衆議院

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第2号 令和7年2月28日(金曜日)

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令和七年二月二十八日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 小林 茂樹君

      土屋 品子君    岡本 充功君

      川内 博史君    神津たけし君

      近藤 和也君    野間  健君

      山田 勝彦君    徳安 淳子君

      赤羽 一嘉君

   兼務 草間  剛君 兼務 小竹  凱君

   兼務 赤嶺 政賢君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   環境大臣         浅尾慶一郎君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室審議官)        河合 宏一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    井上  計君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            谷村 栄二君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          前田 光哉君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松本 啓朗君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  植田 明浩君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           秦  康之君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     野間  健君

  近藤 和也君     山田 勝彦君

  徳安 淳子君     阿部 圭史君

  赤羽 一嘉君     西園 勝秀君

同日

 辞任         補欠選任

  野間  健君     岡本 充功君

  山田 勝彦君     神津たけし君

  阿部 圭史君     阿部  司君

  西園 勝秀君     沼崎 満子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     川内 博史君

  神津たけし君     近藤 和也君

  阿部  司君     徳安 淳子君

  沼崎 満子君     赤羽 一嘉君

同日

 第四分科員赤嶺政賢君、第八分科員草間剛君及び小竹凱君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

小林主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。草間剛君。

草間分科員 おはようございます。自由民主党の草間剛でございます。

 川崎市宮前区と横浜市都筑区をまたぐ神奈川十九区の選出でございまして、浅尾大臣には、御地元として、いつも、市議時代から大変お世話になっております。

 横浜市会議員を三期十二年務めさせていただきまして、市議時代には、菅総理がまさにカーボンゼロを宣言されたときに、政令指定都市として初めて脱炭素社会推進条例を議員提案させていただきました。

 そのときの経験を踏まえて、自治体はもちろんなんですけれども、国として取り組まなければいけない諸課題につきまして本日は質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、プラスチックリサイクルについて伺います。

 先輩方の多くの御尽力によりまして、日本のプラごみの発生量は減少傾向にございます。今世紀初めには一千万トン程度だったプラごみは、二〇二三年には七百六十九万トンまで減りました。横浜市も川崎市もプラの分別に全力で取り組んでおります。

 一方で、このうちリサイクル対象となったのは二百万トン弱ということで、ごみ発電などを含めて焼却されたプラごみの量は約五百五十万トンでございまして、全体の七割を燃やしているということでございます。

 しかも、リサイクル対象のうち六〇%を超える百二十五万トンが海外に輸出されておりまして、日本国内で実際にリサイクルされた量はプラごみ全体の約十分の一にも満たないというのが実情でございます。

 なので、今、せっかくプラごみを分別しても、現状、プラごみのほとんどは燃やされるか、リサイクルできるものも多くが中国を始めとする海外に出されてしまっております。

 そこで、国内でプラスチックリサイクルがされていない現状について、環境省の認識を伺いたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、プラスチックに関しましては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルに熱回収を加えたプラスチックごみの有効利用率は継続的に上昇し、二〇二三年度には八九%に達しておりますが、その一方で、熱回収を除いたリサイクル率は約二五%で、近年横ばいとなっております。

 さらに、マテリアルリサイクル対象のプラスチックのうち約百二十五万トンが海外に流出している状況にあります。

 こうした中で、昨年八月に閣議決定いたしました第五次循環型社会形成推進基本計画では、プラスチックを含む資源を国内で循環させ最大限活用することの重要性、これを記載させていただくとともに、プラスチックについてマテリアルリサイクル等の素材循環重視のリサイクルを進める方向性を示しているところでございます。

 こうした考え方も踏まえ、市民の皆様の御協力により回収されたプラスチックを国内でリサイクルしていくため、本日いただいた御指摘も踏まえ、引き続き積極的に国内での資源循環に取り組んでまいりたいと考えております。

草間分科員 是非、国内での資源循環に力強く取り組んでいただきたいと思います。

 実は、世界的にも、プラスチック廃棄物汚染を防ぐ条約案を決定する第五回政府間交渉委員会は残念ながら締結に至らなかったということでございますけれども、先日、国際プラスチック条約企業連合の皆さんと勉強会を行いまして、問題のある回避可能なプラスチック製品、懸念のある化学物質の規制又は段階的な廃止、回収、リユース、リサイクルの目標とシステムを導入、前進させる国レベルの義務ということが要請をされておりました。

 今必要なのは、まさにリサイクルできるプラスチックを作っていくルールだと思うんですけれども、国内においてプラスチックのリサイクルを推進するために、リサイクル可能なプラスチック製品のルール化を進めるべきと考えますけれども、認識を伺います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 プラスチックリサイクルを進めるためには、ただいま御指摘いただきましたとおり、製品設計の段階からリサイクル可能なものに改めていくことが重要であると私どもとしても受け止めております。このためのルールといたしましては、プラスチック資源循環促進法に基づき、プラスチック使用製品設計指針を定め、製造事業者等が指針にのっとった取組を行うよう促しているところでございます。

 この指針では、プラスチックの資源循環を円滑に進めるため、製造事業者等に対し、単一素材化や、分解、分別の容易化、リサイクルが容易な材料の使用などの環境配慮設計を求めており、一部の業界団体において製品共通の環境配慮設計ガイドラインが整備されたり、企業による製品プラスチックの単一素材化が行われるなど、民間による取組が進んでいるところでございます。

 また、プラスチック資源循環法では、特に優れた環境配慮設計を国が認定する制度を設けているところでございまして、詳細な認定基準の検討等が進んでいるところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、プラスチック製品の環境配慮設計をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

草間分科員 是非、この分野につきましては、経産省とも連携して取組を進めていただきたいと思います。

 神奈川県内でも、横浜、川崎を始め多くの自治体で、今までプラごみでは回収していなかった歯ブラシですとかおもちゃのプラスチックとか、そういった製品の分別収集がまさに今始まっております。市内では、民間による、先ほど言ったマテリアルリサイクル工場も稼働しておりますけれども、まだまだ地域において、国内においても、プラスチックリサイクルの取組が弱いというふうに感じております。

 そこで、プラスチックリサイクルを強力に推進していくために、大臣の決意を伺いたいと思います。

浅尾国務大臣 草間委員におかれましては、本当に横浜市議会議員時代から循環型社会形成に向けて強力に政策を推し進めていただきましたことに対して、心から敬意を表します。

 その上で、プラスチックを含む資源循環の推進には、制度的対応や財政支援など、政府による強力な後押しが必要であります。昨年末に関係閣僚会議で取りまとめた循環経済への移行加速化パッケージに基づき、取組を進めてまいります。

 制度的対応については、二〇二二年施行のプラスチック資源循環促進法に基づき、これまで百十四の自治体で製品プラスチックの分別収集が進んでおりますが、引き続き、より多くの自治体で取組を進めていただくとともに、企業リサイクルの取組を促してまいります。

 また、昨年五月に成立した再資源化事業等高度化法の認定制度を活用し、先進的で高度なプラスチックリサイクルの取組を後押ししてまいります。

 財政支援については、先進的な技術、設備の実証、導入など、プラスチックを含めた資源循環の支援として、令和七年度予算案にも約二百三十億円を盛り込んでおります。

 今後も、あらゆる施策を総動員し、プラスチック資源循環を強力に推進してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

草間分科員 是非大臣のリーダーシップで、このプラスチックリサイクルを推進していただきたいですし、アメリカではかなり、このプラスチック、マテリアルリサイクルされた洋服等も出回っておりまして、是非、もう大臣在任中に、環境省の皆さんのスーツはみんなプラスチックからできているみたいな、そういったぐらいのレベルに推し進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 このリサイクルの問題で、現在首都圏を中心に大きな議論になっていますのが太陽光パネルでございます。

 東京都、また私の選挙区がある川崎市は、今年の四月より、全国で初めてとなる新築戸建て住宅などへの太陽光パネル設置義務化が始まります。都内では、太陽光パネルが設置できる建物は約二百二十五万棟とされ、東京都は二〇三〇年度の都内における電力需要の五〇%を再エネで賄うという目標を掲げておりまして、この環境意識は高く評価できるものだと思うんですけれども、その中の大きな懸念の一つが、この太陽光パネルを廃棄するときどうなるのかというところでございます。

 太陽光パネルの耐用年数は二十年から三十年とされておりまして、そもそも二〇三〇年代後半以降には大量廃棄の時期を迎えてまいります。最大で年間五十万トンが廃棄されると推計をされておりますけれども、現行法では廃棄される太陽光パネルにリサイクルの義務はない、多くは埋立処理されていると聞いております。

 そこで、現在使わなくなった太陽光パネルはどうなっているのか、参考人に伺います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 現在使用済みの太陽光パネルにつきましては、破砕した上で管理型の処分場における埋立処分が行われていることが多いと考えられます。一方、シリコン型を始めとする太陽光パネルをリサイクルする技術は既に確立しており、事業者による設備導入も行われるなど、リサイクルの取組が徐々に進んできている状況にございます。

 太陽光パネルは、その寿命が二十年から三十年程度であり、二〇三〇年代後半から使用済太陽光パネルの排出量が顕著に増加すると見込まれております。今後、使用済太陽光パネルの大量排出に対応し、最終処分量を削減するとともに資源の有効利用を進めていくため、太陽光パネルのリサイクル促進に向けた制度的対応について検討を進めてまいりたいと考えております。

草間分科員 今後、この廃棄量が増えるに従いまして、おっしゃったように、パネルの放置や不法投棄などの懸念も高まっております。

 そもそも、多くのパネルを埋設する場所も足りないと業界からは伺っておりまして、また、太陽光パネルにはインジウムなどレアメタルが使用されておりまして、これをリサイクルしサプライチェーンを構築することは、レアメタルの供給安定化に向けて経済安全保障的にも大変重要なことではあります。

 また、太陽光パネルは三十年間はもつということですから、費用につきましては製造時にメーカーに負担させるべきだと私も考えております。

 そこで、太陽光パネルのリサイクルを義務づけ、また、メーカーに費用負担を求めていくべきだと考えますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。

浅尾国務大臣 環境省では、経済産業省と合同の審議会を開催し、太陽光パネルの適正な廃棄、リサイクルのための制度的対応について検討を進め、昨年十二月に報告書案を取りまとめたところであります。

 報告書案では、太陽光パネルの再資源化について、市場原理だけでは再資源化が進みづらいことから、再資源化を義務づける仕組みを構築することが必要であるとされております。

 その際、太陽光パネルは、今御指摘のとおり使用期間が長期間にわたり、海外メーカーのシェアが高く、廃棄時に既にメーカー等がいないことも想定されるため、メーカー等に再資源化の実施義務を課すことは難しいことから、一定の再資源化技術を有する事業者への太陽光パネルの引渡し等を義務づけることや、メーカー等に対して再資源化の実施に代えて再資源化費用の負担を求めることにより、再資源化に必要な費用を確保する仕組みを構築することなどが盛り込まれております。

 本報告書案について一月中旬までにパブリックコメントを行ったところであり、今後、いただいた御意見を精査し、政府内で更に検討を行い、実務的な制度案を取りまとめた上で、可能な限り早期の国会への法案提出を目指していきたい、こういうふうに考えております。

草間分科員 ありがとうございます。

 これは、神奈川県のみならず、東京都のみならず、全国的に大きな課題でございますので、大臣のリーダーシップで太陽光パネルのリサイクルをどうするのか、是非解決策を探っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 プラスチックや太陽光パネルのリサイクルを進めていくためには、やはり日本だけではなくて、世界共通のルールがあってしかるべきだと思います。そのためにも日本が主導して世界的な議論を進めていく必要があると思っておりまして、京都議定書が採択されたのが一九九七年、COP3から約三十年が経過する中で、今、世界的にも環境問題がアメリカを始めとしてかなり低調になっている感が私はしておりまして、やはりここは、日本が世界の環境政策をリードしていくために、国連気候変動枠組み条約の締約国会議、COPを日本に誘致するべきだと私は考えるんですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。

浅尾国務大臣 草間委員におかれましては、COPの日本への誘致ということをかねてより主張されているということを承知しております。

 気候変動枠組み条約のCOPの開催地は、通常、国連の五つの地域グループで持ち回ることとなっており、各地域内で具体的な開催国の調整が行われます。すなわち、五地区の中のどこかで、五年に一回という形になると思います。

 日本が属するアジア太平洋地域が次の開催地となるのは二〇二八年のCOP33であり、既にインドが誘致に関心を示していると承知しております。

 日本への誘致については、誘致の効果や負担などを勘案しつつ、政府全体で検討していく必要があると考えております。

 そういったことでありまして、COP33の、二〇二八の次は二〇三三年ということであります。

草間分科員 二〇二八年とは言わず、二〇三三年に向けても、何といっても十年を切っていますから、取組を是非加速化して、検討を加速化させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、国際園芸博覧会における環境省の取組について伺います。

 大臣も御案内のとおり、横浜市の上瀬谷で、あと二年後に国際園芸博覧会、グリーンエキスポが開催されます。私も、この度、党の花博特命委員会事務局長に就任いたしまして、新たな役員体制で初めての会議を行いましたけれども、国土交通省、農林水産省が主管で開催するのですが、環境省が残念ながらその会議にはどなたも参加されていなくて、グリーンエキスポなのに環境省が参加しないのはどうかという話が三谷幹事長から出まして、私もちょっとそれは反省しているところではあるんです。

 まさに、生物多様性、気候変動、資源循環は相互に影響し合い、関係性が高く、花博の運営においてもこれらの同時解決に向けた環境省の取組の実施を進めていくべきだと考えますけれども、大臣の考えを伺います。

浅尾国務大臣 私も、この職に就く前に、党の運輸特命委員会の事務局長を務めておりまして、是非お声かけをいただいて、環境省もまずはその会に参加をさせていただきたいということをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。是非お声かけをお願いしたいと思います。

 二〇二七年の国際園芸博覧会は、基本的な考え方として、自然再興、気候変動への対応、循環経済の移行など、GXやグリーン社会の実現を含むSDGs達成への貢献を掲げております。

 環境省としては、博覧会の機会を捉えた我が国の環境政策の発信、展開や博覧会における環境対策の推進を通じて、SDGsの達成に寄与する博覧会にすべく、積極的に貢献してまいりたいと考えております。

 具体的には、自然共生サイトなど自然との共生、調和に関連する取組を世界に発信するほか、博覧会関連事業として位置づけられている横浜市内の公共施設、民間施設の再エネの導入や、博覧会会場における3Rを推進してまいります。

 あわせて、こうした環境省の取組について、広く国民、企業、自治体等に発信をしてまいりたいと考えております。

 二〇二七年国際園芸博覧会の開催に向け、関係省庁と連携して、政府一体となって取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

草間分科員 ありがとうございます。

 先日、特命委員会事務局次長でもある福島県の坂本竜太郎さん、恐らく環境の、今回の分科会のトップバッターで御質問されていたんですけれども、ちょっとあの人と話す機会があって、これは全く調整していないし、個人的な意見、でも彼との意見でもあるんですけれども、大臣も今いろいろ本当に一生懸命取り組んでいただいている、福島の土というのがあるじゃないですか。あれをやはりどこで利用するかというところの中で、二〇二七年の花博といいますか、あれは絶対必ず土が必要になりますから、これは横浜や神奈川のイベントではなくて、日本の園芸博覧会として、そうしたところでの活用というのも検討できるんじゃないかなと思っておりますので、是非、環境省全体としての花博への取組、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、ペットの災害対策について伺います。

 横浜市議時代に、熊本地震と川崎市の台風十九号による浸水が起こりまして、熊本、川崎両政令市の市長からお話を伺いました。そのときに、様々な災害の課題があるんですけれども、最も大変だった一つがペット対策というところでございました。人口が多い都市部ほど同居しているペットも多くて、家族同様のペットを抱えて避難されている方々への対応が、川崎も熊本も、もう最後まで大変だったというお話を聞きました。

 そこで、ペット災害対策の重要性について、大臣の認識を伺います。

浅尾国務大臣 ペット災害対策の重要性、誠に重要なことだというふうに思っています。

 災害時には、もちろん人命優先でありますけれども、ペットは家族の一員という意識が一般的になりつつありまして、災害対策におけるペット対応は、動物愛護の観点のみならず、飼い主である被災者の心のケアの観点からも大変重要だと思っております。

 環境省では、人とペットの災害対策ガイドラインを策定し、平常時の備え、災害発生時の行動を体系的に整理し普及啓発するとともに、ペットとの同行避難訓練を支援するなどの取組を進めております。

 令和六年の能登半島地震の際には、環境省職員を被災地に派遣し、避難所等でのペットの受入れに関して、関係団体等と連携をした支援体制の確保等を行ったところであります。

 引き続き、災害対策におけるペット対応にしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

草間分科員 ありがとうございます。

 写真を御覧をいただきたいと思うんですけれども、これは、まさに私の地元というか、私の家の近くの、私が災害時に避難する横浜市の都筑小学校の、このジャングルジムが実は都筑小学校のペット避難所になっております。ここにブルーシートがあると思うんですけれども、そこでちょっと雨よけして、ここで要するにワンちゃんとかを置くということなんです。

 この避難所は、想定が一万五千人対応でございまして、一万五千人対応で、このジャングルジムの下にペットが置けるわけないんですけれども、訓練に実際にペットを連れてきた方も、こんなんじゃ無理だと言って二度と来ませんでしたし、避難所を運営する委員、運営される皆さんも、無理だということを分かっていて、その無理だということを分かってほしいという思いでやられているということなんですね。

 なので、実はこれは避難所が悪いわけではなくて、横浜市のペット同行避難マニュアル、次のページがこのマニュアルでもあるんですけれども、下の方に、ケージに入れない犬を鉄棒などにつなぐというのが、こういった状況なので、マニュアルどおりにやっているといえばマニュアルどおりやっているんですけれども、これは無理があります。

 ポイントは、都市部は人口も多いんですけれども、ペットも多いんです。ペット防災において重要なことは、発災時、一時的にここに行くというのはもちろんそうなんですけれども、ここに例えば、うちの避難所でいうと一万五千人想定ですけれども、その一割だとしても千五百人とかが来たとして、ペットもそれぐらいいて、無理なわけなので、一時避難所からいかに早くペットとその家族を違う場所に移動いただくというのが、ペットの災害対策としては大変重要だと思います。

 なので、特に人口が多い都市部の自治体において、二次避難場所として公園などのペット専用避難所を検討するようガイドラインを改定すべきだと考えますけれども、認識を伺います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、災害時におけるペットとの同行避難を推奨しておりまして、御指摘の平成三十年策定、人とペットの災害対策ガイドラインの中でも、避難所においてペット飼養者用のスペースを設けた事例等を紹介しているところであります。

 能登半島地震においても、避難所における飼育スペース確保のためのトレーラーハウスの設置や、動物病院等におけるペットの一時預かりが行われたほか、避難所の再編時においてペット連れ避難者専用の避難所、二次避難所を設置するなど、更に工夫された事例も見られたところであります。

 環境省では、能登半島地震でのこういった経験も踏まえて、ガイドラインの改定について検討を進めているところでありまして、各自治体の実態に合わせた対策の検討に役立つよう、これらを含む様々な事例について紹介、推進できるよう検討してまいりたいと考えております。

草間分科員 そもそもこれは自治体がやるべき仕事ではあるんですけれども、様々な自治体でペットの防災対策を扱っているのは、動物愛護行政をやられている、横浜市でいうと動物愛護センターであります。この動物愛護センターみたいなところは非常に真面目なところでございまして、環境省さんとしっかりと連携を常にしていると。環境省さんと常に連携をしているところの、横浜市のペット防災の基になっているのがガイドラインでございますから、そのガイドラインにおいてやはりしっかり選択肢をお示しいただくというのは大変重要なことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、今の犬猫の飼育頭数合計は令和五年度では約一千五百九十一万頭と、人の十五歳未満人口を上回っております。正直、動物愛護政策を室だけでやっているというか、僕は動物愛護を室だけでやっているということにも無理があると思っているんですけれども、これから防災庁が設置をされるということでございまして、新設される防災庁においても省庁横断的にこのペット防災をしっかり扱うべきだと考えますけれども、参考人にお話を伺います。

河合政府参考人 委員の御質問にお答えします。

 ペットは飼い主にとってかけがえのない存在である一方、災害時の避難所においては、動物に対してアレルギーを持っている方などへの配慮も必要です。防災庁の母体となる予定の内閣府防災でも、避難所運営に関するガイドラインを策定しておりまして、事前にペット同伴避難のルールを決めておくことや、飼い主が責任を持って避難所でペットを飼育するための居場所を確保することなどを盛り込み、自治体に周知をしております。

 また、令和六年能登半島地震においては、先ほど環境省さんからも御紹介があった事例のほかにも、民泊の施設を活用して、従来のホテル、旅館やアパートなどでは対応しにくいペット同行での避難ニーズに応えた、そういった事例も見られたと承知しております。

 防災庁の設置に向けては、関係省庁が連携した災害対策を効果的、効率的に実施できる体制整備が重要であり、こうしたペットに関する災害対応における課題にも適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

草間分科員 是非、防災庁のアジェンダとしてペット防災は扱っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、最後に、認定希少種保全動植物園への補助と動物園の未来について伺いたいと思います。

 ちょっと時間も迫っておりますので端的に言いますと、私も、一歳と今六歳の子供がいて、私は横浜と川崎なんですけれども、横浜の方には三つ動物園がありますから、この前ズーラシアが、浅尾大臣名で、認定希少種保全動植物園等に認定をされました。

 まさに、このズーラシアでも繁殖を積極的にやられているというところなんですけれども、そもそも、動物園の経営というのは危機でございまして、もう電気代や餌代の高騰に加えまして、動物そのものの国際的な価格も上昇している中、例えばズーラシアとかは公立動物園なので、入園料を上げるにも議決が必要になっていまして、この時代に動物園の入園料を上げられるかと言って、全国で、上げたいんだけれども、議案がまさに提出できない状況にもあるし、提出しても否決されちゃう、これは感情的にはそうだと思うんですけれども、そういった状況になっております。価格転嫁ができないということですね。

 今、この認定希少種保全動植物園が抱えている課題について、大臣はどのように認識されているのか伺い、そして、三問目の質問も一緒に答えていただきたいんですけれども、守っていくための新たなビジョンが必要だと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

浅尾国務大臣 まず、最初の方の希少種保全動植物園等の認定制度ですが、希少な野生動植物種の取扱いが種の保存に資する動植物園等を環境大臣が認定する仕組みであり、認定を受けた動植物園等は、国内外の希少な野生生物の保全の重要な役割を果たしていると認識をしております。

 その保全活動のための資金や体制が必ずしも十分でないという施設があるということも認識をしておりまして、時間の関係でまとめて答えさせていただきますけれども、そういったことをしっかりと対応していくために、種の保全ということに加えて、今御指摘がありましたこと、なかなか値上げができないといったことも踏まえて、しっかりと対応を考えていきたいというふうに考えております。

草間分科員 今、本当に動物園はかなりピンチな状況でございますので、環境省としても取組をよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて草間剛君の質疑は終了いたしました。

 次に、野間健君。

野間分科員 立憲民主党の野間健と申します。

 今日は、浅尾大臣に、昭和四十六年、一九七一年に環境庁が設置されましたけれども、その原点ともいうべき水俣病の問題について御質問したいと思います。

 当時、熊本、新潟で水俣病が発生し、また、富山でもイタイイタイ病、あるいは四日市のぜんそく、こういういわゆる公害という問題が大きな社会問題になりました。私が考えるに、そういった原因企業、あるいは地域の住民、地域の行政だけではもうもはや解決できない、非常に広範囲で多くの方が被害を受けた、そういう大きな問題が起きて、これはやはり国が、政治がきちっと責任を持ってこの問題を解決しないと、国民の健康も保持できない、環境も保持できないということで環境庁が設置されたと思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

浅尾国務大臣 野間委員の御指摘のとおり、環境省の原点であります環境庁ができた経緯としては、今御指摘のとおり、公害対策ということが原因だ、できた原点ということでありまして、特に今御指摘の水俣病については、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、我が国の環境行政の原点であると認識をしております。

 そういったことでありますので、しっかりとこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。

野間分科員 ちょっと失礼な物言いになったら恐縮なんですけれども、大臣は、その原点である熊本県の水俣市あるいは新潟に環境大臣として訪問されたでしょうか。

浅尾国務大臣 水俣、熊本県、あるいは新潟県には、まだ訪問をいたしておりません。これは、今御指摘のとおり、昨年の七月に伊藤前大臣が水俣病関係団体の皆様との懇談を行って、その後、様々な実務的な意見交換を実施していくという中で、今その実務的な意見交換をしている中でありまして、そのことを踏まえて、でき得りませば、国会が許せば、少なくとも五月一日には伺っていきたいというふうに考えておりますし、また、その際には、十分な時間を取って、いろいろな意見交換、適切に意見交換をしていきたいというふうに考えております。

野間分科員 是非、五月と言わずに、やはり、今なお水俣病で苦しんでいる方々、また、御存じのとおり、胎児性で、お母さんから胎盤を通じて有害物質を胎児が吸収をして、それに悩んでいる方々もおられます。ですから、大臣もお忙しいとは思うんですけれども、まだまだ訪問されていないということは、今実務協議が行われていますけれども、当事者に聞くと、ほとんど実は、去年のマイク切り問題以降、一、二度あったけれども、内容が進んでいないという声も聞きます。

 大臣、今、お話は分かるんですけれども、何かもう、水俣病の問題は終わってしまったんじゃないか、こんな認識があるんじゃないんでしょうか。

浅尾国務大臣 水俣病の問題が終わったという認識は持っておりません。道半ばでありという状況だというふうに認識をしております。

 平成二十一年に制定された水俣病被害者救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法、いわゆる特措法の前文において、「地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図り、環境を守り、安心して暮らしていける社会を実現すべく、この法律を制定する。」と示されております。

 環境省としては、こうした最終解決の実現を目指し、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組を進めていくという所存であります。

野間分科員 今大臣からもお話が出ましたけれども、水俣病特措法、この三十七条に、今の、最終解決に向けて、やはり健康に係る調査研究をやるんだということで、残念ながら、いまだにあれだけ大きな問題が起きていても健康調査が不知火海の沿岸で行われていないということは御存じのとおりなんですけれども、この三十七条でうたっている健康に係る調査研究、これは何のために行われるものなんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病特措法第三十七条の健康に係る調査研究でございますが、平成二十一年に成立しました水俣病被害者特措法の前文におきまして、「地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図り、環境を守り、安心して暮らしていける社会を実現すべく、この法律を制定する。」と示されてございますので、この趣旨に基づいて、第三十七条第一項で政府が健康調査を行うことと規定しているものと承知をしてございます。

野間分科員 その健康調査をするんだということなんですけれども、そのための調査の手法を開発するということで、二〇〇九年から二四年まで十五年間、今かかっていますね。二十三億円のお金を使ってどういう進展、成果が得られたのか、どんな患者さんや被害者の数などを調査されたのか、教えていただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病被害者特措法の成立から十五年経過しているという事実につきましては、重く受け止めているところでございます。

 一方で、この特措法につきましては、第三十七条第一項で政府が健康調査を行うことと規定するとともに、同条第三項でそのための手法の開発を図るものと規定していることを踏まえまして、環境省としては、まずは手法の開発が必要であると考え、脳磁計とMRIを活用した手法の開発を進めてまいりました。

 手法の開発に当たりましては、研究に御協力いただける患者の方々を探し、研究内容を御説明して個別に同意をいただいた後、医療機関までお越しいただく日程を調整して、複数の検査を受けていただくなど、丁寧に研究を進め、集めたデータを様々な解析手法で分析し、特徴的な所見を見出しつつ、さらに、高暴露地域外にお住まいの一般の方々を含めて、三百人以上の規模の対象者に御協力をいただいたところでございます。

 そして、昨年度、令和五年度ですね、開発の成果をまとめて国際的な学術誌に論文が投稿され、専門家の査読を経て公表されるなど、手法の開発が一定の程度に達したことから、健康調査のプロトコール案の作成に取り組んでいるという状況でございます。

野間分科員 この調査手法の開発に当たった研究班というのがあって、この先生方がやったわけですけれども、余り個人のことを申し上げるのもはばかられるんですけれども、実際、この研究班の主任の研究員の方や研究協力者という方、これは、国側の訴訟のときの証人でも出られていますけれども、実際に、水俣病に罹患した人、被害者を診察したことはない、そういったことを診たことがない、こういう証言をされている方なんですよね。

 そういうその実態を見ていないような人が研究して、やっている。非常に被害者の皆さんからとっても奇異なといいますか、そんなことで本当に実態が分かるのか、この研究員の方々の中立性とか公正性に非常に疑問を感じざるを得ないんですけれども、その点、どうなんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの研究班につきましては、令和五年度水俣病に関する総合的研究事業の公募を行いまして、公衆衛生や疫学を始めとした二十四の関係学会に周知を行った上で、応募があったものでございます。

 その上で、外部の専門的な委員の評価を経て採択されており、現在研究を行っていただいているところですが、中立性、公正性の観点からも問題はないものというふうに考えてございます。

 以上です。

野間分科員 まあ、そう言わざるを得ないんでしょうけれども。

 また、先ほど、疫学調査の在り方検討会で、おおむねこの手法で、MRIと脳磁計を使ってやる手法がいいんだということでおおむね妥当だという結論が出たということでありますけれども、この疫学調査在り方検討会の委員の方々も、これはやはり国側の訴訟の中で証人などをしている方々ですから、中立性に疑問があるとは言わざるを得ないと思います。

 それで、この被害者、患者の皆さんから聞くと、確認したいんですけれども、MRIと脳磁計を使うと。脳磁計というのは何か一台しかないんですよね、国水研の中に。ですから、新潟とか、要するにいろいろな地域の方をこれからそうやって診ていく場合に、一台しかない。そして、一人九十分以上かかる。まあ、一泊二日ぐらいかかる。こういう非常に手間もかかり、時間もかかる、一台しかない。これは一体どうやって、その疫学的なきちんとした結果を、どれぐらいの年数をかけてやろうとしているのか。どうなんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の水俣病の健康調査に関する検討会では、関係者から脳磁計、MRIによる評価法の研究についてヒアリングを行い、各検査の特性ですとかメチル水銀により障害される脳の特徴的な所見等を確認するとともに、当該評価法によりメチル水銀による脳への影響をある程度客観的に評価でき、集団に対する評価法の精度として一定の段階に到達したと整理されたところでございます。

 その上で、従来用いられてきました問診と神経学的診察に加えまして、脳磁計とMRIを用いた評価法を活用することは、疫学調査の精度を高める上で妥当という整理もなされたところでございます。

 今委員御指摘の今後の実施につきまして、調査の流れや検査の動作等の実施可能性を確認する、いわゆるフィージビリティー調査の実施に向けて、必要な検討、準備を進め、本検討会において指摘された課題について検討いたしますとともに、フィージビリティー調査及びその準備を進めていく上でも、引き続き関係団体を含む様々な関係者から御意見を伺いながら、本格調査の実施に向けて対応してまいりたいと考えてございます。

 以上です。

野間分科員 問診と検診だけで本来であればいいと思います。従来、それで七万人以上の方の検診、認定が行われていますので。それと、これは指摘にとどめますけれども、やはりこういった委員の皆さんも、実際に患者さんを診た医師や、又は被害者の皆さんが委員に入るべきだということは申し上げておきたいと思います。

 それと、配付資料でちょっと見ていただきたいんですが、「特措法の地域外で救済された被害者の状況」という、不知火海の沿岸の地図があります。ブルーで塗ったところが、いわゆるこの特措法の地域内、対象地域ということで、ここの地域に一年以上居住したことがある人は、いわゆる有害な水銀の魚を食べたということを推認して認めるということの地図ですけれども、この対象地域を定めた根拠は何でしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病被害者特措法では、ノーモア・ミナマタ訴訟におきまして裁判所が示しました和解所見を基本に、訴訟をしなかった患者団体との協議も踏まえて、救済の対象地域が定められたものと承知をしてございます。

 以上です。

野間分科員 それで、実は、この地図のグリーンのところは、この対象地域外なんですけれども、実際に、主として漁業組合に籍を置いて漁業をしていた人たち及びその同居の家族の人たちが、対象地域外なんですけれども、住んでいる。この方々は、被害者として認められた。その分布が出ているんですね。ですから、このブルーの対象外のところにもこれだけの方が被害者として存在した、存在しているということを表している図なんですけれども。

 先ほどの御説明と、あるいは政府側が訴訟の中で主張されていることは、一つの地域で患者が多発したとしても、食生活というのは家庭や個人の嗜好で異なるんだから、その地域に住んでいたとしても、全部の人が同じような暴露があったということは言えないんだと。まあそうですね。食べていない家庭もあったでしょう。しかし、このブルーのところは、とはいえ、ここは多く発生しているから推認するんだということで決めていたと思うんですね、対象を。

 ですから、これ、なぜこのグリーンの地域も、同じようにこういうふうに出ているわけですね、認められるべきじゃないんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在係争中の訴訟についてのお答えは差し控えたいと思います。

 その上で、公健法における水俣病の認定に当たりましては、メチル水銀の暴露、症状、それらの因果関係についての総合的な検討を丁寧に行ってございます。

 そして、先ほど委員御指摘がございました水俣病被害者特措法の関係でございますが、ノーモア・ミナマタ訴訟において裁判所が示しました和解所見を基本に、訴訟しなかった患者団体との協議も踏まえて、政治的な判断として、対象地域内に一定期間の居住歴のある方につきましては、暴露を受けた可能性があることを踏まえ、一定の症候を有する場合、救済の対象としたものでございまして、メチル水銀との因果関係については確認をしていないと承知をしてございます。

 このように、水俣病被害者特措法による救済対象者の要件は、公健法に基づく水俣病の認定とは考え方が異なるということでございまして、御指摘の点について、整合性が取れていないというふうには考えてございません。

 以上です。

野間分科員 今の御説明は、このブルーの地域の方も、本当に食べているかどうか分からないけれども、推認するという方法でやる。ただ、それは、今おっしゃるには、水俣病との、水銀を食べたかどうか、それでその被害が起きたというのは、因果関係があるかどうか分からないということですよね。

 ですから、ここで、是非大臣にお聞きしたいのが、やはりそういうことも踏まえながら、しかし、政治として、この公害を解決しなきゃいけないということで特措法もできているわけですよね。ですから、これは、一人一人の患者を全部厳密に詰めていってどうなのかということをやり出したら、何百年たっても解決しません。そのために環境省があり、政治が介入して公害の問題を解決しようとしてきたわけですね。

 今お話がありましたように、この対象地域外の人は、その認定を受けるとき、その申請書の中に、漁業組合にいましたか、要するに漁業をやっていましたか、それで、その同居の家族ですかということを聞く欄があるんですね。そこは、やっていません、でも、そういう症状があります、こういう人は、実は事務的に、無条件にはねられているのが実態です。

 これは、その後、新聞の記事もつけていますけれども、自分は漁業をやっていなかったけれども、隣の漁業者から魚を買ったり、自分でも漁をして捕りに行ったりしていたという方ははねられるわけです。漁業の組合員じゃなかったから、漁協にいなかったから、事務的にこれははねられています。

 例えば、一番最後のページでは、これは、不知火海からはるかに、二十キロ以上離れた鹿児島県の大口市というところ、山間部ですよね、しかし、魚は行商人の人から買って食べていた。じゃ、その行商人から買った証拠はあるのかということを調べていたら、何十年前の水俣に行ったときのガソリン代の領収書があったということで、その証拠が認められて、この人は水俣病被害者と認定され、しかし、その隣に住んでいた女性は、同じように行商人から魚を買っていたんだけれども、その証拠が出せないからということで、はねられているわけです。

 このように、これはどんどんどんどん突き詰めていけば、そういうことになっていかざるを得ないんですが、それを政治の立場で救済していったのがこの特措法であり、また、環境省の立場であるべきだと思うんですけれども、大臣、それはどう思われますか、今までの話を聞いていただいて。

浅尾国務大臣 委員よく御案内のとおりだと思います。今御指摘ありましたように、公健法で救済されている方、公健法として患者として認定された方、そしてまた、特措法として救済された方という二種類のパターンがあることだというふうに思いますけれども、その中で、今、様々な訴訟もあるということも承知をしております。

 いずれにしても、水俣病については、しっかりと、現状において、公健法に基づく救済についてもその可能性を探っていくということが大事なことだろうというふうに思っておりますし、様々な実務的な意見交換などもさせていただいておりまして、できる限りの対応をしていきたいというふうに考えております。

野間分科員 この特措法の目的も、健康調査、十五年間、二十三億円使ってほとんど進んでいない。被害の全容がいまだに分かっていないんですよね。

 資料の最後から二番目の、水俣病の認定患者数と棄却・申請者数というのが出ています。各地域で何回かの公健法や政治決着で、合計七万二千三百人の人が、医師によって診断されて、水俣病に見られる感覚障害が確認されているんですね。

 この七万二千三百人の方がどこに居住をしていたか、このデータの一部を使って実は先ほどのブルーとグリーンの居住の分布を出したんですけれども、ごく一部なんです。これは、環境省にこのデータはあるんですかと聞いたら、いや、県が持っているから自分たちは知らないということでした。

 これは、裁判の中で、裁判所からの命令によって、県が、熊本県と鹿児島県が提出した中からこういう資料を、これは一部なんですね、出しています。これは非常に貴重な資料です。これを見ると大体全容が分かるんです。

 ですから、環境省として、これは、特定のプライバシーの問題はあるんですけれども、一つの疫学調査の非常に有効な資料として開示するように、県、自治体に求めていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 公害健康被害補償法における認定、平成七年政治解決及び平成二十一年水俣病被害者特措法における給付対象者につきましては、その申請手続を関係県市において実施されており、分布状況の公開につきましては、関係県市において適切に判断されると考えてございます。

 以上です。

野間分科員 この特措法の目的も、あるいは救済に当たっても、全容が分からなければどうしようもないですよね。県市が適切に判断されるって、それは、やはり環境省からきちっとそういうデータをもらって解析するというのが当たり前じゃないですか。

 この疫学の先ほどの検討委員会も、MRI、脳磁計の開発も結構なんですけれども、そういうことをやるのがその検討委員会の仕事なんじゃないんですか。

 もう一度伺いますが、県市からそのデータをもらうということをやってもらえませんか。

前田政府参考人 繰り返しになりますけれども、御指摘の分布状況の公開につきましては、関係県市において適切に判断されるというふうに考えてございます。

 以上です。

野間分科員 この特措法の中で、救済措置の方針ということで、健康不安者というカテゴリーをつくっているんですね。ですから、恐らく、この特措法の後はみんな救済されるんだ、しかし、健康不安を思う人がいるかもしれないから。これはある種の、ちょっと逃げではないかと思います。

 健康不安者ということは、自分がもしかしたら水俣病じゃないかな、そういう不安を抱いている方だと思うんですね。その方のフォローアップをするといって、登録してくださいということになっていましたけれども、これはどれぐらいの数の方が登録して、実際に健診等が行われていますか。

前田政府参考人 委員御指摘の健康不安者のフォローアップにつきましてでございますが、水俣病発生地域における健康上の問題を軽減、解消を図るべく、過去に通常のレベルを超えるメチル水銀の暴露を受けた可能性がある方に対しまして、医療機関において年一回無償で健康診査を行うことができるようにする健康不安者フォローアップ健診事業を関係自治体を通じて実施をしてございます。

 この健康不安者フォローアップ健診事業への令和五年度の登録者数は千九百人、健康診査を受診された実績者数は令和五年度は二百九十三人となってございます。

 引き続き、関係自治体との調整を行いながら事業に取り組んでまいります。

野間分科員 このように、水俣病かもしれないという方はやはりこうやって出ているわけですよね。決して終わっていません。

 大臣にお聞きしたいんですが、今、訴訟している方でも、平均年齢七十五歳、九十歳以上の方も百人以上おられます。八十歳以上の方は五百人以上おられます。もう本当に、彼らも、寿命がいつ尽きるか分からない状況で救済を求めています。

 別に、お金が欲しいとか、そういうことじゃないんです。自分は、いろいろな差別を地域で受けながら、水俣病というよく分からない病気になってしまった、しかし、それは、自分の、あるいは何か遺伝的なもの、そういうのじゃなくて、企業によって起こされたんだということを証明したいという、その一心で皆さん闘っているんですよね。ですから、もちろん、先ほど申し上げました胎児性で、まだ六十代ぐらいの方でも苦しんでいる方も多いです。

 こういった方々を一刻も早く救うために、以前の伊藤大臣は、答弁の中で、救済のための新しい法律ができたら、自分はそれを応援したいということまでおっしゃっているんですね。大臣の思いはどうなんでしょうか。

浅尾国務大臣 御指摘のとおり、現在でも多くの方が訴訟を起こされていることは大変重く受け止めており、原告の中に御高齢の方が多くいらっしゃることも十分認識をしております。

 一方で、現在係争中の裁判の地裁判決は、国際的な科学的知見や最高裁で確定した近時の判決の内容等と大きく相違する点があるとの認識の下、控訴審において、我が国として必要な主張は行わざるを得ないと考えております。

 水俣病対策の補償、救済については、これまで、公害健康被害補償法に基づいて三千人が補償を受けられることに加え、平成七年と平成二十一年の二度にわたり、政治解決により合計五万人の方が救済され、最終的かつ全面的な解決を目指してきたものと承知をしております。

 こうした水俣病問題の歴史と経緯を十分に踏まえつつ、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域の再生、融和、振興などにしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。

野間分科員 最後に、さきの補正予算で、いわゆる患者さんの通院するための離島加算というのが、千円プラスになりましたけれども、これはとてもじゃないですけれども、交通費の足しにもなりませんよね、千円ぐらいで。もうお分かりだと思うんですけれども、病院に通院するには幾らお金がかかるか。

 離島加算の意味と、これで足りているのかどうか、最後にお聞きしたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、鹿児島県の獅子島から水俣市の協立病院への通院につきましては、公共交通機関を使用した場合、国の離島航路運営費補助の活用によりまして、片道八百二十円、往復千六百四十円というふうに承知してございます。この運営費補助があるおかげで、三千百二十円から千六百四十円に減額されている。

 その千六百四十円につきましては、この離島加算が千円から月二千円になれば、月一回の通院であれば何とか対応できるのではないかと考えてございます。

 以上です。

野間分科員 まあ、月二回行っていますけれどもね、皆さん。

 いずれにしても、大臣、これは政治が解決すべき問題です。大臣、五月に行かれるということでありますので、よく話を聞いていただいて、決断していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

小林主査 これにて野間健君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小林主査 農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。徳安淳子君。

徳安分科員 おはようございます。維新の徳安淳子でございます。

 昨年十月に初めて当選して以来、しばらくそんな予算委員会に入ることはないんだろうなと思っておりましたところ、拝命いたしまして、今回、三回目の質問をさせていただきます。限られた時間ですが、どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず一点目、備蓄米の放出についてでございます。

 放出の決定がなされまして、この議論につきましては予算委員会でも既に多々質疑が行われておりますけれども、改めて、放出に至った理由、米不足を引き起こした原因についてお尋ねしたいと思っております。

 根本的な原因の一つに、一九七一年から始まった減反政策でお米の生産量が激減したこと、今となっては、生産調整し過ぎたことが要因ではないかと考えます。年々生産量を減らして、今では水田の四割を減反、ピーク時に千四百四十七万トンあった生産量を半分にしました。お米が余らないよう、そしてお米の価格を安定させる減反政策が、今回、国民に大きな影響を与えています。

 一方で、農家の経営を考えますと、お米の作り過ぎは、価格が下がり、経営が成り立たなくなり、そのバランスを取るのが政府の大きな役割の一つと思います。今回はその役割が果たせなかったのではないか、だから、このような米不足を引き起こし、これまでの二倍以上の価格高騰で国民生活に大打撃を与える結果を招いたと言わざるを得ません。

 これまでの政策の問題点、国民にこれだけの迷惑をかけたことなど、どう捉えておられるか、大臣にお聞きいたします。

江藤国務大臣 これまでるる答弁させていただいておりますが、この一連の流れについての責任は、最終的な結果についても私は責任を負うという覚悟でやっているということは申し上げておきたいと思います。

 国民に迷惑をかけたではないかという御指摘でありますが、減反政策から一連の流れの中で、平成三十年にいわゆる生産数量の割当てをやめました。民主党政権の時代にも、戸別所得補償をやっていましたが、あのときにも生産数量の割当てはありましたよね。それを守っている人に限って戸別所得補償をやるという政策でした。

 やはり米政策は難しいんですよ。生産者の方々も、需要に見合った生産をしなければ価格が下がってしまう。ですから、食糧法に基づいて我々は正確な情報を農家にお伝えして、そして、義務として生産量を決めているわけではなくて、各都道府県で各自の御判断でやっております。

 令和六年の作況一〇一、これについて、そもそも米ができていなかったんじゃないかというような批判があるということも、テレビなんかでよく言われているわけですが、この機会に申し上げておきますけれども、これまで、この信憑性について余り議論になったことはございません。全国で八千筆、八千筆ですよ、の調査を行っております。これは無造作に選定をしております。そして、各都道府県、十アール当たりの収穫量、これを決定をいたしまして、そしてそれに面積を掛けると収量が出てくるわけですよ。ですから、そんな誤差のあるものであるはずがない、そもそも。

 ですから、一部のメディアなんかでも、そもそも米ができていなかったんじゃないか、少なかったんじゃないか、供給量が少ないからこれだけ上がったんじゃないかと。でも、考えてください、先生。去年と圧倒的に違うことは、値段は高いけれども、スーパーの店頭に米はあるんですよ。欠品はしていないんですよ。これが去年の状況と圧倒的に違うということであります。

 ですから、何度も申し上げておりますように、二十一万トン、十二月の末の段階で、いわゆる集荷団体、こういう方々が卸にお米を卸すわけですが、この方々が集荷できていない、それにはいろいろな新しいプレーヤーの参入がある。これは商売ですから、新しいプレーヤーが参入すること自体が悪だと、そして、その人たちが市場価格を見ながら米を出したいと考えていることは、これはディールですから、これも商法上、まあ権利といえば権利なんでしょう。

 しかし、主食米だということでありますので、本当は、食糧法のどの条項を読んでも、これは量に着目して運用するべきものだというふうに書いてありますので、価格に関して、上がったから出すというようなことはできません。ですから、今回は、二十一万トン、流通の上でスタックしているということが明らかになったので、この流通を改善するために備蓄米を放出するという決断をしたものでありまして、差し当たり十五万トン出させていただいて、六万トンについても遅滞なくやるつもりです。それで足りなければ更に出すつもりです。

 ただ、ここで気をつけなければいけないことは、備蓄米は緊急事態に備えた米ですから、大冷害が起こったとか大災害、例えば富士山が噴火したとか、あってはなりませんが、そんなことが起こったときに国民を飢えさせないために、大体一・八か月分ぐらいの量なんですよ、百万トンというのは。この水準は維持しなきゃならないという義務もありますので、買戻しの条項をつけました。

 しかし、買戻しについても、買うということは、これは価格を引き上げる買い要因になります。今度は量だけじゃなくて価格に直接コミットすることになりますので、これについては、審議会の方から、一年以内に買い戻せということでありましたけれども、私の判断で、一年を超えてもいい、価格が安定するまでは買戻しはしないという方針でやらせていただこうと思っています。

徳安分科員 大臣から御答弁いただいて、昨年よりは金額が高いですけれども欠品はしていない、確かにそうなんです。スーパーに行って、物はあります。でも、買いたくても買えないという国民の思いというのがそこにちょっと余り感じられないんですけれども。

 もちろん、お金を出せばそれは買えます。だけれども、お金を出せないから、買えないから国民が困っているということについては、どうお考えなんでしょうか。

江藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、法律に基づいて備蓄米は運用しなければなりません。食糧法それから財政法に基づいてこれは運用しなければなりません。これは、立憲民主党の方もいらっしゃいますけれども、立憲主義ですから、法律はしっかり守らなければなりませんので。これは……(発言する者あり)いや、あなたは発言の権利はないが。そういうことでありますから、価格の安定なんて書いてありません、食糧法には。(発言する者あり)書いてありません。書いてありません。書いてありません。

 ですから、消費者の方々がそうやって買えないということについて、スタックしているものを解消すれば、結果として価格が安定するだろう。ですから、政策の目的に価格の安定がないのかと言われれば、それはあると言わざるを得ませんが、法律の運用上は量に着目したものであるというふうに御理解いただければと思います。

徳安分科員 今、価格の安定について、どちらですか。書いてあるんですか、ないんですか。

江藤国務大臣 大変失礼しました。書いてありました。

徳安分科員 そのような御認識で、とてもびっくりしているんですけれども。

 確かに、法律に基づいてというのは当たり前の話であって、私が申し上げているのは、法律ではなくて、前の減反政策からこれまでの間、生産と卸売業者との販売などの指導、そういう形は今までどうなっているのか。これまで、余っているから減反してきたとか、そういう政策を取っていると思うんですけれども、その調整を、役割の一つとして、やはり政府としてきっちりやらなきゃいけないということを申し上げているんですけれども、そういった役割を果たしているのかどうか、お尋ねしたいと思います。

江藤国務大臣 今はこのような高値でありますが、一昔前までは、とても安いということで米農家は苦しんでいたんですよ。ですから、生産調整、生産調整とおっしゃいますが、平成三十年に生産数量の割当てをやめました。

 減反政策というのは、そもそもどんなものなのか。減反政策は、国が作付の面積を決める、それを守らなければ、次の年には更にペナルティーを加える、そして、国の補助事業とかの申請をしてきても、守っていない県についてはその申請を後回しにするという、厳しいペナルティーを科していたのが減反政策ですよ。それはもう完全に平成三十年で終わっているということは御理解ください。

 そして、食糧法の規定に基づいて、しっかり、どれだけの国内需要があるのかということを各生産者の方々の求めに応じて情報をお伝えして、そして、各県において、これぐらい作れば我々の生産量と国内需要が見合って、それなりの価格帯に落ち着くだろうという、自主的な御判断の下に米の作付を行っているということでありますから、それは、これまでの法律の運用上、役割は十分に果たしてきたというふうに思っています。

徳安分科員 それでは、参考人にお尋ねします。

 卸売業者というか、先ほど集荷団体さんという言葉もあったんですけれども、その中には農協さんもおられると思います。その農協さんの取扱いの量が、平成十六年に四四・七%という取扱いが令和四年には三九%ぐらいに落ちているということが、以前、米の流通状況という、農水省さんが出されている、作物の統計からいろいろ推計されている表から、三五%に落ちているという数字があったんですけれども、この減っているということを御存じかどうかということと、あと、ちょっと農協さんに頼り過ぎているんじゃないかなという懸念もあるんですが、その辺いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 現在、お米の流通につきましては、大体七百万トンぐらい生産をされているわけなんですけれども、その中で、JAさんを始めとした集荷業者を通って出荷されるもの、それから、今、農業法人、非常に多くなっております。そういった方々が直接、卸の方でございますとか小売でございますとか、そういったところに出荷されて流通していくものが二百三十万トン程度。それから、従来から、農家の方々が、自分で食べるもののほかに、無償で、親類でございますとかそういった方々に提供されて流通している、無償で提供されているものが百万トン。その他が七十万トンということになっております。

 こういった流通経路が多様化する中で、従来はJAとかの集荷業者中心だったものが多様化しているというふうに考えております。

徳安分科員 そうしますと、その多様化しているところに政府として追いついていっているんでしょうか。そもそも、どのぐらいの量がJAさん以外に、どこに行っているとか、そういう量というのは把握されているんですか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 私ども、まず、毎年、集荷数量ということで、一定規模以上の集荷業者の方々に物が集まって、それから、その方々がどういうふうに、どのくらい契約されて販売されているか、そういった流通の、主に大宗といいますか、そういった骨格のところについてはきちんと取りまとめて、これは毎月ベースでもやっておりますけれども、公表させていただいているところでございます。

徳安分科員 長年携わっている農協の方々なんですけれども、若手の声が、なかなか、今回、農協の方にお米が回ってこないと。なぜかというと、ほかの、おっしゃるとおり多様化したそういった方々が買っていくので、そういった方に力負けしているなというのを感じると農協の方もおっしゃっています。

 もちろん農協さんだけが悪いんじゃないんですけれども、多様化しているところに農協さんもついていかなきゃいけないし、そこに指導も、やはり長年のおつき合いで、政府としてもしていただきたいなということを思っているところでございます。

 そういう意味では、二度とこういうお米が不足するとかいうことがないようにお願いしたいということを申し上げて、時間がありません、次の質問に移らせていただきます。

 都市農業に関して、二つお尋ねします。

 有機農業についてでございます。

 私の地元、兵庫県尼崎市でも、先祖代々農業に従事されている方がおられ、有機農業にも大変関心を持って取り組まれておられます。

 令和七年二月、有機農業をめぐる事情という農水省が発表された説明文の中に、有機農業取組の拡大に向けて、二〇五〇年までに、オーガニック市場を拡大しつつ、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を二五%に拡大するという目標を掲げておられます。

 二〇三〇年の目標としても、二〇一七年の二万三千五百ヘクタールを六万三千ヘクタールに、有機農業者数も三万六千人に増加するという目標設定を行っていますが、あと五年で達成する見込み、現状を教えてください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、有機農業ということで、私ども、二〇三〇年までに六万三千ヘクタールということで拡大したいというふうに考えております。

 現状にいたしまして、今、三万ヘクタールぐらいまで来ております。近年、私ども、例えば有機農業の生産から消費まで一貫して取り組むオーガニックビレッジとか、こういった様々な施策も行っております。しっかり目標達成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

徳安分科員 今、尼崎の話もしたんですけれども、同じように、兵庫県全体でも非常に取組というのは進んでおります。平成五年に有機農業認定制度とか、平成十三年にはひょうご安心ブランド認証制度も創設して、国よりも早く県の定義を策定して支援体制を整えております。

 兵庫県も非常に頑張っているというところをお伝えして、昨年からちょっと兵庫のイメージがどうも心配なもので、この場をおかりしてちょっとPRもさせていただいた次第でございますが、またしっかりと、一緒になって拡大に取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、都市農業の中には、生産だけではなく、防災機能という観点からも考える余地があるのではないかというふうに思っております。大規模災害時の緊急避難場所、火災延焼の遮断空間となるほか、集中豪雨時には、雨水浸透、保水により洪水の抑制にも役立つと思われております。

 このような都市農業と今度は防災農地の併用とか、そういう観点から、支援に、今後どういうふうに行っていただけるか、現状と御所見をお伺いいたします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 都市農業は、都市住民の身近にある農業といたしまして、食料生産のみならず、農業体験や交流の場の提供、災害時の避難場所の提供等の多様な機能を有しております。都市住民の農業に対する理解の醸成を図る上で、大変重要であると認識しております。

 特に、近年、地震や豪雨災害などの災害が頻発しております。都市の貴重なオープンスペースとして、災害時の一時避難場所、仮設住宅建設用地、火災の延焼防止といった防災機能の発揮についても期待されているところでございます。

 自治体の中には、農家との間で、農地を災害時の避難場所や仮設住宅建設用地等として利用する旨の協定を締結し、防災協力農地として位置づけているところもございます。

 このため、農林水産省といたしましても、農山漁村振興交付金の一つのメニューとして、防災協力農地の取組に係る調査、検証、防災兼用井戸などの簡易な防災設備の整備、防災協力農地の住民への周知といった、防災機能の発揮に向けた取組に対する支援措置を講じているところでございます。

 今後とも、防災機能を含め、都市農業の有する多様な機能が十分に発揮されるよう、都市農業の振興に必要な施策を講じてまいる考えでございます。

徳安分科員 今、交付金のお話もしていただきました。是非取組を進めていただきたいと思います。

 兵庫県内にも、触れていただいた防災協力農地がございます。そういう意味では、阪神・淡路大震災から三十年が経過いたしまして、防災農地の取組、また密集市街地の防災性の向上にも寄与する農地活用、更に御支援をお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。次は、漁業に関してです。

 漁業、養殖業の生産量は、マイワシの漁獲量の減少などから、ピーク時と比較して急速に減少をしております。その理由は、漁業就業者や漁船の減少などに伴う生産体制の脆弱化に加えて、海洋環境の変化、水産資源の減少などによるもので、特に温暖化の影響で、魚個体の動態が変わり、漁獲時期も変化しているとも聞き及んでおります。

 このような状況の現状認識と、過去からの変化、今後の方策についてお聞きをいたします。

江藤国務大臣 漁業は非常に、農業に比べては就業者の平均年齢は低いですけれども、それでもやはり高齢化は進んでいる。それから、もうかる漁業なんかを使って、いい船にした人は非常に漁獲高が上がりますが、古い船で操業している人はなかなか漁獲高が上がらない、そういったいわゆる船の更新というようなことも一つの課題だなというふうに思っております。

 そして、委員御指摘のように、黒潮の流れを中心とした海水温の変化、こういったものによって、イワシが突然捕れたり、イカが全く捕れなくなったり、サーモンが捕れなくなったり、魚種の変更がありますので、そういった捕れる魚に対応した漁業の形態の変更、漁具の変更、船の変更なんかについても国が支援をしていく必要があるんだろうと思います。

 そして、もう一つ大事なのは、海洋資源のやはり管理だと思います。TACとかIQについては御批判もありますけれども、例えばWCPFC、これで、日本が主導して、国際的な条約としてマグロの漁獲高を抑えました。そうしたら、爆発的に増えて、最近は沿岸でも定置網に入るようなところまで資源は回復しました。ですから、やはり、育てる漁業と管理型の漁業、海洋資源を、国際的な協定を結びながら、日本単独ではなくて国際的に漁業資源を守っていく取組が必要なんだろうと思います。

 そして、もう一つはやはり、瀬戸内海なんかでは特に非常に顕著ですけれども、低栄養化。大変下水の処理が進んで、兵庫とか香川あたりは若干下水を意図的に海に流すようなことも始めたようですが、それでもなかなか、タイが捕れないとか、魚の量が減ったという話は多いです。

 ですから、海底耕うんであったり、鶏ふんを入れるような施肥、そういった事業も国が支援しておりますので、そういったような沿岸漁業も含めて、漁場の再生といいますか、そういったことも含めて支援をしてまいりたいと考えております。

徳安分科員 兵庫の方も触れていただいて、ありがとうございます。まさに大臣おっしゃるとおりで、タコ、タイ、イカナゴ、本当に捕れなくなっているというところで、今後、本当に長年親しんできた伝統の食文化がどんどん変わっていくような気もしているところです。

 先ほどおっしゃっておられた高齢化も進んでいるということで、若い人も若干は入ってはきているようですけれども、これからまだまだ不足していく懸念もあるのかなというふうにも感じているところです。

 先日、そういう中でも、テレビで放映されていたんですが、東大大学院の研究者から転身した若者、大阪生まれの三十五歳、その方が転身して一本釣りの漁師をしているという取材の放映がございました。

 ただ、魚を捕るだけではなくて、長崎県の離島、対馬で捕れた鮮魚を都内のレストランなどに直販する、じかに販売するスタートアップ企業の経営者でもあるということです。血抜きとか、鮮度を維持する技術が評価されて、第一線で活躍する東京都内のシェフらも厚い信頼を寄せているという内容でありました。

 そして、さらにその彼が見据えるのは、日本の水産業の再生、そして漁業を核にした観光産業、ブルーツーリズムによる地域活性化も見据えているということでありました。

 このような観点でも、是非、再生化に向けた施策の推進、特に、そういった若者が漁師を目指そうと関心を持つような支援も是非引き続きお願いしたいと思います。

 あと一点は、養殖事業者への支援でございます。

 海外での日本食ブームもあり、輸出を拡大しているという業者さんも多いんですけれども、更に強化をしていただきたいと思いますが、今後の養殖業の推進に向けて、取組をお聞きいたしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 海洋環境の変化等によりまして水産資源の漁獲が不安定な中で、養殖につきましては、計画的で安定的な生産が可能だということで、期待が高いところでございます。

 委員の御地元の兵庫県におきましてもノリやカキなどの養殖が行われているところでございますけれども、養殖業の振興に向けまして、農林水産省といたしましては、加工施設の整備や大型のノリ乾燥機の導入等の付加価値向上の取組でございますとか、需要に応じた生産への転換やコスト削減に資する機器等の導入に対する支援を行っているところでございます。

 また、養殖経営の安定に向けましても、漁業共済でございますとか配合餌料の価格高騰対策等も措置をしているというところでございます。

 こうした施策、取組を通じまして、引き続き養殖業の振興を進めてまいりたいと考えております。

徳安分科員 今年の一月の日経新聞から、養殖魚が牛肉を超え豚に迫るという記事がございまして、まさに私どもにとって養殖魚が肉に匹敵するたんぱく源になりつつあるという記事でございました。特にまた、養殖魚の生産に伴う排出量というのが二・六億トンという二〇一七年の集計が出ておりまして、これは牛肉の十分の一程度にとどまるということでもあります。温暖化対策の面でも、養殖魚の生産を増やす利点というのは大きくあると考えます。

 そしてまた、今、天然魚というのが乱獲、今大臣おっしゃったとおり抑制、規制はしていっているものの、なかなかそれがどこまで規制がかかっているのか分からない中で、是非、今後の資源の維持に向けて、養殖の普及や技術の改良も含めて支援をお願いしたいと思い、最後の質問に移らせていただきます。

 最後は、海洋プラスチックごみの件であります。

 一番初めの委員の方も触れておられましたけれども、本当に私の方は海洋の方でございまして、プラスチックというのは、先ほども触れておられましたけれども、多くは使い捨てにされていて、利用後、きちんと処理されず、外部に放置、流出してしまうということが多々あるということで、気軽にポイ捨てしてしまって、川に捨てたものがそのまま海に流れて海洋プラスチックごみとなっていくということにつながっています。

 このようなプラスチックごみというのは、豊かな自然で成り立っている産業にも直接的、間接的な被害を与えて、甚大な経済的損失ももたらしております。二〇五〇年にはプラスチック生産量は更に約四倍となって、それに応じた海洋へのプラスチック流出の拡大により、海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回るという、そのような予測も発表をされております。

 リサイクルへの意識を高めるなど、再利用を促す施策を拡充するべきと考えますが、所見を伺います。

松本(啓)政府参考人 お答えいたします。

 海洋等のプラスチックの問題は、委員御指摘のとおり、生態系を含む海洋環境の悪化、漁業や観光への影響など、国内外で重要な課題となっておりまして、対策の重要性が増しております。

 国内対策についてのお尋ねですけれども、令和四年に施行したプラスチック資源循環法に基づいて、製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般で、あらゆる主体のプラスチック資源循環の取組を促進し、海洋プラスチックごみの削減を強力に進めてございます。

 また、海岸漂着物等地域対策推進事業によりまして、今年度は当初予算及び補正予算を合わせて約三十七億円を措置してございまして、海洋プラスチックごみの回収、処理に取り組む自治体を補助してございます。

 このほか、漂着、漂流ごみやマイクロプラスチックの実態調査、プラスチックごみの陸域から海洋への流出量の推計手法の開発も行っております。

 加えまして、瀬戸内海におきましてですけれども、令和五年に、委員の御地元兵庫県を含む十四府県と環境省によりまして、瀬戸内海プラごみ対策ネットワークを立ち上げてございます。このネットワークでは、G20大阪サミットで共有されました大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを踏まえて、二〇五〇年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにすることを目標に掲げて、取組を推進してございます。

 こうした取組、委員おっしゃるとおり、国民一人一人の普及啓発、マインド上昇が必要ですので、こういうものを伴いながら、海洋プラスチックごみ対策を一層推進してまいりたいと考えてございます。

徳安分科員 時間がありませんので、最後、プラスチックくず、ごみを、資源という位置づけで日本は中国を中心にアジア諸国に輸出をしてまいりました。しかし、世界最大の輸入国である中国がいろいろな理由で二〇一七年から輸入規制を始めたということで、日本のプラスチックごみの行き場がなかなか見つからないというような状況も聞いております。

 これからは、ほかの輸出先を探すのではなく、輸出すること自体を見直すべきときではないかと思うんですが、御見解をお聞きします。

小林主査 環境省角倉環境再生・資源循環局次長、答弁は簡潔に願います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたとおり、プラスチック資源につきましては、国内で最大限循環させていくことが重要であると私どもとしても考えております。プラスチック資源循環促進法等の枠組み、さらには関係各省と連携をして、国内での資源循環を更に進めるべく最大限努力をしてまいりたいと考えております。

徳安分科員 よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

小林主査 これにて徳安淳子君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田勝彦君。

山田(勝)分科員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 江藤大臣は、令和の百姓一揆、御存じでしょうか。二月十八日、令和の百姓一揆院内集会が開催され、私も参加しましたが、全国各地から生産者、消費者など多くの人が参加し、会場は満席で熱気に満ちていました。三月三十日にはトラクター行進が開催される予定で、トラクター数十台、参加者は一万人を超える見込みです。

 離農者は増え続け、耕作放棄地は拡大し、食料自給率は先進国中最低の三八%、日本の食を守るため、農政の転換を求め、多くの国民が立ち上がりました。米農家の時給は十円、そして多くの畜産農家は、物価高で餌代が高騰し続け、恒常的な赤字です。廃業者や自殺者も増え続けています。

 もう限界だ。この百姓一揆に参加したある酪農家の悲痛な声を紹介させていただきます。

 ここ最近で一番厳しかったのが二〇二二年。酪農は収入がマイナス四十八万円だった。牛乳を搾るのにお金を払って搾っている。二〇二四年は統計データが出ていないけれども、今までで一番悪かったと仲間内で話している。こんな仕事、ありますか、三百六十五日、牛を飼っているんですよ。どうなっているんだと仲間の酪農家と話をするんですが、俺ら奴隷だからな。本当に自尊心というものが傷つけられていると思います。一体どうしていけばいいんだ。世の中に対して非常に大きな声でたくさん訴え続けていますが、どうにもならない。まずは離農を止めることが先決だと思います。欧米並みの所得補償、そういう言葉を出してもらって安心させてほしい。このままいけばもう国は守ってくれない、そう思い、どんどんやめてしまう。続けられません、こんな状況では。

 このように、今、日本の農家の皆さんはもうとっくに限界を迎えている状況です。欧米並みの所得補償を求める、この令和の百姓一揆の声、江藤大臣はどのように受け止められるでしょうか。

江藤国務大臣 私も、初当選以来ずっと農政をやってまいりました。そして、私の田舎は、中山間地域も含めて耕作条件も厳しい農地もたくさんある、そして畜産県でもあります。そして、私は現場主義を貫いてまいりましたから、現場の方々の声は山田委員に負けないぐらいしっかり聞いているつもりであります。

 確かに、農家を何とか離農させないようにしたい、食料安全保障を確立する上では、離農を防ぐ、そして耕作面積をしっかり守る、そして畜産においては廃業する方々を防ぐ、そういったことがまさに肝要であり、それに向かって一生懸命やってきたつもりです、これまで。しかし、今現状厳しいじゃないかと言われれば、それはそのとおりだというふうに認めます。

 しかし、よく考えていきたいと思います。今回の国会は熟議の国会ですから、自民党の考えたことがそのまま政策として通用するわけではありません。そうではありませんけれども、例えば、今、日本の農地は四百二十七万ヘクタールあります。ヨーロッパ並みということになると、例えば、ドイツが一つのお手本になるんだろうと思いますが、十アール当たり大体二千三百円ぐらいですよ、十アール当たり。日本で十アール当たり二千三百円配って、それで離農が止まるのかというと、なかなかクエスチョンマークでしょう。そう思いますよね、先生も。ですから、それでも一千億かかるんですよ。べたづけをすると一千億かかる。

 そうすると、かつて減反政策という時代があったですけれども、米を作らなければ、何をしなくても面積当たり四万円を払った時代がありました。全くこれはうまくいきませんでした。

 そして、鈴木先生の御意見を聞かれたという記事を読みました。先生の方は三万円ということをおっしゃっていらっしゃったようですが、それは党の御意見だとは思っていませんけれどもね。そうなると、一兆三千億かかります。この一兆三千億というお金が農林水産予算の半分以上を占めるわけですから、果たしてそれが可能なのかということもやはり考えなきゃならないと思います。

 答弁が長くなってちょっと恐縮ですけれども、EUは、大体、三十ヘクタール以上の面積を持っている人が全体の一割なんですよ。しかし、いわゆる支援を受けている総額の七割をこの一割の人が受け取ってしまっているという問題点が今問われています。EUの中でもこの所得補償の在り方について見直すべきではないかという意見が出ていることも、多分、先生も御存じだと思います。

 水活の見直しも今考えておりますので、そういった全体の流れの中で、何度も答弁をしましたが、私は、戸別所得補償という考え方そのものを否定する立場には、ずっと前から、前の大臣のときから立ってはおりませんが、しかし、やはり、農林水産の予算を見ながら、果たしてそれが可能なのか、そしてどれだけの現場での実効性があるのか、しっかり議論することが必要だろうというふうに考えています。

山田(勝)分科員 江藤大臣、御丁寧にありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、熟議の国会ということで、私たち立憲民主党の提案の方もしっかり受け止めていただきたいと思っております。

 言われたように、現状の農水省の予算の枠の中で幾ら直接支払いの所得補償をしても、それは農家の皆さんを抜本的に救うことにはならないと私たちも思っています。

 江藤大臣は、去年の所信で、農水予算全体をしっかりと、もっともっと確保したいんだ、そうおっしゃいました。私たちもそうだと思っております。なので、是非一緒に、農家の皆さんを、本当の意味で安心して農業を続けられる、そういう直接支払いの所得補償制度を導入していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 その上で、そうはいっても、現行の農水省の予算の中でも、まだまだ無駄を削減できる点はあると思っております。

 私たち立憲民主党は、省庁別審査、今国会から新たに設けました。政府の予算案の無駄を指摘し、削減した分を、物価高対策や教育の無償化、そういった財源にする提案をしております。

 農水省にも、専門家からかねてから指摘されている、役割が重複している制度があります。ナラシ対策、農業共済、野菜価格安定制度、収入保険、この四つの事業は、どれも農家の減収を補填する制度で、それぞれに毎年多額の国費が投入されています。

 農政に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は、交付金制度も収入保険も同じ減収補填だ、予算が余る交付金を惰性で続けず、収入保険に統一すべきだ、農水省の対策は多過ぎて、農家も何が何だか分からない状況になっている、こう指摘されています。

 現行のこの複雑な四つの類似制度、ばらばらな予算を一つに集中させ、農家の皆さんにとって、より分かりやすく、より安心できる収入保険制度に改めていくべき、統合すべきだと思いますが、江藤大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 制度はなるべく単純で、参加しやすいものであるべきだという考え方には、私も同意するところではありますが。

 例えば、御存じのように、ナラシは米ですね。

 野菜価格安定制度は、今回、ブロッコリーを追加して、十五品目になりました。

 それから、共済については、畜産の共済もあれば、それから果樹共済もあり、それぞれ形態が違います。

 そして、収入保険に至っては、まず、青申をしている人が大体四〇%ちょっとしかいない。その中の約三十数%……(発言する者あり)二八%か。青申をしている中の二八%の方しかこの収入保険に入っておられない。

 収入保険にもし統合するということであれば、全ての農業従事者がまず青空申告をしていただくということは税制上の大きなハードルになります。そして、この収入保険自体も、初年度の積立ての部分が重過ぎる、それから毎年の掛金が高過ぎるというような課題があって、必要性を認めながらも、やはり入ることを戸惑っていらっしゃる方もいるんですよ。

 補填の範囲を狭める、九割を七割にするとか、様々メニューを作っていろいろ工夫はしてきましたが、しかし、これをもし一本にまとめるということになると、入れない、全くカバーしてもらえない、収入保険にもし統合したらですね、というような方々が多数出てくるということであれば、私は、多分現場は混乱すると思いますので、もしそういうような議論をするとすれば、相当精緻な議論をしておかないとなかなか難しいだろうというふうに認識をいたしております。

山田(勝)分科員 この保険制度、収入保険制度が導入されたときから、統合に向けて検討すべきと附帯決議もなされていたわけです。その点も含めて、どうしてもこういった類似制度を存続させていく、その大義はないと思っています。

 今大臣もおっしゃいましたが、それぞれに積立てをやっている、それぞれに基金事業で運営している、こういう無駄を削減して一つにまとめていくことによって、農家の皆さんにとっても、よりメリットのあるような収入保険制度に変えていくべき。先ほど言われましたが、入れない方がいるんじゃなくて、みんなが入れるような。

 実際に、収入保険制度が新たにできて、この六年間、加入者の推移を追ってみたんですが、初年度の約二万三千人から順調に増えて、昨年一月末では九万三千人まで加入者が増えている。一方で、他の三つの制度は、逆に加入者が減り続けている。

 これは、そもそも、大臣も言われましたが、米だったり品目が限定されていた収入保険だったり、自然災害によってそこでしか補填ができない収入保険だったり、こういった使い勝手の悪いものを広くカバーするという意味合いでこの新しい収入保険が導入され、そして今、多くの人たちがこの収入保険に移行しているという状況です。

 私はすごく思うんですが、農水省も、そして大臣も、生産性とか規模拡大というのを生産者の皆さんによく求められています。しかし、生産者の方に求める前に、まず、農水省自体が、自らが、この今の制度の合理化や莫大な事務費の無駄を削減し、生産性を高めていくべきだと思っておりますので、是非このことを、今日は時間がありませんので、今後も議論をしていきたいと思っております。

 そして、この減収補填制度なんですが、野菜価格安定制度以外は特別会計で処理されています。農水省の特別会計、二〇二五年度概算額として、歳入予算一兆三千五百五十五億円に対し、歳出予算は一兆三千三百四十八億円で組まれていますが、実態は予算と執行額に相当な開きがあります。

 資料一を御覧ください。

 二〇一九年から二三年までの五年間の推移を調べてみると、約一千二百億円も余らせていた年もあり、五年平均換算でも九百四十二億円という巨額な国費が農水省の特別会計の中で繰越しされ続けています。この過剰な予算、ずさんな運用は、大変な問題だと指摘させていただきます。

 なぜなら、予算組みが適切に当初からなされていれば、八百億円くらいの予算は他の政策に回せるはずだからです。例えば、冒頭、赤字経営の酪農家の悲痛な声を紹介しました。八百億円の予算があれば、一頭十万円の現金給付も可能です。生産現場に直接届く支援策へ、もっと財源を有効活用すべきです。

 毎年一千億円近い余剰金を出し続けている状態は、特別会計に関する法律の、必要以上の資産を保有しないよう余剰金の適切な処理に明確に反していると私は考えますが、江藤大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 まず申し上げておきたいことは、この特会の話ですけれども、これを厳しく監視する組織としてあるのが会計検査院と財務省であります。いずれからも、これが不適切だという指摘を受けたことはありません。不適切と指摘を受けていないからいいということを言っているんじゃないですよ。

 ただ、この保険が余ったじゃないかというのは結果論ですよ。それは、保険金を支払わないで済んだということは、それだけ大規模な災害であったり、そういったものが起こらなかったということです。もし、とんでもない、さっきもちょっと言ったんですけれども、富士山が噴火したとか、とんでもないことが起こったときには、多分、今あるこの一千億近い金でも足りません。そういう事態もあり得るかもしれません。

 この保険制度にとって、共済制度にとってとても大事なことは、農家がこれだけの損害を受けた、そしてこれだけのお約束のものをいただきたいといったときに、出すものはありません、枯渇してしまいましたというのが一番まずいんですよ。ですから、ある程度の余裕を持つことは、これは当然、保険制度の運用上必要なので、結果として平均で九百数十億余ったじゃないかという御指摘は分かりますが、それは予見できるものではありませんのでね。

 保険は、これだけのものが来年支払われるということが確定しているものじゃありませんから、何があるか分からないことに備えるのが保険ですから、そのことは御理解いただきたいと思います。

山田(勝)分科員 十分理解しているつもりです。そういった答弁になることも分かっております、事前に農水省とも何度もこの議論をしておりますので。

 これは推移を見てもらったら分かるとおりなんですが、私は単年で言っているわけじゃなくて、五年とか十年スパンでこれだけの額が出ている。それはもう既に予見できているわけですね。もし仮に、大臣が言うように、予見できないような本当に大変な有事、災害が起こったとしたときには、それこそ国会でしっかりと、補正予算なり、そして予備費なりを活用する、本来そのための制度であるべきだと思っています。毎年毎年一千億円近い余剰金を出すことの正当な理由にはならないと明確に指摘をさせていただきます。

 その上で、通告の四と五を飛ばし、六番から質問をさせていただきます。

 令和の米騒動についてです。

 物価高の中、キャベツ一玉五百円を超え、米の価格は一年前より倍近く高くなっている。今、一日三食ではなく、二食で我慢する人が増えています。この米不足、なぜ起こったのでしょうか。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、まず一番目の理由、流通の目詰まりを起こしている。二つ目、悪質な業者が投機目的で買い占めている。三つ目、米の需要に対し供給量が不足し、需給ギャップが生じている。大臣は、原因、どのように考えていらっしゃいますか。

江藤国務大臣 何度も申し上げておりますように、流通が滞留しているというふうに理解をしております。

 先ほどの方にも答弁いたしましたが、令和六年の作況一〇一、これが怪しいんじゃないかというような御意見がマスコミを中心であるようでありますが、これは全国八千筆を調べております。そして、十アール当たりの収量を決定した上で、作付面積に掛けて出した数量でありますから、この数量については非常に信憑性が高い、信頼すべき数字であって、これは国内のいわゆる需要に見合った供給の生産体制というのはできていたというふうに理解をしております。

 その上で、様々なプレーヤーが参入してきた。これは商取引でありますから、参入してくること自体を、それは悪だと言うことはできないんでしょう。しかし、そのことによって、まあ、価格については余りコミットすることは農林水産省としては適切ではない。やはり、これは商取引ですから、市場価格をコントロールするということは余りいいことではありませんので、やるべきでないとずっと申し上げてきましたが、それでも、このような異常事態においては、いわゆる集荷業者が十二月末で集め切れていない二十一万トンについては、備蓄米を活用しようということで、一定期間の間には買い戻すことを条件とした上でこの決定をしたわけでありまして、決して生産量が足りなかったからということではない。

 買占めという言い方は、ちょっとまずいのかもしれません。多様なプレーヤーがいること自体を否定するものではありませんけれども、しかし、これはマスコミのことを言うのもなんですが、メルカリとかそういうところに出ているところを見ると、例えば、産地も書いていないとか、銘柄も分からないとか、そういう米があるということになると、ちょっと異常な事態だなというふうに思っています。

山田(勝)分科員 はっきり言って、大臣は原因を明らかに見誤っていると思います。そもそも、言われているとおり投機目的であったとしても、それはビジネスですから、それをどうこう、悪と言い切ることは当然できません。問題なのは、そうやってビジネスチャンスを与えてしまっている環境をつくっている政策に本質的な問題があるとはっきりと言わせていただきます。

 正しく原因を分析しなければ、必ず対策を誤ります。大臣は、記者会見の中で、米の流通不足を理由とした備蓄米の利用は初めてで、こうした方法が可能かどうか食糧部会で議論するとコメントされています。しかし、食糧法第三条第二項には、「この法律において「米穀の備蓄」とは、米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有することをいう。」と規定されています。つまり、昨年夏、農水省が生産調整に失敗し生産量が不足していることを認めていれば、現行法でそのときにすぐ放出できていたはずです。

 かなり遅れてからようやく放出を決めましたが、流通不足が原因だとして一年以内に買い戻すと言われています。本当に大丈夫でしょうか。せっかく放出しても、いずれ市場から買い戻すのであれば、米の供給量は増えません。現に、発表してから今現在においても米の価格は上がり続けています。この対策で米の価格が引き下げられる効果はあるのでしょうか。

江藤国務大臣 この放出を決定した段階で一番悩んだことは、まず量をどうしたらいいのか。生産者の方々からしてみれば、価格が下がることによって今年作った米の概算金、精算金が下がるんじゃないか。これは生産者にとってはいいニュースでは全くありません。やはり、これまで米農家は非常に厳しい経営を強いられてきた、そういう経験がありますから。私はやはり田舎の政治家ですから、私が大臣になったのは十一月ですから、八月、九月の段階で農家の方々がこの値上がりを非常に歓迎していた姿をちゃんと見ていますよ。ですから、そういう姿を見ながら、じゃ、どれだけの量を出すのか悩みました。

 そして、もう一つの悩みはこの買戻しですよ。買い戻すということがあれば、これは直接価格にコミットすることになります。この値段でこれだけの量を国が買い戻したということになれば、これは価格の上げ要素になり得るので、果たしてそれがどの水準が適切なのか、消費者にとってどの水準が適切なのか。消費者、生産者にとってどの水準であれば御納得をいただけるのか。それは非常に悩んでいます、今でも悩んでいます。放出の段階でも胃に穴が空くと申し上げましたが、今でもずっと悩んでおります。

 ですから、審議会の方からは原則一年以内と言われましたが、自分としては一年にこだわらない。高いうちに買い戻すようなことは考えておりません。価格が安定した段階において、買戻しを遅滞なく、粛々と行うということを考えております。

山田(勝)分科員 今の大臣の最後の方の答弁で安心をいたしました。価格が安定するまでは一年期限を迎えていたとしても買い戻すようなことはない、あくまで価格の安定を図るための対策であるという御答弁でした。

 農水省は、今でも毎年、米の需要見通しと生産見通しを各産地の生産者に示して、事実上の生産調整を行っています。

 資料二を御覧ください。令和元年から五年までの表にしてみて改めて驚いたんですが、需要見通しに対し生産見通しが常に低い水準にあります。例えば、令和五年の需要見通しが六百八十一万トンに対し生産見通しが六百六十九万トンに設定され、計画から既に生産量がマイナス十二万トン、実績ではマイナス四十四万トンです。これが令和の米騒動、米不足の正体ではないでしょうか。生産量が需要量より下回っているのはこの年だけではありません。直近三年間で、計画でマイナス三十六万トン、実績でマイナス六十六万トンとなっています。

 農水省は、なぜ意図的に米の需給ギャップを発生させているのか、お答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、米の需給についてでございますけれども、生産と需要ということだけでなくて、まず在庫がありまして、それに生産が加わる、それに対して需要がどうだ、そういったふうに見ることが必要かというふうに考えております。

 まず、年に一回、最初に食糧部会に出して変更しますけれども、米の需給見通しにつきましては、食糧部会におきまして専門家の方々の御意見をいただいて答申して決定しているというところでございます。

 先ほど申しましたとおり、その際、生産と需要だけでなくて、時々の期首あるいは期末の在庫も踏まえた需給見通しとしております。

 最近の米の需給につきましては、コロナの影響で需要が大きく減少したということで、六月末の在庫量は、令和二年で二百万トン、令和三年、二百十八万トン、令和四年、二百十八万トンと、在庫量が比較的高い水準で推移してきた、こういった在庫の状況も含めた需給見通しとしてきたところでございます。

 なお、私ども、こういった需給見通しを公表いたしますけれども、現在におきましては、個々の生産数量目標を配分するということをやっておりませんので、まず、実際の生産につきましては、それぞれの農業者、産地が自らの経営判断で行っていただいているところでございまして、例えば元年、二年などは結果的に需要を上回る生産、こういったこともあるわけでございます。

山田(勝)分科員 今答弁いただきましたが、この表で、もちろん在庫も含めてということなんですが、明らかにこうやって需給ギャップが生じている、これが明確な理由だともう答えが出ていると思っています。

 大臣、先ほど言われたとおり、私も地元で、やはり、こうやって米不足に乗じて米の価格が上がったときに、生産者の方々から歓迎する声をいただきました。それは、本当に厳しい中で米を作っていらっしゃる方にとっては、本当にそれは一種のいいことと捉えられると思います。

 ただ、そういう米農家さんばかりではないんですよね。実際にこれだけ米の価格が上がり過ぎると米離れが進んでしまうんじゃないか、適正な価格にしてほしい、適正な価格というか、もう少し米の価格を抑えてほしい、こういう米農家さんもいらっしゃるわけです。

 なので、どうしても消費者が求める価格と生産者が求める価格には、これは差がある、そこを認めた上で適切な政策を打たないといけない。だからこそ、私たちは、農産物の価格は市場で決まる、農家の所得は政策で支える、このことを訴えているわけです。

 大臣に政治判断として是非御答弁いただきたいんですけれども、このことをしっかりと受け止めた上で、今後、生産調整を明らかにやり過ぎた、需給ギャップ、締め過ぎた、こういったことを真摯に反省し、今後は生産見通しに余力を持たせていくべきだと提案しますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 まず、生産調整を行い過ぎたということが具体的に何をお示しになっているのか私にはいま一つぴんとこないんですが、減反政策とは全く違うわけでありまして、減反のときには、面積をばちっとはめる、これ以上作ったらペナルティーを科す、次の年はもっときつくするぞ、補助事業も採用しないよ、そういったペナルティーを科すことが減反政策でした。

 そして、平成三十年から生産数量の割当てもやめました。それによって、食糧法に基づいて情報を各生産地に提供して、そして、在庫の話を今局長が答えましたけれども、在庫が二百万トンを超えると非常にまずいというのは農政の常識じゃないですか。二百万トン以上を超えると米価が下がるんじゃないかというようなことは、農政をやっている人間だったら、ずっとみんなこれは意識してきた。

 在庫の見合いとそして生産の見合いと、両方セットで需給のバランスというものは取ろうということを生産者も国も考えてきたわけでありまして、生産調整をやり過ぎたことを反省しろということは、今の現状、これだけ上がっている現状を見れば、全く反省しないのかと言われれば、それは反省すべき点があったのかもしれません。

 でも、今起こっていることは特異なことだと思っています、特異なことだと。ほんの数年前までは、米は安くて苦しんでいたわけですから。苦しんでいたわけですから。もし国がバッファーを持とう、もっと米を作ろうということになってどんと余ったときに、その分について、その米の行き先をどこにするのか。

 そして、今言われるように、所得補償をするということであれば、民主党政権の政策をそのままやるかどうか私は知りませんが、あのときには、生産数量目標の数字を守った人に限って補填をしていましたので、そうなると、今度は逆に、言われるように、バッファーを持つという話じゃなくて、生産数量を国が設定するという方向に逆ねじが働きますので、それは非常に政策の設計として時に矛盾が生じることになります。

 非常に難しい話ですよ。米政策は、先輩の時代から物すごくみんなが苦労してきました。私ももう二十年やってきましたけれども、米ほど難しいものはないと思いますが、熟議の国会ですから、また引き続き議論したいと思います。

山田(勝)分科員 もう時間が参りました。

 大臣と議論をさせていただきましたが、本当に残念ながら、今回の米騒動に対して農水省自体がいまだ生産調整を失敗していることを認めていない。今後、本当にますます米の価格が、正しい政策ができるのか心配です。

 そして、民主党の所得補償制度も話がありました。あれは、最低補償価格、六十キロ当たり一万三千七百円を補償しておりました。なので、こういう事態が起こっても、生産者の方々はしっかりと安心して作り続けることができています。私たちはあくまで、こういった米政策が必要で、それが消費者の方々にも安定して食料を供給できる、そういう政策だと訴えて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて山田勝彦君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、土屋主査代理着席〕

土屋主査代理 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 立憲民主党の岡本でございます。

 本日は、いろいろなことを聞きたいんですけれども、先ほどの山田議員に引き続いて、米の話から聞きたいと思います。

 本当に米の価格が高いという状況で、先ほど大臣、民主党政権のときの直接支払いは目標数量を設定していたんだ、逆行するんじゃないかという趣旨の発言をされましたけれども、設定する数量をどこに設定するかでバッファーは持てるんですよ。だから、大臣、そこは是非御理解いただきたいと思いますが。

 その上で、米の価格は農家さんにとって大変関心事です。しかし、彼らにとって最も重要なのは、米を継続して作っていくことができる、そういう所得が得られるかどうか、そこがすごく重要なんですよ。したがって、米の価格が安くとも、政策で補填をされるといった結果で営農が継続できれば、それは一つの政策だと思います。

 一方で、米の価格が上がることで、もちろん営農を継続することもできるでしょうけれども、それをやると、消費者が本当に米離れしてしまう、そういうことになりかねないということで、私も、山田議員と同じですけれども、米の価格は高くなり過ぎずに、政策でしっかり支えていく、これが望ましい姿ではないかと思うわけですけれども、大臣、その観点ではどういうふうにお考えですか。

江藤国務大臣 民主党政権時代の戸別所得補償制度を批判しているわけではありません。一定の水準を設けられて、そして、法律として、法律ではありませんでしたね、制度として運用した期間も短いので、政策の評価自体をするのは非常に難しい。それに加えて、水活とゲタもセットで戸別所得補償というものをやられたわけでありますから。

 米についてだけやるというお話をされているのかどうか分かりませんけれども、米政策については、やはり、私はずっと、市場で価格は決定されるべきだということを申し上げてきました。これは、米に限ったことではありません。あらゆるもの、農産物はあらゆる農産物ですし、あらゆるものの物の価格は市場で決められるというものであります。

 そして、いわゆる日本の農家に対する支援が薄いという御指摘も一部ありますが、アメリカに比べても、総農業生産に対するいわゆる支援の金額、総額でいうと、大体六一%ぐらいになります。アメリカは三二ぐらいですから、決して、日本の農家に対して日本の政府の支援は薄いという指摘は当たらないんだと思います。

 米政策について一つの転機を迎えていることは確かでしょう、今回のことは、イレギュラーなことではありますけれども、国民の関心も高まったということでありますので。今ここで、米については所得補償を導入すべきだという答弁は当然いたしませんが、しかし、そういう御指摘については、そういう御意見として承らせていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 大臣の認識を聞いているわけですけれども、時間の関係で、質問に入ります。

 お配りをしています資料の中で、これは農林水産省から提供された資料ですけれども、なかなか集荷業者に米が集まっていないと。農家の直販がすごい増えているんじゃないか、私はそう思っています。目詰まりと言われていますけれども、大臣は。集荷業者に集まらないのは、目詰まり、もちろんそれもあるかもしれないけれども、かなり直販が増えているのではないか、これが一つの原因じゃないかと私は思っています。

 大臣、その点について、目詰まりと言われますか。直販がかなり増えているんじゃないですか。

江藤国務大臣 多様な流通を否定するわけではありません。ですから、農家の方々が直販をされることについて、これが一つの目詰まりだという認識は持っておりません。

岡本(充)分科員 話をずらされていますね。

 多様な販売方式を否定しているわけじゃない、そうなんです。直販がめちゃくちゃ増えているんじゃないんですかと。これは令和四年の数字しか出してもらえなかったけれども、この数字、二百三十五万トンですか、これはもっともっと増えてきているんじゃないか。そして、もっと言えば、さらに、消費者に行く六十七という数字、もっともっと増えてきているんじゃないか。こういう認識を大臣はお持ちですかということ。大臣の認識を聞いています。

江藤国務大臣 過去の数字をちょっと持っておりませんけれども、全体の数量から見て、二百三十五でありますから、かなり増えているという認識を持っております。

岡本(充)分科員 いや、これ以降も増えていると私は思います。

 それで、集荷業者に集まっていない、十二月末で実際に集荷できた米の量が二十一万トン弱少ないから、今回二十一万トン放出するという話でありました。

 これは通告しているんですけれども、一月末の数字が本日出る、こう聞いています。一月末の集荷の減は、二十一万トン弱からどのように、十二月末で二十一万トン弱でしたけれども、どのように変化したか、事務方から答弁を求めます。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今、大変恐縮でございますけれども、最終集計中でございますので、今のところ、コメントは差し控えさせていただきます。

岡本(充)分科員 これは大変重要な数字ですよ。これが物すごい増えていたら、逆に減っていたら、二十一万でいいのかという話になるわけです。それをこの委員会のところで答弁されずに、今日の午後にでも発表しようか、こういう話。この数時間がなぜ発表できないのかと私は思うわけでありますけれども。

 では、ちょっと質問を変えてみたいと思います。この二十一万トンは集荷業者の数量減を基に数字を出していますが、これは民間の在庫で見ると、十二月末で四十四万トン、対前年比減なんですね。なぜこれは民間の在庫でやらなかったのか。実際、民間の在庫、ウルチ米で見ると、出荷プラス販売段階の数量で見ると、対前年比マイナス四十四万トンです。そして、ずっとこのところ四十万トン程度少ない。実際に売れる状況になっているお米がこれだけ、四十四万トン少ない中で、集荷の二十一万トンにターゲットを当てて数量を決めた理由を事務方から答弁を求めます。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の毎月の在庫量は、その時々の比較的大きな業者のストックということでございます。そういった中では、なかなか全体の例えば生産量の増加でございますとか需要の動向とか、そういったものがなかなか反映し切れていないということで、そこはちょっと違いがあるのかなと思っております。

 他方で、今回、二十一万トンの集荷の減少分を販売するということでございます。通常、こういった大手の集荷業者は、毎年、量販店でございますとか、あるいはコンビニのおにぎり向けでございますとか、こういったところに一定量、例えば、前年はこれぐらいだったから今年もこれぐらいということで、事前契約的に供給していくわけでございます。そういった供給していく中で、今年は生産量が昨年よりも上回ったのに、二十一万トン、要は減になったので、一割カット、二割カットということで供給し切れていない。こういったところで、し切れなかった不足部分が、ほかのところから調達しなきゃいけないということで、非常に集荷競争が激しくなったということで、そういった流通の幹の部分をきちんと回復して円滑な流通を確保するということで、今回、そこの集荷数量というところへ着目して販売をするということとしたところでございます。

岡本(充)分科員 大臣、これは、長い答弁で、何か答弁、ごまかしていると私は思いますよ。

 なぜ民間在庫の数量でなく集荷数量で今回の数量を決めたのかと言っているんです。この表で見るとおり、集荷業者から中食、外食に行っていたのは僅か二ですよ、これは。ここの数字じゃなくて、なぜ、卸、小売などで今ある、販売段階にある数量で見なかったのかと。実際にここが消費者が買う米ですよ。消費者が買う米は四十四万トン前年より減っている、ここに着目をして数量を決めるべきではなかったかということをお話をしています。そこは何でですか、端的に答えてください。なぜ民間在庫でなく集荷量で、農協の集荷量で見たのか、この理由を明確に答えてください。

松尾政府参考人 委員御指摘でございますけれども、ここの表に書いてありますのは、一年間のまさに流通の直線でございます。こういった中で、集荷数量、例えばこの資料でございますと、集荷数量の集荷三百三というのが減っておりますので、ここで二十一万トンを、年産は違います、減っておりますので、そういったところは、この右に行くところは減っているというところで、そこに着目した。

 中食、外食で二万トンというお話がございましたけれども、これは卸から中食に行く分もございますので、必ずしも集荷業者は中食分で二万トンしかないということではないんだと思っております。

岡本(充)分科員 もうこれで時間を潰したくないんです。これは農林水産省が提供した資料ですよ。これで、集荷業者から行っているのは二と書いているじゃないですか、矢印で。必ずしも二じゃないと言うんだったら、この資料をちゃんと作り直してください。いや、もういいです。何遍も同じ質問です。下さい、ちゃんとしたものを。

 その上で、質問を続けます。

 これは結局、民間在庫が、私、いただいた資料をちょっと今日は配っていませんけれども、出荷プラス販売段階のウルチ米で見ると、令和四―五年、令和五―六年、令和六―七年、ずっと対前年マイナスなんですよ。コロナがあった影響もあって、外食、まあ中食はちょっと盛り上がったかもしれないですけれども、外食はかなり冷え込む中で、このマイナスが、ある意味、需給の中で大きな影響を持たなかった。一気にここで外食産業が盛り上げてきて、二年にも続く対前年比マイナスの在庫が価格形成に影響しているんじゃないか。

 これがもし流通の目詰まりというのなら、目詰まりは二年前からあったんじゃないかと私は思うんです。これはずっとマイナスなんですよ、大臣。後で資料を見せてもらってください。これは、ずっとマイナスだったこの状況をもし目詰まりというのなら、放置をし続けてきたことは私は問題だと思うし、たまたまコロナで外食の需給が低かったりして、価格に影響しなかったのかもしれないという私の指摘が一点目。

 二つ目が取引価格の問題です。

 二ページ目のところで、概算払いの話を書いています。

 少なくとも農林水産省は昨年の八、九月の段階で、概算払いの米の価格が四割から五割、対令和二年比で上がる、前年比でも大幅に上がるということを把握をしていたんじゃないんですか。

 したがって、これを把握をしておきながら、当時の大臣は、新米が入ってくれば需給が落ち着く、こういった話をしていたけれども、価格が高止まりをする、今後高止まりをするだろうということは、少なくとも八月、九月の段階で農林水産省は分かっていましたね。それについて答弁を求めます。分かっていたか、分かっていなかったか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、以前、数年前の在庫量に比べて、何年かマイナスが立っているというような在庫の御指摘がございました。

 これは、コロナの影響によりまして、在庫量が、令和二年六月末、二百万トン、令和三年、二百十八万トン、令和四年、二百十八万トンということで、非常に高い在庫を元々持っていたということがまず一点でございます。

 それから、概算金の状況ということで、概算金は、大体八月とか九月、集荷の直前ぐらいで我々は報道ベースで知ることになります。そういったところで、こういった概算金ということで、新米の集荷というのが始まるというのは、私ども、報道ベースで存じておりました。

 その中で、こういったお米の価格ということで、こういった生産コストの上昇というところも反映されていくんだろうということは、坂本大臣からもその当時からお話はされていたということで承知しております。

岡本(充)分科員 つまり、農水省は、八月、九月の段階から米の価格は上がるだろうということは分かっていた。その状況の中で、私も農家の方から、今年は米の価格が高くなりそうだという声を聞いていましたよ。先ほど大臣が言われるとおり、喜んでみえる。それもよく知っている。

 先ほど、元の話に戻るけれども、米の価格自体を高くして農家の生産費を賄っていくというのは、私は、消費者との関係において様々な問題が出ると。ただ、営農が続けられる利益であり、そして政策的支援がなければいけない、これはもう当然だと思っています。したがって、そこのギャップを政策で埋めていかなきゃいけない。だから、直接支払いの話をしているわけですけれども。

 今、大臣、事務方から答弁がありましたように、八月、九月の段階で高くなることが想定をされていたにもかかわらず、この間、価格にコミットしないと言いながら、農林水産省、この問題、実質放置していませんでしたか。価格にコミットしないと言いながら、大臣、どういう対策を取ってきたのか。

 いや、もういいです。長いです、答弁が。

 だから、そこは是非、大臣、もう一度検証していただきたいと思うんです。検証していただきたい。いかがですか。

江藤国務大臣 概算金の数字については、当然、局長が答弁したように、様々な生産コストの上昇分、そういったものを踏まえた上で上がっていく。それから、南海トラフの緊急情報も出て、御家庭での、これは流通のスタックではありませんよ、買いだめですから。スーパーの店頭から米がなくなるような状態まで消費者の方々が米を買い求められた。そのような状況の下で、概算金が一定水準まで上がるということは予測をしていた、それは事実です。しかし、今の四万円とか五万円とか、そういうところまで予想していたということでは全くないということは御理解いただきたいと思います。

 ですから、これまでの、私が大臣になったのは十一月ですけれども、その前のことに責任を持たないという立場は取りません。農政には連続性がありますので、政治には。検証が必要であれば検証いたしますが、これまで、備蓄米の放出に至る過程においては、これまでの過程について、役所から私は十分な説明を受けたという自覚であります。

岡本(充)分科員 備蓄米の放出についての説明は受けたということですけれども。

 価格に対して、上がっていく最初のきっかけが概算金のお話から始まって、結果として、私は、今年はどうも上がりそうだという中で、実際、先ほどの図一で見ると、メルカリの話を大臣は名前を出されましたけれども、どこで売っているかは別として、直販のいろいろなものを見ると、大分、先ほど一俵四万、五万という話をされましたけれども、それに比べれば、少し値頃な価格で売っているものもあるのは事実です。

 こういった状況を見ると、値が上がっていくなと思うと、それなら直販で売ろうかという農家さんも増えてくるんじゃないか。結果として、ここでいう農家直販等が増えてきているということが背景にあったんじゃないかということを指摘をしていて、それがいけないと言っているわけじゃない。

 何が言いたいか。来年また概算金が上がるぞという話になったとしましょう。その場合、これも民間の話ですからといって、また手をこまねいていると、私はもっと、これは直販の方がいいかな、集荷でこれだけなら、もっと直販で高く売れればこっちで売っていこうかな、こういう人たちが出てくるんじゃないかと。

 結果として、また来年、更なる高騰、もちろん余りに高くなり過ぎると消費者離れが起こるということもありますけれども、なりかねないということで、来年をどうしていくかというのは極めて重要であり、今この場で答えられませんと答弁されるに決まっているのはよく分かっていますが、しかし、ここは指摘をしておきたいと思います。

 来年の概算金が出てきた段階で、万々が一まだ上がるというようなことがあったときに何らか取れる手を考えておいた方がいい、これを私は指摘をしておきたいと思いますが、大臣、いかがですか。考えてくださいと言っているだけです。

江藤国務大臣 今年の概算金。(岡本(充)分科員「今年。ごめんなさい」と呼ぶ)今年の概算金ですよね。

 ですから、生産の喜びというものは当然あるわけで、自分が作ったものが市場で高く評価される、これは生産者にとっては喜びです。

 ただ、一方で、消費者の方々にとっては主食である米が今までの常識とはかけ離れた水準になるということは、決して政治としても放置できないということだろうと思います。

 しかし、直販については、やはりブランド化されている方々、自分の米にやはり自信がある、例えば有機であるとか、特に米の名産地であるとか、そういうところは棚田米であるとか、そういったブランド化ができる人がいわゆる中心となっていくのではないかというふうに思います。そうじゃない人もいると思いますけれども、お値頃のものもありますから。

 ですから、これは、六次化産業の法律も、私がまだ当選十年目ぐらいのときに六次化法案が出ましたけれども、農家の方々が自分のものに直接値つけをするということについては決して阻害するような立場にありませんので、これについて、けしからぬとか、やめてほしいということはありませんが、ただ、今年の概算金から、その集荷の流れについてどういうことになるのか、それは慎重に見極める必要があるなと、委員の御指摘をいただいて、そう今思っております。

岡本(充)分科員 私は、様々な要因があると思いますよ。ただ、その中に、やはり概算金を横目に見ながら直販の価格が決まっていく、こういう傾向は私は否定できないと思うし、結果として、それならばというので直販の方に流れていく量が増えれば、また来年も目詰まりという話を同じようにそのときの大臣がされるのかと思うと、それでは何の対策も取っていないんじゃないかという……(江藤国務大臣「直販を目詰まりと思っていませんから」と呼ぶ)直販は目詰まりじゃないと大臣は答弁されていますけれども、結果として、でも、集荷が集まらないという結果には至るんです。集荷が集まらない。

 それで、先ほど山田委員に答弁されていましたけれども、買戻しの話、ちょっとこれだけ、重要なので確認しておきたいんですが、買戻しの条件付だということですが、価格が安定した段階で買い戻すと言っていますけれども、安定とは、高値で安定も安定なんですね。

 この安定とは何を指すのか。高値で安定したときを指しているという理解でよろしいですか。

江藤国務大臣 非常に悩んでおります。非常に考えております。

 この放出を決めた段階で、買戻しはどの水準で行うことが適切なのかということが大きな悩みの一つでした。生産者にとっては、余り安くなるまで放置されては困るというふうに思われるでしょう。しかし、消費者の方々にとっては、高い水準で、二十一万トンは結構な量ですから、これを一気に、まあ、一気にやるかどうかは別にして、もし買戻しということであれば、これは上げ要因になるので、どの水準で買い戻すかについては、今、しっかり考えよう、こういうふうに思っております。

 ですから、すぐには、多分、私の予想ですけれども、今年の概算金が出るまでの間は、なかなか先の見通しが立ちませんので、米価についてそんな大幅な、もちろん、私は下がることを期待はしておりますけれども、そんな急激な変化はもしかしたらないのかもしれません。ですから、ある程度時間を持って、一年以上たっても、ある程度の水準まで落ち着いたら、そのある程度の水準はどこなのかというのが委員の御質問の核なんでしょうけれども、それを今明確に答えることは難しいということは、ちょっと御理解いただければと思います。

岡本(充)分科員 これはいろいろな立場の人がいらっしゃるから、難しいんだと思います。

 ただ、備蓄の数量を、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律で、いわゆる指針を作って決めています。年に二回見直すと施行規則にも書いています。三月三十一日ですか。その見直しの際に、一体どの備蓄量が適切なのかというのも考える中で、場合によっては、備蓄量自体を見直した結果、買い戻さないという選択肢もあり得るかどうか。

 最後、そこだけ、大臣。

江藤国務大臣 この備蓄の量については、法律で決まっているわけではないですね、百万トンというのは。一つの目安ということで今百万、九十一万トンしか実際は持っておりませんが。しかし、これは、国民が緊急事態に追い込まれたときに、一・八か月分の食料供給ができる量を今確保しているわけでありまして、一方では、今回備蓄米を放出することによって備蓄の量が減って、緊急事態に政府は応えられるのかという不安を持っている方々もおられます。

 ということであれば、やはり買い戻して、ある意味貸しているような感覚ですから、買い戻して、あるタイミングでは備蓄の一定水準を回復させることは、国民の将来に対する不安を解消する上でも私は必要なことだというふうに思っております。

岡本(充)分科員 この話もいろいろ聞きたいところはあるんですけれども、時間が限られていますから、次の課題に行きたいと思います。

 食料自給率です。

 食料自給率、三枚目のペーパーですけれども、この間の、昭和四十年度から令和五年度、推移の表を農林水産省からもらいました。そして、聞き取りによって岡本事務所で作りましたけれども、一万ヘクタール作付面積増えるごとのカロリーベースの食料自給率の上昇寄与は、小麦が〇・一、大豆が〇・〇五、子実トウモロコシが〇・〇二〇、そして青刈りトウモロコシが〇・〇四程度、こう聞いています。

 今、耕作放棄地、耕作可能な放棄地と言っていいのかな、耕作可能で使用されていない土地が二十七万ヘクタール。これと掛け合わせても、なかなか目標の四五にいかないなというのが、昨日、ちょっといろいろシミュレーションしていて思ったわけですけれども。

 新たな計画を作られるということでありますけれども、今現在の農地の面積と、実際にそれぞれの作物の食料自給率への上昇寄与度を掛け合わせてみても、四五はなかなか難しいなというのが私の実感なんですが、事務方で結構です、これはなかなか難しいでしょう、実際、四五というのは。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、先生おっしゃるとおり、現在の農業構造のまま自給率を四五%にするためには、現在の我が国の農地面積の約一・四倍、六百万ヘクタール程度が必要になるということでございますので、なかなかそういう意味では厳しい状況でございます。

 そういう意味で、自給率四五%というのは極めて野心的なものと考えておりますし、現実のものとするためには、我が国の農地の四百二十七万ヘクタールをフルに活用する必要があるというふうに考えております。

 例えば、今走っている基本計画上も、そういうような農地をフル活用しながら、例えば単収向上とかそういうような効果を見ながら、需給に合わせた生産を行って、今、四五というふうな数字をつくっているということでございます。

 今回の基本計画に当たりましても、各地域で基本計画を策定して、その中で、荒廃農地ですとか、後継者が確保できない等で発生している、そういう利用がなかなか困難になっている農地をどうやって集積して、分散錯圃をどうやって解消して、フル活用していくのかということが必要な課題というふうになっておりますので、農水省として、こういう受け手が活躍できるような大区画化ですとか農地の集積、集約化、単収の向上、スマート農業、こういった施策をフル動員しながら、目標の達成に向けて検討を更に深めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)分科員 なかなか厳しいんですよ、大臣。

 それで、私も正直言って、これを聞いてちょっと本当にびっくりしたんですけれども、トウモロコシ、デントコーンをもっと増やしていこうということが畜産の食料自給率を上げることにつながる、もちろんそうなんですけれども、思ったほど、食料自給率を上げる効果が乏しいと。ただ、それでも増やしていかなきゃいけない。

 私の地元でも、頑張っている農家さんがいらっしゃいます。支援してもらいたいですよ。

 一つは、やはり、機械を買うお金がなかなか高いという声を聞いています。それから、安定的に中長期の契約をしてもらえれば、畜産農家さんと。中長期の契約をしてもらわないと、多額の投資をしたけれども、契約が途切れてしまったら、なかなか畜産農家に売れなくなる。こういった中長期の契約をすることを農水省に後押ししてもらいたいとか。それから、マッチングですね。畜産農家さん、うちの地元はやはり子牛農家が多いものですから、畜産農家さんとのマッチングなんかを農林水産省がやってくれたりすることもあるようです。是非そういったことを増やしてもらいたい、こういうお願いをされているようです。

 大臣、この点について、決して悪い話じゃないと思います、大臣の思いとして、是非応援していただきたいと思いますが、いかがですか。

江藤国務大臣 今回基本計画を作るに当たって、もちろん飼料用米もしっかりやるんですが、それに加えて、青刈りトウモロコシをやろうということも立てました。一本足打法から二本足打法に変えようということであります。

 しかし、青刈りをやるということであれば、ハーベスターだったり様々な機械を導入しなければなりません。コントラクターを育成することも当然大事になってくるでしょう。しかし、農業機械も非常に値段が上がってきています。

 そして、農林水産省は、最近、例えば集荷の施設を造るとか、そういうところについての補助率五〇%ということをかたくなに守ってきましたけれども、県が協力してくれれば、五〇%を超えて補助率を上げるというような施策も今打ち始めています。

 ですから、これから食料自給率を上げる上でも生産性を上げる上でも、機械の補助、それから中長期の契約。やはり安定的に、これからは経営感覚が大事ですから、長期の経営計画を立てるということであれば、この契約は長期にわたって維持されるということを担保することは極めて有効だと思います。それから、どの人たちと自分の作っているものがマッチングできるのか。これがないと中長期の契約自体がまずありませんから、まず、マッチングにもこれまで以上に力を入れてまいりたいと考えます。

岡本(充)分科員 時間が来ましたので、最後に一問だけ。

土屋主査代理 短くお願いします。

岡本(充)分科員 愛知県で青刈りトウモロコシを水田若しくは畑作で作った場合、どのくらいプラスが見込まれるか、事務方に数字だけちょっと教えてもらって、終わります。

松本(平)政府参考人 お答えいたします。

 事前に、委員の方から愛知県のデータということでお話がありましたが、手元にございませんので、全国のデータを基にこの比較をさせていただきます。

土屋主査代理 短くお願いします。

松本(平)政府参考人 はい。

 まず、主食用米につきましては、令和五年実績につきまして、所得は差引き三万円となっております。また、青刈りトウモロコシを作りました場合には、単収によって差異はございますが、水田活用直接交付金を加えまして、十アール当たり九万から十二万、これは単収の差でございます、の収益となっているところでございます。

 また、耕種農家がこれに取り組みました場合には、先ほど委員からもございましたところの機械の導入というものがございます。というところで、畜産農家による自給生産の場合は十アール当たり五万円ですが、耕種農家が新たに投資をし生産する場合にはこれを上回ることが想定されます。

 このように、収支の比較につきましては、それぞれの販売価格ですとか投資の関係もございますので、一概に申し上げることは困難でありますことを御理解願えればと思っております。

岡本(充)分科員 通告していましたので問いました。済みません、時間を超過しました。

 ありがとうございました。

土屋主査代理 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

    〔土屋主査代理退席、主査着席〕

小林主査 次に、小竹凱君。

小竹分科員 国民民主党の小竹凱です。

 本日の分科会で質疑の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は二十代でして、日頃から、目の前の問題だけでなく、二十年後も三十年後も、現役世代そして責任世代としての目線で課題解決に向けて取り組んでおります。

 本日は、林業に関するお話を軸に質問させていただきたいと思います。ちょっと今日は食の話、お米の話が多いかなと思いまして、それによってあえて林業を選ばせていただきました。

 林業は、農業や水産業と深く関わっておるものの、やはり食に直結していないことから、少し、一歩引いているようにも感じられます。

 森林が雨水を蓄え、ゆっくりと流すことで、農業用水の安定供給に貢献し、土壌の流出を防ぎ、農地を守るという働きをしています。また、各地によりますと、例えば、宮城県の漁業者によります、森は海の恋人運動というものがありまして、カキの養殖を豊かにするために漁業者が山に木を植える、そんな活動も行っております。

 このように、森林は農業や水産業を支える重要な役割を持っておるものの、国民にもっと広く知っていただく必要があると思います。

 そこで、質問を考える中で私も思ったことなんですが、農水大臣と略称されますが、林が抜けてしまうことによって、やはり一歩、林業の、単なる略称の問題ではなくて、政策的な優先度にも、落ちてしまうような感覚を私は受けました。林業関連の政策を発言する際には、明確に林業の部分をしっかりと言及していただければというふうに思います。

 質問に入りますが、まずは、森林管理と防災について質問いたします。

 私の住んでいる石川県では、昨年元日に能登半島地震があり、九月には奥能登の豪雨災害がありました。亡くなられた方々に改めてお悔やみを申し上げるとともに、それぞれの現場で御尽力されている皆様には心から感謝を申し上げたいと思います。

 能登半島地震の土砂災害についてお伺いします。

 資料の一つ目を御覧ください。能登半島地震の、今回、山間部の斜面崩壊が多発いたしました。その背景として、約千五百万年前の火山活動で形成されたいわゆる火砕岩と呼ばれる岩石の層が長年の風化などで軟弱となり、地震の揺れで崩れたケースが多かったことが京都大学のチームの分析などで明らかになっております。

 そこで、まず確認いたします。この能登半島地震の山間部における地盤の脆弱性について、事前の調査やリスク評価、またその周知はどのように行われていたのか、御説明いただければと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 林野庁におきましては、都道府県と連携しまして、全国の山地における災害の発生危険度を調査、把握しているところでございます。具体的には、傾斜、地質、森林土壌の厚さといった地盤の脆弱性等を調査し、山地災害の発生危険度が高く、公共施設等保全対象のある箇所について、山地災害危険地区として把握をしております。その上で、治山事業を実施する箇所の選定や優先度の判断、地域における避難体制の整備のための基礎情報として活用しているところでございます。

 山地災害危険地区は全国で十九万四千地区ございまして、委員が御指摘していただきました奥能登地区は約千地区ございます。面積当たりにしますと、全国平均の倍ぐらいの密度で危険地区に指定されているものがございます。

 そういう状況でございます。

小竹分科員 これはちょっと更問いになるんですが、一回目の地震がありましたその後に、随時、この見直しに対して、例えば警戒度を上げる、エリアを広げる、そういった反映といいますか、取組はあったんでしょうか。

青山政府参考人 災害危険地区でありましても、震災の被害を受けたかどうかは別でございますので、今回は、震災の箇所ということで、豪雨も含めまして二百八十九か所が被害を受けましたので、そこに対して復旧復興を図っていこうということで取り組んでいるところでございます。

小竹分科員 今回の能登の災害は、先発の自然災害があったその後に、まだ影響が残っている中で次の災害が発生するといういわゆる複合災害、それによって被害が拡大したというところがございます。このことは今回から学ばなければなりませんし、ハード面では速やかな残土の処理であったり、あとソフト面でも範囲を拡大するなど、こういった随時の見直しが、迅速な取組が今後全国でも必要だと考えます。

 今、能登では、震災や豪雨の流木被害の復旧に向けて、国は、直轄で民有林の復旧整備を行い、山肌崩壊地の復旧や流木対策として、治山施設の設置や流木捕捉ダムの建設などに取り組んでおられることと承知しておりますが、被害がまた繰り返さないためにも、木々が流れた場所であったりそういった場所は今後、どういった対策が今取られているのか。また、復旧状況、あと、具体的にいつまでという期日が、目安がございましたら、教えていただけますでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震及びその後の豪雨によりまして、多数の山腹崩壊や土石流が発生しまして、土砂や流木が道路や人家等に流出する大きな被害となったところでございます。

 被災地域の早期復旧に向けまして、被害が甚大な輪島市、珠洲市の十か所で国直轄による復旧を進めており、これまでに、土砂、流木の除去や土のうの設置等の応急対策を七か所で完了し、残り三か所につきましても六月までに完了予定でございます。これらの十か所につきましては、順次、治山ダムの整備等の本格的な復旧工事に着手しているところでございます。

 また、被害が大きくないところは県が整備することになりますけれども、石川県が復旧に取り組む箇所の災害査定につきましては、簡素化を図りながら、昨年末までに全て終了しておりまして、順次、工事に入っているところでございます。

 引き続き、県と連携しまして、復旧にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

小竹分科員 特に被害の大きかった輪島、珠洲に関しては六月という具体的な期日を言っていただけたことは、大変うれしく思います。例年ですと、六月の上旬から中旬がまた梅雨入りの時期にもなってきますので、またそこでの再度の被害とならないように、迅速な取組を是非私も応援していきたいというふうに思います。

 今、私は能登の話をいたしましたが、これは全国でも起こり得る話だと考えております。ある種、戦後の国策で進められてきた今の森林、山づくりに対して、今後も防災も国策で取り組むべきだと思います。

 政府は、これらの災害に強い山づくりに対して、ソフト面、ハード面、それぞれどのような取組をしておられる、計画しておられるでしょうか。大臣、お聞きします。

江藤国務大臣 今委員が御指摘されたように、戦後、材木が足りないということでありまして一斉に植林をいたしました。一度、人の手が入った山は、最後まで人が管理しないと逆に悪さをします。特に間伐をしないで細いままになりますと、山に光も入らずに十分に成長しませんから、根が張らず、雨が降ったときに、根が浅いですから、流れてしまうリスクが非常に高いです。ですから、間伐などをしっかりやるということがまず大事です。

 その間伐をやるに当たっても、路網や、林道がなければ機械が入れませんから、そういった路網整備、そういったことをしっかりやらなければなりません。

 それに、山の仕事は非常に危険です。私の友人も、台風の後の木材の処理なんかで山に入って、何人か命を落としました。そういった危険な仕事でありますから、そういった教育も必要だと思います。

 そして、急傾斜のところが多いわけですから、いわゆる堰堤を造るとか、それから治山ダムといって、山の谷合いにダムを造って、流れてきたらそこで止まるようにする、そういう治山ダムを造るというようなこともしっかりやらなきゃなりません。大体、山地災害危険地域、十九万か所ありますから、全部はまだし切れておりませんけれども、危険度の高いところからしっかりやらなきゃならないと思っています。

 ですから、ハード面もソフト面も、やはり山のリスク、そして山の整備も含めて、しっかりこれからやっていく必要があるというふうに認識をいたしております。

小竹分科員 ありがとうございます。

 人が手を加えた山は最後まで人が責任を取って進めないといけないというのは、私もそう思いますし、ありがたく思います。

 続きましてのテーマに移ります。

 次に、ちょっと花粉症問題についてお尋ねいたします。

 花粉は、国民の四割が罹患しているとも言われ、社会的に大きな影響を与えています。健康問題だけでなくて、経済にも及んでいます。

 林野庁は、花粉症対策の全体像を策定し、十年後に杉人工林を二割減、三十年後には花粉発生量を半減させることを目標として周知しております。石川県でも県の林業試験場が無花粉杉の育種を進めており、金沢市でも、花粉の少ない、そういったところの開発をしているところでございます。

 林野庁が呼びかけ、各都道府県が設定をする杉人工林伐採重点区域には、アの区分ですね、県庁所在地、政令指定都市、中核市、それから施行時の特例市、そして東京都部、これから五十キロ圏内でまとまった杉人工林のある森林区域という記述がございますが、この半径五十キロという数値の設定根拠というのは、具体的にどういったことなんでしょうか。また、この取組、始まったばかりなんですが、進捗と成果がもしありましたら教えていただけますでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 まず、杉人工林重点区域を設定するに際して、人口が多いところから五十キロ圏内の区域について都道府県が指定するということにしておりますけれども、この五十キロ圏内というのは、専門家に聞きまして、杉花粉が飛散して伝播していくので最大五十キロぐらいだというお話を聞きましたので、この五十キロ圏内という基準を作っております。

 花粉症発生源対策につきましては、令和五年の五月に策定しました花粉症対策の全体像に基づきまして、十年後に杉人工林を約二割減少させること、杉苗木生産量に占める花粉の少ない苗木の割合を九割以上にすること等の目標を設定しまして、先ほど御指摘のございました、都道府県により、県庁所在地周辺の杉人工林約九十八万ヘクタールが重点区域に設定されたところでございます。

 林野庁では、こうした目標を踏まえまして、杉材需要を拡大しつつ、同地区における伐採、植え替えを加速化するとともに、花粉の少ない苗木の元となる原種苗木を増産する施設整備に取り組むなど、令和六年度から対策に取り組んでいるところでございます。

小竹分科員 ありがとうございます。

 五十キロというのが専門家にとって最大飛ぶ距離だという見解をいただきましたけれども、ウェザーニュースなどが発表している花粉症の罹患率であったり、そういった全国のエリアによる花粉症の患者率でいいますと、山梨、静岡、群馬、こういったところが多くなっているわけであります。この取組がまだ始まったばかりですので、どういった効果が見えるかというのは今後のことにつながると思いますが、花粉症対策においても、しっかりEBPMを活用していただいて、そして定期的な見直しを図っていただきたいというふうに思います。

 公益社団法人の全日本病院協会が発表している花粉症のメカニズムによりますと、体内に花粉が入ってきて、免疫システムによって、いわゆる敵に対抗するための抗体を作ります。この抗体が花粉に接触するたびに重ねられて蓄積していき、一定数を超えると、次に花粉が入ってきたときにアレルギー反応を起こす、花粉症になるというふうに発表しております。

 この理論でいきますと、長く生きている方ほど、どうしても花粉の蓄積は多くなるわけでありまして、我が国の超少子高齢化社会におきますと、花粉症の罹患者は増える一方、なかなか取組の成果というのが見えにくいのではないかというふうに考えます。

 本来の目的が花粉症で悩む方を解決するという点でありますと、花粉の少ない杉に入れ替えていく、こういったことと同時に、それ以上に、杉花粉の舌下免疫療法薬が今不足している問題だったり、こういった薬剤の方の問題に更に取り組んでいただきたいというふうに考えます。今回は、委員会が第六委員会ですので、薬剤供給に関する質問は特段いたしませんが、両面から取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、林業従事者の所得に関して質問いたします。

 先ほどの土砂災害の問題であったり花粉症の一因には、やはり山々の管理不足というのがあると否めません。林業を放置している場所が多々あるということです。その主な原因の一つには、やはり所得の低さがございます。

 我が国の林業は、木材価格の低迷や担い手不足など様々な課題を抱えており、林野庁の緑の雇用アンケートによりますと、年齢を問わず、年収五百万円以上の方は一桁%、そして、中央値といいますか、三割以上の方が、年収二百五十万円から三百万円、三百五十万円から四百万円というところで推移をしております。

 一方で、配付資料の二つ目を御覧いただきたいのですが、国内の丸太価格、いわゆる素材価格と、製材価格の乖離が年々広がっているように見受けられます。生産者に適正な利益が還元されていないのではと受け止めることもできますが、この乖離の要因について、政府はどのように分析しておられるでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員が配付していただきました資料につきましては、製材と丸太の価格が載っておりまして、ここの間は、製材加工とその後の流通経費がこの間に入ってくると思います。

 また、私ども行政として取り扱っておりますのは山元立木価格と丸太と製材価格がございまして、この間、山元立木価格から製材になるためには伐採して搬出する経費が必要になりますし、丸太から製材に関しては製材コストとその後の流通経費がかかってまいりますので、そういったもろもろの経費がコストアップして、ここの差が大きくなっている原因かなと思っております。

 長期的に見ますと、乾燥材が求められる状況になっておりまして、製材の精度が狂わないように、乾燥した製材を求められる機運が高まってきておりますので、そういう意味で、そういった設備費などがかかりまして、製材価格と丸太の価格の差が大きくなっているというふうに理解しております。

小竹分科員 様々な、乾燥であったり加工で金額が増えていくのは仕方ないと思います。

 このグラフにもありますように、全国の企業物価指数にも、製材価格は、ウッドショックがあったとはいえ、全体で、長期で見ますと同じように推移をしています。に対して、丸太の価格がなかなか横ばいで上がっていないというのも見受けられます。

 このことに関しては、やはり価格が長年、むしろ、一九八〇年代から見ますと、最大のときから下がっております。価格が下がり、林業の採算が合わなくなって、そして間伐や伐採が進まない、そうすると更に森林の質が低下、この悪循環が今全国の山々では発生しているというふうに考えられます。

 森林計画を今、国も見直して、大規模集約化も掲げられておりますけれども、同時に、全体としては、長期のビジョン、働き方の、長期の職の安定というところも視点に入れていかないと、なかなか担い手というのも安定しないと思いますし、ここを長期の目線で山をつくっていくというのも、国の方で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 林野庁は、森林経営と林業の構造の展望の中で、これからの林業の収支構造ビジョンを発表しております。補助金を投入しても、今、赤字経営が多い林業の中で、いわゆる林業としては成り立っていないというのが多々ある現状でございます。

 その林業の収支構造で掲げた近い将来像、また新しい林業像というところのそれぞれについて試算されておりますが、これが抽象的なため、所得向上に向けた具体的な対策を是非教えていただきたいんですが、具体的に何が所得向上のための鍵になって、いつまでの新しい林業というのを目指しているのか、是非回答を願いたいと思います。

江藤国務大臣 非常に大事な御指摘だと思います。非常に、私のところは山ばかりのところでありまして、山の仕事は危険な割に所得は低い。そして、様々な面で、学校がないとか、病院が遠いとか、買物弱者であるとか、様々な不利益も被っている。しかし、三百六十一万しか平均所得はない。これは、長年政治に関わってきた、新しく国会に入られて、私の三男坊と同じ年ですから、非常にまぶしいなと思いますけれども、是非このことには取り組んでいきたいと思っています。

 特効薬は、正直ありません。正直なところ、材価が上がるということはやはり基本です。

 私が当選したのは平成十五年なんですが、そのときは自給率一九・一%でした。今は四三%まで上がりました。国産材は使われるようになったんですよ。それは路網の整備とか、作業道の整備とか、進んだんですが、じゃ、自給率の向上に伴って所得が向上したかと言われると、向上していないんです。まあ上がりましたよ、ちょっとはましになりましたけれども、他産業に比べたら百万安いので、これから先は、やはり労働生産性を上げていくことが一つの鍵だろうと思います。

 高性能林業機械も大分導入いたしました。高性能林業機械のオペレーターにはなりたいけれども、いわゆる下刈りをしたり、それから枝打ちをしたり、植林をしたりするのはなかなかきついからやりたくない、そういう、山の仕事にもいろいろあるんですよ。そういったことを踏まえながら、いかに山の手取りを増やしていくのか。

 そのためには、例えば、ストックヤードをしっかり造って、切ったらすぐに市場に出すということではなくて、市場の動向を見ながら材を出せるような、そういう出荷の体制を確立するなどとか、様々な工夫をして、林業家の所得向上に努めてまいりたいと考えております。

小竹分科員 ありがとうございます。

 まさに山の手取りを増やすというところに関しては、私も取り組んでいかなければいけないと思いますし、特効薬はないというのも同じ見解でございます。

 やはり、何といっても、今、国内での自給率は上がってきているとはいっても、市場を大きくしていかないと所得も増えないというのは共通の認識かと思います。国産材の更なる需要拡大が収益の向上に直結しますが、国としての、公共建築物や住宅、非住宅の、更に推進する考えはありますでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 国産材の需要拡大に向けまして、林野庁としましては、最も大きな需要先である住宅分野については、国産材比率の低い横架材の加工施設の整備や技術開発を進めております。

 また、委員が御指摘の非住宅分野でございますけれども、耐火性や強度に優れた製品の開発、地方で需要が見込める中規模ビルの標準的な木造化モデルの作成、普及ですとか、地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化支援などを推進しているところでございます。

 これらの取組によりまして、建築物における国産材の需要拡大に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

小竹分科員 ありがとうございます。

 特に、今御指摘いただいた横架材で国産材がほとんど使われていないというのが現状でございます。やはり、外材の方が強度もあって、その分、はり成も小さく使えるというのが実際問題ありまして、住宅メーカーまた工務店におきましても、なるべく、はり成は小さく、部材は小さくした方がいろいろな意味で得をしますので、そういうところで技術力を高めていって、国産材の更なる需要拡大に向けて取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 次に、最後になりますが、竹林の管理についてちょっとお伺いしたいと思います。

 日本の竹産業ですが、古くから、生活用品や建材、食材として深く関わってきました。しかし、戦後の生活様式の変化や、いわゆる代替品、プラスチック製品などの普及により、竹製品の需要は減少しました。一九八〇年以降は、中国からの安価なタケノコの輸入増加や生産者の高齢化に伴い、竹林の管理が行き届かなくなっており、侵入竹や放置竹林が増加しているのが昨今の課題だと思っております。

 日本における竹材の市場は減ってきているものの、林野庁が毎年三月三十一日に公表している日本資源の現況によりますと、竹林面積は微増傾向で推移しております。これはあくまでも管理された竹林と放置竹林の面積の合算であるため、侵入竹の割合を含めると更に増加しているというふうに考えることができます。

 まだまだ、こういったデータも少ないところから、この放置竹林に対する国民的関心なども低いように感じられますが、これは、今後の、周囲の森林や農地への侵入、また生態系のバランスを崩す竹害を引き起こす重要な課題だと考えております。

 先ほどの杉の話にもありましたが、竹の根は更に浅く、斜面に広がると土砂災害のリスクが高まると指摘をされております。また、人里に近い放置竹林では、いわゆる鳥獣被害も多発しております。農林水産省の鳥獣被害対策コーナーの公表によりますと、令和五年度の野生鳥獣による農作被害は百六十四億円と高い水準にあり、この放置竹林もその一因となっていることは否めません。石川県にももちろん、全国にも同様の竹林被害が波及しているというふうに伺っております。

 ここで、放置竹林また荒廃竹林の対策として、国は今どのような施策を実施されているでしょうか。取組とまた成果についてお伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 近年、竹林の管理不足によりまして、周辺森林へ竹が侵入するなど、森林の有する公益的機能への影響が懸念されているところでございます。

 このため、農林省としましては、森林整備事業により間伐等と併せて行う竹の伐採、森林、山村地域活性化振興対策により、地域住民等が里山林を保全するために行う侵入竹の伐採、除去やチップ化による処理などへの支援を実施しているところでございます。

 引き続きこれらの支援を継続することにより、放置竹林に対処してまいりたいと考えております。

 ただ、御指摘のございました成果という面でございますけれども、これは、森林整備事業でございますとか、そういった山村地域振興対策の一環として行っておりますので、整備として数字を上げるということがなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。

小竹分科員 ありがとうございます。

 いただいたように、地域住民の協力をいただく、いわゆる竹林が町と一体となって、町の一部となって維持管理していくという必要があると私も考えます。

 石川県でも、NPO法人の方々が、放置竹林の有効活用として、竹材を使った資材ハウス、ドームを造ったり、昨年は、能登の復興を祈念して、何年も行っていたんですけれども、またあえて第一回と称して竹灯籠祭りを開催するなど、竹材の有効活用に取り組んでいるところでございます。

 このように、竹林を管理するには伐採後の有効活用が大変重要だと考えます。ただ、今おっしゃられたように、有志での取組にはかなり限界があると思っておりまして、分かりやすく言いますと、もっともうかる産業にしていくことが結果として竹林の管理にもつながるというふうに思っておりますが、伐採した竹材の活用は、今どういった活用策が進んでいるでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 竹材の年間生産量は二万七千トンでございまして、用途別に見ますと、製紙用パルプが一万三千トンと約半分でございます。そのほか、土木用資材等として使われる丸竹が九千トン、工芸品用として使われる割り竹が三千トンとなっております。

 また、量としては少ないんですが、近年では、竹チップ、パウダーに加工し、土壌改良資材や家畜飼料として利用、それから成長途上の幼竹を加工して国産メンマを製造するなど、新たな取組も各地で進められている状況でございます。

 林野庁では、竹材を利用するチッパー等の施設整備、生産者が取り組む新規需要の開拓等を支援するメニューを用意しておりまして、こうした取組を後押ししていく考えでございます。

小竹分科員 時間が来ましたのでまとめますが、竹の活用方法は多岐にわたるわけでございます。紙であったり、資材であったり、パウダーにも最近は使われているというところでございますが、海外では建築構材としても認められている国もございます。日本ではなかなか強度が安定しなかったり、課題はたくさんございますが、技術を重ねていくことによって、国内でも更に竹の有効活用を広げていくべきだと考えます。

 今、どうしてもこの竹材の有効活用というのはマイナスのスタート、森林の厄介者をどうにか、取り戻そうというスタートでございますが、竹林はこの国の数少ない資源なんだというイメージを持って、そこからスタートしていただきたい。そして、竹は成長が早く、どんな地域でも手に入れやすい材料であり、かつ加工も容易なため、海外ではサステーナブルな資材として可能性は大いにあると評価をされております。今後も需要を増やすことで竹林の管理の充実につながることも申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて小竹凱君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず冒頭、今朝の沖縄の新聞に出ていましたが、農水省が四月から沖縄県の二十六市町村でセグロウリミバエの緊急防除を実施すると報じられておりました。大臣、事実関係と農水省の対応、これを説明していただきたいんですが。

安岡政府参考人 事実関係と、そして先ほどいただいた御質問でもございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 委員からお話のございましたセグロウリミバエでございます。ニガウリなどのウリ科の果実に大きな被害をもたらすものでございまして、今沖縄県で拡大しているところでございます。

 これまで、昨年に発生してから、発生調査そして防除対策、進めてまいりましたけれども、これからの春先、気温が上昇するということで活動が更に活発になるということで、農作物への被害の拡大、そして地域外への蔓延の拡大も懸念されているところでございます。

 このため、農水省では、植物防疫法第十七条に基づく緊急防除を実施するということとしているところでございます。具体的には、一つは、全額国費負担での地域一斉の薬剤散布ということを行うとともに、出荷前に検査をお願いすることとしておりまして、検査でこの虫の付着が確認されたウリ科の植物については沖縄本島外への移動の制限、さらには栽培管理がされていないゴーヤなどの寄生植物、これが蔓延の元になりますので、この除去などを行うこととしております。

 いずれにしても、対策や出荷に当たっての検査の具体的な方法などについては、今沖縄県さらには生産者団体の皆さんとも意見交換をしているところでございます。調整をして、円滑に実施するために地元とも協力して取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 沖縄の農業は害虫との戦いでありますが、以前、ウリミバエを根絶して、沖縄の農業、ゴーヤ、ニガウリの本土出荷などいろいろな発展を遂げてまいりました。今度のセグロウリミバエも、やはり大きな根絶のためには事業や経費も、それから知見も関わってくると思います。

 この防除、失敗すれば沖縄農業の土台を破壊することになりますし、それから、これまでも農水省や沖縄県が協力をして根絶の努力をしてまいりましたが、是非、大臣、完全根絶のために努力していただきたい、このように思いますが、どうですか。

江藤国務大臣 今委員から御指摘あったように、かつて一度防除に成功し、そして再びということになりますから、今回やるからには徹底的にやる必要があると思っております。

 沖縄の農業の基盤である、そういったゴーヤとかその他のもののウリ科について、被害がこれ以上拡大しないように、農林水産省、消費・安全局を挙げてしっかり対応してまいります。

赤嶺分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 この通常国会に入る直前の沖縄北方特別委員会の閉中審査でも、私、このセグロウリミバエを取り上げましたけれども、そのときは家庭菜園で注意してほしいという範囲だったんですが、それから、虫が活発に活動する時期にも入っていくということで警告的な対策を取っておられると思いますが、これは本当に国、県挙げて、それから生産者挙げて、成功することのために頑張っていただきたいと思います。

 今日は、まず最初に、日台漁業取決めについて質問をいたします。

 この取決めは、日台の漁業権をめぐり、第二次安倍政権発足後の二〇一三年四月に沖縄県民の頭越しに締結されたものであります。

 当時、沖縄県や県漁連が漁業者の意向を十分に尊重して、日本側が主張する排他的経済水域の中間線を基本に交渉することを重ねて求めていたにもかかわらず、台湾側が主張していた国際法上何ら根拠のない暫定執法線を基本に、先島諸島北方の広大な海域で台湾漁船の操業を認め、しかも、彼らの主張以上に暫定執法線南側のいわゆる三角水域まで譲り渡すという、台湾側に一方的に有利な、およそ平等互恵とはほど遠い、言い難い取決めでありました。

 官邸主導で、中台間の連携にくさびを打つという国策のために沖縄県民に犠牲を強いるという許し難い合意に対して、当時、漁民や漁協、沖縄県、県議会から一斉に抗議の声が上がりました。

 当時、大臣は、安倍政権の農水副大臣として、合意への理解を求めるために沖縄県を訪れ、副知事や県漁連の会長らと面談をしておられます。当時の沖縄県民の怒り、いら立ち、落胆について、どのように大臣は記憶されていらっしゃいますか。いかがですか。

江藤国務大臣 鮮明に覚えております。もう行く前から非常に緊張して参りました、覚悟を決めて。そして、県の方、それから漁連の方、会長含めてお会いいたしましたが、非常に厳しい御意見、激しい御意見をいただいたことを痛切に覚えております。

 やはり頭越しだと、今委員からも御指摘がありましたが、沖縄としては頭越しのものではないかということをかなり強く言われたということを記憶いたしております。

赤嶺分科員 私も、当時、沖縄県知事は仲井真さんでしたけれども、与党と同一歩調を取っているとはいえ、沖縄に安保委員会で視察に行ったとき、知事と面談して、ある議員さんが、今度のことは日本外交の勝利だという発言をしたんですよ。それに対して、勝利とは何事か、どれだけの犠牲を沖縄に強いているか君は分かるかということで、烈火のごとく知事が議員を叱りつけていたことを鮮明に覚えております。その点では、大臣と私は共通の記憶を持っているなと理解をいたしました。

 先日、改めて八重山漁協を訪問しました。現場の実情についてお話を伺ってきました。八重山の目の前に広がる水域であるにもかかわらず、レーダーには密集する台湾漁船が映り、そして、日本漁船は今も多くが先島諸島の南側の水域で操業することを余儀なくされているとのことでありました。

 今年一月に合意した操業ルールの見直しで、台湾漁船からの漁具の流出を取り締まるということになったけれども、実際にはどこまで取り締まるか分からない、そもそも、日本側の操業ルールが適用される水域、ここには二、三隻しか入れない狭い水域で、大きな改善は見通せないとおっしゃっておられました。私が、一番今求めているのは何ですかとお伺いをしましたら、元に戻してほしい、漁場を返してほしいとおっしゃっておられました。

 取決めの締結から、この四月で十二年になります。沖縄県と県漁連は、毎年、取決めの見直しを政府に要請してきました。三角水域や、適用水域の東側の水域を撤廃するよう求め続けています。

 漁業者の要望を受け止めて政府の中で声を上げていくのは、農水省、水産庁の役割であります。二〇一三年当時、水産庁の職員が交渉の最終局面で、久米西という東側の好漁場を守ろうと、早期妥結を迫る官邸と対峙していたことが、当時の地元紙で報道されたのを覚えております。そのときの水産庁の頑張りは、今でも漁業関係者の間で語りぐさになっております。

 是非、大臣に、漁場を返してほしいという漁業者の声、これは当初から関わってきた大臣だからこそ、よくお分かりのことだと思うんです。こういう漁民の声に応えて、取決めの見直しに向けて御尽力いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 今、委員のお話を聞いて、非常に胸が苦しい思いがいたしております。

 この石垣島の北のいわゆる三角水域については、経緯もずっと知っておりますので、これについて漁民の方々が返してほしい、元に戻してほしいという気持ちは、よくよく分かります。それが可能であればそうしたいなという気持ちは、私の中にないわけではありません。ありませんが、一度合意してしまうと、様々な二国間協定、これは協定ではありませんけれども、合意ではありますけれども、これが決まってしまうと、なかなかそれをゼロに戻すというのは現実的ではないということもまた一方では自分としても自覚をしているところであります。

 今回、六年ぶりに操業ルールを見直しました。百二十四度から東に流れてくる分について、三分から出た分については台湾側が責任を持って対応する、漁具についてですよ、ということを言っておりますが、確かに、議員が言われるように、本当にやるかどうか分からぬじゃないかという御指摘もあるかもしれませんが、しかし、一旦操業ルールを決めた以上は、我が国としても、この新しいルールにのっとってしっかりやってほしい。

 そして、漁民の方の声も、私、入れる船の数が少ないという御指摘もいただきましたが、この漁具が本当に邪魔だった、潮の流れ上ですね。これが入ってこなくなるだけでも大分操業がやりやすくなるという御評価もいただいているというふうに聞いておりますから、まずは、今回の合意が正確に履行されるように努めてまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 一旦協定が結ばれて、それを元に戻すのは困難だというのは百も承知の上で私は質問をしております。この十三年間、漁業者は、まず冒頭にそういう、元に戻してほしいという要望が筆頭に上がっております。その沖縄県の漁民の方々の意見を代表して困難な課題に取り組んでいけるのも、農水省、水産庁しかないと思います。当時努力していた水産庁が八重山の漁民の説明会に出てきて本当に怒りの的になっていたということが話として出ておりました。

 しかし、漁民の声に応えられる役割を持ったのは外務省ではなくて水産庁であるという漁民の期待に応えて、幾らルールが改善されても漁場の操業が改善されることはあり得ないということを体験から皆さん持っておりますので、是非頑張っていただきたい、困難だという話を先に持ち出すのではなくて、何とかしたいというお気持ちで頑張っていただきたいと思います。

 次に、沖縄県の和牛の繁殖農家の現状について質問をいたします。

 沖縄県の農業産出額のうち半分近くを畜産が占めており、今やサトウキビを上回っております。そのうち四割は肉用牛です。沖縄県の黒毛和種の子牛の取引頭数は全国四位で、まさに沖縄の基幹産業となっております。

 その子牛の生産を支えているのは個人経営や家族経営といった多くの小規模な繁殖農家であります。肉用牛農業の発展は、沖縄県の経済振興にとっても、県民の暮らしや雇用にとっても重要であります。

 しかし、今、子牛価格の低迷や飼料価格の高騰で農家は経営難を強いられております。とりわけ、沖縄県は本土からの輸送費や移動コストがかかるため、一層苦しい状況に置かれております。そのため、離農する農家が相次いでおり、県の畜産業にも深刻な影響を与えかねない事態となっております。それは石垣や宮古など県内の離島では一層顕著になっております。

 この間、私は、実際に県内の和牛繁殖農家の方々から話を伺ってきました。八重山では、約八百ある農家のうち、今年に入って既に二十程度が離農しておられると。したがって、今年の夏の競りに出てくる頭数は大幅に減少するんじゃないかと関係者は心配しておられました。

 大臣は、畜産農業については大変な専門家でいらっしゃると思いますけれども、こうした沖縄の肉用子牛農家の現状、これはどのように認識されておりますか。

江藤国務大臣 全国的にもそうですし、沖縄もそうでありますが、非常に、インバウンドが回復したら子牛の値段も戻るだろうという期待もあったんですけれども、それを裏切るような形で低迷が続いております。

 そして、直近の数字では五十五万まで戻ってきて大変よかったと思っておりますが、離島であるがゆえのハンディキャップも当然あるわけでありまして、沖縄にとっても、総農業生産の五割を畜産が占め、その畜産のうちの大半を肉用牛が占め、そしてその基本である繁殖農家が減っていくという状況は決していいことではない。私のところも、大分やめられる方がおられます。

 しかし、今回、和子牛の緊急対策事業をやりました。これは、今まで六十万円までの水準を埋めるということでありましたが、これを六十一万円までは補填をしようということにしました。そして、離島については、奄美であったり沖縄については更に五万円上乗せをしておりますので、この事業をしっかり活用していただいて、できる限り営農継続に頑張っていただきたいというふうに思っております。

赤嶺分科員 今の緊急対策についても後ほど取り上げたいと思いますが、まずは、農家が直接強く訴えてきた問題で、やはり配合飼料の問題がありました。

 具体的な対策について伺いますが、配合飼料価格の高止まりが続く中で、このままではやっていけないという農家の声をたくさん聞きました。苦肉の策として餌を減らしていますが、それでは牛が育たなくなり、競りで安値がつけられてしまっている。更に収入が減り、また飼料を減らさざるを得なくなる。今、沖縄の子牛農家は悪循環だなということを思いました。悪循環に陥っております。

 配合飼料価格の高騰に対しては、これは配合飼料価格安定制度がありますけれども、直近一年間の輸入原料価格の平均との差額を補填する枠組みであるため、価格が横ばいとなった一昨年十二月以降発動されていないと聞いております。そのため、沖縄でも、飼料価格が二〇二〇年より二万円以上高い状態が続いているにもかかわらず、何の支援もなく、そして、農家は途方に暮れております。ある農家からは、あしたが来なければいいという、全く希望を失っている心境も伺いました。

 大臣、緊急配合飼料価格高騰に対する支援策を打ち出すべきではありませんでしょうか。

江藤国務大臣 非常に悩んでおります、正直に。私は正直な人間なので、非常に悩んでおります。

 この配合飼料価格安定制度の一番の欠点は、高値安定をしてしまったときに発動できないということであります。ですから、緊急対策として、発動の期間を長く取って、そして発動するような対策もかつて行いました。しかし、それももう過ぎてしまいました。じゃ、それを三年にするのか五年にするのかという議論もあるかもしれません。

 そしてもう一つは、沖縄の畜産家の方々は大体商系の方から配合飼料を買っていらっしゃるのが多いというふうに聞いておりますが、商系の方々が異常補填の部分について、なかなか、今までどおり拠出金を出すことを了としない、はっきり言って渋るというような状況がずっと続いております。ですから、配合飼料価格安定制度の制度設計自体、考える必要があるというのは、私が大臣になった瞬間から思っていることであります。

 ですから、私の県も、総農業生産の六割は畜産ですから、その中心はまさに和牛生産でありますので、内閣総理大臣賞も取っている県でありますから、このことについては、今こうするということは答えられませんが、非常に高い問題意識を持っているということだけ申し上げさせていただきます。

赤嶺分科員 高値で、農家に対する支援ができなくなっているという制度の矛盾もあります。それは、しかし、是非検討を加えてほしいと思うんですよね。

 さらに、高値で止まっている配合飼料について、沖縄県に入ってくる配合飼料は輸送費が上乗せされるため、本土よりもコストがかかるようになっています。石垣、八重山や宮古など、離島は更に高くなります。

 石垣の農家のお話を聞きました。鹿児島よりもキロ当たり百二十円高い。母牛の餌代は、一月で計算すると一万四千円割高になるとおっしゃっておられました。配合飼料をせめて本土並みの値段で買えることができればというのが農家の強い要望でありました。

 大臣、こうした声に応えて、配合飼料価格の本土との差額を補填する仕組み、これが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 御質問いただいて、例えば宮崎と比較してどうか、鹿児島と比較してどうかということは、定量的に調査をいたしました。ここで数字は申し上げませんけれども、配合飼料については、それぞれこだわりがあったり、それぞれ配合比率を変えたりしますので、一律にこの値段だということは、なかなか言うのは難しいです。

 そして、数字を見たところ、沖縄の方が安い場合もあるということであります。高く買っている人もおられるし、本土よりも安く買っていらっしゃる、商系が多いということが一つの原因だろうと思いますけれども、規模の大小によっても配合飼料の購入価格は変わってきます。大ロットで買えば安く売ってくれる商系はいますし、小ロットならこの程度の値段でしか売らないよというような商取引もされていると聞いております。

 ですから、本土と比べて、沖縄だけ、配合飼料、確かに船代とか様々かかることは理解はいたしますが、数字の上で見たところ、今、格別な対策を打つ段階には、申し訳ないんですが、ないのではないかというふうに今のところ判断いたしております。

赤嶺分科員 私も、その数字、見ておりますよ。だけれども、沖縄の農家、八重山や宮古の農家が言うのは、鹿児島から沖縄までの輸送費、沖縄本島から八重山までの輸送費、宮古までの輸送費、これが上乗せされていることは間違いないじゃないですか。要するに、そこが不利だということは疑いようもない事実じゃないですか。

 それを、沖縄は本土より安い場合もあると言って、どんな場合なのか、それが本当に農家にとって利益になっているのか。しかし、現場の農家からは、配合飼料が高い、せめて鹿児島並みに、鹿児島からの輸送費、沖縄から離島までの輸送費がかからないようにしてほしい、こうおっしゃっているんですよ。その点は同感できるんじゃないですか。いかがですか。

江藤国務大臣 先ほど申し上げましたが、もちろん輸送費がかかっていることは認めます、当たり前の話でありますから。

 しかし、最終的な数字が示すものは、本土の値段と沖縄の値段がそれほど乖離はしていないということが、シッピングのコストを入れてもそうなっているということでありますので。やはり私は、エビデンスに基づいて物事を判断しなきゃなりませんので、船代がかかっているはずだから安くしなきゃいけないということではなくて、最終的に生産農家のところに渡る段階で幾らで渡っているのかというところに着目して判断すべきものだろうというふうに思っています。

赤嶺分科員 私は、これは机上の数字からの判断だと思いますよ。実際に私は農家から、配合飼料が高い、せめて鹿児島並みにと。配合飼料が全国的に高いという話とともに、それ以上に輸送コストが沖縄はかかっているんだ、せめてその分だけでも何とかしてほしいと。

 大臣、沖縄から農産物を本土に出荷する場合に、離島の不利性解消事業として、輸送費代、沖縄から出る生産物については補助が出ているんですよ。補助の仕組みがあるんですよ。これがあるからやっていけるという具合に農家は言っているんですよね。

 逆に、こういう配合飼料なども、入ってくる分については高い数字が出ていることもあるんですよね。低い数字もある。高い数字もある。しかし、それは具体的な条件に応じて、高く農家が手に入れなきゃならないものについては支援する。沖縄の畜産農家支援のために、農業の支援のために、これはやらなきゃいけない。

 高く手に入れているのであれば、そこについて調査をして支援する検討もしてみたいという具合におっしゃっていただきたいんですが、いかがですか。

小林主査 答弁、簡潔に願います。

江藤国務大臣 配合飼料の価格、購入価格については、非常に、やはり商流の中にいろんな要素があります。例えば養豚ですけれども、大規模にやっている方は小さい規模のところよりも半額で仕入れているというような例もあります。

 ですから、経営規模によって特に商系の方々は売渡しの価格を変えますので、ですから、安く買える人もいる、高くしか買えない人もいる。それは先生のおっしゃるとおりですよ。

 ですから、それをやはり平均して農林水産省の行政手続としては見なければなりませんので、やはりエビデンスに基づいて、これぐらいの数字があるのでこのような支援をしますという組立てができないと、今この段階で、高く買っている人もいるんだから支援をするべきだということについて、それを考えますというお答えはできないことについては御理解をいただければと思います。

赤嶺分科員 私の今の質問は、八重山の畜産組合の役員の方から、高いということをおっしゃっているんですよ。安く買っている農家もいるなんというような感覚はないですよ。

 だから、エビデンスと言うなら、具体的にそういうところからのお話もちゃんと聞いて、そして沖縄農業の発展、これは沖縄農業の発展というのは国策になっているんですよ、今。国策で、強い沖縄経済は農業だと国が決めているわけですからね。そういうことを強く申し上げて、今回は配合飼料についてやりましたが、また次回、機会があれば子牛価格についても申し上げたいと思いますから。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小林主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、神津たけし君。

神津分科員 長野三区の衆議院の神津たけしです。

 江藤大臣、それから笹川農林副大臣、政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日、ちょっと冒頭なんですけれども、お願いしたいことがありまして、私、質問がちょっと多いというところで、なるべく政府参考人の皆様にも大臣の皆様にも、短く簡潔に、短めに答弁していただけると助かります。

 と言いつつ、ちょっと前置きが長くなってしまうんですけれども、少しだけ話をさせていただきたいと思います。

 私は、衆議院議員になる前は実はアフリカに十七年間おりまして、駐在した国は六か国あったんですが、そんな経験から、食料の安全保障については、非常に日本の将来に危惧を持っているというところがございます。

 食料の安全保障を実現していく中で極めて重要なのは、私は食料自給率だというふうに思っております。この食料自給率、今国内においては、農業の担い手が減少している、それから、気候変動によって自然災害、農荒廃地の増加など、いろいろな理由によって日本の食料自給率が減少してしまう可能性があるというところが指摘されているところかと思います。

 今、日本国内で生産できないのであれば海外から輸入すればいいじゃないかという御意見の方も増えていると思うんですが、ただ、私はやはりそうではないと。これから世界における食料の供給量というのは厳しさを増してくるのではないかというふうに思っています。

 三つだけちょっとその理由というものを挙げさせていただきたいと思います。

 まず一つ目なんですが、世界における需要の増加。特に世界においては、これから、この数十年間で急激に人口が増加して八十億人ぐらいに今なっていますけれども、二〇五〇年ぐらいまでに百億人ぐらいになっていくと。そうすると、食料に対する需要も増して、これからその需給ギャップが、もしかしたら供給が追いつかないということも指摘されているところでもございます。それから、途上国の経済も成長して食料の需要も増してくるというところで、日本が輸入したくても輸入できないような状態が起きてしまいかねない。

 二つ目に、世界における食料供給の維持というものが厳しくなってしまう状況というのもあるのではないかというふうに思っています。特に今、全世界の水使用の七割を農業が占めておりますが、人口増加それから気候変動によって、農業に水が回ってこないような可能性がある。それから、世界資源研究所によると、カロリーベースで全世界の三分の一の食料生産が今水に負荷が既にかかっているような地域で生産されているというところにおいては、やはり供給が追いつかない可能性がある。

 三つ目なんですが、何らかの有事が起きたときには、食料の輸出を止める国がやはりあるというふうに思っています。ロシアによるウクライナ侵攻では、八十六か国が食料の輸出制限というのを行ってまいりました。その結果、これは、ロシアとウクライナは穀倉地帯ですので、その分というのもあると思うんですが、世界で取引されている一六%のカロリー分の食料に輸出制限がかかったということもございました。

 私が何が言いたいのかと申し上げますと、これから日本が、食料が不足したときに、世界から食料を思いどおりに輸入することができなくなってしまうというふうに思っております。お金が幾らあっても輸入できないという状況があると思いますので、私はやはり食料自給率を高めていく必要があるというふうに思っております。

 では、まず一問目の質問にまいります。

 食料自給率、今、日本を見ると、三八%と低迷し続けております。食料自給率を引き上げるには、激減する農業生産者を食い止める必要があるというふうに思っています。食料自給率を向上させ、食料の安全保障を実現するためには、ほかの予算を、農水省ではなくてほかの省庁の予算ですね、ほかの省庁の予算を大幅に削ってでも農林水産業に充てて生産者支援を行っていくべきだと思いますが、江藤大臣の御認識をお伺いします。

江藤国務大臣 ほかの省の予算を削ってでもというお話ですが、私もまた大臣になって、今年の予算の予算折衝をしました。一生懸命やったんですが、結果として二十億しか前年度比で増やすことができなかった。これは私の力のなさだと言われればそれまでですが、予算の折衝というのは、それほどなかなか容易じゃないんですよ。ただ、応援をいただいているということで、そのことについてはありがたく思いたいと思います。

 ただ、これから、基本法を改正いたしまして、基本計画をいよいよ作成をいたします。この基本計画によって、政策のこれからの先行き、やり方、肉づけ、そういったものが現実に行われていきます。予算を要求するのであれば、こういう方針変更をします、水活にしてもそうですけれども、こういう方針を変更します、こうやればこれだけの例えば予算が浮きます、その部分はここの部分に活用いたします、それで、足りない部分についてはこれだけありますので、更に増額で予算の要求をいたしますというのがやはり予算要求の筋でありますので、ただ金額だけどんともらっても、それはなかなか対応できない部分があります。

 ですから、この基本計画を、より農家の方々にとって御納得のいただける、食料安全保障が確立できるような内容に仕上げることによって、農林水産省の予算を、次の令和八年の予算要求の段階においてはしっかりやっていきたいというふうに考えております。

神津分科員 ありがとうございます。私も、農林水産省の予算というものはやはり増やしていかないといけないというふうに思っております。

 そこで、食料自給率も引き上げていかなければいけないという私は認識を持っているんですが、大臣の御見解をちょっと伺いたいんですが、昨年の臨時国会で、国民の皆様は輸入したものが食べたい、今の食料自給率三八%を基本に考えると、下手をすると生産過剰になるという趣旨の御発言をされていたんですが、この考えというものは今も変わっていないのか、もし変わっているのであれば訂正していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 私は見ていないんですが、何かSNS上でバズったらしいですね。何かそうらしいんですよ。あ、見ていらっしゃらない。

 ただ、国民の皆様は輸入したものが食べたいと言ったのではなくて、輸入したものも食べたいと。議事録を見ていただいたら分かりますが。これは、どうしてもやはりブランド力に引かれる消費者は必ずいます。私なんかの感覚でいうと、チーズなんかはもう北海道のチーズとか本州のチーズを食べた方がいいですよ。値段も安いですし、クオリティー的にも全然ヨーロッパのものと劣りません。ただ、やはり消費者の中には、輸入したチーズに対してブランド力を感じて、それをどうしても、高くても選択して食べたい、そういう人はいます。それを私は申し上げたわけであって。

 そして、生産過剰の話は、将来的に、長いスパンで見ると日本人の胃袋は小さくなっていきます。農林水産省としては、農業の生産面積を守っていくことによって食料自給率を上げていきたい。しかし、食べる人の数が減れば生産過剰になる可能性もあるということでありますから、国内市場だけではなくて外国の市場も開拓することによって、農地面積を守り、そして、ひいては食料自給率も上げていこうという趣旨で申し上げたことでございます。

神津分科員 今の趣旨説明、理解したんですが、ただ、ちょっと気になる点があるので、簡潔に御答弁いただきたいんですが、同じものがあったとした場合、国民の皆様は輸入したものが食べたいのか、それとも国産のものが食べたいと思っていらっしゃるのか、どっちなのか御答弁いただければと思います。

江藤国務大臣 それは消費者の選択ですから、一概にどちらとはなかなか言いづらいと思います。

 私の地元でも、中国産の例えば長ネギが店頭に並んでいます。太い、太くて値段も安いです。その太くて値段が安いものについて、そちらを選択される消費者の方々もおられるでしょう。しかし、私の地元でいうと、やはり、十円、二十円高くても、細くても、地元のネギが先に売れています。これはもう間違いなくそうです。非常にありがたいと思います。

 ちょっと答弁を短くという話ですが、ヨーロッパに目をやれば、フランスなんかは、国民の世論調査をしたところ、値段が高くても国産のものを食べるという国民が七〇%を超えているというような世論調査もあります。ですから、国民の皆様方に、やはり国産の価値、そして、自分たちが食べることによって農業生産の現場が守られるという意識を持っていただくことも求めていく必要があるなというふうに考えております。

神津分科員 ちょっと答弁、済みません、長くて分かりにくかったと思っているんですが、私は、国民は、同じものがあった場合、国産のものとそれから輸入してきたもの、両方あった場合には、国産のものをやはり買いたいと思っていらっしゃる方が多いというふうに思っています。

 そういった意味においては、これから、国産を手に入れられる環境をつくっていけば、食料自給率というものをむしろ上げていかなければ、需給、需要と供給のバランスが取れないというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 それはやはり、消費者の方々は、家計を預かっている、主婦の方もおられて、やはり、自分の可処分所得に対してどれだけのものを支出できるかということは意識されると思います。

 しかし、農家に目線を落とせば、農家の方々も、余り安いということが固定化されますと、生産者自体がいなくなってしまう、生産者がいなくなってしまえば生産基盤が壊れますから、供給量が減って、供給量が減れば当然値段も上がる、結果として、消費者の方々が御苦労するということでありますから、そのバランスを取ることが大事だろうというふうに思っております。

神津分科員 ちょっと話がかみ合っていないというふうに感じるんですが、じゃ、大臣にお伺いしますが、江藤大臣の在任中に食料自給率の目標は達成するということを約束できますでしょうか。

江藤国務大臣 なるべくかみ合うように答弁しているつもりなんですが、かみ合わないということであれば、ちょっとよく考えます。

 在任中ということでありますと、私がいつまでいるかはちょっと分からないということでありますが、しかし、これから、申し上げましたように、基本法を直して、基本計画の下で、当然、食料自給率の目標数値は設定します。その設定数値の達成に向かって全力を挙げることは当然のことです。そのために、今、地域計画をしっかり見直しております。地域計画を見直すことによって、将来の農地の地図がどうなるのか、誰が担い手となるのか、担い手になる方が決まれば、分散錯圃している農地を集約化して、一つの面積当たりの、圃場の面積を上げることによって労働生産性を上げて、収益性を上げて、同じ面積であっても食料自給率を上げていくことができる。

 なかなか短くするのは難しいんですよ。

 というようなことを考えております。

神津分科員 基本計画の中で食料自給率の目標を定めていくということなんですが、期限というものはその中にちゃんと定めていくんでしょうか。いつまでに食料自給率を達成するというものがあるか、教えてください。

江藤国務大臣 これは、基本法という、基本計画は五年ごとに見直すということになっておりますから、今、令和七年、ということであれば令和十二年の目標ということになるということであります。

神津分科員 明確な、簡潔な答弁をありがとうございました。

 次に、ちょっとお伺いしたいのが、食料自給率の三八%なんですが、ほとんどの農産物は、輸入した種子、飼料から生産しているというふうに指摘されているところでもございます。

 東京大学の大学院の鈴木宣弘教授によると、輸入している資材を使わずに農産物を生産すると、日本の実質的な食料自給率というのは九・二%ぐらいだというふうに試算されていらっしゃいます。自給率というのは、本来であれば、私は純国産でどれだけの農産物を作ることができるのかを指し示すような指標であるべきだというふうに思うんですが、純国産で生産した場合、どれくらいの食料自給率があるか計算して、毎年公表していくべきだと思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。

江藤国務大臣 純国産という資材の定義がなかなかまず難しいということがあります。それから、何千種類もあります、農薬とか肥料とか。それを、機械の例えば部品の構成まで全部やるということは、まさに現実的ではない。

 鈴木先生は、私もTPPのときに大変お世話になった先生で、尊敬すべき先生ではありますが、ちょっと見させていただきましたけれども、米については、種子は一〇〇%この国は自給をいたしております。ただ、先生の試算によりますと、米の種子の自給率も一〇%で計算をされておりますので、そういうところは、若干前提が私とはかみ合わないなというふうに思います。

 ですから、純国産の定義が難しいということと、この数字を出すことが果たして今後の農業政策の構築の上でどれだけ役に立つのかということは、若干クエスチョンマークかなというふうに私は思います。

神津分科員 私は、安全保障ということを考えた上では、やはり輸入が止まってしまったときに、じゃ、どれぐらいの食料が日本の国内で生産できるのかということを考える上においては、やはりこの純国産の食料自給率というのを求めていくべきだというふうに思っています。

 そうすると、今のちょっと質問に関連してのところなんですけれども、大臣のお考えの中では、全て輸入資材で作った農産物と国産の資材で作った農産物が同じ食料自給率ということはおかしいと思わないか、聞かせてください。

江藤国務大臣 それは、例えば畜産でいえば、トウモロコシをほぼほぼ外国に頼っているわけでありまして、それを算入すると自給率がどれぐらいになるかということは、それは算定をいたしております。

 ですから、できる限り、飼料についても、肥料についても、生産資材についても、海外に頼らない方がいい、それは委員のおっしゃるとおりですよ。それは、これから国際情勢でどんなことが起こるか分かりません。シーレーンが閉鎖されるようなことがあるかもしれません。あってはなりませんから、したたかな外交をしなければなりませんが、そういうリスクはないということは言い切れないということでありますから、国産に重点を置くことは大事です。

 肥料についてもそうです。ですから、下水から出てくるリンなんかも再利用することも今一生懸命やっておりますし、そして、法律も改正して、いわゆる畜産から出る堆肥と化学肥料を混ぜてもいいというような法改正もしながら、国産の、なるべく海外に頼らない農業体系をつくっていくことは肝要だろうというふうに思っています。

神津分科員 今質問に答えていないんですが、もう一回お願いします。

 全て輸入資材で作った農産物と国産資材で作った農産物、同じ食料自給率というのはおかしいと思わないか、教えてください。

江藤国務大臣 いや、おかしいかおかしくないかという話は、前に答弁したじゃないですか、計算するのが難しいと。

 じゃ、純というものが本当に日本に存在するのかということですよ。例えば、ハウスで作った、例えば堆肥を作った、堆肥しか使っていない、でも、堆肥は牛が出した排せつ物からできている、その排せつ物は外国から買ってきたトウモロコシを食べた排せつ物である、そういうことまで細かく計算するのは果たしてどれほどの意味があるかということですよ。そして、その価値が、そういうものが実際に存在するという前提において、比較対象があるならまだ議論の俎上にものせられますが、今の日本の資材や生産物を海外から入れなければならないこの現実を見据えると、なかなか現実的な議論ではないというふうに私は思いますよ。

神津分科員 私が思うのは、やはり、輸入資材で作った農産物と国産資材で作った農産物が同じ食料自給率というのはおかしいと。生産された農産物だけを見て国産か外国産かを見るのではなくて、ちゃんと作るものの資材もカウントした上での食料自給率というのをやはり求めていくべきじゃないかというので、是非検討をお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移ってまいりたいと思います。

 今、農業従事者の人口減少、非常に速いスピードで起きている。この二十年間で二百四十万人が百二十万人、そして、次の二十年間で百二十万人が三十万人まで激減していくことが予測されているというところで、やはり農業従事者の確保というのが、今の、これから食料自給率、食料の安全保障を考えていく上では非常に重要なところだというふうに思っております。

 農水省の考えの中でちょっとお伺いしたいんですが、食料自給率が低迷する最大の要因である農業従事者の人口減少は一体何が原因だと捉えているのか、それから、これ以上減らさないためにどうしていくのか、お聞かせください。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農業従事者の減少の理由でございますけれども、農業者の年齢構成が高齢層に偏っておりまして、リタイアが加速化している。一方で、生産年齢人口の減少に伴い、新規就農が減少していることが主な理由と考えております。

 特に稲作でございますけれども、機械化により、少ない労働時間で生産できる体系が確立し、高齢農業者が多く従事されておりますけれども、こうした方々がリタイアする局面にある、その減少者の七割が米の生産が占めるという実態になっております。

 対策としては、農地を効率的かつ適切に利用するということが重要だと考えておりますので、農業者の減少、これはある程度進むということは避けられないと考えておりますけれども、その中で、新規の就農を促進するとともに、離農する方の農地を引き受ける規模拡大を組み合わせていくことが大事だと思います。

 そのため、企業を含めた外部の者の農業参入、新規就農対策の拡充、また、地域計画に基づき農地の受け手となる担い手の方々に対し様々な支援を行っていく、こういう対策を講じているところでございます。

神津分科員 今のところなんですけれども、新規就農を増やしていくためにどのような対策を打っているのか教えてください。

杉中政府参考人 新規就農対策といたしましては、特に四十九歳以下を中心として若い方々に入っていただくために、年間百五十万円の交付金を払うという対策を行っておりますし、あと、参入の機会となる機械設備の導入支援を行っています。

 六年度補正からは、その対象を親元就農にも拡充する形で、機械の修繕、整備であるとか、あと、親と同じ品目を作っても補助の対象になるというような拡充を行っておりまして、対象を限定することなく、様々な人に新規就農として入っていただくというような対策を講じているところでございます。

神津分科員 新規就農を増やしていくためには、やはり、私が思うには、新たな対策も必要だと思うんですけれども、今農業に従事していらっしゃる方々の所得を引き上げていく、安定させていくということが非常に重要ではないかというふうに思っています。

 この意味においては、私は、今やっていらっしゃる価格転嫁、これから価格転嫁の法律が出てくると思いますけれども、価格転嫁それから収入保険、これに併せて直接支払いの制度というのをやはりやっていくべきではないかと。

 直接支払いについては、特に、やはり欧米においてはやっていらっしゃっているというところにおいて、輸出をするときにも、もう既に直接支払いをしていることによって、結果的に全体の食料品の輸出の際にも競争力のある価格で輸出ができるというところにおいては、私は直接支払いの制度についてはもう少し拡充していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 日本型直接支払いとか、様々直払いを行っております。

 農業所得に占める直払いの割合、これは数字で出ておりますが、日本は大体六一%ぐらいを占めております。アメリカでは三五%ですから、決して日本の直払いの金額ベースが低いということはないということをまず申し上げておきたいと思います。

 それと、ヨーロッパ並みの話をした方がいいですかね、ちょっと長くなりますが。やめましょうか。じゃ、やめます。

神津分科員 分かりました。ありがとうございます。

 直接支払いの制度なんですけれども、やはり私はもう少し拡充していくべきときにあるというふうに思っています。

 今、これまで、農業者の方々、急激なやはり減少が起きていて、息子さんにやはり継がせたくないというような方々が非常に増えていると。農林中金のアンケートですと、子供に継がせたいと思っていらっしゃる方が二割。それから、農業の経営をしていらっしゃる方で後継者を確保していないという方々は七割という中においては、何かしらの収入の安定をできるような制度設計というのをやっていく必要があると思いますので、是非この直接支払いの制度を充実させていくことをお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと少しだけ更問いの一に戻るんですけれども、農業者の確保目標なんですけれども、食料・農業・農村計画にきちっと数字として定めていくのか教えてください。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 将来にわたりまして食料の安定供給を図るためには、若い方々を中心に、農業に従事する方々、就農する方々を確保し、農地、技術を最大限活用して食料自給力を確保することが重要だと考えております。

 現在、基本計画における目標につきましては、食料・農業・農村政策審議会企画部会でまさに企画、議論をしていただいているところでありまして、引き続き、関係の皆様方からの御意見をしっかり伺いながら、取りまとめに向けた整理をしてまいりたいと考えております。

神津分科員 大臣、先ほど、食料自給率については入れていくということを明確に答弁されていたと思うんですが、農業者確保目標というのも入れていくのか、明確に御答弁をお願いします。

江藤国務大臣 今、役所の方から答弁をさせていただいたところでありますけれども、この三月いっぱいをめどにこれを完成させようということでありますから、この百十六万人から三十万人に減っていくトレンド、これが私は正しいとは全く思っておりません。これは一つの推計であって、これを是とする立場には全く立っておりません。

 ですから、この五年間においてどのような数字が適当かどうか、目標を定めることが適当かどうか、それも含めて今省内で検討しておりますので、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。

神津分科員 私が思うに、何の目標も定めなければ達成度も分からないというところにおいては、やはりちゃんと定めていくべきだ。それから、予算を獲得していくに当たっても、先ほど方針変更があればという話があったと思うんですけれども、やはり方針を変更することによってそこに予算をつけていく理由というものができてくると思いますので、しっかりと目標人数というのは定めていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思いますが、もう一つ、更問い三がありましたね。価格転嫁の法律の方向性というのは、私は歓迎すべきことだというふうに思っています。

 そこで、価格転嫁を定めるときには、この水準、幾らぐらいにすべきかというところが難しいところだと思うんですが、価格転嫁時の専業農家の方々の年収の想定額というのはどれくらいを考えていらっしゃるのか、教えてください。

笹川副大臣 今回の法案につきましては、委員も御承知のとおり、農業も含めて様々、生産費、いわゆる生産コストの上昇と言われるものがありますので、影響を受けておりますので、それを正しく価格に転嫁をしていくということが大事なことであります。

 現在検討中の法案については、最終的な取引条件は当事者間で決定をする基本は維持した上で、生産、製造、流通、販売の各事業者間の取引において、費用等を示して協議の申出があった場合、誠実に協議に応じる努力義務を規定し、そして、それに応じて指導、勧告等の措置を講ずるという方向で今検討しておりますので、農家の年間収入を前提としているわけではありません。それで補足、補填をする考え方を取っていないため、御指摘のような専業農家の年収想定額等は想定はしていないが、必要な労務費も費用に含めて協議をしっかりと行ってもらいたいということであります。

神津分科員 ありがとうございます。

 昨日のレクでは労務費は入らないという話だったので、非常によい答弁、ありがとうございました。

 ほかのところでも、例えば、去年の国会の中では、物流の二〇二四問題があったときには標準運賃を定めていたんですが、標準運賃を定めるときには、やはり、労務単価が時給換算で幾らぐらいになるかというところを年収の想定から計算した上で、そこに足して標準運賃というのを出していました。というところで、やはり労務費を是非とも含めていただければというふうに思います。

 次に、三番の質問に移ってまいりますが、農水省の資料によると、政府備蓄米は、適正備蓄水準を百万程度として運用して、十年に一度の不作や通常程度の不作が二年連続発生した場合でも国産米をもって対処し得る水準としていらっしゃいます。

 近年の気候変動においては百年に一度というのは当たり前に起きているようなことで伺いたいんですが、百年に一度あるいは不作が三年以上連続した場合には、今の備蓄の量では対応できないと考えていらっしゃるか、教えてください。

江藤国務大臣 これは、備蓄について、棚上げ備蓄になってもう随分たつわけでありますが、東日本大震災のときと熊本の震災のときに少量出しただけであります。今回二十一万トン出しますけれども、これは商流が停滞しているということに対して出すわけでありますが、これが百年に一度の大災害が起きたときに対応できるかと言われると、なかなか答えづらいです。

 この数量は、国民の一・八か月分ですから、しかし、これを保管するに当たって年間五百億、お金がかかっています、これを持つことによって。財政規律上、じゃ、これを一年分持つということになると、この五倍になるわけですから、二千五百億、国に財政負担をかけながら一年分がっちり保管するのかということになると、これはまたこれで、果たしてそれが適切なのかという話にもなります。

 米の保管期間という問題もあります。五年の棚上げであれば湿気管理もできますが、それを長くする、量を増やすという話もあるかもしれませんけれども、百年に一度に対応できる量なのかと言われれば、将来を見通すのは難しいですよ。富士山が噴火するかもしれませんし、南海トラフ、そしてまた関東直下型も同時に起こるかもしれないこの時代においては分かりませんが、今の情勢の下においては百万トンをめどとするのが適切であろうというふうに考えております。

神津分科員 この百万トンを定めたときというのは、恐らく、私は、買占めということを余り想定していなかったのではないかと。それから、今回新しく、流通に不測の事態が起きたときには備蓄米で対応していくということを追加されていらっしゃるので、せめてもう少しやはり備蓄の量を増やしていくべきだというふうに思っております。

 ちょっと質疑時間が既に来てしまいましたので、この辺りで終わらせていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

小林主査 これにて神津たけし君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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