交大臣に治水政策についてお伺いいたします。
私の地元は、昭和二十二年、カスリーン台風で利根川が決壊いたしました。その流れ出た水は、当時、東京の葛飾区まで到達したという記録がございます。二度と利根川を決壊させてはならない、その思いでスタートした事業が八ツ場ダムであります。
東の八ツ場、そして大臣の御地元、西の川辺、共に工事が難航した事業でありましたが、我々の地域は何とか工事が完成して、まさに湛水試験中に起こったのが令和元年台風十九号でありました。利根川本川が氾濫寸前になったというところでありましたが、八ツ場ダムが我々を守ってくれたということであります。
仮にカスリーン台風級の台風によって利根川が決壊した場合の被害額というのは、現在、推定で約三十四兆円と言われておりまして、令和元年台風も、利根川上流部においてはカスリーンと同量の雨量が降りました。まさに治水政策によって我々の生命財産を守ってくれた事例というふうに思っております。
そこで、首都圏を守るための、利根川、荒川を始めとする治水政策、治水対策について、大臣の御所見をお伺いいたします。
○金子国務大臣 同じ境遇にある野中委員にお答え申し上げます。
気候変動によりまして全国的に水害が激甚化、頻発化している中、再度災害防止対策や事前防災対策の推進は大変重要であり、先ほど委員から御紹介いただきましたが、東の八ツ場ダム、西の川辺川ダムと言われておりましたが、私の地元の球磨川においては、令和二年七月豪雨を受けまして、熊本県や流域市町村等と一体となって川辺川の流水型ダムを根幹とする流域治水を進めているところでございます。
御指摘のとおり、首都圏は、我が国の中枢機能が集中する社会経済活動の最重要拠点であり、何としても水災害による壊滅的な被害を防止することが必要であると考えております。
首都圏を流れる利根川、荒川流域においては、これまで、八ツ場ダムを始めとしたダム、遊水地、堤防の整備、河道掘削といった対策を進めてまいりましたが、引き続き、このようなハード対策を進めるとともに、今年度からは、さらに、既存ダムを最大限活用するための事前放流や、ダム間における治水、利水容量の再配分等によりまして、利根川上流域の洪水貯留機能を強化する取組を開始したところでございます。
加えて、東京都などと連携をしまして、住民一人一人が自ら避難行動をするためのマイ・タイムラインの普及促進を始めとした避難体制の強化などソフト対策も併せて進めており、ハード、ソフト両面からの治水対策を総動員し、首都圏の安全、安心の確保に努めてまいります。
今後とも、国土交通省が旗振り役となって、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を加速化、深化させてまいります。水災害に強い国土づくりに全力で取り組んでまいりますので、野中委員におきましても、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
○野中委員 治水政策は何も起こさないための事業で、一見地味に見えますが、大変、生命財産を守る大切な事業でありますので、気候変動に負けない治水対策をお願いしたいというふうに思います。
鈴木大臣、これから鈴木大臣のお時間でございます。
まず、米政策についてお伺いいたします。
需給のバランス、これは、価格は市場が決めるものですが、一般的に、需要が上がればまた価格が上がりますね、供給が変わらなければ。それで、その逆はまあ逆になるというところで。日本の環境、国内の環境は、人口が減少していく、高齢化が進んでいく、食の多様化、そういったことを勘案して、産地そしてまた生産者が数量を経営的感覚で設定してきた。それが、需給のバランス、結果、米価の安定を求めていたということになります。
しかし、私がイメージする需要と供給のバランスというのは、まず、需要も増やす努力をしていく。これは、米にもいろいろな米があって、輸出米、加工米、米粉、様々あります。そして、その需要に応じる供給力をつけなければいけない。それがすなわち生産性向上だというふうに思っております。そういう意味での需要と供給のバランスと私は考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
また、野中先生には自民党の農林部会長としていつも御指導いただいていること、感謝を申し上げたいと思います。
米政策につきましては、昨年四月に閣議決定をされた食料・農業・農村基本計画におきまして、二〇三〇年の生産目標を、二〇二三年比で七百九十一万トンから八百十八万トンに増大をすることとしております。
この目標に向けまして、委員御認識のとおり、まずは米の生産性を抜本的に向上させつつ、政府自らが輸出促進や米粉の消費拡大など国内外の需要を創出をし、米のマーケットの拡大を図るということが何よりも重要だというふうに考えております。
このため、昨年十二月に農林水産省内に設置をいたしました米の需要創造ワーキンググループにおいて、輸出を含め、米の新たな需要開拓を進めていくために、例えば、アメリカにおいては、現地ニーズに対応した冷凍おにぎりや冷凍おすしなどの米加工品の商流構築に向けた事業者との連携などの方策について検討しているところであります。
このような取組を通じて、米のマーケットに見合った形で、国内主食用、そして輸出用、米粉用など多様な米の増産を進めていくことで、国民の皆様への米の安定供給に取り組んでまいりたいというふうに思います。
○野中委員 そのための農業構造転換対策ということを、今確認をさせていただきました。
続いて、米価の高騰についてお伺いいたします。
私は、やはり、米価が高騰した入口の部分の原因というのは、高温障害による歩留りが悪くなったということと、作況指数が余りに現実と乖離した、これが原因だというふうに思っております。農水省の検証でもその二つは書いておりまして、その結果、余裕を持った需給見通しの作成、そして統計調査の精度向上といった対応は評価をいたしたいと思います。
そして、もう二つ載っていたのが、需要の部分でありますけれども、インバウンド需要の増加ということと、国民一人当たりの消費量が増えたということであります。仮に、インバウンド需要が増えたというのは、これは輸出の面においてもいい傾向かというふうに思っておりますが、何より、一人当たりの米の消費量が果たして増えたのかなと私は思っています。
そのようなデータはあるのかもしれませんが、一時的に小麦が高くなったときに置き換わったとか、あと、米がひょっとして不足し始めたんじゃないかということで、前もっていっぱい買っちゃおう、そういったマインドが働いたんじゃないかというふうに思っておりますが、この辺について検証はされているのか、お伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、昨年行いました米の安定供給等実現関係閣僚会議の検証におきましては、令和五年産、六年産の需要量はそれまでのマイナストレンドとは異なっており、需要の見通しと実績に乖離が生ずるとの結論となっております。この乖離が生じた主な要因といたしましては、今委員からお話のありましたインバウンド需要の増加に加えまして、精米歩留りの悪化、そして家計購入量の増加を挙げているところであります。
また、検証におきましては、大手の集荷業者や卸売業者を介さない多様な流通経路による取引量の多さ、これも明らかになったところでありまして、米の安定供給に向けては、より精度の高い需要見通しを示す上で、流通実態の把握も強化をするということが必要というふうに考えております。このため、加工、中食、外食事業者を届出対象に追加することや、集荷業者などの取扱数量の規模要件を引き下げて報告対象事業者を拡大することなどを検討しておりまして、今国会に食糧法改正案についても提出をさせていただければというふうに考えております。
○野中委員 多様な流通経路、その実態把握というのは、本当に、数値をしっかり把握することは政策にも重要だというふうに思っておりますので、これで、提出されるなら、食糧法の方でもしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。
続いて、鈴木大臣、一月に、ベルリン農業大臣会合を主たる目的として、ドイツ・ベルリン、そしてフランス・パリに出張に行かれたということであります。その際に、ドイツとフランスの現地資本のスーパーマーケットの責任者と日本米の取扱いについて意見を交わされたというふうに記事に載っておりました。私はすごく評価をさせていただきます。
私も副大臣時代、ベルリンもパリも行きました。その際にスーパーマーケットも行きましたが、あくまで市場調査、日本産のものがどういうふうに並べられているか、アジアとごちゃ混ぜになっているところもありましたし、どのような扱いを受けているのかなという、あくまで会議と会議の合間の時間を生かした視察だったんですけれども、大臣は踏み込んでトップセールスをされたということであります。
このトップセールスをされた意義と成果についてお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、日本産食品の輸出拡大に向けましては、本年一月にフランス及びドイツに出張させていただきました。その際に、現地の経営者や、現地系の大手スーパー、これはフランスやドイツではかなり上位に位置をする大きいスーパーの責任者の皆さんと、日本産米の取扱いの可能性やその条件などについて率直に意見交換をさせていただいたところであります。
高市総理からも、これは政府が前面に立って需要の開拓をやるんだという強い御指示をいただいておりますから、そういう面でこの度の出張となりましたが、この結果、現地系のスーパーの特におすしのコーナーにおきまして、試行的に日本産米に置き換える取組を進めていこうかといったような話合いがまずできたところであります。
今までは、なかなか大きいスーパーの責任者の方は、民間レベルで若しくは大使館レベルでコンタクトを取っても、会っていただくということにすら達しなかったというのが状況でありまして、そういう意味では一歩前に進むことができたのかなというふうに考えております。
現在、この話合いを踏まえまして、実現しないとこれは意味がありませんので、ジェトロ、JFOODO、在外公館を主な構成員とする輸出支援プラットフォームを通じて、試験販売等の取組ができないのか、現地系のスーパーと検討、調整を進めているところであります。できるだけ早く実現をさせたいというふうに考えております。
農林水産物、食品の輸出額、二〇三〇年五兆円目標の達成には、日系のみではなかなか難しくありまして、やはり現地系のスーパーやレストランなどの現地系商流の開拓が重要です。トップセールスを通じて、日本産食品、しっかりと販路拡大をさせていきたいというふうに思います。
○野中委員 この現地の販路開拓、何より重要であろうと思っております。そしてまた、この今回の行動というのを、鈴木大臣一人で終わらせることなく、政務三役、残り二役とも共有してもらいたいと思いますし、これから続くであろう輸出戦略においても、輸出・国際局を始め農水省で、いざというときはこういうカードがあるんだということを、政務があるんだということを共有してもらいたいというふうに思っております。
おとといですが、自民党の方で、高付加価値の輸出産品に取り組んでいる事業者、二事業者からヒアリングを行いました。一つの事業者は、青森リンゴを使って、十三年前は売上げ六百万だったのが、現在は三億を超えている、香港、台湾、ドバイ、シンガポールなど海外にも輸出しているという、これも本当に好事例でありました。
もう一つが、先ほど大臣が触れていただいた冷凍すしであります。たしか、その事業者がおっしゃっていたのは、日本の米は、海外の米に比べて、冷凍した後、解凍しても米が塊になってぼろぼろになりにくい、非常にいわゆる冷凍すしに適しているとおっしゃっておりました。
また、これから、グルテンフリーもあるし米粉の輸出戦略もあろうと思いますが、このすし、じゃ、どうやって現地の販路を開拓したかというと、たまたま飛び込んだフードショーで現地のディストリビューターの目に留まった、そこで協定を結んだということなんです。それで、その結果、じゃ、どうなったかというと、現地の販路を開拓して。そしてもう一つが、その企業は知らなかったというんですが、輸出規制ですね。いわゆる国で定める食品基準、衛生基準、そのほかに顧客が定める基準というのがあったらしいんですね。それはやはり現地のディストリビューターがいないと、知らなかったということであります。
ですので、これから輸出していく中で、現地ディストリビューター始め企業とのマッチングというのは重要だと思いますし、その地域地域で異なるルールがあると思うんです。そういったルールをいかに、国の方なり、ジェトロでも把握をして発信していく必要性があると思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
農林水産物、食品の輸出を拡大するためには、現地の小売が求める民間規格等に精通をした、今委員が御指摘の、海外のそれぞれの地域でのディストリビューターとの関係の構築が重要であるというふうに考えております。
このため、農林水産省では、十か国・地域、十六拠点において、在外公館、ジェトロ、JFOODOを主な構成員とする輸出支援プラットフォームを設けております。その中で、現地系小売における日本産品の販売促進イベントなどを開催し、国内の輸出事業者と海外ディストリビューターとの取引を促す、そして、海外ディストリビューターの国内招聘を行い、国内の輸出事業者と結びついていただく、また、カントリーレポートの中で、品目別に強みのある海外ディストリビューターなどを紹介するなどの取組を進めています。
こうした取組を通じて、海外ディストリビューターとの関係構築を進めることにより、日系のみならず、現地系スーパーやレストランなどの現地系商流の開拓を行ってまいりたいというふうに考えます。
やはり大事なことは、特に海外、私も何度もお邪魔をして、向こうのバイヤーさんとお話をするとよく分かるのは、個人と個人の関係を大変大切にされるなということを感じました。その上で、利益が出るのか出ないのかということが取引の条件に乗ってきますので。そういう人間関係の構築もやはり必要なのかなというふうに思っております。
○野中委員 今答弁の中で取り上げていただいたプロモーション活動ですけれども、やはり、輸出している事業者からも、一過性じゃなくて、それで、あと、どうしても、これは誰がいなくても並んでいる段階で日本産のものなんだと、分かりやすいプロモーション活動をしてもらいたいということと、あと、やはりスタートアップではプロモーション活動費に充てる予算というのがなかなかないので、農水省、国を挙げて、全体のうちの一つの企業でもいいので、そういったプロモーション活動もしてもらえたらいいなという要望があったことを申し添えたいというふうに思っております。
次に、フードテック、植物工場についてお伺いいたします。
昨年の十二月に、川崎市の植物工場に行ってまいりました。視察する前の植物工場のイメージというのは、やはり設備投資のイニシャルコストがかかるとか、光熱費も多分べらぼうなんだろうな、ランニングコストがかかるんだろうと。そして何より、私は知識がなかったものですから、そもそも成功した事例を聞いたことがない。最初、視察前は、果たしてどういう会社なんだろうなという思いで伺った記憶がございます。
実際、そこの企業は物づくりの魂を持った企業でありまして、見ますと、世界初の密閉型の栽培装置が設置されておりました、四十台。その企業いわく、千台あれば、様々な植物を同時並行に研究して、どのケースが正解かどうかというのを見分けることができる、そういったデータの蓄積をすることによって世界をリードできるとその企業はおっしゃっておりました。
何よりすごいなというのは、二十八の環境パラメーター、光量とか、温度、湿度、水温とか、一度違うだけで生産量が一〇%違う世界だそうでありますが、その二十八の環境パラメーターを個別に全て正確にコントロールできているという企業でありました。
実際、視察前はどんなものだろうと思ったんですが、視察をした後、正直わくわくしましたね。というのは、やはり、これから二〇五〇年、九十七億人、これから食料需給が一・七倍になっていく。そのための水はあるのか、土地はあるのかという課題がありますから、これは非常にいい挑戦ができるんじゃないかというふうに思いましたし、植物の成分を引き出すというこの研究は知財に入りますから、これも世界をリードできるチャンスがあるぞと。
そして何より、研究で得たデータ、成果というのは、植物工場の中で収まるだけじゃなくて、農業全般にとって有益であるということも感じました。そして何より、やはり人工の光は、土地利用型、米とか麦に関してはおてんとうさまには勝てない世界だというふうにも思った次第であります。
フードテック、高市総理が掲げられた十七の成長分野の一つであります。やはり民間のみに任せると、当然民間企業は収益優先に走りますので。これはチャンスと私は思っています、研究開発の段階、そしてまた、いずれ市場に出す量産の段階まで、フードテックは成長分野でありますので、是非国として国策レベルで支援をするべきと考えますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
委員が川崎市の企業に行っていただいたところでありますが、私も何度かお邪魔をして勉強させていただいたところであります。あそこで私が感じましたのは、技術的にも、考え方も、日本らしいものそのものが全て詰まっているなということを感じましたので、この分野はやはり、日本の物づくりの技術、そして細やかなところに手が届く私たちの考え方、そして、それを日本の品種としっかりとかけ合わせて世界へ食料が打って出られる時代になるのではないかという可能性を私も感じているところであります。
日本成長戦略本部において戦略分野の一つとして位置づけられているフードテックにつきまして、昨年末に私が座長となったワーキンググループを設置をいたしまして、植物工場などへの投資促進策を検討しているところであります。
植物工場については、気候変動の影響に左右されず、安定的な生産力を確保できるものである一方で、現時点では、光熱費等が大きく、商業栽培できる品目が限られるといった課題があるというふうに認識をしております。
ただ、将来、フュージョンエネルギーを始め様々なブレークスルーがあると思いますので、そうした時代に向けまして、これらの課題も解決をし、稼ぎの柱としていくため、植物工場の開発供給や工場運営を担う民間企業、栽培技術や品種開発等の植物工場に共通する課題の解決に向けた基盤技術の開発を行う農研機構、そして企業などの取組への支援や環境整備を行う農林水産省が連携をした取組を戦略的に進めることが必要というふうに考えております。
ワーキンググループでしっかりと議論させていただいて、勝ち筋をしっかり見極めた上で、戦略的な官民投資促進策、これを検討してまいりたいというふうに思います。
○野中委員 光熱料の問題、確かにあります。そしてまた栽培装置も、これは車に例えていましたね。最初の一台目を造るのは一億かかる、ただ、量産体制にすれば、それは一般的に何百万に落ちていくんだということで、是非また経過を見ていきたいというふうに思っております。
大臣が今お話をされた、農研機構との連携。
農研機構、本当に産官学のハブとなり得る機能なんですよ。ただ、一つ言うと、ぼろいんですよね。ぼろいと言っては失礼ですが、老朽化が著しいという、まさに産官学のハブに見合わない施設であります。中身は本当にしっかりしています。私が過去視察に行かせてもらった数年後に、実際にもう実装されたり、もう市場に出ているものも多々ありますので、これも重ねてになりますが、戦略分野の一つの流れとして、是非、ハブとなり得るこの農研機構の施設改修を始め支援をお願いしたいと思います。いかがお考えか、お聞かせください。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、農研機構の施設や設備の老朽化が進行していると承知しているところでございます。
農研機構は、我が国の農業研究の中核的機関であり、産官学連携によるスマート農業技術や新品種の開発などにおいてこれからも中心的な役割を果たすことが必要と考えております。
これらに対応するために、農業構造転換集中対策を含め、前年度比四割増の四十六億円の予算を計上し、全国五か所の各拠点につきまして、施設を集約化しつつ、機能強化を行う整備等に着手したところでございます。
今後とも、このような農研機構の役割を十分に果たせるように、必要な施設整備予算の確保に力を入れてまいりたいと考えております。
○野中委員 この施設改修を始め、老朽化については、私の記憶では、野党の先生も農水委員会で質問されていた記憶があります。ですから、これは与野党問わず共通の課題という認識を持っていることをお伝えしたいというふうに思います。
次に、節水型乾田直播についてお伺いいたします。
私は、やはり瑞穂の国というのは水田で育つ水稲が一番美しいというふうに思っております。ただ、やはり労働力が不足している中で、この直播というのは選択肢の一つだと思っております。
実際、私も数年前に農業体験を、最初の段階、種まきからさせてもらって、やはりスマート農業では届かないところというのは育苗のところはすごく多々あるなというふうに思いました。ですので、全部できないよりは多少でもできた方がいい、その選択肢が直播なら、私も理解をしております。
湛水直播、乾田直播、様々な手法がありますけれども、やはり一長一短あるから、なかなかそれ以上のブーストがかかっていなかったと思うんですよ。その中で、ここ最近、何か救世主が現れたかのように取り扱われている節水型乾田直播があります。私は、本当なのかなと正直眉唾に思っております。例えば、マイコス菌とかビール酵母をつけたことで、コーティングすれば水が少なくなる。これも、農家の方、本当かなと思っている方がいます。
やはり、まだ経過を見る必要があると思うんですね、経過を見る必要が。例えば、土壌も、ミネラル成分がどうなるのか、やはり数年は経過を見る必要があるというふうに思っております。そのための検証、研究をしていただくことを要望いたしますし、そして何より、そもそもで言えば、やはり水回り、水路の改修とか、あと圃場整備、いわゆるNNの方をまず優先すべきと考えますが、政府参考人、御意見をお聞かせください。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の節水型乾田直播でございますが、これは入水前の水田に播種し、入水回数を減らして栽培する技術であります。苗作り、代かき、田植の省略、水管理の省略化により大幅な低コスト化を図ろうとする技術でありますが、現時点では、雑草対策技術が未確立であることに加え、節水による稲の生育への影響も明らかでなく、生産現場では収量が不安定な状況にございます。このため、この節水型乾田直播は検証が必要な新技術であると理解しておりまして、導入推進段階にある技術ではないと認識してございます。
こうした中で、農水省では、節水型乾田直播技術に関して、令和七年度補正予算において研究予算を措置するとともに、令和八年度当初予算においては現場での実証確認のための予算を計上しております。まずはこの技術の研究、検証をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○野中委員 これはどの作物にも言えますが、全国共通ではないですし、また、気候以外に土壌の関係もあると思うので、是非、検証、研究をしていただきたいと思っております。
最後の質問に入らせていただきます。
昨今、御承知のとおりイランの情勢が緊迫化してきておりまして、国内の石油備蓄について報道が多々ありまして、国民の備蓄という意識が高まっている。
この石油備蓄については、エネルギー安全保障であります。我々が意識するのは、当然、エネルギー安全保障だけではなくて、食料安全保障であります。食料安全保障の一つは、政府備蓄米であります。本来百万トン必要であるところに対して、現状は三十二万トンしかありません。
有事の際、心配するのは自然災害であります。南海トラフのリスクもありますので、政府備蓄米を私は回復すべきというふうに思いますし、その際はやはり東西の偏在を……
○坂本委員長 時間が超過しておりますので、質問をおまとめください。
○野中委員 解消すべきと考えますが、お願いいたします。
○坂本委員長 農林水産大臣鈴木憲和君、簡潔な答弁をお願いします。
○鈴木国務大臣 まず、食料安全保障の観点から、この備蓄水準を百万トンにまで回復させることが必要でありますので、着実に、これは買戻しも含めまして、備蓄水準は回復させてまいりたいと思います。そして同時に、この備蓄の在り方については、リスク分散の観点も踏まえまして、しっかりと、これから民間備蓄もやってまいりますので、こうしたことも全て踏まえて、倉庫の在り方をどうすべきかということも検討させていただきたいというふうに思います。
○野中委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて野中君の質疑は終了いたしました。
次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。中道改革連合の國重徹です。
国際情勢が緊迫化をし、邦人保護、そして国民生活への影響も強く懸念をされています。そういった中でのこの予算委員会、従来の予算委員会の審議の日程を無視した前代未聞の日程で、余りに拙速な進め方です。
今日の省庁別審査は一般的質疑の位置づけでありますけれども、本来いるべき財務大臣がいません。財務大臣にも省庁別審査と絡めて質疑したいテーマがあったにもかかわらず、財務大臣がいないということで、極めて残念で不正常な状態になっています。(発言する者あり)
○坂本委員長 質問を続行してください。(発言する者あり)
では、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○坂本委員長 速記を起こしてください。
質問を続けてください。國重徹君。
○國重委員 過去、圧勝した小泉政権下や安倍政権下でさえ、このような乱暴な予算審議はしませんでした。与野党を超えた議会人としての矜持があったからだと思います。
確かに選挙の結果は民意です。そして、数は力です。しかし、数は正義、数は良識ではありません。今の予算審議の進め方は、まさに数の横暴とも言えるものであります。この点については苦言を呈せざるを得ません。
自由民主党の綱領にこうあります。「多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」。この魂はどこに行ったのか。圧倒的多数であるからこそ、また、小選挙区制度のマジックによって、政党への得票数に比べ与党が圧倒的多数の議席を得ている、この限りでの民意であるということを踏まえて、原点に立ち返り、謙虚で公正な国会運営に当たっていただきたい、このことをまず冒頭申し上げまして、質問に入りたいと思います。
イランへのアメリカ、イスラエルによる大規模攻撃、これによって国際情勢が急速に緊迫化をしております。まずは、イランを始め中東地域に在留する邦人保護、命と安全を守ることが最重要です。政府には、あらゆる手段を尽くして全力で対応していただきたいと思います。
その上で、人道主義の観点から、日本に在留するイラン人に対する人道的配慮、これもまた大切になります。今日は、この点についての整理、確認を法務省、法務大臣にしていきたいと思います。
まず、日本に在留しているイラン人の現状について確認をします。
最新で把握している在留イラン人は何人なのか。その中で、国外退去を命じる退去強制令書が発付された人、入管施設に収容されている被収容者、また被仮放免者、監理措置中の人数、これらはそれぞれ何人なのか。さらに、難民認定をしている人数と、難民認定申請が三回目以降の人数、これらについてそれぞれお答えください。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
令和七年六月末時点で、我が国に中長期間在留する者のほか、在留資格短期滞在で滞在する者等を含めた総在留者数のうち、イラン人は四千六百九十四人でございます。
令和六年末時点で、退去強制令書が発付され、退去強制が確定したイラン人は三百七人、そのうち、被退令仮放免者は二百七十六人、被退令監理者数は十九人、被収容者数は十二人でございます。
令和六年におけるイラン人の難民認定申請者数は百八人でございますが、イラン人の三回目以降の難民認定申請者数は、統計を取っていないため、お答えをすることが困難でございます。恐縮でございます。
○國重委員 今確認しました日本に在留するイラン人の方たち、今すぐに帰国できるのかというと、到底そういった状況にはないと思います。
イラン情勢の急変、その波紋は周辺諸国にも拡大し、中東の空は一気に緊張状態が漂っています。安全に飛行機が通れるルートはあるのか、空港は安全に使える状況なのか、何より命に対する危険はないのか、こういったことを踏まえたイランへの帰国の実務可能性について、平口法務大臣、どうお考えでしょうか。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
把握する限り、湾岸諸国を中心に、航空便の運航停止や国際空港の閉鎖が続いているものと承知しております。そのため、現在、我が国に在留するイラン人が帰国することは困難な状況であると認識しております。
○國重委員 在留イラン人が帰国するのは困難な状況だというような答弁でした。
その上で、入管庁は、令和三年五月に、本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置を講じました。これは、具体的に言いますと、ミャンマー国軍によるクーデターがあってからのミャンマーにおける情勢不安を理由に日本への在留を希望するミャンマー人については、緊急避難措置として、特定活動の在留資格を許可した上で在留や就労を認めるものとしたものであります。
この対応を踏まえますと、今、日本にいて在留期限が切れそうなイラン人に対しても、在留ミャンマー人と同じような措置を取って、在留や就労を認めていく必要があるんじゃないかと。しかも、数日前にトランプ大統領は、当初、作戦は四、五週間と予測していたが、それより長く続ける能力がある、時間がかかっても問題ないと、長期戦も辞さない姿勢を強調しています。そういったことを踏まえても、やはり緊急避難措置を検討していく必要性は高いと考えます。平口法務大臣、いかがでしょうか。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
現下のイランの情勢を踏まえ、出入国在留管理庁において、取り急ぎの対応として、航空便の欠航を理由とした短期滞在の在留期間更新許可申請があった場合の柔軟な取扱いについて、地方出入国在留管理局に対して連絡済みでございます。
委員御指摘の、ミャンマー人に対する特定活動の許可と同様の措置を取るかどうかについては、中東情勢に関する情報収集に努めつつ、その必要性について検討すべき課題であると考えております。
○國重委員 そうですね。中には、明日にも在留期限が切れてしまいそうな在留イラン人もいるわけですから、柔軟で適切な対応が必要だと思います。
その上で、事態が事態ですので、速やかに緊急避難措置の検討もしていくべきだと思います。在留ミャンマー人への緊急避難措置の場合には、クーデターから緊急避難措置を講じるまで三か月かかっています。今回は、ミャンマーの例がもう既にあって、その経験もしているわけですから、もっと早く対応できるはずです。より迅速な対応を法務大臣に期待したいと思います。
次に、在留イラン人に補完的保護対象者認定制度を活用できないのか、この視点でお聞きします。
令和五年の入管法改正で創設された補完的保護対象者認定制度、この制度は、簡単に言いますと、難民条約上の難民には当たらない、でも危なくて国に帰れない人を難民と同じように日本で守るための仕組みです。この制度によって、ウクライナ避難民のような紛争避難民などの方たちを、本国の状況等を考慮して日本で守っていけるようになりました。
そこで、平口法務大臣、イラン情勢の急変を受けまして、在留イラン人もその補完的保護対象者となり得ると考えていいのかどうか、答弁を求めます。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
一般論として、補完的保護対象者に該当するか否かは、申請者の出身国に関する情報、出身国情報を踏まえ、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、入管法に基づき補完的保護対象者と認定すべき者を適切に認定しているところでございます。そのため、特定の属性でない方々に対し、一律に補完的保護対象者であるという判断や補完的保護対象者でないという判断を行っているわけではないことから、お尋ねについては一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
いずれにしても、個々の申請者の置かれた状況に配慮しながら、引き続き適切に判断していきたいと考えております。
○國重委員 確かに、中には、イラン国籍以外の国籍を持っていてイラン以外の国に保護を求められる、そういう二重国籍のようなケースもあると思いますけれども、そういうものはごく一部だというふうに思います。細かく言っていたら補完的保護対象者に当たらない場合というのもあるかもしれませんけれども、ただ、命に危険が及ぶ状況が本国で続いている、しかもそれがいつまで続くか分からない、どこで大規模軍事攻撃があるか分からない、そういった状況においては、個別判断とはいえ、実際は補完的保護対象者に当たる場合が多いんじゃないか、そう私は思います。是非適切な判断をしていっていただきたいと思います。
次に、先ほどの質問で、在留資格があるんだけれどもそれが切れそうな人たちへの配慮、これをどうしていくのかということのやり取りをしました。次は、在留資格が切れてしまった人たち、在留資格がないイラン人の方たちで難民認定の申請あるいは補完的保護対象者の認定を申請している人たち、ここにも目を向けたいと思います。
難民認定の申請中あるいは補完的保護対象者認定の申請中の場合、多くは特定活動という在留資格が付与され、在留が認められます。ただ、これは自動的じゃないんですね。審査が必要で、必ずしも在留資格が得られるとは限りません。
こういった、難民認定や補完的保護対象者認定の申請中ではあるものの、在留資格がない方たちがいます。そして、その方たちの認定の審査には、ある程度の時間、期間がかかります。ですので、その間に生活が困窮してしまう場合もあるわけです。こういった方たちについても人道主義の観点からの支援が必要と考えますが、どう対応していくのか、伺います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
難民認定申請者及び補完的保護対象者認定申請者のうち生活に困窮する方に対しては、出入国在留管理庁が業務委託をしておりますアジア福祉教育財団難民事業本部、いわゆるRHQにおきまして、生活状況等の調査を行った上で、生活費や住居費を含む保護費の支給、あるいは緊急宿泊施設の提供といった保護措置を事案に応じて行っております。
出入国在留管理庁としましては、保護を必要とする方に対してできる限り速やかに援助を行うことができるように努めてまいりたい、このように考えております。
○國重委員 難民認定の申請また補完的保護対象者認定申請者に対して、保護費を支給するなどの保護措置を取る場合もあるという答弁でした。
これについて、事前に入管庁からいただいた資料によりますと、難民認定申請者のうち保護措置を受けている人数は、令和四年度が二百四人、令和五年度が六百五十八人、令和六年度が七百十人、年々増えています。補完的保護対象者のうち保護措置を受けている人数は、制度創設の令和五年度が八人、令和六年度が百七人。要は、トレンドとして増加傾向にあるわけです。にもかかわらず、令和七年度の予算書と令和八年度の予算案を比較しますと、保護措置の実施に関わる予算はいずれも七億九百万円、変化が見られません。これで、増加のトレンドがあるのに十分に対応できるのか、答弁を求めます。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の保護費の受給者数につきましては、難民認定申請者と補完的保護対象者認定申請者を合計しますと、令和四年度には二百四人、令和五年度には六百六十六人、令和六年度には八百十七人となっておりましたが、令和七年度におきましては、令和八年一月末時点の速報値で五百三十二人、このようになっております。
令和六年度におきましては、令和五年十二月の補完的保護対象者認定制度の施行に伴い、ウクライナ避難民を中心に当該認定申請者が増加したことにより保護費の受給者が増加したもの、このように考えております。
一方で、補完的保護対象者の認定申請の大半を占めていたウクライナ避難民につきましては、既に多くの方が認定を受けており、令和八年度政府案におきましては、このような事情等を踏まえて、必要な経費を計上しております。
いずれにしましても、出入国在留管理庁としましては、先生御指摘のとおり、保護を必要とする方に対する適正な援助を行うこととしており、引き続き、必要な予算の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
○國重委員 補完的保護対象者の認定申請のほとんどを占めていたウクライナ避難民の方たちが既に認定を受けている、なので、保護措置の対象にはならず、別枠の対応をしていくんだ、だから予算としては十分に足りるんだというような趣旨の答弁だったと思います。
ウクライナ避難民の方が認定を受けていれば、それはそのとおりかもしれませんけれども、ただ、この予算案をつくったときとは状況が急変をしております。今後、イラン情勢の急変等によって申請者が増えてくることも予想されるわけですから、それも踏まえた予算を講じていく必要があると思いますけれども、これは更問いですけれども、それでも十分に対応できると言えるのか、これは平口法務大臣でも構いません、また参考人でも構いませんけれども、是非答弁をお願いします。
○内藤政府参考人 もちろん、状況に応じて、関係機関と協議して適切に対応したいと考えております。
○國重委員 次の質問に移ります。
これまで、難民認定を申請している間というのは、一律で送還が停止をされていました。しかし、令和五年の入管法改正で、この例外規定が設けられました。具体的には、難民認定の申請が三回目以降の場合には、その申請中であっても強制送還ができるようになりました。ただ、その場合であっても、相当の理由がある資料を提出した場合には送還が停止される仕組みになっています。
そこで、伺います。
現在のイランのような本国情勢の変化は、相当の理由がある資料に該当し得るのか、該当するとした場合、書面などはなくても申請者の陳述、言い分だけで相当の理由がある資料として足り得るのか、明快な答弁を求めます。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
御指摘の相当の理由がある資料について、例えば、本国情勢の変化等の前回処分後に生じた事情変更を示す資料などが考えられるとこれまでも答弁しているところでございますが、お尋ねの現在のイラン情勢がこれに当たるかどうかについては、個別に判断されるべきことであり、一概にお答えすることは困難でございます。
なお、御指摘のとおり、相当の理由がある資料については、形態や形式に制限はございませんで、申請者の陳述や難民等認定申請書も相当の理由がある資料に該当し得ると考えております。
○國重委員 総合判断になるということだと思います。ただ、イラン情勢の変化は、相当の理由がある資料の要件を満たす強力な要素になると思います。
また、イラン人ですので言語はペルシャ語になると思いますけれども、通訳の手配を始め、言語対応が適切にできるのか、ここも大事なポイントになります。平口法務大臣、この対応についてもしっかりやると一言明言してください。
○平口国務大臣 お答えいたします。
難民等認定申請者から迫害事情を聴取する際には、通常、通訳人を介して、申請者が最も理解できる言語で聴取を行っているところでございまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
○國重委員 是非よろしくお願いします。
次に、強制送還されることが確定した人、こういった人であっても、現在のイランのように、本国情勢が急変をして、空港の閉鎖等に伴う物理的な要因、命に対する危険があると予測される状況では、直ちに送還することは難しい、人道主義の観点から、送還してはいけないと思います。
そこで、このような場合に、強制送還を見合わせる制度はあるんでしょうか、あるいは個別の状況を踏まえて柔軟な運用を行っていくんでしょうか。強制送還の実施に当たってどのようなことを考慮要素とするのか、伺います。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
法令に従い手続を進めた結果として退去強制が確定した外国人は速やかに我が国から退去することが原則でございますが、送還の実施に当たっては、被退去強制者ごとに退去のための計画を策定することになっております。この計画の策定の際に、送還することができない事情の有無を把握しており、出入国管理庁において、送還先の国内情勢や送還便の確保等の状況を踏まえて、送還の実施については適切に判断しているところでございます。
○國重委員 今いろいろと御答弁いただきましたけれども、人命第一に考えるならば、今は送還すべきでないと思います。緊迫化する国際情勢の中で、命の危険にさらされている人たちがいます。命を守る、安全を守る、そこには日本人もイラン人もありません。是非、柔軟で適切な運用をしていっていただきたいと思います。
最後の質問になります。
がらっと変えますけれども、離婚後の共同親権を導入することなどを内容とする民法改正法、これがいよいよ来月一日から施行されます。家族法においては大きな制度改正になります。
改正の内容はもちろんのこと、離婚後の子の養育に関する様々な情報について、国民、とりわけ当事者に分かりやすく伝えていく。ただ、一方で、なかなか情報にたどり着けない方たちが多くいるのも現実です。また、両親が離婚したときに置き去りになりがちな子供たちもいます。こういったところにも、離婚を経験する子供たちの利益を確保するための法制度、そしてそれに関連する情報について、アウトリーチ、プッシュ型も含めて漏れなく情報を伝えていくことが極めて大事になります。
このような情報提供について、これまでどのように取組を行ってきたのか、また、予算も確保して今後どう取り組んでいくのか、伺います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、父母の離婚を経験する子の利益を確保するためには、改正法の趣旨、内容について広く御理解をいただくことが重要でございます。法務省では、関係府省庁等と連携しながら、パンフレット、ウェブサイト、動画等による、改正法の趣旨、内容に係る周知、広報に取り組んでまいりました。
子の利益を確保する観点からは、父母が養育費や親子交流など離婚後の子育てについて取決めをすることが重要でございます。法務省では、市区町村に御協力いただき、離婚届の用紙と一緒に、離婚後の子育てに関する取決めを促すパンフレットを配付しており、先般、改正法施行に向けて、このパンフレットの改定を行ったところでございます。
その上で、御指摘のとおり、周知、広報だけでは情報が届きにくい方々に対するアウトリーチ型の情報提供も重要であると考えております。法務省では、今年度、アウトリーチ型を含む効果的な情報提供や支援の在り方をテーマとした、共同養育計画の作成を促進するための調査研究や、子の意見の把握、反映に関する調査研究を委託して実施しております。これらの調査研究で得られた支援のモデルについては、支援に関わる施策を所管する関係府省庁とも連携して横展開に努めるとともに、来年度も引き続き、これらの調査研究で得られた成果を深める調査研究を実施する予定でございます。
引き続き、効果的な周知、広報となるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○國重委員 離婚というのは結婚よりも何倍ものエネルギーが要るといいます。そして、一番傷ついているのは子供たちです。そういった子供たちを守っていくための法改正ですので、是非よろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。
次に、野間健君。
○野間委員 中道改革連合の野間健です。
まず冒頭に、財務大臣不在という中での正常でない委員会の運びについて強く抗議の意を表しつつ、質問に入らせていただきます。
鈴木農水大臣にお尋ねしたいと思います。
資料一を御覧いただきたいと思うんですが、これは昨年五月の日本農業新聞の記事ですけれども、今も実態はほとんど変わっていないと思います。日本の水田の半分は赤字なんですね。
私も地元で、昨年、一昨年と少しお米の値が上がってよかったなという話をすると、いや、とんでもないですよ、三十年前の価格にやっと戻っただけであって、赤字は変わらないんですよということをよく話をされます。なぜお米を赤字でも作っているんですかと。先祖伝来の田んぼを荒らすわけにもいかないし、作って親戚、知人に配れば喜んでくれる。そういう、半分、本当にボランティア精神ですよね。これでお米を作っているということが三十年来続いています。ですから、当然、ここの記事にもありますけれども、米農家が二十年で六割減っています。
資料二を御覧いただければ、これは米作りだけではありません。畜産も含めて、農業生産の時給を出していますけれども、ほとんど最低賃金にもなりません。水田作では、米は個人経営だと八百四十九円。そして畜産では、繁殖牛だとマイナス百七十九円。とにかく、全く人件費にもならないのが時給の現状ですよね。
資料三を御覧いただくと、これは、四十七都道府県での生産額と、それからいわゆる農業産出額に占める農業所得の割合。つまり、会社でいえば粗利ですね、売上げに対して生産費が、コストが幾らかかって、手取りが幾ら残るかということですけれども。
大臣の山形県、十四位になっていますけれども、粗利の率というのは三九・九%。ですから、一千万売れば三百九十九万円残る。ただし、これは人件費が入っていませんので、人件費を考えたら赤字なんですね。これは佐賀県が毎年トップ、十年ぐらいずっとトップです。佐賀県でも四九%。一千万売って四百九十万。ですから、人件費を考えると少し赤字が出るぐらいなんです。
ですから、全国、一番下に出ていますけれども、三七・八%ですね。一千万売ったら、日本の農業、押しなべて三百七十万ぐらいしか手元に残らない、それで人件費を払えばマイナスだということが日本の農業の慢性的な状況になっているということは、大臣も御承知のとおりだと思います。
どういうふうにこれを分析して、どういう原因なんだと思われますか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
大変難しい御質問かなというふうには思いますが、まず申し上げると、生産農業所得は農業総産出額から物的経費を控除したものとされ、ここから雇用労賃等を差し引かなければ事業の損益は明らかにならないわけです。ですので、この数字だけをもってして、農業生産者全体として慢性的な赤字の状態にあると判断するということは難しいというふうに考えています。
また、農業経営については経営体ごとに様々でありまして、黒字経営体もあれば赤字経営体もあります。その要因についても様々であり、一律に論じることは困難であるとは考えますが、ただ、野間先生と私とで感覚的な認識がそんなに違っているとは思っておりません。
個別の経営体について見ますと、例えば、経営規模が小さいこと、そして中山間地域等の条件不利などの要因によって生産性を十分に高めることが難しく赤字に陥っている場合、そして、需給バランスが崩れて価格が低迷したことによって赤字に陥っている場合、また、生産資材や人件費の上昇分を価格に十分転嫁できず、特に、ずっとデフレ経済でありましたので、値段がなかなか上がりづらかったという場合、それで赤字に陥っている場合などがあるというふうには承知をしております。
農林水産省としては、こうした課題に対応しなければならないと考えておりまして、これから、今行っております構造転換集中投資による生産性の向上や付加価値の向上、また、今からスタートをしますけれども、食料システム法による合理的な費用を考慮した価格形成の推進、そして、収入保険などのセーフティーネットの整備などの施策を進め、経営全般を支えていきたいというふうに考えております。
○野間委員 今、お話は分かりますし、確かに、規模の大きいところで利益が出ているところも私も知っておりますし、経営のやり方次第というところもあることも事実ですけれども、やはり、私なんかは、地元ですと、中山間地が圧倒的に多い地域でありますので、なかなか、大規模化をする、今、高市総理がよく唱えられる植物工場を造るとか、AI、ロボットでやるんだということも、確かに、それができる地域は結構なんですけれども、それができる地域ばかりではないことはもう御承知のとおりであります。
ですから、中規模、小規模のところでも利益が出て持続できるというのはやはり農政の使命であると思いますので、今の大臣のお話はよく分かりますけれども、そういうことだけではないということも御承知のとおりかと思います。
そして、これから五年間の農業構造転換集中対策期間ということで、一兆三千億の別枠予算を取ってやるんだと。事業費として二兆五千億ということですね。もう既に昨年の補正そして今年の当初予算で四千億がここに充当されているということでありますけれども、これだけのお金をこれから使って、今お話があったような大規模化等々を進めていくわけですけれども、そこで、一体どれぐらい、後ほどまた申し上げますけれども、農業人口も激減していますよね。資料の四とつけさせてもらいましたけれども、過去五年でもう二五%減っている。百二万人になってしまっている。これは、農水省さんの統計ではっきり出ているのは、あと二十年でまたそれが減って三十万人になるんだということもはっきりうたっておられますけれども。
この五年間、これだけの巨額のお金を使って集中対策をやるんだということで、その後の農業の生産人口はどうなるのか、また、所得はこれぐらい上がるんだということの目標値というのはあるんでしょうか。教えてください。
○鈴木国務大臣 今、目標値があるのかどうかというお話でしたけれども、まず、基本計画におきましては、担い手の目標として、二〇三〇年度に、四十九歳以下の担い手数をまず現行の水準にしっかりとやっていくということであります。
所得については、具体的に幾ら幾らというのはないわけですけれども、ただ、基本的には、我々、インフレになっている中で農業者の所得も当然上がっていかなければ、農業に携わるということにはならなくて、若い人はほかの産業を選ぶということになりますから、そうならないように、稼げる農業をいかに実現をしていくかということが大事かというふうに思っております。そのための集中対策期間でありますし、様々な基盤整備、そして共同利用施設の再編、集約、合理化、こうしたことも進めながら、稼げる農業というのを実現できるように努力させていただきます。
そして、もう一個、先生から御指摘いただいた、やはり中山間や条件不利と言われる地域は、どうしても、頑張ってもなかなか厳しい現実があるわけですから、そこは別途、対策としてしっかり支えていくということが必要だろうと思います。
○野間委員 これは、さきの衆議院選挙で、自民党さん、各党、日本農業新聞にいろいろな政策のPRを出していましたけれども、その中で、高市総理の写真の下に、今の構造転換集中期間の五年間、こういう予算でやりますと。その思い切った集中対策で、収益力の向上と農業、農村の所得を増大させるんだということも大きくうたわれています。
今おっしゃったように、基本計画で、人口とか所得のことも、よく分からないんですけれども、触れてはいるんですが、明確な目標というのではないですね。確かに、四十九歳以下の比率を現状は維持しましょうとか、米だと幾ら幾らにしましょうというのは出ていますけれども。ですから、これだけでは、若い人が、じゃ、おやじの後を継いでやろうとかいう気にはならないですよね。これで大丈夫なのかなと。
要するに、非常に曖昧な数字や曖昧な目標が掲げられているだけで、これじゃどうかなと、本当に農業を一生の仕事としてやろうという気にはならないような印象を多くの人が持っていると思います。本来であれば、ですから、明確な目標を掲げていただきたいと思うんですけれども。
○鈴木国務大臣 野間委員のおっしゃること、とてもよく理解をするんです。ただ、幾ら幾らまでなかなか基本計画に書くというのは難しいんだというふうに思いますが。
ただ、私としては、今、省内で様々な政策の見直しの議論をしているときに、いつもいつも内部で共有をしているのは、再生産可能な状況だったらいいということではなくて、次が、再投資がちゃんと可能な経営の状況をつくっていくということが大事かと思いますし、もう一つは、幾らがいいというよりは、要するに、他産業と比べて農林水産業はどういう稼ぎなのかという視点を持つということが大事かというふうに思いますので、そういった視点を持ってしっかり議論して、検討してまいりたいと思います。
○野間委員 日本農業新聞でも、去年の秋に農業者に対して、どういう政策を一番求めるかと。一番多いのは、やはり所得補償をしてほしいということなんですね。
お話しのとおり、自由市場経済でありますと、お米にせよ畜産にせよ、上がったり下がったり、いろいろな変動があります。例えば半導体であれば、安くなれば、日本で半導体産業はなくなりましたですよね。今、TSMCとかラピダスで再興させようとやっていますけれども、足りなければ外国から買えばいいじゃないかということで済む産業もあれば、農業は、それは絶対、ある意味、自給率を極端に下げれば、まさに今のような有事の場合、大変なことになるわけですから、これは自由経済に任せられない側面があるところがやはり農業の難しいところだと思いますけれども。
ですから、そういった意味で、所得補償なり、我々が訴えている農地維持支払いなり、直接農家に直払いをして、ある程度の生活が成り立つような補償をするというのが必要だと思います。これは高市総理も、慎重にというか、非常に積極的ではない回答が出ていますけれども、大臣はそこをどう思われているんですか。一番農政にお詳しいですし、農家の皆さんの要望も御存じだと思いますけれども。
○鈴木国務大臣 通告にもないので私の考え方を申し上げますと、私自身、私と同世代からもっと私よりも若い生産者の皆さん、そして、これから要は農業に携わろうかなというふうに考えている皆さんと話をする中で感じることは、やはり、しっかりといいものを作って、いい値段で取引ができて、ちゃんとそれで報われるんだということが一番のやりがいにつながるというお話をいただくことが一番多いというふうに思います。
ですから、我々はこれからコスト指標なんかも食料システム法の中で作っていきますが、やはり適正な取引というのは何なのか。要するに、デフレ経済じゃない中で、これからインフレ型になっていくわけですから、そういう中でどういう取引の在り方がいいのか、そして、それがどのようにして生産現場の皆さんが報われる形になるのかというのを考えるのが一番大事かというふうに思っております。
所得補償の議論については、これはずっと様々な御議論があることもよく分かりますし、私自身も、農林水産省の役人時代に民主党政権の下で戸別所得補償を導入をしたときも中にいましたのでよくよく理解をしているわけですが、これは本当に様々な議論がありますので、今後、水田政策の見直しを九年度に向けてさせていただきます。またいろいろな議論をさせていただければと思います。
○野間委員 今、イランの情勢もこういうことでありまして、いろいろな意味でのコスト高の要因が増えてきていますね。
一つだけ具体的なことをお聞きしたいと思います。私の地元は黒毛和牛の生産が非常に盛んでありますけれども、一番、過去五年来、ウクライナ紛争以降、特に飼料価格、配合飼料、牛の餌ですね、これが高止まりをして、かつてはトン一万円、一万五千円ぐらいのレンジできたものが、突然四万円になり、今も二万円をずっと超えている水準が続いております。この配合飼料については、確かに、直前の一年間の平均と比べて高くなったというときは補填金が出るという仕組みがありますけれども、過去五年以上ずっと高止まりしていますので、補填金が今は全く出ておりません。
いろいろな仕組みがあることはもう重々承知しているんですが、補填金はやはり農家が困ったときに助けるための制度ですよね。餌は毎日食べなきゃいけません。欠かすことはできないんです。減らすことはできません。ですから、直前一年とかという仕組み、要件は、撤廃するなり、もうちょっと検討、考えてもらえないんでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
配合飼料価格安定制度は、穀物相場や為替、海上運賃などの世界経済の変化による経営環境の悪化を緩和するため、補填金の算定期間を直近一年間の平均というふうにさせていただいております。本制度では、牛や豚、鳥などの生産者に加えて飼料メーカーも補填金の積立てを行っていますが、積立金は牛、豚、鳥ごとではなく全体で管理されているものであります。
また、令和三年以降の価格高騰を受けまして、多額の補填金、五千七百二十一億円、既に交付をしております。その際、飼料メーカーの団体からは、金融機関からの借入れを行っている状況でありまして、現時点でも多額の約九百億円の借入残高が残っているという状態です。
これらの事情を勘案しますと、牛だけ算定期間を延ばして補填金を出しやすくするということは、豚や鳥の生産者そして飼料メーカーなど、関係者の理解が得られないと考えております。
一方で、ただ、現状で、当然、畜産農家の皆さん、特に牛は餌高で厳しいということもよく私もお伺いしておりますので、昨今の飼料価格の高止まりに対しては、重点支援地方交付金を活用して各地方自治体で飼料価格対策を講ずるよう促してきておりまして、引き続き、それについては働きかけをさせていただきたいと思います。
○野間委員 手法はどうであれ、畜産農家の支援ができるような形でお願いしたいと思います。
資料七ということで、今、畜産農家の皆さんも、支援を求めるということで、オンラインでの署名活動をやっています。今三万人、これは多い、少ないと言われるかもしれませんけれども、日本全体の畜産農家が三万八千人とか三万六千人ぐらいですから、決して少ない数字ではないと私は思っておりますので、そこは申し添えたいと思います。
それから、農林水産省の職員の皆さんの定数の問題なんです。
資料八というのをつけさせていただいています。これは全省庁の、どれぐらい定員が欲しいということで、実際その定員が充足されたかということで、御覧いただくと分かるんですが、農林水産省だけがマイナスなんですよね。マイナス査定なんです。内閣府はあります。これは防災庁に移るということで、事務的な意味でのマイナスなので余り考慮できないんですが、農水省は毎年毎年査定が少ないんですね。職員さんが少ないです。
昨年来の米騒動の際も、統計の職員を余りに削り過ぎて統計が万全に取れていなかったんじゃないかとか、かつては地方の食糧事務所等があって、非常に農家の皆さんと農水省の職員の皆さんとの交流もあり、現場の情報が入っていたんですけれども、それが今なくなってしまっている。
そして、もう一つは、先日、この二月に、農水省さんの中で、いわゆる違法の漁業の操業をしている中国船を拿捕するというんですかね、そういう仕事をしている漁業関係の事務所の職員さんもおられるんですけれども、そういった事件もありました。そういった違法操業、外国船とのいろいろなやり取り、危険を伴うやり取りですね、そういったところの人員も減らされていて、例えば、一つの船に二人しか乗っていない、外国船が武器を持っているかどうかは別として、非常に危険なやり取りもしなきゃいけない。そういったところの人も定員が充足されていないというのも大きな問題だと思います。
私もかつて野村哲郎農水大臣に、皆さんには申し訳ないかもしれないです、例えば、畜産局が霞が関にある必要はないんですよね。南九州とか、鹿児島とかあるいは熊本とか、北海道とか、そういうところに職員さんが半分以上いてもいいんじゃないんですか、霞が関に畜産もなければ米作りもやっていないんだから現場に出したらどうですかというお話はしたことがありますけれども、いや、東京にないとどうのこうのというよく分からない回答でしたけれども、それぐらい、やはり現場を知って、現場が大事だと一番鈴木大臣はおっしゃっていますから、そういったこともされたらどうでしょうか。いかがですか。
○鈴木国務大臣 まず、ちょっと申し上げますと、農林水産省の定員は長期にわたり減少してきておりまして、近年の定員合理化計画においても政府内で最も高い水準の合理化に努めております。
他方で、食料安全保障の確立に向けては、令和七年度から五か年で農業の構造転換を集中的に進めるための施策を展開いたしますので、できる限り、今委員から御指摘があったとおり、現場の皆様に寄り添った、寄り添ったというよりは、現場の気持ちに立った施策を展開していくことが重要と考えております。
このため、今後、地方も含めて必要な定員を確保し、食料安全保障の確立に向けて構造転換に取り組む生産現場、加工、流通、小売、消費までの現場起点の体制を再構築してまいりたいというふうに考えております。
今、できれば山形というのも挙げていただきたかったんですが、やはりでき得る限り我々は現場に近いところでやることが大切かと思います。確かに、霞が関でずっとあの建物の中に私も働いておりましたが、現場と近いのかどうかと言われれば、当然土のにおいがする場所ではありませんので、そうした観点も持って、働き方も含めて考えることが必要だろうとは思います。
○野間委員 それと、今、畜産農家の皆さんが昨年来期待していたのが、中国への黒毛和牛、日本の和牛の輸出の問題です。これは現状どうなっているんでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
中国向けの輸出につきましては、二〇〇一年のBSE発生に伴う牛肉輸入の一時停止措置以降、輸出再開に向けた協議を続けているところであります。
昨年七月には、対中輸出再開の前提となる日中動物衛生検疫協定が発効いたしました。実際の輸出再開までには一定の手続が残されておりまして、輸出再開時期の見込みについて予断を持ってお答えをすることは差し控えますが、ただ、引き続き、あらゆる機会を捉えて働きかけを行い、粘り強く関連の協議を継続していく考えであります。
○野間委員 最後の質問ですけれども、これは金子国交大臣にお尋ねしたいと思います。
熊本県もそうですし、鹿児島県もそうなんですが、交通の空白地域もありますし、バスの運行等に頼っている状況ですけれども、高齢化が進み、非常に厳しい状況にあることはもう御承知のとおりです。
今、確かに、「交通空白」解消本部が国土交通省には設置されて、空白地域の解消に向けていろいろな施策を展開されているというのもお聞きしているところでありますけれども、今一番私どもが、地元のバス会社さんも困っていることというのが、地域公共交通確保維持事業の中で地域間の幹線系統補助という補助の仕組みがありますけれども、一つの市と市の間をつなぐバス路線ですけれども、こういう条件があれば補助しますという要件ができたのが昭和四十年代とからしいんですね、この要件が。その中で、一日当たりの市と市の間を何本バスを出すかというと三本以上、朝昼晩とか、そして五人以上乗っていないといけないとか、そういう要件があるんですが、実際、今、五十年、六十年前の要件より、更に更に過疎化も進み、厳しい状況になっていますので、この要件すら満たせないところが非常に多いんです。
これは今すぐにどうと言えないと思いますけれども、これを何とか見直していただけないでしょうか、大臣。
○坂本委員長 国土交通大臣金子恭之君、時間が超過しておりますので、簡潔にお答えください。
○金子国務大臣 乗り合いバスは、子供からお年寄りまで、地域の大切な足を支える公共交通機関であります。
国土交通省では、地域間交通ネットワークを維持するため、地域公共交通確保維持改善事業によりまして地域間幹線バスの運行を支援しておりまして、原則として経常費用と経常収益の差額の二分の一を補助しております。こちらの補助事業につきましては非常に多くの事業者からのニーズがあることから、限られた財源の中、幅広い支援を行うことが必要となります。
今後とも、バス事業者や地域の御意見、御要望を丁寧に伺いながら、バス事業者に対する支援に取り組んでまいります。
○野間委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○坂本委員長 これにて野間君の質疑は終了いたしました。
次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 中道改革連合の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、国土交通省関連につきましてお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。
まず、米国等によるイランへの大規模攻撃、そしてイランの報復攻撃により中東情勢が急速に緊迫化しております。とりわけ深刻なのは、イランによるホルムズ海峡の運航禁止通告、実質閉鎖であります。
WTI等の原油価格が急騰しまして、大手シンクタンクの試算では、原油価格が一バレル当たり百ドルで推移した場合、国内の消費者物価指数、コアCPIを〇・七ポイント押し上げ、実質GDPを〇・二ポイント押し下げると指摘をされております。国交省関連でいきますと、海運の混乱、物流コストの上昇、国内航空、港湾や……
○坂本委員長 ちょっと質問を止めてください。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○坂本委員長 速記を起こしてください。
質問を続けてください。中川君。
○中川(宏)委員 では続けますけれども、様々な影響が懸念をされております。
まず、金子大臣、この事実関係と、日本経済への厳しい下振れリスクをどのように認識しているか、お答えいただきたいと思います。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
エネルギー価格につきましては所管外になりますが、可能な範囲で、一般論としてお答えさせていただきます。
原油等の需給や価格は、御案内のとおり、産出地域の情勢のみならず、世界経済やエネルギーの需給動向など様々な要因を踏まえ市場で決まるものと承知をしております。このため、御指摘の国土交通分野の業界への影響等につきましては現時点で予断を持ってお答えすることは困難でありますが、いずれにいたしましても、引き続き、関係省庁と連携しつつ、情勢の推移を注視していくとともに、関係業界からの情報収集や影響の把握等を行ってまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 この原油価格の高止まりですけれども、我が国の航空また物流、そして地方においては二次交通、今後多大な影響を及ぼす可能性があると私は思っているところでございます。
まず第一に、航空、観光業界でありますけれども、国際線や国内線での航空運賃の高騰は、訪日客の減少を招くだけではありませんでして、渡航費の負担増によって旅行者の予算を圧迫して、日本国内の宿泊また買物への消費、これを直撃すると思っております。また、コロナの影響から冷え込んでいる国内線でのビジネス利用の更なる悪化にもつながってくるのではないかと懸念しております。
第二に、物流業界であります。日本の海上輸送による輸入貨物のうち、エネルギー資源は重量ベースで五三%を占めております。ホルムズ海峡の迂回と燃料の高騰は、海上輸送コストを全体に大きくはね上げます。
そして第三に、地方の二次交通でありますけれども、地方観光の足となる路線バス等の地域公共交通、先ほどもお話がありましたけれども、慢性的な人手不足と需要低迷に加えまして今回の燃料費高騰が加わったら、これはトリプルパンチになりまして、まさに存続の危機に接するというふうに思っております。
大臣、これら連鎖的な危機を想定して、国としてこれからどう対処していくのか、この点についてお伺いをさせていただきます。
○金子国務大臣 中川委員の御心配は当然のことだと思います。しかしながら、まだ仮定の話ということで、しかも、先ほど申し上げましたように、エネルギー価格については所管外であり、今後のエネルギー価格の動向については予断を持ってお答えすることは困難でございます。申し訳ありません。
国土交通省としては、引き続き、関係省庁とも連携を取りつつ、今後の情勢の推移を注視していくとともに、関係業界からの情報収集や影響の把握等をしっかり行って、今後の対応を考えていきたいと思っております。
○中川(宏)委員 今後の動向を注視していくということでございましたけれども、現在審議中の令和八年度の国交省予算を調べてみますと、航空ネットワークの充実に百四十九億円、地域公共交通確保維持改善事業に二百六億円、そして物流革新の集中改革に百七十九億円、これが計上されるとともに、航空機燃料税の軽減措置等も盛り込まれております。しかし、これはあくまで平時を前提とした対策でありまして、私たちが今直面しているのは異常事態でありますから、これから、ですので、平時ベースの令和八年度予算の規模だけで守れていくのか、こういったことが疑問にあります。
ですので、しっかりと今後対応していただきたい、このことを申し上げさせていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 中川委員のおっしゃることはもっともだと思うところでございますが、繰り返しになるわけでありますが、やはり、今まだいろいろなものが推移をしております。仮定のことに今言及することは差し控えたいと思いますが、一般的には、原油等の需給や価格は、産出地域の情勢のみならず、様々な要因を踏まえ市場で決まるものと承知しておりまして、その影響等について予断を持ってお答えすることは困難であります。
その上で、御指摘の点に関しまして、まず、エネルギー・資源安全保障の強化等を盛り込んだ経済対策や令和七年度補正予算を着実かつ迅速に執行するとともに、令和八年度予算の早期成立を図っていくことが重要であると考えております。
○坂本委員長 農林水産大臣鈴木憲和君に申し述べます。
用を足すときは、それぞれ与野党の筆頭の了承を得た上で席をお立ちください。
○中川(宏)委員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
次の質問は飛ばしまして、次は観光対策について伺ってまいりたいというふうに思います。
昨年の訪日外国人旅行者数はついに四千万人台という大台に乗る見通しになりまして、観光は今や日本の成長戦略のエンジンでありまして、地方創生の大きな柱となっているところであります。しかし、その勢いに水を差す事態が発生をしております。
まず、事実関係でお伺いをしたいというふうに思っております。インバウンドの最大のボリュームゾーンの一つであります中国からの観光客数につきまして、昨年十月から今年一月までの動向は昨年の同時期と比べてどのようになっているのか、具体的な数字を挙げてお答えいただきたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
中国からの訪日外国人旅行者数につきましては、昨年十月は対前年同月比約二三%増の七十二万人、昨年十一月は対前年同月比約三%増の約五十六万人、昨年十二月は対前年同月比約四五%減の約三十三万人、今年一月は対前年同月比約六一%減の約三十九万人でございます。
○中川(宏)委員 昨年の十二月が四五%減、そして一月が六一%減ということで、深刻な数字が示されたわけであります。要因には、当時の高市首相の発言に端を発した中国政府による渡航自粛勧告が強く影響されている、このように指摘をされているところですが、このまま中国市場の停滞が続きますと、二〇三〇年の訪日客六千万人、そして消費額十五兆円という政府目標の達成は極めて困難になってくるのではないかと思っております。
この急激な減少という事実、これをどのように認識しているのか、お答えいただきたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、全体のインバウンドの状況を申し上げますと、今年一月の訪日外国人旅行者数につきましては前年同月比で約五%減少したところでございますが、二十三の国、地域のうち、中国、香港、マレーシア以外の国、地域が一月としては過去最高を記録したほか、その中でも韓国につきましては、全ての国、地域における単月一か月当たりの旅行者数としては史上最高の訪日者数となったほか、更に加えまして、台湾とオーストラリアにつきましては、それぞれの国、地域において一か月として過去最高を記録しているなどの状況にあるものと承知しております。
加えまして、本年一月につきましては、中国、香港の春節の時期が昨年は一月から始まっていた一方で、本年は二月になったという特殊事情があったことを併せ考えますと、インバウンド全体の傾向といたしましては、昨年来の好調な状況が続いているものと受け止めております。
また、欧米やオーストラリアからの一月の訪日者数は前年同月比で約一六%増と伸びが著しく、訪日外国人旅行者数全体に占める割合も増加しているなど、インバウンド市場の多様化も進んでいるところでございます。
あと、消費額について申し上げますと、直近二〇二五年十月から十二月期の消費額につきましても、中国の消費額が前年同期比で減少したものの、様々な国や地域の消費額が増えたことから、全体といたしましては、前年同期比で約一〇%増となったところでございます。
この好調な流れを継続いたしまして、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人、消費額十五兆円という目標を達成すべく、今後も様々な国や地域からの訪日を促進してまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 今、堅調というお話がありましたけれども、しかし、中国市場があればもっと堅調であるということは、これは事実であるというふうに思っております。
令和八年度予算案では、特定国に過度に依存しないリスク分散と、減少した市場を補うための戦略的プロモーションといたしまして、百三十六億円という多額の予算が計上をされているところでありますけれども、この戦略的プロモーションをどう展開して、減少した中国市場を補っていくのかというところ、また、航空会社との共同広告を通じた地方路線の復便、増便促進といった取組により、三大都市圏への滞留を防いで、いかに地方への直接誘客をかち取っていくのかということ、この点について具体的な戦略をお伺いさせていただきたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
観光庁といたしましては、インバウンド市場の多様化や地方誘客を推進すべく、日本政府観光局を通じまして、戦略的な訪日プロモーションを進めているところでございます。
まず、インバウンド市場の多様化に当たりましては、しっかりと市場調査を行った上で、欧米豪などの未訪日層の訪日旅行への興味、関心を高める大規模な広告展開や、欧米豪などで特に人気の高い体験型のアドベンチャートラベルなどの一層の推進などを強力に進めてまいりたいと考えております。
また、地方誘客の推進に当たりましては、SNSなどによるプロモーションを地方部に重点化するとともに、航空会社との共同広告事業では、国内地方部への直行便があるアジアの訪日客の更なる誘客を行うことはもとより、国内地方部への直行便がない欧米豪などの方々にも地方部を訪問していただくために、国内経由便の利用促進を行い、こういった取組により、これまで以上に地方への訪問ルートを多様化させ、地方への誘客を強力に進めてまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
この百三十六億円のプロモーション予算、これは単なる広告宣伝だけで終わらせてはいけないというふうに思っております。欧米豪などの富裕層をいかに地方空港に直結誘導してくるのか、そしてまた地方空港への直行便に特化していく配分をしていくのか、こういうことが極めて大事だというふうに思っておりますので、是非、地方が主役になる具体的な戦略を今後立てていただきたい、このように御要望をさせていただきたいというふうに思っております。
そして、市場の多様化を急ぐ一方で、停滞している日中間の観光、これを政治的課題として放置してはいけないというふうに思っております。
歴史を振り返りますと、二〇一〇年の尖閣諸島付近での漁船衝突事件で関係が冷え切った際にも、当時の太田昭宏国土交通大臣が安倍内閣の閣僚としていち早く訪中をしまして、二〇一五年には、日中韓観光大臣会合、これを実現させて、その後の訪日客数が一千万人また二千万人と、このように礎を築いてきた先例があります。ですので、政治的な課題があるときだからこそ、民間交流の基盤である観光の重要性は増してくるというふうに考えます。
現在の冷え込んだ状況を改善するために、中国との対話、これをもっと力を入れて、相互の交流拡大に向けた環境整備に主導的な役割を果たすべきだと思いますが、金子大臣の決意をお伺いします。
○金子国務大臣 中川委員御指摘のとおり、相互交流拡大に向けて、民間交流の基盤である観光の役割は極めて大きいと考えております。インバウンドの多様化を進め、世界各国との交流を進めていくことが重要であると考えております。
先ほど政府参考人から答弁させていただきましたが、これまでは中国からの訪日客が物すごく多かったんですが、今、割合的に減ってきております。その分、欧米豪、あるいはそれ以外のアジアの各国からも訪日客が増えていて、それは補うところまで来ておりますので、これからもしっかりと、欧米やオーストラリアから、あるいはそれぞれの世界各国にプロモーションをしながら、単価の高い国もいっぱいありますので、そういうことも含めまして、重点的にそのことをやっていきたいというふうに思います。
しかしながら、中国からの訪日客につきましては、早く戻っていただくことを期待はしておるところでございます。御指摘の対話を含む中国との関係全般については、政府全体の方針を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと思います。
○中川(宏)委員 是非お願いしたいというふうに思っております。
次の質問は飛ばしまして、次に地方の観光対策について伺っていきたいというふうに思っております。
地方創生を確かなものにするためには、地方の観光地が自立して稼ぐ力を取り戻す、このことが必要不可欠であるというふうに思っております。
これまで国が進めてまいりました地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値事業では、施設の改修等が進んだ一方で、財務省の調査等では、宿泊単価の目標未達成ですとか、廃屋撤去後の跡地の未活用、こういった課題も指摘をされているところでございます。一時のハード整備のブームで終わらせず、これからは、地域特性に特化した目的別の地方版高付加価値化事業とか、政策を進化させて、経営支援ですとか人材育成といったソフト面の伴走支援による出口戦略、これを確立していくべきではないかというふうに思っております。
また、地方空港の機能強化、これは急務でありますけれども、仮に地方へ人を呼び込めたとしましても、そこで待ち受けている最大のネック、これが二次交通、観光の足がないということであります。
国交省の「交通空白」リストアップ調査でも、地方の駅や空港といった主要交通結節点におきまして、タクシー等が円滑に利用ができないですとか、また混雑により路線バスに乗り切れないといった事象が喫緊の課題として浮き彫りにもなっているところでございます。また、観光庁の訪日外国人へのアンケートでも、旅行中に困ったことの上位に、常に公共交通の利用が挙げられておりまして、移動手段が確保できなければリピーターが育たない、このように思っているところでございます。
こうした背景の中で、令和八年七月から、国際観光旅客税が現在の千円から三千円へと大幅に引き上げられます。国民の皆様また訪日客に負担増をお願いする以上、この大幅な増加分、これを具体的にどうやって使っていくのかということについてお伺いをさせていただきます。
○木村政府参考人 お答えいたします。
国際観光旅客税の引上げにより得られました財源につきましては、二〇三〇年の訪日外国人六千万人、消費額十五兆円の目標達成に向けて、必要となる施策を充実強化してまいりたいと考えております。
具体的に申し上げますと、過度な混雑やマナー違反など、地域が抱える課題に寄り添い、中長期的視点に立ったオーバーツーリズム対策の実施、特定の都市、地域への集中是正、地方への需要の分散を促進するための交通ネットワークの機能強化や、地域特性を生かしたコンテンツの造成、様々な国や地域からの誘客を一層促進するためのプロモーションなどの強化、それから、廃旅館等の撤去、再生による温泉地などの町づくり支援、日本人旅行者の安全、安心な海外旅行環境の整備などの施策に予算を重点的に充当してまいりたいと考えております。
また、委員御指摘のように、観光産業の生産性向上や人材育成、地域における観光の足の確保も重要な政策課題であると認識しておりまして、令和七年度補正予算も活用しながら、観光産業のDX化支援や経営人材の育成支援、観光地における二次交通の高度化などの取組も進めているところでございます。
○中川(宏)委員 これだけ大幅に引き上げられるところでありますから、まず大事なことは、既存施策の穴埋めではないというふうに使っていかなければいけないというふうに思っております。そして、先ほども答弁ありましたが、地域特性をしっかり重視していくということでありましたけれども、地方の活性化、そして稼ぐ力、これを十分に大胆にやっていくには、しっかりと地方に投入していただきたい、このように思っているところですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 お答えいたします。
今、オーバーツーリズムということが非常に叫ばれているんですけれども、一つの地域、限られた時間に集中するために、地域の皆さん方に御迷惑をかけているわけですね。
しかしながら、日本全国には、地域にすばらしい観光素材がございます。例えば、羽田とか成田とか関空に降りた人たちが地方に分散していただくように、地方空港の充実とか、あるいは鉄路、あるいは道路、そういったものを使っていただいて、そのためにやはり日本にある観光素材を外国の人たちに知っていただくということ。意外なところを外国の人たちは見て、我々が知らないところに訪れるということがありますので、埋もれたというか、外国の方々が知らない部分をプロモートすることによって、日本全体で観光の利益を落としていただけるようにするということで、国際観光旅客税も三倍になりましたことでありますし、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
今大臣から地方空港の充実、活性化というお話もありましたけれども、最後に端的にこの件についてお伺いをしたいというふうに思っております。
現状、外国人延べ宿泊者数の実に七四%、これが三大都市圏に集中して、地方は二六%にとどまっております。この偏在を打破する窓口となるべき地方空港、今、極めて深刻な状況であります。
第一に挙げるとすれば、運航コストの異常な高騰であります。そして第二に、深刻な人手不足、また燃料不足。この大きく二つが深刻な状況にあるかというふうに思っております。
このように、インバウンドの恩恵がまだ地方に届かない中で、地方に飛ぶ航空会社は赤字に苦しみ、また深刻な人手不足、燃料不足によって地方空港の就航要望に応え切れていないというこの極めて厳しい現実、また数字的現状をまずどう認識されているか、この点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
○宮澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、インバウンドによる経済効果を日本全体へ波及させていくためには地方への誘客が重要であり、その実現に向けては、国内航空ネットワークの維持、活性化と地方空港における受入れ体制の整備が必要です。
他方で、我が国の国内線事業は各種コストの上昇やビジネス需要の低迷等により構造的に収益確保が困難な状況となっており、航空会社は大変厳しい経営環境に置かれております。また、地方空港を中心として、燃料供給を含むグランドハンドリングの体制確保が課題となっており、処遇の改善や外国人材の活用、また資機材の共用化や先進資機材の導入等による生産性向上に取り組む必要があります。
こうした認識の下、国土交通省では、国内航空ネットワークの維持、活性化に向けて有識者会議を設置して必要な方策について議論を進めるとともに、国際観光旅客税も活用して、航空会社や空港関係者によるこうした課題の解決に向けた取組を支援することで、インバウンドの国内線利用の増加を図ってまいります。
○中川(宏)委員 最後になりますけれども、現状、大変厳しい状況であります。そうした現状をしっかり認識して、今スピード感を持ってやっていかなければ地方空港は大変でございますので、是非ともその点をお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。
一年七か月ぶりの質問でございます。二か月ぶりに散髪もしてまいりました。十二分という短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、造船業にスポットを当てて質問させていただきます。
一九七〇年代には、世界の造船建造量の約半分を日本が占め、我が国は造船王国と呼ばれておりました。しかし、現在は、中国や韓国の台頭により厳しい状況に置かれております。
配付した資料の表を御覧いただければ一目瞭然ですが、日本の建造量は減少傾向にあり、世界シェアは低下し、二〇二四年には八%まで落ち込みました。造船は、受注から建造まで三年以上要するものが多く、確認できる最新の受注状況では、二〇二四年において中国が世界の船舶受注量の七割超を占めており、今後も建造量の増加が見込まれるなど、中国が世界市場での支配力を一層強めております。
このような状況の中、日本では、国内造船所だけでは造船需要を十分に賄い切れずに、海外の造船所に依存せざるを得ない状況も生じております。実際、日本の新造船発注量は毎年おおむね一千二百万総トン前後で推移しておりますが、日本の造船所の建造能力はこれより低く、約一千万総トン程度にとどまり、日本船主の発注需要を下回っているというのが現状です。その結果、更新需要すら国内で賄えず、発注の三、四割が中国へ流出しております。
なかなか現状を申し上げると暗いという状況ですが、高市政権においては造船業を十七の成長戦略分野の一つに位置づけているということを国交省としてどのように認識しているのか、御所見をお伺いいたします。
○酒井副大臣 先生、御質問ありがとうございます。
それでは、お答えさせていただきます。
造船業は、海上輸送に不可欠な船舶を安定的に供給をし、国民生活、経済活動のみならず、安全保障も支える極めて重要な産業でございます。また、造船市場は今後、ゼロエミッション船を始めとする次世代船舶の需要が増大をいたしまして、我が国の造船業が優位性を発揮する機会が広がるというふうに考えてもおります。
我が国の造船業には、こうした新たな需要をつかみ、成長産業として大きく飛躍できるポテンシャルもあり、このような背景の下、高市政権において造船が十七の戦略分野の一つとして位置づけられたというふうに認識しております。日本成長戦略会議の造船ワーキンググループにおいて精力的に検討を進め、造船分野における大胆な成長投資を促進をし、造船業の再生を果たすべく、全力で取り組んでまいります。
○住吉委員 ありがとうございます。
我々の生活はもとより、安全保障上重要でもありますし、また、地域産業への波及効果も大変高い、大変重要な産業の一つです。また、これから世界の造船の更新時期をどんどん迎えるわけで、これから産業的にも大きなマーケットが開けてくる、そういった期待もしております。
近年、造船量や世界シェアを伸ばしている中国や韓国の企業を見ますと、中国では国有企業が中心となり、韓国では国策の下、財閥系企業が強力に後押しされています。日本と比較すると、中国、韓国のトップ企業は、一つの造船所当たりの従業員数、敷地面積、生産量のいずれにおいても規模が大きいというのが特徴です。
一方、日本の造船所は、事業規模が相対的に小さく、また点在しているため、スケールメリットの面で劣後しているというのが現状です。中国や韓国の造船所、これは非常に大きく、また、五本から六本のドックで同時並行で建造できる構造になっておりますが、日本の場合は一、二本のドックで建造しているため、効率面でははるかに劣っております。
そして、造船業では、船舶受注後に材料を調達するため、物価上昇局面では利益が圧迫される傾向にありますが、中国では、共同調達などによるスケールメリットを生かし、鋼材や資材の共同調達を行うなど、調達コストの削減を実現しております。このことから、日本と中国で同じ船舶を建造する場合、大体、日本の建造コストは約二割程度高いとも指摘されております。今後、国際競争の中で日本の造船業が勝ち抜いていくためには、こうしたコスト差をどのように埋めていくのか、これは大きな課題です。
政府は二〇三五年までに造船量を一千八百万トンへと引き上げる目標を掲げていますが、これは現在の生産量の約二倍に近い水準です。この目標を実現するために、今後どのような政策や戦略で我が国の造船業を強化していくのか、今後の展望について御教示ください。
○新垣政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、我が国の造船所は、競合する韓国や中国の造船所と比べますと、人数、敷地面積、生産量共に規模が小さいという状況にあります。そうした中で、我が国の造船業が今後も国際競争を戦い抜いていくためには、船舶の建造設備の増強等によって抜本的な生産能力の強化を図るとともに、複数の造船事業者などによる連携、協業を促進していく必要があると考えております。
そのため、令和七年度補正予算で新設することとなりました造船業再生基金におきまして、省力化、ロボット化などの設備投資に対する支援に加えまして、企業間の連携、協業を含む生産能力向上のための研究開発に対する支援を行うこととしております。
本基金を始めとする施策を通じ、我が国の造船業が規模の面での不利を乗り越えて競争力を発揮していくことができるよう、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいる所存です。
○住吉委員 競争力を強化していくこと、これは喫緊の課題だと思っております。その中にも、少し各論的な質問になりますが、LNG運搬船についてお伺いしたいと思います。
日本は年間約一兆キロワット時に及ぶ総発電電力量のうち、約三四%を天然ガス火力発電に依存しております。そして、今後、AIの普及であったり、またデータセンターの増加に伴い電力需要が大きく伸びていくことが見込まれております。日本は四方を海に囲まれた島国であり、天然ガスをパイプラインで輸入することが現時点では困難です。したがって、LNGは海上輸送に全面的に依存せざるを得ないという構造にあります。
かつて日本が強みを持っていたLNG船、これは、韓国との価格競争に敗れ、二〇一九年以降は国内で造られておりません。さらに、米国が同盟国へのエネルギー輸出を積極的に進めている中、将来的にはアメリカ産LNGが日本の輸入量の約二割に達する可能性も指摘されております。そうなれば、日本のLNG輸送需要は今後ますます増加することになります。にもかかわらず、国内でLNG運搬船の建造が進んでいないという現状は、輸送需要と輸送能力のミスマッチを拡大させる可能性があるのではないでしょうか。
エネルギー安全保障の観点から考えれば、自国のLNG運搬船を建造できる造船基盤を維持していくこと、これは国家戦略として極めて重要な課題であると考えます。政府はどのような危機認識を持っているのか、また、LNG輸送の確保と国内造船基盤の維持強化について今後どのような施策を講じていくのか、御所見をお伺いいたします。
○新垣政府参考人 お答えいたします。
天然ガスはカーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源として位置づけられており、その堅調な需要が見込まれますが、その需要を担うLNG運搬船は、委員御指摘のとおり、二〇一九年の竣工を最後に国内の造船所においては建造されていないという状況でございます。
現在、日本成長戦略会議の下の造船ワーキンググループにおいて、将来における需要サイドのニーズを含む国内建造の課題や方策について議論を行っているところでございます。国土交通省としましては、関係省庁や関係業界とも連携しつつ、このワーキンググループでの検討を進めてまいります。
○住吉委員 この課題については認識を共有しているものだと信じております。
造船ワーキンググループで今後議論がなされるということなんですけれども、LNGの造船が、日本で造れないというのはやはり安全保障上問題だと思いますし、日本は必ずこれが必要ですから、日本が造れないとなると他国から購入する、これも足下を見られる、ひょっとしたら価格が高くなる、こういった懸念もありますので、これからワーキンググループで議論をなされるということなんですが、私の方からも指摘しておきたいというふうに思います。
ちょっと時間も押しておりますが、最後一問だけさせていただきたいと思います。
今後倍増するという計画でありますので、これは設備投資が必要不可欠になってまいります。中国は国営企業ですし、韓国は、賛否いろいろありますが、巨額の国費を投じてこの産業を守ってきたという経緯もあります。これから造船業に力を入れていこうということで、民間にも協力をする中で、造船業自体が非常に景気に左右されやすい、そういうような状況でもあります。民間が安心してこういった造船業を振興していける、その環境づくりについてお伺いいたします。
○酒井副大臣 お答えを申し上げます。
世界の海上輸送量の増加に伴って、造船市場は今後、中長期的に拡大することが見込まれます。一方、変動の大きい海運市況の影響を受けて、短期的には市況が変動する可能性もございます。そのために、我が国の造船産業がこうした市場の特性に対応しながら、競争力を維持向上していくことのできる体制を整えることが非常に重要だというふうに考えます。
例えば、国土交通省では、本年の三月末までに造船業の再生基金を設置することとしておりまして、令和七年補正予算で一千二百億円を計上しております。本基金の活用によって造船現場の自動化、省人化を推進することとしておりまして、これによって、雇用への影響も抑えた柔軟な操業ペースの調整が可能になるだろうというふうに期待をしております。
委員御指摘のように、我が国の造船業が景気に左右されにくい産業として我が国の経済、社会、安全保障を支える役割を果たし続けていくことができるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○住吉委員 ありがとうございます。
時間ですので、残りの質問についてはまた別の機会で議論したいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて住吉君の質疑は終了いたしました。
次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 国民民主党・無所属クラブの臼木秀剛と申します。
是非、今日は建設的な議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず、国土交通省、国土交通大臣を中心に御質問をさせていただきたいと思います。
我が国の物流というものが、今大きな注目を集めております。特に人材不足、それから、なかなか構造改革が進まないという中で運ばなければいけない荷物は増え続けているという状況の中で、今あります総合物流施策大綱についてはこの二〇二五年度が計画期間の最終年度となっているため、次期大綱の策定に向けて先月末には提言が検討会でまとめられ、さらには、現在、閣議決定に向けた最終調整段階に入っているものと承知をしております。
その検討会の中では、現在の大綱のKPIのうち、四十指標中二十八指標で更なる取組が必要ということで、三分の二近くがなかなかやはり達成ができていないという御指摘もある中で、特に物流DX、さらには構造改革の領域での未達が多いということも見て取れます。
まず、大きな質問にはなりますけれども、次期大綱策定に向けたこういった課題認識、そして、今検討されておられると思いますけれども、この大きな方向性について、是非大臣から発言いただけますでしょうか。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
まさに物流というのは、二〇二四年問題もありましたように、非常に日本の経済にとって大きな問題であると思います。
二〇三〇年度までの次期総合物流施策大綱、いわゆる物流大綱については、国土交通省、経済産業省、農林水産省の三省合同で設置いたしました有識者検討会において、三月三日に提言が取りまとめられました。現在、この提言を踏まえた物流大綱の案についてパブリックコメントを行っております。
次期物流大綱の案においては、担い手不足が深刻化する中で、必要な物流の機能を維持するため、自動運転トラックの早期の社会実装や陸海空の新モーダルシフトの推進等を通じた徹底的な物流効率化、商慣行の見直しや取引環境の適正化の推進、荷主、消費者の行動変容促進のほか、トラック産業における多重取引構造の是正等の産業構造の転換、物流人材の地位、能力の向上と労働環境の改善、物流標準化と物流DX、GXの推進、厳しさを増す国際情勢や自然災害等に対応したサプライチェーンの高度化、強靱化といった施策を盛り込んでおります。
国土交通省といたしましては、次期物流大綱の閣議決定に向けて早急に作業を進めるとともに、関係省庁や産業界とも緊密に連携をしながら、二〇三〇年度までの物流革新の集中改革期間が物流の未来を切り開く更なる飛躍の五年間となるよう、全力で取り組んでまいります。
○臼木委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。
今大臣からも御発言があったとおり、従来の大綱の中から更により一歩進めていくという中で、今ありました新モーダルシフトということについて少し取り上げて質問させていただきたいと思います。
私自身も去年のこの予算委員会の一般質疑で質問をさせていただいたんですけれども、このモーダルシフト、要は、今トラック物流を中心にやはり量が多いものを、ほかの輸送モードも使って変えていこうという中で、特に、鉄道貨物であったり内航海運、さらには、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、新モーダルシフトということで航空、こちらも活用しながら、様々な輸送モードをフル活用していこうということになっております。
ただ、モーダルシフトの中でも、従来から位置づけられている鉄道についてちょっと大きい動きがありました。それは、去年の十一月の七日ですけれども、財政審の分科会において、資料の二ページにおつけをしておりますけれども、JR貨物、これは鉄道貨物の担い手にはなるわけですけれども、このJR貨物に対して、将来的な自立に向けて公的な支援を四十年近くにわたり行ってきたものの、JR貨物は鉄道貨物事業では利益を上げておられず、長年にわたり経営改善が十分に進展していない、鉄道貨物は、モーダルシフトのメインプレーヤーとして期待されてきたものの、輸送貨物に対するシェアは横ばいであり、内航海運等の代替手段もあることから、抜本的な改革を検討すべきと。大変、本当に厳しい指摘だと思います。
モーダルシフトのメインプレーヤーとして期待されてきたものの抜本的な改革が検討されるべきという大変厳しいこの意見につきまして、所管であります国交大臣の御意見、受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
貨物鉄道は、全国ネットワークを活用した大量輸送機関であり、また優れた環境性能を有することから、トラックドライバー不足への対応やカーボンニュートラル実現に貢献することが期待をされております。
一方で、財政制度等審議会からは、JR貨物のシェアは横ばいであり、鉄道貨物事業では利益を上げられていないことから、抜本的な改革を検討すべきではないかとの提言をいただきました。
貨物鉄道につきましては、安定的な輸送を確保することが重要であり、激甚化、頻発化する自然災害への対応能力の強化等が必要であると認識をしております。
このため、国土交通省としては、物流革新政策パッケージ等を踏まえ、トラックからの積替えが容易な大型コンテナの導入や、それに対応したコンテナホームの拡幅のほか、災害時の代行輸送の拠点となる貨物駅の施設整備などについて、JR貨物への支援を行っております。また、JR貨物の経営自立に向けた経営基盤強化のため、機関車などの設備投資に対する支援も行っているところでございます。
加えて、JR貨物において、ダイヤ改正によりまして輸送力増強や、運賃改定等により経営改善に取り組んでいるところでございます。
このように、様々な取組を実施しているところであり、今後も、JR貨物が期待される役割をより一層発揮できるよう、財政制度等審議会の提言も踏まえ、財政当局とも議論をしながら、国土交通省としてもJR貨物を指導監督してまいります。私も同じ考えでございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
まさに今大臣おっしゃっていただいたように、この間も様々な支援をしてき、また、JR貨物が何かやってこなかったかというと、そういうわけでもなく、大変、民営化の中の当初から厳しいと言われていた北海道そして四国、JR二島貨物ですけれども、この二島貨物は、スタートから厳しい状況の中でも様々な取組を自主的にも行ってきましたし、また、国としても支援をしてきたという中でのこの提言というのは大変私は重いものだと思っています。
ただ、やはり、おっしゃっていただいたように、先ほどもおっしゃっていただきました、時代の要請としては、人手不足の中で、人手のコストをかけずに大量輸送、ちょっと資料の一ページ目、つけておりますけれども、各モードにとっては優位性がある中で、鉄道については、やはり輸送量、そして人手のコストをかけない、環境負荷が軽減される、そして、もう既に鉄道という鉄路がありますから長距離輸送にも資するというメリットはあるわけです。
であれば、デメリットをきちんと解消していき、このモードを、先ほど大臣もおっしゃっていただきました、最大限有効活用ができるように変えていく、私は、これこそが抜本的な改革であり、ネガティブな意味ではなく、ポジティブな改革をやっていく必要があるのではないかと思っています。
また、この間取りまとめられた物流拠点の今後の在り方検討会や物流革新の緊急パッケージでも、明確にプレーヤーとしては位置づけられています。ですから、先ほどの財政審にありましたネガティブな抜本的改革ということではなくて、きちんとしたやはり対応策を取っていく必要があると思います。
その中で、ただ、とはいいながら、幾つか大きな課題がありまして、ちょっとこれは答弁としてはなかなかお答えづらいところもあると思いますし、私も今後、国交委員会所属となっておりますので、是非そちらでも取り上げていきたいと思っていますが、次年度末ですね、二〇二六年度末、二〇二七年の三月までにちょっと解決をしなきゃいけない幾つかの大きな問題があると思っています。
まず、その一つが、JR貨物とJR旅客の間で、下の鉄道は旅客が管理をして、今貨物会社が上を走らせてもらっているという、使用料の、アボイダブルコストルールの改定時期が次年度末に来ます。
また、JR北海道の方では、いわゆる黄線区といいまして、ちょっと御存じない方もおられるかもしれませんが、旅客ではほとんど人が乗らないので収支が取れないので、どういうふうに取り扱うかということを決める。ただ、この旅客の線路を廃線にしてしまうと貨物も走れなくなってしまうということで、大きな存廃についての問題があります。
これについて、直接は、基本的にはJR旅客各社ないし貨物との間の問題だとは思いますけれども、これについて、まず、ちょっと問題意識として、国土交通省そして大臣の御認識をお伺いできますでしょうか。
○金子国務大臣 まず、JR貨物がJR旅客会社に支払う線路使用料につきましては、JR貨物の収益性を確保し、鉄道貨物輸送のサービスを維持していく観点から、国鉄改革の際に、貨物輸送によって傷んだレールや枕木等の修繕費、いわゆるアボイダブルコストのみに限定することとされております。JR貨物とJR旅客会社六社との間では、この考え方に沿って協定が締結されているものと承知をしております。
現在、協定の更新に向けまして会社間で協議が行われているものと承知をしておりますが、国といたしましては、国鉄改革時のルール策定の経緯を踏まえまして、慎重な検討が必要であると考えておりまして、協議の動向を注視してまいりたいと思います。
次に、先ほどお話がありましたJR北海道のいわゆる黄線区について、二〇二四年三月に国土交通省がJR北海道に対して発出した監督命令におきまして、JR北海道と地域の関係者が一体となって、二〇二六年度末までに線区ごとに抜本的な改善方策を確実に取りまとめるよう求めているところでございます。抜本的な改善方策の取りまとめに当たっては、線区ごとの利用特性やあるいは各地域の実情を踏まえて議論がなされるものと考えております。
国土交通省としても、JR北海道と地域の関係者から成る議論の場に参画をしながら、他地域の事例や活用できる支援策の紹介、助言等を積極的に行ってまいります。
○臼木委員 ありがとうございます。
今大臣おっしゃっていただいたように、地域ごとの利用特性というものがやはりあります。どうしても今の鉄道というものは、旅客、人がどれだけ乗るかということを中心に、やはり国民の皆様の関心もありますし、いろいろな御意見も出ますし、施策も打っていかれますが、この貨物ということに関して言えば、北海道の場合で言えば、農産品を運ぶ、そして、当然生活物資も運びますけれども、道内から道外に出していく。それは当然、農産品であれば、なかなかやはり人が利用しないような地域で農作物を作ってそれを外に出していくということですので、既存のスキームをそのまま使っていてなかなか経営改善ができないのだからここを廃止していくということをやっていると、これは農水大臣にも質問もさせていただいたこともありますが、食料安全保障の観点また防災の観点など様々な観点から、やはり大きな、国土形成という意味では懸念点があるものだと思っています。
やはり、この抜本的な改革という御指摘は、財政審の方からはいただいていますけれども、これはポジティブな意味で抜本的な改革を行うべきでありまして、経営体力が脆弱なJR貨物がこれから現状の輸送網、これを独自で維持するということはもちろん難しいということもありますし、そういう中では、物流政策の観点から、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、利用特性に鑑みれば、防災、環境、さらには食料安全保障、様々な他分野の、いわゆるポリシーミックスと呼ばれていますが、このポリシーミックスの観点を入れながら、既存のスキームにとらわれない、本当にポジティブな意味での抜本的な改革をし、この鉄道貨物を効率的に使っていけるような仕組みづくりを是非これから、ちょっと、やはりこれは役所の皆さんでも難しいと思います。さらには、民間会社にそれをやれというのは難しい話で、これは大きな政治的な決断が必要だと思います。どういうふうにやっていくかということは、これは議論だとは思います。
昔の姿に戻せということを私は全く言うつもりはありませんが、それでもなお、やはり官民連携の中で政治がリーダーシップを発揮してやっていくべきだと思う分野ではありますので、是非、大臣はお一人の政治家ですので、その政治家の思いも込めて御発言をいただけると助かります。お願いいたします。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど御説明したとおり、貨物鉄道は、大量輸送特性や環境性能の高さ、トラックドライバー不足への対応など、多様な社会的意義を有しています。
私も九州・熊本でありまして、大臣になる前も物流調査会の中で議論する中で、北海道と九州というのは東京に一番遠いところであるから、やはり物流の問題はそういうところにも観点を、光を当てないといけないということをずっと申し上げてきたところでございます。
御指摘の食料供給に関しては、今申し上げましたように、我が国を代表する農林水産畜産地である北海道から全国への産品の輸送において、貨物鉄道というのは重要な役割を担っております。また、本州内陸部へのエネルギー安定供給に貢献しているほか、災害時の物資輸送にも活用された実績もございます。
このような貨物鉄道が期待される幅広い観点からの役割をしっかり果たせるよう、国土交通省としても、輸送力の増強等に向けた支援に、まあ、大胆なことはここでは言えませんが、着実に現状を見ながら、やはり物流が途絶えてしまうと日本の経済が回らない。あるいは、東京でおいしい牛乳が飲めないとか、もちろん関東にもあるわけでございますけれども、熊本でいけばおいしい果樹もあれば、済みません、宣伝させていただきましたけれども、いろいろな全国においしい農林水産物がございますので、そういったことも含めて、農産物だけではなくて工業製品も含めて、やはり大量に輸送できるというのは非常に重要なことだと思っておりますので、今いただいた御意見も踏まえてしっかり対応してまいりたいと思います。
○臼木委員 大変力強いお言葉をいただき、ありがとうございます。
ジャガイモもタマネギも、やはりこの鉄道貨物なくしては道外に出していけないと私も思っておりますし、是非、食料安全保障の観点からも、鉄道貨物、もう一度抜本的な改革、これはポジティブな意味で本当にやっていきたいと思っております。
その上でも、やはり政治の力は本当に大きな力になると思います。与党の皆様は大変数もおられますので、是非強力な推進力で進めていっていただきたいと思います。
もう一つは、最後は、鉄道予算は増えていないので、この鉄道予算の拡充についても、今日は財務大臣がおられないのは大変残念なんですけれども、是非大臣からも鉄道予算拡充に向けて、あっ、では副大臣からも、この鉄道予算、国交大臣も大変力強い応援をいただけると思っておりますので、予算の拡充に、是非お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○舞立副大臣 国交省と適切に連携しながら、財務省としてもしっかり対応してまいりたいと考えております。
○臼木委員 是非、国交省と連携しながらということですので、国交大臣、よろしくお願いをいたします。
そして、ちょっと関連で一問お聞きをしたいのが、資料で三枚目、おつけをしております。いろいろ鉄道の貨物の話をしている中で、いわゆる定時運行率というものの話がやはり出てきます。先ほど少し大臣からもありましたけれども、安定的な輸送、そして物資をきちんと時間どおり運んでいくという中で、やはり定時運送率というものが大きなポイントにもなってきます。
その中で、最近、鉄道に対しての動物の被害というものが少し数が増えてきているのではないかというのも体感も含めてある中で、国交省さんが出されているこの資料の中で、ちょっと見にくいんですけれども、平成十五年でいうと、一番上になりますが、八十一件だったものが、令和六年度では千二百九十三件と、大変大きな障害要因になっています。これは何の数かといえば、一本以上の運休か又は三十分以上の遅延、その原因が何なのかというものを表したグラフだということです。
これだけやはり獣の被害が鉄道に与える影響が大きくなってくる、最近でいえば三分の一近くが動物が原因になっているということなんですけれども、これを事前でレクでお伺いをしたところ、鉄道事業者さんが今御対応をいただいていて、なかなか他省庁との連携ができていないということでした。
しかし、やはりこれだけの数が増えてくる中で、鳥獣害被害対策、これは農業もそうですし、前国会では熊の問題も様々ありましたけれども、やはり、情報共有であったり、何かできることがないか、私も何ができるのかなということを少し考えてはいますけれども、こういった他省庁との連携、情報共有や連携をまずやっていくべきではないかと思いますが、今日は環境省さんにもお越しをいただいていますが、是非、国交省さん、環境省さん、お答えをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 今お話がありましたように、二〇二四年度において、鉄道の運休や三十分以上の遅延といった輸送障害のうち、動物が線路に出て列車と接触する等のいわゆる動物障害によるものは、全国で千二百九十三件発生をしました。
私の地元もかなり田舎でございまして、私も何度か、乗っている列車が鹿にぶつかって止まったことがあります。あれは、止まると、運転士さんがわざわざ戻って確認をしないと動けないということなんですね。多分、北海道とかでは、熊がもし動物障害になった場合、なかなか運転士さんも確認もできないということで、非常にいろいろな問題を抱えているかと、私もそのことを実感をしておりますので。
鉄道における動物支障への対策は、従来から各鉄道事業者が主体となって取組を進めており、例えば、JR北海道では、侵入防止柵の設置、オオカミの鳴き声や電子音等を鳴らして鹿に逃走を促す装置の設置等を実施しております。
国土交通省では、各鉄道事業者が実施する動物支障への対策を含む安全対策について情報を共有する場として、地方運輸局ごとに鉄軌道保安連絡会議を開催しております。今後は環境省にも鉄軌道保安連絡会議への参加を依頼し、動物支障への対策に関する情報等を国土交通省、環境省、各鉄道事業者において共有をし、鉄道の安定輸送の確保に努めてまいります。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
鹿による被害の低減のために、環境省におきましては、計画的な管理を進め、鹿の個体数の削減等を図っておりますけれども、関係省庁と密接に連携して様々な取組をしていくことが重要と認識をしております。
特に、鉄道における動物支障の対策につきましては、例えばですけれども、連携の例といたしまして、北海道で列車と衝突したエゾシカの死骸に希少なオジロワシとか猛禽類が引き寄せられてしまうようなこともありまして、更にその猛禽類が列車にひかれる、そういうことがございますので、そういうことが起きないように、JR北海道や研究機関と一緒に死骸を覆うシートを開発いたしまして、その試験などもしているところでございます。
引き続き、鉄道事業者あるいは関係省庁の皆さんと連携して、必要な対策に取り組んでいきたいと考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
これはちょっと大臣からも言及ありましたけれども、運転士さんや車掌さんが、はねたものを御自身で処理をしなきゃいけない、線路外に出さなきゃいけないということで、なかなかそれが大変で、これがまた人手不足に拍車をかけるというような悪循環も起こっているという話も現場からは聞いておりますので、是非取組を行っていただきたいと思います。
では、続いて、農林水産関係について御質問させていただきます。
ちょっとまず御礼を申し上げたいのが、私、前国会、臨時会で質問させていただいた、いわゆる新規就農者の支援策として、就農準備資金それから経営開始資金が百五十万で、一二年度の制度開始から全然上がっていないので是非上げていただけませんかというお願いをさせていただきました。そのとき、余り、難しいのかなという御答弁ではあったんですけれども、今年度の予算でここを入れていただきまして、私の元にも、上がったのでありがとうございますというお声が届いておりますので、私から大臣にお伝えもさせていただきたいと思います。
その上で、食料自給率に関して少しお聞きをしたいと思っております。
本委員会でも高市総理が、やはり一〇〇%食料自給率を目指していきたい思いがあるということで、以前よりは少し後退をされたのかなとは思いながらも、それでもやはり食料自給率の向上に対して強い思いがおありになるなということを感じております。その中で、じゃ、実際にどのように目指していくかということに対して、従来からは、植物工場、陸上養殖、スマート農業、輸出拡大といったことを言及されておられましたけれども、最近、単収向上について言及がされるようになっておられます。
端的に、この単収向上ということについて、何か最近、本来であれば総理御自身にお聞きをすればいいんですけれども、この単収向上に言及されるようになった理由について、何か大臣から御所見があればお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
総理はかねてから、最終的には食料自給率一〇〇%を目指していきたいという強い思いを示されておりまして、そのための施策として、農地の制約などの課題が多いということも踏まえて、植物工場や陸上養殖、そしてテクノロジーの活用などに加え、単収の向上も答弁されたものというふうに承知をしております。
食料自給率の向上に向けて講じる施策の中で、単収の向上は重要な要素であるというふうに考えておりまして、総理もそういった趣旨で答弁をされたものと認識をしております。
○臼木委員 ありがとうございます。
この単収の向上については当然以前から様々な施策を講じておられますし、また、実際に農家の皆様方も、当然御自身の所得、収入を同じ労働効率で上げていくためには、この単収向上ということは取組をされてきている中で、では、具体的にどのような品目で、そしてどのような時間軸でということだと思いますけれども、どれぐらいの期間、どれぐらいの品目において単収向上を目指していくのかということがポイントになってくると思っています。
実際、去年、食料・農業・農村基本計画が改定されまして、KPIも具体的に設定をされています。なかなかやはり米については、今まで、各種施策や農家の皆様の取組によって、単収向上というのは難しいのかなという感はありますけれども、小麦、大豆、飼料作物などを中心に、一〇%台から、特に大豆でいえば三二%増の向上を目指しているということもKPIで設定をされておりますけれども、これに対しての具体的な支援策であったり、また、基本計画は総理が御就任される前でありますので、KPIどおりにいくのか、それよりも更に強化をする作物、特に支援策も講じながら単収向上に更に力を入れていくのかという点についても、御発言いただけますでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まずは、食料・農業・農村基本計画に基づきまして、二〇三〇年度までに食料自給率をカロリーベースで四五%に、そして生産額ベースで六九%に引き上げる目標の達成に向けて、今後施策を講じていくわけであります。
その中で、今委員からも言及がありましたが、単収ですね、基本計画の中におきましても、米、麦、大豆、野菜など幅広い品目で単収向上の具体的な数値を設定をしております。
これは、目標年度は二〇三〇年ということになっておりまして、例えばですけれども、米でいうと、二〇二三年に反当たり五百三十五キロだったのを五百七十に引き上げるとか、小麦も四百七十二から五百三十七に引き上げる、大豆も百六十九から二百二十三に引き上げるといった具体的な数値も設定をしているところであります。
単収の向上に向けましては、多収性や高温耐性を備えた新品種の導入、そして排水対策などの営農技術の導入、また、適切な輪作体系やブロックローテーションの導入などに取り組むことで実現が可能かというふうに思っておりますし、今後、水田政策の見直しの中においても、やはり生産性の向上というのが、限られた農地面積の中でいかに食料供給力を上げていくかという観点でいうと、そういった観点も持ちまして検討を進めていきたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
また、これにつきましても、また私自身も飼料自給率の観点等も含めていろいろ問題意識を持っておりますので、引き続き問題意識を持って取組をさせていただきたいと思います。
ちょっと時間もなくなってきましたので、次の質問に行かせていただきます。
酒造好適米について御質問をさせていただきます。
いわゆる日本酒の中でも、普通酒と特定名称酒ということで、やはりお値段が高くなってくるのが吟醸酒や純米酒、本醸造と言われる特定名称酒ですけれども、その原料となる酒米について、昨今の米の価格高騰によって、今までであれば、酒造好適米の方が、やはり手間もかかるし、使い道、用途も一定限られるということから高値で取引がされてきました。しかし、昨年十一月には、多分皆様もお聞きになったことはあると思いますけれども、いわゆる代表銘柄である山田錦、特に兵庫県産が本当に有名ですけれども、この販売価格が主食用米に追い越されるという事態も起こっております。
その一方で、日本酒については、食料・農業・農村基本計画では一・七四倍の輸出拡大を目標にやっていくという目標も立てられておりますし、また、地元の酒蔵というものは、地域を回っていても、私もいろいろなところを回ってきましたが、いろいろ地域の中心を担っていただく酒蔵をやはりきちんと存続をさせていくという意味でも、この酒造好適米をきちんと確保していく、原料確保というのが大切な視点だと思っています。
以前質問させていただいた中では、安定的かつ拡大に向けた原料生産と日本酒生産を目指すということで、大臣から前向きな御答弁もいただきました。実際に二〇二五年産のいろいろな数字も見えてきたと思いますけれども、まず、生産、供給含めてどういう実態にあるかということについて少し教えていただけますでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
酒造好適米の生産量は、これまで九万トンから十万トン程度で推移をしてきたわけなんですが、今般の米価の高騰を受けまして、令和七年産が八万トン程度と、前年産より約一割減少する見込みとなりました。
やはり、酒蔵始め日本酒も、私も大好きでありますので、今後、酒造好適米の安定的な生産、供給を図るため、酒米の生産者と実需者との長期安定的な取引を進めていくということが私としては重要だというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
その中で、この令和八年度予算案の中でも、といいますか、去年の補正予算のところから、継続的な生産支援であったり、また、生産に対しての補助ということも入れられていると思いますけれども、これは、今、先ほどおっしゃっていただきましたように、一割程度生産が減ってしまったことに対して、まずは戻していこうというところだと思います。
さらに、先ほどもお話をさせていただいたとおり、やはりこれから、より積極的に輸出拡大も含めて戦略的にやっていくということも鑑みれば、更に生産基盤体制を、維持というよりも増やしていくということもやっていかなくてはいけないと思いますけれども、より積極的な支援、こういった、特に生産基盤整備に向けた支援策もあり得るのではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
農林水産省では、これまでも、生産者団体と酒造組合の情報交換の場を設けて、両者の連携強化を図ってきたところであります。
これに加えて、委員からもお話ありましたが、令和八年度予算において、新たに、酒米の農家に対しても、実需者との取引年数に応じて最大で三年間で三万円、一反当たり、これを支援をすることとしたところであります。また、これが大事だというふうに思いますが、やはり輸出用の日本酒の原料米を含む新市場開拓用米の生産拡大を図るため、これまでも最大で一反当たり四万円を支援をしてきているところであります。
日本酒は、国内は人口が減りますから日本酒の需要がすごい伸びるという状況にはもしかしたらないかもしれませんが、ただ、海外では大変人気が高くなってきておりますし、そういった意味でも、酒造好適米の安定的な生産、供給が図られるように、これは、やはり水田政策、水田で作られるものでありますから、水田のフル活用という意味でも大変大切な作物だというふうに思いますので、農林水産省においても、今まで以上に、産地と業界をしっかりと結びつけるということも含めて後押しをしてまいりたいというふうに思います。
○臼木委員 ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいたとおり、戦略的にやっていくということで、一反当たり四万円の支援ということもつけていただいて、支援をしていくということです。
ただ、ここについても、既に大臣の元にも入っていると思いますけれども、なかなかやはり要件が実態と合わずに使いづらいとか、手続も大変だというようなお声もありますので、現場の声も含めて、是非丁寧に、そして積極的に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
続けて、人材育成の観点で少し御質問をさせていただきたいと思います。
ちょっと時間も限られてきたので端的にお伺いをしますが、今回、物流を中心にいろいろと調べていく中で、今回、二〇二六年、今年の一月ですが、特定技能の幾つか資格が新たに追加をされ、資料でいうと四ページになりますけれども、一の一番右側、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環という分野について、いわゆる外国人材、外国人の皆様の手をかりながら、やはり人材不足を解消していこうということが決定をされています。
これにつきまして少し懸念があるのが、人手不足だからといって、様々な分野に外国の皆さんのお手伝いをいただくということを広げていくと、一方で、賃金の上昇の抑制や、また、条件の改善、要は、なかなか日本の方が、よりそこに、その分野に対して入りにくい、逆の効果も生み出す可能性があるのではないかという御指摘もあります。
さらには、二〇二七年から育成就労支援ということに今度また移行していくわけですけれども、このやはり目的が、人材育成という目的を掲げています。そうすると、今回のように少し定型作業が中心のような分野に人を入れていくと、これはやはり技能向上という面できちんと人材育成に資するのか。
また、特定技能二号ということになってくれば、これは家族の帯同も含めて中長期に日本にいていただくということが前提の制度になってくるわけですけれども、こういった部分との整合性について、やはりもう少し見ていく必要があるのではないかという問題意識を持っているのですけれども、今日は法務大臣も来ていただいていますし、また、ちょうど物流倉庫に関しては国土交通大臣もおられますので、是非御答弁をいただきたいと思います。
○平口国務大臣 お答えいたします。
育成就労制度ですけれども、まだこれは施行されておりませんが、三年間の就労を通じて特定技能一号の人材の育成をするものということであります。受入れ機関は、育成就労法令に適合する計画に従って育成就労を実施して、技能水準等を段階的に向上させるという意味で、技能水準の、人材の向上というものを図っているわけでございます。
二号というのは相当厳しいものでございまして、高度な技術が要るわけですけれども、特定技能一号で業務に従事するなど一定の実務経験に加えて、上級技能者と同等程度の評価試験に合格することが求められるというものでございます。
いずれにしても、賃金の上昇抑制というふうなこともございますけれども、日本人と同等以上の賃金を払うというふうな条件にもなっておりますので、法務省としては、育成就労制度、特定技能制度について、関係省庁と連絡して適切に運用してまいりたい、このように思っております。
○岡野政府参考人 物流倉庫についてお答え申し上げます。
インターネット通信販売の拡大等による保管需要の増加等を背景に、物流倉庫では、生産性向上や国内人材確保のための取組を進めてもなお人手が不足すると見込まれております。
このため、本年一月に、特定技能制度、育成就労制度における物流倉庫の分野追加が閣議決定されたところでございます。本決定は、国内人材確保のための取組として、関係業界が賃金引上げに向けた価格転嫁等による処遇改善や労働災害防止等の安全衛生対策を継続的に行ってきていることを確認した上で行われたものでございます。
関係業界においては、引き続き賃金引上げの原資となる保管料の引上げに取り組んでいるところでございますが、国土交通省におきましても、標準倉庫寄託約款を改正し、附帯業務の対価請求に関する規定を盛り込むなど、保管料引上げのための環境整備に努めているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き業界が賃金引上げや安全衛生対策等の労働条件の改善を進められるよう、しっかりと後押しをしてまいります。
○臼木委員 ちょっと時間も限られてきましたので、また引き続きこの問題は取り上げていきたいと思っています。
そしてもう一つ、これも物流の中で、内航海運、先ほど話しましたが、モーダルシフトの中で、鉄道ともう一つ、内航海運というものはこれからどうなっていくのかということをいろいろな方に聞いていく中で、若い海員の方とお話しする機会があったんですが、船員養成、海員養成の、いわゆる海技学校というものが国交省の所管であると思います。志を持って学校に行ったんだけれども、大変言葉を選ばずに言えば、設備がなかなか古くて、モチベーションを維持するのも大変だし、教員の皆さんも大変だし、これからこの産業をやっていて大丈夫だろうかという不安を抱く方も多いというお声もいただきました。
また、農業関係も、私も勉強していく中で、農業大学校というものも幾つか道府県の中にあるんですけれども、ここについても、実家の方が機械が新しくて、せっかく学校に行ったのに、なかなか、勉強については実家で機械を使っていた方が勉強になるんじゃないかというような、ちょっとやはり、プロフェッショナルを養成する機関について、これからきちんと人材育成をやっていくという意味でも、もう一度、設備投資や支援も含めてここはやっていく必要があるのではないかという問題意識を持っているんですけれども、この点について、それぞれ国交大臣、農水大臣から御答弁をお願いいたします。
○金子国務大臣 すばらしい御指摘をいただきました。
独立行政法人海技教育機構は、我が国の基幹的な船員養成機関として、学校教育や大型練習船による航海訓練を行う機能を有し、毎年六百人程度の船員を海運業界に輩出しております。一方で、学校施設や練習船の老朽化、教員や乗組員の不足といった課題に直面しております。
このため、海技教育機構では、令和八年度からの五年間の次期中期目標期間において、船員の養成規模は維持することを前提に、施設の老朽化対策を始め学校経営や練習船隊の在り方を見直し、良好な教育訓練環境の整備に取り組むこととしております。
また、高い専門性、指導力と熱意を備えた教員や乗組員を安定的に確保するため、処遇等の改善を推進するとともに、海運事業者との積極的な人材交流等によりまして、幅広い人材を登用していくこととしております。
国土交通省としては、海技教育機構とともにこれらの取組を着実に進め、持続可能な船員養成体制を整備してまいります。
○坂本委員長 農林水産大臣鈴木憲和君、申合せの時間が迫っておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
○鈴木国務大臣 御指摘ありがとうございます。
我々も、農業教育高度化事業というのがありまして、その中で、これは農業大学校に限らず農業高校もありますので、しっかりそこで学ぶ皆さんがモチベーション高くやれるような設備整備、しっかりやっていきたいというふうに思います。
○臼木委員 前向きな答弁をありがとうございます。
総理もおっしゃっておられるように、我が国は、未来への投資不足が続いてきたことによって様々な問題が出てきていると思っています。是非、先ほどありました社会資本、そして人への投資、未来への投資、我々も協力してやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて臼木君の質疑は終了いたしました。
次に、和田政宗君。
○和田(政)委員 参政党の和田政宗です。
まず、ホルムズ海峡封鎖による政府の危機対応についてお聞きしますが、三日の予算委員会での高市総理の答弁を受けて、政府の危機管理対応について申し述べたいと思います。
三日の予算委員会では、高市総理が米国、イスラエルの攻撃を知った後に石川県知事選の応援演説に向かったことを問いました。総理は不適切な対応だったとは思っていないと答弁しましたが、知事選の応援は党務や私的なものであり、首相の危機管理対応は公務です。なぜ公務優先にならなかったのか。
私は、総理の出張が重要な公務だったのであれば、こうした質問はしません。しかし、知事選の応援は党務であり、公務ではありません。飛行機に乗っている一時間は電話が通じないことを例に出し、即時対応できるように官邸に戻るという考えにならなかったのかという質問に対しては、ネット経由でメールを受け取りながら対応していたと高市総理は答弁されましたけれども、それは百も承知でありまして、飛行機の離着陸のそれぞれ約十分間、通信は使用禁止で連絡できない、また、電話での即時の判断を仰ごうとする場合には対応できないわけでございます。
戦争が起こり、不測の事態が起こる可能性があり、実際にイランが周辺国を攻撃するなど、事態の拡大が見られました。戦争というのは一瞬の判断の遅れで取り返しのつかないことになる可能性があり、在留邦人はイランと周辺国に約八千人いたわけです。
過去、安倍総理や菅総理の危機管理対応をまざまざと見てまいりましたけれども、危機対応最優先でした。政府におかれては、一刻の猶予もない判断を求められるときにも対応できるよう、危機管理対応について再考し、しっかりしたものを構築していただきたいと思います。
では、ホルムズ海峡封鎖による海運への影響について聞きます。
ペルシャ湾における日本の船舶の状況ですが、海峡封鎖によって、日本関係の船舶四十四隻、うち日本人船員二十四人が湾内から出られない状況であると日本船主協会の会議で明らかになり、政府も同様の状況を把握していると思います。
ペルシャ湾では米国タンカーへの攻撃が行われ、イラン革命防衛隊は、米国、イスラエル、欧州、そしてそれらを支持する国に属する船舶が確認された場合は間違いなく攻撃を受けることになると発表しました。
日本の船舶も攻撃対象になる可能性があると政府は考えているのでしょうか。昨晩から今朝にかけてのニュースでありますので、詳細な通告はしておりませんが、もし答弁が可能でしたらお願いをいたします。
○金子国務大臣 今の、現状でよろしいということですかね。
今、和田委員から言及がございましたが、現時点でペルシャ湾内に四十四隻の日本関係船舶が入域しておりまして、今のところ日本関係船舶に被害は生じていない旨確認をしております。また、二十四人の日本人乗組員がペルシャ湾内の船舶に乗船していますが、各運航会社において安否確認が取れており、安全な海域で待機していると報告を受けております。
国土交通省としては、二月の二十八日に、私から、総理からの指示をいただきまして、情報収集を徹底するとともに、海路、空路の状況把握と関係者への情報提供を行うこと等、対応に万全を期すこととの指示を省内に出しました。また、三月二日に、海事局から日本船主協会に対し、付近を航行する関係船舶及び乗組員の安全確保に最大限努め、ペルシャ湾への新たな入域を行わず、ペルシャ湾内に所在する船舶については安全な場所で停泊するよう注意喚起を行ったところでございます。
日本船主協会からは、情報共有や関係国への働きかけなど、船舶の安全確保に向けた措置を講ずるよう要請されているところでございまして、国土交通省として、関係省庁とも連携の上、対応に万全を期してまいります。
○和田(政)委員 対応については通告をしておりますので、対応についてちょっともう一つ確認したいんですけれども。
御答弁の中で、四十四隻については安全な場所でということですけれども、これは随時完全に連絡が取れる状況ということが構築できているでしょうか。
○金子国務大臣 日本船主協会とは連携をしておりますので、ここは確認は取れております。
○和田(政)委員 それでは、更に国交省に聞いていきます。
我々参政党は、失われた三十年以前の一億総中流時代のように、中間層が分厚く、毎年所得や賃金が持続的に伸び、多くの国民が豊かさや幸せを感じられる社会を再構築し発展させていかなくてはならないと考えています。マイホームを望む子育て世代が家を買うことができ、一億総中流時代にこういったことはできていたわけでございますけれども、今では、所得が伸びていない、また、円安や資材高騰などで住宅価格が上がっており、子育て世代の住宅購入が東京圏などで厳しい状況になっています。
そこで、子育て支援の観点から住宅政策について聞きます。
子育て世帯、若者夫婦世帯の省エネ住宅に対する助成金、こういったものが実施されておりまして、住宅ローン減税など様々な住宅購入支援策が行われていますが、私は更なる根本的な支援策がこの状況では必要であると考えます。所得が上がっていない中で住宅価格が上がっている、これは円安や資材高騰など外的要因がかなりの部分を占めており、住宅メーカーに努力を強いることも酷です。
この状況において、住宅ローン減税の更なる拡大など根本的な支援策が必要と考えます。国土交通大臣はどのように考えますでしょうか。
○金子国務大臣 和田委員御指摘のとおり、近年の住宅価格上昇の背景には需要と供給の両面での様々な要因があるものと認識しており、例えば、需要側としては、利便性に優れた都心部等への堅調な住宅需要が、また、供給側としては、そのような堅調な需要を背景とした用地の取得費の上昇、資材価格や労務費の上昇等に伴う建築費の上昇などが影響しているものと認識をしております。
住まいは生活の基盤であり、それから、お話がありましたように、住宅取得負担の軽減を図る観点から、既に令和七年度補正予算において、子育て世帯や若者夫婦世帯に対する省エネ住宅の取得支援、住宅金融支援機構による全期間固定金利の住宅ローンの提供、変動金利から固定金利への借換えの円滑化、残価設定型住宅ローンの普及に取り組んでおります。
加えて、空き家を含めた既存住宅ストックを有効活用していくことが一層重要になると考えております。令和七年度補正予算や令和八年度当初予算案において、既存住宅の耐震化、省エネ化などの取組を進めるとともに、新たに、都市部に所在する空き家の流通を促進する事業を創設をしております。
また、質の高い既存住宅について借入限度額や控除期間を令和八年より拡充することとしている住宅ローン減税等の各種支援制度を活用して、国民一人一人が過度な経済的負担を感じることなく希望する住まいを確保できる環境整備に取り組んでまいります。
ですから、今お話がありましたように、税制あるいは予算の面でしっかりと、令和七年度補正予算そして次の当初予算でしっかりそれを確保していきたいと思います。
○和田(政)委員 大臣より力強い答弁をいただきましたけれども、実は金利の上昇というものもかなりやはり重くのしかかっておりまして、私もまだ家のローンが十年弱残っておりまして、去年の秋に銀行に行って、利率が上がったもので更新してきたんですけれども、本当に、子育て世帯は、借りて過ごしていきたいという方々もいらっしゃいますけれども、やはり安定して子育てをしたいということの中で、住宅というものは極めて重要になってきますので、引き続きしっかりとした支援を、また根本強化というものをお願いできればというふうに思っております。
次に、地域交通への支援策について聞きます。特に、地方におけるバス路線の維持について聞きます。
参政党は、地方が取り残されることなく持続的に発展するよう、一次産業の活性化などの政策を掲げています。
その地方においては、鉄道の廃線が残念ながら続く中、バスが極めて重要な交通手段となっています。しかし、地方路線は赤字路線も多く、維持するのにバス会社の企業努力を求めるだけでは、路線維持はより一層厳しくなります。
政府の現状認識と対応策についてお聞きをします。
○金子国務大臣 バスは子供からお年寄りまで地域の大切な足を支える公共交通でありますが、運転士不足等によりバス路線の維持が困難となっている地域が近年増加しているものと認識をしております。
国土交通省では、地域におけるバス路線の維持に向けて、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、地域間幹線バスや鉄道駅等に接続するコミュニティーバスなどの運行経費に対し補助を行ってきております。また、昨今、バス業界においては運転士不足が喫緊の課題となっていることから、運賃改定手続の迅速化による賃上げの促進、二種免許取得に係る費用に対する支援、女性にとって働きやすい職場環境の整備に対する支援といった人材確保に向けた取組を推進しております。
今後とも、制度、予算等のあらゆる政策ツールを総動員いたしまして、必要なバス路線の維持、確保を含め、持続可能な地域公共交通の実現に向けて必要な施策を講じてまいります。
○和田(政)委員 キャッシュレスバス、この検討も政府で、今年に入ってから、更なる促進ということで進めているというふうに思います。運転手の方の料金箱の対応というものはかなりやはりバスの定時運行ですとかまた労力ということを考えても大変ですので、こういった取組が進むとともに、なかなか、キャッシュレス、どういうふうに使ったらいいのかという方もいらっしゃいますので、導入促進と、そういった周知も含めて、対応を進めていただければというふうに思います。
次に、物流支援策について聞きます。
参政党は、根本的な産業強化を掲げています。
一次産業、物づくり、こうした産業の飛躍においては物流の円滑化と強化が極めて重要です。
二つの観点から質問します。
政府は、物流効率化法改正案などにより、中継輸送機能を持つ物流施設、すなわち倉庫の整備促進を図ろうとしていますが、倉庫を物流の円滑化と強化のために結節点にしようとするものと考えます。物流全体における倉庫の位置づけと、今後、物流の発展に向け倉庫業にどのような役割を果たしてほしいと考え、どのような施策を打つのか、お聞きをいたします。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
倉庫業法に基づく登録を受けた倉庫は、物流ネットワークを構成する必要不可欠な中核拠点でありまして、生産と消費をつなぐサプライチェーンの結節点として日本経済に欠かせない役割を担っております。
具体的には、倉庫は、原材料、食料品、工業製品等の様々な物資の保管機能や、物資の需要と供給の量的、時間的ずれの調整機能を果たしております。これによりまして、市場への物資の安定供給や市場価格の安定を確保し、国民生活や社会経済活動を継続する上で欠くべからざる役割を果たしてきているところでございます。
加えて、有事に対応した防災機能の提供、あるいは雇用の創出等の地域活性化などの観点においても、広くその機能を発揮しているものと認識をしております。
さらに、担い手不足が深刻化する中で、物流の一層の効率化を図るため、例えば、トラックの中継輸送拠点や地域の基幹物流拠点などとして倉庫が活用されることも大いに期待されているところでございます。
このため、国土交通省としては、日本経済に欠かせない役割を果たしている倉庫の整備の促進や、DXの推進などを通した倉庫機能の向上を図ることが重要と考えており、必要な制度改正や、あるいは税制措置などの支援措置を講じてまいります。
○和田(政)委員 トラックについても大臣から言及がありました。
物流の円滑化、強化の観点では、倉庫に加え、トラック輸送も重要です。では、現場がどうなっているのかということを考えれば、労働時間規制によって、トラックドライバーの収入減、そして人手不足、これが顕在化をしております。労働時間規制によりトラック輸送は極めて厳しい状況にあり、これでは我が国の経済活動とその発展において重要な物流が滞る事態も想定されます。実際に厳しい予測、これも関係各所から出されています。
こうしたことからも、トラックドライバーの労働時間規制を緩和すべきと考えますが、主管庁は厚生労働省だと思いますけれども、その方向性について、国土交通省、どのように考えているか、お願いします。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
二〇二四年度から、働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されましたが、担い手不足が深刻化している中で、様々な御意見があるものと承知をしております。
トラック運送業は、全産業平均に比べ、労働時間が約二割長く、年間賃金が約一割低くなっておりますが、その処遇を改善するためには、賃金引上げの原資となる適正な運賃を確保するとともに、荷待ち、荷役時間の短縮などの物流効率化を図ることが必要であります。
このため、昨年四月に施行されました改正物流法や本年一月より施行された中小受託取引適正化法に基づく取引環境の適正化、荷主との運賃交渉に当たり参考指標となる標準的運賃の周知、浸透、長時間の荷待ちや契約にない附帯業務を強いる荷主等に対するトラック・物流Gメンの是正指導等によりまして適正な運賃確保や物流効率化を進めることで、トラック運送業における処遇改善を図っているところでございます。
労働時間規制の見直しについては、先ほど委員からお話がありましたように、厚生労働省を中心に、政府全体で、働き方の実態とニーズを踏まえて運用、制度の両面から議論が進められるものと承知をしておりまして、国土交通省としても、トラック運送業を所管する立場から、現場の実態を踏まえつつ必要な協力を行ってまいります。
○和田(政)委員 これも大臣から心強い答弁をいただきましたけれども、現場をつぶさに見ていただいていると思いますけれども、現場の状況を見ると、これはさすがにやはり緩和しないと厳しいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
次に、法務大臣に質問していきます。
これは通告をしておりませんので、申し述べるだけにいたします。
今朝、こういうニュースに接して、私は驚きました。政府が改定作業を進めている第六次男女共同参画基本計画の案が自民党の部会会議で示されたとのことですけれども、報道によりますと、政府が示した案では旧氏の使用について法的効力を与える制度の創設を検討するとの記載になっていたのを、自民党は運転免許証などの公的証明書に旧氏だけを記載する旧氏の単記も可能とする法制化の検討を盛り込むよう求めたとの報道がなされています。
免許証やパスポート、マイナンバーカードへの旧氏の単記、単独記載が進めば、実質的な選択的夫婦別姓推進となり、そのような新法や法改正は、私たち参政党は認めるわけにはいきません。旧氏を単記ということにすれば選択的夫婦別姓をしなくて済むという意見の方もいますけれども、逆に私は止まらなくなってしまうというふうに考えています。あとは戸籍の記載を変えるのみということになります。旧氏の免許証などへの単記については、参政党は明確に反対をいたします。
では、法務大臣にお聞きをしてまいります。
日本版ESTA、JESTAについてお聞きをします。
私は、国会質疑において初めて日本版ESTAという用語を使い、その創設について質問するなど、必要性の訴えとともに、導入促進に取り組んでまいりました。
ESTAは、短期滞在ビザ免除国からの我が国への渡航者に対し、出発前にオンライン申請を求め、審査するもので、不法滞在を狙う可能性があるなど我が国への入国が望ましくない人物の入国を事前に阻止することができます。
まず、JESTAの導入意義と期待される効果について、法務大臣にお聞きします。
○平口国務大臣 委員御指摘のJESTAは、電子渡航認証制度と言われるものでございます。
査証免除国や地域の外国人であって本邦に短期間滞在して観光等の活動を行おうとするもの、そういう者については査証を要しないとされているものでございまして、査証の免除国というふうになっているわけでございます。
入国審査官においては、厳格な上陸審査を行うなどして、不法残留等を企図する外国人の上陸を拒否するよう努めておりますが、このような外国人が入国した場合は、本邦から退去させるためには相当の労力と費用を要するものでございます。そこで、このような外国人の入国を防止し、厳格な出入国管理を実現する必要があるわけでございます。
他方で、近年、観光等を理由、目的として我が国を訪れる外国人が急増しておりまして、上陸審査の手続に時間を要し、長時間になるという傾向があるわけでございます。
このような状況に対応するために、上陸審査の手続の一層の円滑化を図ることが必要ということになるわけでございまして、これらの課題を一体的に解決するために、電子渡航認証制度、JESTAを創設する必要があるということでございます。
○和田(政)委員 これはしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
そして、二〇二四年に施行された改正入管法により難民申請がツーアウト制となり、不法滞在や不法就労狙いの繰り返しの難民申請を行った場合、それを認めず、送還されることになりました。
私は当時、参議院の法務委員会の与党筆頭理事としてこの改正法の円滑な施行そして送還強化を要請し、実際に取り組まれてまいりましたけれども、我が国における不法滞在者の送還促進について、現状と促進策について聞きます。
○平口国務大臣 お答えいたします。
不法滞在者等の法令に違反する者に対して厳格に対応していくことも、外国人との秩序ある共生社会の実現のためには必要であるというふうに考えております。
この点、昨年五月に国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランというものを公表し、その一環として、護送官付国費送還の促進というものに取り組んでいるところでございます。この護送官付国費送還の促進については、令和六年の送還人数が二百四十九件であったものが、昨年は三百件以上という送還を実施しておりまして、着実に推進していると評価できるわけでございます。
引き続き護送官付国費送還を着実に実行していくことで、自発的に帰国する者も増加することが期待できるということでございます。
今後とも、ゼロプランというものを強力に推進し、国民の皆さん方の安心、安全を守るべく、力を尽くしてまいりたいと考えております。
○和田(政)委員 送還強化を進めていただきたいと思います。
次に、政府備蓄米について聞きます。
政府備蓄米、約百万トンを保管するとされていますけれども、もし周辺に有事などが起きて日本への食料品輸入などが滞ることを想定した場合、これは二か月分の備蓄量にすぎません。どんなときも国民を飢えさせないために、私は、備蓄米、三百万トンが必要であると思います。こうなりますと、半年分の備蓄量となります。農水大臣、どのように考えますでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
米については、国内で自給できる穀物でありまして、備蓄米の適正水準は、有識者で構成をされます食料・農業・農村審議会に諮った上で、十年に一度の不作が発生した場合や通常程度の不作が二年連続で続いた場合にも対応可能な水準として、百万トン程度と米の基本指針においてしております。
この水準を維持するためには相応の財政負担が生じております関係で、委員の御提案については、こうした観点からも慎重に検討すべきものというふうに考えております。
○和田(政)委員 終わります。ありがとうございます。
○坂本委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。
次に、高山聡史君。
○高山委員 委員長、ありがとうございます。
チームみらいの高山でございます。
本日は、まず、スマート農業の社会実装についてお伺いいたします。
言うまでもなく、スマート農業は我が国の農業の構造転換を実現するための政策の柱の一つでございまして、高市総理も施政方針演説などで、世界トップの植物工場、衛星情報、AI解析などのスマート農業技術の開発、実装を加速させると述べられておりました。
また、二〇二五年度から五年間の農業構造転換集中対策期間では従来の予算とは別枠で予算を確保するという方針で、来年度予算案でもこれに対して四百九十四億円の計上がなされていて、かつ、JRA特別積立金から四年間で毎年二百五十億円ずつの臨時充当ということが議論されていると理解しております。
テクノロジーで社会課題を解決するということを我々チームみらいは推し進めていきたいと考えておりまして、スマート農業の大きな方向性については大いに期待を持っております。
そこで、まず鈴木大臣にお伺いいたします。
スマート農業政策について、従来の政策から特に変わった部分が何で、集中対策期間において具体的にどのような成果を目指しておられるのか。特に、スマート農業の普及に関する目標であるとかKPI設定の考え方、そこにあるものを是非お聞かせいただければというふうに思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、農業者の減少そして高齢化が進む中で、そして生産性を向上させて食料の安定供給を図っていくためには、少ない人数でたくさん作らなきゃいかぬので、スマート農業の推進というのが不可欠になります。特に、気候変動も含めて、暑くなってきていたりするので、農業の現場は暑い中でやるというのもなかなか厳しくなっている中で、様々な新しいテクノロジーが必要になってきております。
そういう中でありますので、農林水産省では、農研機構や民間、大学等とも連携をして、例えばですけれども、野菜などの収穫ロボットやかんきつの防除用ドローン、そして中山間地域においてインターネットを介さずに使える自動の水管理システムなどのスマート農業技術の開発のほか、農業者に対する技術導入への支援などを行ってきております。
スマートといってもどこまでスマートかという話がありまして、一番分かりやすく身近で広まっているのでいうと、例えばなんですけれども、ドローンによって農薬を散布するということが大分普及をしてきております。現状では、全部の農地、四百二十七万ヘクタールありますが、もう既にドローンによる農薬散布が百万ヘクタールを超えてきている。なので、導入しやすいものからしっかりと現場に普及をしていくということが肝腎かというふうに思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
今の大臣の御答弁の中でも、少ない人数でというキーワードがございました。また、私の質問に先立ち、今日は、野中委員の御質問の中でも、スマート農業が届かないところという言及であったりとか、あるいは野間委員からは、水田の半分を占める小規模な米農家さんは赤字である、こういったお話もございました。これに関連した御質問をさせてください。
もちろん、人手不足も広がっていく中で、少ない人数でどのように作っていくかということがあるわけですが、スマート農業の導入に関して、初期投資の高さということは多く課題として認識されているものというふうに思います。実際に、自動運転トラクターであるとか、あるいは大臣からも言及がありましたドローンといったもの、トラクターであれば一千万以上かかったりとか、ドローンであっても八十万円から三百万円と、小さくない金額がかかるというところでございます。
そこで、大臣に是非伺いたいのが、初期投資も多くかかるという中で、現状のスマート農業というものが、結果として大規模な農家であるとか法人経営のところに恩恵が、あるいは導入が偏りがちであったりとか、結果として我が国の農家の大多数を占める中小であるとか個人の経営体というところにはなかなか届きづらいという構造になっていないかというところ、課題感がございます。
是非、この規模感の格差に対して、どのような施策が必要であるかとか、あるいは実際に今打たれている打ち手について、大臣のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、スマート農業機械と技術を導入するに当たりましては、やはり価格が、当然まだ新規開発されたものだけなので価格が高いといった導入コストの課題もありますし、また同時に、ドローン一つ取ってみても、操作に技術、技能の習得が必要だといった課題も現実としてはあるわけです。
こうした中で、産地全体でスマート農業の導入を促進するために、経営規模の小さい農業者も含めて産地で一定規模のまとまりを持ってスマート農業機械、技術を導入して栽培体系の転換を行う場合に支援をしております。要は、どういうことかといいますと、一人一台ずつ、小さい農家がスマート農機を持てばいいということでは、結果としてコスト高になって赤字になっちゃいますので、意味がありませんので、やはりまとまっていくということが大事だというふうに思います。
そのために、例えばドローンなどのスマート農業機械、技術を活用して専門作業の受託等を行う農業支援サービスの利用も有効であるかというふうに思いまして、政府としては、農業支援サービス事業者の機械導入等への支援も充実強化をしてきておりまして、引き続き、スマート農業技術の普及が図られるように、必要な対策を講じてまいりたいというふうに思います。
○高山委員 ありがとうございます。
高価な機械がシェアされて、結果としてその機械の稼働率も上がって、効率よく作れていくということが目指されているものというふうに理解をいたしました。ありがとうございます。
続いて、もう一点、先ほど大臣からも言及がございましたが、スマート農業というと、やはりネットワーク、インターネット通信を要するものもまだまだ多くございます。例えば測位をするシステムで通信を必要とするであるとか、あるいは、先ほど、特にIoTシステムにおいてネットワークを要さないものもあるというお話がありましたが、やはり通信があった方ができることが増えるということもございます。そういった中で、通信インフラの状況というものに関して地域間の格差というものはまだまだ多くあるのかなというふうに認識をしております。
この通信インフラの状況に関して、全国の農地でスマート農業に必要な通信環境が整備されている割合であるとか、その実態といったものを農水省として把握をされているかというところと、それを踏まえて、この格差を解消するであるとか、あるいはすぐには通信環境が整わないところに対してどのような打ち手を考えられているかというところ、もう少しお聞かせください。
○鈴木国務大臣 高山委員御指摘のとおり、スマート農業の導入を推進するためには、農地を大区画化をするという農地の整備の部分プラス情報通信環境の整備がないとスタートしません。
現状で、携帯電話などのサービスの通信エリアの農地のカバー率が、今全国で約九七・七%まで来ております。農地の一部若しくは全部でサービスを利用できない面積というのが、全国で四百万ヘクタールを超える農地があるんですが、十万ヘクタールで、全国の農地の約二・三%がまだカバーし切れていないという状況であります。
このため、農林水産省では、まず圃場整備事業、要するに基盤整備ですね、公共事業をやる際に農地の大区画化や自動給水栓などの整備を図るだけではなくて、令和七年度の補正予算において農業生産基盤情報通信環境整備事業というのを新たに創設をさせていただきまして、光ファイバーや無線基地局などの情報通信施設の整備を加速化をすることを支援をしているところであります。
これらでなるべく多くカバーをすることで、スマート農業、やりたい人が導入しやすいという環境整備を整えていきたいと思います。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに、できるところからという言葉もありましたが、テクノロジーというのは、届くべき人、使いたいと思う方にきちんと届いて価値を発揮するものだというふうに思います。是非、引き続き、大規模な農家だけでなく、中小規模あるいは個人の農家さんであるとか、あるいは通信環境も整ったところだけでなく、そのカバー率を高めて、必要な方に必要な環境が整うということを是非進めていただきたいということをお願い申し上げて、私の次の質問に移りたいというふうに思います。
続いて、交通空白の解消に向けた地域交通のDXについてお伺いしたいというふうに思います。
人口減少であるとか高齢化が進む中、地方を中心に移動の足の確保ということがますます深刻な課題になっているというふうに認識をしております。路線バスの事業者さんの赤字であるとか、あるいはドライバーさんの高齢化、人手不足、そういったことも相まって、バスの減便であるとか廃止、その他の公共交通機関にも影響が出ているところがあるというふうに認識をしております。この交通空白の問題は大変深刻で、昨年の調査結果では、全国二千五十七か所、七百十七の自治体で交通空白が存在するということが明らかになったと認識しております。
そこで、まず金子大臣にお伺いさせてください。
交通空白の解消に向けた現状の認識と、この集中対策における具体的な目標について、大臣のお考えをお聞かせください。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
私は、政治家として、これまでも地域の繁栄なくして国の繁栄なしとの下で活動しており、まさに地域公共交通は地域の繁栄の礎だと考えております。
人口減少や担い手不足等によりましてバス路線等の減便、廃止が進む一方で、免許返納、学校や病院の統廃合等により、通学や通院、買物などの移動手段の確保に対する社会的需要はむしろ高まっております。
この結果、全国で約二千五百に及ぶ交通空白が生じており、国土交通省においては、令和七年度から九年度までを集中対策期間と定め、私を本部長とする国土交通省「交通空白」解消本部の下、これらの解消等に向け総合的支援を推進しているところであります。
具体的には、スクールバスや介護施設、商業施設などの送迎車両を地域住民の移動手段としても利用するなど、地域の輸送資源のフル活用等を進めるための新たな枠組みを盛り込んだ地域交通法改正案の今国会への提出、財政面での後押しとして、令和七年度補正予算、令和八年度当初予算案合わせて約六百億円を確保、民間企業の技術やノウハウを生かした官民連携の促進、利便性、生産性向上に資する地域交通DXの推進などに取り組んでおります。
今後とも、制度、予算等のあらゆる政策ツールを総動員して持続可能な地域公共交通を実現してまいります。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに、あらゆる政策を総動員するというお話がありましたが、地域交通においては、あわせて、いろいろな交通モード、つまり、バスもあれば鉄道もあればタクシーもあれば、新しいデマンド交通とかライドシェアの仕組みもあればといったものを組み合わせて、あるいはそれらを一部統合して提供するということが不可欠なものだというふうに認識をしております。
一方で、現状を見てみると、それらの、例えば配車のシステム、予約のシステムであるとか、そこにたまっていくデータであるとか、あるいは事業者の運営の仕組み、それらが全て今の瞬間はばらばらになっていて、それをどう整理をしていくかということが大変重要な課題になるかなというふうに思います。
そこで、是非お伺いしたいのが、交通空白を解消していく各地域での取組に対して、複数の交通モードをまたがる仕組みを、データ面そして運用面それぞれでどのように整備を進める、あるいは標準化を進めていくというお考えであるか、是非、お答えいただければと思います。
○池光政府参考人 お答え申し上げます。
交通空白解消に向けましては、デジタル技術の活用を積極的に進めまして地域公共交通の利便性や生産性を向上させていくことが重要であり、これまでMaaSやキャッシュレス決済、配車アプリの導入などの普及を促進をしてまいりました。これらのデジタル技術を活用したサービスは一定程度普及をしてきておりますが、システムやデータがそれぞれで発展し、連携することが難しい、いわゆるサイロ化、タコつぼ化といった課題への対処が求められております。
このため、国土交通省では、昨年の四月から、地域交通におけるデジタル技術活用の先進事例の創出と標準化を進める新たな取組として、地域交通DX推進プロジェクト、私どもこれはコモンズと呼んでおりますけれども、これを新たにスタートをさせたところであります。
このコモンズでは、システムやデータ、業務プロセスなどの標準化を進めますことで、地域の輸送資源のフル活用や共同化、協業化などの地域公共交通の連携、協働の技術的基盤の整備に取り組んでおります。
具体的には、今年度の取組におきましては、鉄道やバスの乗降実績データの仕様やQRコードを用いたチケット認証の相互運用技術など、多様なテーマで標準仕様をまず設定をいたしました。さらに、来年度からは、この策定した標準仕様を用いたサービスや業務システム、運用も含めまして、導入への支援として地域交通DX推進事業を予算措置として創設をしておるところでございます。
引き続き、デジタル技術やデータの力を最大限引き出し、地域交通を持続可能なものとするべく、取組の具体化をしっかりと進めてまいる所存であります。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに標準化がしっかり進むということと、あと、その標準化された内容が各地域にしっかりと伝わって、その標準化の仕組みを使った取組の成功事例が各地で広がっていくということがこのテーマにおいては非常に大事であるというふうに思います。是非、交通空白をなくすという取組がより加速されていくということを期待をいたします。
続いて、一言だけ、オーバーツーリズムと二重価格の考え方について、是非、大臣から一言だけいただければと思います。
○金子国務大臣 観光施設やサービス等における料金の設定については、個々の施設等の状況や、地域住民の皆様への配慮の観点、観光需要の動向なども踏まえ、二重価格や価格変動制の導入の有無なども含め、一義的には各施設管理者やサービス提供者等において適切に設定されるべきものだと考えております。
国土交通省としましては、各施設管理者等がその料金を自律的に検討できるよう、今後、国内外のオーバーツーリズム対策や料金設定の事例も踏まえつつ、ガイドラインの設定等、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに、事例をつくっていくときに、標準の形、これを国が示していくということには大きな意義があると思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて高山君の質疑は終了いたしました。
次に、畑野君枝さん。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
平口洋法務大臣に再審法について伺います。
袴田事件を始め、冤罪事件を二度と起こしてはいけないというのが再審法改正の原点です。袴田巌さんの身体拘束は四十八年間、死刑囚として過ごしたのは三十四年に及びます。死の恐怖の下、長期の拘束で拘禁症状を呈してもまともな医療措置もされませんでした。
先日の質疑で、総理も法務大臣も、犯人でない人を処罰するということは、その人権を著しく侵害するものであって、当然あってはならないと答弁されました。問題は、袴田さんが冤罪を晴らすまでなぜ四十四年もの長い年月がかかったのかということです。その重大な原因の一つは、再審開始決定に対する検察官の不服申立てです。
冤罪被害者が再審請求をしても、検察官の不服申立てによって審理の入口にたどり着けない、大臣、これが冤罪救済を遅らせてきたということは明らかではありませんか。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
お尋ねは、個別事件における裁判所の訴訟運営や検察官の活動内容に関わる事柄であり、法務大臣として意見を述べることは差し控えたいと思います。
その上で、検察当局は、御指摘の事件の検証結果報告書において、手続の長期化に関する問題点についても検証を行い、第一次再審請求審において、検察官としても裁判所に対し審理を促進していく工夫を促すなどして審理の促進に協力できたのではないかと考えること、現時点で審理の促進という観点から見ると、第一次再審請求審及び第二次再審請求審の当初において、検察官は証拠開示に対して消極とも言える姿勢を示していたことは否定できないことなどを長期化の原因として挙げているものと承知をいたしております。
検察官の抗告ではないかという御指摘でございますが、検察当局においては、再審開始決定があったときは、これに対する不服申立ての要否につき、公益の代表者として、法と証拠に基づいて適切に対応するというものと承知をいたしております。
○畑野委員 きちんとした答弁がなかったんですが、この間、大臣は、有罪判決を一回限りの判断で確定に覆せるのは不合理であるというのを繰り返し言ってきた。全く違いますね。検察官の不服申立てが再審の入口に入ることを阻んでいるという問題があるわけです。速やかに再審の審理をということを望んでいるわけです。審理の長期化は冤罪被害者に回復し難い苦痛を与えています。検察官の不服申立てを禁止しないと冤罪からは救済されないということを申し上げます。
もう一つは、証拠開示の問題です。
袴田さんの場合、再審を求めてから無罪につながる証拠が明らかになるまで二十九年かかりました。その原因を元裁判官六十三人の声明が指摘しています。検察官が証拠を開示しない、又は開示するまでに、時には何年、何十年もかかっている。再審が開始され、無罪になった事件の多くにおいて、決め手になった証拠は、捜査機関の下で眠っていて、弁護人の度重なる求めによってようやく開示された。このように元裁判官たちが発言し、記者会見し、声明まで出して、証拠が迅速に開示されないことが冤罪から救済を遅らせてきたと指摘してきたことを重く受け止めるべきです。
証拠の範囲を限定せず、開示を認めるべきではありませんか、大臣。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
この点については法制審議会の答申が出ておりまして、法制審議会においては、証拠の提出命令制度について、御指摘のような観点を含めて議論が行われた結果、答申に盛り込まれた制度により、必要十分な証拠が裁判所に提出されることとなるという旨の意見が大勢を占めたものと承知をしております。
法務省としては、法制審議会の答申を重く受け止めており、今後、これを踏まえて法案提出に向けた準備を速やかに進めるとともに、幅広い理解を得られるよう丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 証拠開示の範囲を限定することは、冤罪から救うべき被害者を取りこぼすことになります。
更に問題なのは、法制審が決定した法案要綱が、開示された証拠を審理以外で使うことを罰則つきで禁止していることです。
袴田事件では、血痕がついた衣類のカラー写真を支援者らと共有したことから再現実験が行われ、無罪確定につながりました。この過程でメディアが新たな証拠を報じることで社会的関心が高まりました。証拠資料が広く共有されて、科学的知見が集まり無罪の証明につながった。このプロセスが袴田事件の核心ではありませんか。
証拠を審理以外で使用することを罰則つきで禁止することは、冤罪の救済手段を奪うものではありませんか、大臣。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
法制審議会においては、再審請求審における証拠の目的外使用の禁止について、御指摘のような観点も含めて議論が行われた結果、被害者のプライバシーの保護等の観点から禁止する必要がある旨の意見が大勢を占めたものと承知をいたしております。
法務省としては、法制審議会の答申を踏まえて、所要の取組を迅速かつ丁寧に進めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 被害者などの名誉、プライバシー侵害については、個々の証拠について検討すべきだということを申し上げておきます。
本当に、萎縮させるおそれがある大問題です。これまで隠されてきた証拠から事実を掘り起こし無罪をかち取ってきた、こうした道を閉ざす冤罪隠蔽法案だと言わなくてはなりません。
抜本的見直しを求め、そして、超党派で作成した議連案を実現すべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて畑野さんの質疑は終了いたしました。
以上をもちまして省庁別審査は終了いたしました。
午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時五十三分休憩
――――◇―――――
午後一時三十分開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般的質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。
○笹川委員 自由民主党の笹川博義です。
本日は、質問の機会をありがとうございました。
それでは、順次質問に入らせていただきます。
まず、上野厚労大臣、そして厚労省の皆さんに御質問させていただきます。
特に、血液製剤、献血等の現況についてということの質問をさせていただきたいのですが、製薬、創薬については、この予算委員会においても、それぞれこの課題については各委員から、様々な角度から御指摘がありました。
私も今、超党派議連でありますけれども、骨髄・さい帯血バンク・献血推進議連の会長を務めさせていただいております。特に、自見はなこ先生、浜地雅一先生には中心になって頑張っていただいております。議連としては、政府には幾度か申入れはさせていただいていますが、特に、ドナーの差額ベッド代の負担軽減、ドナーの休暇制度の導入、拡充などをお願いしておりますので、是非大臣、このことは留めておいていただきたいというふうに思います。
ただ、臍帯血バンクがお願いしました、臍帯血バンクを紺綬褒章の対象ということについて、大変厚労省の皆さんにお世話になりまして、対象としていただきました。改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
それでは、まず、血液製剤の安全性の向上と安定供給の確保等を図るための法的枠組み、血液法が施行されておりますが、当時、この法案につきましては、基本理念として、「血液製剤は、国内自給が確保されることを基本とするとともに、安定的に供給されるようにしなければならない。」ことが規定をされ、また、国の責務としては、「国は、血液製剤に関し国内自給が確保されることとなるように、献血に関する国民の理解及び協力を得るための教育及び啓発、血液製剤の適正な使用の推進に関する施策の策定及び実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうにされております。
また、この法律の国会審議における過程の中で、委員会決議として、「血液製剤は、人体の一部である血液を原料とするものであることから、倫理性、国際的公平性等の観点に立脚し、国民の善意の献血による血液によって、国内自給を達成できるよう、全力を傾注すること。」との附帯決議もなされております。
ここで、お伺いをさせていただきますが、まずは、免疫グロブリンなどの血液製剤の国内自給についてどのような認識か、お伺いを申し上げます。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
血液製剤の国内自給の確保につきましては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律において国の責務とされており、法に基づく基本方針を定め、免疫グロブリン製剤等の血液製剤の国内自給に努めているところでございます。
一方、免疫グロブリン製剤につきましては、効能、効果が期待できる疾病の種類の拡大に伴い、世界的に需要が増大している一方で、国内メーカーの製造設備の一部は老朽化により、現状、製造能力の増強には限度がありまして、足下、令和六年度の国内自給率は六八・一%まで低下しております。
政府といたしましては、将来的な安定供給、国内自給のためには、製造設備の更新及び強化が喫緊の課題であると認識しておりまして、令和六年度補正予算及び令和七年度補正予算において約二十二億円を計上いたしまして、国内メーカーにおける免疫グロブリン製剤の効率的な製造方法の開発や製造を維持、増産するための支援を行っているところでございます。
厚生労働省といたしましても、引き続き、製造販売業者を始めとした関係者と密に連携をしながら、血液製剤の安定供給、国内自給を果たしていく上での支援を検討してまいりたいと考えております。
○笹川委員 今答弁がありましたけれども、今、メーカーの製造能力は、大変危機的状況と言ってもそんなに過言ではないという状況なんですよね。旧式化しているところを新しく新造、工場を新しく新設したいというメーカー側の希望もありますが、昨今の資材、また労働単価も含めてコスト上昇でありますので、非常に今厳しい状況であります。
こういった特に今必要とされている血液製剤のメーカーの製造能力の拡充は大変重要な課題でありますので、今、現況は二十二億とお話がありましたけれども、とてもという声もないわけではありませんので、更なる支援強化を是非省内でも検討していただき、実現をしていただきたい、このことを指摘させていただきたいと思います。
続いて、献血の現況についてどのような認識をお持ちか、お答えください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
現状では、血液製剤の医療需要は満たしているものの、若年層の献血者数は年々減少して、五十歳以上の献血者による献血が延べ献血者数の約五割というふうになっております。
今後も少子高齢化により献血可能人口の更なる減少が見込まれる中で、献血に御協力いただける若年層の確保対策が喫緊の課題であると認識しておりまして、令和七年六月の骨太の方針におきましても、小中学生からの献血に対する理解を深めることが盛り込まれたところでございます。
このため、従来より実施している高校生、大学生を対象とした普及啓発資材の配付に加えまして、令和七年度からは、文部科学省を始めとする関係者と連携をしながら、中学生を対象とした普及啓発資材を作成、配付するとともに、献血に対する若年層の意識を高め、社会への積極的な参加を促すことを目的とした、小中高生を対象とした献血普及啓発ボランティア活動発表会を開始したところでございます。
引き続き、若年層を含めた多くの国民の皆様に献血に御協力いただけるよう、様々な取組を推進してまいりたいと考えております。
○笹川委員 大臣、今御説明があったとおりなんですよ。先ほど申し上げたとおり、「国民の善意の献血による血液によって、国内自給を達成できるよう、全力を傾注すること。」というのが国会の意思として当時附帯決議をされたわけでありますが、さっきお話があったとおり、五十代、六十代が主力なんですよ、献血の。五十代、六十代ですから、若年層については全然問題にならぬのですよ。だから、ここが非常に問題なんですよ。
すなわち、ここはもう予見可能なところまで来ていますので、これはやはり、特に文科省との協力は欠かせませんので、私は、中学生、さらに小学生の方がいいと思っているんですよ。何なら、小学生の医療的な研修というか勉強というか、たしか、たばこの害について、結構ごっつい写真を小学生に見せて啓蒙活動をしているでしょう、教育を。だから、やはり早いうちがいいんですよ。
というふうに私自身は思っていますが、大臣、是非リーダーシップを発揮して、文科省また経産省とも連携した対応をしていく必要があると考えますが、大臣の御所見をお伺いします。
○上野国務大臣 お答えをいたします。
委員におかれましては、議連会長として、この分野の課題につきまして精力的に御尽力いただいておりまして、ありがとうございます。
今し方お話がありましたように、やはりこれは無償のボランティアである献血でありますので、国民の皆さんの本当に御理解、御協力が大切だというふうに考えております。
厚労省におきましても、学校現場への働きかけや、日本赤十字社が実施する学校献血などへの取組を行っておりますが、さらに、私自身も、今委員からお話のありましたように、リーダーシップを発揮をして、様々なキャンペーンでありますとか、あるいは文科省と連携した更なる取組でありますとか、そういったことにしっかり注力していきたいと思いますので、またいろいろな御意見をいただければというふうに思います。
○笹川委員 是非大臣、よろしくお願いいたします。
それでは、大臣、どうぞ御退出して結構でございます。
続きまして、外国人政策について、小野田大臣にお伺いをさせていただきます。
まず、外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策というような形の中の基本的な考え方の中で、一部の外国人による我が国の法やルールを逸脱する行為、制度の不適正利用について、国民が感じている不安や不公平感に対処する必要、このことが一番目に書かれているんですね。やはりこういった形に国民が思ってしまった、抱いてしまった、このような事態に至ったことに対して、大臣としてどのように受け止めておられますか。御所見をお伺いいたします。
○小野田国務大臣 受け止めということでございましたけれども、笹川先生を始めとする与党の御提言も踏まえて、この総合的対応策を取りまとめたところです。それは、外国人政策をやはり秩序あるものにしていくというために、これまで着手できていなかった問題も含め、例えば、不法滞在者ゼロプランの強力な推進、在留審査の厳格化、帰化や永住者についての審査の厳格化、税や社会保険料の未納防止など、幅広い施策を盛り込んでいます。これは、国民の皆様の不安や不公平感を基に、それを解消していこうというような思いでしております。
司令塔である担当大臣としては、関係大臣と連携して、総合的対応策に盛り込まれた施策を着実に実施するとともに、外国人政策を秩序あるものとするため、不断の検討を進めてまいりたいと思っています。
○笹川委員 この総合的対応策は非常に幅広な課題について、取組について例示されたものでございますので、これをしっかりと実行に移していくということは物すごく大切なことだと思います。
私の地元も、大泉町、太田、それから隣の伊勢崎市を含めて、群馬県、非常に多文化共生の先進地と呼ばれるところほど、実は悩みは深いんですよ。上辺だけで視察に来られる方がいらっしゃいますけれども、そうじゃないんですよ。それぞれ、住民一人一人が抱えている課題というのは非常に深刻なところがあるんです。だからこそ、多文化共生を確かなものにしていくためには、相互に理解し尊重し合える、ですから、それぞれの制度が信頼のあるものにしていかなきゃいけないんですよ。ここが大切だと私は思っておりますので。
それでは、続いてですが、在留資格である技術・人文知識・国際業務、この資格についてでありますが、該当性のない業務への従事、これも多く指摘をされて、期間がたっておるわけでありますが、この点についてどのような見解と対応を考えておられるのか、お伺いいたします。
○小野田国務大臣 在留資格、いわゆる技人国で在留する外国人が増加傾向にあるところ、その中には、先生御指摘のとおり、認められた活動内容に該当しない業務に従事する事案が発生して、対策が必要となっています。
このような事案に対応するために、政府としては、総合的対応策に基づいて、在留資格、技人国に係る適正化にも取り組んでおります。具体的には、外国人が派遣形態で就労する場合に、派遣先において資格該当性のある活動に従事することについて、派遣元と派遣先の両方から誓約書を提出させる運用を今月九日から開始するなど、出入国在留管理において審査の強化を進めていると承知しています。
法務大臣と連携して、技人国が在留資格の本来の目的に沿った形となるように、引き続き、適正化のための方策を検討し、実行してまいりたいと思います。
○笹川委員 誓約書等々の提出、これは最初の一歩としては私は評価をするわけでありますが、ただ、現場がそれぞれ混乱しないように、それから、現場がやはり不公平感を抱くようでは困るということでありますから、是非その対応策についてはきちっと、省内で結構でありますから、目標数値を持ちながらしっかり対応していただきたいというふうに思います。
それでは、続きまして、在留資格の留学についてであります。
特に、留学生の資格外活動、いわゆる週二十八時間労働について、学ぶことよりも労働が主たる日常になっているのではないのかという指摘も実は数多く寄せられている、これも事実なんですよね。このことについて御所見をお伺いいたします。
○小野田国務大臣 そういった問題を指摘されていることは重々承知をしております。留学生を、今まで、労働の資格がなかなかなかった中で、労働力として活用したいという声があったのも事実であろうというふうに思っています。
留学生に対しては、学業を阻害しない範囲で資格外活動許可を認めているところでありまして、留学生が増加傾向にある中で、中には週二十八時間を超えるアルバイトを行うなど資格外活動違反も生じていて、対策が必要になっていると考えています。
このような事態に対応するために、政府としては、総合的対応策に基づいて、こちらも適正化に取り組んでおります。具体的には、速やかに講じる施策として、複数の稼働先、要は一か所ではないところで資格外活動を行っている留学生に対して、教育機関と連携した実態把握や指導を行うことと、そして、令和九年から、マイナンバーによる情報連携に基づいて留学生の所得情報を活用することで、資格外活動に係る厳格な調査及び審査を行うこととしておりまして、現在、出入国在留管理庁において実施に向けた詳細を検討中です。
こちらも法務大臣と連携して、先生おっしゃったとおり、働きに来るなら労働の資格ですし、留学の資格は学びに来ているわけですから、そういった資格の本来の在り方、今後の資格外活動の許可及びその管理の在り方、全て検討してまいりたいというふうに思っています。
○笹川委員 そこの切り分けがとても大切なことであり、これはやはり、本人にとってもそれの方がいいわけですよ。ただ、現状、やはり学費や生活費、特に今の物価高騰で考えると、日常の生活費の支出増にどう対応したらいいのかというのも確かにあると思うんですよ。
ですから、このことも含めて検討が、やはり文科省と連携しながらやっていくことが大事であるというふうに思いますので、厳しくやるところは厳しくやる、だが、せっかく日本に学びに来てもらっているわけですから、そこから先のことも考える、また、本人自身もやはりいい思い出をつくってもらいたいし。そういった意味では、何か支えていく制度というものも、やはりしっかりと検討していくことは大事だというふうに思いますので、特に今、生活費の物価高騰はどう対応したらいいかということになってしまいますから、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
それでは、在留資格の永住者についてであります。
特に、特定二号などの永住資格付与についての主たる要件が在留期間でいいのかということもありますし、この資格付与と併せて、永住の在留資格の取消しについて、更なる明確化と、これは特にやはり厳正に、それからスピード感を持った対応が必要と考えるが、この辺の御所見をお伺いします。
あわせて、これは帰化の要件にも連動する話にもなってまいりますので、この帰化の要件の在り方についても御所見をお伺いいたします。
○小野田国務大臣 永住許可については、許可要件が緩いのではないかという指摘がされていることを承知しております。
そこで、総合的対応策においては、永住許可までの在留資格、在留年数などの状況を調査し、審査の厳格な運用を行うとともに、独立生計要件と国益要件についての基準の見直しを含め、許可の在り方を検討することとしています。
その中では、先生御指摘の、特定技能から永住に移行していくという可能性も踏まえたことを検討に入れているんですけれども、特定技能二号がどうしても議題に最近上がるんですが、技能実習、育成就労と特定技能一号以外の、例えば、さっき言った技人国とか特定活動とか、特定技能二号以外にも、永住につながる家族の帯同と在留の更新の上限がないものもまだまだたくさんありますので、そういったところも全て含めて、全体的に永住の許可の在り方というのを見直していかなければいけないというふうに検討しています。
また、御指摘の在留資格の取消し制度についても、令和六年改正入管法によって永住者の取消し事由が追加されたところで、総合的対応策では、まずは令和九年四月の運用開始に向けて必要な準備を進めるとともに、今後の課題として、改正入管法の施行状況を踏まえながら、取消し事由の範囲の拡大、これを含めた更なる検討を進めることというふうにしております。
あわせて、帰化についても、永住許可の審査との整合性を見ていかなくてはいけないので、日本社会に融和していることの要件の審査において、原則として十年以上在留し、日本社会に融和していることが必要であるとすることなど、総合的対応策に基づいて、法務省において帰化の厳格化のための審査の在り方の検討も進めていると承知しています。
法務大臣と連携して、御指摘いただいた永住許可とか帰化の要件の適正化、その在り方を、総合的対応策に盛り込まれた各種取組とともに強力に推進して、検討してまいりたいと思います。
○笹川委員 外国人政策について大事なことは、社会構造が変化し、社会も大きく変化し、また、国民の持っている意識も変化をしてきた、その中で、旧態依然の、このままの制度というのを大事にしていくわけじゃなくて、やはりそういったものに合わせて改正をしていくということがあるというふうに思います。
そのことによって、ここにもし、帰化をした、また、縁があって日本で頑張って、そして、スポーツの世界でも頑張っておられる方がいる、それぞれの企業でも頑張っている方もおられる、そうやって胸を張って堂々としっかりとやれるという、このことがやはり日本の社会を更に元気にしていく、強靱化していく、強固にしていく、こういうことにつながるわけですから、こういった外国人政策、制度というものをやはり果敢に見直していくということはとても大切だろうと思いますので、是非、小野田大臣に頑張っていただきたいというふうに思います。
小野田大臣も、どうぞ、結構ですよ。
○坂本委員長 どうぞ御退席ください。
○笹川委員 石原大臣、よろしくお願いいたします。
それでは、熊対策でございます。
昨年、各地で、この熊被害というものは、死者数も含めて過去最多ということを更新をし、日常生活はもちろんでありますけれども、農業、観光業など、本当に国民の安全、安心、経済活動を脅かす深刻な事態となったわけでありますので、この深刻な事態となったことについてどのような御所見をお持ちなのか、大臣にお伺いいたします。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
昨年は、東日本を中心に多くの地域で熊による深刻な人身被害が発生をいたしました。令和七年度は、熊被害により亡くなられた方は、政府として調査を開始した平成十八年度以降最多となる十三名となりました。亡くなられた方に哀悼の誠をささげるとともに、負傷された方も二百三十六名に上り、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
また、連日、熊被害防止のために対応された自治体職員、また猟友会の皆様、また、秋田県での後方支援を行った防衛省・自衛隊、警察、消防の皆様の御協力、御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
これまでは山林での被害が多かったわけでありますけれども、昨年は市街地とその周辺でも多くの被害が発生しました。熊の出没が増えた要因は、熊の生息数の増加に加えて、里山利用の縮小等により、人の生活圏周辺が熊にとって生息に適した環境に変化しつつあることや、餌となるドングリの凶作により行動範囲を広げたことが考えられます。
熊の個体数が増え過ぎた地域では捕獲等を強化することが重要でありまして、一方で、熊は生態系の重要な役割を果たしております。長期的には、適正な個体数を維持しつつ、人と熊のすみ分けを実現していかなければなりません。
政府では、昨年十一月の関係閣僚会議で決定したクマ被害対策パッケージを速やかに、かつ着実に実施をしてまいります。加えて、年度内を目途に、自治体が管理計画を作成するに当たって活用しておりますガイドラインの改定や、対策の実効性を高めるためのロードマップを策定をさせていただきます。
ロードマップの策定後、個体数管理の精密化や自治体への財政的、技術的支援を通じ、人と熊のすみ分けに向けた取組をしっかりと進めて、国民の安全、安心の確保に全力を挙げてまいります。
○笹川委員 今お話があったクマ被害対策パッケージ、これは非常に、高市内閣が発足して間もなく、対策会議、これを閣僚会議に格上げした上で、そして、我が党でも提言を取りまとめて政府に申し入れ、この提言と連動した形の中でパッケージを十一月に閣議決定をした。高市内閣としての非常にスピード感のある対応だったというふうに評価をされているわけで、私もそう思っておりますので、感謝を申し上げたいと思っております。
ただ、今、個体数が増えていますとかという話がありました。すみ分けも大事なことです。ただ、この個体数というのがどれほど確かなものかというのは、実のところ、クエスチョンマークなんですよね。
ここはまたちょっと事務方にお伺いしますが、これは特に、熊の生息頭数の把握の精度を上げる生態調査を実施しなければ、対策の効果を上げることはできないんですよ。このことは非常に肝要なことというふうに思います。同時にまた、これは生態調査の中でもそうなんですが、対策の空白区として指摘されているのが鳥獣保護区なんですよね。この鳥獣保護区における対応も、どういうふうな考えを持っているのか。併せて二点、お伺いします。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
熊の個体数調査につきましては、これまで、各都道府県独自の手法で調査してきましたので、その精度にばらつきがございました。このため、来年度から、環境省におきまして、統一した調査方法によって全国の熊の個体数調査を実施することにしています。
具体的な調査方法としましては、自動撮影カメラによる画像解析、それから、採取した熊の毛の遺伝子解析による熊の個体数の推定、そういったことをやっていく予定であります。また、都道府県と連携してデータの収集、集約や分析を進め、地域ごとの生息状況をより的確に把握できるように取り組んでまいります。それによって精度の高い個体数推定を行っていくこととしております。
もう一点お尋ねのありました鳥獣保護区の、空白になるのではないかというところでございますが、鳥獣保護区におきましても、被害防止などのために熊の個体数を減らす必要がある、そういう場合には、鳥獣保護管理法の捕獲許可を得るなどして熊を捕獲することは可能でございます。
環境省として、指定管理鳥獣対策事業交付金、これらを通じて、地域のニーズ、意見を踏まえまして、都道府県が実施する熊対策を十分支援してまいりたいと考えております。
○笹川委員 そうしましたら、鳥獣保護区の対応については、それぞれの自治体にも必ずきちっと連絡をしておいて、誤解のないように、是非しておいてください。
それからまた、二月の段階で熊の活動も報告されておりますが、今年の春期の管理捕獲についてはどのような形になっていますか。
○堀上政府参考人 熊の春期管理捕獲でございますが、まず、昨年ですけれども、昨年は七道県で実施されまして計百二十八頭捕獲されてございます。本年は十一道県におきまして熊の春期管理捕獲の実施が計画されているというふうに承知しています。
昨年取りまとめましたクマ被害対策パッケージにおきましても、春期管理捕獲に対する交付金の補助率の暫定的な引上げをしております。既に春期管理捕獲を実施している自治体の技術の横展開も位置づけております。
引き続き、増え過ぎた地域での熊の個体数の削減、管理を進めまして、人と熊のすみ分けを実現していくということに努めてまいります。
○笹川委員 それでは、春期管理捕獲についてのまたデータも是非お示しをいただきたいというふうに思います。
それから、今大臣からもお話がありましたけれども、熊対策において、全国それぞれで猟友会の皆さん方が大変御活躍をいただき、御尽力をいただきました。私は、本当に感謝をし尽くしても足りないというぐらいの思いであります。
ただ、市街地における活動については、これは猟友会ではなくて、本来業務である警察だというふうに私は思っております。これは治安の問題でもありますので。ただ、昨年、緊急銃猟制度のスタートということもあって、警察官を中心としたチームを二編成つくったわけでありますので、どのような評価をなさっているのか、警察庁、よろしくお願いします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察では、熊による人身被害が深刻化していることへの追加的、緊急的な対策として、昨秋、被害が深刻であった岩手県及び秋田県に他の都道府県警察から応援部隊を派遣し、市町村等による緊急銃猟等が行われるか不明である場合などに、ライフル銃を使用して、人里に侵入してきた熊を駆除することができる態勢を構築したところでございます。
これまでのところ、実際の射撃には至っていないものの、両県警察におきましては、熊の駆除への対応に関して、緊急銃猟を行う市町村などとの、関係機関との連携を深めてきたところでございます。
このほか、各都道府県警察におきましては、任務に従事する上で必要な訓練や教養を実施しており、岩手県及び秋田県以外の他県においても、実情に応じて態勢を構築しているところでございます。
警察としては、今後とも、関係閣僚会議において決定されたクマ被害対策パッケージに沿って、地域住民の安全確保を最優先として、熊による人身被害を防止するための取組を進めてまいりたいと考えております。
○笹川委員 恐らくなかなか評価はしづらいと思います、実際のところ一発も撃っていませんから。ただ、去年はそういうことでも許されるけれども、今年はなかなかそういうわけにいきませんから、しっかりと警察が対応できるように、準備が整っていないということのないように是非していただきたい。
それから、熊対策において、これは、私自身が思っているのは、東北とかそういったところのツキノワグマの対策と、北海道のヒグマの対策というのは、これはまた別なものだというふうに思っておりますので、特に北海道のヒグマの対策については、やはり北海道は長年の歴史がありますから、よく相談をしつつ対策を講じていただきたいというふうに思います。
続いて、ちょっと順番を変えさせていただきます。資源循環型の社会の構築についてであります。
資源循環型社会構築においては、廃棄物を適正に回収し、処理し、資源、原料へと転換させることはとても大切であることは言うまでもありません。関連する厳しい法律を遵守し、資源循環型社会構築へ向けて資する活動をしている多くの事業者の皆さんへの影響が懸念されている事態が起きている。特に、私の地元でも、県道、国道端沿いにいわゆるスクラップヤードというものが幾つもできて、そこで誰がどう見ても廃棄物の処理を行っている。
こういった現況に危機感を持った群馬県としては、県当局そして県議会として、規制する条例制定に動いて、この三月の議会で上程をされたわけであります。この動きについて、環境省としてどう考えておられるのか伺います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
群馬県議会におきまして御指摘の条例案が議案として上程されており、また、全国の自治体においても、千葉県、埼玉県、茨城県など、関東地方を中心に少なくとも五県七市において類似の条例が制定されていると承知しております。
それぞれの自治体において、現行の廃棄物処理法の規制対象外の物品等の不適正な保管や処理に起因する騒音や悪臭、公共用水域や土壌の汚染、火災の発生が問題となっていることから、それぞれ独自に条例が制定されているものと受け止めております。
○笹川委員 不適正なスクラップヤードで処理されたものが実は海外にも流出しているという指摘もあります。これは、我が国が資源循環型社会構築の一角が崩れつつあるという認識を持ってもおかしくないわけですよね。ですから、それぞれ本当に進化の速い状況なんですよ。だからこそ、環境省はしっかりと対応をスピードアップしてやってもらいたいんですよ。
ということで、この増え続けている不適正なスクラップヤードに対して、所管庁として環境省が今後どのような形で対応するのか、大臣にお伺いします。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
一月に千葉県を訪問いたしまして、熊谷知事から、全国に先行して取り組まれているスクラップヤード条例の施行状況をお伺いいたしました。その後、現場も視察し、スクラップヤード対策の必要性を改めて認識したところであります。
不適切なスクラップヤードによる騒音、水質汚濁、火災等の支障が生じております。これらをやはり全国一律の制度によって是正することで、環境汚染等の防止を図る必要があるというふうに考えております。また、この制度により金属資源等の海外流出の抑制効果も、こういう全国の制度を設けることによって期待されるものというふうに考えております。
このため、環境省では、今国会に、使用済みの物品の保管や再生を行うスクラップヤードの許可制度の導入等を織り込んだ法案の提出を予定をしております。
委員の御指摘も踏まえて、法案の提出に向けた検討を加速してまいります。
○笹川委員 法案の提出ということで、しっかりと議論を積み重ねていただきたいと思います。
同時にまた、最後一点、ちょっと指摘させていただきますが、このスクラップヤードをそのままにして逃げていく事業者が出てこられると、その後の地元が大変困るんですよ。では、これをどうやって処理するのかということをよくよく考えて手当てをしていただきたいというふうに思います。
時間がもう間もなくになりましたので、気候変動適応計画、この改定について、最後の質問であります。
気候変動適応計画の改定が来年度中に行われます。その中にあって、これだけ気候変動が起きている中で、今までの日本の自然環境を支えている在来種にとっても物すごく甚大な影響があります。その他の分野についての影響も甚大でありますが、今日は環境省にちょっと所感をということで、私は環境大臣にお伺いしますが、いずれにしても、外来種、この外来種が何でこれだけ元気なのかというと、やはり気候が変動したからですよ。それについて、生物の多様性の改正を求めたいと思いますが、最後、大臣の御所見をお願いします。
○坂本委員長 環境大臣石原宏高君、申合せのお時間が来ておりますので、簡潔にお答えください。
○石原国務大臣 外来生物法で、実は、特定外来生物と同様の被害を及ぼす疑いがある外来生物を未判定外来生物と指定し、輸入する者に届出の義務を課す仕組み等もございます。
また、ヒアリ等は、要緊急対処特定外来生物に指定して、環境省が水際で徹底的に定着を未然に防いできた経緯もございます。
今後とも、科学的知見の充実に努めて現行制度を着実に運用することで、外来種の被害の未然防止に努めてまいりたいと思います。
○笹川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて笹川君の質疑は終了いたしました。
次に、中野洋昌君。
○中野(洋)委員 中道改革連合の中野洋昌でございます。
通告に従いまして質問をさせていただきますが、その前に、一点、御指摘をさせていただきます。
本日、赤澤経済産業大臣が訪米をされるということで、私は、この訪米自体は非常に、国益上大変重要な交渉をしに行かれるというふうに承知をしておりますので、極めて大事だと思っております。しかし、他方で、本日の予算委員会は職権立てでもあります。大変な重要閣僚がいない、そしてかつ職権立てということで、これは極めて乱暴な国会運営ではないかということは指摘をさせていただきたいというふうに思います。
その上で、今日は副大臣に来ていただいておりますので、燃料価格の影響、特にイランの中東情勢と関連して、この影響について今日はお伺いをしたいというふうに思います。かつ、定性的なお話というのもなかなか議論が深まりませんので、少し定量的に、過去のことも含めてどうだったのか、こういうことも含めて議論をさせていただきたいというふうに思います。
もちろん、我が国の石油、九割は輸入が中東からということでございます。備蓄自体は二百五十日超ということでありますので、そういう意味で、量が問題というよりは、価格がどうなっていくか、そして経済にどういう影響があるかということは非常に大事だと思います。
LNGも御指摘もあるんですけれども、これはかなり調達も多角化していただいておりますので、そういう意味では、原油のホルムズ海峡のところが、本当にどこまで、輸入がいつどう戻るのかということなんだろうというふうに思います。
今後どうなるかというのはなかなか見通し難いですが、過去の事例は分かります。二〇二二年、ロシアのウクライナの侵略のときにも、あのときもかなりエネルギー価格は影響がございまして、そして、政府としてもいろいろな対策を講じてきたというふうに思います。
そこで、データとして、経済産業省の方から、当時の原油価格の動向がどうであったのか、そして、その後、ガソリン価格がどうなり、そして電気・ガス代へどのような影響があったのか、少し数字について答弁いただければと思います。
○木原政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二二年のロシアによるウクライナ侵略の際、原油価格は、国際的な指標であるブレントで、侵略前と比較して最大でおおむね三〇%程度上昇しております。ガソリン価格については、当時の支援制度により、大きな変動はなく推移していたものでございます。また、電気・ガス料金については、ウクライナ侵略前の水準と比較して、家庭用でおおむね三〇%程度上昇したということでございます。
○中野(洋)委員 原油価格が三〇%上昇したということであります。ガソリンの価格は、当時の支援制度で価格については同じ水準で推移をしたということで、私も記憶にありますが、たしか百七十円前後ぐらいに抑えておって、その上、実は本来かなり値上がりをしていた状況でありますが、それは政府が支援をして上がらないようにしていたということであります。
ちょっとお尋ねしますが、もしこれがなければガソリン価格はどうなっていたのかというのは、今データはありますか。
○木原政府参考人 仮にこの補助制度がなかった場合の水準につきましては、百七十円程度が実際のガソリンの消費者の買う価格でございますけれども、それに対して、ウクライナの直後につきましては二百円、このぐらいの水準で推移していたと想定されます。
○中野(洋)委員 実際は抑えていたので想定ということかと思いますが、実はあのときは二百円を超えてもおかしくないというか、実際は恐らく抑えなければ超えていたであろうという水準であります。ですから、ウクライナのときはかなり跳ね上がった、スパイクした状態でありましたので、対策を講じてまいりました。
これはエネルギー価格でありますが、当時、物価全体に対してどういう影響があったのかというのは、データはございますか。
○竹田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二二年当時の消費者物価指数の総合につきましては、二月は前年同月比〇・九%増、三月は一・二%増、四月は二・五%増と推移してございました。
その上で、原油価格の上昇がエネルギー以外の品目も含めた物価全般へ及ぼす影響につきまして、物価の変動は様々な要因が折り重なっておりますことから、ちょっと一概に申し上げることは難しゅうございまして、当時のことについても同様と考えているところでございます。
○中野(洋)委員 確かに、物価全体に対しては、いろいろな原因がありますので、一概にエネルギー価格がこれだけ上がったから物価がどのくらい上がったかというのは非常に難しい分析だというふうには思いますが、しかし、いずれにしても、物価への影響というのはあったんだろうというふうに思います。
こうした数字のことを考えて、今回、一体どのくらい原油が上がっていくのかというのが、非常に皆さんの関心が高いわけであります。
今回の原油価格の現在までの動向、そして、ここから恐らくガソリンの価格というのは遅れて上がっていく形、そして、電気、ガスというのも更にもう少し遅れて上がっていく形になろうかと思いますけれども、予想される影響の現状、もし数字でございましたら、これも併せて答弁いただけますか。
○木原政府参考人 まず、足下の原油価格の動向につきましては、三月五日現在、ブレントでバレル当たり八十三・六八ドルとなっておりまして、これは、イランの攻撃の前に比べると約一五%の増加となっております。
今後の見通しでございますけれども、原油の価格については、中東情勢のみならず、世界経済やエネルギーの需給動向など様々な要因を踏まえて市場で決まるものと承知しております。したがって、原油価格、ガソリン価格、電気・ガス料金などの動向についても、予断を持ったコメントは差し控えさせていただきます。
引き続き、原油価格の動向や、それを通じたエネルギー価格を始めとする物価への影響などを注視してまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 もちろん、これで幾らになるだろうということで、政府として確定的なコメントは非常に難しかろうというふうには思います。
しかし、他方で、一五%原油の方も上昇しているということでありますので、ガソリンあるいは電気、ガスは恐らく遅れて少し影響が出てくるのであろうというふうに思います。過去の事例も見て、どのくらい遅れてどのくらい影響が出る可能性があるのかということはある程度述べることは可能かというふうに思いますが、いかがですか。
○木原政府参考人 一般的なところでございますけれども、原油価格が上昇して一、二週間後にガソリン、軽油、重油等の石油関連製品の価格に影響が出ると考えております。
それから、電気・ガス料金につきましては、LNGの輸入価格が上昇してから二から四か月のラグを置いて価格が上昇してくるということが想定されております。
○中野(洋)委員 もちろん、数字を何か言うと非常にいろいろな影響もあります。政府として軽々に何かを申し上げるのは、それは難しいというのは重々承知をしております。
他方で、やはり、先ほどお話がありましたとおり、遅れていろいろな影響が出てくるというのは、過去のデータを見れば分かるわけであります。ロシアのウクライナ侵略のときは三〇%近く燃料油が高騰したということで、これは当然、かなり地政学的な問題、そしてロシアはかなりエネルギー大国という、いろいろな影響もある中で、今回と全く同じ状況かというと、それは当然違うわけでありますが。
当時と違うことといいますと、一つは、日本の中でいうと、やはり当時は、政府が支援をしていたことによってガソリンの価格というのが非常に上昇が抑えられているという措置を講じていたということが一つあります。先ほど、二百円を超える水準だったかもしれないということでありますので、リッター当たりでいうと三十円以上補助が入っていたのではないかというふうに思います。
そして、当時と為替のレートも大分違うわけでありまして、かなり円安になってきているということも考えますと、確かに一五%、今現状でそのくらいの値上がりということでありますが、これが引き続き長期化をしてくる、あるいはここから更に上がってくるという状況になってくると、私は、これはやはり経済への影響というのがかなり心配をされるのではないかというふうに思っております。
当時、ウクライナの侵略の際は、IEAと国際協調ということで、日本の備蓄を、制度開始以来、これはたしか初めてだったかと思いますが、これを放出をするということもありました。もちろん、こうした情勢を見ながらということであります。そして、特に日本は中東からの輸入が大きいという状況で、ほかの国に比べて、ひょっとして価格の影響というのが大きいということもあるのかもしれません。
今後の情勢を見ながら、IEAへ働きかけをしていく、あるいは備蓄を放出をしていく、こういうことも検討していってしかるべきだというふうに思いますが、これは副大臣の方から答弁をお願いできますか。
○井野副大臣 先生御指摘のとおり、石油備蓄については、官民合わせて二百五十日分を備蓄しておりまして、これは必要に応じて適時適切に対応していくという体制を取っております。
その上で、大変恐縮ですけれども、予断を持って現時点でコメントすることは難しいわけでありますけれども、いずれにせよ、状況を注視しつつ、必要な対応、我が国のエネルギーの安定供給の確保に向けた必要な対応を万全を期して取っていきたい。あらゆる、もちろんIEAへの働きかけを含めて、必要があれば対応を取ってまいります。
○中野(洋)委員 先ほど、必要があれば対応を取ってまいりたいと。当然、しっかり状況も注視しながら、様々な検討をしていただきたいと思います。そして、その上で、やはり経済に与える影響というところも、しっかりと対策は検討していただきたいというふうに思っております。
中小企業への影響というところ、あるいは燃油価格を所管をしているということで、経済産業副大臣に今日はお伺いをいたしますが、例えば、これが仮に長期化をしていって、そして影響が出てくれば、補正予算の編成の可能性というのもゼロではないといったような、そういう議論もこの予算委員会の中でもたしかあったやに記憶をしております。
しかし、現状、かなり値上がりをしてきている状況の中で、やはり私は、しっかり対策を検討すべきである、本当にこの予算案で対応できるのか、十分なのか、こういうことを思っておりますが、これについて、経済産業副大臣、答弁をいただければと思います。
○井野副大臣 先生の御指摘は恐らく、総理の方から補正予算の可能性は否定しないという御答弁があったということだと思いますけれども、現時点において補正予算の編成の可能性については我々からお答えすることは差し控えますけれども、経産省としては、イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部を赤澤大臣を本部長として設置をしておりまして、日本経済全体への影響を的確に把握して、迅速に必要な対策を講じることなどを緊張感を持って取り組んでいくということを確認をしております。
そして、まずは、物価高対策やエネルギー安全保障の強化を盛り込んだ経済対策、令和七年度補正予算の着実かつ迅速な執行に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○中野(洋)委員 補正予算の執行ということは、当然これは急いでやっていただかなければなりません。しかし、この予算で本当に十分対応できるのか等も含めて、私は十分な答弁があったとは思いません。
アメリカも、これからどうやって出口戦略をやっていくのか、あるいはこれが本当に長期化しないのか。当然、地上部隊というのは、全く、派遣を完全に否定をしているという状況ではないというふうに報道等でも見ております。
どうなるのかというのは、非常に、予断を何か持って言うわけにはいきませんけれども、しかし、こうした今既に値上がりをしている状況、そしてこれが本当に早期に鎮静化をするのかという状況、こういうところも鑑みると、私はしっかり対策を講じるべきだと思いますし、こうした物価高対策については今後しっかりと集中審議をしていくべきだと思いますが、委員長、いかがですか。
○坂本委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○中野(洋)委員 海運の状況ということも、少し、今日、国土交通大臣に来ていただいておりますので、これも是非お伺いをしたいと思います。
九割が中東から輸入をされている原油であります。しかも、七割超はホルムズ海峡を通るという状況であります。この現状について、報道等ではいろいろなニュースも出ておりますし、恐らく船主協会等から、何隻が今いて、どういう状況なのか、現在通過できる状況なのかどうか、様々状況を入手されていると思いますので、ペルシャ湾内の船舶の現状と今政府がどう対応しているのか、国土交通大臣から答弁をいただければと思います。
○金子国務大臣 お答えいたします。
日本関係船舶については、現時点でペルシャ湾内に四十四隻の日本関係船舶が入域をしておりますが、各運航会社との間で安否確認を実施しており、現在までのところ日本関係船舶に被害が生じていない旨確認をしております。なお、二十四人の日本人乗組員がペルシャ湾内の日本関係船舶に乗船していますが、これも各運航会社において安否確認が取れており、安全な海域で待機していると報告を受けております。
国土交通省としては、総理からの御指示もあり、二月の二十八日に、私から、情報収集を徹底するとともに、海路、空路の状況把握と関係者への情報提供を行うことなど、対応に万全を期すこととの指示を省内に出しております。また、三月二日に、海事局から日本船主協会に対し、付近を航行する関係船舶及び乗組員の安全確保に最大限努め、ペルシャ湾への新たな入域を行わず、ペルシャ湾内に所在する船舶については安全な場所で停泊するよう注意喚起を行っているところでございます。
なお、ペルシャ湾外ではございますが、日本時間の三月四日午前七時三十分頃、オマーン湾内に停泊していた日本関係船舶の船橋付近において、空からの落下物と思われるものを発見するとともに、当該船舶の一部に軽微な損傷が見られる事案が発生しましたが、船員にけがはなく、運航に支障はないとの報告を受けております。
日本船主協会からは、情報共有や関係国への働きかけなど、船舶の安全確保に向けた措置を講ずるよう要請を受けているところでございまして、国土交通省としては、関係省庁とも連携の上、対応に万全を期してまいります。
○中野(洋)委員 先ほど大臣の方から詳細な御答弁をいただきました。
ペルシャ湾内の安全なところで停泊をしていて、安全も確保されているということは、随時連携を取っていただいているということで、感謝を申し上げたいというふうに思います。
他方で、先ほどのお話にもありましたとおり、ペルシャ湾外であっても、落下物ということで、ちょっとどういうことか分かりませんが、何が起きてもおかしくない状況ではあろうかと思います。そして、ニュースでは、これは、恐らく、どこの船籍なのかとか、いろいろあろうかとは思いますけれども、商船ですとか、あるいはタンカーですとか、これが攻撃を受けているのではないかといったような報道も拝見をしております。
安全な海域で待機をして、そしてペルシャ湾の中には入らないようにというふうなことも言っていただいてはおりますが、私は、早く、当然安全をどう確保するかという問題はあるんですけれども、何とかしてペルシャ湾から退避をできるような、そういうことも模索をしていくべきではないのかというふうに、もちろん、どうやって安全を確保するのかというのが一番大事ではあるんですけれども、こうしたことも思いますけれども、これについては、国土交通大臣、どのようにお考えですか。
○金子国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、現在、安全な海域で待機をしているということでございます。
今後のことについては、茂木外務大臣もおられますし、状況をしっかり確認をした中で対応すべきだというふうに思っておりますので、今すぐに動かすとか、そういうことではないんだろうと思います。
○中野(洋)委員 当然、全体の安全をどうやって確保できるかという状況もあってのことだというふうに思いますけれども、しっかり外務省とも、外務大臣とも連携を取っていただければというふうに思います。
そして、ニュースでは、海運の関係ですと、保険の関係のニュースも最近よく見られるようになりました。私も、国土交通省にいたときに海事局でも仕事をしておりました。余り一般的になじみのない分野かというふうには思いますけれども、当然、海運の世界では船舶に対して保険が掛かっております。
そして、様々な地域を通ることでありますので、船舶戦争保険ということで、これは保険の特約でありますけれども、戦争のときの様々な損害について、あるいはテロや海賊等々ということも含めて、保険があるということであります。
しかし、最近少し気になっておりますのが、ニュースを見ますと、戦争リスクの補償を保険でどこまで引き受けられるのかというところが、保険会社あるいは再保険等も含めてかなり議論になっているのではないかというふうに心配をしております。トランプ大統領の方からも、ホルムズ海峡は安全を確保して、そして、保険についても何か考えるみたいなコメントもあったというふうなこともニュースで少し拝見をいたしましたけれども。
この船舶戦争保険、ちょっと皆様は余り御存じないと思いますので、引受けを停止をするという報道もあります、あるいは、プレミアムが非常に高くなって保険自体が物すごく値上がりをするという可能性もあるのではないかと思いますけれども、仮に、保険がないと船というのは動かないというふうに私は思っているんですけれども、大臣の認識はどうでございますか。
○金子国務大臣 もう中野前大臣はよく御存じのことだと思いますが、聞いている皆さん方もなかなか分かりにくいので、説明をさせていただきたいと思います。
船舶を運航する際には、船主がおられて、そして、船主から船舶を借り受けて運航する用船者がおられます。船本体や損害賠償などに関して様々な海上保険に加入をして、保険会社はその再保険を受けておりますが、特に戦争リスクについては、船主が必ず加入する基本的なものとして船舶戦争保険等があるほか、用船者が任意で更に加入する保険がございます。
現在の情勢を受けて、日本船主責任相互保険会社から、用船者が、船主から船舶を借り入れて船を動かしている方でありますが、用船者が任意で加入する保険のペルシャ湾等における戦争リスクについては再保険が提供されない旨の発表がなされていると承知をしておりますが、基本的に、船舶を運航する業界団体からは、現時点において、基本的な保険であります船舶戦争保険等は引き続き提供されております。ですから、これがあれば船は動かせるということでございますので。また、運航に支障を来すなどの保険料の上昇は生じていないということでございます。
国土交通省としては、繰り返しになりますが、ペルシャ湾への新たな入域を行わず、ペルシャ湾内に所在する船舶については安全な場所で停泊するよう注意喚起を行っているところであり、いずれにしても、海上保険の観点も含めて、業界と連携して今後の情勢を注視してまいります。
○中野(洋)委員 先ほど、保険のお話、かなり詳しく説明をしていただきました。
もちろん、この船舶戦争保険、一部引受けをしないというふうな報道は出ているものの、全部の会社がそういうふうに言っているわけではないですし、基本的に今大臣から御説明のあったような状況かというふうに思います。
しかし、かつて、イランのいわゆる核実験のいろいろな制裁の問題があったときには、政府はイラン特措法というものを作ったこともあります。これは、今の状況とは少し、全くパラレルのことではなくて、当時はそういう制裁がありましたので、そういった、イランの関係の積荷については、たしか欧州が再保険を、船舶保険も含めて全くしないといったような、そういうことがあったかというふうに、これはちょっと当時の記憶でありますので、今のいわゆる戦争リスクが上がっているというところとはまた少し違う状況だというふうには思っておりますけれども、日本の政府として、そこについてしっかりカバーをしようというふうな法律を作ったということもございました。
これは、要は、ここが全く動かなくなると船主としてはリスクが取れないということで、船が動かなくなる。要は、ホルムズ海峡というところが非常にプレミアムが高くなる、あるいは引き受けられないというふうなことになると、そういったところでも運航に支障が生じるというふうなことがあり得るということであります。
ですので、私は、様々なリスクをあらかじめ想定をして対応していく必要があるんだろうというふうに思います。もしそういう事態になってから、日本の政府として何か新しい制度を考えたり、あるいは新しい予算を考えたりということではなくて。
当然、このホルムズ海峡に関しては、安全の確保をして運航するということは、何度も申し上げますが、最優先事項だというふうには思います。しかし、今後この事態がどのくらい長期化するのかというのが今の段階で分からないという状況の中で、かつ、日本のホルムズ海峡を通る原油の船舶の割合が約七割という、ここが通れないと日本にとって極めて危機的な状況になるという中で、この保険について何か恒常的に対応できる制度が今のところ何もないという状況なのかなというふうに思っております。
ですので、例えば、こうした、国があらかじめ再保険を提供する、そういう事態が起きたらそういう制度があるよということであるとか、こうした事態に恒常的に何か備えられるような制度というのは検討されてもしかるべきではないかというふうに思いますけれども、これは金子大臣、いかがでございますか。
○金子国務大臣 済みません、繰り返しになりますが、ペルシャ湾の中にいる船は安全な場所に停泊していること、新たにペルシャ湾に入らないこと、それから、業界団体から、現時点では船舶戦争保険等は引き続き提供されているし、保険料の上昇もないという報告を受けておりますが、いずれにしましても、中野委員からいろいろお話がありましたように、海上保険の観点も含めて、引き続き情勢を注視するとともに、関係業界、事業者や関係省庁との間で連絡を密に取り、対応に万全を期してまいります。
○中野(洋)委員 今この瞬間大きな問題が、これはもう直ちに対応しないと問題だということではないんです。今の瞬間はいろいろな形で動いている、動いているというか、保険も機能しているということは承知をしております。その上で、やはり何が起きても、有事に、いろいろなリスクに備えるということは、私はしかるべきだというふうに思っておりますので、是非こうしたところも含めて状況を見ていただければと思います。
そして最後に、外務大臣、茂木大臣に来ていただいております。
やはり事態が長期化をすると、燃油の問題であれ、こうした海上輸送の問題であれ、日本経済への影響というのは非常に大きなものになるおそれがあるというふうに思います。そういった意味では、茂木大臣からも、今、様々各国にも働きかけをしていただいて、早期に鎮静化をしていくということが何よりも重要ではないかというふうに思っております。
もちろん、これはアメリカも含めて、これから日米首脳会談のようなこともございますので、そこで何を議論し訴えていくのかというのも当然ありますけれども、外務大臣として、今この早期鎮静化に向けた見通しをどう考えておられるのか、あるいは、今後どのように外務省として、日本として取り組んでいかれるのか、大臣からの答弁をいただければと思います。
○茂木国務大臣 中野委員がおっしゃるように、今一番大切なことは、この事態の早期鎮静化を図っていくということだと思っております。
先月の二十八日午後三時過ぎに事態が発生いたしまして、外務省として、四時には私を本部長とする緊急対策本部を立ち上げました。その後、私自身も必要な外交努力を行っておりまして、翌日の朝七時にはG7の外相会談、これを行いまして、今後の見通し等も含めて意見交換を行ったところであります。
また、これまでに、イスラエルそしてイランの駐日大使と個別にお会いをしたり、また周辺諸国の駐日大使たちと面会して、米・イラン間の仲介を務めたオマーンそしてカタールの外務大臣、カタールの場合は外務大臣が首相を兼任しておりますから、とも電話会談を行いまして、早期鎮静化に向けてしっかり連携していこうという形で進めております。
当然、この機会に、在留邦人の安全確保であったりとか退避支援にしてもお願いをしているところでありまして……
○坂本委員長 申合せの時間が超過しております。よろしくお願いします。
○茂木国務大臣 今後あらゆる機会を捉えて、早期鎮静化に向けた外交努力を続けてまいりたいと思っております。
○中野(洋)委員 時間が来たので以上で終わりますが、まだまだ様々な議論が必要だということを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○坂本委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。
次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 中道改革連合の伊佐進一です。
片山大臣、私は、さっきの同僚の中野議員の質問を聞いておりまして、これは本当に大事な観点だと思っています。つまり、長引くという観点です。さっきの議論では、燃料価格の影響、既に今、値上がりが始まっている、イラン情勢の影響を受けて。恐らく、それに限らず、長引いていくと、その他の物価もどんどん上がっていく、国民生活に大きな影響を与えていくというふうに思っております。
高市総理は、昨年の補正予算で物価高騰対策についてはもう当面必要な物価対策を行ったんだと言っていらっしゃるわけですが、でも、国民の皆さんの目線、感覚からすると、これで物価高騰対策は安心だとは全然なっていないと私は思っています。
今回のまさしく本予算についても、今同僚の中野議員からあったとおり、イランの情勢でなおさら物価高騰が今後見込まれるかもしれないというような状況の中で、ちょっと今の質疑を聞いていると、当初予算で物価高騰対策をやはり早期にきちんと対応できるようにしておかなきゃいけないんじゃないか。改めて補正予算を組む可能性があるとかと悠長なことを言っていると、補正予算をまた組んで審議していったら相当遅くなるんですよ。
これが見込まれているのであれば、このままだと迅速性に欠けてしまいますので、ちょっと財務大臣、今の中野議員の議論はすごく大事だと思いますので、是非、イラン情勢に鑑みて、物価高対策をしっかり織り込んだ予算に組み替えるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
○片山国務大臣 まず、私どもとしては、今、現下の経済対策、景気対策につきましては補正予算の執行がまだありまして、補正予算に付随する予備費も八千億円以上まだございます。いろいろな可能性があると思います。補助金の話をおっしゃる方もいらっしゃいますが。
更に申し上げますと、本予算案、令和八年度予算案ということになりますと、既に御説明いたしておりますように、かなり多額の予備費を使っておりまして、これは過去、年度をまたぐように対策を打ってきた様々な災害対策等もございましたが、そういうときにも、まず最初に予備費が出ていった例もございます。それでも……(発言する者あり)済みません、まだ答えておりますが。それでもまだ足りないというか、どういう状況になるか分からない場合はもちろん補正ということもありますということも総理から表明しておりますので、状況に応じて、いつ何どきでも、可能な限り決して遅れることなく適切な対策を打っていくということは間違いないところでございます。
他方、先ほど国交大臣と中野委員とのやり取りの中にもございましたが、今、実は、G7の私どもの代理ですね、G7の財務大臣Dの会合が終わってきたところでございまして、この場でも保険、リスク、エネルギーについて既に話し合われております。
アメリカ当局の方からは、いわゆるアメリカの国営の保険当局の方で、再保険であれ本保険であれリスクを受ける用意があるということで、これは既に彼らが政府として発表しております。これはホルムズ海峡に起因するもので。その他につきましては、イギリスの財務省の方から、確かにいろいろとリスクはあるけれども、ホルムズ海峡通過以外の部分の全ての今回の危険地域については完全にロイズ等で引受けをしているということで。
ホルムズについてはアメリカ側のいわゆる公社、ホルムズ以外については通常のロイズの保険の引受けが続いているということで、いずれにしても、我々の、財務大臣の会合において、今一番重要な問題がこれだという認識でございますので、緊張感を持って取り組んでおります。
○伊佐委員 大臣、さっきおっしゃった、いろいろ手当てしている、例えば補正予算とおっしゃいました。補正予算で、あと残っている、これから執行するというのは、恐らく重点交付金ぐらいしかないと思うんですよ。重点交付金はいつ来るんですか。だって、これは、大阪なんて来るのは七月と言われていたんですよ、当初。夏です。まだまだ、あと何か月あるんですか。という状況であったりとか、予備費は繰越しできません。だから、今ないんですよ。
だから、そういう意味では、総理はこれまでずっとおっしゃっています、当初に組めるものはできるだけ当初予算に組むんだと。これが総理の言う財政改革だというふうにおっしゃっているわけですよね。であれば、これは当初にしっかりと組んでいくべきじゃないか。これは総理と言葉が違うので、私は総理と議論するべきだと思っています。
是非、この物価高騰について集中審議をお願いしたいと思います、委員長。
○坂本委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○伊佐委員 物価高の対応の中で様々な手を迅速に打つべきだと申し上げましたが、根本的な意味での物価高騰対策というのは、私は賃上げだというふうに思っております。
この賃上げについては、岡本政調会長もこの予算委員会で具体的な提案をさせていただいております。私も、ちょっとこの賃上げに関して具体的に提案を行いたいと思うんですが、アコードです。
今日は、日銀の副総裁にも来ていただいております。
政府とアコード。このアコード、資料一をつけさせていただいております。これが二〇一三年に結ばれたものであります。民主党政権から自公政権になって、安倍政権になってすぐに結ばれたのがこのアコードです。当然、日銀の立場というのは政府から独立した立場でありますので、ただ、同じく方向性を一緒に合わせていこう、呼吸を合わせよう、デフレ脱却そして経済成長の実現のために密接に連携して対応しようというのがこのアコードです。
十年以上たって、変わっていないんですよ。経済状況がこれだけ大きく変わって、内容に変更がない。正確に言うと一部変わったものがあって、この三ポツの二行目の日本成長戦略本部の下という、組織名が変わったので昨年十一月にここだけ変えたというだけで、これは二〇一三年から変わっていません。
そもそも、この一ポツを見ていただくと、目的がデフレからの早期脱却、また、日銀がやることというのは、例えば二ポツの真ん中あたりに、金融緩和を推進すると。これは本当に今の時代に合っているのかと思っています。むしろ、今の物価高をどうするのかとか、円安をどうするのかとか、こういうアコードに本来するべきじゃないかというふうに思っております。
まずちょっと伺いたいのは、デフレからの早期脱却が目的になっていますが、我が国の今の経済はデフレなのかどうか、脱却していないのかどうか。これは日銀の認識と政府の認識をそれぞれ伺いたいと思います。
○氷見野参考人 お答えいたします。
我が国の物価情勢については、足下の消費者物価が上昇しているという意味でインフレの状態にあると考えておりますが、その上で、我が国がデフレを脱却したかどうかについては、政府において各種の指標等を踏まえて総合的に判断されていくものというふうに理解いたしております。
○片山国務大臣 現在の状況でございますが、まだ我が国では賃金上昇を伴った持続的、安定的な物価上昇の実現が道半ばの状況にあり、日本経済が再びデフレに戻る見込みがないとまで言える状況には至っていないと考えております。
○伊佐委員 今、日銀がおっしゃったのは、インフレではあるとおっしゃったんですね、今この瞬間、インフレなんだと。じゃ、デフレではないんですが、デフレを完全に脱却したかどうかというのが、今恐らく財務大臣がおっしゃっていただいた、まだ完全に脱却したとは言えないと。
資料二をお配りしています。資料二の左側、デフレ脱却の定義と判断、これは平成十八年のを使っているんです。ここに書いてあるのは、「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがない」、具体的には、消費者物価を見ましょう、GDPデフレーターを見ましょう、その背景の需給ギャップとかあるいはユニット・レーバー・コストとかというのを見て総合的に考慮して判断するというのが、このデフレ脱却の定義と判断に書かれています。
でも、これは多分、国民生活、国民の皆さんの生活実態からすると、いやいや、まだデフレ脱却していないんだと実感が余りできないというか、国民の感覚からすると、これだけ物価が上がっていて、まだまだデフレで賃金が下がって物価が下がっていくというのが、どうもこの感覚が少し違うんじゃないかというふうに思っております。
じゃ、日銀にもう一回伺いますが、このアコードでは、金融緩和を推進しと書いてあるんですよね、日銀のやるべきこととして。今、日銀は金融緩和を推進しているんでしょうか。
○氷見野参考人 お答えいたします。
政府と日本銀行は、二〇一三年の共同声明の下で必要な政策を実施してまいったわけでありますが、日本銀行について申し上げれば、現状、緩和的な金融環境の下で、金融緩和の度合いを徐々に調整しているという局面にあるというふうに考えております。
○伊佐委員 これは苦しいと思うんですよ。緩和の度合いを調整とおっしゃいましたか。今、デフレ脱却したと政府が判断していないから、緩和をやっていませんとは言えないんですよ。緩和の度合いを調整していると。
実際、もう皆さん御案内のとおりで、利上げだって二〇二四年三月から三回やっています。国債の購入だってもう既に減らしておりまして、量的緩和の縮小。ETFも売却方針。だから、緩和度合いの調整というか、もはや完全に緩和時代からかじを切った取組だと私は思っているんですよね。ただ、それは言えないんですよ、政府が脱却と言っていないから。
という中で、もう少し日銀に聞きますけれども、物価上昇率の目標は二%。資料二の右側を見ていただくと、今、コアが二・〇%、コアコアが二・六、GDPデフレーターが三・四。これを見て、この目標の二%を果たして達成したとどう判断するか。もちろん、インフレも、いいインフレと悪いインフレというのがあるのも存じ上げています。国内の経済状況で、しっかりとインフレから脱したと言える状況か、あるいは、海外の物資の高騰のコストプッシュ型なのか。
じゃ、日銀は、今のインフレというのはいいインフレか悪いインフレか、どっちだと思われていますか。
○氷見野参考人 お答えいたします。
最近の消費者物価の動きを見ますと、例えば、食料品価格の上昇については一時的なコストプッシュ要因が相応に影響していると考えておりますけれども、こうした要因の影響については今後減衰していくというふうに見込んでおります。一方で、景気が緩やかに回復し、労働需給が逼迫する下で、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きも続いております。食料品についてもそうした動きが見られるほか、その他の財やサービスの価格も緩やかに上昇しております。
このような状況を踏まえ、日本銀行では、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率は二%に向けて緩やかに上昇しているというふうに判断いたしております。
○伊佐委員 今の答弁を聞くと、いや、もう脱却、つまり、コストプッシュの影響というのは減衰していくと今おっしゃったわけですよね。苦しいのは、さっきも何度も申し上げているとおり、二%に向けて緩やかにとしか言えないという。
ちなみに、私、資料を用意しましたけれども、資料三。これは、コストプッシュの部分が利いてくるのは、上の財の部分です。下の網かけのブルーのところは一般サービス、ここはまさしく国内要因ですよね。もう基調で既にちゃんとあるわけですよ。安定化しているわけですよね。
というのを考えると、私が今感じているのは、かなり政府が慎重過ぎて、つまり、もう脱却しましたと言った瞬間、もしかして万が一ちょっと物価が下がったりしようものなら、脱却したって言ったやんというふうに言われる、何かその慎重過ぎるところが実は次の一手を遅らせているんじゃないかというふうに私は思っております。
総理の答弁、総理はずっと、日本経済にとって円安はいい面も悪い面もあるというふうにおっしゃっております。確かに、輸出産業にとってはいいです。もうかります。でも、国民生活からすれば、やはり物価高が大きな要因であるとすれば相当しんどい。
日銀は物価がミッションですので、物価の安定がミッションですので、余り為替については評価しないと思いますが、あえて伺いますけれども、円安は物価高に影響を与えていると思いますか。
○氷見野参考人 お答えいたします。
為替円安の進行は、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響により、消費者物価の押し上げ要因と考えられます。この点、企業の賃金、価格設定行動が積極化する下で、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があるということには注意が必要だというふうに考えております。また、こうした経路を通じた物価上昇が、予想物価上昇率の変化を通じて、基調的な物価上昇率に影響する可能性にも注意が必要と考えております。
金融・為替市場の動向やその物価への影響については、今後ともしっかりと見てまいりたいと存じます。
○伊佐委員 ありがとうございます。そこまで言っていただけると思っていなかったんですが。
物価高に影響を与えるようになっているんだとおっしゃったわけですよね、円安が、為替がです。だから、日銀のミッションは物価の安定です。でも、それをやろうと思ったら、為替を何とかしてくれないとこれは達成できないんだということなんですよ、今おっしゃったのは。
そういう意味では、でも、為替は結局、日銀は手足を持っていません。財務省しかできないわけですよ。だからこそ、日銀と財務省で協調して事に当たるべきじゃないですか、アコードをちゃんと、この古い十数年前のものをそのまま置いておくんじゃなくて、変えるべきじゃないですかという話です。
物価高、円安、だから賃上げですよね、含めてアコードの改定を本気で議論していただきたい。財務大臣と日銀、それぞれ伺いたいと思います。
○片山国務大臣 まず、委員の御指摘、様々な面がございましたが、今のイラン情勢を受けて市場に非常に大きな変動が生じておりますから、これについては万全の対応を取るべく、海外当局等とも更に緊密かつ機動的に連携してまいります。
G7Dの会合につきましては先ほどお話ししたとおりですが、こういう状況を踏まえて、その上で更に申し上げますと、今申し上げたように、今までの共同声明につきまして、昨年十一月に一部語句修正を行った上で文書の内容は再確認しております。総理と植田総裁は既に二度会っておられまして、これはいずれにしても踏襲をしております。私もお会いしております。
その上で、日銀の金融政策は物価安定目標の持続的、安定的な実現のために行われているものであり、為替誘導を目的としたものではないということが制度上の問題でございまして、賃金上昇については、直接に共同声明の目的としてはいないものの、共同声明の目的とする物価安定の下での持続的な経済成長の実現、このためには重要なものであると認識しておりまして、総裁も昨今の委員会等で、賃金上昇を伴う形での二%の物価安定目標の持続的、安定的達成、これに資するように政策を運営していくとおっしゃっております。
私どもは、日銀法三条、四条の精神にのっとって、政府と日銀の間で緊密に連絡をして連携を図ってまいりますし、今そのように行動しているところでございます。
○氷見野参考人 お答えいたします。
共同声明の取扱いについて具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、金融政策の目的はあくまで物価の安定であり、為替相場のコントロールを目的としたものではありませんが、為替相場の動向は我が国の経済、物価情勢に影響を及ぼす重要な要因の一つであるというふうに考えております。
また、御指摘のあった賃上げへの取組については、物価動向を左右する重要な要素の一つでもあり、賃金の上昇を伴う形での物価安定目標の達成が重要だと考えております。
もっとも、賃金上昇率は物価動向だけでなく労働生産性などの影響も受けるわけでありますが、労働生産性は、イノベーションを含む技術進歩など、金融政策によって必ずしもコントロールできない様々な要因によって規定されるため、賃金上昇率を直接的に金融政策の目標にすることは難しいと考えております。
日本銀行といたしましては、今後とも、金融・為替市場の動向や賃上げへの取組が我が国経済、物価に与える影響を十分注視した上で、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現という観点から適切に金融政策を運営してまいりたいと考えております。
○伊佐委員 今の答弁を聞いていると、私は今までの議論は何だったんだという気がちょっとしておりまして、だから、申し上げたとおり、もちろん、さっき副総裁がおっしゃったとおり、物価もあれだけれども為替については手が出せないとかという話もおっしゃっていましたけれども、でも、だから確認したんですよ、物価の影響を為替というのは受けていますよねとか。だから順番に追って今質問してきたわけですよね。それが何かなかったかのようにまたおっしゃったりとか。
何か、私は、やはり、今総理が推し進めている責任ある積極財政の中では、デフレ脱却しましたと言わない方が都合がいいんじゃないかというふうに思ってしまうんです。だって、これだけ数字がもう緩やかに、今の指標もずっと議論してきたとおりなんですが、だからここは、本当に今、国民生活のことを考えると、そうはいっても一番大きな課題は物価であって円安であると私は思っていますので、是非ここはアコードの議論を進めていただきたいというふうに思っております。
次に、時間があと十分間、社会保障の話をさせていただきたいというふうに思っております。
総理が責任ある積極財政という中で十七分野を挙げられて、成長産業の投資。ただ、私が今日申し上げたいのは、責任ある積極財政であれば、社会保障、これは国民の命と健康に直接結びつきます、この社会保障においてこそ責任ある積極財政を是非進めていただきたいという質問をさせていただきます。
資料の四を見ていただいて、これは骨太の二〇二五ですが、ここのところで今回大きな一歩を踏み出しました。赤で書いている一番最後のところですが、社会保障の費用については、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。」つまり、今まで社会保障で考えてきた枠に物価と経済動向を踏まえた分は上乗せします、別枠で用意しますと、大きな一歩を踏み出しました。
社会保障というのは目安対応というのが常にあって、同じパイの中で切った張ったでしか動かせなかった。デフレ経済下だったらまだ何とか成立をしていたわけですが、インフレ経済下になって物価も上がるし賃金も上がるし、同じパイで切った張ったじゃもう無理だと。ある意味相対的に社会保障が縮小しているようなものなので、だからこれは別枠にするべきだとずっと主張してまいりましたし、これは当然私だけじゃなくて、社会保障に関わっている多くの同僚議員の皆さん、与野党を超えて多くの皆さんが別枠だというのを長年主張して、ようやく今回この骨太でこう変わったということなんですが、これを受けて今回の本予算では何が変わったか、教えていただきたいというふうに思います。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘がありましたように、骨太方針二〇二五におきまして、大きな一歩とおっしゃっていただきました、高齢化による増加分に相当する伸びに経済、物価動向等を踏まえた増加分を加算するという記載が明記をされました。
これに基づきまして、令和八年度予算案におきましては、この対応といたしまして、令和八年度診療報酬改定において、経営の改善や従事者の処遇改善につながる的確な対応を行いました。また、介護、障害福祉サービス等報酬について、他職種と遜色のない処遇改善に向け、令和九年度の定例改定を待たずに期中での改定を行いました。あるいは、生活扶助基準につきましても、社会経済情勢等を総合的に勘案して特例加算の引上げを行うなど、こうした措置を行うこととしたところでございます。これら合計で約二千九百億円程度を加算するという形で対応したところでございます。
○伊佐委員 ありがとうございます。
実は、答えてほしかったのは資料五の話でして、ちょっと私の方から簡単に説明しますね。
資料五に書いてあるのは何かというと、まず、予算の決め方、社会保障の予算の決め方というのは、いわゆる自然増、これは六千三百億円と左に書いていますが、つまり、足下の経済状況あるいは人口動態を見て機械的にこの数字というのは毎年出てきます、人口動態を考えると社会保障は大体これだけ増えますよねと。さらに、その後で、予算折衝において、制度改革をしたり歳出改革、効率化をして千五百億円落とすわけですよね。最終的な仕上がりがプラス四千八百億円。これが高齢化の伸びに抑えましたという形だったんです、今まで。
それで終わっていたのが、今回別枠になったことで、右の部分、二千九百億円は同じパイの中で出さなくてよくなったんですよ。ほかのところから財源を出さない中で、物価分と賃上げ分については別のところから入るようになったんです。だから大きな一歩だというふうに申し上げました。
大臣、大事なのはここからなんですけれども、本丸は、私、左側の構造もそもそも変えなきゃいけないと思っていまして、これは、つまり、社会保障費の最初のキャップが既に、機械的な数字、プラス六千三百億円で、もうキャップがかかっているわけです。これは浜地委員もここで質問をさせていただきましたが、そのちょっと続きだと思っていただいて。つまり、この自然増が、計算で出てきた数字が実は天井になっているわけですよ、これ以上は増やせられないと。
実際は、社会保障においても前向きな投資というのが私は必要だと思っているんです。例えば、予防医療であったり介護予防であったりとか、あるいはワクチンであるとか、こういうものというのは、早期に投資をすれば将来必要な医療費とか介護費が抑えられる、社会保障費が抑えられます。だからこそ今々の投資が大事だというふうに思っておりまして、ただ、さっき申し上げたように、社会保障において前向きな投資というのは今できないんです。キャップが最初から決まっているから、自然増でこれ以上できませんと。
だから、社会保障こそ実は柔軟な予算運営ができなくて、責任ある積極財政という高市政権だからこそできることかもしれないというふうに思っておりますので、ここは是非、社会保障費のキャップをやめて、社会保障においても前向きな投資が可能となるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 委員はこの間までこの分野の与党のまさに責任者のお一人でいらっしゃいましたから大変お詳しいわけですが。
社会保障関係費につきまして、従来、毎年度の予算編成において、その実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めるとしてきたのはそういうことでございますが、この間の骨太の方針でも大分変わりまして、近年の社会保障給付や経済、物価動向などの状況を踏まえ、高齢化による増加分に相当する伸びに経済、物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算することとされておりまして、私も総理も何回も答えておりますが、令和八年度予算案において、三十年ぶりの診療報酬三・〇九等々、全くパラダイムというか方向性を変えるようなことができたというふうには自負しております。
もちろん、いろいろな改革に取り組み、保険料負担が上がらないようにするという意味では、それはまた別途そのシーリングというのはあってもしかるべきだと思いますが、まさにこの医療と介護等の報酬改定においては、賃上げ、物価対応など的確な対応ができて、その分が加算できたと思っております。
引き続き、この考え方において、持続可能な社会保障制度の構築に向けた取組というのを進めていくとともに、御指摘の予防医療やワクチンも含めて、健康医療安全保障、高市政権で重視している非常に重要な分野です、様々なリスクや社会課題に対し先手を打つ投資、危機管理投資の一環として取り組んでまいりたい、かように思っております。
○伊佐委員 先ほどよりも少し前向きな御答弁、ありがとうございました。
本当は次の質問を厚労大臣に聞こうと思っていたんですけれども、もう時間がないので、この質問について厚労大臣としてどうお感じになるか、多分私の味方だと思っているんですけれども、是非御答弁いただければ。
○上野国務大臣 ありがとうございます。
委員におかれましては、まさにこの骨太の方針ができるときは、与党のこの分野の責任者のお一人として大変な後押しをいただいてこのような骨太の方針になったというふうに理解をしております。そういった面で、本当に大変な御功績をいただいているかなというふうに思っております。
この件について、財務大臣の前で私がいろいろとお話をするのもなかなか申し上げにくい面もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、先ほど財務大臣がお話しになったことが基本のラインだというふうには思っておりますけれども、これから、いわゆる骨太の方針に向けて、党内あるいは各党、また政府の中でもいろいろな議論がありますので、これからの社会保障をしっかりと守っていくという観点からどういう対応が必要かということは、我々もしっかり議論をして検討していかなければいけないと考えております。
○伊佐委員 以上、終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。
次に、有田芳生君。
○有田委員 有田芳生です。
世界基督教統一神霊協会、略称、統一教会、それが日本では二〇一五年に世界平和統一家庭連合、略称、家庭連合になりました。その教団に対して、三月四日、昨年三月二十五日の東京地裁に続いて、東京高裁で解散命令が下されました。
このことを、これから清算が始まっていくときにおいて、一体どういう課題があるのか、何を解決しなければいけないのか、そして、そもそも統一教会というのは何なんだと。私は、マスコミは旧統一教会と言いますけれども、本質は変わらないので、統一教会と表現させていただきますけれども、統一教会とは一体何なのかというのを今日限られた時間でお聞きをしたいと、この場に立っております。
その質問に立つに当たっていろいろ準備をしましたけれども、私はどうも解せないことがある。後でお話をしますけれども、TM特別報告、トゥルーマザー特別報告、トゥルーマザーというのは、まことのお母様、統一教会の韓鶴子総裁を指しますけれども、TM特別報告について、昨日の委員会で早稲田ゆき議員が資料を出しました。これが全文なんだけれども、両面印刷していますから、このぐらいの高さがあるんだけれども、この中の二千六百四十六ページ、日にちでいうと二〇二一年十月六日の、統一教会の徳野英治会長から韓鶴子総裁への書信報告というその部分だけを、早稲田ゆき議員がハングルとそして日本語訳としてこの委員会に提出をして、そして、ここで質問をされ、議論もありました。
ところが、驚くべきことに、私が今日同じ資料を提出しようとしたところ、与野党が折り合わなかった。最終的に委員長が決めたということなんですけれども、どういうことなんですか。昨日と同じ資料を今日出しているのに、早稲田ゆきさんはよくて有田芳生は駄目なんですか。どういうことですか。説明してください。
○坂本委員長 理事会で、資料として不可ということで決定をさせていただきました。
○有田委員 昨日はどうして使ったんですか。何でですか。冗談じゃないですよ。どういうことですか。同じ資料ですよ。名前が違うだけですよ。職権、職権、職権ですか。おかしいでしょう。
○坂本委員長 口頭でカバーをすべきというようなことを条件に、昨日は資料を許可いたしました。しかし、その口頭が十分でなかったということで、不可となりました。
○有田委員 何が条件なんですか。言ってくださいよ。
これは、韓国の捜査当局が韓国の統一教会の本山、本部に行って押収した資料なんです。韓国の刑事事件で、捜査資料として、証拠として、今も裁判が続いている、それの全文ですよ。中には細かい記憶間違いもある。でも、基本的に、韓鶴子という総裁に対する、彼らにとってはいわば神に対する報告だから、間違ってはいけないんですよ。そんな中でも、人間だから細かい間違いはある。そして、神に対する報告だから誇張するような部分もごくごくあるんだけれども、三千二百十二ページ、これを読めば、ほとんどが事実ですよ。日本の政治家もいっぱい出てきますよ。
ゆゆしき問題があって、その核心部分があったから、昨日、早稲田ゆき議員が委員会で質問して、皆さん認めたのに、何で早稲田ゆきさんはよくて有田芳生は駄目なんですか。ちゃんと説明してくださいよ。
○坂本委員長 理事会でそういう決定をいたしました。
○有田委員 だから、理由を言ってくださいよ。昨日はよくて、今日は何で駄目なんですか。
○坂本委員長 今言ったとおりです。
○有田委員 だから、その理由がおかしいでしょう。同じものを、昨日はよくて、今日は何で駄目なんですか。
○坂本委員長 質問を続けてください。
○有田委員 いや、駄目だ。同じ資料を、早稲田ゆきさんが出したものは使っていいけれども、今、有田芳生が質問しようとすると何で駄目なんですか。おかしいでしょう。質問権の制限でしょう。違いますか。
○坂本委員長 理事会で意見が折り合わず、私の判断で、資料として不可といたしました。
○有田委員 じゃ、何で昨日はよかったんですか。昨日はよかった理由を述べてくださいよ、質問をする前提なんだから。
○坂本委員長 先ほど言ったとおりです。
質問を続けてください。(発言する者あり)いやいや、何のための理事会か分かりませんので。質問を続けてください。(発言する者あり)
では、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○坂本委員長 速記を起こしてください。
理事会で決定したことであります。そのまま質問を続行してください。(発言する者あり)
質問を続けてください、有田君。
○有田委員 時間が回っているので、質問を続けますけれども。
要するに、これまで統一教会が、皆さんも含めて、一九八〇年代からずっと、特に自民党を始めとした保守的政治家の方々に近づいてきた。その目的は何だろうかと私たちはずっと疑問だった。日本の政治をゆがめるためなんだろうか、それとも、自分たちの政策を国政に反映するためだろうか。いろいろあると思う。いろいろな評価はやってきたんだけれども、この統一教会の最高機密文書の中には驚くべきことが書いてあったことを、昨日、早稲田ゆきさんがこの委員会で明らかにした。
時間もありますから簡単に言いますけれども、この報告の二千六百四十六ページにはこう書いてある。つまり、統一教会の目的ですけれども、長期的な視点で見ると、日本国民がまことのお父様、お母様、これは文鮮明夫妻のことですけれども、まことのお父様、お母様にお仕えすることができる日本国民になるためには、当然、天皇制は将来撤廃されなければならない、こんなことが書いてある。しかも、将来は二世の信者が国会議員にいっぱいなってもらう、そして最終的には総理にも信者になってもらう。
そんなことはできやしないにしても、その目的で政治家にずっと近づいてきたのが、これまでは明らかになっていなかったのが内部の機密文書で明らかになり、今、韓国の裁判で実際に証拠として扱われている文書なんですよ。だから、これは問題だろうということをやはり強調しなければいけないと思うんです。
かつて、一九七〇年代に、一水会という民族派の鈴木邦男さんが、統一教会、国際勝共連合というのは日本にとって敵なんだという論文を書いたときには、保守的な政治家の皆さんたちも距離を置いたんだ。だけれども、風化していく中で、彼らはそういう目的を持って自民党を始めとした保守的な政治家の皆さんに近づいていった。だから、こういう団体とはやはりきっぱり決着をつけなきゃいけないですよということで、茂木幹事長が二〇二二年に調査をされたんでしょう。
だから、そのことを前提に置いて文科大臣にお聞きをしますけれども、今回の宗教法人解散命令に対する抗告事件で、原審申立人の筆頭に文部科学大臣松本洋平と書かれている。それは御存じですよね、当然。だから、大臣にとって、この決定に至る経過の中で、統一教会とは一体どういうものとして認識されていたんですか。まず、お答えください。
○松本(洋)国務大臣 旧統一教会の信者による違法な献金勧誘等行為によりまして、長期間にわたり、多数の方が多額の財産的、精神的損害を受けてきたということでありまして、そうしたことが国の主張として認められた結果だというふうに承知をしております。
○有田委員 統一教会とはどういう団体だと認識されていますかという質問です。
○松本(洋)国務大臣 宗務行政を担う文部科学大臣の立場で申し上げますと、旧統一教会の信者は、長期間にわたり、献金獲得や物品販売等を伴い、多数の方に対して財産的損害を与えたばかりでなく、その方々の家族を含めて、それらの方々に看過できない重大な悪影響を与え、甚大な被害を及ぼし、全国的な社会問題として扱われるまでに至ったものと認識をしているところであります。
○有田委員 違うんですよ。高裁の決定の中にも、統一教会とはこういう団体だというのは書かれているでしょう。大臣にとって、統一教会というのはどういう団体だったんですか。それを聞いているんです。
○松本(洋)国務大臣 個人的な感想というものに関しましてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど、文部科学大臣としての考えはお答えをさせていただいたとおりであります。
○有田委員 申立人として松本大臣が一番最初に名前が出ていて、東京高裁の決定が出たわけでしょう。そこに、統一教会とは何かというのは明らかに書かれていますよ。その認識を聞いているんですよ。
○松本(洋)国務大臣 本来、宗教法人は、宗教活動によって多くの方の心の平穏や精神的安定をもたらし、社会貢献をする存在であることが期待をされております。
しかしながら、旧統一教会については、解散命令請求時に説明しておりますとおり、遅くとも昭和五十五年頃から、長期間にわたり、継続的に、本件宗教法人の財産的利得を目的として、献金の獲得や物品販売に当たり、多数の方を不安又は困惑に陥れ、自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で献金又は物品の購入をさせて、多数の方に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の方の生活の平穏を害する行為をした団体というふうに認識をしております。
○有田委員 じゃ、なぜそういう団体が、松本大臣を始めとして、多くの政治家の下に接近してきたんですか。
○松本(洋)国務大臣 そうした何かしらの、どういう意図だったのかということに関しましては、私自身は分かりません。
ただ、私自身の政治思想、考えというものに共鳴をしてくださっているのではないかと私自身は考えておりました。
○有田委員 二〇二二年八月二十六日、茂木幹事長の下で、旧統一教会及び関連団体との関係についてということで、皆さん、アンケートに答えられたと思います。その中で、旧統一教会関連団体の会合への出席、これは三番目の質問ですけれども、議員本人でなく秘書が出席した会合もあったと昨日大臣はお答えになっていますけれども、その関連団体というのはどこなんですか。
○松本(洋)国務大臣 既に公表をされているところでもありますけれども、世界平和女性連合という名称の団体になります。
○有田委員 幾らお支払いになりましたか。
○松本(洋)国務大臣 昨日もお答えをさせていただきましたが、当該会合で支払った会費につきましては、既定の会費、向こうからの案内に書いてあった会費一万五千円を代理で出席した秘書が支払ったということであります。
○有田委員 昨日は、そういう具体的な金額まではお答えになっておりませんけれども。
もう一つびっくりしたのは、教団の施設に行ったと昨日の委員会で発言なさっていますけれども、教団の施設というのは何をしに行かれたんですか。いつですか。
○松本(洋)国務大臣 私、安倍先生のあの事件の前であります。ただ、事務所のカレンダーはもうそこにはないものですから、具体的な細かい日付までというふうに言われると私にはちょっと答えかねるというのが現実でありますが、恐らく五、六年前ぐらいになるのではないかと思います。
場所に関しましては、私の当時の選挙区内の当該団体の関係施設にお伺いをしたということで記憶をしております。
○有田委員 どこですか。田無ですか。
○松本(洋)国務大臣 そうです。
○有田委員 じゃ、田無の西武教会に行かれて、大臣は当時、会合に出席されたわけですね。
○松本(洋)国務大臣 会合というわけではなくて、挨拶にお伺いをしたということであります。
○有田委員 だから、関連団体ではなく、教団本体、家庭連合という理解でよろしいですね。
○松本(洋)国務大臣 これも、要するに、委員のおっしゃるそこの区切りというのがちょっとよく分からないんですけれども、先ほどお話をさせていただいた世界家庭女性連合でしたか、一万五千円の会費を払いましたという、そちらに関しましては、そこが主催をする、ここの施設とは別のところでやった、何かそういうところにお呼ばれをして、うちの秘書が代理で行ったということであります。
こちらの当該団体の関係施設というのはまさに田無になるわけでありますけれども、そこでは、何か例えば飲食を伴うようなものがあるとか、そういうものではなくて、挨拶に行ったというようなことであります。
○有田委員 もう一回確認ですけれども、茂木幹事長の下での調査では、旧統一教会主催の会合への出席という項目もあるんですけれども、そこに大臣のお名前はないですけれども、会合には出ていない、ただ挨拶に行ったというだけでいいんですか。
○松本(洋)国務大臣 そのように認識をしております。
○有田委員 先ほども言いましたけれども、統一教会というのは、ここぞという議員の皆さんのところに、野党も含めてだけれども、接近していって、さっきお伝えしたような目的のために、文鮮明教祖の表現によれば、秘書となって入って、そして弱みを握るんだというようなことまで言っている。実際に、一九八六年には京都の嵐山で秘書養成講座が全国九十一人の女性信者によって行われて、それを一回目として、国会議員の秘書、私設秘書、公設秘書も含めて入ってきている。今だって、そういう方がいらっしゃる。職業選択の自由だからそれは自由だと言うことができるんだけれども、特別の目的を持って政治の世界に来ている人たちは今もいるんですよ。
だけれども、茂木さんが当時行った調査、アンケートについては、あなたの職場には信者の皆さんはいらっしゃいますかなんということはないんだけれども、それが適切かどうかは別にして、実際にいらっしゃって、そして、ある元大臣経験者によれば、有田さん、優秀な人が多いんだよというふうにおっしゃっている。だけれども、目的は、職業選択の自由じゃなくて、さっき言ったような大きな、日本の国家体制を変えるためにいろいろ工作をしてきたのが統一教会なんですよね。だからこそ、そういうところとはきっぱりと関係を絶たなければいけないという問題なんですよ。
時間の関係で急ぎますけれども、統一教会は、初め、アメリカの政界工作をやったんですよ。だけれども、失敗した。日本では大成功した。そのやり方で韓国でやろうとしたけれども大失敗して、今、刑事事件になっている。
外務省にお聞きをしますけれども、一九七〇年代にアメリカで起きたコリアゲート事件とは一体何だったんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
今委員が御指摘の事案については、一般的に、韓国による米国への工作が疑われた事案として知られているものと承知しております。
○有田委員 要するに、アメリカの政治に韓国の宗教団体がやってきて、日本からいえば、当時、七〇年代には二十人の女性信者が派遣される。文鮮明教祖に言わせれば、先生は、つまり自分のことをそう言っているんだけれども、三百人の美女をアメリカに派遣するといって、アメリカの上院、下院の議員の皆さんに、例えば飲食をもてなすとか高級腕時計を与えるとか、そういうことをやったんだけれども、アメリカ政治においては、何をやっているんだろうかというので大きな政治問題になったんですよね。
それで、外務省に引き続きお聞きをしますけれども、そういうコリアゲート事件の延長の下で、フレーザー委員会報告書というのが一九七七年にできましたけれども、簡単に内容をお示しください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のフレーザー委員会は、一九七〇年代に、米韓関係の調査を目的として米国連邦議会下院に設置された小委員会でありまして、同委員会は、その委員長の名前にちなみフレーザー委員会と呼ばれているものと承知しております。
また、その中身において、政府として包括的に説明する立場にありませんが、その上で申し上げれば、統一教会について、例えば、その機能と基本的な組織構造においては、現在では多国籍企業に似ており、製造、国際貿易、防衛契約、金融、その他の事業活動に従事している、しかし、宗教、教育、文化、イデオロギー、政治的な事業も包含している点で、それ以上のものとなっている、また、下級メンバーの訓練と活用においては準軍事組織に似ているが、その他の点では厳格に規律された国際政党としての特徴も備えているといった記述があると承知しております。
○有田委員 このフレーザー委員会報告書というのが、統一教会の全体像を今までで一番明らかにした内容なんですよ。単なる宗教団体ではなく、政治だけではなく、企業そして軍事も含めた大きな組織である、そういう規定であって、その組織が、日本では一九六八年に国際勝共連合ができて、合同結婚式をやる宗教だったら政治家の皆さんも何かおかしいなと思われるけれども、勝共、共産主義に勝利するという目的の下で浸透していって今に至るんですよね。
だけれども、最終的な目的は、さっきも言ったような、日本の国家体制を変えなきゃいけない、そういう団体ですから、これからは本当にきっぱりと関係を絶っていただきたいんです。
同時に、高市早苗総理に質問する機会はないんだけれども、世界日報に五回登場なさったという。自民党の報告書には、どこでインタビューを受けたかというような文章はないんだけれども。だけれども、明らかになっているのは、例えば、世界平和連合の奈良県総連合から二〇一九年にパーティー券を、二万円を二枚買ってもらっているんですよね。だけれども、御本人は、インタビューに答えただけしか関係はないとおっしゃっている。だから、聞きたいことはいっぱいあるんですよ、まだ。二〇二二年の自民党さんが行った調査報告というのは非常に不十分なんです。だから、やらなきゃ駄目なんです。
もっと言えば、今、フレーザー委員会報告書を説明していただきましたけれども、アメリカの下院では、一年半かけて徹底的に、公聴会も開いて、一体何が起きてきたのか、政治家工作はどういうことだったのかというのを明らかにしたんですよ。だから、日本でそれができていないということが問題なんですよね。オウム事件のときもそうですよ。アメリカでは公聴会なんか開いたんだけれども、日本の、当事者の日本国において、オウム事件の総括も国会では十分になされていないまま来てしまったから、こういうことが繰り返される。
だから、もっともっと、嫌なこともあるでしょうけれども、調査をちゃんと、第三者機関に委ねてやっていくということが必要だと私は思っているんです。だから、そういう政治の機能を果たさないと同じことを繰り返す。
安倍晋三さんが幹事長のときに、私は直接本人に伺いました。安倍さん、統一教会はしょっちゅうやってくるでしょうと。ああ、しょっちゅうやってきますよとそのとき聞いた。だけれども、そのとき、お会いになるんですかと言ったら、安倍さんは、いや、会わないですよと私に言った。だけれども、それがだんだんだんだん風化する中で、オウム事件みたいなことが起きたから、統一教会のことが報道もされずに、そして、みんな、選挙で協力してくれるんだったらいいだろうとか、一生懸命頑張る真面目な人たちですから、そういうことで納得してしまって今があるので、だから、もう一度、統一教会問題を終わりにすることなく、国会でも明らかにしていかなければいけないということをお伝えをしまして、質問を終わります。
○坂本委員長 これにて有田君の質疑は終了いたしました。
次に、横田光弘君。
○横田委員 日本維新の会の横田光弘でございます。ぴかぴかの新人です。どうぞよろしくお願いします。
日本維新の会は、国家安全保障、それから経済安全保障、インテリジェンス機能の強化に向けて、党を挙げて今取り組んでいます。自民党とともに政府に対してこれらの提言を行っている、こういう立場です。
今日は、データセキュリティー、それから経済安全保障に関する質問をさせていただければと思います。
まず最初、LINEヤフーです。
LINEヤフーは、もう皆さん御承知のように、国民的なインフラとも言えるような、そういうLINEを運営しているLINEヤフーですよね。ところが、この会社は、二〇二一年に、中国の委託先から日本のサーバーにある個人情報にアクセス可能な状態、こういう状態であったという問題を引き起こしている。さらには、二〇二三年と二四年ぐらいかな、データの流出の問題があって、そして、その問題により総務省から注意、指導を受けていた、こういうことが事実としてあります。
実は、このLINEヤフーの親会社の一つが韓国のネイバーという会社です。
ところで、韓国では、昔、カカオトーク事件がありました。これは何かというと、カカオトークというのはメッセージングアプリ、LINEみたいなものかな、これで、日経新聞によれば、二〇一四年、カカオトークの主宰者が利用者の情報を許可なしで勝手に捜査当局に漏らしていたということです。それ以外にも、このカカオトークについて、韓国の情報機関である当時の国家安全企画部、現在の国家情報院ですかね、ここがハッキングをしたという疑惑も浮上しているわけです。
そこで、総務大臣にちょっとお伺いいたします。
LINEヤフーによるデータ漏えいというのは、韓国資本であるネイバーが運営しているネイバークラウドに依存しているということが原因のようですけれども、サーバーがソウルにあったはずですけれども、現在はどうなっているんだ、そして、現在、データセキュリティーは万全だということか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
○林国務大臣 LINEヤフー社でございますが、利用者数が多い通信アプリ、LINE等のサービスを提供する事業者でございまして、委員御承知のとおり大変社会的な影響力は大きく、そのサービスの安全性の確保は重要なものであると認識をしておるところでございます。
令和三年と令和五年に発生した事案を受けまして、総務省から同社に対して、データセキュリティーの観点から、複数回、行政指導を行っておるところでございます。
特に、令和五年に発生した事案は、今お触れになった、資本関係にあるネイバー社との間で共有する主要なシステムに対する不正アクセスによって個人情報等の漏えいが発生したものでございまして、総務省としては、ネイバー社と共有するシステムの分離、そして、委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含めた経営体制の見直し等を内容とする行政指導を行ったところでございます。
当該指導を踏まえまして、LINEヤフー社におきましては、共有システムの分離、そして業務委託先の監督等の対応を行ってきております。引き続き、実効的なセキュリティーガバナンス体制の確保に向けた経営体制の見直しにつきましても、適切に検討を進めているものと承知をしております。
総務省として、引き続き、LINEヤフー社の取組状況を注視してまいります。
○横田委員 今お話しになったとおり、まず、サーバーは、ソウルではなくて、分離されたということですよね。これはこれでオーケー。そして、あとは資本関係というのがありますよね。
ただ、テクニカル的、私も一応技術者の端くれなものですから、一言言うと、別に、サーバーを分離ということを言ったとしても、技術的にはデータを、システム的に関連があれば、関係があれば取り込むことは十分できるということなので、ここは非常に注意が必要だろうというふうに思います。そういうことの疑念を避けるためには、やはり資本関係を分離していくということが一番重要なのではないかというふうに思うんですよね。
今大臣がおっしゃったように、これまで総務省は、資本関係、要は縁を切れといっているような形にずっと指導してきたと思うんですけれども、では、まず、何で資本関係の見直しが必要なのか。そして、現在、まだ分離されていないですよね。たしか、ネイバー五〇%、そしてソフトバンク五〇%、その持分の、今度は中間のいわゆるホールディング会社、これがLINEヤフーを六十数%支配している、こういう状態です。これがなぜまだ実行されないのか、そこら辺をちょっと教えていただければと思います。
○林国務大臣 令和五年に行政指導をいたしまして、実効的なセキュリティーガバナンス体制の確保に向けた経営体制の見直しを求めたわけでございます。今委員からお話のあった資本関係も、LINEヤフー社の経営体制の見直し、セキュリティーガバナンス体制の確保、それを達成するための手段の一つである、今委員がおっしゃったようなことでございます。
やはり委託をしておりますので、委託している先が今度は資本を持っている、こういうところが非常に、見直しを求める理由にもなっているわけでございますので、この委託関係を段階的に解消していく、これを含めて、行政指導の内容は着実に実施されてきているとは考えております。
引き続き、同社の取組状況を注視しまして、必要に応じて適切な対応を取ってまいります。
○横田委員 そういうことだと思うんですけれどもね。
例えば、アメリカで、ティックトック、これを中国から分離しろという話がありました。実際、そうなっています。なぜかといえば、安全保障上の問題なんです。今はそういうふうになっているので、結局、アメリカのユーザーはちゃんと使っているわけですよ、資本は分離しても。これと同様に、このLINEの案件も、やはり重要な経済安全保障の課題だと私は思うんですよね。
ですから、今後、まだほかにも、それこそティックトックも含めてかもしれないが、少なくともこういうケースというものに対する法整備をそろそろ備えていく時期なんじゃないかというふうに思っていますので、是非ひとつ、皆様方と一緒にこの立法府で考えていただきたいというふうに思っております。
次の質問です。文部科学省。
中国製のタブレットのファームウェア、ハードウェアの中に入っている基本ソフトですけれども、ここに、いわゆるバックドアがついていたというニュースがこの数日前ぐらいにありました。
そこで思い出したのが、例のGIGAスクールですね。GIGAスクール、これは多くは中国製だと思うんですが、タブレットとかノートブックをいっぱい配付している。これは今どのぐらい配付されているのか、教えていただけますか、文部科学大臣。
○松本(洋)国務大臣 GIGAスクール構想におきまして、令和元年度から小中学校への一人一台端末の整備を実施しておりますが、全体で約九百万台を整備しているところであります。
全てが回答いただいているわけではないので、合計は一〇〇%にならないんですけれども、大どころで、国別でパーセントを示させていただきますと、日本製が約二七%、米国製が三五%、中国製が二〇%というような形になっていると報告を受けております。
○横田委員 これはニュースですけれども、徳島の教育委員会の教育長が辞表を出したと。何でかというと、六千台ぐらいの中華製のタブレットかノートブックかちょっと分かりませんが、半分が壊れちゃったんですって。
そういうような状態をずっとやっていて、今おっしゃったように、日本製のパーセンテージ、アメリカ製のパーセンテージ、中国製のパーセンテージが二〇%あるんだったら、これはもう、安かろう悪かろう、安かろう危なかろうじゃなくて、少々割高でも日本製にしましょうよ。どうでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 一つ、先にちょっと御説明しておきたいのは、実際、今回問題となっておりますバックドアの感染が認められた中国製タブレットは、GIGAスクールの今回の構想の中では、スペックを満たさないので入っていないということであります。
おっしゃるとおりで、我々といたしましても、各自治体における調達の参考資料として我が省が作成いたしましたガイドラインにおきまして、端末の仕様の策定における検討の視点の一つとして、「サプライチェーンリスクに考慮した端末の選定を行うこと」ということをお示しをさせていただいているところであります。
今委員が御指摘いただいたことも含めまして、しっかりとお受け止めをさせていただきつつ、よりよい調達ができるように我々としても指導してまいりたいと思います。
○横田委員 よろしくお願いいたします。
次は、ガバメントクラウドです。
このキーワードなんですけれども、デジタル化を進めると、今のままだとデジタル赤字が膨らんじゃうということです。デジタル赤字は今六兆円か七兆円ぐらいあるんでしょうかね。
こういう状況の中で、ガバメントクラウドのプラットフォームに選定された会社、最初は、アマゾン、マイクロソフトアジュール、それからグーグルクラウド、オラクルクラウド、こんなような感じですよね。何で日本のは入っていないのと、私は当時、非常に思っていましたよ。さすがにかどうか分かりませんけれども、さくらインターネットが最近入ってきた。
このさくらインターネットはまだ不十分だったけれども、今年の三月でしたか、までにそろえれば大丈夫ということになったんだけれども、一体何でさくらインターネットは途中から入ったんでしょうか。
○松本(尚)国務大臣 先ほどからの横田委員のいろいろな御懸念、よく伝わってまいります。
まず、クラウドサービスというのは最新かつ最高レベルでなければいけないし、まさに行政府で使うクラウドはそれを一番求められるところですけれども。
現状、技術要件をちゃんと設定をしておりまして、安全性が確保できること、クラウドは国内に複数ちゃんと置いておくこと、セキュリティーの評価制度、これはISMAPと申しますが、これをクリアしていること、それから、法的管轄については日本法が適用されること。いっぱいそういった条件を満たしていれば、国内外にかかわらずしっかりと日本で使うということで、今委員がおっしゃったように、AWSやマイクロソフト、あるいはオラクルなどがあるということです。
そういうふうにして選定をしておりますので、その選定の条件については非常に厳しくやっているということでございます。
今おっしゃったさくらクラウドがなぜ遅れたかというのは、当然、国産でクラウドを持つということは我々は非常に重要なことだと思っていますし、先ほど申しましたように、行政府が使うクラウドですから、私個人としても、国産が最も望ましいと思っています。そういった意味では、この条件を満たしつつ国産を育てていくというのも我々デジタル庁の役目だろうということで、現在それを進めているということでございます。
ありがとうございます。
○横田委員 そういうことだと思いますが。
少なくとも、クラウドを使うのは、国もそうだし、地方公共団体も含めて、いろいろなサービスを今一生懸命つくっています、皆さん。非常にすばらしいことだとは思うんだが、今おっしゃったように、やはり日本のことを考えないと、アメリカ産やそこらの国々ばかりやっていたんじゃしようがない。
とにかく、これから、それこそ日本版のAI、それから、いわゆる……
○坂本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○横田委員 はい、分かりました。
とにかく、クラウド、それから給付つき税額控除、これに使ってください。よろしくお願いします。
終わります。
○坂本委員長 これにて横田君の質疑は終了いたしました。
次に、日野紗里亜さん。
○日野委員 国民民主党、愛知七区の日野紗里亜でございます。
さきの選挙で、二期目の議席をお預かりさせていただきました。愛知七区の皆様、そして、私、日野紗里亜を支えてくださった皆様方に感謝をいたします。
経済も安全保障も、その土台は一人一人の生活、家庭にあります。ですから、壁は税制のみならず社会保障の中にもある。支援の壁を取り除き、働く人と家族の暮らしを守るため、対決より解決の姿勢で、私、日野紗里亜は、小さな声、声なき声をしっかりと代弁してまいります。
早速、二期目の初質疑、これは一期目の初質疑と同じ質問をさせていただきたいと思っております。いよいよこの春全国統一の制度として始まる、こども誰でも通園制度についてです。
前回、二〇二四年十二月に、私は、保育士不足が深刻な中で新制度を重ねてよいのか、このように問いかけました。当時、三原じゅん子大臣は、保育人材の確保は喫緊の課題であると認識した上で、必要な保育人材を確保できるよう取り組むと答弁されていました。それから一年以上がたちました。
まず、確認をさせてください。保育士の有効求人倍率について、過去三年間、それぞれ一月時点の数値をお聞かせください。お願いします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの保育士の有効求人倍率、令和五年一月は三・一二倍、令和六年一月は三・五四倍、令和七年一月は三・七八倍となっております。
○日野委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。
やはり依然として有効求人倍率は三倍を超えています。そして、右肩上がりでございます。
保育士不足が一向に解消されないどころか加速する中、本制度の導入に当たり、現場では、既存職員の対応では通常保育との両立が難しく、また新規採用についても、短時間そして不定期の業務の中では応募が集まりにくく、結果として、単価の高い派遣職員を活用するしかないという課題も指摘されております。
そこで、お伺いします。本制度の実施に伴いまして追加で必要となる保育士数、こちらはどのくらいでしょうか。本事業に係る全体の予算規模も併せてお答えください。
○中村政府参考人 お答えいたします。
こども誰でも通園制度実施のために必要な保育士につきまして、一定の仮定の下で機械的に試算いたしますと、全ての未就園児が月十時間利用する場合には最大で六千人、仮に半分だとすると三千人が必要という試算がございます。
また、こども誰でも通園制度の令和八年度予算案につきましては、三百四十九億円計上しておるところでございます。
○日野委員 今、六千人というお答えをいただきました。人手不足で、現状であっても、ただでさえ苦しい運営、現場の中に、新たな園児の受皿となるそういった制度を全国統一の制度としてこの春から本格実施をされる。
大臣にお伺いさせてください。この保育士の確保というのは、国の責任下で行いますでしょうか、それとも自治体任せでしょうか。もう一度、本制度の導入の目的も併せてお答えいただけますと幸いです。
○黄川田国務大臣 まず、こども誰でも通園制度の意義でございますが、この制度によって、子供にとっては、家庭とは異なる経験が得られ、同じ年齢の子供たちと触れ合いながら、物や人への興味が広がり、成長していくことにつながることであります。また、保護者にとっては、子供と離れ、自分のための時間を過ごすことで負担感の軽減につながることに加えまして、保育者との関わりにより保護者自身も成長することができ、子育ての楽しさを実感できるようになることなどが期待されております。子供と子育て家庭にとって大きな意義がある制度となっていると考えております。
そして、人材確保についてでございますが、国として、人材確保策としては、保育士を希望する方への資格取得支援、また、保育所等におけるICT化の推進による就業継続のための職場環境づくりの支援、また潜在保育士のマッチング支援、また保育の現場や職業の魅力向上発信などを総合的に現在進めているところでございます。
加えて、令和八年度からは、昨年十月に法定化されました保育士・保育所支援センターの機能を強化してまいります。また、潜在保育士や保育士不足に悩む保育所への伴走支援を強化を進めてまいります。また、同じく法定化されました地域限定保育士の活用を促進するなど、保育人材の確保の取組を更に強化することとしております。
また、こども誰でも通園制度においては、人材確保と質の両面の点から、従事者の半数は、本制度への従事前に子育て支援研修を行って、専門知識、またその研修で身につけたものをもって、保育士以外の者が本制度に従事することを可能としているということで、人材確保の点を強化しようというふうに努めております。
○日野委員 今おっしゃっていただきました潜在保育士の復職支援でしたりとか保育人材の確保というものは、これまでも取り組んできて今の有効求人倍率があるわけであります。令和八年度から始まる各法定化につきましても、その実効性がなかなか現場で担保できないということは、さきの委員会でも私も指摘をさせていただきました。
その上で、就労要件を問わない保育の必要な家庭があることは理解しております。私自身、上の子と三つ子と、四人の乳幼児を抱えてそれを育児した当事者であります。子育て支援団体の運営も通しまして、同じような多胎育児家庭でしたりとか、あとは障害児がいる家庭、多くの家庭に触れてきて、そういった制度があれば助かる家庭があることも十分理解をしています。しかし、現場にそぐわない、そういった制度がスタートされれば、それはひいては利用者のためにはなりません。
現場からは、こうした声が届いています。子供は簡単には慣れません。そもそも、月十時間の利用上限で週一回、一回二、三時間程度では、子供は終始泣いて、そして現場は疲弊するだけの利用時間となってしまいます。こんな状況の中で、幼稚園や民間保育園も手を挙げず、受皿が見つからない。とある自治体では、令和七年度から取り組んだ結果、利用はほぼゼロだったそうです。事業者も手を挙げず、利用者も見つからない。既に一時預かりが整っている地域では、なぜ別の制度を導入するのか、そんな必要があるのかという声も上がっております。
そして、何より深刻な、保育士の方々の生の声の一部をお伝えさせていただきたいと思います。
小さい頃からの夢で保育士になりました。夢をかなえたときは本当にうれしかったです。でも、今は日々をこなすことが精いっぱいです。現場は本気で壊れ始めています。会議で制度を決める前に、どうか現場を救ってください。子供が好きでこの仕事を選んだはずなのに、楽しいと思えなくなりました。負担が増えるばかりで、毎日辞めたいと思いながら働いています。
毎日十時間以上働いています。保育時間は事務作業ができないため、書類や行事準備は全て持ち帰りです。終わらない仕事は休日に出勤してこなすのが当たり前になっています。給与の問題もありますが、それ以上に、休みを取れないことがつらいです。感染症を子供からもらっても有休で処理されるのが現実です。支援しなくてはいけない子もここ数年でかなり増え、職員が一人休むだけで現場は回らなくなります。今いる子供たちだけでも手いっぱいなのに、制度が始まれば、集団生活に慣れない子供も入ってくる。現場はとても対応し切れません。
自分の子供の入園式や運動会にも行けません。休日出勤は当たり前、心も体も限界です。私たちの心と体は誰が守ってくれるのでしょうか。働いている園の子供との思い出はたくさんありますが、自分の子供との思い出はほとんどありません。疲れと焦りで家庭生活も壊れていきました。我が子が病気のときも一人で留守番させて仕事に行ったことがあります。泣きながら、ママ戻ってきてと言われました。我が子も見られないのに、なぜほかの子を見ているのだろうと何度も思いました。
そして、最後にこんな声もありました。こども誰でも通園制度が始まることで、私は離職を決意しました。
前回質疑の後に全国の方々から届いた現場の声でございます。五百件以上のメッセージをいただいたうちのごくごく一部でございます。こども誰でも通園制度に対する肯定的な意見、これは私のところには今のところ届いておりません。
この現場の声を聞いて、もう一度大臣にお伺いをさせていただきます。この四月から、四月は年度始まりで、通常利用されるお子さんも環境になじめず、一番保育現場に負荷がかかるこの四月から、こども誰でも通園制度を全ての自治体に強制的にスタートさせるのでしょうか。もう一度お答えください。
○黄川田国務大臣 こども誰でも通園制度によって現場が疲弊してはならないというふうに思っておりますし、しっかりと保護者の皆様のニーズに沿った形でなければならないというふうに思っております。
ですので、これはいきなり急に始めようとした制度ではなく、まず、現場にニーズがあるのかどうか、また自治体でしっかりと準備ができるかどうかということを段階的に沿って進めてきたと考えております。
まず、令和六年度は、予算事業として百十八の自治体でモデル的に実施してまいりました。そして、令和七年度は、法律に基づきまして、地域子ども・子育て支援事業として事業を拡大し、希望する二百五十二自治体で実施しております。そして、その中で、これまで、実施状況や課題を踏まえまして段階的に制度を改善するとともに、各自治体へ制度の意義を伝え、自治体や現場での御理解を得ながら、機運を高めつつ準備を進めてきたところでございます。その結果、本年一月末時点では、約九七%の自治体が一以上の実施施設を確保するまでに至っているというふうに報告を受けております。
ですので、本年四月に制度が本格実施された後も、引き続き、全国の実施状況の把握や効果検証を行いながら、自治体が必要な体制を確保するとともに、必要な見直し、改善を行う予定ではあります。そして、この事業の重要性に鑑み、これを自治体の任意事業ということにはせず、現時点では国の主導で進めてまいりたいというふうに考えております。
○日野委員 任意事業にはせずにというお言葉をいただきました。恐らく、もし国にいい声ばかりが自治体から届いているのであるとすると、それは現場と大きく乖離があると思うので、やはり現場をしっかりと大臣に見ていただきたいと思っております。
済みません、あえてちょっと、本当に、この予算委員会でこども政策担当大臣に質疑するのが、今日は十八人のバッターが立たれていますが、私だけなんですね。でも、少子化が深刻な今の日本社会において本当に大事な案件だと思いますので、時間をかけてちょっと質疑をさせていただきたいと思います。
我が家は本当に、三つ子と上の子、四人の育児を保育園に支えていただきました。同じように、全国各地の親子が保育の現場に、保育園の先生方に支えていただいています。育児、特に初めての育児というのは本当に悩むんですね。我が子の子供の成長、発達は大丈夫だろうか、園のお友達とはうまくやれているんだろうか、親としての接し方はこれでいいんだろうか。保育園にはたくさんの子供たちがいますから、無意識にほかの子と比べたりして、何か成長が心配だと親は自分のことを責めたりするんですね。そんなときに保育園の先生からいただいた言葉が、当時私の心を魔法のように軽くしてくれて、八年以上たった今でもそのときのことを覚えています。
だからこそ申し上げるのですが、子供たちにあふれんばかりの愛情を注ぎ、時に、悩める私たち保護者の背中をそっと押してくれる、保育園の先生にはそんな存在であってほしい、そう思っています。そのためには、保育士の方々が心にゆとりを持って働くことができる、そういった環境が必要でございます。無理に子供を預けられる制度よりも、先生方が心にゆとりを持って子供と接せられる、そういった環境の方が保護者にとっても何倍も何十倍もありがたいです。
本制度は既に全国実施が決まっている、その事実は変わらないのだとしても、やはり、利用実績が乏しい、そして保育士確保が困難な自治体については任意事業に戻し、実施判断を自治体に委ねるという柔軟な制度設計を検討していただきたいと思います。もう一度、大臣、お答えください。
○黄川田国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、やはりこの制度の実施については、段階的に、慎重に自治体の声、また現場の声を聞きながら進めてきたというふうに認識しております。
もしかしたら、委員がおっしゃるような言葉、これも私どもも聞いているところでございますが、これは、先ほど述べた子供への意義、また家庭への意義、たとえ十時間でもお母さん方が預けて心を休めたりゆとりを持てる、そういう場所をつくるということは、やはり私は大切なことだというふうに思っております。
その上で、やはり全国どこでも子供が育ちやすい、育てやすい、そういう環境を整えたいと私も思っておりますので、まずここは全国展開させていただいて、先ほど申したように、この状況の把握、また効果検証、これを日々努めながら制度の改善に努めていきたいというふうに考えております。
○日野委員 国は本当に次々と新しい制度をつくります。その影響を受けるのは、地方自治体であり、事業者であり、働き手であり、子供とその家族であります。制度が増えるたびに、自治体は導入と周知に追われ、事業者は組替えを迫られ、働き手は分散し、人手不足は更に加速してまいります。利用者にとっては、制度が増えれば増えるほど分かりづらくなるんですね。
済みません、大臣、もう一度お伺いさせてください。しつこくてごめんなさいね。少子化対策や子育て支援に今必要なものは、キャッチーな、聞こえのいい新制度のビルド・アンド・ビルドでしょうか。それとも、既存制度をその理念に基づき運用できるようにブラッシュアップすることでしょうか。どちらでしょうか。大臣、お答えください。
○黄川田国務大臣 私どもも、やみくもに制度の上に制度をつくって、この子供、子育て制度を考えているわけではございません。
やはり、先ほど言ったように、まず、日本どこでも、どこにいても子供が育ちやすい、育てやすい、そういう形にしていきたいというのと、今、こども誰でも通園制度においては、働いていないお母さん方、保育園にも今現在預けていない、また幼稚園にも預けていない、そういう中で、少しだけでも預けられるものだったら預けてみたい、そういう、ちょっと隙間を埋める形で制度を導入して、まず切れ目のない形で子育てができれば、そういう思いからこの制度を導入いたしました。
また、やはり改善点についてはしっかりとこの制度の運用を見極めながら考えていきたいというふうに思っています。
○日野委員 ありがとうございます。
では、次に、今の質疑にちょっと関連しまして、私はむしろこちらの方を優先すべきだと思っている課題がございます。それが育休退園でございます。
育休退園とは、下の子の出産で育休を取得した際に上の子が保育園を継続利用できなくなる、すなわち退園とされる運用でございます。現在、自治体ごとに運用が異なりまして、すぐに退園しなければならない自治体、三か月とか六か月とか年度内ですとか、一定期間のみ在園できる自治体、そして在園継続可能とする自治体と、全国ばらばらでございます。これは年齢にもよったり、本当に全国ばらばらなんですね。
こども誰でも通園制度を全国制度として導入し、就労要件を問わずに子供を預けられる制度を全国で導入するのであれば、自治体によって育休退園が存在することは、これは整合性が取れないというふうに私は思うんですよね。だって、こちらでは、働かなくても誰でも預けられるよと言って、こちらでは、育休を取っているから、働いていないんだから退園してください、こういう制度ですからね。
こういう構図になっているわけですけれども、この矛盾、大臣、どうやって御説明されますでしょうか。
○黄川田国務大臣 委員御指摘の育休退園については、この問題は私も認識しております。
この運用については各自治体にお任せしているところでございまして、育休の取得時に既に保育所等に預けている子供については、市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは継続して保育所を利用できることともしております。例えば、次年度に小学校入学を控えるなど、子供の発達上環境変化に留意する必要がある場合、また、保護者の健康状態やその子供の発達上環境の変化が好ましくないと考えられる場合などについて、保護者の希望や地域における保育の実情を踏まえた上で、必要な対応を行っていただきたいというふうに考えております。
また、仮に育児休業等の取得時に退園することになった場合でも、育児休業からの復帰に伴いまして再度保育所等の利用を希望する場合には、優先的に保育所を利用できる取扱いとすることにもなっております。
引き続き、子育て家庭が保育所等の利用等が必要なときに支援を受けられるような環境づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○日野委員 大臣、ありがとうございます。
ただ、市町村が必要と認める場合というのは、やはり市町村が認められなければ継続利用ができないという判断になってしまいますよね。
育休退園の問題点は、まず一個目に、上の子の生活環境が突然変わってしまうということ。二つ目に、再入園の保証が、やはりその保証がないので復職が困難になってしまうということ。三つ目に、二人目を産むと保育園を失うという、少子化対策との矛盾だと思っております。
これは、もっと、家庭崩壊につながる深刻なケースも実は生じているんです。ちょっと想像してみてください。例えば、障害があるお子さんを育てている家庭とか、私のような多胎育児家庭でございますね。新生児が三人もいて、両実家の支援を受けることもできない。そして、それがシングルだったりとか、お父さんがいても育休取得ができず事実上ワンオペで育児になっている、そういった家庭もあるわけなんです。そういった家庭であっても、窓口で自治体の決まりですからといって告げられ、退園を求められる事例が現実に存在しています。これは、もう言うまでもなく家庭崩壊まっしぐらです。
単なる通知ではなくて、本当に法制度として、全国統一の制度として廃止すべきだと思いますが、大臣は行ってくれますでしょうか。
○黄川田国務大臣 まず、法制度というよりも、先ほど私が言ったように、全国どこでも子育てがしやすい、そういう国にしたいなと考えている思いは同じでございます。
ただ、やはり自治体ごとでいろいろな運用や考え方があると思いますので、そこら辺はまた、委員の問題意識も含めて、私もよくこれから観察してみたいというふうに思っております。その上で、どういうやり方がいいかということを研究してまいりたいというふうに思います。
○日野委員 ありがとうございます。
では、次に重層的支援体制整備事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今、地域では、高齢、障害、生活困窮、子育て、引きこもりなど、複数の課題を抱える世帯が増えています。こうした状況の中で、従来制度の縦割りでは支え切れない課題に対応し、人と人を支えるのが重層的支援であります。まさに、制度のはざまに落ちる人を救い、地域共生社会を目指して体制整備の具現化ができる自治体事業であり、自治体が地域事情やニーズに基づいて柔軟に支援を組み立てられる大変意義のある制度だと思っております。
しかし、今回、来年度の制度見直しをめぐり、自治体現場では大きな混乱が生じております。ある自治体では、今回の見直しによって約一千万円の財源不足が生じるケースもあると聞いています。本事業は、都道府県の後押しの下、自治体が時間をかけて体制整備を進め、ようやく地域に定着し始めた段階にあります。そのような中、本来拡充すべき予算であるにもかかわらず、政府は今回なぜ縮小にかじを切るのか。制度見直しによって、これまで支援を受け続けていた方々への支援が縮小、停止する可能性をどのように認識しているのか。お答えください。
○上野国務大臣 ありがとうございます。お答えをさせていただきます。
重層的支援体制整備事業を実施する自治体は、関係機関の連携を強化するための事業などを追加で実施することになりますので、そのための追加の財政支援を行っております。事業実施市町村が今大幅に増加をしておりますので、そうした中で、これに対応して、毎年度の予算の増額もこれまで行ってまいりました。
他方で、取組の実施状況、これにばらつきが見られますので、令和八年度からは、まず既存制度間の連携強化を図るといった、事業目的に沿った取組の強化のための加算措置の導入などを実施することといたしております。
この見直しの後も、既に事業を実施していただいている自治体への財政支援、これは、加算を取得していただければおおむね同程度、人口規模の小さい市町村ではそれを上回る水準となる、そうした金額を維持しているところであります。また、次年度から新たに事業を開始する自治体に対しても、これまで、移行準備のための事業、財政支援をしておりますが、ここからは増額となるように設定をしております。
厚生労働省としては、今般の見直しによりまして、本事業のより効果的、効率的な実施を促すとともに、実施自治体数が、来年度は新たに百十四自治体が移行を予定する、そうした中にあったとしても、この事業自体の持続可能性の確保、こうしたことも大事でありますが、この確保にもつながったと考えております。
大幅に実施自治体が増加する中で、支援を継続するために、交付金の見直しにつきましては一定程度必要だと考えています。
○日野委員 一定の見直しが必要ということも理解はできるのでありますが、問題なのは、今回の見直しのタイミングだというふうに思っております。自治体からもそういった声が上がっております。
多くの自治体では、国の制度を前提として予算編成を行い、体制整備を進めております。しかし、自治体が予算を組んだ後に国の制度変更がなされ、自治体が不足分を負担せざるを得ない状況が生まれているというふうに聞いております。
重層支援は、相談支援専門員、そしてコーディネーターなど、地域で支援をつなぐ人材の人件費に充てられている、そういったケースが多く、制度変更があったからといって簡単に削減できるものではありません。もし制度変更によってこれまで支援してきた人への支援が途切れることになれば、それは自治体行政への信頼も失うことになってしまうのではないでしょうか。
自治体の予算編成とのタイミングのずれによって生じる影響、そして自治体行政への信頼に与える影響について国はどのように認識しているのか、大臣、もう一度お答えください。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
まず、事実関係等も含めてでございますが、この事業の交付金の見直しについて、これは八年度以外に七年度も見直しを行いました。その七年度の際には、具体的な交付基準額の提示が、令和七年三月の主管課長会議、要するに直前になってしまったということで、七年度の自治体の事業運営に影響を生じることになったという問題点があったと思います。
私ども、これを本当に深く反省いたしまして、八年度の見直しに当たっては、自治体に予見可能性を持って事業の検討を行っていただけるよう、まず見直しの方針を令和七年の六月にお示しをしております。そして、都道府県ごとの説明の機会も設けまして、四十七都道府県の中で四十一都道府県に対して、それぞれの都道府県にお邪魔をして、管内の市町村も含めて御説明をさせていただいたところでございます。
また、あわせまして、政府の予算の概算要求の考え方、同年十一月には、具体的な基準額、補助率の見直し、この案をお示しして、さらに、内容について都道府県から御説明があれば、私どもの担当職員が直接お伺いをし御説明をするという形で、かなり丁寧にやらせていただいたところでございます。
もう先生おっしゃるとおり、事業の見直しに際しては、実施主体である地方自治体の方々が予見可能性を持って事業の内容等の検討を行っていただけるよう、可能な限り迅速かつ丁寧に御説明、情報提供の機会を設けるということが大事だと思っておりますので、引き続き、こうした考え方に立ってしっかりと対応していきたい、丁寧に対応していきたいと思っております。
○日野委員 御回答いただきまして、ありがとうございました。私も、地元でしっかりその旨をお伝えさせていただきたいと思います。
もう一つ、地方財政についての課題についてお伺いさせていただきたいと思います。
現在、国の進める多くの施策が地方交付税措置によって財源を手当てされています。しかし、この方法では不交付団体には財源が届きません。定期予防接種の拡大、幼保無償化、GIGAスクール、会計年度任用職員制度など、国の制度として義務づけた施策であっても、財源措置は交付税算入のみというケースが続いています。その結果、不交付団体では、国の施策の費用を自治体が全額負担するという構造が生まれています。
本来、国が全国一律で実施する施策の財源は、地方交付税という間接的な手当てではなく、国庫負担、国庫補助によって直接措置するのが原則ではないでしょうか。
総務大臣にお伺いします。国が義務づける施策について、財源を交付税措置に依存する現在の仕組みを見直す考えはありませんでしょうか。
○林国務大臣 地方財政法上、自治体の事務を行うために要する経費、これは自治体が負担することが原則というふうにされておりますけれども、国と地方の役割分担、そして責任の度合い等を勘案して、一定の経費については国が負担又は補助を行っているところでございます。
先ほど取り上げていただいた重層的支援体制整備事業は、例えば、国が三分の一、地方が三分の二、令和七年までは二分の一、二分の一だった、いろいろそういうふうにそれぞれ決まっておるところでございます。その上で、地方の財源で対応するものとされた財政需要については基準財政需要額に算入するなど、適切に地財措置を講じておるところでございます。
普通交付税の不交付団体は、国の政策に伴う負担分も含めて算定した結果、基準財政需要額が基準財政収入額を下回っておるため、普通交付税が交付されないこととなりますが、地方税収等によって、行政サービスを提供するために必要な財源は確保されているもの、そういうふうに認識をしておるところでございます。
今後とも、不交付団体においても財政運営に支障が生じないように、交付団体との公平性、これを念頭に置きつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○日野委員 では、交付税算定の実態について少しお伺いさせてください。
基準財政需要額は、全国一律の単位費用に基づく標準団体モデルによって算定されているかと思います。ただ、都市部の物価水準や人件費、急速な人口増加に伴う行政コストなど、実際の行政需要との乖離があるのではないかという指摘が自治体から上がっております。
仮に算定額と実際の行政コストに乖離があった場合でも、交付団体であれば地方交付税制度の中で財源が調整されます。一方で、不交付団体はその調整の対象外となってしまいます。その結果、標準団体モデルによる算定の実際の行政コストとの乖離があった場合、影響がそのまま自治体負担として表れる構造になっているのではないでしょうか。
大臣、もう一度お伺いします。不交付団体における交付税算定額と実際の行政コストとの乖離をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
○出口政府参考人 お答えをいたします。
交付税の算定方法でありますけれども、基準財政需要額の算定に当たりましては、人口や面積などが基礎でございますけれども、各地方団体が置かれました自然的社会条件の違いを補正措置を講じて算定に反映することをしております。
例えば、都市的な需要の算定に当たりましては、指定都市は、他の市町村と比べて特別な事務配分を受けまして、それに伴う多額の財政需要がございますので、こうしたことは補正をもって加算をするという扱いをしておりますし、そのほかにも、消防費であれば、都市であるほど出動回数が増えてくるという傾向にあること、また、清掃費でも、都市部であるほどごみ処理経費の増加が見られるといったことは、都市化の度合いに応じて割増しをするという算定を行っているところでございます。
それから、人件費のお話がございましたけれども、地方公務員の給与は、それぞれの民間給与との比較におきまして、民間給与の高い地域で地域手当を支給するという仕組みになっておりますけれども、その地域手当の支給割合につきましても、それぞれの団体の支給割合による手当増加額を交付税の算定に反映することといたしております。
私ども、毎年の算定におきまして、不交付団体も含めたそれぞれの自治体の決算状況とこのような需要の算定額の比較を行いまして、適切な算定が行われているかどうか検証しておりますし、また、法律に基づいて、各地方自治体は交付税の算定方法について意見を申し出ることができるとされているところでございますので、こうした意見も踏まえまして算定方法の見直しを行って、適切な算定に努めているところでございます。
以上でございます。
○日野委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。
ただ、国の施策の財源が交付税措置に依存する現状では不交付団体が制度の外に置かれてしまうというのはそのものでございまして、やはり、財政努力を積み重ねた自治体が割を食う構図になってしまっているということ。
そして、施策によっては、当初、国費で開始されたものが、その後、地方交付税措置に移行するものもあるかと思います。そうなってしまいますと、この懸念から、既存の住民サービスをばんばん削っていかなきゃいけない、そういった未来を想定しなければならないとすると、そもそも新しいチャレンジをさせてもらえない、そういった実情もあるかと思います。
どうか、財政力指数一・〇をぎりぎり上回る自治体の声にも耳を傾けていただきまして、国が義務づける施策の費用はやはり国がしっかりと財源措置をする。自治体財源につきましては、その自治体のニーズに基づき自由に住民サービスなどに充てることができ、後から国から下りてきた国の施策に脅かされることがないよう見直していただきたいと思いまして、時間の都合上、次の質疑に移りたいと思います。
障害児福祉の所得制限の撤廃についてです。
これは、前国会から本国会にかけて多くの野党議員が繰り返し取り上げてまいりました。私もその一人でございます。
高市総理新政権の下、日本中が前向きな答弁を切実に求めているかと思いますが、ここで再度、ずばり、上野大臣、お答えください。所得制限の撤廃、やりませんか。
○上野国務大臣 まず、障害児を含めた次代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援として児童手当がございます。これにつきましては、所得制限なしで拡充をしてまいりました。また、ニーズに応じた現物給付であります障害福祉サービスによる支援、世帯の所得状況に応じて支給される特別児童扶養手当等の現金給付など、個別のニーズや状況に応じた支援策、これまで講じてきているところでありますので、こうした支援全般を踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。
近年、障害児に対する福祉サービスを充実をすることで、その給付額、過去十数年の間に約十倍に増加を、拡大をしてきております。また、特別児童扶養手当等の受給者数も、少子化の中であっても年々増加傾向にあります。加えて、近年の物価上昇を踏まえた支給額の増額改定も行っておりますので、総支給額につきましては、過去十年間で約三割増しというふうになっております。
こうした状況も踏まえて、現時点では所得制限の撤廃や見直しなどは考えておりませんが、引き続き、こども家庭庁とも連携をして、障害福祉サービスも含めた支援策全般という観点で取組を進めていきたいというふうに考えています。
○日野委員 御丁寧に御回答いただきまして、ありがとうございます。
一個だけ確認させてください。今の大臣の御答弁にもちらっとあったかと思いますが、度々、障害児の生活の安定に寄与する必要な範囲で支給しているというふうなお答えをいただいております。必要な範囲というのを、何を根拠に判断しているのかという部分をお答えいただいてもよろしいでしょうか。
○上野国務大臣 具体的な基準があるわけではありません。制度の趣旨としてそのようなお答えをさせていただいております。
○日野委員 それでありましたら、具体的な基準がないのであれば、やはり生活の実態調査、これは重ねてお願い申し上げまして、次の質疑に入りたいと思っております。
障害児支援についてです。
二〇二一年に医療的ケア児支援法が施行され、常時医療的ケアが必要な子供たちは、看護師配置などにより学校教育の場に参加できるようになりました。現在は、改正法案の議論も進み、重症心身障害児を対象に含めることや年齢要件を撤廃する方向も示されています。
しかし、そのどこにも当てはまらない、制度のはざまに落ちている子供たちがいます。例えば、比較的軽度の脳性麻痺の子や、疾患名でいいますとコルネリア・デランゲ症候群など、そういった子供たちです。知的障害は重くても医療的ケアはない、動けないわけでないから重心児にも該当しない、でも、実際には、移動や排せつ、食事、全てに常時支援が必要です。医療的ケアがあれば学校に行ける一方で、制度のはざまにいる子供たちは地域の学校に通うという選択肢を持たせてもらえません。また、知的の遅れがない肢体不自由児であったとしても、身辺自立ができていないという理由で、通常学級ではなく支援級しか受け入れられないと言われた例もあります。
以前も同様の質疑を文科でさせていただいたことがあるんですけれども、こうした制度のはざまにいる子供たちが地域の学校に通う選択肢が持てない現状を認識しているのか、これはこども政策担当大臣にお伺いしてもよろしいでしょうか。
○黄川田国務大臣 御質問ありがとうございます。
こども家庭庁におきましては、医療的ケア児や重度心身障害児以外の重度の障害児を含め、身近な地域で必要な支援が受けられるよう努めているところでございます。
その上で、議員が御指摘、認識があると思いますが、まず、障害者総合支援法に基づきまして居宅介護という制度がございますが、これについては、残念ながら、この援助を提供するに当たっては、学校等においてのサービスの提供を前提としていないというところでございます。
しかしながら、その一方で、令和六年四月に施行されました改定児童福祉法におきまして、児童発達支援センターを地域における障害児支援の中核的役割を担う機関として位置づけまして、地域全体の障害児支援の質の向上を図るとともに、地域全体で、各機関と連携しながら、障害児とその家族を支える体制の整備を推進しているところでございます。
ですので、自治体が地域のニーズや資源の現状を把握して、障害児支援体制の確保、充実に取り組んでいるというふうに考えております。
引き続き、そういうはざまといいますか、隙間をなるべく埋めるべく、こども家庭庁としても努めてまいりたいというふうに考えております。
○日野委員 次の質疑で提案させていただこうと思ったことを大臣がもうお答えいただいたんですけれども、学校に子供たちは通いたいんですね。ほかの制度を拡充してくださるのもありがたいですけれども、やはり学校に通いたい。そんなところで、介助者は必ずしも看護師などの医療従事者である必要はないと思います。また、学校で専門介助員を養成して各学校に配置する、これも現実的でないと思います。学校の教職員の方々に例えば排せつ介助とか食事介助をやっていただく、これも現実でないと思います。
であれば、先ほど大臣がおっしゃってくださった居宅介護ですね、ヘルパーを通学や学校内でも利用できるようにするというのが最善だというふうに私は思っております。教育と福祉の縦割りを超え、教育を受けるために必要な福祉サービスを学校で利用できるようにする。これは、医療専門職に常駐いただくよりもはるかにコストを抑えながら、制度のはざまにいる子供たちの教育を確保することができます。
また、これは教育と福祉にまたがる典型的な省庁横断の課題だと思うんですよね。こうした縦割りを乗り越えるためにこども家庭庁が創設されました。まさにこれは、こども家庭庁の腕の見せどころではないでしょうか。
実は、問題は学校だけではないんですね。放課後の居場所でも同じことが起きています。重心児であれば重心型の放課後等デイサービスがありますが、先ほど申し上げた制度のはざまにいる子供たちは行き場がありません。一般型の放課後等デイサービスでは受入れを断られちゃうケースがあるんです。もちろん、通常の学童保育も現実には受入れが困難であります。
制度はあるのに実際には行き場がない、こうした現実、大臣、もっともっと知っていただきたいです。これは、自治体間格差に埋もれさせていい問題ではありません。もちろん、財源に限りがあることは分かっておりますが、こうした支援を後回しにすれば、二次障害や家族の離職、社会的孤立を招き、結果として社会的コストを増大させることにつながっていきます。
大臣、もう一度、どうでしょう、こども家庭庁の存在意義に関わるような私は課題だと思うんですけれども、居宅介護を認めていただけませんでしょうか。
○黄川田国務大臣 この場ですぐ認めるという回答はちょっと言えることができませんが、委員の問題意識は十分受け止めて、やはり学校と介護、また障害福祉政策、こういうところが重なり合っているところを解決するのがこども家庭庁の一つの役割であるとは認識しております。
様々な制度の支援の仕方がありますので、そういうところで落ちているところがあるかないかというところをしっかりと点検した上で、考えてみたいと思います。
○日野委員 是非、前向きな検討をよろしくお願いいたします。
続きまして、障害福祉サービスについてお伺いします。
今回、政府は、放課後等デイサービス、児童発達支援、共同生活援助、就労継続支援B型、これらの四サービスにつきまして、六月以降に指定を受ける新規事業者に限り、基本報酬を減額する方針を示しました。
まず、お伺いさせてください。この措置の理由と目的は何でしょうか。
○上野国務大臣 まず、障害福祉サービスにつきましては、近年、利用者数また事業者数が急増しております。給付費も大きく増加をしている、そうした状況があります。そうした状況の中、引き続き人材確保が課題となっております。また、サービスの質の低下、これも懸念をされる状況があります。
このため、今般、三十近いサービス類型のうち、収支差率が高く、かつ事業所が急増している四つのサービス類型について、令和八年六月以降に新規に指定された事業所に限り、令和九年度の報酬改定までの間の措置として、応急的な報酬単価を適用することとしたものであります。このため、既存の事業所については影響はありません。
また、一定の要件の下、受入れニーズが特に高い重度障害児者や、サービスが不足している地域については、応急的な報酬単価の対象外とする措置を講じておりますので、引き続き、利用者へのサービス提供に影響が生じないように対応していきたいと考えています。
○日野委員 今回の措置は、事実上の総量規制だというふうに私は認識しております。また、その方向性自体に反対する立場ではございません。
当該四サービスにおきまして、大臣おっしゃったように、事業者が乱立し、一部に収益のみを目的としていると言っても過言ではない悪い事業者が存在することも事実でございます。サービスの質も下がっていることも事実でございます。そのサービスの質を担保するためにも、新陳代謝が起きること自体は否定するものではないのですが、ただ、それを全国一律で行うことについては疑問を持っています。
都市部では飽和状態でも、離島や中山間区域に限らず、依然として不足している地域は存在します。なぜ、自治体事情に応じた裁量を持たせず、国が一律に減額という手法を取るのでしょうか。自治体に一定の指定権限や調整権限を委ねる設計は検討されなかったのか、お答えください。
○上野国務大臣 基本的に、障害福祉サービスの報酬については全国一律に設定をしております。これはもう基本線でございますが、今般、先ほど申し上げました、応急的な報酬単価を設けるに際しましては、サービスが不足をしている地域に支障が生じないよう一定の配慮を行うこととしております。
今し方例示をいただきました離島、中山間地域にある事業所のほか、自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所については、従前の報酬単価を適用することとしております。
そうした様々な取組によりまして、ある程度柔軟性を持たせた上で、利用者へのサービス提供には影響が生じないように対応していきたいと考えています。
○日野委員 もうちょっと深掘りたいんですけれども、ちょっと時間の兼ね合いもあるので、極めて重大な懸念を一つだけお伝えさせてください。
今回、合併、分割、事業譲渡した事業所については、継続運営と認められれば従来の基本報酬を適用するとされています。これは譲渡ビジネスの誘発につながるのではないかと思っています。他業種から安易に参入し、高額な譲渡費用やコンサルフィーと称する仲介手数料を支払い、結果として経営を圧迫して廃業、これは十分に想像できるんですね。
こうした事態が生じた場合に、地域に必要な事業所が消滅することになりますが、その場合、国はどのように責任を持って支援体制を確保するか、明確な対応策をお答えください。
○坂本委員長 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、時間が超過しておりますので、簡略にお答えください。
○野村(知)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の事業承継の場合でございますけれども、これは現に開設をして利用しておられる方がいらっしゃるというような状況でもございますので、そういった事情に配慮して、そういった従前の単価を適用するという方針を今お示しをしているところでございます。
○日野委員 ありがとうございました。
質問を残して大変申し訳ございません。私、厚労委員会なので、上野大臣、またよろしくお願いします。
ありがとうございます。
○坂本委員長 これにて日野さんの質疑は終了いたしました。
次に、川裕一郎君。
○川委員 参政党の川裕一郎です。
参政党は、党利党略ではなく、政府に対して政策ごとに是々非々で対応していく方針です。賛同できるものは賛同し、違うと思うものには建設的に代案を提案していきますので、私自身、初当選から僅か一か月足らずですが、予算委員会で質問の機会をいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まずは、能登半島地震及び豪雨災害からの復興についてです。
令和六年一月一日に発生した能登半島地震は、石川県能登地域を中心に甚大な被害をもたらし、住宅、道路、港湾、上下水道など社会のインフラが大きく損傷し、多くの住民の皆さんが生活基盤を失いました。さらに、その復興途中で、令和六年九月には奥能登地域を中心に記録的な豪雨災害が発生し、河川の氾濫や土砂災害などにより被害が拡大しました。地震による被害から立ち上がろうとしていた地域が再び豪雨災害に見舞われたことで、被災地の皆さんは二重の困難に直面し、当時、私は石川県会議員として現地を訪れ、住民の皆さんから希望を失うような切実な言葉をたくさんお聞きしました。
このような状況の中で、被災地の復興を着実に進めるためには、地域の実情を踏まえたきめ細やかな支援が不可欠です。能登半島地震及び豪雨災害からの復興において、インフラ、住宅再建、なりわいの再建などを含め、政府は復興状況をどのように認識されているのか、また、残る課題を含め今後どのように対応していくのか、担当大臣に所見をお聞きします。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
今、川委員がおっしゃったとおり、我々としても、地域の実情に寄り添い、きめ細かという視点、これは欠かすことができないというふうに思っております。
その上で、これまでどのような対応ということでございますけれども、政府といたしましては、発災以来、被災者の避難支援、インフラ復旧、生活、なりわいの再建支援、また住まいの確保、公費解体の加速化等々について、被災自治体と緊密に連携をしながら取り組んでまいりました。
具体的な例ということでございますけれども、復旧復興の状況については、まず国道二百四十九号でございますが、全線の通行を確保し、県道以上の幹線道路の通行止めは九割以上が解消済みであるということ。
また、農林水産業についてでありますけれども、水田の作付面積は被災前の約七割まで回復をしてきている、漁獲量は約九割まで回復しておるという状況にあると思っています。
また、なりわいということでいえば、輪島塗の仮設工房は、希望する全ての職人が入居可能な状態にまで今来ている。
さらに、住まいということでいえば、災害公営住宅建設が順調に進み、入居募集が行われ、早いものは今年の夏から入居開始予定となっております。
さらに、公費解体についてでございますが、昨年十二月末時点で大規模建物などの別管理建物を除き全ての解体が完了し、着実に進んでいるというふうに理解をしております。
一方で、委員が御指摘のように、発災前から人口減少であるとか高齢化、そうした課題というもの、そういった地域であった能登地域では、単に被災者また被災地を元の形に戻すという形でなく、人口減少社会に適応する形、そうしたものとなるようにというふうに思っております。
そうしたことを踏まえて、こうした中、石川県が作りました石川県創造的復興プラン、ここにおいては、応急復旧は令和七年度まで、本復旧は令和十年度まで、それから、豊かな自然を生かした観光産業であるとか伝統産業の振興など、震災前以上のよりよい状態、ここへの復興は令和十四年までという目標設定がなされているというふうに理解をしております。
今後も引き続き、被災前の活気ある地域づくりに向けて、お一人お一人にしっかり寄り添った、きめ細やかな、また、当該エリアの皆様方としっかり連携を密にしてというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○川委員 政府の御尽力もあり、能登の地域は復興に向けて一生懸命歩んでいるところですけれども、やはり人口減少と今ほどありましたけれども、そこの部分が非常に懸念があります。
能登の被災地の皆さんから私自身が最も多く聞く声は、人口流出への強い懸念であります。地震と豪雨という二つの災害によって住宅や仕事を失って、生活の基盤が揺らいだことで、やむなく地域を離れる方がたくさんいらっしゃいます。特に若い世代が能登を離れており、このままでは地域そのものが衰退をし、消滅してしまう懸念もあると思います。若い人たちには当然子供たちもいますから、一緒に能登を出てしまうという状況があります。
私は、能登の復興を進めるためには、単にインフラを元に戻すだけではなく、人口減少対策を柱とした復興政策が必要だと考えております。そこで提案したいのが、能登地域を農業特区として位置づけることです。
現在、日本の食料自給率は、カロリーベースでおよそ三八%と低い水準にありますが、国際情勢が不安定化する中で、食料安全保障の重要性はますます高まっていると思います。
しかし一方で、日本の農業は深刻な担い手不足に直面していると思います。農業従事者の平均年齢は六十代後半に達し、高齢化が急速に進んでおり、このままでは日本の農業そのものが維持できなくなるという懸念もあります。反面、都市部では、地方で農業をしたい、自然の中で暮らしたいと考える若者もたくさんいることも事実です。しかし、現実には、農地取得のハードル、農業機械などの初期投資の負担、農業所得の不安定さなどの理由から、新規就農に踏み出せない若者が多いのも事実です。
そこで、能登地域を農業特区として、新規就農者への所得補償、農地取得の規制緩和、住宅支援、スマート農業の導入支援などを集中的に行うことで、若者を能登に呼び込み、人口減少対策と地域再生を同時に進めることができるのではないでしょうか。さらに、農産物のブランド化、六次産業化、農産物の輸出の拡大などを進めることで、能登は日本の農業再生のモデル地域になり得ると考えています。
震災復興とは、単に壊れたものを元に戻すのではなく、震災を契機に地域の未来をつくり直す、そのことこそが本当の復興であると私は考えています。能登半島地震及び豪雨災害からの復興において、震災復興を契機として能登を若者が集まる農業モデル地域として位置づけ、新規就農者へ大胆な支援を行う考えはないのか。例えば、農業特区のような制度を検討する考えはあるのか。農業政策の観点から、農林水産大臣に見解をお尋ねします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、石川県では、昨年六月に策定をいたしました県の創造的復興プランに即して、能登地域の農業の再建策として、県内の研修機関、いしかわ耕稼塾、耕して稼ぐ塾というのがあります、そこにおいて、スマート農業技術を活用する新規就農者の育成を検討しているものというふうに承知をしております。
農林水産省では、令和七年度補正予算において、研修機関が行うスマート農業の研修カリキュラムの開発、実施、そして研修用のスマート農業機械、設備の導入などをモデル的に定額で支援する事業を新たに措置したところでありまして、これらを通じて就農直後からスマート農業を活用して農業経営を発展させる経営体モデルを育成し、能登地域への新規就農者の呼び込みを後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
ちなみに、私自身も何度も能登半島にお邪魔をさせていただいておりますが、今、国としてメインで取り組んでおりますことは、特に地震と豪雨とダブルで災害があったわけですので、被災をしてしまった農地の復旧、これは、元に戻すという意味ではなくて、いい形で基盤整備を地域でまとまってやっていくための後押しというのを、国の職員も入れる地域にはしっかりと入って、プッシュ型で後押しをさせていただいているところであります。
そういう中で、今先生から問題意識をいただいた、新規就農者がそこに結びつくような形なんかも我々もよく考えながら、一つでもいい地域がこれから能登で実現できるように努力させていただきたいと思います。
○川委員 ありがとうございます。是非期待して待っていたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
我が国では、人口減少が進み、地方の過疎化が急速に進んでいます。特に半島地域や離島では人口減少が顕著であり、地域社会の維持そのものが困難な地域もあります。
国土は、そこに人が住み続けることで守られているという側面もあると考えています。もし地域から人がいなくなれば、その地域を維持する力は弱まり、国土保全の観点からも大きな課題となります。
その象徴的な例として、竹島の問題があると思います。竹島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土ですが、現在は韓国による実効支配が続いています。この問題を考えるとき、私は改めて、国土に人が住み続けることの重要性を感じます。
能登半島は、日本海に突き出した半島地域であり、歴史的にも海の守りの要衝でもあります。能登に人が住み続けることは、地域振興という観点だけではなく、国土の保全や安全保障の観点からも極めて重要な意味を持つと考えています。人口減少が進む能登地域において、能登半島地震と豪雨災害からの復興を、単なる復旧ではなく、日本の国土を守る、そういう観点から進めていただくことを政府に強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
次は、北朝鮮による日本人拉致問題についてです。
この問題は、日本人が北朝鮮の工作員によって拉致され連れ去られた極めて重大な国家犯罪であり、日本の主権と国民の人権が侵害されて、決して許されない事件であります。二〇〇二年の日朝首脳会談で、北朝鮮は拉致を認め謝罪をしましたが、いまだ多くの被害者が帰国を果たしておらず、問題は未解決のままであります。本日は、その中でも石川県能登で発生した寺越事件について取り上げたいと思います。
寺越事件は、一九六三年五月、石川県羽咋郡志賀町の高浜港から出港した漁船が日本海で消息を絶った事件であり、当時、船には、寺越武志さん、当時十三歳、そして寺越外雄さん、当時二十四歳、寺越昭二さん、当時三十六歳の三人が乗っていました。その後、長い年月が経過した一九八七年になって、北朝鮮側からの情報により、武志さんと外雄さんの二人が北朝鮮で生存していることが明らかになりました。一方で、昭二さんについては、北朝鮮からは一九六八年三月に死亡したと告げられましたが、いつ、どこで、どのような状況で亡くなったのか、現在も全く明らかになっておりません。
寺越昭二さんの死亡経緯そして遺骨の所在について政府は北朝鮮に説明を求めているのか、外務大臣にお尋ねします。
○茂木国務大臣 川委員におかれては、金沢の市議会議員時代から、拉致問題の解決のために自ら支部も立ち上げたり、様々な活動で御尽力いただいていると敬意を表したいと思います。
政府としては、拉致被害者として認定された十七名以外にも、御指摘の寺越昭二氏を含め、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在する、こういった認識の下で、北朝鮮に対して、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案全般について情報提供等を求めているところであります。
○川委員 ありがとうございます。
次に、この事件の真相についてお伺いしたいと思います。
北朝鮮は、寺越事件について、日本海で遭難して北朝鮮に漂流し、北朝鮮が三人を救助した、そういうふうに説明をしていますが、この説には多くの疑問があります。日本海沿岸で行方不明となり、その後、北朝鮮で生存が確認されているという事例は、これまで明らかになっている北朝鮮による拉致事件と極めて類似をしています。
昭二さんの御子息は、拉致被害者家族会に参加をし、父親の拉致認定を求めていますが、日本政府は現在も寺越事件を拉致として認めず、拉致と断定する証拠がないと説明をしています。しかし、ほかの拉致事件も、必ずしも直接証拠があったわけではなく、情況証拠などを総合的に判断して認定された事例もあります。
寺越事件を政府が拉致事件として認定していない理由は何なのか、また、政府が拉致と認定する具体的な基準はどのようなものなのか、お聞きします。あわせて、寺越事件がその基準に当てはまらないと判断している理由について、御家族や国民に分かる形で説明を求めたいと思います。
○鈴木副大臣 お答えいたします。
拉致被害者の認定は、情報収集、分析や捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことが確認された場合に行うこととしておりますが、お尋ねの事案については、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っておりません。具体的な情報収集、分析や捜査、調査の内容については、今後の対応に支障を来すおそれがあることからお答えを差し控えさせていただきます。
政府としては、今後も事案の真相究明に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えであり、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、速やかに拉致認定をしてまいります。
以上です。
○川委員 この寺越事件というのは、ほかの拉致事件とちょっと違う状況がありまして、三人さらわれた中のお一人、武志さんが現在も北朝鮮で家族を持って暮らしているという中で、御本人が拉致ではないということを説明されています。私たちは、さらわれてしまって、向こうで家族ができて、家族のことを思って拉致ではないというふうに伝えているんだと思いますし、このことに関してと、もう亡くなられてしまった昭二さんに関して、私は分けて認定をしてもらいたいと思っています。
このまま政府が寺越事件を拉致認定をしなければ、北朝鮮が寺越さんを救助したことを認めることになると私は思います。それが、ある日突然家族を奪われて、再会することもかなわず、挙げ句の果てに北朝鮮に助けられたと認めよとは、こんな理不尽なことはないと思います。
現在北朝鮮で暮らしている武志さん、先ほど言った武志さんと分けて、昭二さんの拉致認定を進めていただきたいと思いますが、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木副大臣 お答えいたします。
個別の事案の詳細やその取扱いについては、今後の活動に支障を来すおそれがあることからお答えを差し控えさせていただきます。
その上で、政府としては、今後も事案の真相究明に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えであり、情報収集、分析や捜査、調査の結果を総合的に判断した上で、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、速やかに拉致認定をしてまいる所存です。
以上です。
○川委員 じゃ、別の観点でまた聞きますけれども、政府は、一九八七年時点で寺越さん親子が北朝鮮で生存している可能性について、どこまで把握していたのでしょうか。その情報について、これまで家族や国民に対してどのような説明が行われてきたか、そのことに関してお聞きしたいと思います。
○鈴木副大臣 お答えいたします。
一九八七年の時点で御指摘に関する報道があったことは承知をいたしております。
その上で、過去から現在に至るまで、政府が何をどこまで情報収集し、どのように取り扱っていたかについては、今後の対応に支障を来すおそれがあるためお答えを差し控えさせていただきます。
以上です。
○川委員 寺越事件は発生から既に六十年以上が経過していますが、事件の真相は本当に何も明らかになっていません。特に昭二さんについては、死亡の経緯、死亡の場所、遺骨の所在すら明らかになっていない状況であり、家族にとっては到底受け入れられない状況であります。
北朝鮮による拉致問題は、日本の主権と国民の生命に関わる重大な問題です。寺越事件について、政府として拉致の可能性を含めた調査を引き続き行う考えはあるでしょうか。国家公安委員長にお尋ねします。
○あかま国務大臣 今、拉致問題の案件について公安委員長としてということでございますが、先ほど能登の復興の話のときに、最後の、いわゆるこれまで以上のより豊かな地域をというところでちょっと不明瞭な部分があったかもしれませんが、令和十四年度まで、十四年に聞こえたかもしれませんが、十四年度までということで補足させていただきたいと思います。
それでは、今お話がありました寺越事件について、拉致の可能性を含めた調査を引き続き行う考えということでございますけれども、警察においてでございますけれども、御指摘の事案に関して、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として所要の捜査、調査を継続しているというふうに承知をしております。
もちろん、今後とも、本件事案の解明のため、関係機関と緊密に連携を図りつつ、捜査、調査に全力を挙げて取り組むよう警察を指導してまいりたいというふうに思っております。
○川委員 ありがとうございます。
御子息も、もう七十を超えて、いい年になっています。本当に拉致被害者家族の皆さんはもういいお年ということですけれども、寺越昭二さんの息子さんももう既に七十を超えているということで、やはり急いで解決をしたいという思いでいっぱいであります。
次に、寺越昭二さんの事件の真相究明のため、北朝鮮に対して、死亡の経緯の説明、遺骨の返還、事件の詳細な説明を求めていく考えはあるのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○茂木国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、拉致認定された十七名以外にも、拉致の可能性の排除できない行方不明者、これは寺越昭二さんを含めてでありますが、そういった方々が存在をする、こういう認識の下で、拉致に関する真相究明、これは様々なルートで北朝鮮との接触を図っているところであります。
問題の性格上、具体的にその詳細についてつまびらかにすることは控えさせていただきますが、引き続き真相究明、追及をしてまいりたいと思っております。
○川委員 この寺越事件に関して、御子息の三人が、お一人亡くなったんですけれども、政府に対して、拉致認定、事件の真相究明、遺骨の返還、この三項目を要望してからもう既に二十四年になります。その間、何一つ進展もしていませんし、また、一ミリも進んでいない状況であります。
高市総理も歴代総理も、私の政権で拉致問題を解決していくと力強い言葉をいただいていますけれども、言葉ではなくてやはり結果を出していただきたいと思います。北との交渉が難しいというのは十分承知をしております。ですが、拉致認定をすることがやはり被害者家族に寄り添う第一歩にもなるということも理解をしていただきたいというふうに思います。
また、遺骨の問題ですが、昭二さんの御子息から、父を苦労して亡くなった母親と同じ墓に入れてあげたい、親孝行がしたい、そういう伝言を預かりました。
是非とも、政府においては、この寺越事件、拉致問題全般ですけれども、この事件の解決に向けて全力でまた当たっていただきたいというふうに思います。
最後の質問に、昭和五十六年六月、石川県旧鶴来町で当時十八歳だった安達俊之さんが同僚女性とともに姿を消した事件について、拉致被害者として既に帰国しました地村保志さんが北朝鮮で俊之さんを見たという情報もあり、拉致の疑いが濃厚な特定失踪者千番台リストに登録されています。
特定失踪者安達俊之さんの失踪事件について、政府は現在どのような調査を行っているのでしょうか。また、これまでの情報や状況を踏まえ、安達俊之さんを拉致被害者として判断することについて検討すべきと思いますが、国家公安委員長の見解を求めたいと思います。
○あかま国務大臣 お尋ねの安達俊之さんの失踪事案に関してでございますけれども、警察においては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、拉致の可能性を含め、事件、事故等のあらゆる可能性を念頭に所要の捜査、調査を継続しておりますが、これまでのところ、警察として、北朝鮮による拉致容疑事案と判断するまでの証拠などを得るに至っていないという状況でございます。
もちろん、今後、捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことが確認された場合には、速やかに拉致容疑事案として判断することとしております。
引き続き、本件事案の全容解明に向けて、関係機関と緊密に連携を図りながら、捜査、調査に全力を挙げて取り組むよう警察を指導してまいりたいというふうに思います。
○川委員 この安達俊之さんを待っていたお母さんも、もう既に亡くなってしまいました。親族も誰もいない状況でありますけれども、そのお母さんがまだ元気なときに、自分の体の都合が悪くて体調が不安になったときに、私たちがお母さんが亡くなってもしっかりやっていくからという約束をさせていただきました。
非常にこれは、地村さんが北で俊之さんを見たという情報もありますので、拉致にやはり近いというか、間違いないというふうに私たちも考えて動いてまいりました。
自分自身も、既にもう二十年近くこの拉致問題に取り組んでいますが、無力感でいっぱいです、何も動かないので。日朝の首脳会談以降、本当に何も動いていないというのが状況であります。
先ほど、非常に難しいということで、ここではやはり言えないかもしれませんけれども、被害者家族のことを考えて、また、本当に日本の主権のことを考えたら、政府にとって全力で当たってほしい、それだけの思いでありますので、今後ともよろしくお願い申し上げまして、私からの質問に代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○坂本委員長 これにて川君の質疑は終了いたしました。
次に、高山聡史君。
○高山委員 委員長、ありがとうございます。
チームみらいの高山聡史でございます。
このお時間は、まず、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の安定供給確保制度について、小野田大臣に伺います。
二〇二二年の成立から三年余りがたちました。半導体、蓄電池、重要鉱物など、現在、十六の物資が指定され、二・五兆円を超える基金が積まれ、それぞれの物資に対する供給確保の計画が認定されていると承知しております。
この制度は、個別の物資の供給に問題があってからそれを検討するということではなく、国民生活に影響が及ぶ前に、前もって備えるという大変意義深いものであると思います。
この特定重要物資に関する制度は、物資ごとの供給確保の計画などを踏まえて助成を出す仕組みで、この意味合いとしては、単に助成、サポートをするということではなくて、有事における供給の途絶を、ある意味、市場のメカニズムに任せていると防げないという前提で、国が仕組みをしっかりつくっているということにあると思います。直近、まさに緊迫化する中東情勢も踏まえ、またあるいは、この三年間の中では、海外においても関税、輸出の強化というところが起きたりとか、そういった制度の設計時に想定していたリスクが実際に現実のものとしていろいろと起こっている状況だと思います。
そこで、改めて小野田大臣に伺います。
この海外情勢の緊迫化の中で、改めて、この制度の意義であるとか、あるいは、今、今後取り組むべきことについて、お考えを伺えますでしょうか。
○小野田国務大臣 ありがとうございます。
この意義のことについてもお尋ねがありました。
経済安全保障推進法で指定している特定重要物資は、法律に基づく事業者からの報告を踏まえて、毎年度、各物資の主務官庁と内閣府が連携をして、供給確保計画の進捗状況を評価し、また物資横断的な観点からも整理を行っております。さらに、有識者による評価も加えつつ、改善の方向性等も示すことで、より丁寧な管理に努めております。
実際に今これがどういうふうな状況になっているかというところなんですけれども、昨年十月に実施した評価では、昨年度までに認定した百二十一件の取組のうち、約六割の取組は計画どおり又は計画よりも前倒しで進む一方、三割強の取組で遅延や計画変更が生じ、五件は計画継続が困難との結果になっています。
遅延等の原因を分析した結果、人手不足による建設工事の遅れですとか、資材価格の高騰による投資額の見直し、電気自動車の需要減少に伴う投資の後ろ倒しといった原因が多く見られております。
なお、継続が困難となった計画については、いずれも助成金を全額返還をいただいておりますが、現時点において、各物資の主務官庁が物資ごとに定めている供給確保目標との関係で大きな問題は生じていないというふうに私たちは評価をしております。
しかし、国際情勢や市場も、おっしゃるとおりに日々変わっておりますので、この変化の中で適切な進捗管理は容易な作業ではございませんが、関係省庁や産業界と密に協力し、中長期的な需要動向等の把握を始めとする取組を引き続き着実に実施していきたいというふうに考えています。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに、おっしゃっていただいたような定期的な点検であるとか見直しということが重要なものであるというふうに思います。
そこに関連して、一点。
特にこういった海外の情勢が移り変わるときにおいては、それまでは特に大きな問題があるとみなされていなかった物資においても、新たにこれは注視をした方がいいということが起きる可能性もあるかなというふうに思います。ちょうど、直近、新しい物資を指定したということもあるかと思いますが、この新たな物資を指定するというプロセスについて、現状の運用であるとか、あるいは今後どういう運用が必要かというところについても少しお考えをいただけますでしょうか。
○殿木政府参考人 ただいまの委員の御指摘、御質問でございますけれども、我々、日々、必要な物資について、物資を所管している主務官庁と相談をしながら、どのような物資が必要かというところについて検討、議論を重ねて、評価をした結果、その上で、必要な物資について、有識者会議の議論なども踏まえながら政令指定していくということになってございます。
いずれにいたしましても、別に、これは何度もレビューをしながら指定をしていくというところになっていくというところでございまして、不断の見直し、あるいは不断の指定に向けた活動ということをしているということでございます。
○高山委員 ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいたとおり、複数の省庁が連携して、その指定プロセスであるとか見直しのプロセス、円滑に進むということを期待いたします。
続いて、茂木外務大臣にお伺いいたします。
デジタルにまつわる外交戦略についてというところなのですが、ここ数年、グローバルサウスの諸国においては、ある種の競争が進んでいるというふうに認識をしております。開発支援というたてつけの下、実態としては、デジタルインフラを通じた影響力の争奪戦の様相を呈しているところがあるかなと思います。例えば、通信基地局であるとか、あるいは行政向けのデジタルシステムであるとか、決済サービスであるとか、そういったものが一度根づくと、通信、金融、行政のデータが自動的に、それを開発した、あるいは提供した国のサーバーに集まるという構造にもなりかねません。
デジタルインフラというのは、現代の国家においては神経系と言っても過言ではないものでございまして、このデジタルインフラでやり取りされる情報が、まさに、外交であるとか安保であるとか経済、こういった判断にも影響を及ぼすものだというふうに思います。
我が国においては、自由で開かれたデータ流通とデータの安全、安心の両立を図るDFFTというものを国際的に掲げてやってきたという認識を持っておりまして、この国際的なデータの争奪戦、特に中国などの動きもある中で、このDFFTの理念をどう実現していくかというところが問われる時代になってきたというふうに思います。
そこで、茂木大臣にお伺いさせてください。
グローバルサウス各国のデジタルインフラに海外の技術が浸透してきているという状態があると思います。これが、将来的なデータ主権であったりとか、あるいは外交的なパワーバランスの問題にも関係しかねないという中で、政府として、この動きをどういうふうに認識をして、どう対抗していくのか、是非そういった戦略についてお伺いできればというふうに思います。
○茂木国務大臣 高山委員と問題意識というのは共有をしております。データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストという形でありますけれども、世界中で、今、経済社会基盤活動のデジタル化が飛躍的というか加速度的に進む中で、デジタル分野において、ODAも活用して、日本の技術であったりとかノウハウを最大限活用しながら、途上国の開発課題の解決に取り組んでいく必要があると考えております。
例えば、アフリカの国々を見てみますと、途上国であるがゆえに、この技術革新によって一足飛びに新しい段階に行く、こういう状況というのは数々見られるわけでありまして、ルワンダ、高速道路が発達していません。その分、例えば輸血用の血液が運べないということで、ドローンの技術を使って、また、衛星からこれを見ることによって、正確に血液を、それも、型式というか、AB型とか分けてきちんと送れるようになる。ケニアにおいては、例えば、かつては銀行システムが発達をしていなかった、そのために、ナイロビに出稼ぎに来ても送金ができない、こういう状態だったんですが、モバイルの力によって今は電子送金をする、こういう時代に入っているわけでありまして、そういったことも考えながら、今後の共通ルールの策定であったりとかガバナンスの構築、こういった意味からも、この分野の支援というのを強化していきたいと思っております。
例えば、太平洋島嶼国というか地域におきましては、ミクロネシア、ナウル、キリバスに対して海底ケーブルの支援、また、日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センターに対してはサイバーセキュリティー能力構築支援、こういったものも実施してきておりますし、また、カンボジアのデジタル経済社会の発展を支援するために、日本企業のノウハウも活用して、同分野におけますインフラ整備を、ハード面、ソフト面、両面で支援をしてきております。
まさに覇権争いの時代、こういう中で各国が自律性と強靱性を強化する必要があると考えておりますし、ODAを活用したデジタルインフラの整備、これを同志国と一緒に進めることによって、覇権の時代にあって、我々にとって、正当なというか正しいルール作りというか、適正なルール作りであったりとかガバナンスを確立していく、極めて重要だと私は考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに大臣おっしゃったとおり、途上国といっても、ある面で一度技術が入っていくと、先進国よりも、ある意味、一世代先取りするような、そういった事例もあるということかなと思います。
また、ODAのお話もありましたが、ある意味ODAといえば、長年、物理のインフラのイメージが強かったかなというふうに思いますが、今、途上国各国でも必要とされているのが、まさに行政サービスをデジタル化していく部分であったりとか、医療データ、あるいは医療のデジタル化ということであったりとか、そういったソフトウェアによって提供をされるインフラ、こういったもののニーズが高まっているというふうに認識をしております。
まさに、デジタル化ということは私もずっといろいろ申し上げているところでございますが、日本はこの分野で世界に貢献できるチャンスがあるというふうに思っております。マイナンバーを活用した行政システムという考え方であるとか、あるいは電子調達であるとか、地方自治体にどうDXを広めていくかということであるとか、そして、今後検討が進んでいくと思います給付つき税額控除を支えるような、素早くて滑らかな給付の仕組み、これも世界に誇れるものになる可能性があるというふうに思っております。
こういった、日本だけでなく世界各国で有用な仕組み、これを日本国内で実装をして行政DXの技術を体系的に海外に輸出する戦略、これは非常に重要なものだと思うのですが、その辺りについて、もう一言、茂木大臣のお考えであるとか、どういうふうに輸出していくかみたいなところも伺えればというふうに思います。
○茂木国務大臣 確かに、日本のデジタル化がそういった意味で行政の効率化であったりとか様々な形でどこまで進んでいるかということでいいますと、いろいろな意見はあるんだと思いますけれども、まずは自分の国においてしっかりしたデジタル基盤を行政においても民間においても整える、こういったことは基本になってくると思います。
その上で、先ほど高山委員の方から触れていただいた信頼性ある自由なデータ流通、この推進を掲げて、これまでもルール作りという形では、私が担当しましたCPTPPであったりとか日米デジタル貿易協定、さらには日英のEPA、日・EU・EPAを始め、デジタル貿易分野の国際的なルール作り、これは日本が主導してきたというのは間違いない事実だと考えております。また、WTOにおきましても、なかなか今WTOは非常に難しい状況にあるのは確かでありますけれども、電子商取引に関する国際的なルール作りを有志国が進める中で、我が国は共同議長国として取組を進めているところであります。
委員のおっしゃるような形で、単に橋を造る、道路を造るという時代から、まさにデータというものであったりとか、デジタル、AI、これが社会基盤になっているんだ、こういう思いでこれからも取組を進めていきたいと思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
AIの時代においてデータをどう取り扱うか、国民のデータをどう扱うかということは非常に重要なテーマであり、そして世界基準のスタンダードを日本が発信し主導していくということ、大変意義あるものだというふうに思います。是非、このお取組、前に進めていただければというふうに思います。
続いて、介護分野について、処遇改善とテクノロジー活用の二点から、上野大臣にお伺いいたします。
令和七年度の補正予算では介護の分野に千九百二十億円が計上されて、介護職に月最大一万九千円、ほかの職種にも月一万円の賃上げが図られたというふうに承知をしております。また、本年、介護報酬の臨時改定による上乗せということも予定されており、こういった一連の処遇改善の措置に関しては大変評価できるものだというふうに思います。
一方で、まだまだ現場には課題があるというふうに思っておりまして、例えば補助金の受給、三階建ての条件というものの複雑さといいますか、小規模な事業所にとっては要件を整備するための事務負担が重いということであったりとか、上乗せ分にアクセスができない事業所も恐らくあるんだろうなというところが懸念をされているというところかなと思います。
こういった処遇改善を、上乗せの構造に頼るのかということも含めて考えていく必要があるのかなというふうに思うのですが、上野大臣にお伺いします。昨年から本年にかけての賃上げ、これを継続、発展させるに当たって、仕組みの簡素化ということと構造的な処遇の改善、どういった方針で進めていくおつもりでしょうか。是非お答えください。
○上野国務大臣 ありがとうございます。
介護現場、非常に皆さん、物価高あるいは賃金上昇に直面をして、大変厳しい状況にありました。そうした中におきまして、今委員から御紹介のありました補正予算におきましても、しっかりとした対応を補正予算でもさせていただきましたし、令和八年度の介護報酬改定におきましても所要の措置を講じさせていただいているところであります。
やはり、介護の現場の処遇改善は非常にこれからも大事だと思いますし、また、現場の負担感も相当なものがありますので、この負担の軽減、職場環境の改善、これも同時に進めていくことが大切だというふうに思っております。
まず、処遇改善につきましては、令和八年度介護報酬改定を少し例に挙げさせていただきたいと思いますが、これは補正予算同等ではありますけれども、介護職員のみならず介護従事者を対象に幅広く月一・〇万円、三・三%の賃上げを実現をする、そうした措置に加えまして、今委員からも御指摘がありましたが、生産性向上であったりあるいは協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に月〇・七万円、二・四%の上乗せ措置を実施をすることとしております。また、介護職員につきましては、累次の取組の中で過去最大の水準となります、定期昇給込みで最大月一・九万円、六・三%の賃上げが実現をする、そうした措置となることとしておるところであります。
上乗せ部分につきましてはいろいろな御議論があろうかと思いますが、やはり現場で生産性向上をしっかりこれからもやっていただくということが、結果的には現場の皆さんの負担感の軽減であったり様々なメリットがありますので、是非これもお願いができればというふうに思っております。
また同時に、現場の負担感軽減のためには、やはり、介護テクノロジーといいますか、それの充実も必要でありますので、補正予算の中におきましては、それもしっかりとした対応として措置をさせていただいているところであります。
○高山委員 ありがとうございます。
テクノロジーのところにも触れていただきましたが、このテクノロジーが現場の生産性を改善するということにおいては、例えば、小規模な事業所においてもそのテクノロジーがきちんと使われるということ、そういった規模によらず使われるということであったりとか、あるいはそれを使いこなすデジタル人材が各事業所に行き渡るということ、こういったところが大変重要になってくるかと思います。是非、テクノロジーの活用とそして処遇改善、両輪で進めていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて高山君の質疑は終了いたしました。
次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、高額療養費改悪についての質問をいたします。
昨年、現行憲法下で初めて参議院で予算案が修正されて成立をいたしました。それは、この高額療養費をめぐって、がん患者の皆さん、当事者の皆さんが、これをやられたら命がもたない、治療を続けることができない、本当に切実な声をこの国会で上げていただいたからにほかなりません。
ところが、今回、今年の八月から、この高額療養費、月額上限の引上げと年間上限額の設定が行われます。来年の八月には更にそれを引き上げるということになっています。高額療養費の利用者は、命に関わる傷病に罹患をしている人たちであります。手術、抗がん剤治療など、高額な医療費を負担している人たちの医療費を更に引き上げようというのが今回の改悪であります。
厚労省は、口を開けば持続可能性の確保のためだと言っております。また、社会保険料の軽減のためにもなるんだ、こういう説明をしております。
まず、この社会保険料の軽減について確認をしたいと思います。大臣、今回の改悪で、そもそも、加入者一人当たり、月額幾らの保険料の負担軽減となるのか答弁いただきたい。
○上野国務大臣 今回の高額療養費制度の見直しでございますが、それによりまして、これは加入している保険者によって異なるものでありますが、加入者一人当たりの平均額を機械的に算出をいたしますと、この見直しにおきましては、一年当たりで約千四百円、一か月当たりでは約百二十円の減少となります。
○辰巳委員 年間、高額療養費の見直しとOTC類似薬の追加負担、それぞれ言っていただいていいですか、月額負担軽減。
○上野国務大臣 高額療養費制度の見直しにおきましては、一年当たり約千四百円、一か月当たり約百二十円の減少となります。OTC類似薬の保険給付の見直しでは、一年当たり約四百円、一か月当たり約三十円の減少となります。重ねて申し上げますが、加入している保険者によって異なるものであります。
○辰巳委員 つまり、大臣、月額百五十円の保険料の負担軽減のために、ペットボトル一本程度の負担軽減のために、高額療養費、皆さん、患者の命と引換えに大改悪がされるということですよね。これはとんでもない中身ですよ。絶対許せない中身ですよね。
具体的に聞いていきます。
今回数字が出ていない外来特例を除く高額療養費の受給者は八百二十三万人とされています。今回の見直しでは、高額療養費四回目以降の多数回該当の引上げは見送られたものの、月額の上限は引き上げられました。つまり、多数回該当にならない高額療養費算定月が年三回以下の患者さんは負担が増えるということになります。
大臣に確認します。この外来特例を除く高額療養費の算定が年三回以下の患者さんの数はどれぐらいなんでしょうか。
○上野国務大臣 まず、外来特例を除きまして高額療養費に該当する回数が年に一回から三回の方は約六百六十万人と見込んでおります。
ただ、委員御指摘がありましたが、この全ての方が負担が増えるわけではなくて、年間上限額の導入等によりまして、例えば年一回か二回しか高額療養費の適用対象に該当しない場合であっても、非常に高額な医療にかかられた場合におきましては負担額が下がる、そうしたケースもありますので、必ずしも全ての方が負担が増えるわけではありません。
○辰巳委員 では、大臣、確認しますけれども、負担が増えない、今、年間上限額が新たに設定されることでむしろ減る方がおられると、あるいは、低所得者の方、ここも負担が減る方がおられる。どれぐらいおられますか、数字で示してください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員の御指摘でございますけれども、まず一つは、新たにできました年間上限に該当する方は約五十万人いらっしゃるというふうに見込んでございます。
また、今回、多数回該当に該当する方については限度額は引き上げないということにしたわけですが、年一回以上多数回該当に該当する方は約百六十万人いらっしゃるというふうに見込んだところでございます。
低所得者の方については、済みません、ちょっと今直ちには、手持ちがございませんので、また追って整理をしたいというふうに思います。
○辰巳委員 上限設定することで最大五十万人の方の負担が軽減される、そして、低所得者の方でいうと、これは厚労省の資料ですけれども、三十万人ですね、七十歳未満と七十歳以上の方を合わせて三十万人、ダブりもありますから、最大で八十万人の方の負担が軽減される可能性はある。
今申し上げたように、三回以下の方は六百六十万人、ここから八十万人を引いて、そして八百二十三万人の高額療養費の受給者がおられるわけですから、最大で七割の方の、高額療養者、この制度を利用されている方の負担が増えるということでよろしいですね。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘になられましたように、重複の部分があるものですから、その点については正確に申し上げることは難しゅうございますけれども、概算でごくごく粗い粗い推計ということであれば、先生おっしゃったような点と大きく違わないのではないかというふうに思います。
○辰巳委員 これはとんでもない数字ですよ。軽い病気じゃないですからね、高額療養費制度を利用されている方は。重い病気の方で、最大で七割の方の負担が増えるということですよ。ペットボトル一本分の社会保険料の負担軽減と引換えに、それだけの方の負担が増えるというのが今考えられている改悪なんですよね。負担額も、とりわけ年収が六百五十万円から七百七十万円の方は、自己負担額が一・四倍にも増えるということになります。むちゃくちゃな改悪ですね。
厚生労働省の資料によりますと、高額療養費の上限引上げによる医療費の減少は二千四百五十億円と見込まれております。
大臣に確認します。そのうち、受診控えによる医療費の減少は幾らぐらいと見込んでおられますか。
○上野国務大臣 基本的に、受診控えによる医療費の減少については見込んでおりません。
○辰巳委員 大臣、そうじゃないでしょう。長瀬効果。厚労省がこの間、二千四百五十億円のうち、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に、今回の見直しに伴う実効給付率を機械的に算出すれば、一千七十億円がまさに受診控えで医療費が減少する額だ、そういう趣旨のことを説明してきたじゃないですか。違うんですか。
○上野国務大臣 委員から受診控えによるという御指摘がありましたので、受診控えということを前提にした計算はしておりません。
今委員から御指摘のありました、実効給付率が変化をした場合に過去の経験的に得られている医療費の増減効果、これを機械的に計算をして、今御指摘のありましたように、約〇・二八%低下をすると見込まれるため、機械的にそれを代入いたしますと、給付費の変化は約千七十億円の減となります。
○辰巳委員 まさに、それが受診控えなんですよね。自己負担が増加することによって受療行動が変わるから医療費が減るということ、これはまさに受診控えなんですよ。その言葉を言いたくない、だからごまかしているということなんですね。つまり、具体的には、治療を諦める、あるいは諦めさせるということがここで起こるということですよね。これはほんまにひどいと思いますよ。
全国保険医団体連合会が実施をした患者影響調査では、七割の方が受診抑制が起こる、六割の方が薬や治療法を変更する、七割の方が食費を削り、貯蓄を取り崩す、四割の方が子供の進路変更と回答をしています。
四十代の女性、乳がんの女性ですが、子供とまだ生きたい、成長を見届けたいという一心で治療と仕事を何とか両立していますが、この願いと努力を打ち砕き、命の選択を迫る改悪です、こう言っておられます。また、別の四十代の女性も、私の命と子供たちの教育費をてんびんにかける日が必ず来ると思います、少しでも長く生きて子供たちの成長を見守りたいです、こういう悲痛な声が寄せられております。
ペットボトル一本分の社会保険料の軽減のためにこういう思いをお母さんたちに、親たちに、あるいは子供たちから親を引き剥がす、こういう医療の大改悪は絶対にやめるべきですよ、大臣。今の声を聞いて、大臣、受け止めを聞かせてください。
○上野国務大臣 まず、必要な医療が適切に提供される、受診控えが起こらない、そうしたことは大切だと思っております。
社会保障審議会におきましても、この見直しに際しましては、事後的な検証、これも重要であるという趣旨の御意見をいただいておりますので、受診行動への影響につきましては今後とも注視をしていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、必要な受診がしっかりと行われるように、その点につきましてはしっかり周知をしていきたいというふうに思っておりますし、やはり制度を持続的に維持していくためには不断の改革というのも必要だと思っておりますので、それは是非御理解をいただけるように丁寧に説明をしていきたいと思います。
○辰巳委員 非常に冷たい答弁だったと思います。持続的と言いますけれども、医療費全体に高額医療費が占める割合というのは六・三九%、前年、二〇二二年ですね、前年は六・三二%ですから、二〇一二年度が五・五一%ですから、十一年で〇・八五%程度の伸びしかないんですよ、高額療養費というのは。しかも、それの伸びは年々鈍化していますから。
命と引換えにこういう大改悪を強行することは絶対に許されないということを求めて、私の質問を終わります。
○坂本委員長 これにて辰巳君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十三分散会

