第10号 令和6年3月12日(火曜日)
令和六年三月十二日(火曜日)午前十一時開議
出席委員
委員長 山口 俊一君
理事 丹羽 秀樹君 理事 鷲尾英一郎君
理事 武藤 容治君 理事 橘 慶一郎君
理事 中谷 真一君 理事 後藤 祐一君
理事 青柳陽一郎君 理事 遠藤 敬君
理事 輿水 恵一君
井出 庸生君 井野 俊郎君
石原 正敬君 木村 次郎君
本田 太郎君 三ッ林裕巳君
宮路 拓馬君 山田 賢司君
伊藤 俊輔君 源馬謙太郎君
馬場 雄基君 太 栄志君
鈴木 敦君 中司 宏君
塩川 鉄也君 浅野 哲君
…………………………………
議長 額賀福志郎君
副議長 海江田万里君
事務総長 岡田 憲治君
参考人
(人事官候補者(元内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局長)) 土生 栄二君
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
中司 宏君 金村 龍那君
同日
辞任 補欠選任
金村 龍那君 中司 宏君
同月十二日
辞任 補欠選任
吉田はるみ君 太 栄志君
中司 宏君 鈴木 敦君
同日
辞任 補欠選任
太 栄志君 吉田はるみ君
鈴木 敦君 中司 宏君
同月五日
理事遠藤敬君同日理事辞任につき、その補欠として中司宏君が委員長の指名で理事に選任された。
同日
理事中司宏君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤敬君が委員長の指名で理事に選任された。
同月七日
理事遠藤敬君同日理事辞任につき、その補欠として中司宏君が委員長の指名で理事に選任された。
同日
理事中司宏君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤敬君が委員長の指名で理事に選任された。
同月八日
理事遠藤敬君同日理事辞任につき、その補欠として金村龍那君が委員長の指名で理事に選任された。
同日
理事金村龍那君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤敬君が委員長の指名で理事に選任された。
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本日の会議に付した案件
本会議における議案の趣旨説明聴取の件
参考人出頭要求に関する件
人事官任命につき同意を求めるの件
本日の本会議の議事等に関する件
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○山口委員長 これより会議を開きます。
まず、趣旨説明を聴取する議案の件についてでありますが、内閣提出の脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両法律案は、本日の本会議において趣旨の説明を聴取し、これに対する質疑を行うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
なお、両法律案の趣旨説明は、齋藤経済産業大臣が行います。
両法律案の趣旨説明に対し、立憲民主党・無所属の重徳和彦君、日本維新の会・教育無償化を実現する会の守島正君から、それぞれ質疑の通告があります。
質疑時間は、各々十五分以内とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。
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一、趣旨説明を聴取する議案の件
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出)
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出)
趣旨説明 経済産業大臣 齋藤 健君
質疑通告 時間 要求大臣
重徳 和彦君(立憲) 15分以内 経産
守島 正君(維教) 15分以内 経産
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○山口委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。
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○山口委員長 次に、人事官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る七日の理事会において、村井内閣官房副長官から、内閣として、人事官に元内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局長土生栄二君を任命いたしたい旨の内示がありました。
つきましては、理事会の申合せに基づき、人事官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本日、参考人として人事官候補者土生栄二君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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○山口委員長 まず、議事の順序について申し上げます。
最初に、土生参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
それでは、土生参考人、お願いいたします。
○土生参考人 土生栄二でございます。
本日は、所信を述べる機会を与えていただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
国家公務員制度は、我が国の行政の円滑な運営を確保するための重要な基盤であります。また、国家公務員法は、国民に対し、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。
人事院は、この基本理念の下、国民全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正を確保するため、また、労働基本権制約の代償機能を果たすため、中立第三者機関として設置されており、その構成員の人事官には、強い責任感と高い倫理観が求められるものと認識しております。
私は、昭和六十一年に厚生省に入省以来、厚生省、厚生労働省、内閣官房等において、長い期間、国家公務員として働いてまいりました。
仮に人事官に任ぜられた場合には、このような経験を生かしつつ、誠実かつ公正に職務の執行に当たりたいと考えております。
近年、少子高齢化、グローバル化やデジタル化の進展等、社会経済等の情勢は大きく変化しており、行政を取り巻く環境もますます複雑多様化してきております。こうした状況において、公務や公務員が国民から求められる期待や国民に対して果たすべき役割の重要性は、一層大きなものとなってきております。そして、公務や公務員に対する国民の目には引き続き厳しいものがあると承知しております。国家公務員は、公務の遂行に当たり、規律を厳正に保ち、自らの役割と使命を深く自覚しつつ、高い専門性を発揮することで、国民全体の奉仕者として、信頼を得ていくことが重要と考えます。
人事院は、国家公務員の採用から退職に至るまでの人事管理全般の諸課題に取り組んでおり、行政組織運営の要として重責を担っていると認識しています。行政に求められる役割が一層大きくなる中で、行政実務を担う国家公務員として、多様で有為な人材を確保することが重要ですが、その現状には厳しいものがあると承知しております。
国家国民のために働きたいと希望する若者、自らの専門性、知識経験を社会全体のために国家公務員として役立てたいと考える人たち、こうした多様な人材が、自らの能力を最大限に発揮し、生き生きと働き続けることができる環境整備を更に進めていくことが極めて重要であり、公務における人材確保、さらに、組織全体のパフォーマンスの向上につながるものと考えます。
このため、採用試験の見直しや民間人材の積極的誘致、社会や公務の変化に合わせた給与制度の整備を通じた適切な処遇の確保、超過勤務の縮減や柔軟な働き方の推進等の取組を更に進めていく必要があると考えております。
仮に私が人事官に任命された場合には、人事院会議の構成員として自覚と責任感を持ち、これまでの行政官としての実務や人事管理の経験、知見を生かし、全力を尽くす所存です。そして、国民の代表である国会での御議論を始め、様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、先任のお二人の人事官と協力して、重責を果たしてまいりたいと考えております。
以上、簡単でございますが、私の所信を述べさせていただきました。
本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございました。
○山口委員長 ありがとうございました。
これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。
議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。
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○山口委員長 これより土生参考人の所信に対する質疑を行います。
質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。
鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 自民党の鷲尾でございます。
早速ですが、土生さんに対する質疑を行いたいと思います。
今日は貴重な機会をいただきました。所信を今お聞きしたところでございますけれども、現下の、大変、国家公務員に対する職場の環境、様々厳しいものがございます。今の土生さんの所信の中にあった点を、少し質疑によって深掘りさせていただきたいというふうに思っております。
まず、国家公務員の人事管理が抱える課題、これについて土生さんがどう認識しておられるか。特に、報道等で国家公務員はやり玉に上がることが多いわけでありますが、他方で、所信にもありましたとおり、高い使命感、それから誇りを持って生き生きと働くことが、国家の発展には欠かせないと感じています。やる気、意欲を高める方策と併せてお聞かせいただきたいと思います。
○土生参考人 お答えいたします。
社会経済情勢が激変し、行政に求められる役割が一層大きくなる中で、行政を担う国家公務員として、多様で有為な人材を誘致、育成することが重要でございます。しかしながら、公務における人材確保は、今、極めて厳しい状況にあるものと承知をいたしております。
人事院では、令和五年に公務員人事管理に関する報告ということをまとめておられます。公務員人事管理の課題に対処するため、三つの柱、具体的には、公務組織を支える多様で有為な人材の確保のための一体的な取組、職員個々の成長を通じた組織パフォーマンスの向上施策、三点目に多様なワークスタイル、ライフスタイル実現とウェルビーイングの土台となる環境整備の三つの柱で、具体的な施策を提示されているところでございます。
こうした諸施策の効果を不断に検証しながら、人事行政における種々の施策を連携させ、重層的に取組を推進していくことが求められるものと認識いたしております。
特に、御指摘の、国家公務員のやる気、意欲を高めるということにつきましては、まず前提といたしまして、所信でも申し述べましたけれども、適正な給与の実現、長時間労働の是正など、勤務条件の適切な確保ということ、これと併せまして、年功序列ではなく、実力に応じためり張りのある人事を行うということが重要であると考えております。
また、若年層を中心に、自身のキャリア形成あるいはスキル向上等への関心というものが高まっているわけでございます。この点では上司の役割というものが大変重要であると考えておりまして、職員に必要な資質、能力や職員のキャリア形成に向けた意向を適切に把握した上で、能力開発の方向性あるいは現在の職務、組織全体の中での意義などを適切に共有するためにコミュニケーションを密に行うこと、あるいは業務指導等OJT、あるいは目に見える形での研修を通じて専門能力を高めていく、こうした取組を進めていくことが重要であるのではないかと思っております。
○鷲尾委員 ありがとうございました。
続けてでありますけれども、最近、私もよく聞くのは、やはり、公務員に、大学の新卒者がなかなか官僚になりたがらないと。昔は、一昔前は、優秀な人材が黙っていても集まるというのが国家公務員、なかんずく、霞が関ではそれが当たり前だったわけでありますけれども、最近は、優秀な方がむしろ避けてしまう、なかなか集まってこないというふうに聞いております。優秀な人材確保の方法につきまして、是非お聞かせをいただきたいというふうに思います。
あわせて、せっかくいろいろなことを乗り越えて霞が関に就職していただく方々も、若年というか、勤続がそんなに長くないうちに離職者が増えているということも併せて聞いておるわけであります。優秀な人材を確保すると同時に、離職を増やさないために、その防止策というのは今どういうことを考えておられるかということもお聞かせをいただきたいと思います。
○土生参考人 お答えいたします。
私が勤務していた実感でございますけれども、まだまだ、霞が関にやる気と気概を持って入ってきていただいている若者、これは多数いらっしゃるということもまた事実であろうと思っております。他方で、先生御指摘ございましたとおり、どうしても続かずに、残念ながらといいますか、途中で、若年のうちに離職をされるというケースも増えてきているということも承知をしているわけでございます。
まず、新規学卒者の計画的な採用と育成ということは、組織の基本となるものでございます。これまでも、人材確保に向けた活動、インターネットを通じて、時宜に応じた形で情報発信を強化するよう、有為な人材を公務に誘致できるよう取り組んできておりますので、さらに、各界の意見を踏まえまして、こうした取組を進めていくことが重要であるというふうに考えます。
そして、所信でも申し上げましたけれども、何よりも、やはり勤務環境、それから給与も含めた処遇の改善ということが重要であろうというふうに思います。
人事院では、給与につきましては、新卒初任給の大幅な引上げ、あるいは、採用後も、係長級から本府省課長補佐級の俸給の最低水準の引上げ、あるいは勤勉手当の見直しなど、役割や活躍に応じた給与上昇を大きくする方向で対応してきておりますし、また、検討も進められているものと承知をいたしております。
あわせまして、働き方につきましても、いわゆる働き方改革の推進ということで、より柔軟な働き方を可能にする、それから、何よりも、やはり超過勤務の縮減、これが極めて重要であるというふうに考えております。
他方におきまして、労働市場は一定の雇用の流動化ということがあるわけでございますので、公務におきましても一定数の転職者が見込まれるということでございます。行政課題が複雑高度化している状況におきまして、新規学卒者の確保、育成だけではなく、民間企業等における多様な経験や高度な専門人材、これも一層公務に誘致していく、こうした取組が重要ではないかというふうに考えております。
○鷲尾委員 最後の質問になりますけれども、職場環境の整備、これは私ども国会にも大きな責任の一端があるというふうに思っておりまして、やはり、皆さんの職場環境の整備ということを我々も念頭に置いて国会での仕事を進めなければいけないと、参考人の話を聞いて、なお一層その思いを強くしたわけでありますけれども。
ちょっと、御指摘がなかった点で一点、男性による育児推進です。
これにつきましては、やはり国が率先して進めるべきというふうに考えておりますけれども、今の国家公務員の状況、更に育休取得を推進するためにどうすればいいかというところをお聞かせいただきたいと思います。
○土生参考人 お答えいたします。
御指摘のございました育児休業、特に男性の育児休業の促進ということでございますが、近年取組が強化されておりまして、令和四年度の男性職員の取得率は七割を超えているという状況でございます。ただ、依然として女性職員と比較すれば取得率は低い水準にあり、また、休業期間も比較的短いという課題が依然としてあるものと承知をいたしております。
人事院の意見の申出に基づきまして法律改正もやっていただきまして、配偶者の産後期間中に二回まで取れるといったような形で、柔軟な取得が可能となるような制度改正も行わせていただいているものと承知をいたしております。
更に進めるためということでございますけれども、これはやはり、職場の意識改革ということが何よりも重要でございます。組織の管理者は、部下の男性職員が育児休業を気兼ねなく申し出られる、そういった職場環境、雰囲気を醸成するということでございます。あわせまして、これは各府省の人事課が御苦労されるところでございますけれども、やはり休業中の業務のバックアップ体制、仕事に支障があるということでは安心して休業するということができなくなりますので、そうしたものを整備することが重要ではないかというふうに考えております。
○鷲尾委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○山口委員長 次に、太栄志君。
○太委員 太栄志でございます。
土生候補、本日はどうもありがとうございます。そして、この重責をお引き受けになるその御決意を拝聴し、まず、心より敬意を表します。
その上で、私からは、国家公務員人事制度について二点質問いたします。
我が国を取り巻く国際情勢は厳しさを増し、社会課題が複雑化する中で、高度な政策立案、執行を担う国家公務員に期待される役割は増大しています。しかし、今年の国家公務員総合職の志願者数は二〇一二年以降過去最少で、この十年間で四割程度の減少となりました。さらに、若手官僚の退職率も増加傾向にあります。
大学卒業後に入省し定年まで勤め上げる旧来のシステムを続けていては、急速な時代の変化に対応できず、どんどん世界から取り残されるとの危機感を抱いています。国家の難局を国の総力を結集して乗り越えるために、多様な知見を持つ人材が積極的に公共に参画できるような新しい公共の理念、つまり、政治、行政を政治家や公務員だけが担うのではなく、民間を含むあらゆる人たちが支えるための改革が強く求められています。
そこで、土生候補に、官民の人事交流、そして元職員の再雇用について、御所見をお伺いいたします。
二〇二一年の国家公務員の中途採用率は一六・七%と、民間と比較して低い水準で推移しています。官民人事交流法が施行され、また、デジタル庁は定員の三割程度の二百名を民間から起用するなど、民間人材の登用は進みつつあります。しかし、まだまだ十分とは言えません。米国では、官公庁と民間企業の間で人材が流動的に出入りするリボルビングドアが浸透しており、官と民の総合力を結集して国の難局に立ち向かう人事システムが構築されています。
人材移動を通じて、民間の知見とアイデアを政策過程に生かすことで我が国の政策形成能力を高めていくべきだと考えますが、人事官として、この官民人事交流にどのように取り組むか、御所見を伺います。どうぞ、お願いいたします。
○土生参考人 お答えいたします。
先生御指摘ございましたとおり、デジタル庁の創設という大きな動きもございまして、民間人材の登用ということについては、格段に進んできているという状況もあるものと承知をいたしております。
ただ、行政課題がまだまだ複雑高度化していく状況の中におきまして、これらの課題に対応する有為な人材を確保する、このためには、先ほど申し上げました新規学卒者の確保、育成だけでは組織を維持することは難しいということは事実であろうというふうに思っております。御指摘のように、民間企業等における多様な経験や高度な専門性を有する人材をより一層公務に誘致していくということが不可欠であろうと考えております。
また、官民の相互理解の促進及び広い視野を有する人材の育成の観点からも、民間企業との人事交流は重要と認識しております。
これまでも、人事院におかれましては、社会環境の急速な変化に的確に対応できる能力を有する人材の確保に向けて、公務と民間との人材の流動性を高めるため、官民人事交流、更なる活用を促進する観点から、交流基準の見直しあるいは審査事務の合理化等に取り組まれているものと承知をいたしております。各府省において必要な様々な専門分野の民間人材を確保することができるよう、任期付職員を機動的に採用するための手続等の見直しにも取り組んできたものと認識しております。
今後とも、公務の公正性を確保しながら人事交流の更なる推進を図ることが必要であると考えておりまして、情報発信の強化も含めて積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
○太委員 具体的に御答弁いただきまして、ありがとうございました。
ですけれども、まだまだ我が国は大変遅れておりますので、その点、この民間との出入りがもっと活発になるように是非とも進めていただきたいと思います。
次に、一度退職した元職員の再雇用について伺います。
様々な事情で一度退職した元職員の再雇用にも積極的に取り組む必要があると考えます。元職員を迎え入れる組織風土の醸成を含めて、元職員の再雇用について人事官としてどのように取り組むか、その御所見を教えてください。お願いいたします。
○土生参考人 お答えいたします。
人材の確保、これは全体として喫緊の課題ということでございますので、任期付職員の採用や官民人事交流の促進などによりまして、専門分野の人材を確保できるよう取組を進めているものと承知をいたしております。
御指摘ございました、一度退職した元国家公務員の人材を公務に再度採用する、これも一つの有効な手段であるというふうに認識をしておりまして、仕組みといたしましては、選考による中途採用あるいは任期付職員法に基づく採用など、各府省のニーズに応じて様々な枠組みが活用できるものと承知をいたしております。
また、これらの仕組みを採用した場合に、これまでの民間での経歴、能力なども考慮して給与を柔軟に決定できる仕組みとなっているところでございまして、例えば、各府省の判断によりまして、部内で最も高い評価を受けてきた職員、これも超えるような処遇をするということも可能となっているということでございます。
これらの仕組みを適切に活用されるためには、各府省に制度の内容を御理解いただく必要があります。人事院におきましては、中途採用者に関連する諸制度の概要を各府省に示すなど、積極的に周知、広報を行っていると考えておりまして、こうした取組を継続することが重要だと考えております。
また、あわせて、先ほど申し上げました超過勤務の縮減、そういったことも含めて、やはり公務にもう一度携わって、戻るということを再認識、意欲を持って戻ってきていただけるような職場環境にするということが何よりも前提になるわけでございますので、そうした点に取り組むとともに、積極的に発信していくということが重要ではないかというふうに考えております。
○太委員 ありがとうございます。
是非とも、この民間の活力、知恵も含めて活用して、この新しい公共の理念に基づいた改革を進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○山口委員長 次に、鈴木敦君。
○鈴木(敦)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の鈴木敦でございます。
本日はありがとうございました。所信を伺いまして、厚生省、厚生労働省、内閣官房とキャリアを築かれた、公務に邁進されたことに敬意を表したいと思います。
これまでの御経験を踏まえまして幾つか御質問させていただきますが、昭和六十一年の入省以来、職場環境は大きく変わってきたと思いますけれども、一番大きく変わったのはデジタル化であろうと私は思います。
今、民間企業では、デジタル化、あるいはそれによる作業効率の向上ということを国としても言っておりますが、一方で、民間企業から聞こえてくる声は、公務員から来るものは紙で来るじゃないかというような御意見も多々いただいておるところでございます。これは、コロナ禍で、ウェブでレクチャーを受ける際に各役所のシステムが統一されていなかったということからもお分かりのことと思いますが、今の現状についてどのようにお考えか、伺います。
○土生参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたとおり、私が入省いたしました昭和の時代に比べますと、デジタル化、システムの活用ということは格段に進んできているものと承知をいたしております。
ただ、他方におきまして、まだまだ、公務において非効率な業務の在り方を見直すために、デジタル技術、デジタル化を進めていくということ、これは重要な取組の一つであろうというふうに考えております。そのことによりまして組織全体のパフォーマンスを高める、また、個々の職員にとっても、働き方に対する価値観、ライフスタイルが多様化する中で生き生きと働き続けることができる、そうした職場環境をつくるというために、デジタル技術の活用ということは必須の要素というふうに考えておりまして、ルーティン業務を含めた業務全体の合理化、効率化を一層推進するということが極めて重要ではないかというふうに認識しております。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございます。
デジタル化というのは必須でございますので、是非進めていただきたいと思いますが、ただ、一方で、民間企業に対してデジタル化ですとか作業効率の向上ということを訴えている、その根底にあるのは、これによって、作業効率の拡大等によって生産性を向上しようということが根底にあろうと思いますから、これは公務員の働き方においても非常に重要な観点であろうと思います。これが進行していけば、働き方も変わりますし、過剰な残業も減ると私は考えておりますが、一方で、これを進めていく上では、幹部の皆さんですとか、あるいは、これまでデジタルに触れてこられなかった、あるいはそんなに積極的にデジタル化に進んでこなかった方々の意識改革も併せて必要になろうと思います。
なぜなら、生まれた頃からデジタル化の職員と、それから、生まれた頃には印刷も白黒を調整しなければいけなかった職員の皆さんとでは考え方が違いますので、まずそこを統一していかなければならないと思いますが、人事官としてその点をどのように改善していくか、お伺いします。
○土生参考人 御指摘ありましたとおり、私自身も、勤務する中で、進展するデジタル技術にどう対応していくか、いつも悩みながら仕事をしてきたという経験を持っておりますけれども、やはり、デジタル技術を活用した業務の効率化を進めるというためには、特に、やはり幹部でございますとか管理職員がしっかりと意識を持って積極的に取り組むということ、それから、そうした技術も活用しながら、しっかりと職務全体あるいは職員全体のマネジメントを行うということが重要であるというふうに認識しております。
人事評価制度というものがかなり定着してきておりますけれども、令和三年十月からは、人事評価につきまして、人材育成あるいはマネジメント強化のためのツールとして活用するという制度改正がなされたところでございます。現在では、業務運営や組織統率等に対しまして具体的な成果、マネジメント目標を必ず一つ設定するということ、それから、そうした評価項目の評価を人事評価全体の中で重視していくという措置が講じられてきているものでございます。
マネジメント能力を向上するという観点から、そうした制度を活用するとともに、しっかりと幹部職員が業務効率化あるいはデジタル技術の活用という視点、意識を持つことが重要であるというふうに考えておりまして、そうした幹部職員、管理職員のマネジメント能力の向上に取り組むことが必要ではないかというふうに考えております。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございます。
最後に一点伺いたいと思いますが、民間企業では既にタレントマネジメントというものが浸透しております。デジタル化が進行していけば、誰がどの分野に特化しているのかということが明らかになってきますから、これは、民間企業ではデジタルを用いて人事評価、そして人事の配属についてまで検討していると思いますけれども、霞が関においても、こういった考え方はこれから使っていった方がいいと私は考えますし、また、デジタルに特化した人材というものも必要になったり、あるいは別の特化した技術も必要になると思いますので、この点はどのように考えられますか。
○土生参考人 御指摘いただきましたとおり、業務の管理でございますとかあるいは人事管理、これについてもデジタル技術を活用していくということが重要であろうというふうに考えております。
これまでに比べて、やはり、一人一人の能力、それから希望ですとか意欲、そういうものをできる限り尊重しながら能力開発を進めていく、キャリア形成についてアドバイスをしていくということが求められているわけでございますので、そうしたきめ細かな対応をするためにもデジタル技術を導入するということが不可欠であろうというふうに考えておりますので、仮に今後任命されることになりましたら、そうした点を十分意識して職務に邁進してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(敦)委員 デジタル化、これからやっていくことですので、トライ・アンド・エラーもあろうかと思いますが、民間でやっていること、国家公務員でやっていること、いろいろあると思いますが、いろいろ観察をしながらよりよい職場環境をつくっていただければと思います。
終わります。
○山口委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
人事官候補者でございます土生参考人、早速ですが質問をさせていただきます。
先ほど来、所信の中で、人材の確保とパフォーマンスの向上ということで、そして今議論がございましたとおり、その中でデジタル化というのは非常に大事な内容であると私も思っております。そんな中で、業務は複雑化、多様化していく、そして、どうやってそういったものに迅速に対応するか。デジタル化、デジタル化と言いますけれども、やはりデジタル化を進めるためには人材が必要だ、私はそのように思います。
そこで、この国家の機関の安全で安定したデジタル化を進めるための人材確保、これに向けてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせ願えますでしょうか。
○土生参考人 お答えいたします。
御指摘ございましたとおり、複雑化する行政上の課題に的確に対応していくため、公務におけるデジタル人材の確保、これは急務になっているものと考えております。
これにつきましても、やはり、素養を有する新規学卒者の確保、それから、それと併せまして専門性を有する民間人材の確保、両面から取組を進める必要があるというふうに考えております。
新規学卒者の確保につきましては、現在では、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針に基づきまして、令和四年度の国家公務員採用試験から、総合職試験におきましてデジタル区分というものが新設されたところでございますし、また、一般職の試験でも、従来の電気・電子・情報区分を、デジタル・電気・電子区分ということで試験内容を見直すなどの取組を行われております。また、令和六年度の国家公務員採用試験からは、高卒程度試験を含む全試験の基礎能力試験におきまして情報分野の問題を出題するということで、職員に広くデジタルの情報の素養を求めるという見直しが進められているものと承知をいたしております。
他方におきまして、やはり外部からの人材確保、これも重要でございます。現行制度におきましても、任期付職員法に基づいた、高度の専門的な知識経験を有する者の任期を定めて採用するという仕組みが設けられておりますので、こうした制度を十分に活用しまして、新規学卒者の確保、それと民間人材の確保、両面からデジタル人材の確保に取り組むことが必要ではないかというふうに考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
まさに、デジタル人材の確保、そして、デジタルもそうですけれども、今の世の中というのは、デジタルだけじゃなくて、医療にしても物流にしても、様々なものが急激に技術的に革新をしていく、そういった流れの中で、現場の専門性を生かして、さらにそれを行政機関の中で生かすような、そういった民間の人材の活用というのも非常に重要であるというふうに私も思うんですけれども、その点についての考え方も、もう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。
○土生参考人 御指摘いただきましたとおり、複雑化する、高度化する行政課題に対応するためには、民間企業等において多様な経験あるいは高度な専門性を有する人材をより一層公務に誘致していくということが不可欠でございます。
具体的な仕組みとしましては、およそ三つぐらいあると伺っております。選考による採用、経験者採用による場合、あるいは、先ほど申し上げました一般職の任期付職員の採用等による場合、それからさらには、先ほども御質問ありましたけれども、国と民間企業との間の人事交流に基づく場合、こういった場合があるわけでございます。
例えば任期付職員の採用による場合では、先ほども若干申し上げましたけれども、専門性や業務の重要度等に応じて柔軟な給与決定を行うということが可能になっておりますし、さらに、令和六年度の人事院勧告に向けましては、ボーナスの拡充でございますとか勤務成績の反映による年収水準の引上げなども検討されておるやに伺っているところでございます。
あわせまして、官民人事交流におきましても、人事交流を図るための交流基準の見直しでございますとか審査事務の合理化を行って、これが既に施行されているところでございまして、官民人事交流の更なる活用を促進するということが可能となってきているわけでございます。
こうした取組を更に積極的に進めることによりまして、民間人材の方に公務に入っていただきまして活躍していただく、こうした取組を進めていく必要があるのではないかと思っております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
まさにそういったデジタル人材、また民間の人材の活用を積極的に進めていただきたいと思います。
最後の質問でございますが、一方で、やはり国家公務員の志望者をしっかり増やして、優秀な人材を、やはり国のために働いていただけるような、そういった流れも大事だと思います。これについては、各省と連携しての、国家公務員としての業務の魅力というものをしっかりと発信するなどの、そういった協力体制も必要かと思いますが、その上で、これらも含めた、人材の確保に向けた国家公務員試験の在り方、今後どうあるべきか、その点についての考え方をお聞かせ願えますでしょうか。
○土生参考人 お答えいたします。
人事院では既に、先ほどデジタル人材の確保という観点で申し上げましたけれども、全体として、国家公務員採用試験の申込者の増加を目指して、公務志望者の裾野拡大に向けた取組を強化されているものと承知をいたしております。
具体的には、二〇二三年度の試験から、春の総合職試験の日程の早期化、あるいは総合職試験教養区分の受験可能年齢の引下げが行われておりますし、二〇二四年度の試験からは、更なる日程の前倒し、さらには、人文系専攻者が受験しやすいような出題の見直しなど、採用試験改革を順次実施しているところでございます。
あわせまして、先生から御指摘ございましたとおり、やはり適切な情報発信をしていくということが重要でございます。国家公務員の職場に対するイメージの向上、それからさらに、人材獲得競争が厳しくなっております技術系の方を対象とした、特に集中をしたイベントを開催する、こうしたことを各府省と連携をして実施していくことが重要であるというふうに考えております。
今後とも、やはり超過勤務の縮減、こういった働き方の改革など、前提となる改革を進めながら、公務員志望者の裾野拡大に向けた採用試験改革の推進、それと併せた積極的な情報発信、こうしたことを重点的に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
土生参考人が所信で述べられたとおり、しっかりとした人材の確保とそのパフォーマンスの向上を期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
土生参考人にお尋ねをいたします。
民主党政権の後、第二次安倍内閣は、国家、国益に奉仕する国家公務員を掲げ、政権の方向性を常に念頭に置いて取り組むよう求め、政権に奉仕する公務員への改革を推進してきました。
二〇一四年の国家公務員法改定では、幹部職員人事の一元管理と称して、内閣官房に内閣人事局を設け、官邸が各省庁の幹部人事に関与する仕組みをつくりました。
土生参考人は内閣人事局の人事政策統括官を務めていたこともあります。内閣人事局のメリット、デメリットをどのように認識しておられますか。
○土生参考人 まず、御指摘のございました幹部人事の一元管理ということでございますけれども、職員の活用を府省横断的に行うという観点、さらに、適切な人事管理を徹底するという観点で、国家公務員法の改正により導入されたということでございます。
幹部職員は、大臣等を直接補佐し、所管行政の遂行に責任を持つ立場でございますので、行政運営に与える影響、これは当然大きいわけでございます。その任用につきましては、能力実証が適切に行われ、それに基づき、任用が客観的な基準、適正な手続の下で公正に行われることが必要でございます。
国家公務員法では、適格性審査を公正に行う、あるいは、それに関連する政令を改正する場合には人事院の意見を聞いて定めるということになっているわけでございますので、こうした仕組みを通じて、引き続き公正性が確保されるということが必要ではないかというふうに思っております。
デメリットということも御指摘ございましたけれども、私は、こうした仕組みは時宜に応じた適切な仕組みであるというふうに考えておりまして、そうした手続、任用が今後とも適切に行われていくということが重要ではないかというふうに考えております。
○塩川委員 文部科学省の官僚だった前川喜平氏は、文部科学事務次官時代に、官邸から幹部人事を差し替えろというのは間々あった、官邸の了解が必要ない課長クラスでも、あの人物を処遇しろとか外せと指示されたと言います。
必要以上の人事介入が行われていた、このような指摘をどう受け止めておられますか。
○土生参考人 御指摘でございますけれども、私はそうした個々の御発言については十分承知をいたしておりませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたとおり、国家公務員法の改正の趣旨に沿いまして、幹部人事の一元管理につきましては、職員の活用を府省横断的に行う適切な人事管理を徹底する目的で導入されたものでございます。その公正性を確保するために、能力、実績に応じた人事管理が適切に行われることが何よりも重要であると考えております。
○塩川委員 内閣人事局の設置は、国民に奉仕する公務員から総理官邸に奉仕する公務員へと、公務員制度の変質を推し進めたのではないのか、こういう批判もあります。
総理官邸に忖度する公務員の問題として、森友疑惑が議論になりました。その森友疑惑に関わって、土生参考人は、内閣官房内閣審議官として、安倍総理夫人付の職員配置について繰り返し国会で答弁する立場にありました。
総理の公務の遂行を補助するためとして、総理夫人が行う活動をサポートする秘書官的な職員を五人も配置していた。三人は外交担当の外務省非常勤職員、あとの二人は外交以外で総理夫人をサポートする経産省の常勤職員でした。しかし、森友学園と安倍総理夫人の密接な関わりがあった二〇一五年九月から十一月の三か月間、外交以外で総理同行でもない日程というのはただの一つもありませんでした。この三か月の間には、森友学園の塚本幼稚園に行き、安倍総理夫人が名誉園長に就任し、森友学園の頼み事に応えていた。総理夫人付の二人の職員は、安倍総理夫人の私的、政治的な活動のサポートを行っていたことになります。
このような仕事の在り方は適切だったと考えますか。
○土生参考人 私の過去の答弁について、るる引用していただいたわけでございます。
個別に、今、どのようなことでどういうふうに申し上げたか全て記憶しているわけではございませんけれども、私としては、国会答弁一般に対する対応といたしまして、当時の職責、あるいは状況の判断、あるいは事実関係に基づいて誠実に答弁をしてきたものでございますけれども、その答弁の内容について、今個々にコメントするというところまでは記憶してはございません。
○塩川委員 このような安倍総理夫人の私的、政治的な活動をサポートしていた職員の政治的な動きに対して、本来、人事院は意見を述べるべき立場だったと考えますが、どのように受け止めておられますか。
○土生参考人 御質問いただきながら、少し思い出してきた面もございますけれども、昭恵夫人は私人として活動されており、それに対して、外交面も含めた公務遂行の補助、そうした日程調整を含めた支援をするということで夫人付職員が配置をされていたというふうに、当時、私も含めて内閣官房では答弁をしていたというふうに思いますので、そこに不適切なことがなければ、人事院が何かをするということはなかったのではないかというふうに考えております。
○塩川委員 当時、安倍総理夫人付の職員は五人でしたが、今の岸田総理夫人付の職員は二人になっております。
安倍政権時代のこのような職員配置の背景に、安倍総理夫妻への忖度があったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○土生参考人 現在、その配置に至った経緯、詳細は承知しておりませんけれども、その時々の政権の判断においてそのような対応がなされていたものというふうに考えております。
○塩川委員 今の公務の職場は、余りにも余裕のない職員体制となっています。仕事に対し必要な人員を手当てするのではなく、五年間で一〇%という定員削減分を原資に必要な人員増を賄うという定員合理化計画は、職場の実態に合わないのではないでしょうか。
○山口委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。
○土生参考人 定員管理自体は内閣人事局の所管であるというふうに承知いたしておりますけれども、一般論として、超過勤務の縮減ですとか業務の合理化、こういうものを最大限進めながら、必要なところに必要な人材を確保していく、こういうことは公務を遂行する上で必要ではないかというふうに考えております。
○塩川委員 終わります。
○山口委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
先ほどから拝見しておりますと、本当に様々な観点から質問が来ても、全てメモを事前に準備されているんでしょうか、丁寧な答弁をされている姿が印象的でした。いろいろなことを想定されているということを期待して、ちょっと前広な質問をさせていただきたいと思います。
先日発表されましたけれども、二〇二四年国家公務員採用総合職試験の応募者数、一万三千五百九十九名で、昨年よりも五・四%減となったそうであります。一方、減っているだけではなくて、女性の応募者は五千七百七十五名となり、全応募者の四二・五%で過去最高となったそうであります。
これは非常にポジティブなニュースでありますけれども、そこで気になるのは、やはり、女性の職員が全体的なキャリアを通じてしっかりと働き続けることができる、能力を発揮することができる環境整備がまさにこれから重要になっていくと思うんですが、この観点からまず伺いたいと思います。
仕事と家庭を女性職員が両立しながら、キャリア全期間にわたって能力を発揮できる環境の整備に向けたお考えを伺いたいと思います。
○土生参考人 お答えいたします。
御指摘ございましたとおり、先頃発表されました二〇二四年度国家公務員採用総合職試験の申込状況につきまして、女性の割合が過去最高になったということでございます。これは、取組の一定の成果が出ているというふうに認識しております。
他方におきまして、こうした方が本当に公務に入ってきていただくということ、それから、何よりも働き続けていただくということが大変重要でございます。
女性職員に限らないわけでございますけれども、女性職員が働きやすい勤務環境を整備する、これは全体の環境整備にも寄与するということでございますので、柔軟な働き方を可能にするような各種制度の推進、具体的に言いますと、フレックスタイムでございますとかテレワークの推進でございますとか、あるいは育児・介護休暇、そういったものの整備、こうしたものに引き続き積極的に取り組むことによりまして、女性の方も安心して働き続けられるような職場環境整備、さらには、そうした方を能力評価を通じてきちんと登用して、活躍していただく、こういった取組が重要ではないかというふうに考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。
私としては、勤務間のインターバルみたいなものも、是非、今後の、人事院の内部では検討していただきたいと思っております。
次の質問です。
国家公務員法第五条の中には、人事官に関する記述がございます。その中に、成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があることというのが書かれております。
まず伺いたいんですが、公務員人事処遇制度、これまで長らく年功制というものが定着をしてきたわけですけれども、成績本位なものへ変えていくべきというふうに今お考えになっているかどうか、伺えますでしょうか。
○土生参考人 お答えいたします。
これまでに比べまして、現在では、人事評価というものを活用しまして、これを給与に反映する、あるいは次期の昇任に反映する、そうした仕組みが整えられているということでございます。
やはり、今後も有為な若者が公務を目指していただいて働き続けていただくためには、そうしためり張りのある人事ということを更に進めていくということが重要ではないかというふうに考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。
そして、次の質問なんですが、経験だけではなく、年齢だけではなく、成績、実力も考慮した人事処遇制度へ切り替えていくということに対しては肯定的な御意見をお持ちだということが分かりましたが、一方で、一定の年齢を過ぎたからといって、能力が落ちるわけではない。つまり、六十歳以降の職員の方たちの処遇について次は取り上げたいと思うんです。
役職定年制というのがあります。六十を過ぎると責任あるポストから降りるという仕組みですね。あとは、それと同時に、基本給が七割に減るということがあります。これは民間企業でも広くそういったことは行われているんですが、同一労働同一賃金ですとか、あるいは、年齢によって人の能力は変わらない、高齢化社会への備えということを考えれば、この是非についてどのようなお考えをお持ちか、最後に伺いたいと思います。
○土生参考人 私も今六十一歳ということでございまして、先生おっしゃること、よく理解して、同様の認識を持っております。
他方におきまして、定年を段階的に引き上げているというのが現状でございますので、そうした中で、定年引上げに伴います若い人たちへの影響、これをやはり考えていく必要があるということでございます。組織活力全体を低下させないためにも、役職定年制という制度は、少なくとも現時点では必要なんだろうというふうに考えております。
また、給与水準につきましても、現時点では、民間企業の再雇用制度等も踏まえまして、高齢者雇用の実情を踏まえまして、七割という水準に設定されているものと理解をしているわけでございます。民間準拠というのが国家公務員法の基本でございますので、そういったことになっているということでございますけれども、いずれにいたしましても、今後の高齢者雇用の進展、民間の方もかなりこれから変わっていくというふうに思いますので、そうした動向も注視しながら、人事管理の在り方全体の中で引き続き検討していくべき課題ではないかというふうに考えております。
○浅野委員 終わります。ありがとうございました。
○山口委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。
これより自由質疑を行います。
質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。
また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。
それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
○後藤(祐)委員 立憲民主・無所属の後藤祐一でございます。
公務員の超過勤務削減に関連してなんですが、これについては、国会対応業務、とりわけ国会側からの通告が遅いということが大きな原因になっていることは認識しておりますし、この改善には我々が努めていかなきゃいけないということは強く認識し、その努力には今後努めていきたいと思いますが、これは去年の四月二十六日の議運の理事会であった議論なんですけれども、今の国会通告のルールが、平成十一年のときの前々日の正午までというのが上書きされて、平成二十六年、速やかな通告に努めるということになっていることは委員長からも確認がありましたが、このことについては、霞が関内アンケートでは、そうでないかのような紙が行き交っていたということについては、川本総裁の方から、私どもの認識が違っているということで大変申し訳なく思っているというおわびがありました。
この認識はちゃんと引き継いでいただきたいということと、あとは、我々国会側も努めますけれども、国会の質問、作成の割り振りですとか、クリアの体制ですとか、霞が関内における国会対応業務の効率化、あるいは、予算関連業務ですとか、人事業務ですとか、国会以外の業務で残業の原因になっているものもたくさんありますので、是非そこはよく考えた上で、公務員の超過勤務削減に努めていただきたいと思います。
発言だけで結構です。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
二〇〇〇年代以降、官邸機能強化の下で、政権中枢の内閣官房や内閣府において、民間企業から出向してきた人が非常勤の国家公務員として勤務し、重点政策の企画立案を行っている事例が増加をしています。
人事院が所管する官民人事交流法では、出身元企業の業務に従事することや給与補填を禁止する等、公務の公正性を確保するための規制を定めております。一方、非常勤職員は、兼業が可能だということを理由に、出身企業からの給与補填を容認しております。
これでは、誰のために仕事をしているのか、公務の公正性に疑念が生じると思いませんか。
○土生参考人 お答えいたします。
社会経済情勢が激変する中で、複雑化、高度化する行政課題に対応するために公務組織に多様で有為な人材を確保するということ、このために、民間企業等における多様な経験、高度な専門性を有する人材を誘致することが必要となってきておりまして、そうした背景の下、各府省における民間人材の採用が拡大してきているものと承知をいたしております。
他方で、公務の公正性を確保するということは当然必要であるということでございまして、非常勤職員の方につきましても、国家公務員としての各種服務規定が課されているということでございます。各府省におきまして、それらの服務規律を十分遵守させるということ、あるいは、職員の配置、従事する業務、事前から十分に配慮する、こういった適切な運用を図るということを、これまでも人事院において周知徹底されているものと聞いておりますので、そうした取組を続けていくことが必要ではないかと考えます。
○山口委員長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、これにて土生参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。
土生参考人、ありがとうございました。
以上をもちまして人事官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。
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○山口委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る十四日木曜日午後一時から開会することといたします。
また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会