第1号 令和7年2月27日(木曜日)
本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
国光あやの君 後藤 茂之君
深澤 陽一君 黒岩 宇洋君
山井 和則君 浅野 哲君
二月二十六日
深澤陽一君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和七年二月二十七日(木曜日)
午後一時開議
出席分科員
主査 深澤 陽一君
国光あやの君 小池 正昭君
後藤 茂之君 福田かおる君
新垣 邦男君 大塚小百合君
黒岩 宇洋君 宗野 創君
山井 和則君 浅野 哲君
兼務 草間 剛君 兼務 中谷 真一君
兼務 根本 拓君 兼務 三反園 訓君
兼務 市來 伴子君 兼務 原口 一博君
兼務 梅村 聡君 兼務 角田 秀穂君
兼務 福重 隆浩君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
内閣府副大臣 辻 清人君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
内閣府大臣政務官 友納 理緒君
財務大臣政務官 東 国幹君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
会計検査院事務総局第二局長 長岡 尚志君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 今井 裕一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 藤川 眞行君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 井内 努君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 田中佐智子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省人材開発統括官) 堀井奈津子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 勝野 美江君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 神田 宜宏君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 堤 洋介君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
予算委員会専門員 中村 実君
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分科員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
国光あやの君 福田かおる君
黒岩 宇洋君 大塚小百合君
同日
辞任 補欠選任
福田かおる君 平沼正二郎君
大塚小百合君 宗野 創君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 福田かおる君
宗野 創君 新垣 邦男君
同日
辞任 補欠選任
福田かおる君 小池 正昭君
新垣 邦男君 黒岩 宇洋君
同日
辞任 補欠選任
小池 正昭君 国光あやの君
同日
第一分科員草間剛君、根本拓君、梅村聡君、第二分科員中谷真一君、第四分科員市來伴子君、福重隆浩君、第六分科員原口一博君、角田秀穂君及び第八分科員三反園訓君が本分科兼務となった。
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本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(厚生労働省所管)
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○深澤主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 令和七年度厚生労働省関係予算案の概要について説明いたします。
厚生労働省所管一般会計予算案の総額は三十四兆二千九百四億円であり、令和七年度から国土交通省などに移管される経費を除いた令和六年度当初予算三十三兆八千百八十九億円と比較いたしますと、四千七百十五億円、一・四%の増加となっています。また、厚生労働省所管特別会計予算案につきましては、年金特別会計、労働保険特別会計、子ども・子育て支援特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しています。
以下、令和七年度予算案の重点事項について説明いたします。
第一に、全世代型社会保障の実現に向けた保健、医療、介護の構築について、ドラッグラグ、ドラッグロスの解消に向けて、有望シーズの実用化促進、研究開発環境の整備による創薬力の抜本的強化を図るとともに、医薬品などの安定的な供給の実現に取り組みます。また、医療、介護におけるDXを推進するほか、地域医療構想、医師偏在対策、かかりつけ医機能などの推進、地域包括ケアシステムの推進、周産期、救急、災害医療体制の充実などの地域医療、介護の基盤強化に向けた施策の推進や、次なる感染症危機に備えた体制強化などに取り組みます。さらに、生涯活躍社会の実現に向けた予防、重症化予防の推進、女性の健康づくりや認知症施策の推進などに取り組みます。
第二に、持続的、構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進について、最低賃金や賃金の引上げに向けた中小企業の生産性向上の支援、非正規雇用労働者への支援などに取り組むとともに、リスキリングによる能力向上への支援、成長分野への労働移動の円滑化の推進などに取り組みます。また、人手不足分野における人材確保を推進するとともに、障害者や高齢者等の多様な人材の活躍促進、仕事と育児、介護の両立支援、多様な働き方の実現に向けた環境整備、ハラスメント防止対策や女性の活躍促進などに取り組みます。
第三に、一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会の実現について、地域共生社会の実現に向けて、対象者の属性を問わず、包括的に相談を受け止める重層的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、障害者支援、困難な問題を抱える女性への切れ目のない支援や自殺対策などを推進します。また、戦後八十年という節目を迎える中、戦没者の慰霊、戦没者遺族の援護の推進、持続可能で安心できる年金制度の運営などに取り組みます。
なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきます。
今後の人口動態や経済社会の変化を見据えた保健、医療、介護の構築や包摂社会を実現するとともに、持続的、構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進を通じて、国民一人一人が安心して生涯活躍できる社会の実現のため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。
○深澤主査 この際、お諮りいたします。
厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○深澤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
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○深澤主査 以上をもちまして説明は終わりました。
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○深澤主査 この際、分科員各位に申し上げます。
質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、政府当局に申し上げます。
質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。福重隆浩君。
○福重分科員 公明党の福重隆浩でございます。
分科会のトップバッターとして質問の機会をいただきましたことを心から感謝申し上げます。
今日は、地元を中心にお聞きいたしました声に基づきまして、順次質問をさせていただきたいと思いますので、簡潔で分かりやすい前向きな御答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、災害法制における改正の、DWATの活用についてお伺いをいたします。
政府は、二月の十四日、災害対策基本法等改正案を閣議決定されました。
一月の代表質問では、我が党の斉藤代表が、能登半島地震の状況を踏まえ、災害関連法案に福祉の視点を取り入れ、あらかじめ支援体制を整備することが必要不可欠だと主張をいたしました。
今回の災害救助法の改正では、避難所での活動に限定されていた災害救助費の対象となるDWATによる支援が、在宅、車中泊避難者にも対象範囲が広がり、福祉サービスの充実を図ることにつながります。まさしく支援の焦点を場所から人への転換であり、意義深い法改正であると思っております。
一方、現場においては、DWATの構成員は、介護福祉士や保育士等で構成されております。自治体との情報共有を含め、しっかり整理していかないと、従来から支援されていた社協やケアマネと支援に加わるDWATの皆さん、双方が混乱をする状況を招きかねないと思っております。
また、支援を受ける方々にとっては、支援側が情報を整理し、誰がどこの在宅避難者宅を訪問するかなどを決めておかなければ、同じ在宅避難者宅を違う支援者が複数回訪問するような事態になってしまう可能性があり、車中泊避難者の場合も同様のケースが考えられます。
自治体と支援する側との情報共有や仕組みをしっかり構築しなければなりません。法改正後の政府の対応についてお伺いをいたします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
DWATが福祉的な相談支援を行うに当たりましては、地域の福祉関係者の方とも協力しながら支援を行うことが必要でございまして、関係機関との平時からの連携が重要でありますことから、全国の都道府県におきます、官民協働による災害福祉支援ネットワークの構築を進めているところでございます。
具体的に申し上げますと、都道府県や社会福祉協議会、社会福祉施設等関係団体、福祉職の職能団体、また保健医療関係者などが参加するネットワーク会議におきまして、災害時におきます関係機関の役割分担の整理ですとか、あるいは保健医療関係者との情報共有の方法や連携の内容などについて、あらかじめ協議するなどの取組を進めていただいているところでございます。
今後のDWATの活動範囲の拡充に際しましても、平時からの連携体制の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○福重分科員 御説明ありがとうございました。
今のでは、事前に協議をしてしっかりやっていくということでございましたけれども、ちょっと確認なんですが、やはり多くの方々の、災害により精神的なストレスがたまっておられることが容易に想像できますので、日頃から顔のつながっている人が訪問してくださることによって、どれだけ安心感が増すことか。このことが何よりも重要であると思っております。
私は、基本的には、在宅避難や車中泊の皆様の対応は、これまでどおり地元の自治体の保健師さんやケアマネさんが対応するということが基本であり、そして、不足分をDWATの人たちに御対応いただくということでよろしいのか、お聞きしたいと思います。
そしてもう一つは、これが法に明記されることによって、人件費だとか費用の面も、車中泊だとか、そういった在宅支援にDWATが関わった場合にはこの費用がしっかりと担保されるのか、それをお聞きしたいと思います。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
先生からただいま御指摘いただきましたように、支援を受ける方々の負担を増大させることがないように対応するということ、大変重要だというふうに考えております。したがいまして、被災地におきますDWATの活動に際しましては、ほかのチームや地域の保健福祉関係者等と事前に情報共有や調整を行うことが重要であるというふうに考えております。
先ほど、災害福祉支援ネットワークの構築について御答弁を申し上げましたが、さらに、今後、DWATの運用に係るガイドラインについては改定を行うということを予定しておりまして、その中では、こうした関係者間での連携が一層進むような、必要な見直しを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
それから、災害救助法における救助の種類に福祉サービスの提供を追加する改正法案が今国会に提出されております。これによりまして、DWATが在宅や車中泊で避難生活を送る要配慮者の方に対して相談支援などを行う場合の人件費につきましても、国庫負担の対象となるものというふうに考えてございます。
○福重分科員 ありがとうございました。
DWATの関係者から、自分たちが日頃やっていないところに顔を出すということが、非常に、全て我々がやるのではないかというような不安を持たれている場合がございます。そういったことを、しっかりと末端まで行き渡るように理解の促進を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移りますが、ちょっと順番を変えさせていただいて、四番目の中小企業支援の質問をさせていただきたいと思います。
大手生命保険会社が中小企業を対象に実施した調査によりますと、昨年賃上げをした企業の五割以上が今年も賃上げを予定をしていると回答したのに対し、昨年賃上げしなかった企業では、六割の企業が賃上げ予定はないと回答したそうでございます。この調査結果から、中小企業の賃上げへの姿勢が二極化していることがうかがえると思います。
また、昨年の人材採用について、採用でき、充足していると回答した企業は三一%にとどまっており、特に建設業では、採用できなかったが四六%にも上り、多くの中小企業が人材採用に苦労されている実情がうかがえます。
先ほどの大手保険会社の調査では、原材料費の高騰が安定しないと賃上げや人材の採用は難しいや、最低賃金の引上げに伴う賃上げをしたが、売上げ、利益が上がらず、中小企業に目を向けた政策を期待したいとの声が寄せられ、私が地元を回っても、同じような声が多く寄せられております。
一方で、政府はこれまで、中小企業の皆様を応援する支援策というのを数多くつくり上げておりますけれども、私からその企業の取組にマッチングしそうな支援策を説明しても、全く知らなかったとか、初めて聞いたと言われる経営者が少なくありませんでした。
今般、下請法の改正なども審議の予定ですが、今までの政策の周知徹底や効果の検証を含め、実際に支援を必要としている事業者の皆様に確実に情報が行き届く必要があると思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業庁は、中小企業庁のホームページや、国や公的機関の支援情報、支援施策を提供するポータルサイト、ミラサポプラスにて網羅的に支援施策等を発信してございます。加えて、重要な情報につきましては、X、すなわち旧ツイッターでございますが、あるいはメルマガ等を媒体にして、積極的に情報発信をしているところでございます。
また、これまでも、商工会議所、商工会、あるいは、よろず支援拠点等の支援機関を通じまして、施策広報あるいは個々の経営支援を通じまして、施策の活用を促す取組を実施しておりますけれども、より多くの中小企業の皆様に確実に情報を届けるよう、今後、中小企業者とじかに接している民間金融機関あるいは税理士等にも、先ほど御紹介した施策広報媒体の存在を積極的に周知してまいりたいと考えております。
さらに、ホームページ等の媒体を実際に中小企業の皆様に見ていただくためには、施策をより分かりやすく伝えていくことが重要だと考えておりますので、今後、分かりやすい短時間のショート動画を作成する方向で、今準備を進めているところでございます。
引き続き、中小企業の皆様のニーズに合った情報発信に努めてまいりたいと考えております。
○福重分科員 ありがとうございました。
ちょっと具体的にお伺いいたしますけれども、昨年六月に応募が始まった中小企業省力化投資補助金、いわゆるカタログ型補助金につきまして、昨年の十二月の省力化投資補助金の現状報告によりますと、カタログ型については、申請受付方式を公募回ごとから随時受付へと改善することや、補助事業終了後の報告期間を五年から三年に短縮し、中小企業、販売店の報告事務負担を軽減させるなど、企業に寄り添った制度変更を行ったと認識をしております。
昨年十一月末での申請件数を伺った際は百二十件程度とのことでしたが、こういった制度変更を行ったことにより、カタログ型補助金について、どの程度申請数が増えたのか、お伺いをいたします。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の中小企業省力化投資補助金につきましては、人手不足解消に効果のあるロボットやIoTなどの設備、システムの導入を支援する補助金でございます。
本補助金を広く活用いただくため、事業者のニーズも踏まえまして、カタログの充実や制度の改善に注力しておりまして、本年一月末時点ですけれども、申請件数は合計二百三十六件になってございます。
また、これまでのカタログ形式の支援に加えまして、今年の三月から、新たに一般型といたしまして、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資にも幅広く支援をさせていただく予定でございます。
中小企業の皆様に広く活用いただけるよう、これからも、より一層、広報活動を強化してまいりたいというふうに考えております。
○福重分科員 ありがとうございました。
いろいろ改正はしてもらっているんですけれども、まだ二百三十六件というような形の中で、多分、カタログ型とそれからオーダーメイド型、これはたしか三千億ぐらい予算規模はあると思うんですね。それが二百三十六件ということでは、まだまだ全然知れ渡っていないんだなというふうに思います。
そういった意味では、制度を幾らつくっても、それが使われなければ、本当に必要としている人たちに届かなければ意味がございませんので、先ほど、金融機関だとか、また税理士さんだとか、やはり経営者は忙しいですから、ホームページを見たり、そういった、なかなかする時間がない、日頃相談に乗っているような方々から、こういうのがありますよと具体的に教えてもらえるような、そういうようなシステムが必要だと思いますので、是非そういったところに切り込んでいただいて、本当に中小企業の皆さんから感謝されるような、そういう制度にしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
先日、我が党の機関紙、公明新聞に、若者が心身の悩みについて気軽に相談できるユースクリニックが紹介されておりました。スウェーデンが発祥で、英国やカナダにも広がる中、日本でも産婦人科やNPO法人が中心となり、少しずつ増えてきているとのことであります。スウェーデンでは、二百六十余りの施設が整備され、各自治体によって運営がなされており、十二歳から二十五歳までの若者を対象に、性や体に対する悩みから、対人関係や依存症といった精神面を含めた幅広い相談に乗っております。
一方、東京科学大学の寺内教授によりますと、日本においては、二〇二二年度で約六十の施設が確認され、設置形態としては、産婦人科クリニック併設型が半数を占め、NPO法人運営型、自治体運営型、小児科併設型が設置されております。寺内教授は、民間が使命感だけでやっている実情と指摘し、国に対しては、財政的な支援が理想だけれども、相談員の育成やユースクリニック間のネットワークなど、できることから始めてほしいと訴えておられます。
我が党の竹谷代表代行は、昨年の参議院の代表質問で、若者の心身の悩みをサポートできる場をつくるため、公的支援を含めた後押しをと述べ、石破総理は、若者の性や妊娠に関する相談体制を整備すると答弁されました。
そこで、お伺いをいたしますが、ユースクリニックに対する政府の認識及び今後の取組について御答弁をお願いいたします。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきましたいわゆるユースクリニックにつきましては、民間団体等が中心となって行われており、妊娠、避妊、性感染症など、十代や二十代の若者からの相談支援等に取り組まれているものと承知をしておるところでございます。
こども家庭庁といたしましても、若者の性や妊娠に関する相談体制を整備することは重要と考えております。このため、性と健康の相談センター事業におきまして、性と妊娠に関する悩みを含め、生涯にわたる健康に関する相談支援に取り組んでおり、思春期、妊娠、出産等のライフステージに応じたきめ細かな支援を図っているところでございます。
こうした相談体制を強化するため、令和六年度の補正予算におきまして、医療機関で相談支援を実施した場合の相談費用の補助、あるいは、オンラインでの相談体制整備に係る初期設定整備費に対する助成、こういったものを行っているところでございます。
こうした取組を着実に実施し、若者の性や妊娠に関する相談体制の整備を図ってまいりたいと思っております。
○福重分科員 ありがとうございました。
やはり、若い方がいろいろな悩みを抱えておられます。それに対して、しっかりと寄り添った支援が大事だと思いますので、こういったことの充実を図っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に移ります。
風疹とはしかを防ぐ混合ワクチンについて、供給が不安定となり、医療機関での定期接種に支障を来しているとの報道がございました。この混合ワクチンは、一歳の子供と小学校に進学前の五歳や六歳の子供たちを対象に定期接種が行われているほか、かつて公的な接種が受けられなかった四十代から六十代の男性には、今年の三月末を期限に追加接種が行われていると認識しております。
厚労省によりますと、混合ワクチンは国内三つの製薬会社が製造しており、このうち一社が、一部の製品の有効性が基準を下回ったことなどを理由に、昨年の十一月から出荷を停止しているとのことでございます。
日本小児科医会が一月下旬に全国四百三十八人の小児科医に調査したところ、希望した量のワクチンを入手できないと答えた医師が四八%と半数近くに上り、全く入荷できていない医師も五%いるとの結果でございました。
風疹は、妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出るおそれもあり、妊娠中の女性への感染を防ぎ、生まれてくる赤ちゃんを守るためにも、周りの方も風疹に対する免疫を持つ必要があります。接種率が下がると感染拡大のおそれもあるため、ワクチンの安定供給に向けて早急な対策が必要と考えます。
厚労省の発表では、混合ワクチンは、出荷が止まっている製薬会社の供給分を他社が補うことで、今年度は例年並みの量を確保できる見通しとのことですが、一部の医療機関にワクチンが行き届かないのは、流通面での問題が影響していることも考えられるのではないかと思っております。
過去には日本脳炎ワクチンの供給不足が発生したケースもあり、今回の件に限らず、ワクチンの安定した供給体制を整えるためにも、緊急的な対応だけではなく、抜本的な解決策への取組が必要と考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、緊急時におきましても、平時におきましても、国民の皆様にワクチンを安定的に供給できる体制を構築することは重要と認識しております。
ワクチンは、一般的に、製造開始から出荷までに要する期間が長く、需要の変動に合わせて短期間で生産調整することが困難であるため、現行の予防接種に関する基本的な計画、予防接種基本計画と申しますが、その計画におきまして、感染症の流行等、一時的にワクチンの需給が切迫した場合は、国がワクチン製造販売業者とワクチンの生産に関する調整を行い、前倒し出荷、在庫状況及び出荷計画の情報提供を行うことや、国、都道府県及び市町村が医師会及び卸売販売業者等関係者と連携して、ワクチンが偏在しないよう取り組むことを通じた、ワクチンの安定供給に向けた対応、取組を示しているところでございます。
その上で、本年四月からの施行に向けて手続中でございます新しい予防接種基本計画におきまして、国が平時からワクチンの安定供給の取組の方針を整理し、関係者に周知し、需給状況の明確化を図ることとしております。こうした方針を踏まえまして、引き続き、ワクチンの安定供給に努めてまいります。
○福重分科員 ありがとうございます。
今、基本計画を整備するということでございますけれども、やはり、国民の皆様の不安を解消していくことは大事なことだと思いますので、是非、しっかりとした体制を組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
政府は、バブル崩壊後の一九九〇年から二〇〇〇年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、いわゆる就職氷河期世代と言われる方々に対する就労や社会参加への支援の取組について、二〇一九年に就職氷河期世代支援プログラムを取りまとめ、三年間を集中的に取り組む期間と位置づけて支援策を実行してまいりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、施策の効果が相殺された部分もあると考えられることから、令和四年度までの三年間を第一ステージと捉え、令和五年度から二年間を第二ステージと位置づけ、これまでの施策の効果の検証を行いながら、効果的かつ効率的な支援を実施し、成果を積み上げることとしています。
これまで、ハローワークに就職氷河期世代を対象とした専門窓口を設置したり、地域若者サポートステーション、通称サポステでのキャリアコンサルタント、カウンセラーなどの専門家による支援等を設け、また、事業者向けに各種助成金を整備し、就職氷河期世代の方々の積極的採用や人材育成の後押しをすることで機運を醸成し、就職氷河期世代の方々への支援に力を入れてきたと認識をしております。
一方で、支援の手が行き届かず、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている、又は無業の状態にある方々もおられるのが実態ではないかと思っております。支援が行き届かない理由があるのであれば、しっかりとその原因を追求し、現場のニーズに合った支援策を講じていただきたいと思います。
就職氷河期世代に対する支援について、これまでの取組及び成果及び今後の支援の方向性について御答弁をお願いいたします。
○堀井政府参考人 お答えいたします。
福重委員御指摘のように、いわゆる就職氷河期世代の方々には、不本意ながら非正規雇用で働いている方や無業の状態にある方など、現在も様々な面で厳しい状況に置かれている方がいらっしゃるというふうに認識をしております。
このため、厚生労働省といたしましては、令和元年から、就職氷河期世代支援プログラムの下で、ハローワークに設置をした専門窓口での担当者制による就職支援や、非正規雇用労働者を正社員化した企業に対する助成のほか、長期にわたり無業状態にある方に対する、地域若者サポートステーションにおける職業的自立に向けた支援など、個々人の状況に応じたきめ細やかな支援を集中的に行うとともに、これら施策の周知広報に取り組んでおるところでございます。
令和二年四月から令和六年十二月までに、ハローワークの職業紹介により、累計で約五十四万人が正社員として就職をし、また、非正規雇用労働者を正社員化した企業への助成金は、十四万人を超える方に活用されているという状況でございます。
そして、来年度以降でございますが、就職氷河期世代を含めて、幅広い中高年層を対象に効果的な支援が行われるように施策を講じることとしています。例えば、正規雇用を行う企業への助成金につきましては、過去に正社員として勤務をした後に婚姻や育児等を理由として離職をした方についても、離職後長らく不安定な就労状況にあった場合にはキャリア形成が不十分になっていることも想定をされるために、労使の声も聞きながら、対象とする方向で検討しているところでございます。
引き続き、このような世代の方々の置かれた状況や多様なニーズを踏まえまして、必要な方に必要な支援が届くように取り組んでまいりたいと存じます。
○福重分科員 ありがとうございました。
本当に、三十代、四十代でございます就職氷河期世代の方々は苦労しておられますので、是非、しっかりとしたフォローアップをしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
若干時間が残っておりますので、ちょっと質問を飛ばしました介護事業の中長期的な支援についてお伺いいたします。
介護の現場は人手不足だというのは、もうこれは、皆さん、認識は一致していると思います。本当に、賃金が安いということが問題であるのは事実なんですけれども、それと同じくして、やはり様々な支援をしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、新潟県の十日町市では、津南町と併せて地域の介護事業者が連携し、妻有地域包括ケア研究会をつくり、備品購入や職員研修に合同で取り組み、コスト削減を図っているということでございます。
事業者の経営安定と担い手の確保が介護サービスの生命線であり、持続をしていかなければなりません。あくまで介護報酬の抜本的な引上げは絶対条件でありますが、中長期的な事業者への支援、政府のビジョンをお伺いいたします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、介護事業者の皆様は、老後の安心を支える大変重要な役割を担ってくださっています。一方で、長引く人手不足、物価の高騰等で大変厳しい環境に置かれているというふうに承知をしております。
介護事業者に対する支援は、喫緊かつ重要な課題でございます。まず、足下の対応といたしましては、物価高騰につきましては、先般の補正予算で更なる積み増し等を行いました重点支援地方交付金において、介護事業者への支援を行ってまいります。
また、先生御指摘の人材の確保、それから事業者間の連携も大変重要なテーマでございまして、累次の処遇改善の取組、ICTの活用などによります職員の負担軽減、職場環境の改善など、あわせて事業者間の連携も大変重要でございます。
令和九年度から開始いたします第十期介護保険事業計画期間に向けまして、昨年末から制度面の議論を社会保障審議会介護保険部会で開始をいたしました。長期的な視野も含めまして、丁寧に関係者の御意見を伺いながら肉づけをしてまいりたいと存じます。
○福重分科員 本当に、介護難民という言葉が払拭できるように、きめ細やかな支援をしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○深澤主査 これにて福重隆浩君の質疑は終了いたしました。
次に、大塚小百合君。
○大塚分科員 立憲民主党の大塚小百合です。
本日は質問の場をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
では、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。
公的介護施設の大規模修繕、建て替えについてお伺いをいたします。
現在、我が国は、三人に一人が高齢者である超少子高齢社会でございます。高齢化率は右肩上がりに推移をしており、二〇四〇年には団塊ジュニアの世代の多くが六十五歳以上になることで、高齢化率は三五%になると推計をされております。
私の住む神奈川県を始めとする首都圏近郊の大都市部でも、急速に高齢化が進むことが予想されております。急速な高齢化は要介護高齢者の激増にもつながり、こうした方々に対する介護施設の整備が追いつかない状況が懸念されております。
しかしながら、独立行政法人福祉医療機構の発表によると、二〇二三年度の、建て替えが必要となる公的介護施設の代表とも言える築三十年以上の相部屋の従来型特別養護老人ホームの経営状況は、経常増減差額がゼロ未満の赤字拠点の割合が四二・一%という状況であり、前年度から六・〇ポイントの低下。経営状況は近年低迷を続けております。また、こういった施設は特養全体の約二〇%を占めています。
私は前職で特別養護老人ホームの施設長を務めていたのですが、法人での自力の建て替えが難しく、また昨今の建設価格の高騰も相まって、事業継続を諦める経営者の方も出てきております。このままでは、多くの既存の公的介護施設の運営継続は困難であります。
このような状況に対して、国の対策をお答えください。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
特別養護老人ホームを始めとする介護施設などは、居宅での生活が困難な高齢者の受皿として大変重要な役割を担っておられます。委員御指摘のとおりでございます。
国の支援策といたしましては、まず、定員二十九人以下の小規模な介護施設等の老朽化への対応につきまして、都道府県に設置されました地域医療介護総合確保基金に対する国庫補助あるいは国の地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金を通じまして、改築や大規模修繕等の施設整備費用の支援を行ってございます。
一方で、定員三十人以上の介護施設等に対する施設整備につきましては、地方六団体の提案を踏まえた三位一体の改革によりまして平成十八年に税源移譲がなされまして、都道府県などによって支援が行われておりますが、国におきましても、災害レッドゾーンに所在する施設が移転する場合など、一定の場合には、広域型施設であっても支援を行っているところでございます。
○大塚分科員 御回答ありがとうございます。
現在、御説明をいただいたように、今、国の方で建設を支援していただけるのが、新規施設の建設に伴う大規模修繕の補助であったりとか小規模施設に限定をされておりますので、現状、非常に既存の施設は使いづらいというような状況がありますので、御承知いただけたらというふうに思います。
関連してお伺いをいたします。
本来、定員三十名以上の広域型施設の整備費は、一般財源化され、各都道府県が支援を実施するものと理解をしております。一方で、実態として、都道府県での老朽化した公的介護施設の建て替えに関して、新規設立時は補助金が出る自治体が多いものの、大規模修繕や建て替え時に補助金が出るという話はほとんど聞きません。
先ほどお話ししたように、築三十年以上の相部屋の従来型特別養護老人ホームの経営状況は非常に逼迫をしております。自力で費用捻出は困難な状況です。
自治体での大規模修繕、建て替えへの実施状況に関しての実態調査は行っているのでしょうか。また、国として今後どのような働きかけを行っていくのか、お聞かせください。
○福岡国務大臣 委員におかれては、介護の現場にずっといらっしゃったということで、現場の実態に即した様々な御提言をいただいていること、感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
御地元のお話もありましたように、これは地域ごとに、高齢者の方々の人口であったり、高齢化のスピードが異なることになりますので、地域ごとの戦略的な整備が必要だというふうに考えております。
局長が答弁いたしましたように、定員三十人以上の介護施設等の施設整備費への支援については、三位一体改革によりまして税源移譲されておりまして、これは都道府県などにより支援が行われていることとなっていますが、御指摘がありましたように、その支援を行っている都道府県は、今、一部にとどまっているというような現状がございます。
このため、昨年九月に厚生労働省から各都道府県等に対しまして、地域の実情を踏まえて大規模修繕や建て替えの支援を行うように要請をさせていただいたところでございまして、引き続き、支援の実態を適切に把握し、都道府県等と連携して対応してまいりたいと考えています。
なお、令和七年度の予算案におきましては、地域の介護ニーズに対応する観点から、定員三十人以上の介護施設等の集約化であったり、また定員規模のダウンサイジングに必要な施設整備費の補助メニューを新設してございまして、予算が成立した場合には、速やかに関係自治体に周知し、支援策の活用を促してまいりたいと考えています。
○大塚分科員 御答弁ありがとうございます。
先ほど大臣の方からも、ダウンサイジング、また法人の大規模化というようなお話もありましたけれども、現場におきましては、非常にそのようなことも今困難だというような声も聞こえております。是非、現状維持というところに対しての支援も含めて、国の方で検討をお願いできればというふうに思います。
続いて質問をさせていただきます。
介護支援専門員、ケアマネジャーの人材不足、更新研修についてお伺いをいたします。
現在、ケアマネジャーの従事者数は、二〇一八年度の十八万九千七百五十四人をピークに減少傾向に転じております。二〇二二年度には十八万三千二百七十八人まで減少いたしました。この数字だけ見ても、四年間で約六千五百人もの専門人材が失われていることが分かります。
一方で、要介護、要支援の認定者数は、全国の介護保険者が作成した第九期、二〇二四年から二〇二六年度、計画によると、二五年時点で六十五歳以上の高齢者は三千六百七万人で、そのうち要介護、要支援認定者は七百十七万人になり、四年間で約二十七万人もの要介護高齢者が増えている計算になります。
地域によってはケアマネジャーの高齢化も深刻であり、二〇二三年度で平均年齢は五十三・六歳です。六十歳以上の割合は約三割であり、私の地元である相模原市でも、山間部ではケアマネジャーの高齢化により廃業する居宅支援事業所も多く、在宅介護において必須となるケアプランの担い手が不足している状況です。
こういったケアマネジャーの人材不足に対する国としての対策をお聞かせください。
○福岡国務大臣 委員におかれては、ケアマネジャーの資格もお持ちだというふうに承っております。
高齢者の方々が抱える課題が複雑化する中で、在宅の介護サービスを支える要でありますケアマネジャーさんたちの人材確保は喫緊の課題だというふうに認識をしております。
そして、今、様々付随する業務でかなり業務負担が重くなっていらっしゃいますので、その業務の負担をなるべく軽減しつつ、働く環境の改善だったり、処遇の確保であったり、様々な取組を総合的に実施することが大切だというふうに考えています。
令和六年度の介護報酬改定においても、ケアマネジャーさんたちの処遇改善を着実に行う等の観点から、居宅介護支援の基本報酬の引上げ等を行わせていただいたところでございます。
また、昨年末に取りまとめられました検討会の中間整理におきましても、受験要件については、受験可能な資格を新たに追加したり、実務経験年数を見直すこと、また処遇につきましては、他産業、同業他職種に見劣りしない処遇を確保することなどが盛り込まれたところでございまして、今後、具体的な内容につきましては、関係審議会等でしっかり議論してまいりたいと考えています。
○大塚分科員 ありがとうございます。
先ほど大臣がおっしゃったように、報酬の対象外のシャドーワークがケアマネジャーは非常に多いというところと、また、処遇改善の対象がどうしても介護士の方に注目をされており、ケアマネジャーの処遇が専門の仕事の内容に見合わないような状況になっておりますので、是非、国の方でも前向きな御検討をよろしくお願いいたします。
関連いたしまして、先ほどのケアマネジャーの人材不足に関連する、ケアマネジャー資格更新研修についてお尋ねをいたします。
ケアマネジャーとして従事するためには、五年毎に更新研修を受講する必要があります。介護報酬の改定や介護保険制度の更新に対応していくためにも研修は必要ですが、この研修は負担に感じ、資格の継続を諦めてしまう方も多くおられます。
例えば、二〇二四年度の東京都の場合、初回の実務経験者向けの八十八時間研修の受講カリキュラムは所要期間三か月程度、グループ研修は丸一日かかる研修を六日ほど受講する必要がございます。費用は五万八千円。しかも、資格有効期限が一年以内の方を対象としているため、仕事をしながら更新研修を受けるには、欠勤に対する職場の理解や時間的制約、また、金銭的な負担も大きいのが問題になっております。
私自身、ケアマネジャーの資格を取得しておりますけれども、フルタイムで仕事をしながら更新研修を受けることは不可能でした。
この問題に対して、国として今後どういった改善策を考えているか、お答えください。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
ケアマネジャーの資質の確保、向上、これは利用者にとって適切な介護サービスを提供するための要のお役目でございますので、このテーマは大変重要なテーマでございます。
一方で、更新研修を含みますケアマネジャーの法定研修につきましては、受講者にとって経済的な負担、時間的な負担、この双方が非常に大きいという声を私どもも伺っております。
昨年末に取りまとめられました検討会、これはケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会でございますが、そちらの中間整理におきましても、法定研修につきましては、ケアマネジャーの資質の確保、向上を前提としつつ、可能な限り経済的、時間的負担の軽減を図ることが適当とされておりますし、特に委員御指摘の更新研修につきましては、利用者への支援に充当する時間の増加につなげる観点から大幅な負担軽減を図るとともに、あわせてその在り方についても検討することが適当というふうに位置づけられたところでございます。
今後、この中間整理の内容を踏まえまして、更新研修の大幅な負担軽減を図るための具体的な方策について、関係者の御意見も丁寧に伺いながら、検討を進めてまいります。
○大塚分科員 ありがとうございます。
なかなか現場での実地研修というのが、非常に、移動時間も含めて時間の確保が難しいというふうに感じております。できれば、オンライン研修の普及をもっとしていただくであったりとか、また、更新の時期に関しましても、更新までに必要な五年間の中で柔軟に日程を選択できるような、そういった仕組みも含めて御検討をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。介護保険における食費の基準費用額について、御質問をさせていただきます。
全国老人福祉施設協議会の調査によると、特別養護老人ホームにおける令和六年六月の利用者一人一日当たりの食費は千七百五十三・八円であり、令和四年六月と比較をして九十一・〇円増加をいたしました。他方、食費に関わる基準費用額については、令和三年八月に千四百四十五円に見直されて以来、据え置かれたままの状態でございます。
食費の利用者負担額については、契約により定める利用料を満額お支払いいただける第四段階の利用者、一日一人当たりの食費は千五百三十三・六円ですが、調査回答施設の五四・二%が基準費用額と同額の千四百四十五円に設定をしており、食費の増加分を価格転嫁するということが難しいという実態が判明しております。
この調査結果から平均的規模の特養における月次の給食関連の収支を試算したところ、一月当たりマイナス五十七万一千四百三十四・六円の赤字となり、極めて厳しい実態が明らかになっております。
現在、地元神奈川県の介護事業者からも、給食委託事業者からの委託費値上げ交渉が相次いでおり、経営の維持が非常に難しいという声が上がっております。
こういった現状を踏まえ、食費の基準費用額千四百四十五円については、差額三百九円の引上げを、次の介護報酬改定を待たずに、早急に実施する必要があるというふうに考えております。
なお、その際、低所得者対策として、現行の補足給付制度における利用者負担限度額は維持していただきたいのですが、大臣、中間改定の御検討をいただけませんでしょうか。
○福岡国務大臣 昨今の食材費の高騰というのは一般家計へも大変大きな影響を与えておりますから、そういう中で、厳しい経営状況にあります介護施設等における食材費の高騰というのは、かなり大きな影響を与えているものというふうに承知をしております。ですから、そういった介護事業者の方々に対する支援というのは喫緊かつ重要な課題だというふうに認識をしてございます。
物価高騰への対応といたしましては、先般の補正予算で更なる積み増し等を行った重点支援地方交付金において、介護事業者の食材料費等への支援を行っていくこととしておりまして、実効性のある支援につなげる観点から、各自治体に対しまして、食材費等の高騰への支援について、補助額の実績を含めて示すとともに、可能な限り早期の予算化を進めていただくように要請をしているところでございます。
引き続き、自治体に対しまして、この事業が着実に行われるよう働きかけていくとともに、介護保険施設等における食費等の状況について適切に把握し、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○大塚分科員 ありがとうございます。
先ほど、重点地方交付金のお話がありましたけれども、現状、各地域の施設におきましては、こちらの交付金を用いても、物価高になかなか経営が、現状として運営継続が難しいというような状況がございます。
また、今、老人ホームなどにおきましては、高騰する食材費をどうにか利用者負担に転嫁せずに調整するために、食事の品数を減らすであったりとか、また、米を外国産に替えるなど、工夫を凝らして、食事の質を落とさないように非常に努力をされているところではありますけれども、この工夫にも限界があるというふうに感じておりますので、できるだけ早期の対策をお願いいたします。
続きまして、医師不足の問題、地域偏在、診療科偏在の問題についてお伺いをさせていただきます。
医師不足の地域とそうでない地域の地域間格差が生じております。地域による医師数の格差は地域住民の健康状態に直接影響を与えるため、早急な対策が必要です。
医師の地域偏在が顕在化した背景の中でも、大きな原因は都市部への人口集中です。二〇〇四年のスーパーローテーションを基本とする新医師臨床研修制度の導入により、研修医が出身大学以外の病院を研修先として選択できるようになりました。都市部は生活環境が充実しており、医師にとっても働きやすい環境が整っていることから、多くの医師が都市部での勤務を希望し、地方に残る医師が少なくなったため、地域偏在が顕在化したのが原因だというふうに言われております。
また、直美の問題を御存じでしょうか。直美とは、二年間の初期研修を終えて、すぐに美容医療に進む医師を指します。例えば、年収二千五百万円以上といった報酬を確約するような美容クリニックもあり、日当直もないことから、次第に、美容医療は楽をして稼げるというような認識が広まり、近年、若手医師の進路の選択肢になっております。
一方で、救急、集中治療、外科、産婦人科、小児科、麻酔科、病理、放射線治療などの分野で医師の人材不足が続いております。中でも深刻なのは外科、産婦人科の医師であり、全国的にもこの十年増えていない状況です。
このような医師の地域偏在、診療科偏在の問題に国としてどのように取り組まれるのかをお聞かせください。
○福岡国務大臣 私自身も、離島であったり、また過疎を抱えます佐賀県の出身でございますから、委員御指摘がありましたように、医師の地域間、診療科の偏在というのは、将来にわたって地域で必要な医療提供体制を確保する上で重要な課題であるというふうに認識しておりまして、関係者の方々が一丸となってこの医師偏在対策に取り組むことは大変重要なことだと考えております。
厚生労働省におきましては、昨年末に医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージを策定してございます。この中で、早急に医師を確保する必要がある地域における経済的なインセンティブの実施、また、地域で不足する医療の提供や医師不足地域での必要な医療の提供の要請、また、中堅であったりシニア世代等を主な対象としたリカレント教育であったり、全国的なマッチング機能の支援などを組み合わせた総合的な対策を推進することとしております。
また、このパッケージを踏まえまして、この国会に関連法案を提出させていただいたところでございまして、引き続き、地方自治体、医療関係者の方々の御意見を伺いながら、医師偏在対策に向けて実効のある取組を進めてまいりたいと考えております。
○大塚分科員 ありがとうございます。是非、効果測定も含めて後押しをしていただければというふうに思います。
関連して質問をさせていただきます。
日本消化器外科学会が、二〇二四年五月、「国民の皆様へ」として、「地域における消化器外科の診療体制維持のために必要な待遇改善(インセンティブの導入など)について、ご理解と後押しをお願いします」という文書を学会のホームページに公表いたしました。医師総数が増加しているにもかかわらず、消化器外科医は減少しており、近い将来、早ければ十年以内にも、地域における消化器外科の診療体制の維持が困難になるという警鐘を鳴らしています。そして、問題解決のために、業務体制の改善、タスクシフトのほか、緊急手術や予定手術へのインセンティブ、基本給与の向上などを提言しております。
私の地元相模原市の救急医療の中核を担う北里大学病院におきましても、先日、消化器外科の医師の確保が難しく、このままでは救急診療の受入れ体制の維持ができなくなるというようなお話をお聞きしました。
このような救急診療体制維持のキーパーソンともなり得る外科医の確保に対して、国の取組をお聞かせください。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
消化器外科医を含めました外科を担う医師の現状につきましては、まず、議員御指摘のとおり、医師の総数が増加している中で、外科等の一部の診療科は横ばいになっております。また、時間外、休日労働時間が多い医師の割合が外科、脳神経外科で非常に多くなっておるという状況でございまして、診療科偏在への対策が必要であるという認識でございます。
こうした中で、先ほど大臣の方から御説明させていただきました医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージにおきまして、女性医師、男性医師を問わず、外科等の必要とされる分野が若手医師から選ばれるための環境づくりのための必要な支援を実施することとしておりまして、令和六年度補正予算事業におきましても、長時間労働の傾向にある診療科を中心とした勤務環境の改善に取り組む医療機関の伴走支援を行うこととしております。
厚生労働省といたしましては、引き続き、診療科偏在の是正に向けて、必要な取組を進めてまいりたいと思っております。
○大塚分科員 是非、お力添えをよろしくお願いいたします。
続きまして、救急搬送時におけるシャープ七一一九の活用についてお尋ねいたします。
急なけがや病気をしたときに、救急車を呼んだ方がいいか、今すぐ病院に行った方がいいかなど、判断に迷うことがあると思います。そんなとき、専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口がシャープ七一一九です。
シャープ七一一九に寄せられた相談は、電話口で医師、看護師、相談員がお話を伺い、病気やけがの症状を把握して、救急車を呼んだ方がいいか、急いで病院を受診した方がいいか、受診できる医療機関はどこか等の案内をいたします。救急搬送の必要性の判断を医療職がしてくれることは、不要な救急搬送の抑制にもつながり、逼迫している地域の救急資源の有効活用につながります。
しかしながら、四十七都道府県中、シャープ七一一九を導入しているのは、都道府県で三十一、市町村単位で一部導入が五と、まだ全国普及には至っておりません。また、導入したものの、活用が普及していない自治体も見受けられていますが、全国的なシャープ七一一九の有効活用に向けて、未実施自治体、地域の導入へのアプローチについてどのような取組をされているのかをお聞かせください。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
救急安心センター事業、シャープ七一一九でございますけれども、近年、実施地域は着実に増加しておりまして、現在、人口カバー率は七八・一%となっておりますが、一部実施、未実施の地域がございます。
消防庁におきましては、導入に向けた検討の着手を改めて依頼する通知の発出ですとか、普及促進アドバイザーの派遣、あるいは未実施団体において円滑な事業導入の参考としていただくための手引の提供等を通じて、導入に向けた自治体の取組を支援しているところでございます。
こうしたことを通じまして、引き続き、早期の事業導入に向けて積極的に働きかけてまいります。
○大塚分科員 ありがとうございます。
続きまして、時間も限られておりますので、最後の質問に移りたいと思います。
シャープ七一一九に寄せられた相談は、専門家である医師や看護師、相談員がお話を伺い、急いで病院を受診した方がいいのか、それとも自宅で待機ができるのか、そういった、受診できる医療機関がどこかなど、医療的な判断ができる、また適当な医療資源につなぐことができる知識を持った専門職が対応すべきと考えます。
しかしながら、先日参加をした全国消防職員協議会にてお聞きした現場の消防職員の方のお話では、オペレーターが医療職ではない、オペレーターが医療資源や相談の知識が備わっていないことがあり、質の確保を求めたいとの御意見をいただきました。
シャープ七一一九を受けるオペレーターの質の確保について、国としての取組をお聞かせください。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、シャープ七一一九の事業の質の維持向上は重要な課題と考えております。
このため、消防庁におきましては、先ほどの手引ですとか、外部委託で事業を実施する際の参考にしていただくための標準的な仕様書例の中で、相談員としての看護師の配置やその教育に関する研修、具体的な対応要領など、必要な事項をお示ししております。また、実施団体における課題把握や効果的取組の共有等も行っておりまして、これらを通じまして、事業の質の維持向上が図られますよう、引き続き実施団体をしっかりサポートしてまいります。
○大塚分科員 是非よろしくお願いいたします。
これにて質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○深澤主査 これにて大塚小百合君の質疑は終了いたしました。
次に、市來伴子君。
○市來分科員 よろしくお願いいたします。
私たち立憲民主党は、今回、歳出改革チームというのをつくりました。私たち一期生もこのチームに入りまして、今回、石破総理の予算案が百十五兆五千億ということで過去最大規模だということで、この歳出をいかに、無駄な予算といいますか、焼け太りの予算をいかにほかの生活支援に回せるかという視点で、私たち、質問を作らせていただきましたので、今回、三つの事業について質問させていただきたいというふうに思います。
まず一つが、企業主導型保育事業についてです。
企業主導型保育事業は、国直轄の保育事業として二〇一六年に創設をされました。受託者は、公益財団法人児童育成協会。前回の公募は一者応札であり、制度開始以降九年間、受託しているのは当協会のみということで間違いないでしょうか。そして、受託後、当協会の職員数がどのように変遷していったかを示してください。そしてまた、昨年度の人件費を含めた事務費をお示しください。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業の実施機関につきましては、平成二十八年五月に、内閣府の公募を経まして、最初は二法人の中から御指摘の公益財団法人児童育成協会を選定いたしたところでございます。その後、令和元年十月にも内閣府の方で公募を行いまして二法人の中から選定をいたしまして、令和二年度から四年度の間、児童育成協会が実施機関となりました。その後、さらに、令和四年の十二月の内閣府の公募におきましては、応募が一者でございましたので、児童育成協会を選定し、現在に至っているところでございます。
それから、職員数の推移でございますけれども、制度発足時の平成二十八年度は二名だったところ、直近の六年度は三百三十人というふうになっております。
事務費につきましては、例えば、多くの職員が対応に当たっております監査、指導等の委託事業費につきまして、令和六年度の予算で三十四億円計上しております。また、七年度の予算案においても同規模を計上させていただいているところでございます。
○市來分科員 職員数が二人から三百三十人と。この事業は、制度開始以降、不正受給や詐欺事件など様々な不正が発覚いたしまして、国会でも厳しく追及されました。そして、監査を強化すべきだということで、今、三百三十人、ほかの業務に当たられている方もいると思うんですが、監査法人のような団体になっているわけでございます。事務費が三十四億円、そのうち交通費だけで年間二億円かかっている。
監査が必要であることは否定いたしません。しかし、企業主導型保育事業というのは、今までの市町村主体から、国直轄で新たに責任主体を変えたということですから、保育事業自体が複雑になり、そして焼け太りしているのではないかという批判がどうしても拭えないのではないかと私は思います。
もう一つ、私が問題だと思っているのは、監査を強化している一方で、情報公開がなされていないということなんです。
例えば、企業主導型保育所に利用者の方が入りたいと思っていろいろ調べたいと思っても、保育士さんの人件費比率とか、事業主の経営状況とか、分かりたい、知りたいと思ったときにはどこに問合せをすればよろしいのでしょうか。
○辻副大臣 市來委員の御質問にお答えします。
企業主導型保育事業の委託をさせていただいて、施設の保育の質の確保や事業の継続性や安全性、全国に約四千四百の施設に対して、委員御指摘のように、立入調査を始め各種指導や監査を今行っているんですね。保育従事者の資質及び専門性の向上を図るための各種研修なども含めて行っていての今の予算規模で、我々としましては、これは適正と考えています。
その上で、これは基本的に企業主導型と、読んで字のごとく、企業が主導している保育事業なんですが、これについては、本当にこれから、企業主導型の保育事業ポータルのほか、認可保育所と同様、子ども・子育て支援情報公開システム、ここdeサーチにおいて開所時間や施設定員等を公表しています。
お尋ねの経営状況や人件費比率が、認可保育園に関してはこのポータルで確認を四月以降できるんですが、基本的に各施設、企業に委ねられているところで、各施設に問い合わせいただくことになりますが、今後の情報公開の更なる充実について、どういう形がいいのか、経営情報の見える化については、引き続き、対応が可能か、様々検討していきたいと思っています。
○市來分科員 ここdeサーチ、改修されて、これからいろいろな人件費比率とか経営状況を開示できるというふうにシステム改修していくということなんですが、ここに認可外保育園も入っていませんし、企業主導型保育事業も入っていないわけですよね。
そして、先ほど企業主導型とおっしゃいましたけれども、ちょっと質問が飛びますが、私も調べました、四千幾つの一覧を見まして驚いたのが、充足率五〇%未満の園が五百四十九園あるということ、そして、企業主導型の保育所の要件である、一割の定員数がその従業員の枠でなければならないというルールを満たしていない園も四十程度あったんですね。こんなに監査を強化していながら、やはりそういう園もまだまだあるということ、そして充足率五〇%以下の保育園も五百四十九園もあるということ。
やはり、監査を強化しているという一方で、情報というか、実態を客観的に見ることが非常に難しいという実態がありますから、見える化を是非進めていただきたいというふうに思うんですね。今、自治体も非常にここに対しては力を入れていまして、東京都ではもう既に、東京都の保育園は、保育所は人件費比率とか経営状況を開示していっているわけですから、これはしっかりと、国が主導している保育事業ですから、進めていただきたいと思います。
そして、今回、補正予算で盛り込まれました一〇・七%の保育士さんの人件費の向上、これは企業主導型保育事業の職員さんには当てはまるんでしょうか。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の一〇・七%の人事院勧告に基づく処遇改善でございますけれども、これは令和七年度予算案に企業主導型保育事業についても盛り込んでいるところでございます。
○市來分科員 令和七年度、来年度には盛り込むけれども、今年度の補正予算には盛り込まれないということですね。もう一度お願いします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりで、保育所の給付につきましては、義務的経費という形になっていまして、例年、人事院勧告を受けて補正予算で必要経費を計上した後に、四月に遡ってお支払いする形になっておりますけれども、企業主導型保育につきましては、人事院勧告の出た翌年度の予算から引き上げていくということになりますので、一〇・七につきましては令和七年度の予算から計上されることになります。
○市來分科員 このように、市町村主体の保育事業と国直轄の事業で、やはり保育士さん、働いている方々にもこうやって少し差が出てきてしまっているというのが実態だと思います。
私は、企業主導型保育事業というのは、待機児童が非常に高まったときにつくられて、待機児童を解消することプラス多様な働き方、企業に働いている皆さんに保育所に預けやすい制度をつくろうということで始まったことは理解しているんですが、今、全国的に待機児童も減少しております。このままの事業のスキームで続けていくというのは限界があるのではないかというふうに思います。
二千二百億円も毎年毎年払っていく、いき続けることが本当に妥当なのかどうかということも含めて、見直す時期に来ているのではないかと思いますが、この考え方について副大臣にお伺いいたします。
○辻副大臣 平成二十八年に、当時私も立法府にいましたが、待機児童が一番多いときで二万六千人を全国で超えていて、当時委員も杉並区で区議会議員をやっていたと記憶していますが、あのときのことを思えば、今、待機児童の数は、令和六年度ベースでその十分の一以下になっています。
一方で、委員御指摘のように、これから待機児童も減ってきて、あとは子供の数も減ってきている中で、企業がどういう考えをするかということについては我々も注視していかないとと思っています。
一方で、例えば、本事業、企業型のこういった保育園において、夜間や休日、一時預かりや病児保育など、働き方の変化に応じて生じた多様なニーズに対応して運営されている施設も多いのも事実でございます。現在、約十万人の子供の保育を提供している。
こうした点を踏まえて、引き続き、今後、五年、十年後の保育の在り方、また企業の在り方がどうなっていくのか、こういったことも、子育て世帯を支援するという本事業の趣旨をぶれずに考えながら、しっかりと、必要な事業であると認識をしながらも、時代の変化に応じていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
○市來分科員 是非、時代も変わっていくかと思いますので、私も引き続き注視をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
続きまして、マイナ保険証に移ります。
昨年十二月二日から、健康保険証の新規発行は停止をされました。お手元の資料に配っておりますけれども、保険証廃止だけで三百八十八億円という記事があります。
二二年から二三年度、資格確認書を交付するためのシステム改修で二百八十一億円、資格情報のお知らせの郵送費で百七億円、三百八十八億円、多額のお金をかけて健康保険証を廃止をして、資格確認書を交付するということになったわけでございますけれども、多額のお金をかけて保険証を廃止したんだけれども、かえって制度は複雑になっているという批判を私たちも聞いております。
まずお伺いしますが、資格確認書の発行について、今年度予算の計上はありますでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
資格確認書の予算の関係につきましては、令和四年度補正予算から令和六年度の補正予算におきまして、それぞれ、資格確認書を交付する機能など、各保険者や社会保険診療報酬支払基金等のシステムの改修に必要な経費、こういうことで合計二百八十四億円を措置しているところでございます。
○市來分科員 合計、ちょっともう一度、済みません。
○鹿沼政府参考人 恐れ入ります。
先ほどの二百八十一億円という先生のお話がございましたが、それに加えて、令和六年度補正予算で二億円、ちょっと端数の関係がございますが、合計で二百八十四億円ということで、令和七年度当初予算は要求はしてはおりません。
○市來分科員 今回、マイナ保険証の普及に向けては、マイナポイントという事業が行われまして、第一弾、第二弾の予算額として二兆百十三億円を計上したと聞いておりますが、執行額と普及件数を伺います。
○鹿沼政府参考人 お答えします。
マイナンバーカードの普及を促進するとともに、消費喚起や生活の質の向上につなげるため、令和四年六月から令和五年九月までの期間において実施いたしましたマイナポイント事業第二弾におきまして、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録の申込みを行った方に七千五百円相当のポイントを付与しており、マイナ保険証の関係だけで申しますれば、その予算額は七千百二十五億円、執行額は五千十六億円であったというふうに考えております。
なお、マイナポイント事業の第一弾については、マイナ保険証の利用登録とは無関係の事業になっているということでございます。(市來分科員「普及件数はどうですか」と呼ぶ)申し訳ございません。
マイナポイント事業の効果だと思いますけれども、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録件数は、マイナポイント事業第二弾が終了した令和五年十月一日において約七千百三十七万件でございまして、事業開始前と比べますと、約六千二百万件増加したというふうに承知をしております。
○市來分科員 マイナ保険証の普及にも多額の税金を投入して実施をしたんですけれども、昨年十月下旬から受付が始まったマイナ保険証の登録解除の申請が累計で五万件を超えているということについて、政府の見解を伺います。
○福岡国務大臣 今御指摘がありましたように、昨年十月末以降、加入者の方から保険者に対して、マイナ保険証の利用登録解除の申請の受付を開始したところでございまして、約三か月を経過したところであり、現時点で解除件数そのものを評価することは大変難しいと思っておりますが、委員御指摘のとおり、累計の申請件数は五万八千四百二十六件となってございまして、解除を希望される方も一定いらっしゃるものと考えております。
他方で、足下でも、本年の一月の一か月間における利用登録の件数は、前月から約八十七万件増加の約八千百五十万件となっておりまして、マイナ保険証を利用される方も増加傾向にあると考えてございます。
引き続き、マイナ保険証のメリットをしっかり周知していきたいと考えています。
○市來分科員 今お手元に配っておりますマイナ保険証の利用率というものがございます。この利用率が、ちょっと驚いたんですが、制度開始の十二月は二五・四二%、制度が開始されましたと。その翌月、一月ですね、これは全く同じ二五・四二%なんですね。
これはマイナ保険証の利用率ですから、利用件数の率ですから、二五・四二%となっているこの現状について、政府の見解を伺います。
○福岡国務大臣 数字はたまたま一致してございますが、一月の利用率が伸びなかったことの理由といたしましては、年末年始の休日が長くて、五日まで休院していた医療機関も大変多かったと思われるほか、祝日もあるなど、通常の月よりも開院日数が少なかったこともございまして、利用率がそこまで増加しなかったものと考えております。
○市來分科員 これは引き続き注視はしていきたいと思うんですが、やはり、ちょっとなかなかマイナ保険証が使いづらいというお声を現場の皆さんからも聞いておりますので、なかなかマイナ保険証が普及しない、使われない一つの要因になっているのではないかというふうに思います。
実際にあった事例で、男性が救急搬送された際に、御家族が同行しましたが、マイナ保険証の暗証番号が分からなかった、一時的であるにせよ医療費が十割負担となった、こういうようなお声を聞いていますが、マイナ保険証が使えない場合の対応について、医療現場への周知が不足しているんじゃないでしょうか。
○鹿沼政府参考人 先生御指摘のように、マイナ保険証での受付がうまくできない場合、また、顔認証つきカードリーダーの機器不良等によってマイナ保険証を利用できない場合、様々なケースが考えられると思います。こうした場合でも、患者に十割負担を求めるのではなく、円滑に保険診療を受けられるようにする、このことは極めて重要だと私どもも思っております。
こうした中で、医療機関に対してのPRということでございますが、マイナ保険証が何らかの理由で利用できなかった場合でも、十割を負担するのではなくて、円滑に保険診療を受けられる方法について、医療機関等に対して支払基金の方からメール等において周知を行っているところでございます。
ちなみに、このメールの宛先につきましては、オンライン資格確認を使われている医療機関に全てお送りするということになっておりますので、基本的には、オンライン資格確認を使われている医療機関、大体九七%ぐらいのところに対してそういったような周知を行ったり、また、リーフレット、そういったものもお配りしながら周知徹底をしてきたところでございますが、引き続きしっかりとこういった対応をしていく必要があるというふうに思っております。
○市來分科員 利用者も、現場の病院や診療所の窓口の方も、非常に混乱しているというお声を聞いているんですね。
マイナ保険証の導入と維持コストが負担となりまして閉院を予定している医療機関は関東全域で約二百か所に及ぶという、ある民間団体の調査がございます。このことについて、大臣の見解と、そして医師不足への対応策について伺います。
○福岡国務大臣 マイナ保険証の導入と維持コストということで御指摘いただいておりますが、オンライン資格確認の導入に当たりましては、これまで、顔認証つきカードリーダーの無償提供に加えまして、システム改修費用の補助を実施いたしますとともに、システム運用の保守経費の直接的な補助は行っていないものの、診療報酬上も、マイナ保険証の利用促進を行う医療機関等の体制や取組を評価する取組を行ってございます。
オンライン資格確認の導入によって必ずしも閉院する医療機関が増加しているとは考えてございませんが、引き続き、こうした加算も取得しながら、マイナ保険証の利用促進に向けた取組を進めていただきたいと考えています。
また、医師確保に向けた取組といたしましては、これまでの医師確保計画に基づく取組に加えまして、昨年末に医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージを策定いたしまして、この国会に関連法案を提出させていただいたところでありまして、都道府県と連携しながら、実効性のある取組を進めてまいりたいと考えています。
○市來分科員 国民皆保険制度である我が国において、取得義務のないマイナンバーカードと健康保険証とをひもづけることはそもそも不可能ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○福岡国務大臣 マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものだと考えておりまして、そのメリットが早期に享受されるように、令和六年十二月二日にマイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところでございます。
他方で、マイナンバーカードの取得やマイナ保険証の利用自体は御指摘があったように任意であることを踏まえまして、マイナ保険証をお持ちでない方には、当分の間、職権で資格確認書を交付することとしているほか、高齢者の方や障害者の方については、マイナ保険証をお持ちでもマイナ保険証での受診が難しい場合もあることから、申請に基づき資格確認書を交付することとしております。
このように、高齢者の方など、マイナ保険証で受診することが困難な方も含めて、マイナ保険証を利用できない場合でも、全ての方が安心して保険診療を受けられることとしてございまして、こうした取組につきまして更なる周知を行うなど、必要な対応を行っていきたいと考えています。
○市來分科員 マイナ保険証の問題は引き続き様々なお声が上がってくるかと思いますので、是非、私たちも注視をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、ケアマネジャーの法定研修についてお伺いをいたします。
ケアマネジャーの資格を更新するための法定研修、二〇一六年度から研修時間が大幅に増えまして、現場の方からは、非常に負担だ、人材不足に拍車をかけているという声を聞いております。厚労大臣はこのような声を聞かれていらっしゃいますでしょうか。
また、国家資格である社会福祉士や介護福祉士には研修はない一方で、国家資格でないケアマネジャーさんにはなぜこういった研修制度が必要なんでしょうか。伺います。
○福岡国務大臣 まず、ケアマネジャーさんの人材確保ということは喫緊の課題だというふうに認識をしております。
お尋ねのありましたケアマネジャーさんの更新研修につきましては、定期的な研修の機会を通じて専門知識の向上を図るために法定化されたものであり、利用者本位となるケアマネジメントの実現に一定の効果があるものと考えておりますが、一方で、人材不足の一因となっているとの御指摘は必ずしも当たらないものと考えていますが、受講者にとりまして時間的、経済的な負担が大変大きいという声があることは承知をしております。
そして、更新研修につきましては、平成十七年の介護保険法におきまして、定期的な研修の機会を通じて専門知識の向上を図るために設けられたものですが、その研修内容につきましては、ケアマネジメントの質の向上に資するよう、その時々の課題を踏まえて累次の見直しを行ってきておるところでございまして、利用者の方々が抱える課題の適切な把握や他職種との連携強化に資するような研修内容の充実を通じて、利用者本位となるケアマネジメントの実現に一定の効果があったものと認識をしてございます。
○市來分科員 こちらもお手元の資料を配っていますが、研修費用が高騰しているんですね。都道府県によって差がありまして、最高で八万六千八百円、最低で二万七千三百五十円と、かなり差があります。そして、交通費や宿泊費、地方によっては自己負担するという地域もございます。
なぜ、このように都道府県ごとに差があり、費用が高騰するのか、要因は何と考えていますか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のケアマネジャーの更新研修、法定研修の一部ですけれども、につきましては、国が示したガイドラインに基づきまして、都道府県が実施主体となって実施をしていただいているのが現在のたてつけでございます。
その中で、先生御指摘のばらつきが生じている要因ですけれども、一つは、研修を、例えば会場を確保してやっているのか、それからオンライン等々、あるいはオンデマンドでやっているところもありますけれども、そういった実施方法、それから、詳細なプログラム等の内容にも違いがございます。あわせて、地域医療介護総合確保基金を研修の運営に当たって充当しているかどうかといった点についても差があるかと存じます。
このように、研修の実施の態様が様々異なっているということが費用のばらつきあるいは高騰の一因となっているのではないかというふうに承知をしております。
○市來分科員 介護人材の処遇改善と言われているときに、やはり五年に一度のこの研修費用が非常に負担になっているというお声もあるわけです。
研修費の自己負担割合、研修が業務時間扱いにならないといった割合はどのくらいあるのか。そして、研修を業務時間扱いとするようにルール化すべきじゃないでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、お尋ねの法定研修につきましての自己負担を取っている割合でございますが、令和四年度に私どもが調査をした調査結果によりますと、ケアマネジャーの法定研修について、法定研修の受講料全額を自ら負担をしている受講者の割合は回答者全体の約三割、そして、同じ調査におきまして、法定研修の受講時間が業務扱いとならない受講者の割合、その調査の中でということに限られますけれども、約二割ということで承知をしてございます。
委員お尋ねの法的な位置づけのことでございますけれども、労働基準法におきましては、労働時間と申しますのは使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを申しますので、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当いたします。
ケアマネジャーが業務に従事するに当たって必要となる更新研修を含む法定研修につきましては、業務時間として位置づけていない事業者も一定数存在するものと承知しておりますが、こうした事業者に対しまして、更新研修等、参加することが業務上義務づけられている研修につきましては労働時間として扱うよう、適切に周知等々を行ってまいります。
○市來分科員 自己負担の割合も、一部法人が負担しているという方々を足すと四七%ぐらいになるんですね。かなりこれは負担があるかと思います。
同じアンケートだと思うんですが、アンケートの中でも、講師の質が悪い、三一・三%、演習の時間が長過ぎる、四六・五%。非常に不評でございます。こういった事態を受けて、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会が開催されて中間整理を出しておりますけれども、この法定研修についてどのようにしていくのか、最後に厚労大臣に伺います。
○福岡国務大臣 法定研修につきましては、都道府県ごとの研修の質の平準化を図るために、厚生労働省において、研修を実施する講師のためのガイドラインの作成を行うとともに、研修の実施主体であります都道府県において、学識経験者や職能団体などで構成する研修向上委員会を設置し、研修の評価、見直しを行うこととしているところでございます。
一方で、御指摘がありましたように、こうした法定研修の内容につきまして、受講者の方々からは、講師の質に課題があるといった指摘があるほか、都道府県の研修向上委員会についても、中立性や透明性の点で課題があるものと認識をしております。
昨年取りまとめられました検討会の中間整理も踏まえまして、全国レベルで一元的に教材等を作成することであったり、効果的に研修を実施する方策を検討するほか、研修向上委員会の実施状況や効果について把握を行いつつ、その在り方の検討を行うなど、研修の質の確保に向けた取組を進めてまいりたいと考えています。
○市來分科員 現場の声を聞きながら、早急に見直しを行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○深澤主査 これにて市來伴子君の質疑は終了いたしました。
次に、根本拓君。
○根本(拓)分科員 自民党の根本拓でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、厚生年金保険の標準報酬月額の上限引上げについて主にお伺いをさせていただきます。
今般、厚生年金保険の標準報酬月額の上限を六十五万円から七十五万円に引き上げる制度改正が検討されていると理解しております。これに対して、メディアやSNSにおいては、現役世代に更に負担をかけるのかという批判もされているところでありますし、今後この制度がどうなっていくかについては、いろいろ報道もなされているところと承知しております。
しかし、いずれにしても、この制度を前に進めるのであれば、国民の皆様からの理解を丁寧に得ていくことが必要と思っておりまして、そのような問題意識を背景としてお伺いをさせていただきます。
まず、そもそも、このような標準報酬月額の上限引上げが必要になる理由についてお伺いできればと思います。これが、仮に、年金財政を改善して厚生年金受給者全体の給付水準を引き上げるということに狙いがあるとした場合、今回の上限引上げでどれだけのプラスの効果が見込めるのか、その点まで含めてお答えいただければありがたく思っています。
○間政府参考人 お答えいたします。
厚生年金の標準報酬月額につきましては、現在、男性では、上限に該当する方が一番多くなってございます。こうした方々は、実際の賃金に占める保険料の割合というものをいわば計算してみますと、他の被保険者の方よりも低い負担水準になっているということが現実としてございます。
今後、賃上げが持続的に見込まれる中で、こうした方々につきましても、負担能力に応じた負担をお願いし、また、御本人の年金水準も向上してまいります。そして、所得再分配の機能が働くことにより、今委員が御指摘になられたように、年金額の低い方も含めて厚生年金制度全体の給付水準を向上させる、そういった観点から、今般の見直しで上限額を引き上げることを検討してございます。
その上で、どれぐらいのという効果でございますけれども、昨年の財政検証、そしてオプション試算におきましては、上限額を現行の六十五万円から七十五万円に仮に引き上げた場合、過去三十年投影ケースにおいては、厚生年金制度の報酬比例部分の所得代替率がプラス〇・二%上昇する、そうした試算結果が出てございます。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
一方で、厚生年金において標準報酬月額の上限というのが健康保険のそれに比べて低く設定されている理由というのは、厚生年金というのは、基本的に、払った保険料が多いほど老後の年金給付も増えるという仕組みでありまして、現役時代に高所得だった方の賃金をそのまま保険料に反映させると、それだけ老後の年金額が大きくなってしまって、老後の年金額に現役時代の賃金によって大きく差がついてしまうということが生じてしまうので、老後の年金格差を余り大きくしないようにする、そのために標準報酬月額の上限というのを低めに設定されていたというように理解しています。
今回、標準報酬月額の上限を引き上げようとしているわけですけれども、それによって、この問題、つまり、老後の年金額に大きな差がついてしまうという問題は生じないんでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、健康保険の標準報酬月額の上限は百三十九万円、厚生年金は六十五万円というふうになってございます。
老齢厚生年金の受給額は、全被保険者期間の平均的な標準報酬額を基にします。いっときのものだけじゃなくて、全期間を計算いたします。引上げ後の標準報酬月額に該当する期間に応じて、今後、上限に該当する方も受給する金額が変わってくるということでございます。
標準報酬月額上限に該当する方は年齢が上がるにつれて増加する、つまり、給料が上がってくるという傾向にございまして、全被保険者期間を通じて上限に該当する方というのは、極めてまれなケースだというふうに考えております。
今後、最低賃金も含めて、全体的に賃金が上昇するような経済状況にございますので、今回の見直しによって老齢厚生年金の給付額に著しい差が生じるとは考えていないところでございます。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
一方で、SNSなんかを見ると、子育て世代というのはお金が必要なのに、負担増は大きな痛手となるといったような懸念も示されているところです。
そうすると、今回の上限引上げについて世論の理解を得るためには、どのような層にどれだけの影響が出るかということを具体的に示していくということが必要になってくる。制度改正の解像度を上げていくというんですかね、どういう人にどういう影響が出るかというのを具体的に示すことによって、自分にはこういう影響があるんだな、ないんだなというのを分かっていただくということが必要なんだと思っております。
まず、前提として、今回の制度改正は、報道なんかというかSNSなんかを見ていると、全ての厚生年金被保険者の方の社会保険料が一律に上がる、要は、みんなに影響するんだというような印象を持たれているような感触もなくはありません。
ただ、実際にはそうではなくて、今回の制度改正で保険料の負担が増えるのは、あくまでも標準報酬月額が六十五万円超、具体的には六十八万円以上の方だと理解しているんですけれども、そういう理解でいいかということを確認させていただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
一言で申し上げれば、委員おっしゃるとおりということでございます。今回の改正は、厚生年金の保険料率を見直すものではありません。
委員御指摘のとおり、標準報酬月額の上限を現行の六十五万円から引き上げた場合には、この上限に該当している方の、更にその内数ですが、新たに追加される標準報酬月額六十八万円というカテゴリーに該当する、報酬月額で申し上げますと、六十六万五千円以上の方のみが影響を受けることとなるというふうに考えてございます。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
全ての被保険者が対象ではないということを確認させていただけたかと思います。
その上で、更にお伺いしたいんですけれども、今回の上限引上げによって影響を受ける厚生年金被保険者の方、まさに今局長がおっしゃった六十六万五千円以上の方というのはどれくらいいらっしゃるのか。実際の人数とか、全体の被保険者の方に占める割合を教えていただければと思います。
また、そういう影響のある方の年齢層というのは分かっているんでしょうか。やはり、本当に子育て世代に影響するのかということはしっかり明らかにしておいた方がいいなと思っておりまして、実際の年齢層というものが分かっていれば教えていただきたいです。
あと、例えば報酬七十五万円の方というのは、今回の上限引上げによってどの程度の影響を受けるんでしょうか。具体的に、月額幾らの負担増となるのか。やはり皆さん、増える、増えるということを危惧していまして、それは具体的に幾らなのかということが一方で十分に示されないで議論が進んでいるなというところもあるかと思いますので、その点についても伺えればと思います。
上限引上げによって影響を受ける方の人数や割合、その方の年齢層、そして、その方にどれぐらいの保険料引上げという点での影響が出るのか、この点についてお願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
三点、御質問いただきました。
まず、今回の見直しをした場合の対象者の方ですが、厚生年金全被保険者に占める割合で申し上げますと約五・四%、人数で申し上げますと約二百二十万人というふうに考えています。
また、こういった方々のうち、どれぐらいの方が子育て世代に当たるのかというのにつきましては、年齢によって給与が上がっていくものですから、一概にちょっと申し上げるのは難しいんですが、この報酬月額に該当する方というのは、ボーナス込みで申し上げますと、年収でいくと約一千万円相当の方ということになります。こういう方の割合は年齢とともに上昇しておりますので、その中には、御指摘のように、子育てをされる世代の方も一定程度含まれる、それは職種などによっても違うと思いますが、そういうことはあり得るというふうに思っています。
また、今回、じゃ、具体的にどれぐらい保険料に影響があるのかということでございます。
今回の見直しで検討しておりますのは、標準報酬月額の上限を六十五万円から七十五万円まで、三年間で段階的に引き上げるということを考えています。そうしますと、例えば標準報酬月額七十五万円に該当する方であれば、一年当たりの保険料の増加額が月額約三千円。最終的には、三年間経過した後は、七十五万円の層に該当する方は、約九千円の増ということでございます。
その上で、そこから、保険料は社会保険料控除がございますので、その部分を引きますと、実質的な御負担は月額約六千円の増加ということではないかというふうに考えています。これに見合って、また将来的な給付も増える、こういうことでございます。
○根本(拓)分科員 局長、ありがとうございます。
ちょっと更問いということになるんですけれども、年収一千万円相当の方は、年齢層は大体どんな感じかとお手元で分かったりするものですかね。そこは分からない。
○間政府参考人 ただいまのお答えで申し上げますと、どなたが子育てされているのか、シングルなのか、ちょっと分からないので年代で申し上げますと、主に子育て世代であろうという、中心で一番頑張っている三十代、四十代で見ますと、上限に該当する方の割合は、三十代では、男性が四・八%、女性が一・三%、四十代では、男性が一〇・六%、女性が二・三%となっております。
○根本(拓)分科員 五十代とかはどれぐらいになるか、お分かりですか。
○間政府参考人 五十代で申し上げますと、男性で申し上げますと、一六%、上限に該当されていて、女性では二・八%となっております。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
こうやって具体的な数字で示していただくと、大体どんな方が影響を受けるのかなというのが分かって大変有益だと思いましたし、あと、具体的な負担額という点でも、最終的に、税額控除も考えて月六千円、そうすると、年間七万二千円、そういう負担に、例えば報酬月額七十五万円という方はなるということを明らかにしていただけたかと思います。
一方で、今回の上限引上げによって影響を受ける方というのは、一方的に厚生年金保険料が増えるというだけではなくて、それに伴って将来の給付も増えるということだと理解していまして、この点は強調されてもいいのではないかなと思っています。
そこで、では、具体的に、将来幾ら給付が増えるのか。また、年金になかなか損得論というのはなじまないというのは承知で、あえてお伺いしたい。やはり、では、何年生きたら元を取れるんだというのは、結構皆さん、私の周りの子育て世代、私も子育て世代ですけれども、周りの方が気にされているところでして、今回の上限引上げによって影響を受ける方は、何年生きると元が取れることになるのでしょうか。お分かりの範囲でお答えいただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、年金制度は世代間扶養でございますし、終身年金という保障、あるいは障害や死亡といったリスクにも対応していくことから、自分がどれだけ保険料を払ったのかというのと給付総額の比較という形で個人の損得を考えるのは、本来そういうものではなかろうとは思っています。
ただ、その上で申し上げるならば、どの辺がいわば損益分岐点といいましょうか、そういうものなのかということだと思いますけれども、これは厳密なお答えはちょっと難しいんですけれども、標準報酬月額を引き上げた場合には、それに応じて年金受給額も増加するわけですけれども、例えば六十五歳で年金受給を開始したとして、そうしますと、その時点での平均的な余命、男性であれば十九年超、女性では二十四年超でございますけれども、こういうことを踏まえると、これだけ、要するに、平均的な形で寿命を全うされた方であれば、年金額が保険料を上回るというふうに考えているものでございます。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
さらに、今回の上限引上げの相当性だとか妥当性を裏づける理由として、現状だと、標準報酬月額の上限以上の報酬を受けている方というのは、先ほど局長もおっしゃったとおり、報酬に占める厚生年金保険料の負担率が上限以下の方よりも低くなっているという問題があると理解しておりまして、それが、最近の賃上げの流れの中でその問題がどんどん大きくなってしまう、これを是正しなければいけないということだと理解しています。
同じような問題は、先ほど私も申し上げたとおり、実は健康保険についても存在するわけですけれども、健康保険の標準報酬月額の上限というのは百三十九万円だと理解していまして、そうすると、厚生年金保険は特に、実質的な年金保険料負担が低くなる層の割合というのが現状において多くなってしまっているというように理解しています。
そうであるとすると、この制度改正は、どうしても世代間対立の文脈の中で論じられてしまうところがあると思うんですけれども、実は、この制度改正というのは、本来、同世代内の負担の公平性をどのようにして確保するのか、別の言い方をすれば、稼いでいる人ほど厚生年金保険料の負担が実質的に少なくなる、割合で見ると少なくなるということでいいのか、そういう問題でもあるように思われます。
いわゆる痛税感ですね、税金をどれだけ痛いと感じるか。痛税感、これは社会保険料についてもそうだと思いますけれども、所得が低いほど大きくなるとされていることも加味すると、報酬が高い方々に標準報酬月額の上限以下の方々と同じだけの割合ないしそれに近い割合を負担していただくというのが、現役世代の中での公平ということを確保することにもつながると考えられるのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○間政府参考人 委員御指摘のとおりと考えております。
公的年金制度は、もう御案内のとおり、社会保険として、負担に応じた給付を原則としております。既に標準報酬月額の上限を超える収入のある方に係る厚生年金の実効的な負担率は、本来の保険料率である一八・三%に比べて、結果的に低い水準になるという計算になってまいります。年収が二千万あろうが、三千万あろうが、六十五万の標準報酬になる意味では、負担も給付も抑えられた形になってございます。
こうした上限に該当する方が、男性では一〇%弱、男女平均で申し上げても六%程度おられることを考えますと、委員御指摘のように、世代内の公平性の確保という観点からも、上限額について一定程度の見直しは必要なのではないかというふうに考えています。
その上で、今回の見直しを行うことによりまして、こういう御本人の将来の年金給付の増加はもとより、年金額の低い方も含めた厚生年金制度全体の給付水準の向上にもつながり得るのではないか、このように考えております。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
今、いろいろ御答弁をいただきまして、かなりこの制度の内容というのが明らかになってきたのではないかなと思います。
少しまとめさせていただくと、影響を受けるのは、ある程度の所得がある方々に限られる、その方々というのは、三十代で男性五%ぐらい、四十代で一〇%超、五十代で一六%ということで、子育て世代ど真ん中と言われるような三十代、四十代の方でも、九割五分、若しくは九割ぐらいの方というのは影響を受けないと。
もちろん、五十代でも、子育てされている方、高校、大学にお子さんが行かれている方はいらっしゃると思いますけれども、それでも、約八五%の人というのは影響を受けないということで、本当に一部の所得が高い方々に限られていて、しかも、その方たちも一方的に負担を課されるのではなくて、まさに局長おっしゃったとおり、六十五歳時点での平均余命を頑張って生きていただければ、十分、言い方は適切か分からないですけれども、元が取れるということになっていて、かつ、これによって現役世代間の公平ということも図られると。
賃上げの流れの中で、ますます現役世代間の格差が拡大していくということは望ましいことではなくて、この賃上げの流れの中でこれを是正しなければいけない、それによって現役世代間での公平を図っていかなければいけないんだ、そういう制度であるということを強調する必要があるのかなというように思いました。
ただ一方で、政府におかれては、在職老齢年金の支給停止基準額の引上げも検討されていると理解しております。例えば、私が読んだ近時の報道でも、在職老齢年金制度の見直しで年金財政が悪化する分は、高所得の会社員らが払う厚生年金保険料の上限を引き上げて賄うとしているというような書かれ方をしていました。
こういった形で、在職老齢年金の支給停止基準の引上げと標準報酬月額の上限額の引上げ、この二つが組み合わさって見られてしまう結果、年金受給世代は優遇される一方で、現役世代というのは更なる負担を負わされている、要は、現役世代の犠牲の下に、高齢の方々、年金受給世代の方々が得をしているんだというような見られ方、批判というのが生じているように思われます。
このような批判についてどのようにお答えするべきか、御答弁いただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
端的に申し上げれば、今回の見直しは、その両者については、全く別の政策目的で行うものだということなんですけれども、在職老齢年金制度は、御案内のように、一定以上の賃金とそれから厚生年金の報酬比例部分を足し上げて、一定額以上の場合には年金の一部を支給停止するというものであります。こういう仕組みは、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則である社会保険から見ると極めて例外的な、二〇〇〇年に導入された仕組みでございます。
今回の見直しは、人手不足が進行する中で、高齢者の方により働いていただきやすくすることを目的としたものでございます。そういう例外的な制度を手直しして、働きやすくということでございます。
一方で、標準報酬月額の上限見直しにつきましては、先ほど委員から御説明いただきましたように、これまで上限に該当していた方々に本来の収入に応じた保険料負担をお願いをし、そして、これによって、御本人の年金額はもとより、年金額の低い方も含めて厚生年金全体の給付水準の向上につなげるという、いわば所得再分配の機能の強化という目的でございます。
このように、在職老齢年金は、働き方に中立な制度の構築という視点、そして、標準報酬月額の上限見直しは、高齢者の所得保障機能の強化、所得再分配機能の強化といった観点から行うものでございまして、それぞれの見直しの狙いを分かりやすく丁寧に説明する必要があるというふうに、御指摘を踏まえて感じたところでございます。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
今の御説明をお伺いすると、まさに局長おっしゃったとおり、政策目的は別なんだ、この二つの制度改正というのは別にリンクしているわけではないということが理解できました。
しかし、やはり説明の仕方だとか見せ方というものを間違えてしまうと、いずれも必要な制度改正であるのに、これが通らなくなってしまうということが起こってしまうんだと思います。
したがって、やはりこの制度目的、制度趣旨を別個独立に丁寧に説明していくこと、例えば、標準報酬月額の上限額の引上げについては、年金制度の持続性確保や世代間の公平性の確保のための改正である、在職老齢年金に関する制度改正というのは、それとは関係なくて、高齢になっても働こうとしておられる方に働くインセンティブをつけて、まさに局長おっしゃったとおり、例外的な措置を原則に戻す、そういう制度なんだということを、そういう別個独立の制度改正だとして、丁寧に説明することを意識するべきなんだと感じました。
そういう見せ方という点から、もう一つお伺いしたいんですけれども、年金政策全体に関する見せ方という点でして、年金制度改革において現役世代の負担が増えるようなものをしようとした場合、どうしても現役世代の方たちの不満につながって、年金制度自体への信頼が損なわれるようにつながってしまうと感じています。
ただ一方で、現在政府が進めている政策の中には、例えば高校無償化とか、現役世代に恩恵を及ぼすものも多くあると思っていまして、つまり、個別の政策だけを見れば現役世代の負担が増えていたとしても、政策全般で見ればそうとは限らないというように思われます。
そうであるとすれば、省庁の垣根を越えて、様々な政策を全体として見たときに、現役世代にどのような負担増が生じる一方で、どのような負担減も併せて生じていて、全体としてどのような利益状況となるのかということを見せていく。
先ほど、年金については、払うだけじゃなくて将来の給付も増えるという、縦の時間軸での利益状況の説明というのがありましたけれども、縦ではなくて、年金という制度だけではなくて、例えば高校無償化とか、そういう別の、幼保無償化とかもそうですけれども、そういう横の軸で政策全体をパッケージとして示す。それによって、現役世代の方たちは必ずしも何か損ばかりしているわけではないんですよということを見せていくということが重要かと思っておりますが、大臣、この点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 大変重要な御指摘だというふうに思います。
厚生労働省が所管しております社会保険制度におきましても、一定の保険料の御負担をいただく一方で、例えば、病気やけがをされたときには医療保険の給付を、また、障害を負われた場合には障害年金を受け取ることができるなど、負担と給付の両方の側面を有しているものでございます。
このような制度の負担と給付の関係につきましては、主に保険料を御負担いただく現役世代にも実感していただけるよう、分かりやすい広報に努めていくことが重要であると考えています。
その上で、現在取りまとめに向けて対応しております年金改正法案におきましても、例えば、被用者保険の適用拡大であったり標準報酬月額の上限引上げのように、一定の保険料負担を伴う一方、将来の給付の充実につながる改正事項もございますことから、改正の全体像を捉えて、負担と給付の関係を丁寧に説明できるように検討していきたいと考えています。
○根本(拓)分科員 大臣、ありがとうございます。
まさに、負担と給付というものを年金制度だとか保険制度全体の中で御説明いただく、負担だけではなくて給付に焦点をいただくということも重要だと思います。
あと一つ加えさせていただけるとすれば、政府全体としてやっている政策の中で、今回、今々で見るとこういう負担も生じ、将来的にはそれが給付となって返ってくるという話なんですけれども、今々で見たらこういう負担が生じています、現役の方々、今はこの面では大変かもしれない、だけれども、違う制度、典型的には今回の高校無償化だと思いますけれども、そういう面では、実はそこで負担が減っているので、政府全体として、何か現役世代に今だけを切り取って負担を押しつけているわけではなく、むしろ現役世代の方を考えて、そして、今のことだけではなくて将来のことも考えていろいろな制度改正をしているんだというメッセージを、政府全体として、また、一人一人の政治家、私も含めて、しっかりそういうメッセージを出していくということが重要だと考えました。
こういった年金制度、やはり、そういった負担を、ある地点で切り取ると強いている、強いているというか、お願いしている面がありますので、どうしても、皆さん、年金制度について不信感を持たれるところがあるかと思っておりまして、その批判的な見方の中には、少子高齢化の中で年金制度はいつか破綻するんじゃないかというような不安もあるんだと思っております。
このような年金制度の持続性に対する疑義に対してどのように回答するべきか、御答弁いただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今から約二十年前の二〇〇四年の制度改正におきまして、将来世代の過重な負担を回避するという観点から、保険料率の上限を固定して、もうこれ以上保険料率は上げませんというものを固定して、そして、その収入の範囲内で給付を行うこととし、長期的な給付と負担のバランスを確保するマクロ経済スライドという仕組みを導入したところでございます。これによって、我が国の年金制度は、将来にわたって持続可能な制度になっているというふうに考えています。
その上で、昨年七月に公表した二〇二四年財政検証におきましては、近年の女性や高齢者の労働参加の進展、好調な積立金の運用などによりまして、前回の二〇一九年と比較しても、年金財政が改善したことが確認されております。
さらに、新しい取組でございましたけれども、個人単位で年金額を推計する年金額分布推計というものを行っております。個人の年金記録を名寄せしまして、どうなるかというのを推計したものでございます。若い世代ほど、労働参加が進展することによって厚生年金の被保険者期間が延びて、年金が充実する傾向にあるということも確認されました。
こうしたことをしっかりと、若い世代も含めて、ちゃんとお伝えしていくということが大事だというふうに思っておりまして、年金受給額見込額の具体的なイメージを持っていただくために、将来の年金受給見込額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターといったものの活用なども含めて丁寧にお伝えをしていきたい、このように考えております。
○根本(拓)分科員 ありがとうございます。
若い世代の中には、年金保険料を払うよりも、その分投資に回した方がいいんじゃないかというような、最近、NISAとかも活用され始めて、そういう意見もある中で、いや、そうではないんだ、年金というのは、本来ならば市場で供給されないものを、政府として制度を十分に整備して用意され、それが老後のセーフティーネットとして十分な機能を果たしていくんだという、その年金制度の意義みたいなものを十分に理解していただくよう努力していくことが重要だ。それは厚生労働省の皆様だけではなくて、政治家一人一人が年金制度というものについてしっかり勉強して、地元の方々、さらには国民の皆様全体に説明をしていくということが重要だと思いました。
そのためには、政治家自身がしっかり年金というものについて、やはり難しいところがありますので勉強して、それで更に発信をしていく、こういう積み重ねをしていくことが重要だと感じたということを最後に申し上げて、私からの質問とさせていただきます。
本日は、このような機会をいただき、ありがとうございました。
○深澤主査 これにて根本拓君の質疑は終了いたしました。
次に、宗野創君。
○宗野分科員 立憲民主党の宗野創です。
本日、初めて質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、小学生のとき、祖母がパーキンソン、祖父が脳梗塞を患いました。家族で十年弱の介護を経験いたしまして、こういった経験から地域福祉団体で活動してまいりました。なので、政治に最も大切な使命というのは、命と暮らしを守り抜くことであると確信をしております。
そういった中で、連日議論されております高額療養費の負担引上げの凍結、まさにこれは命と暮らしに直結する政策であると思いますので、まさに最優先事項だと考えております。
一方で、こうした政策を実現するためにも、立憲民主党は、本気の歳出改革作業チームというところで事業点検を行ってまいりました。私もチームの一員として事業点検を行ってきたわけですが、個別事業を見ていけばいくほど、様々な観点で適正化の議論が必要だというふうに感じました。
そういった問題意識を持ちまして、前半は適正化の観点から御質問させていただきます。後半におかれましては、介護、地域福祉の経験を踏まえた御質問をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まずは、人材開発支援助成金、いわゆるリスキリング助成金に関して御質問させていただきます。
近年、リスキリングは、まさに政権肝煎りの政策として進められてきたわけですが、その一方で、なかなか成果が表れてこないというところがございます。
公益財団法人日本生産性本部の労働生産性国際比較二〇二四によりますと、日本の時間当たり労働生産性は五十六・八ドル、OECD加盟三十八か国の中で二十九位といまだ伸び悩んでおります。やはり、こういった観点からしますと、もう少し真剣にこの点を考えていかなければいけないのではないかと思います。
人材開発支援助成金は、雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための就業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成している事業であると認識をしております。
しかしながら、この助成に関して、多々課題が指摘されていると思います。まず執行率についてですが、行政事業レビューシートによりますと、令和四年度で二四%、令和五年度で三二・五%と非常に低調になっています。事業点検結果においても、執行率については、主に人への投資促進コース及び事業展開等リスキリング支援コースについて、訓練の一か月前までに訓練計画を都道府県労働局へ提出し、実際に訓練を実施した後に支給申請をしてから支給されるため、訓練修了後、助成金の支給まで期間を要することから、執行まで至っていないものがあるというふうな振り返りになっているわけです。
それでは、御質問させていただきたいんですが、令和六年度速報値において、現在の執行率はどのようになっておりますでしょうか。
また、こういった実績が低調である要因をどのように分析されておりますでしょうか。
その上で、当初予算額の積算根拠を御説明お願いいたします。昨年比百億円程度の減額となっておりますが、過去の実績から考えますと、これではまだ過大計上なのではないかという視点もあるかと思います。御答弁をお願いします。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
人材開発支援助成金の令和六年度の執行状況につきましては、令和六年十二月末時点の速報値でございますけれども、約二百十七億円となっており、執行率は約三五%となっているところでございます。
そして、執行率が低調な理由というところで、先ほど宗野委員からも御指摘ございましたが、この助成金の仕組み上、初めに、事業主が実施する訓練の予定等を記載した計画を労働局に提出をして、そして、その計画に従って訓練を実施した後に助成金の支給申請を行って、労働局が審査、支給決定を行うという流れになっております。したがいまして、計画届の提出や支給申請、審査に要する期間のほかに訓練期間も加味されるため、計画届から支給に至るまでに時間を要するというものでございます。このため、年度当初に計画届の提出がありましても、当該年度中に支給決定に至らない事例というものもあるところでございます。
ただ一方で、このような中で、過去の年度に提出があった計画届に関する申請につきましても順次支給決定をしているところでございまして、令和六年十二月末時点の支給決定額が前年度比で一・六七倍ということで、伸びているということでございます。また、今年度に提出された計画届の件数、これも順調に増加をしているところでございますので、今後、それを反映して実績も伸びていくのではないかというふうに考えています。
そして、お尋ねの令和七年度予算案の関係で、積算根拠に関してでございますけれども、これは、計画届の提出数と訓練期間の状況を踏まえまして、令和七年度に支給決定に至る件数を推計をいたしました。そして、必要な予算額を精査をして、概算要求額六百二十一億円から七十八億円減の五百四十三億円に減額をしたというところでございます。
これでも過大ではないかという御指摘が今ございましたが、今年度の第三・四半期までの支給決定金額が先ほど申し上げた一・六七倍の伸びというふうになっておりまして、それで、本年度末の支給決定額を約三百二十億円というふうに推計をしております。令和七年度は、この令和六年度から同程度伸びたとしても、安心して本助成金を活用できるような予算額を計上しているというふうに私どもとしては考えておりまして、必要な予算額を提示をさせていただいているというふうに考えております。
○宗野分科員 ありがとうございます。
三五%台というところで、やはりまだ、いまだなお、低執行率であるとは言わざるを得ないのかなと思います。
また、蓋を開けてみれば、ここ数年、低執行率という状況が続いておりますので、是非最後まで御注視いただきたいなというところと、やはり総力を挙げて、この制度の運用というか、普及というものをしていただきたいと思います。より積極的な周知、これを進めていただきたいと思います。
続けまして、政策効果の測定、そしてKPIの設定についてお伺いをさせていただきます。
現在、当事業においては、事業者へのアンケート調査を基にKPIを定めておると認識をしております。そういった中で、やはりKPIが定性的と申しますか、ふわっとしているというところを非常に課題認識として持っています。
今後、賃金の上昇あるいは労働生産性の向上など、定量的なKPIの策定、そのための調査が必要ではないでしょうか。今後のアンケート実施方法について、改善する方針はございますでしょうか。明確な御答弁をお願いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
人材開発支援助成金の効果検証につきましては、現在、利用者の目線から、当該助成金を活用した事業主とその事業主に雇用される従業員に対しまして、アンケート調査を実施をすることによって行っております。それに加えまして、施策をより効果的なものとするためには、定量的かつ客観的な数値も確認の上、効果検証することも有効であると認識をしております。
このため、定量的な目標の設定のためのデータ収集や分析の方法等につきまして、有識者の方にも御相談した上で、どのような目標設定ができるのか、検討してまいります。
○宗野分科員 御答弁ありがとうございます。
定量的な側面を踏まえて今後目標設定をされるというところを明確に御答弁いただきましたので、是非、今後、成果が見える化できるように取り組んでいただければと思います。
そして三点目、当事業に関して、これは大問題だと思っておるんですが、不適切な支給が横行しているという指摘があります。
令和元年度から令和五年度に支給決定した助成金において、会計検査院が検査をしましたところ、百十三事業者、二百四十四件、支給額合計二億八千百六十三万円のうち、不正受給が三十二業者、件数でいうと三四%にも上っている、支給額の合計でいっても一億七百三十五万円ということで、三八・一%が不正受給であるという結果が出ました。
中身を見ていきますと、人材開発支援助成金の不正受給の内容ですが、例えば、従業員の教育訓練風景の撮影であるとか、あるいは感想文の提出といった、こういう軽易な内容によって高額の謝礼を受け取るキックバック、あるいは、企業が自己負担なしで訓練を受ける仕組みというものがもはや通例化してきてしまっている。会計検査院は、こうしたキックバックやポイントバックによる実質無料の仕組みが、助成金の要件である事業主の全額負担の要件を満たさず、不正受給であると指摘をしています。
事業者によるポイントバックやキックバックなどの不正な商流がもはや常態化しているんじゃないでしょうか。こういった状況の中で、厚生労働省として調査を実施し、実態の把握をする必要があるのではないでしょうか。昨年十一月には、早速、対応策として、訓練経費負担の取扱いを明確化した旨などをホームページで御公表いただいているんですけれども、一層の取締り強化、こういった事業実施方法の見直しが必要だと考えますが、御所見をお伺いします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
人材開発支援助成金を受給するためには、事業主が訓練経費の全てを負担していることが要件となっております。
今委員からも御紹介をいただきましたが、昨年十月の会計検査院処置要求におきまして、訓練実施機関から入金を受けることで、実質的に訓練経費の全てを負担していなかったと認められる事業者に助成金をしていたという事案につきまして、指摘をされております。このような不正事案は極めて遺憾であり、あってはならないことであると考えております。
今回、会計検査院から指摘をされました二事業主につきましては、事実関係を調査したところ、いずれも不適正と認められたため、不正受給した助成金額と違約金とを加算して返還させる等の措置を講じたところでございます。
さらに、今後の不正受給の防止に向けまして、今委員からも御紹介いただきました。大変重要だと思っております。自主的な返金による助成金返還の潜脱を防止するため、訓練実施機関から事業主に入金があった場合の取扱いについて支給要領を見直すとともに、訓練実施機関からの入金の有無を確認できるような審査方法及び調査方法をまとめたマニュアル等を新たに定めたところでございます。
引き続き、不正受給の対策を徹底いたしまして、実地調査を実施するとともに、調査手法や不適正事案を全国で共有いたしまして、不適切な申請であると疑われるものにつきましては優先順位をつけまして調査をするなど、調査の充実と厳正な対応に努めてまいります。
○宗野分科員 御答弁ありがとうございます。
本当に制度そのものへの信頼が関わる問題だと思いますので、今現状、使う人も少ない、効果があるか分からない、不正利用が頻発している、ここだけを切り取ると、そういうふうにも見られてしまう状況になっていると思います。まさに、ここが変だよ日本のリスキリングを凝縮したような事業になってしまうと思いますので、引き続き、この改善に向けて取り組んでいただければと思います。
次の質問に移らせていただきます。
介護キャリア段位制度についてお伺いさせていただきます。
介護キャリア段位制度は、これまでの資格制度の中で不足していた介護現場での実践的スキルを段位という形で評価するというような制度になっています。実施に当たって、事業所、施設内において介護職員のキャリアアップを推進、支援していく役割を担う人材として、アセッサー、評価者の養成が必要になります。現在、地域医療介護総合確保基金によって、このアセッサーの養成講習の受講料に対する助成が行われております。
実際、私が運営に関わってまいりました介護事業所でも、総務部門で独自のキャリア制度を構築するなど取組をしておりまして、政策目的は非常に共有をしているところでございます。
その一方で、この段位制度なんですけれども、制度創設から十年以上が経過しているにもかかわらず、介護キャリア段位のレベル認定者は二〇二四年十二月二十日時点で九千百七十九人となっています。これは、令和五年の介護職員数である約二百十二万六千人と比べますと、介護職員数の僅か〇・五%にも満たないという現状です。また、当該政策を人材育成施策として反映させている都道府県も十三県にとどまっているというような指摘もございます。
介護現場からしたら、経営状況も今ただでさえ厳しいという中で、やはり直接的な加算につながるような資格取得を優先していくのが現状であると思います。私も実際、職員の方にお話を伺いますと、この段位制度、現場では全然聞いたことがないというようなお話もありました。
こういった状況に関しまして、厚生労働省全体として、この事業実施状況、成果についてどのように捉えていらっしゃるか、御見識を伺います。
○福岡国務大臣 キャリア段位制度につきましては、介護職員の職務経験を処遇に結びつける制度として平成二十四年に内閣府に設けられ、平成三十年度に一般社団法人に移管されたところでございます。
キャリア段位の認定者数は平成二十七年度から令和二年度まで毎年千人程度で推移しておりましたが、近年では五百人を下回っている状況でございまして、その一層の普及が課題であると認識しています。
やはり、この認定者数の増加が進まない要因といたしましては、長引く人手不足によりまして施設側にキャリア段位制度に参画する余裕がないといったこと、また、キャリア段位制度が個々の職員の処遇に直接結びついておらずに、参加の動機づけに乏しいことなどが考えられます。
介護職員のスキルアップには一定の効果があったとの声もある一方で、キャリアアップへの効果が不十分との声もございます。職員のスキルの向上を通じて生産性を上げ、処遇改善につなげることは、介護分野以外も含めた横断的なテーマでございまして、厚生労働省としても、キャリア段位制度の改善に向けて、関係者の御意見を丁寧に聞きながら取組を進めてまいりたいと考えています。
○宗野分科員 ありがとうございます。
おっしゃるとおりだなと思うんですが、この事業、平成三十年に一般社団法人に事業を移管しているということなんですけれども、当法人の理事長が厚生労働省さんのOBということになっています。この事業の移管に当たって、当法人が対象となった経緯を教えていただきたいと思います。
あわせて、類似事業を行っている他業者を把握していらっしゃるか、これも併せてお伺いします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
キャリア段位制度は、介護現場の中にキャリアアップの仕組みとスキルアップの仕組み、両方位置づけて、介護職員の職務経験を処遇に結びつける認定制度として設けられたものでございますが、この仕組みは平成二十四年に内閣府において設けられたものでございます。その際、内閣府において実施団体の選定が行われまして、外部有識者及び内閣府で構成される選定評価委員会における審査の結果、複数の事業者の中からシルバーサービス振興会が選定をされた、内閣府の責任において選定をされたというふうに承知をしております。
その後、平成二十七年度に厚生労働省が内閣府からその事業を継承いたしまして、年度ごとに事業を実施する者を公募により選定の上、シルバーサービス振興会に対して予算事業として補助を行ってきたところですが、平成三十年度にその補助が廃止をされまして、結果として、以後はシルバーサービス振興会単独の事業として継続をされているというのが経緯でございます。
したがいまして、御指摘の理事長の云々という話と本事業の実施主体としての位置づけは、この選定された経緯からしても無関係だということを申し上げておきます。
それから、もう一点お尋ねがございました。知識と実践のスキルの両面を評価する類似の制度があるかというお尋ねでございます。
介護職員の技能を評価する仕組みにつきましては、民間でも、キャリアパスモデルを示して、先生が御紹介いただいたものはその類いだと思いますが、キャリアパスモデルを提示をしているという類いのものについては複数ございます。
一方で、キャリア段位のように、全国共通の基準で現場の知識や実践的なスキルを複数段階で評価をして、キャリアアップとスキルアップの双方に役立てていくというものとしては、類似の制度は承知をしてございません。
○宗野分科員 御答弁ありがとうございます。
私が懸念しておりますのは、やはり、基金の助成対象となっている事業の中で、ほかにも、このように実際には活用がなかなかうまくいっていなかったりであるとか、あるいは現場にとって使い勝手の悪いような事業というものがあるんじゃないかというところを問題意識として持っております。そういった中で、是非、自治体任せにすることなく、しっかりとした検証、そして事実把握と改善というものをお願いしたいと思いますが、大臣の御見識をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 介護人材の確保は大変重要なテーマです。
今、自治体におきまして地域の実情に応じた取組が進められるように、地域医療介護総合確保基金によりまして、様々なメニューを設けて支援を行っているところでございます。それぞれの地域で実施される具体的なメニューにつきましては、地域の状況を勘案しまして基金のメニューの中から選択し、都道府県で決定されておられますが、いずれのメニューも各都道府県で活用されてございまして、人材確保対策としては必要性があると考えています。
厚生労働省としましては、そちらに任せるわけではなく、都道府県ともしっかり連携しながら、新たな課題に応じたメニューの拡充や既存メニューの統廃合など、これまでも適時適切に見直しを行ってきているところでございまして、引き続き、執行状況も踏まえ、地域における介護人材の確保に必要なメニューにするとともに、介護現場で活用していただけるように努めていきたいと考えています。
○宗野分科員 ありがとうございます。
また重ねてになりますが、やはり、自治体計画が上がってきたものを見るということにとどまらず、ちょっと積極的にここの検証というものを進めていただかないと、せっかくいいたてつけでも利用されなければ意味ないと思いますので、是非御検討いただければと思います。
続きまして、居宅療養管理指導に関する質問に移らせていただきます。
居宅療養管理指導は、要介護状態となった場合でも可能な限り居宅で能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士又は歯科衛生士等が、通院困難な利用者の居宅を訪問し療養上の管理及び指導を行うことにより、療養生活の質の向上を図るものであると認識をしております。
ここでの指導の対象ですが、通院が困難な利用者と定義をされておりますが、現在、在宅利用者の利用率が約三〇%のところ、サ高住入居者の利用者だと約九五%と、この差が大きく開いているという課題がございます。
令和六年度の予算執行調査によりますと、この定義を満たしていない場合であっても、画一的にサービスが利用されるなど、適切なサービス提供が行われていないのではないかとの指摘がございました。こういった状況で、サ高住を始めとした事業者の業務実態把握、そのための調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
居宅療養管理指導は、先生御指摘いただきましたとおり、通院が困難な利用者の居宅を訪問をして療養上の管理、指導を行うことによって、その方の療養生活の質の向上を図るということが目的とされております。
お尋ねの要件の明確化につきましては、令和三年の介護報酬改定におきまして、通院が困難な利用者という要件につきまして、少なくとも独歩で家族、介助者の助けをかりずに通院ができる者などは通院が容易と考えられるため、これらの者については居宅療養管理指導を算定できないということを明確化したところでございます。
この要件に従って考えますと、御指摘の例えばサービスつき高齢者住宅の入居者についても、個々の利用者について通院困難かどうかということを確認の上で算定が行われるというのが、令和三年の介護報酬改定後の考え方ということになってまいります。
御指摘の点も含めまして、居宅療養管理指導が算定されているサービス提供の実態については、今後、現状把握を行った上で、対応方針についても検討してまいります。
○宗野分科員 ありがとうございます。
その上で、ちょっと懸念をしておりますのが、今後、基準の見直し等が検討されていくと、適正化に向けて、そういった際に、企業努力のインセンティブがそがれてしまう、そういったことが考えられるんじゃないか。例えば、先般、訪問介護報酬の引下げなどが行われたわけですが、ただでさえ収益状況が厳しい中で、何とか利益を出してきたという介護事業者さんがいる。それにもかかわらず、そこからある種報酬を引き下げるというような改定がされたというところの問題意識を持っています。
そういった中で、今回の件に関しても、介護現場の更なる事業圧迫につながらないように、今後の改定に向けて十分な配慮が必要だと考えますが、御所見を伺います。
○福岡国務大臣 先ほど局長が申し上げましたように、まず実態把握をしっかり行った上で、必要な対応を社会保障審議会介護給付費分科会において御議論いただくということになります。その際には、今御指摘いただきましたことも含め、関係者の御意見を承りながら、丁寧に検討を進めたいと考えています。
○宗野分科員 ありがとうございます。是非慎重に、御留意いただいて、検討いただければと思います。
続きまして、要介護一、二の介護予防・日常生活支援総合事業への移行の検討に関して御質問させていただきます。
令和五年十二月二十二日に閣議決定されました全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋によると、軽度者、要介護一及び要介護二の者への生活援助サービスに関する給付の在り方を、二〇二七年度、第十期介護保険事業計画期間の開始までに検討を行うとしています。いわゆる要介護一、二の総合事業への移行の検討です。
私も通所型サービスBの事業所で活動していた経験がありまして、この検討は、本当に現場の状況とは認識がちょっとかけ離れた部分があるんじゃないかと思っています。そういった意味で、幾つか御質問させていただきます。
例えば、事業者は、総合事業単体によって収益化が難しい中で、他事業と併せて事業を実施しています。また、通所、訪問サービスBを提供しているボランティアの方々なども、本業は実は訪問介護をやっている、そういう方が多くいらっしゃいます。つまり、昨年の訪問介護報酬引下げによって、総合事業を担う事業者にとって収益基盤となる事業が立ち行かなくなるということも起きているんじゃないか、あるいはボランティアの方の本業が圧迫されているということが起きているんじゃないかというふうに危惧しております。
この点に関して、間接的な訪問介護報酬引下げの影響に関して、御見識を伺います。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
先生が御指摘いただきましたように、総合事業の担い手である事業所の方々が介護サービスの担い手でもあるというケースは一定数あると承知をしております。
例えば、総合事業の従前相当訪問型サービス事業所について申しますと、併せて介護給付、予防給付の指定、これは訪問型に限りませんので、指定を受けているというふうにお答えいただいた事業所の割合が九七・五%となっておりまして、当該事業所の経営は、自治体が設定をする総合事業の単価、それから介護報酬、双方で成り立っているというふうに承知をしております。
総合事業は市町村が実施する事業でございますので、その報酬等の設定に当たりましては、適切な設定を自治体にお願いをしているところでございます。
なお、在宅介護サービスにつきましては、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化、先般の補正予算による更なる賃上げの支援、物価高騰への対策として重点支援交付金による支援等を行っておりますが、こうした施策を通じて、総合事業と在宅介護サービスを併せて実施する事業者も含めて、必要なサービス提供が行われるように支援を行ってまいりたいと存じますし、これから制度改正に向けた議論が行われるに当たりましては、担い手の方々の状況、事業者としての状況も含めて、丁寧に把握をしてまいりたいと存じます。
○宗野分科員 ありがとうございます。
ちょっと時間の関係で何点か質問を飛ばさせていただきますけれども、御意見だけということで。
認知機能の低下が見られる方というのも多々、今、総合事業の方に入ってきているというところがあります。今回の移行に合わせまして、要介護一、二だった方も、ここで総合事業になっていくと、認知機能が低下されていらっしゃる方も入ってくる。こういった中では、やはり事業運営上かなり厳しい状況になっていくんじゃないかというふうな問題もあります。ただでさえ、今、この総合事業の担い手不足というところが課題として叫ばれている中で、その問題意識を持っておきたいと思います。
その上で、総合事業への移行の検討に当たって、介護事業所に加え、総合事業を担う事業者、ボランティア等から十分な実態調査を行う必要があると思いますが、この点に関してどのようにお考えかを御見識を伺います。
○福岡国務大臣 委員も、現場で従事されていた肌感覚とこの制度との間に温度差があるんじゃないかというような御指摘があったというふうに承知しています。
要介護一、二の方々への生活援助サービス等に関する給付の在り方につきましては、令和五年に策定しました全世代型社会保障の構築に向けた改革工程におきまして、第十期介護保険事業計画期間の開始であります二〇二七年までの間に、検討を行い、結論を出すこととされております。
検討に当たりましては、まず、今御指摘があった調査により総合事業の実施状況を把握しますとともに、介護保険の運営主体であります市町村の意向や利用者の方々への影響等を考慮しつつ、関係審議会等での過去の議論や関係者の御意見も踏まえながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
○宗野分科員 ありがとうございます。
これは本当に、状況次第では新たな介護あるいは介護予防現場の崩壊につながり得るような可能性もありますので、是非慎重に議論を進めていただきたいと思います。
最後、質問をさせていただきたいと思いますけれども、保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくり事業についてお伺いをいたします。
こちらの事業ですが、いわゆる社会的処方の概念をモデル事業として取り入れるというものでございます。令和五年度までいわゆるモデル事業として走っていたわけですが、現在は保険者協議会における保健事業の効果的な実施支援事業の中に組み込まれることになりました。こういった中で、やはりなかなか、執行率の部分も思うように伸びなかったというところもあると思います。
こういった状況の中で、社会的処方に関しては、イギリスのGPを一つの参考としたモデルに関して、日本では適用が難しいというような判断があったのかどうかに関してお伺いします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
令和三年度から五年度に先生今お話のありましたモデル事業を行わさせていただきまして、保険者協議会が実施主体となり、かかりつけ医等と保険者が協働し、患者の社会生活面の課題を情報共有し、そして地域の相談援助等の支援につなげることで患者の健康面、社会生活面の課題の解決を目指す、いわゆる社会的処方についてのモデル事業を実施させていただきました。
事業におきましては、社会的処方の取組を実践するためのポイントとして、アセスメントツールの作成、また、対象者を地域資源につなげるリンクワーカーの研修会の開催、地域資源のマップの作成、こういったことを取りまとめ、事例集とともに公表したほか、イギリスを含む海外の取組についても調査を行わせていただいたところでございます。
こうした海外事例等の知見を踏まえ、令和六年度からは保険者協議会に対する補助事業として事業を開始しているところでございまして、地域の実情に応じた取組を支援しているというふうに考えております。
引き続き、こうした知見の蓄積を図りながら、執行率というのは、まだ実施に取り組んでいただく自治体の数が多くはございませんが、しっかりとPRし、国民の健康増進の施策をしっかり進めていきたい、このように考えております。
○宗野分科員 ありがとうございます。
医療従事者の方を社会的処方の中でどのように役割を位置づけるかという観点からも意義のある取組であると思いますので、引き続き知見が生かされていくことを願いまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○深澤主査 これにて宗野創君の質疑は終了いたしました。
次に、原口一博君。
○原口分科員 立憲民主党の原口一博でございます。
まず冒頭、同じ佐賀県選出の国会議員として、福岡大臣、御就任、誠におめでとうございます。
また、私ごとでありますが、大臣のお姉様に命を救っていただきました。院内感染で死線をさまよって、医療ミスだったわけですが、別の病院に入院をして、そこでお姉様に出会いました。本当に、お姉様がおられなければ、もう五年も前に、もっと前ですね、あの世に行っていたと思います。改めてお礼を申し上げたいと思います。
さて、今日は、新型コロナワクチン、基金の問題について、これは予算委員会で我が党の国会議員が何人もやっていますが、このことについて集中的にお話をしたいと思います。
ただ、大臣、厚労省は問取りに失敗しています。いいかげんな問取りをやっているので、大臣のお手元に多分答弁書がきっちり行っていないと思いますので、事務局の方に聞くことになると思います。
ワクチン生産体制の緊急整備基金、これはどう見ても、この基金をこんなふうには使えないです。基金の流用若しくは別途利用。基金は余ったら国庫に返さなきゃいけない。しかし、何と七千八百五十二億円も基金に使って、そしてそれをワクチンメーカーで、まあ、分けていると言ったら言い方はあれですけれども。
そこで、厚労省に聞きたいと思います。
今回の定期接種、五社が入っていると思いますが、それぞれのメーカーが幾らで売っているか教えてください。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
ワクチンの価格でございますけれども、モデルナ社は一万二千十九円、第一三共社は一万一千九百九十円、武田薬品工業社は一万一千九百九十円、MeijiSeikaファルマ社は一万八百九十円、ファイザー社は公表不可でございます。
以上です。
○原口分科員 公表不可なんて、そんなことはあり得ないですね。
アメリカでは、今おっしゃった会社も訴追をされたり、証人喚問されたり、先日は、ファウチ博士がバイデン氏によって二〇一四年からのものを恩赦されているんですね。大臣に是非認識していただきたいのは、完璧にワクチン政策が変わりました。今まではワクチンを強制していたアメリカの学校、今度、連邦はそこにお金を出さないことになりました。それから、ワクチンを強制されて辞めた米軍の兵士、その人たちは、首になっていたわけですけれども、逆に今、トランプ政権で呼び戻されています。今、九つの州で、メッセンジャーRNAワクチンの危険性を認識して、禁止する法律を検討している。
この状況の中で、今日は公取の委員長にも来ていただきました。今、価格をほとんどそろえていますね。これを御覧いただくと、これが去年の今頃、地方に説明した厚労省の資料なんですが、皆さんのお手元にも、委員長、資料をお配りしてよろしいでしょうか。
○深澤主査 はい、大丈夫です。
○原口分科員 実際には、平時においても三千二百六十円ぐらいだったんです。これは財務省にも確認をしています。ところが、各メーカーから聴取した希望小売価格、非公開と言っていますけれども、一万一千六百円にしているわけです。一本当たり八千三百円も助成しているわけです。
先日も財務金融委員会で公取委員長にお話しいただきましたが、これは一般論で結構ですから、自分たちで話し合って価格をつり上げる、これを何というのか。そして、私も独占禁止法の改正案を当時の竹島委員長のお力をいただいて作りました。このカルテルなるものがいかに市場をゆがめ、そして人々の信頼をなくすか、そのことについて改めて、公取の委員長、今日はありがとうございます、お話しいただきたいと思います。
○古谷政府特別補佐人 お答えを申し上げます。
独占禁止法では、複数の事業者が相互に連絡を取り合って、本来、各事業者が自主的に決めるべきである価格などを共同で取り決めて競争を実質的に制限することを、不当な取引制限ということで禁止をいたしております。
したがいまして、事業者が相互に示し合わせて価格を横並びに決めるといったような場合には、いわゆる価格カルテルということで、独占禁止法上問題になります。
今委員から御指摘の個別事案自体についてのコメントは差し控えたいと思いますが、公正取引委員会としまして、独占禁止法に違反する事実が認められた場合には、厳正に対処をしてまいりたいと考えております。
○原口分科員 委員長、ありがとうございます。これで結構です。百点満点のお答えです。
それで、実際にこれの利益がどうなっているかというので、お手元の、大臣、九ページを御覧ください。
これがMeijiSeikaファルマが私に差し出した訴状の中の文章です。何と言っているかというと、九ページ、委員長も御覧ください。見込んでいた令和六年十一月末日時点の原告製品、つまりMeijiSeikaファルマですね、売上げが、私のせいで、百四億九千万円であったのが、見込んでいた同日時点の原告製品による利益が五十七億一千万円であったのに対して、原告の名誉が毀損された結果、これはもう裁判のことはおっしゃらなくて結構です、同日時点の原告製品の売上げが僅か三億七千万円であり、同日時点の原告製品による利益が約一億五千万円であり、本来であれば得られた利益である五十五億六千万円が失われたと言っているわけです。
法務省にも聞いてほしいんですけれども、大臣、これは利益率は幾らですか。実際に四倍に膨らませておいて、そして、今厚労省が言ったところによると、MeijiSeikaファルマは一万八百九十円ですね。この一万八百九十円というのは、ほとんどこの八千三百円、助成金を乗せた分で終わっているんですよ。
これはひどくないですか。国民が爪に火をともすように、福岡大臣も御実家が福岡商店をなさっていますからお分かりだと思います、一円一銭の利益を上げるのに大変苦労しているのに、実際の五四%も利益があるような、そんなあれがありますか。結局これは、さっき公取の委員長がおっしゃったように、お互いに示し合わせて、交付金、助成金を一本当たり八千三百円増やしている。丸ごとこれが利益になっているんですよ。
だから、これは、極めて疑わしいのは、今公取がおっしゃったカルテル、自分たちで示し合わせていたんですね。だけれども、ここに厚労省が介在しているわけです。厚労省が聞いて、そのとおりやっているわけです。ということは、私たちが、別の法律、官製談合である疑いも出てきているというふうに思います。
そして、今日は法務省にも来ていただいています。刑法が定める収賄罪、これの構成要件は何ですか。
○吉田政府参考人 刑法百九十七条一項前段のいわゆる単純収賄罪は、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした場合に成立し得るものと承知しております。
○原口分科員 法務省、ありがとうございます。そうですね。
もう今まで何千人も亡くなって、僕のがん細胞、結果を、何が出てきたかというと、ちょうど皆さんのお手元の資料の中に入れていますが、私、二年前にがんにかかりまして、悪性リンパ腫というやつですね、去年は髪の毛もなかったわけですけれども、六ページを御覧になってください。大臣、これは飛行場でお見せしたやつです、飛行機の中で。
左側は、SARS―CoV―2―Sと書いてありますが、これはSたんぱくです。つまり、コロナにかかっていたら、SたんぱくもNたんぱくも両方出るんです。ところが、私の場合は、次のページを御覧いただくと、Nたんぱくは青ですね、青色。つまり、Nたんぱくは出ていないんです。ということは、私はコロナにはかかっていない。単にコロナワクチンががんを引き起こしていた可能性が極めて高いということを研究室から言われて、これは今から論文になって世界を駆け巡ります。私が第一号だと言ってもいいでしょう。
私、大臣に聞きたいんですけれども、二度と私のような人が出ないように、国民を守りたいというのは自然の感情じゃないでしょうか、お姉様が私を助けてくださったように。
実際に、今、内部告発がいっぱい来ています。実際には、今、謎の日本人の大量死が起きています。毎日のように藤江さんから大臣も聞かれていると思います。すごい数、大体百万人ぐらいが減っているんじゃないでしょうか。このペースでいったら日本は滅びます。ほかに原因が考えられないんですよ。
しかし、今まではバイデン政権の下においていろいろな情報が統制されていました。USAIDで、こういった情報を流すと、ユーチューブでも何でも、全部陰謀論者ということでバンされていたんです。ところが、もう完璧に変わりました。RFKジュニアさんがHHSの長官になったことによって変わったんです。
さて、そこで、これも厚労省に聞きたいと思いますが、MeijiSeikaファルマのコスタイベ、これで死亡例が出ていますね。それは何人で、そしていつ発表されましたか。教えてください。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の死亡例でございますが、三例出ております。製造販売業者からは、一例目、二例目については、第一報の入手日が二〇二四年の十二月十七日、三例目については、死亡日が二〇二四年の十二月二十日で、第一報入手日が二〇二五年一月二十八日という報告を受けております。
○原口分科員 しかし、PMDAが発表したのは十二月二十六日ですよね。MeijiSeikaファルマは、今お話しのように十二月十七日に知っておきながら、十二月二十五日が僕への訴訟の記者会見なんです。そのときには亡くなっていると知っているじゃないですか。極めて恣意的にやっていると私は印象を持ちます。
そこで、厚労省、これは昨日、大臣、資料を出すのがすごく遅いんですよ。昨日も通告の後にこれが来たんです。皆さんのお手元の八ページです、今厚労省が言った。そうすると、死亡日不明と書いてありますよね。死亡日不明で、コスタイベとの関係を追及できますか。今、亡くなられた日が分かっていますか。
七十一歳の女性の方、この方も詳細な事象名は不明だけれども、この方は去年の十二月二十日に亡くなったという、亡くなった日が書いてあります。ほかの方は死亡日不明。ということは、この後も死亡日は厚労省もPMDAも知らぬということですか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたように、これは死亡日不明ということでございますので、私ども、今承知をしておりません。
製造販売業者は、薬機法に基づきまして、医師や薬剤師等の医薬関係者から副反応が疑われる症例を収集し、一定の期限内に報告を行うということとされておりまして、この二例につきましては……(原口分科員「聞いたことだけ答えてください。知らぬということですね」と呼ぶ)はい。
○原口分科員 大臣、聞かれたでしょう。
今も知らぬということは、前、ほかのワクチンでも、死亡例が一つでも出たら止めているんです。ところが、この新型コロナワクチンについては特殊な力が働いていて、でも、もうバイデン政権はいないんですよ。これを進めた人はいないんですよ。今、トランプ政権はこの真逆をやっているんです。今まで何をやってきたか、武漢の研究所に金を出していたのは誰なのか。
安倍さんとも話したんですよ。これも大臣にもお話をしたと思います。私たちは単に厚労関係だけでこの危機管理をやっちゃいけないというのが安倍さんの考え方だったんです。私もそう思った。だって、安全保障にいる世界の人は常識ですよね、生物兵器をデュアルユースでやっているというのは。片っ方で生物兵器をやっているんですよ。生物兵器かどうかも分からないということで危機管理をするのが当たり前なんです。
だから、この全責任が福岡大臣にあるとは私は思わないです。逆に言うと、これを単なるワクチンと言ってしまったために、いろいろな検査や、今のように、本来だったら、亡くなっているんだから、即原因究明をしなきゃいけないんじゃないですか。
紅こうじに対して、武見大臣が鬼のような形相で、小林製薬、けしからぬと言ったのを、何でこれは違うんですか。亡くなった日さえ分かっていない。調べようと思わないですか。厚労省、事務方で結構です、大臣じゃなくて結構です。事務方、教えてください。
○深澤主査 まず大臣でいいですか。(原口分科員「まず大臣。では」と呼ぶ)
○福岡国務大臣 まず、同郷の先輩から質問をいただくこと、大変光栄に存じます。
また、この度、お母様の御逝去に際しまして、心からお悔やみ申し上げます。教育者でいらっしゃいまして、立場の違う私に対してもいろいろな御配慮をいただきました。厚く御礼を申し上げさせていただきたいというふうに思います。
その上で、ちょっと今まで何点か言われたことについて言わせていただくと、まず、製薬会社の利益構造等については私どもは把握してございませんが、ただ、日本における価格については、海外の今の取引価格と比べても、そこは全く遜色のないレベルの取引ということですので、日本だけが特別な価格設定をしているという事実はございませんし、そこの価格決定は市場で決定されていますので、価格決定において厚生労働省が関与しているという事実はないということは申し上げさせていただきたいと思います。
そして、今おっしゃられましたように、委員の御指摘のところのデータにつきましては、そこについてはまたしっかり精査をさせていただきたいと思いますが、私たちとしても、ワクチンが起因として健康被害があるということはあってはならないというふうに思っておりまして、その辺は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会とかでもしっかり御議論いただいております。
当然、不可避的に一定副反応が出られる方もいますが、重症化予防効果としてやはり高い予防効果が認められているという現実がある中で、御希望をされる方にはしっかりワクチンを提供させていただく体制をつくっていくというのは私たちの使命であるというふうに思っています。
先ほどの死亡された日時が分からないということについても、私たちは調査をしないということを言っているわけではなくて、これは元々、製造販売業者が情報提供を受けた医療機関とは別の病院に搬送されて亡くなられていて、元々ワクチンを打たれた病院が通報されているので日時がはっきりしていないということですが、そこはしっかり調査を引き続き続けてまいるということでございます。
○原口分科員 厚労省が関わっていないということは、ワクチン価格をメーカー同士で話し合ってやった。だから、公取の委員長の世界に行くわけですね。私、これは微妙だと思っていたんですよ、方向性からいうと。だって、各メーカーから聴取した希望小売価格で、わざわざ助成金のスキーム、後藤代議士、財務省におられたけれども、こんなことを認めるわけがないんですよ。私もずっと財務金融委員会にいて、こんな基金の流用というのはあり得ない。
そこで、今審議会の話をされましたけれども、審議会は利益相反ではないか。さっき、刑法の収賄罪の構成要件、法務省がきっちりおっしゃいましたけれども、お金をもらって、特別公務員でも何でも、政策をゆがめたら、これは刑法の、今法務省がおっしゃった構成要件に当たる。どんなに死亡例を副反応部会に上げても、重大なる懸念はありませんで返ってくるわけです。とんでもないことだと思います。
法務省、一般論として、国民の生命や、これは大臣、何で言っているかというと、例えば副反応部会とかで、メーカーからお金をもらって、助成金ですね、本人というよりかは研究の助成、そういった方は公表されている。でも、それは公表のガイドラインでやって、今法務省が言った収賄罪のいわゆる阻却要件ではないんですよ。つまり、ガイドラインで刑法を上書きすることはできないということだけは言っておきたいと思います。
そこで、法務省に聞きます。一般論で結構です。国民の生命や身体、財産を脅かす重大な犯罪に対する検察当局の姿勢を法務当局に聞きます。
それとあわせて、これは私の要望なんですね。私も、福岡大臣と妻が親戚でしたから、血が子供たちはつながっているんですよね。亡くなったら、福岡大臣のお墓の隣に。よろしくお願いします。
検事だったんです、副検事。検察も、しかも北九州の専門の副検事で。反社ですよ。検察は、検察官は、やはり法と正義のために懸命に頑張っていますが、家に帰れば一人なんです。そして、今は外国人犯罪、組織犯罪、複雑化して、しかも悪質化しています。その中で検察官は立ち向かっているんです。
是非国務大臣として、検察官一人一人を守る、そういう仕組みもつくっていただきますように要望して、法務省、答えをください。
○吉田政府参考人 個別のケースを離れまして、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局においては、法と証拠に基づいて、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。
○原口分科員 それで結構です。
是非、大臣、検察官も強く守ってください。これから犯罪が複雑化、高度化する中で、広域化します。しかも、外国人犯罪が増えていきます。是非お願いをして。
先ほど、重症化予防効果と言われましたけれども、最後まで重症化予防効果は出してきませんでしたよ。重症化予防効果は、厚労省が持っているデータは感染研とそれから長崎大学です。それはすぐ論破できます。
それから、今回のコスタイベについては、ベトナムで治験しているんですね。ベトナムで治験して、三十六人亡くなっている。亡くなっているものを日本人に治験しない。どれだけ治験したのかと。これもまた別のところでやります。
厚労省、これも問取りを失敗していますよね。これは大臣に聞きますよと僕が言ったことが問取りの中に入っていないんです。
それは何かというと、最初、初期の頃、パンデミックの頃、彼らは数字を、私からいうとごまかしたんです。どうごまかしたかというと、感染予防効果を、つまり、注射を、コロナワクチンを打った人なんだけれども、いつ打ったか、さっきの不明、不明の人も未接種者に入れたんです。
これは、大臣、聞かれていますか。未接種者に入れたから、結局、委員長、どうなったかというと、未接種者の分が感染者が多くなった、そんなデータになったわけです。本当は違ったんです。接種者でいつ打ったか不明の人をその中に入れていたんです。
今、接種すれば接種するほど感染がしやすくなる。あるいは、スパイクたんぱくの毒性、これについてはもう明確に出ていますよね。よその国は、もう三年前から、さっき価格が同じだとおっしゃいましたけれども、よその国は打っていないですよ。何でかというと、よその国は日本と違って火葬でなくて土葬だから。土葬で、私も、たまたま自分が生きているから、こうやって自分の細胞を検査できるんですよ。しかも、国会議員という恵まれた立場だから。皆さんの周りにもおられませんか、苦しんでおられる方が。歩けなくなった、動けなくなった、血栓ができた、それから心筋炎になった。
本来、これも厚労省に、多分問取りに失敗しているから答えられないと思うけれども、事細かく聞いたんですよ。今までの薬品だと、どうしていましたか。こういう有害事例が出ると、データベースに積み上がって、そして、イエローペーパーだ何だと警告を出しているでしょう。今回、出していないじゃないですか。なぜですか。事務方で結構です。
○城政府参考人 御指摘いただきましたように、副作用情報の収集につきましては、薬機法に基づきまして、製販業者等々からの健康被害の報告を求めているところでございます。
報告された副作用情報は、PMDAにおいて、情報の整理、必要に応じて専門家の評価を行った上で、厚生労働省の審議会において必要な対応を検討するということは一致しておりまして、この副作用情報に加えまして海外の情報も踏まえまして、死亡や障害等の症例の発生状況や、外国における使用中止の緊急かつ重大な措置等があり、緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策が必要な状況にある場合には、製販業者による緊急安全措置、いわゆるイエローレターの配付をするといったことを行うこととしております。
○原口分科員 長々と答えましたけれども、大臣、そんなことは一回もやっていないですよ。だって、止めていないじゃないですか。
しかも、重大な懸念はないと。いつまでも、四年も五年もたっているのに重大な懸念はないと。その間に、どんどんどんどん僕のようにがんになって、これはターボがん、友達も何人も亡くなりました。乳がんが男にできる、卵巣がんができる、そしてあっという間に亡くなるんです。大臣の周りにもおられると思いますよ、親戚が重なっているから。止めませんか。
ちょっと、それで、会計検査院、来ていただいて、私はこの基金のシート、予算委員会の本委員会でも何人も聞いているけれども、あの基金シートを見て、こういうふうには使えないと思う。基金の流用や補助金の詐取について、財政運営の規律が全く緩んでいると思います。だって、高額医療費、二百億円ですよ、委員長。二百億円を何とかしてくれと言っているのに、これは幾らですか。七千八百五十二億円ですよ。これは丸々利益になるんじゃないですか。おかしいと思いませんか。
会計検査院に伺います。
財政運営の規律が緩んでいる、しっかりとした会計検査をすべきだと思いますが、姿勢を問います。
○長岡会計検査院当局者 お答えいたします。
会計検査院は、会計検査院法第二十条の規定により、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図ることとされております。
その上で、一般論としての御答弁となりますけれども、基金や補助事業の検査に当たりましては、基金の使い方、補助事業の実施が法令や予算等に従っているか、多角的な観点から検査を実施しております。
会計検査院といたしましては、先ほど述べました会計検査院法の規定に基づきまして、基金や補助事業につきまして、引き続き適切に検査を実施してまいります。
○原口分科員 石破総理も基金は不断に見直すと言われていて、これは認められません。私たちは減額要求、ストップ要求をしています。
加えて、MeijiSeikaファルマの小林さんとおっしゃるんでしょうか、製薬会社の社長が自分たちのワクチンを打つべきだと発信しているんですよ。こんなことが許されますか。薬機法違反だと思うし、少なくとも、厚生労働省の姿勢は違いますよね。厚生労働省の姿勢を、大臣、お答えください。
○福岡国務大臣 薬機法に違反するかどうかということにつきましては、医薬品等適正広告基準において、当然、広告を行うことは禁止されていますが、その禁止の判断基準としましては、顧客を誘引する意図が明確であること、特定医薬品の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状況にあることのいずれの要件も満たす場合に、禁止されている広告と判断し、監視指導を行っているものでございます。
例えば、今回のように、雑誌のインタビュー記事の中での発言などで、顧客誘引性が、必ずしもそれが断定できないものであれば、監視指導の対象とはならないと考えられるものでございます。
○原口分科員 なれば、だって、製薬メーカーの社長が打つべきだと、それは広告よりすごいじゃないですか。私は参考人若しくは証人喚問を求めるものであります。
そして、この価格形成についても、大臣は、よそのワクチンがこんな値段だと。一万一千六百円なんかしませんよ。打っていないんだもの。しかも、平時において三千二百六十円だったんですよ。三千二百六十円のが、何で数か月で四倍にもなりますか。このことは、あした、財務金融委員会でも徹底的に詰めていきたいと思います。
そこで、最後、財務省。
これは予算修正要求をしています。このワクチン基金については国庫返納すべきじゃないですか。そして、ワクチン接種による健康被害について、企業等に対して、もっと言うとアメリカ政府に対しても損害賠償、すべきじゃないですか。
○東大臣政務官 お尋ねのワクチン生産体制等緊急整備基金におけるワクチン接種単価の見込み価格と流通価格の差額に関わる市町村への助成については、厚生労働省において、ワクチンの安定供給のためには差額を助成する、そういった事業が必要であって、当該事業は、国内外のワクチンの確保及び安定的な国内供給に向けた環境整備事業として、ワクチンの確保及び供給の準備を行うという基金の目的の範囲内であるという判断がなされて実施されたものと承知しており、財務省としても、基金実施事業の目的外使用には当たらないという考えを持っております。
その上で、本基金は令和八年度末を期限とした基金であって、本年度においても、新型コロナワクチンの実証研究や生産を行う施設等の整備、生産体制の維持等に関わる経費に対する支援等を実施していると承知しておりまして、事業を所管する厚生労働省において、責任を持って執行管理を行っていただくことが重要であると考えております。
それとあわせて、健康被害についての賠償請求についてですが、ワクチン接種による健康被害については、財務省としても重く受け止めたいと考えておりますが、一義的には所管する厚生労働省が説明すべきものと考えております。
新型コロナワクチン接種の安全性等については、厚生労働省の審議会において、科学的知見等を踏まえて継続的に検討し、評価を行っているものと承知しておりまして、財務省として、こうした評価について判断をできる立場にはないことから、見解を申し上げることは控えたいと考えております。
以上でございます。
○原口分科員 もうこれで時間が来ましたのでやめますが、政務官、政務官としては精いっぱいの答弁をしていただいて、ありがとうございます。
でも、それでたくさんの人が、止めないから亡くなっているんです。そして、こういう基金を財務省が認めるんだったら、査定は要らないじゃないですか。概算要求も必要ないじゃないですか。そして、本当に必要だったら、最初、七千円程度と見積もっているんですよ、厚労省は。それで、メーカー側から、いやいや、基金があるんだったら……
○深澤主査 原口君、質疑を……。
○原口分科員 一本当たり八千三百円増やしてくれと言われてこうやっているんじゃないかという疑いを申し述べて、質問を終わりたいと思います。
○深澤主査 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。
次に、福田かおる君。
○福田(か)分科員 自由民主党の福田かおるです。
福岡厚生労働大臣におかれましては、通告はございませんので、どうぞ御退出いただいても結構でございます。
○深澤主査 それでは、福岡大臣、御退席、どうぞ。
○福田(か)分科員 人口減少、高齢化が急速に進んでいく中で、私たちのセーフティーネット、日本の社会保障制度は大丈夫なのか、医療は、年金は大丈夫なのか。二十代、三十代の方々とお話ししていると、将来への不安の声は大変に大きなものがございます。
私自身は、これまで、アメリカやタイを始め、諸外国でも生活をしてまいりましたが、どれだけお金を持っているかで、受けられる医療の内容に大きな格差があることも目の当たりにしてまいりました。我が国においては、公的医療保険制度の存在により、諸外国に比べて格差が抑えられ、命に関わる病気に対するセーフティーネットがあるのだと感じてまいりました。
今回の予算審議においては、高額療養費制度の見直しが大きな話題となっており、私のところにも数多くの切実な声が寄せられております。高額療養費制度も含めた医療のセーフティーネットは維持できなければ困る、一方で、保険料については過度な負担になってしまっては困る、これは、制度を利用している方々はもちろんのことながら、そうではない方も含めて、多くの方々の思いだと思っております。
特に、同年代の、お子さんがいらっしゃる世帯の方々とお話をしていると、月々の健康保険を含む社会保険料の負担は、現状でも到底無視できないものになっているのを日々感じております。手取りを増やして、明るい将来が見えるような制度設計にしなければと身にしみて感じているところです。
何かを妥協しなければならない、そういうジレンマの中で今回の検討もなされていると承知しております。しかしながら、社会保障制度の将来をどのように予測しているのか、国民負担はどの程度になる見込みで、バランスを取るためには、どの程度の支出増加を抑制しようとしているのか、どのような工程で見直しが検討されているのか、国民の目線で見たときには、なかなかよく分からないところも多いというのが事実だと思っております。
私も、医療費の適正化については、民間企業でいうところの中期経営計画やアクションプランのようなものがあるのだろうと思い、理解を深めようと勉強してみましたが、なかなか苦労いたしました。
全ての人にとって、自分事として関心が高い国民医療費の分野です。国民の生命に関わる、そして、国家予算の非常に大きな割合を占める制度でもございます。その現状や将来予測、そして、どのような見直しが検討されているのかを少しでも明確にして、透明性の高い議論を進め、政策を前に進めていきたい、そんな問題意識を持っております。
本日は、そもそもの制度見直しの枠組みについてお伺いするところから始めたいと思います。
まずは、医療費の全体像についてお伺いしたいと思います。
国民医療費の額、そのうち、公費の金額と国家予算に占める割合を教えていただけますでしょうか。また、国民医療費の額は、どのような増加傾向にあり、今後、どのような見通しとなっていますでしょうか。厚生労働省にお伺いいたします。
○鹿沼政府参考人 御質問ありがとうございます。
まさに先生おっしゃるように、我が国の医療制度、医療保険制度、これだけフリーアクセスであり、かつリーズナブルな料金、価格で医療を受けられる国は、ほかにはほとんどないのではないかと思っております。WHOも、日本の医療制度については非常に世界的にも最高水準だというふうに言っていただいているところでございますし、この制度をどうやってこれから維持して次の世代につないでいくのか、これがまさに我々厚生労働省の使命だというふうに思っているところでございます。
そうした点で、時には、本当につらい改革といいますか、厳しい改革もやらなければいけないとは思っておりますが、何とかこの制度を持続可能なものとしていきたいということでやっているところでございます。
その上で、先生今御質問いただきました数字でございます。令和四年度の国民医療費の実績は四十六・七兆円、そのうち国費は十一・八兆円となっております。国の本予算百七・六兆円に占める医療費の国費分の割合は一一%。ちなみにですが、十年前の平成二十四年度は一一・二%でございましたので、それと比較しても、ほぼ同じ割合というふうになっているところでございます。
また、将来の見通しでございます。ちょっと古い数字で恐縮ですが、平成三十年に、二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通しというものをお示しをしておりまして、これによりますれば、国民医療費は、二〇一八年度に四十五・三兆円であったものが、二〇四〇年度には七十六兆円から七十八兆円程度と増加し、対GDP比で見ても八%から一〇%程度まで上昇していく、こういう見通しになっております。
○福田(か)分科員 ありがとうございます。
令和四年度の数字で四十六・七兆円、国庫分公費十一・八兆円は国家予算の約一割を占める大きな金額になります。そして、これからも増加が見込まれている。
高齢化の中、政府は、これまでも医療費の増加抑制に取り組んできたものと理解しておりますが、例えば、令和六年度からは第四期医療費適正化計画が実施されております。この計画というものは、どのような枠組みで、医療費の増加抑制においてどのような効果を実現されてきたのか、厚生労働省にお伺いいたします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
医療費適正化計画につきましては、一期から四期という形でやっておりまして、平成二十年度から開始をしたところでございます。国民にとって必要な医療を確保することを前提として、都道府県が医療保険者、医療関係者等との協議を踏まえ、地域の実情に応じて、例えば、特定健診、特定保健指導等の健康の保持の増進ですとか、後発医薬品の使用促進等の医療の効率的な提供の推進、こういったことに関して目標等を設定し、地域の関係者が協力して医療費の適正化に向けた取組を進める、こういったものでございます。
これまでの取組による成果といたしましては、例えば、特定健診の実施率についてお話をさせていただきますと、目標の七〇%に対して、平成二十年度には三八・九%であったものが、令和三年度には五六・五%になっております。また、特定保健指導の実施率は、目標の四五%に対して、平成二十年度は七・七%でございましたが、令和三年度は二四・六%にまで上がっております。また、第三期計画から数値目標を設定いたしました後発医薬品の使用割合、こちらにつきましては、令和三年度には七九・六%ということで、目標が八〇%でございますので、ほぼ達成しているという状況でございます。
こうした医療費の適正化に向けた取組を進めることによりまして、第一期と第二期のいずれにおいても、計画最終年度の医療費の実績は、医療費適正化計画の策定時に推計いたしました医療費の見込み、これと比べて、より低い結果となっております。また、二〇一八年度から二〇二三年度までの第三期医療費適正化計画におきましては、約〇・六兆円程度の適正化効果が見込まれているというものでございます。
第四期医療費適正化計画におきましても、特定健診、特定保健指導の実施率の向上、後発医薬品の使用促進、こういったものに取り組むとともに、新たなものといたしまして、急性気道感染症に対する抗菌薬処方などの、効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療ですとか、また、がん等の化学療法の外来での実施などの、医療資源の投入量に地域差がある医療、こういったものの適正化等に取り組むこととしておりまして、引き続き医療費適正化に向けた取組を進めていきたい、このように考えております。
○福田(か)分科員 ありがとうございます。
法律に基づいて策定されている第三期までの医療費適正化計画の中でも、増加抑制の地道な取組が現場でも真剣に行われ、そして、現在は第四期医療費適正化計画に基づいた取組が進められていると理解いたしました。
一方、高額療養費制度の見直しは、この計画には織り込まれていなかったように見受けられます。高額療養費制度の見直しはどのような枠組みで検討されてきたものか、教えていただけますでしょうか。厚生労働省にお伺いいたします。
○鹿沼政府参考人 医療費適正化計画につきましては、どちらかといいますと、先ほど言ったような数値目標を定め、そういったものについて、しっかりと地域と協力しながら進めてきたものでございます。
一方で、様々な制度改革につきましても、私どもとしていろいろ取り組んでいるところでございまして、今回の高額療養費の見直しにつきましては、一昨年末に閣議決定いたしました改革工程、ここに掲げられた取組の一つでございまして、昨年十一月の全世代型社会保障構築会議におきましても、複数の先生方から、見直しの必要性についての指摘があったところでございます。
また、前回の制度の見直しを行ったのが約十年前でございます。その後、高齢化、そして最近、特に増えておりますが、高額薬剤の普及等、こういったものにより、総額が、これは医療費全体でも伸びが非常に高いんですが、その医療費全体の倍のスピードで伸びているという中にありまして、この制度をやはり将来の方々がしっかり使っていただけるようにしていかなきゃいけない、こういった点から、将来にわたって維持していくという観点から、今回、見直しについて着手させていただいたものでございます。
見直しに当たりましては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会におきまして、データに基づき、複数回にわたる議論を行って決定したものであります。
審議会での議論というプロセスは前回の見直しと同じであり、審議回数も前回よりも多く確保しておりますが、予算委員会における様々な議論等を踏まえ、また、総理や厚労大臣からの御指示を受け、患者団体の皆様方としっかりお話をしてというお話がございまして、そうした中で、複数回面会し、特に長期で療養される方に最大限配慮する観点から、高額療養費に年に四回以上該当する方の自己負担額の見直しをせず、据え置くこととした、そういったものでございます。
○福田(か)分科員 今御言及のありました高額療養費制度の見直しは、令和五年十二月に閣議決定された、議場でもお配りしておりますが、こちらの全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程に記載されているということだと理解しております。こちらは、医療費のみならず、社会保障費全体の増加に対して、政府として取り組む必要があるという差し迫った危機感の下、改革工程の枠組みが立ち上げられたものだと理解しております。
この改革工程には、この部分にありますが、「二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において、実施すべき施策の検討・決定を行い、」との記述がございます。実際に、今回の高額療養費制度の見直しについては、昨年の秋からの予算編成過程で具体化がよりなされたと承知しております。
こちらのパネルは、令和七年度社会保障関係費の全体像という政府発表資料になります。こちらにも書かれていますが、社会保障関係費については、経済、物価動向などに適切に配慮しつつ、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分に収めるとの方針に従い、調整がなされたものと理解しております。
セーフティーネットとしての国民医療費の制度を維持しつつ、かつ、保険料の支払いをしている現役世代の負担を過大なものとしないための配慮と理解しております。また、昨今のように、為替変動も激しく、物価も急激に上昇することがある中で、こうした調整が単年度の予算編成プロセスの中で必要だということも理解ができるところではございます。
しかしながら、単年度の予算編成プロセスの中でこうした社会保障費のような重要な政策分野を決定するのは、問題もございます。予算編成プロセスの中で、重要な施策を極めて短時間で検討していく必要があり、必要な調査や調整に十分に時間が取れません。
実際に、今回の高額療養費制度の見直しに当たっては、制度を利用している方々も含め、多くの国民に、急に高額療養費制度が見直されることになった、現場の実態はきちんと把握できているのだろうか、そういった印象を与える結果になってしまったように思っております。
厚生労働省所管の社会保障政策分野は、予算規模が大きいこともあり、一つの政策変更によるインパクトが極めて大きいものです。そして、命と直結した内容の政策が数々ございます。国民医療費の増加を抑制するに当たっては、その取組は、中期、長期の視点に立って、数値的な目標とともに、計画的に行われるべきではないのかという疑問は残ります。
国民医療費や社会保障に係る政策決定プロセスについては、いま一度明確にしておく必要があるのではないか。この点でいうと、医療費の適正化についての枠組みについては、先ほど御説明いただきました、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療費適正化計画の枠組み、そして、令和五年に閣議決定された全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋の二つの枠組みがある。内容は同一ではない。そして、改革工程には、目標値といった、改革の結果の国民医療費の額の将来見通しがあるわけではない。こうしたことは、私も、今回勉強して、様々お話をお伺いする中で、やっと理解できたところではございます。
ささいなところではございますが、こういうことも含め、政府の政策決定の道筋を客観的に理解しにくくなってしまっている、こんな要因の一つになっているのではないかということも改めて思いました。
厚生労働省にお伺いいたします。
国民医療費の増加抑制、適正化のための制度見直しが短時間で場当たり的に決定されているのではないかという疑念を国民に抱かれることのないよう、改革工程を進めていくに当たっては、より丁寧に、透明性を持って進めていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
少子高齢化が進行する中にあっても、現役世代の負担を軽減をしつつ、社会保障制度を持続可能なものとすることは非常に重要であります。
このため、全ての世代で能力に応じて負担をし、そして、支え合い、必要なサービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の構築に向けて、今ほど委員から御指摘がありましたように、令和五年十二月に閣議決定をした改革工程、これに基づいて、歳出改革を含む歳出の適正化に取り組んでいるところであります。
歳出改革として実施をする取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において、関係審議会の議論も経ながら、検討それから決定をしていくということになりますけれども、こうした取組については、その影響にもやはり十分に配慮しながら検討していく必要があると考えておりまして、必要な保障が欠けることがないように、委員からありましたように、丁寧に検討を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○福田(か)分科員 この問題意識については、財務省にもお伺いしたいと思います。
特に、巨額の医療費の予算を取り扱うに当たって、医療行政を担当している厚生労働省はもちろんのことながら、財政の担当である財務省としても、財政の見通し、課題認識など、必要な情報を公表し、厚生労働省が行う中期的な検討をバックアップしていただく必要があると考えておりますが、御見解をお聞かせください。
○東大臣政務官 高齢化の更なる進展などに伴い、今後とも、医療を始めとする社会保障関係費の増加が見込まれる中、社会保障制度の持続可能性を確保するための改革に取り組むことは、大変重要な課題だと認識しているところであります。財務省を含む関係省庁が一丸となって取り組んでおりますし、今後もそのようにしたいと思います。
御指摘の財政の見通しについては、内閣府において、毎年、中長期の経済財政の見通しを公表し、社会保障関係費を含む財政全体について経済財政諮問会議で御議論をいただいているほか、社会保障分野について言えば、平成三十年五月に内閣官房、内閣府、財務省、厚生労働省がお示しした社会保障の将来見通しでは、二〇一八年度から二〇四〇年度にかけて、公費所要額やその対GDP比について、人口、経済について一定の仮定を置いた試算をお示ししているところであります。
また、財政制度等審議会においては、医療を含む社会保障制度を取り巻く様々な課題について、主に財政の側面から委員の方々の御議論をいただいて、各種改革の必要性などを御提言をいただいているところであります。
財務省としては、引き続き、社会保障の持続可能性を確保していく観点から、骨太方針に沿って毎年の予算編成を行っていくとともに、全世代型社会保障の構築のための改革工程に沿って、厚生労働省を始めとする各関係省庁と連携をしながら、着実に取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
以上であります。
○福田(か)分科員 先ほどから言及してまいりました改革工程というものは、閣議決定に基づくもので、巨額の予算、国民の命に関わる重要な取組であると考えております。是非、厚生労働省だけではなく、今、内閣府、内閣官房の言及もございましたが、財務省を始めとする関係省庁が協力して、中期的な視点も提示し、透明性を持った予算検討を行っていただきたいと思っております。
国民医療費の制度、そして医療自体が崩壊してしまっては困るということは、多くの方々に御理解いただけることだと思っております。改革工程に記載されている取組事項も、実現には少なからず障壁があるものも多いのが現実です。ただ、医療のセーフティーネットそのものが崩壊してしまうのであれば、必要な取組だと多くの方々に御賛同いただけるものも中には含まれているように思います。
こうした複雑な検討の枠組みの中で、この度の高額療養費制度の見直しの議論がされてきたと承知しています。冒頭申し上げましたとおり、この制度に救われたという方々、活用されているという方々も少なくなく、同世代も含め、私のところにも直接切実な声を届けてくださった方もおられます。今回、寄せられることになった数多くの疑問、制度利用者の方々の声も踏まえ、厚生労働大臣自らも修正に乗り出されたとも承知しております。
高額療養費制度に限らず、国民医療費に係る制度の見直しについては、人の命に大きく関わるものです。国民医療費については、今後も様々な見直しの検討が必要となってくるものと承知しておりますが、制度の見直しに当たっては、利用されている方々のお声を聞いていただき、また、見直し後も、制度の運用状況、現場での影響を確認していくことが大切だと思っております。
厚生労働省のお考えをお伺いできればと思います。
○福岡国務大臣 先ほど局長も申し上げました高額療養費の見直しにつきましては、様々な立場の有識者から構成されます審議会におきまして、データ等に基づき、複数回にわたる御議論を行っていただいた上で決定されたものでございますが、委員御承知のとおり、その後の国会の御議論であったり、また、総理の指示も踏まえまして、患者団体の皆様のお声を私自身が直接お伺いし、その御意見も受け止めた上で修正を行うこととしたものでございます。
医療に関わる制度改革につきましては、改革工程にも掲げられていますように、高額療養費以外にも、医療DXの推進であったり、データの利活用、医療、介護における給付や負担の在り方を始め、多岐にわたる課題がございます。
これは取組の内容によりますが、例えば高額療養のような見直しにつきましては、どのような方にどのような形で御意見をお聞きするのがいいのか、整理すべき実務的な課題はあると承知していますが、今御指摘があったように、当事者の皆さんの御意見を伺った上で検討を進めていくということは、大変重要なことだというふうに考えています。
また、これも御指摘がありましたように、一旦見直しを行った後であっても、いわゆるPDCAサイクルの中で不断の見直しを行っていくことは当然必要だというふうに考えてございまして、委員の御指摘もしっかり受け止めた上で、改革を進めてまいりたいと存じます。
○福田(か)分科員 ありがとうございます。
国民医療費の制度に関わる関係省庁の皆様は、患者の方々、そして国民の健康に向き合い、何とか将来に向けた持続可能な制度がつくれないか、そして、それと同時に、現役世代の負担は過剰なものとなっていないのかと頭を悩ませていると承知しております。
ネット上も、リアルな場面でも、罵声を浴びせられたり、いろいろなことがあるかと思いますが、これからも、会うことがないたくさんの人たちの命を救っていくんだと。セーフティーネットが機能していない国をたくさん私も見てまいりましたので、苦渋の決断の中で、いろいろな検討がなされていると承知をしております。
しかしながら、中長期のプランとは別に、毎年度の予算編成過程で実施すべき取組事項が決まり、命に関わる制度であるにもかかわらず、短い期間にその内容が二転三転してしまっているような状況では、制度を利用されている方々はもちろん、国民に場当たり的な印象を持たれてしまいかねないということは指摘させていただきたいと思います。
繰り返しになりますが、全ての人にとって自分事である国民医療費は、大変皆さんの関心の高い分野です。国民の命と健康を守ることと、制度を維持するために、やむにやまれず医療費の増加を抑制していくということ、こうしたジレンマを解決する重大な使命を立法府は行政府とともに負っております。そのための見直しの内容や過程が、国民により御納得いただけるものになればと考えております。
政策決定プロセスを明確にして、政府としての課題認識、制度変更の考え方、そしてスケジュールを継続的に国民にお伝えしていくことも、また重要な政府の役割なのだと改めて感じているところです。本当は、中期的な数値目標、その達成に向けたアクションプラン、そしてスケジュールまで、はっきり示すということができるのが理想的ではないかとも思っています。
今回、たくさんの方々からお声を聞いてまいりました。私のところに来てくださった方、高校生のときに病気をして克服した、よい家庭環境ではなかったけれども、人生はハードモードだったけれども、それでも医療従事者になって、みんなの役に立ちたいと働いていたら、病気にまたなってしまった、病気を抱えながらも、今は、いろいろな問題を抱えて闘っている子供たちの力になりたいと、この制度を活用しながら働いておられました。
特に印象的だったのは、子供たちに家が貧しくても病気があってもこんなことができるんだと自分の生きざまを見せたいんだとお話しされておりました。入れた票を返せとも、次は入れないとも言われませんでした。あなたは与党でしょうということも言われませんでした。ただただ困って、涙を流しておられました。制度の裏には多くの人たちの負担があるということを彼女は知っていました。
と同時に、私は国家公務員出身でもあります。一生懸命皆さんが働かれて、今日も、きっと朝の五時に答弁ができ上がったりしていたんだろうなと。それでも、何を言われても、人の命を救うんだ、この制度を守っていかなければいけないんだと、断固たる決意で日々努力されているということも承知しています。
この大きなジレンマは、立法府が行政府とともに負って、時には政治の決断で責任を取りながら前に進んでいかなければいけないと承知しております。
本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございました。
○深澤主査 これにて福田かおる君の質疑は終了いたしました。
次に、新垣邦男君。
○新垣分科員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。
本日は、障害者の就労支援や子育て支援について、地元沖縄に引きつける形で質問と議論をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
二〇二四年度に実施された障害福祉サービス等の報酬改定によって、就労支援A型事業所では、連続で生産活動収支がマイナスの場合にマイナス十点からマイナス二十点と評価をされてしまうなど、基本報酬に関わる部分が減額された結果、生産性を確保できない多くの事業所の経営を圧迫をしております。
共同通信の全国自治体調査によると、二〇二四年三月から七月までに全国三百二十九か所のA型事業所が閉鎖となり、働いていた障害者の方が少なくとも五千人以上は解雇、退職を余儀なくされている。この三百二十九か所のうち、約四割強の事業所が最低賃金の反映されないB型事業所に移行したとも報じられているんですね。
そこで、就労支援継続A型事業所は何か所存在をし、何名の方が働いているのか。そして、直近一年間でそのうち何か所が閉鎖をし、B型事業所へ移行したのか。是非、全国と沖縄、それぞれについて数字が出ていればよろしくお願いしたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
いずれも、各都道府県の国民健康保険団体連合会に対し障害サービス報酬の請求の実績があった事業所の数という形でしかちょっと把握はできておりませんで、その数で御紹介申し上げたいと思います。
まず、就労継続支援のA型事業所でございますけれども、全国では令和六年十月末時点で四千四百一事業所でございます。これは前年同月、つまり、令和五年の十月末、こちらと比較をすると百五十か所の事業所が減少しているという数字になっております。一方、沖縄県でございますけれども、これはまた令和六年十月末時点では百一事業所でございまして、これは前年の同月と比較すると十六事業所減少しているという状態でございます。
片や、就労継続支援のB型事業所でございますけれども、全国では令和六年十月末時点で一万八千二百十一事業所ございます。これは、前年同月と比較をすると千三百五事業所増加をしております。沖縄県ではどうなっているかということでございますけれども、B型事業所、沖縄県内では六年十月時点では四百三十四事業所、これを前年同月と比較いたしますと三十二事業所増加をしている、このような状況でございます。
○新垣分科員 ありがとうございます。
そうなんですね、A型が減っているんですよ。それは、A型でやっていけないので、B型に移るというような現状が続いているんですが。
障害者の年間解雇者数の過去最多記録は約四千人と承知をしておりますが、直近一年間で全国で何名の障害者の方が解雇や退職に追い込まれているのかを、数字があればお願いします。
○藤川政府参考人 お答えいたします。
御質問の解雇者数についてでございますけれども、令和六年三月から七月にハローワークが解雇届出により、就労継続支援A型事業所の解雇数でございます、これは一番直近で取りまとめたデータでございますけれども、四千二百七十九人でございます。
今般のA型事業所の廃止等により離職を余儀なくされた方々につきましては、ハローワークと地方自治体が連携してきめ細かい再就職支援に取り組み、このうち少なくとも約七割の方が再就職等をされているものと承知してございます。
○新垣分科員 ありがとうございます。
公費に依存した就労事業所の経営改善を促す目的で、国が収支の悪い事業所の報酬引下げを二月に発表し、四月から実施したことに起因するのは間違いないのではないかと私は思っているんですね。物価高騰に伴う賃上げの時流にあって、時給は上がったが、A型事業所の経営をより圧迫している影響もあると考えています。
当然、この度の報酬改定における国の目的意識は理解できる部分はあるんですが、厳格化によって厚労省の想定外の事態に陥っているのではないか、私はそう思っておるんですが、こういう形でA型事業所が閉鎖をしていく、そして障害者が解雇されていくという現状を、福岡大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 就労継続支援A型につきましては、障害者の方々が自立した生活を営めるよう、雇用による就労機会を提供し、能力向上のために必要な訓練等を行うものでございまして、こうした支援を安定的に提供する観点から、平成二十九年以降、指定基準において、生産活動収支が賃金総額を上回るように求めてきたところです。
そうした中、近年、営利企業を中心に参入が進み、事業所数は増えてございましたが、一方で、この基準を満たさない事業所もかなり多く見られてきたところです。そのため、先ほど来御指摘ありましたように、令和六年度報酬改定において、就労継続支援A型事業所の質の確保、向上を図るため、従来より指定基準において求めていた要件を報酬上厳格化し、生産活動収支が賃金総額を上回った場合を高く評価するとともに、下回った場合に厳しくする等の見直しを行わせていただきました。
その結果、生産活動収支が賃金総額を下回った事業所の中には、報酬による収入が減少し、事業所閉鎖を選択する事業所もあられたものというふうに考えております。
なお、今般のA型事業所の廃止等により離職を余儀なくされた方については、先ほど答弁申し上げましたとおり、ハローワークと地方自治体が連携してきめ細かな再就職支援に取り組んでございまして、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと考えています。
○新垣分科員 B型事業所の作業対価である工賃は二〇二二年度の平均月額で一万七千三十一円、時給が二百四十三円です。A型事業所は、まあ七万から八万もらっていたんですが、B型事業所に移行した場合、そこで働く利用者の皆さんはとても食べていけないんだ、そういう悲痛な声を聞いているわけですね。結果として、生活保護受給者が増えていくというような悪循環があると思っています。
障害者の社会参加において、自立に向けたステップとして、就労継続支援A型事業所が果たす役割は私はとても大きいものがあると思っております。私は、障害者福祉サービス等報酬改定を見直して、たとえ生産活動収支がマイナスでも、生産性が六割程度確保できていれば減点対象にはしないといった弾力的な運用が必要だと考えているんです。
先ほど大臣がおっしゃったとおり、二十九年度から、基準を満たさなかったとか質の確保を目指すんだということで、結構厳格になされているんですが、特に沖縄では、中小零細というんですか、小さな事業者が多いんですよ。そうなると、せっかくそこに障害者の予算が入って何とかやっていけたということなんですが、報酬改定になったものですから、もうA型は運営できない、B型に移行ということになって、結構辞めていく方がいらっしゃる。
障害者の声を聞くと、障害を持っている方々は時間がかかるんだ、今まで生活保護を受けていたけれども、A型事業所で訓練をしながら時間をかけてやっていくと、やっと食べていけるようになった、ところが、また生活保護に戻る状況が出てくると。
国の方針は確かに理解できます。様々多くあって、なかなか基準を満たしていない、質の確保ができていないということはあるんですが、ただ、もう少し丁寧に調査をしていただいて、例えばハローワークで、自治体からそういうこと、就職活動をやるんだとおっしゃっていますが、なかなか現実は厳しいんですよね。
これは、都市部と地方とはまた違うはずなんですけれども、そういう意味では、もう一度、国の方針としては理解はできるんですが、なかなかそれに見合わないという事業者もある、結果的に障害者が置いてきぼりになるという現状がありますので、是非大臣、その辺はもう少しきめ細かな対策をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、私も佐賀県という大変地方の選出の議員でございます。そして私、議員になってもう十九年ぐらいになりますが、一番最初に審議をしたのが障害者の自立支援法、今の総合支援法でございました。そういう意味では、障害福祉を入口にして厚生労働行政を学んできたものでございまして、御指摘のA型、B型事業所を始め地元を中心に様々な現場をつぶさに見てきた、そういうものでございます。ですから、ある程度そこの状況については承知をしているつもりです。
今おっしゃいましたように、やはり、障害を持った方がその地域の中でしっかり仕事を見つけて働いていただける、そういう環境を今後も引き続きしっかり保っていくということは極めて重要だという認識は、委員と共通しているというふうに思っています。
先ほど来申し上げていますように、A型につきましては、障害福祉サービスとしての側面だけではなく、生産活動を行うという側面がございまして、安定的な経営、人材確保に向けては、生産活動に係る経営改善等の支援というのは大変必要だと思っています。
ですから、そういう意味では、先ほど申しました報酬上の見直しとは別に、令和六年度の補正予算では、就労継続支援A型等の経営改善に向けたノウハウの習得であったり、ICT機器等の導入により作業の効率化を行う事業等を予算上措置をさせていただいているところです。
引き続き、今般の改定後の状況をしっかり注視しながら、補正予算に盛り込んだ施策も含め、就労継続支援A型が安定して運営していけるように、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えています。
○新垣分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。
なかなか、事業所の皆さんが国の細かな政策がまだまだ理解されていない部分があるのではないかなというふうに思っておりますので、是非その辺は今後ともよろしくお願いしたいと思っております。
続いて、子育て支援センターと認定こども園の設置目的や役割の違いについてお伺いをしたいと思っております。
認定こども園の増設によって子育て支援センターの目的や役割は代替できるものなのか、一般論としてで結構ですので、厚労省とこども家庭庁の御見解をできたらお願いしたいと思います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から、子育て支援センター等のお話がございました。
国の制度といたしましては地域子育て支援拠点というふうに呼んでおりますけれども、こちらの方は、子育て中の親の孤独感、不安感の増大等に対応するため、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安、悩みを相談できる場を提供するということを目的とする事業でございます。
一方、認定こども園につきましては、就学前の子供に対し教育、保育を一体的に行う、それとともに、子育て相談や親子の集いの場の提供など地域における子育て支援を行うことを目的としている、そういう制度でございます。
○新垣分科員 ありがとうございます。
全国に支援センターは約八千か所近くある、拠点を国は一万か所まで増やす計画だというように進めているようですが、計画の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
地域子育て支援拠点事業、様々な形態のものがございますけれども、先生御指摘のとおり、一番直近のデータでは、令和五年度で八千十六か所というふうになっております。年間じりじりと増えているところでして、平成二十六年度に七千か所を超えて、そして五年度に初めて八千か所を超えたという形になっています。
一応、一万か所にしていくという目標がございますけれども、それは、自然体で今伸びていくのを更に支援をしながら待っているところでございます。
○新垣分科員 今説明があったように、子育て支援センターは、目的は今あったようなんですが、特に保育施設に通っていない乳幼児を持つ保護者の皆さんにとっては、子育ての孤立感や負担感の解消を図るために利用する場所ということですので、実はその中で情報交換もやったり、いろいろあるんですね。
ですから、心配なのは、支援センターが減少していく方向にあるのか、あるいは、今お答えがあったので、一万か所近く、増設していくということですから、是非その辺はこれからも継続して強化をしていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、保育士の処遇改善の関係で御質問をしたいと思います。
実は、認可保育園に入れる子と入れない子がいる。いわゆる待機児童が解消されない理由をどのように把握しているのか、こども家庭庁でよろしくお願いしたいと思います。
○友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。
全国の待機児童数は、ピークでありました平成二十九年四月一日の時点の二万六千八十一人から、令和六年四月一日時点で二千五百六十七人まで減少しておりますが、いまだ待機児童が多く発生している地域もございます。
議員の御地元でございます沖縄県につきましては、平成二十九年四月一日の時点の二千二百四十七人から、令和六年四月一日時点で三百五十六人まで減少はしておりますけれども、現在でも東京に次ぎ二番目に待機児童の多い県となっております。
待機児童が生じる理由につきましては、議員の御指摘の、以前に御指摘いただきました保育士の確保が困難であることですとか、あと、保育の受皿の不足、保護者の希望と受皿のマッチングが進まないことなど、地域によって様々であると考えております。このため、個々の事情に応じたきめ細やかな待機児童対策を進めることが重要であると考えております。
地域の現状や課題に基づく計画的な受皿の整備の促進や、保育士の働きやすい環境づくりや、離職者の再就職、職場復帰の支援等、保育人材の確保のための総合的な対策などを行うことで、引き続き、待機児童問題の解消に努めてまいります。
○新垣分科員 今説明があったように、確かにそうなんですね。沖縄は、施設はあるんですが、待たされている子供たちが結構いる。その要因は、保育士が足りないということなんですね。
これはもう以前から国会でもいろいろ質問が繰り返しされているようですが、依然として保育士がなかなか確保できない。根本的な問題を是非解消していただきたいなと思っております。
ですから、これは、じゃ、どうすればいいかというような話だろう、最終的にはそう思うんですが、実は、一歳児、二歳児は五十年、四歳児、五歳児は七十年以上変わっていないこと自体が問題だというふうに思っています。
実は、私の元に、今の基準、ゼロ歳児を三対一から二対一に変えてもらいたい、あるいは、一歳児を五対一から三対一、二歳児を六対一から五対一、三歳児を十五対一から十対一、四、五歳児が二十五対一から十五対一と、要請が非常に多く寄せられているんですが、確かに、それができるか、保育士がいれば可能だけれども、保育士が足りないんだよという現状があろうかと思うんですね。
そういう意味では、どうなんでしょうか、こども家庭庁として、配置基準の見直しというのは今考えられるのかどうなのか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
保育士の職員配置の改善につきましては、こども未来戦略に基づきまして、令和六年度より、四、五歳児の職員配置をまず三十対一から二十五対一へと改善する。長年、三十対一でございましたけれども、六年度より二十五対一に改善し、改善した施設に対して公定価格上の加算を設けた上で、最低基準も見直しております。
また、令和七年度の予算案では、保育の質の向上、あるいは職場環境、処遇改善を進めている施設を対象にいたしまして、職員配置を従前の六対一から、これも五対一へと改善した、その際の新たな加算を設けて促しているところでございます。まずは、こういった取組について円滑に施行できるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
その上で、今日もいただきましたけれども、国会での御審議あるいは国の審議会の方でも、真に必要な職員配置基準はどうあるべきなのか、科学的な検証をすべきだとか、あと、子供を取り巻く状況が変わっていく中で今の職員配置で十分なのか、エビデンスに基づいて確認すべきだ、こういった御意見をいただいているところでございます。現時点では、そのような配置基準に関する科学的検証の手法や必要となるエビデンスに関する知見が明確でないことから、まずはその点について情報を整理しようということで、調査研究を今年度から実施しているところでございます。
そのような調査研究による情報の整理を行いながら、今先生がおっしゃっていただいたような、まず保育士がそもそも足下でも確保が非常に課題がある、あるいは、もちろん必要となる財源の確保の課題もございます。こういった課題も踏まえながら、どのようなことができるのか、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。
○新垣分科員 やっとというか、動き出したなという感じは持っております。ただ、なかなか時間がかかったなと思っているんですが、でも、一歩、二歩踏み出したということは評価できるものだと私は思っております。
言うように、子供を見る数が多ければ、確かに事故等もなくて非常に安心してやれるんですが、そもそも保育士が足りないという中で、最終的にはどうして増やしていくかということだろうと思っているんです。設置基準が、本当に安心して子供を見る環境をつくっていくというのがとても重要だと思っているので、その見直しは、先ほど答弁があったんですが、是非随時検討していただきたいと思っております。
さらに、先ほど話が出たんですが、公定価格における保育士の人件費はどのようになっているのかということなんですが、公定価格における保育士の賃金水準を引き上げて、保育時間に見合った人員配置分の予算措置をすることが私は肝腎だ、肝要だと思っているんですね。今現在、それがどうなっているんだろうと。もちろん、公定価格の中には人件費プラス管理費とか運営費とかなっているんですが、令和七年度から結構引き上げていますよというお話は聞いているんですが、実態としてどうなっているのか、お聞かせください。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先生今おっしゃっていただいたように、公定価格については、教育、保育に通常要する経費ということで、その中には、人件費に加え、事業費、管理費といった費目を積み上げて積算をしているところでございます。その内訳につきましては、私立の保育所に対する委託費の適正な運用を図る観点から、来年度通知で、今年度における人件費の積算は幾らですよ、事業費は幾らですよ、管理費は幾らですよということもお示しをしているところでございます。
その上で、今どうなっているかというお話がございまして、これは毎年度いろいろ、人件費であれば、基本的には国家公務員の人事院勧告に基づいて毎年公務員の人件費が上がっていくので、一定のルールに基づいて、それを、保育所の保育士については幾らになるかというのを計算しまして、直近では、六年夏の人事院勧告に基づいて保育士の人件費相当分は一〇・七%上げる、それを六年度の補正予算に計上させていただきまして、この予算はもう通っておりますので、これから四月に遡って適用されることになりますし、同額を七年度の予算案の方にも盛り込んでいるところでございます。
その他の経費につきましても、物価に連動するものとか、いろいろルールがございまして、それぞれ積算を積み上げて毎年度の予算を作っておるところでございます。
○新垣分科員 確かに、令和七年度から一〇・七%ですか、上げるということですが、実は、例えば小さな保育所ですね、大手の保育所はそれでいいんですが、公定価格が実際、人件費に回っているのかどうなのか。意外と運営費に回されているという部分があるんですよとか、これはやはり経営が苦しいからどうしてもそうならざるを得ないということを聞いているんですが、例えば、公定価格の中で人件費が何%、管理、運営費が何%、こういう分け方が今できているんですか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたように、公定価格の中の構成要素であります人件費、事業費、管理費につきましては、私立保育所に対する委託費の適正な運用を図る観点から、毎年度、今年は人件費分が幾ら、事業費分は幾ら、それから管理費分は幾らということを通知でお示しをしているところでございます。
○新垣分科員 通知で示しているとおっしゃっているんですが、では、これは通知どおり、しっかり、人件費分あるいは運営費分はこれだけだというようなことが明確に報告が来るんですか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
国の予算案を作った際の積算の考え方として、人件費分は幾ら、事業費分は幾ら、管理費分は幾らということは先ほど申し上げたようにお示しをしているところですけれども、その上で、個別の、個々の保育所におきましては、様々な御事情、例えば光熱費が余分にかかるとか、いろいろあると思いますので、施設の安定的、効率的な事業運営を図る観点から、一定の範囲で弾力的な運用を可能とする、こういう取扱いとはしております。
その上で、例えば、先ほど申し上げたような、今年度であれば、昨年の夏であれば、人事院勧告を踏まえて一〇・七%公定価格を上げますと、これは全部人件費に充てていただく必要がありますので、その全額を確実に賃金の改善に充てることを事業者に要請するとともに、結果についても報告を求めているところでございます。
○新垣分科員 それだけ上がっているわけですから、保育士の人件費にしっかり回って、実感として給料が上がったなというイメージになると、保育士になりたいとか継続してやっていきたいというような思いが湧いてくるはずですから、是非よろしくお願いしたいと思います。
そして、中には運営費も上げてくれよというようなこともちらほら聞こえますので、その辺の実態もまた、保育の現場をしっかり把握をしていただきたいと思っています。
もう一点は、保育士の負担軽減につながるんですが、看護師の配置加算、これはどうなっているのかなと思っているんですね。実は、置いているところも置いていないところもあるということなので、できたら看護師を置く必要性が私はあると思うんですね。というのは、アレルギー、いろいろ食品で課題があるということなものですから、是非その辺の検討をできないものかどうなのか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、保育所等において、アレルギー対応等を個々の子供の状況に合わせてしっかり行うということはとても大事なことだというふうに思っております。
現行の取扱いでございますけれども、まず、保育所の配置基準上、看護師の配置は義務づけられてはおりませんけれども、当分の間の措置といたしまして、看護師等を一人に限り配置基準上における保育士とみなす、だから、保育士の代わりに看護師を置くということは可能だという取扱いにしております。
また、アレルギー対応という意味では、看護師ではないのですが、平成二十七年度より、栄養士が食事の献立やアレルギー等に対する継続的な指導を行う、そういう施設に対しまして、栄養管理加算として費用の支援を行っていたり、令和二年度からは、栄養士を配置している場合の加算額を拡充したところでありまして、引き続き、安定財源の確保と併せて施策の充実を図ってまいりたいと思っております。
また、特に医療的な配慮が必要となる医療的ケア児につきましては、安心して保育所での生活が送れるように、看護師等の配置を含む受入れ体制の整備を行っておりまして、医療的ケア児保育支援事業におきまして、看護師配置に係る経費を補助しているところでございます。
引き続き、保育所における看護師の配置について体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○新垣分科員 看護師の配置義務はないということなんですが、看護師が保育も代用できるということですが、なかなか難しいと思うんですよ、現場では。やはり保育が忙しいので、それと看護の仕事もという話になると、かなり負担が大きいということなんです。
看護師の人材不足もあろうかと思うんですが、将来的に、是非、看護師配置を必要だということで決めていただければ、保育所も非常に安心して運営ができるのかと。まだハードルは高いと思うんですが、是非、今後その辺の検討をしていただきたいと思っております。
保育士の数が少ないというのは私も承知をしているんですが、根本的に、潜在的保育士、これは保育士登録者ですね、全国で百八十万人ですか、いて、七十万ぐらいしか実際は従事していないということなんですが、この潜在的保育士をどう活用していくかということが私は大きな課題なのかなと思っているんです。
例えば、市町村で人材バンク的に登録していただいて、各保育所が人材が必要だという場合に、市町村の行政機関にお願いして、連絡を取りながらそこへ派遣していくというのができないかなと。これはやっているのかどうか分かりませんが、もしそういうのができたら、私は非常に有効的じゃないかなと思うんですね。そうすると、市町村との連携もできますし。
その辺を少し、将来的にというか、やっているんだったらやっているでいいんですが、まだやっていないというんだったら、今後それは検討可能なのかどうなのか。よろしくお願いします。
○深澤主査 質疑時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先生がおっしゃっている市町村単位ではないんですけれども、保育士の確保を少し広域的にやる必要があるということで、都道府県、指定都市、中核市における仕組みとして、保育士・保育所支援センターという事業をやっておりまして、そこでは、潜在保育士さん、まず、お辞めになるときに登録をしていただいたり、それから、そろそろ子育てとかが一段落して復帰ができるようになっているタイミングなんかでお声がけをしたり、いろいろな短時間勤務とかのニーズをお聞きしたり、ちょっと間が空いて、ブランクが空いて不安だという方には研修をしていただいたり、そういう形で、一回お辞めになった保育士さんをまた保育の現場に戻っていただけるような取組をする事業をやっております。
引き続き、そういった事業を活用いたしまして、先生がおっしゃっていたようなことをしっかりやってまいりたいと思います。
○新垣分科員 是非広げていただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
○深澤主査 これにて新垣邦男君の質疑は終了いたしました。
次に、梅村聡君。
○梅村分科員 日本維新の会の梅村聡です。
今日は、二月十八日の質問に引き続いて、同じテーマをもう少し具体的に掘り下げていきたいなというふうに思っております。
二月十八日に私は何の質問をしたかというと、今日も資料にお配りをしておりますけれども、高齢者施設への入所者紹介ビジネス、これはすなわち、高齢者の方を老人ホームに入所させるときに、値段がつけられて、手数料が老人ホームから払われて入所が行われている。当たり前かなと思う方もおられるかもしれませんし、私はそこで問題点を二つ指摘いたしました。
一つは、医療必要度の高い人ほど高い手数料が設定されている、要介護度が高い人ほど高い手数料が設定をされている。何でこんなことが起きるかというと、老人ホーム側に訪問看護や訪問介護のサービスがついていて、たくさん稼げる方にはたくさんの手数料を払う。これは非常に不適切ではないかということで、大臣も御答弁の中で、これは、都道府県知事、自治体に、やっちゃいけない、こういう通知を出しました、こういう御答弁だったと思います。
そしてもう一点は、値段が高い手数料を払った老人ホームに高齢者の方が誘導されていく。これは、高齢者の方にとっては、本当にその人にとっていい老人ホームかどうか分からないけれども、手数料が高いところに誘導されていく。これは地域包括ケアの中で非常に問題ではないかという質問をしましたら、大臣の方から、これも通知の中で、高額の手数料と引換えに入所が優先されることがあってはならない、こういう御答弁がありましたけれども、私は、今日はもう一歩進めて、やはりこれに対してきちんと法規制をしていくべきではないか、こういうことを申し上げたいなと思っております。
まず大臣に一問目は、この二月十八日の質問以降、朝日新聞もそしてフジテレビも相次いでこのことを取り上げて報道されておりますけれども、まず、大臣は、御地元の政治活動、そういった中で、こういった問題点というのを今まで見聞きされたり、あるいは陳情を受けられたことがあるのかどうか、これが一点目でございます。そしてもう一つは、こうした報道がなぜ頻繁にされるようになったとお考えか、まずこの辺の所感をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、先日、二月十八日、委員から子細に事例の御紹介をいただいて、委員会室でも、ああ、そういうことがあるんだと驚きの声が上がったのを記憶してございますし、また、委員の御質問をいただいて以降、不適切な手数料設定を行う有料老人ホーム等の紹介事業者の課題について指摘する様々な報道がありまして、今のこの新聞の記事もそうでございますが、そういったことを受けまして不安に感じていらっしゃる方もいらっしゃるというふうに感じています。
私の地元の話でありましたが、私の地元においてそういうことがあるということは今まで承ったことはありませんでした。そういう意味でいうと、委員が元々、質問の前提となる新聞記事が出たことを受けて、そういう事例があるということを把握したということでございます。
この間のときも申し上げさせていただきましたが、そういった事例を受けまして、関係団体においても紹介事業者の行動指針を見直すとともに、国においては有料老人ホームの指導指針を見直したところでございまして、まずこの取組がしっかり適切に運用されることが重要だというふうに考えております。
また、運営の透明性に疑念が持たれることがないよう、関係団体や自治体と連携し、利用者や有料老人ホーム等からの声を含め、情報収集や課題の把握に努めるとともに、紹介事業の健全な運用や有料老人ホームへの指導徹底を図ってまいりたいと考えています。
○梅村分科員 私は地元が大阪なものでして、非常に高齢者施設が多い地域なので、逆に、私はしょっちゅうこのことを陳情を受けるんです。
それで、今おっしゃったように、しっかり指導していくということなんですが、これまで厚生労働省も、私は様々な手数料ビジネスということをずっと指摘をしてまいりました。
例えば、二〇一三年には、当時、老人ホームに往診、訪問診療に行くクリニックが、診察をさせてほしかったら老人ホームに売上げの、診療報酬の二割を払わないと診察させないよ、全国でそういうことが広がっていまして、私は、おかしいじゃないか、これは患者さんをお金で買っているのと一緒ですよねと言っていましたら、当初、厚生労働省は、民民の契約だから、そこに厚労省が口を出すことはできないという、これが最初の答弁というか答えだったんですけれども、これは明らかに経済誘導で患者さんを買っているじゃないかということで、実はこれは禁止されました。
それから、人材紹介も、昔は、看護師さんが病院に就職して半年ぐらいたったら、半年たったら違約金が要らないですからそろそろ転職されたらどうですか、こうやって紹介会社から退職のお勧めが来て、そこで退職をして別のところに転職したら、お祝い金がもらえるとかディズニーランドにただで連れていってもらえるとか、そういうことが実際あって、これもおかしいじゃないかということで、職業安定法の中で禁止をされてきた。
だから、手数料ビジネスというのは、最初、ぱっと聞いたときは、それは民間のやっていることだから手出しできないじゃないかと、一瞬、お答えになるんですけれども、よくよく考えると、その原資はやはり社会保険料や、あるいは介護保険料なわけですね。
だから、一定こういうものをきちっと規制をしないといけないと私は思っているんですけれども、今申し上げたように、診療報酬や介護報酬を原資にしている、例えば、病院、介護施設、クリニック、あるいは福祉、そういったところから、この手数料というものが非常に経営を圧迫している、こういう声は大臣には届いているでしょうか。
○福岡国務大臣 先ほど申し上げました、有料老人ホームの同事例については地元で聞いたことはございませんでしたが、今も足下で、医療にしても、介護、そして障害福祉、あらゆる分野で人材が不足していて、そこを何とか人手を賄うために、こういった手数料を元にということをやっていらっしゃる。その問題点についての指摘というのは、かねてから私の地元でもたくさんお声をいただいてまいりましたし、私も、党の方でもそういったことの議論を行う議連がございまして、私もそのメンバーとなりまして議論し、党としての取りまとめをしてきたような経験がございますので、同じような問題意識というのは持っているところでございます。
医療機関だったり介護施設におきましては、主に診療報酬や介護報酬により収入が賄われている中で、御指摘の人材確保に係る費用を含め、具体的な支出は個々の施設等の判断によって行われることになるものでございますが、やはり政府としてもその状況を注視する必要があるというのは認識をしてございます。
その上で、例えば、人材紹介の手数料につきましては、医療については、令和五年医療経済実態調査によりますと、医療機関の費用に占める紹介手数料の割合は約〇・一%程度で推移してございまして、その金額は令和三年度から四年度にかけて約二〇%伸びてございます。また、介護につきましては、令和五年度介護事業経営実態調査によりますと、人材紹介手数料の収入に対する割合は、サービスごとに異なりますが、例えば介護老人福祉施設では〇・五%となってございます。
こうした中、厚生労働省では、医療機関であったり介護施設が紹介事業者を選択する際に、法令遵守やサービスの質のほか、定着状況等の事業実績を見て利用者本位で選ぶことができるように、適正な紹介事業者の認定制度の実施であったり、個々の紹介事業者における就職実績や離職者数の公表を進めるなど、適正な事業運営の確保と事業の見える化を進めてございます。
こうした取組を着実に実施しながら、併せて、医療、介護等それぞれの分野において処遇改善、賃上げ等の人材確保に向けた取組を進め、人材確保が適切に進むよう取り組んでまいりたいと考えています。
○梅村分科員 今、〇・五%という数字が出ましたけれども、どこも利益率が一%いくかどうかの、そんな状況ですよ。そこで人材紹介料だけで〇・五%というと、私は、たった〇・五%じゃなくて、それだけあるのかと。しかも、患者さんを今度は入れるために、また手数料を払っているわけですよね。そうすると、ほぼそういった利益率が吹っ飛ぶぐらいの手数料が、もはやあちこちで広まってきている。
私、この質問をした後、地元で、皆さん、どんな感想があるかというと、そもそも、賃貸マンションとかに入るときの手数料、これは例えば、入居者から〇・五か月、家主から〇・五か月、片一方から取るなら一か月、上限があるでしょう、これは高齢者の方を紹介するわけですから、宅建業法でちゃんと取り締まるべきじゃないですかというお声が、やはりすごく感想としては多かったわけなんです。
二枚目の資料を見ていただけたらと思うんですけれども、実は、これは二〇一七年に経済産業省から、いわゆる私が今申し上げました高齢者施設への入居紹介ビジネス、これは宅建業法の範囲内ですか、スコープに入っているんですかということに対して、宅建業法では扱いません、こういうお答えがプレスリリースされているんですけれども、これはどういう考えで宅建業法を外れているのか、ちょっとそこの理屈について教えていただきたいと思います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のプレスリリースは、老人ホームの入居検討者に対して老人ホーム情報を提供する事業活動を実施しようとする事業者から、産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度を通じて、当該事業が宅地建物取引業に該当するか否かについて照会があり、それに対して経済産業省及び国土交通省より回答を行った際に公表されたものになります。
結論といたしましては、この照会者の行為は宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業には該当しない旨を回答しております。
その根拠ですが、この照会者が実施しようとする事業活動におきましては、物件の説明は老人ホームの運営事業者が行うこと、また、入居条件の交渉及び調整の行為は老人ホームの運営事業者と入居検討者との間で行い、照会者は関与しないこと、こうしたことを踏まえまして、照会者において宅地又は建物の貸借の媒介等を行うものではないと判断したためでございます。
○梅村分科員 ですから、代理者ではなくて、老人ホーム側と入居者が直接交渉するのを紹介するだけだから、これはそれに当たらないんだ、宅建業法の対象には当てはまらないんだ、そういう御答弁だったと思いますが、結果としては、それによって手数料の上限に歯止めがかからない、どんな設定をされても誰も手を出せない。それで、やっと厚労大臣がこれはえらいことだということで老健局長の名前で通知を出したわけですけれども、だけれども、現実にはもう止めるものが何もない状態になってきているわけです。
経産省のこのリリースの中には、こういうことも書いてあります。これにより、これというのは、宅建業法の対象ではないよと。これにより、老人ホームの情報提供ビジネスに対する宅地建物取引業法の適用範囲が明確化され、新たなサービスの創出及び拡大につながることが期待されますと。
これは、経産省、どういうサービスが創出されたり拡大することが期待されたのか、教えていただきたいと思います。
○江澤政府参考人 お答えします。
御指摘のプレスリリースは、グレーゾーン解消制度に基づく照会への回答として、老人ホームへの入居を検討している高齢者に対し、提携事業者が運営する老人ホームの情報を提供し、成約時に当該事業者から紹介手数料を収受するサービスを検討している照会者に対しまして、当該サービスは宅地建物取引業には該当しないことを明確化したものでございます。
御質問の、どのようなサービスの創出及び拡大を期待していたのかという点につきましては、前述の、今のプレスリリースの回答により、老人ホームを検討する高齢者やその家族が様々な選択肢の中からより自身に合った高齢者向け住まいを探すことに資する、そのような老人ホーム情報提供サービスが創出されることを期待したものでございます。
○梅村分科員 そして今、利用者とか御家族がよりよいものを選べるようになるという御説明がありましたけれども、実は、今回のポイントは、高齢者、利用者は手数料を払っていないわけです。にもかかわらず、新たなサービスの創出及び拡大につながると。見事に花開いたわけですよ。診療報酬や介護報酬を満額稼ぐことによって手数料をお支払いして、見事にサービスは完成をしました。
だけれども、国の立場から見て、診療報酬、介護報酬は国民の社会保険料、税金ですよ。それを使って見事な新しいサービスが創出、拡大することを、さあ、どう考えるんですかという、ここが私は一番問題だと思っています。
国交省さんにもう一つお聞きしますけれども、現在の宅建業法による、例えば賃貸物件の場合、借主と貸主のそれぞれから受け取れる手数料の上限は賃料の〇・五か月分以内と定められておりまして、ただし、依頼者の承諾があれば、どちらかから、片一方から一か月以内までの手数料を受け取ることが可能だ、こういうルールになっておりますけれども、この〇・五か月、一か月の、この数字の根拠をちょっと御説明いただきたいと思います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者から受け取ることのできる報酬、いわゆる仲介手数料の額につきましては、消費者保護及び取引の公正の確保を目的としまして、宅地建物取引業法第四十六条及びそれに基づく告示に基づき、上限が定められております。
この告示におきましては、委員御指摘のとおり、宅地又は建物の貸借の媒介に関して借主と貸主から受け取ることができる報酬の合計額の上限は、消費税相当額を除きますが、賃料の一か月分であること、この場合、居住用建物につきましては、借主と貸主のそれぞれから受け取ることができる報酬額の上限は賃料の〇・五か月分であること、ただし、借主又は貸主の承諾を得ている場合にはこの限りではないこと等が定められております。
○梅村分科員 今のキーワードは、一つは消費者の保護である、それからもう一つは、公正中立をきちんと担保するためにこの上限規制を設けている、こういう御答弁だったと思います。
そうしますと、もう一度、高齢者施設への入居者紹介ビジネスに戻ってきますけれども、こっちの方は、現時点では、宅建業法と違って、免許制度は何もありません。それから、公平公正をきちんと規制する、そういった規制も何もありません。そしてまた、入居者と紹介業者に対して公正中立を担保する根拠法も、現時点では何もありません。でも、大臣は、とにかく指導はしたから、これで何とかうまくいくんじゃないかということを言われておりますけれども、宅建業法と比べるのが適切かどうか分かりませんけれども、少なくとも、きちんと公正中立を担保するためのやはり法規制というものは私は必要なんじゃないかという問題意識があるんですが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。
○福岡国務大臣 まず、先日の委員会でのやり取りでも、委員とその問題意識については共有させていただいているということは申し上げてきたとおりでございます。そして、もう重ねては申しませんが、昨年末来、様々な対策を講じてきています。ただ、それでは不十分じゃないかという御指摘だったというふうに思います。
この事案につきましては、有料老人ホームで、同一や関連法人の介護や看護の事業者が、ホームと一体的にサービスを提供する事業者において起きた事案でございまして、今般のような事案の背景には、紹介事業者による介護サービスの選択に関する不当な関与であったり、また、訪問介護などの介護サービスや、診療報酬の訪問看護の不適切な提供、また、医療機関の医療ソーシャルワーカーによる不適切な関与といった複合的な課題があった、これは委員も御指摘いただいたとおりですが、複合的な課題があったというふうに疑われておりまして、一つ一つの要因について丁寧な対応が必要だというふうに考えています。
その上で、紹介事業者の透明性が確保されることが重要であると考えておりまして、関係者の意見もしっかり聞きながら、更なる対応の在り方については検討していきたいと考えています。
○梅村分科員 大臣もこの課題を十分に、十二分に理解していただいていると思うので、これ以上大臣を問い詰めるわけじゃないんですけれども、いろいろな現状を知っていただきたいということで、御紹介をさせていただきたいと思います。
実は、十八日の委員会の中で、実際、じゃ、紹介する高齢者を、退院する病院側からどのように紹介業者さんが集めているかということで、新聞の記事を紹介させていただきました。MSWの皆さんにはちょっと申し訳ない質問になったかなと思うんですけれども、例えば、紹介業者さんから接待を受けたり、金銭をもらったり、あるいは高級メロンをもらったり、そういう中で、高齢者の方をMSWの方が、一部の方だと思いますけれども、紹介業者さんに紹介しているというか横流ししているというか、そういうことを質問させていただきました。
その結果、本当に申し訳ないなと思うんですけれども、日本医療ソーシャルワーカー協会さんが、こういった新聞報道を目の当たりにして、会員にアンケートを今取っておられるんですね。接待を受けたことがないかとか、紹介業者さんとのつき合いがどうかということでアンケートを取っておられるんですけれども、実は、接待とか高級メロンが問題ではないんです。
患者さんの家族からすると、これから病院を退院するよといったときに、病院でMSWの方に相談をします。そうしたら、その方の脇にとても仲のよさそうな方がおられて、この方が紹介業者さんなんですよ。仲よくされているから病院の職員の方かなと思って、安心して紹介を頼んでいたら、後になって、いや、この方は病院とは関係のない紹介会社の人ですと。病院は本当にそのことを知っているのか、これもよく分からないわけですね。
そして、何よりも、さっき法規制がないことの問題点を私は申し上げましたけれども、病院へ退院だよといったときには、この紹介会社の方は、患者さんの氏名、病名、年齢、家族構成、何だったら、どれぐらいお金が、支払い能力があるかまで、もう全部知っておられるわけですよ。病院が決裁して、こういう紹介会社を使いましょうと病院がきちっとやってその紹介会社さんが来ているんだったら、それはまあ百歩譲っていいかもしれません。でも、何の免許もない、何の法規制もない方がそういった機微情報を退院する時点で知っている、これが問題なわけですよ。
じゃ、その個人情報が、免許制度もなかったら、どこにどう流れて何に使われても文句を言えないわけですよね。ですから、この間申し上げたように、大変MSWの協会の方には申し訳ない質問になりましたけれども、実は、接待やメロンが問題なのではなくて、こういった免許制度あるいは法規制を入れておかないと歯止めが利かないんじゃないですかと。
病院とMSWと患者、家族、そして紹介会社との間のルール、ここについてはどう考えておられるのか、教えていただきたいと思います。
○福岡国務大臣 委員が今御指摘いただいたように、やはり本来、住みたい場所というところに住んでいただくというのが大切なわけですが、医療ソーシャルワーカーさんとかが介在されて、本来は別の選択肢があるかもしれないのに、そうじゃないところに患者さんが、こっちがいいよということで行くことによるいろいろな患者さん自身の損失、そういったものについての問題意識についてはこの間の委員会でも御指摘いただいたところでございます。
病院などが患者さんの退院支援を行うに当たりましては、医療法において、患者さんが適切な環境の下で療養を継続することができるようにすることが求められておりまして、医療ソーシャルワーカーについても、医療ソーシャルワーカー業務指針におきまして、患者さんの多様なニーズを把握した上で、退院後の利用可能な地域社会資源の選定を援助することとされています。
御指摘がございましたように、医療機関における患者さんの個人情報の取扱いにつきましては、原則として、本人の同意を取ることなく、個人データを第三者に提供してはならないとされておりまして、医療ソーシャルワーカーが患者御本人の御同意を得ることなく紹介業者に個人データを伝えることは、これは適切ではございませんで、業務指針においても患者さんのプライバシーの保護等が記載されております。医療法におきましては、病院の管理者は、このような患者さんの退院支援や個人情報の取扱いも含めて、医療ソーシャルワーカーなどの従業員を監督することが規定されております。
こうした法令上の取扱いや業務指針を周知しまして、適切な運用を図るとともに、その状況であったり関係者の御意見も踏まえながら、今御指摘がありましたように、更なる対応の必要性については検討してまいりたいと考えています。
○梅村分科員 是非急いで検討していただきたいなと思います。
というのは、今おっしゃった医療法というのは、結局、紹介会社さんまでは含んでいないわけですよね。MSWさんの業務指針も、これも外部の紹介会社さんを規制するものではないわけです。そして何よりも、病院が組織としてこの紹介会社を使うと決めているかどうかもよく分からないわけですよ。個人的つながりでやっていると。
ですから、今おっしゃった業務指針や医療法は分かりましたけれども、このトータルの関係性について、ルールというものをやはりきちっと厚労省から指示を出していただきたい、私はそのように思っております。
ちょっと、時間、最後になりましたけれども、私としては、今この状態のままで通知や指導をしていても、私はもはやどんどん現状は先に行っていると思います。
前回の福岡大臣の御答弁の中でも、こういった取組を進めていきながら、その状況や関係者の意見を踏まえながら、更なる対応の必要性については検討してまいりたい、こういう御答弁でしたけれども、様子を見るのではなくて、もうそろそろ、いろいろな関係者の方から、現状、これを意見聴取をしていただいて、実際に検討まで進んでいただきたい、このように私は思いますが、大臣からのお答えをお願いしたいと思います。
○福岡国務大臣 ちょっと重ねてで恐縮ですが、今般の事案の背景には、紹介事業者による介護サービスの選択に関する不当な関与であったり、訪問介護などの介護サービスや、診療報酬の訪問看護の不適切な提供、医療機関や医療ソーシャルワーカーによる不適切な関与といった、大変複合的な課題があったことでございまして、その一つ一つに丁寧な対応を行うことが必要ということでございます。ですから、様子を見るわけではございませんが、いろいろな要因がある、その一つ一つについてしっかり丁寧に対応していくことが必要だという趣旨で申し上げてきたところでございます。
紹介事業者の本来の役割は、高齢者の方やその家族に多様な選択肢を提供し、本人が希望する住まいに結びつける機能を担うことでございまして、紹介事業者の運営に当たっては、透明性の確保が重要であることは言うまでもありません。
複合的な側面を踏まえまして、重ねてで恐縮ですが、幅広い関係者の意見を丁寧にお聞きしながら、有料老人ホームにおける住まい、介護サービスの質や透明性の確保に向けた対応と併せて、検討をしっかり進めてまいりたいと思います。
○梅村分科員 過去の手数料ビジネスのときの答弁もちょうど同じような感じでした。だから、よかったと思います。ということは、進んでいくんだなというふうに私は前向きに解釈したいと思います。
複雑だから一個一個丁寧にやっていくという御答弁がありましたけれども、これはトータルで見ていかないと分からない面もあります。お金がどう流れているのか、税金や保険料がどのように流れていっているのか、ここに是非着目をしていただいて、ただでさえ、今、国民が、皆さんが、社会保険料をやはり何とかして下げてほしいという中で、満額使っていったら手数料に見合うだけのお金が払えるだろう、そういうモチベーションが湧いてしまうということは本末転倒ですから。
ですから、社会保険料、国民は今苦しんでいますので、是非このことは、そんなに時間をかけずに、前向きに、スピーディーに取り組んでいただきたいということ、これを私から申し上げまして、今日の私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○深澤主査 これにて梅村聡君の質疑は終了いたしました。
次に、小池正昭君。
○小池分科員 千葉十区、小池正昭でございます。昨年十月、初当選をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
今日のこの分科会では、福岡大臣への質問の答弁は求めておりませんので、何かとお忙しいと思いますので、もしよろしければ御退席いただいて結構でございます。
○深澤主査 では、御退席いただいても結構です。
それでは、質問をどうぞ。
○小池分科員 それでは、まず、私からは、現在、訪日外国人が順調な伸びを見せているわけでありますが、その水際対策について伺いたいと思います。
振り返りますと、新型コロナウイルス感染症が我が国で確認されたのが二〇二〇年一月でありますので、五年が経過いたしました。いわゆるコロナ禍、三年もの長きにわたり続いたわけでありますが、二〇二三年、令和五年五月の八日、感染法上の分類がいよいよ五類に変更されまして、日常生活を取り戻してきたわけでありますが、しかしながら、いまだにコロナ禍前の状況に完全に戻っているというわけではありません。また、逆に、新たな生活様式、あるいは社会経済、就業環境にも大きな変化がもたらされたところであります。
人類を脅かすほどの歴史的なパンデミックであったわけでありますが、世界における感染症の過去の歴史を見ますと、今後もその脅威に対する備えを講じていかなければなりません。また、継続的にコロナ禍の経験をこれからどう生かしていくかということ、この視点を忘れてはならないというふうに思います。
そして、公衆衛生の向上と増進というのは国の重要な責務であるという視点に立って、今後の感染症対策をしっかりと講じていくことを強く求めておきたいと思います。
この分科会でお時間をいただきましたので、感染症対策という視点で、空港であるとか港における水際対策について具体的に伺いたいと思います。
政府は、二〇三〇年の訪日外国人客六千万人を目指しているわけでありますが、先日、政府観光局が発表した二〇二四年の訪日外国人数、推計値で前年比四七・一%増、これは具体的な数字でいきますと、三千六百八十六万九千九百人ということですね。コロナ禍前を超えました。過去最高ということであります。
これは、経済的視点では非常に歓迎すべきところではあるんですけれども、一方で、同時に、水際対策の重要性がますます高まっているということも言えると思います。
訪日外国人客と併せまして、現在ではコロナ禍前の水準には至っていませんが、今後、日本人の出入国も、徐々にではありますが、増加していくということも予想されますので、その多くが利用をするところ、これが空港ということになります。その空港における水際対策、言うまでもなく重要なわけでありますが、平時からその対応に万全を期すということ、これは当然ですが、同時に、いざというときに適切な対応が求められることは言うまでもありません。
そして、この水際対策に、重要な任務に当たっていただいているのが全国の検疫所、これは、本所、支所、出張所、合わせて全国に百十一あるというふうに聞いております。そして、そこで従事していただいている検疫官の方々ですが、今後、主要な国際空港はもちろんですが、インバウンドが増えていくということで、実は、主要な国際空港以外の地方の空港においても需要が増加するというふうに予想されますので、必要な人材をしっかりと確保していくということ、知識と経験が求められる検疫官について、その育成も含めて力を入れていかなければなりません。
そこで、検疫官の充足状況と最近の採用状況について、どのような状況であるのか、まずお答えいただければと思います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
国内に常在しない感染症の国内侵入を水際で防止することは、先生が御指摘のとおり、極めて重要でございますので、検疫所におきましては、入国者に対して、サーモグラフィーによる発熱の有無の確認、体調に異常のある方に対する問診や検査などの対応を実施しているところでございます。
また、令和六年七月には、新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえて、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の抜本的な見直しを行ったところでございまして、検疫所におきましても、将来のパンデミックに備えて、検疫法に基づく隔離、停留等に必要となる医療機関や宿泊施設との協定の締結、関係機関との訓練の実施など、水際対策の強化を進めているところでございます。
そして、こうした業務を的確に実施するために、検疫所の人員配置につきましては、例えば、令和七年度までに、令和元年比で申し上げますと、三百人超の定員増を実現するなど、必要となる人員体制の確保を進めてきたところでございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
三百人超、定員増ということで、しっかりと対応していただいているということであります。
各地の検疫所では、空港や港湾における衛生業務と併せて、食品衛生法に基づく輸入食品等の監視指導業務、あるいは試験検査とか、あるいは輸入動物の届出審査とか、重要な業務が行われているというふうに認識しているわけなんですが、何といっても、やはり知識と経験、こういったものを兼ね備えた検疫官の確保が重要であるというふうに思います。
しかしながら、現在、あらゆる産業で人材が不足しているというような状況でありますので、これは、官民問わずの人材獲得合戦というか、そういったものが繰り広げられていますので、是非、水際対策の重要性から、安定的にこの業務が継続できるように、人材の確保、そしてまた育成、この取組をお願いをしておきたいと思います。
一時、コロナ禍が明けて、空港の検疫だけではないんですが、例えば、入国管理であるとか、税関であるとか、こういった人材が非常に足りないということで、空港の業務がなかなか前に進まないということもありましたので、是非、そういったことのないように、これからもお願いをしたいなと思います。
それから、いざとなったときに、感染法上の分類でいろいろありますが、隔離する病床の確保とか、こういったことを主要なところでは行っていただいているというのは認識はしているんですが、非常に、世界の中での感染症がまた予測がつかない部分もありますので、そういったところ、各医療機関とも日常のところから連携をしておくこと、必要だと思いますので、よろしくお願いします。
事前にお聞きしたところ、先ほどありましたけれども、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて様々対応していただいているということなんですが、パンデミックによりまして、一時的には、やはりコロナ禍もそうでしたが、圧倒的に人員不足に実は陥ったという経験があるんですよね。その際は、民間の企業に協力を仰いだという経験も当然にあるわけです。
そういった意味で、平時から、いざとなったときに、例えば空港という特殊性があるところでは、どういったところと協力体制を構築しておくのかということ、これは、日頃から是非とも、訓練も含めて意思疎通を図っておいていただくことは重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、行政とか民間でも、今、DXがどんどん進んでいるんですが、同時に、あらゆる分野でのAIの活用というのも進んでくるというふうに予測されます。
検疫業務で、どの程度そういったものが活用できるのかというのは、具体的に今私から提案することはちょっとなかなか難しいですが、きっと、この新技術の活用、世界的にもそうだと思いますけれども、どんどんとあらゆる分野で進んでいきますので、検疫官の負担を軽減する、あるいはその業務を補完するようなことにもなろうかと思いますので、効率化を図るなども進める必要があると思いますので、検討をよろしくお願いをしておきたいと思います。
この件は、特別、これ以上はありませんので、次に移りたいと思います。
次ですが、福祉サービスの提供者として重要な役割を担っていただいている社会福祉法人の運営について伺っていきたいと思います。この件は、様々、ほかの議員からも指摘をされている部分が、重複する部分があろうかと思いますが、私からもお伺いをしておきたいと思います。
昨今、非常に経営が厳しいという社会福祉法人が増えているということを耳にしています。社会福祉法人は、歴史的に見れば、福祉サービスの主要な提供者として、一九五一年、昭和二十六年の制度化以来、我が国の社会福祉の向上に大変な貢献をしてきたという法人であります。
近年では、二〇〇〇年の介護保険法、介護保険の導入が大きな転機となりますが、それ以後も、この社会福祉法人で、一部、多額の内部留保が積み上がったということがありました。このときには、やはり、公益性、非営利性が求められている中で、社会福祉法人がどのような本来の役割を果たすべきなのかということも踏まえて、組織の見直し、あるいは、定款であるとか計算書類等の公表、こういったことが義務化されたり、いわゆる社会福祉法人改革ということで進められてきました。
一方で、最近では、社会福祉法人が、多くが赤字に陥っているという例が見られます。その傾向として、どちらかというと小さな社会福祉法人、そういったところがやはり非常に厳しいというような声が聞こえてきます。
ただ、今後も、公益性を持って、地域の重要な福祉サービスの提供の事業主体としてその役割を担ってもらわなければなりませんが、仮に、この財務状況が悪化して、その事業が中断してしまう、継続ができないということになりますと、地域住民だけではなくて、ひいては国民にも不利益が及ぶということにもなりかねません。
まず、そこで、実態をお聞きしたいと思うんですが、最近の社会福祉法人の経営状況、特に財務状況について、赤字法人の状況など、厚生労働省として、現状、どのように捉えているのか、伺います。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
社会福祉法人の経営状況についてでございますけれども、現況報告書などのデータによりますと、令和四年度決算におきまして、各種福祉サービスの収益に対する収支の割合、こちらは平均で一・五四%でございまして、各種福祉サービスの収支が赤字となっている法人は、全体の四三・八%となってございます。
ただいまお話がございましたように、社会福祉法人は、地域における公益的な取組に努めていただいている点を含めて、地域の福祉ニーズに対応した取組を進めていただいておりまして、地域における社会福祉事業などの主たる担い手として、非常に重要な存在と考えてございます。そのような役割を十分に発揮していただくために、今後とも、福祉医療機構による貸付事業などを始めとしました必要な経営支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
御答弁いただいたんですけれども、社会福祉法人のサービス活動収支で、直近で収支差額が非常に低くなっている。また、法人全体の四三・八%が、サービス活動増減差額というんですかね、これがゼロ以下ということであります。つまり、多くが、四割超がいわゆる収支でマイナスになっているという、端的に言うと赤字ということだと思います。
令和五年度の、昨年度の数字というのが、まだ直近で伺っていませんので分かりませんが、私がいろいろとお聞きしている限りは、更にそこが悪化しているというような声が聞こえてきます。どちらかというと、改善をしたという声はほとんど聞かれないという実態があります。
そうすると、じゃ、法人で赤字を出したときに、どうやって補填しているかと聞きますと、私の地元にある特別養護老人ホームなんですが、例を取りますと、過去に、施設整備とか様々な費目がありますが、積立てをしてきた資金、これは将来の資金需要のために積み立ててきているわけですが、当然、経営上の様々なリスクにも備えてのものもあるんですが、それ以外のものも含めて、これを取り崩しながら実は人件費を払ったりしている。人件費の、いろいろな処遇改善とかをやってはいただいていますが、実は、それ以外に、元々の本給のところを、やはり補填しなければなかなか補えないというようなことを、実態を聞いています。
じゃ、実は、その積立金がどれだけあるのかというと、確かに、過去積み上げたところもあるんですが、それほど潤沢ではないというところが多くて、もう間もなくこの積立金が底をついてしまうという、悲鳴にも近いような御意見をいただいています。
地域で施設介護を担っていただいている法人の運営、これがもし、先ほども言いましたけれども、立ち行かなくなった場合、その影響は非常に大きいということは言うまでもありません。
このような状況の中で、近年、そこで見られるのが社会福祉法人の事業譲渡であるとか合併ということなんですが、今後、人口減少が確実に進む中では、社会福祉法人も、常に地域の将来の福祉サービスの量というか需要、これを見据えた運営を当然に心がけなければならないんですが、介護関係施設においては、先ほどもちょっと触れましたけれども、一法人一施設というような、いわゆる小規模な法人では特に財務状況が悪化している傾向がありまして、最近では、協働化あるいは大規模化を進める必要性を唱える声も大きく聞こえるようになってまいりました。
そこで、社会福祉法人の運営が厳しい状況にある中で、合併や事業譲渡について、実績、傾向はどうなっているのか、また、厚労省として、合併や事業譲渡について、これから、やはりこれを積極的に進めるという考えでよろしいのか、見解を伺います。
○日原政府参考人 今お話をいただきました社会福祉法人の合併や事業譲渡の状況でございますけれども、合併の認可件数は、令和五年度は二十二件でございまして、令和元年度以降、年間、大体十件から二十件程度で推移をしてございます。事業譲渡などの認可、届出件数でございますけれども、これは全国約半数の法人をサンプルで調査した結果でございますが、令和四年度は五十六件でございまして、こちらは、令和元年度以降、年間約三十件から六十件で推移をしておりまして、ここ数年で大きな変化はないというふうに考えてございます。
高齢化、また人口減少が進む中で、地域において安定的に必要な事業を継続するためには、経営改善の取組が必要というふうに考えてございまして、合併や事業譲渡などによる大規模化や協働化も、その一つの手段であるというふうに考えてございます。
このため、希望される法人がこうした合併などに円滑に取り組めるように、経営者向けのガイドライン、また、実務担当者の方向けには合併や事業譲渡などのマニュアルをそれぞれ作成いたしますとともに、合併の際に必要な経営資金の優遇融資などの支援を行っているところでございます。
また、より緩やかな連携の形としましては、法人間の連携ですとか、社会福祉連携推進法人の設立なども考えられますので、これらの取組についても支援を行っているところでございまして、今後とも、希望される法人が協働化や大規模化などに取り組みやすい環境整備に引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
厳しい運営が実際に見える中で、特に特別養護老人ホームなんですが、一九六三年の老人福祉法の制定により規定されて以来、やはり、二〇〇〇年の介護保険制定後、増え続けてきました需要に応じてというか、そのニーズに応じて、国も自治体もこの整備を後押ししてきたわけでありますが、現在、実は、運営上、人材的にも、効率性を考えると、一施設当たりのベッド数がやはり大きくないとなかなか運営が難しいという傾向があると聞いています。過去に整備された特別養護老人ホーム、実は、百床に満たないような比較的小規模な施設、これは本当に運営が厳しくてですね。
ただ、事業譲渡やあるいは合併ということ、本当にそれを、実は、地域も含めて望んでいるのかというと、やはり、その地域、地域で歴史的な背景もあったりするものですから、なかなかそこに簡単に、そういった議論に到達するのが難しいという事情も伺っています。是非、こういった様々な事情があること、これは認識をしていただきたいなというふうに思います。
そして、これ以上財務状況をできれば悪化せずに、しっかりと単体で運営していただけるもの、そういったことがふさわしいわけですが、多くの施設で、設備や施設の整備に自己資金として長期の借入れを行っている例があります。この多くが、福祉医療機構、先ほどもありましたけれども、いろいろな柔軟な対応もしていただいているということなんですが、福祉医療機構がその重要な役割を担ってきています。
厳しい財務状況の中でも、借り入れた資金の返済、これは実行していると思うんですけれども、重要な福祉サービスを提供しているという視点において、安定した運営を優先しなければならないというように判断する場合もあって、時には、返済猶予あるいは条件変更など特段の対応も要請しなければならない事態、こういったことも想定されると思います。
そこで、特に心配しているんですが、厳しいコロナ禍を乗り切るために融資されたコロナ関係融資の返済開始、これがこの夏にもピークを迎えるというように聞いているんですが、各種の福祉サービスが滞ることのないように、福祉医療機構には個々の法人に対して丁寧に対応していただくことを要請すべきと考えますが、この見解を伺います。
○日原政府参考人 ただいまお話ございましたとおり、新型コロナウイルス対応支援資金につきましては、本年夏に元金償還の開始件数がピークとなると見込まれているところでございます。
元金償還に伴いまして、社会福祉法人などが行う地域における福祉サービスの提供に支障が生じないよう、貸付先への丁寧な返済相談や貸付条件の緩和など、きめ細かく柔軟に対応する必要があるというふうに考えてございます。
このため、令和七年度の当初予算案におきましては、新型コロナウイルス対応支援資金の債権管理に要する経費といたしまして、こうした返済相談に対応するなど、福祉医療機構の体制整備に要する経費を盛り込んでいるところでございます。
引き続き、福祉医療機構がそうした返済相談などに対して丁寧に対応するように、適切に指導してまいりたいと考えてございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
丁寧に対応するようにということで認識は持っていただいていると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、ちょっと視点が移りますが、人材について伺ってみたいと思いますが、先ほど申し上げましたけれども、非常に全産業で人材不足ということで、特に福祉人材の不足、これは問題が深刻化しているというふうに思います。
労働が流動化している最近でありますし、安定的に人員を確保できない。また、急な離職があって、そして、資金的な問題からも余剰人員をなかなか抱えることは最近では難しい。そういった意味で、この問題は一朝一夕に解決することは難しいというふうに思っています。
また、IT化やDX化によって、福祉サービスの多くをなるべく効率化させようというような動きもありますが、やはり人の手が必要な福祉サービスでありますので、今後も、人材不足というのは継続して問題が残っていくというふうに思っています。
この状況に対して、職業紹介事業を営む民間企業が非常に台頭してきている。一面では、人材難の問題を解決する一助となっている。その反面、高額な手数料の設定や転職勧奨、要するに、辞めて次へ次へということなんですが、早期に離職をしてしまうといった事例が散見された。これに対しての措置、実は、国でも様々講じていただいたというようには認識しています。しかし、介護のみならず、実は、医療や保育分野に至っても、いまだに問題を提起する声があるんです。
そこで、人手不足が深刻になる中で職業紹介事業者や求人メディア等の雇用仲介事業者の活用が進む中で、政府としての対策、どのように講じているのか、伺います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
福祉人材の確保が切実な課題であることや、求人者が人材紹介手数料に負担を感じるということについては十分認識をしております。
このため、特に、医療、介護、保育の分野においては、丁寧なマッチングを行う適正な有料職業紹介事業者認定制度の創設、それから、職業紹介事業者に対する全都道府県労働局による集中的な指導監督の実施、そういったこと等によって、適正な事業者の認定や法令遵守の徹底等を進めてまいりました。
そういった対応に加えて、求人者と求職者双方が安心して雇用仲介業を利用できるようにするための更なる措置を講ずることにいたしました。
具体的には、職業紹介事業者の手数料実績の公開を義務化、事業の透明性を高め、利用者の選択に資するようにすること、それから、先生もお触れになりましたが、求人サイトや求人情報誌など、募集情報を提供する事業者については、職業紹介事業者と同様に、早期離職につながるお祝い金等を労働者に提供することを原則禁止にする、そういった措置を本年の四月から施行することとしております。
これらの措置について、事業者への周知を徹底するとともに、違反する事業者に対しては、都道府県労働局による厳正な指導監督を行ってまいりたいと思います。
○小池分科員 ありがとうございました。是非よろしくお願いしたいと思います。
人材の件で、今度は外国人の人材について移りたいと思いますけれども、多くの分野で外国人が活躍をいただいているということ、これは最近よく見ることができます。国や地域も、出身国あるいは地域、様々に変わってきている実態もあります。
実は、日本国内だけではなくて、世界的にも人材の獲得合戦というのがあるわけなんですが、高度人材だけではなくて、非常に裾野の広い産業分野で人材を海外へ求める傾向、これはまだまだ続くと思います。ただ、世界から見た日本の労働市場が果たして魅力的であるのかどうかということ、そういった点も理解しながら取組を進めていかなければならないと思います。
特に、世界の言語の中でも非常に難しいという日本語の習得を求めて、介護福祉士国家試験、これを目指さなければならないということは、非常にハードルが高いというふうに思っています。資格を得て日本の介護現場で働くことで、その先に魅力ある安定した生活が見据えられるのかということ、つまり、日本人から見た視点よりも海外から見た視点、これをしっかり捉えておく必要があるんだと思います。
そこで、外国人の介護福祉士国家試験の合格に向けた支援について丁寧な対応を求めますが、いかがでしょうか。
○日原政府参考人 外国人介護人材の方々が日本で長期間就労いただけるよう、介護福祉士の資格の取得などキャリアアップしながら働いて、就労を継続できるように支援していくということ、これは大変重要であるというふうに考えてございます。
このために、介護福祉士国家試験のための多言語による学習教材を作成をいたしまして、ウェブサイトなどで広くお知らせをするとともに、介護事業者において介護福祉士の資格取得のための学習支援に取り組まれる場合に対して、経費の助成などを行ってございます。
さらに、今年度からは、全国各地で外国人介護人材に対する国家試験対策講座を新たに開催するなど、取組を強化してございまして、このような取組を通じまして、外国人の方に我が国を選んでいただいて日本で長期間就労いただけるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
外国人、なかなか試験のハードルが高いというところがあるんですが、今のところ、介護福祉士養成施設を卒業した場合、五年間継続して働くことで介護福祉士の資格が取得できる経過措置、これは令和八年度の卒業まで設けられているんですが、その後、令和九年度以降というのは、まだまだこれからということだと思います。
そういった意味で、五年間継続して働くことで介護福祉士資格が取得できるこの経過措置について、令和八年度以降、延長すべきであるというふうに考えますが、この件の見解を伺いたいと思います。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
介護福祉士資格取得の経過措置についてでございますけれども、御指摘の経過措置の取扱いにつきましては、各団体等が様々な御意見をお持ちでありますことから、そういった様々な御意見をしっかり受け止めて検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
既に、国家試験、三つのパートに分けて、三年間で合格ができるようにとか、いろいろな対策を講じていただいています。最終的には、これはやはり国家資格をということの方向性というのが少し見て取れるんですが、先ほど御答弁もありましたけれども、日本で長く働こうとするような意欲が湧く制度設計、これが必要だと思いますので、是非、その点を忘れず、よろしくお願いしたいと思います。
社会福祉法人の安定的な運営がこれからも必要であるという視点、また、それから介護現場、これを支える人材として外国人材への必要な対応について、今日質問させていただいたわけでありますが、引き続き、現場の声をしっかりと、大臣、お戻りになりましたけれども、吸い上げていただいて、安定的な福祉サービスが提供されるようにお願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○深澤主査 これにて小池正昭君の質疑は終了いたしました。
次に、角田秀穂君。
○角田分科員 公明党の角田秀穂です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますけれども、初めに、従業員の配偶者に対する手当についてということで質問をさせていただきたいと思います。
いわゆる百三万円の壁をめぐる議論が行われております。基礎控除四十八万円、給与所得控除の最低額五十五万円の合計百三万円を超えると所得税を払うようになることから、特に納税をしている配偶者のいる、大多数は女性ですけれども、その女性の就業を阻む壁となっており、働けるのに働くことを控えてしまうことは、個人にとっても、また社会にとっても好ましいことではないと思います。
税の百三万円の壁については、基礎控除、給与所得控除の額を引き上げることを基本に現在も議論をされておりますが、ただ、税の百三万円の壁が引き上げられたとしても、別の壁がなくならない限り、百三万円での就業調整はなお解消されないと思っております。
令和三年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査では、配偶者のいる女性が就業調整をした理由として、多い順に、健康保険、厚生年金保険の被扶養者から外れるから、いわゆる百三十万円の壁ですが、次いで、百三万円を超えると税金を払わなければならないからと、配偶者控除がなくなり、配偶者特別控除が少なくなるから、この二つはセットの話で、これについては見直しをされる方向です。社会保険料と税の壁に次いで多いのが、一定額を超えると配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなるからで、一六・七%となっております。
人事院の令和六年職種別民間給与実態調査によると、配偶者の収入制限を設けて家族手当を支給している企業は全体の約四七%、このうち、収入制限の額を百三万円としている企業が最も多く、四三・四%を占めております。税や社会保険の壁以外にも、まだ多くの企業が設けている壁についても取り除かなければ就業調整の問題は解消しないと考えておりますが、この問題について厚労省としてどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、収入制限がある配偶者手当につきましては、配偶者の就業調整の要因の一つとなっているとの指摘がございます。
民間企業における配偶者の収入制限が設けられている配偶者手当の支給割合は近年少しずつ低下はしておりまして、例えば、一番導入割合が高かった五百人以上規模の事業所で見ますと、平成二十八年五七・三%だったものが、令和六年四三・七%となっているところでございます。
こういった状況でございますが、厚生労働省といたしましては、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう労使で話合いを進めていただくべく、配偶者手当の見直し手順や留意事項をフローチャートで示すなどした分かりやすい資料を作成、公表いたしますとともに、経済団体に当該資料を各企業へ周知いただくよう協力を依頼するなどの働きかけを行っているところでございます。
今後とも、各企業における配偶者手当の在り方について、労使による検討が促進されるように、労使団体への周知等に取り組んでまいりたいと考えております。
○角田分科員 家族手当の支給額平均は、令和二年就労条件総合調査によりますと一万七千六百円、非課税の限度を超えることによる手取りの減少分よりも配偶者手当の減収分の方がはるかに大きく、これがなくならなければ、手当を残している企業で働く、これは多くは男性の配偶者の就業調整はなくならず、働けるのに働くことを控えて持てる能力を存分に発揮できない状況は、社会にとっても大きなマイナスであると考えております。
家族手当の壁を解消するには、労使の合意形成など手間をかけるだけの意義が認められなければ、なかなか進まないのではないでしょうか。企業の自主的な取組に任せているだけでは、壁の解消はなかなか進まないのではないかと思います。
これは主に女性活躍の促進を進める上でも早急に改善しなければならない課題と考えています。女性の活躍促進のため、国や地方でも様々な取組を進めておりますが、これまでは、男女間の賃金格差解消や人事など、女性の働く職場に対する支援が中心であったと思います。配偶者の働く環境が女性活躍の阻害要因になっているのであれば、そこに対しても壁解消の政策的なインセンティブを設けることも必要と考えますが、この点について見解をお聞かせいただければと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、民間企業における配偶者手当を含めた諸手当は、これは企業内において労使の話合いを経て決められるものでございますが、見直しのために必要な支援について、厚生労働省としても取り組んでいるところでございます。
具体的には、まず、各都道府県に設置しております働き方改革推進支援センターというところで各企業に対して賃金制度設計についての専門的な相談対応を実施しておりますほか、来年度につきましては、特に、一般職給与法の改正内容も踏まえまして、配偶者手当の見直し手順を示した資料に国家公務員の配偶者手当がどのように見直されるかといった情報も盛り込むなどして、労使による検討に活用いただくようにしたいと考えております。
こういったことで、配偶者手当の見直しがより一層促進されるよう、今後とも努めてまいりたいと考えております。
○角田分科員 ありがとうございます。
この点については何らかの目標なりを設定して、そこに向けてこれから更に積極的な施策を講じていくことを要望させていただきたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。
農福連携に関して質問をさせていただきます。
障害のあるなしにかかわらず、誰もが地域で暮らし続けることができる共生社会実現のためにも、障害者の働く場の創出を促進しなければなりません。何よりも、自分がやりたい仕事に就けるよう多様な選択肢が提供されていなければなりませんが、現状はまだまだ極めて限られており、これから更なる充実が求められております。
その選択肢づくりの一つとして、農業分野での障害者の社会参画を目指して、農福連携の取組が進められております。私自身、幾つかの現場を訪ねさせていただきましたが、ほかの職場ではなかなかうまく定着できなかった、そのような方がやりがいを感じながら作業に取り組んでいる姿を見て、非常に有効な選択肢として提供する場の拡大を進めるべきとの思いを強くしております。
農福連携の推進について幾つか質問をさせていただきます。
まず、農業に限らず、障害者の雇用を進める上で、障害者の特性を理解した上で職場に適応できるよう、雇用する側と障害者の橋渡し役として支援に当たるジョブコーチが重要な役割を担いますが、農福連携を進める上でも、大都市圏以外でのジョブコーチの養成、活動の促進が必要と考えますが、見解を伺います。
また、農福連携等推進ビジョンにおいて、農福連携を進める上で、ハローワークとの連携強化による農業分野での障害者雇用の推進が掲げられておりますが、具体的にどのような取組を行おうとしているのか、併せてお伺いをしたいと思います。
○藤川政府参考人 お答えいたします。
農業分野も含めた障害者の雇用を進めていく上で、障害者一人一人がその希望や障害特性に応じて能力を有効に発揮し活躍できるよう支援していくことが重要であると考えております。
一点目の御質問のジョブコーチの養成、活動の促進についてでございますが、ジョブコーチのうち、企業へ直接訪問し事業主や障害者への支援を行うジョブコーチにつきましては、各都道府県の地域障害者職業センター等に当該ジョブコーチが配置されておりまして、全国において支援が必要な企業に対して支援することのできる体制を確保しつつ、必要な支援を行っているところでございます。
また、ジョブコーチのうち、各企業に在籍するジョブコーチ等の養成、こちらは各企業におけるきめ細かい対応という観点から大変重要であるというふうに考えておりますけれども、養成者数が十分に確保されるよう、独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構や就労支援などのノウハウを有する民間機関を活用いたしまして、養成研修を全国で実施し、その養成者の増加を図っているところでございます。
次に、二点目の御質問の推進ビジョンに掲げられたハローワークとの連携強化についてでございますが、ハローワークにおける農業分野に関する障害者雇用の促進につきましては、農業事業主に対する障害者雇用に必要な知識、ノウハウの提供でございますとか、農業分野での就業を希望する障害者のための職場見学とか実習機会の確保を通じて、きめ細かな就職支援や就職後の定着支援等について、地域の関係機関と連携しながら取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも、農林水産省や地域の関係機関と連携いたしまして、地方部も含め農福連携を推進することにより、障害者の就労機会を確保するとともに、障害者がその能力を生かして生きがいや働きがいを感じながら活躍できるよう支援してまいりたいと考えております。
○角田分科員 ありがとうございます。
もう一点、障害者の収入確保、経済的な基盤を強化するために、障害者優先調達推進法、これに基づく農作物等の公共調達等も推進していく必要があると考えますが、この点について、現状と今後の取組についてお伺いしたいと思います。
○野村政府参考人 お答えを申し上げます。
障害者優先調達推進法に基づいてこういった優先調達を広げていくこと、これは御指摘のように、障害者の収入確保であるとか経済的な基盤を支えるために非常に重要なことだというふうに考えております。
現在、各府省庁や自治体で毎年度、調達方針というのを作成して、その中で、調達実績が前年を上回るようにというような目標を定めているところでございまして、例えばでございますけれども、令和五年度における優先調達実績は、全体で二百三十五億円、対前年度、令和四年度に比べて六・一%増ということで、全体としては着実に増加をしているというところでございます。
そうした中で、御指摘の農作物でございますけれども、これの優先調達につきましても、具体的な事例にはなってしまいますけれども、例えば、障害のある方が生産したお米を活用いたしまして、障害者就労施設で梱包された非常食を自治体の方で防災備蓄品として調達をされたといったような事例があるというふうにも承知をしております。
もとより、この優先調達法というのは、様々な、役務だけではなくて、こうした物品についても対象となるものでございます。厚労省といたしましては、各府省庁や自治体などの調達職員を対象に優先調達セミナーというものを毎年六月頃に開催をしております。こうした中で、御指摘の農作物に係る優先調達事例を始めとして好事例の周知を図っていきまして、引き続き、この優先調達の更なる推進でございますとか、それを通じての障害者の工賃、賃金の向上に取り組んでまいりたい、かように考えてございます。
○角田分科員 ありがとうございます。
障害者の農業分野での職場への定着また収入確保に向けて、農水省と関係省庁とも連携しながら、この取組についてはしっかりと進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
今、食料安全保障の確保を目指した新しい食料・農業・農村基本計画の策定作業が行われております。食料の安定的な供給のためには、何よりも急激に減少する農業の担い手を今後いかに確保するかが大きな課題です。これは、一貫して、地方から都市への一方通行の人の流れを変えて、都市から地方への流れをどうつくっていくのかという問題と言い換えることができるかと思います。その過程で、より多くの障害者に農業という選択肢を提供できるようにするのかを考える必要があると思っております。
私の地元、船橋市ですけれども、市立の特別支援学校があります。特別支援学校高等部では、農耕班、園芸班などの作業学習が日常的に行われていますが、こうした経験が卒業後に役立っているかどうかということになると、現状、全く役に立っておりません。このようなことは、船橋市に限らず、多くの特別支援学校で見られることではないかと思います。
今、農業人材確保のために、地域ごとに様々、人材を呼び込む方策に知恵を絞っておりますが、自分が住む土地から何百キロも離れた土地にいきなり移り住むということは、多くの人にとってハードルの高い選択肢だろうと思います。そう簡単に流れをつくり出せるとも思えません。
そこに至るまでのワンクッションとして、近郊での農作業体験の場の創出という取組も有効だろうと考えております。都市に住みながら、農業というか土と親しみたいと思っている人はたくさんいらっしゃいます。そうした人たちに農作業を体験できる農園を都市近郊に整備をする。都市に住む人のニーズに応える中で、本格的に農業をやってみたいと次のステップに踏み出す人も出てくるのではないでしょうか。
体験農園の魅力アップのために、観光を始め関係者が協力して様々なアイデアを出すことは幾らでも可能でありますが、それだけ手間が増える、仕事が増えてくるということになってきます。特別支援学校の卒業生で希望する方にも参画していただくことで、共生のモデルづくりにもつながるのではないかと考えておりますが、こうした近郊への体験農園の整備についての御見解、お伺いしたいと思います。
○神田政府参考人 お答えいたします。
今後、農村地域では、人口減少、高齢化が急激に進行することが見込まれる中、障害者を始めとする多様な人々の社会参画と同時に、これを通じた地域農業の振興が期待をされます。
このため、昨年改正をされました食料・農業・農村基本法におきましては、新たに、障害者等が農業活動を行うための環境整備を進め、地域農業の振興を図る旨が規定をされ、農福連携の推進が位置づけられたところでございます。
今後、都市部を含めまして、より多くの障害者に農業という選択肢を提供できるようにするためには、委員御指摘のとおり、農作業を体験することができる体験農園の整備などの取組も重要であると考えております。
農林水産省におきましては、農業分野への就業を希望する障害者等に対して、農業体験の場を提供する農園の開設や、休憩所等の施設整備に対する支援を行うとともに、障害者等を対象にした体験農園の取組をまとめた事例集の作成、普及に取り組んでいるところでございます。
今後とも、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携をして、農福連携の取組を推進してまいりたいと考えております。
○角田分科員 ありがとうございます。是非、推進を図っていただきたいと思っております。
続きまして、農業分野の労働環境改善について質問をさせていただきます。
食料安全保障の確保を目指して昨年成立した食料・農業・農村基本法に基づき、新たな食料・農業・農村基本計画の策定作業が進められておりますけれども、平時から不測時まで、食料の安定供給の確保には、国内生産基盤の強化が求められますが、そのためには、何といっても人の確保、担い手をいかに確保するか、確保できるかにかかっております。
基幹的農業従事者は、この二十年ほどで二百四十万人から百二十万人へと半減、さらに、これからの二十年で四分の一の三十万人に激減すると見込まれています。こうした担い手の減少に、農地の集積、集約化や、機械による省力化のための大区画化なども進めなければなりませんが、この際、農業法人の役割がますます重要になってきており、経営基盤の強化、雇用の確保が日本の食料安全保障を確保する上からも大きな課題と言えます。
農業経営体数が減少する中で、農業法人は年々増加をしており、新規就農者のうち、四十九歳以下の層では、雇用就農が自営就農を上回るようになっております。これまで農業経験のない人が自営で農業を始めようとしても、資金、技術、農地という、いずれも高いハードルをクリアしなければなりません。
先日視察をさせていただいた農業法人でも、稼げるようになるまでには最低五年、マニュアルどおりにやってうまくいかない難しさが農業にはある、法人への就労であれば安定した収入を得ながらその地域に合った栽培技術を習得できる、法人で経理や労務管理などを学ぶことは将来の独立営農にとってもプラスになる等の意見を伺いました。
今後、若い人たちに農業に魅力を感じて入ってきてもらうためには、受皿としての農業法人も魅力的でなければならないと思います。農業法人の中でも、農地保有適格法人は家族農業から法人化したケースが多く、労働条件や雇用管理など不十分な面が多く、例えば、雇用契約も口頭のみ、就業規則も未作成、退職金制度もなく、人事評価も実施していないという法人がまだ多数あります。日本の農業の維持発展のためにも、選ばれる農業法人となるよう、労働環境改善等の支援の充実は極めて重要と考えます。
まず、職場環境の整備改善のために農業法人に対してどのような支援を行っているのか、伺いたいと思います。
○山田政府参考人 議員が御指摘されるように、農業法人が就業先として労働者に選ばれるためにも、労働環境を向上させていくことは重要であると認識しております。
このため、厚生労働省においては、農業法人等の雇用管理改善を促進するため、農業法人等の事業主や労務担当者に対する雇用管理改善研修会の開催、アドバイザーによる相談、援助、取組事例の周知等、雇用管理改善の啓発を行っております。
また、農業を含むあらゆる業種の中小企業事業者等の方々に向けて、労働条件の明示や就業規則の必要性など、労務管理の基礎的な要点について解説する就業環境整備改善支援セミナーを四十七都道府県で開催する、それから年次有給休暇の取得促進などによる働きやすい職場づくりについて専門家が助言を行う働き方改革推進支援センターなどを四十七都道府県に設置する、そういった施策を通じて労働環境向上のための支援に取り組んでおります。
令和七年度予算案においても、これら政策を盛り込んでおり、今後とも、農業法人の労働環境の向上を支援してまいりたいと思います。
○角田分科員 様々な支援施策、これを講じようとしても、本当に必要とするところに利用されないということでは意味がないと思います。
棚田地域に様々な情報を提供したり助言をしたりするコンシェルジュが地方農政局に配置をされておりますが、支援メニューがあっても、その情報がなかなか届きにくい農村部の中小企業であるとか農業法人に対する情報提供、相談、助言に更に積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
○勝野政府参考人 お答えさせていただきます。
労働環境改善に対する様々な支援施策につきましては、地方自治体やJAを通じまして、農業法人等に対して周知を行うとともに、全国社会保険労務士会連合会などにも情報提供を行い、農業界における取組の拡大を行っております。
また、農林水産省では、都道府県が整備をします農業経営・就農支援センターが行う労働環境改善に対する様々な支援施策の情報提供、それから労働環境の改善に関する相談対応、助言などの取組に対する支援も実施をしております。
委員御指摘のとおり、厚生労働省とも連携をしまして、情報がなかなか届きにくい棚田部も含めた農村部を始めとした農業法人に対しましても、効果的な情報提供等を適切に実施をしてまいりたいというふうに考えております。
○角田分科員 ありがとうございます。
それぞれの施策、省庁をまたがっている施策、様々あると思います。それが、自分たちにとってどれが使えるのかといった情報提供というのは、やはり連携してやってもらうことも大事ですし、そうしたところにやはりAI等も積極的に活用する余地があるのではないかなと思っておりますので、この辺についてはしっかり検討をしていただきたいと思います。
続きまして、多様な人材の確保策としての労働者協同組合ということについて質問をさせていただきます。
人口減少、高齢化の進行で、多くの過疎地域では、農村機能の維持そのものが危ぶまれております。特に、草刈りや補助金申請など集落の事務負担が重く、地元の行政も人員減で日々の業務をこなすのに精いっぱいの状況の中、いかに外部から人材を呼び込むかということに頭を悩ませております。
都市住民や若者を呼び込むための受皿として、労働者協同組合、この設立を検討している地域もあります。受皿組織の形態として株式会社であるとか農事組合法人などがありますが、簡便に法人格を取得でき、働かせる側と働かされる側の関係ではなくて、組合のメンバーが地元住民とも移住者も平等な立場であるという特徴から、移住者も参入しやすく、将来は農業の担い手として地域に溶け込みやすい形態として設立を目指したとのことですが、こうした取組が実を結び、好事例として展開されるようになればと、私自身、願っております。
国としても、関係者への情報提供や相談支援を充実してもらいたいと思っておりますが、この点について見解を伺いたいと思います。
○田中政府参考人 御指摘をいただきました労働者協同組合ですけれども、多様な働き方を実現をしながら地域の課題に取り組むことができる新たな組織でございます。地域に若者等々の人材を呼び込む、こういうような方策としても有力な選択肢の一つになり得ると考えておりまして、その積極的な活用促進、重要なことと認識をしてございます。
厚生労働省では、令和四年度の制度創設以降、特設サイトを開設して、設立された組合の好事例の紹介、法人設立、運営に当たってのQアンドAなどを掲載、こういうようなことをするとともに、セミナーやフォーラムを開催しておりまして、広く国民の関心を喚起するなどの制度の周知啓発に取り組んでまいりました。
さらに、今年度、令和六年度からは、労働者協同組合を活用した創意工夫ある取組を創出するモデル事業を開始をしております。将来的に、この事業を通じて得られました知見を全国に展開していきたいというふうに考えております。
今後も、こうした取組を通じまして、労働者協同組合の一層の活用促進に努めてまいります。
○角田分科員 ありがとうございます。
労働者協同組合、制度ができてまだ間もないということで、なかなか現場では、活用できるんだということ、そのメリット等が理解されていないというところもあると思います。積極的な情報発信も含めて、設立に対する支援についても取組をお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、指定難病の医療費助成に関して質問をさせていただきます。
難病法に基づく指定難病の医療費助成制度のうち、症状が一定程度以下、軽症であるが、医療費が一定以上の場合、申請月以前の十二か月以内にその治療に要した医療費総額が一定額を超える月が三月以上ある場合に医療費助成が受けられるということになっております。
そこで、難病治療のため薬を服用して、その薬代が医療費助成の要件を満たして助成を受けていた方が妊娠をした、そのために薬の服用を控えました、結果として空白期間が生じ、十二か月以内に医療費総額が一定額を超える月が三月に満たず、出産後に更新を申請するに当たって、三か月は自腹で薬を購入した上で申請しなければなりません。妊娠という、これはやむを得ない事情により、さらには、女性であるがゆえに難病治療の助成が中断をし、負担を強いられる制度は是非見直していただきたいと考えておりますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
難病法に基づく指定難病の医療費助成、広く国民の皆様に理解を得る観点から、指定難病としての要件を満たした対象疾病のうち、重症度についても疾病ごとの一定以上の要件を満たした方を対象として運営をさせていただいております。
その上で、先生御指摘のように、重症度の要件を満たされない方であっても、そういった軽症の方であっても、高額な医療費を負担されている患者様につきましては、いわゆる軽症高額該当者として医療費の助成の対象としています。
本日、先生から御提案ありました件につきましては、制度の趣旨ですとか、妊娠以外にも他の理由で中断をしていた患者様との均衡の観点などから、やむを得ない事情となる対象の事例ですとか医療費を把握する対象期間の設定などについてやや難しい課題もあると思っておりまして、慎重な検討が必要ではないかと考えております。
○角田分科員 是非、積極的な検討をお願いしたいと思います。
時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○深澤主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。
次に、草間剛君。
○草間分科員 自由民主党の草間剛でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
実は、今日が衆議院議員として初めての国会質問でございまして、この初めての国会質問が、深澤先生もいらっしゃいますし、福岡大臣始め厚生労働省の皆様に初めて質問させていただくということに大変御縁を感じておりまして。私が今この場にいられるのも、実は、一年半前に亡くなられた島村大参議院議員が自民党横浜市連会長だったときに私の立候補を決めていただきました。学生時代からお世話になっていた島村大先生の思いも乗せて今日は質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
まず、亡くなられた島村大参議院議員は、歯科医師でございました。口腔ケアが日本人の健康寿命を延ばす要だということで国民皆歯科健診の推進に尽力をされておりまして、私も学生時代からずっとそれを聞いておりました。
そこで、まず初めに、福岡大臣に、島村大参議院議員も進められていた国民皆歯科健診の認識について伺いたいと思います。
○福岡国務大臣 島村先生とは、同じ参議院で、本会議の議席も前後で、よくお話をさせていただきました。社会保障でもずっと一緒に勉強させていただいてまいりましたし、また、この後お話があります、仲介業者の方々が、多額の仲介手数料が発生するがために、本来は現場で頑張っている方々に行くべきお金が違うところに流れているんじゃないかという問題意識で、島村先生が党内に勉強会を立ち上げられ、一緒に勉強してきた、そういう仲間でありました。本当に亡くなられたのは残念でたまりませんが、今日は、先生とともに島村先生にもお答えするような思いで述べさせていただきたいと思います。
歯と口腔の健康を保つことは全身の健康にもつながるものでありますため、生涯を通じて定期的に歯科健診を受けていただくことは大変重要であると考えています。
このため、歯科健診の機会の拡大に向けまして、就労世代等に対する効果的な歯科健診方法を検証するモデル事業でありましたり、また、簡便に口腔内のチェックができる簡易スクリーニング検査の研究開発への支援などに現在取り組んでいるところでございます。
厚生労働省としては、こうした取組を進めながら、生涯を通じた歯科健診の実現に向け、必要な対応をしっかり進めてまいりたいと考えています。
○草間分科員 ありがとうございました。
今大臣もおっしゃっていただいた口腔ケア、重要と理解されている専門的口腔ケアを行うには、歯科衛生士の皆さんによる処置、指導が重要だと考えております。施設基準の中にも、歯科衛生士が存在していることが条件のものもありまして、スタッフとして雇用できない場合は算定できない項目もございます。
今、私の地元の川崎市宮前区、横浜市都筑区始め多くの歯科医院では、歯科衛生士の雇用がなかなかできずに困っていらっしゃいます。
かつては、歯科衛生士の専門学校や短大などに求人票を出すことやハローワークを通じて求人する方法で各診療所は雇用されておりました。しかし、現在ではこのルートで雇用することはかなり難しい状況でございまして、歯科衛生士の専門学校では、独自に就職あっせんをすることを避けて、あっせん業者に丸投げしている学校もあると聞いております。
この結果、学生が自分でよりよい、自分の理想に合った就職先を探すことができない状況の中で、あっせん業者がマッチングして就職される方が増えております。そのまた結果、就職後、勤めた歯科医院が思っていた就労環境と全く異なってトラブルになる、こういうケースも多く見られるということでございます。このような状況から、第二新卒という言葉が生まれるような状況になっておりますけれども、やる気を持って就職したにもかかわらず、やる気がそがれ、精神的にも落ち込む新卒者がかなりいらっしゃるようです。結果として、歯科衛生士を続けられず、衛生士不足にもつながる要因となっております。
また、歯科医院側でも、就職前にしっかりとした面談や見学がなされず就職されることから、雇用側のニーズに合わない人材を採用するということもあったりして、やりたい診療ができないというお話も聞きます。
さらには、就職あっせん業者に多額の報酬を払わなければならず、経済的にもかなりの負担が生じております。たしか一割ですかね。だから、三百万円の年収だったら三十万払わなくちゃいけないということでございまして、違約金が発生する時期を超えてすぐ退社するというケースもあるようです。
このような詐欺まがいの業者も一部ありまして、あっせん業者を利用するにもかなりのリスクを踏まえてのこととなり、問題を抱えております。このような状況は、雇用、被雇用者の両方にとって決してよいことではございません。
そこで、この問題について大臣としてどのように認識されていますでしょうか。また、一部の悪徳あっせん業者等を排除することはできないのでしょうか。福岡大臣に伺います。
○福岡国務大臣 歯科衛生士等の採用を仲介する事業者のうち、自社サービスを利用して就職した労働者に対してお祝い金等の名目で金銭を提供するものがあり、その金銭を労働者の方が受け取って早期に離職するというケースがあるということを承知しています。
本来、雇用仲介業においては、求人側の人材ニーズを的確に踏まえた上で、求職者がその能力、適性に適合する職業に就くことができるよう、サービスの質を高めて事業を運営すべきであり、金銭の誘引により求人を充足することは適切でないというふうに認識をしています。このため、求人者、求職者双方が安心して雇用仲介業を利用できるようにするための措置を講ずることとさせていただきました。
具体的には、求人サイトであったり求人情報誌など、募集情報を提供する事業につきましては、職業紹介業と同様に、職業安定法に基づく指針によりまして、本年四月から、労働者への金銭等の提供を原則禁止いたしますとともに、職業紹介事業につきましても、既に指針により金銭等の提供を原則禁止してきたところでございますが、抑止効果を高めるため、本年一月から、これを職業紹介事業の新規許可、更新手続時の条件に追加することとさせていただきました。
これらの措置につきまして、事業者の方々への周知を徹底するとともに、違反する事業者については、都道府県労働局による厳正な指導監督を行ってまいりたいと考えています。
○草間分科員 ありがとうございました。
先ほど私、一割という話をしましたけれども、聞いていたのは三割ですね。だから、三百万の年収だと百万払わなくちゃいけない。これは大変な額でございまして、先ほど大臣もお話しいただきましたように、様々な対策を打っていただいていると思います。
既に厚労省の方では歯科衛生士の復職支援に取り組んでいただいているということですけれども、その成果は出ているのでしょうか。更なる人材確保策が重要だと考えますけれども、医政局長に伺います。
○森光政府参考人 少子高齢化の進展に伴いまして歯科保健医療の需要が多様化する中で、現場のニーズに応え得る歯科衛生士を確保するというのは非常に重要なことだというふうに認識しております。
このため、厚生労働省では、歯科衛生士の復職支援、離職防止のための事業として、復職希望者に対する技術修練研修の実施の支援を行っており、令和七年度予算案においても、これらの事業に必要な経費を盛り込んでおります。
また、成果としましては、三十五歳以上の歯科衛生士さんの数が増加しているという傾向にあります。
さらに、議員御指摘のように、将来的な取組の推進を図るため、令和六年度補正予算におきまして、就職後も安心して長期の勤務ができるように、相談窓口の整備など、歯科衛生士の就労をサポートする体制の在り方について検討を行うための経費を計上しておりまして、こうした取組を通じて歯科衛生士の確保対策を一層進めてまいりたいと考えております。
○草間分科員 局長、ありがとうございます。是非、この取組を加速化させて、進化させていただきたいと思います。
歯科衛生士の数が臨床現場での要求に充足できるような状況をつくるためには、このことだけではなくて、衛生士さんができ得る業務内容の拡大や賃金の増額を図れるような歯科医院への財政的な援助策を検討いただくなど、多方面での対応が必要と思います。
そこで、歯科衛生士さんができる業務の在り方を検討すべきだと考えますけれども、これも局長に伺います。
○森光政府参考人 議員おっしゃるとおり、近年、歯科衛生士は、在宅や介護施設、病院等、活躍の場を広げておりまして、その役割がますます重要になっていると認識しております。
歯科医療の現場において歯科衛生士が不足しているという声もある中、厚生労働省におきましては、昨年の十二月より、検討会を設置いたしまして、現在の歯科医療機関の状況や現場の業務を踏まえた歯科衛生士の必要数や、今後の在宅、介護施設、病院での口腔管理などのニーズに対応し、歯科衛生士の確保につながるような業務の在り方や教育内容等について議論を開始したところでございます。
引き続き、検討会での議論を踏まえつつ、業務の在り方を含む様々な観点から歯科衛生士の確保対策の検討を進めてまいりたいと考えております。
○草間分科員 ありがとうございました。
全国歯科衛生士教育協議会の調査では、令和五年度の歯科衛生士の求人倍率は、全国で二十二倍、関東で二十五倍に及ぶということでございまして、歯科衛生士の、先ほどおっしゃっていた復職支援や人材確保策は、国としても喫緊の課題となっています。まさに厚生労働省として全力で取り組んでいただきたいですし、先ほど大臣の答弁からも、島村大先生と一緒に取り組んでいただいたということがございました。島村大参議院議員もこの問題は一番取り組んでいたと思いますので、大臣のリーダーシップを是非ともよろしくお願いしたいと思います。
続いて、診療報酬加算の課題について伺います。
前回の診療報酬改定では、加算を申請するための条件が複雑で理解し切れず、手続ができない診療所が多いというお話を地元診療所の先生からお聞きしました。その例は、ベースアップ加算、データ提出加算です。
ベースアップ加算は、最近では、次年度の補助金申請に必要だから登録するようにとか、登録を簡単にしたとか、連絡が来ているようなんですけれども、肝腎の条件にある複雑な報告に関して地域の診療所の理解は進まず、個人経営の診療所は怖くて申請できない、こういった声もお聞きしました。
そこで、ベースアップ加算などの申請をより分かりやすいように改善していくべきと考えますけれども、局長に認識を伺います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
民間企業で賃上げが進んでいる中、まさに医療分野においても、賃上げ、これは非常に重要な課題だというふうに私ども思っております。
令和六年度診療報酬改定におきましては、まさに賃上げを目的としてベースアップ評価料を新設したところであり、その結果として実際に医療機関でベースアップがしっかり行われている、そういったことを確認する必要があり、届出を医療機関の方に求めているところであります。
他方で、このベースアップ評価料が最大限活用されるよう、いわゆる医療機関の事務というものを簡単にしていかないとなかなか難しいということもありますので、そういった点についてもしっかり配慮する必要があるというふうに思っております。
こうした観点から、御指摘のベースアップ評価料の届出様式、令和六年九月、さらに令和七年一月の二回にわたりまして、現場の意見等を踏まえ簡素化を図り、特に今回の一月の簡素化については思い切った形でやらさせていただきました。
厚生労働省のウェブサイト上で届出方法の説明資料を公開しているところでありますが、こういったことがしっかり現場で使われるようにPRしていく、このことがやはり何よりも大事だと思いますので、そういったことをしっかりやっていきたいと思います。
あわせて、届出様式の更なる改善等、もしそういった現場の御意見があれば、必要に応じて私どもとしてもしっかり対応していきたい、このように思っております。
○草間分科員 おっしゃっていただいたように、今回かなり簡略化されたということなんですけれども、現場の先生から、何で医療系は介護系の処遇改善費のようにそのまま職員に行く仕組みではないのかとか、様々な、計算の負担の割に支給が低いみたいなお声もいただいておりまして、局長、答弁いただいたように、是非現場に寄り添った改善をこれからも進めていただきたいと思います。
続いて、インフルエンザワクチンと医薬品不足について伺います。
今年は、十二月に、横浜、川崎、全国でそうだと思うんですけれども、猛威を振るったインフルエンザでございますけれども、私も、当選させていただいてから、十二月の初頭、すぐにインフルエンザにかかりまして、見た目は強いんですけれどもウイルスにちょっと弱いので、十二月の初頭にかかりまして、国会を何日間かお休みさせていただかなければいけなくなりました。
インフルエンザの予防接種は大変重要ですけれども、今、横浜市なんですが、福祉施設にいる高齢者にインフルエンザワクチンを接種するときに、これまでは家族同意でよかったのが、本人の意思確認が必要と現場で解釈されてしまっておりまして、施設にいらっしゃいますから、その方が認知症で同意が取れなかった場合、接種できないと困っていらっしゃる先生方がいらっしゃいます。
一方、先日、厚労省の皆さんとお話をさせていただいた際には、高齢者施設内での予防接種については、認知症などで本人確認が困難な場合、家族の同意があれば接種できますよということだったんですけれども、福祉施設に入居され、認知症などで意思確認が難しい高齢者に対するインフルエンザワクチンについては、本人の同意確認が困難な場合、本人ではなく家族の同意で接種できるという認識でいいのか、感染症対策部長に伺います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者に対するインフルエンザワクチンの接種は、予防接種法に基づくB類疾病の定期接種として行われております。B類疾病の定期接種は、市町村による接種の勧奨や御本人に接種を受ける努力義務がないことから、自らの意思で接種を希望していることを確認の上、接種を行うこととしております。
御指摘のありました認知症の方など御本人の意思を確認することが容易でない場合は、本人の意思が尊重されるように十分配慮の上、家族やかかりつけ医の協力を得て接種を行うことは差し支えなく、この運用については以前から変更しておりません。
○草間分科員 その運用については、いきなり、絶対本人確認じゃないと駄目だということではなくて、困難な場合は家族同意でいいという解釈で伺いました。ありがとうございます。これはしっかりと横浜市の方にも伝えたいと思います。
さて、今のワクチンについてなんですけれども、はしか、風疹ワクチンが供給不足になっているということで、国会でも今年は特に、私も厚労委員会に所属させていただいていまして、予算委員会の場でも、医薬品不足については与野党から様々な声がございました。先ほどの歯科の現場でも、麻酔とか痛み止めが不足しているということで、医療の現場からもこの状態について多くの改善の声をいただいております。
そこで、現場の医薬品不足にこれからどのように取り組んでいくのか、大臣の決意を伺いたいと思います。
○福岡国務大臣 医薬品の安定供給に向けては、まず、足下の供給不安解消、これに取り組みますとともに、中長期的な後発医薬品産業構造改革、この両方に取り組んでいく必要があると考えています。
足下の供給不安の解消に向けては、これまでも、製薬企業に対する増産の働きかけであったり、増産体制整備への補助等の取組を行ってきました。例えば、局所麻酔薬であったり解熱鎮痛剤は、昨年十二月、供給状況を踏まえ、製造販売業者に増産の要請を行ったところでございますし、麻疹風疹混合ワクチンにつきましては、製造販売業者に対し前倒し出荷等を要請してございまして、令和六年度の全体の出荷量は例年と同程度の見込みとなっているところでございます。
中長期的には、後発医薬品の非効率な生産体制の解消に向け、後発医薬品企業の事業再編に向けた環境整備を進めてございまして、この国会に提出いたしました薬機法等改正案においても、企業間の連携、協力、再編を後押しするための後発医薬品製造基盤基金の造成を盛り込ませていただいております。こうした取組によりまして、中長期的な産業構造の改革にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
○草間分科員 もうさんざん国会でも議論があって、厚労省の皆さんや大臣も真剣にお考えいただいていると思うんですけれども、この医薬品不足につきましては、一つの今の大きなテーマ、しかもこれは安全保障にもつながるということでございますから、しっかりした取組を是非ともよろしくお願いしたいと思います。
やはり、医療界なんですけれども、収入が、先ほどありましたように、物価、人件費高騰に全く追いついておりません。苦しんでいらっしゃって、さらには、働き方改革の導入で人材パワーが減って、そこに人手を入れるための費用が、先ほどのあっせん業者でもないんですけれども、人手を入れるにも更にお金がかかって、経営状況が悪化するという悪循環が生まれてしまっていると見受けられます。この状況を改善していくために厚労省として何を取り組んでいくのか、これも医政局長に伺います。
○森光政府参考人 議員御指摘のように、医療機関の経営状況につきましては、物価の高騰、賃金の上昇、それから医療需要の急激な変化などに直面しているものと認識しております。
こうした中、令和六年度診療報酬改定で賃上げ等に関する一定の措置を講じた上で、昨年末に成立いたしました補正予算において、物価高騰に対応する重点支援地方交付金の積み増しに加えまして、緊急的な支援のパッケージによる医療機関への支援を盛り込むとともに、令和七年度予算案では、低所得者に配慮しつつ、医療機関の入院時の食事基準の引上げを行うこととしております。
まずは、こうした措置を着実に執行し、必要な支援が行き届くよう取り組むとともに、今後、補正予算等の効果や物価等の動向、医療機関の経営状況など、足下の状況変化も丁寧に把握した上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○草間分科員 まさに、医療機関も賃上げを行わなくちゃいけないし、医療従事者の皆さん、先生方だけじゃなくて、まさに看護師さんや様々な働く皆さんにとっても賃上げを行っていくこと、これは大変重要なことだと思いますので、是非その点も踏まえて取組をいただきますようによろしくお願いしたいと思います。
これもさんざん国会でも、私、何回も聞いたんですけれども、やはり一般病院の半数が二〇二三年度、赤字ということでございまして、診療などの医業の利益率というのも過去最低ということだったようです。様々な要因が指摘をされているんですけれども、今日は、医療材料の保険償還価格の下落、これをちょっと事例として挙げさせていただきたいと思います。
例えば、心臓カテーテル治療のメインのデバイスの保険償還価格が、この二十年から二十五年弱で、一つ三十万円だったのが一つ三万円にまで引き下げられております。物価や人件費がどんどん上がる中、医療材料の保険償還価格だけ下がってしまっているということは、病院経営にも大きな影響が出ている一つだと思います。
そこで、医療機関の経営危機を救うためにも、医療材料の保険償還価格の大幅な引上げを行うべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 病院の経営が本当に厳しい状況というのは私どもも認識しておりまして、保険局といたしましても、医政局と一緒に連携しながらしっかり対応していきたい、このように思っております。
その上で、先生御質問いただきました医療材料の保険償還価格についてでございますが、診療報酬改定のタイミングに、特定保険医療材料価格調査、こういったものにより医療機関での購入価格等を把握し、適切な評価を行いつつ、保険償還価格が著しく低いもの等につきましては、製造等に要する原価のほかに、販売費とか一般管理費、こういった諸費用も合計して、それにより引上げを行う、こういった対応を行っているところでございます。
次回の診療報酬改定に向けまして、引き続き、現場の医療関係者等の御意見を伺うとともに、今後実施する予定である、先ほど申しました特定保険医療材料価格調査、こういったものの結果等を踏まえながら、中央社会保険医療協議会においてしっかりと議論してまいりたい、このように考えております。
○草間分科員 先ほど言いましたように、カテーテルが一個三十万円だったのが三万円に下がるということで、これは市場価格とかさんざん皆さん調べていただいて、その上で対応をいただいていると思うんですけれども、恐らく、私も素人なのであれなんですけれども、一つ三十万円だったものがまかり通っていた時代と一つ三万円の時代では、このカテーテルは別に一つだけじゃないですから、いっぱい使うことで病院も保険償還をいただいていたということで、やはり構造的な問題もあるんじゃないかなと私、思います。
特にこの分野は、先ほど島村大参議院議員のお話をさせていただきましたけれども、私は市議を三期十二年やらせていただいて、コロナのときに、横浜自民党のコロナ対策の医師会担当として、コロナ禍で毎日、発熱外来をやられて、七時ぐらいに診療が終わって八時から会議をやっていらっしゃる医師会の先生方の会議に毎回出させていただいて、本当に医療現場の御苦労というのを知ることができましたし、まだそのとき島村大先生は御存命でしたから、たしか厚労政務官として御尽力をされておりました。
私は、島村大さんにはなれないですけれども、若者、若者じゃないですね、もう四十歳、新人、そして医療界とは離れている立場から、これからもこの国の医療そしてまさに厚生労働行政に末端からしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ、大臣、御指導よろしくお願いしたいと思います。
今日はありがとうございました。
○深澤主査 これにて草間剛君の質疑は終了いたしました。
次に、三反園訓君。
○三反園分科員 自由民主党、鹿児島二区の三反園でございます。よろしくお願い申し上げます。
私は、国民の生活を守っていくのが政治の仕事であり、責任だと思っております。病気になったときに、すぐそこに病院がある、そしてまた医師がいる、こんなに心強いことはないわけでありますけれども、どこにいても必要な医療が受けられる、そんな現状ではなくなってきているのではないか、そういうふうに今思っております。承継がなくて、そしてまた新しく新規開業がなければ、二〇四〇年には診療所がないのが百七十程度市町村になるという見込みであるわけであります。そういった現状を踏まえて、やはり今後どうしていくのかということが今問われているのではないかなと思います。
そうした中で、医療法を改正して医師の偏在をなくしていこう、この取組は非常にいい取組だというふうに思っているわけでありますけれども、ただ、やはり、やっていけないところに医師を派遣していく、これはなかなか、言うはやすしで、難しいのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、いないところに医師を派遣してほしい、そういう国民の声は本当に強いわけでありますので、どこにいても医療を受けられる、そういった日本であってほしいわけでありますけれども、そういった取組を含めて、大臣の認識をちょっとお聞き願えればなと思います。
○福岡国務大臣 私の地元佐賀県も、委員の鹿児島県と一緒で、離島もございますし、過疎地もございます。そういった中でやはり地域の医療をどうやってカバーしていくか、大変重要な課題だというふうに感じております。
特に、御指摘がありましたように、やはり保険料を払っていただいて、その地域で必要な医療が受けられないということは決してあってはならないというふうに思っておりまして、そういう意味では、関係者が一丸となって医師偏在対策に取り組んでいくことは大変重要なことだというふうに考えております。
厚生労働省では昨年末に、医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージを策定してございます。この中では、早急に医師を確保する必要がある地域における経済的インセンティブの実施、今おっしゃったように、人口が少ないところではなかなか患者さんの数も少ないので、それで採算が合わないんじゃないかみたいなお話も今あったとおりでございますから、そういった地域における経済的インセンティブをどうやって実施していくか、また、地域で不足する医療の提供や医師不足地域での必要な医療の提供の要請をどうしていくか、中堅であったりシニア世代等を主な対象としたリカレント教育や全国的なマッチング機能の支援、こういったことを組み合わせながら、総合的な支援を推進していくこととしてございます。
このパッケージを踏まえまして、この国会に関連法案を提出させていただいたところでございまして、引き続き、地方自治体、医療関係者の御意見を伺いながら、医師偏在是正に向けた実効のある取組を進めていきたいと考えています。
○三反園分科員 どうもありがとうございます。
本当に、どこにいても医師がいて医療を受けられる、そんな環境をつくるために、今、心強い発言をいただきましたので、是非そういうことを進めていただければな、そういうふうに思っております。
そして、今日もほかの議員も質問したと思いますけれども、そもそも今、病院の経営が厳しくなっているわけであります。そして、物価高であり、人件費高騰によって、ほとんどの病院が今赤字になってきているわけでありますので、そういったことに対して不安を持っている国民も結構いると思いますので、今この現状をどういうふうにして認識しているのか、そしてまた、今後、どういう影響が国民にあるのか、そしてまた、それをどうやって対策をしていこうとしているのか、それについてお聞きしたいと思います。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
医療機関の経営状況につきましては、御指摘のように、物価の高騰や賃金の上昇、医療需要の急激な変化などに直面していると認識をしております。
こうした中、令和六年度診療報酬改定で賃上げ等に関する一定の措置を講じました。また、昨年末に成立いたしました補正予算におきまして、物価高騰に対応する重点支援地方交付金の積み増しに加えまして、緊急的な支援パッケージによる医療機関への支援を盛り込むとともに、令和七年度予算案では、低所得者に配慮しつつ、医療機関の入院時の食事基準の引上げを行うこととしております。
地域医療を守ることは非常に重要であると認識をしております。まずは補正予算を着実に医療機関にお届けをし、必要な支援が行き届くように取り組みたいというふうに考えております。
また、今後、補正予算等の効果や物価等の動向、医療機関の経営状況など足下の情勢変化にも、丁寧に把握した上で適切に対応してまいりたいと考えております。
〔主査退席、後藤(茂)主査代理着席〕
○三反園分科員 ありがとうございます。
やはり、様々な対策、今回、補正でも取っていただいている、本当にありがたいと思うんですけれども、ただ、現場の声をもう少し聞いていただいて、そこに病院がある、そして医療を受けられる、何回も言いますけれども、そういった環境がなくなっていく、そういう状況にはしてほしくないわけでありますので、是非、現場の声を聞いて、更なる対応、対策を取っていただくようにお願い申し上げます。
そして、もう一つ深刻な問題は、いわゆる少子化が今進んでいるわけでありますけれども、安心して子供を産める環境があるのかどうか、今それが本当になくなってきているという現状があるわけであります。やはり、安心して子供を産める環境、これは絶対になくしてはいけないというふうに思います。
今、御存じのとおり、分娩空白地域がどんどん進んでいて、分娩ができない地域が全国で千市町村、そして六割にも及んでいるわけであります。私の地元である枕崎市も、分娩ができる医師がいなくなって、地元からは、本当にお願いしますという声がどんどん来ているわけであります。
やはりこういった声に応えて、分娩ができる医師を増やして、少子化の原因の一つにもなっているわけでありますので、こういったものをやはり強力に進めていく必要があると思いますけれども、その対策、対応、分娩をできる医師をどんどん増やして、そして地方にもどんどんそういう医師を派遣する、そういった体制を取っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
もう一つは、特に離島では、私の選挙区には奄美群島があるわけでありますけれども、分娩をする際には鹿児島市内に行ったりとか、そして沖縄に行ったりとかして分娩をする。でも、そうすると、交通費もかかる、そして宿泊費もかかるわけですね。何回も何回も行く可能性もあるわけでありますので、今、ある程度の支援はしていただいているわけでありますけれども、出生率も非常に高いわけでありますし、そういった方々が安心して子供を産めるためにも、完全なる支援策というものを実現する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
〔後藤(茂)主査代理退席、主査着席〕
○森光政府参考人 議員御指摘のように、出生数の減少に伴いまして、分娩取扱施設数が減少する地域が生じております。こういう中で、地域の住民の方が安心して分娩できる体制を確保するということが大変重要だと考えております。
具体的には、都道府県において、二次医療圏にこだわらず、周産期母子医療センターを基幹とした集約化と重点化などを行うとともに、一方で、分娩取扱施設と、妊婦健診や産前産後ケアを行う施設、これらの役割分担と連携を進めること、それから、分娩取扱施設までのアクセスが悪化した地域に居住する妊婦に対する、地域の実情に応じた対策などの取組が進められているところでございます。
その上で、厚生労働省といたしましては、都道府県の医療計画に基づく周産期医療体制の整備や産科医師確保の取組に対して財政支援を行うとともに、令和六年度補正予算においては、分娩数が減少している分娩取扱施設などへの緊急的な支援を盛り込んでいるところでございます。
また、御指摘いただきました、アクセスの確保の観点でございますけれども、この観点も重要と考えておりまして、厚生労働省におきましては、都道府県に対して分娩取扱施設までの妊産婦のアクセスの確保を求めるとともに、こども家庭庁と連携いたしまして、令和六年度から、離島に居住する妊婦を含め、遠方の分娩取扱施設で出産する妊婦の交通費及び宿泊費への財政支援を行っているところでございます。
また、こども家庭庁におきましては、令和六年度補正予算によりまして、遠方の産科医療機関で分娩だけではなく妊婦健診を受診する妊婦の交通費についても支援をする予定であると承知をしております。
引き続き、都道府県や市町村と連携して、居住地にかかわらず安心して出産できるよう、都道府県と連携しながら、地域の実情に応じて妊産婦へのきめ細やかな支援に努めてまいりたいと考えております。
○三反園分科員 集約化とか重点化というのはすごく大事だと思います。思いますけれども、ただ、地域の事情に応じて、環境に応じて対策しなければ、今答弁していただきましたけれども、アクセスが一時間とか一時間半かかれば、それはなかなかやはり安心して子供を産める環境ではないと私は思います。そこら辺について、また手厚い、きめ細かな御支援をお願いしたいと思います。また、離島ならではのやはり条件不利性があるわけでありますので、更なる御支援をお願いできればと思っております。
そしてまた、今回、医療法の改正の中の一つとしてオンライン診療を充実させていく、これはすごく大事でありまして、離島も含めて、地域においてはオンライン診療はありがたい、そしてまた、郵便局とか公民館でもできるようになる、これはすばらしいことだというふうに思います。
ただ、オンライン診療が、本当の診療、診察に近づけていって初めて、オンライン診療ができてよかったなというふうに思うと思うんですよね。だからこそ、やはり公民館とか郵便局に聴診器があって、それを医師の指示どおりに当てれば向こうで心音が聞ける、そしてまた、カメラがあって、口を開けたり目をすると向こうで診察をしてくれる、それも含めて、更なる機械の充実を図りながら、オンライン診療を本当によかったなというふうに思っていただく必要があると思いますけれども、そういう支援策、機材も含めて、充実を含めて、パッケージで支援する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○森光政府参考人 議員御指摘のとおり、オンライン診療につきましては、特に医療資源が少ない地域における医療アクセスの確保のためには有用と認識をしております。
厚生労働省におきましては、国、自治体、医療機関が普及に向けて取り組むべき方向性を示した基本方針の策定、それから、事例集の作成、周知、導入のための補助事業等により推進を図っているところでございます。
御指摘のようなデジタル機器、例えばデジタル聴診器等につきましては、遠隔医療設備整備事業の対象となるということをお示しをしております。また、研究事業におきましても、AIデジタル機器の普及に向けた必要なエビデンスを蓄積し、オンライン診療に関しての必要な支援を行っているところでございます。
今後とも、こうした取組を着実に進めるとともに、関係者の御意見を伺いながら、オンライン診療を幅広く適正に推進するよう努めてまいりたいと考えております。
○三反園分科員 やはり、オンライン診療が本当によかったなというふうに思っていただけるように、デジタル社会でありますので、デジタル機器を活用して、そのためには、地方もなかなか財源が厳しいところもありますので、そういった財源への支援を本当に強化していくことが、やはりどこにいても医療を受けられる環境の整備の一つにつながっていくと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
もう一つは、やはり生活をする上で安心して生活ができるかどうかの問題の一つとして、介護の問題があるというふうに思います。
みんな年を取るわけであります。年を取ることがつらい、そんな日本であってはいけないわけであります。年を取ったときに、必要な人が必要な介護を受けられる、そういった環境をつくっていく必要があると思います。
やはり、介護現場を訪れると、本当に大変な中で一生懸命働いているわけであります。本当に大事な仕事であります。ただ、報酬がなかなかそれに見合っているのかというと、そうではない現実もそこにあるわけであります。
今回、報酬改定でプラス一・五九、その中の〇・九八%を使ってベースアップをしなさい、それによって令和七年度は二・〇%のベースアップが実現できるでしょうということでありますけれども、でも、現実を見たときに、なかなかではないかなというふうに思います。人件費が高騰して、物価もどんどん高くなっている。介護経営自体が大変な中で、それを報酬に回して本当に二・〇ということが実現できるんだろうか。その現実を、やはり我々は、政治家は見る必要があるというふうに思うんですよね。
そうすると、民間はニュースでもプラス四%と出ている中で、どうしてプラス二・〇なんだろうと。それは財源の問題もいろいろとあるかもしれません。だからこそ、今政治が、いわゆるプラス二・〇、これを含めて、報酬改定を含めて、今後どのような形で持っていくのか、そして介護現場の声にいかに応えていくのかですよね。
抜本的な改革が必要になってくると思いますけれども、それについてどうお考えかをお聞きしたいと思います。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、介護サービスは老後の生活の安心を支える大切な基盤で、ある意味、その要と言っても過言ではない、そんな存在だと存じます。
他方で、介護分野は、長引く人手不足それから物価高騰で大変厳しい環境にございます。そうした中で、処遇改善は喫緊の課題だということで存じております。
政府といたしましては、先ほど議員も御紹介いただきましたとおり、令和六年度の報酬改定で措置をしました処遇改善加算の充実、これについて更なる要件の弾力化を通じて、より高いランクの処遇改善加算を取っていただけるようなサポートということを、方針を決めて、それを現場にお知らせをしております。
また、あわせまして、先般の補正予算に盛り込んだ更なる賃上げに向けた支援、これは一人当たり五・四万円というやつですけれども、こうした支援を通じまして、介護分野における賃上げを進めてまいりたいと存じます。
その上で、こうした政策の効果につきまして実態把握をして、処遇改善の実施状況を踏まえて、財源と併せて必要な対応を検討してまいりたいと存じます。
○三反園分科員 是非、今も本当に一生懸命やっていただいているわけでありますけれども、現場に行って、現場の声を反映させるような、現場の人たちが一生懸命働けるような、将来が不安なく過ごしていけるような、そういったやはり環境を整えるために、我々も当然努力しなきゃいけないわけでありますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。やはり現場は本当に大変な状況であります。
それと、やはり人手がいろいろな業種で不足しているわけであります、実際に。そういう人手不足についての認識はどのような認識をお持ちなのか、そしてまた、この人手不足を、本当にいろいろな分野で人手不足が続いているわけでありますけれども、これを解消するためにどのような方策、施策を取ろうとしているのか、お聞きしたいと思います。
○山田政府参考人 生産年齢人口が減少する中で、労働力の確保を行い、人手不足に対して適切に対応することは極めて重要なものだと認識しております。
このため、働き方改革等により、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働くことができる環境の整備を行うことで、女性、高齢者、外国人材などの活躍を促進しております。
加えて、厚生労働省としては、三位一体の労働市場改革などの構造的な改革を推進し、生産性の向上や賃上げの実現に取り組むことによって、企業の人材確保に努めてまいりたいと思います。
○三反園分科員 もう一つ、私は本当に、農業ですけれども、このままの農業で、食料安保という言葉もありますけれども、守っていけるのか。人間は食べていかなきゃならないわけでありますけれども、本当に、今、農業従事者が百十六万人いるわけでありますけれども、このままいくと、二〇四〇年には三十万人に減ってしまう現実がそこにあるわけでありますよね。
その現実を踏まえて、この危機的な状況の農業をどうやって守っていくのか、まずはそこの認識をお聞かせください。
○勝野政府参考人 お答えさせていただきます。
我が国の基幹的農業従事者は、委員御指摘のとおり、二〇二三年の百十六万人から、二〇四〇年には三十万人まで減少するおそれがありまして、私どもとしても強い危機感を持っております。
今後、農業従事者を着実に育成、確保していくためには、就農後の早い段階で所得が確保でき、努力に応じて経営発展につなげていけるなど、農業の魅力を高めることが重要だと考えております。
農林水産省といたしましては、次世代の農業者の確保に向けまして、就農に向けた様々な資金メニューでの支援、新規就農者の経営発展のための機械、設備、施設等の導入支援、そして研修農場の整備などサポート体制の充実への支援など、あらゆる施策を講じまして、担い手の育成、確保を図ってまいりたいと考えております。
○三反園分科員 私も現場に行って、若い就農している人たちといろいろな懇談をずっと重ねてきているわけでありますけれども、一番多い声は、頑張ればやっていける、そういった農業にしてください、その声だけなんですよね。それは本当にそうだと思います。こういう若い人たちが営農を継続できるようにしていかなければ、日本の農業は本当に守っていけない。私は、危機感を本当に覚えているわけであります。
そのためにも、私は三つの支援が大事だというふうに思っています。
その一つは、若い人たちが農業を始めるときに、まずは資金がなければなかなか厳しいわけでありますけれども、今、御存じのとおり、若い、四十九歳以下の就農をしようという人たちは一万六千人から一万八千人ぐらいいるわけでありますけれども、その中で資金で認定していただけるのは二千人ぐらいにとどまっているわけであります。こういった要件をもう少し緩和して、やろうという人たちに必要な資金を与えて頑張っていただけるような環境をまずつくっていただきたいのが一つであります。
もう一つは、若い方々が農業を続けていくために、いろいろなことがあるので、やはり専門家の方々、指導農業員もいるわけでありますので、何かあったときにすぐ相談できる、その体制を充実させる必要があるということが一つであります。
もう一つは、今、災害が起こって、本当に何かあったときに収入がなくなってくる。確かに、収入保険に入っていればいいじゃないかという声もありますけれども、そういったことよりも、要するに、災害が起こったときにちゃんと、農水省を含めて、政府はあなた方と一緒の思いでやっていますよ、そういうことが、支援策が、私は求められているんじゃないかなというふうに思います。
この三つが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○勝野政府参考人 お答えさせていただきます。
農林水産省では、将来の地域営農の中核となる担い手候補として、市町村から青年等就農計画の認定を受けた認定新規就農者に対して、就農前後の資金の交付や、機械、施設等の導入の支援を行ってきております。
さらに、令和六年度補正予算から、四十九歳以下の意欲ある新規就農者の確保を一層推進する観点から、親元就農や第三者継承を含めた新規就農対策を拡充しまして、一つ目には、初期投資への支援について、経営を継承する際に必要となる機械、施設の修繕や老朽設備の撤去なども支援対象に追加をしまして、国の補助上限を五百万円から六百万円に引き上げるという取組を拡充しましたし、二つ目には、経営開始時の年百五十万の資金支援につきまして、親元就農する場合、親と同じ品目であっても、経営のバージョンアップをすれば支援を受けられるということを明確に打ち出したところでございます。
今後も、現場の声を踏まえつつ、担い手の育成、確保について、委員の御指摘も踏まえまして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○三反園分科員 やはり現場の声を聞くと、今いろいろと支援策を並べておっしゃいましたけれども、やはり現場は、こうではなくてこういう支援が欲しいんだよ、こういうことがあれば継続できるんだよ、そういう声もありますので、是非、現場の立場に立っていろいろな支援策を進めていくことが日本の農業を守ることになるというふうに思います。
私の地元でも、若い農業従事者がたくさんいて、オクラの日本一ですし、ソラマメも日本一ですし、お茶も日本一ですし、サツマイモも作っているとか、そういう意欲のある方々がたくさんいるわけでありますので、そういった方々の声を反映させて、本当に将来不安なく、一生懸命頑張ればやっていけるんだよ、そういうメッセージをどんどん、農水大臣も含めて、送っていただければありがたいなというふうに思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
もう一つは、水産も今大変になっておりまして、私の地元にも水産高校があるわけであります。今、船員も不足していて、日本の水産業はどうなっていくのかというふうに、本当に皆さん、思っていると思います。
やはり、そういうことを考えたときに、今回、法律も改正されるわけでありますけれども、要は、要になるのは、水産高校の人たちが本当にそのまま船員になっていただけるかどうか、ここが大事だと思います。
私が知事のときに、実習船が古くなったので、本当にお金がかかったけれども、決断して実習船を造りました。そしてまた、今はインターネットの時代でありますので、船の中の環境整備、それをやはり充実させていくことが大事だというふうに思いますので、そういった充実させるための環境整備への支援、そしてまた水産高校に対する手厚い支援、それをお願いできればな、そういうふうに思います。
もう一つは、やはり国民生活を守っている本当に大事な一つとして今大変な状況になっているのは、消防団の方々が本当に今不足しています。自分の仕事をしながら、生活を守りながら、何かあったらすぐに活動しなければならない。そうした中で、消防団の方々のもう少し処遇を改善して、やはり一緒になって、政府も含めて取り組んでいるんだよ、そういうことをどんどん示していくことが大事だというふうに思います。
この二つについて、どうお考えかをお聞きしたいと思います。
○今井政府参考人 水産高校への支援についてお答え申し上げます。
水産高校は、委員御指摘のとおり、我が国における水産業や海運業を支える人材の育成という重要な役割を担っていると認識をしております。
現在、文部科学省では、水産高校を始めとする専門高校における教育の充実に当たり、DXハイスクール事業によるスマート水産業等に対応した人材育成や最新機器等の整備、マイスター・ハイスクール事業による産業界と一体となった職業人の育成、それから公立学校施設整備費による実習船の整備など、ソフト、ハードの両面にわたって学習環境の整備を進めるとともに、専門高校の魅力発信に向けた取組も進めさせていただいているところであります。
また、国土交通省におかれましても、水産高校から船員への就職促進を進めるため、インターンシップなど、船員への就職希望を増加させる取組を実施していただいているものと承知しております。
文部科学省といたしましては、引き続き、関係省庁と緊密な連携を図りながら、水産高校の教育環境の充実に努め、海洋立国日本を支える海洋人材の育成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○小谷政府参考人 消防団に関する御質問にお答え申し上げます。
大規模災害になればなるほど地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、団員確保を含めた消防団の充実強化を図ることは極めて重要と考えております。
このため、消防庁では、消防団の充実強化に向け、女性や若年層にターゲットを置いた広報、機能別消防団員制度の活用、企業や大学と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、できる限りの対策を講じているところです。
消防団員の処遇改善につきましては、令和三年四月に消防団員の報酬等の基準を定め、この基準に沿った処遇改善が実施されるよう市町村に働きかけてきた結果、令和六年四月時点で団員階級の年額報酬について基準を満たす市町村が約九割となるなど、着実に改善が図られております。
さらに、シニア層の消防団員の活躍促進を図るため、令和七年度から、長年勤務された消防団員の労苦に報いる退職報償金の勤務年数区分に、新たに三十五年以上区分を追加することとしております。
こうした見直しにより消防団員の処遇改善が図られているところですが、今後も自治体の実情等を丁寧に伺ってまいりたいと考えております。
○三反園分科員 今後とも、消防団員のことを一つ例に取りますと、やはり現場に行って現場の方々の声をもう少し聞いていただいて、いろいろな支援策を、処遇改善もしていますということでありますけれども、それと現場の人たちの声が一致しているのか、そこを少し考えていただければありがたいな、そういうふうに思います。
それと同時に、消防庁長官も含めて、総務大臣もそうでありますけれども、現場を、消防団の方々と懇談をしていただいていると思うんですけれども、農水大臣もそうでありますけれども、そこら辺りを、若い農家の方々、消防団員もそうですけれども、やはり言葉ですよね。やはりメッセージが欲しいというところもあるんですよね。やはり、ありがとうとか、頑張っていただいた、処遇改善と同時に、そういった心の支援策というものをもう少し充実させていただければ、若い人たちも、消防団員の人たちも頑張れるというふうに思いますので、そこら辺りのケアも含めてよろしくお願い申し上げます。
やはり、国民の生活を守り、そして暮らしを守っていくのが政治の仕事だというふうに思いますので、今後とも、現場の声を聞いて、その現場の声が反映させられるような政治をつくるためにまた頑張っていきたいと思います。
今日は、皆さん、ありがとうございました。
○深澤主査 これにて三反園訓君の質疑は終了いたしました。
次に、中谷真一君。
○中谷(真)分科員 衆議院議員の自民党の中谷真一です。
今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問を行いたいと思います。
今現在、物価、人件費が非常に高騰しております。その中、病院経営が苦しいという声が私の地元からも大分聞こえてきております。私も、地元の病院、県中央病院とか、あとは山梨医大病院とか、またクリニックとか、こういったところにも声を聞いているわけでありますけれども、赤字に転落するということを言っていて、非常に経営が厳しいということを言っております。
これは本来、診療報酬等々で対応していくべきというふうに思いますが、次の改定はまだ先であります。この間、どうやって対応していくのかというところでありますが、令和六年度補正では、人件費に充てることができる支援策として八百二十八億円、さらには重点支援地方交付金の追加があったというところでありますが、これは全ての病院が対象になっていますからちょっとこれでは対応し切れないのではないか、ほかの物価高騰対策もこれは含まれていますので、そういったことを考えますと、病院の経営に特化した支援が必要だというふうに思っているところであります。
そのための予算を今後確保すべきというふうに考えますが、厚生労働省の御意見をいただきたいと思います。
○森光政府参考人 議員御指摘のとおり、現在、医療機関の経営状況につきましては、物価の高騰、それから賃金の上昇、それから医療需要の急激な変化といったものに直面をしておりまして、大変苦しいものになっているというふうに認識をしております。
こうした中、議員もお話がありましたとおり、令和六年の診療報酬改定で賃上げ等に関する一定の措置、ベースアップ評価料等の措置を講じた上で、さらに、昨年末には、御質問の中にありました補正予算におきまして、物価高騰に対する重点支援交付金の積み増しに加えまして、緊急的な支援パッケージによる医療機関への支援を盛り込むということを行っております。
また、令和七年の予算案では、低所得者に配慮しつつ、医療機関の入院時の食事基準の引上げ、これを行うこととしております。
地域医療を守るということは非常に重要であると考えております。まずは、この補正予算を着実に医療機関に届けるとともに、必要な支援が行き届くように取り組んでいきたいというふうに考えております。また、補正予算の効果や物価等の動向、医療機関の経営状況など、それぞれの足下の状況変化も丁寧に把握をした上で、適切に対応していきたいと考えておるところでございます。
○中谷(真)分科員 これはよく状況を確認していただきたいというふうに思います。これは今、更に物価が上がっていきますからね、人件費も。ですから、これはもう、やらなければいけない措置は速やかに追加的に講じていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
それでは、歯科健診について聞きたいと思います。
一般健康診断における歯科健診の導入を見送ったというところでありますけれども、これは、労働安全衛生法の観点から、労働が口腔に影響している、一部はありますけれども、それはない、エビデンスとしてないのではないかということで、それを雇用側に義務づけるというのはできない、義務化するのは困難という理由だというふうには聞いているところであります。
ただ、歯科、口腔ケアが健康に与える影響というのは大きいということは出ていますし、さらに、これをやらないと就労世代がまさに歯科健診をしないということになってしまうので、これはよくないだろうというふうに思います。これは、労働安全衛生法によらない、何か別の枠か何かつくって、そして、就労世代が口腔ケア、また健診が受けられるようにするということも考える必要があるのではないかというふうに思うところであります。
これに対しての厚生労働省の御意見を伺いたいと思います。
○井内政府参考人 委員御指摘の労働安全衛生法に基づく一般健康診断は、事業者に対し、常時使用する労働者を対象に年一回実施することを罰則つきで義務づけており、あわせて、必要がある場合には、健康診断の結果を踏まえて、労働時間の短縮等の就業上の措置を講じることも義務づけているものでございます。
この一般健康診断に歯科を加えるということにつきまして、令和五年より、有識者検討会におきまして、歯科関係者からのヒアリングを行った上で、産業医学の専門家及び労使の代表が最新の医学的知見を基に検討を行いました。
その結果を踏まえた今年一月の労働政策審議会の建議におきましては、歯科に関する項目を法定健診項目に追加することに関しては、委員御指摘のとおり、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことを踏まえると困難であるとされた一方、労働者の口腔の健康の保持、増進は重要であることから、今後、好事例を展開する等普及啓発を強化することにより、歯科受診につなげる方策を検討することが適当とされました。
今後、関係者ともよく相談をし、建議を踏まえた対応をしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○中谷(真)分科員 自主性に任せるとなかなか進んでいかないと思いますので、これまでもそうだったと思います。ですから、何か新しいことを考えて、この議論をずっと続けると多分できないと思うので、ですから、ちょっとそこは、是非御検討いただきたいというふうに思います。
それでは次に、オンライン診療、これは看護師さんからの意見をちょっと申し上げたいと思います。
オンライン診療のメリットというのは、私が言うまでもありませんが、居住地とか状況を問わない、さらには通院が要らないとか待ち時間がないとか、さらには治療継続が向上していくとか、メリットはたくさんあるわけであります。
ただ、オンラインは、対面に比べますと得られる情報はやはり少ないだろうというふうに思います。また、機材の操作とか性能によっては非常に難しい情報も出てくるのかなというふうに思っております。
そこで、看護師の皆さんは、まさにドクターはこっちにいて、画面の向こうに患者さんがいるわけでありますけれども、その患者さんのそばにナースがいれば、看護師さんがいれば、オンラインでの診療のいわゆる質が向上するのではないかということを言っています。また、その質の向上のためには、専門的な知識、こういったものを持っている認定看護師さんとか専門看護師さん、さらには特定行為研修を受けた看護師さん、こういった方々がおられればということを言っているところであります。まさに、オンラインを進めるためには、看護師さんに行っていただくようにするということと、さらには、看護師さんの能力向上が必要ということを言っておられます。
これについて厚生労働省の見解をいただきたいと思います。
○森光政府参考人 議員御指摘のとおり、在宅医療等の現場では、DツーPウィズN、すなわち看護師が患者のそばにいて行うオンライン診療、大変有用だと考えております。
特に、御指摘のように、看護師等による支援、いわゆる適切な情報のやり取りも含みますけれども、患者と医師との間の円滑な意思疎通が可能になるという点、また、医師の指示に基づきまして速やかに検査や投薬、点滴処置などの診療の補助行為を行うことが可能であるといったような点で、有用性が高いと考えておるところでございます。
また、令和六年度の診療報酬改定では、この点を評価しまして、僻地において患者が看護師等といる場合のオンライン診療に対する評価として、看護師等遠隔診療補助加算が新設されたところでございます。
また、議員御指摘のように、このようなDツーPウィズNを推進するためには、特定行為研修の修了した看護師さんの活躍というものが期待されておるところでございます。この養成を一層図っていくという必要があると考えております。
そのため、看護師の特定行為に係る研修の受講に当たりましては、地域医療介護総合確保基金の活用、また、そのほかにも雇用保険の一般教育訓練給付費等、これらを利用することができるということになっております。
また、さらに、特定行為研修の受講と修了者の活動を組織的かつ継続的に支援するために、指定研修機関である医療機関において、共通科目の学習機会の提供やメンターの配置を行う組織定着化支援事業、これらを令和五年度から開始したところでございまして、引き続き、より多くの特定行為研修者の修了を確保して、更にオンライン診療を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○中谷(真)分科員 時間もまたコストもかかりますけれども、是非御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
それでは次に、医薬品について質問したいと思います。
今回、この冬は、かなりインフルエンザがはやったりとか風邪がはやりました。現場では、タミフルがなくなったとか、あと、行ったけれども抗生物質がもらえないとか、こういった声を聞いたというところであります。
いろいろヒアリングしてみますと、やはり、中間年改定により二年に一度の改定から一年に一度になった、どんどん薬価が下がっているということを言っている人もいますけれども、それによってメーカーが利益の出ない医薬品を作らなくなったことが原因じゃないか、これによって医薬品不足が起きているということを言っているというところであります。
タミフルとか、やはり抗生物質は大切ですから、ないと困るので、こういった特に必要な薬を確保するためには、現在の薬価の見直しも含めて検討すべきというふうに考えますが、これについて厚生労働省の見解をいただきたいと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
医薬品の安定供給におきましては、御指摘の薬価の対応も含めて、足下の供給不安解消と産業構造改革といった中長期的な取組の双方に取り組んでいくことが重要だと考えてございます。
まず、足下の供給不安の解消に向けましては、これまで企業に対する増産の働きかけや増産体制の整備への補助、それから薬価の下支え等の取組を行ってきたところでございます。
次に、中長期的には、後発医薬品の非効率な生産体制の解消に向けまして、後発医薬品企業の事業再編に向けた環境整備等を進めているところでございまして、今国会に提出した薬機法等の改正案においても、製薬企業における安定供給体制の整備、あるいは企業間の連携、協力、再編を後押しするための後発医薬品製造基盤整備基金の造成といったものを盛り込んでいるところでございます。
こうした取組によりまして、医薬品の安定供給に取り組んでいきたいというふうに思ってございます。
○中谷(真)分科員 ここ近年、本当にこれはよく聞くので、是非これは強力に進めていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移ります。
薬剤師さんたちの給与がとても賃上げできないということを言っています。令和六年度調剤報酬改定、また中間年改定が行われたところでありますけれども、とてもとてもということを言っています。次回は令和八年ということでありまして、我々も民間に対して給与を上げてくださいとお願いしているわけですから、やはり公定価格でやっているところに対してもそれなりの措置をしていかなきゃいけない。我々、国はやはり範を見せなきゃいけないというふうに思います。
厚生労働省としてどう対応するのか、お聞きしたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
薬局で働く職員の賃上げに向けては、令和六年度の診療報酬改定で措置をされた調剤基本料の引上げを踏まえた対応、これをまず着実に図っていただくことが重要と考えておるところでございますが、先ほど委員からも御指摘があった昨今の物価高騰、これを踏まえた更なる支援として、令和六年度補正で重点支援地方交付金、これが措置をされておりまして、厚生労働省として、都道府県等に対して、この交付金を積極的に活用していただくように要請をさせていただいているところでございます。
薬局は、やはり地域医療を確保するために必要であります。今後ともそれぞれの地域においてその役割を果たしていただくことが重要と考えておりますので、引き続き、状況の把握に努める中で、必要な対応についてもしっかりと検討してまいりたいと思います。
○中谷(真)分科員 結構厳しいと現場は言っているので、もし、やはり追加対応が必要となったならば、ちょっと速やかに新たな対応を是非お願いをしたいというふうに思います。
それでは次に、ギャンブル依存症について御質問したいと思います。
オンラインカジノ、さらにはオンラインでのギャンブルがよりできるようになってきたというところもありまして、ギャンブルがまさに市民生活に浸透していっているという状況にあります。ギャンブル全般でいきますと、大体三十兆ぐらいだというふうに聞いています。たくさんの方がギャンブルをされているということであります。
私は、ギャンブルをなくせということを言っているわけではありません。ただ、ギャンブル依存症がやはり出てきているということであります。よく見えていないところにもたくさんあると思います。
それで、よく言うのは、ギャンブル依存症は闇バイトにつながりやすいとか、こういったことも言われているわけでありまして、これにしっかり対応していかなきゃいけないというふうに思っております。
そこで、ギャンブル依存症対策、令和七年度予算を見ますと、八・四億円ですからね。ちょっとこれは、三十兆ですから、三十兆円、それに対して八・四億円で、対応できるのかというところを非常に思っているというところであります。これは、やはりしっかりとした対応をしなきゃいけない。
ただ、その原資は、例えば公営ギャンブルをやっている、そういったところから利益の一部をいただいて、それを基金か何かにして、それで対応するということもできると思うんですよ。公営ギャンブルをやっているところで、財団をつくっていろいろなところにお金を渡しているようなところもありますから。
ですから、それは、まさにこのことによって、いわゆる身体、また、そういったものに影響を受けている人たちに対してやっていくというのは、私はありだなというふうに思います。一%でも三千億ですからね。これは十分ありだというふうに思いますけれども、これに対して御見解をいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 ギャンブル等依存症対策につきましては、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づきまして、ギャンブル等依存症対策推進本部の下で、関係省庁がそれぞれの分野について今取組を進めておるところでございます。
御提案のような、ギャンブル等依存症対策に関する予算の財源確保のために関係事業者が資金を拠出する等の仕組みを新たに設けることにつきましては、収益配分や公益還元の仕組みが設けられている関係法令との整合性などから、慎重な検討が必要であると考えています。
厚生労働省におきましては、予防であったり相談、治療及び回復支援に係る対策を行っているところでありまして、引き続き、これらの取組を着実に進めますとともに、委員からは今の予算規模では十分じゃないんじゃないかという御指摘があったところでございます。ギャンブル等依存症対策に必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと思います。
○中谷(真)分科員 喫煙でもあれだけやったんですからね、農水省がやっているところ。だから、省庁を乗り越えてやれるというのは絶対できると思いますので、これはやはり早急な対応が必要だと思います。かなりの数の方が多分苦しんでいるというところでありまして、これは病気ですから、これは病なので、これに対してやはりしっかり対応していかなきゃいけない。それは、私は厚生労働省に是非先頭に立っていただきたいというふうに思っているところでありまして、そのためにはやはり資金が必要ですから、その資金の調達の在り方というのは是非検討いただきたいというふうに思います。
それでは次に、介護DXについて質問したいと思います。
私は、以前、善光会という、これは岸田元総理も行かれたというふうに思いますが、介護DXの現場を見てきました。そこで見たのは、センサーとかカメラを使って、いわゆる患者さんの状況を素早く見るということとか、あと、情報処理システム、いわゆる患者さんのカルテというんですか、そういったものをより使いやすくするということによって、省人化であったりとか、また効率化を図っていくということをされていました。いろいろロボットを使ったりとかしたけれども、これが一番利くということで、それをされていました。
確かにそうだな、彼らが言っていることは正しいと私も思ったんですね。それで、これを進めていかなきゃいけないな、さらに、人手不足もありますので、それをやっていく必要があるというふうに思っているんですが、よくよく聞いていきますと、そこで例えば効率化を図ったり、省人化を図ったりして利益が上がった、その利益を持っていかれると言うんですね。だからインセンティブが働かないとか、あとは、なかなかそれは難しい、善光会だからできるんだと言っている介護事業者もいたりとかするんですね。
ですから、まずはやはりそういったことで取り組んで、いわゆる利益が上がったところに対して、やはりそれを全部持っていくんじゃなくて、しっかりお渡しするとか、こういったインセンティブは必要だ、そうしないと取り組みませんから。
さらには、介護を分かっている人、だから、介護の施設の中にやはりDXとかITとかに精通している専門家をつくる必要がある。ベンダーに丸投げするから、大体使えないシステムを入れて、使わなくなるんですよ。ですから、中にいる人と一緒にベンダーが作るというふうにしないと、本当に使えないものを作るので、それで使わなくなる、この悪循環ですから。ですから、そういったことをやっていかなきゃいけない。
そのためには、やはり資格要件とか、こういう方を何人配置しなさい、DXできる人、資格持っている人を何人配置しなさいとか、あとは、それに加算するとか、こういったこともできると思いますので、それを是非やっていただきたいというふうに思いますが、厚生労働省の御意見をいただきたいと思います。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今後、介護サービス需要が更に高まる一方で生産年齢人口が減少することが見込まれておりまして、介護テクノロジーなどを活用しました介護現場の生産性向上の取組は大変重要でございます。
このため、議員、インセンティブに言及していただきましたが、事業者が介護テクノロジーの導入や継続的な業務改善の取組を行った場合に関しまして、令和六年度介護報酬改定において、業務改善効果が期待される一定の介護テクノロジーを導入して、継続して活用していること、いわゆる介護助手の活用を始め、職員の役割分担の見直し等を実施していることを評価する加算の仕組みを創設したところでございます。
また、委員、もう一つ御指摘がありました継続的な取組の支援でございます。介護テクノロジーの導入や導入後の支援、双方とも重要でございまして、国や自治体が講じる様々な支援メニューを事業者に紹介、提供して、必要に応じて適切な支援機関につなぐワンストップ型の相談窓口を全都道府県に設置すべく、現在、取組を進めているところでございます。
○中谷(真)分科員 やはり施設の中に、介護を分かっている人が専門家にならないと、ほかの分野もみんなそうなんだけれども、ベンダーに丸投げしちゃうから、大体使えないものを作って、使わなくなっちゃうという悪循環ですからね。是非そこを検討してもらいたいというふうに思います。
次に、延命治療についてであります。
これはちょっと私の地元の例を申し上げますけれども、支援者の方がおられて、そのお母さん、百六歳、デイサービスに行っていて、救急車で運ばれた、そうしたら脳溢血だったということでありました。意識がなかったということでありますけれども、食事ができないということで管を入れたということであります。
そのとき、これが延命治療がどうかという意識がなかったというふうにその支援者は言っていましたけれども、ただ、一年半、その後意識がなくて、そして亡くなられたというところであります。その亡くなった御本人は、延命治療しないでくれと言っていた。しかも、書き物も残していたそうです。それをお医者さんに見せたら、いや、もう管を入れちゃったのでそれはできません、こういう話であったということを言っているんですね。
ですから、やはり、人生会議とかされているというのは分かるんですが、急にこういうのって訪れるので、ですから、延命治療を決めるタイミングというのは非常に重要だというふうに思っていますし、あとは、何が延命治療なのかというのも、そろそろ議論していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
これは病院とか医師が積極的に進めるべき、来られる方に対して、こういうことをやはり考えなきゃ駄目ですよというのはやるべきだというふうに思いますが、厚生労働省の御意見をいただきたいと思います。
○吉田大臣政務官 人生の最終段階における医療、ケアがお一人お一人にとって望ましい形で提供されるように、厚生労働省としても、ACP、これの推進を図っているところでありますけれども、その最も重要な原則は、先ほど委員が御指摘をされたように、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされるということを前提としつつ、やはり、それに基づいて、御本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療、ケアチームと十分な話合いを行いながら、御自身が納得のできる意思決定を積み重ねていくといったことにあると考えております。
こうした考え方を踏まえて、厚生労働省におきましては、医療、ケア関係者のACPへの理解を更に進めるとともに、本人の意思や希望に沿った医療、ケアの提供が保障されるように、医師を始めとする医療、ケア関係者を対象として、様々な事例を想定した多職種によるグループワーク等の研修を行っているところであります。
あわせて、国民の皆様に向けましても普及啓発を進めているところでありまして、人生の最終段階において、御本人や御家族等が医療、ケア関係者とも十分に話し合いながら、納得した医療が受けられる環境整備、これに取り組んでまいりたいと思います。
○中谷(真)分科員 そのお母さんのことを言っていましたけれども、本当にこれを本人は望んでいたのかな、こういうことを言っていましたので、これはちゃんとやらなきゃいけないかなというふうに思います。
それでは最後に、給食費についてであります。
これは保育園の保護者の皆さんと意見交換をしたんですが、今、物価が上がっているのに対して、給食費が上がっていないということであります。ただ、やはり、保育園の中でも、家庭の事情で給食しかちゃんと食べていないような子もいるという中で、それが一品ずつ減っていっているように見えると、価格が上がることによって。ですから、給食費を上げたらいかがかということを言われているんです。
ただ、重点支援地方交付金とか、こういうのがあるのでというふうに言われるんですけれども、これは全体の物価対策なので、ここをやるかどうか分からないということもありますので、是非、子供が食べるものだから、これはしっかりやっていただきたいというふうに思います。
こども家庭庁の御意見をいただきたいと思います。
○友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。
保育所等における食材料費を含めました物価高騰対策につきましては、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策において、今議員御指摘いただきました重点支援地方交付金の推奨事業メニューとして、物価高騰等への支援が盛り込まれています。
これでは不十分という御指摘なのだと思いますが、これを受けまして、こども家庭庁としましては、保育所等の利用者や事業者の負担軽減に向けて、交付金をまずは積極的に活用していただくように、昨年十二月に地方自治体に対して依頼をしており、引き続きその活用を促してまいります。
また、保育所等の運営費支援を行う公定価格において給食材料費を算定しており、毎年、物価変動を踏まえた見直しを行ってきているところでございます。令和七年度予算案におきましても所要額を計上しているところです。
物価高騰に関しては、政府全体の動向を踏まえた対応が必要と考えており、引き続き必要な取組を図ってまいります。
○中谷(真)分科員 受ける側の食品会社も、これじゃやれないといってどんどん断っているような状況みたいですから、これは是非やっていただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
○深澤主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十八日金曜日午前八時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時五十九分散会