第1号 令和7年2月27日(木曜日)
本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
田中 和徳君 谷 公一君
神谷 裕君 階 猛君
長友 慎治君 河西 宏一君
櫛渕 万里君
二月二十六日
河西宏一君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和七年二月二十七日(木曜日)
午後一時開議
出席分科員
主査 河西 宏一君
加藤 竜祥君 田中 和徳君
谷 公一君 山本 大地君
青山 大人君 尾辻かな子君
神谷 裕君 小山 千帆君
階 猛君 鈴木 岳幸君
竹内 千春君 菊池大二郎君
長友 慎治君 櫛渕 万里君
兼務 尾崎 正直君 兼務 草間 剛君
兼務 栗原 渉君 兼務 小池 正昭君
兼務 角田 秀穂君 兼務 田村 智子君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
国土交通副大臣 古川 康君
国土交通副大臣 高橋 克法君
国土交通大臣政務官 吉井 章君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
会計検査院事務総局第三局長 中川 浩君
政府参考人
(内閣官房行政改革推進本部事務局次長) 柴田 智樹君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 松家 新治君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 安楽岡 武君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(消費者庁審議官) 尾原 知明君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 清田 浩史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 池光 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 塩見 英之君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 平田 研君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 内田 欽也君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 稲田 雅裕君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
参考人
(成田国際空港株式会社代表取締役社長) 田村明比古君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 若山 慎司君
神谷 裕君 尾辻かな子君
階 猛君 鈴木 岳幸君
長友 慎治君 平岩 征樹君
櫛渕 万里君 山川 仁君
同日
辞任 補欠選任
若山 慎司君 塩崎 彰久君
尾辻かな子君 竹内 千春君
鈴木 岳幸君 階 猛君
平岩 征樹君 菊池大二郎君
山川 仁君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 山本 大地君
竹内 千春君 小山 千帆君
菊池大二郎君 仙田 晃宏君
高井 崇志君 八幡 愛君
同日
辞任 補欠選任
山本 大地君 大西 洋平君
小山 千帆君 青山 大人君
仙田 晃宏君 長友 慎治君
八幡 愛君 佐原 若子君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 塩崎 彰久君
青山 大人君 神谷 裕君
佐原 若子君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 加藤 竜祥君
高井 崇志君 櫛渕 万里君
同日
辞任 補欠選任
加藤 竜祥君 若山 慎司君
同日
辞任 補欠選任
若山 慎司君 大西 洋平君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 小森 卓郎君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 三反園 訓君
同日
辞任 補欠選任
三反園 訓君 加藤 竜祥君
同日
辞任 補欠選任
加藤 竜祥君 田中 和徳君
同日
第一分科員草間剛君、第二分科員尾崎正直君、第四分科員田村智子君、第五分科員小池正昭君、第六分科員角田秀穂君及び第七分科員栗原渉君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(国土交通省所管)
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○河西主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。
本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。中野国土交通大臣。
○中野国務大臣 国土交通関係の令和七年度予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
一般会計予算の国費総額は、五兆九千五百二十八億円です。うち、公共事業関係費は五兆二千七百五十三億円、非公共事業費は六千七百七十五億円です。
このほか、復興庁の東日本大震災復興特別会計に六百十四億円、財政投融資計画に一兆三千二百九十二億円を計上しております。
次に、令和七年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。
我が国は、長年続いてきたデフレから完全に脱却するチャンスを迎えており、物価上昇が賃金上昇を上回る現状の日本経済を賃上げと投資が牽引する成長型の新たなステージへ移行させ、豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現していく必要があります。
このためには、能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧復興に全力を尽くすとともに、それらを踏まえた災害対応力の強化、防災・減災、国土強靱化の着実な推進、インフラ老朽化対策の加速化、交通の安全、安心の確保、海上保安能力の強化等により、国民の生命、財産、暮らしを守り抜くことが必要です。
また、持続的な経済成長に向けて、成長分野への投資を持続的に拡大し、観光立国に向けた取組の推進、賃上げにつながる人への投資、生産性の向上に寄与する戦略的な社会資本整備、DX、GXの推進に加え、地方創生二・〇に資する地域活性化の推進、交通空白の解消等に向けた地域交通のリデザインの全面展開等に取り組んでまいります。
これらの施策を実現するため、令和七年度予算では、国民の安全、安心の確保、持続的な経済成長の実現及び地方創生二・〇に資する個性を生かした地域づくりと分散型国づくりを三本柱として、令和六年度補正予算と併せて、切れ目なく取組を進めてまいります。
この際、公共事業を的確に推進するため、近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しながら、労務費も含め適切に価格転嫁が進むよう促した上で、必要な事業量を確保するとともに、第三次・担い手三法等も踏まえ、建設産業における賃上げ等の処遇改善や働き方改革を進めてまいります。
以上、国土交通省関係の令和七年度予算について御説明申し上げました。
時間の関係もございますので、詳細な説明は省略いたしますが、主査におかれましては、お手元の印刷物の内容を会議録に掲載していただきますようお願い申し上げます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○河西主査 この際、お諮りいたします。
ただいま中野国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河西主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○河西主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○河西主査 この際、分科員各位に申し上げます。
質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。栗原渉君。
○栗原分科員 こんにちは。自由民主党の栗原渉でございます。
本日は、中野大臣、古川副大臣、そして国定政務官始め御当局の皆様には、どうぞよろしくお願いいたします。
また、冒頭、常日頃から、本当に我が国の安全、安心のために社会インフラの整備等を始めとして御尽力をいただいておりますこと、心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。ありがとうございます。
今日は、国土の強靱化というのは、またそれを加速化させようということで、様々に事業展開をいただいております。様々に課題がある中、進めていただいております。
もう一年を過ぎていますが、去年の能登地域の地震、もう大変な状況でありまして、このことにも復旧に当たっていただいておりますこと、これは、地震や災害は、その当該地区だけではなくて、全国民、無関係な人はいないんだと私は思っています。一日も早い復旧復興が成し遂げられることを切に願うばかりであります。
また、そのような状況が続いている私たちの日本の各地域の中にあって、本日は、道路の整備、ここに重点を絞らせていただいて質問をさせていただきたいというふうに考えております。
道路の位置づけというのはそれぞれ決まっておるといいますか、それに合わせて整備してきています。高速道路を始めとした高規格幹線道路、あるいは、主要地方道路と言われている広い、一定のエリアをカバーしている道路、市町村道、また一般国道もございますし、その中には役割がそれぞれありますが、激甚化する災害やあるいは頻発化する災害の今のありようを見てみると、一日も早くその強靱化といいますか、未整備のところは整備しなければなりませんし、あるいは機能を強化しなければいけないところは強化をしなければなりません。もちろん、道路について申し上げれば、経済活動にとっても非常に極めて大事ですし、日々の生活もそうであります。
とりわけ、今、石破総理が先頭になって地方創生という取組を推し進めておられるところであります。なおさら、地方においての道路の整備というのは、今その重要性は更に増しているものというふうに考えているところであります。
そこで、まず、ちょっと非常に細かい話になりますけれども、私は福岡県第五区を選挙区としております。この福岡県第五区というのは、全国で、選挙区では一番実は人口が多いところでございまして、福岡市の一部から、筑紫地域と言われる、いわゆる福岡市に隣接するベッドタウンも含めた住宅地が広がっている地域、そして、朝倉地域と言われているいわゆる郡部ですね、農業を中心とした郡部。そして、このエリアというのは、今日、古川副大臣がいらっしゃいますが、私の選挙区は佐賀とも接しておりますし、そして、東に行けば大分県とも接している、そういった地域であります。
その中で、まず、住宅地域内を走っております国道三号線というのがあります。これは長年にわたって実は渋滞が発生している箇所がありまして、その地区が、筑紫野市というところから太宰府市という、ちょうど境ぐらいの位置、これがまた、高架になっているところがその前後にあるんですが、そこは平面でいっているものですから渋滞する。地域の中からはその交差点改良の要望などというのは出てはいるんですが、これは実は長年の課題です。
ですので、このことについて、先ほど冒頭申し上げた、今の強靱化を含めた観点等々も含めて、これは何としてでもこの渋滞解消をしていかねばならない。とりわけ、これは国が所管いたします国道、直轄国道の一つになりますので、この点について、これまでのことはいろいろ申し上げませんが、これから国としてどのように考えて、どのような取組をしていかれるお考えかをまずお聞きします。
○山本政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の福岡県筑紫野市から太宰府市間の国道三号線、国で管理をしておる国道でございます。複数の交差点において渋滞が発生をしておりまして、この渋滞の緩和は重要な課題というふうに認識をしております。
特に高雄交差点、これは、国道三号線と、福岡県が管理をいたします県道であります筑紫野筑穂線、並びに太宰府市が管理をいたします高雄中央通り線、これが交差をする五差路という、変形した交差点になっております。平日、休日共に、終日、速度の低下が発生をしておるということでございます。
福岡県内の渋滞対策につきましては、国土交通省、自治体並びに警察などで構成をされます福岡県交通渋滞対策協議会におきまして検討を実施をしておるところでございます。当該交差点においても主要渋滞箇所ということで位置づけがなされておりまして、国土交通省におきまして要因分析を実施をしているところでございます。
渋滞対策の実施には地域の御協力が不可欠だというふうに思っておりますが、国道三号線の渋滞緩和に向けまして、引き続き、関係機関と連携をして、しっかり対策の検討をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○栗原分科員 山本局長、ありがとうございました。
これは直轄国道でありますけれども、ここは地元の福岡県の役割というのも大変大きなものがありますので、私も、福岡県ともよくよく調整を進めて、一日も早く事業が前に進むように努力していきたいと思いますので、引き続き御指導をよろしくお願いしたいと思っております。
そして、道路の強靱化を進めるというときに、道路の強靱化というのは、地域の対応能力といいますか、災害を始めとしたそういった不測の事態に耐え得る力をつくっていくということになりますけれども、今、ダブルネットワークの形成、これを国としても進めておられます。
しかし、ネットワークの整備をする予算について、もちろん、老朽化している道路もありますし、交通安全対策をしなきゃいけない道路もある。戦後今八十年でありますので、その後、大きな橋を架けてきて、その老朽化もあるということで、そういったこともしっかりやっていかなければなりませんけれども、やはり、新しく新設、建設するという仕事も同時にしていく中で、ダブルネットワークというのが進んでいくんだろうというふうに私は思っています。
そこで、国土交通省の道路の関係の予算でありますが、令和七年度の予算についていかなる状況になっているか、いま一度御説明をいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
自然災害が激甚化、頻発化する中で、安全、安心な道路交通の確保に向けまして、委員御指摘のダブルネットワークの形成など、災害に強い国土幹線道路ネットワークの構築は極めて重要だというふうに思ってございます。
一方で、道路インフラの老朽化も喫緊の課題でございまして、メンテナンス関係の予算は年々増加をしております。
このため、近年では、当初予算におきまして、全体予算額が横ばいの中、道路ネットワーク整備に充てられる予算は減少しておるというのが近年の傾向でございます。
具体的に、七年度の当初予算案で申し上げますと、直轄道路事業、国が実施する事業でございますけれども、この予算の内訳といたしまして、老朽化対策に充てられる維持管理費は、四千六百三十四億円で対前年度比一・〇三倍、ですので三%増加をしている一方で、道路ネットワーク整備に充てられる改築費等は、一兆二百十七億円で前年度比〇・九九倍ということで、一%減少しておるという状況でございます。
○栗原分科員 ありがとうございました。
御説明のように、老朽化対策、いわゆる維持費ですね、維持対策としては何とか三%増えてはいるけれども、改築、建設の方についてはなかなか厳しい状況にあるということであります。
先ほど申し上げたように、やはり、ダブルネットワーク、災害に強い国土をつくっていくためにも、これは本当にどんどん進めていかなければならないというふうに思っています。
現在、防災・減災に取り組むために、国土強靱化、そして今、加速化ということでずっと取組を進めてきていただいております。今二期目に入っておると思いますが、今の強靱化、加速化の方の取組について、現在の状況についてお伺いします。
○山本政府参考人 お答えを申し上げます。
防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策の予算の中での、道路の防災・減災あるいは強靱化の対策の取組の状況でございます。
先ほど委員御指摘のありましたように、高規格道路のミッシングリンク、ダブルネットワーク化ということでございます。国道と並行する高規格道路を、ミッシングリンクを解消してダブルネットワークをつくっていく、こうした対策を、今取組をしております。
五か年加速化対策が始まった令和三年度から五年度末までで、これまでで四十六区間において全線又は一部区間が開通をして、こうした区間ではいわゆるダブルネットワークが形成をされてきたということでございます。
また、局所的な、例えば、川を渡るところの橋梁でありますとか、あるいは河川に隣接をする道路構造物、非常に、最近、雨が強くなってきて、流量も大きくなってきて、こういった被害が、こうした川の周りの道路の構造物が被害を受けるということも起こっておりますので、こうした構造物に対する流失防止対策、こうしたものも取り組んでおります。百四十二か所で対策を、この五か年の加速化計画の中でこれまでも実施をしてきてございます。
引き続き、国民の暮らし、経済を守る道路ネットワーク全体の強靱化に取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
○栗原分科員 ありがとうございました。
それでは、ダブルネットワークについてもう少しちょっとお伺いをしてまいりたいと思います。
私、先ほど説明しましたように、私の地元は非常に広いところでありますが、郡部であります朝倉地域、私が県議会議員をしているときの地元、選挙区でありましたが、ここで、九州北部豪雨という非常に、激甚災害が平成の二十九年に起こりました。このときにも大変国のお力をいただいたわけでありますし、今日、先ほどから御答弁いただいております政府参考人の山本道路局長には、福岡県の県土整備部長として大変なる力を実はいただいてきました。本当に福岡県民挙げて局長には感謝しておりまして、成り代わってお礼を申し上げたいぐらいであります。
実は、本当に局所的な災害でした。朝倉市というものがあるんですが、それの東半分、それからその隣の東峰村という、本当に狭いエリアでどんといって、時間雨量でももう百二十ミリを優に超える地区が何か所もあったということで、その大きさゆえに、赤谷川という県営河川がありますが、この水系、三河川あります。権限代行、全国で初めて取り入れていただいて、していただきました。五年ちょっとかかって終わったところでしたけれども、終わった式典には古川副大臣にも御出席をいただきまして、ありがとうございました。
そのように、大変非常な災害でありましたが、あのとき何が必要かと感じたのは、災害のたびに私がずっと感じ続けているのは、やはり食料と水とエネルギーの安定供給を常にしていかなきゃならない。それをしなきゃいけないんですが、災害になるとそれが止まります。その止まる原因の大きな一つは、今の能登地域の地震でも同じだと思いますが、やはり道路が寸断することであります。
九州北部豪雨の当該地域でいえば、先ほどお伺いした国道三号線の方からずっと大分県日田市の方に向かっている国道三百八十六号線というのがございます。これが災害によって被災して止まりました。大変な状況になりまして、例えば東峰村に行くのにも林道をぐっと回って行かなければいけなかった。
災害当時、当日は夕方から集中的に雨が降ったわけでありますけれども、その日は私も行けませんでした。次の日、ようやく行けたのが、ぐるぐる回って行ったのがお昼過ぎ。そして、そのときにどうしていたか。ある東峰村の集落では、みんな集会所に集まっていました。それは、ただ避難しているんだろうと思ったんですけれども、何をしているか。みんな物を持ち寄って、どうやってそれを分配してあと一週間ぐらいしのごうかと。そんな状況が実はあるんです。
ですから、地震のときもそうだと思いますし、いろいろな災害でも起こり得る。ここは、やはり、生命線である物資の供給が途絶えてしまうということですので、申し上げておりますように、道路の大切さというのは極めて大きなものがあります。
そういった面で考えますと、先ほど申し上げた三百八十六号線というのは、実は一本道でずっと大分県日田市の方に向かっていきます。そして、大分の日田市に入ると夜明地区というところがございまして、そこが非常に実はボトルネックといいますか、険しい地形の中を走っている。その南側、すぐ道路の横は、筑後川の上流域ですけれども、筑後川というのがありまして、その対岸から来る国道とそこがまた接道していって日田にまた向かっていくというようなところでありまして、ここをどうにか改良したいと私も前から思っているんですが、どうしてもここは、岩がせり出してきていまして、岩山、だからどうにもならないし、反対側は川だ。
そう考えるときに、先ほどもお話ししておりますが、ダブルネットワーク、三百八十六号線、もう一本バイパスを日田市に向かって引いていく。そして、先ほど渋滞で困っているんだという話をしましたけれども、三号線に向かってずっと延ばしていく。このバイパスの建設について、私は極めて重要であるというふうに今考えています。
そして、これは私だけではなくて、今、地元の地域の皆さんもこのことについて非常に真剣に考えておりまして、商工会議所や商工会を始めとした地域の皆様方で朝倉地域道路整備促進協議会というのを立ち上げられまして、こちらからも要望を受けたところであります。
三百八十六号線、ダブルネットワークとして極めて私は重要な箇所だと思っておりますが、このバイパスの整備につきまして、今後、今の現状も踏まえてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の国道三百八十六号線でございますが、福岡県筑紫野市から大分県日田市を結びます道路でございます。地域の交流、連携の強化はもとより、緊急輸送道路にも指定をされた重要な幹線道路でございまして、福岡県と大分県で管理がなされておるということでございます。
このうち、福岡県内については、委員のお話がありました平成二十九年の九州北部豪雨、この際にも、上原交差点から県境までの約二十キロメートルが、冠水又は土砂、流木の堆積などのため、最大九日間通行止めとなりました。人流、物流に大きな影響があったというところでございます。
この国道三百八十六号線については、特にこの福岡県内については、管理をしております福岡県からも、激甚化、頻発化する豪雨災害に対する現道の課題、あるいは広域的な道路ネットワークの在り方を踏まえて、非常時においても道路ネットワークとして機能を確保する必要があるというふうに伺っております。
こうした福岡県の意向も踏まえつつ、国土交通省といたしましても、福岡県に対しましてしっかりと適切に支援をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○栗原分科員 今局長の方からお話がありましたように、国道三百八十六号線は、いわゆる補助国でありますから、事業実施主体は県になります。ですので、そこの予算措置も含めて、また地元調整も含めて県がしっかりまたやっていかなければなりませんが、どうか引き続き御尽力いただきたいと思います。
それで、最後に一点お伺いいたしたいと思います。
先ほど中野大臣の方のお話の中にもありましたように、今建設費が高騰しています。これは、労務単価もそうですし、資材もそうです。今進めておられます国土強靱の加速化もそうです。頑張っていただいているところであります。
そういった中で、今年六月に新たにまた次の事業中期計画を決めるという段階に入っておりますが、自由民主党の様々な会議の中でこれは大変熱心に議論をされているところでありますが、これまでのことと同じ事業をやろうとしても、そういったコストが上がっていますから量的には進まない。ですので、実は、これを大幅に、私は予算を確保していかなきゃいかぬというふうに思っています。
そして、この予算は、枠取りは大事でありますけれども、この枠取りだけではなくて、本来はそれぞれの事業の積み上げが肝だと私は思っています。今日も様々にお伺いしたこの道路、この道路の強靱化、あるいは地域の安全、安心をつくるため、そして、事災害があったときに人の命をつなぐ道、この整備をいかにやっていくか、これは次の中期計画の中でもしっかり織り込んでいかなければならないことだと思っています。
そこで、最後に、道路の事業そして強靱化の次期計画に向けた道路予算をどのように確保していくか、その決意も含めてお答えをいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、国土の強靱化、そのためにダブルネットワークの形成でありますとか、あるいは老朽化の対策、こういったものを引き続きしっかり進めていくこと、これは極めて重要なことだというふうに思っております。
リダンダンシーの確保のためのダブルネットワークの形成、これは災害に強い国土の幹線道路ネットワークの構築につながっていくということでありますし、既存の道路施設の老朽化対策、これも喫緊の課題であります。対策を早期に進めていく必要があるというふうに思ってございます。
先ほど御答弁させていただきましたが、現在、五か年加速化計画の予算も活用させていただいて、そうした取組を加速化をさせていただいているところでございますけれども、委員御指摘のとおり、また、五か年加速化対策後も必要な事業を着実に進めていくことができるように、物価高、そういった中にあっても必要な事業はしっかりと進めていくことができるように、国土強靱化実施中期計画、これは本年の六月をめどに策定をされていくということになってございますので、関係省庁とも連携をいたしまして、私どもとしても、しっかり検討を進めまして、必要な道路予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○栗原分科員 ありがとうございました。
今私どもが取り組んでいるインフラは将来に残す財産でありまして、今ある私たちの大きな役目であると思います。どうか、国土交通省の皆様には、絶大なるお力を賜る中で、進めていただきますことを心からお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○河西主査 これにて栗原渉君の質疑は終了いたしました。
次に、尾辻かな子さん。
○尾辻分科員 立憲民主党の尾辻かな子です。
三年五か月ぶりの国会での質問となります。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、分科会ということで、質問に入っていきたいと思います。
今日は、成田国際空港株式会社所有土地の賃貸借契約のことについて、順次お聞きしてまいりたいと思います。
まず、成田国際空港株式会社、こちらの株主は誰になるのかということで、お願いをいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田国際空港株式会社の株主は国でありまして、国土交通大臣の管理する特別会計の空港整備勘定において全体のおよそ九二%を保有しております。残りを一般会計において保有している、こういう状況でございます。
○尾辻分科員 一〇〇%国が持っているということでよろしいですか。うなずいていただきました。
国の特殊会社ということですけれども、この成田国際空港株式会社については、国交大臣が監督、報告、検査をさせることができるということでよろしいでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田国際空港株式会社法第十五条に基づきまして、会社は、国土交通大臣がこの法律の定めるところに従い監督することとされております。
また、同法第十六条に基づき、国土交通大臣は、必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告させ、又は職員に、会社に立ち入り、検査させることができることとされています。
○尾辻分科員 それでは、成田国際空港株式会社の代表取締役についてお聞きをしたいと思います。
経歴を見ると、国交省のOBの方がされているということですけれども、それでよろしいでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田空港会社の代表取締役社長は、これまで様々な経歴の方々が務めてこられましたが、現在の代表取締役社長、田村社長は、元国土交通省職員です。
○尾辻分科員 田村代表取締役社長、経歴を見ると、二〇一八年十二月に国交省を退職されているということで、一つ会社を挟んで、二〇一九年六月から成田国際空港の代表取締役社長をされているということです。
そして、今日は、田村明比古成田国際空港株式会社代表取締役社長に出席をいただきました。御出席ありがとうございます。
順次お聞きしてまいりたいと思います。
新聞や雑誌記事にもなり、今日も配付資料でお配りをさせていただいておりますけれども、成田国際空港株式会社が所有する小菅地区の賃貸借契約についてお聞きをしたいと思います。
こちらで行われる事業については、朝日新聞の報道では、一千五百八十億円集めた開発に四年八か月の遅れが出ているというふうに報道されています。
まずは、賃貸面積や賃借先、期間、賃料などについてお伺いをいたします。
○田村参考人 お答えいたします。
当社が所有いたします成田市小菅地区の約十九万平米の土地につきまして、共生バンク株式会社との間で、二〇二〇年九月十日より二〇二五年三月三十一日までの期間、造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結いたしております。なお、土地賃貸料につきましては、年額約一千八百万円といたしております。
○尾辻分科員 この賃貸借契約ですけれども、日経不動産マーケット情報の記事によると、今約五年弱ですかね、こういうことですが、三年間で、一度契約の延長をしているというふうに報道されております。これは事実でしょうか。
○田村参考人 当初は、二〇二〇年九月十日より二〇二三年九月九日までの期間といたしておりましたけれども、二〇二三年九月に、その終期を二〇二五年三月三十一日までとする土地賃貸借変更契約を締結いたしております。
○尾辻分科員 この延長の理由を教えてください。
○田村参考人 賃借人が事業がもう少しかかるというので延長を希望いたしまして、賃借人が得ている開発許可等、法令許可が継続していること等を確認した上で、期間を変更いたしたものでございます。
○尾辻分科員 朝日新聞の報道によりますと、昨年の一月の段階で工事の進捗状況については二%であったというふうに報道されております。
この工事の進捗状況について把握されていますでしょうか。
○田村参考人 現状につきましては、今質問を投げかけて回答を待っているところでございます。
○尾辻分科員 ということは、遅れの理由については把握されていますか。
○田村参考人 それも含めまして質問をいたしているところでございます。
○尾辻分科員 それでは、ちょっと違う観点から質問していきたいと思います。
先ほど御指摘のあった賃借人のグループ会社ですけれども、成田国際空港株式会社との契約以前に不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けているというふうに思いますけれども、この事実関係を確認いたします。
○平田政府参考人 お答えいたします。
当該賃借人と現在資本関係のある不動産特定共同事業者二社においては、監督行政庁である東京都及び大阪府より、平成二十二年などに不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けたことがあるものと承知しております。
○尾辻分科員 これは報道もされて、私も新聞記事を持っております。どこの会社になりますでしょうか。
○平田政府参考人 お答えいたします。
賃借人と現在資本関係のある会社として、都市綜研インベストバンク株式会社及び都市綜研インベストファンド株式会社でございます。
○尾辻分科員 都市綜研インベストバンクが共生バンクの一〇〇%の子会社、都市綜研インベストファンドがインベストバンクの一〇〇%の子会社だと、私も公表されている資料から確認をしております。
では、この契約について、どのような経緯で賃貸借契約をすることになったのか、お聞きをしたいと思います。
○田村参考人 本件につきましては、当社に対します賃借人からの申出を受けまして、当該計画を他の土地所有者や周辺地区が受け入れたということ、それから、成田市としても活用されない騒音区域が有効利用されれば大きなメリットがあるとの考え方に基づき、同市が地区計画を決定したこと、さらに、賃借人が成田市より都市計画法、それから千葉県より農地法及び森林法に基づく許可を得たこと等を確認の上、必要な社内手続を経て、適正な対価で造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結したものでございます。
○尾辻分科員 この事業が不動産特定共同事業法に基づいて資金を集めるという事業だというのは、成田空港株式会社としては知っていたのでしょうか。
○田村参考人 承知しておりませんでした。
○尾辻分科員 今ちょっと重要な話ですけれども、ということは、資金計画を知らずに成田国際空港株式会社としてはこの造成計画について決定したということでしょうか。
○田村参考人 土地の貸付けにつきましては、千葉県及び成田市において、資力の信用や技術要件等各種法令に基づく審査の上、事業に必要な法令許可を賃借人に与えておりまして、その上で、当社としても、賃借人の事業に係る法令許可申請に使われました事業計画や資金計画等を確認の上、貸し付けたものでございます。
○尾辻分科員 お話を聞いていると、開発許可、都市計画で、成田市とか千葉県が、これは農転だと思うんですけれども、やったら、成田国際空港株式会社として、例えば、この事業がちゃんと成り立つのか、そして、計画の妥当性とか、資金をどういうふうにやるのか、こういったことは確認をされないんでしょうか。
○田村参考人 先ほども申し上げましたように、この賃借人の申出に対しまして、その地区が受入れをしたということ、それから、成田市においてもそういうメリットがあるということで地区計画を決定したということ、さらに、賃借人が都市計画法でございますとか農地法でございますとか森林法でございますとかそういった法律に基づく許可を得たということを確認した上で、そこでも資金計画なども確認をされているわけでありますけれども、そこに使われました資金計画なども私どもも確認をした上で、その契約を締結したものでございます。
○尾辻分科員 確認です。成田国際空港株式会社の取締役会でこれは決定されたということでよろしいですか。
○田村参考人 当社の経営会議で決定をいたしております。
○尾辻分科員 いろいろやったということなんですが、私、さっき驚いたのは、不動産特定共同事業法に基づいて資金を集める事業だというのは知っていなかった、知らずに許可をしたということはちょっと驚きでした。
実は、この事業について、東京都、大阪府ともに、不動産特定共同事業法の行政処分をめぐっての裁判において、不動産評価額が同じ地域の他の土地に比べて百倍であると、事業の健全性について指摘がされております。
先ほどの経営の決定のときに、こういった事業の健全性というのは考慮されているんでしょうか。
○田村参考人 賃料の決定というところでございますけれども、という御質問ではないですか。(尾辻分科員「まあ、ちょっと」と呼ぶ)済みません。
私どもが賃貸借契約を結ぶに当たりまして賃料を決定をいたしますけれども、それにつきましては、当該土地というのは傾斜林地でありますけれども、そこについて造成事業を目的とした賃貸借契約ということで、本来、何か建築物がその上に乗った場合の、そういう事業を目的とした賃貸借契約で通常想定される賃料、これに対して、当該造成事業の最中は利益を生んでいないということがあって、不動産鑑定士と相談をいたしまして、それにふさわしい適正な価格ということで決定をしているということでございます。
○尾辻分科員 済みません、ちょっと質問と答弁がすれ違っておりまして。
今、不動産特定共同事業法において、東京都と大阪府は行政処分をめぐって裁判をしております。その裁判の資料を見てみますと、いわゆる賃借人がどう言っているかというと、この不動産評価額、この事業について、建築をしたときだということだと思いますが、周りの今の評価額の百倍の値段になるんだよという評価をされているんですね。建築工事をしたときにということです。
今、造成工事の契約をされていると思うんですけれども、造成したら建築ということに通常進むわけですけれども、こういった全体の事業としての健全性の考慮はされていたのかという質問であります。
○田村参考人 まず、土地造成に関わる資金の健全性ということについて、市や県が確認をしたものと同じ書類で確認をして、賃貸借契約を結んだということでございます。
○尾辻分科員 ちょっと質問と答えが合っていないんですけれども。
では、ちょっと質問の仕方を変えますと、造成計画を許可しているということは、次は建築計画も許可するという前提になっていると思うんですが、その前提ではないということでしょうか。
○田村参考人 賃貸借契約、実際の建築物をその上に建築して運営をしていくという事業に関しての契約というのは、改めて、先方の申出に応じて契約を締結するかどうかをこちらが判断をするということでございます。
○尾辻分科員 その際の事業計画の妥当性や健全性というのはしっかりと見ていただきたいというふうに思います。
そして、今の賃貸借契約というのは、成田国際空港法のどのような目的に合致しているのか。いわゆる騒特法と呼ばれる特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法のどの趣旨に合致しているというふうに考えておられるのでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
騒特法は、適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的としているわけでございますけれども、その前提といたしまして、成田空港会社は、成田空港会社法第六条において、成田国際空港の周辺の地域の住民等の理解と協力を得ることがその事業の円滑な事業を図る上で不可欠であることに鑑み、その事業の実施に当たり常に成田国際空港の周辺における生活環境の改善に配慮することが求められているところでございます。
これを受けまして、成田空港会社では、過去の様々な経緯を踏まえまして、空港づくりは地域づくりという考え方に基づいて、地域との共生、共栄の理念の下、成田空港周辺の生活環境の改善に資するプロジェクトに協力する立場から、本件土地の貸付けを行ったものと承知しており、適正かつ合理的な土地利用を図るとの騒特法の趣旨にも合致するものと考えております。
○尾辻分科員 合致しているとのことです。
では、更にお聞きいたしますが、この小菅地区で行われている事業については、不動産特定共同事業法に基づいて、昨年、第一号事業者、第二号事業者とも行政処分がなされたというふうに報道されております。この事実関係を確認いたします。
○平田政府参考人 昨年六月に、当該賃借人と資本関係のある不動産特定共同事業者二社について、監督行政庁である東京都と大阪府により、それぞれ不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けたものと承知をしております。
○尾辻分科員 これは、両社とも、またこれも報道されている事実でありますので、どこの社とどこの社が処分を受けたのかということについてお願いいたします。
○平田政府参考人 二つの処分のうち、東京都からの処分については、みんなで大家さん販売株式会社に対して、大阪府からの処分につきましては、都市綜研インベストファンド株式会社に対してなされたものでございます。
○尾辻分科員 昨年、緒方林太郎衆議院議員が分科会等で質問をされた際に、騒特法の趣旨に合致しているかどうかというところを問うた後、参考人の答弁がこのような答弁でした。賃借人による関係法令への違反が明らかになった場合などには、契約上、賃貸借契約を解除し、損害賠償や原状回復の請求を行うことにしているという答弁がありました。
先ほど確認をいたしましたけれども、不動産特定共同事業法に基づいて行政処分がなされました。これで今契約が続行されている理由というのは、どこにあるんでしょうか。
○田村参考人 今御質問の行政処分というのは、賃借人ではなくて、賃借人のグループ会社に対して与えられたものでございます。千葉県及び成田市におきまして法令許可を賃借人に対して与えておりまして、当該行政処分がなされた後に、千葉県及び成田市に当該行政処分が法令許可の取消し事由に当たるかどうかというのを確認をいたしましたところ、その時点で取消し事由に当たらないとの回答を得たことから、契約の解除には至っていないものでございます。
なお、この点に関しましては、当社顧問弁護士にも確認をしているところでございます。
○尾辻分科員 つまり、賃借人自体でなければ大丈夫なんだ、グループ会社の法令違反であれば、これは契約を続行しても大丈夫だという、なかなかすごい答弁だなというふうに思いますけれども。
では、ほかの質問に行きたいと思います。
先ほどちょっとお聞きしましたが、この契約は、今年三月で造成契約が切れることになります。この契約の更新について、今、成田国際空港株式会社としてはどのように考えているんでしょうか。
○田村参考人 現在、その土地賃貸借契約の期限が近づいておりますことから、その期間変更に係る検討のために必要となる確認をいたしているところでございます。
○尾辻分科員 この小菅地区の事業については、先ほど、東京都、大阪府、裁判をしていますけれども、もし事業が失敗したときに、出資金の償還が困難になる、元本のほとんど全てを失うという大きな損失を被ることになるであろうことが合理的に推測されるという主張をされております。
このような東京都や大阪府が危惧を抱くような事業に、今、成田国際空港株式会社は土地を貸しているわけですけれども、それは、私は成田国際空港株式会社は大きな責任があるというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
○田村参考人 係争中の事案でございますため、裁判における御指摘につきましては発言を差し控えさせていただきますけれども、千葉県及び成田市におきまして、資力信用や技術的要件等各種法令に基づく審査の上、事業に必要な法令許可を賃借人に与えておりまして、それを受けて、当社としても、法令許可申請に使われた事業計画や資金計画を確認の上、貸し付けたものでございます。昨年の賃借人のグループ会社に対してなされた不動産特定共同事業に関する処分につきましては、賃貸借契約締結の際には予見できないものでございました。
このため、今般の土地の貸付けというのは、法令上、契約上の瑕疵はなかったものというふうに考えております。
ということで、それが私どもの考え方でございますが、なお、賃借人の事業に私どもが参画しているわけではございませんので、事業に関する責任を負うものではないというふうに考えております。
○尾辻分科員 今、こういった様々な、行政処分が出たりとか、係争中である。これは元々、成田国際空港の土地を貸したところからこういったことが出ているわけですけれども。
先にちょっと大臣に受け止めを聞かせていただきたいと思うんですが、大臣、今、私と参考人の皆さんとのやり取りを聞きまして、大臣は株主でございますので、これをどのように受け止めておられるのか、大臣の御所見をお聞かせください。
○中野国務大臣 尾辻委員にお答え申し上げます。
当時の経緯等ということでございますが、成田空港、委員も御承知のとおり、建設に当たりまして、過去の様々な歴史的な経緯というのがございます。これを踏まえまして、航空局長からも答弁ありましたとおり、空港づくりは地域づくりだという考え方に基づきまして、やはり地域との共生、共栄というのが非常に大事だ、こういうことでございますので、空港会社において、成田空港の周辺の生活環境の改善に資するプロジェクトに協力をするという立場から、本件土地の貸付けを行ったものであるというふうに承知をしております。
そして、先ほど、成田会社からも土地の貸付けについて様々説明はございましたけれども、本件土地の貸付けに際しましては、都市計画法に基づく開発許可などの必要となる許認可を取得をしていることなどが確認をされている、必要な社内手続も経て貸付けも行われているということで私も承知しておりますので、土地の貸付けに瑕疵があったというふうには考えておりません。
他方で、本件土地の貸付けは、今、造成工事のために行われているということでございますが、委員が御指摘をされたように、この事業のスケジュールには変更が生じている、こういう状況だということも承知をしているところでございます。
こうした状況を踏まえて、成田空港会社におきましては、今後、当該賃貸契約に関しましては、当該賃借人やあるいは開発事業の状況、これは継続的に見定めながら、地元の成田市等とも御相談の上、適切に判断をされるものであるというふうに承知をしておりまして、国土交通省としても、しっかりその状況は注視をしてまいりたいというふうに考えております。
○尾辻分科員 三月に迫っておりますのでしっかりと、不動産特定共同事業法は国交省がやっておりますから、この辺、しっかり見ていただきたいと思います。
会計検査院に今日来ていただいておりますが、会計検査院として、この成田国際空港株式会社の賃貸借契約、これの妥当性についてしっかりと検査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中川会計検査院当局者 お答えいたします。
成田国際空港株式会社の会計経理は会計検査院の検査対象であり、これまで検査を実施してきておりまして、土地の賃貸借契約を含め、今後も適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
○尾辻分科員 あと、消費者庁にも事実関係だけ聞いておきたいと思います。
今日、不動産特定共同事業について聞いていますけれども、不特法と呼ばれますけれども、これに基づいた相談件数、消費者庁はどれぐらい今把握しているのか、お聞きしたいと思います。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
全国の消費生活センター等に寄せられた相談のうち、登録された相談内容に不動産特定共同事業の文言がある相談は、二〇一五年度から二〇二四年度までで六十一件ございます。
○尾辻分科員 不特法で相談が消費者庁に結構来ているということ、これもしっかりと受け止めなければいけないというふうに思います。
今日はるる聞いてまいりましたけれども、大和都市管財事件というのが二十年ほど前にありまして、これは、近畿財務局が安易な免許更新によって投資家の損害を広げたということで、国家賠償請求の訴訟が起こりまして、結局、裁判では、国が賠償責任を負うということになりました。そういった、やはり国には大きな責任がある、こういう事件もありましたので、この事件を紹介をし、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○河西主査 これにて尾辻かな子さんの質疑は終了いたしました。
次に、山本大地君。
○山本分科員 自由民主党の山本大地でございます。和歌山一区から選出をいただきました。
質問の機会をいただき、感謝いたします。
私は昨年の総選挙で初当選をさせていただいて、それまで和歌山市議会議員を務めておりましたので、今日の質問もどうしても地元に関連する質問が多くなってしまいますが、おつき合いいただきたいというふうに思います。
まず、半島における防災についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
私が生まれ育ちました和歌山県も紀伊半島に位置するところでありますが、この半島の定義とは、国交省のホームページの言葉を引用いたしますと、半島地区は、国土の保全、多様な文化の継承、自然との触れ合いの場及び機会の提供、食料の安定的な供給等の我が国における重要な役割を担っています。また、海、山、里の多様な資源に恵まれ、海を通じた独自の歴史、文化を持ち、優れた自然景観などの観光資源に恵まれていますとあります。
一方で、三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、幹線交通体系から離れているなどの制約の下にあることから、産業基盤や生活環境の整備等についてほかの地域に比較して低位にあり、また、人口減少、高齢化が進行するなど厳しい状況にあるとあります。
このような半島地域の振興を図るために、昭和六十年に十年の時限立法として半島振興法が制定され、国、地方自治体による各種支援措置、施策等が講じられていますが、依然として半島地域は厳しい状況にあることから、平成二十七年三月に三度目の期限延長が行われ、その期限が令和七年三月三十一日となっているところは皆様も御存じだと思います。
この半島振興法における内容等については、もちろん、超党派のワーキングチームや党内で今議論が行われているところでございますので、内容についてはここでは議論はいたしませんが、昨年元日に発生いたしました能登半島地震においても、半島という山がちで平地に乏しい地形でアクセスが限定され、過疎化、高齢化、点在集落という特徴もあって、道路ネットワークも大きな被害を受けたため、救助活動や復旧復興活動に大きく影響を及ぼしました。
先ほど申し上げましたとおり、半島とは三方を海に囲まれ、平地に恵まれないという地理的制約を受けており、いざ道路ネットワークに支障を来すと文字どおり陸の孤島となってしまう危険性があることが、能登半島地震を通して改めて再確認をされたところだと思います。これから、防災という観点では半島防災という一歩踏み込んだ考えが必要となってくると私自身は考えておりますが、新しく今検討されている半島振興法においても半島防災という言葉が盛り込まれるというお話を昨日お聞きいたしました。
先ほど申し上げましたが、三月に期限を迎えるこの半島振興法の改正を見据えて、半島防災の強化を進めるべきと考えますが、国土交通省はどういった見解をお持ちでしょうか。お伺いいたします。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
半島地域は、三方を海に囲まれ、平地に恵まれないなど、地理的な条件不利性を抱えております。特に、令和六年能登半島地震では、こうした地理的特性を背景といたしまして、インフラの大規模損壊によるライフラインの寸断、途絶など、甚大な被害が生じたわけでございます。
委員御指摘の半島振興法の改正に向けましては、これまで、与野党合同での検討におきまして、半島地域におけるその地理的特性を踏まえた、御指摘の半島防災、この観点と、また国土強靱化の観点も踏まえた議論が行われているというふうに承知をしております。
国土交通省といたしましても、御指摘の点を踏まえまして、半島地域の皆様が安心して暮らし続けられるよう、交通基盤や生活環境の整備を通じまして、災害に強い半島地域の実現、これに向けて頑張ってまいりたいと思っています。
○山本分科員 御答弁ありがとうございます。是非とも強力なバックアップをお願いしたいというふうに思います。
そして、次に、防災という観点から、少し視点を変えまして、我が国の国土軸についてお伺いをしたいというふうに思います。
全国総合開発計画、二十一世紀の国土グランドデザインが、一九九八年、平成十年に策定をされまして、四つの国土軸が設定をされました。
二十一世紀の国土のグランドデザイン戦略推進指針では、東京圏と太平洋ベルト地帯に人口や諸活動が集中した日本国の一極一軸型国土構造を、次の四つの国土軸を持つ多軸型国土構造に転換させることを目指すとしており、その四つの国土軸であるうちの一つであります太平洋新国土軸は、東海から紀伊半島、紀淡海峡、四国、九州を経て沖縄に至る地域に、海洋による地域のつながりと森林、河川、沿岸地域の豊かな自然環境を生かして、都市のネットワークと自然のネットワークが重層的に共生する多自然居住地域を形成し、西日本における広域経済圏の創造、また、アジア太平洋地域との経済、文化交流を通じて、多軸型国土構造の一翼を担う活力ある新しい国土軸の構築を目指すものであり、また、この構造の推進は、国土軸を支える交通、情報通信基盤等の整備を通じて、災害時におけるリダンダンシーの確保を可能にしますとあります。
これだけ毎年災害が頻発する我が国において、多軸型国土構造は、先ほどありましたとおり、リダンダンシーの観点からも重要であり、特に太平洋新国土軸は西日本のもう一本の大動脈として期待するところではございますが、この太平洋新国土軸の考えについて、現状、国土交通省のお考えをお伺いしたいというふうに思います。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の国土のグランドデザイン、これは平成十年、一九九八年に策定をされましたが、その中で、太平洋新国土軸を含む四つの国土軸、これから成る多軸型国土構造を目指すということが位置づけられたわけでございます。
令和五年に策定いたしました直近の国土形成計画、ここにおきましては、シームレスな拠点連結型国土の構築に向けまして、日本海側、太平洋側の二面活用の国土全体にわたります広域圏相互間の連結強化を図ります全国的な回廊ネットワークというのを形成を図ることとしておりまして、これまでの国土計画において構想され、二十一世紀を通じて明らかにしていくこととされました太平洋新国土軸を含めました四つの国土軸構想、これとも重ねていくことというふうにしているところでございます。
国土交通省といたしましては、国土全体にわたって、広域レベルで人口、諸機能が分散的に配置される国土構造、これを目指しまして、インフラ整備を着実に進めまして、シームレスな総合交通ネットワークの機能強化、これを推進してまいりたいというふうに考えております。
○山本分科員 ありがとうございます。非常に重要性があるという答えでよろしいですね。はい。
それでは、その太平洋新国土軸を形成する一部としてどうしても避けることができないのが、私の地元の和歌山県と兵庫県淡路島を結ぶ紀伊淡路連絡道路構想でございます。
この構想は、昭和四十年代から提唱されておりましたが、まだなかなか実現していないのが現状でございます。私が生まれるかなり前から提唱されていたということですけれども、この紀伊淡路連絡道路は、紀淡海峡約十一キロを横断し、和歌山市と洲本市を結ぶ全長四十キロの幹線道路でありまして、橋で造るとなると、紀淡海峡には明石海峡大橋を上回る世界最大級のつり橋となる紀淡海峡大橋が、これは橋でやった場合ですね、架けられることになります。
交通と物流が集中する大阪湾の臨海部の混雑緩和や、関西国際空港、そして大阪国際空港、神戸空港と関西の都市とのアクセス向上につながるとされておりますが、この紀伊淡路連絡道路について、国交省のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の紀伊淡路連絡道路につきましては、令和三年に和歌山県、兵庫県が策定をいたしました新広域道路交通計画におきまして、構想路線として位置づけがなされております。
この道路については、地元の自治体などから、近畿圏と四国圏の圏域間の交流、連携促進や、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保など、様々な効果が期待できるため、早期実現に向けた要望があるということはよく承知をしております。
一方で、この紀伊淡路連絡道路の実現に向けましては、委員のお話もありましたが、海峡を連絡する非常に大規模なプロジェクトになるということでございます。その実現に向けては、国民のコンセンサスを得ていくということが重要であるというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、新たな国土形成計画におけます国土づくりの方向性も踏まえまして、地域の実情の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山本分科員 ありがとうございます。
大阪湾ベイエリア地区に位置する大阪、兵庫、和歌山二十三市町で構成している同盟会も、日々、皆様活動を続けていただいております。ただ、この活動もかなり時間がたっておりまして、今、世代交代できない状態になっておりますので、まだかなり時間もお金もかかる大規模な計画ですが、だからこそ私のような若手がしっかりと声を上げて最後まで見届けていけるようなふうにしていきたいというふうに思いますので、是非とも御協力のほどよろしくお願いをしたいというふうに思います。
この紀伊淡路連絡道路について、もう一つ視点を変えて御質問をしたいというふうに思います。
先ほど御答弁にもありましたとおり、海峡を超える超大型事業でございますが、今、方式もまだ決まっておりません。トンネル方式であろうと、つり橋方式であろうと、日本国として、いわゆる技術とかノウハウの維持、継承のために、こういった大型の事業に定期的に取り組んでいかなければならないということも、同盟会の皆さんはおっしゃっておるわけでございますが、この辺りについて、ノウハウの維持、継承に定期的に取り組んでいく、そのためにこういった大型事業をすることの重要性について、もし国交省、何か見解がおありであれば、お答えいただきたいというふうに思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の国土は、四方が海に囲まれまして、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島、五つの主要な島と、あと多数の島々から成る国土でございます。海を隔てて国土をつないでいくというためには、橋梁やトンネルなどを整備をしてきたということでございます。
我が国の橋梁、トンネル分野、非常に厳しい施工環境を克服してきたという豊富な経験と高度な技術力を有しているところでございます。国外においても、我が国の企業が進出をいたしまして、企業の有する高度な技術力を生かした橋梁やトンネルなどのプロジェクトを手がけてきているところでございます。
このように、国内外を問わず、様々なプロジェクトを通じてこれまで培った技術を継承して、社会に役立てていくということは極めて重要なことだというふうに考えてございます。
○山本分科員 ありがとうございます。
是非ともその観点から、何度も申し上げますが、この紀伊淡路連絡道路も前向きに進んでいきますように、御協力のほどよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
では、先ほどの太平洋新国土軸を構成する、地元和歌山県紀北地区の高規格道路の整備について質問をさせていただきたいというふうに思います。いわゆる京奈和自動車道についてでございます。
京奈和自動車道は、文字どおり、京都、京都市を起点とし、奈良県を北から西に抜け、最後、和歌山県和歌山市に至る延長百二十キロの高規格道路でございまして、全線開通いたしますと近畿圏の大動脈道路となり、京都府、奈良県、和歌山県が一本の高規格道路でつながり、奈良県内で西名阪道路と接続していることから阪和自動車道ともアクセスし、大阪府を含め四府県での利便性が大幅に拡大をされます。
しかし、現在、橿原地区を含め、奈良県内にまだ数か所未開通区間があることから、まだまだ効果が生かされておりません。今後の計画についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
京奈和自動車道は、京都、奈良、和歌山の都市間を連絡いたしまして、交通混雑の緩和、交通安全の向上、災害時の救援活動支援、企業立地への支援などを目的といたします延長百二十キロの高規格道路でございます。
これまで八十八キロ開通をしておりまして、残る未開通区間のうち、大和北道路と大和御所道路の約十七キロにおいて整備を進めているところでございます。
大和北道路につきましては、国土交通省と西日本高速道路株式会社で事業を推進しておりまして、現在、調査設計、埋蔵文化財の調査、改良工事、橋梁工事を進めているところでございます。
大和御所道路につきましては、国土交通省で事業を推進しておりまして、仮称橿原ジャンクションにおいて、令和八年の春の開通に向けて工事を進めているところでございます。残る橿原北から橿原高田のインターチェンジの間について、改良工事、橋梁工事を進めてまいります。
引き続き、地域の御理解、御協力をいただきながら、早期整備に取り組んでまいります。
○山本分科員 ありがとうございました。
本当に、その橿原地区から高田のところがとても混みますので、私も一ユーザーとして早期の実現をお願いしたいというふうに思います。
そして、もう一つ、この京奈和自動車道に関連をいたしまして、地元紀の川市が今要望活動をさせていただいております京奈和関空連絡道についてでございます。
関西空港自動車道の上之郷インターチェンジ付近と京奈和自動車道の紀の川インターチェンジ付近を結ぶことで、京奈和自動車道と関西国際空港が最短で接続され、京奈和自動車道の効果に加え、様々な効果が期待できます。
関西国際空港を利用する外国人観光客が増加傾向でございまして、関西圏のインバウンド需要が見込まれる中、京奈和自動車道沿いには、古都京都、奈良の文化財、そして我が和歌山の紀伊山地の霊場高野山など様々な観光地が連なっており、コロナ禍により減少していたインバウンド客が回復傾向にございます。
先ほど申し上げましたとおり、京奈和自動車道は、現在、和歌山から奈良県の橿原までの間の開通により、和歌山県紀北地域及び奈良県西部までの利便性が大きく向上しております。沿線地域は観光資源に恵まれた地域でございまして、また、温暖な気候の下、農産物の生産が盛んな地域であります。今後、観光資源や産業振興を生かし、更なる発展のためには、京奈和自動車道と関西国際空港を最短で結ぶ京奈和関空連絡道路の整備が重要であるというふうに考えております。
近年では、関西空港を利用した地域の農産物の輸出に力を入れており、輸出量拡大を紀の川市では目指しております。また、国内外の貨物便が増加傾向であるこの関西国際空港において、関西空港を利用する外国人観光客の増加傾向とともに、先ほど申し上げましたとおり、インバウンド需要が大きく見込めることから、地域への経済波及効果を最大限に生かすことができる道路であるというふうに思っております。そこが、今、この紀北地区の大きな課題となっております。
令和六年度、能登半島で発生した地震においては、大きな被害があったことは先ほども申し上げましたが、能登半島は交通アクセスが限られている地区でございまして、震災直後から物資や支援がスムーズに行われない状況が見受けられました。主要な道路が寸断されたことにより、復旧活動が難航し、復興が進まない状況であるのが今の現状でございます。
今後発生し得る南海トラフ地震の発生が懸念されている中、府県間移動には山間部を抜けるルートが多いこの和歌山県でも、地震による津波災害等により道路が寸断されることが予想されます。
平常時においてはアクセスルートとして機能し、また大規模災害時、緊急時の広域輸送ルートとしても新たな可能性が広がり、確実に被災地に到着することができる、救援ネットワーク及び物資輸送ネットワークの確保、地域強靱化が図られる道路網となるために、必ずや地域の未来を強靱なものとする命の道として、この関空連絡道はなるというものを確信しているところでございます。
そこで、京奈和関空連絡道の整備は、大阪南部から和歌山紀北地域、さらに奈良、京都への府県間の移動短縮、円滑な広域交通移動が見込まれ、地域の活性はもとより、利便性向上や物流の効率化のみならず、災害時における道路としても役割が期待されると先ほども申し上げたところでございます。このような状況を踏まえて、地域道路のネットワーク形成が最重要課題であり、地元地域では、京奈和関空連絡道の集いを開催するなど、道路整備に向けて機運が高まっているところでございます。
京奈和関空連絡道の整備を実現をするためには、支援や予算の確保がとても重要であるというふうに思いますが、この京奈和関空連絡道について、国交省のお考えをお伺いしたいというふうに思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
京奈和関空連絡道路でございますが、京奈和自動車道と関西国際空港を最短で連絡する道路でございます。令和三年に和歌山県、大阪府で策定をされました新広域道路交通計画におきまして、高規格道路に位置づけがなされております。
この道路については、委員から御指摘ありましたように、大阪南部から和歌山方面などから関西国際空港へのアクセスが向上いたしまして、物流の効率化でありますとか、あるいはインバウンド観光の振興、あるいは農産物の国内外への市場拡大、こういった地域に対する活性化、こういったものが期待をされているところでございます。
国土交通省といたしましては、現在、和歌山県、大阪府、紀の川市、泉佐野市とともに、地域を取り巻く状況や道路交通の課題、整備の効果、そういったことについて検討しておるところでございます。引き続き、関係自治体と連携をいたしまして、計画の具体化に必要な検討を進めてまいります。
○山本分科員 ありがとうございます。どうか前向きに検討をお願いしたいというふうに思います。
先ほど申し上げましたとおり、当該地区でございます、まず紀の川市、そして府県間を挟んだ大阪府も交えて、非常に精力的に活動していただいております。
ただ、やはり府県間の道路ということもあり、交渉がなかなか難航しているところもございますので、今、今日は答弁は求めませんけれども、是非、早期実現に向けて、国土交通省が直轄調査というような形を取っていただくのも一つの選択肢としてお考えをいただき、ルートの形成など具体的な形で御支援をいただきたいというふうに思います。地元市町村とも実現に向けて頑張ってまいりますので、これからもお力添えのほど、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
最後に、この京奈和自動車道に関連をいたしまして、もう一つ、私の地元和歌山市におきましても、和歌山環状北道路というのが一つございます。これは、京奈和自動車道が今、和歌山市で合流して終わっているところではございますけれども、そこを延長し、その先にあります第二阪和国道と、まずこの和歌山環状北道路をもってつなぐというところでございまして、行く行く、和歌山環状道路として、港、港湾とも自動車専用道路で結ぶという構想でございます。
港湾付近の物流関係のまた向上であるとか、また、市民生活にとっての交通の向上が図られるこの和歌山環状道路及び和歌山環状北道路でございますけれども、この和歌山環状北道路について、国交省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
和歌山環状北道路につきましては、和歌山環状道路の一部を形成する道路でございまして、令和三年に新広域道路交通計画におきまして高規格道路として位置づけがなされております。この道路によりまして、和歌山市の都市圏の交通円滑化並びに物流効率化、下津港へのアクセス性の向上、こういった効果が期待をされておるところでございます。
国土交通省といたしましては、現在、和歌山県や和歌山市とともに、地域の課題、交通の状況などについて整理を進めているところでございますので、引き続き、関係自治体と連携をしまして、計画の具体化に必要な検討をしっかり進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○山本分科員 ありがとうございます。
先ほど申し上げました京奈和関空連絡道路、及び、この和歌山環状北道路、どっちも大事でございますので、是非ともこの市町村の動きをしっかりとお支えいただきたいというふうに思います。
私の質問は以上で終わらせていただきたいというふうに思います。
○河西主査 これにて山本大地君の質疑は終了いたしました。
次に、竹内千春さん。
○竹内(千)分科員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。
私は、選挙区は埼玉県の三区、昨年の十月に初当選させていただきまして、予算委員会の分科会で質疑をさせていただくのは今回が初めてとなります。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、立憲民主党では、今回の通常国会が始まったとき、二月の初めに、省庁別審査において本気の歳出改革というものを打ち出して、その一環として、各省庁の予算を確認し、無駄の削減を指摘して財源を確保、国民の負担を減らす、また国民の収入を増やす、そのような政策の実現を目指してきました。三・八兆円の財源を指摘するに至っていますが、ただ、ここの予算が無駄だ、だから削減とかつけ替えというだけでなく、本当にその予算が正しい使われ方をしているのか、国民のために使われているのか、そういう観点からも私たちは確認をさせていただいてきました。
その中で、今回、今日は、会計検査院から国土交通省に宛てて出された意見表示、緊急輸送道路にある橋梁の耐震補強工事の在り方に関しての意見表示について質問をさせていただきたいと思っています。この点は、自然災害も多い日本の中で、災害発生時に、制約のある予算の中で、一人でも多くの命を救えるのか、国民の財産を守れるのか、そういう点にもつながっていく極めて重要な問題だと考えています。
まず、資料の一を御覧いただきたいと思います。
この一番上の、耐震補強工事の概要の部分なんですが、これは会計検査院からの資料ですが、少しその中から抜き出して、資料二として作成しております。
まず、緊急輸送道路というのは、災害が発生したときに緊急の輸送、人であるとか物資、救助の方であったり医療関係の方であったり、また様々な物資を運ぶ、それを円滑かつ確実に実施するための道路を緊急輸送道路と呼ぶ。これは当然、耐震性が確保されていなければならないですし、地震時にネットワークとして機能する、このこともとても重要だ。
そして、その緊急輸送道路にある橋、橋梁を緊急道路橋と呼ぶ。この緊急道路橋は、落橋等防止性能、大事な道路に架かる大事な橋なので、橋が落ちてしまったらもうどうしようもないということで、まずは最優先にこの落橋等防止機能、これは橋が落ちたら災害が甚大になるということから、ここに書かれていますように、阪神・淡路大地震、それと同程度の地震等が起きても落橋等の被害を防止する耐震性能、このことを落橋等防止性能といいますが、それがまず最優先に確保され、その性能が確保されて、次に、機能回復性能という、橋梁がもし被災をしても、その損傷を軽微にとどめて、緊急物資等の輸送路として機能回復ができる、その耐震性能をまず確保しなければいけない、この優先順位を明確に定めましょうと。
そして、この一と二が備わっていない橋のことを要対策橋梁、その対策が必要な橋梁だというふうに位置づけております。
というような言葉を前提として、国は、この概要に書かれてあります要対策橋梁について、先ほど申し上げましたように、まずは落橋等防止性能、これを全ての要対策橋梁に備える必要がある。その次に機能回復性能、この順番で性能を確保しなければいけない。そして、国は重要な防災拠点を定めておく。この重要な防災拠点をつなぐものを重要防災路線として位置づけて、その重要な防災路線がどこにあるのかを緊急輸送道路の中からあらかじめ選定をしておく。このときに、重要防災路線の中には迂回路があるものとないものもある。もちろん、迂回路があるものよりも、ないものを優先して耐震補強工事を行うという観点から定めておく。そして、重要防災路線の中から要対策橋梁を優先して耐震補強を実施するということを書かれています。
この一から四番は、要約をすれば、どの緊急輸送道路のどの要対策橋梁、どれを優先して耐震補強を行うべきかということを、しっかりとまずはその優先順位を策定しなければいけないということが定めてあるということ。
そして、五番目は、迅速な応急復旧を実施するための情報を可視化した地図を作成しましょうと。この情報というのは、どこに緊急道路橋が位置しているのかとか、もし、その緊急道路橋が被災してしまった場合には、すぐにそれを復旧しなきゃいけないので、その応急復旧用の資材等がどこに置かれてあるのか、そういうものを、あらかじめ情報を可視化した地図を作成する、そして、それらのものを事業主体に説明、周知させておく、そういう義務が国にはあるということが書かれてあります。
一から四番までは防災の観点から、五番目は減災の観点からというようなことだというふうに理解をしております。そして、ここに書かれてあることは、国土交通省の緊急輸送道路ネットワーク計画策定要領等にも書かれてあることであります。
しかし、これについて会計検査院が行った検査の結果が、この資料一の真ん中のところに書かれてあることであります。
国道事務所、県道等の約四十四事業主体が令和三年、四年度に耐震補強工事を実施した緊急道路橋二百六十橋及び百二十二管理主体の要対策橋梁、計二千六百四十六橋を検査した、その結果としてここに挙げられています。
落橋等防止性能が確保されていない要対策橋梁がまだあるのに、落橋等防止性能が既に確保されている要対策橋梁の機能回復性能を確保するための耐震補強を先に実施してしまっていたところが六事業主体、二十二橋。そして、そもそも重要な防災拠点が定められていないために、どれが優先順位か、その決定に困難を来した、そんな事態が二十事業主体、八十八橋。そして、重要防災路線に要対策橋梁があるのに、重要防災路線以外の緊急輸送道路にある要対策橋梁の耐震補強を先にしてしまっていた、そういうのが十三事業主体、三十六橋。そして、ほかの迂回路があるところを、ないところより先に耐震補強を実施していたという事態が三事業主体、二十七橋、これがあった。
これまで述べた四つの点は、防災の観点から問題があったという事態と言えると思います。そして、応急復興を迅速に行うための情報が可視化されていなくて、その体制が十分なものとはなっていないという事態として百一管理主体、千七百十四橋が指摘されています、減災の観点から問題があると。
この検査の結果を踏まえた表示意見が、一番最後の、下の方に書かれているわけですが、優先して耐震補強を実施する要対策橋梁の選定に当たり、落橋等防止機能が確保されていない橋梁を最優先することなどを事業主体に十分に説明し、選定に係る優先順位等の決定方針を作成するなどして、事業主体において効率的に耐震補強を実施するように検討を促すこと。そして、地震時に必要となる重要な情報を網羅的に把握するための地図等を作成するなどを具体的に示し、地震時に被災した緊急道路橋の迅速な応急復旧等を実施できるように地方整備局等に周知徹底、地方公共団体に助言することというような表示意見が出されております。
これは、国土交通省、貴省は、どうしても制約がある予算の中で、どの橋梁の耐震補強を優先的に行うべきか策定し、事業主体に伝える義務、それを通して被害、損害の発生を予防する責務、また、災害発生時に迅速に復旧が行えるように、あらかじめ情報を可視化し、地方自治体等に周知徹底する等の義務を通して災害の発生を最小限に食いとどめる義務、これらを怠っている、そのことを改めなければなりませんよという意見というふうに理解されます。
極めて重要な指摘であると考えておりますが、本意見表示について、国土交通大臣、どのように受け止めていらっしゃいますか。その受け止めをお聞かせいただけたらと思います。
○中野国務大臣 竹内委員の御質問にお答えを申し上げます。
緊急輸送道路の、済みません、耐震対策のちょっと全体のお話をさせていただきますと、橋梁につきましては、耐震対策を今鋭意進めておりまして、落橋等防止性能、すなわち地震の際に橋梁が落ちる事態を防止する性能については約九八%の橋梁で確保済みでございます。また、機能回復性能、すなわち地震の際に速やかな機能回復をする性能がある橋梁は約八二%というのが現状でございまして、残る対策を現在進めているという現状でございます。
委員の御指摘の、会計検査院による昨年十月の指摘は、落橋等防止性能がない橋梁があるにもかかわらず、落橋等防止性能がある橋梁の対策を実施をしていた、あるいは、応急用資材の保管場所の位置等を網羅的に把握するための地図等を作成をしていなかったというのが意見表明されたものでございます。
耐震対策を効率的に進めていくことは大変重要と認識をしておりますので、この指摘を受けた直後に、地方公共団体に対しまして、落橋等防止性能がない橋梁を優先して対策をすることなどを周知をしたというところでございますので、引き続き、災害に強い道路ネットワークの構築に向けまして、緊急輸送道路の橋梁の耐震対策、しっかり進めてまいりたいと考えております。
○竹内(千)分科員 ありがとうございます。
今の御答弁は、資料二でいえば、一番目の優先順位の問題点と、あと、五番目の情報を可視化して周知しておくという、その点についての御答弁だったと思いますが、重要な防災拠点を定める、また、重要な防災路線を緊急輸送道路の中から選定をする、そこに架かっている橋梁を優先して耐震補強を実施していくという、この優先順位の策定の方はどのように受け止められていらっしゃいますか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
防災上重要な拠点について、一部選定がされていなかったということでございます。
まず、国の、国道管理をしております直轄の国道事務所、ここにおいても、一部、防災拠点の選定が徹底をされていなかったということでございますので、こうしたことについては各種会議等を通じて徹底をしているところでございます。あと、地方公共団体についても、重要な防災拠点を定めるべきというふうに思っております。
これについては、今、道路法の改正の中でも、今御審議をお願いしておりますが、道路の啓開の計画、災害時にどの道路をしっかりと確保しないといけないかというような計画をこれから作っていくという段階にございますので、こうした中でも、重要なこの防災拠点、しっかり定めていくように助言をしていきたいというふうに考えてございます。
○竹内(千)分科員 今の御答弁で、会計検査院が言っていることは、国土交通省としてしっかり定めて路線を把握して、そのことをしっかりと周知をさせるということであって、先ほどちょっと抜かしてしまいましたが、この意見自体が令和六年十月二十三日、去年の十月に出ているものであります。
この後に、国交省が今どういうふうに受け止めていますかというような質問をさせていただいて、この後、これを受けてどのような対応をされたのかという質問をちょっと伺いたいと思っていたのですが、今の答弁だと、一と五については対応しました、二、三、四についてはまだ対応していない、そういう理解でよろしいでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体に対する重要な防災拠点については、委員御指摘のとおり、優先順位でありますとか、どこにそういう橋がある、あるいは応急対策時の資材等の置き場所、そういったことについては、地方公共団体に徹底をするように提示をさせていただいております。
ただ、この重要な防災拠点というのは、言ってみれば、国でなかなか一律に定めることができるというわけでもございません。地域の防災計画とか、そういった中でしっかり議論をしていただくべきものというふうに思ってございますので、その部分については、会計検査院の、御指摘の表示する意見の中にも、我々の方で通知をさせていただいている二点について周知をするようにというふうな御意見でもありましたので、厳密に言いますと、この重要防災拠点についての地方公共団体への周知というのは今の段階では行っていないという状況でございます。
○竹内(千)分科員 先ほども少し申し上げましたように、ここで書いてある概要のことは、全て国土交通省さんの方で、緊急輸送道路ネットワーク計画策定要領等のものでしっかりと確認をしていることでありますので、要するに、省内ではやらなければいけないという義務は周知されていたというふうに理解をしているんですが、その上でも今回のような、会計検査院から指摘されるようなことが生じてしまったその原因はどこにあるというふうに思われていますでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
この意見で指摘された事項に対する原因ということでございますけれども、まず、この優先的な順位や考え方、これにつきましては、地方公共団体に対しまして原因の確認をさせていただきましたところ、例えば耐震の補強と、橋梁が古くなっているので橋梁の補修、そういったものをできれば同じタイミングでやった方が効率的でありますので、橋梁の補修の工事など、ほかの工事と同時に行うことによって効率的な施工になるということで、耐震補強の順番を少し入れ替えてやったというようなものでありますとか、あるいは、河川区域の中で、橋は河川の中に架かっておりますので、夏の間、水が多い時期は工事ができません。ですので、そういった制約でありますとか、あるいは、交通量が多いところの橋、これは通行止めをしないといけないというようなことがありますので、関係機関との協議が調ったものから対策を実施をしてきたというふうに聞いております。
○竹内(千)分科員 済みません、ちょっと時間がなくなりましたのであれですが、この優先順位がおかしくなったんじゃないかということを申し上げているんじゃなくて、優先順位等をしっかりと策定して、それを事業主体や地方公共団体に周知しなければいけない、その義務を自らきちんと要領等で定めておきながら、それが実行されていなかったのはどういう理由なのかということが、ちょっと私が聞きたかったことではあるんです。
いずれにしましても、昨年の能登半島地震等の際も、この緊急輸送道路の寸断が救助活動等を困難にして、必要な物資等の輸送に遅れを生じる事態となったというようなこともありますので、この優先順位をしっかりと整えて、減災・防災を行っていくことは極めて大事な問題だと思います。今後の取組、そして対応方針等も含めて、しっかりと問題意識を持って進めていただきたいと思います。
続きまして、次に、老朽したインフラ対策についての質問をさせていただきたいと思います。
一月二十八日に八潮市で発生した道路陥没事故に関して、まずは、今回の事故で被害に遭われた方、その御家族、そして近隣にお住まいの方々、影響を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。関連する十二市町の約百二十万人の方に下水道の使用自粛などの、そのような影響、そしてまた、現在も救助活動に向けた作業が継続中というふうに伺って、そのような大きな事故となりましたが、二月の二十日には埼玉県の大野知事からも、石破総理またその他国務大臣に宛てまして、財政支援についても要望が出ているところでございます。
一般に、災害等で道路や下水道が破壊した場合には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、ここではちょっと国庫負担法と呼ばせていただきますが、これの適用になって、高率な国庫負担でその復旧がされますけれども、同法は自然災害によって被災した公共土木工事を対象としているため、陥没事故によって生じた下水道の破壊には同法の適用はなく、復旧復興は一義的には当該下水管の管理主体である埼玉県が負う、そういうふうに伺っていますが、この国庫負担法の適用がない場合、例えば今回の八潮市での道路陥没事故の復旧復興について財政的支援、これはどのような財政的支援をお考えか。国土交通大臣、総務省にお答えをいただきたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
現在、国土交通省では、救助活動そして下水道の応急復旧が速やかに進むように、現地に専門家を派遣をするとともに、これは陥没箇所の水位を低下をさせないといけませんので、排水ポンプ車を派遣をするなど、今最大限の支援を行っているところでございます。
委員御指摘の、復旧に向けてということでございますが、今、埼玉県が開催をしております復旧工法検討に関する有識者委員会、これは国土交通省の職員も参加をさせていただいておりまして、関係機関と連携をして取組を進めているところでございます。
具体の財政支援でございますが、まず、この復旧工事の内容等がどうなるかというところもございますので、これを踏まえながら、ただ、いずれにしても、しっかり支援できるように、これは国土交通省としては検討してまいりたいというふうに考えております。
○清田政府参考人 お答え申し上げます。
復旧に要する経費につきましては、総務省では、下水道の管路の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合、その元利償還金の一部に地方交付税措置を講じております。今後、埼玉県と連携し、この地方財政措置の活用について対応してまいりたいと考えているところでございます。
○竹内(千)分科員 ありがとうございます。
続きまして、点検について簡単に、ちょっと時間も迫ってまいりましたので、お伺いをしたいと思います。
ちょっと緊急点検の方は飛ばしまして、下水道の法定点検についてなんですが、資料の三につけております、今報道等でもされています法定点検、これは下水道法七条の三による規定に基づいて法定点検が行われていると理解をしております。維持修繕に関する技術上の基準は政令において規定、そして、その政令というのが、ここに掲げております下水道法施行令の第五条の十二で、一項二号と一項三号と出ているわけですが、なかなかこの文言が抽象的な部分が多いという印象を受けています。
大臣にお尋ねしたいのは、今回、この八潮市の事故なんですが、埼玉県はこの当該下水道管について二〇二一年に点検をしていたということが報じられてもおりますが、それを踏まえて、このケースは、法定点検、これが適切に行われていた中で生じた事故であったのか、あるいは法定点検の実施自体に問題があったのか、どのように捉えられているか、その見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○中野国務大臣 法定点検につきましては、委員まさに資料で示していただいたとおり、下水道法に基づく維持修繕基準がございます。
下水道管理者が、まずは全ての施設について、構造や流入する下水の量などを勘案をして、適切な時期に、適切な方法により行わなければならないということになっておりまして、このうち、腐食のおそれの大きい箇所については五年に一回以上の頻度で点検をするということでございます。埼玉県におかれましては、点検をしていたというふうなことも伺っております。
ただ、いずれにしても、こうしたことをしていく中で今回の事故が生じたということでございますので、やはり、今回の事故を受けまして、今、有識者委員会を設置をしております。この中で、当然、どういう原因、何でこういうことが生じたのかということもしっかり踏まえながらだとは思いますけれども、大規模な下水道の点検手法の見直しを始め、施設管理の在り方などについて、議論をしっかり開始をしたというところでございますので、その議論も踏まえまして、必要な対策というのをしっかり検討、実施をしてまいりたいと考えております。
○竹内(千)分科員 今、大臣の答弁の中にも、適切な時期に適切な方法でやるということなので、これはなかなか、今おっしゃられたように、この法定点検の基準自体がかなり曖昧で、その点検をする立場からしても、何をすればきちんと法定点検のこの法律を守っていると言えるのかどうかも分からないんじゃないかと。逆を言えば、この点検をやって、インフラの老朽化による災害を防ぐことがかなり困難な状況になってきているのではないかと思います。
予防保全、予算委員会においても、この八潮市の陥没事故のことはたくさん聞かれていた中で、石破総理からも、今後はその予防保全が重要になってくる、ここに力を置いてやっていきます、この検討対策委員会でも話し合っていきたいというふうに話が出ていますが、この予防保全の観点が導入されたのは、もう平成二十五年、笹子トンネル天井板の落下事故、このときを契機に、やはり予防保全に力を入れなければならないんじゃないかと。それを受けての平成二十七年の下水道法の改正だったのではないかと思われます。
そうすると、これから、さあ、予防保全というよりも、もう既に十年来この観点は問われてきて、しかし、その中でこのような事態が起こっている。そして、これは今、これからどこでも起こり得ることだと思います。
なかなか、先ほどおっしゃられたように、今の点検方法では、老朽化したインフラ、これの災害を食い止めることができないということであれば、やはりこの点検方法、そしてこの点検方法を踏まえ、そしてまた、それだけでなく、国としてはどんな財政支援ができるのか。先ほど大臣からも、また総務省さんの方からも、できる限りの財政支援をというようなお話もありましたので、そこを一体として捉えて考えていただきたいと思います。
予防保全に関しても大臣の御見解を伺いたかったんですが、ちょっと時間ですので、今日、一問目の質問も二問目の質問も、やはり自然災害、そしてまたインフラの老朽から生じるインフラ災害、これは、インフラ災害については防災を、そして自然災害については減災をということを、貴省、国土交通省さんが中心となってしっかりと行っていただきたいという、その問題意識をしっかりと持って、これからのこの検討委員会についても引っ張っていっていただきたいと思います。
そのことを指摘させていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○河西主査 これにて竹内千春さんの質疑は終了いたしました。
次に、鈴木岳幸君。
○鈴木(岳)分科員 立憲民主党の鈴木岳幸でございます。
私からは、観光政策について、オーバーツーリズムの解消とサステーナブルツーリズムの推進についてという項目を中心に質問をさせていただきます。
近年、観光立国を推進する我が国の立場から多くのインバウンドを受け入れており、その数が上昇を続けていることは国内経済へのプラスの影響も強くあることから、インバウンド需要喚起の政策には一定の評価をするものであります。
しかし、観光客の集中により、一部の地域ではオーバーツーリズムの状態となり、市民の生活に悪影響が生じている場面も多く見られます。特に、東京ですとか鎌倉ですとか、大臣の御地元の京都なども大変な状況であるということは存じております。
その一方で、多くの地域では、いまだ観光誘客には大変な苦労をしておりまして、インバウンドがほぼ訪れていないような地域も国内には多数ございます。私の地元の静岡県も、富士山を見たいという需要はあるものの、通過してしまうインバウンドの方が大変多くて、需要が多くあるとは言えないような状況で大変苦労してございます。
しかし、そのような地域でも、日本の原風景であったり、お祭りの非日常性ですとか厳粛な雰囲気であったりなど、観光資源は実際には多数存在してございます。
日本政府観光局、通称JNTOでは、訪問客、産業、環境、受入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光ということで、サステーナブルツーリズムを提唱いたしまして、持続的な観光を推進しております。
このような動きが実需に変われば、一部都市への過度な観光客の集中による負の面が軽減されまして、今まで余り見向きもされなかった地域に新たな観光需要が創出されることとなり、地域経済の活性化にも大いに寄与するものであると期待が持てます。
そこで、関連する項目について質問をさせていただきます。
ただいま申し上げましたオーバーツーリズムについてでございますが、政府としてはどのように認識をしているか、どのような課題があるかという点について、お伺いをさせていただきます。
〔主査退席、谷主査代理着席〕
○平嶋政府参考人 オーバーツーリズムでございます。
オーバーツーリズムそのものに厳格な定義があるわけではございませんが、一般的に、一部の地域に観光客が集中する、また一部の時間帯に集中する、そういったことによりまして、混雑、マナー違反、こういったものが発生して、地域住民の方々の生活に影響が出たり、また不便をおかけしたり、一方、旅行者の方にとっても満足度が低下する、こういった現象が発生するというところがあるかと思います。こういったことが一般的にはオーバーツーリズムということで言われているのではないかと思います。
今、国内外の観光需要、コロナ禍を過ぎまして急速に回復して、特にインバウンドにつきましては力強い成長軌道に乗っているところでございます。今申し上げたような、こういった住んでおられる方々の満足、また旅行者の方の満足、こういったものを同時に両立させていくということが大事だろうと思っております。
現象としましては、観光客の集中による公共交通機関の混雑、それから、大きな手荷物を持ち込まれたことによる円滑な運行の妨げ、また、写真の撮影によって私有地に入ってしまわれる、こういったものが具体的な事象として発生しているのではないかと思っております。
対策の方でございますけれども、対策につきましては、各地域地域、いろいろな課題があると思います。地域によって異なる状況でございます。住んでおられる方、また道路の状況等、違う状況でございますので、そういったものに対応して、地域の方々と一緒に今検討を開始しているところでございます。
○鈴木(岳)分科員 様々な問題があるということを政府の方でも認識をされているということでございますけれども、今これだけインバウンドが増えてきている状況ではありますけれども、政府としては今後もインバウンドの拡大を目標としているようでございます。
今、大体三千数百万人のインバウンドがいるかと思うんですが、これを将来的には六千万人まで増やしていくという予測、目標を立てていらっしゃるかと思うんですけれども、こういうことになってくると、やはりオーバーツーリズムが現状よりも更に加速してしまうのではないかという懸念を多くの方が持たれているかと思います。
現状よりも更にひどくなるかもしれないという懸念に対しては、この懸念をどのように払拭するかということについてのお考えをお伺いしたいと思います。
○平嶋政府参考人 委員御指摘のオーバーツーリズムの課題、日本としまして、やはりこれから重要な産業としまして更に観光を伸ばしていく必要があると思っております。
また、インバウンド六千万人の目標に向けて進んでいく中で、御指摘のオーバーツーリズムの課題に対処していくために、これは一昨年に決定したところでございますが、オーバーツーリズムの未然防止それから抑制に向けた対策パッケージ、こういったものを決めたところでございまして、これに基づいて、先駆的な取組を行うモデル地域、これは全国、最初は二十地域でございましたが、追加しまして二十六地域を採択しております。こういった二十六地域において対策をそれぞれ進めているところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば富士山の例でございます。最初、夜間ですとかに登山をしてしまうとか、若しくは、軽装で登って、天候が全然麓と違うので困ってしまう、そういった事象もございました。また、非常に混雑しているというところもございました。
こういったものの、登山シーズンにつきまして、例えば静岡県におかれましては、登山計画の事前登録システムを導入しまして、登山マナーを事前に学んでいただく、これを必須化する。
それから、山梨県側においては、登山される方の数、これの上限を、山小屋に泊まられる方を除いて一日四千人とする通行規制、また、入られるときに一人二千円の通行料を徴収されるというような取組を昨年のシーズンは行われたところでございます。
また、京都市の事例でございますが、京都駅と主要な観光スポットを直接結ぶ観光特急バス、これは、路線バスの住民の方との利用が競合しないように、直接目的地に行く特急バスを運行いたしまして、これによってすみ分けといいますか、行かれる方の動線を分けていく。
また、大阪の嵯峨・嵐山エリアにおいては、デジタルマップ、これはスマホ等で今の状況、お勧めのルートを、混んでいないようなルートを御紹介するとともに、ポイントのところに、カメラの画像が見られるようになっておりまして、それを見ていただくと、今どのくらい混んでいるのかというのも確認していただける、こういった混雑状況の見える化、こういった取組も行っているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、観光客の受入れと住民の生活の質の確保、この両立が図られるように、また、各地域地域で事情が全然異なりますので、その地域の実情に応じまして対応していくように、取組を支えていきたいと思っております。
○鈴木(岳)分科員 御懸念に対しての解決方法、今、取組状況などもお話をいただきました。
ただ、今取り組んでいただいていることは非常にありがたいことだとは思うんですけれども、本当に、いつこういう状況が起こるか分からないですよね。SNSの発達に伴って、ちょっと前までは、物すごい、例えば富士山のここからのビューポイントはすばらしいので、ここだけ対策しておけば大丈夫だろうと思っていたものが、いきなり、なぜか、コンビニから見える富士山がすばらしいのでそこにインバウンドが集中してしまうという、今まででは考えられないことが次々と起こってくるような状況が散見されます。そうすると、地元住民は、やはりそれに対しての苦労というか負担が大きなマイナス面となって市民生活にのしかかってくるかと思います。
今申し上げさせていただいたように、一部地域へのオーバーツーリズムの軽減、解消ということを行っていくのは、やはりこれは政府を挙げて取り組んでいかなければますますひどいものになってしまうかと思うんですけれども、今後、そういった例えばサステーナブルツーリズムの面を推進していくためには、やはりインバウンドの分散化、観光客の集中の分散化というものが必要になってくるかと思います。
そのための取組というのも行っていかないとならないと思いますけれども、今おっしゃっていただいたような方法ですと、例えば、限定的なところに集中が起こってからそこを対処して、何とかそっちに行かないで、こっちの方がすいていますよみたいなことになってくるかと思うんですが、全体として、今、サステーナブルツーリズムを推進していくような取組というのをどのように行っているのかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。
○中野国務大臣 鈴木委員の御質問にお答え申し上げます。
サステーナブルツーリズムの推進に向けた取組ということでございます。
委員からも様々御指摘ございましたように、オーバーツーリズムというのが非常に大きな課題になっております。それに対する取組、先ほど観光庁の方からもお話しさせていただいたところでございますが、地域の実情に応じた取組というのを、しっかりと国土交通省としてまず対策を進めてまいりたいというのが一つでございます。
もう一つ、サステーナブルツーリズムの推進ということで非常に大事だと思っておりますのが、やはり地域資源をしっかり観光に活用していく、そうした様々な地域に対してやはり観光の目というのを向けていただくというのは非常に大事だというふうに思っております。
そういう意味では、観光は成長戦略の柱でもあり、また地方創生の切り札でもございますので、非常に、国民生活の安定あるいは国際相互の理解等々、極めて重要な政策でございます。
我が国はやはり、いろいろな自然もあります、そして歴史もございます。各地域において、それぞれの地域でいろいろな生活文化がありまして、これは国内外の旅行者を魅了するすばらしい資源の一つだというふうにも考えております。
これを是非活用して観光立国というのを進めていきたいというふうに思っておりますので、例えば、こうした地域の資源の磨き上げでございますとか、あるいは体験できるようなコンテンツを造成をしていくということでございますとか、あるいは、暮らし、産業、自然など、それぞれの地域における資源をしっかりと保全をしながら、そしてそれを観光として見ていただくということも両立ができるような、そういう好循環が生まれるような仕組みづくりというのをしっかり支援をしていきたいと思っております。
そうした取組を通じて、インバウンドも地方誘客ということもできますし、また地域の活性化、そして持続可能な観光地づくりの実現ということもできていくというふうに思いますので、しっかりとこうしたことを目指してまいりたいと考えております。
○鈴木(岳)分科員 大臣の方から今、地方誘客の点、インバウンドの分散ということについてもお話しいただきました。
大臣の地元の京都市の方はたくさんの人が来るので、むしろもうちょっと減らしてほしいぐらいに思っている方がたくさんいらっしゃるかと思いますけれども、私の地元の方は本当に観光誘客には苦労しておりまして、富士山を見てすぐどこかに行っちゃうという方がとても多くいらっしゃいます。
インバウンドの方も、静岡空港に降りるけれども、静岡に泊まる方がとても少ないんですね。これで地元の自治体も首長さんも大変御苦労されて、様々な方策は打っているんですけれども、なかなか実需に結びついていないというのが実態であります。私も市議会議員を十年やっておりましたので、その苦労は非常に身にしみて感じてはおるんですけれども。
例えば、地域には様々なお祭りがあったり、いろいろな行事があったりするかと思います。もちろん、大臣の地元では有名なお祭りもありますけれども。このお祭りとかいろいろな行事というのが、地域では今、物すごく担い手が減っています。私の地元も大祭りが三年に一回ありまして、今年もお祭りがあるんですけれども、三十年前と今とでは、お祭りの参加者もどんどん減っておりますし、見に来るお客さんもどんどん減っています。
レジャーの多様化ということもあるのかもしれませんけれども、本当にお祭りというのは参加してみると楽しいものだと思うんです。政治家の皆さんというのはお祭りが大好きな方が多いかと思いますけれども、皆さん地元に、たくさん参加されているかと感じますけれども、こういったものに、いろいろな情報を集めて、それを様々な国の方に開示して、うまくいけば参加してもらうような方策というのができればありがたいなと思っています。
実際、私の地元のお祭りでは外国人の方もちらほら参加している方がいらっしゃいますけれども、どうやって人を集めるかといえば、地元にやってくれる人がいないので、地元のお祭りの青年団の人たちがいろいろなところにお声がけして、例えば、今は外国人労働者の方もいらっしゃいますので、その経営者の方にお願いして来ていただくというようなこともやっております。そうしないと、実際に屋台を動かす人手が足りないということで、屋台を動かせないんですね。もうお願いして、お願いして、いろいろな人に声かけして、何とかお祭りが運営できているような状況です。
あるいは、ほかにも様々な行事がありまして、静岡県ですとお茶摘み体験なんというのもありますし、餅つきとかも、皆さんの地元でもあると思いますけれども、こういった様々な行事も、本当に、町内会の人が減ってきて、人口減少社会ですから、とにかく担い手、参加者の人集めに苦労しております。
こういったことを一元的に、政府を挙げて取り組む、人集めに協力していくというような手法が、取組ができないものかどうなのか。こういった手法で観光客の、特にインバウンドの分散化とか、参加者を増やすというようなことができるかどうかということについてお聞かせいただけますでしょうか。
○中野国務大臣 ありがとうございます。大変重要な御指摘であると受け止めさせていただきました。
先ほど、お祭りなどの例もございました。私、元々出身が京都で、済みません、選挙区は実は兵庫県でありますけれども。例えば、私が先ほど申し上げた地域資源の磨き上げや体験コンテンツの造成というものの中には、やはりそういった、観光として利用することで地域の資源の保全にも寄与する、こういう好循環ができないか。先ほどまさに委員がおっしゃられた、お祭り自体はやはり担い手が非常に減少しているわけでありまして、地域に非常に魅力的なそういった行事等があるけれども、それが担い手がいないから継続できない。しかし、これを例えば観光という形でいろいろな方に参加をしていただいたり、そんな中で費用を取ったりすることで、その地域のなりわい、あるいは様々な伝統等が持続可能になる。こういった好循環の仕組みをつくることは非常に大事だというふうに思っております。
この予算の中でも様々、熊本県の阿蘇の例でございますとか、あるいは富山県の南砺市の例でございますとか、地域の非常に伝統的な、こうした取組等と観光を結びつけた仕組みづくりということを国交省としても支援をしてまいりましたので、これを引き続きやはりしっかりやらせていただいて、これをやることで、まさに地方への誘客ということも、今まで一部の人気のあるところにインバウンドの観光客が非常に集中しておりますので、これを地方へ誘客をするということで、地域も活性化をしていく、そして観光自体も持続可能になっていくということで、委員の御指摘は非常に重要だというふうに受け止めておりますので、しっかりとこうしたサステーナブルツーリズムの推進を進めてまいりたいというふうに思っております。
○鈴木(岳)分科員 大臣からありがたいお言葉をいただきましたけれども、サステーナブルツーリズムのサステーナブルというのは、持続的な、持続可能なということだと思います。この持続可能というのは、事業者側が、あるいは働いている人が、ちゃんと収入があって、ちゃんと暮らしていけるというのはもちろんですが、お客さんの側も、インバウンドは当然ですが、国内需要も、ちゃんとそこに来ていただけるということは非常に重要かと思っております。
また、私の地元の話ばかりで恐縮でございますけれども、実際には物すごくいい観光資源があっても、なかなかそれが生かされていない、先ほどのお祭りの話もそうですが、生かされていないという例が多々あります。
例えば、私の地元に大井川沿いを走る大井川鉄道というところがあって、トーマスの機関車が走っているので、日本中から、あるいは海外からもお客さんがたくさん来ているんですけれども、この間の台風で、崖崩れで止まったままになっていて、線路が寸断されております。
一民営企業では、一私鉄事業者ではなかなか復旧に対してのお金も出すことができなくて、地元も大変に苦労しているというような状況もありますので、これを、観光庁も幸い国交省の担当でございますから、こういったところの予算づけも、サステーナブルツーリズムの観点からいけばなかなか予算づけも難しいかもしれませんが、そこはあえて、観光予算をつけるのは難しいと思いますが、国交予算をちゃんとつけて、地元の人の観光創出に役立てていただけるような予算措置についても是非考慮を求めたいと思っております。
やはり、観光が盛り上がってくれば地域に人が集まってお金も落ちるということですので、観光というのは、使う人も使ってもらう人も両方がウィン・ウィンになって、誰も困らないし、みんな幸せになる大変いい産業、成長産業であると思っておりますので、この点をまた更に、大臣のお力、観光庁の皆さんのお力をいただいて、盛り上げていただきたいと思っております。
そして、観光政策に対する問題というのが、まだまだこれからもたくさん問題が出てくるかと思うんですが、例えば観光の政策というのは、国交省と観光庁だけの問題ではないんじゃないかということを多く感じます。
例えば、スポーツイベントに関して言えばスポーツ庁も絡んでくるでしょうし、コンベンションによる誘客とかを考えれば文科省とか厚労省とか、ありとあらゆる省庁ではコンベンションも行われるかと思います。エコツーリズムということになれば環境省も必要になってくるでしょうし、アグリツーリズムとか農業体験というものも、これも観光の一部になりますから、そうすると農水省なども絡んでくるかと思います。
このような観光産業というものは、言ってみればほぼ全省庁に絡んでくる問題かと思いますので、こういった省庁横断的に部局を超えて対応する体制というのはどのように取られているかという点についてお聞きしたいと思います。
○平嶋政府参考人 委員御指摘のとおり、観光につきましては、いろいろな産業に波及、裨益するところがございます。地域で見ましても、例えば工芸品ですとか農業ですとか、また食の関係ですとか、いろいろな分野に関係してまいります。
地域においては、観光庁として、観光地域づくりの法人、DMOと呼んでおりますけれども、こういった関係者を巻き込みながら、皆さんで、その地域地域の観光資源の磨き上げをしていただく、戦略を立てていただく、こういったところも支援しているところでございます。
また、それをプロモーションの観点でいいますと、JNTOの方で、世界中にいろいろな日本のよさというのを知ってもらうようにPRをかけておりますけれども、こちらもいろいろな、先生が今おっしゃったような、文化もそうですし、自然もそうですし、農業もそうですけれども、日本の産品、日本のよさというのを知ってもらうような形で、カテゴリー分けもしながらPRをしているところでございます。
また、各省との連携で申し上げますと、例えば国際会議でいいますとMICEがございます。こういった誘致につきましては、各地域地域の都市のイベントであると同時に、例えば学会であったりとか、いろいろな展覧会であったり展示会であったりとか、商談会だったりとか、そういういろいろな産業にまたがるものがございます。そういったものは各省とも話をしながら進めていくところでございますし、また、食の観点でいいますと、これは農水省さんであったりとか、またお酒の関係であったりとか、それぞれいろいろな分野にまたがるところでございます。
こういった各省との連携も図りながら、食の観点、ガストロノミーツーリズムと呼んでおりますけれども、こういったものであるとか、また、文化、自然、それから国立公園の魅力をPRしていく、こういったところも含めて、他省庁との連携を今図っているところでございます。
文化なんかでいいますと、いろいろな、各地にある文化資源を多言語化するようなところのお手伝いなんかも今しているところでございます。
○鈴木(岳)分科員 省庁を横断的に、様々な政策に取り組んでいただける、取組を行っていただけるというのは、これからの観光政策にとって非常に重要なことかと思います。
観光庁、国交省の役割、部局横断ということも絡めまして、もう一点質問させていただきます。
これだけ部局横断的で非常に幅の広い政策ということになってきますと、これは本当はもう、本来、内閣府がやるぐらいの大きなテーマになってくるかと思うんですけれども、あるいは、観光庁を観光省に昇格させてというようなことも必要になってくるかもしれませんよね、将来的には。実際には、様々な国を見ていると、観光大臣というものが設置されている国が先進国でもたくさんありますよね。
そうすると、これからも、国交省も観光庁も更に広い範囲に広げて部局を強化していかなければならないと思うんですが、この政策に対して、将来的な体制強化についてはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
○平嶋政府参考人 国土交通省の中で、元々、観光というのは一つの部局でございましたが、観光庁という形で発足して、インバウンドを含めて観光をしっかり進めていくということで取組をやってきております。その中で、組織、予算面もそうですけれども、御支援いただきまして、拡充させてきていただいております。
いろいろと、まだ課題、やっていかないといけないことは多々あるかと思いますけれども、しっかり我々として、JNTO、また各省とも連携しながら、日本により多くの方に来ていただけるよう、また日本の中の観光を国内旅行も含めて振興していけるように、しっかり頑張っていきたいと思っております。引き続きよろしくお願いします。
○鈴木(岳)分科員 ちょっと余り、言いづらい質問だったかとは思いますけれども、JNTOを通じて更に強化していくというお答えだったようでございますけれども。
今後の観光政策、観光立国を推進していくという日本政府の大きな方針の下では、観光庁と国交省の政策に対しての取組というのは非常に重要になってくるかと思います。
本当はもうちょっと細かく何点もお聞きしたかったんですけれども、時間もないのでまとめてお聞きしたいなと思いますけれども、やはり観光政策というものは今後の我が国の政策の柱となるもので、多くの方にとってプラスの効果を生む非常に重要なものだと思っております。
先ほども申し上げましたけれども、損する人がいないんですね。使う人も、使ってもらう人も両方にとってプラスになるという観光政策でありますので、過去にも議論になってきた課題が様々あります。例えば、休日の分散化というのも何年か前までは議論の俎上にのっておりましたが、最近は聞かれません。これは、主に国内需要を分散化して混雑、集中をなくしていこうという考えだったかと思います。
あとは、昨今議論になっていますが、インバウンドの消費税の免税をどうするかという問題。更に言えば、観光業従事者の処遇の改善。働く人がちゃんと働けるように、幸せになって継続して働いてもらうようにならないと観光産業そのものが衰退してしまいますので、こういった様々な点を、解決しなければならない点がたくさんあるかと思います。
こういった様々な点の解決に向けて、国交省、あるいは参考人の今後の取組というか決意というか、地域活性化に向けた方策についてお伺いさせてください。
○中野国務大臣 様々、非常にそれぞれ大事なテーマを委員から御指摘をいただいたというふうに思っております。
御指摘のとおり、観光というのは成長戦略の柱でもありますし、地方創生の切り札でもあるというふうに私も考えております。
コロナで一時期非常に減少はいたしましたけれども、二〇二四年、訪日外国人旅行者数あるいは消費額についても過去最高になっておりますので、インバウンドというのは非常に好調な状況であります。他方で、先ほど委員御指摘いただいたオーバーツーリズムでありますとか、あるいは、当然、人材の確保という課題もございます。
こうした点を一つ一つ対応しながら、これを更に、政府の目標自体は更に高い目標を掲げておりますので、進めていきたいというふうな決意をしております。
一点だけ、途中で私申し上げましたけれども、今、やはり三大都市圏に七割超が集まっているというのは非常に大きな課題だというふうに思っております。今日いろいろお話しさせていただいた問題意識も、やはり地方への誘客促進をして、全国津々浦々にこの恩恵を行き渡らせることが非常に重要だということを今考えております。
様々御紹介させていただいた取組を進めていく中で、地方への誘客の促進、そして、地域の経済の活性化、地方の活性化、こういうものも進めてまいりたい、このように考えております。
○鈴木(岳)分科員 以上で終わります。
お取組に期待しております。よろしくお願いします。
○谷主査代理 これにて鈴木岳幸君の質疑は終了いたしました。
次に、小山千帆さん。
○小山(千)分科員 立憲民主党・無所属の小山千帆でございます。
本日は、予算委員会第八分科会の質疑ということで、国土交通省を中心に質問をさせていただきます。
我が党では、基金に関して、衆参七十名以上の議員から構成される本気の歳出改革作業チームを立ち上げ、この一か月ほど調査を進めてまいりました。その結果、やはり、基金には問題があるのではないか、削減や改革の余地があるのではないかとの結論を得ました。そのような観点から、基金に関して質問をしていきたいと思います。
まず、平成十八年八月十五日に閣議決定された、補助金等の交付により造成した基金等に関する基準についてお尋ねいたします。
基金については、日本国憲法第八十六条で、内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出し、その審議を受け決議を経なければならないと定められている、予算単年度主義に反するのではないか、また、日本国憲法第八十三条で、国の財政を処理する権限は、国会の決議に基づいて、これを行使しなければならないと定められている、財政民主主義に反するのではないかとの批判がかねてよりあります。
そこで、今回改めて基金の根拠について調べてみましたが、直接規定されている法律がどうもないようですが、平成十八年八月十五日に閣議決定された、補助金等の交付により造成した基金等に関する基準が運用のベースになっているように思います。
しかし、会計検査院が平成二十五年十月に提出した、国庫補助金等により基金法人に設置造成された基金の状況についての報告書によると、基準が遵守されていない事態が見受けられるとのことです。
そこで、基準の法的性質といいますか、この基準に強制力があるのか、遵守されていない場合、指導、是正する権限があるのかについてお尋ねいたします。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
お尋ねいただきましたただいまの基準ですけれども、私ども基金基準というふうに呼んでおりますけれども、これは、お話がありましたけれども、政府として閣議決定したものでございます。
したがいまして、法令ではございませんので、いわゆる法的拘束力はございませんし、また、罰則といったものもございませんけれども、政府として意思決定したというものでございますので、各府省庁におきましては、本基準を踏まえて、基金の点検にしっかり取り組んでいただく必要があると考えております。
私ども行革事務局といたしましても、各府省庁のそうした点検がしっかりなされているかというようなことにつきまして、行革推進会議の下で検証を行ってきているということでございます。
○小山(千)分科員 答弁ありがとうございます。
閣議決定であり、各省庁で守っていただくものとのことですので、各省庁はしっかり対応されることを、今後ともよろしくお願いいたします。
次の質問です。
この基準の(4)、使用見込みの低い基金等に関する基準についてお尋ねいたします。
ここのアに、1から5までの基準が定められていますが、このうち、1から4までは具体的に基準が定められており、分かりやすいのですが、5は、その他の、使用見込みが低いと判断される基金としか定めておらず、ほかの基準に比べて抽象的であるように感じますが、そこで、この基準5の具体的内容についてお尋ねいたします。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の項目につきましては、国庫への返納など、その基金の取扱いを検討するべき基準といたしまして、例えば事業を終了した基金ですとか政策目的がなくなった基金など、今お話ありましたけれども、1から4までで四つ例示をいたしております。その上で、これに限らず、その他、使用見込みが低いと判断される場合には基金の取扱いを検討するということで、5でその他として規定しているものでございます。したがいまして、これはいわゆるバスケットクローズとして設定しているものでございます。
また、基金を取り巻く状況は様々でございますので、具体的な内容を一概にお答えすることは困難でございますけれども、例えば、成果目標の達成状況なども踏まえて、使用見込みが低いと判断されるような場合には、1から4に該当するかどうかということに限定せずに、国庫返納等の対応を検討していただく必要があるというふうな趣旨で規定しているものでございます。
○小山(千)分科員 御答弁ありがとうございます。
基準の1から4に当てはまらないものをこの5で対象とし、国からの補助金等の国庫への返納の検討対象とするというお答えであったかと思います。この点に関しましては、後ほど個別の事例で具体的に取り上げさせていただきたいと思います。
続きまして、基準の4について同じくお尋ねいたします。
基準の4では、保有割合が一を大幅に上回っている基金が国からの補助金等の国庫への返納などの検討対象となるということを規定しています。
しかし、先ほどの会計検査院の報告書の中で、保有割合が過大な需要予測や実現困難な事業計画等に基づき算出されたものとすれば、基金の規模の妥当性や余剰資金の有無を適正に評価することは難しいと指摘されています。
ここで、保有割合とは基金事業に要する費用に対する保有基金額等の割合であることから、分母を大きく取れば保有割合が小さくなる、つまり、その基金の規模が妥当であると言いやすくなるということです。
この観点から、国土交通省の基金の一つである信用・指導基金の建設業に関する事業について見ますと、分母に当たる事業費、管理費に、業界指導誌「しんこう」という、発行費用が四千三百万円計上されています。私、実物を見たことはありませんが、これは高過ぎるのではないでしょうか。この業界指導誌を何部発行して、どのように配付したのでしょうか。メール等で代替することはできなかったのでしょうか。国土交通省の御見解をお尋ねいたします。
○平田政府参考人 建設業に係る信用・指導基金は、中小建設業者の近代化、合理化に資するよう、事業協同組合等による共同施設の設置、転貸融資などを債務保証等により支援しております。この際、本基金の運用益は、債務保証等の効果を高めるため、中小建設企業の経営に関する改善指導等に充てることとされております。
御指摘の「建設業しんこう」は、この運用益を元に、中小建設企業の経営者等向けに経営改善、生産性向上等に関する情報を発信する月刊の業界指導誌でございます。国土交通省としましても、中小建設企業向けの指導手段として重要なものと認識しております。
発行部数については、年間約九万四千部、これは合併号として刊行する月もありますため年十回の発行となっておりますけれども、一号当たりで見ると約九千四百部を発行しております。
配付に当たりましては、建設業団体や金融機関等に紙媒体の冊子を郵送しているほか、メールマガジンによる配信、ホームページでの公開などの手法も用いることによりまして、幅広く中小建設企業の経営者の目に触れるよう努めているところでございます。
紙媒体の冊子は、例えば建設業団体の会館など経営者や業界関係者などが集まる場所に置いていただくことによりまして、幅広い方の目に触れるきっかけとなるツールであると考えております。
四千三百万円は、多岐にわたるテーマについて取材、調査、編集を行った上で、年間約九万四千部を印刷、発送するために必要な費用と考えてございます。
○小山(千)分科員 御答弁ありがとうございます。年十回、年間九万四千部発刊しているとお聞きしました。
私が調べたところ、内訳が、印刷費が五百万、発送費が三百八十二万円、ウェブ制作・運営費が、コンテンツの作成を含んで三百二十万という金額でした。すごくコストパフォーマンスよく、金額は妥当であると思います。
でも、計算してみると、予算の四千三百万の大部分を占める、今言った金額を引いたら、三千九十八万円が作成経費等として計上されています。印刷、発送、ウェブは別途予算が計上されていますので、それ以外の費用というところ、三千九十八万、これは何に必要なのでしょうか。この制作経費等が何に使われているのか、詳しくお聞かせください。
○平田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、制作経費等として三千九十八万円が充てられているところでございます。
このうち、指導誌の作成、編集のための事務委託経費として約二千九百万が含まれてございます。具体的には、指導誌の作成、編集業務のうち、分かりやすく目に留まりやすい内容とするためのライティングですとか、あるいは誌面のデザイン制作、カメラマンによる写真撮影や編集といった、専門性を有する者に委託することがふさわしい内容について、基金から事務委託を行っているところでございます。
この事務委託業務について、実際のところは、例えば今年度におきましては、委託業者において統括者、カメラマン、ライター、デザイナーなど全九名のチームを編成しまして、業務を実施していただいているところでございます。
なお、「建設業しんこう」の企画、制作そのものは、基金の幹部、国土交通省の職員、学識経験者、建設専門雑誌の編集者などから成る編集会において全体方針を決定しておりまして、委託業者に委ねるのではなく、国の政策の動きなどを的確に反映できるような体制を取っているところでございます。
○小山(千)分科員 御答弁ありがとうございました。
私が調べた限り、委託されているところが日本でも五番目ぐらいに大きい会社だったので、すごく専門性の高い方がやっているんだなと思ったんですが、事前に確認したところ、取材一日当たりの金額の、作業単位で見積もっているというふうに言っていたんですが、その作業単価はどれぐらいなのか、それを年に幾つ作業を依頼しているのか、それで三千九十八万もかかるのか、ちょっとその辺も詳しくお聞かせください。
○平田政府参考人 お答えいたします。
この委託に当たりましては見積りを取っておりまして、先ほど申し上げましたライティングですとか撮影、そういったものについて、数量などを決めまして、それに基づいた積算を基に見積りをやっているところでございます。
○小山(千)分科員 ちょっと詳しい内容が聞かれなくて残念だったですが、次の質問に行きます。
さらに、この事業費、管理費に、助成金として二千百二十八万円計上されているんですね。国土交通省に確認してみますと、支払い利息の一部を助成する等の制度であり、原資は基金の運用収入ということでした。
ここで一つ疑問に思うのは、助成金として基金の運用収入が分母に計上されているのに、分子には純粋な基金残高だけで、運用収入が計上されていないことが分かりました。基金の規模の適正さを判断するには、純粋な基金残高だけを取り上げるのではなく、この運用収入を対象としないことは合理性を欠くのではないでしょうか。
基金とは、一般的に、事業の経済的基礎として準備してある財産、資本と説明されているところ、財産、資本には運用収入も当然含まれるでしょう。運用収入を計上しないということは基金シートのルールであり、国土交通省の判断でこうしたわけではありませんので、これは今後、政府全体として、運用収入も分子に計上するような、基金シートのルールを変えていくことをお願いしたいと思います。
引き続き、このまま、もう一つ、信用・指導基金の不動産に関する事業についてもお尋ねいたします。
この分母に当たる債務保証見込額に四十六億四千九百万円が計上されています。しかし、基金シートでこの内訳を見てみると、保証決定がたったの一件、九百万だけであり、そのほかは相談中の案件となっていました。つまり、保証決定が一件、九百万で、残り四十六億四千万円は相談中の案件の金額ということです。
これは会計検査院の指摘する過大な需要予測なのではないでしょうか。国土交通省の見解をお尋ねいたします。
○平田政府参考人 お答えいたします。
信用・指導基金のうち不動産に関する事業の分でございますけれども、この基金は、経営規模の脆弱な中小不動産事業者に対する債務保証等を行うことを目的としまして、大手、中小を含む不動産業団体等と国が協力して設立されたものであります。
この基金の債務保証見込額につきましては、基金設置法人である公益財団法人不動産流通推進センターが、相談案件の内容を個別に確認の上、実現性が高いと考えられるものを計上しております。
令和六年度の債務保証見込額は四十六億四千九百万円を計上しておりますが、近年の債務保証見込額が四十億から五十億円の間で推移していることに照らしても、妥当な水準であると考えております。
○小山(千)分科員 御答弁ありがとうございます。
相談中の案件といいましても、ほぼ事業が決定しているものから今日初めて相談を受けたというもの、様々であり、濃淡があると思います。金額の大きい案件であるため平準化するという考え方は一定の合理性があると思いますが、その場合は、事業の進捗状況に応じて金額を按分する等、リスクマネーが過大にならないよう、基金の規模の妥当性や余剰金の適正さを念頭に置いた需要見込みをお願いしたいと思います。
ここからは、次は個別の基金についてお尋ねしたいと思います。
まず、信用・指導基金の建設業に関する事業についてです。
この基金は、平成三十年度に約一億円の国庫返納を行った以降、基金の残高は約六十八億円で、一貫して変更がありません。これは、先ほどの、補助金等の交付により造成した基金等に関する基準の(4)、使用見込みの低い基金等に関する基準の2、5に該当するのではないでしょうか。
この基金は債務保証のための基金であり、代位弁済がない以上、基金残高に変更がないのであれば、先ほど確認したとおり、基準5により、国土交通省自ら対象とし、国庫返納すべきじゃないでしょうか。国土交通省の見解をお尋ねいたします。
○中野国務大臣 御指摘の、使用見込みの低い基金等に関する基準では、近年、事業実績がない基金や使用見込みが低いと判断される、2と5ということでございますけれども、国庫返納等を検討するというふうにされております。
御指摘のとおり、建設業に係る信用・指導基金は、中小建設企業から成る事業協同組合等が行う共同施設の設置や、構成員に経営に必要な資金を転貸融資をする事業に対して債務保証を行う基金でございます。
これも御指摘がございましたが、基金が債務保証を代わって弁済する事象が生じていないということで基金の残高は変わっておりませんが、債務保証そのものは継続的に実施をしておりますので、そういう意味では、基金の残高を信用力に、組合や転貸先の建設業者が低利かつ迅速に十分な融資が受けられる環境を整備する役割というのは果たしているというふうに考えております。
したがって、事業実績がないなどの使用見込みの低い基金の基準には該当しないものと考えておりまして、本年度に実施をした省内及び外部有識者による自己点検でもそのように判断をしております。
引き続き、本基金による事業を適切に実施をするとともに、基金の保有資金規模が適正なものとなっているかにつきましては、行政事業レビューの枠組みの下、不断の点検を行ってまいります。
○小山(千)分科員 大臣の御答弁、ありがとうございました。
ただ、この事業も、先ほど言ったように、債務保証であるところから、金銭の出捐を伴うものではありません。
また、基金の残高六十七・五九億円のうち、四分の三に当たる四十九・八億円は民間の出捐金であり、国庫補助金は四分の一の十七・七九億円です。基金に関しては、政府による市場への過剰介入が懸念されるところ、将来的には民間の資金を活性化させることが必要だと思います。
このような観点から、国庫補助金の十七・七九億円は国庫返納すべきだと考えますが、国土交通省の御見解をお尋ねいたします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
この基金のできた経緯を申し上げますと、この建設業に係る信用・指導基金につきましては、建設業の近代化、合理化を図るということを目的といたしまして、大手、中小を含む民間の建設業団体等と国が協力をして設立をされたという経緯がございます。
委員御指摘のとおり、令和五年度末時点の国費と民間出捐金を合わせた基金保有額は約六十八億円、このうち国費約十八億円を交付をしているということで、民間からも約五十億円の出捐が得られて、基金が成り立っているということでございます。
仮に本基金が国費相当額を国庫返納した場合に、設立時からのこうした前提が崩れるということに加えまして、もう一つは、基金の信用力が低下をいたしまして、中小建設企業から成る事業協同組合等の低利での資金調達に大きな影響が生じることが予想されるところでございます。
中小建設業者の近代化、合理化は依然として重要な政策課題でございますので、官民が連携して建設業の振興に取り組むことを具体化した本基金の意義は大きく、本基金に対する国費の交付は引き続き必要であると考えている次第でございます。
○小山(千)分科員 ありがとうございます。
同じく、今度は、信用・指導基金の不動産に関する事業についても同じ趣旨でお尋ねいたします。
この基金も、平成二十九年度以降の基金残高は二十五・五億円と、一貫して変更がありません。これも先ほど言った基準の2又は5に該当するのではないでしょうか。国土交通省の御見解をお尋ねいたします。
○中野国務大臣 済みません、ちょっと同じような指摘でございますので少し重複する部分もあるかと思いますが、不動産に係る信用・指導基金につきましては、中小不動産事業者が行う地域再生事業等における不動産の改修、新築や、不動産証券化等の事業に対しまして、これも債務保証を行うものでございます。
こちらも、基金が保証債務を代わって弁済をする必要がある事象というのが生じておりませんため基金の保有額は変わっておりませんが、債務保証等自体は継続的に実施をしておりますので、基金の残高を信用力に、中小不動産事業者が資金調達の多様化を通じて政策的必要性が高いこれらの事業を行う環境を整備をするという役割を果たしていると考えております。
したがいまして、事業実績がないなどの使用見込みの低い基金の基準には該当しないものと考えておりまして、本年度に実施をした省内及び外部有識者による自己点検でもそのように判断をしているところでございます。
引き続き、本基金による事業を適切に実施をするとともに、基金の保有資金規模が適正なものとなっているかにつきましては、行政事業レビューの枠組みの下、不断の点検を行ってまいります。
○小山(千)分科員 御答弁ありがとうございます。
済みません、また同じような細かいことになるんですが、同じように、この事業も、債務保証であるところ、金銭の出捐を伴うものではありません。
また、基金の残高約二十五・五億円のうち、五分の四に当たる二十・五億円は民間の出捐金であり、国庫補助金は五分の一の五億円です。さらに、令和五年度の保証金残高、ここですね、三件あり、二・五億円であります。それほど高額とは言えないのです。
そうであれば、基金残高の二十五・五億円のうちの現在の国費五億円は、国庫返納すべきではないでしょうか。残高は三件の二・五億円しかないので、民間の二十・五億円があればいいので、国庫返納をできるのではないでしょうか。国土交通省の見解をお尋ねいたします。
○中野国務大臣 これも基金の経緯を申し上げますと、不動産に係る信用・指導基金につきましては、経営規模の脆弱な中小不動産事業者に対する支援を目的といたしまして、こちらも大手、中小を含む不動産業団体等と国が協力をして設立をされたという経緯がございます。
もう一つ、不動産開発事業は一件当たりの事業費が非常に大きいということもございますので、新規保証案件ですとか、あるいは保証が終了した案件の発生に応じまして、債務保証残高というのが非常に大きく変動をするということがございます。近年の債務保証の見込みの額につきましては四十億円から五十億円の間で推移をしているということを踏まえますと、現在の基金残高自体は適正であるのではないかと考えております。
令和五年度末時点の国費と民間出捐金を合わせた基金の保有額は約二十五・五億円で、このうち、これも先ほどと少し似た経緯でございますが、国費の五億円を交付をしていることで、民間からも二十億円を超える出捐が得られ、基金が成り立っているという経緯がございます。
仮に本基金が国費相当額を国庫返納した場合、この設立時からの前提が崩れることに加えまして、基金の信用力が低下をいたしまして、中小不動産事業者等の低利での資金調達に大きな影響が生じるのではないかと予想しております。
中小不動産事業者の健全な発展は依然として重要な政策課題でございますので、官民一体となって不動産業の発展に取り組むことを具体化した本基金の意義は大きく、本基金に対する国費の交付は引き続き必要であると考えている次第でございます。
○小山(千)分科員 大臣の御答弁、ありがとうございました。
もう、ちょっと時間がないので。
本日は、国土交通省の基金を中心に質問をさせていただきました。
我が党は、基金の見直しを中心に約三・八兆円の財源を確保し、学校給食の無償化や高校無償化の拡充といった国民の皆さんの負担を減らす政策、そして、百三十万円の崖対策、中小企業の社会保険料負担の軽減、高額医療費の自己負担上限引上げの凍結や、介護、障害福祉、保育園の従事者の収入アップといった国民の皆様の収入を増やす政策の実現に充てています。
基金の見直しで財源の確保を主張していますが、基金の国庫返納は、その期間、国の資金を無駄に滞留させていただけであるので、国庫返納したからいいというのではなく、会計検査院が、基金の廃止時に多額の国庫返納金が生ずることのないように、設置造成時に基金事業に必要となる額を精査するとともに、基金の執行途中であっても適時適切に見直しを行い、基金の規模が適切となるよう指摘しているとおり、不断の見直しを強くお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷主査代理 これにて小山千帆さんの質疑は終了いたしました。
次に、加藤竜祥君。
○加藤(竜)分科員 皆さん、お疲れさまでございます。長崎二区選出、加藤竜祥でございます。
本日は、このような質問の機会を賜りましたこと、まずもって心から感謝申し上げる次第でございます。
私の選挙区は、国土の西の果てとも言われる長崎県であり、県土の七割が離島、半島である、いわゆる条件不利地でございます。
一方で、石破総理は地方創生二・〇を掲げて、地方創生を実現させるべく、今回の予算案でも地方の視点に即した具体案を示しております。せっかく国土交通省への質問の機会でございますので、地理的条件不利地域において、いかに国土交通行政が地方創生につながるのか、重要なのかという観点を中心に質問をさせていただきます。
まず、半島防災についてでございます。
昨年元旦の能登半島地震から約一年が経過をいたしました。今なお日常を取り戻せていない被災者の皆様方に、改めてお見舞いを申し上げます。
現在は、道路に関しては、主要な幹線道路の多くは通行可能となっていると認識をいたしておりますが、被害の大きかった一部の区間や、地震後の復旧作業中の大雨により再度被災をした箇所もあり、全面復旧にはもう少し時間がかかると思います。
地震発生当時、私は国土交通大臣政務官であり、国交省の非常災害本部の会議に出ておりましたが、能登半島の地形や主要道路の地図を見たときに、半島全体に高規格道路がないこと、半島を一周する古い幹線道路しかない状況に、私の地元島原半島と共通しているという印象が強く残っております。その上、半島地域独特な地形のため、土砂崩れが相次ぎ、道路は閉塞し、緊急輸送路の確保にも苦労をいたしました。この状況に、地元の多くの皆様方も自分のことのように不安を覚えておりました。
地震発生から現在において、国会や行政の場においても半島防災、この重要性が再認識されました。そこで、特に道路整備の観点から伺います。
能登半島地震を踏まえて、国交省では特に道路整備の面から半島防災についてどのようにお考えなのか、半島地域の道路網整備についてお考えをお聞かせください。
〔谷主査代理退席、主査着席〕
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
能登半島地震は、アクセスが限定されるという半島部特有の地形条件あるいは点在する集落といった、自然的、社会的条件の厳しい地域で発生をしたものでございます。全国に半島を多く抱える我が国において、今回の教訓をほかの地域にも生かしていくことが重要であるというふうに考えております。
その上で、委員御指摘の半島地域における道路整備といたしましては、まず、委員も御指摘がありましたけれども、半島部では非常に道路のネットワーク、アクセスが限られる、しかも、数少ない道路のルートが急峻な山間部を通っていたり、あるいは、津波、浸水の被害を受けやすい海岸線を通っていたりということで、リスクが非常に多いということだというふうに思ってございます。まずは、災害時の緊急支援のアクセスとなるルート、これを強靱性の高い道路ネットワークとして、しっかり形成をしていかないといけないというふうに思ってございます。
また、能登半島地震でも、物資や救援の拠点として道の駅が機能いたしました。そうした拠点の機能の強化、あるいは点在する集落、孤立が発生しやすいという特性がございますので、道路の啓開をできるだけ早くしていく、そういった実効性を高めていく。こうしたことについて、それぞれの地域の状況に応じて、しっかり取組を進めていく必要があるというふうに考えてございます。
○加藤(竜)分科員 ありがとうございました。
我が国の多くの半島地域では、古くから整備された半島一周道路があるだけであり、激甚化する災害に耐えられない構造にもなっております。道路の強靱化とダブルネットワーク化の整備を進め、平時も有事も、救える命も救えなくなるような事態を防がなければいけません。また、地方創生を成し遂げるためには、安心、安全な暮らしを保障されていることが大前提でございます。国交省には、そのことを肝に銘じて道路ネットワーク整備に取り組んでいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
次に、先ほどの前提で、私の地元島原半島の道路網整備の状況についてお伺いをいたします。
島原半島において、半島住民の安全な生活を支え、地方創生にも大変貢献をしているのが地域高規格道路、島原道路であります。この道路は、平成二年の雲仙岳噴火災害に端を発し、大火砕流により島原市の水無川が閉塞され、半島が南北に分断をされた際に、住民の避難道路、防災、復興対策としての歴史がございます。噴火災害から三十五年がたち、国交省を始め関係皆様方の御協力により、順次開通をいたしておるところでございます。開通したインターチェンジ近くには、半導体企業の新工場や九州最大の商業施設が建設予定となるなど、地域に大きな大きな経済効果をもたらしております。
やはり、地理的条件不利地においては、高規格道路の整備により安全が担保され、さらに、定時性、速達性が増すことで地方創生が進んでいくこと、このことを痛感した次第でございます。
しかし、島原半島全体に目を向けますと、現在、一周約百十キロある島原半島のうち、高規格道路の計画があるのは南島原市深江町から諫早インターまでの約五十キロにすぎず、深江町―口之津間、半島西回り区間は長崎県の構想路線になっているにすぎません。この構想路線の区間は、大雨により通行止めが頻発する区間でもあり、半島防災の観点からも、災害に強い高規格道路ネットワークの整備が早急に必要でございます。
現在、島原半島の道路網整備について、国交省長崎河川国道事務所で道路整備の検討会が開催をしていただいていると承知をいたしておりますが、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
島原半島の地域活性化や観光振興、災害時の防災力強化などの観点から、委員御指摘のありました、現在、構想路線となっております深江町から口之津までの区間及び島原半島西回り道路を含めまして、島原半島における幹線道路網の構築、これは極めて重要だというふうに認識をしております。
このことから、令和五年一月に、国と長崎県が中心となりまして、島原半島地域幹線道路網に関する検討会を立ち上げております。関係自治体と連携をしながら、島原半島全体の幹線道路網の在り方について検討を進めてきておるところでございます。
令和七年の一月に開催をされました第三回目の検討会では、島原半島における道路交通の課題でありますとか、道路に求められる機能、役割などについて議論を行いまして、強靱性の高いネットワークの整備の必要性について、改めて意見が出されたというふうに承知をしております。
国土交通省といたしましては、地域の将来像も踏まえながら、計画の具体化に向けまして、引き続き、長崎県を始めとする関係自治体と必要な検討をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。
○加藤(竜)分科員 大変力強い御答弁、ありがとうございました。
この地域は、半島地域ということもあって、人口減少が進んでいる地域でもございますが、風光明媚で、そして観光資源も豊富な地域でございます。人を呼び込むための高規格道路整備に対するこの地域の期待は大変大きいものがございます。どうか、費用対効果の面だけを重視するのではなくて、住民や利用者の安全性といった防災上の必要性からも、引き続き御検討のほどをよろしくお願いを申し上げます。
次に、国境離島の港湾整備についてお伺いをいたします。
能登半島地震を通して港湾機能の重要性が再認識をされたのは、皆様方も御承知のとおりだと思います。震災発生後、道路の寸断により陸路での物資輸送が困難となり、港湾を活用した海上輸送が支援物資の供給や復旧活動の生命線となりました。特に、被災地への迅速な物資輸送や復興支援時の搬入において港湾が果たした役割は極めて重要でございました。また、港湾が避難場所で、臨時拠点として活用される場面も多く見られました。
私の選挙区には、壱岐市、対馬市という国境離島がございます。国境離島における港湾は、平時には経済と生活を支える経済安全保障の拠点であり、非常時には緊急物資輸送や避難の拠点として、極めて重要な役割を期待されております。
特に、壱岐、対馬は、我が国の玄関口として、歴史的に見ても隣国との交流や物流の拠点となっており、その要となるのが港湾でございます。また、漁業や観光業といった地域産業の発展にも大きく寄与し、島の経済活動を支えております。
さらには、国境離島は我が国の領海や排他的経済水域の管理にも関わるため、港湾は国境警備や防衛の観点としても極めて重要でございます。したがって、港湾整備は、国境離島の持続可能な発展と安全保障の観点からも、極めて重要な課題と言えます。
そこで、国交省にお伺いをいたします。対馬、壱岐のような国境離島の港湾整備についての御所見を伺います。また、事前防災の観点や災害発生時の迅速な対応の観点からも、耐震強化や緊急時の運用体制の整備、災害時における港湾の利活用計画の策定が不可欠であると考えておりますが、御所見をお伺いいたします。
○稲田政府参考人 委員御指摘の壱岐、対馬など、我が国の有人国境離島を含め、地理的制約の厳しい離島におきまして、航路の就航率向上や人流、物流の安全確保に必要な防波堤、岸壁等の整備を推進することは大変重要なことだと考えてございます。
また、能登半島地震での経験も踏まえまして、離島、半島地域におきましては、災害時の海上ルートによる支援が特に重要であるということも認識してございます。
能登半島地震の教訓等を踏まえ、令和六年七月の交通政策審議会答申におきまして、海上支援ネットワークの形成のための施設の耐震化などによる防災拠点機能の確保や、支援側及び受援側の港湾が相互に連携をして緊急物資輸送などを行うための計画、いわば広域港湾BCPと呼んでございますが、こういったものの策定の必要性などが示されました。
我が国において重要な役割を担う国境離島の災害対応に万全を期すためにも、この答申を踏まえ、離島における岸壁の耐震化などによる防災拠点機能の確保を含む港湾整備、また広域港湾BCPの策定など、離島の港湾において必要とされる防災・減災対策をしっかり進めてまいる考えでございます。
○加藤(竜)分科員 明確な、そしてまた前向きな御答弁、ありがとうございました。
国境離島の港湾は、規模としては決して大きなものではございません。しかし、離島の住民の命と生活を支える重要拠点であり、港湾機能の強化が地域発展に直結をいたします。
また、国境離島の社会を維持し、人が住み続けることで国境を守るという国家的意義を国が果たしていくためには、国境離島への投資が必要不可欠でございます。引き続き、離島の置かれている状況にしっかりと寄り添いながら、安全かつ利便性のよい港湾整備に御協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、西九州新幹線についてお伺いをいたします。
令和四年に開業した西九州新幹線でございますが、私の地元長崎県では大変経済効果がもう表れております。長崎市は百年に一度の変革期を迎え、私の選挙区でも、開業を機に、新大村駅周辺は新たな町として開発がされ、にぎわいが生じております。諫早駅前でも再開発により商業施設や大型マンションの建設が進み、定住、交流人口の増加につながっております。
しかし、新幹線の効果を最大限発揮させるためには、現状の武雄温泉駅での対面乗換え方式ではなく、全線フル規格化による関西直通運転を実現することが極めて重要であると考えております。新鳥栖―武雄温泉間については、佐賀県の同意が得られておらず、いまだ整備方法やルート選定についても決定をいたしておりません。
現行の対面乗換え方式では、長崎―博多間は約一時間二十分、長崎―新大阪間は四時間十五分かかります。これが、全線フル規格化が実現すれば、長崎―博多間は僅か五十一分、長崎―新大阪間は三時間十五分です。さらに、将来的に東京と新大阪を六十七分で結ぶリニア新幹線が開通をすれば、東京から長崎まで陸路で約四時間強で結ばれることになります。
フル規格による全線整備により、福岡都市圏のみならず、関西や中国地方の都市圏との直通運行が可能となり、年間当たりの地域間移動人数が現在より約一・三倍から二倍となることが試算されております。
また、観光の面からも関西経済圏とつながる効果は大きく、現在、長崎県には外国人インバウンドが年間六十万人来訪をしております。これに対して関西圏では年間三千二百万人であります。新大阪駅から長崎までフル規格により乗換えなしでつながることで、この三千二百万人のインバウンドのうちの一部でも長崎県や佐賀県に行ってみようかという選択肢が生まれれば、インバウンドを取り込むことが可能となります。
このように、新幹線の整備が企業誘致や交流人口の拡大となり、地方創生の鍵となることは明らかでございます。
整備に当たっては、佐賀県が指摘されている地方の財政負担や在来線の課題を解決をしなければなりませんが、全線フル規格化により我が国の国土軸に組み込まれることで、西九州地域が東京から四時間圏内に入るメリットは長崎県ばかりではなく、佐賀県にも必ずメリットがございます。
佐賀県との協議を進めていくためには、こうした全線フル規格による整備のメリットを沿線地域全体に御理解をいただかなければなりません。私たち長崎県側も官民を挙げて新幹線の整備効果を積極的に発信し、先日は長崎県、佐賀県の県議会交流も行い、長崎市内の変化を御視察いただいたと承知をいたしております。
国土交通省におかれましては、このような西九州新幹線の全線フル規格化による整備について長崎県側の思いを酌んでいただいて、国を交えた関係者間での協議の実施など、整備方針に係る協議を進展させていただきたいと強く願っております。国土交通省におかれましては、既に様々な方面で御調整いただいておりますけれども、改めて、フル規格による整備の早期実現を図ることについての御所見をお伺いいたします。
○古川副大臣 西九州新幹線につきましては、令和四年の武雄温泉―長崎間の開業によりまして、大変たくさんのお客様に御利用いただいております。二年間で約五百万人の利用をいただきましたし、年末年始におきましても大変多くの方々に御利用をいただいているところでございます。
こうした整備効果を更に発揮させていくためには、未着工区間であります新鳥栖―武雄温泉間の整備が大変重要であるとの御指摘は、私ども国土交通省としてもそのように思っているところでございまして、西九州地方と関西、中国地方が新幹線ネットワークでつながることで、観光やまちづくりなど、多くの面で大きな効果が表れることになると私どもとしても考えているところでございます。
これまで、国土交通省といたしましては、佐賀県との間で様々に協議を行ってまいりました。また、昨年の五月には、何とか協議の進展を図っていきたいということで、鉄道局長から佐賀県知事に対しまして、佐賀県、長崎県、JR、国の四者での協議についても打診をしているところでございます。新幹線整備の必要性、重要性について御理解をいただくことができるように、引き続き、しっかりと議論を積み重ねてまいりたいと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○加藤(竜)分科員 ありがとうございました。
佐賀県出身の古川副大臣の発言は極めて重いと考えておりますので、しっかりとこれからも長崎県側は長崎県側でも努力してまいりますので、どうぞこれからもよろしくお願いを申し上げます。
次に、観光資源の磨き上げについてお伺いをいたします。
先ほどまで申し上げてまいりましたとおり、私の選挙区である半島地域や国境離島地域のような地理的条件不利地にとって、高規格道路や新幹線のような高速移動手段により都市圏あるいは大消費地とつながることが地方創生の鍵であると私自身も強く強く思っておるところでございます。
元々、島原半島にしても、壱岐、対馬にしても、歴史的にも文化的にも魅力的な土地柄であり、農水産物が非常に豊富で、観光資源としてのポテンシャルが極めて高い地域でもございます。
しかし、観光地全体を見渡しますと、人口減少が進んだことにより廃業した建物が残り、景観や安全性に支障が生じてまいっております。外国人への受入れ体制が整っていなかったり、そしてまた、旅行形態の変化に対応した施設改修が進んでいない観光資源が多く見受けられます。
こうした課題に対して地域全体で問題を共有し、地域が有する観光資源をどのように磨き上げていくのか明確な方向性を持って、地域全体で観光地の価値を高めていく取組が極めて大事になってまいります。
政府は、二〇三〇年までに、訪日外国人旅行者数を六千万人、消費額を十五兆円に増加させる目標を掲げております。この目標達成に向けて、訪日客数の増加だけでなく、日本人にも一人当たりの消費額の向上や地方への誘客促進など、多角的な施策が求められております。
私の地元雲仙市も、高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地として観光庁に認定をされ、日本を訪れる富裕層の外国人をターゲットにして、インバウンドを呼び込むために地域を挙げて取り組んでおります。
このような地域独自の観光地づくりへの取組に対して国が力強くバックアップしていくことこそが、我が国の観光資源の磨き上げに必要であると思います。
そこで、お尋ねをいたします。
観光庁は、訪日外国人旅行者数の目標を達成するため、また、日本人も含めて一人当たりの消費額を上げていくため、どのように観光地の受入れ体制を整えていくのか。また、日本全体の観光資源をどのように育て、持続可能な観光地づくりを主導していくのか、御所見をお伺いいたします。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
御指摘いただいておりますとおり、観光は成長戦略の柱でもありますし、地方創生の切り札でもございます。国民生活の安定向上や国際相互理解の増進にも寄与するなど、極めて重要なものだというふうに捉えているところでございます。
二〇二四年の訪日外国人旅行者数や消費額が過去最高となるなど、インバウンドは非常に好調ではございますけれども、観光の恩恵を全国各地に行き渡らせるためにも、日本人そしてインバウンド共に、地域を訪れ、滞在をしていただくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
このため、国土交通省では、歴史、文化、自然、食、伝統産業などを生かした体験コンテンツの造成支援による観光資源の磨き上げ、宿泊施設のバリアフリー改修などを通じたユニバーサルツーリズムの促進、景観向上のための廃屋撤去や、多言語、キャッシュレス対応などの観光地の面的な受入れ環境の整備等に取り組んでいるところでございます。
また、御指摘いただいておりますとおり、消費単価の高い旅行者層の誘致促進に向けた取組も行っているところでございます。
具体的には、今ほど御指摘いただきました、委員の御地元でもいらっしゃいます長崎県雲仙地域においては、全国に十四あるモデル観光地の一つであります鹿児島・阿蘇・雲仙エリアにおける取組の一環といたしまして、雲仙地獄の地熱体験、島原城下での鍛冶体験などのコンテンツ造成、小浜温泉などにおけます宿泊施設の改修による魅力増進、消費単価の高い旅行者層向けの旅行会社とのネットワーク構築を通じた販路形成等の取組が進められているところでございまして、これらにつきまして、国土交通省といたしましても、支援を行っているところでございます。
観光地における受入れ環境の整備やインバウンドの地方誘客を通じまして、先ほど来御指摘いただいております、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人、消費額十五兆円といった目標、さらには、持続可能な観光立国の推進に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○加藤(竜)分科員 ありがとうございました。
観光業は、皆様方も御承知のとおり、大変裾野が広い産業の一つでもあります。この観光業が元気になれば、地域全体が元気になり、地方創生にもつながり、そしてまた、地方から日本を元気にしていく原動力にもなると考えております。
どうか政府におかれましては、引き続き日本の観光産業の魅力を育て、世界に発信をしていただくため、御支援のほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
本日は、観光だけではなく、道路網整備、港湾、新幹線を質問させていただきました。その他にも、国土交通行政は大変範囲の広い行政でございます。人口減少や過疎化が進む地方におきましては経済や社会の活力を取り戻し、持続可能な地域づくりをするためには、国土交通省の力が必要不可欠でございます。そうした地域でも地方創生を成し遂げ、地方から希望ある日本をつくるために、引き続き御尽力のほど、心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○河西主査 これにて加藤竜祥君の質疑は終了いたしました。
次に、尾崎正直君。
○尾崎分科員 高知二区選出の尾崎正直でございます。
本日は、事前防災を徹底するという観点から幾つか御質問をさせていただきたい、そのように思います。
道路法等の一部を改正する法律案、こちらが先日閣議決定をされたというふうに思います。その中で、道路啓開計画の法定化ということが試みていこうとされているわけでございます。まず、このことに関してお伺いをさせていただきたいと思います。
道路啓開計画をあらかじめ定めておくということは、本当に、いざというとき、発災したときに、迅速に多くの人命を守るという観点からも極めて重要でございますし、このことが、ある意味、いざというときの災害対応の要の中の要となることだろう、そういうふうに思います。
ですから、啓開計画をしっかり作ってもらうように法定化すること自体、本当にすばらしいことだと思うんですが、まずは、この道路啓開計画の策定状況について、全国でどれぐらい、どのように策定されているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
道路啓開計画につきましては、南海トラフ地震など大規模な地震、津波災害を想定したものから順次策定を進めているところでございます。
昨年末までで、全国全ての地方整備局で地震、津波災害に関する道路啓開計画の策定が完了しておるという状況でございます。
○尾崎分科員 そういうふうに、全ての整備局で道路啓開計画が策定をされているということでありますが、そういう中にあって、今回、道路啓開計画を新たに法定化するということ、これを検討している趣旨はどういうことでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
全国全ての整備局で、道路啓開計画、現段階で策定済みではありますが、今策定済みの中には、例えば、本来の道路管理者が啓開をできない場合、代わりに誰が啓開をするのか、そういった記述がないとか、あるいは、実際には道路啓開の計画をするには実践的な訓練を事前にやっておく、こういったことが有効だということでありますが、そういった具体的な記述がないような計画もございます。
ですので、今回は、道路啓開の実効性をより一層高めるという観点から、道路管理者の区分を超えて、あらかじめ国などが道路啓開を支援する区間を設定をしておく、多くの関係者が協力した実践的な訓練をしておく、あるいは、災害対応の実績を踏まえて、こういった啓開の計画、改正も踏まえて見直していこう、そういった規定を設けておくということが必要であろうというふうに考えてございます。それが今回見直しをさせていただく趣旨でございます。
○尾崎分科員 今局長がおっしゃられたことは誠にごもっともなことだ、そういうふうに思うわけでありますが、改めてということです。
今の御趣旨からしてまさにそのとおりだろうと思うんですが、要するに、既に策定しているところについても、やはりまだ不備なところがある、更に言えば、災害状況の想定の見直しなどに応じて、改めて道路啓開計画をしっかりと作り直していくといいますか、ブラッシュアップしていくといいますか、そういうことを目指しているという理解でよろしいですか。
○山本政府参考人 御指摘のとおりでございまして、既に策定している道路啓開計画につきましても、今回の改正道路法案の内容も踏まえて、再度しっかりと見直しをしていきたいというふうに考えてございます。
○尾崎分科員 是非しっかりと見直しをしていただきたい、そのように思います。
南海トラフ地震対策などの大規模地震対策という観点から、想定の状況について、日々刻々と、科学的な知見を踏まえて、新たな被害想定というのが予想される場合もありますでしょう。
さらに、特に近年気をつけておかなければならないと思いますのは豪雨災害だというふうに思っております。豪雨も非常に激甚化ということが進んできているわけでありまして、今までであれば安全であったと思われる路線が、これだけ雨が激しく降るということとなってくれば土砂災害の危険もあるのではないかとか、そういうこともやはり想定しておかなければならないんじゃないかとか、そういうことも考えなければならないだろうと思います。
また、更に言うと、やはり人口減少、高齢化が進んでいくという中にあって、例えば、日頃この道路啓開を具体的に担っていただいている建設業者の皆様方も、そういうマンパワーがだんだん減じてきている、そういう状況なんかもありますでしょう。重機の十分な管理ができないかもしれない、重機の設置場所についてもやはり一定集約せざるを得なくなるかもしれないということになってくると、道路啓開の観点からは、本来なら手前にあるべきが奥に集約されてしまっていて、いざというときは対応できないとか、そういうことも出てき得るということなんだろうと思います。
是非、今の状況に応じて、しっかりとこの道路啓開計画の中身を見直すということ、非常に有意義なことだと思いますので、見直しを行っていただきたい、そのように思います。
ただ、この道路啓開計画、より実践的な形で策定する若しくは見直しをするといたしますと、啓開に極めて時間を要するとか、先ほど申し上げました、実際啓開するための重機の設置場所の課題とか、多くの課題が見えてくるはずだ、そのように思います。これは実践的に作れば作るほど課題は見えてくるはずだ、そういうふうに思うわけであります。
ということになりますと、この計画を策定して課題が見えてきたのであればということで、そのための対策を同時に講じていくということもまた重要になろうかと思います。
道路啓開計画策定の結果を対策につなげる、このことが非常に重要だと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○山本政府参考人 委員の御指摘、誠にごもっともだというふうに思ってございます。
御指摘のとおり、道路計画を作っていく段階で、啓開をすべき地点まで非常に時間がかかるということが分かったり、あるいは代替路がないとか、さらには、重機の置き場所だとかそういった場所がしかるべき場所にないというような課題が明らかになる地域も十分あるというふうに思ってございます。
こうした計画策定段階あるいは見直しの段階で明らかになった道路の課題について対策を講じていくということは、地域の道路網の強靱化にもつながっていくということでありますので、それがひいては、次の、道路の啓開の能力といいますか実効性の向上、それにもつながっていくものだというふうに思っておりまして、極めて重要なことだというふうに思ってございます。
今後、改正道路法案の内容も踏まえまして、道路啓開計画策定に当たってのガイドラインを作っていこうというふうに思っております。そのガイドラインの中でも、今委員から御指摘のありました、計画策定段階で明らかになった道路の課題をどうしていくのか、そういったものについてもしっかり記載をさせていただいて、道路管理者にもしっかりと周知をしていきたいというふうに思ってございます。
○尾崎分科員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
そのガイドラインのお話、ガイドラインの中に、道路啓開計画の策定、見直し、明らかになった課題への対策、そういう形で一連の流れをしっかりと位置づけていっていただきたいと思います。また、道路についての計画を国交省さんはいろいろ持っておられると思いますが、そちらも是非柔軟に見直しをしていっていただければ、そのように思うところです。
ちょっと地元の話で恐縮ですけれども、私も知事でありましたときに、県内各地で道路啓開計画を策定をいたしました。策定しますと、本当にもう絶望的な気分になるような、そういうことが何度か出てくるわけであります。
例えば、高知の西南部にあります幡多半島。いざというときの災害に当たって、啓開に非常に時間がかかるということが分かっております。例えば、四万十町の中央インターチェンジから土佐清水市役所まで道路の啓開に約十二日要するとか、さらには、大月町の役場までということになりますと約一か月要するとか、さらには、四万十市役所から土佐清水、この間だけで見ても十日を要するとか。
では、道路を十日間そういう形で啓開ができないのであれば、その間は海路で対応すればいいじゃないかということでありますが、その点、今回の能登半島地震の教訓をやはり生かさなければ、かみしめなければならないと思います。
港が隆起して使えなくなったわけですね。南海トラフ地震ということになりますと、プレート型地震。プレートの端っこの方になると、跳ね上がって隆起をします。室戸岬、更に言えば足摺岬。これはずっと南海トラフ地震で常に隆起をして、巨大な海岸段丘としてでき上がった地形が足摺岬であり室戸岬なわけでございます。
恐らく、かなり大型の地震ということになってくると、港も使えないということになる可能性というのが極めて高い。道路もしばらく啓開をせず、港も使えない。それに対応してヘリパッドを造るとかそういう工夫はしておりますけれども、空路からですと運べる物量に一定の限界があるという中にあって、やはりここは道路そのものの在り方を見直していくということが重要ではないか、そういうことも思われるわけです。
実際、国道三百二十一号というのがあります。足摺サニーロードといって大変海がきれいな路線なんですが、ただ、いわゆる川の河口部を道が通っている。恐らく津波でその橋は吹き飛ばされるであろう。さらには、美しい砂浜のすぐ横を道が通っておるわけであります。大変ふだんはきれいなんですが、いざとなれば津波によってその砂浜そのものが消滅するであろうということが予想される。
やはり、このように、極めて脆弱である、道そのものが脆弱である、さらに、港も使えなくなる可能性もかなりの部分としてある、そういう状況にあっては、道路の在り方そのものというのを見直していくということが非常に重要になってくるのではないかと思われるところです。
現在はまだ構想路線にすぎません、幡多西南地域道路というものがあります。先ほど申し上げた三百二十一号線に沿って、より災害体制を強めたような道路を造ってはどうかという構想なのでありますが、是非こういう計画について具体化を求めていきたいと考えるところでございますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
幡多西南地域は、周辺地域で南海トラフ地震による津波あるいはのり面崩壊等による道路の寸断が懸念をされるということでございます。強靱な道路ネットワークの整備が期待をされるというものだというふうに認識をしております。
御指摘ありました幡多西南地域道路につきましては、令和三年三月に高知県が策定をされました新広域道路交通計画において構想路線ということで位置づけられておりますが、昨年には地元の市町村を中心に協議会が立ち上がって、おおむねの起終点でありますとか、どういったところに危険な箇所があって、どこを手当てをしないといけないのか、そういったことについて議論が行われたというふうに承知をしております。
国土交通省においては、高知県の防災計画あるいは道路計画などを踏まえながら、県を始めとした関係自治体と連携をいたしまして、検討がより具体的に進みますよう、必要な協力をしっかり行ってまいりたいと考えております。
○尾崎分科員 どうもありがとうございます。
この幡多半島は大変厳しい状況にあるわけですが、高知全体で見回しましても、例えば室戸半島周辺とか大変厳しいと思いますし、全国でこのような状況に置かれ得るところが西太平洋沿岸部にたくさんあるんだろうというふうに思います。
今、例えばスフィア基準を満たすように避難所の事前防災を徹底すべきだとか、そういう議論が行われているわけでありますけれども、そもそも、支援物資だとか、もっと言うと支援をする方々が御当地にたどり着けないということになってしまうと、もうスフィア基準を満たすどころではなくなってしまうということになるのでありまして、是非、そのような極めて脆弱であるというポイントがこれから道路啓開計画を作っていくと明らかになると思いますので、それに合わせまして、しっかりとした対策を併せて講ずるということを行っていっていただきたい、そのように願うところでございます。
続きまして、港湾の課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、高知の話から先に聞かせていただきたいと思いますが、南海トラフ地震対策に関連をいたしまして、高知県高知市の浦戸湾でありますが、こちらにおいて三重防護事業というのを進めていただいております。
高知市は、浦戸湾という湾が市内の奥まで、ずっと奥深くまで浸入してきているという構造にあるものですから、津波の害が市街の中心部にまで及ぶかもしれない、そういう構造になっているわけでありまして、非常に脆弱な構造。歴史的にも、高知市内が何度も津波によって被災をした。もっと言いますと、ちょうど高知市周辺というのは、プレート型地震の場合はプレートの沈降帯に当たって、大体一メーターから一・五メーターぐらい歴史的に沈降している。津波が来て、さらに、沈降している結果として長期浸水をする。そういう事態を繰り返してきた、その記録が残っている地域であります。
そこの、三十万人の高知市民の暮らしを、命を守るという観点からも、表の段階で、まず第一重の防波堤によって津波のパワーを減じ、そして、浦戸湾の入口を塞いでいくことによって浦戸湾内への流量を減らし、そして、併せて浦戸湾内の沿岸部について一定の耐震化、耐浪化を進めていっていただく、この三重防護事業の意義というのは大変大きいものがあると思います。
二〇三〇年代の半ばになりますと、専門家の先生方によると、南海トラフ地震の発生可能性というのが格段に高まるとも言われるところであります。そういう観点からいけば、二〇三〇年代前半までに、是非、浦戸湾の三重防護事業、こちらについて事業を完成していただきたい。これは多くの皆様方の強い要望なのでありますが、その進捗状況などをお伺いさせていただければと思います。
○稲田政府参考人 ただいま委員からも詳しい御説明がございましたけれども、切迫する南海トラフ地震、津波に対しまして、高知県の人口や産業が集中している高知市の被害を最小化するということは極めて重要であると認識してございます。
このため、浦戸湾におきまして、国土交通省と高知県が連携をして、三つのラインで重層的に津波から防護する三重防護方式による対策を講じることとしてございます。
具体的には、第一ラインとして、高知港の沖合にある防波堤によって津波エネルギーを減衰させます。第二ラインとして、浦戸湾、湾口部の防潮堤等によって津波の浸入を抑制をいたします。そしてさらに、第三ラインとして、浦戸湾の奥の方の内部護岸で背後地域の浸水を防止する、こういう防護方式でございます。
この対策につきましては、港湾整備事業及び海岸事業として、国の直轄事業あるいは県による補助事業、交付金事業を活用して進めておりまして、第一ラインの防波堤の延伸につきましては現在八割方完成をいたしております。残る第一ラインの粘り強い化を進めることや、あるいは第二ライン、第三ラインも含めて、二〇三〇年代前半の完成を目指して事業を推進してまいります。
国土交通省としましては、防災・減災、国土強靱化の枠組みも活用して、早期に効果を発現できるよう、引き続きしっかり津波対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○尾崎分科員 本当に心強い御答弁をありがとうございます。本当に多くの皆さんがこの完成を切望いたしております。危機感を持って切望いたしておるところでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
その上で、コンビナートについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。
日本は、西日本太平洋側に、いわゆる太平洋ベルト地帯構想ということで、昭和三十年代にたくさんのコンビナートを造りました。そして、そのコンビナートを起点として、様々な、発電所であり、工業団地を造り、その周辺に都市ができ上がっていく、そういう国土構造を持っています。昭和三十年代、高度経済成長期、一九五五年ぐらいから始まった構造であります。
ただ、昭和四十年代の半ばになって、いわゆるプレートテクトニクス理論というものは、ほぼ定説とされるようになりました。すなわち、地震は繰り返す、津波は繰り返してやってくるということが定説化したということです。
逆に言いますと、津波は繰り返すということが定説化される前に、西日本太平洋側の沿岸部にはたくさんのコンビナートという、いわゆる危険性も高い施設がたくさん配置されることとなったということです。東日本にはコンビナートはないと言ってよいだろう、大規模なものは余りないと言ってよろしいかと思いますが、西日本にはたくさん集中をいたしております。
コンビナートが被災をするとどうなるか。大規模な津波火災を起こすということがあります。その被害自体も大変大きなものになりますでしょう。加えて、被災をしてしまうと、しばらくの間、燃料供給がされなくなるかもしれない、発電所も大規模に止まってしまうかもしれないということになると、電力の均衡が崩れてしまって、長期間、発電ができなくなってしまうということになるかもしれない。これは、避難所のスフィア基準をいかに満たそうとも、しかしながら、電力が来なければ、ガソリンが供給されず、支援物資が来なければ、本当に命に関わる事態になってしまうということかと思います。更に言えば、長期間、日本の産業が止まるということにもなりかねない。非常に深刻な問題だ、そのように考えるところです。
確かに、高潮対策の堤防はあるんですよ、その高潮対策の堤防よりも津波高の方が低いんです、そういう地域もあるかもしれません。しかしながら、高潮対策の堤防なんてぺらぺらですから。耐震化していなくて、ぱたんと倒れるかもしれない。更に言えば、津波の水の塊が襲ってくれば、ばたんと倒れてしまう可能性も極めて高いわけでありまして、さらに、もっと言わせていただければ、公共岸壁はまだ何とかしているのかもしれませんが、民間の護岸はどうなのかということも考えなければならぬのだろうと思います。
是非、これまでいろいろな対策を講じてきていただいていると思いますが、更に今後はステージを進めていって、コンビナートにおける危険性だとかそういうことについても、まずはよく調べていただいて、そして対策を検討いただきたい、そう思いますが、いかがでしょう。
○稲田政府参考人 今御指摘あったとおり、コンビナートは、石油精製、石油化学の基幹産業が大規模に集積をしておりまして、エネルギーや素材の供給を通じて、我が国の経済、産業そして国民生活を支える重要な基盤としての役割を担っているところでございます。
一方で、原材料を輸入するという特性から、大半が水際線に立地してございますので、それらの施設の地震、津波対策の強化は、我が国の経済、産業を支えるサプライチェーンの観点から大変重要であると認識をしております。
これまでも、地震、津波からコンビナートやその背後を防護する観点から、海岸保全施設の整備等を進めてきましたところではございますが、コンビナートが被災することによる直接の被害の規模、あるいはそれに伴うサプライチェーンへの影響の把握などを今進めているところでございます。そういった結果を踏まえまして、ハードやソフトでどのような対策が可能なのか、更に必要な対策を検討してまいれればと考えてございます。
○尾崎分科員 是非お願いをいたしたいと思います。
難易度の高い課題だろうと思いますが、東日本大震災でも起こらなかったことが、本当に次の、来る南海トラフ地震では起こる可能性があるということでございまして、その被害たるや甚大であり長期化する。もっと言うと、日本の産業の国際競争力が永遠に失われてしまうかもしれないような、そのような事態にもなりかねないのでありまして、是非しっかりとした御検討をお願いしたい、そのように思います。
それでは、続きまして、都市局さんにお伺いしたいと思いますが、防災集団移転促進事業です。
本当に、累次の見直しをしていただきまして、限度額も上げていただいて、特に厳しい条件にある地域については要件の緩和もしていただいてきた結果として、事前防災対策としても事実上使えるものになってきた。この間のいろいろな御努力に本当に心から敬意を表したいと思うところでございますが、これまでの見直しについて、どのような考え方に基づいて行われてきたのか、教えてください。
○内田政府参考人 お答えいたします。
頻発化、激甚化する自然災害に対応するため、事前防災の推進の観点から、災害ハザードエリアから安全なエリアへの移転を促進する防災集団移転促進事業は重要な事業だと考えております。
この事業の活用による災害発生前の移転を推進させるように、まず、令和二年度には、移転対象戸数を十戸から五戸に緩和し、また、事業計画の策定経費を支援対象といたしました。令和三年度には、移転対象区域に、浸水被害防止区域等のハザードマップで危険地域とされた地域を追加をしたところです。また、令和五年度には、移転元地防御のための堤防等のハード整備を行わないことなどの要件を満たした場合に、補助対象経費の限度額の見直しを行うなどの拡充を行ってまいりました。
一方、津波による浸水が想定される地域におきましては、堤防等のハード整備を望む住民もいらっしゃいまして、特に多数の住居が立地する沿岸域の市街地におきましては、地域住民の合意形成が困難で、移転に向けた取組が進まないという課題もございました。
この課題解決に向けまして、令和六年度には、津波による浸水が想定される地域において、より円滑に災害発生前の移転に取り組めるよう、一定要件の下で、堤防等のハード整備を行いながら移転を可能とする拡充を行ったところでございます。
引き続き、防災集団移転促進事業の活用により、事前防災まちづくりの着実な推進を図ってまいります。
○尾崎分科員 本当に、この間しっかりと見直しを進めてきていただいたおかげで、事前の高台移転ということが可能になってきた。これは本当に大きなことだ、そのように思います。
私、国会議員にならせていただいて初めて質問させていただいたのがこの予算委員会の分科会でしたが、そこでも申し上げました。前の制度は、本当に人がたくさん死んだら、被災した後、多くの方が亡くなったら高台移転を応援しますよ、事実上そうなっていた。本当にそれはおかしいじゃないか、事前に高台移転できるようにすべきだ、そういうお話も訴えさせていただきました。本当に、この間、誠意を持って見直しを進めていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
現在、モデル地区も定めて様々に検討も進めておられると思うところでございますが、是非、引き続き取組を進めていただきたい、そのように思います。
一点だけです。テクニカルなようですが、非常に重要なこととして、ハザードエリアから安全なエリアに移ることを応援をしていただく事業ということでありますが、リアス式海岸の奥だとかになってきますと非常に土地が狭いわけです。ハザードエリアから安全なエリアに移そうとすると、山際になってしまったりして、今度、土砂災害警戒区域に当たって、それはそれで危ないということになる可能性があります。
そういう場合にあって、是非、水平に危険なエリアから安全なエリアに移るというだけじゃなくて、いわゆる垂直に移るといいますか、そういうこと自体も一定許容していただける、そういうふうな柔軟な運用を行っていただきたいと思うんですが、ちょっとそこら辺り、御見解をお願いします。
○内田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、地形的な制約があり、移転先の団地造成等に係る建設コストも含め総合的に検討した結果、やむを得ず、災害リスクのある地域に移転先地を確保せざるを得ない場合も想定されます。このような場合におきましては、より災害リスクの低い場所の選定や、委員御指摘の想定浸水深よりも高い位置に居室を設ける等の工夫によりまして、住民の安全性を確保することが必要であると考えております。
現在、津波による浸水が想定される地域からの住居の移転を検討している自治体からは、今後、地域住民の意向を把握するとともに、それを踏まえ、移転先候補地の選定や事業内容を具体的に検討すると伺っております。
国土交通省といたしましては、今後の事業化に向けまして、自治体の状況や意向を丁寧に伺いながら、事業の活用に係る技術的助言を行うなど、適切な支援を行ってまいります。
○尾崎分科員 どうもありがとうございます。是非、実質的に救うという観点から御対応いただければ、そのように思うところです。
最後でありますが、防災庁設置についてお伺いをさせていただきたいと思います。
事前防災のためにやるべきことは数々あります。しかも、関係省庁が多岐にわたる場合が多いだろうと思います。コンビナートの例でいっても、港湾局さんだけじゃなくて、民有の場合だと例えば経産省さんとかも関わってくるとか。ですから、やはり各省しっかりと統括をしていきながら防災対応を進める、そういう意味においても、もう一段の司令塔を設けるということは大事ではないか、そのように思うところです。
屋上屋を架すことは確かに防ぐべきでありますが、防災庁設置の意義は認められる、そのように思うところです。狙いはどのようなところにあるのか、教えていただきたいと思います。
○河合政府参考人 委員の御質問にお答えいたします。
今後発生が予想されます南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模自然災害に備え、人命、人権最優先の防災立国の実現に向け、我が国の防災体制を抜本的に強化する必要があります。
そのため、令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁は、平時から万全の備えを行う本気の事前防災に取り組むとともに、政府の統一的な災害対応の司令塔としての機能を担う、十分な人数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とする予定です。
具体的には、情報連携、共有の強化といった防災DXの更なる推進、災害専門ボランティア等の育成強化、防災教育の充実といった官民連携による災害対応や地域防災力の強化などを中心に取り組むこととしております。
防災庁が中核となり、政府一体となった災害対策を一層効果的、効率的に進めていくことができるよう、委員の御指摘も踏まえつつ、防災庁の設置に向けて準備を加速してまいります。
答弁は以上です。
○尾崎分科員 本気の事前防災、それをかなえる組織となりますように、是非しっかりとした御検討をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○河西主査 これにて尾崎正直君の質疑は終了いたしました。
次に、角田秀穂君。
○角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。初めに、道路の整備についてお伺いをいたします。
昨年は、元日の能登半島地震という大きな災害からスタートした年となりました。現地においては、災害の傷が癒える間もなく今度は豪雨にも見舞われる、そうした大変な災害に見舞われました。一日も早く日常生活が戻るよう、被災地復興に全力で取り組んでいただきたいと思います。
能登半島の災害でも浮き彫りとなったことの一つが、やはり道路整備の重要性ということでした。一本しかない主要道路が寸断されたことによって、被災者の救援であるとか支援物資の輸送にも大きな支障が生じました。災害に備えて道路のネットワーク化を進めることは、発災後の迅速な被災者の救援、また復旧活動を容易にして、二次災害を最小限にとどめる上でも極めて重要です。
そのような観点から同じ半島県である千葉県を見渡したとき、まだつながっていない幹線道路がたくさん残されております。
例えば圏央道も、千葉県の大栄―横芝間の十八・五キロが当初令和六年度に開通予定でしたけれども、トンネルの工法の見直しであるとか用地の問題、重金属検出などで令和八年度開通の見込みとなり、いまだつながっていない状況です。
また、房総半島の内房と外房を連絡する国道百二十八号線は、太平洋沿岸を通過し、並行する代替道路がないため、令和元年の台風十五号では倒木や土砂崩れで長期にわたり交通が遮断をされ、救援、復旧が大幅に遅れました。館山・鴨川道路を早急に実現する必要もあります。
また、国道百二十七号富津館山道から鴨川を経て長生グリーンラインから圏央道につながるネットワーク化、この強化も急がれております。
このように、千葉県内では整備すべき、これから道路ネットワークを構築しなければならない道路がたくさん残されておりますが、その中でも、建設を急ぎ一日も早く完成させなければならないのが北千葉道路です。日本国内にあまたある未開通の道路の中でも最も重要で、最も整備を急がなければならないのがこの北千葉道路であると思っているのは私だけではないと思います。
成田空港から市川の外環道を最短で結ぶ延長四十三キロの北千葉道路は、周辺道路の慢性的な渋滞の解消による物流の効率化であるとか、商工業の振興による地域の活性化のみならず、首都圏の国際競争力の強化や災害時の緊急輸送路として、千葉県のみならず我が国にとっても極めて重要な道路であります。
この北千葉道路は、平成十七年度に事業化され、整備が進められておりますが、現在、成田市から空港までの三・八キロと市川から鎌ケ谷までの九キロ、ちょうど北千葉道路の両端、この部分が未開通となっております。このうち、成田市の三・八キロについては県による整備が進行中で、市川から鎌ケ谷間の九キロのうち市川―松戸の三・五キロについては令和三年度に国の権限代行事業による新規事業化が決定をされておりますが、残る市川市から鎌ケ谷市までの五・五キロが未事業化区間として残されております。
北千葉道路の周辺七市の人口は約二百万人と、千葉県の人口の三割を超える重要な経済圏です。成田空港は、三つ目の滑走路新設と既存滑走路の延伸を令和十年度末の供用を目指して整備を進めています。これが完成することにより、年間発着回数も三十万回から五十万回と、名実共に日本の空の玄関となります。これに伴って増加する旅客、貨物への対応として、圏央道とともに北千葉道路の早期開通が急がれねばなりません。
そのためにも、事業化区間の整備促進と未事業化区間の事業化を早期に行い、全線開通を目指して整備を加速すべきと考えますが、御答弁いただきたいと思います。
○中野国務大臣 角田委員の御質問にお答えを申し上げます。
御質問の北千葉道路は、首都圏と我が国の空の玄関口でございます成田国際空港とを最短ルートで結ぶ高規格道路でありまして、都心から空港までの速達性、定時性を向上させる重要な道路でございます。
これまでに、延長約四十三キロのうち約三十キロが開通をしておりまして、残る未開通区間のうち延長七・二キロを、国土交通省及び千葉県が整備をしているところでございます。
国土交通省が事業を実施をしている市川市から松戸市の区間では、令和六年度から用地買収に着手をしておりまして、また、千葉県が事業を実施している成田市区間では、橋梁等の工事を実施しております。
いまだ事業化されていない松戸市から船橋市の区間につきましては、市街地部を高架やトンネルで通過をする大規模な道路計画となりますため、事業中箇所の進捗あるいは周辺の交通状況なども確認をしながら、千葉県において事業化に向けた検討が進められているところでございます。
国土交通省としましては、委員から御指摘のありました成田空港の機能強化と併せた周辺の高規格道路ネットワークの整備等が必要であると認識をしておりまして、引き続き、北千葉道路全線の早期整備に向けて取り組んでまいります。
○角田分科員 この北千葉道路、既に供用されている区間、成田の方面から来ますと、すいすい走ってきたと思ったら、鎌ケ谷の消防署の前でいきなり行き止まりとなってしまいます。仕方なくそこから北側の県道松戸鎌ケ谷線あるいは南の国道四六四号線へ迂回する車で、慢性的な渋滞となっております。
千葉県全域の一般道路の平均旅行速度は二十六キロ。これに対して、混雑時には鎌ケ谷は七・六キロ。渋滞が名物の私の地元の船橋ですら八・三キロであります。自転車はおろか、ジョギングしているお母さんにもお先にと抜かれてしまうような状況です。
地元の鎌ケ谷市では、北千葉道路沿線を含む市街化調整区域の土地利用方針を策定するなど、北千葉道路の整備を見通したまちづくりを進めており、これからの町の発展を目指す上で、鎌ケ谷市区域を含む未事業化区域の早期事業化と早期全線開通は地域住民の悲願でもあります。千葉県も、未事業化区間を対象に、予定地の先買いの案内を始めております。
渋滞緩和とともに、日本でも特に人口が集中している千葉県北部を東西に結ぶ幹線は、湾岸の京葉道路と東関道しかありません。災害時のネットワークとしても早期に完成させなければなりません。一日も早い未事業化区間の事業化と、早期の全線開通のための整備の促進を改めて強く要望させていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
大臣への質問は、私のときはここまででございますので、よろしければ退席いただいても結構です。ありがとうございました。
次の質問に移ります。既存住宅の活用促進について質問させていただきます。
地域を回っていますと、どこの自治体でも空き家対策に頭を悩ませております。住宅の数が世帯数を上回っている現状に人口減少が進行することで、今後、更なる空き家の増加が懸念をされており、その対策としての既存住宅の活用、流通の促進は、優先的に取り組まなければならない課題と考えます。
住宅の流通シェアは、欧米では七割、八割以上を既存の住宅が占めているのに対して、日本は二割以下と非常に低い水準にとどまっているため、国においても様々な施策を講じて既存住宅の流通を促進しようとしているところと理解をしております。
まず、これまでの取組の成果について伺いたいと思いますが、既存住宅の流通シェアの現状と、更なるシェア向上に向けての取組についてお伺いをしたいと思います。
○楠田政府参考人 お答えをいたします。
総務省の住宅・土地統計調査によりますと、二〇二三年の既存住宅流通量は年間約十六万件でございまして、全住宅流通量に占める既存住宅の流通シェアは約一六・二%となってございます。
今後の住宅政策におきましては、既存住宅流通市場を更に活性化させることによりまして、将来世代に継承できる良質な住宅ストックの形成と、これら良質なストックが循環をするシステムの構築を図ることが重要であるというふうに認識をしております。
他方、住宅ストックの現状を見ますと、耐震性を満たさない住宅でありますとか、省エネ性能、バリアフリー性能が不十分な住宅が多数存在しておりますことから、新築、建て替え、リフォームの推進や、空き家の活用などの施策をバランスよく実施をし、ストックの質の向上等を図ることが不可欠と考えております。
このため、住宅ストックの性能向上を促進いたしますとともに、既存住宅に対する安心感を高めるため、インスペクションの普及や瑕疵保険への加入を進めるなど、既存住宅の流通とリフォームの市場を二十兆円規模に拡大をさせるという長期目標の達成に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○角田分科員 既存住宅の流通を進める上で、この流通を媒介する宅建業者等の役割は非常に重要となりますが、その収入源となる物件の仲介手数料、これについては、二百万円以下の仲介手数料が五%、二百万円を超えて四百万円以下の仲介手数料が四%、そして四百万円を超えた部分は三%とされておりますが、この仲介手数料については昭和四十五年の建設大臣告示で定められたものであり、その後、この区分は見直されずに現在に至っております。
昭和四十五年当時の勤労世帯の平均年収は百万円程度、都心のマンション価格は七百万円程度。それが現在は億ションの時代となっております。それに対して仲介手数料は、四百万円超の物件については三%プラス六万円のまま、据え置かれたままです。社会全体で賃上げの流れをつくろうとしている中、中小零細の不動産業者からは、不動産価格の高騰が反映されず、据え置かれたままになっている取引金額区分では、事実上の減少となってしまうという声が上げられております。
地方創生が叫ばれる中、農業を守り、農村の機能をいかに維持するかも大きな課題となっている中、現在の手数料区分では、特に地方の少額物件は割が合わないため仲介を引き受けられない。結局、既存物件の流通が進まないことの一因ともなっております。
既存住宅の活用を更に進める必要があります。地方の既存住宅の流通促進のためにも、この金額区分について、経済情勢を反映して見直すこと、また、将来に向けてルール化することも求めたいと思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。
○平田政府参考人 お答えいたします。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬、いわゆる仲介手数料の額につきましては、宅地建物取引業法及びそれに基づく告示によりまして、当該宅地又は建物の価額を告示に定める金額に区分して、それぞれの区分ごとに定められた料率を乗じて計算された金額を合計した金額を上限とすることとされております。
これは、消費者保護及び取引の公正の確保を目的とするものですが、同時に、宅地建物取引業者にとっては、取引価格の上昇と連動して報酬の上限額も上昇する仕組みとなっております。
御指摘の金額の区分につきましては、消費者の負担に関わる問題であり、また、先ほど申し上げたとおり、宅地建物取引業者の媒介報酬の上限額は取引価格に連動して上昇する仕組みとなっていることから、これまで見直しはされていないところであります。
他方で、既存住宅の流通を進める上では、空き家を含む低廉な価格の物件について、宅地建物取引業者がそのノウハウを発揮し、積極的に流通に取り組むことができる環境の整備が重要と考えております。
このため、昨年六月に、不動産業による空き家対策推進プログラムを公表しまして、その一環として告示を改正し、八百万円以下の物件の売買等に係る媒介報酬について上限を引き上げることといたしました。
この制度は昨年七月に施行されたばかりであり、今後も市場の動向を注視する必要はありますが、これまでに、八百万円以下の物件の成約件数が全国、地方部共に前年同月と比べて上昇するなど、一定の成果が出ているものと認識しております。
引き続き、経済情勢が変化する中、既存住宅の流通等の課題について、宅地建物取引業者がノウハウを積極的に発揮していただけるよう、業界の声も聞きながら、必要な取組を進めてまいります。
○角田分科員 ありがとうございます。
この空き家対策として、特に低額の物件に対する対応、対策としまして、昨年の七月から、これは八百万円まで、三十万円上限という形に引き上げて、流通を加速させようという取組をしていただいているというところでありますけれども、これもどれほどの効果があるのかというのは、これからちょっと注視をしていかなければいけないところでありますけれども、この三十万円上限、八百万円ですと三%台という形になると思いますけれども、果たしてこれで十分なのかどうか。
少額物件の特例措置よりも、私自身は、昭和の時代から据え置かれたままの金額区分、これを経済情勢を反映したものに見直していくことが筋ではないかというふうに思っております。
そこで、確認のためにちょっと質問ですけれども、これまでこの区分について見直してこなかったというのは、関係者から特にそういう要望が上がってこなかったからという理解でよろしいのかどうか、確認のために伺いたいと思います。
○平田政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、金額の区分につきましては、消費者の負担に関わる問題であり、また、宅地建物取引業者の媒介報酬の上限額は取引価格に連動して上昇する仕組みとなっているということで、これまで見直しをされてきていないものと承知をしております。
○角田分科員 分かりました。
この点については、消費者の負担を抑制しなければいけないというのは分かるんですが、それがために流通が加速をしないということでは元も子もないと思います。今後のこの特例措置の実施状況も見極めた上で、検討を更に加えていただきたいことをこれは要望させていただきたいと思います。
続きまして、地域公共交通の確保について伺います。
千葉県におきましては、房総地域だけでなく千葉市など都市部でも、バス路線の廃止や減便などにより住民の大切な足が奪われつつあります。地域特性や実情に応じた最適な生活交通ネットワークを確保、維持するため、複数の市町村をまたがって運行する幹線路線を守るため、国において地域間幹線系統確保維持補助金によるバス事業者に対する支援を行っておりますが、乗車密度が減少するなど補助基準を下回ることから、補助対象路線から除外される事例が生じております。
地方バス路線は、元々赤字が前提となっており、地域住民の貴重な足である地方バス路線を始めとした地域公共交通を維持していくために、より一層の工夫が必要ではないかと考えますが、国交省として今後どのように取り組んでいくのか、この点について、まずお伺いをしたいと思います。
○池光政府参考人 お答え申し上げます。
バスを始めといたします地域交通につきましては、買物、医療、教育など日常生活を支え、まさに地方創生の基盤であると考えておりますけれども、人口減少による需要減や担い手である運転者の不足等によりまして、路線の減便、廃止等のサービスの低下が進んでおります。
こうした状況に対しまして、国土交通省としては、従来の輸送手段のみならず、公共ライドシェア、日本版ライドシェアなどの多様な輸送手段も活用しながら、地域の課題に応じて、利便性、生産性、持続可能性の高い地域交通へ再構築していくことが重要であると考えております。このため、地域における多様な分野の関係者との連携、協働や、交通分野におけるDX、GXの取組への支援等を行っているところでございます。
また、昨年七月には、国土交通大臣を本部長とする「交通空白」解消本部を立ち上げまして、地域の足、観光の足の確保に強力に取り組むとともに、十一月に設置した「交通空白」解消・官民連携プラットフォームを通じた民間の技術やノウハウの活用も進めております。さらに、令和六年度補正予算におきまして、自治体等が交通空白の解消に向けて行う取組に対する支援も新たに創設したところです。
引き続き、こうした官民連携の枠組みや予算面での支援など、あらゆるツールを活用しながら、地域交通の維持、確保にしっかり取り組んでまいります。
○角田分科員 この点については、是非、更なる充実に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
その上で、地域の足であるバス事業を今後も維持していくためには、当然のことながら、バスを利用する人、乗客を増やすための取組も不可欠であると考えております。そのための一つの手法として、バス事業のオープンデータ化、これを進める必要もあるのではないかというふうに考えております。
目的地までの経路案内のスマートフォンアプリ等でも、鉄道であればほとんどのケースで目的地までの最短ルートや所要時間などを事前に地図アプリ等で知ることができますが、バスの乗換情報については検索してもなかなか出てこない。首都圏や主要都市では、バスの乗換情報が地図アプリ等に検索結果として掲載することが多くなってきておりますけれども、コミュニティーバスまで含めると、まだまだ地図アプリ等に出てこない情報が多い状況です。鉄道やバスと乗り換える際の接続が悪く、長時間待たなくてはならないといった不満からバスが敬遠をされる、その一因ともなっております。
国交省では、このバス事業のオープンデータ化の促進についてどのように取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。
○池光政府参考人 お答え申し上げます。
バスの時刻表、運賃表や位置情報などの各種データにつきましては、経路検索アプリなど利用者に対する情報発信や、地域交通の現状把握などのデータ分析に活用されております。
まさにそうした情報のオープン化、御指摘いただきましたオープン化につきましては、これらのデータ利用を推進するものでありまして、先ほど申し上げた地域の足、観光の足の確保を始めとする地域交通の利便性や生産性向上の観点からも重要であると考えております。
このため、国土交通省では、バス情報のオープンデータ化を推進するため、データ作成ツールの国内標準仕様を定めるなど、データ整備を支援する技術資料の提供を進めておりますほか、データ整備に関します財政支援や、データ作成を行う事業者や自治体職員向けの勉強会の実施などの取組を進めております。
さらに、今後は、小規模な自治体や事業者であっても低コストでデータを整備できるよう、簡便なデータ作成ツールの提供も進めてまいります。
地方創生の基盤である地域交通におきまして、引き続きオープンデータ化を含めたデジタル化を推進することにより、より利用しやすい持続可能な地域交通の実現を目指してまいります。
○角田分科員 ありがとうございます。
特にバス事業者はやはり中小の事業体が多いということで、なかなかそういった専門的な人材の確保もままならない、そうしたところが遅れている一因となっていると思いますので、そうしたところに対する手厚い支援、これについてしっかりとまた取組を進めていただければと思いますので、これは要望とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
続きまして、鉄道駅の安全対策について質問をさせていただきます。
二〇一六年八月に、東京メトロ銀座線青山一丁目駅において、盲導犬を利用していた視覚障害者がホームから転落し、列車に接触して死亡する事故が発生をいたしました。私自身も事故発生直後に現場を視察させていただきました。この事故を踏まえ、公明党として、抜本的な安全対策としてホームドアの設置促進を強く求めてきました。
こうしたこともあって、鉄道駅ホームへのホームドア設置が進むようになりましたが、令和三年、バリアフリー法に基づく基本方針では、目標年度の令和七年度までに、鉄軌道駅全体で三千番線、うち一日当たり平均利用者数十万人以上の鉄軌道駅八百番線でホームドアの設置を進めることとしておりますが、まず、この目標に対する現状と目標達成に向けての取組についてお伺いをしたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
ホームドアの整備目標に対する現状についてお尋ねがございました。
先生御指摘にありましたとおり、令和七年度までに三千番線、うち一日当たり平均利用者数が十万人以上の駅で八百番線を整備することとしております。三千番線と八百番線というのが目標でございます。
これは令和五年度末の時点でのデータでございますけれども、先ほど御紹介した全体の目標の三千番線のうち、二千六百四十七番線、ポーションでいいますと八八%、それから、十万人以上の駅で八百番線というふうになっていますが、これにつきましては五百五十九番線、ポーションでいいますと約七〇%が整備をされているところでございます。
達成に向けた今後の取組についてもお尋ねがございました。
国土交通省といたしましては、都市部におきましては、鉄道事業者が導入いたします鉄道駅バリアフリー料金制度、これを活用していただいて整備を進めていただきたいと考えておりますし、それから、それ以外の地域につきましては予算措置によりまして重点的な支援を行うということを行いながら、引き続き鉄道駅のホームドアの整備を推進してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○角田分科員 ただいまの整備状況については、八八%、七〇%というお話がありましたけれども、これは、個々の鉄道事業者ごとに見てまいりますと、やはりかなりまだ開きがあります。首都圏鉄道事業者の全駅数に対するホームドア設置率、これは二〇二二年度末時点ですけれども、東京メトロでは八九・四%が整備を既にされているのに対して、JR東日本が一三・〇%、京成が四・六%などとなっております。
整備が遅れている事業者の取組を促していただきたいと思いますけれども、その際に、転落のリスクに配慮した整備がやはり必要だと思っております。視覚障害者への配慮ももちろんそうですけれども、国交省の、知的障害、発達障害、精神障害のある人のための施設整備のポイントにおいて、知的障害、発達障害、精神障害のある人の中には、音などに過敏で大きな音に驚いてパニックになって走り出してしまったり、絶えず動き回ったり急に飛び出してしまうことがあるため、プラットホームにおける転落防止のホームドア、可動式ホーム柵の設置は有効とされているように、単に乗降客数だけではなくて、障害を持つ方が通う学校や施設等がある鉄道駅には優先的に整備が進むよう、取組を求めたいと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
ホームドアの整備は、鉄道利用者の安全、安心の観点から非常に重要であると考えているところでございますが、その整備には多額の費用を要するということと、それから駅の構造とかによって非常に難しい工事になることがあるということと、それから事業者によりまして駅の数とか駅のそもそものスペースの問題ということがありますので、一律に強力に進めることはなかなか困難だと考えているところでございますが、事業者ごとにそういったそれぞれの特性を十分に検討した上で、それぞれ整備目標や優先順位を適切に定めて、計画的に整備を進めていくということが重要であるというふうに考えております。
計画的に進めていく観点といたしまして、先生から御指摘がありましたような点も実は踏まえておりまして、移動等円滑化の促進に関する基本方針におきましては、全国の鉄道駅のホームドアの整備につきましては、転落及び接触事故の発生状況、プラットホームを始めとする鉄軌道駅の構造及び利用実態、地域の実情などを勘案し、優先度が高いプラットホームでの整備の加速化を目指すこととされております。
国土交通省といたしましては、それぞれの鉄道事業者が整備計画を策定する上に当たりまして、こうした基本方針の趣旨を十分に踏まえて、地域の実情などに応じた優先度を考慮して計画的に整備を進めていくよう、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○角田分科員 しっかり働きかけをお願いをしたいと思います。
時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○河西主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。
次に、青山大人君。
○青山分科員 立憲民主党の青山大人です。
まずは、観光立国推進政策について、大臣始め関係の政府参考人にお伺いします。
予算案の審議というと、どうしても歳出面ばかり注目されてしまいますが、ちょっと歳入改革の観点からも、踏まえて質問いたします。
日本への訪日外国人の観光客の数、近年、大幅な増加傾向を示しており、全体として日本の観光産業は活況を呈しており、地域経済の活性化にも大変寄与しております。
しかし一方で、観光客の急増に伴って、一部の地域では混雑やマナーの問題が指摘をされています。観光地の貴重な文化財が荒らされてしまったり、環境負荷が深刻化し、観光インフラの維持管理に要する費用も増大をしております。
そういった中で、ほかの国の例を見ますと、こういった問題に対応するために外国人の観光客から手数料を徴収して、例えば、タイでは、観光手数料を導入して、外国人観光客から観光地の整備やインフラ維持のための収入を得たりしています。また、ブータンでも、外国人観光客一人当たりに持続可能な開発費ということで徴収して、環境保全と観光振興を両立させるような仕組みを構築しているというふうに伺っております。
このような海外の事例も参考にしながら、日本においても訪日外国人の旅行客向けに観光手数料なるものを導入して、その財源をオーバーツーリズム対策や地方の活性化の施策に充てることはできないかと私は思うわけです。
なぜ、あえて手数料と言ったかというと、これは税という形にしてしまいますと、やはり、日本人と外国人で分けると、これはこれで国際法上の問題も生じると思います。今現在、例えば、国際観光旅客税、一人千円取っていますけれども、日本人は千円、外国人は二千円とかやってしまいますと、これはこれで問題が出てくると思いますので、私は、あえて税ではなくて手数料というような形態を取って観光資源の維持管理に必要な財源を確保する、そういったことが必要かなと思います。
今後、第五次の観光立国推進計画の見直しも行いますし、外国人観光客から収入を増やすような観点、そういったものを議論すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 青山委員の御質問にお答えを申し上げます。
確かに、本年一月、訪日外国人旅行者数は約三百七十八万人と、前年同月よりは四一%の増加でございまして、単月として過去最高となっております。インバウンド、今非常に好調な状況でもありまして、力強い成長軌道に乗っているものと受け止めているところであります。
他方で、委員御指摘のような、オーバーツーリズムのような様々な対応もしていかないといけないというのは、それは御指摘のとおりだと思っております。
訪日外国人観光客から国への収入をどう増やすのかという観点の御質問でございますが、現在のところ、国土交通省としましては、観光地や観光産業の高付加価値化等の推進であるとか、あるいは地域の観光資源の磨き上げでございますとか、そうした様々な取組を通じまして、インバウンドによる観光の消費、これを維持し、そして更に消費を拡大していくということに取り組むことが重要ではないかと考えております。また、全体のインバウンド数の増加等も通じまして、外国人観光客からの収入がそうした取組の中で増加するように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○青山分科員 いきなり、大臣、なかなか答えにくい質問だと思いますけれども、本当に、取れるところから取るという言い方は非常に語弊がありますけれども、例えば、今のこの円安の状況ですとか含めて、仮に、例えば一人当たり訪日外国人旅行客に千円を何らかの形で課したとしたって、全体の今のこの為替相場の状況とかを見れば、私はそんなに影響はないと思うんですよ。それだって、年間何百億円という新たな財源になると思うんですよね。
私は、そういったことを国としても、やはり、歳入、収入を上げる観点からも、そういった議論はあってもいいのかなというふうに思いますので、大臣、今すぐここで結論は求めませんけれども、そういった意見があるし、新たな収入を確保して、それを文化財の保護や観光地の保護、自然環境保全に使う、そういったものを是非検討してほしいというふうに思います。
それでは、次の質問に行きます。
今申し上げた国際観光旅客税、二〇一九年に導入されて、観光インフラの整備や出入国管理の強化などに使われてきました。導入から五年以上が経過し、一部の目的は達成しつつあると思います。使い道を見直す時期に来ているのかなと私は思っております。
訪日外国人観光客の動向を見ると、その多くが東京や大阪、京都など主要都市に集中しており、地方観光への誘導が十分に進んでいません。その一方で、地方の観光資源は活用されず、特に観光客の利用が少ない地方の公共機関は赤字が続き、維持が困難な状況となっております。
そこで、使い方を見直し、より地方の観光振興や交通インフラの維持に直接活用できるような仕組みを整備することも必要ではないでしょうか。例えば、観光旅客税の一部を地方自治体に直接分配し、各地域の特性に応じた観光振興策を実施できるようなことを検討すべきじゃないかと考えますが、考えを伺います。
○平嶋政府参考人 二〇三〇年の訪日外国人旅客者数につきましては、六千万人の目標に向けて、観光施策を国が先頭となって進めているところでございます。その上で、スムーズな出入国手続を始めとしまして、快適に旅行できる環境の整備を整えていくということは非常に大事な国としての喫緊の課題だと考えております。
このため、国際観光旅客税の税収につきましては、まずは国が主体として実施する観光施策の財源とすることが適当であると考えておりまして、こういったことから、地方に譲与する仕組みとはしていないところでございます。
他方で、広く各地域へ外国人旅行者に来ていただく、また滞在を促進するということにつきましては、国の観光施策としても非常に大事な課題でございます。こうした観点から、国際観光旅客税につきましては、外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律、この法律に基づきまして、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上、それから、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、こうした三つの分野に税収を充当しているところでございます。
こうしたことから、税収の一定割合につきましては、地方のまさに滞在を磨き上げるというところも含めて、観光資源の整備、それから地方部の公共交通等の機能の向上等に充当しているところでございます。
引き続き、地方公共団体の創意工夫も生かして、観光資源の整備、それから地方部の公共交通機関等の機能向上等も支援してまいりたいと考えております。
○青山分科員 わざわざ、二〇一九年、新しい税を取って、ですから、やはりそういったものが何に使われているかというところももう少し示してもらった方が理解も深まるかなと思いますし、先ほどの一問目の話ですけれども、国際観光旅客税を上げろと私は一切言っていませんからね、そこだけは勘違いしないでくださいね。それを上げちゃうと日本人までまた余計増税になってしまいますので、私がお伝えしたかったのは、さっきの質問ですけれども、やはり外国人から取れるところは取りましょうという話ですので、そこはちょっと一旦くぎを刺しておきますね。
次、訪日外国人観光客には、免税制度、これは今回一部変わったんですけれども、高速道路の割引やJR割引などの各種優遇政策が提供されています。これらの施策は、以前の円高のときや観光客誘致のための施策としては一定の効果を発揮したと思いますけれども、現在の円安の状況では、訪日外国人の購買力が大幅に向上しており、これまでのような優遇制度が必要かどうか、改めて検討する必要があると私は思います。
むしろ今必要なのは、現在減りつつある日本人の国内観光需要の喚起をすべきではないでしょうか。日本人の国内旅行者を支援する割引制度ではないでしょうか。政府の御意見をお聞かせください。
○平嶋政府参考人 国内外の観光需要が回復し、成長軌道に乗っている中、全国津々浦々にその恩恵を行き渡らせるということの上では、インバウンドの地方誘客を進めていくことは非常に重要でございます。
御指摘いただきました、高速道路周遊パス、また鉄道に関してはジャパン・レール・パスがございますけれども、訪日外国人旅行者の周遊促進、それから利便性の向上を図る取組として実施されてきているところでございます。
まず、訪日外国人向けの高速道路周遊パスの価格についてでございますけれども、昨年十月に国内向け周遊パスと同価格への引上げが行われているところでございます。
二点目に、ジャパン・レール・パスにつきましては、令和五年十月に商品内容の充実が図られておりまして、その際、それと併せて、それに対応した価格への改定が行われているところでございます。
いずれにしましても、国土交通省としましては、インバウンドも含めた観光客に全国の観光地をより多く訪れていただけるよう、引き続き取組を推進していきたいと思います。
○青山分科員 いずれにしても、日本人が国内旅行できなくなって外国人だけ旅行するというような、私は、そんなふうにならないように、そこはしっかり、最低限のことはやってほしいというふうに思います。
次の質問に行きます。運転代行業について幾つか質問をさせていただきます。
運転代行業は、飲酒運転撲滅のために不可欠な社会インフラだと思います。特に、深夜帯や公共交通機関が利用できない地域では、運転代行業の存在が安全な移動手段を確保する要となっております。
私は、平成三十年、二〇一八年に、自動車運転代行業に関し国による都道府県への指導に関する質問主意書を提出いたしました。その質問主意書の政府答弁を踏まえ、あれから七年たったので、今の現状と今後の施策について改めて伺います。
まず一点目、平成三十年に、国土交通省から都道府県に対し、最低料金の条例化が可能であることを明確化する通知が発出されましたが、それ以降、実際に条例を制定した自治体はありますか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
運転代行法ですけれども、これは、従前の運転代行におきまして、違法なタクシー類似行為が行われているとか、利用者保護に欠けている、そういった問題がありましたことを受けて、最低限必要な措置を講じて業務の適正化を図る、こういう目的で制定されたものでございます。その中で、料金水準については規定されていないという状況でございます。
一方で、先ほど御指摘ありましたように、過去の分権改革要望も踏まえまして、最低利用料金について、条例で設定することも可能であるということにつきまして、平成三十年十二月に通知したところでございます。
その後、当該条例を制定した自治体はないと承知しております。
○青山分科員 実際、まだそういった自治体はないということで、都道府県ごとに最低料金の価格が異なる状況、さらには、同じ県においても事業者によって結構料金というのは異なっています。多分、大臣なんかも運転代行業を利用したことがあると思うんですけれども、やはり、安かろう悪かろうでは結果的に利用者の安全が脅かされます。サービスの品質や価格に大きなばらつきも生じております。この結果、一部の地域では運転代行業者が過当競争に巻き込まれ、安全性を犠牲にして低価格化が進むケースも報告されております。
一番の目的は、飲酒運転撲滅のためだと思います。そして、利用者の安全の確保だと思います。やはり最低料金の基準は必要ではないかと私は思いますが、政府の見解をお伺いします。
○鶴田政府参考人 先ほど申し上げましたように、運転代行法は、利用者保護等の観点から、必要最小限の措置を講じて適正化を図るというものでございます。
一方で、利用者保護等の観点から料金水準が問題ないかということで、実態を把握することも重要でございますので、令和元年から三年にかけて調査を行いまして、地域や事業者ごとに料金が多様であること、また、基本的に、手法としましては、距離制や時間制などの合理的な手法で設定されていることを確認したところでございます。
お尋ねのありました最低料金制度の未整備が労働条件の悪化を招いているかどうかという点につきましては承知をしておりませんで、料金に関して統一的な基準を設けることは、現時点において考えてございません。
○青山分科員 最低料金は一律に定めることは考えていない、困難かもしれませんけれども、例えば、地域によっては物価水準なんかも若干違いますし、そういった人件費を考慮した一定のやはりガイドラインみたいなものを、私は、国が作成をして、自治体が条例を制定しやすくするような枠組みを提供することは可能ではないかというふうに考えますけれども、そういったことについての対応方針はどうでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省としては、この運転代行法に基づいて適切に対応していくということが大変重要であると考えております。
このため、先ほど申し上げましたように、条例で制定できるということを通知したところですけれども、その際にも、設定の考え方として、これは経済的規制を課すことにもなりますので、留意点としまして、地域の実情を正確に把握する必要があることですとか、それから必要なコストを勘案するですとか、それから利用者保護の観点から不当に高額にならないようにするといったこととか、そういった考え方も示しておりますが、これをしっかりと参考にしていただきつつ、また、自治体からのお声も伺って、必要な助言等を行ってまいりたいと思います。
○青山分科員 逆に、自治体から、そういった条例制定についての問合せとかアドバイスを求める声なんというのは、これまで幾つかあったのでしょうか。
○鶴田政府参考人 私が把握している限りでは、具体の相談というのはなかったかと承知しております。
○青山分科員 やはり、そうしますと、まずはちゃんとその地域ごとの実態をしっかり調査をしてほしいというのが、まず国としての考え方というような認識でよろしいですか。
○鶴田政府参考人 実態をしっかり把握することは大変重要でございますので、先ほど申し上げた令和元年から三年にかけての調査もございますが、それで足らざるところがないかということも考えて、必要な調査も行ってまいりたいと思います。
○青山分科員 では、まず、その調査を改めて、何か調査自体も、業界の方のもちろんお力もかりることも大変必要なんですけれども、業界任せじゃなくて、しっかり国交省の方で、全体を把握できるような、そういう調査を是非やっていただきたいなと思いますけれども、どうでしょうか。
○鶴田政府参考人 委員御案内のように、非常にこの業界、多種多様な方々が担っていただいています。業界の団体もございますけれども、ほかの交通モードと比べて組織率は極めて低くて、団体に任せるだけではなかなか全貌がつかめないというのが実態だと思います。
そういったことを踏まえて、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○青山分科員 まさに今おっしゃったように、どうしても個人でやっているところも多いので、だから、なかなか団体の皆さんも全部カバーし切れない。ただ、多分、代行業というのは、いわゆる、一応登録制ですから、ちゃんと代行業自体の数は把握していると思いますので、そういうところにちょっと聞くような、国の方でそういう調査を私は是非やってほしいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問です。
国が、よく車体表示、何か番号を書いている、これは義務づけされていると思うんですけれども、そういうのがないようなものをたまに見るんです。また、任意ですけれども、あんどんの設置なんかも任意でもやるようにと書いてあると思うんですけれども、そういった設置状況とかというのは、一応国の方では把握されていますか。
○鶴田政府参考人 運転代行法上、利用者が所有する自動車で代行を行いますので、それから随伴自動車もございます。これが運転代行業務に供されていることが分かるように表示等を行うというのが、法律上義務づけられています。
また、御指摘がありましたあんどんにつきましては、これは義務づけはされていませんけれども、装着が可能とされておりまして、その上で、そういうあんどんを装着する場合には、タクシーと誤認される可能性がないように、代行であることを明確にするということを求めているものでございます。
この車体表示やあんどんの装着状況につきまして、国土交通省として網羅的には把握してございませんけれども、権限を有します都道府県等が個々に立入検査を実施する際などに確認をしているものと承知をしております。
○青山分科員 あと、運転代行業、最後の質問なんですけれども、代行業者さんから、最低保有車両台数の基準を設定すべきなんじゃないかなという声もあります。最低台数を定めることで、過当競争を防ぎ、安定した経営基盤の確保にもつながるとも考えられますが、その必要性について、ちょっと政府の見解をお伺いいたします。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
自動車運転代行業法を適切に運用することにより、自動車運転代行業の業務の適正な運営を確保し、交通の安全と利用者の保護を図ることは重要な課題であるというふうに認識しております。
自動車運転代行業につきましては、必要な要件を都道府県公安委員会が認定するという制度になっておりまして、その業務の適正な運営を確保するために、必要最小限の事項について規定されているところでございます。
自動車運転代行業の実態につきましてですが、令和四年末時点において、事業者が保有する随伴用自動車が一台の事業者が全体の約五二%というふうになっておるところでございます。
一方、自動車運転代行業者による交通死亡事故件数、交通事故件数、いずれも減少傾向にございまして、平成二十七年には交通死亡事故が十三件、交通事故が五百五件であったものが、令和六年にはそれぞれ四件と二百四件に減少しているところでございます。
こうした実態を踏まえますと、お尋ねの最低保有車両台数基準につきまして、新たな規制が必要な状況にあるというふうには認識しておらないところでございます。
いずれにしましても、今後とも、自動車運転代行業者による交通事故、違反の実態を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○青山分科員 それでは、次の質問に行きます。
ちょっと質問の順番を変えます。つくばエクスプレスの土浦延伸に関することについて伺います。
私も今日この後、つくばエクスプレスに乗って帰るんですけれども、つくばエクスプレスの土浦延伸は、茨城県全体の発展に寄与する重要なインフラ整備であり、今現在、つくばエクスプレスが東京駅延伸という計画がある中で、それと一体で進めること、つくば駅と土浦を結ぶことで、費用便益比や採算性の向上も見込まれます。
現行の試算では、土浦延伸単独、TXの終点つくばから土浦だけの単独延伸では累積資金収支が黒字化するまで四十三年かかるのに対して、東京駅の延伸と一体で整備した場合には二十七年で黒字転換するとの計算結果も示されており、国としてもこの事業を積極的に支援すべきと考えます。
都市鉄道利便増進事業費補助の活用なども含めた財政支援など、延伸計画の早期実現に向けた政府の具体的な支援策についてお伺いします。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
つくばエクスプレスの延伸につきましてお尋ねがございました。
つくばエクスプレスの延伸につきましては、今月、二月の二十五日に、茨城県におきまして、土浦延伸の単独整備や土浦延伸と東京延伸との一体的な整備などを盛り込んだ事業計画素案を公表したと承知をしております。
この計画のうち、東京延伸につきましては、平成二十八年の交通政策審議会答申におきまして、沿線地域と都心とのアクセス利便性の向上などに意義があるという評価をいたします一方で、関係者において事業費などを含めた事業計画について十分な検討が行われることが必要というふうな指摘もされているところでございます。
また、土浦延伸につきましては、茨城県を中心に地域において検討されているものと承知しておりますが、事業化に当たりましては、需要の見通し、収支採算性、事業スキームなど、具体的な事業計画の検討を行うことが必要であると認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、まずは、沿線自治体や鉄道事業者などを始めとする関係者の間において具体的な事業計画の検討を進めていただくことが必要であると認識しております。
国土交通省といたしましては、関係者間における検討状況を踏まえつつ、制度面や技術面の観点から必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○青山分科員 ありがとうございました。
ちょっと時間がないので、最後の質問は簡潔にやります。
今回、埼玉県での陥没事故を受けて、各自治体が適切に上下水道の点検、修繕ができるように、地方自治体への財政支援の強化をお願いいたします。
また、平成三十年の水道法の改正により、コンセッション方式の導入というのがございました。私は、この方式に対して懐疑的な立場でございます。上下水道の最終的な責任は地方自治体にあるとはいえ、コンセッション方式では、民間企業が運営を担うことで利益優先によるコスト削減が行われ、安全管理がおろそかになる懸念もございます。
既に海外では、コンセッション方式の問題が顕在化して、フランス・パリのように再公営化された例もございます。日本において同様の課題が生じる可能性を十分に考慮すべきだと私は思います。
国として適正な財政支援を行うとともに、厳格なモニタリング体制を構築し、住民が安心して上下水道の運営を確保できるよう強く求めるが、政府の見解をお伺いします。
○河西主査 松原大臣官房上下水道審議官、質疑時間が迫っておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。
○松原政府参考人 上下水道は、住民の生活に直結する重要なインフラでございますので、施設の老朽化の進行を踏まえ、これらを適切に管理していくことが重要であると認識をしております。
国土交通省では、地方公共団体が行う維持管理のうち、施設の点検や調査、これらの結果に基づく計画的な改築更新などの重要な対策について財政支援を行っておりますので、引き続きこれらの取組を進めていくとともに、今後策定予定の国土強靱化実施中期計画に必要な施策が盛り込まれるよう取り組んでまいります。
コンセッション方式につきまして御指摘がございました。
委員御指摘のとおり、管理者は地方公共団体でございますので、民間事業者が提供するサービス内容や水準、官と民の役割分担につきまして、しっかりと契約で明確に規定することになりますので、これらを公共団体の側でしっかりとモニタリングをして取り組んでいくということが基本でございます。
国土交通省といたしましては、モニタリングの重要性や、先行事例等を盛り込んだガイドラインを地方公共団体にしっかり周知をすることなどにより、上下水道事業の持続性の向上につながる官民連携の推進にしっかりと取り組んでまいります。
○青山分科員 以上です。ありがとうございました。
○河西主査 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。
次に、菊池大二郎君。
○菊池分科員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。
本日は中野大臣からも質疑に御答弁いただく予定になっておりますけれども、実は、こうやってお会いするのを楽しみにしてまいりました。というのも、私、昨年の十月に初当選させていただいて以降、こちらの国会もそうです、地元、私、山形になりますけれども、山形に行っても、中野大臣と似ているなという声をいただきまして、私は大変恐縮をしておるんですけれども、中野大臣から、本当に、国交省職員の時代から、災害現場、様々御対応されてきたというふうにお伺いをしておりますし、是非今日は、自然災害、そしてまた今年は、私、山形、東北、豪雪地域でございますので、そういった視点で質問をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず、防災・減災、国土強靱化の更なる推進に向けて、予算の拡充というところで御質問させていただきたいというふうに思います。
昨年、最上川の水害が発生をしまして、過去最大被害規模になりました、一千百十一億円ということで。この最上川の水害は令和二年そして令和四年も発生をしておりまして、山形は豪雪県でありますけれども、今や豪雪に加えて豪雨の自治体というふうに私は感じております。
この点、九州であれば一千ミリぐらいの降雨量があったとしても、もちろんそれも被害にはなってしまうわけですけれども、一千ミリぐらい、山形とか東北の場合は三百ミリぐらいで越水だったり洪水被害があるということで、河川整備計画における計画降水量の見直しというところも今後必要になってくるのではないかなというふうに思っております。
現在、河道掘削等の事業を計画的に進める、山形県でいえば最上川緊急治水対策プロジェクトを進めておるところでございます。
この最上川について、少し印象づけてもらうために補足をしたいと思うんですけれども、日本三大急流の一つであります。一つの都府県のみを流域とする河川としては日本一の長さを誇っております。
そして、これは意外と知られていないかもしれませんけれども、「最上川」というのは山形県民の歌でもありまして、この「最上川」の歌詞、「広き野をながれゆけども最上川うみに入るまでにごらざりけり」というのは、昭和天皇が、東宮でおられた大正十四年に山形県に行啓され、御覧になった最上川の様子をその翌十五年の歌会始においてお詠みになられたものでございます。昭和五年にこちらに作曲がつけられまして、昭和五十七年の三月に山形県民の歌に制定されたということで、この最上川というのは本当に県民からも愛されて、そしてまた母なる川と愛されてきたわけでありますけれども、昨今は県民生活を脅かす存在になっているというところでございます。
激甚化、頻発化する災害の現場で体感して思うのは、災害対策、国土強靱化こそ経済対策であるということであります。関連予算を拡充して、災害時においても日常の経済活動への影響をいかに抑制していくかということが非常に重要であります。
この予算措置におかれましては、いわゆる一・五か年予算ということで、補正において強く手当てをしてもらっているという印象でございますけれども、山形県の河川整備の財源はというと、やはり、補正も合わせた全体の中でいうと、通常の河川整備の予算について言うと四分の一程度であります。
一・五か年補正予算対応で大きく手当てをしているという現状であるわけでありますけれども、河道掘削を始めとする強靱化対策のために、五か年加速化予算の延長もさることながら、自治体の計画的な河川等の整備のため、加えて、関係する建設業者等の様々な取組を充実化させるためにも、国土強靱化に係る予算の当初における予算化を実現していく必要があるのではないかなと思いますが、国交省のお考えをお聞かせください。
〔主査退席、谷主査代理着席〕
○黒田政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、令和六年度補正予算におきまして国土強靱化関係予算として約一・三兆円を、令和七年度の当初予算案で国土強靱化関係予算案を約三・六兆円計上させていただいております。当初予算と補正予算と合わせて、国土強靱化関係予算をしっかりと計上させていただいております。
委員御指摘のとおり、近年激甚化、頻発化する自然災害、インフラの老朽化から国民の生命と財産を守るためには、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を着実に進めること、これが重要であると考えております。
国土強靱化実施中期計画につきましては、現在、策定作業を進めておりまして、その予算措置の在り方について言及できる段階ではございませんけれども、国交省としては、引き続き、強靱化に必要十分な予算を確保できるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。
○菊池分科員 自治体だけではなく、先ほど申し上げましたけれども、いわゆる関係事業者の、現状におけるDX化だったり様々な取組があります。そういった意味でいえば、当初からこれぐらいの姿勢でいくんだという見通しを立てるという姿勢も、私は地元の声としても大変多くいただいておりますので、是非そちらの方も念頭に置いていただければというふうに思います。
今、インフラの件もございました。先ほど来、埼玉県八潮市での道路陥没事例の話もございます。極めて悲惨な事故であったと思っております。住民にも百二十万人近く影響が出ておる。
この点、道路のみならず、こうした上下水道施設、緊急輸送道路上の橋梁や住宅など、様々な社会的なインフラの老朽化への対応を進めていくこと及び耐震化率を高めていくことがこれからの自治体の極めて重要な課題である一方、財政負担も非常に大きいという課題もございます。
人口減少が一層加速化する中で、更新の時期が迫る施設が多数生じてくるという厳しい環境において、長寿命化対策や施設の維持運営に官民連携の仕組みやデジタル技術の導入を取り入れるなど、これまで以上に対策を講じていく必要があると考えております。
そこで、各種インフラに対する現状の認識と、今後、国としてどのように市町村等を支援し、取り組まれていくのか、お考えをお伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のとおり、我が国のインフラは、全体として今老朽化が加速度的に進んでおりまして、維持管理、更新に要する費用の方もこれから更に増大する見込みになっております。
こういった課題に対しましては、修繕とかその更新を計画的に実施をしていくということが何より重要でございまして、国土交通省の方から自治体等の施設管理者の方には様々な働きかけを行わせていただいております。
具体的に申し上げますと、施設の点検をまず行い、その施設の健全度の診断を行っていただく、そして、その結果に基づいて、個別施設ごとに修繕とか更新の実施計画を定めていただいて、これに基づいて対策を計画的に行っていただく、こういう取組をお願いをしているところでございます。
現在のところ、ほぼ全ての所管施設におきまして個別施設計画というものが策定される段階まで至っておりますけれども、更に予防的な修繕に関する記載を充実していただくことで、点検をやるその数年間だけじゃなくて、施設のライフサイクル全体を通じた計画的な対策の実施というものを促していきたいというふうに思います。
こういった働きかけだけでなくて、お金の面でもインフラのメンテナンスを支援するための補助制度というものを設けております。自治体の老朽化対策を引き続き支援してまいりたいと思いますけれども、この補助制度の中でも、新しい技術を使ってより効率的にメンテナンスをやろうというような取組はより優先して支援を行わせていただくような補助制度を仕組むことなどによりまして、自治体のより的確かつ効率的、そして計画的なメンテナンスの実施をより促していきたいというふうに思っております。
○菊池分科員 自治体の規模に応じて、やれること、やれないこと、様々おありだと思いますけれども、是非国の方でも伴走支援をより強化していただきたいなというふうに思います。
続いて、除排雪関係、雪対策の関係の話をさせていただきたいというふうに思います。
この雪というものが国会で初めて法的に認定をされたというのが昭和五年です、今から約百年前でありますけれども。この雪害救済運動で法的に雪害というものを確認をしたというのが、私、山形県村山市というところが地元になるんですけれども、この村山市出身の代議士で松岡俊三さんという方がいらっしゃいました、この松岡俊三さんが、東北を行脚して、そして雪も生活にとって非常に大変な重荷なんだということを国会で訴えて、それで法的に今は認定をされ、様々な災害救助だったり関連法に関して雪というものがメニューとして出てくるようになったという歴史があります。
山形県は、全三十五市町村が豪雪地帯に指定されております。うち二十六市町村は特別豪雪地帯に指定されておりまして、全国でも有数の豪雪県であります。今冬の状況を見れば、山形を含む東北、青森県、非常に大雪に見舞われました。二月五日から平均を上回る大雪になりまして、特に山形市や米沢市では平均の約二倍の積雪深を観測し、二月二十五日現在、除雪作業等による人的被害は百六名に及んでおります。うち四名の方がお亡くなりになられたということで、心から改めてお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
例年以上の除排雪対応が必要な状況であります。道路消雪施設の電気代、除雪機械の燃料費、凍結抑制剤の高騰、労務費の上昇も重なって、既に山形県の道路除雪費の執行額は当初予算の九六%に二月十日時点で達しております。市町村も同様で、最終的にはほぼ全ての市町村で当初予算を上回る見込みとなっております。関係省庁と連携を図りながら、窮状に即した追加支援を是非お願いをしたいなというふうに思います。
そしてまた、この雪対策に関係する課題でいえば、雪寒施設や除雪機械、雪寒地域特有の舗装劣化等の対策については、様々な事業債、防災・安全交付金や社会資本整備総合交付金等を活用しながら対応しているというような状況であります。
私が思うに、雪の降り方がすごく変わってきたなと思います。ずっと満遍なく降るのではなくて、雨と一緒で、二日、三日にかけてがっと降る。そういった雪の降り方が変わってきたからこそ、人的にも物的にも様々、この体制をどう構築していくかというのが非常に課題になっております。
変な話、降らない年もあるわけであって、となれば業者の方も車両を徐々に手放していかないと維持費がかさんで大変だというところで、この除雪業者の体力の低下ということも懸念されます。そしてまた一方で、オペレーターの高齢化、人材不足ということも非常に喫緊の課題であります。そしてまた、雪が降らない場合の待機補償だったり、隣接する自治体によって除雪の単価、排雪の単価も異なったりということで、それがまた、ある意味で、国道、県道の方に人材が行って、極めて生活に密接につながる生活道である市町村道にオペレーターが配置されないとか、そういったところも一つ大きな課題として認識をしております。
以上、様々、除排雪への対応というのは極めて困難な状況下にあるわけでありますけれども、この除排雪への対応、自治体への支援の取組についてお伺いいたしたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今年の冬は、平年を大幅に上回る積雪、全国で多く記録をしております。特に短時間での急激な大雪などによりまして、特に地方公共団体の道路の除雪費、これが、非常に予算額が、執行額が例年を上回る規模で進んでおるということでございます。
国土交通省においては、地方公共団体が管理をされます道路の除排雪の一部に対して補助を実施をしております。年度当初に一定の額を配分をさせていただいた上で、その年の積雪の状況でありますとか除排雪費の執行の状況を把握させていただいて、年度末に追加配分をさせていただくという仕組みになっております。
今年に関して言いますと、既に現時点で、これは全国的にトータルで見ればということでありますけれども、地方公共団体に年度当初に配分をさせていただいている道路の除雪費、これを上回る除雪費が地方公共団体で執行されておるという状況でございますので、先週の二月の二十一日、地方公共団体に対しまして、更なる追加支援に向けまして、年度末までの道路除雪費の執行の見込みなどについて聞き取りを開始をさせていただいたところでございます。
聞き取りの結果を踏まえまして、関係機関とも調整をいたしまして、三月にも更なる追加支援を実施をしていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○菊池分科員 最後、中野大臣にお伺いをしたいと思います。
除雪、雪対策における課題も、先ほど総じて私なりの私見をるる述べさせていただきましたけれども、国土強靱化実施中期計画の策定作業において、これは山形県からの要望項目でも挙げられておりますけれども、重点的に雪害対策に取り組んでいくことをしっかり位置づけて、例えば、現在の五か年加速化対策予算でも、雪寒施設の整備、更新や、凍結、融解により劣化しやすい舗装の修繕等、豪雪地帯特有の課題に対する支援の拡充が可能となるような体系を構築する必要があるのではないかなと私は強く考えております。
いずれにせよ、人口減少が進む中で、道路の総延長は延びていっているわけであります。公共施設をどう維持していくかが雪国においては極めて重要なテーマでありますが、国交省としてどう総合的な雪対策を進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。
○中野国務大臣 菊池委員の御質問にお答え申し上げます。
御地元、山形県ということで、大変な豪雪県でございます。この冬も大変な豪雪の状況だというふうに伺っておりますので、豪雪対策というのは非常に重要だということを、先ほど委員のいろいろな歴史的な雪の対策のお話も聞かせていただきながら、改めて私も思ったところでございます。
委員まさに御指摘のとおり、豪雪地帯では雪の降り方も変わってきたという御指摘もありました。近年、短期間での集中的な降雪というのも発生をしております。積雪によりまして道路交通を始めいろいろな交通が阻害をされる、あるいは、今、雪下ろしも、御地元では大変担い手不足というか、高齢者の方が、作業中の死傷事故が発生したりですとか、様々な御苦労もあるかと思います。人口減少や高齢化が進展をして、除排雪を担う人材不足も深刻化をしている。本当に多くの課題があるというふうに認識をしております。
国土交通省では、令和四年十二月に閣議決定をされました豪雪地帯対策基本計画というのがございます。この中で、冬期の安全で円滑な道路交通等の確保、あるいは、建設業を始めとした除排雪を担う人材の確保、育成、そして、地域における持続的な共助除排雪の体制、みんなで支え合うというふうなことも含めて、こうした取組を進めているところでございます。
特に、除排雪、今、社会資本の維持を担う建設業等の方がやっておられますけれども、この担い手をしっかり確保するために、改正建設業法に基づきまして建設業の処遇の改善あるいは生産性の向上にも取り組んでおります。また、オペレーターの不足という御指摘もありました。オペレーターの省人化に資するために、今、ICTのいろいろな技術を活用しまして除雪車の作業装置を自動化をするという技術の開発にも取り組んでいるところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、関係省庁及び豪雪地帯の御地元の道府県等ともしっかり連携をしながら、豪雪地帯対策の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○菊池分科員 ありがとうございました。
ちょっと順番を変えて、次の質問をさせていただきたいというふうに思います。
住宅政策についてということで、繰り返しになりますけれども、昨年の水害も含め、私も、災害の現場を回っていると、昔の人は衣食住と、よく言ったものだなと思いますけれども、この住という部分が非常に重要だなということを改めて痛感をいたしました。
大規模な浸水や土砂災害により家屋が被災した方々のために、地元の大工さんたちが、山形県でいえば鮭川村、戸沢村の仮設住宅の建設に昼夜を問わず御尽力をいただきました。加えて、能登半島の方にも、山形県の方から大工職の方々が応急仮設住宅の方に携わっているというふうにお伺いをしております。
先ほど来申し上げておりますように、災害対策こそ経済対策であると。地域内で、木材供給や人材確保も含めて、住まいの部分をいかに完結できるかが重要だなと。住宅建築においても安全保障という考えが当てはまるのではないかなと思っております。
この点、エッセンシャルワーカーとも言える大工職について、災害を目の当たりにすれば非常に重要だと。そしてまた、全国的に見ても若年の担い手が極めて少なくなっている状況にあります。
職業訓練校の取組への支援など、熟練された技術をいかに継承していくかが重要であり、処遇や労務費等の改善を含めたもろもろの対策が必要だと思っております。
災害時の住まいの確保という観点も含めて、大工職の人材確保と育成による技術力の向上が重要と思っております。現状の認識や課題も踏まえた国交省の取組についてお伺いいたします。
○楠田政府参考人 お答えをいたします。
先生御指摘のとおり、木造住宅の担い手であります大工の就業者数につきましては、この二十年間で半減をして、約三十万人にまで減少しております。また、高齢化も急速に進んできておりまして、二十九歳以下の大工さんは全体の約七%になっています。
今後も住宅の安定的な供給や適切な維持管理を続けていくためには、担い手の確保、育成は不可欠でございます。国交省としても積極的に取り組んでまいる考えでございます。
具体的には、事業者団体等によります大工の育成のための研修等の取組につきまして、引き続きしっかりと応援をしてまいりたいと考えてございます。
また、昨年六月に成立をいたしました改正建設業法に基づきまして、適正な労務費の確保と支払い等による技能、経験に応じた処遇の改善でありますとか、適正工期の徹底による働き方改革などに取り組んでまいります。
さらに、先生の方から山形、能登の仮設のお話もございました。地域の住宅生産事業者等がグループを構成をして災害時の住まいの確保に必要な技能の訓練等を行う取組への支援、こちらを開始をするために、令和七年度当初予算に必要な経費を計上しているところでございます。
引き続き、関係団体等と緊密に連携をしながら、大工技能者等の確保、育成に全力で取り組んでまいりたいと思います。
○菊池分科員 次に、省エネ住宅の推進という部分で、二つ、ちょっとまとめて御質問させていただきたいなというふうに思います。
ヒートショックという言葉があります。お風呂上がりに体に影響が生じて高齢者の方が亡くなってしまうというようなことがありますけれども、そういったものを防止しようということで、私の地元の山形県では、平成三十年度に、全国に先駆けて、国の基準を上回る高気密、高断熱性能を有する住宅を県が認証するという、やまがた健康住宅制度というのを導入しております。
これに、昨今、ターゲットを、子育て世帯に焦点を合わせ、支援メニューの拡充、事業者を登録制にして消費者に見える化を図ったり、ロゴマークを作ったり、今はやまがた省エネ健康住宅という名前に変えて、省エネ住宅を進めようということに力を入れております。
この点、環境省と国交省が主管の子育てグリーン住宅支援事業というものがスタートをしておりますけれども、省エネ基準が非常に高いのではないかなという懸念もあります。
というのは、やまがた省エネ健康住宅というのも、国の基準よりも高く設定している住宅の認証制度なんですけれども、なかなか響いてこないというところがあって、実際に消費者にとっても分かりやすい、そして事業者にとってもそれを後押しするような、当事者双方にとってメリットが何なのかというものをもうちょっと深めていかないといけないという中において、なかなか響いてこないという現状があります。更にその上を行くような設計になっているのではないかなというところを懸念しておりますけれども、是非、消費者や事業者にとっても分かりやすい整理、仕組み、誘導が必要であろうと思います。
この点、住宅の省エネ性能の向上に向けた国交省の取組について伺いたいと思います。
あわせて、市町村におけるリフォームの補助事業も非常にニーズがあって、執行率も高いなという印象があります。様々、先ほど、四号特例の縮小だったり、法改正の話もありますけれども、空き家対策というと、どっちかというと除却をするという視点が強かったわけなんですけれども、リフォームにも省エネという考えを入れて、付加価値をつけて資産運用していくというような視点もあるのではないかなと思っております。
こうした空き家対策の観点も踏まえて、どのような支援策を取られるのか、併せてお伺いをしたいと思います。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
住宅の省エネ性能の向上につきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた省エネ化の促進だけではなく、先生御指摘のとおり、居住者の健康の維持増進の観点からも大変重要な課題でございまして、積極的に取組を進めているところでございます。
具体的には、まず、本年の四月から、改正建築物省エネ法に基づきまして、新築住宅の省エネ基準への適合の義務づけを開始することとしております。
また、二〇三〇年度以降に新築される住宅につきましては、ZEH水準の省エネ性能が確保されるよう、今後、省エネ基準の水準を引き上げるということを予定をしております。
さらに、二〇五〇年に既存住宅を含みますストック平均でZEH水準の省エネ性能を確保するということを目指しまして、先生も御指摘ございました、令和六年度補正予算の中で子育てグリーン住宅支援事業というものを創設をいたしまして、GX志向型住宅への支援を行うこととしております。
これらに加えまして、今お話ございました、山形においてもやまがた省エネ健康住宅の普及に取り組まれているということを承知をいたしておりますけれども、居住者の健康の維持増進の観点からも、住宅の省エネ性能の向上の取組がより一層進んでいきますように、関係省庁でありますとか住宅関係事業者等と連携をいたしまして、住宅の温熱環境と健康との関係について調査研究を行いますとともに、その成果をリーフレット等で分かりやすく周知をするというような取組も行っているところでございます。
引き続き、住宅省エネ性能の向上に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。
それからもう一点、リフォームのお話もございました。
省エネを進める上で、リフォーム、大変重要だと思っております。先ほども申し上げました子育てグリーン住宅支援事業の中で、リフォームにつきましても取組をすることとしております。補助額を最大六十万にまで引き上げまして、自宅の省エネリフォームはもちろん、空き家をリノベーションして販売をする事業者の取組みたいなことにつきましても支援を行うということを考えております。
また、空き家のお話もございましたけれども、新築について、空き家を増やさない観点から、建て替え前の住宅の除却を行う場合には補助額の引上げを行うというようなことも進めていきたいというふうに考えてございます。
引き続き、空き家対策などの観点にも配慮をいたしながら、補助、税制、融資などの政策ツールをフルに活用いたしまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○菊池分科員 時間も来たと思います。一点だけ、提案というか、業界の方からの御意見がありましたので。
旅行業の方から、旅行業の登録制度に係る、五年に一回、営業保証金に加えて、基準資産ということで、資産の要件も見られるんですね。これが非常に大変だということで、ある意味で、この基準資産要件、財産的要件、これを緩和だったり廃止してほしいというような声をいただいておりますので、御提案だけさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○谷主査代理 これにて菊池大二郎君の質疑は終了いたしました。
次に、田村智子さん。
○田村(智)分科員 日本共産党の田村智子です。
全国の都市部、中でも東京の住宅価格の高騰、この問題について取り上げたいと思います。
東京都二十三区内では、二〇一五年に六千七百三十二万円だった新築マンションの平均価格が、二一年に八千万円台になり、二三年に急騰して一億円を超えました。昨年二四年の平均価格は一億一千百八十一万円になっています。かつて住宅取得の目安は年収の五倍程度と言われましたが、東京都では勤労世帯の平均年収の十八倍という価格、平均価格なんですね。
この価格高騰は、既存マンションにも影響しています。二十三区のマンション全体の平均価格は、二〇一五年との比較で、昨年は一・七四倍、東京都全体でも一・四八倍にもなっています。
国交省にお聞きしたいんですが、なぜ東京の住宅価格はこれほどまでに値上がりしているんでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のとおり、東京二十三区におきます住宅価格、特にマンション価格につきましては上昇傾向にございます。民間調査によりますと、新築マンションの平均価格は二〇二三年に一億円超となっているものというふうに認識をしております。
住宅価格におきましては、市場において様々な要因の影響を受けて変動するものというふうに考えております。近年の新築マンション価格につきましては、資材価格や労務費の上昇等に伴います建設コストの上昇や、利便性に優れた都心部等への堅調な住宅需要のほか、価格の高い大型物件が多く供給されたことなどの要因によりまして、平均価格が上昇傾向にあるものというふうに考えております。
○田村(智)分科員 御指摘いただいたとおり、東京の問題としては、やはり近年、タワーマンションを含む超高層ビルが次々と建設されている。二十三区内では、一億円を超えるマンションは、直近五年間はバブル期の五年間の二倍以上にもなっているんですね。その背景には、私は、国と東京都が大手ディベロッパーとともに都市再生の名で政策的に超高層ビルを呼び込んでいる、この問題を今日指摘したいんです。
まず、その一つの仕掛けが、都市再生緊急整備地域への指定です。東京駅を中心として都心部が広域に指定をされていますが、この都市再生緊急整備地域というのは何なのか、簡潔に説明ください。
○松家政府参考人 お答えします。
都市再生緊急整備地域は、都市再生特別措置法に基づき、都市機能の高度化や都市の居住環境の向上といった都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として政令で指定するものでございます。
当該指定地域に対しましては、各種の特例措置を講じることによりまして、民間投資の喚起や都市空間の質の向上を図り、我が国の活力の源泉である都市の魅力や国際競争力を高めることを目的としてございます。
○田村(智)分科員 続いてなんですけれども、この都市再生緊急整備地域に指定されると、開発業者である大手ディベロッパーはどういう支援が受けられるんでしょうか。
○内田政府参考人 お答えいたします。
都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域においては、優良な都市開発プロジェクトを促進する観点から、各種支援措置を実施しております。
具体的には、容積率緩和のほか、用途制限の緩和等ができる都市再生特別地区の指定を始め、都市計画等に関する特例措置を講じております。
また、公共施設等の整備を伴う優良な民間都市開発事業について、国土交通大臣が認定し、民間都市開発推進機構による金融支援や、税制上の特例措置を講じているところです。
○田村(智)分科員 大変手厚い支援があるんですが、今の容積率の緩和、これはどうやって決めるんでしょうか。
○内田政府参考人 お答えいたします。
都市再生特別地区においては、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図るために、容積率等を緩和することができることとなっております。容積率の緩和の程度等につきましては、個別プロジェクトにおける都市の魅力や国際競争力を高める等の都市再生の効果の程度、あるいは交通施設等の容量や周辺地域に対する環境上の影響等を勘案して、当該都市計画の決定権者が総合的に判断することとなります。
○田村(智)分科員 これは私も御説明を受けてペーパーもいただいたんですけれども、何か数値的な物差しではないんですよね。今のように総合的にと。しかも、公共への貢献度、これで測るんだということなんですよ。
私たち、これはどういうことなのかと思いまして、共産党の国会議員団と東京都議団の事務局で、実際に行っている東京都に対して、容積率の緩和を行うに当たっての公共貢献度というのはどうやって測っているんですかということをお聞きしました。そうすると、ヒアリングしましたら、客観的な物差しはない、まさに言われたとおり、個々の事業を総合的に判断するという説明だったんです。しかも、東京都の担当部署と開発業者である大手ディベロッパーの協議で決めているので、公共貢献度といいながら、容積率緩和の協議はブラックボックス、公になっていません。
この公共というのは何かというのも御説明を受けましたら、例えば駅につながる通路とか、あるいは緑地を造るとかということもお聞きしたんですけれども、例えば駅につながる通路の整備というのは、これは商業施設にとっての利便性にもなるので、開発業者にとっての物件のセールスポイントですよね。緑地を造るからといって、容積率を緩和して高い建物になればなるほど広範囲に日陰をつくってしまう。広場を造っても、容積率を緩和すれば、それだけ多くの人を集めることになる。果たして公共に貢献しているのか、マイナスを与えているのか、私は非常に疑問に思えてきます。
更にお聞きします。
都市再生緊急整備地域というんですけれども、都心にこうやって超高層ビルを建設することのどこに緊急性があるんでしょうか。
○松家政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、都市再生緊急整備地域については、それぞれの都市が抱える状況、課題に応じまして、都市機能の高度化や都市の居住環境の向上といった都市の再生の拠点として、重点的かつ緊急に市街地の整備を図るものでございます。
こうした緊急性につきましては、具体の都市開発事業等を早期かつ円滑に実施することによりまして、当該地域の土地利用の転換であるとか、市街地環境改善を図るといったような必要性を勘案して実施するものでございます。
○田村(智)分科員 緊急性があるとすれば、既存インフラの老朽化対策とか、これは指定されているのは池袋とか渋谷とか、まさに都心のところとか、東京一極集中をどうやって解消するのかの方が私は緊急性があるというふうに思うんですけれども、逆に、超高層ビルを呼び込んでいくようにやっていく。ここには、大手ディベロッパーが急いでたくさんもうけたいという緊急性しかないんじゃないかというふうに私には思えてならないんです。
もう一つ確認したいのは、財政支援なんですね。これは税制上も、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税の減税などの手厚い支援が準備されています。
では、二〇二三年度、二四年度、都市再生事業計画の認定に伴う減税額というのはどれだけになるんでしょうか。
○内田政府参考人 お答えいたします。
二〇二三年度に民間都市再生事業計画の認定を受けて税制優遇措置を受けた実績でございますけれども、まず、登録免許税、これは軽減税率になります……(田村(智)分科員「総額でいいです」と呼ぶ)登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、以上の五つの総額になりますが、七十九億九千三百万円と認識をしております。
○田村(智)分科員 大臣、今のやり取りを聞いていての認識をちょっと伺いたいんですよ。
東京都心部を中心に超高層ビルをどんどん増やすことに緊急性があるのか。容積率緩和だけでなくて減税までやって、都心に超高層ビルを次々と建てる。これは逆に土地や住宅の価格高騰を引き起こすという、こういうことにもなっているんじゃないか。こういうことを検証すべきだとも思うんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 田村委員にお答えを申し上げます。
先ほど来御指摘のございます住宅価格の高騰、特に都心部においてということで御指摘をいただいております。都市再生の様々なプロジェクトをやっているという中で、それが高騰につながっているのではないかという御指摘かと思います。
先ほど住宅局長からも答弁がございましたけれども、マンション価格は確かに上昇しております。しかし、供給、需要の両面で様々な要因があるというふうにも考えております。
例えば、供給の面では、これは委員もよくお伺いになるときもあるかと思いますが、資材の価格あるいは労務費の上昇等に伴って、そもそも建設コストがかなり上昇してきているということもあろうかと思います。都市部におきましては、やはり、開発ができるような適地、まとまった土地自体も、かなり適地が減少しているということもございますし、インバウンド等もかなり増加しております。ホテルなど住宅以外の用途の事業と競合ということもあります。用地取得費も上昇しているということで、供給の面で様々なことがあろうかと思います。
他方で、需要のところでも見ますと、こうした様々な都市を再開発をすることで当然その都市の魅力も向上してまいりますので、これを背景としてやはり人口が都心部へ流入してくるということもございますし、また、今、共働き世帯などで、やはり立地等に優れた都心部等のマンションが欲しいということで、そうしたことを求める共働き世帯の増加なども影響しているということで、需要、供給、様々な要因があるというふうに考えております。
しかし、いずれにしましても、住まいというのは生活の基盤でございますので、引き続き、住宅の価格あるいは金融市場の動向、これも注視をしながら、我々は、住宅ローン控除などによりまして住宅取得の負担の軽減、あるいは全期間固定金利の住宅ローンの提供など、住宅取得環境の整備というものはしっかりやっていかないといけないというふうに思っております。
○田村(智)分科員 パブリックの役割が本当に奪われていると思うんですよ。どういう町をつくっていくのかということもなく、大手ディベロッパーがどんどん超高層ビルを建てていく。二〇三二年まで、今年も含めて百三十棟、百五十メートルを超える超高層ビルがまだ東京都に造られていくことになるんですね。
もう一つ私が指摘したいのは、都市再生の名による規制緩和は二重三重なんですよ。今の問題だけじゃないんです。特に国家戦略特区、これは強力な規制緩和、もっと言うと野方図な規制緩和になっています。東京都は全域が国家戦略特区に指定されていて、区域指定さえしてしまえば規制緩和のメニューを次々と取り入れることができます。都市再生に関わっては、二つのメニュー、都市計画法等の特例、そしてもう一つは住宅整備事業、これがあるんですね。
これらによって、どのような規制緩和、特例措置が受けられるようになっているんでしょうか。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
国家戦略特区における特例でございますけれども、都市計画関係につきましては、国家戦略都市計画建築物等整備事業という特例がございまして、これは都市計画の決定等に必要な手続をワンストップ化するものでございます。具体的には、都市計画法に基づく通常の手続であれば、都道府県と市町村の都市計画決定や大臣の同意等を個別に進める必要がございますけれども、本特例によりまして、そうした手続を国家戦略特区における区域計画の総理大臣認定に一本化することが可能なものでございます。
また、容積率の特例でございますけれども、こちらにつきましては、国際的な活動に関連する居住者、例えばグローバル企業の勤務者ですとかその家族が居住場所として選択をするようなオフィスに近接した住宅を想定して、容積率の特例が受けられるというものでございます。
○田村(智)分科員 今の中の都市計画ワンストップをまず取り上げたいんですけれども、これは、事業者と自治体、国が一緒に協議することで、都市計画決定までの手続を簡素化するということなんですね。説明資料を見ますと、同じテーブルに数人が集まって協議するというイメージイラストがついているんですけれども、実態は全く違います。
事業者からの事業素案、これは国家戦略特区東京圏区域会議の下に置かれた東京都都市再生分科会に提案されます。
二〇一四年十月二十一日、第一回分科会、早々と竹芝地区、虎ノ門四丁目地区の二つの素案が議案となっています。この分科会の配付資料、「都市計画法の特例 手続きの流れ」の中には、この十月二十一日の分科会で素案等の審議、翌日の区域会議で素案の公告、翌日から素案の縦覧、十二月には都市計画案として公告縦覧、翌年一月中旬の分科会で都市計画審議会に出す案をまとめ、一月下旬に港区都計審が答申、二月初旬に東京都都計審が答申というふうに、もう手続まで配られたんです、第一回目の分科会で。そして、このとおりに進んで、竹芝地区と虎ノ門四丁目地区は、二〇一五年二月六日、都計審で事業決定されました。分科会への素案の提出から三か月半で都計審まで終了しているんです。
そこまでやるんだったら、分科会でかんかんがくがくの議論をして案を取りまとめたのかと思ったら、この議事要旨を見ますと、事業者の説明を聞いて、異議なしで承認しているんですよ。承認した上で何を議論しているかといったら、スピーディーにするために事業者から要望はありますかといって、事業者が要望を出して、では、スピーディーにやりましょうねという議論をやっているんですよ。事業案についての議論は何もない。
更に驚くのは、第二回目以降の分科会、持ち回りで会議すら開いていないんです。二〇二四年十二月十二日までの計二十八回の分科会のうち、第一回目以降、羽田空港に関わる案件で二回会議が持たれただけで、二十五回が持ち回りです。もちろん議事要旨さえありません。第十九回の分科会には、二十にもわたる案が持ち回りで議論されたことになっているんですよ。
これは、ワンストップどころか、都市計画の手続をスルーする仕組みになっているんじゃないですか、内閣府。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
先ほどの、手続のワンストップ化に関する特例でございますけれども、これを活用する場合には、特区の指定区域ごとに、国と自治体、関係事業者などで開催する区域会議の審議を経て総理大臣認定を得ることで、都市計画が決定されるものでございます。
御指摘の都市再生分科会につきましては、その前に行われる公聴会ですとか公告縦覧手続など、都市計画決定の前に必要となる手続に先立って、都市計画の素案を関係者の間で確認するために開催をしているというふうに承知をしております。分科会の議案となる都市計画の素案につきましては、自治体、事業者など関係者間で事前の一定の調整を行った上で分科会に提示しているものと承知しております。
○田村(智)分科員 都市計画というのは、事業者が自治体にまず持ち込んで、そして自治体が原則では決めるということになっているんですよ。だから、自治体の中でちゃんと協議されて、案の検討というのはなされなければおかしいわけですよね。
先ほど区域会議でと言いましたけれども、区域会議というのは形式的ですよ。私は国家戦略特区というのは大分議事録をいろいろ読んでいるんですけれども、三十分とか一時間じゃないですか、区域会議というのは。実質的な審議なんか何もやっていないですよ、区域会議は。審議がないんですよ。
そもそも国家戦略特区が始まった当時、この特区を担当していた内閣府の藤原豊氏、もう内閣府をお辞めになっているんですね、二〇二三年にフロンティアアイズオンラインというところで、とうとうと語っているんですよ。東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まっていたこともあり、三井不動産、三菱地所、森ビル、住友不動産、東急不動産、鹿島建設などの大手ディベロッパーは、幾つもの大規模プロジェクトを準備していた。しかし、彼らは大きな悩みを抱えていた。それは、大規模開発事業の前提となる都市計画が決定されるまでにとにかく時間がかかるということだった。こうした中で、彼らのニーズに応えたのが、国家戦略特区の都市計画ワンストップ特例だったと語っているんですね。
超高層ビル建設を伴う大規模開発、これをとにかくスピーディーに進めたい。事業者の案を自治体も国も持ち回りで確認するだけで、協議などない。このやり方が十年にもわたって延々と続けられています。もはや都市計画に対する自治体の役割を消失させているんじゃないでしょうか。いかがですか、内閣府。
○安楽岡政府参考人 先ほどもお答えしましたとおり、この特例につきましては、区域会議の場におきまして、自治体の代表も参加する形で決定をしております。
また、先ほど、内閣府元審議官のコメントという言及がございました。短縮期間につきましては、一年短縮と書かれているということですけれども、実際には個々のプロジェクトごとに必要な手続期間は異なりますので、特例を活用することでどの程度の期間が短縮されたかというのは一概に申し上げることは難しいんですけれども、自治体職員の感触としては数か月程度というふうに聞いております。
○田村(智)分科員 その上、さっきの住宅整備事業、これは外国というふうに言いましたけれども、オフィスの近くに住居を整備するという事業で、外国の方も呼び寄せるから、まさに億ションを造るような事業なんですよね。これは超高層ビルの商業施設の上にマンションを造るなどすると、容積率の緩和が加算されるわけですよ。
都市再生特別地区によって、容積率は商業地域で五〇〇%が六八〇%になる。さらに、住宅容積率の加算で八五〇%まで緩和できる。これも民間事業者の提案をそのまま確認しているだけでしょう、持ち回りなんですから。
先ほども言いましたけれども、都市計画というのは自治体が決めるのが原則なんです。それぞれの地域をどのように整備するのか。これは長期にわたって地域に大きな影響を与える。巨大開発になればなるほど、土地の活用は長年にわたって固定され、周辺の地域にも長期にわたって大きな影響を与えることになる。将来の開発や土地利用の多面性も制限されてしまう、大規模開発になればなるほど。だからこそ、地域住民の意見を直接聞く役割を担う自治体が、公共の立場から計画策定に責任を持つという仕組みだと思います。この原則を完全に崩してしまったのが都市計画ワンストップ事業ですよ。
大臣に改めてお聞きしたいんです。
今まで私がずっと取り上げてきた数々の規制緩和、減税までやる、そして都市計画を本当にスルーする、都市計画決定を、事業者のまさに主導というか、事業者の言い値で進めることができる仕組みまでできてしまう。そのことによって、タワーマンション、超高層ビル、次から次へと今後も建ち続けます。そのことが、普通に働く都民が住めない東京、これをつくってしまっているのではないのか。
これは内閣府主導でもやられてきて、国交省は規制緩和をのまされてきた省庁、積極的にやったかどうか分かりませんけれども、だと思うんですが、いま一度、これは果たして政策上成功しているのか失敗しているのか。私は失政だと思う。住めない東京をつくっていると思う。こういう検証をやはりやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 都市開発プロジェクトの進め方の在り方については、先ほど内閣府からも手続的なところは説明はあったかというふうに思っております。委員の御指摘は、そうした再開発が様々進むことによって、こうした住宅価格全体の高騰というものが起きているのではないかというふうなところが問題意識かというふうにも感じたところでございます。
いずれにしましても、ちょっとこれは一般論にはなるんですけれども、こうした都市開発のプロジェクト等で建つようなタワーマンションというところ、そこの価格の上昇と一般のマンションの価格、それが直接大きな影響があるのかどうかというところは一概には申し上げられないというふうにも思いますし、近年のマンション価格の上昇というのは、供給のところ、需要のところ、両面から様々な要因がございますので、それがどういうことで上がっているのかというのは、なかなか一概に申し上げられないところはあろうかと思います。
いずれにしても、住宅取得環境の整備というのは非常に大事だというふうに思っておりますので、そうした住宅価格あるいは市場の動向、引き続きしっかり注視をしてまいりたいというふうに思います。
○田村(智)分科員 私は、国交省がやるべきは、こういう規制緩和が何をもたらしているかをしっかり検証することだと思うし、こんな住宅の高騰を抑える政策への転換をしなければならないと思うんですよ。
今、東京オリンピックを契機にした開発の一つとしてやられたのが、大手ディベロッパーが安く都有地を取得して選手村を造り、それが晴海フラッグというマンションになった。ところが、そのマンションが投機の対象となって、まさに価格の高騰を呼び込んだ。社会問題にまでなってきていますよね。マンションを、住まいを投機の対象とするということさえ規制がないんですよ。減税まで受けて造る。規制緩和という本当に厚い公的支援、あるいは金融措置なども受けて造られたような、そういうマンションが、住まいが投機の対象になるということを規制するすべすら今ないんですよ。
私たちは、今、本当に、この価格が上がっていく事態を何とか抑えなくちゃいけない。そして、住宅高騰を抑制し、安心して暮らせる住まいの提供、この政治が果たす役割を今求めていかなければならない。
今、政策検討しています。一つが今の投機を本当に規制すること、そしてまた野方図な規制緩和を見直すこと、そして住宅価格をぐっと抑えることができるような、やはり住宅供給を思い切って増やすということ、こういうことに住宅政策を切り替えていかなければならないと思うんですけれども、この点での大臣の見解、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 委員の御指摘、二つあったかと思います。投機対象、投機のようなものに何らか規制をするべきではないかというふうな御指摘、そして、住宅価格をしっかり抑えていくべきではないかというふうな政策をやるべきではないか、こういうふうに受け止めさせていただきました。
私も、住まいは生活の基盤でありますので、投機的な取引というのは好ましくないと思っております。住宅の取引はやはり実需に基づいて行われるべきことが基本だというふうには考えております。
他方で、近年のマンション価格が上がっていることについては、需要、供給、様々な要因があるというふうにも思っておりますので、現在のような価格が上昇する局面の際には、取引の主体、価格、頻度など、不動産取引の状況を的確に把握をすることが重要だと考えておりますので、その動向はしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。
住宅価格を抑えるというのは、委員の御指摘というか、非常に、取得しやすくするというのはまさにそうだと思うんですけれども、他方で、なかなか難しいのが、資材価格や労務費も上昇を続けているという状況もございますので、その中で、住宅においてもこうした必要な価格転嫁というのは円滑に当然行われないといけない。ここが抑えられてしまうと、労務費にしわ寄せが行ってしまうようなことがあってはならないわけでありまして、そこも重要という面もあるということも指摘をさせていただきます。
いずれにしても、住宅価格、金融市場の動向等を注視しながら、住宅ローン控除による住宅取得負担の軽減、あるいは、先ほども紹介しました全期間固定金利の住宅ローンの提供等、住宅取得環境の整備というのはしっかりと行ってまいりたいということを改めて答弁申し上げます。
○田村(智)分科員 資材や労務価格が値上げしていってというのは、もう当然のことなんですよ。それが反映されなければ、建築業者に、特に働く皆さんに影響が出るので。ただ、東京の高騰はそうじゃないでしょうという問題提起なんですね。
昨日の東京新聞では、UR団地、板橋区の高島平でさえもタワーマンション化するという計画が出て、これは住民の皆さんが大変驚き、そして、それが家賃の高騰を招いていくのではないかという危惧が広がっています。
やはり、今、規制をする方向へ、住宅価格を抑える方向へ、そして公共的な住宅を大量に提供する方向へ住宅政策を変えていくということを求めまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○谷主査代理 これにて田村智子さんの質疑は終了いたしました。
次に、小池正昭君。
○小池分科員 千葉十区選出の小池正昭でございます。昨年の選挙で初当選でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず、今日、国土交通関係、幅広くあるわけなんですが、航空関係と成田空港の関係、私の地元でもありますので、お聞きしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、最近の訪日外国人の増加というのは、しっかりと堅調に推移をしているわけでありますが、特に、コロナ禍前を超えて過去最高ということで非常に順調に来ている、二〇三〇年六千万人というのが本当に視野に入ってきているんだと思います。実数値で、二〇二四年、三千六百八十六万九千九百人ということです。二〇三〇年の六千万人というと、この水準、大体一・六倍ということになります。
そういった意味では、その多くが空港を利用するということが想定されますので、主要国際空港を始め、地方空港も含めた対応、これが喫緊の課題であるというふうに思いますが、空港の受入れ環境の整備に向けた取組状況について、まず伺いたいと思います。
○中野国務大臣 小池委員の御質問にお答えを申し上げます。
まさに委員が御指摘いただきましたとおり、政府の成長戦略の柱とされているこの観光の分野におきまして、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人という目標を達成をするためには、成田空港は御地元ということでございますけれども、首都圏の空港を始めとする全国の空港の機能の向上というものを図る必要があるというふうに考えております。
このため、羽田空港、関西国際空港等におきまして、飛行経路の見直しにより発着枠を増加をさせるとともに、来月二十日には、福岡空港におきまして、二本目の滑走路の供用を開始をするところでございます。そして、成田国際空港でございますが、現在、滑走路の新増設などの更なる機能強化を進めているところでございます。
また、グランドハンドリング等の人手不足対策、あるいは航空燃料不足対策、これも非常に重要な課題であります。これらにつきましては、官民で連携をしながら、人材の確保や業務効率化など、総合的に対策を講じているところでございます。
こうしたハード、ソフト両面の施策を通じまして、訪日外国人旅行者数六千万人をしっかりと受け入れられるよう、必要な環境整備というのを着実に推進してまいりたいと考えております。
○小池分科員 大臣、ありがとうございました。
六千万人への対応ということで、今御答弁いただいたわけなんですが、幾つかありました。関西国際空港の発着容量を増大させて、三空港、伊丹、神戸も合わせて五十万回ということで、非常にここはポテンシャルとして高いものがあるんだろうというふうに思います。福岡空港の例も挙げていただきましたけれども。
そして、首都圏においては、やはり成田の容量拡大という、成田空港の更なる機能強化という事業でございますが、これをしっかり着実に進めていくということ、これは、インバウンドだけではなくて、実は国内の最大の貿易港は、量ではなくて額でいけば、もう圧倒的に成田がこれを誇っている、日本経済の成長を支えるという意味でも非常に重要な取組でありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
二月二十四日には、大臣に成田空港にお越しいただいて、御視察もいただいております。ありがとうございました。
ここで、成田の歴史を若干触れさせていただきたいと思っていますが、戦後から我が国の国際航空需要の伸びがあったわけですけれども、羽田空港に頼っていましたが、昭和三十年代から、やはり国際空港の、羽田の拡張が非常に厳しいという当時の見解、それと騒音問題も当時の大田区を含めてありまして、何とか国では新しい国際空港を、新空港を造らなければいけないということで検討が開始されています。
当時の目指した規模は、約二千三百ヘクタール、そして滑走路五本ということで、様々議論があったわけなんですが、ちょうど今から六十年前は、実は、千葉県の今の成田空港の位置ではなくて、そのちょっと西側にある、現在の富里市と八街市というところ、ここに大規模な空港を造ろうとした。六十年前、内定をさせるんですが、実は、これが大反対で大変な騒動になった。千葉県としても、これは困ったということがありました。
その後、政府としては何としても、世界の潮流からしても、国際空港を整備しなければいけないということに至って、探すわけですけれども、翌年の一九六六年、実は、当時、下総御料牧場というところがありました。また、そこの横に、千葉県の所有する県有地があったわけですね。これを中心として、戦後の開拓で広大に広がっていた農地、この民有地を買収をして造ろうということに一気に転換をしていくわけであります。
これが突如として国において閣議決定されたのが一九六六年の七月四日であります。この決定に対しては、当然、地元は大変な混乱に陥るわけでありますが、当初、純粋な空港反対、建設反対という農家の方々、土地の所有者の方々のそういう思いだったんですけれども、そこから不幸な歴史が徐々に始まっていくわけですが、極左暴力集団が介入をして、本来の純粋な農地を守るという運動から、反体制の、国家に対する反対にどんどんどんどん変わっていく。
実は、この成田市三里塚、私の地元であります。生まれ育った地元であります。そして、私は、その年に、閣議決定の年に生まれました。そういった意味で、この全ての歴史を見てきた身として、今また、機能強化によって新しい成田空港、第二の開港を迎えるという、機能を強化して、実は、倍の空港にしようと。
当時、成田空港は、新東京国際空港として、先ほど申し上げた二千三百ヘクタールから思いっ切り小さくして、半分にまでして、何としても造ろうと。ただ、当初目指した開港の予定よりもどんどんどんどん遅れて、開港したのは、閣議決定から十二年経過した一九七八年五月であります。しかしながら、その形は、滑走路が僅か一本、そして、半分にも満たない空港で、羽田空港から国際線を移管をしたという経緯があります。
こういったいろいろな中で、実は、多くの犠牲が払われた事実があります。中野大臣もこの間は献花していただいたわけでありますが、当時、反対闘争が激しくなったときに、東峰十字路事件という悲惨な事件が発生をしました。これは、後方支援に当たっていただいた神奈川県警の特別機動隊の三名の警察官が、過激派暴力集団に襲われて命を失ったわけであります。
それ以後も、私の地元では本当に大混乱で、子供ながらに恐怖を覚えながら私は育ってきました。その原点、これは何かおかしい、国は決めるんですけれども、この状況は何とか打破しなければいけないと思ったのが、実は、私が政治に入ったきっかけであります。
そういった意味で、国が決めた国家プロジェクトを、途中は国としてなかなか成田が厳しいということで、いろいろな策を講じてもなかなか進まない中で、今や主要な国際線が羽田へ移管しているというような実態もあって、なかなか難しい歴史があったわけですが、実は悔しい思いをしているのが正直なところであります。こうしたいろいろな歴史を踏まえながらも着々と進めてきたわけですが、また新たに、今度は千ヘクタール、もう一度内陸でもしっかりと造っていこうという判断をしていただいて今に至っています。
今お話ししたような話がありますが、この成田空港の更なる機能強化、実は、二〇二九年三月を目途に、新しい滑走路、三千五百メートルの滑走路と、今のB滑走路を三千五百メートルへ延伸する、この主な二つなんですけれども、これが残り期限を考えると約四年ということになりました。そういった意味で、現在までの事業の進捗状況というのが非常に気になってくるところでありますが、現在どのような状況か、お伺いをしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田空港では、先生御指摘のとおり、更なる機能強化が進められているところでございまして、B滑走路の延伸とC滑走路の新設、これを進めているわけでございます。
これまで、成田空港会社が用地の取得や土質調査、埋蔵文化財調査などを進めているほか、現在は、東関東自動車道の地下化やC滑走路を横断する車道のトンネル工事など、本格造成工事前の準備工事に取り組んでいるところでございます。
二〇二九年三月目途の供用開始を目指しまして、国といたしましても、成田空港会社と連携して、引き続き着実に取り組んでまいりたいという考えでございます。
○小池分科員 ありがとうございました。
今、事業が着々と進められているということで、成田空港の歴史、先ほどちょっと触れましたけれども、実は、国は一度は、やはり成田の難しさから、空港建設というのはなかなか内陸の空港というのはもう難しいだろうと、騒音問題もありますし、環境問題、今、成田でもありますが、落下物の問題とかあって、一時は空港をやはり海上空港に造る、これが今の関西国際空港であり、常滑沖の中部国際空港ということになります。
しかしながら、これからの我が国の方向性を考えたときに、この首都圏の大きな航空需要を担うのは、では、どこができるのかといったときには、やはりもう一度成田をと原点に戻っていただいたということは、私は、地元の皆さんも今は協力体制が非常に強固になってまいりました。何とかこの地元で、過去、五十九年前に決定しているわけなんですが、この原点に戻って、今度こそはしっかりと世界に冠たる国際空港を造っていこうじゃないかと、経済界を含めて多くの方々がそのような意思を持っています。
そういったところで、先日の大臣の視察、鉄道を利用して、京成電鉄なんですが、スカイライナーという、これは国内最速、在来線では最速の百六十キロ出せるというスカイライナーというのがありますが、これを使って成田空港においでいただきました。そして、新しい滑走路建設の予定地も御見学、御視察いただいて、併せて空港周辺の市町の市長さん、町長さんとも意見交換をしていただいたところであります。
そこで、改めて中野大臣に、成田空港を視察していただいて、その所感と課題意識をどのように持たれたのか、お伺いをしたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
成田空港、まさに本当に様々な経緯のある中で整備してまいりましたので、委員の歴史的ないろいろな御指摘もしっかりと私も聞かせていただきながら、しっかりと更なる機能強化に取り組んでまいりたいというふうに改めて思ったところであります。
二月の二十四日に成田空港を視察をさせていただきました。B滑走路を延伸をし、そしてC滑走路を新設をするという更なる機能強化、これの必要性、そして、地元の自治体の首長の皆様とも意見交換させていただきましたので、御地元の期待というのもまた改めて実感をしたところでございます。
国際線の基幹空港としての成田空港の国際競争力の維持強化を図るためには、やはり、滑走路整備に向けた用地の取得や準備の工事などのほか、旅客ターミナルビルや貨物施設、あるいは、都心、さらには羽田空港との鉄道アクセス、私も鉄道で成田空港までのアクセスも確かめさせて、改めて行かせていただきましたけれども、こうしたことが課題であるというふうに考えております。
また、周辺市町の首長の皆様からは、空港を核としたエアポートシティーの実現、この御要望や、あるいは、騒音地域の生活環境の保全、これについての御要望もいただいたところでございます。
我が国の国際競争力の強化や、二〇三〇年訪日外国人旅客数六千万人という政府目標達成の観点からも、成田空港の更なる機能強化に国を挙げてしっかり取り組むとともに、空港周辺の皆様としっかり連携をしてこの諸課題に対応してまいりたい、このように考えております。
○小池分科員 大臣、ありがとうございました。
先ほど述べましたが、今の成田空港、当時、新東京国際空港、これは国が今の位置を決定したわけであります。鉄道で移動していただいて分かると思いますが、都心からある程度の距離が離れているということ。ただ、あの場所というのは、気象上あるいは地理的な条件等様々、あるいは空域の問題、これらを踏まえると、あの辺りが適地だということで、これは国が決定したわけでありまして、私はいろいろな思いをしていましたけれども、遠くて不便とかいった意見が多く寄せられた時代もあったわけです。そういった意味では悔しい思いを抱いてきているんですが、先ほど述べていただきましたけれども、羽田空港とのアクセスの向上、これも重要で、都心とのアクセスをどうやって確保するかということ。
ただ、ちょっと視点を変えると、羽田空港に関しては、非常にアクセスがこれからますます向上していくということがあります。一方で、では、成田はどうなのかというと、まだまだ不便さというのが十分に解消できていないということがありますので、空港本体だけではなくて、やはりこのアクセスの改善ということ、これは何としてもその向上を図っていくということをやらなければいけないと思っています。
そこで、成田空港と都心方面を結ぶ主なアクセスは、鉄道と、今現在ある東関東自動車道、二つルートがあるわけなんですが、今後、成田空港の国際競争力を確保するためには、現状の課題をいま一度洗い出していただいて、世界の様々な国際空港がございますが、やはりこれらと遜色のない二次交通の体系というものをつくっていただく必要があるというふうに考えています。
そこで、インバウンドが回復して増加してきている中なんですが、二次交通の利用割合、最近の状況はどうなっているか、お伺いしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田空港会社が今年度に実施したアクセス交通実態調査、これによりますと、出発旅客の約五六%が鉄道、約二四%がバス、約一七%が自家用車等となっております。二〇一八年にも同様の調査を行っておりまして、このときは、鉄道が約四六%、バスが約三五%、自家用車等が一三%ということでございますので、近年、鉄道の伸びが顕著である、こういう状況になっております。
○小池分科員 ありがとうございました。
鉄道が伸びている。これは、インバウンドが多くなっていますので、なかなか日本人が今世界に出ていないというか、この辺のことも様々影響はしていると思っていますが、いずれにしても、鉄道が、非常に割合が増えているということ。
ですので、六千万人を目指す中では、その傾向は今後も続くものというふうに予想しているんですが、時間帯によっては非常に混雑をしている。特に、インバウンドで訪れている方々、あるいは、空港へまた戻って本国へ帰る方々のそのスーツケースが大きくて、列車の中が非常に混雑している中で、実は大変な状況になっています。
実は、私もまだ、成田から電車を利用して、自宅から国会へ通っております。先日も、京成上野駅から、間に合うのでスカイライナーに乗ろうと思ったんですね。そうしたら、外国人の方々がチケットを買っている列が進まずに、実は思った電車に乗れなかった。これは、私だけではなくて、ほかの方々もそのような経験を実はしています。ただ、これは、では列車をもっともっと便利に増発したくても、実は、成田空港を結ぶ鉄道の線路には、物理的な支障があるというか、制約が生じています。特に、空港側には単線があったり、そしてまた都心側にも当然に制約がある、なかなか増発が難しいという現実があります。
そういった意味で、成田空港のアキレス腱とまで言われる鉄道アクセスの向上、これは何としても成し遂げなければならない問題でありまして、先ほども申し上げましたけれども、都心、そして羽田空港とのアクセスの向上ということはこれから実現すべき課題であるというふうに思っています。特に、鉄道の持つ速達性、そして定時性、それから大量輸送というこの三つの利点、これは最大限に生かせるというふうに思いますし、世界の空港間競争に立ち向かうためにも、空港本体の整備と併せて、この鉄道アクセスの向上について早急な検討を行っていただきたいと思っています。
そこで、成田空港の鉄道アクセスの課題をどのように認識されて、今後どのように対応していくのか伺います。
○平岡政府参考人 お答えいたします。
成田空港へのアクセスの強化は、利用者利便の観点から極めて重要な課題であり、将来的に年間発着回数が五十万回に増加することを踏まえると、輸送能力や利便性の観点から更なる改善が必要であると考えているところでございます。
特に、成田空港は鉄道の利用割合が高く、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、都市側の過密ダイヤや、成田空港周辺の単線区間の問題、さらには新旅客ターミナルの整備に伴う新駅の整備など、様々な課題があるというふうに承知をしております。
国土交通省では、今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会を立ち上げまして、今後の成田空港の施設面での機能強化方策について議論をしているところでございます。この中で、都心さらには羽田空港へのアクセスといった、国際線の基幹空港としての成田空港の競争力の維持強化に資する鉄道アクセスの利便性向上につきましても、鉄道事業者等の意見を丁寧に伺いながらしっかりと検討し、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小池分科員 ありがとうございました。
元々、成田空港は、当然、当時はしっかりとアクセスを確保しようと、成田新幹線という構想が実はあったわけですね。これは、沿線の反対があったり、あるいは、先ほど申し上げた空港本体の反対があったりということで、開港後、凍結、白紙になるわけですが、開港に合わせて、やはり鉄道アクセスがなければということで、当時、暫定的に京成電鉄を入れました。
ところが、やはり、ターミナルから離れたところに駅を設けましたので、駅を降りてからターミナルまでバス輸送をしていたというわけですね。これは非常に不便で不評でした。私は、実は、その頃、この空港の駅を使って自宅まで帰っていたんですが、その後、石原慎太郎運輸大臣の頃だったと思いますが、せっかくある成田新幹線の施設をこのまま眠らせておくのはもったいないということで、その後、JRと京成電鉄の乗り入れを指示をして今に至っています。
先ほど平岡航空局長も言っていただきましたけれども、ところが、非常に、当初の計画のとおりに鉄道が、施設も含めて整備がされていないものですから、いまだにいろいろな不都合が生じているという現実があります。
そういった意味で、これから、鉄道の整備には多くの時間、財源も必要になってきますけれども、検討を開始していただくことを改めてしっかり要望をさせていただきたいと思います。
それで、やはり最終形、理想形を目指すというのは当然なんですけれども、やはり、先ほど言ったように、時間がかかりますので、とはいえ、空港の利用は待ったなしであります。そういった意味では、既存の施設で何ができるのか、あるいは、最終形、理想形を目指すその過程の途中で、何をすれば何ができるかということ、こういったことも是非検討をしていただく必要があるというふうに思っていますので、是非よろしくお願いいたします。
アジア近隣の、世界の主要空港、たくさんあるわけなんですけれども、空港を今や核として国家戦略をやる、空港周辺にしっかりと世界視野の産業形成を実現をして、競争力を高めていくというようなことをやっています。
先ほど大臣も触れていただきましたけれども、今回、成田空港においても、エアポートシティー構想、これは千葉県と成田空港会社がいよいよ検討を具体的に進め始めました。国としても、是非とも、今まで日本の中では、我が国の中ではなかなかそういった発想がなかった。国際空港は国際空港、単なる点で、人や物の結節点で、そこから人の移動や物の移動、サービスがそこで提供されていた。しかし、世界ではもう既に、長年にわたり、国家戦略で国際空港をどうやって活用して、産業を育成して世界と戦っていくかということをやっています。
何とか、今回の成田、やはり海上空港ではない内陸であるからこそ、実は土地が周辺に広がっているという、環境問題とか様々ありますが、逆に取れば、土地があることのこの利点、これはしっかりと生かしていく必要があるんだろうというふうに私は考えています。是非、このエアポートシティー構想、今、しっかりと進めようということで検討が進み始めましたので、国としてもしっかりと対応してほしいと思います。
それから、先ほども触れていただきましたけれども、人材の問題、空港を支える人材、これは重要な話です。過去、成田空港でも、あの空港を支えるために、千葉県が成田ニュータウンという四百五十ヘクタールの住宅地を造成しました。こういった件もあるので、是非、人材を支える居住地、人材を受け入れる居住地、また教育施設など、兼ね備えていく必要があります。
そこで、質問ですが、諸外国と肩を並べるように、成田空港においても、単なる交通の結節点としてではなくて、是非、このエアポートシティー構想の実現に向け、また、人材の確保についても、国として省庁横断的にやっていただく必要があると思っているんですよね。まさに国家プロジェクトとして、空港本体だけではなくて、こういったエアポートシティー構想についても関わって対応していただきたいと考えていますが、見解をお伺いをします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
まず、空港で働く人材の確保でございます。
これは、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、今後のインバウンドをしっかりと受け止めていくという観点からも、非常に重要な課題だというふうに認識をしているところでございます。
成田空港会社では、空港人材確保のための合同企業説明会を始めとする様々な取組を現在進めているところと承知しているところでございます。国土交通省といたしましても、引き続き、成田空港会社と連携し、補助制度を活用して支援するなど、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
また、エアポートシティー構想についても言及がございました。
これまで、成田空港は、空港づくりは地域づくりという考え方に基づきまして、地域との共生、共栄を深めてきたところ、地域の発展に向けた取組は非常に重要であるというふうに認識しているところでございます。委員御指摘のエアポートシティーの実現は、成田空港の更なる機能強化などによる効果を空港のみならず周辺地域にも最大限波及させる上で、非常に重要な取組だというふうに認識をしているところでございます。
先ほど委員からも、国を挙げてという御指摘をいただいております。国土交通省といたしましても、エアポートシティーの実現についても、空港周辺地域の発展のため、最大限協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○小池分科員 ありがとうございました。航空局長から、是非、国を挙げてということを言っていただきましたので、この点はこれからも是非お願いをしておきたいと思います。
今現在、空港整備、いよいよ具体的に、先ほど申し上げましたけれども、残り四年ということで非常にタイトなスケジュールになってまいりました。私、地元に住んでいて、果たして今のスケジュールどおりで、これは相当急ピッチに進めないとなかなか難しいという現状があります。そういった意味では、国の支援が、国の支援というか、国が自ら空港を造っているという意識で取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、実は、成田空港はやはり空港のみを造ることに集中をしましたので、反対運動があったり、ですから、周辺の道路網の整備も全くほとんど手つかずの状況になっています。ところが、今になってみると、空港建設の頃もそうだったんですが、とにかく周辺の道路が大渋滞。国が管轄する道路というのは東西にある国道五十一号という一本だけなんですけれども、先日も事故が発生して、もう完全に麻痺状態ということになりました。
是非、こういった様々な歴史の中にある成田空港ですが、先ほど申し上げたとおり、地元も一生懸命汗をかくということに、意思をみんなが共有化していますので、国としての取組を、強化を是非お願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷主査代理 これにて小池正昭君の質疑は終了いたしました。
次に、草間剛君。
○草間分科員 自由民主党の草間剛でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
最後の質問者ということでございまして、大臣、長時間、本当にお疲れさまでございました。また、主査、先生方も本当にお疲れさまでございます。
私は、三期十二年、横浜市会議員を務めて、そして、全国で唯一、政令指定都市をまたぐ選挙区でございまして、今日も田中和徳先生がいらっしゃいますけれども、川崎と横浜をまたいでいる選挙区ということでございまして、そのまさに市会議員を務めているときに、自治体がもちろんやらなくちゃいけないことは多々あるんですけれども、もっとこれは国がやってほしいということが多々ございまして、その課題を中心に、今日は国土交通行政諸施策について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、インフレ時代の公共工事について伺います。
人件費や資材調達費の高騰を受けまして、全国各地で公共工事の入札不調も目立っております。大臣は既に様々な団体から現場の皆さんの声をお聞きしているということではあると思うんですけれども、人件費や資材調達費の高騰を受け、自治体の公共工事が抱えている今の課題、これを大臣はどのように認識されているのか、伺いたいと思います。
〔谷主査代理退席、主査着席〕
○中野国務大臣 草間委員にお答えを申し上げます。
地方公共団体発注工事、特にそこにおける入札不調ということで、委員のそういう問題意識かと思います。
この地方公共団体発注工事における入札の不成立、いわゆる不調、不落につきまして、最近の発生率で見ますと、令和元年に九・二%、令和五年には七・〇%ということで、減少傾向にあるものの、やはり私も、一部の建築工事等、不調、不落が発生をしているなということは非常に承知をしておるところでございます。
先ほど委員も御指摘ありましたとおり、やはり、資材価格や人件費の高騰などに伴い、市場の価格と予定価格が乖離をしているということもあろうかと思いますし、特に、発注時期の偏りですとか、あるいは工期の設定が非常に厳しいということもあろうかと思います。
資材価格や人件費が高騰する中で公共工事を円滑に施工していくというためには、やはり、各発注者が最新の実勢価格を反映をさせた適正な予定価格を設定をするとともに、いわゆるスライド条項、資材が高騰したような場合に、こうした活用等による適切な価格転嫁を進めていく、あるいは施工時期の平準化、適正な工期設定などを進めることが重要であると考えております。
国土交通省におきましては、それぞれの発注者がこれらの対策を適切に講じるように、総務省や財務省とも連携をいたしまして地方公共団体に対して要請を行うとともに、必要な情報提供や支援を積極的に行っているところでございまして、今後とも、地方公共団体における入札契約の適正化に向けてしっかり努めてまいりたいと考えております。
○草間分科員 ありがとうございます。
これは自治体の公共工事ではないんですけれども、恐らく、今、国土交通省さんも正門の工事をやられているということなんですけれども、実はこれは土日にやられている、大臣もいらっしゃいますので、平日は。なので、あしたまたやるんですかね。ということなんですけれども、週休二日の中で土日に工事をして、そして、今、労務費が上がっているということで、国の工事も自治体の工事も様々な課題を抱えているということでございますから、先ほど大臣がおっしゃっていただいたような丁寧な対応が必要だと思います。
公共工事の積算は、国土交通省が監修されております公共建築工事積算基準などに基づいて計算をされておりますけれども、この積算基準は、人件費や資材調達の高騰などの要因をうまく予定価格に反映する仕組みになっていないんじゃないかなと指摘をされております。
二月十四日には公共工事の労務単価が六%上がったということなんですけれども、この六%上がったということは自治体の公共工事にも反映されるのでしょうか、伺います。
○平田政府参考人 令和七年三月から適用する公共工事の設計労務単価につきましては、前年と比べると六・〇%の上昇となり、過去十一年で最大の引上げとなりました。
これを受けまして、予定価格の積算に当たって、入札手続中のものも含め、新たな労務単価を速やかに活用すべきこと、また、新たな労務単価適用日以前に契約を締結した工事については、スライド条項の活用により、請負契約額の変更を適切に行うべきことなどにつきまして、この二月に各地方公共団体に対して要請をしております。
引き続き、地方公共団体を含む公共工事における予定価格の適切な積算に向け、取組を進めてまいります。
○草間分科員 ありがとうございます。
是非、せっかく労務単価を上げましたので、しっかり全国にこれが届くようにしていかなくてはいけないと思いますし、それを国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
建設技能者、働いていらっしゃる皆さんの賃上げ、これは大変重要だと思っております。労務費が上がっているのに、やはり現場の賃金が上がらなければ、今、石破内閣も賃上げ担当大臣も設置されて、全ての省庁でやはり賃上げをしていこうという機運の中で、これは大変重要な課題だと思っております。
この建設技能者の賃上げをしっかりと達成していくために、どのような取組をしていくのかも伺いたいと思います。
○平田政府参考人 お答えいたします。
建設業は、我が国の持続的な経済成長や防災・減災、国土強靱化の基盤づくりを担っており、今後もその役割を果たしていただくためには、処遇改善を通じて担い手となる建設技能者を確保していくことが喫緊の課題です。
建設技能者の賃上げに向けましては、本年三月から適用する公共工事設計労務単価について、先ほど申し上げましたとおり、最新の賃金上昇の情勢等を踏まえまして、前年度比プラス六・〇%の引上げを行ったところでございます。
また、設計労務単価の引上げ等を踏まえまして、国土交通省と建設業四団体との間で、建設技能者の賃金のおおむね六%の上昇を目標とし、その達成のための取組を強力に推進することを申合せをしたところでございます。
あわせまして、改正建設業法に基づき、適正な労務費の確保と行き渡りを図るとともに、資材高騰分の転嫁対策を強化することで、労務費のしわ寄せ防止を図ってまいります。
こうした施策を着実に実施することで、賃上げの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
○草間分科員 ありがとうございます。
デフレ時代からやはりインフレ時代へと移行しておりまして、これからも建設コストは資機材価格の高騰、人件費の上昇などにより大幅に増加していくことが見込まれます。その増加分を上回る公共事業予算の拡充をしていかないと、やはり実質投資額の減少状態が続いてまいりますので、インフレ時代の視点を持った公共工事の事業の推進、これを是非ともお願いしたいと思いますし、国土強靱化にもつなげていただきたいと思います。
続いて、上下水道の強靱化について伺います。
埼玉県八潮市の道路陥没災害、運転手さんの一刻も早い発見をお祈りをしておりますけれども、この災害で、図らずも下水道管の老朽化というものにスポットライトが当たっております。
私は、市議時代、十年前なんですけれども、今の坂井学国家公安委員長、それから鈴木馨祐法務大臣、二人とも横浜御選出ということで、このお二人と一緒に公共インフラアセットマネジメント研究会というのをつくりまして、お二人と一緒に横浜市の下水管に潜って、実際に老朽化の状況を十年前に実は見させていただきました。
そのときも、実は、国土交通省さんから横浜市の方に下水道の担当者の方が出向いただいて、下水道のアセットマネジメントというのは非常に重要なんだということを説いていただいて、私たちも、この三人と市議の仲間たち、県議の皆さんと一緒に提言書を作って市長に提案をして、横浜市では、十年前にアセットマネジメント課というのが下水道分野に設置をされました。これは全国の政令市で初だというふうに聞いております。
なので、国交省さんは、実はその際にも、もう十年前から実は下水道のアセットマネジメントとかそういったものに取り組んでいるということを私も存じておりましたけれども、この上下水道、同じ地下インフラでも、上下水道で大きな違いがあると思っております。
例えば、下水管の老朽化対策には、自治体は、国からの交付金を含めて、例えば横浜市だったり川崎市だったら、一般財源を特に雨水の方には活用できるということなんですけれども、一方で、水道管の老朽化対策というのは、一般的には水道事業者が徴収する利用料、市民の皆さんからの利用料でマネジメントしなければいけないということで、実は全国で水道料金が上昇しているという局面にあると思います。
この度、水道の所管が厚労省から下水道と同じ国交省に、皆さんが担われるということで、同じ地下インフラとして、水道事業にも国土強靱化の光を是非当てていただきたいと考えますけれども、大臣のお考えを伺います。
○中野国務大臣 御質問にお答え申し上げます。
御指摘のとおり、水道施設の強靱化、これは能登半島地震の被害ということもございました。また、老朽化等に起因をする漏水事故等も踏まえまして、水道施設の強靱化ということが極めて重要であるというのは、まさに委員御指摘のとおりだというふうに思います。
そしてまた、水道事業は、確かに、地方公共団体が実施をする事業でございまして、料金収入等による独立採算を基本として実施をしておりますが、現在、重要な対策について、技術的、財政的な支援を行っているところであります。
まず、今年度より、水道行政が国土交通省へ移管されましたので、それに伴いまして、実は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象施設に水道が加わったということがございます。
また、老朽化の対策につきましては、予防保全型の施設管理を推進するためのガイドラインの策定や、点検、調査等の施設管理に関する技術開発などの技術的な支援に取り組むとともに、四十年以上経過し、老朽化した基幹管路の更新事業などの重要な対策について、財政支援を行っているところでございます。
さらに、耐震化の支援につきましては、令和六年度の補正予算より、支援対象の自治体の追加や補助率の引上げを行うとともに、令和七年度の当初予算案におきましては、上下水道システムのまさに急所といった部分に関する個別補助制度も創設するといった、支援の大幅な拡充を行ったところでございます。
二月の十四日に決定されました国土強靱化実施中期計画策定方針におきましては、上下水道システムの耐震化や老朽化対策について位置づけられたところでもありますので、この国土強靱化実施中期計画に上下水道、まあ上水道、下水道、必要な政策がしっかりと盛り込まれるように調整を進めてまいります。
○草間分科員 別に今までが悪かったということではないんですけれども、自治体の現場も、厚労省さんから国交省さんに管轄が変わって、実は大きな期待を持っております。上下水道一体となった強靱化を是非とも進めていただきたいと思いますので、これを機会によろしくお願いしたいと思います。
続きまして、横浜市営地下鉄三号線、ブルーラインの延伸について伺います。
これは、横浜市青葉区のあざみ野から川崎市麻生区の新百合ケ丘まで約六キロの横浜市高速鉄道三号線の延伸なんですけれども、十一年前の平成二十六年から横浜市として事業化に向けた調査を開始し、九年前の平成二十八年、交通政策審議会で、事業化に向けて横浜、川崎両市が協調して、費用負担の在り方や事業主体等を含めた事業計画について合意形成を進めるべきと位置づけられました。
そして、今から六年前の平成三十一年一月、横浜市と川崎市として、整備効果それから延伸区画の費用対効果及び採算性が認められることから、事業化が決定をいたしました。
私は、三期十二年の横浜市議として、多くの時間をこの延伸計画の実現に費やしてまいりました。特に、今私は、横浜と川崎をまたぐ選挙区の代議士ですから、両市をつないで、田中先生のお力もおかりして、この問題に取り組んでいくことが大きな役割でございまして、そこでまず、現在の国における横浜三号線延伸についての認識について、また、この延伸を実現するに当たり求められることについて伺いたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
横浜三号線の延伸につきましては、先生からも御指摘がありましたとおり、平成二十八年の交通政策審議会の答申におきまして、横浜市北部や川崎市北部と横浜市中心部とのアクセス利便性向上が期待される路線だというふうに意義が位置づけられているところでございます。
この延伸を実現するに当たり求められることという御質問でございましたが、これはもう先生が冒頭述べておられる、これも答申の方に記載をされておりますが、普通の鉄道事業者、民間の鉄道事業者が行う事業ではありませんで、いわゆる横浜市営地下鉄さんが事業主体になることが想定されるという特性を踏まえますと、この路線が横浜市と川崎市、つまり横浜市営交通からすると、他の自治体の地面を走るという事柄が他の路線と比べても課題ではないかという認識を当時いたしましたので、先生からも引用がありましたけれども、横浜市と川崎市にまたがる路線であるため、事業化に向けて双方、両市が協調して、費用負担の在り方や事業主体等を含めて事業計画について合意形成を進めるべきだということが課題であるというふうに認識しているところでございます。
以上でございます。
○草間分科員 局長も御案内のとおりだと思うんですけれども、別に横浜市が川崎市に侵略するみたいな話ではなくて、これは実は川崎市の北部の皆さんからしても、是非この横浜市営地下鉄を川崎まで延伸してほしい、こういった長年のお声をいただいて、横浜市営地下鉄が川崎にまで延伸するという事業形態で今取組が進められております。
そこで、今現在、国として認識している延伸に向けての課題、これについても伺いたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
政府の認識ということで、先ほど鉄道局長からもまさに答弁ありましたとおり、両市にまたがる路線であるということで、両市が協調して合意形成を進めるべきという指摘があったということでございますので、横浜三号線の延伸につきましては、令和二年に横浜市が本事業について環境影響評価に着手をするなど、地元においても検討が進められているということは承知をしておりますけれども、引き続き、横浜、川崎両市を始めとする関係者が連携をしていただいて、具体的な事業計画の検討を行うということがやはり必要なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○草間分科員 済みません、大臣自ら答弁、ありがとうございます。
まさに今、横浜市、川崎市、両市一体となって、議会も両市一体となってこの取組を進めさせていただいておりまして、今、横浜市の方は事業費を再度精査しているということでございます。
ただ一方で、先ほど、物価、人件費の高騰による工事費の増加というのがあったんですけれども、これは地下鉄事業にも思い切り当てはまるところでございます。
ただ一方で、この地域は、やはり日本全国人口減少時代で神奈川県も横浜市も人口減少局面に入っているんですけれども、この横浜市北部と川崎市北部というところは、私の今いる港北ニュータウンが象徴しているように、これからも伸び続けていく地域の一つでございまして、地下鉄開発によって横浜市北部と川崎市北部が更に沿線開発も期待される、期待が大きい路線だと思っております。
それで、最後に、横浜、川崎両市が今全力で取り組んでおりますこの事業につきまして、大臣の期待について伺いたいと思います。
○中野国務大臣 横浜三号線の延伸につきましては、先ほど局長からの答弁にもありましたとおり、沿線地域のアクセスの利便性の向上がやはり期待をされる意義のある事業であるという認識をしております。
今、横浜、川崎両市におきまして、新駅周辺のまちづくりの検討なども進めていただいているというふうに承知をしております。引き続き、両市を始めとする関係者が連携をして、事業計画の具体化に向けた検討を深めていただくということを期待しております。
国土交通省としましては、引き続き、御地元での検討状況も踏まえつつ、制度面あるいは技術面の観点から必要な助言、協力を行ってまいりたいと思います。
○草間分科員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
先ほど、繰り返しになりますけれども、インフレ時代になっていまして、やはりどの工事も値段もすごく上がっておりまして、このインフレ時代において、地下鉄の工事とか鉄道の工事というのは、そこをどこに転嫁するというと乗車料になるということだと思うんですけれども、それはやはりすごく大きな課題だと思っていまして、インフレ時代になったら、もう鉄道を造ることができない。
これはイコール、なかなか鉄道料金に転嫁することができないから造れないですよねみたいな、そういう時代にはなってほしくありませんので、是非、鉄道局としても、国交省としても、様々な方策を、このブルーラインの延伸にかかわらず、御検討いただきますようにお願いしたいと思います。
続きまして、港湾貨物事業者と一般貨物事業者の課題について伺いたいと思います。
横浜市議時代に、港湾を理解しようと、私は北部の議員でしたから、なかなか港のことについて分からなくて、港湾を理解しようとして、港湾貨物事業者さんにお願いして、海上コンテナトラックに三日間乗り込みまして、東京港、川崎港、横浜港、このコンテナヤードを回らせていただきました。
印象深かったのは、東京港に入るまでの大混雑。何時間も、一日がかりでトラックの中で待って、ヤードに入って、一つの荷物を積んで横浜に帰ってくる。これは一日で一つぐらいだったんですね、当時は。なので、ずっと車内の中でドライバーさんと話させていただいて、一つ気になったのが、港湾貨物事業者と一般貨物事業者の違いなんですね。
ヤード入構を待つトラックには、港湾貨物事業者ではなくて、多くの一般貨物事業者の車もありました。そもそも、港湾内の貨物を扱う作業には、港湾貨物事業者の免許が必要だと思います。
そこで確認なんですけれども、港湾運送事業法が適用される港湾において、何で一般貨物事業者が作業されているのか。これは現場からのお声なんですけれども、これについて確認させていただきたいと思います。
○稲田政府参考人 お答え申し上げます。
港湾運送事業法に基づく港湾運送事業者の業務範囲ですが、コンテナヤードの中にコンテナを搬入する際は、コンテナを荷台シャーシから降ろすところからというふうになっていますし、また逆に、コンテナヤードからコンテナを搬出する場合には、荷台シャーシにコンテナを載せるところまでというふうに解されてございます。
したがって、コンテナヤードのゲートとコンテナのシャーシへの荷降ろし場の間の移動というのは、一般貨物自動車運送業者が行っているということになります。一般貨物自動車運送事業者はコンテナヤード内に立ち入ってはおりますけれども、これは港湾運送業務を行っているということではございません。
以上です。
○草間分科員 ありがとうございます。
まさに、そういった御答弁なんですね。もちろん、一般貨物事業者の皆さんによっても今の港湾流通というのは成り立っているということは確かなんですけれども、港湾貨物の皆さんからすると、例えば、港湾から出て一般道に入るときに、一般貨物事業者の皆さんは港湾の中に入るには何も免許が必要ないのに、港湾貨物事業者の皆さんが一般道を走るときには特免が必要だというふうにお話をされておりまして、これは大体、新車を納車してから二週間ぐらいかかるそうでございまして。
まあ、一言で言うと不公平感というんですか、それが実は港湾貨物事業者の皆さんの中にはあるということは是非局長も御認識をいただきたいと思いますし、私も、この問題につきましても、今後ともフォローさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、住区基幹公園における野球禁止の現状という、かなりちょっとローカルな話なんですけれども。
実は、私の地元の横浜市都筑区の近隣公園、三万六千平米あるんですけれども、早渕公園という公園がありまして、以前は野球チームが練習をしていたんですけれども、それが、行政の指導により練習ができなくなってしまいまして、今では硬球のキャッチボールもできなくなってしまいました。横浜市の判断からすると、住民からの苦情と。窓ガラスがちょっと割れちゃったということもあるみたいなんですけれども。
地域に身近な都市公園で、野球やキャッチボールまでもできなくなっている事例が多くなっていると私は思いますし、調査でもそうなっているそうなんですけれども、この問題につきまして、国交省としてはどのように認識されているのか、局長に伺います。
○内田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のキャッチボールを始め、例えば、花火の使用ですとかスケートボードの利用等、特定の利用が禁止されている都市公園が一定数あることは認識しております。これは主として、地域住民の皆様等からの御意見に対する利用調整の結果であるものと考えております。
公園の利用ルールは、条例等に基づき各公園管理者が定めるものではありますが、公園に対する様々な利活用ニーズに応えられるように、関係者との対話と合意を基に検討を進めていくことが重要であると考えております。
○草間分科員 大谷ブームで野球が沸いたんですけれども、そもそも、都市部ではキャッチボールさえもできない公園が多くなってきているということでございます。
昨年の十一月に、野球はどうして日本にかなわないのかという台湾メディアの報道が出まして、その理由が、台湾の学校では危険を避けるために子供に野球を禁止して、また、学校だけでなく公園でも野球を禁止しているということが台湾が日本に勝てない要因だというように台湾では報道されておりまして、実は、これは日本にも当てはまってしまうのではないかなと思っております。
野球、キャッチボールだけではなくて、いわゆるボール遊びまで禁止している公園が多数になっている今の現状は、子供たちや日本の球技の未来にとって危機だと思っております。これはもちろん自治体の仕事ではあるんですけれども、国としても何かしらの対策を検討していくべきだと思うんですが、大臣の考えを伺いたいと思います。
○中野国務大臣 確かに、そうしたキャッチボール等を禁止されている公園が一定数、公園をどう使うかというのは、私の地元でも非常に、いつもそうした課題になることでもございますので、認識はしております。
先ほど、利用ルール自体は公園管理者において設定されるという原則は局長からも答弁がありましたけれども、やはり都市公園の機能をしっかり発揮をするというためには、公園の特性に応じて柔軟に管理運営を進めていくということも重要かと思っております。
国土交通省では、令和四年十月に、都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会の提言や参考事例集というのを策定、公表しておりまして、例えば、様々な利活用ニーズに対応するために画一的な利用ルールを見直す、あるいは、利用者や地域住民等の合意形成を基にした公園ごとの利用に関するローカルルール作りなどを促して、ボール遊びができる公園の取組というのもその中で紹介をしているというところでございます。
また、社会資本整備総合交付金のこどもまんなか公園づくり支援事業では、子供、子育て当事者の意見を踏まえた公園の整備計画策定に必要なコーディネート経費についても支援を行っているところでございます。
国土交通省としましては、それぞれの地域の課題や公園の特性に応じた公園づくりが進むように、引き続き、優良事例の周知や交付金による支援、こういうことを行ってまいりたいと考えております。
○草間分科員 ボール遊びを禁止している公園でボール遊びができるようになったという事例をまさに紹介をいただいたと思うんですけれども、自治体は住民を抱えておりますから、やはりこれは、どんどんどんどん、苦情が来るたびに、球技やボール遊びができなくなってしまうと思います。何らかの国の施策をこれからも進めていただきますようにお願いしまして、質問を終わらせていただきます。どうもお疲れさまでございました。
ありがとうございました。
○河西主査 これにて草間剛君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十八日金曜日午前八時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時一分散会