第1号 令和7年2月27日(木曜日)
本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
稲田 朋美君 井上 信治君
山下 貴司君 岡本あき子君
米山 隆一君 橋本 幹彦君
二月二十六日
山下貴司君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和七年二月二十七日(木曜日)
午後一時開議
出席分科員
主査 山下 貴司君
稲田 朋美君 井上 信治君
岡本あき子君 篠田奈保子君
高橋 永君 福田 昭夫君
水沼 秀幸君 米山 隆一君
橋本 幹彦君
兼務 塩崎 彰久君 兼務 平沼正二郎君
兼務 広瀬 建君 兼務 若山 慎司君
兼務 柚木 道義君 兼務 高橋 英明君
兼務 吉田 宣弘君 兼務 山川 仁君
兼務 赤嶺 政賢君
…………………………………
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
外務副大臣 藤井比早之君
財務副大臣 横山 信一君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
国土交通副大臣 高橋 克法君
防衛副大臣 本田 太郎君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
法務大臣政務官 神田 潤一君
外務大臣政務官 松本 尚君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡 朋史君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 七澤 淳君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 尾崎 有君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 若原 幸雄君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 松井 信憲君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(法務省刑事局長) 森本 宏君
政府参考人
(法務省矯正局長) 小山 定明君
政府参考人
(法務省保護局長) 押切 久遠君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君
政府参考人
(公安調査庁次長) 霜田 仁君
政府参考人
(公安調査庁総務部長) 渡部亜由子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 誠君
政府参考人
(外務省大臣官房政策立案参事官) 金子万里子君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 斉田 幸雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 三宅 浩史君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 今西 靖治君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 中村 仁威君
政府参考人
(外務省北米局長) 有馬 裕君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(外務省国際情報統括官) 石瀬 素行君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(国税庁次長) 小宮 敦史君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 蒔苗 浩司君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 大窪 雅彦君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 弓削 州司君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
予算委員会専門員 中村 実君
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分科員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
米山 隆一君 篠田奈保子君
橋本 幹彦君 鳩山紀一郎君
同日
辞任 補欠選任
篠田奈保子君 水沼 秀幸君
鳩山紀一郎君 橋本 幹彦君
同日
辞任 補欠選任
水沼 秀幸君 福田 昭夫君
同日
辞任 補欠選任
福田 昭夫君 高橋 永君
同日
辞任 補欠選任
高橋 永君 米山 隆一君
同日
第一分科員広瀬建君、高橋英明君、第二分科員柚木道義君、第四分科員吉田宣弘君、赤嶺政賢君、第五分科員平沼正二郎君、第八分科員塩崎彰久君、若山慎司君及び山川仁君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(法務省、外務省及び財務省所管)
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○山下主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。
本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。
なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。岩屋外務大臣。
○岩屋国務大臣 令和七年度外務省所管予算案について、その概要を説明申し上げます。
令和七年度一般会計予算案において、外務省予算は七千四百四十八億六十五万四千円を計上しております。また、そのうち、四千三百七十九億八千七百五十六万二千円が外務省所管のODA予算となります。
なお、そのほか、外務省関連のシステム予算については、デジタル庁所管分として百六十九億九十八万三千円が計上されています。
ウクライナ侵略が国際秩序を揺るがし、安全保障環境も厳しさを増す中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた同盟国、同志国との連携、グローバルサウスとの連携の三点を重視し、我が国の平和と地域の安定を実現し、国際社会を分断から協調に導く外交を展開してまいります。
予算案作成に当たりましては、五本の柱を掲げ、めり張りをつけて、必要な予算を計上いたしました。また、対ウクライナ支援や中東情勢への対応などの喫緊の課題には、令和六年度補正予算も活用し、早急に対処しているところです。
第一の柱は、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化」です。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組、政府安全保障能力強化支援、OSAの強化を含め、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境への対応を強化してまいります。
第二の柱は、「新たな時代における国際協力の実施」です。オファー型協力や民間資金動員の促進を含め、マルチステークホルダーとの連携による効果的、戦略的なODAを推進してまいります。
第三の柱は、「新たな時代における経済外交の推進」です。オール・ジャパンでの官民連携、また、第二の柱で述べた新しい国際協力の実践も通じて、我が国の経済力を強化してまいります。
第四の柱は、「情報戦時代への取組の強化」です。偽情報の拡散を含む情報操作への対応や戦略的対外発信の推進を含め、情報戦にしっかりと対応してまいります。また、対日理解促進のため、文化外交、人的交流を推進してまいります。
第五の柱は、「外交・領事実施体制の抜本的強化」です。在外公館の強靱化、機能強化、情報セキュリティー基盤の強化を進めてまいります。また、中国における日本人学校の警備対策に対する支援を含め、邦人保護体制を強化してまいります。
以上が、令和七年度外務省所管予算案の概要です。
山下主査を始め、委員各位の御理解と御賛同をいただけますようお願い申し上げます。
なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
以上です。
○山下主査 この際、お諮りいたします。
ただいま岩屋外務大臣から申出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山下主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○山下主査 この際、分科員各位に申し上げます。
質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。広瀬建君。
○広瀬分科員 一年生の広瀬建でございます。
生まれて初めての質問の機会をいただいております。ありがとうございます。
本日は、外交に、外務省に係る分科会ということで、岩屋大臣にお越しいただいております。
私、大臣とは同郷の大分県選出の議員でもありまして、同郷の大先輩大臣を前にして、大分舞い上がっております。舞い上がり過ぎて失礼のないように、丁寧な質問をしていこうと思いますので、よろしくお願いをいたします。
私は、昨年十月、総選挙で初当選をさせていただいたものであります。その前は何をやっていたかというと、二十五年ほどですが、民間企業に勤務をしておりました。製鉄会社でありまして、神戸製鋼所という会社に勤務をしておりました。
その間、在職時、海外ビジネスの部署に長いこといたものでして、海外駐在も数か所経験をしてまいりました。中東でいいますと、イラン、今大分きな臭い国ではありますが、イランにもおりました。それから、近くのバーレーンという、これまた日本で余りなじみのない国かもしれませんが、そんなところに家族と大分前に駐在をしておりました。それから、米国にも長く駐在をしておったようなことがありました。
そうした経験から、私は、我が国日本を考えるとき、どうしても世界の中の日本という眼鏡で物事を見る傾向にあります。
そのときに思うのは、資源のない国である日本、少子高齢化待ったなしの国である日本、そして、かつては技術大国であったけれども、そのときの輝きを再び今追い求めている国である日本というこの国が、まさに激動の国際社会でどう生き抜いていけるか、生き抜いていくためにはどのような存在感を出していけるのか、存在感を出していくためには国としてどういった分野にこれから注力をしていくべきなのか、そういうようなことをいろいろ考えます。
今後、今まで以上に国際化というものの密度は本当に増していくと思いますが、そうした中で、日本の外交、外交というもののかじ取り一つで、世界の中の日本が輝きもしますし、曇ってもいくと本当に強く思っております。
この一月の国会開会時における大臣の所信演説の冒頭にても、こうおっしゃられておりました。読みます。安全保障環境も厳しさを増す中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた同盟国、同志国との連携、グローバルサウスとの連携の三点を重視し、我が国の平和と地域の安定を実現し、国際社会を分断から協調に導く外交を展開してまいりますとおっしゃられております。
まさに、こうした激しい時代だからこそ、先が見えない時代だからこそ、日本ならではのよい外交が求められていると切に思います。
四の五の一年生が申し上げましたが、こういう認識に立った上で、本日は大きく三つのテーマにつき、政府側に質疑をさせていただきたいと思います。三つは、北朝鮮、それからトランプ米政権、そして中東についてであります。
まず、北朝鮮について、二つほどあります。一つ目は拉致問題になります。
先日、有本恵子さんの父親であられる有本明弘さんが亡くなられ、結果として、拉致被害者の親世代で御存命なのは横田早紀江さんお一人となりました。有本さん、さぞ御無念だったろうと、私も一人の日本人、また一人の親として本当に心が痛む次第であります。
これは言い古された言葉ではありますが、まさにこの問題は時間との勝負だと考えております。二〇〇二年、五人の拉致被害者が御帰国されてから、早いもので二十年以上がたちますが、その後の新たな帰国実現はありません。歴代政権は総力を挙げて対応してきているわけですが、残念ながら、目に見える形での進展があるとは今言い難い状況ではないでしょうか。
この問題、我が国の主権への侵害であるとともに、歴史の中の話ではなく、現在進行形の話でもあります。まさに時間との勝負というところだと思います。
そこで、お伺いをいたします。
相手は北朝鮮、この難しい相手との中での交渉事、当然ながら、様々なルート、チャネルでの交渉ですので、政府側、皆様の多くの御苦労、それから不透明さがある中での対応であり、私の質問は非常に回答が難しい質問であることは承知の上でありますが、御意見をいただければと思います。
今の段階での解決に向けた見通し、これをどう御覧になっているのか。
それから、これは日本国だけでやる問題ではないと思っております。ほかの被害国との連携はもとより、トランプ米政権や中国との連携を図り、ある種囲い込みを進めながら交渉を深化させることを是非お願いしたいと思います。これはもう既にもちろんやっていると思いますが、その実態はどうなっているのか。例えば、アメリカであれば、二十年前だったかと思いますが、アメリカ国籍のデービッド・スネドンさんが拉致をされてそのままになっているということが知られております。中国側にもいるでしょう。
先般の石破総理、トランプ大統領の日米首脳会談でも、米側からは解決に向けた支持を得たということを伺っております。そして、昨年十二月の岩屋外相の訪中時にも、王毅外交部長との間で本件が議論されたということを伺っておりますが、実際にどの辺りまで踏み込んで、先方のカウンターパート、米中ということですけれども、お話をされているのでしょうか。これが先方にしっかりと刺さっているという感触を得られているのか。その辺りにつき、御教示、御所見をいただければと思います。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
拉致被害者、その御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題、これはひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、委員御指摘のとおり、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。
石破総理も、御家族の皆様との面会を通じ、いまだに肉親と再会することができない苦しみや、拉致被害者の帰国実現まで決して諦めないという切実な思いを伺い、もう時間が残されていないという切迫感を共有されています。
北朝鮮に対しては、これまでも様々なルートを通じて様々な働きかけを行ってきているところでございますけれども、今後の対応に支障を来すおそれがあるため、見通しについて明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、委員御指摘のとおり、拉致問題の即時解決のためには、我が国自体の主体的な取組に加えて、米国、中国を含む国際社会との緊密な連携が重要であります。
先般の日米首脳会談におきまして、拉致問題の即時解決について、石破総理から引き続き理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得たことは大きな成果であったと考えております。会談の成果を踏まえて、石破総理とトランプ大統領、岩屋外務大臣とルビオ国務長官の間を始め、日米の強固な信頼、協力関係の下、拉致問題を含む北朝鮮への対応に当たっても、日米、そして日米韓でも緊密に意思疎通を図ってまいります。
また、北朝鮮と緊密な関係にある中国との協力も御指摘のとおり重要でございまして、石破総理が昨年十一月の日中首脳会談、また岩屋外務大臣が十二月の日中外相会談において、拉致問題を含む北朝鮮情勢についても意見交換を行っております。
詳細については、相手国もありますし、外交上のやり取りであり、差し控えさせていただきますけれども、引き続き、米中を含む国際社会と緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、石破総理の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。
○広瀬分科員 ありがとうございます。
もうこれは言わずもがなでありますが、まさに時間との勝負、先ほどもありましたが、親世代で御存命なのは、もう横田さんお一人だけになっております。何よりも主権の侵害、これも許し難い行為がずっと続いている異常事態であります。一日も早い解決に向け、御尽力をと切に願う次第であります。また、我々も一議員として、政府に言うばかりではなく、これはもう与野党の別なく、国を挙げての機運を更に高めていくように、私も一議員として尽力、努力をしてまいりたいと思います。
次のテーマに移りたいと思います。また北朝鮮でありますが、ミサイル問題についてでございます。
北朝鮮の日本海側へのミサイル発射実験がずっと続いております。北朝鮮なりの威嚇行為であるわけですが、これは我が国の安全保障上の問題であることは当然ではありますが、もう一点は、我が国の国際社会における立ち位置がある意味問われている問題であるとも考えております。この状況は、拉致問題と同様ですが、尋常ではなく、ゆゆしき問題で、一刻も早くやめさせるべきものと考えております。
そこで、伺います。防衛技術的な話はここではさておき、北朝鮮にやめさせるよう圧力をかける手だてについて伺いたいと思います。
当然ながら、日本は経済制裁等をずっとしているわけでありますが、この経済制裁の実効性をどう我々として考えておけばよいのか。
それから、経済制裁は、当然、一国だけでやってもなかなか実効性が上がらないというのは、もう歴史が証明しております。諸外国との連携を取ることで実効性が増すわけでありますが、この辺りも含め、実効性という観点から今の現状、それから、その実効性がどうなんだ、もう少し何かやることはないか等について、少し踏み込んだ御所見をいただければと思います。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
我が国といたしましては、関連する国連安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置、そして資金移転防止措置等に加え、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取ってきております。北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきているところでございます。
このような措置は、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えた場合、一定の効果を上げているというふうに考えております。引き続き、関係国と連携しつつ、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施を徹底していく所存でございます。
諸外国との連携も重要でございます。関連する国連安保理決議に基づく措置につきましては、米国、韓国を始めとする同志国とも連携しつつ、関係国に対して決議の完全な履行を働きかけ、安保理決議の実効性の向上に取り組んできております。
また、我が国自身の措置についても、同志国と歩調を合わせつつ、北朝鮮の核・ミサイル計画あるいはロシアのウクライナ侵略を支えるためのロ朝協力等に関与した団体、個人を制裁対象に指定するなどしてきております。
最近の一例ですが、我が国を含むG7、豪州、韓国及びニュージーランドが発出した、ロ朝協力を非難する昨年十二月の外相共同声明も踏まえて、本年一月、ロシアのウクライナ侵略を支えるためのロ朝協力に関与した北朝鮮人を含む五団体、四個人を資産凍結等の対象として指定したところでございます。
引き続き、関連安保理決議の実効性確保、我が国として取っている措置の実施を徹底していく考えでございまして、関係国と緊密に連携して、北朝鮮に対して、国連安保理決議の下での義務に従うことを求めてまいりたいと思います。
○広瀬分科員 ありがとうございました。
我が国周辺における平和を脅かす危険な行動、これは当然偶発ということも常に考えておかなければならないと思います。一刻も早くやめさせるべく、実効性を増す形での対応を引き続きお願いしたいと思います。
次の大きなテーマに移りたいと思います。米国です。
トランプ政権二期目が始まり、既に想定内の混乱が随所で見られております。さて、一方で、チーム・トランプとの今後の取組方、これについて少し伺いたいと思います。
一期目政権時に見られたように、今回も閣僚や政権要人が頻繁に今後交代していくことを想定しておくのは一つかと思っております。そうした中で、政権内のキープレーヤーとなる人物とのネットワーク、チャネルをしっかりと今から築いていくこと、これが非常に大事じゃないかなというふうに考えております。場合によっては、政権外にもキープレーヤーがいるのではないかというようなことも思います。
前回のトランプ政権時では、首脳同士の人的交流に加え、副大統領のペンス氏、それから娘さんであられたイバンカさんやその旦那様のクシュナーさんと、当時の我が国政権もしっかりした人的ネットワークがあったと理解をしております。
今回の副大統領バンスさんは世界的にも余り知られていない方だったと思われる一方で、バンス副大統領の政権内での役回り、ファンクションがまだクリアになっていないのではないかというふうに理解をしております。
そこで、質問です。
とはいいながら、同副大統領とのネットワーク構築は、これはもう本当に大事、重要ですし、政権内若しくは政権外でのキープレーヤーとのチャネル構築を多面的に進めるべきと考えますが、この辺りにつき、今現在、政府はどのように見られているのか、キープレーヤーはどなたと御覧になっているのか、そして、その方々との人的構築の方向性について、これまた難しい質問だとは思いますが、可能な範囲でお聞かせいただければと思います。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
トランプ政権の発足直後から、日米外相会談、日米首脳会談を実施し、我が国の外交、安全保障政策の基軸である日米同盟の一層の強化に努めてきているところでございます。
御指摘のバンス副大統領は、日米首脳会談にも同席していらっしゃいました。また、これまで、在米日本国大使館を中心に、バンス氏を含む共和党の有力者、また政権の意思決定を支えるスタッフとも着実に関係構築を進めてきております。それらを基礎としつつ、トランプ大統領の要人と引き続き意思疎通を続けていく考えでございます。
様々なレベルで強固な信頼、協力関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げてまいりたいと考えております。
○広瀬分科員 ありがとうございます。
岩屋外相は、ルビオ長官とも複数回にわたり面談され、意見交換もされております。ルビオ長官は親日であられるという理解をしておりますし、それから、クアッド体制にも深い理解を示されていると言われております。
その意味では、岩屋外相、それからルビオ長官のラインというのは本当に大事だと思っておりますので、このラインをますます太くしていただけるように、ラインの深化の御尽力に是非お願いをしたいと思います。
次もまたアメリカに関する質問ですが、カーボンニュートラルに絡んだ質問を少しさせていただきます。
トランプ米政権は公約どおりパリ協定から離脱をしたり、電気自動車の義務化も取り消すという動きを取られております。
まさに世界で進んでいたカーボンニュートラルへの大きなうねりに逆行する姿勢を取っているわけですが、このカーボンニュートラルの大きな動きは、地球に住む人類の責務として、我々は今までどおり、今まで以上に進めていくべきものと思っております。一方で、これは一国だけ、数か国だけで進めていっても効果はなく、温暖化ガスの排出量が多い中国や米国、インド等をいかに巻き込んでいくかがキーとなると考えております。
ここからは少しカーボンニュートラル絡みになりますので、外務省というよりも経産省の方々の分野に入るかもしれません。
質問をさせていただきます。
足下の米国の姿勢を踏まえた上で、日本政府としての今後の方向性及び世界的なカーボンニュートラルの動きを後退させないため、我々が取る、日本政府が取る策があればお聞かせいただけないでしょうか。
○岩屋国務大臣 お答えの前に、広瀬委員は同じ郷土大分県の御出身で、こうやって議論ができることを大変うれしく思います。民間での豊かな経験を生かして、是非、日本外交の推進にも今後お力添えをいただきたいというふうに思っています。
ただいま御質問がありましたカーボンニュートラルについてですが、気候変動は人類共通の待ったなしの課題でありまして、世界の気温上昇を工業化以前から一・五度以内に抑えるということのためには、先進国のみならず、主要な排出国を含む全ての国の取組が重要でございます。
そういう意味でいいますと、私個人としては、やはりパリ協定からの米国の離脱というのは甚だ残念に思っているところでございます。米国の気候変動政策についても、これからもその内容及び影響を注視していきたいというふうに考えております。
日本としては、AZEC、アジア・ゼロエミッション共同体の枠組みなども活用しながら、アジア諸国を始め世界の排出削減の取組強化に向けて対話をしっかり進めていきたいと思っておりますし、我が国の経験あるいは我が国の技術などを通じて、引き続き各国の脱炭素化に貢献をしっかりしてまいりたいというふうに考えております。
○広瀬分科員 ありがとうございます。
少し進めて、カーボンニュートラルに絡んでいきますと、先般、二月十八日に、日本政府は第七次のエネルギー基本計画を進めているわけであります。エネルギー安全保障という観点からいくと、再生可能エネルギーの割合を大分増やしていることになっておりまして、あと十五年、これは二〇四〇年度の電源構成のターゲットを出しているものですが、非常に野心的な目標を政府として掲げたのではないのかなと思っております。
これは、私は、是非国を挙げてやっていくべきものと思っておりますので、一応援団としての質問であります。
二〇四〇年まであと十五年という中で、いろいろなことをしていかなければならないと思いますが、やはり実際問題、日本の技術力だけ、日本の企業だけで全てをやって環境技術立国としていくというのは、なかなかハードルが高いと思っております。私も、実は、製鉄会社の中で、例えば水素を使った製鉄技術の開発なんかに携わってきましたが、やはりいろいろな、いい国、友好国との連携というのは必要かなというふうに思っております。
そうした中で、他国との連携も当然視野に入れてやっていくということは必要だと思いますが、今の時点での他国、どんな国、どんな地域と連携を取っていこうとされているのか、この辺りのイメージがあれば是非お聞かせいただければと思います。
○木原政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーにつきましては、地域の共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入するというのが政府の基本方針でございます。また、二〇四〇年の再生可能エネルギーの比率は、四から五割という水準をお示ししているところでございます。
このために、まずは住宅、工場などの屋根への太陽光の施策強化などを図っていくとともに、さらに広範な建築物の壁面、曲面などへの次世代型のペロブスカイト太陽電池の大規模導入、それからEEZへの浮体式洋上風力の大規模導入など、将来的な技術革新などを実現していくことも必要でございます。その上で、再生可能エネルギーの導入拡大に当たって、委員御指摘のとおり、国際的な連携を図っていくことが重要だと考えております。
例えば、ペロブスカイト太陽電池の性能評価に関しては、これの国際標準の策定というのがございます。それから、洋上風力の先進国でありますデンマークやイギリスなどとの浮体式洋上風力の量産技術の確立や、低コスト化に向けた協力といった取組を進めてきているところでございます。
引き続き、アメリカや欧州など有志国との間で連携や協力を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○広瀬分科員 ありがとうございます。
ほか、テーマとしては、中東に関する質問をいろいろと考えておったんですが、もう時間の関係もございますので、これはまた別の機会をもしいただけるのであれば、その機会にまた質問をさせていただこうと思います。ありがとうございます。
本日は、初めての質問でありましたけれども、お時間をいただきました。
ありがとうございます。終わります。
○山下主査 これにて広瀬建君の質疑は終了いたしました。
次に、山川仁君。
○山川分科員 れいわ新選組の山川仁です。
どうぞよろしくお願いいたします。
今回は外務省を中心に質疑をさせていただきたいと思いますが、沖縄県から緊急以外は民港を使用しないでほしいという要請を、今回、無視をして、昨日、石垣港に日米の艦艇、そして宮古島平良港には電子戦の部隊車両、丁寧な説明もなく、住民の不安だけを増幅させ、今苦しめている現状を是非知っていただきたいと思います。石垣に関しましては、全くの偶然だと米側が言っているようですが、このような平気でうそをつくような状況。軍事利用の島に、アメリカ本国ではできない訓練などを日本、特に沖縄でやりたい放題の、隷属政府のこの外交判断がどれだけ野蛮な政治的な行為なのか理解をしていただきたいと思います。
戦闘機の爆音、騒音問題、また、訓練に伴う事故、米軍属の犯罪、事件、事故問題、PFASなどの環境汚染問題、沖縄経済への損失、時間もあるので、ぱっと言えるだけで、世界一危険な米軍基地と併せ、これだけの問題が顕在化していて、一向に解決に向かうことなく、負担だけが背負わされている状況です。
そこで、岩屋大臣に御質問させていただきますが、沖縄県民は、日本国民の中で、この状態は平等な扱いなのかそうでないのか、大臣の見解を伺います。
○岩屋国務大臣 今委員から様々御指摘ありましたけれども、例えば現在の航空機の騒音規制措置、これについては、できる限り住民の方々への負担を軽減するという課題、それから日米安保条約上の目的を達成するために米側の運用上に必要な活動を確保するという課題との間で、どのような方策を取り得るかということについて日米間でしっかり議論を重ねた結果、取りまとめられたものでございます。この規制措置がしっかりと守られるように、米側に今後とも働きかけてまいりたいと思っております。
○山川分科員 ありがとうございます。
今大臣にお聞きしたのは、この状態が、全国民にとって、沖縄県民が平等なのかどうなのかという見解を聞かせていただきたいというお話です。この状態が、全国みんな平等にされているというふうな考えですか、そうじゃないですか。
○岩屋国務大臣 一概に平等であるかどうかというのは、断定的に申し上げることはできないと思います。沖縄に過度の負担がかかっているということで訓練を分散したり、私の地元の大分県でもそうでありますが、そういう努力もそれぞれの地域にしていただいているということもございますので、過度に負担がかかっている沖縄の負担をできる限り分散して軽減していくことができるように、政府としてこれからも努力をしてまいりたいと思っております。
○山川分科員 ありがとうございます。
それでは、大臣、石破総理の所信の中に、フレーズとなって大変ですけれども、楽しい日本を目指すと言われていました。この中で、沖縄が今この環境の中で、楽しい沖縄になると思いますか。
○岩屋国務大臣 もちろん、沖縄も楽しい沖縄になっていかなければいけないんだというふうに思います。
そのためには、一方では、基地の負担をできる限り軽減していくということと、沖縄振興計画等にのっとって、沖縄の経済の活性化を始めとした施策をしっかりと進めていくことによって、楽しい沖縄県というのをみんなでつくっていかなきゃいけないと思っております。
○山川分科員 是非そのような方向になるように。沖縄振興予算も四年連続減額されています。そしてまた、先ほど冒頭で申し上げたとおり、住民の意向を無視した状況で、日米の合同訓練だったり、いろいろな自衛隊の増強があったりとかというものがありますので、それだと楽しい沖縄にはならないんですよね。今、不安だけの沖縄になっていて、ほかの日本は、もしかしたら別の地域は楽しいかもしれませんけれども、そこの負担だけ押しつけられているという状況では沖縄は楽しくならないので、是非とも楽しい日本、沖縄を一緒につくっていただければと思っています。
次に、沖縄は復帰したと言われていますが、今年で五十三年目と言われています。これまで米軍属の性犯罪、軽犯罪などがどれぐらいの件数があるのか、国民に知ってもらいたいと思いますので、米軍属の犯罪、事故の件数、資料一をお配りさせてもらっていますけれども、復帰の年である一九七二年から現在までの沖縄県及びそのほか全国の米軍属の犯罪、それぞれの件数を端的に伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
○松田政府参考人 お答えいたします。
警察庁でまとめている犯罪統計、お答えできる一九八九年、平成元年からの件数をお答えさせていただきます。
その犯罪統計で見ますと、一九八九年、平成元年から二〇二四年、令和六年までの三十六年間における米軍関係者による刑法犯の検挙件数は、全国で四千七百八十六件、沖縄県で二千三百十二件となっております。
同じ期間の三十六年間における米軍関係者による性犯罪の検挙件数は、全国で百六十九件、沖縄県で七十二件となっております。
○山川分科員 ありがとうございます。
復帰前に当時の総理大臣であった佐藤栄作総理が、沖縄の祖国復帰が実現しない限り我が国にとって戦後は終わっていないとコメントをしています。犯罪数の多いこと、そしてまた、米軍基地関連の被害、事件、事故が多発して、まだ一向に収まる気配がない、そういった状況で、アメリカの言いなりの中で、どうするんですかという話をしていきたいんですよね、今後。
沖縄はこの状態で本当に復帰をしているのか。そういった、本当に表も裏も、心身的にも全てが壊されていくような状況、地方自治も壊されているような状況、そのような環境を、先ほど岩屋大臣も、楽しい沖縄をつくりたいんです、やりましょうよと言ってくれたので、本当にその言葉を信じながら私たちはいろいろな議論をさせていただきたいと今回思っていますので、お願いします。
岩屋大臣は、自分の御発言なので御承知だと思いますけれども、昨年の十二月十九日の第二百十六回の沖北特別委員会の中でこのような所信を述べていらっしゃいます。一部だけ抜粋します。部隊運用時の安全確保や事件、事故の再発防止策の徹底をするよう米側に引き続き強く要請をいたしてまいります。また、普天間飛行場の辺野古への移設を始め、沖縄の負担軽減に引き続き全力で取り組んでまいりますと言われておりましたが、是非沖縄の負担軽減に向けて何でも全力で取り組んでいただきたいと思いますが、その約束は本当にできるんでしょうか。
○岩屋国務大臣 私も六年前は防衛大臣を拝命しておりまして、あのとき辺野古への移設工事のための埋立てを開始したのは私でございました。それはひとえに、一日も早い普天間基地の全面返還を実現して、沖縄の皆さんの負担を少しでも軽減したいという思いで開始をしたことでございました。
そのことにとどまらず、沖縄に非常に過度の御負担をおかけしているという現実を踏まえて、これを少しでも軽減していけるように今後とも全力を尽くして、今の職責にあっても全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
○山川分科員 ありがとうございます。
本当に全力で、私たち沖縄県民の願いは、全力で基地のない平和な島にしていきたい、それから新しい基地を造らせないというのが今の沖縄県民の民意です。
なので、辺野古唯一という言葉を使うのではなくて、辺野古をしっかりと止めた上で、どう米側と議論をして今後新たな別の対応策を話し合っていくのかというのも大事なところだと私は思っていますので、唯一というフレーズを使わないような外交の在り方、そして、沖縄を平和な島にするんだと、基地があっては平和な島になりませんので、是非そのような御理解をいただければなと思っています。
今回、米軍属の犯罪、事件について、資料の二、三、四をちょっと見ていただきたいと思いますけれども、二と三は結構情報量が多くて、沖縄タイムスさんがこの間、米軍属の性犯罪があった、様々な不条理な事件、事故を記したものです。そういったものをちょっと見ながらお話を聞いていただきたいと思います。
一九九五年に発生をした米兵による少女暴行事件を契機に、日米間では、在日米軍に係る事件、事故発生時の通報手続が合意をされたのは御承知のとおり。また、それから二十八年間もこの合意も運用も守られていないことが発覚したのが、二〇二三年十二月の十六歳未満の少女が米空軍兵により誘拐され性的暴行を受けた事件が、捜査当局や外務省から沖縄県への情報提供がなかったという報道があり、守られていなかったというのが発覚しました。
沖縄の少女暴行事件を受け、抗議と要請行動を沖縄県の県民大会実行委員の県民から受けたと思っておりますが、その要請内容、今、資料の四に当たると思いますが、どのような項目を実効性のある負担軽減に全力で努めてきたのか、見解を伺いたいと思います。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
米軍関係者による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものでございます。我々といたしましては、米側とは平素からいろいろなやり取りを行っておりますけれども、その中におきまして、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけているところでございます。
その上で、米側は昨年七月に、再発防止策として、米軍施設出入りの際の飲酒運転検問の強化、米憲兵隊によるパトロール強化、研修、教育の強化、リバティー制度の見直し、在日米軍、日本政府、沖縄県庁及び地元住民との協力のための新しいフォーラムの創設等を発表したところでございます。
昨年十月には、在日米軍施設・区域からの外出等についてのルールを定めたリバティー制度を見直し、海兵隊のみならず全軍種について、午前一時から五時の間は基地外の酒類を提供する飲食店への入店や公の場における飲酒を禁止しています。
重要なことは、これら米側が発表した一連の再発防止策が実効性のある形で実施され、実際に事件、事故の再発防止につながることでございまして、我々は累次の機会に米側に対してこの働きかけを行っておりまして、岩屋外務大臣からジョスト在日米軍司令官に対しても働きかけを行っているところでございます。
引き続き、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけていき、日米間で協力してまいりたいと考えております。
○山川分科員 全く答えていない。通告を出しているにもかかわらず、資料の一から四のことに対して実効性ある具体的な結果はどうだったんですかと聞いているのに、何も話をしていないじゃないですか、皆さん方。どうなっているんですか、これは。情けない。こんな状況で、何が沖縄の負担軽減に努めますですか、何が日米と話するですか。何もできていないじゃないですか、この一から四に対して。あるんだったら答えてくださいよ、是非。ありますか。
こんなでたらめな答弁でいいんですか、皆さん方、外務省。だから沖縄から抗議があるんですよ。何十回、何百回、何千回、何万回じゃないですか。何でこんなに沖縄県民をないがしろにするんですか。やっていないんだったらやっていないと言ってくださいよ、これからやりますと。時間がもったいないんですよ。せっかくの大事な大臣との話の時間を、こんなでたらめな答弁をして。本当に情けない、皆さん方は。
この件について、国内においても平和も維持できない状況で、皆さん方は国民は守れない。この資料を見ても、これだけの数の事件、事故が起こっている。再発防止策も何も取れない。この中で、防衛強化して、2プラス2で話をして、いろいろな特例を設けて、いろいろな訓練をして、何か沖縄を犠牲にして捨て石にするつもりですか、大臣、どうですか。
○岩屋国務大臣 沖縄に過度に負担がかかっているという状況はしっかりと認識をしております。
したがいまして、沖縄における米軍による事件、事故を減らすための取組、そして、訓練のできる限りの分散ということにこれまでも努めてきているわけでございまして、この努力を今後ともしっかりとやらせていただきたいというふうに考えております。
○山川分科員 ありがとうございます。
努力だけじゃなくて、政治は結果なので、結果を出していただきたい。結果が出ない政権は必要ないと思いますよ、国民にとって。沖縄県民は、結果を求めて、基地はあってはいけないと。事件、事故もあってはいけないんですよ。同盟国として当たり前にやりたい放題で、日本のルールで何も裁けない状況で、どうするんですか、皆さん。
これまで何の話合いをしてきているんですか、日米合同委員会。日米地位協定があるからといって、それを理由に何も解決できない。ただこの答弁をしただけで、私たち努力しますからと言うだけで、見るものが何もないですよ、生まれるものが。よかった、岩屋大臣がこう言ってくれて、その結果がそう生まれたねというようなお礼の言葉が言いたいんですよ、我々。何もない。こんな話し方しかできないんですよ。沖縄県民の感情ですよ、これが。虐げられて。復帰五十三年。本当に復帰していますか、これで。皆さん方は何もやっていないじゃないですか、この県民の声を聞いてくれていない。情けなくて話にならないですよ、本当に。
済みません、米軍の騒音問題について、少し話を戻させてください。
昼夜問わず、オスプレイ、戦闘機がばんばん飛んで怒号です。私のこの今の怒りの声よりも怒号です。皆さん方は、夜中に眠って子供が起こされる、そして、ようやく眠りについたかなと思ったら、またこの怒号で起こされる、これが続いているんですよ、ずっと。それに対して、騒音防止協定というものがあると思いますけれども、それについてなぜ履行させないんですか、皆さん方。お答えください。
○岩屋国務大臣 冒頭に航空機騒音規制措置について少しお話をさせていただきましたが、かなり細かく規定が設けられております。問題はそれが守られるかどうかということでございまして、私どもとしても、この合意を遵守して周辺住民の方々に与える影響を最小限にとどめるように、引き続き米側にしっかりと働きかけてまいります。
○山川分科員 今日、明日、この質問をして、また今日も飛んでいたよとXで爆音が流れてこないように祈ります。皆さん方がその対応が本当にできるのか、米国に物が言えるのかというのが試されているんですよ。できなければ、またいっぱい飛ばしてください。国民、県民はそれを見ていますので。
ただ、一つ言いたいのは、防衛省、外務省、どちらかに、夜中に飛んでも苦情がちゃんと受け付けられるようなフリーダイヤルを設けていますか、どうでしょうか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
沖縄県内におきます米軍機の騒音に関する苦情につきましては、沖縄防衛局におきまして、課業時間外も含めて受け付けてございます。具体的な連絡先を申し上げますと、電話番号につきましては、〇九八―九二一―八一三一でございます。
○山川分科員 済みません、また皆さん方はふざけた答弁していますね。これは、必ず電話したら受け付けるんですか。
○森田政府参考人 夜間、課業時間外も含めて受け付けてございます。
○山川分科員 きちんと二十四時間対応しますね。間違いないですね、それは。約束できますね。
○森田政府参考人 繰り返しになりますけれども、課業時間外、休日も含めて受け付けているところでございます。
○山川分科員 これはなぜそう言っているかというと、そごがあるんですよ、皆さん方。沖縄防衛局は、そうじゃないとはっきり今日の私たちの連絡で申し上げていました。なので、フリーダイヤルでもないこの外線で、八時から五時十五分ぐらいの公務員的な時間だけやって、あとは当直が取りますよというような環境じゃないんですか。いかがですか。
○森田政府参考人 課業時間外につきましては、当直を置きまして、当直の方につながるようになっているということでございます。
○山川分科員 それでは、コールしても留守電だったり取らなかったりということはないということは間違いないですね。
○森田政府参考人 そのようなことはないと考えております。
○山川分科員 じゃ、沖縄防衛局にまたもう一度確認したいと思います。ただ、今そういう話をすれば、どちらかが私たちにうそを言ったという状況になりますので、しっかりと議事録に残していただきたいと思います。
次に、ちょっともう時間がありませんので、思いやり予算の同盟強靱化予算、それでパラシュート訓練等も行っておりますけれども、SACO合意が履行されていない。全て、何も履行されていないんですよ、皆さん方、状況として。これは答弁はいいですよ、皆さん方の答弁は。でたらめなので。
そういう状況で、普天間第二小学校の上空に様々な戦闘機が飛び交っている状況も、何も止められない。本当にたった一つの学校ですら、大臣、止められないんですよ。飛ばないでほしいとあれだけ切願しているのに、全く米側は対応してくれない。こんな、外務省の職員、扱いにくいと思いますけれども、頑張ってくださいよ、是非、本当に。一か月でも二か月でもすぱっと止めて。
その中で、済みません、PFOSの話をします。
PFOSで土壌汚染がありました。市民団体がそれを確認して、高濃度のPFOSの検査がされた。その状況を受けて、今日、文科省の政務官、金城政務官に来ていただいていますけれども、子供たちの健康を守る観点から、学校保健安全法六条というものが定められています。そこは、学校環境衛生基準の、学校における様々な事項について文科大臣が基準を定めるとしているので、文科大臣がよしとすれば、その基準、様々なことができるというふうに認識していますけれども、イエスかノーかでお答えください、その基準がそういう認識なのか。
○金城大臣政務官 PFASの健康への影響等については、現時点においてはまだ分からないことが多いために、環境省等で調査や研究が今進められていると承知しておりますので、このため、現時点で学校環境衛生基準における検査項目として盛り込むことは困難であると考えております。
○山川分科員 だからこそ、文科大臣が基準を定める、それができるというふうに考えています。
金城さん、子供たち、大事と思いますよね、政務官。是非、教育活動が安全な環境において実施されるため、守らなければならないものであり、しっかりと調査を行う。基準が定められている、定められていないというのは文科大臣が決められると定められていますので、しっかりとその法令を使って子供たちの健康と教育環境を騒音被害から守っていただきたいと思っていますけれども、その中で、金城政務官、ウチナーンチュの心として、しっかりと子供たちを守る意味として、大臣にしっかり提言していただけませんか。
○金城大臣政務官 先ほどちょっと申し上げましたが、やはり基準値、これを確かなものとして定める必要がありますので、今後、環境省等の調査や研究による知見、これがしっかりと定められた場合には、文科省としても対応を検討してまいりたいと思っております。
○山川分科員 今、沖縄中がみんな見ていますので、金城さんの、政府に取り込まれたという環境の中で大変苦しい答弁だったと思いますけれども、そういう置かれた立場で話をするのではなくて、自分たちが沖縄を守るんだという気持ちで是非とも子供たちの環境も、基準がどうこうではなくて、そういう課題があるのであれば一歩踏み出して、文科大臣に、是非こういう話があるので今回の第六条を変えて進めていきませんかという話をしてほしいです。
最後に、あと五分しかないので、日米地位協定についてお話しさせていただきます。
全国の七割の都道府県が、日米地位協定の改定は必要だと報道で公表されました。対等な日米関係と政府が考えるなら、この全国の声とどう向き合うのか、聞く力が試されていると思います。
御承知のとおり、石破総理が防衛庁長官時代に、二〇〇四年の沖縄国際大学のヘリ墜落事故では沖縄県警が捜査できず締め出されたこと、これが主権国家なのかとつぶやいたこともあったようです。あれから二十一年が経過しましたが、今も変わらない隷属国家となっています。
冒頭からこれまでの質問も、皆さん方、聞いていて御承知のとおり、何も変わらない、変えられない。これまでの政治は、国民を守らず、アメリカ様の言いなりで、そういった政治であることがよく分かりました。
しかし、官僚や職員の皆さん方と、今回のこの聞き取り、いろいろやり取りさせていただいても、沖縄の気持ちに結果を残したいと考えてくれている方々は多くいると思います。しっかり、そのような職員もいることは感じられましたので、日本が隷属植民地とやゆされないように、是非とも若い世代の皆さん方と変えられるように私たちは頑張っていきたいと思いますが、さて、この日米地位協定改定は総理が改定すると強くおっしゃっておりましたが、それはいつ改定するんですか、大臣。
○岩屋国務大臣 日米地位協定の改定については、一朝一夕にできるものではないということを石破総理もおっしゃっておられると思います。
今、自民党の中で委員会が立ち上げられて、特命委員会ですね、幅広い議論が行われているところでございます。もう三回開催したと聞いておりますが、この議論の行方もしっかりと踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化すると同時に、国民の理解という意味で強靱性、持続性を高めていくという観点から、検討して対応してまいりたいというふうに考えております。
○山川分科員 ありがとうございます。
沖縄の祖国復帰は、国民を守る日米地位協定を、米国と対等な日米地位協定の改定が実現しない限り、我が国にとっての戦後は終わっていないのではないでしょうか。
また、沖縄の政治家は、沖縄の子供や次の未来を守るために、命を懸けて沖縄県民や土地を守る覚悟です。
政府として、国益だからと日米安保や日米同盟を大事にするのならば、皆さん方がこの日本の負担を背負っていないから、そういったことがこれまでこの官僚の皆さん方の答弁を聞いてもうかがえます。主権国家というなら、国民を守る、日本ファーストの国家運営を行ってもらいたい。
そこで、それまで、この日米同盟の安全保障に係る内容に、この沖縄の復帰から五十三年間、自民党は今なお、まだ何もできずに、変えられないでいるんですよ、大臣。なのに、自民党の中で地位協定をどうするのかという話をしても、一向に何も変わらないと思います。
私はその思いがあって、ここまで負担だけが増えているので、それなら、各政党が、少数政党も含めて、みんなで責任を持って日米地位協定の改定に向けた協議会をつくっていただけないですか。総理が旗振り役をして設置し、議論を加速した方が、一部のこれまで何もできていない自民党の皆さん方の議論を受けるよりかも、責任ある各政党の協議会をつくって、しっかりと議論を前に進めたい、そう思いますけれども、外務大臣、どうですか。
○岩屋国務大臣 国会の中の動きについて政府の立場で申し上げることは控えたいと思いますが、まずは、政権与党たる自民党の中で、責任のある議論をしようということだろうと思います。
この問題、幅広い日米関係、同盟関係についても、各政党、会派の間でも是非議論を進めていただくことを期待したいと思います。
○山下主査 山川君、そろそろお時間ですので、おまとめください。
○山川分科員 はい、締めます。
大臣、責任あるというのは、責任ある結果を残して沖縄県民の負担軽減に努められるような状況をつくってから、是非言葉を発していただきたいなと思います。
大変、今日初めてお会いして、岩屋大臣のいろいろな心の奥の気持ちも、私は感じたところはあります。ただ、それ以上に、沖縄県民がすごく今苦悩の中で、この戦後八十年間、復帰五十三年間、ずっと沖縄だけが負担を押しつけられて、まだ国会の中でも、各地方の中でもこのような話をしないといけないのかというところが、私たちもとても苦しいですよ。
本当に沖縄県民のことを思って寄り添う、負担軽減に努めるというのであれば、真の政治に向けて、米国と対等に、すぱっと、ちっちゃいことでも、すぐにでも上空を通せない……
○山下主査 山川君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○山川分科員 ありがとうございます。
そういう状況をしっかりと一つでもつくっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○山下主査 これにて山川仁君の質疑は終了いたしました。
次に、平沼正二郎君。
○平沼分科員 自由民主党の平沼正二郎でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。私は大臣通告はしておりませんので、どうぞお気楽になさっていただければと思います。
私は、この外務関係では初めての質問をさせていただきますけれども、今回、質問としては、予算委員会の中でも度々質問に出ていたかと思いますけれども、中国が我が国EEZ内に設置したブイに関しての質問をまずさせていただきたいと思っております。
今月、二月十一日に、尖閣諸島近海の日本のEEZ内に設置された、中国側がこれは勝手に設置したブイでございますけれども、これが二月十一日に、実に確認をされてから一年七か月の期間を経てようやく中国側が撤去をいたしました。しかしながら、これは撤去をされましたけれども、与那国島南方の日本のEEZ内に去年十二月に設置された、確認されたブイはまだそのままの状態であります。
再三にわたる日本政府からの抗議にもかかわらず、なかなか進展が見られないのがこのブイの問題でございまして、国連海洋法条約上の海洋の科学的調査には沿岸国の同意が必要との規定がございまして、日本にとって事前協議のなかったこの中国のブイの設置というのは海洋法上違反の行為の可能性が非常に高いということであります。
そこで、お伺いをいたしますけれども、先ほども申し上げたとおり、中国側は、日本からの撤去要請はまさにのれんに腕押し、ぬかにくぎ状態ということで私は感じているんですけれども、そうなると、ここはやはり日本側が主体的に、独自に対処するというのが一番早い解決方法ではないかと浅はかながら考えてしまうんです。
EEZ内のこの中国側のブイを我が国が独自に撤去をした場合に発生する影響に関して、何か外務省の方で想定を考えられておりますでしょうか。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の中国側による我が国EEZにおけるブイの設置は、委員御指摘のとおり、国連海洋法条約との関係で問題になるものであり、我が国としてこのような一方的な現状変更の試みは全く受け入れられません。中国側に対しては、これまで首脳、外相レベルを始め即時撤去を強く求めてきておりまして、昨年十二月の日中外相会談でも岩屋外務大臣から王毅外交部長に対してブイの即時撤去を求めました。
委員御指摘のとおり、二〇二三年七月に設置が確認されたブイにつきましては、我が国EEZに存在していないことが確認されておりますけれども、昨年十二月には新たに確認をされておりますのが与那国島南方で設置されたブイでございます。引き続き、あらゆる機会を捉えて即時撤去を強く求めてまいります。
なお、このようなブイに対しまして、関係国がどこまで物理的な措置を取ることが国際法上許容されるかにつきましては、国連海洋法条約に明確な規定はございません。また、そういった事例の蓄積も見られていないということで、国際法上の基準が不明確な中で、様々な観点から総合的な判断が求められるところでございます。関係省庁で引き続き連携して検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく考えでございます。
委員御指摘の、我が国の方がブイを撤去した場合の影響につきましては、このこと自体の分析の詳細についてお答えすることが我が方の手のうちをさらしてしまうことになるので、お答えは差し控えたいということについて御理解賜ればと思います。
○平沼分科員 ありがとうございます。
何かしらの想定は、なかなかここでは公開できないかもしれないですけれども、やはり想定しておいて、いざこういったケースになったときにどう対処するべきなのかというのは、いろいろなシミュレーションをやはりしていただくというのが非常に重要なのかなと思っております。
例えば、フィリピンなんですけれども、ほぼ同時期に中国からのブイの設置、ちょっと種類は違うんですけれども、何か調査のブイというよりも、いわゆる網をかけるような、境界線にブイを設置していたんですけれども、フィリピン政府はこれを撤去して、併せて中国側に厳重な抗議をしております。これは先ほど申し上げたとおり、日本とはちょっと種類とか設置とか環境は違うんですけれども、対応の態度というのは参考になる部分もあるのかなと私も思っております。
こうした同じ行為を受けている、中国側から同じような行為を受けている国々との情報の連携だったり情報交換というのは非常に私は重要だと思っておりますので、これにちょっと付随した形でもう一点お伺いしたいんです。
中国政府はかつて、気象観測、いわゆるこのブイも気象観測だと言っていましたけれども、これと称して、バルーン、飛翔体を飛ばしていたという事例もございました。こちらに関しては、アメリカが撃墜を、撃ち落としてバルーンを分析したというような報道も出ていると承知をしております。
そこで、ちょっとお伺いをいたしますけれども、いわゆる撃墜したこのバルーンに関して、アメリカ側と情報交換等を行ったことがあるのか。また、アメリカが撃墜したことによって、アメリカに対して中国から何か制裁があった、こういったことを何か情報交換して承知をしているのかという部分をお伺いさせていただきます。
○弓削政府参考人 お答えを申し上げます。
米国とは、委員お尋ねの気球の飛行も含め、我が国の安全に関わる事象について、平素から緊密に連携し、情報共有等を行っております。
我が国を取り巻く厳しい安全保障環境や安全保障上の課題につきましては、日米間のあらゆるレベルで認識を共有してきておりまして、例えば、本年一月には日米防衛大臣電話会談を実施し、インド太平洋地域をめぐる安全保障上の課題について幅広く議論を行いました。
政府としては、今後とも、米国と緊密に連携し、情報収集、警戒監視に努め、対応に万全を期してまいります。
○平沼分科員 ありがとうございます。
岩屋外務大臣も様々情報交換をされていると思いますけれども、やはりちょっと中国側のいろいろなこういった非常に看過し難い部分に関しても、是非米国ともいろいろな部分に関して交換を引き続きしていただいて、対処能力というものの向上を是非図っていただきたいなと思っております。
先ほど答弁にありましたけれども、ブイが設置された尖閣沖に関しては、日中間の海域は二百海里の範囲がありますけれども、EEZ内の境界線というのはまだ未画定でありまして、日本は日中双方からの等距離を境界としてということで、中国側がその中間線を認めてはいないという状況でして、非常にグレーなゾーンである。
さらに、国連海洋法上、これも先ほど答弁いただきましたけれども、今回のブイ設置のような違反国に対し、関係国がどのような物理的措置を取るかということが、どこまで許されるのかみたいなところが、明確な規定もありませんし、判例の蓄積もないということでございまして、これは私もよく分かってはいるんですけれども、しかしながら、抗議だけではなかなか進展もしていないというのもありますし、一方で、この設置というのが、中国側の戦略の部分として、ここまでやったら日本側はこういうことを抗議してくるのか、ここまでやったら、いわゆるサラミスライス戦略の僕は一因であるかなと思っております。
どういった対応を日本がしてくるのかみたいなところを判断している部分もあると思っておりまして、やはり中国側の目的を防ぐためにも、いろいろと交渉も含めてやられているとは思いますけれども、是非毅然とした態度で実効性のある対応を外務省には引き続き努力をしていただけるようお願いを申し上げておきます。
続いて、ちょっとテーマを変えますけれども、次は台湾に関してお伺いをいたします。
先般の日米首脳会談において、外務省の皆様の本当に御尽力もいただいたこともありまして、台湾海峡の平和と安定の重要性というのが強調されました。台湾というワードが入ったというのは私は非常に大きなことであったと思います。これは非常に意義深い日米首脳会談になったと思っております。これは今までにない踏み込みであり、本当に、こういった形で台湾の皆さんも大変喜んでおられました。私も先般台湾の関係の皆様方とお会いしましたけれども、大変感謝を述べられておりました。
そして、あと、話題が少しちっちゃいですけれども、戸籍の国籍欄にも台湾という記載がされるようになりました。今まで以上に日本政府の台湾に対するコミットが強まっていると実感をしております。
今、国際情勢がかつてないほど不安定、そして複雑化している中において、私は、台湾の情勢に関しては、今後の日本を左右する大きなターニングポイントに間違いなくなると考えております。
そこで、まずは、日本における台湾の位置づけに関して確認をさせていただきたいと思っております。
中国政府は、一九七一年に国連総会で可決された第二千七百五十八号決議、いわゆるアルバニア決議にて、中華人民共和国の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり云々という部分を曲解して、台湾を国連から締め出していると思われる現状があります。
いわゆる中国側が主張している一つの中国原則を基にして、中国は、世界の百八十三か国が中国と国交を樹立していると強弁をしているわけでございますけれども、一方で、米国を含む多くの国々は、各国の一つの中国政策、一つの中国原則ではなく一つの中国政策というのを採用しております。
そこで、日本政府における、国連総会第二千七百五十八号決議に関しての日本政府の見解を教えてください。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の一九七一年の国連総会決議第二千七百五十八号は、御指摘のとおり、中華人民共和国政府の代表を国際連合における唯一の合法的な中国の代表として承認する旨を定めておりまして、あくまでも国連における中国の代表権について決議したものでありまして、それ以上でもそれ以下でもないというのが日本政府の見解でございます。
○平沼分科員 ありがとうございました。
もう答弁のとおりでございまして、あくまでも国連の中において決議されたものであるということを、これはちょっと中国側が利用して、一つの中国を各国が認めたというようなところを非常に主張しているわけでございまして、今の日本のスタンスというのは非常に守っていただきたいと思います。
外務省のホームページには、日本と台湾の立場に関して、台湾との関係に関する日本の基本的立場は、日中共同声明にあるとおりであり、台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています、政府としては、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の直接の話合いを通じて平和的に解決されることを希望していますと記載されておりまして、一方的な武力や圧力に関しては希望しないという旨が述べられております。我が国の台湾に関するスタンスは非常に重要でありまして、それが台湾有事の抑止にも私はつながるものであると思っております。
なお、このアルバニア決議に対しては、付言をいたしますと、欧州連合、オーストラリア、オランダ、イギリス等は、このアルバニア決議における中国の歪曲に関して議会や委員会等で明確に否定をするような決議もいたしております。
台湾有事は日本有事であるという故安倍元総理の言葉がありますけれども、台湾海峡、バシー海峡など台湾周辺の海域を押さえられてしまった場合、日本は深刻なエネルギー不足に陥る可能性があります。
具体的に言いますと、日本の原油輸入の約九〇%以上がサウジアラビアを始めとする中東産でありまして、その大半がインド洋を東に向かい、マラッカ海峡を抜け、南シナ海を経由して日本に至っております。LNGも約三五%がここを通過しているわけであります。
思い起こしていただきたいのが、かつて大東亜戦争がございましたけれども、なぜこの大東亜戦争に日本は突入をしたのかということでございます。これは、戦略物資である石油が、一九四一年に米国、英国、オランダにより全面禁輸をされたのが契機ではないかという説もあるわけでございます。
台湾周辺の海峡が封鎖されまして、それが、今現在、戦争にすぐ突入をするということは、今の日本の状況に関しては申し上げませんけれども、明らかなのは、ここの海峡を封鎖されると日本に大打撃があるというのは間違いないことでありまして、有事を起こさないための方策をやはりしっかりと取っていくというのが必要であるということであります。
一方で、アメリカには台湾関係法がございまして、一つの中国原則を否定はしないものの、米国から台湾への防衛に関する武器供与を認め、平和的手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試み、例えば、ボイコットであったり封鎖を含むいかなるものも合衆国の重大関心事と考える等との規定がなされていると承知をしております。
この台湾関係法は、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を合衆国大統領に認めるものではありますけれども、米軍の介入は、これは義務ではなくて、あくまでもオプションということでありまして、米国の台湾への防衛を保障するものではないんですけれども、いわゆる戦略的曖昧さ、これを武器にして、中国に対して抑止力を発揮しております。
そこで、台湾有事は日本有事ということでございまして、有事抑止の観点からお伺いをいたしますけれども、台湾の現状維持の観点からも、日本においても平和、安全の確保の観点から、自国の平和、安全の確保から、台湾及び台湾周辺における平和安全確保法のようなものを策定した方がよいと私は考えているんですけれども、外務省の見解をお伺いいたします。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、委員御指摘のとおり、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくというものでございます。
政府としては、このような基本的立場に基づき、これまでも、安全保障に関するものも含め、情報収集等を行いつつ、幅広い分野で台湾との実務的な情報共有、協力関係を積極的に推進してきております。
台湾との関係に関する枠組み等につきまして、委員御指摘のような様々な御議論があることは承知しておりますけれども、政府といたしましては、今述べましたような基本的立場を踏まえて、引き続き台湾との関係で幅広い実務関係を発展させていきたい、このように考えておるところでございます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
なかなか法律の制定というのはハードルが高いものなのかなとは思っておりますけれども、先ほど答弁いただいたとおり、やはり関係の深化というのを非常にやっていただきたいと思っております。
しかしながら、いろいろ水面下でやっていただいているというのはよく承知はしているんですけれども、正式なというのはなかなか今の状態で難しいとは思っておりますが、対外的に示していくためにもやはりこういったものを少しにおわせていくとか、そういったところも非常に重要じゃないかなと私は思っております。
日本政府として正式に台湾への関与を示すために引き続き知恵を絞る必要があるのかなと思っておりますし、また、日本単独では、力を増している中国に対して抑止力を十分に発揮するというのは非常に厳しい現実があると思っております。やはり、日本単独ではなくて、アメリカや周辺国とも連携して抑止力を発揮していく、強めていく必要があると思っております。
特に、ここは、キーポイントになるのはやはりアメリカであると思っておりまして、アメリカとの共同抑止の発揮のために、日米防衛協力のための指針、ガイドラインには、第三国に対する武力攻撃への共同対処を定めた第三国条項があると思いますけれども、その規定が、今は国となっておりますけれども、これを国及び地域ということに改正、改正というか変更すれば、台湾にも適用が可能になるような、拡大解釈ができるようなところが出てくるのではないかと思っておりますけれども、この辺りの見解をお伺いいたします。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる日米ガイドライン、日米防衛協力のための指針の御指摘の箇所は、日米両国が、日本以外の国、すなわち米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、国際法及び各々の憲法や国内法に従い、武力の行使を伴う行動を取ることを決定する場合であって、日本が武力攻撃を受けるに至っていないときに、日米が緊密に協力すること等を記載しております。
政府として、現時点で直ちに日米ガイドラインを見直すことを考えているわけではございませんが、日米の間では、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化すべく幅広く議論を行っているところでございます。日米ガイドラインの見直しの必要性についても、不断に検討していく考えでございます。
台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、先日行われた日米首脳会談でも、こうした点を改めて確認したところでございます。
今後、日米間においても、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を行っていきたいと考えております。
○平沼分科員 ありがとうございます。
これは冒頭も申し上げましたけれども、今回の、本当に、戻りますけれども、日米首脳会談で台湾に言及したというのは非常に大きいことと思いますし、抑止力のかなり大きな一つの柱になるんではないかなと思っていますので、引き続きこの辺りの、外相も含め、総理も含め、是非緊密な意見交換をしていただきたいなと思っております。
あと、日台における経済的交流や文化的な交流はかなり、かつてないほど活発になっておりまして、台湾の親日度というのは言うまでもありません。こうした民間分野における連携は活発な一方、先ほど申し上げているとおり、政府間の正式な連携は、関係法などがないというところにあるとは思うんですけれども、まだまだであると思っております。
今後の台湾有事の可能性を考えますと、平時から、先ほどのガイドラインもそうなんでしょうけれども、台湾との情報連携が非常に重要であると思っておりますけれども、現状のこの取組について教えていただけますでしょうか。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
台湾は、我が国にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。
政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えでございます。具体的には、安全保障、経済に関するものも含め、幅広い分野で台湾との実務的な情報共有や協力関係を積極的に推進してきております。
引き続き、台湾に関する基本的立場を踏まえつつ、台湾との間で幅広い実務関係を発展していく考えでございます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
やはり台湾側のいろいろな要望というのも応えていく必要があるのかなと思っております。なかなか正式なのが難しい中において、いろいろ御努力をいただいているとも承知をしております。
台湾の皆さんにアンケートを取ると、有事になった際にどの国が助けてくれると思いますかというと、日本がアメリカを抜いてトップになるようなアンケート結果も毎年出ております。そういった中において、なかなか正式な裏づけがないというのは、非常に私は個人的には心苦しい部分もありまして、いろいろ政府間でやっていただいているというのはあるとは思うんですけれども、やはり少しこういったところに報いていくというのも必要なことであると思っております。
更につけ加えますと、例えば、東日本大震災であったり、さきにありました能登半島の地震においても、非常に多額の寄附を含めて支援を台湾にはいただいております。東日本大震災においては、アメリカに次ぐ二位の寄附の金額ということで、人口から考えると物すごい金額を助けていただいております。
やはりこういった真の友人である台湾にしっかりと報いていくということは、我々は日本としての責務であると思っておりますし、私はまだまだ現状の政府のスタンスでは足りざる部分も正直あるのかなと思っております。是非とも外務省の皆様が中心となって、日本の国益のためにも、台湾政策の推進を心よりお願いを申し上げる次第でございます。
そしてもう一点、ちょっと台湾について付言を一つさせていただきますけれども、さきの内閣で私は内閣府の大臣政務官兼復興大臣政務官をやらせていただいておりました。これは質問はいたしませんけれども。
政府三役になると訪台はしちゃいけないということがあります、基本的に控えてくださいという話があって。ある日、日本国内で行われる台湾のイベントに対して一応確認をしたところ、そこも控えてくださいと言われました。これは少し私は行き過ぎではないかなと今の対応を思っております、外務省さんの。なかなか、一個人の議員としてという立場で行っても駄目なんですかねと言ったら、そこは、あの、まあ、みたいなところがありましたので、ちょっと日本国内におけるこういったところに対しては、ある程度もう少し私は緩和的スタンスを取ってもいいのかなと思っておりまして、これは是非ともいろいろ御検討をいただければ幸いでございます。
ちょっと時間もなくなってきましたけれども、竹島の問題について最後にお伺いいたします。
今月、二月二十二日、島根県が制定した竹島の日第二十回記念式典が開催をされました。私も、自民党の青年局として松江駅前での街頭活動や式典に参加いたしまして、また当日行われた勉強会にも参加をさせていただきまして、竹島が、歴史的にも数々の文献的にも日本固有の領土であるという認識を改めていたしました。
勉強会の中にはあったんですけれども、新たな文献が毎年毎年発見されて、これは間違いなく日本の領土である。例えば、その中身が何であったかというと、当時の島根県知事に当たる方が政府に依頼して正式に竹島の視察をしているような文献が出てきたり、こういうこともあるわけでございます。当時からやはり正式に竹島は日本のものであるという認識があったということでございますけれども、現実には竹島の韓国の不法占拠が続いているわけでございまして、なかなか進展が見られない状況でございます。
また、もう一つの問題として、やはり国民の皆さんの意識の低下、竹島の意識の低下というのも非常に問題となっております。
そこで、質問なんですけれども、先ほど申し上げたとおり、竹島の日というものの制定は、島根県で制定をされておりまして、現状、記念式典も島根県の主催でこれは開催をされております。これはやはり日本の領土問題、主権に関する問題でございますので、式典を是非とも国主催にするべきではないのかなと私は思っているんですけれども、現状において、政府の見解をお聞かせいただければと思います。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
政府による竹島の日の制定や式典の開催については、委員御指摘のお考えも含め、様々な意見があることは承知してございますが、諸般の情勢を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えてございます。
引き続き、竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で有効な方策を不断に検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
そういった答弁になるのかなとは思っております。
一方で、島根県の皆様方からすると、例えば北方領土の日は、これは政府が主催して、式典も国主催で行われております。同じ領土問題で日本の中で差があるというのは、なかなかやはり、いろいろな御説明を受けてもちょっと納得しづらい部分はあるのかなと私は思いますし、特にこの今主催をやっていただいている島根県の皆様、知事を始め、思いをお聞きいたしますと、まあ、そうだよなというのがあります。
私は昨年もこの式典に参加させていただきまして、そのとき、私は領土問題の担当の政務官でございましたので、政府代表として行きますと、怒号が飛ぶわけでございますね、式典の中では。なぜ大臣が来ないんだ、なぜ総理が来ないんだというお話が出るわけでございます。ここの一言に思いの一つが表れているのかなと思います。
一方が国式典であるにもかかわらず、これが県の主催であるというところのそごというところは、ある程度いろいろな問題はあるにしても、しっかりと見せていくことも必要だと思うんですね。こういった今検討をしていますとか、こういった問題があるんですよというところを県民の皆様方にもしっかりと認識をしていただいて、そういうことを出すことによって国民の理解も深まっていくというところはまた非常に重要なのかなと思っております。
あと、当然、政府主催にしたら、韓国からの反発は非常にあると思います。一方で、私はよい機会でもあるかなと思っています。なぜかといいますと、この反発を機に正々堂々と、今の歴史的な裏づけであったり、反論をしっかりする機会をもらうわけでございますから、そこでしっかりと、今非常に理路整然とまとめていただいている資料もたくさんございますので、そういったものをしっかりと打ち返していくことによって、国際法上における今の韓国の不法占拠というのがいかに間違ったものであるのかというのを国際社会に出す場ができるわけでございますので、是非ともやはりこういうところを積極的に活用していくという手もあると思っております。
国際法上、実効支配というのは、国家の権能が外国から争われることなく、かつ途絶えることなく示されていることとなっておりまして、つまり争いがない状態というのが実効支配となりますけれども、やはり争いが今ありますよということをしっかりと見せていくということが必要でありますし、国際司法裁判所の共同提訴をずっと韓国は拒否しておりますけれども、政府主催に反発するなら国際的な場ではっきりさせるよう要請する口実になると思っております。
一刻も早い政府の毅然とした態度と行動を御期待申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○山下主査 これにて平沼正二郎君の質疑は終了いたしました。
次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。どうかよろしくお願いをいたします。
本年は戦後八十年でございます。第二次世界大戦が終了してから八十年が経過をしようとしております。日本は、戦争への反省と先人たちの皆様の御努力のおかげで、再び戦火を交えることなく今に至っております。戦火を交えない状態は、これからも未来にわたって永遠に続けていかなければなりませんけれども、第二次世界大戦が終わっても、世界のどこかで戦争は起きております。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、戦争という表現は用いられておりませんが、フォークランド紛争、そして、現在ではロシアのウクライナへの侵略。今なお戦争が続いているのが今の世界です。心を大変に痛めます。
さて、かつての戦争は、前方、後方、軍事、非軍事、陸海空軍という区切りが明確にあって、軍隊同士が戦場で争うものと整理をされていたように思います。民間人は完全に外に置かれて、軍隊同士が争うというふうに整理をされていたと思います。ただ、最終盤は民間人が犠牲になるのも歴史の事実でありました。そのイメージですけれども、これは支配領域、支配空間を広げるために繰り返し相手を物理的に破壊するというものであったと思っております。
しかし、現代はどうでしょうか。確かに、ウクライナ侵略においても、ロシアが支配エリアを拡大するためにウクライナ国内において物理的に破壊攻撃が繰り返されているところは変わらないと思います。ただ、武力行使の一年以上前から、ロシアはウクライナに対してサイバー攻撃を繰り返し行っていたことが分かっております。サイバー攻撃によりウクライナの通信やインフラの機能を混乱に陥れ、その機に乗じて武力行使をすることでその効果を上げようとする戦略であったことは明らかです。
現代の戦争というのは、恐らくハイブリッド戦というものがスタンダードになっておるんだと思います。したがって、武力行使の前には必ずサイバー攻撃が行われると思っておかなければいけないんだろうと思います。そして、サイバー攻撃は、何も武力行使の手段としてしか行われないということでもないと思います。経済的な目的や情報を盗み取るために行われることもあると思います。
外務省は、国益を背負って外交交渉に当たる、とても大切な、重要な国家機関です。詳しくは様々なことがありまして聞きませんけれども、恐らく外務省にもサイバー攻撃が行われているものと推察をいたします。そこで、外務省には、サイバー防御、これを徹底的に行っていただきたいと存じますが、お答えできる範囲で構いませんので、外務省から御説明をいただければと思います。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
サイバー攻撃により我が国の重要な外交情報が窃取されれば、国民の生命や財産が危険にさらされるのみならず、他国や国際機関との信頼関係が損なわれるおそれもあります。こうしたことから、外務省サイバーセキュリティーポリシーにのっとり、所要の対策を講じてきております。
また、情報セキュリティーは、米国を始めとする関係国との情報共有を進め、連携を強化していくに当たっての基盤でもあります。
外務省としても、関連省庁と緊密に連携しつつ、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○吉田(宣)分科員 御答弁ありがとうございます。
本当は詳しく聞きたいんですけれども、詳しく聞くと手のうちをばらすことにもつながりかねますので、詳しくはあえて聞きませんけれども、とにかく結果を求めて、徹底的に防御していただきますようお願いをしたいと思います。
さて、物理的な攻撃、物質的な破壊には至らないけれども、国家機能や社会機能を混乱させるサイバー攻撃、これだけではなく、現代は情報化戦争の状況にも対応しなければならないというふうに存じます。
近代情報化戦争の遂行において、情報における優位、これは制情報権というふうな言い方もするようでございますけれども、を獲得することが非常に重視されています。なぜなら、情報において優位に立つことが、相手という言い方をあえてしますけれども、相手の心理や認知に対して影響を与えて、相手の判断を自軍、ここでもちょっとあえて軍という言葉を使いますけれども、自軍若しくは自国に有利になるように導くと考えられるからです。そういったことも現時点で世界各国、私は起きていると思います、あえて申し上げませんけれども。
であるならば、その逆の効果を狙うことは大切だと思っておりまして、日本が情報の優位性を獲得することで、いわゆる他国が余りよくない動機の下、例えば軍事侵略などを考えているのであれば、それを抑止することにも私は情報優位性というのは資するものだというふうに思っております。
この点、令和七年度外務省予算案は、五つの柱で構成されておりまして、情報戦時代への取組の強化が四つ目の柱として掲げられております。非常に高く評価をしたいと思います。
そこで、この中から、情報操作への対応について、概要を予算案と関連しながら御説明をいただければと思います。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
国家間競争の舞台が偽情報の拡散を含む認知空間における情報戦へと拡大しており、偽情報対策の強化と戦略的コミュニケーションの重要性がますます高まってきております。
情報空間における動向の中でも、我が国の外交政策等に悪影響を及ぼし、外国における我が国の威信を毀損し、また、自らのナラティブを浸透させようとする動きが見られるところ、外務省としましても、偽情報の拡散を含む情報操作の試みへの対応に注力しているところでございます。
令和七年度の予算案におきましては、我が国の重要政策に関する認知領域等の動向の情報収集及び分析を行うとともに、これを踏まえて、情報発信を効果的に実施するための予算を計上しております。
具体的には、AIを始めとする新興技術、在外公館の幅広いネットワークや専門人材を活用して情報収集や分析能力の強化を行うとともに、各国の事情を考慮したテーラーメイドの対外発信の強化を行い、偽情報等の拡散を含む情報操作への対応の強化に着実に取り組んでいく考えでございます。
○吉田(宣)分科員 御説明ありがとうございます。非常に分かりやすい説明でございました。
インテリジェンス機能を高めるということが、次の質問に当たりますけれども、私は、非常に平和を維持するためにも重要だというふうに思っております。この点も、様々手のうちを知られるとまたいろいろと不都合も生じますものですから、これ以上お聞きはしないわけでございますけれども、是非とも、外務省におかれましては、このインテリジェンス機能というものを強化し、偽情報を洗い出し、そして正しい情報の下、正しい判断ができるような情報発信もお願いしたく存じますし、また、それがそのまま抑止となって、いわゆる武力行使につながらないような環境というものを私は整備できるんだろうと思っていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
その上で、岩屋大臣、済みません、御苦労をおかけいたしますが、次に御答弁願いたいんですけれども、日本が情報における優位性を獲得するということは、私自身は、国際平和の維持にそのまま直結をするというふうに思っております。なぜならば、日本は平和国家だからです。決して日本から武力行使をすることは永遠にないわけでございまして、したがって、日本がこの情報優位性というものを持つことは、私は世界の平和秩序の維持のために非常に重要だと思っております。
ただ、残念ながら、情報における優位性というものを、日本の単独だけでこれを獲得できるほど甘い世の中ではないというふうに思っております。アメリカを始め普遍的価値を共有する同志国との協力が不可欠でございます。したがって、同志国との関係強化、また同志国と言えるような国家の拡大、これが必要だと思います。
そこで、そのための取組に対する岩屋外務大臣の御所見、御決意もありますれば、お聞かせを願いたく存じます。
○岩屋国務大臣 吉田委員御指摘のとおり、情報戦におきましても同志国、同盟国との連携は極めて重要な課題だというふうに考えております。平和国家日本であるがゆえに、ウサギの長い耳を持つということは本当に大事な御指摘だと思っております。
情報戦の分野においても同志国が一致して対処していかなければならぬと思っておりまして、二国間でやり取りすることはもちろんですが、多国間の場も通じて日頃から緊密に意思疎通を行っております。いわゆるインテリジェンス部門の交流も、多くは申し上げられませんが、そういうこともしっかり行っております。そのことによって、我が国の外交政策の遂行に必要な円滑な情報共有をこれからもしっかり行っていかなければいけないというふうに思っておりまして、吉田委員の御指摘も踏まえて更に力を入れてまいりたいと思います。
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
私は、そういった思いの下、中央アジア諸国にちょっと目を向けてみたいと思います。
中央アジア諸国とは、人口が多い順番に名前を挙げれば、これは五か国しかありませんので五か国全部紹介しますけれども、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、この五つの国で構成をされております。
私が中央アジアに注目する理由はたくさん実はあるのですけれども、一つには、これらの国に、ロシアを中心としたCSTO、すなわち集団安全保障条約機構に加盟をしている国があるからです。
そこで、まず、このCSTO、ロシアを中心とする集団安全保障条約機構とは加盟国にどのような協力を約束している条約なのかについて、外務省からその概要を説明いただきたく存じます。
○田口政府参考人 ただいまお尋ねのありましたCSTO、集団安全保障条約機構でございますけれども、現時点におきまして、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタンが加盟する集団安全保障の枠組みであるというふうに承知をしております。
設立条約上、第四条と承知しておりますが、いずれかの加盟国に対する攻撃を全加盟国に対する攻撃とみなし、加盟国は、攻撃を受けた国からの要請を受けた場合、国連憲章第五十一条に基づく集団的自衛権に従い、利用可能な手段による援助を提供するということが規定されていると承知しております。
また、同機構は、定期的に合同軍事演習を実施するほか、毎年首脳レベルで集団安全保障評議会会合を開催していると承知しております。
○吉田(宣)分科員 御説明ありがとうございます。
私の月並みな言葉でこれを表現すれば、まさに軍事同盟、そして日本の用語でいうと集団的自衛権を求めている条約なんだろうと思います。したがって、これはちょっと原稿には書いておりませんけれども、言いっ放しでございますが、ウクライナがロシア領土内に侵攻しない理由は、私はここにあるんだろうと思っているんですね。すなわち、ウクライナが自分の領土を越えてロシア領土内に侵攻すれば集団的自衛権が発動してしまうんじゃないのかというふうな思いがあって、違うかもしれませんけれどもね、非常に怖いことだと思っています。即、多国間の戦争に行きかねない約束事が、私はこのCSTOなんだろうと思っております。
そして、今御説明があったとおり、このCSTOにカザフスタン、キルギス、タジキスタンが加盟をしているということでございますけれども、いずれも旧ソ連邦の構成国家であったわけでありますし、独立した現在でも、地政学的にも経済的にもロシアと密接な関係にあるのは、これは当然のことだと思っております。したがって、ウクライナの侵略に対しても、これらの国は、国連総会における態度も、決議を棄権したり、また不投票であったり、対外的に立場を明確にすることを避けているという状況でございますが、それはしっかり日本国としてはその状況を理解してあげることが大切だと思っております。
ただ、これまでの外務省や先輩国会議員、とりわけ民間レベルの経済交流のおかげで、中央アジアと日本は非常に良好な友好関係を構築していることを私は学ばせていただきました。特に一九九一年に中央アジア五か国がソ連から独立をすると、翌年には日本はいち早く外交関係を樹立し、国家間の友好関係を発展させ、一九九七年には政治対話、経済協力・資源開発協力及び平和の構築を三本柱とする対シルクロード地域外交を進め、今日に至っております。加えて、今から二十年前の二〇〇四年、新たな協力として、中央アジアプラス日本の対話が立ち上げられました。これは、中央アジア諸国にとって第三国との対話の枠組みというものでは初めての試みであったというわけでございまして、中央アジア諸国がいかに日本を重視しているのかがよく分かることだと思っております。
その意味におきましても、私は、これまでの日本政府の取組、とりわけ外務省の努力におきましては、まさに大正解であったというふうに高く評価したいと思っております。日本が中央アジア諸国をもっともっと重視していいのではなかろうかというふうな思いが私にはございます。
そこで、改めて岩屋大臣、また御答弁をお願いしたいところでございますけれども、私が重視する理由というのは後の質問でも触れてまいりますけれども、まずは岩屋外務大臣に中央アジア諸国の重要性に対する御認識をお聞かせいただければと思います。
○岩屋国務大臣 吉田委員御指摘のとおり、我が国にとりましても中央アジアの諸国は戦略的に極めて重要な国々だと考えております。中央アジア諸国は、周りを中国、ロシア、イラン、アフガニスタンに囲まれておりまして、地政学的に重要な地域に位置しているというだけではなくて、豊富なエネルギー、鉱物資源も有しておりますし、高い成長と人口増を続けてきております。我が国としては、中央アジアの自立的かつ持続可能な発展の実現を後押ししていくためにも、しっかり役割を果たしていきたいというふうに考えております。
ロシアによるウクライナ侵略によって中央アジアの国々も様々な影響を受けておりますし、また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が今揺らいでおりますので、中央アジア諸国との連携はこれまで以上に重要になってきているというふうに考えておりまして、委員御指摘の中央アジアプラス日本、これは各国に先駆けて二〇〇四年に立ち上がった枠組みですけれども、過去九回にわたる外相会合等を重ねてきております。本当は岸田総理のときに行ってほしかったんですが、地震の影響もあって行けませんで、先般、長島総理大臣補佐官に行ってもらいましたが、これは私も是非行きたいと思っておりますし、石破総理にも是非足を運んでもらいたいというふうに思っております。
今後とも、日本にとって重要なパートナーであります中央アジア諸国との関係を更に発展させていきたいと考えております。
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
本当に、法の支配等、普遍的価値を共有する国々であろうと思いますし、先ほど、そういう国でありながら条約機構の中にも入っている国と日本が友好関係を継続するということの重要性、私はすごく大切だと思っておりますので、岩屋大臣から本当に励まされる御答弁をいただきましたけれども、是非お力をいただきますことをお願いしたく存じます。
先ほどの岩屋外務大臣のコメントにもございましたけれども、今の答弁のうち、鉱物というふうなキーワードも出てまいりました。重要鉱物について、経済産業省にお越しいただいておりますので質問したいのですけれども、言うまでもなく、日本は資源が非常に少ない国でございます。資源の供給先は、集中をさせるとこれが途絶えたときに大変なことになるので、これをできるだけ分散化しておくことが経済安全保障の観点からも重要だと思っております。
先ほど触れました対シルクロード地域外交の柱の一つに資源開発協力というのが挙げられておりますけれども、いわゆる今後この中央アジア諸国と予想される関わり、協力について、経済産業省から御説明をいただければと思います。
○浦田政府参考人 お答えをいたします。
中央アジア諸国には、例えばウズベキスタンのモリブデン、タングステン、タンタル、カザフスタンで採掘されるウランやクロムなど、重要鉱物が豊富に賦存をしてございます。こうした認識の下、我が国企業は、経済性や政治情勢を見極めつつ、重要鉱物の探鉱や開発への参画を検討しているものというふうに承知をしております。
政府といたしましても、中央アジアにおける資源開発の促進強化に取り組みたい考えでございまして、このため、JOGMECが昨年六月にウズベキスタン政府と鉱物資源に係る関係強化のための協定を締結いたしました。また、同年八月にはカザフスタン政府と覚書も締結をしてございます。これらの協定や覚書に基づきまして、探査、資源量評価に関する取組を進めてまいります。
特にウラン燃料につきましては、安定供給に向けた体制をサプライチェーンの上流から構築していくべく、ウズベキスタンなどにおけるウラン探鉱活動の支援などに引き続き取り組んでいきたいと考えてございます。
○吉田(宣)分科員 御答弁ありがとうございます。
重要鉱物が理不尽な外交交渉の手段として使われること、これも想定しておかなければいけないんだろうと私は思っておりまして、ただ、この点、第一義的には民間主導で行われるところでございますけれども、外務省はもとより、今御答弁いただきました経済産業省にも是非お力をいただきたく、お願いいたしたく存じます。
さて、話を核兵器禁止条約締約国会議にちょっと移しますけれども、公明党はこれまでも核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を強く求めてまいりました。ただ、残念ながら、政府のオブザーバー参加は見送られたというふうに承知をしておりますが、引き続きこれは強く求めていきたいと思っております。
ところで、中央アジア諸国の中で、カザフスタンが核兵器禁止条約を批准しております。私は非常に特筆すべきことだと思っておりまして、旧ソ連邦国家で唯一の国ですね、カザフスタン。
そして、その歴史的背景をちょっと調べてみたのですけれども、一九八九年にソ連圏で初めて反核運動、ネバダ・セミパラチンスク運動というものが始まり、一九九一年の八月二十九日の、実験場を閉鎖したというこの日の出来事を捉まえて、この日が核兵器の実験を禁止する国際デーになっているというふうにお聞きをしました。そして、このネバダ・セミパラチンスクとは、アメリカのネバダ州、それからカザフスタンのセミパラチンスクという地名を合わせたものであるようでございますけれども、いずれも核実験が行われた地域であり、放射能汚染も生じたというふうなことでございます、健康被害も生じたようでございます。カザフスタン政府は、この歴史的経験を顧みて核兵器禁止条約を批准したものと推察をしております。
そして、他の中央アジア諸国も、カザフを含めセメイ条約を締結し、この条約では、締約国による核兵器若しくは核爆発装置の研究、開発、製造、貯蔵、取得、所有、管理及び自国領域内における他国の放射性廃棄物の廃棄許可等を禁止しております。中央アジア五か国のこの取組は、私は、非核三原則を国是とする日本とも思いは共通するものがあるんだろうと思っております。
そこで、お聞きしたいのは、核なき世界の実現に向けて中央アジア諸国と日本政府との間で何がしかの連携が行われているか、これについて教えていただければと思います。
○中村政府参考人 お答えいたします。
我が国は、かねてから、唯一の戦争被爆国としての経験と知見を踏まえまして、まさにカザフスタンにおいて、政府開発援助の枠組みなどを活用しつつ、医療機材の提供や地域医療の改善支援を行ってまいりました。その背景には、今委員から御指摘のありました、セミパラチンスクにおける核実験という経緯がもちろんございます。
その上で、日本は、国連総会やNPTの関連会合を含む国際会議におきまして、核兵器のない世界に向けた取組に関し、中央アジア諸国を含む幅広い国々と対話と連携を行ってきているわけであります。
とりわけカザフスタンとは、核軍縮に関する有志国のグループであります核軍縮とNPTに関するストックホルム・イニシアティブ、この枠組みに共に参加をしておりまして、NPTの関連会合において核軍縮措置に関する共同の提案を行うなどの協力を行ってきている次第であります。
引き続き、中央アジア諸国を含む国々と対話と連携を重ねつつ、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を推進してまいりたいと思います。
○吉田(宣)分科員 御答弁ありがとうございます。
是非お願いしたいんですね。私ども公明党は、核兵器禁止条約の国際会議にオブザーバー参加というのはこれからも強く求めていくのですけれども、政府の立場も十分理解しているつもりなんです。その現実的な国際情勢の下、できることは何でもやっていいんじゃないかと思うんですね。
締約国会議にオブザーバーで行かなくとも、中央アジア五か国と核なき世界の実現に向けて協力することについてどこも多分これを非難することはないと思いますし、ほかの国際的な取組、枠組みもあると存じますので、そういったところには積極的にコミットしていくことで、私は、最終的には核兵器禁止条約に世界の全ての国が入ること、このときを、夢ではいけません、現実のものとするために頑張っていきたいというふうに思っております。
残り時間が少なくなりましたけれども、残りの時間を使いまして、最近ニュースでも話題になっているオンラインカジノについて質問をしたいと思っております。
金融庁さんに来ていただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。また、答弁の一部、経済産業省にも来ていただきました。本当にありがとうございます。
オンラインカジノは、そもそもこれは日本の賭博罪が適用されます。最近でも、芸能人の方や、本当に残念なことですけれども、プロ野球の選手の方がちょっと関わったみたいなニュースも出ておるところでございます。
ただ、このオンラインカジノ、提供する側と利用する側の二者間だけで成り立っているわけではなくて、その間にお金のやり取りをする決済代行業者というものが存在している、そこで成り立っております。
これまでも決済代行業者が摘発された事例もあると聞いておりますし、また、多くの事例で巨額のマネロンを行っているというふうなものもお聞きをしているところでございます。ここで言う決済代行業者、通常我々が想像するような決済代行業者でなく、これはちょっと推察の域を超えられませんが、重大な組織犯罪を行う団体も存在しているのではなかろうかと思っております。
海外のオンラインカジノ事業者自体を取り締まることも大切なのですけれども、違法なオンラインカジノの送金に関わる決済代行業者を取り締まってお金の流れを遮断してしまうことによって、まず利用者はできなくなりますし、また、事業者も日本へのサービス提供にうまみを感じなくなるというふうに考えます。
そこで、質問、一つ目でございますけれども、カード会社のポリシーとして違法な決済に利用できない規約等が定められているが、オンラインカジノの決済代行業者の中にはクレジットカードがサービスとして使えるものもあり、クレジット会社の審査をすり抜けている場合もあるのではないかとお聞きをしております。政府からクレジット会社に対して指導すべきではないでしょうか。経済産業省からお答えいただければと思います。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
オンラインカジノの決済については、経済産業省は警察庁と連名で、クレジットカード会社に対して、クレジットカード会員に対する注意喚起や、会員がオンラインカジノでカード決済を行おうとしていることを把握した場合には当該決済を停止する等の対応を行うように要請しているところでございます。
御指摘を踏まえ、今後、クレジットカード会社に対して、議員が言及されているようなオンラインカジノの決済代行に関わる事業者を把握した場合には契約しないように要請することを検討していきたいと考えております。
引き続き、関係省庁と連携しつつ対応してまいりたいと思います。
○吉田(宣)分科員 御答弁ありがとうございます。
続けて、オンラインカジノの利用者が増え続けていっているこのような状況の中で、現行の規制は十分に機能していると私は言えないと思っております。特にマネロン対策など、より実効性のある対策を行うべきだと感じますが、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、金融庁としての意気込み、具体的な対策についてお聞かせいただければと思います。
○若原政府参考人 お答えいたします。
金融庁といたしまして、これまでオンラインカジノへの送金等についての取組といたしましては、警察庁の方とも連携をいたしまして、基本的には送金、法的には為替取引と申しますけれども、こちらは銀行の免許、あるいは資金移動業の登録を受けていなければ営むことができませんので、こういった無免許、無登録でそういった為替取引を営んでいる者に対しましては、警告書を発する枠組みがございます。
また、ほかにも、関係する銀行等の預貯金の口座につきまして、犯罪収益移転防止法等に基づく例えば口座の凍結でございますとか取引の停止を求めるといったような、こういったことは行ってきておるところでございます。
ただ、ただいま御指摘のとおり、更に対策を強化していくことが必要ということ、私どももそういった状況を認識しておりまして、例えば、送金に使われるものの中で……
○山下主査 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。
○若原政府参考人 収納代行というスキームに関しまして、例えば、最近更なる取組の強化ということで、法律の整備等が必要であるといったような審議会の議論も踏まえまして、我々、そういった制度の整備も進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○吉田(宣)分科員 終わります。
○山下主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○山下主査 次に、法務省所管について政府から説明を聴取いたします。鈴木法務大臣。
○鈴木国務大臣 令和七年度法務省所管等予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
法務省は、法秩序の維持、国民の権利擁護などの任務の遂行を通じて、国民の皆様方の安全、安心な生活を守るとともに、時代の変化を踏まえた新たな政策課題に取り組む必要があることから、所要の予算の確保に努めております。
法務省関係の一般会計予算額の総額は八千百三十四億二千五百万円であり、所管別に区分いたしますと、法務省所管分は七千四百三十六億三千八百万円、デジタル庁所管として計上されている法務省関係の政府情報システム経費の予算額は六百十九億七百万円、国土交通省所管の国際観光旅客税財源充当事業の予算額は七十八億八千百万円となっております。
何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。
なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元にお配りしております印刷物を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。
○山下主査 この際、お諮りいたします。
ただいま鈴木法務大臣から申出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
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○山下主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。
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○山下主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。
○塩崎分科員 衆議院議員の塩崎彰久でございます。
今日は、この第三分科会で質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。今日は、川口市を中心としたクルド人の難民の問題について取り上げたいと思っております。
今、全国どこでも外国人の方と共生するということは当たり前のようになっていまして、私の地元の愛媛県でも一万五千人の外国人労働者の方が暮らしていただいております。
ただ、こういう就労で来ていただいている方とは別に、やはり難民という形で、又は避難民という形で日本に来られる方もいらっしゃいます。私が議員になって一番最初に取り組んだプロジェクトの一つが、ウクライナの避難民の方を日本として受け入れたらどうかということを当時の岸田官邸に申入れなどさせていただきまして、一月三十一日現在で二千七百四十七名のウクライナからの避難民が、現在もこの日本で避難して暮らしていただいております。
そうした中で、昨今、川口市のクルド人の問題がメディアをにぎわすようになって、私も大変関心を持ってまいりました。実際に、現地に先月行ってまいりまして、どんなものかということを見てまいりまして、現地の方にお話を伺い、クルド人の方にもお話を伺い、住民の方、地方政治家の方、いろいろお話を伺いました。その結果の私の所感としては、実際にユーチューブなどSNSで取り上げられている部分には、若干のやはり誇張というか、行き過ぎた、過激なあおりみたいな表現もある。一方で、地域の住民の方々が抱えている不安、これは厳然としてそこにあるんだろうということでございます。
この川口市のクルド人の問題を川口市の問題としてこのままにしておくと、日本全体において、やはり外国人の方との様々な問題につながっていく可能性があるのではないか、これは早急に対応する必要があるのではないか、正確な事実を知っていただく必要があるのではないか、そんな思いで今日は質問をさせていただきたいと思います。
まず、資料の一でございますが、こちらが難民認定の手続の概要ということでございまして、認定申請を、一次審査を行いましたら、その後、退去強制の手続というのがありまして、退去強制になると国外に帰っていくということになるわけでございます。
まず、法務省に、入管にお伺いしたいんですが、トルコ国籍の方がビザなしで我が国に渡航し、短期滞在の在留資格で難民申請した場合には、特定活動の在留資格が認められると思いますが、そのような方は今何名いらっしゃいますでしょうか。
○杉山政府参考人 令和五年十二月末時点の統計でお答えさせていただきますが、お尋ねのトルコ国籍の方で特定活動の在留資格で在留している方は二千五百七十三人でございます。
なお、特定活動の具体的な内容は様々でありまして、必ずしも難民認定申請中の特定活動には限られない点については御留意いただければと思っております。
○塩崎分科員 では、今、難民申請をしている方が二千五百七十三名ということでございますが、この一回目の難民申請手続が終わり、認められず、二回目の難民申請、ここからは基本的に在留資格の延長が認められませんので、そのまま滞在を続けると不法滞在者として退去強制手続を受けるものと承知をしております。
このステージにいる方は今何名いるんでしょうか。
○杉山政府参考人 不法滞在者として退去強制手続を受けているトルコ国籍の方は、令和五年十二月末時点で千九十八人となっております。
○塩崎分科員 そうすると、難民申請の一回目をやっている方が二千五百七十三名、そして、その後の手続でまだ国内にとどまっている方が千九十八名ということで、三千五百人以上の方が今難民申請の手続の中で国内にいるということでございます。
この中で、退去強制令書、これが発付されて、我が国の退去が求められている方は何人いるんでしょうか。
○杉山政府参考人 不法滞在者といたしまして退去強制手続を受けており、退去強制令書が発付され、仮放免されているトルコ国籍の方は、令和五年十二月末時点で七百三十八人となっております。
○塩崎分科員 これまで多くの方がトルコから来て難民申請をしている中で、実際に難民として認められた方は僅かに四名でございます。
ということなので、こういう、三千人以上今国内にいるトルコからの難民申請の関係者の方に今後御帰国をいただくことになるというふうに考えておりまして、この数、日本に滞留している数が積み上がっていかないということが大事だと思っております。
では、どういう対応をしていくべきか。入口と審査のプロセスとそして出口、この三つのステージに分けてお伺いをしていきたいと思います。
まずは入口でございます。
資料の三を御覧いただければと思います。現在、トルコから難民申請、令和五年に申請をされている方は二千四百六名と理解をしております。入管には大変努力をしていただきまして、この一番下でございますが、トルコからの難民の中で、千六百八十八名については処理をしたということでございますが、申請が二千四百六名、そして処理が千六百八十八名ということで、なかなか申請件数に追いついていない。かなり頑張っていただいてはおるんですけれども、そういう現状がございます。
この対応として、国会でも議論になっておりますのが、JESTA、日本版電子渡航認証制度の導入でございます。このJESTAが入れば、一度難民申請ではじかれて帰国して、またビザなしで入ってくる、こういったことをいろいろ未然に防ぐことができるわけでございます。
リスクのある渡航者を事前にスクリーニングできるこのJESTAですが、今のスケジュールだと、導入は何と二〇三〇年まで待たなければならないというふうに聞いております。これはちょっと時間がかかり過ぎているんじゃないか、これだけ大事なことなのにという声もあるんだと思いますが、なぜこれほど時間がかかるのか、そして、JESTA導入を加速させるためにできることはあるか、お伺いしたいと思います。
○杉山政府参考人 電子渡航認証制度の導入に当たりましては、例えば、どのような方々を対象とするのか、あるいはどのような認証手続とするのか等、多岐にわたる事項について検討していく必要がございます。
また、全世界からオンラインで手続を受け付けることになりますので、安定運用が可能で堅牢なセキュリティー対策を施したシステムが必要でありまして、こうしたシステムの開発には時間を要するところでございます。
このような課題はございますが、出入国在留管理庁といたしましては、委員御指摘いただいたこの制度の意義に鑑み、諸外国の実態調査も早急に進めながら、できる限り早期の導入を目指して検討を更に加速させてまいりたいと考えております。
○塩崎分科員 数字上、難民申請が処理件数を大きく上回っている現状がございますので、できるだけ早く、一年でも半年でも早くJESTAが導入できるように引き続き努力をいただければと思っております。
さて、この入口の問題ですけれども、JESTAがあと五年かかるということで、じゃ、このままでいいのかということでございます。
トルコからの難民申請数が多いということの背景に、トルコに対してビザなし渡航を認めている今の査証免除制度があるのではという声がございます。
ちょっと外務省にここはお伺いしたいんですが、実際に現地に行っても、トルコの方で、最初は本当はアメリカに行きたかった、でも、アメリカに入ろうと思ったら銀行口座とかいろいろな書類を求められて諦めました。次にオーストラリアに行こうと思ったら、オーストラリアもいろいろ書類を求められて無理だ。日本はそのまま行けるじゃないかということで、ビザなしでやってきましたというお話を聞きました。
今、日本に対する難民申請上位十か国、スリランカ、トルコ、パキスタン、インド、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、ウズベキスタン、ミャンマー、アフガニスタン、この十か国の中で査証免除になっているのはトルコ一国でございます。
トルコとは長い友好関係がありますので、査証免除協定は意義があるということも、そこも分かっております。ただ一方で、これだけ大きな難民申請の問題をこのままにしてはいけないというニーズもある。査証免除協定を直ちに破棄したらいいんじゃないかということを申し上げるつもりはありません。
一方で、過去には、免除協定の破棄まではいかなくても、問題があるときに査証取得勧奨措置というのを外務省は入れたことがあると聞いております。例えば、ペルーに対しては九五年に、コロンビアに対しては二〇〇四年に、一定の入国についての社会的懸念があるときには査証は取ってきていただいた方がいいですよという査証勧奨措置を取ることによって、実際に入国のところで不適切な入国について一定のコントロールをかけていく、こういう措置でございます。
これ以上クルド人に対する国民感情や不安が悪化しないように、例えば、JESTA導入の二〇三〇年までの時限措置としてでも、トルコに対して同様の査証取得勧奨措置の導入、これを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松本大臣政務官 お答えします。
委員おっしゃるとおり、トルコとは非常に友好な状態でございますので、この問題は慎重に検討していかなければいけないと思っております。
トルコに対する査証免除措置というのは、トルコ国との人的交流の促進を通じた両国の間の友好関係の発展に寄与するものであるというふうに認識をしております。現時点でトルコに対する免除措置を直ちに停止する必要があるとは考えておりません。これは委員が今おっしゃったとおりだと思います。
また一方で、査証取得勧奨措置でありますけれども、この措置の対象である国、地域からの観光客又は短期商用旅行者であっても、日本の空港等における入国審査のときのトラブルの発生を防止するためにこの措置というのはあって、そして、前もって日本大使館又は総領事でビザを取得することを勧奨するものであるというふうなものであります。
トルコに対してこれを導入することに対しては、その意義がどういうものであるか、そしてどんな効果があるか、これについてはトルコ国とも相談をしながら慎重に考慮する必要があるというふうに考えております。
したがいまして、トルコとの間でこれまでも、犯罪防止そして出入国在留管理上の懸案がございまして、それの解消に向けた二国間の対話を続けてきて、なおかつ強化をしてきております。その中で、クルド系トルコ国籍者の皆さんへの対応については、トルコ政府当局とも情報交換を重ねながら、引き続き、入管庁等々の関係省庁とも連携をしながら、慎重に対処してまいりたいというふうに思っております。
○塩崎分科員 松本政務官、ありがとうございました。松本政務官は恐らく私以上にこうした問題について非常に危機感を持っていらっしゃるのではないかと思います。今御答弁の中でも、入管等と連携をしながら、この問題についてトルコとの協議の中で当たっていっていただけるということでございましたので、国会でこういう要望も出ていますということも含めて、しっかりと難民申請の入口のところでコントロールしていくということを御検討いただければと思います。
入口の話をしました。次は、審査の中身でございます。
資料三を御覧いただければと思います。一年間の全国での難民申請の件数一万四千件。実際の今入管での処理件数は、この二段目を見ていただきますと八千百八十四件となっております。全国の難民調査官の方の人数というのは、今専従でない方も含めて三百九十七名と理解をしております。単純計算すると一人当たり年間三十五件以上さばかなければなりません。
この人員の体制の下でどうなるかというと、資料二に戻っていただければと思います。審査が長期化しております。元々難民認定審査の標準処理期間というのは六か月を想定していると理解しておりますが、この資料を見てください、今、平均処理期間は、下の方ですけれども、一次審査で二十六・六か月、そして、不服申立てで九・九か月ということで、合わせて三十七か月。三年かかるんですね。これではなかなか、入口を幾ら締めても、中にいる方々の処理も十分追いつかないのではないかと思っております。
資料五を見ていただければと思います。令和七年度予算での難民調査官の増員、こちらは十名となっております。ほかにも入管では観光客の増加とか在留資格の対応とか入管業務は増える一方である中で大変苦しいと思いますが、より抜本的な人員体制の拡充が必要なのではないかとこの数字を見ていると感じるところですが、今後の増員計画についてお伺いしたいと思います。
○杉山政府参考人 議論の前提といたしまして、現在の入管庁の令和六年度の職員数ですが、六千三百五十八人でありまして、そのうち、難民認定審査や出入国審査などに従事する入国審査官数は三千九百九十一人でございます。
入管庁といたしましては、委員から御指摘があった業務を含め、当庁に求められます様々な業務に対応するための体制整備に努めておりまして、令和七年度の政府予算案におきましては、入国審査官等百五十三人の増員が計上されているところでございます。
出入国在留管理行政を適切に遂行するため、引き続き必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○塩崎分科員 最後に、今、入口と審査の話をしてまいりましたが、出口の話もさせていただきたいと思います。
資料四を見ていただければと思いますが、上から二段目、全国における退令仮放免中のトルコ、スリランカ、パキスタン国籍者数、トルコは七百三十八名となっております。退去強制令書が発付されていて、そして仮放免でトルコの方が七百三十八名、今国内に残っているわけでございます。退去強制令書を執行すれば、この方々は国外に帰っていただくことになる、そのステージまで来ている方でございます。
昨今ですと、アメリカではトランプ大統領が軍用機に大量に不法難民を乗せて国外に、元々の来た国に戻した、こういう事例がございました。これがいいかどうか、これは賛否あるとは思いますが、この七百三十八人の方がいたずらに国内に残るということは、今まさに起きているような社会不安を増幅させることになるのではないかというふうに考えております。
令和六年度の補正予算で初めて、私が知る限り初めてですけれども、難民の方々の護送費用として八千三百万円、これが計上されたと理解しております。自民党の先輩議員の新藤先生などが大変御尽力をされて実現したと理解しております。この七百三十八名の方、そしてその後も退去強制令書の対象になる方の帰国に向けて、例えばチャーター機があれば送り返すことができるということであれば、更に予算を積み増していただいて、これを早期に送り返していただく。また、そのチャーター機などの予算以外に、この方々に早期に帰国していただくために何か必要なものがあれば教えてください。
○杉山政府参考人 委員御指摘いただきましたとおり、退去強制令書が発付された者については、早期に送還することが必要でございます。
一方、送還忌避する者がいることも事実でございまして、出入国在留管理庁といたしましては、送還忌避者を縮減するために、その傾向や効果的な送還手法等について分析、検証を行いつつ、事案に応じた形態、すなわち、護送官を付した個別送還、小規模の集団送還、保安要員を付しての送還、チャーター便による集団送還などにより、安全、確実な送還を実施していくこととしているところでございます。
また、これらの取組を促進するために、必要な体制の整備を図ることに加えまして、護送官は、送還を妨害する行為を未然に防ぎ、送還される者、護送官双方の受傷を避けるために高いスキルが求められますことから、護送官として従事する職員の研修、訓練を更に充実させるとともに、訓練体制の整備を図っていく必要があると考えております。
○塩崎分科員 送還を強化する必要性について、入管としても十分その重要性を御理解いただいて今取り組んでいただいているということでございます。更にこの取組を強化していただければと思います。
鈴木法務大臣、今日いろいろこの川口のクルドの問題を伺っておりまして、私はやはりこの問題は、まさにこれから我々日本が外国の方とどうつき合っていくか、その非常に大きな試金石になるのではないかと思っております。
適法に在留資格を持って、就労ビザなどで日本に働きに来ようという優秀な外国人の方にもっともっと来ていただかなければ、この人口減少下での日本の経済発展というのは、望むことは大変難しいところでございます。一方で、こういう川口の問題などが実態以上に大きくあおられ、又は、ここでこういう問題が相次ぐことによって、日本全体が外国人に対して怖いとか、外国人ヘイトが広がる、こういったことがあっては社会として大きな大きなマイナスになると思っております。単純に言えば、入ってくる数と同じ数だけしっかりと処理をして対応していく、必要であればすぐに帰っていただくということが必要だと思っております。
今日のお話を聞く中で、法務省、そして入管の方から、しっかりと、初めてクルド人のステージごとの具体的な人数をお示しいただくことによって、この問題の規模感が分かりました。そして、この対応については、入口については、しっかりと難民申請者を抑えていくために、JESTAの早期導入であったり、又は査証の工夫ができないか、審査の段階においては、難民調査官の体制が今本当に足りているのか、もっと強化しなければいけないのではないか、そして出口のところでは、退去強制令書の発付の対象になっている方に早く帰っていただくことが必要ではないかと考えております。
こうした取組を、是非、鈴木法務大臣のリーダーシップの下で強力に進めていただければと思いますが、大臣のお気持ちを聞かせてください。
○鈴木国務大臣 ありがとうございます。今、塩崎委員、おっしゃったこと、全面的に私も同意というか、共感をするところであります。
実際に先生におかれては川口の現場も御覧をいただいたということで、まさにそうした中で様々な問題意識から発言をいただいたと思っています。
今、日本を除くG7では、この外国人との向き合い方、これが一番の大きな問題の一つになっている、そういった現状もあります。そういった中で、やはり日本が自由で開かれた社会であるためにも、こうした適切な対応、これが欠かせないんだろうと私は考えております。
そうした中で、今、入口、審査、そして出口と三段階に分けて、まさに非常にいい御質問、御議論をいただいたと思っています。JESTAについても、なるべく早くと、まさにそのとおりでありますし、そして、審査についても、きちんとした審査をしていくためにも、やはりそこはマンパワーということも大事ですし、様々な環境整備もしていかなくてはいけません。出口についても同様だと思います。
そうした中で、やはり適切に、こうした予算、人員というものも含めて、どうきちんと対応していくことができるのか。この日本にとって一番大事な問題の一つである、そこの今ちょうど岐路にあるこの状況だからこそ、そうした点をしっかり私どもとしても取組を進めていきたいと思っております。
○塩崎分科員 今、鈴木大臣から川口のクルド人の問題について、しっかりと省として対応いただくという強い決意をいただきました。ありがとうございます。我々も全力で応援をさせていただければと思っております。
最後に、ちょっとテーマは変わるんですけれども、相続された土地の取扱いについてお伺いをできればと思っております。
私の地元の愛媛県松山市でも、放棄されたおうちとか、なかなか手入れのいかない土地、こういったものが増えてきているところでございます。こうした所有者不明の土地への対応として、昨今は様々な法改正を法務省としても進めてきていただきました。
資料の六番を御覧いただければと思います。
まず、令和五年四月から相続土地国庫帰属制度が施行されておりまして、令和六年の四月からは相続登記が義務化をされております。それぞれの制度、施行から少し時間がたちましたが、今の利用状況についてお伺いしたい。そして、これの更なる利用に向けた周知、広報に向けてどのようなことを考えているか、教えていただければと思います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
相続土地国庫帰属制度の申請件数でございますが、本年一月三十一日時点で合計三千三百四十三件であります。同日時点の国庫帰属件数は千三百二十四件でありまして、残りの申請の多くは現在は審査中であります。
また、令和三年の不動産登記法改正によりまして、令和六年四月一日から相続登記が義務化をされております。相続登記の件数は、令和二年度は約百十四万件でございましたが、改正法が成立した令和三年度以降、順調に増加をしておりまして、令和五年度は百五十万件を超えたところであります。本年度、令和六年度は昨年十一月末までで百六万件を超えておりまして、前年度の令和五年度の同期比でいいますと、約一一%増加をしているところでございます。
これらの制度を円滑に運用していくためには、国民各層に行き渡る丁寧な周知、広報を実施することが重要であるというふうに考えておりまして、そのためには、司法書士の先生方ですとか、あるいは土地家屋調査士の先生方などの専門家等の協力が不可欠であるというふうに考えております。法務省法務局では、司法書士会それから土地家屋調査士会などと緊密に連携をいたしまして、全国で周知、広報活動を展開しているところであります。
今後も引き続き、司法書士、土地家屋調査士の先生方を始めとする皆様とともに、制度の周知、広報にしっかり努めてまいりたいと考えております。
○塩崎分科員 ありがとうございます。
法改正をして導入した制度が、国庫帰属については三千件以上、そして相続登記については毎年一〇%以上の伸びで着実に広がってきているということは、大変心強いことだと思っております。
ただ、これは、まさに当事者の方は、相続の前後のタイミングというのは非常にやはり心細かったり、混乱したり、制度が複雑だったりするということもございます。今、司法書士会そして土地家屋調査士会を挙げていただきましたが、そういった専門家の方々としっかり政府が連携をして、こういった制度の周知、広報、利用促進を更に進めていっていただくことが大変重要ではないかと思っております。引き続きの努力、また広報、よろしくお願いいたします。
本日は、大変ありがたい貴重な時間をいただきまして、質問に答えていただきました。ありがとうございました。
○山下主査 これにて塩崎彰久君の質疑は終了いたしました。
次に、高橋英明君。
○高橋(英)分科員 日本維新の会の高橋英明でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
昨日、急遽質疑が決まりまして、役人の皆様方には夕方まで、ありがとうございました。残業になっちゃったのかなと思いますけれども、働き方改革はまず霞が関からやらなければいけないなというふうに思いますが。
今、塩崎議員ですか、川口の問題を取り上げていただきまして、本当にありがたいなというふうに思っています。これだけやはり大きな問題になってきたんだろうと再確認をさせていただいています。
先日、予算委員会で石破総理もおっしゃっていましたけれども、大臣も、本当に早急に解決しなければ、これは大きな問題になる、もう問題にはなっていますけれども、是非お願いしたいなというふうに思います。
ちなみに、私は生まれも育ちも川口で、今、うちの前の通りは、夕方になると日本人よりクルド人の方が多いですからね。これは本当の話でございますので、是非一度御覧いただければいいかなというふうに思います。
さて、質問の前にちょっと一点お伺いしたいんですけれども、今月二十四日、クルド人のコンサートが埼玉会館で行われる予定だったんですけれども、音楽家が二十二日に日本に来日して入国を拒否されたというんですね。それでこのコンサートは中止になったんですけれども、この経緯をちょっとお聞かせください。
○鈴木国務大臣 報道等で今の話は承知をしておりますが、個別の事案ということで、ここでのお答えについては差し控えさせていただきたいと思っております。
その上でありますけれども、一般論ということになりますが、日本に上陸をしようとする外国人、上陸の申請があった場合には、入管法に規定する上陸のための条件に適合しているのか、そうしたことを審査をします。その審査の結果として、当該外国人が上陸のための条件に適合していない、そういった場合には上陸を拒否する等の措置で、これは適切に判断をしているところであります。
○高橋(英)分科員 結構何か大騒ぎをしているふうにも見受けられますけれども、我が国にこれは不備はないということでよろしいですね。
○鈴木国務大臣 私どもとして適切に対応しているということでございます。
○高橋(英)分科員 分かりました。
一点、ちょっとお聞きしたいんですけれども、このクルドの方はPKKに属していて、トルコからドイツに亡命をしている。ちょっと不思議でしようがないんですけれども、そういった亡命をしている方が、トルコと日本は友好国ですけれども、そういった方というのは普通に日本に来れるんですか。
○鈴木国務大臣 若干繰り返しになって恐縮ですが、個別の事案ということで、この場でのことについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、入管当局の方で、それぞれ、上陸を希望する、そういった外国人については適切にその都度判断をしているということであります。
○高橋(英)分科員 これは非常に重要なことなんだろうなというふうに思っています。
先日の予算委員会で、私、水際対策ではないですけれども、国際テロの認定について質問をさせていただきました。私、十一月にトルコへ行ってきたんですけれども、クルド人の国会議員の方と、あと民間のシンクタンクの方ともお話をしたんです。
やはりトルコにはクルド人の迫害はあるらしいです、差別は。ただし、どういったケースかというと、PKKと関わりがあるかどうか、PKKと関わりのあるクルド人は、やはり検挙の対象ですから、これは当然区別がある、それ以外の方々は一切そういったことはないということをおっしゃっておりました。
やはり、トルコ政府で、このPKKの問題というのは非常に大きな問題なんですね。先日も駐日大使とお話をしていたときに、PKK、このコンサートの話題もちょっと出ましたけれども、やはり大使の顔色が変わりましたからね。それだけ大きな問題だというふうに思うんですね。
そして、トルコはPKKかもしれないですけれども、ほかの国々にもやはりテロ組織はあるわけですから、日本としてしっかりと独自にそういった指定をする機関等々を設けるべきだというように思いますので、いま一度お願いいたします。
○鈴木国務大臣 高橋先生は、先日の予算委員会でもそうした趣旨の質疑もされていたと承知をしていますけれども、こうした国際テロ組織、これを我が国として認定するのかどうか、そういった話をされていたと思いますし、今もそうした御趣旨の質問だと思います。
そうしたことで申し上げれば、テロ組織を法的に認定する、そういった制度ということで申し上げれば、今、日本にはそうした制度はないということであります。
例えば、これは私どもの所管ではありませんが、外為法であったりとか、あるいは、警察庁の方でも、そうした法案も提出をされ、成立をしたと承知をしています。そうした中で、ただ、政府全体として、そうしたテロ対策ということでいえば、それぞれの場、その場その場において適切にそうした対応をしていると思います。
その一方で、例えば入国管理という観点で、ここがテロ組織だどうだということの、そうしたことを明示的にやっていく、そういった判断は私どもとしてはしていない。
その一方で、公安調査庁等において、ここは、国内外の関係機関とも緊密に連携をしながら、不穏動向の早期把握等を適切に行えるように、そうした情報の収集、分析ということに努め、結果として、こうした入管法の規定においても、そういった趣旨から、例えば、国連安保理決議といった国際約束により本邦への入国を防止すべきとされている者、これは法的にもはじいているわけでありますけれども、それに加えて、テロ行為を行うおそれがあると認めるに足る相当の理由がある者については法務大臣が認定をするということで、そうした退去強制の手続を行うこととしております。
そういったことで、実際のそうした入国管理において、我々としても、テロをきちんと未然に防止できるように、これは情報収集、情報分析も含めて厳格な水際対策を行っているという状況ということで、そういったことの御答弁に尽きるのかなと思います。
○高橋(英)分科員 先日もお聞きしましたけれども、法的にそういった制度を設けると、やはりステージが上がると思うんですよ。皆さんの認識もそうですし、絶対ステージが上がると思うので、こういった友好国でテロ認定している人たちが平気で日本に入ってこられるような状況にこれまでなっていましたから、本当に水際対策をしっかりしているとはとても思えないので、是非しっかりとしたそういった法的なものをつくっていただきたい。そうすれば必ずステージが上がってくると思いますので、是非検討していただきたいんですけれども、いま一度お願いいたします。
○鈴木国務大臣 今申し上げましたように、入管法上も、そうした法務大臣の認定ということで適切な対処ができる、そういったスキームになっております。
恐らく、これはいろいろな考え方があると思うんですけれども、例えばそうしたリストを対外的に公表するということで、抑止力という意味では効果は当然あることもあろうかと思いますけれども、同時に、何を我々として見ているのか、あるいは、どういった趣旨でそういった指定をしているのか等々の、そういった手のうちをまさにさらすことにもなりかねません。
そういったことの様々な検討をする中で、現状、私どもとしては、こうした入管法の中で情報収集等も、公安調査庁等とも連携をしながらそうした適切な対応を行うということで、今、そうした対応を行っております。
〔主査退席、稲田主査代理着席〕
○高橋(英)分科員 先ほどの塩崎議員もこの問題を質問していましたけれども、恐らく、この通常国会でまだまだ質問者が出てくると思うんですね。非常に私としてはありがたいんですけれども、是非この通常国会で、やはり一歩でも二歩でもこの問題は前進をするということを本当に期待をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
改正入管法が昨年の六月に施行になりましたけれども、もう八か月たっております。現状での効果をお聞きしたいんです。
○杉山政府参考人 令和六年六月十日に施行された改正入管法におきましては、重大犯罪の前科がある者、あるいは三回目以降の難民等認定申請を行っている者については、送還停止効の例外という規定が新たに設けられました。それにより、難民等認定申請中であっても送還を行うことが可能となったところでございまして、この規定を適用して送還した実績はございます。
ただ、件数等につきましては、現在、公表に向けて時期や在り方を検討しているという状況でございますので、御理解いただければと思います。
○高橋(英)分科員 人数はずっと聞いているんですけれども、全然出てこないので、昨日、ちょっとお願いしたんですけれども、スケジュールを決めましょうよ。十二月で締めて、三月に是非公表してください。
○杉山政府参考人 今、時期や公表の在り方については検討中でございますが、一つの考え方としては、やはり暦年で、十二月末時点で締めて、それを公表するというようなことを考えているところでございます。
○高橋(英)分科員 是非、お願いをしたいと思います。
先ほど、前の方の質疑を聞いていて、七百三十八人、退去命令がもう出ているという話なんですけれども、これは分かっているだけですよね。実は、トルコ国籍の我が国の行方不明者というのは、たしか約千人ぐらいいるんですよね。それは多分入っていないと思う。
この千人というのは、恐らく、やはり同じような同胞のところにいるわけですよ。行方不明の千人というのも、川口を中心とする埼玉県南部に恐らくいると思われるんですね。そう考えると、プラス千人なんですよね。七百三十八プラス千人だという勘定になるので、そういった頭で是非いていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。本当に、それだけ人数が多いんです。
在留資格を持っている人が約千三百人ぐらいいるのかな。だから、合わせると三千人以上もいるということですから、把握しているのが二千人だと思いますけれども、そういう状況だということも是非知っておいていただきたいし、また、行方不明者がこれ以上増えないように、是非しっかりと手だてをしていただきたいというように思っています。
あと、改正入管法、六月施行になりましたけれども、やはりまだまだ甘いなというふうに思うんですね。だって、ビザなしで入ってきて観光して、九十日たって、僕はやはり難民ですと申請できるわけですよね。こんなばかな話はないわけで、やはり、入ってきたときに、そのときに、難民だったら難民申請させるべきだというふうに思うんですよ。そういったやはり改正が必要だと思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 現行の入管法ということで申し上げますと、本邦にある外国人から難民認定申請があったときに、難民の認定を行うことができる旨の規定でございます。難民認定申請に当たって、本邦にあること以外に、申請の時期等についての特段の制限というものはないわけであります。
この点、今お話がありましたような運用を行うことで、入国後の事後的な難民認定申請を受け付けないということになってしまうわけですから、そうしたこととなった場合に、難民条約上の難民に該当する者であっても、上陸申請時に意思表示をしなかったことを理由として難民認定を受けられない、そういった結果も招きかねない、そういったこともあろうかと思います。
そうしたことの中で、御指摘のような運用法、これは慎重に検討を要するものというふうに考えておりまして、直ちにそうした御趣旨の入管法の改正を行うべきというふうには我々としては考えていない状況であります。
○高橋(英)分科員 直ちに行うべきだとは考えていないというのは、やはり、まだまだ人ごとなんだろうなというふうに思いますね。国民の生命財産を守るじゃないですけれども、やはり実際に本当に危機を感じている方々がいるんですね。先日も話しましたけれども、私も危機感をすごく持っていますし、警察から夜一人で歩くなというふうにも言われているぐらいですから、やはり、もうちょっと危機感を持っていただきたいなというふうに思っています。
例えば、我が国に、私、日本人でも書きますけれども、いろいろ書きますよね、入国するときに何を持っていますとかチェックするところがあるかと思いますけれども、あれで一時庇護とかもあろうかというふうに思います。例えば、あそこに難民申請をしますかどうかという欄をつけ加えるというのも一つの方法ではないかと思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 先生御懸念の、例えば川口における様々な事象等々、住民の方々が非常にそうした懸念を持たれている、そういった危機感、そこについて私どもとしても共有しています。
その上で、我々としては、やはり不法な状況で滞在をしている外国人の方には、しっかり速やかに出ていっていただく、これが基本的なスタンスですし、我々としてはそうした意思の下で様々な運用を行っているところであります。
そのことと、入国時に全ての外国人の方に難民申請するかどうかの意思を確認をして、そこで言わなかったらその後難民申請できない、そういった運用をするということ、これは若干、私は、少し重なるところもあるにしても、そこは必ずしも一致をすることではないんだろうと思っています。
そういった中で、我々としては、しっかりとした運用を行うことで、不法な滞在をするような外国人についてはしっかりと出ていっていただいた上で、今御趣旨の点については、すぐに今入管法の改正によって対応するということではないというふうに我々としては考えております。
○高橋(英)分科員 堂々巡りになっちゃうと思います。この話はやめますけれども、今、難民申請は二回となっていますが、もうこれは一回で十分だというふうに思っていますので、その点もちょっと今後検討に入れておいていただきたいというように思います。
先ほどの方もビザのお話をしておりましたけれども、先日、岩屋大臣が中国のビザ緩和をしたので、ビザというのは簡単に操作ができるんだなと本当に分かっちゃいましたので、今、トルコの話になっちゃいますけれども、是非ビザをやってほしいと思いますけれども、いかがですか。
○松本大臣政務官 御指摘のビザの、今のお話は恐らく、外国人の人たちのビザの取得というのを一様に制限しろというような意図ではないかというふうに思います。
今、我が国は、現在、七十一か国の国と地域に対して、短期滞在を目的としたビザの免除措置を導入しているわけでございます。
これは、相手との関係の強化、それから人的交流促進による経済効果、相互理解の増進、そして、一方で、出入国の在留管理や治安への影響といったことを勘案して、関係省庁間で緊密に連絡しながら、どの国のビザを免除するかどうかということを、最終的に可否の判断をしているわけです。
これまで不法残留者を理由に、ビザ免除措置を取ったというのは、一時停止した事例はございますけれども、現時点で、査証免除措置の対象国、地域について、一律に査証の取得を求める必要があるというふうには考えてはおりません。
個別の国、地域の状況を踏まえつつ、相手国との関係を、相談しながら対策を講じていきたいというふうに思っております。
○高橋(英)分科員 先ほども出ていましたけれども、二〇三〇年までに日本版のESTAをつくるという話ですけれども、何でそんなにかかるのかなと本当に不思議でしようがないんですね。
もうESTAを導入している国というのは多数あろうかというふうに思っているんですけれども、今現在でESTAを導入している国というのは何か国ぐらいあるんですか。
○杉山政府参考人 出入国在留管理庁が把握している範囲で申し上げますと、G7では、アメリカ、カナダ、イギリスで電子渡航認証制度が既に導入されており、また、EUにおきましても今後導入予定と承知しております。これらのほか、韓国やオーストラリア、ニュージーランドといった国においても導入済みと承知しているところでございます。
○高橋(英)分科員 これだけの国がもう導入をしているのであれば、やはりそういったベースはすぐできるんだろうと、素人的に考えるとどうしても思ってしまうんですけれども、それほど難しいものなのかなと本当に不思議でしようがないんですね。
今、ちょっと戻りますけれども、我が国はやはり外国人の受入れ体制というのが私はまだまだなんだというふうに本当に思っているので、ビザを免除しているところに頭を下げてもいいと思いますよ。大変申し訳ないんですけれども、我が国はちょっとまだ整備が整っていないので、JESTAができるまででもビザを発行するようにさせてくれと言うべきだというふうに思いますけれども、どなたになるか分かりませんが、ちょっと見解を聞かせてください。
○杉山政府参考人 査証の点になりますと外務省の御判断ということで、私どもから申し上げるということではありませんけれども、やはり厳格な入国管理というのは重要な点だと思っておりますので、御指摘の点も踏まえて、ESTA導入前であっても厳格に入国管理に努めてまいりたいと考えております。
○高橋(英)分科員 厳格にする一つがビザというふうにちょっと捉えたいと思いますので、是非お願いをしたいと思います。
ちょっと質問を変えます。
育成就労について、これも外国人の問題に絡むので、ちょっとお聞かせください。現状の進捗状況をお願いします。
○杉山政府参考人 育成就労制度につきましては、令和九年の四月から六月までに運用を開始することを予定しております。
施行までの間に、制度全般にわたる基本的な事項を定めるための基本方針の策定、各分野の受入れ見込み数その他の方針等を定めるための分野別運用方針の策定、政令及び主務省令、運用要領等の整備が必要と認識しているところでございます。
現在は、育成就労制度の基本方針等の政府案につきまして、今月開催しました有識者会議の御意見等を踏まえ、本年三月中に関係閣僚会議決定、閣議決定を得ることを目指して取り組んでいるところでございます。
また、主務省令につきましては、本年夏頃に公布、育成就労制度に係る分野別運用方針につきましては本年十二月に関係閣僚会議決定、閣議決定を得ることを目指すなど、所要の準備を進めているところでございます。
○高橋(英)分科員 令和九年ということですけれども、私は技能実習から名前が変わっただけだなと本当に思っていて、多少、ちょっと枠が広がったのかなというふうに思います。
令和九年ということは、まだ二年以上あるのかな、今、技能実習生の現状としては、年間一万人ぐらい行方不明者が出ている事実があるわけですよ。これをあと二年間、このままほっておくのかという話になっちゃうんですよね。その点、いかがですか。
○杉山政府参考人 委員が御指摘いただきました技能実習生の中から失踪者が出ているという問題につきましては、入管庁としても重く受け止めているところでございます。
技能実習生の失踪原因を明確に特定することは困難な面もございますが、一部の受入れ機関の不適切な取扱い、当初見込んでいた入国後の収入額等が実際と異なって、入国前に支払った費用を返済するために新たな就労先を求めるなどの技能実習生側の経済的な事情などがあり得るものと考えているところでございます。
こうした失踪の問題も含めまして、技能実習制度の適正化に向けて平成二十九年に施行された技能実習法の下では、外国人技能実習機構による失踪事案発生時の臨時の実地検査の速やかな実施、送り出し国に対し悪質なブローカーの排除を求めるなど、二国間取決めに基づく対応の強化、在留カード番号等を活用した不法就労等の摘発強化などの施策を行ってきたところでございます。
また、受入れ機関側による不適正な取扱いがあった場合には、やむを得ない事情があるものとして転籍を認めることとしておりますが、転籍を行うことなく失踪する者がいるとの指摘もなされていたことから、昨年、令和六年十一月に転籍が認められるやむを得ない事情の範囲の明確化や、その手続の柔軟化を内容とする運用の改善を行ったところでございます。
この運用改善によりまして、これまで受入れ機関側による不適正な取扱いを理由に失踪していた技能実習生が、失踪という手段を取らずに転籍を申し出ることが期待されるということから、失踪の防止にも資するものと考えているところでございます。
入管庁といたしましては、引き続き、関係省庁等と連携しながら制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
○高橋(英)分科員 いずれにしても、多分ですけれども、最初から、技能実習で来て、ちょろちょろっとやってすぐに行方不明になっちゃおうというふうな魂胆で来ている人間も、中にはいるんじゃないかなというふうに思うんですよ。じゃないと、ブラック企業、まあ、あるんでしょうけれども、一万人というのは相当な数ですからね。一万人が、またどこか不明になるわけですよ。
それで、ベトナムの方が多いのかな、事もあろうに、ちょっと地元の話になっちゃいますけれども、川口は中国人が今三万人以上いますからね、その次がベトナム人なんですね。やはり同胞のところに集まるわけですよね。やはり技能実習でベトナムの方は非常に多いので、実は、川口というのはクルド人だけの問題じゃないので、だから、ちょっと聞いているんです。
とにかく、二年間まだあるというのは恐ろしい話だなと私は思っているので、ちょっと、しっかりとやっていただきたいと思うんですね。二年間、育成就労になるまで指をくわえて待っているわけにはいきませんので、是非これはお願いしたいというように思います。これは強くお願いしますね。
先日かな、ベトナムの大臣か何かが来て、去年か、ちょっと会いましたけれども、ベトナムの方も、やはり川口と言うとすぐ分かりますね。それだけ技能実習の受入れが多いんだというふうに思っています。元々、この技能実習制度が始まった発端は、我が町川口市でというふうに言われていますので、その辺は技能実習が多いのは当たり前かなというふうに思いますけれども、二年間というのは長いですから、是非お願いしますね。
それで、働き方改革についてちょっと最後に聞きたいんですけれども、二〇二四問題というのは大きな話題になりましたけれども、これもやはり、建設業界では外国人労働者はめちゃくちゃ今多いわけですよ。
ゼネコンに聞くと、今首都圏で大きな災害があったら、みんなゼネコンは、とてもじゃないけれども復興なんかできないと口をそろえて言いますよ。その理由は、やはり外国の方々は帰っちゃうというんですね。そうすると、労働力がなくなってしまう。だから、とても復興どころじゃないと。東日本の震災なんかでも事例がありますから、多分、これは現実なんでしょうね。そういう状況なんですね。だから、やはり国内で、最低限の日本人の労働力というのは絶対確保していかなければいけないというふうに思うんですよ。
この業界は、やはり職場環境は芳しくないと言われている、稼げないというふうに言われている、だから人が集まらないので、職場環境が改善されてきっちりと稼げるようになれば、これは絶対に人は集まりますよ。その辺、ちょっとお聞かせ願えますか。
○蒔苗政府参考人 高橋委員からの、国内人材確保の観点から賃上げをしっかりやるべきという御質問にお答えいたします。
建設業の現場で働く方の賃金を上げていくためには、まずは、その原資となる労務費、賃金の総額みたいなものですけれども、これが、受発注の段階から実際に賃金を支払う下請業者の方までしっかり行き渡り、確保できることが重要であります。
昨年六月に改正しました建設業法におきまして、国があらかじめ示した適正な労務費の基準を著しく下回る積算見積りや請負契約を禁止する新たなルールを導入することとしてございます。下請業者の方々は、適正な労務費を工事代金のまずは見積りに盛り込み、しっかりと工事代金を確保するとともに、技能者の方々に対して能力に応じた適正な賃金を支払っていただく必要があります。
こうした新たなルールでございますけれども、この実効性を確保するための対策につきまして、現在、中央建設業審議会ワーキンググループにおきまして検討しているところであります。工事の発注者あるいは元請、下請の受発注者の代表者など、現場の実態をよく知る方々に参画いただいて、設計しているところであります。
先生御指摘の技能者の賃上げにしっかりとつながるよう、仮にこうしたルールに違反がある場合には、建設Gメンが個々の請負契約を実地調査して改善を求めるなど、賃上げの実現に国交省として全力で取り組んでまいります。
○稲田主査代理 既に時間が来ておりますので。
○高橋(英)分科員 もう時間ですので。
二〇二四問題で残業ができなくなって、結局、アルバイトとかをしちゃっている労働者が非常に多いので、ちょっと本末転倒状態になっている。私は、働き方改革をもう一回改正した方がいいと思いますので、是非お願いしたいと思います。
本日は終わります。ありがとうございました。
○稲田主査代理 これにて高橋英明君の質疑は終了いたしました。
次に、篠田奈保子君。
○篠田分科員 立憲民主党・無所属の篠田奈保子でございます。
本日は、まず、今国会で大きな争点となります選択的夫婦別姓制度について御質問をさせていただきます。
まずは、現時点で、選択的夫婦別姓を求める自治体からの意見書、国会に提出件数、何件寄せられておりますか。お聞かせいただけますでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年四月一日から本日までに地方自治体の議会から法務省に提出された意見書のうち、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見書が二百十九件、選択的夫婦別氏制度の導入について議論することを求める意見書が二百九件、選択的夫婦別氏制度の法制化に反対する意見書が六件、旧姓の通称使用の拡充を求める意見書が十九件であります。
○篠田分科員 ありがとうございました。
二百十九件そして二百九件と、積極的な意見書が多く国会に寄せられているということで、この意見書の趣旨をしっかりと踏まえた国会での議論が必要であると考えております。
次に、現在の夫婦同姓制度の下で、国際結婚の場合、夫婦の氏はどうなりますか。また、出生した子供の氏はどのように決定されるか、お答えください。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
日本人同士が婚姻をした場合には、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定める民法第七百五十条が適用されることから、夫婦は同じ氏を称することになります。
他方で、外国人が称している氏には、日本の民法にいう氏と同一の性格を有するものではないというふうに考えられますので、外国人は日本民法第七百五十条の予定する氏を有していないと考えられます。したがって、日本人と外国人が婚姻をした場合には、当該日本人に民法第七百五十条の適用はないことから、日本人の氏は変更されないということになります。
もっとも、外国人と婚姻した日本人がその氏を配偶者である外国人の称している氏に変更しようとするときは、戸籍法第百七条二項に定める届出をすることができることとされております。
また、婚姻中の日本人と外国人の間に出生した子については、父か母のどちらかが日本人であれば原則として子は日本国籍を有することになりますので、日本人である当該父又は母の氏を称することとなります。
○篠田分科員 次に、婚姻時において妻が夫の氏を選択をした場合、この夫婦が離婚した場合に妻の方の氏はどうなりますか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
現行民法におきまして、婚姻によって氏を改めた者は、離婚によって婚姻前の氏に復するということになっております。もっとも、離婚によって婚姻前の氏に復した者は、離婚の日から三か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができることとされております。
○篠田分科員 その場合に、その離婚した夫婦の間に子供がいる場合、子供の氏はどうなるのでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
現行民法におきまして、婚姻中の夫婦の子につきましては、夫婦の離婚により、それだけでは子の氏に変動は生じないこととされております。
もっとも、子が離婚により復氏した父又は母と氏を異にするため、その父又は母と同じ氏を称しようとする場合には、現行民法の第七百九十一条第一項が定めております父又は母と氏を異にする場合に当たることから、同項に基づきまして、「子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。」とされております。
○篠田分科員 今お答えいただいたように、国際結婚の場合、そしてまた離婚した場合、そしてまた再婚の御家庭であったり、事実婚の場合、子供と親の氏が異なる場合があります。
そして、私は、今、通称使用ということで、戸籍名は中川なんですけれども、篠田奈保子として国会議員をしております。ですので、私の子供は四人いますけれども、全員が中川姓。私は篠田で仕事をさせていただいております。
今回の選択的夫婦別姓制度の議論の中で、両親や親子の氏が異なると子供がかわいそうであるとか、そういった反対の議論があるんですけれども、今指摘したように、事実婚だったり、私のように通称使用だったり、国際結婚だったり、離婚している御家庭、親子の姓が異なる家族というのはもう既にいっぱいいるんですよね。ですので、その方々に対して、かわいそうということは何か大変私は的外れだと思っておりますので、その点をまず御指摘をさせていただきたいと思います。
また、なぜ他人にかわいそうというふうに評価されるのかというのも私は当事者として大変納得のいかない思いがあるのが一つと、あとは、かわいそうだというふうに思う家族であれば同姓を選んでいただければいいというふうに考えておりますので、その点をこの場で御指摘をさせていただきたいと思います。
それから、私は現場で弁護士をしております。たくさんの離婚を考える女性の御相談にこの間応じてまいりました。お子さんがいる場合に、特に結婚で姓を変えた女性は、離婚後、自分は元の姓に戻りたいけれども、子供の名前が学校の学年の途中で変わってしまうのはかわいそうだということで、婚氏続称、いわゆる離婚しても結婚前の名前を選ぶ、そういう方々がいらっしゃいます。
先ほど竹内民事局長から答弁があったように、離婚によって妻が姓が変わっても子供は自動的に変わらないんですけれども、それで私が、いやいや、お母さんは変わっても子供は変えないという選択肢もあるんですよということを御説明するんですけれども、やはり、多くのお母さん方は、親子は同じ姓でなければ、なかなか社会生活上、やはり不便を感じたり、そう思われるのではないかということで、子供の氏を変えさせないために、不本意にも婚氏続称ということで、氏を変えないという選択をされる方がやはり多くいらっしゃいます。
私は、その御相談に応じている中で、やはり、選択的夫婦別姓制度が導入されて、親子や両親、姓が違うという選択肢も当たり前に意識としてあれば、こういった離婚の現場で、女性の方々がお子さんのためにと不本意な選択をするということがなくなっていくのではないかというふうに感じていますので、そのことも指摘させていただきたいと思います。
続きまして、離婚後共同親権が来年の五月以降導入されますが、ちょっとその場合の、離婚後の子の氏についても、どのような形の取扱いになるか一応確認させていただけますか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほどお答えしたとおり、父母の離婚によって、それだけでは子の氏に変動は生じないことになります。そして、子が父又は母と氏を異にする場合には、民法第七百九十一条の一項に基づきまして、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができます。この場合において、子が十五歳未満であるときは、同条三項の規定によりまして、その法定代理人が行為をすることができます。
令和六年の民法等改正は、こうした規律を変更するものではありませんが、父母の双方が親権者であるときは父母の双方が法定代理人になりますので、父母が共同して行うことになると考えられます。
○篠田分科員 ありがとうございます。
そうしますと、離婚後共同親権で共同親権に服するお子さんについては、お母さんとお子さんが名前が一緒、お父さんとお子さんが名前が一緒というケースもあるし、全員が同氏を名のるという選択もあるということでよろしいですか。
○竹内政府参考人 済みません、離婚後の話でよろしいでしょうか。(篠田分科員「はい」と呼ぶ)
氏を改めた方がいらっしゃれば、その方は離婚によって基本的には復氏をしますので、氏を改めた方とお子さんは違う名字になる、氏になると思われます。
○篠田分科員 そうしますと、離婚をした御家庭において、親権者となる親と子供の氏が異なるということはあるということですよね。それでよろしいですか。
○竹内政府参考人 改正民法に従って離婚後共同親権になられたとすると、親権を持たれている方と氏が違うということはあり得るということになります。
○篠田分科員 それによって子供のいわゆる愛情が異なるとか、かわいそうということは決めつけにすぎないのではというふうに私は思いますので、改めてその点も指摘させていただきます。
次に、法制審議会民法改正要綱、もう大分前に出たものですけれども、これについてお聞きします。父母が婚姻の際に子の称する氏を定めるということになった具体的な理由をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 今御指摘の平成八年の法制審の答申でありますけれども、婚姻後もそれぞれ婚姻前の氏を称する夫婦の間に生まれた子は、夫婦が婚姻の際に、子が称する氏として定めた父又は母の氏を称することとされたということであります。これは、すなわち兄弟姉妹の氏の統一化という効果であります。
このように婚姻時に定めるということとされた趣旨でありますけれども、仮に、子の出生の都度、父母の協議により子の氏を定めることとした場合ですと、子の出生時に父母が協議をすることができない、そういったケースであったりとか、あるいは、協議が調わないときには出生した子の氏がいつまでも定まらなくて、子の氏が宙に浮いてしまうといった事態が生じ得るということから、そのような事態を避けて、子の氏の安定、これを図るものであったと承知をしております。
そしてまた、若干補足的な話にもなりますけれども、兄弟姉妹の氏の統一化が図られた趣旨ということで申し上げれば、夫婦間の子について兄弟姉妹の氏を統一することによって家族としての一体感が醸成され、子の健全な育成の上で有益であると考えられたものと承知をしております。
当時、平成六年の九月の世論調査というのがその直前の世論調査ということになりますけれども、別氏夫婦の間に生まれた子の氏は統一すべきである、そういった回答が大変多くを占めていたという、そういった状況があると思っておりまして、当時、法制審、その直後の平成八年でありますから、その答申については、この世論調査に表れた当時の国民の意識といったこと、これを考慮してそういったことになったのではないかと我々としては承知をしているところであります。
○篠田分科員 世論調査の調査もあったということですが、もう大分以前の世論調査ということですよね。
父母が婚姻の際に子の称する氏を定めるということに関して私は大変違和感があって、結婚というのは、何も子供をもうけるためにするわけでは当然ない方々もいらっしゃる。そしてまた、様々にハンディがあって子供を持つことができない方々もいらっしゃる。
そして、私は弁護士として、いわゆる熟年再婚の御夫婦のケースなどもよく耳にするんですけれども、もう既に子供が成人をしていて、互いに離婚を経験したけれども、熟年同士で結婚をしますというようなケースもあるんですね。そういった場合に、子の氏を定めるというところにチェックをしないと婚姻届が提出ができないというのは、やはりいかがなものかなということを指摘をさせていただきます。
また、兄弟姉妹の氏の統一については、私は六人兄弟なんですが、全員成人をして、それぞれ様々に結婚をしたりして姓は今別々ですけれども、認知症になった父親の様々なケアなんかについて、みんなとLINEでいろいろ交わしながら、仲よく父のことをケアをしたりしています。ですので、氏が統一をされているからそれで一体感があるというのは、そこは本質ではないのではないかというふうに指摘をさせていただきます。
それでは次に、別の質問に移ります。
いわゆる離婚後共同親権制度の施行が、いよいよ来年の五月と迫っています。現時点において、関係省庁会議は何度開催され、今後の予定はいつになっているか、お答えいただけますか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
まず、父母の離婚後等の子の養育に関する規律の見直しを行います令和六年民法等の一部を改正する法律でございますが、公布の日である令和六年五月二十四日から起算して二年を超えない範囲において政令で定める日に施行されることになっております。
令和六年民法等の一部を改正する法律の施行の準備のために、令和六年六月二十五日の関係府省庁の申合せに基づきまして、同年の七月八日に法務大臣を座長とする関係府省庁等連絡会議を開催したところでございます。
その申合せに基づきまして、法務省民事局参事官を座長とする関係府省庁等連絡会議幹事会を設置いたしまして、これまでに令和六年十月四日及び令和七年一月二十一日の二回にわたって幹事会を開催したところでございます。
関係府省庁等連絡会議及び幹事会のいずれにつきましても、次回会議の具体的な開催日時は現時点では未定でありますが、適時に施行準備を行えるように、引き続きスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
○篠田分科員 現時点で次の会議の開催が未定ということに、私、大変不安を覚えております。
この法案が通過したときに、衆議院の法務委員会及び参議院の法務委員会で附帯決議がなされております。やはり、共同親権の場合に、どんなケースで夫婦の双方の同意が必要なのか、単独で何ができるのか、これについては大変分かりにくく現場が混乱するということで、その具体的な類型をガイドライン等を作ってしっかりと明らかにして、混乱がないように周知をしなさいということになっているんですね。
この施行が一年も、もうすぐに目の前に来ているときに、ガイドラインの策定がなされて、それが現場に下ろされて、現場の方々から、ガイドラインの内容はどうなっているんだということで、様々に議論がされてもいい今タイミングではないかというふうに考えているんですが、このガイドライン、QアンドAの解説資料、これは今、関係省庁会議において既に具体案が提出されているのでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
本年一月二十一日に開催をされました関係府省庁等連絡会議幹事会の第二回会議におきまして、QアンドA形式での解説資料についての意見交換が行われたところでございます。
具体的には、法務省において作成した民法に関する問い立ての案につきまして、その相当性ですとか、あるいは追加すべき問いの有無などについて意見交換が行われております。
委員の問題意識のとおり、当事者の方々や関係諸機関の方々にとって役立つものにならないといけませんので、そのために、抽象的な条文の解説にとどまらず、改正法の法案審議において御質問いただいた点等を中心に、関係府省庁等の意見も踏まえて、具体的に問題となる場面を想定したQアンドAとする方向で検討を進めているところでございます。
○篠田分科員 具体的に私たちの目にはいつ触れることになるんでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
QアンドA形式での解説資料の完成時期ですが、現時点では未定であります。もっとも、改正法について適時に施行準備を行っていくことは非常に重要でありますので、引き続きスピード感を持って施行準備に取り組んでまいりたいと考えております。
この解説資料が完成した後は、法務省のウェブサイトに掲載するなど、適切な方法で周知、広報を行っていく予定であります。また、関係府省庁等の協力も得ながら、自治体の担当部署ですとか関係諸機関等への周知も行っていく予定としております。
○篠田分科員 子供は社会の中で様々な場面に登場します。何も教育現場だけではありません。保育、そして保険の契約、銀行、パスポートの発行、転居、あとは児童扶養手当の支給であるとか、様々な給付の申請のときにも子供は登場しますよね。本当にありとあらゆる現場にしっかりとしたガイドラインを落とし込んでいって、そこで現場の方々からの疑問を吸収して、またフィードバックして、そこでまた疑問がないようにしていかなければならないと私は考えるんです。
ですので、施行の一年前までには必ず私たちのところにQアンドAを御提示いただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。
次の質問に、最後の質問でございます。国選付添人制度についてお伺いをいたします。
私も、法テラスのスタッフ弁護士として、民事法律扶助とともに、国選刑事弁護、そして付添人、いわゆる罪を犯した少年の弁護を経験をしてまいりました。
現状、成人においては、被疑者国選それから被告人国選が拡大をされて、全ての身柄拘束事案について、全件国選弁護人がつけられるようになりました。しかしながら、少年事案においてはそうではございません。現状、少年の身柄拘束事案についてはどのような取扱いになっておりますか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
まず、身柄拘束されている被疑者の段階におきましては成人と同じように被疑者国選がつくということになっておりまして、家庭裁判所に送致された後のことについて申し上げますと、いわゆる犯罪少年に係る事件であって、死刑、無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に係るものにつきまして、まず一つ目としまして、審判に検察官を出席させることがその場合できるとされておりますので、そういった場合には、付添人がない場合には国選付添人を付さなければならないこととされているのが一つでございます。
二つ目は、ただいま申し上げた類型の事件につきまして、少年を少年鑑別所に送致する措置が取られており、かつ少年に付添人がない場合には、必要があると認められるときには、国選付添人を家庭裁判所が付することができるとされております。
○篠田分科員 そのような形で家庭裁判所が全件について必要ですと判断していただければそれはつくんですけれども、現状は、成人であれば身柄拘束事件に関して国選弁護人がつくのに、少年事件の身柄拘束事件については、一部についてやはり国選の付添人がつかないことになっているんですよ。
成人と少年、どちらが主に大人、専門家の支援が必要であるかということを問うたときに、それは子供により手厚く支援が必要、そこは多分誰も反対をしないと私は思っています。
今、様々に、子供の貧困、そして虐待などで家庭に居場所がない、社会にも居場所がない、たくさんの子供たちが居場所をなくした結果、社会の中で不本意にも犯罪に手を染めてしまうケース、闇バイトなどもSNSを通じて広まっておりますし、家庭に居場所のない少女たちが性的な搾取に遭い、その結果、警察に補導、逮捕されるという事案もあります。
そしてまた、少年の付添人の経験をしていますと、そういった子供たちはやはり意思疎通がなかなか困難であったり、知的にハンディがあったり、障害をお持ちであったり、家族と断絶していて全く大人の支援がない、そういう本当に厳しい状況に置かれているんですね。
ですので、是非是非、成人には身柄拘束事件にしっかりと国選弁護人がつくのに、少年事件に関しては一部そうではない、この現状を変えていただきたいと切に思っておりますが、法務大臣の見解を伺います。
○鈴木国務大臣 今の国選付添人制度の対象範囲、この対象事件の拡大ということでありますけれども、家庭裁判所が少年の後見的役割を果たすという少年審判の構造に鑑みますと、国選付添人制度の対象を全ての事件に拡大すべき必要性というものがあるのかということにおいて、必ずしも、全てについてということで、明らかとまでは言い難いということがあろうかと思います。
そして同時に、やはり、そういったことをやっていく中では、当然、財政上の措置ということも必要になってまいりますので、そこにおいて国民の皆様方の理解をどう得ていくことができるのか、そういったことの判断の中で、その必要性について慎重に吟味をしていく必要があるというふうに我々としては考えているところであります。
○篠田分科員 法務大臣から前向きな答弁が出なくて本当に残念ですが、家族とも友達とも会えず、孤立無援に身柄拘束をされていて、そして家庭裁判所の審判をじっと待っている、その子供の気持ちになっていただきたいなと思います。
確かに、法務大臣が指摘したように、刑事裁判手続と家庭裁判所の審判手続、必ずしも対審構造になっていない、家庭裁判所が少年審判に関しては後見的な役割を果たす、当然、そういう法律上の違いはあるにせよ、そこで今罪を問われて、これから処遇を決められることを待っているその少年にとっては、そこは刑事裁判を受けている成人の被告人と心境は何も変わらない、よりもっと深刻で困難な状態に私はなっていると思います。全ての子供たちを最優先に考える国、そしてまた、一番厳しい状況に追い込まれている、そういった少年たちの気持ちに是非法務大臣には寄り添っていただきたいと思っております。
全件を付添人にする経費というのは何兆円もかかる話ではございません。私は日弁連の方に実際に予算としてどの程度ですかというような問いかけもさせていただきましたら、三十億から五十億程度だというようなお話もいただいております。今回の予算措置には含ませられないところではあると思いますけれども、是非、次年度の予算で私はこれは必ず子供たちのために獲得してまいりたいと思いますので、その旨御承知おきをいただきたいというふうに思います。
本日は、御誠実な対応、ありがとうございました。
○稲田主査代理 これにて篠田奈保子君の質疑は終了いたしました。
次に、若山慎司君。
○若山分科員 自由民主党の若山慎司でございます。
今日は、法務行政についての御質問ということでさせていただきます。
過日は、法務委員会の方で、所信質疑という中で大臣に御答弁を賜りまして、誠にありがとうございました。
私ごとではございますけれども、長らく国会議員の秘書をさせていただいてまいりましたけれども、ちょっとその経験則の中で、法務省という役所について少し感じたことがあったので、それを前置いてお話しさせていただきます。
本当に特別な性格を持った役所だなと感じますのは、今日主査でお見えの稲田先生も法曹資格をお持ちでいらっしゃいますけれども、役所の中にこうした法曹資格をお持ちになられた方々もいらっしゃって、そういう中に、法律用語が飛び交う中で、政治の側で国民目線に立ってどういうふうに法務行政をやっていくかということをやっていかなければならない、形にしていかなければならない。法務省の中にあって、それを統べるお立場として法務大臣がお仕事をされるというのは大変なことだと思っております。
そしてまた、各局の流れを見ても、刑事、民事で全く畑の違う分野のような局もあれば、矯正から保護といった不可分な役割を担っている、そういう局が並立してあるというような、非常に特性を持った役所でいらっしゃるなということを感じておるところでございます。
そんな大臣に、ちょっと冒頭、政治の側といいますか、国民目線として一つ、これは答弁ということではなくて申し上げさせていただければと思います。
常々、政治の側で仕事をさせていただいておりますと、弁護士会さんの方から、司法修習生の谷間世代の問題についての御要望というのをいただいております。いただくたびに私自身が申し上げているのは、合法的に修習生の給付金を止めたものであって、これを遡って給付するという話をするというのは、裁判でもされない限りなかなか簡単な話ではありませんよということを申し上げてはおりますのですけれども。
他方で、若手の法曹人が、非常に、資格は手にしたものの、働く環境において、昔のように思ったような収入が得られない、こういう厳しい環境にあるというような話も、この委員会の中でも何人かの先生が触れておられました。どうか若手の法曹人の先生方がしっかりと活躍していただけるように、そうした、あくまで若手の法曹人の育成であったり、環境を整えるという点で、法務省として、基金であったり、またその他の助成制度というものも考えていただきたいなというようなことを思っております。
これは、ただ、今日この時点でお伺いをしますと、もう答えは明らかだと思っております。日弁連とも御協議を続けておられるやにも伺っておりますので、引き続いて、しっかり何がしかの形を示していただけたらよろしいのではないかなということを感じております。
それでは、質問の方に、本来の方に入らせていただきたいと思います。
私、最初、所信質疑のときに、犯罪防止、特に再犯防止について大臣にお伺いをさせていただきました。安心、安全な国民生活を守っていくために、令和五年の三月、再犯防止に向けた政府計画として第二次再犯防止推進計画が策定されたと。様々な取組を進めてこられたことではございますけれども、令和五年の刑法犯の再犯率は四七%、再犯者が刑法犯の検挙率の約半数を占めているというこの実情を見て、これは非常に憂慮すべき事態であると思っております。
犯罪の発生件数そのものは減少しているとはいいながらも、再犯者率が半数を占めるという、高止まりしているこの状況というのが非常に憂慮される中で、初犯者の検挙人員の減少ペースに比べて再犯者の減少ペースが緩やかだということも、これまた再犯率が高いことの一つの要因になっているという点もあるかもしれません。
このような状況に鑑みて、改めて、大臣から、再犯防止への取組ということで、その思いをお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 法務省は大変所掌が広いところでございますけれども、やはりその中の極めて大事なミッションといたしまして、全ての国民の皆さんが、犯罪による被害に遭うことをどう防止できるのか、そして、安全で安心して暮らせる、そういった社会をどうきちんとつくっていくことができるのか。それは非常に大事でありますし、一つの本当に根幹的なミッションと私も感じております。
そうした中で、今御指摘の再犯率、令和五年で四七%、そして令和六年でも四六・二%という形で、非常に再犯者率というものが高い。極めて私も衝撃を受けているところであります。そういう中で、こうした再犯の防止というものをどう進めていくことができるのか、これは極めて大事な課題というふうに思っております。
御指摘のように、令和五年の三月、第二次の再犯防止推進計画の策定をさせていただきました。そういった中で、国や地方公共団体、そして、この取組の中では保護司という言及もございましたけれども、やはり民間の協力者の方々が極めて大きな役割も果たしていただいているところであります。
そうした中で、今、第二次計画の策定から二年が経過をしようとしている中にありまして、やはり再犯防止を取り巻く環境は極めて大きな、今そうした変化に直面をしていると思っています。まさに、今年、令和七年の六月の拘禁刑導入に向けた運用の検討ということもございますし、あるいは、かなり保護司制度において、いろいろな事件もございましたし、どのようにして、これから保護司の皆様方に大きな役割を担っていただくような、そういった仕組みをつくっていくのか。まさにそうしたことの中で、この検討会の報告書に掲げられた様々な施策の推進ということもございます。
まさにこうしたことを踏まえまして、引き続き、関係省庁もありますし、関係省庁やあるいは地方公共団体、そして、先ほど申し上げましたけれども、やはり民間の協力者の皆様方のいろいろなそうした御意見、声をきちんと踏まえる中で、どのようにして、これからそうした再犯防止に向けての取組を一層加速できるのか。そのことを私どもとしても、大変大きな柱の一つとして、しっかりとした取組を進めていきたいと考えております。
○若山分科員 ありがとうございました。
今、保護司のお話もいただきました。後ほどまた、保護司のお話も聞かせていただきます。
それと、一応、この後の質問自体は、事務の方の、政府の参考人の方への答弁ということではお願いをしておりますので、もしよろしければ、今日、明日と続かれることだと思いますので、御自身のタイミングでと思いますが、御退席いただいて大丈夫ですので。
○稲田主査代理 大臣、退席、お願いいたします。
○若山分科員 恐れ入ります。ありがとうございました。
そういう中で、今、再犯に向けた大臣からの取組の姿勢といいますか、決意もいただいたところではございますけれども、この再犯率も着目すべきところではありますが、刑事施設への再入所率といいますか、要は、帰ってきてしまうということにもやはり目を向けていかなければいけません。私の承知しておりますデータはいささか古いものかもしれませんが、こちらも比較的高い水準で推移していたのではないかというふうに記憶をしております。
そうした中で、これまで禁錮刑、懲役刑というような形でありました刑罰の体系が拘禁刑という形になり、個々の受刑者の特性に応じた処遇をすることによって、その人の、こういうケアをして、ケアといいますか、こういう処遇をしていくことによって、社会復帰したときにより高い効果を及ぼすのではないかというようなことで、この拘禁刑が創設されたのだというふうには承知をしておりますが、改めて、この制度の創設趣旨と運用における特性についてお伺いをしたいと思います。
○小山政府参考人 お尋ねの拘禁刑でございますけれども、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、令和七年、本年の六月一日に導入されることとなってございます。
これまでの懲役刑では作業の実施が前提とされておりましたけれども、拘禁刑導入後は、そうした前提がなくなりまして、今御指摘のありましたように、個々の受刑者の特性に応じて、作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を実施するということで、より効果的な改善更生を図ることが期待されるものと受け止めてございます。
こうした拘禁刑の導入の趣旨を踏まえまして、これまでの、犯罪傾向の進度のみに基づく受刑者の集団編成というものがございましたけれども、これを見直しまして、一定の共通する特性等を踏まえて類型化した矯正処遇課程というものを新設する予定でございます。この課程ごとに、処遇の目標、それから作業と指導の組合せ方、処遇上配慮すべき事項などを決めまして、これに基づいて集団を編成しつつ、一人一人の個々の事情にも考慮して処遇を行うこととしております。
既に、昨年の、令和六年の一月から、矯正処遇課程のモデル庁となる施設を指定いたしまして、同課程による処遇の実施に取り組んでおるところでございますが、この実施結果なども踏まえながら、各課程の対象者や処遇の内容を検討するなどして、拘禁刑導入に向けた準備を行っているところでございます。
さらに、拘禁刑の趣旨に沿った、受刑者の特性等に応じた矯正処遇等の実施策といたしまして、例えばでございますけれども、社会人として求められるコミュニケーション能力や課題解決能力を向上させるような作業を導入すること、暴力事犯の者等に対します指導プログラムの改定など改善指導の一層の充実を図ること、多職種連携によりますチーム処遇を通じました柔軟な社会復帰支援の実施、こういったことに取り組むとともに、矯正処遇等に当たります職員の意識改革などにも鋭意今進めているところでございます。
○若山分科員 ありがとうございました。
様々な、元々私、学生時代に少し法律をかじっておりましたときに、教育刑論の考え方というのはまさにそこに通ずるものなんだと思っております。長い時間をかけてといって、これは時代の流れにもよってというところがあるかと思います。今の時代に、やはりそういう形で社会復帰を促していくということが重要であるという中で、こういう仕組みに変わっていったということは非常に重要なことだと思っております。
また、先日、実は、法務省で特別矯正監をお務めであります杉良太郎さん、以前から御縁はあったんですけれども、その御関係の方とちょっとお話をしておりましたら、刑務所に、受刑者と保護犬を触れ合わせるというような取組も何か進められているというようなことも伺いました。この取組についても少し御紹介をいただけますでしょうか。
○小山政府参考人 刑事施設におけます犬の育成といたしましては、島根あさひ社会復帰促進センターにおきまして、外部団体の協力を得て、受刑者が、生後四か月頃から一歳程度まで、盲導犬訓練の子犬であるパピーを育成し、基本的な社会化訓練を実施いたします盲導犬パピー育成プログラムというのを実施しているところでございます。
先ほどから御指摘のございます拘禁刑が新たに導入されることを踏まえまして、これに加えて、松江刑務所及び広島刑務所尾道刑務支所の二つの施設におきましては、今御紹介のありました保護犬を対象とするものとして初めてとなります一般改善指導の保護犬育成プログラムを、NPO法人の御協力を得て、本年度から始めたところでございます。
このプログラムは、保護犬等の触れ合いを通じながら、保護犬を訓練いたしまして、家庭犬として共生できるように育成する社会貢献活動を行うものでございます。さらに、受刑者の自他を尊重する思考や態度を育み、健全な社会生活への適応能力を育成し、社会の一員であるといったことを意識させることで、改善更生への動機づけを行うことも目的としております。
このプログラムでは、具体的に、人間の身勝手な行動によって発生する保護犬が置かれた状況について学ぶこと、散歩やおやつを上げるといったトレーニング等で受刑者が保護犬と触れ合いながら、保護犬を人になれさせるということ、受刑者が保護犬のボディーランゲージ、犬の感情を理解をし、主体的に適切な訓練や世話の方法を考えて接することなどを通じて保護犬との信頼関係を築くことといったことを目的とした、内容とした取組を行っております。
このプログラムは、元々野犬であった保護犬という取扱いの難しい犬を育成するプログラムでございまして、訓練に当たる受刑者には高い忍耐力やコミュニケーション能力が求められるものでございます。また、受刑者が保護犬をトレーニングする中で、単に訓練のための技術を身につけるだけでなく、保護犬が育ってきた環境などにも思いを致し、社会貢献や自身の改善更生への動機づけが高まることも期待されると考えております。
このように、社会貢献に加えまして、受刑者の再犯防止に求められる能力の向上に寄与する可能性も認められますことから、引き続き、このプログラムの更なる充実発展に努めたいと考えております。
○若山分科員 ありがとうございました。
保護犬と触れ合うことによって、また、いろいろな受刑者の方があると思いますけれども、命の大切さ、関わりというところでの意味合いもあることだと思いますし、何より、この後また保護司のお話もさせていただきますけれども、社会復帰したときに孤独にさせない、孤独になったことによってまた再犯をというようなことも伺う中で、何か守るべきものをつくっていくという点では、保護犬もそうですし、社会復帰した後、動物との触れ合いの中で、こういった方々に再犯という道へ進まないようにしていく取組としても、これは一つ重要な意味があるのではないかなというふうに感じております。
さて、先ほど来、拘禁刑の話であり、保護犬であり、非常に受刑者に対するケアというものが細部に分かれていく、多様になっていくという中で、刑務官の皆さんのお仕事というのも大変なものではないのかなと思っております。
恐らく、先ほどの矯正処遇の実施の前に、個々の入所者に対して、受刑者に対してどういうメニューをというようなことで、これをサジェスチョンする職員も必要になってくるでしょうし、それぞれのプログラムの中でやっていくためには、人員の確保ということも必要だと思います。
また、それぞれ、元々、矯正施設といいますか、刑務所自体の老朽化というようなことも、なかなか一般の公共施設の中では後に回ってというようなこともあろうかと思います。耐震化も含めて、施設においては、こういったことをしっかりやっていくためにも、整備を進めなければならないものはあろうかと思いますが、そうした人員の問題であったり、また施設の更新という点でどういうような取組を考えておられるのか、お聞かせください。
○小山政府参考人 拘禁刑の導入によりまして、刑事施設におきましては、受刑者の特性を的確に把握し、処遇への動機づけを行いますとともに、個々の受刑者の問題に応じた処遇を進め、刑務官のみならず、多職種の職員によるチーム処遇を実施するなどいたしまして、これまで以上に、御指摘のとおり、きめ細かく対応していく必要がございます。
そのためには、まずは刑務官の能力向上等が求められると考えておりまして、受刑者の特性や問題性に応じた適切な処遇対応力を向上させるための更なる研修を実施することとしております。
また、拘禁刑の導入に伴います矯正処遇の充実強化のためには、専門スタッフの確保も重要と認識しております。これまで、順次、社会福祉士や作業療法士などのほか、心理学を専門といたします調査専門官、改善指導等を専門といたします教育専門官などの配置を拡大してまいりましたところでございますが、今後も引き続き、必要な人材確保の取組を進めてまいりたいと考えております。
一方、拘禁刑下におきましては、これまでの作業中心の矯正処遇から、作業と指導を適切に組み合わせた矯正処遇に転換いたします中で、受刑者の改善更生や円滑な社会復帰に向け、これまで以上に個別的に働きかけ、その動機づけを高める必要がございます。
そのため、各種対話実践の理念や知見を活用した働きかけを一層推進するに当たりまして、これらの指導を行うための面接室や教室などといった物的な設備についても、その必要性を含めて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
さらには、刑事施設が再犯防止の役割を適切に果たしますため、老朽化が著しい施設につきましては計画的な老朽化対策を行うことが重要であると考えておりまして、関係機関の理解を求め、それぞれの施設が置かれました状況等に応じまして、建て替えや耐震改修などの着実な施設整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○若山分科員 ありがとうございました。
引き続き、やはりマンパワーも、それから、本来あるべきそういう空間の確保ということも重要になってくるかと思いますので、私どもとしても是非応援をしていきたいと思っております。
さて、そういうプロセスを経て、受刑者が、じゃ、社会に出ました、出所しましたといったときに、今度はそのバトンを引き継ぐのは保護司の皆さんということになったりするのではないかと思います。地域の中でこういった方々をどのように受け止めていくのかということは大事なことではありますが、そのフロントラインにやはり立っておられるのは保護司の皆さんということになろうかと思います。
ただ、残念ながら、先般、滋賀県で不幸な事件もございました。本当に命に関わるような形でこの保護司のお仕事をしていただいている皆さんにとっては、衝撃なことではあったかと思います。
面接場所の確保であったり、そういった様々な環境を整えていくことを含めて、改めて、保護司の皆さんからどんなお声が上がっていて、この皆さんの助けていただく環境をどういうふうに整えていくのかという点について、法務省から取組方をお伺いしたいと思います。
○押切政府参考人 お答えいたします。
持続可能な保護司制度の確立のためには、保護司の活動場所の確保や保護司の安全の確保が重要であることは委員御指摘のとおりであり、保護司の活動場所の確保等のため、法務省ではこれまでも、地域における更生保護活動の拠点として、各保護区に更生保護サポートセンターを設置するなどの取組を進めてまいりました。
保護司の担い手確保が次第に困難となり、高齢化も進んでいることが課題となる中、令和五年三月に閣議決定された第二次再犯防止推進計画において、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討、試行が盛り込まれたことに基づき、同年五月から十四回にわたり持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を開催し、保護司の方々からの多様な御意見も踏まえながら検討が重ねられ、令和六年十月には報告書が取りまとめられました。
報告書には、同年五月に滋賀県大津市の保護司が亡くなられた事案の発生を受けた保護司の安全確保に関する取組を含め、今後講じていく施策等として七十八の取組が盛り込まれております。
保護司の活動場所の充実や保護司の安全確保に関する具体的な施策としては、定期的な保護観察事件の点検、保護司の不安等の適時的確な把握、保護司が相談しやすい関係性の構築、保護司複数指名制の活用、保護観察官による直接関与など、安心して保護司活動を継続するための取組を強化すること。更生保護サポートセンターの複数設置に加え、公民館等の公的施設や民間団体の会議室等の利用など、保護司のみならず、保護観察対象者等にとっても利便性の高い面接場所を拡充すること。また、面接方法に一律のルールを設けるのではなく、保護観察官や企画調整保護司が対面、オンラインで同席できるようにするなど、安全、安心が確保される面接方法の柔軟かつ円滑な選択を可能にすること。そして、ユニット制の導入を含む更生保護官署職員の配置の最適化や保護観察官の増員により、保護観察官が保護司や保護観察対象者等の状況に応じて迅速かつ臨機に対応することができるよう、保護観察等の実施体制を強化することなどの取組が掲げられております。
令和七年度予算政府案においては、保護観察官の増員に加え、更生保護サポートセンターの運営経費の拡充、サテライト型更生保護サポートセンターの設置、自宅以外の面接場所の確保、保護司複数指名制の積極活用など、持続可能な保護司制度の確立や保護司の安全確保に係る経費を計上しており、これらの施策を着実に実施してまいりたいと考えております。
○若山分科員 ありがとうございました。
今後また同じようなことの繰り返しがないように、法務省としてもしっかりと支えていっていただきたい、かように思う次第でございます。
最後に、もう一つ、出入国管理庁に関してでお伺いをさせていただきます。
法務省の中から、出入国管理庁となって、また抱える業務も大変多くなられていることとは存じますが、他方で、特定の国をということではないんですけれども、多くの方が日本に定住されたり、また、日本への移住といいますか、在留を希望されるというような申請が多く上がっていることと思います。
私どもにも、間接的にも直接的にもいろいろなお話は耳にするんですが、だんだん最近、申請から処理されていく期間というのがちょっと延びていっているのではないかなという気がしています。これは決して厳しいことを言うのではなくて、純粋に多分件数が膨大になってきているのではないかということを感じております。
その実情も踏まえて、やはりマンパワーが足りないというようなところもあろうかと思いますので、その辺のところをお聞かせいただけると幸いでございます。
○稲田主査代理 杉山次長、間もなく時間が参りますので、簡潔にお願いいたします。
○杉山政府参考人 委員御指摘のとおり、本邦に在留する中長期の在留外国人の数も非常に増加をしておりまして、在留審査の期間も長期化している傾向がございます。
それを含めまして、今日の出入国管理行政を取り巻く環境は大きく変化し、求められる役割も多岐にわたっているところでございまして、入管庁におきましては、御指摘の在留審査等も含めまして、役割を適切に遂行し、適正な出入国在留管理行政を実現する上で、人員及び予算を含めた体制整備を図ることが重要と認識しており、引き続き、必要な体制整備に最善を尽くしてまいりたいと考えております。
○若山分科員 ありがとうございました。
法務行政全般にわたって、本来であれば、実は法務局の分野においてもいろいろなお話を伺っております。やはりマンパワーが必要なところだとは思いますので、しっかりと我々としても応援をしてやってまいりたいと思いますので、皆さんも是非自信と誇りを持って、大変なお仕事だと思いますけれども頑張っていただきたいな、こう思う次第でございます。
本日は、受けていただきまして、ありがとうございました。
終わります。
○稲田主査代理 これにて若山慎司君の質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○稲田主査代理 次に、財務省所管について政府から説明を聴取いたします。加藤財務大臣。
○加藤国務大臣 令和七年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入予算額は、百十五兆五千四百十五億円余となっております。
この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は七十八兆四千四百億円、その他収入は八兆四千五百二十五億円余、公債金は二十八兆六千四百九十億円となっております。
次に、当省所管一般会計歳出予算額は、三十兆四千三十億円余となっております。
このうち主な事項について申し上げますと、国債費は二十八兆二千百七十八億円余、予備費は一兆円となっております。
次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出いずれも二百二十二兆一千百八十五億円余となっております。
このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。
最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
株式会社日本政策金融公庫国民一般向け業務におきましては、収入二千二十億円余、支出一千二百七十九億円余となっております。
このほか、同公庫の農林水産業者向け業務等の各業務及び沖縄振興開発金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。
以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
なお、時間の関係もございまして、お手元の資料をもちまして詳しい説明に代えさせていただきますので、記録にとどめてくださいますようお願いいたします。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○稲田主査代理 この際、お諮りいたします。
ただいま加藤財務大臣から申出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稲田主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○稲田主査代理 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○稲田主査代理 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。水沼秀幸君。
○水沼分科員 市川、船橋からやってまいりました。立憲民主党の水沼秀幸です。
大臣、御説明ありがとうございます。
本日は、予算委員会ということで、事実と財源に基づく議論ができればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
まずは、交通事故被害者救援政策についてお伺いいたします。
日本では、自動車保有をしているユーザーにおいて自賠責保険への加入を義務づけ、当該責任保険に基づく保険金の支払いによって、交通事故被害者の救済を図る仕組みが構築されています。
一方で、自賠責保険のみでは重度後遺障害者への救済が十分ではないなどの課題があるため、政府は、自動車安全特別会計において重度後遺障害者への救済事業等を実施しています。なお、当該特別会計の財源は、税金ではなく、自動車ユーザーが負担した保険料で成り立っています。
このような状況下でありましたが、平成六年及び七年度、政府は赤字国債の発行を回避しようと、合わせて一兆一千二百億円を自動車安全特別会計から一般会計へと繰り入れました。この繰り入れた中なんですけれども、つまり、政府が、交通事故被害者のために用意していた別のお財布からお金を借りて、一般予算の会計の中にお金を入れたわけです。
自動車ユーザーから政府が借りたお金であるわけですから、当然ながら返さなければなりません。当時は五年で返済するという話でしたが、三十年以上経過した現在においても、利子分を含めると五千七百億円、当時の借入額の半数以上が返済されていません。
お金が約束どおり返済されていない中、自動車安全特別会計は積立金を取り崩しながら何とか運用していますが、その積立金も、発足当初の約九千億から今は約二千億円、これは保障勘定と合算、つまり余剰を増やしたにもかかわらず、二千億円程度にまで目減りしてしまっています。このままでは枯渇するのが明らかです。
この積立金が枯渇するのを防ぐべく、政府が導入したのは賦課金、つまり自動車ユーザーへの追加負担でした。明らかにおかしいと思います。借りたお金を返さない政府に非があるにもかかわらず、どうして善意でお金を貸した自動車ユーザーが追加でまたお金を支払わなければならないのでしょうか。
令和七年度の税収は八・八兆円ほど増えます。しかし、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しは、前年同額の六十五億円です。なぜでしょうか。
本件、過去の答弁では、財務状況は厳しい状況という説明がなされていますが、そもそも、借りたお金を返さない理由としては極めて曖昧です。仮に六十五億円を今後毎年返済したとしても、現在の残高から考えると九十年かかる計算になります。
少なくとも、賦課金という名の自動車ユーザーへの追加負担を防ぎ、また、積立金を取り崩す必要のない基準である二百億円は、毎年、最低限返済すべきだと考えます。もちろん、ベストは六千億近く残っている残高の一括返済です。
国民生活の安心と安全のため、是非、一括返済、最低でも年間二百億円の返済、繰戻しを、大臣、お約束ください。簡潔に御答弁ください。
○加藤国務大臣 今、お話がありました、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについては、令和三年十二月の大臣間合意で、令和五年度以降の繰戻しについて継続的に取り組むこと、また、令和四年度の繰戻し額の水準、すなわち五十四億円を踏まえること等を明記し、令和七年度予算案では、過去最高と見込まれる税収を充てても、なお、二十八・六兆円の新規国債を発行し、引き続き厳しい状況にある。
こうしたこともあって、自動車事故の被害者支援等は重要な課題であると認識しておりますが、令和七年度予算案では六十五億円を計上し、前年度の補正予算に比べて二十二億円増となって、令和六年度補正予算と合わせると百億円の繰戻しを予定しているところでございます。
引き続き、大臣間合意に基づいて、一般会計からの繰戻しを着実に進めていきたいと考えております。
○水沼分科員 大変残念な答弁です。
補正予算で三十五億円積んだということで、補正予算というのは、皆さん御存じのように、緊要性があるということであるのであれば、もっと当初予算で、前年同額じゃなくて、より多く積んでいただきたいなというふうに思いますし、そもそも、令和四年度のこの五十四億円、これが合理的な数字ではないというふうに思っています。貸したお金を返してください、約束を守ってください、これが自動車ユーザーの一言、思いの声だと思います。
本課題の一刻も早い解決に向けた第一歩が、期限を決めた完済計画の作成。つまりは、具体的なロードマップの設定かと思います。
今は返せないというのであれば、いつまでに返すのか。当初、五年で返すとおっしゃっていたんですよ。それが、三十年以上たっても、まだ半分以上残額が残っています。いつまでを目安とするのか、大臣、明確にお答えください。
○加藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、令和三年十二月の大臣間合意においては、それまでの大臣合意とは異なり、繰戻し額の水準や繰戻しを継続的に取り組むこと等を初めて明記することで、令和五年度から九年度までの五年間にわたる返済計画の大枠を示すことができたと考えております。
この合意内容は、今後の繰戻し額を国土交通省と協議する際の目安になるものであり、毎年度の繰戻し額の目安を示してほしいとの被害者団体等からの要望にもお応えしたものとなっていると考えております。
今、全額繰戻しに向けた道筋をよりはっきり示すべきというお話がございました。また、そういう御意見があることは承知をしておりますが、我が国の現下の厳しい財政事情を踏まえますと、まずは、令和三年の大臣間合意に基づき、一般会計からの繰戻しを着実に進めていきたいと考えております。
○水沼分科員 お金を借りている側の発言とは思えない残念な答弁でございました。極めて残念です。
本日は、自動車安全特別会計を所管する国交省の副大臣にも来ていただきました。副大臣、貸している側として、いつまでに繰り戻すべきだと考えますか。希望ベースで構いませんので、お答えいただければと思います。
○高橋副大臣 自動車事故が後を絶たない中で、自動車事故の被害者支援等を安定的、継続的に行うためにも、一般会計からの繰戻しは極めて重要であると認識しております。水沼委員も、そういう御認識で御質問されたと認識します。
国土交通省としては、財務大臣からもお話がありましたが、令和三年十二月の財務大臣との合意をきちっと踏まえつつ、引き続き、財務省に対して、全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しをしっかりと求めてまいりたいと思っております。
以上です。
○水沼分科員 ありがとうございます。
今副大臣からあったとおり、全額の繰戻しをしっかり求めていくというところで、是非、交通事故の被害者及びその御家族の思いを背負っているという認識を一層強くお持ちいただき、今後も財務省と対話していただければと思います。
私たちは、いつ、どこで自動車事故に遭うか、それは分かりません。そのリスクを防ぎ、そして万が一の際でも適切な補償を受けるために、この環境整備が必要だと思います。そのために必要なのは、自動車安全特別会計の安定的な運用です。
是非、安心、安全な社会の実現に向け、本件をこれからも強い課題認識で注視していくことをお伝えし、次のテーマに移りたいと思います。
高橋副大臣は、もしよろしければ、ここで御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
では、続いて、済みません、質問の順番を入れ替えさせていただきます。
金融機関における貸し金庫問題にテーマを移します。
本件、これまでの答弁で、金融機関より報告のあった貸し金庫窃取事案は三件であったと認識をしています。また、一般の方々から、例えば自分自身が預けていた金庫内で金品等が盗まれたといった相談は、これまで直近五年の間に二十八件、金融機関の数としては二十機関確認されているというふうに認識をしています。
まずは、本認識が金融庁にて把握する最新の状況とそごがないかと、また、これら金融機関の報告とユーザーからの報告を並べますと、ユーザーの相談よりも金融機関の報告が少ないように見受けられるのですが、この現状も踏まえた貸し金庫問題の全容解明に向けた最新の調査状況について、参考人の方でいいので簡潔にお答えください。お願いします。
○尾崎政府参考人 お答え申し上げます。
今般の金融機関における貸し金庫事案を契機といたしまして、各金融機関においては、類似事案の発生を防止するために、自ら貸し金庫の管理体制等を確認することが重要と考えております。
こうした観点から、金融庁としては、昨年十二月に、業界団体を通じまして、全ての銀行、信用金庫、信用組合等に対して通達を発出し、改めて貸し金庫業務の管理体制等の確認を求めたところでございます。
本通達を受けた金融機関の点検の結果、いずれも不正が疑われる事案は発見されていないが、今後、多くの金融機関で貸し金庫の管理体制の強化を図る方針であるというふうに承知しております。
また、先般、全国銀行協会においては、会員行の貸し金庫の内部管理体制の強化を図るべく、具体的な取組事例等を取りまとめた事例集を策定しておりまして、貸し金庫サービスを提供する金融機関においては、当該事例集も参考としつつ、実効的な体制整備を図っていただくことが重要と考えております。
金融庁としても、各金融機関の対応を引き続きフォローアップしてまいりたいと考えております。
○水沼分科員 状況共有、ありがとうございました。
本件、そもそもなんですけれども、貸し金庫にお金を入れるという行為が私は不可解だと思っています。なぜなら、貸し金庫の契約者というのは口座を持っていることが前提で、例えば、お金を持って支店に行ったのであれば、普通であれば自身の口座にお金を入れればいいわけで、そうすれば利息もつくところです。だから、なぜそれをわざわざ現金のまま、貸し金庫に入れている事案が多発しているのか、ここに課題があると思っています。
合理的とは言えない行動から浮かび上がるのは、そのお金が表に出せないお金なのではないかという懸念です。マネーロンダリングや脱税も疑わざるを得ません。だからこそ、それを防ぐために、貸し金庫の規定によって現金を預け入れるのを禁止しているんだと私は思っていました。
ですから、今回を契機に複数の金融機関を対象に調べてみたんですけれども、貸し金庫に収納できる対象にも、格納できない対象にも現金が含まれていないということが明らかになりました。これは、いわゆるグレーゾーンという取扱いになってしまっているんだと思料します。
本日は、西野政務官にお越しいただきました。ありがとうございます。
政務官、この貸し金庫問題は、まずは貸し金庫の規定として、グレーゾーンにするのではなく、現金の格納を一律に禁止することで、今後の同様事案発生の未然防止につなげるとともに、脱税やマネーロンダリング撲滅に向けた牽制力強化にも、禁止をすることで寄与するというふうに考えています。御見解をお聞かせいただければと思います。
○西野大臣政務官 水沼委員の御質問、ありがとうございます。
まず、現状を申し上げますと、委員御指摘のとおり、貸し金庫サービスの規定等において、完全には現金は排除されていないということでございます。ですので、我々金融庁といたしましては、一定数貸し金庫の中に現金が預け入れられているであろうということを前提に、これから対応を協議していかなくちゃいけないというふうに思います。
一方で、我々金融庁としても委員と問題意識は共有していまして、つまり、貸し金庫サービスが脱税あるいはマネロンの温床になってはいけないという問題意識は共有しておりますので、これから金融庁として、今般の貸し金庫の事案を契機として、改めて、マネロン対策等の観点から今後の金融機関の貸し金庫サービスがどうあるべきかについて、有識者の意見も伺いながら対応を検討していきたいというふうに思います。
○水沼分科員 ありがとうございます。
課題認識が同一ということで、前向きな答弁をいただいたというふうに認識をしております。是非、今、課題認識が同じということであるので、具体的なスケジュールを早期に設定して、状況改善に取り組んでいただければと思います。
あわせて、国税庁に、貸し金庫を悪用した脱税もくろみ事案の取締り状況についてお伺いしたいと思います。これは参考人の方でいいので、お願いします。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
国税当局におきましては、日頃からあらゆる機会を通じて、課税上有効な資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析するとともに、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところであり、その一環として、必要と認められる場合には、貸し金庫の内容物の確認も行っているところでございます。
いずれにいたしましても、国税当局としては、今後とも、適正、公平な課税の実現の観点から、適切に対応してまいりたいと考えております。
○水沼分科員 ありがとうございました。
貸し金庫の中に本来ではグレーゾーンになっているものが入っているとなると、脱税ですとか、そういった表に出せないお金なんじゃないかというふうに国民の皆さんはやはりどうしても考えてしまうかと思います。だからこそ、今御答弁があったとおり、貸し金庫の中というものも必要性に応じては税務調査の対象であるということで、非常に安心をしているところでございます。引き続き、納税者の自発的な納税行為の履行を適正かつ円滑に実現する取組の支援をよろしくお願いしたいと思います。
西野政務官は、もしよろしければ、ここで御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
では、続いて、医師業を対象とした租税特別措置にテーマを移します。
例えば、年間売上げが三千万ある個人事業主の方に、領収書不要で、毎年七割、自動で損金算入できますよと言ったら、とても喜ぶと思います。なぜなら、実際にかかった経費が仮に売上げの三千万の半額の千五百万円だとした場合、概算経費として計算されるのは七割、二千百万円でございますから、六百万円もの課税所得が圧縮できるからです。これは、ざっくり言うと、納税額の税負担を半減するものだとイメージしていただければと思います。
この優遇措置は、医師における概算経費制度というふうに呼ばれております。こちらは、国税庁によると、令和五年現在では、日本全国の開業医の方の四人に一人、二五%以上の方が利用しているという制度です。また、財務省においては、本租税措置における税収の減収額は二百六十億円と報告をしています。
本制度の発端は、一九五四年にまで遡ります。戦後の復興には医業の普及が不可欠という社会的背景から、診療報酬の一律七二%を経費として算定することを認める法案が成立をしました。その後の見直しで、例えば、経費の設定が四段階になったりですとか、適用される診療報酬は年五千万円などといったキャップが設定されるようになったんですけれども、しかし、施行から七十年たった今もなお、この医業においてのみ、概算経費という制度が残っています。
これは実は、二〇一一年、当時、民主党政権だったんですけれども、会計検査院からこの制度は指摘を受けています。
どんな内容かと申し上げますと、まず前提として、この概算経費制度の導入当初の目的というのは、小規模医療機関の事務負担を軽減する、それによって本業に専念できる体制を整備するというものでした。しかし、会計検査院の指摘によれば、概算経費の申告者のうち、実に八六%は実際の経費も計算しており、比較した上で、概算経費にて処理をする方が税金は浮くと確認したということが指摘されています。
つまり、実態として事務処理をしている証左であって、それならば、概算請求制度の本来の目的であった事務負担を軽減するという目的は、もはや適さない制度に今日的にはなってしまったということなのではないでしょうか。
もちろん、全国津々浦々、そして小規模でも経営が安定するために設けられた様々な特例は、戦後、医療サービスを普及させるという点では間違いなく重要でした。市民が医療を身近に利用する上で多大なる貢献を果たしました。しかし、これだけ財政が逼迫する中、医業のみが七十年間変わらず概算経費という特権を利用しているという現状は、他業界で同じように頑張って働いている方々との公平性から見て、今日的に妥当と言えるでしょうか。
また、そもそも本制度は、立法当初から、診療報酬の適正化が実現するまでの暫定的措置とされていたものです。暫定措置に対して評価をする時期に、今やもう来ているんじゃないでしょうか。
また、最近では、地域医療の担い手の安定化を図るという目的もあるかというふうに思います。であるならば、概算請求制度の対象者を地域医療の担い手の方々に限定した方が合理的だと思います。例えばですけれども、現在の適用対象者を四割見直せば、百億円以上の財源となります。
我が国の財政状況も鑑みた上で、医業にのみ適用される概算請求制度の今日的な妥当性について、大臣の見解を伺いたく、よろしくお願いします。
○加藤国務大臣 社会保険診療報酬の所得計算の特例についての御質問でございます。
これは、小規模医療機関の事務処理の負担軽減を図ることを目的とした制度であり、一定の収入以下の医師や歯科医師は、所得税又は法人税の計算上、実際の経費ではなく概算経費率を利用した金額を必要経費又は損金に算入できるというものであります。
本特例、委員からもお話がありましたが、令和五年分において、開業医である個人のうち二六%で適用されているものと推計されており、こうした状況を踏まえると、今日においても一定の役割を果たしていると考えております。
もっとも、本特例は租税特別措置であります。一般論として申し上げれば、租税特別措置については、利用状況を踏まえつつ、その必要性や政策効果等をよく見極めて、不断の見直しを行っていく必要があるものと考えております。
○水沼分科員 ありがとうございます。
残念ながら、納得のできる答弁ではありませんでした。今日まで不断の見直しを行うと言っているんですけれども、なかなか見直しが行われていないという現状なのかなというふうに思います。
本制度は、先ほど申し上げたんですけれども、二〇一一年の会計検査院の指摘ですとか、二〇一二年度の税制改正大綱における指摘を踏まえた制度改正以降、つまり自民党に政権が戻って以降は、聖域のごとく扱われ、真剣な議論が避けられているように感じます。なぜでしょうか。我が国の財政状況や少子高齢化の度合いはますます悪化しているにもかかわらずです。
本制度の受益者は医業の方々です。日本医師会の政治団体である日本医師連盟から、自民党に関連する政治団体へ毎年総額五億円を超える寄附がなされています。
加藤大臣の政治団体、勝会の収支報告書も拝見しました。令和五年四月に五十万、六月に五十万、七月に五十万、そして九月に五十万、十一月にも五十万、ほぼ二か月に一回、パーティー券を毎回五十万円買ってもらっていますね。これは事実ですか。しかも、令和五年九月まで、加藤大臣は厚労大臣をお務めになっていらっしゃいました。その間に、収入が一回当たり一千万円を超えるパーティーを複数回開いています。国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛するというふうにされている大臣規範に抵触しているんじゃないでしょうか。加藤大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 済みません、今突然におっしゃられたので、数字自体を確認するものは持っておりません。
ただ、一定規模、一定機会、そうした、これはパーティーでありますから開催させていただいて、それぞれにおいて御出席もいただきながらお話も聞いていただいたものというふうに承知をしておりまして、規模も、場合によっては一千万を超えた場合もありますけれども、基本的には小規模ということで、一千万を超えないような、そうした思いで開催をさせていただきましたけれども、場合によってはそれを超えていたこともあったものと承知をしています。
○水沼分科員 ありがとうございます。
私が質問したのは、大臣規範にのっとった上での判断だったかというところ。今、一千万を超えたというのは、大臣規範にのっとって一千万円であっても小規模だというふうに認識したので開催したという理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 御承知のように、パーティーは結果なんですね。そのときに来られた方もおられるので、どこまでおいでいただくのか、振り込みをいただくのかというのは、最後に締めてみなければなかなか分からないという事情があります。
その上で、基本的には小規模ということの規範も踏まえながら、大臣規範ですね、それを踏まえながら実施をさせていただいた。ただ、結果で、一千万を超えたら小規模じゃないということを別に書いてあるわけではありませんけれども、一つの目途としては、そうしたことで運用されてきた経緯もありますから、そういったことも勘案しながら対応はさせていただいたということでありますが、ただ、具体の数字は、今急におっしゃったものですから、済みません、手元にないので具体的なことは申し上げられないということです。
○水沼分科員 ありがとうございます。
大臣は、変動があるからなかなか一概に、大きさに関わるものができないというような答弁だったと思うんですけれども、パーティー券を買っていただいている額は変動がないと思うんですよね。毎回五十万円買っていただいている、そういった団体、ほかにもたくさんあったというふうに認識しているんです。
であるならば、予想ができて、一千万を超えて、それは大臣規範に抵触するという可能性もあるのかなと思いますが、いずれにせよ、今大臣がおっしゃったように、具体的な数字というのを確認できないのであれば、とんだパーティーピープルですねという言葉しか浮かんでこないというところを考えております。
状況を整理しましょう。民主党政権時には改革に向けた議論が進んでいた。自民党政権に戻って改革が骨抜きにされた。受益者団体から、自民党や大臣らが一年につき総額五億円を受け取っていた。これら一つ一つの事実を足し合わせたら、どう見ても、お金の力で政策がゆがめられているようにしか映りません。もう利権政治は終わりにしませんか。
社会保障と税の一体改革は急務であり、私たちの責務です。是非、これまでのタブーに切り込んだ本気の財政改革をしませんか。大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 まず、先ほどのパーティーのお話、これは別に、そういう団体でいただいたところもありますけれども、多くは個人の方、いろいろな方がおられます。そして、そのときに時間があったから来ていただく方もいらっしゃいますし、来られない方もいらっしゃいます。そういった中でやってきているということでありますから、余り決めつけるような言い方はちょっと控えていただきたいというふうに思います。
その上で、私どもも、税制としての必要性ということでここは議論させていただいていますので、別に、政治資金が多い少ない、そういったことではなくて、例えば、今、租税特別措置のお話がありました。それについては効果がどうあるのか等々、特に税の場合は、自民党の税制調査会あるいは与党の税制調査会、そこで議論をしていただいた上で、そして、それを踏まえながら政府としても対応させていただいているということで、これまで改正を一つ一つ、見直しを一つ一つやらせてきていただいた、こういう経緯であります。
○水沼分科員 ありがとうございます。
私も、しっかりと事実をもう少し確認して、また、事前通告をしっかりと考えるようにして、大臣とはお話ししていきたいと思っています。
いずれにせよ、納税者に不公平感が広がれば、ただでさえ日本に蔓延している税に対する痛み、これは痛税感というんでしょうかね、これがより深刻なものとなってしまうことを危惧しています。是非、引き続き租税特別措置のあるべき姿について議論をさせていただき、しっかりと協議させていただければというふうに思います。
次のテーマに移ります。
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置について、財務省によると、本制度によって二百十億円が減収となっているというふうに認識しています。
子育て世代に資産が移転されるということ自体は高く評価したいと思います。他方、贈与税が発生する適用対象者というのは、日本における約九%です。つまり、子や孫に贈与税が適用になるほど資産を残すことができるのは、そもそも裕福な家庭なのではないかという思いがあります。そうであるならば、贈与税の適用が及ばない残りの九一%、いわゆる大多数の人たちのお子さんやお孫さんたちのことも考えなくてよいのだろうかという疑問があります。
まず、公助がすべきなのは、全ての子供が生まれた環境に左右されずに、共通のスタートラインに立つことができるための取組を支援することなのではないかなというふうに考えています。
その意味では、教育の無償化に向けた取組は大変意義深いと感じています。だからこそ、昨日に、一般会計で一千億円の増額修正を首相が明言されていらっしゃると思います。徹底した行財政改革の中に、本制度の見直しによる二百十億円の税収増を加えればいいのではないかなと思うんですけれども、加藤大臣、御見解をお答えください。
○加藤国務大臣 一千億の話は、自公維の議論の中で、高等学校の無償化、七年度分については、約十二万円弱の部分について先行して実施をする、それに対する財源をどうするかという議論、これは今、関係政党の中でやっておられるところでございますので、政府としては、それを踏まえた対応ということになると思います。
その上で、今の教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置については、教育費に負担を感じている若年世代への資産移転を通じて経済を活性化するという目的で、平成二十五年税制改正で導入をされたところであります。
本措置については、導入当初から、今御指摘がありました格差の固定化につながるんではないかという指摘もあったことから、適用期限が到来するたびに、節税的な利用につながらないよう所要の見直しが行われてきたところであります。
令和五年度与党税制改正大綱においては、近年の利用件数の減少や資産を多く保有する者による利用が多い等の状況を踏まえ、次の期限到来時、これは令和八年三月になりますが、利用件数や利用実態等を踏まえ、制度の在り方について改めて検討するとされているところであります。
政府としては、適用期限の到来に向けて、利用件数、利用実態等の把握に努めつつ、政策目的と照らして、整合的な制度となっているかどうか、検討を進めていきたいと考えています。
〔稲田主査代理退席、主査着席〕
○山下主査 水沼君、そろそろ申合せのお時間ですので、おまとめください。
○水沼分科員 ありがとうございます。
是非、全ての次世代に資する政策に対して賢い支出を心がけながら財政を統括していただきたく、よろしくお願い申し上げ、時間となりましたので、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○山下主査 これにて水沼秀幸君の質疑は終了いたしました。
次に、柚木道義君。
○柚木分科員 立憲民主党の柚木道義でございます。
今日は、山下委員長、そして加藤財務大臣、仁木副大臣もありがとうございます。まさに、加藤大臣、山下委員長と私も同じ岡山ということで、仁木副大臣は徳島でいらっしゃいますけれども、これは本当にいい議論を是非させていただきたいということを冒頭お願い申し上げます。
高額療養費の問題から質疑に入らせていただきます。
ポツ三の、今回、高額療養費制度が導入をされて、多数回該当の方は除いたとしても、千九百五十億円の医療費抑制がかかるという答弁がございました。この点について、ちょっとまずお伺いをさせてください。
仁木副大臣、まさにお医者さんでもいらっしゃるわけですし、特に今回は、乳がん患者さん、今日、学会の緊急声明もつけておりますし、まさに不妊治療、女性の多くの方が今回本当に窮地に追い込まれる、少子化にも逆行する、こういう部分もある中で、これは、千九百五十億円の医療費抑制がかかった場合に、必要な治療が受けられなくなってお亡くなりになられるがん患者さんが出てこられるんじゃないですか。その辺りの試算等もすべきだと思いますが、通告しておりますので、御答弁お願いします。
○仁木副大臣 柚木委員にお答えします。
御指摘のように、毎月毎月高額な療養費を支払われている方、特に今、医療も高度化しておりますし、革新的な医薬品が登場する中で、やはり、この制度を使って何とか自分の寿命を長くしたり、あるいは不妊治療の方でしたら、継続してその目的が達成されるような診療を受けられている方もいらっしゃると思います。
そういうことを踏まえて、当初の予定でありましたけれども、やはり、それに多くの患者様からの御要望も受けまして、そういった多数回の方々、年間ベースでかなり負担が厚くなる、多くなる方に関しましての対策を考えていたところでございます。
○柚木分科員 千九百五十億円の医療費抑制がかかるわけですから、医療費抑制がかかるということは、当然、必要な治療を受けられなくなる方が出てくることが前提ですから、その場合に、例えば抗がん剤治療にしたって、まさに副大臣も御存じの最新の様々な治療の組合せ、こういったことが受けられなくなれば、当然、病状も悪化してお亡くなりになられる方々が出てくると推察されるわけです。
千九百五十億円の医療費削減によって、お亡くなりになられるがん患者さん、推定されると思いますが、いかがですか。
○仁木副大臣 もちろん、厚労省の立場としては、そういった経済的負担がかかるから医療を受けない、いわゆる医療抑制がかからないように、あらゆる対策を講じていく形を検討しているところでございますので、その一環として、今回も、そういうことを踏まえた上での対策、当初の対応とは違った、いわゆる多数回頻度のことに対する対応もしてきたところでございます。ですから、この経済的な負担に配慮しての対応を考えているところでございます。
○柚木分科員 ちょうど横に岡本委員がおられるんですが、昨日の予算委員会で、まさに多数回該当についても、同じ所得そして同じ治療であったとしても、まさにこの高額療養費制度の負担増の前と後とで全く負担が変わってくるということが明らかになって、しかも、例えば、全がん連の天野理事長さんだったと思いますけれども、そういうことも昨日の答弁で初めて知ったと、保険局長でしたかね。当事者団体や患者さんたちも分からないような状況でこの制度が導入をされるというのはあり得ないと思うんですね。
是非、私は強く求めますが、どうも報道によれば、自民党さんは三月三日にも衆議院でこの来年度予算案の採決を提案していると。採決を提案する前に、少なくとも採決より前に、是非、先ほど紹介した、岡本さんが昨日も質疑されたような、まさに多数回該当の方々でも前後で大きく負担が変わることだったり、あるいは転職をしたりして入っている保険が変わったり、あるいは、まさに乳がん患者さんとかもそうでしょう。もう専門だからお分かりでしょう、一旦治療をやめちゃうと、多数回該当であっても、もう一回そういう治療が始まったときはゼロベースなわけですよ。様々なケースがあるわけですよ。
ですから、是非、そういった個別のケースを、患者さん、もっと言うと医療従事者からも、私が今日段階で分かっているだけでも十ぐらい緊急声明が今上がっていますよ。私の後援会長も実は、がんの手術、治療に日々当たられているドクター、外科医なんですね。その病院でも恐らく二百人ぐらい、治療、命に関わる影響が出るだろうとおっしゃっています。
そういう影響を個別具体のケースごとに分かりやすく調査、試算を、少なくとも、採決を、この予算案を、我々は、二百億円、高額療養費負担増一旦凍結と申し上げているわけですから、ケースを、試算を出していただけませんか、副大臣、少なくとも採決までに。お願いします。
○仁木副大臣 重要な御指摘、ありがとうございます。
今御指摘のことはありますが、この高額療養費制度が、保険財政をいわゆる維持してきたというのは非常に大きな役割がありますが、同時に、今おっしゃったような、お金が理由で医療抑制、結果として国民に不幸があるようではよくないというのも一方であります。
ですから、これはぎりぎりのところで、私も最初申し上げましたが、いろいろな革新的な医薬品に象徴されるような高額医療が登場しております。そのことをより国民が、それでもその治療を用いた方が治療効果があるわけでございまして、そこを維持するための制度でございますので、この保険財政を維持するためのことも踏まえた上でぎりぎりの対応ということ、そしてまた、現場の患者様の声を踏まえての、今回の、当初のいわゆる予定とは違った措置になっておるということは、一応、趣旨は踏まえながら、理解はしていきたいと思っております。
○柚木分科員 委員長に、是非お願いします。まさに予算委の理事でもいらっしゃるわけですから。
これは、この予算委分科会の環境委員会で我が党の川内博史議員が、厚労省の恐らく政府参考人だと思いますが、このまさにやり取りをしたら、そのような試算は行っていない、持っていないと答弁されているみたいですよ。
そんなことで、命に関わるそういう調査、試算もやらずに、やってから影響を調べて公表されるようなことになるんですよ。あり得ないじゃないですか。
是非、少なくとも、衆議院の予算委で採決も提案するのであれば、それまでに一定の調査、だって、患者団体さんは調査しているじゃないですか。半分がもう治療を断念、残り半分が治療の回数を減らすですよ。
調査してください、採決を提案しているんだったらそれまでに。
○仁木副大臣 重要な御指摘、ありがとうございます。
ただ、今、現状としまして、いわゆる国民、患者のそれぞれの所得等々と、疾病、いわゆる、具体的にはNDBに象徴されるレセプトとの情報が連携できていませんので、今おっしゃったような、経済的背景と実際の疾病とのリンクに対するデータがないわけでございます。
ですから、多数回頻度に関しましての患者さんに関する試算は、いわゆるこの中で話はしていましたが、今、柚木委員がおっしゃったことは重要な視点だということで受け止めまして、そういった個別の調査をするかどうかは持ち帰りたいと思います。
○柚木分科員 是非、これは本当に、患者団体もアンケートをしているわけですから、一定の調査は可能だと思いますので、短期間で。
是非、委員長、お願いです。少なくとも、衆議院で来年度予算、我々は少なくとも、この命に関わる高額療養費の負担増を、一旦ですよ、一旦凍結して、その後いろいろ議論したらいいと思いますよ。何か維新さんも四兆円の削減を提案しているんでしょう、内容がいいかどうかはちょっとここではコメントしませんけれども。そういうことも含めて、恒久財源も出したらいいし、我々も提案しています。
ですから、少なくとも、一旦凍結を我々は求めている中で、その予算案を採決するのであれば、是非それまでに一定のまさに影響調査を、具体例を示して、患者団体さんら当事者にも分かるような形で、衆議院の予算委員長に提出をお願いします。
○山下主査 ただいまの御要請につきましては、主査に御一任願います。
○柚木分科員 ちょうど岡本委員もおられますので、よろしくお願いします。
加藤大臣、伺います。
まさに厚労大臣を何度も歴任されて、私も尊敬申し上げておりますし、今まさに財務大臣というお立場です。これは、患者さんたちもまさに、先週も、厚労大臣との面会の際にも、それぞれが本当に悲痛な叫びをおっしゃっていた中で、まさに今回、多数回該当は全体の高額療養の対象利用者の一、二割ですね、調査によってちょっと違いますけれども、幅がありますけれども。そういう中で、じゃ、残り、本当に、出し方によって一千万とも言われますし、あるいは、この間の、多数回該当を除いて、七百九十五万人の対象のうち、百五十五万人を除いた残り六百四十万人というのもありますけれども、いずれにしても、そういう方々がこのままいくと切り捨てられる可能性があるわけです。必要な治療が受けられない。
ということは、是非お願いをしたいのは、まさに、私どもが仄聞するには、自公政権で公明党さんも、これはちょっと一旦凍結というか、延期とかした方がいいんじゃないかという御意向も伝わってまいります。是非これは加藤大臣、まさに厚労省のこれは所管でもありますが、関係省庁と是非相談をして、一旦凍結してほしいというのが患者さんたちの声なんです。分かっているんですよ、やはり予算の元締めは財務省ですから、加藤大臣なんです。
石破総理も、私がこの間の答弁もお聞きしている中では、やはり余り詳しいこと、現場のこと、正直ちょっとお分かりでない部分を感じます。加藤大臣ならお分かりだと思うんです。
我々もずっととは言いません。一旦凍結をして、そして財源の在り方、高額療養費の在り方、これを見直す。凍結なのか、延期なのか、表現はあると思います。是非これは財務大臣として、厚労省とも協議をして、関係省庁と協議してほしいというのが患者さんたちの切実な声ですから、一旦凍結の協議を行いたい、それぐらいはちょっと是非ここで、患者さんたち、明日は我が身です、我々も。私も、大臣も、我々の家族も、明日は我が身です。誰にも起こり得ることなんです、高額療養の対象者になること。一旦凍結、延期、検討すると是非ここで御答弁お願いします。
○加藤国務大臣 総理が分かっていないと言われると、はいそうですかというようなわけにいかないので。それはもちろん、事細かなことは厚労大臣にお任せをしていますから、しかし、そこから上がってきた話、あるいは、予算委員会でそれぞれの委員からのやり取り、こうしたものを聞かせていただきながら判断をされているものと承知をしています。
その上で、高額療養費制度の見直しについては、私も厚労大臣をやらせていただきましたけれども、現役世代を中心に保険料負担の抑制、これは常に求められているわけであります。高額療養費制度による自己負担減少分の累計の増加が医療費全体に比べても伸びが高いということ、また、これからも高額薬剤、これがどんどん増えていくということも想定される。しかし、そうした事態においても、やはり患者さんが求められる薬剤がしっかり使えるようにしておかなきゃいけない。これは私たちの役割だと思っております。
まさに医療の重要なセーフティーネットである高額療養費制度、これが将来にわたってもしっかり機能していく、支えられていく、それのためにも必要な見直しは行っていかなきゃならないと思っておりますし、その点については多分同じ思いを持っていただいているんじゃないかと思います。
その上で、今般、政府全体の決定として、高額療養費に年四回以上該当する方の自己負担額の見直しをせず、据え置くということにしたところであります。政府としては、こうした修正の趣旨、内容について、多くの方に御理解いただけるよう、丁寧な説明を引き続き行っていきたいと考えております。
○柚木分科員 これはもうぎりぎりの今タイミングなんですよ、予算の修正。はっきり言って、あしたぐらいにはそういうものが出てこないともう間に合わないですよ、衆議院段階で。ということは、今日まさに、財務大臣あるいは仁木副大臣、ここでせめて、一旦凍結、延期、これを検討したい、そういうことをおっしゃっていただかないと、予算の修正、組み替えといっても間に合わないわけですよ。
これは公明党さんが、私が仄聞するには、相当やはりこれは、特に、それこそ乳がんもそうだし、不妊治療もそうだし、女性の方に大きなしわ寄せ、影響が出る。
資料の七、八を御覧ください。
乳癌学会のまさに緊急声明ですよ。現役世代、子育て世代の罹患する割合が多くて、まさに患者本人だけでなく家族を含む生活全般に深刻な影響を及ぼす。特に女性ですよ。そして、次のページを見ていただくと、まさに高額療養費制度の自己負担上限引上げの凍結、そして、患者や専門家との対話、情報公開を踏まえた透明性の高い政策決定プロセス。十分な時間をかけてそれを審議してほしいと。
現場の声、私もドクターからこう言われました。日々現場で患者さんや家族、命と向き合ってやり取りしていたら、こんなこと出せない。机の上で電卓たたいて、鉛筆なめてやっているから、こんなことを平気で出せるんだと。分かるでしょう、副大臣なら、現場でやっているんだから。
これはもし、千九百五十億円の医療費抑制で、必要な治療を受けられなくて亡くなられるような患者さんが出てきたら、副大臣、責任取れますか、いかがですか。
○仁木副大臣 責任を取れるかというと取れないわけでございますが、ただ、私の立場としては、それは軽々に言えないと思っております。
ただ、先ほど加藤大臣もおっしゃったように、やはり高額療養費制度を例えば堅持していく、この制度というのは本当にありがたい制度であるわけですね。ということは、ある意味、私が思うには、我が国の皆保険制度、あるいはこれは保険財政があっての話ですから、やはり持続可能な、いわゆる医療制度の根本たる皆保険制度、保険制度あっての話でございまして、その恩恵で受けられている方をやはり別の側面から、今回、柚木委員は、いわゆる非常に負担が増える方を強調されているわけでございます。それはもちろん大切です。
ただ、一方で、この制度があるがために助かっている方もたくさんいらっしゃるわけでございますし、また今後、後進的にそういった制度を利用する患者、国民もいるわけでございますから、厚生労働省としましては、現場を知らなくてもそういったことを包括的に、そしてまた前向きに捉まえて対策を講じていかなければいけないと思っておりますので、必要な受診において抑制がかからないような、そういう経済負担に一応配慮した形には取っております。
先ほどのことも踏まえて、また取り組んでいくということをお伝えしたいと思います。
○柚木分科員 副大臣、責任を取れない。取れないことをやっちゃ駄目ですよ、取れないことを。
私たちは本当に、私も直接、患者さんたちから、これだったら、自分の治療費にお金を使わずに、自分はどうせもうそんなに長くないから、見られない子供の成人式のために振り袖、自分のお金のあるうちに治療費をそっちに回して買っていてあげたい、そういう声がいっぱい来ているじゃないですか。
加藤大臣、私たちは、命が懸かっているんだから、命懸けでこれをやらなきゃいけないと思っているんですよ、命懸けで。
私たちは本当に、確かに、一ページ目に資料をつけていますけれども、我々の予算の修正案、総額三・八兆円、この中では一番少ない二百億円の予算の修正要求ですよ。一番少ないけれども、一番命に直結する予算なんですよ。このことを私たちは本当に、身を挺して、患者さんや家族の皆さんに成り代わってやらなきゃいけない。
そのときに、私たちだって、年度内に予算がちゃんと成立して、執行して、ちゃんと生活に、皆さんにとって必要な予算が執行されるべきだと思う。けれども、こんな予算を通すんだったら、仮に年度内に予算が成立しなかったら、これは政府・与党の責任ですよ。二百億円ですよ、二百億円。五千億円の、我々も授業料無償化が必要だと組み込んでいる、追加予算が一千億かかる。財源を考えていないときの答弁をされているじゃないですか。教育はそれでやっておいて、大事ですよ、でも、命に直結する二百億円、我々、提案もしている。
一旦と言っているんです、一旦。一旦凍結して見直す、協議をする。財務大臣、財務大臣がそれをおっしゃってくれれば、石破総理も必ずそういうふうに私はおっしゃると思います。是非ここで、見直す、凍結、延期、言葉はいい、そのことを検討したいと、せめて、予算の採決までの中で、その検討をしたいぐらいのことをここでおっしゃっていただけませんか。
○加藤国務大臣 別に、私どもは、命は大事であります。そして、高額療養費制度があるからこそ、ほかの国にこういう制度は必ずしもないわけでありまして、これをしっかり日本は堅持することによって、多くの方が救われている、これをしっかり守らなきゃいけない。そして、確かに患者さんの声も聞かなきゃいけない。しかし、負担をされている保険者、その代表者の声も私たちは聞かなきゃいけない。
そういった中で判断をさせていただき、またこの委員会の中でのやり取りも含めて、今回修正もさせていただくということは総理が申し上げているわけであります。
したがって、やはり、おっしゃることもよく分かります。しかし、この制度をしっかり守っていく、もっと広く言えば、この国の冠たる医療制度をしっかり守っていく、このことも非常に重要な役割だと思っております。
そういった意味において、おっしゃる視点は別に我々は否定するつもりもありません。よく分かります。しかし、同時に、私たちはこの制度を次の世代に向けてしっかり守り、つなげていかなきゃならない、この責務もある、そしてそれは日々日々発生している、このこともしっかり自覚をしていかなきゃいけないというふうに思っています。
○柚木分科員 制度の存続は我々も重要だと思っていますよ。(発言する者あり)
○山下主査 御静粛に。
○柚木分科員 でも、制度があってサービスなし、必要な治療が受けられなくなったら、そもそも高額療養費制度の意味ないじゃないですか、制度だけ存続したって。
資料につけているように、報道ステーションのこれ、昨日岡本さんのもやっていましたけれども、要は、上限にひっかからなかったらずっとずっとその負担をしなきゃいけないから、これまでより負担が五万も六万も増えて、もう治療を諦める人が確実に出てくるんですよ。制度が残っても、命を守るための治療を受けられなかったら意味あるんですか。
公明党さんも、本当にこれは一旦延期した方がいいんじゃないか、そういう声が伝わってくるんですよ。あくまでも二百億の命を守る予算を修正しないとおっしゃるのであれば、これは自民党さんの壁になりますよ。石破総理の壁になりますよ。壁ばかりつくって。年収の壁も。これは命の壁を石破総理や自民党さんがつくることになりますよ。それでいいんですか、財務大臣、そんな壁をつくって。是非壁を取り払おうじゃないですか。一言検討したいと、延期を、凍結を。お願いします、今日がもうぎりぎりのタイミングなんです。
○加藤国務大臣 先ほどと同じ、繰り返しになりますが、別に私どもは壁をつくろうとしているわけではありません。まさに、逆に、おっしゃる趣旨は、こうした多数回該当という制度があるということが一つの背景にある、これはこれまでも指摘がされておりました。したがって、それを踏まえて、必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、こうしたことにも配慮しながら、しかし、やはりこの制度、ひいて言えば、日本の医療制度、これをしっかり守っていくんだ、そういった思いも含めて、今回の、今こういった形で提案をさせていただいているということでございますので、これは、私というよりは、政府としてそういう方向でということ、これは総理も答弁されているところであります。
○柚木分科員 三月三日の衆議院における来年度予算案の採決に当たっては、まさにこの命を守る最後のとりでである高額療養費、二百億、この予算の修正、こういったことも検討に値する、そういうふうに報じられていますよ。そういう議論、政府内でしていただいているんですか、少しでも。いかがですか、大臣。
○加藤国務大臣 済みません。その報道自体、ちょっと私も承知をしておりません。ずっと委員会にいたりするので聞いておりませんから分かりませんけれども、少なくとも、私が承知しているのは、これまで石破総理がこの国会で答弁されてきたこういった姿勢、そこで答弁をされてきたこの内容ということであります。
○柚木分科員 たしか保険局長さんだったと思いますけれども、制度が残ってもサービスがなければ患者は生きられない、死んじゃうということに対してどう責任を取るんだと言ったら、制度を残すのが責任の取り方だと。制度は重要ですよ。でも、目の前の患者さんを切り捨てて制度が残って、責任を取ったことになるんですか。あり得ないと思いますよ。
じゃ、仮に、公明党さんから、与党内で、政府内で、これはちょっとやはり一旦延期、凍結、議論した方がいいんじゃないかという声が上がったら、これは、加藤大臣、石破総理ともそのことを相談いただけませんか。いかがですか。
○加藤国務大臣 仮の話には答弁できないということでありますし、少なくとも、そうした話自体、私自身承知をしているわけではございません。
○柚木分科員 是非、本当に我々も、様々なこの医療費の見直しは、確かに今のOTCの類似薬の在り方だって三千二百億円とか出ていますけれども、もちろん一概にカットじゃなくて、それぞれの被保険者の方々のいろいろな属性や、持病があるないとか、薬の特性とか、いろいろなことで判断をしても二百億は出ますよ。何でかたくなに、この二百億、高額療養費、こだわるんですか。出せますし、制度存続できますし、まだ三月、仮に三日と報道されていますけれども、少し時間ありますから、それも含めて、少なくとも、じゃ、二百億円の財源についてはちょっと検討したいと、そこは大臣、一言答弁ください。
○加藤国務大臣 申し訳ないですけれども、二百億の財源、もし政党間で全部そろえばそこで議論されるでしょうし、そして、そのときは、財源をどうするかも議論されます。確かに、今回の自国、自公維もそうであります。
政党間協議というもの、それは今やられているわけでありますから、その結果は、政府として、当然尊重されていくわけですが、今おっしゃったように、何を、その二百億の歳出そのものが減るという話ですね、という話等を含めて、そこが確定していないのにその財源云々という議論にはならないということは御理解いただきたいと思います。
○柚木分科員 是非、このままいけば、本当に確実に、これが本当に八月から施行されたら、お亡くなりになる方、悲嘆に暮れる御家族が出ますから。自民党さんの壁、石破総理の壁になっちゃいますから。少しだけまだ時間ありますから、今日も含めて。是非、今日の報道ぶりも含めて確認いただいて、政府内でも与党内でも、切に、凍結、延期の検討をお願いします。
時間がありません。森友の公文書の問題に入ります。
これは加藤大臣も御承知のように、赤木俊夫さん、自死されて、倉敷市の方です。
私も御焼香に伺いました。御遺族の方は、私がお線香を上げている間ずっとうめいておられました、何でこんなことになったんだと。何でこんなことになったんだと、ずっとうめいておられました。
亡くなった命は返ってきません。でも、なぜそんなことが起こったのか、二度とそんなことを起こさせないために、この森友文書の黒塗りなき早期な、早急な開示が必要です。赤木雅子さんもそれを望んでおられるのは、御承知のとおり。
一昨日の財政金融委員会で、たしか加藤大臣は、週内にも、この森友文書の開示、判断、めどをつけたいという答弁をされていますよね。ということは、もう明日ですよ。大臣、まさに、あした中にも、この森友文書の開示を、是非、黒塗りなき開示。
時間がないから、まとめて聞きます。
少なくとも、なぜそういうことが起こったか。当時の安倍元総理あるいは安倍昭恵総理夫人、あるいは菅官房長官、あの、自分が、妻が関わっていたら議員も総理も辞めるとおっしゃった、あれからいろいろなことが動いて、私はこの問題を菅官房長官ともやり取りさせてもらいました。当時の財務省あるいは国交省も含めたそれぞれの皆さんが集まって、そして、全然ラインになかった赤木俊夫さんがその改ざんに手を染めざるを得なくなったということは、佐川理財局長も含めて、安倍元総理、昭恵さん、菅官房長官、佐川理財局長らそれぞれ、情報公開法の五条一号から六号までそれぞれ、私も、昨日もやり取りさせてもらいましたよ。該当しないと思いますから、是非、黒塗りでなくて、文書開示をあした中には御判断、公表いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 あしたのお話をさせていただいたのは、これから、相当な分量があるわけでございますので、それをどのような段取りでより効率的な作業を進めていくとどういうスケジュールになるのか、そこをお示しをするということを申し上げているので、あした開示、あしたというか今週中に開示をするということを申し上げているわけではないことは御承知いただいているというふうに思います。
いずれにしても、今、こうした開示の時期が、目途をお示しできるように、必要な作業の精査を進めてほしい、それを事務方にも今週中ということで指示をしたところでございます。
精査の結果については報告を受けた上で、開示の時期の目途、これを速やかにお示しはしたいというふうに考えているところでございます。
それから、今委員のお話がありました文書改ざんなどの問題行為については、総理官邸の指示あるいは了解がないということは、これまでの国会審議等で説明をさせていただいているところと承知をしております。
それから、黒塗りのお話がありました。
情報公開法において、個人の氏名等により特定の個人を識別することができる情報は、個人に関する情報として、不開示情報とされております。国務大臣や国会議員も含む公務員の氏名に関しては、個人に関する情報であっても、情報公開法第五条第二号から第六号までに掲げる不開示情報を公とすることとなる場合や、個人の権利利益を害することになるような場合を除き、慣行として公にされ、又は公にすることを予定されている情報に該当するということで、不開示情報には該当しないものと承知をしているところであります。
なお、公務員に該当しない、例えば国会議員の親族の氏名等の個人に関する情報については、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報等に該当しない限り不開示になるものと承知をしておりますけれども、いずれにしても、今後の開示、非開示の作業に当たっては、総理から申し上げておりますように、情報公開法等々の趣旨にのっとって、そして国民に対する責任をしっかり果たしていくといった観点から取り組んでいきたいというふうに思っています。
○山下主査 柚木君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○柚木分科員 終わりますけれども、今の理解は、恐らく昭恵さん以外は黒塗りでなく公表されるものと……
○山下主査 申合せの時間が経過しております。おまとめください。
○柚木分科員 分かりました。
昭恵さんについても私は公表し得ると思っていますので。
通告、できませんでしたけれども、ガソリン税、それから年収の壁の引上げは税と保険料セットで取組をお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山下主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。
次に、福田昭夫君。
○福田(昭)分科員 立憲の福田昭夫でございます。
今日は、消費税の問題点と、トランプ大統領のディール、消費税による貿易戦争にどう対応するのかということを、政府の考えをただしてまいりたいと思っておりますので、是非、お疲れだとは思いますが、加藤大臣始め政府参考人は簡潔にお答えいただければと思っています。
まず、消費税の問題点についてであります。
一つは、消費税の本質は封建時代の人頭税だと思うんですが、いかがかという話であります。
消費税は、赤ちゃんから寝たきりのお年寄りまで、全く所得のない人も低所得者も高額所得者も一律一〇%、八%を納めろ、こういう税金でありますから、まさに封建時代の、一人頭幾らよこせ、こういう税金と同じだと思うんですが、政府の見解はいかがですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の人頭税でございますが、一般的には、担税力の差にかかわりなく、各人に対して一律同額に課される税を指すものとされております。
これに対し、消費税につきましては、物品やサービスの消費に担税力を認めて課されるものでございまして、消費を多く行う消費者ほど担税力が高いものとしてより多くの消費税を負担する仕組みとなっていることを踏まえますと、いわゆる人頭税とは性格の異なるものと考えております。
○福田(昭)分科員 全く哲学的な違いかもしれないけれどもね。
元大蔵官僚の森信茂樹氏はこう言っているんですね。消費税の長所として七つ挙げていますが、一番目に、水平的公平性に優れる税金だ、こう言っているんです。水平的公平というのは税の世界で何なんですか。こんなとんでもない、私は国民だましだと思っております。
二つ目ですけれども、消費税の最大の欠点は経済成長を阻害することだと思うんですが、いかがかということであります。
税率を上げれば、それだけ全物価を押し上げて、消費を停滞させ、景気を悪化させて、経済成長を阻害する、邪魔する税金なんですよね。ですから、こんな税金で何を政府はやろうとしているのか。
平成元年に物品税を廃止して消費税を創設して以来の、失われた三十年の経済成長を、GDPの成長を見れば一目瞭然だと思うんですが、そう思わないんですか。いかがなんですか。
○青木政府参考人 お答えいたします。
消費税率の引上げは、物価の一時的な押し上げ要因となり、また、駆け込み需要や反動減といった経済、消費への影響があることは否定できませんが、経済への影響につきましては、負担の面のみではなく、消費税が社会保障給付として家計に還元されている面にも着目すべきだというふうに考えております。
少子高齢化が進む我が国において、全世代型社会保障を支える重要な財源である消費税が果たす役割は一層重要となってきているものと考えております。
○福田(昭)分科員 そのことは後で指摘をしますが、そんなまるっきりうそを言ったんじゃ駄目、国民をだましたんじゃ駄目だと思っていますよ。後でそれは指摘します。
三つ目ですけれども、経済成長を阻害する消費税に頼っていては財政再建はできないのではないかということであります。
政府は、口を開ければ、経済成長なくして財政再建なしと大臣以下がよく言っているじゃないですか、まだ加藤大臣は言っていませんけれども。前の大臣からよく言っているじゃないですか。そうしたら、やはり、経済成長を阻害するような消費税に頼っていたのでは財政再建はできませんよ。いかがなんですか。
○青木政府参考人 お答えします。
消費税につきましては、税収が景気や人口構成の変化に作用されにくく、安定している、働く世代など特定の層に負担が集中することがない、貯蓄や設備投資等の意思決定に中立的であるなどの特徴を有しておりまして、少子高齢化が進む我が国において、全世代型社会保障を支える重要な財源である消費税の果たす役割は一層重要となってきているものと考えております。
その上で、税制の在り方につきましては、経済社会の構造変化などを踏まえつつ、所得税、法人税、消費税などを適切に組み合わせながら、安定的な税収基盤を築いていくことが必要であるというふうに考えておりまして、今後とも、中長期的な構造変化に対応したあるべき税制の構築に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
その上で、引き続き、経済あっての財政という考え方の下、力強く経済再生を進める中で財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいりたいというふうに考えております。
○福田(昭)分科員 それもおかしな詭弁で、それこそ森信君も言っていますよ、働く人に偏らない、いい税金だと。そんなことはないじゃないですか、青木参考人。
だって、働く人はみんな扶養家族を持っているんですよ、大体、扶養家族を。結婚していない人だって親はいる、結婚していれば家庭を持っているから、子供もいる、奥さんもいる。そうすると、その分、全部消費税を払っているんですよ。ですから、働く人が一番消費税というのは負担しているんですよ。ですから、そういう認識は全く間違いじゃないですか。ですから、それは認識を改めるべきだと思います。ですから、しっかり消費税がどんなに働く人に重い負担を課しているかということも認識をした方がいいと思います。
では、四つ目ですけれども、四つ目は、消費税は国や地方公共団体も負担するので、行政経費がかかり過ぎるのではないか。国や地方公共団体がどれだけ負担しているのか、大体計算しているんですか。しかも、税金で税金を負担するのは国民が消費税を二重に負担しているということであって、そんな消費税を負担するなんていうのは非常におかしな話だと思うんですけれども、これはいかがですか。まとめて三点お答えください。
○青木政府参考人 お答えします。
国、地方公共団体が物品の購入などを行う際には、対価の一部として消費税相当分を上乗せして歳出として支払っておりますが、支払い先の事業者の方ではこの消費税額を納付することになりますので、歳入としても入ってくることになるということでございます。
歳入歳出両面を見ますと、全体として国、地方公共団体が消費税の存在により負担を負うということにはならないことから、国民が二重に消費税を負担しているということにはならないものと考えております。
また、国は、令和七年度の一般会計歳出予算におきまして、各省庁が見込んでおります消費税額に相当する額は八千三百億円程度であるというふうに考えております。
○福田(昭)分科員 先ほどの質問の中で、消費税が非常に安定している財源なんだ、こういう話がありましたが、それは、今申し上げたように、国や地方公共団体、あるいは外郭団体までみんな消費税を納めるから、実は安定しているんですよ。だって、幾ら景気が悪くて税収が減ったって、まさか国や地方公共団体が、あるいは関連団体が消費税を納めないわけにいかないじゃないですか。ですから、安定しているんですよ。
ですから、これはうまくできている仕組みなんですけれども、しかし、何も消費税そのものが安定しているわけじゃない。消費税の仕組みの中に、国や地方公共団体、外郭団体、例えば道路公団だって、今は道路公社というのかな、これだって、工事を発注すればちゃんと消費税を負担して、払わなくちゃならないじゃないですか。
ですから、そういったことを考えれば、実は本当に多額の消費税を払っているということなんですが、そうした安定している財源と言うのはまさに国民をごまかすような言い方であって、本当に安定しているのは、国や地方団体が、幾ら景気が悪くたって負担しなくちゃならないから、そういうふうには考えられないんですか。
○青木政府参考人 先ほど申し上げましたように、税収が景気や人口構成の変化に作用されにくく、安定しているという面、それから、働く世代などの特定の層に負担が集中することがないといった特徴が消費税はございまして、社会保障財源として重要性はますます増しておるものというふうに考えております。
○福田(昭)分科員 後でまた言いますけれども、質問しますけれどもね。
実は、米国では、アメリカでは、レーガン大統領のときに付加価値税を入れるか入れないかを検討しているんですよ。米国はそれ以来、ずっと入れていない。なぜかというと、実は、レーガン大統領のときに付加価値税を入れるかどうかを検討したら、行政経費がかかり過ぎる、当時のお金で十億ドルかかる、これはとてもとても駄目だということで、アメリカは実は付加価値税を導入していないわけです。ですから、まさにアメリカの皆さんが税をよく研究している、私はそういう賢明な判断だったと思っています。
では、五つ目ですけれどもね、五つ目は、消費税発祥の地フランスでは、付加価値税は一般財源です。
先日、私、OECDのグローバル議員ネットワーク会合に行って、フランスの予算局の予算政策課長と意見交換をしてきました。フランスではどうなんですかと確認してきましたけれども、私に明確に、フランスでも付加価値税は目的税ではありません、一般財源です、こういうふうに明快に言ってくれましたけれども、日本ではなぜ目的税にしたんですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
消費税は、平成十一年度以降、少子高齢化の進展に伴い急速に増加することが見込まれる社会保障給付の財源に充てる観点から、福祉目的化され、毎年度の予算総則で、国においては消費税収を高齢者三経費に充てることとされました。
その後、やはり消費税の税収というのは、国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る社会保障を支える経費として、国民全体が皆で分かち合うべきとの理念の下、現役世代だけでなく、幅広い世代が負担する消費税を充てるのがふさわしいという考え方に基づきまして、社会保障・税の一体改革におきまして、制度として確立した年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てることが消費税に規定され、社会保障目的化されたところでございます。
○福田(昭)分科員 主税局長、基本的に、社会福祉目的税にしたということだけれども、だってそれは法律で決めただけの話であって、まさに実態とは違うんじゃないですか。この後、しっかり申し上げますが。
ですから、本当に国民のためを思って消費税をつくったんじゃないということをそのうち明快にさせてもらいますけれども、それは、まさに輸出産業を応援するためにつくった税金じゃないですか。それはその後、はっきり申し上げます。
ですから、私が心配しているのは、消費税をなぜ福祉目的税にしたのかというのは、国民を一番説得しやすいと思ったんじゃないですか。ですから、聞くところによりますと、財務省のキャリアの皆さんは消費税をヨーロッパ並みにしたいと、したがって、二〇三〇年までには一五%にしたい、将来はヨーロッパ平均二〇%にまでしたい、そう考えているというようなことも実は伝わってまいりますよ。ですから、そういったことをやはり考えているんじゃないかと疑わざるを得ません。
実際、実は、財務省がよく使う一橋大学の佐藤教授、びっくりしましたよ、私が勉強会に来たときに話を聞いたら、いやいや、福田先生、消費税二〇%までは大丈夫です、こう言った。だから、私も言ったの、こういうふうに。あなたの先輩の野口悠紀雄先生、名誉教授が、三〇%だって国の財政再建はできない、それこそ三〇%は非現実的だけれどもね、こう言っていますよと言ったら、私がそう言う前に、いやいやいやいや、二〇%で大丈夫です、こう必死に訴えました。これは財務省の考え方そのものなんじゃないですか。まあ、いいですよ。
その次に行きますよ、時間がなくなってくるから。六つ目ね。
六つ目は、消費税の還付金、輸出免税還付金を含むはなぜ公表しないのかという話であります。輸出戻し税の還付金は余りにも巨大過ぎるからなのか、いかがか。
ちなみに、令和七年度当初予算ベースでは、国、地方合わせて四十三兆千九百五十二億円集まるということになっておりますが、そのうち、十一兆七千六百四十五億円は消費税の約四%相当分ですけれども、これを戻してしまうことは、国会はもちろん、国民に公表したら、理解してもらえると思うんでしょうかね。いかがですか。
資料の一を御覧ください。
資料の一は、財務省がそれこそ予算で決めていることを参議院の予算委員会の調査室がまとめてくれている資料であります。
消費税の使途、当初予算で平成十八年からずっと書いてあります、令和六年度分までしかありませんけれども。消費税の使途の概念図というのがあるじゃないですか。この概念図を見ると、令和六年度ベースでいうと、四十一兆九千億しか集まりません。そのうち、三十・二兆円をこの四経費に充てていた。
しかし、この十一兆六千九百億円は、この表の中に入っていないんです。だから、使途の中に、消費税の還付金、その中には輸出免税還付金も入っているというのを明示しなかったら、しっかり国民が分からないじゃないですか。ですから、日本の国民で、輸出免税還付金があるなんて知っている国民はほとんどいませんよ。役人だって知らない人はいますよ。銀行マンだって知らない人はいますよ。
ですから、これを令和七年度予算ベースでいうと、総額四十三兆千九百五十二億円が入ることになっているんですよ。しかし、そのうち、十一兆七千六百四十七億円は戻すことになるんです、還付することになっているんです。その残りの何と三十一兆四千三百七億円、これを四経費に充てているというのが令和七年度の図解ですよ。これが本当の消費税の使途ですよ。
ですから、これを隠したままなんです。ここまで入れれば、きちっと消費税がどう使われているかというのが分かるんです。
資料の二を見ていただくと、これは、財務省から出していただいた国と地方の消費税の税収及び還付金金額の推移を、二〇二一年から二〇二五年度まで、決算額、そして補正後予算額、当初予算額として、私の事務所で、いただいた資料を基に整理したものです。
これを見ていただくと、このように、まさに令和七年の当初予算額を見ていただきますと、国、地方合わせて合計税収は四十三兆千九百五十二億円。そのうち、還付金額は十一兆七千六百四十五億円。これが消費税の本当の姿ですよ。
ですから、こういうものを隠したまま、本当に、国民に公表せずに、国民の皆さんの理解がこれ以上深まると考えているんですか。いかがですか。
○青木政府参考人 お答えします。
国の消費税につきましては、租税及び印紙収入の予算の説明や決算の説明におきまして還付額を公表しておるところでございます。
その上で、消費税の還付につきましては、法令上、輸出取引を行っているか、国内で事業を行っているかにかかわらず、売上げに関して受け取る消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた結果がマイナスとなれば還付をすることとしておりまして、輸出を原因とする還付を切り出して計算し申告することは求めていないことから、輸出免税に係る還付金を切り分けて公表することはできないということは御理解賜りたいと思います。
引き続き、こうした消費税の仕組みを丁寧に御説明し、国民の皆様にも御理解をいただけるよう努めてまいる所存でございます。
○福田(昭)分科員 主税局長、それも違うんじゃないですか。
次に、七つ目の質問にありますけれども、輸出免税還付金は輸出証明書が出されないと還付されない、こういうふうに聞いております。ですから、輸出証明書を計算すれば輸出免税還付金が出てくるはずであります。これを計算するのは事業主じゃないんじゃないですか。税務署の職員が、あるいは財務省の職員が計算すべきものなんじゃないですか。違いますか。
○青木政府参考人 お答えします。
輸出免税の適用に当たりまして、納税者は輸出証明書などを保存することが必要とされております。申告内容の確認のため、必要に応じて税務当局から提示、提出を求められる場合がありますが、網羅的に提出をされるというものではございません。
また、そもそも、輸出証明書につきましては物品の輸出のみを対象としておりまして、役務提供は対象とされていないこと、輸出した物品の仕入価格が記載されているわけではございませんので、これに記載された金額を集計しても、輸出分に対応する仕入れの金額は分からないこと、輸出取引と国内取引に共通して要した費用について、どこまでが輸出分に対応する仕入れなのかを実態に即して明確に切り分けることが引き続き困難であることから、輸出証明書を集計すれば輸出免税による還付額を集計することができるわけではございません。
○福田(昭)分科員 それは、説明のための説明なんじゃないですか。だって、そんなでたらめをやっているの、税務署というのは、国税庁というのは。だって、輸出免税還付金が幾らだかも計算しないで還付しているの、証明書も見ないで。それは幾ら何でも、事務のやり方としてまさに怠慢なんじゃないですか。
これは、私の質問をきっかけに本が増刷されたんですよ。元国税庁の調査官、十年務めた大村大次郎君というのは、消費税という巨大権益で潤うやつらの正体から、潤うやつらの犯罪というタイトルまでできて、増刷されたんですよ。この大村君も言っていますよ、もし、輸出免税還付金を計算していないとしたら、財務省のそれこそ怠慢だ、それこそ犯罪級だ、そこまで言っていますよ。
ですから、そこは本当に怠慢なんじゃないですか。だって、少なくとも我が国は民主主義国家なんですよ。そうしたら、真実や事実は、国会はもちろん、国民に公表すべきじゃないですか。そういう態度はやはり改める必要があると思いますよ。
時間の関係で次に行きますが、八番目。
元大蔵官僚の森信茂樹氏は、消費税は、先ほどから言っていますけれども、全世代型社会保障の切り札と明言しておりますが、政府もそう思っているんでしょうか。
森信氏は、消費税の長所七つ、短所二つを挙げておりますけれども、その中でどういうことを言っているか。
七つのうちの五番目は、輸出時に還付されるので国際競争力を弱めないと言うんですよ。まさに輸出のための付加価値税、消費税じゃないですか。六番目、何と言っているかというと、貯蓄に課税しないので資本蓄積に有利だと言っていますよ。まさに輸出大企業のためじゃないですか。
これは森信君が言っているんですよ、元大蔵官僚、今は東京財団の研究主幹でありますが、こういうことをちゃんと白状している。これは財務省の考え方そのものじゃないですか。
ですから、こういうこともやっていて、本当に政府がそう思っていたとしたらば、先ほど申し上げたように、消費税の使途、使い道、還付金も含めて全て公表すべきですよ。でないと、これから国民の皆さんがこのことを知ったら、暴動が起きるかもしれませんよ。
だって、私の質問を多くのユーチューバーがユーチューブで放送してくれています、文字起こしをして。何と、去年の五月十三日に私が決算でやった質問、八か月で一千百万回ですよ、再生されたの。そういう私の質問に対して、コメントがたくさん来ています。そのコメントの一番でかいのが、財務省を解体しろというんですよ。
これは鈴木大臣にも言いましたけれども、財務省を解体したら大変なことになるでしょう。だから、解体されないように、やはり民主主義国家日本にふさわしい財務省にならなくちゃ駄目ですよ。ですから、これはやはりしっかり公表するということが必要だと思いますが、いかがですか。
○青木政府参考人 お答えします。
繰り返しになりますが、消費税につきましては、税収の安定性、特定の層に負担が集中することがない、それから貯蓄や設備投資などの意思決定に中立的であるなどの特徴を有しておりまして、少子高齢化が進む中で安定的な社会保障制度を維持するためには、最もふさわしい税目であるというふうに考えております。
その上で、少なくとも国の消費税につきましては、先ほど申し上げた租税及び印紙収入予算の説明などにおきまして還付額を公表しているところでございます。
また、輸出を原因とする還付を切り出して計算し申告することは求めていないことから、輸出免税に係る還付金を切り分けて公表することはできないんですが、引き続き、こうした消費税の仕組みも含めて丁寧に説明し、国民の皆様にも御理解いただけるよう努めてまいりたいと思います。
○福田(昭)分科員 主税局長、あなた、消費税ができたときから、できたときですよ、昭和六十三年に税の抜本改革をやると決めて、それから、平成元年に物品税を廃止して消費税をつくり、そのときに、同時に、法人三税引下げ、所得税、住民税引下げ、どちらも大幅に引下げ、さらに、相続税も引下げ、金融所得課税はそれなりに引下げ、こういうことをやったというのを分かっているの。分かっているでしょう。
そうしたら、何で今度、税の抜本改革をやって、その大幅に下げ過ぎちゃったものを半分以上戻すということを考えないの。そうすれば、税財源は、日本はそれこそ名目GDPがもう六百兆円を超えた、安倍元総理が目標にしていた。だから、それだけ超えたら、税収は増えますよ。特に、法人税に累進税なんかを入れたら、景気がよくなったら、もう法人税はがばがば増えちゃう。
ですから、経済成長が期待できる、経済成長したらば税収が増える税目でやらないと、財政再建もできないし、国民の生活も豊かにならない。ですから、本当に、そういった意味で、財務省は頭のいい人たちがそろっているのに、何を考えているのか。私みたいな素人でも、おかしい、おかしいというのを常に感じているんですよ。
ですから、主税局長、多分、歴代の、平成元年から、消費税の還付金、輸出免税還付金を公表していませんから。ここであなたが言ったら、きっとあなた、これ以上出世できなくなっちゃうから、言えないのかもしれない。
しかし、実は、時間がなくなっちゃったので、ちょっと、質問をやめて、言うだけ言っちゃいますけれども。
先日、私、OECDの専門家と議論してきました、税の専門家、貿易の専門家、経済の専門家と。そうしたら、税の専門家が何と言ったか。私が、OECD加盟国では付加価値税の輸出免税還付金を公表している国はあるかと聞いたら、どこもありませんと答えたんです。えっ、本当なの、じゃ、なぜ公表しないのと聞いたら、国民から開示請求がないからだと答えました。えっ、そんなことがあるの、こういう話であります。
だから、日本の国も、国民から開示請求がないから公表していないの、OECDと同じように。それで、本当に、私、びっくりしちゃったけれども、びっくり仰天ですよ。
OECDの国々も、ほとんど、どちらかというと民主主義国家が多いですよ。その民主主義国家でさえも、付加価値税の輸出免税還付金を公表していないとしたら、これも、OECD加盟国、特にEUかもしれませんけれども、EUの国々も国民をだましているということになりますよ。しっかりやはり公表するということが民主主義国家の大原則、基本じゃないですか。私はそう思います。
そんな中で、今回、時間がなくなりましたので、トランプ大統領の件をちょっと触れたいと思います。
トランプ大統領が、今、関税に、非関税障壁、付加価値税、消費税をディールとして、世界貿易戦争をしかけているんですよね。これに対してどのように対応するのかというのが非常に大きな課題となっております。
もちろん、四月二日に詳細は発表するとしておりますから、今の状態ではどうなるか分かりませんけれども、トランプ大統領が言っていたことを考えると、それこそ、メキシコとカナダには二五%の関税、これはお互いにゼロ税率の貿易をやっていましたから。今度は、中国には一〇%上乗せして六〇%の関税。そうすると、そのほかの国々には一〇%から二〇%の関税を考えているという話をしておりました。
だから、もしかすると、日本もいっぱい頑張って、トランプさん、何とか、日本はアメリカのために頑張っているんだから、是非関税を上げないでくださいと一生懸命お願いしているようでありますが、もしかして、トランプさんが言っている一〇から二〇を考えると、日本の場合は関税一〇%を上乗せされる可能性がありますよ。
そうなったら、大変じゃないですか。世界経済が混乱するどころか、我が国の経済も混乱してしまう。ですから、これは、やはり自由貿易の在り方というのもよく検討しなくちゃならないんじゃないかなと思っております。質問できませんから、私の意見だけ申し上げました。
終わりに、実は、本日の日経新聞にこんなことが書いてありました。日本の食料品、何と輸入が三年連続十兆円を超えちゃった。野菜とかそういうのがですよ。これはすごい話ですよ。それから、カローラが、何か年収の半分でないと買えない。ですから、カローラが買えない日本になっちゃった。こういう本当に大変な、円も安過ぎて大変な状態になっちゃっているんですよ。ですから、この物価高の今こそ、実は消費税を減税するときだと思うんです。
そして、先ほど申し上げたように、消費税をつくったときに大幅に引き下げた地方の二税も含めた法人三税、それから所得税、住民税、さらには金融所得課税、こういうものを、要するに、言ってみれば、下げたときの半分以上戻せば、その代わりの財源というのは簡単に出てきますよ。制度設計次第です。
ですから、それをやるということが、私は、日本の経済を再生して給料も上がる、そして財政もよくなる、こういうことにつながる、こう思っておりますが、そういう観点から、大臣、是非考え直してみてください。
私の質問は以上で終わります。
○山下主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。
次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)分科員 国民民主党の橋本幹彦でございます。
加藤大臣、衆院の予算委員会の分科会に差しかかってまいりました。連日の国会対応、大変お疲れさまでございます。
まず、加藤大臣には、昨年の第五十回総選挙後から今日に至るまでの予算委員会について、御所感を伺えればというふうに思っています。
昨年の臨時国会から、熟議の国会というふうに言われました。少数与党と我々国民民主党、あるいは立憲民主党、日本維新の会、それぞれが練り上げた政策が提案されて、実のある話合いがなされたなというふうに私自身は感じております。
ついには、私たち国民民主党が訴えてまいりました所得税の減税、いわゆる百三万円の壁の引上げも、第一歩にすぎない水準だとは思っておりますけれども、組み込まれる形で政権から予算案が提示された。平成七年以来、全く動かなかったこの壁が動いた。私は平成七年生まれなんですけれども、私が生まれてからの二十九年間、一度も引き上げられなかった年収の壁が動いたというのは大変感慨深いなというふうに思っております。
与党からすると難しい局面であったと思いますけれども、大変な御苦労がこれからもあるとは思いますけれども、加藤大臣としてはどのような御所感をお持ちでしょうか。
○加藤国務大臣 まさに予算委員会、特にこの通常国会の予算委員会では、省庁別審査とか、やり方もいろいろと委員会の中で工夫されて、そして、それぞれいろいろな御意見をいただきながら、私どもが出させていただいた、例えば予算、あるいは補正予算等についても、様々な観点から大変御議論いただき、有意義な議論が展開されているというふうに思っております。
○橋本(幹)分科員 まさに私も有意義な議論であったというふうに思っています。
自民党が圧倒的多数を占めていたとき、私自身は高校生であったり、あるいは防衛省に行ったり、民間企業に行ったりとしておりましたけれども、正直、国会というのは風通しの悪いところだなというふうに思っていました。なかなか思いを実現できないところだなというふうに思っておりましたけれども、しかし、選挙の結果、議会の構図が大きく変わって、百三万の壁も動いた。教育の無償化も動いた。私たち国民民主党は、国民の手取りを増やす、人づくりこそ国づくり、こういったメッセージを繰り返し訴えてまいりましたけれども、そのメッセージが通じつつあるなというふうに感じました。それは国民の皆さんも一緒なのではないかなというふうに思います。
希望ある国会の状況になっていますけれども、加藤大臣、一政治家として、特に財務についてどのような展望をお持ちか、お聞かせいただきたいです。特に、税制の抜本的な改革というところはずっと議論されているところではありますけれども、一政治家加藤勝信としてはどのような展望をお持ちでしょうか。
特に、加藤大臣、社会保障に造詣が深いというふうに伺っております。先ほどの高額療養費制度に関する答弁も大変熱が入っているように感じましたけれども、どのようなビジョンをお持ちか、お聞かせいただければと思います。
○加藤国務大臣 しゃべり始めると、この間の総裁選みたいなことになってくるんじゃないかと思うんですけれども。
一つ大事なことは、まず財政は何のためにあるのかということだと思います。それは、国民の暮らしや生活、これを守っていく。そして、そのために必要な財源として税、あるいは場合によっては社会保険料という形で頂戴をしていくわけでありますから、やはりその仕組みをしっかり回していく。そして、その中で、国民が今、そして将来においても安心して、そして希望を持ってこの国で暮らしていただける、その環境をつくっていく、その基盤だと思っておりますから、そういった意味において、今後とも、私、財務大臣としても、その役割をしっかり果たしていきたいというふうに思っています。
○橋本(幹)分科員 今国会で経済あっての財政という言葉が石破総理からも繰り返されました。まさに、端的に言うとそういうことになるのかなというふうに思いますけれども、財政の健全化、これ自体は誰も反対するものではありません。むしろ、これは推進していかなければならない。野方図の公債発行に頼る構図というのは正さなければならないというふうに思います。
ただ、やはり経済あっての財政なんだというふうに思います。そして、今のこの日本の経済状況というのは、賃金と物価と金利とがやっと好循環に入りつつある局面であるというふうに思います。
先日、予算委員会で公聴会が開かれました。そこで、東京大学で経済学の教鞭を執っていらっしゃる渡辺努さんが公述人としていらっしゃいました。まさに賃金、物価、金利の好循環ということをおっしゃっている方ですけれども、この方も公聴会でおっしゃっていたのが、インフレ率がゼロの経済から二%の経済に移行するときに政府の債務としては百八十兆円の減額となる、この百八十兆円をいかに使うかというところが極めて大事であるというふうに述べられました。
このことについては、加藤大臣、どのようにお考えでしょうか。
○加藤国務大臣 済みません、百八十兆円減額になるという意味がちょっと理解できなかったんですけれども。
ただ、渡辺さんがおっしゃっているように、物価、あるいは金利、賃金、こういったものは、我が国、市場経済でありますから、それが動くことによって資源配分の適正化等が行われている。しかし、残念ながら、この間、価格が、平均で動かないというんじゃなくて、一個一個が動かないということを渡辺さんはよくおっしゃっておられた。それが、結果として適正な資源配分等々をやはり実現してこれなかったんじゃないかという指摘、そして、今それが動き始めている、そこはまさにそうだというふうに思っています。
○橋本(幹)分科員 ちょっと観点を変えてなんですけれども、担税力に即した課税という言葉があります。これについて、財務省としてもそういった考えをお持ちだとは思うんですけれども、この担税力というところ、税の原則というところについて財務省としてはどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○加藤国務大臣 担税力は、税を負担する能力ということであります。所得税について申し上げれば、消費や将来の消費に備えた資産の蓄積に充てることができる経済的な価値である所得に担税力を見出し、個人が所得を稼得した段階で、その負担能力を示す暦年ごとの所得の大きさに応じて税負担を求める、こういう形になっているところであります。
○橋本(幹)分科員 今、いわゆる百三万円の壁について、自民、公明党案というものが提示されました。その提示された文書には、課税最低限は百六十万円になるというふうに書いてあります。ただ、これ自体は、基礎控除の考え方、一般的な考え方というよりは、年収で二百万円以下の方については百六十万円ということなので、多くの国民にとっては課税のラインというのが百六十万ではなくて段階的に逓減していく、そういうような案でありますけれども。この控除の話、所得税における控除の考え方、段階的に逓減していくということについては、担税力に即した課税という観点からはどのように整理されているでしょうか。
○加藤国務大臣 今のはたしか公明党案をベースにお話をされているんだというふうに思っております。したがって、今政党間で議論されておりますから、それをちょっと政府の方からこうだと説明するという立場にはないことは是非御理解いただきたいと思います。
○橋本(幹)分科員 政府案、当初の予算案ですと、いわゆる百三万円の壁が百二十三万円に引き上がるということ、これは一律で引き上がる、所得制限、新たな壁をつくることなく引き上げるということでありました。
この考え方、基礎控除を引き上げるということについては、特段の財源の手当てというのは不要であるというような考えがあったと思いますけれども、それは、他の減税政策であるだとか、あるいはほかの支出を伴う政策についてはよく財源が必要だという話がありますけれども、ここの違いというのはどのように整理されていますか。
○加藤国務大臣 これは、何で十万円、基礎控除を引き上げたのか。これは、物価が上がる中において実質的な税負担が上がっていく、そういった意味においてそれを調整するということで十万円を引き上げ、そして、与党の税制改正大綱においては、ちょっと済みません、正確な文書を持っておりませんけれども、そうしたことを踏まえて、これについては特段の財源は求めないという整理がなされたものと承知をしています。
○橋本(幹)分科員 ありがとうございます。
ここの考え方というのが、税というのはロジックが大事でありますから、本当にここの考え方を整理することが大事なんだというふうに思っています。それが今後、どのような案が今国会で通るかというのはまだ決まっているわけではないですけれども、今後、この税の改革を進めていく上でも極めて大事なポイントだと思うので、確認させていただいています。
担税力の話に戻りますけれども、その担税力について、これは国税庁のホームページに論文が一つ載っているんですけれども、担税力というのはどういう水準なのかという議論があって、その中で、国税庁のその論文の中では、最低生活費であるというふうな考え方がありました。所得の控除というところについては、まさに最低生活費というところを保障する制度である。その最低生活費については、憲法二十五条の健康で文化的な最低限の生活を営める権利、生存権に淵源があるというふうな整理がなされていましたけれども。この担税力のあるなしの水準については、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、基礎控除から成る課税最低限についての考え方ということだと思います。
これまでも御説明させていただいていますように、生計費のみならず公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性などを踏まえ、総合的に検討されたものというふうに承知をしております。
なお、今委員御指摘の、税大の論叢掲載論文のことをおっしゃったんだと思いますが、これは執筆者の個人的見解ということで出ているところでありますので、これは税務大学校、国税庁あるいは国税不服審判所等の公式見解を示すものではないと理解をしております。
○橋本(幹)分科員 今まさに大臣がおっしゃった、生計費という観点と公的サービス費用の分担という観点、二つあるということです。
さらっとおっしゃったと思うんですけれども、ただ、これは、論点としては、ロジックとしては二つ別個にあるものなんだというふうに思っています。
ゆえに、今現在の改正前の所得税制においても、高額の所得者については基礎控除というのが撤廃されるというのは、まさに公的サービス費用の分担というようなロジックからなされる。生計費のロジックからいくと、それは、年収が三千万円の人でも生計費というのは当然考えとしてはあるし、憲法二十五条が適用除外になるわけでもないですけれども、ただ、それは公的サービス費用の分担というロジックでそういうふうな整理になっているんだというふうに理解しています。
今話しているのは、生計費のところですね。この生計費の水準をどの水準にするべきなのかという話なんですけれども、これは、例えば最低生活費については健康で文化的な最低限の生活を営む権利を保障する水準、すなわちこれは生活保障費になるわけですけれども、生活保障費というふうな考え方もあると思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 要するに、基礎控除の後の課税最低限というのと生計費は別の概念でありまして、最低限の生活の保障というのは、これは税制のみならず、例えば生活保護等の仕組みもあるわけでありまして、そうした施策と併せて実現されるものというふうに私どもは理解をしているところであります。
○橋本(幹)分科員 おっしゃるとおりだと思います。生活保護費もありますし、あるいはほかの制度もある。例えば、年金生活されている方には給付金もあるわけですから、そういうもので総合的に生活費ですとかあるいは課税最低限というのは考えられるものなんだというふうに思います。
ただ、例えば、今回の百三万から百二十三万の引上げのときには、それは平成七年からの物価指数で計算されましたけれども、どの指標を見るかというところはいろいろな考え方があるんだというふうに思います。
例えばなんですけれども、民間のリサーチ会社が出した結果が非常に印象的だったのは、国民の食費について、昨年から負担額としては一世帯当たり九万円強に上がっているというような考え方というか、そういう調査結果が出ています。
こういったところを踏まえますと、最低生活費といいますか課税最低限というところは、当然この物価指数以外にもいろいろな考え方があって、それは国民の実体経済と即しているべきだというふうに考えています。
ゆえに、百二十三万から、公明党案で、給与収入が二百万円相当以下の方については課税最低限が百六十万円になったというところは、どちらかというと低所得者層に光を当てた政策としては、だから課税最低限はそれなんだというふうな理解、国民の実体経済に合わせたときには百六十万円なんだというような考え方だと思うんですけれども。この考え方自体は、まだ政府案ではありませんけれども、そういうふうなもっと柔軟な課税最低限の設定の仕方があり得るというところは、財務省としてはお考えはいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 課税最低限の考え方は、先ほど申し上げたように、生計費のみならず公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性などを踏まえ、総合的に検討されてきたものだというふうに思います。
その上で、税には様々な機能があります、所得再配分機能を含めてですね。そういった機能の観点から議論されているものというふうに思います。
○橋本(幹)分科員 ちょっとこの政党間の議論、百三万の壁については一旦昨日の時点で収束を見たわけですけれども、ただ、税制の改革というのは当然今後も検討されるわけですし、あるいは国民民主党としても決して今のこの公明党案がベストだというふうには思っていません。逆に複雑な税制になるというところの懸念もありますから。是非、税のあるべき姿に即した議論を今後もしていければというふうに思っております。
続いて、二つ目の質問に移ります。
インテリジェンスコミュニティーについて質問します。
なぜこの予算委員会第三分科会で、所掌が財務省、法務省、外務省で、財務大臣のいる前でインテリジェンスコミュニティーについて質問するかといいますと、私は、納税者としての国民の視点から、行政が効率的で透明性が高い状況であることを願っていて、それを予算を通じて国の予算を総合的に俯瞰して明らかにすること、このことが広く国民の信用、国民の国に対する、政府に対する信用を守っていくものだというふうに考えるからですね。
このインテリジェンスコミュニティー、毎回毎回国会で議論されるときに、分かるような分からないような議論になる。細部については手のうちを明かすことになりますからというお決まりの文句が出てくるわけですけれども、やはりこれは、もちろん秘密の保持が大事だというところは重々承知していますけれども、ただ一方で、秘密主義と同時に必要なのが、大事なのが民主主義の観点であって、どこまでこれを国民が理解していくのか、どこまで国民が国に対して信用していくのか、そういったところの、どちらも、民主主義の観点も秘密主義の観点も大事である。その民主主義の観点から、予算を通じて、なかなか全貌が見えないインテリジェンスコミュニティーについても是非明らかにしていきたいというような問題、観点から、この場において質問させていただきます。
ところでといいますか、先ほど私、納税者として国民の視点に立つ、行政が効率的で透明性が高い状況であるべきだ、国の予算を総合的に俯瞰して、政策を総合的に俯瞰して、国の信用を守っていく、安心で豊かな社会や健全で活力ある経済を実現していくというようなことを申しましたけれども、こういった使命を担っているのは内閣においてどちらになるんでしょうか。
○七澤政府参考人 お答えします。
インテリジェンスに関する御質問でございますけれども、我が国の情報コミュニティーにおきましては、内閣情報調査室始め各情報関係省庁において担当しているところでございます。
○橋本(幹)分科員 担当についてはおっしゃるとおりだと思います。
今、私が申したのは、実は財務省の使命をちょっと読み砕いてお伝えしたんですね。財務省の使命、これはホームページにも公開されていますし、あるいは財務官僚の皆さんだったら耳にたこができるぐらい聞いている文言ではないかなというふうに思うんですけれども、このようにあります。
納税者としての国民の視点に立ち、効率的かつ透明性の高い行政を行い、国の財務を総合的に管理運営することにより、広く国の信用を守り、健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現するとともに、世界経済の安定的発展に貢献して、希望ある社会を次世代に引き継ぐこと。これが財務省の理念としてうたわれているものであります。
この財務省の使命、大変すばらしいものだというふうに思いますし、ちょっと話がずれますけれども、最近、財務省に対してちょっと失礼な物言いをする者も多いのではないかなというふうに思います。ザイム真理教などというような表現もばっこするような状況ですけれども、私はこの場をかりて、そういった崇高な使命を果たしている、一生懸命果たそうとされている職員の皆様に敬意と感謝とを表するものであります。
何を言いたいかといいますと、インテリジェンスコミュニティーというと、当然、内閣官房あるいは内閣府というところがかなり枢要を担っていらっしゃって、そこについて法務省であるだとか防衛省であるだとか外務省、そういったところが連接していく、密接に結びついていくものではありますけれども、財務省にとっても非常に責任がある領域だというふうに思っております。
事前に、いわゆるインテリジェンスコミュニティーについて、予算総額が幾らなのか、あるいは職員数が何人なのかというところを質問したときに、当然、それは省庁にまたがるので、インテリジェンスコミュニティーとしてはこれぐらいの規模がありますというところは、にわかには財務省としては把握していないところでありました。
当然、財務省の皆さん、一生懸命査定されているとは思うんですけれども、ただ、インテリジェンスコミュニティーというのは有機的な連接というところが求められるところだと思いますから、是非ここは、よく行政の縦割りを排すというような言葉はこの政治の場では使われる言葉でありますけれども、実際、これは財務省の使命にも関わってくる話でありますし、よくこの国会の中で話されるのは、インテリジェンスコミュニティーが全体として機能を果たしていないところが一部あるのではないか、あるいは重複しているような業務があるのではないか、そういうような議論もなされるわけでありますから、是非そこは財務省にもリーダーシップを取っていただきたい分野でもあります。
まずお聞きしますけれども、このインテリジェンスコミュニティーについて、いろいろな機関等が関わってくる話ですけれども、今国会で提示されている予算規模をそれぞれ教えていただけますでしょうか。
○七澤政府参考人 お答え申し上げます。
内閣情報調査室におきましては、令和七年度予算案におきまして、情報の収集及び分析に必要な基盤の整備等を推進するための経費として、対前年度比約二・五億円増となる約三十七・八億円を計上しているところでございます。
○石川政府参考人 申し訳ございません、令和七年度予算、ちょっと今手持ちでございませんけれども、警察庁におきましては、情報収集、分析等に要する経費について、毎年度、所要の見直しを行いながら、予算を適切に確保すべく努力をしているところでございます。
○渡部政府参考人 公安調査庁におきましては、令和七年度予算政府案におきまして、骨太の方針等の政府方針に基づきまして、内外の情勢に対応する公安調査庁の情報収集、分析能力の強化に必要な経費といたしまして、百七十六億四千二百万円を計上させていただいておるところでございます。
○石瀬政府参考人 お答えいたします。
外務省の国際情報統括官組織におきまして、令和七年度予算案として十三・七億円を計上しております。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省情報本部におきます七年度予算額につきましては、三千九百四十六億円を計上しているところでございます。
○橋本(幹)分科員 確認なんですけれども、外務省においてインテリジェンスを担っている部局について十三・七億円かかっているんですか。それとも、外務省においては国際情報統括官組織がありますけれども、ここの予算については幾らでしょうか。
○石瀬政府参考人 お答えいたします。
ただいま御説明申し上げましたのは、外務省の国際情報統括官組織の予算でございます。
○橋本(幹)分科員 続いて、防衛省ですが、自衛隊においていわゆるインテリジェンスコミュニティーに属しているのは、情報本部もそうなんですけれども、自衛隊情報保全隊もあろうかと思います。自衛隊情報保全隊については、予算は幾らになりますでしょうか。
○上田政府参考人 済みません、ちょっと情報保全隊自体の予算は手元にございませんが、保全隊は、情報収集といいますか、防衛省・自衛隊の組織の中における情報の保全に当たる部隊でございます。
○橋本(幹)分科員 まず一つ、情報保全隊についてなんですけれども、情報保全隊としての予算というのは出していないというふうに理解しています。これは、出せないというふうに、事前に防衛省に確認したときにはそのようなお答えではありました。ですので、これ自体もちょっとどうなのかというふうには思いますけれども。
ちょっと各論になりますけれども、内閣情報調査室予算、この十年間で、この十年間といいますか、平成二十七年からの対比で、今回の予算でいくと六七%増になっています。この間、国の、政府としての歳出というのはそこまで増えていない、二〇%、二割程度増えているわけですけれども。やはりこれは伸び率としては非常に高い領域になろうかとは思いますけれども、ここまで予算総額が増えている理由は何ですか。
○七澤政府参考人 お答え申し上げます。
内閣情報調査室に関しましては、昨今の状況の変化等を踏まえまして、例えば、十年ほど前でございましたら、国際テロの脅威の高まりを受けまして、内閣官房に国際テロ情報集約室を設置する、あるいは、近年におきましても、経済安全保障分野の情報収集、分析機能の強化、さらには外国による偽情報等の拡散への対処能力の強化といった課題に対応するべく、体制を整備しているところでございます。
全体の予算との比較というのはなかなか私から申し上げることはできませんけれども、このような取組をしてきた結果と申し上げたいと思います。
○橋本(幹)分科員 時間がないので端的にまとめますけれども、ちょっといろいろと確認させていただきたいようなことはたくさんあるんですね。
私は、何も無駄だと言っているわけではないんです。必要であれば是非つけていただきたいし、ちょっと言いかけましたけれども、警察庁の警備局の予算ですと、むしろこの十年間で減っているんですね。
全体的な調和というのがどういうふうに図られているのか、人員構成もそうですけれども、どういうふうな調整がなされているのかといわれると、事前に各省庁に確認したときには、調整は図っていないと。それは、結果として、仕事としては図っているけれども、組織としては図っていない、予算的にも図っていない、そういうことでありました。
もちろん、各省庁の要請に応じてそういう機関等はあるわけですけれども、是非それは、インテリジェンスコミュニティーとして有効に機能していくためにも全体的な調整をしていただきたいと思いますし、財務省におかれましても、そのような視点から査定をいただければというふうに思います。
私からの質問は以上です。
○山下主査 これにて橋本幹彦君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○山下主査 次に、外務省所管について審査を進めます。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋永君。
○高橋(永)分科員 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。人生初めての質問に立たせていただきます。立憲民主党、徳島一区の高橋永でございます。よろしくお願いいたします。
私の祖父三木武夫は、外務大臣時代に、日中国交正常化への道を開き、そして国連外交を強化することで、日本の発言力向上と平和主義国家としての立場を国際社会に示したと聞いています。また、石油危機の際には、中東諸国を歴訪し、日本を友好国と認識してもらうことで、エネルギー供給を確保し、国益を守る外交を推進しました。
三木武夫は、日本の外交政策に大きな影響を与え、日本の存在感を国際社会で高めることに貢献したと理解しています。私も、その志を受け継ぎ、国益を守りつつ対話と協調を旨とする外交の在り方を追求してまいりたい、そういうふうに思っております。
それでは、早速質問に移らせていただきます。
まず、日本政府の国連女性差別撤廃委員会、CEDAWに対する拠出金の用途制限についてお伺いします。
日本政府がCEDAWに対して拠出金の用途制限を課した二〇二五年一月以前に、国際機関やその関連専門委員会、例えばCEDAWのような組織からの勧告に対して抗議の意を示す目的で報復的に拠出金の用途を制限した前例はありますでしょうか。もし該当する前例がある場合は、その具体的な内容を示してください。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、国際機関等への任意拠出金は、各国が政策上の必要に応じて特定分野の事業などに対し自発的に支出するものでございます。
その上で申し上げれば、先般のCEDAWの対日審査を受けた最終見解には皇室典範改正に係る勧告が含まれております。これを受け、同委員会の事務を行っている国連人権高等弁務官事務所、OHCHRに対して、我が国が用途を特定しOHCHRへ毎年拠出している任意拠出金については、その使途からCEDAWを除外することを伝達いたしました。
過去の事例を網羅的に調査しているわけではございませんけれども、近年におきまして、国際機関への任意拠出金の支出先について、特定の委員会を除外する決定を行った事例は見当たりません。
○高橋(永)分科員 前例はないということですけれども、では、日本政府が国際機関及び関連専門委員会からの勧告に対し拠出金の用途制限や停止を行う基準や方針がある場合、その内容を具体的に御説明いただけますでしょうか。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
委員会等の勧告においては様々な案件が含まれ得るものでございますけれども、いかなる案件についてどのような措置を取るのかは、個別具体的な状況に応じて総合的な判断により決定することとしております。
○高橋(永)分科員 個別に判断するということで、基準や方針はないということですけれども、では、今回、拠出金用途の制限措置を講じた、この決定に至るまでの具体的なプロセスを詳しく御説明いただけますでしょうか。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十月に行われたCEDAWによる審査においては、我が国の皇位継承の在り方は国家の基本に関わる事項であり、女性に対する差別の撤廃を目的とする女子差別撤廃条約の趣旨に照らし、CEDAWが我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない旨を説明いたしました。
審査終了後には、CEDAWに対して、皇室典範において皇位継承資格が男系男子に限定されていることは女子差別撤廃条約第一条の女子に対する差別には該当しない旨、我が国の立場を表明するとともに、強い遺憾の意を伝達いたしました。
CEDAWに対しては、審査プロセス及び審査後にも我が国の考え方を繰り返し丁寧かつ真摯に説明してまいりました。にもかかわらず、皇室典範に関する記述の削除要求が受け入れられなかったことは大変遺憾であり、そのことを重く受け止め、政府として検討し、このような判断となったものでございます。
○高橋(永)分科員 決定に至る内部の経緯について、もう少し具体的に詳しく説明いただけますでしょうか。いわゆる、どの機関、関係者がどのような協議を行って、最終的に誰がどのような判断を下したのか、詳細をお示しいただければと思います。また、検討過程で用いられた内部資料等がある場合は御開示をお願いいたします。
○松尾政府参考人 判断は政府全体のものでございまして、政府内の検討の詳細についてはお答えを差し控えたいと存じます。
○高橋(永)分科員 お答えいただけないということでございますが、では、なぜ今回、日本政府は、言論ではなく、あえて前例のない経済的圧力という具体的な措置を講じたのでしょうか。その理由を教えてください。
○松尾政府参考人 CEDAWに対しましては、皇室典範に定める我が国の皇位継承は国家の基本に関わる事項であり、同委員会が取り上げることは適当でない、皇位継承に関する記述は受け入れられず、削除すべきであるという我が国の考え方を繰り返し丁寧に説明してまいりました。にもかかわらず、皇室典範に関する記述の削除要求が受け入れられなかったことは大変遺憾であり、そのことを重く受け止め、このような判断となったものでございます。
そもそも、任意拠出金は各国が自発的に支出するものであり、その使途を特定することは経済的圧力には当たらないと考えております。
○高橋(永)分科員 今回の措置が経済的圧力に当たるかどうかは客観的な評価で決まることじゃないかと思いますが、いずれにしましても、日本政府は、本件を国家の基本に関わる問題として、CEDAWに対して前例のない経済的措置を講じました。しかし、過去に死刑制度やそのほかの国家の基本に関わる勧告がなされた際、同様の措置は取られていないようでございます。
政府は、国家の基本をどのように定義しているのでしょうか。基準がなければ判断が恣意的になる可能性があると思います。国連などの国際機関と専門委員会で対応を変えていないかなど、一貫性があるのかも含めて、判断が恣意的とならないよう、今後、基準を明確に定めていただけますでしょうか。
○松尾政府参考人 いかなる問題が国家の基本に関わるかについて一概にお答えすることは困難でございますけれども、我が国の皇位継承の在り方は国家の基本に関わる事項であると考えております。
その上で申し上げますけれども、委員会などの勧告には様々な案件が含まれ得ることから、あらかじめ対応を定めておくことは困難であり、実際の勧告の内容について、個別具体的な状況に応じて適切な対応を総合的に判断することが必要であると考えております。
○高橋(永)分科員 いわゆる基準を明確にするということは難しいということではございますが、今後、判断が恣意的とならないように、しっかりと、それを決定するプロセス、透明性を担保していただいて、決定していっていただければと思います。
次に、外務大臣にお尋ねします。
日本政府は、今回、CEDAWに対して前例のない経済的措置を講じました。これは、今後、日本が特定の国際機関や委員会、さらには他国に対しても経済的圧力を外交手段として用いる方針へ転換したということなのでしょうか。
私は、今回の措置の判断の妥当性には疑問を持っておりますけれども、しかし、もし日本が外交方針を転換したのであれば、今後、日本の価値観や主権が脅かされる場面において、強い相手にも具体的な措置を講じるのでしょうか。影響力の小さな機関にのみ行使して、強い国や組織には沈黙を貫くのでは、日本の外交として一貫性を欠くのではないかと思います。
日本の今後の外交方針について、明確に御説明ください。トランプ政権のように経済的圧力を前面に押し出す外交方針に扉を開いたわけではないということをはっきりと示していただければと思います。
○岩屋国務大臣 まず、高橋議員のおじい様、三木武夫先生、おっしゃったとおり、日本の外交に偉大な足跡を残された大先輩でいらっしゃいまして、私も尊敬申し上げております。その遺志を継がれた先生の今後の御活躍を心からお祈りをしたいと思います。
その上で、今のお尋ねですが、決して日本の外交方針が変わったということではございません。先ほど来事務方から答弁をさせていただきましたが、やはり皇位継承は、憲法にまず世襲ということが定められておりまして、また皇室典範によって定められていることでありまして、まさに我が国の根幹に関わる問題でございまして、一般の国民の皆様の基本的人権という問題とはまた別次元の問題であるということをずっと我々申し上げてきたわけですが、残念ながらそのことが取り上げられなかったということで、何も分担金を止めるということではなくて、任意拠出金というのは特定の目的のために出しているものでございますから、そこは残念ながらCEDAWに使うことはよしていただきたいということを申し上げたわけでありまして、何も経済的威圧ということではないというふうに考えております。
我が国としては、今後も、冒頭議員がおっしゃった対話と協調を旨とする外交によりまして、しっかりこの人権の問題にも対応していきたいというふうに考えております。
○高橋(永)分科員 岩屋外務大臣、ありがとうございました。
今後、日本政府には、専門委員会を含む全ての勧告に対して、その相手の組織の規模を問わず誠実に向き合う姿勢を求めたいと思います。
日本政府は、CEDAWに対し前例のない経済的措置を講じました。しかし、基準が不明確なままこうした対応が続けば、日本は恣意的に報復を行う国とみなされかねません。外交の一貫性を失うことは、日本の国際的信頼を損なうことにほかならないと思います。
日本が目指すべきなのは、かつての経済力を盾に弱い立場の機関に経済的圧力をかける国ではなく、法の支配を含めた普遍的価値を貫く成熟した民主主義国家のはずです。果たして今回の措置はその国家像にふさわしいものだったのでしょうか。政府の今後の対応を厳しく注視していきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
パレスチナへの日本のこれまでの人道支援の実績についてお伺いします。
日本政府は、イスラエルの侵攻前そして侵攻中のパレスチナ・ガザ地区及び西岸地区に対してどのような支援を行ってきたのでしょうか。支援の目的、内容、規模、実施方法などについて御説明ください。お願いします。
○今西政府参考人 お答え申し上げます。
パレスチナに対しましては、日本は、一九九三年のオスロ合意以降、経済、社会の自立化促進による平和構築を目的として、二〇二二年度末までに、国際機関等と連携しつつ、累計約二十三・二億ドルの支援を実施してきたところでございます。
対しまして、二〇二三年十月のガザ情勢の悪化以降につきましては、国際機関等とも連携しつつ、人道状況の改善等を目的として約二億三千万ドル規模の人道支援や物資の供与を実施してきているところでございます。
○高橋(永)分科員 ありがとうございます。かなりの支援をしてきたということが分かりました。
もう一つ質問します。
イスラエルの侵攻前、日本政府はガザ地区でどのような施設の建設支援を行ってきたのでしょうか。支援規模に加え、学校、病院、排水処理施設などの支援対象となった施設の種類とそれぞれの具体的な数が分かれば教えてください。
○今西政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御説明いたしましたが、我が国は、経済、社会の自立化促進による平和構築を目的としたパレスチナに対する各種協力を実施してきたところでございますが、その中には、長年厳しい状況に置かれてきたガザ地区における施設案件も一部含まれているところでございます。
過去十年間で申し上げますと、二〇二二年の草の根・人間の安全保障資金協力によるガザ地区アルカララ市の歩道橋建設、それから二件目として、二〇二〇年のUNRWA、国際機関でございますが、を通じた無償資金協力によるパレスチナ難民キャンプにおける学校建設の二件、総額約六・三億円の支援を実施してきております。
○高橋(永)分科員 ありがとうございます。
次に、日本とイスラエルの関係についてお伺いしたいと思います。
二〇一四年に締結した包括パートナーシップ協定は現在どのような状況にありますでしょうか。また、日本・イスラエル間の経済連携協定、EPAの交渉はどの段階にありますでしょうか。さらに、軍事技術やドローン技術を含む安全保障分野での協力の現状と今後の見通しについても御説明ください。
○三宅政府参考人 お答え申し上げます。
日本にとってイスラエルは、中東地域における主要な貿易相手国の一つであり、近年、日系企業の進出先や投資先として一層その重要性が増してきております。
経済連携協定に関しましては、二〇二二年に両国間で、あり得べき日・イスラエル経済連携協定に関する共同研究を立ち上げることで一致し、同共同研究の下で、これまでに会合を三回開催し、双方の関心事項等について産官学を交え議論を行ってきました。
また、我が国は、平素からイスラエルを含む諸外国との間で防衛分野を含む様々な分野において協力関係を構築してきています。
我が国とイスラエルとの間の関係における各種の協力案件への対応方針について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますが、イスラエルとの協力の推進については、日・イスラエル二国間関係を総合的に勘案した上で適時適切に判断してまいる考えでございます。
○高橋(永)分科員 ありがとうございます。非常に良好な関係、そしてきずなが強まっているということを理解しました。
次に、ガザの現状についてお伺いしたいと思います。
日本政府は、イスラエルのガザ侵攻による被害の実態をどのように認識しているのかお伺いしたいと思います。
また、全体の被害の中で、日本が支援してきたガザ地区のインフラや施設がイスラエルの攻撃で破壊されていることについて、日本政府はその被害の実態と規模をどのように認識しているのでしょうか。もしも被害の実態が完全には把握できていないという場合においては、停戦に至るまでのイスラエルによる激しい攻撃の中で、日本が支援したガザ地区のインフラや施設が無傷であるとは考えにくい状況だというふうに私は思っています。
お手元の資料を御確認ください。この点については、日本政府も同様の認識を持っていらっしゃるのか確認させてください。よろしくお願いいたします。
○今西政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、ガザ地区で人道危機が継続していることを深刻に懸念しているところでございます。また、我が国は、経済、社会の自立化促進による平和構築を推進すべくパレスチナに対する各種協力を実施してきているところでございましたが、こうした協力により支援してきた施設に関して、現下の情勢においては、現地の被害状況を把握することは困難であるというふうに考えております。
今後の対応でございますが、今般のガザ情勢における被害への対応につきましては、関係国、国際機関とも連携しつつ、様々な事情を勘案した上で総合的な観点から判断を行ってまいります。
○高橋(永)分科員 日本が支援してきた施設の被害の状況が把握できていないということだと思うんですけれども、現地視察が困難な状況の中で、日本政府はどのように情報を収集し、被害状況を想定した上で今後の対応を検討しているという状況なのでしょうか、教えてください。
○今西政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御説明させていただいた繰り返しになって恐縮ですけれども、現下の情勢におきましては、我が国が支援した施設の被害状況を具体的に確認することは困難、なかなか難しいというふうに考えておりますので、関係国、国際機関とも連携しつつ、様々な事情を勘案して総合的な観点から判断を行ってまいります。
○高橋(永)分科員 ありがとうございます。
次に、外務大臣にお伺いしたいと思います。
日本はガザ支援会議に関与しようとしておりますが、共同開催国であるマレーシアはイスラエルに対して批判的な立場を明確にしています。日本はイスラエルと、先ほどの話もありましたが、パートナー関係にあると思います。ガザ地区へのこれまでの攻撃や日本が支援した施設の破壊について、公式に抗議する考えはないでしょうか。外務大臣のお考えをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 我が国は、ガザ地区の問題に関しては、全ての当事者が国際法に従って行動することを一貫して求めてまいりました。したがって、イスラエルに対しても、一般市民の保護の重要性、また国際人道法を含む国際法に従った対応をされたしということを強く求めてきております。
私、昨年十月に就任直後に、当時はカッツ外務大臣でしたけれども、直接電話で申入れを行いました。今はカッツさんは国防相に変わっておりまして、今、サールさんという外務大臣ですが、十二月にサール外務大臣にも電話会談を行いまして、イスラエルに対して強く自制を求めてきております。
議員から貴重な資料も提出いただきましたが、現地の状況はまだはっきり確認できない状況なんですけれども、いずれにしても、ガザ地区にもし和平がしっかりと実現すれば、復旧復興に我が国もしっかりと役割を果たしていきたいと思っておりますので、現地の状況を確認した上で、総合的に適切な判断をしていきたいというふうに思っております。
○高橋(永)分科員 ありがとうございます。
日本政府は、外交政策の基本方針として、力による一方的な現状変更の試みに反対する立場を取っていると思います。しかし、イスラエルのこれまでの軍事行動に対しては、今、岩屋外務大臣もおっしゃったとおり、停戦の重要性を述べる、そういったことにとどまり、明確な批判は行ってきませんでした。日本とイスラエルの関係があるからこそ、毅然とした態度を示し、批判するべきではないでしょうか。このままでは、日本の掲げる外交方針と矛盾しないでしょうか。
一方で、日本政府は、CEDAWに対しては拠出金用途制限という対抗措置を講じました。これにより、日本政府が強い相手には沈黙し、弱い相手には強硬な措置を取るという印象を与える可能性もあります。このような姿勢は、国内外にどのように捉えられていると思われますか。
日本の外交上の存在感や発言力の向上、また平和主義国家としての立場を国際社会にどのように示していきたいとお考えでしょうか。外務大臣としての決意、そして、もしよろしければ、一政治家としての思いをお伺いできればと思います。
○岩屋国務大臣 イスラエル軍の行動に関しては、先ほど申し上げたとおり、強い懸念を表明してまいりました。
一方で、個別具体的な事情や現場の情報について事実関係を正確に把握することが困難であることから、確定的に法的な評価を行うことは差し控えてきたわけですが、民間人の犠牲者数がこれだけ増加している中でございますから、イスラエルの軍事行動が全体として国際法上正当化されるかどうかについては、当事者による一層の説明が求められる状況にあるというふうに認識をしております。
その上で、CEDAWの話とは私はちょっと次元が違う話ではないかなと思っておりまして、CEDAWについては残念ながらああいう形で抗議をせざるを得なかったということでありまして、今後とも我が国が力による一方的な現状変更は許されないという姿勢を貫いていくことは当然のことだと思っております。
○高橋(永)分科員 ありがとうございました。
日本は、これまでパレスチナに対して学校や病院、インフラの整備を支援してきました。しかし、それらがイスラエルのこれまでの攻撃で破壊されても、日本政府は停戦の必要性を述べるだけで、なかなか具体的な抗議すら措置を取ることをせず沈黙を続けてきました。これでは日本の支援の意義そのものが問われてもおかしくないと思います。
同様に、アメリカが国際刑事裁判所、ICCへの報復措置を講じ、そして、アメリカ国際開発庁、USAIDの縮小が人道支援に深刻な影響を及ぼしているのにもかかわらず、日本は沈黙を貫いています。一方で、CEDAWには前例のない拠出金用途制限という強硬的な措置を講じました。このダブルスタンダードは日本の国際的な信用を損ねるのではないでしょうか。
日本が守るべきなのは、法の支配、人権の尊重、そして平和を守る責任です。これこそが日本のアイデンティティーであり、国際社会での信頼の基盤です。相手によって態度を変えず、一貫した原則を貫くことこそ真の国益につながると思います。アメリカが人道的責任を後退させるならば、今、日本こそが法の支配と人権を守る責任を果たし、人道支援の先頭に立つべきだと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。在外投票についてお伺いします。
昨年の十月に行われた衆議院議員総選挙において、在外選挙の投票率は約一八%にとどまっているというふうに聞いております。外務省として、低い投票率となった結果をどのように受け止めているのか、また、課題や改善点をどのように認識し、今後どのように取り組んでいく方針でしょうか、詳しく教えてください。
○岩本政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、昨年十月の衆議院議員総選挙の投票率、かなり低い水準にとどまっているということでございます。この点につきましては、外務省としても真摯に受け止めなければならないという具合に考えております。
在外選挙につきましては、これまでも、選挙制度を所管しております総務省とも連携して、海外にお住まいの日本の方々に、より積極的に、そして適切な形で選挙に参加していただくよう、様々な取組はしてきております。昨年十月の衆議院の総選挙に際しましても、各在外公館のホームページ、また領事メールといった形で投票を呼びかけてきましたし、また、場合によっては、現地で日本人の方に向けたマスコミの媒体等がございますので、そういったところでも広報に努めてきております。
また、在外投票の前提になります在外選挙人名簿への登録の手続がございますが、これにつきましては、日本を出発される前に申請していただくこともできますので、それを呼びかけたりですとか、また、実際の投票に当たって在外選挙人証を取り寄せる必要がございますけれども、この手続の迅速化、こういった取組も続けてきております。
こういったこれまでの取組も踏まえまして、今後も、総務省とも連携しながら、引き続き、この在外選挙制度自体の改善を含めて検討を進めていきたいという具合に考えております。
○高橋(永)分科員 ありがとうございました。
選挙は民主主義の根幹でございます。在外投票率の低迷が続けば、海外に住む日本人の声は政治に届かなくてもよいという誤ったメッセージと捉えられかねないと思います。国民の権利を守るため、外務省には制度の改善と投票機会の確保に向けた実効性のある対応を強く求めていきたいというふうに思っております。
ちょっと時間が余りましたけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山下主査 御協力ありがとうございます。
これにて高橋永君の質疑は終了いたしました。
次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。
岩屋大臣、遅くまで御苦労さまでございます。昨日も予算委員会で御一緒いたしました。
今日は、米軍のパラシュート降下訓練中に起きました物資落下事件について質問をいたします。
一月十六日に、米軍普天間飛行場所属のオスプレイが、伊江島補助飛行場で物資の投下訓練中に、パラシュートをつけた重さ四百キロを超える貨物を提供区域外の海上に落下させました。
落下現場は、伊江島の漁港から一キロ程度しか離れておらず、漁船が出入りする場所です。伊江島近海は冬がホエールウォッチングのベストシーズンと言われて、遊漁船もたくさん出ています。米軍は予期せぬ風向きの変化で着地予定地点を外れたと説明しており、貨物が住宅地の上空を通過した可能性も指摘をされております。
伊江村の名城村長は、一歩間違えば村民を巻き込む事態になりかねないとして、改めて訓練の中止を求めております。沖縄県も今回、再発防止策を講じることができなければ伊江島で物資投下訓練を行わないよう要請をしております。
大臣、事は住民の命に関わる問題です。直ちに伊江島での訓練を中止させるべきだと思いますが、いかがですか。
○岩屋国務大臣 赤嶺先生御指摘のように、一月十六日にそのような事件がございました。重さ四百キロを超えるということでございますので、先生御指摘のように、まかり間違えば甚大な被害が発生した、そういう類いの事故だと思っておりまして、これは、米軍の活動に際しては言うまでもなく安全の確保が大前提でございますので、甚だ遺憾に思っております。
政府としては、訓練の中止を求める考えはありませんけれども、再発防止の徹底を強く申し入れておりまして、引き続き米側に対して安全管理に万全を期すように求めていきたいと思っております。
○赤嶺分科員 今、訓練中止は求めない、再発防止に万全を尽くすというお話でしたが、米軍は住民の命を脅かす重大事故を繰り返しています。
二〇〇二年には、水タンク三個がパラシュートが開かないまま民間の牧草地に落下しています。二〇一四年にも、基地のフェンス外の工事現場に八百キロのドラム缶を落としています。さらに二〇二〇年は、プラスチックの貨物をサトウキビ畑に落下させる事故が起きています。このときも米軍は、今回と同様、風の影響で落下地点がそれた、このように説明しているんですね。
政府は、安全の確保が大前提だ、こうおっしゃいます。しかし、事故は一向になくならないんです。米軍任せでは事故を防げないことは明らかだと思います。再発防止だといっても全く実効性のないものになっておりますが、いかがですか。
○岩屋国務大臣 先生も御案内のとおり、米軍による伊江島補助飛行場の使用目的や使用条件等が定められた一九七二年五月十五日の日米合同委員会合意において、同飛行場周辺に設定された水域で重量物投下を含むパラシュート訓練を行うことが認められておりますので、私どもとして訓練の中止を求める考えはないのでありますけれども、しかし、あくまでも米軍の活動に際しては安全の確保が大前提でございますので、特に今般の事案は周辺住民の方々に大変大きな不安を与えるものでございますので、引き続き米側に強く安全管理に万全を期すように求めていきたいと思っております。
○赤嶺分科員 事故から約一か月たつんですが、政府も重視している、米軍から再発防止策、これは示されておりますか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの事案につきまして、米側からは、海兵隊は全ての訓練の安全性について真剣に捉え、今回の事案について調査を行っているところであり、しかるべき安全対策を講じていくとの説明を受けているところでございます。
防衛省としましても、米軍の訓練に際しては安全の確保が非常に重要であると考えております。しかるべき安全対策を講じた上で訓練を行うことを引き続き求めてまいりたいと考えております。
○赤嶺分科員 アメリカの海兵隊が万全の安全策をいつも講じているという政府の説明ですね。これは岩屋外務大臣が防衛大臣のときも繰り返されておりますが、私は、本当に空々しいというか、空虚な米軍の発表だと思うんですよ。今、再発防止策について、一か月もたつのにまだ発表されておりません。
政府の説明からしても、少なくとも、政府として納得できる再発防止策が取られない限り、伊江島で物資投下訓練を再開することは認められない、こういうことですよね。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からありましたとおりでございますけれども、いわゆる五・一五メモ、ここにおきまして、伊江島補助飛行場周辺に設定されました水域で重量物投下を含むパラシュート訓練を行うということは認められているということでございます。米軍はこの日米合同委員会合意に基づいて訓練を行ってきているということでございますので、政府として訓練の中止を求めるという考えはないということでございます。
他方でございますけれども、先ほど大臣からありましたとおり、引き続き米側に対しましては安全管理に万全を期すよう求めていく考えでございます。
○赤嶺分科員 五・一五メモを明るみに公表するように、これを公表させるために沖縄は物すごい闘いをやったんですよ。外務省が公表させたものではないんですよ。その五・一五メモに何が書いてあるかぐらいは承知の上で質問をしているわけです。
大臣、伊江島は周囲が海に囲まれて天候が変わりやすいところです。突発的な風もよく吹きます。伊江島ではパラシュート降下訓練中の米兵が誤って民間地に着陸する事故も相次いでおります。その多くは風にあおられたものであります。
そもそも伊江島は、島の三分の一以上を米軍基地が占めており、基地と隣り合わせに集落や、サトウキビ、葉たばこ、この畑が広がっております。少しでも落下地点がそれれば、住民の命に直結するような事態になります。でも、物資投下訓練ができるような場所では絶対にありません。
伊江村は、住民に危険を及ぼす物資投下訓練は容認できないと中止を求め続けております。五・一五メモがあることも承知の上で、物資投下訓練は危険だという具合に向こうはずっと抗議を続けているんですね。これは住民を守る上で当然の要求だと思います。
よく五・一五メモを根拠に政府は物資投下訓練を容認していますが、これだけ区域外への落下が繰り返されている以上、物資投下訓練を伊江島補助飛行場の使用条件から外すことを真剣に検討すべきだと思います。
政府が言う再発防止策も示されず、示されていないのに訓練は容認する、こういう物資投下訓練の事故は相次いでいる。
五・一五メモというのは、ある意味、沖縄県民の頭越しに政府同士が締結をしたものですよね。米軍直接統治下ではもちろんのこと、復帰後も、米軍の横暴な基地の運用は認めるという内容が随所にありますから。
一方で、五・一五メモに書かれていないけれども、例えば那覇軍港にオスプレイが離着陸する問題については、五・一五メモで特別止められているわけではないからできるんだといって、五・一五メモに書かれていないこともやる。
しかし、五・一五メモに書かれていても、もうこの安全性は確保できない。日本政府がいつもおっしゃる、安全性の確保が一番だという、安全性の確保はできないんですよ。
だから、五・一五メモでの物資投下訓練、見直すような外交交渉をなさったらいかがですか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘がありました、五・一五メモを見直して使用条件から物資投下訓練を外すことを検討すべきという御指摘でございますが、現時点で政府といたしまして五・一五メモを見直すという考えはございません。
他方でございますけれども、繰り返しになりますが、政府といたしましては、再発防止の徹底というものを申し入れておりますし、引き続き米側に対しては安全管理に万全を期すようにということを求めていく所存でございます。
○赤嶺分科員 外務大臣、再発防止を申し入れている、安全管理を求められている、でも事故は繰り返されている。もう限界なんですよ。あそこで物資投下訓練をやれば、どんなに安全に気をつけてよと言っても事故は起こるんです。
この際、岩屋外務大臣の外務大臣在任中に、五・一五メモにおける物資投下訓練、これはやはり見直すべきだという外交交渉に当たってほしいということを申し上げておきたいと思います。是非お願いします。
次に、SACO合意に反した嘉手納基地でのパラシュート降下訓練、これも問題であります。
政府は、嘉手納でのパラシュート降下訓練は例外的な場合に限ると述べてきました。これまで例外に該当する要件として、定期的に行われるものではないこと、小規模であること、天候などの制約により伊江島で訓練を行えないこと、喫緊の必要があることなどを挙げてきました。
ところが、米軍は嘉手納での訓練を今や常態化させております。一昨年、二〇二三年十二月から今月まで十一回、ほぼ毎月のように訓練を実施しております。これは、定期的ではないという政府の説明と矛盾していると思いますが、いかがですか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
パラシュート降下訓練でございますが、SACO最終報告書、あるいは、これまでの日米間の共通認識から、伊江島補助飛行場で実施することが基本でございまして、嘉手納飛行場の使用はあくまでも例外的な場合に限られております。
御指摘の訓練でございますが、伊江島補助飛行場の滑走路が使用できずに嘉手納飛行場で実施するほかない状況、これが継続する中で、まさに例外的な場合に該当するものとして行われているものというふうに認識しております。
伊江島補助飛行場の滑走路が早期に使用再開されるよう、引き続き、米側と緊密に連携しつつ、関係省庁と取り組んでまいりたいと思っております。
○赤嶺分科員 毎月使っていても、それはアメリカの側に事情があることだから定期的とは言わないんだというこの外務省の答弁の仕方ですね、本当に納得できるものではありません。よくまあ白々しくそういう答弁を繰り返すものだなと思いますよ。
定期的でなく、ずっと毎月やっている訓練、これは本当に説明になっていないと思います。毎月訓練を行うことが、なぜ定期的でないのですか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
まさに例外的な場合に当たるかということだと思いますけれども、例外的な場合に該当する場合ということでございますが、一に定期的に行われるものではないこと、二に小規模であること、三に訓練の喫緊の必要があること、四に悪天候等の制約により伊江島飛行場で訓練を行えないこと、こうした四つの要件を満たす場合でありまして、この点についても日米間で繰り返し確認しております。
どのような場合が例外的な場合に当たるかということでございますけれども、これはまさに個別の事例ごとに具体的事情に即して判断してきているということでございまして、一概に述べることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 あくまでも嘉手納飛行場の使用は例外的な場合に限られるということが前提であると思います。
伊江島の飛行場の方もかなり施設が劣化していて、補修の必要があるというふうにも承知しております。防衛省の方が詳しいかもしれませんが、大型固定翼機等が使用することがなかなか困難な状況にあるというふうにも聞いております。
基本はあくまでも伊江島補助飛行場で実施するということでございますので、そういう基本の姿に戻るように働きかけていきたいと思っております。
○赤嶺分科員 例外的な条件に当たる、さっき幾つか、何項目か挙げましたけれども、その中に、小規模というのもあります。
去年の八月二十三日は、六十一人もの米兵が訓練をしています。これって小規模ですかね。六十一人のパラシュート降下訓練、いかがですか。
○熊谷政府参考人 御指摘の訓練でございますが、米側による説明のほか、訓練の内容や態様などから小規模なものというふうに認識したというふうに承知しております。この小規模に該当するか否かということでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、個別の事例ごとに具体的事情に即して判断してきているということでございます。
御指摘の訓練について具体的に申し上げると、MC130一機を使用し、物料投下を行わず、米軍部隊が自由降下のパラシュート降下訓練を実施したものということでございます。このような米側の説明がありまして、このような訓練の内容、態様などから小規模なものであったというふうな認識であったというふうに承知しているところでございます。
○赤嶺分科員 大臣、今、MC130を使った訓練はできないと大臣が答弁した直後に、MC130を使った訓練で六十一人ということを外務省は答えているんですよね。
私は、毎月やっても、これはアメリカに言わせたら定期的でないと。六十一人、これもアメリカから見れば、小規模でない、だけれども住民から見れば大規模ですよ。六十一人もの、市街地に囲まれた嘉手納基地の中にパラシュートで降りてくるという。そして、定期的でないと言われても、毎月やったら、嘉手納、沖縄市、北谷町の住民、首長から見れば、これは定期的ですよ。
だから、外務省がそういう説明をするものですから、結局アメリカの解釈で、これにつき合っているから、アメリカは堂々と、例外といっても、アメリカが例外じゃないと言えば日本政府はそのようになりますから、およそ例外という要件はなきに等しいわけですね。結局、なし崩し的に嘉手納基地での訓練を拡大していることになります。
米軍は伊江島の滑走路が使えないから嘉手納で訓練をしていると言いますが、昨年一月には伊江島でパラシュート降下訓練中の米兵三人が民間地に落下したことが明らかになっています。地元紙は四月と七月に伊江島で訓練をしたと報じています。
米軍は伊江島でもパラシュート降下訓練を行っているわけです。この間、伊江島で何回訓練をしているのですか。これは防衛省ですか。明らかにしていただけますか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
伊江島補助飛行場におけるパラシュート降下訓練につきまして、現時点で防衛省が確認できる令和五年十二月から令和七年一月までの実施状況につきましては、合計六十一日でございます。
伊江島補助飛行場の滑走路は現在、大型固定翼機の安全な離着陸が困難な状況にございますけれども、それでもなお伊江島補助飛行場で実施可能な訓練につきましては米側は伊江島補助飛行場で実施しているところであり、その一方で、嘉手納飛行場でなければ実施できないような訓練を行うときは嘉手納飛行場を使用しているものと承知をしております。
現状におきましては、C130など大型固定翼機を使用し、離着陸を伴うような訓練を行う場合には嘉手納飛行場を使用されているものと認識しております。
○赤嶺分科員 実際には、この一年余り、伊江島で六十一回もの訓練をしているわけですよ。あくまでも伊江島で訓練ができないから、使えないから嘉手納でやるんですよと言いながら、伊江島で六十一回もやっている。米軍は都合のいいように訓練をしているとしか思えません。そこには、住民から見たら、米軍には例外なんかない、やりたいときにやりたいところでやりたい放題訓練をしているという実態です。
前に、大臣、河野太郎外務大臣が、二〇一九年十一月五日の安保委員会で、嘉手納でのパラシュート降下訓練を認めた日米合同委員会の合意議事録について、公表に向けたプロセスの中にあると国会で説明をいたしました。
あれから五年以上がたちますが、いまだに議事録は公表されていません。なぜ公表されないんですか。例外とされた中身を私たちは合意議事録で確認することができませんが、いかがですか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御案内のとおり、日米合同委員会の合意事項や議事録でございますが、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するため、日米双方の同意がなければ公表されないということになっております。
その上で、具体的な米側とのやり取り、調整状況でございますが、米側との関係もありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○岩屋国務大臣 今事務方から説明したとおりですが、双方の合意がなければ公表しないということになっておりますので、もちろん最終的に日米間で一致する、合意に至ったものについては公表するように努めてまいりたいと思います。
○赤嶺分科員 大体、事務方が答弁できるようなことは大臣も認識していますから、できるだけ大臣が答弁してください。
一体議事録には何が書かれているか。これは、被害を受けている県民にとって極めて重大な問題であります。うやむやにすることは許されません。大臣の責任で、嘉手納基地での例外についての合意議事録、すぐに公表すべきだと思います。河野外務大臣は今にでも公表しそうな雰囲気で答弁しておられたんですが、一向にその動きが見えません。
パラシュート降下訓練の例外という中身について、岩屋外務大臣が是非、公表の努力を、米側と交渉していただきますようお願いしたいんですが、いかがですか。
○岩屋国務大臣 あくまでも日米間で合意しなければ公表できない、しないということでやってきておりますが、先生御指摘のように、地域の皆さんも重大な関心を向けておられることでしょうから、合意ができるかどうか、しっかり米側と意思疎通をしたいというふうに思っております。
○赤嶺分科員 我々は、当時、防衛省の説明によると、合意議事録には例外的に行われるとのみ書かれていて、例外の要件は書かれていない、このように説明を受けております。
例外の要件について、日米間で確認した文書、今事務方がおっしゃった文書、これは文書として存在するんですかね。外務大臣、お願いします。
○熊谷政府参考人 事実関係でございますので、私から答弁申し上げます。
日米両政府でございますが、SACO最終報告書におきまして伊江島補助飛行場に移転することとされたパラシュート降下訓練につきましては、引き続き基本的に同補助飛行場で実施する、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用するとの認識で一致しているところでございます。
この嘉手納飛行場の使用が例外的な場合に限られるという点につきましては、平成十九年一月二十五日に開催された日米合同委員会の議事録、これが存在しておりまして、文書で確認しているということでございます。
○赤嶺分科員 例外的な要件も書かれているということですね。
○山下主査 申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
まさに日米合同委員会の議事録でございますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、日米双方の同意がなければ公表されないということでございますので、公表されていない議事録の中身ということでございますので、お答えは差し控えざるを得ないということで御理解いただきたいと思います。
その上で、例外的な場合に該当する場合という、先ほどの四要件でございますけれども……
○山下主査 答弁は簡潔に願います、繰り返しであれば。
○熊谷政府参考人 はい。
日米間で繰り返し確認してきているというところでございます。
○赤嶺分科員 もう最後ですけれども、なぜ私たちが物資投下訓練にこだわるかといえば、一九六五年に読谷村で米軍の物資投下訓練、トレーラーを運んでいる訓練が、小学校五年生の棚原隆子ちゃんの頭上に落ちて圧死した事件があるんです。だから、我々は物資投下訓練には過敏なんです。
同時に、嘉手納基地でも行うべきではない、伊江島でも行うべきではない、こういうことを強く申し上げて、是非、岩屋大臣のときに議事録も公開していただいて、そして、そこには要件なんか何も書いていなかったということになれば、五・一五メモの中身も見直していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○山下主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十八日金曜日午前八時より開会し、法務省及び外務省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時二分散会