衆議院

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第2号 令和7年2月28日(金曜日)

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令和七年二月二十八日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 河西 宏一君

      田中 和徳君    谷  公一君

      三反園 訓君    神谷  裕君

      白石 洋一君   長友よしひろ君

      長友 慎治君    櫛渕 万里君

   兼務 市村浩一郎君 兼務 藤巻 健太君

   兼務 福重 隆浩君 兼務 北神 圭朗君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   経済産業副大臣      古賀友一郎君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            君塚  宏君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中山 光輝君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           真鍋 英樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        藤巻 浩之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     草間  剛君

  神谷  裕君     長友よしひろ君

  階   猛君     白石 洋一君

  長友 慎治君     小竹  凱君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     大空 幸星君

  白石 洋一君     階   猛君

  長友よしひろ君    神谷  裕君

  小竹  凱君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     三反園 訓君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     山本 大地君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 大地君     田中 和徳君

同日

 第一分科員藤巻健太君、第四分科員福重隆浩君、北神圭朗君及び第七分科員市村浩一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

河西主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤巻健太君。

藤巻分科員 日本維新の会の藤巻健太でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に移らせていただきます。

 まず、羽田空港で昨年起きた航空機の衝突事故について質問いたします。

 昨年一月、日本航空機と海上保安庁の航空機が滑走路上で衝突し、五名の方が命を落としました。運輸安全委員会は、事故原因について、昨年十二月に経過報告を発表いたしました。この経過報告を受けて、大臣としてのこの事故の分析、見解、改めてお聞かせいただければと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年十二月に公表されました運輸安全委員会の経過報告では、事故発生に関与した要因として、海上保安庁機は、管制官から滑走路への進入許可を得たと認識をし、滑走路に進入し停止をしたこと、そして、飛行場担当の管制官は、海上保安機が滑走路に進入していたこと及び滑走路上に停止をしていたことを認識していなかったこと、そして、日本航空所属機は、滑走路上に停止をしていた海上保安庁機を衝突直前まで認識をしていなかったことの三つの項目が示されたところでございます。

 今後、運輸安全委員会におきまして、更なる調査分析が実施をされるものと承知をしておりまして、国土交通省としては、引き続き同委員会の調査に全面的に協力をしてまいりたいと思っております。

 また、国土交通省では、昨年六月に公表されました羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめに基づきまして、滑走路誤進入の多くの原因でありますヒューマンエラーの防止、ヒューマンエラーが事故につながらないようにするための注意喚起システムの強化、そして最後の安全のとりでである管制官の体制強化など五つの柱から成る、ハード、ソフト両面の安全、安心対策を推進をしているところでございます。

 国土交通省としましては、関係者と一丸となりまして、航空の安全、安心の確保に向け、引き続き着実に取り組んでまいりたいと思いますし、運輸安全委員会の最終的な事故調査報告書が示された暁には、当該報告に基づいて必要な対策をしっかり講じてまいりたいと思います。

 航空の安全、安心の確保というのは極めて重要な課題でございますので、このような痛ましい事故が二度と起こらないように航空の安全対策を全力で進めてまいりたい、このように考えております。

藤巻分科員 おっしゃられますように、海上保安庁の航空機が停止位置を誤ったか、あるいは、よく言われているのは、ナンバーワンというJAL機着陸後の離陸順位を離陸の許可を得たものというふうに勘違いした可能性があるというふうに指摘されているところでございます。同じく、やはり管制官が海保機の進入に気づかなかったことも指摘されています。

 いずれにしても、ヒューマンエラーの可能性が指摘されているわけですけれども、今、ヒューマンエラーを防止する体制をしっかりと取っているという話はあったんですけれども、そもそも、ナンバーワン、これが聞き間違いの大きな要因とされていますが、何でナンバーワンというややこしい言い回しをするのでしょうか。ナンバーワンではなく、ステイとかストップとか、そう言っていればこの事故は防げた可能性があるというふうに思います。

 ステイやストップではなく、ナンバーワンという言葉を使うその慣習、ちょっとここは理解できないところが少なからずあるんですけれども、僅かな聞き間違い、言い間違いが大きな事故を引き起こしてしまう可能性があるならば、ゴーとかストップとかステイとか、こういうシンプルな言い回しをしっかりと使っていくようにしなければいけないと私は思うんですけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 管制官の使用する管制指示の用語につきましては、ICAOの標準で決まっております。極めて定型句で、世界的に同じ言葉で指示を行うという形になっております。ですので、今回も、誘導路のC5というところだったんですけれども、そこまで行きなさいという指示をさせていただいております。その際、ナンバーワンという用語を使用しておりますが、これは、管制指示とは違いまして、情報提供という形で行われているものでございまして、パイロットの要望もございまして、その離陸順位ということで、情報提供という形で示させていただいているものでございます。

藤巻分科員 運輸安全委員会の資料によると、管制官と海保機の間ではこのような交信がなされています。「JA722A トーキョー タワー グッド イブニング、ナンバーワン、タクシー トゥー ホールディング ポイント C5」、それに対して海保機の方は、「トゥー ホールディング ポイント C5 JA722A ナンバーワン、サンキュー」と。

 これは日本人同士の会話なんですよね。僅かな聞き間違い、言い間違いが許されない中で、日本人同士が英語でしゃべる必要はあるんでしょうか。

 ちなみに、これを日本語訳するとこんな感じなんですけれども。こちら東京管制官です、JA722A、こんばんは、一番目です、誘導路C5の待機場所まで進んでください。誘導路C5の待機場所まで進みます、JA722A、一番目、ありがとう。これは、「グッド イブニング」も「サンキュー」も言う必要ないですし、普通に、こちら管制塔、JA722AはC5で待機せよ、JA722A、C5で待機する、これでいいと思うんです。

 シンプルな日本語で話していればあの事故は十分に防げた可能性があるというふうに私は認識しているんですけれども、僅かな言い間違い、聞き間違いが大きな事故を起こしてしまう可能性がある、実際起きてしまったという状況の中で、日本人同士があえて英語で話す意味はあるんでしょうか。日本人同士ならばシンプルな日本語でしゃべればいいんじゃないかというふうに単純に思うんですけれども、大臣、どう考えますか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 航空の世界におきましては、日本の航空機だけでなく外国の航空機も日本の空港を使用しているという状況でございます。こうした中で、世界共通の言語である英語で、なおかつ定型句で管制を行うというのが世界標準となっております。

 日本国といたしましても、世界的にそうした誤解が生じないということのため、平素より英語によって基本的には管制を行っているところでございます。

藤巻分科員 その世界標準の英語でしゃべってしまったがゆえに、認識違いが起きて、大きな事故が起きてしまったというところを私は言っているので。世界標準に合わせて英語をしゃべる必要はなく、日本人同士の交信であれば日本語をしゃべれば大きな事故を防げる可能性が十分に増えると思うので、やはり、日本語、日本人同士が重要な交信を行う際に日本語を使うということを検討してもいいんじゃないかなというふうに単純に思うわけです。そこを少し頭に入れていただければと思います、日本人同士が重要な交信をするときにあえて英語を使う意味があるのかという。

 今回の事故、一つそれは大きな教訓だと私は思っていますので、日本人同士は一番分かりやすい日本語をシンプルに使う、これはある意味当然のことかなというわけです。会話を楽しむとかそういうわけではなくて、重要な交信をしているわけですから。

 タクシー・トゥー・ホールディング何とかと言われても、私は、一瞬、この英語を見たとき、「タクシー トゥー ホールディング ポイント C5」と言われても、特に海保機なんかは日常的に、こういう交信を頻繁に民間機と比べてずっとやっているわけではないわけですから、海保機が、「タクシー トゥー ホールディング ポイント C5」と、「ナンバーワン」と言われて勘違いしてしまった可能性があるという事実は、やはりちょっと重く受け止めてほしいところでございます。

 それで、今や、車でも自動運転、これが可能となっている時代です。普通の車でも安全装置がついていて、ほかの車や人が近づくと警告音が大きく鳴ります。飛行機でも、急速に近づいてくるほかの飛行機がいたら管制塔の指示とは別に検知して警告するシステム、これを航空機にも設置できないものでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のような技術につきましては、現在、欧米各国の方において開発が進められている段階でございます。こうしたデジタル技術の更なる活用に向けた調査研究についても、私どもとしてもしっかりと関心を持って進めてまいりたいというふうに考えております。

藤巻分科員 この事故、繰り返しになりますけれども、管制官は停止線での停止を指示していた中で、海保機がナンバーワンという言葉を離陸許可と勘違いした可能性があるわけなんですけれども、もっとシンプルに、停止線のところに踏切みたいな棒を設置して、進んでいいなら、離陸オーケーなら上げて、待機なら棒を下ろす。

 これは、もう本当にシンプルな、とても簡単なようなことで今回の事故を防げたんじゃないかなという気もするんですけれども、多分、ボタン一つで開けられて閉められてとできると思うんですけれども、ナンバーワンとかいうややこしい言葉を使うのではなくて、シンプルに踏切のようなものを設置すれば今回の事故は防げたんじゃないでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 誘導路と滑走路の境のところに踏切のようなものを仮に設置いたしますと、これは大きな飛行機ですと翼端に接触してしまいます。そうした障害になるようなものにつきましてはできるだけ除去をするという形に空港が設計されているところでございます。

 ただ、委員御指摘のような懸念に対して対応するために、今回、六月に取りまとめられた対策検討委員会の中間取りまとめにおきまして、ヒューマンエラーが起きたとしても事故に至らないようにするために、パイロットに対して、注意喚起システムである滑走路状態表示灯の導入拡大が提言されております。

 この滑走路状態表示灯といいますのは、滑走路に対して誤進入が起きそうになったときに、誘導路から滑走路にかけて埋め込まれている灯火が赤く光る、要は赤信号のような灯火でございまして、これの導入拡大を進めてまいりたいというふうに考えております。

藤巻分科員 赤信号よりも、やはり踏切のような物理的な障壁の方が、翼端に接触してしまうという話ですけれども、ちょっとそこは少し専門的な話になってくると思うので何とも言えない部分があるんですけれども、そっちの方がいいのかなという気がして、うまく翼端にぶつからないような位置に踏切みたいなものを設置するのがいいんじゃないかなと、ちょっと単純に考えたところではございますけれども、技術的な問題等々あるとは思います。

 昨年十二月に韓国で起きた旅客機の着陸失敗、これは百七十九人の方が亡くなられました。この事故はバードストライクが原因との報道があり、韓国当局の事故原因調査の予備報告書も、両エンジンに鳥が衝突したことを示す痕跡があったとしています。

 この事故、原因分析はこれからで、断定的なことは言えないと思うんですけれども、あくまで一般論として、ある意味避けることができないバードストライクでここまでの大事故は起こり得るものなのでしょうか。御見解をお聞かせいただければと思います。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 昨年十二月二十九日に韓国・務安空港で発生した事故の原因につきましては、韓国の事故調査当局が現在調査中であると承知しておりますが、我が国では、バードストライクにより民間航空機のエンジンが二つとも停止した事案はこれまで発生していないものと承知しておりまして、こうした現象は極めてレアな事象だというふうに認識しております。

藤巻分科員 これまで発生していなくても、これから発生してしまう可能性は否定できないのかなというところではありますけれども、バードストライクを避けるべく、対策というか、できることというのはあるんでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 我が国では、航空法に基づき、空港管理者に対してバードストライク対策を実施するように義務づけがなされているところでございます。

 具体的には、各空港において、空港及びその周辺において鳥を誘引する要因を排除するなど鳥の飛来を防止する環境対策、定期的なバードパトロールによる追い払いや駆除などの防除対策、空港関係者から成る空港鳥衝突防止連絡協議会における対策の効果の検証などを行っており、国はこうした対策の実施状況について定期的に監査を行っているところであります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、韓国の事故について情報収集を進めるとともに、韓国当局の調査状況等を踏まえて、必要に応じ追加的な対応をしてまいりたいと考えております。

藤巻分科員 鳥を追い払うというのは大分アナログな方法なのかな、それしかないのかなというところもあって、非常に対策は難しいところであるのは分かるんですけれども、こういう事故が起きてしまうとやはり非常に気になってしまうところではあります。

 羽田の事故では、ペットの救出についても論じられました。本事故では二匹のペットが犠牲になってしまったわけでございますけれども、航空各社のサービスにおいては、ペットは貨物扱いで、緊急脱出時にはペットを置き去りにして脱出しなければならないとされています。これは法的根拠に基づいた決まりなのでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 航空機におけるペットの取扱いにつきましては、航空法上、特に定めはなく、各社の運送約款において決められています。ペットを貨物室で預かりとする、こういう航空会社が日本では多い、こういう状況でございますし、また、LCCのように、そもそも引き受けない会社もございます。それから、機内の持込みを認めているのは一社ございます。これが実態となっております。

 また、機内への持込み手荷物に関しましては、緊急時においては何も持たずに脱出するよう、国際ルールで求められているところでございます。これは、手荷物の持ち出しが、御自身のみならず、ほかの方も含めた乗客全体の速やかな脱出の妨げとなるほか、脱出スライドの損傷にもつながるおそれがあるためであります。ペットについても、同様に持ち出しを控えていただくことになります。

 このため、我が国では、客室乗務員から旅客に対し、緊急脱出時、持込み手荷物を持ち出さないことを周知するよう、航空法に基づく運航規程を通じ、国土交通省から航空会社に求めているところであり、こうした取扱いは欧米各国とも共通のものとなっております。

藤巻分科員 言っていることは非常によく分かるんですけれども、しかし、ペットの命を家族の命と同等に考えて、客室には同伴できるところはあるとは思うんですが、緊急時にはどうしても連れていきたい、とても見捨てて逃げるなんというのはできない、そう考えている人は少なくないはずです。

 そういうふうに考える人たちがどうしても航空機でペットと移動しなければならないとき、安全面でのリスクがあるということを十二分に承知の上で、客室でペットと同伴できて、緊急時にはペットと一緒に脱出できる、本当にそういったごく一部の、特定の一部の運航便を認めてあげることはできないでしょうか。これは大臣、お答えいただければと思います。

中野国務大臣 緊急脱出が必要となった場合のペットの取扱いにつきまして様々な御意見があることは承知をしておりますし、お気持ちとしては非常に、私も心情としてはよくそれは理解をするところでございます。

 他方で、先ほど局長からも説明がありましたように、機内への持込みの手荷物に関しましては、緊急時においては何も持たずに脱出をするというのは国際ルールでも求められているところでもございますので、航空の安全をつかさどる国土交通省の立場としては、航空事故が発生した場合においては、やはり人命の優先、そして乗客の安全確保が最優先、こういうルールの必要性については是非御理解いただきたいと思っております。

藤巻分科員 おっしゃっていることは非常によく分かるので、一つの意見として聞いていただければと思います。

 いろいろと質問させていただきましたけれども、いずれにせよ、もう二度とああいう大きな事故が起こらないべく、国交省としても最大限の対策をよろしくお願いいたします。

 続いて、ちょっと話は変わって、配送サービス、物流における駐車禁止の取締りについてお伺いいたします。

 近年、アマゾンなどの配送サービスの利用が急増しているところでございます。アマゾンやヤマト、そういったサービスはもはや物流における社会インフラの一つと言えます。

 そんな中、実際に住居に商品を届けるとき、家やマンションの前に車を一時的に止めて配送をするというのが実際としてほとんどだと思うんですけれども、例えば東京都の場合、一般道路の多くは駐車禁止だと思います。

 アマゾンやヤマトがしっかり法律を守って業務に臨もうとすると、コインパーキングに止めて、そこを拠点にたくさんの荷物を持ち歩いて配送するか、あるいは回る予定の全ての家の前の道路の駐車許可を取るとか、現実的ではない対応をするしかありません。

 実際としては、配送業者が駐車禁止区域で短時間での路上駐車、黙認するというのがもしかしたら警察の実際の対応かも分かりませんけれども、だとしたら余り望ましい状況ではないというふうに感じるところでございます。

 配送サービスにおける現状と駐車禁止の法律、これは、矛盾が生じているとまでは言いませんけれども、やはり実情と乖離してしまっている部分はあるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

中野国務大臣 委員御指摘のとおり、トラック事業者におきましては、集配先や近隣に駐車スペースがないという状況、そういうときは路上等に車両を停車させて集配を行わざるを得ない、そういう状況があるということは私も承知をしております。

 しかし、このような状況に対応しないといけないということで、国土交通省としましては、例えば、トラック事業者からの要望に基づきまして、警察等とも連携をして、地域住民の方に対して、駐車規制の見直しをしていく、こういう説明等を実施をするとともに、地方公共団体に対しましては、荷さばき用の駐車施設を附置する、設置をするということを義務づける条例を制定をしていくことを働きかけていくということなどに取り組んでいるところでございます。

 あわせて、警察庁におきましても、駐車需要に対応するための取組として、駐車禁止規制の対象から貨物集配中の車両を除外するといった駐車規制の見直しを進めていくとともに、駐車許可の運用についても改善をしていただく、こうしたことに取り組んでいただいているものと承知をしております。

 国土交通省としましては、引き続き、警察庁を始め関係の省庁とも連携をいたしまして、円滑かつ効率的な集配サービスがしっかり行えるような、そういう環境整備にしっかりと努めてまいりたい、このように考えております。

藤巻分科員 駐車禁止の法律なんですけれども、それに関連して、駐車禁止を取られたら、申告しなければ車の所有者のところに罰金の告知が郵送で届く仕組みになっていると思います。その際、自分が駐車禁止違反をしてしまいましたと警察に申告して罰金を払うと、点数が切られます。一方、申告せずにコンビニとかで罰金を払うと、特におとがめもなく、点数を切られることはありません。

 駐車禁止違反をしてしまいましたと自己申告すると点数が切られ、黙っていると点数が切られない。正直者がばかを見るというのはまさにこのことかなというふうに思うんですけれども、この制度、おかしくないでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 駐車違反の取締りにつきましては、運転者の責任追及が十分に行えず、いわゆる逃げ得という不公平を生じさせないため、平成十八年六月から、従来の運転者責任のほかに、当該車両の使用者の責任を追及する放置違反金制度を導入しているところでございます。

 使用者責任の追及におきましては、委員御指摘のとおり、運転者に対する運転免許に係る違反点数の付加は行われないものでございますが、放置違反金納付命令のほか、一定期間に繰り返し納付命令を受けた車両の使用者に対しましては、都道府県公安委員会による当該車両の使用制限命令が行われることとなってございます。

 放置違反金制度は、放置車両の使用者に行政的な制裁を加え、公平で確実な責任追及を可能とするための制度でございまして、違反者が出頭して運転免許に係る違反点数を付加されるなどの場合と比べて、一概にどちらが有利あるいは不利であるということは言えないものであるというふうに認識をしているところでございます。

藤巻分科員 今、逃げ得を防ぐためにとおっしゃって、逃げ得を防ぐがために黙っている者得を生んでしまっている制度かなというふうに思ってしまうところではございます。駐車禁止、これは交通安全のためにしっかりと取り締まらなくてはいけない一方、実態に即して公平な制度をつくるべく、対応をお願いいたします。

 続いて、首都高の老朽化についてお伺いいたします。

 埼玉県八潮市の道路陥没の件のように、社会インフラの老朽化が強く懸念されているところでございます。六〇年代に開通した首都高も、当然、根本的な老朽化対策を打たなければならない時期に差しかかっていると思うんですけれども、首都高の老朽化対策、どのような方向性で考えていますでしょうか。

中野国務大臣 首都高速を含めた高速道路につきましては、我が国の経済活動や国民生活を支える重要なインフラでございまして、適切にメンテナンスを行うことにより、その機能を将来にわたって維持する必要がございます。

 首都高速道路、御指摘の首都高につきましては、昭和三十七年に最初の区間が開通をして以来、現在、約三百三十キロが供用されているところであります。このうち三割以上が供用から五十年以上経過をしているという状況であります。

 このような中、首都高速道路では、点検等の維持管理や損傷箇所への補修等の修繕を着実に行ってきたところでございまして、これに加えまして、平成二十六年以降は構造物の取替え等を行う更新事業を実施をしているところでございます。

 また、点検で明らかになった更新需要に対しまして、この更新事業等の実施に必要な財源を確保するために、令和五年に道路整備特別措置法等を改正し、料金の徴収期限を延長したところでございます。

 引き続き、着実な維持管理や修繕とともに、必要な更新事業にもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 これは、昔、私、似たような質問をしたことがあるんです、ちょっとへ理屈みたいな話かもしれないんですけれども。首都高という名前なんですけれども、ちょっと私、納得できないところがありまして、高速をうたって利用者から料金を徴収したのに、いざ乗ってみたら大渋滞で逆に低速、乗らない方がまだ早く目的地に着けた。首都高じゃなくて、これはもう首都低速道路、首都低だというふうによく思うんです。例えば、ダイエットになるサプリだと宣伝して売っていたのを、いいなと思って買ってみたら逆に太ってしまった、こんなような状態と同じとも言えなくもない。

 法律上は自動車専用道路を高速道路と定義していて、法律上は問題ないのかもしれませんけれども、高速をうたって料金を徴収しておきながら、いざお金を払って乗ってみたら高速どころか低速。これはいいんですかね。大臣、どう思いますか。

中野国務大臣 委員御指摘のとおり、様々な渋滞が発生をしているということは事実であろうかというふうに思います。しかし、その渋滞を緩和するための対策というのがやはり必要なわけでありまして、首都高におきましてもそうした対策をしっかりと講じていく必要があるということであると考えております。

藤巻分科員 渋滞、非常にこれは大事な問題だと思いますので、経済にも大きく影響するところですので、首都高における渋滞問題、しっかりと対応していっていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 交通の安全というところに関連してちょっと質問させていただきたいんですけれども、私、以前から思っていたんですが、合宿免許は、二週間ぐらいほかの地域に行って、短期間で集中的に免許を取得するものなんですけれども、交通の安全という観点から、私は大きな疑義を感じているところでございます。

 私自身、合宿免許で、山形に二週間ほど泊まり込みで運転免許を取得したんですけれども、いざ戻ってきて東京で運転してみると、人と車の多さ、それから一車線の細さ、衝撃を受けたのをはっきりと覚えているところでございます。山形と東京とでは事実として大きく交通事情が違うところだとは思います。

 いわゆる合宿免許で免許を取得した人が免許取りたての時期に事故を起こしてしまう可能性、これは、通いで取得した人よりもはるかに高いんじゃないでしょうか。

 先ほども申したように、地域によって交通事情は大きく異なるわけで、普通に考えると、免許取得後にふだん自分が運転するであろう地域で免許を取得するべき、それが当然なのかなというふうに考えるところなんですけれども、ふだん自分が運転するところとは交通ルール、交通事情が大きく違うところでの免許取得、これはどうお考えでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 指定自動車教習所における教習カリキュラムや卒業検定につきましては、道路交通法令に基づき全国統一の基準で実施されておりますことから、指定自動車教習所を卒業した者の運転技能については、地域にかかわらず一定の水準が確保されているものというふうに考えているところでございます。

藤巻分科員 まあ、同じとしか言えないんでしょうけれども、ただ、実態としては、私自身がそうだったように、関東圏とは、東京の都心部とは全然交通事情が違う山形で免許を取得して、東京に帰ってきたときに衝撃を受けて、もう手が震えて運転できなかったみたいな状態だったので、やはりそこは違うということはちょっと受け止めてほしいなというふうに思います。

 時間も限られていますので、最後に一問だけ端的に。

 成田空港なんですけれども、国際的なハブ空港を目指すという意味において、千葉県の、関東圏の経済活性化という意味において、やはり、今、朝の六時から二十四時が基本的な稼働時間なんですけれども、少しでも延ばすことに意義があるかなというふうに思っているんですけれども、最後にお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 成田空港につきまして、やはり、騒音により生ずる障害を防止をするということかと思います。開港以来、航空機の発着時間は六時から二十三時という制限でございます。

 他方で、御指摘のとおり、我が国の国際競争力の強化等の観点から、成田空港の更なる機能強化を進めることともしておりまして、これは地域の御理解をいただきまして、騒音対策の強化と併せて夜間飛行制限を一部緩和をするということは、二〇一八年三月に合意が成立したところでございます。

 これによりまして、二〇一九年十月からA滑走路の離発着時間は一時間延長し六時から二十四時まで、さらに、現在整備中のC滑走路は、供用開始後には空港全体の離発着時間が五時から二十四時三十分までとする予定でございます。

 引き続き、成田空港の国際競争力の強化と、そして、やはり地域住民の皆様の生活環境の保全も非常に重要でありますので、この両立が図られるように必要な取組を進めてまいりたいと思います。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 これで私の質問を終わらせていただきます。

河西主査 これにて藤巻健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村分科員 皆さん、おはようございます。今日はよろしくお願いいたします。

 まず、私は、関西三空港という観点でお話をさせていただきたいと思います。

 いろいろありましたけれども、関西の三つの空港、関西国際空港、そして大阪国際空港、通称伊丹空港、そして神戸空港ということで、今、関西には三つの空港が一体運用されているという状況になっております。大変喜ばしいことだと思っております。

 そこで、今度、いよいよ再来月の四月から神戸空港国際化ということになります。まずはチャーターということなんですけれども、かなり便数も最初からあるということで、これから、国際化になって、そしてもっと利用者が増えるということを期待しておるところでございます。

 ただ、計画上は、二〇三〇年を目途に国際化ということなんですね。いわゆる定期便、定期化するということになっているんですけれども、私としては、今回、チャーターと言いながら、かなり定期に近い運用になっているんじゃないかなと思っているところでありまして、もう二〇三〇年と言わずに、今年の状況を見ながら、これを早めることはしないのかと。

 もう二〇三〇年とかそんな先のことじゃなくて、もっと早めにそれを定期化するということはいかがかなと思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 市村委員の御質問にお答えを申し上げます。

 私も地元は関西でございますので、関西の経済の成長をこの三空港が支えていくということは非常に大事なことだと思っております。

 委員は、神戸空港の国際定期便について早く就航できないのか、こういう御意見でございます。

 神戸空港の国際化につきまして、ちょっと改めてになりますが、令和四年の関西三空港懇談会の合意におきましては、二〇三〇年前後を基本とし、一日の最大発着回数四十回を限度に国際定期便の就航を可能とするということ、そしてもう一つ、御指摘の国際チャーター便については、関西空港を補完する観点から万博開始時から運用可能とすること、これが令和四年の合意でございます。

 委員の御指摘のように、国際チャーター便につきましては、本年の四月の十八日からということで、東アジアの五都市に週四十便就航する予定ということで承知をしております。

 国際定期便、二〇三〇年前後を基本としというのが合意でございますが、では、その具体的な開始時期についてということであります。

 ここは、やはり国際線ターミナルの運用や需要の動向というのがあろうかと思います。そして、関西空港の混雑状況等も見ながら、御地元においてこれを検討、議論をされるものというふうに私どもも承知をしておりまして、国土交通省としても、こうした地元での検討、議論というものをしっかり踏まえて対応してまいりたい、このように考えております。

市村分科員 ありがとうございます。

 是非とも検討を進めていただきたいと思います。

 そこで、私が申し上げたいのは、元々、私の地元には伊丹空港というものがありますが、そもそも、今でも、この伊丹空港、正式名称は大阪国際空港であります、これも一時期また名称変更しようとしていたときもありましたけれども、結局、大阪国際空港という名前は残っているんですね。私は、やはり伊丹の国際化というのも改めて検討をする必要があると思っています。

 三空港を一体運用する、今大臣からありましたように、関空の状況を見てということだと思っていますが、実際、今、関空の状況は、おかげさまでといいますか、コロナ以前を上回るような状況になっているということで、かなり混雑もしているということであります。

 ですから、神戸空港も、今回の大阪・関西万博に合わせて、チャーターということでありますけれども、国際化をいよいよ進めるというところでありますので、是非ともここで伊丹空港の国際化ということも改めて検討を始めていただきたい、こう思うところでありますが、いかがでございますでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 伊丹空港の国際化も実現させるべきという委員のお話でございます。御地元においても伊丹空港の国際化の実現を望まれる、そういうお声というのを改めて私も認識をさせていただきました。

 伊丹空港の国際化につきましては、令和元年五月の、これも御地元の議論の、関西三空港懇談会における合意におきましては、伊丹空港に関する短期、中期の視点に立った取組以外の課題として、国際便の就航可能性を含めた今後の在り方について、状況に応じて議論をするという整理がなされているところでございます。

 委員の御指摘の伊丹空港の国際化の実現につきましても、こうした状況に応じながら、御地元においての検討、議論ということをしていただく必要があるのかなというふうにも考えておりまして、国土交通省としても、こうした地元の御議論をしっかり踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

市村分科員 地元も様々意見があります。ただ、今大臣もおっしゃっていただいたように、素直に、何で伊丹は国際化できないのという声が圧倒的だと私は思っています。

 ただ、もちろん、騒音問題、これまで話がされてきた環境問題については、しっかりと対応していく、対策を取っていくということは前提であります。ただ、やはり、皆さんから伊丹からも国際便をというのは、特にビジネスかいわいの皆さんの声は大きいと思いますので、是非とも検討をこれからも加えていくということ、関西三空港はまさに一体運用という観点で加えていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次は、では、三空港が一体運用で今やっているというところで、いよいよ神戸空港国際化というところになりますが、今後、東京一極集中を是正しながら、やはり関西も一つの中核になる、これはバックアップという言い方もありますが、私は、いわゆるダブルコア、東京圏、そして大阪圏と言っていいんでしょうか、そうしたダブルコアということで、核が二つ並ぶ、そういうためにも、やはり空の玄関口として空港の重要性は大きいということもあります。

 そして、空港を活性化するに当たっては、やはり三空港をもっとアクセスがいい状況にしていく必要があると思いますし、かつ、いわゆる阪神間の交通事情をもっと改善させるためにも、私は以前に、神戸空港ができる頃に、神戸空港から関西空港に向けて海底トンネルを掘る計画というか、そういう何か話があったというふうに当時聞いたことがありまして、ただ、それこそ神戸空港に対してはいろいろ経緯の中でかなり反対もあったという中で、そこまではというところで、その計画は余り表には出ていなかったのかもしれませんが。

 そもそも、そういう、海底トンネルを造って関空島と神戸空港、いわゆるポートアイランドを結んで、そして、それを今の既存の湾岸の高速道路網につなぐということによって環状道路ができ上がるという計画があったやに聞いておるんですが、そのあったかどうかは把握されていらっしゃるのでしょうか。お願いします。

中野国務大臣 委員の御指摘の、神戸空港の開港当時というか、過去の経緯も少し今回調べさせていただきましたけれども、まず、平成十三年から十六年に、近畿の地方交通審議会、これは近畿の地元の審議会でございますけれども、におきまして近畿圏の鉄道ネットワークの検討を行った際に、兵庫県から、神戸空港と関西国際空港を海底トンネルの鉄道で結ぶという大阪湾横断鉄道構想の御提案があったということは承知をしております。

市村分科員 鉄道ということは、ああ、なるほどと今改めて認識したんですが、鉄道でも道路でも、トンネルを掘れば、上が道路で下が鉄道みたいなトンネルも当然あるわけです。ですから、鉄道を敷くためにトンネルを掘るということは、道路を造ってもいいということですし、今日の状況を考えれば、鉄道というよりもリニアモーターカーを敷くという発想もあるかと思います。

 ですから、今回、これは中長期的課題だというふうに思っていますけれども、こういう発想も、今後、関西がやはり一つの日本の核となる、特に東京一極集中を是正するという意味でも、いわゆる阪神間、大阪及び神戸、あの辺りのところをしっかりと、本当に核という名にふさわしい状況にしていくためにも、三空港を一体運用しながら、そして、そういうアクセスをしっかり高めていく。それは別に空港だけの問題ではなくて、さっき申し上げたように、環状線ができ上がるというところであります。

 道路としては環状線ができ、鉄道でもいいんですよ。だから、私は、もしリニアがあると、関空島と神戸沖、神戸空港を恐らく数分で結べる状況になると思います。そうすると、それこそ一体運用ができるようになってくるんですね。神戸が関空の第三滑走路になるのか、関空が神戸の第二、第三滑走路になるのか、いろいろ議論もあると思いますが、それが一体運用できるようになるというところでもあります。

 だから、そういう中長期的視点を持って、この海底トンネル、確かに計画があったということを今お話しいただきましたので、いま一度、こういう計画も、将来に向けて、関西が盛り上がる、元気になるということによって日本全体を盛り上げていくという、一つのきっかけにしていただきたいという思いでありますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、今、関空が非常に活況を呈しているという状況であります。そこで、日本人は割とスムーズに入国できるんでしょうけれども、海外から日本に来られた方が入国するのに大変時間がかかっているという指摘を私は受けておりますが、実際どうなんでしょうか。君塚審議官、済みません、この間失礼しましたが、よろしくお願いします。

君塚政府参考人 昨年、令和六年の外国人入国者数は三千六百万人を超えて過去最多となりまして、関西空港からの入国者数につきましても、コロナ禍前の令和元年を上回って過去最多の約九百四十五万人となりました。

 今御指摘いただきました関西空港での入国審査の待ち時間につきましては、当省による集計の状況を見ますと、例えば令和六年十一月では、約七割の外国人につきまして入国審査待ち時間二十分以内を達成している状況にあるところでございますが、ここ数年間のうちに外国人入国者が増加する傾向にありますほか、最近においては、春節の期間中に近隣諸国からの観光客が急増していることに加えまして、フライトの到着時間が定刻とならずにふくそうすることもございます。

 その結果、議員御指摘のように、入国審査待ち時間が時間帯によって三十分か四十分以上かかる場合もあるということでございます。

市村分科員 ありがとうございます。

 特に、今年は大阪・関西万博がありますので、去年以上に、昨年、韓国の皆さんは八百三十万人ということだったと聞いておりますけれども、今年は韓国からだけで一千万人を超えるんじゃないかということで予測もされています。

 全員がもちろん大阪・関西万博を目指すわけじゃありませんが、そのうち何割の方か分かりませんけれども、大阪・関西万博にも来ていただけるということもあると思いますし、そのときに、入国をするのに手間取りました、かつ、次の話なんですけれども、入国した後に、今度は関空の駅から大阪市内とかその他に移ろうとすると、切符を買うのにまた時間がかかるということにもなっているようなんですね。

 我々は、ICOCAとかSuicaとか、こういういろいろな鉄道さんのプリペイドカードを持って、ピッピッピッと入っていくんですけれども、なかなか海外から来られた方はこういうのは持っていないというところでありまして、結局、切符を買うのにまた、入国でとても時間がかかって、ああ、やっと入国できたと思ったら、今度は、電車に乗ろうと思ったら、はい、並んでくださいといって、切符でまた数十分というふうに聞いておるんです。

 だから、そうした状況をもっと改善していくということが必要なんですが、そういう実態はどうかということと、じゃ、改善するにはどうすればいいかということについて、またお話しいただければと思います。

五十嵐政府参考人 お答えいたします。

 関西国際空港における鉄道駅の切符売場の混雑状況についてお尋ねがございました。

 関西国際空港の鉄道駅の切符売場の混雑状況につきまして、運行しておりますJR西日本と南海電鉄に確認をいたしました。

 まず、JRでございますが、JR西日本の関西空港駅の切符売場においては、春節や紅葉等の多客期の日中時間帯において、最大三十分程度の待ち時間が生じているということでございました。また、南海電鉄の関西国際空港の切符売場においては、特定の曜日、時間帯によって、最大二十分程度の待ち時間が生じているというふうに聞いております。

 これらにつきましての改善策でございますけれども、まず、窓口での処理能力の向上ということで事業者が取り組んでおることについて御紹介申し上げますと、関西国際空港駅では、窓口の処理能力の向上に向けた取組として、二〇一七年にJRについてはみどりの窓口を増設をしたということと、それから、これはJRそれから南海共通だと思いますけれども、外国人の御案内をするために、日本人じゃなくて外国人のスタッフを配置をする、あるいは、外国人専用の窓口というものをあえてつくるということもやっているということに加えまして、一般向けの窓口に並ばれる外国人もいらっしゃるものですから、それらの対応がスムーズにいきますように、携帯型の翻訳機の配置、装備をした上で、窓口での処理対応能力を上げるという取組をしております。

 それから、議員からも御指摘もございましたけれども、事前に乗車券というか切符にアクセスできるような工夫をしたいということでございまして、これは今様々な取組をしておりますけれども、特に関西で取り組まれていることでございますが、海外の旅行代理店において、関西の民鉄事業者や大阪メトロなどを利用できる関西レールパスというのを発売してございます。これは現地の代理店に物を送って販売しておりますので、大手民鉄等を御利用されるという方は、そこでお買い求めいただければ、関西空港の鉄道駅で改札をすっと通ることが可能であるかと思っております。

 それからもう一つ、南海の関西空港駅を始めとする関西の多くの大手民鉄については、現在、クレジットカードやデビットカードのタッチ決済で乗車できるようなサービスを導入しております。これは、対象となるクレジットカードも、世界的なブランド、あるいは中国の銀聯も対象にしてございますので、これも周知を図る必要はあると思っていますけれども、クレジットカードをお持ちの方は、それをそのまま、ラッチで、出口でタッチすることによって、関西空港の鉄道駅において何かする必要はないということで、ストレスフリーが高まると思います。

 それから、これは関西の事業者ではございませんが、いわゆる交通系ICカードの系統で申しますと、JR東日本さんからは、モバイルSuicaという形で、事前にアプリをダウンロードしておいていただいて対応できるということで、物理的なものをお買い求めいただかなくてもできるということの取組をしています。これはSuicaが使えるところは全国的に使えますので、それの普及宣伝ということもあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、今開発されている様々な決済方法の多様化等の取組を、空港間の横展開などを積極的に図ることによりまして、訪日外国人がストレスフリーで快適に移動できる環境が引き続き整備されるよう、鉄道事業者に働きかけてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

市村分科員 ありがとうございます。

 次に、私は、日本に入ってきます、改善していただきたいと思います、入国の時間も短縮し、そして切符を買う時間も短縮する、そして、スムーズに入国して移動していただく。そのときに、移動していただくときに、やはり日本のことを、関西に降りていただいて、じゃ、どこに行こうかということで、グーグルマップとかいろいろ、アップルのマップとかを利用されるんでしょうけれども、非常にこういうのは画面がちっちゃいですよね。これで調べようと思ってもなかなか難しいと私は思います。地域によっては、そんなに交通網が複雑じゃないところはいいと思いますが、関西、特に関東とか、非常に交通網が複雑なんですね。

 ここにちょっとマップを持っていますが、いわゆる関西の鉄道網とかいったら、こんな細かいものになるんですね。これをこういうもので一生懸命見ても、なかなか頭が、全体像が入らないというところになります。ある程度大きなタブレットを持っている方は、少しはもっと大きく見られるんでしょうけれども、これじゃとても無理で、無理というか、特にお年寄りとかはなかなか難しいと思います。

 そこで、以前からこういう網羅したマップというのが実はあって、十五年ぐらい前には関空でも配られていたやつなんですね。

 だから、こういうやつをもっと政府広報で、観光庁さんとか、昔はビジット・ジャパンとかやっていましたけれども、そういう刊行物の中にこういうコンテンツを取り込んで、政府広報なんだけれども、こういうのを、こういう全体図を見てくださいというのをやっていくのもあるかなと。もちろん、今はデジタルの時代ですけれども、やはりそうはいっても紙媒体というのは意外とまだ重宝されていますし、これからも、どんなデジタルの時代になっても紙媒体は全部は消えないと私は思います。

 こういうのは、書き込んでおいて、後から思い出になって、帰っていただいて、ここに行ったんだ、ここに行ったんだとかいう、またいろいろ団らんの一つの話題にもなるというところでありますので、政府広報という形でこういうコンテンツを取り込む、特に今回、大阪・関西万博もありますから、ここですよといって一目瞭然で見ていただくというのを私は提案したいと思うんですが、いかがでございますか。大臣、お願いします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員も国土交通大臣政務官でもいらっしゃいまして、様々そうした観光のお取組、御尽力いただいていたということで、改めて敬意を表する次第でございます。

 御指摘の、どういう媒体でどういうものを周知していくかという、余り具体的に、こういうことをこうしますというのを詳細に答弁するのはちょっとなかなか難しいところではございますが、紙媒体でのそうした鉄道路線図等も含めて、インバウンド向けの情報というのは様々配付をする取組は現在行われているというふうにも承知をしておりますし、やはり、万博を訪れた観光客に万博以外の地域もしっかり訪れていただくためにも、インバウンドも含めて円滑に周遊できるような取組、情報提供というのは大事だということは改めて御指摘いただきました。

 従来より、公共交通機関における外国人観光客利便増進措置ガイドライン等に基づきまして、こうした外国語等による情報の提供、インターネット等も利用した観光に関する情報の閲覧を可能とするための措置、あるいはモバイル決済を含めたキャッシュレス決済等の交通事業者への導入支援等、円滑な周遊に向けた取組に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、様々な御意見もいただきながら、万博を訪れた観光客に様々な地域を、誘客、円滑に周遊していただけるような取組というのはしっかり進めてまいりたいと思っております。

市村分科員 ありがとうございます。是非とも、またこういうのも活用していただければと思いますので、よろしくお願いします。

 それで、済みません、古賀副大臣、いつも、この間も大変短く終わってしまったんですが、今度は大阪・関西万博のチケットについて。

 国内のチケットの工夫は今いろいろしていただいていますが、海外から来られる方も、大阪・関西万博に行きたいと思っても、ただ、国内以上に海外の方は情報がない中で、やはり簡易に、買いやすいとか、もちろんPRも含めて、買いやすくしていく、そういったことが必要だと思うんですが、その点につきまして、古賀副大臣の方からお話しいただけませんでしょうか。

古賀副大臣 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、そもそも、誰もがチケットを買いやすい、こういった環境整備は大変重要でございまして、今、我々もその取組を進めて、これを海外の皆様にも発信できるように、日本語も含めて六つの言語で発信をしている、こういう状況であります。

 あと、海外の来場者に促進していくというような取組については、海外の大手旅行代理店あるいは旅行予約サイトとの連携、こういったことをやっておりますし、その上で、いろいろな取組をやって、海外の皆様が来場しやすいような環境をつくっていきたい、こう考えております。

 以上です。

市村分科員 ありがとうございます。

 とにかく、一様に、今国内でもいろいろ話題になっていますが、非常にチケットの購入の仕方が複雑であったりとか、あと、細かい指定をしなくちゃいけないとか、そういう指摘があります。是非とも、そこをもっと、PRも必要なんですけれども、直感的に分かりやすいような購入の仕方ということをまた国内外の皆さん共にしていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは最後ですけれども、私の地元を通っている国道百七十六号線についてです。

 大分改善されていますが、その百七十六号線を利用しているのは、地元の人間というよりも、むしろ、多くはそこを通り抜ける人が利用しているんですね。特に大阪方面とかに、いわゆる西宮や三田から大阪に行くような人が百七十六号線を通り抜けています。そのときに、宝塚歌劇の大劇場交差点というのがありまして、ほかのところは大分緩和されてきているんですが、ここの場所はいまだに曜日とか時間帯によっては渋滞を引き起こしているということで、何も渋滞がなければ多分数分、もう二、三分で通り抜ける、二分とかじゃないですね、すぐ通り抜けられるのにもかかわらず、二十分かかったり三十分かかったりとかいうことで、非常に経済的損失もそこで生じているんじゃないかなと思います。

 この渋滞解消のために、すぐに何かできるということじゃないかもしれませんが、これは県管理なんですけれども、一応、国道と言われていまして、国が何とかしてくれというのが地元の皆さんから、特に、まちづくりという観点からも、渋滞が起こると、そこに住んでいる住民にとっても余りよくないということで、誰にとってもよくない状況が続いていますので、是非ともそこを改善していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 国道百七十六号、宝塚歌劇場前交差点でございますが、まず、この宝塚市の周辺の国道百七十六号、委員御指摘のとおり、兵庫県が整備、管理をされておるということでございます。

 特に、当該交差点は中心部に位置して、並行する一般道路が少ないということで、交通がこの百七十六号に集中をするということでございます。

 この渋滞対策については、国土交通省、自治体、警察等で構成をされます兵庫地区の渋滞対策協議会という場を活用して検討がなされているところでございますので、国土交通省といたしましても、引き続き、兵庫県とも調整をしながら、渋滞対策が進むように必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

市村分科員 時間が来ましたので終わりますが、大臣、またよろしくお願いいたします。

 感謝申し上げます。ありがとうございました。

河西主査 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、三反園訓君。

三反園分科員 自由民主党、鹿児島二区の三反園訓でございます。よろしくお願い申し上げます。

 政治の仕事は、国民の生命財産、そして安心、安全を守ることが最大の責務だというふうに思っております。近年、地震、そしてまた、これまでにない豪雨、台風などによりまして、あちこちで災害が頻発しているわけであります。それにどう対処していくのか、まさしく政治の責任が今問われているというふうに思っております。

 特に、道路網の整備が遅れているのではないかなというふうに思っております。能登半島の地震では、半島ならではの地形などによりまして、復旧復興も本当に難しくなっておりました。これにどう対処していくのか。少なくとも防災道路に関しては、整備を急ぐ必要があると思っております。

 今は旧態依然の道路が走っておりまして、何か起こればすぐに通行止め、そして、災害が起これば集落が孤立する、さあ大変だ、その繰り返しではないかなというふうに思っておりますので、特に半島での防災道路の整備、これを急ぐ必要があると思っておりますけれども、いかがでしょうか。

    〔主査退席、谷主査代理着席〕

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国道を始めとした幹線道路ネットワーク、これは国民の安全、安心を確保するとともに、人や物の往来を支援するということで、国民生活に不可欠なインフラでございます。

 幹線道路ネットワークを機能強化することによりまして、企業の立地、あるいは観光の交流も進みますし、豪雨や地震などの災害時の代替性も確保されるということで、様々な効果が期待されるところでございます。

 特に半島における災害、防災、そういう特に道路の防災対策等の御指摘でございますが、能登半島地震におきましては、国道二百四十九号を始めとした能登半島の主要な幹線道路で甚大な被害が発生をし、迅速な復旧、支援活動が困難になったということもございます。

 災害が多い我が国では、特に半島部などアクセスが限定をされる地域において、被災地の救助活動や復旧活動等を支える観点からも、幹線道路ネットワークの機能強化を図ることは非常に重要であるというふうに考えております。

 国土交通省としましては、引き続き、半島の防災対策にも資する幹線道路ネットワークの機能強化を着実に推進をしてまいりたい、このように考えております。

三反園分科員 大臣おっしゃるとおり、道路は、防災の面でも、観光の面でも、そしてまた生活の面でもすごく重要な役割を果たしているわけであります。

 私の地元も、薩摩半島があるわけでありますけれども、国道二百二十六号線が走っております。この道路は、鹿児島市内と指宿を結ぶ本当に主要な道路であるにもかかわらず、右側が崖で左側が海、しかも曲がりくねっていて、何かあると本当にすぐ通行止めになるわけであります。そして、通勤の車が本当に多く走っているわけでありますけれども、住民や利用者の方々は、能登半島のように、何かあると本当に大変なことになるのではないかなと、いつも不安を抱えておるわけであります。

 今、防災の面で、喜入防災という形の中でこの整備が進められようとしているわけでありますけれども、本当にこういう能登半島の反省に立ちまして、こういった防災道路、特に国道二百二十六号線、喜入防災については早期に整備していく必要があると思いますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 三反園委員御地元の国道二百二十六号線でございます。

 国道二百二十六号は、薩摩半島の海岸沿いを通過をし、半島内の主要な都市を結ぶ幹線道路でございます。委員御指摘のとおり、大雨による土砂崩れや線形不良による交通事故により、過去には通行止めが発生をするなど防災上の課題を抱えている、私もこのように考えております。

 このため、令和四年度に、鹿児島市喜入地区の延長二・二キロを国道二百二十六号喜入防災として事業化したところでございまして、今年度は、地質の調査、道路の設計を推進をしているところでございます。

 この喜入防災の整備により、線形不良箇所も解消されるなど、災害時の交通機能確保だけではなく、地域の産業や観光の振興、通勤、通学時の安全、安心の確保も期待をされるところでございます。

 国土交通省としましては、地域の皆様の御協力を得ながら、この早期の完成を目指してしっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

三反園分科員 ありがとうございます。大臣の方から早期整備を力強く言っていただきました。地元の皆さん方の期待も本当に大きいわけでありますので、よろしくお願い申し上げます。

 そして、薩摩半島は本当に道路の整備が遅れておりまして、縦軸の道路はあるけれども、横軸の道路が本当に全くないわけであります。御存じのとおり、道路は縦軸と横軸がそろって初めて役割、その効果を発揮するわけであります。どうか、本当に遅れている薩摩半島の中での横軸の道路という形の中で、今、薩摩半島横断道路を整備しようという計画が進んでいるわけでありますので、是非、観光地であります指宿、知覧、吹上とか、観光振興にも期するわけでありますので、この薩摩半島横断道路を何とか御支援をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えを申し上げます。

 薩摩半島におきましては、鹿児島市と南薩地域を結びます国道二百二十六号や南薩縦貫道路など、半島を縦断する複数の広域道路ネットワークは形成をされておりますが、横断する道路については、今委員御指摘のとおり、南さつま市と指宿市を結ぶ鹿児島県管理の国道二百二十六号のみになっておるということでございます。

 薩摩半島を横断をする広域道路ネットワークが形成をされますと、薩摩半島全体の交通利便性や周遊性の向上、さらに、災害時のリダンダンシーの確保などの効果が期待をされておるところでございます。

 このため、令和三年六月に鹿児島県で策定をされました新広域道路交通計画、この中におきまして、薩摩半島横断道路が構想路線に位置づけがなされております。現在、鹿児島県が中心となりまして、地域の現状の課題、整備効果などについて検討を行っているというふうに承知をしております。

 国土交通省といたしましては、引き続き鹿児島県や関係自治体が進める調査に対しまして必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

三反園分科員 よろしくお願い申し上げます。

 防災・減災、国土強靱化は本当に進めていかなきゃならないと思っております。やはり国土強靱化の予算を確保していかなければなりません。諸外国に比べて、やはり日本の社会資本整備の予算は本当に少ないということでもあるわけであります。特に、今日述べておりますけれども、道路網の整備は遅れているのではないか。しかも、これは私だけではなく、政治家の皆さんは全て感じていると思いますけれども、道路の整備を求める声は本当に大きいものがあります。だから、道路予算をもう少し確保して、全国の道路網の整備を早急に進めなきゃならないと思っております。

 そしてまた、高速道路も、ミッシングリンクもたくさんあるわけでありまして、道路はつながって初めて効果を発揮するわけでありますので、是非、道路予算を増やして早期整備をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。また、財務省の方にも、何とか予算を確保するようにお願い申し上げます。いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の命と暮らしを守るとともに更なる経済発展や地域の活性化を図るために道路整備は必要不可欠であり、全国各地域から多くの御要望をいただいておるというところでございます。

 例えば、災害時の速やかな救援、復旧活動に向けて、現道が土砂崩れあるいは津波浸水リスクを抱えるなど、各地域で道路ネットワークに関する様々な課題がございます。

 また、既存の道路施設の老朽化対策、これも喫緊の課題でございまして、対策を早期に進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用させていただいて、道路の整備や老朽化対策の加速化に取り組んでいるところでございます。

 また、五か年加速化対策後も必要な事業を着実に進めていくことができるように、国土強靱化実施中期計画についても、本年六月めどの策定に向けまして、関係省庁と連携をしてしっかり検討を進め、必要な道路予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

中山政府参考人 道路整備を含みます近年の社会基盤整備においては、自然災害の頻発化、激甚化とともにインフラの老朽化が進む中、国民の生命と財産を守り抜くため、防災・減災、国土強靱化の取組を進めることが国の重要な責務であると認識しております。

 現在、政府といたしましては、五か年加速化対策などによりハード、ソフト一体的な対策を推進するとともに、先般の国土強靱化基本計画の改正を受けまして国土強靱化実施中期計画を定めることになっており、国土強靱化推進会議におきまして、本年六月をめどとした策定に向け、議論が行われているものと承知してございます。

 この実施中期計画につきましては、総理の先般の施政方針演説におきまして、施策の評価や資材価格の高騰等を勘案し、おおむね十五兆円程度の事業規模で実施中の五か年加速化対策を上回る水準が適切との考えが示されておりまして、財務省としても、国交省を始め関係省庁と連携し、政府として引き続き必要な施策を実施するための予算をしっかりと確保できるよう検討してまいりたいと考えております。

三反園分科員 能登半島地震を受けて、今回、道路法の一部改正によりまして、トイレコンテナを増やしていくとか道の駅を活用していくということになります。これは非常に、半島に住む私にとりましても心強いことだなというふうにも思っております。トイレコンテナを設置する場合にも、それを増やすための御支援を賜れればな、そういうふうに思っております。

 そしてもう一つ、私も知事をやっているときによく、本当に感じたわけでありますけれども、災害が起こったときに、それを復旧するために何が一番必要かというと、そこに重機があって、そして人がいる、そこの人たちがいるからこそ早期に復旧ができるということを本当に痛感してきております。

 今回の能登半島地震、復旧がなかなか難しかった原因の一つとして、いろいろな方に話を聞いていると、そこに新しい重機と人がなかなかいなかった、これが早期復旧を難しくしたということをよく聞くわけであります。

 特に半島で起こった場合には、そういうことが、また同じようなことが起こり得るわけでありますので、最低限度の人と重機をそこに置いておけるような、そういった環境の整備というのはすごく大事であると思いますけれども、いかがでしょうか。

平田政府参考人 お答えいたします。

 建設業は、災害時には応急対応や復旧復興を担う地域の守り手として重要な役割を担っており、今後ともその役割を果たし続けられるようにするためには、平時から、災害復旧に欠かせない重機や、その取扱いに精通した人材を確保できるような環境を整えていくことが必要です。

 このため、公共工事品質確保法に基づき、地域において災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われるよう、地域要件の適切な活用を図るなど地域の実情を踏まえた対応について、公共工事を発注する国の各機関や地方公共団体等に働きかけているところです。

 また、建設業の担い手確保のために、今月公表した公共工事設計労務単価の引上げを含め、必要な処遇改善や働き方改革などに取り組んでいるところであり、今後ともこうした取組を進めることにより、災害に対応できる体制を整備してまいります。

 加えまして、大規模災害時には、自らが被災者である地元建設企業のみならず、他地域の建設業団体や建設企業の広域的な応援を得て、人材や重機を確保することも必要です。

 今回の能登地震におきましても、地元建設業者による総力を挙げた対応に加えまして、他地域の建設業団体や建設企業が、現地に入って道路啓開等の緊急工事に従事するとともに、照明車のオペレーターを派遣するなどの対応をしたところです。

 今後とも速やかな応急復旧を行えるように、地方公共団体始め各機関と建設業団体との広域的な連携体制の構築を推進してまいります。

 建設業が地域の守り手としての役割を果たすことができるよう、引き続き必要な取組を進めてまいります。

三反園分科員 ありがとうございました。

 次に、奄美振興についてお聞きしたいと思います。

 奄美群島は、御存じのとおり、南北二百二十キロでありまして、領海や排他的経済水域の保全を図っております。そして、原油などのシーレーンでもありますし、また、近年は防衛の面でも南西諸島は重要性を増してきているわけであります。

 私も、国会議員として八十数回、奄美群島を訪れておりますけれども、本当に感じることが一つあります。それは、物価が本当に高いです。何を買うにしても、本当に物価が高い。そういったところの人口減少を防いでいかなければなりませんし、そこで若い人たちも生活していかなければなりません。そういうことを考えたときに、本当に重要性が増している離島に特化した物価対策をお願いできないでしょうか。本当に、これは住民、島民の切実な思いでもあるわけでありますので、お願い申し上げます。

 それと、近年、台風とかこれまでにない豪雨などによって少し波が荒れると、船が抜港して生活物資が入らないというところ、本当に頻発しているわけであります。

 そういうことを考えたときに、台風が来たときに一週間ぐらい生活物資が入らない。そうすると、スーパーから生鮮食料品等が本当に全部消えてしまうわけであります。そういったことをなくすためにも、生鮮食料品も含めて食品を保管、保存するための冷蔵、冷凍施設、これは早期に整備しなければならないというふうに思っております。

 これについての支援をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員におかれましては、奄美群島の振興にかねてより一方ならぬお力添えを賜りまして、本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。

 お尋ねの離島の物価についてでございますけれども、人口規模、また大手小売店の立地の状況、各離島が置かれている状況によりまして、かなり異なっているというふうに思っておりますけれども、また、離島の物価の課題として挙げられていますのが、物流の非効率性、これに私どもはちょっと今着目をしておりまして、令和六年度から離島の物流の非効率性に焦点を当てた調査を今進めておるところでございます。この調査を踏まえまして、この離島地域におきます有効な対策、物流の効率化についてつなげていくような対策、これを行うことで離島の物価問題の改善につなげていければなというふうに考えているところでございます。

 また一方で、最近の全国的な物価高は離島にも影響を及ぼしておりますので、離島の自治体に対しまして、離島特有の課題に対しまして、内閣府の方が今年度の補正予算で臨時交付金を手当てをしていただいていますので、これを積極的に当座は活用するよう周知を図っております。

 また、お尋ねの、抜港などによります、災害に備えた生活物資の備蓄、これにつきましては、奄振の交付金におきまして拡充をいたしまして、食料品などの備蓄に必要なコンテナ整備、これを備えられるよう支援をさせていただいております。

 引き続き、地元の声を聞きながら、必要な支援をしっかりと講じてまいりたいというふうに考えております。

三反園分科員 離島で暮らしていく、その条件不利性の中で皆さん本当に頑張っているわけでありますので、是非、物価高に対する支援というのを強化をお願いしたいと思います。行けば分かりますけれども、本当に高いですよ。是非とも、皆さん含めて、お願い申し上げたいと思います。

 そして、離島の主要産業は農業であるわけでありますけれども、特に今、奄美も含めて鹿児島は畜産が盛んでありまして、全国の共進会、大会で日本一を取ったりして、本当にいい牛をつくりながら頑張っているわけでありますけれども、今、離島の畜産が本当に大変な状況になってきています。

 子牛の値段も下がって大変でありますので、こうした畜産への離島ならではの支援、そしてまた、主要産業でありますサトウキビをどうやって今後維持していくのか、そこら辺りについてお聞きしたいと思います。まずお願いします。

関村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、離島において、肉用牛やサトウキビを始めとする農畜産業は、地域を支える重要な産業である一方、輸送費や産地基盤の維持強化等が大きな課題になっていると認識しております。

 こうした課題を踏まえ、畜産では、家畜市場における購買者の確保や出荷に係る輸送費負担の軽減の観点から、家畜市場のない離島の生産者が島外の家畜市場に子牛を出荷する場合や、県外の購買者が離島の家畜市場で子牛を購入する場合に奨励金を交付しているほか、低迷する子牛価格に対応し、令和七年度においては、和子牛の産地基盤の強化の取組を行う生産者に対し、離島では五万円の奨励金を交付することとしているなど、離島に対し、特別な対策を講じているところでございます。

 また、サトウキビについては、糖価調整法に基づき、鹿児島県南西諸島と沖縄県のサトウキビ生産者や製糖工場に対して、標準的な経費から販売価格を差し引いた金額を交付金として交付し、経営の安定を図るとともに、地域ごとに抱える課題に対応した機械化一貫体系の確立や土づくりなど、生産性向上に資する支援などを講じているところです。

 こうした取組を通じまして、離島の農畜産業をしっかり支え、離島の産業の活性化を図ってまいります。

三反園分科員 様々な御支援をいただいていることは承知しておりますけれども、現場に行って、離島で本当に頑張っている若い農家の方々も含めて話を聞くと、様々な、またきめ細かな支援というものが必要だなということも感じておりますので、更なる御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、離島に行って声を聞くと、様々なことについて対応、対策を取ってほしいという声があります。

 その中で二つ、少し紹介してお願いしたいわけでありますけれども、一つは、農産物の輸送費支援の中で、移入品目の中でやはり上限が設けられているわけでありますので、その上限を撤廃するか、若しくは上限ではなくて品目数を増やしてほしいという要望がありますけれども、これについて是非ともお願いしたいということでもあります。

 もう一つは、今回、航路、航空路運賃の軽減がなされたわけでありますけれども、鹿児島市内と奄美群島に行くときには、住民であり、そして学生の帰省であり、介護での帰省であり、様々なことについて航路、航空路運賃の軽減が認められているわけであります。

 今回、奄美群島と沖縄との間で航路、航空路運賃の軽減が始まりましたけれども、これに関しては住民だけであります。是非、沖縄との間の交流を促進して発展をするためにも、鹿児島と同じように、学生であり、そしてまた介護のための帰省であり、そういったものを認めていただけるように、広げていただけるように、これは切なお願いでありますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 奄振の交付金によります農林水産物の輸送コスト支援、お尋ねをいただきました。

 地元自治体の御要望をいただきまして、今年度から、沖縄向け移出を支援の対象に追加するとともに、お尋ねの原材料の移入品目の拡大、これの三品目から五品目などの拡充を行っております。

 御地元の要望をいろいろいただいておりますけれども、真にニーズの高い品目が支援の対象となるように、具体的な移入品目を定めております鹿児島県とも調整しながら、柔軟な対応ができるかどうか、検討を進めてまいりたいと思っています。

 また、航路、航空路の運賃軽減、これも地元の御要望を踏まえまして、昨年の法改正で、奄振法の延長で沖縄との連携強化ということが書かれて、改正をされました。その中の一環として、今年度から、群島住民を対象といたします奄美群島―沖縄間の運賃割引、これを支援の対象に追加をするなどの拡充を行いました。

 まだ今年度の措置でございますので、この進捗状況を踏まえながら、また、地元の要望を伺いながら、しっかりと引き続き検討していきたいというふうに考えております。

三反園分科員 是非、地元の声を聞いていただければというふうに思います。

 どうしてかといいますと、今回、奄美群島と沖縄が一緒に世界自然遺産に登録されたわけであります。そういうことを踏まえて、沖縄との交流を盛んにしながら、農業も、沖縄に持っていって、そこから世界へ、日本へ送る。そしてまた、観光も、沖縄に来た観光客を奄美群島に来ていただくような、そういったものも踏まえながら、交流をどんどん促進することによって奄美群島の自立性を高めていく、そういうことにしなければならないわけでありますので、是非、島民のそういう思いに応えることが、逆に言えば奄美群島の発展につながるということにもなるわけでありますし、世界自然遺産に登録された意味もそこに出てくるわけでありますので、そういったことを踏まえて、是非とも島民の要望に応えていただきたい、そういうふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 そういった点からいいまして、奄振法の補助率について、やはりどうしてかなというものが一つあります。

 それは、奄美振興の交付金もそうでありますけれども、補助率については、公共事業が奄美は十分の七、沖縄は十分の九なわけであります。

 そして、非公共事業においては、これは何でかなというふうに私は本当に思うんですけれども、ほとんどのものが、奄美の交付金に関しては十分の五であります。沖縄の交付金は十分の八で、しかも、その残りの十分の二の、十分の一は交付税措置があるわけであります。簡単に言えば十分の九ぐらいになるわけでありますけれども、奄美は十分の五ということでもありますので、ここに関しては、奄美を、何とか皆さん頑張っているわけでありますので、是非、十分の五ではなくて、かさ上げを少しでもしていただきたいな、本当にそういうふうに思うんですけれども、よろしくお願い申し上げます。いかがでしょうか。

黒田政府参考人 ありがとうございます。お答え申し上げます。

 奄美群島におきましては、委員御指摘のとおり、特別措置法に基づきまして、公共事業につきましては内地に比べて高い補助率が設定されております。一方で、非公共事業につきましては、逆に、一般離島とは別に奄振交付金というのを活用しまして振興を図っているというところでございます。

 いろいろ課題を抱えております。依然として厳しい課題もございますけれども、ハード整備、ソフト整備、これを一層進めていくことが重要であると認識しておりまして、補助率のかさ上げ、これは、なかなか厳しい財政状況の下で、地域の実情も踏まえてしっかりと、まずは去年拡充をしました沖縄との連携、いろいろな移住の促進、こうした法改正が実現できるような予算の総額の確保、こうしたものに努めつつ、どのようなことが委員御指摘のような沖縄との交流の拡大に更にスムーズにできるかということにつきましては、引き続きしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

三反園分科員 現場を、奄美群島を訪れていただければよく分かるのでありますけれども、本当に、インフラ整備もまだ遅れておりますし、防災の面からトンネルの整備も本当に進めなければならない。観光振興のための予算も必要であるとか、様々なことがまだ必要でありますので、補助率のかさ上げについては地元の強い要望でもありますので、是非とも実現していただければなと思います。引き続きこのかさ上げについては求めていきますので、よろしくお願い申し上げます。

 今日は、大臣を含めてありがとうございました。国民の安全を守り、そして生活を守り、平和を守っていく、そして離島を守っていく、そのために、現場の声を聞いて、様々なことを政治の責任でやっていけるように努力していきたいと思っております。

 今日はありがとうございました。

谷主査代理 これにて三反園訓君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友よしひろ君。

長友(よ)分科員 立憲民主党、長友よしひろです。

 神奈川十四区、神奈川県の相模原市、愛川町、清川村というところから、こちらの方に選出させていただきました。

 今日は初めてこういう機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は二つ取り上げさせていただくんですけれども、この二つについてなんですが、我々は、この予算に関連して、歳出改革というものを取り組み、補正予算の提案もしているところであります。

 その中の大きな一つに、基金の見直し、積み増したものについて、これをしっかり国民に還元する、より機能的なものを目指していこう、こういうものがございます。よって、今回提案したものの中には入っていないんですが、改めて、国交省の管轄の中で、この点についても検討することができるのではないかという視点から取り上げたいと思っております。

 国土交通省所管の耐震・環境不動産形成促進事業についてです。

 これが設置されているわけなんですけれども、事業は基金法人が、不動産の開発、改修、建て替えなどを行う対象事業者に出資、老朽・低未利用不動産について、国が民間投資の呼び水になるリスクマネーを供給し、地域の再生、活性化に資するまちづくりと地球温暖化対策を推進することが目的とあります。二〇一二年、平成二十四年度の補正予算で、三百億で成立したものです。

 二〇二三年度、基金の残高は二百六十二億円、出資中は八十五億円、計三百四十七億円あるというふうに認識をしているところであります。これまでの累積損益はプラスの六十八億、CO2削減量は一万五千トン余り、民間資金誘発効果は二千三百億と一定の成果を出した事業ではないか、こう評価をしているところであります。

 一方で、事業が十年を経過した二〇二二年、令和四年度には、交付要綱に基づきまして、見直しを独自に実施をされています。政府全体の基金の点検、見直しの前に行っているというふうに承知をしているところでありますが、これを基に、二十億円余りを国庫に返納をされたというふうに伺っております。

 そこで、改めて、まずこの事業について、十年以上経過しているわけであります。事業の成果検証について、冒頭伺いたいと思います。

平田政府参考人 お答えいたします。

 本事業では、耐震、環境性能の確保が容易でない老朽・低未利用不動産に対しまして、リスクマネーを供給することで、そのような改修の後押しと事例の形成を進めてまいりました。昨年度末までに三十三物件への支援を行っておりまして、支援対象は、高経年、老朽化をした大型ビルや、地方のオフィスビル、サービスつき高齢者向け住宅など、多岐にわたっているところです。

 これらの、従来は難しいと考えられてきた物件などについて、耐震、環境性能の確保と事業性を両立した改修を実現できることを示せたことは、環境、耐震性能を有する良質な不動産の裾野を拡大していく上で、大きな成果になったものと認識しております。

長友(よ)分科員 評価のところは同じような認識を持っています。三十三件が多いか少ないかというのは、ちょっと議論があるところだと思いますけれども、今回の件を調べるに当たって、少し疑問に感じた点がありましたので、それでは、その点を伺いたいと思います。

 二十四年度補正予算の成立、それから基金が設立されているわけですけれども、そこから、事業実施法人、基金設置法人という言い方が正しいんでしょうか、どちらも言い方はあるかもしれませんけれども、その募集までの期間が非常に短い。また、その後の採択までの時間も非常に短かったんですね。

 二十四年度補正予算は、緊急経済対策を実施するための施策を盛り込んだものとして、一月の十一日に閣議決定、二十八日国会提出、そして二月の二十六日に成立という時間軸でありました。ちなみに、この事業を受けた法人は、設立は二月の十四日とありました。募集期間は二月の二十日から三月六日までの二週間余り、募集要領も見たんですけれども、あくまで補正予算の成立が前提となる、こういうことでありましたので、二月の二十日から募集をされても、二月の二十六日に成立してから、こういう意味でしょうから、そこは問題ないんですけれども、ただ、二週間ですよね、非常に短いです。募集要領自体、出しているのも二月からなんですね。

 つまり、一か月もたっていない中で、これほど大きい、三百億という大きな、また事業も、非常に大きな事業を結果的に行っているようなものを募集しているわけですね。そして結果は、一事業体のみが応募されてきたというふうに聞いております。いささか疑念を抱くところなんですけれども、この点について説明を求めたいと思います。

平田政府参考人 お答えいたします。

 本事業の予算は、平成二十五年の緊急経済対策に盛り込まれた施策でございまして、本事業の目的である環境、耐震性能を有する不動産の拡大に加えまして、当時、懸念された景気の底割れを回避し、民間投資を喚起する経済対策としての要請、これが非常に急務であったということでございまして、事業実施法人の採択が、そうした事情を受けまして、速やかに行われたものと承知をしております。

長友(よ)分科員 一般社団法人環境不動産普及促進機構が担っていただいております。二月の十四日に設立されて、三月六日、一か月もたたずに、この法人が三百億、国費を担っていただくというふうに決めていかれたわけなんですけれども、こちらの法人についてどうのこうの言うつもりは全くございませんが、しかし、設立して募集が始まるまでの間、一週間もない法人ですよね。決まるまで一か月もない、設立されてから。

 これは、事業を極めて順調にやっていただいているので、結果としては正しかったと思いますが、この選定については、やはりこう、何かちょっと、どうなんだろうという気がいたしますけれども、もう一度、その点について見解を伺いたいと思います。

平田政府参考人 当時、非常に経済対策としての要請が急務であったということで、この機構におきましても、法人の側の方で、どのようなことで、こうした準備を短期間でやったのかということについての法人側の事情は、私どももつぶさには承知しておりませんけれども、補助金を交付いたします国土交通省の方といたしましては、法人からの申請に基づきまして、適切に審査をした上で交付決定をしたということと承知をしております。

長友(よ)分科員 そういう答えになりますよね。

 ここで一点申し上げておきたいと思うんですけれども、事業自体が非常に順調にいっていると思っていますので、そのこと自体ではなくて、ただ、国費を三百億投入する事業、幾ら緊急性がある経済対策だといっても、では、それが半年ぐらい遅れたからって、何か大きな影響があるんですか。恐らくないと思います。一刻も早く景気を回復させなきゃいけないという意味では、そのとおりだと思いますけれども、やはりしっかりと期間を設けて、対象の機構なり事業者がどれぐらいあるか分かりませんけれども、それなりの計画を立てて、応募ができるようなところが幾つか出てくるような、こういう仕組みというものを求めていくべきじゃないかというふうに思います。

 今後のこういう公募については、国土交通省内で、期間の設定とかも含めて、是非留意をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、この中身について、実は少し疑問のあるところがございますので、これも伺いたいと思います。

 基金の設立当初、この終期が定められていなかったんですね。通常、目的が達成されたら、それは終わるというのが当たり前の話なんですね。そのことは、募集要領には記載されています。記載されているんですけれども、では、何をもって終わりなのか、終期なのかということは、これはないんですね。なぜこれがなかったんでしょうか。そして、現状はどういう考えでしょうか、伺います。

平田政府参考人 基金の終期についてのお尋ねでございますけれども、平成二十五年に本事業を開始した当初におきましては、政府全体で、こうした基金の終期などについての一律の方針がない状況でございまして、そうした中で、本事業としては、十年以内に事業の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案して見直しを行うことといたしまして、具体的な基金の終期については定めておりませんでしたけれども、こうした見直しを行うことを定めておったという状況でございました。

 現在は、昨年の行政改革推進会議における基金全体の点検、見直しにおきまして、新規出資決定期限が令和九年三月末までと定められたことから、本事業における出資決定から投資回収までの期間を原則十年以内としていることも踏まえまして、本事業の終了予定時期につきましては、新規出資決定期限の十年後である令和十九年三月末としたところでございます。

長友(よ)分科員 基金シートなどにも記載をされて、終期ですね、今後の考え方としては記載されているところであります。

 次に、KPI、これが設定されているんです。ですが、そのKPIの設定の根拠が、見ている限りでは分からないんですね。なぜこの数字になっているのか、伺いたいと思います。

平田政府参考人 KPIについてでございますけれども、本事業は、老朽・低未利用不動産につきまして、国が民間投資の呼び水となるリスクマネーを供給することにより、民間の資金やノウハウを活用して、省エネ改修等を行うことで、耐震、環境性能を有する良質な不動産の形成を促進する、こういう目的でございます。

 そうしたことを踏まえまして、KPI指標の目標値につきましては、幾つかございますけれども、誘発された民間企業等からの出融資額というKPIにつきましては、誘発された民間出融資額の実績の伸び率を踏まえて設定をしております。また、出資案件の一年当たりCO2の削減量の合計値というKPIにつきましては、これまで、出資実行案件のCO2削減量の実績値を基に、今後の出資実行見込額や支援要件の引上げ等も加味して、設定をしているところでございます。

 また、このほかにもKPI指標はございまして、民間企業との連携という目標値につきましては、出資実行案件の関係事業者数の実績の伸び率を踏まえて設定をしている。また、呼び水倍率という目標値につきましては、本事業による出資実行額に対する、誘発された民間企業等からの出融資額の倍率の実績値を踏まえて設定をしているところでございます。そして、累積損益につきましては、今後の出資実行や投資リターン等の見込額を基に設定をしているところでございます。

 これらのKPI指標は、毎年目標値を設定してございまして、これらの達成に向けまして、適切に事業の運営を進めているところでございます。

長友(よ)分科員 一方で、また、先ほど、終期の話と同じなんですけれども、基金の設立当初に、事業全体の目標値は定められていないんですよ。KPIを設定したのも途中からなんですね。だから、設立当初には終期の定めもない、目標値の定めもない。こういうことで、追加的に、追加的にという言い方は正しいかな、後づけか、後づけでこれを作っているわけなんですよね。

 何で、そもそも基金を設立したときに、目標値を定めていなかったんでしょうか。

平田政府参考人 この事業、平成二十五年に創設をされているわけでございますけれども、政府の中で、官民ファンドで横断的にKPIを設定するということになったのは、その翌年の平成二十六年でございまして、そうした動きを踏まえまして、この事業につきましても、平成二十六年から事業目標を設定したという経緯でございます。

長友(よ)分科員 十年以上前の話なんですけれども、当時の状況をつぶさに分かっているわけではありません、議事録程度しか分かりませんので、一概に言えない部分もあるんですけれども、やはり、この手のものは、そのときに同時に示すべきですよね。

 これは政府全体の話かもしれませんが、いかに緊急経済対策だとしても、これは全く、直接的にその場にいく、国民の皆さんの生活に直接的に、直ちにやらなきゃいけないというものとは、一種色合いが違うものだというふうに思います。是非、こういった点は今後留意をしていただきたいと思うんです。

 この質問の最後に、今もちょっと申し上げていたんですけれども、私は、これを見させていただいて、事業の目的は達成できたのではないかと思っています。終わりが十年後の十九年ということなんです。出資を決定しているものの申請受付が令和九年三月となっているので、十年後の令和十九年、こういうことなんです。

 既に先ほど申し上げたとおり、資産は増えているわけですね。出資する予定のものは、もちろんそれは確保しておかなければいけないけれども、それ以外のものは国庫に直ちに返納してもいいんじゃないでしょうか。純資産が増えていることからも、事業の成果が得られているということは、民間投資の呼び水としての役割を果たしてきた、いわゆるロールモデルとしての役割を果たしてきたのではないかというふうに思います。

 事業を終息することが決まっているんですけれども、その前にこれは国庫返納させるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

高橋副大臣 老朽・低未利用不動産の改修につきましては、従来、耐震、環境性能を確保しながら行うことは難しいと考えられておりましたが、本事業によりまして、これらの性能を確保しつつ、事業として成立する事例を示すことができたと考えております。このことは、老朽・低未利用不動産への民間投資を促進する上で、大きな成果となってきたと認識をしております。

 他方で、本事業が創設されましたのは二〇一三年でありますが、二〇二一年には、政府として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度比四六%削減、二〇五〇年にはカーボンニュートラルといった、本事業の創設時に比べまして高い目標が立てられております。この実現のためには、より環境性能の高い不動産の形成を促進していくことが必要となってまいります。

 このような政府方針も踏まえまして、二〇二三年には、本事業における省エネ性能の向上に関する支援要件を引き上げた、つまり、支援要件を厳しくしたという言い方もできるかもしれませんが、そういうこともあって、引き続き、本事業によって、より環境性能の高い不動産の形成促進を強力に進めていく必要があると考えているところです。

 以上です。

長友(よ)分科員 意義は理解をするところです。

 リスク引き当てというのがあります。基金シート自体で、内部で議論をした結果、あと、外部の方に見てもらったんですか、この中で、リスク引き当てというものにやはり多額のものを、将来の出資見込額に対するリスク引き当て五十三億というものも必要な経費というふうになっています。

 私は、これ自体もどうなのかなというふうに思います。確かに、リスクを回避するために用意しておくというのは、一見そのとおりだというふうに思いますけれども、実際、この間もなかったわけでしょう、結局、この引き当てを充てざるを得なかったことは。だって、純資産が増えているわけですから。この後だって、その審査をちゃんとやってくれているわけですから、逆に言うと、それは、事業が失敗しないように、ちゃんと計画を立ててやっていただいているわけでしょう。

 だから、そういう意味からすると、新規の出資の予定額の中でどの程度必要かというのは議論がありますけれども、これも含めて、大臣、恐らく、こんなに積んでおく必要はないと思いますよ。より事業精査をしていただければ、国庫返納なり、事業として、もう終わるのが決まっているわけですから。終息に向けて、いち早く、財源がなかなかない厳しい状況でありますから、これの見直しに着手していただきたいということを申し上げて、この質問は終わりたいと思います。

 次に、もう一問目。

 今度は、逆に、しっかり予算をかけてやってくださいというお願いも含めた質問となります。水道施設の事業です。耐震化です。

 近年、全国各地で深刻化している水道管の老朽化は大きな問題であるし、これはもう共有していると思います。本来であれば、上下水道一体で議論をしていくべきだとは思っているんですけれども、ちょっと質問時間の都合で、生きていく上で最も必要なのは何だということは水、上水道だということで限定して、ここだけ今日は取り上げたいと思います。

 改めて、能登の震災でも、水道の脆弱性の課題が浮き彫りになりました。国交省の公表では、被災六県で十四万戸の断水被害ということでもございました。また、配水管の被害箇所は、阪神・淡路のときと比較にならないぐらいの箇所が発生しているという報告もされています。

 老朽化が著しい問題の最大の要因は、地方公営企業法施行規則で四十年と定められた水道管が一斉に耐用年数を迎えていることだと認識をしています。ほかには、人口減少による収入減収だとか、技術者高齢化、事業主体である、経営主体である自治体の財政難が考えられます。

 水道法第十五条には、水道事業者は、当該水道による給水を受ける者に対して、常時水を供給しなければならない。供給しなければならないんですが、当たり前の話ですね。同第二条の二には、国は、都道府県、市町村並びに水道事業者等に、必要な技術的及び財政的な援助を行うように努めなければならない。努力規定ですけれども、これはしっかりやろうねと。やってもらわなきゃ困るわけですね。当たり前の話に思いましたが、これを前提に伺いたいと思います。

 政府自体でも、あるいは国交省も、鋭意取り組んでいただいていることは承知をしています。そこで、改めて、水道管の老朽化に対する来年度予算への対応、拡充をしていただいていると認識していますけれども、この点について伺いたいと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 水道は国民の生活に直結する重要なインフラであり、施設の老朽化が進行している中、その対策を適切に行っていくことが重要であると認識をしております。

 そのため、予防保全型の施設管理を推進しておりまして、四十年以上経過し、老朽化した基幹管路の更新事業など、重要な対策について財政支援を行っています。

 令和七年度当初予算案におきましては、これに加えまして、衛星データを用いた漏水調査などデジタル技術を活用した点検、調査、これら点検、調査結果に基づく水道施設アセットマネジメント計画の策定を防災・安全交付金の支援対象に追加し、老朽化対策を推進することとしております。

 なお、令和七年度当初予算案における水道関連の予算額につきましては、水道施設整備費として約二百三億円、これは前年度比一・一八倍、上下水道一体効率化・基盤強化推進事業費約六十四億円、これが前年度比二・〇七倍を計上しているほか、防災・安全交付金約八千四百七十億円の内数として計上しております。

長友(よ)分科員 強化に向けて取り組んでいただいているということが、数字からも改めて認識をすることができました。

 その上で、基幹管路、浄水施設や配水施設などに分類されるわけなんですけれども、全て取り上げると時間がないので、ちょっと基幹管路だけ申し上げたいんですけれども、耐震適合率は全国で四二・三%なんですね。高いか低いかという議論はちょっとありますけれども、ただ、これは全国的に、自治体別にという言い方が正しいでしょうか、ばらつきがあります。つまり、進捗しているところと、そうでないところがあるんですね。

 当たり前ですけれども、川上からやっていきますので、この手のことは。浄水施設だとか配水施設だとか、それで基幹管路ということになっていくと思うんですけれども、このばらつきというのがやはり問題だと思うんですよね。

 更に言うならば、七十四万キロある、基幹管路ではなくてそれ以外も含めた管路については、法定耐用年数を超えたのは、どんどんどんどん劣化率が上昇しているんですよね。今どれくらい取り組んでいるかというと、十七・六万キロ程度だということですね。

 ですが、管路の更新を実施しているんですけれども、更新率は経年劣化率の上昇に追いついていないんですね。どの程度かということを調べてみると、〇・六四だということです。極めて低い数字ですよね。

 では、更新率が何でこんな低調なんでしょうかね。そして、この〇・六四でいったら何年かかるんですか、耐震化が終わるまで。

松原政府参考人 お答えいたします。

 更新率につきましては、委員御指摘のとおり、令和四年度の実績で〇・六四%でございます。これで更新をしていった場合に何年かかるかということでございますけれども、これはあくまで単純計算でありますけれども、令和四年度の〇・六四%のペースで管路を入れ替えていくとした場合に、更新にかかる年数は約百五十年ということになります。

長友(よ)分科員 百五十年ということは、ちょっともはや想像ができない時代に変わっているわけですよね。そのぐらいたたないと、このペースだとできないわけですから、先ほど申し上げたとおり、川上からやっていくのは当たり前なんですけれども、実際、生活の基盤のところにつながってくるところまでこれをやっていくのは、本当に急激に増やしていかないと、とてもじゃないけれども駄目なんじゃないのというふうに思います。

 加えて、一九九〇年代に水道施設の投資額が増えているというのは明らかなんですけれども、ということは、あと十年で四十年たつので、更に予算が必要なことが想定されるわけですよね。このことも踏まえて取り組む必要があります。

 そこで、質問としては最後にしたいと思うんですけれども、水道管路の耐震化の進捗が急務な中で、これは自治体任せに、当たり前なんですけれども、事業主体は自治体ですから、自治体任せになっちゃっているんですね、進捗のあれも。これはやはり、ここまで来ちゃったら、もう限界じゃないですかね。もっと促進策、補助率を上げるのか、あるいは、もっと、いつまでに終了させるということを明記させるのか、いろいろな考え方があると思うんですけれども、これらについての見解を伺いたいと思います。

高橋副大臣 水道につきましては、国民の生活に直結する重要なインフラである、当然のことです。そして、令和六年能登半島地震での被害から、災害時においても水道施設の機能が確保されていることがどれだけ重要であるかということを、改めて認識をいたしました。

 そのために、浄水場など水道システムの急所、すなわち、その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設でありますとか、避難所などの重要施設に接続する管路の耐震化を積極的に進めていくこととしております。

 このため、令和六年度補正予算により、防災・安全交付金において、耐震化の取組を加速する水道事業体を支援対象に追加をするとともに、補助率に関しましては四分の一から三分の一へ引き上げました。また、令和七年度当初予算におきましては、上下水道システムの急所に関する個別補助制度を創設するなど、支援制度の拡充を行っております。

 しかし、長友委員の方からの御指摘というのはもっともな御指摘でありますし、それらをしっかりと受け止めながら、国土交通省におきましては、必要な技術的、財政的支援を行い、強靱で持続可能な水道システムの構築に向けた取組を進めてまいりたいと考えておりますので、今後とも御指摘、アドバイス、よろしくお願い申し上げます。

 以上です。

長友(よ)分科員 ありがとうございました。

 副大臣も、実際、町長をやられていたので、水道事業の本当に大変なことを現場で見られていたと思います。

 とにかく予算が増えていないんです。補正で積んでいるだけなんですね。だから、当初で積むように、是非御努力、御尽力いただければと思います。

 終わります。

谷主査代理 これにて長友よしひろ君の質疑は終了いたしました。

 次に、福重隆浩君。

福重分科員 公明党の福重隆浩でございます。

 本日は、国交省関連の分科会の質問の時間をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。

 地元の皆様の声を中心に、中野大臣、そしてまた政府参考人の皆様に順次質問をさせていただきますので、前向きな分かりやすい御答弁を賜りますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故についてお伺いをいたします。

 今もなお懸命に人命救助、復旧作業に当たられている方々に敬意を表すとともに、周辺地域にお住まいの皆様が以前と同じように安心して生活が送れるよう、私もしっかりと尽力をしてまいる所存でございます。

 当該事故の原因は、地下に埋設されていた下水道管の一部が経年劣化により損傷し、その部分に周辺の土砂が吸い込まれ、路面下に空洞が発生し、陥没したものとされております。

 令和三年度から実施している防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の中でも、国土強靱化に欠かせない下水道分野における対策の推進も盛り込まれており、老朽化した下水道管を適切に維持管理、更新する対応を進めていただいていると認識をしております。

 しかし、実際には、八潮市ほどの規模ではないものの、道路が陥没する事故が全国で度々発生しているのが現状でございます。下水道事業においては、総括原価方式の下、徴収された料金により維持管理を行うこととされておりますが、今回の事故を踏まえますと、現状では必ずしも適切な維持管理がなされているとは言い難く、今後、国民の皆様が安心して生活できるよう、これまで以上に下水道の老朽化対策に取り組んでいく必要があると考えております。

 そのためには、これからも、推進に当たって必要となる予算の確保はもとより、地方公共団体の限られた職員で対策を講じていくための環境整備が必要不可欠であります。

 下水道の老朽化対策の更なる推進に向け、点検等にドローンや地中レーダー、非破壊検査などの新技術の開発、活用を推進するとともに、今年六月をめどに策定作業が進められている国土強靱化実施中期計画にしっかりと下水道老朽化対策を位置づけ、着実に推進していくべきだと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。

松原政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の限られた人員で対策を講じていくための環境整備は大変重要でございます。下水道等の劣化状況や重大事故につながる予兆などを効率的に把握する技術の開発、活用を含め、老朽化対策を着実に実施していくことが重要でございます。

 このため、国土交通省では、下水道の施設管理や老朽化対策を高度化、効率化する観点から、DX技術の速やかな実装に向けて、地方公共団体向けの分かりやすいDX技術カタログの策定や、ドローンや地中レーダー等の点検、調査等の施設管理に関する技術開発など技術的支援に取り組むとともに、施設の計画的な改築を行うために必要な点検、調査などの重要な対策について財政支援を行っているところでございます。

 二月十四日に決定をされました国土強靱化実施中期計画の策定方針におきましては、下水道の老朽化対策について、埼玉県八潮市での道路陥没事故も踏まえて検討するということが位置づけられたところでございます。国土強靱化実施中期計画に下水道の老朽化対策に必要な施策がしっかりと盛り込まれるように、調整を進めてまいります。

福重分科員 ありがとうございました。

 私、県会議員を十八年間務めていたんですけれども、やはり県の職員も人員が削減されて、マンパワーが不足しております。特にまた市町村は厳しい状況にございます。そういった意味では、しっかり国がそういったところの支援を強力に進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続いて、利根川流域治水計画についてお伺いをいたします。

 現在、国交省としても、利根川・江戸川河川整備計画において、気候変動を踏まえた計画への見直しを実施していると承知しております。

 気候変動により予測される将来降雨量の増加等を考慮しても、安全度、年超過確率七十分の一から八十分の一を低下させないようにする、つまり七十年から八十年に一度の豪雨災害に耐え得るように河川整備を進めるとのことであります。

 しかし、近年、我が国においては、観測史上初めての規模と言われる豪雨や百年に一度の災害級の豪雨が毎年のように発生しており、大きな河川近くでお暮らしになる住民の皆様は常に不安を抱いておられ、早期に抜本的な対策を講じてもらいたいとの強い要望が平時から寄せられており、河川整備計画の見直しは待ったなしの状況にあると思います。

 河川流域また下流都県に暮らす国民の命を守り、安心した生活を送るためにも、国として抜本的な見直しを行い、より一層河川整備を加速させるべきと考えておりますが、政府の見解及び現在の利根川、江戸川河川整備の取組状況をお伺いいたします。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 利根川水系におきましては、首都圏を氾濫から守るため、河道掘削や堤防やダムの整備等の治水対策を長年にわたって進めてきたところでございます。

 一方、御指摘ございましたとおり、近年、全国的に水災害が激甚化、頻発化しております。利根川水系におきましても、例えば令和元年の東日本台風におきましては堤防が十分に整備されていない箇所や支川からの浸水被害等が発生しておりまして、気候変動に対応した治水対策の実施は喫緊の課題でございます。

 そのため、気候変動により降雨量が増大しても、現行の河川整備で目標とする、先ほど御指摘をいただきました年超過確率七十分の一から八十分の一、これの安全度を低下させないよう、基準地点でございます八斗島、ここでの目標流量を毎秒一万七千立方メートルから二万一千二百立方メートルへと引き上げまして、更なる河道掘削でございますとか遊水地の改良等の追加対策を盛り込んだ河川整備計画の変更案を既に公表しておりまして、現在、関係都県への意見聴取、関係省庁との協議、そういった最終段階の手続を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、利根川、江戸川における安全、安心の確保に向けまして、河川整備計画の変更手続を迅速に進めるとともに、ハード、ソフト一体となった流域治水の取組の加速化を図ってまいります。

福重分科員 御答弁ありがとうございました。

 私、先ほども言いましたとおり、群馬が地元でございますけれども、今言われた八斗島は群馬県の伊勢崎市が基準値になっているということで、やはり、東京、埼玉、こういった首都圏の皆さんのお暮らしを守るためにも大事な取組だというふうに思っておりますので、是非しっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 次に、河川整備、維持管理を進める上では、さきの質問でも訴えさせていただきました、デジタル技術を始めとする新技術の活用も重要であると考えておりますので、質問をさせていただきます。

 例えば、我が党の竹内参議院議員が推進に努めてきた危機管理型水位計があります。洪水時の水位観測に特化し、長期間メンテナンスフリーかつ小型な低コストの水位計が開発されたことにより、二〇二四年三月末時点で全国各地の河川に八千百六十五基が取り付けられており、目にする機会が多いかと思います。

 この水位計の普及により、氾濫の危険度や避難指標としての情報を誰もがネット上でリアルタイムに閲覧できる状況となり、豪雨や台風の際には、自治体から出される避難情報と併せて活用することで、迅速な避難に役立っているということでございます。

 また、一例でありますけれども、水門の開閉等の操作員の高齢化や人員確保が困難な状況があると伺っています。

 そういった状況の中、人手不足を解消するとともに、豪雨時の操作員の安全確保を考慮するなど、デジタル技術等を活用した自動化の遠隔操作化による省人化を進め、生産性を向上させる技術の導入を今後更に推進するべきと考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたします。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘いただきましたとおり、河川の整備や維持管理の場面におきまして、効率化、高度化、これを行うためには、デジタル技術の活用は重要であると考えておるところでございます。

 御例示いただきました危機管理型水位計につきましては、平成二十九年度から整備を始めました。御指摘いただきましたとおり、今や八千台を超えるものと把握しておりまして、国や都道府県等の管理河川における水位の観測網が随分と広がってきたなと思っているところでございます。

 また、危機管理型水位計を含む水位データにつきましては、住民や事業者の皆様などがホームページでリアルタイムに御覧いただけるようになっておりまして、迅速的確な避難行動や防災活動の参考にしていただいているところでございます。

 また、これも御指摘がございましたが、施設の確実な操作体制の確保ですとか操作員の負担軽減あるいは安全確保、そういった観点から、水門などの自動化、遠隔操作化、これにつきましても、国土強靱化関係予算も活用しながら推進しているところでございまして、令和五年度末時点で、国が管理する水門などのうち、対象となる施設の約四割で対策が完了したところでございます。

 国土交通省におきましては、今後とも、既存のデジタル技術の実装でございますとか更なる技術開発などによりまして、河川などの整備、維持管理の効率化、高度化を推進してまいりたいと考えております。

福重分科員 御説明ありがとうございました。

 水門の遠隔化が四割程度進んでいるということで、ありがとうございます。

 私が先ほども言いましたとおり、地元では、やはり豪雨が降ると、意外と地域の方とかが川を見に行って滑らせて事故に遭うとか、特にやはり水門なんかは、本当に使命感に燃えて、自分が行かなければというような形の中で事故に遭遇するということがございます。

 ですから、そういった事故を防ぐためにも、こういった遠隔化の操作というのは非常に重要な取組だと思いますので、是非こういったことを更に予算を取って推進をしていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 さきにも述べましたが、気候変動の影響もあり、近年は百年に一度の災害級の豪雨が毎年のように発生している状況です。私の地元、群馬県長野原町に建設された八ツ場ダムは、利根川の氾濫による洪水水害を防ぐとともに、首都圏に暮らす方々の生活用水や工業用水を確保するため、昭和二十七年の調査開始から長い年月を経て、一時は事業の必要性を改めて検証する事態となりましたが、地元住民の方々の深い御理解と御協力、また関係各所の皆様の並々ならぬ御尽力により、令和二年三月に完成することができました。

 この八ツ場ダムが治水面で大きな効力を発揮したとされているのが、二〇一九年十月に関東地方を直撃した台風十九号であります。当時、試験湛水中であった八ツ場ダムが一昼夜でほぼ満水となったことで、本来利根川に流れ込むはずだった水を食い止め、利根川の氾濫を防ぎ、利根川水系の下流都県の洪水も免れたとされております。

 一方、八ツ場ダムと同時期に事業の必要性を改めて検証し、中止となったダムがございます。これは、熊本県球磨川水系の川辺川ダムであります。二〇二〇年七月に熊本県南部を中心に九州各地に水害をもたらした九州豪雨では、球磨川水系で甚大な人的、物的被害が発生しました。この豪雨からダム建設の再開の方針となり、現在は流水型ダムの建設が予定されていると思っております。

 一方はダムができたことにより被害を最小限に抑えることができ、一方はダムがなかったために甚大な被害が発生してしまったという、ダム建設における国の方針として、比較すべき事案であるのではないかと思っております。

 そこでお伺いをいたしますが、八ツ場ダム完成後の利根川水系の治水面における効果検証について、政府の御見解をお伺いいたしますとともに、ダム全般に関しては、頻発する豪雨対策として、過去、中止となったダムの有用性についての御見解をお示しいただきたいと思います。

藤巻政府参考人 お答えいたします。

 委員が御指摘いただきましたとおり、令和元年の台風第十九号、これにおきましては、利根川水系では、それまでに整備された様々な治水施設が浸水被害の防止、軽減に効果を発揮いたしました。先ほどお話を申し上げました八斗島地点より上流のダム群では、御指摘のとおり、試験湛水中の八ツ場ダムで約七千五百万立方メートル、これを貯留したのを始め、七つのダムの合計で約一億四千五百万立方メートルの洪水を貯留したところでございます。

 これら七つのダムの洪水貯留による八斗島地点における水位低下量は約一メートルと推定されまして、これまでに整備してきたダムが一定の効果を発揮したものと考えております。

 八ツ場ダムにつきましては、完成しました令和二年度以降におきましても、これまで五回の洪水調節を行っております。また、全国の治水機能を有しているダムにおきましては、昨年、令和六年の一年間で、三百十二のダムにおきまして八百六十三回の洪水調節を実施したところでございます。ダムは、洪水の一部を貯留し、下流河川の水位を低下させ、下流域の浸水被害を防止、軽減する効果があると考えております。

 気候変動による降水量の増大に備えるためには、私ども、あらゆる関係者が協働して行うハード、ソフト一体となった流域治水を推進し、事前防災対策をこれまで以上に充実、加速化することが重要と考えております。

 具体的なハード対策といたしましては、河道掘削や堤防、ダム、遊水地、そういったものの整備などに加えまして、既存の利水ダムなどの有効活用、さらには、御指摘のありました、当時の社会情勢等から過去に中止となったダム等の施設についても選択肢から排除せず、様々な対策案を比較検討し、流域全体の安全度を早期に向上させるよう、対策の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

福重分科員 御説明ありがとうございました。

 今、検討の中から排除せずというお言葉がございました。やはり、ダムというのは意外と環境に与える負荷もございます。そういったものをしっかりと加味した上で、造ることがいいのか、造らないことがいいのか、それをしっかり検証して、やはり造るべきものは造る、そういうようなお導きをいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、ただいまの議論も踏まえまして、私の地元のダム問題について質問いたします。

 利根川の支流であります、群馬県南西部を流れる烏川の上流部に建設を予定しておりましたが、現在は中止となっている倉渕ダムというダムがあります。当時、治水と利水の両面の観点から建設を検討されておりましたが、利水の必要性がないとの判断、また、治水対策については河川整備を優先させるとのことで、建設が中止された背景があります。

 倉渕ダム建設を中止し、河川整備を行うことで、まずは三十五年に一度の雨量に対応する治水安全度を確保されるとされておりますが、現在、その治水安全度の確保は達成されておられるのでしょうか。

 また、群馬県が管理する烏川については、河川整備計画は、烏川圏域河川整備計画として平成十五年に作成されており、烏川の将来の治水安全度目標を百分の一とされておりましたが、当面の目標として、ダムによる洪水調整を行った上でも五十分の一の安全度に達しない区間が存在していると認識しています。そのような地域、区間の安全対策は現在どのような状況なのでしょうか。

 なお、倉渕ダムの建設においては、建設予定地の土地の収用やつけ替え県道工事も完了していることから、毎年のように発生している災害級の豪雨から国民の命を守る河川整備計画の一部として、その必要性についていま一度検討されてはどうかと考えますが、以上二点、併せて政府の御見解をお伺いいたします。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 倉渕ダムにつきましては、昭和五十九年より、洪水調節や水道用水の供給などを目的に群馬県が進めてきた事業でございます。御指摘のありましたとおり、平成十五年三月に作成されました烏川の河川整備計画におきましては、当面の目標として、ダムによる洪水調節後も五十分の一の安全度に達しない区間については河川整備を実施するということが位置づけられたところでございます。

 その後、群馬県による検証などの結果によりまして、平成二十七年に倉渕ダムは中止とされ、烏川の治水対策につきましては、ダムと併せて整備を予定していた河川改修を優先させることとなりました。

 その優先する烏川の河川改修といたしましては、平成二十七年十一月に変更されました河川整備計画に六つの区間の堤防整備が位置づけられました。これまでに下流部の一区間が完了しておりまして、現在は残り五区間の堤防整備に向けた用地取得が進められているところでございます。

 委員から倉渕ダムについて御指摘をいただきましたけれども、繰り返しになりますが、私どもといたしましては、利根川の流域全体におきまして、あらゆる関係者が協働して、ハード、ソフト一体となった流域治水をしっかりと、事前防災、こういったものを充実、加速化していきたいと思っておるところでございます。

 ハード対策となる洪水調節施設、ダムでございますけれども、これにつきましても、先ほど申し上げたとおり、既存の利水ダム等の有効活用、あるいは、当時の社会情勢等から過去に中止となったダム等の建設についても、繰り返しになりますが、選択肢から排除することなく、様々な対策案を比較検討し、流域全体の安全度を早期に向上させるよう検討を進めてまいりたいと思っております。

福重分科員 ありがとうございました。

 私、地元の方々と、この倉渕ダムの問題をいろいろと今、意見交換をさせていただいております。そういった意味で、様々この倉渕ダムの有用性というものを述べられる方がおりまして、ちょっとそういった意見をまとめさせていただいているんですけれども。

 河川整備としては、できるだけ上流で調整を図ることが有効であると私は思っております。利根川の上流でありますこの烏川には、ダムが存在しないんですね。

 その上で、今後の治水対策の計画の見直しに当たっては、新たに、百年に一度の豪雨に耐えられるものとして、あわせて、利水に関しては、ほかの県内ダムの水利権をつけ替えて、そのことによってほかのダムが水利権分を治水分に振り替えること、ある意味で容量振替ですけれども、ほかのダムの治水面の向上が図れるのではないかなというふうに思っております。

 そして、二点目には、何よりも再エネのクリーンエネルギーとして、水力発電は、脱炭素社会の達成に向けて、地方への企業誘致の大きなインセンティブになるのではないかと私自身思っております。

 いま一度、治水機能の強化と水力発電の促進を両立するハイブリッドダムとしての検討を始めてもいいのではないかと考えますが、もう一度、政府の御見解をお伺いいたします。

藤巻政府参考人 お答えいたします。

 委員に御指摘をいただきましたハイブリッドダム、この取組は、治水安全度の向上とカーボンニュートラルなどを目指す上で大変重要と考えているところでございます。

 そのため、国土交通省といたしましては、令和四年度から、管理中の多目的ダムにおきまして、水力発電を増強するために、気象予測、これも活用した運用の高度化を進めてまいったところでございます。

 また、今年度からは、国が管理する湯西川ダム、尾原ダム、野村ダム、この三つのダムにおきまして、発電設備の新設や増設、あるいはその後の運営をしていただける民間事業者の公募、広く募ることを新たに始めたところでございます。

 さらに、ダムの再開発や多目的ダムの建設に当たりましても、発電事業者を募るなどの取組も進めることとしております。

 今後とも、流域の関係者としっかりと連携をさせていただきながら、このようなハイブリッドダムの取組を、利根川水系を含め全国の河川において進めてまいりたいと思っております。

福重分科員 ありがとうございました。

 これからデータセンターとか、それから地方に優良企業を誘致するときにおいて、やはり優良企業もクリーンエネルギーを非常に求めておられます。そういった中で、再エネで太陽光だとか風力だとかいろいろと出てきておりますけれども、やはり天候に左右される。そういうような意味においては、やはり安定した電源を確保するという意味においての水力発電というのは非常に魅力があると思っております。群馬県というのは水源県でもございますので、そういった意味でのやはりこの水力発電に対しての思いというのは深いものがございます。

 そういった意味で、今後も、予断を許さず、こういったできるところの、このクリーンな水力発電、ハイブリッドダム、そういったものの検討を行っていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 ここまで様々質問をさせていただきましたけれども、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた下水道の老朽化対策を含め、流域全体で対策を進めていくことが重要であると考えております。

 これらの流域治水対策について、予算の裏づけのある形で国土強靱化実施中期計画に位置づけ、国交省が先頭を切って、他省庁と連携し、対策を進めることが重要であると考えております。国民の命と暮らしを守るため、国土強靱化実施中期計画に対する大臣の御決意をお伺いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 福重委員におかれましては、御地元で下水道の老朽化対策あるいは流域治水対策、様々な対策を進めていただいておりますこと、改めて感謝、御礼申し上げる次第でございます。

 改めて、近年非常に激甚化、頻発化する自然災害、そしてインフラの老朽化、これから国民の生命と財産を守るということが必要であります。中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を着実に進めていくことが重要であると考えております。

 六月をめどに策定をいたします国土強靱化の実施中期計画に向けましては、近年頻発する水害、そして埼玉県八潮市の道路陥没事故なども勘案をいたしまして、気候変動に対応した流域治水対策の推進、そして進行するインフラの老朽化への対応などを含め必要な検討を行うとともに、施策の評価や資材価格の高騰等も勘案をし、おおむね十五兆円程度の事業規模で実施中の現在の五か年加速化対策を上回る水準が適切であるとの考え方に立ち、関係省庁と連携をしながら、国土強靱化の政策をしっかりと検討し前に進めてまいりたい、このように考えております。

福重分科員 大臣、力強い御答弁ありがとうございました。

 今、十五兆円を上回るということでございましたけれども、是非、こういった災害の激甚化で、やはり国民の命を守るという意味において、我々は五か年で二十兆円、こういったものを求めております。しっかりとそういったところに目くばせをいただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後、時間がもうございませんので、インバウンドの経済効果の地方への波及、これははしょって質問させていただきます。

 訪日客が訪れる観光地は、東京や大阪、京都など一部の大都市圏に集中しているのが現状であり、インバウンドの恩恵は、いまだ地方の我々のところには波及しているとは言い難い状況であると思っております。

 インバウンドの経済効果を全国に波及させるためには、地方誘客をより一層推進することが地方創生の取組として重要と考えますが、政府のお取組をお聞きいたします。

平嶋政府参考人 観光につきましては、成長戦略の柱であり、また地方創生の切り札であります。

 御指摘の二〇二四年の訪日外国人旅行者数につきまして、また消費額につきましては過去最高となるなど、インバウンドは非常に好調でございます。

 一方、宿泊数ベースで見ますと、三大都市圏に七割超が集中しておるという状況にあります。地方への誘客というのが非常に、全国津々浦々その恩恵を行き渡らせるという意味では重要な課題だと思っております。

 そのため、消費単価の高い高付加価値旅行者の誘致促進を図るため、地方の十四のモデル観光地に対して、魅力的なコンテンツの磨き上げなどの集中的な支援を行う。また、歴史文化、自然、食、伝統産業、こういった、日本には様々な宝が、多様なものが数多くございます、こうしたものを、各地域の特色を生かした体験コンテンツ、こういったものの磨き上げの造成支援も行っているところでございます。

 例えば、観光の磨き上げの例としましては、群馬県においては、利根川源流地域におきまして初となりますナイトスノーシュー、これは専門のガイドの方がついてでございますけれども、これとジビエメニューが提供できる、こういったものの特別体験、また、皇室献上の歴史があります前橋のアワの食文化に焦点を当てた赤城山登山体験、こういった観光コンテンツの造成、こういった支援も行っているところでございます。

 加えまして、宿泊、交通、体験等のシームレスな予約、決済がサイトでできるように、こういうサイトの構築、それから、データに基づいて観光地経営等への支援というのも行っているところでございます。

 こうした取組を総合的に通じまして、地方誘客を進めるとともに、消費額の拡大を図ってまいりたいと思っております。

福重分科員 群馬の取組を挙げていただきまして、大変にありがとうございました。

 今言われたとおり、もう本当に三割の都市圏に七割が集中しているということで、地方にはまだまだ恩恵が来ておりません。しっかり地方を活性化させるためにも御努力いただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

谷主査代理 これにて福重隆浩君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

    〔谷主査代理退席、主査着席〕

櫛渕分科員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 今、物価高が止まりません。先週発表された消費者物価指数では、総合指数で、去年に比べて四%の上昇です。

 パネル一を御覧ください。

 民間のアンケートでも、値上がりしたら困るものの一位が米、これは先日の予算委員会でも指摘をいたしました。そして、二位がガソリンです。生活必需品ですから、ガソリン高が生活を直撃しています。ガソリンの小売価格は今年に入ってから百八十五円超えとなっていますし、消費者物価指数で見ると、一月は去年十二月と比べて三・六%も高くなりました。ドライバーや物流業者にとっては負担が重くなっています。

 このガソリン価格の対策については、政府は、燃料油価格激変緩和対策事業を行ってきました。二〇二一年度補正から二〇二四年度補正までを合計すると、八兆一千七百十九億円を投じてきています。

 しかし、この対策は本当に正しかったんでしょうか。

 会計検査院からは、支給する額が小売価格に反映されていない可能性があると言及されていますし、さらに、資源エネルギー庁は、小売価格の上昇が適切に抑制されていたのか、調査結果に基づく分析をやっていないというふうに言われています。電話や現地調査の必要性も含めて、その実施、内容や方法、報告については十分に検討せよという厳しい指摘もありました。

 まず、経産省にお聞きいたします。

 この燃料油価格激変緩和対策事業は、八兆円以上を投入したのに見合う効果を得られたと分析をされていますか。また、会計検査院の指摘に対し、経産省としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

竹内大臣政務官 お答えを申し上げます。

 燃料油価格の激変緩和事業によりまして、これまで原油価格の変動に応じて補助額を柔軟に調整をしながら、ガソリンなどの小売価格の急激な上昇を抑制してまいりました。

 現在は、ガソリンの小売価格が全国平均でリッター当たり百八十五円程度となるよう支援を継続しておりまして、補助がなければ百九十八円程度となるところを、十三円程度の補助を行うことによりまして、小売価格を抑制しているところでございます。

 本事業の実施に当たりましては、補助の効果がしっかりと消費者に及ぶことを確保すべく、元売が卸価格を引き下げたことを確認できた場合のみ補助金を支払うという事後精算の仕組みとするとともに、ガソリンスタンドに対する全数調査や個別訪問などを通じて制度の趣旨の周知を図り、小売価格への適切な反映を促してまいりました。

 こうした取組を通じまして、全国平均で見れば想定した水準前後に小売価格を抑制することができておりまして、価格高騰に伴う負担を軽減する目的は一定程度は果たしたと考えております。

櫛渕分科員 十三円しか、八兆円以上を投じて、消費者に届いていないんですよ。

 石油元売業者に対する補助金という形で、中抜きの指摘もされていますよ。今のお答えは、会計検査院から指摘がされている件についてどう考えているかということに答えていないじゃないですか。全くこれは、効果はゼロではないとはいえ、しかし、直接消費者に届ける方がいいに決まっていますよ。そう思いませんか。

 また、財務省にお聞きします。この事業、八兆二千億円の財源は何ですか。

土田大臣政務官 ありがとうございます。

 委員もう既に御承知のとおり、燃料油価格の激変緩和対策事業については、補正予算や予備費によって予算を計上しておるところでございます。

 こういった予備費、こういった予算についてなんですが、税収及び税外収入、また特例公債の発行等により歳入を一体的に確保しているところでございまして、本事業を含めて、個別の事業ごとに財源について一概にお答えすることが困難でございます。

櫛渕分科員 国債ではないですか。

土田大臣政務官 今申し上げさせていただきましたけれども、税収及び税外収入、特例公債等の発行によりということで、正直、お金に色がついていないものでございますから、一つの項目に対して、これで全て財源を賄っているということが申し上げられないような状況であります。

櫛渕分科員 公債も入っているということですから、国債も入っているということをお認めになったと思います。

 れいわ新選組が積極財政に基づく政策を打ち出しますと、財源はとよく聞かれるんですよ。しかし、この事業のように、現段階で八兆円を超える国債が投じられている政策について、見合いの財源が用意されていたようには思えない。だから国債なんですよね、これは明らかです。

 総額で八兆円を超えるもの、予算をこうやって調達しているわけですから、これによってガソリンが下げられているということは明らかです。

 財源、財源と野党の提案には指摘をするのに、自分たちの政策の財源には国債を大きな規模で簡単に出しているじゃないですか。それはお認めになりますよね。私たちが消費税廃止や教育無償化に国債を出せと言うことには批判するのに、自分たちの政策には普通に出しているわけです。

 パネル二をもう一度御覧いただきたいと思います。済みません、もう一度じゃなくて、初めてお出ししますけれども。

 ガソリン税については、お分かりのとおり、税金の塊なんですね。実に四割が税金。そして、石油石炭税、ガソリン税の本則に加えて、当分の間とする上乗せ分、いわゆる暫定税率があり、更にその上で消費税まで課されています。

 財務省にお聞きします。

 このいわゆる上乗せ分の暫定税率について、廃止する方向で検討されているとお聞きしますが、いつ頃になるか、その状況をお聞かせください。

土田大臣政務官 いわゆるガソリン税、ガソリンの暫定税率については、御承知のように、昨年の十二月に、自民党、公明党、国民民主党の三党の幹事長間において、廃止することが合意されております。

 その具体的な実施方法等については引き続き協議を進めているところでございまして、政府の立場として、政党間協議についてお答えをさせていただくことを差し控えさせていただきます。

櫛渕分科員 来年度からはやらない、ガソリン税は下げないということでよろしいですか。

土田大臣政務官 繰り返しになってしまいますけれども、あくまで政党間協議で進められていることでございますので、政府の立場として、お答えを差し控えさせていただきます。

櫛渕分科員 もう一度お聞きします。

 来年度からは下げないんですか。

土田大臣政務官 改めて、繰り返しになってしまいますけれども、それも含めて、今、政党間協議で進められていることだと思いますので、政府の立場からは、お答えを差し控えさせていただきます。

櫛渕分科員 ここは予算委員会の議論の場なんですから、答えてくださいよ。

 特に、地方での生活に車は必需品です。私は東京の選挙区ですけれども、それでも物流には車が欠かせません。ガソリンが高くなることは生活コストに直結しています。しかも、これから安くなるようには思えないんですね。それなのに、余りにも無慈悲な答弁じゃありませんか。

 かつて、暫定税率廃止を目指したガソリン値下げ隊というのが、ある政党の訴えでありました。これに比べて、今の政府は、ガソリン値上げ隊としか言いようがありません。

 国民負担を下げるには、政府のこうした事業、石油元売に対する補助金といった、一部だけが得をする方法では意味がありません。ガソリン価格が安定するまでガソリン税はゼロが一番シンプルで効果的なのはもちろんのこと、物流コストを抑えることで商品、サービス価格の高騰も抑制できます。

 国交大臣、物価高が深刻になる中で、国民はもちろん、ドライバーや運送会社などへの負担軽減のための政策として、いわゆる暫定税率から更に踏み込み、ガソリン税自体、本則も含めた見直しを財務省に求めるべきではありませんか。

中野国務大臣 現在、かなり燃料価格が高騰しているということで、今の取組ということで少しお話しさせていただきますけれども、自動車運送業におきましては、燃料価格を始めとする輸送コストの上昇分をまずは適切に運賃・料金に転嫁をすることが基本でありまして、その環境の整備が重要であると考えております。

 このため、トラック運送業におきましては、昨年三月には燃料サーチャージ制度を盛り込んだ標準的運賃を告示し、荷主などへの周知、浸透を図るとともに、本年四月に施行される物流の改正法によりまして、荷主との契約内容の書面化等の規制を導入をするなど、適正運賃を収受できる環境整備を進めているところでございます。

 また、バス、タクシーにつきましては、燃料費高騰等にも対応できるよう、運賃改定の迅速化や運賃算定手法の見直しを進める等、事業者の経営改善や体力強化につながる取組を推進をしております。

 国土交通省といたしましては、ガソリン税制の在り方については所管外でございますので、お答えを差し控えさせていただきますが、今申し上げた環境整備を進めることで、自動車運送事業を始めとする交通運輸産業が持続可能なものとなるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

櫛渕分科員 ガソリン税について伺っているんですから、そのことを率直にお答えください。

 財務省の管轄というお答えでしたけれども、運送会社に大きな負担になっているわけですよ。所管は国交省じゃないですか。大臣、しっかり財務省にそのことを求めてください。

 さっきのパネルをもう一度御覧ください。

 ガソリンは税の塊であるという図ですけれども、ガソリン税の本則、そしていわゆる暫定税率が大きな負担になっていることは明らかですが、この一番上の消費税も問題です。しかも、ガソリン本体にかかるガソリン税に、更に上乗せとして消費税がかかっている。財務省が何と言おうと、これは二重課税ですよ。

 実際、大臣も会員かもしれませんが、JAF、日本自動車連盟のアンケート調査では、何と九割が、ガソリン税には消費税がかからないようにしてほしいと答えています。このアンケート、サンプル数は実に十九万という大きな数字です。これはおととしの調査ですから、消費税が始まって三十年以上たっても、なお、自動車ユーザーはガソリン税に消費税がかかることを納得していないことになります。

 国交大臣にお聞きします。

 このように、九割のドライバーが、ガソリン税に消費税がかからないようにしてほしいと答えていることに対して、どのようにお考えですか。普通に考えて、二重課税である、これを是正しなければならないというふうにお考えでしょうか。

中野国務大臣 繰り返しになりまして恐縮ですが、ガソリン税制の在り方につきましては国土交通省の所管外でございますので、私の方からコメントすることは差し控えさせていただければと思います。

櫛渕分科員 大臣の御見解をお伺いしたいんですね。

 大臣、先ほどは、いわゆる暫定税率の速やかな廃止、さらに、ガソリン税自体を時限的でも減税すべきではないかという質問に対して、やる気のない御答弁でした。

 それならば、こうした、どう見ても二重課税、これをなくすには、やはり、消費税を廃止、少なくとも消費税減税、これをすべきだと思いますが、自動車ユーザーを代表するお立場から、もう一度お答えください。

中野国務大臣 繰り返しになりますが、消費税の在り方につきましても国土交通省が所管をしている税ではございません。お答えを差し控えさせていただければと思います。

櫛渕分科員 財務大臣政務官にお伺いします。

 れいわ新選組が消費税廃止をしろと言うと、必ず政府は、そして総理は、先日は、全額社会保障に使っているというふうに答弁されるんですよ。全くこれはうそですし、全額社会保障に使われておりません。そのようにれいわ新選組は考えておりますが、もし、たとえそうだとするならば、逆に言えば、消費税を廃止しても、道路の整備や補修に対しては影響しないということでよろしいですね。

土田大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたとおり、いろいろな支出項目がある中において、何一つで財源を賄っているというわけではないので、一概には申し上げられないんだというふうに思っております。

櫛渕分科員 いや、社会保障に使われているというんだったら、道路の補修、そういったものに対しては影響ないということでいいかどうか。イエスかノーか、お答えください。

土田大臣政務官 同じ答えになってしまいますけれども、全体として、歳入歳出を見てバランスを取っているところでございますので、何の項目がどこから削ったら問題ないとかというのは申し上げられないかというふうに思っております。

櫛渕分科員 今のお答えは、逆に言えば、社会保障には全額使われているとは言えないというふうにも聞こえますね。まあ、いいです。

 結局、二重課税を解消するためには、ガソリン税本体か消費税の少なくともどちらかの見直しが必要ですが、両方とも考えていないというお答えです。

 来年度の予算では、過去最高の税収なんですよ。国は税金を取り過ぎです。国民は税金を取られ過ぎなのに、消費税はおろか、ガソリン税すら減税をしない。国民にお金を返してください。これでは国民の負担は全く減少させることはできませんし、来年度予算には反対をせざるを得ません。

 さて、次に、木造住宅密集地域の問題について質問をしていきます。

 政府は、令和三年に閣議決定した住生活基本計画で、地震のときに著しく危険な密集市街地の解消を打ち出しています。

 国交大臣、この計画で決められた危険密集市街地の令和十二年度までにおおむね解消、このことについて、現段階での達成率をお答えください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 地震時等に大規模火災が発生をする危険性がある密集市街地の整備改善等を進め、安全性を確保することは大変重要な課題でございますので、委員御指摘の住生活基本計画にハード、ソフト両方の目標等を定めて重点的に取組を進めているところでございます。

 このうち、地震時等に著しく危険な密集市街地につきましては、平成二十三年時点で全国に約六千ヘクタールありましたが、これを令和十二年度末までにおおむね解消するとの目標を定めて整備改善に取り組んできた結果、令和五年度末時点で、約七割に当たります四千八十三ヘクタールで事業が完了し、残りは千六百六十二ヘクタールとなっております。

 また、地域防災力の向上に資するソフト対策の実施率については、令和七年度末までに一〇〇%にするとの目標を定め、これは令和五年度末に前倒しで既に達成をしているところでございます。

 引き続き、地方公共団体と連携をし、令和十二年度末までに危険密集市街地をおおむね解消できるように、しっかり取り組んでまいります。

櫛渕分科員 この問題については、東京都でも木造住宅密集地域の整備事業を行っています。東京では、山手線の外側から環七沿線にかけて木造住宅密集地域が広がっているからですね。

 パネル三を御覧ください。

 これはその一部でありますけれども、青色と緑色のところが整備が必要とされる地区であり、実は、私の地元である墨田区、江戸川区北部にもかなり存在しているんです。私の地元がある地域も対象となっていますので、他人事ではありません。

 もうすぐ三月十日、東京大空襲から八十年目の節目を迎えます。墨田区や江戸川区は、百二年前の関東大震災でも大火災が発生をし壊滅的な被害を受けた後、さらに戦争でも焼け野原になるという、こうした悲劇に見舞われました。いかに木造住宅密集地域が災害そして戦争に脆弱かは、それこそ百年前から明らかだったのに、いまだに課題を積み残していると言えます。ずっと政権を担っている自民党、平和を掲げている公明党、何やってきたんですか。

 首都直下型地震のケース予想によると、冬の夕方、夕飯の支度で火を使う時間帯のケースですと、墨田区では建物約五千四百棟が全壊、約四千百棟が焼失するという想定がされています。不燃化対策のため、区は、古い建物の除去に九十万、建築設計に百万円の助成をするなどしていますが、この金額では足りないことは明らかです。費用面で進まない実態が見て取れるわけですね。

 こうした木造密集地域について、国の来年度の予算を見てみると、僅か百八十五億円なんですよ。これは全国ですよ。予算の目的には、大規模地震や大規模火災の発生時における人的、経済的被害の軽減のため、密集市街地の改善、住宅、建築の耐震化、防火対策を推進とされているのに、少な過ぎませんか。

 一方、来年度の防衛費予算、十一年連続で過去最高、八・七兆円です。三年間で三兆三千億円も増やす異常事態と言えます。中身も、敵基地攻撃能力に六千七百億円、在日米軍再編や経費負担に四千五百億円、空中給油機に二千二百億円、統合防空ミサイル防衛能力に一千八百億円など、戦争の準備には大盤振る舞いなんですね。

 先日、二十五日の中央公聴会で、ノーベル平和賞を受賞された日本被団協の田中熙巳さんが公述人として私の質問に答え、こうおっしゃっていました。危機をあおると、軍備で守らなければという錯覚に陥り、予算の使い方が変になる。田中さんは九十二歳、被爆者であり、戦争を知る世代です。まさに予算の使われ方が変になっている、その一端がここにも現れているんじゃありませんか。

 防衛費には過去最高八兆七千億円、一方、百年前からずっと課題である木造住宅密集地域の解消にはたった百八十五億円です。武器の爆買いをすることには熱心ですけれども、国民の災害リスクにはまるで無関心。これで本当に人命を守れるんですか。それが強い国と言えますか。関東大震災、東京大空襲に続く三度目の悲劇のリスクから本気で国民を守ろうとしていないわけであり、政治の不作為が問われかねません。

 平和の党を掲げる公明党から出ている大臣、お聞きします。

 全国に残されている木造住宅密集地域は、いざというときに大きなリスクを抱えていることは明らかであり、できるだけ早く解消していくことが重要です。全国で百八十億円という余りにも少な過ぎる予算を見直し、大幅増額していただけませんか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 密集市街地予算の対策がもっと必要ではないかという御指摘であったかと思います。先ほど、令和十二年度末までの目標の達成の状況、今現在の、約七割程度事業完了という現状については御説明をさせていただきました。

 密集市街地の整備改善につきましては、これまでも、防災・安全交付金等を活用させていただきまして、延焼を抑制をし、避難路となる道路の整備であるとか、避難場所となる公園や空き地の整備、そして、老朽建築物の除却、また延焼防止性能の高い建築物への建て替えなどに取り組む地方公共団体を支援をしてきたところでございます。

 委員の御地元もいろいろな、どんな状況かというのはよく分かられると思います。私も、地元は密集市街地が大変多いんですけれども、これは必ずしも予算だけの問題というわけでもなくて、例えば、地権者の高齢化が進んでいるということ、あるいは借家や借地などの権利関係も大変複雑な地域も多い、そういう状況もございます。事業の実施に向けた円滑な合意形成というのが非常に難しいというのが課題となっているということも実はございまして、そういう意味では、専門家の派遣ですとか、あるいは普及啓発等のソフトの施策について積極的に支援を今している。円滑な合意形成を何とか進めていこう、こういう取組をしているところでございます。

 密集市街地対策の予算につきましては、例年、地方公共団体からの御要望がございますけれども、十分な額を配分をしていると考えておりますが、今後も、委員も御指摘ございました、必要な予算額をしっかりと確保するとともに、地元住民の何よりも理解を増進をさせていただき、これに取り組む地方公共団体をしっかり支援をしていくということによりまして、密集市街地対策の推進に努めてまいりたいと思います。

櫛渕分科員 大臣おっしゃったように、この地区にお住まいの方も多く、いわゆる既存不適格の問題もあるわけでありまして、そう簡単に進むことではないということは承知をしております。しかしながら、全国で百八十五億円が十分な金額であるというお答えはどうかと思いますよ。そして、七割達成と言っていますけれども、三割残っているんですよ。百年超えの課題に対してまだ三割未整備だという、こちらの現実に目を向けていただきたいんです。予算を大幅に拡充するということがまず先に国ができることなんですから、まずそれをやってください。

 首都直下型地震の起きる確率は、この三十年に七〇%の確率とされているんです。繰り返しになりますが、関東大震災、そして東京大空襲、こうした悲劇を三度目、決して起こさないよう、もう予知ができる時代になっているんですから、それを本気で防ぐ政治を実行していただきたいと思います。

 大臣、我々は歴史の教訓と責任を負っている、その自覚を強く持っていただきたいということを重ねて申し上げます。

 では、続いて、高規格堤防、いわゆるスーパー堤防について質問いたします。

 写真、パネル四を御覧ください。

 こちらは、江戸川区の小松川地区にある道路、地下を通るアンダーパスです。問題は、ここがスーパー堤防をボックスカルバートとかいう方式でくりぬかれていることなんですね。大臣、これを見てどう思われますか。見るからに雨に弱く、実際、何度もここは冠水をし、よく通行止めになるんですよ。川の氾濫を防ぐどころか、堤防にこんな穴を空けて、水で度々通れなくなる。周辺住民にとっては二次被害も甚だしいです。これはとても理解できません。

 更に大きな問題は、同じ江戸川区内の篠崎地区でも高台まちづくりとかいう名前でスーパー堤防とアンダーパスが造られようとしていることです。なぜ、この小松川地区で雨で通行止めが多い教訓を生かさないんでしょうか。

 江戸川区は、東西方向にはJRや地下鉄など鉄道が通っていますが、南北方向にはないんです。バスが重要な役割を果たしています。

 高台まちづくり、篠崎地区の道路もアンダーパスで通すようですけれども、本当に大丈夫なのか。ここが小松川地区の道路のように水で通行止めになれば、災害があったら抜け道がなくなってしまうんですね。かえって災害リスクを高める可能性があります。

 大臣、高台まちづくりという名前で、スーパー堤防と一体化した再開発を行うのはいかがなものでしょうか。篠崎地区にできようとしている堤防にアンダーパスを通すのはやめてもらえませんか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、高規格堤防そのものの意義でございますが、首都圏等の人口、資産等が高密度に集積しているゼロメートル地帯等、これは堤防が決壊をすると多くの人命が失われる、あるいは我が国にとって極めて壊滅的な被害が発生をする、こういうことを回避をするために現在整備を進めているということでございます。

 近年も、平成二十七年の関東・東北豪雨や令和元年の東日本台風など、首都圏でも洪水による大規模な浸水被害というのは頻発しておりますので、今後も気候変動により水害が頻発化、激甚化していくことを踏まえますと、高規格堤防の整備というのはますます重要になってくるというふうに考えております。

 御指摘の江戸川区の篠崎公園地区につきましては、国による高規格堤防整備事業、東京都による都市公園事業、江戸川区による土地区画整理事業、街路事業及び緑地事業、これを共同事業として進めている地域でございます。

 高規格堤防内を一部通過する街路のボックスということで、御懸念の御指摘をいただきました。こちらのボックスにつきましては、出口の方が低くなるように勾配をつけて自然に排水ができるような構造を検討しているということでございますので、内部が浸水をするリスクはないのではないかと考えております。

 いずれにしましても、良好な環境の形成、広域避難場所としての篠崎公園地区の防災機能の充実、そして災害に強い安全、安心なまちづくりを実現すべく、引き続き、江戸川区など地元の自治体とも連携しまして、地元住民の御意見も丁寧に聞きながら、鋭意事業を進めてまいりたいと思います。

櫛渕分科員 その工法なら必ず大丈夫と言い切れるんですか。通行止めにならない保証はありません。是非、再度調査をして、やり直しの検討もお願いをしたいと思います。

 そもそも、荒川のスーパー堤防の計画、資料五を見ていただくと、こちらはパネルにはございません、お手元の資料を御覧ください。見ていただくと分かるように、一部の地区で事業が行われていますけれども、左下の四角ですね、今後の整備区間に目を通しますと、流域全体ではほとんど、いまだ手つかずの状態であることが分かります。点でしか事業が整備されていません。川ですから、これでは堤防の意味をなしていないんじゃありませんか。

 スーパー堤防が始まったのは一九八七年、今から三十八年も前です。それなのに、堤防としてほとんどできておらず、実態は、治水というよりも大規模再開発なんですよ。だから、ここの篠崎地区も、再開発で町を壊すなと言っているんです。

 国は水害時の避難場所にもなると主張しますが、堤防の上に避難させる政策は果たして現実的なんですか。川のそばで、地盤が本当にちゃんと安全なのかどうかという確認ができているんでしょうか。

 れいわ新選組は、災害の被害を最小限にするため、防災インフラ整備のための公共事業を行うことには賛成です。しかし、防災とは名ばかりで、実態は町を壊すような事業には反対。各地で豪雨による水害が頻発していて、首都直下型地震の可能性もある中、スーパー堤防が最適な防災事業なのかどうか、しっかり考え直すことを求めます。

 最後に、時間もなくなってきました、同じ中央公聴会で、日本旅館協会の大西公述人からこんな話がありました。協会の会員平均で、コロナ禍三年分で四十三年分の負債を負ったという驚くべき状況が明らかにされたんですね。そして、融資返済に係る負担軽減の支援をお願いしたいという要望がありました。

 そのときにも申し上げましたが、れいわ新選組は、ゼロゼロ融資の返済猶予と低金利融資の継続を公約として掲げています。

河西主査 櫛渕さん、質疑時間が経過をしておりますので、おまとめいただきたいと思います。

櫛渕分科員 はい。

 最後に、経産省政務官にお聞きいたします。その答えをもって質問を終わりたいと思いますが、ゼロゼロ融資の返済猶予、そして低金利融資の継続する政策をやっていただけませんか。

河西主査 竹内政務官、簡潔に御答弁を、恐縮ですが、お願いいたします。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。簡潔にということですので。

 今、経産省といたしましても、事業者の実情に応じた対応の徹底を繰り返し要請しておりまして、返済猶予を含む条件変更の応諾率、今約九九%に上っているところでありますが、借換えによる返済負担の軽減を図るために、例えば、民間ゼロゼロ融資を含む一〇〇%保証の融資を、一〇〇%保証で借換え可能な小口零細企業保証など、各種の支援策を講じているところでございます。

 それでもなお増大する債務に苦しむなど厳しい状況の中小企業に向けましては、全国の中小企業活性化協議会等による相談、助言等も行っておりまして、再生に向けた支援を行っております。

 こうした様々な施策を通じて、引き続き、事業者のニーズに応じたきめ細かい支援を講じてまいりたいと思っております。

 以上です。

櫛渕分科員 積極財政で国民の命を救ってください。

 終わります。

河西主査 これにて櫛渕万里さんの質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 おはようございます。有志の会の北神圭朗です。

 ちょっと地元の話になりますけれども、私の選挙区に南丹市というところがあります。中野大臣は京都御出身なので、ちょっと洛外に入るかもしれませんけれども、南丹市というところがあって、京都市内から老ノ坂というところを越えて、亀岡というのは保津川下りでそこそこ有名なんですが、その更に北にある。

 そこに吉富駅というのがあります。JR嵯峨野線の吉富駅。そこは割と便利な、交通の便の非常にいいところで、京都市内から約六十分、まあ六十分もかからないと思いますけれども、車で一時間以内。それから、京都駅からは快速で大体三十三分ぐらい。さらに、縦貫道というのが並行して走っていまして、縦貫道の名神高速道路とのインターが、大山崎インターというのがありますけれども、三十五分ぐらいで、吉富駅の近くに八木西インターというのがありますので、非常に交通の便がよい。南丹市としては吉富駅の西側の開発に非常に期待をしているというのが、まず背景にあります。

 ところが、吉富駅の西側は、九号線が、これも嵯峨野線と並行して走っているんですが、九号線を北向きに園部町の方に向かっていくと、JR吉富駅の左折をしないといけないんですね。すぐそこに踏切がある。非常に狭い、五メーターぐらいの幅員の踏切がある。府道になっている。それで、その府道が非常に狭いんですね。

 それで、そういった意味で、開発をするのには、大きくは交通条件はそろっているんですけれども、大事なすぐ開発したいところの交通事情が非常に厳しいということで、皆さんに要望させていただいておりますけれども、国道九号線から府道に入るところ、そこの左折レーンというのはないんです。国道九号線はその部分については二車線になっておりますので、そこを是非、左折レーンというものを明確に造っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員お尋ねの京都府南丹市の吉富駅付近は、東西の丘陵に囲まれた場所になっております。お話しのように、JR嵯峨野線と国道九号が近接して並走しておるということでございます。

 この吉富駅付近の吉富交差点、これと接続をいたします府道の竹井室河原線については、委員からもお話ありましたけれども、地元から、府道が狭隘である、さらに、国道九号の交差点とJR嵯峨野線の踏切が非常に近接をしているということもありまして、車両の進入に課題があって周辺開発が進まないということから、踏切付近の府道の早期拡幅などの御要望をいただいているというところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後、この吉富交差点周辺の交通課題の解消に向けまして、府道の竹井室河原線の整備の検討並びに周辺の開発計画と一体となりまして、京都府、南丹市と連携をしまして、必要な対策をしっかり検討してまいりたいと思っております。

北神分科員 ありがとうございます。前向きに検討いただけるということであります。

 これは皆さん御案内のとおり、南丹市という非常に小さな市でありますけれども、人口減少とかいう中で、やはり企業誘致というのは非常に重要になっている。ここは、最後、嵯峨野線に本当に近い、もう歩いて行けるような地域が、開発の非常に期待されているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あと、府道について言っても、府道も、これも非常に狭くて、トラックとかがそこに入ってきて、結局、府道をずっと西の方に向かうと、またちょっとした住宅街があって、そこでもう通れない、さりとてUターンもできないというところで、非常に地元の方も困っている面もありますので、そういう生活的な側面からも是非よろしくお願いしたいというふうに思います。ありがとうございます。

 次に、トラック運送業界の構造的な課題についてお話をしたいと思います。

 御案内のとおり、今、アマゾンとか、いわゆる宅配というものが非常に増えている。そういう意味では、トラック運送業界の皆さんは大変汗をかいていただいて、御尽力をいただいている。ところが、いわゆる働き方改革で時間外労働の規制、たしか九百六十時間ぐらいの規制もある。それから、やはり運賃が非常に低い。荷主との交渉をするときの立場が非常に弱いので、交渉力が弱いということで、なかなか期待するような運賃というものが確保できない。そうすると、低賃金にならざるを得ない。

 低賃金になると、私が今聞いているのは、これはトラック協会の幹部でもあられるんですが、京都の西京区にお住まいの方なんですが、この方が私に言っているのは、やはり人手不足で、賃金が本当に低いから、なかなか魅力のある福利厚生というものを提供できないというのが非常に彼らの嘆きでありまして、ここについて皆さんは、たしか令和二年でしたっけ、標準的運賃、大臣も役所出身だからお分かりだと思いますけれども、大体、この的という言葉が入るとちょっと疑わないといけない。

 私は、前、ちょっと余談になりますけれども、財務省が恒久的減税というのを小渕内閣のときにやりまして、みんな、普通、恒久的減税というと永遠に続く減税かなと思って、急にまた元に戻したんですよ。それは恒久減税じゃないのかと言ったら、いやいや、的が入っておりますということで、霞が関文学の一つの手法だと思いますけれども、この標準的運賃というのがある。

 ところが、これは、全日本トラック協会が、たしかサンプル数は二千人ぐらいなんですけれども、調査をすると、この標準的運賃、皆さんがこれが非常に適正な運賃であろうかと、適正的な運賃であろうかというところを満たしている割合というのは二割ぐらいしかないんですよ。

 これはやはり、この標準的運賃なるものの制度としていかがなものかと。やはり、これをもっと近づけるようにもっと努力をしないといけないんじゃないかと私は思いますけれども、その点、どうやってこれを今後普及していくのか、皆さんのお考えを伺いたいと思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業におきましては、コストの上昇分を適切に運賃・料金に転嫁する、これが基本でありますので、トラック運送事業者が適正な運賃を収受できる環境の整備が大変重要でございます。

 今、トラック運送業を取り巻く環境、課題認識については、今委員からも御説明があったとおりで、我々も多方面からそういう声をお聞きしております。

 その上で、国土交通省では、先ほど御指摘のあった交渉力の問題も踏まえまして、トラック事業者が運賃交渉に臨む際の参考指標として標準的運賃を告示しています。これは、平成三十年に議員立法で、全会一致で導入された制度でございます。まだまだ拡大していかなきゃいけないというのも、御指摘のとおりだと思います。

 そういう問題意識に立ちまして、昨年三月には標準的運賃の設定金額を引き上げまして、また、関係省庁と共同でリーフレットを作成して、周知啓発に努めております。

 また、内閣官房と公正取引委員会が連名で発出しました指針、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針におきましても、国土交通省が示した標準的運賃を合理的な根拠のある資料として扱うように、発注者側、それから受注者側の双方に求めております。

 さらに、荷主や元請事業者等による運賃・料金の不当な据置きにつきましては、トラック・物流Gメンによる是正指導を行って、荷主等の意識や対応の改善を図ってまいります。

 引き続き、トラック事業者だけではなくて、荷主の理解も得られるように、様々な機会を捉えて周知啓発等に取り組んでまいります。

北神分科員 ありがとうございます。

 新たにそういう、今おっしゃったようなことをやっていくという話だというふうに思います。是非よろしくお願いしたいと思います。

 現場の話を聞いていると、やはり荷主さんの方は、そんなの知らぬ、聞いたことないとか、本当かどうか分かりませんけれども、そういったことで煙に巻いたり、なかなか、やはり立場がトラック運送者の方は弱いので、是非そこを国の方からまた指導していただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 この標準的運賃というのが、今後そこは様子を見ていかないといけないと私は思いますけれども、構造的な問題として、たしか、トラック運送業者というのは全国で大体六万三千者ぐらいある、一般的な業者というのはそのうち五万二千者ぐらいあるというふうに伺っているんですが、私も統計を見て、事務所でも驚きましたけれども、そのうち車両が十台以下のところが五割ですよ、全体の五割。私が聞いているのは、大体二十両ぐらいないとなかなか事業として成り立たないというふうに伺っておるんですが、十両以下しか持っていない業者さんが五割、二十両以下は七五%なんですよ。個人商店はともかく、企業でこんな、要するに小さいところがたくさんあるというのは、やはり非常にいびつだというふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 こうなると、やはり多次下請ということで、幾ら荷主さんと、さっきの話で、標準的運賃で運賃が上がったとしても、更に二次下請、三次下請と、場合によっては四次下請もあるかもしれません。そうなってくると、やはり下の方は、とても標準的運賃に満たない。だから、皆さんの標準的運賃というのは元請のところを確保するという話だというふうに思いますけれども、二次下請、三次下請というふうになりますと、恐らく標準的運賃よりも更に高い運賃を要請せざるを得ないという状況であります。

 ですから、そういった意味で、一方で、私は、最低運賃価格というものを設けるのも一つの考えじゃないかというふうに思っています。そうじゃないと、本当に価格競争みたいなことで、私は心痛みますけれども、私はそもそも、中小企業淘汰とか、そういうのは余り国が積極的にやるべきじゃないという立場ですけれども、しかし、業界全体が沈んでしまうと元も子もありませんので、やはりそういったことも考えて、最低価格というものを導入することについていかがお考えか、教えていただきたいと思います。

鶴田政府参考人 トラック運送事業の実態は、今御指摘もありましたように、非常に中小零細の事業者が多いという特徴と、それから多重下請構造になっているということがあると思います。

 その中で、今御指摘がありました多重下請につきましては、輸送需要の波動ですとか、それから運送依頼を断りづらい状況が常態化しているというようなことにつながっております。これが過度な多重になりますと、実運送事業者、実際に運んでいる事業者が適正運賃を収受する、この妨げになって、ドライバーの賃上げを阻害する一因にもなるというふうに考えております。

 御質問がありました最低運賃の設定につきましては、様々な意見があると承知しています。そういう中で規制を導入した場合の実効性がどうだということですとか、トラック運送事業の実態も勘案して検討していく必要があると考えております。

 他方で、多重下請構造につきましてですけれども、これは昨年法律を改正していただいて、今年の四月から施行の予定でございますが、その中で、新しい措置として、荷主や元請事業者に対して一定の義務づけをする、それは実運送も含めて取引関係の把握をするということを義務づける、そういった措置も始めることとなっております。そういうことを通じて取引環境の適正化を図りたいと思っております。

 さらに、更にできることがあるんじゃないかということで、昨年の八月からは、多重構造の是正に向けた検討会も行っております。各方面の御意見を聞いて、今実態調査も進めておりまして、対応を議論しているところでございます。しっかり取り組んでまいります。

北神分科員 是非検討を進めていただきたいと思います。

 一点、局長、今お話しした、元請さんと荷主さんに取引の実態の把握をさせるという話だったんですが、そこをちょっと詳しく、それがどうやっていわゆる今の構造的な問題に資するのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。

鶴田政府参考人 現状、荷主さんと契約した元請の事業者が一部を下請、いわゆる協力会社に委託をするわけですけれども、ただ、その先、その受けた会社が更にまたほかの会社に頼むとか、そういうことが積み重なるのが多重下請ということでございますが、実態として、今、元請の事業者は、三次、四次といった実際の実運送を誰がやっている、誰がどれだけ運んでいるというのを必ずしも把握していないという実態がございます。

 これを改めるということで、元請事業者は、実運送まで含めて、実運送の体制の管理簿をつけるということの義務づけをして、その実態を把握した上で荷主さんと交渉していただくという制度でございます。

北神分科員 よく分かりました。

 皆さんも多分聞いていると思いますけれども、トラック運送事業者の皆さんは非常に厳しい状況にありますので、是非前向きに御検討いただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 最後にちょっと、いわゆる外国人の不動産取得の問題について、これは予算委員会で中野大臣にも私は質問して、石破総理からは割と今まで以上に前向きな答弁をいただいたんですが、規制をするにせよしないにせよ、やはり実態を把握することは非常に重要だというふうに思っています。ところが、大臣、そのときの答弁も、実需があるのは確かだけれども、そんなに急激に外資が入り込んで住宅価格が高騰しているという実態は把握していないというお話だったと思います。

 皆さんは、いつも、私、前の斉藤大臣さんにもお聞きしたときに、じゃ、その情報はどこから来ているのかというと、不動産業界とかあるいは不動産研究所とか、こういったところから聞いていると。しかし、それは、私から言わせると、不動産業界の中でもやはりそれで非常に景気がいいところもあると思うんですよ。だから、やはり利益相反になってしまいます。

 私は、皆さんからすると、この北神というのは何か変わった極右の政治家だなと皆さんは思われるかもしれませんけれども、私は決してそういうことではなくて、やはり国家の住宅政策として、今、実際、東京二十三区なんかを見ますと、かなり、新築マンションの価格が一億二千万ぐらいかな、高騰していて、やはり日本国民が住めなくなっている。京都、多分、御実家が京都ですから聞いていると思いますけれども、京都でも本当にもう、私らが地元を歩いていると、十人に一人ぐらいはその話をするぐらい、かなり買われている。東山区の方なんかは、もう表札がほとんど中国人になってきていると。

 差別はよくないんですけれども、やはり私は、住宅政策というのは国民を優先して何にもそれは恥じることはないと思いますよ。やはり、ちょっと根本的な話をしますと、国家、近代国家というのは国民国家です、正確な翻訳は。国民国家という、国民というのは、やはりそこで、日本の、国の家と書くように、一つの家族、疑似的家族だ。その家族がお互い運命共同体として、だから税金も払うし、場合によっては全然自分の地域と関係ない、震災があったところにボランティアで行くし、そういうきずなというものがやはり根本にないと民主主義は絶対に機能しないと思います。

 私、恐れているのは、アメリカとかヨーロッパというのは、そういうことに対する強烈な反動がトランプ現象であり、イギリスのファラージのリフォームパーティーとか、ドイツでも今度極右が選挙で二番目になりました。ですから、そういうことにならぬように、やはり住宅政策は日本国民を絶対に優先するのが当然の話だというふうに思います。

 だから、そういった意味で、やはり把握をしないといけないと思うんですが、一つ、重要土地調査法というのがありますね。そこでこの前調査をして、その結果、皆さんにも伝えてありますけれども、東京二十三区だけちょっと考えますけれども、そのうち、中国の、まあ、中国を取り出しているのはやはり一番買っているという実態があるからだということで御理解いただきたいと思いますけれども、二千二百三十八件、不動産取得数があった、日本国民を含めて。そのうち外国人が買っているのは百七十一件、東京二十三区では百十二件で、全体の、これはサンプル数も少ないですから、統計的ないろいろな問題があるのは承知の上で申し上げていますけれども、これしかないのでね、国の統計が、だから申し上げるんですが、そのうち約五%だと、中国人が買っているのは。五%。五%って大したことないじゃないかと皆さん思われるかもしれませんけれども、皆さんよくよく御存じのように、価格高騰というのは、偏在的に集中して急激に需要があるときにも十分生じる話であります。

 この重要土地等調査法の調査というのは、たしか北区とか板橋区とか千代田区とか、あと新宿区か、こういったところでありまして、新宿区を除いて、余りそんなに中国人が買っているようなところではない。それでも五%。

 中国の人たちがどのぐらい住んでいるかというのを見ますと、低所得者層、いわゆる留学生とか特定技能実習生とか、こういうのを除けば、大体一・八%しかいないんですよ。一・八%の人たちが五%の住宅を買っているというのは、かなりやはり異常だと私は思うんですけれども、そういった観点から、やはり皆さんにおいても、国土交通省さんにおいても、是非調査をやってほしいというふうに思っています。

 資料にありますけれども、カナダというのは、御案内のとおり、二年前に、外国人に対する規制というものを法律で導入しています。それはまさに、今私が申し上げたように、トロントとかバンクーバーでは、中国人の投資や投機などによって価格が高騰して、カナダの地元の人たちが住めない、こういうことがありまして、彼らはちゃんと統計を取っています。

 カナダ住宅統計プログラムというものがありまして、これは二〇二一年九月二十一日に公表されたもので、住宅不動産販売、タイトルが、題名が、誰が不動産を購入しているのかというものです。これが普通の国家の感覚ですよ。誰が不動産を購入しているのか。多分、皆さんにしてみたら、それはちょっと差別的だというふうに言われるかもしれませんけれども、あの国際的に穏やかな、温厚な、平和を愛好する、国際協調に熱心なカナダですよ。

 その第四章、移民ステータス別の住宅購入価格の比較ということで、ブリティッシュコロンビア州で、移民人口は全体二八・三%であるが、住宅購入者では三五・二%が移民であった。やはり、この数よりも非常に多く購入している。都市圏の住宅購入者のほぼ半数が移民である。最後のところにありますけれども、移民は非移民よりも大幅に高価な不動産を購入する傾向にあるということであります。

 ですから、皆さん、さっき言った重要土地等調査法でも、一・八%の人口しか占めていない中国人が五%を買っている。しかも、それは、中国人がたくさん買っていると言われる江東区とか、そういったところは入っていませんので。だから、そういったことを考えますと、今の東京二十三区の住宅価格の高騰というのは、私は、外国人の購入というのは非常に大きいのではないかと、あくまで推測される。何で推測しているのかというと、統計がないからです。

 だから、是非そこをお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 北神委員にお答え申し上げます。

 東京の事例ですとか、御地元の京都の、私も実家は京都で、実は父の実家は南丹市でございますけれども、事例も出しながら、外国人の取得の実態ということで問題意識を述べていただきました。

 住宅、不動産政策を所管する国土交通省としましては、確かに、居住の安定の確保や良質な住宅ストックの形成を図る必要がある、不動産市場における取引が適正に行われているか把握をするということは非常に大事だという認識でおります。そういう意味では、日頃から不動産取引の主体や価格、頻度など、不動産市場の動向の把握も進めていくことは必要なことであると認識をしております。

 予算委員会でも議論もさせていただきましたけれども、特に不動産価格の上昇が続くという中で、これらの分析を深めていくということは一層重要になっているというふうに考えております。確かに、不動産価格が上昇するのは、需要、供給、様々な要因があるというのは事実でございますが、外国人による取引の状況を含めまして、これまでも不動産事業者からの市況の定期的な聞き取りなどを進めてまいりました。しかし、委員から、しかしそれだけではというふうな御指摘もいただいております。さらに、データの分析、例えば登記の情報の把握などを通じた分析なども進めてまいりたいというふうに考えております。

 あわせまして、現在、一定規模以上の土地取引につきましては国土利用計画法の届出事項に国籍を追加をするという制度改正を進めているところでもございまして、今申し上げた取組と併せまして、外国人の取引の実態の把握、分析、これは努めてまいりたいというふうに考えております。

北神分科員 大臣、今までで一番前向きな答弁でした。ありがとうございます。是非お願いをしたいというふうに思います。

 今日は、京都の話ができませんでした。重要土地等調査法が京都は全く調査していなかったので、何とも分析できなかったんですが、是非お願いしたいと思います。

 南丹市の血も流れているということですので、吉富駅、国道九号線の左折もよろしくお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河西主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 立憲民主党、白石洋一です。よろしくお願いします。

 私の地元、愛媛県の東予地域というところで、愛媛県の東の方ですね、そこでいろいろなインフラ事業があるんですけれども、なかなか進まないんです、国道十一号線バイパス、ずっと待っている。これが終わらないと次の事業もできないと言われ、さらに、県道や市道についても、やはり国の補助金があって、遅々として進まない。これから、道路の下に埋まっている水道管とか、こういったもののメンテナンスが控えているということであります。

 私のところだけじゃない、恐らく地方はそうでしょう、どうして進まないのかということですが、お手元にお配りしました資料を見ていただきたいんですけれども、令和六年度の国交省の公共事業、インフラ投資の箇所づけの都道府県別の分析ですけれども、これで、もう一目見て、東京が飛び抜けているわけですね。東京都が飛び抜けて多い、五千億円。ほかの府県はどうかというと、北海道と大阪府が二千五百億円。その他はほぼ並びであって、中央値のところでいったら六百二十七億円。東京都の五千億円に比べたら五分の一なわけですよ。愛媛県もその程度のものということです。

 これだけ東京都に国費を集中してインフラ投資をする時代なのかというのが、まず大臣にお伺いしたいところなんです。東京都は財政的にも自立していますし、東京都庁という意味ですね、ですから、国がこれだけの投資、国費を投入するという時代、これはもう去っているんじゃないか。

 加えて、民間だって、東京だったら喜んで投資するわけですね、ディベロッパーはたくさんありますし。そして、民間投資といっても、協力を求めて、その周囲の環境整備をしてもらったらいいと思うんです。そんな嫌な返事はしないと思うんですね。

 これまでは、公共投資というのは、BバイCということで、コストに対して、経費に対して、どれだけのベネフィット、見返りがあるか。この比率で、物差しを使って、箇所づけの具体的な採択というのをしてきたと思うんです。

 私は、これだけ東京一極集中が進んで、そして、地方のとりわけ防災、減災のところが遅れているところがあるということを考えれば、国の投資、その物差しというのは、地方のインフラ整備というところに、役割分担ということでやったらいいんじゃないかと思うんですけれども、まず大臣、そこの点はいかがですか。

中野国務大臣 御質問にお答え申し上げます。

 東京一極集中の是正、そういう観点からの御質問かというふうに思います。

 まず、東京都におきましては、首都直下地震等による被害を最小限に抑えるために、事前防災・減災対策、あるいは老朽化対策、生活空間の安全確保を始めとした防災・減災、国土強靱化対策を進められているところもございます。国としても必要な支援を行っているところであります。

 さらに、世界有数の国際都市として、世界から人、物、金、情報を引きつけるために、東京の都市、ビジネス環境を整備し、我が国の成長を牽引する国際競争力の強化を図ることもまた必要なことではないかというふうに考えております。

 このように、東京の強靱化であるとか国際競争力強化に必要な投資というのは行いつつも、同時に、委員の問題意識にもあろうかと思いますけれども、やはり、国土全体にわたり人口や諸機能の広域的な分散を図り、東京への人口や諸機能の過度な集中を是正をするということもまた喫緊の課題であろうかというふうに考えております。

 このため、現在、地方創生二・〇を強力に推し進め、地方への人の流れの創出、拡大や若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくり、こうしたことに関わる取組もしっかり支援をしていきたいというふうに考えております。

白石分科員 首都圏が大事だということは分かっているんです。大臣のおっしゃるとおりです。それに対して国費を投入するのはどうか。これだけの多額の、それは、ある程度はいいでしょう、でも、飛び抜けて東京都に対して国費を投入している。

 確かに、東京都民一人当たりにしたら、他府県と大体同じぐらいなんですね、平均値程度なんです。でも、金額にして、これだけの金額。しかも、代替性がある。都庁だってやってくれるんじゃないですか。民間だってお願いすればやってくれる。そんな中で国費をこれだけ投入するということは控えて、むしろ遅れているところの目配りをしていく、それが均衡ある発展というものじゃないかと思うんですけれども、その役割分担というところなんです。

 大臣、いかがですか。

中野国務大臣 様々、いろいろな事業が東京にも行われている、やはり、それの緊急性、必要性等々も含めて考えていかなければいけないということかと思っております。

 例えば、市街地再開発事業等、御指摘のような事業もございます。しかし、これは他方で、老朽化した建築物が大変に密集しているような、そういった区域において、やはり市街地の防災性を向上させるというふうな取組もあろうかと思いますし、あるいは、雨水貯留管の設置等々、都市の防災・減災対策、国のこうした政策上、緊急かつ重要な課題にも必要な事業もあろうかと思います。

 こうした緊急性、必要性の高い事業につきましては、やはり円滑な実施ということに向けまして、国としても適切に支援を行っていく必要はあるのではないかと考えております。

白石分科員 東京都への投資が無駄だと言っているんじゃなくて、全体的なところの優先順位づけなんですけれども、財務省の方の税制制度分科会というところが、お手元にあります資料を出しております。

 適切な優先順位ができているかということで、先ほど大臣もおっしゃった東京都周辺地区に対して、国費が三百五十三億円、合計すれば投入されている。一方、右側を見たら、能登半島における上下水道の被害やあるいは地震対策としてどうなのか。首都圏というのは進んでいるのに対して、全国平均は下だし、さらに、秋田県、岡山県、高知県、随分下だというようなことが出てきて、これは見直すべきだというような、財務省の分科会のこういう意見も出ています。

 財務省から来られていますけれども、私の問題意識、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。

土田大臣政務官 御質問を賜りまして、ありがとうございます。

 先ほど国交大臣の方からお話るるございましたけれども、国交省による東京都への補助事業については、国際競争力の強化の観点も含めて、様々な観点から実施されているというふうに承知しております。

 ただ一方で、先生本当におっしゃるとおりでございまして、東京一極集中を是正することも、日本の社会が持続的に、安定的に発展していく上で大変重要な課題だというふうに思います。

 また、近年、地震や大雨などの自然災害が頻発化、激甚化するとともに、インフラの老朽化が進む中において、防災・減災、国土強靱化の取組を進めることも、緊急性の高い国の重大な責務であるというふうに存じております。

 こうした観点から、公共事業に関しては、優先順位づけにおいて不断に見直して、柔軟に対応していくことが大事だというふうに考えております。

白石分科員 財務省の政務官も問題意識は共有してくださったというふうに捉えております。

 そこで、大臣、これまで箇所づけをする際の主な物差しというのは、BバイC、あとは防災・減災というのがあったと思うんですけれども、それに加えて、事業主体の非代替性。つまり、ここは国がやらないと誰もやってくれないのかという物差しも入れて、東京都であったら都庁がやってくれる、あるいは、民間に、ディベロッパーにお願いしたらそれに近いことをやってくれる。だったら、任せて、限りあるリソースですから、それは地方で遅れている防災・減災や生活の向上、これが遅れているのであればそこに投じる、そういう役割を果たす物差し、事業主体の非代替性というのを入れたらいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

中野国務大臣 公共事業の箇所づけ、先ほど財務省からも答弁もありましたとおり、やはり、これは当然、不断に考えて見直していかないといけないものであるということは、そのとおりだというふうに思います。

 その上で、どういったことを尺度に検討していくかということは、やはりこれも、何が本当に必要なのか、何が本当に緊急に求められているのか、そういったところを一つ一つしっかり検証していく必要があるというふうに思いますけれども、いずれにしましても、様々な要素があると思いますので、適切な事業の箇所づけとはどういうことであるのかというのは、しっかりと考えていきたいというふうに思います。

白石分科員 箇所づけの際に、是非、その要素も加味していただいて、国交省で割り振られた国費を適切に分配していただきたいと思います。

 次の質問です。

 しまなみ海道なんですけれども、西瀬戸大橋とも言われています中国地域と四国を結ぶ架橋の西側のところなんですけれども、ここの料金が高いということです。

 今治市があって、陸地部があって、そして、大島があって、伯方島があって、大三島がある。大三島インターチェンジから陸地部、同じ市なんですよ、同じ今治市の中で、陸地部に行くのに片道ETCで千五百十円ということで、往復三千円払う。

 私が申し上げた三つの島というのは、それぞれ五千人ぐらいの人口なんです。ですから、主要な病院であるとか学校であるとか、あるいは買物もやはり選択肢がだんだん限られてきて、陸地部に依存するということで、じゃ、もうこの通行料金を払って陸地部に行くしかないという状況になってきておりまして、同じ市でどうしてこれだけの、行き来、市役所に、本庁に行くだけで往復三千円払わないといけないのか。

 加えて、ほかの、病院とか必須のことであるということで、市や、それに県も含めて、見かねて、弱者に対して、いわゆる生活する上でハンディを負っていらっしゃる方々に対しては福祉的な助成をやっていますけれども、まだまだ足らないんですね。

 それで、私も何度も、前の大臣から、島民割引というものを導入してくださいというふうに申し上げてきたんですけれども、それに一番近いものが平日朝夕割引の見直しで、通勤パスというものを来年度、令和八年度中には全国展開しましょうというものがあります。

 平日朝夕割引に比べて、この通勤パスというのは、区間を登録して、そして、その区間の中であれば、まず十回分の料金を一括で当初支払って、後は、二十回以上になったら半額になるということで、サブスクリプションというのにかなり近い考え方なんじゃないかなとも思うんですけれども、そういう形で、たくさん使う人にとっては得な制度なんです。これを今、全国五道県で試行をしている、社会実験をしているということなんですね。

 それで、大臣、しまなみ海道については、並行する一般道がありません。並行する一般道がないところについても、令和七年度から、二〇二五年から社会実験に加えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、NEXCOが管理する地方部の高速道路におきましては、これは並行する一般道の混雑緩和のためということでありますが、平日の朝六時から九時及び夕方十七時から二十時に多頻度利用する車両を対象に、料金を割引する平日朝夕割引を適用しているところでございます。

 この割引では、多様な働き方へ対応できないことや、朝夕時間帯の高速道路の混雑、逆に朝夕が混雑する、これが課題であったことから、利用者が事前登録した区間の通行料金を、時間帯や曜日を限定せずに最大五割引きとする通勤パスの試行を実施をしているところでございます。

 NEXCOのこの試行につきまして、令和五年四月に石川県で開始をし、令和六年四月からは全国六か所で実施をさせていただいております。現在、高速道路を利用する時間帯の分散や利用回数の増加など、通勤パスの効果分析を行っているところでございまして、この結果を踏まえて、令和七年度の試行の箇所を含めて、NEXCOのところの本格展開に向けて検討するということが現状でございます。

 一方、しまなみ海道における御指摘の通勤パスの導入については決まっておりませんが、NEXCOにおける本格展開ということを検討してまいりますので、併せて今後検討していくものというふうに考えております。

白石分科員 二年後の本格展開に備えて、今、五道県で、五つのところで社会実験をやっているということなんですけれども、本格展開から、しまなみ海道、本四高速も入った形にするためには、やはり試行して、練習して、状況を見る。頻度がどういうふうに変わっているのかとか、シフトした時間帯というのはどういうものかというものを見る必要があると思うんですね。いきなり導入するということはやはり何事も難しいですから。

 ですから、令和七年度、今年から、四月からじゃなくてもいいかもしれません、多少遅れても本四高速にも入ってもらって、NEXCOだけじゃない、そこで試してみてもらう。

 加えて、先ほど申し上げた、同じ市の中で行き来が今不自由だ、そういうところ、これはちょっと私も手前みそになるかもしれませんけれども、そういう区間を是非入れた形で本四高速に参加していただきたいんです。大臣、いかがですか。

中野国務大臣 済みません、ちょっと繰り返しになるところもあるかもしれませんが、NEXCOにおける通勤パスの試行につきましては、今、高速道路を利用する時間帯の分散であるとか利用回数の増加などの効果の分析に加えまして、利用する区間を事前に登録をして、利用回数に応じて割引を適用させる料金のシステムの構築などの検証もございまして、こうした様々な課題があることもありますので、先行してこれを実施をしているNEXCOにおける試行の検証結果というものを踏まえた上で、今後検討をしていくものだというふうに考えております。

白石分科員 当然、本格展開のときには本四高速も入るというふうに捉えておりまして、それは、前の大臣の斉藤大臣のときも、当然、個人的にはそういうふうに見ているという答弁もいただいているんですけれども。

 やはり、いきなりじゃなくて、その五つが始まるのであれば、今年から、四月から、同時というのはちょっと難しいにしても、ずらして、先ほど大臣がおっしゃったシステムの作動具合も見ていかないといけない、こういうこともあるでしょう。ですから、NEXCOは大きな会社です、本四高速さんにも慣れてもらうということで、区間は、尾道側もありますけれども、今治側もあります。そういったところを選んで、間違いがないように、二年後の全国展開に備えるということを是非検討していただきたいんですけれども、もう一度、大臣、お願いします。

中野国務大臣 済みません、ちょっともう一度繰り返しになってしまって恐縮ですけれども、通勤パスにつきましては、平日朝夕割引に代えて、本格展開をすることを目指して、現在、NEXCOにおいて、ここは様々なことを試行をし、検証していくということであろうかというふうに思います。

 ちょっと何度も恐縮なんですが、その結果を踏まえて、今後の展開を判断をしていくということ、今後検討していくことになろうかというふうに考えております。

白石分科員 是非、検討を、なるべく早いうちに社会実験という形でやっていただいて、二年後に備えていただきたいというふうに重ねてお願い申し上げます。

 次の質問ですけれども、建設技能人材機構というところがありまして、略称JACというところですね。

 私は、ここの機構に対して別に特段悪い気持ちは全くありませんけれども、ただ、ここは、建設業に対して、特定技能の外国人に働いてもらう場合には、ここに加入して、そして、そこで会社は、別に入会金を払って、年会費を払って、加えて、一人当たり月額一万二千五百円、必ず義務的に払わないといけないということなんですね。

 つまり、建設現場で働く特定技能の外国人一人当たり年間十五万円追加的に必要だ、それも義務でなんですよ。そのサービスに対して余りにもこれは負担が大きいんじゃないか、特に中小零細の建設業に対してはこの負担が重過ぎるということなんですけれども、まず、大臣、このJAC、どういうサービス、機能を果たしていますか。

中野国務大臣 JACにつきましての御質問をいただきました。

 今、建設業は大変に人手不足でもございますので、やはり外国人の活用というところも今行っているところでございますけれども。

 経緯を申し上げますと、建設分野の特定技能制度におきまして、かつて、技能実習制度におきましては、ほかの産業に比べまして、例えば大変失踪をするという発生の割合が高いであるとか、労働関係法令の違反が多く認められた等のことがございます。こうした反省に立ちまして、外国人材の適正な就労環境を確保しないといけないということで、これは独自の措置として、入管法に基づく告示によりまして、受入れ計画の認定制度というものを設けているところでございます。

 この認定の要件として、外国人材の受入れ企業に対して、御指摘の特定技能外国人受入事業実施法人ということで、これは元請、下請団体から構成をされる国土交通大臣の登録を受けた非営利の法人への加入を求める。その上で、ハラスメントであるとか賃金未払い抑止などを盛り込んだ、この法人の行動規範の遵守を求めているというのが、建設分野の特定技能制度でございます。

 現時点で登録を受けている一般社団法人は、建設技能人材機構、JACでございます。これは、外国人材が適正に処遇をされるように、受入れ企業に対する巡回指導の徹底を図るとともに、個社では困難な育成事業、具体的には、無料の日本語講座でありますとか技能講習、研修の支援、母国語での安全衛生教育を実施をしており、これらにより、外国人材の適切な育成や適正な処遇の確保を図っているところでございます。

白石分科員 大臣のおっしゃるところで、二つ。一つは、外国人で、特に建設業は失踪も多いから、法令遵守とかあるいは教育をやっていますよということと、もう一つは、この特定技能外国人受入事業実施法人というのはJAC一つに限らないんですよ、登録しているのが今たまたま一つだけだから、そういう含意だったと思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

中野国務大臣 御指摘のとおり、特定技能外国人受入事業実施法人の登録要件につきまして、これは入管法等に基づく告示におきまして、三点あります。一つは、特定技能外国人に対する講習、訓練又は研修を実施をすること、全ての試験区分での建設分野特定技能評価試験を実施すること、非営利かつ元請団体及び下請団体を構成員に含むこと等を定めておりまして、これらの要件を満たす法人からの申請がありますれば、現在登録されている法人だけに限らず、登録をされることは可能でございます。

白石分科員 ほかのところで手を挙げて、そこが国交省で認められたら、この事業をしていいということですよね。

 それで、加えて、今度は、技能実習制度が育成就労に変わっていきます。発展的解消のように移行しますよね。その育成就労で、建設業についても、この特定技能外国人受入事業実施法人の先ほどおっしゃったサービスを提供する、そういった、この会に加入してそのサービスを受けないといけないというふうになろうとしている、ここをまず確認させてください。

平田政府参考人 育成就労につきましては、御案内のとおり令和九年度からということで、政府全体において、また、建設業の分野については国土交通省において、今後、受入れの方針等あるいは育成の方針等について決めていくことになりますので、JACと同じような形、現在の特定技能の受入れと同じような形になるかどうか、そういったことにつきましては、まだこれからの検討課題であるというふうに考えております。

白石分科員 これからの検討課題かもしれませんけれども、これまで技能実習だったのが、育成就労になったら本当にダイレクトに労働者としてやってもらうということであれば、建設業について、先ほどのロジックであれば、こういった実施法人が必要だということになるかもしれません。

 そして、今、建設業の技能実習生は七万人ぐらいなんですね。特定技能が三万七千人、その倍になるわけですね。それに対してこういった機能を果たす法人が一つだけというのは、余りにも競争原理が働かない、こういうことが危惧されます。

 なので、大臣、お願いしたいのは、国交省として、実施法人、今は一法人だけですけれども、さらに、ほかの法人も参入するように促していただきたいんですけれども。そうすれば、競争原理が働いて、一人当たり月額一万二千五百円じゃないかもしれない。もっと金額、同じサービスを低負担で提供してくれるかもしれない。そういう構図に持っていっていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

河西主査 中野大臣、質疑時間が迫っておりますので、簡潔に御答弁をお願い申し上げます。

中野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、要件を満たせば、登録の申請を行うことは可能でございます。他の団体組織からの申請があった場合には適切に対応してまいりたいと思います。

 いずれにしても、外国人材の適切な育成や適正な処遇改善がなされることが大変重要でございますので、現在登録されているJACに関しましては、適切な運営については引き続きしっかり指導を行ってまいりたいと思っております。

白石分科員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

河西主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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