衆議院

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第1号 令和7年2月27日(木曜日)

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本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      河野 太郎君    西銘恒三郎君

      牧島かれん君    安住  淳君

      今井 雅人君    池下  卓君

二月二十六日

 牧島かれん君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和七年二月二十七日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 牧島かれん君

      大空 幸星君    河野 太郎君

      西銘恒三郎君    根本  拓君

      安住  淳君    五十嵐えり君

      今井 雅人君    森山 浩行君

      屋良 朝博君    池下  卓君

   兼務 大西 洋平君 兼務 坂本竜太郎君

   兼務 塩崎 彰久君 兼務 森下 千里君

   兼務 宮川  伸君 兼務 仙田 晃宏君

   兼務 中川 宏昌君 兼務 八幡  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)

   (デフレ脱却担当)    加藤 勝信君

   国務大臣

   (原子力防災担当)    浅尾慶一郎君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (サイバー安全保障担当)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (領土問題担当)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)

   (女性活躍担当)

   (共生社会担当)    三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (賃金向上担当)

   (スタートアップ担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (感染症危機管理担当)

   (防災庁設置準備担当)

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (新しい地方経済・生活環境創生担当)

   (国際博覧会担当)    伊東 良孝君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   復興副大臣        輿水 恵一君

   復興副大臣        鈴木 憲和君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      大串 正樹君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   衆議院事務総長      築山 信彦君

   参議院事務総長      小林 史武君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 神戸 敬行君

   裁判官訴追委員会事務局長 山本 麻美君

   国立国会図書館長     倉田 敬子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   会計検査院長       田中 弥生君

   最高裁判所事務総長    氏本 厚司君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        齋藤 博之君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     北尾 昌也君

   政府参考人

   (内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官)  藤吉 尚之君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  吉田 宏平君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岸田里佳子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府孤独・孤立対策推進室長)         江浪 武志君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  齊藤  馨君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      黒田武一郎君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            中村 英正君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   布施田英生君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     山野  謙君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     牛尾 則文君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     大沢 元一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            谷村 栄二君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   辻本 圭助君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           藤田 昌邦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            長崎 敏志君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    石川  武君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        嶺  康晴君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

   予算委員会専門員     中村  実君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     広瀬  建君

  今井 雅人君     五十嵐えり君

  池下  卓君     高橋 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     根本  拓君

  五十嵐えり君     森山 浩行君

  高橋 英明君     梅村  聡君

同日

 辞任         補欠選任

  根本  拓君     長谷川淳二君

  森山 浩行君     屋良 朝博君

  梅村  聡君     黒田 征樹君

同日

 辞任         補欠選任

  長谷川淳二君     大空 幸星君

  屋良 朝博君     今井 雅人君

  黒田 征樹君     池下  卓君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     広瀬  建君

同日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     草間  剛君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     河野 太郎君

同日

 第二分科員森下千里君、宮川伸君、第六分科員中川宏昌君、第七分科員坂本竜太郎君、第八分科員大西洋平君、塩崎彰久君、仙田晃宏君及び八幡愛君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

牧島主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。黒田宮内庁次長。

黒田政府参考人 令和七年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の令和七年度における歳出予算要求額は、百十三億七千百万円余でありまして、これを前年度当初予算額百一億四千百万円余と比較いたしますと、十二億三千万円余の増額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費百八億一千二百万円余、皇族に必要な経費二億三千五百万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費九億五千九百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費九十八億五千二百万円余でありまして、前年度に比較して十二億五千八百万円余の増額となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で令和七年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。築山衆議院事務総長。

築山事務総長 令和七年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百八十一億一千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億四千百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度補正予算(第1号)に計上されました衆議院施設整備に必要な経費等の増額相当分が減少したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百五十億六百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百九億三千二百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十五億二千五百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として六億四千百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、令和七年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。小林参議院事務総長。

小林参議院事務総長 令和七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百二十七億三千七百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、八億二百万円余の増額となっております。

 これは、主に、第二十七回参議院議員通常選挙の実施に伴う経費が増額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百六十億四千六百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十六億二千万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十億六千五百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議事堂本館等の施設整備に必要な経費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、令和七年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。倉田国立国会図書館長。

倉田国立国会図書館長 令和七年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百四億二千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十三億一千五百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度補正予算(第1号)に計上されました所蔵資料のデジタルアーカイブ整備に関する経費の増額相当分が減少したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等、百四億三百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等、七十八億一千六百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千五百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十一億一千万円余を計上いたしております。

 以上、令和七年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。神戸裁判官弾劾裁判所事務局長。

神戸裁判官弾劾裁判所参事 令和七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億二千三十八万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九百五十八万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、令和七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。山本裁判官訴追委員会事務局長。

山本裁判官訴追委員会参事 令和七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億四千九十一万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五百二十一万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、令和七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。氏本事務総長。

氏本最高裁判所長官代理者 令和七年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和七年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千三百五十一億九千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千三百九億七千九百万円と比較いたしますと、差引き四十二億一千三百万円の増加となっております。

 次に、令和七年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 一つ目に、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百八十億二千三百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判手続等のデジタル化関連経費として百二十五億五千四百万円を計上しております。このうち、民事訴訟手続のデジタル化関連経費として四十八億四千九百万円、刑事手続のデジタル化関連経費として二十二億三千二百万円、民事非訟、家事事件手続のデジタル化関連経費として五十億二百万円、司法行政のデジタル化関連経費として四億七千百万円を計上しております。第二に、家庭裁判所の充実強化関連経費として五十四億六千九百万円を計上しております。

 二つ目に、庁舎の新営等のための経費として百四十億百万円を計上しております。

 次は、定員の関係であります。

 家庭事件処理の充実強化を図るため、家庭裁判所調査官を五人、事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のこどもの共育て推進等を図るため、裁判所事務官を九人増員することとしております。他方、政府の定員合理化計画への協力等として六十一人の減員をすることとしております。

 なお、この増員等の中には、裁判所速記官から家庭裁判所調査官への振替五人が含まれております。

 したがいまして、裁判所全体で差引き四十七人の純減となります。

 以上が、令和七年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。田中会計検査院長。

田中会計検査院長 令和七年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の令和七年度予定経費要求額は、百六十三億四千二百万円余でありまして、これを前年度予算額百六十三億五千百万円余と比較いたしますと、八百万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十億七千九百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十二億六千二百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発、運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 以上、会計検査院の令和七年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。林内閣官房長官。

林国務大臣 令和七年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の令和七年度における歳出予算要求額は千二百十五億五千万円でありまして、これを前年度当初予算額千百十四億六千万円に比較しますと、百億九千万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として千九十五億五千三百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億円、人事院には、人事行政等のための経費として百八億九千六百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の令和七年度における歳出予算要求額は八兆三千六百九十八億二千三百万円でありまして、これを前年度当初予算額七兆千四百四十三億七千二百万円に比較しますと、一兆二千二百五十四億五千百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として六千八百二十二億八千二百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十九億千四百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百五十三億七千万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千八百七十四億五千七百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として四十一億五千二百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十七億六百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融政策推進等のための経費として二百三十八億五千六百万円、消費者庁には、消費者の安心、安全の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百四十一億千百万円、こども家庭庁には、子供、子育て政策の推進等を図るための経費として七兆三千二百六十九億七千五百万円を計上いたしております。

 以上をもって令和七年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。平デジタル大臣。

平国務大臣 令和七年度デジタル庁予算について、その概要を御説明申し上げます。

 デジタル庁におきましては、令和六年六月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画に定めるデジタル化施策を推進するための予算として、デジタル庁所管の歳出予算額を総額四千七百五十二億五千万円計上しております。

 前年度当初予算額より二百十一億五千七百万円の減額となっております。

 以下、予算額の内訳について御説明を申し上げます。

 第一に、デジタル社会形成の推進に関する経費として、マイナンバー制度の推進等に係る経費、準公共・相互連携分野デジタル化推進に係る経費等、十二億三千五百万円を計上しております。

 第二に、情報システムの整備、運用に関する経費として、ガバメントクラウド等の各府省庁が共通で利用するシステムやネットワークの整備に係る経費等、四千五百七十二億八千百万円を計上しております。

 第三に、デジタル庁の運営に関する経費として、デジタル庁の体制強化に係る経費やデジタル人材確保に係る経費等、百六十七億三千四百万円を計上しております。

 以上、令和七年度デジタル庁予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。伊藤復興大臣。

伊藤国務大臣 令和七年度復興庁予算について御説明を申し上げます。

 復興庁におきましては、第二期復興・創生期間の最終年度である令和七年度において必要な取組を精力的に進めるため、地震、津波被害地域において被災者支援などきめ細かい取組を着実に進めるとともに、原子力災害被災地域では帰還環境の整備、生活再建など本格的な復興再生に向けて取り組み、また、これらに加えて、福島始め東北地方が創造的復興を成し遂げるための取組を進めてまいります。そのための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額四千八百六十四億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明を申し上げます。

 第一に、被災者支援については、被災者の心のケア等の心の復興、見守り、相談支援など、きめ細かい支援等に必要な経費として百九十九億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、災害公営住宅や災害復旧事業等について支援を継続するために必要な経費として六百七十五億円を計上しております。

 第三に、産業、なりわい再生においては、原子力災害被災十二市町村における事業再開支援や、避難指示解除区域における工場等の新増設支援等の取組に必要な経費として三百六十一億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、避難指示解除区域における生活環境の整備や、特定復興再生拠点の整備、特定帰還居住区域への帰還に向けた取組を実施するとともに、中間貯蔵関連事業の着実な推進等に必要な経費として三千三百五十五億円を計上しております。

 第五に、創造的復興については、単に震災前の状態に戻すのではなく、創造的復興を実現するため、以上の取組に加え、福島国際研究教育機構の取組や、福島イノベーション・コースト構想の推進等に必要な経費として二百二十四億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など千七百二十八億円を計上しており、全体では六千五百九十二億円を計上しております。

 以上、令和七年度の復興庁予算の概要について御説明を申し上げました。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 令和七年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和七年度予算においては、防衛力整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向け、必要かつ十分な予算を確保するという考えの下、衛星コンステレーションの構築等によるスタンドオフ防衛能力の強化など、将来の防衛力の中核となる分野を始めとする七つの重点分野における事業の推進に必要な金額を計上しております。装備品の可動率向上、弾薬確保とともに、防衛施設の強靱化への投資を引き続き重視します。

 また、防衛生産・技術基盤の強化を推進してまいります。基地周辺対策を推進し、米軍再編を確実に実施してまいります。

 これらに加えて、特に令和七年度は、自衛官の現下の厳しい募集状況に鑑み、令和六年十月に設置された関係閣僚会議において取りまとめられた基本方針を踏まえ、人的基盤の強化に係る施策に迅速に取り組むこととし、自衛官であること、また、自衛官であったことの誇りと名誉を得ることができるような、令和の時代にふさわしい処遇を確立していくこととしています。

 なお、足下の物価高、円安の中、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、引き続き経費の精査と装備品の効率的な取得を一層推進する考えです。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は八兆六千六百九十億五千七百万円となり、前年度の当初予算に比べて七千五百十八億八千万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で三千百六十五億二千六百万円、潜水艦建造費で千百九十三億九千七百万円となっております。

 また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等の整備、提供施設移設整備などで六兆八千二百五十九億七千三百万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、我が国の防衛力整備については、前年度に引き続き、射程や速度、飛翔の態様、対処目標、発射プラットフォームといった点で特徴が異なる様々なスタンドオフミサイルの研究開発、量産、取得を行います。また、スタンドオフ防衛能力の実効性確保に必要な目標の探知、追尾能力の獲得のため、令和七年度末から衛星コンステレーションの構築を開始します。さらに、宇宙領域において、現在運用中のXバンド防衛通信衛星きらめき二号の後継機として、通信能力などが向上された次期防衛通信衛星の整備に着手をします。

 第二に、同盟国、同志国等との協力については、我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による抑止力、対処力を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。

 第三に、防衛生産・技術基盤の維持強化については、防衛生産基盤強化法の着実な執行等により、力強く持続可能な防衛産業の構築、様々なリスクへの対処、防衛装備移転を推進するとともに、研究開発、民生の先端技術の活用に取り組んでまいります。また、グローバル戦闘航空プログラム政府間機関を通じ、次期戦闘機の共同開発を推進します。

 第四には、自衛官の処遇、勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立であります。

 自衛官の現下の厳しい募集状況に鑑み、正面装備品のみならず、人的基盤を拡充することは極めて重要な課題です。令和六年十月に設置されました関係閣僚会議において取りまとめられた基本方針を踏まえ、しっかりと必要な施策に取り組む所存です。

 具体的には、まず、自衛官の処遇改善のため、過去に例のない三十を超える手当等の新設や金額の引上げ等を行い、特に募集状況が厳しい士の確保のため、任用一時金の引上げを行います。また、予備自衛官の処遇改善も重要であり、手当の引上げ等を実施いたします。

 生活、勤務環境の改善も重要であり、若い世代のライフスタイルに合った生活、勤務環境の構築のため、営舎内居室の個室化や隊庁舎の改修等を実施するとともに、仕事と育児、介護の両立及び女性の活躍の推進や、被服、糧食の充実も推進します。

 このほか、新たな生涯設計の確立、自衛官採用の推進のための広報、募集強化などに取り組みます。

 以上の防衛省・自衛隊所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百十三億九千三百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。

 これをもちまして令和七年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようにお願いを申し上げます。

 以上です。

牧島主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま中谷防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申出がありますので、これを許します。塩崎彰久君。

塩崎分科員 皆さんこんにちは。衆議院議員の塩崎彰久でございます。

 今日は、予算委員会の第一分科会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、辻副大臣にお尋ねしたいと思います。

 グローバル・スタートアップ・キャンパス、この予算委員会でも度々与野党で話題となってきたプロジェクトでございます。

 このグローバル・スタートアップ・キャンパスにつきまして、元々の議論の発端として、昨年九月四日のフォーサイトという雑誌の記事の中で、このグローバル・スタートアップ・キャンパス構想が、MITというアメリカの大学との間の提携話、これがうまくいっていない、進んでいないのは伊藤穣一さんという方がエグゼクティブアドバイザーに就いているからではないか、こういう記事が出されて、それに基づく議論がこれまでこの予算委員会でもされてまいりました。

 ただ、この見方については、二月十八日、城内大臣の方で、閣議後会見において、事実無根であるというふうに言明されたというふうに理解をしております。具体的に言いますと、城内大臣は、海外大学との交渉において伊藤穣一氏の存在が障害になったという指摘は全く当たらず、構想の実現に向けて御協力をいただいている伊藤氏の名誉を不当に傷つけるものであるという形で、強い言葉で非難をされたと理解しております。

 そもそも、日本政府とMITとの提携交渉、これは、伊藤さんがエグゼクティブアドバイザーに就任したのが昨年の四月ですけれども、私の理解しているところでは、それよりも前に既に基本的な条件のところで大きく乖離があって折り合わず、言ってしまえば頓挫している状態になっていた。これを何とかプロジェクトを前に進めていくときに、MITだけでなく、ほかの様々な海外の大学、研究機関との提携も含めて、国内外に豊富なネットワークを持つ伊藤さんに来ていただいた。

 つまり、ゼロを一にする、元々行き詰まっている、苦労しているプロジェクトを前に進めるという意味で、伊藤さんに来ていただいて御尽力をいただいているのではないかと理解しておりますが、この辺り、まだこの国会では具体的に説明が十分されていないのではないかと思いますので、やはり優れた民間の方に様々な政府のプロジェクトに御協力をいただく上でも、改めて、MITとの交渉経緯に照らして伊藤氏の存在の論点について、内閣府の見解をお伺いできればと思います。

辻副大臣 塩崎委員の質問にお答えします。

 私がこの後答弁が入っているので質問の順序も配慮していただき、ありがとうございます。

 GSC構想、御質問いただきありがとうございます。また、先週、城内大臣の閣議後の会見にも言及していただきました。基本的にはそのとおりでございますが、せっかく質問いただいたので、伊藤穣一さんの件についても少し深掘りしてお話しさせていただければと思います。

 実際、MITを始めとする海外の大学と交渉を進めるに当たって、伊藤穣一さんには内閣官房の非常勤のエグゼクティブアドバイザーに就任をしていただいていますが、一部、伊藤さんの存在が交渉の障壁になっているとの指摘が上がっていることは承知していますが、こうした指摘は事実とは全く異なっているというのは、先週の城内大臣の会見のとおりでございます。

 そもそも、本構想の実現、委員も長い海外経験があるので御承知だと思いますけれども、こういった構想の実現に向けては、海外の大学のみならず、関係機関との連携協力が不可欠でして、数年来、内閣官房は交渉を進めてきたんですが、正直申し上げまして、組織や文化、制度、言語が異なる海外機関との交渉はやはり難易度が高いんですね。それで、MITに関しては、先方の要求水準が高いことなどもあり、当初の想定以上に調整に時間を要してきたところが正直なところでございます。

 そうした中で、そういった海外のエコシステムに詳しくて、海外の大学や、企業や投資家、篤志家等々にネットワークを持つ伊藤氏の御知見が、構想の具体化やMITに限らずですよ、ほかの様々な海外機関との連携を模索する上で有益と考えて、昨年四月以降、非常勤のエグゼクティブアドバイザーとして情報提供や御助言をいただいているということは事実でございます。

 しかし、こうした経緯や事実関係を踏まえれば、海外の大学との交渉において伊藤氏の存在が障壁になっているとの指摘は全く当たらず、構想の実現に向けて御協力いただいている同氏の名誉を不当に傷つけるものであることを改めて申し上げておきたいと思います。

塩崎分科員 はっきりとおっしゃっていただきまして、ありがとうございました。

 正しい事実認識に基づいて、そして民間の方の名誉を不当に毀損しないような形でしっかりとこの予算審議が行われること、その大事な土台になったのではないかと思います。

 辻副大臣、お時間があると思いますので、どうぞ御退席ください。

牧島主査 御退席ください。

塩崎分科員 それでは続きまして、今度は金融庁に、株主総会前の有価証券報告書の開示、これについてお伺いしていきたいと思います。

 加藤大臣、今日は、お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。

 私は元々、四年前にこの世界に来る前は弁護士をやっておりまして、第一東京弁護士会というところの民暴委員会の副委員長を長くやっておりました。何かというと、総会指導ですね。

 総会対策というと、元々は、総会屋さんからどうやって会社を守るか、トラブルなく短時間で総会を終わらせるのが上策とされていました。しかし、最近はそうじゃないですよね。今は、しっかりと株主の皆様に必要な情報を提供して、対話を通じて信頼を築いていく、これがあるべき株主総会の在り方だというふうに大きく時代は変わってまいりました。

 しかし、残念ながら、私が現職の弁護士だった時代から積み残っている課題の一つとして、有価証券報告書の総会前開示、これがなかなか進んできていないという問題があります。

 今、法律上は、総会前に事業報告の開示は義務づけられているんですけれども、お手元の別紙一の資料にありますように、有価証券報告書には、事業報告書に書いていない様々な有益な情報があります。取締役会の誰がどういう報酬をもらっているかとか、又はビジネスについてのより詳しい情報。こうした情報は当然、株主にとっても判断にとって有益な情報だと考えておりまして、実際に、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど諸外国では、総会前に年次報告書を開示するということが当然のプラクティスとなっております。

 こうした前提も踏まえて、昨年四月三日に岸田総理からは、企業と投資家の一層の対話の促進に向けて、より多くの企業において有価証券報告書の開示が株主総会前のタイミングになるよう、その環境整備に向けて、金融庁を中心に関係省庁と連携し検討を進めさせますというふうに明言をしていただきました。そして、昨年の十二月の二十日には、有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会、これが発足をしております。

 そこで、まず金融庁にお伺いしたいんですが、コーポレートガバナンスの観点から、総会前に有価証券報告書を開示することは望ましいのか望ましくないのか、まず、はっきりその点を教えてください。

西野大臣政務官 私が申し上げるまでもありませんけれども、有価証券報告書には、株主の皆様方が議決権を行使するに当たって有用な情報がたくさん盛り込まれております。ですので、こうした有価証券報告書が株主総会前に開示されるということは、企業と投資家との間の建設的な対話の更なる充実につながる、さらには企業のガバナンス向上につながるという観点からも、金融庁としても好ましいというふうに考えています。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 西野政務官、金融庁としてはっきりと、コーポレートガバナンス上は総会前開示が望ましいというふうに明言をいただきました。

 では、なぜこの開示が進んでいないのかでございます。よく企業の皆さんからは、業務量が大変でなかなか六末の総会には間に合わないんだ、こういうお話を聞きます。でも、本当にそうでしょうか。

 資料の二をお示しいたします。

 これは実際に有価証券報告書がいつ開示されたかというデータでございますが、こちらを見ていただきますと分かりますように、総会前に開示をした会社は、昨年でいいますと五十七社。しかし、総会の日、同日に開示した会社が千七百五十社。そして、総会の翌日に開示した会社が千五百七十一社。つまり、準備できていないわけではなくて、総会当日にはもうできているわけですね。翌日にはもうできている。実際、実務上、実務家の方に聞きますと、総会当日に開示できるということは、大体一週間前にはできていますということでございます。

 では、何でこれをその前日にでも開示しないのかということでございます。むしろ、これを開示すれば、事業報告書と一体開示というものができますので、これは企業にとっても業務負担の軽減になるというふうに思われます。

 金融庁としては、二〇一八年にこの一体開示のひな形も開示しているわけでございますが、なぜこの一体開示が進まないのか、そしてこれを進めるためにどのようなことを考えているのかお答えください。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、会社法上の事業報告等と、それから金融商品取引法上の有価証券報告書を一体化する、一本化するということは、企業の準備負担の軽減ともなります。有価証券報告書の株主総会前開示の促進につながるものと考えておりまして、私どもといたしましては、法務省や経済産業省等と連携いたしまして、まさに一体開示のためのひな形作り、あるいはFAQの公表などの取組を行ってまいったところでございます。

 しかしながら、企業の側からは、この一体開示、一本化を行うためには、有価証券報告書の作成スケジュールを株主総会の三週間前に前倒しする必要があるんだということで、現状の実務を踏まえると難易度が高いという意見が聞かれております。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、昨年末に、先ほど御指摘いただきました、有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会を設置いたしまして、一体開示の論点も含め、有価証券報告書の株主総会前の開示を促進するための具体的な施策について、実務的な議論を進めているところでございます。私どもといたしましては、こうした議論も踏まえ、必要な環境整備について検討を進めてまいります。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 企業側からなかなか準備が間に合わないという話があるということでございますが、少なくともデータ上は、総会当日にもう開示ができているわけですよね、翌日には開示ができているわけなので、必ずしも、本当に間に合っていない現状があるのか。

 もちろん、三週間前に開示しようと思ったら、これはもう少し日が必要だということはあるかもしれませんが、少なくとも、もうできているものは総会当日ではなく前日に公開したらどうですか。これは十分合理的な要請なのではないか、そして、それをやる余地が十分あるのではないかというふうに考えているところでございます。

 そこで、資料三、こちらをお示ししたいと思います。

 こちらは、日経新聞の今年二月六日の記事でございます。タイトル、「金融庁、株主総会の日程「後ろにずらして」 企業は慎重」ということでございます。

 この記事の中でも、実際に日本で有報を総会前に開示している企業、これは一%台にとどまるということが書かれております。その声として、今局長からもありましたように、実務上の負担があるというお話がございますが、この記事でも紹介されていますように、株主総会の日自体を後ろにずらすということは、今の法律上も何ら問題がないわけでございます。

 基準日を後ろにずらせば、株主総会はそこから三か月になりますので、必ずしも、三末決算の会社であっても、六月末までに総会をやらなければいけないということではなく、もう少し長い準備期間を持ってこれに当たっていくことができるわけでございます。そうすれば、この一体開示の準備時間も十分取り、そして一体開示を済ませた上で総会をしていただく。

 もちろん、法務部の皆さんは想定問答を作ったりとかいろいろ大変だ、そういうお声はあるかもしれませんが、しかし、昔とは違うわけですから、しっかり情報を開示して、そして株主の皆さんと対話をしていくため、日本のコーポレートガバナンスの質を上げていくためには避けられない道ではないかと思っております。

 この記事の中では、金融庁として、こうした七月以降の総会開催を促していくというふうに書かれているところでございます。

 基準日を動かして総会を七月以降にしてもいいじゃないか、こうした機運をつくり、そして多くの上場会社にそうした一体開示を進めていくために金融庁としてどういう取組、どういう促し方を考えているのか、これについて教えてください。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のとおり、制度上は可能であるにもかかわらず、株主総会前に有価証券報告書を開示する企業がいまだ少数にとどまっているという状況を踏まえまして、より多くの企業で有価証券報告書の総会前開示が進むよう、先ほど申し上げました連絡協議会において官と民の関係者が連携いたしまして、株主総会前の有価証券報告書開示の実現に当たっての実務的な課題の把握、それからその解決に向けた具体的な施策について御議論をいただいておりまして、その中には、御指摘のとおり、株主総会の開催日、それから、この開催日と直接関係いたします議決権行使の基準日、この論点も含めまして、実務的な議論を行っているところでございます。

 金融庁といたしましては、この協議会での実務的な議論も踏まえた上で、株主総会前に有価証券報告書を開示する取組の進展に向けて、環境整備の検討を進めてまいります。

塩崎分科員 ありがとうございます。

 これはしっかりと総会前の有価証券報告書の開示の意義を周知をしていただきまして、総会後ろ倒しに伴う一体開示という選択肢も含めて、理解が広がるように更に御尽力いただければと思います。

 そして、総会の基準日を変えてというと、来年以降の取組かなという会社も出てきてしまうと思うんですが、ここは是非金融庁にお願いしたいのは、もう一度さっきの資料二に戻ってください。昨年、総会当日に開示している会社が千五百社あるんです。総会翌日に開示している会社が千五百社あるんです。この三千社については、せめて二、三日前に開示したらどうですか、今年から。基準日の変更も何も要らないでしょう。準備できているんじゃないですか。これを是非まずやっていただく。それは今年からでも実現できることだと思いますので、是非お願いをできればと思っております。今年の総会のデータが大きく変わっていることを期待を申し上げたいと思います。

 次に、この総会前開示、金融庁の皆様からの度重なるこれまでの御努力、こちらを期待しているわけでございますが、本当にそれだけで足りるのかという思いが、長く実務に携わってきた立場からするとあります。やはりなかなか、みんながやるまでもうちょっと様子を見ようとか、来年以降考えよう、そういう会社も出てくるのではないかと思っております。

 そうした中で、例えば、極論を言えばですよ、総会前に有価証券報告書を開示しなければならない、これを法律で義務づける、ハードローでいく、こういうアプローチも当然考えられることでございます。日本の資本市場の健全な育成のためだということであれば、その理屈は十分あると思っております。

 ただ、現実的には、様々な企業、様々な事情があるということを考えると、私は、これはハードローというよりはソフトローでのアプローチ、具体的には、コーポレートガバナンス・コードにしっかりと、この総会前開示をするということをコーポレートガバナンス上望ましいプラクティスとして書き込んでいただいた上で、ガバナンス・コードはコンプライ・オア・エクスプレーンでございますから、それに従って総会前開示をしたところは、ちゃんとそれを開示をして株主から評価を受け、開示ができなかったところは、なぜ開示ができなかったかということをコーポレートガバナンス報告書の中で説明をしていく。こういうことをするのが一番、実質的に総会前開示を進めていく上ではよいのではないかと思っているところでございます。

 そういった意味で、私として、これは一つの案でございますが、資料四、こちらをお示ししていきたいと思います。コーポレートガバナンス・コード、じゃ、具体的にこういうふうに変えたらいいのではないかという提案でございます。

 今、現行のガバナンス・コードには、原則1―2、株主総会における権利行使という原則がございます。「上場会社は、株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識し、株主の視点に立って、株主総会における権利行使に係る適切な環境整備を行うべきである。」そして、この補充原則として、1―2の1でございますが、「上場会社は、株主総会において株主が適切な判断を行うことに資すると考えられる情報については、必要に応じ適確に提供すべきである。」こうあるわけでございます。

 金融庁さんもいろいろやっているんですよね。二〇二一年ですか、ガバナンス・コードの解釈の指針の、いわゆる投資家と企業の対話ガイドライン、この中では、この資料四の中でもありますように、例えば、有価証券報告書を株主総会開催日の前に提出するなど充実した対話のための取組を行っているか、こういったことはポイントになるんですよということを書いていただいているんですが、やはりこのガイドラインじゃ弱いんだと思うんです。

 このガバナンス・コードの補充原則そのものに、これは1―2の1変更案と書かせていただいていますが、上場会社は、株主総会において株主が適切な判断を行うことに資すると考えられる情報、この情報に有価証券報告書が含まれるということをしっかりと明記をしていただいて、必要に応じ提供するんじゃなくて、適確に提供すべき。元々これは適切な判断を行うのに資する情報ですから、必要なんです。ですから、適確に提供すべきであるということをしっかり書き込んだらどうかと思っておりますが、ガバナンス・コードにこうした総会前の有価証券報告書の開示を書き込むことについての御見解をお願いいたします。

加藤国務大臣 今の委員のお話を聞かせていただいて、まず、株主総会においてしっかりとした資料をベースに議論していただく、そのために一番豊富な情報が有価証券報告書だ、そして、しかもそれが当日ないし翌日までにはほとんどの企業で用意されている、何で出ないのか。全く私も同じ思いを持ちながら聞かせていただきましたし、そして、事業報告書と一体化した方が事務も効率化されますし、この時代ですから、ITを使えばそれはそんなに難しい話ではないんじゃないのかなと思って聞かせていただきました。

 その上で、そうでない理由には多分幾つかあるんだろうと思います。そこは今いろいろ聞かせていただいていますけれども、やはりこうしたものをしっかり開示をしていく。資産運用立国の中でも環境整備ということを書かせていただいているわけでありますから、それを目指す私どもとしては、それがどうなったら実現できるのか。

 今、コーポレートガバナンス・コードの話もありました。ただ、これも結構、議論しようとすると時間がかかるのは委員御承知のとおりだと思っております。これについてやらないという意味じゃなくて、これも含めた対応は考えていかなきゃいけないと思いますけれども、少なくとも今年の株主総会においてどうなっていくのか、我々はしっかり注目をしているんだ、まず、そういったことも含めて発信をしていきたいと思っています。

塩崎分科員 加藤大臣、ありがとうございます。

 まさにコーポレートガバナンス・コードの改定も含めて御検討いただけるということ、また、今後しっかり今年の総会の仕上がりから見ていくぞ、そういう強いメッセージ、是非、加藤大臣のリーダーシップの下で一歩でも二歩でも進めていただければと思います。

 それでは、最後の質問でございます。暗号資産についてお伺いしたいと思います。

 今日、西野政務官に来ていただいておりますが、暗号資産の関係でいいますと、今、暗号資産口座というのは、一千万口座を超えるほど非常に幅広くアセットクラスとして認識されているところでございまして、分離課税を求める声が非常に多いわけでございます。株式とか、そういう有価証券等は分離課税でキャピタルゲイン課税になっているんですが、暗号資産は今、総合課税の対象のままになっているところでございます。

 今、この規制の枠組みを変えていくことについては、自民党でも金融庁の中でも様々な検討が行われています。自民党の我々の議論の中では、やはり、暗号資産と株式、また有価証券、この特性の違いというのはありますけれども、暗号資産の情報が、一部の特定の発行体だけが持っているとか、又はそこに虚偽が混じる、こういうことがあると投資家が安心して参加することができないのではないかということで、一定の投資家保護のための平仄を合わせていくことが必要なんだろうと思っています。

 一方で、暗号資産と有価証券では、やはり根本的にその性質が違うところもいろいろあります。発行体がはっきりしているのかどうかとか、どういう用途で使われるのか、こういったところも違うわけでございます。

 そういった意味でいうと、有価証券の今の金商法の枠組みにそのまま暗号資産を入れることで本当にワークするんだろうか、こういったところは我々も深く検討しているところでございまして、我々としては、やはりこれは、今までの有価証券とは異なる新たなアセットクラスとして暗号資産を金商法の中に位置づけていくということが、投資家保護の観点からも、また市場の健全育成という観点からも、そして分離課税の実現という観点からもバランスがいいのではないかと考えておりますが、金融庁としての考えを教えていただければと思います。

西野大臣政務官 まずもって、塩崎委員におかれましては、暗号資産、ウェブ3、さらにはブロックチェーン、こうした新しい分野について自民党の第一人者として議論を率先して主導していただいておりますことに、改めて敬意を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、もう委員もよくよく御存じだというふうに思いますが、今現在、金融庁といたしましては、外部有識者の皆様方と勉強会を重ねているところでございます。その勉強会におきまして、現在、法令上は決済手段と位置づけられております暗号資産について、投資対象として成立することがふさわしいのかどうか、こういったことも議論させていただいております。

 暗号資産を金商法上の規制の対象にするか否か、そして、仮に金商法で規制する場合であっても、アセットクラスをどういうふうにするのか、グラデーションをつけるのかどうか、そういったスキーム、枠組みについて、現段階では全く方針が固まっていないという状況でございますが、いずれにしても、委員と我々金融庁は問題意識を共有しておりまして、暗号資産取引市場がいかにして健全に発展していくのか、これが非常に重要だというふうに思いますので、その観点から検討を進めていきたいというふうに思います。

塩崎分科員 ありがとうございます。

 暗号資産が有価証券ということになると、海外ではセキュリティーというカテゴリーに入ってしまいますので、様々な制約になってしまう可能性もある。自民党としての考えを近く、来週にでも公表できるように、またしっかりと我々のワーキンググループの考えをまとめてまいりたいと思います。

 今日は、お時間、どうもありがとうございました。

牧島主査 これにて塩崎彰久君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。五十嵐えり君。

五十嵐(え)分科員 立憲民主党の五十嵐えりと申します。本日もよろしくお願い申し上げます。

 初めて予算委員会分科会で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭なんですけれども、ウクライナ戦争について伺いたいと思います。

 本日もニュース記事が出ておりまして、アメリカのトランプ大統領はウクライナの終戦について、ウクライナの安全を保証するつもりはほとんどないというような報道も出ております。昨日も予算委員会で質問がございました。アメリカのトランプ大統領はウクライナ抜きでの停戦を進めようとしております。これ以上ウクライナでの命を落とさないために、停戦自体は非常に重要なことだと思っておりますし、停戦協議は一刻も早く進めるべきだと思っています。しかし、トランプ大統領はウクライナを排除して進めようとしております。

 石破総理大臣は、二月の二十四日の夜、ようやく二月二十四日になって、G7の首脳会議で、力による現状変更が可能だという誤った教訓を残さない形で戦争を終結させ、ウクライナの公正で永続的な平和を実現することが重要と。ようやく二月二十四日になって発言されていらっしゃいます。昨日も予算委員会で我が党の本庄委員が質問されていましたけれども、やはり遅いと思うんですよね。日本の立場としてこれをメッセージとして出すのは非常に遅いと思っております。トランプ大統領の発言というのは、日本がこれまで法の支配に基づく自由で開かれた秩序を守り、他国からの信頼を得て平和を保ってきたという日本の国益を損なうと思っております。にもかかわらず、日本の石破総理からのメッセージは非常に遅いと思っております。

 ウクライナの皆さんが求めていらっしゃる特に安全の保証について、日本としてウクライナの停戦に向けて、ウクライナの関与も担保しつつ、かつウクライナの平和とウクライナの安全の保証にどのように外務省として取り組んでいかれるのかについて伺いたいと思います。

石川(誠)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のトランプ大統領の発言も含めまして、現在、国際社会においてはウクライナをめぐって様々な議論が行われておりまして、政府としましても多大な関心を持って注視し、情報収集を行ってきているところでございます。国際社会においてまさに議論が進行している現段階において予断を持って政府としての評価やあり得べき対応について述べるのは、現時点では時期尚早だというふうに考えております。

 その上で申し上げれば、我が国としては、アメリカ、欧州を含む各国による外交努力や国際社会の結束の下、長年にわたる戦闘行為の終結、さらには一日も早い公正かつ永続的な平和の実現につながることが重要だというふうに考えております。引き続き、このような考え方に基づいて、米国、欧州を始めとする国際社会と緊密に連携していくということを考えております。

 それから、石破総理からの発信が遅いという御指摘がございましたけれども、我が国の外交政策に係る立場や考え方の発信につきましては、その時々の国際情勢や様々な国際会議の性質など種々の要素を総合的に勘案した上で、適切なタイミング、適切な手法でこれを行ってきております。

 ウクライナをめぐる情勢について申し上げれば、これまでも、例えば、岩屋外務大臣が先日のミュンヘン安全保障会議の場で、公正で永続的な平和の実現の重要性や、侵略を正しく終わらせなければ世界に誤ったメッセージを発することにつながる旨述べるなど、政府全体として機会を捉えて適切に発信してきております。

五十嵐(え)分科員 適切に。昨日の委員会でも質問がございましたけれども、やはり様子を見るというのは日本の立場としてそれは違うわけですから、力による現状変更は許されないという立場を日本は持っているのですから、それは明確に、他国のリーダーもすぐ発信しているので、その点については様子を見るとか静観するとか注視するではなくて、しっかりとメッセージを出していただきたいと思っております。首脳会議だけが総理が主張できる場でもないので、ほかの場においてもしっかりと外務省として立場を明確に、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を守るというメッセージをしっかりと出していただきたいと思います。

 続いて、防衛増税について伺いたいと思います。

 この間、国会でも百三万円の壁の議論が活発化しております。国民の皆さんが自分の手取りがどのように増えるのかというのは、今、この国会でも非常に関心のあるところでございます。所得税が幾ら下がるのかとか、非常に関心を持って見ているところです。今日も報道でも一応出ておりましたし、連日、各党が政府案に対して賛成をどうするのかとか、いろいろな議論が出ております。

 防衛増税について、令和四年の十二月十六日に新たな防衛力整備計画が決定ということで、五年で四十三兆円ということが決定しております。そして、新たに必要な財源が十四・六兆円必要ということで、この財源ですね、これを歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金、そして残りを租税措置ということで確保する方針を防衛省は示しております。令和四年の十二月二十三日閣議決定の令和五年度税制改正の大綱によれば、租税措置で一兆円強を確保することになっています。

 租税措置については既に、令和八年四月から、法人税、税率四%の新たな付加税、たばこ税の引上げについてもう既に決定しているところでございます。しかし、所得税の増税については昨年末に、令和六年十二月十六日、政府与党政策懇談会の中で所得税については、増税する時期については先送りが決定をしております。なぜ所得税の増税については、法人税とたばこ税は令和八年の四月から始まるにもかかわらず所得税だけは先送りされたのか、この点について伺いたいと思います。

植松政府参考人 お答えいたします。

 安全保障環境が厳しさを増す中で、我が国自身の防衛力の抜本的な強化は重要な課題となってございます。そのための安定的な財源を確保するという観点から、令和七年度税制改正におきましては法人税とたばこ税の措置を決定したところでございます。

 御指摘の所得税の措置につきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、令和五年度税制改正大綱等の基本的な方向性を踏まえつつ、いわゆる百三万円の壁の引上げ等の影響を勘案しながら引き続き検討するとされたものと承知してございます。

五十嵐(え)分科員 先送りというのは、令和七年度中には決まらないということなんでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、防衛財源の確保のための所得税の措置については、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、令和五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ引き続き検討するとされているところでございます。こうした方針に沿いまして与党の税調におきまして引き続き検討されるものと承知しておりまして、政府としてはこの結果に基づいて適切に対応することになると考えてございます。

五十嵐(え)分科員 引き続き検討なんですけれども、聞きたいのは、令和八年四月から法人税とたばこ税を取ることは決まっていますけれども、所得税もそのときに取ることがあるという可能性があるんですかということを聞いております。

植松政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたとおり、与党税調において引き続き検討されるものと承知しておりますので、政府としては現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

五十嵐(え)分科員 結局、やるともやらないともはっきりと言わないということですよね。

 今答弁で、いわゆる百三万円の壁の引上げ等の影響も勘案しながらというお話がありました。本日もいろいろ記事が出ておりまして、公明党さんの案ですね、四段階に引き上げる案で年収の壁が百三万円から百六十万円に、納税者多くが年二万円減税ということで、所得税の減税幅は高所得者層を除いておおむね年間二万円前後となる、おおむねこういった方向で、百三万円の壁が百六十万円の壁というんですかに、おおよそこれでまとまりそうだというような報道も出ております。ということは、百三万円の壁の決着がついたら所得税の増税についても決定するということなんでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、令和七年度の与党税制改正大綱におきましては、いわゆる百三万円の壁の引上げについて与党として引き続き真摯に協議を行っていくということになっておりまして、先ほどの百三万円の壁の引上げ等の影響も勘案しながら引き続き検討するということでございますので、今後の協議の行方も踏まえながら検討することになろうかと考えてございます。

五十嵐(え)分科員 これだけ国会で所得税を減らして手取りを増やすという議論がされているにもかかわらず、その裏で防衛費増に伴う所得税の増がもう既に決まっている、けれども令和八年四月からは始まるかどうかは明言できないということで、所得税の増、防衛増税を隠しているというふうに国民は受け取ると思うんですよね。百三万円の壁についても、決着する見込みというか、予定も一応あるところでございます。

 やはり今年六月には、参議院選挙もありますよね、参議院選挙前には、防衛増税のうち取ることが決まっている所得税について、やるかどうかについても参議院選挙の前にしっかりと国民に示す必要があると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、令和七年度与党税制改正大綱におきましては、所得税の措置につきましては令和五年度税制改正大綱等の基本的な方向性を踏まえつつ引き続き検討するということになってございますので、今後与党税調において引き続き検討されるものというふうに受け止めてございます。

 そうしますので、政府としてはこの結果に基づいて適切に対応するということになると考えてございます。

五十嵐(え)分科員 与党税調でお決めになるということは、国民にもはっきり言って見えないんですよ。大臣としても、防衛増税、国民に所得税の負担を追加で求めるわけですよね。百三万円の壁が決着したときにはしっかりと示すという、そのことをお決めいただけないでしょうか。

中谷国務大臣 所得税等につきましては党の税調の方で議論をされておりますけれども、当時の議論を聞きますと、景気に及ぼす影響とか手取りの問題とか、かなり経済的な影響もあるということで今回は先送りになったと聞いております。

 いずれにしましても、税制大綱の基本的方向性は決まっておりますので、それを基に引き続き検討するということではないかというふうに思います。

五十嵐(え)分科員 結局、引き続き検討するばかりで、国民が知らないまま防衛増税が控えているということに、しかも参議院選挙の前にも示されない、このまま防衛増税が進むことに私は非常に違和感を持っております。

 そもそも、岸田首相は当初、防衛費増税の中身と規模と財源を一体で決めると言っていましたけれども、現状、所得税増税について決められないまま、防衛費の増についてはどんどん進んでいるわけですよね。そもそも、百三万円の壁が百六十万円の壁になった場合、防衛増税をして所得税を増税した場合に、取れる所得税というのもそもそも減ってしまうのではないかというふうに思うんですけれども、所得税の増税と百三万円の壁との関係、影響、どういうものがあるのかについて教えてください。

植松政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、所得税の措置につきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、いわゆる百三万円の壁の引上げ等の影響も勘案しながら引き続き検討することとされてございます。

 この所得税の措置に関しましては、例えば令和五年度の税制改正の大綱におきましては、復興特別所得税の税率を引き下げつつ、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、課税期間を延長して復興財源の総額を確実に確保することとしてございます。

 また、令和七年度与党税制改正大綱におきましては、いわゆる百三万円の壁の引上げについて与党として引き続き真摯に協議を行っていくというふうにされてございますので、所得税収や復興特別所得税収への影響等を見極めた上で、防衛財源確保のための所得税における措置を考えることが必要でありまして、引き続き検討することとされたものと承知してございます。

五十嵐(え)分科員 与党内のそこで決めますと言われてしまうばかりで、国民にとって見えないということは、やはり防衛費については国民の理解が当たり前ですけれども不可欠だと思いますし、そもそも防衛費増については閣議決定で決めたわけですよね、政府でお決めになったということですよね。政府で、所得税で防衛費の増加分を取るということをお決めになったわけですよね。にもかかわらず、時期とかを聞くと与党内で全て決めますと言ってしまわれるのでは、やはり国民としても非常に理解できないと思います。

 防衛費増ばかりが議論されているんですけれども、そもそも縮小も検討されるべきだと私は考えております。

 この間の予算委員会でも、いろいろなこと、例えば不用額が一千三百億円になる見通しが明らかになっていることとか、防衛装備移転円滑化基金、八百億円積み残っているものが実際の支出は一億円しかないにもかかわらず二五年度も四百億円が計上されているとか、いろいろな問題点が明らかになってきております。そもそも、ウクライナの停戦に向けても動き出しているところでございますし、安全保障環境の変化によっては柔軟に、防衛費をどうするかについても見直すことがあってもいいと思っているんですね。これは、そもそも状況の変化によってはこれを見直すということも当然あるという理解でよろしいんでしょうか。大臣、教えていただければ。

中谷国務大臣 現行の防衛力整備計画によって定められた四十三兆円程度という防衛費の規模というのは、令和九年度まで五年間の防衛力の抜本的強化を達成するための予算でございまして、現在の国際情勢等に鑑みまして、日本の防衛力の抜本的強化というのは必要なわけでございますので、今後ともその達成のための四十三兆円の確保というのは私は必要だと思います。

 ただし、常に防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底して、防衛力の抜本的強化を達成すべく努めてまいりたいと考えております。

五十嵐(え)分科員 御質問させていただいた、安全保障環境の変化によっては当然、減額ということも可能性として排除しないということでよろしいですよね。

中谷国務大臣 この金額は、現状における安全保障環境に鑑みまして何が必要かという点で積み上げた金額でございますので、まずは五年間でこのレベルを達成しなければならないというふうに思います。

五十嵐(え)分科員 現状を見ると言いつつも、決まったことだから変えられないと言っている答弁のように聞こえまして、非常に残念と思います。

 この間、国民としては手取りについて非常に関心がある中で防衛増税についてはっきり示さないまま、かつ、防衛費の積み上げとおっしゃいますけれども、装備品の中身も具体的に説明されない中、増税をこっそり、参議院選挙も控えている中、これをこっそり与党の中で決定してしまおうというのは、これはおかしなことだと思っていますので、この点については引き続き、おかしいということを言わせていただきたいと思います。

 済みません、時間があれなので、次のテーマに行かせていただきます。

 資料を、朝日新聞の記事を配付させていただいておりまして、何かというと、二月の二十六日に札幌地裁で、現役自衛官の方が裁判を起こされていて、それの裁判期日があったんですね。どういう事件かというと、現役の陸上自衛官がパワハラ相談窓口に匿名で公益通報をしたところ、自身が通報したと特定された上、不利益な取扱い、例えば、この方は上官から通報というテロ行為をする者を許すわけにはいかないなどと、謝罪を求められて、特定されて、異動も示唆されたということで、この点について国賠を提起しているというものでございます。九月十日の朝日新聞の記事によると国側は事実関係をおおむね認めということなので、これについては事実関係としては現状、おおむね認めて固まっているものだと思っております。

 これについて、そもそも、この現役自衛官の方は、上官にパワハラを受けて、パワーハラスメント相談窓口というところに相談をしております。これは何かといいますと、この方は北海道の部隊にいらっしゃる方で、北部方面隊にいらっしゃる方で、その方がパワハラホットラインという市ケ谷の防衛省のところに、上官からパワハラを受けましたということで匿名で、こういうことがありました、こういうことがありましたということを通報しているんですね。にもかかわらず、通報の内容が原文そのまま、封筒も中身の手紙も全部、その日にその方が北海道で所属する部隊のところに送られてしまったと。その結果、部隊の中で犯人は誰だということで、犯人捜し、筆跡鑑定をするとかいろいろなことが話されまして、この方が特定されてしまったという事案でございます。

 質問をさせていただきたいんですけれども、そもそも、現役自衛官の方が、市ケ谷に、本省にあるんですか、人事教育局というところにあるパワハラホットラインに相談した場合、公益通報保護で保護されないんでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 公益通報の話とハラスメント窓口への通報の話、二つのお話がございまして、防衛省におきましては、まず公益通報の方では、公益通報保護法に基づいて関係規則を整備しておりまして、公益通報の窓口を設置してございます。こちらの方は、公益通報保護法とそのガイドラインに基づきまして、公益通報の保護を実施するとともに、職員が公益通報者を特定しようとすることを原則禁止してございます。それとは別に防衛省におきましてはハラスメントホットラインというのを設置してございまして、こちらの方につきましてももちろん適切に対応するものでございまして、この場合も、その他不利益を受けることがないように配慮すると、別の制度ではございますけれどもしておるということでございます。

 このように、公益通報保護法の話ではございませんけれども、公益通報であっても、あるいはハラスメントの相談であっても、通報者や相談していただいた方の人権を保護し、不利益を受けることのないようにしているというところでございます。

五十嵐(え)分科員 不利益のないようにしているというところなんですけれども、現状はそうなっていないという指摘なんですね。

 この方がパワハラホットラインに相談したときに、市ケ谷の方から北海道の部隊の方にメールが来ているんですけれども、通報自体の手紙をメールに添付した上で、本文で、情報提供いたしますの一言だけなんですね。これ以外、例えば、被害者を特定しないようにとか報復措置に出ないように配慮してくださいといったような注意文言とかは、お知らせ、情報提供いたしますとだけ書いてあるメールには一言も書いていないんですけれども、例えばこういうやり方というのは、マニュアルというんですか、それに従った手続ということになるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘の記事に掲載されている事案でございますけれども、まさに訴訟が係属しておりますので、今後の裁判に影響を与えかねないことから、この件に関してということであればちょっとお答えできないということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、ハラスメント相談があった場合でございますけれども、相談員が相談を受けて、相談者から詳細な事実関係等を聴取して、必要に応じて調査を行います。その調査に当たりましては、相談者や関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重し、知り得た秘密を厳守することとしています。また、相談者や関係者に係る勤務条件に関する不利益や、同僚等からの誹謗中傷など、その他不利益を受けることがないよう配慮するということにしております。

 いずれにいたしましても、相談はハラスメントを一切許容しない環境を構築するために非常に重要な役割を担っておりますので、引き続き、相談者が不利益を受けることがないよう徹底してまいります。

五十嵐(え)分科員 済みません、今言っていただいた要するに配慮しているというふうに、それはマニュアル上はなっているんですけれども、現状、情報提供いたしますだけを本文に書いてそれを送りつけているので部隊の中で犯人捜しが始まった、それは問題だということを指摘させていただいているんですね。確かに、パワーハラスメント相談員の手引十ページには、きちんと配慮していくことが必要とかいろいろ書いてあるんですけれども、今御答弁いただいた調査を依頼するとか、いろいろ手続としてはあるんですけれども、具体的に何をしてはいけないのかというのが書いていないように思うんですけれども、配慮すべきということが具体的にどこに書いてあるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 相談を受けた場合の対応、相談を受けた者がどう対応するか、また、監督者としてどういうふうに対応するのかというものにつきましては、防衛省内のマニュアル、手続等に記載をされております。

 具体的に、ハラスメントに関する相談がなされた場合、監督者は被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つということ、事態を悪化させないために迅速な対応を心がけるということ、関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに知り得た秘密を厳守する、また、ささいな問題だと思ったとしても職場の機能不全の問題と捉えて勤務環境の改善を図る。(五十嵐(え)分科員「それはどこに書いてあるんですか。何に書いてあるんですか」と呼ぶ)ハラスメントの防止等に関する訓令の運用通達でありますとか、あと、ハラスメントはパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントがありますけれども、相談員の手引というのがございまして、相談を受けた者がどういう観点で対応するのかというものは決まっておりまして、それを日常的に相談員に対してしっかりと教育して周知しているところでございます。

五十嵐(え)分科員 いろいろ御答弁いただいたんですけれども、現状、確かに手引には書いてあるんですけれども、現実行われていることは、情報提供いたします、同じ差出人と思われる投書が届いています、よろしくお願いいたしますというのが市ケ谷防衛省から北海道の部隊へ直接送られてしまっていることで犯人捜しが始まっていて、これはテロ行為だなんと言われて、かなりパワハラを受けてしまったということを問題視しております。

 兵庫県でも内部通報をした方が本当にひどい目に遭って、犯人捜しをされてお亡くなりになるという本当に痛ましい事件が起きておりますし、自衛隊の充足率が足りないというお話は、私も委員会に所属させていただき、何度も聞いております。相談しやすくなった分、何がパワハラかとかは難しいという問題はもしかしてあるのかもしれないんですけれども、安心して働いていただくために、パワハラホットラインに相談した方も、拝見させていただきましたけれども、何が内部通報で保護されてパワハラホットラインだと保護されないというのは見ただけじゃ分からないんですね、現役自衛官の方が持っていらっしゃる相談のカードも見させていただいたんですけれども。あれだと、当たり前ですけれども、相談窓口はいっぱいあって、まさか自分の相談したことが自分の上司にそのまま降ってくるとは思いもしないわけですよね。

 大臣、最後に伺いたい。しっかり、パワハラを相談してくれた方を全力で守るということを御答弁いただきたいと思います。

牧島主査 時間となっておりますので、簡潔に。

中谷国務大臣 規則がございますので、訓令の運用とか手引に従いまして、パワハラにつきましてプライバシーが守られるように指導していきたいというふうに思います。

牧島主査 これにて五十嵐えり君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮川伸君。

宮川分科員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 本日は、よろしくお願いいたします。

 冒頭、日頃より国民の命と暮らしを守ってくださいまして、防衛省の職員の皆さん、特に隊員の皆さんに大変感謝をしております。

 その上で、今、百十五兆円の予算の審議が行われておりますが、これが本当に国民のためになっている予算なのかどうかということを、今徹底的にチェックをさせていただいているところでございます。

 例えば、農業の分野あるいは教育の分野、本当に予算が足りなくて、多くの人たちがもっと予算が欲しいと言っている中、ほとんど予算が増えていない中で、防衛省の予算はここ数年急激に増えているということであります。この予算がしっかりと精査されて予算がつくられていればいいですけれども、私は、やはり予算ありき、金額ありきで、そして、きちんとした精査をせずに予算をつけているものが幾つかあるんじゃないかという懸念点を持っています。

 そういう中で、そういう予算は、例えば、今この国会では高額療養費の自己負担額アップの問題がありますが、もう本当に目の前のお金で困っている方々がいらっしゃるわけですから、そういう方々にお金を回すべきだ、そういう視点から今日はちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、衛星コンステレーションについてでございます。

 来年度、二千八百三十二億円の予算がついておりますが、私の理解は、この予算は、衛星を開発する、衛星を造るとか、衛星を打ち上げるという予算ではなくて、民間が打ち上げた衛星が撮った写真を買う写真代がこの二千八百三十二億円だという理解ですが、大臣、これで正しいでしょうか。

中谷国務大臣 委員御指摘のように、この予算は、衛星を製造するという経費ではなくて、衛星からの画像取得に係る経費、また、地上施設の利用等に係る経費、これを計上しているということでございます。

宮川分科員 そういう写真代だということですが、じゃ、実際この写真はどこの企業にお願いをするのか、そして、その衛星はいつ打ち上げられて、実際に写真はいつから買い始めるんでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきましては、令和七年度中に事業者を選定いたしまして契約を締結する計画でございます。

 また、この契約に基づき令和八年度から、順次、衛星の製造、打ち上げを実施し、段階的に衛星からの画像情報の提供を受ける考えであります。

 また、令和九年度末までには、一定の衛星コンステレーションを構築し、本格的に運用を開始していくという考えでございます。

宮川分科員 大臣、今お話あったように、必要な情報がちゃんと取れなきゃいけないわけですね。本当に重要な情報というのは令和九年末から映像が来る、写真が来るという説明だったと思うんですが、でしたら、令和七年、令和八年、お金は必要ないじゃないですか。

 ですから、この予算は今やらなくても、実際に支払いが目の前に来た令和九年度から予算をつければいいんじゃないですか、大臣。

大和政府参考人 今のお話の前提は、既存の民間商用衛星の画像を取得するという形になると思いますけれども、既存の民間商用衛星の画像を取得する形では、衛星の構成等が防衛省のニーズを満たす形で最適化されているわけではないため、スタンドオフ防衛能力の実効性を確保するためには、防衛省が求めるタイミングで高頻度かつ優先的、安定的に画像が取得できるよう、衛星コンステレーションを構築する必要があります。防衛省といたしましては、これによって、長期的、安定的な画像取得が必要となるわけであります。

 また、企業側の視点に立てば、毎年度、単年度ごとの契約では多数の衛星の製造や打ち上げを短期間で行うことが難しいということでありまして、令和九年度までに衛星コンステレーションの構築を実現するためには、長期間にわたる経費が必要であるとの考えから費用を計上したところであります。

宮川分科員 大臣、これは、スタンドオフミサイルの話で、かなりコアなメインで、二千八百億円と巨額なんですね。大臣からお答えを私はいただきたいと思うんですけれども、まず、私は、衛星コンステレーションの開発、こういうところに国が力を入れていくのは必要だと思っています。

 ですから、まず衛星を造るためのお金、あるいは打ち上げるお金、これは必要だと思いますが、これは、文科省や経産省や内閣府、ここがお金を出しているわけです。例えば、今の衛星コンステレーションでいうと、例えばSAR衛星というものを上げるということでありますが、日本のベンチャーさんでいうと、QPS研究所とか、Synspectiveという、非常にいいベンチャー企業があるわけです。

 こういう会社に既に経産省等が、私が調べた中では、例えば百七十億円近いお金や九十億円近いお金を開発するために投資を、お金を国から入れているわけです。実際、防衛省も、例えばQPS研究所でいえば、私の調べでは七十九億円のお金を衛星のために出しているわけであります。

 ですから、今言っている打ち上げだとか、そういうものに関してはしっかりお金を入れなければいけませんし、今入れているんですね、既にお金を、ほかの省庁も。なのに、何で写真のお金を今払わなきゃいけないんでしょうか、大臣。写真のお金です、大臣。

中谷国務大臣 先ほど説明がありましたとおり、あらかじめここを映せというふうに決まったわけではございません。やはりいろいろな状況が出てくるわけでございますので、そのときにこういったコンステレーションを使うということでございます。

 これは、必要な手続を進めていく中で、事業者から提案をいただきながら検討をして最終的に契約相手方が決まるために、特定の衛星事業者を想定しているわけではないということで、これは様々な形で調整をしますけれども、そもそも画像、コンステレーション事業というのは、防衛省が求める衛星コンステレーションを構築してもらって、画像情報の提供を受けるといった本格的なサービスを請け負っていただくというものでありまして、関係省庁が進めている事業とは目的が異なるものであるというふうに理解しております。

宮川分科員 大臣、今、日本もいろいろH2ロケットとか、衛星を打ち上げて軌道に乗せる、軌道に乗った衛星もきちんと機能するかどうかというのは、簡単な技術じゃないんです。打ち上がらないかもしれないんですね。

 それで、じゃ、もし仮に令和九年度までに必要な基数が打ち上がらなかった場合、これはどうされるんですか、この写真代というのは、大臣。打ち上がらない可能性もあるわけですよね。今まだどうなるか分からないわけですから。打ち上がらなかった場合、どうなるんでしょうか、大臣。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、スタンドオフ防衛能力の実効性確保のため、防衛省が求めるタイミングで高頻度かつ優先的、安定的に画像が取得できるよう、衛星コンステレーションを構築したいと考えておりまして、このニーズなどに応えることができる事業者の提案を受けることとなります。

 また、委員御指摘のとおり、様々な事情により衛星を搭載したロケットの打ち上げが失敗するなど、宇宙事業分野には様々なリスクも存在するところであります。

 したがって、代替手段の措置を講ずるなど、事業者にはできる限りの提案、対応を求めていく考えであります。

宮川分科員 大臣、衛星コンステレーションというのは、何基も上がらないと必要な情報が得られないわけです。今既に、ほかの衛星から、防衛省さんは画像をもらっているわけです。今もらっている画像よりももっといい画像が手に入らなければ意味がないわけですね。ですから、ちゃんと衛星が上がる、きちんとした情報が得られるということが分かってから、私はこういう予算をつけるべきだと思います。

 だけれども、これを今からこうやっているのは、私は、やはり防衛費が物すごい余っているから、物すごい金額があるから、じゃ、もうこれを先に出しましょう、こういう使い方をされているんじゃないかと私は思いますので、ちょっと同じような答弁ばかりですので、是非省内で検討していただきたいと思います。

 ちょっと次のもの、幾つかあるので、次のものに移りたいと思いますが、次は、一二式の地対艦誘導弾能力向上型のミサイルに関してであります。このミサイルもやはり大きな柱だというように思います。

 まず最初に、このミサイルの開発費、そして量産のための費用、ミサイル台、発射台、これが幾らかかるか、教えていただけますでしょうか。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 一二式地対艦誘導弾能力向上型は、我が国への侵攻に際して、遠方から火力を発揮して洋上の……(宮川分科員「値段です、値段」と呼ぶ)これまでに……

牧島主査 座ったまま質問しないでください。

 どうぞ。

嶺政府参考人 よろしいですか。

 これまでに、試作に係る開発予算として約九百六十六億円、量産のための製造態勢の拡充に係る経費として約一千三百四十九億円、誘導弾や地上装置等の取得に係る経費として約二千四百八十二億円を計上しているところでございます。

 一二式地対艦誘導弾能力向上型を始めとする様々なスタンドオフミサイルの開発、取得を行うことは、自衛隊の抑止力、対処力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させるために必要な取組と考えておりまして、今後とも着実に事業を進めてまいります。

宮川分科員 ちょっと私、発射台の値段もお聞きしたんですが、値段を質問したので、値段だけちょっとお答えいただければというふうに思います。まあちょっと発射台はもうよろしいので。

 その上で、大臣、これはかなり、何千億というお金がそれぞれかかっているわけでありますが、私が聞いている範囲では、これはミサイルの開発がまだ終わっていないうちに量産をして部隊配備をするというように聞いていますが、大臣、これで正しいんでしょうか。

中谷国務大臣 現在の防衛省の考え方は、とにかくミサイルの脅威が年々高くなってきておりますので、このスタンドオフ防衛能力の強化というのは我が国の防衛の喫緊の課題でありますので、一刻も早く部隊配備をする必要がある。

 そのために、この一二式につきましては、研究開発が完了してから量産を開始する従来のやり方を変更し、所要の性能を達成する一定の見通しを得たというところで速やかに量産着手をすることといたしております。

 こうした取組を通じまして、開発完了後に量産を開始する場合に比べて、開発をして配備時期を大幅に前倒しをすることができるということで、このような必要上、今整備を急いでいるということでございます。

宮川分科員 ミサイルは使える期間が短いので早くやっていくというのは私も大事だというふうに思いますが、しかし、この能力向上型というのは、千キロ以上先まで飛ぶということで、今までのものよりも形状も変わっていますし、大きさも大きくなっているわけです。数百キロしか飛ばなかったのが一千キロ以上飛ぶようになるわけですね。だから、かなり大きな改良をしているということだと思います。

 私は、こういう新しい技術をつくっていくというのはそう簡単なものじゃないというふうに思うわけですけれども、これは実際に、きちんと開発が終わったらば、先に量産したものが不良品でちゃんと使えなかったというようなことに、大臣、ならないんでしょうか。大臣。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、いろいろなリスクがあるのではないかということだと思うんですけれども、我々、地上発射型のこの一二式地対艦誘導弾能力向上型の開発事業の中では、既存の、これまであった対艦ミサイルの技術、あるいはそのノウハウを蓄積しておるところでございます。

 これを、試験とかシミュレーションを通じて、所要の性能を達成するという一定の見通しを得ておるところでございまして、また、開発事業を並行してやって、その作成した製造用の詳細な設計を量産事業での製品の設計に活用する。それと、開発事業でいろいろ試験を途中でやって結果等を得ますけれども、これを量産事業に必要に応じてタイムリーに反映していく。

 その上で、事業の進捗管理とかリスク管理をしっかり行うことで、仮にリスクが顕在化したとしても、速やかに対処できるのではないかというふうに我々は考えておりまして、このようなことで、令和五年度から、地上発射型の一二式地対艦誘導弾能力向上型の量産、これを開発終了前に開始したというところでございます。

宮川分科員 大臣、今、私はよく理解できなかったんですけれども、これは開発がまだ終わっていないという中で、例えば、量産のラインを造るのに千三百億円、あるいはミサイルが二千四百億円、こういう何千億というお金が投じられているわけですね。

 それで、実際に、今造ったものが、先ほど申したように、以前の技術を利用してというふうな説明をされていますが、大臣の方がお詳しいと思いますが、形も変わっていますし、距離も物すごく遠くまで飛ぶわけですよ。長距離を飛ぶのは日本は初めての開発だと私は思いますが、これは本当に造り直しというふうに、大臣、ならないんですか。大臣、これは造り直しにならないんですか。

中谷国務大臣 現在の計画は量産を開始する場合に比べておおむね三年前倒しをする見込みでありまして、そのほかも、更なるスタンドオフにつきましては、約一年配備を早めたいということでございます。

 正確性につきましては、現在、実験などをいたしておりまして、完成させる以上は、精度にしても、能力にしても、正確なものにしていくように目標をして、研究をいたしております。

宮川分科員 私が一つ大きく懸念をしているのは、これは、命中するかどうかという性能試験をきちんとやっているかということ。事前には、この命中に関する性能試験はまだやっていないというふうに私は聞いておりますけれども。一千キロ以上先のもので、これは今対艦になっていますが、艦船に当てる、そうした一千キロ先の、例えば、十メートル、十メートルのところに当てなきゃいけないわけですよね。これは簡単な技術じゃないと思うんです。

 それで、もし、今量産して配備するものが、そういう、命中する確率がすごく低いものしか造れていなかった場合、誤爆する可能性があるわけですよ。それは、実践がありませんよ、実践を想定していませんよと言われればそうですけれども、もしそれを陸の方にもし撃ったとした場合、もしかしたら関係ない方がお亡くなりになるかもしれないんですね。ですから、命中確率、ちゃんと設計どおりに当たるのかどうかというのは極めて重要な私は問題だと思っているんです。

 その部分の確認をスキップして、大量に造って部隊に配備するというのは、私は、これはやはりお金があり余っていて、無駄になったらそれは捨てればいいみたいな、そういうやり方をされているんじゃないかと思いますが、もう一度、大臣、本当にちゃんと企画どおりに誤爆がないような形のミサイル配備に今なっているんでしょうか、大臣。

中谷国務大臣 ミサイルの射程距離等につきましては、具体的な防衛能力を推察されるおそれがあるためにお答えは差し控えますけれども、令和七年度に米国におきまして、海上に標的を設置し、そして発射実験を実施するという計画でございます。

宮川分科員 繰り返しになりますが、私は、アジャイル方式とか、幾つか開発方式の説明を受けましたが、コンピューターのソフトウェアの開発と、やはり、こういう命が関わる、しかも使う頻度がそんなにないものに関してこうやって端折ったやり方をした場合、私はいつか大きな失敗をすると思いますので、これもちゃんと省内で議論をして、きちんとしたもの、誤爆があるようなことがないように、飛んでいる途中に壊れるかもしれないわけですから、そういうことをしっかりやっていただきたいというように思います。

 ちょっと、まだありますので、次のものに移りますが、施設の強靱化予算について大臣にお伺いしたいと思います。

 これは六千九百八十三億円というかなり巨額なお金でありますが、しかし、やはり古い施設もたくさんありますので、必要な施設はきちんと修理していかなければいけない、建て替えなければいけない。特に、隊員の皆さんの住んでいるところ、隊舎等は、余りにぼろいところじゃさすがにあれですから、きちんと整備していく。そういうことが私は必要だと思います。

 だけれども、余りに一気にお金を入れ過ぎている。順序立ててやっていないから余りにたくさんのお金が来ているので、いろいろな調べなきゃいけないことを端折って、お金があるからもうこれはやるしかないというような、そういうやり方に今防衛省の中がなっているんじゃないか、そういう問題意識を持っています。

 その上で、幾つも施設の建て替え等がある中で、一つだけ今日は取り上げさせていただきますと、旭川駐屯地の隊舎の問題でありますが、まず最初に、自衛官の予定定員の数、それと令和七年度予算案における建て替え隊舎の収容可能人数、それと現在の隊舎の収容可能人数、それと現在実際に隊舎に住んでいる自衛隊の隊員の方の人数、これを教えていただけますでしょうか。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 令和七年度予算案において、施設の強靱化に関する予算として約六千九百八十三億円を計上しております。

 今議員から御質問がありました旭川駐屯地における自衛官の人数におきましては、令和七年度予算における予算定員数は三千五百六十名、現在隊舎の居室の定員は約千二百八十名、現在実際に隊員が居住している人数は八百人、建て替え後隊舎の居室の定員は今後設計時において確定する、そういうこととしております。

宮川分科員 ちょっと私、事前のレクで、ここに紙もあって、文書で出してもらっているんですが、私は事前のレクでは千二百八十人というのが令和七年度の予算案の収容可能人数だというふうに説明を受けていますが、もう一度答えていただけますか。この前レクで下さったのは間違いだったということなんでしょうか。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 レクでお話しさせていただいたのは、現在の居室の定数、今何人そこに住めるかというのが千二百八十名ということでお答えをさせていただきました。

宮川分科員 大臣、言った言わないになるとあれなのでこれはやめますが、しかし、今、新たな建物を建てる、令和七年度、これは何人のためのものかというのは普通考えてやらなければ予算がつくれませんよね。何人の、これが五百人なのか、千人だったら倍になりますから。だから、この人数がよく確定できていない状況で令和七年に予算を取っているというのは、私は大変違和感があります。

 この上で、私がもう一つ気になるのが、やはり、防衛省全体として、まず、これは陸上自衛隊の駐屯地だと思いますが、陸上自衛隊の数がどうなっていくのか、今、国民の人口自体が減少していますから、そういう減少傾向の中で陸上自衛隊がこれからどうなっていくのか。あるいは、これは北海道ですが、北部、北方部隊がどうなっていくのか。こういうことも加味した上で、じゃ、将来的にどういうものが必要で、隊員の皆さんにちゃんと住んでもらうためにどういうものが必要なのか、そういうものをしっかりと計画を立てた上で予算を出してくるべきだと思いますが、私が最初に申したように、予算ありきで物すごいものが来て、たくさん造らなきゃいけないから、何人入るかまだ決めていませんというような、建物の予算だけ取って、そういう使い方をされているんじゃないかと思いますが、どのように思われますでしょうか。

中谷国務大臣 御指摘のように、現在少子化によりまして、諸々の事情で募集は大変厳しい状況でございます。

 したがいまして、駐屯地の定員数の増減、また現役数の充足率、また隊舎や宿舎、賃貸等に居住する者、これは働き方改革で、居住をする人の条件とかまた営外から居住する者の条件などは緩和する方向にもございますので、現時点で定められた人数がしっかり入るということでもございません。

 したがいまして、今後実施する設計の中で、現に隊舎に居住する隊員の数の最新状況そして部隊の運用を踏まえまして、必要な居室数を確定をするということにしておりまして、適切な規模での整備になるように進めてまいりたいというふうに思います。

宮川分科員 今日はこの一つの例だけですけれども、これが物すごい数あるので、是非、私は予算、この中でやれというんじゃなくて、ちゃんと積み上げて必要なところに必要な予算が回るようにしていただきたいというように思います。

 最後、残りの時間で、防衛装備移転円滑化基金、これは何人か我が党の議員が質問しておりますが、改めてお聞きをしたいというように思います。

 初年度、四百億円で全く使わなかった。二年度目は、また四百億円で八百億円になったけれども、一億円しか使わなかった。それにもかかわらず、また今年四百億円を積んで千二百億円になっているというのは、私の一般的な感覚では、やはり積み過ぎだと、ここまで本当に要るのかというふうに思います。

 そういう中で、今までの答弁の中では、来年度オーストラリアのフリゲート艦が契約ができるかもしれないということで認定をしたいと。これは大体約一千億円ぐらいだということでよろしいでしょうか。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和七年度中の認定が見込まれる装備移転案件としては約十件ございまして、これが相手国との間で協議中でございます。その基金の認定額としては約千二百億円を見込んでおります。

 この十件の中で、豪州向けの、今委員から御指摘のありましたフリゲートを含めまして、数件で認定を見込まれる額が一千億円を超える規模であるということでございます。オーストラリア一件のみということではございません。

宮川分科員 大臣、これだけ、決まるかどうか分からない、私はちょっと武器輸出自体が反対の立場ですが、ただ、その契約が結ばるかもしれないという中で、ただ実績がほとんどないわけです。

 だから、例えば、五百億円、半分、五百億円を最初に認定して、これでやってください、もし契約がちゃんと結ばったらその後五百億円追加でやります、そういうように分割にすれば今回四百億円積み増さなくてもいいんじゃないでしょうか、大臣。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 豪州向けのフリゲートにつきましては、まさに今オーストラリア政府において選定、契約の時期に差しかかっているところでございます。その際に、基金が不足しているということで国益を損なってはならない、このように考えているところでございます。

 この基金は、企業が装備品を移転するに当たって仕様等調整を行うための資金を助成するものでございます。基金の残高に必要額が確保されていることで、移転に際して必要となる仕様等調整が確実に実施される裏づけとなる、これによって、相手国との信頼関係の維持、企業にとっては適時に助成金の認定を受けるなど、積極的に移転事業に参加するインセンティブになるというふうに考えております。

 こういった中で、契約の前後で計画を分けて契約前に必要額を全額を認定しなかった場合、入札等において適切な価格を提案できなくなるおそれがある、また、契約後直ちに仕様等調整、設計などを行わないと納期に間に合わなくなる、そういうおそれもありますので、分けることは避けたいというふうに考えております。

牧島主査 時間となりました。

宮川分科員 時間がなくなりましたのでまた別の機会にと思いますが、お金が余っているからというのではなくて、しっかりとした予算をつくっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて宮川伸君の質疑は終了いたしました。

 次に、森下千里君。

森下分科員 質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。自由民主党、東北比例ブロック、森下千里です。

 自衛官の皆様には、日頃から、地域を守り、国を守るために、厳しい訓練を受け、時間も曜日も関係なく活動されている姿に感銘を受けます。心から感謝申し上げます。また、御家族の皆様におかれましても、自衛隊への御理解をいただき、隊員の皆様を支えていただいていることに深く感謝申し上げます。

 では、大臣にお越しいただいておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 先日、中谷大臣はフィリピンを訪問され、テオドロ・フィリピン国防大臣との会談を行ったと伺っております。

 自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも、目に見える形での連携強化が必要であり、フィリピンとこれまでも警戒管制レーダーの移転などを実現してまいりました。

 日本の技術によってフィリピンの国防能力が強化されることは、大きな進展だと感じています。特に、現在、フィリピンでは、中国が南シナ海で活動を活発化させておる、そういった中で、監視能力の向上は安全保障に大きく貢献することであると考えております。また、同盟国、同志国との連携を深めていくことは更に重要であるというふうに思っております。

 改めて、先日のフィリピン出張の成果と装備移転の意義について、大臣にお伺いいたします。

中谷国務大臣 十年前も私は防衛大臣でありまして、フィリピンと防衛の協定を結びましたが、この十年で本当に飛躍的にそれぞれの分野が向上してきております。

 今回、改めまして、テオドロ国防大臣と防衛相会談を実施しましたが、四つの分野で連携を、スピード感を持って深めていくということで一致をいたしました。

 第一には、運用面における連携強化ということでありまして、両国とも、刻下の国際情勢等を鑑みますと共通の戦略的な取組があろうかと思いますけれども、そういう意味では、運用当局者のハイレベルでの戦略的対話を新たに立ち上げて、そこで、深い情報の共有、高度な運用面での連携に向けて具体的に議論を進めていくということで一致をしましたし、また、軍事情報保護の在り方について、防衛当局間で議論を開始するということで一致をいたしました。

 第二は、人的交流の強化でありまして、今でも、ハイレベルの交流、例えば、防衛大学校への留学生の受入れ、幹部の交流などがございます。

 第三は、装備、技術協力の更なる推進ということで、防衛装備当局間のハイレベルの対話というものを通じまして、日本の官民ミッション、今、民間の方が技術を持っていますので、そういった官民ミッションをフィリピンに派遣をしていくということも一致をいたしました。

 それから、第四に、日米豪比、また日米比など、同盟国、同志国の連携を更に深めていくということでございます。やはり、日本とフィリピンが戦略的パートナーとして更に緊密に協力をしていくということで、両大臣が非常に友好的な話ができたわけであります。

 今回、ワレス空軍基地を視察をいたしました。ここには日本製のレーダーが配置をされておりまして、特に沖合の南シナ海を含む地域においては、フィリピンがこのような情報監視をしているということで非常に大きな役割を果たしているということを確認をさせていただきました。

 テオドロ大臣から、フィリピンの空を守り、そして、南シナ海を含む地域の平和と安定に非常に大きな貢献をしてくれているんだと感謝の言葉がございましたけれども、戦略的に言いますと、やはり、自由で開かれたインド太平洋、FOIP、これの実現に向けて、フィリピンと安全保障、防衛協力を一層強化をしていかなければならないというふうに感じました。

森下分科員 ありがとうございます。御丁寧な答弁、ありがとうございました。引き続き、同盟国との連携強化に対して御尽力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、大臣はこちらで退室していただいて結構でございます。ありがとうございました。

牧島主査 御退室ください。

森下分科員 先ほどの大臣のお話をお伺いさせていただきまして、やはり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序維持、強化のためには、二国間のほか、多国間での防衛強化、また交流の強化が今後必要になるというふうに実感しました。

 そこで、引き続き、装備移転についてお伺いしたいと思います。

 現在、豪州政府が進める次期汎用フリゲートの最終候補に、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型護衛艦が残っているとお伺いいたしました。もし、この「もがみ」型護衛艦が採用されるのであれば、これは歴史的なことであると思います。日豪の安全保障協力が強まり、インド太平洋地域へも大きく貢献することだと思います。

 大臣の下で官民合同委員会も開催されており、官民一体で取り組んでいると承知をしておりますが、改めて、豪州へのこの護衛艦装備移転についての意気込みをお聞かせいただきたいです。

石川(武)政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月、豪州政府は、豪州次期汎用フリゲートの最終候補といたしまして、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型護衛艦を含む、日本とドイツの二か国の艦艇を選定しております。

 これを受けまして、昨年十一月に開催された国家安全保障会議におきまして、豪州次期汎用フリゲートの共同開発、生産に係る完成品等の海外移転に関する審議を行い、当該移転が海外移転を認め得る案件に該当することを確認するとともに、翌十二月には、関係省庁及び関係企業と緊密に連携の上、オール・ジャパンの体制で対応し、提案内容の検討に向けた議論を加速するため、大臣の下で官民合同推進委員会を設置し、第一回会合を開催したところでございます。

 本件につきましては、日豪の連携を更に深めるだけでなく、共同開発、生産を通じ、我が国艦艇の能力向上にも資するものでございまして、我が国の安全保障上極めて高い意義があるものと考えております。

 今後、本年見込まれる最終選定に向けまして、よい提案ができるよう、引き続き、関係省庁としっかりと連携し、官民一体となって取り組みたいと考えております。

森下分科員 ありがとうございます。

 日本の防衛装備品の海外移転はこれまで限定的であったと思いますが、今回の計画は日本の防衛産業の国際的なプレゼンスを高めるいい機会になるというふうに期待をしております。是非、いい報告をお待ち申し上げております。

 さて、改めて、自衛隊の任務は多岐にわたり、国家の防衛や治安維持、国際貢献と、大きく幅広い活動を担っておられると思います。その中でも、私たち国民にとって一番身近に活躍する姿を見る機会は、やはり災害対応となります。もちろん、災害自体ないにこしたことはないわけでありますが、自衛隊の皆様がおられるからこそ、救われた被災者の方も多くおられます。

 昨年度の能登半島地震発災においては、元旦ということでございましたが、御家族と御一緒に過ごされている自衛官の皆様も多かったのではないかと思いますが、迅速に現場へ駆けつけ、そして、人命救助や生活、医療に対する支援、瓦れき処理、様々幅広く活動してくださったことに心から感謝申し上げます。

 私自身も、能登半島にボランティアに行ってまいった際に、自衛隊の皆様の活動、これを目にいたしまして、とても力強く感じ、また、入浴支援など、細かなサポートにも深く感銘を受けました。

 こうして国民の安全や安心に大きく貢献してくださっておられる自衛隊の皆様の処遇改善についてお伺いしたいと思います。

 昨年度末、自衛官の処遇改善に関する基本方針を決定したところでございまして、地元の現役自衛官の方からも、若い自衛官の処遇改善がなされてよかった、手当が増えてよかったとお声をいただくことがありました。

 とはいえ、その一方で、隊舎が古いなどとSNS等で取り上げられることがあり、イメージダウンにつながるのではないかと懸念をしております。実際に、地元の隊舎は、エアコンがついていないなどとうわさになっております。細かなところでございますが、給与の面だけではなく、やはり、隊舎というのは、長い時間を過ごす場所でございます、休息を取る大切な場所。昨今では、プライバシーへの配慮という、様々な面でのサポートが必要だと感じております。

 今後、どういった形で処遇の改善が図られておられるか、是非御説明いただけたらと思います。

    〔主査退席、西銘主査代理着席〕

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊という組織全体のパフォーマンスを向上していくに当たっては、全ての自衛官が士気高く任務に専念できる環境を構築していくことが不可欠です。そのため、社会の変化をしっかりと直視し、委員の御指摘ありましたようなプライバシーの配慮、また、若い世代のライフスタイルに合った生活、勤務環境を構築していくこととしております。

 具体的には、隊員のニーズを酌み取りつつ、これも委員御指摘ございましたが、隊舎等の建て替えや改修、空調設備の整備、改修、営舎内居室の個室化、駐屯地、基地内の厚生棟や生活隊舎における無線LAN環境の拡充、また、女性用区画の整備、こういった取組を進めているところです。このような自衛官の生活、勤務環境の改善のための事業といたしまして、令和七年度予算案では約三千八百七十八億円を計上しております。

 今後も引き続き、生活、勤務環境の改善にスピード感を持って取り組んでまいります。

森下分科員 ありがとうございます。

 人を助ける人こそ、力が必要だと思います。自衛官の皆様がいかなるときであってもその力を発揮できる、その環境整備を是非とも整えていっていただきたいと思います。

 続いては、人材確保についてお伺いいたします。

 どの業種でも、人手不足は現在必ず出る課題の一つでありますが、自衛隊にとっては特に急務であると感じております。そもそも、人口減少下において、人材確保というのは困難であるわけでありますが、先ほどから出ておる災害対応もあって、自衛隊の活躍を目にする機会、これも増えているわけであります。関心が高まっていると感じるその一方、なかなか募集につながっていないというのはとても残念だなと思います。

 処遇やワーク・ライフ・バランスの改善等には力を入れてくださっていると承知をしておりますが、社会的理解の促進、また、PRをより、どう進めていくのか、現在の募集への取組を踏まえて教えていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、内閣府の実施する自衛隊・防衛問題に関する世論調査におきまして、国民の九割が自衛隊に好意的な印象を持っている一方で、人口減少等もございまして、自衛官の募集は困難な状況にあります。

 こうした中、昨年十二月に石破総理を議長とする関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針では、募集対象者である若年層に対し、本基本方針の内容を含め、一層効果的に自衛隊の魅力を発信することによって、募集活動を強化するとされました。

 これを受けまして、例えば、全国の地方協力本部あるいは各部隊が、給与面などの処遇の改善について分かりやすいフライヤーや動画を利用いたしまして、SNS等も活用し、積極的に広報、周知を行っているところでございます。また、募集体制の充実を図るべく、今月、東京地本の大田出張所、また神奈川地本の横浜出張所を、募集に効果的な立地に移転をいたしました。

 さらに、令和七年度予算案では、募集業務の充実強化に関する施策として、更なる募集事務所の移転やサテライトブースの設置などの地方協力本部の体制強化や、民間の高度な専門知識を活用した地方協力本部の募集業務の見直しを行うこととしております。また、募集広報等のデジタル化、オンライン化などの更なる推進や、転職者向けの募集広報の充実などに必要な経費を盛り込んでおります。

 防衛力の抜本的強化のためには、その担い手である自衛官の確保が至上命題であり、より多くの方々に自衛官という職業を選んでいただけるよう、積極的に情報発信を行い、募集活動を強化をしてまいります。

森下分科員 ありがとうございます。

 特に、募集のデジタル化では、ホームページを大きくリニューアルされたと伺っております。拝見いたしましたが、見やすくて大変に分かりやすいサイトに仕上がっておったという印象がございました。引き続き、このように広報活動を積極的に進めていただきまして、より多くの方、とりわけ若年層への働きかけを推進していただければと思います。

 とはいえ、人口減少時代であるその一方、人生百年時代とも言われておりまして、年齢を重ねても元気でおられる方が多い印象を受けます。また、退任なさった自衛官の皆様の再就職支援の強化についてお伺いしたいと思います。

 自衛官を退任された皆様は、特に私の地元でも議会議員になられる方もおられ、地域の課題解決に取り組まれる、そういった積極的に活動をされるすばらしい方が多いなという印象がございます。

 自衛官の退任は、以前では五十歳、今は五十五歳となりましたが、先ほど申し上げたように、人生百年時代と考えますと、社会の中ではまだまだ活躍できる年齢だと感じます。

 このことに着目し、今回の基本方針では再就職支援への強化ということが挙げられておりますが、実際にどのようにその才能を生かしていくのか、取組を教えていただけたらと思います。

青木政府参考人 委員御指摘のとおり、一般の公務員より若い定年で退職するのが自衛官でございますが、この自衛官が安んじて国防の任務に精励できるように、これまで以上に充実した生涯設計を確立することが必要不可欠です。

 このため、石破総理を議長とする関係閣僚会議において取りまとめた基本方針に基づき、退職する自衛官が自衛隊で培った知識、技能、経験、これを生かすことができる環境を整える必要があります。そのため、具体的には、防衛省として、再就職に向けた職業訓練の充実、援護広報の強化、六十五歳までの再就職支援を可能とする制度の整備などを進めてまいります。

 また、関係省庁と連携をいたしまして、幅広い業界や経済団体に対する退職自衛官の活用等の働きかけ、公的部門における退職自衛官の活用の促進、地方公共団体の防災、危機管理部門における安定的な雇用と処遇の確保などの取組について、引き続き強化をして進めてまいります。さらに、関係省庁とともに、公的資格の取得プロセスの簡素化なども進めているところでございます。

 隊員が知識、技能、経験を生かした再就職ができるよう、このような様々な取組により再就職先の拡充等を図ってまいります。

森下分科員 ありがとうございます。

 これまでの警備や防災関連の職種にとどまることなく、DX、国際業務、また教育や起業支援、本当に新たな選択肢がまだまだ広がるというふうに確信をしております。是非とも、そういった意味で、退職自衛官のキャリアの幅が更に広がることを御期待申し上げております。

 さて、続いては、女性自衛官についての質問をさせていただきます。

 自衛官といえば、やはり男性のイメージが強かったところがありますが、今は女性自衛官も増えてまいりました。実際に、少しずつではありますが、二〇一九年では七・四%から二〇二三年では八・九%と、これは実際に数字として表れていることであります。注目や関心がこれからまだ更に集まっていくのではないかと期待しております。

 また、以前は女性だから配属されない部署や任されない任務があったというふうにも伺いますが、こうした配備制限がなくなり、女性でもパイロットになれる、また潜水艦に乗れる、そんなふうになりました。このことがキャリアの選択肢に広がりを持たせ、女性自衛官の増加傾向に大きく寄与しているのではないかと思いますが、しかし、その一方、まだ幹部クラスに女性が少ないなというふうにも感じます。そもそも女性が少ない時代を経ておりますので、急に幹部になるということは難しい、そのことからも理解はできるのでありますが、今後の女性自衛官のキャリアパスと、そして更なる活躍を期待するとともに、成長を支えるそのサポート体制、これについてどのような取組をなさっているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、令和三年に、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を策定いたしまして、女性職員の採用や登用を積極的に進めております。

 女性自衛官の登用については、当該計画の中で、令和七年度末の目標といたしまして、佐官以上の幹部自衛官に占める女性の割合を五%以上と設定をいたしました。令和五年度末時点で四・四%まで増加しているところでございます。

 また、これまで、配置制限の撤廃による女性自衛官の活躍の場が広がっているというのは委員御指摘のとおりでございます。国内外の幅広い任務に配置するということができております。

 また、具体的には、これも委員御指摘がありましたように、戦闘機のパイロットや潜水艦の乗組員、また空挺団員、そして護衛艦の艦長等が実際誕生しておりまして、加えて、地方総監、病院長、地方協力本部長等のいわゆる将官クラスの女性自衛官も各自衛隊で活躍をしております。

 また、女性特有の悩み等をサポートし、仕事と生活の両立や将来のキャリアに悩む女性自衛官の不安を取り除くため、相談体制を整備をしているところでございます。

 さらに、女性自衛官のキャリアパスモデルやワークスタイルの事例の紹介、こういったものを積極的に進めているところでございます。

 引き続き、女性自衛官の採用、登用を積極的に行うとともに、意欲と能力のある女性自衛官が活躍できる職場環境の整備に取り組んでまいります。

森下分科員 ありがとうございます。

 キャリアパスが示されることで、今後、より自分のキャリアイメージを描く女性が増えてくるのではないか、また、ロールモデルが存在することによって、自衛官として長く働けるというふうに、将来を見据えたイメージを持つ、ビジョンを持った入隊希望者が増加するのではないかと思います。また、女性幹部が増加することで、実際に先輩と後輩という形で相談ができたりとか、また、育成の環境が整う、様々な面においてもすばらしい関係が築けるのではないかなというふうに思っております。

 また、こうしたムードが醸成されることによって、ひいては自衛隊全体への魅力向上へとつながるのではないかと思っております。期待しております。

 さて、私からの質問はこれが最後になりますが、私の地元宮城県東松島市にあります松島基地には、ブルーインパルスが所在しております。昨年夏も、地元の夏祭りに際し、記念飛行を披露していただき、好評を博しております。

 ブルーインパルスは、二〇二〇年東京オリンピックでは東京上空を飛行し、その存在は世界へと広がっております。また、コロナ禍では、医療従事者の皆様のために感謝飛行を実施し、多くの国民を励ましてくれました。

 このようにして、ブルーインパルスの人気は年々上昇していると感じており、松島基地での航空祭、こちらには例年四万人以上の来場者が詰めかけ、写真を撮るために大きなカメラを首からぶら下げていらっしゃる方や、また、お土産品を両手いっぱいに購入される方にもたくさん私自身もお会いをしております。

 また、駅や町じゅうにブルーインパルスの絵が描かれており、町おこしにも大きく貢献してくださっていると感じます。地元での人気はもちろんですが、今や、全国、世界中にもファンが多い。そのため、全国から、お祭りにてアクロバット飛行を披露してほしい、このようにリクエストを受けていると伺っております。

 今後のブルーインパルスの活用について、防衛省のお考えをお聞かせください。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の平和と安全を守る防衛省・自衛隊の活動は、国民一人一人の理解と支持があって初めて成り立つものでございます。このため、防衛省・自衛隊としましては、分かりやすい広報活動を積極的に行いまして、国民の信頼と協力を得ていくことが重要だと考えてございます。

 このような取組の一環として、御指摘のブルーインパルスにつきましては、航空自衛隊の存在やその技量の高さを多くの方々に知っていただくことを目的とした展示飛行を行ってございまして、御指摘ございましたように、昨年も東松島まつりでございますとか松島基地の航空祭におきましてブルーインパルスが飛行し、松島基地周辺の皆様との関係を一層深めることができたと考えてございます。

 ブルーインパルスにつきましては、全国各地から大変多くの展示飛行の御要望を毎年いただいてございまして、年間二十数回、毎年飛行をさせていただいてございます。今後とも、ブルーインパルスの展示飛行を通じて、全国の皆様に夢と希望を与えられるよう、また、防衛省・自衛隊の取組や活動内容への御理解を深めていただけるよう努めてまいりたい、かように考えてございます。

 ありがとうございます。

森下分科員 ありがとうございます。

 基地と地元、地域住民の皆様との理解とそして連携は、本当に大切だなと感じているところであります。また、私自身、日頃、地元で活動させていただく中で、ブルーインパルスが訓練飛行を行っているその姿を見ると、本当に励まされる思いで、頑張ろうと勇気がまさに湧いてくるわけでございます。あの美しくも雄大な姿、これを多くの方に見ていただきたいなと私自身思って、大変に応援しているところであります。

 また、ブルーインパルスに限らず、自衛隊という存在が、国民の皆様において身近であり、かけがえのない存在になるよう、より一層精励され、また周知されますように、共に取り組んでまいりたいと思います。

 最後になりますが、本日、貴重な質問の時間を頂戴いたしたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 大臣、副大臣、政務官の皆様、これからも御指導、よろしくお願いいたします。

 また、国民の生命と財産を守る、そのために日夜御尽力されておられる防衛省の皆様、また、今日の分科会開催に当たり、夜遅くまで調整くださいました衆議院職員の皆様に感謝を申し上げ、私からの質問は以上とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔西銘主査代理退席、主査着席〕

牧島主査 これにて森下千里君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。森山浩行君。

森山(浩)分科員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 私の方からは、一か月余り後に開幕が迫りました大阪・関西万博について中心にお聞きをしていきたいというふうに思います。

 この大阪・関西万博ということでございますけれども、最近のポスターなどを見ていますと、日本国際博覧会というような形で言い方が最初から変わってきているというふうにも思いますが、大阪府市、それから政府と協力してやるんだというような意思を示されつつも、石破総理の最初の所信表明などでは、万博については、活用するという言葉はあったけれども、成功に向けて頑張るという言葉がなかったりとか、ちょっとちぐはぐなところが見えるところでもあります。

 これは、あと一か月ということであります。多くの海外からのお客さんも来られるということでありますので、いかに我が国のいい部分を見てもらうかということ、これも大事ですし、何よりも、安全にこれを遂行するということ、これなくしては全く台なしになってしまうということだと思っています。

 ちょっと調べていまして、これは通告の後に気づいたもので、もし分かればということなんですが、ドバイの万博、二〇二〇年、これがコロナによって二一年に延期をされました。このドバイの万博については、秋から春という時期に開催をされています。これはドバイのベストシーズンが冬であるからというふうにも言われていますけれども、大阪は春から秋にかけてということで、春は花粉症、そして、そこから梅雨に入り、また、猛暑で外出を規制されるような状況に今なる、さらに、台風のシーズンがやってくる頃までの秋というような半年間を選ばれた。

 冬から春、あるいは秋から春というような形で検討をされたような形跡は私はないように見えたんですけれども、これは検討されたというようなことが、もし御存じだったら教えてもらえますか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の今回行われる二〇二五年大阪・関西万博については、時期は当初から四月開催の六か月ということでございますので、別の季節での開催については検討はしておりません。いつの時期であっても、日本の場合、四季がございますので、そういう中でこのタイミングで決めているということでございます。

森山(浩)分科員 そうなんですよね。いろいろなことを十分な検討をなされないまま決めてきたというような印象を持たざるを得ません。

 というのも、外出を控えてくださいというような猛暑がある、特に日本の中でも大阪というのは暑いですから、こういったことなんかも頭に入れながら計画をすべきだっただろうなと思いますし、これはこの間ずっと議論をしてきましたが、二〇一六年に会場を夢洲に決めたということ、これが、現在の大きな赤字であるとか、あるいは交通が不便である、あるいは災害のときはどうだとか、いろいろなことの原因の大きな部分を占めているというふうに感じています。

 これなんかも、もうちょっと早く気づいて別の場所にする。当時、余りお勧めをしませんよと専門家の皆さんに言われたにもかかわらずこの夢洲に決めたということに関する問題意識、そしてまた、決めたのであるならば、そこから十年近い歳月があったわけですから、きちんとやり切れるように準備をすべきであったというふうに思いますけれども、こちらの対応についても後手後手になっているということがここまで続く不人気の原因になっているのではないかというふうに憂慮をしています。

 とはいえ、始まりますということの中でいうと、安全の話です。

 前回の大阪万博、これは千里で開いたんですけれども、これについては、突貫工事、始まるまでの工事の間に、十七名の方が工事の中で死亡されています。これはまた、工事の安全というのは非常に大事な部分でありまして、この安全をきちんと守るということをしっかりやっていただかなきゃいけないとこの間ずっと申し上げてまいりました。

 幸いというか、当然でもあるんですけれども、今のところ死者はゼロというふうにお聞きをしています。これは、準備中に亡くなるというようなことがないように、もちろん開催中もそうですけれども、まずはスタッフワークの方でそれをきちんと管理監督をしていただきたいと思います。

 一方で、二〇二四年、昨年の三月二十八日ですが、トイレの建設現場でのメタンガスの爆発がありました。厚さ十八センチのコンクリートの床が六メートルにわたってめくれる、そしてまた天井まで破損をするというような、かなり大きな爆発でありました。

 メタンガスがたまったということでありましたけれども、このメタンガス、今抜く作業をしていただいていますけれども、ガスは出たままの状態でありますので、開催中に何かあるということがあってはならないということで、この対応等も、技術的にはしていただいていますけれども、では、私たちは子供を行かせて大丈夫なのかというような部分に関しても、きちんと御説明をしていく中で、理解を得られるレベルのことをやっていかなきゃいかぬなというふうにも思っているところでもあります。

 その上で、大阪において一番大きな災害というのが予測をされているのが南海トラフの地震であります。

 南海トラフの対策として、一瞬、その時間に二十万人というような人がいらっしゃるというような状況になり得るわけですね。もしかしたら、もうちょっと多いときもあるかもしれない。そういうような中で、波はかぶらない、十一メートルほどかさ上げをしてあるので会場はかぶらないというような予測になっていますが、実は、その周りの埋立地であるとかあるいは大阪市内、こちらの方が波をかぶるかもしれないというような状況にあります。

 つまり、中は一瞬耐えられるんだけれども、その後、じゃ、逃げるといっても、逃げる先が水没をしているというような状況、あるいは被害を受けているというような状況も考えられますので、この島の中で備蓄というのも考えなきゃいけないということであると思いますけれども、会場における備蓄についてお伺いをいたします。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 万が一、大阪・関西万博開催期間中に南海トラフ巨大地震が発生した場合には、会場内に来場者が一定期間とどまることを想定いたしまして、一人当たり三日分の食料を少なくとも確保することとして、博覧会協会においては六十万食の備蓄を確保しつつ、会場内飲食店の食料も活用するほか、大阪府市においても三十万食を確保するものと承知してございます。

森山(浩)分科員 我々大阪においては、台風で関西空港が孤立をしたというような、記憶に新しいです。電気が駄目になった、クーラーがない、大変だというような状況の中で、閉じ込められたというような恐怖であったりとか、あるいは逃げられないというような、非常に大変な目に遭ったというような記憶があるわけですけれども。

 備蓄は三日間というようなレベルだと思いますけれども、その間、電気などが落ちたときにも自家発電等はできるようになっていますか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 自家発電等の施設を備えているものと承知しております。

森山(浩)分科員 三日間というようなレベルであります。その間に、どれだけの被災があって、そして、どのぐらいの人が助けに来れるかということはありますが、中には診療所やらの救急の設備等も入っているということですので、こちらの部分に関しても、中でできるだけのことをやる、そして外とのやり取りというのもきちんとやる、この部分についてもきちんとお伝えをしていただくというようなことも非常に大事ではないかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、我々、歳出改革について、七十名のチームを編成をいたしまして、今回の予算のチェックをしてまいりました。この分科会でもそれぞれの議員から様々質問をさせていただいているところでありますけれども、私の方からは、万博の機運醸成費、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、機運を醸成をする、そのための費用ということですけれども、この目的と、そしてこの間の執行率についてお伺いをいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本で万博を開催する目的は、多くの人々に未来社会に希望を感じていただき、様々な人との交流の機会を通じまして、地球規模の社会課題の解決につなげていくということにございます。そうした機運を高めていくことが万博の機運醸成の目的と考えてございます。

 こうした目的を達成するために、より多くの方々に万博会場に足を運んでいただき未来社会を体験していただくことは重要な取組であることに加えまして、日本全国への機運醸成に向けましては、やはり、万博がもたらす効果を全国に波及させるという地方創生の観点も非常に重要だと考えてございます。

 政府といたしましては、万博参加国と自治体が積極的に国際交流を進めるという取組とか、あと、全国の学校に出前授業に行っていろいろ学んでいただくとか、あとは、来日観光客に、万博で来ていただいた方に全国に行っていただくとか、そういう様々な取組を通じまして、地方においても万博の自分事化を形成していただき、地方創生にもつながる万博の機運醸成に取り組んでいるところでございます。

 御質問の執行率でございますが、内閣官房の予算につきましては、我々の内閣官房の大阪・関西万博の機運醸成費用の執行率は、令和三年度は約八二%、令和四年度は約七〇%、令和五年度は約七三%となってございます。

森山(浩)分科員 機運醸成というと、万博やりますよ、来てくださいねというようなことなのかなと思います。例えば、地元でやっているイベントなんかに旗を立てる、これは万博の宣伝になっていますよとか、講演していますよなんというのはよく見かけます。あるいは、東京駅や広島駅などにミャクミャクの縫いぐるみを売るコーナーがあるなどというようなこともありますけれども、この機運醸成費というのはそういうものに使うのではないということですね。

井上政府参考人 御質問ですけれども、先ほど申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、我々は、国費でやっている事業につきましては、主には、万博がもたらす効果を全国に波及させて、自分事として捉えていただいて機運醸成につなげるという予算づけをしてございます。

森山(浩)分科員 この執行率が七〇から八〇%ということですが、これは、手挙げ方式だからこのぐらいで仕方がないんだということなのか、本来もうちょっと使う予定があったんだけれども、何かの理由でできなくなったということなのか、執行率についてお答えいただけますか。

井上政府参考人 御質問でございますけれども、執行率に関しましては、手挙げでやっているものもございますが、我々の方で、例えば、この執行率の中については、いろいろな政府の国際会議で機運醸成を行うとか、様々なプロジェクトがございまして、そのいろいろな形の取組との連動でやっているものもございますので、そこでできたりできなかったりというのもございますので、そういう意味で全体的には七、八割という感じになってございます。

森山(浩)分科員 執行率、つまりアウトプットというのが七割から八割強というようなことでありますけれども、では、アウトカム、実績として、これをやった結果にどのような影響があったのかというようなことについて、今のお話でいくと、例えば、大阪、関西の人たちに対して、あるいは日本国内の人たちに対して、そして海外の人たちに対してというと、二番目と三番目が中心のように聞こえましたけれども、この辺りの実績についてはどのような形でしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、我々の事業では、万博のもたらす効果を全国に波及させるための様々なプロジェクトを実施してございます。

 御質問の実績でございますが、各地方から、地方自治体等から様々な御提案をいただきまして、自治体と万博参加国の交流の促進の国際交流プログラム、こちらの方は海外ももちろん裨益しますけれども、現在、全国で百五十四プロジェクトまでいってございます。あと、万博のプロデューサーが全国各地に出前授業で行っていただくプロジェクトでございますが、これはもう二百二十五校で実施しています。

 このほか、観光誘客とか地方創生につながるプロジェクトが十九件、あとは、万博を通じた文化発信支援というものは四件やってございまして、日本全体で四百件ほど、これは、関西、あとは、日本全国でございます、関西以外、あとは、交際交流もございますので、海外の方々も裨益するようなプロジェクトという形で進めてございます。

森山(浩)分科員 というようなことでございます。

 執行率それから実績についてお伺いをしましたが、大臣は、こういうふうにやってきたということで、御就任をされてまだ間もないということでありますけれども、これらの実績について、成果といいますか、どのように評価をされていますか。

伊東国務大臣 森山先生には日頃から、本当に、万博に関して大変な、熱心に後押しをしていただき、御心配いただいておりまして、感謝を申し上げる次第でございます。

 今、事務方からも申し上げましたとおり、この大阪・関西万博の国の機運醸成事業におきましては、万博参加国と全国の自治体との国際交流の促進、また、全国の学校における出前授業の実施、あるいは万博に来場された訪日観光客の地方への誘客等の取組により、万博がもたらす効果を全国に波及させ、地方においても万博を自分事として捉えていただくことを通じて、地方創生にもつながる万博の機運醸成に取り組んでいるところであります。

 例えば、自治体と万博参加国との交流を促進する万博国際交流プログラムを通じまして、北は北海道から南は沖縄まで、全国に多くの交流が生まれているところであります。ただいまも御報告申し上げましたように、百五十四プロジェクトが動いているところでもあります。

 また、地域の未来を担う子供たちの育成に加え、これまでに姉妹都市交流のなかった国との交流も生まれてきておりまして、万博期間中の交流にとどまらず、万博後のレガシーにもつながる取組となっております。

 また、万博のプロデューサーや協賛企業等が全国の学校で出前授業を実施しておりますEXPOスクールキャラバンは、全国の児童生徒が万博を契機に未来社会について考え、将来の行動につなげていく契機をつくり出しているところであります。

 こうした地方での取組とともに、万博の中身も併せて広く更に情報発信をし、全国的な機運醸成を図ってまいりたい、このように考えているところであります。

森山(浩)分科員 やりたいということで、ちょっと成果への評価というところまでは至っていないかと思いますが、開会後も機運醸成というのは続くんでしょうか。

伊東国務大臣 もちろん、四月十三日から十月十三日までの半年間であります。中身が分かってくる、あるいはマスコミを通じて、あるいは行った人を通じて、万博のすばらしさ、あるいは興味深さというものがどんどんどんどんまた情報発信されてくるかと思うところでありまして、開幕後の内外の様子をメディア等を通じて積極的に発信していくことで更に多くの方々に関心を高めてもらおうという取組や、万博参加国と全国の自治体との国際交流につきましても、開催期間中の交流を支援することによりレガシーにつなげてもらう取組などを行うこととしているところであります。

森山(浩)分科員 始まってもやりますよということなんですが、これは大阪府市が実施した昨年十二月のアンケートということなんですけれども、「万博に来場意向は三四・九%、目標の五〇%に届かず」というような記事となっています。行きたいよという人が増えないどころか減ってきていた。最後、三三・八%、二〇二三年から、三四・九%、一%ほど上がりましたよと。認知度はもう九四・七%。

 要は、万博があるよということは知っている、でも、行きたいよという人がこれだけ少ないということについてはどのように評価をされていますか。

伊東国務大臣 やはり私どもも、万博のたくさんのパビリオンがありますけれども、中身が一体どうなっているんだろう、あるいはどんな展示がなされているんだろう、どんなロボットが動いているんだろう、どんな交通システムになっているんだろう、たくさんの興味深い事例があるわけでありますけれども、それがまだ知れ渡っていないというところに、残念ながら、あと一歩という、醸成、機運の盛り上げが必要であるということであろうというふうに思っております。

 更にPRをしながら、中身のすばらしさや興味深さをお知らせをしてまいりたい。これは、総理も真剣に取り組んでいただいておりますし、全国知事会の知事の皆さん方にも物すごく御協力をいただいているところであります。

森山(浩)分科員 中身の話は最後にちょっとしたいと思いますけれども。

 当日券を売ることになりましたね。個人情報の収集が万博IDでなされるということに関して、それはいかがなものかというような議論があった中で、項目を減らしていくというような形で対応されてきていましたが、売行きが悪いということも含めて、当日券を売るんだと。当日券には、IDに個人情報は全く載らないから大丈夫だよというようなことも含めての話であるかと思いますが。

 この万博ID、個人情報の収集の意図、それから保護方針についてお知らせください。

茂木政府参考人 万博のチケット、特にデジタルチケットを御購入される際に、公式サイトにおきまして万博IDというのを取得する必要がございます。このときに個人情報の入力を求められるものですから、この扱いがどうなるのかという御懸念が出ていることは私どもも承知しております。

 まず、この点、明確にしておきたいのは、万博IDの取得の際に必要になるのは、氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、こうした基本的なものに限定されているということを申し上げたいと思います。

 それ以外にも、実は、いろいろなサイト等でも、例えばSNSのパスワードが収集されるんじゃないかといったユーザーからの不安の声も上がっているというふうに、この点も承知をしております。

 実は、これは、万博IDにログインするときに、例えば御自分のいろいろなSNSのアカウントを使って連動させて入るという方法もございまして、そういった承認をする際に、元のSNSアカウントの認証が正しくなされているかどうかを確認するという趣旨で記載しているものでありまして、博覧会協会自身がこうしたユーザーのSNSのログインパスワードなどは取得いたしませんので、持っておりません。したがいまして、こうした情報は取得をしないということになります。

 いずれにせよ、こうした点については、お客様にまだ十分な情報が行き渡っていない、御説明が不十分なところがあるかと思います。既に、博覧会協会において、来場者に分かりやすい形でQアンドAなどを出すなど、情報発信を行ったところでございます。

 いずれにせよ、こうした誤解を招くような表現も含めて、個人情報保護方針上の記載を適正化するといった対策に速やかに対応することといたします。

 引き続き、細やかな情報発信に努めてまいりたいというふうに存じます。

森山(浩)分科員 万博IDについては個人情報に気をつけますよということなんですが、これはしっかりやはり線引きをしていただきたいと思いますけれども、一方で、当日券を発行するとなってくると、並ばない万博だというこれまで発信をしてきた、これが崩れるのではありませんか。会場内の人数コントロールについてはどうなりますか。

茂木政府参考人 御指摘のとおり、当日券を販売いたします。当日券は、来場者が入場しやすくなるように当日券を販売するということにしましたけれども、これはあくまでも当日の来場予約枠の空きの範囲内で運用するということを想定しております。

 したがいまして、当日券の導入に当たりましては、会場の想定来場者数の増加はない、つまり、そのキャパシティーの中で当日券を販売するということになりますので、会場内の運営については支障を来すことはないものというふうに承知をしております。

森山(浩)分科員 今日はとにかく機運醸成というようなところを中心に行きましたけれども、大臣からもお話がありました、中身が分からないから来てくれないんじゃないのか。目玉は何ですか。

伊東国務大臣 目玉とは、我々が見るところ、実際に現地にも行ってみたところでありますけれども、大屋根、リングは、木造としては最大の建物である、また、万博終了後、それをまた全国からのリクエストに応じて自由に使わせるというような話もあるところでありまして、一つ話題としては出てくるのかなという思いもいたします。

 それからまた、シグネチャーパビリオンと申しまして、日本がプロデュースする、有名なプロデューサー八名によるパビリオンがございます。この中でも、石黒大阪大学教授が日本のロボット工学の第一人者ということもございまして、五十体近いロボットを持ち込まれるというような話もあり、随分そういう関心をまた集めているところでもあります。

 いずれにいたしましても、行ってみて驚くこともありますし、近々公式ガイドブックも発売されるということでありますので、それらによって、中身ももう少し詳しく、また興味深いところもお知らせすることができるのではないか、こう思っておりますので、最大限のPRに努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 チケットの売行きが半分というような報道がありますが、経済界が買ったのがほとんどなんですね。一般の人にはほとんど売れていない。また、我々大阪の近辺でいいますと、いやいや、仕事をしている先から回ってくるから、買わされるから、あるいはくれるから、もうちょっと待つんだなんというような声も少なくありません。つまり、これは、売れるというような方向に向いていないんですよね。だから、ここらも、もうちょっと早い段階からの対応が必要だったと思います。

 いろいろなことが後手後手に回ってきたというところがありますが、まずは安全、そして、先日からここでも議論がありましたけれども、赤字になったときに誰がかぶるのかという部分については、赤字になりませんという答弁に終始をされています。こういうことも不安の要素かと思います。

 そして、今、大臣、目玉は何ですかと聞いたら、いろいろ言われたけれども、ロボットですか。リングについては、日本古来の貫工法というような広報をし始めたけれども、実はボルトもナットも使うんだということがばれてしまった。空飛ぶ車、乗ってびゅんびゅん飛び回るんだというような広報をし始めたけれども、実は一般の人は乗ることはできない。

 このようなふうに、一個一個がっかりがっかりさせてきているという状況でありますので、もうこれのために来てくれと、ポートピアだったらパンダを見に来てくれ、前の大阪万博は月の石を見てくれと言っていましたから、そんなふうに、大臣自身がこれだというのを是非言っていただきたいというふうにお願いをいたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて森山浩行君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本拓君。

根本(拓)分科員 自民党の根本拓でございます。

 今日は、復興分野について質問をさせていただきます。

 まず、復興全体にわたる質問をさせていただきたいんですけれども、福島県の被災地というのは、地震、津波に加えて、原子力事故、そしてそれに伴う風評被害という前例のない複合災害に見舞われた地域でして、復興に向けた、国、地方自治体、そして何より地元の方々の懸命の努力により復興がこれまで進められてきたと感じております。まず、関係者の皆様のこれまでの御努力に心からの敬意と感謝を表させていただきたいと思います。

 その一方で、最近の行政事業レビュー、去年の秋の行政事業レビュー等における議論に関して、地元では、風化を懸念する声、つまり、もう復興というのはある種の店じまいモードに入ってしまっているのではないかというような懸念も今聞かれているところであります。

 ただ、復興を進める中で、これまで順調に進んだものもある、当然これまで進めていただいたものもある、一方でまだまだこれからというものもあると理解しておりますし、また、復興のフェーズが徐々に変わっていく中で、フェーズが進むにつれて出てくる新たな課題というものもあるのだと認識しております。

 そこで大臣に、これまでの復興政策というものを振り返っていただき、何ができたのか、一方で何が足りていなかったのか、そして、次の五年間で国として責任を持って復興を成し遂げるために何に注力しようとされておられるのか、司令塔としての復興庁の御見解をお伺いしたいと思っております。この際には、やはりこの原発被害というのは人災であって、国が最後まで責任を持つんだという姿勢を明らかにしていただけると、もちろんこれまで明らかにしていただいていると思っているんですけれども、改めてこの点について明らかにした上でお答えをいただけると、大変ありがたく思っております。

伊藤国務大臣 お答えを申し上げたいと存じます。

 福島においては、復興の歩みは着実に進んできた一方で、市町村によってはいまだに多くの帰還困難区域を抱えるとともに、市町村ごとに、避難指示解除の時期等の違いから、復興の状況は、今、根本先生からおっしゃったとおり、いろいろなタイムラグが起こっているということで、帰還、移住の促進、産業、なりわいの再生など様々な課題に直面をしているのが現実でございます。

 そこで、第二期復興・創生期間の後の次の五年間は、復興に向けた課題を解決していく極めて重要な時期であると我々も認識をしております。引き続き国が前面に立って、避難者の帰還や生活環境の整備、産業、なりわいの再生などを一層進め、そしてまた、廃炉、除去土壌等の最終処分に向けた道筋をつけていく必要がある、そんなときだと考えております。

 実は先週、連休中の最後に、福島につきましては、おっしゃったとおり原発事故の後の場所でもありますので、法定協議を、福島県並びに県の関係者、そしてまた事業者の皆さんの方々とやってまいりました。そこで最後に、福島県知事が我々に二つの言葉を託したいということを言われました。一つは、現場主義を貫いてもらいたい、そしてもう一つは、責任貫徹でお願いをしたいという言葉をおっしゃっていただきました。私もその場でお答えを申し上げましたのは、その二つの言葉は必ず復興庁として、政府として一番大切な言葉として今後とも取り扱っていきますので、御信頼をいただいて、これからもよろしくお願いをしますということを申し上げてまいりました。

 こんなことを申し上げた上でですが、被災地の皆様とも今後ともよく御相談をさせていただきながら、次の五か年においてこれまで以上に力強く復興政策を推進することができるよう、基本方針の見直しを本年の夏までに行うことといたしたいと存じます。

 また、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし、この言葉は亡くなられた安倍総理がおっしゃっていただいた言葉ですが、石破総理もこの決意の下に、引き続き復興庁が司令塔となり、被災地に丁寧に寄り添いながら、福島復興に責任を持って取り組んでまいりたいということでしっかりやらせていただく所存でございます。

 私からは、これで答弁とさせていただきます。

根本(拓)分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の今おっしゃっていただいたお言葉一つ一つをかみしめながら拝聴いたしました。様々な課題について大臣が認識してくださっていること、そして何より国が前面に立つとおっしゃってくださったこと、これを大変心強く感じております。

 内堀知事のお言葉でもある現場主義、そして責任の貫徹、これを是非、大臣にリーダーシップを取っていただいて貫いていただきたいと思っておりますし、私のような福島選出の国会議員も大臣そして地元の皆様にできるだけの御協力をさせていただければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 その上で、個別の問題についていろいろとお伺いできればと思っております。

 まず最初に、F―REI、福島国際研究教育機構についてお伺いいたします。

 産業復興を更に加速させていくために、F―REIについて、先進的な研究開発が産業化につながっていくということが大きな目標であるとともに、F―REIの大きな意義というのは、それが復興という文脈で達成されることにあると考えています。そういう意味では、廃炉関連技術を始めとして、東日本大震災という前例のない事態に直面しているからこそ新しい技術が生まれ、その知見を日本、さらには世界に提供できるという側面が重視されるべきであると考えております。そして、これを徹底することが、そういうテーマに取り組めるということで、日本中、さらには世界から優秀な研究者に来ていただくという上での売りになるとも考えております。

 その点からは、復興における政府の司令塔たる復興庁が中心となっていただいて、責任を持って更なる取組を強化していただくということが必要だと考えておりますが、今後の取組方針についてお伺いできますでしょうか。

牛尾政府参考人 お答えいたします。

 F―REIでございますけれども、令和五年四月の設立以来、我が国の科学技術力、産業競争力強化の観点とともに、福島、東北の復興を実現するという観点から、世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指して着実な歩みを進めており、復興庁が中心となって、関係府省と連携しながら支援を行っております。具体的には、F―REIの中期目標の策定でございますとか年度ごとの業務実績評価、それからF―REIの施設整備を今進めておりますけれども、これらも復興庁が中心となって行っているところでございます。

 引き続き、F―REIがその特性を生かしまして研究開発や産業化に取り組み、復興の実現に貢献できるように、復興庁が中心となって、かつ政府一丸となって支援してまいりたいと考えております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 復興庁が中心となってというお言葉、大変心強く思っております。

 やはり、F―REIが独自性というものを世界にある研究機関の中で出していくためには、復興という文脈にしっかり乗せていく、それはテーマ選定という点でもそうだと思いますけれども、そういう文脈にしっかり乗せていくことによって、まさに今おっしゃってくださったとおり、世界に冠たる創造的復興を実現するための機関ということが達成されるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 そういうような世界に誇れる研究機関になっていくためには、研究者を引きつけるための研究設備、さらには、今世界的に研究者獲得競争が激しくなっていくと言われている中で、競争力のある報酬水準を準備する必要があるかと思っております。

 正直な話、しっかりとお金を出していかないと、なかなか、わざわざ日本まで来ようと思ってくれる研究者の方も少ないかなと思っておりまして、しっかりとした報酬水準、そして、自分のやりたい研究をしようと思ったときにその研究ができる設備。テーマとしては面白いものがあるわけですから、そういった報酬水準とか設備、ここの整備を更にしていく必要があるのではないかと考えております。

 こういった問題意識の下で、日本、さらには世界から人材を引きつけるための予算的手当てというのは十分になされているとお考えかについてお伺いできればと思います。

牛尾政府参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘いただきましたとおり、F―REIが国内外から優秀な研究人材を確保するためにも、研究者にとって魅力的な研究環境を整備するということが大変重要でございます。

 また、F―REIの施設につきましては、F―REIの意向も踏まえまして現在設計を進めております。また、併せまして、例えば放射性医薬品の開発など高度の研究に必要な研究設備についても、今後、計画的に整備を進めてまいります。

 それから、これも御指摘いただきました研究者の報酬水準でございますけれども、研究者の能力や業績等に応じて柔軟に設定し、国内の他の大学や研究機関を上回る報酬を支給可能となるように、国際競争力のある給与体系を今構築しているところでございます。

 復興庁といたしましても、これらの取組でF―REIにおいて優秀な研究人材等の確保が進むように、関係府省と連携しながら、必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと思っております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 設備については魅力的な設備を整備していただける、その前提としては、そういった設備を整備するための予算というのもしっかり確保していただけるということだと思いました。

 もう一つ重要なポイントは、ほかの研究機関を上回る報酬体系、報酬水準を準備するということで、これは非常に重要だと思っております。やはり研究者の方は、テーマが面白いというだけではなくて、御家族がいる方もいらっしゃるわけですから、ほかの研究機関に行こうかなと思っている方も、でも、福島に行ったら面白い研究ができるというだけじゃなくてしっかりとお金も手当てされているということになると、優秀な方が来てくださるのではないかなと思いまして、そういった方針で進めていただきたいと思いました。

 さらに、他機関との連携という観点からお伺いをしたいんですけれども、近時の報道でも、F―REIと福島大学、そして東北大学との連携ということが取り上げられておりました。福島県には、実は、こういった大学のほかにも、産業技術総合研究所、いわゆる産総研でありますとか、ふくしま医療機器開発支援センターといった研究機関がございます。こういった研究機関があるという点を考えると、こういった研究機関との研究の重複を避けるということが効率性の観点からは一つ重要である一方で、せっかくこういう機関があるので、効果的に連携もできるといいのかなと思っております。

 そこで、こういった研究機関との連携について、どういった取組方針で進めていかれるのかということについてお伺いできればと思います。

牛尾政府参考人 お答えさせていただきます。

 福島県に所在する様々な研究機関がございます。これらとF―REIとの効果的な連携を図ることは、復興庁としても大変重要であると考えております。

 F―REIでは、司令塔機能を発揮するための新産業創出等研究開発協議会というものを定期的に開催しておりますが、これには、福島県や、福島県内の大学、研究機関などに御参画いただいております。

 また、具体的な取組といたしましても、現在取り組んでおりますF―REIの委託事業におきまして、例えばですが、スマート農業や果樹生産等に係る研究については、福島大学や、先ほど御指摘いただきました産業技術総合研究所、それから医薬品の開発等に係る研究につきましては、福島県立医科大学などの県内の研究機関、それから地元の民間企業にも御参画いただきまして連携を図っているところでございます。

 引き続き、F―REIとこうした研究機関との効果的な連携が更に促進されますよう、復興庁としても、関係府省とも連携しながら支援をしていきたいと思っております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 もう既に委託事業なんかを通じて連携されているということだと理解いたしましたし、また、情報交換の場なんかについても設置されているということだと理解いたしました。

 そういった情報交換の場が今後更に密になされるということを確保していくことが一方で重要で、年に数回開かれるとかではなくても、定期的にそういった場を開催していく、そして、日々、報道とかいろいろな情報を通じてこれは連携できるんじゃないかなと思ったときには各機関同士ないし各研究者同士がやり取りをできるような関係構築、こういったものも重要になってくるのかなと感じたところです。

 F―REIについては、正直、地元での認知度というのもまだまだもう一歩というところがありまして、そういう意味で、認知という点で課題もあるなと思っているんですけれども、私自身は、福島だから人が集まらないとか面白い研究ができないとか、そういうことでは全然ないと思っております。

 例えば、地方の大学でいえば、沖縄科学技術大学院大学、いわゆるOISTみたいな世界で勝負できるような研究機関というのも地方でも育っておりますし、しっかりと戦略を立てて、最近だと知財戦略をしっかり立てていこうというような方針も打ち出されたわけですけれども、そういうところを含めて戦略を立て、テーマを絞り、人を集め、設備を整備しということをしていけば、まさに世界に冠たる創造的復興の拠点としての研究機関になり、新しい技術、知見というものを日本、さらには世界に提供できると信じております。

 そのための努力を復興庁の方々に期待させていただくとともに、私たち地元選出の政治家も、そういった高い目標を持って、それが実現できるんだという強い意思を持って共に進めさせていただきたいと考えております。

 続いて、農業についてお伺いいたします。

 復興における農業分野の取組としては、高付加価値産地展開支援事業、福島再生加速化交付金等によって農業の再生というのが進んで、かつそれが、農業の大規模化、農業生産法人のような新たな担い手の参入、産品の高付加価値化という形で一定の成果を上げていると理解しています。

 特に、農業の大規模化、これはやはりずっと難しい難しいと農業の分野で言われていたのが、復興地域、被災地域については、一事業体、一事業者当たりの平均耕作面積というんですかね、これがほかの地域よりも大きくなっている。これは国として取組を進めていた一つの成果、もちろん現場の方が頑張ってくださったということもありますけれども、国としての取組の一つの成果なのではないかと感じているところです。

 そういった意義ある取組が進んでいる一方で、加速化交付金などによって整備された施設については、その利用率に差があるという状況になっていると理解しております。また、今後、広域的な産地形成というものが目指されていかなければならない中で、広域的に見たときには、どうしても、市町村、今別々に施設を整備したところがある結果、必要な施設に重複が生じてしまう場合もあるのではないかということも懸念されていると理解しております。

 こういった背景、問題意識を踏まえまして、このような産地形成ですとか施設整備に関するこれまでの成果、一方での課題についてどのように分析されているでしょうか。成果と課題について、両面からお伺いしたいと思っております。

 特に設備については、箱物を造ったはいいものの使われないということでは、復興を支えようという国民の皆様からの機運をそぐことにもつながってしまうと思われます。そういう点では、整備された施設それぞれの利用状況が低い場合については、しっかりと原因分析をして対処方針を立てていくということが大事になってくるかと思いますが、そういった原因分析や対処方針、こういったものについても、今どういった状況であるかについてもお伺いできればと思います。

谷村政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生からお話がありましたように、福島再生加速化交付金や高付加価値産地展開支援事業、これらによって、ライスセンターであったり集出荷施設を整備させていただいたところでございます。やはり、被災十二市町村の営農再開を加速化するためには、被災地域の農業が産業として発展する、こういう姿をしっかり見せていくというのが大事だと思っております。

 そういう意味では、この事業で整備した施設によって、例えば、広域JAと米飯加工業者が連携したパック御飯向けの産地をつくるための製造工場であったり、若しくは、加工や業務用野菜を生産から加工まで一貫して行う産地づくりを行うという観点からの野菜のカット、冷凍工場、これに合わせて生産法人が地域の外から入ってくるというような形での明るい動きがあるというふうに考えております。

 ただ一方で、先ほど先生からお話がありましたように、やはり施設ごとに差があるのも事実でございまして、どうしても利用率が処理能力を下回っているという施設があるのも事実でございます。

 これにつきまして福島県等と話をしたところ、やはり市町村単位での利用を前提としている施設が多いものでございますので、例えば、当該市町村での避難指示解除が遅れるということがあると、当初の想定よりも営農再開が遅れるということによって、生産能力に見合うような原材料の供給等が遅れるというようなことがあるというふうに承知しております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 まさに今みたいな成果を踏まえて、一方で課題を踏まえて、その原因は何なのかと分析を進めてそれに対処していただくということを進めていただくのが重要だと思いました。

 さらに、今話にも出していただいたんですけれども、施設整備、さらに、産地形成において市町村を超えた広域連携が必要になってくると思われますが、今広域JAとの連携というお話も出していただきましたけれども、これをどのように進めるべきと考えていらっしゃるでしょうか。

谷村政府参考人 お答えいたします。

 市町村単位を超えた取組ということになりますと、やはり福島県、県なり広域JA、福島でいうとJAグループ福島でございますが、こういうところの働きというのが非常に重要だと思っております。

 これは先生御案内かと思いますが、昨年、福島県がJAグループ福島と共同で、避難地域十二市町村農業の復興・創生に向けたビジョンというのを示していただいたところでございます。この中においても、地域の状況に応じた営農再開と広域的な産地形成というのを大きな柱として位置づけていただいているところでございますので、やはりこういうような、市町村のみならず、県なりJAグループとの連携、これらの方々との意思疎通、これが我々、今後広域産地をつくっていく上で非常に重要な取組だと考えておるところでございます。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 効率的な産業、まさに農業を産業としていくということをおっしゃっていただきましたけれども、そういったことを進めるに当たっては、例えば品目や施設ごとの目標の設定ですとか、その達成度の検証ですとか、その検証を踏まえて柔軟、迅速、めり張りの利いた支援を実施していくということが望ましいように思われますけれども、そのような支援実施に関する方針についてはいかがでしょうか。

谷村政府参考人 お答えいたします。

 まさに先生もおっしゃっていただいたように、品目ごとにいろいろ事情が違います。そういう意味では、よく福島県と議論するときに福島県の方からありますのは、福島県の農産物が有する強みを生かしたいという声を非常によくお聞きします。

 そういう意味では、我々といたしましても、その有する強みをどのように生かしていくのか。選ばれる福島県農産物になるにはどうしたらいいのか。それは個別の品目ごとにどのような戦略で、どのような産地形成を目指すのか。全てが広域産地じゃなくてもいいと思いますし、やはり、それぞれの品目ごとにちゃんと戦略を立てていただくというのが大事だと思っております。

 そういう意味において、我々としては、今後、福島県を始め、関係の自治体であったり地元の農業関係者等の方々と十分な意思疎通を図って、共通の認識を持ちながら物事を進める。さらに、先生がおっしゃったように、じゃ、その実現のために必要となる施策をどのように進めるのかというときには、本当に地元の後押しになるような施策なのかということを、効果についても不断に検証、分析をしながら進める。こういうことをやることによって、今後とも全力で、農林水産省といたしまして、福島県の農業の創造的復興というのを支援していきたいと考えております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 まさに品目ごとの戦略を立て、その効果を検証していく、これが重要だと思います。また、自治体との連携、そこもしっかりやっていただくことが大事なんだという理解をさせていただきました。

 最後に、産業分野についてお伺いしたいんですけれども、今般、福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真の改定が進められようとしていると認識しておりますけれども、その前提として、これまでの福島イノベ構想の成果と課題をどのように評価しているかお伺いできますでしょうか。

大串副大臣 御指摘の青写真につきましては、本年夏頃の改定を予定しておりまして、それに先んじて、今週開かれました原子力災害からの福島復興再生協議会の場において、福島イノベーション・コースト構想の成果や課題、目指すべき方向性をお示ししたところでございます。

 これまでの産業復興の支援策を通じて、ロボット、ドローン関連企業約八十社が県内に進出するなど、徐々に産業集積の芽が出つつある状況でございます。

 その一方で、これを持続可能なものとしていくためには、継続的に創業や企業進出が行われ、それらの企業の経済活動が地元企業に波及効果をもたらして持続的に稼げるようにする環境整備が重要であるというふうに考えております。

 そのため、廃炉、ロボット等の重点分野について、地域の強みを構築し、収益化をより強く意識した産業集積を進めていくというふうな方向性で進めさせていただいております。

 さらには、その集積効果を広域に波及させるべく、浜通り地域等の外も視野に入れて、地域の企業、事業者が業種を超えて協働するビジネス組成を後押しし、面的なサプライチェーン構築を進めることで、地域の稼ぎを創出してまいります。

 併せて、イノベーションによる日々の暮らしの改善にも取り組み、福島イノベーション・コースト構想の成果が浜通り地域等だけではなくて国内他地域や世界の社会課題解決にも資するように取り組んでまいりたいと思います。

 加えて、移住者や関係人口を含む担い手の拡大に向けた取組を進めることで、コミュニティー維持や、企業の雇用、事業機会創出にもつなげてまいりたいというふうに存じております。

根本(拓)分科員 ありがとうございます。

 今副大臣がおっしゃったとおり、今後、次の展開を見据えなければいけないということで、今までは、来てくださる企業、とにかく来てくださるのはありがたいですから誘致してきたというところがあると思うんですけれども、今後は、産業クラスターを形成するために、誘致した企業同士がシナジーを生むように、重点分野に即して、誘致、支援する企業を選択していくことが重要だと考えております。

 また、おっしゃっていただいたとおり、広域ですね、浜通りに閉じないサプライチェーンをつくっていくために、浜通り以外の企業についても誘致、声かけをしていくということも大事かと思いました。

 さらに、今後進めていただきたいのは規制緩和でして、規制を大胆に緩和して、ほかの地域でできないことが福島だったらできる、そういう準備をしていただいて、もし本当にそういうことをしていただくのであれば、福島であればほかの地域ではできない社会課題へ挑戦できるというメッセージを政府から強力に打ち出していただきたいと思っております。

 その点について、最後、もし何か一言あれば、お願いいたします。

大串副大臣 福島県は、昨年六月に、国家戦略特区の一つであります新技術実装連携“絆”特区に指定されておりまして、現在、ドローン及び水素に関する規制・制度改革を含む社会課題解決に向けた取組を推進しているところでございます。

 また、福島ロボットテストフィールドを中核とした先端的な研究開発、技術実証支援等を行っておりまして、これまでにも千五百件以上の事例の実証試験が実施されております。

 引き続きまして、福島県庁ともしっかりと連携をしながら、制度面や支援策の強みを生かして、着実に取組を進めてまいります。

 さらには、こうした取組や成果を発信することで更なる企業の呼び込みを促進することが重要であると考えておりまして、今年五月の大阪・関西万博福島復興展示におきまして、浜通り地域等で事業化に取り組む企業等について紹介する予定でございます。あらゆるチャレンジが可能な地域を目指す福島県浜通り地域などを、国内のみならず世界に向けて発信してまいります。

根本(拓)分科員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

牧島主査 これにて根本拓君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂本竜太郎君。

坂本(竜)分科員 お疲れのところ、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 改めてにはなりますけれども、私、復興行政についてお尋ねさせていただく機会は今回が正真正銘初めてでございます。一番お世話になっている地域の選出議員として大変恐縮でありますが、改めて、あの福島県の浜通りが初めて一つとなった選挙区であります小選挙区から送り出していただいております者として、地元の声をまず地元の立場から伝えさせていただきたいと思います。

 したがいまして、今日は、今それぞれもろもろの個別の課題について同じ福島県選出の仲間である、同志である根本議員からるるございましたので、基本的に、根本議員も度々おっしゃっておりました司令塔機能としての復興庁さんの更なる御覚悟に注視する形で、各般にわたってお尋ねさせていただきます。

 また、伊藤大臣を始め先生方におかれましては、私以上に福島県あるいは浜通りにお運びいただいて、つぶさに様々な課題を吸い上げていただき、対話をしていただいて、迅速に様々な政策課題に措置を施していただいておりますこと、心から御礼を申し上げる次第でございます。地元選出としてしっかり私も役目を果たさせていただくことができますよう、精進いたしますことをお誓い申し上げる次第でございます。ありがとうございます。

 まずは、あくまで予算審査の場でございますから、根本議員からも冒頭あったかと思いますが、当初予算の基本的な考え方について、これは年末来お示しはいただいておるところでございますけれども、極めて重要なタイミングに来ておるということは紛れもない事実でございます。

 令和七年度が第二期復興・創生期間の最終年度になる、当然のことでありますし、その先、地元としては一番の関心事であります令和八年度以降の第二期以降の在り方について、まだまだ懸念が払拭されない状況があります。そういった声を受けて、恐らくはかつてない観点を持って、令和七年度の当初予算につきましては、相当知恵を絞って必要なものを堂々と積み上げていただいたものと受け止めさせていただいているところでございます。地元からいたしますれば、ほぼほぼお願いさせていただいたことを反映していただいているという、ありがたい予算案であると思っております。

 そうした点を含めましてお伺いしたいんですが、もう一点。地元の懸念とかいう表現をさせていただきましたが、昨年秋の行政事業レビューという脈絡の中で、いわば行政改革の脈絡からすれば当然の側面もありますが、またそれとは違った次元で、まだまだ大変な状況、これからだという局面にある地元にとっては非常に不安をあおられる、非常に意欲をそがれる、ここまで皆さんのお力を合わせて積み上げてきて得てきたものが、これからだというときにどうなってしまうのかという、そういった不安や懸念にさいなまれていることも事実でありますが、十一月十四日の報道にあって、その一か月後の十二月十四日に石破総理が現地を訪れてくださいまして、るる御視察いただいた最後に、東京電力福島第一原子力発電所の中で、力強く、これまでの五年間を上回る財源を確保していくんだという言葉を発していただいたことはありがたいことでございます。

 その辺を踏まえて、何度も申しますが、令和七年度は様々な工夫を凝らした、先を見据えた予算の積み上げになっていることと存じますので、まず新年度予算全体についてお伺いをさせていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 坂本さんにお答えを申し上げます。根本さんと重ならないように、ちょっと考えてやりますので。

 東日本の震災からの復興については、復興の基本方針に基づいて政府一丸となって取り組んでおりますが、地震、津波被災地域については、今の五年間において復興事業がその役割を全うすることを目指し、原子力災害被災地域については中長期的な対応が必要であり、今後も国が前面に立って取り組むこととしております。

 こうした中で、今の五年間の最終年度である令和七年度においては、地震、津波被災地域において、被災者支援など、きめの細かい取組を進めてまいらなければなりません。また、原子力災害被災地域では、帰還環境の整備など、本格的な復興再生に向けた取組を行うとともに、福島国際教育機構などの創造的復興のための取組を進めることとさせていただいております。

 次の五年間の予算の在り方については昨年末の復興推進会議で決定をしたところでありますが、今の五年以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保し、そして、特に福島県については次の五年間の全体の事業規模が今の五年間を十分超えるものと見込んでいるところです。

 行政事業レビューの指摘についてどういう対応を行うかは今後福島県とも相談、調整をさせていただきたいと考えておりますが、避難指示解除の時期等により大きく異なる各自治体の現状を踏まえつつ事業の成果の検証などを行っていくことは、引き続き重要な観点であると考えております。

 いずれにせよ、今後も引き続き現場主義を徹底し、地元の声を丁寧に拾いながら、福島の復興、東北の復興を着実に進めてまいりたいということをお返ししておきます。

坂本(竜)分科員 力強いお言葉、ありがとうございました。しっかりとその観点に立っていただいて、新年度、その先を見据えて、事業展開あるいは復興全体のかじ取りを復興庁さんとしてしていただきたいとお願いさせていただく次第でございます。

 いずれにしても、ステージが変わるということは、まさに地元としての責任も発生するんだ、私はそこが一番大事なポイントだと思っております。これまでは、急場をしのぎ、まず復旧を果たし、各市町村が目の前の必要なことにそれぞれ取り組む中でその一つ一つに向き合っていただいてきたわけでございますが、その先を見据えて責任ある在り方を見出していくならば、お話がありましたように、しっかり成果を上げていく、未来につながる予算の執行でなければならない、そのためには新たなビジョンを描かなければならない。今度、青写真についても夏に向けて示されることと思いますが。

 そして、何なら、先ほど根本議員からもありましたけれども、F―REIの取組を通じて、世界に貢献できるこの福島県の姿をつくり上げていくためのまさに初年度の予算である、私はそういう受け止めをさせていただいているところでございます。そのためにしっかりと財源を施していただくということが肝要かと思っております。

 行政事業レビューの指摘とは別に、政治的な課題として所得税の在り方について様々な議論が取り沙汰されております。これは両面あるわけですね。そもそもパイが減っちゃうんじゃないか、あるいは、そもそも上がっちゃうんじゃないか、その御負担の方ですね。全国の皆さんに長期にわたって更に御負担いただく復興財源でありますから、なおさらその辺の意識を高めて必要なものを積み上げ確保していくということが求められるわけでございますが、それにしても地元は一抹の不安が払拭できない側面もありますので、改めて、復興財源の確保について揺るぎないものであるんだということを発していただきたく存じますが、御答弁をお願いさせていただきます。

鈴木副大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、坂本先生には本当に、県議時代から被災地の御地元に向き合っていられる姿勢に、私も東北の一員としていつもいつも敬意を抱いておりますので、こうして国会でやり取りができますことを大変うれしく思っております。

 先ほど大臣からも答弁がありましたけれども、今後の復興予算については、昨年末の復興推進会議決定において、次の五年間が極めて重要な期間であるということ、特に福島県については次の五年間の全体の事業規模が今の五年間を十分に超えるものと見込まれるとされているところであります。この決定に基づきまして、更に具体的な議論を進めて、今年の夏に次の五年間の具体的な事業費と必要な財源の見込みを示す予定にしております。

 今先生からも御指摘があったとおり、税の在り方などについて様々な議論がありますけれども、どんな議論があったとしても、福島を始めとする被災地の復興を進める上で必要十分な予算を確保するということ、それが政府全体の責任というふうに考えておりますので、復興庁として、その姿勢でしっかり取り組んでいきたいと思います。

坂本(竜)分科員 改めて確認をさせていただきまして、力強い決意を発していただきましたことに感謝申し上げます。

 そういう覚悟で復興事業予算を積み上げていきたいと思っております。地元の覚悟もお伝えさせていただきますので、何といっても本家本元であります財政当局の方からしっかりとした御理解をいただいた上に、そういう意味では健全な形の後押しを是非お願いさせていただきたい。あの地域をああいう状況にしてしまったとあえて申し上げますけれども、した以上は、あの地域の行政の在り方、予算立ての在り方、そういったものも我々地元はしっかり、今までと認識を変えて、あるべき形にしていかなきゃならないというのを一つ触れさせてはいただいておりますが、財源について、心配するなというメッセージをいただければ地元はますます頑張れるものと思いますので、是非お示しいただきたいと思います。ありがとうございます。

土田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今、いわゆる百三万の壁の話から派生する復興特別所得税の件で質問いただいたんだというふうに思います。

 本来であれば、政党間協議に関わる事項でございますので、政府の立場からコメントは申し上げないんですが、先生の非常に熱い思いを感じましたので、あえてその上でお話をさせていただきますと、東日本大震災の復興復旧支援事業につきましては、昨年の復興推進会議において、令和八年度から五年間で一兆円台後半の事業規模となる旨が決定されたわけでございます。財務省としても、しっかりと復旧復興を滞りなく支障なく進めていくことができるように、この財源の確保にしっかりと努めたいというふうに思っております。

坂本(竜)分科員 それぞれから本当に政治的に力強い、踏み込んだ御覚悟をお示しいただいて、大変光栄でありますし、しっかり地元の責任を果たしてまいりますことをお誓い申し上げさせていただきます。それが一番、国が前面に立って、国の責任においてという言葉を担保することにつながるわけでございます。

 いろいろな課題がある中で、先週の後半以来、一部報道で、国の姿が見えないんじゃないかということの脈絡からであると私は思っておりますが、一番の課題であります重要な局面を迎えております除去土壌の在り方について、この間、最も御苦労いただいた地元の自治体の一つである福島県双葉郡双葉町長から、ああいった、個人的なと断った上ではありますけれども、大変重い発言を自ら切り出していただいたという事実があります。一義的には環境行政の方でしっかりと向き合っていただくべく、つい一時間ほど前に環境大臣にも強く再三にわたって求めさせていただきましたが、国の責任の所在を明らかにする前提は、重ね重ね申し上げさせていただいておりますとおり、司令塔であります復興庁さんにしっかりとその辺をハンドリングしていただき、リーダーシップを発揮していただき、横串機能を発揮していただきたい。それがかなって初めて確たるものになって、ああいった発言を地元の首長がせざるを得ないような状況から脱することができる可能性があるわけでございます。そうあるべきだと思っています。

 是非、復興庁として、除去土壌の県外最終処分に向けた姿勢というか御覚悟について、果たされる役割を是非お示しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤国務大臣 中間貯蔵施設は、福島県の大熊町、双葉町の皆様方に大変重い決断の下で受け入れていただいたと認識をしております。私自身も、環境省副大臣を務めておりましたときに、その工事の最初の段階での挨拶をした覚えがありますので、大変これは深く胸に刻んでいる仕事でございます。

 中間貯蔵施設に持ち込まれた除去土壌を二〇四五年三月までに県外最終処分をするという方針は、国としての約束であり、法律にも規定されている国の責務だというふうに承知をしております。それも、そのときにも承知をしております。

 除去土壌等の県外最終処分に向けましては、昨年の十二月に閣僚級の会議を設置し、再生利用の推進や全国民的な理解醸成など、政府一体となって取組を進めることとしたところでございます。復興庁といたしましても、復興の司令塔として、この閣僚会議の場等において、環境省を始めとする関係省庁との連携をさせていただき、引き続き必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えておりますので、どうか御安心をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

坂本(竜)分科員 しっかりと、この間、いろいろな立場で担ってきていただいた、お力をいただいてきた証左でありますし、西銘元大臣もおいでいただいておりますから、本当に多くの皆さんに長い間にわたってこの福島についてお力をいただいてきた、だからこそ、ここで、この踏ん張りどころで中途半端なものや信頼関係がそがれるようなことだけは避けなければならないという思いでおります。

 ちょうどこの三月でもって、中間貯蔵施設に搬出されるのが始まって十年たった。あと二十年後の年限であります。あと二十年あると捉えるのか、もう二十年切ってしまったと捉えるのか。地元は、もう切ってしまったけれども全く見えていないよ、どうなんだという不安があったればのことでございますので、ちょうどそういうもろもろのタイミングに差しかかっておりますことを強調させていただいて、お力を賜りますようお願い申し上げさせていただきます。

 同じような、信頼関係に基づいてなされるべきこと、科学的なことを持ち合わせて粘り強く、諸外国も含めてこれを切り開いていくにしても、対応も含めて切り開いていかなきゃいけないのが、同じいわば三本柱であります廃炉とALPS処理水海洋放出、そしてこの除去土壌の取扱いについてであります。これも直接的には経産省さんや水産庁さんにもいろいろ現場でお力をいただいているところではございますが、いずれにしても復興行政全体の統括をするお立場からこの取組についての後押しを賜りたく、その御決意をお示しいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

輿水副大臣 坂本委員からの、廃炉またALPS処理水の海洋放出について御質問をいただきました。

 まず、東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉についてですけれども、これは世界にも前例のない困難な取組であり、今後、燃料デブリの取り出しなど、廃炉の根幹となる困難な作業に取り組んでいくものと承知をしているところでございます。引き続き、政府が前面に立って、安全な廃炉に向けて中長期の取組を着実に進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、ALPS処理水の海洋放出についてでございますが、昨年八月の関係閣僚等会議におきまして、政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組むという方針に変わりはございません。

 そして、復興庁といたしましても、政府全体の中で関係省庁と連携しながら引き続きしっかりと取り組んでまいります。特に、風評対策を中心に、国内外に向けて科学的根拠に基づいた正確な情報を分かりやすく発信するとともに、三陸、常磐物を始めとする地元産品や地域の魅力を効果的に発信してまいるよう全力で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

坂本(竜)分科員 ありがとうございます。

 ALPS処理水の海洋放出に至る過程にあっても、地元でさえ立場が分かれてしまうわけですね、漁業者、水産業者の方と。でも復興を前に進めるためには避けて通れないんだと、このときも地元の首長に先鞭を切っていただいた経緯はあります。

 それ以前の中間貯蔵施設の受入れに対しても全く同じで、復興を進めるためには除染せねばならぬ、除染するには置場を確保しなきゃいけない。何で二回も三回も、二重、三重にわたって地元が負わなきゃいけないんだというジレンマや怒りがありながらも、これを確かなものにしていくために、まげてどころか、将来世代に対する責任をしっかり痛感して、地元で度々この決断をしていった。

 今回も同様である、同様の経緯であるのに、その先に対しての不安が払拭し切れないということからこういう事態に至っておりますので、全て、これは除去土壌のことだけじゃないんだ、これまでやっていただいた様々な取組と根底は全部一緒なんだということで、復興庁さんのお力を求めさせていただく次第でございます。

 そういったことを積み上げて新しい時代を切り開いていく取組が、先ほど根本議員からもございましたが、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIであります。

 私も、先ほど鈴木副大臣からもお話がありましたけれども、県会議員時代からこれについて私は、どちらかというと、期待もしながら問題意識をこの間持ってきました。満を持して復興のその先、創造的復興の中核拠点、世界に冠たると掲げれば掲げるほど、地元と乖離してしまう側面があるんじゃないかという懸念であります。

 そうではないんだということをしっかりと地元が認識でき、地元が担い手となって、先ほど来ありました世界に冠たる有名な研究者の先生方も受け入れて、迎え入れて、しっかりと研究開発を成し遂げて、産業化を果たして、地域全体を新たな時代に持っていって、そして、あの地域から、世界中にお世話になったあの福島県の浜通りから世界に貢献していくんだと一連の描かれているものも、まだまだそんな状況に至っていない現実があります。

 そういう意味では、研究開発に文科省さんがお力をいただいている、先々には経産省さんだ、あるいは、地元が担っていくという観点からすれば、地元を取り戻すんだという観点からすれば農林水産分野の課題が一番大きいわけですから、地域に根づいた産業であり、地場産業であり、課題でありますから、それに資する研究が行われるべきであって、あれは今まさに今年の予算の特徴であります大臣折衝でかち取っていただいた、三十八億の拠点整備の費用をかち取っていただきましたが、あの建物の中でなされるだけではないわけで、農林水産業の実証フィールドを現場でやるわけです。それこそ福島県の浜通りであるべきだし、あの施設を飛び出して福島県全体でなされるべきである。

 そういったことも含めて先々には農水省さん、今一番早く取組はいただいていますけれども、F―REIに関しては。あらゆる役所の皆さんのお力を総動員して、これを本当の意味の世界に冠たる創造的復興の中核拠点であるべきものに五十年かけたって百年かけたってしていくべきであって、今は到底そういう状況にない、それをかなわせることができるようにするためには、やはり復興庁さんがあるうちにしっかりリーダーシップを発揮していただくというのが私は一番肝要だと思っておりますので、どうか遠慮しないで、各役所の裏からのバックアップじゃない、リードしていただく立場であっていただきますことを強く求めさせていただく次第でございます。

 つきましては、このF―REIに対します復興庁さんの役割、そして地元のあるべき関わり方についても私はそれが必要だと思っておりますので、その辺のリーダーシップも発揮していただきますよう、お答えを求めさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

牛尾政府参考人 お答えいたします。

 F―REIにつきましては、令和五年四月の設立以来、世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指し、研究開発、産業化、人材育成を柱に様々な取組を進めているところでございます。

 国といたしましては、F―REI設立当初の七年間一千億円を目安に研究開発等に必要な予算を確保するとともに施設整備などを進めておりまして、復興庁を中心に政府一丸となって支援してまいりたいと思っております。

 また、F―REIが地域で存在感を示しつつその機能を最大限に発揮するためには、各取組におきまして、浜通り地域等の住民の皆さん、自治体や企業等の皆さんとの有機的な連携、協働体制を構築していくということが重要であると考えております。

 例えばでございますけれども、現在進めております稲作の完全自動化に向けた技術開発でございますとか地域におけます耕畜連携の推進など、農林水産業分野の研究開発に当たりましては、浜通り地域等において現場実証を行うということとしております。地元と連携しながら研究開発を進めることが大事だと思っております。

 今後も、F―REIの様々な活動におきまして、地元の住民の皆さん、自治体、企業等の皆さんと有機的連携、協働関係が構築されるよういろいろと工夫しながら、復興庁としてもしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。

坂本(竜)分科員 これまでもそういった方向性や取組は示していただきましたけれども、これに魂を入れる作業を是非いよいよしていただきたいというお願いであります。あれだけ苦労したって、地元の手で福島第一原発の廃炉作業も担っている。あの当時、建設した段階の初代のお子さん、お孫さん、二代目、三代目が地元の責任で担っている側面がある。これが地元の関わりであり、継続的な地元の責任なんですよ。また次なる有事があったときも、地元の責任で担っていくんだと。

 F―REIについても同じであって、その一つでいえば、先ほど申し上げましたように、新たに拠点整備がかなう段階に、予算が獲得されて、これから成立の運びになった暁には、そういった、何らかの形でも、その段階から地元が抱えられる在り方も是非お知恵をいただきたい旨お願い申し上げさせていただきまして、次の質問をさせていただきます。

 今、農林分野のお話もありましたけれども、海の話、農業の話をさせていただきましたが、その大本は山であります。正直、いろいろ施していただいていますけれども、一番後回しになっております。まだ放射性物質が降り注いだままの状況。この激甚化する、局地化する気候変動の災害と向き合う中で、何か想定し得ないようなことが起きた場合に表土が流出してきたら、全ての今までの取組やこれから取り組もうとすることも水泡に帰してしまう懸念がある。

 始まっていませんが、気の早い話で恐縮ですけれども、いよいよ令和八年度から、そういった森林整備の在り方に乗り出すためのガイドラインの策定を新年度にされると伺っております。そういったこと、まあ、あくまで七年度の当初予算審査でありますから、その脈絡の中で、この森林整備について復興に資するものであっていただきたいということをお願い申し上げ、御答弁を賜りたいと思います。

長崎屋政府参考人 お答え申し上げます。

 林野庁では、福島県の森林・林業の再生に向けまして、放射性物質の影響を受けた地域における森林の整備ですとかシイタケ原木生産に向けた広葉樹林の再生、さらには木材製品の安全確保の取組等を推進してきたところでございます。

 令和七年度当初予算におきましては、これらの事業継続に必要な予算に加えまして、新たに、森林作業が現在制限されております帰還困難区域における森林整備が早期に再開できるように、空間線量率のモニタリングですとか、安全に作業を行うための森林作業のガイドラインの作成に必要な予算も新たに計上したところでございます。

 第二期復興・創生期間後におきましても、引き続き、福島県や地元市町村を始めとする関係の皆様の御意見を丁寧にお伺いしながら、帰還困難区域も含めた福島県の森林・林業の再生に向けまして適切に対応してまいります。

坂本(竜)分科員 せんだっても、地元の要望活動の際に伊藤大臣のところにお伺いさせていただいたときに、予定外に林野庁長官が御同席いただいて、復興庁がリーダーシップを発揮して連携してやっていくんだというのをその場でお示しいただいた、大変ありがたいシーンに同席させていただきました。是非その脈絡でもって各分野にわたってリーダーシップを発揮していただきますことを最後に改めて申し上げさせていただきまして、この新年度に向けて、大事な正念場、局面にあるからこその、全体の、新年度に向けての御覚悟についてお示しいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

伊藤国務大臣 改めてお答えを申し上げます。

 東日本大震災の発災、そして東京電力福島第一原発事故から間もなく十四年が経過をいたします。今なお、被災地や避難先で困難な状況に置かれている方々や、不安を抱えている方々がいらっしゃることと思います。新年度を迎えるに当たりまして、被災地の復興に全力を挙げるべく、私自身、改めて気を引き締め、職務に邁進したいと考えております。

 また、令和七年度は第二期復興・創生期間の最後の一年であり、その次の五年間、すなわち令和八年度から十二年度に向けて、夏までに現行の基本方針を見直す必要があるというふうに考えております。

 昨年末の復興推進会議において総理からも指示をいただいたとおり、次の五年間は復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間であり、これまで以上に力強く復興施策を推進していく必要があると考えております。そのため、被災地の皆様ともよく相談をしながら、丁寧に検討作業を進めてまいりたいと考えております。

 先ほど根本先生の方からもお聞きをいただいたときにお答えを申し上げましたが、先週、連休の最後に、福島県の内堀知事とともに法定協議会に参加をさせていただきまして、その折、内堀さんから言われたことは、現場主義を徹底してほしいこと、そして責任貫徹という大切な言葉をいただきました。これをしっかり旨とさせていただきまして、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし、この強い決意の下に、引き続き現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、中長期にわたり福島の復興に責任を持って取り組んでまいりたい、これが私の存念です。

 以上です。

坂本(竜)分科員 済みません、お時間が参りましたが、大変力強いお言葉をそれぞれからいただき、ありがとうございました。しっかりとタッグを組んで、福島の確かな未来、この国の新しい時代を切り開いてまいるべく精進してまいりますことを私もお誓い申し上げて、以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。よろしくお願いします。

牧島主査 これにて坂本竜太郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 こども家庭庁について質疑の申出がありますので、これを許します。大西洋平君。

大西(洋)分科員 自民党、東京十六区選出の大西洋平でございます。

 今日は、このような貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 三原大臣におかれましては、通告はございませんので、御退席いただいて結構でございます。

牧島主査 三原大臣、御退室いただいて結構です。

大西(洋)分科員 それでは、早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、学童保育事業、放課後児童クラブについてお伺いをさせていただきます。

 保育園の待機児童問題が一定の成果が上がっている中で、都市部の自治体においては学童保育の確保が課題となっており、小一の壁と言われる社会問題の一因となっています。

 私の地元江戸川区では、すくすくスクールという制度を二〇〇三年から学童保育とは別に実施、運営しており、この特徴は希望者全員を受け入れていることです。これまで、保育スペースの確保、職員確保などの課題などから放課後児童健全育成事業の対象となってきませんでしたが、来年度から放課後児童健全育成事業の対象として認めていただけることとなりました。これには、児童が自由に活動する、地域の方々など多くの大人がすくすくスクールに関わるなどの先進的な部分が、今の時代にこそ求められ、多くの自治体の皆様からも視察を受けるなど、すくすくスクールの理念に国の学童保育の在り方が追いついてきたとも認識をしています。

 学童保育については、保育事業と異なり、小学校の授業時間を除いた時間での預かりが求められ、職員の勤務時間などが通常の仕事と比べ変則的であることから、職員の給与待遇などについて難しさがあることは承知をしております。一方で、二〇一二年の児童福祉法改正によりその対象を小学校に就学している児童全体に広げ、二〇一五年に施行されてから十年が経過をしようとしています。希望者については全て学童保育を利用できる状態にすることが国の責務と考えております。

 まず、学童保育事業の職員配置基準や面積基準などが、平成三十年に、従うべき基準から参酌基準へと変更する閣議決定がなされた経緯と理由についてお伺いをさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の基準の位置づけについて、その経緯についてお尋ねがございました。

 放課後児童クラブは、各地域で先行して実施をされていた事業を、平成九年の児童福祉法改正によりまして法律上の制度として位置づけられたものでございます。法定化の後に、子ども・子育て支援法におきまして、平成二十七年度から地域子ども・子育て支援事業に位置づけられたことに伴いまして、国が基準を定めた上で地方自治体において条例を定めることとなりました。

 この基準の施行当初は、基準で定める事項のうち職員配置に係る基準については従うべき基準としてございました。一方、平成二十九年、地方分権改革の提案募集制度におきまして、地域によって職員確保が困難な状況にあるとの理由から、地方三団体などから基準を参酌化するよう要望があったところでございます。

 この要望を受け、地域の実情等を踏まえた柔軟な対応ができるように、従うべき基準から参酌すべき基準とする法改正を令和元年に行いまして、令和二年度から施行しているという状況でございます。

大西(洋)分科員 お答えをいただきました。

 続いてになりますけれども、今お答えいただいたこの参酌基準となった場合においても、学童保育に必要な経費について基礎財政需要額に含まれるのか、また、従うべき基準と参酌基準の場合で、放課後児童健全育成事業などの補助金の在り方に違いがあるのかを併せてお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、放課後児童健全育成事業を含む地域子ども・子育て支援事業に係る地方負担額につきましては、基準財政需要額に算入をされているということでございます。

 また、国の方といたしましても、放課後児童健全育成事業に係る交付金について、その三分の一を国が補助をしているところでございまして、これは、従うべき基準から参酌すべき基準になった前後で補助に対する基本的な考え方は変更しておらず、国の設備運営基準に沿って職員を配置し、開所日数が二百五十日を超え、あるいは子供の集団の規模が四十人程度といった場合には、以前と変わらない水準の補助を行っているところでございます。

 さらに、補助基準額については、人事院勧告や社会情勢などを踏まえまして、放課後児童支援員の処遇改善等の累次の改正も講じてきているところでございます。

大西(洋)分科員 ありがとうございました。

 参酌基準となった場合でも、地方自治体が行うべき業務としての位置づけは変わらないということを改めて確認をさせていただきました。

 学童保育事業においては、優先されるべき利用者として低学年の児童などが規定されており、高学年の児童は利用できなくなる自治体もあるようでございます。

 学童保育事業が自治体の努力義務にとどまっている経緯と理由についてお伺いをさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブは、保護者などによる地域での自主運営等による事業として広がっていったという沿革がございまして、平成九年度には児童福祉法の法定化、平成二十七年度には子ども・子育て支援法上の事業として位置づけられたというふうな経緯がございました。

 その上で、放課後児童クラブを市町村が実施をするに当たりまして、実施主体や実施場所など運営の実態が多様であるということを踏まえまして、事業の実施方法については、地域の創意工夫を生かせるようにという観点から、児童福祉法におきまして努力義務というふうになっているということでございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。

 御答弁の中でも地域の自主運営からスタートというお話もありましたが、やはりこれは各自治体によってもそれぞれ状況は異なっているのかと思っておりますし、共働きの場合、仮に小学校三年生、四年生の児童が保護者の帰宅までの間、毎日一人で留守番できるかについてはやや疑問もあると思っております。本来、自治体は希望者全員が学童保育事業を利用できるようにするべきと考えております。

 学童保育事業を自治体の努力義務ではなく保育事業と同様に義務とすることの必要性について、こども家庭庁の見解をお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げたとおり、放課後児童クラブの実施を自治体に対して一律に義務づけるということについては、実施主体や実施場所など運営の実態が様々、多様であるということを踏まえると、慎重な検討が必要ではないかなというふうには考えております。

 ただ一方で、この本事業は、仕事と子育ての両立を図る上で非常に重要な事業でございます。努力義務ではございますけれども、実態としても、現在ほぼ全ての自治体で実施をいただいており、引き続き、しっかりと地方の創意工夫を生かしながらも事業を実施していただくことが重要であると考えております。

 また、共働き家庭の増加に伴って、希望しているものの放課後児童クラブを利用できない、いわゆる待機児童が一定数いらっしゃることも課題でございます。必要なお子さんが放課後児童クラブを利用できるように、待機児童対策を早急に進めていきたいというふうに考えております。

 こども家庭庁といたしましては、昨年十二月に、文部科学省とともに取りまとめました放課後児童対策パッケージ二〇二五におきまして、同一小学校内で行う放課後児童クラブと子供教室の連携ですとか、待機児童解消に向けた取組を推進しているところでございます。

 引き続き、放課後児童クラブ事業の質、量両面での充実に取り組んでまいります。

大西(洋)分科員 ありがとうございました。

 待機児童の事例も併せて御説明をいただいた中で、様々な、柔軟に取り入れながら、時代背景に応じた取組をということで捉えさせていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 保育園が全ての希望者が利用できる状況になりつつある中で、学童保育の受入れ状況がかなわないことで共働き世帯が就業状況に影響が出ることを避けなければ、少子化問題の解決は立ち行かないと考えておりますので、子育て世代に寄り添った学童保育事業の充実に引き続き取り組んでいただくよう、よろしくお願いをいたします。

 次に、子育て支援の重要性から、ちょっと大きなテーマから質問させていただきたいと思います。子供国債の考えについてお伺いをさせていただきます。

 少子化問題の解決は日本にとって喫緊であるとともに最大の課題の一つです。フランスなどの出生率を改善した先進国の事例を見ると、現金給付の充実が、少子化問題解決においては現金給付が大きな後押しになることが立証をされています。

 日本においては、児童手当について、所得制限を撤廃、支給対象を高校生年代まで延長し、第三子以降は三万円に増額するなどの拡充を行いました。この児童手当の拡充を含む総額三・六兆円規模に及ぶこども・子育て支援加速化プランの財源については、子ども・子育て支援金制度を創設するなどして対応をしています。子ども・子育て支援金制度は、社会保険料と併せてその資金を国民の皆様からいただく形となっております。総額三・六兆円は大きな額ではありますが、少子化対策には更なる抜本的なチャレンジが求められていると考えております。

 こうした状況の中で、少子化政策を含む子供政策の財源に特化した形での国債、子供国債についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、これまで財源として、こども家庭庁が政府内において財源として子供国債による財源確保、主張をしてきたことがあるか否かについてお伺いをさせていただきます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、少子化対策は我が国にとって喫緊の課題でありまして、加速化プランにおきましても、国会、与党で大きく議論をお願いしたところでございます。

 他方で、委員お尋ねのいわゆる子供国債についてでございますけれども、その発行をこども家庭庁として主張、提言したことはございません。

 今般の加速化プランにおきましても、子供政策の抜本的な拡充に向けて財源確保の議論はございましたが、これらの支援は一時的ではなく恒久的な施策でございまして、安定的な財源が必要であるとの考えに基づきまして検討がなされた経緯がございます。

 こうした考え方の下で、こども戦略においては、加速化プランの実施が完了する二〇二八年度までの間に、歳出改革、既定予算の最大限の活用など、支援金の制度の構築により安定的な財源を確保するということとしておるところでございます。

大西(洋)分科員 官房長からお答えをいただきましたが、では、視点を変えてちょっとお伺いさせていただきます。

 子供政策における財源は安定財源であるべきとの御答弁でした。国債による財源措置は完全に排除されるべきものでしょうか。いわゆる赤字国債については、確かに国債は安定財源ではないとの御指摘は当たるかと私も認識をしておりますが、建設国債についてはいかがでしょうか。

 建設国債については、道路やダムなどのインフラ整備は受益が将来世代にまで及ぶという性質から将来世代に負担を求めることが認容されるなどの観点で、財政法上明確にその発行が認められています。

 建設国債は、一般会計における公共事業費の範囲内で発行が可能であり、令和七年度予算においても約六・八兆円の発行が計上されており、建設国債の残高額は約三百六兆円となる見込みでございます。

 インフラ整備は受益が将来世代にまで及ぶという性質から将来世代に負担を求めることが認容されるとして建設国債の発行が認められるとするならば、将来的に納税者となる国民を増やす、国民を育てる少子化対策を含む子供政策はまさに将来への投資であり、子供政策の政策経費の範囲内で子供国債を発行することが効果的な選択肢の一つではないかと考えます。

 そもそも建設国債は安定財源とは言えないのかという観点も踏まえて、子供国債によって子供政策における財源を安定的に確保できるのではないのか、財務省の御見解をお伺いさせていただきます。

前田政府参考人 お答えさせていただきます。

 財務省といたしましても、子供、子育て政策は大変に重要な課題であるというふうに考えてございまして、一昨年に閣議決定をされましたこども未来戦略の着実な実施に向けまして、現在、こども家庭庁を始めとする関係省庁において取組が進められているというふうに承知をしてございます。

 その際、恒久的な施策には恒久的な財源が必要であり、子供、子育て政策を進めていくために必要な安定財源につきましては、社会全体での負担の在り方を含め幅広く検討を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 その際、今、先生から子供国債も一つの選択肢ではないかという御指摘を賜りましたけれども、建設国債と子供国債を比較いたしますと、建設国債を財源といたします公共事業予算につきましては、その支出により道路や建物などの具体的な資産が形成されるのに対しまして、子供国債を財源とする子供、子育て政策予算につきましては、資産として具体的に金額が特定しづらいものが大部分を占めているということから、子供国債といった新たな国債を発行することについては慎重な検討が必要でないかというふうに考えてございます。

大西(洋)分科員 財務省から御答弁をいただきました。

 そういうお答えということで、もちろん、子供国債の実現が財政規律上の観点から非常に困難であるということはもちろん承知をする中ではございますが、踏み込んだという中での問題提起としてあえてお聞かせをさせていただきました。

 一方で、少子化を改善するタイミングとしては、本当に最後のチャンスの時期になっていると思います。もうずっと言われているかもしれませんけれども。しかし、本当にそういう時期だと思っているんです。

 子供政策を所管し、子供政策の司令塔であるこども家庭庁が子供国債の実現のやはり先頭に立たない限り、政府部内でもどこでも、この子供国債の実現の検討に入ることはなかなか難しいのかとやはり私も思うところでございますので、この子供国債の実現を本気で主張して初めて子供政策の財源についてあらゆる角度から財源の検討を行ったと言えるのではないかと思っておりますので、こども家庭庁として、子供国債を子供に関する政策の財源とすべく、議論、研究を行うべきと考えますけれども、こども家庭庁の見解をお伺いさせていただきます。

中村政府参考人 大西委員、ありがとうございます。

 委員おっしゃるように、少子化対策、次なる一手のタイミング、中身、どうしていくか、喫緊の課題だと思っております。財源も含め、いろいろ御意見を聞きながら検討しなくてはいけないと思っておりますけれども。

 御指摘の子供国債につきましては、今財務省からも答弁ございましたが、これにつきましては、財務省のみならずこども家庭庁も同じように考えておりまして、やはり、安定財源の確保や財政の信認確保という観点からは、慎重に検討する必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、元に戻りますが、少子化対策、次なる一手、どうするかにつきましては、国会、与党など多くの方々の意見を聞き、議論をさせていただきながら進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

大西(洋)分科員 御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 本当に厳しい状況という中で、私も、昨年の十月の総選挙が初当選でございまして、私事ですけれども、今、区立小学校のPTA会長を現役でやっていまして、子育て世代の方々や保護者の方々から様々な貴重な御意見をいただいている中で、昨年、自民党を中心に、児童手当の拡充などを行ったわけでございますけれども。一方で、現場の皆さんと対話を重ねていただく中では、第一子、第二子がやはり一番大変なんだ、そういった切実な声もいただくわけでございます。フランスがなぜ少子化が好転したかというと、やはり、第二子から明確な支援をしたということもございますので。

 ただ、こういった施策を進めるには、しっかりした財源の確保というのは、もちろん、私も自民党の一員として重々承知をしているところでございますので、私があえて申し上げたのは、今回は国債という大きいテーマで入りましたけれども、あらゆる角度から様々な検討を行っていただいて、この緊急事態、本当の喫緊の課題を、是非、全庁挙げて取り組んでいただきたい、そういう思いでございますので、引き続き、こども家庭庁の、しっかりと、更に更に踏み込んだお取組をよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 ヤングケアラーについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ヤングケアラーとは、本来大人が担うべき家事や家族の世話、介護などのサポートを行っている子供、若者のことをいうと認識をしております。特に、守られ、育まれるべき存在である十八歳未満の子供が、ヤングケアラーとして自分の夢や目標を諦めなくてはいけない現状は避けなくてはいけません。

 その上で、ヤングケアラーの定義とその支援の現状についてお伺いをしたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーについては、子ども・若者育成支援推進法において、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義をされております。

 家族の介護その他の日常生活上の世話には、例示されている介護に加え、幼い兄弟の世話や障害や病気等のある家族に代わり行う家事のほか、目の離せない家族の見守りや声がけなどの気遣い、心理的な配慮、日本語が第一言語でない家族の通訳なども含まれております。

 また、令和二年度及び令和三年度に国が行ったヤングケアラーの実態調査においては、小学六年生の六・五%、中学二年生の五・七%、高校二年生の四・一%、大学三年生の六・二%が世話をしている家族がいると回答しております。

 家族のケアを担う子供、若者が自身の成長、発達や自立に向けた準備等のための時間を確保できるよう、必要な支援をしっかりと進めていく必要があると考えております。

大西(洋)分科員 ありがとうございました。現状も詳細にお伝えをいただきました。

 ヤングケアラーの定義や現状について、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に担っている子供、若者であることが改めて分かったわけでございます。

 しかし、例えば、子供が幼い兄弟と二人で留守番をすることも禁止するといった対応をするとしたら、それは子育てのしにくさや行き過ぎの可能性があると考えています。ヤングケアラーという言葉が独り歩きし、過度に、何でもヤングケアラーとして人権侵害と位置づけることは、重大な事案を把握したり、支援することを阻害しかねないと懸念をしています。

 子供が家事を手伝ったり、兄弟姉妹の世話を手伝うことは一般的に行われていると考えられますが、支援が必要なヤングケアラーの範囲をどのように考えているのか、こども家庭庁の御見解をお伺いさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、ヤングケアラーの定義につきましては、子供、若者が通常行っているような軽易な世話であって支障が生じていないようなケースまで全てヤングケアラーに含めますと、国や地方自治体が責任を持って支援すべきヤングケアラーを適切に言い表せない面があるとの御指摘があることも踏まえ、過度にという文言をもって規定をしております。

 また、一人一人の子供、若者の状況や受け止め等も踏まえ、子供としての健やかな成長、発達に必要な時間が失われたり、身体的、精神的負荷がかかることによって負担が重い状態にあるかどうかを、子供、若者の最善の利益の観点から、個別に判断していくことを地方自治体に対して周知をしているところです。

 こども家庭庁では、個々の状況に応じた適切な支援が行われるよう、地方公共団体におけるヤングケアラー支援体制の構築、強化に引き続き努めてまいります。

大西(洋)分科員 お取組のほど、どうぞよろしくお願いをいたします。

 続き、進みます。

 子供食堂についてお伺いをさせていただきます。

 二〇一二年に東京都大田区の八百屋さんの善意から始まったとも言われる子供食堂は、二〇二三年時点で全国に九千百三十二か所となり、子供だけではなく、困っている人を支える居場所ということだけではなく、地域コミュニティーを支える拠点にもなっております。

 こうした状況の中で、その運営は地域の方々の善意が集まって行われています。私の地元江戸川区でも多くの子供食堂が運営され、私も様々な御相談を受けております。

 その中に、こども家庭庁や農林水産省、都道府県、区市町村などに様々な補助金がございます。国の補助金については、その支援を中間支援法人制度が担っていることは承知しておりますが、子供食堂は善意の方々により運営されていることから、その運営事務局の体制は十分とは言えない場合もございます。

 国、都道府県、区市町村などの補助金窓口を一本化する必要性についてお伺いさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 子供食堂に対する各種補助金については、補助の対象や内容に応じて実施主体が定められているところであり、こうした中で申請窓口を一本化することについては、かえって審査の迅速さや事業の適正性が損なわれないか等、実務上の影響も考慮して慎重に検討すべき課題であるというふうに考えております。

 特に、子供食堂の運営は、子供の貧困対策のほかに、居場所づくりや地域活性化など、様々な目的や運営方法で行われており、運営主体も多様です。このため、補助金を活用する場合には、その目的に照らして事業の適正性が確保されるか確認する必要がございます。

 一方で、議員御指摘のように、子供食堂等の運営が円滑になされるよう補助金申請等の支援を行うことは重要であると考えており、中間支援団体を通じた子供食堂の運営や補助金申請支援などを内容とする、ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業等により取組を進めております。

大西(洋)分科員 時間の関係で要望にとどめますが、そういった申請については、簡素化など、是非寄り添っていただいてお進めいただきたいと思います。

 大変申し訳ありません。質問につきまして、婚活支援事業については次回またやらせていただきたいと思います。恐縮でございます。

 次に、児童相談所、虐待についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 私の地元江戸川区では、二〇一六年の児童福祉法改正により特別区も児童相談所の設置が可能となったことを受け、二〇二〇年に東京二十三区で初めて児童相談所を開設をいたしました。児童相談所の開設から五年を経過しようとしていますが、様々な課題が挙げられています。順次質問させていただきます。

 児童相談所においては高い専門性が求められており、児童心理司や児童福祉司の方々にはそれぞれの分野で高い専門性が要件とされていて、常にその数が不足している現状でございます。児童心理司、児童福祉司等の専門的な人材の育成の充実の必要があると考えますが、国としての取組についてお伺いをさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童相談所における児童福祉司や児童心理司といった専門的な人材につきましては、令和四年十二月に策定し、昨年十二月に改定した新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、計画的に増員することとしております。

 具体的には、児童福祉司につきましては、令和四年度に五千七百八十人程度であったところ、令和八年度までに千六百十人程度増員し七千三百九十人程度配置することを目標としております。また、児童心理司につきましては、令和四年度二千三百五十人程度であったところ、令和八年度までに九百五十人程度増員し三千三百人程度配置することを目標としております。

 こども家庭庁としては、児童相談所における専門的な人材の確保、定着について、これまでも、自治体が行う採用活動に対する補助、児童福祉司の任用資格取得のための講習の受講料の補助、児童相談所業務等の魅力発信、職員の精神的ケアを行う心理職等の配置費用の補助等の支援を行っているところです。

 こうした取組により、引き続き、児童相談所における専門的な人材の確保に努めてまいります。

大西(洋)分科員 御答弁をいただきました。

 こども家庭センターについては、関連ということもありますので、今日はあえて触れません。

 児童相談所の対象年齢は十八歳未満でございます。児童相談所を含め社会的養護から離れた十八歳以上の若者、いわゆるケアリーバーの全てが、十八歳になったからといって完全に自立できるとは限りません。二十歳までの児童相談所での措置延長や、昨年四月から始まった社会的養護自立支援拠点事業の状況を含め、児童相談所を含め社会的養護から離れた十八歳以上の若者、いわゆるケアリーバーの方々への支援の現状と必要性についてお伺いをさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、児童相談所では、継続的な養育を必要とする児童に対して措置延長を行っているところです。

 また、令和四年改正児童福祉法では、社会的養護経験者等の実情把握や自立のために必要な援助を、新たに都道府県等の業務として法律上位置づけるとともに、児童自立生活援助事業について、対象者の年齢要件や事業の実施場所の弾力化や、虐待経験がありながらも公的支援につながっていない方も含め、社会的養護経験者等が相互に交流する拠点を開設し、通いや訪問で相談支援等や必要な支援へのつなぎを行う社会的養護自立支援拠点事業の創設等を行い、今年度から施行いたしました。

 お尋ねの社会的養護自立支援拠点事業は、令和六年十月一日現在で、五十四自治体、五十六か所で実施されているところであり、引き続き、自治体の取組状況や課題を注視しながら、着実な事業の拡大に努めてまいります。

 さらに、令和七年度予算案においては、都道府県等が支援対象者のニーズ把握等を進めるための補助や、社会的養護自立支援拠点事業所において宿直等により夜間の見守りや緊急対応への体制強化を図るための補助を盛り込んでおり、こども家庭庁としても、こうした取組を通じて社会的養護経験者等の自立支援が着実に進むよう取り組んでまいります。

大西(洋)分科員 済みません、御答弁いただきましたが、時間でございますので、是非引き続きお取組をお願いします。

 多胎児支援につきまして、済みません、通告させていただいていたんですけれども、あわせて、やはりこの多胎児支援策についても重要な課題でございますので、よろしくお願いしますと申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて大西洋平君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。大空幸星君。

大空分科員 自由民主党の大空幸星です。

 国会議員となりまして、初めての質問でございます。貴重な機会を賜りましたことに、皆様に心から感謝を申し上げます。

 本日は、私のライフワークでもあります孤独・孤立対策、そして子供の自殺対策について主に質問をさせていただきます。

 まず、孤独・孤立対策の重要性とその意義について、大臣にお伺いをしたいと思っております。

 今から四年前、二〇二一年の二月に、世界で初めて、孤独の問題に取り組む閣僚級のポストが我が国において設置をされました。その直前の二〇二〇年の十二月に、孤独対策に関する緊急提言というのを提出をさせていただきました。当時は、牧島かれん自由民主党青年局長、そして鈴木貴子学生部長を始め、多くの先輩議員の皆様の御尽力もありまして、世界で初めての担当大臣の設置ということが実現をして、孤独対策が我が国において始まったわけであります。

 この孤独対策を始めるに当たって、私は当時、相談支援の現場におりました。虐待とかいじめ、自殺、そして不登校、ヤングケアラーといったいろいろな悩みを重層的に抱える子供や若い人たちが相談に来ている。一方で、こういった問題への対処というのは対症療法なんじゃないのか、要は、そうした問題をどのように防いでいくのか、この予防の概念というのが余りにも希薄なのではないかという問題意識に立っておりました。

 孤独というのは主観でありますから、あらゆる課題に共通をするテーマです。こうした共通をするテーマである孤独に対処をしていくということが、各種問題を防いでいく、いわゆる源流へのアプローチになるのではないかということで、孤独・孤立対策というのはこの予防の概念が極めて重要とされています。

 今、各国において、この孤独・孤立対策、実は高く評価をされておりまして、各国もコロナ禍から社会的つながりがなかなか戻ってこない、この日本の取組がロールモデルになりつつあります。一方で、我が国におきましても、その足下では、やはり、特に若年層の社会的つながりの希薄化も含めまして、孤独・孤立対策はますます必要でございます。

 また、都市部では、特に集合住宅に住まわれている方が増えて、私の地元の江東区も、約九割の方が実は集合住宅に住んでおります。江戸三大祭りの一つでもあります富岡八幡宮の例大祭を支えていただいている神輿総代連合会、そして町会の活動も他の地域に類を見ないほど活発に行われているのが我が江東区でありますけれども、それでも、こうした地域づくり、つながりづくりというのは、基礎自治体任せにするのではなくて、やはり国が責任を持って積極的に支援をしていくということも重要となっております。

 こうしたことも踏まえまして、孤独・孤立対策、今、三原大臣は世界で唯一の孤独問題の担当大臣だと思いますので、是非、この重要性と意義についてお考えをお聞かせください。

三原国務大臣 我が国では、単身世帯の増加等を背景として、孤独、孤立の問題の一層の深刻化というのが懸念されているんだと思います。

 このため、孤独・孤立対策の重要性、これも一層増しているものというふうに認識しております。また、様々な社会問題の背景に孤独・孤立問題があるとも指摘されており、その意味からも、委員御指摘の孤独、孤立状態の予防という観点が特に重要だというふうに考えております。

 こうした認識の下、これまで政府におきましては、孤独・孤立対策推進法や重点計画に基づいて、人と人とのつながりをそれぞれの選択の下で緩やかに築けるように、そういう社会環境づくり、そしてまた、孤独、孤立の当事者や家族等が支援を求める声を上げやすく、そして、周囲の方が気づき、対処することができる環境整備というのを推進してきております。

 引き続き、孤独感が高い若年層へのアプローチ、これも大変重要ですので、これも重視しつつ、長期的視野に立ち、現役世代も含めて単身の方々が孤独、孤立状態となることを予防する安心・つながりプロジェクトチーム、これを立ち上げたんですが、それなど、孤独・孤立対策担当大臣としてしっかり先頭に立って、全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、先日、大空委員とも議論させていただきました、エビデンスに基づいて孤独・孤立対策を推進するということは大変重要であると私も思っておりますし、また、自治会ですとか町内会、日本らしいつながりづくりというものの取組、これも大変重要だなというふうに考えております。

 そうした観点も意識をしながら、孤独、孤立に悩む方々への必要な支援、地方公共団体、NPO、自治会等の皆さん、手を取り合って、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思っています。

大空分科員 ありがとうございます。

 大変重要なお言葉を幾つもいただきました。まさに緩やかなつながり、これは何も、政府や国が、孤独だと思っている人に強制的につながってくださいと言っている政策ではないわけでありまして、予防的な観点も踏まえて緩やかにつながっていくということ、そして、日本らしい地域づくりの仕組みというのもしっかりと推進をしていただきたいと思っております。

 三原大臣には、こちらで御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。

牧島主査 御退席ください。

大空分科員 次に、社会的処方について伺います。

 令和四年、令和五年のいわゆる骨太の方針におきまして、孤独・孤立対策の一環としてこの社会的処方というのが記載をされております。厚生労働省の施策ではなく、孤独・孤立対策の一環として記載を二年連続でされているのが、まさにこの社会的処方についてであります。

 ここでいういわゆる社会的処方というのは、医療的手段の代替としてのいわゆる社会的処方というよりも、例えば、美術館や博物館、それから国立公園といった自然的な資源も含めて、文化資本、コミュニティー資源につないでいく、どちらかというと文化的な処方に近い、緩やかな社会的な処方ということになろうかと思います。

 骨太の方針にも記載をされているこの社会的処方ないしは緩やかな文化的処方について、政府としてどのような取組を行ってきたのか、参考人に伺います。

江浪政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に決定されました孤独・孤立対策重点計画におきましては、御指摘の社会的処方に関しまして、まさに御指摘のように、医療機関に限らず、より幅広く推進するという観点から、分野横断的な多職種連携や、つながりの場所としての都市公園、自然公園や博物館、公民館、図書館などの社会教育施設などを活用した社会的、地域的課題への対応を進めるということとされております。

 こうした様々な地域資源を活用する取組は孤独、孤立の予防の一環として効果的であり重要であるというふうに考えてございまして、引き続き推進をしてまいりたいと考えてございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 まさにこの社会的処方については、先ほど三原大臣からの御答弁もありましたとおり、緩やかなつながりを提供していく一つの大きな装置だと思っておりまして、孤独・孤立対策の中心的な施策になり得るポテンシャルを秘めていると思っておりますので、是非とも強力にこの施策については推進をしていただきたいと思っております。

 一方で、こうした施策を幾ら整備をしても、つながらないと意味がない、使われないと意味がないといったこともございます。

 孤独・孤立対策を推進をしてきた中で実態把握もやっておりますけれども、孤独を感じていると答えている方の中では、支援を必要ではないというふうに答えている方も一定数いらっしゃいます。これは、必ずしも支援が不要だという意味ではないと思います。孤独を感じていても支援が必要ではない。この背景には、例えば、頼ることは恥ずかしいとか相談することは負けだといったような、いわゆるスティグマの問題があります。

 生まれたばかりの赤ん坊、赤ちゃんの頃には誰もスティグマは感じていないわけであります。成長するに従って、例えば、男の子は泣くなとか母は強くあれとか、そういった言葉一つ取っても、社会の中でスティグマというのは形成をされてしまう。こういった中で、日本は特にこのスティグマが強いと言われています。スティグマをどうやって乗り越えていくのかということは、支援策をつくっていくのと同等若しくはそれ以上のリソースを割いて取り組まなければならない問題だと感じております。

 来年度、この孤独・孤立対策におけるスティグマ、まさにこれは、声を上げづらい方にどのように声を上げていただくのか、若しくはアウトリーチというのも必要だろうと思いますが、どういった施策を行っていかれるのか、政府参考人にお伺いします。

江浪政府参考人 孤独、孤立は、社会環境の変化により当事者が孤独、孤立を感じざるを得ない状況に至ったものということでございまして、当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、社会全体で対応しなければならない問題であるというふうに認識をしております。

 しかしながら、委員御指摘のように、孤独、孤立の状態に至っても、他人や制度に頼りたくない、迷惑をかけたくない、あるいは他人に知られたくないなどのためらいや恥じらいの感情によりまして支援を求めない方もおられて、御指摘のようないわゆるスティグマの存在が指摘をされているということでございます。

 このため、政府といたしましては、孤独・孤立対策の重点計画の基本方針の一つとして、孤独、孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会とするという旨を掲げておりまして、具体的な施策として、例えば、孤独、孤立の問題について知識を身につけ、身の回りの人に関心を持ち、できる範囲で困っている人をサポートしていただくつながりサポーターの養成、毎年五月を孤独・孤立対策強化月間と位置づけ、集中的な広報啓発活動の実施などの取組を推進しているところでございます。

 こうした取組を通じまして、今後も孤独、孤立についての理解、意識や機運を社会全体で高め、孤独、孤立の当事者の方々が支援を求める声を上げやすい環境整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 昨年度の強化月間における取組では、外部の方から様々な指摘もあったと思います。効果それから運用方法についても、是非そうした外部の指摘もしっかりと取り入れて、そうしたことも踏まえた上で実施をしていただきたいと思っております。

 孤独・孤立対策というのは、冒頭申し上げましたとおり、我が国が他の国よりも先駆けて、また、今も継続をして行っている政策です。WHOにおきましても、社会的つながりに関する委員会が設立をされております。三原大臣が委員として出られているわけであります。是非、ほかの国のロールモデルをしっかりとつくっていく、そうした観点も含めて、孤独・孤立対策を推進をしていただきたいと思います。

 ここからは、こども家庭庁にお伺いをいたします。

 昨年、子供の自殺者数が五百二十七人に達しました。高校生が三百四十九人、中学生が百六十三人、そして、小学生が十五人でありました。

 まず、亡くなった全ての子供たちに心から御冥福をお祈りを申し上げます。同時に、この約五年間、子供の自殺対策に取り組んできた者として、成果を全く上げられなかったことに、ざんきの念に堪えません。

 自殺対策基本法の施行から間もなく二十年、そして、こども家庭庁ができてから二年がたとうとしています。こどもまんなか社会を掲げて、国を挙げてこの自殺対策に取り組んできた。特に若年層の自殺が増えているというのは、二〇二〇年からその傾向にあるわけであります。一方で、少子化で出生数が減少している中、子供の自殺が過去最多を記録をしているということは、こども家庭庁の存在意義すら疑われかねない事態だと思います。

 政府として、この状況をどのように受け止めているのか、そして、過去最多となった子供の自殺を防ぎ、命を守るためにどのような施策を展開をしていかれるのか、友納政務官にお伺いをいたします。

友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 議員も御指摘をいただきましたが、先月公表されました令和六年の小中高生の自殺者数の暫定値が五百二十七人と過去最多になりましたことは、こどもまんなか社会の実現を掲げるこども家庭庁としては大変重く受け止めております。

 こども家庭庁では、子供の自殺対策の司令塔としまして、文部科学省、厚生労働省、警察庁などの関係省庁を構成員とするこどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議を開催し、令和五年六月に、自殺リスクの早期発見から的確な対応に至る様々な取組を盛り込みましたこどもの自殺対策緊急強化プランを取りまとめ、昨年八月には、各省庁の施策の目標や進捗を見える化したロードマップを作成し、総合的な施策を推進しているところでございます。

 また、令和六年の自殺者数の暫定値の公表後すぐに、三原こども政策担当大臣の下、こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議を開催しまして、より効果的な取組方法はないか、新たに講ずべき施策等がないかなどを総点検を行い、更なる対策の検討を行うよう、関係省庁に対し、三原大臣から指示をさせていただいたところです。

 今後も、プランの各施策の実施状況を検証しながら、子供が自ら命を絶つことがない社会に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。

大空分科員 ここで重要なのは、自殺対策ないしは各種施策を講ずれば、自殺者数というのは減少するという事実だと思うんですね。一時期三万人台を超えていた日本の自殺者数は、まさに二万人台まで大きく減少をした。これは大人の自殺に限っての話でありますけれども、先ほどの基本法ができて、国を挙げて対策をしてきて、実際に減ったという実績を、大人の自殺者数については我が国は持っているわけであります。であれば、子供や若者の自殺についてもしっかりと対策を講ずることができれば、私は必ず減少に転ずることができるというふうに確信をしております。

 一方で、じゃ、次々と新しい政策をどんどん出していけばいいかというと、そうではないんだろうと。過去、この二十年間、子供、そして若者、若年層の自殺対策については様々な施策を講じてきました。まずはそういった施策の検証をするべきではないかと思います。日本の自殺対策がなぜ若年層の自殺を減少させることができなかったのか、各種施策の検討、そして、この問いに正面から向き合うところが今求められていることではないかと思っております。

 そうした視点を踏まえまして、先ほど友納政務官からもありましたこどもの自殺対策緊急強化プラン、二〇二三年の六月に決定をされております。この緊急強化プランの具体的な進捗状況につきまして、政府参考人にお伺いします。

    〔主査退席、西銘主査代理着席〕

友納大臣政務官 御質問にお答えをいたします。

 こども家庭庁では、こどもの自殺対策緊急強化プランを踏まえまして、今年度から、子供の自殺対策に関する情報を効果的に周知できるよう、対象者に応じた広報啓発活動に取り組んでおります。

 具体例を三つほどお挙げしますと、高校生を対象にしました、友人に悩みを打ち明けられた際のコミュニケーション方法を学ぶワークショップや、大人を対象にしました、子供への寄り添い方や自殺の現状を学ぶ講演会の開催、子供から大人まで幅広い世代を対象にした全国的なインターネット調査を実施するとともに、メディアによる報道を通して社会に周知することで、それぞれの広報施策の効果検証を行っているところでございます。

 子供の自殺対策に係る広報啓発活動がより効果的なものとなるよう、有識者からの助言を踏まえつつ、また、議員にも御指導賜りながら、各取組の検証効果を次年度以降の施策に反映してまいります。

大空分科員 広報のことも当然重要でありますし、同時に、こどもの自殺対策緊急強化プラン、これはできてから今年で二年たつわけであります。このこどもの自殺対策緊急強化プラン、もう二年もたって緊急というのを言い続けるわけにはいかないわけでありまして、こういったプランを制定、策定をしたにもかかわらず、子供の自殺というのが過去最多になっているという事実を、是非とも政府としてしっかりと重く受け止めていただきたいと思います。

 そして、先ほど政務官から御答弁をいただきました広報については、これもやはりたくさん課題があるんだろうと思っております。単に広報を行うのではなくて、戦略を持っていくということが必要であります。担当大臣からのメッセージというのも大変重要でありますけれども、やはり、具体的に相談窓口へつなぐといったこと、そして、悩みを抱えている可能性が高いハイリスク層に対して効果的な広報を展開するということも必要だろうと思っております。

 また、こういった子供の自殺に対する広報というのは、民間の支援団体ともしっかりと連携をしていかなくてはいけない。行政が有する情報だけでは、残念ながらこういったペルソナの設定であるとかターゲットの設定であるとかというのをやっていくのは非常に難しいんだろうと思っておりますので、是非とも効果的な広報活動を展開をしていただくことをお願いを申し上げます。

 続いて、こういった子供の自殺対策、そして子供の孤独・孤立対策において非常に重要となってくるのは、まさに居場所の提供であります。これまで、行政、そして私ども支援者が感じていたのは、子供食堂であるとか相談窓口といった、これはいわゆる支援者的な視点、そして福祉的な要素を含んだ主体を居場所だということで、多くの悩みを抱える若年層にそこに来てほしいんだということを言っていました。

 こういった取組、そして、こうした取組を国として支援をしていくということは大変重要な取組でございますが、同時に、相談窓口に来ているとか、子供食堂に行っているとか、そういった子供たちはまだこのセーフティーネットにひっかかってくれているということを意味するわけでありまして、そこに来ていない子たちの存在、また同時に、そこに来ていない子たちが、じゃ、全員孤独なのかというと、当然そうではないわけで、我々大人が考える、若しくは行政官であるとか支援者が考えるいわゆる居場所には来ていないかもしれないけれども、例えば、SNSとかオンラインゲームで何でも忌憚なく自分のことを話せる、会話ができる、こういった状況にある子たちは孤独感が低い、こういったことも当然考えられます。

 一方で、こういったSNSやオンラインゲームというのは、有害情報であるとか、最近ではネットいじめも含めて、リスクが強調されがちです。私は、こういったSNS、オンラインゲームというのも子供たちにとっては重要な居場所であり、そこを居場所だとみなすところから子供や若者への支援ということを始めていくべきではないかと思いますが、政府として、このSNSやオンラインゲーム、子供にとっての居場所になり得るかどうか、是非お考えをお聞かせください。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 大空委員におかれましては、私たちこども家庭庁の審議会の委員もなっていただきまして、御議論にも御参加いただきましたので、まさに釈迦に説法ということになってしまいますけれども、令和五年十二月に閣議決定されましたこどもの居場所づくりに関する指針におきましては、今先生におっしゃっていただいたとおり、SNSやオンラインゲームなどの活動、ショッピングモールなども子供、若者によっては貴重な居場所となっていることもある、オンラインゲームやSNSなどは大人や利用者同士の不適切な関わりなどのリスクが強調されがちであるが、子供、若者をこうしたリスクから守りつつ、その有用性について理解を深めていく必要があるといったことが示されております。

 リアルな居場所のみならず、子供、若者本人がそこを居場所と感じるのであればどこでも居場所になり得るものと考えており、SNSやオンラインによる活動につきましても、例えば不登校の子供の支援などにおいて、有意義な居場所になり得るものと考えております。

 子供に合った居場所づくりの観点から、SNSやオンラインの不適切な利用による子供への不利益等を防止しながら、オンライン等での居場所づくりにつきましても推進してまいりたいというふうに考えております。

大空分科員 まさに、子供の居場所というのは、子供がそこを居場所だと感じるかどうか、ここに尽きるんだろうと思います。一方で、こういったプラットフォームを提供している企業側は、何も自分たちは福祉的にこの居場所というのを提供しているとは思っていない可能性が非常に高い。であるならば、そういったプラットフォーマーないしは子供たちの居場所に現実的になっている企業主体等に対しても、安心、安全な場所にしていく、まさに、先ほどおっしゃっていただいた、子供たちにとって不利益が生じることがないような環境にしていくため、様々な御努力をいただくことも必要だろうと思っております。その重要な手段が、まさに二〇二三年の十二月に閣議決定をされた、こどもの居場所づくりに関する指針なんだろうと思います。

 このこどもの居場所づくりに関する指針というのは、私は非常に画期的なものだったと思います。やはり、今、ある種のブームのような形で、どんどんどんどん、いろいろな団体さん若しくは企業なんかが居場所づくりに参画をしていただいている。中には、法人格を持たない任意的な団体もたくさんある。これが駄目だと言っているわけでは当然ありません。こういった取組というのは、居場所の多様性、要は量を担保するためには当然数も必要でありまして、その数が今の状況においては必ずしも十分ではないわけですから、非常に重要な取組であると思いますが、数が増えれば当然、そこに対してどうやって安全性や質を担保していくのか、若しくは、この支援現場における、特に居場所の分野における質とは何かということを、これは定性的にまた定量的に評価をしていく、非常に難しい問題だと思っております。

 ただ、一方で、この指針というのを設けたことによって、子供の居場所づくりに関する政策、これをつくっていく、進めていくに当たっての基盤、一番最初のステップになると思います。ただ、この居場所づくりに関する指針、現場とか基礎自治体、残念ながら届いていないんだろうと思います。

 せっかく策定をして、閣議決定までされた政府の指針であるにもかかわらず、その内容というのが十分に周知をされていないがゆえに、今、福祉的に居場所づくりに取り組んでいただいている団体さんのみならず、先ほど申し上げたような福祉の外にある民間の営利企業でも子供たちの居場所になり得ている、ゲームやSNSを提供しているプラットフォーマーたちには更に届いていないということでありますから、まずは、このこどもの居場所づくりに関する指針というのを是非とも、基礎自治体の皆さんも含めて、いろいろな文書が、通達が上から降ってくるんだということで様々なお困りの声もあるかとは思いますが、やはり子供政策の支援基盤の非常に重要なステップだということで御理解をいただいて、浸透を図っていく。

 そして、行政だけではなくて、やはり子供の居場所づくりについては、民間の支援団体が今も重要な役割を果たしておられるわけですから、そういったところの負担とならないような形、当然配慮をしながら、まずは子供の居場所づくりについて御理解をいただくということが必要ではないかと思います。

 政府として、この策定した指針、どのように浸透を図っておられるのか、お聞かせください。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のこどもの居場所づくりに関する指針の周知、広報につきましては、子供の居場所づくりに関する動画あるいはパンフレットを遅ればせながら最近作成をいたしまして、ホームページ等で公表するとともに、居場所づくりの現場でも御活用いただけるよう、現在、指針の解説書の作成も進めているところでございます。

 また、こどもの居場所づくり支援体制強化事業におきまして、子供の居場所づくりに関して地方自治体が行う広報啓発活動、これへの支援も行っているところでございます。

 引き続き、様々な機会を捉えまして、先ほど先生から御指摘のあったような安全性や質の担保といったことも頭に置きながら、指針の周知、広報に取り組んでまいります。

大空分科員 居場所という概念が非常に曖昧であるけれども、曖昧であることが居場所づくりにおいては非常に重要なわけでありまして、その中で、行政として、若しくは責任ある支援主体としてできるぎりぎりのラインが、このこどもの居場所づくりに関する指針なわけであります。それは、それぞれの団体における方針であるとか、それぞれの団体におけるいわゆる支援哲学といったようなものを配慮をした上で、この指針というのを守っていただくことが子供たちの利益にとって最善であるんだという考え方の下で策定をされたと思っておりますし、私も当時、審議会の一人、民間人の立場で参加をしておりましたけれども、そういった思いで策定をさせていただきました。

 是非とも、この指針につきましては、先ほどお話をいただいた動画等も重要でありますが、更に現実的に効果的な形で浸透を図っていただければと思っております。

 孤独・孤立対策、子供の自殺対策、もう待ったなしでありますから、対策の推進を私もしっかりと汗して頑張ってまいります。

 以上です。ありがとうございました。

西銘主査代理 これにて大空幸星君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西銘主査代理 次に、こども家庭庁について質疑の申出がありますので、これを許します。八幡愛君。

八幡分科員 れいわ新選組の八幡愛です。

 私は、現在三十七歳で、いわゆる現役世代です。食品、ガソリン、光熱費、全てが値上がりしていく中、所得は増えない。しかも、負担させられる消費税の金額が増えている。そんな中で子供を産み育てるなんて不安でしかないという声が、友人や同世代から聞こえてきます。

 今年一月、厚生労働省が公表した人口動態統計の速報値によると、子供の出生数が初めて七十万人を割って、昨年一月から十一月までで六十六万一千五百七十七人とのことで、少子化に歯止めがかかっていません。

 次の五十年、この国を支えるのは今の子供たちです。子供は国の宝といいながら、そこの予算、財政支出をけちる意味が分からないんですが、本日は分科会ということで、自分が所属する委員会以外の質問が可能ということで、まさに未来を担う子供たちのための機関であるこども家庭庁の在り方について三原じゅん子大臣にいろいろとお伺いしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まずは、二〇二三年四月に発足したこども家庭庁令和七年度予算案について。

 こどもまんなか社会の実現を目指して関係省庁を超えた司令塔的役割を発揮するとのことで、子育て支援はもちろん、少子化対策やいじめや自殺問題などの解決に、私も含めた国民は期待をしたと思うんですよ。二年目を迎える今、令和七年度予算案として七・三兆円が計上されていますが、足りているのか足りていないのかも含めて、三原じゅん子大臣の受け止めをお伺いいたします。お願いします。

三原国務大臣 こども家庭庁の予算は、これまでも、子供、若者、子育て家庭、そして、そのサポートに携わる方々のために必要な事業を計上してまいりました。特に令和七年度のこども家庭庁予算案は、規模だけではなく、質を徹底的に追求して、質の高い濃厚な子供政策の実行に必要な事業を計上しております。

 具体的には、例えば、所得制限を撤廃し高校生年代までの全ての子供約千六百万人を対象とした児童手当の大幅な拡充、育休中の所得を実質手取り十割相当まで給付する育休支援の大幅な拡充、保育士の質の向上のための過去最大の一〇・七%の保育士等の処遇改善を行い、平均賃金で、機械的に計算しますと月額約三万円の賃金増の実現、五十年超ぶりとなる一歳児に対する保育士の配置の増強、困難を抱える子供、若者への支援を強化し、経済的理由で進学へのチャレンジを諦めないよう、最大五万三千円の低所得世帯等への大学受験料等の支援や、多子世帯の大学授業料等の無償化の所得制限の撤廃、発達に特性のある子供への支援として気づきの段階からの早期支援など新たな事業の創設、障害児や医療的ケア児のための新たな支援の創設、虐待を受けた子供、貧困、一人親家庭等への支援の拡充など、いずれも、子供、若者、子育て家庭、そしてそのサポートに携わる方々のために欠かせない事業のための予算案でございます。

 これらの事業により、令和七年度予算案は、児童手当や育休支援など子育て家庭へ直接的な給付が三・二兆円超、職員の処遇改善も含めた保育所や放課後児童クラブなど子供を支えるサービスの実施に二・五兆円超、障害児や虐待を受けた子供、一人親家庭など困難を抱える子供家庭に約一・五兆円となっており、そのほか、急増する子供の自殺への新たな対策、いじめ、不登校対策の新規事業、子供への性暴力の防止など、近年問題が顕在化した課題に対応するための必要な予算を計上し、合計七・三兆円となっているものでございます。

 予算の規模につきましては様々な意見があることは承知しておりますけれども、まずは、この給付やサービス支援をしっかり実行して必要な方々に確実に届けること、これが何より重要であると考えております。その際、予算の効率的な執行、これを徹底し、無駄を排除するとともに、予算、事業の評価、検証もしっかりと行ってまいりたいと思います。

 同時に、こども家庭庁の予算や事業の内容が広く国民に正確に御理解いただけていないという課題もございます。私自身も含めて、ネットを含めた広報や周知、そうしたものにも一層努めてまいりたいと考えております。

八幡分科員 三原大臣の方から濃厚な支援という言葉も伺いましたけれども、その濃厚さを今日は一緒に考えていきたい、確認をしていきたいなと思っております。

 私たちは、れいわ新選組、積極財政を訴える政党ですから、いわゆる積極財政とは足りていないところにお金を回していく、今しんどい国民を国債を刷ってでも助けていこうよというような政党なんです。とはいえ、国民あっての予算ですから、間違った使われ方をしている等、これはおかしいと思う予算に関しては厳しく追及をしてまいりたいと思っております。

 その姿勢でいきますと、二〇二三年四月にこども家庭庁が発足しました。以来、この二年間の予算額の総額は十兆七千百六十六億円です。もう一回言います。十兆七千百六十六億円。そこにプラスして、今年新たに七・三兆円の計上がされておりますが、日本はアジア唯一のG7、先進七か国なのに、経済的な理由で粉ミルクや紙おむつが買えないという乳幼児を持つ家庭の声も聞こえてまいります。全国の子供食堂の数も一万か所を超えまして、現在過去最多となっています。せっかくこども家庭庁ができたのに、予算もこうやっていっぱいついているはずなのに、なぜにこんなにも苦しい状況が続くのか。恥を知れと言いますけれども、私は、この国の国会議員として恥ずかしいと思っています。

 そういった苦しい声が個人のSNSそして報道でもあふれていることから、現在、こども家庭庁解体論が一部で叫ばれております。三原大臣、このこども家庭庁解体論、これは廃止も求める声が上がっておりますが、この声は御存じでしょうか。そして、なぜこのようなこども家庭庁解体論が出てきたのか、大臣の見解を伺います。お願いします。

三原国務大臣 こども家庭庁は、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点で子供に関する取組、政策を我が国社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会を目指すために、新たな司令塔として二〇二三年四月に創設されたものであります。創設以降、政府の子供施策に横串を通しつつ、リーダーシップを発揮して、こども大綱や三・六兆円の加速化プランを含むこども未来戦略を策定し、子供、子育て事業の抜本的強化を進めてまいりました。

 昨年の通常国会では、こども未来戦略を具体化するための子ども・子育て支援法等の改正や、子供たちの安全を守る子供性暴力防止法の策定も実現いたしました。また、先ほど答弁させていただいたとおり、令和七年度予算案にも、子供、若者、子育て家庭を取り巻く重要な課題に対応するための必要な事業、これを計上し、これらに取り組んでいくこととしております。

 こうした取組がこの二年間で実現できたのは、従来各府省が別々に担ってきた子供政策を一元化し、総合調整権限を持つ子供政策の司令塔としてこども家庭庁があったからこそ実現できたものと考えております。

 こども家庭庁を解体すべきとの御意見もあることは承知をしておりますが、仮にこども家庭庁の予算に関する全ての事業をやめた場合、例えば妊娠した方の健康状態や不安に寄り添う伴走型の支援や産後ケアなど、実施困難となります。保育所や放課後児童クラブ等の設置、運営が困難となり、働きながら子育てしている方の子供の居場所がなくなります。

 障害児や医療的ケア児などへの専門的な支援もできなくなります。乳児院や児童養護施設の運営が困難となり、虐待などで家庭では暮らすことが難しい子供たちはどこに行けばいいのでしょうか。いじめや不登校に悩む子供たちの相談は誰が受け止めてくれるのでしょうか。

 また、児童手当、児童扶養手当、育児休業給付といった直接的な経済的支援も行うことができなくなります。子供の権利や子供、若者の意見を聞くことの重要性を社会全体に伝えることもできません。

 委員も御理解いただいていると思いますけれども、こうした取組が子供や子育て当事者の皆様に必要であることは明らかです。今後とも、これらの取組を着実に実施するとともに、時代や社会の変化に応じて子供、若者を取り巻く新たな課題に対応していくためには、各府省が別々に取り組むのではなく、総合調整権限を持って子供政策の司令塔となるこども家庭庁が必要不可欠であり、解体すべきとの指摘は当たらないものと考えております。

    〔西銘主査代理退席、主査着席〕

八幡分科員 まず大臣にお伝えしたいんですけれども、大臣も分かっていただけると思うんですけれども、私は、こども家庭庁を解体すべきではないと思っているんです。だって、こども家庭庁は、せっかくできた省庁なんだから本腰を入れてやってくださいよという。むしろ、私の今日の質問というのは応援をしたいなというぐらいです。できたんだったらやってほしい。

 でも、世の中の意見を聞くと、解体しろよと。じゃ、何でなのかといったら、創設の目的や統合政策一元化の対応機関としての国民の信用が全くないんだということがやはり国民に伝わってしまっていると思うんですよね。こども家庭庁に七・三兆円の予算をつけるんじゃなくて、その予算を使って直接支援した方が早いやんという声が出てきているんですよ。私は、でも、それをこども家庭庁としてちゃんと真摯に受け止めて、改善してほしいと思うんです。

 最近、三原じゅん子大臣による子供、若者に向けた緊急メッセージ動画として、こども家庭庁のホームページでも四本出されていますよね。そして、公式Xでも配信されているのを私は見たんです。

 私は全く売れなかったグラビアアイドル時代を過ごしてきたので、三原大臣というのは雲の上のような存在の人なわけですよ。なので、やはり、その動画を見ると、間の取り方とか、私はすごく早口になってしまうので、相手に伝えるためのゆっくりしたしゃべり方であったりとか、大変勉強になったんですけれども、さっきXで見たら、投稿から二週間以上たっているのに、三十七いいねとか八十いいねとかしかついていないんです。緊急メッセージなのに全然届いていないやんとやはり思っちゃったんです。もちろん、いいねの数が全てではない、それが全てを測るものではないとはいえ、国民が求めているのはそういうことじゃないんじゃないかなとやはり思うんですよね。

 この国は、こども家庭庁に限らずですけれども、いつもつぼを外すというか、つぼが違うというか、何か変なつぼばかり押しているなというような感じがします。こども家庭庁の在り方というのは、本当に困っている子供や親御さんたちに寄り添えるものであるべきだと思います。

 そして、続いての質問にも行きます。

 今年度もあと一か月となって新年度を控えて、この四月から産休を終えて子供を預けようと思ったら保育園に入れなかった、働くのを諦めるしかない、残念という声をよく聞くんです。これは、遡ること二〇一六年二月、匿名ブログ、保育園落ちた日本死ねというのが話題となって、待機児童問題が社会問題化しました。

 政府は、待機児童数について、二〇一七年三月、新しい定義を通知したこともあり、待機児童がピークであった二〇一七年から七年連続でその数は減少し、昨年四月の時点で待機児童数は過去最少の二千五百六十七人になったと発表されています。

 私が配付させていただいた昨年八月の東京新聞の記事を御覧いただきたいんですが、これなんですけれども、見ていただきたいのは副見出しですね。隠れ待機七万人超え、増加続くということなんですけれども、この七万人というのは結構すごい数字やなと思うんです。

 この隠れ待機児童というのは、希望した認可保育所などに入れないのにもかかわらず、国や自治体での待機児童のカウントに入っていない児童のこと、潜在的な待機児童とも呼ばれています。これはほんまなのかなと思って、私も調べました。政府が出している資料で調べたんですが、保育園などに入りたくても入れない子供の数、七万一千三十二人と一致いたしました。

 少子化によって申込者数自体が減少している中、この隠れた待機児童が増加しているという問題は私は深刻だと思うんです。自治体によっては、数字上の実績を追い求める余り、実態としては待機児童が存在するのにもかかわらず、待機児童ゼロ宣言している場合も見受けられます。

 このように、政府が待機児童の定義を厳格化することによって生じたのがまさにこの七万人ですよね。隠れ待機児童、表に出る数字を減らすことばかりに頭を使うのではなくて、隠れ待機児童問題についても私はこども家庭庁として向き合う必要があると思うんですが、こども家庭庁はどのように今後対処される予定でしょうか。お知らせください。

三原国務大臣 全国の待機児童数は、令和六年四月一日時点で二千五百六十七人まで減少して、先ほど委員がおっしゃったとおり、ピークであった平成二十九年の二万六千八十一人の十分の一以下となっております。一方で、保育所に入所できずに育児休業を延長している方など、待機児童にカウントされないが保育所等に通えていない方が一定数いるということは承知をしております。

 この点、保育の受皿整備に当たって、市町村が子ども・子育て支援事業計画を策定する際には、潜在的なニーズを含め実態を把握するよう、自治体にお願いしているところでございます。

 また、保育所等への入所の利用調整においても、潜在的なニーズも含めた保護者の意向も丁寧に確認して調整することができるように、自治体における保育コンシェルジュによる相談支援を通じた丁寧な利用調整ですとか、自宅から遠い保育所を利用できるようにするための巡回バスの活用などの取組も支援をさせていただいております。

 議員御指摘の七万人につきましては、保育所等への入所が決まらなかった方の中で育児休業中の方や特定の保育園等のみを希望する方などの人数であり、その理由や事情は様々であることから、各市町村におきまして、ニーズの把握や利用調整を丁寧に進めていくことが重要だと考えております。

 加えて、こうした方の判定やその後のフォローにつきましても、各地域でばらつきが生じているということを承知しております。現在、その実態把握を行っているところでございまして、その調査結果を踏まえつつ、必要な対応をしっかりと行ってまいりたいと思います。

八幡分科員 理由や事情というのは、それぞれ当然、その七万人の中にはいろいろなケースがあると思うんですよ。それは当然私も承知していますが、でも、政府は子育て世代でも働きやすいように支援すると言いながら、実際は、例えば、共働きの場合、世帯収入が平均よりも多いとされる場合などは子供を預けられないという声をやはりよく聞くんですよね。そこには、子供は母親が家で見るべきだという封建的な価値観があるんじゃないかなと私はやはり感じます。働く世帯に寄り添って、復職希望者やキャリアアップしたい女性などが子供を安心して預けられるようにしていくべきだと私は考えます。

 隠れた待機児童の解消へ向けて、認可保育所を増設して、そのためにも、まずは、保育士の給料を大幅に引き上げるなど、処遇改善、これは当然ですね、処遇改善を実施して、人数を増やして、家庭と仕事の両立をサポートすべきではないかと思います。

 続いての質問に参ります。

 待機児童というのは、保育園だけの問題ではなくて、先ほども申しました、共働き世帯の増加などによって、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育所の待機児童数も年々増加しております。二〇〇五年には六十五万人、でも、二〇二四年では百五十一万人。約二十年で二倍以上増加しているんですね。やはりここには、不景気もあると思うんですけれども、共働きが当然だという背景もあると思います。

 何とか利用できたとしても、部屋にぎゅうぎゅう詰めの状態で、子供がストレスを抱えて、児童自身が行きたくないというケースも聞くんですよ。私の大阪、大阪府茨木市ですね、場所がないからといって、プールの更衣室の中で塩素の臭いとともに学童保育を進めたという事例も報告を受けているんです。ちょっと環境が悪過ぎるんですね。

 こども家庭庁として、放課後児童クラブ支援についてどう考えるか聞きたいです。支援の強化策などは想定されているんでしょうか。お願いします。

三原国務大臣 放課後児童クラブは、仕事と子育ての両立に加えて、放課後の子供たちの健全な居場所を確保するためには、質、量双方の充実が欠かせないものと考えております。

 量につきましては、今委員御指摘の、昨年五月一日時点で全国約百五十一・九万人の小学生が利用する事業となり、クラブ数も約三・八万か所となるなど、過去最高の規模となったところでございます。

 そしてまた、御指摘の支援の質につきましては、受皿が増える中で、職員の支援の質や子供たちが過ごす場の環境を向上していくことが求められており、こども家庭庁といたしましては、放課後児童支援員等の援助スキルというものを高めるための研修、こういうことを行っている支援ですとか、各種の処遇改善事業を継続的に行うとともに、待機児童が発生する自治体への整備費のかさ上げ等の支援、放課後児童クラブ運営指針に事故防止等の安全対策の強化、子供の権利や意見の尊重などの内容を盛り込みまして、次年度から執行することといたしております。

 そういうクラブにおける適切な支援を確保してまいりたいというふうに考えております。

八幡分科員 やれることは早急にやっていただきたい。というのは、子供にとっての一年は、私たち大人にとっての一年と全然質が違うんですよね。本当に今日、明日にでも改善すべきだなと、私も今回質問を作るに当たっていろいろ調べて思いました。是非、こども家庭庁にも本腰を入れて受け止めていただきたい。

 そして、れいわ新選組基本政策にもあります学童保育指導員の給料や待遇を大幅に改善すること、これは絶対に大事です。薄い給料で、みんなぎりぎりの状態で子供たちのために面倒を見てくださっているんですね、見守ってくださっている。これはどうにかしていただきたいと強く訴えます。

 続いて、子供の自殺者数の増加について。

 子供ど真ん中という割に子供の自殺者数が多くなっているという、本当に悲しい事態が続いております。昨年一年間に自殺した児童生徒は五百二十七名に上り、これまでで最多です。

 子供の数が減っている中、子供の自殺者数が増えている。こども家庭庁ができたのになぜ起きてしまうのか。効果のある政策をやっているのか。こども家庭庁としてこの自殺者数の増加の理由をどう認識しているのか、お聞かせください。お願いします。

三原国務大臣 令和六年の小中高生の自殺者の暫定値が過去最多の五百二十七人となったことは、こども政策担当大臣として痛恨の極みであり、自責の念に堪えません。

 こども家庭庁では、令和五年六月のこどもの自殺対策緊急強化プランに基づきまして、昨年度から、警察や学校等の関係機関が保有する関連資料などを集約し、要因分析を行う多角的な調査研究というのを進めてございます。今年度からは、子供の自殺対策の効果的な周知と実効性のある自殺予防に向け、対象者に応じた広報啓発などの取組を実施しております。

 具体的には、高校生を対象に、友人に悩みを打ち明けられた際のコミュニケーション方法を学ぶというようなワークショップであるとか、あと、大人を対象には、子供への寄り添い方や自殺の現状を学ぶ講演会を開催をしております。加えて、子供の自殺に関する認識や取組等の実態把握を目的とした、子供から大人までの幅広い世代を対象にした全国的なインターネット調査、こうしたものも実施をしております。

 また、暫定値の公表直後に、私を議長とする関係省庁連絡会議、これを開催いたしまして、プランに掲げる施策につきまして、より効果的な取組方法はないのか、新たに講ずべき施策等がないかなどの総点検と更なる対策の検討もお願いしたところでございます。

 今後も、プランの各施策の実施状況を検証しながら、子供が自ら命を絶つことのない社会に向けて、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。

八幡分科員 大臣の強いメッセージを私も受け取ったんですけれども、ちょっと追加で聞きたいんですけれども、子供の自殺対策の推進の予算が令和七年度は六千万円なんです。令和六年度は六千百万円だったので、百万円減っているんですよね。百万円という金額よりも、この減らすという姿勢がちょっと私は問題があるんじゃないかなと思って今日聞きたくて、政府が問題に向き合う気がないのかなとやはり国民としてはメッセージとして受け取ってしまうと思うんですよ。

 大臣、一生懸命さっき伝えていただいて、私も受け取ったんだけれども、百万円でも減らすというのはあり得ないと思います。子供の自殺者数が増えているのに予算を減らす理由、これは何かあるのかなと思って、是非教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

三原国務大臣 そうした御懸念を抱かせてしまうというのは、大変それは申し訳なかったなというふうに思っております。

 ただ、予算の金額だけで私どもの政策の重さということが変わっていくということでは決してございません。私どもは、子供の命を守るということ、それを最優先してこの自殺対策というものに取り組んでおりますので、そこはしっかりと理解をしていただけるように私たちも全力を尽くしてまいりたいと思っております。

八幡分科員 大臣の答弁を受けて私から一つお伝えしたいんですけれども、一方で、若い世代のライフデザインの可能性の最大化として、いわゆる婚活事業ですよね、街コンやマッチングサイトみたいな支援強化に今年も十億円ついているんですよ。これは自殺対策予算の約十七倍なんです。こんなことをやっているから、少子化対策といいながらどこかで誰かが中抜きしているんちゃうと国民に疑われても仕方がないんじゃないかなとやはり思うんです。そこじゃないんですね。やはり、つぼがおかしいんです。今悲鳴を上げているところにしっかりと予算をつけるべきだと私は強く抗議をいたします。

 時間がないですが、最後行きます。児童相談所についてです。

 昨年、児童相談所に、精神的にしんどいので子供を預かってほしいと相談して預けられなかった大阪のシングルファーザーが、ダムに身を投げ込み無理心中するという事件がありました。このニュースを受けて、多くの国民は胸を痛めたと思うんですね。児童相談所は、子供に関する家庭からの相談に応じて子供の福祉を図ることが主たる目的なのに、本当に残念でなりません。

 児童相談所の職員は地方自治体の職員ではありますが、もっと国が支援すべきではないでしょうか。こども家庭庁として児童相談所へこれからどのような支援をしていくのか、教えてください。お願いします。

三原国務大臣 委員おっしゃるとおり、児童相談所というのは、子供の命を守る最後のとりででありまして、私も大臣就任以来すぐに視察をさせていただいて、職員の皆様が昼夜問わず、本当に多忙な業務に当たっておられる状況を拝見をさせていただきました。そしてまた、人材確保ということでありますけれども、確保しても定着というのが非常に難しい仕事だということもお聞きをさせていただきました。

 そうしたこともありまして、児童相談所の専門職である児童福祉司及び児童心理司につきまして、令和四年十二月に策定しました新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン、これに基づいて計画的に増員を図っておりまして、昨年末にはプランを改定して、更なる増員を図ることといたしております。

 このプランにも掲げました目標も踏まえて、必要な地方財政措置に加えて、こども家庭庁といたしましても、自治体が行う採用活動に対する補助、そしてまた児童相談所の業務の魅力、これはとてもすばらしい仕事なんだというそういうことの発信、あるいは、人材確保の支援のみならず、職員の先ほど言いましたメンタルヘルスケア、こうしたことをする職員の配置に対する補助ですとか、ICT化による業務軽減、効率化への支援等々、取り組んでおります。

 何度も言いますけれども、子供の命を守る最後のとりでである児童相談所の人材確保、そして定着、これは大変難しいことでありますけれども、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

八幡分科員 そう言っていただけるなら、児童相談所の支援については、ほかの分野と併せての予算の編成になっているんですよ、是非独立して予算をつけていただきたい。政府にこれを言うと、いや、でも児童相談所というのは最終的に自治体の管轄だからねと言うんですけれども、命が失われてしまってからでは遅いんですよね。自治体任せではなくて、本当にもう間に合わないということが露呈しているんですから、国がやるしかない。

 こども家庭庁、本当に、確かにこどもまんなかのコンセプトですが、その子供の一番近くにいるのはやはり親だと思うんですよ。その親からのSOSをしっかりと受け止めて、それを政策に反映していく。七・三兆円、これが無駄だとか言われない。こども家庭庁解体論なんて、私は本当に悔しいです。せっかくできたんだからしっかりとやっていただきたい。そのメッセージをお伝えして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて八幡愛君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。仙田晃宏君。

仙田分科員 国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。

 昨年十月に初当選させていただき、本日、初めての予算委員会での質疑に立たさせていただいております。質問の機会をいただいた皆様、また、夜遅い時間に御対応いただきます平大臣始め関係部門の皆様、ありがとうございます。初めてで緊張しており、また、デジタル大臣の経験者が三人もいらっしゃるこの場で質問できることは大変光栄でございます。拙い質問もあるかもしれませんけれども、どうか是非よろしくお願いいたします。

 私は現在四十二歳でございます。大学を卒業してから四十歳まで、IT企業に勤める会社員でした。IT化、デジタル化は、目的ではなく手段です。ITを使って、便利な日本そして効率的な世の中はつくれていけますが、豊かな日本そして幸せな世の中はつくれてまいりません。ジャパン・アズ・ナンバーワンを取り戻し、そして豊かな日本をつくっていくため、私は二十二年間勤めた会社を退職し、政治の道を志させていただきました。

 ジャパン・アズ・ナンバーワンを取り戻す、この命運を握っているのは、全ての産業の礎となるデジタル領域であり、それを所管する平大臣と言っても過言ではございません。本日は、IT企業出身の知見と経験を生かし、平大臣を始め皆様に質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 デジタル庁が二〇二一年九月に発足し、約三・五年が経過しました。我が国が目指すデジタル社会として、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、また、デジタル社会で目指す六つの姿の一つには、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を掲げられております。

 デジタル庁の職員、関係者の皆様は日々奮闘され、頭が下がる思いではありますが、スイスの国際経営開発研究所が発表する世界デジタル競争ランキングでは、日本は二〇二三年に過去最低の三十二位となり、日本のデジタル化が推進しているとは言えない状況です。

 デジタル庁の令和五年度の推進体制には、デジタル化に向けた司令塔としてのデジタル庁の役割、これを掲げており、デジタル庁は、デジタル社会の実現に関する司令塔として、利用者目線で適切にニーズを酌み取ったサービスを提供することによる国民の利便性向上や、デジタル基盤やデータ流通環境の整備、行政や公共分野におけるサービスの質の向上、デジタル人材の育成・確保、教育・学習の振興、安心して参加できるデジタル社会の実現を図るとの記載があります。本方針に際し、平大臣の考えや思い、そして現在のデジタル化の検討状況、進捗状況について御質問をさせていただきます。

 一つ目として、マイナンバー、マイナンバーカードに関する質問を二点させていただきます。

 マイナンバーカードの普及と利活用の推進に向け、運転免許証や健康保険証、母子保健受診券との一体化、スマートフォンへの搭載等、マイナンバーカード一枚で、いつでもどこでも、様々な手続、サービスが利用可能になってきております。

 また、マイナンバーカードを大事にたんすにしまっておくのではなく、マイナンバーカードの積極活用に向け、空き容量APを活用した入館ゲートや入退勤管理、電子チケット等、民間でも活用されております。

 様々な取組をされていることは承知しておりますが、デジタル社会の実現に向けた重点計画、この工程表を拝見させていただきますと、ロードマップの線表が工程ごとに分かれておらず、帯が長く引いてあるだけでございます。例えば、死亡・相続手続のオンライン・デジタル化については、死亡届・死亡診断書の電子的提出に関する実装方式検討・実施の項目が二〇二四年二クオーターから二〇二七年四クオーターまで線が引いてあり、いつまでにサービスを開始するのか、ローンチするのか不透明となっております。

 めり張りをつけた各施策の実現に向け、例えば、工程表に高、中、低といった分類を入れていただくことや、工程表を具体化していただくことは可能でしょうか。また、デジタル庁が特に力を入れていく施策があれば、御教示をお願いいたします。

平国務大臣 御質問ありがとうございます。

 仙田委員は大手IT企業出身ということで、今日は議論させていただくのを大変楽しみにしておりました。予算委員会、意外と私に質問通告がなくて寂しい思いをしていましたので、本当にありがとうございます。

 まず、工程表についてでございますが、委員から御質問いただいて私も再度確認をしましたが、御指摘のとおり、いわゆる進捗のところが多年度にわたってだらっと帯が延びている状態で、強弱や、いつまで何ができるか分からない。よく見ると、大項目はだらっと行っているんだけれども、ブレークダウンしたところは幾つかあったんですが、それにしてもちょっと分かりにくいということもありますので、これをもうちょっとブレークダウンして、ちゃんと期限をもう少し精度を高く書き直すように、今日私から指示をしたところであります。どのように反映するかはちょっと議論が必要でありますが、そのように御理解をいただければというふうに思います。

 そんな中で、優先順位は、去年に紙の保険証の廃止ということが正式に決まり廃止をすることになりましたので、マイナ保険証。また、マイナ保険証も、実際に救急車を呼んだとき救命措置の際に活用するということが今後全国に展開をしていくということもありますので、そういったことであるとか、あとは、免許証とマイナンバーカードの一体化なども始まります。

 そういったことをしっかりやってまいりたいと思いますし、また、今、地方創生二・〇という政策もやっていますので、そういったところでマイナンバーカードの活用をしっかり進めてまいりたいと思っております。

仙田分科員 大臣、ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、めり張りをつけてやっていくというところで、大変心強く思っております。

 今事例で挙げさせていただきました死亡・相続手続、こちらは、医師による死亡診断書を基に死亡届を役所に提出し、その後、相続手続に向け、遺言書の有無の確認、相続人の調査、そして相続財産の調査、遺産分割協議へと続いてまいります。死亡・相続手続のオンライン・デジタル化を実現していく上で、現在実施しております戸籍への振り仮名の追記、そしてマイナンバー連携の実現、こちらが重要な施策になってまいりますので、是非、早期の実現をお願いいたします。

 次に、マイナンバー、マイナンバーカード普及と利活用促進のための優先順位についてお伺いさせていただきます。

 マイナンバーカードのスマホ搭載や、公的個人認証サービス、JPKIを利用した、最新の住所、氏名、生年月日、性別の四情報の提供サービスの充実、こちらは大変評価できる部分でございますが、もっと広く国民の皆様に使っていただくためには、ふだんから利用する、つまり日常使いするようなサービス、機能をマイナンバーカードに具備する必要があると考えております。例えば、マイナンバーカードによる決済機能として、熊本県天草市、「天草のさりー」があります。

 コンビニやスーパーでのお買物や、鉄道やバスといった公共機関を利用できる決済サービス、機能を具備することがマイナンバーカードの普及と利活用の促進につながると考えておりますが、平大臣のお考えをお聞かせください。

平国務大臣 ありがとうございます。

 委員御指摘の点は、私も同じ考えであります。やはりふだん使いが大事だろうということで、保険証であったり免許証との一体化というのがあるんですが、もう一つは、今委員御指摘のとおり、マイナンバーカードであたかも交通系ICのようにピッとチャージができて、ピッと決済ができるということは、これはいろいろな施策で使えます。例えば、我々がいわゆる景気対策でやったプレミアム商品券という商店街の支援の政策がありましたが、そういうところにも活用できますし、また、いろいろな地域でのマーケティングにも活用ができます。

 私は山古志村にお邪魔をして、これはブロックチェーンの技術を使ってですが、まさにそういった形でマイナンバーカードを使うという実証実験も今していますし、しかも住民情報、住所の情報が入っていますので、例えば、今インバウンドですごい混雑をしている、インバウンドの方と地域住民で二重価格にしたいというような要望もあるんですが、これも、マイナンバーカードを使ってピッと決済ができれば、その地域に住んでいる人は住民料金、そうじゃない人はインバウンド価格といったことも将来的には可能になっていくんだろうというふうに思いますので、そうした多岐にわたる日常持ちを促進をする政策は我々としても推し進めてまいりたいと考えております。

仙田分科員 ありがとうございます。

 やはりマイナンバーカードは使っていただいて何ぼだというふうに思っております。ですので、今お話しいただいたように、自治体で使っていく部分、地域で使っている部分もありますけれども、国の政策として是非推し進めていただくようお願い申し上げていきたいというふうに思っております。

 続きまして、二つ目に、デジタル庁の要員計画に関する質問を一点させていただきます。

 デジタル社会の実現に向け、デジタル社会の実現に向けた重点計画を改定され、職員数千五百人を目標に掲げていらっしゃいますが、令和三年度末には五百三十一人、そこから六百八十七人、九百五十九人と推移し、令和六年度末の見込みでは千百五十六人であり、目標に三百四十四人足りていない状況です。

 いつまでに千五百人を達成する予定なのか、要員計画を教えていただけますでしょうか。併せて、千五百人を達成した場合のデジタル社会実現に向けた重点計画に対する平大臣の意気込みと目玉政策を教えてください。よろしくお願いします。

平国務大臣 千五百人を目指すということは、もう既に目標として掲げております。七年度予算定員の措置によって、七年度末には一千三百二十人の規模の組織になるということで、そういうことを見込んでおります。

 委員から、いつまでにやり切るんだということでありますが、実は私、公務員制度の担当大臣でもありますので、ここでいついつまでに千五百人と言うと、じゃ、ほかを削るのかということにもなりかねないので明言はできませんが、一方で、今定員割れをしている組織が非常に多くて、実員でも回せる、若しくは、実員も今後下がっていくことが想定をされますので、そういった中で、行政サービスの質を落とさない、しっかり回すためにはデジタル化は必須でありますし、更に言えば、デジタルガバメント、ガバメントクラウドと来ましたので、行政支援AIといったものも生成AIを中心に入れていくということになりますので、デジタル庁の要員をしっかり確保して機能強化をした上で政府全体のデジタル化を進めてまいりたい、そのように考えております。

仙田分科員 ありがとうございます。

 これから、要員計画、そして生成AIを使った業務効率化を是非進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、三つ目の質問に移らさせていただきます。

 三つ目に、地方公共団体の主要基幹二十業務以外のシステムの統一、標準化について御質問させていただきます。

 現在、全国どこでも、誰もが便利で暮らせる社会を目指し、デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されず全ての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現するために、デジタルを活用した意欲ある地域による自主的な取組を応援するため、デジタル田園都市国家構想、こちらを二〇二一年から取り組まれております。

 デジタル化を推進するため、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた地方公共団体の取組を交付金により支援することは非常にいい取組だと思っておりますし、各自治体にて個性のある取組をしているのも事実でございます。私の地元である岐阜県美濃市では、マイナンバーカードの市民カード化構想にて交付金を活用し、マイナンバーカードの積極活用に取り組んでいらっしゃいます。

 デジ田交付金の活用一覧を拝見いたしますと、複数の自治体が同じサービス利用に交付をしている状況もございます。一つのサービスをほかの自治体に横展開していくのももちろん大事ですが、新たなサービスを創出していく、ゼロから一の事業も大切でございます。自治体の自主性、主体性を尊重するのはもちろんですが、自治体の色を出す、差別化する部分と、業務効率化や集約化を図れる部分を整理し、健全な財政活用をしていく必要があります。

 現在、地方公共団体の基幹業務システムの統一、標準化について、主要二十業務以外に着手されていらっしゃいますが、更なる業務効率化、標準化に向けたネクスト業務の検討状況を教えてください。

岸大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、国のシステム共通化におきましては、昨年の六月に閣議決定した国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針に基づき、喫緊の課題である二十業務に係る情報システムの標準化に引き続き注力することとしております。

 その上で、二十業務以外につきましては、国の基本方針に定める共通化すべき業務、システムの基準に合致するものを、効果が高く、ニーズの高いものから順次、共通化に取り組むこととしております。具体的には、国、地方の代表者から成る連絡協議会が共通化対象候補を選定し、そして、そこで同意が得られたものにつきましては国と地方が協力して共通化に向けて取り組んでまいる、そのようになっております。

 そのような取組の下で、今年度は、例えば、入札参加資格審査、また、ふるさと納税の返礼品の確認といった十二件を共通化の候補として選定するとともに、来年度の候補選定にも着手をしたところでございます。

 引き続き、地方の声を丁寧に伺いながら共通化を進めてまいりたいと思います。

仙田分科員 ありがとうございます。

 現在、デジタル田園都市国家構想実現事務局も、今、新しい地方経済・生活環境創生本部事務局に引き継がれております。デジタルの名前がなくなっておりますが、地方創生にはデジタルの力が必要です。デジタル庁から積極的な働きかけを引き続きお願いしたいと思っております。

 四つ目に、データ連携基盤について、三点御質問させていただきます。

 私が二〇二二年のまだ会社員時代だった頃、自民党デジタル社会推進本部、ウェブ3のプロジェクトリーダー長を務めていらっしゃいました平大臣の講演をお聞きさせていただき、デジタル領域においてここまで造詣が深い政治家の方がいらっしゃるのかと感銘を受け、平大臣の熱量に圧倒された一人でございます。

 その講演で平大臣は、DFFT推進を日本の最重要国家戦略とし、DFFTに基づくデータ流通圏の拡大を日本がリードすると語っていらっしゃいましたが、今もその考え、お気持ちは変わらないでしょうか。

平国務大臣 変わっておりません。

仙田分科員 ありがとうございます。

 バスケットボールでは、リバウンドを制する者は試合を制すという格言がございます。デジタル領域においても、情報、データを制する者がビジネスを制すという言葉がございます。データ流通圏を制するために、使えるデータを整備していく必要がございます。

 現在、自治体においても、主要二十業務において標準化、共通化を行い、データ基盤の整備を行っているのは、使えるデータを整備していくための一環だと理解しておりますが、今後、このデータを、そしてDFFT、データ流通圏をどう日本がイニシアチブを取っていこうとしているのか、平大臣のお考えをお聞かせください。

平国務大臣 私の問題意識は、やはりデータはすごく重要だろうと。データ・ドリブン・エコノミーということで、二十一世紀の石油とも言われていたわけであります。それが、安倍総理が二〇一九年、ダボスで言ったときに、余りイメージが湧いていない人も多かったんですが、その後、ウェブ3とかAIとかが出てきましたので、まさにデータが付加価値を生み出す時代に入ってきた。

 一方で、ヨーロッパは、GDPRということで、法律、ハードルで非常に厳しく規制をする。アメリカは、ビッグテックが主導をして、デファクトスタンダードで進めていく。中国は、大変な技術力もあり、大変な大きなデータがありますが、若干、我々とは価値観が違う。個人情報保護についてもガバメントアクセスにしても、我々の基準を満たさない大国があるわけであります。

 そんな中で、我々が国益をしっかりと意識をしながら、そういった世界地図の同じ価値観を持つ人たちがデータ・ドリブン・エコノミーにおいてデータを共有できる、そのときにはトラストといったものがなければいけないだろうと。

 そのトラストをルールでやるのかテクノロジーでやるのかといった問題もまたあり、日本は秘密計算技術など独特な技術も持っていますので、両方の分野でアメリカとヨーロッパとちょっと一線を画す日本が共通のルールを作ることにより、さらには、ASEANやグローバルサウスも巻き込んで我々の日本企業も最大限活用する場を広げていくということもあり、また、個人情報を含め守るべき情報はしっかり守られる中でデータの価値を最大化をする、そういった世界をつくっていきたいという思いでDFFTを進めてまいりました。

 こちらにいた河野さんがデジタル大臣のときも、G7広島サミットでこれをアジェンダで取り上げていただき、国際的な枠組みを今走っているところでありますし、それを中心に、また、それに親和性の高い国々と今協議を重ねているということでありますので、まさに生成AIも出てまいりましたので、更に加速をしてこの政策を進めてまいりたいと考えております。

仙田分科員 ありがとうございます。更に加速していくというお言葉を聞けて、非常にうれしく思っております。

 ウェブ3の世界観を実現していく上では、先ほど平大臣がおっしゃられたとおり、ブロックチェーン技術を含めて、DAO、分散型組織が必要になってまいります。この領域でどのようにリーダーシップを日本が発揮していくのか、どう産業を育成していくのかがポイントになってくると考えております。例えば、合同会社に対する寄附等に関する税務上の優遇措置や、ウェブ3を活用したコンテンツ産業の海外展開の後押しといった方策もございます。

 データ流通関連産業、こちらの確立に向けたスタートアップ企業への投資等、どのように日本がこの領域でイニシアチブを取っていくか、産業育成について平大臣のお考えがありましたら、お願いいたします。

平国務大臣 特にウェブ3は、米国は今、トランプ大統領になって行け行けの状態になっていますが、ちょっと前までは、いわゆるクリプトウィンターと言われて、いろいろな大企業の不祥事もあり、暗号資産、クリプトは冬の時代を迎えていたわけでありますが、私が自民党ウェブ3PTでホワイトペーパーを出した時期は、ちょうどそのクリプトウィンターに入る前だったので、しかも明確な方向性を出しましたので、意外と大企業が乗ってきていただいたという経緯があります。

 大企業は、一旦決めるとアジャイルに動けないものですから、このクリプトウィンターの間もいろいろな準備をしてきた。そういった中で、日本の若い人たちのスタートアップと大企業が組んでこれから実装例がたくさん出てくるというふうに思いますし、特に、ウェブ2・0からウェブ3に行くとコンテンツレイヤーの取り分が大きくなりますので、日本はコンテンツ大国でありますので、そういった意味では、ブロックチェーンを最大限活用するということが日本の勝ち筋であると思います。

 もう一つは、先ほど申し上げた地方創生二・〇。地方には、お祭りとか観光体験とか食とか、ありとあらゆるアナログの価値がありますが、これを安く提供している、若しくは無償で提供しているところに大きな問題があると思います。

 ニセコのパウダースノーが世界で評価をされ、十五分朝早く乗れるファストパスがNFTで販売をされ、転売をされ何倍にもなったという事例がありますので、こういった日本的な課題解決にブロックチェーン、NFTを使っていくということもあると思いますので、これは担当大臣は私じゃありませんが、地方創生二・〇の文脈でも、今後、ブロックチェーンの活用といったものが日本がリードをしていく形で進んでいくものというふうに思っております。

仙田分科員 ありがとうございます。

 今、スタートアップ企業と大企業を含めて連携している部分がございますけれども、スタートアップ企業はやはり、知恵と技術はありますけれどもお金がないという部分がございますので、是非、スタートアップ企業に対して、よりよい交付金、助成金を含めた検討をお願いしたいというふうに思っております。

 やはり日本をこれから再び世界の場に押し出していけるかどうかの鍵はデジタル産業だというふうに考えておりますので、その司令塔、かじ取りを担っていらっしゃるのがデジタル庁であり、その所管部門長の平大臣でございます。トヨタ自動車が手がけているウーブン・シティの取組といったところも、国策として、国家戦略特区制度を活用して実現するということも一案だと思っております。これからウェブ3やNFTが新しい資本主義の成長の柱になるよう、国策としてのデータ流通関連産業のバックアップを平大臣に期待して、次の質問に移らさせていただきます。

 五つ目に、ガバメントクラウド関連について御質問をさせていただきます。

 現在、デジタル庁のホームページに、ガバメントクラウド及び地方公共団体の基幹業務システムの統一、標準化に関し、次のような記載がございます。

 政府共通のクラウドサービスの利用環境。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供、改善していくことを目指す。

 また、地方公共団体が、基幹業務システムについて、ガバメントクラウド上に構築された標準化基準を満たすアプリケーションの中から自ら適したものを効率的かつ効果的に選択することが可能となる。

 そして、最後になりますが、ガバメントクラウドはデジタル庁が調達し、地方公共団体にそのサービスを提供します、地方公共団体がガバメントクラウドを利用することで、共同利用によるコスト削減、情報システムの迅速な構築、柔軟な拡張、セキュリティー対策、メリットを享受しやすくなるというふうに書かれております。

 ガバメントクラウドの一つの目的には、共同利用によるコスト削減といった意味合いがあったはずです。

 私の地元でございます岐阜県美濃市では、ガバメントクラウド移行に伴いランニングコストが上がるという試算をされております。美濃市の試算になりますが、現状のランニングコストが三千七百九十万円だったのに対し、ガバクラ移行後は、三千九百万円のガバクラ利用料に加え、四千八十万円の標準準拠システムのランニングコストが発生し、約二・一倍ものコストが増えております。

 岐阜県では既に、岐阜県市町村行政情報センターにて共同運用をしており、今回のガバクラ移行で、標準化対象とそれ以外の二本立てのシステムを持つことになります。分割することによるシステムの維持管理コストに分割損が発生しており、これは美濃市だけではなく、ほかの自治体でも発生している状況です。

 二〇二五年一月二十九日の日経新聞にも、全国六十二の中核市でつくる中核市市長会は、政府が進める自治体システムの標準化により、運用経費が平均で移行前の二・三倍に膨らむ見通しとする調査をまとめた、調査結果では半数に当たる三十市が二倍以上になるとし、うち十三市は三倍超だとした、増加幅が最も大きい市は五・七倍だったとの記事が掲載されております。

 二十業務の共通化、標準化、こちらは、地方公共団体における事務処理の内容、これが必要だというふうに思っておりますし、これをこれからやっていかなきゃいけない中で、この現状をデジタル庁としてどう捉えているか、御認識をお伺いいたします。

平国務大臣 もう時間もないので、私からお答えしたいと思います。

 まず前提としては、自治体のお話をよく伺って、しっかりサポートをしていきたいと思います。

 その上で、既存のオンプレサーバーと独自開発のソフトで、しかもサイバーセキュリティーをやりつつ回していくというのは今後やはり考えにくいと思いますので、ガバメントクラウドに乗ってきていただく。その上で、デジタルマーケットプレースみたいなソフトウェアもそこで、SaaSですね、出しますので、適当なものを使っていただくということだと思います。足りないところはデジ庁内製で提供したいと思いますが、その上で、既にクラウドを使っていたところなど、やはりなかなか思うようにコストが下がらないといった問題があります。

 是非お願いしたいのは、デジ庁としても見積り精査支援というのをやっていて、これは結構成果が上がるんですが、意外と申込みをしていただいていないということがありますので、是非それも御活用いただきたいと思いますし、また、我々自身は、クラウド利用料の大口割引などもしっかり交渉していきたいと思いますし、クラウドの最適化支援もしてまいりたいと思います。

 それだけでは不安だということだというふうに思いますので、総務省においては所要の地方交付税措置が講じられるという話も聞いておりますので、いずれにしても、地方自治体の御意見をよく聞いて、しっかり寄り添いながら、効率のいい体制、またサービスを提供してまいりたいと考えております。

仙田分科員 ありがとうございます。

 今の件について、追加で御質問させていただきます。

 デジタルガバメントクラウド、ガバクラは従量料金課金というのは今ので理解しておりますけれども、そこの上に乗る標準準拠システムの二十業務のソフトウェア、こちらについては大きな都市も小さな都市も一律同じ料金というふうにお聞きしております。やはり自治体規模に合わせた料金設定というのもあってもいいんじゃないかというふうに思っておりますけれども、その点、いかがでしょうか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 標準仕様書においては、人口規模等による業務実施状況の違い等を勘案して、標準準拠システムに実装してもしなくてもよい標準オプション機能の有無、これを設けております。この標準オプション機能の有無の違いによって、団体規模ごとのシステム設計、料金設定を行う事業者もあるというふうには認識をしております。

 他方、標準準拠システムのソフトウェア利用料は、事業者の競争領域でもあることから、団体規模ごとの料金設定をするように国から事業者に対して一律に求めていくということは難しいというふうに考えております。

 なお、標準準拠システムへの移行後は、これまで競争が十分に行われてこなかったシステムに関しましても他社へのデータ移行が容易となることから、ベンダーロックインが回避をされて事業者の競争環境が確保されることによって、将来的にはソフトウェア利用料の低減にもつながっていくというふうに考えております。

仙田分科員 ありがとうございます。

 時間が来ましたのでここで終わりにさせていただきますが、やはり、冒頭申しましたとおり、これから日本が再び上がっていくためには、デジタル戦略、ここがポイントになってまいりますので、是非、大臣含めてこれからもよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 本日、御質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

牧島主査 これにて仙田晃宏君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。屋良朝博君。

屋良分科員 長丁場、本当にお疲れさまです。西銘先生も本当にお疲れさまです。大臣も夜遅くから、どうもよろしくお願いいたします。

 本日は、内閣府所管、沖縄振興予算についてお伺いしたいと思っております。

 沖縄の予算が、一般的に減額が続いているというふうな印象が持たれていますが、それについて、大臣、まずは御認識をお伺いしたいんですけれども、どうでしょうか。

伊東国務大臣 屋良先生にはいつも沖縄について御心配をいただき、誠にありがとうございます。

 今、予算が減額されているのではないか、このようなお話でありますけれども、これはどこの部署のどんな予算についてもそうなのでありますけれども、沖縄の場合は特に、沖縄県を始めとして、特に地元関係者の御要望等を広くお伺いした上で各年度で必要な所要額を積み上げて計上しているものでありまして、御指摘の地方公共団体向け補助金の比率が下がってきている理由を一概に、ずっと下がっているのではないかということで御指摘をいただいたところでありますけれども、一概にお答えすることはなかなか難しいところであります。その上で、那覇空港の第二滑走路の整備やあるいは沖縄健康医療拠点の整備など、事業費の大きな国直轄の事業を行ってきたことも要因の一つである、このように考えております。

 なお、沖縄健康医療拠点の整備が令和六年度で完了しまして、駐留軍用地跡地先行取得事業などの地方公共団体向け補助金を新たに計上したこと等から、令和七年度の地方公共団体向け補助金の比率は対前年比約四%増えたところであります。

 令和七年度の沖縄振興予算につきましては、玉城知事を始め市長会、町村会の方々からも直接感謝の言葉をいただいているところであり、地元の期待に応えるためにも予算の成立に向けて全力を挙げてまいりたいと考えているところであります。

 以上でございます。

屋良分科員 ありがとうございます。

 今日は資料を用意させていただきまして、是非ともこちらにいらっしゃる関係者の皆様にも御理解をいただきたいなと思って、特段配付させていただきました。

 まず、資料一を御覧いただきたいんですけれども、平成二十六年度がピークです、グラフの中では。上の青い部分が国直轄でございます。先ほど大臣が那覇空港等々を御説明いただきました。その下の部分、赤い色の部分を含む下側が沖縄向け、地元向けの予算ということになっております。

 これを見ると、やはり減っているという印象が拭えないということですね。国直轄分は一千二百億円で、大体ずっと平均で推移しているにもかかわらず沖縄分は過去十年で四割も減っているということがこのグラフで見て取れますけれども、四割も減ったということは、これはあれですかね、これまでの所要額を積み上げてきた、地元の要望を聞いてきた、その結果、四割減ということになっているということなんでしょうか。大臣、お願いします。

伊東国務大臣 原則のお話をさせていただきますと、各地域、市町村及び県の要望を積み上げてきたもの、このように考えているところであります。

 ただ、今のグラフの中で一部出ておりますけれども、平成二十五年十二月に当時の安倍内閣総理大臣が、平成二十四年度から令和三年度までの第五次沖縄振興計画期間中に毎年三千億台を確保する旨の発言をされたということもありまして、当該計画の最終年度であります令和三年度におきましても、従来より一段高い水準の三千億台の予算額を確保したところでもあります。

 その後、そのような前提がなくなりまして、これまた各事業の所要額を積み上げた結果、総額二千六百八十四億円を計上したものである、このように承知をしているところであります。

屋良分科員 おっしゃったとおりだと理解しておりますけれども、安倍総理が元仲井真沖縄県知事との間で辺野古の埋立承認を出したということの多分見返りだっただろうというふうな理解をされているんですけれども、それで三千億円を十年間維持していきますというふうな言葉があったわけです。

 ただ、大臣、ちょっとよく分からないのが、それが終わった令和三年と令和四年のギャップですね。これが約三百億円の減額、しかも地元向けということになっています。一段高い水準の三千億円を確保された、その一段高いというのが安倍総理の発言によるものであったということだと、大臣、どうも沖縄の予算というのは非常に政治的であり、属人的であり、基地に絡む要素がとても強いものであるというふうな印象を持たざるを得ないわけなんですね。

 そのような前提というのが果たして予算の増額の根拠になるものであるか、その前提が終わったときにがくっと三百億円減らす根拠になり得るものなのかということを、内閣府としてどのように考えて予算編成をしているのかというところがどうもよく分からないんですよ。まずもって、予算というのは所要があって、それで積み上げてくるもの、基地に絡んで時の総理が一言言ったので一段高い水準でというふうな対応が果たして合理的なのかどうかということがやはり問われるべきだと思うんですね。大臣、そこをどのようにお考えなんでしょう。

伊東国務大臣 お話はもちろん分かりますし、おっしゃっていることはよく分かるところでありますけれども、その当時は私も沖縄に余り関与していなかったものでありますから無責任なことは言えないわけでありますけれども、時の総理大臣の思いがあり、そしてまた必要だと思って予算づけをされたのではないのかなという、そんな思いをするところであります。そのときの事業があったとかなかったとかを含めて、その当時の高度な政治的な判断で予算がつけられたもの、このように思っているところであります。

屋良分科員 外形的に見ると、基地と振興策ががっちりリンクしちゃったんじゃないかというふうな印象も持たれるわけですね、まさにそうだったというふうになると思うんですね。特別な配慮があって発言があって、安倍総理の、時の総理大臣の発言があって一段高い水準の予算を確保した、しかしその前提がなくなったらまた落ちてしまうというふうなことなんですけれども、リンク論がやはり想起されるわけなんですね、大臣。そのリンク論について、安倍総理大臣の発言からその後十年間はリンクしていた、内閣府はそれを是認していた、認識していたというふうな理解なのでしょうかね。さらには、大臣はリンク論についてどのような見解をお持ちなのかということを教えてください。

水野政府参考人 お答えいたします。

 振興予算と基地問題はリンクしているのではないかという屋良委員の御質問だったと思います。

 政府としましては、沖縄の振興のため、特に基地負担の軽減を始めとする基地問題への対応と、返還された基地の跡地利用を含む沖縄振興策の推進を総合的に取り組むべき重要な政策課題と位置づけております。

 しかしながら、具体的な沖縄振興予算の額は必要な予算を積み上げて決定されるものでございまして、基地問題の対応とは直接関連するものではないということを改めて申し上げたいと思います。

 以上です。

屋良分科員 大臣、済みません、先ほどの質問をさせていただきたいんですけれども、大臣はリンク論についてどのような御理解とか御見解をお持ちでしょうか。

伊東国務大臣 私も、先ほどからお話しさせていただいておりますけれども、重要な政策課題の積み重ね、積み上げが予算を計上するものだ、このように思っておりまして、基本的にはリンク論についてはくみしない考え方でおります。

屋良分科員 まあ、リンク論は否定されたということを確認できたので。ただ、その三千億円というのは、では何を根拠に三千億円だったのかということがまた新たな疑問として湧いてくるんですけれども、どなたか説明できますか。お願いします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、第五次沖縄振興計画期間中は沖縄振興予算三千億台を確保するというのが、当時の安倍総理及び当時の沖縄県知事であった仲井真知事とのいわばお約束ということでございました。

 これは、恐らくは、まだ私も当時沖縄の業務に携わっておらなかったわけですけれども、第五次沖縄振興計画期間中、やはり沖縄振興に力を入れていきたいというのが当時の安倍政権の方針ということで、それをある程度数字で示すということで三千億台を確保するといったお約束になったんだと考えてございます。

 先ほど伊東大臣から答弁いたしましたが、そういったお約束であって、令和三年度までは一段高い水準の三千億円台の予算額を確保してきたところでございますが、令和四年度についてはそういった前提がございませんので、各事業の所要額を積み上げた結果、総額二千六百八十四億円を計上したというふうに理解してございます。

屋良分科員 ちょっと説明に無理がありませんか。第五次は強い思い入れがあったので一段高い予算だった、第六次に入ったらそれがなくなっちゃった、なので減額になっちゃったというふうな説明を今されたような気がしますけれども、どうなんでしょう。

 グラフをもう一度御覧いただきたいんですけれども、令和三年と令和四年の段差が三百億円。それまでは三千億円だったけれども、一割もがくっと落ちるわけですよ。そうすると、これまでずっと続けてきた沖縄県の事業、市町村の事業が当然あるし、継続事業もたくさんあったんですね、それをばさっと切っちゃったということになりませんか、これ。地元の事情を本当に配慮した対応だったのかということが、今私が本当に教えてもらいたいところなんですよ。

 ずっと三千億でやってきたから、それは三千億のシフトでやってきますよ、地元は。ところが、安倍総理の言葉の神通力が切れたのでがさっと落としますと。その落とされたところは、国の直轄事業はほとんど変わらない、落とされたのはほぼほぼ全て地元向けの予算だったということになると地元は混乱しますよ。恐らく混乱はまだ続いています、後で聞きますけれども。説明をお願いします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度予算と令和四年度予算を比べますと、御指摘のとおり、予算総額は減額しているところでございます。その中で、令和四年度と三年度と比べますと一括交付金化が減少しているというところなのでございますけれども。

 このときの事情をかいつまんで御説明させていただきますと、先生も御理解いただいていると思いますが、沖縄振興一括交付金は厳密な積み上げにはなじまない性質の交付金でございますが、令和四年度予算につきましては、市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするため、まず、市町村分の配分額について、令和三年度に市町村へ配分された額と同額を確保した上で、それと同じ額を県への配分額として確保し、合計七百六十二億円を計上したものでございました。

 なお、当時、一括交付金につきましては、財務当局から、沖縄県は他の自治体においては国からの補助金によらず地方単独事業により実施していると考えられる事業を一括交付金により実施している等の厳しい指摘を受けていたところでございました。

 こうした状況を踏まえまして、引き続き一括交付金を含む様々な財源の活用を図りながら、県が地域の実情に即して事業の優先度を判断し、自主的な選択に基づいて沖縄振興に資する事業を実施できるよう、当時大臣でありました西銘大臣に大臣折衝をお願いいたしまして、先ほど申し上げた予算額が決定されたものでございます。

 以上です。

屋良分科員 ちょっと済みません、よく分かりにくかったんですけれども。過去、一括交付金をずっとやってきたわけですよね、令和四年になって財務当局がこれは駄目だよと言い始めたということですね、だから一括交付金ががくっと減らされたというふうな説明だったと受け止めました。まあ、そういうふうにおっしゃったんですけれども、これって変じゃないですか。何で特定の事業費だけをがくっと、狙い撃ちみたいな感じで落としておいて、国直轄事業は全然変わらない。

 毎年ですよ、概算要求のたびにですよ、概算要求の時期になると沖縄県は要請書を持って永田町あたりをずっと回って、霞が関も回って、予算を確保してください、これだけ必要なんですよというふうな要望、要請活動を行っていますよ。去年の八月も、当時は自見大臣ですかね、自見大臣が要請を受けているはずです。伊東大臣は沖北の理事をなさっていて、一緒に北海道に行って視察をさせていただきましたよ。当時は本当にお世話になりました。

 そのような時期に、毎年夏になると沖縄県は要請書、要望書を持ってくるわけですね、これだけないと事業ができませんというようなことを持ってくるんですが、概算要求でも約半分に減らされる。大体七百億円ぐらい求めているんだけれども、三百五十億円ぐらいに。減らされているというのはハード交付金のことですね。ハード交付金、公共事業、公共投資です。それが全然足りていないので、ちゃんと手当てしてくださいというふうなことを求めてやってくるんです。しかし、概算要求段階で既に半分ぐらいにがさっと切られている。

 これって、地元の要求を受けたとか、地元と調整をしたとか、本当に十分やっているのかということをずっと毎年毎年やっていて。年度末になって、決定額がもう少しなんだけれども今の状況ではまだまだ足りませんからよろしくお願いします、これをずっと続けているんですよ、沖縄県は。何でこんなことを続けているの。おかしいじゃないですか。

 だって、沖特法とか、沖縄県の自主性を尊重してというのも、法律の最初の方に書いてあるじゃないですか。自主性なんか尊重されていないですよ。だって、概算要求で半分に切られているんだもの。ちゃんと調整をやっているんですかということですよ。やっていないから沖縄県はずっと要請を繰り返しているということじゃないでしょうか。

 やっていないという証拠というか、沖縄県の主張は資料の三ページ目と四ページに書いてあるんですけれども、これを見ると、学校が老朽化が激しくて、コンクリートにひびが入っちゃって、応急措置が必要な学校が、高等学校二十一校、特別支援学校三校。校舎とか建物の棟数にすると、四十棟になっているんですよ。これに手がつけられないと言っている。

 そして、四ページ目ですけれども、水も、今、全国で問題になっていますよ、上水道、下水道管。入替えもなかなかままならない、予算が足りないから。しかも、沖縄では、米軍基地由来のPFOS、有機フッ素化合物、この対応費も捻出しないといけない。去年の十月に水道料金が上がりましたよ。上げたら、沖縄県の試算によると全国の府県営水道用の供給単価が全国一位に上がっちゃうというふうな事態になっているということなので、足りないから何とかしてくださいというのをずっと言っているわけですね。それに何で対応しないのか。概算要求段階で半分に切っちゃう。

 これってどうも、要望を受けて地元とちゃんとやっていますよということを本当に言えるのかどうかですよ。大臣、ちょっとこれ、改善する余地があるんじゃないですか、地元との調整のやり方とかですよ。お願いします。

齊藤(馨)政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるハード交付金につきましてでございますけれども、沖縄県は庁内各部局の希望額を足し上げた額を要望してきたというものと承知いたしております。

 内閣府といたしましては、県それから市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考え方を踏まえまして、必要と考える額を確保しているところでございます。

 先ほど御指摘のあった水道に関してでございますけれども、先生がおっしゃった水道老朽化の厳しい状況を踏まえまして、本年度の補正予算におきまして必要な額を別途措置したこともつけ加えさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

屋良分科員 今の答弁は、沖縄県の予算編成は各部局の要望を積み上げた、かなり大きくなっていますよ、膨らんでいます、それを切り込んでいるのが内閣府ですというような説明だったと理解していいですね。そういうふうなことをおっしゃいましたけれども、であれば概算要求段階で調整してあげればいいじゃないですか。何で、誰がこれを決めるんですか、合理性があるかないかとか。誰が必要性を決めるんですか。どっちが先かということですけれども。

 大臣、このやり方って本当に今、私は国にとっても内閣府にとっても沖縄県にとっても非常に不健全な状態だというふうに思っているんですけれども。大臣、御見解をお願いします。

伊東国務大臣 屋良先生のおっしゃられること、本当に一理あり、まさに筋が通っているな、こう思うところでもあります。

 ただ、振興予算案につきましては、総合的、積極的に推進する観点から、厳しい財政状況の中ではありますけれども、総額二千六百四十二億円を確保しているところでございまして、当該予算案につきましては、その編成過程におきまして、県を始め地元関係者の御要望等も幅広くお伺いした上で、国として考える必要額を積み上げたものであります。

 沖縄が日本経済成長の牽引役となるよう、また県民の皆さんが暮らしの向上や豊かさが実感できるよう、引き続き県を始め地元の声をしっかり今後も伺いながら沖縄振興に取り組んでまいりたい、このように考えております。

屋良分科員 二ページ目の説明をさせていただきたいんですけれども。国全体の一般会計に占める公共事業関係費が過去、平成二十四年から令和五年までの間に六二%増えているんですね。他方、沖縄県の先ほど来御説明がありましたハード交付金、公共投資に係る予算はマイナス四九%。こういう現状をいつまで放置しているのかということなんですよ。では沖縄が内閣府あるいは国からの補助金頼りかということなんですけれども、例えば沖縄県が納めている国税の総額は令和五年度で四千六百五十七億円、四十七都道府県のうち二十五番目なんですよ。頑張っているんです。

 頑張っているんだけれども、沖縄県とか市町村は公共事業費が足りないから、先ほども言いましたけれども、水道事業もままならない、校舎の改修もままならない。私の地元にある国道、沖縄県管理なんですけれども、そこが二年前の台風で崖崩れが起きちゃって、半分、片側車線なんですよ。二年前ですよ、二年前。手がつけられないという状態があるんですよ。こういったところも本来であれば内閣府の仕事として、きめ細かく地元と意見交換してコミュニケーションを取って、何が足りないのか、どこをまず手当てしないといけないのかというところをやはりやらないと。毎年繰り返しますよ、毎年。

 足りないな、足りないなと言っているけれども、最終的に予算をつけてくれたので、沖縄の県知事は、ありがとうございますと言わざるを得ないじゃないですか。こんな不幸なことってあるんですか。この減額ですよ。どうにかして地元の要求に沿ったものにしていかないといけない。

 先ほど説明があった七百億というのが、膨大な、かなりシーリングも無視した法外な要求であるというのであれば、それは概算要求の段階で交渉して調整してあげればいいじゃないですか。何でそれをやらないんですか。それが沖縄部局のお仕事でしょう、恐らく。そうじゃないのであれば、そうじゃないでいいんですけれども。そうすると、沖縄振興法に全くそぐわないものであって、存在意義を自ら否定するような、そんな対応になっていると言わざるを得ないと私は思っております。

 もし、大臣、事務方でもいいんですけれども、何かあれば、よろしくお願いします。

齊藤(馨)政府参考人 お答えいたします。

 ハード交付金でございますけれども、内閣府が措置をした予算の範囲内で沖縄県に交付するものでございまして、県庁内各部局の希望額をそのまま積み上げて要求するにはなじまないというふうに考えてございます。

 先ほども水野統括官から申しましたけれども、過去、財政当局からも、例えば県単事業に関して、通常であれば、他の自治体であれば国からの補助金によらず地方の単独事業で実施しているようなものも含まれている等の御指摘もいただいてございますので、概算要求においてはそのようなこともしっかりと踏まえて必要な額を要求しているところでございます。

 これらのことも踏まえて、沖縄県におかれては、関係省庁とか市町村の御意見も踏まえて、沖縄振興に何が真に必要かということをよく御検討していただいて、適切に事業の優先順位をつけていただきたいと考えているところでございまして、予算の効果的、効率的活用がされるよう検証を行っていきたいと考えてございます。

屋良分科員 いや、びっくりしました。予算の範囲内で沖縄県は仕事をしなさい、ほかの県は独自にやっているんだよというふうな御答弁だったんですけれども、それならそれで、今までのやり方を変えないといけないじゃないですか。今の答弁だと、内閣府は、沖縄県の自主性も尊重しないでいい、決められた枠内で事業をしなさいと言っておる。もし、沖縄県が間違ったやり方をずっと続けている、一括交付金もおかしいというのであれば、それは変える必要があるわけでしょう。これ、大変な事業になりますよ、今までやってきたことをひっくり返しましょうということだから。

 今おっしゃったのは、内閣府の沖縄振興局の存在意義まで自ら否定したような、そんな答弁だと受け止めましたけれども、大臣、どうですか。このようなやり方、ずっと続けていていいのかということですよ。沖縄県と内閣府でしっかりと、何かいいやり方、もっと改善できるなら改善するような、何かイニシアチブを大臣の下で是非取っていただきたいと思うんですけれども、お願いします。

牧島主査 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

伊東国務大臣 おっしゃられること、よく分かりました。

 私も北海道でありますので、沖縄同様、一括の予算計上がなされているところであります。それから見ると金額は、予算がたくさんあっていいなと少し思うぐらいのことであります。

 日本各地、災害も復旧工事も山ほどある中でありますので、恐らく優先順位というのもあろうかと思いますけれども、今おっしゃられたことを含めて改善すべき点はやはりしっかり改善していかなければならない、このように思う次第でありますので、しっかりやらせていただきたいと思う次第であります。

屋良分科員 ありがとうございました。

牧島主査 これにて屋良朝博君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、地方創生、地方のDX、人材育成また防災、減災の観点から、内閣所管の質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず一点目ですが、地方創生の観点から、増加するインバウンドの経済効果をいかに地方に波及させるかについてお伺いをさせていただきます。

 石破総理が掲げる地方創生二・〇では、都市と地方の二項対立を超えた社会の構築、そして、各地域が持つ潜在的な経済社会資源を最大限生かすための対策強化が重要とされております。また、近年のインバウンド増加に伴いまして、地方特有の食文化、自然景観、伝統文化、芸術、さらには、スポーツなどを求めて地方を訪れる外国人観光客が増えていると指摘をされております。

 日本全体で見ますとインバウンドは非常に好調ではありますが、その恩恵は特定の地域に集中をしており、依然として偏りがあると思っております。私、北陸信越ブロックでありますが、福井県におきましては、北陸新幹線の敦賀延伸によりまして観光客の増加、これが見られまして、宿泊施設また交通インフラにおいて大きな変化を実感しているところであります。

 一方で、こうしたインフラが十分整備されていない地域におきましては、認知度の向上ですとか、またアクセス面での課題が依然として残っているところであります。このような状況を踏まえまして、インバウンドの経済効果を都市部から地方へ着実に広げていくことが非常に不可欠であると思っております。

 そこで、政府といたしまして、このインバウンドの経済効果を地方にいかに波及させていくかについて、まずお伺いをさせていただきます。

長崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇二四年のインバウンドにつきましては、訪日外国人旅行者数及び消費額共に過去最高ということで、非常に好調な状況でございます。

 一方で、宿泊ベースで見ますと三大都市圏に七割が集中している、こういう状況でございまして、地方への誘客、これを推進し、インバウンドの恩恵、これを全国津々浦々に行き渡らせる、これは重要な課題でございます。

 このため、観光庁におきましては、地域の観光資源を生かしたコンテンツ造成、受入れ環境整備、さらには、販路拡大、情報発信、こういったことを一貫する支援というのを取り組んでまいります。

 例えば福井県でございますけれども、具体的に申し上げますと、個別の話で恐縮でございますが、越前和紙の手すきでございますとか越前打ち刃物、こういった工場見学、こういった個々の対策であるとか、あわら温泉における宿泊施設の改修、こういった旅館、ホテルの改修、高品質化、さらには、高付加価値の旅行者、こういった旅行商品向けの旅行会社とのネットワーク、販路拡大、情報発信、こういったことに関する取組、こういったことが行われているところに対して、観光庁として支援しているところでございます。

 福井県以外におきましても、全国に我が国にはその土地に根差した歴史、文化、自然、食、伝統産業、さらには先生おっしゃられましたようなスポーツ、こういった多種多様な観光資源がございます。

 観光庁といたしましては、こういった地域の観光資源、こういったことを生かした取組に対して地方誘客を進めるとともに、まさに消費額の拡大、こちらの方を最大限にするべく取り組んでおりまして、支援をしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 今、様々なお取組をしていただいていることは非常に理解をさせていただいております。しかし、各地域を見ますと、例えば、各地域が持つ潜在的なものがどういうものであるかということをどう出していっていいかということが非常に悩まれているという点、それから、先般も新潟県で我が党といたしましては観光立国推進会議を行いましたけれども、皆さん悩んでいられたのが、このインバウンド対策におきまして発信力の強化、海外に対してどうやって発信していっていいかということについて非常に悩んでおられました。それぞれは地域でやっていくことではありますけれども、更に一押し、背中を押してあげられるような、また取組を是非ともお願いしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、地方における人材育成ということも地方にとっては大きな課題だと思いますが、女性のデジタル人材の育成、就労支援についてお伺いをします。

 地方創生二・〇には、若者や女性にも選ばれる職場や暮らしを実現する政策の強化も書かれております。まず、女性に選ばれる職場の実現とは具体的にどのような取組なのか、お伺いをさせていただきます。

岸田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生二・〇においては、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めていくこととしております。

 具体的には、若者や女性にとって魅力ある働き方、職場づくりの観点から、地域間、男女間の賃金格差の是正、女性のL字カーブの解消、男性の育児休業の取得促進、アンコンシャスバイアス、すなわち無意識の思い込みの解消に取り組むこととしております。

 本年一月には、地域として働き方や職場の改革に取り組もうとする自治体の希望をサポートする地域働き方・職場改革サポートチームが設置されたところであり、こうした取組や有識者会議での議論等も踏まえて、女性に選ばれる職場の実現等を含む、今後十年間、集中的に取り組む基本構想を策定してまいります。

中川(宏)分科員 女性のデジタル人材育成就労支援事業では、女性が自身に合った働き方を選択できるよう、先ほどもありましたけれども、デジタルスキルの習得から就労までを支援するとされております。

 私は先日、長野県佐久市を訪れまして、同市が推進をしております女性のデジタル人材育成、また、就労支援事業、コスモスタプラスを視察をさせていただきました。この事業では、女性が自分に合ったキャリアを築けるように共通のスキームを構築して、デジタルスキルの習得から就労まで包括的に支援をされておりました。昨年度の開始以来、五十三人が受講しておりまして、受講生からお話をお聞きしますと、育児や介護と両立しながら柔軟に働ける職場環境を求めていますなどの声をお聞きしたところでございます。

 この佐久市の取組におきまして大きな課題になっているのが、就労支援の段階で地元企業の協力を得ることの難しさだと言われておりました。地元企業が女性のデジタル人材を受けやすくしていくためには、地域全体も巻き込んだ女性デジタル人材就労支援のプラットホームの構築、これが不可欠ではないかと思っております。

 政府が推進する女性のデジタル人材育成プランは、これは非常に重要な施策でありまして、その事例の中ではマッチング事業も紹介をされているところでありますが、地方公共団体もこれは同様な取組をしておりますけれども、肝腎な就労支援という出口の部分について、マッチングの観点を含めた取組がこれから非常に大事じゃないかと思っておりますが、この点につきまして、方針をお伺いさせていただきたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル分野における就労は、育児や介護などのライフステージや生活スタイルに応じた柔軟な働き方を実現しやすく、女性の就業機会の創出につながるものでありまして、その普及促進を図ることは重要であると考えてございます。

 そのため、政府といたしましては、令和四年に策定いたしました女性デジタル人材育成プランに基づきまして、就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援に取り組んでまいりました。

 特に私ども内閣府男女共同参画局におきましては、地域女性活躍推進交付金によりまして、スキル習得から企業とのマッチングを始めとする就労支援まで一体的に行われるなど、着実に就労に結びつくことが期待される地方公共団体の取組を重点的に後押ししてきたところでございます。

 今後もこれらの支援を継続できますように、しっかりと取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 デジタルスキルの習得支援につきましては、私は、政府が主導してやってきて、大変効果があったと思っております。そして、出口の、いわゆる就労支援という部分については、ただ一つの自治体を支援しても、周りの地域、これも一体的にやっていかないと、なかなか就職先がないというのが、これは地方の実態であるというふうに思っているところでありますので、そういった視点も是非とも今後考えていただいて、この出口戦略につきまして、改めて、力強く地方が取り組める推進をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、地方創生にとって関係人口の増加という視点で重要な二地域居住についてお伺いをしたいと思います。

 コロナ禍を契機といたしまして、リモートワーク、これが急速に広まりまして、都市部におきましては、在宅勤務に加えてカフェまた個人オフィスなどで仕事をする人々の姿が日常的に見られるようになってまいりましたが、地方では、都市部とは異なりまして、深刻な人口減少が進んでおりまして、地方公共団体はそれぞれに知恵を絞って、人口減少社会における地域活力の向上に向けた取組を進めております。その代表的な施策の一つが、官民連携による二地域居住の積極的な取組であるというふうに思っております。

 私の地元の長野県でありますが、マルチタスク、またマルチハビテーションの実現を目指しまして、人々の多様な生き方、働き方を支援するため、広域的地域活性化基盤整備計画を全国で初めて策定をいたしました。

 地方創生二・〇におきましては、先ほども言いましたが、若者、女性にも選ばれる地方づくりは喫緊の課題とされておりますけれども、現在、政府として、二地域居住の推進に対しましてどのような支援を行っているのか、お伺いをさせていただきます。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住は、個人の多様な暮らし方や働き方のニーズに応えるとともに、地方への人の流れを創出しまして、地方創生二・〇の推進に大きく寄与する意義のある取組であるというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、二地域居住の促進を図るために、昨年、関連法を整備いたしまして、住宅、コワーキングスペース、交流施設等の二地域居住に必要な環境の整備であるとか、二地域居住者と地域をつなぐコーディネーターの役割を担う支援法人の育成、確保などに取り組んでおるところでございます。

 委員御指摘ございましたけれども、二月十日に、御地元の長野県が全国に先駆けまして、関連法に基づく計画を作成いただいたというふうに承知してございます。

 また、更なる二地域居住の促進に向けまして、二地域居住者の交通費や滞在費の軽減といった課題がございまして、その課題が解決をしていくということは非常に重要な課題だというふうに考えてございます。

 このため、長野県が共同代表を務めておられますけれども、官民合わせて千を超える団体が参加しておられる官民プラットフォームを通じまして、その具体的な対応方策について検討、議論いただくとともに、官民一体となったモデル的な取組への支援と優良事例の横展開などを図っていくということを考えてございます。

 国土交通省といたしましては、二地域居住が定着、普及するよう、これからもしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 今、今後の決意も述べていただいたんですが、二地域居住が生活を営む上での一つの選択肢だというふうになっていくには、私はもうちょっと時間がかかるのではないかと思います。その定着をしていくための推進を更にお願いしたいというふうに思っております。

 また、地方におきまして二地域居住を考えたときに、一つ有効、これからやっていかなければいけないのは、空き家対策と併せてやっていくということが極めて重要であるというふうに思っております。古民家をしっかりと再生していくだとか、そういった視点も大事だと思っていますので、併せて取組をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、地方の防災、減災対策の観点から、災害情報を地理空間情報として共有するシステム、新総合防災情報システム、SOBOについてお伺いをさせていただきます。

 能登半島地震に関して、石川県では、二〇二〇年から石川県総合防災情報システムを運用し、防災対策を進めてまいりました。このシステムでは、指定避難所の開設状況や避難所の人数を市町が把握をしまして、一元管理できる予定でございました。しかし、実際には、指定避難所以外への避難、また孤立した集落も大変多く、加えて、市町の職員の皆さん自身が被災をしたために、避難所の状況を正確に把握できずに、システムへの情報入力が困難な状態となりました。

 現場では想定どおりに災害が発生することはありません。私は発災翌日に現地に入らせていただきましたが、その際、市町の職員に加えまして、警察、消防、消防団、自治会、自衛隊、国土交通省、また厚労省といった国の機関、さらには民間機関やボランティアなど、実に多くの方々が関わっていただきまして、多様な情報が飛び交っている現状を目の当たりにしてまいりました。

 しかし、こうした情報を適切に集約をしまして共有することが十分に機能しなかったのは、今後の災害発生時における大きな教訓ではないかと思っております。

 政府は、今回の能登半島地震に関する災害応急対応の自主点検レポートにおきまして、被災地の情報収集や進入方策の課題を指摘をしまして、SOBOを活用することで各種情報を位置情報と結びつけまして、避難所や通行可能な道路の情報をリアルタイムで共有する体制を構築するとされております。避難所の運営や環境整備、物資の調達、輸送、また災害弱者の迅速な避難など、初動の情報管理がその後の対応に大きく影響を及ぼすため、SOBOの導入と活用は私は極めて重要なことだと思っております。

 政府といたしましても、SOBOの普及に取り組みまして、千九百を超える関係機関との連携を進めております。内閣府によりますと、SOBOへの連携は、IDとパスワードを国に申請するだけで、この簡単な手続で可能ということをお聞きをしております。

 これからの災害対応力を向上させていくためにも、SOBOの登録を確実、また積極的に推進することが不可欠であると思っております。現時点でのSOBOの登録状況と登録促進のための取組についてお伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 内閣府では、災害対応機関の間で災害情報を迅速に集約、共有する防災デジタルプラットフォームの構築に向けまして、その中核を担う新総合防災情報システムの運用を令和六年四月に開始したところでございます。現在、各機関からの利用申込みの受付及び各機関のシステムとの連携を順次進めているところでございます。

 利用申込みの状況でございますけれども、本日時点で、都道府県につきましては四十七全ての団体から、市町村については大体約五割に当たります九百二十の団体から、指定公共機関につきましては約八割の八十二機関から申込みを受け付け、利用可能となっているところでございます。

 御指摘をいただきましたように、我が国の災害対応力の強化に向けまして、全ての対象機関に本システムを御利用いただきたいというふうに考えておりまして、まだ利用申込みをいただけていない自治体等に対しまして、能登半島地震におけるデジタル活用の効果であるとか、あるいは、システムの活用事例を紹介する説明会とか操作研修等の開催を通じまして積極的な利用を促すとともに、習熟度を高めるための戦略的な訓練プログラムの作成、普及等によりまして、災害時に全自治体等におきまして本システムが十分活用されるように取り組んでいきたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 災害時に一番前線となる市町村が五割ということで、これは引き続き推進をしていただきたいと思うところであります。

 災害時の情報収集と提供、これは極めて重要でありまして、災害になりますと、多様な、様々な機関が災害対応をしていただいているんですが、情報というところを見ますと、NPOなどの民間団体、また住民との連携の在り方について、これが非常に重要ではないかと思いますけれども、そこにつきまして、今後、SOBOの活用をどう進めていくかにつきましても見解をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 新総合防災情報システムでは、旧システムでは国の関係省庁のみであった利用者の範囲を公共団体とか、あるいは指定公共機関にまで拡大をいたしまして、国と地方公共団体等が一体的に災害対応を行うことができる環境の整備を目指しております。

 一方、NPOなどの民間団体や住民におかれましても、災害支援や避難行動の促進に当たりまして、適時適切な災害情報の提供が重要であるというふうに考えております。

 このため、内閣府といたしましては、デジタル庁と連携をいたしまして、新総合防災情報システムで収集した情報から公表可能な情報を適切に抽出いたしまして、民間団体の災害支援等に有効活用されるよう、そうした情報発信の仕組みにつきまして今後検討して構築をしていきたいというふうに考えております。

中川(宏)分科員 是非、前向きな検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、地方公共団体の情報システムの標準化、これにつきましてお伺いをさせていただきます。

 三年前の二〇二二年、私も、この点につきましては、地方創生特別委員会において、この問題について質問をさせていただきました。標準化に伴う移行の際に、自治体がベンダーからデータ移行に長期間を要するとの説明を受けたりですとか、また、高額な移行費用を提示されたりするケースが散見をされまして、当時、小規模な地方自治体のみならず、東京都内の、大規模な区からも、財源の確保、また移行計画や移行期間に関する不安の声が寄せられておりまして、そのときに質問をさせていただきました。

 こうした状況の中で、日がたつにつれまして、多くの自治体から、移行期間を延長してもらえなければ期限内に対応できずに国からの支援を受けられなくなる、こういった切実な声も寄せられてまいりました。千七百もの地方公共団体が約四年という期間内で一斉に移行を完了させることは、これは非常に難しい状況があったのかなと思っているところでございます。

 そこで、現在の地方公共団体の情報システムの標準化の進捗状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 多くの自治体システムにつきまして、二〇二五年度末の移行期限までに標準準拠システムへ移行できるよう、ベンダーの選定や移行スケジュールの確定へ向けた作業を着実に進捗しているというふうに認識をしております。

 他方、様々な事情によりまして標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降とならざるを得ないことが具体化したシステムもありまして、昨年十月末の時点におきましては二千百六十五システム、全システムの約六・三%が該当するというふうに見込まれておりますが、引き続き、状況を注視しているというところでございます。

 こうしたシステムにつきましては、特定移行支援システムとして、標準準拠システムへの移行へ向けて国として積極的に支援を行い、丁寧に個別対応してまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)分科員 是非、丁寧にお願いしたいと思います。

 そして、これは地方公共団体の問題ではありますけれども、稼働し始めている地方公共団体では、セキュリティー、またシステム障害などで問題ないか心配をされるところでございますが、この点につきまして政府として目配りしていただきたいと思いますが、この点につきましてお願いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月末時点におきまして既にガバメントクラウドを利用している地方公共団体は六百団体を超えておりますが、これまでガバメントクラウドに起因した地方公共団体における情報システムの障害やセキュリティーインシデントは発生しておりません。

 なお、ガバメントクラウドに関する障害やインシデントが発生した場合には、あらかじめ定められた連絡体制によりデジタル庁に御連絡をいただきまして、デジタル庁で状況を把握した上で、ガバメントクラウドの利用者に対して、障害の内容、またその対応状況などを公開することなどいたしまして、しっかりと対応してまいります。

中川(宏)分科員 是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、通告してある質問を一つ飛ばさせていただきまして、災害用井戸の整備についてお伺いをさせていただきます。

 能登半島地震におきましては、浄水場や水道管が破損をしまして、最大で十三万戸に及ぶ断水が起きました。そのような中で、井戸の水を生活用水として活用した皆様もいらっしゃいました。

 政府の調査では、全国千七百四十一市区町村で公共と民間の両方の井戸があるのは百五十四にとどまっており、全体の七割で災害用井戸がないということであります。

 井戸は、数百年前の古い時代のものもあれば戦後に掘られたものもありまして、管理の状態も様々であります。現在、国では自治体調査を踏まえ、ガイドラインの作成をしていると伺っているところでございますが、今後、首都直下地震また東南海トラフ地震などの災害も想定される中でありまして、災害時に利用される井戸を生活用水として活用していくことをどう取り組んでいくのか、お伺いをさせていただければと思います。

齋藤(博)政府参考人 お答えいたします。

 令和六年能登半島地震におきましては、上下水道等のインフラが被災し、被災地では生活用水の確保が課題となった中、一部の被災地では地下水や湧水、雨水が活用されるなど、代替水源の重要性が改めて認識されたところでございます。

 国としては、能登半島地震発災後に実施した地下水活用状況に関する現地調査結果を踏まえて、災害時における代替水源としての地下水等の活用を推進するため、昨年八月に、災害時における地下水等活用推進に向けた有識者会議を設置し、ガイドライン策定に向けて検討を進めております。

 本ガイドラインにおきましては、地方公共団体が、主に民間所有の井戸等を災害用井戸として事前に登録し、災害時に生活用水として活用するために必要な手順等についてまとめることとしております。今年度内に本ガイドラインを策定の上、説明会を開催するなど、地方公共団体に対して代替水源としての地下水活用方法や井戸整備に関する技術的助言を行うこととしております。

 こうした取組を通じて、各地方公共団体における災害時の代替水源としての地下水等の活用を推進してまいります。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 この活用は、災害時の共助の裾野を広げる、そういった取組にもなると思いますので、これからもしっかり検討をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の質問になりますけれども、内閣府では、避難所における避難者支援のリーダー役となるボランティアの養成に取り組んでおります。被災時に自治体職員と連携をしまして、良好な避難所環境の整備に貢献してもらうことを目的といたしまして、二〇二二年から研修事業を実施しております。能登半島地震の際も、一週間、一か月、現地を見ている中で、避難所において権限を持つ責任者が不在であることが、非常に救援、また運営の停滞を招く大きな要因であるというふうに痛感をしております。

 こうした責任者の設置においては、今なお議論が続いているところでございますが、そしてまた、制度化には課題があると承知をしているところでございます。しかし、そうした状況下におきまして、避難生活支援リーダー、またサポーターの養成は極めて重要な取組でありまして、高く評価をするものでありますが、今後、更に積極的に推進していく必要があるのではないかと思っております。

 そこで、この研修の取組について、どんな役割で、何をするかも含めまして、最後にお伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 大規模な災害が発生した際は、自助、公助による対応には限界があり、共助の取組が不可欠でございます。

 そのため、内閣府では、避難生活の環境改善のためのスキル、ノウハウを身につけ、避難所の生活環境向上に率先して取り組むことができる人材を育成する避難生活支援リーダー、サポーター研修を実施し、地域のボランティア人材の育成確保を図っているところでございます。

 本研修を受講された方々が、発災時には行政職員や支援者等と連携をしていただいて、避難所運営やその環境改善に取り組まれることで良好な避難所の生活環境が確保されることを期待しているところでございます。

 また、令和六年度、五年度の補正予算、あるいは令和七年度の当初予算におきまして、本研修の実施地域の拡充をさせていただきたいというふうに考えておりまして、災害時に活躍いただける地域人材の育成、確保に引き続き努めてまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、以上で質疑を終了します。ありがとうございました。

牧島主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日金曜日午前八時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時四分散会


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