第1号 令和6年5月13日(月曜日)
本分科会は令和六年四月十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。五月十日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
江崎 鐵磨君 遠藤 利明君
野田 聖子君 萩生田光一君
山本ともひろ君 小川 淳也君
手塚 仁雄君 杉本 和巳君
福重 隆浩君 秋本 真利君
五月十日
福重隆浩君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和六年五月十三日(月曜日)
午前九時開議
出席分科員
主査 福重 隆浩君
江崎 鐵磨君 小田原 潔君
岸 信千世君 野田 聖子君
萩生田光一君 本田 太郎君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
山本ともひろ君 小川 淳也君
城井 崇君 白石 洋一君
手塚 仁雄君 福田 昭夫君
屋良 朝博君 杉本 和巳君
兼務 西村智奈美君 兼務 浅川 義治君
兼務 沢田 良君 兼務 藤巻 健太君
兼務 山崎 正恭君
…………………………………
総務大臣 松本 剛明君
財務大臣 鈴木 俊一君
文部科学大臣 盛山 正仁君
防衛大臣 木原 稔君
内閣府副大臣 古賀 篤君
財務副大臣 赤澤 亮正君
文部科学副大臣 あべ 俊子君
環境大臣政務官 国定 勇人君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 山崎 健君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 白川 哲也君
会計検査院事務総局第二局長 長岡 尚志君
会計検査院事務総局第五局長 片桐 聡君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 山越 伸子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 河合 暁君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(消防庁次長) 五味 裕一君
政府参考人
(外務省北米局長) 有馬 裕君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 浅野 敦行君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 笠原 隆君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 池田 貴城君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 寺門 成真君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 柿田 恭良君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 千原 由幸君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 茂里 毅君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 哲雄君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 菊池 雅彦君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 加野 幸司君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 大和 太郎君
政府参考人
(防衛省統合幕僚監部総括官) 田中 利則君
政府参考人
(株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁) 田中 一穂君
政府参考人
(株式会社国際協力銀行代表取締役総裁) 林 信光君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
安全保障委員会専門員 花島 克臣君
決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君
―――――――――――――
分科員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 小田原 潔君
山本ともひろ君 岸 信千世君
手塚 仁雄君 白石 洋一君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 本田 太郎君
岸 信千世君 山本ともひろ君
白石 洋一君 神津たけし君
同日
辞任 補欠選任
本田 太郎君 宮内 秀樹君
神津たけし君 城井 崇君
同日
辞任 補欠選任
宮内 秀樹君 三谷 英弘君
城井 崇君 福田 昭夫君
同日
辞任 補欠選任
三谷 英弘君 遠藤 利明君
福田 昭夫君 屋良 朝博君
同日
辞任 補欠選任
屋良 朝博君 手塚 仁雄君
同日
第一分科員浅川義治君、沢田良君、山崎正恭君、第三分科員西村智奈美君及び第四分科員藤巻健太君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
令和二年度一般会計歳入歳出決算
令和二年度特別会計歳入歳出決算
令和二年度国税収納金整理資金受払計算書
令和二年度政府関係機関決算書
令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和三年度一般会計歳入歳出決算
令和三年度特別会計歳入歳出決算
令和三年度国税収納金整理資金受払計算書
令和三年度政府関係機関決算書
令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和四年度一般会計歳入歳出決算
令和四年度特別会計歳入歳出決算
令和四年度国税収納金整理資金受払計算書
令和四年度政府関係機関決算書
令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書
(総務省、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省及び防衛省所管)
――――◇―――――
○福重主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました福重隆浩でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本分科会は、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。
なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。
令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件中、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。
これより総務省所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。松本総務大臣。
○松本国務大臣 よろしくお願いいたします。
令和二年度、令和三年度及び令和四年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。
最初に、令和二年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額八百十二億五千百二万円余に対し、収納済歳入額は七百六十億五千七百四十八万円余であり、差引き五十一億九千三百五十四万円余の減少となっております。
次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額三十五兆六千七百四十三億四百九十二万円余に対し、支出済歳出額は三十二兆六千三百十三億千二百八十九万円余、翌年度繰越額は二兆八千九百六十億三千五百二十七万円余であり、不用額は千四百六十九億五千六百七十六万円余となっております。
次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。
総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済歳入額は五十一兆九千七百七十五億千八十一万円余、支出済歳出額は五十兆八千二百九十二億五千六百四十五万円余であります。
続きまして、令和三年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額千十四億九千四百十八万円余に対し、収納済歳入額は千八十五億九百九十九万円余であり、差引き七十億一千五百八十一万円余の増加となっております。
次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額三十兆八千七百九十六億八千八百三十万円余に対し、支出済歳出額は二十七兆二千五百三十六億百四十六万円余、翌年度繰越額は三兆三千六百五十三億九千七百五十六万円余であり、不用額は二千六百六億八千九百二十七万円余となっております。
次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。
総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済歳入額は五十五兆三千二百六十三億二千九百四十九万円余、支出済歳出額は五十三兆六千三百十九億九千七百二十五万円余であります。
続きまして、令和四年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額千九百七十億五千四百一万円余に対し、収納済歳入額は二千四百二十九億四千八百七十五万円余であり、差引き四百五十八億九千四百七十三万円余の増加となっております。
次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額二十四兆七千二百十八億千二百八万円余に対し、支出済歳出額は二十三兆四百八十八億七千九百七十七万円余、翌年度繰越額は一兆三千七百八十九億六千百九十一万円余であり、不用額は二千九百三十九億七千三十八万円余となっております。
次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。
総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済歳入額は五十三兆六千二百四十二億八千六百万円余、支出済歳出額は五十一兆七千七百八十三億二千二百八万円余であります。
以上が、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○福重主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山崎審議官。
○山崎会計検査院当局者 令和二年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号四号は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、五号から一一号までの七件は、交付税の交付が不当と認められるものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、東京電力から賠償金の支払いを受けたことにより過大となった原発関係特別交付税及び原発関係震災復興特別交付税に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
続きまして、令和三年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十七件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一〇号から一二号までの三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、一三号から二六号までの十四件は、交付税の交付が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に関して、改善の処置を要求するとともに、意見を表示したものであります。
最後に、令和四年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一三号から二七号までの十五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、二八号から三二号までの五件は、交付税の交付が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、高度無線環境整備推進事業により整備された伝送用専用線設備に関して、意見を表示したもの、その二は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に関して、改善の処置を要求したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、ホストタウンとして登録された地方団体による交流計画の実施に要する経費を算定事項として交付する特別交付税に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
以上をもって説明を終わります。
○福重主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松本総務大臣。
○松本国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、総務省の講じた措置等について御説明させていただきます。
令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、御指摘のとおりであり、誠に遺憾に存じます。
御指摘を受けた事項につきましては、交付金を返還させるなど所要の措置を講じたところでございますが、内容を真摯に受け止め、なお一層事務の改善に取り組むとともに、今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、より一層予算の適切な執行に努めてまいる所存でございます。
○福重主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福重主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○福重主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○福重主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。白石洋一君。
○白石分科員 立憲民主党の白石洋一です。
松本大臣、よろしくお願いします。
今月、しまなみ海道開通二十五周年を迎えました。地元愛媛新聞の一面に書かれている見出しというのは、経済、観光振興に寄与した、そして航路は縮小、島民の料金負担重く。島民の料金負担重くということが大々的に見出しとして書かれているんですね。
その背景を申し上げますと、松本大臣の御地元の兵庫県、ここにも明石海峡があって、そして淡路島とつながっているという状況があると思います。でも、淡路島の人口というのは十数万人で、島の中で都市機能というのは完結していると思うんですね。ですから、島外に出るというのもそれはあるんでしょうけれども、生活のために出るというよりかは、特別のことがあって出る。
一方、しまなみ海道というのは、つながっている島、例えば大島、伯方島、大三島、それぞれ人口が五千人から六千人規模なんですね。どんどんどんどん人口が減ってきています。ですから、都市機能が縮小してきているんですね。なので、どうしても陸地部に出ざるを得ない。生活のために陸地部、今治市の市街地の方に出ざるを得ない、こういうことになるわけです。通学とか病院とか、あるいは買物ですね。品ぞろえがあるところで買いたいと思ったら陸地部に行く必要がある。
では、そのための通行料金、今幾らか。ETCで割引していただいても片道千五百円、往復三千円なんですね。これが重いんです、島の方々にとっては。一つの島、五千人、六千人住んでいらっしゃる、こういう方々にとってはこの通行料金が重いということです。
このことはずっと、島に行けばその話になりますので、私も一昨年の国土交通分野の質問でもお願いしているんですけれども、なかなか難しいということなんです。
今日、大臣に質問、お願いでしようと思ったのは、総務省の方で、いわゆる島民割引に近い制度、これを使えないかということなんですね。具体的には、過疎対策事業債、いわゆる過疎債、これで島民割引する。これは可能なんでしょうか、大臣。
○松本国務大臣 委員御案内のとおり、過疎対策事業債は過疎法によりまして特別に発行が認められた地方債でございまして、公共施設の建設事業などのハード事業に加えて、一定の限度額の範囲内で地域医療、生活交通の確保などのソフト事業も対象としております。
過疎対策事業債ソフト分は、市町村の内部管理経費や法令に基づく義務的経費などを除きまして、将来にわたって過疎地域の持続的発展に資する事業を対象としており、例えば離島における航路や航空路の住民割引助成事業に充当されている例がございます。
お尋ねの島民割引事業に過疎対策事業債ソフト分を充当するかどうかについては、市町村ごとに財政力指数等の外形的な基準により発行限度額が定められておりまして、その額の範囲内で当該地域の持続的発展のためにどのような事業を行うか、市町村において十分検討されることになるものと承知しております。
○白石分科員 ソフト分ということで、制度の中身なんですけれども、議論してという大臣の話ですけれども、恐らく、生活交通の確保ということで、例示で路線バスの維持、あるいはコミュニティーバスだとか、あるいはデマンドタクシーの運営、こういったものも例示されていますから、島民割引、やろうと思ったらこれは使えるということで確認させていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 先ほど申しましたように、実際に離島における航路や航空路の住民割引助成事業に充当されている例がございますので、制度におきまして、今申し上げましたように、市町村において御検討いただいて、島民割引事業を行うかどうか、進めることになろうかというふうに思っております。
○白石分科員 市町村がやりたいと言ったら可能だという答弁だと受け止めさせていただきます。
その上でですけれども、過疎債の発行限度額というのは外形的な指標によって決まってしまうんですね、今治市でいったら二億円弱ということで。でも、やはり、今治市は島だけじゃないですから、ほかにもいろいろ過疎が進んでいるところはありますから、大事なところにそれらが使われているわけです。
それで、大臣、お願いしたいのは、淡路島の例を挙げました、そういうところじゃなくて、今、谷間に落ちている、こういった都市機能が失われつつある島の通行料金、これにフォーカスした、特化した事業、制度、支援制度を考案、実行していただきたいんですけれども、その点は大臣、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 特化したというのをちょっとどのように受け止めるかということかと思いますが、交通の確保ということで申しますと、御指摘の点、委員もおっしゃったとおり、国土交通委員会で御議論をいただきましたように、交通そのものについては、直接は国土交通省において御対応いただくことになろうかというふうに思うところでございますが。
私どもとしても、地方を活性化するという意味では、今申し上げましたように、過疎対策事業債を始め様々地方の対応策を用意をさせていただいているものを、各地域において御活用をいただけたらと思っているところでございます。
今もお話がありましたが、今治市におかれましても過疎事業債を活用いただいているようでございますが、今もお話がありましたように、島民負担の重さというのを地域においてどのように受け止めるかという中から御検討いただくところかというふうに思っております。
総務省として、島民割引を拡大するかどうかということを、判断について申し上げることは難しいところはあるわけでございますけれども、地域を活性化すること、特に離島地域を始めとする条件不利地域の活性化は大変重要な課題でございまして、いわば負担を軽くさせていただくという政策と同時に、地域に活力をもたらすという意味で、地域への人の流れをつくる。
例えば、地域おこし協力隊などは、今治市においても令和五年度は十五名と大変御活躍をいただいておりまして、いろいろ効果も上がっているというふうに伺っているところでございますし、また、地域活性化起業人であるとか、ローカル一万プロジェクトの仕組みを活用した、水産物の高付加価値化や放置竹材の利活用、サイクリスト向けの総合施設の整備などにも取り組んでいただいているというふうにお聞きをいたしております。
是非、財政支援も含めて、離島地域を始めとする条件不利地域の活性化には私どもも真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
○白石分科員 キーワードは条件不利地域への支援だと思うんです。実際、今、大臣が挙げられたように、条件不利地域に対する支援制度が幾つかあるわけですね。私が申し上げたいのは、そこに谷間になって欠けている部分、これを埋めていただきたいということなんですよ。
国交省は橋を造った。総務省にお願いしたいのは、その中で、観光だとか事業だとかで行く人は除外していいんです。島民の生活にフォーカスした、そういう方々、いわば中山間地域で町に下りて買物をする、こういう方々が条件不利なわけですね。でも、今はそれに特化した制度がないので、是非、総務省の方でも考えていただきたいんです。大臣、お願いします。
○松本国務大臣 今委員の御指摘で、特に島の皆さんの生活にとっては大変大きな課題だという御指摘であったかというふうに思いますが、総務省としては、やはり、自治体の皆様をお支えするということが大きな使命であることを考え、先ほど過疎債の仕組みについてはお話をさせていただきましたが、自治体におかれてその重要性を認識、それに対する施策を展開することに対しては、過疎債を始めとして財政面からしっかり支えさせていただきたい、こう思っております。
○白石分科員 大臣、過疎だけじゃなくて条件不利なわけですね。これを、島民割引するためには年間十億円要るんです。過疎債の割当ては、今、今治市でいえば二億円弱です。足らないです。それをどうするかということについて、是非、総務省の方でも政策課題として検討していただきたいと思います。
次に行きます。被選挙権の年齢なんですけれども、投票権、選挙権の方は二十歳から十八歳に引き下げられました。一方、被選挙権、投票してもらう方の年齢というのは二十五歳のままです、ちょっと参議院は違いますけれども。
これは、二十五歳というふうに言いますけれども、実際は、選挙というのは四年ごとにしか来ませんから、タイミングによっては二十九歳ちょっと欠けるところまで待たないといけない人がいるわけですね。二十九歳弱、これがタイミングによっては実際の被選挙権なわけです。
これはかなり高い年齢までずっとこの志、議員になって、あるいは首長になって活躍したい、特に市町村の議員を挙げて、その例があったものですから念頭に置いているんですけれども、ずっと二十九歳弱まで待たないといけないというのは酷だなと思いますし、環境からしても、成人年齢は二歳引き下げられた、議員のなり手不足で困っている、さらには、世界各国との比較からしても、今、日本の二十五歳というのは高い。そして、やはり、せっかく若い人が、議員になりたいという人がいるのであれば、積極的になってもらったらいいと思うんですね。挑戦してもらった方がいいと思うんです。
国会議員というのもありますけれども、まず先行して地方自治体議員だけでも被選挙権二十五歳というのを引き下げるべきだと思うんですけれども、これは大臣、政治家としてのお考えはいかがでしょうか。
○松本国務大臣 政治家としてということでございますが、公職選挙法を直接所管いたしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
我が国の被選挙年齢は社会的経験などを踏まえて設定されているとの説明がなされてきたものと承知をしているところでありますけれども、被選挙年齢は、当該公職の職務内容や選挙権年齢とのバランスなども考慮しながら検討されるもので、これまでも、例えば令和二年に地方議会・議員のあり方に関する研究会の報告書というものがございますけれども、地方議会議員の被選挙権年齢の引下げについて、選挙権年齢と同じ十八歳に引き下げ、人生の選択の時期に、地域をよくしたいという意欲を持つ若者が立候補できるようにしてはどうかとの意見がございました。他方で、住民間の利害対立に関わる合意形成を担うためには一定の経験が必要と考えられることから、慎重に考えるべきではないかとの意見もございました。
先ほど申しましたように、公職選挙法を所管する立場では、是非、政党間、立法府での御議論をいただきたい、このように御答弁申し上げるところでございます。
その上で、私どもも主権者教育の取組も重要と考えておりますように、やはり、若い世代の方に政治に関心を持っていただき、参加をしていただくことそのものの重要性はおっしゃるとおりだというふうに申し上げたいと思います。
○白石分科員 若い人が政治に興味を持つ、自分の同級生が議員に立候補した、これは大きな波紋を呼んで、その年代の人たちは関心を持つと思います。
そして、先ほどおっしゃった、その答申のときに出た、否定とは言いませんが消極的な意見で、利害対立を調整する人生経験も必要だという話がありましたけれども、首長だったらそれはあるかもしれませんが、議員というのはそこの有権者の声を届けるというところが主な仕事ですので、若い人の意見を届けるという意味では、私は、議員というのは、利害調整よりも、政治に関心を持って、自分たち、若い人の政策立案に貢献してもらうということが大事だと思うんですね。
大臣、その辺、政治家としていかがでしょうか。
○松本国務大臣 議会、議員についての役割をどのように考えるかということ、ここにおられる先輩方も含めて、諸先生方がおられる中では、おっしゃったように、議員はやはり、私ども国政は国民の、地方議会は住民の皆さんの声を議会に届けた上で行政に反映をさせるということは大事な仕事でありますが、同時に、具体的に実現をするに当たっては、やはり様々な調整が必要なことも確かでありまして、申し上げましたように、公職の職務内容というのをどのように位置づけ、また、いろいろな側面を持っている中で、どの側面にポイントを置いて最終的に決めるのかということになろうかというふうに思いますが、繰り返しになりますけれども、やはり、公職選挙法の、直接、いわば選挙制度の根幹に関わる問題につきましては、是非、立法府での御議論をお願いしたいと思うところでございます。
○白石分科員 先ほど大臣がおっしゃった利害調整、確かに国会議員だったらいろいろあるかもしれませんけれども、地方議員ですね、地方自治体であれば調整といっても人数も限られていますし、まず地方議員からやっていくんじゃないかなというふうに思います。
国会での議論というのは、こういう場も国会での議論に当たると思いますので、今は政治家として大臣にお伺いしました。議論に委ねるというんじゃなくて、どちらかというと大臣は前向きということで私は受け止めさせていただきますけれども、国会での議論というのは、それは委員会以外でどういう場を念頭に置いているんでしょうか。
○松本国務大臣 公職選挙法、政治資金規正法を所管する立場から、これまでも、政治活動の自由であるとか選挙制度につきましては、やはり、今、私はここは行政府の責任者の立場で答弁をさせていただいている中で、特に民主主義、法治を重視する国々、立場からは、やはり政党間の御議論、国会における各立法府の方々の間の御議論といったものが、民主主義の制度の根幹に関わるものについては御議論いただいてお決めをいただくということが、いわば行政と立法との関係でも大変重要ではないかということで、このように御答弁申し上げている次第でございます。
○白石分科員 議員立法でということをおっしゃっていると受け止めました。また、大臣の方も後押し願えればと思います。
次は、消防団員の減少対策についてです。これだけ災害が多発している、特に、大雨による災害、いつ来るか分からない大地震に備えて、消防団員の位置づけ、減少対策を打っていくことが大事だと思います。
それで、一昨年、二〇二二年三月の十六日に地方創生特別委員会でそのことを取り上げ、幾つか挙げた中で、そのうちの一つは、出動手当や年額報酬の支給の直接支給化ですね。これを、一旦団長に渡して団長が配分するんじゃなくて、直接団員さんの口座に振り込むようにしてくださいということ、これを進めてくださいとお願いしました。この点、今、現状はいかがでしょうか。
○五味政府参考人 消防庁では、消防団員の確保に向けまして、処遇改善を進めるため、有識者会議での議論を経まして消防団員の報酬等の基準を定めまして、消防団員の報酬について団員個人に対し市町村から直接支給するよう、全国の市町村に働きかけを行ってまいりました。
この結果、令和五年四月時点で、年額報酬について直接支給を行う市町村が約八八%、出動報酬について直接支給を行う市町村が約八六%となるなど、処遇改善に一定の進捗が見られたところであり、引き続き地方公共団体に対して消防団員の処遇改善を働きかけてまいります。
○白石分科員 進んでいるということで、一〇〇%を目指して後押ししていただきたいと思います。
それから、やはり会社の協力が大事だ。八割が会社員が、団員として勤務時間中でも出るわけですから、会社としてもやはり動機づけというのが必要だと思います。その点、それを進めてほしいと二年前にお願いしました。今、状況はいかがでしょうか。
○五味政府参考人 消防団員に占める被用者の割合が高まる中で、被用者の入団を促進するためには、企業の消防団に対する理解を深める必要があると考えております。
このため、従業員が消防団活動に参加することについて積極的に配慮するなど、消防団に協力する企業を消防庁又は市町村が認定する消防団協力事業所表示制度の活用を進めておりまして、令和五年四月現在、千三百五十八市町村で導入されるなど、年々増加しております。
地方公共団体においては、認定を受けた協力事業所に対し、入札参加資格の加点や金融面での優遇など、様々な支援策が講じられております。また、消防団活動に特に深い理解を示し、消防団に協力している事業所等に対しまして、消防庁長官による表彰を行っております。
さらに、今年度に作成予定の消防団への入団促進マニュアルにおきましても、実際に消防団に入団したメリットとして防災や救命に関する知識やスキルが身につくといった点を挙げる声も多いことから、こうした点についてもお示ししたいと考えておりまして、被用者の入団促進に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○白石分科員 既定路線をどんどん進めていただきたいと思います。
それで、大臣、お伺いしたいのは、その中で優良事例集というのがあって、ここを私は充実する余地があるんじゃないかと思うんですね。
例えば、消防団員というのは特別地方公務員です。では、特別地方公務員として、時間、外へ出ていく、危険な業務に出ていく、けがするかもしれない、もしかしたら一日、二日会社に来れないかもしれない、そういったところを就業規則上どう位置づけるかとか、こういったところをどんどんそこに盛り込んでいって、会社としてもこういうふうに処遇すればいいんだということが普及すると思うんですけれども、ここの充実をお願いしたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 今も御指摘ございましたように、消防団員の数が年々減少していることは極めて深刻な問題でありまして、この確保は喫緊の課題であるという認識は私どもも強く持っているところでございます。
特に被用者の割合の高まりがございますので、企業への働きかけというのは、委員もこれまで御指摘いただいてきたということでございますが、大切だと思っておりまして、総務省消防庁では、消防団員の確保に向けて、処遇の改善を行いつつ、企業に対しまして、従業員などの入団促進に向けた広報や、協力事業所表示制度の活用促進、また、協力する事業所への支援なども行っていることは先ほど御答弁申し上げたとおりで、また、表彰もさせていただいて、できる限りの対策を講じているところでございます。
また、二月には、私から全国の都道府県知事、市町村長に対して書簡を出しまして、消防団員がやりがいを持って活動できる環境づくりなど、消防団の更なる充実に向けた一層の取組をお願いをいたしました。
今お話をいただいた優良事例集も書簡に併せてお送りをしておりますが、今委員からお話がございました活動の時間の調整ということでは、就業規則や社内文書等で勤務時間中の消防団活動を特別な有給休暇とするなどの業務上の配慮を行っている企業もありますようで、こういった取組も掲載をさせていただいているところで、周知に取り組んでいるところでございます。
今後とも、優良事例の更なる周知を図るなど、経済界や地方公共団体に対する働きかけを行って、消防団員の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
○白石分科員 よろしくお願いします。
それで、次の質問、二番目のところに行くんですけれども、災害時の、能登半島地震を見ていて、本当に困るのは断水だと。断水のところで非常に役に立ったというのは、手押しポンプ式井戸、いわゆる防災井戸が助かったということです。
防災井戸をもっと普及していただきたい。今でも普及のための制度が総務省そして国交省にもあるということなんですけれども、まず、この制度はどんなものがあるのか簡潔にお願いします、総務と国交。
○五味政府参考人 総務省消防庁におきましては、地方公共団体が指定避難所において避難者の生活環境の改善などを図る施設につきまして緊急防災・減災事業債の対象としておりまして、御指摘の防災井戸につきましてもこの緊急防災・減災事業債の対象としているところでございます。
○白石分科員 やはり、大事な質問、大臣、お願いします。この手押しポンプ式井戸、防災井戸、これをもっと普及していただきたいんですね。普及するその後押しをしていただきたい、その制度をもっと拡充していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○福重主査 松本大臣、簡潔に御答弁お願いいたします。
○松本国務大臣 災害時の水の確保は大変重要でありまして、おっしゃったように、今回の能登半島地震におきましても井戸が活用されたというふうに聞いておるところでございます。
総務省消防庁では、防災業務計画において地域防災計画の作成の基準を定めまして、地方公共団体に対して、水を始めとする生活に必要なもの、防災対策用の資機材の確保など平時からの災害の備えを促しておりまして、指定避難所に防災井戸等の給水施設を整備する場合には所要の地方財政措置を講じております。御指摘の防災井戸の整備など地域の実情に応じた、地方公共団体の災害対応力の強化を支援すべく取り組んでまいります。
○白石分科員 防災井戸の普及、そして、補助して造ってもらった防災井戸は、その位置をちゃんと分かるようにして、いざというときにみんなに使ってもらうということにしてもらうことも大事ですので、その点もどうぞよろしくお願いします。
終わります。
○福重主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○福重主査 これより文部科学省所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。
○盛山国務大臣 令和二年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額六百六十一億九千八百二十八万円余に対しまして、収納済歳入額は六百八十七億四千五百六万円余であり、差引き二十五億四千六百七十七万円余の増加となっております。
次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出決算現額八兆二千四百二十四億七千五百五十四万円余に対しまして、支出済歳出額は七兆一千六百八十八億六千九百六十七万円余であり、その差額は一兆七百三十六億五百八十七万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は七千四十八億一千五百八十七万円余で、不用額は三千六百八十七億八千九百九十九万円余となっております。
次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済歳入額一千九十六億一千五百十八万円余に対しまして、支出済歳出額は一千八十三億六千八百五十二万円余であり、その差額は十二億四千六百六十五万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は一億四千十五万円余で、令和三年度予算に歳入計上した剰余金は五億五千三百三十四万円余であり、これらを除いた純剰余金は五億五千三百十五万円余となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十四億二千四百十一万円余に対しまして、収納済歳入額は十一億七千七百五十八万円余であり、差引き二億四千六百五十二万円余の減少となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額二百八十三億九千九百六十万円余に対しまして、支出済歳出額は二百四十億五千五百二十七万円余であり、その差額は四十三億四千四百三十三万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は二十六億八千四百万円余で、不用額は十六億六千三十二万円余となっております。
続きまして、令和三年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額一千百七十四億九千二百二十万円余に対しまして、収納済歳入額は一千七百八十億九千七十四万円余であり、差引き六百五億九千八百五十四万円余の増加となっております。
次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額八兆一千五十七億七千八十七万円余に対しまして、支出済歳出額は七兆一千二百六十四億九百九十七万円余であり、その差額は九千七百九十三億六千九十万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は六千百五十三億二千六十万円余で、不用額は三千六百四十億四千三十万円余となっております。
次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済歳入額一千百八十億六千八百五十四万円余に対しまして、支出済歳出額は一千八十三億七千五十九万円余であり、その差額は九十六億九千七百九十四万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は八十四億四千四百八万円余で、令和四年度予算に歳入計上した剰余金は五億五千三百十五万円余であり、これらを除いた純剰余金は七億七十万円余となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十三億八千八百六十八万円余に対しまして、収納済歳入額は二十億四千百十二万円余であり、差引き六億五千二百四十三万円余の増加となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額百六十六億二千九百三十三万円余に対しまして、支出済歳出額は百三十五億四千二百八十二万円余であり、その差額は三十億八千六百五十万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は十九億二千二百九十八万円余で、不用額は十一億六千三百五十二万円余となっております。
続きまして、令和四年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額九百三十一億九千六百五万円余に対しまして、収納済歳入額は一千七百七十億三千八百七十二万円余であり、差引き八百三十八億四千二百六十六万円余の増加となっております。
次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額八兆三十七億一千八百五十八万円余に対しまして、支出済歳出額は七兆八百五十億三千三百二十六万円余であり、その差額は九千百八十六億八千五百三十二万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は五千九百億三千六百六十二万円余で、不用額は三千二百八十六億四千八百七十万円余となっております。
次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済歳入額一千三百二十六億七千六百八十二万円余に対しまして、支出済歳出額は一千百八十二億四十四万円余であり、その差額は百四十四億七千六百三十八万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は百三十三億七千八百二十五万円余で、令和五年度予算に歳入計上した剰余金は七億七十万円余であり、これらを除いた純剰余金は三億九千七百四十一万円余となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十一億三千六百十四万円余に対しまして、収納済歳入額は十億四千六百九十二万円余であり、差引き八千九百二十二万円余の減少となっております。
次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額百四十四億六千七百九十六万円余に対しまして、支出済歳出額は百十四億三千八百三十万円余であり、その差額は三十億二千九百六十五万円余となっております。
このうち、翌年度へ繰り越した額は十九億六千五百五万円で、不用額は十億六千四百六十万円余となっております。
以上、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の文部科学省所管の一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○福重主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白川審議官。
○白川会計検査院当局者 令和二年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一三号から三一号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、国立大学法人における国費外国人留学生の教育費に係る会計処理に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
続きまして、令和三年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十五件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号二八号から五二号までの二十五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、家庭学習のための通信機器整備支援事業により整備したモバイルWiFiルーター等に関して意見を表示したものであります。
最後に、令和四年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十四件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号三五号から五八号までの二十四件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備事業の実施に関して、適宜の処置を要求し、改善の処置を要求するとともに、意見を表示したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、特定の支出等のために運営費交付金が交付された場合に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
以上をもって説明を終わります。
○福重主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。
○盛山国務大臣 先ほどの決算の概要説明におきまして、令和二年度文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきまして、歳出決算現額八兆二千四百二十四億七千五百五十四万円余と申しましたが、正しくは、歳出予算現額八兆二千四百二十四億七千五百五十四万円余でございました。訂正させていただきたいと思います。
続きまして、今の決算検査報告に対してでございます。
令和二年度、令和三年度及び令和四年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、令和二年度、令和三年度及び令和四年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に存じます。
御指摘を受けました事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。
○福重主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福重主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○福重主査 以上をもちまして文部科学省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○福重主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美さん。
○西村(智)分科員 立憲民主党の西村智奈美です。
私は、旧統一教会の名称変更の問題について、この間、追及をさせていただきました。
昨年の十月二十七日に予算委員会で、私が、下村当時文科大臣が名称変更に関わっていたのではないかという質問について、二〇一五年三月二十六日から同年六月三日までの旧統一教会に関する省内の記録について提出を求めたところ、不開示情報に該当するというふうに盛山大臣は答弁をされました。
ところが、本来、行政情報公開法に確かに不開示情報という定義はあるわけでありますけれども、仮に不開示情報であったとしても、国会議員からの情報提供要求に対する対応とはこれは直接関係がないのではないかというふうに考えまして、今日改めて質問をさせていただくところです。
まず、総務省の方に確認で伺うんですけれども、行政情報公開法による開示請求と国会議員への提供情報、これは別物であるという認識でよろしいのかどうか、確認したいと思います。
○河合政府参考人 お答えいたします。
情報公開法は行政文書の開示請求に係る手続などについて定めておりますが、同法に基づく開示請求手続によらずになされる国会議員からの資料などのお求めについては、当然、同法が適用されるものではございません。
○西村(智)分科員 開示請求手続によらなければ、当然、直接関わりがない、そういう御答弁でした。
それでは、国会議員からの情報提供要求が行政情報公開法によらずに行われた場合、これはどういうふうに対応することになっているのか。種々、質問主意書なども出されていると承知しておりますけれども、平成十三年七月十日の答弁書に即して回答をお願いします。
○河合政府参考人 ただいま御指摘いただきました答弁書におきましては、
国会議員からの情報提供等の要求に対しては、各省庁は、それぞれの設置の根拠である法律に基づき、当該各省庁の所掌事務遂行の一環としてこれに協力しているものである。各省庁が国会議員に回答する期限は法令上定められているわけではないが、可能な限り速やかに対応することとしており、また、各省庁が提供すべき情報の範囲についても法令上定められているわけではないが、当該要求に係る情報が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「法」という。)における不開示情報に該当するか否かも参考にしつつ、可能な限り協力することとしているところである。
とされております。
○西村(智)分科員 つまり、行政情報公開法による不開示情報だということで仮にあったとしても、それは参考情報である、そこに該当するかどうかを参考にしながら、国会議員に対する情報提供要求に対しては可能な限り協力することとされている。これが国会議員からの情報提供要求に対する対応ということで、政府が閣議決定をしているものなわけであります。
大臣、改めて伺うんですけれども、情報公開法による不開示情報であるとしても、国会議員への情報提供を拒む理由にはならないということでよろしいですね。
○盛山国務大臣 委員御指摘のように、情報公開法に基づく開示請求と議員からの要求は性格が異なると考えますが、行政機関から議員への情報提供につきましては、関連する法令の趣旨を踏まえて対応する必要があると考えております。
御指摘の資料には宗教法人から所轄庁に提出された書類の内容が含まれており、また、行政内部の意思形成過程に関する文書にも該当するところ、こうした情報を公にすることは、情報公開法における当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれに該当すると考えられます。
こうした情報公開法上の不開示情報に該当する文書は、公開した場合に権利利益等を侵害するおそれがあるものであり、議員の御要望に対しての提出は差し控えるということでございまして、そういう点で、昨年十月二十七日の予算委員会で私が答弁した内容も、その趣旨でお答えしたということでございます。
○西村(智)分科員 十月二十七日の答弁は、どう読んでも今大臣が答弁された趣旨とは異なるんですよ。
確かに、大臣は繰り返し説明をしておられて、私もそれは一定受け止めているところなんですけれども、申請が一度出されれば受理せざるを得ない、一度受理すれば、要件さえ備えていれば認証されるという手続、羈束裁量、このことについては、大臣は十月二十七日も大変細かく説明をしてくださいました。
それについては今の答弁の後半部分と同じだと思うんですけれども、私が言いたいのは、一番最初の、情報公開法に基づく開示請求と議員からの要求が異なるという趣旨について、十月二十七日の答弁では全く、大臣から一言の言及もないんですけれども、これでも趣旨は同じというふうにおっしゃるんでしょうか。
十月二十七日の答弁に、資料でおつけしています。ここに、情報公開法による開示、不開示の判断と、それから国会議員への情報提供が異なるという趣旨での答弁はどこに書いてありますか。示してください。
○盛山国務大臣 それは言葉足らずであったかもしれませんが、先ほど申したとおりでございまして、本件につきましては、十月二十七日に指摘いただいた資料につきましては、宗教法人から所轄庁に提出された非公開の書類の内容が含まれている、また、行政内部の意思形成過程に関する文書にも該当し、協力可能な範囲を超える情報であることから提出を差し控えたということでございまして、趣旨としては同一であると考えております。
○西村(智)分科員 いや、あくまでも同一の趣旨だと強弁される理由が分からないですね。
明確に、今答弁されたのは、趣旨は異なるものだというふうにおっしゃった。だけれども、十月二十七日にはそういったことを一言もおっしゃっていないわけですよ。
その後、私もちょっとそれをうのみにしてしまって、そのまま先に進んでしまったのは大変反省しているところなんですけれども、その後、予算委員長も、不開示情報だからということで、その取扱いについては協議するというような、不開示情報であることを前提とした、そういった発言もしておられるわけなんです。
大臣、もう一回、この日の答弁は、言ってみれば不十分であった、適正ではなかったということで、もう一回おわびをしていただきたい。これは今後の国会議員からの情報提供要求に係る話でもありますので、ここはきちんと整理をして御答弁いただけませんか。
○盛山国務大臣 昨年の予算委員会での御答弁が不十分であったかもしれませんが、国会議員からの資料要求について、その要求に係る情報が情報公開法における不開示情報に該当するか否かも参考にしつつ、可能な限り協力するということで、しかしながら、内容について違いがありますねということで昨年の御答弁になったということでございまして、是非、御理解賜りたいと思います。
○西村(智)分科員 いや、手続云々のことについては、私は今何も申し上げておりません。
ただ、十月二十七日の答弁が不十分だったかも分からないではなくて、不十分だったんですよ。そこは認めていただけませんか。
○盛山国務大臣 それは言葉足らずであったということであろうかと思います。
○西村(智)分科員 おわびの言葉もないとなると、これは今後の国会議員への情報提供、要求があったときに、やはり不開示情報イコール情報提供できないということになりかねないんですけれども、大臣、本当にそんなことでいいんですか。
もう一回聞きます。不開示情報であることを理由に私に対する情報提供を拒否したということは誤りであった、十月二十七日は不十分な答弁であった、そのことを認め、わびるということで、もう一回答弁いただけませんか。
○盛山国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりで、その繰り返しになりますけれども、情報公開法に基づく開示請求と議員からの要求は性格が異なるということは明らかでございますが、行政機関から議員への情報提供については、関連する法令の趣旨を踏まえて対応する必要があるということで、先ほど来の答弁にもなっているところでございます。
言葉足らずであったのかもしれませんが、是非、御理解を賜りたいと思います。
○西村(智)分科員 ごめんなさい、理解できません。
これは、趣旨が分かっておられるのであれば、大臣、率直に、十月二十七日の答弁は誤りであったとどうして認めることができないんですか。
これはきちんと言っておかないと、本当に、この後も、文部科学省に対する国会議員からの情報提供に対してごまかしの説明をして、情報提供を拒否ができるということになりかねないんですよ。文科省の言ってみれば矜持に関する問題でもあると思うんです。
もう一回答弁をお願いします。
○盛山国務大臣 何度も繰り返しの御答弁になりますけれども、昨年の予算委員会での御指摘の件につきましては、御指摘の資料には宗教法人から所轄庁に提出された書類の内容が含まれており、また、行政内部の意思形成過程に関する文書にも該当することから、我々はこのような御答弁を申し上げたところでございます。
その説明ぶりについてが少し言葉足らずであったのかもしれませんが、その判断の背景その他については何ら変わるものではございません。
○西村(智)分科員 私はその判断の是非について今言っているのではありません。
大臣が情報提供を拒否した理由について、不開示情報であるということをおっしゃった。それだけなので、そこを問題にしているんですよ。分かっていただけませんか。
もう一回答弁をお願いします。これが最後にします。
○盛山国務大臣 先ほど来申し上げております、言葉足らずであったかもしれませんが、何度も申し上げておりますが、情報公開法に基づく開示請求と議員からの要求は性格が異なるということを十分に踏まえた上で対応した発言であるということでございます。
○西村(智)分科員 この十月二十七日の答弁の中に、不開示情報と国会議員への情報提供要求に関する関わりについて、大臣は一言も述べておられません。
これは、委員長、ちょっと理事会で御協議いただきたいんですけれども、もう一度大臣の認識を、やはり十月二十七日の答弁には、そういったことを一切おっしゃっていないんですよ。
大臣は今、言葉足らずだったかも分からないというふうにおっしゃっているんですけれども、これはやはり言葉足らずだったし、こういったことが認められれば、今後、国会議員からの情報提供要求に対してごまかしの説明をしてもいいということになりかねないので、ここはきちっと理事会でお取り計らいを協議して、政府からもう一回答弁をお願いしたいと思います。
○福重主査 ただいまの件は、委員長に申し伝えます。
○西村(智)分科員 それで、改めてなんですけれども、私は、二〇一五年三月二十六日から同年六月三日までの旧統一教会に係る省内の記録について提出をしていただきたいと、これは何度も何度も、さっきも大臣が答弁されていましたけれども、難しい、そういった答弁だったと思うんですけれども、検討はしていただきたいというふうに思うんですよ、提供について。
不開示情報とは関わりがないわけですから、仮に不開示情報であったというふうに判断をされていたとしても、ここは検討していただきたいというふうに思いますけれども、それについてはいかがですか。
○盛山国務大臣 一昨日、十一日土曜日に、西村先生の事務所の方から、二〇一五年三月から同年六月までの間の旧統一教会に関する文科省内の記録について、行政情報公開法による開示請求はあったのかどうか、また、どういう判断をしたのかという御連絡、依頼を受けました。
現時点で網羅的に確認できておりませんが、御指摘の期間を対象に含む開示請求を受けたものは、数件ございました。
この件につきましては、今後はもう少し早く、平日のうちにお問合せをいただけるようお願いしたいと思うわけでございますが、その際の開示請求につきまして、不開示、また、あるいは一部開示の決定を行っておりますけれども、不開示決定の理由については、先ほど来答弁している内容と同様の趣旨ということになります。
○西村(智)分科員 お調べいただいて、まずは宗務課の皆さんに、本当に、週末、ありがとうございました。そこはお礼を申し上げます。
ただ、先ほど大臣が述べられたことについては、私はこの委員会の中では触れないでおこうと思ったんですけれども、今大臣が読み上げられましたので、あえて申し上げなければなりません。
不開示又は一部開示決定を行っているわけですよね。大臣は、十月二十七日の答弁において、不開示情報に該当するというふうにしか答えておりません。これは、答弁、虚偽答弁じゃないですか。
○盛山国務大臣 私どもはそう考えておりません。内容に関する部分については全て不開示ということでございます。
○西村(智)分科員 これは答弁もずらしているんですよ。
私は、平成二十七年の三月から六月までの二か月の統一教会に関する省内の記録、これを要求したんですけれども、大臣の答弁は、御指摘の名称変更の認証の判断の経緯に関する文書ということで、ちょっとすり替えられているんです。これは、似たようであって、違う種類の文書になるんですよね。
それがまた、さらに、不開示情報に該当するというふうに答弁されたということは、これはちょっと、あらゆる意味で、大臣のこの十月二十七日の答弁は大変大きな問題があるというふうに思います。
重ねて委員長にお願いしますけれども、この不開示情報に該当するというところも、私は、虚偽答弁だ、そういうふうな疑いがあるというふうに思います。是非、理事会でも御協議をお願いします。
○福重主査 ただいまの件も、委員長に申し伝えます。
○西村(智)分科員 是非提出していただきたい、それは検討していただきたいと思っております。
ちょっと時間が過ぎてしまいまして、先に進みますが、やはり、盛山大臣と旧統一教会との関わりについては、改めて伺わなくてはなりません。
自民党さんが、二〇二二年八月でしたか、このときに点検を行われました。このとき、盛山大臣は、関連団体へ本人が出席し、挨拶したというふうに回答しておられます。これは間違いありませんね。
○盛山国務大臣 そのとおり、議員本人出席で挨拶ありという旨、回答しております。
○西村(智)分科員 このとき、大臣は、UPF・兵庫県平和大使協議会の総会に出席しておられたということです。
二〇二四年三月六日の報道によりますと、このとき、参加したときの動画も残っていて、会場では韓鶴子教団総裁が演説する映像も流されていたということでした。
大臣は、この会合が旧統一教会の関係団体のものである、そして、自分がそこに出席して挨拶したということを、いつ、どのような経緯でお気づきになったんでしょうか。
○盛山国務大臣 今、西村委員がおっしゃったとおり、二〇二二年三月の会合はUPF・兵庫県平和大使協議会通常総会となっておりまして、旧教会と関係がある団体であるということは、当然、その時点でも私は認識しておりませんでした。認識不足であったということについては、御批判を受けることになるかもしれません。
しかしながら、後日、自民党の調査をきっかけにいたしまして、調査をした当時の記憶ですとか、地元の事務所の資料、記録に照らしまして、ああ、これは旧統一教会の関連団体の会合だったんだなということで、そのときになって初めて判明した、理解したということでございます。
○西村(智)分科員 きっかけにして分かったとか、当時の記憶、関係者から、事務所からの話で分かったということなんですけれども、ちょっと経緯が分からないところがあるんですよね。
自民党さんの点検では、私はちょっと回答項目だけしか見ていないんですけれども、関係団体、旧統一教会及び関連団体というふうに質問項目にはあったのではないかということなんですけれども、これは、例えばUPFですとか平和大使協議会というような形で例示があったんでしょうか、その質問項目の中に。どうですか。
○盛山国務大臣 ちょっと今手元にその当時の資料がございませんけれども、そのときの自民党の調査におきまして、関連団体が、具体的にどういう団体、具体的な名称を示していた、そういうようなことはなかったのではないかと考えております。
○西村(智)分科員 そうしますと、二〇二二年の三月のUPF・兵庫県平和大使協議会の総会に出席し、挨拶をされたということについては、大臣は、気づかれたというか、思い出された。にもかかわらず、なぜ、二〇二一年十月の政策協定にまでサインをしている、このときの世界平和連合、ここでの会合に気づけなかったのかというのは、やはりいささか疑問なんですよ。
大臣が署名した推薦確認書の宛名は、世界平和連合と平和大使協議会というのが連名で記載をされています。二〇二二年三月に大臣が出席したとお答えになっているのは、UPF・兵庫県平和大使協議会であります。
平和大使協議会、兵庫県がついているかどうかはあるんですけれども、平和大使協議会というところが一致しているんですけれども、それでもお気づきにならなかったですか、大臣は。
○盛山国務大臣 全く認識しておりませんでした。
これは予算委員会その他でも何度も御答弁、西村先生に対しても御答弁したところかと思いますが、二〇二一年の十月の会合につきましては、もう実質選挙戦に入っているところでございまして、地元の方から、集会をするので来いよということで伺ったということでした。そして、よく読まないまま、軽率にサインをしてしまったということではないかと思います。ただ、選挙戦のばたばたのことでございましたので、正直、全く記憶がないまま来ておりました。
それで、二〇二二年の春のものにつきましては、平和何とかというようなことでございまして、その段階でも、旧統一教会ということをはっきり認識を私はできなかったわけでございます。
そして、二〇二二年の七月に、残念なことに、安倍元総理に対する銃撃があり、そして、旧教会という団体がそういうようなとんでもない団体であるということを初めて私は認識したわけでありますし、そしてまた、その時点までは、旧教会に対してどうだこうだというようなことが世の中でも取り上げられていない、そういう中でのそういうような関係団体への会合への出席であったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○西村(智)分科員 二〇二二年三月の会合に出席したことが旧統一教会の関連団体のものであるということは、大臣は思い出されているんですよね。それなのに、その四か月前の二〇二一年十月、しかも、このときはサインまでしているわけなんです。大臣、この二つの会合がどうして関連団体のものであるというふうに気づけないのか。私は、やはりちょっと今の大臣の説明では、本当に不思議でなりません。大変大きな疑問です。
今日は、大臣に対する質問というよりかは、こういうふうに後から出てくる話があると、点検に対する信頼性とか信憑性、こういったものにもやはり大きな疑問が出てしまうんですよね。それは、決して、今大臣が、文科大臣として、解散命令請求の責任者であるということからすると、やはり非常にデメリットが大きいというふうに思うんです。ちゃんと当時調べなかった岸田政権に私は責任があるんだというふうに思っています。
私は、旧統一教会被害対策本部、立憲民主党の中にありますけれども、そこの本部長として、二〇二二年の夏に自民党の茂木幹事長に対して、そして、今年の三月に官邸に対して、やはり第三者機関をきちんと設置して、同じ基準で国会議員と旧統一教会との関わりを調査する、そういう機関が必要だということを申し入れようとしました。申し入れようとしたんですけれども、この二つとも受取を拒否されてしまっているんです。
こういう姿勢が、旧統一教会と自民党との関わりについて、やはりまだまだ分からないところがあるし、関係が深かったのではないかということを思わせる、そういう状況にもなっているというふうに思うんですね。
こうやって、大臣も、回答していなかったことについていろいろ聞かれたりする。やはりきちんとした調査をやって、点検ではなくて、きちんとその当時明らかにしておいた方がよかった、解散命令請求を出す自分としても、そういうふうに、大臣、思われませんか。
○福重主査 申合せの時間が来ております。大臣、簡潔にお願いいたします。
○盛山国務大臣 少なくとも、岸田総理が何度も御答弁申し上げているとおり、我々は、二〇二二年の秋の段階で、旧統一教会側とは一切関係を絶つということを申し上げているわけでございますので、そこである程度明らかになっているのではないかと思うことが前提でございますが、自民党における旧統一教会に対しての調査の在り方、こういうことについて私が申し上げる立場にはないということを御理解いただきたいと思います。
○西村(智)分科員 今のような御答弁では、本当に大臣がその職責たり得るかということについてはやはり疑問があるということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○福重主査 これにて西村智奈美さんの質疑は終了いたしました。
次に、城井崇君。
○城井分科員 立憲民主党の城井崇です。
盛山文部科学大臣、そして古賀内閣府副大臣、よろしくお願いいたします。
生成AIに対する日本政府の対応について、ユーザーやクリエーターの関心を中心にまず質問をいたします。
まず、人間の尊厳を尊重し、子供の権利を守るための取組について伺います。
五月八日、こども家庭庁と文部科学省から、「保育所等のホームページにおけるこどもの性的な部位を含む画像等の掲載等について」との通知が発出をされました。この通知は、保育所や幼稚園などがウェブサイトに園児が裸で写る画像を掲載し、第三者に悪用されるケースを踏まえて、既に掲載されている場合には至急削除することを求めています。
毎日新聞によりますと、十二の園の画像は海外のポルノサイトに掲載、八十の園の画像はページごと外部のサイトに複製、保存、そして少なくとも六つの園の画像がAIの学習に使われるデータに取り込まれていたとのことで、極めて深刻な状況です。
この度の通知は一歩前進の取組と考えますが、これで十分かという点を確認させていただきたいと思います。
人間の尊厳を尊重し、子供の権利を守る観点から、今回の通知の対象になっていない学校種、例えば小学校、中学校、高校等のウェブサイトにおける画像等の掲載についての注意喚起や、あるいは当該画像等が第三者によって性的な目的で使用されることを防止するための具体的な取組を行うべきと考えます。文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
○盛山国務大臣 今般、保育所や幼稚園などのホームページにおいて掲載されていた子供の性的な部位を含む画像が、第三者により性的な目的で使用されることにつながる事例があるとの報道を踏まえ、子供の権利を守る観点から、こども家庭庁と連携し、全国の幼稚園等に対して御指摘の事務連絡を通知、発出しております。
小学校以上の学校においても、学校のホームページ等に児童生徒の性的な部位を含む画像等が掲載されるようなことはあってはならないことは当然であり、現時点では必ずしも同様の事例があったことを把握しているものではありませんが、全国の学校においても必要な確認がなされるよう、都道府県教育委員会等に対して、今般の事務連絡を添付する形での注意喚起を行ったところであります。
引き続き、子供の権利を守る観点から、こども家庭庁とも連携しつつ、必要な取組を推進してまいります。
○城井分科員 注意喚起をいただいたということでございました。
子供たちを守ること、子供の権利をしっかり守れるように、引き続き取組の徹底をお願いしたいというふうに思います。
続きまして、生成AIと著作権について文部科学大臣に伺います。
二〇二四年三月十五日、文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、AIと著作権に関する考え方を取りまとめました。この考え方には次のようなただし書がございました。
簡略に申しますと、生成AIと著作権に関する考え方を整理し、周知すべく取りまとめたもの、そして、公表時点における本小委員会としての一定の考え方を示すもの、加えて、本考え方自体が法的な拘束力を有するものではなく、また、現時点で存在する特定の生成AIやこれに関する技術について確定的な法的評価を行うものではないこと、こうした内容でございました。
ただ、このただし書を考慮したとしても、日本国内だけでなく、諸外国にも一定の影響を与え得る、注目すべき論点の整理だと考えています。
そこで伺います。
この度示されたこの考え方によって、これまでのルールから変更となるところは具体的にどこか、大臣からお答えください。
○盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、この考え方は、法的拘束力を有するものではなく、生成AIと著作権に関する判例等の蓄積がないという現状を踏まえ、現時点における審議会としての一定の考え方を示したものであります。
特に、AIと著作権に関するクリエーターなどの権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししているところです。
今後は、この考え方についての正確な理解の促進に向けて、分かりやすい形で周知啓発することに努めてまいりたいと考えております。
○城井分科員 著作権法三十条の四については、後ほどお伺いをというふうに思います。
理解促進は重要だというふうに思います。
その観点から、次に伺います。
現行の著作権法では、情報解析などの目的であれば、AIによる記事や画像の学習には原則として著作権者の許諾は必要ないこととされています。ただ、この点、クリエーターからは懸念が示されています。
この度示されたこの考え方では、クリエーターに対する著作権侵害となる事例についてどのように整理をされておるでしょうか。また、クリエーターにはどのような影響があるか、大臣からお答えください。
○盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、クリエーターなどの権利者からは、自らが時間をかけて創作した著作物等が生成AIにより学習され、侵害物が大量に生成されることへの懸念等が示されていたところであります。
この点、著作権法上では、第三十条の四により、著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、著作権者等の許諾なく生成AIの学習に著作物等を利用できることとしております。
今回の考え方におきましては、生成AIの学習に著作物等を利用するもののうち、意図的に学習データに含まれる著作物の、創作物の表現の全部又は一部を出力させることを目的とした追加的な学習など、この要件を満たさず、著作権者の許諾が必要となる場合などについて例示をしております。
法三十条の四の適用がないにもかかわらず著作物が無断で学習に使われた場合には、クリエーターは著作権侵害として差止め請求等を行うことが可能であると考えております。
○城井分科員 同様に、内閣府についても確認をさせてください。
二〇二四年四月二十二日、内閣府知的財産戦略本部のAI時代の知的財産権検討会は、「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」を示しました。この中間取りまとめによって、これまでのルールから変更のあるところは具体的にどこか。著作権以外の知的財産権について、AIに学習させる段階は原則として権利侵害を発生しないと確認したという報道がございましたが、これは事実でしょうか。内閣府副大臣からお答え願います。
○古賀副大臣 城井委員御指摘のように、この検討会は、四月の二十二日に、知的財産権の各所管省庁のオブザーバー参加をいただきまして、中間取りまとめ案について議論を行ったところであります。
この検討会におきましては、AI学習段階における著作権以外の知的財産権については現行法の考え方から変更はなく、意匠権、商標権等のデータをAIに学習させたとしましても、その権利の実施又は使用に当たらず、権利侵害は発生しないと考えられることを確認したところでございます。
○城井分科員 もう一つ伺います。
この度示されたこの中間取りまとめでは、クリエーターに対する著作権などの権利侵害となる事例についてどのように整理をいたしているでしょうか。また、今回の中間取りまとめがクリエーターにはどのような影響があるか、内閣府副大臣からお答えください。
○古賀副大臣 この検討会における検討では、著作権に関する法的整理というのは、著作権法の所管省庁であります文化庁における、先ほど来出ております文化審議会の小委員会での「AIと著作権に関する考え方について」の検討を前提としているわけであります。つまり、著作権法の第三十条の四により、著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、著作権者等の許諾なく生成AIの学習に著作物等を利用できると考えられるとしたところであります。
また、生成AIの学習に著作物等を利用するもののうち、意図的に学習データに含まれる著作物の創作的表現の全部又は一部を出力させることを目的とした追加的な学習など、この要件を満たさず、著作権者の許諾が必要になる場合等について、著作物が無断で学習に使われた場合には、クリエーターは著作権の侵害として差止め請求等を行うことが可能であると考えられるとしたところでございます。
○城井分科員 今の副大臣の答弁、そして盛山文科大臣からの答弁、足並みをそろえての対応をいただいているということを今確認をさせていただきました。
少し細かな点を確認したいと思います。先ほどからの著作権法の第三十条の四の件であります。
クリエーターからも様々な懸念がありますが、特に、特定のクリエーターを狙い撃ちしてAI学習する、こうしたケースがありますが、この全ての場合に著作権法第三十条の四が適用されなくなるわけではないとの理解でよいかを確認をさせてください。
著作権の制限のかかる有名画家はたくさんおられますが、例えば、今年いっぱいは著作権の制限がかかるピカソの作品の真贋判定、本物か偽物かを判定するAIを仮に作成しようとする場合、ピカソの作品を集中して学習させる必要があります。この場合の著作権の利用について、この三十条の四が適用されるか、大臣の認識をお聞かせください。
○盛山国務大臣 著作権法第三十条の四は、当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、著作権者等の許諾なくAI学習等のために著作物等を利用できることとしております。
この要件を満たす限りにおいては、特定のクリエーターの作品のみから成る作品群を学習データとしてAI学習を行うために著作物等の複製を行う場合にも、同条は適用され得ると考えます。
しかしながら、同条の適用の有無につきましては、最終的には個別具体的な事案に応じた司法判断となります。
例えば、今、城井委員が御指摘をされたピカソの作品の真贋判定AIを開発する場合、当該AIは、学習データとして用いられたピカソの作品と創作的表現が共通したものを生成させるものではなく、ピカソの作品を享受する目的があるとは言えず、同条が適用されるものと考えられます。
○城井分科員 非享受目的という点が重要だというところを、今、大臣の答弁からも確認させていただいたと思います。
続いて、伺います。
ピカソの作品と創作的表現が共通する作品を生成するAIを開発する場合、この三十条の四は適用されますか。大臣、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 著作権法三十条の四については、もう繰り返しになりますので申し上げませんが、最終的に個別具体的な事案に応じた司法判断となるということを前提といたしまして、AIの開発に当たりまして、委員が御指摘されているように、ピカソの作品と創作的表現が共通する作品を生成することを目的としてAI学習を行う場合には、享受を目的としていないとは言えず、同条は適用されないものであると考えます。
○城井分科員 享受目的も併存するので適用されない、こういう理解ということで確認をさせていただきました。
続きまして、ピカソの作品の画風やアイデアと共通した作品を生成するAIを開発する場合は、三十条の四は適用されますか。大臣、いかがですか。
○盛山国務大臣 著作権法第三十条の四の適用ということでございますが、AI開発に当たり、ピカソの作品と表現に至らないアイデアのレベルで画風などが共通する作品を生成するAIを開発する場合には、既存の著作物の表現を享受する目的ではないため、同条が適用され得ると考えられますが、繰り返しになりますけれども、最終的には個別具体的な事案に応じた司法判断となりますので、そこは御理解いただきたいと思います。
○城井分科員 個別判断という点は理解しながらですが、享受目的が併存するとは言えないという点が今の話では重要だったかというふうに思います。ありがとうございます。
ここまで細かに確認させていただきました。文部科学省と内閣府におかれましては、この生成AIについては、開発の促進に目が向きがちなんですが、クリエーターを始めとした権利保護との両立について具体的な取組を是非お願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
古賀副大臣はここまでで、御退席、大丈夫です。ありがとうございました。
続きまして、教員の働き方改革について伺います。
令和六年四月十九日、中央教育審議会初等中等教育分科会の質の高い教師の確保特別部会において、「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)」が示されました。
この中で、注目する点がございました。それは、「教職調整額の率については、少なくとも一〇%以上とすることが必要であり、その水準を目指していくべきである。」とございました。これまでは、教職調整額は給与月額四%でございましたが、一〇%へ引き上げるという提起、提案であります。
この一〇%の根拠についての大臣の認識、そして、仮に一〇%へ引き上げた場合に、公費負担が増えますが、どれぐらい増える見込みとなるか、その財源の確保はできるか、大臣からお答えください。
○盛山国務大臣 申し訳ありません、今の答弁の前に、先ほどの答弁でちょっと一言、忘れましたので、追加をさせてください。
先ほど、同条が適用され得る、著作権法三十条の四ですね、と申し上げたところでございますが、アイデアにとどまらず創作的表現が共通する作品を生成することを目的とするような場合には、享受を目的としない場合には当たらず、同条は適用されないということでございますので、併せて御理解賜りたいと思います。
そして、現在の教職の話でございますけれども、教師不足等の課題も指摘される中、人材確保法の趣旨や教職の重要性を踏まえ、教師の処遇改善は喫緊の課題であると認識しております。
現在、教職調整額を含め、教師の処遇改善については中央教育審議会において御審議いただいているところであり、近々にその取りまとめを頂戴することとしております。
また、仮に教職調整額を一〇%へ引き上げた場合、現状の義務教育費国庫負担金に係る予算額を踏まえて試算をしてみますと、追加的な所要額は国費として約七百二十億円程度になるのではないかと見込まれます。
当省としては、中央教育審議会での議論を踏まえ、教育の質の向上に向けて、教師の処遇改善を含め、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていきたいと思っております。
そしてもう一点、併せて財源の確保についての御質問もございましたが、これにつきましては、まだちょっと要求する段階になっておりません。今後、財政当局の方と丁寧に予算折衝、あるいは予算折衝に向けて議論していきたいと考えております。
○城井分科員 追加の予算で、試算ですが、七百二十億ということでございました。
これは、教員の残業を減らすためのコストも結構かかっていると思うんですね。それ以上に、亡くなられている現職の教員も数百名に上っていますので、こうした教員の命はやはり金額に代えられないというふうに思いますので、実際に一〇%へ引き上げるだけで済むか、給特法の廃止を含めた検討が必要だというふうに私は考えます。
続いて、なぜ必要と思うかという点に関わる点についてお伺いいたします。
私立高校の教職員と公立高校の教職員の時間外勤務労働に対する手当の差について伺います。
私立高校の教職員には教職調整額の適用がなく、時間外勤務手当が支給されています。一方で、公立高校の教職員には時間外勤務手当が支給されず、時間外勤務労働が重なっても教職調整額の分しか受け取れないということになります。
この私立高校の教職員、公立高校の教職員の時間外勤務労働に対する手当の差は、何が根拠で生じるのでしょうか。大臣よりお答えください。
○盛山国務大臣 御指摘の点についてでございますが、給特法制定時の経緯についてちょっと触れさせていただきたいと思いますが、当時、公務員である公立学校の教師の給与等の勤務条件が法律や条例などに基づいて決定されていたのに対し、私立学校の教師については、学校の設置者と教師との契約に基づいて決定されていたという背景がございます。
こんな中で、公立学校の教師について、教師の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまで職務であるのか切り分け難いといった一般行政職の公務員とは異なる職務等の特殊性を踏まえ、時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして処遇する仕組みを給特法で構築し、その一方で、私立学校の教師について、契約に基づく決定方法に変更を加え、教職調整額として法令で定めて給与内容を拘束するということは適用されなかったものであると考えております。
○城井分科員 大臣、自発性などに任せて、そして包括的にということで切り分けてこなかったことで、今の教職員のかなりの厳しい勤務実態は続いてきているというふうに思うんです。
少し視点を変えまして、教職員の業務削減について伺いたいと思います。
教職員の業務削減が進まなければ、結局は、定額働かせ放題とやゆされる教職員の働き方改革の現状は変わらないというふうに考えます。
文部科学省による教員の勤務実態調査を基に、日本教職員組合が業務ごとの労働時間を積み上げて整理をいただきました。お手元に資料があるかと思いますが、御覧いただければと思います。
小学校では、一日当たりの労働時間の合計は十時間三十三分でした。一日の所定労働時間は七時間四十五分、これに照らしますと、主担当の授業、補助の授業、そして授業準備、学習指導、成績処理、朝の業務、ここまでを合計いたしますと七時間十六分です。
中学校では、一日当たりの労働時間の合計は十時間四十七分でした。一日の所定労働時間七時間四十五分に照らしますと、主担当の授業、そして補助の授業、そして授業準備、学習指導、成績処理、朝の業務、生徒指導(集団一)、生徒指導(集団二)、生徒指導(個別)までを足し合わせると七時間四十三分でした。
そういたしますと、どんな仕事がこぼれてくるかと申しますと、児童会、生徒会活動や学校行事、職員会議、研修、保護者、PTA対応、事務、部活動、クラブ活動などは含まれておりません。
教員の業務削減について、具体的にどのような業務の削減を行う考えでしょうか。業務時間の積み上げ表、お手元にお示ししている資料でありますが、業務の時間が縮まるのはどれか、どれが縮まる見込みか、大臣の認識を教えてください。
○盛山国務大臣 この資料を拝見して、小学校、中学校共に教師の皆さんの勤務条件がなかなか厳しいものであるという感を新たにするわけでございますけれども、我々の方でやっております文科省での令和四年度教員勤務実態調査におきましては、令和四年度のものはそれまでのものよりも全ての職種で在校等時間が減少しつつある、学校における働き方改革の成果が出ていると思いますが、でも、依然として長時間勤務の教師も多いということで、今回、先生が御提出の資料を見ましてもそうでございますけれども、取組の加速化というのは必要であると我々も考えております。
また、我々の調査によりますと、持ち授業時数が多い教師の在校等時間が長い傾向にあります。また、教員業務支援員は事務その他等に教師が従事する時間を縮減している傾向、こういったことも確認されたところであります。
このため、文部科学省としては、調査結果等を踏まえて、令和六年度予算に、教師の持ち授業時数の軽減にも資する小学校高学年における教科担任制の強化等のための教職員定数の改善や、教員業務支援員の全ての小中学校への配置を始めとする支援スタッフの充実などに必要な予算を盛り込んでおります。
学校における働き方改革は、何か一つやれば解決できるというものではないと思います。国、都道府県、市町村、各学校等、それぞれの主体がその権限と責任に基づいて、あらゆる取組を推進することが重要であると考えます。
今後も、中教審、中央教育審議会からお示しいただく考え方も踏まえ、教師の在校等時間を縮減し、子供たちに対してよりよい教育を行うことができるよう、環境整備の取組を進めてまいりたいと考えます。
○城井分科員 前回調査から少し減ったというのはおっしゃるとおり。ただ、まだまだだと思っています。特に、過労死レベルの働き方が小学校では一割ちょっと、中学校では三割、こういう状況がまだありますので、これは当たり前と思ってはいけないというふうに思います。
永岡元大臣ともこの議論をしたことがありますが、こうした、先ほど指摘した、ほかの仕事はどうするのかと聞きましたら、勤務時間内で扱うことが望ましい、こうおっしゃって、目を向けていただけませんでした。ただ、ここは、やはり物理的に具体的に減らしていかないことには、今の教員の数やあるいは業務自体の量ということに照らしますと、なかなか厳しいというふうに思っています。
さて、残り五分弱となりまして、少し質問を飛ばさせていただきたいと思います。
教科担任制の推進についてのところに参ります。
文部科学省は教科担任制を推進するということを申しておりましたが、全国の小学校二万校に見合う人数の配置にはなっていません。そして、その効果が地域によってもまちまちになるのが避けられない状況です。
全国二万校全ての小学校で教科担任制を実施できるのはいつからか、国は具体的にどんな支援を行うかということを大臣からお聞かせください。
○盛山国務大臣 小学校の教員定数については、学級担任外の教師も若干名配置できるよう基礎定数が算定されており、従前から、音楽や家庭などの教科を中心とした専科指導が行われているところです。
加えて、小学校高学年の教科担任制の推進については、骨太方針二〇二三を踏まえ、当初予定していた令和六、七年度の二か年分の改善数を一年前倒して令和六年度予算に盛り込み、令和四年度から三年間の改善総数三千八百人を計上しているところです。このほか、既存の小学校専科指導加配として措置している五千六百人と合わせて、九千四百人分の定数を充てることができると考えております。
その上で、教科担任制の更なる充実を含む学校の指導、運営体制については、今後、中央教育審議会からお示しいただく考え方も踏まえ、更なる学校における働き方改革等と一体的に検討していきたいと考えています。
○城井分科員 最後に、教育現場に対する物価高の影響について、二問一括で伺わせてください。
一つは、就学援助費への物価高の影響です。
二〇二三年度と二〇二四年度の就学援助費の予算は約五億円と、同額で推移していますが、この間の物価高の影響は深刻かつ明らかです。国からの支援の充実が必要だというふうに考えます。
実際に、テスト、ドリル、教科教材は昨年より二割増しとなった、あるいは、修学旅行などのバス代が非常に高くなり、保護者負担が大きくなっている、物価が上がっているのに予算配当基準が変わらないため、物品の購入を減らしているといった御意見が来ております。現在、国の支援があるんでしょうけれどもこの声が届いているという点が深刻です。
もう一点、学校給食費に対する物価高の影響も深刻です。
現場からは、給食費のうち、食材費の負担が大きくなっている、ロールパンしか買えず、食パンとジャムの組合せや黒糖パンなどは購入できないといった声もあります。これまでの対応でもこの苦しい現状の訴えで、無視できません。
さて、大臣、就学援助費への物価高の影響、そして学校給食費に対する見積りと対応、これは、対応は必須だし、急ぐと思うんですが、どうされますか。
○福重主査 申合せの時間が来ております。簡潔に御答弁をお願いいたします。
○盛山国務大臣 義務教育段階の就学援助については、各市町村において、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の保護者に対する支援を行っております。
具体的には、生活保護法に規定する要保護者への支援について、国が経費の二分の一を補助しており、このうち、修学旅行費については実費を基に支援をしております。また、要保護者に準ずる程度に困窮していると各市町村が認める準要保護者への支援についても、いろいろ、積極的な、重点支援地方交付金の活用その他を促してきたところでございます。
また、学校給食費についてということでございますけれども、物価高の影響が出ているということは我々も承知をしておりまして、年間の食材費相当額の把握に、現在も調査を実施し、努めているところでございます。
給食費の保護者負担につきましても、重点支援地方交付金の活用を教育委員会等に対して促しておりますし、昨年暮れの令和五年度補正予算におきましても、推奨事業メニュー分として〇・五兆円が追加計上されているところでございます。
いずれにせよ、文部科学省としましては、この物価高騰に対しての対応ということは今後ともしっかり検討していきたいと考えております。
○城井分科員 現行の仕組み、そして、交付金では手が届いていない地域が多いという実態も踏まえて、是非、真水の支援をお届けいただけるようにお願いしたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○福重主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。
次に、沢田良君。
〔主査退席、杉本主査代理着席〕
○沢田分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の、埼玉の沢田良と申します。
本日も聞きたいことが盛りだくさんですので、早速質疑に入らせていただきます。
盛山大臣を始め文部科学省の皆様、そして委員長、そして財務副大臣始め財務省の皆様、委員部の皆様、本日もどうぞよろしくお願いします。
今日は、副大臣、わざわざありがとうございます。
本日は、国立大学法人法が施行されて約二十年近くがたったということになりまして、これについて質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
改革の方向性というのは、明治以来百三十年間、国の機関として位置づけられていた国立大学を、独立した国立大学法人とすることにより、自律的な環境の下で国立大学をより活性化し、優れた教育や特色ある研究に向けてより積極的な取組を、そして、より個性豊かな魅力ある国立大学を実現するというところで、選択と集中なんという言葉を小泉純一郎元総理がおっしゃられていたような流れも含めて、私は本当に、理想像として、教育のあるべき形がどこに向かっていくのかというのを大きく示した法人法の改正だったというふうに思っているんですね。
ただ、現状として、いろいろな指摘も、各種メディアを含めていただいてもおります。現状として、盛山大臣はどのようにお考えなのか、ちょっといただければと思います。
○盛山国務大臣 沢田先生御指摘のとおり、国立大学法人化をしてちょうど二十年ということになります。
国立大学には、世界最高水準の教育、研究を先導すること、あるいは学問分野の継承、発展、あるいは全国的な高等教育の機会均等の確保等、こういった役割が求められているところであります。
それらを通じて、地域、国、世界を発展へと導く重要な存在に、国立大学法人があると認識しておりますので、そういった国立大学法人に求められている役割、これをしっかり発揮できるよう、私どもとしても、その支援をするというか、取組を進めていきたいと考えています。
○沢田分科員 ありがとうございます。
私は日本維新の会という政党に所属しているんですけれども、やはりいろいろな意味で、教育の現場にも競争の原理が働くということは、大阪という地域で教育改革をしていく上でも我々が大変重要視してきた部分でもあります。
当然、やはり理想と現実というところで、国立大学、元々あった文化であったり、又は働かれている職員の皆様であったり研究者の皆様の流れも含めて、私は、何か今回、国立大学法人法について、地元にも埼玉大学というものがあるので、いろいろなお話を聞かせてもらったときに、ああ、これは、我々国会議員が理想だけ言うと現場がやはり混乱してしまうことがある、又は、進むべき道というものもすごくやはり難しいんだななんというのも個人的に考えたところもありますので、私は、大臣が今おっしゃった部分は重要だと思っております。
特に、そういった部分以上に大事な部分として、日本の技術や人材の国外流出を防いでいきたいという思いと、また、日本の研究レベル、これをどうやって更に引き上げていくのかという、この二点について、私はやはりかなり重要だというふうに考えております。
ちなみに、これについては、大臣、どのように思われますか、この二点については。
○盛山国務大臣 優秀な人材の海外大学への流出を防止をして、そして日本の中で研究開発を行っていただく、こういったことは大変大事なことだと思いますし、また、それが、安全保障のためだけに研究その他をされるわけではありませんが、安全保障の観点からも大変重要なものである、こう認識をしております。
このような中、国際的な研究者の獲得競争というものが今行われておりますので、これに伍していくためにも、魅力的な研究環境の整備が重要であります。
文部科学省としては、基盤的経費の確保に努めるとともに、高度に国際化された研究環境と世界トップレベルの研究水準を誇る国際研究拠点の充実、国際卓越研究大学制度による世界最高水準の研究大学の実現、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学に対する、各大学の強みや特色を生かした取組の支援などに取り組んでいるところでございます。
引き続き、これらの取組を通じて、優秀な研究者を引きつける魅力的な研究環境を整備し、我が国全体の研究力の強化、これを図ってまいりたいと考えています。
〔杉本主査代理退席、主査着席〕
○沢田分科員 ありがとうございます。
まさに、本当に問題意識として私も同じ、基礎的な部分にも確保していくというお言葉をいただいたんですけれども、やはり大事な部分としてそこも後でちょっと話させていただきたいと思うんですけれども、是非、大臣の今おっしゃった部分について、更に今日の質疑の中で詰めさせていただければというふうに思っております。
ちょっと話は変わるんですけれども、台湾有事などが現実的に話が、かなりこの日本の中でも出てきておって、経済安全保障であったり、セキュリティークリアランスという法案も昨今衆議院の方では通っている状況もあります。
私は、自分自身が二〇二一年に初当選してから、自分自身が外交や安全保障について専門分野ではなかったことも含めて、いろいろな方の御意見、もちろん官僚も含めて聞かせていただいてもらっております。そういうときに、本当に、今、日本が抱えている現状であり環境、かなり厳しい状態であり、緊迫した状態がどんどん進んでいる。それに対して政府も現実的に向き合って前へ進めているということは、一国会議員として緊張感を持たなきゃいけないというふうに常に思っております。
その上でも、これは文部科学省所管にもなるんですけれども、亜細亜大学そして神戸学院大学の中国人の教授が中国国内で所在不明になっている件があったり、また、二〇二三年には、名古屋大学、これは二回不正アクセスが行われて、計四百四十六件の個人情報が漏えいしたということも発表されております。
ここ数年で、大学を始めとした教育機関のサイバー攻撃の被害公表が散見される状況もありまして、セキュリティーインシデント、いわゆる情報セキュリティーに関する事故や攻撃のことを公表した日本大学法人の数としても、二〇二〇年に十一校から、二〇二一年には二十一校、二〇二二年には二十一校と、やはり結構多くの数の大学が認識をしている。逆にこれは、分からない状態でもやられていると考えれば、しっかりと危機感を持った学校が二十一校あれば、これはかなり多くの学校が影響しているというふうに考えております。
こういった、法施行から大分、二十年たっているんですけれども、今の日本が置かれている安全保障環境の中で、サイバー攻撃、サイバーセキュリティーというものが重要視されている、それを重要視しなきゃいけないというような事実も出ている。こういったことについて、今、文科省として、盛山大臣はどのように考えられていますでしょうか。
○盛山国務大臣 沢田先生御指摘のとおり、国際情勢が大変複雑化あるいは緊迫化していると言っていいと思います。そして、その結果、経済安全保障の推進が必要であるということで、いろいろな法律、その他の対策を政府としても講じているところでございます。セキュリティークリアランス法なんかもそのうちの一つでございます。
大学等の持つ機微情報や個人情報等が国外に流出しないように対策を取ることは、非常に重要なことであります。
文部科学省では、経済産業省などと連携をしながら、大学や研究機関等に対して、外為法に基づき安全保障貿易管理を徹底するよう周知を行っているところでございます。
大学等の体制整備等は着実に進んできていると考えておりますが、いまだサイバーセキュリティー対策などが十分取組がなされていない大学等も見受けられているのは事実でございますので、引き続き、関係省庁と緊密に連携をしながら、各大学等の体制整備など、機微情報や情報の流出防止に向けた取組を促進していく必要があると考えています。
○沢田分科員 大臣、ありがとうございます。
ちなみに、今、外為法の話も出たんですけれども、元々、大学法人も、やはり安全保障的に、安全保障貿易管理についてということで、国立大学法人法ができる以前よりずっと、経済産業省が所管する外為法に基づいて、輸出や技術提供を行う全ての事業者、これは大学も入りますけれども、研究機関も入りますけれども、そういうところが適切な安全保障貿易管理を行うことが求められており、大学や研究機関も安全保障に対する考え方を持つというのは当然の流れというふうには考えるんですけれども、現状、セキュリティー面の予算というものは国立大学法人ではどのようにやっているのか、また、そういった支援の形があるなら教えていただければと思います。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
大学等の持つ機微情報や個人情報等が国外に流出しないよう対策を取ることは、先ほど盛山大臣がお答え申し上げたとおり、大変重要なことでございまして、各大学等におきましては、そのために必要な予算を確保しているものと承知しております。
文部科学省におきましては、大学等におけるサイバーセキュリティー人材を育成するための研修を実施しておりまして、令和六年度予算では四千七百八十五万円を計上しております。
○沢田分科員 済みません、確認なんですけれども、では、文科省として、またほかの省庁も含めて、サイバーセキュリティーに関して特段別の予算をつけているということではなくて、大学個々にやっていただいているというイメージでいいか、お願いします。
○池田政府参考人 文部科学省として予算措置しているのは今申し上げた研修ですけれども、これ以外に、各大学で、先ほど大臣がお答え申し上げたような体制整備とかをいろいろな学内の予算を活用して措置をしているというふうに承知しております。
○沢田分科員 ありがとうございます。
いわゆる学内の予算となると、メインは国立大学法人の運営費交付金というふうになるんですけれども、政府のサイバー防衛予算について、二〇一五年には約三百億円ぐらい政府全体では予算が措置されていたんですね。今、二〇二三年、ちょっと前になるんですけれども、千三百七十八億円まで来ています。八年間で約四倍。国立大学法人法ができたときは三百億なんか全然ないんですよね。そう考えると、かなり当時から状況は変わってきております。
これを大学の経費などであります法人の運営費交付金などでやりくりするというのが一般的というふうにもなっているんですけれども、大事なことは、法人法が施行された二〇〇四年は、運営費交付金というものが一兆二千四百十五億円支給というふうになっていたんですね。では、二〇二三年は幾つになるかというと、一兆七百八十四億円と、二割ぐらい減っちゃっている状況になるわけですね。
ただ、サイバーセキュリティーの予算に関しては、政府を見てもかなり大きく変わってきているということになります。
私は、問題は大きく二つあると思っておりまして、一つは、大学の負担がこれから真面目にやればやるほど大きくなり過ぎてしまう、それをすればするほど通常の経営、大学経営が大きく傾いてしまう、又は運営や研究にまで影響を与えてしまう。当然、運営費交付金は、大学の職員の皆様、研究員、教授含めて、人件費をつかさどっている費用でもあります。こういうことをすると、結果として、真面目にサイバーセキュリティーをしよう、しっかり大学を守ろうという大学になればなるほど厳しくなってしまう。
そして、もう一つの側面でいえば、税金を大きく投入する国立大学法人です。ここにおいての人材であったり情報などは、私は国益そのものだと思うんですね。国益を保全するということにおいては、大学が法人化したからといって、私は、その責任を各大学だけに負わせるべきではないというふうに考えております。
この二つの部分について私は考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その意味で、大臣、サイバー攻撃など、これからも更に厳しくなっていく現状、これを考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
大臣としての御認識、又は、今のままの予算の措置において対応できるのかも含めて、大臣から御答弁いただければと思います。
○盛山国務大臣 沢田先生御指摘のとおり、今大変厳しい環境にあるということは我々も認識しております。
インシデント事案の発生に対してどう対応していくか、機微技術の流出の防止をどうしていくのか、そういう点で、サイバーセキュリティー対策の強化を図っていくこと、これは喫緊の課題であるというふうに考えております。
ただ、その一方、インシデントの中には、メールの誤送信や記録媒体の紛失など、基本的な、基礎的なもの、意識の欠如その他もございますので、まずは人為的なミスなどのない組織の構築など、こういったものをまずしていただく必要もあるとは思います。
いずれにせよ、先ほども予算の話を高等教育局長の方からお答えしたところでございますが、大学に対してサイバーセキュリティー対策の充実強化に向けて周知啓発を行うとともに、研修も行っておりますが、必要な予算を確保し、関係省庁と連携しながら、どのようにサイバーセキュリティー対策を効果を上げていくことができるようになるか、しっかり関係省庁とともに取り組んでいきたいと考えています。
○沢田分科員 私も最近、日本維新の会の方でも、サイバーセキュリティーの勉強会というものを結構積極的にやらせていただいて、最近では、オンラインで声と姿を全部AIで生成してしまうという技術がもうできている。
ヨーロッパの方では、それを企業に悪用されて、三十数億円のお金を送金しろというのを会計担当者にCEOが連絡をする。これは、一対一というのは結構技術的には難しくないということなんですけれども、この次の話があって、CEOだけじゃなくて、会計責任者がちょっとそんな話は受けられないといったときに、役員会を開くというような形で、役員全員をAIで画像と音声を作ったということが実際に動いてしまった。それで数十億というお金の送金が行われたということが行われているぐらいです。
ちょっとふざけた話にもなるかもしれませんけれども、ユーチューブでも岸田総理の声と姿をちょっとパロディーにしたものが出ています。正直、私は、岸田総理が本当に総理大臣として真剣にやっていることをああいうパロディーにするというのは、いろいろな意見はあると思いますけれども、余り好きではないなと思うんですけれども、あれを見ても、マスクをしているものがほとんどなので分かりづらいんですけれども、素人であれぐらいできてしまうという中で、サイバーセキュリティーというものが、また、コロナの中、私たちがオンラインで物事をやっていくなんというのが新しい文化になっていることも含めると、相当危機感を高めていかなきゃいけないなと。
サイバーセキュリティーの話で追加で教えていただいたのは、今のロシア、ウクライナの戦争においても、ウクライナがこれだけ長くもっていたきっかけになったのが、やはりサイバーセキュリティーに対して初動がかなり早かったという話を聞いています。
この問題は、私たちが、人為的なところを超えるスピードでイノベーションが膨らんでいる技術、分野が、本気で私たちの国を守っていけるかどうかというところをやっていかなきゃいけないところに入ってきていると思いますので、盛山大臣の方でも、意識の方だけ、本当に全く同じ意識だなというふうには思っているんですけれども、是非お願いできればというふうに思っております。
続きまして、国立大学法人化以前の、今の大学の評価も含めてちょっとお話をさせていただきたいんです。
先ほどは、中国人教授の行方不明について述べさせていただいたんですけれども、国外での拘束という特殊事例を除いたとしても、優秀な研究者が国外の大学へ流出するという事例は数多くあるというふうに考えております。
例えば、hインデックスという研究者の実績を示すグローバルな指標がございます。これも、私もいろいろな国立大学に伺わせていただいたときに、教授が、例えば海外に面接を受けたりとか、行こうとした場合に、こういった指標を必ず報告するというものになるんですね。研究者が発表した論文に対してどのような引用数、いわゆる影響力があったり、それに対して実際にいろいろな公式な立場で使われたかなんというものを数値化したものなんです。
もちろん、hインデックス、万能というわけではございませんが、優秀な研究者を示す客観的なデータであって、これは一例として紹介したいんですけれども、hインデックスのトップ一万五千人のうち、昨年八月の時点で日本人が二百三十六名載っておりました。日本人トップは、二位以下を大きく引き離して金出武雄教授が引用数十四万七千百九十四回、二位の池内克史教授が二万九千百五回、三位の外山健太郎教授が二万四千九百四十八回と続いているんですけれども、このトップスリーのうち、二人は海外の大学で研究をされている。
優秀な研究者が海外へ流出している事実としては、私は、もったいないなと。何とかやはり、日本のいい研究機関で新しい研究を広げていく、そういう場に日本の国立大学を選んでいただけるようなことがあれば大変いいなというふうに思います。
また、科学技術指標二〇二〇というもの、科学技術・学術政策研究所が発表しているものなんですけれども、これによると、国立大学法人法施行前の一九九六年から一九九八年の年平均でも日本は世界四位というふうになっておりました。それが、二〇一六年から二〇一八年の年平均で日本の世界ランクは十一位というふうになっております。
また、THE世界ランキングトップ百、これは毎年発表されていますけれども、国別の大学数となると、国立大学法人法が施行された二〇〇四年は、日本は四校選ばれて世界で五位ということがあったんですけれども、直近では、二〇二四年になると、たった二校になってしまったんですね。これで世界では十二位というふうになっています。
当然、日本の研究も上がってきている部分はたくさんあると思います。ただ、研究ということを上からランキングするということは、当然、ほかの国が頑張れば頑張るほど、それに我が国が追いつかなければ、どんなにいい研究をしても、どんなに予算をつけても負けていってしまう。これは相対的に下降しているというところは感じられます。
ここの現状、私は、相対的に落ちていってしまう、負けているんじゃないかというところを感じているんですけれども、大臣、どのように考えますか。
○盛山国務大臣 沢田先生から厳しい現状についての御認識を頂戴したところでございますけれども、近年の我が国の相対的な研究力低下の原因は、諸外国の研究開発投資の増加が著しいこと、これに加えまして、我が国においては、博士後期課程学生のキャリアパスが不透明であること、研究者が腰を据えて自由で挑戦的な研究に取り組める環境が不足していること、国際頭脳循環の流れに出遅れていること、こういったことがあるのではないかと認識しております。
このため、文部科学省としましては、基盤的経費の確保に加え、多様で独創的な研究に継続的、発展的に取り組むことができるようにするため、科研費などの競争的研究費を確保するとともに、十兆円規模の大学ファンドによる支援を行う国際卓越研究大学制度を創設するなど、大学の研究力の強化に向けた支援を今やっているところでありますし、これからも強力に進めていく必要があると考えております。
○沢田分科員 ありがとうございます。
もちろん、世界の国がどんどん費用を入れているというのは、我が国もやはり、是非私は乗っていっていただきたいと。特に、やはり、問題点があっても、我々が一日でも早くいろいろな国に影響を及ぼせるような、そういう我が国に戻っていくためにも、私は教育、研究というものは必要だと思いますので、是非お願いできればと思います。
続きまして、選択と集中ということで今回の国立大学法人法の流れができたんですけれども、質ということを高めていただくためにも、運営費交付金と競争的資金の比重というものは、これができた二〇〇四年当時は、運営費交付金がいわゆる基礎的な資金ですね、これが六に対して、競争的資金が一だったものが、二〇二一年になると一・七対一まで、大分近づいちゃっているところがあるんですね。
競争という考え方はいろいろあるとは思うんですけれども、競争的資金の在り方、これはそもそも何を競争させたいと考えている資金なのか、ちょっとこれを御説明いただければと思います。
○盛山国務大臣 競争的研究費とは、優れた研究提案を公募、採択することにより、競争的な研究環境を形成し、研究者が多様で独創的な研究に継続的、発展的に取り組む上で基幹的な研究資金であります。画期的な研究成果の創出に貢献しているものと認識しています。
例えば、競争的研究費の一つであります戦略的創造研究推進事業では、優れた目利きにより先導的、独創的な研究課題を採択し、ネイチャーなどの著名な科学誌に多数の論文が掲載されるなど、イノベーションの源泉となる優れた研究成果の創出に貢献しているものと考えております。
○沢田分科員 ありがとうございます。
ただ、競争的資金だけではなくて、基礎的な予算も私は重要だと考えております。
というのも、世界ランキングトップ百の国別大学数で、二〇〇四年の四位にドイツが五校。そのとき、当時、日本は五位だったんですね。二〇二四年には、三位で八校、ドイツはすごく伸びているわけです。スイスも、二〇〇四年は十位だったものが、二〇二四年には九位に、ちょっと上がっている。二〇〇四年圏外だった韓国は、二〇二四年には九位タイと日本を超えています。
ドイツ、スイスは、基礎的な資金と競争的資金の割合というのが、日本の二〇〇四年に近いんですね。五対一という形を維持していまして、ある程度安定した基礎的なものをやっていくというところで研究の質を高めていっている実績があります。韓国に至っては、先ほど大臣がおっしゃったように、政府支出が大分増えていて、ほぼ倍まで、二〇〇四年当時から考えると、増やしてきているということが考えられます。
大臣からも基礎的な予算が大事だという話は何度もいただいているので、これはちょっと後に質問をしようと思うんですけれども。
続きまして、災害対応という観点の話をさせていただきたいと思います。
災害というものが日本において激甚化をされて、これだけ多く広がっている中、私は、施設の老朽化を、今、不足する整備費の大部分を運営費交付金から支出しているという現状に問題があるというふうに考えております。
教育研究機能の強化とか災害対応の観点からも、国立大学施設の老朽化対策というのは私は重要だというふうに考えるんですけれども、大臣、どのように考えますか。
○盛山国務大臣 御指摘のとおり、国立大学の教育研究機能を強化し、また、頻発する大規模自然災害からの復旧復興に貢献する観点からも、国立大学のキャンパス、施設が果たす役割は極めて重要であります。
しかしながら、国立大学におきましては、昭和四十年代から五十年代に整備した膨大な施設の更新時期が到来しており、安全面、機能面、経営面で大きな課題が今顕在化しつつあります。
文部科学省としては、必要な予算の確保を含め、魅力的かつ優れた機能を有する国立大学のキャンパス整備に向けて取り組んでいかなければならないと考えています。
○沢田分科員 ありがとうございます。
まさに、二〇〇四年には、国立大学の施設整備費補助金というのは一千百三億円あったんですね。これが二〇一〇年に五百九十五億円まで減って、今、令和四年だと約九百四十五億円というふうになっております。こういったところを考えると、今大臣がおっしゃったように、どんどんどんどん直さなきゃいけないものは増えているんですけれども、予算が余り変わっていないという現状になっております。
そして、二〇〇四年当時想定されていなかった義務的経費の増加というものは、国立大学に行ったときにいろいろ教えていただきました。高年齢者の再雇用人件費や消費税率の引上げ、職員宿舎等の固定資産税、監査費用、情報システム費用、細かいことになりますが、健康診断費用。高まる人件費は、本来は大学法人法の改革で大学の中でいろいろ決めていかなきゃいけないんですけれども、まだまだほぼ全ての大学が人事院勧告に従っているという形で、どんどん上がっていってしまっているという形になっております。
昨今の物価高ということを考えると、国立大学法人法にしたのが、ある種、学長のリーダーシップをしっかりと取っていこう、経営の主体にしようということがあったからこそ、弊害になっちゃっているのが、経営主体が学長にあるからこそ、先を見越して安心して投資できない現状が進んでいってしまっているというふうに私は個人的に考えております。
国立大学法人法が施行されて二十年たった今こそ、上記のテーマから考えて、私は見直すべきだというふうに考えるんですけれども、国立大学法人法の運営費交付金の在り方について、大臣、どう考えますか。
○盛山国務大臣 沢田先生が先ほどから御指摘していただいているように、山を高くするという点での競争的資金も必要ですし、そして、サイバーセキュリティーだけではなく、いろいろな観点から基盤的なものということで運営費交付金、この両方が大事であると我々は考えております。
この運営費交付金につきましても、私たちはこれまでと同額程度の予算額をしっかり確保し続けているところでございますが、今後とも、各大学が継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、引き続き、必要な予算額の確保に全力で努めていきたいと考えています。
○沢田分科員 済みません、副大臣、来ていただいたんですけれども、最後にちょっと御答弁いただきたいんですけれども、私はやはり予算額が足りないというふうに考えるんですね。予算を所管する財務省の方としても、私、結構危機感を持ってお願いしたいのは、この運営費交付金含めて、国立大学法人に対する支援、是非とも考えていただきたいんですけれども、ちょっと、今日聞いていただいてどう感じたか、最後に副大臣の方からお答えいただければと思います。
○福重主査 申合せの時間が経過しておりますので、財務副大臣、短く御答弁をお願いいたします。
○赤澤副大臣 国立大学法人に対する財政支援については、教育研究環境の整備を行うための重要な経費であるということを考えておりまして、国の財政状況が大変厳しい中にあっても、その大宗を占める運営費交付金は、平成二十七年度以降、対前年度同額程度が確保されてきているというふうに承知をしております。
その上で、財務省としては、こうした支援の総額についての議論にとどまらず、教育研究の質の向上につながるような、より効果的な公的支援の活用法についても議論を深めていく必要があると考えておりますし、今日委員御指摘のあったセキュリティー関係のようなものにもしっかり意を配っていきたいと思っています。
引き続き、文部科学省とともに、今後の国立大学法人への財政支援の在り方についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○沢田分科員 済みません、遅くなってしまって。
どうもありがとうございました。
○福重主査 これにて沢田良君の質疑は終了いたしました。
次に、藤巻健太君。
○藤巻分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、アルテミス計画についてお尋ねいたします。
盛山大臣は、先月、NASAのビル・ネルソン長官と、日本人の月面着陸と日本の月面探査車提供に関する取決めの文書を交わしました。
アルテミス計画における月面有人着陸及び月面探査プログラムの全容はどのようになっており、そこに日本はどのように関わっていくのでしょうか。最新の情報も含めて教えていただければと思います。
○千原政府参考人 お答え申し上げます。
アルテミス計画における月面探査につきましては、今御指摘のとおり、今年四月に、日本による与圧ローバーの提供とアメリカによる日本人宇宙飛行士の二回の月面着陸機会の提供等を規定する、与圧ローバーによる月面探査の実施取決めに盛山文部科学大臣とネルソンNASA長官が署名をするとともに、日米首脳共同声明において、日本人宇宙飛行士が米国人以外として初めて月面に着陸するという共通の目標が発表されたところでございます。
また、宇宙飛行士の月面着陸に係る予定につきましては、NASAの二〇二五年度の予算教書によりますと、二〇二五年九月に宇宙飛行士が月を周回飛行する試験フライト、二〇二六年九月にアルテミス計画として初の宇宙飛行士の月面着陸、二〇二八年九月に二回目の月面着陸、そして、二〇三〇年から二〇三二年までの間に年に一回の月面着陸が計画をされておりまして、日本人宇宙飛行士が月面に着陸する具体的な時期につきましては、今後NASAと調整を行っていくことになります。
文部科学省といたしましては、日本人宇宙飛行士の早期の月面着陸の実現を目指して、民間と共同での与圧ローバーの開発などに取り組んでまいります。
○藤巻分科員 今ありましたように、もし計画がうまく進んでいけば、数年後には、歴史上初めて日本人が月面に着陸することになります。
最初に月面を踏む日本人はどのような人物がふさわしいのか、大臣はどうお考えになられていますでしょうか。
○盛山国務大臣 月面着陸する日本人宇宙飛行士につきましては、現時点ではまだ具体的な選定方式は決まっておりません。今後、JAXAとNASAとの調整などにより必要な基準が定められた上で選定されるというふうに理解しております。
二〇二一年度にJAXAが実施した宇宙飛行士候補者の募集においては、月面での活動を含む業務を担う宇宙飛行士に求める人物像として、協調性やリーダーシップ、宇宙という極限環境における判断力、経験を世界中の人々と共有する表現力を有することなどが挙げられております。
私としても、このような資質を有する宇宙飛行士が、月という新たな人類の活動領域においてすばらしい成果を上げて活躍し、若い世代に夢や希望を与えてくれることを心から期待しているところです。
○藤巻分科員 日本人が月面に着陸するというのは、本当に楽しみですし、考えるとわくわくするところはもちろんあります。
ただ、それは、一方で感情論という側面もあると思っておりまして、以前もちょっと似た質問をしたことはあるんですけれども、多額の税金を使って月に着陸して、どのような国益を確保できるのかというような観点から考えると、また少し話は違ってくるのかなというふうには思っております。
アルテミス計画の最終的な目標は、二〇三〇年代に火星に降り立つことです。そして、アルテミス計画に日本は本年度予算で四百億ほどを計上しています。仮に二〇四〇年頃までこの規模の予算を続けると、二〇一九年十月の計画参画から、総額で一兆円とか、そういうレベルの金額になるわけです。
一兆円かけて火星に降り立てたとします。火星で何をするんでしょうかね。火星に何があると考えているのでしょうか。具体的にどのような国益に結びつくのか。
多額の税金を投入するわけです。夢に向かって進むとか未知の世界を切り開くとか、そういう抽象的なことではなく、多額の税金を投入するに値する具体的な獲得目標が火星有人探査にはあるのでしょうか。具体的にお答えいただければと思います。
○盛山国務大臣 アメリカが主導するアルテミス計画は、国際パートナーとともに、まず月面での持続的な探査の実現を目指しております。将来的には、今、藤巻先生おっしゃったとおり、火星有人着陸を視野に、それに向けて必要な技術や能力を月面での持続的な活動を通じて実証、獲得することを目指した計画であると承知をしております。
月は、地球以外で最初に人類の活動領域となる可能性を持つ天体であり、将来的には新たな経済社会活動が生み出されることが期待されており、月面経済圏に発展していく可能性があるとも認識をしているところであり、そういった認識で、我々文部科学省として、政府の関係省庁とともにアルテミス計画に参画し、我が国の技術力を生かしつつ、月面探査を支える与圧ローバーの開発を始めとする協力を進めております。
アルテミス計画への参画は、我が国単独ではなし得ない月面での有人探査等に必要な技術を効率的に獲得することができるだけではなく、非宇宙分野も含む産業競争力の強化、外交、安全保障や国際的プレゼンスの向上、科学的知見の獲得や次世代人材の育成などの観点から、幅広い意義を有していると我々は考えています。
また一方、将来的な火星の有人探査については、現時点で我々は具体的な計画を持っているわけではございませんけれども、まずは国際パートナー等と連携して、月面での持続的な探査の実現を踏まえつつ、その進捗や関連動向を踏まえ、意義等を十分に見極めた上で、必要な対応、こういったものを検討していくことになるのではないかと思います。
GPS衛星を使って、今、私たちが車のカーナビを利用しているように、その当時は全く考えられなかったものが、後から振り返ってみると、我々の日常生活を支える大事な基盤となっている、こういうこともございますので、今後とも、まずは月面着陸ということでございますけれども、宇宙への開発、そして、それに伴ってくるいろいろな技術、研究、こういったものを生かしていくことができるのではないか、そういうふうに期待しているところです。
○藤巻分科員 私、先ほど、アルテミス計画の本年度予算は四百億円と申しましたけれども、一方で、これもちょっと似たような質問を以前もしたことがあるんですけれども、JAMSTEC、海洋研究開発機構の予算は三百億円ほどです。
アルテミス計画に四百億、JAMSTECに三百億、私は、ちょっと正直、ここも納得がいっていないところはありまして、海洋国家である我が国が、排他的経済水域内でメタンハイドレートやレアメタルなどの海洋資源、これの安定供給を実現することができれば、資源大国への道が明確に切り開けるわけです。
とてつもない国益につながる、本当に、まさに世界が変わるというような状況ですけれども、一兆円かけて火星に降り立つことよりも、JAMSTECの予算を増やして海洋資源の安定供給を目指す方が、はるかに現実的で、はるかに国益に結びつく可能性が高いとは思わないでしょうか。
薄暗い深海よりも宇宙の方が夢があるとか、そういうようなことで予算の配分は考えていないとは思うんですけれども、当たり前なんですけれども、予算は限られています。税金も限られています。火星にも深海にも、両方に多額の予算をつけることはできません。
限られている予算を配分しなくてはならないなら、火星探査より深海探査なんじゃないでしょうか。アルテミス計画よりJAMSTECにより多くの予算を投入すべきというふうに私は考えるんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○盛山国務大臣 以前にも藤巻先生に歯切れの悪い御答弁をしたところでございますが、宇宙、アルテミス計画の必要性というのは、先ほどお話をしたとおりでございます。
他方、海洋ということで、今、藤巻先生からも御説明があったところでありますが、海洋は地球全体の表面の約七割を占めております。また、日本の場合には、四面を海に囲まれている、そういうような国情がございますので、海洋に関する研究は大変重要であります。宇宙でも分からないことが多ければ、この地球上の、深海を含めて、海の中も分からないことばかりでございます。
このため、文部科学省では、第四期海洋基本計画等に基づきまして、海洋鉱物資源の形成過程の解明や、それに基づく将来の資源探査に有望な海域を予測する研究開発など、海洋科学技術の研究開発を推進しているところでございます。
我々としましては、宇宙も、そして海洋も、いずれも我が国にとって大変重要な分野であるということで、引き続き、双方に必要な予算を確保しつつ、国家戦略に基づいて研究開発を推進していきたいと考えています。
○藤巻分科員 いずれも重要とのこと、私もそこは分かるんですけれども、どちらかといえば、やはり宇宙よりも海洋の研究開発を是非進めていっていただければということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
ちょっとテーマは変わりまして、先日の決算委員会で、私は、筑波大学附属駒場中学校の入試で、明治神宮外苑の再開発に関して、反対的な文章を読ませた上で、反対の立場から回答させるという、ある意味で極めて政治的に偏った問題が出題されたことについて質問したんですけれども、大臣からは、出題内容に関しては設置者が権限と責任において適切に判断する、個別の出題内容の適否についてはコメントは避けるとの答弁がありました。
要するに、学校側が適切に判断するというふうにおっしゃっておりましたけれども、私は適切ではないと考えたから質問した次第なんですけれども、これは、大臣の答弁からすると、いかに政治的に偏ったことを入試で出題したり授業で教えても、それはその学校の権限と責任において適切に判断されたもので、問題はないということになってしまうのでしょうか。それでは、教育基本法の定める教育における政治的中立とは一体何になるんでしょうか。御見解をお聞かせ願えればと思います。
○盛山国務大臣 先日の御答弁とちょっと繰り返しになりますけれども、入学者の選抜というのは、それぞれの学校の教育活動に照らして、それに相応する入学時点としての能力を評価するものであります。出題内容や方法も含め、各設置者等が適切に判断するものであります。
そして、我々文部科学省としましては、中学校の入学者選抜における出題内容については、小学校学習指導要領の趣旨を踏まえた出題となるよう配慮することを求めているところであり、引き続き周知に努めてまいります。
そして、本件の国立大学の附属学校の入学者選抜については、設置者である国立大学法人の権限と責任において実施されるものであり、個別の出題内容の適否についてコメントすることは控えたい、こういうことを先日も申し上げたところでございまして、若干繰り返しになりますけれども、再び申し述べさせていただきます。
その上で、更にもう少し付言をするならば、出題内容が適切か不適切かということについて我々がどう判断するのかということかもしれません。そしてまた、本問題は、一つの、仮にこういう立場に立てばどうするのかというようなことを言っているものではないかと考えておりますので、そういう点で、今回のものについて、先ほど先生御指摘の教育基本法第十四条二項の政治的なという、政治的中立性を侵すというものではないのではないかと考えております。
○藤巻分科員 分かりました。
また、同じく、筑駒は国立の中学校であるにもかかわらず、女性というだけで入学を拒絶している、これは許されるのかという私の質問に対しては、学校の特色や歴史的経緯において、これも設置者が適切に判断するという答弁がありました。
その一方で、平成十八年から平成三十年度にかけて、東京医大が女性の受験者に対して一律に点数を減点するということがありました。これに対して、東京高裁は、性別による点数の調整は不合理な差別を禁止した法律や法の下の平等を定めた憲法の趣旨に反するという判決を下しました。また、文科省も、東京医大に対して、二〇一八年度の私学助成金の交付を取りやめました。
東京医大が女性というだけで一律減点するというのは駄目で、筑駒が女性というだけで一律零点とする、つまり女性の入学は一切認めないというのは許される、ここの矛盾についての大臣の御見解をお聞かせ願えればと思います。
○盛山国務大臣 これも先日ちょっと御答弁申し上げたものと繰り返しになるかと思いますが、御指摘の東京医科大学の入学者選抜、これにつきましては、裁判所の判断というのは、東京医科大学の入学者選抜において一部の男性受験者だけを加点する、点を加えるということを受けて、性別等という属性に応じた一律の得点調整に関して述べられたものであると考えております。
他方、高等学校の、男子校である、女子を受け入れていない、ここについてでございますけれども、これについては、教育基本法の第四条では、男女に対し、性別にかかわりなく学校における教育を受ける機会を均等に付与し、また、当該教育の内容や水準等が同等であることを確保するということを教育基本法第四条は述べておりますが、全ての学校における男女の共学を一律に強制するものではないと認識しておりますので、そこで、矛盾しないというんでしょうか、違いがあるのではないかと我々は考えています。
いずれにせよ、男女共同参画社会を実現していくということは大変重要な課題であり、方向性であります。当該高等学校においての男女共学か男女別学かということについては、それぞれの学校において設置者が適切に判断していかれることではないかと考えます。
○藤巻分科員 そのロジックからすると、東京医大が男性を加点して女性を減点して、女性の人数を制限することはオーケーというふうになってしまうように解釈できるような気もするんですけれども、ちょっと改めて、その部分についてお答えいただければと思います。
○盛山国務大臣 東京医科大学の場合は、募集要項であらかじめ説明していないにもかかわらず性別などの属性に応じた一律の得点調整を行ったということで、それは不適切であるということであります。
募集要領であらかじめ説明さえすれば男女の差別的な取扱いが許容されるということでは必ずしもないと思いますが、性別による取扱いの差異を設けるとすれば、その合理的な理由については、それぞれの学校であり設置者が説明していかなくてはならないところであると考えます。
○藤巻分科員 そのロジックからすると、今度は、筑駒の方は女性というだけで差別していることになるから駄目というふうなロジックになってしまうような気もするんですけれども。
ちょっと堂々巡りになってしまうので、この問題は、この質問はここで終わらせていただきますけれども、いずれにせよ、男性だから、女性だからというのはよくなくて、特に筑駒なんかは国立の中学であるわけですから、小学校六年生の女の子が、筑駒に入学して筑駒の環境で勉強したいというような希望があるんだったら、それを制限するのは私は望ましいことではないと思います。入学試験において、男女が完全に平等となるような入試制度の設計をどうぞよろしくお願いいたします。
テーマは変わりまして、小学校の図書室に置く本の選定についてお伺いいたします。
まず、小学校の図書室に置かれる本、これは誰がどのような基準において決定するのでしょうか。文科省として指針などはありますでしょうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
学校図書館は、学校図書館法に基づきまして、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的としてございます。
これを踏まえまして、文部科学省では、学校図書館のガイドラインというものを策定してございます。その中では、「児童生徒の発達段階等を踏まえ、教育課程の展開に寄与するとともに、児童生徒の健全な教養の育成に資する資料構成と十分な資料規模を備えるよう努めることが望ましい。」としているところでございます。
このガイドラインにおきましては、各学校において選定の基準を定めるということとともに、この基準に沿った選定を組織的、計画的に行うよう努めることが望ましいこと、基準に沿った図書選定を行うための校内組織を整備することなどを示しているところでございます。
全ての学校がこの選定基準を策定しているわけではございませんけれども、選定基準を策定しているところにつきましては、教育委員会や校長の責任の下、児童生徒の実態に応じて選定が行われているところでございます。
○藤巻分科員 ありがとうございます。
小学校の子たちの年齢層は幅広いです。小学校一年生は五歳、六年生は十二歳。五歳の子と十二歳の子、これは全く違うわけでございます。十二歳が読むのは適切でも、五歳が読むのは望ましくない本もたくさんあると思います。
私は、小学校一年生か二年生の頃、「はだしのゲン」を読んでちょっとトラウマになったことがあります。数日間眠れなくなって、恐怖が残り続けました。「はだしのゲン」は、その内容が政治的ではないかとよく論争に上がりますが、その部分ではなく、単純に描写が小学校一年生、二年生だった私にはきつ過ぎたのを覚えております。小学校低学年の子供たちにとって過度に残酷な表現の本や漫画が簡単に手の届く場所に置かれているのは、望ましい環境であるとは言えないと思います。
これは「はだしのゲン」に限った話ではないと思うんですけれども、こういった過度に残酷な表現の本や漫画は、せめて中学校の図書室にして、小学校の図書室には置くべきではないというふうに私は考えるんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○盛山国務大臣 藤巻先生のような御意見があることは承知をしておりますが、文部科学省としては、先ほど局長から御答弁申し上げましたとおり、学校図書館の図書の選定につきましては、教育委員会や校長の責任の下、学校図書館ガイドラインも踏まえながら、各学校等において、学校の選定基準、地域や学校、児童生徒の実態等に応じて、教育的見地から見て有益、適切なものとしてその内容等を決めるべきものであると考えております。
○藤巻分科員 私に限らず、私の友人とかと、やはり「はだしのゲン」を読んでトラウマになって、今も何か心に傷と言うのは言い過ぎですけれども、ちょっとトラウマになったよねみたいな話はいまだに上がるので、やはりそういう意見がある、そういう人がいるというのは、ちょっと頭の片隅に、皆さん、覚えておいていただければなと思います。
続いて、共通テストの追試に関してお伺いいたします。
昔から、共通テストの追試は本試験に比べて難しいという説が根強くあります。私も受験生のとき、当時はセンター試験でしたけれども、学校の先生から、追試は難しいから絶対に避けろ、多少体調が悪くても、はってでもテストを受けに行けと言われていました。私が受験生のときなので二十年ぐらい前なんですけれども、実際に追試の過去問を解いてみると、確かにワンランク、ツーランク難しかったというのを覚えているところでございます。
共通テストの追試というのは本当に難しいのでしょうか。追試の平均点は公表されていないと聞きましたが、それはなぜでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
大学入学共通テストでは、疾病等のため、やむを得ない事情により所定の試験を実施できなかった方のために、追試験を実施しております。
大学入学共通テストの本試験につきましては大学入試センターにおいて平均点を公表しておりますが、一方で、令和六年度の追試験の受験者は、本試験の受験者が四十五万人を超える人数であるのに比べ、追試験受験者は一千四百人程度と著しく少なく、必ずしも受験者層が同一であるとは限らないことなどから、その平均点のみで難易度を比較することが困難であるという状況でございます。
したがって、追試験の平均点を公表することで、平均点のみが取り上げられ、その違いが問題の難易度に起因するかのような不適切な比較がなされることによって、受験生に混乱を招くなどのおそれがあります。このため、平均点を公表していないということでございます。
○藤巻分科員 確かに、千四百人というのは少ないのは分かるんですけれども、逆に、平均点を公表しないからこそ、あらぬ疑惑が出てしまうのかなという側面はあると思います。
先ほどおっしゃったように、追試験は誰でも受けられるわけではありません。例えば、能登半島地震で被災した受験生や、コロナやインフルエンザで本試験を受けることができなかった受験生など、正当な理由がある人が申請して、認められて受けるテストでございます。仮に難易度が高かったのだとすれば、それはおかしい話でございます。彼ら、彼女らは、寝坊したとかではなく、やむにやまれぬ事情があって追試験を受験したわけですから、難易度は同じであるべきです。
私としては、今後、追試験の平均点を公表した上で、難易度を同じように保つようにして、結果、それができなかったのならば、得点調整をして、平等性を保つべく努力すべきと考えるんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○盛山国務大臣 先ほど局長が答弁しておりますけれども、大学入学共通テストは、本試験と追試験とで難易度に大きな差がつくことがないよう、同一の試験問題作成方針に基づいて同一の問題作成委員が作成しており、試験実施後には、問題の難易度等について評価、分析を実施しているところです。こうした措置がなされていることに加え、先ほど答弁したような問題が生じるおそれがあることから、大学入学共通テストの追試験の平均点を公表する必要はないと考えております。
なお、本試験における科目間の得点調整というのがございますが、これについては、受験者が一万人未満の科目については対象外としております。これは、受験者が少ない場合、科目間の平均点の差が問題の難易度に起因するものなのか、受験者層の違いに起因するものなのか判断できないためであります。この考えは本試験と追試験の関係においても同様である、そんなふうに考えているところです。
○藤巻分科員 難易度を同じようにするようにやっていただけるとの答弁で受験生のみんなも安心する側面はあると思いますので、本試験と追試験を同じ難易度にするように、しっかりと問題作成の方をやっていっていただければ。受験生が一〇〇%力を安心して発揮できるような環境の整備の方をどうぞよろしくお願いいたします。
本試験についてもちょっと伺わせていただきたいんですけれども、昔からそうだったと思うんですけれども、成績優秀者層にとっては、共通テストは簡単過ぎるという側面もあるとは思います。
例えば、東京大学の受験者だと大体得点率は九〇%前後だと思うんですけれども、九十点なのか九十三点なのか九十五点なのか、これはもう実力を問うというよりも、細かいミスをしないかどうか、重箱の隅をつつくような細かい問題を間違えないかどうか、そういうようなテストになってしまっているという側面もあると思います。
もう少し難易度の高い問題も織り交ぜて、成績優秀者層にとっても実力を問うような試験にするべきというふうに私は考えるんですけれども、お考えをお聞かせください。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
大学入学共通テストは、大学に入学を志願する方の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的としております。現在、八百を超える国公私立大学、短期大学等が、それぞれのアドミッションポリシーなどを踏まえ、教科、科目を自由に指定するアラカルト方式の下でこれを利用しております。
各大学は、それぞれの入学者受入れの方針に基づき、大学入学共通テストと各大学が個別に実施する個別学力検査を組み合わせて入学者選抜を実施しております。このため、各大学において個別学力検査を活用することによって、大学入学共通テストでは問うことのできないような能力を確認することも可能でございます。
文部科学省としては、各大学において、大学入学共通テストと個別学力検査の役割分担を図りながら、これらを適切に組み合わせた選抜が実施されることが望ましいと考えております。このことから、大学入学共通テストは、その目的に沿った作題が大学入試センターにおいて専門的な観点からなされるべきであると考えております。
○藤巻分科員 受験生にとっては本当に人生の分岐点ともなる重要なテストですので、本人の努力、実力をしっかり問うような、そういったテストを作っていただければなと思います。
時間も限られてまいりましたので、最後に一問。
日本人留学生、近年、コロナの影響はもちろんあるんですけれども、減っているという話を聞いております。
私は、一概に、留学へ行くことが必ずしも正しい、正しいというか、いいという考えではないんですけれども、海外で学びたい、広い視野で世界を見たいという意欲を持った若者が、経済的な理由などでその機会が奪われるべきではないというふうに考えています。
日本人留学生が減っている理由として、円安で生活費や授業料が大きく上がっているということも当然あると思います。留学生に対する補助や支援はどのようになっているんでしょうか。また、今後そういった補助や支援をどうしていくのか、方向性をお答えいただければと思います。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、日本人留学生の海外への派遣、それから外国人の留学生の受入れ、これを共に、これまで力を入れてやってまいりました。特に、教育未来創造会議の第二次提言、昨年四月に出されておりますが、これを踏まえて、日本人留学生の派遣に力を入れることとしておりまして、こうした取組を推進するために、様々な予算を充実させております。
この未来会議の提言では、日本人の派遣を五十万人程度という目標を掲げておりますので、これに向けて支援を充実してまいりたいと思っております。
○藤巻分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○福重主査 これにて藤巻健太君の質疑は終了いたしました。
午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○福重主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。
○鈴木国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度財務省所管の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
最初に、令和二年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
財務省主管の一般会計歳入決算につきましては、収納済歳入額は百八十一兆九千七百二十一億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、八兆八千八百九十七億円余の増加となっております。
収納済歳入額のうち、租税等は六十兆八千二百十六億円余となっております。
財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額三十四兆一千八百七十一億円余に対し、支出済歳出額は二十六兆九千二百八十七億円余、翌年度繰越額は五兆七千九百四十三億円余であります。不用額は一兆四千六百三十九億円余となっております。
支出済歳出額のうち、国債費は二十二兆三千二百五十五億円余となっております。
次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。
国債整理基金特別会計におきまして、収納済歳入額は百八十八兆九千七百三十四億円余、支出済歳出額は百八十五兆九千二百十二億円余であります。
このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。
以上が、令和二年度財務省所管の決算の概要であります。
続きまして、令和三年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
財務省主管の一般会計歳入決算につきましては、収納済歳入額は百六十五兆一千二百五億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、二十六兆二千三百四十一億円余の増加となっております。
収納済歳入額のうち、租税等は六十七兆三百七十八億円余となっております。
財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額三十二兆二千百八十六億円余に対し、支出済歳出額は三十兆九千六百八十四億円余、翌年度繰越額は九十六億円余であります。不用額は一兆二千四百六億円余となっております。
支出済歳出額のうち、国債費は二十四兆五千八百九十三億円余となっております。
次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。
国債整理基金特別会計におきまして、収納済歳入額は二百三十九兆七千十八億円余、支出済歳出額は二百三十六兆六千二百三十一億円余であります。
このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。
以上が、令和三年度財務省所管の決算の概要であります。
続きまして、令和四年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
財務省主管の一般会計歳入決算につきましては、収納済歳入額は百五十兆三千四百億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、十四兆二千五百三十九億円余の増加となっております。
収納済歳入額のうち、租税等は七十一兆一千三百七十三億円余となっております。
財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額三十兆一千三百二十二億円余に対し、支出済歳出額は二十五兆七千三億円余、翌年度繰越額は百七十六億円余であります。不用額は四兆四千百四十一億円余となっております。
支出済歳出額のうち、国債費は二十三兆八千六百九十七億円余となっております。
次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。
国債整理基金特別会計におきまして、収納済歳入額は二百三十五兆六千二百二十九億円余、支出済歳出額は二百三十二兆五千五百六十億円余であります。
このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。
以上が、令和四年度財務省所管の決算の概要であります。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○福重主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山崎審議官。
○山崎会計検査院当局者 令和二年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
これは、租税の徴収に当たり、徴収額に不足があったものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、租税特別措置である倒産防止共済特例の実施に当たり、所得税の申告における返戻金額の収入計上について、手引等を作成するなどして納税者等に周知したり、資料情報制度を活用した資料の収集等の検討を行うなどして審査体制を整備したりすることにより、返戻金額の収入計上が適切に行われるよう改善の処置を要求したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、貨幣回収準備資金において保有している金地金について、記念貨幣の製造材料として使用する見込みがなく売り払うことが適当と認められるものを売り払うなどして活用を図るよう改善させたものであります。
続きまして、令和三年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
これは、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、大口の個人株主及び非上場会社の個人株主に係る配当所得が総合課税方式により申告されているかについて、支払い調書データを活用した具体的な申告審理の手順等を定めるなどして、総合課税方式による確定申告に関して効果的な確認を行うよう改善させたものであります。
なお、以上のほか、令和二年度決算検査報告に掲記いたしました所得税の申告における倒産防止共済特例の適用に伴う返戻金額の収入計上に係る審査体制の整備等について処置を要求した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。
最後に、令和四年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
これは、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
その一は、退職手当等の支払いを受けた居住者が所得税の確定申告を行う場合に退職所得の金額を加算した合計所得金額に応じて基礎控除等が適正に適用されているかについて、源泉徴収票データを活用した具体的な申告審理の事務処理手続を定めるなどして、的確な確認を行うなどするよう改善させたものであります。
その二は、学校施設の用に供する国有地の貸付けに当たり、貸付料を減額できる面積の算定について、校舎等の延べ面積に乗ずる倍率の考え方を示すことなどにより、減額率が五割となる面積が施設を維持運営するのに必要な最小規模面積となるよう改善させたものであります。
以上をもって説明を終わります。
○福重主査 次に、会計検査院片桐第五局長。
○片桐会計検査院当局者 まず、令和二年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和四年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
続きまして、令和二年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○福重主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。
○鈴木国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、財務省の取った措置について御説明申し上げます。
会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾であります。これらにつきましては、徴収決定等の適切な措置を講ずる等の対応をしておりますが、今後一層事務の改善に努めたいと存じます。
○福重主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福重主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○福重主査 以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○福重主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。福田昭夫君。
○福田(昭)分科員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
本日は、我が国の国家財政をつかさどる鈴木大臣始め財務省の皆さんと、といっても一人ですかね、この国を立て直すために熱い議論をしたいと考えております。
そこで、本日のテーマは、数字はうそつかない、決算書から見えてくる基幹三税の抜本的改革の方向性と題して質問をいたしますので、大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。
なお、先日、大臣にも予算の分科会でお伝えいたしましたけれども、私の昨年の六月九日の財金での質問、消費税という巨大権益は本当かについては、この間、実は、本も増刷をされたり、あるいは、ユーチューブチャンネルでの再生回数は、前回は四十八万回と言いましたけれども、何と、五月八日には十か月で二百万回を超えまして、今日の午前中現在で二百二十四万八千回を超えております。そして、そのうちの大きなコメント、一番、財務省を解体しろというんですよ。そうなったら私も困るなと思っているものですから、財務省の皆さんにはしっかり決算の数字を見て考え方を改めてほしいと思って、今日は議論をさせていただきます。
まず、消費税の目的をなぜ変えたのかでありますけれども、一つ目と二つ目、併せてお答えください。
消費税創設の目的は直間比率の見直しで、増減税同額ではなかったのか。私の記憶では、あの当時、竹下総理の話は、約九・二兆円ずつの増減税同額、こんなことを覚えているわけでありますが、このことについてお答えください。
それから、二つ目は、消費税の使途を、平成十一年度から基礎年金、老人医療、介護に、平成二十八年度から年金、医療、介護、少子化対策に充てるとしたのはなぜなのか。併せてお答えください。
○青木政府参考人 お答えします。
まず、一点目でございます。
消費税は、昭和六十三年度税制改革におきまして、当時の物品税を中心とした個別間接税制度が直面した諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通じた税負担の公平を図るとともに、本格的な少子高齢化社会の到来を見据え、国民福祉の充実などのために必要な歳入構造の安定化を図るという目的の下、創設されたものでございます。
その際、こうした消費税の創設は、物品税等の個別間接税の廃止のほか、個人所得課税や相続税の制度減税などと併せて実施されており、全体としては減収となったものと承知しております。
続きまして、二点目でございます。
消費税は、平成十一年度以降、少子高齢化の進展に伴いまして急速に増加することが見込まれる社会保障給付の財源に充てる観点から、福祉目的化され、毎年度の予算総則で、国分の消費税を高齢者三経費に充てることとされております。
その上で、平成二十四年の自民党、公明党、民主党の三党合意を経て行われました社会保障・税の一体改革におきまして、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てることとされ、平成二十六年四月に、消費税法第一条に明記されております。
これは、国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る社会保障の経費は国民全体で、皆で分かち合うべきとの理念の下、現役世代のみならず、幅広い世代が負担する消費税を充てることがふさわしいという考え方に立ったものでございます。
○福田(昭)分科員 主税局長、そんな無駄な説明は要らないよ。簡潔にと言っているでしょう。もうあなたに聞かないよ。
そういううそを言っちゃ駄目ですよ。何たって、消費税を、皆さんは、二〇三〇年度までに一五%、将来、ヨーロッパ並みの二〇%にするため、その大義名分をつくったじゃないですか。そのことは、財務省の有名な御用学者の先生が、二〇%で大丈夫です、こう答えましたよ。それから、子ども・子育て支援金の財源について、将来は消費税を充てるべきだとする経団連の会長の発言からも、財務省の考えがよく分かるんじゃないですか。ヨーロッパでも一般財源ですよ。福祉目的税の財源にしている国はありませんよ。
ところで、次は三つ目でありますけれども、令和四年度の決算を見ると、国、地方の消費税収は三十九兆六千五百七十八億円、還付金は十兆千六百三十四億円、還付率は二五・六三%と、巨大な還付金がある消費税は一体誰のための税金なのか。全世代型社会保障のためではなく、大企業、特に輸出産業のためではないですか。財務大臣、お答えください。
○鈴木国務大臣 消費税は一体誰のための税金なのかという御質問でございますが、消費税は、急速な高齢化に伴い年々増加する社会保障給付費の財源確保が課題となる中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源であると考えております。
その意味において、消費税は、社会保障制度のメリットを受ける全ての国民のための税金であると考えているところであります。
○福田(昭)分科員 財務大臣、それをオウム返しのように私が聞くたびに答えていますけれども。
それでは、その次、四つ目に行きますけれども、消費税は、税率を上げれば上げるほど、物価を上げ、景気を悪くし、それこそ、大臣の言う経済成長を阻害してしまうんですよね。阻害する上に、少子高齢化が進み、働く人が減るのに、全世代型社会保障にふさわしい財源なのかということであります。
法律上の納税義務者は事業者でありますが、実際の負担者は消費者、国民であり、そのうち一番負担しているのが扶養家族のいる勤労者、働く人です。
少子化が進み、働く人が減っていくのに、赤ちゃんから寝たきりのお年寄り、所得のない人から高額所得者まで、一律一〇%、八%徴収する消費税の本質は封建時代の人頭税と一緒であり、どう考えても全世代型社会保障の財源にはなり得ないと考えております。
資料の二を御覧ください。
資料の二、令和六年度予算ベースでは、何と、消費税の還付金は十一兆六千九百九億円の見込みです。国と地方の消費税四%分は、二・八掛ける四だと十一・二兆円であります。つまり、何と、一〇%、八%のうち、四%超の消費税を還付、戻してしまう税金が、なぜ全世代型社会保障財源にふさわしいんでしょうか。全く、これは国民だましの、私は、インチキだ、うそだ、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 消費税につきましては、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく、安定している、それから、働く世代などの特定の層に負担が集中することがないなどの特徴を有していると考えております。
消費税の引上げは、物価の一時的な押し上げ要因となり、また、駆け込み需要でありますとか反動減といった経済、消費への影響があることは否定できませんが、消費税の特徴を踏まえれば、少子高齢化が進み、働く人が減る中で、安定的な社会保障制度を維持するためには消費税が最もふさわしい税目であると考えております。
また、過去の税率の引上げも必要な対応であったと認識をしているところであります。
○福田(昭)分科員 申し訳ないけれども、オウム返しのようにそんなこと言っちゃ駄目ですよ。森永卓郎先生がザイム真理教と言っています。オウム真理教と同じじゃないですか、それ、同じ答えを何回も言う。
だって、先ほど言った、景気に左右されない、安定しているといったって、前にも言いましたけれども、国や地方自治体も納めるんですよ、消費税を。ということは、幾ら景気が悪くて、国や地方自治体の税収が低くたって、納めなくちゃならないんです、消費税は、法律に基づいて。だから、景気に一番左右されないのは当たり前なんですよ。それは、国や地方自治体も消費税を納めるからなんですよ。そこははっきりしているんですよ。
それから、勤労世代に偏らないというけれども、先ほど私が申し上げたように、赤ちゃんから寝たきりのお年寄り、所得のない人まで納めるんですよ。こういう人たちは、働く人が扶養家族として持っていれば、自分の分だけじゃなくて、その分も納めるんですよ、消費税は。ですから、勤労世帯が一番負担しているんですよ、消費税は。ですから、実は、働く人、これを大事にしない税金でもあるんですよ。
ですから、そういう財務省のキャリア官僚たちが言ううそにだまされちゃ駄目です、大臣。それだけ申し上げておきます。
それでは、時間の関係で先に行きますけれども、次に、平成元年度から実施した直間比率の見直しが財政を悪化させ、格差社会をつくったのではないか、こういう話であります。
一つ目は、消費税創設後、名目GDPが低成長で一般会計税収額が余り増えずに、国と地方の債務残高が巨大になる一方で、税率の大幅な引下げにより、法人企業の内部留保資金と家計の金融資産が増えたのではないかということでありますが、資料の一を御覧ください。これを見れば一目瞭然であります。
名目GDPは、約一・三倍の五百六十六・五兆円。一般会計の税収は、名目GDPに連動して、約一・三倍の六十九・六兆円。それから、経済が低成長で税収が足りないので、赤字国債を増やしてまいりましたので、国と地方の債務残高が約六・二倍の千二百八十六兆円になりました。
一方、法人企業の内部留保資金は、名目GDPを超えて、約五・四倍の六百二十七・五兆円、家計の金融資産は約二・二倍で二千百二十一兆円と、まさに政府の優遇税制のおかげで巨大な資金をつくり、法人企業や個人の頑張りもあったとはいえ、この事実に間違いはありませんか。この数字に間違いはありませんか。あるかないかでいいですからね。
○青木政府参考人 お答えします。
いただいた数字について私どもの方で精査しているわけではございませんが、企業の内部留保の増加と家計の金融資産の増加が起こっているという点については、事実でございます。
○福田(昭)分科員 確認していないというのはちょっと無責任過ぎないか。あなた、ここにいなくたっていいよ、そんな無責任な答えをするんじゃ。あなた、財務省の高級官僚でしょう。そうしたら、これぐらい、事前に渡してあるんだから、確認してきなさいよ。
次、行きますね。
それでは、二つ目、消費税が直接生み出した巨大な権益と同時に、大幅に引き下げられた大企業、富裕層の法人税、所得税などによって生み出された巨大権益は、政府の大企業、富裕層の優遇税制によって生み出されたのではないかという話でありますが、資料の二を先ほど見ていただきましたけれども、これを見ていただければ一目瞭然であります。
先ほど、三つの権益、三大権益のうち二つは申し上げました。一つは、法人企業の内部留保資金、令和四年度末でありますが、六百二十七・五兆円、これには金融、保険業を含んでおります。それから二つ目は、家計の金融資産、令和五年三月末、二千五十六兆円、こんなことになっておりますが、もう一つがいわゆる消費税の還付金であります。この消費税の還付金が、令和四年度末では十兆千六百三十四億円がありました。
こうしたものに対して、売上げ一千万円以下の小規模事業者やフリーランスの方たちには、インボイス制度を導入してまで新たに納税させることにしたのは余りにも不公平ではないか、こう考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。
○青木政府参考人 お答えします。
輸出、それから設備投資によって還付になり得る仕組みでございますが、日本の消費税に相当する付加価値税を有する諸外国におきましても共通して導入されているものでございまして、輸出企業などの特定の者を優遇しているものではございません。
また、インボイス制度でございますが、諸外国においても共通して導入されておるものでございまして、複数税率の下で適正な課税を確保するためのものでございます。特定の者に負担を求めるものではございません。
このように、還付の仕組みでございますとかインボイス制度につきましては、それぞれ消費税制度を構成する基本的な要素でございまして、これらが存在することをもって不公平であるということではないというふうに考えております。
○福田(昭)分科員 主税局長、そういうことを弁明したって駄目ですよ。だって、私は、ヨーロッパの人たちもだまされていると思っていますよ。ヨーロッパの人たちですよ。大体、この輸出免税還付金があるということさえ、日本の国民の皆さんは知りませんからね。多分、ヨーロッパの人も知らないでしょうと思いますよ。世界一の経済大国アメリカにはないんですからね、輸出免税還付金は。ですから、そういうでたらめを言っちゃ駄目ですよ、国民をだますような。ヨーロッパの人たちだってこれを知らない。知ったら、ヨーロッパの人たちは激しいから、暴動を起こすかもしれませんよ。
ですから、こんな大金を、先ほど言ったように、日本の国では消費税一〇%、八%のうち四%強も返しちゃうような税金が、何でいい税金なんですか。一つもいい税金じゃないじゃないですか。
しかも、経済成長を阻害する税金ですよ、これは。消費税を上げれば上げるほど、景気を悪くして、経済成長がしなくなってしまう、そういう税金なのに、そんないいころかげんなことを、理屈を言っちゃ駄目だ、こう思いますよ。
それでは、次は、三つ目、直間比率の見直しはうそであったことが一般会計税収の推移を見れば明らかではないかということでありますが、資料の三を御覧ください。
これを見ていただければ、何と、消費税をつくった平成元年から、五年度まで書いてありますけれども、これを見ればお分かりのように、所得税は当初二十一・四兆円、それから法人税が十九兆円、それから消費税が三・三兆円からスタートいたしましたけれども、しかし、平成二十一年、リーマン・ショックで、法人税は、直間比率の見直しであったのに、実は最下位になりました。所得税が十二・九兆円、それから消費税が九・八兆円、法人税は六・四兆円。そしてさらに、令和二年度では、二〇一九年に消費税率を上げたおかげですが、一〇と八に上げたわけですが、何と令和二年度は、法人税十一・二兆円で最下位、三位、そして所得税が二位、十九・二兆円、消費税が二十一兆円と、実は三税のうち一番手に躍り出ました。その後は、このとおり、順位は、消費税が一番手、二番手所得税、三番手が法人税ということであります。
これを見れば一目瞭然、明らかじゃないでしょうか。誰のための消費税なのか。まさに法人企業のための、特に輸出産業のための消費税だということがよく分かるんじゃないですか。この数字を見ても分からないんですか。どうなんでしょうかね。
主税局長、一言でいいですよ。
○青木政府参考人 お答えします。
平成元年度の消費税の導入、これは、税体系全体の税負担の公平につなげるため、それから、平成九年の消費税の引上げにつきましては、活力ある福祉社会の実現を目指す観点に立ち……(福田(昭)分科員「だから、いいって言っているの。主査、申し訳ないけれども、やめさせてください」と呼ぶ)
○福重主査 簡潔にお願いします。
○青木政府参考人 所得税の負担軽減と消費税の充実を柱とする税制改革の一環として行われたものでございます。
近年の消費税率の引上げを含む税制改革は、必ずしも直間比率の是正を目的としたものではございませんので、その辺りについて御説明をさせていただきました。
○福田(昭)分科員 主税局長、言っているでしょう。この数字を見てもあなたは理解できないんだ。あなたほどの優秀な人が理解できないんだ。いや、いいですよ。あなた、必要ない。
それでは、時間がありませんので次に行きますが、四つ目ですけれども、消費税は法人税や所得税等の大幅な減税の穴埋めに使われたのが本当ではないかという話でありますが、資料の四を御覧ください。これを見れば一目瞭然です。
これは、元国税庁の職員で、第一回の公認会計士、税理士試験に第一号で合格された故元中央大学名誉教授の富岡幸雄先生が作ったものを私の事務所で整理をし直したものであります。これを見れば、法人税や所得税の大幅な減税の穴埋め、つまり財政赤字分の解消になされたのではないかということが明らかであります。
私が所属しておりました野田政権のとき、あのときも実は、当時の民主、自民、公明の三党合意で消費税一〇%を決めたわけでありますが、そのときの五%の内訳は、四%は財政赤字分の解消、社会保障の充実分はたった一%だけでした。そのことははっきりしておりますので。
ですから、この富岡先生の指摘したこととしっかり符合しておりますので、このように使われたと思っておりますが、このことについては、主税局長が答えては駄目なので、財務大臣、答えてください。
○鈴木国務大臣 消費税は、社会福祉目的化されて以降、社会保障給付という形で家計に還元されておりまして、例えば、消費税の増収分は、保育の受皿拡充、幼児教育、保育の無償化など、全世代型社会保障の実現に活用されていることから、法人税と所得税等の大幅な減税の穴埋めに使われたという御指摘は当たらないのではないかと考えております。
○福田(昭)分科員 大臣、本当に、この間も主計局次長が答えましたけれども、だって、お金に色がついていないからどうやって証明するんだと聞いたら、当時の主計局次長は何と答えたか。国民の皆さんに説明して理解をしてもらうほかありませんと言いました。だから、大臣の言ったその説明では、国民の皆さんは納得しないんです。そのことだけは申し上げておきます。
そこで、これをまさに正すためには、株主第一主義、市場万能主義を旨とする新自由主義による不公平な税制を是正する必要があると私は思っております。
具体的に改めるポイントは三点、大きくあると思って、一つは、アベノミクスによる過度な円安政策です。それから二つ目は、働く人を大切にしない非正規雇用制度。それから三つ目は、大企業、富裕層に多額の金融資産をため込ませて格差を拡大した、行き過ぎた直間比率の見直し。平成元年に始めた税の抜本改革は、まさに直間比率の見直しということでスタートしたわけでありますが、それが余りにも行き過ぎて、消費税が断トツになっちゃった。これは大きな間違いだと思っていますよ。
これがやはり格差を拡大しておりますから、そういった意味では、こうしたものをやはり抜本的に改めることが必要だと考えております。これは答えは要りません。
そこで、次に、新自由主義をやめて、経世済民の税制の抜本的改革が必要ではないかということでありまして、ここは提案をいたします。
一つは、我が国の保有資産と国、地方の債務残高から考えれば簡単に財政破綻はしないので、これまで長らく続けてきてしまった均衡財政ではなく、今こそ積極財政へと改め、日本を再生させるべきではないかということであります。
資料の六は既に鈴木大臣も御覧いただいていると思いますので、これについての説明は省略をいたしますけれども、まず、簡単に日本の財政は破綻しないんですね。しかも、報道によりますと、昨年の、二三年度の国際収支、経常収支は過去最大、二十五兆円を超えた、こういう話なんですね。ですから、国際収支、経常収支が黒字で、そうすると、これは四十一年ずっと黒字ということなんだと思いますが、しかも、発行している国債は全て日本円、円建てで発行している。ですから、そう簡単に財政破綻しないんですよね。
ですから、財政は当面心配することはありませんので、岸田総理が完全にデフレを脱却するというのであれば、均衡財政はやめて、それこそ税金の賢い使い方、ワイズスペンディングと、さらに、私は、経済成長を阻害しない税金の賢い集め方、ですから、ワイズギャザリングが必要だと訴えておりますが、それでこの国を立て直すということが必要だと考えておりますが、鈴木大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 先生から、日本は多額の資産を保有しているという御指摘がございましたが、政府債務残高対GDP比は、政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高で見た場合であっても主要国の中で最悪の水準であることも事実でありまして、我が国の財政の現実、決して楽観できる状況ではないと考えております。
政府部門の赤字が続くことで、仮に我が国の財政の持続可能性や財政運営に対する信認が失われた場合には、金利の急上昇、過度なインフレが生じて、国民生活に多大な悪影響を与える可能性、これは否定できないものと考えております。
そうしたことを踏まえて、持続可能な経済成長の実現を含めて様々な政策課題に的確に対応していくと同時に、中長期的な財政の持続可能性への信認が決して失われることがないように、財政規律を守ることが重要であると認識をしております。
政府としては、引き続きまして、経済成長と財政健全化の両立を図るということで、責任ある経済財政運営に努めていきたいと考えているところです。
○福田(昭)分科員 私も、財政の健全化は必要だと思っていますよ。しかし、こんな状況の中で、それこそ緊縮財政を続けてきた結果、デフレは止まらなく、しかも、一人当たりGDPは世界で三十五番目となって、隣の韓国にも抜かれてしまった、こんな状況で、何でこれを続けなくちゃならないんですか。
しかも、持っている金融資産はこんなに、先日、日銀に答えてもらったら、九千五百兆円もの金融資産を持っているというんですよ。そうした金融資産を稼ぐ人たちは、個人も、企業も、これからも毎年どんどんどんどん稼いでいくんですよ。ですから、そういうものをしっかり、先ほど申し上げたように、経常収支も何だか二十五兆円もの過去最大の黒字だっていうんですよ。
ですから、海外から稼いできたお金をいかに国内に回すかということが大事なんじゃないですか。国内に回さないで、大企業や富裕層が内部にため込んじゃっているから経済が駄目になっているんじゃないですか。それを直せるのは政府だけですよ、大臣。政府がちゃんと税金を、担税力に応じて負担を求めればいいんですよ。経団連が怖いんですか。経団連が怖いんでしょう。経団連からもたくさん政治資金をもらっていますからね、自民党は。
平成元年度から令和四年度まで私が調べてもらったら、何と千六百二十五億円超。単純平均すると毎年四十七億円を超えます、四十八億円近いですよ。これだけの政治資金、そのほかパーティー券や裏金づくりでいっぱいもらっていて、これじゃなかなか経団連に言えないんでしょう。だから、私は、経団連は自粛すべきだと思っています。
ですから、ある新聞が、これだけ政治が劣化しているのに何で経団連は何も言わないんだなんというコラムがありましたけれども、何言っているんだと。経団連そのものが日本の政治をお金でおとしめてきたんだもの、言えっこないじゃないですか。これをやはりしっかり改める必要があると思っています。
そこで、二つ目は、立憲民主党の不公平な税制の抜本的是正により財源を捻出する会の提言について皆さんにお知らせをしたいと思っています。
資料の七を御覧ください。これは立憲民主党の同志六十四名が提言した話でございます。
不公平な税制の抜本的改革による新成長戦略、直間比率の見直しで財源を確保する。
一、巨大な権益をつくり出した行き過ぎた直間比率を見直し、応能負担の原則に基づき、担税力のある大企業や富裕層に応分の負担を求め、年々増大する子供、教育費を含む社会保障財源を捻出する。
二、なお、経済社会を混乱させないため、現行の法人税、所得税の租税特別措置及びその他の特別措置はそのまま維持する。また、現在保有している法人企業の内部留保資金、家計の金融資産には課税しない。今後、毎年発生する所得に対して、担税力に応じて応分の負担を求める。なお、大企業、富裕層に増税しても景気に影響はしない。
三、消費税を当分の間五%に引き下げ、同時に軽減税率八%とインボイス制度を廃止し、物価を確実に引き下げ、消費を拡大し、景気を浮揚させ、経済を成長させる。
四、直間比率の見直しは、一、消費税率五%に減税、二、法人税に四段階の累進税率新設、三、所得税の累進税率の強化、四、金融所得課税に二段階の累進税率新設などによって行う。なお、法人税の累進税率新設によって労働者不足と相まって経営者のマインドが変わり、持続可能な賃上げが期待できる。
五、消費税を当分の間五%に引き下げるが、その後どうするかは経済財政の状況を総合的に判断して決めるということで、税理士に試算をしていただいて、財務金融委員会の調査室に点検、補整をしてもらいましたら、法人税、四段階を入れて八兆九百四十二億円、所得税、一兆三千七百八十九億円、金融所得課税、残念ながら財務省に資料がなくて試算ができませんでしたけれども、これで九兆四千七百三十億円の増収が見込まれる、令和三年度決算でありますけれども。
これに、実は、今年減税しております所得税、住民税の四兆円を加えますと、楽に十四兆円ぐらい出てきちゃうんですね。この考え方に基づいてやれば、実は、国と地方の消費税を五%にしても、消費税は約十五兆円減っちゃうんですよね、でも、十五兆円を軽くちゃんと確保できますし、さらに、そのほかの財源も幾らでも考えられますので、実は、消費税を下げてもその代替財源はしっかり出せるということを申し上げておきたいと思っています。
さらに……
○福重主査 申合せの時間が経過しています。
○福田(昭)分科員 はい、分かりました。
やめますが、そんなことで、こういうことができるということを、マスコミが、前の総選挙のときには、与党も野党もあれやれこれやれと言っても財源を示さなかったと言っておりますが、我々はしっかり財源を示しております。政府・与党からも実はこういう財源を示してほしいなと思っております。財務省の試算だけでは私は駄目だと思っておりますので。
是非、そうしたことを提言をして、今日は、残念ながら、主税局長にちょっと邪魔されちゃったな。もっと短く答えればいいのにね。そんなことで、残念ですけれども、時間が来ましたので、これで終わりにいたします。これは、この国のために是非しっかり考えてほしいなと思います。
以上です。
○福重主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○福重主査 これより防衛省所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。木原防衛大臣。
○木原国務大臣 令和二年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は五百五十六億九千三百万円余となっております。
次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。
歳出予算現額は五兆九千四百五億八千八百万円余でありまして、支出済歳出額は五兆五千八十四億八千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は三千百二十二億八千万円余でありまして、差引き不用額は一千百九十八億二千四百万円余であります。
次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は百万円余となっております。
続きまして、令和三年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳入決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は五百七十二億七千六百万円余となっております。
次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。
歳出予算現額は六兆四千三百七十八億五千万円余でありまして、支出済歳出額は六兆三百三十二億四百万円余、翌年度へ繰り越した額は三千四十億八百万円余でありまして、差引き不用額は一千六億三千六百万円余であります。
次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は七千七百万円余となっております。
続きまして、令和四年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は六百五十億六百万円余となっております。
次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。
歳出予算現額は六兆二千五十三億四千九百万円余でありまして、支出済歳出額は五兆五千六百二十六億八千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は五千三百四十四億一千八百万円余でありまして、差引き不用額は一千八十二億四千二百万円余であります。
次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。
収納済歳入額は三百万円余となっております。
以上をもちまして、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算の概要説明を終わります。
何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
一点、訂正を申し上げます。
令和三年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳入決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたしますと申し上げましたが、正しくは、令和三年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたしますでございます。
失礼いたしました。
○福重主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長岡第二局長。
○長岡会計検査院当局者 令和二年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一三五号は、計画が適切でなかったもの、一三六号は、仕様が適切でなかったもの、一三七号は、現金が領得されたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
その一は、工事の一時中止に伴う増加費用等の積算に関するもの、その二は、海外での訓練に使用するソノブイの受領検査に関するもの、その三は、特別借受け宿舎の買取りに関するものであり、これら三件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。
続きまして、令和三年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号二五三号は、契約の目的が達成されていなかったもの、二五四号は、契約額が過大となっていたもの、二五五号は、契約の処置が適切でなかったもの、二五六号は、現金が領得されたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
その一は、建設工事に係る工事費の積算に計上される道路清掃員費に関するもの、その二は、各駐屯地等における給食業務等の部外委託に係る予定価格の積算に関するもの、その三は、〇四式空対空誘導弾等のキャプティブ弾の調達に関するもの、その四は、修理に要する期間を保証するPBL契約に関するものであり、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。
最後に、令和四年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号二七二号は、積算が過大となっていたもの、二七三号は、物品が領得されたものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、物品役務相互提供協定に基づく提供に係る決済が期限内に完了していないものに関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
その一は、建設工事等に伴う警備業務契約に係る警備労務費の予定価格の積算に関するもの、その二は、九四式水際地雷敷設車の改造に関するもの、その三は、部品供給等のPBL契約の実施に関するものであり、これら三件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。
以上をもって説明を終わります。
○福重主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。木原防衛大臣。
○木原国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けました事項につきましては、誠に遺憾に存じております。
不当事項として、新設TACAN装置等の換装に当たり、換装計画に係る検討が十分でなかったため、運用を開始することができない状況となっていたこと等の御指摘を受けましたものにつきましては、関係職員に対し、換装事業の適切な管理について周知徹底を行う等適切な措置を講じたところであります。
今後このような御指摘を受けることのないよう、より一層事務の適正な執行に努めてまいる所存であります。
○福重主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福重主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○福重主査 以上をもちまして防衛省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○福重主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。屋良朝博君。
○屋良分科員 委員長、そして委員の皆様、本日、このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
大臣、政務官、政府参考人の皆様、よろしくお願いいたします。
私の方からは、防衛省が日本国内の米軍基地から排出されたPCB汚染物質を米側から引き取って日本の費用で処理しているということ、その支出、その対応が妥当なものなのかどうかについて質疑をさせていただきます。
まずは、有害廃棄物の扱いについて、基本的なことを三点、環境省に伺いたいと思います。
一つは、OECD加盟国の環境汚染に関する原因者負担原則、PPPは、在日米軍にも適用されるものなのかどうか、二つ目は、米軍が有害物質に関する我が国法令を遵守する義務を負うものかどうか、三つ目は、米軍が排出するPCB廃棄物は日本の処理計画に含まれるのかどうか、この三点、一括してお答えいただきます。よろしくお願いします。
○国定大臣政務官 それぞれ御答弁申し上げます。
まず、在日米軍といわゆる汚染者負担原則の関係についての御指摘でございます。
この汚染者負担原則でございますけれども、今ほど御指摘いただきましたとおり、OECDにおきまして一九七二年に採択されました環境汚染を防止するための費用負担に関する考え方であると承知をしております。
一般的には、これは世界各国で環境政策における考え方の基礎となっているものというふうに認識しているところでございまして、米国におきましても同様の考え方となっているものというふうに認識をしております。
続きまして、米軍にも、国内法制、とりわけ、今回の恐らく御指摘事項でございます、PCB特措法が適用になるのかどうかという御指摘であったかと思います。
まず、一般論でございますけれども、国家はその領域内で主権を有しており、その領域内にある者には、外国人を含め、属地的にその国の法令が適用されるところでございます。
また、一般論といたしまして、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にあります外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務につきまして、受入れ国の法令の執行や裁判権から免除されるというふうに考えられているところでございます。
その上ででございますけれども、米軍が日本で活動するに当たりまして、日本の法令を尊重する義務を負っているところでございます。日米地位協定にもこれを踏まえた規定が置かれているところでございます。
在日米軍施設・区域におけますPCB廃棄物の扱いにつきましては、関係省庁で連携して米側と協議を行っており、引き続き、こうした規定を踏まえまして、適切に対応いただけるよう取組を進めているところでございます。
そして、もう一点、在日米軍施設・区域から排出されたPCB廃棄物の処理は、PCB廃棄物処理基本計画に含まれているのかどうかという御指摘であったかと思います。
在日米軍が排出するPCB廃棄物、これはPCB廃棄物処理基本計画には含まれていないところでございます。
一方で、これまで米軍再編事業等に伴い発生をいたしました日本政府が処理責任を負いますPCB廃棄物につきましては、これは、PCB特別措置法の届出が行われ、処理量の見込みの範囲内であったため、PCB廃棄物処理基本計画に基づき、現実に処理が行われているところでございます。
○屋良分科員 基地内のPCB廃棄物を管理、保管する責任は一体誰が負うのかという基本的な質問をさせてください。お願いします。
○国定大臣政務官 お尋ねいただいております在日米軍の施設・区域内におけますPCB廃棄物の保管、管理につきましては、在日米軍が作成をしております日本環境管理基準にのっとり、その適用の範囲におきまして、在日米軍が行うこととされていると承知をしております。
○屋良分科員 ありがとうございます。
そうすると、今御説明ありました、米軍が自ら作っている環境管理基準、一般的にはJEGSですね、JEGSに基づいて、PCBを含む機器ごとの登録目録を作成して、独自に処理をしていく、管理もしていくというふうな責任を米軍は負っているというふうな理解でよろしいでしょうか。環境省さん、お願いします。
○前田政府参考人 お尋ねのとおり、米軍が責任を負っているということでございます。
○屋良分科員 明確なお答え、ありがとうございます。
今確認した基本的な認識に基づき質問を続けさせていただきたいんですけれども、資料一を御覧いただきたいんですね。
これは、二〇〇三年から二二年までの二十年間で日本が肩代わりしたPCB廃棄物の処理費用は四億四千七百万円、このうち、返還後に見つかった廃棄物、施設が返還された後に見つかった廃棄物について日本が処理するというのは地位協定第四条で定められているので、百歩譲ってアメリカの原状回復義務を免除するということも致し方ないかもしれませんけれども、しかし、例えば嘉手納基地とか現在使用されて返還の見込みというのが全く立っていないところからも廃棄物が出ていて、それを日本側が引き取って処理をしている、その総量が八十トンに及んで、日本側の費用負担が三千百三十万円であるというふうな記事であります。
一方、アメリカは、在日米軍が保有するPCB廃棄物、今御説明にあったように、彼らが独自に管理をして、彼らが独自に処理をするという方針、もう既に二〇〇二年の段階で方針を出しておるわけですね。2プラス2でもその方針は確認されており、PCB問題の解決へ向けて進展を歓迎し、日米合同委員会において環境分野での建設的な協力を継続していく重要性を強調したというのが二〇〇二年の2プラス2、十二月のものでございます。
その際、国会の答弁でも、米側が米側において適切に処理されるべきだとの認識を重ねて説明があるわけですね。その当時、米側が独自の調査で確認したPCBを含有する物質の重量は合計で三千百十八トンであったということが米国防総省から公表されています。なので、米側は当然、管理して、どこにあるかというのを調査によって分かっていたということになるわけですけれども、米側が独自に処理をするという方針は、変更があったのでしょうか。なぜ日本がこれを処理しなければいけなくなったのかということを、大臣、御説明ください。
○木原国務大臣 屋良委員御指摘のとおり、米国防省は、二〇〇二年に、在日米軍の施設・区域にある全てのPCB廃棄物については米国に搬出して処理、廃棄する方針を決定したというふうに承知をしておりますが、その後、日本国内でPCBの処理体制が構築されるといった状況の変化が生じたと認識しております。
その上で、返還前の在日米軍施設・区域における工事に伴い発生したPCB廃棄物について、日本側が処理を行ったことが確認できる初めての事例がありますが、それは二〇一八年度の岩国飛行場及び佐世保海軍施設の提供施設整備事業であります。
提供施設整備については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するとの観点から、日米地位協定の範囲内で日本側が負担し、施設を整備した上で米側に提供するものであります。
当該施設整備に伴って既存の米軍施設を解体する場合等に発生するPCB廃棄物も、提供施設整備の一環として日本側で処理を行っており、その経費について、日米間の協議の結果、日米地位協定第二十四条の2の規定に基づき日本側で負担してきている、そういう状況でございます。
○屋良分科員 せっかく北米局長がお越しなので、一般論として教えていただきたいことがございます。
これまでの例を見た場合に、一般的に言われている思いやり予算、一九七八年でしたか、とか、あと特別協定のプラスによって日本側の経費負担が膨らんできたというふうな過去がございますけれども、当然、そのたびごとに日米間の何らかの協議があって、合意があって、それで経費負担の上乗せが行われてきたというふうに理解しておりますけれども、今般のPCBの処理経費を日本が負担するということ、今大臣御答弁ありました二十四条二項で読ませているということなんですけれども、これは八十トンも出ているんですね、既に。この表に示しているとおり、幾つも現存する、現在まだ使っている施設からもたくさん出ているということですよ。これは日米間で何らかの合意が必要な事項ではないのかというふうな気がします。
もう出てきたので日本が処理しますよという、何かこう、ケース・バイ・ケースでやっているにしては八十トンというのは余りにも多過ぎるのではないかというふうな気がしますけれども、これは、どうでしょう、日米間で当然協議を行い、経費については日本が負担する場合もありますよと。厳格な定めがないとこの経費負担がどんどんどんどん膨らんでいってしまう、そんな状況も予想されるわけですね。
その辺、外務省さん、条約、日米地位協定の解釈上、いかがなものでしょう。お願いします。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど木原大臣から御答弁がありましたとおり、日米地位協定第二十四条二項において、在日米軍に提供する全ての施設及び区域を合衆国に負担をかけないで提供することと定められております。
米軍再編事業及び提供施設整備事業に伴い発生したPCB廃棄物の処理に係る経費につきましては、同条に基づき日本側で負担してきているものであり、こうした日米地位協定の解釈に問題はないと考えております。
○屋良分科員 どうなんでしょうね。米軍再編の折に見つかったPCB、施設提供の折に出てきたPCB、それを日本側が処理する、二十四条二項で読ます。だけれども、アメリカは二〇〇二年に独自の調査でもって分かっているわけですね、これだけありますよということが。何かハプニング的に八十トンも出てきて、それを二十四条二項で読ますというのが非常に私は無理があるような気がしてならないんです。
大臣、これは、日本が肩代わりしますよというふうな協議はあったんでしょうか。そもそもアメリカが処理しますと。これは大変アメリカの中で議論になったと聞いていますよ。アメリカにとって外国製のPCB汚染物質は国内持込みが禁止されているところ、EPA、アメリカの環境保護の組織、そこに対して、国防総省は、これは大変重要な案件でありまして、これを引き受けてくれというふうな要望書、陳情書、嘆願書を出して、それを認めてもらった上で、日本製もアメリカ製も、外国製を含むPCB機材、製品をアメリカに持ち込むという前提でもって二〇〇二年の三千百十八トンが決まったというふうに理解しているんですけれども、何の協議もなく一方的に二十四条二項で読ませましょうということでこれまで進んできて八十トンが積み上がっちゃったというのが、どうも説明として論理性がないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、これは日米間で何らかの協議があったのかどうか。よろしくお願いします。
○木原国務大臣 委員御指摘のように、一旦は、二〇〇二年に、確かに、在日米軍の施設・区域にある全てのPCB廃棄物については米国に搬出をして処理、廃棄する方針を決定した、そういう経緯があったというふうに承知をしておりますが、先ほども申し上げたとおり、その後に、我が国の国内でPCBの処理体制が構築される、そういったいわば状況の変化が生じた、そういう認識であります。
そして、その上で、日米間の協議というのがございまして、その協議の結果、日米地位協定第二十四条2の規定に基づき、そういった既存の米軍施設を解体する場合等に発生するPCB廃棄物も提供施設整備の一環として日本側で負担すると。実際に、御質問に答えるとするならば、そういう協議はあったということでございます。
○屋良分科員 今大臣が御説明いただいたのは、日本において、JESCOと言われる中間貯蔵・環境安全事業株式会社が全国五か所にその処理施設を造った、だから日本が処理できるというような体制になったというふうな状況の変化があったので日本が引き受けていますというふうな説明だったと思いますけれども、どうも何か、今、環境政務官、国定政務官がおっしゃったように、これは日本の処理計画に含まれていないんですよ、ねじ込んじゃったというのが実際のところだというふうに理解しております。
PPP、汚染原因者負担原則というのがあるというふうな前提に立つ、そして、日本では処理しません、計画には含まれませんというふうなことを確認しているにもかかわらず、アメリカが自分たちで引き取って処理しますよと言っているのを、わざわざ日本が、お金を出しますからどうぞうちの施設を使ってください。これはすごく気前がいいというか、よっぽどのお人よしじゃないのかなと私は思ったりするんですね。だから、規範に基づかない、なし崩し的な対応になってしまったのではないかということは、私は日米同盟にとって果たしていいことか悪いことか分かりません。
これはルールに基づいて進められているんだったらいいかもしれないけれども、その時々の状況によって、状況が変わったので支出、経費負担を膨らませますよというのであれば、これまでの経緯を見た場合、例えば思いやり予算についても特別協定があったり、様々な訓練移転についても、パラシュートの降下訓練についても、一〇四号線の砲撃演習についても、あとNLP、夜間離着陸訓練についても、新たな負担が出てきたときにはちゃんと日米間で協議をして、そして負担をするというふうな前提に立つわけじゃないですか。そんなことも全くやらないで二十四条二項で読ませてしまう、これはちょっとやり過ぎだと私は思うんですね。
米軍が現在保管するPCB廃棄物の量、これは日本政府は当然確認していると思いますけれども、と思ってレクを受けたところ、把握していないということだったので私はびっくりしたんですけれども。
じゃ、どうやって処理、管理していくのかということが全く分からないという状況。いつまでに把握できるのか。アメリカ軍が今現在持っているPCB廃棄物の量というのは、誰がいつどこで調査をして、確認をして、把握して、発表してくれるのか。もう既に二〇〇二年の段階で三千百十八トンというのは分かっているわけですよ。新たなものが出てくるのかどうか、だから把握していないと言っているのかどうか。お答えください。
○前田政府参考人 お答えいたします。
在日米軍のPCB廃棄物への対応につきましては、関係省庁で連携して米側と協議を行っているところでございます。
米側とのやり取りの詳細につきましては、今後の米側との調整に支障を生ずるおそれがありますので、お答えを差し控えます。
以上です。
○屋良分科員 いつものあれだね、日米間の詳細を明らかにしたら、相手方があることだから答えられません、全てこれで答えて、まあ答えていないんだけれども、答弁されているというのがもう常態化している。これは、どうですか、予算の話ですよ。
PCB、世界的にPOPs条約でなくしていきましょう、もうすぐ期限が切れますよ。日本の処理計画には含まれていない。この説明だと、もう早晩、防衛省がやっていること、環境省の今の説明、これは確実に破綻します。しかも、来年度、令和七年度末までに全てを処理しないといけないという、もうせっぱ詰まった状況じゃないですか。にもかかわらず、全体像を分かっていない。これはおかしな話だと思うんですけれどもね。
PCB特措法、当然、アメリカもその遵守義務がある、米軍基地も、米軍当局者も。なんですけれども、特措法十七条は、PCB汚染物質の譲渡、譲受けを禁止しております。この条文に照らして、防衛省が在日米軍から引き取ることは、これは適法なのかどうか、環境省さん、お願いします。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
今ほどの御指摘でございますけれども、今御指摘いただいております、米軍から防衛省に、これは、PCB廃棄物そのものではなく、建物等として引き渡され、防衛省が工事を行うことによってPCB廃棄物が結果として発生したものというふうに考えているところでございまして、これに照らせば、PCB廃棄物の譲渡あるいは譲受けには該当しないというふうに考えているところでございます。
○屋良分科員 そうすると、建物ごと譲受け論理というのが存在するということでしょうかね。
一般的に考えて、普通は、不動産を譲り受けた場合というのは、建物の中に何があるのということは当然確認すると私は思うんですね。それで、調べてみたら、あら、PCBが出てきちゃった、カネミ油症、あの大事件の原因となったPCBだよと。もうびっくり仰天。それで、譲り受けた後に、これは所有者が移転されたので防衛省です、日本の政府機関です、だから大丈夫なんです、これは、PCB特措法違反じゃなくて、譲り受けたんじゃないと。これは論理的に成立するものなのかなというふうな気がするんです。
事ほどさように、ちょっと常識では考えにくいようなやり方を、このPCBに関しては防衛省はやっているんじゃないかというふうな気がしますね。
これは防衛省さんだと思いますけれども、建物自体を譲り受けたとき、PCBが含有している機材、電気系統に接続されていたかどうかというのが非常に問題になるというか、これは分岐点になる、PCB特措法における解釈ではなるんですけれども、電気回線につながれていたのかどうか、建物を譲り受けたときに、PCB含有物が入っているよ、機材が入っている、それは電気回線、電路につながれているものなのかどうかというのを防衛省さんは確認したのかどうか、あるいは分からないまま引き取ったのかどうか、ちょっとそこを明らかにしてください。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
今御質問いただいた、接続があったのか、確認はどうだったのかというのは、申し訳ございません、今ちょっと手元に材料はございません。
その上で、先ほどお話のあった点についてちょっと補足をさせていただきますと、既に御答弁申し上げたとおり、提供施設整備事業それから米軍再編事業に伴い発生したPCB廃棄物の処理に関する経緯について、地位協定二十四条2の規定に基づいて日本側で負担している、これは日米協議の上で負担しているところであります。
更に詳細に申し上げますと、米軍再編につきましては、再編実施のための日米のロードマップにおきまして、これは二〇〇六年の文書でございますけれども、再編案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担するものと記載されているところであります。
こういった米軍再編事業を着実に実施していくとの観点から、PCB廃棄物についても日本側で処理を行っている、これの根拠が二十四条の2だということであります。
それから、提供施設整備については、先ほどから申し上げているとおりということで、ちょっと補足をさせていただきました。
○屋良分科員 今確認したとおり、防衛省は、接続されたかどうかというのは確認しないまま引き受けていたということになる。まあ、確認したかもしれない。
なので、資料の提出を求めたいと思います。委員長、お取り計らいをお願いします。
○福重主査 ただいまの件につきましては、政府においてしかるべき措置を願います。
○屋良分科員 電気配線に接続されていたかどうかというのはPCB特措法において非常に重要な要素になるというふうに私は理解しておりまして、もし外されたまま引き受けたのであれば、これを外したのは米軍ですよね、当然。米軍が外してしまうと、そのPCB汚染物の保管事業者は米軍であるから、その時点で、防衛省が引き受けてしまうと、PCB特措法に違反するということになるんですけれども、その状態の場合、PCB特措法ではどのように解釈すべきなのか。環境省さん、お願いします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御質問いただいた件につきまして、それがPCB廃棄物に該当しているのかどうかということがポイントだと考えております。そのものが廃棄物に該当するかどうかは、物の性状、そのほかいろいろな観点を含めて総合的に判断することとさせていただいておりますので、一概にこの場合はこうと一般論で申し上げることは難しいと考えております。
○屋良分科員 だからリストが必要だということですね。だから目録が必要ですよと。これはJEGSにもちゃんと書かれているわけですよ。アメリカが独自に点検して、二〇〇二年にもう既に終了しているということなんですけれども。
ちゃんと管理目録を出して、登録されたPCB汚染物を出して、施設ごとにどのぐらいありますよ、あるいは保管場所にどのぐらいありますよというのを分かっていないから、あるいは分かっているかもしれない、分かっているけれども、何か今の実態に合わせて費用負担を膨らますという目的がもしかしたらあるのかもしれない、米側がそれを依頼しているのかもしれない、そういうふうに思ってしまうわけですよ。
これはどうも、POPs条約、PPP、それからPCB特措法、それとアメリカのJEGS、これを照らし合わせたときに、全く変な対応をしているのではないかというふうに思ってしまいますね。
私が申し上げたいのは、当たり前の処理をしてもらいたいということだけなんですね。もうすぐ処理期限がやってくるので、今知恵を出しておかないと、行き当たりばったりの対応をやっていると破綻してしまいますよ。だって、日本は処理計画に入れていませんよ、米側から出てくるんだけれども。もうすぐ、JESCOの受付期間、もう終わっていますよ、処理期間も終わってしまう、どうするんですかという話をやらないといけない。にもかかわらず、唯々諾々と、融通無碍に今の状態を繰り返し、日本国民の税金で払い、何か分からないけれども、アメリカが使っていたPCBを日本の国民の税金で処理していますよ、しかも、よく分からない建物丸ごと譲受け論理がこの国会に出てしまうというこの状況、余りにもおかしいと思います。
残りあと二、三分なんですけれども、一つだけ別の質問をさせていただきます。
今、国内でも非常に関心が高まっているPFOS、飲み水の中にも入っているんじゃないかと言われているPFOSですけれども、最近、アメリカのEPAでは、水道水の含有上限を四ナノグラム・パー・リットル、これはほとんどゼロに等しい数値だというふうに言われていますけれども、日本は暫定基準で五十ナノグラム・パー・リットル。アメリカ軍基地にも日本は水を供給しているんですが、これはどっちを使うんでしょうか。大臣、お願いします。
○木原国務大臣 御指摘のように、今般、米国の環境保護庁が飲料水中のPFASに関する規制値を公表したということは承知しております。
米軍における飲料水に係るPFOS、PFOA等の基準については、一般的には、米国環境保護庁の施策を受けて国防省にて検討され、方針が決定されるというものであり、在日米軍への適用についても今後米側において検討されていくもの、そういう認識をしております。
○屋良分科員 大臣、これはちょっと、緊張して準備しておいた方がいいと思いますよ。恐らく米側は四ナノグラムをねじ込んでくるかもしれませんね。なぜかというと、基地の中にいる人たちはアメリカ国民なんだから。アメリカ国民が日本の基準で五十ナノグラムの水を使っているよなんということがアメリカで報道されたら、これは大変な問題になっちゃうというふうに、私はもうとても心配をしているということなんですけれども、事ほどさように、環境問題、基地のフェンスをまたいで、地位協定があるからどうかというふうな話ではないと思うんですね。
○福重主査 申合せの時間が過ぎておりますので。
○屋良分科員 はい。
協力してちゃんと対応していく体制を取っていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○福重主査 これにて屋良朝博君の質疑は終了いたしました。
次に、浅川義治君。
○浅川分科員 日本維新の会の浅川義治でございます。
常任委員会も安全保障委員会を二年間やらせていただいていますので、今日の質問というのは、本当は別の省庁を用意していたんですけれども、先週になって横須賀基地のドローンでの実写映像の発表が当局からございましたので、急遽、こちらの方を中心にさせていただきたいと思っております。
まず、私自身、実は中学生の頃、パイロットになりたいという夢がありまして、よく紙飛行機を飛ばしていたんですね。大学生のときに、バブルでしたので、実は文系の学生でもパイロットになる道というのが結構あって、しかも、非常に求人倍率も低かったので、ちょっと考えたんですけれども、その頃、既に裸眼視力が〇・七だかを超えていないといけないという基準に当てはまらなかったので、試験も断念したんですね。その点、大臣はそこら辺をクリアされていたということで非常に尊敬しております。
今、ボーイング社の777の200シリーズ、ちょっと調べてみたんですけれども、大体、一機当たり二百億から二百五十億ぐらいで国内の航空会社が購入されている。これについて、全日空の資料なんですけれども、年間の一機当たりのメンテナンス費用が約一億五千万ほどということなんですね。メンテナンス費用にかかる率というのは、元の購入単価からすると〇・六%から〇・七五%、まあ、一%弱。ほかの産業機器等も、大体、機械のメンテナンス費用というのが年間一%ぐらいかかるというのが相場というのをちょっと伺っておりますが。
今回、事前に資料を出していただきました。横須賀基地での令和二年から令和六年度のドローンの対処器材のメンテナンス費用が年間約百万円ということなんですね。これは令和三年度から令和六年度、これは予算だと思うんですけれども。実際に購入は令和元年度に海上自衛隊全体で二十二億円だったと。
ですから、横須賀基地に配備されている分がどれくらいの分かというのはお答えいただいていないんですけれども、大半が横須賀基地というようなお話を伺いました。そうはいっても、三分の一から三分の二ぐらいだというふうに計算したところ、二十二億円のうちの、仮に横須賀基地に配備されている分が三分の一で約七億、三分の二で約十四億だったとすると、その年間百万円のメンテナンスの費用というのが〇・一四から〇・〇七%ぐらいになる。
百万円のメンテナンス費用というのは非常に安いんじゃないかなと。横須賀基地は私も何度か、全体ではないんですけれども、お邪魔したことがありますけれども、あそこに、ドローンの対処器材、もちろん、探知するものと、それ以外の、防御するものもあるのか分かりません、内容についてはお答えできないというふうに伺っておりますけれども。もし本当にメンテナンスをしっかりとしていたら、もうちょっと費用がかかるのではないか。つまり、ドローンの対処器材というのが本当に配置されて二十四時間三百六十五日稼働して動いていたのかどうかというのが、数字的にちょっと疑問に思えるんですね。
なおかつ、実は、決算なので、いろいろな決算書類をお願いしたいというふうに会計の担当の方とも交渉したんですけれども、短期間のうちには出せないと。私、普通に企業で考えると、数字の計表類というのはエクセルとかデータベースに入っていてソートをかければぽんと出るというのが普通なんですけれども、横須賀基地に絞ってのいろいろな数字を出していただくというだけでも結構大変だと。
これは、一つは、こういう計算とか事務管理の方も、実は、防衛力の増強と同時に、もうちょっと効率化とか図っていかなきゃいけないんじゃないかな。この決算委員会を私はやらせていただくということで事前にお伺いしただけでも、結構これは問題があるなというふうに感じたんですね。やはり、民間企業並みの決算というか数字の把握の仕方というのができないといけないと思いますが。
まず、メンテナンス費用のところについて、一応資料もいただいているので、大臣としてはどのように把握されていますでしょうか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
委員には資料の方で御提出をさせていただいておりまして、令和二年度、三年度、四年度、五年度、六年度ということで、それぞれドローン対処器材の関係については御指摘のとおり〇・〇一億円ということで、百万円ということでやっております。
やり取りの中でも御説明をさせていただいておりますけれども、個別の横須賀基地での器材の導入ということにつきましては、予算額それから執行額含めまして、我が方としてどのような器材を使っているのかというふうなことが類推されるおそれがあるということでございますので、そこは御容赦をいただければということで御説明をさせていただいております。
そうした前提で、私どもとしては、横須賀基地につきましては、ドローン法上の指定施設というふうなことで、必要な器材を配置した上で対応させていただいております。その上で、御提出させていただいたメンテナンス費用というふうなものを計上させていただいて対応している、そういった状況でございます。
○浅川分科員 そうしますと、四月の頭ぐらいに私も委員会をやらせていただきましたけれども、大臣、横須賀基地に行って、ドローンの対処器材というのは大臣自身じかに確認されましたか。
○木原国務大臣 横須賀基地には何度か視察をしましたが、実際に今回の器材については、私は実視というのはしておりません。ただし、写真であるとか性能であるとか、あるいは検知した情報とか、そういったものは、防衛省の中でデータとしてしっかりと把握をさせていただいております。
○浅川分科員 分かりました。大臣がそういうふうに把握されているということで、ある意味安心をしたところであります。
ただ、常任委員会の中での質疑で、ドローン対策で厳重な監視をしているという中で、実際にドローンが飛んで、この映像が撮られたということを考えますと、既に自民党さんの国防部会ですか、等でもいろいろ厳しい意見があったというふうに報道もされていますし、もちろん民間のいろいろなこういう技術について詳しい方も、いろいろメディアでも発言をされております。
私のところにも何人も実は詳しい方がいらっしゃいまして、また、中には、元海上自衛隊でお仕事をされて横須賀基地にもいた方、なおかつ市ケ谷でもお仕事をされていたという方が、ドローン対策は何もやっていないに等しいと思うよ、法律があるから多分飛んでこないだろうというような感覚でいるんじゃないかというような発言もされた方もいたんですね。ただ、今現職じゃありませんし、そういうことをわざわざ私にお話をしてくださるので、若干自衛隊に対しての批判的な方だろうとは思うんですね。
ただ、ちょっと私も疑問に思った点もありまして、ドローンがGPSでプログラムをされて「いずも」を撮影したのでしたら分かるんですけれども、一般的には多くはまだプログラムじゃなくてコントロールをしている、だからジャミングをするという話なんですけれども。このドローンを撮影したと言われる、ネット上で言われる中国人の方ですね、中国本土に帰っている、逮捕されそうだからと、それが本当かどうか分からないんですけれども。もしこの人が本当だとしたら、メディアがインタビューもしていたりするんですけれども、どこで撮影していたと思われますか。今、自衛隊・防衛省の方で判断できるところというのは、どこら辺でしょうか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
どこでというふうなことでございますけれども、私どもとして、ドローン対処の関係については、委員今お話をされたように、基本的には、対処器材の方で、コントローラーとドローンとの間の電波のやり取りというふうなものを把握をした上で、ドローンの飛行状況、それから操縦者の位置情報というふうなものが把握できる、そういう仕組みになっているものが一般的であるというふうに承知をいたしております。
基本的には、操縦をされている方がいらっしゃるとすれば、横須賀基地の近傍の施設外というふうなことが考えられるということではないかと思っております。
○浅川分科員 「いずも」の撮影と同時に、四月の頭には、実は、今、改修中だった米空母ロナルド・レーガンも撮影していた。それも、動画も最近アップされて、動画の前に静止画は四月の頭にアップされていたんですね。
私も、さすがに一か月以上判断するのにかかっているというのはあり得ないなというふうに思っていまして、実は発表がこれだけ遅くなったのは、米軍との調整というか、そういうのがあったのではないかなと。むしろ、実はドローンの撮影だったというのは、もう本当に、専門家と同じように数時間のうちに判断していて、そこに、四月の頭になって、ロナルド・レーガン、米軍の基地の方も映っていたから、実は米軍と調整していて一か月ほどかかったのではないかというふうにちょっと私は推察するんですけれども、その辺は、大臣、ないんでしょうか。
○木原国務大臣 浅川委員とは安全保障委員会の中でも何度かこの議論をやり取りをさせていただきましたけれども、防衛省には様々な情報が上がってまいります。情報提供などもあったりします。
ただ、その情報が、本物の情報なのか偽物の情報なのかというのを見極める必要があるわけでありまして、一般論として、特定の情報が偽物という判断に際しては、不自然な点とか誤りというのが一点でもあれば、その時点で偽物というふうに公表ができるわけでありますが。本物であるという判断というのはなかなか難しくて、その情報のあらゆる要素について、不自然な点がないか誤りがないか、そういったことを丁寧に見極める必要があるんですね。
ですので、ある意味、悪魔の証明とかということを言う人もいますけれども、本物の証明というのはなかなか難しく、その時点で、私どもは、いろいろな角度から、いろいろな要素を、その真贋を見極めていたということで、今回、様々な観点から総合的に分析を実施した結果として、今般、実際に撮影された可能性が高い、現時点でそういう認識に至ったという発表をさせていただいたというところであります。
○浅川分科員 つまり、米軍との何ら協議というかそういうものはなかったというふうに、今の答弁からは受け止めさせていただきました。
ところで、画像解析についても常任委員会でも言ったんですけれども、私も映像ソフトをいろいろ使ってやっているので、実は、私に情報提供いただいた方のお話によると、一千六百倍に画像を拡大してみて、もし、人工的に作られた、AIで作られたものであれば、ゆがみとか不自然な点が見受けられる、破綻しているところがあると。私もそれは知っているんですね。
よく最近ネットでかわいい少女の画像がたくさん出ているんですけれども、人工的に作られたものは、瞳が、瞳の中の黒目の中に点がないんですね。照明のライトが当たっていても、それがうやむやになっている。つまり、それで実は人工的に作られたかどうかという、一般的によく知られている話なんです。
今回、この動画について一千六百倍で拡大したところ、基本的に破綻がない。
しかも、このファイル形式がMOVファイルという、動画のファイルの中でも余り使われていないファイルなんですね。私もそれをよく知っているんですけれども、実は中国製のDJIという、よくドローンで使われているものはそのファイルなんですが。一般的には、そのファイルは、SDから取った後、編集するんですね。このネットに上げられている動画も編集されています。カットされているわけですね。
ところが、書き出した動画もまたMOVファイル。つまり、元の撮影したカメラの映像と、編集した後の映像のファイル、MOVファイルというのは、一般的には、私も自分で編集するので分かるんですけれども、余りなくて、最後は今でいうとMP4という一般的なデジカメとかで使われているファイルに書き出しがされるんですね。
ところが、MOVファイルで書き出されているということで、これは実はMacのユーザーじゃないかと。編集もMacでやったんじゃないか。撮影はDJIの多分3だろう。つまり、広角レンズと標準レンズが使われている。なおかつ、編集もMacのコンピューターを使っている。
そこまで分かった方が言われたんですが、この機材は中国から直接持ち込まれたものじゃないかと。日本で飛ばす場合には性能を落とされてしまうわけですね、電波法の関係とかで。ところが、中国で直接作って売られているものが、そのまま、高性能のまま持ち込める。税関も通るそうなんです、バッテリー二個までなら。そして、そのまま、この人は、逮捕されるかもしれないといって急遽中国本土に帰ったと言っている。
どういうことかというと、ドローンを飛ばすときというのは、上に上げるまででも電力を使うわけです、電池を。下ろすときにも電池を使う。でも、もしも同じ高さから飛ばしたならば、高いところまで行くための電力を使わなくて済みますし、下ろすときにも電力を使わないで済む。そうすると、高いところから飛ばして高いところに戻せば、非常に効率的に「いずも」とロナルド・レーガンを一周で撮れる。
これは、実はテレビで言いそうだったけれども言わなかったんですけれども、この横須賀基地の近くにタワーマンションがありますよね、すぐ裏に。私もよく知っています。そのタワーマンションの近くまで行ったことがあります。そのタワーマンションにお住まいの方には申し訳ないんですけれども、そのタワーマンション、たくさん部屋がありますから、そこから飛ばしたんじゃないかというふうにその専門家の方が言っているんですね。タワーマンションからは横須賀基地が真下に見えます。そして、米軍のロナルド・レーガンも見えているんです。だから、操縦するとしても全部の範囲で見えている。高さもちょうどいいんですよ。
ここまで私はその話を聞きまして、じゃ、分かった、ここまで時間がかかったのは、防衛省は神奈川県警ともう捜査段階に入っているんじゃないか、それで時間がかかったんじゃないかというふうにも思ったんですけれども。大臣、そういった点は、違いますでしょうか。神奈川県警と実は捜査に入っているとか、そういうことはないんですか。
○田中(利)政府参考人 お答えをいたします。
委員の方から詳細な分析をいただきまして、ありがとうございます。
捜査の状況でございますけれども、このSNSにアップされている画像につきまして本物である可能性が高いというふうな、そう結論づけております。
その前提で申し上げますと、少なくとも私どもの方で規制をしている、ドローン法で規制をしているエリアにおいてドローンの飛行がなされている、そういう可能性が高いということでございますので、こういった点については私どもとしても厳正に対応していく必要があると思っております。
個別の捜査の状況につきましては、事柄の性質上、お答えの方は差し控えをさせていただければと思っております。
○浅川分科員 いわゆる自衛隊法にもあるし、ドローン法にも違反している。こういうような事件が起きた場合、私は勝手に事件だというふうに言っているんです、護衛艦「いずも」ドローン実写動画撮影事件というふうに勝手に名づけたんですけれども。これは当然、ほかの基地や駐屯地でも起こり得るし、実は起きていた、過去の摘発された例もあったかと思うんですけれども。今回のような場合は絶対に犯人を特定していかなきゃいけないと思うんですよ、逮捕できないかもしれませんけれども。そのためには、所管は神奈川県警ですから、神奈川県警と情報を密にしてやっていただきたいと思いますけれども、そこら辺、大臣、いかがでしょうか。
○木原国務大臣 一般論として申し上げると、外部からの侵入事案、ある意味そういうふうに取れるかと思いますが、侵入事案等の際は警察機関と緊密に連携しているところです。当然のことであろうと思います。
その上で、個別の事案の詳細については逐一申し上げるということは差し控えなければいけませんが、必要に応じて適切に対応していきます。
○浅川分科員 これは法改正が必要なのかちょっとお伺いしたいんですけれども、こういう侵入事案について、日本の自衛隊の場合には、自衛隊独自でどこまで捜査というのはできるんでしょうか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
基本的には、自衛隊の施設の中の事案につきましては、私ども警務隊というものがございますので、基本的には警務隊が主となって対応していくというような、そういう役割分担になっていくということだと思っております。
○浅川分科員 そうすると、その警務隊というのは、今回のような事案で、いわゆる基地の外でも捜査活動というのはできるんですか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
個別の状況についてなかなか具体的なことを申し上げることは難しいわけですけれども、基本的には、所轄の警察がございますので、そちらの方と連携した上で、必要な協力を得ながら、基地の中の事案については基本的には警務隊が主となって対応していく、そういう役割分担になっていくことだと思っております。
○浅川分科員 なおかつ、ネットで言っている、本当にアップしたという方が中国人で、中国本土に帰られたとしたら、日本に入ってきたときに、所持品で、ドローンは必ずしも税関に申告しなくてもいいんでしょうけれども、手持ちのバッグにあるものに、模型飛行機だとか、そういうような形で申告できる、仮にドローンと書いてもいいんだろうと思うんですけれども。
そうすると、日本に滞在する時間、期間によっては、どこに滞在するか、ホテルだとか民泊も今あります、あるいは三か月以上の場合には多分住民票登録しなきゃいけないかと思うんですね。そういった入管ですとか税関ですとか、そういう出入国に関係するところと連携するということも私は必要だと思っております。
ここまでのところはあれなんですけれども、あと、今回のドローンが、もし本当に中国の政府とか軍が関係していないのでしたらいいんですけれども、実は遊び半分というように見せかけていて、アップしたのはこの映像だけだったけれども、ほかにもたくさん撮っている可能性もあると思うんですね。ただ、空撮で、ドローンで近接して撮影したところで、軍事機密になるようなものというのはそれほどないんじゃないかなと思うんですけれども。
最も気をつけなきゃいけないのは、これが攻撃になった場合ですね。私は、ドローンの攻撃というのが、ウクライナの戦争じゃないですけれども、普通になってきている。しかも、爆弾を作ることも今ネットで容易になってしまっている。火炎瓶みたいな発火装置をつけることは誰でもできるというお話も聞いたんですね。火炎瓶レベルでも、例えばイージス艦だとか、艦船の弱いところを狙われると損傷を起こして、そう簡単に航行できない、あるいは出ていっても意味を成さなくなるというような話も聞いたんですけれども。
ドローンでの攻撃に対して、基地に停泊している艦船の対抗措置ですね。それについては、今までのところというのはどうなんでしょうか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
ドローンに対しての対応ということでございますけれども、まずは、委員御案内のとおり、海自の横須賀地区を含めまして、ドローン法上の施設ということで指定をいたしております。こういったところについては、当然、必要な対処器材というふうなものを置いた上で、日頃から警戒監視に努めておるところでございますし、万が一、何らかのそういう状況があるようであれば適切に対応していくというふうなことで、対応をしておるところでございます。
さらに、軍事的な観点でのドローンの活用ということについても、御指摘いただきましたように、ウクライナ戦争を含め、様々な事例がございます。こういった諸外国のそういう技術動向というふうなものはきちんと把握した上で、我が方としてもそれに対応するための必要な能力というふうなものについて着実に向上させていく必要があるということだと思っております。
○浅川分科員 つまり、着実に向上しなきゃいけないということは、現状では、停泊中の艦船に対する、基地に対するドローンの攻撃に対しては、まだ十分じゃないということですよね。
そうすると、まさに、ドローンを操縦できる自衛隊員、必ずしもドローンで攻撃する必要はないんですけれども、対抗措置としてドローンを操縦できる人というのがたくさん必要じゃないかな。つまり、ドローンの操縦者が、免許があるとかないとかじゃなくて、実際にドローンを使って対抗できる人が必要だと思うんですけれども、そういった人員、あるいはこれからの育成というのはどのようにお考えですか。
○田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。
ドローンを使った様々な戦闘様相、そういったものについては、諸外国の動向を含めて、私どもとしても日頃からよく注視をしているということは先ほど申し上げたとおりでございます。
防衛省・自衛隊におきましても、様々な場面でドローンの活用、これは戦闘様相等々だけではなくて、先般の能登半島地震における災害対応というふうなところでも活用させていただいております。
そういった、必要な機材としてのドローンというものの有用性、こういったものを考えながら、人材の育成、それから装備の技術動向に合わせた能力向上、こういったものに努めてまいりたいというふうに思っております。
○浅川分科員 分かりました。
ドローンを飛ばすときというのは、電波法の関係で、四十八時間ぐらい、申請して許可を得なければいけない。ただ、災害のとき、最短時間、九十分でできたというようなことも報道されていたかと思うんですけれども。それでは攻撃を受けているときにドローンで対処するということはできないわけですね。だから、やはり、ここは電波法の改正をするという話なのか、自衛隊法の方で対応できるようにするのかということは是非ちょっと検討していただきたいと思います。
そして、最後に、ドローンについて、ドローンは判別できているからいいんです。ドローンだということが分かっているからいいんですけれども、判別できないものがやってきたときにどうするか。
私もずっと言ってきたUAPですね。木原大臣になって、防衛省としても、アメリカと同じように、いわゆるUFOです、UAPというのは。UFOの問題について、共通の認識を持って脅威としてやっていくというお答えをいただいているんですけれども。
私は、ドローンの探知能力の延長に、UAPの探知能力というのがあると思うんですね。ですから、何が飛んできているのか、あるいはいつ飛んでくるのか分からないものを常に把握していくという意味で、まさに、何であるかが分からないところに探知能力を求めるという意味で、防衛省の方でより一層力を入れていただきたいし、できればアメリカと緊密に情報交換できる専門部署をつくるべきでないかなということを繰り返しお話ししているんですけれども。
大臣、その後、あと新しい何かUAPの情報等があれば、お答えいただきたいと思うんですけれども。
○加野政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の周辺における安全保障環境が厳しさを増しております中、識別不能の物体も含めた我が国の安全保障に関わる事象について対応に万全を期すということは、委員御指摘のとおり、必要不可欠であるというふうに考えているところでございます。
このような認識の下におきまして、識別不能の物体の情報収集、分析を任務といたします米国防省の全領域異常対策室、AAROでございますけれども、そちらを含めた米国政府とも緊密に連携をし、継続して情報収集、分析に努めているところでございます。
これまでも大臣の方から累次申し上げておりますけれども、識別不能の物体が他国の最新兵器や偵察機であった場合の危機感という委員の問題意識につきましては私どもとしても完全に共有しているところでございまして、我が国の防衛を全ういたしますため、着実に情報収集、分析に努めて、対応に万全を期してまいりたいと存じます。
現段階におきましては専従の組織を設けるということは考えておりませんけれども、省内の関係機関一体となって、あと、アメリカ側とも連携を進めながら、進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○浅川分科員 ありがとうございます。
最後に、大臣、このドローンの件、もし今後多発するようでは、本当に我が国の防衛力について足下を見られるようになってしまうと思うんですね。大臣の方でもいろいろ各基地、駐屯地に指示を出されていると思うんですけれども、ドローン対策について、大臣の現段階での感想というか覚悟をもう一度お示しいただければと思います。
○福重主査 木原防衛大臣、端的にお願い申し上げます。
○木原国務大臣 ドローンは、近年、急速に普及も拡大し、能力も向上しているというふうに承知しておりますので、関連技術が発展する現在においては、基地警備能力を高める不断の努力は必要だと我々も認識を少し改めていかなきゃいけないと思っています。
より能力の高いドローン対処器材というのを早期に導入するということ、また、電波妨害による違法ドローンの強制着陸といった、あくまでも法令の範囲内での厳正かつ速やかな対処を徹底するなど、基地警備により万全を期していく、そういう考えです。
○浅川分科員 より一層強化するために、予算も十分取れている、これから確保できていると思いますので、十年後、二十年後の技術を先取りするぐらいの研究開発というものにも力を入れていただきたいと思います。
以上、時間だと思いますので、終了いたします。どうもありがとうございました。
○福重主査 これにて浅川義治君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして防衛省所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○福重主査 次に、文部科学省所管について審査を進めます。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。岸信千世君。
○岸分科員 皆様、よろしくお願いいたします。自由民主党の岸信千世です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
文科省の皆様へ、まず初めに、教育現場、そして学校現場における働き方、その改革、そして人材確保等について、まず最初にお伺いしたいと思います。
本日は、副大臣、お越しいただいてありがとうございます。
教育は、国家の根幹であり、国家百年の大計であります。教育においても原動力は間違いなく人であります。これまでも、党の提言でも、「「人への投資」は最重要課題」と位置づけられています。子供たち一人一人への教育の質の向上には、教える側の教師の質の向上、これが欠かせません。また、教育環境の充実も不可欠です。
そうした中で、昨今、教師の処遇改善については、これまで様々な課題が指摘をされてきました。教師の処遇改善について、また、志ある優れた人材、これを新たに確保する方策、そして必要性について、副大臣の意気込み、そして省庁としての対応をお聞かせください。
〔主査退席、杉本主査代理着席〕
○あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。
教師は、学校教育の充実発展に欠かせない存在でございまして、教師に優れた人材を確保するため、教師の処遇改善、重要な課題だと私どもも認識しているところでございます。
そのため、現在、中央教育審議会におきまして、教職調整額の水準を含む教師の処遇改善を始めといたしまして、学校における働き方改革の更なる加速化、また、学校の指導、運営体制の充実について御議論いただいているところでございます。
文部科学省といたしまして、今後、中央教育審議会からお示しいただく考え方も踏まえました上で、教師に優れた人材を確保するための施策を一体的に進めてまいります。
以上でございます。
○岸分科員 副大臣、ありがとうございます。
これ以降は参考人答弁で構いません。ありがとうございました。
続きまして、現在の教員の不足の状況について、令和三年度から五年度にかけては、大変厳しい状況が続いてまいりました。また、今年度の当初の状況、そしてこの数字の傾向について、今文科省としてはどのように把握をしているのか、教えてください。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度当初の教師不足の状況につきましては、今現在、各教育委員会に対しまして、昨年度と同様の形で、改善しているか、悪化しているか、同程度であるかということについての状況の確認を行っているところでございます。
御指摘の教師不足が発生する要因といたしましては、近年の大量退職、大量採用によりまして、若年層の教師が増加をして、産休、育休取得者が急増していること、特別支援学級が見込み以上に増加していることなどで教師需要が増加をしております一方、これに対応する十分な教師のなり手が不足している、こうした構造的な要因があるものと考えております。
文部科学省といたしましては、各教育委員会における先導的な取組事例の横展開ですとか、各教育委員会の取組を支える支援事業も行っておりますので、こうした取組を通じて各教育委員会の取組を更に進めていけるよう後押ししてまいりたいと考えております。
○岸分科員 ありがとうございます。
今御紹介のケースで、やはり若い方々も職場を離れてしまうケースというのも多々あると伺いました。
また、今、現場の教員不足に関連してですけれども、教員の採用試験、この倍率も低下が続いていると伺っております。
そもそも、教員を志す方々、このボリュームが少なくなっているのではないか、また、今御紹介ありましたが、教員のなり手がそもそも不足をしている、採用数自体も低下をしているというふうな話もお伺いしますけれども、採用試験、この倍率の低下の原因について等々、文科省はどのように分析しているのでしょうか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年に実施されました令和五年度教員採用選考におきますと、全学校種の総計での採用倍率が三・四倍、小学校の採用倍率が二・三倍と過去最低を更新をいたしまして、採用倍率の低下、受験者数の減少の傾向が続いている状況につきましては、重要な課題であると受け止めております。
採用倍率減少の主な要因は、大量退職に伴い採用者数が増加をしております。採用者数につきましては、採用倍率が最も高かった平成十二年度に比べますと三倍以上というふうになっております。その一方で、新卒の受験者数は近年おおむね横ばいでありますけれども、採用者数の増加によりまして既卒の受験者数が減少するということで、受験者数全体が減少していることの影響が大きいというふうに認識しております。
加えまして、教職課程におきまして、教師を志す学生の声の一つといたしましては、教師の勤務環境に対する不安もあるというふうに承知をしておりまして、教員志望者の増加の確保に向けまして、教師が安心して勤務できる環境を確保することが重要であるというふうに考えております。
○岸分科員 教師、教職の職場への不安というものも若い方々はたくさん持っていらっしゃるんだろうなと。また、様々な要因により、今、倍率が低下していると御説明がありました。
また、今御説明いただいた教員採用試験なんですけれども、文科省は、五月の十一日に、来年には全国的に早期化を図る方針を固めた、そのようにお伺いもしています。
今、私の地元の山口県では、ちょうど大学三年生を対象に、令和七年度の試験、この一部を前倒しするという制度を新たに導入をいたしまして、これを令和五年の十二月から準備等々行っております。
そうした中で、国のこうした方針について、文科省の狙いと、そして山口県並びに各地方公共団体の今後の対応について、また、今までどのような状況を把握をしているか、教えてください。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、昨年五月に、各教育委員会に対しまして、採用選考の改善の方向性を提示をいたしまして、今年度実施します令和六年度の採用選考の第一次選考について、まずは六月十六日を一つの目安として、できるだけ前倒しを検討いただくよう要請をしたところでございます。その結果、多くの教育委員会で積極的に御対応いただき、六月十六日以前に一次選考を実施する自治体は三十六自治体になっているというふうに承知しております。
また、教員採用選考の複数回実施についても検討をお願いをしておりまして、また、文部科学省としても、委託事業で、秋から冬に実施する採用選考で活用することを想定した教養試験問題の作成、提供を行っておりますが、令和五年度には、この事業も活用いただくなどして、委員御指摘ございました山口県を含めまして、少なくとも八つの自治体において追加的な採用選考を実施をしているというふうに承知をしております。
今後とも、その早期化あるいは複数回実施など、様々な工夫が必要かというふうに考えておりまして、私どもとしても、各教育委員会における取組を促すとともに、それを支援してまいりたいと考えております。
○岸分科員 ありがとうございます。
早期化や複数回の実施など、様々な方策を尽くして人材の確保に取り組んでいただきたいと考えております。
また、現場の人不足というのは、教師の部分でもありますが、学校の部活動の地域移行にも大きく影響が出てきております。
令和五年度から令和七年度までの三年間を、今、改革推進期間と定めておりまして、令和六年度は二年目となります。この中、スポーツ庁、文化庁では、令和五年度に続き、令和六年度も予算を計上いたしまして、引き続き、部活動の地域連携、そして地域スポーツ、文化クラブへの部活動の移行、こうしたところを、環境の一体的な整備の実現に向け、今、働きかけを行っていると伺っております。
この方向性として、地域の事情に応じた環境整備を行い、子供たちに多様な体験の機会を確保すること、そして、少子化の中でも、将来にわたりスポーツや文化芸術に対して継続して親しむことができる、そのような機会を確保すること、また、自己実現、活力やきずなのある地域社会の創出、そして部活動の継続、そうしたところで意義があるんだ、そうしたところをお示しいただいていると考えております。
これは、行く行くは、子供から大人まで、また御年配の方から障害を持たれる方まで、様々な方が地域のスポーツそして文化芸術に関わる活動ができる、そうした場を整えてあげることが大切であると考えております。そのためにも、学校の部活動等を通じ、地域の子供たちは学校を含めた地域で育てる、そうした考え方が大切になってくると考えております。
この考え方を進める上で、学校の部活動の総合的なガイドライン、これは令和四年の十二月に策定をしていただきましたけれども、協議会の設置や推進計画の策定というものが推奨をされています。現時点で、各地方公共団体において、学校や関係団体における協議会の設置、また推進計画の策定等々の進捗の状況について、文科省はどのように把握されていますでしょうか。
〔杉本主査代理退席、主査着席〕
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年十二月に策定いたしました国のガイドラインでは、令和五年度から七年度までを改革推進期間として位置づけるとともに、協議会等の設置や推進計画の策定等を通じて、各自治体において計画的に取組を進めていくことを示してございます。
今ほどお尋ねいただいた点でございますが、令和五年六月の調査でございます。この調査では、令和五年度中に協議会を設置予定の自治体が約七割、推進計画を策定予定の自治体が約五割となっているところでございます。
○岸分科員 ありがとうございます。
令和五年度、これは全体の七割、また策定中が五割というふうなお話もいただきました。ただ、なかなか、数字的には皆さん御努力をされていると考えておりますけれども、どうしても地域により取組に差が生じてしまうと考えております。
具体的な事例といたしまして、私も地元に戻りまして岩国市や周南市で意見を聞いてまいりましたけれども、例えば、吹奏楽部の部活動を行うに当たって、例えば働き方改革の関係で教員がやはり学校のふだんの九時―五時の時間外になかなか活動ができない。そうすると、教員でない指導者がその部活の指導に当たる。また、場所や道具の確保、楽器の確保というものも大変重要になってまいりまして、そしてまた、教員でないと場所の利用としても制限がついてしまいます。
教員であれば、その所属をされている学校や教室に自由に出入りができ、使用もできるんですけれども、やはり、教員でない、学校外の方が指導に当たると、今まで使っていた学校内での教室の使用ですとか、そうしたところに制限がかかってまいります。そうするとまた、公民館とか近くのそうした人数が集まれるような場所、そこに移動して部活動を行うということになるんですけれども、違う場所に移動するということも一苦労です。
例えば、楽器の運搬のためには、なかなか普通の一般車両や軽自動車では運搬ができないような楽器も存在します。そうすると、専門業者にお願いをしたり、また、見守りや移動等々で保護者が駆り出されたりとか、そうした場所の確保や移動だけでも、特に、都市部ではなく地方部に負担が偏っているような印象を受けました。
役所に確認したところ、令和五年度の実証事業の実例では、地域間で大きな楽器の共有を行ったりですとか、また、廃校等を利用して、そこをクラブの活動の拠点にして、楽器もそこに保管をして、生徒が集まる。また、外部からも指導者にそこに来てもらう。そうした体制を取っているところが一部であるそうです。
ただ、これもやはり、本当に地域で差が偏ってしまうと思います。そうした関係はどのように役所としては把握をして、どのように対応していくのでしょうか、教えてください。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘いただきましたように、吹奏楽部の地域移行における課題への対応ということでございます。
地域の状況は異なりますが、御指摘をいただいたように、例えば、実証事業におきまして、福井県敦賀市においては、地域の吹奏楽団と連携し楽器を共有する。あるいは、茨城県石岡市のように、廃校となった学校などの楽器を集めて活動場所に保管する。群馬県の邑楽町では、公民館を活用しているという例もございます。福岡県の中間市におきましては、活動場所である高校の楽器を借用するといったような取組が行われるなど、楽器を移動させずに活動を可能とした自治体の取組もございました。
文化庁といたしましては、これはまだまだ、こういう取組がある、あるいは有効に機能しているということを御承知でない学校関係者や自治体の関係者も多くいらっしゃると存じますので、引き続き、地方公共団体の地域移行の取組に資するように、こうした取組事例の発信に取り組むとともに、地域の実態に応じた持続可能で多様な文化芸術環境の整備という観点から支援をしてまいりたい、そういった様々な取組が可能である、それを実情に応じてしっかりと各自治体が執り行われるように努めてまいりたいと考えてございます。
○岸分科員 ありがとうございます。
是非、地域の格差、地域差にも目を配っていただきたいと思います。
この地域の差というのは、実は部活動の地域移行だけではなくて、やはり教育のカリキュラムの中身についても多大なる影響があると考えております。
文科省として、今、GIGAスクール構想に取り組んでいると思いますけれども、令和元年の補正から始まりました。児童生徒一人一台端末、そして高速大容量の通信ネットワークの環境の整備、こうしたところが今着実に進んでいるとお伺いをしております。
その一方で、課題も浮き彫りとなっています。特に、学校のICTの環境、ネットワークの環境の整備については、やはり都道府県間でもばらつきが生じて、地域で格差が出始めてきています。特に、通信環境は、やはり多くの学校が不十分です。
文科省は、令和六年四月に、十分な通信速度を確保している公立学校、この割合を全体の二割程度と調査結果を発表しております。学校の規模が大きくなればなるほど達成の割合が減少している傾向、そうしたところも見受けられると伺っております。
今後、文科省として、この結果をどのように分析し、これを踏まえた対応を取るのか、そして、各地方公共団体への具体的な支援策について、更にプラスアルファがあれば教えていただきたいと思っております。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
本年四月に文部科学省が公表した調査におきまして、GIGAスクール構想で使用する通信環境の当面の推奨帯域を満たす学校が二割程度にとどまっていることが分かりました。今回設定した推奨帯域を下回る場合であっても、授業で端末を全く活用できないというものではありませんが、GIGAスクール構想における個別最適な学びと協働的な学びを進めるためには、一人一台端末をつなぐ高速ネットワークが不可欠でございます。
このため、文部科学省におきましては、今回の結果を踏まえ、各自治体に対して、ネットワークアセスメントの実施促進、通信契約の見直しの支援、自治体担当者の専門性向上などを進め、今回設定した当面の推奨帯域が確保されるよう、あらゆる手段を講じてネットワーク環境の改善に取り組んでまいりたいと思います。
○岸分科員 ありがとうございます。
今の、現代の教育に即した、環境に即した教育を行っていく上では、やはりそうしたバックグラウンドや、そうした生徒たちの学校で学びの場のサポートというものも非常に大事だと思っておりますし、最新の設備で是非学ばせてあげたい、また、地域の差なく子供たちに学んでもらいたい、そのように考えております。
このような環境の中で、少しちょっと話題が変わるんですが、地域差がなく教育環境を整備していただく、例えば、これから、話題の情報教育、こうしたところの充実、拡充というものも重要となっていて、そうしたところを力強く推していく上でもこうした環境整備は必要になると考えております。
参考になりますけれども、今年の四月の党のデジタル社会推進本部、サイバーセキュリティーPTの提言におきまして、人材育成の面では、小学生の段階からセキュリティー教育の充実に向けた支援を行う、この必要性を示しています。
今や、サイバーセキュリティー攻撃、またサイバー犯罪、こうした脅威は、公的機関や大企業のみならず、地域の社会、また中小企業、サプライチェーン、また、私たちの身近な生活にも及んでおります。
こうした中で、今、社会全体の情報リテラシーの向上が求められる中、やはり教育が大切になってくると考えております。また、ほかにも、センシングやAR、VR等の先端技術、そして生成AIやデータの利活用、こうしたところも、次の世代の学校教育、この環境には非常に大切な問題でありまして、この課題を改善しなければいけない、そのように考えております。
また地元の話題になりますが、山口県でも、今年度から生成AIを活用した学習支援アプリを一部の公立中学校で導入して、今検証が行われている最中でございます。こうした新しい技術というものを利活用して、新しい分野の教育、これを教える側の人材の確保、その質の向上、そうしたところも大変重要なテーマになります。
ただ、こうした新しい教育分野を教える方々というのは高い専門性を有していただく必要がありますし、この人材の確保というところもまた、なかなか難しいところがあると考えております。
情報教育や新しい教育分野に当たっての教育側の人材確保や育成について、文科省としてはどのような点が必要になるのか、また、このような取組を考えているということがあれば教えていただきたいと思います。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
情報教育の充実に向けて、教師の専門性の向上や、専門的な知見を有する外部人材を活用することは重要でございます。
このため、文部科学省におきましては、例えば生成AIに関して、教師向けの研修動画等を文部科学省のホームページにおいて公開しているほか、専門的な知見を持つアドバイザーを派遣し、自治体のニーズに応じた研修等を実施するなどの取組を進めております。
また、教育現場におけるAI、メタバース、センシング技術などの先端技術の活用に関しては、本年度は十か所の先進的な取組を支援することとしており、専門性を持つ企業、有識者の助言を得られる体制を設けながら、実証研究を行っているところでございます。
昨今の技術の進展に対応した学習機会の提供や専門家の派遣等を通じて、教育現場への支援の充実に努めてまいりたいと思います。
○岸分科員 お答えいただきまして、ありがとうございます。
こうした人材確保を、是非、あらゆる手段を講じて力を尽くしていただきたいと考えております。
また話題が変わりまして、続きまして、大学の教育環境の整備についてお伺いをしたいと考えております。
今、公立大学や高専の施設は、全国的にかなり老朽化や機能の劣化が進んでおります。その一方で、今、大学の改革におきまして、大学院の研究の充実や学術研究の進展、こうしたところで、ますます研究施設の増加、また人員の増加などが求められておりまして、大学のキャンパス自体が、そもそも狭隘化が生じております。また、機能面でもキャパオーバーになりつつあるところがございます。
文科省は、令和三年の三月に第五次国立大学法人等施設整備五か年計画を策定し、令和七年度までには、総面積で八百六十万平方メートル、そして約一兆五百億円、この整備を行っていくものと承知をしております。
この計画では、国立大学等に求められる教育また研究の機能強化に加え、社会の様々な人々との連携によりまして創造活動を展開する、いわゆる共創の拠点としての役割が求められているというふうに考えていると承知をしております。
この計画におきましての施設整備の方向性について、大学キャンパス全体を共創拠点、いわゆるイノベーション・コモンズ化させることを目指していると聞いていますけれども、この多様な人材が活躍できる、共創できる場というものが、本当にこの後、大事になってくるんだろうな、これは大切な視点だと考えております。
これからの国立大学等に求められる姿として、多様な学生、研究者が異なる分野でキャンパス内で交わり、また、キャンパス内外でも、民間とも意見を交換したり、産官学の連携を深めたり、そうした中で発展が望める、そのように考えておりますが、この共創拠点、イノベーション・コモンズ化の狙い、そして、具体的にはどのような事業の支援を行っていくのか、そして国立大学側に求めること、そうしたところを、文科省の考えを教えていただきたいと思います。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、国立大学等における教育研究機能の強化等の観点で、キャンパス、施設が果たす役割は極めて重要と考えております。
しかしながら、御指摘ございましたように、国立大学等において、昭和四十年代から五十年代に整備した膨大な施設の更新時期が到来しておりまして、安全面、機能面、経営面で大きな課題が生じ、対応が急務になってございます。
そのため、文部科学省といたしましては、御指摘もございましたが、第五次国立大学法人等施設整備五か年計画に基づきまして、老朽改善整備等を行うこととしてございます。
また、この中で、施設整備の方向性として、御指摘ございましたけれども、ソフト、ハードの取組が一体となって、あらゆる分野、場面で、あらゆるプレーヤーが創造活動を展開するイノベーション・コモンズ、共創拠点へと転換することが必要であるとしているところでございます。
具体的な整備といたしましては、産官学連携による実証実験の場として、学生と起業家、地元企業との交流を促進する場を設けたり、県や市と連携して地域防災支援を行う活動拠点を整備するといったようなことが必要と考えてございます。
文部科学省といたしましては、必要な予算の確保を含めまして、魅力的かつ優れた機能を有する国立大学等の施設整備に向けて、しっかりと取り組んでいかなければならないというふうに考えてございます。
○岸分科員 ありがとうございます。
イノベーション・コモンズにおきましては、やはり多種多様な人材がそこに集まる、そして学校の内外から交流が生まれる、そうしたところが大変重要になると考えております。
若い世代がやはりこの次のDX化の鍵を握っていると考えてもおりますし、また、大学には様々な国から留学をしている方々もいらっしゃると思います。そうした国外からの視点。また、医学部があるところでは、やはり医学の研究であったりですとか、例えば、今御指摘ありましたが、スマートシティーの実証実験に関しては、やはり公道でなかなかできないようなものも大学のキャンパス内ではできる、そうした事例もあると考えております。そうしたところで取組をしっかりと進めていただきたいと思います。
国立大学だけではなくて、地方の例えば中小である私立大学や公立大学でも、規模の大小はありますけれども、似たようなことが言えるのではないか、そのように考えております。
ただ、今、地方部では、ちょうど少子化が都市部よりも進んでおりまして、大学の学生数は年々減少しております。特に中小の私立大学については、学生数が減少していて、約四割のところが、赤字となっています。
こうしたところで、文科省としても、令和六年度から令和十年度まで、この五年間を集中して支援するというふうにお伺いをしておりますけれども、先ほどの国立大学等のイノベーション・コモンズ化、これは国立大学ほどの規模ではないですけれども、やはり、中小の公立、私立問わず、自分の大学内の人的リソースをフルに活用する、そして、大学の内外の人材交流を図って、しっかりとシナジー効果を生み出すような取組を行う、そうしたこともできると考えておりますし、大学が地域社会、経済に果たす役割、こうしたものも決して小さくないと考えております。
これも私の選挙区の御紹介で大変恐縮ですけれども、今、山口県の周南市というところでは、私立徳山大学というところが令和四年度から公立化をしまして、周南公立大学というふうになりました。公立化の前の志願者倍率が一・一七倍だったのに対して、公立化した後は約七・七倍と、七倍に増加をしております。
こうした、今、若い方々が集まる、学生が集まる、この力をしっかりとキャンパス内外で利用していきたい、そのように考えておりますし、国立大学でやっているイノベーション・コモンズ化を、私立大学、中小の公立大学でも同じような動きを期待する視点があるのか、最後に文科省にお伺いしたいと思います。
○福重主査 池田高等教育局長、時間が経過しています。端的にお願いいたします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
私立大学の公立化につきましては、各地方公共団体の判断により行われるものですが、地方公共団体にとっては、地域に大学が存立することによって、地方での進学機会の確保や地域で活躍する人材の育成、大学の教育研究力を生かした産業など、地域活性化などのメリットが期待されているものと認識しております。
先ほど御指摘いただいた周南公立大学を始め、地域と連携して様々な取組をやっておりますと承知しておりまして、文部科学省としても、公立大学が地方公共団体や周辺の高等教育機関とも緊密に連携して、地域からの期待に応え、社会の変化に対応する人材育成の役割を果たせるよう期待しております。
○岸分科員 質問を終わります。ありがとうございました。
○福重主査 これにて岸信千世君の質疑は終了いたしました。
次に、山崎正恭君。
○山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
早速、質問に入りたいと思います。
令和四年度の文部科学省の委託事業として、不登校の要因分析に関する調査研究が行われました。これは、毎年実施されています、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において不登校と計上された児童生徒について、教師、児童生徒本人、保護者の回答を比較することで不登校の要因を明らかにしていく、特に、不登校の主たる要因が無気力、不安であると報告された児童生徒の要因の詳細を把握し実態をつかむことを目的とした調査であります。
私は元中学校の教員でして、二十四年間、中学教育に携わり、主に生徒指導、生徒支援を専門として、不登校の生徒の皆さんの支援に当たってきました。また、県教育委員会勤務時代には、先ほど申しました文科省が毎年実施している問題行動等調査の担当もしておりました。
そういった経験から、令和四年度実施の今回の調査は、文部科学省が今まで重要であると認識しながら、なかなか実施できなかったところに思い切って一歩踏み込んだ調査であると高く評価しております。
といいますのも、不登校の要因として今まで一番多かったのが、先ほど言いましたように、無気力、不安という回答でありますが、このことに対する子供と保護者と教員との認識の違い、ずれがあるのではないかということが長年指摘されてきました。
どうしてそのようなことが起こるのかといいますと、一つは、この調査に回答するのが教員であるということが大きく影響していると考えられます。
実は、私の経験からいうと、不登校というのは、その渦中においては、不登校状態になっている子供本人もよく理由が分からないというケースが多く見られます。
今は少なくなりましたが、昔は、心配した親や教師が、不登校の原因は何なの、どうして自分のことなのに分からないのと子供に何度も聞くシーンが多く見られ、それに答えることができずに子供たちが苦しむということがありました。
そのように、本人も理由がよく分かっていないのに、教員が国の調査の不登校要因に回答しようとした場合に、外からというか、客観的に外から目に見える姿でしか教員が捉えられない場合においては、不登校の要因は無気力、不安であると回答しているケースが圧倒的に多いのではないかというふうに推察されてきました。
しかし、その回答に対して、毎日不登校の子供さんと生活している親や、また本人にとっては、違うのにな、要因は無気力、不安で済まされるんだという、子供本人、保護者と教員の認識の違い、ずれが教育関係者や専門家の中で長く指摘されてきました。
その部分に関して、今回、文部科学省が初めて保護者や子供本人に調査を行うという、突っ込んだ調査を行いました。
結果としては、不登校の要因として、学業の不振や宿題の提出といった、比較的外から目に見えるものについては、子供、保護者と教員の回答に大きな差が見られませんでしたが、いじめ被害や教職員とのトラブル、叱責、教職員への反抗、反発については、子供、保護者と教員の回答に大きな差が見られました。ほかにも、体調不良や不安、抑うつ、居眠り、朝起きられない、夜眠れないといった心身不調、生活リズムの不調についても大きな差が見られました。
このことから考えられることは、やはり、学業不振や宿題の提出といった比較的目に見えるものについては、子供、保護者と教員の認識のずれが少ない、起きにくいということが分かったのに対し、認識のずれが大きい項目、特に、教職員とのトラブル、叱責、教職員への反抗、反発など、教員自身が原因となっている項目については、教員自身がそのことを捉え切れていないということではないでしょうか。体調不良や不安、抑うつ、居眠り、朝起きられない、夜眠れないといった心身不調、生活リズムの不調は、どうしても、学校に来ることができておらず、家での様子が分からない場合が多く、教員には捉えにくいのかなとも思います。
そこで、長年指摘されてきた不登校調査における児童生徒、保護者と教員との認識の違いを調査結果で捉えた意義は大きいが、その上で、今回の調査において、生徒、保護者と教員の差が大きかった項目についてどのように分析しているのか、またその結果をどのようなスピード感を持って取組につなげていくのか、お伺いします。
○あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。
おっしゃったとおり、本年三月に結果を公表いたしました令和五年度の文部科学省の委託事業でございます不登校の要因分析に関する調査研究におきまして、不登校の要因といたしまして、いじめ被害、教師との関係、体調、不安、生活リズムの乱れなどを挙げる割合に差異が見られるということなどの、教師の認識と児童生徒や保護者の認識に差があること、これが本当に明らかになりました。
この差につきましては、例えば、いじめ被害については、本人がいない時間また場所で行われたり、ふざけ合いを装って行われたりすることも多いこと、さらには、教師との関係、体調、不安、生活リズムの乱れについても、教師が児童生徒の心情や状況を把握し切れていない場合があり得ることなどが背景にあることが考えられます。
このため、文部科学省といたしましては、今回の調査研究の結果も踏まえました上で、改めて教育委員会等の関係者に対して調査研究の内容をしっかりと周知するとともに、あわせて、児童生徒が抱える悩みや不安を適切に把握できるよう、一人一台端末を用いた心の健康観察の推進、スクールカウンセラーの配置充実を進めることとしております。
加えまして、また、本年度に実施する令和五年度の問題行動調査について、不登校の要因に関する質問項目を見直すとともに、回答に当たっては本人や保護者、スクールカウンセラーとの確認を推奨することとあわせまして、問題行動調査の状況も踏まえまして、別途不登校の要因に関する児童生徒本人へのアンケート調査を実施することとしたいというふうに考えておりまして、これらにより、委員の御指摘ありました、より実態に即した不登校のきっかけ、要因の把握に努めてまいります。
○山崎(正)分科員 繰り返しになりましたけれども、非常に意義のある調査だと思いますが、調査対象区域を見ると、大阪府、広島県、宮城県、山梨県の四府県十市町村であり、その中の七自治体は山梨県に集中しており、県立高校も山梨県のみであります。
この調査結果に地域差はないのか、また、可能ならば時系列を追っての追跡調査も有効と考えますが、文部科学省の認識をお伺いします。
○浅野政府参考人 今般の調査研究におきましては、教師に加え、不登校児童生徒本人やその保護者も対象として、不登校の要因等について御回答いただくものであり、それぞれの御負担をお伺いしながら行われ、その調査の目的や内容、負担等について御理解いただいた教育委員会に限って御協力をいただいたというところでございます。
文部科学省におきましては、先ほど副大臣から御答弁申し上げたとおり、問題行動等調査の状況も踏まえつつ、別途今回のような不登校の要因に関する児童生徒本人への調査を実施することとしており、その際の対象地域等については委員の御指摘も踏まえつつ検討してまいりたいと思っております。
また、御指摘いただいた不登校児童生徒の継続的な把握を行うことも重要と考えておりまして、文部科学省では、平成二十三年に平成十八年度当時不登校であった生徒の五年後の状況等について追跡調査を実施した実績はありますが、昨年三月に公表したCOCOLOプランにおいても不登校児童生徒の継続的な実態調査の実施について述べておりますので、文部科学省としても具体的な調査方法等を検討してまいりたいと考えております。
○山崎(正)分科員 ありがとうございます。
本当に、副大臣等から非常に前向きな、本当にスピーディーな取組が発表されまして、うれしく思います。
私は、今回の調査結果については、教員にとっては厳しい結果であるけれども、この認識のずれについては、先ほど副大臣からあったように、しっかりと教員に周知していくことが非常に重要だと思います。
といいますのも、私が元教員ですので、不登校の保護者や家族の皆様から現在この職になりまして御相談を受ける機会が多くありますが、教員が要因というか、少なくても不登校のきっかけになっている場合、若しくは子供さんと保護者が教員に原因があると感じているケースはたくさんございます。
また、もっと突っ込んだところで言いますと、今回分かった認識のずれについては、ひょっとしたら教員がきっかけになっているのではないかということも視野に入れて、想像しながら、子供たちや保護者への支援を行っている教員、学校の場合には不登校が起こりにくいというふうに私自身は感じています。そういった学校は、日常から教員と保護者の連携もよく取れており、家での様子、健康面の様子なども情報交換が密にできておりまして、先ほど申しました心身不調や生活リズムの不調といった項目の認識のずれも恐らく小さいのではないかと推察されます。
そういった意味において、せっかく踏み込んだ調査を子供本人、保護者にも行っていただいての結果ですので、スピード感を持って、すぐに全国にしっかりと、先ほど言いましたように、徹底していただきたいと思います。そして、全国的な支援の充実に生かしてほしいと切に願います。
地域差につきましても、非常に負担の大きい項目でございますが、現在の教育の最大の課題と言っても過言ではない不登校に関する調査ですので、各都道府県なんかにも協力していただきながら、例えば、せめて、私の選挙区である四国や、九州、北海道などは一校も入っておりませんので、各地方一校ずつなどの実施をお願いしたいと思います。
また、ハードルが更に高いのは承知の上で、さきにも述べました、子供たちは、そのときは自分自身でも原因を分かっていないけれども、後になって分かる不登校の要因もありますので、是非追跡調査の方もよろしくお願いしたいと思います。
次に、違法オンラインカジノについてお聞きします。
現在、急速に違法オンラインカジノの問題が深刻さを増しています。日本では、オンラインカジノの無料版は違法ではありませんが、有料版は違法です。非常に危険なのは、無料版が隠れみのになって、有料版への入口になっています。
実はこの無料版の宣伝、広告塔を有名なサッカー選手やJリーガーなどが行っています。選手たちは、無料だから問題ない、違法ではないとの認識だと思いますが、彼らが広告塔になっているオンラインカジノをインターネットで検索すると、トップ画面から出てくるのは有料版です。
二〇二二年十二月には、台湾の台中市の違法のオンラインカジノ運営企業に警察が突入し、日本人を含む四十四人が逮捕されましたが、経営者は日本人で、インターネットを経由して、台湾から日本国内にオンラインカジノを提供して、約八千億円を違法に稼いでいました。
オンラインカジノの恐ろしいところは、一日で七千万円使ったなど、一回の被害額が大きいところで、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表によると、急速に現在オンラインカジノの相談件数は急増しており、昨年度は、対面の相談だけでも四百件を超え、借金の平均額も八百五十万円を超えています。昨年一年間だけでも六名の若い人が自殺しました。
また、世間を恐怖に陥れた、独り暮らしの高齢者を狙った中野や狛江で発生したルフィと呼ばれる強盗団による高額の強盗殺人事件の実行犯二人のうち一名は大学生で、ギャンブルで借金を抱えていました。
親にも誰にも相談できずに、いわゆる闇金にお金を借り、支払いができなくなり、借金の催促でとことん追い込まれ、特殊詐欺等の闇バイトへ誘い込まれるという状況が増加しています。一旦この状況に若者がはまると、社会的経験が積めずに再起が難しく、犯罪や自殺につながりやすい。こういった現状から、どうしても若者たちをギャンブルから守らなければなりません。
実は、この問題に向けて、警察庁が違法オンラインカジノを防止する、いいポスターを作ってくれています。
そこで、違法オンラインカジノの被害が深刻となっている今、更に言えば、御承知のように、世界で活躍する大谷翔平選手の通訳が違法賭博を行っていたことで違法ギャンブルに注目が集まっているこのときに、日本の子供たちに対して、警察庁が作ったオンラインカジノ防止ポスターを活用し、重点的な啓発活動を行うべきだと考えますが、文部科学省の認識をお伺いします。
○あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。
その前に、先ほど私が答弁いたしましたところで、いじめ被害、これを私が、本人と言いましたが、実は大人がいない時間でございました。失礼いたしました。
改めて、また、オンラインカジノに関して答弁させていただきます。
いわゆるオンラインカジノに接続して賭博を行うことは違法でございまして、こうした行為について子供たちの適切な理解を促すことはまさに重要であるというふうに考えているところでございます。
このため、文部科学省におきましては、警察庁と連携いたしまして、今月の十日に、御指摘のオンラインカジノに関する啓発ポスターの周知、活用について、各教育委員会等に依頼をしたところでもございます。
引き続き、違法行為につきましての子供たちの適切な理解につながるよう、警察庁を始めとした関係省庁と連携をしながら、各種会議の場も活用させていただきながら、繰り返し必要な周知啓発を行ってまいります。
以上でございます。
○山崎(正)分科員 ありがとうございます。
実は先ほど一時から、超党派の議連の方でこのことの話が出ました。当事者の方や、当事者の家族の方も来られていました。私は個人的には、今こそこのポスターを日本の小学生、中学生、高校生に全員に配付すると、教員もしっかりと今訴えることができますし、早い段階からそういった取組は非常に必要だと思いますが、予算もなかなか限られたことですけれども、やはり、公営のギャンブルなんかも今最高益をやっている中で、防止に関する予算が全然増加していないということについての訴えがございました。やはり今、時を逃がさずして、今しっかりと子供たちを守っていくために、そういった啓発活動を行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、再任用教員の処遇についてお聞きします。
全国的に教員不足が非常に深刻な中、定年を迎えた退職教員の皆さんが再任用教員や期限付講師、非常勤、時間講師となって、その不足分を補完してくれている現状があります。
その中で、特に最近多い声が、定年を迎えて再任用教員としての継続勤務を決めた方が、前年と全く同じ職務を任される、中には前年と同じ職務プラスアルファの職務が追加されているのに、給料が前年の約七割に下がることへのしんどさであります。
そこで、これだけ教員不足が深刻な中で、定年を迎えた多くの教員が再任用教員として踏ん張ってくれている現状を考えると、もう少し給料の減少幅を緩やかにできないかと考えますが、文部科学省の見解をお伺いします。
○あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。
公立学校の再任用の教職員を含め、地方公務員の給与、地方公務員法に基づきまして、均衡の原則を踏まえた上で、各地方公共団体の条例におきまして適切に規定されているものと認識しているところでございます。
その上で、御指摘の再任用の教師に関わる給与制度に関しては、公務員全体に共通する制度でございまして、その給与については、教師のみを引き上げることはほかの職との均衡を踏まえると大変困難と考えているところでございますが、なお教師不足の課題も指摘される中、教師の処遇改善を始めとした教職の魅力向上は喫緊の課題と認識しているところでございます。
現在、中央教育審議会におきまして教師を取り巻く環境整備等につきまして御審議いただいているところでございまして、文部科学省といたしましても、教育の質の向上に向けて、教師の処遇改善を含め、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。
○山崎(正)分科員 本当に、おっしゃられるとおり、この問題は教育界だけの問題ではなく社会全体の流れなので、難しい課題ではあると分かった上で、一般の国民の皆さんからの生の声は、定年が六十一歳に延びたといいながら、実際には仕事は何も変わっていない、それに伴う責任も何も変わっていないのに、お給料だけががくんと下がる。これで本当に定年延長と言えるのかという声であります。
例えば、教員の世界でいうと、ここから先は、採用氷河期と言われ教員採用数がむちゃくちゃ少なかった世代が校長や副校長、教頭になる時代で、教員を取り巻く厳しい環境も相まって、それほど多くの管理職人材がいないことが予想されるのに、わざわざ急いで六十一歳で役職を降ろす必要があるのかとも考えます。
昔より十年は若くなったと言われる寿命、また健康寿命の観点からも、役職もお給料も、六十歳から六十五歳までは上がらずともそのままスライドしていく、そういった本当の意味での定年延長を国が主導していくと、民間もそういった流れになっていくとの指摘もあります。
全省庁的な問題であり、難しい問題とは思いますが、これだけ教師不足の中、退職教員の方がいなければ教育現場はとっくに運営ができなくなっている、崩壊しているというふうにも言われています。この現実を考えた場合には、今こそ文部科学省からこの問題の風穴を空けていただいてもいいのではないかと考えますので、御検討を切にお願いします。
次に、体育館へのエアコンの設置についてお伺いします。
本年一月一日に発生した能登半島地震で、改めて避難所となった体育館への空調設備の設置の必要性を訴える声が相次ぎました。
現在、文部科学省においては、小中学校の体育館等への空調設備の設置については学校施設環境改善交付金という制度で国庫補助を行っていますが、国庫補助を受けるのに断熱性能の確保が要件となっており、自治体の費用負担も増え、やむを得ず数年先の建て替えや大規模改修に合わせて計画するなど、空調設備導入の阻害要因となっていて、この要件の柔軟な対応を求める要望も強くあります。
そこで確認ですが、補助の要件として断熱性確保のための対策が条件となっている理由についてお伺いします。
○笠原政府参考人 委員御指摘の断熱性確保のための対策が条件となっている理由でございますけれども、断熱性の確保がなされていない体育館へ空調を設置した場合、過大な能力の空調機が必要となったり、光熱費が過大となったりし、効率的、効果的な施設整備ができないことから、国庫補助を行うに当たり断熱性の確保を必要としているところでございます。
○山崎(正)分科員 次に、断熱性能の確保は、導入コストやランニングコストの抑制、また環境負荷の観点からも必要ということは理解できます。しかし、これによって導入の時期が大幅に遅れたりすることも避けなければならない課題であると考えます。
文科省が自治体に対して作成している断熱性の確保工事について助言を行うための「体育館空調設置に伴う断熱性確保工事について」の資料がありますが、これを見ると、断熱性確保という言葉で断熱対策と遮熱対策が一くくりになっている印象があり、一般的には断熱材等の対策を連想してしまうと思います。特に、遮熱対策については、屋根に遮熱塗装、壁に鋼板張りと限定的な表現になっています。
そこで、日照時間や地域の気候特性、体育館自体の構造的違いなど、個々に条件は違いますので、必ずしも断熱対策ではなく、遮熱対策でも機能的には十分要件を満たす場合がありますので、補助要件に関しては断熱対策と遮熱対策を使い分け、費用負担を最小化して断熱性能確保ができるよう、自治体の選択肢を増やしていくことが重要であると考えますが、見解をお伺いします。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
文部科学省におきましては、体育館空調設置に伴う断熱性確保工事について、その必要性や具体例を文部科学省のホームページで公表するとともに、地方自治体に周知しているところでございます。
本具体例におきまして、遮熱対策につきましては、御指摘のとおり、屋根への遮熱塗料や壁への鋼板張りについて示しているところですが、あくまでも一例を示しているものでございまして、本具体例以外の有効な遮熱対策につきましても国庫補助の要件に合致し得るものと考えております。
文部科学省といたしましては、地方自治体が既存建物の状況に応じ経済的で効果的な断熱対策や遮熱対策を実施できるよう、より分かりやすい事例の周知や技術的助言に努めてまいります。
○山崎(正)分科員 私も県で勤めておりましたけれども、国からの資料に載っていなかったら駄目とかというふうな、そういったところの差も出ないように、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
次に、教員採用試験の早期化についてお伺いします。
近年、教員採用試験の倍率が低下している中、教員採用試験が民間企業等の採用活動等に比べてスケジュールが遅いことにより、人材が民間企業等に流れているという指摘が中教審答申などでもされてきました。
それらの状況を踏まえ、本年度より、教員採用試験の一次選考の目安、標準日を、六月十六日に設定して、各都道府県教育委員会にできるだけ前倒しするよう要請したところ、全国で三十六自治体がこの標準日に実施することになりました。
このことは、教育系の大学などからも今まで指摘、要望されてきたことであり、今回、文科省のリードで一歩進んだ取組になったと評価していますが、今後の取組についてお伺いします。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたように、令和六年度の実施の教員採用選考試験の第一次選考につきましては、私どもとして、六月十六日を一つの目安として、できるだけ前倒しをいただくということをお願いをしたわけでございます。
その結果、今御紹介ございましたけれども、昨年度、令和五年度は、六月最終週以降に第一次選考というのをほとんどの自治体が行っていましたところ、今年度につきましては六月十六日以前に一次選考を実施する自治体が三十六自治体ということでございます。
一方で、特に、中学校、高等学校の採用選考における新規学卒者の受験動向も踏まえますと更なる前倒しが必要だというふうに考えておりまして、先月二十六日に、各教育委員会に対して、令和七年度の第一次選考につきましては五月十一日を一つの目安として、更なる前倒しを検討いただくよう通知を発出したところでございます。
この採用選考の早期化、それから複数回実施、あるいは特別免許状の授与を前提とした採用選考の工夫など、様々な取組を促してまいりたいと思っております。
○山崎(正)分科員 教員不足問題への取組として、教員希望者を増やしていくことも重要な課題であります。
教員免許は持っているが教員にはなっていない、いわゆるペーパーティーチャーへの取組について、埼玉県では、令和五年度にペーパーティーチャー用のセミナーを年七回実施し、二百二十六名の参加者中、非常勤講師への希望登録者が百二十二名、そのうち令和六年度の当初の採用に五十三名がつながったという、すばらしい取組が行われていますが、こういった効果の出ている好事例を広く横展開していくべきだと考えますが、認識をお伺いします。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
今御紹介ございましたように、教師不足への対応といたしまして、教員希望者を発掘、確保するということは大変重要なことでございまして、埼玉県教育委員会の取組も、御指摘のとおりでございます。
また、これ以外にも各自治体で様々な取組がなされていると承知をしておりまして、例えば、鹿児島県教育委員会におきましては、鹿児島大学と連携をして、大学が開設をいたします、教職未経験者の方や長く教壇を離れていた教職志望者などが最新の学校教育の動向を身につけるための履修証明プログラム、これを受講する場合の受講料を県が負担するといった取組も行われております。
文部科学省といたしましては、こうした各教育委員会の取組を調査いたしまして、まさに、先月、教職以外の教員免許保有者に向けての研修の在り方ですとか、教職の魅力を発信するための広報、PRの仕方、あるいは教師を目指す学生への支援策などにつきまして、先導的な取組事例を取りまとめて各教育委員会に共有をしたところでございます。
今後、各教育委員会でこうした事例も参考としながら、また、私どもで支援策の事業も用意しておりますので、こうしたものを御活用いただきながら、引き続き教師不足の解消に向けた取組が行われるよう後押ししてまいりたいと考えております。
○山崎(正)分科員 済みません、この後、部活動の地域移行について質問するつもりで、回答も準備していただいていたと思いますが、時間の関係で、また次の機会にしたいと思います。
本日は、大変にありがとうございました。
○福重主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。
これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。
この際、一言御挨拶申し上げます。
分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
これにて散会いたします。
午後四時散会